JP2006528725A - 既存モノマーから樹枝状巨大分子を合成する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、マスキングすなわち保護した官能基を有する多官能性化合物(以下「終端(TERMINI)化合物」という)を用いる新規な合成方法を提供する。
【解決手段】本発明は、マスキングすなわち保護した官能基を有する多官能性化合物(以下「終端(TERMINI)化合物」という)を用いる新規な合成方法であって、ここで、この終端化合物が活性重合または連鎖有機反応を定量的または不可逆に中断することができる。終端化合物の官能基を脱保護すなわちデマスキングした後、同一の活性重合または有機反応が100%の効率で再開する、あるいは異なる活性重合または有機反応が100%の化学選択性でそれぞれ再開する。成長中の分子に組み込まれると、この終端化合物は、重合または反応の再開時に分岐点を生成する。
【選択図】 図4

Description

本研究は、全米科学基金助成金No. DMR-99-96288、No. DMR-01-02459、およびNo. DMR-00-79909により一部助成を受けた。この助成により、アメリカ合衆国政府が本発明に対する権利を有する。
本発明は、マスキングすなわち保護した官能基を有する多官能性化合物(以下、「終端(TERMINI)化合物」という。)を用いる新規な合成方法に関し、ここで、この終端化合物が活性重合または連鎖有機反応を定量的または不可逆に中断することができる。終端化合物の官能基を脱保護すなわち脱マスキングした後、同一の活性重合または有機反応が100%の効率で再開する、あるいは異なる活性重合または有機反応が100%の化学選択性でそれぞれ再開する。成長中の分子に組み込まれると、この終端化合物は、重合または反応の再開時に分岐点を生成する。
樹枝状高分子は、ナノエレクトロニクス、例えば、有機薄層材料を用いるエレクトロニクス、およびナノバイオテクノロジーなどの広範な分野で将来重要性が増すと期待される。現在、樹枝状高分子合成法には、簡素かつ効率的で安価なものがない。現行法は高価で選択性が十分でない。
樹枝状高分子およびその使用に関する特許技術の一般的な状況は、以下の米国特許に記載されている。
1998年3月24日にミルコ(Milco)らに付与された米国特許No. 5,731,095は水溶性または水分散性のフッ素含有樹枝状高分子界面活性剤について開示している(例えば、特許文献1参照。)。
1999年3月23日にゴッツィーニ(Gozzini)らに付与された米国特許No. 5,886,110は、中心コアと、中心コアから放射状に伸びて周りの空間に広がり、所望のサイズが得られるまでカスケード式に分岐していく一連のポリオキサアルキレン鎖を有する、分岐デンドリマー巨大分子について開示している(例えば、特許文献2参照。)。
2000年2月1日にクリマッシュ(Klimash)らに付与された米国特許No. 6,020,457は、非還元条件下では基本的に不活性であるが、還元剤にさらされるとスルフヒドリル基を形成する、ジスルフィド官能基を有するデンドリマーと、特化したデンドリマーの形成におけるそれらデンドリマーの使用、診断、ドラッグ・デリバリー、遺伝子治療およびマグネティック・レジンズ・イメージング用結合試薬の形成におけるそれらデンドリマーの使用、ならびに各種のイオンまたは分子の検出に有用なデンドリマー修飾電極を提供するための、水晶共振子上に自己組立されたデンドリマー単分子層の調製におけるそれらデンドリマーの使用について開示している(例えば、特許文献3参照。)。
米国特許第5,731,095号明細書 米国特許第5,886,110号明細書 米国特許第6,020,457号明細書
2000年6月20日にドボルニック(Dvornic)らに付与された米国特許No. 6,077,500は、親水性ポリ(アミドアミン)または親水性ポリ(プロピレンイミン)を内側に、疎水性有機ケイ素を外側に有する、放射状に層化した高世代共重合デンドリマーと、触媒、製薬用途、ドラッグ・デリバリー、遺伝子治療、パーソナルケア、および農産物用に活性化学種を送達するためのそれらデンドリマーの使用について開示している(例えば、特許文献4参照。)。
2000年10月24日にシエ(Hsieh)らに付与された米国特許No. 6,136,921は、アルカリ金属を終端に持つ活性高分子を結合剤と反応させることによって調製され、物理的弾性、透明性および耐摩耗性の良好な、結合高分子について開示している(例えば、特許文献5参照。)。
2001年11月6日にクルークス(Crooks)らに付与された米国特許No. 6,312,809は、共有結合によって表面に結合したデンドリマー単分子層膜を有する基板と、化学センサー等における化学的感受性のある表面としての使用について開示している(例えば、特許文献6参照。)。
米国特許第6,077,500号明細書 米国特許第6,136,921号明細書 米国特許第6,312,809号明細書
簡素で効率的でありかつ安価な樹枝状巨大分子の合成法を開発する際、従来技術は役に立たなかった。出願人は、自己組織化し自己組立する部分構造として作用し、新規であり予測可能な構造の格子の形で超分子物を生成するのに必要な形状完全性を有する複雑な化合物の合成法を開発した。超分子物がミセル様構造ではなく秩序ある内部構造を示す場合には、格子の階層構造形成過程解析を行うことにより、設計された機能を分子に付与する主構造活性相関の定式化が可能となる。出願人はまた、本発明の方法により新規樹枝状巨大分子が簡素かつ効率的にしかも安価に合成され得ることを発見した。特に、出願人は、活性重合反応と終端合成との組み合わせにより複雑な分子および巨大分子化合物を合成する方法を開発した。
発明の要旨
本発明は、以下の工程を含み、重合と不可逆な多官能性反応開始停止剤とを組み合わせて用いる、従来のモノマーから樹枝状巨大分子を作製する方法に関する:
(a)多数のスルホニルハライド官能基を有する多官能性スルホニルハライド開始剤を用いてモノマーの重合を開始し、上記スルホニルハライド開始剤のスルホニルハライド官能基の数に応じた多数のアームを有する分岐高分子を生成させる工程;
(b)チオカルバメート基を有する終端化合物を過剰に用いて上記分岐高分子の末端を定量的に封鎖して、上記分岐高分子の分岐1つ以上の反応を停止する終端チオカルバメート基を有する終端反応停止分岐高分子を生成させる工程;および
(c)酸化的塩素化により終端チオカルバメート基を脱マスキングしてスルホニルハライド基を生成させ、それによりマスキングされたスルホニルハライドを活性スルホニルハライド反応開始基に変化させる工程。
本発明はまた、以下の工程を含み、活性ラジカル重合と不可逆な多官能性反応開始停止剤との組み合わせを用いて、従来のモノマーから樹枝状巨大分子を作製するプロセスに関する:
(a)3PSCを三官能性開始剤として用いて、CuO/ビフェニル-2,3-ジオールに触媒されるメチルメタクリレートの活性ラジカル重合を開始させ、3本のアームを有する星型高分子 3G(n)Clを生成する工程、
ここで、3は三官能性のコアを表し、G は第1世代を表し、nはアーム1本あたりの重合度であり、Clは各アームの鎖終端に存在する官能基である;
(b)4倍過剰の終端化合物を用いて、上記3G(n)Clの末端を定量的に封鎖して、3G(n)Tを生成させる工程、
ここで、3G(n)Tの下付文字2は、重合度nのポリ(メチルメタクリレート)の終端にある各終端化合物の分岐点から生成される新しいアームの数であり、各Tは終端化合物の鎖終端である;および
(c)上記3G(n)Tの酸化的塩素化により3G(n)TのN,N’-ジエチルチオカルバメート基を脱マスキングして塩化スルホニル基にし、マスキングされた塩化スルホニルを活性アリール塩化スルホニル反応開始基にして3G(n)SCを生成させる工程、
ここで、SCは、第2世代の3G(nm)Clを生成させるためのメチルメタクリレートの金属触媒された活性ラジカル重合を開始させる塩化スルホニルであり、ここで、mは、上記第2世代に由来するポリ(メチルメタクリレート)のアーム1本あたりの重合度である。
さらに、本発明は、以下の工程を含む方法によって生成される樹枝状巨大分子に関する:
(a)多数のスルホニルハライド官能基を有する多官能性スルホニルハライド開始剤を用いてモノマーの重合を開始させ、上記スルホニルハライド開始剤が有するスルホニルハライド官能基の数に応じた多数のアームを有する分岐高分子を生成させる工程;
(b)チオカルバメート基を有する終端化合物を過剰に用いて上記分岐高分子の末端を定量的に封鎖して、上記分岐高分子のアーム1本以上の反応を停止させる終端チオカルバメート基を有する終端反応停止分岐高分子を生成させる工程;
(c)酸化的塩素化により終端チオカルバメート基を脱マスキングしてスルホニルハライド基を生成させ、それによりマスキングされたスルホニルハライドを活性のスルホニルハライド反応開始基に変化させる工程;
(d)必要に応じて、工程(b)および(c)を繰り返す工程;および
(e)上記樹枝状巨大分子を単離する工程。
図面の簡単な説明
図1は、本発明の方法Bに従って合成した3G(6)TのMALDI-TOF分析の結果を示すグラフである。
図2は、3G(20)Clから始まる3G(2027)Clの合成中に生成する中間生成物の500 MHz H-NMR分析の結果を示す一連の比較グラフである。
図3は、3G(20)Clから始まる3G(2027)Clの合成中に生成する中間生成物のGPC分析の結果を示す一連の比較グラフである。
図4(a)は、低重合度のポリ(メチルメタクリレート)を有する代表的な樹枝状巨大分子を示す図である。
図4(b)は、中重合度のポリ(メチルメタクリレート)を有する代表的な樹枝状巨大分子を示す図である。
図4(c)は、高重合度のポリ(メチルメタクリレート)を有する代表的な樹枝状巨大分子を示す図である。
図5(a)は、樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)3G(15263080)Clの世代数に対するMth、Mn,GPC、およびMn,SEC-MALLSの依存性を示すグラフである。
図5(b)は、樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)3G(20272330)Cl世代数に対するMth、Mn,GPC、およびMn,SEC-MALLSの依存性を示すグラフである。
図5(c)は、樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)3G(100100102112)Clの世代数に対するMth、Mn,GPC、およびMn,SEC-MALLSの依存性を示すグラフである。
図5(d)は、樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)3G(213155)Tの世代数に対するMth、Mn,GPC、およびMn,SEC-MALLSの依存性を示すグラフである。
図6(a)は、樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)3G(15263080)Cl のGPC分析の結果を示すグラフである。
図6(b)は、樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)3G(20272330)ClのGPC分析の結果を示すグラフである。
図6(c)は、樹枝状ポリ(メチルメタクリレート) 3G(100100102112)ClのGPC分析の結果を示すグラフである。
図7は、3G(100100102112)Cl合成中の樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)のSEC-MALLS分析の結果を示すグラフである。
図8は、直線状ポリ(メチルメタクリレート)標準物質および3世代の樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)の分子質量の変化を比較して示しているグラフである。
図9は、3G(100100102)ClのSEC-MALLSクロマトグラムを3次元描画した結果を示す図である。
図10(a)は、3G(100)Clについて、SEC-MALLSに対する濃度の影響と、溶出体積(Ve)に対する絶対分子量の依存性を示すグラフである。
図10(b)は、3G(100)Clについて、SEC-MALLSに対する濃度の影響と、溶出体積(Ve)に対する絶対分子量の依存性を示すグラフである。
図11は、本発明の方法Bにより合成された3G(213155)TのGPC分析の結果を示すグラフである。
