JP2006515669A - ホスト格子中での水素同位体の多重占有を増加させるデバイス、システム、および方法。 - Google Patents

ホスト格子中での水素同位体の多重占有を増加させるデバイス、システム、および方法。 Download PDF

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Abstract

ホスト格子中にヘリウムを存在させ、水素同位体の二重占有を増加させるデバイス、システム、および方法。水素貯蔵要素としての使用に適した空孔を安定化した水素化金属相が得られる。金属格子ホスト構造が選択され、水素原子または重水素原子で充填される。次いで、ホスト格子は封止され、水素原子、重水素原子、およびヘリウム原子が放出されるのを防止する。次いで、ホスト格子を刺激して空孔を作る。ホスト格子内に空孔を作った後、充填した水素原子または重水素原子は空孔に入って、改善されたホスト格子を生成する。

Description

本出願は、2003年5月17日に“A DEVICE,SYSTEM AND METHOD FOR INCREASING MULTIPLE OCCUPANCY OF HYDROGEN ISOTOPES IN A HOST LATTICE”の名称で出願した米国特許出願第_______号の継続出願であり、2003年2月14日に出願した仮出願番号第60/449,247号、および2002年5月18日に出願した仮出願番号第60/381,863号の優先権を主張するものである。さらに本出願は、35U.S.C.第119条に基づいて、2003年5月17日に“A DEVICE,SYSTEM AND METHOD FOR INCREASING MULTIPLE OCCUPANCY OF HYDROGEN ISOTOPES IN A HOST LATTICE”の名称で出願した国際特許出願第_______号の優先権を主張するものである。上記の出願の全ては参照により本明細書に組み込まれている。
本発明は、エネルギーを固体の高周波振動モードに直接結合する新しく発見された反応によって、ヘリウムの存在下でホスト格子中の水素同位体の二重占有を増加させることに関する。
重水素核の核融合は、1930年代の初め、重水素を充填した固体ターゲットへ重陽子のビームを導く加速器の実験中に発見されて最初に研究された。2個だけの核が真空中で反応する理想化されたモデルは、その実験の最も重要な態様の説明に成功したことが立証された。
この手法の成功は、核反応がどのように行われるかについての直観を核物理学者の中に育んだ。この直観によれば、強い力の相互作用(これは近距離の相互作用である)が働くために必要なフェルミ内に核が接近できるように、近距離の核の間のクーロン反発力に打ち勝つ十分な運動エネルギーが存在できるよう核を加速してしなければならない。さらに、この直観によれば、一旦核がフェルミ内に接近して反応すると、続く動力学的変化は非常に速い。長寿命の準安定な中間状態が存在せずに、生成した核は物理法則で許される限りの速さで反応を離れるが、これは光の速度の何分の一かである。このように、生成核が一旦数フェルミ以上離れると核反応が終了するので、周囲の原子と何らかの相互作用を行う時間がない。したがって、エネルギーの衝突で起きた核反応を理解すれば、固体中の隣り合う原子は安全に無視される。
このために、それらの反応を用いる用途は非常に限られた選択肢しかないように思われる。上述のような真空中の理想的な反応と同様に挙動する反応だけが可能であると仮定すれば、エネルギー生成の経路は非常に高い温度を生成させることによるものと、(クーロン反発力を最小にする)水素同位体間の反応を用いることによるものだけである。結論として、融合反応によるエネルギー生成について現在考慮されている技術には、磁気および慣性閉じ込め融合方式の例など、様々な高温プラズマ方式が含まれる。しかし、磁気閉じ込め融合の場合、エネルギー生成には、極めて大きく信じられないほど複雑で非常に高価な機械が必要であろうと現在認識されている。さらに、科学界には、どちらの手法からも近い将来有用なエネルギー生成の可能性はないとの一致した見解がある。
より見込みのある結果は、科学界の主流ではない実験から得られる可能性があることを予め指摘する。1930年頃、ドイツの研究者達は、水素を金属中に充填する電気化学の実験でヘリウムを生成したことをしはらくの間考えた。次の10年間に核物理学が発展して真空中の核反応がよりよく理解されるようになったが、電気化学者達は電気化学実験における異常現象の観察を続けた。1950年代および1960年代の多くの電気化学者達は、PdD系に伴う熱量測定での問題に気が付いていた。PdHの熱量測定は0.1%のレベルで一般に再現性のある結果に導くであろうが、PdDの同様の測定は、実験ごとに数%のレベルで異常性を持つ異なる結果をもたらすからである。
1980年半ばに、Fleishmannは、S.Ponsほかと、エネルギーが多分PdD系中で生成されるという仮定の下に、効果を最大にすることを探求する電気化学実験に焦点を絞った共同研究を開始した。「M.Fleischmann and S.Pons、J.Electroanalytical Chemistry and Interfacial Chemistry、261、301頁(1989);Errata、263、187頁;M.Fleischmann、S.Pons、M.W.Anderson、L.J.Li、and M.Hawkins、J.Electroanalytical Chemistry and Interfacial Chemistry、287、293頁」。
1980年代遅くに行われた実験において、このグループは、一般に入力電力の10〜20%程度過剰パワーに一致する温度異常を観察した。これらの実験から生成されたエネルギーの総量が十分大きかったので、PonsとFleischmannは、生成されたエネルギー量に一致するセル中の化学変化が観察されたのではなく、エネルギー源は核にちがいない、と結論付けた。しかし、当業者達は、論文中に提供された情報およびPonsとFleischmannによって準備された他の技術資料に基づく結果を再現することはできなかった。
1980年代遅く、S.Jonesは低レベルのニュートロン放出を示すTiD中の電気化学実験を行った。「S.E.Jones、E.P.Palmer、J.B.Czirr、D.L.Decker、G.L.Jensen、J.M.Thorne、S.F.Taylor、およびJ.Rafelski、Nature、338、737頁(1989);S.E.Jones、Troy K.Bartlett、David B.Buehler、J.Bart Czirr、Gary L.Jensen、およびJ.C.Wang、AIP Conference Proceedings228、397頁(1990)。Brigham Young Univ.、Provo、UT:American Institute of Physics、New York」。再び、他の当業者によって実験を再現することはできなかった。
続いて、数keVでTiDに重水素を入射させることを含む加速器実験において、分子状重水素に匹敵するレベルでのスクリーニングに一致する生成反応速度が観察された。他の当業者達は、その結果を再現することができず、なぜそのような結果が生じたか納得できる理由は全く見出せなかった。
これらの実験の潜在的意味を真剣に考える上で、いくつかの理論的議論が重要であると認識する。以下にこれらの論点をまとめる。(1)トンネル効果の確率を数十倍の大きさに高める何らかのメカニズムが存在する必要がある。(2)過剰の熱効果(excess heat effect)を示す実験には、既知の真空反応の経路を数十倍の大きさで完全に凌駕する何らかの新しい反応経路が存在する必要がある。(3)過剰の熱効果を示す実験で、反応経路はエネルギー反応が静かに、すなわち、エネルギー(MeV)粒子またはγ線なしに行われるという問題がある。
科学界全体の合意は、これらの問題を克服するのがあまりにも困難であることである。したがって、いかにしてこれらのことが起きたかを核物理学および量子力学に矛盾しないように一般的に説明することを強要するものではなく、引き続くあらゆる主張は、重水素化金属(metal deuterides)のいかなる種類の異常の観察も誤りであると見なすものであった。
Huizengaの本に示された議論は、この意味で問題の最も重要な点に到達している。「J.Huizenga in Cold Fusion−The Scientific Fiasco of the Century、University of Rochester Press、1992」。Huizengaは、最初に、彼が1920年〜1990年の間の文献に与えられる核物理学の教えを容認することを明らかにしている。そこには、核反応は真空衝突の物理学の面で理解することができるという見解が含まれている。彼は、反応が他の方法で起きるであろう可能性を簡単に全く否定する。したがって、dd融合反応の生成物のがない過剰の熱効果の新たな実験の主張は否定しなければならないと本質的に主張している、科学界の大部分の意見を表明している。彼は、FleischmannとPonsの実験主張を真空物理学の図式を仮定して解釈するならば、生成されたエネルギーは形成されたdd融合生成物(ニュートロンを含んで)の量に必ず一致しなければならないと論じる。この議論によれば、ニュートロンがなければ過剰のエネルギーもない。
M.Fleischmann and S.Pons; J.Electroanalytical Chemistry and Interfacial Chemistry、261; 301頁(1989) Errata、263;187頁 M.Fleischmann、S.Pons、M.W.Anderson、L.J.Li、and M.Hawkins; J.Electroanalytical Chemistry and Interfacial Chemistry、287; 293頁 S.E.Jones、E.P.Palmer、J.B.Czirr、D.L.Decker、G.L.Jensen、J.M.Thorne、S.F.Taylor、and J.Rafelski; Nature、338;737頁(1989) S.E.Jones、Troy K.Bartlett、David B.Buehler、J.Bart Czirr、Gary L.Jensen、and J.C.Wang; AIP Conference Proceedings228; 397頁(1990); Brigham Young Univ.、Provo、UT:American Institute of Physics、New York J.Huizenga in Cold Fusion−The Scientific Fiasco of the Century; University of Rochester Press、1992
前述したことを考慮して、本発明のデバイス、システム、および方法は、先行技術の制約を克服し、本発明の読解と理解によって明らかになるであろう他の制約をも克服する解決策を提供するものである。
本発明の一実施形態において、水素貯蔵要素として使用するのに適した空孔安定化の水素化金属相が得られる。さらに詳細には、空孔安定化し向上した水素貯蔵材料が使用される。金属格子ホスト構造が選択され、水素または重水素原子が充填される。ホスト格子は、水素、重水素、およびヘリウムが好んでホスト格子内に閉じ込められて留まるように準備される。次いで、ホスト格子は刺激されて空孔を生成する。空孔がホスト格子内に作られると、充填された水素または重水素原子は空孔に入って改善されたホスト格子を生成する。本発明は、ホスト格子が、Ni、Pd、Ti、Nb、Ta、Nb、Mo、Fe、Vからなる群から選択される金属であることを意図している。しかし、ホスト格子は金属に制限されず、セラミック等の他の材料を含むことも意図している。ホスト格子の刺激は、電子ビーム照射を用いて行われる。
他の実施形態において、重水素を反応させて様々な用途に使用することのできるエネルギーを生成させるため、ヘリウムを含み、内部の分子状重水素の密度を最大にするように作られた重水素化金属は、刺激されて、1個またはそれ以上の高度に励起されたフォノンモードが作られる。本発明は、反応エネルギーが重水素化金属のフォノンモードに直接結合する重水素反応を用いてエネルギーを作るため、新しく理解された反応経路を使用する。エネルギーの発生は、重水素と重水素−ヘリウムの組み合わせを用いた格子を介する核反応の実施と引き続く達成の結果である。本発明の一実施形態では、(He)がホスト格子中に導入される。所望のHe濃度を得る方法は、(1)高温拡散と、(2)ヘリウムイオンの注入とである。一実施形態では、重水素をホスト格子中に充填する本発明の意図している手法は、Pdワイヤカソードでの重水(DO)または重水素化アルコール(例えば、CDOD、CHOD、CD、COD)の電気化学的還元による。
所望の最大充填状態が達成されると、系はホスト格子表面からD原子が現れるのを遮断するために封止される。本発明の意図する高充填を維持する例には、(1)10−5Mの硫酸水銀(I)(HgSO)を電解質に加えることによって、表面に表面アマルガムを形成すること、(2)電極を直接液化窒素中に移動することが含まれる。
エネルギー発生反応の満足できる結果を得るために、ホスト格子は、ある濃度で空孔を含まなければならない。本発明は、空孔の濃度が、高注入時の(at high dosage)全てのホスト金属原子の少なくとも0.1%〜0.2%であることを意図している。空孔は変化させることができ、空孔数を増加させる方法の一例は、ホスト格子を照射破損させてホスト格子原子に運動エネルギーと動きを与えることである。原理的には、十分な強度の任意の照射をこの目的に使用することができる。
ホスト格子ワイヤのサンプルを刺激して、核反応(D+D)とヘリウム(He)の生成、または核反応(D+H)とヘリウム(He)の生成による熱発生の効果を立証することができる。ホスト格子の刺激は、適切な格子フォノン振動モードを励起させることを含む。
本発明は、本発明に従って多くの手法がそれらの刺激を提供するのに使用できることを意図している。これらの手法の例には、(1)急峻な勾配の化学ポテンシャルを横切って格子重水素原子を流動させる、(2)電子を高電流密度で流す、(3)強い音響刺激、(4)格子の破壊、(5)表面レーザ刺激が含まれるが制限されない所望の反応の立証は、選択された刺激の手法により、しかしその手法に起因する大きさを超えて誘発されたホスト格子中の温度上昇の測定を行うことによって明らかにされる。効果の立証は、刺激に対応する局部的な温度上昇を観察することによってより容易に行われる。
熱効果の立証の後、ワイヤのサンプルを取り除いて切断し、金属相中のHeとHeの分析にかける。この目的のために高感度で高解像度の質量分析計を使用することができる。HeまたはHeのレベルが増加したか、あるいはHe/Heの比がその自然の値から変化したことのいずれの徴候も、格子中で核過程が起きたことの証明に用いることができる。
生成エネルギーの実用化は、熱出力密度(すなわち体積比反応強度)、量的な規模拡大条件(extensive scaling constraints)、最適運転温度、および材料と準備のコストなどのパラメータで支配された形態を取ることになろう。
本発明の一実施形態において、空孔を増加し、ヘリウムを装填し、高度に充填した重水素化金属は、刺激されて、HeまたはHeを生成する重水素の格子を介する核反応から有用なレベルの熱を発生する。
本発明は、ホスト格子がパラジウム、タングステン、チタン、タンタル等であることを意図している。
また本発明は、発生した熱が、工業的な、産業的な、または住宅の加熱、分配された電力発生、脱塩処理、中央電力発生、熱電変換、照明を含むことを意図するが、制限されない。
本発明の1つの利点は、意図されたエネルギー過程に、どのような物理的なメカニズムが係わるのかという基本的な問題が解決されることである。どのような基本物理学が係わるかを理解するならば、当分野の大部分の研究でそうであったエジソン的な試行錯誤によらず、設計によって実験およびデバイスを開発する機会が与えられることは当然である。本発明は、ホスト格子中の意図している反応に係わる関連の物理メカニズムが格子と相互作用していることを当業者に明らかにし、理解させる。
(I.本発明の開発)
我々がここに提出する特許出願において、我々はいくつかの重要な進歩を利用し、また新しい現象に関連する基本物理学に対する我々の理解における最近の進展を利用する。我々は今、容認された真空物理学の図式が何故新しいクラスの反応に当てはまらないかを理解し、新しい結果と古い結果とを等しい立場で含む核物理学の一般化を展開した。固体中で起きる核反応は、意図している系の基礎的な部分として固体であることを考慮しなければならないとする考え方に立脚すれば、替わりに、論じている種類の現象が自然に起きることができ、起きなければならないという結論に導かれるであろう。さらに、新しい結果が何であるか、いかにして、また何故新しい結果が起きるのか、最後に、この当時は制御されない変数のまま留まらなければならなかったが、今や過度の実験を行うことなく当業者によって正当に制御することのできる、重要な変数が何であるかを明らかにする。
過剰の熱の疑問および重水素化金属における他の異常に関する追加の疑問は、独立の精神を有する比較的小さな科学者のグループによって追及された。彼らの多くは、この研究の前にはキズのない科学的な信用を得ていた。この主題について一連の国際会議が開催された。「the most recent ICCF9 at Tsinghua University in Beijing−sometimes known as the MIT of China−in May 2002」。ある予測によると、この主題について全部で3000の論文が書かれ、その大部分は主流の科学機関紙には掲載されなかった。この期間に多くの実験が報告された。これらの実験の多くは肯定的な結果を生んだが、等しいかまたはそれ以上の数は否定的な結果に終わった。全世界の研究室の多くの研究者達は、過剰熱の効果を観察した。低レベルでの融合反応も多数回主張された。融合反応と一致しない速い粒子放出、γ線放出、遅い三重水素の生成、過剰エネルギーと量子的に相関のあるヘリウム発生、ホスト金属格子内の多量の放射性同位体の出現を含む他の効果も、同様に報告された。「K.Wolf、刊行されず。Passell,T.O.、Radiation data reported by Wolf at Texas A&M as Transmitted by T.Passell、1995、EPRI(刊行されなかったが、LENR−CANRウェブサイト上で入手可能)」。
したがって、重水素化金属における異常を考えるとき、引き出す多くのデータベースが存在すると言えよう。他方、多年にわたって主張されたいくつかの結果は再現性がないか、またはある場合には明らかに誤りであることが立証された。科学においては、科学界内で刊行され、したがって容認されたものが、正しく確立できることを確認するという断固たる努力がなされる。重水素化金属の異常の一般的な領域では、最初は見込みがあると思われた主張の多くが確認できなかったので、これは多年にわたって非常に困難であることが証明されてきた。これは、最終的に、主流の機関紙が全体的にこの領域の論文に興味を示さない、問題を研究している学界のメンバの中に実際に効果があることへの合意はあるが、一般にどの実験およびどの効果が正しいかの統一見解がほとんどない、問題を研究している学界内に、異常効果のいずれにも何が寄与しているかの統一見解がほとんどない、という状況を作り上げた。問題を研究している個々の研究者達は、一般に、彼ら自身の研究から真実であると知っていることに頼り、他の研究者達の結果は、発表や論文または討論によって確信した程度しか信じない。学界はそれ自体の中に統一見解がなく、主流の科学の外部で部分的には活動し、どの結果が正しく何が起きているかについて、学界内の個人は各々が彼ら自身の見解を持っている。
本特許出願に記載した考えは、当分野の他の研究者によって意図されたものとはむしろ異なる研究プログラムを追及してきた多くの科学者達の側の協働努力によりもたらされたものである。この努力の焦点は、どの物理メカニズムが係わるかについての基本的な問題に向けられた。どのような基本物理学が係わるかを理解するならば、当分野の大部分の研究でそうであったエジソン的な試行錯誤によらず、設計によって実験およびデバイスを開発する機会が与えられることは当然である。
最初に発表された実験的な主張(過剰の熱と低レベルの融合)は、当初は関与する物理メカニズムを明らかにするにはさほど有用ではないと考えられた。低レベルの融合効果の存在は、重陽子が互いに一緒になることをいくらか示唆しているが、どのようにしてそのようなことが起きるかについては寡黙である。過剰エネルギー効果の存在は、何らかの新しい種類の反応過程が働いていることを示唆するが、どのような反応メカニズムまたは物理メカニズムが関与するかを提供することはあまりない。
したがって、いくつかのグループはPonsとFleischmannの当初の電気化学実験を完成させる試みに焦点を合わせたが、代わりに、我々は関連する物理メカニズムを明確にし理解する試みに焦点を合わせた。提案されたいかなる物理メカニズムも対応する実験的な特徴と体系を有する。我々は研究の過程で100以上の可能性のある反応メカニズムを考察した。「P.L.Hagelstein、DARPA Report、April 2003」。方式を検討し、理論的理由または実験的理由で、ある場合にはその両方で否定した。極めて多くの実験を考え(多くの実験を実施し)、その中でメカニズムの一般的な問題の指標となることを探求した。我々は共同研究者に彼らの実験について質問し、これらの多くの再現を試みた。我々は1つまたは他の推量を立証しあるいは反証するために、他の研究者に実験を提案した。14年間のこの種の過程の後、我々はメカニズムの一般的な問題に関して大きな進展を得、最終的に本明細書で論じる発明に到った。
我々は、この努力の中で、振り返って非常に役に立ったと思われるいくつかの結果の助けを受けた。それらの1つの結果は、NRLの1グループによって報告されたもので、ECR(電子サイクロトロン共鳴)源で500〜1000eVの重陽子を充填したPdDから観察された18〜21MeVの範囲の低レベル高速アルファ粒子であった。「G.P.Chambers、J.E.Eridon、K.S.Grabowski、B.D.Sartwell and D.B.Christy、“Charged Particle Spectra of Palladium Thin Films During Low Energy Deutrium Ion Implantation”、J.Fusion Energy、Vol.9、281頁(1990)」。
この結果は、上で概説したような真空反応物理学の見地からは理解することができない。この結果は、1つの部位での2個の重陽子からのエネルギーが別の部位のPd核からアルファ粒子を放出させるのに使用されるという、新しい種類の部位間(site−other−site)の反応過程の可能性を示唆している。この種のメカニズムから予想されるアルファ・エネルギーは、実験データとよく一致する。物理メカニズムを明らかにするのは特に重要なことなので、我々は他のグループにこの結果の確認を依頼した。今までに、この効果を示す少なくとも2つの他の報告された実験があり、1つはモスクワのLebedev Instituteであり、もう1つはUIUCのG.Mileyである。「A.G.Lipson、A.S.Roussetski、C.H.Castano、Kim S−O.、G.H.Miley、“In−situ Long−range Alpha Particles and X−ray Detection for Thin−film Pd Cathodes During Electrolysis in LiSO/HO”、presented at the March 2002 APS meeting−Paper W21.005」。
図1は、2レベル系の間の非共鳴結合および連続体への遷移を示す図である。Chambersによって観察されたように、分子限界に近いエネルギーを有する収縮dd状態(conpact dd-states)は、1つの部位でホストPd核に非共鳴結合することができ、もう1つの部位で18〜21MeVの範囲のアルファ放出をもたらすであろう。
最終的にこの結果の重要性を理解したとき、我々は、部位間の反応を記述する理論モデルの開発を開始した。基本的な考え方は、固体中に起きる反応では、フォノンが格子と交換できる可能性を有することである。共通のフォノンモードを有するフォノンを交換する異なる部位での反応は、二次量子過程として進行することができる。
論じている反応メカニズムは、
Figure 2006515669
で表されよう。
この反応の理論モデルは、アルファ粒子を一次放出として説明することができ、実験と一致した放出エネルギーを与えるが、計算された関連の反応速度は実験から大きくはずれる。我々はパズルの一片の一部を得たように見えたが、全体は獲得しなかった。
このような反応が本当に起き得るならば、この種の反応は他にどのようなものが想定できるのかという賢明な疑問が生じるであろう。理論的に考えて、1つの部位の反応が、もう1つの部位の逆反応と対になる共鳴反応が、この種の支配的な過程にちがいないということは明らかであった。
これは、我々に、
Figure 2006515669
の式の反応を考えさせた。
これらの反応において、一方の部位の2個の重陽子は互いに一緒になってヘリウムを作り、微視的選択則に合うようにフォノンを交換する。他の部位では、ヘリウム核はフォノン交換によって分裂して2個の重陽子を作る。反応全体は保存的であり、非常に接近した内部でエネルギーは発生しない。これは図2に概要が示されている。図2では、1対の2レベル量子系が非共鳴振動器によって結合する。異なる部位での核反応間の結合を可能にするために、共通の高度に励起されたフォノンモードの交換が提案される。等しい系の間のこの種の励起移動は“ゼロ(null)”反応と呼ばれる。
我々はこの種の反応を熟考したが、最初はいくらか気まぐれな反応であると考えた(この反応は反応速度が支配的となるべきであるが、異なる部位の構成要素を有効に交換するだけで、それを確認することはできないと思われたからである)。この理由から我々は“ゼロ”反応と名付けた。その間に我々は、ヘリウム核の分裂から作られた2個の重陽子が最初の場所で一緒にトンネルを通り抜けるのを妨げる同じクーロン障壁(Coulomb barrier)が存在するので、トンネルを通過して離れるのは困難であると理解した。2個の重陽子がトンネルを通り抜けて離れることが難しければ、多分2個の重陽子は一緒にいることが実際に観察できよう。
その効果は、単純な一次元の類似モデル(analog model)を援用して見ることができる。複雑な多体モデルの単純化版モデルがしばしば開発されており、これによって、完全な理論に伴う困難さを回避して、関連する新たな物理学を見ることができ研究することができるので、物事を単純に理解することができる。この場合、局在的な分子状態を一次元のポテンシャルの谷(potential well)で置き換えることによって、便利な類似モデルが構成される。He分裂によるソース項(source term)は交換ポテンシャルとして現れる。
関連する一次元類似モデルは、
Figure 2006515669
と書くことができる。
式中、V(x)は、以下に示す一次元の等しい分子ポテンシャルである。我々は、f(x)を元の位置近くに位置するデルタ関数とした。ゼロ反応の強さは、定数Kでモデル化される。図3は、一次元類似モデルの図示である。分子のポテンシャルは、dとLの間のゼロポテンシャルおよびdより低い一定のポテンシャルの矩形の谷でモデル化される。摂動されない基底状態(分子の基底状態に類似している)は、Ψ(x)として示される。ヘリウムの分裂は、僅かに分離した2個の重陽子をもたらす。これは関数f(x)で記述される。この類似モデルの問題は容易に解決される。結合定数Kが小さいとき、解は谷の基底状態に非常に近い状態からなり、元の位置に近い局在化した状態が少量混入する。関連した直観は、重陽子が時間の一部を分子状態で費やし、時間の一部を局在化状態で費やすことである。我々は、局在化された成分が、ヘリウムの分裂から生成されてトンネルを通り抜けて離れる近距離の重陽子の寄与を受けることを連想する。
結合定数Kが大きいときは、結合強度に応じたエネルギーで新しい収縮状態が形成される(以下の図を参照)。これに対応する解釈は、近距離で作られた重陽子がトンネルを抜けて離れることを試みるが、トンネルを抜けて離れる前に2個の重陽子は最終的に互いに戻ってヘリウムを作る(励起をどこかに送って)ことである。図4は、矩形の谷に類似の正規化した結合強度kの関数としての正規化した固有値εを示す。結合強度が十分大きな値に高まると、結合の強度に応じたエネルギーで新しい状態が現れる。
この点について、J.Kasagiによって報告された実験の重要性が明らかになり始めた。Kasagiは、100keV程度(order)の重陽子エネルギーを有する強力な重陽子ビームをTiDターゲット上に入射する条件下で、反応を研究した。有力な信号は、真空核物理から通常予想されるp+tおよびn+He生成物であった。さらに、Kasagiは、ターゲットに蓄積されたHe核を撃つ重陽子から、もっと高エネルギーの反応生成物、この場合高エネルギーのプロトンとアルファ粒子とを観察した。また、スペクトルにおいても、d+d反応からのHeが他の重陽子を撃つ反応から生成する高エネルギーのアルファおよびプロトンであった。
これらの全ての反応は予測される。予測しなかったことは、非常に広く広がったエネルギーを有するプロトンおよびアルファのスペクトルにおける追加の信号であった。例えば、入射した重陽子がHe核を撃てば、高エネルギーのプロトンとアルファとが入射重陽子の運動量に付随してエネルギーの広がりを有することが予想される。この広がりは、検出器の広がり角も小さければ少ない。d+d衝突中に発生したより大きなエネルギーのHe核(この場合、Heは約0.8MeVのエネルギーで生成される)によって作られたプロトンとアルファとでは、プロトン・スペクトルの中心から4MeV程度上下する広がりが予想される。Kasagiの測定は、これらの反応でそれらの広がりを示した。しかし、はるかに大きな広がりをもつプロトンの信号は説明がさらに難しい。類似の異常信号がアルファ・チャンネルに見られ、エネルギーの広がりは二次反応で説明されるものよりはるかに広かった。「J.Kasagi、T.Ohtsuki、K.Ishu、およびM.Hiraga、Phys.Soc.Japan Vol.64、777頁(1995)」。
この結果を説明するために、Kasagiは、反応、
Figure 2006515669
を見ていたのではないかと推量した。
