JP2007030203A - 活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置及びその記録方法 - Google Patents

活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置及びその記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】環境にやさしく、より高精細かつ取り扱い容易で高速化活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置及び記録方法を提供すること。
【解決手段】静電力によってインク小液滴を記録媒体上へ吐出・着弾させる画像形成直後に活性エネルギー照射でインクを硬化させる活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置及びその記録方法により、加熱工程を無くし、更に、複数吐出電極を電気的に個々に遮蔽するガード電極に、吐出電極に印加する駆動電圧と同一の周波数の交流バイアス電圧を制御しつつ印加して、インク小液滴の切れを良くすることで、安定且つ高精度の静電吐出着弾により高精細かつ取り扱い容易で、設置環境にもやさしく且つ高速記録を可能とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、紫外線、電子線などの活性エネルギーにより硬化するインクを使用して、インクジェットにより記録媒体上へ画像形成を行う活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置及び記録方法に関する。
一般に、インクジェットヘッドを用いて記録媒体上に非硬化型インクを吐出して画像形成を行うインクジェット記録装置が広く利用されている。この記録装置ではインクジェットヘッドによりインク画像が形成された記録媒体上のインクを乾燥あるいは定着させて最終記録物を得ている。
このようなインクジェット記録装置においては生産性を高める等の理由から、乾燥・定着動作時に加熱を行う場合が多く、例えば、油性インクを記録媒体上に吐出して画像形成した後、ヒートローラで加熱・加圧による定着動作を行う装置などが開示されている。しかしこのように乾燥・定着動作時に加熱を行う場合、記録媒体の加熱変形の懸念があり、インクからの溶媒揮発も避けられないため、環境的にも問題を残している。
また、一般的にインクジェットヘッドにはピエゾ方式が利用されており、高精細な画像を得るためドットサイズを小さくしようとするとインク吐出口を小さくする必要があるが、それによってインク吐出口がつまる、吐出量が安定しない等の問題がでる場合が多く、一般的にはドットサイズの下限としては専用紙上で20μm程度、普通紙上では40μm程度が限界となっている。
また別の障害として、このドットサイズを小さくする場合、前述のように、インク吐出量が不安定になるばかりか、小さい液滴のために飛翔経路が曲がる可能性が高まり、着弾位置精度にも問題を生じる。しかしながら、更なる高精細画質や高速化の要求は常に存在している。
また、特開2004−90487号公報では、ウェブ状記録媒体支持面に連通する吸引孔を有するプラテン上の記録媒体に対してピエゾ型のインクジェットヘッドにより光硬化型インクを吐出して画像記録する光硬化型インクジェット記録装置が開示されている。
この光硬化型インクジェット記録装置の場合では、特にインクの特性として、加熱が不要であり、種々の記録媒体への高速記録、滲みにくく高精細な画像、環境に優しいなどの要求に答えられるだけの特徴を有しているが、ピエゾ型のインクジェットヘッドの問題点は残り、更なる高精細化、高速化などが求められている。また、このような光硬化型インクで特にインクが吸収されない用紙(樹脂フィルムなど)に記録を行う場合では、記録媒体上でドットが厚く盛り上がった状態で硬化されるため、ピエゾ型のインクジェットヘッドによる大きなサイズのドットでは記録媒体上の画像の平滑性が低くなり、特に、カラー画像では盛り上がりが目立ち、画質が劣化する状況となる。
特開2004−181643号公報 特開2004−90487号公報
本発明は、上記問題点を鑑みなされたもので、その課題としては、環境にやさしく、より高精細かつ取り扱い容易で高速化できる活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置及び記録方法を提供することにある。
本発明に係る上記課題は、下記構成により達成される。
(1)活性エネルギーの照射により硬化するインクをインクジェットヘッドにより記録媒体上へ吐出して画像形成する活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置であって、
前記インクの貯留部と、
前記貯留部から供給されるインクを前記インクジェットヘッドの電位的に個々に遮蔽された複数吐出口から液滴として前記記録媒体へと静電力によって吐出・着弾させる画像記録部と、
少なくとも前記インク吐出位置に前記記録媒体を搬送する搬送走査部と、
前記インク着弾直後の前記活性エネルギー照射可能位置に配置される活性エネルギー照射部と、
を有する活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置。
(2)前記画像記録部が、隣接する前記吐出口間に配置されて各吐出口を電位的に個々に遮蔽するガード電極を備える(1)記載の活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置。
(3)前記ガード電極が、前記吐出電極よりもインク吐出端に近い位置で前記吐出電極と絶縁されて配置される(2)に記載の活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置。
(4)前記複数吐出口にはそれぞれの吐出用電界を発生させる吐出電極が個々に配置され、該吐出電極に印加する駆動電圧と同期する二値の交流バイアス電圧により前記ガード電極を制御するガード電極制御部を有する(2)または(3)に記載の活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置。
上記のように、本発明は活性エネルギーの照射により硬化するインクを使用し、インクジェットヘッドにより個々に電位的に遮蔽された複数吐出口から液滴として前記記録媒体へと静電力によって吐出・着弾させ、活性エネルギー照射部で活性エネルギー照射して画像の定着を実施する画像記録装置である。
このような活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置によれば、静電インクジェットを採用して、安定かつ小液滴(サブpl程度。普通紙上10μm程度のドットを形成できるサイズ)吐出により高精細画像が形成可能で、画像形成直後に活性エネルギー照射でインクを硬化させるので、他のインクを使用する場合に必要であった加熱による定着工程が不要となり、記録媒体の加熱変形を回避することができ、インクからの溶媒揮発も抑えられて環境的な問題も発生しない。しかも、インクジェットヘッドで電位的に個々に遮蔽された複数吐出口から液滴として前記記録媒体へと静電力によって吐出・着弾させる構成であるので、吐出口からの液滴吐出を更に安定させている。
ここで、上記各態様において、複数吐出口はインクジェットヘッドの絶縁性基板に備えられ、インク流路が絶縁性基板から所定間隔離間して配置された前記ヘッド基板との間の所定間隔間に形成され、インクジェットヘッド基板上から延びるインクガイドが前記複数吐出口からその先端部分を前記記録媒体側に突出し、前記インク流路を流れるインクを前記インク流路から前記先端部分に導く構成が好ましい。
また、前記インクガイドは、前記インク流路を横断するように隔壁に支持され、前記吐出電極は、隔壁と所定間隔離間して対向して配置された絶縁性支持基板に配置され、前記インクガイドは、その先端部分が前記記録媒体側に突出し、前記インク流路を流れるインクを前記インク流路から前記先端部分に導くものであるのが好ましい。
また、特に、インクジェットヘッドには隣接する吐出口間に配置されて各吐出口を電位的に個々に遮蔽するガード電極を備え、複数吐出口にはそれぞれの吐出用電界を発生させる吐出電極が配置され、該吐出電極に印加する駆動電圧と同期する二値の交流バイアス電圧によりガード電極を制御し、このガード電極が、前記吐出電極よりもインク吐出端に近い位置で前記吐出電極と絶縁されて配置される。
このような配置により、ガード電極が無い場合に較べて、複数吐出口の配置を4倍程度密集させることができると共に、記録媒体上に正確に着弾させることができ、高精細かつ高画質の画像を得ることができる。
ここで、上記構成では、ガード電極と吐出電極とがインク吐出方向にほぼ並ぶ配置とされている。従って、インクジェットヘッドの停止時、すなわち、インクの非吐出時は、吐出電極に印加される駆動電圧Vp(0[V])は、ガード電極に印加される直流バイアス電圧Vg(+300[V])よりも低い。そのため、吐出口には、吐出電極とガード電極にそれぞれ印加されている電圧の電圧差に基づいて電界が形成される。この電界によって、吐出口に形成されているインクのメニスカスには、インクの吐出方向と逆向きの静電力が作用して、メニスカスが押さえ込まれる。これにより、吐出口からのインクの溢れ及び不必要なインク液滴の吐出が抑制される。
一方、インクジェットヘッド稼動時、すなわち、インクの吐出時には、吐出電極に印加される駆動電圧Vp(+600[V])が、ガード電極に印加される直流バイアス電圧Vg(+300[V])よりも高くなる。そして、吐出電極とガード電極にそれぞれ印加されている電圧の電圧差に基づいて、吐出口に電界が形成される。この電界によって、吐出口に形成されているインクのメニスカスには、インクの吐出方向に向かう静電力が作用して、そのメニスカスが開放される。このため、インクが吐出しやすい状態となる。
上記構成を鑑み、本発明の活性エネルギー硬化型インクジェット記録方法としては、以下の通りとなる。
(5)活性エネルギーの照射により硬化するインクをインクジェットヘッドにより記録媒体上へ吐出して画像形成する活性エネルギー硬化型インクジェット記録方法であって、
前記インクを貯留部から画像記録部に備えられた前記インクジェットヘッドへ供給し、
画像記録部では、前記インクジェットヘッドに備えられた複数のインク吐出口に設けられた吐出電極と前記記録媒体との間にバイアス電圧を印加し、
前記インクジェットヘッドでは、隣接する複数のインク吐出口間に配置されたガード電極に対して、前記吐出電極に印加する駆動電圧と同期する二値の交流バイアス電圧を印加し、
前記インク吐出用の複数の吐出口から記録媒体上へ、前記吐出電極に描画信号に応じた駆動電圧を印加することにより、静電力によって前記インクを液滴として吐出・着弾させ、
インク着弾直後に活性エネルギー照射部により活性エネルギー照射してインクを硬化させ、記録媒体に画像記録する活性エネルギー硬化型インクジェット記録方法。
以上のような構成のインクジェットヘッドを使用する画像記録装置及び方法により、インク吐出口を近接させて配置することが可能となり、より高精細な画質を提供する事が出る。更に、画像形成直後に活性エネルギー照射でインクを硬化させるので、加熱による定着工程が不要で、インク溶媒の揮発という状況が発生しなくなり、装置設置付近の環境にもやさしくなる。また、記録媒体の記録前及び記録後についても完全に乾燥した状態であるので取り扱いが容易となる。
また、ガード電極に、吐出電極に印加する駆動電圧と同一の周波数の交流バイアス電圧を制御しつつ印加して、インク吐出時にはインクを吐出しやすい状態に調整し、インクの非吐出時にはインクが吐出しにくい状態に調整しているので、インクの吐出遅れを防止することができるとともに、インク吐出後のインクの切れを向上させることができる。また、交流バイアス電圧を制御して、インクの吐出遅れとインクの液切れを独立に調整することができるので、画質を向上させることができる。また、吐出電極に印加する駆動電圧の電圧値を従来よりも低くしても確実にインクの吐出と非吐出を制御することができ、駆動回路のコストダウンにも貢献できる。
以上より、本発明によって、環境にやさしく、より高精細・高画質かつ取り扱い容易で高速化できる活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置及び記録方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態による活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置の構成概略図である。
図において、活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置10の筐体12内には、同一サイズのシート状の記録媒体Sを複数枚重ねて収納する記録媒体収納部20と、この収納部20から記録媒体Sを取り出す搬送部30と、搬送部30により搬入された記録媒体Sを記録位置範囲で保持しつつ搬送を行う走査搬送部40と、走査搬送部40で保持移送されている記録媒体Sにインクジェット画像記録走査と紫外光照射定着(本実施形態では紫外光利用しているが、活性エネルギーであればよい。)とを行う画像記録部50と、そして、画像記録部50にはインク供給部70がインク供給のために接続されている。
画像記録部50で記録済みとなった記録媒体Sが送出されるトレイ90とが備えられている。
記録媒体収納部20では、記録媒体Sを収納する収納カセット22が活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置10の筐体12下部で着脱自在に配置され、入れ替えにより異なるサイズの記録媒体Sを供給することができる。この記録媒体収納部20は複数カセットを装着する構成とすることもできる。搬送部30では、筐体12にセットされた収納カセット22内の記録媒体Sの挿入方向先端部に当接するフィードローラ32が備えられ、更に、フィードローラ32により繰り出された記録媒体Sを搬送走査部40へ搬送する搬送ローラ対34,36が備えられている。
搬送走査部40では、3つのベルトローラ44a,44b,44cに張架駆動される搬送ベルト42が備えられている。搬送ベルト42は上流ベルトローラ44bから下流ベルトローラ44c方向へ駆動され、記録媒体Sは上流ベルトローラ44bと下流ベルトローラ44cとの間で搬送ベルト42上に戴置搬送される。搬送部30の搬送ローラ対36より搬送されてくる記録媒体Sの先端が搬送ベルト42上に最初に接触する位置(本実施形態では上流ベルトローラ44b位置)には、コロナ帯電器46が記録媒体Sとヘッドユニット52との間のバイアス電圧を供給するために備えられる。また、コロナ帯電器46は搬送ベルト42上の記録媒体Sに接触しない程度に且つ搬送ベルト42に近接して配置されている。
更に、記録媒体Sが搬送ベルト42から離される位置(本実施形態では下流ベルトローラ44c位置)には、除電器48が備えられ、搬送ベルト42上の記録媒体Sに接触しない程度に且つ搬送ベルト42に近接して配置されている。なお、上流ベルトローラ44bと下流ベルトローラ44cとのほぼ中間位置が画像記録位置42Pとされている。
画像記録部50では、静電吐出型のヘッドユニット52(詳しい構成・動作については後述する)がそのインク噴射部先端を画像記録位置42Pで搬送ベルト42に向けて備えられている。このヘッドユニット52にはヘッドドライバ54が接続されて、インク各色の吐出量を制御する。そして、これらヘッドユニット52にはインク供給部70がインク供給経路78とヘッド部インク循環部76と循環経路74とを介してインクを循環供給するために接続されている。なお、このインク供給部70にはインクカートリッジが着脱自在に備えられる構成としてもよい。
また、画像記録位置42Pの直後でヘッドユニット52下流には紫外線照射部56が配置され、インクが記録媒体Sに乗って直後に硬化するだけの強力なエネルギーを与える。
