JP2006519582A - 乾癬の治療のための新規組成物と方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、新規タンパク質を含む組成物と、乾癬の診断と治療のためにそのような組成物を使用する方法とに関するものである。

Description

発明の分野
本発明は、乾癬の診断と治療に有用な組成物と方法に関する。
免疫関連及び炎症疾患は、正常な生理機能では、発作又は傷害に反応して、発作又は傷害から修復を開始し、外来生物体に対する生得及び後天的防御を開始するのに重要な、かなり複雑で、多くの場合は多重に相互関連した生物学的経路の現れ又は結果である。疾患又は病理は、これらの正常な生理学的経路が、反応の強さに直接関連してか、異常な調節又は過度な刺激の結果として、自己に対する反応として、又はこれらの組合せとして、更なる発作又は傷害を引き起こすときに生じる。
これらの疾患の発生は、多くの場合、多段階経路及びしばしば多数の異なった生物学的システム/経路に関与しているが、一又は複数のこれら経路の重要な点における介在により改善又は治療効果を有し得る。治療的介在は有害なプロセス/経路の拮抗作用又は有益なプロセス/経路の刺激の何れかにより生じる。
多くの免疫関連疾患が知られており、広範囲にわたって研究されている。このような疾患には、免疫媒介炎症疾患、非免疫媒介炎症疾患、感染疾患、免疫欠損症、異常増殖等が含まれる。
Tリンパ球(T細胞)は哺乳動物の免疫反応の重要な成分である。T細胞は主要組織適合性複合体(MHC)内の遺伝子によりコードされる自己分子と結合する抗原を認識する。抗原は抗原提示細胞、ウイルス感染細胞、癌細胞、移植片等の表面上のMHC分子と共に提示され得る。T細胞系は宿主哺乳動物の健康を脅かすこれらの改変細胞を除去するものである。T細胞はヘルパーT細胞及び細胞障害性T細胞を含む。ヘルパーT細胞は、抗原提示細胞上の抗原-MHC複合体の認識に続いて広範囲に増殖する。またヘルパーT細胞は種々のサイトカイン、例えばリンホカインを分泌し、これはB細胞、細胞障害性T細胞、及び免疫反応に寄与している種々の他の細胞の活性化において中心的な役割を担っている。
複数の皮膚疾患が異常なT細胞反応及び自己免疫と相関している。乾癬は自己免疫疾患と考えられている。特に、免疫系のT細胞が皮膚中のタンパク質を認識し、タンパク質が発見された領域を攻撃することにより、新規皮膚細胞の成長速度が大きくなりすぎて、痛みを伴う盛り上がった鱗状の病変が生じる。これらの病変の特徴は、ケラチノサイトの過剰増殖と、乾癬性病変の表皮における活性T細胞の蓄積である。乾癬には複数の形態があり、滴状乾癬は、幼児と成人前の子供に最も多く見られる乾癬である。これに先立って上気道感染にかかっている場合がある。滴状乾癬は非伝染性で、通常は体幹、四肢及び頭部に散在する小さな滴状の病変を特徴とする。米国乾癬協会によれば、米国で約700万人の乾癬患者が存在する。毎年約2万人の子供が乾癬と診断されており、多くの症例が上気道感染を病因としている。現在の治療の不足又はそれに対する不満足のために、乾癬患者のうち治療を求めているのは約150万人に過ぎないと想定される。疾病の最初の分子レベルの原因は不明であるが、少なくとも7つの乾癬感受性遺伝子座に遺伝連鎖がマッピングされている(6p21.3上のPsor1、17q上のPsor2、4q上のPsor3、1 cent−q21上のPsor4、3q21上のPsor5、19p13上のPsor6、及び1p上のPsor7)。これら遺伝子座の一部は、リウマチ様関節炎、アトピー性皮膚炎、及び過敏性大腸症候群を含む他の自己免疫/炎症性疾患と重複している。本明細書においては、実験により、正常な単核細胞に対し、乾癬性単核細胞においてある遺伝子が上方制御されることを確認した。
上記のような乾癬研究の進歩にも関わらず、哺乳動物における乾癬の存在を検出することができ、この疾患を効果的に抑制できる診断及び治療のための新しい薬剤が望まれている。従って、本発明の目的は、正常な単核細胞と比較して乾癬を発症した患者の単核細胞に過剰発現するポリペプチドを同定し、これらポリペプチド及びそれらのコード化核酸を使用すること、哺乳動物の乾癬の治療的処置及び診断的検出に有用な物質の組成物を生産することである。
発明の概要
A.実施態様
本発明は、ヒトを含む哺乳動物における乾癬の診断と治療に有用な組成物と方法に関する。本発明は、哺乳動物における感染に起因するタンパク質(アゴニスト及びアンタゴニスト抗体を含む)の同定に基づいている。乾癬等の免疫関連疾患は免疫反応を抑制又は増強することで治療することができる。免疫反応を増強する分子は、抗原に対する免疫反応を刺激又は強化する。免疫反応の増強が有益である場合には、免疫反応を刺激する分子が治療に使用可能である。あるいは、免疫反応の鎮静が有用である場合(例えば炎症)には、抗原に対する免疫反応を鎮静又は低減するといった、免疫反応を抑制する分子(例えば中和抗体)を治療的に使用することができる。従って、PROポリペプチド、そのアゴニスト及びアンタゴニストは、乾癬の治療のための医薬及び薬物の調製に有用である。特定の態様では、このような医薬及び薬物は、製薬的に許容可能な担体と共に、治療的有効量のPROポリペプチド、そのアゴニスト又はアンタゴニストを含有する。好ましくは、混合物は滅菌される。
更なる実施態様では、本発明は、PROポリペプチドを候補分子と接触させ、前記PROポリペプチドによって媒介される生物学的活性をモニターすることを含んでなる、PROポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニストの同定方法に関する。好ましくは、PROポリペプチドは天然配列PROポリペプチドである。特定の態様では、PROアゴニスト又はアンタゴニストは抗PRO抗体である。
他の実施態様では、本発明は、担体又は賦形剤と混合されてPROポリペプチド又は該ポリペプチドと結合するアゴニスト又はアンタゴニスト抗体を含んでなる組成物に関する。一態様では、組成物は治療に有効な量のポリペプチド又は抗体を含む。更なる態様では、組成物が乾癬阻害分子を含むとき、組成物は、(a)その必要とする哺乳動物の乾癬組織の量を減少させ、(b)その必要とする哺乳動物における自己免疫反応を阻害又は低減させるのに有用である。他の態様では、組成物は、例えば更なる抗体又は細胞障害又は化学療法剤であり得る更なる活性成分を含有する。好ましくは、組成物は滅菌されている。
他の実施態様では、本発明は有効量のPROポリペプチド、そのアゴニスト又はそのアンタゴニストを哺乳動物に投与することを含む、その必要とする哺乳動物における乾癬を治療する方法に関する。
他の実施態様では、本発明は上述の又は下記のポリペプチドの何れかに特異的に結合する抗体を提供する。場合によっては、該抗体はモノクローナル抗体、ヒト化抗体、抗体断片又は単鎖抗体である。一態様では、本発明は、PROポリペプチドに結合する単離された抗体に関する。他の態様では、抗体はPROポリペプチドの活性を模倣し(アゴニスト抗体)、又は逆に抗体がPROポリペプチドの活性を阻害又は中和する(アンタゴニスト抗体)。他の態様では、抗体はモノクローナル抗体であり、好ましくは非ヒト相補性決定領域(CDR)残基及びヒトフレームワーク領域(FR)残基を有する。抗体は標識されていても固体支持体上に固定化されていてもよい。更なる態様では、抗体は抗体断片、モノクローナル抗体、単鎖抗体、又は抗イディオタイプ抗体である。
更なる他の実施態様では、本発明は製薬的に許容可能な担体と混合して、抗PRO抗体を含有する組成物を提供する。好ましくは該組成物は滅菌されている。組成物は、貯蔵時の安定性の延長が達成されるように保存できる、液状製薬用製剤の形態で投与されてもよい。あるいは、抗体はモノクローナル抗体、抗体断片、ヒト化抗体、又は単鎖抗体である。
更なる実施態様では、本発明は:
(a)PROポリペプチド又はそのアゴニスト又はアンタゴニストを含有する物質の組成物;
(b)該組成物を収容する容器;及び
(c)免疫関連疾患の治療における該PROポリペプチド又はそのアゴニスト又はアンタゴニストの使用に言及した、該容器に添付されたラベル又は該容器に含められた包装挿入物を具備する製造品を提供する。該組成物は、治療的有効量のPROポリペプチド又はそのアゴニスト又はアンタゴニストを含んでいてもよい。
更なる他の実施態様では、本発明は、(a)哺乳動物から得た組織細胞の試験試料における、及び(b)同じ細胞型の既知の正常組織細胞のコントロール試料における、PROポリペプチドをコードする遺伝子の発現レベルを検出することを含む、哺乳動物における乾癬の診断方法に関し、ここで、コントロール試料と比較して試験試料の発現レベルが高い又は低いと、試験組織細胞を得た哺乳動物に乾癬が存在することを示す。
他の実施態様では、本発明は(a)抗PRO抗体を哺乳動物から得た組織細胞の試験試料に接触させ、(b)試験試料中における、PROポリペプチドと抗体との複合体形成を検出することを含む哺乳動物における乾癬の診断方法に関し、ここで、該複合体の形成は、乾癬の有無を示す。検出は、定性的でも定量的でもよく、同じ細胞型の既知の正常組織細胞のコントロール試料における複合体形成をモニターして比較することで実施してもよい。試験試料中に生成される多量の複合体は、試験組織細胞が得られた哺乳動物における乾癬の有無を示す。抗体は、好ましくは検出可能な標識を有する。複合体生成は、例えば、光学顕微鏡、フローサイトメトリー、蛍光測定、又は他のこの分野で知られた技術によりモニターすることができる。通常、試験試料は、乾癬を有すると疑われる個体から採取される。
他の実施態様では、本発明はPROポリペプチドを含有すると思われる細胞の試験試料を抗PRO抗体に暴露し、該細胞試料に対する該抗体の結合性を測定することを含んでなる、試料中におけるPROポリペプチドの有無を決定する方法を提供する。特定の態様では、試料は、PROポリペプチドを含有すると思われる細胞と、細胞に結合する抗体を含む。抗体は、好ましくは検出可能に標識化され、及び/又は固体支持体に結合される。
他の実施態様では、本発明は適当なパッケージ中に抗PRO抗体と担体を含んでなる乾癬の診断キットに関する。キットは好ましくはPROポリペプチドの有無を検出するために抗体を使用するための説明書を含む。好ましくは、担体は製薬的に許容可能なものである。
他の実施態様では、本発明は適当なパッケージに抗PRO抗体を含んでなる診断キットに関する。好ましくはキットはPROポリペプチドを検出するための抗体を使用するための説明書を含む。
他の実施態様では、本発明は哺乳動物から得た組織細胞の試験試料におけるPROポリペプチドの有無を検出することを含む、哺乳動物における乾癬の診断方法を提供し、ここで、該試験試料におけるPROポリペプチドの有無が該哺乳動物に乾癬が存在することを示す。
他の実施態様では、本発明は、PROポリペプチドのアゴニストを同定する方法を提供し、それは:
(a)細胞とスクリーニングされる試験化合物とを、PROポリペプチドによって通常誘発される細胞性反応の誘発に適した条件下で接触させ;
(b)前記細胞性反応の誘発を測定して、試験化合物が有効なアゴニストであるか否かを決定することを含んでなり、前記細胞性反応の誘発が前記試験化合物が有効なアゴニストであることを示す。
他の実施態様では、本発明は、PROポリペプチドに候補化合物を、これら2つの成分を互いに作用させるのに十分な時間と条件の下で接触させ、PROポリペプチドの活性が阻害されているかどうかを決定することを含んでなる、PROポリペプチドの活性を阻害可能な化合物を同定する方法に関する。特定の態様では、候補化合物又はPROポリペプチドのどちらかは固体支持体上に固定される。他の態様では、非固定成分は検出可能な標識を保有する。好ましい態様では、この方法は、
(a)細胞とスクリーニングされる試験化合物とを、PROポリペプチドが存在し、PROポリペプチドによって通常誘発される細胞性反応の誘発に適した条件下で接触させ;
(b)前記細胞性反応の誘発を測定して、試験化合物が有効なアンタゴニストであるか否かを決定する工程を含んでなる。
他の実施態様では、本発明は、通常はPROポリペプチドを発現する細胞におけるPROポリペプチドの発現を阻害する化合物の同定方法を提供し、該方法は、細胞と試験化合物とを接触させ、PROポリペプチドの発現が阻害されるか否かを測定することを含む。好ましい態様では、この方法は:
(a)細胞とスクリーニングされる試験化合物とをPROポリペプチドを発現させるのに適した条件下で接触させ;
(b)前記ポリペプチドの発現の阻害を測定する工程を含んでなる。
更なる実施態様において、本発明は乾癬を患っている哺乳動物の該疾患の治療方法に関し、それは、(a)PROポリペプチド、(b)PROポリペプチドのアゴニスト、又は(c)PROポリペプチドのアンタゴニストのいずれかをコードする核酸分子を哺乳動物に投与することを含んでなり、ここで前記アゴニスト又はアンタゴニストは抗PRO抗体であってよい。好ましい実施態様では、哺乳動物はヒトである。他の好ましい実施態様では、核酸はエキソビボでの遺伝子療法を介して投与される。更なる好ましい実施態様では、核酸はベクター、より好ましくはアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス又はレトロウイルスベクター内に包含される。
また、他の態様において、本発明は、プロモータ、(a)PROポリペプチド、(b)PROポリペプチドのアゴニストポリペプチド、又は(c)PROポリペプチドのアンタゴニストポリペプチドをコードする核酸、及びポリペプチドの細胞分泌のためのシグナル配列から本質的になるウイルスベクターを含有する組換えウイルス粒子を提供し、ここでウイルスベクターはウイルス構造タンパク質に付随している。好ましくは、シグナル配列は哺乳動物、例えば天然PROポリペプチドからのものである。
また、更なる実施態様では、本発明は、レトロウイルス構造タンパク質を発現する核酸構築物を含有し、またプロモータ、(a)PROポリペプチド、(b)PROポリペプチドのアゴニストポリペプチド、又は(c)PROポリペプチドのアンタゴニストポリペプチドをコードする核酸、及びポリペプチドの細胞分泌のためのシグナル配列から本質的になるレトロウイルスベクターを更に含むエキソビボ産生細胞に関し、ここで該産生細胞は、組換えレトロウイルス粒子を生産させるために構造タンパク質に付随してレトロウイルスベクターを包含している。
B.更なる実施態様
本発明の他の態様では、本発明はここに記載したポリペプチドの任意のものをコードするDNAを含むベクターを提供する。また、そのようなベクターの任意のものを含む宿主細胞も提供される。例として、宿主細胞はCHO細胞、大腸菌、又は酵母菌であってよい。ここに記載したポリペプチドの任意のものの製造方法が更に提供され、それは、宿主細胞を所望のポリペプチドの発現に適した条件下で培養し、細胞培養物から所望のポリペプチドを回収することを含む。
他の実施態様では、本発明は、異種ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合した、ここに記載したポリペプチドの任意のものを含んでなるキメラ分子を提供する。そのようなキメラ分子の例は、エピトープタグ配列又は免疫グロブリンのFc領域に融合したここに記載の任意のポリペプチドを含む。
他の実施態様では、本発明は、上記又は下記のポリペプチドの任意のものに特異的に結合する抗体を提供する。場合によっては、抗体はモノクローナル抗体、ヒト化抗体、抗体断片又は単鎖抗体である。
更に他の実施態様では、本発明は、ゲノム及びcDNAヌクレオチド配列又はアンチセンスプローブを単離するのに有用なオリゴヌクレオチドプローブを提供し、それらのプローブは上記又は下記のヌクレオチド配列の任意のものから誘導されうる。
他の実施態様では、本発明はPROポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を提供する。
一態様では、単離された核酸分子は、(a)ここに開示された全長アミノ酸配列、ここに開示されたシグナルペプチドを欠くアミノ酸配列、ここに開示されたシグナルペプチドを伴うか伴わない膜貫通タンパク質の細胞外ドメイン、又はここに開示された全長アミノ酸配列の任意の他の特に定められた断片を有するPROポリペプチドをコードするDNA分子、又は(b)(a)のDNA分子の相補鎖に対して、少なくとも約80%の核酸配列同一性、又は少なくとも約81%の核酸配列同一性、又は少なくとも約82%の核酸配列同一性、又は少なくとも約83%の核酸配列同一性、又は少なくとも約84%の核酸配列同一性、又は少なくとも約85%の核酸配列同一性、又は少なくとも約86%の核酸配列同一性、又は少なくとも約87%の核酸配列同一性、又は少なくとも約88%の核酸配列同一性、又は少なくとも約89%の核酸配列同一性、又は少なくとも約90%の核酸配列同一性、又は少なくとも約91%の核酸配列同一性、又は少なくとも約92%の核酸配列同一性、又は少なくとも約93%の核酸配列同一性、又は少なくとも約94%の核酸配列同一性、又は少なくとも約95%の核酸配列同一性、又は少なくとも約96%の核酸配列同一性、又は少なくとも約97%の核酸配列同一性、又は少なくとも約98%の核酸配列同一性、又は少なくとも約99%の核酸配列同一性を有しているヌクレオチド配列を含んでなる。
他の態様では、単離された核酸分子は、(a)ここに開示された全長PROポリペプチドcDNAのコード配列、ここに開示されたシグナルペプチドを欠くPROポリペプチドのコード配列、ここに開示されたシグナルペプチドを伴うか伴わない膜貫通PROポリペプチドの細胞外ドメインのコード配列、又はここに開示された全長アミノ酸配列の任意の他の特に定められた断片のコード配列を含むDNA分子、又は(b)(a)のDNA分子の相補鎖に対して、少なくとも約80%の核酸配列同一性、又は少なくとも約81%の核酸配列同一性、又は少なくとも約82%の核酸配列同一性、又は少なくとも約83%の核酸配列同一性、又は少なくとも約84%の核酸配列同一性、又は少なくとも約85%の核酸配列同一性、又は少なくとも約86%の核酸配列同一性、又は少なくとも約87%の核酸配列同一性、又は少なくとも約88%の核酸配列同一性、又は少なくとも約89%の核酸配列同一性、又は少なくとも約90%の核酸配列同一性、又は少なくとも約91%の核酸配列同一性、又は少なくとも約92%の核酸配列同一性、又は少なくとも約93%の核酸配列同一性、又は少なくとも約94%の核酸配列同一性、又は少なくとも約95%の核酸配列同一性、又は少なくとも約96%の核酸配列同一性、又は少なくとも約97%の核酸配列同一性、又は少なくとも約98%の核酸配列同一性、又は少なくとも約99%の核酸配列同一性を有しているヌクレオチド配列を含んでなる。
更なる態様では、本発明は、(a)ここに開示されたヒトタンパク質cDNAの任意のものによりコードされる同じ成熟ポリペプチドをコードするDNA分子、又は(b)(a)のDNA分子の相補鎖に対して、少なくとも約80%の核酸配列同一性、又は少なくとも約81%の核酸配列同一性、又は少なくとも約82%の核酸配列同一性、又は少なくとも約83%の核酸配列同一性、又は少なくとも約84%の核酸配列同一性、又は少なくとも約85%の核酸配列同一性、又は少なくとも約86%の核酸配列同一性、又は少なくとも約87%の核酸配列同一性、又は少なくとも約88%の核酸配列同一性、又は少なくとも約89%の核酸配列同一性、又は少なくとも約90%の核酸配列同一性、又は少なくとも約91%の核酸配列同一性、又は少なくとも約92%の核酸配列同一性、又は少なくとも約93%の核酸配列同一性、又は少なくとも約94%の核酸配列同一性、又は少なくとも約95%の核酸配列同一性、又は少なくとも約96%の核酸配列同一性、又は少なくとも約97%の核酸配列同一性、又は少なくとも約98%の核酸配列同一性、又は少なくとも約99%の核酸配列同一性を有しているヌクレオチド配列を含んでなる単離された核酸分子に関する。
本発明の他の態様は、膜貫通ドメインが欠失されているか膜貫通ドメインが不活性化されているPROポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、またはそのようなコード化ヌクレオチド配列に相補的であるものを含んでなる単離された核酸分子を提供し、ここでそのようなポリペプチドの膜貫通ドメインがここに開示される。従って、ここに記載されたPROポリペプチドの可溶性細胞外ドメインが考慮される。
他の実施態様は、PROポリペプチドコード配列の断片、又はその相補鎖に関し、それらは、例えば、場合によっては抗PRO抗体に対する結合部位を含むポリペプチドをコードするPROポリペプチドの断片をコードする、ハイブリッド形成プローブとして、又はアンチセンスオリゴヌクレオチドプローブとしての用途が見いだされる。そのような核酸断片は通常少なくとも約20のヌクレオチド長、又は少なくとも約30のヌクレオチド長、又は少なくとも約40のヌクレオチド長、又は少なくとも約50のヌクレオチド長、又は少なくとも約60のヌクレオチド長、又は少なくとも約70のヌクレオチド長、又は少なくとも約80のヌクレオチド長、又は少なくとも約90のヌクレオチド長、又は少なくとも約100のヌクレオチド長、又は少なくとも約110のヌクレオチド長、又は少なくとも約120のヌクレオチド長、又は少なくとも約130のヌクレオチド長、又は少なくとも約140のヌクレオチド長、又は少なくとも約150のヌクレオチド長、又は少なくとも約160のヌクレオチド長、又は少なくとも約170のヌクレオチド長、又は少なくとも約180のヌクレオチド長、又は少なくとも約190のヌクレオチド長、又は少なくとも約200のヌクレオチド長、又は少なくとも約250のヌクレオチド長、又は少なくとも約300のヌクレオチド長、又は少なくとも約350のヌクレオチド長、又は少なくとも約400のヌクレオチド長、又は少なくとも約450のヌクレオチド長、又は少なくとも約500のヌクレオチド長、又は少なくとも約600のヌクレオチド長、又は少なくとも約700のヌクレオチド長、又は少なくとも約800のヌクレオチド長、又は少なくとも約900のヌクレオチド長、又は少なくとも約1000のヌクレオチド長であり、ここで、「約」という用語は、その参照している長さのプラス又はマイナス10%の参照ヌクレオチド配列長を意味する。PROポリペプチドコード化ヌクレオチド配列の新規な断片は、多くのよく知られた配列アラインメントプログラムの任意のものを使用して、PROポリペプチドコードヌクレオチド配列を他の既知のヌクレオチド配列にアラインメントさせ、どのPROポリペプチドコード化ヌクレオチド配列断片(類)が新規であるかを決定することにより常套的な形で決定することができることに留意される。そのようなPROポリペプチドコード化ヌクレオチド配列の全てがここで考慮される。また考慮されるものは、これらのヌクレオチド分子断片によりコードされるPROポリペプチド断片、好ましくは抗PRO抗体に対する結合部位を含んでなるそれらのPROポリペプチド断片である。
他の実施態様では、本発明は、上記で同定された単離された核酸配列の任意のものにコードされる単離されたPROポリペプチドを提供する。
ある態様では、本発明は、ここに開示された全長アミノ酸配列、ここに開示されたシグナルペプチドを欠くアミノ酸配列、ここに開示されたシグナルペプチドを伴うか伴わない膜貫通タンパク質の細胞外ドメイン、又はここに開示された全長アミノ酸配列の任意の他の特に定められた断片を有するPROポリペプチドに対して、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約81%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約82%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約83%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約84%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約86%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約87%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約88%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約89%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約91%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約92%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約93%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約94%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約96%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約97%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約98%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有しているアミノ酸配列を含んでなる単離されたPROポリペプチドに関する。
更なる態様では、本発明は、ここに開示されたヒトタンパク質cDNAの任意のものによりコードされるアミノ酸配列に対して、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約81%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約82%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約83%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約84%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約86%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約87%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約88%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約89%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約91%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約92%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約93%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約94%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約96%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約97%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約98%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有しているアミノ酸配列を含んでなる単離されたPROポリペプチドに関する。
特定の態様では、本発明は、N末端シグナル配列及び/又は開始メチオニンを持たない単離されたPROポリペプチドを提供し、それは上述したそのようなアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列によりコードされる。これを生産する方法もまたここに記載され、ここで、これらの方法はPROポリペプチドの発現に適した条件下で適当なコード化核酸分子を含むベクターを含んでなる宿主細胞を培養し、細胞培養物からPROポリペプチドを回収することを含んでなる。
他の態様では、本発明は、膜貫通ドメインが欠失されたか膜貫通ドメインが不活性化された単離されたPROポリペプチドを提供する。これを生産する方法もまたここに記載され、ここで、これらの方法はPROポリペプチドの発現に適した条件下で適当なコード化核酸分子を含むベクターを含んでなる宿主細胞を培養し、細胞培養物からPROポリペプチドを回収することを含んでなる。
更に他の実施態様では、本発明は、ここで定められる天然PROポリペプチドのアゴニスト及びアンタゴニストに関する。特定の実施態様では、アゴニスト又はアンタゴニストは抗PRO抗体又は小分子である。
更なる実施態様では、本発明は、PROポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニストを同定する方法に関し、それは、PROポリペプチドを候補分子と接触させ、前記PROポリペプチドによって媒介される生物学的活性をモニターすることを含む。好ましくは、PROポリペプチドは天然PROポリペプチドである。
また更なる実施態様では、本発明は、PROポリペプチド、又はここに記載するPROポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニスト、又は抗PRO抗体を、担体と組み合わせて含有する物質の組成物に関する。場合によっては、担体は製薬的に許容される担体である。
本発明の他の実施態様は、PROポリペプチド、又は上記したようなそのアゴニスト又はアンタゴニスト、又は抗PRO抗体の、PROポリペプチド、そのアゴニスト又はアンタゴニスト又は抗PRO抗体に起因する病状の治療に有用な医薬の調製のための使用に関する。
好適な実施態様の詳細な説明
1.定義
