JP2007072991A - 環境評価システム及び環境評価方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 植物が存在する閉空間における、環境状態を示すパラメータを位置毎に評価する。
【解決手段】 環境評価システム10は、植物が存在する閉空間における環境状態を示すパラメータを評価するシステムであって、閉空間及び植物の情報の入力を受け付ける入力受付部11と、閉空間を複数のブロックに区切った、当該閉空間のモデルを設定するモデル設定部12と、モデルの各ブロックにおいて、パラメータに対する他ブロック及び外部要因からの影響を、所定の収支式を用いて導出し、パラメータに対する植物とブロックとの間の影響を、所定の収支式を用いて導出し、各ブロックにおけるパラメータに対するそれぞれの影響から、パラメータをブロック毎に評価するシミュレーション部13とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 環境評価システム10は、植物が存在する閉空間における環境状態を示すパラメータを評価するシステムであって、閉空間及び植物の情報の入力を受け付ける入力受付部11と、閉空間を複数のブロックに区切った、当該閉空間のモデルを設定するモデル設定部12と、モデルの各ブロックにおいて、パラメータに対する他ブロック及び外部要因からの影響を、所定の収支式を用いて導出し、パラメータに対する植物とブロックとの間の影響を、所定の収支式を用いて導出し、各ブロックにおけるパラメータに対するそれぞれの影響から、パラメータをブロック毎に評価するシミュレーション部13とを備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、閉空間における環境状態を示すパラメータを評価する環境評価システム及び環境評価方法に関する。
従来から、植物の育成度合を予測する等のために、植物が存在する温室における温度、湿度等の環境状態を示すパラメータをシミュレーションにより導出することが提案されている(例えば、下記非特許文献1参照)。
Zwart,H.F. de,"Analyzingenergy-saving options in greenhouse ciltivation using a simulation model",Proefschrift Wageningen(LU-2071),1996.
Zwart,H.F. de,"Analyzingenergy-saving options in greenhouse ciltivation using a simulation model",Proefschrift Wageningen(LU-2071),1996.
しかしながら、非特許文献1に記載された方法は温室における温度、湿度等を一様に扱うものであり、分布についての評価を行うことはできなかった。特に、植物のある領域とその他の領域との間に生じる分布、及び植物のある領域内における上下の分布を評価することはできなかった。また、温度、湿度、CO2濃度といった物理的なパラメータ以外に植物の蒸散量や光合成量等の植物の状態を示すパラメータを、パラメータの分布を考慮して評価することができなかった。例えば、植物自体の葉の存在により植物の下部ほど日射が減少することによる植物自体の生育、周囲への影響が考慮されていなかった。
温室等の閉空間における温度、湿度等のパラメータは、植物の存在及び閉空間が設けられる場所の気候条件によっては位置毎により大きく異なる。位置毎にパラメータが異なる例として、図11に閉空間内において高さ毎の温度の実測値のグラフを示す。そのような場合、閉空間の温度を一様に扱ったものでは、例えば植物の育成度合を正確に予測することが難しくなっていた。そのような状況から、従来の方法よりも、より正確に環境を評価する方法が求められていた。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、植物が存在する閉空間における、環境状態を示すパラメータを位置毎に評価することができる環境評価システム及び環境評価方法を提供することを目的とする。なお、環境状態を示すパラメータとは、具体的には例えば、温度、湿度、CO2濃度等の閉空間の環境に係る物理量の値と、閉空間に存在する植物が蒸散する水分の量(植物蒸散量)、植物が吸収するCO2量、及び植物が固定する炭素の量(炭素固定量)等の植物に係る値とを含んだ閉空間の環境に係る値である。
本発明に係る環境評価システムは、植物が存在する閉空間における環境状態を示すパラメータを評価する環境評価システムであって、閉空間及び植物の情報の入力を受け付ける入力受付手段と、入力受付手段により受け付けられた情報に基づいて、閉空間を複数のブロックに区切った、当該閉空間のモデルを設定するモデル設定手段と、モデル設定手段により設定されたモデルの各ブロックにおける、パラメータに対する他ブロック及び外部要因からの影響を、予め設定されたパラメータに関するブロック間及びブロックと外部要因との間の収支式を用いて導出する第1影響導出手段と、モデル設定手段により設定されたモデルの各ブロックにおける、パラメータに対する閉空間内の植物と当該ブロックとの間の影響を、予め設定されたパラメータに関する植物と当該ブロックとの間の収支式を用いて導出する第2影響導出手段と、第1影響導出手段及び第2影響導出手段により導出された、各ブロックにおけるパラメータに対するそれぞれの影響から、パラメータをブロック毎に評価する評価手段と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る環境評価システムでは、モデル設定手段により閉空間を複数のブロックに区切ったモデルが設定され、各ブロックに対して環境状態を示すパラメータが評価される。パラメータの評価は、第1影響導出手段がブロック間及びブロックと外部要因との間の当該パラメータに対する影響を導出し、第2影響導出手段が植物とブロックとの間の当該パラメータに対する影響を導出し、評価手段により導出されたそれぞれの影響から行われる。従って、本発明に係る環境評価システムによれば、ブロック毎の環境状態を示すパラメータを評価することができ、これにより位置毎のパラメータの評価が可能になる。
モデル設定手段により設定されるモデルのブロックは、閉空間が高さ方向に区切られたものであることが望ましい。閉空間における環境状態を示すパラメータの変化は高さ方向に顕著であるので、この構成によれば、より現実に即したパラメータの評価が可能になる。
評価手段は、環境状態を示すパラメータの時系列データを導出することが望ましい。この構成によれば、パラメータの時間変化も評価することができる。
ところで、本発明は、上記のように環境評価システムの発明として記述できる他に、以下のように環境評価方法の発明としても記述することができる。これらはカテゴリが異なるだけで、実質的に同一の発明であり、同様の作用及び効果を奏する。
本発明に係る環境評価方法は、情報処理装置が、植物が存在する閉空間における環境状態を示すパラメータを評価する環境評価方法であって、閉空間及び植物の情報の入力を受け付ける入力受付ステップと、入力受付ステップにおいて受け付けられた情報に基づいて、閉空間を複数のブロックに区切った、当該閉空間のモデルを設定するモデル設定ステップと、モデル設定ステップにおいて設定されたモデルの各ブロックにおける、パラメータに対する他ブロック及び外部要因からの影響を、予め設定されたパラメータに関するブロック間及びブロックと外部要因との間の収支式を用いて導出する第1影響導出ステップと、モデル設定ステップにおいて設定されたモデルの各ブロックにおける、パラメータに対する閉空間内の植物と当該ブロックとの間の影響を、予め設定されたパラメータに関する植物と当該ブロックとの間の収支式を用いて導出する第2影響導出ステップと、第1影響導出ステップ及び第2影響導出ステップにおいて導出された、各ブロックにおけるパラメータに対するそれぞれの影響から、パラメータをブロック毎に評価する評価ステップと、を有することを特徴とする。
本発明では、閉空間を複数のブロックに区切ったモデルが設定され、各ブロックに対して環境状態を示すパラメータが評価される。パラメータの評価は、ブロック間及びブロックと外部要因との間の当該パラメータに対する影響を導出し、植物とブロックとの間の当該パラメータに対する影響を導出し、導出されたそれぞれの影響から行われる。従って、本発明によれば、ブロック毎の環境状態を示すパラメータを評価することができ、これにより、植物が存在する閉空間における、環境状態を示すパラメータの位置毎の評価が可能になる。
