JP2006525236A - 薬剤耐性の治療組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 薬剤耐性モジュレータ及び治療剤を協調的態様で疾患部位ないし薬剤耐性ターゲットへ送達すること。
【解決手段】 少なくとも1つの治療剤と少なくとも1つの薬剤耐性モジュレータとを含むと共に、当該治療剤及び薬剤耐性モジュレータと安定的に結合した送達媒体組成物。

Description

関連出願
本出願は、2003年4月2日に出願された米国特許出願第60/460,255号の米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張する。なおこの文献は引用をもって本書に繰り込みここに記載されているものとみなす。
本発明は、治療剤及び薬剤耐性モジュレータを薬剤耐性ターゲットへ送達するための組成物及び方法に関する。とりわけ、本発明は、複数の治療剤及び複数の薬剤耐性モジュレータのコンビネーション(組合せ、併用物)を薬剤耐性ターゲットに供給する50〜300nmの範囲のサイズの送達媒体組成物に関する。
薬剤耐性は、癌並びに細菌及びウイルス感染の有効な治療に対する主要な障害である。癌の治療では、多くの腫瘍は、最初は、化学療法剤に対し反応するが、最終的には、化学療法に対する耐性を生じる(Gioccone et al., Eur J Cancer (1995):31A (Suppl 7): 15-17)。更に、癌の中には、化学療法に対し本来的に耐性であるものもあり得る。腫瘍における薬剤耐性に寄与する機構は多数知られている。例えば、薬剤流出ポンプの過剰発現、DNA修復機構活性の増加、薬剤標的酵素の改変及び薬剤解毒及び排出に関与する酵素の過剰発現がそれである。化学療法的アプローチの多くは究極的にアポトーシスを介して抗癌効果を引き起こすので、アポトーシス制御のレベルの変化により、薬剤耐性を引き起こし得る更にもう1つの別の機構が生じる。抗細菌治療の場合は、抗生物質耐性のための基本的機構は、プラスミドによって運搬される耐性遺伝子の存在に基づく。このようなプラスミドは、細菌細胞及び種の内部で独立的に複製され、かつ細菌細胞及び種間で往来する。
多くの研究グループが、耐性ターゲットの感受性を増強するために、伝統的な治療剤と薬剤耐性モジュレータとを併用した。このアプローチの背景をなす原理は、治療剤の効果を実現可能にするために薬剤耐性を引き起こす機構を遮断することであった。例えば、アポトーシス調節タンパク質Bcl−2によるプログラム細胞死の遮断(阻害)も、化学耐性を引き起こす機構に関係付けられた。Bcl−2アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドG3139とリポソームドキソルビシンのコンビネーションは、それぞれ単独で用いた治療した場合又はMDA435/LCC6細胞株においてG3139が遊離型ドキソルビシンと併用された場合(Lopes de Menezes, et al., Clin Cancer Res (2000) 6:2891-2902)よりもより効果的であることが示されている。癌の薬剤耐性を治療するための他のアプローチは、多くの薬剤耐性細胞で発現されるよく特徴がわかっているp−糖タンパク質(P−gp)薬剤流出ポンプの阻害を含む。P−gp阻害剤PSC833との組合せによる抗癌剤の治療活性の相当の改善が固形腫瘍MDRモデルにおいて示されている(Boesch, et al., Cancer Res (1991) 51:4226; Watanabe et al., Acta Oncol (1995) 34:235; and Krishna et al., Int. J. Cancer (2000) 85:131-141)。しかしながら、PSC833は、同時投与される場合、薬剤動態及び体内分布特性に関する著しい変化のため患者に毒性を引き起こすことが示されている(Lum and Gosland, Hematol 0ncol Clin North Am (1995) 9:319)。
薬剤耐性の機構に関する我々の理解が大いに進歩したにも関わらず、当該障害を治療する能力(機能)は、薬剤耐性と戦うために併用される複数の剤は全身投与後有利な薬剤動態を示さないこともあるという事実によって複雑化(悪化)されている。極めて有害な副作用を誘導することなく薬剤耐性を治療するために協調して作用しなければならない2又は3以上の剤の薬理作用を制御しようとする試みが大いに行われている。更に、薬剤耐性の治療は、薬剤耐性は多面的現象であることが多くかつ多数の相互作用経路が薬剤耐性の発生を制御するという事実のため複雑化(悪化)されている。従って、治療剤(複数)の臨床的活性の改善に大きなインパクトを与えるために複数の経路及び細胞内タンパク質が同時に標的される、薬剤耐性と戦うための多機能的アプローチに対する必要性があることも明らかである。
この発明は、薬剤耐性ターゲットを治療するために協調して作用しなければならない複数の剤の薬理作用を制御するという以前直面していた困難を克服する。本発明は、薬剤耐性モジュレータと治療剤とのコンビネーション(組合せ)を、それらが配合された処方物の薬物動態を制御することにより多剤耐性と戦うために送達することが可能であることを認識する。これは、送達媒体にこれらの剤を安定的に結合することによって達成される。そのような送達媒体は達成されるべき適切な治療上の利点のために増強された血中安定性を示さなければならないということも認識されている。運搬体(送達媒体)の血中安定性の増強は、細網内皮系(RES)及び/又は単核食細胞系による取り込みを阻害するサイズの範囲の送達媒体を調製することによって及び/又は送達媒体に適当な表面安定化成分を組み込むことによって達成され得る。更に、同一の細胞内で生起する複数の(複合的)機構が薬剤耐性の生成を引き起こし得ることも認識されている。これら独立の機構の調節は、組み合わされた2又は3以上の薬剤耐性モジュレータの送達によって達成することができる。この場合も、これは、モジュレータを送達媒体に安定的に結合することによって及びそれらが配合された処方物の薬剤動態を制御することによって達成される。
Rahman et al., in Journal of the National Cancer Institute (1992) 84 (24): 1909-1915は、二重層内部にカルジオリピンが組み込まれたドキソルビシン含有リポソームは、p−糖タンパク質を発現するHL−60細胞内の薬剤耐性を調節することを示した。このリポソームとp−糖タンパク質との直接的相互作用が薬物耐性の克服の原因であったということが報告された。このリポソームは小単一ラメラリポソーム(SUV)であったが、そのようなリポソームは静脈内投与後循環寿命の毀損を示すことが知られている。従って、これらの論文に記載された薬剤運搬系は、腫瘍部位に到達するための十分な時間の間循環中に残存する能力がないため治療上の利点は限定されているであろう。
Matsuo et al., Journal of Controlled Release (2001) 77:77-86によって、MRK−16即ちp−糖タンパク質薬剤流出ポンプに対する非ヒト化モノクローナル抗体で修飾されたビンクリスチン含有リポソームはインビトロで耐性細胞の感受性を増強することができたということが最近報告された。この結果は、該抗体を含有するリポソームに被包されたビンクリスチンのK−562/ADM細胞に対する細胞毒性は、IgGを含有する対照リポソームに被包されたビンクリスチンのものよりもより大きかったということを示している。これらの結果はMDRの治療に有望であるように見えるが、この論文に記載されたリポソームの平均直径は400nmより大きいが、そのように大きなサイズの運搬体は血流中において不安定でありかつREB及び/又はMPSによる取り込みを受けやすいであろう。更に、抗体でリポソーム表面を修飾することにより、免疫系の細胞によって迅速に認識されるため取り込みも迅速に行われることが知られている(Shek, et al., Immunology (1983) 50(1): 101-6; Aragnol, et al., Proc Natl Acad Sci USA (1986) 83 (8): 2699-703)。
Wu et al.は、W098/50018において、薬剤耐性を克服するために化学療法剤及び化学増感剤を含有するミクロスフェア送達媒体を使用することを記載している。ミクロスフェアは、化学療法剤及び化学増感剤と結合する(複数の)官能基を有する生分解性重合体重合体マトリックスを含有する。薬剤耐性マウス腫瘍モデルへのミクロスフェアの腫瘍内注入を実行したところ、腫瘍の増殖の遅れが観察された。これらの結果も有望であるように思われるが、ミクロスフェアは全身投与に修正(適合化)する余地のないサイズ(一般的には40〜200μm)の送達媒体である。
Soma et al., Biomaterials (2000) 21: 1-7は、多剤耐性の治療のための、ポリアルキルシアノアクリル酸ナノパーティクル内へのシクロスポリンA(CyA)とドキソルビシンとの共通カプセル化(co-encapsulation)の成功について報告している。この実験で採用されているナノパーティクルは200nmより大きいものであった。