ここで使用される際の「PROポリペプチド」及び「PRO」という用語は、直後に数値標記がある場合、種々のポリペプチドを指し、完全な符号(すなわち、PRO/番号)は、ここに記載する特定のポリペプチド配列を指す。「PRO/番号ポリペプチド」及び「PRO/番号」であって、「番号」がここで使用される実際の数値標記として与えられる用語は、天然配列ポリペプチド及びポリペプチド変異体(ここで更に定義する)を含む。ここに記載されるPROポリペプチドは、ヒト組織型又は他の供給源といった種々の供給源から単離してもよく、組換え又は合成法によって調製してもよい。「PROポリペプチド」なる用語は、ここで記載する個々のPRO/番号ポリペプチドをそれぞれ指す。「PROポリペプチド」を意味するこの明細書における全開示は、ポリペプチドのそれぞれを個々に、また一緒に併せて意味する。例えば、それに対する抗体の調製、精製、誘導、精製、それを含む組成物、それを用いた病気の治療等々の記載は、本発明の各ポリペプチドにそれぞれ関与している。また「PROポリペプチド」なる用語には、ここに開示されるPRO/番号ポリペプチドの変異体も含まれる。
「天然配列PROポリペプチド」は、天然由来の対応するPROポリペプチドと同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。このような天然配列PROポリペプチドは、天然から単離することもできるし、組換え又は合成手段により生産することもできる。「天然配列PROポリペプチド」という用語には、特に、特定のPROポリペプチドの自然に生じる切断又は分泌形態(例えば、細胞外ドメイン配列)、自然に生じる変異形態(例えば、選択的にスプライシングされた形態)及びそのポリペプチドの自然に生じる対立遺伝子変異体が含まれる。本発明の種々の実施態様において、ここで記載の天然配列PROポリペプチドは、添付の図面に示される全長アミノ酸配列を含む成熟又は全長天然配列ポリペプチドである。開始及び停止コドンは、図において太字及び下線で示す。しかし、添付の図面に開示したPROポリペプチドは、図面におけるアミノ酸位置1としてここに命名されるメチオニン残基で始まるように示されているが、図面におけるアミノ酸位置1の上流又は下流に位置する他のメチオニン残基をPROポリペプチドの開始アミノ酸残基として用いることも考えられるし可能でもある。
PROポリペプチド「細胞外ドメイン」又は「ECD」は、膜貫通及び細胞質ドメインを本質的に有しないPROポリペプチドの形態を称する。通常、PROポリペプチドECDは、それらの膜貫通及び/又は細胞質ドメインを1%未満、好ましくはそのようなドメインを0.5%未満しか持たない。本発明のPROポリペプチドについて同定された任意の膜貫通ドメインは、疎水性ドメインのその型を同定するために当該分野において日常的に使用される基準に従い同定されることが理解されるであろう。膜貫通ドメインの厳密な境界は変わり得るが、ここで最初に同定されたドメインのいずれかの末端から約5アミノ酸を越えないと思われる。よって、PROポリペプチド細胞外ドメインは、場合によっては、実施例又は明細書で同定されるように膜貫通ドメイン/細胞外ドメインの境界のいずれかの側から約5又はそれ未満のアミノ酸を含んでもよく、シグナルペプチドを伴う又は伴わない、そのようなポリペプチド及びそれらをコードする核酸は、本発明で考慮される。
ここに開示する種々のPROポリペプチドの「シグナルペプチド」の適切な位置は、本明細書及び/又は添付の図面に示す。しかし、注記するように、シグナルペプチドのC-末端境界は変化しうるが、ここで最初に定義したようにシグナルペプチドC-末端境界のいずれかの側で約5アミノ酸を越えないと思われ、シグナルペプチドのC-末端境界は、そのような型のアミノ酸配列成分を同定するのに当該技術にいて日常的に使用される基準に従って同定され得る(例えば、Nielsen等, Prot. Eng. 10: 1-6 (1997)及びvon Heinje等, Nucl. Acids. Res. 14: 4683-4690 (1986))。更に、幾つかの場合には、分泌ポリペプチドからのシグナルペプチドの切断は完全に均一ではなく、一以上の分泌種をもたらすことも認められる。シグナルペプチドがここに同定されるシグナルペプチドのC-末端境界のいずれかの側の約5アミノ酸を越えない範囲内で切断されるこれらの成熟ポリペプチド、及びそれらをコードするポリヌクレオチドは、本発明で考慮される。
「PROポリペプチド変異体」とは、ここに開示される全長天然配列PROポリペプチド配列、ここに開示されたシグナルペプチドを欠くPROポリペプチド配列、ここに開示されたシグナルペプチドを伴うか伴わないPROポリペプチドの細胞外ドメイン又はここに開示された全長PROポリペプチド配列の他の断片と、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する上記又は下記の活性PROポリペプチドを意味する。このようなPROポリペプチド変異体には、例えば、全長天然アミノ酸配列のN-又はC-末端において一又は複数のアミノ酸残基が付加、もしくは欠失されたPROポリペプチドが含まれる。通常、PROポリペプチド変異体は、ここに開示された全長天然配列PROポリペプチド配列、ここに開示されたシグナルペプチドを欠くPROポリペプチド配列、ここに開示されたシグナルペプチドを伴うか伴わないPROポリペプチドの細胞外ドメイン又はここに開示された全長PROポリペプチド配列の任意の他の特に定められた断片と、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約81%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約82%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約83%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約84%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約86%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約87%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約88%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約89%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約91%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約92%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約93%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約94%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約96%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約97%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約98%のアミノ酸配列同一性、そして、又は少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有している。通常は、PRO変異体ポリペプチドは、少なくとも約10アミノ酸長、又は少なくとも約20アミノ酸長、又は少なくとも約30アミノ酸長、又は少なくとも約40アミノ酸長、又は少なくとも約50アミノ酸長、又は少なくとも約60アミノ酸長、又は少なくとも約70アミノ酸長、又は少なくとも約80アミノ酸長、又は少なくとも約90アミノ酸長、又は少なくとも約100アミノ酸長、又は少なくとも約150アミノ酸長、又は少なくとも約200アミノ酸長、又は少なくとも約300アミノ酸長、又はそれ以上である。
ここで同定されているPROポリペプチド配列に対して「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入し、如何なる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした、特定のPROポリペプチド配列におけるアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGN又はMegalign(DNASTAR)ソフトウエアのような公に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。当業者であれば、比較される配列の全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。しかし、ここでの目的のためには、%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN−2プログラム用の完全なソースコードが以下の表1に与えられている配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を用いて得られる。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテク社によって作成され、以下の表1に示したソースコードは米国著作権庁, Washington D.C., 20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている。ALIGN−2プログラムはジェネンテク社、South San Francisco, Californiaから公に入手可能であり、また以下の表1に与えたソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN−2プログラムは、UNIXオペレーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX V4.0Dでの使用のためにコンパイルされる。全ての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムによって設定され変動しない。
アミノ酸配列比較にALIGN−2が用いられる状況では、与えられたアミノ酸配列Aの、与えられたアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(与えられたアミノ酸配列Bとの、又はそれに対して或る程度の%アミノ酸配列同一性を持つ又は含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:
分率X/Yの100倍
ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN−2のA及びBのアラインメントによって同一であると一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることは認識されるであろう。この方法を用いた%アミノ酸配列同一性の計算の例として、表2と3は、「比較タンパク質」と称されるアミノ酸配列の「PRO」と称されるアミノ酸配列に対する%アミノ酸配列同一性の計算方法を示し、ここで「PRO」とは関心ある仮のPROポリペプチドのアミノ酸配列を表し、「比較タンパク質」とは関心ある「PRO」ポリペプチドが比較されているポリペプチドのアミノ酸配列を表し、「X」、「Y」及び「Z」はそれぞれ異なった仮のアミノ酸配列を表す。
特に断らない限り、ここで用いられる全ての%アミノ酸配列同一性値は、直上のパラグラフに記載したようにしてALIGN−2コンピュータプログラムを用いて得られる。しかしながら、%アミノ酸配列同一性値は、以下に記載するように、WU−BLAST−2コンピュータプログラム(Altschul等, Methods in Enzymology 266: 460-480 (1996))を用いて得ることもできる。殆どのWU−BLAST−2検索パラメータは初期値に設定される。初期値に設定されない、即ち調節可能なパラメータは以下の値に設定する:オーバーラップスパン=1、オーバーラップフラクション=0.125、ワード閾値(T)=11、及びスコアリングマトリクス=BLOSUM62。WU−BLAST−2を用いた場合、%アミノ酸配列同一性値は、WU−BLAST−2により決定されるように、(a)天然PROポリペプチドから誘導された配列を有する関心あるPROポリペプチドのアミノ酸配列と、関心ある比較アミノ酸配列(即ち、関心あるPROポリペプチドが比較されるPROポリペプチド変異体であってもよい配列)との間の、一致する同一アミノ酸残基の数を、(b)関心あるPROポリペプチドのアミノ酸残基の総数で除した商によって決定される。例えば、「アミノ酸配列Bと少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を持つ又は持っているアミノ酸配列Aを含むポリペプチド」という表現では、アミノ酸配列Aが関心ある比較アミノ酸配列であり、アミノ酸配列Bが関心あるPROポリペプチドのアミノ酸配列である。
また、パーセントアミノ酸配列同一性は、配列比較プログラムNCBI−BLAST2(Altschul等, Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402 (1997))を用いて決定してもよい。NCBI−BLAST2配列比較プログラムは、http://www.ncbi.nlm.nih.govからダウンロードしてもよく、別にNational Institute of Health, Bethesda, MDから得てもよい。NCBI−BLAST2は幾つかの検索パラメータを使用し、それら検索パラメータの全ては初期値に設定され、例えば、unmask=可、鎖=全て、予測される発生=10、最小低複合長=15/5、マルチパスe-値=0.01、マルチパスの定数=25、最終ギャップアラインメントのドロップオフ=25、及びスコアリングマトリクス=BLOSUM62を含む。
アミノ酸配列比較にNCBI−BLAST2が用いられる状況では、与えられたアミノ酸配列Aの、与えられたアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(与えられたアミノ酸配列Bと、又はそれに対して或る程度の%アミノ酸配列同一性を持つ又は含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:
分率X/Yの100倍
ここで、Xは配列アラインメントプログラムNCBI−BLAST2のA及びBのアラインメントによって同一であると一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なると認識されるであろう。
「PRO変異体ポリヌクレオチド」又は「PRO変異体核酸配列」とは、下記に定義されるように、活性PROポリペプチドをコードする核酸分子でを意味し、ここに開示された全長天然配列PROポリペプチド配列、ここに開示されたシグナルペプチドを欠く全長天然配列PROポリペプチド配列、ここに開示されたシグナルペプチドを伴うか伴わないPROポリペプチドの細胞外ドメイン又はここに開示された全長ポリペプチド配列の任意の他の断片をコードするヌクレオチド配列と少なくとも80%の核酸配列同一性を有する。通常は、PROポリペプチド変異体ポリヌクレオチドは、ここに開示された全長天然配列PROポリペプチド配列、ここに開示されたシグナルペプチドを欠く全長天然配列PROポリペプチド配列、ここに開示されたシグナル配列を伴うか伴わないPROポリペプチド配列の細胞外ドメイン又はここに開示された全長PROポリペプチド配列の任意の他の断片をコードする核酸配列と、少なくとも約80%の核酸配列同一性、又は少なくとも約81%の核酸配列同一性、又は少なくとも約82%の核酸配列同一性、又は少なくとも約83%の核酸配列同一性、又は少なくとも約84%の核酸配列同一性、又は少なくとも約85%の核酸配列同一性、又は少なくとも約86%の核酸配列同一性、又は少なくとも約87%の核酸配列同一性、又は少なくとも約88%の核酸配列同一性、又は少なくとも約89%の核酸配列同一性、又は少なくとも約90%の核酸配列同一性、又は少なくとも約91%の核酸配列同一性、又は少なくとも約92%の核酸配列同一性、又は少なくとも約93%の核酸配列同一性、又は少なくとも約94%の核酸配列同一性、又は少なくとも約95%の核酸配列同一性、又は少なくとも約96%の核酸配列同一性、又は少なくとも約97%の核酸配列同一性、又は少なくとも約98%の核酸配列同一性、又は少なくとも約99%の核酸配列同一性を有している。変異体は、天然ヌクレオチド配列を含まない。変異体は天然ヌクレオチド配列を含まない。
通常は、PROポリペプチド変異体ポリヌクレオチドは、少なくとも約30のヌクレオチド長、又は少なくとも約60のヌクレオチド長、又は少なくとも約90のヌクレオチド長、又は少なくとも約120のヌクレオチド長、又は少なくとも約150のヌクレオチド長、又は少なくとも約180のヌクレオチド長、又は少なくとも約210のヌクレオチド長、又は少なくとも約240のヌクレオチド長、又は少なくとも約270のヌクレオチド長、又は少なくとも約300のヌクレオチド長、又は少なくとも約450のヌクレオチド長、又は少なくとも約600のヌクレオチド長、又は少なくとも約900のヌクレオチド長である。
ここで同定されるPROコード化核酸配列に対する「パーセント(%)核酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入し、関心あるPRO核酸配列のヌクレオチドと同一である候補配列中のヌクレオチドのパーセントとして定義される。パーセント核酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の知る範囲にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGN又はMegalign(DNASTAR)ソフトウエアのような公に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。しかし、ここでの目的のためには、%核酸配列同一性値は、ALIGN−2プログラム用の完全なソースコードが以下の表1に与えられている配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を用いて得られる。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテク社によって作成され、以下の表1に示したソースコードは米国著作権庁, Washington D.C., 20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている。ALIGN−2プログラムはジェネンテク社、South San Francisco, Californiaから公に入手可能であり、また以下の表1に与えたソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN−2プログラムは、UNIXオペレーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX V4.0Dでの使用のためにコンパイルされる。全ての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムによって設定され変動しない。
核酸配列比較にALIGN−2が用いられる状況では、与えられた核酸配列Cの、与えられた核酸配列Dとの、又はそれに対する%核酸配列同一性(与えられた核酸配列Dとの、又はそれに対して或る程度の%核酸配列同一性を持つ又は含む与えられた核酸配列Cと言うこともできる)は次のように計算される:
分率W/Zの100倍
ここで、Wは配列アラインメントプログラムALIGN−2のC及びDのアラインメントによって同一であると一致したスコアのヌクレオチドの数であり、ZはDの全ヌクレオチド数である。核酸配列Cの長さが核酸配列Dの長さと異なる場合、CのDに対する%核酸配列同一性は、DのCに対する%核酸配列同一性とは異なると認識されるであろう。%核酸配列同一性の計算の例として、表4と5は、「比較DNA」と称される核酸配列の「PRO-DNA」と称される核酸配列に対する%核酸配列同一性の計算方法を示し、ここで「PRO-DNA」は、関心ある仮のPRO-コード化核酸配列を表し、「比較DNA」は関心ある「PRO-DNA」核酸分子が比較されている核酸分子のヌクレオチド配列を表し、「N」、「L」及び「V」はそれぞれ異なった仮のヌクレオチドを表す。
特に断らない限り、ここで用いられる全ての%核酸配列同一性値は、直上のパラグラフに記載したようにしてALIGN−2コンピュータプログラムを用いて得られる。しかしながら、%核酸配列同一性値は、以下に記載するように、WU−BLAST−2コンピュータプログラム(Altschul等, Methods in Enzymology 266: 460-480 (1996))を用いて得ることもできる。殆どのWU−BLAST−2検索パラメータは初期値に設定される。初期値に設定されない、即ち調節可能なパラメータは以下の値に設定する:オーバーラップスパン=1、オーバーラップフラクション=0.125、ワード閾値(T)=11、及びスコアリングマトリクス=BLOSUM62。WU−BLAST−2を用いた場合、%核酸配列同一性値は、WU−BLAST−2により決定されるように(a)天然配列PROポリペプチドコード化核酸から誘導された配列を有する関心あるPROポリペプチドコード化核酸分子の核酸配列と、関心ある比較核酸分子(すなわち、関心あるPROポリペプチドコード化核酸分子が比較される変異PROポリヌクレオチドであってもよい配列)との間の、一致する同一ヌクレオチドの数を、(b)関心あるPROポリペプチドコード化核酸配列のヌクレオチドの総数で除した商によって決定される。例えば、「核酸配列Bと少なくとも80%の核酸配列同一性を持つ又は持っている核酸配列Aを含む単離された核酸分子」という記載において、核酸配列Aは関心ある比較核酸分子であり、核酸配列Bは関心あるPROポリペプチドコード化核酸分子の核酸配列である。
また、パーセント核酸配列同一性は、配列比較プログラムNCBI−BLAST2(Altschul等, Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402 (1997))を用いて決定してもよい。NCBI−BLAST2配列比較プログラムは、http://www.ncbi.nlm.nih.govからダウンロードしてもよく、別にNational Institute of Health, Bethesda, MDから得てもよい。NCBI−BLAST2は幾つかの検索パラメータを使用し、それら検索パラメータの全ては初期値に設定され、例えば、unmask=可、鎖=全て、予測される発生=10、最小低複合長=15/5、マルチパスe-値=0.01、マルチパスの定数=25、最終ギャップアラインメントのドロップオフ=25、及びスコアリングマトリクス=BLOSUM62を含む。
配列比較にNCBI−BLAST2が用いられる状況では、与えられた核酸配列Cの、与えられた核酸配列Dとの、又はそれに対する%核酸配列同一性(与えられた核酸配列Dとの、又はそれに対して或る程度の%核酸配列同一性を持つ又は含む与えられた核酸配列Cと言うこともできる)は次のように計算される:
分率W/Zの100倍
ここで、Wは配列アラインメントプログラムNCBI−BLAST2のC及びDのアラインメントによって同一であると一致したスコアのヌクレオチド数であり、ZはDの全ヌクレオチド数である。核酸配列Cの長さが核酸配列Dの長さと異なる場合、CのDに対する%核酸配列同一性は、DのCに対する%核酸配列同一性とは異なると認識されるであろう。
他の実施態様では、PRO変異体ポリヌクレオチドは、活性PROポリペプチドをコードし、好ましくは緊縮性ハイブリッド形成及び洗浄条件下で、ここに開示する全長PROポリペプチドをコードするヌクレオチド配列にハイブリッド形成可能な核酸分子である。PRO変異体ポリペプチドは、PRO変異体ポリヌクレオチドにコードされるものであってもよい。
「単離された」とは、ここで開示された種々のポリペプチドを記述するために使用するときは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたポリペプチドを意味する。その自然環境の汚染成分とは、そのポリペプチドの診断又は治療への使用を典型的には妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。好ましい実施態様において、ポリペプチドは、(1)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15残基のN末端あるいは内部アミノ酸配列を得るのに充分なほど、あるいは、(2)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS-PAGEによる均一性まで精製される。単離されたポリペプチドには、自然環境におけるPROポリペプチドの少なくとも1つの成分が存在しないため、組換え細胞内のインサイツのポリペプチドが含まれる。しかしながら、通常は、単離されたポリペプチドは少なくとも1つの精製工程により調製される。
「単離された」PROポリペプチドコード化核酸又は他のポリペプチドコード化核酸は、同定され、ポリペプチドコード化核酸の天然源に通常付随している少なくとも1つの汚染核酸分子から分離された核酸分子である。単離されたポリペプチドコード化核酸分子は、天然に見出される形態あるいは設定以外のものである。ゆえに、単離されたポリペプチドコード化核酸は、天然の細胞中に存在する特定のポリペプチドコード化核酸分子とは区別される。しかし、単離されたポリペプチドコード化核酸分子は、例えば、核酸分子が天然細胞のものとは異なった染色体位置にあるポリペプチドを通常発現する細胞に含まれるものを含む。
「コントロール配列」という用語は、特定の宿主生物において作用可能に結合したコード配列を発現するために必要なDNA配列を称す。例えば原核生物に好適なコントロール配列は、プロモーター、場合によってはオペレータ配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核生物の細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用することが知られている。
核酸は、他の核酸配列と機能的な関係にあるときに「作用可能に結合し」ている。例えば、プレ配列あるいは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に寄与するプレタンパク質として発現されているなら、そのポリペプチドのDNAに作用可能に結合している;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすならば、コード配列に作用可能に結合している;又はリボソーム結合部位は、もしそれが翻訳を容易にするような位置にあるなら、コード配列と作用可能に結合している。一般的に、「作用可能に結合している」とは、結合したDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接していて読みフェーズにあることを意味する。しかし、エンハンサーは必ずしも近接している必要はない。結合は簡便な制限部位でのライゲーションにより達成される。そのような部位が存在しない場合は、従来の手法に従って、合成オリゴヌクレオチドアダプターあるいはリンカーが使用される。
「抗体」という用語は最も広い意味において使用され、例えば、単一の抗PROモノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト、及び中和抗体を含む)、多エピトープ特異性を持つ抗PRO抗体組成物、単鎖抗PRO抗体、及び抗PRO抗体の断片を特にカバーしている(下記参照)。ここで使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団、すなわち、集団に含まれる個々の抗体が、少量存在しうる自然に生じる可能性のある突然変異を除いて同一である集団から得られる抗体を称する。
ハイブリッド形成反応の「緊縮性」は、通常、当業者によって容易に決定され、一般的にプローブ長、洗浄温度、及び塩濃度に依存する経験的な計算である。一般に、プローブが長くなればなる程、適切なアニーリングのために温度を高くする必要があり、プローブが短くなればなる程、温度を低くする必要が生じる。ハイブリッド形成は、一般的に、相補鎖がその融点より低い環境に存在する場合、変性DNAの再アニールする能力に依存する。プローブとハイブリッド形成可能な配列との間の所望の相同性の程度が高くなると、使用できる相対温度が高くなる。その結果、より高い相対温度は、反応条件をより緊縮性にするが、低い温度は緊縮性を低下させる。ハイブリッド形成反応の緊縮性の更なる詳細及び説明は、Ausubel等, Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience Publishers, (1995)を参照のこと。
ここで定義される「ストリンジェントな条件」又は「高度にストリンジェントな条件」は、(1)洗浄のために低イオン強度及び高温度、例えば、50℃において0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウムを用いるもの;(2)ハイブリッド形成中にホルムアミド等の変性剤、例えば、42℃において50%(v/v)ホルムアミドと0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%のポリビニルピロリドン/50mMのpH6.5のリン酸ナトリウムバッファー、及び750mMの塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムを用いるもの;又は(3)42℃における50%ホルムアミド、5xSSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のピロリン酸ナトリウム、5xデンハート液、超音波処理サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、及び10%のデキストラン硫酸と、42℃における0.2xSSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中の洗浄及び55℃での50%ホルムアミド、次いで55℃におけるEDTAを含む0.1xSSCからなる高緊縮性洗浄を用いるものによって同定され得る。