記録媒体Sが搬送ベルト42から離される位置(本実施形態では下流ベルトローラ44c位置)の下流には剥離爪92が配置され、剥離爪92の先端は下流ベルトローラ44c付近で記録媒体Sの搬送ベルト42からの剥離を促す。トレイ90は搬送ベルト42から剥離された記録媒体Sを収容する。
紫外線照射部56では、前述のようにインク硬化のために強力な光を使用するため、筐体12内の温度上昇を抑えるため、排気冷却部80が筐体12内上部に配置されている。
前述の記録媒体収納部20の他の構成として、ロールに巻かれた記録材料を供給するカセットとすることもできる。この場合、搬送部30の操出ローラ32に替えて、記録材料を所望の長さに切るカッターが配置される。
次に、本実施形態の一連の動作に沿って本発明を説明する。
図2は本実施形態の画像記録部50および搬送操作部40の拡大斜視図である。
記録媒体収納部20から供給される記録媒体Sは搬送走査部40で上流のベルトローラ44b位置に搬送される。一方、コロナ帯電器46には高圧電源46a(この極性は記録媒体やインク特性やヘッドの形態によって適宜設定される)が接続され、この上流ベルトローラ44b位置で記録媒体Sは帯電する。この時、導電性搬送ベルト42が下部のベルトローラ44aでアースされることで、記録媒体Sとヘッドユニット52との間のバイアス電圧として作用する。さらに、上流ベルトローラ44bと下流ベルトローラ44cとの間の画像記録位置42Pで記録媒体Sは搬送ベルト42に静電吸着され、画像記録位置42Pでは、この密着状態で走査搬送が行われる。
搬送ベルト42に均一な力で保持された記録媒体Sは、その先端が画像記録位置42Pに到達した時点で、画像記録部50による描画に供される。画像記録部50のヘッドユニット52は搬送ベルト42の幅方向に渡ってインク吐出口を有しており、搬送ベルト42の走査タイミングに合わせて画像記録走査を行う。この際、ヘッドユニット52はインク供給部70からインクを導かれ、ヘッドドライバ54には画像データが入力され、ヘッドユニット52からのインク吐出量を制御する。インク供給部70からインク供給経路78を経て供給されるインクは、ヘッド部インク循環部76と循環経路74とを介して画像記録中にインク循環される。ヘッドユニット52では、ヘッドユニット52内で循環するインクを静電力により吐出制御して、画像形成する。
記録媒体上に吐出されて画像形成状態のインクを素早く硬化させるために、前述のようにヘッドユニット52直後の下流には紫外線照射部56が配置されている。その配置は記録媒体Sに乗ったインクへのみ照射されるように構成され、ヘッドユニット52のインク吐出口には照射されない構成とすることで、吐出口でのインク硬化を防止する。特には搬送ベルト42には光反射防止の処置(例えば、つや消しの黒色処理)をするのが効果的であるが、搬送ベルト42以外の他の部分にこのような光反射防止処置をすることも効果的である。
紫外線照射部56の光源として、本実施形態ではメタルハライドランプを使用しているが、これ以外でも、活性エネルギー(具体的には、紫外域光、電子線など)を発生する光源であれば良く、紫外域LED、紫外域レーザーなども上げられる。
紫外線照射部56の下流に配置された下流ベルトローラ44c近傍には、前述にように、記録媒体Sが搬送ベルト42から離される位置(本実施形態では下流ベルトローラ44c位置)で除電器48が備えられている。そして、同じく備えられた剥離爪92と協業して記録媒体Sを搬送ベルト42から剥離し、記録媒体Sはトレイ90上へ送出される。
下流ベルトローラ44c位置を過ぎた搬送ベルト42にはクリーニングローラ45が接触回転している。このクリーニングローラ45表面は粘着性があり、埃・インクかすなどを搬送ベルト42から取り除き、次の画像記録に備える。このクリーニングローラ45以外にもクリーニング手段は提案されており、これ以外でも不織布によるふき取りなどが可能である。
搬送ベルト42の材質としては下流ベルトローラ44cを介して接地されるためスチールベルトなどで構成される導電性ベルトが適用されるが、それ以外にも、戴置面の材質に自由度を持たせるため、戴置面側にはポリイミド等の樹脂などの絶縁性材料を利用することができ、その場合には、ベルト裏面に導電性層を設ける構成とする事ができる。
次に、本実施形態に使用される静電型インクジェットヘッドの構成と動作を説明する。
図3(A)は本実施形態に従う静電型インクジェットヘッドの概略構成を模式的に示した断面図であり、図3(B)は図3(A)のIB−IB線矢視図である。
なお、同図では、ヘッド部分の説明を解り易くするため、インクの吐出方向を図1、図2とは逆で図面上方としている。本実施例の場合、インクは実際には重力方向下方に吐出される。
図3(A)に示すように、静電式インクジェットヘッド52は、ヘッド基板112と、インクガイド114と、吐出口128が形成された吐出口基板116とを有する。吐出口基板116には、吐出口128を囲むように吐出電極118が備えられ、吐出電極118には駆動電圧制御部133が接続されている。また、インクが着弾する対向位置には、記録媒体Sを支持して対向電極となる搬送ベルト42と、記録媒体Sの帯電ユニット46とが配置されることとなる。
また、ヘッド基板112と吐出口基板116は、互いに対面した状態で所定間隔離間して配置される。ヘッド基板112と吐出口基板116の間に形成される空間によって各吐出口128にインクを供給するインク流路130が形成される。
なお、インクジェットヘッド52は、より高密度な画像記録を高速に行うために、複数の吐出口(ノズル)128が二次元的に配列されたマルチチャンネル構造を有する。後述する図4、にインクジェットヘッド52の吐出口基板116に複数の吐出口128が二次元的に配列されている様子を模式的に示した。
図3(A)及び図3(B)においては、インクジェットヘッドの構成を分かりやすく示すために、複数の吐出口のうちの1つの吐出口だけを示している。
このようなインクジェットヘッド52においては、吐出口基板116に設けられた吐出電極118に駆動電圧を印加して吐出口128に電界を発生させ、吐出口128のインクを静電力により吐出させる。また、吐出電極118に印加する駆動電圧を、画像データに応じてon/off(吐出on/off)することにより、画像データに応じて吐出口128からインク液滴を吐出して、記録媒体S上に画像を記録する。
次に、インクジェットヘッド52の吐出口基板116は、絶縁基板132と、ガード電極120と、吐出電極118と、絶縁層134とを有する。絶縁基板132の図中上側の面(ヘッド基板112に対面する側と反対の面)に、ガード電極120と絶縁層134とが順に積層されている。また、絶縁基板132の図中下側の面(ヘッド基板112に対面する側の面)には、インクを吐出するための駆動電圧が印加される吐出電極118が形成されている。
また、吐出口基板116には、インク液滴Rを吐出するための吐出口128が絶縁基板132を貫通して形成されている。吐出口128は、図3(B)に示すように、長方形の両方の短辺側を半円形にした、インク流方向に細長い繭形の開口(スリット)であり、インク流れ方向の長さLとインク流れに直交する方向の長さDとのアスペクト比(L/D)が1以上となる形状を有する。
本発明では、このように、吐出口128をインク流れ方向の長さLとインク流れに直交する方向の長さDとのアスペクト比(L/D)が1以上の開口とすることで、吐出口128にインクが流れやすくなる。つまり吐出口128へのインクの供給性を高めることができ、周波数応答性を向上させ、さらに目詰まりも防止することができる。この点については、インク液滴の吐出の作用とともに、後ほど詳細に説明する。
つぎに、インクジェットヘッド52におけるインク液滴Rの吐出作用を説明することにより、本発明について、より詳細に説明する。
インクジェットヘッド52では、インク循環機構(ヘッド部インク循環部76と循環経路74)によって、インクQが、インク流路130の内部を矢印方向(図中左から右方向)に循環している。
他方、記録に際して、記録媒体Sは、対向電極としての搬送ベルト42に供給され、帯電ユニット46によって例えば負の高電圧(一例として、−1500[V])に帯電された状態で、搬送ベルト42に静電吸着される。
この状態で、記録媒体Sとインクジェットヘッド52とを、相対的に移動しつつ、供給された画像データに応じて駆動電圧制御部33で吐出電極18にパルス電圧(以下、駆動電圧という)が印加されるように制御する。そして、基本的には、駆動電圧の印加on/offによって吐出をon/offすることにより、画像データに応じてインク液滴Rを変調して吐出し、記録媒体S上に画像を記録する。
更には、本実施の形態では、インクジェットヘッド52の吐出口128をインク流方向に細長い長穴形状としているので、インクが吐出口128の内部に流れ込みやすくなり、吐出口128へのインクの供給性が高くなっている。このため、インクガイド先端114aへのインクの供給性も向上する。したがって、画像記録時の吐出周波数を高めて、高速で連続的にインク液滴を吐出させたとしても、記録媒体に所望のサイズのドットが安定して形成される。本発明によれば、画像の出力時間を考慮すると、5kHz、好ましくは、10kHz、より好ましくは15kHzの吐出周波数を実現することができる。更には、吐出口128のアスペクト比を1以上にすることにより、インクの流れがスムーズになり、吐出口128での目詰まりを防止することができる。
また、本実施の形態では、吐出口128を繭形の開口として形成したが、これに限らず、吐出口128からインクを吐出することができるのであれば、円形や略円形、楕円形、矩形、正方形、ひし形、平行四辺形など任意の形状で吐出口128を形成することができる。
吐出口128の形状としては、インク流れ方向の長さとインク流れに垂直な方向の長さとのアスペクト比が1以上となるようなインク流方向に細長い形状であることが好ましい。これにより、吐出口へのインク供給性が高められ、目詰まりを防止することができ、連続した大ドットを安定して画像記録媒体に形成することができ、より高い周波数の描画数波数で高画質の画像を描画することができる。例えば、インク流方向を長辺とする矩形状、又は、インク流方向を長軸とする楕円形若しくはひし形で吐出口を形成することができる。
また、インク流の上流側を上底、下流側を下底とし、インク流方向の高さが下底よりも長い台形状で吐出口を形成してもよい。この場合、上流側の辺を長くしても下流側の辺を長くしてもよい。また、インク流方向を長辺とする長方形の両方の短辺側に、直径がその長方形の短辺よりも大きな円が接続されたような形状にしてもよい。このように吐出口128をインク流方向に細長い形状とすることにより、この吐出口128へのインク供給性を高めることができるとともに目詰まりも防止することができる。また、吐出口128は、その中心に対して、上流側と下流側で対称な形状であっても非対称な形状であっても良い。
つぎに、図3(A)に示したインクジェットヘッド52の吐出口基板116に形成されている吐出電極118について説明する。絶縁基板132の下面(ヘッド基板112と対向する面)には、図3(B)に示すような吐出電極118が形成されている。吐出電極118は、吐出口128の周囲を囲むように吐出口128の周縁に沿って配置されている。図3(B)においては、吐出電極118は吐出口128と相似形の形状で形成されているが、これに限定されず、吐出口128の周囲を囲む形状であれば種々の形状に変更することができる。
例えば、円形、略円形、楕円形、略楕円形などの形状で吐出電極を形成することができる。また、吐出口128の形状に応じて種々の形状に変更することができ。吐出口128の周囲を完全に取り囲んでいなくてもよく、例えば、インク流方向の上流側又は下流側の吐出電極の一部が切りかかれたようなC字型、コ字型などの形状であってもよい。また、インク流方向に平行で吐出口を挟むように配置された平行電極や略平行電極としてもよい。
前述のように、インクジェットヘッド52は、吐出口128が2次元的に配列されたマルチチャンネル構造を有するので、後述の図4に模式的に示すように、吐出電極118は、各吐出口128に対応して2次元的に配置されている。
また、吐出電極118は、インク流路130に露出し、インク流路30を流れるインクQと接触している。図3(A)に示すインクジェットヘッドは、このような構造としたことにより、インク液滴の吐出性を大幅に向上させることができる。この点については、後に、吐出の作用と共に詳述する。しかしながら、吐出電極118は、必ずしもインク流路130に露出してインクと接触している必要はなく、吐出電極118は吐出口基板116の内部に形成されていてもよいし、図(1)に示した吐出電極118のインク流路に露出している面を絶縁層で被覆してもよい。
また、吐出電極118は、図3(A)に示すように、駆動電圧制御部133に接続されている。駆動電圧制御部133は、インク吐出時及び非吐出時に吐出電極に印加する駆動電圧を、描画信号に応じて制御することができる。
図4は、マルチチャンネル構造の一部分(3行3列)の吐出口の配列を示しており、好ましい態様として、インク流方向において、下流側の列の吐出口128が上流側の列の吐出口に対してインク流に垂直な方向に所定ピッチずつずれて配置されている。このように、下流側の列の吐出口を上流側の列の吐出口に対してインク流方向に垂直な方向にずらして配置することにより、吐出口にインクを良好に供給することができる。本発明のインクジェットヘッドにおいては、下流側の列の吐出口が上流側の列の吐出口に対してインク流方向に垂直な方向にずらされて配置されたn行m列(n、mは正の整数)の吐出口が、インク流方向に一定の周期で繰り返し続くように構成されていてもよいし、それぞれの吐出口が、上流側に位置する吐出口に対してインク流に垂直な一方向(図4において下方向又は上方向)に連続的にずれて配置されていても良い。吐出口の個数やピッチ、繰返し周期等は、解像度や送りピッチに応じて適宜設定することができる。
また、図4では、好ましい態様として、インク流方向において、下流側の列の吐出口を上流側の列の吐出口に対してインク流に垂直な方向にずらして配置したが、これに限定されず、下流側の吐出口と上流側の吐出口が、インク流方向において同一直線上に配置されていてもよい。この場合は、各行のそれぞれの吐出口を、インク流に垂直な方向において隣に位置する行のそれぞれの吐出口に対して、インク流方向にずらして配置させることが好ましい。
なお、図3に示す例は、インクジェットヘッド52を構成する1つの吐出手段となる個別吐出口のみを概念的に表したものである。本発明のインクジェットヘッドにおいて、吐出口128の個数や、その物理的な配置位置等は自由に選択することができる。例えば、後述の図4に示すようなマルチチャンネル構造のみならず、吐出口の列を1列のみ有するものであってもよい。また、図2では、記録媒体Sの全域に対応する吐出口の列を有するいわゆる(フル)ラインヘッド52示している。あるいは、ノズル列の方向と直交する方向に走査されるいわゆるシリアルヘッド(シャトルタイプ)であってもよい。また、本発明のインクジェットヘッドは、モノクロおよびカラーのどちらの記録装置にも対応可能である。
つぎに、図3(A)に示すインクジェットヘッド52のガード電極120について説明する。図3(A)に示すように、ガード電極120は、絶縁基板132の表面上に形成されており、ガード電極120の表面は絶縁層134によって覆われている。図5に、ガード電極120の平面構造を模式的に示した。図5は、図3(A)のIII−III線矢視図であり、マルチチャネル構造のインクジェットヘッド52のガード電極120の平面構造を模式的に示している。図5に示すように、ガード電極120は、金属板などの各吐出電極に共通なシート状の電極であり、2次元的に配列されている各吐出口128の周囲に形成された吐出電極118に対応する位置に開口部136を有する。この吐出電極118及び絶縁層134の開口部は、吐出口128の形状と同形状の矩形状に形成されている。一方、ガード電極120の開口部136の長さ及び幅は、絶縁層134に覆われる状態でもあり、吐出口128の長さ及び幅よりも大きく形成される。