それらの三体反応は、非常に大きく広がったエネルギー、およびKasagiによって観察されたものと一致する端部エネルギーを有するプロトンおよびアルファ信号を与える。それらの反応の相空間を考慮することから予測されるスペクトルは、彼の観察と一致する。唯一の問題は、3個の重陽子がいかにして互いに反応し得るかである。この種の反応(3個の核が入力チャンネル中で反応する反応)の証拠は、研究室の実験において以前には見られなかった。
我々は当初、この実験を、ヘリウムの分裂で生じた重陽子がトンネルを通り抜けることに困難さのある上述の部位間の反応の見地から解釈した。したがって、我々は、Kasagiの実験が、論じている新たな理論的な図式を支持するために提供されたものと考えた。
ずっと後に、考察している条件下でのヘリウムの分裂が、分子状重水素のエネルギーに合致するエネルギーで局在化したp+tとn+He状態も生成でき、実際にその状態は、この点に関して当初推量した2個の重陽子状態よりもはるかにあり得ることが明らかになった。しかし、これは図式を根本的には変えない。Kasagiの実験は、ヘリウムは二次またはより高次の部位間反応過程の部分として分裂することができ、分裂した生成物は分子状重水素のエネルギーとほとんど共鳴するエネルギーを有し得るという概念の支持を提供するものと解釈される。Kasagiはこの実験を異なる実験装備で首尾よく再現した。これは少なくとも3つの他のグループによっても再現され、その1つはNRLにおいてである。「G.Hubler、private communication、2002」。
我々は、最近の会議の会報および報告で公表したように、これらの考え方を我々の努力の中ではるかに早く取り入れていた。我々は、1930年代から1980年代までの真空方式のd+d融合「J.R.Pruett、F.M.Beiduk and E.J.Konopinski、Phys.Rev.、Vol.77、628頁(1950)。H.J.Boersma、Nuclear Physics.、A135、609頁、(1969)」に用いられた共鳴群法「J.A.Wheeler、Phys.Rev.52 1107(1937)」を一般化することによって、モデルの初期の公式を進展させ、他の核を最初に格子中に含ませた。この一般化は、真空核物理の問題を修正することなくより大きな理論の部分集合として含む点で素晴らしい。より強力なR−Matrix法「A.M.Lane and D.Robson、Phys.Rev.、Vol.151、774頁(1966)。D.Robson and A.M.Lane、Phys.Rev.、Vol.161、982頁(1967)。A.M.Lane and D.Robson、Phys.Rev.、Vol.185、1403頁(1969)。R.J.Philpott and J.George、Nucl.Phys.、Vol.A233、164頁(1974)」に直接追随する類似の一般化があるが、今のところ、我々の研究にこれまたは他の可能な一般化を追求することはしなかった。
我々は理論に付随するやや基本的な問題の多くを解析し始めた。例えば、最も簡単な部位間の問題は、上述の2個の重陽子とヘリウムとの交換反応である。我々の最初の解析は、この問題が安定な2個の重陽子の局在化した状態を生成しないこと、および、相互作用に伴う交換エネルギーが魅力的であることを示唆した。結論は、多数の部位と交換反応とが共通の高度に励起したフォノンモード内で生じる条件下で、2個の重陽子の局在化状態を安定化できるであろうということであった。
続いて我々は、2部位の問題が、分子状重水素状態とほとんど共鳴することのできるエネルギーで、p+tとn+Heチャンネルの場合に安定な局在化状態を与えることができるであろうことを理解した。「P.L.Hagelstein、DARPA Report、2003」。この問題は、現在解析中であり、我々の全体の過程を基本的に理解する上で重要な意味をもっている。図5は、収縮状態のエネルギー分布の“弱い”結合のバージョンを示している。この場合、収縮状態の形成は、分子状D状態のエネルギーより僅かに低いエネルギーで起きる。20ユニット未満の角運動量を有する状態に結合が起きるならば、これらの低い角運動量の収縮状態に許された減衰過程として従来のdd融合反応が期待されよう。分子状態に近いエネルギーを有する収縮状態の蓄積は、ホスト格子核へのエネルギー移動をもたらしてChambersおよびCecilによって観察された種類の急速なイオン放出を起こさせることができよう。
我々は、これらの状態と高度に励起されたフォノンモードの間のエネルギー交換を研究するために、簡略化した多部位モデルを設定した。「P.L.Hagelstein、ICCF9 Conference Proceedings(刊行されていない)。2002 RLE Report(まだ刊行されていない)」。元の基本的な考え方は、上で論じた交換反応が、いずれの部位でも異なるであろう僅かなフォノン交換以外は共鳴に近いということである。したがって、単一交換反応は格子に存在するフォノンの数を変化できる。非常に多数のそれらの反応は、核とフォノンとの自由度を大きく混合する可能性を有する。我々の行った計算は、比較的少数の局在化した状態とヘリウム核が共通の高度に励起したフォノンモードで相互作用するならば、核とフォノンモードとの間に自由エネルギーに近い交換が可能になることを示唆する。我々は、フォノン・エネルギーに対する核エネルギーの比を随意に変化させることのできるパラメータとすることの可能な玩具モデルを研究した。核エネルギー量子に匹敵するために、それぞれ100、500、1000、2500のフォノンが必要であった場合のエネルギーの結合は、全く不変の混合された状態の分布を生じ、核エネルギーをフォノン・エネルギーに変換する場合には、核とフォノンとの結合した系がどちらかと言えば効率的であることを示唆した。
我々の研究から得られたモデルは、健全な物理学に、無論、現在核物理学界内で通常用いられている真空記述よりも当問題に関連する物理学に基づいているように見える。モデルの多部位のバージョンは、異なる現象に豊富な説明を与える。フォノンが高度に励起されないと異常効果はなく、非常に多数の否定的な実験と同じである。少ないフォノンが交換され、局在化された状態に小さな角運動量が存在するような、弱いフォノン励起では、Jonesが主張したようにモデルは低レベルの融合効果を予測する。
より高い角運動量の局在化状態がより高いフォノン励起で生じるとき、モデルは、Kasagiの実験で見られた種類の状態、および高速のアルファ放出を伴う減衰モード、並びに報告されたことに一致する他の効果を予測する。十分収縮された状態およびヘリウム核が単一フォノンモードと相互作用するとき、モデルは過剰の熱効果および付随するヘリウム生成をもたらすように見え、やはり関連する実験観察に一致する。モデルと異なる異常との間のこの密接な結びつきは、我々の作成した会議会報および報告中で論じられた。
継続的な努力によってモデルは継続して改善され、我々は、これらが将来有用な定量的な設計モデルになるものと思料する。
我々は、低レベルの融合効果と過剰熱効果が事実であることを立証する場合に解決する必要のあった、1989年に起きた3つの基本的な論点について上に論じた。現在、我々の開発した理論に照らして、また、関連する実験的な研究から明確な回答が可能である。
1.以下に論じるように、結合効果(coherence effects)によって分子状態で共鳴している収縮状態に到達可能であれば、トンネル効果の確率は向上するであろう。この理想化された図式は、トンネル効果およびGolden Ruleの反応物理学が存在することを示唆しているが、単一部位の場合にそのような共鳴を予測するのは妥当ではない。多部位モデルの現在のバージョンは、多数の部位の分子状態がヘリウム状態および収縮状態の両方と多数の部位で結合する図式を描く。得られる結合量子系の動力学は、クーロン障壁を通過するトンネル効果に基づく相互作用のマトリックス要素、局部の強い力のフォノン交換との相互作用、およびディッケ(Dicke)型の可干渉性(coherent)強化因子によって記述される。この種のモデルによる反応速度は、クーロン障壁を通る結合の相対的な弱さによって制限され、強化された可干渉性トンネル効果メカニズムの解釈を可能にする。関連するトンネル効果の確率の増加は非常に大きくでき、Golden Ruleを用いるトンネル効果から予測される大きさの50倍以上の増加が見られる。それらの増加が存在する証拠は、重水素化金属の異常が見られる多量の実験から得られる。収縮状態の存在を支持する直接的な証拠はKasagiの実験から得られる。局在化した状態およびトンネル効果の非常に大きな増加は、核反応中のフォノン交換を含む以下に詳細に論じる新しいモデルによって支持される。
2.全ての個々の単一部位過程に共通の高度に励起したフォノンモードでのフォノン交換が関わる、一般化される部位間反応(site-other-site reactions)を含んだ新しい反応経路が明らかになった。それらの過程が存在する直接的な証拠は高速アルファ放出を示す実験から得られる。それらの反応の全ての速度は、高い角運動量が係わるとき、従来のd+d真空融合反応(p+tおよびn+He分岐)よりも速くなり得る。理論から、これらのチャンネルを本質的に完全に抑制するには、約20ユニットの角運動量が必要である。この支持は、Kasagiの実験から得られ、d+d+d反応が3体(three-body)の最終状態生成物(n+p+α)を生成し、2体(two-body)の最終状態生成物(t+Heおよびd+He)を生成しない。すなわち、局在化した状態(localized state)が付随する求心性障壁によって大きな角運動量を有するならば、2体反応生成物は抑制され、3体の最終状態の場合には放射状運動量と角運動量は交換することができる。また、この支持は、Kasagiの実験中に局在化状態で滞留する比較的大きな割合の重陽子(約10−5)からも得られ、これは、従来のd+d反応経路によるこれらの状態の減衰が本質的に完全に抑制された場合にのみ当てはめることができよう。また、この支持は、フォノン交換が核の相互作用のマトリックス要素に含まれることを研究した理論モデルからも得られる。
3.我々の研究した多部位における核とフォノンとの自由度(degree of freedom)の混合は、新しい反応が核エネルギーと格子エネルギーとの交換に効率的であり得ることを示唆する。この概念の支持は、関連する物理学を記述するモデルの直接的な計算から得られる。この考察の支持は、SRIにおけるD.Gozziとその共同研究者(イタリア)、また、McKubreとその共同研究者による実験観察から得られ、実験中のHe発生に相関のあるエネルギー生成は、x線放出、γ線放出、放射能、およびニュートロンまたは荷電粒子の放出を顕著に示さない。また、この支持はK.Wolfの実験からも得られ、ニュートロン検出器によって多量のトリチウムを生成するセルを観察し、発生されたトリチウムに付随するニュートロンは見出されなかった。トリチウムの生成は重水素化金属中に起きたので、生成したトリトンが8keVよりも大きなエネルギーを発生したとすれば、容易に検出可能な量のd+t反応により該トリトンは金属格子中の重陽子と反応したであろう。
この研究から現れる基本的な図式は、したがって、重水素化金属の実験で主張された多くの異常効果が事実であり、核モデルの基本公式にフォノン交換を可能にする直接の因果関係があることである。当分野の実験者達が遭遇した困難さは、大部分の実験者が、任意の所与の実験においてどのような条件を作ろうとしているのか明確な考えを持っていないために、実験の重要な変数を制御できないことによるものと思われる。科学界からの異常効果に対する拒否は、広範囲の核実験を説明する過去80年間にわたる真空核物理学の相対的な成功と、新しく馴染みのない図式に賛成して成功を収めたそれら見解を“見放す”ことに対する科学界の当然予測できる反発との結果であると思われる。
我々の研究に関係する進行中のプロジェクトには顕著な定量的設計能力を開発することが残っているが、明らかに重要なことは、最終的に実際的なデバイスを構成するのは何かという疑問である。ここで、我々はそれについて触れる状況にある。
A.モデルによれば、エネルギーは、格子内の重陽子、局在化状態、ヘリウムが関与する非常に多くの部位間交換反応の結果から生成することができる。したがって、あまり飛躍しないで、反応のd+d分岐を支持するためには、重水素化金属中に重陽子が必要であることを要件として述べることができる。反応がp+d分岐の場合、ホスト格子中に水素化物と重水素化物(金属または他の水素を充填した材料とすることができる)の混合物が必要である。
B.重水素化金属中の異なる部位での重陽子のトンネル効果の相対速度を計算すると、重陽子はそれらが分子状態でない限り反応には全く関与しないようであるという結論に最終的に導かれる。以前成功を収めた重水素化金属を含む実験が行われた条件を振り返って推定すると、全ての場合に分子状態の寄与を最大化しているのと同じであることが示唆される。例えば、SRIでの過剰熱の電気分解実験において非常に高度の充填を必要としたことは、追加の重陽子の二重占有の確率が高まるように全ての利用可能な八面体部位を充填して、重水素化金属内の分子状重水素の寄与を最大にすることと同じであると解釈される。
C.分子状重水素の形成は空孔の存在によって促進される。我々は、多くの成功を収めた実験が、空孔の濃度を最大にした欠陥の多い重水素化金属中で行われたことに注目した。我々は、PdDおよびNiDの場合、高度に充填された重水素化金属中で、単一ホスト格子金属の空孔が熱力学的に好ましくなるように安定化されることに注目する。したがって、空孔は、表面と、長期間充填された状態を保つ重水素化金属内部の大きな欠陥とから金属塊の中へ広がる。これに関する時定数は、初期のSRI実験において過剰熱効果が開始される前に必要と考えられた時定数と同じ程度である。
D.上述の効果のいずれかが起き得るためには、フォノン・モデルの高い励起が必要であることをモデルは示唆する。これは理論の側で絶対必要であるが、理論上フォノンモードが励起される必要性は明らかではなく、これについて概要を論じたい。PdDなどの重水素化金属は、周波数ゼロ近くから数THzまでの音響モード、およびより高い周波数(PdD中で8〜16THz)の光学的フォノンモードを有する。d+d反応の場合、局在化された2個の核状態を安定化するのに必要な角運動量を発生させるために、20フォノンまたはそれ以上の程度(order)の交換(およびp+d反応分岐では10フォノン程度)が可能なことが必要と、理論は示唆する。この基本的な要求は、相互作用マトリックス要素の相対的な大きさの項で技術的に表現できるが、これは言葉でも適切に説明することができる。我々の見解におけるフォノンモードは、モード周波数または局部的な幾何形状(光学的フォノンモードで10−15cm程に小さく、低い音響モードでは1cm程に大きくなり得る)に伴うフォノンの可干渉性長さによって決定される容積を越え、ある数、例えばNのフォノン総計を有するように励起することができる。要件は、反応核における局部動作の局部的振動の相対距離全体に概略Nサイクルの振動があるという条件下で、収縮状態のサイズ規模(10fm程度)を越えて、波動関数で少なくとも10サイクル程度の振動がなければならないことである。
したがって、高度に励起した光学的フォノンモードの場合、10個の原子を有する容積で、10原子当たり約1フォノンであり、付随する相対的動きは0.1Å程度であり、1fmで10サイクル程度になろう。音響フォノンの場合、大部分の振動エネルギーはホスト金属原子にあるので、重水素またはヘリウムの相対的な局部の動きは小さい。この場合、高度に励起した音響モードに伴う相対変位(総変位の大きさの1〜2倍内にある)の総計を数フェルミよりも大きく構成することは困難である。実験からは、我々は状況の部分的な図式しか持っていない。理論から生じる要求と比較して、どのようなフォノンモードが励起され、またはどれほど多く励起されるかの直接的な情報を、実験は今まで与えなかった。
間接的な証拠はいくつかの例で可能である。我々は、数年前、光学的フォノン(また非常に高周波のTHz音響フォノン)は、重水素の化学ポテンシャルの不連続性により重水素が流動することによって作られるであろう、また、このフォノン性励起の存在は異常の出現に相関があるであろうと提案した。この実験上の支持は、当初充填における振動を示す過剰熱の実験から得られ、過剰のエネルギー発生量はカソード表面を通る重水素の流量の大きさに平均的に比例することが見出された。二重層を用いるClaytorによる早期の実験も効果的に見えた。PreparataとFleischmannは、重水素をカソードに電気化学的に充填して軸状に流動させ、これらが過剰の熱と重水素に相関のある他の異常を発生するように見える実験を開発した。さらに最近、Li「X.A.Li、presented at ICCF9、Beijing、May 2002(未刊行)」、Iwamura「Y.Iwamura、M.Sakano、T.Itoh、Jpn.J.Appl.Phys.、41、4642頁(2002)」、およびMileyの報告した実験は、重水素化金属に二重層または多重層を実施することによって作られた化学ポテンシャルの不連続性により重水素が流動するとき、異常を発生する。
Letts「D.Letts、“Laser Initiated Heat Release from Electrolytic Systems”、March APS Meeting paper Z33.0005」、およびCravens「個人的な通信」による最近の実験において、カソードが弱いレーザで赤く照明されると、過剰のエネルギーが劇的に増加する。我々は、これが光学フォノンモードに強く結合する電子プラズモン・モードが共鳴を止めて励起することによるものと推量した。それらの混成モードの励起はモデルの要件を満足するであろう。重水素化材料中の破壊融合(fracto−fusion)効果の報告(我々はこの場合ScaramuzziとMenloveの早期の実験を意図している)は、より低いエネルギーの音響モードも、論じている効果を刺激するのに有効であることを示唆する。電気化学的実験におけるフォノン発生に伴うエネルギー密度は、一般にワット/cmの大きさであると考えられる。
E.理論は、核とフォノンの自由度のエネルギーが結合するためには収縮状態が存在することを要求する。我々の初期の提案は、局在化状態が数フェルミの距離に離れた2個の重陽子から作られた収縮状態で構成されることであった。最近、我々はそれらの状態も、t+pおよびn+Heの対で構成することができ、これらの状態が核状態のより低いエネルギーによる利点を有するであろうことを理解した。我々の初期の提案も、これらの収縮状態が分子状態との強い結合を有するためには分子状D状態とほぼ共鳴していることに依存した。さらに最近、我々はこれが、必ずしも事実ではないと理解している。最近のモデルは、収縮状態が単にトンネル効果を促進することと、できるだけ多く(しかし、同じ容積内のDよりも少数)の収縮状態が存在することが望ましいこととを示唆している。これは、分子状Dが形成される部位とほぼ等しい部位における金属中のHe濃度に対する要件とも解釈される。この要件は、ヘリウムはより大きな空孔に付随するより深いトラップに滞留する傾向にあるので重要であり、我々が意図するところである。この考察の支持は、実験の前にPdカソードにHeを注入するSRIにおける早期の過剰熱実験から得られ、性能の向上が観察された。現在のモデルにおいて、収縮状態は最初にフォノン性励起の結果として形成される。
我々は、Kasagiの実験において非常に高い収縮状態の濃度が報告され、10−6〜10−5程度(order)の重陽子が収縮状態にあると報告されていることに注目する。我々は、これは部分的に、分子状態から収縮状態のより遅い蓄積の前の、初期のヘリウムからの急速な収縮状態の形成によるものであると解釈する。したがって、ヘリウムに対する要件は絶対であり(d+d反応の場合はHe、p+d反応の場合はHe)、一般に関連する部位が多いほど好ましい。より多くのヘリウム原子が分子状D状態(電気化学実験では正味の凍結効果が観察される)で存在する、1011個以上の原子を含む高度に励起したフォノンモードの条件下で、反応を逆方向に行うことは原理的に可能であることを理論は示すであろう。一般の金属密度の10−5程度のヘリウム密度は、反応を正方向に進めるのに良い濃度と思われる。
過剰熱の現在のモデルは、共通のフォノン結合ドメイン内の分子状態、収縮状態、ヘリウムの存在に伴う可干渉性増加によって、比較的低い基本レベルの過剰熱生成を顕著に増加することができることを示唆する。この支持は、過剰熱生成において頻繁に見られるバースト効果から得られる。そこでは、実験に明らかな変更を加えないで、最初に長い間過剰熱が観察されず、次いで突然過剰熱のパルスが始まり、最終的に突然停止する。これはディッケの超放出を調べる光および赤外実験に見られる光バーストと同じであり、我々はここではそのように解釈する。それらの効果は、関連する部位に初期にヘリウムが多量に存在することによって最初に最大化される。(我々のモデルの熱生成は、論じているエネルギー生成メカニズムの結果として、関連する部位にヘリウム濃度の増加をもたらす。)
F.我々の研究の大部分は、物理メカニズムを解明するための関連の実験観察が重水素化金属で行われたので、Heを生み出すd+d反応に焦点を合わせた。しかし、基本的な原理は全て本質的にp+d系について適用する。プロトンと重陽子との間のトンネル効果は、より小さく収縮した質量のため大きく改善される。収縮状態の安定性は、減衰チャンネルを介して強い力がないため改善される。最近バージョンのモデルにおける唯一の必要事項は、(格子からの最大の角運動量の投入を最大にするため)自由ニュートロンが関与する収縮状態チャンネルについてであり、それらのチャンネルはp+d系では利用可能である。したがって、p+d反応に基づくエネルギー生成系を実現するためには、プロトンと重陽子とが格子中にほぼ同じ濃度である重水素化金属/水素化金属の混合物が求められる(これは、多くの金属が1とは非常に異なる分離係数を有するので重要である。Pd中では、このため重水約90%、軽水約10%の電解質が必要となる)。最初は、格子中にHeに代わってHeを含むことが必要である。金属中の分子状態の形成もやはり必要である。上述のフォノン励起が必要であるが、収縮状態の安定性が改善されたことによって、角運動量の移動は少なくてよく、したがってフォノン性励起は小さくてもよい。このモデルの態様は、軽水系中の過剰熱の観察を報告する多くの実験で支持され、要求される電流密度(これはフォノンの励起に比例すると推量される)は類似の重水実験よりも大きく低減される。p+d反応の存在を支持する証拠はSwartzの観察から得られ、少量の重水素を軽水セルに加えることで過剰熱の出力増加が見られ、50−50混合物での最大の過剰熱生成を示すモデルと一致する。
多くの実験が、関与する物理メカニズムについて我々の考え方を支持する。我々は、1つ類または他の種類の異常が主張される、極めて多くの実験を振り返って見直し、本質的に全ての場合において、我々は上で概説した物理的要件がどのような役割を果たすかを明確にすることが可能である。この点について非常に興味あるのは、1990年代初頭のK.WolfおよびSRIグループの緊密に連携した電気化学実験である。2つのグループがEPRI会議で会ったとき、彼らは、彼らの異なる実験のために非常に類似した電気化学プロトコルを展開していたことに驚いた。この場合、K.Wolfはニュートロンを作るためにPdカソードを重水素中で電気分解し、SRIグループは過剰熱を作るためにPdカソードを重水中で電気分解した。興味深いのは、異なる効果が電流密度に依存することである。Wolfは、ニュートロンを見るために全体的にmA/cm近傍の電流密度を必要とし、より高い電流密度で系を駆動したときは効果を得られなかった。SRIグループは、低電流密度で過剰熱効果を得なかったが、過剰熱効果を見るためにより高い電流密度(一般に100mA/cm程度)で系を駆動する必要があった。
我々の説明したモデルの見方からすると、投入電力のいくらかの割合が上述のようにしてフォノンモードを励起する方へ向かうと仮定するのが妥当であるならば、Wolfの実験では、フォノン性励起は比較的弱く、対応する局在化状態は比較的不安定であって、低レベルでdd融合生成物を生成する。SRI実験では、より高い電流密度で形成されたフォノン性励起はより大きいと仮定するのが妥当であり、はるかに多くのフォノン交換と、付随するはるかに大きな角運動量が局在化状態で可能になり、局在化状態ははるかに安定化される。これはモデルにおいて、系がエネルギーを格子と効率的に交換するために必要である。我々は、この項で上に考えた実験と一致する、電流を低レベルと高レベルとの間で循環させて、低いレベルの電流に伴って低レベルのニュートロン放出が観察され、過剰熱効果は高い電流レベルに伴うという、Takahashi「ICCF9で発表、未刊行」の実験報告に注目する。
我々は、重水素化金属中の異常および特に過剰熱のための整理をするために、理論上本質的なこと、および多くの実験で支持されたことを一般論として概説した。以前の実験の研究の中で妥当な再現性をもって様々な異常が現れたが、最新の技術は、まだ商品化するために制御されまたは適していると考えられる系を作成していない。物理メカニズムの基本的な理解を探求する中で、我々は試行錯誤に基づくものではなく設計に基づいて動作する新しい系に向かって進んでいる。
基本的な理論から導かれる要件に加えて、さらに他の考え方から導かれる要件がある。ここで、これらのいくつかを概観するのは価値がある。
a)例えば、過剰エネルギーを電気エネルギーに変換したければ、運転温度を上昇させたいであろう。これには水性電気化学がもはや魅力的な手法ではなくなるので、設計が影響を受ける。
b)一般に電気化学はさほど効率的ではないので、我々は電気化学を含まない設計にも興味がある。
c)励起されたフォノンモードの形成は多くの方法で行うことができ、これらの異なる方法から得られる設計は定性的に異なる技術になる。
d)例えば、THzフォノンの励起を望むならば、THzの放射線源で重水素化金属の表面を刺激することによって、または非線形の表面相互作用の存在と共に赤外または光学レーザで叩くことによって、励起するであろう。直接の表面刺激は、化学ポテンシャルの不連続性により水素、重水素、または他の元素を流動させることによって構成することができる。半導体デバイスは、電気的な刺激の下で非常に高い周波数の振動を発生する能力がある。
e)音響的な刺激は、重水素化金属の表面伝導率と相互作用するマイクロウェーブおよびRF源の使用によって誘起することができる。化学ポテンシャルを横切って原子を流動させることが、高度に非線形なので重水素化金属中で低下するより高い周波数の振動を刺激する。電気的な音響波の発生は良く知られており、機械的に接触させると重水素化金属の駆動に使用することができる。
f)過剰熱生成の大部分の実験はPdを含んでいたが、Pdは高価であることを我々は認識しており、他の材料の使用に関心がある。重水の電気化学実験における過剰熱の生成は、(Storms)「Storms,E.、Excess Power Production from Platinum Cathodes Using the Pons−Fleischmann Effect.in 8th International Conference on Cold Fusion、2000、Lerici(La Spezia)、Italy:Italian Physical Society、Bologna、Italy」がPtDについて、(Dash)「Warner,J. and J.Dash、Heat Produced During the Electrolysis of D20 with Titanium Cathodes、in 8th International Conference on Cold Fusion、2000、Lerici(La Spezia)、Italy:Italian Physical Society、Bologna、Italy。また、Warner,J.、J.Dash、and S.Frantz、Electrolysis of D20 With Titanium Cathodes:Enhancement of Excess Heat and Further Evidence of Possible Transmutation、in The Ninth International Conference on Cold Fusion、2002、Beijing、China:Tsinghua University(未刊)も参照されたい」がTiDについて、および(Swarts)がNiDについて報告した。高い温度での他の重水素化金属中の過剰熱効果が発表された(Romodanov)「Romodanov,V.A.、N.I.Khokhlov、and A.K.Pokrovsky、Registration of Superfluous Heat at Sorbtion−Desorbtion of Hydrogen in Metals、in 8th International Conference on Cold Fusion、2000、Lerici(La Spezia)、Italy:Italian Physical Society、Bologna、Italy」が、現在我々は、これらの発表に信頼性があるかどうか確信がない。理論は、分子状態の重陽子対の数が互いに異なることを除いて、原理的には異なる重水素化金属を特に区別しない。
g)理論的なモデルは、非常に多数のフォノン(1010よりもはるかに多い)という制限内で、核の自由度とフォノンの自由度との間の結合は対称的であり、この場合、加熱および冷却効果は互いに競合することを示す。粒子数の流量は、相互作用の総計が低下しない限り、最初にフォノン数を低減することにより量子流量の計算で導かれる。実際には、この場合にエネルギー生成の反応速度はより高いので、このことは、より小さな幾何形状のドメインまたは結合ドメインが有利であることを意味している。光学フォノンモードまたはTHzレベルの音響フォノンモードの場合、1010またはそれ未満の原子の範囲でなければならないが、あまりにも存在する原子が少ないとある点で反応は進行することができない。これはまだモデルによって解明されていないが、約10個未満の原子を含む粒子はエネルギー変換過程を完了できないことが予測できよう。より小さな粒子が有利である見解への支持は、SzpakおよびArataとZhangの実験結果から得られる。「Arata,Y、and Y.C.Zhang、A new energy generated in DS−cathode with ‘Pd−black’、Koon Gakkaishi、1994、20(4):148頁(日本語)。Arata,Y、and Y.C.Zhang、Helium(4He,3He) within deuterated Pd−black、Proc.Jpn.Acad.、Ser.B、1997、73:1頁、Arata,Y. and C.Zhang、Presence of helium(4/2He,3/2He) confirmed in deuterated Pd−black by the “vi−effect” in a “closed QMS” environment、Proc.Jpn.Acad.、Ser.B、1997、Vol.73、62頁」。