以下、図面とともに本発明に係る環境評価システム、環境評価方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1に本実施形態に係る環境評価システム10を示す。環境評価システム10は、閉空間における環境状態を示すパラメータを評価する情報処理装置である。環境評価システム10の評価対象である閉空間は、植物が存在する閉空間である。閉空間とは、壁体、窓等の部材により外気と仕切られた、一定の広さを有する空間である。植物が存在する閉空間として、具体的には、植物を育成する温室等が相当する。本実施形態において、評価するパラメータは、具体的には、温度、湿度、CO2濃度、植物蒸散量及び炭素固定量である。
パラメータの評価は、環境評価システム10による情報処理により行われる。環境評価システム10たる情報処理装置は、具体的には、ワークステーションやPC(Personal Computer)等が相当し、CPU(CentralProcessing Unit)やメモリ等のハードウェアにより構成されている。環境評価システム10は、これらの構成要素がプログラム等により動作することにより後述する各機能が発揮される。なお、本実施形態では、環境評価システム10は一つの装置で実現されているが、複数の情報処理装置がネットワークにより互いに接続されて構成される情報処理システムにより実現されていてもよい。
図1に示すように、環境評価システム10は、入力受付部11と、モデル設定部12と、シミュレーション部13とを備える。また、環境評価システム10は、入力装置20と接続されており、入力装置20から情報が入力される。入力装置20は、具体的には、キーボード等のユーザインターフェースや、他の情報処理装置等が相当する。
入力受付部11は、評価対象となる閉空間、及び当該閉空間に存在する植物に関する情報の入力を受け付ける入力受付手段である。情報の入力は、入力装置20から行われる。入力される情報の具体的な内容については後述する。
モデル設定部12は、入力受付部11により受け付けられた情報に基づいて、パラメータの評価を行うための閉空間のモデルを設定するモデル設定手段である。このモデルは、閉空間を複数のブロックに区切ったものとなっている。モデルの具体的な内容については後述する。
シミュレーション部13は、モデル設定部12により設定されたモデルを用いて、パラメータを評価する評価手段である。また、シミュレーション部13は、パラメータを評価するために、モデルの各ブロックにおける、パラメータに対する他ブロック及び外部要因からの影響を導出する第1影響導出手段でもある。この導出は、パラメータに関するブロック間及びブロックと外部要因との間の収支式を用いて行われる。また、シミュレーション部13は、パラメータを評価するために、モデルの各ブロックにおける、パラメータに対する植物と当該ブロックとの間の影響を導出する第2影響導出手段でもある。この導出は、パラメータに関する植物と当該ブロックとの間の収支式を用いて行われる。これらの収支式は、予めシミュレーション部13に記憶されている。本実施形態における、収支式は、熱(温度)、風量、水分(湿度)、CO2濃度に関するものである。
パラメータの評価は、これら導出されたブロックにおけるパラメータに対する様々な影響を参照して行われる。また、パラメータの評価は時系列に行われ、パラメータの時系列データが導出される。上記導出及び評価の具体的な処理内容については後述する。
引き続いて、図2及び図3のフローチャートを用いて本実施形態に係る環境評価方法(環境評価システム10において実行される処理)を説明する。まず、ユーザが入力装置20を用いて、評価対象となる閉空間、及び当該閉空間に存在する植物に関する情報の入力を行う。この入力は、これらの情報がユーザにより直接入力されてもよいし、予めこれら情報を環境評価システム10に格納しておきそれをユーザが指定することにより行われてもよい。入力がなされると、入力受付部11により情報が受け付けられる(S01、情報受付ステップ)。
入力される情報は、評価のためにモデルを構成し演算に用いられる情報であり、評価の条件の情報、閉空間の情報、及び植物の情報を含む。評価の条件のデータとしては、具体的には例えば、計算日数(例えば、365日等)及び計算ステップ数(例えば、1日当り14400回(6秒間間隔))等の計算制御データの情報である。これらの情報は予め環境評価システム10に記憶されていてもよい。
閉空間の情報としては、具体的には例えば、閉空間を構成する壁体のデータ、閉空間を構成する窓のデータ、ブロックのデータ、ブロック間の境界面のデータ、閉空間の内部に設けられる遮光スクリーンのデータ、閉空間の内部に設けられる細霧冷房のデータ、閉空間内部で発生する気流(壁面流、窓面流)のデータ、閉空間に備えられる空調機のデータ、閉空間内部の発熱のデータ、閉空間と外気との間の換気のデータが相当する。なお、ブロック、壁体等にはそれぞれ番号が割り当てられ、どのブロック、壁体の情報か特定できるようにしている。また、上記の空調機には、パイプに温水を通して暖房する方式の暖房機器も含まれる。
上記のデータはより詳細には、以下のデータから構成されている。閉空間を構成する壁体のデータは、壁体が接するブロックの位置(ブロックを特定する番号)、壁体の構成、面積、方位(方向角及び傾斜角データ)、表面の対流熱伝導率の各データを含む。閉空間を構成する窓のデータは、窓が接するブロックの位置、面積、方位、閉空間の外側の総合熱伝導率、内側の対流熱伝導率、日射吸収率・透過率、長波放射率の各データを含む。ブロックのデータは、ブロックの高さ、容積の各データを含む。ブロック間の境界面のデータは、境界面の面積、熱移動係数の各データを含む。閉空間の内部に設けられる遮光スクリーンのデータは、遮光スクリーンが接するブロックの位置、遮光スクリーンの面積、表面の対流熱伝導率、日射の吸収割合の各データを含む。閉空間の内部に設けられる細霧冷房のデータは、細霧冷房が行われる位置(ブロックを特定する番号)、空間全体への噴霧量の各データを含む。閉空間内部で発生する気流(壁面流、窓面流)のデータは、発生するブロックの位置、壁面又は窓面の位置(壁面又は窓面を特定する番号)の各データを含む。閉空間に備えられる空調機のデータは、吹出し・吸込み口の個数・位置(高さ)・大きさ、風量、空調機の能力(閉空間に加えたり奪ったりする熱量)、稼動スケジュールの各データを含む。閉空間内部の発熱のデータは、熱量の大きさ、稼動スケジュールの各データを含む。閉空間と外気との間の換気のデータは、風量、換気スケジュールの各データを含む。
また、閉空間の情報には、閉空間へ影響を及ぼす外的要因に関する情報が含まれ、具体的には例えば、日射の入射のデータ(壁面の位置(壁面を特定する番号)、配分割合)、外気のCO2濃度、気象条件のデータ(温度、絶対湿度、日射量、夜間放射量、閉空間の存在を想定する地域の標準気象データ)が含まれる。
植物の情報としては、具体的には例えば、植物が存在するブロックの位置(ブロックを特定する番号)、植物の面積(ブロック毎の面積)、表面の対流熱伝導率が含まれる。なお、上記の各情報は、情報によっては時系列データとなっている。以下、環境評価システム10では、入力受付部11からモデル設定部12及びシミュレーション部13にこれらの情報が送信され、これらの情報を用いて処理が行われる。
続いて、モデル設定部12が閉空間のモデルを設定する(S02、モデル設定ステップ)。モデルは、入力受付部11により受け付けられた情報に基づいて設定される。図4に、本実施形態におけるモデル30を模式的に示す。図4に示すように、閉空間は、側面を構成する壁面31(壁面31には窓面が含まれる)と、透明ガラス(上述した情報においては窓として扱われる)により構成された屋根32と、土やコンクリートにより構成された底面33とにより構成されている。図4では、モデル30は、平面的に示しているが、奥行きを考慮した三次元的なモデルとしてもよい。
閉空間は、複数のブロック34(ブロック34a〜34gの総称)に区切られる。環境状態を示すパラメータは、ブロック34毎の変数として定義されており、ブロック34毎に評価される。図4に示すようにブロック34は、高さ方向に区切られている。ブロック34は、ブロック毎に高さ方向の厚さが異なっている。例えば第6ブロック34fは1.3mであるのに対して、第7ブロックは0.2mとなっている。同一のブロック34内では、パラメータの値は同一として扱われるので、パラメータの値が同一とみなせる範囲を1つのブロック34として設定するのがよい。
モデル30における所定のブロック34には、植物が存在している。本実施形態では、第4ブロック34d〜第7ブロック34gの複数のブロック34に植物が存在している。植物は、後述するようにパラメータに対して様々な影響を与える。また、閉空間内に遮光スクリーン45を設けて、閉空間内への日射を制限することとしてもよい。本実施形態では、第1ブロック34aと第2ブロック34bとの間に、遮光スクリーン45を設けている。