本発明は、50〜300nmの範囲のサイズの送達媒体組成物を用いて1つの薬剤耐性モジュレータ及び1つの治療剤又は2つの薬剤耐性モジュレータを投与する方法に関する。送達媒体でのカプセル化により、薬剤耐性モジュレータ及び治療剤を、協調的(coordinated)態様で疾患部位へ送達することが可能となる。本発明の組成物の薬剤動態(PK)は、送達媒体自身によって制御され、その結果(送達システムのPKが同等(comparable)であるならば)協調的送達が達成される。50〜300nmのサイズ範囲の送達媒体を投与することにより、結合された剤は標的(ターゲット)部位に送達されるため、所望の治療効果が達成される。これは、細網内皮系(RES)及び単核食細胞系(MPS)による取り込みの減少及び血流中における安定性の向上のためであろう。この結果は、複数の剤が送達媒体に共通カプセル化される(co-encapsulated)か、送達媒体に別々にカプセル化されるかに関わらず達成可能である。
従って、1つの側面では、本発明は、(1つの)薬剤耐性モジュレータと(1つの)治療剤とを含む非経口的投与のための(1つの)送達媒体組成物を提供する。送達媒体のサイズは50〜300nmであるが、この値は血液区画からのクリアランスの低下を考慮している。インビボでの安定性も、運搬体の循環寿命を向上する送達媒体内部の安定化成分の組み入れによって達成することができる。他の一側面では、本発明は、本発明の組成物を投与することにより(1つの)治療剤と(1つの)薬剤耐性モジュレータとを所望の標的(ターゲット)に送達する方法に関する。
更に、本発明は、第1送達媒体と安定的に結合した(1つの)薬剤耐性モジュレータと第2送達媒体と安定的に結合した(1つの)治療剤との投与による治療有効量の薬剤耐性モジュレータ/治療剤コンビネーションを送達する方法に関する。第1及び第2送達媒体は、別々のバイアルに含有可能であり、バイアルの内容物は患者に対し同時又は順次に投与することができる。一実施形態では、薬剤耐性モジュレータと治療剤の割合は非拮抗的である。
他の一側面では、本発明は、2又は3以上の薬剤耐性モジュレータのコンビネーションを含む(1つの)送達媒体組成物を提供する。そのような組成物の投与は、薬剤耐性を引き起こす複数の(複合的)機構に対して向けられた複数の薬剤耐性モジュレータの送達を考慮している。送達媒体組成物は、更に、遊離型又は送達媒体と安定的に結合された1又は2以上の治療剤を含む。更に、本発明は、2又は3以上の薬剤耐性モジュレータのコンビネーションを含む(複数の)送達媒体組成物の投与に関する。
他の一側面では、本発明は、治療有効量の1又は2以上の薬剤耐性モジュレータのコンビネーションであって、個々の薬剤耐性モジュレータが別々の送達媒体と安定的に結合されたものを送達する方法に関する。送達媒体(複数)は別々のバイアルに含有可能であり、バイアルの内容物は患者に対し同時又は順次に投与することができる。一実施形態では、薬剤耐性モジュレータ(複数)の割合は非拮抗的である。
薬剤耐性モジュレータ(複数)及び/又は治療剤(複数)が共通カプセル化され(co-encapsulated)ず、別々の送達媒体に安定的に結合される場合は、これら送達媒体の薬剤動態は協調的であるべきである。ここに、「協調的薬剤動態」とは、複数の送達媒体が、被検体に投与されたときターゲットないし組織に同じ割合の活性成分を送達するように振舞うことをいうものとする。
1つの側面では、本発明の方法は、薬剤耐性の治療を目的とした(1つの)送達媒体組成物に(1つの)治療剤と(1つの)薬剤耐性モジュレータとを安定的に結合することを含む。これは、50〜300nm、好ましくは50〜200nmのサイズの送達媒体を調製することによって達成することができる。更に、送達媒体は、血中安定性を向上するための脂質又は非脂質成分を含むことができる。治療剤及び薬剤耐性モジュレータのコンビネーションは、インビトロで薬剤耐性ターゲットに対する生物学的効果を示すべきである。薬剤耐性が、(1つの)治療剤と(1つの)特定の薬剤耐性モジュレータとのコンビネーションによって克服可能か否かを決定するために標準的なインビトロアッセイを実行することができる。
他の一側面では、本発明は、2又は3以上の薬剤耐性モジュレータを1又は2以上の治療剤と組み合わせて(1つの)送達媒体組成物に安定的に結合することを含む。治療剤は遊離型であっても送達媒体と安定的に結合されていてもよい。
複数の治療剤と、1つの薬剤耐性モジュレータ又は2又は3以上の薬剤耐性モジュレータとを1つの送達媒体に共通カプセル化することは有利であるが、必須的ではない。粒状運搬体は類似する薬剤動態を共有し得るので、これらの物質は、たとえ別々にカプセル化されたとしても、処方物(組成物)からの協調的送達を受ける。
送達媒体
送達媒体は、リポソーム、脂質ミセル、リポタンパク質ミセル、脂質安定化エマルジョン及び重合体−脂質ハイブリッドシステム等の脂質運搬体を含むことができる。重合体ナノパーティクル、ブロック共重合体ミセル、シクロデキストリン及び誘導体化単鎖重合体も使用することができる。
本発明での使用に好適な脂質運搬体はリポソームである。リポソームは、Liposomes: Rational Design(A. S. Janoff, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, NY)に記載されているように調製することもできるし、当業者に既知のその他の方法によって調製することもできる。本発明での使用に好適なリポソームとしては、50〜300nmのサイズ範囲に含まれている限りにおいて、大単一ラメラ小胞(LUV)、多重ラメラ小胞(MLV)及び指状突起融合リポソーム等が該当する。
リポソームの生成に使用可能な脂質コンビネーションは多数存在することは当業者には周知である。リポソームは、当該運搬体(リポソーム)の血中残留時間を特異的に増進する安定化脂質の組み入れ(導入)によって調製することもできる。そのような脂質としては、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルイノシトール(PI)、コレステロール(Chol)及び親水性重合体−脂質コンジュゲート等が該当する。PEG−脂質コンジュゲートのような重合体−脂質コンジュゲートは、反応性成分を含むリポソーム表面を免疫的認識から保護するために使用することができる。PEGのような表面安定か重合体の導入は、ホスファチジルセリンのような脂質又は抗体を含むリポソームを安定化するために使用することができる。リポソーム組成物にそのような成分を組み入れても、PEGのような表面安定化剤がなければ、リポソームは循環からの急速な認識・クリアランスを受ける。従って、血液成分との相互作用に対する保護を受けない抗体のような表面成分を含むリポソームは、本発明での使用には好ましいとはいえない。任意的に、本発明のリポソームは、そのような反応性成分を含まないか、又は低レベルの当該成分を含む。そのような処方物の一例は、ホスファチジルコリンのような天然脂質成分を含む処方物である。本発明の種々の実施形態では、凝集を阻止して運搬体の血中残留時間を増進するために、PG又はPIを含有するコレステロール低含有リポソーム(全脂質に対するコレステロールが30モル%未満)を使用することができる。リポソームは、カルジオリピンを含まないのが好ましい。
好適なサイズの安定なリポソームを調製するために多くの方法を使用することができる。とりわけ好ましい方法は、大単一ラメラ小胞(LUV)の生成に使用される押し出し(extrusion)法である。この方法は、まず、脂質をクロロホルムに混合して所望のモル比を得ることを含む。生成混合物を窒素ガス通気で乾燥し、真空ポンプに置いて溶媒をほぼ完全に除去する。次に、このサンプルは、カプセル化されるべき所望の化合物を含む適切な水溶液中で水和する。次に、その混合物を押し出し装置(例えば、Northern Lipids, Vancouver, Canadaの装置)を通過させて、規定のサイズのリポソームを生成する。任意的に、超音波処理を行って、20〜50nmのサイズ範囲の小単一ラメラリポソーム(SUV)を生成することもできる。超音波処理によって調製されたリポソームは本発明での使用には好ましいとはいえない。
リポソームを構成する脂質成分の飽和度及びアシル鎖の長さは、至適な薬剤貯留を考慮して調節することができる。リポソームに導入するための脂質は、体温異常の遷移温度の達成を基準として選択することができる。リポソームに37℃以上の遷移温度を付与する脂質の例には、そのアシル鎖が飽和されておりかつ炭素原子を16個より多く含む脂質が含まれる。とりわけ好適な脂質の一例はDSPCである。
活性成分をリポソームでカプセル化するために使用できる方法は数多くある。好適なローディング法としては、例えば、伝統的な受動的及び能動的封入(passive and active entrapment)法がある。カプセル化の能動的方法としては、例えば、米国特許第5,616,341号、同第5,736,155号及び同第5,785,987号に記載されたpHグラジエントローディング法が含まれる。pHグラジエントローディングの好ましい方法は、pH4.0の内部バッファとしてのクエン酸と中性の外部バッファを使用するクエン酸系ローディング法である。リポソームにわたってpHグラジエントを形成・維持するために使用される他の幾つかの方法では、リポソーム膜内に挿入されかつプロトンと引き換えに膜を介してイオンを運搬することができるイオノフォアを利用する(米国特許第5,837,282号参照)。イオノフォアがない場合に錯体生成による薬剤のリポソーム内への取り込みを駆動する遷移金属を使用する最新の技術を使用することもできる。この技術は、薬剤の取り込みを駆動するpHグラジエントの形成ではなく寧ろ薬剤-金属複合体(錯体)の形成に基づいている。