h)モデル中で発生したエネルギーは、最初に高度に励起したフォノンモードへ移され、部位間反応の間にフォノンを交換する。これは、非線形の刺激放出効果の非常に一般化されたバージョンであると考えられる。したがって、我々は論じているエネルギー発生メカニズムによって駆動されたフォノンレーザの可能性に注目する。一般的に光学フォノンモードおよびTHzモードにおけるエネルギーの減衰が非常に速いとすれば、フォノンレーザ効果を支えるために置換されるエネルギーの割合は非常に大きく、報告された実験と釣り合わないように見える。我々は、過去に過程を開始するのに要求された刺激が必要でなくなるので、フォノンレーザ・モードで動作する系は非常に魅力的であることに注目する。高周波数のフォノンの寿命は短いため、フォノンレーザの手法は約1GHz以下のフォノンモードを使用することが必要であろう。
i)動作している重水素化金属をシステムとして見ると、重水素は燃料であり、ヘリウムは灰である。したがって、長期運転では、重水素は連続して置換しなければならず、ヘリウムは取り除かなければならない。両方とも原理的に明白である。貯蔵物との重水素交換は、ガス状または重水素化金属のいずれも明らかに候補となる。ヘリウムの除去は、ヘリウムの金属への溶解性が低いので、ヘリウムを関連する表面に導いて脱着させるための、随時の加熱サイクルによって行うことができる。ヘリウムは空隙に蓄積することができ、長期的には構造的な強度の低下を招く。
j)我々が電磁気的な照射を表面刺激に用いる計画を採用する場合、照射の吸収は低いことを予測する。したがって、我々はより効率的に吸収するために照射の多重反射が可能な計画を用いたい。長波長の照射の場合には共鳴空洞を使用したい。
k)ある場合には、局部の過剰なエネルギー生成は重水素化金属を溶かす程に十分大きかった。これは長期的なエネルギー生成を意図する系には有害であると考えられる。本特許出願の中で概説する条件下で、電磁気照射または他の手法による刺激は、そのような高レベルのエネルギー発生をもたらすことが予測される。溶融を防止する魅力的な手法は、この系にしては大きなフォノン励起を作るのに有利な比較的高い局部強度(例えば吸収されたエネルギーW/cmの100分の1またはそれ以上)を用いるが、刺激を比較的短時間の維持(すなわちデューティ・サイクルを小さくするように)にすることである。パルス系での経験によれば、Claytorの実験中に定性的な変化が現れた。そこでは、10ミリ秒程度の特徴的な時間尺度が示される。Bossと共同研究者の光学的および音響的な測定は、過剰熱生成効果という短い局在化された事象に付随すると考えられるより短い光学的および音響的な現象が存在することを示している。「J.Dea、P.A.Mosier−Boss、S.Szpak、“Thermal and Pressure Gradients in the Polarized Pd/D System”、presented at the March 2002 APS meeting−Paper W21.010」
l)金属中の分子状重水素の濃度を最大にするために、我々は充填を最大にし、ホスト格子金属の単一空孔濃度を最大にしたい。これは多くの方法で行うことができる。電子ビーム照射はFrenkel欠陥を作るのに非常に効率的であり、その欠陥は、金属が十分水素または重水素で充填されれば、安定化することができる。最大空孔濃度は金属中に0.1〜0.2%程度であり、室温では内部で自発的なアニーリングにより限定される。水素または重水素の充填はこれらの空孔を安定化し、25%までの空孔濃度がNiHおよびPdHについて文献に報告された。イオン・ビーム照射は多重空孔を作り出し、電子ビーム照射よりも効果が少ないと現在考えられているが、どちらの場合も過剰エネルギー生成に関する刊行されたデータは入手できない。格子定数の一致しない基板上への金属の堆積は欠陥格子を発生し、これは金属中の分子状重水素濃度の最大化を促進するのに有効であろう。
m)原子状重水素をガスで形成するのを誘起するために熱い(1500℃以上程度)タングステン(または様々な他の金属)ワイヤを使用することは、重水素化金属を効率的に充填するある条件下で効果的である。論じているデバイス技術と結びつけてこれを使用することは、高い温度で重水素化金属中の重水素濃度を維持するのに役立つ。
n)我々は、システムの起動、停止、及び操作発電レベルを設定できるという意味で、制御される発電システムの開発に興味がある。我々は、任意の実際のデバイスにおいて、操作発電レベルを制御するためのフィードバック・システムを実施するのが有用であることに注目する。反応速度は、部分的にフォノン励起の量によって、また、部分的に分子状重水素の濃度によって決定され、両方とも制御下に置かれる。例えば、重水素化金属の温度を室温から200℃の範囲に低下させることは、金属中の分子状重水素の濃度を低下させる効果があり、反応速度を低下させるはずである。この支持は、熱生成速度が温度の上昇とともに最大になる多くの電気化学実験から得られる。重水素ガスと平衡している重水素化金属において、ガスの圧力を低くして重水素化金属中の重水素の濃度を低下させることができる。原子状重水素を充填するために熱ワイヤを使用するならば、ワイヤの温度を下げることができて原子状重水素の生成が少なくなり、したがって重水素化金属の充填が少なくなる。
o)論じている型のエネルギー生成デバイスの規模は、広範囲の大きさとすることができる。例えば、小さなナノ技術の変換機および電動機と結びつけて使用される、フォノンレーザ・モードで動作する10個の原子程に小さい単一熱生成デバイスを想像することができる。別法として、熱を作って熱を電気に変換してラップトップ・コンピュータの用途に使用する、フラッシュ光用のバッテリーサイズのデバイスを想い浮かべることができる。大規模のエネルギー生成は、効率的で比較的大きなエネルギーデバイスとすることのできるTHzレベルの自由電子レーザを利用して、大規模エネルギー生成用に適切に準備された重水素金属と結びついてエネルギーを発生するであろう。
p)論じている技術のエネルギーレベルは、多くの異なるグループによって発表された実験結果に基づけば、ゼロから数キロワット/cmレベルまでの範囲である。
q)それ自体の熱生成は多くの用途で興味深いが、熱から電気および熱から機械的エネルギーも多くの用途で有用である。したがって、室温でヒートシンクに接続された熱電(または他の)変換器を使用して熱を電気に変換する、上で論じたような高い温度で動作するシステムの使用を考えることができる。同様に、我々は、上で概説したような重水素化金属中の重水素からヘリウムへの反応のサイクルの一部で直接加熱を使用するエンジンを思い浮かべることができる。
r)フォトン性励起と重水素化金属格子との結合は、フォトンの運動量が金属塊中の大部分のフォノンモードの運動量に比べて非常に小さい点で興味深い。PdD中の低運動量のフォノンは、音響フォノンの場合に非常に低い周波数(KHz〜GHz)で生じ、フォノン帯域端の5.5THz(音響フォノン)および8THz(光学フォノン)でも生じる。他の全ての場合には、関心のある電磁気照射とフォノンモードとの効率的な結合は、運動量の相違を作り上げるある種のメカニズムがなければ困難であろう。これを容易に行う方法としては、顕微鏡的尺度で非常に不規則な重水素化金属の表面の状態で実施すること、関心のあるフォノン波長の尺度で高度に不規則である格子の状態で実施すること、表面対容積比を最大化する表面の状態で実施することが含まれる。
s)我々は、ヘリウムを灰として生成する熱生成反応以外の現象が存在することを、実験と理論とが示していることに注目する。熱生成の用途では、他の生成物を生成する運転領域は避けたい。したがって、望ましい運転領域の外へ出ようとするとき、運転条件を変更しまたは運転を停止するために他の反応経路の監視を設けることは有益である。特に、現在の理論は、熱とヘリウムとの生成は大きなフォノン性励起の領域で起き、他の生成物はフォノン性励起が小さい時に起きることを示している。したがって、低レベルの融合生成物または他の生成物が観察されるならば、フォノン性励起のレベルを増加するようにシステムを調整する必要がある。
t)我々は議論を通して重水素化金属(metal deuterides)という熟語を用いたが、我々は次のように理解する。このモデルは、論じている要件と一致するいかなる条件下、すなわち、高濃度の分子状態のDまたはHD(ppmレベルを超えることが望ましい)、高濃度のHeまたはHe(分子状態の濃度の程度またはそれ未満)、高度のフォノン性励起(ヘリウム核が局部的に周囲の格子に対して約100fmまたはそれ以上のレベルで動くような)、少なくとも状態の分布が広がるのに十分な長い時間(ある実験では十ミリ秒程度であるが)、および望ましくはディッケの超放射バーストが展開するのに十分な長さの期間(今のところ大部分の実験で数分から数日程度であり、設計の改善で短縮可能な時間)の条件下で、本明細書で述べた種類の熱生成反応が可能であることを示している。我々は、これらの条件を満足する金属ではない水素含有材料が存在すること、また、それらの材料における異常の観察の実験報告が存在することを認識する。これらは、例えば重水素化セラミックのプロトン導体を含む。重水素を充填した溶融金属には可能性があり、このモデルが、分子状重水素とヘリウムを維持できてフォノン性刺激が加えられる限り、使用できるはずである。Heと分子状D(またはHeと分子状HD)で過飽和されてフォノンで刺激される水または他の液体も、許容できる材料の範囲に入るように思われる。現在のところ、それらの材料の反応について多くは知られていない。
以下に続く節で、我々は本特許出願の他の節で説明した本発明の背景にある基本的な理論について論じる。我々は、本出願に到った研究の過程の中で、どのように格子中の核反応が格子と相互作用するかについて、いくつかの非常に基本的な態様の基本的な理解が進展したことを認識する。以下に、我々が現在理解するところの基本的な原理、モデル、結果及び結論を、技術的な議論の中で簡単に述べる。
我々は、過去14年間にわたって、重水素化金属の異常の問題に関する多数の手法を研究した。これらの手法の大部分は、問題が難しく、問題の理論への手引きを提供する助けになる直接関連性のある文献が少しもなかったので、期待したほど成果がなかった。
核と格子間のエネルギー交換の問題が重要であることは早くから理解されていたが、比較的最近までは、どのようにして実験に関連するエネルギー交換が起きるのか実際のところ理解されなかった。現実性のある理論的な手法が明らかになったのは、僅か5年ほど過去のことである。この基本的な手法から得られた新しいモデルの研究から、我々はこれらのモデルが重水素化金属の異常に関する実験を予測する能力を有するという結論に達した。
我々が当初から課してきた要件は、最終的に到達する根本的な理論的公式を、量子力学の法則と既存の核理論とに一致しなければならないものとすることである。これは可能性のある手法を大きく制約し、もっと洞察力があったならばもっとはるかに早期に新しい公式を予見できたのかもしれない。最終的に、要求された基本的な公式は、核反応の真空図式の仮説を一般化すると共に、格子の中で起きる核反応が、論じている量子系の本質的な部分として格子を含むというやむを得ない図式に置き換えることである。
一旦新しい図式を採用したなら、我々は、極めて標準的な理論的技術と概念とを用いて全ての後続の結論と予測とを引き出すことが必要である。今のところ新しい公式での我々の経験は、新しいモデルの予測が、真空物理学の結果と異なり、重水素化金属の異常について多年にわたって報告された実験結果と良く一致するように見えるので、この手法が実に有益であることを示している。
新しいモデルの前提に合意すれば、どのように進めるかは明らかである。ここで我々は、初めに、真空の記述で十分であるという仮定の下で歴史的に公式化された核反応の記述を、最初から格子を含ませるところに広げたい。研究を開始したいと思う異なる公式がいくつか存在するが、dd融合問題に関連する文献の中で最も大きな関心を集めた公式を一般化することが最も有用であると思われる。この場合、文献の精査によって、大部分の文献がWheeler「J.A.Wheeler、Phys.Rev.52 1107(1937)」の共鳴群法(Resonating Group Method)を用いた(明確または暗黙のうちに)ことが判る。以下にこの方法を一般化して格子を含ませることを短く考察する。
全ての場合において、我々は、時間に依存しないSchroedingerの式、
Figure 2006515669
の近似解を求める。式中、Eは系全体のエネルギーの固有値であり、
Figure 2006515669
は論じている量子系の関連記述を含むハミルトニアンであり、Ψは付随する波動関数である。
問題の真空方式に適用された共鳴群法(Resonating Group Method)は、一般式、
Figure 2006515669
の近似的波動関数Ψを予測(ここで、下付きのtは振動法を用いる時に一般的な“試行(trial)”波動関数である)し、式中、jの総計は入り口と出口両方の異なる反応チャンネルの全てを含む。各チャンネルにおいて、存在する核はチャンネルjに付随する一定の核波動関数Φで表される。所与のチャンネルj内の核の質量中心位置間の分離は、チャンネル分離因子(facters)Fで表される。
この手法において核の波動関数を固定したことによって、最適化し得る変分波動関数Ψで利用可能な唯一の自由度は、チャンネル分離因子Fjの選択である。
これらのチャンネル分離因子は、
Figure 2006515669
によって与えられる残差Rを最小にすることによって最適化することができる。一定の核波動関数Φでは、残差の最適化によって共鳴群法の特徴である結合チャンネル式が導かれる。
Figure 2006515669
これと同じ結果がWheeler(1937)で与えられる。この形の結合チャンネル式は、1930年代から1990年代の大部分の著者によるdd融合に関して明確にまたは暗黙のうちに用いられている。関連する文献中の例には、J.R.Pruett、F.M.Beiduk and E.J.Konopinski、Phys.Rev.、Vol.77、628頁(1950)、およびH.J.Boersma、Nucl.Phys.、Vol.A135、609頁(1969)が含まれる。
問題の真空公式に関する共鳴群法の主な弱点は、波動関数が最適化できないことである。例えば、これらの波動関数はそれらが近接するとき分極するであろうことを予測するが、この公式の中では説明できない。さらに、重なり合いが大きい条件下で、それらが強く相互作用するとき核波動関数の修正が可能である。これらの効果は、R−マトリックス法「A.M.Lane and D.Robson、Phys.Rev.、Vol.151、774頁(1966)、D.Robson and A.M.Lane、Phys.Rev.、Vol.161、982頁(1967)、A.M.Lane and D.Robson、Phys.Rev.、Vol.185、1403頁(1969)、R.J.Philpott and J.George、Nucl.Phys.、Vol.A233、164頁(1974)」、または時間に依存しないHartree−Fock法など、共鳴群法よりも強い公式の中で説明することができる。R−マトリックス法を一般化して格子効果を含ませることは可能であるが、我々はまだ、我々の研究のこの段階でそのような計画を追及していない。その理由は、全ての異なる公式が技術的に極めて複雑であり、我々は、より複雑な公式に進む前に、関心のある物理学を含むできる限り最も単純な公式を用いて研究したいからである。
共鳴群法を一般化して格子効果を含むためには、チャンネル分離因子Fを一般化して格子中の他の核を含むことが必要である。例えば、dd融合反応の場合、FはF(R−R)(RおよびRは2個の重陽子に付随する質量座標中心である)の形の関数で、2個の重陽子の相対運動の記述を含むであろう。最初のチャンネルの大きな分離では、この関数は、
Figure 2006515669
という形となる。
反応が固体中で起きるとき反応している核の近傍には他の粒子があり、我々はそれらを一般化したチャンネル分離因子の部分として含みたい。これは、一般化によって容易に達成することができ、数学的に、
Figure 2006515669
で表すことができよう。
新しい格子チャンネル分離因子Ψjは、ここでは真空公式に存在した核の分離因子、並びに関連し得る反応核の近傍にある全ての核と電子の分離因子を含む。我々が今までに探求した研究において、電子の寄与はBorn−Oppenheimer近似内の核座標間の有効ポテンシャルを通じて含まれる。しかし全般的には、ここでの一般化のために、我々は、以下のどの分析も最も重要なことへの注目を制限するとの仮定の下、周辺の固体中に関連するどんなものについての物理学をも表現することを意図している。
この論議は即座に共鳴群法の一般化へ導き、これは上で略述したものと非常に類似した式によって数学的に記述することができる。試行的な波動関数を次式の総和とする。
Figure 2006515669
ここで、試行的な波動関数Ψは、共鳴群法で用いたのと同じ意味において、論じている特定の核反応の異なる反応チャンネルに係わる一定の核波動関数Φで構成される。ここで新しい格子チャンネル分離因子Ψは、隣り合う核(および特定のモデルで必要であれば電子)に関連する質量座標中心の全てを記述する点で、同じ立場に立つ反応核の核分離を含む。
前の刊行物中における共鳴群法の一般化についての我々の議論では、我々は新しい方法を格子共鳴群法(Lattice Resonating Group Method)と呼んだ。我々は、R−マトリックス法が同じくそのように一般化できることを前に述べた。
我々がここで説明した新しい公式は、多くの理由から興味深い。一般的な興味は、それが核反応の古い真空公式を核反応のより一般的な理論の部分集合として含むことである。新しい手法は、以前に得られ核物理界から容認された大量の実験的および理論的な容認結果と矛盾しない。この一般化の結果である主な新しい効果は、核反応に付随するフォノン交換の予測である。例えば、格子中で重陽子と反応する重水素化金属のターゲット上への高速重陽子の入射は、核反応の結果として有限確率のフォノン交換を有する。これは真空の反応記述においては考慮されておらず、この欠如により我々は真空記述で直ちに誤りを犯すであろう。
無論、最初の反応過程の全てにおいて、少数のフォノンの吸収または放出は大部分の条件下で注目されそうにもない。付随するエネルギー交換は数十ミリボルト程度であり、反応エネルギーはメガボルト程度である。反応速度または最終状態の核動力学的エネルギーへの対応する影響は、予測されるように極めて小さい。これはそれらの反応の真空記述の正当性を強く支持する。
しかし、真空公式では完全に見過ごされていた新しい理論によって予測された新しい効果があり、我々にとって以下の意味で興味深い。フォノン交換は微視的な角運動量に寄与する可能性を有し、微視的選択則の修正をもたらす。共通の高度に励起したフォノンモードにある異なる部位における反応のフォノン交換は、それらの反応間に量子結合をもたらし、これは新しい種類の二次およびより高次の反応過程の可能性を開く。これらの新しい過程は、重水素化金属の異常の実験的な研究に反映されると思われ、我々にとって特に興味深い。
格子共鳴群法の新しい公式内で、我々は核反応におけるフォノン交換の可能性を容認し、いかにしてフォノン交換が生じるかをより詳細に吟味しなければならない。最も単純な可能性のある図式では、核の質量中心座標がフォノン演算子(phonon operatoes)であると考えなければならない。
我々は、例えば、核の質量中心演算子、
Figure 2006515669
をフォノン大きさ演算子、
Figure 2006515669
に関する展開式、
Figure 2006515669
と書くことができる。式中、総和はフォノンモードmに及ぶものであり、ベクトルuj,mはフォノンモードmの励起に起因する核jの質量中心の変位を表す。これは、核子(nucleons)が異なる核(nuclei)に付随するものであるとき、核子間の強い力の相互作用およびクーロン相互作用は高度に非線形のフォノン演算子として解釈できることによる。これは格子内の核反応にフォノン交換を含ませる自然な経路を与える。
フォノンモードの1つが非常に高度に励起されている条件下で、核の相互作用にはフォノンの寄与が含まれると理解するとき、技術的な論争が生じる。この状況を考慮する動機は、フォノン相互作用が非線形の場合に異なる部位にある核の間の二次相互作用が代数的になり、したがって、核の尺度では遠距離になることである。この理由は、多数の状態が関与する二次過程の典型的な量子計算において、異なる状態は互いに破壊的に干渉する傾向があるからである。単一フォノン交換を含む非共鳴二次過程は、全てのフォノンモードに多かれ少なかれ同等の立場で結合し、相互作用の範囲を制限する重大な干渉効果を招いてしまう。しかし、非線形相互作用の場合、高度に励起したモードとの結合はそのモードとの優先的な結合となり、線形相互作用で通常遭遇する強い干渉効果が相互作用を減衰させることはない。この理由のため、全ての部位間の相互作用が、少なくとも1つの非常に高度に励起したフォノンモードを持った非線形の相互作用を含まなければならない。
不運にも、この種の問題は直ちに技術的な困難さを招く。これらの技術的な困難さは、P.L.Hagelstein、Philosophical Magazine B 79 149(1999)に論じられている。高度に励起したフォノンモードは非局在化されており、当然フォノンモードの大きさ、
Figure 2006515669
または、等価のフォノン演算子で記述される。核相互作用は短距離のものであり、したがって位置演算子(position operators)、
Figure 2006515669
で最も良く記述される。
技術的な困難さは、核相互作用をフォノンモードの項で展開することを試みるときに生じ、この場合に、我々は非常に高次の非常に多数のフォノンモードを含む必要のある展開式を開発する。別法として、高度に励起したフォノンモードの動力学を位置演算子でモデル化することを試みるならば、我々の記述は、当然、非局在化されたフォノンモードの動力学に関与する全ての核についての位置演算子を必要とする。いずれの手法も単独では魅力的とも特に有用とも思われない。
我々はこの種の問題に対して混成公式(hibrid formulation)を使用することを提案した。基本的な考え方は、位置演算子をフォノンモード演算子の項で展開することから始め、高度に励起したモードの寄与を分離することである。
Figure 2006515669
次いで、我々は他の全てのフォノンモードの寄与を含む残差の位置演算子、
Figure 2006515669
を定義する。
Figure 2006515669
これは、
Figure 2006515669
の形の混成公式を形成する。式中、mは高度に励起したフォノンモードを指すと理解される。
残差の位置演算子、
Figure 2006515669
は、位置演算子、
Figure 2006515669
と非常によく似ている。
分離されたフォノンモードが励起されなかったか熱的に励起されたかのいずれの場合も、演算子の相違は局部的に小さい。我々は、格子共鳴群法から生じる格子と核との結合したモデルを解析するために、この局部と非局部との自由度の間の分離を用いることができる。
我々は、重水素化金属中の重陽子間の核反応に伴うフォノン交換の計算について手短に考察する。この議論の前に、我々の議論に関係する多数の実際的な要点を考慮することが必要である。例えば、隣接する八面体部位の重陽子間のトンネル効果の確率は非常に低いので、我々は最初に重水素化金属内の分子状態の場合に興味を持つ。これは、後に解析する理論的な問題に関する複雑さを低減する。我々は重水素化金属中の重陽子間のスクリーニングの問題に興味を持つ。スクリーニング問題の解析から、我々はこの場合に分子状重水素モデルを用いるのが適切であると結論付ける(これは重水素化チタンの場合であり、低エネルギーでの重陽子ビームの実験から、重水素化パラジウムおよび他の重水素化金属のスクリーニングは分子の場合に比べて大きくなることが証明されている)。最終的に、我々は、分子状の問題の解析に近付き易い、重水素化金属中の回転状態の分布に興味を持つ。
1989年初めにJones効果が最初に議論されたとき、TiDおよびPdDにおける二重部位占有の問題を論じる多くの原稿の提出があった。関連する基本的な論点は、分子状Dのトンネル効果の確率および付随する融合速度が探求され、いずれの量も非常に少ない結果であったことである。TiDにおけるトンネル効果はD分子とほぼ同じであることが期待されたので、Jones効果はそのような理論考察に基づく法則から外れるように見えた。低エネルギー(keV)でTiDターゲット上へ重陽子を入射したdd融合断面を後で測定すると、裸のイオンでの自由空間における融合断面とは偏りがあり、これは分子状D問題と同レベルのスクリーニングに一致した。
1989年には、重陽子がPdD中では主として八面体部位を占有し、TiDでは四面体部位を占有し、これらの重陽子は分子状D中よりも平均でさらに離れ、したがって付随するトンネル効果の確率はより少ないという、さらに他の議論がなされた。物理学ではそうではないであろうことを示唆する多くの推論的な論文が現れたので、これらの疑問は多年にわたって我々の興味を引いた。さらに、我々がdd融合反応に基づく方式に焦点を合わせ始めたとき、これらの疑問は我々の研究にとって重要になってきた。我々は、どのような条件がPdD中に最大のトンネル効果速度を起こさせるのかという基本的な疑問に興味があった。疑問の基本的な論点は、分子状Dレベルでトンネル効果を達成するには、D分子の分子状バージョンが重水素化金属中に存在することが必要であるように思えたことである。部位の二重占有の場合、多分、付随するDの波動関数は、周辺のホスト格子原子のポテンシャルを考慮した何らかの修正を加えて、分子の波動関数に近似することができるであろう。PdD塊中の二重占有の確率が非常に低いとすれば、隣接する部位中の重陽子に関するトンネル効果の確率は何であるかという関連した疑問が生じる。これに対応して、我々は、重水素化金属中の2個の重陽子の問題について、2個の重陽子の波動関数の変形、
Figure 2006515669
を開発した。
我々はこの問題を、一般式、
Figure 2006515669
並びにもっと複雑な試行波動関数を用いて研究した。
おそらく予想された通り、我々は隣接部位の重陽子に関するトンネル効果の確率が天文学的に低いことを見出した。実際のポテンシャル・モデルに関するポテンシャル障壁は十分高く広いので、トンネル効果速度は分子状問題の速度よりも数十倍の大きさで低下した。これは、O−O、O−T、T−T占有では真実である。我々は、1つの部位の1個の重陽子が隣の部位にトンネリングする場合と、重陽子が両方の部位から部位の間の領域で出会うためにトンネリングする場合とを分離して考察した。また、我々は、八面体および四面体の両方で、2個の重陽子が同じ部位に位置する場合を研究した。我々は、これらの場合に波動関数が分子状に近いこと、および重なり合う確率が全ての他の場合に比べて最大になることを見出した。
基本的な結論は、重水素化金属中の2個の重陽子を含むいかなる反応も、金属中に分子状Dを含まなければならないことである。異常が報告された異なる条件を振り返って解析すると、全ての場合に分子状Dの含有率が最大化された重水素化金属において最高レベルの異常が報告されていることが判る。例えば、SRIにおける電気化学実験では、重水素濃度がPdの表面近くの密度を超えるような、部位の二重占有を最大化する条件で、充填が最大化される。また、二重占有は、ホスト金属格子に空孔が存在すると最大化され、非常に高い欠陥密度を有していると思われる材料で多くの成功裡の実験が報告されている。ある場合には、実験は高温で充填を比較的低くして行われ、肯定的な結果が得られる。その場合、高い欠陥濃度を含む格子に結び付く高い温度は、二重部位の占有を最大化するであろう。さらに、ホスト金属格子の空孔は、高度に充填したPdDとNiDとが熱力学的に有利であり(Fukaiはこの形態を使用して、4個のホスト金属格子中の1個に原子がない水素化金属を作った)、それらは表面から内部へゆっくりした速度で拡散するであろうことを特記する。我々は、このメカニズムが、早期のSRI実験の過剰熱効果に関する長期的な恒常性の要因であったと推量した。
多年にわたって、多くの著者は、Jonesの実験が重水素化チタンの電子スクリーニング効果を高めることによって説明されるであろうことを示唆した。例えば、半導体および特殊な種類の材料中で、電子は、それらが自由電子の質量よりも大きな質量を有するかのように挙動することが知られている。議論によれば、電子質量の増加はスクリーニング効果を高め、融合速度を高めるであろう。必要なスクリーニングは、2個の重陽子がオングストローム未満内に存在する条件下で起きなければならないので、この種の議論は正しくない。明らかな電子質量の修正に導く電子帯域理論は、多くの部位にわたって非局在化された電子に適用されるもので、この種のスクリーニングに適用することはできない。
Ichimaruは、Review of Modern Physicsの中で、天文学で用いられる比較的複雑なモデルに基づいて、PdDとTiD中の重陽子間のスクリーニングの計算を発表した。彼の計算に基づいて、彼はトンネル効果の確率は分子状の問題の結果よりも50倍の大きさで増加すると結論付けた。真実であれば、これは非常に重要な貢献であり、重水素化金属の異常問題全体に明るさを与える助けになろう。
Ichimaruのモデルにおいて、スクリーニングに最大量の寄与をする効果は、有効なクーロン相互作用内で用いられる静的誘電定数のモデルである。我々は、格子内で互いに近接している重陽子の場合の真空誘電性応答以外は、誘電性応答を用いることを知らなかった。
これを検討するために、我々は重水素化金属中の2個の重陽子間の静電的な相互作用の線形応答モデル版を開発した。
結果は、
Figure 2006515669
の形で表すことができる。
誘電性応答は、当然、無限次数のBrillouin−Wigner理論に現れる。我々は、この応答が近距離のクーロン相互作用の修正になるかどうかに興味を持った。長距離(多くの原子と電子が2個の重陽子の間にある条件下)では、この種のモデルはIchimaruの用いた誘電性応答を再現する。
このモデルを解析することによって、我々は、このモデルに従う近距離でのスクリーニング効果が、
Figure 2006515669