また、モデル30には、パラメータに影響を与える様々な要因が定義されている。図4に示すように、ブロック34間の温度の影響36、壁面31からブロック34への温度の影響37、壁面31又は窓面に沿った位置で発生する気流38(壁面流、窓面流)、閉空間内に設けられる空調機による気流39の発生、閉空間内に設けられる細霧冷房機40や発熱41の影響、換気42、日射43、貫流熱44等が定義される。これらの影響は、後述するように、シミュレーション部13において記憶されている各パラメータの収支式において考慮されている。モデル設定部12は、具体的には、入力受付部11により受け付けられた情報を、以下に説明する処理で用いられる演算式及び収支式に用いられる数値として設定する。また、モデル設定部12は、以下に説明する処理で用いられるデータをモデル30に応じたデータ構造とする。
このように設定されたモデル30に基づいて、シミュレーション部13が、シミュレーションを行い、各パラメータを評価していく。引き続いて、図2及び図3を用いて、シミュレーション部13によるパラメータの評価を説明する。以下に説明するシミュレーションに係る演算は、原則としてブロック34毎に行われる。
シミュレーション部13は、細霧冷房機40による細霧の蒸発量MVfog[kg/s]を算出する(S03、第1影響導出ステップ)。この算出は次の式に基づいて行われる。
MVfog=Min(eva_a,qt)/3600/1000
ここで、Min(eva_a,qt)は、eva_aとqtとのうち小さい方を取る関数である。eva_aは、各ブロックにおける蒸散可能量[g/h]であり、以下の式により導出される。また、qtは、各ブロックへの噴霧量[g/h]であり、S01において入力が受け付けられたデータである。
eva_a=16×Sw×(Xw−AHB)
ここで、Swは、噴霧される水滴の表面積の合計[m2]であり、qtの値から演算される。例えば、水滴の粒径を仮定して、その値を用いた以下の式により算出される。
Sw=qt/(水滴1個あたりの質量[g/m3])×(水滴1個あたりの表面積[m2])
Xwは、水温での飽和絶対湿度[g/kg´]であり、ブロック34の(絶対)温度TB[℃]により決まる値である。AHBは、ブロック34の(絶対)湿度[g/kg´]の値である。ここで、ブロック34における温度TB及び湿度AHBは、シミュレーションにより得られた時系列の前の時点の値を用いる(前の時点の値がない場合は、初期値として入力された値)。このようにして得られた蒸発量MVfogの値は、後述するブロック34における熱収支式及び水分収支式(S15及びS18の処理における収支式)で用いられる。
MVfog=Min(eva_a,qt)/3600/1000
ここで、Min(eva_a,qt)は、eva_aとqtとのうち小さい方を取る関数である。eva_aは、各ブロックにおける蒸散可能量[g/h]であり、以下の式により導出される。また、qtは、各ブロックへの噴霧量[g/h]であり、S01において入力が受け付けられたデータである。
eva_a=16×Sw×(Xw−AHB)
ここで、Swは、噴霧される水滴の表面積の合計[m2]であり、qtの値から演算される。例えば、水滴の粒径を仮定して、その値を用いた以下の式により算出される。
Sw=qt/(水滴1個あたりの質量[g/m3])×(水滴1個あたりの表面積[m2])
Xwは、水温での飽和絶対湿度[g/kg´]であり、ブロック34の(絶対)温度TB[℃]により決まる値である。AHBは、ブロック34の(絶対)湿度[g/kg´]の値である。ここで、ブロック34における温度TB及び湿度AHBは、シミュレーションにより得られた時系列の前の時点の値を用いる(前の時点の値がない場合は、初期値として入力された値)。このようにして得られた蒸発量MVfogの値は、後述するブロック34における熱収支式及び水分収支式(S15及びS18の処理における収支式)で用いられる。
続いて、シミュレーション部13は、植物35の日射吸収量IS[W/m2 leaf]を算出する(植物が存在しているブロック34のみ)(S04、第2影響導出ステップ)。これにより、植物自体の葉の存在により植物の下部ほど日射が減少することを考慮することができる。この算出は次の式に基づいて行われる。
IS=I(xu)−I(xd)
ここで、I(x)は、植物が存在しているブロック34全体(キャノピー)の上面(本実施形態では、第4ブロック34dの上面)からの深さxにおける日射量であり、xuは(算出対象の)ブロック34の上面の深さ、xdは(算出対象の)ブロック34の下面の深さの値である。I(x)は、以下の式により求められる。
I(x)=I0a exp(−kxLAI)
ここで、I0は、キャノピー上面における日射量であり、日射の入射データや屋根32、遮光スクリーン45のデータ等から算出される。aは、反射によるキャノピー上面における日射の増加分に関する係数であり、以下の式で表される。
a=1.04+0.24exp(−2LAI)
ここで、LAIは葉面積指数であり、本実施形態では所与の値(例えば3)とする。kは、減衰係数であり、以下の式で表される。
k=0.85−0.27exp(−0.69LAI)
このようにして得られた、植物の日射吸収量の値は、S12における植物35からの水分の蒸散量及びCO2吸収量の算出、及びブロック34における植物の影響に係る熱収支式、水分収支式及びCO2濃度収支式で用いられる。
IS=I(xu)−I(xd)
ここで、I(x)は、植物が存在しているブロック34全体(キャノピー)の上面(本実施形態では、第4ブロック34dの上面)からの深さxにおける日射量であり、xuは(算出対象の)ブロック34の上面の深さ、xdは(算出対象の)ブロック34の下面の深さの値である。I(x)は、以下の式により求められる。
I(x)=I0a exp(−kxLAI)
ここで、I0は、キャノピー上面における日射量であり、日射の入射データや屋根32、遮光スクリーン45のデータ等から算出される。aは、反射によるキャノピー上面における日射の増加分に関する係数であり、以下の式で表される。
a=1.04+0.24exp(−2LAI)
ここで、LAIは葉面積指数であり、本実施形態では所与の値(例えば3)とする。kは、減衰係数であり、以下の式で表される。
k=0.85−0.27exp(−0.69LAI)
このようにして得られた、植物の日射吸収量の値は、S12における植物35からの水分の蒸散量及びCO2吸収量の算出、及びブロック34における植物の影響に係る熱収支式、水分収支式及びCO2濃度収支式で用いられる。
続いて、シミュレーション部13は、壁面31表面の温度TF[℃]を算出する(S05)。算出された値は、後述する第1影響導出ステップ及び第2影響導出ステップにおける収支式で用いられる。壁面温度TFは、日射量等の気象条件のデータ、壁体データ、並びに時系列の前の時点の壁体及びブロック34の温度TBを用いて、非定常の一次元熱伝導計算により壁体内の温度を求めて、算出される。壁面温度TFの算出は、具体的には例えば戸河里敏,荒井良延,三浦克弘:大空間の上下温度分布予測のための非定常計算モデル 大空間の空調・熱環境計画手法の研究 その2,日本建築学会計画系論文報告集第435号(1992年5月)(非特許文献2)に記載された公知の方法を用いて行うことができる。壁面31の温度TFの値は、ブロック34における熱収支式に用いられる。また、天井及び床面についても、同様に表面の温度を算出する。
続いて、シミュレーション部13は、各ブロック34の温度TB、各ブロック34に存在する植物35の温度TCan、遮光スクリーン45の温度TScrを仮定する(S06、第1影響導出ステップ)。この温度の仮定は、以下に演算する各温度が収束しているか否かを(S16における)判断するために行われる。仮定の値は、時系列における評価対象の時点で、後述するS07〜S15の処理が行われてS16における判断で収束していないと判断された場合は、そこまでの(S07〜S15の)処理で得られた温度の値が用いられる。また、その時点でS07以降の処理が行われていない場合は、時系列の前の時点の値を用いる。以降の処理(S07〜S16)は、熱収支式により上記の各温度を評価するための処理である。各温度を評価するには各ブロックの風量を算出して用いる必要があり、風量の算出には温度のデータが必要なため、これらの仮定値が用いられる。
続いて、シミュレーション部13は、時系列における演算時点で閉空間内に設けられた空調機による空調が行われているか否か判断する(S07、第1影響導出ステップ)。この判断は、具体的には例えば、空調機の稼動スケジュールを参照して行われる。また、空調機が設定温度になったときに稼動する等の条件がある場合、判断は、その条件と条件に用いられているデータ(ブロック34の温度TBの仮定値等)を参照して行われる。
空調が行われている場合は、空調による気流の軌道及び誘引風量[m3/h]を算出する(S08、第1影響導出ステップ)。この算出は、空調機のデータを用いて行われる。具体的には例えば、戸河里敏,荒井良延,三浦克弘:大空間の上下温度分布予測のための予測モデル 大空間の空調・熱環境計画手法の研究 その1,日本建築学会計画系論文報告集第427号(1991年9月)(非特許文献3)に記載された公知の方法(非等温噴流モデルを用いた方法)を用いて行うことができる。空調が行われていない場合は、この処理は行われない。