ミセルは、疎水性コア内に存在する弱可溶性剤の送達のために使用される両親媒性脂質又は重合体成分から構成される自己組織性(自己集合性)の粒子である。ミセル送達媒体の調製のために多くの手段を使用することができ、かつこれらは当業者であれば容易に実行することができる。例えば、脂質ミセルは、Perkins, et al., Int. J. Pharm. (2000) 200(1):27-39(この文献は引用をもって本書に繰り込みここに記載されているものとみなす。)に記載されているように調製することができる。リポタンパク質ミセルは、低密度リポ蛋白質、高密度リポ蛋白質及びカイロミクロンを含む天然又は合成リポタンパク質から調製することができる。脂質安定化エマルジョンは、脂質の単層又は二重層のようなエマルジョン化成分によって安定化されたオイル充満コア(oil filled core)を含有するようにして調製されるミセルである。このコアは、トリアシルグリセロール(コーン油)のような脂肪酸エステルを含むことができる。単層又は二重層は、DSPE−PEGのような親水性重合体脂質コンジュゲートを含むことができる。これら送達媒体は、重合体脂質コンジュゲートの存在下でのオイルの均質化によって調製することもできる。脂質安定化エマルジョンに導入される剤は、通常、低水溶性である。ステアリン酸エステル又はポリ(エチレンオキシド)ブロック-ポリ(ヒドロキシエチル-L- アスパルタミド)及びポリ(エチレンオキシド)-ブロック-ポリ(ヒドロキシヘキシル-L-アスパルタミド)のミセルのようなリポタンパク質に類似する特性を示す合成重合体アナログも、本発明の実施に使用することができる(Lavasanifar, et al., J. Biomed. Mater. Res. (2000)52:831-835)。
シクロデキストリンは、そのポケット内に非水溶性の薬剤を収容することができるポケット形成性水溶性のオリゴ糖から構成される。剤は、当業者に既知の方法を用いてシクロデキストリン内にカプセル化され得る。例えば、Atwood, et al., Eds., "Inclusion Compounds," Vols. 2 & 3, Academic Press, NY (1984); Bender, et al., "Cyclodextrin Chemistry," Springer-Verlag, Berlin (1978); Szeitli, et al., "Cyclodextrins and Their Inclusion Complexes," Akademiai Kiado, Budapest, Hungary (1982) and WO 00/40962参照。
ナノパーティクル及びマイクロパーティクルは、重合体シェルによって包囲された(ナノカプセル)又は重合体マトリックス全体にわたって分散された固体又は液体としての(ナノスフェア)薬剤の濃縮コアを含むことができる。ナノパーティクル及びマイクロパーティクルを調製するための一般的方法は、Soppimath, et al. (J. Control Release (2001) 70(1-2): 1-20) に記載されている。これについては引用をもって本書に繰り込みここに記載されているものとみなす。50〜200nmのサイズ範囲のナノパーティクルは本発明での使用にとって好ましい。使用可能なその他の重合体送達媒体としては、例えば、親水性シェルによって包囲された疎水性コアを含有する薬剤を含むブロック共重合体ミセルが該当する。これらは、一般的に、疎水性薬剤の運搬体として使用され、Allen, et al., Colloids and Surfaces B: Biointerfaces (1999) Nov 16(1-4):3-27に記載されているようにして調製することができる。重合体−脂質ハイブリッドシステムは、脂質単層によって包囲された重合体ナノパーティクルから構成される。重合体パーティクルは、疎水性薬剤の組み入れ(導入)のための積込空間として役立つのに対し、脂質単層は、疎水性コアと外部水性環境との間の安定化干渉(stabilizing interference)を提供する。ポリカプロラクトン及びポリ(d,l-ラクチド)のような重合体を使用してもよく、脂質単層は典型的には脂質の混合物から構成される。好適な調製方法は、重合体ナノパーティクルについて上述した方法と同様である。誘導体化単鎖重合体は、重合体−薬剤コンジュゲートを生成するよう生物学的活性剤の共有結合に対し適合された重合体である。数多くの重合体が、重合体−薬剤コンジュゲートの合成のために提案されてきた。例えば、ポリアミノ酸、デキストリン又はデキストランのような多糖、及びN-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)共重合体のような合成重合体が該当する。好適な調製方法の詳細は、Veronese and Morpurgo, IL Farmaco (1999) 54(8):497-516に記載されている。これについては引用をもって本書に繰り込みここに記載されているものとみなす。
薬剤耐性モジュレータ
用語「薬剤耐性モジュレータ」とは、1又は2以上の治療剤の作用効果に対する薬剤耐性ターゲットの感受性を増強する剤をいうものとする。薬剤耐性モジュレータは、それ自身治療活性を示すことができるか、又はそれ自身は不活性であるが治療剤の作用効果を増強するよう作用することができる。薬剤耐性(ターゲット)の感受性を増強するアプローチは、当該耐性の発生を引き起こした機構を反転することを含むことができる。細菌感染の治療についていえば、調節され得る細胞機能としては、例えば、薬剤流出機構及び抗菌剤の非活性化が該当する。癌の場合は、機構系治療は、非制御的細胞分裂を引き起こす細胞経路の制御不全の治療、p−糖タンパク質の機能のような薬剤流出機構に対する干渉又は薬剤不活性化機構の調節を含み得る。化学療法剤の多くは究極的にはアポトーシスを介してその作用効果を惹起するので、アポトーシス制御のレベルの変化は薬剤耐性を引き起こし得る機構を提供する。本書で使用する場合、用語「アポトーシス誘導剤」とは、プログラム細胞死を促進する剤をいうものとする。アポトーシスを誘導する剤としては、例えば、生存促進レギュレータ、アポトーシスの脂質メディエータ、細胞周期制御インヒビタ及びGTP加水分解酵素のようなシグナル伝達タンパク質等が該当する。以下に各クラスに分類される剤の例を示す。
生存促進レギュレータには、例えば、アポトーシス抑制性Bcl−2、Bcl−x及びMcl−1並びにアポトーシス促進性Bax及びBak等のBcl−2タンパク質ファミリーのメンバーが該当する。これらのタンパク質の相対比は、種々のアポトーシス刺激に対する細胞の感受性又は抵抗性(耐性)を決定する。アポトーシス抑制性Bcl−2ファミリーメンバータンパク質が多くのタイプの薬剤耐性癌において発現される場合は、これらターゲットに向けられる治療の使用は本発明に採用することができる。Bcl−2ファミリーメンバーの活性の阻害としては、例えば、Bcl−2アンチセンス分子である商品名ジェナセンス(Genasense)のようなアンチセンス分子の使用がある。使用可能な薬剤コンビネーションとしては、例えば、Bcl−2アンチセンスと低用量のシクロホスファミド、パクリタキセル(paxlitaxel)又はダカルバジンとのコンビネーションが挙げられる。また、Bcl−xLアンチセンスは、パクリタキセル又はデキサメタゾンとのコンビネーションで使用することができる。
生存促進レギュレータの更なる例としては、カスパーゼ阻害剤として作用すると考えられているアポトーシス抑制タンパク質のファミリーに属するアポトーシス阻害タンパク質(ILA)がある。カスパーゼは、アポトーシスの生化学的及び形態学的特徴の多くに寄与する。IAPがカスパーゼに結合することによりカスパーゼの機能が遮断されるので、カスパーゼの阻害剤は、アポトーシスを誘導するために本発明に使用することができる。IAPファミリーメンバーの好適な下方制御法の一例はアンチセンス療法であるが、その他の阻害手段を採用することもできる。IAP阻害剤とのコンビネーションで使用可能な抗悪性腫瘍剤としては、例えば、タキソール、シスプラチン及びエトポシドが挙げられる。アポトーシスを誘導するために下方制御され得るIAPファミリータンパク質の一例はサバイビンである。
アポトーシスを誘導する生理活性脂質の細胞内レベルを増加することも、薬剤耐性を治療するために使用することができる。これは、抗癌効果を誘導することが知られている脂質の外来付加によって、又は生理活性脂質の細胞内レベルの増加を引き起こす機構の活性を間接的に調節することによって実行することができる。アポトーシスを誘導する生理活性脂質としては、例えば、セラミド及びスフィンゴシンのようなスフィンゴ脂質、サフィンゴールのようなスフィンゴシンアナログ及びエーデルフォシン(edelfosine)、エードルフォシン(edolfosine)(ELL−12)、イルモフォシン(ilmofosine)及びミルテフォシン(miltefosine)のようなエーテル脂質等が該当する。