の式の分極ポテンシャルを生むと結論付けた。式中、ΔR=R−Rである。他の原子に局在化した電子からの誘電性応答は、重陽子間に弱い局部的なスクリーニングしか生成しない。これに基づいて、我々は近距離の誘電性応答が真空誘電性応答にちがいないと結論付けた。我々はこの点ではIchimaruの結果に同意しない。
重水素化金属内で分子状態にある重陽子間のトンネル効果は、振動および回転励起に依存する。振動励起エネルギーがkTよりもはるかに大きいので、この点で我々は角運動量状態の励起に興味を持つ。我々が行った計算から、分子状重水素の異なる回転状態の粒子数割合をプロットした図6を以下に示す。「この種の計算については、Wiley and Sonsから近く発行される、P.L.Hagelstein、S.D.Senturia、and T.P.Orlando、Introduction to Applied Quantum and Statistical Mechanicsを参照されたい。」分布は、分子状重水素の慣性運動量から予測されるように、比較的低い励起の状態に制限されることが判る。図6は、分子状重水素の異なる角運動量(l)状態の占める割合を温度の関数で示している。
重水素化金属の異常についての多くの実験の中で、重水素化金属内に重水素を流動させるようにすることが計画された。それらの流動が、分子状重水素について上で計算した予測ほど角運動量状態の分布を修正できるか疑問を持つのは当然であろう。
この可能性を吟味するために、我々は、角運動量に寄与するために重水素速度がどれだけ関連するか、並びに、重陽子の何割かがそのような速度を有するときの対応する重陽子の流動がどのくらいかを推定することが必要である。我々は速度の考察から始める。半ば古典的なモデルにおいて、古典的な角運動量を角運動量の量子単位に等しくすることから、必要な速度を予測できよう。古典的な角運動量は、
Figure 2006515669
である。速度および運動量が垂直であると仮定すると、半ば古典的な定数、
Figure 2006515669
が導かれる。式中、Mは相対質量、rは分離、vは速度である。この場合、我々は角運動量をl単位と仮定する。この考察は、角運動量の単位当たり数百cm/秒程度の速度が必要であることを示唆する。
重水素の流動は、おそらく、関連する電流密度Jの項で最も有意義に特徴付けられ、これは、
Figure 2006515669
で予測することができる。
ほとんど完全に充填された重水素化金属中の全ての重陽子が関与すると仮定すれば、必要な電流密度はアンペア/cmの単位で6400v程度であり、これは、当分野の実験で存在すると考えられた電流密度よりも数倍も大きい極めて高い電流密度であると我々は結論付ける。少量の重陽子だけ動くことが可能であると仮定すれば、計算は可動と仮定した割合に応じて改善される。いずれにしても、得られる数値は数万アンペア/cmに等しい重水素流動であり、これは実験の平均的な電流の範囲を超える。我々は、到達可能なレベルの重水素流動が存在することによっては、角運動量分布は大きく変化しないと結論付ける。
新しい公式の前提を説明し、重水素化金属中の重水素に関する実際的な論点を考察したので、ここで我々は、核反応中のフォノン交換の論点について考察する必要がある。論じている試作的なモデルの中で、我々は、重水素化金属中に存在する単一の非常に高度に励起したフォノンモードがあり、重水素化金属中の核と相互作用すると仮定する。エネルギー生成について、我々は2個の重陽子間の反応、さらに一般的にはアクセス可能な質量4の状態の全ての間の反応に興味を持つ。我々の議論を高速アルファ放出の問題に展開したければ、我々はフォノンのホスト金属核中のアルファ粒子との相互作用についても考察する必要がある。Wolfによって報告された誘導放射能の場合に展開するためには、弱い相互作用を介して反応に関与するフォノン相互作用を含めるであろう。この手法が一般にもっと大きな反応に適用されることを認識した上で、単純化のため、我々は以下で質量4の状態を伴う選択された遷移におけるフォノン相互作用に焦点を合わせる。
この議論ではいくつかの核モデルを考察することが適切である。我々は、プロトンとニュートロンとが基本的な粒子(内部クオーク構造:internal quark structureの詳細は、ここで論じている物理には重要ではない)であるとする核の記述を意図している。核子は主として、近距離では強い力、(強い力は近距離なので)長距離ではクーロン相互作用によって互いに相互作用する。我々にとって興味のある相互作用は、低エネルギー領域に適切である強い力の相互作用のパラメータ表示を介して良好に記述される。この点について、我々はHamada−Johnstonタイプの核相互作用のモデルに基づく記述が適切と期待している。
今までのところ我々の研究の中で、我々はより単純なモデルを使用してフォノン相互作用を展開した。我々の努力の一部は、フォノン交換を直接実際の核ポテンシャル(Hamada−Johnstonポテンシャルなど)で解析可能なように、モデルを改善することに費やした。我々のこの種の最初の結果は来年得られる予定である。今までに我々が行った計算は、強い力のためのガウス波動関数およびスカラガウス・ポテンシャル・モデルに基づく。それらの計算は、今のところ、論じている理論の重要な態様を確認し、定性的に正しいと思われる結果を与える。
原子および核過程の多くの重要な特徴が関連する選択法則から導かれ、ここで我々が触れる必要のあるいくつかの関連する論点がある。我々は、論じている過程に関与する主要な相互作用は、質量座標中心の相違がフォノン性寄与(高度に励起したフォノンモードによる)および残差寄与(他の全てのモードによる)によって作られる条件下では、強い力の相互作用によると仮定する。フォノン交換のない強い力の相互作用は、アイソスピン(isospin)、スピン、および核波動関数の空間対称性を保存する。高度に励起したフォノンモードが計算に明らかに含まれ、スピンと空間対称性とが含まれないとき、アイソスピンの保存は維持される。核波動関数の空間対称性は、振幅空間(amplitude space:qの配置空間)中のフォノン波動関数の対称性が変化するのに伴って変化することができる。スピンは、空間演算子がフォノン性寄与を含む条件下で、強い力の相互作用中のLS相互作用項の存在によって変化することができる。
したがって、質量4の問題において、我々がHeに導く反応に興味を持つならば、我々はアイソスピンの総計がゼロである核チャンネルに制限される。重陽子がアイソスピンT=0を有し、HeがアイソスピンT=0を有するので、アイソスピンの選択則はアクセス可能な2体のt+pおよびn+Heチャンネル、並びに、含むことを考えることのできるいかなる励起したヘリウム状態にも影響を与える。スピン・チャンネルは一般に制限されず、異なる空間対称性を有するチャンネルのみが、全核が局部核の4粒子のフェルミ波動関数が粒子交換下では反対称でなければならないという要件に制限される。
我々は、フォノン交換が微視的な核系に角運動量で寄与できることを理解し、真空選択則のフォノン誘起の修正を予測する。例えば、2個の重陽子は、電気四極子による電磁気変化の下で、真空中で融合しγ線放出を伴ってHeを作ることができる。格子中では、ゼロよりも大きい偶数のフォノン交換は、γ線を必要とせずに選択則を満たすことができる。状況は、格子中の原子不純物の電子的遷移に伴うフォノン放出の場合と定性的に類似している。双極子を伴う放射性減衰によって真空中で進行することのできる原子遷移は、替わりに双極子フォノン放出過程によって減衰することができる。
論じている一般的な理論は、結合した量子系(この場合、結合したフォノンと核系)の完全に標準的な量子力学であり、したがって、フォノンと核との自由度の間の結合は、相互作用のマトリックス要素の計算から直接現れる。我々が論じている物理学について、定量的な予測および定性的な記述を行うことのできる程度は、それらの相互作用のマトリックス要素を推定する我々の能力に比例する。
我々の研究の中で、今まで我々は、2個の重陽子状態とHeの基底状態と間のフォノン誘起遷移の特殊な場合について、相互作用のマトリックス要素の計算に焦点を合わせてきた。これらの計算は、分子状D状態、2個の重陽子の収縮状態、およびHe状態の間の遷移に基づくモデルを推定する、我々の努力に支えられて行われた。我々はこの計算を手短に説明するが、その前に、これらの計算を行ってから我々の理解力が向上したことを特記しなければならない。したがって、ここでは異なる反応過程に関する相互作用の近似としてではなく、この計算からの結果を用いたい。
このことを念頭に置いて、我々は相互作用、
Figure 2006515669
の推定を考える。
これは、ゼロ反応、
Figure 2006515669
に付随する2個の部位の問題を解析する我々の研究の中で、最初に現れた。
2部位の問題では、我々は、2個の重陽子状態の異なる角運動量チャンネル(スピンのないまたはアイソスピンのスカラー近似において)と、高度に励起したフォノンモードとを含む、最初の波動関数を仮定した。
Figure 2006515669
このモデルはさらにP.L.Hagelsteinの“A unified model for anomalies in metal deuterides”、ICCF9 Conference Proceedings、Beijing、May 2002、編集X.Z.Li(印刷中)の中でさらに論じられた。フォノン交換を含む核相互作用を推定するために、我々は核状態のための単純なモデル、
Figure 2006515669
を採用した。
1930年代初めの核文献には、これらの種類の状態を用いることが普通であった。4粒子の波動関数はときどきFeenberg波動関数と呼ばれる。
重陽子の対とヘリウム核との間の多重積分は、質量座標の重陽子中心間の相対距離に依存する。単純にH−Eを魅力的なWigner相互作用で置き換えれば、
Figure 2006515669
が得られる。式中、x21=r−r、x43=r−rである。質量座標の2個の重陽子の中心間距離は、高度に励起したフォノンモードの大きさの関数である。
Figure 2006515669
ここで、
Figure 2006515669
は残差の放射状分離座標(residual radial separation coordinate)であり、
Figure 2006515669
は高度に励起したフォノンモードによる相対的な動きを記述する。
この議論の基になる基本的な図式は、高い充填、高い温度、または重水素化金属内に空孔が存在するために、2個の重陽子が単一の部位を占有するものである。時折、重陽子は互いに接近するまでトンネルを通過する。互いに接近するが、重陽子はやはり格子の一部であり、格子のフォノンモードの成分を構成する。重陽子が互いに接近すると、非常に強い核とクーロンとの相互作用が、数オングストローム離れているであろう比較的離れた原子との相互作用を支配する。しかし、重陽子は強いフォノン性励起の存在下で、弱くはあるがやはり応答を示すであろう。この応答は、互いに接近しても重陽子が受ける非常に強い相互作用を考慮した線形化理論を用いて計算しなければならない。
Figure 2006515669
の項から計算される結果的な相対運動は、フェルミ程度であると予測される。
多くの代数とWKB近似とを用いて我々は相互作用、
Figure 2006515669
を得る。式中、Δnは交換したフォノンの数であり、
Figure 2006515669
である。
今のところ我々の計算は、最大フェルミの半分ほどの大きさの局部の相対的な動き|Δu|qmaxが、大きな2個のフォノン交換の相互作用を発生させるのに十分であることを示している。数フェルミ程度の相対的な動きは、この種のモデル内では10フォノン程度の交換をもたらす。このモデルの結果を以下で図7に示す(MIT 2002 RLE Annual Report(6月下旬刊行予定)から引用)。図7は、l=2とし、フォノン相互作用が距離因子Δuqmax=1fmで特徴付けられると仮定して、MeVでの相互作用の結果を示している。この単純モデルのマトリックス要素はフォノン交換がゼロで有限である。これは核状態に直交性がないことにより、Δn=0の遷移がないと予測する。
我々の研究した特殊なモデルでは、
Figure 2006515669
の値をとった。
上で概説したフォノン交換を含む核相互作用の計算は、2個の重陽子の局部の相対的な動きが線形である場合に妥当な近似であろう。我々がこのモデルを発表したとき、我々は高度に励起したフォノンモード(Δuq)による2個の重陽子の相対的な動きへの寄与は、2個の重陽子間のポテンシャルの線形化を含む別の計算によって得るべきであろうことに注目した。したがって、我々はこの問題は、上で概説した計算が意味するよりも興味深いものであることを理解した。
クーロン相互作用によって互いに相互作用する2個の重陽子は、互いに接近すると放射方向に向く強い力を受ける。したがって、関連する古典的な問題の線形化は、放射状の動きがほとんどないが(放射状のクーロン・ポテンシャルにはそれほど大きな勾配があるので)、代わりにその運動は角運動であるべきことを示している。したがって、2個の重陽子の問題に示されたモデルの弱点は、角運動モデルの代わりに相対的なフォノンで誘起された動きの線形モデルを用いる場合である。このようにして改善されたモデルから予測されるであろうフォノン交換は、使用された線形モデルよりも少ない。我々はまだそのようなモデルを開発していないが、それらのモデルも大きなフォノン交換の効果を与えるであろうと予測する。
もっと最近の研究は、モデルの収縮状態(およびKasagiの実験に現れるもの)を含む候補として、p+tおよびn+Heチャンネルの重要性に向けられた。p+tチャンネルの考察は、高度に励起したフォノンモードに伴う局部の相対的な動きも、2個の重陽子チャンネルについて上で論じた角度であろうことを示している。しかし、n+Heチャンネルは異なる。ニュートロンは電荷を持たないのでクーロン相互作用はなく、相対動きの線形モデルははるかに直接関連性がある。この場合、小さな分離で主として角運動があろうが、全体として線形軌跡ははるかに良好な近似であろう。トリトンの波動関数はより大きく局在化されるので計算の詳細は異なる。いずれにしろ、我々は付随する相互作用ポテンシャル、
Figure 2006515669
が、フォノン交換の動作の点で類似していると予想する。最初の例では、n+HeおよびHe状態の場合のフォノン相互作用を簡単に理解することができる。高度に励起したフォノンモードの強い励起に付随して、He核は局部的に、
Figure 2006515669
に従って“動く”であろう。
n+HeチャンネルのHeは、類似の固体状態環境を見るであろう。その動力学は、
Figure 2006515669
で記述される。
2つの場合で質量が異なるので、転移ベクトルuは当然異なる。したがって、線形軌跡の近似におけるこの場合の転移差Δuは、異なる種に付随する振動の大きさの間の相違によるものである。この場合、uベクトルは質量の逆数の平方根の割合で起きることが予測されよう。このモデル内で、高度に励起したフォノンモードによる振動の大きさの最大総計が50〜100fmであるとき、この場合の最大の相対的な転移がこれよりも、
Figure 2006515669
少ないので、十分なフォノン交換が起きることが計算される。
2個の核の相対軌跡についてのより複雑なモデルでは、近距離での相対的な動きとして表された動きの大きさの総計がより小さな割合になるであろう。しかし、現在基本的な主張は正しいと思われるけれども、距離の総計は、線形軌跡の場合における1倍の大きさの代わりに、現在収縮状態の尺度と考えられている5〜10フェルミよりもおそらく2倍程度は大きいはずであると考えられる。
我々は2部位問題について、スカラガウシアン・モデルを上記のゼロ反応、
Figure 2006515669
のバージョンとして研究した。
解析における論点への疑問は、このモデルが分子状態のエネルギー以下のエネルギーを有する局在化した2個の重陽子に導くかどうかであった。この時のこの問題に対する我々の解析では、交換の相互作用は状態のいくつかには実際に魅力的であるが、2個の重陽子の収縮状態を安定化するには十分魅力的ではないということを示した。
基本的な論点には議論の価値がある。2個の重陽子の収縮状態は、分子状D状態と同じΦ基準の状態に付随する核エネルギーを有するであろう。さらに、重陽子間の強い力の相互作用、クーロン相互作用、局在化に伴う放射状運動エネルギー、および求心エネルギーに伴う寄与がある。論じているモデル内では、ゼロ反応に伴う交換エネルギーもある。したがって、2個の重陽子の全収縮状態エネルギーは、
Figure 2006515669
である。
核の“光”ポテンシャルを無視できるほど十分離れた核を収縮状態が含むと仮定すれば、クーロン、放射状動力学、および求心エネルギーが交換エネルギーで均衡がとれるように構成しなければならない。
Figure 2006515669
の形の収縮状態の波動関数にガウシアンおよびエネルギー法則モデルを用いれば、3個の正のエネルギー項に、
Figure 2006515669
の結果を見出す。
図8は、動力学、求心およびクーロンの寄与による収縮状態のエネルギーを示す。エネルギーはMeVの単位である。軸はフェルミ単位での対の分離、
Figure 2006515669
の測定値である。
それらの安定な局在化状態の形成における基本的な問題は、必要な交換エネルギーが非常に大きいことである。問題の2部位バージョンでは、単純に交換ポテンシャルは収縮状態を安定化する程には十分大きくなかった。より多くの部位を含むその問題の拡張により、2個の重陽子の収縮状態は安定化するであろう。交換エネルギーは2部位の問題では負になることができ、3部位の問題では、1個だけでなく今や2個の交換すべき部位があるので、それはより大きい。等々である。フォノン励起が上述のように使用可能な大きい相互作用項を展開するのに十分であると仮定して、このメカニズムによって2個の重陽子の収縮状態を安定化するには、単一の高度に励起したフォノンモードと相互作用する約10個の部位とが必要であろうと予測した。意図しているモデルの最近のバージョンでは、我々は何が収縮状態を構成するのかに着目した。特に、2個の重陽子が、論じている研究の基本的な枠の中でp+tおよびn+Heの収縮状態を生成することができないという理由はない。したがって、収縮状態を2個の部位で含む、
Figure 2006515669
の形のゼロ反応は非常に興味深い。この場合、収縮状態のエネルギーは、
Figure 2006515669
であり、式中、上述した2個の重陽子の収縮状態の場合よりも約4MeV低い。この種の状態を安定化するのははるかに容易である。
類似の考えはn+Heの収縮状態に適用されるが、核エネルギーの差はいくらか少ない。
n+Heの収縮状態の1つの利点は、ニュートロンは格子のフォノンモード構造に関与しないので、上で概説したフォノン交換のメカニズムが、構成要素の1個が中性である場合により効果的であることが期待されることである。我々の現在の推測は、それらの状態がこの理由により主要な収縮状態であろうということである。この推測は立証すべき余地があるが、現在のところ妥当であると思われる。
エネルギーが分子状D状態のエネルギーよりも低く存在するならば、これらの状態は多分安定であるという議論には、いくつかの意見をはさむ必要がある。p+tの安定なエネルギーよりも大きなエネルギーを有するそれらの局在化状態の全ては、p+tを反応生成物として生成する従来の融合反応に対して不安定である。ここでの考え方は、論じているモデル中のフォノン交換が10fmまたはそれ以上の程度である(Δuqmax)の限度内で非常に効果的であるので、論じているフォノン誘起反応は高い角運動量状態と結合することができる。我々は、d+dの静止エネルギーでn+Heが減衰する場合、角運動量の存在下でのトンネル効果が減少することを予測する。結果は図9に示されている。図9は、n+Heチャンネルに付随するガモフ因子(Gamow factor)を2個の重陽子の収縮状態の角運動量の関数として示している。角運動量の20ユニット程度が交換すれば、従来の真空dd融合反応は大きな付随する求心性障壁のため抑制されることが判る。
その結果、論じているモデルは、それらの大きな角運動量の移動が起きるとき非常に安定であり、これは高度のフォノン励起に対する我々の要件の理論的な基礎を提供する。我々は、角運動量の20ユニットまたはそれ以上を転移する必要があり、さもなければ、格子とエネルギーを交換するのに十分安定な収縮状態を構成する可能性は少ない。上で示した考え方は原理的にp+d反応にも当てはまる。この場合、ゼロ反応は、
Figure 2006515669
になる。
この場合の収縮状態の1つの候補はp+d状態である。上で論じた見地から、我々はニュートロンが自由であり、フォノン交換が最大化されるであろう他の可能な収縮状態を考えるよう動機付けられる。自由なニュートロンが関与する上述のメカニズムは、最初に収縮He+nの形態を生じ、p+p+n形態に結合することが期待されよう。これらの可能性は、我々の研究の過程の中で提案したが、この問題に特定したモデルはまだ試みていない。
上記および以下に論じる基本的なメカニズムをこの反応に継続すると仮定すれば、我々は、理論が意味するところについていくつかの意見を述べる立場にある。真空中のp+d反応は、電磁気的な減衰によってHeを生成し、動力学的な反応経路はない。この場合、単一のHeの基底状態を生成するためにより高い多極放射が必要なので、高い角運動量は収縮状態を安定化する。しかし、安定な収縮状態を達成するためには、d+d反応の場合よりもより小さな角運動量しか必要としないようである。例えば、d+d反応には20またはそれ以上が欲しいところであるが、多分、10〜12ユニットの角運動量に設定される。この考えの支持は、歴史的に軽水セルの熱生成に必要とされた低電流密度の実験で得られ、我々はここではp+d反応に基づくものと解釈する。
プロトンと重陽子とのトンネル効果の確率が数倍も大きくなるので、より軽い質量は反応速度が速いことを意味し、他は全て等しい。
p+d反応の唯一の潜在的欠点は、反応エネルギーがd+d反応の23.85MeVの代わりに約5.5MeVであることである。この種の反応には重水素がより良好に使用される。
2部位の問題の我々の研究は多くの重要な論点に明るさを与えた。最近のモデル化への努力の見解で結果をまとめるのが有用である。2部位の問題は、格子共鳴群法(結合チャンネル放射状方程式はP.L.Hagelstein、“A unified model for anomalies in metal deuterides”、ICCF9 Conference Proceedings、Beijing、May 2002、X.Z.Li編集(印刷中)に明確に与えられる。)から直接誘導された交換項が存在することを明らかに示している。さらに、我々は簡単なスカラガウシアン・モデルを用いて、高度に励起したフォノンモードの存在下のフォノン交換を含む相互作用を解析した。得られる状態の解析は魅力的になり得る交換効果を明らかに示した。
問題に対する最初の研究に続いて、2部位の問題は同じように多くのことを含むことが明らかになった。上で論じたように、角運動量の交換が求心障壁によって状態を安定化するのに十分大きい場合に、収縮状態は我々が最初に考えたのとは異なるエネルギーで安定であると考えることができよう。例えば、全ての可能性のある減衰モードが十分抑制されている限り、状態エネルギーが2個の重陽子エネルギーよりも数MeV高ければ、高い角運動量の状態は多くの実際的な目的のために安定であると考えるであろう。この制約内の2部位の問題は、重要な制約内の安定な収縮状態を説明する。これは興味深く、問題について我々が今までに書いたものに比べて議論を進展させる。
いずれにしろ、我々はエネルギー生成に興味があり、現在の理解の枠内では2部位モデルは熱生成をもたらさない。したがって、我々は問題の多部位バージョンへ議論を展開させる。
多部位問題に直面する多くの技術的な論点がある。第1の論点は、部位の数が増加すると複雑さが急速に増加することである。したがって、少しでも理想化された近似方法とモデルの使用を開拓しなければならない。第2の論点は、エネルギーが核と格子との間で効率的に交換できるかである。我々のモデルは、今のところこれを達成するメカニズムが存在することを示しており、以下にこれに触れる。最終的に、関連する反応速度の疑問があり、これは我々が我々の議論を結論付けるところである。
我々は、多部位問題の異なる態様を扱うモデルを開発した。部位の数の関数としての交換エネルギーは、関連する結合チャンネル方程式の近似解を明確に構築することによって、安定化の向上が直接確立できる。これは、最近のDARPAへの最終報告(未刊行)に記載されており、来年刊行するために書く予定である。さらに、我々は、フォノン相互作用が多くの部位で均一であり、異なる収縮状態への射影も異なる部位で均一であると仮定する多部位モデルを開発した。核と高度に励起したフォノンモードの間の多量のエネルギー交換がこのモデルで示されている。
現在、我々は、反応速度の問題に触れるさらに複雑なモデルの新しい種類を開発する過程にある。他のモデルに対する我々の理解によれば、この種のモデルから全体的な反応速度の予測の抽出を試みることは妥当性があるように思われ、手短に論じる。
我々は最初に空間均一性を仮定する多部位モデルを考察する。多部位結合チャンネル方程式の構造のメカニズムは明らかであるが、問題は以下に論じるように、定性的により意味深く見える。多部位結合チャンネル方程式は基本的に、
Figure 2006515669
の形であり、式中、
Figure 2006515669
は、配置βを有し、
Figure 2006515669
によって定義される、指数Mを有する多部位チャンネル分離因子である。非常に多数のチャンネルがあり、それらを直接解く試みは実際的でない。我々の以前の研究では、可能な解の本質に関する何らかの洞察を得るために、我々は無限次数のBrillouin−Wigner摂動理論を使用した。ここで、我々は、それらの手法が、実験結果を説明する上で興味を持つほど結合が十分強くなる場合に、単に問題を取り扱えないことが明らかであることを簡単に特記する。代わりに、我々は代替の近似を使用しなければならない。
基本的な関心は結合チャンネル方程式の多部位バージョンに局在化した解が存在するかどうかという疑問である。解答は結合チャンネル方程式を力ずくで計算しないことには現れそうもないように演繹的には見える。我々のこの問題についての努力は、今のところ洞察を生んでいない。本議論の目的のために、出発点として安定または不安定であり得る有用な局在化状態を我々が定義することができるという仮定を採用し、用意した解で出発点の正当さを確認するために計算を進めることができよう。これは生産性のある手法であることが証明された。
この非常に困難な問題の開発を進展させるために、我々は、全ての部位が同じであると仮定し、さらに、これらの各部位で局在化状態を確立することが、異なる角運動量チャンネル内の軌道の同じ局部的な重ね合わせを含むであろうと仮定することによって、物事をさらに簡略化する。これらの簡略化は、
Figure 2006515669
の形のハミルトニアンに基づく近似的な時間に依存しない固有値の方程式へ最終的に導く。このハミルトニアンにおいて、
Figure 2006515669
演算子は、異なる部位でのパウリマトリックス(Pauli matrices)の重なり合いとして開発される擬似スピン演算子である。
Figure 2006515669
因子Sは、系
Figure 2006515669
のディッケ数(Dicke number)である。
単一部位の局在化エネルギーは、
Figure 2006515669
であり、Vnn’項は相互作用ポテンシャルおよび異なる角運動量チャンネルの局在化軌道の総和の積分である。
Figure 2006515669
演算子は、高度に励起したフォノンモードにおいてフォノン数を変化させる。
我々は以前、局在化した2個の重陽子状態の可能性を考える前に、おそらく、分子状態がフォノンを介してヘリウム状態へ遷移する問題の多部位体バージョンに適用するために、それらのハミルトニアンに遭遇したことがある。その場合、関与する部位の数は十分多く、ディッケの増加がガモフ因子を相殺できたであろうことを期待した。ここで、我々は収縮状態が遷移する状況にハミルトニアンを適用するが、この場合ガモフ因子はなく結合は非常に強い。以前の研究において、異なる数の融合事象と著しく異なるフォノン数とを有する複数の状態の間の結合を可能にするように、いかなる条件下でそのようなモデルがnの十分な幅を持った拡張状態へ到ることができるかを理解することを目的として、我々は近似的なエネルギー保存が起こるようこの種のモデルを研究した。我々は、このモデルが、交換されたフォノンの数が付随する無次元の結合定数の程度であった局在化状態を生成することを頑強に主張することに驚いた。このことは、問題への更なるインプットがない限り、このハミルトニアンの固有関数は一般に疑問視している物理問題に関してさほど関心がないことを我々が知っている、と言っている。
ディッケ・ハミルトン・モデルの基本的問題は、nとSが大きく、Mが小さいときに、その対称性の程度が高いことである。非局在化した解を開発するために、対称性はいくらか破らなければならない。nまたはMに強く依存する結合係数を必要とするか、または、これらの量子数の1つまたは両方が高度に非線形である、ある種の追加のポテンシャルを必要とするかのいずれかである。
もっと重要で、Mに非常に強い依存性を有する他の効果がある。これは損失項を含む。例えば、2個の重陽子が多部位問題で融合するとき、非共鳴エネルギーΔE(24MeV)は、局在化重陽子と他の高度なエネルギー性減衰モードとの間の反跳を活性化するのに十分以上である。それらの減衰モードの存在は、問題の根本的な対称性を完全に破壊し、nとM空間に波動関数の大きな非局在化を形成する。
不運にも、減衰チャンネルをハミルトニアンに含ませるのは特に簡単とはいえはない。他の学問分野におけるそれらの問題は、しばしば密度マトリックスを使用して取り扱われる。付随する複雑さは、手法の複雑さを加えることでさらに進展を難しくさせるので、我々はそれらの公式をここで採用しようとは思わない。代わりに、我々は以下に概説するように、確率フロー問題として問題を考えることを好む。この議論はP.L.Hagelstein、“A unified model for anomalies in metal deuterides”、ICCF9 Conference Proceedings、Beijing、May 2002、X.Z.Li編集(印刷中)に短く現れるであろう。
関連するフロー問題を導くために、我々は、
Figure 2006515669
の形のハミルトニアンを考える。