続いて、シミュレーション部13は、時系列における演算時点で閉空間と外気との間で換気が行われているか否か判断する(S09、第1影響導出ステップ)。この判断は、具体的には例えば、換気スケジュールを参照して行われる。また、換気が設定温度になったときに行われる等の条件がある場合、判断は、その条件と条件に用いられているデータ(ブロック34の温度TBの仮定値や外気温度等)を参照して行われる。
換気が行われている場合は、換気による気流の軌道及び誘引風量[m3/h]を算出する(S10、第1影響導出ステップ)。この算出は、気象条件のデータ及び換気のデータを用いて行われる。具体的には例えば、非特許文献3に記載された公知の方法を応用して行うことができる。なお、上記の公知の方法は、気流の風量は機器の性能により固定値として扱われている。従って、上記の公知の方法を、屋外の風向、風速等により風量が変動する、自然換気による気流にそのまま適用することはできない。しかしながら、自然換気は植物が存在する閉空間の環境状態に大きく影響し、また閉空間の位置毎の影響は一様ではない。そこで、本実施形態では、換気による気流の風量(換気量)を、自然換気の気流が入りこむ開口部の状態(位置及び形状)、屋外の風向・風速・風速等により算出することにより、自然環境を考慮することが好ましい。算出するための入力となるこれらの情報は、S01において入力受付部11により受け付けられたものである。
例えば、自然換気により天窓から流入する換気量φV[m3/s]は、天窓の面積A0[m2]、屋外風速u[m/s]を用いて以下の式により算出される。
φV=G(α)uA0
ここでG(α)[−]は、開口部の抵抗を合成した係数となっており、開口角度αの関数として以下の式により算出される。なお、開口部は2つの部分(屋外の風向に対して風下側及び風上側)が開口するものである。
G(α)=2.29・10−2[1−exp(−α/21.1)](屋外の風向に対して、風下側が開口している場合)
G(α)=0.0012・α exp(α/211.1)(屋外の風向に対して、風上側が開口している場合)
このように自然換気の風量を適切に算出することで、自然換気に関して各ブロック毎の影響を適切に考慮することが出来、結果としてより精度の高いパラメータの評価が可能となる。なお、換気が行われていない場合は、この処理は行われない。
φV=G(α)uA0
ここでG(α)[−]は、開口部の抵抗を合成した係数となっており、開口角度αの関数として以下の式により算出される。なお、開口部は2つの部分(屋外の風向に対して風下側及び風上側)が開口するものである。
G(α)=2.29・10−2[1−exp(−α/21.1)](屋外の風向に対して、風下側が開口している場合)
G(α)=0.0012・α exp(α/211.1)(屋外の風向に対して、風上側が開口している場合)
このように自然換気の風量を適切に算出することで、自然換気に関して各ブロック毎の影響を適切に考慮することが出来、結果としてより精度の高いパラメータの評価が可能となる。なお、換気が行われていない場合は、この処理は行われない。
続いて、シミュレーション部13は、窓面温度TGLASS[℃]を算出する(S11)。算出された値は、後述する第1影響導出ステップ及び第2影響導出ステップにおける収支式で用いられる。ブロック34の温度TBの仮定値、植物35の温度TCanの仮定値、遮光スクリーン45の温度TScrの仮定値、壁面温度TF(S05で算出したもの)及び窓のデータを入力として、算出する。この算出は、具体的には例えば、戸河里敏,武政祐一:オフィス空間の空調・熱環境計画手法の研究 その4 窓システムの熱予測性能モデル,日本建築学会大会学術講演梗概集(関東)(1993年9月)(非特許文献4)に記載された公知の方法を用いて行うことができる。
続いて、シミュレーション部13は、壁面及び窓面に沿う気流の算出を行う(S12、第1影響導出ステップ)。ブロック34の温度TBの仮定値、壁面温度TF(S05で算出したもの)、窓面温度TGLASS(S11で算出したもの)、壁体及び窓のデータを入力として、発生する気流の風量[m3/h](ブロック34から別のブロック34への流入量)が算出される。この算出は、具体的には例えば、非特許文献3に記載された公知の方法(壁面流モデルを用いた方法)を用いて行うことができる。
続いて、シミュレーション部13は、ブロック34間移動風量[m3/h]を算出する(図3のS13、第1影響導出ステップ)。この算出は、S08,S10,S12で算出された気流の軌道及び風量を入力として、シミュレーション部13が予め記憶している風量収支式に基づいて行われる。この算出は、具体的には例えば、非特許文献3に記載された公知の方法を用いて行うことができる。
続いて、シミュレーション部13は、植物35からの水分の蒸散量MVCanAir[kgs−1m−2]を算出する(S14、第2影響導出ステップ、評価ステップ)。この算出のために、シミュレーション部13は、以下の式により気孔抵抗ri,V[sm−1]を算出する。気孔抵抗ri,V算出の際の入力は、ブロック34の温度TBの仮定値、植物35の温度TCanの仮定値、ブロック34の湿度AHB、日射量、及びCO2濃度[ppm]である。ここで、湿度AHB及びCO2濃度は、時系列の前の時点の値を用いる。
ri,V=rminr(Is)r(TCan)r(CO2)r(e0−ea)
ここで、rminは、最小抵抗値であり、予めシミュレーション部13に記憶されている所与の値である。
ri,V=rminr(Is)r(TCan)r(CO2)r(e0−ea)
ここで、rminは、最小抵抗値であり、予めシミュレーション部13に記憶されている所与の値である。
r(Is)は、気孔抵抗の日射吸収量Isに関する項であり、S04において算出した日射吸収量Isから以下の式により算出することができる。
r(Is)=(Is+C1)/(Is+C2)
ここで、C1及びC2は予めシミュレーション部13に記憶されている所与の定数である。また、r(TCan)は、気孔抵抗の、植物35の温度(葉温)TCanに関する項であり、以下の式により算出することができる。
r(TCan)=1+C3(TCan+Tm)2
ここで、C3及びTmは予めシミュレーション部13に記憶されている所与の定数である。また、r(CO2)は、気孔抵抗のCO2濃度に関する項であり、以下の式により算出することができる。
r(CO2)=1+C4(CO2−200)2
ここで、CO2は、CO2濃度の値であり、C4は予めシミュレーション部13に記憶されている所与の定数である。また、r(e0−ea)は、気孔抵抗の飽差に関する項であり、以下の式により算出することができる。
r(e0−ea)=1+C5(e0−ea)2
ここで、e0は、葉温飽和水蒸気圧[Pa]であり、eaは、空間水蒸気圧[Pa]であり、それぞれブロック34の絶対湿度AHBの時系列の前時点の値と植物35の温度TCanの仮定値とから導出することができる。また、C5は予めシミュレーション部13に記憶されている所与の定数である。上記の各式における定数C1〜C5は、植物の種類に応じて実験的に定まる値である。
r(Is)=(Is+C1)/(Is+C2)
ここで、C1及びC2は予めシミュレーション部13に記憶されている所与の定数である。また、r(TCan)は、気孔抵抗の、植物35の温度(葉温)TCanに関する項であり、以下の式により算出することができる。
r(TCan)=1+C3(TCan+Tm)2
ここで、C3及びTmは予めシミュレーション部13に記憶されている所与の定数である。また、r(CO2)は、気孔抵抗のCO2濃度に関する項であり、以下の式により算出することができる。
r(CO2)=1+C4(CO2−200)2
ここで、CO2は、CO2濃度の値であり、C4は予めシミュレーション部13に記憶されている所与の定数である。また、r(e0−ea)は、気孔抵抗の飽差に関する項であり、以下の式により算出することができる。
r(e0−ea)=1+C5(e0−ea)2
ここで、e0は、葉温飽和水蒸気圧[Pa]であり、eaは、空間水蒸気圧[Pa]であり、それぞれブロック34の絶対湿度AHBの時系列の前時点の値と植物35の温度TCanの仮定値とから導出することができる。また、C5は予めシミュレーション部13に記憶されている所与の定数である。上記の各式における定数C1〜C5は、植物の種類に応じて実験的に定まる値である。
続いて、シミュレーション部13は、以下の式により植物35における水分の蒸散量の係数VECCanAir[kgs−1Pa−1m−2]を、算出した気孔抵抗ri,Vを用いて、以下の式により算出する。
VECCanAir=(2ρcpLAI)/{ΔHγ(rb,v+ri,V)}