ガード電極120は、インク吐出方向に隣接する吐出電極118間における電気力線を遮蔽して、電界干渉を抑制することができる。ガード電極120は、ガード電極制御部135と接続されており、ガード電極制御部135によって、描画信号の周波数に同期した所定の交流バイアス電圧が印加される。そして、このような交流バイアス電圧が、インクジェットヘッドの記録動作時にガード電極120に印加されることによって、インクの吐出性が制御される。ガード電極120に印加する交流バイアス電圧の制御方法については後に詳しく説明する。
ガード電極120は、好ましい態様として、図3(A)に示すように、吐出電極118とは異なる層に形成され、その表面が絶縁層134によって被覆される。ガード電極120の表面を絶縁層134によって被覆することにより吐出口から漏れたインクがガード電極と接触することが防止される。
このような絶縁層134を有することにより、隣接する吐出電極118間における電界干渉を好適に防止できると共に、吐出電極118とガード電極120との間で、インクが被膜化して放電することも防止できる。
ここで、ガード電極120は、吐出電極118から発生する電気力線のうち、対応する吐出口128(以下、便宜的に「自チャンネル」とする)に作用する電気力線を確保しつつ、他の吐出口128(同様に「他チャンネル」とする)に設けられた吐出電極118の電気力線および他チャンネルへの電気力線を遮蔽するように設けられる。
ガード電極120が無い場合、インク液滴の吐出時に、吐出電極118の吐出口側の端部(以下、吐出電極の内縁部という)から生じる電気力線は、吐出電極118の内側、すなわち、吐出電極18の内縁部によって囲まれた領域内に収束して自チャンネルに作用し、インク液滴の吐出に必要な電界を生じさせる。一方、吐出電極118の吐出口側と逆側の端部(以下、吐出電極の外縁部という)から生じる電気力線は、その吐出電極118の外縁部よりも更に外側に発散して他チャンネルに影響を及ぼし、電界干渉を生じる。
以上の点を考慮すれば、ガード電極120の開口部136の幅及び長さは、自チャンネルへの電気力線を遮蔽しないように、基板平面で見た際に、自チャンネルの吐出電極118の幅及び長さよりも大きくするのが好ましい。すなわち、ガード電極120の吐出口128側の端部は、自チャンネルの吐出電極118の内縁部よりも、吐出口128から離間(後退)しているのが好ましい。
また、他チャンネルへの電気力線を効率的に遮蔽するためには、ガード電極120の開口部136の長さ及び幅は、基板平面で見た際に、自チャンネルの吐出電極118の外縁部間の間隔(外径)よりも小さくするのが好ましい。すなわち、ガード電極120の内縁部は、自チャンネルの吐出電極118の外縁部よりも、吐出口128に近接(前進)しているのが好ましい。本発明者の検討によれば、この近接量は、5μm以上、特に、10μm以上とするのが好ましい。
上記構成を有することにより、吐出口128からの吐出安定性を十分に確保した上で、隣接するチャンネル間における電界干渉に起因するインク着弾位置のバラツキ等を好適に抑制して、安定して高画質な画像記録を行うことが可能となる。
ガード電極120の開口部136を、吐出電極118の内縁部又は外縁部によって形成される形状と略相似形にし、ガード電極120の内縁部が、自チャンネルの吐出電極118の内縁部よりも吐出口128から離間(後退)し、吐出電極の外縁部よりも吐出口128に近接(前進)するように、ガード電極120を設けてもよい(すなわち、ガード電極120の開口部136を形成してもよい)。
また、以上の例では、ガード電極120は、各吐出電極118に共通のシート状電極としているが、本発明はこれには限定されず、各吐出口間において、他チャンネルの電気力線を遮蔽できるように設けられていれば、どのような形状又は構造でも良い。例えば、ガード電極は、各吐出口の間に網目状に設けられていても良い。また、マトリクス状に配列されている複数の吐出口において、例えば、行方向と列方向で隣接する吐出口の間隔が異なる場合には、電界干渉を生じない程十分離れている吐出口の間にはガード電極を設けずに、近接している吐出口の間にのみガード電極を設けても良い。
また、ガード電極は、マトリクス状に配置されている各吐出電極に共通の構造でなくても良く、マトリクス状の吐出電極の列ごと若しくは行ごと、又は千鳥配列ごとに共通になるような構造にしてもよい。この場合は、マトリクス状の吐出電極の列ごと若しくは行ごと、又は千鳥配列に共通に設けられたそれぞれのガード電極に対応するように、個別にガード電極制御部を設けてもよいし、1つのガード電極制御部にそれぞれのガード電極を接続して、それぞれのガード電極を個別に又は共通に制御してもよい。ここで、用語「共通」とは、構造的な共通を意味するのみならず、電気的な共通も含む概念である。したがって、ガード電極が互いに構造的には独立した構造を有していても、電気的に接続されて共通になっていれば、上記の共通を満たす。
上記いずれの形状のガード電極の場合も、図3(A)に示すように、自チャンネルの吐出電極118に対して、ガード電極120の内縁部が、吐出電極118の内縁部よりも吐出口128から離間し、吐出電極118の外縁部より吐出口128に近接するように、ガード電極120を形成すればよい。
ここでは、ガード電極120の開口部136の形状を、吐出口128の形状と略同様の形状にしたが、これに限定されるものではなく、隣接する吐出電極118間における電気力線を遮蔽して電界干渉を防止することができれば、任意の形状にすることができる。例えば、円形や楕円形、正方形、ひし形などの形状でガード電極120の開口部136を形成することができる。
つぎに、図3(A)に示したインクジェットヘッド52のインクガイド114について説明する。インクガイド14は、所定の厚みを有するセラミック製平板からなり、各吐出口128(吐出部)に対応してヘッド基板112の上に配置されている。インクガイド114は、吐出口128の長辺方向の長さに応じてわずかに幅広に形成されている。上述したように、インクガイド114は、吐出口128を通過し、その先端部分114aが吐出口基板116の記録媒体S側の表面(絶縁層134の表面)よりも上方に突出している。
インクガイド114の先端部分114aは、インクの流れ方向に平行な断面形状が、対向電極としての搬送ベルト42側へ向かうに従って次第に細くなる略三角形(ないしは台形)になるように成形されている。インクガイド114は、先端部分114aの傾斜面がインクの流れ方向と交差するように配置される。これにより、吐出口128に流入するインクがインクガイド114の先端部分114aの傾斜面に沿って先端部分114aの頂点に到達するので、吐出口128にインクのメニスカスが安定して形成される。
また、インクガイド114を吐出口128の長辺方向に幅広に形成することで、インク流れに直交する方向の幅を短くすることができ、インクの流れに及ぼす影響を少なくすることができ、かつ後述するメニスカスを安定して形成させることができる。
なお、インクガイド114の形状は、インクを吐出口基板116の吐出口128を通って先端部分114aに供給することができれば、特に、制限的ではなく、例えば、先端部分114aが対向電極に向かうに従って細くなるような形状でなくても良く、適宜変更することができる。例えば、インクガイド114の中央部分に、図中上下方向に毛細管現象によってインクを先端部分114aに集めるインク案内溝となる切り欠きが形成されていても良い。
また、図3(B)では、吐出口の形状に応じて、インク流方向に長い板状の形状としたが、これに限定されず、角柱にしてもよい。
また、インクガイド114は、その最先端部に、金属が蒸着されていることが好ましく、インクガイド114の最先端部に金属を蒸着させることにより、インクガイド114の先端部分114aの誘電率が実質的に大きくなる。これにより、吐出電極に駆動電圧が印加されたときに、インクガイド114に強電界を生じさせやすくなり、インクの吐出性を向上することができる。
本実施形態では対向電極としての搬送ベルト42は電極基板と絶縁シートとで構成し、記録媒体Sを、帯電ユニット46によって負の高電圧に帯電させることにより、バイアス電圧を印加して対向電極として作用させ、かつ、絶縁シートの表面に静電吸着させている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、搬送ベルト42を電極基板のみで構成し、搬送ベルト42を負の高電圧のバイアス電圧源に接続して、負の高電圧に常時バイアスしておき、搬送ベルト42の表面に記録媒体Sを静電吸着させるようにしても良い。
また、記録媒体Sの搬送ベルト42への静電吸着と、記録媒体Sの負の高電圧帯電または搬送ベルト42への負のバイアス高電圧の印加とを別々の負の高電圧源によって行っても良いし、搬送ベルト42による記録媒体Sの保持は、記録媒体Sの静電吸着に限られず、他の保持方法や保持手段を用いても良い。
つぎに、本実施形態のインクジェットヘッドのインク吐出の動作について図3及び図6を用いて説明する。
図6に、画像データや印字データ等の描画信号(吐出データ信号)の波形と、吐出電極に印加される駆動電圧波形(パルス波形)と、ガード電極に印加される交流バイアス電圧の電圧波形A〜Dを示した。図6の上段に示した描画信号は、インクの吐出と非吐出の指示に利用され、この描画信号に基づいてインクの吐出が制御される。吐出電極に印加される駆動電圧(パルス電圧)の周期及びパルス幅は、図6に示すように、描画信号の周期及びパルス幅と同じである。また、吐出電極118に印加される駆動電圧Vpは、例えば、+600[V]に設定される。吐出電極118に駆動電圧を印加しない場合は、吐出電極118は、例えば、0[V]に設定される。駆動電圧の電圧値は、上記値に限定されず、吐出電極118に駆動電圧を印加したときに確実にインクを吐出させることができれば、任意の電圧値に設定することができる。
図3(A)に示すインクジェットヘッドの記録動作時には、吐出電極118には、図6の駆動電圧波形に示すようなタイミングで駆動電圧が印加される。すなわち、描画信号に同期して、インクを吐出するための駆動電圧が印加される。インクの吐出を指示する描画信号(図中、onで示した信号)が、吐出電極118に接続された駆動電圧制御部133に供給されると、その描画信号と同じタイミングで吐出電極118に駆動電圧が印加される。これにより、吐出電極118からインクの吐出に作用する電界が発生し、吐出口128からインクが吐出される。
一方、インクの非吐出を指示する描画信号(図中、offで示した信号)が駆動電圧制御部に供給された場合には、吐出電極118には駆動電圧は印加されずに0[V]とされる。このため、吐出電極118からは吐出のための電界は発生しないので、吐出口128からインクは吐出されない。なお、インクジェットヘッド52のインクの吐出作用については、後に詳しく説明する。図6において、描画信号の1周期が記録媒体に1ドット又は1画素を形成するのに要する時間に相当する。
図6に示した駆動電圧波形においては、駆動電圧のパルス幅は、描画信号のパルス幅と同じ幅に設定しているが、これに限定されず、描画信号のパルス幅よりも長く又は短くしてもよい。このように、吐出電極118に印加する駆動電圧のパルス幅、すなわち、駆動電圧の印加時間を長く又は短く調整すれば、吐出口128から吐出させるインクの量を調整することができ、これにより、記録媒体に形成される1画素の階調を調整することができる。
つぎに、このような記録動作時にガード電極120に印加する交流バイアス電圧について図3(A)、図6、図7(A)及び(B)を参照しながら説明する。図6に示した電圧波形A〜Dは、それぞれ、ガード電極120に印加する交流バイアス電圧の例である。図7(A)は、吐出電極118に駆動電圧を印加したときの吐出口128の様子を模式的に示す図であり、図7(B)は、吐出電極118に駆動電圧が印加されていないとき(又は低電圧が印加されているとき)の吐出口128の様子を模式的に示した図である。
まず、電圧波形Aに従って交流バイアス電圧をガード電極120に印加した場合の動作について説明する。なお、以下の説明において、ガード電極120に印加する交流バイアス電圧(パルス電圧)の電圧波形はガード電極120に接続されたガード電極制御部135において生成される。図6に示すように、電圧波形Aに従えば、吐出電極118に印加される駆動電圧の信号と同じ周波数を有し、その位相は駆動電圧信号よりも180度遅延した交流バイアス電圧がガード電極に印加される。すなわち、吐出電極118に印加される駆動電圧信号と逆相の交流バイアス電圧信号がガード電極120に印加される。交流バイアス電圧の高電圧値Vghは、例えば、+400[V]に設定され、低電圧値Vglは、例えば、+100[V]に設定される。ガード電極120には、インクの吐出及び非吐出に係わらず、高電圧Vghと低電圧Vglが、一定の周期で交互に切り替わって印加される。
図6に示した電圧波形Aに従ってガード電極120に印加する交流バイアス電圧を制御した場合、吐出電極118に駆動電圧が印加されている間、すなわちインクを吐出する間(以下、インク吐出時という)は、ガード電極120には低電圧のバイアス電圧が印加される。このとき、吐出口128には、吐出電極118とガード電極120の電圧差に応じた電界E1が形成される。吐出電極118の方がガード電極120よりも高電圧レベルにあるので、吐出電極118とガード電極120の電界E1によって、吐出口128のインクには、図7(A)に示すように、対向電極としての搬送ベルト42に向かう向き(インクの吐出方向)の静電力F1が作用する。このため、吐出口128のインクのメニスカスMの位置が搬送ベルト42に向かって上昇し、インクが吐出しやすい状態となる。
そして、インクガイド114の先端部分114aのインクが、搬送ベルト42による引力によって引きつけられ、そのインクの一部がインク液滴となって搬送ベルト42に向かって吐出する。これにより、搬送ベルト42に配置されている記録媒体の表面にインク液滴のドットが形成される。このように、吐出電極118に駆動電圧を印加すると同時に、ガード電極120に低電圧のバイアス電圧を印加して、インクが吐出されやすい状態にするので、インク液滴の吐出の遅れが発生することなく速やかにインクが吐出され、吐出応答性が高められる。
一方、図6の電圧波形Aに示すように、吐出電極118への駆動電圧の印加を終了し、吐出電極118が0[V]になると(以下、停止時という)、交流バイアス電圧は低電圧から高電圧に変化する。すなわち、ガード電極120には高電圧のバイアス電圧が印加される。このとき、吐出口128には、吐出電極118とガード電極120との電圧差に応じた電界E2が形成される。ここでは、吐出電極118よりもガード電極120の方が高電圧レベルにあるので、吐出電極118とガード電極120の電界E2によって、吐出口128のインクには、対向電極としての搬送ベルト42に向かう向きと逆向きの静電力F2が作用する。このため、吐出口128のインクのメニスカスMは、搬送ベルト42に向かう向きの上記静電力F1が作用している場合に比べてインク流路130側(図中、下向き)に抑えられ、吐出口128からインク液滴が吐出しにくい状態になっている。このように、吐出電極118に印加する駆動電圧が0[V](低電圧レベル)になると同時に、ガード電極120に高電圧のバイアス電圧を印加して、吐出口128からインクが吐出されにくい状態にすることにより、インク吐出後のインク液滴の切れ(液切れ性)が向上する。
