JP2007037071A - たわみ型スピーカーユニット(DeflectionSpeakerUnit) - Google Patents

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【課題】スピーカー振動板における分割振動による異常音の低減、過渡特性の改善
【解決手段】スピーカー振動板のセンターキャップ近傍から放射状に複数のスリット(図2)あるいはリム構造(図2)を追加することによって振動板自体にたわみ余裕度を与えた構造。図1(正面図)
その構造によって得られたたわみ領域から発生する音圧にたいし、初期たわみを与えた振動板(図1断面図)によって音圧レベルを制御する構成。
【選択図】図1

Description

スピーカー振動板における構造に関する特許
スピーカー振動板における分割振動による異常音の低減、過渡特性の改善
スピーカー振動板のセンターキャップ近傍から放射状に複数のスリット(図2)あるいはリム構造(図2)を設けることによって振動板自体にたわみ余裕度を与えた構造。図1(正面図)
〔0004〕項によるたわみ領域から発する音圧に対し、初期たわみを与えた振動板(図1断面図)によって音圧レベルをを制御する構成である。
(別紙 明細書3/4〔0010〕〔0011〕4/4〔0012〕〔0013〕技術説明参照)
分割振動による異常音の低減
従来のスピーカーは分割振動(たわみ振動)から発生する音圧はできるだけ排除する方向で構成されているが、本方式はこのたわみという現象から発生する音圧を積極的に制御し利用する方式である。
〔0004〕に示す構造により、振動板中央にたわみ領域をもうけることで、たわみ音圧発生個所を特定し、スリット、リム(図2)長(L)を可変することで周波数特性を設定し、〔0005〕初期たわみによって音圧レベルを任意に設定することで異常音から正常音へ有効に転換させることが可能となる。
本方式で正常音として利用するのは1次たわみ振動のみであるが、高次たわみ振動(いわゆる分割振動)は制御された形でたわみ領域のみで発生させることができ、それらは高次になるにしたがい相殺減衰する単純な振動モードへ転換可能な構造となっている。
従来異常音とされたのは、発生個所、音圧、周波数特性、すべての面で特定、制御できなかったためにほかならないが、管理されたたわみ領域を設けることで正常音として再利用が可能となる。
振動板がたわんでいる現象を分割振動と定義するなら本方式においては常時発生していることになるが、それから発生する制御困難な異常音という意味では、本方式には存在しない。
(別紙 明細書3/4〔0010〕〔0011〕4/4〔0012〕〔0013〕技術説明参照)
過渡特性の改善
たわみ領域の駆動は振動板全体をピストン駆動することに比べ面積、質量ともに数分の1に減少するため、より高域の周波数に対する応答性が向上する。
またたわみという特殊な現象をもちいているため、信号にたいする追従性が高くなり、リアリティーの高い再生が可能となる。
別ユニットに帯域専用に作られた振動板でピストン駆動することに比べると高い音圧、正確な駆動(本方式には原理上正負の信号非対称性がある。
図3(微小変位量比関係図))においては不利ではあるが、1枚の振動板で、広い帯域においてリアリティーの高い、過渡特性のすぐれた再生が可能となる。
(別紙 明細書3/4〔0011〕4/4〔0012〕〔0013〕技術説明参照)
スリット、シールド材の工程そのものは従来技術の延長線上にあるため問題は無いと思われるが製造単価を押し上げるという意味ではリム構造が最良である。ただし振動板素材によってはリム構造一体整形が困難なものも存在する。紙コーン紙では従来の抄紙技術では素材の性質上複雑な形状の整形は難しいと思われる。
従来は振動板素材として適度な弾性、内部損失を持つものが選ばれているが、たわみ音圧を有効に活用するためには、より高弾性のものが適している。
軽く、薄い高い弾性率(張力)をもつものがたわみ音圧を有効に引き出すことが可能になる。しかし、スリットあるいはリム構造を形成するうえで製造上容易な素材を選択する必要性があるため、妥協点を見出すことが重要とおもわれる。
簡便(実験的な)な実施例としてスリット(図2)のみ(密閉シールドなし)が時間費用、のうえでベストと思われる。市販の廉価なスピーカーユニット(紙コーン)に対し、8本程度のスリット穴をセンターキャップ近傍(5mm)から中央付近まで設定し、後面開放型エンクロージャーにとりつける。
未改造のユニットを別に用意設定し、比較測定、視聴する。
注意点 1 高価なユニットは高度なバランスで構成されているので不適。
2 密閉シールドなしのため中小出力のみ。
3 スピーカーユニット口径は16cm以上のフルレンジが適す。
4 Qo(共振鋭度)は後面開放のため0.6以上が適す。
(廉価なスピーカーユニットほどその傾向が強い)
その振動板が持つ素材、構造による音質そのもの変化はすくないが、濁り音の減少、過渡特性の向上が確認できる。
上部 スピーカー正面図 下部横から見た切断面 リム、スリット形状 たわみ概念図 変位量関係図 3Way構造
技術説明
スリット、リム構造
図2にその構造をしめす。
スリットは振動板に放射状の孔をつくり、伸縮性のシールド材で裏打ちし、密閉度、柔軟性が与えられた構造。