図12(a)は、本発明の方法により調製され、各種重合度を有しPMMA 鎖終端を有する樹枝状巨大分子を示す図である。
図12(b)は、本発明の方法によって調製され、重合度0の樹枝状巨大分子を示す図である。
図12(c)は、本発明の方法によって調製され、重合度1の樹枝状巨大分子を示す図である。
図12(d)は、本発明の方法によって調製され、各種重合度を有し塩化スルホニル鎖終端を有する樹枝状巨大分子を示す図である。
発明の詳細な説明
定義
本明細書中に用いる用語「樹枝状」は、しばしば複数の分岐層を有する高分岐度の分子をさす。
本明細書中に用いる用語「巨大分子」は、数十万個の原子からなることもある非常に大きな分子をさす。特に本発明に関しては、高分子は典型的な巨大分子である。
本明細書中に用いる用語「ハライド」は、あらゆるハロゲン酸塩をさす。
本明細書中に用いる用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、およびアスタチンを包含する非金属元素の基をさす。
本明細書中に用いる用語「モノマー」は、他のモノマーと一緒になると高分子を形成する分子物をさす。
本明細書中に用いる用語「高分子」は、共有結合した原子または分子の繰り返しからなる長い鎖をさす。
本明細書中に用いる用語「分岐高分子」は、主分子骨格から伸長する1本以上の化学的側鎖を有する高分子をさす。
本明細書中に用いる用語「アリール」は、以下をさす:脂環式または芳香族、単環式、二環式、または三環式、炭素環式またはヘテロ環式の環であって、ここで、この環は、必要に応じて、アルキルアミノ、アミド、アミノ、アミノアルキル、アゾ、ベンジルオキシ、C-C直鎖または分岐鎖アルキル、C-Cアルコキシ、C-Cアルケニルオキシ、C-C 直鎖または分岐鎖アルケニル、C-Cシクロアルキル、C-Cシクロアルケニル、カルボニル、カルボキシ、シアノ、ジアゾ、エステル、ホルムアニリド、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、イミノ、イソシアノ、イソニトリロ、ニトリロ、ニトロ、ニトロソ、フェノキシ、スルフヒドリル、スルホニルスルホキシ、チオ、チオアルキル、チオカルボニル、チオシアノ、チオエステル、チオホルムアミド、トリフルオロメチル、およびカルボキシルならびにヘテロ環分子団からなる群より独立に選択される置換基1個以上で置換され;ここで、この個々の脂環式環または芳香環は5-8員環を有し、またここで、このヘテロ環は、O、N,およびSからなる群より独立して選択される1-6個のヘテロ原子を有し;またここで、いかなる芳香族アミンまたは3級アルキルアミンも、必要に応じて、対応するオキシドに酸化される。
本明細書中に用いる用語「活性重合」は、鎖切断停止反応のない状態で進行し、かつ基本的に単分散性高分子を生成するために用いることができる鎖成長重合をさす。
発明の方法
出願人は、「終端(TERMINI)」合成とも呼ばれる不可逆な多官能性反応開始停止剤による合成と活性ラジカル重合などの重合反応の適切な組み合わせによる、新規な樹枝状高分子合成法を開発した。本発明の方法により、市販のモノマーから、先例のない複雑さを有する分子および巨大分子の化合物が合成される。
終端合成には、連鎖有機反応または活性重合を定量的かつ不可逆に中断するように設計された、マスキングされた多官能性開始剤が関与する。脱マスキング後、終端化合物は定量的に再開を可能とし、触媒の存在下または非存在下で、多方向への同一または異なる活性重合または連鎖有機反応の分岐点になる。
典型的な方法において、出願人は、新規なメチルメタクリレート系樹枝状高分子合成法において、終端合成における金属触媒活性ラジカル重合と(1,1-ジメチルエチル)[[1-[3,5-ビス(S-フェニル 4-N,N’-ジエチルチオカルバメート)フェニル]エテニル] オキシ]ジメチルシランの使用との組み合わせを開発した。
従って、本発明は、以下の工程を含み、重合と不可逆な多官能性反応開始停止剤との組み合わせを用いて従来のモノマーから樹枝状巨大分子を作製する方法に関する:
(a)多数のスルホニルハライド官能基を有する多官能性スルホニルハライド開始剤を用いてモノマーの重合を開始し、上記スルホニルハライド開始剤のスルホニルハライド官能基の数に応じた多数のアームを有する分岐高分子を生成させる工程;
(b)チオカルバメート基を有する終端化合物を過剰に用いて上記分岐高分子の末端を定量的に封鎖して、上記分岐高分子の分岐1個以上の反応を停止する終端チオカルバメート基を有する終端反応停止分岐高分子を生成させる工程;および
(c)酸化的塩素化により終端チオカルバメート基を脱マスキングしてスルホニルハライド基を生成させ、それによりマスキングされたスルホニルハライドを活性スルホニルハライド反応開始基に変化させる工程。
本発明の別の局面において、上記方法はさらに、工程(a)で生成された上記分岐高分子を単離する工程を含む。
本発明の別の局面において、上記方法はさらに、工程(b)で生成された上記終端反応停止分岐高分子を単離する工程を含む。
好ましい実施態様においては、上記方法はさらに、工程(a)で生成された分岐高分子と工程(b)で生成された上記終端反応停止分岐高分子を単離する工程を含む。
別の好ましい実施態様においては、上記方法はさらに、工程(b)および(c)を1回以上繰り返すことを含む。
本発明の別の局面では、上記重合は活性ラジカル重合である。
好ましい実施態様においては、上記活性ラジカル重合は触媒される。
より好ましい実施態様においては、上記活性ラジカル重合は、金属により触媒される。
さらに好ましい実施態様においては、上記活性ラジカル重合は、CuO/ビフェニル-2,3-ジオールにより触媒される。
本発明の別の局面においては、上記モノマーは、メタクリレート、アクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、およびこれらの混合物または組み合わせからなる群より選択される。
好ましい実施態様においては、上記モノマーは、メチルメタクリレートである。
本発明の別の局面では、上記スルホニルハライドは、アリールスルホニルハライドである。
好ましい実施態様においては、上記ハライドは塩化物である。
本発明のさらに別の局面では、上記多官能性スルホニルハライド開始剤は三官能性である。
好ましい実施態様においては、上記三官能性スルホニルハライド開始剤は、1,1,1-トリス(4-クロロスルホニルフェニル)エタンである。
本発明の別の局面では、上記終端化合物は、(1,1-ジメチルエチル)[[1-[3,5-ビス(S-フェニル 4-N,N’ -ジエチルチオカルバメート)フェニル]エテニル]オキシ]ジメチルシランである。
本発明の好ましい実施態様においては、上記過剰の終端化合物は、約4倍過剰である。
本発明はさらに、以下の工程を含み、活性ラジカル重合と不可逆な多官能性反応開始停止剤との組み合わせを用いて従来のモノマーから樹枝状巨大分子を作製する方法に関する:
(a)3PSCを三官能性開始剤として用いて、CuO/ビフェニル-2,3-ジオールに触媒されたメチルメタクリレートの活性ラジカル重合を開始させ、3本のアームを有する星型高分子3G(n)Clを生成する工程:
ここで、3は三官能性コアを表し、Gは第1世代を表し、nはアーム1本あたりの重合度であり、Clは各アームの鎖終端に存在する官能基である;
(b)4倍過剰の終端化合物を用いて、上記3G(n)Clの末端を定量的に封鎖して、3G(n)Tを生成させる工程:
ここで、3G(n)Tの下付文字2は、重合度nのポリ(メチルメタクリレート)の終端にある各終端化合物分岐点から生成される新しいアームの数であり、各Tは、終端化合物鎖終端である;および
(c)上記3G(n)Tの酸化的塩素化により3G(n)TのN,N’-ジエチルチオカルバメート基を脱マスキングして塩化スルホニル基にして、マスキングした塩化スルホニルを活性アリール塩化スルホニル反応開始基に変化させて3G(n)SCを生成させる工程:
ここで、SCは、第2世代の3G(nm)Clを生成させるためのメチルメタクリレートの金属触媒活性ラジカル重合を開始させる塩化スルホニルであり、ここで、mは、上記第2世代に由来するポリ(メチルメタクリレート)のアーム1本あたりの重合度である。
好ましい実施態様においては、上記終端化合物は、(1,1-ジメチルエチル)[[1-[3,5-ビス(S-フェニル 4-N,N’-ジエチルチオカルバメート)フェニル]エテニル]オキシ]ジメチルシランである。
合成方法。 アリールおよびアルキル塩化スルホニル開始剤を用いて開始される金属触媒活性ラジカル重合により生成される直鎖状巨大分子の鎖終端の官能性、数平均分子量(以下「Mn」という)、および多分散性を制御するための選択的反応条件は公知である。出願人は、反応試薬を選択することにより、金属触媒活性ラジカル重合と終端合成との組み合わせを用いて樹枝状高分子の合成を制御して、メチルメタクリレート系巨大分子を生成させた。
N,N’-ジエチルチオカルバメートを、アリール塩化スルホニルの代表的マスキング剤として選択した。なぜなら、塩化スルホニルは、多様なモノマーの活性ラジカル重合用の最も有効な汎用開始剤群だからである。アルキルハライド系開始剤では、活性ラジカル重合開始中にダイマー生成反応が起こる。これに対し、アリール塩化スルホニルは、開始効率100%であり、またスチレン、メタクリレート、およびアクリレートでは反応伝播よりも反応開始の速度がはるかに速い。アリール塩化スルホニルの持つこの両特徴は、分岐点導入に関する選択性を保証するものである。さらに、出願人は、非常に穏やかな条件下で室温にて数分間でN,N’-ジエチルチオカルバメートをアリール塩化スルホニルに変化させる典型的脱マスキング方法を発見した。ラジカル種を添加すると、不可逆にそれらの鎖成長プロセスを中断させるアリールエノールエーテルを、典型的な終端合成の1,1-二置換オレフィンフラグメントとして選択した。図式1 に、終端合成の主な最終段階を示す。
Figure 2006528725
図式1は、終端化合物である(1,1-ジメチルエチル)[[1-[3,5-ビス(S-フェニル4-N,N’-ジエチルチオカルバメート)フェニル]エテニル]オキシ]ジメチルシランの合成の最終段階である。(1,1-ジメチルエチル)[[1-[3,5-ビス(S-フェニル4-N,N’-ジエチルチオカルバメート)フェニル]エテニル]オキシ]ジメチルシランは、4-メトキシフェニルボロン酸と3,5-ジブロモアセトフェノンから開始する5工程(総収率55.3%)で得られる。この合成の最初の4工程について、出願人は、Percec, V.; Bera, T. K.; De, B. B.; Sanai, Y.; Smith, J.; Holerca, M. N.; Barboiu, B.; Grubbs, R. B.; Frechet, J. M. J;官能性芳香族多塩化スルホニルおよびそれらのマスキングされた前駆体の合成; J. Org. Chem. 66:2104 (2001)に報告しており、これら全体を本明細書中に参考として援用する。式1の工程にはtert-ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(以下「TBDMSOTf」という)を用いた。 なぜなら、これを用いると、穏やかな反応条件下で高収率にt-ブチルジメチルシロキシ(以下「TBDMS」という)エノールエーテルが得られるからである。
上記TBDMS基は、長期保管中および末端封鎖プロセスのために選択される金属に触媒された反応条件下のいずれにおいてもエノールエーテルに十分な安定性を付与する。エノールエーテルは酸性条件下で開裂するので、この工程では、過去に自己開発したCuO/ビフェニル-2,3-ジオール系自己制御触媒系を用いた。この触媒系は、全合成工程を通じて中性の反応条件を保ち、自己制御機構によりその場(in-situ)で反応性の高い発生期CuCl種を必要濃度だけ生成する。低濃度の高反応性発生期CuClは、極低濃度のラジカル種の生成を促進するので、不要なラジカル副反応が起こるのを最小限に抑える。終端化合物の重要な側面として、末端封鎖後に、過剰な未反応エノールエーテルまたはその前駆体が回収され再利用されるということがある。このことにより、過剰の終端化合物が各末端封鎖工程に使われるので、経済的な合成法が得られる。
三官能性開始剤1,1,1-トリス(4-クロロスルホニルフェニル)エタン(以下「3PSC」という)およびメチルメタクリレートと組み合わせた終端化合物に基づく第1世代樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)の合成を図式2に示す。