生理活性脂質の細胞内レベルの増加に使用可能な当業者に既知の剤は多々存在する。その一例は、セラミドの細胞内レベルを増加するためのグルコシルセラミド合成酵素阻害剤である。N−オレオイルエタノールアミン(NOE)による酸セラミド分解酵素の薬理的抑制は、セラミド蓄積の回復に使用することができる。スフィンゴシン及びセラミド誘導体であるスフィンゴ脂質もまた、セラミドから、スフィンゴミエリン、セラミド-1-リン酸、スフィンゴシン、スフィンゴシン-1-リン酸及びグルコシルセラミドのようなスフィンゴ脂質への生物変換を阻止しもって細胞内セラミド含量を増加させるヒドロキシル置換基によって生成することができる。そのような誘導体の多くは、Pei, et al. WO 95/21175及び米国特許第5,681,589号に詳細に記載されているが、それらは引用をもって本書に繰り込みここに記載されているものとみなす。研究の結果、これはセラミド分子のシグナル特性を阻害することなく可能であるということことが示された。 細胞内スフィンゴシンの増加は、外因性スフィンゴシンによるか、スフィンゴシンキナーゼ阻害剤ジメチルスフィンゴシンによる処置によるかに関わらず、アポトーシスを誘導するために使用することができる。
非制御的細胞増殖を低下するような態様で細胞周期に影響を及ぼす剤は、本発明において使用することができる。ヒトの癌の多くは、細胞増殖の調節不全に帰着する細胞周期制御経路の遺伝的変化に関係している。細胞周期調節手段の一例は、サイクリン依存キナーゼの阻害を含む。多くのCdk薬理的阻害剤が、アポトーシスを誘導しかつ同時投与される薬剤の細胞毒性を増進する試みの中で研究された。本発明で使用可能なCdk阻害剤としては、例えば、7-ヒドロキシスタウロスポリン(UCN−01)及びフラボピリドール等がある。
シグナルタンパク質もまた増殖シグナルに関し重要な役割を有し、従ってシグナルタンパク質の活性は当該増殖シグナルを減少するために調節されてもよい。薬剤感受性を増強するために調節可能な周知のシグナルタンパク質ファミリーの一例は、Rho及びRasのようなGTP加水分解酵素である。当業者に既知の種々の剤がシグナルタンパク質の細胞活性を調節するために使用することができる。好適な剤としては、例えば、ファルネシルタンパク質転移酵素のような、タンパク質のファルネシル化を阻止することによりRasの活性を阻害する剤等がある。そのような阻害剤の3つは、BMS214662、SCH66336(サラサル:Sarasar)及びR115777(商品名ザーネストラ)が含まれる。
アポトーシスを調節するターゲット機構に加えて、薬剤耐性に対する細胞の感受性を増強するための更なるアプローチには、薬剤流出系を阻害することが含まれる。膜結合薬剤ポンプは、単独で又は他の耐性機構と協力して作用し抗癌剤の臨床的な失敗を引き起こすことが既に知られている。腫瘍細胞からの薬剤の流出の増加は、ATP結合カセット(ABC)輸送体のような薬剤ポンプの結果であり得る。このようなポンプによって与えられる薬剤耐性は、薬剤の細胞蓄積のATP依存性の減少と関係している。細胞から治療剤を流出する薬剤輸送タンパク質の能力を阻害するために使用可能な化合物の種々の例が、米国特許第6,248,752号に記載されているが、その記載内容は引用をもって本書に繰り込みここに記載されているものとみなす。
P−糖タンパク質は、薬剤耐性フェノタイプの発現に関係付けられている最も広範に特徴付けられたABC輸送体である。P−糖タンパク質は薬剤耐性の発症に重要な役割を有することが既に知られているので、このポンプの活性を阻害するための種々のアプローチが研究されてきた。本発明を実施する上でP−糖タンパク質薬剤ポンプの活性を阻害するために使用可能な剤としては、例えば、ベラパミル(Tsuruo et al., Cancer Res 1981 41:1967-1972)、スタウロスポリン(Sato et al., Biochem Biophys Res Commuri (1990) 173:1252-1257)、MS073、FK-506、シクロスポリンA及びその誘導体PSC-833(Tsuruo、The Mechanism and New Approach on Drug Resistance of Cancer Cells. Amsterdam Elsevier Science Publishers, 1993;81-91参照)、PGP-4008(Smith, et al, Oncol. Res. 12(5):219-29)のようなインドロキノキサリン化合物、レベルシン(Reversin)121及び205(Sharom, et al., Biochem. Pharm 58:571-586)のような疎水性ペプチド化学増感剤、Eli Lily(Dantzig et al., Cancer Res. (1996) 56:4171-4179)によって開発されたシクロプロピルジベンゾスベラン(cyclopropyldibenzosuberane)であるLY−335979、新規なアントラニル酸誘導体であるXR9576(Mistry, et al., Cancer Res. (2001) 61:749-758)、新規なジアリールイミダゾールであるOC144−093(Newman, et al., Cancer Res. (2000) 60:2964-2972)、アクリドンカルボキサミド誘導体であるGF120918(Hyafil et al., Cancer Res (1993) 53:4595-4602)、及びPGP及びMRPの両者の二重特異性(bispecific)阻害剤であるVX710(Germann,et al., AntiCancer Drugs (1997) 8:125-140)等が該当する。タモキシフェンもまた、ヒト及びマウス白血病細胞におけるP−170糖タンパク質誘導MDR(多剤耐性)を反転することが示されている(Berman et al., Blood (1991) 77:818-825)。P−糖タンパク質ポンプに向けられた抗体もまた、当該ポンプの機能を阻害するために使用することができる。そのような抗体としては、例えば、MRK16(これは、耐性細胞内においてビンクリスチン及びアクチノマイシンD輸送体を調節することが示されている。Tsuruo et al., Jpn J Cancer Res. (1989) 80:627-631)及びMRK17(Hamad and Tsuruo T. Proc Natl Acad Sci (1986) 83:7785-7789)等である。本発明で使用される抗体はキメラであるかヒト化されていると有利である。
P−糖タンパク質がCD4細胞等のリンパ球の幾つかのサブクラスにおいて発現されること(Huisman et al., AIDS (2000) 14:237-242; Prechtl et al., J lmmunol (2000) 164:754-761)及びプロテアーゼ阻害剤の蓄積がP−糖タンパク質によって減じられたこともまた既に示されている。従って、この輸送体の阻害は抗HIV薬剤耐性の治療にも関連する。
その他の幾つかのABC輸送タンパク質は、薬剤耐性フェノタイプの発現に関係付けられている。これらタンパク質は、例えば、MDR関連タンパク質(MRP)及び抗原ペプチド輸送体(TAP)である。本発明を実施する上で使用可能なMRP輸送のモジュレータとしては、例えば、l-ベンゾイル-5-メトキシ-2-メチルインドール-3-酢酸、1-(4-フルオロベンジル)-5-メトキシ-2-メチルインドール-3-酢酸及び1-(4-クロロベンジル)-5-メトキシ-2-メチルインドール-3-酢酸のようなインドメタシンアナログ(Maguire, A. R., Bioorg. Med. Chem (2001) 9:745-762)等が該当する。また、MRPは、細胞からHIVプロテアーゼ阻害剤を排出することによるHIV薬の耐性に関係付けられている。プロテアーゼ阻害剤ノルビールがインビトロでMRP−1の流出ポンプ活性を阻害することが最近分かったが、これは改善された抗HIV療法の達成手段を示唆している(Olson et al., AIDS 2002 16(13):1743-1747)。従って、HIVの薬剤耐性を治療するABC輸送体の阻害も、同様に、本発明の範囲に含まれる。
肺耐性関連タンパク質(LRP:lung-resistance-related protein)は、本発明に応じて薬剤耐性と戦うために調節可能な輸送体の他の一例である。このタンパク質は、核と細胞質との間の物質移動を制御することによって薬剤流出を誘導する。従って、この輸送機構は、ABC輸送体の輸送機構とは異なる。LRPは、最初、ドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド及びグラミシジンDに耐性であった非小細胞肺癌細胞株からクローン化された。
薬剤解毒系もまた、化学療法剤の排出に重要な役割を有する。従って、薬剤解毒系の調節は本発明の範囲内に含まれる。解毒系の一例として、多くの薬剤耐性細胞株において過剰発現するグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)がある。この酵素は、易排出性の極性分子を生成するために、還元型グルタチオン(GSH)を有機分子にコンジュゲートする。ナイトロジェンマスタード及びシクロホスファミドを含む多くの抗癌剤は、GST酵素によって生体内変換される。使用可能なGSTの阻害剤としては、例えば、細胞から細胞内グルタチオン含量を枯渇させるエタクリン酸(Shen et al., Oncol. Res. (1997) 9:295-302)及びブチオニンスルホキシイミン(Batist et al., Biochem. Pharmacol (1991) 41:631-635)等がある。GSHのレベルは、当該化合物の細胞内合成を減少することによって減じることができる。これは、細胞膜を介したグルタミン酸(塩)の輸送(Toxicology Letters (2001) 123:159-167)をアミノ酸テアニンによって行うポンプ(GLAST又はGLT-1)の阻害によって達成可能であることがSadzuka et al.によって最近示された。GSHはグルタミン酸(塩)から合成されるため、グルタミン酸(塩)の減少により細胞内GSHレベルは減少する。