リムは振動板自体を変形整形させスリットと同機能をもつもの。
スリット、リムの目的は振動板に同心円上の方向に伸縮自由度をあたえるためと、たわみ領域を特定するためである。図1(正面図)
この自由度により振動板が前後方向に移動した場合、スリット、リムに挟まれた領域に入力信号に同期したたわみ現象を発生させることができる。図1(断面図)
どちらもその長さLを可変することでたわみ領域を調整でき、発生する音圧の周波数特性を任意に設定できる。
またスリット、リムの本数、スリットシールド素材の柔軟性、リム形状等を適宜選択することでたわみやすさ、すなわち初期たわみと同様にたわみ領域から発生する音圧レベルを調整できる。
初期たわみの必要性
平板で構成された適度のたわみ余裕度と張力をもつ振動板を垂直に立てて上部から力(入力信号として)を加えたわみを与えた概念図を図3に示す。
A点の変位量Dと振動板中央部の変位量dの関係を(変位量関係図)、(微小変位量比関係図)に示す。
微小変位量の比(∂d/∂D)が1になるのはP(Dp)の一点のみで、0<=D<Dpでは1以上となり、特にD=0の地点では計算上無限大(たわみ曲線を円近似した場合)となる。
図3左下(C1)の円錐型の振動板の場合振幅方向の振動板強度という意味では最良の構造であるが、分割振動領域で発生する異常音圧は最大となり、また図では右方向のたわみであるが左方向のたわみも容易に発生する。
すなわち入力信号に対し同相、逆相、にもなりうる、制御困難な音圧の高い異常音が発生しやすい構造である。
従来においても振動板に適度なカーブをもたせたもの(C2)も多いがその目的は分割振動領域の異常音の低減と振動板強度の低下という相反する課題に対する折衷案的要素が強いと思われる。
(メカニカル3Way明細書4/4)の項で説明するように本方式では振動板強度にたいする自由度が向上するためこのカーブ(たわみ)の度合いはたわみ領域から発生する音圧を適切な音圧レベルとして利用制御するための初期たわみの目的で用いることが可能となる。
図3(微小変位量比関係図)のたわみ範囲(振幅方向)の中心位置を初期たわみを変更することで移動させ、たわみ領域から発生する音圧レベルを自由に設定することが可能となる。
技術説明
メカニカル3Way
本方式はいわばメカニカルな3Wayを1枚の振動板で構成しようとするものである。
中央部のたわみ領域は音圧の発生とともに振動板外縁部にたいしてローパスフィルターとしても機能し、広く重い外縁部には低い周波数のみが伝わりやすい構造となっている。(図4上3Way構造)
また高次たわみ振動(図4下高次たわみ振動)は位相が180度ずれた音圧を発生させるため高次になるにしたがい相殺減衰し吸収されてしまう。
そのため周波数帯域を3分割することが可能となる。
(図4中3Way周波数特性)
センターキャップ近傍から発生する高音域を主体とする音圧A、振動板中央付近のたわみ領域から発生する中音域を主体とする音圧B,振動板外縁部から発生する低音域のCである。
Bの音圧があることで、A,Cの振動板はそれぞれの帯域専用にすればよくなり、振動板強度(形状)にたいする自由度が向上し全体の性能も向上する。
本方式は従来1枚の振動板であったものの一部をB(中音域)の帯域専用に転用する方法である。
たわみ現象から発生する音圧の特異性
たわみから発生する音圧は〔0011〕初期たわみの必要性で述べたように振動板を入力信号の数倍の速さ(加速度)で駆動させることが可能な特異な現象で発生してる。
たわみ曲線という単純でありながら巧妙な構造を持つ「てこ」ともいうべき原理でこの現象を発生させているとおもれるが、しかしこれはただ単に音圧を可変できるという意味だけではなく、その基本構造が有する能力の上限が従来の振動板よりもかなり高いことも意味している。
従来の振動板(ピストン運動)は駆動軸から離れるほど入力信号からの乖離が大きくなるがこれは力点が1点(駆動軸)のみで、その力を受け止めるエッジや、振動板の構造が受動的で十分働いていないためである。
たわみ現象は図3(たわみ概念図)から解るように上部からの力と同じ力が抗力として下部から働いて初めてたわみが発生する対称構造を持っている。
つまり力点が両端にあり、たわみ領域の振動板にたいして大きな制動力を持つタンデム駆動ともいえる構造を保有している。
そこから発生する音圧は従来の振動板から比較できないほどの追従性、リアリティーを追求することが可能となる。
過渡特性を改善するうえで最良ともいえるたわみ現象であるが、従来この現象から発生する音圧は制御(利用)不可能とされ排除、低減のみが求められてきたが本方式によってその制御が可能となり、追従性の優れた再生が可能となる。
原理上、音圧が低い、正負の信号にたいし非対称性をもっているという欠点はあるが、過渡特性の向上、分割振動による異常音の低減等優れた効果が期待できる。

Claims (2)

  1. スピーカー振動板のセンターキャップ近傍から放射状に複数のスリット(図2)あるいはリム構造(図2)を設けることによって振動板自体にたわみ余裕度を与えた構造。図1(正面図)
  2. 「請求項1」によってたわみ領域から発生した音圧に対し、初期たわみを与えた振動板によって音圧レベルを制御する構成である。図1(断面図)
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