Figure 2006528725
図式2に、活性ラジカル重合と終端合成の組み合わせを用いる、樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)の一般的合成方法を示す。第1工程で、CuO/ビフェニル-2,3-ジオールに触媒されたメチルメタクリレートの活性ラジカル重合を開始して3本のアームを有する星型高分子3G(n)Clを生成するための三官能性開始剤として3PSCを用いる。ここで、3は三官能性のコアであり、Gは第1世代を表し、nはアーム1本あたりの重合度(以下「DP」という)であり、Clは各アームの鎖終端に存在する官能基である。出願人は、反応速度実験と構造解析実験を組み合わせることにより、3PSCおよび終端合成から生じた二塩化スルホニルの両方がメチルメタクリレートの活性ラジカル重合を100%の効率で開始することを既に実証している。3G(n)Clの合成中、メチルメタクリレートの転化率は、H-NMRスペクトロスコピーによってモニターするのが最も便利である。
この反応シーケンスの第2工程において、過剰の終端化合物を用いると、3G(n)Clが定量的に末端封鎖される。ラジカル副反応が起きるのを避け、3G(n)Tを生成させるのに過剰量が必要とされる。4倍過剰が好ましい。3G(n)Tの下付文字2は、重合度=nのポリ(メチルメタクリレート)の終端にある各終端化合物分岐点から生成される新しいアームの数であり、Tは終端化合物の鎖終端を表す。この反応段階をH-NMR、ゲル透過クロマトグラフィー (以下「GPC」という)、サイズ排除クロマトグラフィー-多角度光散乱(以下「SEC-MALLS」という)、および可能であれば、マトリックス支援レーザー脱着イオン化-飛行時間(以下「MALDI-TOF」という)スペクトロメトリーを組み合わせることによってモニターする。世代が若い場合には、H-NMR、GPC、およびMALDI-TOFを組み合わせると最も効率的な構造解析が行える。しかし、さらに世代を重ねた場合、すなわちアーム1本あたりのポリ(メチルメタクリレート)の重合度が高い樹枝状高分子の場合には、SEC-MALLSが最も適切な構造解析法となる。本発明では、最初の2反応工程が完全に制御されていることを実証するのに3G(6)TのMALDI-TOF分析を用いる。
図1は、3PSC (方法B)を用いて開始されたメチルメタクリレート重合の、その場で CuO/ビフェニル-2,3-ジオール触媒末端封鎖により合成される3G(6)TのMALDI-TOF分析を示している。次の3つの相同的なピーク系列が確認された: A = 3G(6)T + Na+; B = 3G(6)T + K+; C = 3G(6)T + Ag+ - H+。図1のこれら3つのピーク系列A、B、およびCには、ポリ(メチルメタクリレート)分枝のαおよびω鎖終端としてそれぞれ開始剤および3個の終端化合物分子団がある。同一系列中のこれらのピーク間の差は、対応するメチルメタクリレート単位分子質量100.12に等しい。従って、このMALDI-TOF分析は、終端化合物基を有する3G(6)Clが定量的に末端封鎖されていることを実証している。
一般に、本発明の方法において、分子の別の部分で所望の反応が行われる間、終端基の官能基の保護および脱保護の他に、開始化合物または中間体の他の反応性官能基の保護またはブロックが必要である場合があることが、当業者には理解される。所望の反応が完了した後または所望の任意の反応時間で、そうした保護基は、通常、加水分解または水素化分解などにより除去される。こうした保護および脱保護工程は、有機化学においては従来から行われている。本発明の方法に有用である可能性のある保護基の教示について、当業者は、“Protective Groups in Organic Chemistry,” McOmie, ed., Plenum Press, New York, New York; および“Protective Groups in Organic Synthesis,” 3rd Edition, Greene, ed., John Wiley & Sons, New York, N.Y. (1999)を参照のこと。
本発明の方法の第3工程は、3G(n)TのN,N’-ジエチルチオカルバメート基を塩化スルホニル基に変化させる脱マスキングである。この工程は、終端化合物フラグメントにあるマスキングされた塩化スルホニルを、定量的に活性アリール塩化スルホニル反応開始基に変化させる、穏やかな条件下(7分、23℃)における3G(n)Tの酸化的塩素化によって達成される。この反応段階の詳細については既に報告を行った。その結果生じる3G(n)SC(ここで、SCは塩化スルホニルを表す)は、メチルメタクリレートの金属触媒活性ラジカル重合を開始して第2世代の3G(nm)Cl(ここで、mは、第2世代のポリ(メチルメタクリレート)のアーム1本あたりの重合度を表す)を生成できる六官能性開始剤である。MALDI-TOF分析の条件下では塩化スルホニルは不安定であるため、この方法を3G(n)SCの構造解析に使うことはできない。従って、3G(n)SCの構造解析およびその構造の実証には、GPC、500 MHz H-NMR、SEC-MALLS、および反応速度分析を組み合わせて用いた。3G(n)SC合成後、メチルメタクリレートの金属触媒活性ラジカル重合、終端化合物による末端封鎖、および脱マスキングを含むこれら以前の反応工程シーケンスを繰り返し、4世代の樹枝状高分子を生成させた。各世代について、500 MHz H-NMRスペクトロスコピー、MALDI-TOF、GPC、およびSEC-MALLSの組み合わせによりこれらの反応段階の各々をモニターする。図2に、3G(20)Clから開始する3G(2027)Clの合成中に生成する中間生成物の500 MHz H-NMR分析を示す。
本発明に従い、各々3反応工程からなり、下の図式3に示す一般的合成経路を用いて樹枝状高分子を合成するための2つの択一的方法について説明する。
Figure 2006528725
図式3に、活性ラジカル重合と終端合成との組み合わせによる、樹枝状高分子の合成方法を2つ示す: (a)方法Aは3工程、1回の繰り返しにつき3ポットからなり、(b)方法Bは3工程、1回の繰り返しにつき2ポットからなる。方法Aは、3反応段階の必要シーケンスすなわち活性ラジカル重合、末端封鎖、および脱マスキングが別個に行われる繰り返しプロセスに基づく。方法Bにおいては、活性ラジカル重合および末端封鎖は、2工程ワンポットプロセスの中で組み合わされる。その結果、方法Bにおいては、活性ラジカル重合プロセス中、所定の転化率になったところで終端化合物が反応に添加される。結果として、本発明の一局面において、方法Aの最初の2工程を合わせることにより、第1反応工程の後で、生じた樹枝状巨大分子の単離と精製を行う必要がなくなる。従って、方法Bにより、1世代の合成にかかる時間が短縮される。化合物、鎖終端の官能基、および精製工程数が制御されているという点で上記2方法は互いに補い合うものである。
生成物と中間体は、例えば、単純な溶媒蒸発、再結晶、蒸留、昇華、濾過、薄層クロマトグラフィー、HPLC(逆相HPLCなど)、カラムクロマトグラフィー、フラッシュクロマトグラフィー、ラジアルクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー、摩砕などの標準的な精製手法を1種類以上用いて単離または精製してもよい。
活性ラジカル重合と終端合成との組み合わせによって得られる新しい樹枝状構造モチーフ。図12を詳細に調べると、図式3の新規な繰り返しによる樹枝状高分子合成法の能力が明らかになる。
図12に、メチルメタクリレートの活性ラジカル重合と3PSC-三官能性開始剤を開始物質とする二官能性終端化合物との組み合わせを用いて得られる以下の樹枝状高分子を示す:(a)アーム1本あたり各種重合度のポリ(メチルメタクリレート)を有する; (b)ポリ(メチルメタクリレート)の重合度が0である; (c)ポリ(メチルメタクリレート)の重合度が1である。
図12の第4世代 3G(npq)Clの構造について説明する。各世代のポリ(メチルメタクリレート)の重合度が0である場合、生じる樹枝状巨大分子は、図12(b)に示すとおり、従来のさまざまな方法によって調製される従来のデンドリマーの構造に似た、サイズが比較的均一な完全構造を有している。この構造は、図式3の重合工程を省くことによって合成でき、図12(a)の3G(npq)Clの構造からポリ(メチルメタクリレート)分岐を抹消することによって設計される。図12(c)に示すように、各世代における各分岐のポリ(メチルメタクリレート)の重合度が1である場合にも、サイズが比較的均一な構造が得られる。いかなる塩化スルホニル開始剤に対してもモノマー1単位だけを付加する合成方法については既に記述しており、図12(c)に示す構造の合成は、合成により可能である。サイズが比較的均一なデンドリマーの合成方法が最近2種類開発されており、今後、発表報告される。
1分岐あたりのポリ(メチルメタクリレート)の重合度が1を超える場合には、少なくとも3種の異なる樹枝状高分子を設計できる。どの場合も、生じた樹枝状高分子は、分岐多重度が2に等しい完全分岐度を有するので、分岐度が制御されていない超分岐高分子とは異なる。同時に、これらのポリ(メチルメタクリレート)セグメントの分子量の分布(Mw/Mn) は狭い。結果として、これら樹枝状高分子は、ダイバージェント(divergent)法またはコンバージェント(convergent)法によって合成される従来の単分散性デンドリマーとは異なる。
図4は、以下に示す樹枝状高分子を示している:(a)分岐点の間に短く硬い鎖を付与するための低重合度のポリ(メチルメタクリレート);(b) 分岐点の間に柔軟なランダムコイル構造を付与するための中重合度のポリ(メチルメタクリレート);(c)分岐点の間に長い絡み合った鎖を付与するための高重合度のポリ(メチルメタクリレート);ここで、Fは官能基である。図4(a)に示す活性ラジカル重合と終端合成との組み合わせによって得られる第1のクラスの樹枝状高分子では、1分岐あたりの重合度は1を超えるがポリ(メチルメタクリレート)の持続性を定義する重合度未満である。この場合、分岐と分岐の間にあるポリ(メチルメタクリレート)繰り返し単位は硬く、その結果各分岐は十分な長さになっている。図4(b)に示す第2のクラスは、ポリ(メチルメタクリレート)の持続長に対応するDPを超えるが絡み合った鎖を生成するMnに対応する重合度に満たないDPである。この場合、ポリ(メチルメタクリレート)側鎖はランダムコイル構造をとる。第3の場合は、図4(c)に示すとおり、絡み合い分子量を超える値に相当するDPである。
上記の3クラスの樹枝状高分子には先例がなく、これら樹枝状高分子間においても、従来のデンドリマーと比較した場合でも、完全に異なる物理特性を示すことが期待される。これら3クラスのほかに、図3a、b、およびcで説明した重合度とは異なる1分岐あたり重合度を組み合わせて、単一の樹枝状巨大分子内に組み込むことができる。最後に、上記いずれの化合物内でも、異なるモノマーを用いることだけで各世代の構造を変化させることができる。さらに、図4aのFに示す各種の基を用いて、これら樹枝状高分子の外殻構造を官能基化することが可能である。最後に、繰り返し単位上でさまざまな化学反応を行うことにより、これら樹枝状高分子の構造を修飾することが可能である。
方法Aを用いることによる、第4世代の樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)を有する4系列各々の合成と構造解析。方法Aで行うような3種の繰り返し反応からなるシーケンスを用いて、終端合成という3系列の樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)の合成について本発明の主題を実証した。これらの樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)系列は各々4世代を含み、それらの合成および構造上の特徴を最も代表するデータを表1に要約する。
表 1
方法Aを用いることによる、各々が4世代を有する、3系列の3アームコア樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)の合成
Figure 2006528725