以上説明したように、図6の電圧波形Aに基づいてガード電極120に交流バイアス電圧を印加した場合には、インクの吐出前に、ガード電極120に高電圧のバイアス電圧が印加され、対向電極としての搬送ベルト42に向かう向きと逆向きの静電力が吐出口128のインクのメニスカスMに働き、インクが吐出しにくい状態になる。一方、インクを吐出する際には、吐出電極118に駆動電圧が印加されるとともに、ガード電極120に低電圧のバイアス電圧が印加され、搬送ベルト42に向かう向きの静電力が吐出口128のインクのメニスカスMに働く。このようにガード電極120に印加する交流バイアス電圧を制御すれば、吐出電極118に駆動電圧が印加される直前までは、対向電極に向かう向きと逆向きの静電力によって吐出口128からインクが吐出しないように、インクのメニスカスを抑えておくことができる。そして、駆動電圧が印加されると同時又は略同時に吐出口128のインクのメニスカスを開放させることができる。こうして、吐出電極118への駆動電圧の印加と同時又は略同時に、吐出口128からインクを速やかに吐出させることができる。
また、ガード電極120に電圧波形Aに示したような交流バイアス電圧を印加した場合には、吐出電極118に印加する駆動電圧が低くても、インクの吐出と非吐出を確実に制御することができる。それゆえ、低駆動電圧で高いディスクリの安定したインクの吐出を実現することができ、駆動電圧の周波数を更に高めることができる。
また、インクの非吐出時にも交流バイアス電圧が印加されるので、吐出口128のインクが揺動し、インクの目詰まりも防止することができる。
以上の説明から分かるように、吐出電極118に印加される駆動電圧にも依存するが、基本的には、ガード電極120に印加するバイアス電圧の大きさに応じて、吐出口128に形成されるインクのメニスカスの状態が変化する。すなわち、ガード電極120に印加するバイアス電圧を高くすると、ガード電極120から発生する電界が強くなるので、吐出口128のインクに作用する静電力も強くなる。その結果、吐出口120に形成されるインクのメニスカスがインク流路130側に抑えこまれ、吐出口128のインクは吐出しにくい状態となる。一方、ガード電極120に印加するバイアス電圧を低くした場合には、ガード電極120から発生する電界が弱くなり、インクに作用する静電力も弱くなる。その結果、吐出口128に形成されるインクのメニスカスが開放され、吐出口128からインクが吐出しやすくなる。このように、本発明では、ガード電極120に交流バイアス電圧を印加するとともに、その交流バイアス電圧を制御して、吐出口128に形成されるインクのメニスカスの状態を調整し、これによりインクの吐出性を制御する。前述したように、ガード電極120は、隣接する吐出電極間の電界干渉を防止する機能に加え、交流バイアス電圧が印加されることによって吐出口に形成されるメニスカスの状態を調整してインクの吐出性を調整する機能をも有している。
つぎに、図6に示す電圧波形Bに従ってガード電極120に交流バイアス電圧を印加した場合の動作について説明する。図6に示す電圧波形Bは、吐出電極118に印加される駆動電圧信号と位相が異なっている場合であり、電圧波形Aよりも位相が進んでいる場合である。電圧波形Bにおいては、ガード電極120に印加する交流バイアス電圧の立ち下がりが、駆動電圧の立ち上がりよりも先行している。また、交流バイアス電圧の立ち上がりも駆動電圧の立ち下りよりも先行している。
この電圧波形Bに従ってガード電極120に交流バイアス電圧を印加した場合は、吐出電極118に駆動電圧が印加されるのに先立って、ガード電極120に低電圧のバイアス電圧が印加される。これにより、インク吐出前の吐出口128のインクは、ガード電極120に高電圧のバイアス電圧が印加されている場合に比べて、吐出口128から吐出されやすい状態となる。そして、この状態で、吐出電極118にインクを吐出させるための駆動電圧を印加するので、駆動電圧の印加と同時又は略同時に吐出口128からインクが吐出される。このように、インクの吐出に先立ってガード電極120に低電圧のバイアス電圧を印加して、インクを吐出しやすい状態としているので、上記電圧波形Aに従ってガード電極120に交流バイアス電圧を印加した場合と比較して、インクの吐出遅れを、より一層効果的に防止することができる。
また、電圧波形Bに従えば、吐出電極118への駆動電圧の印加を終了する直前、すなわち、インクの吐出を停止する直前に、ガード電極120に高電圧のバイアス電圧が印加される。このように、インクの吐出を停止する直前に、ガード電極120に高電圧のバイアス電圧が印加されると、前述したように、吐出口128のインクは、吐出口128から吐出されにくくなる。このようにインクが吐出しにくい状態にしておいてから、吐出電極118への駆動電圧の印加を終了させるので、意図しないインク液滴の吐出やインク吐出後のインク液滴の切れ(液切れ性)が、電圧波形Aに従ってガード電極120に交流バイアス電圧を印加する場合よりも一層向上する。
以上の説明から分かるように、電圧波形Bに従ってガード電極120に交流バイアス電圧を印加すれば、吐出電極118への駆動電圧の印加と同時又は略同時にインクが吐出され、駆動電圧の印加の終了と同時又は略同時にインク液滴の吐出が停止するので、インク吐出遅れを一層防止することができるとともに、インク液滴の液切れを一層向上させることができる。
つぎに、図6に示した電圧波形Cに従ってガード電極20に交流バイアス電圧を印加した場合の動作について説明する。
図6の電圧波形Cは、ガード電極120に印加する交流バイアス電圧の高電圧の印加時間(パルス幅)を、電圧波形Aよりも短くした例である。この電圧波形Cでは、上記電圧波形Bと同様に、ガード電極120に印加するバイアス電圧の立ち下がりが、駆動電圧の立ち上がりよりも先行している。一方、バイアス電圧の立ち上がりは駆動電圧の立ち下りと一致している。この例では、吐出電極118への駆動電圧の印加に先立って、すなわち、インクの吐出に先立って、ガード電極120に印加するバイアス電圧を高電圧から低電圧に切り替えているので、電圧波形Bの説明において述べたように、インクの吐出遅れを防止することができる。また、駆動電圧の印加の終了と同時に、高電圧のバイアス電圧を印加するので、従来よりもインクの切れを向上させることができる。
次いで、図6に示す電圧波形Dに従ってガード電極120に交流バイアス電圧を印加した場合の動作について説明する。
図6に示す電圧波形Dは、ガード電極120に印加する交流バイアス電圧の高電圧の印加時間(パルス幅)を、電圧波形Aよりも長くした例である。この電圧波形では、交流バイアス電圧の立ち下がりが、吐出電極118に印加する駆動電圧の立ち上がりと一致している。一方、交流バイアス電圧の立ち上がりは駆動電圧の立ち下りよりも先行している。この例では、駆動電圧に印加の終了に先立って、ガード電極120に印加するバイアス電圧を低電圧から高電圧に切り替えているので、電圧波形Bの説明において述べたように、インクの切れを一層向上させることができる。また、吐出電極118への駆動電圧の印加と同時に、ガード電極120に印加するバイアス電圧が高電圧から低電圧に切り替えられるので、インクの吐出遅れを防止することができる。
以上、ガード電極120に交流バイアス電圧を印加した場合のインクジェットヘッドのインク吐出の動作について説明した。上記説明において示した交流バイアス電圧の電圧波形A〜Dは一例であり、インク吐出の動作のときは、インクが吐出しやすいようにメニスカスを開放し、インクの吐出動作以外のとき(非吐出時)はインクが吐出しにくいように、メニスカスを抑えることができるのであれば、種々の電圧波形を生成することができる。また、交流バイアス電圧の電圧値も上記電圧値に限定されず、ガード電極120に交流バイアス電圧を印加しただけでインクが吐出することがなければ、任意の電圧値にすることができる。
図6に示した電圧波形では、矩形波を用いたが、これに限定されず、正弦波、三角波、台形波などを用いてもよい。
図6に示した交流バイアス電圧の電圧波形A〜Dに従えば、描画信号にかかわらず、すなわちインクの吐出と非吐出にかかわらず、ガード電極120に高電圧と低電圧のバイアス電圧が交互に繰り返し印加される。すなわち、インクを吐出させない場合であっても、ガード電極120には高電圧と低電圧のバイアス電圧が印加される。それゆえ、インクの非吐出時に、吐出口のインク及びメニスカスが揺動し、インクの目詰まりを防止することができる。
また、本発明では、交流バイアス電圧が印加されるガード電極120は、吐出電極118と近接しているので、交流バイアス電圧の周波数を高めても、確実に吐出口128のインク及びメニスカスを揺動させることができ、目詰まりをより一層効果的に防止することができる。
また、ガード電極120を駆動させるための制御部を設けるだけでよいので、駆動回路全体のコストを大幅に低減することができる。
次に、本発明のインクジェット記録装置の他の構成を図を用いて説明する。
図8は図1の装置に対して搬送走査部の他の構成を示す部分概略図である。
図8において、図1と同様の構成且つ同様の作用を有する要素には同一の符号を付す。記録媒体Sを支持しているのは平板状導電性プラテン240であり、図1の搬送ローラ対36に代わり、走査搬送ローラ対236が記録媒体Sを導電性プラテン240上で移動させる。帯電器246が導電性プラテン240の上流端上方に備えられ、プラテン240と記録媒体Sとを帯電により密着させる。導電性プラテン240はアースされている。
この帯電器246は図1の構成と同様であり、帯電器に印加する電圧は絶対値で3〜12kVが可能で、3kV以下では吸着の効果が得づらく、12kV以上であると異常放電する可能性が出てくる。好ましくは、5〜8kV程度である。
記録媒体Sは走査搬送ローラ対236により導電性プラテン240上を密着した状態で移動し、ヘッドユニット52からの記録材料全幅に対するインク吐出による画像記録と紫外線照射部56による活性エネルギー照射を受け、画像を形成しているインクが硬化する。この後、走査搬送ローラ対242が記録媒体Sの先端を挟持搬送し、その下流に設けられた除電器248により除電され、活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置のトレイ90へ送出される。
図9は図1の装置に対して画像記録部の他の構成を示す部分概略図である。
図1及び図8で示した記録装置10では、ヘッド52は記録媒体Sの全幅方向にインク吐出口を有するライン型インクジェットヘッドであったが、この図9に示すヘッド252はマルチチャンネルタイプのシリアルヘッド(シャトルタイプ)であり、記録媒体Sの幅方向にも走査移動を行う。以下に構成を説明する。なお、図9において、図1と同様の構成且つ同様の作用を有する要素には同一の符号を付す。
まず、図1と同様に、搬送ベルト42は3つのベルトローラ44a(図示なし),44b,44cによって張架駆動される。搬送ベルト42は上流ベルトローラ44bから下流ベルトローラ44c方向へ駆動され、記録媒体Sは上流ベルトローラ44bと下流ベルトローラ44cとの間で搬送ベルト42上に戴置されて搬送方向Aに沿って搬送される。
画像記録部250の構成としては、上流ベルトローラ44bと下流ベルトローラ44cとの間で搬送される記録媒体Sの上方位置で、搬送方向Aと直交する方向(走査方向B)に延在するガイド部材258と、このガイド部材258に懸架支持されるヘッドユニット252とからなる。ヘッドユニット252は走査方向Bに沿って往復移動自在に設定されている。ヘッドユニット252はここでは4色(イエローY,マゼンタM,シアンC,ブラックK)の各活性エネルギー硬化性インクを記録媒体Sの記録面に向けてそれぞれ射出する4つのノズル群を備えている。
紫外線照射部256はガイド部材258の長手方向でヘッドユニット252の両脇に配置されている。ヘッドユニット252の図で左右両側には紫外線照射を行う2つの紫外線照射部256a,256bがそれぞれ搭載されており、紫外線照射部256a,256bはヘッドユニット252の往復移動によって一緒に移動可能とされている。各ノズルから吐出され記録媒体Sの上に着弾した紫外線硬化性インクは、その直後に上を通過する紫外線照射部256a,256bの一方の紫外線照射部によって紫外線が照射される。
また、記録媒体Sの上方位置に図1に示したように、帯電器46は、記録媒体Sの先端が搬送ベルト42上に最初に接触する上流ベルトローラ44b位置に備えられ、搬送ベルト42上の記録媒体Sに接触しない程度に且つ搬送ベルト42に近接して配置され、搬送ベルト42と記録媒体Sとの密着を高める。更に、記録媒体Sが搬送ベルト42から離される下流ベルトローラ44c位置には、除電器48が備えられ、搬送ベルト42上の記録媒体Sに接触しない程度に且つ搬送ベルト42に近接して配置されている。
この帯電器46に印加する電位はその絶対値で3〜12kVが可能で、3kV以下では吸着の効果が得づらく、12kV以上であると異常放電する可能性が出てくる。好ましくは、5〜8kV程度である。
図10は図1の装置に対して画像記録部の更に他の構成を示す概略図であり、図9に示したマルチチャンネルタイプのヘッド252と、図8に示す固定のプラテン240を使用する搬送走査部とにより、画像記録を実施する構成を示す概略斜視図である。
図10では、まず、図8と同様に、記録媒体Sを支持しているのは平板状導電性プラテン240であり、走査搬送ローラ対236が記録媒体Sを導電性プラテン240上で移動させる。帯電器246が導電性プラテン240と記録媒体Sとを密着させるために備えられ、導電性プラテン240はアースされている。
プラテン240の上方には、図9に示した画像記録部のように、記録媒体Sの記録面に画像を記録するヘッドユニット252が、搬送方向Aと直交する方向(走査方向B)に延在するガイド部材258に懸架支持されている。紫外線照射部256a,256bはヘッドユニット252の往復移動によってB方向に一緒に移動可能とされている。そして、各ノズルから吐出され記録媒体Sの上に着弾した紫外線硬化性インクは、その直後に上を通過する紫外線照射部256a,256bの一方の紫外線照射部によって紫外線が照射される。
導電性プラテン240の上流端上方には記録媒体Sに近接する配置で帯電器246が備えられ、プラテン240と記録媒体Sとを帯電により密着させる。走査搬送ローラ対242が記録媒体Sの先端を挟持搬送し、その下流に設けられた除電器248により除電される。
なお、コロナ帯電器246に印加される電位はその絶対値で3〜12kVが可能で、3kV以下では吸着の効果が得づらく、12kV以上であると異常放電する可能性が出てくる。好ましくは、5〜8kV程度である。
図11は、本発明の他の実施形態による活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置の構成概略図である。
図において、移動型導電性プラテン340は記録媒体Sを記録搬送時に支持する。移動型導電性プラテン340は平板状であり、記録媒体Sの最大サイズより若干長い寸法に設定されて、記録媒体全体を支持することが好ましい。この移動型導電性プラテン340の記録材料支持面に対する裏面には、ボールナット344がブラケット345により固定されている。このボールナット344を貫通するボールねじ軸346がその長手方向を記録媒体Sの搬送方向と平行にして配置される。ボールナット344はボールねじ軸346と歯合し、ボールねじ軸346の回転Lに従動して、記録媒体搬送方向の前後移動Xに規制される。
ボールねじ軸346の搬送方向下流端には従動タイミングプーリ364が配置される。また、移動型導電性プラテン340の下方には駆動モータ360が配置される。この駆動モータ360により回転駆動される駆動タイミングプーリ362と従動タイミングプーリ364との間にタイミングベルト366が張架されて回転駆動を伝える。駆動モータ360により回転は従動タイミングプーリ364を回転させ、ボールねじ軸346を回転させる。この回転は最終的にボールナット344により記録媒体搬送方向直線移動に転換される。そして、移動型導電性プラテン340は図11に実線で示す初期位置と一点鎖線で示す最下流位置との間を往復する構成となっている。