我々は、問題が、基底状態、ソース状態、シンク状態および2つの状態間の中間状態の3組に分割することを想定する。例えば、我々は分子状態中に局在する重陽子の対をソース状態の一部と考えることができよう。反跳過程または他の反応から得られるエネルギー性反応生成物はシンク状態である。中間状態は、ヘリウム核または関心のある部位中の2個の重陽子の収縮状態を含むものである。我々は、付随するヒルバート(Hilbert)空間を、ソース基底状態、シンク基底状態、および中間基底状態に対応する3区画に分割することができる。結局、損失は関心を寄せているヒルバート空間の区画から他の区画への単純な遷移であると考えることができる。我々は、この異なる区画の分割をフェッシュバッハ(Feshbach)射影演算子、
Figure 2006515669
を利用して達成することができる。式中、総和jは、区画j中の基底状態のものである。このハミルトニアンの時間に依存しないSchroedinger方程式は、
Figure 2006515669
である。この方程式を区画依存性方程式に分割するために、我々は固有関数が3つの異なる区画、
Figure 2006515669
に成分を含むものと仮定する。時間依存性のSchroedinger方程式は、次いで、
Figure 2006515669
で与えられる区画依存性方程式に分割される。我々はΨをソース区画、Ψを中間状態、Ψをシンク状態と同一とみなす。これらの方程式を書く上で、我々はソースとシンク状態の間には直接の結合がないと仮定する。シンク状態は無限次数のBrillouin−Wigner理論、
Figure 2006515669
として省くことができる。次いで中間区画の方程式は、
Figure 2006515669
になる。中間区画とシンク区画間の相互作用は、この方程式中では無限次数のBrillouin−Wigner理論と同じように現れる。レゾルベント演算子(resolvant operator)がエネルギーEで連続的に極性を持てば、逆演算子は減衰を記述する虚成分を展開する。我々は、この方程式中に、ソース区画によって駆動され、シンク区画に減衰する中間区画の記述を見る。
我々は、
Figure 2006515669
を得るために、波動関数の中間区画成分を数式的に解くことができる。これは、ソースとシンクとを完備する確率の大きさの流れ方程式(probability amplitude flow equation)の展開を完成させる。基礎となる公式は、終始厳格にエルミート行列(Hermitian)であるが、中間区画の展開を記述する逆演算子は中間区画に関して非エルミート行列である。我々は、損失をSchroedinger公式に使用可能な方法で含ませた。我々は、演算子Kを、区画2の基底状態に関して非ハミルトニアンである損失項で補った中間区画のハミルトニアンであると定義する。
Figure 2006515669
この演算子の項で書いた中間状態の解は、
Figure 2006515669
になる。これは、Kが非常に非線形であるMの損失項の存在によって非局在化された固有関数を有するので、興味深い。
我々はコンピュータのコードと組み合わせて、中間状態の解を上述の線に沿って解析した。いくつかの体系を示すためいくつかの例を考えたい。
図10では、我々はソースが(M、n)で局在化し、結合が弱い条件下の確率分布の対数を示している。この場合、最初の条件は3ヘリウム原子および10重陽子対に対応する。我々は、付随する確率密度がソースの周り近くに集中し、分布がフォノン数で局在化し、予測するよりも多分大きなMに広がっているのを見る。より多くのヘリウム核の存在に対応する負のM−Mの方向に、状態は非常に不安定であり確率の分布はゆっくり減衰する。結合強度と減衰速度との間の均衡が勾配を決定する。他の方向では、我々は急速に全てのヘリウム核が分裂する境界に到達し、そこに壁がある。これらの状態は、それらのエネルギーが非常に小さいので、安定である。それらの分布は低いまたは中間レベルの従来のdd融合事象、並びに融合エネルギーが格子内で他の減衰モードへ転移するいくつかの事象に対応する。
図10は、弱い結合の場合のソース近傍の確率分布を示している。図10において、我々は、フォノン振動の振幅がより大きく、フォノン交換の相互作用の強度がより大きことを除けば同じ状況を示している。我々は、より強い結合が、この種のモデルの特徴(hallmark)といえるはるかに大きな広がりnをもたらすことを見る。同様にMにおける広がりも、以前の例におけるよりも非常に大きい。しかし、この広がりは正と負の両方の方向にさらに広がりやすくヘリウム核と重陽子対の数が制限されるので、分布は壁に当たる。我々は配置空間の高損失領域の回避があるのを見るが、これはこの問題の主要な効果ではない。
図11に、我々はより多くのヘリウム核が存在し損失が低い(より高い角運動量状態の展開に対応する)場合の確率分布の対数を示している。我々は、フォノン数の広がりはもっと大きいことを見る。我々は同様に大きく興味を引かれる他の効果を見る。我々は確率分布が、M−Mが正である領域へ強く曲がり、M−Mが負である領域を回避するのを見る。回避された領域は、重陽子が融合してヘリウムになって、系が局部の基底状態エネルギーよりも大きなエネルギーを有し、したがって多くの減衰過程が許される領域である。確率分布は低損失領域を好み、したがって全体の損失を最小化するようである。これは非常に興味深く、この量子系の基本的な特徴であると思われる。
図12は強い結合の場合のソース近傍の確率分布を示している。プロットにはn−nの制限された範囲しか含まれていない。フォノン数の分布の広がりは、結合強度と共に増加し、損失が大きい条件下では減少する。これらの結果から、この問題がどのように作用しているか直観を得ることができる。この意味で、融合と分裂遷移とを記述しているハミルトニアンの一部は、問題の動力学的エネルギー演算子の一種の働きをする。解は、振動しながらソースから外方向へ遠ざかっているように見える。確率の大きさが損失の多い領域を避ける限り、ソースから、一方を壁、他方を高い損失領域に伴うインピーダンスの不整合で閉じ込められた正のM−M通路への流れがあるように見える。この流れは、状態の間のより強い結合によって増加し、境界損失によってのみ抑制される。今のところ我々の計算は、通路を経由する確率の大きさの移動が、n−n中に千個の量子数以上に展開することができることを示唆している。これは全体的に、励起および核とフォノンとの自由度の間のエネルギーの結合について、からり有効なメカニズムを示唆している。
問題の多部位バージョンは、上の議論で見るように非常に実り多い。我々は、損失で補強された関連するディッケ・ハミルトニアンに関する量子流れの問題を直接解くことによって、新しいモデルの物理的内容を理解することにある程度の成功を収めた。基本的なディッケ・ハミルトニアンに伴う対称性は、核と、我々が関心を持つフォノンとの自由度の間の有効な結合を妨げる。しかし、上で示したように、モデル中に損失を含めることによって、この対称性を破ることが可能になり、核とフォノンとの自由度の間のエネルギーの多量の結合がこの種のモデルから得られることが判る。
我々のモデルは、今のところ期待されたであろう反応速度の論点には焦点を合わせなかった。これは、ある程度我々の理論的努力について触れるべき最後の論点である。我々が説明しようとする考え方およびモデルは、現在我々が検討している研究領域である。したがって、我々の議論は必然的に上で示した研究よりもいくらか完成度が低い。
収縮状態の核が格子とエネルギーを交換する能力は、上で行ったこの議論の中で確立されたものとする。すると、関連する疑問は、重陽子(またはプロトンと重陽子)が分子状態から収縮状態になることをどのように整理するかである。無論この論点は、格子共鳴群法および関連する結合チャンネル方程式内で数式的に触れられ、いかなる問題の解析も方程式の解を考察することによって導かれる。
しかし、我々はモデルが何であるか、さらにどのようにこれが起きるかについての直観を求めている。我々は、最近、この領域で思い違いをしていたことが明らかになったので、ここで論じる価値がある。過去数年間の我々の直観は、分子状態に関する確率分布を上述の交換相互作用によって小さな半径で修正することができるというものであった。我々はこれが真実であることを証明したが、不運にもそれは十分であるようには見えない。
複雑な多体問題を理解するには、物事を単純に理解できるように、通常、関連する物理学を含む単純な類似モデルが好んで使用される。この場合、局部の分子状態を一次元のポテンシャルの谷で置き換えることによって、都合の良い類似が構築される。
He分裂によるソース項は交換ポテンシャルとして近似でき、
Figure 2006515669
が導かれる。式中、V(x)は一次元の等しい分子ポテンシャル、
Figure 2006515669
である。
我々は、f(x)を原点の近くに位置するデルタ関数とした。ゼロ反応の強さは定数Kでモデル化される。これは上述の図3に示されている。この類似モデルの問題は容易に解ける(図4参照)。結合定数Kが小さいとき、解は、原点近くの局在化状態からの少量の混入物を含む谷の結合した状態に非常に近い状態からなる。関連する直観は、重陽子がその時間の一部を分子状態で過ごし、一部を局在化状態で過ごすことである。我々は、局在化した成分が、ヘリウムの分裂から生成されてトンネル効果によって分離する近距離の重陽子からの寄与によるものであると連想する。我々は、この基本的な論拠が、交換が2個の重陽子状態で起きるか、または局在化したp+tまたはn+He状態で起きるときに適用されることを特記する。
我々はこのボックスモデルを用いて、収縮状態と分子状態の等価との間に正確な共鳴のある条件下で、分離のレベルを予測した。基本的な考え方は、共鳴下で、収縮状態と最大に混合した谷の基底状態とが2つの状態、すなわち、1つは2つの状態が同相で重なり合う状態、もう1つは2つの状態が異相で重なり合う状態、を創出することである。したがって、2つの状態の問題に関連する動力学は、2つの状態の間を分離するエネルギーによって制御される。最初に系が谷の結合状態で準備されれば、系は収縮状態と局在化状態との間を振動するであろう。よって、振動速度は分離するエネルギー・レベルによって決まる。
我々は、DARPAの最終報告で発表したように、分離レベルを正確に解析的に計算した。結果は複雑であるが、本質的に、
Figure 2006515669
の形である。式中、e-Gはトンネル効果に関するガモフ因子であり、v0は近距離のポテンシャル強度である。この種の共鳴は、
Figure 2006515669
のGolden Rule計算(原点近くのポテンシャルが非干渉性過程に関与したと仮定して)から予測されるよりもトンネル効果の割合を大きく向上することが可能である。e-Gとe-2Gとの差は、ポテンシャル障壁が厚く高い場合には大きくなる。
我々は、Dの放射状の分子ポテンシャルの場合について同様の計算を検討した。この場合、我々はポテンシャルV(r)としてFrostとMusulinの経験的ポテンシャルを用い、放射状のSchroedinger方程式、
Figure 2006515669
を研究した。
我々は、付随するエネルギー分離、したがって共鳴下の動力学を理解するため、局在化状態と分子の基底状態との間の共鳴する条件下で解を計算した。我々はrの異なる配置について計算を行い、各場合において共鳴条件を最適化した。この種の数値計算は数値的な正確さに制限があるが、尺度は図13の結果から明らかである。結果は、等価のボックスモデルについての解析結果の見地から驚くことではない。
結果は、
Figure 2006515669
程度のエネルギー分離に一致する。式中、vは交換ポテンシャルの位置でのクーロン・ポテンシャル程度である。図13は、I=13.6eVの単位の基底状態ネルギーと一致する局在化状態について、共鳴下でのエネルギーの分離を示している。分離位置の値は、Bohr半径a=0.529オングストロームの単位で与えられる。
分離エネルギーは、(10)(10−37)=10−32eV程度に見える。これは、良い知らせでもあり悪い知らせでもある。良い知らせは、付随する周波数がO(10−17)秒−1程度であることであり、これはトンネル効果の過程のいかなる可能なバージョンよりも速い。悪い知らせは、この種の共鳴状態メカニズムに伴う実際的な問題が極めて多いことである。例えば、我々は2つの状態が分離の程度のエネルギー内で共鳴していることを必要とするであろうが、これは問題である。最も速いRabi振動速度を達成するには、目標状態の確率が時間の二次式であるので、長い間待たなければならない。また、これらの全ての問題がなんとか打破されたとしても、この種の可干渉性遷移を実施するのに対応する長い位相ずれの時間が必要である。
上の議論は、以下に続く議論の中で我々にとって興味深い、ある種の問題の態様を明らかにする。第1に、可干渉性過程は、特にe-Gとe-2Gの差が数倍の大きさであるとき、非干渉性過程よりも劇的な反応速度の向上を達成できることである。本議論の文脈内で、非干渉性メカニズムは、実験で主張された数十倍の大きさ内の反応速度をもたらす可能性がないことは明らかである。したがって、いかなるメカニズムが議論されようとも、他にいかなる可能な手法もないので1つまたは他の可干渉性遷移を含む必要がある。
これは、格子共鳴群法から導いた多部位モデルにおいて、いかなる種類のモデル、およびいかなる種類の物理学に焦点を合わせるべきかを考えさせる。上の我々の多部位モデルの議論は、二水準系に関して可干渉性効果をモデル化するのに馴染み深いので、ディッケ代数を使用することに基づいている。しかし、分子状態から収縮状態への重陽子の遷移の問題に触れる上で、基盤となる二水準モデル(two-level model)は働きそうにない。代わりに、ディッケ代数の三水準(three-model)の一般化に基づくもっと複雑なモデルが必要である。この一般化に伴う数学は、最近MITにおいて進行中のI.ChaudharyのPhD論文の研究努力の一部として考察され、この場合のディッケ状態の一般化は、上部状態および下部状態の占有を等価に定義するディッケ代数と同じ多粒子のマトリックス要素へ導く。これは文献で入手可能な結果であると思われるが、参照文献はまだ明らかになっていない。
これは、我々が、我々の解析技術および我々の洞察力をもっと複雑な多部位モデルに適用することができ、それらの特性を理解し始めることを意味する。この種の最も単純なモデルは、分子状態の重陽子の最初の粒子数を仮定し、ヘリウム原子の最初の粒子数を仮定し、収縮状態の占有が最初はないと仮定するモデルである。最も単純なこの種の可能なモデルは、単一分子状態、単一の収縮状態、各部位に付随する単一のヘリウムの最終状態、および高度に励起したフォノンモードとの均一な相互作用しか仮定しない。損失項のないこの種のモデルのハミルトニアンは、
Figure 2006515669
と書くことができる。
このモデルにおいて、EHe(基底状態のヘリウム)、Ecom(収縮状態)、Emol(分子状態)のエネルギーを有する3つの状態がある。高度に励起したフォノンモードは、以前のように、単純な調和振動子であるとした。分子状態から収縮状態への転移は、トンネル効果因子e-Gで抑制される相互作用でモデル化されるが、さもなければ上で論じたフォノン相互作用モデルによるフォノン交換を含む。収縮状態とヘリウム状態との間の転移は、前に我々が行ったようにしてモデル化される。
このモデルは、自由ニュートロンを含む収縮状態の場合の好ましいフォノン交換から得られる結合メカニズムを実施し、論じているフォノン交換メカニズムの運動量を最もよく理解することと一致する。
記載されているように、部位、核、およびフォノンの数が大きいとき、三次元形態の空間に付随して異なる状態の間の結合に存在する非常に高度の対称性があるので、三水準モデルのハミルトニアンにはさほど興味がない。これは、前に論じたディッケ・モデルの場合に達した結論と同じである。
多部位の二水準モデルに基づいて、我々はフォノン性エネルギーおよび核エネルギーの有用な交換を構成するために損失を含む必要があることを知っている。新しい三水準モデルはこれらの相互作用については同じなので、モデルの挙動が同様に同じであることが予測される。減衰期間は関連する固有エネルギー値よりも低いエネルギーを有する状態で非常に速く、損失がヘリウム状態と収縮状態との間の関連するディッケ数において非常に非線形であることを意味する。これは対称性を壊し、我々は、フォノン交換が収縮状態を安定化するだけ十分大きいときで、収縮状態とヘリウム状態の数がフォノン可干渉性ドメイン内で10またはそれ以上大きいときに、nおよびM12に展開する確率分布(ヘリウムと収縮状態レベルとに伴うディッケ数)を見る。
この点に関して、このより複雑なモデルの動力学には明らかに妥当性がある。分子状態がモデル内で収縮状態へ遷移を行うとき、収縮状態は、やや有効な転換過程に対応して核エネルギーをフォノンエネルギーへ急速に転換することが可能である。上述のように、トンネル効果の因子がそれらの遷移を抑制するので、難しいのはこれらの遷移を最初に構成することにある。
このモデルには、我々が以前の議論では注意を払わなかった他の効果がある。このモデル内の分子状態と収縮状態との結合は、分子状態の占有並びに収縮状態の占有の両方があるならば、ここではディッケ強化因子を有する。したがって、最初の分子状態から収縮状態への遷移が起きる前の、収縮状態の占有は重要である。
この意味は、モデル内の分子状態と収縮状態との結合が収縮状態の占有に依存することである。したがって、最初に収縮状態の占有がゼロであるモデルは、分子状態から収縮状態への粒子の最初の転移が遅くなろう。しかし、ヘリウムから収縮状態への遷移は非常に速いので、ヘリウムを含む遷移のためモデルは最初の粒子数を急速に確保するであろう。したがって、最初にヘリウムが存在することで、収縮状態の占有を確立することによって分子状態から粒子数を引き出すことが予測される。
モデルのこの特徴は、結局我々が、重水素化金属中にHe(または同じように、重水素化金属と水素化金属の混合物中のHe)が最初に存在することを必要とする要点である。
無論、上で概説したモデルから可能な代替の結合がある。我々は、分子状態とヘリウム状態との間の遷移を代わりに指定し、
Figure 2006515669
の形のハミルトニアン・モデルを導くことができたであろう。このモデルでは、分子状態の重陽子と基底状態のヘリウムとの両方が存在するため、ディッケ強化因子は最初に存在するであろう。両方の種類の遷移を含むより複雑なモデルが可能であり、さらなる研究によってどちらがより実験に直接関連があるかが明らかになろう。
我々は、最初に重水素化金属のヘリウムでの因子供給をすることは、この種の異なるモデル全てにおいて有益であることに注目する。我々は、これらのモデル内でディッケ因子が起きるためには相結合が必要であることに注目する。ヘリウムと収縮状態との間の急速な遷移はこの点で役立つが、分子状態が占有する均一な相がない。したがって、ディッケ因子は単独に状態占有に基づいて希望するものよりも少ないであろう。この問題はまだ解析されていない。
我々は、これらのモデルから反応速度の予測の開発を考え始めることができる。直観では、ヘリウム状態と収縮状態との間の急速な遷移が、これらの状態に付随するフォノン数とディッケ数の確率分布の配分を急速に確立するであろうということである。我々は、これを損失項の鋭い非線形性によって“押され(pushed)”た、三次元中の二次元における“堅固な(stiff)”分布と考えることができる。したがって、確率分布の動力学に伴う速度制限効果は第三次元中の遷移に伴うものであり、特に分子状態から収縮状態への遷移に伴うものである(または適用モデルに応じて、等価にヘリウム状態へ)。モデル中のこれらの遷移に付随するマトリックス要素は、
Figure 2006515669
であり、式中、ディッケ因子NDickeは、存在する収縮状態の数と高度に励起したフォノンモードの可干渉性ドメイン内に存在する同相の分子状態の重陽子数の積の平方根程度である。
この結合に関連する動力学は、系の量子状態の位相ずれに関連して決定される。これらの状態の位相ズレの速度が、
Figure 2006515669
で除した結合マトリックス要素によって決定される周波数よりも速ければ、速度は黄金則によって決定されるであろうが、これは観察可能な遷移が起きないことを基本的に意味する。位相ずれがこの速度よりも遅ければ、遷移は関連する配置空間における確率の大きさの広がりに伴って進むであろう。
これは、
Figure 2006515669
程度である。
分子の問題について、我々は、
Figure 2006515669
を予測し、PdDについては、低エネルギーdd融合の断面測定に基づけば多分より大きな数字が予測できよう。これは、分子状態の割合をどのくらいの大きさに仮定するかによって、ディッケ因子単位で立方センチメートル当たり、1〜10反応/秒程度に相当する。10〜1012の範囲のディッケ因子は、これらの種類のモデルから可能な範囲内に十分入っていると考えられ、観測に従う反応速度の予測の総計に導く。我々は、大きなディッケ因子の生成は、異常生成物の不規則なバーストに伴うものであり、多くの観察と定性的に一致することに注目する。我々は、生成物のレベルの変動は、熱生成の場合に約3倍程度の大きさのレベルで観察され(検出器の能力で制約を受ける)、トリチウムと高速粒子生成に伴って6倍程度の大きさで観察されたことを特記する。これらの観察をディッケ・バーストの意味に解釈すれば、今までに見られた付随するディッケ数は10程の大きさであり、ここで説明した種類のモデルと一致する。
本明細書の基本的推量は、論じているモデルがここで説明した可干渉性の限界内で大きく働くと仮定して、モデルの定量的な結果が重水素化金属に観察された多数の異常と定性的に一致することである。関連する位相ずれが速く、Golden Ruleの速度が適用されるならば、このモデルは観察できないほど十分遅い速度を与える。我々はこの量子系における位相ズレの問題にいくらか研究を振り向けた。基本的な観察は、ここで説明した非常に速い結合による以外、収縮状態(特に磁気相互作用さえ持たないスピンゼロ状態)が相互作用するのは極めて困難なことである。結合が確立されたならば、個々の分子状態が破壊されてもまた拡散効果が含まれても、それが維持されるのには良い理由があるように思われる。基本的な論点は、平均して、重水素化金属の微視的または巨視的な容積中に、分子状態の重陽子が総数で非常に同量に近い量残ることである。さらに、我々は分子状態の部分集合だけが所与の時間関与すると仮定するので、相の妨害が起きれるなら、収縮状態とヘリウム状態との必要な相関係を有する、平均して常に同様の数の他の分子状態の種がある。将来の研究はこの類推に光を当てるであろう。
格子中の核反応は最初から格子を含まなければならないという最初の公式の前提は、非常に強烈な物理的主張である。数年にわたって、我々はこの最初の物理的主張の結果として生じたモデルを系統的に研究する試みを行った。研究の過程の中で、我々はモデルの多くの態様を開発することができ、新しいモデルが提起した多くの物理的論点の態様を理解することができた。我々は、多くの実験の多くの特徴がモデルによって理解され、モデルに関する予測能力の確立が始まったことを見出した。モデルは僅かに過去5年間で、関連する物理学、モデル化、または複雑化における各々の改善に伴い改善されたに過ぎない。これは以前の多数のモデルにおいては真実ではなく、これはその多くが詳細にわたって正しいことを我々に確信させた。概説したように、モデルの異なる部分には不確実なところがあるが、我々はやがて解決されることを期待している。
いずれにしても、重水素化金属、および重水素化金属と水素化金属との混合物における過剰熱の開発に必要なモデルの予測は明確である。金属格子内の分子状態Dが必要(または、p+d反応の場合はHD)であり、多いほどよい。安定な収縮状態を形成するため、フォノン交換の計算から続いて、100fmまたはそれ以上の程度のレベルで空隙のヘリウムを動かす少なくとも1個のフォノンモードの強い励起が表われる。反応速度を高めるためには、ヘリウムが必要である(d+d反応ではHe、p+d反応ではHe)。核とフォノンとの自由度の間でエネルギーを効率よく交換するためには、フォノン結合ドメイン内に少なくとも10個程度の収縮状態およびヘリウム種が存在する必要がある。これらの制約を満たすデバイスは、このモデル内でエネルギーを生成することが予測される。モデルの必要事項から本特許に説明される発明が続き、大部分は、考察している物理学のいくつかの領域に関する広範囲の実験観察によって支持される。
[実施例]
添付図面は本発明を実施するための装置、システム、方法を最もよく示している。これらの図面中の同じ参照数字および名称は同じ要素を指す。
一実施形態では、上の過程を実施して空孔を増加した金属格子構造を形成する。より詳細には、水素の導入がある。水素化金属は、水素を貯蔵や輸送するための運搬手段として長い間探求されてきた。高圧および/または低温を用いて水素ガスを(液化するために限度まで)圧縮するよりも、金属格子中に水素を貯蔵する利点には、貯蔵容積効率の向上、安全性の増加、潜在的な低コスト、小さなまたは中間サイズの装置で利用できる便利さがある。水素化金属も本質的に純粋な水素の源でもあり、多くの用途において、このようにして貯蔵されたガスは、さらに精製することなく使用することができる。
高純度の水素に対しては、半導体製造から微細金属粉の調製に到る化学過程への使用が増加している。また、固定発電機および可搬原動機に伴う二酸化炭素放出の割合を低減する手法として、水素燃料電池および水素内燃機関にも注目が向けられている。両方の技術(燃料電池および水素内燃機関)では、この必要性を満たすための開発が急速に行われている。両方の開発は同時に生じる水素貯蔵に必要なものよりもはるかに進歩している。
この必要性を認識して、様々な産業および政府機関は、産業的な水素のインフラストラクチャーを確立する道筋の明確化、水素貯蔵のための新しい材料と手法を開発する科学的プログラムの確立、水素原料政策の開発へ向けた研究を急速に進めている。
水素貯蔵用の適切な金属合金を製造するために多くの努力が払われてきた。これらの系は通常比較的高価な複数成分の合金である。コストの問題に加えて、これらの合金は、重量的には貯蔵能力が比較的低く一般に1〜2重量%であり、繰り返しサイクルで機械的に損傷を受けて系の完全さを損なってしまう。もっと最近では、多数の炭素材料の水素貯蔵特性が研究された。いくつかの場合には印象的な貯蔵能力が主張されたが、これらの値は高圧(100気圧を超える)でしか得られなかった。さらに、水素の脱着に高い温度が必要である。
水素貯蔵に適切な材料を選択するには、いくつかの論点が重要である。すなわち、容積的および/または重量的な水素貯蔵能力(容量)、要求サイクルに匹敵するまたは過剰の速度で水素を貯蔵し放出する容易さ(動的能力)、多数回のサイクルおよび高速のサイクルに対して重大な材料劣化なしに耐える能力(耐久性)、所望の動作点の近傍での比較的少ない温度および/または圧力変化で、要求に応じて水素を吸収し放出する能力、低コスト、低毒性、本質的に高い安全幅である。
これらの制約は、通常見出される相での全ての既知の材料と合金を実際上は除外してしまう。代替の手法はFukaiの研究から示唆されている。すなわち、極めて高い圧力と温度を用いて、Mo、Ni、Pd、および他のfcc(面心立方)金属に高空孔相を生成し、その空孔が非常に高い化学ポテンシャルの吸収された水素の存在によって安定化された。Fukaiによって行われた上記の実験は参照により本明細書に組み込まれている。Fukai Y. and N.Okama、Formation of superabundant vacancies in Pd hydride under high pressures、Phys.Rev.Lett.、1994、Vol.73、1640頁。
“Fukai”相の重要な特性は、
1) 高い空孔含有量による高い水素貯蔵能力(ホスト格子で原子比1:1を超える)、
2) 一緒に新しいより熱力学的に安定な層を形成することによる、高い空孔および高い水素含有量の熱力学的な安定化、
3) 欠陥の多い格子相中における水素の向上した移動性、
である。
これらの利点によって、通常の相では動的能力の乏しい水素貯蔵材料である、比較的安価で安全で非毒性の金属(Niなど)を、高い動的能力で高効率の水素貯蔵材料へ変換することが可能になる。しかし、この目的を達成するためにFukaiが利用した手法は、世界で2、3台の高度に専用化された設備によってしか得られない水素圧力で、金属の空孔を拡散するのに十分な期間(多くの時間または日数)高温を用いる必要があるので、商業的な用途において実際的ではない。
本発明のこの実施形態は、水素貯蔵要素として使用するのに適した、空孔を安定化した水素化金属相の生成に使用することができる。図14〜16は本発明のこの実施形態をさらに詳細に示している。さらに詳細には、図14は空孔を安定化した水素貯蔵増強材料を示している。Aは規則的な格子構造中に配置された金属原子を表し、Bは規則性格子構造に誘起された空孔(金属原子および/または複数の原子がない)を表す。Cは、規則性格子構造中の金属原子間の空隙空間Dを占有する水素原子である。
本発明では、1個以上の水素原子Cを空孔B内に蓄積できることが意図されている。水素Cの存在は空孔を安定化し、向上した水素貯蔵材料を生成する。
図15は、金属塊Aの水素充填を示している。図15では、金属Aは金属原子の規則性アレイを含む。水素原子Cは外部の水素源Fから金属塊Aの中へ導かれる。金属に水素が充填されると次に金属は照射される。図16は水素が充填された後の金属の照射を示している。図16では、金属塊Aが照射ビームIで照射される。照射ビームIは金属塊中に空孔Bを創出するのに十分なエネルギーの粒子(例えば電子)で作られる。また、空孔を増加させたホスト格子構造を作るという望ましい結果を得るために、時間または温度も用いることができる。金属塊A中に充填された水素原子Cは空孔Bに入り、空孔を安定化する。
この方法は、水素と重水素の両方で働く。化学的エネルギーの用途では水素が好ましく、核エネルギー用途では重水素または重水素と水素の混合物が好ましいであろう。金属の電子ビーム照射は、格子金属原子がエネルギーと運動量とを付与されてそれらの通常の規則性部位から動くので、空孔の形成をもたらす。水素がないと、それらの空孔が高い格子エネルギーの状態から“回復”する傾向にあるので、このようにして形成される空孔の濃度限界は0.1%〜0.2%程度しかない。しかし、空孔がないと、水素は大部分の金属格子中で移動性が小さい。注目される例外は室温のFeおよびPd、および200℃を超える温度のNb、Ta、V等である。これらの金属では、特定の温度領域中で、金属に水素を予備充填し、次いで後続の電子ビーム照射によって、空孔を増強した高い水素相を達成することができる。一般に、空孔を増強した水素貯蔵の高い大量の金属を生成するには、交互にまたは同時に金属を水素露出と電子ビーム露出で処理することが必要である。
水素処理の温度と圧力は、これらの金属の知られた水素拡散係数から金属ごとに計算しなければならない。最初の材料処理で望ましい相を生成するには、比較的高い流束での電子ビーム照射が数分から数時間の間必要である。照射線量は、0.1〜5MeVの範囲の電子エネルギーを用いて1017/cmまたはそれ以上でなければならない。金属中に放射性を誘起しないように、より高いエネルギーは回避しなければならない。ホスト格子構造中に、0.25%から25%までの空孔濃度を得ることができる。