「中程度にストリンジェントな条件」は、Sambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory Manual.New York: Cold Spring Harbor Press, 1989に記載されているように同定され、上記の緊縮性より低い洗浄溶液及びハイブリッド形成条件(例えば、温度、イオン強度及び%SDS)の使用を含む。中程度にストリンジェントな条件の例は、20%ホルムアミド、5xSSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハート液、10%デキストラン硫酸、及び20mg/mLの変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中の37℃での終夜インキュベーション、次いで1xSSC中37-50℃でのフィルターの洗浄といったものある。当業者であれば、プローブ長等の因子に適合させる必要に応じて、どのようにして温度、イオン強度等を調節するかを認識するであろう。
「エピトープタグ」なる用語は、ここで用いられるときは、「タグポリペプチド」に融合したPROポリペプチドを含んでなるキメラポリペプチドを称す。タグポリペプチドは、その抗体が産生され得るエピトープを提供するに十分な数の残基を有しているが、その長さは、融合するPROポリペプチドの活性を阻害しないよう充分に短い。また、タグポリペプチドは、好ましくは、抗体が他のエピトープと実質的に交差反応をしないようにかなり独特である。適切なタグポリペプチドは、一般に、少なくとも6のアミノ酸残基、通常は約8〜約50のアミノ酸残基(好ましくは約10〜約20のアミノ酸残基)を有する。
ここで用いられる「イムノアドヘシン」なる用語は、異種タンパク質(「アドヘシン」)の結合特異性と免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能とを結合した抗体様分子を指す。構造的には、イムノアドヘシンは、所望の結合特異性を持ち、抗体の抗原認識及び結合部位以外である(即ち「異種の」)アミノ酸配列と、免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合物を含む。イムノアドヘシン分子のアドへシン部分は、典型的には少なくともレセプター又はリガンドの結合部位を含む隣接アミノ酸配列である。イムノアドヘシンの免疫グロブリン定常ドメイン配列は、IgG-1、IgG-2、IgG-3又はIgG-4サブタイプ、IgA(IgA-1及びIgA-2を含む)、IgE、IgD又はIgM等の任意の免疫グロブリンから得ることができる。
ここでの目的において「活性な」又は「活性」とは、天然又は自然に生じるPROの生物学的及び/又は免疫学的活性を保持しているポリペプチドの形態を意味し、ここで「生物学的」活性とは、天然又は自然に生じるPROによって生ずる(阻害性又は刺激性の)生物学的機能であって、天然又は自然に生じるPROが有する抗原性エピトープに対して抗体を生成する能力を除くものを称し、「免疫学的」活性とは、天然又は自然に生じるPROが有する抗原性エピトープに対して抗体の生成を誘発する能力を称する。
「アンタゴニスト」なる用語は最も広い意味で用いられ、ここに開示した天然PROポリペプチドの生物学的活性を部分的又は完全に阻止、阻害、又は中和する任意の分子を含む。同様に「アゴニスト」なる用語も最も広い意味で用いられ、ここに開示した天然PROポリペプチドの生物学的活性を模倣する任意の分子を含む。好適なアゴニスト又はアンタゴニスト分子は特に、アゴニスト又はアンタゴニスト抗体又は抗体断片、天然PROポリペプチドの断片又はアミノ酸配列変異体、ペプチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、有機小分子等を含む。PROポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニストの同定方法は、PROポリペプチドを候補アンタゴニスト又はアゴニスト分子と接触させ、PROポリペプチドに通常付随する一又は複数の生物学的活性の検出可能な変化を測定することを含みうる。
「治療」とは、治癒的処置、予防的療法及び防止的療法の両方を意味し、患者は標的とする病理学的状態又は疾患を防止又は低下(減少)させられる。治療が必要なものとは、既に疾患に罹っているもの、並びに疾患に罹りやすいもの又は疾患が防止されているものを含む。
「慢性」投与とは、急性様式とは異なり連続的な様式で薬剤を投与し、初期の治療効果(活性)を長時間に渡って維持することを称する。「間欠」投与とは、中断無く連続的になされるのではなく、むしろ本質的に周期的になされる処理である。
治療の目的のための「哺乳動物」は、ヒト、家庭及び農業用動物、及び動物園、スポーツ、又はペット動物、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギなどを含む哺乳動物に分類される任意の動物を称する。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
一又は複数の治療薬と「組み合わせた」投与とは、同時(同時期)及び任意の順序での連続した投与を含む。
ここで用いられる「担体」は、製薬的に許容されうる担体、賦形剤、又は安定化剤を含み、用いられる用量及び濃度でそれらに暴露される細胞又は哺乳動物に対して非毒性である。生理学的に許容されうる担体は、水性pH緩衝溶液であることが多い。生理学的に許容されうる担体の例は、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸塩のバッファー;アスコルビン酸を含む酸化防止剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;疎水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリシン;グルコース、マンノース又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;マンニトール又はソルビトール等の糖アルコール;ナトリウム等の塩形成対イオン;及び/又は非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(商品名)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(商品名)を含む。
「抗体断片」は、無傷の抗体の一部、好ましくは無傷の抗体の抗原結合又は可変領域を含む。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab')、及びFv断片;ダイアボディ(diabodies);直鎖状抗体(Zapata等, Protein Eng. 8(10): 1057-1062 [1995]);単鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異性抗体を含む。
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗体結合断片を生成し、その各々は単一の抗原結合部位を持ち、残りは容易に結晶化する能力を反映して「Fc」断片と命名される。ペプシン処理はF(ab')断片を生じ、それは2つの抗原結合部位を持ち、抗原を交差結合することができる。
「Fv」は、完全な抗原認識及び結合部位を含む最小の抗体断片である。この領域は、密接に非共有結合した1本の重鎖と1本の軽鎖の可変領域の二量体からなる。この配置において各可変ドメインの3つのCDRが相互作用してV−V二量体の表面に抗原結合部位を決定する。正しくは、6つのCDRsが抗体に対する抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含んでなるFvの半分)でさえ、結合部位全体よりは低い親和性であるが、抗原を認識し結合する能力を持つ。
またFab断片は、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)も含む。Fab断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に幾つかの残基が付加されていることによりFab'断片と相違する。ここで、Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離のチオール基を持つFab’を表す。F(ab')抗体断片は、通常はFab’断片の対として生成され、それらの間にヒンジシステインを有する。抗体断片の他の化学的結合も知られている。
任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる二つの明らかに異なる型の一つが割り当てられる。
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンには5つの主たるクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、それらのいくつかは更にサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4、IgA及びIgA2に分割される。
「単鎖Fv」又は「sFv」抗体断片は、抗体のV及びVドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。好ましくは、FvポリペプチドはV及びVドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含み、それはsFvが抗原結合に望まれる構造を形成するのを可能にする。sFvの概説については、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)のPluckthunを参照のこと。
「ダイアボディ(diabodies)」という用語は、二つの抗原結合部位を持つ小型の抗体断片を指し、その断片は同じポリペプチド鎖(V-V)内で軽鎖可変ドメイン(V)に結合した重鎖可変ドメイン(V)を含む。同じ鎖の二つのドメイン間に対形成するには短すぎるリンカーを用いることにより、ドメインは強制的に他の鎖の相補的ドメインと対形成して二つの抗原結合部位を生成する。ダイアボディは、例えば、EP 404,097; WO 93/11161; 及びHollinger等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993)により十分に記載されている。
「単離された」抗体は、その自然環境の成分から同定され分離及び/又は回収されたものである。その自然環境の汚染成分とは、その抗体の診断又は治療への使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。好ましい実施態様において、抗体は、(1)ローリ法(Lowry method)で測定した場合95重量%を越える、最も好ましくは99重量%を越えるまで、(2)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15残基のN末端あるいは内部アミノ酸配列を得るのに充分なほど、あるいは、(3)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS-PAGEにより均一になるまで精製される。単離された抗体には、抗体の自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、組換え細胞内のインサイツの抗体が含まれる。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも1つの精製工程により調製される。
特定のポリペプチド又は特定のポリペプチドのエピトープに「特異的に結合する」又はこれに「特異的な」抗体とは、任意の他のポリペプチド又はポリペプチドエピトープに実質的に結合しないで、その特定のポリペプチド又は特定のポリペプチドのエピトープに結合するものである。
「標識」なる語は、ここで用いられる場合、抗体に直接又は間接的に結合して「標識」抗体を生成する検出可能な化合物又は組成物を意味する。標識は、それ自身検出可能でもよく(例えば、放射性標識又は蛍光標識)、又は酵素標識の場合、検出可能な基質化合物又は組成物の化学変換を触媒してもよい。
「固相」とは、本発明の抗体がそれに付着することのできる非水性マトリクスを意味する。ここに意図する固相の例は、部分的又は全体的に、ガラス(例えば、孔制御ガラス)、多糖類(例えばアガロース)、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール及びシリコーンから形成されたものを含む。或る種の実施態様では、内容に応じて、固相はアッセイプレートのウェルを構成することができ;その他では精製カラム(例えばアフィニティクロマトグラフィーカラム)とすることもできる。また、この用語は、米国特許第4,275,149号に記載されたような、別個の粒子の不連続な固相も包含する。
「リポソーム」は、種々の型の脂質、リン脂質及び/又は界面活性剤からなる小型の小胞であり、哺乳動物への薬物(PROポリペプチド又はその抗体など)の輸送に有用である。リポソームの成分は、通常は生体膜の脂質配列に類似する二層形式に配列させる。
「小分子」とは、ここで、約500ダルトン未満の分子量を持つと定義される。
「免疫関連疾患」という用語は、哺乳動物の免疫系の成分が、哺乳動物の病的状態の原因であるか、媒介又は寄与するものである疾患を意味する。また、免疫反応の刺激又は介在により疾患の進行に改善された効果が付与される疾患も含まれる。この用語に含まれるものは、免疫媒介炎症疾患、非免疫媒介炎症疾患、感染症、免疫欠損症、異常増殖等が含まれる。
「T細胞媒介疾患」という用語は、T細胞が直接的又は間接的に哺乳動物の病的状態を媒介するか又は寄与等する疾患を意味する。T細胞媒介疾患は細胞媒介効果、リンホカイン媒介効果等に、また例えばT細胞により分泌されるリンホカインによりB細胞が刺激されるならばB細胞に関連した効果にさえも関連している。
本明細書で使用する「乾癬」という用語は、肘、膝及び体幹に顕著に現れる限局性の発疹で、分散性及び極限性で赤みがあり、銀の鱗状になった斑点状丘疹を特徴とする。
「有効量」という用語は、特に記載した目的の達成をもたらすPROポリペプチド及び/又はアゴニスト/アンタゴニストの濃度又は量のことである。PROポリペプチド又はそのアゴニスト又はアンタゴニストの「有効量」は経験的に決定することができる。更に「治療有効量」は、記載した治療効果の達成に有効なPROポリペプチド及び/又はアゴニスト/アンタゴニストの濃度又は量のことである。この量もまた経験的に決定することができる。
ここで用いられる「細胞障害薬」なる用語は、細胞の機能を阻害又は抑制する及び/又は細胞破壊を生ずる物質を称する。この用語は、放射性同位体(例えば、I131、I125、Y90及びRe186)、化学療法剤、及び細菌、真菌、植物又は動物由来の酵素的活性毒素といった毒素、又はその断片を含むとされる。
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化学化合物である。化学療法剤の例は、アドリアマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、5-フルオロウラシル、シトシンアラビノシド(「Ara−C」)、シクロホスファミド、チオテパ、ブスルファン、サイトキシン、タキソイド類、例えばパクリタキセル(Taxol, Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ)及びドキセタキセル(Taxotere, Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France)、トキソテール、メトトレキセート、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン、ブレオマイシン、エトポシド、イフォスファミド、マイトマイシンC、マイトキサントロン、ビンクリスチン、ビノレルビン、カルボプラチン、テニポシド、ダウノマイシン、カルミノマイシン、アミノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、エスペラマイシン(米国特許第4,675,187号を参照のこと)、メルファラン、及び他の関連するナイトロジェンマスタードを含む。また、この定義に含まれるのは、タモキシフェン及びオナプリストン等の腫瘍へのホルモン作用を調節又は阻害するように作用するホルモン様薬剤である。
ここで用いられる際の「成長阻害剤」は、細胞、特にここで同定される任意の遺伝子を過剰発現する癌細胞の成長を、インビトロ又はインビボで阻害する化合物又は組成物を称する。即ち、成長阻害剤は、S相でそのような遺伝子を過剰発現する細胞の割合を有意に減少させるものである。成長阻害剤の例は、細胞周期の進行を(S相以外の位置で)ブロックする薬剤、例えばG1停止又はM相停止を誘発する薬剤を含む。古典的なM相ブロッカーは、ビンカス(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキソール、及びトポIIインヒビター、例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンを含む。G1停止させるこれらの薬剤は、S相停止にも溢流し、例えば、DNAアルキル化剤、例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、及びara-Cである。更なる情報は、The Molecular Basis of Cancer, Mendelsohn及びIsrael, 編, Chapter 1, 表題「Cell cycle reguration, oncogene, and antineoplastic drugs」, Murakami等, (WB Saunders: Philadelphia, 1995)、特にp13に見出すことができる。
「サイトカイン」なる用語は、1つの細胞集団から放出され、他の細胞に細胞間メディエータとして作用するタンパク質の一般用語である。このようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、及び伝統的なポリペプチドホルモンである。サイトカインに含まれるのは、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インシュリン;プロインシュリン;レラキシン;プロレラキシン;糖タンパク質ホルモン、例えば濾胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体化ホルモン(LH);肝臓成長因子;線維芽成長因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死因子-α及び-β;ミューラー阻害因子;マウス生殖腺刺激ホルモン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF-β等の神経成長因子;血小板成長因子;TGF-α及びTGF-β等のトランスフォーミング成長因子(TGF);インシュリン様成長因子-I及びII;エリスロポエチン(EPO);骨誘発因子;インターフェロン-α、-β、及び-γ等のインターフェロン;コロニー刺激因子(CSFs)、例えばマクロファージ-CSF(M-CSF);顆粒球-マクロファージ-CSF(GM-CSF);及び顆粒球-CSF(G-CSF);インターロイキン(ILs)、例えばIL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-11、IL-12;腫瘍壊死因子、例えばTNF-α及びTNF-β;及びLIF及びキットリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子である。ここで用いられる際、用語サイトカインは、天然供給源から、又は組換え細胞培養からのタンパク質を含み、天然配列サイトカインの生物学的な活性等価物である。
ここで用いられる「イムノアドヘシン」なる用語は、異種タンパク質(「アドヘシン」)の結合特異性と免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能とを結合した抗体様分子を指す。構造的には、イムノアドヘシンは、所望の結合特異性を持ち、抗体の抗原認識及び結合部位以外である(即ち「異種の」)アミノ酸配列と、免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合物を含む。イムノアドヘシン分子のアドへシン部分は、典型的には少なくともレセプター又はリガンドの結合部位を含む隣接アミノ酸配列である。イムノアドヘシンの免疫グロブリン定常ドメイン配列は、IgG-1、IgG-2、IgG-3又はIgG-4サブタイプ、IgA(IgA-1及びIgA-2を含む)、IgE、IgD又はIgM等の任意の免疫グロブリンから得ることができる。
ここで用いられる「炎症細胞」なる用語は、例えば単核細胞、好酸球、マクロファージ、及び多形核の好中球(PMN)などの炎症反応を高めるような細胞を指す。
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II.本発明の組成物と方法
A.全長PROポリペプチド
本発明は、本出願でPROポリペプチドと称されるポリペプチドをコードする新規に同定され単離された核酸配列を提供する。特に下記の実施例で更に詳細に開示するように、種々のPROポリペプチドをコードするcDNAが同定され単離された。しかしながら、単純化のために、本明細書において、ここに開示した全長天然核酸分子にコードされるタンパク質並びに上記のPROの定義に含まれる更なる天然相同体及び変異体は、それらの起源又は調製形式に関わらず、「PRO/番号」として呼称する。
下記の実施例に開示するように、種々のcDNAクローンの配列が開示される。これらのクローンの事実上のヌクレオチド配列は、この分野で日常的な方法を用いて寄託されたクローンを配列決定することにより容易に決定することができる。予測されるアミノ酸配列は、ヌクレオチド配列から常套的技量を用いて決定できる。ここに記載したPROポリペプチド及びコード化核酸について、本出願人は、現時点で入手可能な配列情報と最も良く一致するリーディングフレームであると考えられるものを同定した。
B.PROポリペプチド変異体
ここに記載した全長天然配列PROポリペプチドに加えて、PRO変異体も調製できると考えられる。PRO変異体は、PRODNAに適当なヌクレオチド変化を導入することにより、及び/又は所望のPROポリペプチドを合成することにより調製できる。当業者は、グリコシル化部位の数又は位置の変化あるいは膜固着特性の変化などのアミノ酸変化がPROの翻訳後プロセスを変えうると認識するであろう。
天然全長配列PRO又はここに記載したPROの種々のドメインにおける変異は、例えば、米国特許第5,364,934号に記載されている保存的及び非保存的変異についての技術及び指針の任意のものを用いてなすことができる。変異は、結果として天然配列PROと比較してPROのアミノ酸配列が変化するPROをコードする一又は複数のコドンの置換、欠失又は挿入であってよい。場合によっては、変異は少なくとも1つのアミノ酸のPROの一又は複数のドメインの任意の他のアミノ酸による置換である。いずれのアミノ酸残基が所望の活性に悪影響を与えることなく挿入、置換又は欠失されるかの指針は、PROの配列を相同性の知られたタンパク質分子の配列と比較し、相同性の高い領域内でなされるアミノ酸配列変化の数を最小にすることによって見出される。アミノ酸置換は、一のアミノ酸の類似した構造及び/又は化学特性を持つ他のアミノ酸での置換、例えばロイシンのセリンでの置換、即ち保存的アミノ酸置換の結果とすることができる。挿入又は欠失は、場合によっては1から5のアミノ酸の範囲内とすることができる。許容される変異は、配列においてアミノ酸の挿入、欠失又は置換を系統的に作成し、得られた変異体を全長又は成熟天然タンパク質によって提示された活性について試験することにより決定される。
PROポリペプチド断片がここに提供される。このような断片は、例えば、全長天然タンパク質と比較した際に、N-末端又はC-末端で切断されてもよく、又は内部残基を欠いていてもよい。或る種の断片は、PROポリペプチドの所望の生物学的活性に必須ではないアミノ酸残基を欠いている。
PRO断片は、多くの従来技術の任意のものによって調製してよい。所望のペプチド断片は化学合成してもよい。代替的方法は、酵素的消化、例えば特定のアミノ酸残基によって決定される部位のタンパク質を切断することが知られた酵素でタンパク質を処理することにより、あるいは適当な制限酵素でDNAを消化して所望の断片を単離することによるPRO断片の生成を含む。更に他の好適な技術は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、所望のポリペプチド断片をコードするDNA断片を単離し増幅することを含む。DNA断片の所望の末端を決定するオリゴヌクレオチドは、PCRの5’及び3’プライマーで用いられる。好ましくは、PROポリペプチド断片は、ここに開示した天然PROポリペプチドと少なくとも1つの生物学的及び/又は免疫学的活性を共有する。
特別の実施態様では、関心ある保存的置換を、好ましい置換と題して表6に示す。このような置換が生物学的活性の変化をもたらす場合、表6に例示的置換と示した又は以下に参照としてアミノ酸分類で更に記載するように、より実質的な変化が導入され生成物がスクリーニングされる。
Figure 2006519582
PROポリペプチドの機能又は免疫学的同一性の実質的な修飾は、(a)置換領域のポリペプチド骨格の構造、例えばシート又は螺旋配置、(b)標的部位における分子の電荷又は疎水性、又は(c)側鎖の嵩を維持しながら、それらの効果において実質的に異なる置換基を選択することにより達成される。自然に生じる残基は共通の側鎖特性に基づいてグループに分けることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン, met, ala, val, leu, ile;
(2)中性の親水性:cys, ser, thr;
(3)酸性:asp, glu;
(4)塩基性:asn, gln, his, lys, arg;
(5)鎖配向に影響する残基:gly, pro; 及び
(6)芳香族:trp, tyr, phe。
非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類に交換することを必要とするであろう。また、そのように置換された残基は、保存的置換部位、もしくは好ましくは残された(非保存)部位に導入されうる。
変異は、オリゴヌクレオチド媒介(部位特異的)突然変異誘発、アラニンスキャンニング、及びPCR突然変異誘発等のこの分野で知られた方法を用いてなすことができる。部位特異的突然変異誘発[Carter等, Nucl. Acids Res., 13: 4331 (1986); Zoller等, Nucl. Acids Res., 10: 6487 (1987)]、カセット突然変異誘発[Wells等, Gene, 34: 315 (1985)]、制限的選択突然変異誘発[Wells等, Philos. Trans. R. Soc. London SerA, 317: 415 (1986)]、又は他の知られた技術をクローニングしたDNAに実施してPRO変異体DNAを作成することもできる。
また、隣接配列に沿って一又は複数のアミノ酸を同定するのにスキャンニングアミノ酸分析を用いることができる。好ましいスキャンニングアミノ酸は比較的小さく、中性のアミノ酸である。そのようなアミノ酸は、アラニン、グリシン、セリン、及びシステインを含む。アラニンは、ベータ炭素を越える側鎖を排除し変異体の主鎖構造を変化させにくいので、この群の中で典型的に好ましいスキャンニングアミノ酸である[Cunningham及びWells, Science, 244: 1081-1085 (1989)]。また、アラニンは最もありふれたアミノ酸であるため典型的には好ましい。更に、それは埋もれた及び露出した位置の両方に頻繁に見られることが多い[Creighton, The Proteins, (W.H. Freeman & Co., N.Y.); Chothia, J. Mol. Biol., 150: 1 (1976)]。アラニン置換が十分な量の変異体を生じない場合は、アイソテリック(isoteric)アミノ酸を用いることができる。
C.PROの修飾
PROの共有結合的修飾は本発明の範囲内に含まれる。共有結合的修飾の一型は、PROポリペプチドの標的とするアミノ酸残基を、PROの選択された側鎖又はN-又はC-末端残基と反応できる有機誘導体化試薬と反応させることを含む。二官能性試薬での誘導体化が、例えばPROを水不溶性支持体マトリクスあるいは抗PRO抗体の精製方法、及びその逆で用いるための表面に架橋させるのに有用である。通常用いられる架橋剤は、例えば、1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば4-アジドサリチル酸、3,3’-ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)等のジスクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性イミドエステル、ビス-N-マレイミド-1,8-オクタン等の二官能性マレイミド、及びメチル-3-[(p-アジドフェニル)-ジチオ]プロピオイミダート等の試薬を含む。
他の修飾は、グルタミニル及びアスパラギニル残基の各々対応するグルタミル及びアスパルチルへの脱アミノ化、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化[T.E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W.H. Freeman & Co., San Francisco, pp.79-86 (1983)]、N末端アミンのアセチル化、及び任意のC末端カルボキシル基のアミド化を含む。