表1に、上記樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)の合成および構造に関するデータを示す。このデータには、各世代における1分岐あたりのポリ(メチルメタクリレート)の重合度(第1欄)、それらの合成に用いられる最も関連性の高い反応条件(第2、3、4、5欄、および脚注)、異なる3法で決定された樹枝状高分子の分子量(第6、7、10欄)、GPC分析で定量された分子量分布(第8欄)、およびSEC-MALLSによる平均分子量(第10欄)の決定に用いられた、固有の屈折率増分dn/dcの値(第9欄)が含まれている。
表1の第1欄に報告された1分岐あたりのポリ(メチルメタクリレート)の重合度は第6欄の分子量理論値に対応しており、上述の反応速度、H-NMRおよび重量分析の組み合わせにより計算された。
この値は、転化率100%における重合度の理論値、すなわち第2欄および第3欄から得られる[MMA]/[-SOCl] に、第5欄に報告されているモノマー転化率を掛け合わせることにより求められる。第7欄に報告されているMnの値は、ポリ(メチルメタクリレート)標準物質を用いて校正されたGPCによって決定された。樹枝状高分子の分子占有体積(hydrodynamic volume)は、対応する直鎖状ポリ(メチルメタクリレート)よりも小さいので、上記Mn,GPCの値は、予測されるとおり相対的な値でしかなく、またそれらの真の分子量(Mth)に対する依存性は、世代数の影響を強く受ける。
例えば、第1世代、およびDBによっては第2世代においても、Mn, GPCとMthは比較的よく一致している。しかし、これより後の世代では、Mn, GPCは絶対値よりも低い。Mn, GPCとMthの差は、世代数が増加すると大きくなる。この傾向は、樹枝状高分子が第2または第3世代以上で所望の球形をとることを証明している。図5(a)、(b)、および(c)を調べると、この傾向を最もよく認めることができる。方法Aによって合成された3系列の樹枝状高分子((a)3G(15263080)Cl;(b)3G(20272330)Cl;(c)3G(100100102112)Cl)のすべてについてと、図5(d)に示されているとおり、方法Bにより調製された一組の樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)3G(213155)Tについて、世代数nに対する表1のMth, Mn, GPCおよびMn, SEC-MALLSの依存性をこれらの図は示している。
出願人は、本発明の系列の樹枝状高分子が、第2または第3世代において、1分岐あたりの重合度に依存して樹枝状の球形をとることを発見した。例えば、これらの世代は、フレシェ(Frechet)型および他のデンドリマーが球形に転移する世代よりも世代数が低い。図5をよく調べると、球形をとり始めることは、GPCによる分子量からの絶対分子量のずれによって示されていることがわかる。このずれは、1分岐あたりの重合度=100である樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)については図5(c)の第2世代で、図5(d)で示されるとおり、1分岐あたりの重合度21および31でそれぞれ観察される。図5(a)および5(b)に示されるとおり、1分岐あたりのDPが低いときには、このずれは第3世代で観察される。この傾向は、1分岐あたりの重合度が大きいほど、より早い世代で球形形成が促進されることを証明している。この傾向は、重合度の増加とともに増すポリ(メチルメタクリレート)分岐の柔軟性との関連性が最も高いと考えられ、そのために、もっと硬い低DPの分岐よりも球形形成を促進する。この結果、世代数のみならず、本明細書中で説明した合成方法においてモノマーの構造とモノマーの1分岐あたりの重合度の両方によって制御可能な側鎖の柔軟性によって決定される、球形の樹枝状高分子の設計が可能になる。さらに、表1に報告した樹枝状高分子の分子量分布は、コンバージェント(convergent)法またはダイバージェント(divergent)法によって調製された従来の「単分散性」樹枝状高分子について報告されている分布とほぼ同様の狭さである。
SEC-MALLS実験で絶対分子量が測定されたすべての樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)のdn/dc値を、表1の第9欄に示す。予想され、また実験で観察されたとおり、これらの樹枝状高分子のdn/dc値は世代数に依存しており、また各世代について、それらのdn/dc値は、1分岐あたりのポリ(メチルメタクリレート)の重合度によって決まる。dn/dcの世代数に対する依存性が最も高いのは、1分岐あたりの重合度が最も低い樹枝状高分子系列である。1分岐あたりの重合度が最も高い樹枝状高分子のdn/dc値は、ポリ(メチルメタクリレート)の報告値(dn/dc= 0.086cm-1)に近い。最後に、表1の最後欄に、SEC-MALLS実験から決定された絶対分子量を要約する。
表1の結果を調べると、合成方法Aの能力および樹枝状高分子の構造に関する最重要反応パラメータの一部が明らかである。表1の最初の系の1分岐あたりのポリ(メチルメタクリレート)のDPは、15、26、30 および80である。各世代数において、重合度が10である一連の樹枝状高分子を生成する試みは、樹枝状構造の塩化スルホニル段階での溶解度が低いことが原因で、成功度が低かった。重合度10は、硬い側鎖を有する樹枝状巨大分子を生成するので、これは予想通りの挙動である。しかし、この溶解度の問題は、各世代における1分岐あたりの重合度のわずかな変化によって改善できる。このことは、表1の第1系列の樹枝状巨大分子の1分岐あたりの重合度の選択の説明となる。この系列のGPCクロマトグラムを図6(a)に示す。これらのGPCクロマトグラムはすべて、第1および第2世代の合成中に用いたモノマー転化率が非常に高かった(96%および85%)にもかかわらず、単一モードの狭い分子量分布を示している。
図6は、方法Aを用いることによって、活性ラジカル重合と終端合成との組み合わせにより合成した、以下の樹枝状ポリ(メチルメタクリレート) のGPC分析を示している: (a) 3G(15263080)Cl; (b) 3G(20272330)Cl; および(c) 3G(100100102112)Cl。モノマー濃度が非常に低いので、非常に高い転化率において、ラジカルを成長させる際、二次の停止反応が有利であると予想される。しかし、UV/RI検出器を用いて得たGPCクロマトグラムでもSEC-MALLSクロマトグラムでも、副反応は一切検出できなかった。さらに、第3および第4世代では、SEC-MALLSによって定量された絶対分子量とMthがきわめてよく一致している(表1)。第3および第4世代の合成中にモノマー転化率が低下したという事実があったにもかかわらず、第4世代でMthとMn, SEC-MALLSの最初のずれが起こっている。図6(a)の3G(15263080)ClのGPCクロマトグラムをさらに詳しく調べると、低溶出体積において、従って高分子量において、曲線の対称形からのごくわずかなずれが認められる。分子量の大きな試料が少量、第1および第2世代の間に一緒に停止することによって得られ、そして第4世代になって初めてGPCおよびSEC-MALLSによって視覚化できるようになる可能性が最も大きいと考えられる。このことにより、表1のMthとMn, SEC-MALLSのずれが生じる。この分析から引き出される結論は、各世代において、モノマー転化率は約50%に制限されると予想されることである。
表1の第2系列の樹枝状高分子を、アーム1本あたりのDPを20、27、23、および30とし、モノマー転化率を50%と60%の間に保ちながら合成した。極めて良好な単一モードのGPCクロマトグラムを示す樹枝状高分子が得られ、これを図6(b)に示す。表1に示したとおり、この系列のMthとMn, SEC-MALLSはきわめてよく一致し、またこのことにより、低転化率で重合を中断させるという決断によって、過去に観察された絶対分子量の実測値(Mn, SEC-MALLS)の理論値(Mth)からのずれがなくなったことが実証された。第2世代については、図6(b)のGPCクロマトグラムおよび図2のところで既に考察したH-NMR分析は、4世代の合成全体で優れた制御が行われていることを実証している。第3系列の樹枝状高分子の1分岐あたりのDPは、100、100、112、および102である。この系列は、モノマー転化率が50%から56%の間で得られた。1分岐あたりのポリ(メチルメタクリレート)樹枝状高分子の重合度が50以上である場合には、どの世代であっても、またどの官能性鎖終端でも、溶解度の問題は起こらなかった。1分岐あたりの重合度が約100である場合には、MthとMn, SEC-MALLSがきわめて一致していること、およびMw/Mn値の幅が狭いことが、表1および図6(c)からわかるように、全世代で観察された。
図7は、3G(100100102112)Cl合成中の樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)のSEC-MALLS分析を示している。図7に示したSEC-MALLSクロマトグラムは、図6(c)のGPCクロマトグラムの単一モード特性の確認となっている。SEC-MALLSによって低濃度の高分子量画分の存在が検出されることは公知であり、またSEC-MALLSクロマトグラムにそれらがないことは分子間の二次反応がないこと、または二次反応が起こったとしても非常に少量なので、使用された分析法のいずれによっても検出不能であることを示している。
従来のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)またはGPCにおいては、最高分子量は最低溶出体積(Ve)で溶出し、旋回半径(Rg)は分子量とともに増大する。従って、分子量の値とRg はともに、Veの増加に伴って直線的に低下すると予想される。線形性ポリ(メチルメタクリレート)標準物質を用いて、この直線性を検定し、樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)の場合との比較を行った。図8は、線形性ポリ(メチルメタクリレート)標準物質と活性ラジカル重合と終端化合物との組み合わせにより合成された3世代の樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)の分子質量の比較を示している。
図9は、3G(100100102)ClのSEC-MALLSクロマトグラムを3次元描画した結果を示し、図10は、SEC-MALLSに対する濃度の影響および溶出体積(Ve)に対する絶対分子量の依存性を示しており、(a) 3G(100)Cl (c = 38 × 10-4g/ml)および(b) 3G(100)Cl (c = 20 × 10-4g/ml)である。図9のSEC-MALLS曲線の単一モードの形状と図10の濃度に依存しない形状から、溶液状態で凝集しないことが認められる。
図10は、SEC-MALLSで得られたピークの形状に対する濃度による興味深い影響を示している。第1世代3G(100)ClのGPC分析では低分子量画分の存在は明らかになっていないが、より高感度のSEC-MALLS分析によって、大きな溶出体積Veで対称性からのずれが肩として認められ、従って、c=38 × 10-4 g/mlを用いて得た曲線上における分子量は低いと予想される。
図10(a)の分子量対Veのプロットは、この肩が、サイズ排除原理によって溶出しない高分子質量の試料によるものであることを示している。この肩は、低濃度(c=20 × 10-4 g/ml)で消失し、この濃度では、試料の分子量は、図10(b)に認められる、Veに対する予想どおりの傾向を示す。従って、図10(a)の肩は、濃度依存性でありかつ特定の濃度未満では形成しない、樹枝状高分子の分子間凝集体に関連している。SEC-MALLS実験による樹枝状高分子の分子量の定量を、図9および10(b)に示されているのと同様の、Veに対する分子量の依存性を示す上述のとおりの定量として、希釈実験により調製した単一モード試料で行った。表1および2に報告されている絶対分子量の計算に用いたdn/dc値を、値が一定になるまで試料を連続希釈することにより測定した。
方法Bの使用による、3世代を含む一連の樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)の合成および構造解析。別の系列の3世代樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)を方法Bによって調製した。この場合、所定の反応時間で、特定のモノマー転化率に対応して終端化合物をベンゼン溶液として注入し、次いでベンゼンを蒸留し、反応時間がさらに経過しても樹枝状巨大分子の分子量が変化しなくなるまで重合プロセスをモニターした。