移動型導電性プラテン340の初期位置と下流位置との中間付近で且つその上方には、画像記録部350が配置されている。この画像記録部350には図9または図10に示すようなマルチチャンネルタイプのヘッドユニット352が備えられ、記録媒体搬送方向の前後移動Xと直交する走査方向に延在するガイド部材358にこのヘッドユニット352が懸架支持される。ヘッドユニット352はガイド部材358に沿って往復移動走査を行うが、基本的には4色(イエローY,マゼンタM,シアンC,ブラックK)の各活性エネルギー硬化性インクを記録媒体Sの記録面に向けてそれぞれ射出する4つのノズル群を備えている。
紫外線照射部356はガイド部材358の長手方向でヘッドユニット352を挟んで両脇に配置されている。紫外線照射部356はヘッドユニット352の往復移動と一緒に移動し、各ノズルから吐出され記録媒体Sの上に着弾する紫外線硬化性インクに紫外線が照射される。
次に、本実施形態の動作を説明する。まず、本実施形態の場合、記録媒体Sは必要に応じて一枚毎に記録装置に人の手によって供給される。人の手によって供給される記録媒体Sは、初期位置にある移動型導電性プラテン340上へ戴置される。移動型導電性プラテン340はその上に記録媒体S全体が完全に戴置されるまで停止状態を維持する。
次に、画像記録装置に設けられた(図示せず)画像記録開始ボタンにより画像記録を行う。この時、移動型導電性プラテン340上方には図1の説明にも述べたように、コロナ帯電・除電器348が配置され、記録媒体Sを帯電させて移動型導電性プラテン340と記録媒体Sとを密着させる。また、このタイミングで駆動モータ360による移動型導電性プラテン340の移動のための駆動が開始される。
ここで、駆動モータ360の回転力は、駆動タイミングプーリ362、タイミングベルト366、従動タイミングプーリ364と伝達され、ボールねじ軸346を回転させる。この回転はボールナット344により下流方向直線移動に転換される。
まず、第一移動行程では、移動型導電性プラテン340が初期位置から最下流位置(一点鎖線で表示)まで移動され、この時、記録媒体Sは帯電・除電器348直下をその全面が通過することで、全面が帯電させられる。
次に、第二移動行程では、移動型導電性プラテン340が最下流位置(一点鎖線)から初期位置まで反転移動される。この時に画像記録部350による画像記録が開始される。つまり、ボールナット344は画像記録用の速度で移動され、共に移動する移動型導電性プラテン340上の記録媒体Sに対して画像記録走査が実行される。そして、画像記録が終了の後、移動型導電性プラテン340は初期位置に到達する。
そして、第三移動行程では、移動型導電性プラテン340が初期位置から最下流位置(一点鎖線で表示)まで再度移動される。この移動中に、帯電状態である記録媒体Sに対して帯電・除電器348により除電処理を行う。移動型導電性プラテン340が最下流位置(一点鎖線で表示)に到達した時点で除点処理が終了する。記録済みの記録媒体Sは除電済みのプラテン340上から人手により取り除かれる。
なお、帯電・除電器348に記録媒体帯電時に印加される帯電電位はその絶対値で3〜12kVが可能で、3kV以下では吸着の効果が得づらく、12kV以上であると異常放電する可能性が出てくる。好ましくは、5〜8kV程度である。
最後に、最下流位置(一点鎖線)の移動型導電性プラテン340は、記録媒体Sを取り除いた後、駆動モータ350の反転駆動により初期位置に戻り、次の画像記録に備える。
ここで、本発明で言う「活性エネルギー」とは、その照射によりインク組成物中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができるものであれば、特に制限はなく、広く、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含するものである。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点からは、紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。従って、本発明のインク組成物としては、紫外線を照射することにより硬化可能なインク組成物であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録装置において、活性エネルギーのピーク波長は、インク組成物中の増感色素の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nm、好ましくは、300〜450nm、より好ましくは、350〜450nmであることが適当である。また、本発明のインク組成物の(a)電子移動型開始系は、低出力の活性エネルギーであっても十分な感度を有するものである。従って、活性エネルギーの出力は、例えば、2,000mJ/cm2以下、好ましくは、10〜2,000mJ/cm2、より好ましくは、20〜1,000mJ/cm2、更に好ましくは、50〜800mJ/cm2の照射エネルギーであることが適当である。また、活性エネルギーは、露光面照度(被記録媒体表面の最高照度)が、例えば、10〜2,000mW/cm2、好ましくは、20〜1,000mW/cm2で照射されることが適当である。
特に、本発明のインクジェット記録装置では、活性エネルギー照射が、発光波長ピークが390〜420nmであり、かつ、前記被記録媒体表面での最高照度が10〜1,000mW/cm2となる紫外線を発生する発光ダイオードから照射されることが好ましい。
また、本発明のインクジェット記録装置では、活性エネルギーは被記録媒体上に吐出されたインク組成物に対して、例えば、0.01〜120秒、好ましくは0.1〜90秒照射することが適当である。
更に、本発明のインクジェット記録装置では、インク組成物を一定温度に加温するとともに、インク組成物の被記録媒体への着弾から活性エネルギーの照射までの時間を、0.01〜0.5秒とすることが望ましく、好ましくは0.01〜0.3秒、更に好ましくは0.01〜0.15秒である。このようにインク組成物の被記録媒体への着弾から活性エネルギーの照射までの時間を極短時間に制御することにより、着弾したインク組成物が硬化前に滲むことを防止することが可能となる。
なお、本発明のインクジェット記録装置を用いてカラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。このように重ねることにより、下部のインクまで活性エネルギーが到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、臭気の低減、密着性の向上が期待できる。また、活性エネルギーの照射は、全色を射出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
また、上述したように、本発明のインク組成物のような活性エネルギー硬化型インクは、吐出されるインク組成物を一定温度にすることが望ましいことから、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温による温度制御を行うことが好ましい。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、或いは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
また、活性エネルギー源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェットには、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。更には、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更にLED(UV−LED),LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、活性エネルギー硬化型インクジェット用放射源として期待されている。
また、上記のように、活性エネルギー源として、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に、一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性エネルギーを放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性エネルギー源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
〔被記録媒体〕
本発明のインク組成物を適用しうる被記録媒体としては、特に制限はなく、通常の非コート紙、コート紙などの紙類、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性樹脂材料或いは、それをフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等を挙げることができる。その他、被記録媒体材料として使用しうるプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。また、金属類や、ガラス類も被記録媒体として使用可能である。
本発明のインク組成物において、硬化時の熱収縮が少ない材料を選択した場合、硬化したインク組成物と被記録媒体との密着性に優れるため、インクの硬化収縮、硬化反応時の発熱などにより、フィルムのカール、変形が生じやすいフィルム、例えば、熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムなどにおいても、高精細な画像を形成しうるという利点を有する。
以下に、本発明で使用できるインク組成物に用いられる各構成成分について順次説明する。
〔インク組成物〕
本発明に用いられるインク組成物は、活性エネルギーの照射により硬化可能なインク組成物であり、例えば、カチオン重合系インク組成物、ラジカル重合系インク組成物、水性インク組成物等が挙げられる。これら組成物について以下詳細に説明する。
(カチオン重合系インク組成物)
カチオン重合系インク組成物は、(a)カチオン重合性化合物と、(b)活性エネルギーの照射により酸を発生する化合物を含有する。所望により、更に(d)pKaが2〜6の値を示す有機酸性成分、(e)着色剤、等を含有してもよい。
以下、カチオン重合系インク組成物に用いられる各構成成分について順次説明する。
〔(a)カチオン重合性化合物〕
本発明に用いられる(a)カチオン重合性化合物は、後述する(b)活性エネルギーの照射により酸を発生する化合物から発生する酸により重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、光カチオン重合性モノマーとして知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。カチオン重合性モノマーとしては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892、同2001−40068、同2001−55507、同2001−310938、同2001−310937、同2001−220526などの各公報に記載されている、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
エポキシ化合物としては、芳香族エポキシド、脂環式エポキシド、芳香族エポキシドなどが挙げられる。
芳香族エポキシドとしては、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジ又はポリグリシジルエーテルが挙げられ、例えば、ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここで、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセン又はシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましく挙げられる。
脂肪族エポキシドとしては、脂肪族多価アルコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等が挙げられる。その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリン或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテルに代表されるポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここで、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
エポキシ化合物は、単官能であっても多官能であってもよい。
本発明に用いうる単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
また、多官能エポキシ化合物の例としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3',4'−エポキシ−6'−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,1,3−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物の中でも、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが、硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。
ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物は、単官能であっても多官能であってもよい。
具体的には、単官能ビニルエーテルの例としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフリフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
また、多官能ビニルエーテルの例としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、被記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
本発明におけるオキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物を指し、特開2001−220526、同2001−310937、同2003−341217の各公報に記載される如き、公知オキセタン化合物を任意に選択して使用できる。
本発明のインク組成物に使用しうるオキセタン環を有する化合物としては、その構造内にオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。このような化合物を使用することで、インク組成物の粘度をハンドリング性の良好な範囲に維持することが容易となり、また、硬化後のインク組成物と被記録媒体との高い密着性を得ることができる。
このようなオキセタン環を有する化合物については、前記特開2003−341217公報、段落番号〔0021〕乃至〔0084〕に詳細に記載され、ここに記載の化合物は本発明にも好適に使用しうる。
本発明で使用するオキセタン化合物の中でも、インク組成物の粘度と粘着性の観点から、オキセタン環を1個有する化合物を使用することが好ましい。
本発明のインク組成物には、これらのカチオン重合性化合物を、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよいが、インク硬化時の収縮を効果的に抑制するといった観点からは、オキセタン化合物とエポキシ化合物とから選ばれる少なくとも1種の化合物と、ビニルエーテル化合物とを併用することが好ましい。