本発明の範囲内に含まれるPROポリペプチドの共有結合的修飾の他の型は、ポリペプチドの天然グリコシル化パターンの変更を含む。「天然グリコシル化パターンの変更」とは、この目的で意図されるのは、天然配列PROに見られる一又は複数の炭水化物部分の欠失(潜在するグリコシル化部位の除去又は化学的及び/又は酵素的手段によるグリコシル化の削除のいずれかによる)、及び/又は天然配列PROに存在しない一又は複数のグリコシル化部位の付加を意味する。更に、この語句は、存在する種々の炭水化物部分の性質及び特性の変化を含む、天然タンパク質のグリコシル化における定性的変化を含む。
PROポリペプチドへのグリコシル化部位の付加はアミノ酸配列の変更を伴ってもよい。この変更は、例えば、一又は複数のセリン又はトレオニン残基の天然配列PRO(O-結合グリコシル化部位)への付加、又は置換によってなされてもよい。PROアミノ酸配列は、場合によっては、DNAレベルでの変化、特に、PROポリペプチドをコードするDNAを予め選択された塩基において変異させ、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンを生成させることを通して変更されてもよい。
PROポリペプチド上に炭水化物部分の数を増加させる他の手段は、グリコシドのポリペプチドへの化学的又は酵素的結合による。このような方法は、この技術分野において、例えば、1987年9月11日に公開されたWO87/05330、及びAplin及びWriston, CRC Crit. Rev. Biochem., pp. 259-306 (1981)に記載されている。
PROポリペプチド上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的又は酵素的に、あるいはグルコシル化の標的として提示されたアミノ酸残基をコードするコドンの変異的置換によってなすことができる。化学的脱グリコシル化技術は、この分野で知られており、例えば、Hakimuddin等, Arch. Biochem. Biophys., 259:52 (1987)により、及びEdge等, Anal. Biochem., 118: 131 (1981)により記載されている。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakura等, Meth. Enzymol. 138:350 (1987)に記載されているように、種々のエンド-及びエキソ-グリコシダーゼを用いることにより達成される。
PROの共有結合的修飾の他の型は、PROポリぺプチドの、種々の非タンパク質様ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレンの一つへの、米国特許第4640835号;同第4496689号;同第4301144号;同第4670417号;同第4791192号又は同第4179337号に記載された方法での結合を含む。
また、本発明のPROポリペプチドは、他の異種ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合したPROを含むキメラ分子を形成する方法で修飾されてもよい。
一実施態様では、このようなキメラ分子は、抗タグ抗体が選択的に結合できるエピトープを提供するタグポリペプチドとPROとの融合を含む。エピトープタグは、一般的にはPROのアミノ又はカルボキシル末端に位置する。このようなPROのエピトープタグ形態の存在は、タグポリペプチドに対する抗体を用いて検出することができる。また、エピトープタグの提供は、抗タグ抗体又はエピトープタグに結合する他の型の親和性マトリクスを用いたアフィニティ精製によってPROを容易に精製できるようにする。種々のタグポリペプチド及びそれら各々の抗体はこの分野で良く知られている。例としては、ポリ-ヒスチジン(poly-his)又はポリ-ヒスチジン-グリシン(poly-his-gly)タグ;flu HAタグポリペプチド及びその抗体12CA5[Field等, Mol. Cell. Biol., 8:2159-2165 (1988)];c-mycタグ及びそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7及び9E10抗体[Evan等, Molecular and Cellular Biology, 5:3610-3616 (1985)];及び単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグ及びその抗体[Paborsky等, Protein Engineering, 3(6):547-553 (1990)]を含む。他のタグポリペプチドは、フラッグペプチド[Hopp等, BioTechnology, 6:1204-1210 (1988)];KT3エピトープペプチド[Martin等, Science, 255:192-194 (1992)];α-チューブリンエピトープペプチド[Skinner等, J. Biol. Chem., 266:15163-15166 (1991)];及びT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ[Lutz-Freyermuth等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6393-6397 (1990)]を含む。
それに代わる実施態様では、キメラ分子はPROの免疫グロブリン又は免疫グロブリンの特定領域との融合体を含んでもよい。キメラ分子の二価形態(「イムノアドヘシン」とも呼ばれる)については、そのような融合体はIgG1分子のFc領域であり得る。Ig融合体は、好ましくはIg分子内の少なくとも1つの可変領域に換えてPROポリペプチドの可溶化(膜貫通ドメイン欠失又は不活性化)形態を含む。特に好ましい実施態様では、免疫グロブリン融合体は、IgG1分子のヒンジ、CH2及びCH3、又はヒンジ、CH1、CH2及びCH3領域を含む。免疫グロブリン融合体の製造については、1995年6月27日発行の米国特許第5428130号を参照のこと。
D.PROの調製
以下の記述は、主として、PRO核酸を含むベクターで形質転換又は形質移入された細胞を培養することによりPROを生産する方法に関する。もちろん、当該分野においてよく知られている他の方法を用いてPROを調製することができると考えられる。例えば、PRO配列、又はその一部は、固相技術を用いた直接ペプチド合成によって生産してもよい[例えば、Stewart等, Solid-Phase Peptide Synthesis, W.H. Freeman Co., San Francisco, CA (1969);Merrifield, J. Am. Chem. Soc., 85:2149-2154 (1963)参照]。手動技術又は自動によるインビトロタンパク質合成を行ってもよい。自動合成は、例えば、アプライド・バイオシステムズ・ペプチド合成機(Foster City, CA)を用いて、製造者の指示により実施してもよい。PROの種々の部分は別々に化学的に合成され、化学的又は酵素的方法を用いて結合させて全長PROを生産してもよい。
1.PROをコードするDNAの単離
PROをコードするDNAは、mRNAを保有していてそれを検出可能なレベルで発現すると考えられる組織から調製されたcDNAライブラリーから得ることができる。従って、ヒトPRODNAは、実施例に記載されるように、ヒトの組織から調製されたcDNAライブラリーから簡便に得ることができる。またPROコード化遺伝子は、ゲノムライブラリー、オリゴヌクレオチド合成、又は他の既知の合成方法(例えば、自動化核酸合成)により得ることもできる。
ライブラリーは、関心ある遺伝子あるいはそれによりコードされるタンパク質を同定するために設計されたプローブ(例えば、PROに対する抗体又は少なくとも約20-80塩基のオリゴヌクレオチド)によってスクリーニングできる。選択されたプローブによるcDNA又はゲノムライブラリーのスクリーニングは、例えばSambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory Manual(New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)に記載されている標準的な手順を使用して実施することができる。PROをコードする遺伝子を単離する他の手段はPCR法を使用するものである[Sambrook等,上掲;Dieffenbach等, PCR Primer:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1995)]。
下記の実施例には、cDNAライブラリーのスクリーニング技術を記載している。プローブとして選択されたオリゴヌクレオチド配列は、充分な長さで、疑陽性が最小化されるよう充分に明瞭でなければならない。オリゴヌクレオチドは、スクリーニングされるライブラリー内のDNAとのハイブリッド形成時に検出可能であるように標識されていることが好ましい。標識化の方法は当該分野において良く知られており、32P標識されたATPのような放射線標識、ビオチン化あるいは酵素標識の使用が含まれる。中程度の緊縮性及び高度の緊縮性を含むハイブリッド形成条件は、上掲のSambrook等に与えられている。
このようなライブラリースクリーニング法において同定された配列は、Genbank等の公共データベース又は他の個人の配列データベースに寄託され公衆に利用可能とされている周知の他の配列と比較及びアラインメントすることができる。分子の定められた領域内又は全長配列に渡っての(アミノ酸又はヌクレオチドレベルのいずれかでの)配列同一性は、この分野で知られた、そしてここに記載した方法を用いて決定することができる。
タンパク質コード化配列を有する核酸は、初めてここで開示された推定アミノ酸配列を使用し、また必要ならば、cDNAに逆転写されなかったmRNAの生成中間体及び先駆物質を検出する上掲のSambrook等に記述されているような従来のプライマー伸展法を使用し、選択されたcDNA又はゲノムライブラリーをスクリーニングすることにより得られる。
2.宿主細胞の選択及び形質転換
宿主細胞を、ここに記載したPRO生産のための発現又はクローニングベクターで形質移入又は形質転換し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適当に変性された従来の栄養培地で培養する。培養条件、例えば培地、温度、pH等々は、過度の実験をすることなく当業者が選ぶことができる。一般に、細胞培養の生産性を最大にするための原理、プロトコール、及び実用技術は、Mammalian Cell Biotechnology: a Practical Approach, M.Butler編 (IRL Press, 1991)及びSambrook等, 上掲に見出すことができる。
真核生物細胞形質移入及び原核生物細胞形質転換の方法、例えば、CaCl、CaPO、リポソーム媒介及びエレクトロポレーションは、通常、当業者に知られている。用いられる宿主細胞に応じて、その細胞に対して適した標準的な方法を用いて形質転換はなされる。上掲のSambrook等に記載された塩化カルシウムを用いるカルシウム処理又はエレクトロポレーションが、一般的に原核生物に対して用いられる。アグロバクテリウム・トゥメファシエンスによる感染が、Shaw等, Gene, 23:315 (1983)及び1989年6月29日公開のWO 89/05859に記載されているように、或る種の植物細胞の形質転換に用いられる。このような細胞壁のない哺乳動物の細胞に対しては、Graham及びvan der Eb, Virology, 52:456-457 (1978)のリン酸カルシウム沈降法を使用することができる。哺乳動物細胞の宿主系形質転換の一般的な態様は米国特許第4,399,216号に記載されている。酵母菌中への形質転換は、典型的には、Van Solingen等, J. Bact., 130:946 (1977)及びHsiao等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:3829 (1979)の方法に従って実施される。しかしながら、DNAを細胞中に導入する他の方法、例えば、核マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、無傷の細胞、又はポリカチオン、例えばポリブレン、ポリオルニチン等を用いる細菌プロトプラスト融合もまた用いられる。哺乳動物細胞を形質転換するための種々の技術については、Keown等, Methods in Enzymology, 185:527-537 (1990)及び Mansour等, Nature, 336:348-352 (1988)を参照のこと。
ここのベクターにDNAをクローニングあるいは発現するために適切な宿主細胞は、原核生物、酵母菌、又は高等真核生物細胞である。適切な原核生物は、限定するものではないが、真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性生物体、例えば大腸菌のような腸内細菌科を含む。種々の大腸菌株が公衆に利用可能であり、例えば、大腸菌K12株MM294(ATCC31,446);大腸菌X1776(ATCC31,537);大腸菌株W3110(ATCC27,325)及びK5772(ATCC53,635)である。他の適切な原核動物宿主細胞は、大腸菌、例えば、E. coli、エンテロバクター、エルビニア(Erwinia)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、サルモネラ、例えばネズミチフス菌、セラチア、例えば、セラチアマルセサンス(Serratia marcescans) 、及び赤痢菌、並びに桿菌、例えばバチルス・スブチリス(B. subtilis)及びバチルス・リチェニフォルミス(B. licheniformis)(例えば、1989年4月12日公開のDD 266,710に記載されたバチルス・リチェニフォルミス41P)、シュードモナス、例えば緑膿菌及びストレプトマイセスなどの腸内細菌科を含む。これらの例は限定ではなく例示である。株W3110は、組換えDNA生産発酵のための共通の宿主株であるので一つの特に好ましい宿主又は親宿主である。好ましくは、宿主細胞は最小量のタンパク質分解酵素を分泌する。例えば、株W3110は、宿主に外来のタンパク質をコードする遺伝子における遺伝子変異に影響を与えるように修飾してもよく、そのような宿主の例としては、完全な遺伝子型tonAを有する大腸菌W3110株1A2;完全な遺伝子型tonA ptr3を有する大腸菌W3110株9E4;完全な遺伝子型tonA prt3 phoA E15 (argF-lac)169 degP ompT kanを有する大腸菌W3110株27C7(ATCC 55,244);完全な遺伝子型tonA ptr3 phoA E15 (argF-lac)169 degP ompT rbs7 ilvG kanrを有する大腸菌W3110株37D6;非カナマイシン耐性degP欠失変異を持つ37D6株である大腸菌W3110株40B4;及び1990年8月7日発行の米国特許第4946783号に開示された変異周辺質プロテアーゼを有する大腸菌株を含む。あるいは、クローニングのインビトロ法、例えばPCR又は他の核酸ポリメラーゼポリメラーゼ反応が好ましい。
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物は、PROコード化ベクターのための適切なクローニング又は発現宿主である。サッカロマイセス・セレビシエは、通常用いられる下等真核生物宿主微生物である。他に、シゾサッカロマイセス・ポンベ (Schizosaccharomyces pombe)(Beach及びNurse, Nature, 290: 140 [1981]; 1985年5月2日公開のEP139383);クリュイベロミセス宿主(Kluyveromyces hosts)(米国特許第4943529号; Fleer等, Bio/Technology, 9: 968-975 (1991))、例えばケーラクチス(K. lactis)(MW98-8C, CBS683, CBS4574; Louvencourt等, J. Bacteriol. 154(2):737-742 [1983])、ケー・フラギリス(K. fragilis)(ATCC 12,424)、ケー・ブルガリクス(K. bulgaricus)(ATCC 16,045)、ケー・ウィケラミイ(K. wickeramii)(ATCC 24,178)、ケー・ワルチイ(K. waltii)(ATCC 56,500)、ケー・ドロソフィラルム(K. drosophilarum)(ATCC 36,906; Van den Berg等, Bio/Technology, 8: 135 (1990))、ケー・テモトレランス(K. themotolerans)及びケー・マルキシアナス(K. marxianus);ヤロウィア(yarrowia)(EP 402,226);ピッチャ・パストリス(Pichia pastoris)(EP 183,070; Sreekrishna等, J. Basic Microbiol, 28: 265-278 [1988]);カンジダ;トリコデルマ・レーシア(reesia)(EP 244,234);アカパンカビ(Case等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76: 5259-5263 [1979]);シュワニオマイセス(schwanniomyces)、例えばシュワニオマイセス・オクシデンタリス(occidentalis)(1990年10月31日公開のEP394538);及び糸状真菌、例えば、ニューロスポラ、ペニシリウム、トリポクラジウム(Tolypocladium)(1991年1月10日公開のWO91/00357);及びアスペルギルス宿主、例えばアスペルギルス・ニドランス(Ballance等, Biochem. Biophys. Res. Commun., 112: 284-289 [1983]; Tilburn等, Gene, 26: 205-221 [1983]; Yelton等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81: 1470-1474 [1984])及びクロカビ(Kelly及びHynes, EMBO J., 4: 475-479 [1985])が含まれる。ここではメチロトロピック(Methylotropic)酵母が適切であり、これらに限られないが、ハンセヌラ(Hansenula)、カンジダ、クロエケラ(Kloeckera)、ピチア(Pichia)、サッカロマイセス、トルロプシス(Torulopsis)、及びロドトルラ(Rhodotorula)からなる属から選択されるメタノールで成長可能な酵母を含む。この酵母の分類の例示である特定の種のリストは、C. Anthony, The Biochemistry of Methylotrophs, 269 (1982)に見出される。
グリコシル化PROの発現に適切な宿主細胞は多細胞生物から誘導される。無脊椎動物細胞の例としては、ショウジョウバエS2及びスポドスペラSf9等の昆虫細胞並びに植物細胞が含まれる。有用な哺乳動物宿主株化細胞の例は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)及びCOS細胞を含む。より特定の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株 (COS-7, ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株(293又は懸濁培養での増殖のためにサブクローン化された293細胞、Graham等, J. Gen Virol., 36:59 (1977));チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO, Urlaub及びChasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980));マウスのセルトリ細胞(TM4, Mather, Biol. Reprod., 23:243-251 (1980));ヒト肺細胞 (W138, ATCC CCL 75); ヒト肝細胞 (Hep G2, HB 8065); 及びマウス乳房腫瘍細胞 (MMT 060562, ATTC CCL51)を含む。適切な宿主細胞の選択は、この分野の技術範囲内にあると考えられる。
3.複製可能なベクターの選択及び使用
PROをコードする核酸(例えば、cDNA又はゲノムDNA)は、クローニング(DNAの増幅)又は発現のために複製可能なベクター内に挿入される。様々なベクターが公的に入手可能である。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス粒子又はファージの形態とすることができる。適切な核酸配列が、種々の手法によってベクターに挿入される。一般に、DNAはこの分野で周知の技術を用いて適当な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入される。ベクター成分としては、一般に、これらに制限されるものではないが、一又は複数のシグナル配列、複製開始点、一又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写終結配列を含む。これらの成分の一又は複数を含む適当なベクターの作成には、当業者に知られた標準的なライゲーション技術を用いる。
PROは直接的に組換え手法によって生産されるだけではなく、シグナル配列あるいは成熟タンパク質あるいはポリペプチドのN-末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドである異種性ポリペプチドとの融合ペプチドとしても生産される。一般に、シグナル配列はベクターの成分であるか、ベクターに挿入されるPROコード化DNAの一部である。シグナル配列は、例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lppあるいは熱安定性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核生物シグナル配列であってよい。酵母菌の分泌に関しては、シグナル配列は、例えば酵母インベルターゼリーダー、アルファ因子リーダー(酵母菌属(Saccharomyces)及びクルイベロマイシス(Kluyveromyces)α因子リーダーを含み、後者は米国特許第5010182号に記載されている)、又は酸ホスフォターゼリーダー、白体(C.albicans)グルコアミラーゼリーダー(1990年4月4日公開のEP362179)、又は1990年11月15日に公開されたWO90/13646に記載されているシグナルであり得る。哺乳動物細胞の発現においては、哺乳動物シグナル配列は、同一あるいは関連ある種の分泌ポリペプチド由来のシグナル配列並びにウイルス分泌リーダーのようなタンパク質の直接分泌に使用してもよい。
発現及びクローニングベクターは共に一又は複数の選択された宿主細胞においてベクターの複製を可能にする核酸配列を含む。そのような配列は種々の細菌、酵母菌及びウイルスに対してよく知られている。プラスミドpBR322に由来する複製開始点は大部分のグラム陰性細菌に好適であり、2μプラスミド開始点は酵母に適しており、様々なウイルス開始点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV又はBPV)は哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用である。
発現及びクローニングベクターは、典型的には、選べるマーカーとも称される選択遺伝子を含む。典型的な選択遺伝子は、(a)アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートあるいはテトラサイクリンのような抗生物質あるいは他の毒素に耐性を与え、(b)栄養要求性欠陥を補い、又は(c)例えばバチルスの遺伝子コードD-アラニンラセマーゼのような、複合培地から得られない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。
哺乳動物細胞に適切な選択可能なマーカーの例は、DHFRあるいはチミジンキナーゼのように、PROコード化核酸を取り込むことのできる細胞成分を同定することのできるものである。野生型DHFRを用いた場合の好適な宿主細胞は、Urlaub 等により, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980)に記載されているようにして調製され増殖されたDHFR活性に欠陥のあるCHO株化細胞である。酵母菌中での使用に好適な選択遺伝子は酵母プラスミドYRp7に存在するtrp1遺伝子である[Stinchcomb等, Nature, 282:39(1979);Kingsman等, Gene, 7:141(1979);Tschemper等, Gene, 10:157(1980)]。trp1遺伝子は、例えば、ATCC番号44076あるいはPEP4-1のようなトリプトファン内で成長する能力を欠く酵母菌の突然変異株に対する選択マーカーを提供する[Jones, Genetics, 85:12 (1977)]。
発現及びクローニングベクターは、通常、PROコード化核酸配列に作用可能に結合し、mRNA合成に指向するプロモーターを含む。種々の可能な宿主細胞により認識されるプロモーターが知られている。原核生物宿主での使用に好適なプロモーターはβ-ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系[Cahng等, Nature, 275:615 (1978); Goeddel等, Nature, 281:544 (1979)]、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系[Goeddel, Nucleic Acids Res., 8:4057 (1980); EP 36,776]、及びハイブリッドプロモーター、例えばtacプロモーター[deBoer 等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80:21-25 (1983)]を含む。細菌系で使用するプロモータもまたPROをコードするDNAと作用可能に結合したシャイン-ダルガーノ(S.D.)配列を有する。
酵母宿主と共に用いて好適なプロモーター配列の例としては、3-ホスホグリセラートキナーゼ[Hitzeman 等, J. Biol. Chem., 255:2073 (1980)]又は他の糖分解酵素[Hess 等, J. Adv. Enzyme Reg., 7:149 (1968);Holland, Biochemistry, 17:4900(1987)]、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセレートムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオセリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼが含まれる。
他の酵母プロモーターとしては、成長条件によって転写が制御される付加的効果を有する誘発的プロモーターであり、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝と関連する分解性酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、及びマルトース及びガラクトースを利用する酵素のプロモーター領域がある。酵母菌での発現に用いられるベクターとプロモータはEP 73,657に更に記載されている。
哺乳動物の宿主細胞におけるベクターからのPRO転写は、例えば、ポリオーマウィルス、伝染性上皮腫ウィルス(1989年7月5日公開のUK2211504)、アデノウィルス(例えばアデノウィルス2)、ウシ乳頭腫ウィルス、トリ肉腫ウィルス、サイトメガロウィルス、レトロウィルス、B型肝炎ウィルス及びサルウィルス40(SV40)のようなウィルスのゲノム、異種性哺乳動物プロモーター、例えばアクチンプロモーター又は免疫グロブリンプロモーター、及び熱衝撃プロモーターから得られるプロモーターによって、このようなプロモーターが宿主細胞系に適合し得る限り制御される。
より高等の真核生物によるPROをコードするDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによって増強され得る。エンハンサーは、通常は約10から300塩基対で、プロモーターに作用してその転写を増強するDNAのシス作動要素である。哺乳動物遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が現在知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン及びインスリン)。しかしながら、典型的には、真核細胞ウィルス由来のエンハンサーが用いられるであろう。例としては、複製開始点の後期側のSV40エンハンサー(100-270塩基対)、サイトメガロウィルス初期プロモーターエンハンサー、複製開始点の後期側のポリオーマエンハンサー及びアデノウィルスエンハンサーが含まれる。エンハンサーは、PROコード化配列の5'又は3'位でベクター中にスプライシングされ得るが、好ましくはプロモーターから5'位に位置している。
また真核生物宿主細胞(酵母菌、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多細胞生物由来の有核細胞)に用いられる発現ベクターは、転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列も含む。このような配列は、真核生物又はウィルスのDNA又はcDNAの通常は5'、時には3'の非翻訳領域から取得できる。これらの領域は、PROをコードするmRNAの非翻訳部分にポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。
