本発明はここにおいて特定の適用に対する例示的な実施形態を参照して説明されているが、本発明はそれに限定されないことを認識すべきである。当業者は、その技術的範囲内における付加的な修正、適用および実施形態、ならびに本発明が非常に有用なものとなる付加的な分野を認識するであろう。
本発明は、固体ウェハ上における小型増幅器のアレイの擬似光学的空間パワーを使用して高エネルギ密度および高電力レベルのRF/ミリメートル波放射線を生じさせるように設計されている。このアレイの各セルは、放射線を受信すると共にその増幅された信号をそれが受信されたほぼ同じ方向に再送信して戻す反射増幅器を備えている。アレイから出ていく放射線は、個々の増幅器の特性によって修正された反射に物理的に似ている。この出ていく増幅された放射線は、コヒーレントな波面としてアレイを離れる。
個々の増幅器素子は、モノリシックな固体ウェハ上に製造されている。これらの素子は、個々の増幅器にダイスに切断されているのではなく、実際の固体ウェハまたはウェハのサブセット上に適切なバイアスおよび接地レベルで電気的に一緒に接続されている。これによって、アレイ全体は直径が典型的に3乃至4インチの固体ウェハ上に製造され、電気的にバイアスされることが可能になる。W帯域ミリメートル波領域において動作しているとき、これはウェハ当り1,000個程度の増幅器を可能とする。各固体増幅器は100mW程度に制限されるため、そのウェハ電力出力は100ワット程度となる。
アンテナ理論から、アレイ素子は波長に関して小さいことが必要とされる。個々のアレイ素子上において、増幅器は一辺の寸法が0.5乃至1.0波長以下に形成される。アレイ素子は、2つの偏波のアンテナ、バイアスおよび接地配線ならびに増幅器を備えている。全ての素子は固体ウェハ上に形成されている。
例示的な実施形態において、入射した放射線は偏波され、出ていく放射線は直交偏波にシフトされる。増幅器毎に2つのパッチアンテナが使用される。入射アンテナは、アレイに入ってきた放射線と同じ偏波を有し、出ていく放射線は送信アンテナに対して直交する平面のものである。
図1は、本発明の教示にしたがって構成されたモノリシックなミリメートル波能動反射アレイの概略図である。このアレイ100は、W帯域において入射エネルギ104を発生する通常の低電力ソース102によってフィードされる。アレイ100は、モノリシック基板300上に配置された複数のセル200を備えている。示されている実施形態において、モノリシック半導体基板300はインジウム燐化物(InP)である。モノリシック半導体基板300は、冷却を行う冷却プレート400に接触している。
図2は、図1のセルのアレイ100の個々のセル200の高レベルのブロック図である。本発明の好ましい実施形態において、各セル200は、モノリシック半導体基板300において導かれた入射エネルギの波長に関して小さいように設計されている。したがって、例示的な実施形態においては、各セル200は、その幅および高さの寸法が0.5乃至1.0波長以下であるように設計されている。当業者は、本発明がセルのその寸法に限定されないことを認識するであろう。
図2に示されているように、各セル200は入射エネルギを受信する受信パッチアンテナ204と、増幅器206と、送信アンテナ208とを備えている。セル200は入射エネルギ104を受信するように配置されている。受信されたエネルギは増幅器206によって増幅され、送信パッチアンテナ208により再送信される。セル200のアレイは入射エネルギ104を反射し、反射されたエネルギ108を生成する。最良モードにおいて、受信パッチアンテナ204によって受信された入射エネルギは、受信アンテナ204に関して第1の偏波を有し、送信パッチアンテナ208により発生された反射されたエネルギは、送信アンテナ208に関して第2の偏波を有し、その第2の偏波は第1の偏波に直交している。反射されたエネルギ108はコヒーレントに反射され、したがって高パワー波面110を形成する(図1参照)。当業者は、本発明がパッチアンテナの使用に限定されないことを認識するであろう。
最良モードにおいて、アレイ100は、所定の寸法、高い効率および低いコストで高出力パワーを得られるように最適化されている。本発明の顕著な特徴は、幾千個もの低電力ミリメートル波増幅器を使用して高電力エネルギレベルを生じさせることができる実用性である。
図1を参照すると、電力出力および電力密度を最大にするために、各素子の電力が最大化されなければならない。これはウェハ300を冷却プレート400に直接取付けて熱を除去すると共に個々の増幅器の温度を所定の出力に対して信頼できるレベルに低下させることによって行われる。理想的には、素子の熱の冷却が最大化されるように、ウェハは非常に薄い接着材料だけによって冷却プレートに直接取付けられる。相互接続配線は効率的に冷却されなければならない。冷却プレート400は、本発明の技術的範囲を逸脱することなく、増幅器のデューティサイクルの力学に応じて、ヒートシンク、熱電冷却装置または液体冷却板のようないくつかの形態をとることができる。