癌の場合と同様に、薬剤耐性を引き起こす細菌は、通常、細胞内薬剤濃度を減少するための薬剤ポンプを有する(Van Bambeke et al., Biochemical Pharmacology (2000) 60:457-470参照)。このポンプは、親油性又は両親媒性の分子を細胞内外に移動するために全ての細菌が有する膜ポンプの変異体である。薬剤流出ポンプは、マクロライド系抗生物質のエリスロマイシンクラスに対して耐性になるブドウ球菌を含む幾つかの細菌において観察されている。従って、流出ポンプ阻害剤は、抗生物質耐性を治療するために本発明において使用することができ、又はポンプによる認識及び輸送を受け難い抗生物質を設計することができる。
細菌が薬剤耐性を引き起こす他の手段の1つは、抗生物質分子内の官能基の除去又は破壊によるものである。β−ラクタム環を有する抗生物質は、細菌酵素β−ラクタマーゼによる加水分解によって不活性化されることが知られている。従って、この酵素の機能に干渉する薬剤耐性モジュレータは本発明に使用することができる。ストレプトミセス科放線菌から得られる天然産物である薬剤クラブラネート(Clavulanate)は、β−ラクタマーゼの阻害剤であることが示されている。クラブラネートを使用することにより、β−ラクタム薬アモキシシリンの抗菌活性は増加した(The Choice of antibacterial drugs. Med. Lett. (1999) 41:95-104)。β−ラクタム抗生物質及びラクタマーゼ失活剤のコンビネーションの他の一例は、チメンチン及びゾシンである(Walsh, C. W. Nature (2000) 406:775-781)。
薬剤耐性は、その発症を制御する多数の相互作用経路を有する多面的現象であり得る。従って、本発明は、耐性を引き起こす1つの機構を調節することに限定されるものではない。複数の経路が標的にされる薬剤耐性と戦うための多機能性アプローチを使用することも可能である。従って、2又は3以上の薬剤耐性モジュレータを送達媒体組成物に安定的に結合させることができる。
細胞を特定の疾患状態に対して感受性を増強するために耐性機構に干渉する剤の例をこれまで幾つか示したが、薬剤感受性増強(増感)機構は未知のものも存在することに注意すべきである。従って、現時点においてはまだ解明されていないプロセスに応じて薬剤耐性を調節する剤の使用も本発明に含まれることは当業者には明らかである。
治療剤の例
好適な治療剤は、何れも、本発明を実施する上で(1つの)薬剤耐性モジュレータと組み合わせることができる。「治療剤」とは、単独で又は他の化合物とのコンビネーションで、不所望の状態ないし疾患によって影響を受けている被検体に対し所望の作用効果を有する化合物をいう。薬剤耐性モジュレータは、上述したように、特定のターゲットが既に耐性を示している剤と組み合わせられることができる。薬剤耐性モジュレータとこの剤との同時投与により、当該剤に対する疾患状態の感受性増強が生じる。また、3以上の剤を含むコンビネーションも本発明の範囲内に含まれる。
標的疾患ないし状態が癌である場合に(1つの)薬剤耐性モジュレータとのコンビネーションで使用されるのが好ましい治療剤もある。例えば、以下のものが該当する。
「シグナル伝達阻害剤」:これは癌細胞の増殖ないし分裂を引き起こすシグナルに干渉ないし妨害する;
「細胞傷害剤」;
「細胞周期阻害剤」又は「細胞周期制御阻害剤」:これは細胞を誕生させる有糸分裂から当該細胞を分裂させて娘細胞を生成させる有糸分裂に続く事象までの正常な細胞周期における細胞の変遷即ち細胞の寿命に干渉する;
「チェックポイント阻害剤」:これはS/G2チェックポイント、G2/Mチェックポイント及びG1/Sチェックポイント等の細胞周期チェックポイント正常な機能に干渉する;
「トポイソメラーゼ阻害剤」(カンプトテシン等):これはDNA複製・転写に必要な酵素であるトポイソメラーゼI又はII活性に干渉する;
「レセプターチロシンキナーゼ阻害剤」:これはチロシンキナーゼ活性を有する成長因子レセプターの活性に干渉する;
「アポトーシス誘導剤」:これはプログラム細胞死を促進する;
「代謝拮抗剤」(ゲムシタビン又はヒドロキシ尿素):これは必須代謝物に酷似しているため当該必須代謝物に関与する生理反応に干渉する;
「テロメラーゼ阻害剤」:これはテロメアの長さを伸長することにより細胞の寿命を延ばしかつ細胞の複製能力を高める酵素であるテロメラーゼの活性に干渉する;
「サイクリン依存性キナーゼ阻害剤」:これはヒストンのような細胞タンパク質、細胞骨格タンパク質、転写因子、腫瘍抑制遺伝子等のリン酸化により細胞周期の異なるフェーズ間の重要なステップを制御するサイクリン依存性キナーゼに干渉する;
「DNA傷害剤」:例えばカルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシンC及びミトキサントロン;
「DNA修復阻害剤」;
「抗血管形成剤」:これは腫瘍成長中に生じる新しい血管の生成又は既存の血管の成長に干渉する;及び
「ミトコンドリア毒物」:これはミトコンドリア呼吸鎖機能を直接的又は間接的に妨害する。
コンビネーションで使用可能な好ましい剤としては、例えば、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシンC、ミトキサントロンのようなDNA傷害剤;5-フルオロウラシル(5-FU)ないしFUDR、ゲムシタビン及びメトトレキサートのようなDNA修復阻害剤;カンプトテシン、イリノテカン及びトポテカンのようなトポイソメラーゼI阻害剤;ブレオマイシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エトポシド、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン及びビノレルビン(vinorelbine)のようなS/G2又はG2/Mチェックポイント阻害剤;Gl/初期-Sチェックポイント阻害剤;G2/Mチェックポイント阻害剤;ゲニステイン、トラスツズマブ、ZD1839のようなレセプターチロシンキナーゼ阻害剤;細胞傷害剤;アポトーシス誘導剤及び細胞周期制御阻害剤等が該当する。一実施形態では、治療剤はドキソルビシンではない。
一般的に薬剤耐性に関連するその他の抗癌剤には、Shabbits et al., Expert Rev. Anticancer Ther. (2001) 1(4):585-594に記載されたものが含まれる。その記載内容は引用をもって本書に繰り込みここに記載されているものとみなす。
薬剤感受性のインビトロ測定
薬剤耐性モジュレータの添加により特定の治療剤に対する薬剤耐性ターゲットの感受性が増強され得るか否かを決定するために標準的なインビトロアッセイを実行することができる。薬剤の感受性増強のインビトロ決定に関連して使用する場合、「薬剤耐性ターゲット」は、活組織から集めた細胞及び細菌・ウイルス調製物を含む培地中の細胞を含むことを意味する。薬剤耐性モジュレータがインビトロで特定の薬剤耐性ターゲットの感受性を増強するか否かは、治療剤単独の場合の生物学的効果と薬剤耐性モジュレータと組み合わせた場合の生物学的効果との対比を含むだけでもよい。薬剤耐性モジュレータが治療剤に所望の効果の発揮を可能にするよう作用する場合、コンビネーションの生物学的効果における改善が観察される。この結果は、上述のような薬剤耐性を引き起こす1又は2以上の機構の阻害のためでもあり得る。この方法は、薬剤耐性モジュレータがそれ自身治療活性を有しない場合に好ましい。また、インビトロで治療剤の取り込みを誘導する薬剤耐性モジュレータの活性は、該モジュレータの不存在又は存在下における薬剤の細胞内蓄積(量)の測定によって評価することもできる。
任意的に、コンビネーションが拮抗的又は非拮抗的効果の何れを示すかを決定するためにインビトロアッセイの結果の数学的分析を行うこともである。非拮抗的効果は、Chou-Talalay法(Chou, J. Theor. Biol. (1976)39:253-76及びChou, Mol. Pharmacol. (1974) 10:235-247に記載された1つの方程式に基づくChou-Talalay median-effect法)によって、又は以下に詳述するその他の標準的なデータ解析法によって定義されたような相乗的(synergistic)又は相加的(additive)であり得る。薬剤耐性モジュレータがそれ自体は効力を有しないが治療剤の作用効果を増強する場合に、増強効果は観察される。
本発明の送達媒体組成物が(1つの)薬剤耐性ターゲットの感受性を増強できるか否かを決定するために実行することができるインビトロアッセイは多々ある。細胞培養物に関するインビトロ実験は関連した(適切な)細胞を用いて行うことができる。細胞の選択は、剤の所期の治療的使用に応じて決まる。本発明の範囲に含まれる組成物のための基礎を提供するためには、ただ1つの関連細胞株又は細胞培養物タイプが所要の生物学的効果を示すだけでよい。
例えば、本発明の好ましい一実施形態では、複数の剤のコンビネーションが癌治療に用いられる。この場合、適切な選択は、被検細胞(複数)と試験の性質とに基づいて行われる。とりわけ、腫瘍細胞株は好適な被検対象であり、細胞死又は細胞(分裂)停止の測定は適切な終点(エンドポイント)である。また、個別の患者の生検(材料)又は全腫瘍に関するインビトロ実験は、疾患組織を機械的又は化学的に破壊して単一細胞にすることによって生成される「細胞ホモジェネート」によって行うこともできる。更に後述するように、その他のターゲット細胞や細胞毒性又は細胞(分裂)停止以外の基準を採用してもよい。細胞死又は生存度は、当業者に既知の各種の方法を用いて測定することもできる。例えば、「MTT」アッセイ(Mosmann, J. Immunol. Methods (1983) 65(1-2):55-63)が好ましい。