表2
方法Bの使用による、3世代を含む
3アームコア樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)の合成
Figure 2006528725
終端化合物による末端封鎖と重合との競争的プロセスは、方法Aで得られるものより広い樹枝状巨大分子の分子量分布を生じると予想される。しかし同時に、方法Bでは、過剰のメチルメタクリレートと終端化合物の両方を合成の間ずっと利用できるので、ラジカル副反応の程度が低くなる。樹枝状巨大分子の分子量の変化を時間の関数として追跡するGPC分析により、終端化合物を用いる末端封鎖の終了をモニターする。末端封鎖プロセスが完了すると、分子質量の値は変化しなくなる。この完全な末端封鎖は、図1に示したMALDI-TOF分析およびH-NMRスペクトロスコピーによっても裏付けられた。従って、方法Bを用いたin-situ末端封鎖の後には、樹枝状巨大分子は、各鎖の終端に終端化合物基を有する。方法Bにより得られるこの樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)の構造によって、表2に示されているdn/dc値が高い理由が説明される。しかし、樹枝状巨大分子のdn/dc値に対するポリ(メチルメタクリレート)の重合度の影響は、アーム1本あたりの重合度とともに増大し、その結果dn/dc値は、世代数の増加に伴って低下する。
図11は、方法Bの使用により活性ラジカル重合と終端との組み合わせによって合成された3G(213155)T系列の樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)のGPC分析を示している。対称なGPCクロマトグラムが3世代全部で得られ、またMthとMn, SEC-MALLSの良好な一致が全例で観察された。
方法Bの唯一の欠陥は、終端化合物の反応性がメチルメタクリレートの反応性よりはるかに高いとは思われないため、終端化合物を用いた末端封鎖が完了する正確なモノマー転化率を、反応速度実験の前に予測できないことである。しかし、反応数と精製工程の低減によってこの欠陥は補われる。
本明細書中で説明している方法は、各々の繰り返し全3回からの主要2工程が金属触媒ラジカル反応からなる複雑な有機分子の繰り返し合成の最初の例である。第3工程には、穏やかな条件下、非常に短い反応時間で起こる定量的な酸化的塩素化による保護基の脱マスキングが含まれる。従って、本発明の方法は、複雑な有機合成の際に、フリーラジカル連鎖反応および活性ラジカル重合のための新規な合成能力を提供する。
これまでに報告されている方法では分岐の範囲が脂肪族ポリエステル類に限定されているが、本発明の方法は、広範なメタクリレート、アクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、およびスチレンに応用できる。従って、本発明の方法によって、十分に確立され十分に理解されている直線状高分子およびそれらの樹枝状ホモログの物理特性間の直接比較が初めて可能になる。これらの物理特性を理解することによって、従来のモノマーを原料とする新規な技術的概念と応用の記述が可能になる。
本発明の方法の生成物
出願人は、二官能性終端分子および金属触媒活性ラジカル重合に基づく樹枝状高分子の新しい合成法を開発し、それにより、比較的サイズが均一なデンドリマーおよび分子量分布が狭い樹枝状高分子の新規なダイバージェント(divergent)合成法を提供する。ポリ(メチルメタクリレート)分岐を有する4系列の樹枝状高分子を本明細書中で報告した。それらは、3ポットにおける3反応工程を含む方法A、および2ポットにおける3反応工程を含む方法Bという2種類の異なる繰り返し法によって合成された。代表的な樹枝状高分子の構造解析によって、1分岐あたりのポリ(メチルメタクリレート)の生成数および重合度からなるタンデム条件によって決まる世代において球形が形成されることが証明される。
この結果によって、世代数の組み合わせ、1分岐あたりの重合度、およびモノマー繰り返し単位の化学構造によって制御される所定の形状を有する樹枝状高分子の設計と合成のための先例のない戦略が得られる。終端合成と金属触媒活性ラジカル重合との組み合わせは、様々なメタクリレート、アクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、およびスチレンに応用できるので汎用性がある。本発明の方法は、市販のオレフィンという最大かつ最も単純な化合物クラスから誘導される、先例のない構造複雑性を有する樹枝状高分子を提供する。
以上から、本発明はさらに、以下の工程を含む方法により生成される樹枝状巨大分子に関する:
(a)多数のスルホニルハライド官能基を有する多官能性スルホニルハライド開始剤を用いてモノマーの重合を開始し、このスルホニルハライド開始剤が有するスルホニルハライド官能基の数に応じた多数のアームを有する分岐高分子を生成させる工程;
(b)チオカルバメート基を有する過剰の終端化合物を用いて上記分岐高分子の末端を定量的に封鎖し、上記分岐高分子のアーム1本以上の反応を停止させる終端チオカルバメート基を有する終端反応停止分岐高分子を生成させる工程;
(c)酸化的塩素化により終端チオカルバメート基を脱マスキングしてスルホニルハライド基を生成させ、それによりマスキングされたスルホニルハライドを活性スルホニルハライド反応開始基に変化させる工程;
(d)必要に応じて、工程(b)および(c)を繰り返す工程;および
(e)上記樹枝状巨大分子を単離する工程。
自己組織系および複合組織系に組み込まれた有機高分子エレクトニクス、フォトニクス、および磁気デバイスは、高機能化を可能とし、拡張性、フレキシビリティ、低電力消費、軽量、および低コストという将来的な課題を解決する可能性を与える、極めて有望な学際的技術分野である。エレクトニクス、フォトニクス、および磁気システムの進歩の継続は、特にテレコミュニケーション、情報テクノロジー、装着型マイクロプロセッサ、有機メモリ、効率的なソリッドステート照明、代替発電源、および人工筋肉としての伝導性高分子の使用ならびに神経組織置換などの医療エンジニアリングの分野において我が国の経済成長を持続させるのに極めて重要である。別の用途として、エレクトロクロミックカモフラージュコーティング、折り曲げられる電子新聞、フレキシブル大面積イメージングおよびディスプレイシステム、低コスト薄膜トランジスタおよび集積回路、光起電性デバイス、有機電池および燃料電池、インジェクションレーザー、有機MEMS、およびセンサーがある。合成化学からデバイスエンジニアリングまで、ならびに回路設計およびシステムから製造までの強力な科学技術基盤の創出は、この技術のフロンティアを前進させるためにますます重要になる。この学際的研究は、有機/高分子エレクトロニクス、フォトニクスおよび磁気学の分野に影響を及ぼす各種学術分野間の相互作用を助長し、それによりこれまで予想されていなかった突破口を作り各種技術を有効にする。本発明の方法は、簡素で効率的かつ経済的な合成法における技術がそうした進歩を遂げるための基本部分構造、すなわち樹枝状高分子を提供する。
本発明の方法によって生成される生成物にはさらに、単純な超分子を有するデバイスへの使用から、ナノメートルオーダーでの微視的レベルから巨視的レベルにわたる特別な有用性がある。終端合成および金属触媒活性ラジカル重合に基づく複雑な化合物は、求核反応および求電子反応ならびに各種連鎖有機反応および活性重合反応の組み合わせに適した終端分子ライブラリの開発を簡素化すると期待される。この生成物を組み込む有用なデバイスとして、従来組み込みが不可能であった、薄膜、大表面積トランジスタ、光起電力技術、光導電体、光屈折体、発光体、およびオプトエレクトロニクスがある。
期待される別の利用分野として、人工膜;天然または人工の細胞膜に使用できる人工疎水性チャネル;および抗生抗菌作用を有する合成標的膜攪乱分子がある。
実施例
以下の実施例により本発明を例示するが、本発明はこれらに限定されない。特に記載しない限り、パーセントは全て最終組成物を100%とする重量パーセントである。開始物質、試薬、および溶媒はすべて市販のものであり、化学薬品販売者から入手したまま精製せずに、または公知の文献に記載の方法に従って合成して、および/または、洗浄、乾燥、蒸留、再結晶、および/または精製してから使用した。
一般法H-NMR(200および500 MHz)スペクトルならびにC-NMR(50および106 MHz)スペクトルを、20℃、CDCl中にてテトラメチルシラン(TMS)を内部標準として用いてブルカー(Bruker)スペクトロメータにて記録した。米国ナットランド・インターナショナル・コーポレーション(Natland International Corporation)から入手した200-400メッシュのシリカゲルを用いて、カラムクロマトグラフィーによる精製を行った。ゲル透過クロマトグラフィー分析は、以下を備えた島津製LC-10AT(Shimadzu LC-10AT) 高圧液体クロマトグラフで行った: AM ゲルカラム(10 mm、500Å、10 Å、10 Åおよび10 Å)4本を有するCTO-10Aカラムオーブン(30℃)、PEネルソン・アナリティカル900(PE Nelson Analytical 900)シリーズ積分データステーション、島津RID-10A RI検出器、およびSPD-10A UV-Vis検出器(254 nm)。ジクロロメタン(フィッシャー(Fisher)社製)を溶離液として流速2 ml/minで用いた。MnおよびMwは、ポリ(メチルメタクリレート)標準物質を用いて作成した検量線プロットを用いて求めた。サイズ排除クロマトグラフィー(Size Exclusion Chromatography)多角度光散乱検出器(Multi Angle Litht-Scattering)(SEC-MALLS)分析は、ポリマースタンダードカラム(10 mm、500Å、10 Åおよび10 Å)を備えたワイアット(Wyatt)EOS システム(18角度)および溶離液であるTHFを用いて行った。これらの実験については、流速1 ml/minおよび23℃を設定した。光源は、690 nmの30 mW 直線分極GaAs(ガリウム砒素)レーザーであった。ワイアット・オプティラブDSP(Wyatt Optilab DSP)(RI検出器)を濃度検出器として用いた。注入液の濃度は1-4 g/Lであった。光散乱およびdn/dc実験用の樹枝状高分子のTHF溶液は、秤った量(島津マイクロ天秤、モデルAW 220m、正確度0.1 mg)を容量既知の濾過溶液(0.22 mmミリポアフィルター)に溶解して調製した。dn/dc実験用原液は分析前に1時間平衡させ、希釈液は濾過した溶媒を、容量を基準として既知量加えることによって作製した。比屈折率(dn/dc)の値は、ワイアット・オプティラブDSP偏向計にて、690 nm、THF中で23℃で測定した。NaCl-HO混合物に対して比屈折率の校正を行った。マトリックス支援レーザー脱着イオン化-飛行時間(MALDI-TOF)スペクトロメトリー分析は、ボイジャー(Voyager)-DE (アプライド・バイオシステムズ社製)を用いて337 nm 窒素レーザー(パルス幅3 ns)、加速電圧24 kV、陽イオン化を用いて行った。試料の調製は、液滴濃縮法を用いて以下のとおり行った: 4-ヒドロキシベンジリデンマロニトリル4.3 mgを、0.1% TFA (v/v)を含むMeCN-HPLCグレード400 mlに溶解した。3G(6)T 2.2 mgを、THF-HPLCグレード40 mlに溶解した。NaCl 2.0 mgを、蒸留したてのHO 1 mlに溶解した。続いて、上記の各調製溶液から0.5 mlをターゲット上に付与し20分間風乾した。
特に記載しない限り、物質はすべてアルドリッチ(Aldrich)社から購入し、そのまま使用した。メチルメタクリレート(MMA)(純度99+%)を塩基性Al クロマトグラフィーカラム(フラッシュ)に通した。塩素ガス充填レクチャーボトル(アルドリッチ社製、99.5+%、454g)にCGA-180バルブ(アルドリッチ(Aldrich)社製)およびテフロン(登録商標)チューブ(島津製GPC型、直径=3mm)を装着し、酸化的塩素化実験のため流速2 g/minでClをバブリングした。CuCl(フィッシャー(Fisher)社製、96%)の精製は、粉砕後HSO(1N)とともに撹拌してから濾過し、続いて氷酢酸(HOAc、4回)、EtOHおよびEtOで洗浄することにより行った。白色のCuCl粉末を100℃で30分間乾燥し、密閉瓶に保存した。活性化アルミナカラムを通してベンゼンを精製した。酸化銅(I)(95+%)は、アルファ(Alfa)社から入手したまま使用した。1,1,1-トリス(4-クロロスルホニルフェニル)エタン(3PSC)開始剤および3,5-ビス(S-フェニル 4-N,N’-ジエチルチオカルバメート)アセトフェノン終端化合物前駆体は既報のとおり合成した。