インク組成物中の(a)カチオン重合性化合物の含有量は、組成物の全固形分に対し、10〜95質量%が適当であり、好ましくは30〜90質量%、更に好ましくは50〜85質量%の範囲である。
[(b)活性エネルギーの照射により酸を発生する化合物]
本発明のインク組成物は、活性エネルギーの照射により酸を発生する化合物(以下、適宜、「光酸発生剤」と称する。)を含有する。
本発明に用いうる光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、或いはマイクロレジスト等に使用されている光(400〜200nmの紫外線、遠紫外線、特に好ましくは、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームなどの照射により酸を発生する化合物を適宜選択して使用することができる。
このような光酸発生剤としては、例えば、活性エネルギーの照射により分解して酸を発生する、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、イミノスルフォネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物、ジアゾケトスルホン、ジアゾジスルホン化合物を挙げることができる。
光酸発生剤としては、また、特開2002−122994公報、段落番号〔0029〕乃至〔0030〕に記載のオキサゾール誘導体、s−トリアジン誘導体なども好適に用いられる。更に、特開2002−122994公報、段落番号〔0037〕乃至〔0063〕に例示されるオニウム塩化合物、スルホネート系化合物も、本発明における光酸発生剤として、好適に使用しうる。
(b)光酸発生剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
インク組成物中の(b)光酸発生剤の含有量は、インク組成物の全固形分換算で、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜7質量%である。
本発明のインク組成物には、前記の必須成分に加え、目的に応じて種々の添加剤を併用することができる。これらの任意成分について説明する。
[(d)pKaが2〜6の値を示す有機酸性成分]
本発明のインク組成物は、(d)pKaが2〜6の値を示す有機酸性成分(以下、単に、「有機酸性成分」と称する場合がある。)を添加することができる。本発明に使用される(d)pKaが2〜6の値を示す有機酸性成分としては、定性的に弱酸性の有機化合物が相当する。有機酸性成分のpKaが6より大きい場合、これを本発明のインク組成物に添加した際に感度が低下し、pKaが2より小さい場合には、インク組成物の経時安定性の劣化を引き起こすため、本発明においては、有機酸性成分としてpKaが2〜6の値を示すものが適用されることが好ましい。
pKaが2〜6の値を示す有機酸性成分の具体的な化合物としては、特に、カルボン酸類が挙げられる。カルボン酸類としては、例えば、酢酸、フェニル酢酸、フェノキシ酢酸、メトキシプロピオン酸、乳酸、へキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノレイン酸、シクロプロピルカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロへキサンカルボン酸、1−アダマンタンカルボン酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、アビエチン酸、トランス−レチン酸、シクロヘキシル酢酸、ジシクロヘキシル酢酸、アダマンタン酢酸、マロン酸、マロン酸モノメチルエステル、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、イタコン酸、クロトン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グリコール酸、ジグリコール酸、マンデリン酸、酒石酸、リンゴ酸、アルギニン酸、ケイ皮酸、メトキシケイ皮酸、3,5−ジメトキシケイ皮酸、安息香酸、サリチル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ガリック酸、3−ニトロ安息香酸、3−クロロ安息香酸、4−ビニル安息香酸、t−ブチル安息香酸、1−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、フルオレノン−2−カルボン酸、9−アントラセンカルボン酸、2−アントラキノンカルボン酸、フタル酸、フタル酸モノメチルエステル、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメリット酸モノメチルエステルなどの炭素数1〜20の脂肪族又は芳香族モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸が挙げられるが、本発明がこれに限定されるものではない。
[(e)着色剤]
本発明のインク組成物は、着色剤を添加することで、可視画像を形成することができる。例えば、平版印刷版の画像部領域を形成する場合などには、必ずしも添加する必要はないが、得られた平版印刷版の検版性の観点からは着色剤を用いることも好ましい。
ここで用いることのできる着色剤には、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の色材、(顔料、染料)を適宜選択して用いることができる。例えば、耐候性に優れた画像を形成する場合には、顔料が好ましい。染料としては、水溶性染料及び油溶性染料のいずれも使用できるが、油溶性染料が好ましい。
〔顔料〕
本発明に好ましく使用される顔料について述べる。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、又は顔料を、分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、或いは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
本発明において使用できる有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等),C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等)、C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
赤或いはマゼンタ色を呈するものとして、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G'レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
青或いはシアン色を呈する顔料として、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
緑色を呈する顔料として、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン8(ニトロソグリーン)等の如きアゾ金属錯体顔料等が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
黒色を呈する顔料として、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック等が挙げられる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、更に、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、必要に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等の分散装置を用いることができる。
顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリアクリレート、脂肪族多価カルボン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、顔料誘導体等を挙げることができる。また、Zeneca社のSolsperseシリーズなどの市販の高分子分散剤を用いることも好ましい。
また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤及び分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
インク組成物において、顔料などの諸成分の分散媒としては、溶剤を添加してもよく、また、無溶媒で、低分子量成分である前記(a)カチオン重合性化合物を分散媒として用いてもよいが、本発明のインク組成物は、活性エネルギー硬化型のインクであり、インクを被記録媒体上に適用後、硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。これは、硬化されたインク画像中に、溶剤が残留すると、耐溶剤性が劣化したり、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound)の問題が生じるためである。このような観点から、分散媒としては、(a)カチオン重合性化合物を用い、中でも、最も粘度が低いカチオン重合性モノマーを選択することが分散適性やインク組成物のハンドリング性向上の観点から好ましい。
顔料の平均粒径は、0.02〜4μmにするのが好ましく、0.02〜2μmとするのが更に好ましく、より好ましくは、0.02〜1.0μmの範囲である。
顔料粒子の平均粒径を上記好ましい範囲となるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができる。
〔染料〕
本発明に用いる染料は、油溶性のものが好ましい。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解する色素の質量)が1g以下であるものを意味し、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下である。従って、所謂、水に不溶性の油溶性染料が好ましく用いられる。
本発明に用いる染料は、インク組成物に必要量溶解させるために上記記載の染料母核に対して油溶化基を導入することも好ましい。
油溶化基としては、長鎖、分岐アルキル基、長鎖、分岐アルコキシ基、長鎖、分岐アルキルチオ基、長鎖、分岐アルキルスルホニル基、長鎖、分岐アシルオキシ基、長鎖、分岐アルコキシカルボニル基、長鎖、分岐アシル基、長鎖、分岐アシルアミノ基長鎖、分岐アルキルスルホニルアミノ基、長鎖、分岐アルキルアミノスルホニル基及びこれら長鎖、分岐置換基を含むアリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールカルボニルオキシ基、アリールアミノカルボニル基、アリールアミノスルホニル基、アリールスルホニルアミノ基等が挙げられる。
また、カルボン酸、スルホン酸を有する水溶性染料に対して、長鎖、分岐アルコール、アミン、フェノール、アニリン誘導体を用いて油溶化基であるアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノスルホニル基、アリールアミノスルホニル基に変換することにより染料を得てもよい。
前記油溶性染料としては、融点が200℃以下のものが好ましく、融点が150℃以下であるものがより好ましく、融点が100℃以下であるものが更に好ましい。融点が低い油溶性染料を用いることにより、インク組成物中での色素の結晶析出が抑制され、インク組成物の保存安定性が良くなる。
また、退色、特にオゾンなどの酸化性物質に対する耐性や硬化特性を向上させるために、酸化電位が貴である(高い)ことが望ましい。このため、本発明で用いる油溶性染料として、酸化電位が1.0V(vsSCE)以上であるものが好ましく用いられる。酸化電位は高いほうが好ましく、酸化電位が1.1V(vsSCE)以上のものがより好ましく、1.15V(vsSCE)以上のものが特に好ましい。
イエロー色の染料としては、特開2004−250483号公報の記載の一般式(Y−I)で表される構造の化合物が好ましい。
特に好ましい染料は、特開2004−250483号公報の段落番号[0034]に記載されている一般式(Y−II)〜(Y−IV)で表される染料であり、具体例として特開2004−250483号公報の段落番号[0060]から[0071]に記載の化合物が挙げられる。尚、該公報記載の一般式(Y−I)の油溶性染料はイエローのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
マゼンタ色の染料としては、特開2002−114930号公報に記載の一般式(3)、(4)で表される構造の化合物が好ましく、具体例としては、特開2002−114930号公報の段落[0054]〜[0073]に記載の化合物が挙げられる。
特に好ましい染料は、特開2002−121414号公報の段落番号[0084]から[0122]に記載されている一般式(M−1)〜(M−2)で表されるアゾ染料であり、具体例として特開2002−121414号公報の段落番号[0123]から[0132]に記載の化合物が挙げられる。尚、該公報記載の一般式(3)、(4)、(M−1)〜(M−2)の油溶性染料はマゼンタのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
シアン色の染料としては、特開2001−181547号公報に記載の式(I)〜(IV)で表される染料、特開2002−121414号公報の段落番号[0063]から[0078]に記載されている一般式(IV−1)〜(IV−4)で表される染料が好ましいものとして挙げられ、具体例として特開2001−181547号公報の段落番号[0052]から[0066]、特開2002−121414号公報の段落番号[0079]から[0081]に記載の化合物が挙げられる。
特に好ましい染料は、特開2002−121414号公報の段落番号[0133]から[0196]に記載されている一般式(C−I)、(C−II)で表されるフタロシアニン染料であり、更に一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料が好ましい。この具体例としては、特開2002−121414号公報の段落番号[0198]から[0201]に記載の化合物が挙げられる。尚、前記式(I)〜(IV)、(IV−1)〜(IV−4)、(C−I)、(C−II)の油溶性染料はシアンのみでなく、ブラックインクやグリーンインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
これらの着色剤はインク組成物中、固形分換算で1〜20質量%添加されることが好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
[その他の成分]
以下に、必要に応じて用いられる種々の添加剤について述べる。
〔紫外線吸収剤〕
本発明においては、得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5〜15質量%程度である。
〔増感剤〕
本発明のインク組成物には、光酸発生剤の酸発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、必要に応じ、増感剤を添加してもよい。増感剤としては、光酸発生剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものであれば、何れでもよい。好ましくは、アントラセン、9,10−ジアルコキシアントラセン、ピレン、ペリレンなどの芳香族多縮環化合物、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーケトンなどの芳香族ケトン化合物、フェノチアジン、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物が挙げられる。添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、光酸発生剤に対し0.01〜1モル%、好ましくは0.1〜0.5モル%で使用される。