抗腫瘍剤に関する決定のために、1又は2以上の薬剤に耐性の細胞株は、一般的な細胞株貯蔵施設(例えばNCI又はATCC)から、学術的研究所又はコマーシャルソースを含むその他の組織から入手することができる。好ましい薬剤耐性細胞株は、NCI/NIHの開発途上治療プログラム(Developmental Therapeutics Program)によって同定された複数の細胞株から選択される1又は2以上を含むことができる。本発明で使用するための好適な細胞株の一例は、MDA435/LCC6MDR細胞株である。細胞株は、コマーシャルソースから入手する代わりに、DNA又はRNAの形質移入によって生成することもできる。
剤(複数)のコンビネーションによって観察される特定の生物学的効果は当該コンビネーションの(各成分の混合)割合に依存し得ることは知られている。薬剤(複数)の同じコンビネーションがある割合では拮抗的であり、それとは別の割合では相乗的(synergistic)であり、又それらとは異なる割合では相加的(additive)であるということもあり得る。従って、一実施形態では、本発明の組成物を調製するために、送達媒体に含有される薬剤耐性モジュレータと治療剤との所望の割合(混合比)が最初に決定される。(混合)割合は、相乗性、増強性又は相加性がコンビネーションによって所定の濃度範囲にわたって示されるようなものであると好ましい。そのような割合は、種々の数学的モデルを用いてインビトロで決定することができる。
所定の濃度範囲にわたり相乗的又は相加的コンビネーション効果を示す剤(複数)の(混合)割合の決定は、後述する実験データの性質の基づき、種々のアルゴリズムを用いて実行することができる。このような方法としては、例えば、アイソボログラム法(Loewe, et al., Arzneim-Forsch (1953) 3:285-290; Steel, et al., Int. J. Radiol. Oncol. Biol. Phys. (1979) 5:27-55)、フラクショナル・プロダクト法(fractional product method)(Webb, Enzyme and Metabolic Inhibitors (1963) Vol.1, pp.1-5. New York: Academic Press)、モンテカルロ・シミュレーション法、CombiTool、ComboStat及びChou, J. Theor. Biol. (1976) 39:253-76及びChou, Mol. Pharmacol. (1974) 10:235-247に記載された1つの方程式に基づいたChou-Talalay median-effect法がある。その他の方法としては、生存フラクション(surviving fraction)(Zoli, et al., Int. J. Cancer (1999) 80:413-416)、対照と比較した顆粒球/マクロファージ−コロニー形成ユニットに対するパーセンテージ応答(Pannacciulli, et al., Anticancer Res. (1999) 19:409-412)等(Berenbaum, Pharmacol. Rev. (1989) 41:93-141; Greco, et al., Pharmacol Rev. (1995) 47:331-385)がある。
なかでも好ましいのは、Chou-Talalay median-effect法である。この分析法は1つの方程式を使用する。特定の効果fを引き起こす用量は以下式で与えられる:
D=D[f/(1−f)]1/m
ここに、Dは使用する薬剤の用量、fは当該用量によって影響を受けた細胞のファラクション、Dは効力(potency)を示すmedian effectための用量、mは用量−効果曲線の形状を示す係数(mは一次反応に対しては1)である。
この方程式は、Chou and Talalay, Adv. Enzyme Reg. (1984)22:27-55及びChou, et al.のSynergism and Antagonism in Chemotherapy, Chou and Rideout, eds., Academic Press: New York 1991:223-244に記載されたようなmultiple drug effect equationに基づいてコンビネーションインデックス(CI)を計算するために操作することができる。この計算のためのコンピュータプログラム(CalcuSyn)はChou and Chou, Dose-effect analysis with microcomputers: quantitation of ED50, LD50, synergism, antagonism, low-dose risk, receptor ligand binding and enzyme kinetics(CalcuSyn Manual and Software; Cambridge: Biosoft 1987)に見出される。
コンビネーションインデックス(CI)は、図1に示すように、影響を受けた細胞のフラクション(f)の関数としてプロットされるのが好ましい。これは、実施例のセクションで説明するとおり、濃度範囲の代用パラメータである。剤の好ましいコンビネーションは、f値の相当の(substantial)範囲にわたって相乗性、増強性又は相加性を示すようなものである。細胞の1%超が影響を受ける即ちf範囲が0.01超である濃度範囲の少なくとも5%にわたって相乗性を示す剤コンビネーションが選択される。濃度全体の比較的大きな部分が良好な(favorable)CIを示すのが好ましい。例えば、0.2〜0.8のf範囲の5%である。f範囲の10%が良好なCIを示すとより好ましい。0.2〜0.8のf範囲の一層好ましくはf範囲の20%、好ましくは50%にわたって、最も好ましくは少なくとも70%にわたるものが組成物に使用される。非拮抗的相互作用の強度及び増強しかつ相乗性が観察されるf範囲を増大する最適割合を定義するために、f値の相当の範囲にわたって相乗性を示すコンビネーションを種々の剤割合について再評価することも可能である。
細胞が影響を受ける濃度範囲全体にわたって非拮抗的効果を有することが望ましいが、多くの事例では、0.2〜0.8のf範囲において結果の信頼性が極めて大きいことが観察されている。従って、本発明のコンビネーションによって示される相乗性は0.01又はそれ以上にわたる広い範囲内で存在することが示されているが、相乗性が0.2〜0.8のf範囲において確立されていることが好ましい。
更に、最適なコンビネーション割合は、第3の剤との相乗的、増強的又は相加的相互作用を決定するための単一医薬単位(single pharmaceutical unit)として使用することができる。更に、3剤コンビネーションは、第4の剤等との非拮抗的相互作用を決定するための単位として使用することができる。
複数の薬剤耐性モジュレータと複数の治療剤とのコンビネーションについても、薬剤耐性を発症した細菌若しくはウイルス感染又は抗炎症状態に対するその活性を同定することができる。抗菌剤の同定の第1ステップとして、(1つの)剤の最小阻害濃度(MIC)を、当業者に既知の伝統的なマイクロタイターブロス希釈又はアガー希釈抗菌アッセイによって決定することができる。これらのアッセイは、国立実験安全標準委員会(NCLSS:National Committee of Laboratory Safety and Standards)によって規制されている。標準的なブロス希釈アッセイは、Amsterdam (1996) Susceptibility testing of Antimicrobials in liquid media in "Antibiotics in Laboratory Medicine", Lorian, V.4th Edition, pages 52-111, Williams and Wilkins, Baltimoreに公表されている。MICは、感染生物のインビトロ増殖を阻害する抗生物質の最小濃度として定義されている。上記のアッセイでは、MICは、種々異なる濃度の薬剤を含む成長培地(例えばアガー)に微生物の接種原を小スポット(例えば10コロニー形成単位[CFU]/スポット)でプレーティングすることによって決定することができる。或いは、微生物は、種々異なる濃度の薬剤を含む成長培地の懸濁液に接種することもできる。更に、微生物は、上述のように処理しても、特殊な細胞群(即ちマクロファージ)内の細胞内感染体として常在していてもよい。後者の場合、標準的な方法により培地で成長した哺乳類細胞は、低濃度の微生物への短時間曝露により細胞内微生物感染を受ける。微生物の細胞内複製を可能にする時間が経過した後、細胞及びその細胞内微生物は、哺乳類細胞に関する細胞毒性試験について上記したものと同じ方法で薬剤で処理される。薬剤が有効な濃度で投与された場合に微生物増殖を阻止するために十分に適切な時間が経過した後、細菌増殖は、以下のものを含む種々の手段で決定することができる:(i)接種スポットの有無(存在する場合はそのサイズ)の決定;(ii)処置に対して生き残った微生物の数の計算を可能にするための既知の体積の処置微生物の懸濁液の段階希釈のプレーティング;(iii)(眼による)巨視的判定;(iv)対数増殖期の微生物が(1又は複数の)薬剤を含有する成長培地に懸濁され、接種後の種々の時点において、既知の体積が取り出され、アガー成長培地で段階希釈して生存微生物をカウントすることによって得られる時間−死滅曲線(time-kill curves);(v)生存微生物のカウントを可能にするための当業者に既知のその他の分光学的、分析的、インビトロ又はインビボ法。細胞内常在感染体を死滅する1つの薬剤又は複数の薬剤のコンビネーションの効力は、典型的には、宿主細胞を界面活性剤(1%トリトンX−100+0.1%ドデシル硫酸ナトリウム等)によって溶解して微生物を放出させ、次に生存微生物の数をカウントするためにライセートをアガー成長培地プレートで段階希釈した後に評価される。
