JP2006509033A - 1型糖尿病のための胸腺に基づく寛容原性アプローチ - Google Patents

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Abstract

本発明は、I型糖尿病の治療および予防のための組成物および方法を提供する。

Description

[発明の背景]
真性糖尿病は、世界中で最も頻度の高い代謝疾患である。米国では、毎日新たに約1700例が糖尿病と診断され、そして糖尿病であるアメリカ人1600万人の少なくとも1/3がそれに気付いていない。糖尿病の合併症は、寿命と生活の質を損なわせるが、これには粥状硬化性心疾患、壊疽、および発作、ならびに糖尿病性網膜症(失明に至る網膜変化)、神経障害、および腎障害が含まれる。
正常なグルコース恒常性(homeostasis)は、グルカゴンなどの対抗調節性ホルモンの分泌で繊細にバランスを取られる、血糖値の微妙な変化に応答した膵臓β細胞によるインスリン分泌の繊細に調律された編成を必要とする。糖尿病は、I型とII型の2つの型に分けることができる。I型糖尿病(またはIDDM)は、ヒトの糖尿病全体の10%に相当し、膵臓β細胞の自己免疫破壊によって生じ、インスリン欠乏症を引き起こす。II型糖尿病すなわちインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)は症例の90%の割合を占め、そして(1)末梢組織、特に骨格筋および脂肪細胞でのグルコース摂取におけるインスリン作用への抵抗、(2)肝臓の糖産生を阻害するインスリン作用が損なわれること、および(3)無調節なインスリン分泌、の三本柱で特徴付けられる(例えば、DeFronzo (1997) Diabetes Rev. 5: 177-269を参照)。ほとんどの場合において、II型糖尿病は複雑な遺伝パターンを有する多遺伝子疾患である(Kahn, et al., (1996) Annu. Rev. Med. 47: 509-531に総説される)。
IDDMを生じさせる、またはそれ以外でIDDM開始に関与する一連の自己免疫学的事象は、あまり理解されていない。この有害な自己免疫応答に関与するのは、免疫グロブリン分泌B細胞を含むエフェクター免疫細胞、すなわちCD4Tリンパ球およびCD8Tリンパ球、ならびにインスリン、グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)65および67アイソタイプ、熱ショックタンパク質60、IA−2、ならびにいくつかの特性未決定ICAを含む複数の自己抗原である(例えば、Atkinson, M. A. (1994) N. Engl. J. Med. 331: 1428-1436; Delovitch, T. L. et al. (1997) Immunity 7: 727-738; および Durinovic-Bello, I. (1998) Autoimmunity 27: 159-177を参照)。これらの同定された自己抗原のうち、インスリンは、IDDMのヒトモデルおよび動物モデルの両方で発達に重要な役割を果たすことが示されている(例えば、Semple, J. W. et al. (1992) Int. Immunol. 4: 1161-1167; Wegmann, D. R. et al. (1994) J. Autoimmun. 7: 833-843; Rudy, G. et al. (1995) Mol. Med. 1: 625-633; および Griffin, A. C. et al. (1995) Am. J. Pathol. 147: 845-857を参照)。しかしながら、これらの自己抗原の特性決定にも関わらず、自己免疫プロセスの病態生理学は未解明のままである。
最新の仮説の1つは、免疫系の特定の自己反応性が中枢性自己寛容の胸腺確立の欠陥から発達する可能性があることである(例えば、Martens, H. et al. (1996) Immunol. Today 17: 312-317; Geenen, V. et al. (1998) Diabetes Metab. Rev. 14: 95-103; および Geenen, V. et al. (1998) J. Neuroendocrinol. 10: 811-822を参照)。一次造血部位(すなわち、胎児卵黄嚢、胎児肝臓、および次いで骨髄)内でのリンパ幹細胞の形成に続いて、リンパ幹細胞は胸腺内に移動し、そこでそれらは胸腺信号により誘導されて増殖、遺伝子再構成、および分化のプログラムを起こす。これらの特異的な胸腺での事象は、多彩なレパートリーのT細胞抗原受容体(TCR)の組み合わせを発現する多数の未成熟二重陽性CD4/CD8胸腺細胞の産生をもたらす。このレパートリーは、次いで、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)との関連で自己抗原を認識するT細胞が、無視によるかまたはネガティブ選択により死に誘導されるように、厳密な選別にかけられる(例えば、Kisielow, P. et al. (1988) Nature 333: 742-746を参照)。自己反応性Tリンパ球のこの効率的な欠失が、免疫系の中枢性自己寛容の原因である。胸腺の寛容原性機能は、胸腺組織の異なる細胞コンポーネント:上皮細胞/ナース細胞(TEC/TNC)、マクロファージ、および樹状細胞により媒介される(例えば、Bonomo, A. et al. (1993) J. Exp. Med. 177: 1153-1164 、および Sprent, J. (1995) Int. Rev. Immunol. 13: 95-105を参照)。神経内分泌機能の中枢T細胞免疫寛容は、神経内分泌ファミリーの主要な一員の胸腺内発現により媒介されると提唱されている(例えば、Martens, H. et al. (1996) 前出、およびGeenen, V. et al. (1998) 前出、を参照)。