〔酸化防止剤〕
インク組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.1〜8質量%程度である。
〔褪色防止剤〕
本発明のインク組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類、などが挙げられる。前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.1〜8質量%程度である。
〔導電性塩類〕
本発明のインク組成物には、射出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
〔溶剤〕
本発明のインク組成物には、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%の範囲である。
〔高分子化合物〕
本発明のインク組成物には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。更に、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
〔界面活性剤〕
本発明のインク組成物には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
[インク組成物の好ましい物性]
本発明のインク組成物は、射出性を考慮し、射出時の温度において、インク粘度が20mPa・s以下であることが好ましく、更に好ましくは10mPa・s以下であり、上記範囲になるように適宜組成比を調整し決定することが好ましい。
本発明のインク組成物の表面張力は、好ましくは20〜30mN/m、更に好ましくは23〜28mN/mである。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点はで30mN/m以下が好ましい。
このようにして調整された本発明のインク組成物は、インクジェット記録用インクとして好適に用いられる。インクジェット記録用インクとして用いる場合には、インク組成物をインクジェットプリンターにより被記録媒体に射出し、その後、射出されたインク組成物に活性エネルギーを照射して硬化して記録を行う。
このインクにより得られた印刷物は、画像部が紫外線などの活性エネルギー照射により硬化しており、画像部の強度に優れるため、インクによる画像形成以外にも、例えば、平版印刷版のインク受容層(画像部)の形成など、種々の用途に使用しうる。
[ラジカル重合系インク組成物]
ラジカル重合系インク組成物は、ラジカル重合性化合物と重合開始剤を含有する。所望により、更に、増感色素、色材、等を含有してもよい。
以下、ラジカル重合系インク組成物に用いられる各構成成分について順次説明する。
[ラジカル重合性化合物]
ラジカル重合性化合物としては、例えば、以下に挙げるような付加重合化能なエチレン性不飽和結合を有する化合物が含まれる。
[付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物]
本発明のインク組成物に用い得る付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、上記不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等があげられる。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、へキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、へキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(アクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネー卜等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。さらに、前述のエステルモノマーの混合物もあげることができる。また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−へキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−へキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の例としては、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記の一般式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加した1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等があげられる。CH2=C(R)COOCH2CH(R')OH (A)(ただし、RおよびR'はHあるいはCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号に記載されているようなウレタンアクリレー卜類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。さらに日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ぺージ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。本発明において、これらのモノマーはプレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態で使用しうる。
ラジカル重合性化合物の使用量はインク組成物の全成分に対して、通常1〜99.99%、好ましくは5〜90.0%、更に好ましくは10〜70%である(ここで言う%は質量%である)。
〔光重合開始剤〕
次に本発明のラジカル重合系インク組成物に使用される光重合開始剤について説明する。
本発明における光重合開始剤は光の作用、または、増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、化学変化を生じ、ラジカル、酸および塩基のうちの少なくともいずれか1種を生成する化合物である。
好ましい光重合開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)芳香族オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(e)ケトオキシムエステル化合物、(f)ボレート化合物、(g)アジニウム化合物、(h)メタロセン化合物、(i)活性エステル化合物、(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物等が挙げられる。
〔増感色素〕
本発明においては、光重合開始剤の感度を向上させる目的で、増感色素を添加しても良い。好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)。
〔共増感剤〕
さらに本発明のインクには、感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する公知の化合物を共増感剤として加えても良い。
この様な共増感剤の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
別の例としてはチオールおよびスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
また別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特願平6−191605号記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
また、保存性を高める観点から、重合禁止剤を200〜20000ppm添加することが好ましい。本発明のインクジェト記録用インクは、40〜80℃の範囲で加熱、低粘度化して射出することが好ましく、熱重合によるヘッド詰まりを防ぐためにも、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。
〔その他〕
この他に、必要に応じて公知の化合物を用いることができ、例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類等を適宜選択して用いることができる。また、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーを含有させることも好ましい。具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
また、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%の範囲である。
また、インク色材の遮光効果による感度低下を防ぐ手段として、重合開始剤寿命の長いカチオン重合性モノマーと重合開始剤とを組み合わせ、ラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクとすることも好ましい態様の一つである。
[水性インク組成物]
水性インク組成物は、重合性化合物と活性エネルギーの作用によってラジカルを生成する水溶性光重合開始剤を含有する。所望により、更に、色材、等を含有してもよい。
[重合性化合物]
本発明の水性インク組成物に含まれる重合性化合物としては、公知の水性インク組成物に含まれる重合性化合物を用いることができる。
水性インク組成物は、硬化速度、密着性、柔軟性などのエンドユーザー特性を考慮した処方を最適化するために、反応性材料を加えることができる。このような反応性材料としては、(メタ)クリレート(即ち、アクリレート及び/又はメタクリレート)モノマー及びオリゴマー、エポキサイド並びにオキセタンなどが用いられる。
アクリレートモノマーの例としては、フェノキシエチルアクリレート、オクチルデシルアクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(例えば、テトラエチレングリコールジアクリレート)、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリ(プロピレングリコール)トリアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビス(ペンタエリスリトール)ヘキサアクリレート、エトキシ化又はプロポキシ化グリコール及びポリオールのアクリレート(例えば、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート)、及びこれらの混合物が挙げられる。
アクリレートオリゴマーの例としては、エトキシ化ポリエチレングリコール、エトキシ化トリメチロールプロパンアクリレート及びポリエーテルアクリレート及びそのエトキシ化物、及びウレタンアクリレートオリゴマーが挙げられる。
メタクリレートの例としては、ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、及びこれらの混合物が挙げられる。
オリゴマーの添加量は、インク組成物全重量に対して1〜80重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。
〔活性エネルギーの作用によってラジカルを生成する水溶性光重合開始剤〕
本発明のインク組成物に用いることができる重合開始剤について説明する。一例としては、例えば、波長400nm前後までの光重合開始剤が挙げられる。このような光重合開始剤としては、例えば、長波長領域に官能性、即ち、紫外線を受けてラジカルを生成する感受性を持つ物質である下記一般式で表される光重合開始剤(以下、TX系と略称する)が挙げられ、本発明においては、これらの中から適宜に選択して使用することが特に好ましい。
Figure 2007030203
上記一般式TX−1〜TX−3中、R2は−(CH2)x−(x=0または1)、−O−(CH2)y−(y=1または2)、置換若しくは未置換のフェニレン基を表わす。またR2がフェニレン基の場合には、ベンゼン環中の水素原子の少なくとも1つが、例えば、カルボキシル基若しくはその塩、スルホン酸若しくはその塩、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、炭素数1〜4のアルコキシル基、フェノキシ基等のアリールオキシ基等から選ばれる1つまたは2つ以上の基や原子で置換されていてもよい。Mは、水素原子若しくはアルカリ金属(例えば、Li、Na、K等)を表わす。更に、R3及びR4は各々独立に、水素原子、または置換若しくは未置換のアルキル基を表わす。ここでアルキル基の例としては、例えば、炭素数1〜10程度、特には、炭素数1〜3程度の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。また、これらのアルキル基の置換基の例としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、シュウ素原子等)、水酸基、アルコキシル基(炭素数1〜3程度)等が挙げられる。また、mは1〜10の整数を表わす。
更に本発明において、下記一般式からなる光重合開始剤 IrgacurE2959(商品名:Ciba Specialty Chemicals製)の水溶性の誘導体(以下、IC系と略称する)を使用することもできる。具体的には、下記式からなるIC−1〜IC−3を使用することができる。
Figure 2007030203
〔クリアインクとする場合の処方〕
上述した水溶性重合性化合物は、上記したような色材を含有させることなく、透明な水性インクの形態とすることで、クリアインクとすることができる。特に、インクジェット記録特性を有するように調製すれば、水性光硬化型のインクジェット記録用のクリアインクが得られる。かかるインクを用いれば、色材を含有していないので、クリアな皮膜を得ることができる。色材を含有しないクリアインクの用途としては、画像印刷への適性を被記録材に付与するためのアンダーコート用としたり、或いは、通常のインクで形成した画像の表面保護、更なる装飾や光沢付与等を目的としたオーバーコート用としての用途等が挙げられる。クリアインクには、これらの用途に応じて、着色を目的としない無色の顔料や微粒子等を分散して含有させることもできる。これらを添加することによって、アンダーコート、オーバーコートいずれにおいても、印刷物の画質、堅牢性、施工性(ハンドリング性)等の諸特性を向上させることができる。
そのようなクリアなインクに適用する場合の処方条件としては、インクの主成分とする水溶性重合性化合物が10〜85%、光重合開始剤(例えば、紫外線重合触媒)を、上記水溶性重合性化合物100質量部に対して1〜10質量部含有され、同時に、インク100部に対して光重合開始剤が最低0.5部が含有されているように調製することが好ましい。
〔色材含有インクにおける材料構成〕
上述した水溶性重合性化合物を色材を含有するインクに利用する場合には、含有させた色材の吸収特性に合わせて、インク中における重合開始剤と重合性物質の濃度を調節することが好ましい。前記したように、配合量としては、水或いは溶剤の量を、質量基準で、40%〜90%の範囲、好ましくは60%〜75%の範囲とする。更に、インク中における重合性化合物の含有量は、インク全量に対して、質量基準で1%〜30%の範囲、好ましくは、5%〜20%の範囲とする。重合開始剤は、重合性化合物の含有量に依存するが、概ね、インク全量に対して、質量基準で0.1〜7%、好ましくは、0.3〜5%の範囲である。