ここでρは空気密度、cpは空気の比熱、LAIは前述した葉面積指数、ΔHは水の蒸発潜熱、γは乾湿計定数、rb,vは葉面境界層抵抗[sm−1]であり、それぞれ予めシミュレーション部13に記憶されている所与の値である。なお、葉面境界層抵抗rb,vは以下の式により求めることができる。
rb,v=Le2/3rb,H
ここで、Leはルイス数(=0.89)であり、rb,Hは熱伝達の境界層抵抗(=246.0)である。
VECCanAir=(2ρcpLAI)/{ΔHγ(rb,v+ri,V)}
ここでρは空気密度、cpは空気の比熱、LAIは前述した葉面積指数、ΔHは水の蒸発潜熱、γは乾湿計定数、rb,vは葉面境界層抵抗[sm−1]であり、それぞれ予めシミュレーション部13に記憶されている所与の値である。なお、葉面境界層抵抗rb,vは以下の式により求めることができる。
rb,v=Le2/3rb,H
ここで、Leはルイス数(=0.89)であり、rb,Hは熱伝達の境界層抵抗(=246.0)である。
続いて、シミュレーション部13は、以下の式により植物35からの水分の蒸散量MVCanAirを、上記のように算出した、植物35における水の蒸発潜熱VECCanAirを用いて、以下の式により求める。
MVCanAir=VECCanAir(e0−ea)/LAI
算出された、植物35からの水分の蒸散量MVCanAirは、各ブロック34における、植物の影響に係る水分収支式で用いられる。また、後述するS16において各温度が収束されたと判断されたときに算出された、植物35からの水分の蒸散量MVCanAirは、時系列におけるその時点でのパラメータの評価値とされる。
MVCanAir=VECCanAir(e0−ea)/LAI
算出された、植物35からの水分の蒸散量MVCanAirは、各ブロック34における、植物の影響に係る水分収支式で用いられる。また、後述するS16において各温度が収束されたと判断されたときに算出された、植物35からの水分の蒸散量MVCanAirは、時系列におけるその時点でのパラメータの評価値とされる。
続いて、シミュレーション部13は、上記のように算出された各値を用いて熱収支式に基づいて、各ブロック34の温度TB、各ブロック34に存在する植物35の温度TCan、遮光スクリーン45の温度TScrを導出する(S15、第1影響導出ステップ、第2影響導出ステップ、評価ステップ)。以下は、ブロックに関する熱収支式である。
ここで、上記の熱収支式において、I,Lはブロック34を特定する番号、Kは垂直壁面31(及び窓面)(閉空間の側面を構成する壁面31)を特定する番号、KHは天井及び床面を特定する番号、KCanはブロック34内において植物35を特定する番号、KScrは遮光スクリーン45を特定する番号である。nはブロック34の数、mは垂直壁面31(及び窓面)の数、mHは天井及び床面数、mCanは植物35の数、mScrは遮光スクリーン45の数であり、閉空間及び評価の条件により定まる値である。
T(I)は、番号Iで特定されるブロック34の空気温度[℃]であり、TCan(L,KCan)は、番号Lで特定されるブロック34の、番号KCanで特定される植物35の表面温度[℃]であり、TScr(L,KScr)は、番号Lで特定されるブロック34の、番号KScrで特定される遮光スクリーン45の表面温度[℃]であり、それぞれ本熱収支式により導出される値である(即ち未知数であり、上記の式において四角で囲まれている)。T´(I)は、番号Iで特定されるブロック34の、前時点での空気温度[℃]であり、そこまでの演算処理により既に導出されている値である。
Cは(ブロック34の)空気の定圧比熱[kcal/(kg・℃)]、ρは空気密度[kg/m3]、Δtは時間間隔[h]であり、αc(L,KH)は番号Lで特定されるブロック34の、番号KHで特定される天井・床面の対流熱伝導率[kcal/(m2・h・℃)]であり、αc(L,K)は番号Lで特定されるブロック34の、番号Kで特定される垂直壁面31の対流熱伝導率[kcal/(m2・h・℃)]であり、Tsiは空調による気流の温度[℃]であり、Taiは換気による気流の温度(外気温度)[℃]であり、CB(L)は番号Lで特定されるブロック34と番号(L−1)で特定されるブロック34との間の温度差による熱移動係数[kcal/(m2・h・℃)]であり、αc−CanUpp(L,KCan)は番号Lで特定されるブロック34の、番号KCanで特定される植物35の上面の対流熱伝導率[kcal/(m2・h・℃)]であり、αc−CanLow(L,KCan)は番号Lで特定されるブロック34の、番号KCanで特定される植物35の下面の対流熱伝導率[kcal/(m2・h・℃)]であり、αc−ScrUpp(L,KScr)は番号Lで特定されるブロック34の、番号KScrで特定される遮光スクリーン45の上面の対流熱伝導率[kcal/(m2・h・℃)]であり、αc−ScrLow(L,KScr)は番号Lで特定されるブロック34の、番号KScrで特定される遮光スクリーン45の下面の対流熱伝導率[kcal/(m2・h・℃)]であり、ΔHは水の蒸発潜熱[kcal/kg]であり、それぞれ入力受付部11により入力が受け付けられた、あるいは予めシミュレーション部13に記憶されている所与の値である。
VAir(L)は、番号Lで特定されるブロック34の容積[m3]であり、AW(L,KH)は番号Lで特定されるブロック34の、番号KHで特定される天井・床面の面積[m2]であり、AW(L,K)は番号Lで特定されるブロック34の、番号Kで特定される垂直壁面31の面積[m2]であり、AB(L)は番号Lで特定されるブロック34と番号(L−1)で特定されるブロック34との間の境界面の面積[m2]であり、ACan(L,KCan)は番号Lで特定されるブロック34の、番号KCanで特定される植物35の面積[m2]であり、AScr(L,KScr)は番号Lで特定されるブロック34の、番号KScrで特定される遮光スクリーン45の面積[m2]であり、それぞれ閉空間及び評価の条件により定まる値である。
TW(L,KH)は、番号Lで特定されるブロック34の、番号KHで特定される天井・床面の表面の温度であり、TW(L,K)は番号Lで特定されるブロック34の、番号Kで特定される垂直壁面31の表面の温度であり、S05において算出された値である。
r(I,L,K)は番号Iで特定されるブロック34の、番号Kで特定される壁面で発生した下降流のうち、番号Lで特定されるブロック34に流入する割合であり、S12において算出された値である。
Vsi(L)は、番号Lで特定されるブロック34に流入する空調による気流の風量[m3/h]であり、VE(I,L)は番号Iで特定されるブロック34から誘引されて番号Lで特定されるブロック34に流入される[m3/h]であり、S08において算出された値である。
Vai(L)は、番号Lで特定されるブロック34に流入する換気による気流の風量[m3/h]であり、S10において算出された値である。VC(L)は、ブロック境界面を通しての、番号Lで特定されるブロック34から番号(L−1)で特定されるブロック34への移動風量であり、S13において算出された値である。
MVFog(L)は番号Lで特定されるブロック34における細霧冷房の蒸発量[kg/h]であり、S03において算出された値である。
ここで、上記の熱収支式において、Iはブロック34を特定する番号、Kは垂直壁面31(及び窓面)(閉空間の側面を構成する壁面31)を特定する番号、ICan,KCanはブロック34内において植物35を特定する番号、KScrは遮光スクリーン45を特定する番号である。nはブロック34の数、mは垂直壁面31(及び窓面)の数、mCanは植物35の数、mScrは遮光スクリーン45の数であり、閉空間及び評価の条件により定まる値である。
T(L,ICan)は、番号ICanで特定される植物35が存在する、番号Lで特定されるブロック34の空気温度[℃]であり、TCan(ICan)は、番号ICanで特定される植物35の表面温度[℃]であり、TScr(KScr)は、番号KScrで特定される遮光スクリーン45の表面温度[℃]であり、それぞれ本熱収支式により導出される値である(即ち未知数であり、上記の式において四角で囲まれている)。TCan´(ICan)は、番号ICanで特定される植物35の、前時点での表面温度[℃]であり、そこまでの演算処理により既に導出されている値である。
Cleafは植物の熱容量(=1.2×103)[J/(℃・m2leaf)]であり、Δtは時間間隔[h]であり、αc−CanUpp(ICan)は番号ICanで特定される植物35の上面の対流熱伝導率[kcal/(m2・h・℃)]であり、αc−CanLow(ICan)は番号ICanで特定される植物35の下面の対流熱伝導率[kcal/(m2・h・℃)]であり、αr(ICan)は、番号ICanで特定される植物35の表面の放射熱伝達率[kcal/(m2・h・℃)]であり、gUpp(ICan,K)は番号Kで特定される壁面Kの、番号ICanで特定される植物35の上面に対する放射吸収係数[−]であり、gLow(ICan,K)は番号Kで特定される壁面Kの、番号ICanで特定される植物35の下面に対する放射吸収係数[−]であり、ΔHは水の蒸発潜熱[kcal/kg]であり、それぞれ入力受付部11により入力が受け付けられた、あるいは予めシミュレーション部13に記憶されている所与の値である。