図3は、図1のアレイの単一のセルの拡大された部分的な分解図である。一般に、最良モードにおいて、固体基板の非常に薄い層が可能な限り高い熱伝導率の材料を使用して形成される。その後、層が追加されて付着され、エッチングされ、電気的な相互接続、コンポーネント、増幅器、および接地平面の全てが形成される。以下さらに詳細に説明するように、2重偏波アンテナ構造は最上部の層に配置される。
本発明の教示の例示的な実施形態によると、モノリシックInP基板300が通常の方法で形成される。その後、通常の製造技術を使用してこの基板に第1の金属層304が供給される。この第1の金属層304は、セル200に対する直流給電ラインとして機能する。この第1の金属層に対して、酸化物の第1の層(示されていない)がセル形成時に中間層として設けられる。その後、第2の金属層306が供給される。この第2の金属層306は、セルの直流接地体として機能し、増幅器回路206を備えている。さらに、この第2の金属層306は、上部層を下部金属層304および基板302に接続する貫通孔のための中間層として機能する。酸化物の第2の層がセル形成時の第2の中間層として供給される。最後に、パッチアンテナが第3の金属層310において形成される。
例示的な実施形態においては、モノリシックインジウム燐化物(InP)半導体基板が使用されている。結晶および汚染欠陥を減少させるためにこの基板上にエピタキシャル層が形成される。本発明の例示的な実施形態においては、基板の寸法はほぼ4インチ×4インチである。
1つのセル中に含まれている増幅器回路およびアンテナ回路のパターンは、その基板中においてマスクにより構成される。半導体装置の各層は、特定のマスクを使用して形成される。そのマスクは増幅器回路設計およびアンテナ回路設計素子を含んでいる。増幅器回路設計およびアンテナ回路設計は共に、パターン生成装置(たとえば、コンピュータグラフィック回路設計装置)を使用して形成され、このパターン生成装置は回路設計データベースによって駆動される。マスクは設計配線略図としてスタートし、その後InP基板中に形成されるレイアウトに変換される。完成したマスク製品は、リクチクル(recticle)と呼ばれる。InP基板はフォトレジスト材料で被覆される。フォトリソグラフプロセスにおいて、増幅器およびアンテナ設計を含むマスクは光源によりレンズ系を通って基板上に露光される。その後、マスクは基板の隣の領域に歩進して移動され、基板が完全に露光されるまでプロセスが繰返される。(たとえば、これはしばしばステップおよび繰返しプロセスと呼ばれる)。
例示的な実施形態において、ウェハ全体(たとえば、4インチ×4インチ)またはウェハの広いサブセクション(たとえば、0.5’’から0.5’’)に対して、電子ビームリソグラフィのような別のウェハ製造技術もまた使用可能である。本発明は何等かの特定の製造技術に制限されないが、ここでは2つの方法について説明する。第1の方法において、特定の回路の入力および出力フィードは、1つのマスクに対する出力が第2のマスクに対する入力と物理的に整列するように設計される。その結果、ステップおよび繰返しプロセスの後、基板上の各回路に対する入力および出力が整列し、基板全体にわたる単一の一体化した回路を生成する。
第2の方法において、1つのマスクは2重マスクセットにより構成される。必要とされる電力および出力接続を含む大きいほうのマスクが基板全体中にエッチングされる。この大きい方のマスクはInP装置において適切なレベルで構成され、電力伝導(たとえば、電力線マスク)を容易にする。その後、第2の、小さいほうの集積回路マスクを使用して集積回路を基板中にエッチングする。この第2のマスクは高分解能マスクであり、第2のマスクからの集積回路が第1のマスクから基板中にエッチングされた電力線接続と整列するように設計されている。
設計を基板中にエッチングする2つの方法に加えて、可能な限り多くのセルが直列に配置されるように、マスクが設計されており、また、ステッパー機能が行われる。これによって、高い電圧および低い電流を使用することができる。その結果、最終的な回路は、抵抗損失が低くなり、金属ライン幅が小さくなり、熱発生率が低くなる。エッチングプロセス(湿式または乾式)を使用して、フォトレジストパターンの存在しない酸化物が除去される。その後、フォトレジストは基板から剥離され、基板上に酸化物パターンを残す。その後、酸化物層を成長させるために基板が高温にさらされる。
酸化物は、ドーパントの化学物質が表面上に付着され、基板中に拡散されたときにバリアとして作用する。代りに、ドーパントはInP表面にイオン注入されてもよい。導入されたイオンは、異なった特性を有する領域を生成する。これらの領域がトランジスタのソースおよびドレインとなる。付着プロセスが行われ、このときトランジスタのゲート領域を形成するために1つの開口が酸化物中に形成される。薄いゲート酸化物または窒化シリコンがゲートとInPとの間の絶縁体として作用するように化学蒸気付着法(CVD)プロセスによって付着される。これに続いて、トランジスタのゲートを形成するために導電性ポリシリコン層の物理的気相付着法(PVD)または“スパッタリング”が行なわれる。
形成されたトランジスタを絶縁し、あるいは保護するために種々の酸化物が成長され、あるいは付着される酸化プロセスが行なわれる。各トランジスタをその隣接するパートナーから絶縁するためにディープフィールド(deep field)酸化物が成長される。トランジスタを相互接続層から絶縁するために誘電体の絶縁酸化物が付着される。後に、完成した基板の表面を損傷から保護するために、その上面にパシベーション酸化物が付着される。