実施例1
3G (20)Clから開始する3G (20 27)Cl合成の代表的な H-NMR分析。 図2に示す3G(20)Clの500 MHz H-NMRスペクトルは、3.57ppmにポリ(メチルメタクリレート)主鎖(シグナルc)のメトキシプロトンの共鳴を示しており、3.73 ppm にω-終端塩素(シグナルd)で封鎖された終端メチルメタクリレートのメトキシプロトンの共鳴を示している。3PSC開始剤(シグナルb)のアリールスルホニル分子団近傍のポリ(メチルメタクリレート)のメトキシプロトンが3.67ppmに観察される。さらに、3PSC開始剤フラグメントは、芳香族型共鳴aを7.23ppmに、a を7.8 ppmに示している。定量的な開始だけでなく塩素鎖終端を用いる官能基化の完全度の実証も行うには、a、a、d、および bの積分値間の比を用いる。1分岐あたりのポリ(メチルメタクリレート)の重合度(すなわちDPNMR)の計算には、c とa、a、d、およびbの積分値間の比を用いる。約100の値まで、高い正確度でDPNMR を計算する。DPNMRは、モノマーの転化をNMRによって経時モニターする反応速度実験から求められた重合度の理論値と一致し、またヘキサンからの沈殿によって樹枝状巨大分子を分離した後で重量分析により求められた値と一致する。これらの方法全部によって求められたDP(DPth/gravを用いて計算された樹枝状巨大分子のMnに対応するMthの値を報告している表1の第6欄)間の一致が良いことから、次の式を用いてMthを計算する: Mth = MInit+C' MMMA '3' 2(n-1)' DP、ここで、MInitは重合に用いた開始剤のモル質量であり、Cはモノマーの転化率であり、MMMAはメチルメタクリレートのモル質量であり、nは世代数(すなわち1、2、3、4)であり、また重合度は開始モノマーおよび塩化スルホニル開始基のモル比に等しい(すなわち重合度 =[M]/[-SOCl])。終端化合物を用いた3G(20)Clの末端封鎖の定量的モニターは、親化合物3G(20)Clの3.73ppmにおける共鳴の消失 d(Cl鎖終端に隣接する終端メトキシ基)と3.63ppmにおける新たな共鳴 c’の出現(終端化合物鎖の終端に隣接する末端メトキシ基)および3.44ppmにおける3G(20)Tの共鳴I(チオカルバメート基のメチレンプロトン)によって行った。しかし、定量的な末端封鎖は、共鳴aおよびaに対する3G(20)Tの共鳴の積分値e、f、g、およびhによって実証された。これらの芳香族プロトンはすべて分離が良く、緩和時間が同じだからである。3G(20)T の脱マスキング工程は、チオカルバメート基を塩化スルホニル基に変換することにより3G(20)SCを生じさせる、3G(20)Tの酸化的塩素化によって達成される。この工程の間に、共鳴Iは消失し、シグナルeは高磁場にシフトするが、fは低磁場にシフトする。この反応は、シグナルiの低下によって最もうまくモニターされる。3G(2027)ClのH-NMRスペクトルはまた、塩素終端を有する末端メトキシ基に起因するシグナルdを示す。この共鳴には、3G(20)Clの場合と同じケミカルシフトがある。予想どおり、3G(2027)Clのプロトンに対応する共鳴は、対応する3G(20)SCのプロトンから高磁場にシフトしており、3G(20)Tのプロトンより低磁場にシフトしている。3G(2027)Clの1分岐あたりのポリ(メチルメタクリレート)重合度は、3G(20)Clの分析のところで説明した手法の組み合わせによって計算される。500 MHz H-NMRスペクトルを用いて分析した反応シーケンスも、3G(20)Cl、3G(20)T、3G(20)SC、および3G(2027)ClのGPC分析によって裏付けられる(図3)。
図3。3G(20)Clから開始する3G(2027)Clの合成中に生成する中間生成物のGPC分析。
予想どおり、終端化合物を用いた3G(20)Clの末端封鎖によって分子量は増大し、結果として低溶出体積(Ve)へのシフトが観察された。3G(20)Tの酸化的塩素化によって、新たに生成した3G(20)SCの分子量は低下し、またこのことは図3で実際に認められる。最後に、3G(2027)Clの分子質量は、その前駆体である3G(20)SCよりも大きく、またこのことは図3のGPCクロマトグラムによって証明される。検出可能な副反応のない、これら4反応工程間の定量的な推移は、これらのGPCクロマトグラムの単一モードの分子量分布によって実証される。
実施例2
(1,1-ジメチルエチル)[[1-[3,5-ビス(S-フェニル 4-N,N’-ジエチルチオカルバメート)フェニル]エテニル]オキシ] ジメチル シラン (終端化合物) の合成。 マグネチックスターラー撹拌棒およびN導入装置を備えた250 mL容量の2口フラスコに3,5-ビス(S-フェニル 4-N,N’-ジエチルチオカルバメート)アセトフェノン(6.5 g、12.213 mmol)、トリエチルアミン(4.94 g、48.85 mmol)および乾燥CHCl50 mLを入れた。氷-水浴で冷却したtBuMeSiOTf(7.3ml、32 mmol)に反応混合物を滴下して加え、溶液を23℃まで昇温させた。30分後、試料を取り出し、溶液を蒸発させ、白色固体をCDClに溶解して1H-NMRによる分析を行った。H-NMRスペクトルにアセチル-プロトン(2.66 ppm)が見られなかった場合に、反応混合物を250 mLのCHClで希釈し、100 mLのKOH 10%で2回洗浄した後、塩水で洗浄し、NaSOにより乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、黄色固体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液として30% EtOAcのヘキサン溶液)で精製して、白色結晶6.9 g(87%)を得た。Rf = 0.44 (ヘキサン/EtOAc)=7/3)。mp 143-145℃。H-NMR (200 MHz、CDCl):d 7.83-7.58 (m, 11H), 5.31(s, 1H), 4.52 (s, 1H), 3.52 (q. 8H), 1.27 (b, 12H), 1.03(s, 9H), 0.26 (s, 6H); C NMR (90 MHz, CDCl) d 165.95, 155.97, 142.08, 141.24, 139.29, 136.44, 129.11, 126.42, 123.81, 91.93, 42.72, 26.21, 18.66, 14.13, -4.22。
実施例3
3G (6 )Tの合成。 メチルメタクリレート(2.0 g、19.97 mmol)、p-キシレン(5 mL)、開始剤(3PSC、0.500 g、0.905 mmol)、触媒(CuO、80.0 mg、0.56 mmol)、リガンド(ビフェニル-2,3-ジオール、170.0 mg、1.09 mmol)、およびベンゼン(1 mL)を25 mLシュレンクチューブに直接秤取した。凍結・減圧・解凍サイクルを4回行った後、チューブをアルゴンで満たし、反応混合物を油浴で90℃で加温した。H-NMRにより反応をモニターし、転化率が81%に達した時点で、2 mLの重合混合物を取り出し、予め脱気したp-キシレン/ベンゼン(1:1)混合物10 mLに溶解した終端化合物(2.9 g、4.49 mmol)の溶液を、カニューラを用いて添加した。120℃まで昇温し、アルゴン雰囲気下でベンゼン共沸物を蒸留した。反応を3日間継続し、混合物をCHClで希釈し、短い塩基性アルミナカラムに通して触媒と終端化合物を除去した。ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し0.8 gの3G(6)Tを得、24時間真空乾燥した後、MALDI-TOFで分析した。沈殿による精製は行わなかった。従って、重合および末端封鎖中に形成された全化学種を、MALDI-TOF (Mn = 3,873 およびMw/Mn= 1.02、Mth = 3,834)による分析に使用できた。全イオンを考慮し、反応停止の証拠は見つからなかった。帰属済みスペクトルを図1に示す。
実施例4
3G (20)Clの合成。メチルメタクリレート(11.5 ml、106.8 mmol)、p-キシレン(23 mL)、開始剤(3PSC、0.501 g、0.905 mmol)、触媒(CuO、87 mg、0.608 mmol)、およびリガンド(ビフェニル-2,3-ジオール、192 mg、1.23 mmol)を50 mLシュレンクチューブに直接秤量した。凍結・減圧・解凍サイクルを4回行った後、チューブをアルゴンで満たし、反応混合物を油浴で90℃で加温した。チューブのアーム部に5分間以上アルゴンをパージしてから開け、密封シリンジで所定回数、試料を取り出した。試料をCDClに溶かし、H-NMRスペクトロスコピーにより転化率を測定した。所望の転化率に達した(61%、Mth = 7,700)時点で、反応混合物をCHClで希釈し、短い塩基性アルミナカラムに通して触媒を除去し、冷ヘキサンから2回沈殿させた。生成物を濾取し、真空乾燥して6.2 gの3G(20)Cl (58%)を得た。Mn, NMR = 7,400 Mn, GPC = 6,400, Mw/Mn = 1.12。低分子量であったため、この試料のSEC-MALLS分析は行えなかった。
実施例5
3G (20 )Tの合成。 3G(20)Cl (2.3 g、0.30 mmol)、p-キシレン(5 mL)、終端化合物(2.31 g、3.57 mmol)、触媒(CuCl、44.35 mg、0.44 mmol)、リガンド(ビフェニル-2,3-ジオール、140 mg、0.90 mmol)およびベンゼン(6 mL)を50 mLシュレンクチューブに入れた。凍結・減圧・解凍サイクルを4回行った後、チューブをアルゴンで満たし、反応混合物を110℃で加温した。チューブのアーム部に5分間以上アルゴンをパージしてから開け、水-ベンゼン共沸物を除去し、終端が加水分解しないようにした。H-NMRスペクトロスコピーを用いて、対応するCl鎖終端の消失について反応をモニターした。2.5時間後、反応混合物を常圧に戻し、CHClで希釈した後、塩基性アルミナを入れた短いカラムを通して触媒と終端化合物を除去した。溶媒を留去し、濃縮高分子溶液を冷ヘキサンから2回および酸性メタノールから1回沈殿させ、2.5 g (87%)の3G(20)Tを得た。
実施例6
3G (20 )SCの合成。 300 mL CHCl中の3G(20)T (3.0 g、0.33 mmol)の希釈溶液を100 mL HCOH(1%)と共に23℃で激しく撹拌し、エマルジョンが安定した淡黄色になるまでClガスを通じた。CHCl相を分離し、HO、NaHCOおよび塩水で洗浄し、NaSOを用いて乾燥し、濃縮し、酸性MeOHから3回沈殿させて、生成物2.31 g (78%)を得た。
実施例7
3G (20 27)Clの合成。 メチルメタクリレート(7.1 g、70.9 mmol)、p-キシレン(25 mL)、開始剤(3G(20)SC、1.8 g 、0.23 mmol)、触媒(CuO、64 mg、0.45 mmol)、およびリガンド(ビフェニル-2,3-ジオール、140 mg、0.89 mmol)を50 mLシュレンクチューブに入れた。凍結・減圧・解凍サイクルを4回行った後、チューブをアルゴンで満たし、反応混合物を90℃で加温した。チューブのアーム部に5分間以上アルゴンをパージしてから開け、密封シリンジで所定回数、試料を取り出した。試料をCDClに溶解し、H-NMRスペクトロスコピーにより転化率を測定した。所望の転化率(56%, Mth = 24,460)に達したところで、反応混合物をCHClで希釈し、短い塩基性アルミナカラムに通して触媒を除去した。生成物を冷ヘキサンから2回沈殿させ、濾過し、真空乾燥して、4.0 g(70%)の3G(2027)Clを得た。Mn, NMR = 24,400, Mn, GPC = 20,100, Mw/Mn = 1.08, Mn, SEC-MALLS = 24,500。
実施例8