組換え脊椎動物細胞培養でのPROの合成に適応化するのに適切な他の方法、ベクター及び宿主細胞は、Gething等, Nature, 293:620-625 (1981); Mantei等, Nature, 281:40-46 (1979); EP117060; 及びEP117058に記載されている。
4.遺伝子増幅/発現の検出
遺伝子増幅及び/又は発現は、ここで提供された配列に基づき、適切に標識されたプローブを用い、例えば、従来よりの、mRNAの転写を定量化するノーザンブロット法[Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:5201-5205 (1980)]、サザンブロット法、ドットブロット法(DNA分析)、又はインサイツハイブリッド形成法によって、直接的に試料中で測定することができる。あるいは、DNA二本鎖、RNA二本鎖及びDNA-RNAハイブリッド二本鎖又はDNA-タンパク二本鎖を含む、特異的二本鎖を認識することができる抗体を用いることもできる。次いで、抗体を標識し、アッセイを実施することができ、ここで二本鎖は表面に結合しており、その結果二本鎖の表面での形成の時点でその二本鎖に結合した抗体の存在を検出することができる。
あるいは、遺伝子の発現は、遺伝子産物の発現を直接的に定量する免疫学的な方法、例えば細胞又は組織切片の免疫組織化学的染色及び細胞培養又は体液のアッセイによって測定することもできる。試料液の免疫組織化学的染色及び/又はアッセイに有用な抗体は、モノクローナルでもポリクローナルでもよく、任意の哺乳動物で調製することができる。簡便には、抗体は、天然配列PROポリペプチドに対して、又はここで提供されるDNA配列をベースとした合成ペプチドに対して、又はPRO DNAに融合し特異的抗体エピトープをコードする外因性配列に対して調製され得る。
5.ポリペプチドの精製
PROの形態は、培地又は宿主細胞の溶菌液から回収することができる。膜結合性であるならば、適切な洗浄液(例えばトリトン-X100)又は酵素的切断を用いて膜から引き離すことができる。PROの発現に用いられる細胞は、凍結融解サイクル、超音波処理、機械的破壊、又は細胞溶解剤などの種々の化学的又は物理的手段によって破壊することができる。
PROを、組換え細胞タンパク又はポリペプチドから精製することが望ましい。次の手順が適切な精製手順の例である:すなわち、イオン交換カラムでの分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ又はカチオン交換樹脂、例えばDEAEによるクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS-PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えばセファデックスG-75を用いるゲル濾過;IgGのような汚染物を除くプロテインAセファロースカラム;及びPROのエピトープタグ形態を結合させる金属キレート化カラムである。この分野で知られ、例えば、Deutscher, Method in Enzymology, 182 (1990);Scopes, Protein Purification: Principles and Practice, Springer-Verlag, New York (1982)に記載された種々のタンパク質精製方法を用いることができる。選ばれる精製過程は、例えば、用いられる生産方法及び特に生産される特定のPROの性質に依存する。
E.組織分布
PROを発現させる組織の位置は、種々のヒト組織におけるmRNA発現を測定することにより特定可能である。このような遺伝子の位置により、PROポリペプチドの刺激及び阻害活性の影響を最も受けていると思われる組織の情報が提供される。また、特定の組織における遺伝子の位置により、以下で検討される活性阻止アッセイのための試料組織も提供される。
上記したように、種々の組織における遺伝子発現は、従来のサザンブロット、mRNAの転写の定量化のためのノーザンブロット(Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 5201-5205 [1980])、ドットブロット(DNA分析)、又はインサイツハイブリッド形成により、ここに提供する配列に基づいて適切な標識プローブを用いて測定できる。あるいは、DNA二重鎖、RNA二重鎖、及びDNA-RNAハイブリッド二重鎖又はDNA-タンパク質二重鎖を含む特定の二重鎖を認識可能な抗体を用いてもよい。
あるいは、種々の組織における遺伝子発現は、遺伝子産物を直接定量化するための、組織断片の免疫組織学的染色、及び細胞培養物又は体液のアッセイ等の免疫学的方法によっても測定できる。免疫組織学的染色及び/又は試料液のアッセイに有用な抗体は、モノクローナルでもポリクローナルでもよく、任意の動物から調製される。便利には、抗体は天然配列PROポリペプチドに対して、又はPROポリペプチドをコードするDNA配列に基づく合成ペプチドに対して、又はPROポリペプチドをコードするDNAに融合し特異的抗体エピトープをコードする外因性配列に対して調製され得る。抗体を生成する一般的技術、及びノーザンブロット及びインサイツハイブリッド形成の特定のプロトコールは以下に提供する。
F.抗体結合性の研究
PROポリペプチドの活性は、それぞれ、組織細胞上でのPROポリペプチドの効果を阻害する、抗PRO抗体の能力が試験される抗体結合性の研究によって更に証明できる。例示的な抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、二重特異性、及びへテロ結合体抗体を含み、その調製は以下に記載する。
抗体結合性の研究は、競合的結合アッセイ、直接及び間接サンドウィッチアッセイ、及び免疫沈降アッセイなどの既知のアッセイ法で実施してよい。Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, pp.147-158 (CRC Press, Inc., 1987)。
競合的結合アッセイは、標識標準物の、限られた量の抗体との結合について試験分析物と競合する能力による。試験試料中の標的タンパク質の量は、抗体に結合する標準物の量に逆比例する。結合する標準物の量の測定を促進するために、抗体は好ましくは競合の前又は後に不溶化し、抗体に結合した標準品及び分析物が未結合で残っている標準物及び分析物から容易に分離できるようにする。
サンドウィッチアッセイは2つの抗体の使用を含み、各々、検出されるタンパク質の異なる免疫原部分、又はエピトープに結合できる。サンドウィッチアッセイにおいて試験試料分析物は固体支持体上に固定化された第1の抗体に結合し、その後第2の抗体が分析物に結合し、よって不溶性の3成分複合体が形成される。例えば米国特許第4,376,110号参照。第2の抗体は検出可能部分で標識され(直接サンドウィッチアッセイ)、あるいは検出可能部分で標識された抗-免疫グロブリン抗体を用いて測定してもよい(間接サンドウィッチアッセイ)。例えば、サンドウィッチアッセイの一形態はELISAアッセイであり、この場合の検出可能部分は酵素である。
免疫組織学のために、組織試料は新鮮でも凍結したものでもよく、パラフィンに包埋して、例えばホルマリン等の保存剤で固定してもよい。
G.細胞ベースアッセイ
細胞ベースアッセイ及び乾癬等の免疫関連疾患の動物モデルは、ここで同定されたポリペプチドと遺伝子との関係、及び乾癬の進行及び病理との関係を更に理解するために使用することができる。
異なる方法では、乾癬に関わっていることが知られた細胞型の細胞をここに記載のcDNAで形質移入し、これらのcDNAの乾癬を刺激又は阻害する能力を分析する。適当な細胞を所望の遺伝子で形質移入し、機能活性を監視できる。このような形質移入株化細胞は、乾癬を刺激又は阻害するポリ-又はモノクローナル抗体又は抗体組成物の能力を試験するのに使用できる。ここに同定した遺伝子のコード化配列で形質移入した細胞は、更に、免疫関連疾患治療用の候補薬の同定に使用できる。
更に、(下記のような)トランスジェニック動物から誘導された一次培地は、ここでの細胞ベースアッセイに使用できるが、安定な株化細胞が好ましい。トランスジェニック動物から連続株化細胞を誘導する技術はこの分野で良く知られている(Small等, Mol. Cell. Biol. 5, 642-648 [1985]参照)。
H.動物モデル
更に、インビトロにおける細胞ベースアッセイの結果は、インビボ動物モデルを使用し、乾癬アッセイにより証明することができる。乾癬の進行及び病因におけるここに同定される遺伝子の役割を更に理解するために、そして抗体、及び小分子アンタゴニストを含む天然ポリペプチドの他のアゴニストを含む候補治療薬の有効性を試験するために、種々の良く知られた動物モデルが使用できる。これらのモデルのインビボ性質により、特にヒト患者における反応を予測できる。免疫関連疾患の動物モデルは、非組換え及び組換え(トランスジェニック)動物の両方を含む。非組換え動物モデルは、例えば、齧歯類、例えばマウスモデルを含む。このようなモデルは、標準的な技術、例えば、皮下注射、尾部静脈注射、脾臓移植、腹膜内移植、腎被膜下移植等により、細胞を同系マウスに導入することにより作成される。
移植片対宿主疾患は、免疫適格細胞が免疫抑制され又は耐性のある患者に移植された場合に生じる。ドナー細胞は宿主抗原を認識しそれに反応する。反応は生命に危険性のある重度の炎症から、下痢や体重の減少等の軽度のケースまで多様である。移植片対宿主疾患モデルはMHC抗原及び少量の移植抗原に対するT細胞反応性を評価する手段を提供する。適切な手順は上掲のCurrent Protocols in Immunology, unit4.3.に詳細に記載されている。
皮膚同種移植片拒絶のための動物モデルは、T細胞がインビボで組織の破壊を媒介する能力を試験する手段であり、移植拒絶におけるそれらの役割の指標である。最も一般的で容認されているモデルではマウスの尾の皮膚の移植片が使用される。繰り返し実験により、皮膚同種移植片拒絶がT細胞、ヘルパーT細胞及びキラー-エフェクターT細胞により媒介されるが、抗体では媒介されないことが分かった。Auchincloss, H. Jr.及びSachs, D.H., Fundamental Immunology, 2版, W.E.Paul編, Raven Press, NY, 1989, 889-992。適切な手順は上掲のCurrent Protocols in Immunology, unit4.4.に詳細に記載されている。本発明の化合物の試験に使用可能な他の移植拒絶モデルは、Tanabe, M.等, Transplantation(1994)58:23及びTinubu, S.A.等, J. Immunol.(1994)4330-4338により記載されている同種心臓移植片モデルである。
接触性過敏症は、細胞媒介免疫機能の単純な遅発型過敏インビボアッセイである。この手順において、遅発型過敏反応を生じさせる外因性ハプテンに皮膚を暴露し、反応を測定して定量する。接触過敏症は最初の感作段階に顕在化段階が続く。顕在化段階はTリンパ球が過去に接触したことのある抗原に遭遇したときに生じる。腫れと炎症が生じ、ヒトアレルギー性接触皮膚炎の優れたモデルが作成される。適切な手順は、Current Protocols in Immunology, J.E. Coligan, A.M.Kruisbeek, D.H.Marglies, E. M.Shevach, 及びW.Strober編, John Wiley & Sons, Inc, 1994 unit4.2に詳細に記載されている。また、Grabbe, S.及びSchwarz, T. Immun. Today 19(1):37-44(1998)も参照のこと。
更に、本発明の化合物は乾癬用疾患の動物モデルにおいて試験することができる。T細胞が乾癬の病原であることを証拠が示唆している。本発明の化合物は、Schon. M.P.等, Nat. Med.(1997)3:183により記載されているscid/scidマウスモデルにおいて試験することができ、そのモデルではマウスは乾癬に類似した組織病理学的皮膚病巣を示す。他の適切なモデルはNickoloff, B.J.等, Am. J. Path.(1995)146:580に記載されているようにして調製されたヒトskin/scidマウスキメラである。
組換え(トランスジェニック)動物モデルは、ここで同定された遺伝子のコード部分を、トランスジェニック動物作成のための標準的技術を用いて、関心ある動物のゲノムに導入することにより加工できる。トランスジェニック操作の標的として提供できる動物は、限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ヒツジ、ヤギ、ブタ、及び非-ヒト霊長類、例えばヒヒ、チンパンジー及びサルを含む。これらの動物に導入遺伝子を導入するのにこの分野で知られた技術は、前核マイクロインジェクション(Hoppe及びWanger, 米国特許第4,873,191号);胚系列へのレトロウイルス媒介遺伝子転移(例えば、Van der Putten等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82, 6148-615 [1985]);胚性肝細胞での遺伝子標的化(Thompson等, Cell 56, 313-321 [1989]);胚のエレクトロポレーション(Lo, Mol. Cel. Biol. 3, 1803-1814 [1983]);精子媒介遺伝子転移(Lavitrano等, Cell 57, 717-73 [1989])を含む。概説のためには、例えば、米国特許第4736866号を参照のこと。
本発明の目的のために、トランスジェニック動物は、それらの細胞の一部にのみ導入遺伝子を有するもの(「モザイク動物」)を含む。導入遺伝子は、単一の導入遺伝子として、又はコンカテマー、例えば頭部と頭部又は頭部と尾部の直列型として組み込まれる。特定の細胞型への導入遺伝子の選択的導入も、例えば、Lasko等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 6232-636 (1992)の技術に従って可能である。
トランスジェニック動物における導入遺伝子の発現は、標準的技術によって監視できる。例えば、導入遺伝子の組み込みの確認にサザンブロット分析又はPCR増幅が用いられる。次いで、mRNA発現のレベルは、インサイツハイブリッド形成、ノーザンブロット分析、PCR、又は免疫組織化学等の技術を用いて分析できる。
動物は、更に、特定の組織中への免疫細胞の湿潤を測定するために例えば組織学的検査により、免疫疾患の病原の徴候を検査してもよい。またトランスジェニック動物を本発明の化合物で処理して、化合物のT細胞増殖刺激又は阻害の度合いを測定するブロック実験も実施することができる。これらの実験では、上述のようにして調製したPROポリペプチドに結合するブロック抗体が動物に投与され、免疫機能に対する効果が測定される。
あるいは、動物の胚性細胞に導入されたポリペプチドをコードする変更ゲノムDNAと、その同じポリペプチドをコードする内在性遺伝子との間の相同的組換えの結果、ここに同定するポリペプチドをコードする欠陥又は変更遺伝子を有する「ノックアウト」動物を作成することができる。例えば、特定のポリペプチドをコードするcDNAは、確立された技術に従って当該ポリペプチドをコードするゲノムDNAのクローニングに使用できる。特定のポリペプチドをコードするゲノムDNAの一部を欠失したり、組み込みをモニターするために使用する選択可能なマーカーをコードする遺伝子等の他の遺伝子で置換することができる。典型的には、ベクターは無変化のフランキングDNA(5'と3'末端の両方)を数キロベース含む[例えば、相同的組換えベクターの記述についてはThomas and Capecchi, Cell, 51: 503 (1987)を参照のこと]。ベクターは胚性幹細胞に(例えばエレクトロポレーションによって)導入され、導入されたDNAが内在性DNAと相同的に組換えられた細胞を選択する[例えば、Li等, Cell,69:915 (1992)参照]。選択された細胞は次に動物(例えばマウス又はラット)の胚盤胞内に注入され、集合キメラを形成する[例えば、Bradley, Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells: A Practical Approach, E. J. Robertson, ed. (IRL, Oxford, 1987), pp. 113-152参照]。その後、キメラ性胚を適切な偽妊娠の雌性乳母に移植し、「ノックアウト」動物を作ると言われる。胚細胞に相同的に組換えられたDNAを有する子孫は標準的な技術により同定され、それらを利用して動物の全細胞が相同的に組換えられたDNAを含む動物を繁殖させることができる。ノックアウト動物は、ポリペプチドが存在しないことによるある種の病理的状態及び病理的状態の進行に対して防御する能力によって特徴付けられる。
I.免疫アジュバント治療
一実施態様では、本発明の免疫刺激化合物は腫瘍(癌)治療における免疫アジュバント治療に使用することができる。T細胞がヒト腫瘍特異的抗原を認識することは十分に確立されている。遺伝子のMAGE、BAGE及びGAGEファミリーによりコードされる腫瘍抗原の一グループは全ての成人の正常組織において無症状であるが、腫瘍、例えばメラノーマ、肺腫瘍、頭部及び頸部の腫瘍、膀胱癌においては有意の量で発現している。DeSmet. C.等, (1996)Proc. Natl. Acad. Sci.93:7149。T細胞の同時刺激により、インビトロ及びインビボの双方において、腫瘍の退行及び抗腫瘍反応が誘発されることが示されている。Melero. I.等, Nature Medicine(1997)3:682;Kwon. E.D.等, Proc. Natl. Acad. Sci.USA(1997)94:8099;Lynch. D.H.等, Nature Medicine(1997)3:625;Finn. O.J.及びLotze. M.T., J. Immunol.(1998)21:114。本発明の刺激化合物はアジュバントとして単独で又は成長調節剤、細胞障害薬又は化学療法剤と共に投与することができ、T細胞増殖/活性化及び腫瘍抗原に対する抗腫瘍反応を刺激する。成長調節剤、細胞障害薬又は化学療法剤は既知の投与方法で使用されている従来からの量で投与することができる。本発明の化合物による免疫刺激活性により、成長調節剤、細胞障害薬又は化学療法剤の量を減らすことができ、よって、潜在的に患者に対する毒性を低下させることができる。
J.候補薬についてのスクリーニングアッセイ
候補薬のスクリーニングアッセイは、ここで同定される遺伝子にコードされるポリペプチド、又はその生物学的に活性な断片と結合又は結合する化合物、あるいはコード化ポリペプチドと他の細胞性タンパク質との相互作用を阻害する化合物を同定するために設計される。このようなスクリーニングアッセイは、特に小分子候補薬の同定に適したものにする、化学的ライブラリーの高スループットスクリーニングに従うアッセイを含む。考慮される小分子とは、合成有機又は無機化合物を含み、それらは、ペプチド、好ましくは可溶性ペプチド、(ポリ)ペプチド-免疫グロブリン融合体、特に、限定されないが、ポリ-及びモノクローナル抗体及び抗体断片、単鎖抗体、抗-イディオタイプ抗体、及びそれらの抗体又は断片のキメラ又はヒト化形、並びにヒト抗体及び抗体断片を含む抗体を含んでいる。アッセイは、種々の形式で実施でき、この分野で良く特徴付けられたタンパク質-タンパク質結合アッセイ、生化学的スクリーニングアッセイ、イムノアッセイ及び細胞ベースのアッセイを含む。全てのアッセイは、それらが候補薬をここで同定された核酸にコードされるポリペプチドと、これら2つの成分が相互作用するのに十分な条件下及び時間で接触させることを必要とすることにおいて共通する。
結合アッセイにおいて、相互作用は結合であり、形成された複合体は単離されるか、又は反応混合物中で検出される。特別な実施態様では、ここに同定された遺伝子にコードされるポリペプチド、即ち候補薬が、共有又は非共有結合により固相、例えばマイクロタイタープレートに固定化される。非共有結合は、一般的に固体表面をポリペプチドの溶液で被覆し乾燥させることにより達成される。あるいは、固定化すべきポリペプチドに特異的な固定化抗体、例えばモノクローナル抗体を固体表面に固着させるために用いることができる。アッセイは、固定化成分、例えば固着成分を含む被覆表面に、検出可能な標識で標識されていてもよい非固定化成分を添加することにより実施される。反応が完了したとき、未反応成分を例えば洗浄により除去し、固体表面に固着した複合体を検出する。最初の非固定化成分が検出可能な標識を有している場合、表面に固定化された標識の検出は複合体形成が起こったことを示す。最初の非固定化成分が標識を持たない場合は、複合体形成は、例えば、固定化された複合体に特異的に結合する標識抗体によって検出できる。
候補化合物がここで同定される遺伝子にコードされる特定のタンパク質と相互作用するが結合しない場合、そのタンパク質との相互作用は、タンパク質-タンパク質相互作用を検出するために良く知られた方法によってアッセイすることができる。そのようなアッセイは、架橋、同時免疫沈降、及び勾配又はクロマトグラフィーカラムを通す同時精製などの伝統的な手法を含む。更に、タンパク質-タンパク質相互作用は、Chevray及びNathans Proc.Natl. Acad. Sci. USA 89, 5789-5793 (1991)に開示されているようにして、Fields及び共同研究者等[Fields及びSong, Nature(London) 340, 245-246 (1989); Chien等, Proc.Natl. Acad. Sci. USA 88, 9578-9582 (1991)]に記載された酵母菌ベースの遺伝子系を用いることによりモニターすることができる。酵母菌GAL4などの多くの転写活性化剤は、2つの物理的に別個のモジュラードメインからなり、一方はDNA結合ドメインとして作用し、他方は転写活性化ドメインとして機能する。以前の文献に記載された酵母菌発現系(一般に「2-ハイブリッド系」と呼ばれる)は、この特性の長所を利用して、2つのハイブリッドタンパク質を用い、一方では標的タンパク質がGAL4のDNA結合ドメインに融合し、他方では、候補となる活性化タンパク質が活性化ドメインに融合している。GAL1-lacZリポーター遺伝子のGAL4活性化プロモーターの制御下での発現は、タンパク質-タンパク質相互作用を介したGAL4活性の再構成に依存する。相互作用するポリペプチドを含むコロニーは、β-ガラクトシダーゼに対する色素生産性物質で検出される。2-ハイブリッド技術を用いた2つの特定なタンパク質間のタンパク質-タンパク質相互作用を同定するための完全なキット(MATCHMAKER(商品名))は、Clontechから商業的に入手可能である。この系は、特定のタンパク質相互作用に含まれるタンパク質ドメインのマッピング、並びにこの相互作用にとって重要なアミノ酸残基の特定にも拡張することができる。
ここで同定される遺伝子と他の細胞内又は細胞外成分との相互作用を阻害する化合物を見出すために、次のように試験することができる:通常は、遺伝子の生成物及び細胞内又は外成分を含む反応混合物を、条件下で2つの生成物が相互作用及び結合する時間に渡って調製する。試験化合物が結合を阻害する能力を試験するために、反応は試験化合物有り又は無しで実施する。更に、第3の反応混合物にプラシーボを添加してポジティブ対照としてもよい。混合物中に存在する試験化合物と細胞内又は外成分との結合(複合体形成)は上記のようにモニターする。対照反応において複合体が形成され、試験化合物を含む反応混合物ではしないことは、試験化合物が試験化合物とその反応パートナーとの相互作用を妨害することを示す。
K. 乾癬の治療のための組成物と方法
乾癬の治療に有用な組成物は、限定するものではないが、例えば、T細胞の増殖/活性化、リンホカインの放出、又は免疫細胞の浸潤等の免疫機能を阻害するタンパク質、抗体、有機小分子、ペプチド、リンペプチド、アンチセンス及びリボザイム分子、三重螺旋分子等々を含む。
例えば、アンチセンスRNA及びRNA分子は、標的mRNAにハイブリッド形成してタンパク質翻訳を妨害することによりmRNAの翻訳を直接的に阻止するように作用する。アンチセンスDNAが用いられる場合、翻訳開始部位、例えば標的遺伝子ヌクレオチド配列のおよそ−10から+10位置の間から取り出されるオリゴデオキシリボヌクレオチドが好ましい。
リボザイムは、RNAの特異的切断を触媒できる酵素的RNA分子である。リボザイムは、相補的標的RNAへの配列特異的ハイブリッド形成、次いでヌクレオチド鎖切断的切断により作用する。潜在的RNA標的内の特異的リボザイム切断部位は、既知の技術で同定できる。更なる詳細は、例えば、Rossi, Current Biology 4: 469-471 (1994)及びPCT公報、番号WO 97/33551(1997年9月18日公開)を参照のこと。
転写阻害に用いられる三重螺旋形成における核酸分子は単鎖でデオキシヌクレオチドからなる。これらのオリゴヌクレオチドの基本組成は、フーグスチン塩基対則を介する三重螺旋形成を促進するように設計され、それは一般に二重鎖の一方の鎖上のプリン又はピリミジンのサイズ変更可能な伸展を必要とする。更なる詳細は、例えば、PCT公報、番号WO 97/33551, 上掲を参照のこと。
これらの分子は、上記で議論したスクリーニングアッセイの任意のもの又は任意の組合せにより、及び/又は当業者に良く知られた他の任意のスクリーニング技術により同定できる。
L.抗PRO抗体
本発明は更に抗PRO抗体を提供する。例示的な抗体には、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、二重特異性及びヘテロ結合体抗体が含まれる。
1.ポリクローナル抗体
抗PRO抗体はポリクローナル抗体を含む。ポリクローナル抗体の調製方法は当業者に知られている。哺乳動物においてポリクローナル抗体は、例えば免疫化剤、及び所望するのであればアジュバントを、一又は複数回注射することで発生させることができる。典型的には、免疫化剤及び/又はアジュバントを複数回皮下又は腹腔内注射により、哺乳動物に注射する。免疫化剤は、PROポリペプチド又はその融合タンパク質を含みうる。免疫化剤を免疫化された哺乳動物において免疫原性が知られているタンパク質に結合させるのが有用である。このような免疫原タンパク質の例は、これらに限られないが、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン及び大豆トリプシンインヒビターが含まれる。使用され得るアジュバントの例には、フロイント完全アジュバント及びMPL-TDMアジュバント(モノホスホリル脂質A、合成トレハロースジコリノミコラート)が含まれる。免疫化プロトコールは、過度の実験なく当業者により選択されるであろう。
2.モノクローナル抗体
あるいは、抗PRO抗体はモノクローナル抗体であってもよい。モノクローナル抗体は、Kohler及びMilstein, Nature, 256:495 (1975)に記載されているようなハイブリドーマ法を使用することで調製することができる。ハイブリドーマ法では、マウス、ハムスター又は他の適切な宿主動物を典型的には免疫化剤により免疫化することで、免疫化剤に特異的に結合する抗体を生成するかあるいは生成可能なリンパ球を誘発する。また、リンパ球をインビトロで免疫化することもできる。
免疫化剤は、典型的にはPROポリペプチド又はその融合タンパク質を含む。一般にヒト由来の細胞が望まれる場合には末梢血リンパ球(「PBL」)が使用され、あるいは非ヒト哺乳動物源が望まれている場合は、脾臓細胞又はリンパ節細胞が使用される。次いで、ポリエチレングリコール等の適当な融合剤を用いてリンパ球を不死化株化細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する[Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, (1986) pp. 59-103]。不死化株化細胞は、通常は、形質転換した哺乳動物細胞、特に齧歯動物、ウシ、及びヒト由来の骨髄腫細胞である。通常、ラット又はマウスの骨髄腫株化細胞が使用される。ハイブリドーマ細胞は、好ましくは、未融合の不死化細胞の生存又は成長を阻害する一又は複数の物質を含有する適切な培養培地で培養される。例えば、親細胞が、酵素のヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠いていると、ハイブリドーマの培養培地は、典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含み(「HAT培地」)、この物質がHGPRT欠乏性細胞の増殖を阻止する。
好ましい不死化株化細胞は、効率的に融合し、選択された抗体生成細胞による安定した高レベルの抗体発現を支援し、HAT培地のような培地に対して感受性である。より好ましい不死化株化細胞はマウス骨髄腫株であり、これは例えばカリフォルニア州サンディエゴのSalk Institute Cell Distribution Centerやバージニア州マナッサスのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションより入手可能である。ヒトモノクローナル抗体を生成するためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒト異種骨髄腫株化細胞も記載されている[Kozbor, J. Immunol., 133:3001 (1984);Brodeur等, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York, (1987) pp. 51-63]。