抗ウイルス剤に対するウイルス調製物の感受性を増強するための剤(複数)又は複数の剤のコンビネーションの大規模スクリーニングは、多くのインビトロアッセイ、典型的にはプラークリダクション(plaque reduction)アッセイ及び細胞変性効果(CPE)阻害アッセイによって実行することができる。これらのアッセイは、1又は複数の抗ウイルス剤が組織培養物におけるウイルス感染の効果を阻害する程度を直接的に測定することができる。プラークリダクションアッセイは、明確なプラークを形成するウイルス−細胞株コンビネーションに対して好ましい。Michaelis, et al.は、多数のウイルスに対するアフィディコリン及びその誘導体の非拮抗的抗ウイルス効果を種々のモル比で決定するためにChou-Talalay法と組み合わせたプラークリダクションアッセイの使用について示した(Michaelis, et al., Arzneimittelforschung (2002) 52(5):393-399)。特定のウイルス−細胞株コンビネーションによっては明確なプラークが形成されない場合は、CPE阻害アッセイが好ましい。抗ウイルス剤の非拮抗的コンビネーションの迅速かつ簡便な同定のためのその他の方法としては、例えば、細胞生存度、ウイルス産生量及びHIV急性又は慢性感染アッセイ等がある。細胞生存度は、1つの抗ウイルス剤又は剤コンビネーションの細胞の生存度を増加する能力を測定するために使用され、上述のMTTアッセイのような定量的アッセイを用いて達成することができる。また、ウイルス産生量アッセイ及び急性HIV感染アッセイは、ウイルスの産生量を減少する1つの剤の能力を評価するものであるが、抗ウイルス活性の直接的測定を考慮している。上述のアッセイはインビトロでの相乗的、相加的又は拮抗的効果のための抗ウイルス剤コンビネーションのスクリーニングに対し好適であり、従って本発明の範囲に含まれることは当業者には明らかである。
当業者であれば、IL−1、IL−18、COX−2、TNF又はインターフェロンガンマのような炎症誘発性サイトカインの抑制をインビトロで測定することによって、薬剤耐性を発症した炎症性疾患の治療のために選択される2又は3以上の剤のコンビネーションを規定することができる。その他の炎症シグナルとしては、例えば、プロスタグランジンE2及びトロンボキサンB2の阻害がある。とりわけ、エンドトキシン媒介マクロファージ活性化は、付加された1つの剤又は剤コンビネーションの抗炎症効果を測定するために好適なインビトロアッセイを提供し、実際に普通に使用されている。そのようなアッセイでは、大量に増殖されたマクロファージは、リポ多糖のようなエンドトキシンの添加によって活性化される。活性化により、マクロファージによるIL−1及びTNF等のサイトカインの分泌並びにCOX−2の活性化の測定が可能となる。候補抗炎症剤を添加し、IL−1、TNF及びCOX−2を抑制するその能力に基づいて評価する。1×10−7Mデキサメタゾンによる滴定は、通常、ポジティブコントロールとして使用される。マクロファージの活性化を伴うアッセイは薬剤コンビネーションの広範囲スクリーニングに対して好適であること及びIL−1、TNF及びCOX−2の抑制は相乗性を特定するための適切なエンドポイントであることは当業者には明らかである。炎症シグナルの測定に加えて、当業者であれば、白血球の機能に対する2又は3以上の剤の効果を測定するインビトロアッセイの使用を考慮に入れることができる。機能試験には、例えば、脱顆粒の阻害、スーパーオキサイド生成及び白血球遊走等が含まれ得る。
送達媒体組成物の投与
このような送達媒体組成物は、温血動物及び鳥類(avian species)の種々の疾患ないし状態の治療に使用することができる。癌の治療の場合、脈管構造は、通常、内皮の開窓ないしギャップのため正常な脈管構造よりも漏出性が大きい。このため、300nm以下の直径の送達媒体が不連続な内皮細胞層及び腫瘍に血液を供給する血管を包囲する根源的な基底膜に侵入することができる。血管外遊走に続く腫瘍部位への送達媒体の選択的蓄積により、治療剤及び薬剤耐性モジュレータの送達が増加される。
上述のように、本発明の送達媒体組成物は、人間を含む温血動物及び家禽類に対し全身投与することができる。人間の(慢性的)疾患を治療するために、いやしくも資格のある医師であれば、本発明の組成物を確立されたプロトコールを用いた投与の用量、スケジュール及びルートに関してどのように使用すべきかについて決定することができる。そのようなアプリケーションでは、本発明の送達媒体組成物にカプセル化された剤が被検体の健康な組織に対する毒性の減少を示す場合、使用容量を増加することができる。
本発明の送達媒体を含む医薬組成物は、一般的な方法に従って調製することができ、例えば、水、緩衝液(buffered water)、0.9%生理食塩水、0.3%グリシン、5%右旋性ぶどう糖等を含むことができ、安定性を増加するための糖タンパク質、アルブミン、リポタンパク質、グロブミン等を含むことができる。このような組成物は、伝統的な周知の滅菌方法によって滅菌することができる。生成した水性溶液は、使用のためにパッケージ化したり、無菌状態で濾過して凍結乾燥したりすることができる。凍結乾燥調製物は投与前に滅菌水性溶液と混合される。本発明の組成物は、例えば酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等のようなpH調節及び緩衝剤、張性調節剤等のような生理的状態に近づけるために必要とされるような医薬的に許容可能な助剤を含有することができる。更に、送達媒体懸濁液は、保存中にフリーラジカル及び脂質過酸化損傷に対し脂質を保護する脂質保護剤を含むことができる。α−トコフェロールのような親油性フリーラジカル失活剤及びフェリオキサミンのような水溶性鉄特異的キレートは好適である。
医薬処方物中の送達媒体の濃度は広汎な値をとることができる。例えば、凡そ0.05質量%未満から、通常は凡そ2〜5質量%又は少なくとも凡そ2〜5質量%であるが、10ないし30質量%に至るまでの範囲の値をとることができるが、主として、選択される特定の投与方法に応じて、液量、粘性等によって選択することができる。例えば、治療に関連する液体負荷を低減するために濃度を増大してもよい。また、刺激性脂質を含む送達媒体は、投与部位における炎症を抑制するために希釈して濃度を低下してもよい。診断目的の場合は、投与される送達媒体の量は、使用される特定の標識、診断されるべき疾患状態及び医師の判断に応じて決定され得る。
本発明の医薬組成物は静脈内投与されるのが好ましい。送達媒体組成物の用量は、薬剤対脂質比、及び患者の年齢、体重及び状態に基づき投与を行う医師の選択に応じて決定することができる。
医薬組成物に加えて、獣医学的使用に好適な処方物を被検体に適切な方法で調製・投与することができる。好ましい獣医学的対象は、例えば非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジのような哺乳類、及び家禽等である。被検対象には、例えば、とりわけラット、ウサギ、マウス及びモルモット等の実験動物も含まれる。
薬剤耐性モジュレータと治療剤との非拮抗的割合の決定
一実施例では、本発明の方法は、インビトロで所望の濃度範囲にわたって非拮抗的であるような、1つの治療剤と1つの薬剤耐性モジュレータとの割合を決定すること、及びこの非拮抗的割合を、所望の活性を有する部位において当該割合が維持されることを保証する態様で供給することを含む。非拮抗的割合は、2又は3以上の治療剤の少なくとも1つの割合が、培地中の細胞、細胞ホモジェネート、細菌細胞又はウイルス調製物のような特定の薬剤耐性ターゲットに対しある濃度範囲にわたってインビトロで検査されたときに得られた結果に一般的な分析ツールを適用することによって決定される。例えば、個々の剤及びそれらの種々のコンビネーションが、培地中の細胞又は細胞ホモジェネートに対するその生物学的効果、例えば細胞死の惹起又は細胞増殖の阻害等について、種々の濃度レベルに関して検査される。「コンビネーションインデックス」(CI)を計算するための既知にしてかつ確立された数学的手法によって処理可能な相関を得るために、予め設定された比率の複数の濃度レベルをパーセント細胞生存度に対してプロットする。計算によれば、1(即ち0.9〜1.1)のCIは薬剤の相加的効果を示し、CI>1(即ち>1.1)は拮抗的効果を示し、CI<1(即ち<0.9)は相乗的又は増強的効果を示す。