相互接続は、上述したフォトリソグラフプロセスを使用して形成される。コンタクトホール(たとえば、貫通孔)がトランジスタ領域にエッチングにより形成され、回路接続が確立する。その後、金属被覆が行われる。その表面上に、および貫通孔中にアルミニウムのような金属物質の層が付着される。別のフォトリソグラフプロセス後、過剰なアルミニウムはエッチングにより除去され、所望の相互接続パターンが残る。アルミニウムの第1の層をそれに隣接するものから絶縁するために誘電体絶縁酸化物の別の層が付着される。各ステップにおいて、表面輪郭が生成される。化学機械平面化(chemical Mechanical Planarization)のような技術を使用してウェハの表面が滑らかに研磨される。滑らかな表面は、後続する工程でフォトリソグラフの焦点深度を維持し、また、アルミニウム相互接続が確実に歪まないようにする。
その後、層が相互接続される。下方の層へのアクセスを可能にするために、誘電体の絶縁酸化物において別の貫通孔のセットがエッチングされる。コンタクトプラグ(しばしばタングステン)が貫通孔中に付着され、下方の層に到達して接触する。アルミニウムの次の層が付着され、パターン化されてエッチングされる。このプロセスは設計に対して必要とされる相互接続層の数だけ繰返される。本発明においては、この繰返されるプロセスは、金属および酸化物層の遮蔽および誘電特性を整合し、管理することにより1つのセルを形成する。
図4は、本発明のアレイの個々のセル200のW帯域半導体のレイアウトを表している。図4において、増幅器206はRF整合ネットワークを備えている。このRF整合ネットワークは入力整合回路402、トランジスタ/キャパシタネットワーク404、および整合回路406を備えている。直流(DC)電力は直流給電ライン408を通ってネットワークに供給される。第1の絶縁インダクタ410は直流電力をRF整合ネットワークから絶縁する。接地平面に接続されたキャパシタは符号412で示されている。直流接地は符号418で示されている。第2の絶縁インダクタ416はRF整合ネットワークを接地電位から絶縁している。第2のキャパシタは符号414で示されている。キャパシタ404、412および414は、直流電力をRFパワーから絶縁すると共に、RF入力整合ネットワークをRF出力整合ネットワークから絶縁している。
図5は、本発明の教示による図1のアレイに対するパッチアンテナを備えた多段増幅器を示している。図5において、第1の金属層は符号500で示されている。この第1の金属層500は、モノリシック半導体装置に対する直流給電ラインとして機能している。増幅器ネットワーク506は、この第1の金属層500中において構成される。第2の金属層502が示されている。この第2の金属層502は、モノリシック半導体装置に対する直流接地体として機能する。第3の金属層504もまた示されている。パッチアンテナ510はこの第3の金属層中に構成されている。パッチアンテナ510は、1つの波形のひだの広帯域パッチまたは2層の波形のひだの広帯域パッチにより構成されることができる。複数のビア(via)512は、第1の金属層500と第2の金属層502と第3の金属層504との間に直流接続を設定する。パッチアンテナへの入力は符号514で示されており、パッチアンテナからの出力は符号516で示されている。増幅器ネットワーク506は、直流電力に関して直列に、また、RF信号に関して並列に設計されている。直流給電ライン(たとえば、第1の金属層500)および直流接地体(たとえば、第2の金属層502)は共に、第3の金属層504を越えて延在しているため、個々のセルが結合されて1つのアレイを形成したとき、単一の回路がセルの間に生じることを認識すべきである。
各個々のセル200において、第1の金属層500は重複部分518を含んでいる。この重複部分518は、セルのアレイ中の各セルに単一の直流給電ラインを提供するように構成されている。第2の重複部分は符号520で示されている。第2の金属層502はこの第2の重複部分520を含んでおり、セルのアレイ中の各セルに対して単一の直流接地電位を提供するように構成されている。その結果、セルのアレイ中の各セルは結合して、単一の直流給電ラインおよび単一の直流接地体を備えた単一の回路を形成する。
エネルギは空間中に放射される必要はなく、それはまたインライン増幅器構成において使用されることができる。
当業者はまた、製造に対して最適化されたアレイ寸法を考慮して増幅器素子のアレイを組立てることが可能であることを認識するであろう。その後、必要とされる出力電力レベルを発生させるのに十分な素子が得られるまで、そのアレイ素子を冷却板上に張付けることができる。
以上、本発明を特定の適用に対する特定の実施形態を参照して説明してきた。当業者は、本発明の技術的範囲内の付加的な修正、適用および実施形態を認識するであろう。
したがって、添付された特許請求の範囲は、本発明の技術的範囲内における任意および全てのこのような適用、修正および実施形態をカバーするものである。