次いでハイブリドーマ細胞が培養される培養培地を、PROに対するモノクローナル抗体の存在についてアッセイする。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって生成されたモノクローナル抗体の結合特異性は免疫沈降又はラジオイムノアッセイ(RIA)や酵素結合免疫測定法(ELISA)等のインビトロ結合検定法によって測定される。このような技術及びアッセイは、当該分野において既知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunson及びPollard, Anal. Biochem., 107:220 (1980)によるスキャッチャード分析法によって測定することができる。
所望のハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンを制限希釈工程によりサブクローニングし、標準的な方法で成長させることができる[Goding, 上掲]。この目的のための適当な培地には、例えば、ダルベッコの改変イーグル培地及びRPMI-1640倍地が含まれる。あるいは、ハイブリドーマ細胞は哺乳動物においてインビボで腹水として成長させることもできる。
サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、例えばプロテインA-セファロース法、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー法、ゲル電気泳動法、透析法又はアフィニティークロマトグラフィー等の従来の免疫グロブリン精製方法によって培養培地又は腹水液から単離又は精製される。
また、モノクローナル抗体は、組換えDNA法、例えば米国特許第4,816,567号に記載された方法により作成することができる。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、常套的な方法を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用して)、容易に単離し配列決定することができる。本発明のハイブリドーマ細胞はそのようなDNAの好ましい供給源となる。ひとたび単離されたら、DNAは発現ベクター内に配することができ、これが宿主細胞、例えばサルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、あるいは免疫グロブリンタンパク質を生成等しない骨髄腫細胞内に形質移入され、組換え宿主細胞内でモノクローナル抗体の合成をすることができる。また、DNAは、例えば相同マウス配列に換えてヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード配列を置換することにより[米国特許第4,816,567号;Morrison等, 上掲]、又は免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の一部又は全部を共有結合することにより修飾することができる。このような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常ドメインに置換でき、あるいは本発明の抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインに置換でき、キメラ性二価抗体を生成する。
抗体は一価抗体であってもよい。一価抗体の調製方法は当該分野においてよく知られてる。例えば、一つの方法は免疫グロブリン軽鎖と修飾重鎖の組換え発現を含む。重鎖は一般的に、重鎖の架橋を防止するようにFc領域の任意の点で切断される。あるいは、関連するシステイン残基を他のアミノ酸残基で置換するか欠失させて架橋を防止する。
一価抗体の調製にはインビトロ法がまた適している。抗体の消化による、その断片、特にFab断片の生成は、当該分野において知られている慣用的技術を使用して達成できる。
3.ヒト及びヒト化抗体
本発明の抗PRO抗体は、更にヒト化抗体又はヒト抗体を含む。非ヒト(例えばマウス)抗体のヒト化形とは、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖あるいはその断片(例えばFv、Fab、Fab'、F(ab')あるいは抗体の他の抗原結合サブ配列)であって、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むものである。ヒト化抗体はレシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、マウス、ラット又はウサギのような所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)のCDRの残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含む。幾つかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。また、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDRもしくはフレームワーク配列にも見出されない残基を含んでいてもよい。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいはほとんど全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいはほとんど全てのFR領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、最適には免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含んでなる[Jones等, Nature, 321:522-525 (1986); Riechmann等, Nature, 332:323-329 (1988); 及びPresta, Curr. Op Struct. Biol., 2:593-596 (1992)]。
非ヒト抗体をヒト化する方法はこの分野でよく知られている。一般的に、ヒト化抗体には非ヒト由来の一又は複数のアミノ酸残基が導入される。これら非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と称される。ヒト化は基本的に齧歯動物のCDR又はCDR配列でヒト抗体の該当する配列を置換することによりウィンター(Winter)及び共同研究者[Jones等, Nature, 321:522-525 (1986);Riechmann等, Nature, 332:323-327 (1988);Verhoeyen等, Science, 239:1534-1536 (1988)]の方法に従って実施される。よって、このような「ヒト化」抗体は、無傷のヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されたキメラ抗体(米国特許第4,816,567号)である。実際には、ヒト化抗体は典型的には幾つかのCDR残基及び場合によっては幾つかのFR残基が齧歯類抗体の類似する部位からの残基によって置換されたヒト抗体である。
また、ヒト抗体は、ファージ表示ライブラリー[Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991);Marks等, J. Mol. Biol., 222:581 (1991)]を含むこの分野で知られた種々の方法を用いて作成することもできる。また、Cole等及びBoerner等の技術も、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用することができる(Cole等, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss. p.77(1985);Boerner等, J. Immunol., 147(1):86-95(1991))。同様に、ヒト抗体はヒト免疫グロブリン座位をトランスジェニック動物、例えば内在性免疫グロブリン遺伝子は部分的又は完全に不活性化してマウスに導入することにより産生することができる。投与の際に、遺伝子再配列、組立、及び抗体レパートリーを含むあらゆる観点においてヒトに見られるものに非常に類似しているヒト抗体の生産が観察される。このアプローチは、例えば米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,661,016号、及び次の科学文献:Marks等, Bio/Technology 10, 779-783 (1992); Lonberg等, Nature 368 856-859 (1994); Morrison, Nature 368, 812-13 (1994); Fishwild等, Nature Biotechnology 14, 845-51 (1996); Neuberger, Nature Biotechnology 14, 826 (1996); Lonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol. 13 65-93 (1995)に記載されている。
また、抗体は上述した既知の選択及び/又は突然変異誘発法を使用し、親和成熟させてもよい。好ましい親和成熟抗体は、成熟抗体が調製された(一般的にマウス、ヒト化又はヒトの)出発抗体のものよりも、5倍、より好ましくは10倍、更に好ましくは20又は30倍の親和性を有する。
4.二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体、好ましくはヒトもしくはヒト化抗体である。本ケースにおいて、結合特異性の一方はPROに対してであり、他方は任意の他の抗原、好ましくは細胞表面タンパク質又はレセプター又はレセプターサブユニットに対してである。
二重特異性抗体を作成する方法は当該技術分野において周知である。伝統的には、二重特異性抗体の組換え生産は、二つの重鎖が異なる特異性を持つ二つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の同時発現に基づく[Milstein及びCuello, Nature, 305:537-539(1983)]。免疫グロブリンの重鎖と軽鎖を無作為に取り揃えるため、これらハイブリドーマ(クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の潜在的混合物を生成し、その内一種のみが正しい二重特異性構造を有する。正しい分子の精製は、アフィニティークロマトグラフィー工程によって通常達成される。同様の手順が1993年5月13日公開のWO93/08829、及びTraunecker等, EMBO J.,10:3655-3659 (1991)に開示されている。
所望の結合特異性(抗体-抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインを免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合できる。融合は、好ましくは少なくともヒンジ部、CH2及びCH3領域の一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとのものである。少なくとも一つの融合には軽鎖結合に必要な部位を含む第一の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合をコードするDNA、及び望むのであれば免疫グロブリン軽鎖を、別々の発現ベクターに挿入し、適当な宿主生物に同時形質移入する。二重特異性抗体を作成するための更なる詳細については、例えばSuresh等, Methods in Enzymology, 121:210(1986)を参照されたい。
WO96/27011に記載された他のアプローチによれば、一対の抗体分子間の界面を操作して組換え細胞培養から回収される異種二量体の割合を最大にすることができる。好適な界面は抗体定常ドメインのCH3領域の少なくとも一部を含む。この方法では、第1抗体分子の界面からの一又は複数の小さいアミノ酸側鎖がより大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)と置き換えられる。大きな側鎖と同じ又は類似のサイズの相補的「キャビティ」は、大きなアミノ酸側鎖が小さいもの(例えばアラニン又はスレオニン)と置き換えられた第2の抗体分子の界面に作り出される。これにより、ホモダイマーのような不要の他の最終産物に対してヘテロダイマーの収量を増大させるメカニズムが提供される。
二重特異性抗体は、全長抗体又は抗体断片(例えば、F(ab')二重特異性抗体)として調製できる。抗体断片から二重特異性抗体を産生する技術もまた文献に記載されている。例えば、化学結合を使用して二重特異性抗体を調製することができる。Brennan等, Science, 229:81 (1985) は無傷の抗体をタンパク分解性に切断してF(ab')断片を産生する手順を記述している。これらの断片は、ジチオール錯体形成剤亜砒酸ナトリウムの存在下で還元して近接ジチオールを安定化させ、分子間ジスルフィド形成を防止する。産生されたFab'断片はついでチオニトロベンゾアート(TNB)誘導体に転換される。Fab'-TNB誘導体の一つをついでメルカプトエチルアミンでの還元によりFab'-チオールに再転換し、他のFab'-TNB誘導体の等モル量と混合して二重特異性抗体を形成する。作られた二重特異性抗体は酵素の選択的固定化用の薬剤として使用することができる。
大腸菌からFab'断片を直接回収でき、これは化学的に結合して二重特異性抗体を形成することができる。Shalaby等, J. Exp. Med., 175:217-225 (1992)は完全にヒト化された二重特異性抗体F(ab')分子の製造を記述している。各Fab'断片は大腸菌から別個に分泌され、インビトロで定方向化学共役を受けて二重特異性抗体を形成する。このようにして形成された二重特異性抗体は、正常なヒトT細胞及びErbB2レセプターを過剰発現する細胞に結合可能で、ヒト乳房腫瘍標的に対するヒト細胞障害性リンパ球の細胞溶解活性の誘因となる。
組換え細胞培養から直接的に二重特異性抗体断片を作成し単離する様々な技術もまた記述されている。例えば、二重特異性抗体はロイシンジッパーを使用して生産されている。Kostelnyら, J.Immunol. 148(5):1547-1553 (1992)。Fos及びJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを遺伝子融合により二つの異なった抗体のFab'部分に結合させる。抗体ホモダイマーをヒンジ領域で還元してモノマーを形成し、ついで再酸化して抗体ヘテロダイマーを形成する。この方法はまた抗体ホモダイマーの生産に対して使用することができる。Hollingerら, Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)により記述された「ダイアボディ」技術は二重特異性抗体断片を作成する別のメカニズムを提供した。断片は、同一鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには十分に短いリンカーにより軽鎖可変ドメイン(V)に重鎖可変ドメイン(V)を結合してなる。従って、一つの断片のV及びVドメインは他の断片の相補的V及びVドメインと強制的に対形成させられ、2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)ダイマーの使用により二重特異性抗体断片を製造する他の方策もまた報告されている。Gruberら, J.Immunol. 152:5368 (1994)を参照されたい。二価より多い抗体も考えられる。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。Tuttら J.Immunol. 147:60(1991)。
例示的な二重特異性抗体は、ここに与えられたPROポリペプチドの2つの異なるエピトープに結合しうる。あるいは、抗PROポリペプチドアームは、特定のPROポリペプチド発現細胞に細胞防御メカニズムを集中させるように、T細胞レセプター分子(例えばCD2、CD3、CD28、又はB7)等の白血球上のトリガー分子又はFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)等のIgG(FcγR)に対するFcレセプターに結合するアームと結合しうる。また、二重特異性抗体は特定のPROポリペプチドを発現する細胞に細胞障害薬を局在化させるためにも使用されうる。これらの抗体はPRO-結合アーム及び細胞障害薬又は放射性キレート化剤、例えばEOTUBE、DPTA、DOTA、又はTETAと結合するアームを有する。関心ある他の二重特異性抗体はPROポリペプチドに結合し、そして更に組織因子(TF)に結合する。
5.ヘテロ結合体抗体
ヘテロ結合抗体も本発明の範囲内に入る。ヘテロ結合抗体は2つの共有結合した抗体からなる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞に対してターゲティングさせるため[米国特許第4,676,980号]及びHIV感染の治療のために[WO 91/00360; WO 92/200373; EP 03089]提案されている。この抗体は、架橋剤に関連したものを含む合成タンパク化学における既知の方法を使用して、インビトロで調製することができると考えられる。例えば、ジスルフィド交換反応を使用するか又はチオエーテル結合を形成することにより、免疫毒素を作成することができる。この目的に対して好適な試薬の例には、イミノチオレート及びメチル-4-メルカプトブチリミデート、及び例えば米国特許第4676980号に開示されているものが含まれる。
6.エフェクター機能の加工
本発明の抗体をエフェクター機能について改変し、例えば癌の治療における抗体の有効性を向上させるのが望ましい。例えば、システイン残基をFc領域に導入し、それにより、この領域に鎖間ジスルフィド結合を形成させるようにしてもよい。そのようにして生成されたホモダイマー抗体は、向上した内部移行能力及び/又は増加した補体媒介細胞殺傷及び抗体-依存性細胞性細胞毒性(ADCC)を有しうる。Caron等, J. Exp. Med. 176: 1191-1195 (1992)及びShopes, B. J. Immunol. 148: 2918-2922 (1992)参照。向上した抗腫瘍活性を持つホモダイマー抗体はまた、Wolff等, Cancer Research 53: 2560-2565 (1993)に記載されたような異種二官能性架橋を用いても調製しうる。あるいは、抗体は、2つのFc領域を有するように加工して、それにより補体溶解及びADCC能力を向上させることもできる。Stevenson等, Anti-Cancer Drug Design 3: 219-230 (1989)参照。
7.免疫結合体
本発明はまた、化学療法剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物又は動物由来の酵素活性毒素、又はその断片)などの細胞障害薬、あるいは放射性同位体(即ち、放射性結合)に結合された抗体を含む免疫複合体にも関する。
このような免疫結合体の生成に有用な化学療法剤は上記した。用いることのできる酵素活性毒素及びその断片は、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、(緑膿菌からの)外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォーディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、モモルディカ・チャランチア(momordica charantia)インヒビター、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria officinalis)インヒビター、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)及びトリコテセン(tricothecene)を含む。様々な放射性ヌクレオチドが放射性結合抗体の生成に利用可能である。例として、212Bi、131I、131In、90Y及び186Reを含む。
抗体及び細胞障害薬の結合体は、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCL等)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベレート等)、アルデヒド(グルタルアルデヒド等)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン等)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン等)、ジイソシアネート(トリエン2,6-ジイソシアネート等)、及びビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン等)を用いて作成できる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta等, Science 238: 1098 (1987)に記載されたように調製することができる。カーボン-14-標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体への結合のためのキレート剤の例である。WO94/11026参照。
他の実施態様では、腫瘍の予備標的化で使用するために、抗体は「レセプター」(ストレプトアビジン等)に結合されてもよく、抗体-レセプター結合体は患者に投与され、次いで清澄化剤を用いて未結合結合体を循環から除去し、次に細胞障害薬(放射性ヌクレオチド等)に結合された「リガンド」(アビジン等)を投与する。
8.免疫リポソーム
また、ここに開示するタンパク質、抗体は、免疫リポソームとして調製してもよい。抗体を含むリポソームは、Epstein等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688 (1985); Hwang等, Proc. natl. Acad. Sci. USA, 77: 4030 (1980); 及び米国特許第4,485,045号及び同第4,544,545号に記載されたような、この分野で知られた方法で調製される。向上した循環時間を持つリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール及びPEG-誘導ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物での逆相蒸発法によって生成される。リポソームは、定められた孔サイズのフィルターを通して押し出され、所望の径を有するリポソームが生成される。本発明の抗体のFab’断片は、Martin等, J. Biol. Chem. 257: 286-288 (1982)に記載されているように、ジスルフィド交換反応を介してリポソームに結合され得る。化学療法剤(ドキソルビシン等)は、場合によってはリポソーム内に包含される。Gabizon等, J. National Cancer Inst. 81(19) 1484 (1989)参照。
M.製薬組成物
本発明の活性PRO分子(例えばPROポリペプチド、抗PRO抗体、及び/又はその変異体)、並びに上述のスクリーニングアッセイで同定された他の分子は、乾癬の治療のために、製薬組成物の形態で投与することができる。
本発明の活性PRO分子、好ましくはポリペプチド又は抗体の治療用製剤は、所望される程度の純度を持つ活性分子を、親油性製剤又は水性溶液の形態で、任意の製薬上許容される担体、賦形剤又は安定化剤と混合することにより調製され保存される(Remington's Pharmaceutical Science 16th edition, Osol, A. Ed. [1980])。許容される担体、賦形剤、又は安定化剤は、用いられる用量及び濃度で受容者に非毒性であり、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンズアルコニウムクロリド;ベンズエトニウムクロリド;フェノール;ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/又はトゥイーン(TWEEN)(商品名)、プルロニクス(PLURONICS)(商品名)、又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。
ここで開示されたスクリーニングアッセイで同定された化合物は、同様の方式でこの分野で知られた標準技術を用いて製剤することができる。
リポフェクション又はリポソームもPRO分子を細胞に送達するのに使用できる。抗体断片が用いられる場合、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最小阻害断片が好ましい。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、標的タンパク質配列に結合する能力を保持したペプチド分子が設計できる。このようなペプチドは、化学的に合成でき、及び/又は組換えDNA技術によって生成できる。(例えば、Marasco等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 7889-7893 [1993]を参照のこと)。
ここでの製剤は、治療すべき特定の徴候に必要な場合に1以上の活性化合物、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を持つものも含んでよい。あるいは、又はそれに加えて、組成物は、細胞障害薬、サイトカイン又は成長阻害剤を含んでもよい。これらの分子は、適切には、意図する目的に有効な量の組み合わせで存在する。
また、活性PRO分子は、例えばコアセルベーション技術により又は界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えば、各々ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル中、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミン小球、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)中、又はマイクロエマルション中に包括されていてもよい。これらの技術は、Remington's Pharmaceutical Science 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に開示されている。
インビボ投与に使用される製剤は無菌でなけらばならない。これは、滅菌濾過膜を通した濾過により容易に達成される。
徐放性製剤又はPRO分子を調製してもよい。徐放性製剤の好適な例は、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含み、このマトリクスは成形された物品、例えばフィルム、又はマイクロカプセルの形状である。徐放性マトリクスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリアクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸とγ-エチル-L-グルタマートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商品名)(乳酸-グリコール酸コポリマーと酢酸リュープロリドからなる注射可能なマイクロスフェア)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、ポリ-D-(-)-3-ヒドロキシブチル酸を含む。エチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコール酸などのポリマーは分子を100日に渡って放出することができるが、ある種のヒドロゲルはより短時間でタンパク質を放出してしまう。カプセル化された抗体が身体内に長時間残ると、それらは37℃の水分に露出されることにより変性又は凝集し、その結果、生物学的活性の低下及び起こりうる免疫原性の変化をもたらす。合理的な方法は、含まれる機構に依存する安定化について工夫することができる。例えば、凝集機構がチオ-ジスルフィド交換を通した分子間S-S結合形成であると発見された場合、安定化はスルフヒドリル残基の修飾、酸性溶液からの凍結乾燥、水分含有量の制御、適切な添加剤の付加、及び特異的ポリマーマトリクス組成物の開発によって達成されうる。
N.治療方法
本発明のポリペプチド、抗体及び他の活性物質は、組織への炎症細胞の浸潤によって特徴付けられるものを含む、T細胞媒介疾患等の乾癬及びそれに関連する病状を治療するために使用できると考えられる。
脊椎関節症は、いくつかの共通した臨床的特徴とHLA-B27遺伝子産物の発現との共通の関連性を持つ疾患のグループである。該疾患には:強直性脊椎炎、ライター症候群(反応性関節炎)、炎症性大腸疾患に関連した関節炎、乾癬に関連した脊椎炎、若年発生脊椎関節症及び未分化脊椎関節症が含まれる。区別する特徴には、脊椎炎を伴うか伴わない仙腸関節炎;炎症非対称性関節炎;HLA-B27(クラスI MHCのHLA-B座位にある血清学的に定義された対立遺伝子)との関連;眼の炎症、及び他のリウマチ疾患に関連した自己抗体の不在が含まれる。疾患の誘導に対する鍵として最も関わっている細胞はCD8+Tリンパ球で、クラスI MHC分子により提示される抗原を標的としている細胞である。CD8+T細胞は、MHCクラスI分子により発現された外来ペプチドであるかのように、クラスI MHC対立遺伝子HLA-B27に対して反応する。HLA-27のエピトープが細菌性又は他の微生物の抗原性エピトープを模倣し、よってCD8+細胞の反応を誘発すると仮定されている。