インクの色材として顔料が使用される場合には、インク中における純顔料分の濃度は、概ね、インク全量に対して0.3質量%〜10質量%の範囲である。顔料の着色力は顔料粒子の分散状態に依存するが、約0.3〜1%の範囲であると、淡色のインクとして利用される範囲となる。また、それ以上であると、一般のカラー着色用に用いられる濃度を与える。
なお、本発明に用いられるカチオン重合系インク組成物、ラジカル重合系インク組成物、水性インク組成物等のインク組成物は静電吐出の観点から、導電度を制御することが好ましく、インクの導電度は10-9S/cm〜10-2S/cmが好ましく、さらに好ましくは10-8S/cm〜10-3S/cmである。インクの導電度をこの範囲に制御することによって、吐出の周波数を高く維持したうえで、隣接チャンネル間の干渉や放電を防止することが出来る。導電度の調整を行う際には、インクへの前述の導電性塩類あるいは公知の導電化剤あるいは荷電制御剤(例えば、「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」139〜148頁、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁(コロナ社、1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44頁(1977年)、英国特許第893429号、同第934038号、米国特許第3900412号、同第4606989号、特開昭60−179751号、同60−185963号、特開平2−13965号等に記載)を添加する事も好適に行うことが出来る。
具体的には、ナフテン酸ジルコニウム塩、オクテン酸ジルコニウム塩等の有機カルボン酸の金属塩、ステアリン酸テトラメチルアンモニム塩等の有機カルボン酸のアンモニム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸マグネシウム塩等の有機スルホン酸の金属塩、トルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等の有機スルホン酸のアンモニウム塩、スチレンと無水マレイン酸のコポリマーをアミンで変性したカルボン酸基を含有するポリマー等の側鎖にカルボン酸基を有するポリマー、メタクリル酸ステアリルとメタクリル酸のテトラメチルアンモニウム塩の共重合体等の側鎖にカルボン酸アニオン基を有するポリマー、スチレンとビニルピリジンの共重合体等の側鎖に窒素原子を有するポリマー、メタクリル酸ブチルとN−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムトシラート塩との共重合体等の側鎖にアンモニウム基を有するポリマー等が挙げられる。粒子に付与される荷電は、正荷電であっても負荷電であってもよい。
また、特開平11−109681号公報に記載の金属石けんも荷電調整剤として好適に使用することができる。
さらにまた、荷電調整剤として下記に挙げるものも使用することができる。
(1)アミン分子の炭素原子にヒドロキシ基が結合してなるアルコールアミンを含有する。
(2)アミン含有樹脂および/またはカルボキシル基またはヒドロキシル基含有物質を含有する。
(3)一般式R1N+H2・R2COO-(式中、R1は炭素数1〜18のアルキル基を表し、R2は水素原子または炭素数1〜18のアルキル基を表わす。但し、R1、R2のうち少なくとも一方は炭素数8〜18のアルキル基である。)で表わされるアルキルアミンカルボン酸塩を含む。
(4)ポリアミノポリブテニルこはく酸イミドを含む。
(5)下記(C1)〜(C6)を少なくとも1種類含有する。
(C1)アミノ基を有するトリアリールメタン化合物と、分散媒に可溶な酸性化合物と
の塩、
(C2)アミノ基を有する染料と、分散媒に可溶な酸性化合物との塩、
(C3)アミノ基を有する染料と、炭素数5以上の脂肪酸との塩、
(C4)アミノ基を有する含窒素複素環化合物、
(C5)塩基性窒素原子含有化合物と、分散媒に可溶な高分子カルボン酸との塩、
(C6)アミノ基を有する含窒素複素環化合物と、ポリオキシエチレン基を有するエー
テル化合物との組み合わせ。
(6)特定構造のチタン化合物を含有する。
(7)非極性液体に可溶なイオン性又は双性イオン性電荷制御化合物と、β−ジケトン金属塩とを含有する。
(8)下記(A)成分および(B)成分を含み、かつ下記(B)成分:(A)成分の質量比が10:3から40:3である混合物を含有する。
(A)(i)C14〜18アルキルサリチル酸のクロム塩;(ii)ジデシルスルホコハク酸カルシウム;および(iii)ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレートおよび2−メチル−5−ビニルピリジンのコポリマーで、このコポリマーは20〜30質量%のビニルピリジン含有量と15,000〜250,000の平均分子量とを有し、その少なくとも50%の塩基性窒素基がスルホコハク酸ジデシルエステルの塩であるもの;の各1〜10質量部から構成される塩混合物;
(B)(i)ラウリルメタクリレートと(ii)2−または4−ビニルピリジン、スチレンおよびN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートからなる群から選択されたモノマーとの塩を含まないコポリマーで、このコポリマーが15,000〜100,000の分子量を有し、前記モノマーB(i)対B(ii)の質量比が4:1から50:1であるコポリマー。
(9)下記の共重合体粒子を含む。
共重合体粒子:前記分散媒に実質的に不溶である熱可塑性樹脂状コアと、前記コアに化学的に固定されており、前記分散媒に可溶性であり、かつ、4.5未満のpKaの有機酸を含有する部分を化学的に結合して有している共重合体立体安定剤とを含み、前記有機酸には4.5より大きいpKaの有機酸から誘導された金属石鹸化合物が化学的に結合されている。
(10)荷電発生剤と溶剤と極性モノマー種とを混合し、重合反応させて得られた荷電発生剤組成物を含む。
(11)ヒドロキシ安息香酸塩化合物を含有する。
(12) (A)前記分散媒に不溶または実質的に不溶である熱可塑性樹脂状コア、(B)前記コアに化学的に固定されており、前記分散媒に可溶性であり、かつ、配位性化合物の部分を共有結合で有する共重合体立体安定剤、および(C)前記配位性化合物の部分と配位結合を形成する金属から誘導された少なくとも1種の金属石鹸化合物、を含有する共重合体粒子を含む。
(13)金属塩を含むとともに、荷電粒子が、前記金属塩と錯体を形成するイオン交換部位を有する。
(14)立体安定剤と電荷発生成分とを含むとともに、前記電荷発生成分が1価アルカリ金属カチオンまたはアンモニウムカチオンと結合している配位会合体を含有する。
(15)特定構造のアルキルホスフェートを含む。
(16)特定構造のグリセリンのリン酸エステルを含有する。
(17)2〜4価のいずれかの金属を含む有機化合物を含有する。
(18)25℃における粘度が30センチポイズ以下のアミノ基含有オルガノポリシロキサンを含有する。
(19)チャージディレクタおよびシクロデキストリンまたはその誘導体を含む。
(20)分子末端に第3級アミノ基と、前記被覆ポリマーとの親和性に優れる高分子鎖と、を有するイソシアヌレート化合物を含む。
(21)オクチル酸の金属塩及び/またはナフテン酸の金属塩と、リン酸エステル系界面活性剤とを含む。
(22)アルミニウムを含む有機金属化合物を含む。
インク組成物全体に対する荷電調整剤の含有量は、0.0001〜10質量%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.001〜5質量%である。なお、本発明のインク組成物の電気伝導度は、10nS/m〜300nS/m、荷電粒子の電気伝導度は、インク組成物の電気伝導度の50%以上であるのが好ましい。これらの条件は、荷電調整剤の含有量の増減によって、容易に調整できる。
以上のように、本発明の活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置及び記録方法においては、インク吐出口を近接させて配置することが可能となり、更に、安定かつ小液滴(サブpl程度。普通紙上10μm程度のドットを形成できるサイズ)により高精細な画質を提供することができる。また、他のインクを使用する場合に必要であった加熱による定着工程が不要で、インク溶媒の揮発という状況が発生しなくなり、装置設置付近の環境にもやさしくなる。更に、記録媒体の記録前及び記録後についても完全に乾燥した状態であるので取り扱いが容易となる。
更に、ガード電極に、吐出電極に印加する駆動電圧と同一の周波数の交流バイアス電圧を制御しつつ印加して、インク吐出時にはインクを吐出しやすい状態に調整し、インクの非吐出時にはインクが吐出しにくい状態に調整しているので、インクの吐出遅れを防止することができるとともに、インク吐出後のインクの切れを向上させることができる。また、交流バイアス電圧を制御して、インクの吐出遅れとインクの液切れを独立に調整することができるので、画質を向上させることができる。また、吐出電極に印加する駆動電圧の電圧値を従来よりも低くしても確実にインクの吐出と非吐出を制御することができ、駆動回路のコストダウンにも貢献できる。
以上より、本発明によって、環境にやさしく、より高精細・高画質かつ取り扱い容易で高速化できる活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置及び記録方法を提供することができる。
本発明の実施形態による活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置の構成概略図である。 図1の搬送走査部の構成を示す部分拡大概略図である。 (A)は本発明に従うインクジェットヘッドの一部を模式的に示した断面図であり、(B)は吐出電極と吐出口の平面構成を模式的に示した図である。 インクジェットヘッドの吐出口基板に複数の吐出口が二次元的に配列されている様子を模式的に示した図である。 マルチチャンネル構造のインクジェットヘッドのガード電極の平面構造を模式的に示した図である。 描画信号と、吐出電極に印加する駆動電圧の電圧波形と、ガード電極に印加する交流バイアス電圧の電圧波形の関係を模式的に示す図である。 (A)は、吐出電極18に駆動電圧を印加したときの吐出口28の様子を模式的に示す図であり、(B)は、吐出電極18に駆動電圧が印加されていないとき(又は低電圧が印加されているとき)の吐出口28の様子を模式的に示した図である。 図1の装置に対する搬送走査部の他の構成を示す部分概略図である。 図1の装置に対する画像記録部の他の構成を示す部分概略図である。 図1の装置に対する画像記録部の更に他の構成を示す概略図である。 本発明の他の実施形態による活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置の構成概略図である。
符号の説明
10 活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置
12 筐体
20 記録媒体収納部
30 搬送部
40 搬送走査部
50 画像記録部
70 インク供給部
80 排気冷却部
90 トレイ
22 収納カセット
32 フィードローラ
34,36 搬送ローラ対
44a,44b,44c ベルトローラ
42 搬送ベルト
46 コロナ帯電器
48 除電器
42P 画像記録位置
52 ヘッドユニット
54 ヘッドドライバ
56 紫外線照射部
92 剥離爪
112 ヘッド基板
114 インクガイド
114a 先端部分
116 吐出口基板
118 吐出電極
128 貫通孔
130 インク流路
132 絶縁基板
133 駆動電圧制御部
134 絶縁層
135 ガード電極制御部
136 ガード電極開口部
236 走査搬送ローラ対
240 導電性プラテン
250 画像記録部
252 ヘッドユニット
256a,256b 紫外線照射部
258 ガイド部材
340 移動型導電性プラテン
344 ボールナット
345 ブラケット
346 ボールねじ軸
348 帯電・除電器
350 画像記録部
360 駆動モータ
362 駆動タイミングプーリ
364 従動タイミングプーリ
366 タイミングベルト
L 回転方向
X 移動方向
S 記録媒体
R インク液滴

Claims (5)

  1. 活性エネルギーの照射により硬化するインクをインクジェットヘッドにより記録媒体上へ吐出して画像形成する活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置であって、
    前記インクの貯留部と、
    前記貯留部から供給されるインクを前記インクジェットヘッドの電位的に個々に遮蔽された複数吐出口から液滴として前記記録媒体へと静電力によって吐出・着弾させる画像記録部と、
    少なくとも前記インク吐出位置に前記記録媒体を搬送する搬送走査部と、
    前記インク着弾直後の前記活性エネルギー照射可能位置に配置される活性エネルギー照射部と、
    を有する活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置。
  2. 前記画像記録部が、隣接する前記吐出口間に配置されて各吐出口を電位的に個々に遮蔽するガード電極を備える請求項1記載の活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置。
  3. 前記ガード電極が、前記吐出電極よりもインク吐出端に近い位置で前記吐出電極と絶縁されて配置される請求項2に記載の活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置。
  4. 前記複数吐出口にはそれぞれの吐出用電界を発生させる吐出電極が個々に配置され、該吐出電極に印加する駆動電圧と同期する二値の交流バイアス電圧により前記ガード電極を制御するガード電極制御部を有する請求項2または3に記載の活性エネルギー硬化型インクジェット記録装置。
  5. 活性エネルギーの照射により硬化するインクをインクジェットヘッドにより記録媒体上へ吐出して画像形成する活性エネルギー硬化型インクジェット記録方法であって、
    前記インクを貯留部から画像記録部に備えられた前記インクジェットヘッドへ供給し、
    画像記録部では、前記インクジェットヘッドに備えられた複数のインク吐出口に設けられた吐出電極と前記記録媒体との間にバイアス電圧を印加し、
    前記インクジェットヘッドでは、隣接する複数のインク吐出口間に配置されたガード電極に対して、前記吐出電極に印加する駆動電圧と同期する二値の交流バイアス電圧を印加し、
    前記インク吐出用の複数の吐出口から記録媒体上へ、前記吐出電極に描画信号に応じた駆動電圧を印加することにより、静電力によって前記インクを液滴として吐出・着弾させ、
    インク着弾直後に活性エネルギー照射部により活性エネルギー照射してインクを硬化させ、記録媒体に画像記録する活性エネルギー硬化型インクジェット記録方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014083804A (ja) * 2012-10-25 2014-05-12 Fujifilm Corp インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
EP3960304A4 (en) * 2019-04-25 2023-05-17 SIJTechnology, Inc. DROPLET DELIVERY DEVICE AND DROPLET DELIVERY METHOD

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