空孔を安定化し向上した水素貯蔵材料は、現在水素が使用されまたは製造されている全ての用途における、既存の金属、カーボンおよび圧縮水素貯蔵法よりも有利に使用することができる。
1) 化学産業(有機水素化/脱水素化、化学還元、金属洗浄、微細金属粉の製造、腐食制御、半導体加工)
2) 電力発生(水素内燃機関または燃料電池による静止および施設電力発生、自動車の可搬電力(電気ハイブリッドまたは内部燃焼)、量販車、機関車、または船舶)
3) 携帯電力(携帯式コンピュータ、計器、表示、通信装置、電動工具用の小さな燃料電池と共に使用される)
また、本発明のこの実施形態の利点に関して、注目すべきいくつかの重要な点がある。
1) 金属中の空孔の存在は水素貯蔵能力、水素貯蔵速度および放出速度を増加させる。
2) 水素の存在は、通常起きるよりもはるかに大きなレベルで空孔含有量を安定化する。
3) 構造の熱力学を正確に調整することによって、所望の動作点周辺の物理条件を少し変化させることでHの吸収と放出を活性化することのできる相を創出できる。
4) 安定化した空孔を予め存在させることによって、さらなる材料劣化に対して複合金属構造を効果的に安定化できる。
5) この方法を用いて、我々は、現在熱力学的または動力学的に水素貯蔵の能力に限界のある、安価で便利な馴染み深い安全な材料を、既知の材料よりも優れた特性を有する水素貯蔵材料に変換できる。
構築方法は、ヘリウム因子供給(seeding)、表面封止、フォノン刺激を必要とすることを除いて、核用途で熱生成要素を形成するのに用いるものと同じである(Dの代わりにHを使用することも注目されたい)。
本発明の他の実施形態において、空孔を増強した水素および/または重水素貯蔵材料にヘリウムを加えることによって、追加の有用性を備える他の貴重な材料が生成される。より詳細には、ヘリウムが供給され、空孔が増強され、水素および/または重水素が充填された格子が、本特許に記載されたエネルギー放出方法の実施例に重要である。
ヘリウムは、水素充填および空孔創出ステップの前、後、または間に格子中に導入することができるが、実際的に考えると、ヘリウムは水素充填および空孔構築の前に格子中に充填するのが最も安易で効果的である。ヘリウムはいくつかの方法によって格子中に充填することができる。
1. ヘリウムの存在する雰囲気下でホスト格子材料を作る。
2. 高温でヘリウムを拡散する(本特許で論じている)。
3. ヘリウムイオンの注入(本特許で論じている)。
雰囲気中に5.5ppm(parts per million)のヘリウムがあるとすれば、大部分の金属中には自然に10−10〜10−8のヘリウム原子の原子密度が生じる。大部分の金属が作られるときには、ヘリウムの濃度は制御されず痕跡程度の量しか存在しないであろう。したがって、本発明の利点は、ホスト格子構造中のヘリウムの濃度が制御されることである。その結果、10−7またはそれ以上のヘリウムの原子密度を有するが、好ましくは10−5程度である(明確にするために、原子密度10−5とは、ホスト格子の100,000原子ごとに1個のヘリウム原子があることを意味する)。
図17a〜図17eは、本発明の一実施形態によって、重水素化金属中に生成するエネルギーを示している。図17aでは、重水素(D)25とヘリウム(He)27が、ホスト金属構造31の原子格子中の空隙部位26、28中に充填される。原子格子中の空孔33は分子状重水素を形成するのに十分な空間を提供する。
本発明では、ホスト金属構造が、Pd、Ni、Pt、Rh、Ru、Ti、Nb、V、Ta、W、Hf、Zr、Mo、U、Sc、Mn、Co、Zn、Y、Zr、Cd、Ag、Sn、および他の合金および複合材料などの金属の使用を含むことを意図しているが、これに制限されない。
例としてPdを使用するならば、Pdは、直径50〜125μm、長さ3〜30cmで99.5%〜99.9%の範囲の高純度(しかし最高ではない)のものである。
ヘリウム−4(He)は、10中に1部の原子比までPd格子中に導入される。Pd中に通常見られるHeのレベルは、1cm当たり約1010原子である(ほぼ1013中に1原子、または好ましい値から8次数小さい量)。本発明が意図するPd中に所望のHeの濃度を得るための例は、以下の通りである。
1) 高温拡散−図17gは高温でヘリウム雰囲気Fを維持することの可能な圧力容器Eを示している。fcc金属中のヘリウムの拡散は活性化エネルギー、ほぼ0.5〜1.0eVで活性化された過程である。Pdでは、十分な拡散がワイヤの微小構造と寸法に応じて500〜950℃の範囲で達成できる。Fはヘリウム雰囲気(D+Dに対してはヘリウム−4、H+Dに対してはヘリウム−3)を示している。Aは金属塊を表す。ヘリウム原子Gは金属塊中へ拡散する。ヘリウムの予備充填は圧力容器中でワイヤを高温のヘリウム・ガスに露出することによって得られる。圧力、温度、および時間の条件は各金属のロット、および直径に対して調節されねばならない。
2) ヘリウムイオンの注入−イオン化したヘリウムビームのイオン電流、時間、およびエネルギーを変化させることによって、知られた量のHe原子をPdの表面から知られた深さに注入することができる。図17hはヘリウムの予備因子供給(seeding)、ヘリウムイオンの注入を示している。図17hにおいて、金属塊AはビームIによってイオン化されている。結果としてヘリウム原子Gが金属塊中に注入される。
Pdでの重水素の平均充填は0.85以上である。図17iは金属塊Aへの充填を示している。図17iにおいて、重水素、水素、または混合源Jが導入され、次いで重水素および/または水素C原子が金属塊A中に入るように導かれる。重水素および/または水素の充填は知られた電気化学技術によって高レベルに達成することができる。それらの充填を得る好ましい手法は、Pdワイヤカソードで重水(DO)または重水素化アルコール(例えば、CDOD、CHOD、COD、COD)の電気化学的還元による。Pd中への重水素の電気化学的充填は以下のようにして達成することができる。
1) 高純度のDO(抵抗率>10MΩcm)に10−5M濃度まで溶解した硫酸ストロンチウム(SrSO)を使用することを含む電解質中の、雰囲気温度近くでの電気分解を用いる。PdD構造の抵抗が軸方向に測定して最小になる最大のD/Pd充填を達成するためには、カソードの電流密度は10≦i≦250mAcm−2の範囲に変化させる必要があろう。
2) 手順1においてDOの代わりに重水素化アルコールが用いられる。アルコール電解質は2つの利点を提供する。すなわち、(a)アルコール電解質は精製(例えば蒸留によって)がより容易であり、充填に有害なカチオン含有の濃度が低いことと、(b)アルコール電解質の低い凝固点のために電気分解温度を下げることができ、高い充填状態を得るために熱力学的に好ましいこととである。より低い温度および実質上より低い電解質の導電率で、充填過程での動的能力およびカソードの電流密度の到達可能な範囲は、水性よりもアルコール性電解質においてはるかに小さい。しかし、1)については、最大の充填状態を達成するために、充填を監視しながら電流密度を調節しなければならない。
必要な高い重水素の化学ポテンシャルを得るためには、電気化学的充填過程に用いられる電解質、アノード、セルの壁、または付属部品から誘導される不純物を避けることに、通常よりも注意を払う必要がある。必要なレベルの充填を得るのに適していて互換性があると判明した材料は、Pt、Teflon(登録商標)、石英、Pyrex(登録商標)等である。これらの材料の各々は、使用の前に徹底的に洗浄しなければならない。不純物の除去を確実に達成できないので、電解質の純度は電気分解ごとに必ず低下する。したがって、充填は、1)電気化学的に活性な表面での高い電気化学ポテンシャルの状態から起こるPd格子の中へのD原子の放射状拡散と、2)電解質中に溶解または懸濁した化学種の放出による表面の汚染との2つの逆速度(opposite rate)の過程によって妨害される。重要な結果として、最大充填状態が一過性になることである。したがって、本発明は、この過程と次の過程の間の適切な移行時点を判断するために、D/Pd充填を監視することを意図している。充填を監視する一例は、4端子抵抗測定によるものである。
充填に有害なPd表面の汚染も、製造、輸送、前処理、および電気化学セルへの装着の間には避けることができない。汚染は、電気化学充填を始める前に表面洗浄および前処理によって除去することができる。Pd表面の汚染除去の一例は、ワイヤに高い電流密度で軸方向に電流を流すことである。電流密度は、Pdワイヤが鈍い赤色(dull red)の加熱(600〜800℃)温度まで十分上昇するように計算または調節しなければならない。Pdの電気的活性表面から有害な化学種を完全に除去して金属塊の好ましい再結晶化を行うには、この処理を僅か数秒行い繰り返す必要はない。
本発明は、所望の最大充填状態が得られたら直ちに、D原子がPdD表面から脱出するのを遮断することによって、系を安定化すべきことを意図している。本発明は、PdD表面の封止方法を以下のように意図している。
1) 10−5Mの硫酸水銀(I)(HgSO)を電解質中へ加えることによって、PdD表面にアマルガム表面を形成すること。図17jはホスト格子構造Lの封止を示している。図17jでは、充填された重水素化金属および/または水素化金属Lは、重水素化金属の表面で重水素原子が再結合するのを防止するように設計された薄い層(例えば水銀)Aで被覆される。これは重水素の脱出を防止する。任意選択的な異なる材料M(例えば銀)のコーティングは、重水素化金属の長期貯蔵の取り扱いにより適している。封止に使用する他の材料の例には、Pb、Cd、Sn、Bi、Sb、および亜硫酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、過塩素酸塩の少なくとも1つのアニオンが含まれる。表面封止を用いることによって、水銀イオンはカソード表面上で急速に還元されて原子になってD−D原子の再結合を効果的に阻害し、したがってD原子がPdホストからD分子として放出されることを防止する。このステップは、印加されたカソード電流の停止に続いて抵抗の上昇(Dの損失の徴候)が起こらないように、PdDの軸方向抵抗を監視することによって最も効果的に行われる。
2) 電極を液体窒素中に直接移動すること。PdD中のDの拡散係数は77Kで大きく低下し、電極の放射方向の寸法に応じて数時間から数日の期間、構造を動力学的に安定化する効果がある。
本発明は、金属ホスト中の有効な空孔の数を増加できることも意図している。例えば、PdDホスト金属中の空孔の増加は、金属に照射損傷を与えて格子のPd原子に動力学的なエネルギーと動きを付与することによって達成することができる。原理的に、十分な強度の放射線、例えば、電子ビーム照射をこの目的に用いることができる。輸送中およびサンプルに電子ビームを照射する間、重水素原子の充填を保存するために、充填されたワイヤは液体窒素の温度(77K)またはそれ以下に保たなければならない。
図17bでは、光フォノン場35がホスト格子構造31に加えられる。光フォノン場35は異なる部位26、28で反応体を結合させ、ホスト格子構造31中での共鳴反応の発生を開始させる。
フォノン場は刺激源を使用してホスト格子31に加えられる。ホスト格子構造31は刺激されて、核反応(D+D)とヘリウム(He)生成とを介する熱発生効果を示す。刺激は、適切なモードの格子フォノン振動を励起することを含む。それらの刺激をホスト格子構造に与えるには多くの方法が可能である。例えば、ホスト格子構造の刺激は、化学ポテンシャルの急峻な勾配を横切って(across)格子の重水素原子を流動させること(電気化学的モード)、高電流密度で電子を流す(“Coehn”効果)こと、強い音響刺激(“音響融合”)、格子破壊(“破壊融合”)、または表面レーザ刺激(“レーザ融合”)によって達成することができる。本発明は、ホスト格子構造を、以下のようにして効果的に刺激することができることも意図している。
1) 表面パワー強度>3Wcm−2を持つ波長範囲の赤色レーザ・ダイオードを使って表面を刺激すること、
2) うなりレーザ(Beating Laser)、
3) テラヘルツ周波数範囲のレーザで表面を刺激すること、
4) 10Acm−2よりも大きな電流密度の、直流および交流電流(dcおよびac)およびパルス電流の両方を用いる軸方向の電流刺激。
図17cにおいて、1つの部位26で分子状重水素25が融合してヘリウム37になり、それによってエネルギー39を格子構造31中に放出する。他の部位28で、ヘリウム27は分裂して、部位28内に低エネルギーの重陽子対41を形成する。分子変換からの放出エネルギーの一部は金属格子31で失われ、熱エネルギーとして現れる。
図17dにおいて、図17a〜図17cで論じたサイクルが自動的に繰り返される。1つの部位28で作られた重水素対41はヘリウム43に戻り、それによってエネルギー39をホスト格子構造31に注入する。このエネルギー39の付加は他の部位26の中のヘリウム原子37を低エネルギーの重水素対45に分裂させる。再び、分子変換の結果として作られたエネルギーの一部は金属格子31で失われ、熱として現れる。
図17eは、図17a〜図17dで上に論じた振動過程を多数回繰り返した後、系は停止に戻ることを示している。停止中は、元の重水素分子25はヘリウム原子47に変換されている。同様に、元のヘリウム原子27は、ヘリウム原子49に変換されている。ホスト格子構造10に吸収されたエネルギーは23.8MeVである。
効果の証明は、準備された金属ホスト中の温度上昇の測定である。例えば、Pd金属ホスト構造中の温度上昇測定である。それらの測定は、熱量測定法(システムの全熱流束を測定する)によるか、単純に局部の温度上昇を監視するかの多くの方法で行うことができる。効果の証明は刺激に応じた局部的な温度上昇を観察することによってより容易に行われるが、本発明が意図しているエネルギー過程効果を証明する他の例は、以下の通りである。
1) 選択した刺激手段に応答するにつれた、金属ホスト温度の非接触式造影。0.1℃よりも良好な温度解像度が熱造影装置で容易に利用可能であり、効果の証明を容易に信頼性高く提供することができる。
2) 質量の小さな(熱容量の低い)微小サーミスタまたは熱電対を用いる表面接触式温度測定。
3) 軸方向の抵抗測定。ホスト金属構造の抵抗の温度係数が正確に判ると、ワイヤの全長または監視される一区画の抵抗上昇の測定を、平均温度上昇を示すのに間接的に用いることができる。温度監視のこの方法は、方法“1”または“2”と一緒に利用するとき、この方法は間接的であるが平均の測定なので、おそらく最善であろう。
熱効果の証明の後、サンプルを取り出し、切断し、金属相中のHeとHeを分析しなければならない。この目的のために高感度で高解像度の質量分析計を使用することができる。Heレベルが増加したこと、またはHe/He比がその自然な値から変化したことのいかなる表示も、格子中で核過程が生じたことの証明に用いることができる。
(Pdを用いる試験と結果)
以下は、上記の反応過程の効果を確認するために用いた実験の一例である。本発明を実施し使用する“最良の実施形態”として設計した実験プログラムを遂行するために、プロジェクト・コバルト実験(Project Cobalt Experiment)3Aを行った。プロジェクト・コバルトは、理想的なプログラムが以下の複数のパラメータの最適化を含むであろうことを決定した。
・ 金属基板の組成。
・ 金属基板中へ重水素を電気分解で充填する速度、温度およびエネルギー(充填サイクル)。
・ 充填した重水素化金属の電気分解による刺激の速度、温度およびエネルギー(運転サイクル)。
・ 充填したMeDを刺激する間に共堆積した金属の組成。
・ 次の刺激を含む追加の刺激の使用。
・電気的な共堆積物。
・重水素化金属上へのレーザ衝突。
・静止磁場。
・交流の電気分解電流。
実験3Aは以下の構成であった。
・ 薄膜パラジウム(Pd)のカソード、ほぼ1cm(総面積、前面+裏面)。
・ 以下の条件で15日+10時間充填した。
・制御されない約12℃の環境下に保持した。
・1MのLiOD+DO溶液中で、50mA一定で電気分解した。
・750ガウスの静止磁場下に置いた。
・以下の条件で13日+9時間運転した。
・制御された40℃の環境下に保持した。
・6.9ワット一定で電気分解した。
・充填サイクルとは180°離れた位相の、750ガウスの静止磁場に置いた。
・ 薄膜金(Au)の二次アノード、ほぼ0.5cm
・ 追加の刺激は以下の構成であった。
・周波数677nm〜683nmで、90.1mA(ほぼ30mW)のレーザパワー。
・±200mWの交流電流。
Figure 2006515669
結果の結論は、Pdでの実験で、4日目(2002年11月29日)から50mW〜240mWの過剰エネルギーを生成し、金属の共堆積とレーザ刺激とに相関して9日間にわたって(2002年12月4日)継続したことであった。カソードの容積が0.00875ccであるとすれば、最大エネルギー密度は約28W/ccであった。この出力は、約50W/ccを生成するウラニウムの核分裂に十分比肩できるものである。瞬間的な過剰エネルギーを積分することによって計算された生成した過剰エネルギーの総量として、7Whを生み出した。セルの電気特性が、任意に求めた制御された閾値を超えたときに実験を終了した。図18は、上で論じた、上の実験から得られた過剰エネルギーをより明瞭に示す図である。
図19a〜図19eは、本発明による他の反応過程を示している。図19a〜図19eの反応過程は、水素を導入する以外は本質的に図17a〜図17eの反応過程と同じである。2つの過程の相違についてだけ詳細に論じる。図19aにおいて、水素と重水素(HD)55およびヘリウム(He)57がホスト金属61の原子格子中の空隙部位中に充填される。原子格子中の空孔はH+D分子が形成されるのに十分な空間を提供する。図19bにおいて、光フォノン場63が加えられて異なる部位で反応体を結合させ、共鳴反応を開始させる。図19cにおいて、1つの部位で分子状重水素はヘリウム67へ融合してエネルギー65を格子中に放出する。他の部位で、ヘリウムは近接して生じた水素−重水素対(HD対)69に分裂する。エネルギーの一部は金属格子で失われ、熱として現れる。図19dにおいて、サイクルは自動的に繰り返す。HD対はヘリウム73へ戻ってエネルギー65を格子中へ注入し、これは他の部位でヘリウム原子をより低いエネルギーのHD対71に分裂させる。再び、エネルギーの一部は金属格子で失われ、熱として現れる。最終的に、図19eにおいて、多くの振動の後に系は停止に戻る。元の水素−重水素分子55はヘリウム−3原子75へ変換された。これらの粒子間で5.5MeVのエネルギー差がホスト金属格子によって吸収された。
図20〜図23は、本発明による図17および図19に述べた過程の実際的な用途を示しており、電気化学的なセルに基づく加熱要素中の重水素化金属の使用を組み込んでいる。図20において、電気化学的なセルに基づく加熱要素78が示されている。要素78は、個別にまたは一緒に動作することのできるいくつかのセル83を含む。セル83は“指”の形状をとる。電気化学的なセルに基づく加熱要素78の各セル83は、各セル83の長さ方向に展延する電極80を有し、電解質82の中に浸漬される。セル83は水の沸点の上下で運転するように設計することができる。電解質82は、アノード79およびカソード81と共に各セル83の構築に使用された重水素化金属の分子変換を刺激する。本発明は、重水素化金属85が各セル83の電極80のカソード81部に使用されることを意図している。したがって、加熱されると、加熱要素78の各セル本体83の重水素化金属85中で、図17a〜図17eおよび図19a〜図19eに説明した分子変換が起き、これはセル本体83を加熱する。分子変換から生じた熱エネルギーは、セル83を熱伝導性流体84に浸漬することによってセル83から抽出される。各セル83からの熱は次いで流体84に伝導する。本発明は、電気化学的な実施形態が、約50℃〜150℃での用途を必要とする様々な産業的、商業的、住宅の加熱に使用できるであろうことを意図している。例えば、用途には、水の加熱、脱塩(例えば蒸留)、産業過程、および冷凍(例えばヒートポンプ)が含まれるであろうが、制限されない。
図21は重水素化金属を乾燥セルに組み込む本発明の実施例を示している。図21において、乾燥セル93は、個別にまたは他の乾燥セルと一緒に運転することができる。図21は、乾燥セル93の展開したバージョンを示しているが、完全に組み立てた形態では、乾燥セル93は“プラグ”の形をしている、すなわち、頂部96が熱伝導ケース95に固定される。始動コイル97は、乾燥セルを正しい運転温度にするために使用される電気加熱要素である。始動コイル97へのエネルギーは、乾燥セル93用の正しい運転温度に到達すれば取り除かれる。乾燥セル93は固体状態であり、水素化量子金属中に光フォノンを発生させるために電磁気照射(例えば、可視光または赤外、テラヘルツ源等)を使用する。例えば、図21において、レーザ・ダイオード98はレンズ101と共に乾燥セル93の水素化量子金属99に刺激を与える。水素化金属の刺激は、図17a〜図17eおよび図19a〜図19eに説明したように、水素化量子金属99中に分子変換を起こす。分子変換から生じる熱エネルギーは、熱伝導ケース95によって吸収される。熱は、プラグを液体またはガスなどの熱伝導媒体に浸漬することによって、熱伝導ケース95から抽出される。本発明は、乾燥セルが、およそ150℃〜250℃を必要とする様々な分配エネルギー発生の用途に使用できるであろうことを意図している。例えば、用途には、蒸気エンジン(例えばワット・エンジン)またはスターリング・エンジンが含まれるであろうが、制限されない。
図22は、気化加熱管に重水素化金属を組み込む本発明の実施形態を示している。図22において、気化加熱管92は高品質の蒸気を生成するのに使用される。より詳細には、充填された重水素化金属からなるワイヤ・コイル88は、コイル88を通過する電流の印加によって刺激される。図17a〜図17eおよび図19a〜図19eに説明したように、電流が、重水素化金属87中に、必要な分子変換を起こさせるのに十分であるかぎり、電流はACまたはDCとすることができる。分子変換から生じる熱エネルギーは、熱伝道管90によって吸収される。水89が熱伝導管90の一端を通って流れる。水89が加熱された管90を通って移動すると、水の温度は水89が管90の他の端で蒸気91に気化するまで上昇する。本発明は、気化過熱管の実施形態が、250℃〜500℃を必要とする様々な中央エネルギー発生の用途に使用できるであろうことを意図している。例えば、用途には、従来の電気施設用途(例えば、化石燃料、ガス、または核エネルギー源の代替)が含まれるであろうが、制限されない。
図23は、熱電気バッテリーに重水素化金属を組み込む本発明の実施形態を示している。図23において、熱電気バッテリー102は固体状態のデバイスであり、生成された熱から直接電気を発生する。熱電気バッテリー102のユニットは、1)充填された重水素化金属層と、2)熱電層との2層を含む。例えば、図23において、重水素化金属層104は内部の金属容器に充填される。熱電層105は容器を取り囲む。刺激源は、レーザ・ダイオードなどの光拡散または直接テラヘルツ源を備える半導体レーザ刺激体103であるが、制限されない。刺激源103は内部層(すなわち重水素化金属層)を活性化し、図17a〜図17eおよび図19a〜図19eに説明した反応に必要な光フォノンを創出する。電気は内部容器と外部筐体105の間の温度差を維持することによって生成される(例えば、冷却フィン、または冷媒への浸漬はデバイスの効率を向上させるであろう)。このデバイスは、一定の電気の流れを非常に長い期間発生することができ、エネルギーの生成および使用方法の革命であり、究極の製品の未来像であろう。説明した過程の極めて大きなエネルギー密度のため、このデバイスはたとえ熱から電気への変換効率が低くても非常に有用であり得る。熱電解バッテリーの実施形態は500℃〜1000℃の温度を要求するエネルギーの用途に使用することができよう。用途の例には、伝統的なまたは新規な半導体技術による熱から電気への直接変換、長く続く多量のエネルギー分配(例えば自己発電デバイス)、および携帯電子デバイスから輸送にわたる用途が含まれるが、制限されない。
本明細書には例示的な実施形態を詳細に説明したが、説明および図面は例示のためだけに提供され、形態および詳細の両方における他の変更を本発明の精神と範囲から離れることなく加えることができることを強調する。本明細書の用語および表現は説明の用語として使用され、制限する用語ではない。示し説明したいかなる等価の特徴、またはその部分を除外するために用語または表現を用いることは制限されない。
the most recent ICCF9 at Tsinghua University in Beijing−sometimes known as the MIT of China−in May 2002 K.Wolf、刊行されず。Passell,T.O.、Radiation data reported by Wolf at Texas A&M as Transmitted by T.Passell、1995、EPRI(刊行されなかったが、LENR−CANRウェブサイト上で入手可能) P.L.Hagelstein、DARPA Report; April 2003 G.P.Chambers、J.E.Eridon、K.S.Grabowski、B.D.Sartwell and D.B.Christy、"Charged Particle Spectra of Palladium Thin Films During Low Energy Deutrium Ion Implantation"、J.Fusion Energy、Vol.9、281頁(1990) A.G.Lipson、A.S.Roussetski、C.H.Castano、Kim S−O.、G.H.Miley、"In−situ Long−range Alpha Particles and X−ray Detection for Thin−film Pd Cathodes During Electrolysis in Li2SO4/H2O"、presented at the March 2002 APS meeting−Paper W21.005 J.Kasagi、T.Ohtsuki、K.Ishu、およびM.Hiraga、Phys.Soc.Japan Vol.64、777頁(1995) G.Hubler、private communication、2002 J.R.Pruett、F.M.Beiduk and E.J.Konopinski、Phys.Rev.、Vol.77、628頁(1950) H.J.Boersma、Nuclear Physics.、A135、609頁、(1969) J.A.Wheeler、Phys.Rev.52 1107(1937) A.M.Lane and D.Robson、Phys.Rev.、Vol.151、774頁(1966) D.Robson and A.M.Lane、Phys.Rev.、Vol.161、982頁(1967) A.M.Lane and D.Robson、Phys.Rev.、Vol.185、1403頁(1969) R.J.Philpott and J.George、Nucl.Phys.、Vol.A233、164頁(1974) P.L.Hagelstein、DARPA Report、2003 P.L.Hagelstein、ICCF9 Conference Proceedings(刊行されていない) 2002 RLE Report(まだ刊行されていない) X.A.Li、presented at ICCF9、Beijing、May 2002(未刊行) Y.Iwamura、M.Sakano、T.Itoh、Jpn.J.Appl.Phys.、41、4642頁(2002) D.Letts、"Laser Initiated Heat Release from Electrolytic Systems"、March APS Meeting paper Z33.0005 Storms,E.、Excess Power Production from Platinum Cathodes Using the Pons−Fleischmann Effect.in 8th International Conference on Cold Fusion、2000、Lerici(La Spezia)、Italy:Italian Physical Society、Bologna、Italy Warner,J. and J.Dash、Heat Produced During the Electrolysis of D20 with Titanium Cathodes、in 8th International Conference on Cold Fusion、2000、Lerici(La Spezia)、Italy:Italian Physical Society、Bologna、Italy Warner,J.、J.Dash、and S.Frantz、Electrolysis of D20 With Titanium Cathodes:Enhancement of Excess Heat and Further Evidence of Possible Transmutation、in The Ninth International Conference on Cold Fusion、2002、Beijing、China:Tsinghua University(未刊) Romodanov,V.A.、N.I.Khokhlov、and A.K.Pokrovsky、Registration of Superfluous Heat at Sorbtion−Desorbtion of Hydrogen in Metals、in 8th International Conference on Cold Fusion、2000、Lerici(La Spezia)、Italy:Italian Physical Society、Bologna、Italy Arata,Y、and Y.C.Zhang、A new energy generated in DS−cathode with ‘Pd−black’、Koon Gakkaishi、1994、20(4):148頁(日本語) Arata,Y、and Y.C.Zhang、Helium(4He,3He) within deuterated Pd−black、Proc.Jpn.Acad.、Ser.B、1997、73:1頁 Arata,Y. and C.Zhang、Presence of helium(4/2He,3/2He) confirmed in deuterated Pd−black by the "vi−effect" in a "closed QMS" environment、Proc.Jpn.Acad.、Ser.B、1997、Vol.73、62頁 J.Dea、P.A.Mosier−Boss、S.Szpak、"Thermal and Pressure Gradients in the Polarized Pd/D System"、presented at the March 2002 APS meeting−Paper W21.010 J.A.Wheeler、Phys.Rev.52 1107(1937) J.R.Pruett、F.M.Beiduk and E.J.Konopinski、Phys.Rev.、Vol.77、628頁(1950) H.J.Boersma、Nucl.Phys.、Vol.A135、609頁(1969) A.M.Lane and D.Robson、Phys.Rev.、Vol.151、774頁(1966) D.Robson and A.M.Lane、Phys.Rev.、Vol.161、982頁(1967) A.M.Lane and D.Robson、Phys.Rev.、Vol.185、1403頁(1969) R.J.Philpott and J.George、Nucl.Phys.、Vol.A233、164頁(1974) P.L.Hagelstein、Philosophical Magazine B 79 149(1999) Wiley and Sonsから近く発行される、P.L.Hagelstein、S.D.Senturia、and T.P.Orlando、Introduction to Applied Quantum and Statistical Mechanics P.L.Hagelsteinの"A unified model for anomalies in metal deuterides"、ICCF9 Conference Proceedings、Beijing、May 2002、編集X.Z.Li(印刷中) MIT 2002 RLE Annual Report(6月下旬刊行予定) Fukai Y. and N.Okama、Formation of superabundant vacancies in Pd hydride under high pressures、Phys.Rev.Lett.、1994、Vol.73、1640頁