全身性硬化症(強皮症)は病因がよく知られていない。疾患の顕著な特徴は皮膚の硬結であり;これは活性な炎症プロセスにより誘発されると思われる。強皮症は局部的又は全身性であり:血管病巣が共通しており、微小血管系における内皮細胞傷害が全身性硬化症の発達における初期の重要な事象であり;血管傷害は免疫媒介されうる。免疫学的基準は、皮膚病巣における単核細胞浸潤の存在と、多くの患者において抗細胞核抗体の存在によって導かれる。多くの場合、ICAM-1が皮膚病巣の線維芽細胞の細胞表面でアップレギュレーションされ、これらの細胞とのT細胞の相互作用が疾患の病因においてある役割を担っていることが示唆される。関連する他の器官には:胃腸管:萎縮症及び線維症があり、結果として異常なぜん動/運動性となっている平滑筋:腎臓:小弓形及び小葉間動脈に影響を及ぼし、結果として腎皮質の血流が低下し、タンパク尿、高窒素血尿及び高血圧になる同心性内皮下内膜増殖:骨格筋:萎縮、間質性線維症:炎症:肺:間質性肺炎及び間質性線維症:及び心臓:収縮バンド壊死、瘢痕/線維症が含まれる。
水疱性皮膚疾患、多形性紅斑及び接触性皮膚炎を含む自己免疫又は免疫媒介皮膚疾患は自己抗体により媒介され、その発病はTリンパ球依存性である。
乾癬はTリンパ球媒介炎症疾患であるとされている。病巣にはTリンパ球、マクロファージ及び抗原プロセシング細胞及びある種の好中球の浸潤が含まれる。
拒絶反応及び移植片対宿主疾患(GVHD)を含む移植関連疾患はTリンパ球依存性であり;Tリンパ球の機能を阻害することで改善される。
本発明の化合物、例えばポリペプチド又は抗体は、哺乳動物、好ましくはヒトに、周知の方法、例えば、ボーラスとして又は所定時間に渡る連続注入による静脈内投与、筋肉内、腹膜内、脳脊髄内、皮下、関節間、滑膜内、鞘内、経口、局所、又は吸入(鼻孔内、肺内)経路などにより投与される。ポリペプチド及び抗体の静脈内又は吸入投与が好ましい。
免疫アジュバント治療、他の治療的養生法において、抗癌剤を、本発明のタンパク質、抗体又は化合物の投与と組み合わせて投与してもよい。例えば、本発明の免疫アジュバントで治療される患者は、抗癌剤(化学療法剤)又は放射線治療を受けてもよい。このような化学療法剤の調製法及び用量スケジュールは、製造者の指示に従って使用されるか、熟練した実務者により経験的に決定される。そのような化学療法に対する調製法及び用量スケジュールはまたChemotherapy Service M.C. Perry編, Williams & Wilkins, Baltimore, MD (1992)にも記載されている。化学療法剤は、免疫アジュバントの投与に先立って、又は続いて投与してもよく、あるいはそれらと同時に投与してもよい。加えて、タモキシフェン等の抗エストロゲン化合物又はオナプリストンなどの抗プロゲステロン(EP 616812参照)を、それらの分子について知られた用量で付与してもよい。
また、他の免疫疾患に関連した、又は腫瘍に関連した抗原に対する抗体、例えばCD20、CD11a、CD18、ErbB2、EGFR、ErbB3、ErbB4、又は血管内皮因子(VEGF)に結合する抗体を投与することも好ましい。別法として、又は付加的に、同一の抗原又はここに開示した二又はそれ以上の異なる抗原に結合する二又はそれ以上の抗体を患者に同時投与してもよい。しばしば、患者に一又は複数のサイトカインを投与することも有利である。一実施態様では、PROポリペプチドは、成長阻害剤と同時投与される。例えば、まず成長阻害剤を投与し、続いてPROポリペプチドを投与する。しかしながら、同時投与、又は最初に投与することも考えられる。成長阻害剤についての適切な用量は現在用いられている量であるが、成長阻害剤とPROポリペプチドとの組み合わせ(相乗)効果により減少させ得る。
重篤な免疫関連疾患の治療又は低減のための、本発明の化合物の適切な用量は、上記で定義したような治療される疾患の型、疾患の重篤さ及び経過、防止又は治療目的で薬剤が投与されるか否か、従前の治療、患者の臨床履歴及び化合物に対する反応、及び主治医の裁量に依存する。化合物は、適切には患者に一回又は一連の治療に渡って適切に投与される。
例えば、疾患の型及び重篤さに応じて、約1μg/kgから15mg/kg(例えば、0.1-20mg/kg)のポリペプチド又は抗体が、例えば、一又はそれ以上の別々の投与あるいは連続注入のいずれにしても、患者に投与するための最初の候補用量である。典型的な1日の用量は、上記の要因に応じて、約1μg/kgから100mg/kgの範囲又はそれ以上であろう。数日以上に渡る繰り返し投与のためには、状態に応じて、疾患の徴候に所望の抑制が現れるまで治療が続けられる。しかしながら、他の用量計画が有用であることもある。この治療の進行は、従来の技術及びアッセイによって容易に監視される。
O.製造品
本発明の他の実施態様では、上記の疾患の診断又は治療に有用な物質(例えばPRO分子を含有するもの)を含む製造品が提供される。この製造品は容器と使用説明書とを含んでなる。好適な容器は、例えば、ビン、バイアル、シリンジ、及び試験管を含む。容器は、ガラス又はプラスチックなどの種々の材料から形成されてよい。容器は、状態を診断し治療するのに有効な組成物を収容し、無菌のアクセスポートを有し得る(例えば、容器は皮下注射針で貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルであってよい)。組成物中の活性剤は通常、本発明のポリペプチド又は抗体である。容器上又は添付される使用説明書又はラベルは、組成物が選択した状態の診断又は治療のために使用されることを示す。製造品は更に、リン酸緩衝塩水、リンガー液及びデキストロース溶液などの製薬的に許容されるバッファーを含む第2の容器を具備してもよい。更に、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用上の指示を付けたパッケージ挿入物を含む商業的及び使用者の見地から望ましい他の材料を含んでもよい。
P.免疫関連疾患の診断及び予知
乾癬で過剰発現されるタンパク質等の細胞表面タンパク質は候補薬剤又は疾患治療の優れた標的である。同じタンパク質は乾癬で増幅された遺伝子にコードされる分泌タンパク質とともに、この疾病の診断及び予知における用途が見出される。例えば、乾癬で増幅された遺伝子のタンパク質産物に対する抗体は診断又は予知として使用できる。
例えば、抗体断片を含む抗体は、増幅又は過剰発現された遺伝子にコードされるタンパク質(「マーカー遺伝子産物」)の発現の定性的又は定量的検出に用いることができる。抗体は、好ましくは検出可能な、例えば蛍光標識を備え、結合は光学顕微鏡、フローサイトメトリー、フルオロメトリー、又はこの分野で知られた他の技術によって監視できる。これらの技術は、過剰発現した遺伝子が細胞表面タンパク質をコードする場合に特に適切である。このような結合アッセイは、本質的に上述したように実施される。
マーカー遺伝子産物に結合する抗体のインサイツ検出は、例えば、免疫蛍光又は免疫電子顕微鏡によって実施できる。この目的のために、組織学的試料を患者から取り出し、好ましくは生物学的試料に抗体を被せることにより、標識抗体をそれに適用する。この手法はまた、試験される組織におけるマーカー遺伝子産物の分布も決定できるようにする。当業者には、インサイツ検出のために広範な組織学的方法が容易に利用できることは明らかであろう。
以下の実施例は例示するためにのみ提供されるものであって、本発明の範囲を決して限定することを意図するものではない。
本明細書で引用した全ての特許及び参考文献の全体を、出典明示によりここに取り込む。
実施例で言及されている市販試薬は、特に示さない限りは製造者の使用説明に従い使用した。ATCC受託番号により以下の実施例及び明細書全体を通して同定されている細胞の入手源はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、マナッサス、VAである。
実施例1 乾癬のマイクロアレイ分析
乾癬患者及び健常ドナー(「正常な末梢血単核細胞(PBMC)」)由来のPBMCを用意した。各乾癬患者からは、乾癬患者の血液に差別的に発現するこの疾患に特異的な遺伝子を同定するため、PBMCを単離した。RNA単離の準備が整うまで、すべての試料を−70℃で保存した。PBMCを600μlのRLT緩衝液(+BME)で均質化し、製造者の指示に従うオンカラムDNase処理を行うQiagen(登録商標)Rneasy Miniカラム(Qiagen)を用いてRNAを単離した。RNAを単離した後、製造者の指示に従ってRiboGreen(登録商標)(分子プローブ)を用いてRNAを定量化し、完全性をアガロースゲルでチェックした。マイクロアレイ分析用に4μgのRNAに標識し、試料をジェネンテック社専売のマイクロアレイとAffymetricsマイクロアレイにかけた。乾癬患者由来のPBMCで発現が上方制御された遺伝子を対照としての正常なPBMCに対して比較した。本実験の結果、図1〜48の核酸及びコードされたタンパク質が、正常なPBMCよりも乾癬において発現度合いが高いことが示された。
実施例2:ハイブリッド形成プローブとしてのPROの使用
以下の方法は、PROをコードするヌクレオチド配列のハイブリッド形成プローブとしての使用を記載する。
全長又は成熟PROのコード配列を含むDNAは、ヒト組織cDNAライブラリー又はヒト組織ゲノムライブラリーにおける同種DNA類(PROの自然に生じる変異体をコードするものなど)のスクリーニングのためのプローブとして用いられる。
いずれかのライブラリーDNAを含むフィルターのハイブリッド形成及び洗浄は、以下の高い緊縮条件で実施した。放射性標識PRO-誘導プローブのフィルターへのハイブリッド形成は、50%ホルムアミド、5xSSC、0.1%SDS、0.1%ピロリン酸ナトリウム、50mMリン酸ナトリウム、pH6.8、2xデンハート液、及び10%デキストラン硫酸の溶液中で、42℃において20時間行った。フィルターの洗浄は0.1xSSC及び0.1%SDSの水溶液中、42℃で行った。
次いで、全長天然配列PROをコードするDNAと所望の配列同一性を有するDNAは、この分野で知られた標準的な方法を用いて同定できる。
実施例3:大腸菌におけるPROの発現
この実施例は、大腸菌における組み換え発現によるPROの非グリコシル化形態の調製を例示する。
PROをコードするDNA配列は、選択されたPCRプライマーを用いて最初に増幅する。プライマーは、選択された発現ベクターの制限酵素部位に対応する制限酵素部位を持たなければならない。種々の発現ベクターを用いることができる。好適なベクターの例は、pBR322(大腸菌から誘導されたもの;Bolivar等, Gene, 2:95 (1977)を参照)であり、アンピシリン及びテトラサイクリン耐性についての遺伝子を含む。ベクターは制限酵素で消化され、脱リン酸化される。PCR増幅した配列は、次いで、ベクターに結合させる。ベクターは、好ましくは抗生物質耐性遺伝子、trpプロモーター、polyhisリーダー(最初の6つのSTIIコドン、polyhis配列、及びエンテロキナーゼ切断部位を含む)、PROコード化領域、ラムダ転写終結区、及びargU遺伝子を含む。
ライゲーション混合物は、次いで、上掲のSambrook等に記載された方法を用いた選択した大腸菌株の形質転換に使用される。形質転換体は、それらのLBプレートで成長する能力により同定され、次いで抗生物質耐性クローンが選択される。プラスミドDNAが単離され、制限分析及びDNA配列分析で確認される。
選択されたクローンは、抗生物質を添加したLBブロスなどの液体培地で終夜成長させることができる。終夜培養は、続いて大規模培養の播種に用いられる。次に細胞を最適光学密度まで成長させ、その間に発現プロモーターが作動する。
更に数時間の培養の後、細胞を遠心分離して採集することができる。遠心分離で得られた細胞ペレットは、この分野で知られた種々の試薬を用いて可溶化され、次いで可溶化PROタンパク質を金属キレート化カラムを用いてタンパク質を緊密に結合させる条件下で精製することができる。
以下の手法を用いて、大腸菌においてポリHisタグ形態でPROを発現させてもよい。PROをコードするDNAを選択したPCRプライマーを用いて最初に増幅する。プライマーは、選択された発現ベクターの制限酵素部位に対応する制限酵素部位、及び効率的で信頼性のある翻訳開始、金属キレートカラムでの迅速な精製、及びエンテロキナーゼでのタンパク質分解的除去を与える他の有用な配列を含む。次いでPCR増幅された、ポリ-Hisタグ配列を発現ベクターに結合させ、それを株52(W3110 fuhA(tonA) lon galE rpoHts(htpRts) clpP(lacIq))に基づく大腸菌宿主の形質転換に使用する。形質転換体は、最初に50mg/mlのカルベニシリンを含有するLB中、30℃で振盪しながら3−5のO.D.600に達するまで成長させる。ついで培養をCRAP培地(3.57gの(NH)SO、0.71gのクエン酸ナトリウム・2H2O、1.07gのKCl、5.36gのDifco酵母抽出物、500mL水中の5.36gのShefield hycase SF、並びに110mMのMPOS、pH7.3、0.55%(w/v)のグルコース及び7mMのMgSOの混合で調製)中に50−100倍希釈し、30℃で振盪させながら約20−30時間成長させる。試料を取り出してSDS-PAGE分析により発現を確認し、バルク培養を遠心分離して細胞をペレット化する。細胞ペレットを精製及び再折りたたみまで凍結させる。
0.5から1Lの発酵(6−10gペレット)からの大腸菌ペーストを、7Mのグアニジン、20mMのトリス、pH8バッファー中で10容量(w/v)で再懸濁させる。固体硫酸ナトリウム及びテトラチオン酸ナトリウムを添加して最終濃度を各々0.1M及び0.02Mとし、溶液を4℃で終夜撹拌する。この工程により、亜硫酸化によりブロックされた全てのシステイン残基を持つ変性タンパク質がもたらされる。溶液をBeckman Ultracentrifuge中で40000rpmで30分間遠心分離する。上清を金属キレートカラムバッファー(6Mのグアニジン、20mMのトリス、pH7.4)の3−5容量で希釈し、0.22ミクロンフィルターを通して濾過して透明化する。透明化抽出物を、金属キレートカラムバッファーで平衡化させた5mlのQiagen Ni-NTA金属キレートカラムに充填する。カラムを50mMのイミダゾール(Calbiochem, Utrol grade)を含む添加バッファー、pH7.4で洗浄する。タンパク質を250mMのイミダゾールを含有するバッファーで溶離する。所望のタンパク質を含有する画分をプールし、4℃で保存する。タンパク質濃度は、そのアミノ酸配列に基づいて計算した吸光係数を用いて280nmにおけるその吸収により見積もる。
試料を、20mMのトリス、pH8.6、0.3MのNaCl、2.5Mの尿素、5mMのシステイン、20mMのグリシン及び1mMのEDTAからなる新たに調製した再折りたたみバッファー中でゆっくりと希釈することによりタンパク質を再折りたたみさせる。リフォールディング容量は、最終的なタンパク質濃度が50〜100マイクログラム/mlとなるように選択する。リフォールディング溶液を4℃で12−36時間ゆっくり撹拌する。リフォールディング反応はTFAを最終濃度0.4%(約3のpH)で添加することにより停止させる。タンパク質を更に精製する前に、溶液を0.22ミクロンフィルターを通して濾過し、アセトニトリルを最終濃度2−10%になるまで添加する。再折りたたみされたタンパク質を、Poros R1/H逆相カラムで、0.1%TFAの移動バッファーと10〜80%のアセトニトリル勾配での溶離を用いてクロマトグラフにかける。A280吸収を持つ画分のアリコートをSDSポリアクリルアミドゲルで分析し、相同な再折りたたみされたタンパク質を含有する画分をプールする。一般的に、殆どのタンパク質の正しく再折りたたみされた種は、これらの種が最もコンパクトであり、その疎水性内面が逆相樹脂との相互作用から遮蔽されているので、アセトニトリルの最低濃度で溶離される。凝集した種は通常、より高いアセトニトリル濃度で溶離される。タンパク質の誤って折りたたまれた形態を所望の形態から除くのに加えて、逆相工程は試料からエンドトキシンも除去する。
所望の折りたたまれたPROポリペプチドタンパク質を含有する画分をプールし、溶液に向けた窒素の弱い気流を用いてアセトニトリルを除去する。タンパク質を、透析又は調製バッファーで平衡化したG25 Superfine(Pharmacia)樹脂でのゲル濾過及び滅菌濾過により、0.14Mの塩化ナトリウム及び4%のマンニトールを含む20mMのHepes、pH6.8に処方した。
上述したように、ここに開示された多くのPROポリペプチドが成功裏に発現した。
実施例4:哺乳動物細胞でのPROの発現
この実施例は、哺乳動物細胞における組み換え発現による潜在的にグリコシル化した形態のPROの調製を例示する。
発現ベクターとしてベクターpRK5(1989年3月15日公開のEP 307,247参照)を用いる。場合によっては、PRODNAを選択した制限酵素を持つpRK5に結合させ、上掲のSambrook等に記載されたようなライゲーション方法を用いてPRODNAを挿入させる。得られたベクターは、例えばpRK5-PROと呼ばれる。
一実施態様では、選択された宿主細胞は293細胞とすることができる。ヒト293細胞(ATCC CCL 1573)は、ウシ胎児血清及び場合によっては滋養成分及び/又は抗生物質を添加したDMEMなどの培地中で組織培養プレートにおいて成長させて集密化する。約10μgのpRK5-PRODNAを約1μgのVARNA遺伝子コード化DNA[Thimmappaya等, Cell, 31:543 (1982)]と混合し、500μlの1mMトリス−HCl、0.1mMEDTA、0.227MCaClに溶解させる。この混合物に、滴状の、500μlの50mMHEPES(pH7.35)、280mMのNaCl、1.5mMのNaPOを添加し、25℃で10分間析出物を形成させる。析出物を懸濁し、293細胞に加えて37℃で約4時間定着させる。培地を吸引し、2mlのPBS中20%グリセロールを30秒間添加する。293細胞を、次いで無血清培地で洗浄し、新鮮な培地を添加し、細胞を約5日間インキュベートする。
形質移入の約24時間後、培地を除去し、培地(のみ)又は200μCi/ml35S-システイン及び200μCi/ml35S−メチオニンを含む培地で置換する。12時間のインキュベーションの後、条件培地を回収し、スピンフィルターで濃縮し、15%SDSゲルに充填する。処理したゲルを乾燥させ、PROポリペプチドの存在を現す選択された時間にわたってフィルムにさらす。形質移入した細胞を含む培地に、更なるインキュベーションを施し(無血清培地で)、培地を選択されたバイオアッセイで試験する。
これに換わる技術において、PROは、Somparyrac等, Proc. Natl. Acad. Sci., 12:7575 (1981)に記載されたデキストラン硫酸法を用いて293細胞に一過的に導入される。293細胞は、スピナーフラスコ内で最大密度まで成長させ、700μgのpRK5-PRO DNAを添加する。細胞は、まずスピナーフラスコから遠心分離によって濃縮し、PBSで洗浄する。DNA-デキストラン沈殿物を細胞ペレット上で4時間インキュベートする。細胞を20%グリセロールで90秒間処理し、組織培地で洗浄し、組織培地、5μg/mlウシインシュリン及び0.1μg/mlウシトランスフェリンを含むスピナーフラスコに再度導入する。約4日後に、条件培地を遠心分離して濾過し、細胞及び細胞片を除去する。次いで発現されたPROを含む試料を濃縮し、透析及び/又はカラムクロマトグラフィー等の選択した方法によって精製する。
他の実施態様では、PROをCHO細胞で発現させることができる。pRK5-PROは、CaPO又はDEAE−デキストランなどの既知の試薬を用いてCHO細胞に形質移入することができる。上記したように、細胞培地をインキュベートし、培地を培養培地(のみ)又は35S-メチオニン等の放射性標識を含む培地に置換することができる。PROポリペプチドの存在を決定した後、培地を無血清培地に置換してもよい。好ましくは、培地を約6日間インキュベートし、次いで条件培地を収集する。次いで、発現されたPROを含む培地を濃縮して、任意の選択した方法によって精製することができる。
また、エピトープタグPROは、宿主CHO細胞において発現させてもよい。PROはpRK5ベクターからサブクローニングしてもよい。サブクローン挿入物は、PCRを施してバキュロウイルス発現ベクター中のポリ-Hisタグ等の選択されたエピトープタグを持つ枠に融合できる。関心あるポリ-hisタグPRO挿入物は、次いで、安定なクローンの選択のためのDHFR等の選択マーカーを含むSV40プロモーター/エンハンサーにサブクローニングできる。最後に、CHO細胞をベクターを含むSV40プロモーター/エンハンサーで(上記のように)形質移入することができる。発現を確認するために、上記のように標識化を行ってもよい。発現されたポリ-hisタグPROを含む培地を次いで濃縮し、Ni2+−キレートアフィニティクロマトグラフィー等の選択された任意の方法により精製できる。
またPROは、一過性発現法によりCHO及び/又はCOS細胞で、又は他の安定な発現方法によりCHO細胞で発現させてもよい。
CHO細胞における安定な発現は以下の方法を用いて実施された。タンパク質はそれぞれのタンパク質の可溶化形態のコード配列(例えば、細胞外ドメイン)がヒンジ、CH2及びCH2ドメインを含むIgG1定常領域配列に融合したIgG作成物(イムノアドヘシン)、及び/又はポリ-Hisタグ形態として発現する。
PCR増幅に続いて、それぞれのDNAを、Ausubel等, Current Protocols of Molecular Biology, Unit 3.16, John Wiley and Sons (1997)に記載されたような標準的技術を用いてCHO発現ベクターにサブクローニングする。CHO発現ベクターは、関心あるDNAの5’及び3’に適合する制限部位を有し、cDNAの便利なシャトル化ができるように作成される。CHO細胞における発現に使用されたベクターは、Lucas等, Nucl. Acids Res. 24: 9, 1774-1779 (1996)に記載されたようなものであり、関心あるcDNA及びジヒドロフォレートレダクターゼ(DHFR)の発現の制御にSV40初期プロモーター/エンハンサーを用いる。DHFR発現は、形質移入に続くプラスミドの安定な維持のための選択を可能にする。
所望のプラスミドDNAの12マイクログラムを、市販の形質移入試薬Superfect(登録商標)(Quiagen), Dosper(登録商標)及びFugene(登録商標)(Boehringer Mannheim)を使用し約一千万のCHO細胞に導入する。細胞は、上掲のLucas等に記載されているように成長させる。約3x10−細胞を、下記のような更なる成長及び生産のためにアンプル中で凍結させる。
プラスミドDNAを含むアンプルを水槽に配して解凍し、ボルテックスにより混合する。内容物を10mLの媒質を含む遠心管にピペットして、1000rpmで5分間遠心分離した。上清を吸引して細胞を10mLの選択培地(0.2μm濾過PS20、5%の0.2μm透析濾過ウシ胎児血清)中に懸濁させる。次いで細胞を90mLの選択培地を含む100mlスピナーに分ける。1−2日後、細胞を150mLの選択培地を満たした250mLスピナーに移し、37℃でインキュベートする。更に2−3日後、250mL、500mL及び2000mLのスピナーを3x10細胞/mLで播種する。細胞培地を遠心分離により新鮮培地に交換し、生産培地に再懸濁させる。任意の適切なCHO培地を用いてもよいが、実際には1992年6月16日に発行された米国特許第5122469号に記載された生産培地を使用した。3Lの生産スピナーを1.2x10細胞/mLで播種する。0日目に、pHを測定する。1日目に、スピナーをサンプルし、濾過空気での散布を実施する。2日目に、スピナーをサンプルし、温度を33℃に変え、500g/Lのグルコース及び0.6mLの10%消泡剤(例えば35%ポリジメチルシロキサンエマルション、Dow Corning 365 Medical Grade Emulsion)の30mLとする。生産を通して、pHを7.2近傍に調節し維持した。10日後、又は生存率が70%を下回るまで、細胞培地を遠心分離で回収して0.22μmフィルターを通して濾過する。濾過物を、4℃で貯蔵するか、即座に精製用カラムに充填する。
ポリ-Hisタグ作成物について、タンパク質をNi-NTAカラム(Qiagen)を用いて精製する。精製の前に、イミダゾールを条件培地に5mMの濃度まで添加する。条件培地を、0.3MのNaCl及び5mMイミダゾールを含む20mMのHepes, pH7.4バッファーで平衡化した6mlのNi−NTAカラムに4−5ml/分の流速で4℃においてポンプ供給した。充填後、カラムを更に平衡バッファーで洗浄し、タンパク質を0.25Mイミダゾールを含む平衡バッファーで溶離する。高度に精製されたタンパク質は、続いて10mMのHepes、0.14MのNaCl及び4%のマンニトールを含む貯蔵バッファー中でpH6.825mlのG25 Superfine(Pharmacia)カラムを用いて脱塩し、−80℃で貯蔵した。
イムノアドヘシン(Fc含有)作成物を以下のようにして条件培地から精製する。条件培地を、20mMのリン酸ナトリウムバッファー、pH6.8で平衡化した5mlのプロテインAカラム(Pharmacia)に汲み上げる。充填後、100mMのクエン酸、pH3.5で溶離する前に、カラムを平衡バッファーで強く洗浄する。溶離したタンパク質を、1mlの画分を275μlの1Mトリスバッファー、pH9を含む管に回収することにより即座に中性化する。高度に精製されたタンパク質を、続いてポリ-Hisタグタンパク質について上記した貯蔵バッファー中で脱塩する。均一性はSDSポリアクリルアミドゲルとエドマン(Edman)分解によるN-末端アミノ酸配列決定により評価した。
ここに開示したPROポリペプチドの多くが上記のようにして成功裏に発現された。
実施例5:酵母菌でのPROの発現
以下の方法は、酵母菌中でのPROの組換え発現を記載する。
第1に、ADH2/GAPDHプロモーターからのPROの細胞内生産又は分泌のための酵母菌発現ベクターを作成する。PROをコードするDNA及びプロモーターを選択したプラスミドの適当な制限酵素部位に挿入してPROの細胞内発現を指示する。分泌のために、PROをコードするDNAを選択したプラスミドに、ADH2/GAPDHプロモーターをコードするDNA、天然配列PROシグナルペプチド又は他の哺乳動物シグナルペプチド、又は、例えば酵母菌アルファ因子又はインベルターゼ分泌シグナル/リーダー配列、及び(必要ならば)PRO発現のためのリンカー配列とともにクローニングすることができる。
酵母菌株AB110等の酵母菌を、次いで上記の発現プラスミドで形質転換し、選択された発酵培地中で培養できる。形質転換した酵母菌上清を、10%トリクロロ酢酸での沈降及びSDS-PAGEによる分離で分析し、次いでクマシーブルー染色でゲルの染色をすることができる。
続いて組換えPROは、発酵培地から遠心分離により酵母菌細胞を除去し、次いで選択されたカートリッジフィルターを用いて培地を濃縮することによって単離及び精製できる。PROを含む濃縮物は、選択されたカラムクロマトグラフィー樹脂を用いて更に精製してもよい。
ここに開示されるPROポリペプチドの多くが上記のようにして成功裏に発現された。
実施例6:バキュロウイルス感染昆虫細胞でのPROの発現
以下の方法は、バキュロウイルス感染昆虫細胞中におけるPROの組換え発現を記載する。
PROをコードする配列を、バキュロウイルス発現ベクターに含まれるエピトープタグの上流に融合させる。このようなエピトープタグは、ポリ-hisタグ及び免疫グロブリンタグ(IgGのFc領域など)を含む。pVL1393(Novagen)などの市販されているプラスミドから誘導されるプラスミドを含む種々のプラスミドを用いることができる。簡単には、PROをコードする配列又はPROのコード配列の所望部分、例えば膜貫通タンパク質の細胞外ドメインをコードする配列又はタンパク質が細胞外である場合の成熟タンパク質をコードする配列が、5’及び3’領域に相補的なプライマーでのPCRにより増幅される。5’プライマーは、側方に位置する(選択された)制限酵素部位を包含していてもよい。生産物は、次いで、選択された制限酵素で消化され、発現ベクターにサブクローニングされる。
組換えバキュロウイルスは、上記のプラスミド及びBaculoGold(商品名)ウイルスDNA(Pharmingen)を、Spodoptera frugiperda(「Sf9」)細胞(ATCC CRL 1711)中にリポフェクチン(GIBCO-BRLから市販)を用いて同時形質移入することにより作成される。28℃で4−5日インキュベートした後、放出されたウイルスを回収し、更なる増幅に用いる。ウイルス感染及びタンパク質発現は、O'Reilley等, Baculovirus expression vectors: A Laboratory Manual, Oxford: Oxford University Press (1994)に記載されているように実施する。
次に、発現されたポリ-hisタグPROは、例えばNi2+-キレートアフィニティクロマトグラフィーにより次のように精製することができる。抽出は、Rupert等, Nature, 362:175-179 (1993)に記載されているように、ウイルス感染した組み換えSf9細胞から調製する。簡単には、Sf9細胞を洗浄し、超音波処理用バッファー(25mLのHepes、pH7.9;12.5mMのMgCl;0.1mM EDTA;10%グリセロール;0.1%のNP-40;0.4MのKCl)中に再懸濁し、氷上で2回20秒間超音波処理した。超音波処理物を遠心分離で透明化し、上清を負荷バッファー(50mMリン酸塩、300mMのNaCl、10%グリセロール、pH7.8)で50倍希釈し、0.45μmフィルターで濾過する。Ni2+-NTAアガロースカラム(Qiagenから市販)を5mLの総容積で調製し、25mLの水で洗浄し、25mLの負荷バッファーで平衡させる。濾過した細胞抽出物を、毎分0.5mLでカラムに負荷する。カラムを分画回収が始まる点であるA280のベースラインまで負荷バッファーで洗浄する。次に、カラムを、結合タンパク質を非特異的に溶離する二次洗浄バッファー(50mMリン酸塩;300mMのNaCl、10%グリセロール、pH6.0)で洗浄する。A280のベースラインに再度到達した後、カラムを二次洗浄バッファー中で0から500mMイミダゾール勾配で展開する。1mLの分画を回収し、SDS−PAGE及び銀染色又はアルカリホスファターゼ(Qiagen)に結合したNi2+-NTAでのウェスタンブロットで分析する。溶離したHis10-タグPROを含む画分をプールして負荷バッファーで透析する。