一般的アプローチの一例が図1に示されている。図示のとおり、剤A及びBが、後述するMTTアッセイによって評価されるような細胞死又は細胞(分裂)停止を引き起こす能力に関し、個別に及び異なる2つの割合で一緒に検査される。最初に、薬剤A、Bの濃度と、2つの異なるコンビネーション割合(Y:Z及びX:Y)との間の相関が、未処理対照細胞の生存(度)に基づいたパーセントとして計算された、細胞毒性に対しプロットされる。予期したとおり、個々の薬剤単独の場合についてもコンビネーションの場合についても細胞生存(度)に関する用量依存効果が存在する。一旦この相関が確立されれば、細胞生存(度)又は影響を受けたフラクション(f)は、CIの計算において濃度の代用として使用することができる。
CI計算の結果についても図1に示した。このインデックスは、Chou and Talalay, Advance Enz. Regul. (1985) 22:27-55のプロシージャに基づき影響を受けた細胞のフラクションの関数として計算される。この仮定的状況では、薬剤A+Bの第1の割合(X:Y)は、全ての濃度において非拮抗的であるのに対し、第2の割合(Y:Z)のコンビネーションでは拮抗的である。従って、広汎な濃度範囲にわたって非拮抗的であるような薬剤A+Bの割合(割合1)を提供することができる。この割合が、本発明の組成物に含まれるべき好ましい割合である。
処方物中に含まれるべき治療剤の適切な割合を決定するための本発明の一実施例の概要を示す図。

Claims (41)

  1. 送達媒体を含む組成物であって、
    前記送達媒体は50〜300nmの範囲の平均直径を有し、かつ当該送達媒体と安定的に結合した少なくとも1つの治療剤及び少なくとも1つの薬剤耐性モジュレータ、又は少なくとも2つの薬剤耐性モジュレータを有し、
    前記治療剤及び前記薬剤耐性モジュレータのコンビネーション又は前記2つの薬剤耐性モジュレータのコンビネーションは、薬剤耐性ターゲットに対する生物学的効果を示すこと
    を特徴とする組成物。
  2. 前記生物学的効果は非拮抗的であること
    を特徴とする請求項1の組成物。
  3. 前記治療剤及び前記薬剤耐性モジュレータ又は前記2つの薬剤耐性モジュレータは、薬剤耐性ターゲットに対する非拮抗的生物学的効果を示す割合で含まれること
    を特徴とする請求項1の組成物。
  4. 前記非拮抗的生物学的効果は増強的生物学的効果であること
    を特徴とする請求項3の組成物。
  5. 前記非拮抗的生物学的効果は相乗的生物学的効果であること
    を特徴とする請求項3の組成物。
  6. 前記治療剤は抗悪性腫瘍剤であること
    を特徴とする請求項1の組成物。
  7. 前記薬剤耐性モジュレータは薬剤流出ポンプ阻害剤であること
    を特徴とする請求項1の組成物。
  8. 前記薬剤流出ポンプ阻害剤はp−糖タンパク質の阻害剤であること
    を特徴とする請求項7の組成物。
  9. 前記治療剤及び前記薬剤耐性モジュレータのコンビネーションは、それぞれ単独で作用する場合よりもより大きい治療効果を示すこと
    を特徴とする請求項1の組成物。
  10. 前記治療剤及び前記薬剤耐性モジュレータのコンビネーションは、一次薬治療に対して耐性である腫瘍に対する治療効果を示すこと
    を特徴とする請求項1の組成物。
  11. 前記治療剤は抗菌剤であること
    を特徴とする請求項1の組成物。
  12. 前記治療剤は抗ウイルス剤であること
    を特徴とする請求項1の組成物。
  13. 前記送達媒体は少なくとも2時間の循環半減期を有すること
    を特徴とする請求項1の組成物。
  14. 前記送達媒体はリポソームであること
    を特徴とする請求項1の組成物。
  15. 前記リポソームは、多重ラメラ小胞(MLVs)、大単一ラメラ小胞(LUVs)及び指状突起融合リポソームからなる群から選択されること
    を特徴とする請求項14の組成物。
  16. 前記リポソームは安定化脂質を含むこと
    を特徴とする請求項14の組成物。
  17. 前記リポソームは超音波処理によっては調製されないこと
    を特徴とする請求項14の組成物。
  18. 前記リポソームはカルジオリピンを含まないこと
    を特徴とする請求項14の組成物。
  19. 前記治療剤はドキソルビシンではないこと
    を特徴とする請求項1の組成物。
  20. 前記送達媒体はナノパーティクルであること
    を特徴とする請求項1の組成物。
  21. 送達媒体を含む組成物であって、
    前記送達媒体は、当該送達媒体と安定的に結合された2又は3以上の薬剤耐性モジュレータを有すること
    を特徴とする組成物。
  22. 更に、治療剤を含むこと
    を特徴とする請求項21の組成物。
  23. 前記治療剤は送達媒体と安定的に結合されていないこと
    を特徴とする請求項22の組成物。
  24. 前記治療剤は送達媒体と安定的に結合されていること
    を特徴とする請求項22の組成物。
  25. 前記送達媒体は50〜300nmの範囲の平均直径を有すること
    を特徴とする請求項21の組成物。
  26. 前記送達媒体は50〜300nmの範囲の平均直径を有すること
    を特徴とする請求項22の組成物。
  27. 患者に対し薬剤感受性を付与し及び/又は治療を施す方法であって、
    患者に対し、請求項1の組成物を有効量投与すること
    を特徴とする方法。
  28. 被検体に対し薬剤感受性を付与する方法であって、
    当該薬剤感受性を必要とする被検体に対し、第1送達媒体と安定的に結合された第1薬剤耐性モジュレータを含む組成物及び第2送達媒体と安定的に結合された第2(薬剤)耐性モジュレータを含む組成物を投与することを含み、
    前記第1及び第2薬剤耐性モジュレータは非拮抗性を示す割合で投与されること、及び
    前記第1及び第2組成物中の前記薬剤送達媒体の薬剤動態は協調的であること
    を特徴とする方法。
  29. 治療を必要とする被検体に対し該治療を施すための方法であって、
    前記被検体に対し、第1送達媒体と安定的に結合された治療剤及び第2送達媒体と安定的に結合された薬剤耐性モジュレータを所定の割合で含む組成物を投与することを含み、
    前記治療剤及び前記薬剤耐性モジュレータは非拮抗的であること、及び
    前記第1及び第2送達媒体の薬剤動態は協調的であること
    を特徴とする方法。
  30. 前記非拮抗的効果は、細胞毒性又は細胞分裂停止に関するインビトロアッセイにおいて細胞の1%〜99%が影響を受ける(fa=0.01〜0.99)ような濃度範囲の少なくとも5%にわたって示されること
    を特徴とする請求項2の組成物。
  31. 前記非拮抗的効果は、細胞毒性又は細胞分裂停止に関するインビトロアッセイにおいて細胞の10%〜90%が影響を受ける(fa=0.1〜0.9)ような濃度範囲の少なくとも5%にわたって示されること
    を特徴とする請求項30の組成物。
  32. 前記非拮抗的効果は、細胞毒性又は細胞分裂停止に関するインビトロアッセイにおいて細胞の20%〜80%が影響を受ける(fa=0.2〜0.8)ような濃度範囲の少なくとも5%にわたって示されること
    を特徴とする請求項31の組成物。
  33. 前記相乗効果は、細胞毒性又は細胞分裂停止に関するインビトロアッセイにおいて細胞の20%〜80%が影響を受けるような濃度範囲の少なくとも20%にわたって示されること
    を特徴とする請求項32の組成物。
  34. 前記非拮抗的効果は、細胞毒性又は細胞分裂停止に関するインビトロアッセイにおいて細胞の1%〜99%が影響を受ける(fa=0.01〜0.99)ような濃度範囲の少なくとも5%にわたって示されること
    を特徴とする請求項28の方法。
  35. 前記非拮抗的効果は、細胞毒性又は細胞分裂停止に関するインビトロアッセイにおいて細胞の10%〜90%が影響を受ける(fa=0.1〜0.9)ような濃度範囲の少なくとも5%にわたって示されること
    を特徴とする請求項34の方法。
  36. 前記非拮抗的効果は、細胞毒性又は細胞分裂停止に関するインビトロアッセイにおいて細胞の20%〜80%が影響を受ける(fa=0.2〜0.8)ような濃度範囲の少なくとも5%にわたって示されること
    を特徴とする請求項35の方法。
  37. 前記相乗効果は、細胞毒性又は細胞分裂停止に関するインビトロアッセイにおいて細胞の20%〜80%が影響を受けるような濃度範囲の少なくとも20%にわたって示されること
    を特徴とする請求項36の方法。
  38. 前記非拮抗的効果は、細胞毒性又は細胞分裂停止に関するインビトロアッセイにおいて細胞の1%〜99%が影響を受ける(fa=0.01〜0.99)ような濃度範囲の少なくとも5%にわたって示されること
    を特徴とする請求項29の方法。
  39. 前記非拮抗的効果は、細胞毒性又は細胞分裂停止に関するインビトロアッセイにおいて細胞の10%〜90%が影響を受ける(fa=0.1〜0.9)ような濃度範囲の少なくとも5%にわたって示されること
    を特徴とする請求項38の方法。
  40. 前記非拮抗的効果は、細胞毒性又は細胞分裂停止に関するインビトロアッセイにおいて細胞の20%〜80%が影響を受ける(fa=0.2〜0.8)ような濃度範囲の少なくとも5%にわたって示されること
    を特徴とする請求項39の方法。
  41. 前記相乗効果は、細胞毒性又は細胞分裂停止に関するインビトロアッセイにおいて細胞の20%〜80%が影響を受けるような濃度範囲の少なくとも20%にわたって示されること
    を特徴とする請求項40の方法。


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