3G (20 27 )Tの合成。 3G(2027)Cl (3.0 g、0.12 mmol)、p-キシレン(15 ml)、終端化合物(2.36 g、3.65 mmol)、触媒(CuCl、36.21 mg、0.36 mmol)、リガンド(ビフェニル-2,3-ジオール、114.0 mg、0.73 mmol、およびベンゼン(6 ml)を50 mLシュレンクチューブに秤取した。凍結・減圧・解凍サイクルを4回行った後、チューブをアルゴンで満たし、反応混合物を110℃で加温した。チューブのアーム部に5分間以上アルゴンをパージしてから開け、水-ベンゼン共沸物を除去した。H-NMRスペクトロスコピーを用いて、Cl鎖終端の消失について反応をモニターした。4時間後、反応混合物を常圧に戻し、CHClで希釈した後、塩基性アルミナを入れた短いカラムを通して触媒と終端化合物を除去した。ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、濃縮高分子溶液を冷ヘキサンから2回および酸性メタノールから1回沈殿させ、2.7 g (88%)の3G(2027)Tを得た。
実施例9
3G (20 27 )SCの合成。 200 mL CHCl中の3G(2027)T(2.6 g、0.10 mmol)の希薄溶液を100 mL HCOH(1%)とともに23℃で激しく撹拌し、エマルジョンが安定した淡黄色になるまでClガスを通じた。CHCl相を分離し、HO、NaHCOおよび塩水で洗浄し、NaSOを用いて乾燥し、濃縮し、酸性MeOHから3回沈殿させて、生成物2.5 g(96%)の3G(2027)SCを得た。
実施例10
3G (20 27 23)Clの合成。 メチルメタクリレート(6.15 g ,61.4 mmol)、p-キシレン(30 mL)、開始剤 3G(2027)SC(2.47 g、0.09 mmol)、触媒(CuO、64 mg、0.42 mmol)およびリガンド(ビフェニル-2,3-ジオール、140 mg、0.83 mmol) を50 mLシュレンクチューブに秤取した。凍結・減圧・解凍サイクルを4回行った後、チューブをアルゴンで満たし、反応混合物を90℃で加温した。チューブのアーム部に5分間以上アルゴンをパージしてから開け、密封シリンジで所定回数、試料を取り出した。試料をCDClに溶解し、H-NMRスペクトロスコピーにより転化率を測定した。所望の転化率(40%、Mth = 57,540)に達したところで反応混合物をCHClで希釈し、短い塩基性アルミナカラムに通じて、触媒を除去した。生成物を冷ヘキサンから2回沈殿させた。生成物を濾取し、真空乾燥して、3.7 g(76%)の3G(202723)Clを得た。Mn, NMR = 57,450, Mn, GPC = 35,400, Mw/Mn = 1.05, Mn, SEC-MALLS = 56,200。
実施例11
3G (20 27 23 )Tの合成。 3G(202723)Cl(2.4 g、0.04 mmol)、p-キシレン(25 mL)、終端化合物(1.93 g、3.0 mmol)、触媒(CuCl、30.0 mg、0.30 mmol)、リガンド(ビフェニル-2,3-ジオール、94.5 mg、0.61 mmol)、およびベンゼン(6 mL)を50 mLシュレンクチューブに入れた。凍結・減圧・解凍サイクルを4回行った後、チューブをアルゴンで満たし、反応混合物を110℃で加温した。チューブのアーム部に5分間以上アルゴンをパージしてから開け、水-ベンゼン共沸物を除去し、終端が加水分解しないようにした。H-NMRを用いて、Cl鎖終端の消失について反応をモニターした。5.5時間後、反応混合物を常圧に戻し、CHClで希釈した後、塩基性アルミナを入れた短いカラムを通して触媒と過剰の終端化合物を除去した。ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、濃縮高分子溶液を冷ヘキサンから2回および酸性メタノールから1回沈殿させ、2.3 g (87%)の3G(202723)Tを得た。
実施例12
3G (20 27 23 )SCの合成。 200 mL CHCl中の3G(202723)T (2.25 g、0.036 mmol)の希薄溶液を100 mL HCOH (1%)とともに25℃で激しく撹拌し、エマルジョンが安定した淡黄色になるまでClガスを通じた。CHCl相を分離し、HO、NaHCOおよび塩水で洗浄し、NaSOを用いて乾燥し、濃縮し、酸性MeOHから3回沈殿させて、2.0 g (91%)の樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)開始剤を得た。
実施例13
3G (20 27 23 30)Clの合成。 メチルメタクリレート (2.66 g、26.6 mmol)、p-キシレン(30 mL)、開始剤 3G(202723)SC(1.0 g、0.016 mmol)、触媒(CuO、54 mg、0.37 mmol)およびリガンド(ビフェニル-2,3-ジオール、117 mg、0.74 mmol)を50 mLシュレンクチューブに秤取した。凍結・減圧・解凍サイクルを4回行った後、チューブをアルゴンで満たし、反応混合物を90℃で加温した。チューブのアーム部に5分間以上アルゴンをパージしてから開け、密封シリンジで所定回数、試料を取り出した。試料をCDClに溶解し、H-NMRスペクトロスコピーにより転化率を測定した。所望の転化率(46%、Mth = 140,070)に達したところで、反応混合物をCHClで希釈し、短い塩基性アルミナカラムに通じて、触媒を除去した後、冷ヘキサンから2回沈殿させた。生成物を濾取し、真空乾燥して、2.1 g (89%)の3G(20272330)Clを得た。Mn, NMR = 136,760, Mn, GPC = 65,200, Mw/Mn = 1.09, Mn, SEC-MALLS = 149,400。
実施例14
3G (100)Clの合成。 メチルメタクリレート(10.85 g, 108.0 mmol)、p-キシレン(11 mL)、開始剤(3PSC、0.1 g、0.181 mmol)、触媒(CuO、51.7 mg、0.34 mmol)、およびリガンド(ビフェニル-2,3-ジオール、112.8 mg、0.72 mmol)を50 mLシュレンクチューブに直接秤取した。凍結・減圧・解凍サイクルを4回行った後、チューブをアルゴンで満たし、反応混合物を90℃で加温した。チューブのアーム部に5分間以上アルゴンをパージしてから開け、密封シリンジで所定回数、試料を取り出した。試料をCDClに溶解し、H-NMRスペクトロスコピーにより転化率を測定した。所望の転化率(50%、Mth = 30,590)に達したところで、反応混合物をCHClで希釈し、短い塩基性アルミナカラムに通じて、触媒を除去した後、冷ヘキサンから2回沈殿させた。生成物を濾取し、真空乾燥して、5.0 g(91%)の3G(100)Clを得た。Mn, GPC = 26,000, Mw/Mn= 1.12, Mn, SEC-MALLS = 29,110。
実施例15
3G (100 )Tの合成。 3G(100)Cl (3.0 g、0.10 mmol)、p-キシレン(10 mL)、終端化合物(0.48 g、0.75 mmol)、触媒(CuO、30.0 mg、0.021 mmol)、リガンド(ビフェニル-2,3-ジオール、65 mg、0.04 mmol)およびベンゼン(6 mL)を50 mLシュレンクチューブに入れた。凍結・減圧・解凍サイクルを4回行った後、チューブをアルゴンで満たし、反応混合物を110℃で加温した。チューブのアーム部に5分間以上アルゴンをパージしてから開け、水-ベンゼン共沸物を除去した。H-NMRスペクトロスコピーを用いて、Cl鎖終端の消失について反応をモニターした。50時間後、反応混合物を常圧に戻し、CHClで希釈した後、短い塩基性アルミナカラムを通して触媒と過剰の終端化合物を除去し、溶媒を蒸留し、濃縮高分子溶液を冷ヘキサンから2回および酸性メタノールから1回沈殿させ、2.8g (91%)の3G(100)Tを得た。
実施例16
3G (100 )SCの合成。 200 mL CHCl中の3G(100)T(2.7 g、0.08 mmol)の希薄溶液を100 mL HCOH (1%)とともに25℃で激しく撹拌し、エマルジョンが安定した淡黄色になるまでClガスを通じた。CHCl相を分離し、HO、NaHCO、および塩水で洗浄し、NaSOを用いて乾燥し、濃縮し、酸性MeOHから3回沈殿させて、2.6 g(98%)の3G(100)SCを得た。
実施例17
3G (100 100)Clの合成。 メチルメタクリレート (9.8 g、0.97 mmol))、p-キシレン(12 mL)、開始剤 3G(100)SC、(2.5 g 、0.08 mmol))、触媒(CuO、49 mg、0.34 mmol)、およびリガンド(ビフェニル-2,3-ジオール、106 mg、0.68 mmol)を50 mLシュレンクチューブに秤取した。凍結・減圧・解凍サイクルを4回行った後、チューブをアルゴンで満たし、反応混合物を90℃で加温した。チューブのアーム部に5分間以上アルゴンをパージしてから開け、密封シリンジで所定回数、試料を取り出した。試料をCDClに溶解し、H-NMRスペクトロスコピーにより転化率を測定した。所望の転化率(50%、Mth = 91,000)に達したところで反応混合物をCHClで希釈し、短い塩基性アルミナカラムに通じて、触媒を除去した後、冷ヘキサンから2回沈殿させた。生成物を濾取し、真空乾燥して、6.2 g (80%) の3G(100100)Clを得た。Mn, GPC = 59,000, Mw/Mn= 1.12, Mn, SEC-MALLS = 88,300。
実施例18
3G (100 100 )Tの合成。 3G(100100)Cl (4.0 g、0.04 mmol)、p-キシレン(14 mL)、終端化合物(0.43 g、0.66 mmol)、触媒(CuO、42.0 mg、0.29 mmol)、リガンド(ビフェニル-2,3-ジオール、91.5 mg、0.58 mmol)およびベンゼン(6 mL)を50 mLシュレンクチューブに入れた。凍結・減圧・解凍サイクルを4回行った後、チューブをアルゴンで満たし、反応混合物を110℃で加温した。チューブのアーム部に5分間以上アルゴンをパージしてから開け、水-ベンゼン共沸物を除去した。H-NMRスペクトロスコピーを用いて、Cl鎖終端の消失について反応をモニターした。16時間後、反応混合物を常圧に戻し、CHClで希釈した後、短い塩基性アルミナカラムを通して触媒と過剰の終端化合物を除去した。ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、濃縮高分子溶液を冷ヘキサンから2回および酸性メタノールから1回沈殿させ、3.2 g (77%)の3G(100100)Tを得た。
実施例19
3G (100 100 )SCの合成。 200 mL CHCl中の3G(100100)T (3.1 g、0.03 mmol)の希薄溶液を100 mL HCOH (1%)とともに23℃で激しく撹拌し、エマルジョンが安定した淡黄色になるまでClガスを通じた。CHCl相を分離し、HO、NaHCOおよび塩水で洗浄し、NaSOを用いて乾燥し、濃縮し、酸性MeOHから3回沈殿させて、2.6 g(98%)の樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)開始剤を得た。
実施例20
3G (100 100 112)Clの合成。 メチルメタクリレート(6.4 g、64.1 mmol)、p-キシレン(12 mL)、開始剤3G(100100)SC(2.5 g、0.03 mmol)、触媒(CuO、42 mg、0.29 mmol)およびリガンド(ビフェニル-2,3-ジオール、91.1 mg、0.58 mmol)を50 mLシュレンクチューブに秤取した。凍結・減圧・解凍サイクルを4回行った後、チューブをアルゴンで満たし、反応混合物を90℃で加温した。チューブのアーム部に5分間以上アルゴンをパージしてから開け、密封シリンジで所定回数、試料を取り出した。試料をCDClに溶解し、H-NMRスペクトロスコピーにより転化率を測定した。所望の転化率(56%、Mth = 213,760)に達したところで、反応混合物をCHClで希釈し、短い塩基性アルミナカラムに通じて、触媒を除去し、冷ヘキサンから2回沈殿させた。生成物を濾取し、真空乾燥して、4.7 g (77%)の3G(100100112)Clを得た。Mn, GPC = 102,200, Mw/Mn = 1.19, Mn, SEC-MALLS= 189,300。
実施例21