あるいは、IgGタグ(又はFcタグ)PROの精製は、例えば、プロテインA又はプロテインGカラムクロマトグラフィーを含む既知のクロマトグラフィー技術を用いて実施できる。
ここに開示されるPROポリペプチドの多くが上記のようにして成功裏に発現された。
実施例7:PROに結合する抗体の調製
この実施例は、PROに特異的に結合できるモノクローナル抗体の調製を例示する。
モノクローナル抗体の生産のための技術はこの分野で知られており、例えば、上掲のGodingに記載されている。用いられ得る免疫原は、本発明の精製PRO、PROを含む融合タンパク質、及び細胞表面にPROを発現する細胞を含む。免疫原の選択は、当業者が過度の実験をすることなくなすことができる。
Balb/c等のマウスを、完全フロイントアジュバントに乳化して皮下又は腹腔内に1−100マイクログラムの量で注入したPRO免疫原で免疫化する。あるいは、免疫原をMPL−TDMアジュバント(Ribi Immunochemical Research, Hamilton, MT)に乳化し、動物の後足蹠に注入する。免疫化したマウスを、次いで10から12日後に、選択したアジュバント中に乳化した付加的免疫源で追加免疫する。その後、数週間、マウスを更なる免疫化注射で追加免疫する。抗PRO抗体の検出のためのELISAアッセイで試験するために、レトロオービタル出血からの血清試料をマウスから周期的に採取してもよい。
適当な抗体力価が検出された後、抗体に「ポジティブ(陽性)」な動物に、PROの最後の静脈内注射を注入することができる。3から4日後、マウスを屠殺し、脾臓細胞を取り出す。次いで脾臓細胞を(35%ポリエチレングリコールを用いて)、ATCC番号CRL1597で入手可能なP3X63AgU.1等の選択されたマウス骨髄腫株化細胞に融合させる。融合によりハイブリドーマ細胞が生成され、次いで、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジン)培地を含む96ウェル組織培養プレートに蒔き、非融合細胞、骨髄腫ハイブリッド、及び脾臓細胞ハイブリッドの増殖を阻害する。
ハイブリドーマ細胞を、PROに対する反応性についてELISAでスクリーニングする。PROに対する所望のモノクローナル抗体を分泌する「ポジティブ(陽性)」ハイブリドーマ細胞の決定は、技術常識の範囲内である。
ポジティブハイブリドーマ細胞を同系のBalb/cマウスに腹腔内注入し、抗PROモノクローナル抗体を含む腹水を生成させる。あるいは、ハイブリドーマ細胞を、組織培養フラスコ又はローラーボトルで成長させることもできる。腹水中に生成されたモノクローナル抗体の精製は、硫酸アンモニウム沈降、それに続くゲル排除クロマトグラフィーを用いて行うことができる。あるいは、抗体のプロテインA又はプロテインGへの結合性に基づくアフィニティクロマトグラフィーを用いることもできる。
実施例8:特異的抗体を用いたPROポリペプチドの精製
天然又は組換えPROポリペプチドは、この分野の種々の標準的なタンパク質精製方法によって精製できる。例えば、プロ-PROポリペプチド、成熟ポリペプチド、又はプレ-PROポリペプチドは、関心あるPROポリペプチドに特異的な抗体を用いた免疫親和性クロマトグラフィーによって精製される。一般に、免疫親和性カラムは抗PROポリペプチド抗体を活性化クロマトグラフィー樹脂に共有結合させて作成される。
ポリクローナル免疫グロブリンは、硫酸アンモニウムでの沈殿又は固定化プロテインA(Pharmacia LKB Biotechnology, Piscataway, N.J.)での精製のいずれかにより免疫血清から調製される。同様に、モノクローナル抗体は、硫酸アンモニウム沈殿又は固定化プロテインAでのクロマトグラフィーによりマウス腹水液から調製される。部分的に精製された免疫グロブリンは、CnBr-活性化セファロースTM(Pharmacia LKB Biotechnology)等のクロマトグラフィー樹脂に共有結合される。抗体が樹脂に結合され、樹脂がブロックされ、誘導体樹脂は製造者の指示に従って洗浄される。
このような免疫親和性カラムは、可溶化形態のPROポリペプチドを含有する細胞からの画分を調製することによるPROポリペプチドの精製において利用される。この調製物は、洗浄剤の添加又はこの分野で公知の方法により微分遠心分離を介して得られる全細胞又は細胞成分画分の可溶化により誘導される。あるいは、シグナル配列を含む可溶化PROポリペプチドは、細胞が成長する培地中に有用な量で分泌される。
可溶化PROポリペプチド含有調製物は、免疫親和性カラムを通され、カラムはPROポリペプチドの好ましい吸着をさせる条件下(例えば、洗浄剤存在下の高イオン強度バッファー)で洗浄される。次いで、カラムは、抗体/PROポリペプチド結合を分解する条件下(例えば、約2−3といった低pH、又は高濃度の尿素又はチオシアン酸イオン等のカオトロープ)で溶離され、PROポリペプチドが回収される。
実施例9:薬物スクリーニング
本発明は、PROポリペプチド又はその結合断片を任意の種々の薬物スクリーニング技術において使用することによる化合物のスクリーニングに特に有用である。そのような試験に用いられるPROポリペプチド又は断片は、溶液中の遊離状態でも、固体支持体に固定されても、細胞表面に担持されていても、細胞内に位置していてもよい。薬剤スクリーニングの1つの方法は、PROポリペプチド又は断片を発現する組換え核酸で安定に形質移入される真核生物又は原核生物宿主細胞を利用する。薬剤は、そのような形質移入細胞に対して、競合的結合アッセイにおいてスクリーニングされる。そのような細胞は、生存可能又は固定化形態のいずれかにおいて、標準的な結合アッセイに使用できる。例えば、PROポリペプチド又は断片と試験される試薬の間での複合体の形成を測定してよい。あるいは、試験する試薬によって生ずるPROポリペプチドとその標的細胞又は標的レセプターとの間の複合体形成における減少を試験することもできる。
しかして、本発明は、PROポリペプチド関連疾患又は疾病に影響を与えうる薬剤又は任意の他の試薬のスクリーニング方法を提供する。これらの方法は、その試薬をPROポリペプチド又は断片に接触させ、(i)試薬とPROポリペプチド又は断片との間の複合体の存在について、又は(ii)PROポリペプチド又は断片と細胞との間の複合体の存在について、当該技術でよく知られた方法でアッセイすることを含む。これらの競合結合アッセイでは、PROポリペプチド又は断片が典型的には標識される。適切なインキュベーションの後、自由なPROポリペプチド又は断片を結合形態のものから分離し、自由又は未複合の標識の量が、特定の試薬がPROポリペプチドに結合する又はPROポリペプチド/細胞複合体を阻害する能力の尺度となる。
薬剤スクリーニングのための他の技術は、ポリペプチドに対して適当な結合親和性を持つ化合物についての高スループットスクリーニングを提供し、1984年9月13日に公開されたWO 84/03564に詳細に記載されている。簡単に述べれば、多数の異なる小型ペプチド試験化合物が、プラスチックピン等の固体支持体又は幾つかの他の表面上で合成される。PROポリペプチドに適用すると、ペプチド試験化合物はPROポリペプチドと反応して洗浄される。結合したPROポリペプチドはこの分野で良く知られた方法により検出される。精製したPROポリペプチドは、上記の薬剤スクリーニング技術に使用するためにプレート上に直接被覆することもできる。更に、非中和抗体は、ペプチドを捕捉し、それを固体支持体上に固定化するのに使用できる。
また、本発明は、PROポリペプチドに結合可能な中和抗体がPROポリペプチド又はその断片について試験化合物と特異的に競合する競合薬剤スクリーニングアッセイに使用されることも考慮する。この方法において、抗体は、PROポリペプチドで一又は複数の抗原決定基を持つ任意のペプチドの存在を検出するのに使用できる。
実施例10:合理的薬物設計
合理的薬物設計の目的は、関心ある生物学的活性ポリペプチド(例えば、PROポリペプチド)又はそれらが相互作用する小分子、例えばアゴニスト、アンタゴニスト、又はインヒビターの構造的類似物を製造することである。これらの例の任意のものが、PROポリペプチドのより活性で安定な形態又はインビボでPROポリペプチドの機能を向上又は阻害する薬物の創作に使用できる(参考、Hodgson, Bio/Technology, 9: 19-21 (1991))。
1つの方法において、PROポリペプチド、又はPROポリペプチド-インヒビター複合体の三次元構造が、x線結晶学により、コンピュータモデル化により、最も典型的には2つの方法の組み合わせにより決定される。分子の構造を解明し活性部位を決定するためには、PROポリペプチドの形状及び電荷の両方が確認されなければならない。数は少ないが、PROポリペプチドの構造に関する有用な情報が相同タンパク質の構造に基づいたモデル化によって得られることもある。両方の場合において、関連する構造情報は、類似PROポリペプチド様分子の設計又は効果的なインヒビターの同定に使用される。合理的な薬剤設計の有用な例は、Braxton及びWells, Biochemistry, 31: 7796-7801 (1992)に示されているような向上した活性又は安定性を持つ分子、又はAthauda等, J. Biochem., 113: 742-746 (1993)に示されているような天然ペプチドのインヒビター、アゴニスト、又はアンタゴニストとして作用する分子を含む。
また、上記のような機能アッセイによって選択された標的特異的な抗体を単離しその結晶構造を解明することもできる。この方法は、原理的には、それに続く薬剤設計が基礎をおくことのできるファーマコア(pharmacore)を生成する。機能的で薬理学的に活性な抗体に対する抗-イディオタイプ抗体(抗-ids)を生成することにより、タンパク質結晶学をバイパスすることができる。鏡像の鏡像として、抗-idsの結合部位は最初のレセプターの類似物であると予測できる。抗-idは、次いで、化学的又は生物学的に製造したペプチドのバンクからペプチドを同定及び単離するのに使用できる。単離されたペプチドは、ファーマコアとして機能するであろう。
本発明により、十分な量のPROポリペプチドがX線結晶学などの分析実験を実施するために入手可能である。更に、ここに提供したPROポリペプチドアミノ酸配列の知識は、x線結晶学に換える、又はそれに加えるコンピュータモデル化技術で用いられる指針を提供する。
上記の文書による明細書は、当業者が本発明を実施するためには十分であると考えられる。寄託された実施物は、本発明のある側面の一つの例証としてのものであり、あらゆる機能的に等価なコンストラクトがこの発明の範囲内にあるため、寄託されたコンストラクトにより、本発明の範囲が限定されるものではない。ここでの材料の寄託は、ここに含まれる文書による説明が、そのベストモードを含む、本発明のあらゆる側面の実施を可能にするには不十分であることを認めるものではないし、それが表す特定の例証に請求の範囲を制限するものと解釈されるものでもない。実際、ここに示し記載したものに加えて、本発明を様々に変形することは、前記の記載から当業者にとっては明らかなものであり、添付された請求の範囲の範囲内に入るものである。
図1は、天然配列PRO37523cDNAのヌクレオチド配列(配列番号1)を示し、ここで配列番号1は「DNA328329」と本明細書で命名されたクローンである。 図2は、図1に示される配列番号1のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号2)を示す。 図3は、天然配列PRO71267cDNAのヌクレオチド配列(配列番号3)を示し、ここで配列番号3は「DNA304872」と本明細書で命名されたクローンである。 図4は、図3に示される配列番号3のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号4)を示す。 図5は、天然配列PRO71295cDNAのヌクレオチド配列(配列番号5)を示し、ここで配列番号5は「DNA305191」と本明細書で命名されたクローンである。 図6は、図5に示される配列番号5のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号6)を示す。 図7A−Bは天然配列PRO1843cDNAのヌクレオチド配列(配列番号7)を示し、ここで配列番号7は「DNA247586」と本明細書で命名されたクローンである。 図8は、図7A−Bに示される配列番号7のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号8)を示す。 図9A−Bは、天然配列PRO84194cDNAのヌクレオチド配列(配列番号9)を示し、ここで配列番号9は「DNA328330」と本明細書で命名されたクローンである。 図10は、図9A−Bに示される配列番号9のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号10)を示す。 図11A−Cは天然配列PRO84195cDNAのヌクレオチド配列(配列番号11)を示し、ここで配列番号11は「DNA328331」と本明細書で命名されたクローンである。 図12は、図11A−Cに示される配列番号11のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号12)を示す。 図13A−Bは天然配列PRO71282cDNAのヌクレオチド配列(配列番号13)を示し、ここで配列番号13は「DNA304984」と本明細書で命名されたクローンである。 図14は、図13に示される配列番号13のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号14)を示す。 図15は天然配列PRO71283cDNAのヌクレオチド配列(配列番号15)を示し、ここで配列番号15は「DNA304985」と本明細書で命名されたクローンである。 図16は、図15に示される配列番号15のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号16)を示す。 図17は天然配列PRO84196cDNAのヌクレオチド配列(配列番号17)を示し、ここで配列番号17は「DNA328332」と本明細書で命名されたクローンである。 図18は、図17に示される配列番号17のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号18)を示す。 図19は天然配列PRO84197cDNAのヌクレオチド配列(配列番号19)を示し、ここで配列番号19は「DNA328333」と本明細書で命名されたクローンである。 図20は、図19に示される配列番号19のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号20)を示す。 図21は天然配列PRO83587cDNAのヌクレオチド配列(配列番号21)を示し、ここで配列番号21は「DNA327556」と本明細書で命名されたクローンである。 図22は、図21に示される配列番号21のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号22)を示す。 図23は天然配列PRO84198cDNAのヌクレオチド配列(配列番号23)を示し、ここで配列番号23は「DNA328334」と本明細書で命名されたクローンである。 図24は、図23に示される配列番号23のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号24)を示す。 図25は天然配列PRO58102cDNAのヌクレオチド配列(配列番号25)を示し、ここで配列番号25は「DNA269692」と本明細書で命名されたクローンである。 図26は、図25に示される配列番号25のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号26)を示す。 図27A−Bは天然配列PRO23253cDNAのヌクレオチド配列(配列番号27)を示し、ここで配列番号27は「DNA169523」と本明細書で命名されたクローンである。 図28は、図27A−Bに示される配列番号27のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号28)を示す。 図29は天然配列PRO84199cDNAのヌクレオチド配列(配列番号29)を示し、ここで配列番号29は「DNA328335」と本明細書で命名されたクローンである。 図30は、図29に示される配列番号29のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号30)を示す。 図31は天然配列PRO84200cDNAのヌクレオチド配列(配列番号31)を示し、ここで配列番号31は「DNA328336」と本明細書で命名されたクローンである。 図32は、図31に示される配列番号31のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号32)を示す。 図33A−Bは天然配列PRO84201cDNAのヌクレオチド配列(配列番号33)を示し、ここで配列番号33は「DNA328337」と本明細書で命名されたクローンである。 図34は、図33A−Bに示される配列番号33のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号34)を示す。 図35は天然配列PRO84202cDNAのヌクレオチド配列(配列番号35)を示し、ここで配列番号35は「DNA328338」と本明細書で命名されたクローンである。 図36は、図35に示される配列番号35のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号36)を示す。 図37は天然配列PRO84203cDNAのヌクレオチド配列(配列番号37)を示し、ここで配列番号37は「DNA328339」と本明細書で命名されたクローンである。 図38は、図37に示される配列番号37のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号38)を示す。 図39は天然配列PRO84204cDNAのヌクレオチド配列(配列番号39)を示し、ここで配列番号39は「DNA328340」と本明細書で命名されたクローンである。 図40は、図39に示される配列番号39のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号40)を示す。 図41は天然配列PRO7289cDNAのヌクレオチド配列(配列番号41)を示し、ここで配列番号41は「DNA57255」と本明細書で命名されたクローンである。 図42は、図41に示される配列番号41のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号42)を示す。 図43は天然配列cDNAのヌクレオチド配列(配列番号43)を示し、ここで配列番号43は「DNA195874」と本明細書で命名されたクローンである。 図44は天然配列PRO84205cDNAのヌクレオチド配列(配列番号44)を示し、ここで配列番号44は「DNA328341」と本明細書で命名されたクローンである。 図45は、図44に示される配列番号44のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号45)を示す。 図46は天然配列PRO84206cDNAのヌクレオチド配列(配列番号46)を示し、ここで配列番号46は「DNA328342」と本明細書で命名されたクローンである。 図47は、図46に示される配列番号46のコード配列に由来するアミノ酸配列(配列番号47)を示す。 図48は天然配列cDNAのヌクレオチド配列(配列番号48)を示し、ここで配列番号48は「DNA259795」と本明細書で命名されたクローンである。

Claims (25)

  1. 図2(配列番号2)、図4(配列番号4)、図6(配列番号6)、図8(配列番号8)、図10(配列番号10)、図12(配列番号12)、図14(配列番号14)、図16(配列番号16)、図18(配列番号18)、図20(配列番号20)、図22(配列番号22)、図24(配列番号24)、図26(配列番号26)、図28(配列番号28)、図30(配列番号30)、図32(配列番号32)、図34(配列番号34)、図36(配列番号36)、図38(配列番号38)、図40(配列番号40)、図42(配列番号42)、図42(配列番号42)、図45(配列番号45)又は図47(配列番号47)に示すポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に対し、少なくとも80%の核酸配列同一性を有する単離された核酸。
  2. 図1(配列番号1)、図3(配列番号3)、図5(配列番号5)、図7A−B(配列番号7)、図9A−B(配列番号9)、図11A−C(配列番号11)、図13A−B(配列番号13)、図15(配列番号15)、図17(配列番号17)、図19(配列番号19)、図21(配列番号21)、図23(配列番号23)、図25(配列番号25)、図27A−B(配列番号27)、図29(配列番号29)、図31(配列番号31)、図33A−B(配列番号33)、図35(配列番号35)、図37(配列番号37)、図39(配列番号39)、図41(配列番号41)、図41(配列番号41)、図43(配列番号43)、図44(配列番号44)、図46(配列番号46)及び図48(配列番号48)に示すヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対し、少なくとも80%の核酸配列同一性を有する単離された核酸。
  3. 図1(配列番号1)、図3(配列番号3)、図5(配列番号5)、図7A−B(配列番号7)、図9A−B(配列番号9)、図11A−C(配列番号11)、図13A−B(配列番号13)、図15(配列番号15)、図17(配列番号17)、図19(配列番号19)、図21(配列番号21)、図23(配列番号23)、図25(配列番号25)、図27A−B(配列番号27)、図29(配列番号29)、図31(配列番号31)、図33A−B(配列番号33)、図35(配列番号35)、図37(配列番号37)、図39(配列番号39)、図41(配列番号41)、図41(配列番号41)、図43(配列番号43)、図44(配列番号44)、図46(配列番号46)及び図48(配列番号48)に示すヌクレオチド配列の完全長コード化配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対し、少なくとも80%の核酸配列同一性を有する単離された核酸。
  4. 請求項1に記載の核酸を有するベクター。
  5. ベクターを用いて形質転換した宿主細胞によって認識される制御配列に作用可能に結合する請求項4に記載のベクター。
  6. 請求項4に記載のベクターを含む宿主細胞。
  7. CHO細胞、大腸菌細胞又は酵母細胞である、請求項6に記載の宿主細胞。
  8. PROポリペプチドの産生方法において、請求項6に記載の宿主細胞を、前記PROポリペプチドの発現に適した条件下で培養し、前記PROポリペプチドを細胞培養物から回収することを含む方法。
  9. 図2(配列番号2)、図4(配列番号4)、図6(配列番号6)、図8(配列番号8)、図10(配列番号10)、図12(配列番号12)、図14(配列番号14)、図16(配列番号16)、図18(配列番号18)、図20(配列番号20)、図22(配列番号22)、図24(配列番号24)、図26(配列番号26)、図28(配列番号28)、図30(配列番号30)、図32(配列番号32)、図34(配列番号34)、図36(配列番号36)、図38(配列番号38)、図40(配列番号40)、図42(配列番号42)、図42(配列番号42)、図45(配列番号45)、又は図47(配列番号47)に示すポリペプチドのアミノ酸配列に対し、少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有する単離されたポリペプチド。
  10. 異種アミノ酸配列に融合した請求項9に記載のポリペプチドを含んでなるキメラ分子。
  11. 前記異種アミノ酸配列がエピトープタグ配列又は免疫グロブリンのFc領域である、請求項10に記載のキメラ分子。
  12. 請求項9に記載のポリペプチドに特異的に結合する抗体。
  13. モノクローナル抗体、ヒト化抗体又は一本鎖抗体である、請求項12に記載の抗体。
  14. 担体との組み合わせで、(a)請求項9に記載のポリペプチド、(b)前記ポリペプチドのアゴニスト、(c)前記ポリペプチドのアンタゴニスト、又は(d)前記ポリペプチドに結合する抗体を含有する物質の組成物。
  15. 前記担体が製薬的に許容可能な担体である、請求項14に記載の物質の組成物。
  16. (a)、(b)、(c)又は(d)の治療的有効量を含む請求項15に記載の物質の組成物。
  17. 容器、
    前記容器上のラベル、及び
    前記容器に収容された、(a)請求項9に記載のポリペプチド、(b)前記ポリペプチドのアゴニスト、(c)前記ポリペプチドのアンタゴニスト、又は(d)前記ポリペプチドに結合する抗体を含有する物質の組成物、
    を含み、前記容器上のラベルが前記物質の組成物が乾癬の治療に有用であることを示す、製造品。
  18. 乾癬の治療を必要とする哺乳動物に対し、(a)請求項9に記載のポリペプチド、(b)前記ポリペプチドのアンタゴニスト、又は(c)前記ポリペプチドに結合する抗体の治療的有効量を投与することを含む、哺乳動物の乾癬を治療する方法。
  19. PROポリペプチドを含むことが疑われる試料中の前記ポリペプチドの存在を決定する方法であって、抗PRO19597、抗PRO83469、抗PRO1189、抗PRO83470、抗PRO28700、抗PRO1246、抗PRO83471、抗PRO6244、抗PRO83472、抗PRO19600、抗PRO4977、抗PRO83473、抗PRO83474、抗PRO617、抗PRO71057、抗PRO83475、抗PRO1065、抗PRO83476、抗PRO200、抗PRO1361又は 抗PRO83477抗体に前記試料を曝し、前記抗体の前記試料の成分への結合を決定することを含む方法。
  20. 哺乳動物の乾癬の診断方法であって、(a)哺乳動物から採取した組織細胞の試験試料中と、(b)同一の細胞型の既知の正常組織のコントロール試料中におけるPRO37523、PRO71267、PRO71295、PRO1843、PRO84194、PRO84195、PRO71282、PRO71283、PRO84196、PRO84197、PRO83587、PRO84198、PRO58102、PRO23253、PRO84199、PRO84200、PRO84201、PRO84202、PRO84203、PRO84204、PRO7289、PRO7289、PRO84205又はPRO84206ポリペプチドをコードする遺伝子の発現レベルを検出することを含み、コントロール試料と比較して試験試料中の前記遺伝子の発現レベルが高いか又は低い場合、試験組織細胞を採取した哺乳動物における乾癬の存在が示される方法。
  21. 哺乳動物の乾癬の診断方法であって、(a)前記哺乳動物から採取した試験試料に抗PRO37523、抗PRO71267、抗PRO71295、抗PRO1843、抗PRO84194、抗PRO84195、抗PRO71282、抗PRO71283、抗PRO84196、抗PRO84197、抗PRO83587、抗PRO84198、抗PRO58102、抗PRO23253、抗PRO84199、抗PRO84200、抗PRO84201、抗PRO84202、抗 PRO84203、抗PRO84204、抗PRO7289、抗PRO7289、抗PRO84205又は抗PRO84206抗体を接触させ、(b)試験試料中における抗体とポリペプチドの間の複合体形成を検出することを含み、前記複合体の形成により試験組織細胞を採取した哺乳動物における乾癬の存在が示される方法。
  22. PRO37523、PRO71267、PRO71295、PRO1843、PRO84194、PRO84195、PRO71282、PRO71283、PRO84196、PRO84197、PRO83587、PRO84198、PRO58102、PRO23253、PRO84199、PRO84200、PRO84201、PRO84202、PRO84203、PRO84204、PRO7289、PRO7289、PRO84205又はPRO84206ポリペプチドの活性を抑制する化合物を同定する方法であって、前記ポリペプチドに通常は反応する細胞を(a)前記ポリペプチド及び(b)候補化合物に接触させ、前記細胞の(a)に対する反応性の不足を決定することを含む方法。
  23. PRO37523、PRO71267、PRO71295、PRO1843、PRO84194、PRO84195、PRO71282、PRO71283、PRO84196、PRO84197、PRO83587、PRO84198、PRO58102、PRO23253、PRO84199、PRO84200、PRO84201、PRO84202、PRO84203、PRO84204、PRO7289、PRO7289、PRO84205又はPRO84206ポリペプチドをコードする遺伝子の発現を抑制する化合物の同定方法であって、前記ポリペプチドを通常は発現する細胞を候補化合物に接触させ、前記遺伝子の発現の不足を決定することを含む方法。
  24. 前記候補化合物がアンチセンス核酸である、請求項23に記載の方法。
  25. PRO37523、PRO71267、PRO71295、PRO1843、PRO84194、PRO84195、PRO71282、PRO71283、PRO84196、PRO84197、PRO83587、PRO84198、PRO58102、PRO23253、PRO84199、PRO84200、PRO84201、PRO84202、PRO84203、PRO84204、PRO7289、PRO7289、PRO84205又はPRO84206ポリペプチドの活性を模倣する化合物の同定方法であって、前記ポリペプチドに通常は反応する細胞を候補化合物に接触させ、前記候補化合物に対する前記細胞の反応性を決定することを含む方法。
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