本発明による分子変換を示す図である。 本発明による分子変換を示す図である。 本発明による1−D類似モデルのグラフである。 本発明の実施形態による分子変換の結合強度を示すグラフである。 本発明による弱い結合に関する分子変換を示す図である。 重水素における異なる角運動量状態の、温度を関数とする占有割合を示すグラフである。 本発明によるモデルの結果を示すグラフである。 収縮状態におけるエネルギーの予測を示すグラフである。 重陽子2個の収縮状態の角運動量を関数とする、チャンネルに伴うガモフ因子のグラフである。 本発明による弱い結合を示す図である。 本発明による穏やかな結合を示す図である。 本発明による強い結合を示す図である。 本発明による共鳴状態でのエネルギー分割を示すグラフである。 本発明による反応過程を示す図である。 本発明による反応過程を示す図である。 本発明による反応過程を示す図である。 本発明による反応過程を示す図である。 本発明による反応過程を示す図である。 本発明による反応過程を示す図である。 本発明による反応過程を示す図である。 本発明による反応過程を示す図である。 本発明によるヘリウム添加を示す図である。 本発明によるヘリウム添加を示す図である。 本発明による重水素および/または水素充填を示す図である。 本発明によるホスト格子の封止を示す図である。 反応過程からの過剰エネルギー生成を示すグラフである。 本発明の一実施形態による他の反応過程を示す図である。 本発明の一実施形態による他の反応過程を示す図である。 本発明の一実施形態による他の反応過程を示す図である。 本発明の一実施形態による他の反応過程を示す図である。 本発明の一実施形態による他の反応過程を示す図である。 本発明による電気化学セルを示す図である。 本発明による乾燥セルを示す図である。 本発明による気化加熱管を示す図である。 本発明による熱電気バッテリーを示す図である。

Claims (252)

  1. ホスト格子構造を選択する選択工程と、
    追加の原子を受容するために前記ホスト格子構造を調製する調製工程であって、前記ホスト格子構造中に前記追加の原子を充填する工程と、前記ホスト格子構造中内に空孔を創出する工程とを含む調製工程と、
    前記ホスト格子構造を刺激して(stimulating)複数の反応を創出する刺激工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記格子構造を刺激する前に、前記ホスト格子構造を封止して(sealing)前記追加の原子の脱出を防止する封止工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記刺激工程がエネルギーを放出することを特徴とする請求項1、47、または77に記載の方法。
  4. 前記ホスト格子構造が、Ni、Pd、Ti、Nb、Ta、Nb、Mo、Fe、Vからなる群から選択される金属であることを特徴とする請求項1、47、または77に記載の方法。
  5. 前記ホスト格子構造が、結晶性固体であることを特徴とする請求項1、47、または77に記載の方法。
  6. 前記ホスト格子構造が、意図的に欠陥が作られたダイヤモンドを含むことを特徴とする請求項1、47、または77に記載の方法。
  7. 前記充填される原子が、プロトン、ヘリウム−3、ヘリウム−4、重水素、水素の少なくとも1つ、またはその組み合わせを含むことを特徴とする請求項1、47、または77に記載の方法。
  8. 前記原子を前記ホスト格子構造中に充填する工程が、高温拡散またはヘリウム・イオン注入の使用を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 前記原子を充填する工程が、重水(DO)または重水素化アルコール(CDOD、CHOD、COD、COD)の電気化学的還元を含むことを特徴とする請求項1、47、または77に記載の方法。
  10. 前記充填されたホスト格子構造を封止する封止工程が、前記ホスト格子構造の表面からの重水素原子の脱出を遮断することを特徴とする請求項2に記載の方法。
  11. 前記封止工程が、電解質に10−5Mの硫酸水銀(I)(HgSO)を加えることによる前記ホスト格子構造上の表面アマルガムの使用を含むことを特徴とする請求項2、48、または78に記載の方法。
  12. 前記封止工程が、電解質に10−7〜10−3Mの硫酸水銀(I)(HgSO)を加えることによる前記ホスト格子構造上の表面アマルガムの使用を含むことを特徴とする請求項2、48、または78に記載の方法。
  13. 前記封止工程が、Pb、Cd、Sn、Bi、Sbの少なくとも1つのカチオンと、亜硫酸塩、硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、塩化物、過塩素酸塩の少なくとも1つのアニオンとを加えることによる前記ホスト格子構造上の表面アマルガムの使用を含むことを特徴とする請求項2、48、または78に記載の方法。
  14. 前記複数の反応が、水素−重水素からヘリウム−3への少なくとも1つの変換と、ヘリウム−3から水素−重水素への少なくとも1つの変換とを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  15. 前記複数の反応が、重水素からヘリウム−4への少なくとも1つの変換と、ヘリウム−4から重水素への少なくとも1つの変換とを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  16. 前記ホスト格子構造中の前記複数の反応が、格子フォノン振動の励起モードによってもたらされた前記ホスト格子構造中の核反応(D+D)とヘリウム−4の生成との結果であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  17. 前記ホスト格子構造中の前記複数の反応が、格子フォノン振動の励起モードによってもたらされた前記ホスト格子構造中の核反応(D+H)とヘリウム−3の生成との結果であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  18. 前記ホスト格子構造中の前記複数の反応が、前記ホスト格子構造中におけるヘリウム−4の濃度レベルの増加またはヘリウム−3/ヘリウム−4の比の変化をもたらすことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  19. 前記ホスト格子構造中の少なくとも1つの反応が、ヘリウム−3の濃度レベルの増加をもたらすことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  20. 前記複数の反応によって創出されたエネルギーが、前記ホスト格子構造に吸収されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  21. 前記ホスト格子構造が、純度99.5%〜99.9%の範囲のPdで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  22. 前記ホスト格子構造が、純度95%〜99.995%の範囲のPdで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  23. 前記ホスト格子構造が、Pd合金、および非金属結晶性固体の少なくとも1つで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  24. 前記非金属結晶性固体が、カーボン、カーボンのナノチューブおよび球、セラミック、および高温超伝導性金属酸化物の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  25. 前記ホスト格子構造を構成するために使用される前記Pdが、直径50〜125μm、長さ3〜30cmであることを特徴とする請求項21に記載の方法。
  26. 前記ホスト格子構造を構成するために使用される前記Pdが、直径1ミクロン〜10cmであることを特徴とする請求項21に記載の方法。
  27. 前記ホスト格子構造を構成するために使用される前記Pdが、シート、プレート、ディスク、円錐、球、半球、管、棒の少なくとも1つの形状であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
  28. 前記Pd中の空孔の濃度が、全ホスト金属原子の0.1%〜0.2%オーダーであることを特徴とする請求項25に記載の方法。
  29. 前記Pd中の空孔の濃度が、全ホスト金属原子の25%までであることを特徴とする請求項25に記載の方法。
  30. 前記Pd中に見出されるヘリウム−4の濃度が、1cm当たり約1010原子であることを特徴とする請求項28に記載の方法。
  31. 前記Pd中に見出されるヘリウム−4の濃度が、1cm当たり1016原子までであることを特徴とする請求項28に記載の方法。
  32. 前記Pd(PdD)中の重水素の平均充填が少なくとも0.85であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
  33. 前記ホスト格子構造の刺激工程が、レーザ励起、表面音響発生器、DCおよびAC電流源、急速イオンまたはニュートロン衝撃、または、発熱性固体または表面化学反応の使用を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  34. 前記ホスト格子構造中に生成されたエネルギーが、前記ホスト格子構造中の反応量を検出することによって検出され得ることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  35. 推進装置を用いて前記エネルギーを変換する工程をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  36. 熱伝導、放射、対流、蒸発、昇華の少なくとも1つを用いて前記エネルギーを変換する工程をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  37. 熱から機械への変換デバイスを用いて前記エネルギーを変換する工程をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  38. 前記熱から機械への変換デバイスが、エンジン、スターリング・エンジン、蒸気エンジン、蒸気タービンの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項37に記載の方法。
  39. 熱から電気への変換デバイスを用いて前記エネルギーを変換する工程をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  40. 前記熱から電気への変換デバイスが、熱電エネルギー変換器、熱イオン変換器、熱ダイオードの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
  41. 直接の熱装置を用いて前記エネルギーを変換する工程をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  42. 前記直接の熱装置が、脱塩装置、家庭用水ヒーター、商業用水ヒーター、産業用化学加熱装置および冶金加熱装置の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項41に記載の方法。
  43. 前記ホスト格子構造内における分子状D状態での重陽子の発生を検出して維持する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  44. 前記少なくとも1つの反応が、分子状D状態から収縮dd状態への変換を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  45. 前記ホスト格子構造中のエネルギーが、容積10−15cm−3およびヘリウムの原子密度1016cm−3で、10個の収縮状態の重陽子対と、共通のフォノン・モードと相互作用する同数のヘリウム核とを用いて、1反応当たり5個またはそれ以上のフォノン移動から得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  46. 運転温度を監視する工程と、
    熱生成量を監視する工程と、
    必要に応じて前記運転温度を下げて前記熱生成量を少なくし安定性を維持する工程と、
    によって、前記ホスト格子中に創出されたエネルギーを維持する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  47. ホスト格子構造を選択する選択工程と、
    前記ホスト格子構造内の多重占有の数を増加させるために追加の原子を受容するために前記ホスト格子構造を調製する調製工程であって、前記追加の原子を前記ホスト格子構造中に充填する工程を含む調製工程と、
    複数の反応を生み出すために前記ホスト格子構造を刺激する刺激工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
  48. 前記格子構造を刺激する前に、前記ホスト格子構造を封止して追加の原子の脱出を防止する封止工程をさらに含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
  49. 前記追加の原子を前記ホスト格子構造中に充填する工程が、高温拡散またはヘリウムイオン注入の使用を含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
  50. 前記充填されたホスト格子構造を封止する封止工程が、前記ホスト格子構造の表面からの重水素原子の脱出を遮断することを特徴とする請求項48に記載の方法。
  51. 前記複数の反応が、水素−重水素からヘリウム−3への少なくとも1つの変換と、ヘリウム−3から水素−重水素への少なくとも1つの変換とを含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
  52. 前記複数の反応が、重水素からヘリウム−4への少なくとも1つの変換と、ヘリウム−4から重水素への少なくとも1つの変換とを含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
  53. 前記ホスト格子構造中の前記複数の反応が、格子フォノン振動の励起モードによってもたらされた前記ホスト格子構造中の核反応(D+D)とヘリウム−4の生成との結果であることを特徴とする請求項47に記載の方法。
  54. 前記ホスト格子構造中の前記複数の反応が、格子フォノン振動の励起モードによってもたらされた前記ホスト格子構造中の核反応(D+H)とヘリウム−3の生成との結果であることを特徴とする請求項47に記載の方法。
  55. 前記ホスト格子構造中の前記複数の反応が、前記ホスト格子構造中におけるヘリウム−4の濃度レベルの増加またはヘリウム−3/ヘリウム−4の比の変化をもたらすことを特徴とする請求項47に記載の方法。
  56. 前記ホスト格子構造中の少なくとも1つの反応が、ヘリウム−3の濃度レベルの増加をもたらすことを特徴とする請求項47に記載の方法。
  57. 前記複数の反応によって創出された前記エネルギーが、前記ホスト格子構造に吸収されることを特徴とする請求項47に記載の方法。
  58. 前記ホスト格子構造が、純度99.5%〜99.9%の範囲のPdで構成されていることを特徴とする請求項47に記載の方法。
  59. 前記ホスト格子構造が、純度95%〜99.995%の範囲のPdで構成されていることを特徴とする請求項47に記載の方法。
  60. 前記ホスト格子構造が、Pd合金、および非金属結晶性固体の少なくとも1つで構成されていることを特徴とする請求項47に記載の方法。
  61. 前記非金属結晶性固体が、カーボン、カーボンのナノチューブおよび球、セラミック、および高温超伝導性金属酸化物の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
  62. 前記ホスト格子構造を構成するために使用される前記Pdが、直径50〜125μm、長さ3〜30cmであることを特徴とする請求項58に記載の方法。
  63. 前記ホスト格子構造を構成するために使用される前記Pdが、直径1ミクロン〜10cmであることを特徴とする請求項58に記載の方法。
  64. 前記ホスト格子構造を構成するために使用される前記Pdが、シート、プレート、ディスク、円錐、球、半球、管、棒の少なくとも1つの形状であることを特徴とする請求項58に記載の方法。
  65. 前記Pd中の空孔の濃度が、全ホスト金属原子の0.1%〜0.2%オーダーであることを特徴とする請求項62に記載の方法。
  66. 前記Pd中の空孔の濃度が、全ホスト金属原子の25%までであることを特徴とする請求項62に記載の方法。
  67. 前記Pd中に見出されるヘリウム−4の濃度が、1cm当たり約1010原子であることを特徴とする請求項65に記載の方法。
  68. 前記Pd中に見出されるヘリウム−4の濃度が、1cm当たり1016原子までであることを特徴とする請求項65に記載の方法。
  69. 前記Pd(PdD)中の重水素の平均充填が少なくとも0.85であることを特徴とする請求項67に記載の方法。
  70. 前記ホスト格子構造の刺激工程が、レーザ励起、表面音響発生器、DCおよびAC電流源、急速イオンまたはニュートロン衝撃、または、発熱性固体または表面化学反応の使用を含むことを特徴とする請求項69に記載の方法。
  71. 前記ホスト格子構造中に生成されるエネルギーが、前記ホスト格子構造中の反応量を検出することによって決定され得ることを特徴とする請求項47に記載の方法。
  72. 熱伝導、対流、放射、熱電エネルギー変換器を通る流れ、熱イオン変換器、熱ダイオード、またはスターリング・エンジンの少なくとも1つを用いて、放出されたエネルギーを変換することをさらに含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
  73. 前記ホスト格子構造内における分子状D状態の重陽子の発生を監視し、維持する工程をさらに含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
  74. 前記少なくとも1つの反応が、前記分子状D状態から収縮dd状態への変換を含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
  75. 前記ホスト格子構造中のエネルギーが、容積10−15cm−3およびヘリウムの原子密度1016cm−3で、10個の収縮状態の重陽子対と、共通のフォノン・モードと相互作用する同数のヘリウム核とを用いて、1反応当たり5個またはそれ以上のフォノン移動から得られることを特徴とする請求項47に記載の方法。
  76. 運転温度を監視する工程と、
    熱生成量を監視する工程と、
    前記熱生成量を少なくし安定性を維持するために必要に応じて前記運転温度を下げる工程と、
    によって、前記ホスト格子中に放出されたエネルギーを維持する工程をさらに含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
  77. ホスト格子構造を選択する工程と、
    追加の原子を受容するために前記ホスト格子構造を調製する調製工程であって、前記ホスト格子構造の温度を上昇させる工程を含む調製工程と、
    1cm当たり少なくとも1010原子濃度までのヘリウムを含む追加の原子を前記ホスト格子構造中に充填する工程と、
    複数の反応を生み出すために前記ホスト格子構造を刺激する刺激工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
  78. 前記格子構造を刺激する前に、前記ホスト格子構造を封止して追加の原子の脱出を防止する工程をさらに含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
  79. 前記追加の原子を前記ホスト格子構造中に充填する工程が、高温拡散またはヘリウム・イオン注入の使用を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
  80. 前記充填されたホスト格子構造を封止する封止工程が、前記ホスト格子構造の表面からの重水素原子の脱出を遮断することを特徴とする請求項78に記載の方法。
  81. 前記複数の反応が、水素−重水素からヘリウム−3への少なくとも1つの変換と、ヘリウム−3から水素−重水素への少なくとも1つの変換とを含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
  82. 前記複数の反応が、重水素からヘリウム−4への少なくとも1つの変換と、ヘリウム−4から重水素への少なくとも1つの変換とを含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
  83. 前記ホスト格子構造中の前記複数の反応が、格子フォノン振動の励起モードによってもたらされた前記ホスト格子構造中の核反応(D+D)とヘリウム−4の生成との結果であることを特徴とする請求項77に記載の方法。
  84. 前記ホスト格子構造中の複数の反応が、格子フォノン振動の励起モードによってもたらされた前記ホスト格子構造中の核反応(D+H)とヘリウム−3の生成との結果であることを特徴とする請求項77に記載の方法。
  85. 前記ホスト格子構造中の複数の反応が、前記ホスト格子構造中におけるヘリウム−4の濃度レベルの増加またはヘリウム−3/ヘリウム−4の比の変化をもたらすことを特徴とする請求項77に記載の方法。
  86. 前記ホスト格子構造中の少なくとも1つの反応が、ヘリウム−3の濃度レベルの増加をもたらすことを特徴とする請求項77に記載の方法。
  87. 前記複数の反応によって創出された前記エネルギーが、前記ホスト格子構造に吸収されることを特徴とする請求項77に記載の方法。
  88. 前記ホスト格子構造が、純度99.5%〜99.9%の範囲のPdで構成されていることを特徴とする請求項77に記載の方法。
  89. 前記ホスト格子構造が、純度95%〜99.995%の範囲のPdで構成されていることを特徴とする請求項77に記載の方法。
  90. 前記ホスト格子構造が、Pd合金、および非金属結晶性固体の少なくとも1つで構成されていることを特徴とする請求項77に記載の方法。
  91. 前記非金属結晶性固体が、カーボン、カーボンのナノチューブおよび球、セラミック、および高温超伝導性金属酸化物の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
  92. 前記ホスト格子構造を構成するために使用される前記Pdが、直径50〜125μm、長さ3〜30cmであることを特徴とする請求項88に記載の方法。
  93. 前記ホスト格子構造を構成するために使用される前記Pdが、直径1ミクロン〜10cmであることを特徴とする請求項88に記載の方法。
  94. 前記ホスト格子構造の構成に使用される前記Pdが、シート、プレート、ディスク、円錐、球、半球、管、棒の少なくとも1つの形状であることを特徴とする請求項88に記載の方法。
  95. 前記Pd中の空孔の濃度が、全ホスト金属原子の0.1%〜0.2%オーダーであることを特徴とする請求項92に記載の方法。
  96. 前記Pd中の空孔の濃度が、全ホスト金属原子の25%までであることを特徴とする請求項92に記載の方法。
  97. 前記Pd中に見出されるヘリウム−4の濃度が、1cm当たり約1010原子であることを特徴とする請求項95に記載の方法。
  98. 前記Pd中に見出されるヘリウム−4の濃度が、1cm当たり1016原子までであることを特徴とする請求項95に記載の方法。
  99. 前記Pd(PdD)中の重水素の平均充填が少なくとも0.85であることを特徴とする請求項97に記載の方法。
  100. 前記ホスト格子構造の刺激工程が、レーザ励起、表面音響発生器、DCおよびAC電流源、急速イオンまたはニュートロン衝撃、または、発熱性固体または表面化学反応の使用を含むことを特徴とする請求項99に記載の方法。
  101. 前記ホスト格子構造中に生成されるエネルギーが、前記ホスト格子構造中の反応量を検出することによって決定され得ることを特徴とする請求項77に記載の方法。
  102. 熱伝導、対流、放射、熱電エネルギー変換器を通る流れ、熱イオン変換器、熱ダイオード、またはスターリング・エンジンの少なくとも1つを用いて、放出されたエネルギーを変換する工程をさらに含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
  103. 前記ホスト格子構造内における分子状D状態における重陽子の発生を監視し、維持する工程をさらに含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
  104. 前記少なくとも1つの反応が、分子状D状態から収縮dd状態への変換を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
  105. 前記ホスト格子構造中のエネルギーが、容積10−15cm−3およびヘリウムの原子密度1016cm−3で、10個の収縮状態の重陽子対と、共通のフォノン・モードと相互作用する同数のヘリウム核とを用いて、1反応当たり5個またはそれ以上のフォノン移動から得られることを特徴とする請求項77に記載の方法。
  106. 運転温度を監視する工程と、
    熱生成量を監視する工程と、
    前記熱生成量を少なくし安定性を維持するために必要に応じて前記運転温度を下げる工程と、
    によって、前記ホスト格子中に放出されたエネルギーを維持する工程をさらに含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
  107. 前記複数の反応が、原子反応、核反応、および分子変換の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1、47、または77に記載の方法。
  108. 前記追加の原子を充填する工程が、圧力下で水素および/または重水素ガスへの露出する工程を含むことを特徴とする請求項1、100、または200に記載の方法。
  109. ホスト格子構造を選択する選択工程と、
    追加の原子を受容する前記ホスト格子構造を調製する調製工程であって、原子を充填する工程と空孔を生成する工程を含む調製工程と、
    前記ホスト格子構造を刺激して、前記ホスト格子構造内における反応の頻度を増加させる刺激工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
  110. ホスト格子構造を選択する選択工程と、
    追加の原子を受容するために前記ホスト格子構造を調製する調製工程であって、追加の原子を充填する工程と温度を上昇する工程を含む調製工程と、
    前記ホスト格子構造を刺激して分子状重水素による単一部位の多重占有を増加させる工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
  111. ホスト格子構造を選択する選択工程と、
    追加の原子を受容するために前記ホスト格子構造を調製する調製工程であって、原子を充填する工程と、空孔を創出する工程とを含む調製工程と、
    前記ホスト格子構造を刺激してヘリウムの分裂を増加させ、収縮状態の数を増加させる刺激工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
  112. 前記ホスト格子構造が、Ni、Pd、Ti、Nb、Ta、Nb、Mo、Fe、Vからなる群から選択される金属であることを特徴とする請求項109、110、または111に記載の方法。
  113. 前記追加の原子が、重水素原子、ヘリウム−4原子、ヘリウム−3、またはその組み合わせを含むことを特徴とする請求項109、110、または111に記載の方法。
  114. 前記ホスト格子構造を調製する調製工程が、前記重水素原子、およびヘリウム−4原子、ヘリウム−3、またはその組み合わせを受容するために使用される空孔の濃度fを増加させる工程を含むことを特徴とする請求項109、110、または111に記載の方法。