ACan(ICan)は番号ICanで特定される植物35の面積[m2]であり、閉空間及び評価の条件により定まる値である。J(ICan)は番号ICanで特定される植物35に入射する日射量[kcal/(m2・h)]であり、閉空間及び評価の条件により算出される値である。
TW(K)は番号Kで特定される垂直壁面31の表面の温度であり、S05において算出された値である。
MVCanAir(ICan)は、番号ICanで特定される植物35からの水分の蒸散量[kgs−1m−2]であり、S14において算出された値である。
ここで、上記の熱収支式において、I,Lはブロック34を特定する番号、Kは垂直壁面31(及び窓面)(閉空間の側面を構成する壁面31)を特定する番号、KHは天井及び床面を特定する番号、KCanはブロック34内において植物35を特定する番号、KScrは遮光スクリーン45を特定する番号である。nはブロック34の数、mは垂直壁面31(及び窓面)の数、mHは天井及び床面数、mCanは植物35の数、mScrは遮光スクリーン45の数であり、閉空間及び評価の条件により定まる値である。
TScr(KScr)は、番号KScrで特定される遮光スクリーン45の表面温度[℃]であり、本熱収支式により導出される値である(即ち未知数であり、上記の式において四角で囲まれている)。
αc−ScrUpp(IScr)は番号IScrで特定される遮光スクリーン45の上面の対流熱伝導率[kcal/(m2・h・℃)]であり、αc−ScrLow(L,IScr)は番号IScrで特定される遮光スクリーン45の下面の対流熱伝導率[kcal/(m2・h・℃)]であり、αr−Scr(IScr)は、番号IScrで特定される遮光スクリーン45の表面の放射熱伝達率[kcal/(m2・h・℃)]であり、gUpp(IScr,K)は番号Kで特定される壁面Kの、番号IScrで特定される遮光スクリーン45の上面に対する放射吸収係数[−]であり、gLow(IScr,K)は番号Kで特定される壁面Kの、番号IScrで特定される遮光スクリーン45の下面に対する放射吸収係数[−]であり、それぞれ入力受付部11により入力が受け付けられた、あるいは予めシミュレーション部13に記憶されている所与の値である。
AScr(IScr)は番号IScrで特定される遮光スクリーン45の面積[m2]であり、閉空間及び評価の条件により定まる値である。JScr(ICan)は番号IScrで特定される遮光スクリーン45に入射する日射量[kcal/(m2・h)]であり、閉空間及び評価の条件により算出される値である。
TW(K)は番号Kで特定される垂直壁面31の表面の温度であり、S05において算出された値である。
シミュレーション部13は、上述した3種類の熱収支式にその時点での既知の値を代入して、未知の値(各温度の値)の連立一次方程式として、その連立一次方程式を解き、各温度の値を導出する。
続いて、シミュレーション部13は、導出した各ブロック34の温度TB、各ブロック34に存在する植物35の温度TCan、遮光スクリーン45の温度TScrの各値とS06において仮定した仮定値とをそれぞれ比較して、収束しているか否かを判断する(S16、評価ステップ)。収束しているか否かは、S15において導出した値とS06において仮定した値との差が、予め設定した閾値よりも小さいか否かを判定することにより、判断することができる。収束していなかった場合は、S06に戻り、S15において導出した値を仮定値として、再度S07からの処理を繰り返す。収束していた場合は、それらの温度の値を、時系列におけるその時点での評価値として次の処理に移る。
続いて、シミュレーション部13は、各ブロック34での植物35の光合成量(CO2吸収量)及び炭素固定量の算出を行う(S17、評価ステップ)。光合成量の算出は、以下のように行われる。まず、シミュレーション部13は、以下の式により植物35の葉1m2あたりの光合成速度assim(VISabs)[mgm−2 leafs−1]を算出する。
assim(VISabs)=Pm{1−exp(−εVISabs/Pm)}
ここで、εは初期の光利用効率(initiallight-use efficiency)[mgCO2s−1m−2]であり、葉温により変化し(Gijzen,1992)、以下の式により求められる。
ε=ε0{(Ca−Γ)/(Ca+2Γ)}
ここで、ε0は、無酸素状態での光利用効率(potential light-use efficiency)[mgCO2(J・VISabs)−1]であり、定数(=0.017)として、予めシミュレーション部13に記憶されている。Caは、周囲の二酸化炭素濃度[μll−1(ppm)]であり、時系列の前の時点のブロック34の二酸化酸素濃度の値である。Γは、二酸化炭素補償点であり、通常の酸素濃度の場合、以下の式により求められる(式中のTCanはS15で算出されたものを用いる)。
Γ=42.7+1.68(TCan−25)+0.012(TCan−25)2
また、VISabsは、光合成有効放射の強度[Wm−2]であり、日射吸収量Isから算出することができる。
assim(VISabs)=Pm{1−exp(−εVISabs/Pm)}
ここで、εは初期の光利用効率(initiallight-use efficiency)[mgCO2s−1m−2]であり、葉温により変化し(Gijzen,1992)、以下の式により求められる。
ε=ε0{(Ca−Γ)/(Ca+2Γ)}
ここで、ε0は、無酸素状態での光利用効率(potential light-use efficiency)[mgCO2(J・VISabs)−1]であり、定数(=0.017)として、予めシミュレーション部13に記憶されている。Caは、周囲の二酸化炭素濃度[μll−1(ppm)]であり、時系列の前の時点のブロック34の二酸化酸素濃度の値である。Γは、二酸化炭素補償点であり、通常の酸素濃度の場合、以下の式により求められる(式中のTCanはS15で算出されたものを用いる)。
Γ=42.7+1.68(TCan−25)+0.012(TCan−25)2
また、VISabsは、光合成有効放射の強度[Wm−2]であり、日射吸収量Isから算出することができる。
また、Pmは光合成の最高速度[mgCO2s−1m−2]であり、以下の式により求められる。
Pm=Rd+Min(Pn,Pmm)
ここで、Rdは暗呼吸速度[mgCO2s−1m−2]であり、以下の式により求められる。
Rd=Rd,20Q10 0.1(TCan−20)
ここで、Rd,20は葉温20℃における呼吸量[mgCO2s−1m−2]であり、その値は0.05(Gijzen)で、予めシミュレーション部13に記憶されている。Q10は、温度10℃の上昇による暗呼吸速度の増加を表す所与の値であり、その値は2で(Gijzen)、予めシミュレーション部13に記憶されている。
Pm=Rd+Min(Pn,Pmm)
ここで、Rdは暗呼吸速度[mgCO2s−1m−2]であり、以下の式により求められる。
Rd=Rd,20Q10 0.1(TCan−20)
ここで、Rd,20は葉温20℃における呼吸量[mgCO2s−1m−2]であり、その値は0.05(Gijzen)で、予めシミュレーション部13に記憶されている。Q10は、温度10℃の上昇による暗呼吸速度の増加を表す所与の値であり、その値は2で(Gijzen)、予めシミュレーション部13に記憶されている。
また、Pmの式におけるPnは純光合成速度(二酸化炭素の濃度差と拡散抵抗とに依存)であり、以下の式により求められる。
Pn={1.8(Ca−Γ)/(1.37rb,v+1.6rs+rc)}
ここで、rsは、気孔抵抗[sm−1]であり、その値は50で(Gijzen)、予めシミュレーション部13に記憶されている。rcは、化学抵抗であり葉温(植物35の温度TCan)に依存する値であるCc(Chemical Conductance)を用いて以下の式により算出される。
rc=1/Cc
ここで、Ccは、葉温に対して以下のように変化する(Gijzen)。葉温が5℃から25℃に変化するとき、Ccは0から0.004に直線的に変化する。葉温が25℃から40℃に変化するとき、Ccは0.004から0に直線的に変化する。
Pn={1.8(Ca−Γ)/(1.37rb,v+1.6rs+rc)}
ここで、rsは、気孔抵抗[sm−1]であり、その値は50で(Gijzen)、予めシミュレーション部13に記憶されている。rcは、化学抵抗であり葉温(植物35の温度TCan)に依存する値であるCc(Chemical Conductance)を用いて以下の式により算出される。