3G (100 100 112 )Tの合成。 3G(100100112)Cl(3.5 g、0.016 mmol)、p-キシレン(20 mL)、終端化合物(0.62 g、0.96 mmol)、触媒(CuO、10.0 mg、0.10 mmol)、リガンド(ビフェニル-2,3-ジオール、31.5 mg、0.21 mmol)およびベンゼン(6 mL)を50 mLシュレンクチューブに入れた。凍結・減圧・解凍サイクルを4回行った後、チューブをアルゴンで満たし、反応混合物を110℃で加温した。チューブのアーム部に5分間以上アルゴンをパージしてから開け、水-ベンゼン共沸物を除去した。H-NMRスペクトロスコピーを用いて、対応するCl鎖終端の消失について反応をモニターした。8時間後、反応混合物を常圧に戻し、CHClで希釈した後、短い塩基性アルミナカラムを通して触媒と過剰の終端化合物を除去した。溶媒を留去し、濃縮高分子溶液を冷ヘキサンから2回および酸性メタノールから1回沈殿させ、2.9 g (90%)の3G(100100112)Tを得た。
実施例22
3G (100 100 112 )SCの合成。 200 mL CHCl中の3G(100100112)T (2.8 g、0.013 mmol)の希薄溶液を100 mL HCOH(1%)とともに25℃で激しく撹拌し、エマルジョンが安定した淡黄色になるまでClガスを通じた。CHCl相を分離し、HO、NaHCOおよび塩水で洗浄し、NaSOを用いて乾燥し、濃縮し、酸性MeOHから3回沈殿させて、2.6 g(92%)の 3G(100100112)SCを得た。
実施例23
3G (100 100 112 102)Clの合成。 メチルメタクリレート(5.48 g、54.8 mmol)、p-キシレン(27 mL)、開始剤 3G(100100112)SC(2.5 g、0.012 mmol)、触媒(CuO、64 mg、0.44 mmol)およびリガンド(ビフェニル-2,3-ジオール、139.5 mg、0.89 mmol)を50 mLシュレンクチューブに入れた。凍結・減圧・解凍サイクルを4回行った後、チューブをアルゴンで満たし、反応混合物を90℃で加温した。チューブのアーム部に5分間以上アルゴンをパージしてから開け、密封シリンジで所定回数、試料を取り出した。試料をCDClに溶解し、H-NMRスペクトロスコピーにより転化率を測定した。所望の転化率(51%、Mth = 464,080)に達したところで、反応混合物をCHClで希釈し、短い塩基性アルミナカラムに通じて、触媒を除去した後、冷ヘキサンから2回沈殿させた。生成物を濾取し、真空乾燥して、4.6 g (87%)の3G(100100112102)Clを得た。Mn, GPC = 168,200, Mw/Mn= 1.23, Mn, SEC-MALLS = 456,200。
本発明は上述のとおりであり、本発明の様々な改変または変更を行えることは自明である。そのような改変または変更は、本発明の本質および範囲から逸脱するものではなく、以下の特許請求の範囲に包含される。
本発明の方法Bに従って合成した3G(6)T のMALDI-TOF分析の結果を示すグラフである。
3G(20)Clから始まる3G(2027)Clの合成中に生成する中間生成物の500 MHz H-NMR分析の結果を示す一連の比較グラフである。
3G(20)Clから始まる3G(2027)Clの合成中に生成する中間生成物のGPC分析の結果を示す一連の比較グラフである。
(a)は、低重合度のポリ(メチルメタクリレート)を有する代表的な樹枝状巨大分子を示す図である。(b)は、中重合度のポリ(メチルメタクリレート)を有する代表的な樹枝状巨大分子を示す図である。(c)は、高重合度のポリ(メチルメタクリレート)を有する代表的な樹枝状巨大分子を示す図である。
(a)は、樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)3G(15263080)Clの世代数に対するMth、Mn,GPC、およびMn,SEC-MALLSの依存性を示すグラフである。(b)は、樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)3G(20272330)Cl世代数に対するMth、Mn,GPC、およびMn,SEC-MALLSの依存性を示すグラフである。(c)は、樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)3G(100100102112)Clの世代数に対するMth、Mn,GPC、および Mn,SEC-MALLSの依存性を示すグラフである。(d)は、樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)3G(213155)Tの世代数に対するMth、Mn,GPC、および Mn,SEC-MALLSの依存性を示すグラフである。
(a)は、樹枝状ポリ(メチルメタクリレート) 3G(15263080)Cl のGPC分析の結果を示すグラフである。(b)は、樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)3G(20272330)ClのGPC分析の結果を示すグラフである。(c)は、樹枝状ポリ(メチルメタクリレート) 3G(100100102112)ClのGPC分析の結果を示すグラフである。
3G(100100102112)Cl合成中の樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)のSEC-MALLS分析の結果を示すグラフである。
直線状ポリ(メチルメタクリレート)標準物質および3世代の樹枝状ポリ(メチルメタクリレート)の分子質量の変化を比較して示しているグラフである。
3G(100100102)ClのSEC-MALLSクロマトグラムを3次元描画した結果を示す図である。
(a)は、3G(100)Clについて、SEC-MALLSに対する濃度の影響と、溶出体積(Ve)に対する絶対分子量の依存性を示すグラフである。(b)は、3G(100)Clについて、SEC-MALLSに対する濃度の影響と、溶出体積(Ve)に対する絶対分子量の依存性を示すグラフである。
本発明の方法Bにより合成された3G(213155)TのGPC分析の結果を示すグラフである。
(a)は、本発明の方法により調製され、各種重合度を有しPMMA 鎖終端を有する樹枝状巨大分子を示す図である。(b)は、本発明の方法によって調製され、重合度0の樹枝状巨大分子を示す図である。(c)は、本発明の方法によって調製され、重合度1の樹枝状巨大分子を示す図である。(d)は、本発明の方法によって調製され、各種重合度を有し塩化スルホニル鎖終端を有する樹枝状巨大分子を示す図である。

Claims (20)

  1. 以下の工程を含み、重合と不可逆な多官能性反応開始停止剤との組み合わせを用いて従来のモノマーから樹枝状巨大分子を作製する方法:
    (a)多数のスルホニルハライド官能基を有する多官能性スルホニルハライド開始剤を用いて、モノマーの重合を開始し、該スルホニルハライド開始剤のスルホニルハライド官能基の数に応じた多数のアームを有する分岐高分子を生成させる工程;
    (b)チオカルバメート基を有する終端化合物を過剰に用いて該分岐高分子の末端を定量的に封鎖し、該分岐高分子の分岐1個以上の反応を停止する終端チオカルバメート基を有する終端反応停止分岐高分子を生成させる工程;および
    (c)酸化的塩素化により終端チオカルバメート基を脱マスキングして、スルホニルハライド基を生成させ、それによりマスキングしたスルホニルハライドを活性スルホニルハライド反応開始基にする工程。
  2. 前記工程(a)で生成された分岐高分子を単離する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程(b)で生成された終端反応停止分岐高分子を単離する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記工程(a)で生成された分岐高分子を単離する工程と前記工程(b)で生成された終端反応停止分岐高分子を単離する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  5. 工程(b)および(c)を1回以上繰り返すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記重合が活性ラジカル重合である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記活性ラジカル重合が触媒される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記活性ラジカル重合が金属触媒される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記活性ラジカル重合がCuO/ビフェニル-2,3-ジオールにより触媒される、請求項6に記載の方法。
  10. 前記モノマーが、メタクリレート、アクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  11. 前記モノマーがメチルメタクリレートである、請求項10に記載の方法。
  12. 前記スルホニルハライドがアリールスルホニルハライドである、請求項1に記載の方法。
  13. 前記ハライドが塩化物である、請求項1に記載の方法。
  14. 前記多官能性スルホニルハライド開始剤が三官能性である、請求項1に記載の方法。
  15. 前記三官能性スルホニルハライド開始剤が1,1,1-トリス(4-クロロスルホニルフェニル)エタンである、請求項14に記載の方法。
  16. 前記終端化合物が(1,1-ジメチルエチル)[[1-[3,5-ビス(S-フェニル 4-N,N’-ジエチルチオカルバメート)フェニル]エテニル]オキシ]ジメチルシランである、請求項1に記載の方法。
  17. 前記過剰の終端化合物が4倍過剰である、請求項1に記載の方法。
  18. 以下の工程を含み、活性ラジカル重合と不可逆な多官能性反応開始停止剤との組み合わせを用いて、従来のモノマーから樹枝状巨大分子を作製する方法:
    (a)3PSCを三官能性開始剤として用いて、CuO/ビフェニル-2,3-ジオールに触媒されたメチルメタクリレートの活性ラジカル重合を開始させ、3本のアームを有する星型高分子3G(n)Clを生成させる工程、
    ここで、3が三官能性コアを表し、Gが第1世代を表し、nがアーム1本あたりの重合度であり、Clが各アームの鎖終端部に存在する官能基である;
    (b)4倍過剰の終端化合物を用いて、該3G(n)Clの末端を定量的に封鎖して、3G(n)Tを生成させる工程、
    ここで、3G(n)Tの下付文字2が、重合度nのポリ(メチルメタクリレート)の終端にある各終端化合物分岐点から生成される新しいアームの数であり、各Tが終端化合物鎖終端である; および
    (c)該3G(n)Tの酸化的塩素化により3G(n)TのN,N’-ジエチルチオカルバメート基を脱マスキングして塩化スルホニル基にし、マスキングした塩化スルホニルを活性アリール塩化スルホニル反応開始基に変化させ、3G(n)SCを生成させる工程、
    ここで、SCが第2世代の3G(nm)Clを生成させるためのメチルメタクリレートの金属触媒活性ラジカル重合を開始させる塩化スルホニルであり、ここで、mが上記第2世代に由来するポリ(メチルメタクリレート)のアーム1本あたりの重合度である。
  19. 前記終端化合物が(1,1-ジメチルエチル)[[1-[3,5-ビス(S-フェニル 4-N,N’-ジエチルチオカルバメート)フェニル]エテニル]オキシ]ジメチルシランである、請求項18に記載の方法。
  20. 以下の工程を含む方法によって生成される樹枝状巨大分子:
    (a)多数のスルホニルハライド官能基を有する多官能性スルホニルハライド開始剤を用いてモノマーの重合を開始し、該スルホニルハライド開始剤が有するスルホニルハライド官能基の数に応じた多数のアームを有する分岐高分子を生成させる工程;
    (b)チオカルバメート基を有する終端化合物を過剰に用いて該分岐高分子の末端を定量的に封鎖し、該分岐高分子のアームの1本以上の反応を停止させる終端チオカルバメート基を有する、終端反応停止分岐高分子を生成させる工程;
    (c)酸化的塩素化により終端チオカルバメート基を脱マスキングしてスルホニルハライド基を生成させ、それによりマスキングされたスルホニルハライドを活性スルホニルハライド反応開始基に変化させる工程;
    (d)必要に応じて、工程(b)および(c)を繰り返す工程;および
    (e)該樹枝状巨大分子を単離する工程。



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