  115. 重水素原子、およびヘリウム−4原子、ヘリウム−3、またはその組み合わせが、高温拡散またはヘリウムイオン注入を用いて前記ホスト格子構造中に充填されることを特徴とする請求項113に記載の方法。
  116. 前記ホスト格子構造中への前記重水素の充填する工程が、重水(DO)または重水素化アルコール(CDOD、CHOD、COD、COD)の電気化学的還元を含むことを特徴とする請求項113に記載の方法。
  117. 前記ホスト格子構造の表面から重水素原子の脱出を遮断するために、前記充填されたホスト格子構造を封止する工程をさらに含むことを特徴とする請求項109、110、または111に記載の方法。
  118. 前記封止する工程が、電解質に10Mの硫酸水銀(I)(HgSO)を加えることによる前記ホスト格子構造上の表面アマルガムの使用の工程を含むことを特徴とする請求項117に記載の方法。
  119. 前記ホスト格子構造中の複数の反応が、格子フォノン振動の励起モードによってもたらされた前記ホスト格子構造中の核反応(D+D)とヘリウム−4の生成とを含むことを特徴とする請求項109、110、または111に記載の方法。
  120. 前記ホスト格子構造中の複数の反応が核反応(D+H)の結果であり、前記ホスト格子構造中のヘリウム−3の生成が格子フォノン振動の励起モードによってもたらされることを特徴とする請求項109、110、または111に記載の方法。
  121. 前記核反応と、ヘリウム−4およびヘリウム−3の生成とが、前記ホスト格子構造によって吸収される熱の形態でエネルギーを創出することを特徴とする請求項109、110、または111に記載の方法。
  122. 前記ホスト格子構造が、純度99.5%〜99.9%の範囲のPdで構成されることを特徴とする請求項109、110、または111に記載の方法。
  123. 前記ホスト格子構造の構成に使用される前記Pdが、直径50〜125μm、長さ3〜30cmであることを特徴とする請求項122に記載の方法。
  124. 前記Pd中の空孔の濃度が、全ホスト金属原子の0.1%〜0.2%オーダーであることを特徴とする請求項123に記載の方法。
  125. 前記Pd中に見出されるヘリウム−4の濃度が、1cm当たり約1010原子であることを特徴とする請求項124に記載の方法。
  126. 前記Pd(PdD)中の重水素の平均充填が0.85であることを特徴とする請求項125に記載の方法。
  127. 前記ホスト格子構造の刺激工程が、レーザ励起、表面音響発生器、DCおよびAC電流源、急速イオンまたはニュートロン衝撃、または発熱性固体または表面化学反応の使用を含むことを特徴とする請求項109、110、または111に記載の方法。
  128. 前記ホスト格子構造によって発生された前記エネルギーが、前記ホスト格子構造中のヘリウム−4の濃度レベルの増加、またはヘリウム−3/ヘリウム−4の比の変化を検出することによって決定されることを特徴とする請求項121に記載の方法。
  129. 前記核反応と、ヘリウム−4またはヘリウム−3の生成とが、前記ホスト格子構造によって吸収される熱の形態でエネルギーを放出することを特徴とする請求項121に記載の方法。
  130. 熱伝導、対流、熱電エネルギー変換器を通る流れ、熱イオン変換器、熱ダイオード、またはスターリング・エンジンを用いて、前記格子ホストによって吸収された前記エネルギーを変換する工程をさらに含むことを特徴とする請求項129に記載の方法。
  131. 前記ホスト格子構造中の分子状D状態の重陽子の発生の存在を監視し、維持する工程をさらに含むことを特徴とする請求項109、110、または111に記載の方法。
  132. 前記ホスト格子構造中の前記エネルギーが、容積10−15cm−3およびヘリウムの原子密度1016cm−3で、10個の収縮状態の重陽子対と、共通のフォノン・モードと相互作用する同数のヘリウム核とを用いて、1反応当たり5個またはそれ以上のフォノン移動から得られることを特徴とする請求項121に記載の方法。
  133. 前記ホスト格子構造中に作り出される前記エネルギーを維持する工程が、
    運転温度を監視する工程と、
    熱生成量を監視する工程と、
    熱生成量を少なくし安定性を維持するために必要に応じて前記運転温度を下げる工程と、
    をさらに含むことを特徴とする請求項121に記載の方法。
  134. ホスト格子構造を選択する選択工程と、
    ヘリウム−4原子と重水素原子とを受容するために前記ホスト格子構造を調製する調製工程と、
    前記ホスト格子構造中にヘリウム−4原子を充填する工程と、
    前記ホスト格子構造中に重水素原子を充填する工程と、
    前記充填されたホスト格子構造を封止して、ヘリウム−4と重水素との脱出を防止する工程と、
    前記ホスト格子構造を刺激して前記ホスト格子構造中に複数の反応を創出する工程であって、前記複数の反応が重水素とヘリウム−4とから重水素への少なくとも1つの反応と、ヘリウム−4から重水素への1つの反応とを含み、前記複数の反応が前記ホスト格子構造中へエネルギーを放出する工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
  135. 前記ホスト格子構造が、Ni、Pd、Ti、Nb、Ta、Nb、Mo、Fe、Vからなる群から選択される金属であることを特徴とする請求項134に記載の方法。
  136. 前記ホスト格子構造を調製する調製工程が、前記重水素原子と、ヘリウム−4原子とを受容するために使用される空孔の濃度fを増加させる工程を含むことを特徴とする請求項134に記載の方法。
  137. 前記ホスト格子構造中へのヘリウム−4を充填する工程が、高温拡散またはヘリウムイオン注入の使用を含むことを特徴とする請求項134に記載の方法。
  138. 前記ホスト格子構造中への前記重水素の充填する工程が、重水(DO)または重水素化アルコール(CDOD、CHOD、COD、COD)の電気化学的還元を含むことを特徴とする請求項134に記載の方法。
  139. 前記充填されたホスト格子構造を封止する工程は、前記ホスト格子構造の表面からの重水素原子の脱出を遮断することを特徴とする請求項134に記載の方法。
  140. 前記封止する工程が、電解質に10Mの硫酸水銀(I)(HgSO)を加えることによる前記ホスト格子構造上の表面アマルガムの使用の工程を含むことを特徴とする請求項134に記載の方法。
  141. 前記ホスト格子構造中の複数の反応が、格子フォノン振動の励起モードによってもたらされた前記ホスト格子構造中の核反応(D+D)とヘリウム−4の生成とを含むことを特徴とする請求項134に記載の方法。
  142. 前記ホスト格子構造中の複数の反応が、前記ホスト格子構造中にヘリウム−4の濃度レベルの増加またはヘリウム−3/ヘリウム−4の比の変化をもたらすことを特徴とする請求項134に記載の方法。
  143. 前記核反応とヘリウム−4との生成が、前記ホスト格子構造によって吸収される熱の形態でエネルギーを創出することを特徴とする請求項141に記載の方法。
  144. 前記ホスト格子構造が、純度99.5%〜99.9%の範囲のPdで構成されることを特徴とする請求項134に記載の方法。
  145. 前記ホスト格子構造の構成に使用される前記Pdが、直径50〜125μm、長さ3〜30cmであることを特徴とする請求項144に記載の方法。
  146. 前記Pd中の空孔の濃度が、全ホスト金属原子の0.1%〜0.2%オーダーであることを特徴とする請求項145に記載の方法。
  147. 前記Pd中に見出されるヘリウム−4の濃度が、1cm当たり約1010原子であることを特徴とする請求項146に記載の方法。
  148. 前記Pd(PdD)中の重水素の平均充填が0.85であることを特徴とする請求項147に記載の方法。
  149. 前記ホスト格子構造の刺激工程が、レーザ励起、表面音響発生器、DCおよびAC電流源、急速イオンまたはニュートロン衝撃、または、発熱性固体または表面化学反応の使用を含むことを特徴とする請求項134に記載の方法。
  150. 前記ホスト格子構造中に作り出される前記エネルギーが、前記ホスト格子構造中の核反応の量およびヘリウム−4の生成量を検出することによって決定できることを特徴とする請求項134に記載の方法。
  151. 前記ホスト格子構造によって発生された前記エネルギーが、前記ホスト格子構造中のヘリウム−4の濃度レベルの増加、またはヘリウム−3/ヘリウム−4の比の変化を検出することによって決定され得ることを特徴とする請求項134に記載の方法。
  152. 熱伝導、対流、熱電エネルギー変換器を通る流れ、熱イオン変換器、熱ダイオード、またはスターリング・エンジンを用いて、前記ホスト格子構造中の前記エネルギーを変換する工程をさらに含むことを特徴とする請求項134に記載の方法。
  153. 前記ホスト格子構造中における分子状D状態の重陽子の発生の存在を監視し、維持する工程をさらに含むことを特徴とする請求項134に記載の方法。
  154. 前記少なくとも1つの反応が、分子状D状態から収縮dd状態への変換を含むことを特徴とする請求項134に記載の方法。
  155. 前記ホスト格子構造中の前記エネルギーが、容積10−15cm−3およびヘリウムの原子密度1016cm−3で、10個の収縮状態の重陽子対と、共通のフォノン・モードと相互作用する同数のヘリウム核とを用いて、1反応当たり5個またはそれ以上のフォノン移動から得られることを特徴とする請求項134に記載の方法。
  156. 前記ホスト格子構造中に作り出される前記エネルギーの維持する工程が、
    運転温度を監視する工程と、
    熱生成量を監視する工程と、
    熱生成量を少なくし安定性を維持するために必要に応じて前記運転温度を下げる工程と、
    をさらに含むことを特徴とする請求項153に記載の方法。
  157. エネルギー発生のためのホスト格子構造を選択する工程と、
    水素−重水素とヘリウム−3原子とを受容するために前記ホスト格子構造を調製する工程と、
    前記ホスト格子構造中に水素−重水素原子を充填する工程と、
    前記ホスト格子構造中にヘリウム−3原子を充填する工程と、
    前記充填されたホスト格子構造を封止して、水素−重水素とヘリウム−3原子との脱出を防止する工程と、
    前記ホスト格子構造を刺激して前記ホスト格子構造中に複数の反応を創出する工程であって、前記複数の反応が水素−重水素からヘリウム−3への少なくとも1つの反応と、ヘリウム−3から水素−重水素への少なくとも1つの反応とを含み、前記複数の反応が前記ホスト格子構造の中へエネルギーを放出する工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
  158. 前記ホスト格子構造が、Ni、Pd、Ti、Nb、Ta、Nb、Mo、Fe、Vからなる群から選択される金属であることを特徴とする請求項157に記載の方法。
  159. 前記ホスト格子構造を調製する工程が、前記水素−重水素対と、ヘリウム−3原子を受容するために使用される空孔の濃度fを増加させる工程を含むことを特徴とする請求項157に記載の方法。
  160. 前記ホスト格子構造中へのヘリウム−3の充填する工程が、高温拡散またはヘリウムイオン注入の使用を含むことを特徴とする請求項157に記載の方法。
  161. 前記ホスト格子構造中への水素−重水素対原子の前記充填する工程が、重水(DO)または重水素化アルコール(CDOD、CHOD、COD、COD)の電気化学的還元を含むことを特徴とする請求項157に記載の方法。
  162. 前記充填されたホスト格子構造を封止する工程は、前記ホスト格子構造の表面からの水素−重水素とヘリウム−3原子の脱出とを遮断することを特徴とする請求項157に記載の方法。
  163. 前記封止する工程が、電解質に10Mの硫酸水銀(I)(HgSO)を加えることによる前記ホスト格子構造上の表面アマルガムの使用の工程を含むことを特徴とする請求項157に記載の方法。
  164. 前記ホスト格子構造中の複数の反応が核反応(D+H)の結果であり、前記ホスト格子構造中のヘリウム−3の生成が格子フォノン振動の励起モードによってもたらされることを特徴とする請求項157に記載の方法。
  165. 前記ホスト格子構造中の複数の反応が、ヘリウム−3の濃度レベルの増加をもたらすことを特徴とする請求項157に記載の方法。
  166. 前記核反応とヘリウム−3との生成が、前記ホスト格子構造によって吸収される熱の形態でエネルギーを創出することを特徴とする請求項164に記載の方法。
  167. 前記ホスト格子構造の刺激工程が、レーザ励起、表面音響発生器、DCおよびAC電流源、急速イオンまたはニュートロン衝撃、または、発熱性固体または表面化学反応の使用を含むことを特徴とする請求項157に記載の方法。
  168. 前記エネルギー発生が、前記ホスト格子構造を刺激するために使用される刺激源の出力と、期間と、温度とに基づいて維持され得ることを特徴とする請求項157に記載の方法。
  169. 前記ホスト格子構造中の前記エネルギー発生が、前記ホスト格子構造中の核反応とヘリウム−3の生成とを検出することによって決定されることを特徴とする請求項157に記載の方法。
  170. 前記発生されたエネルギーが、前記ホスト格子構造中のヘリウム−3の濃度レベルの増加を検出することによって決定され得ることを特徴とする請求項157に記載の方法。
  171. 前記核反応とヘリウム−3の生成とが、前記ホスト格子構造によって吸収される熱の形態でエネルギーを創出することを特徴とする請求項169に記載の方法。
  172. 前記ホスト格子構造中の前記エネルギーが、熱伝導、対流、熱電エネルギー変換器を通る流れ、熱イオン変換器、熱ダイオード、またはスターリング・エンジンを用いて変換されることを特徴とする請求項157に記載の方法。
  173. 前記ホスト格子構造中における分子状D状態の重陽子の発生の存在を監視し、維持する工程をさらに含むことを特徴とする請求項157に記載の方法。
  174. 前記少なくとも1つの反応が、分子状D状態から収縮dd状態への変換を含むことを特徴とする請求項157に記載の方法。
  175. 前記ホスト格子構造中に作り出される前記エネルギーの維持する工程が、
    運転温度を監視する工程と、
    熱生成量を監視する工程と、
    熱生成量を少なくし安定性を維持するために必要に応じて前記運転温度を下げる工程と、
    をさらに含むことを特徴とする請求項173に記載の方法。
  176. 水素または重水素が充填され、空孔を増加され、ヘリウムが添加された金属格子ホストを作る方法であって、
    金属格子ホスト構造を選択する工程と、
    前記ホスト格子構造中に水素または重水素原子を充填する工程と、
    前記ホスト格子構造中にヘリウム原子を充填する工程と、
    前記充填されたホスト格子構造を封止して、水素、重水素、およびヘリウム原子の脱出を防止する工程と、
    前記ホスト格子構造を刺激して、空孔を生成する工程と、
    前記充填された水素または重水素で空孔を安定化することによって新しい金属ホストを創出する工程と、
    を含み、
    前記充填された水素または重水素は刺激によって創出された空孔に入ることによって前記金属ホストを安定化することを特徴とする方法。
  177. 前記ホスト格子が、Ni、Pd、Ti、Nb、Ta、Nb、Mo、Fe、Vからなる群から選択される金属であることを特徴とする請求項176に記載の方法。
  178. 前記封止する工程が、前記ホスト格子の表面からの水素または重水素の脱出を遮断することを特徴とする請求項176に記載の方法。
  179. 前記封止する工程が、電解質に10Mの硫酸水銀(I)(HgSO)を加えることによる前記ホスト格子構造上の表面アマルガムの使用の工程を含むことを特徴とする請求項176に記載の方法。
  180. 前記ホスト格子の前記充填および刺激する工程が同時に行われることを特徴とする請求項176に記載の方法。
  181. 前記刺激する工程が、電子ビーム照射を使用して行われることを特徴とする請求項176に記載の方法。
  182. 前記照射の線量が1017/cmまたはそれ以上のオーダーであり、電子エネルギーが0.1〜5MeVの範囲であることを特徴とする請求項176に記載の方法。
  183. 水素が充填され、空孔が増加され、ヘリウムが添加された金属。
  184. 重水素が充填され、空孔が増加され、ヘリウムが添加された金属。
  185. 重水素原子とヘリウム−4原子とを受容するために適用可能なホスト格子構造と、
    重水素原子の高濃度を維持する手段と、
    前記ホスト格子構造中における、前記重水素原子からヘリウム−4原子への少なくとも1つの反応と、ヘリウム−4原子から重水素原子への少なくとも1つの反応とを含む複数の反応を提供する手段と、
    前記ホスト格子構造中のエネルギーの形態で前記反応の効果を維持する手段と、
    を備えることを特徴とするデバイス。
  186. 前記ホスト格子構造が、前記重水素原子とヘリウム−4原子とを受容するために使用される空孔濃度fをさらに含み、前記空孔濃度が、前記ホスト格子構造のために選択された金属に依存することを特徴とする請求項185に記載のデバイス。
  187. 重水素の高濃度を維持する手段が、前記ホスト格子構造の表面から重水素原子の脱出を遮断する封止表面の使用を含むことを特徴とする請求項185に記載のデバイス。
  188. 前記封止表面が、前記充填されたPd(PdD)表面上のアマルガムから構成されることを特徴とする請求項187に記載のデバイス。
  189. 前記ホスト格子構造中の重水素の高濃度を維持する手段が、77Kまたはそれ以下の範囲の液体窒素温度の使用を含むことを特徴とする請求項185に記載のデバイス。
  190. 前記ホスト格子構造中における前記複数の反応のための前記手段が、格子フォノン振動の励起モードによってもたらされる前記ホスト格子構造中の核反応(D+D)とヘリウム−4の生成とを含むことを特徴とする請求項185に記載のデバイス。
  191. 前記ホスト格子構造中における前記複数の反応のための前記手段が、前記ホスト格子構造中にヘリウム−4の濃度レベルの増加またはヘリウム−3/ヘリウム−4の比の変化をもたらすことを特徴とする請求項185に記載のデバイス。
  192. 前記核反応とヘリウム−4の生成とが、前記ホスト格子構造に吸収される熱の形態でエネルギーを創出することを特徴とする請求項190に記載のデバイス。
  193. 前記ホスト格子が、Ni、Pd、Ti、Nb、Ta、Nb、Mo、Fe、Vからなる群から選択される金属であることを特徴とする請求項185に記載のデバイス。
  194. 前記ホスト格子構造が、純度99.5%〜99.9%の範囲のPdで構成されることを特徴とする請求項193に記載のデバイス。
  195. 前記ホスト格子構造の構成に使用される前記Pdが、直径50〜125μm、長さ3〜30cmであることを特徴とする請求項194に記載のデバイス。
  196. 前記Pd中の空孔濃度が、全ホスト金属原子の0.1%〜0.2%オーダーであることを特徴とする請求項195に記載のデバイス。
  197. 前記Pd中に見出されるヘリウム−4の濃度が、1cm当たり約1010原子であることを特徴とする請求項196に記載のデバイス。
  198. 重水素(PdD)の平均充填が0.85であることを特徴とする請求項197に記載のデバイス。
  199. 重水素原子とヘリウム−4原子とを受容するために適用可能なホスト格子構造と、
    重水素原子の高濃度を維持するための封止層と、
    前記ホスト格子構造中に、前記重水素原子からヘリウム−4原子への少なくとも1つの反応と、ヘリウム−4原子から重水素原子への少なくとも1つの反応とを含む複数の反応を提供する反応部位と、
    を含み、
    前記複数の反応が前記ホスト格子構造中にエネルギーを放出することを特徴とするデバイス。
  200. 前記ホスト格子構造が、前記重水素原子とヘリウム−4原子とを受容するために使用される空孔濃度をさらに含み、前記空孔濃度が、前記ホスト格子構造のために選択された前記金属に依存することを特徴とする請求項199に記載のデバイス。
  201. 前記封止表面が、前記ホスト格子構造の表面からの重水素原子の脱出を遮断することを特徴とする請求項199に記載のデバイス。
  202. 前記封止表面が、前記ホスト格子構造の前記充填されたPd(PdD)表面上のアマルガムから構成されることを特徴とする請求項201に記載のデバイス。
  203. 前記ホスト格子構造中の重水素濃度を維持するために、77Kまたはそれ以下の範囲の液体窒素温度の使用をさらに含むことを特徴とする請求項201に記載のデバイス。
  204. 前記ホスト格子構造中の前記複数の反応が、格子フォノン振動の励起モードによってもたらされる前記ホスト格子構造中の核反応(D+D)とヘリウム−4の生成とを含むことを特徴とする請求項199に記載のデバイス。
  205. 前記ホスト格子構造中の前記複数の反応が、前記ホスト格子構造中にヘリウム−4の濃度レベルの増加またはヘリウム−3/ヘリウム−4の比の変化をもたらすことを特徴とする請求項199に記載のデバイス。
  206. 前記核反応およびヘリウム−4の生成が、前記ホスト格子構造に吸収される熱の形態でエネルギーを創出することを特徴とする請求項204に記載のデバイス。
  207. 前記ホスト格子構造が、Ni、Pd、Ti、Nb、Ta、Nb、Mo、Fe、Vからなる群から選択される金属であることを特徴とする請求項199に記載のデバイス。
  208. 前記ホスト格子構造が、純度99.5%〜99.9%の範囲のPdで構成されることを特徴とする請求項207に記載のデバイス。
  209. 前記ホスト格子構造の構成に使用される前記Pdが、直径50〜125μm、長さ3〜30cmであることを特徴とする請求項208に記載のデバイス。
  210. 前記Pd中の空孔濃度が、全ホスト金属原子の0.1%〜0.2%オーダーであることを特徴とする請求項209に記載のデバイス。
  211. 前記Pd中に見出されるヘリウム−4の濃度が、1cm当たり約1010原子であることを特徴とする請求項210に記載のデバイス。
  212. Pd(PdD)中の重水素の平均充填が0.85であることを特徴とする請求項211に記載のデバイス。
  213. 水素−重水素とヘリウム−3原子とを受容するために適用可能なホスト格子構造と、
    水素−重水素原子の高濃度を維持するための封止層と、
    前記ホスト格子構造中に、前記水素−重水素からヘリウム−3原子への少なくとも1つの反応と、ヘリウム原子から水素−重水素への少なくとも1つの反応とを含む複数の反応を提供する反応部位と、
    を含み、
    前記複数の反応が前記ホスト格子構造中にエネルギーを放出することを特徴とするデバイス。
  214. 前記ホスト格子構造が、前記水素−重水素原子とヘリウム−3原子とを受容するために使用される空孔の濃度fをさらに含むことを特徴とする請求項213に記載のデバイス。
  215. 前記封止表面が、前記ホスト格子構造の表面からの水素−重水素原子の脱出を遮断することを特徴とする請求項213に記載のデバイス。
  216. 前記封止表面が、前記ホスト格子構造の前記充填されたPd(PdD)表面上のアマルガムから構成されることを特徴とする請求項213に記載のデバイス。
  217. 前記ホスト格子構造中の重水素の濃度を維持するために、77Kまたはそれ以下の範囲の液体窒素温度の使用をさらに含むことを特徴とする請求項213に記載のデバイス。
  218. 前記ホスト格子構造中の前記複数の反応が、格子フォノン振動の励起モードによってもたらされる前記ホスト格子構造中の核反応(D+H)とヘリウム−3の生成との結果であることを特徴とする請求項213に記載のデバイス。
  219. 前記ホスト格子構造中の前記複数の反応が、前記ホスト格子構造中にヘリウム−3の濃度レベルの増加をもたらすことを特徴とする請求項213に記載のデバイス。
  220. 前記核反応およびヘリウム−3の生成が、前記ホスト格子構造に吸収される熱の形態でエネルギーを創出することを特徴とする請求項218に記載のデバイス。
  221. 前記ホスト格子構造が、Ni、Pd、Ti、Nb、Ta、Nb、Mo、Fe、Vからなる群から選択される金属であることを特徴とする請求項213に記載のデバイス。
  222. 前記ホスト格子構造が、純度99.5%〜99.9%の範囲のPdで構成されることを特徴とする請求項221に記載のデバイス。
  223. 前記ホスト格子構造の構成に使用される前記Pdが、直径50〜125μm、長さ3〜30cmであることを特徴とする請求項222に記載のデバイス。
  224. 前記Pd中の空孔の濃度が、全てのホスト金属原子の0.1%〜0.2%オーダーであることを特徴とする請求項223に記載のデバイス。
  225. 水素もしくは重水素と、ヘリウムとを受容するために適用可能なホスト格子構造と、
    水素もしくは重水素原子と、ヘリウムの高濃度を維持するための封止層と、
    前記ホスト格子を安定化するための空孔を提供する反応部位と、
    を含み、
    前記水素もしくは重水素が前記空孔に入るときに安定化が起きることを特徴とするデバイス。
  226. 前記ホスト格子構造が、前記水素もしくは重水素を受容するために使用される空孔濃度fをさらに含むことを特徴とする請求項225に記載のデバイス。
  227. 前記封止表面が、前記ホスト格子構造の表面からの水素もしくは重水素原子の脱出を遮断することを特徴とする請求項225に記載のデバイス。
  228. 前記封止表面が、前記ホスト格子構造の前記充填されたPd(PdD)表面上のアマルガムから構成されることを特徴とする請求項225に記載のデバイス。
  229. 前記ホスト格子構造が、Ni、Pd、Ti、Nb、Ta、Nb、Mo、Fe、Vからなる群から選択される金属であることを特徴とする請求項225に記載のデバイス。
  230. 前記ホスト格子の前記充填と刺激が同時に行われることを特徴とする請求項225に記載のデバイス。
  231. 前記刺激が電子ビーム照射を使用して行われることを特徴とする請求項225に記載のデバイス。
  232. 前記照射の線量が1017/cmまたはそれ以上のオーダーであり、電子エネルギーが0.1〜5MeVの範囲であることを特徴とする請求項231に記載のデバイス。
  233. 重水素とヘリウム−4との濃度を含むホスト格子構造と、
    前記ホスト格子構造中に複数の反応を刺激する手段であって、前記複数の反応が重水素からヘリウム−4への少なくとも1つの反応と、ヘリウム−4から重水素への1つの反応とを含む手段と、
    エネルギーを発生する手段と、
    前記格子構造中に発生した前記エネルギーを再使用可能な形態のエネルギーに変換する手段と、
    を含むことを特徴とするシステム。
  234. 前記複数の反応を刺激する手段が、レーザ励起、表面音響発生器、DCおよびAC電流源、急速イオンまたはニュートロン衝撃、または発熱性固体または表面化学反応の使用を含むことを特徴とする請求項233に記載のシステム。
  235. 前記複数の反応が核反応を含み、ヘリウム−4の生成が前記ホスト格子構造によって吸収される熱の形態でエネルギーを創出することを特徴とする請求項233に記載のシステム。
  236. 前記エネルギーを変換する手段が、熱伝導、対流、熱電エネルギー変換器を通る流れ、熱イオン変換器、熱ダイオード、またはスターリング・エンジンを含むことを特徴とする請求項233に記載のシステム。
  237. 前記ホスト格子構造が、Ni、Pd、Ti、Nb、Ta、Nb、Mo、Fe、Vからなる群から選択される金属であることを特徴とする請求項233に記載のシステム。
  238. 前記ホスト格子構造が、純度99.5%〜99.9%の範囲のPdで構成されることを特徴とする請求項237に記載のシステム。
  239. 前記ホスト格子構造の構成に使用される前記Pdが、直径50〜125μm、長さ3〜30cmであることを特徴とする請求項238に記載のシステム。
  240. 前記Pd中の空孔濃度が、全ホスト金属原子の0.1%〜0.2%オーダーであることを特徴とする請求項239に記載のシステム。
  241. 前記Pd中のヘリウム−4の濃度が、1cm当たり約1010原子であることを特徴とする請求項240に記載のシステム。
  242. 重水素(PdD)の平均充填が0.85であることを特徴とする請求項241に記載のシステム。
  243. 特定濃度の水素−重水素とヘリウム−3とを含むホスト格子構造と、
    前記ホスト格子構造中に複数の反応を刺激するためのエネルギー源であって、前記複数の反応が水素−重水素からヘリウム−3への少なくとも1つの反応と、ヘリウム−3から水素−重水素への少なくとも1つの反応とを含むエネルギー源と、
    前記変換によって発生したエネルギーを検出する検出器と、
    前記格子構造中に発生したエネルギーを、再使用可能な形態のエネルギーに変換する変換器と、
    を含むことを特徴とするシステム。
  244. 前記複数の反応を刺激するために作動可能なエネルギー源が、レーザ励起、表面音響発生器、DCおよびAC電流源、急速イオンまたはニュートロン衝撃、または発熱性固体または表面化学反応の使用を含むことを特徴とする請求項243に記載のシステム。
  245. 前記検出器が、前記ホスト格子構造中の核反応(D+H)とヘリウム−3の生成とを検出することによって、前記ホスト格子構造中で起こる前記複数の反応を決定することを特徴とする請求項243に記載のシステム。
  246. 前記検出器が、ヘリウム−3濃度のレベルの増加を検出することによって、前記ホスト格子構造中で起きている反応の量を決定することを特徴とする請求項243に記載のシステム。
  247. 前記核反応とヘリウム−3の生成が、前記ホスト格子構造によって吸収される熱の形態でエネルギーを創出することを特徴とする請求項245に記載のシステム。
  248. 前記変換器が、熱伝導、対流、熱電エネルギー変換器を通る流れ、熱イオン変換器、熱ダイオード、またはスターリング・エンジンの使用を含むことを特徴とする請求項243に記載のシステム。
  249. 前記ホスト格子構造が、Ni、Pd、Ti、Nb、Ta、Nb、Mo、Fe、Vからなる群から選択される金属であることを特徴とする請求項243に記載のシステム。
  250. ヘリウム核が周囲の格子に対して局部的に約100fmまたはそれ以上のレベルで動くことを特徴とする請求項1、47、または77に記載の方法。
  251. ヘリウムが周囲の原子に対して少なくとも100fm動くことを特徴とする請求項1、47、または77に記載の方法。
  252. 前記ホスト格子構造が、合金および複合材料で構成されることを特徴とする請求項1、47、または77に記載の方法。
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