rc=1/Cc
ここで、Ccは、葉温に対して以下のように変化する(Gijzen)。葉温が5℃から25℃に変化するとき、Ccは0から0.004に直線的に変化する。葉温が25℃から40℃に変化するとき、Ccは0.004から0に直線的に変化する。
また、Pmの式におけるPmmは光合成速度の上限(the endogenous capacity)[mgCO2s−1m−2]であり、以下のように、植物35の温度TCanに依存する値をとる。TCanが5℃以下、40℃以上では、Pmmは0である。TCanが5℃から30℃までの範囲にあるときは、0から2.5までの値で直線的に増加する。TCanが30℃から40℃までの範囲にあるときは、2.5から0までの値で直線的に減少する。
シミュレーション部13は、上記の式を用いた演算により、植物35の葉1m2あたりの光合成速度assim(VISabs)を算出すると、その値に植物35の面積及び時間をかけて植物35の光合成量を算出する。また、シミュレーション部13は、算出された光合成量のうち炭素分のみの重量をカウントして、炭素固定量を求める。このように算出された植物35の炭素固定量の値は、時系列のその時点での環境状態を示すパラメータの評価値とされる。算出された植物35の光合成速度assim(VISabs)の値は、後述するS19におけるCO2濃度収支式に用いられる。なお、炭素固定量は、植物35の生育量に比例すると仮定できるため、炭素固定量により植物35の生育量を評価できる。
続いて、シミュレーション部13は、上記のように算出された各値を用いて水分収支式に基づいて、各ブロック34の湿度AHB[g/kg´]を導出する(S18、第1影響導出ステップ、第2影響導出ステップ、評価ステップ)。以下は、ブロック34に関する水分収支式である。
ここで、上記の水分収支式において、I,Lはブロック34を特定する番号、Kは垂直壁面31(及び窓面)(閉空間の側面を構成する壁面31)を特定する番号、KCanはブロック34内において植物35を特定する番号である。nはブロック34の数、mは垂直壁面31(及び窓面)の数、mCanは植物35の数であり、閉空間及び評価の条件により定まる値である。
x(L)は、番号Lで特定されるブロック34の絶対湿度[g/kg´]であり、本水分収支式により導出される値である(即ち未知数であり、上記の式において四角で囲まれている)。x´(L)は、番号Lで特定されるブロック34の、前時点での絶対湿度[g/kg´]であり、そこまでの演算処理により既に導出されている値である。
Cは(ブロック34の)空気の定圧比熱[kcal/(kg・℃)]、ρは空気密度[kg/m3]、Δtは時間間隔[h]であり、αc(I,K)は番号Iで特定されるブロック34の、番号Kで特定される垂直壁面31の対流熱伝導率[kcal/(m2・h・℃)]であり、xsiは空調による気流の絶対湿度[g/kg´]であり、xaiは換気による気流の絶対湿度(外気絶対湿度)[g/kg´]であり、CB(L)は番号Lで特定されるブロック34と番号(L−1)で特定されるブロック34との間の温度差による熱移動係数[kcal/(m2・h・℃)]であり、Leはルイス数[−]であり、それぞれ入力受付部11により入力が受け付けられた、あるいは予めシミュレーション部13に記憶されている所与の値である。
VAir(L)は、番号Lで特定されるブロック34の容積[m3]であり、AW(I,K)は番号Iで特定されるブロック34の、番号Kで特定される垂直壁面31の面積[m2]であり、AB(L)は番号Lで特定されるブロック34と番号(L−1)で特定されるブロック34との間の境界面の面積[m2]であり、ACan(KCan)は番号KCanで特定される植物35の面積[m2]であり、それぞれ閉空間及び評価の条件により定まる値である。
r(I,L,K)は番号Iで特定されるブロック34の、番号Kで特定される壁面で発生した下降流のうち、番号Lで特定されるブロック34に流入する割合であり、S12において算出された値である。
Vsi(L)は、番号Lで特定されるブロック34に流入する空調による気流の風量[m3/h]であり、Vso(L)は、番号Lで特定されるブロック34から流出する空調による気流の風量[m3/h]であり、VE(I,L)は番号Iで特定されるブロック34から誘引されて番号Lで特定されるブロック34に流入される[m3/h]であり、S08において算出された値である。
Vai(L)は、番号Lで特定されるブロック34に流入する換気による気流の風量[m3/h]であり、Vao(L)は、番号Lで特定されるブロック34から流出する換気による気流の風量[m3/h]であり、S10において算出された値である。VC(L)は、ブロック境界面を通しての、番号Lで特定されるブロック34から番号(L−1)で特定されるブロック34への移動風量であり、S13において算出された値である。
MVFog(L)は番号Lで特定されるブロック34における細霧冷房の蒸発量[kg/h]であり、S03において算出された値である。MVCanAir(ICan)は、番号ICanで特定される植物35からの水分の蒸散量[kgs−1m−2]であり、S14において算出された値である。
シミュレーション部13は、上述した水分収支式にその時点での既知の値を代入して、未知の値(ブロック34における絶対湿度の値)の連立一次方程式として、その連立一次方程式を解き、絶対湿度の値を導出する。導出された値は、時系列におけるその時点でのパラメータの評価値とされる。
続いて、シミュレーション部13は、上記のように算出された各値を用いてCO2濃度収支式に基づいて、各ブロック34のCO2濃度[ppm]を導出する(S19、第1影響導出ステップ、第2影響導出ステップ、評価ステップ)。以下は、ブロック34に関するCO2濃度収支式である。
ここで、上記のCO2濃度収支式において、I,Lはブロック34を特定する番号、Kは垂直壁面31(及び窓面)(閉空間の側面を構成する壁面31)を特定する番号、KCanはブロック34内において植物35を特定する番号である。nはブロック34の数、mは垂直壁面31(及び窓面)の数、mCanは植物35の数であり、閉空間及び評価の条件により定まる値である。
CO2(L)は、番号Lで特定されるブロック34のCO2濃度[g/m3]であり、本CO2濃度収支式により導出される値である(即ち未知数であり、上記の式において四角で囲まれている)。CO2´(L)は、番号Lで特定されるブロック34の、前時点でのCO2濃度[g/m3]であり、そこまでの演算処理により既に導出されている値である。
Cは(ブロック34の)空気の定圧比熱[kcal/(kg・℃)]、ρは空気密度[kg/m3]、Δtは時間間隔[h]であり、αc(I,K)は番号Iで特定されるブロック34の、番号Kで特定される垂直壁面31の対流熱伝導率[kcal/(m2・h・℃)]であり、CO2siは空調による気流のCO2濃度[g/m3]であり、CO2aiは換気による気流のCO2濃度(外気CO2濃度)[g/m3]であり、CB(L)は番号Lで特定されるブロック34と番号(L−1)で特定されるブロック34との間の温度差による熱移動係数[kcal/(m2・h・℃)]であり、Leはルイス数[−]であり、それぞれ入力受付部11により入力が受け付けられた、あるいは予めシミュレーション部13に記憶されている所与の値である。
VAir(L)は、番号Lで特定されるブロック34の容積[m3]であり、AW(I,K)は番号Iで特定されるブロック34の、番号Kで特定される垂直壁面31の面積[m2]であり、AB(L)は番号Lで特定されるブロック34と番号(L−1)で特定されるブロック34との間の境界面の面積[m2]であり、それぞれ閉空間及び評価の条件により定まる値である。
r(I,L,K)は番号Iで特定されるブロック34の、番号Kで特定される壁面で発生した下降流のうち、番号Lで特定されるブロック34に流入する割合であり、S12において算出された値である。
Vsi(L)は、番号Lで特定されるブロック34に流入する空調による気流の風量[m3/h]であり、Vso(L)は、番号Lで特定されるブロック34から流出する空調による気流の風量[m3/h]であり、VE(I,L)は番号Iで特定されるブロック34から誘引されて番号Lで特定されるブロック34に流入される[m3/h]であり、S08において算出された値である。
Vai(L)は、番号Lで特定されるブロック34に流入する換気による気流の風量[m3/h]であり、Vao(L)は、番号Lで特定されるブロック34から流出する換気による気流の風量[m3/h]であり、S10において算出された値である。VC(L)は、ブロック境界面を通しての、番号Lで特定されるブロック34から番号(L−1)で特定されるブロック34への移動風量であり、S13において算出された値である。
MCCanAir(KCan)は番号KCanで特定される植物35のCO2吸収量[g/h]であり、S17において算出された光合成速度assim(VISabs)に植物35の表面積(葉面積)をかけることにより求められる。
シミュレーション部13は、上述したCO2濃度収支式にその時点での既知の値を代入して、未知の値(ブロック34におけるCO2濃度の値)の連立一次方程式として、その連立一次方程式を解き、CO2濃度の値を導出する。導出された値は、時系列におけるその時点でのパラメータの評価値とされる。
以上の処理が、時系列のおける一時点分のパラメータの評価の処理である。続いてシミュレーション部13は、時系列の規定時間分の演算が終了したか否かを判断する(S20)。この判断は、具体的には例えば、パラメータの評価が終わった回数をカウントしておき、そのカウント数とS01において受け付けられた計算ステップ数とを比較することにより行う。規定回数分の演算が終了していなかった場合は、S03の処理に戻り、時系列の次の時点のパラメータの評価を行う。
規定回数分の演算が終了していた場合は、環境状態を示すパラメータの時系列データが導出されており、処理を終了する。導出されたパラメータのデータは、例えば、環境評価システム10が備える表示装置等に表示する等してユーザに利用される。
図5に、本実施形態に係る環境評価システム10により評価された環境状態を示すパラメータの一つである、ブロック34の温度のグラフを示す(図2及び図3のフローチャートでは、S15において評価されたデータである)。図5は、横軸に時間をとり、縦軸に温度をとったグラフである。図5に示すように、閉空間においてはブロック34(即ち高さ方向の位置)毎に異なった温度となっている。なお、これらの結果は、実測値と比較して、十分実用に耐えうる評価結果であることが確認されている。
図6に、環境評価システム10により評価された、評価の条件毎のブロック34の温度のグラフを示す。図6は、横軸に温度をとり、縦軸に(ブロック34の)高さをとったグラフである。条件としては、閉空間に何も設けていないもの、植物35が存在しているもの、植物35が存在しており遮光スクリーン45が設けられているもの、植物35が存在しており細霧冷房機40が設けられているもの、植物35が存在しており遮光スクリーン45及び細霧冷房機40が設けられているものがある。図6に示すように、ブロック34毎に温度が異なっている。また、条件を変えて評価することにより、その条件に応じた異なったパラメータの評価結果が得られる。
図7に、環境評価システム10により評価された、植物が存在するブロック34毎の、植物35からの水分の蒸散量のグラフを示す(図2及び図3のフローチャートでは、S14において評価されたデータである)。図7は、横軸に時間をとり、縦軸に蒸散量をとったグラフである。また図8に、環境評価システム10により評価された、植物が存在するブロック34毎の、植物35の光合成速度のグラフを示す(図2及び図3のフローチャートでは、S17において評価されたデータである)。図8は、横軸に時間をとり、縦軸に光合成速度をとったグラフである。
図7及び図8に示すように、植物35に係るパラメータに関しても、閉空間においてはブロック34(即ち高さ方向の位置)毎に値が異なったものとなっている。また、本実施形態のように、植物が存在している部分の高さも複数に区切ってブロック34を設定することにより、植物が存在している部分も位置毎にパラメータを評価することができる。
図9に、環境評価システム10により評価された、閉空間において一定温度(30℃)を超える、年間における時間数のグラフを示す。図10に、環境評価システム10により評価された、閉空間に存在する植物の光合成量の年間積算量のグラフを示す。図9及び図10は、評価の条件毎のグラフとなっている(条件は図6のものと同様)。図9及び図10のグラフは、上述したフローによって時系列のデータを導出した後、それらのデータを積算することにより得ることができる。このように環境評価システム10によれば、規定時間全体に係るパラメータも評価することができる。即ち、本実施形態に係る環境評価システム10によれば、一定期間における植物生育量の評価が可能になる。
上述したように、本実施形態に係る環境評価システム10によれば、ブロック34毎の環境状態を示すパラメータを評価することができ、これにより位置毎のパラメータの評価が可能になる。特に、植物のある領域とその他の領域との間に生じる分布をより正確に評価することができる。また、本実施形態によれば、温度、湿度、CO2濃度といった物理的なパラメータ以外に植物の蒸散量や光合成量等の植物の状態を示すパラメータの、閉空間内の分布を考慮したより正確な評価が可能になる。即ち本実施形態によれば、植物が存在する閉空間における環境の評価を、より適切に行うことができる。
また、上述したように閉空間における環境状態の変化は高さ方向に顕著であるので、本実施形態のように、ブロック34の設定を閉空間の高さ方向に区切るように行うこととすれば、より現実に即したパラメータの評価が可能になる。また、本実施形態のように、植物が存在している領域を更に高さ方向に区切るようにすれば、植物自体の葉の存在により植物の下部ほど日射が減少することによる植物自体の生育、周囲への影響等をも正確に考慮した評価が可能になる。
また、本実施形態のように、繰り返し計算によりパラメータの時系列データを導出することとすれば、パラメータの時間変化も評価することができる。
10…環境評価システム、11…入力受付部、12…モデル設定部、13…シミュレーション部、20…入力装置、30…モデル、31…壁面、32…屋根、33…底面、34…ブロック、35…植物、36…ブロック間の影響、37…壁面からブロックへの影響、38…気流、39…空調機による気流、40…細霧冷房機、41…発熱、42…換気、43…日射、44…貫流熱、45…遮光スクリーン。
Claims (4)
- 植物が存在する閉空間における環境状態を示すパラメータを評価する環境評価システムであって、
前記閉空間及び前記植物の情報の入力を受け付ける入力受付手段と、
前記入力受付手段により受け付けられた情報に基づいて、前記閉空間を複数のブロックに区切った、当該閉空間のモデルを設定するモデル設定手段と、
前記モデル設定手段により設定されたモデルの各ブロックにおける、前記パラメータに対する他ブロック及び外部要因からの影響を、予め設定された前記パラメータに関するブロック間及びブロックと外部要因との間の収支式を用いて導出する第1影響導出手段と、
前記モデル設定手段により設定されたモデルの各ブロックにおける、前記パラメータに対する前記閉空間内の前記植物と当該ブロックとの間の影響を、予め設定された前記パラメータに関する前記植物と当該ブロックとの間の収支式を用いて導出する第2影響導出手段と、
前記第1影響導出手段及び前記第2影響導出手段により導出された、前記各ブロックにおける前記パラメータに対するそれぞれの影響から、前記パラメータをブロック毎に評価する評価手段と、
を備える環境評価システム。 - 前記モデル設定手段により設定されるモデルのブロックは、前記閉空間が高さ方向に区切られたものであることを特徴とする請求項1に記載の環境評価システム。
- 前記評価手段は、前記環境状態を示すパラメータの時系列データを導出することを特徴とする請求項1又は2に記載の環境評価システム。
- 情報処理装置が、植物が存在する閉空間における環境状態を示すパラメータを評価する環境評価方法であって、
前記閉空間及び前記植物の情報の入力を受け付ける入力受付ステップと、
前記入力受付ステップにおいて受け付けられた情報に基づいて、前記閉空間を複数のブロックに区切った、当該閉空間のモデルを設定するモデル設定ステップと、
前記モデル設定ステップにおいて設定されたモデルの各ブロックにおける、前記パラメータに対する他ブロック及び外部要因からの影響を、予め設定された前記パラメータに関するブロック間及びブロックと外部要因との間の収支式を用いて導出する第1影響導出ステップと、
前記モデル設定ステップにおいて設定されたモデルの各ブロックにおける、前記パラメータに対する前記閉空間内の前記植物と当該ブロックとの間の影響を、予め設定された前記パラメータに関する前記植物と当該ブロックとの間の収支式を用いて導出する第2影響導出ステップと、
前記第1影響導出ステップ及び前記第2影響導出ステップにおいて導出された、前記各ブロックにおける前記パラメータに対するそれぞれの影響から、前記パラメータをブロック毎に評価する評価ステップと、
を有する環境評価方法。
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-
2005
- 2005-09-09 JP JP2005262337A patent/JP2007072991A/ja active Pending
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