インスリンの免疫寛容を再構築するために、いくつかの手順が行われてきたが成功していない。例えば、インスリンの経口投与は、遅発(recent-onset)IDDMで残存するβ細胞機能を保護することに成功しなかった(例えば、Chaillous, L. et al. (2000) Lancet 356: 545-549 、およびpozzilli, P. et al. (2000) Diabetologia 43: 1000-1004を参照)。そのうえ、IDDMの患者のハイリスクの親類にインスリンを皮下投与しても、疾患の開始を遅らせることも阻止することもなかった(例えば、DPT−I型糖尿病研究群(DPT-Type I Diabetes Study Group) (2002) N. Engl. J. Med. 346: 1685- 1691を参照)。Neurocrine Bioscience, Inc. (San Diego, California)による別の研究は、インスリンの配列B9−23に対する細胞性免疫応答がIDDMの患者に生じたことを実証した(例えば、Alleva, D. G. et al. (2001) J. Clin. Invest. 107: 173-180を参照)。具体的には、細胞性免疫応答は、インスリンB9−23ペプチドの存在に反応してIFN−γを多量に産生する炎症誘発性プロファイルを示す、CD4媒介型、HLA−II限定免疫応答であった。上記挑戦のそれぞれにおいて、インスリン自己抗原、またはそのペプチドの使用は、IDDMの予防または治療をもたらすことに失敗した。そのうえ、ペプチドB9−23が、NODマウスにおいて、糖尿病の発現率に拍車をかけ、かつ致死アナフィラキシーを誘導することから、インスリンの配列B9−23の強力な免疫原性がさらに最近確かめられた(例えば、Liu, E. et al. (2002) J. Clin. Invest. 110 : 1021-1027を参照)。このように、膵臓β細胞の破壊に関わる自己抗原に対する免疫寛容を誘導する身体の能力を改善する治療が依然として必要とされている。
[発明の概要]
本発明は、IDDMの治療および/または予防のための、自己免疫応答、例えば、Th性(mediated:媒介性、介在性)免疫応答を阻害する効果的方法を提供する。本発明は、少なくとも一部は、神経内分泌自己抗原が、相同(または「変化した」自己)神経内分泌自己抗原とは対照的に、免疫系に強力な寛容原性または調節効果を及ぼすという発見に基づく。したがって、インスリンは1型糖尿病の主要かつ最大のβ細胞特異的自己抗原であるが、インスリン成長因子(IGF)−2はインスリンファミリーの寛容原性自己抗原前駆体である。哺乳類において、インスリン遺伝子/タンパク質ファミリーは、主にインスリン(INS)、インスリン様成長因子1(IGF−1)、およびインスリン様成長因子2(IGF−2)の3種からなる。タンパク質レベルでは、IGF−2は、様々な種からの胸腺上皮細胞で発現される、このファミリーの優勢な成員であるとして同定されている(例えば、 Greenen, V. et al. (1993) Thymus 21 : 115-127を参照)。INS転写物もまた、胸腺で同定されており、INSmRNAのレベルはIDDMにかかりやすい対立遺伝子と相関しているが、しかしながら胸腺INSレベルは非常に低い(例えば、Jolicoeur, C. et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 6707-6711 ; Pugliese, A. et al. (1997) Nat. Genet. 15: 293-297; および Vafiadis, P. et al. (1997) Nat. Genet. 15: 289-292を参照)。
本発明は、被検体、例えばヒトなどの哺乳類に、有効量のIGF−2ペプチドを投与することによる、自己免疫応答、例えばTh性免疫応答を阻害する方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、被検体に、有効量のIGF−2ペプチドを投与することによる、Th性免疫応答を誘導する方法を特色とする。
他の態様において、本発明は、I型糖尿病を発症する危険があるかまたはI型糖尿病を患っている被検体に、それぞれ、免疫寛容を誘導または再構築する方法を提供する。これらの方法は、被検体に免疫寛容を誘導または再構築するのに有効な量で、本発明のIGF−2ペプチドを被検体に投与することを含む。
さらに別の態様において、本発明は、被検体のI型糖尿病を予防または治療する方法を提供する。この方法は、I型糖尿病が被検体で予防または治療されるように、有効量の本発明のIGF−2ペプチドを被検体に投与することを含む。
別の態様において、本発明は、I型糖尿病を発症する危険が高い被検体を保護する方法を提供する。この方法は、危険のある被検体がI型糖尿病の発症から保護されるように、有効量のIGF−2ペプチドを危険の高い被検体に投与することを含む。
さらに別の態様において、本発明は、島(islet)β細胞移植を受ける被検体における移植片拒絶を治療または予防する方法を提供する。この方法は、島β細胞移植を受ける被検体における移植片拒絶を予防または治療するのに有効な量で本発明のIGF−2ペプチドを被検体に投与する工程を含む。
別の実施形態において、本発明は、I型糖尿病を発症する危険性がある被検体を保護するワクチンを提供し、ここでワクチンは本発明のIGF−2ペプチドおよび医薬上許容可能なキャリアを含む。別の態様において、本発明は、I型糖尿病を発症する危険性がある被検体に免疫寛容を誘導するワクチンを提供し、ここでワクチンは本発明のIGF−2ペプチドおよび医薬上許容可能なキャリアを含む。さらに別の態様において、本発明は、本発明のIGF−2ペプチドおよび医薬上許容可能なキャリアを含む医薬組成物を提供する。
特定の実施形態において、本発明は、I型糖尿病から被検体を保護する有効量で本発明のワクチンを被検体に投与することにより、被検体をI型糖尿病から保護する方法を提供する。他の実施形態において、本発明は、被検体に免疫寛容を誘導するのに有効な量で有効量の本発明のワクチンを被検体に投与することにより、被検体にI型糖尿病に対する免疫寛容を誘導する方法を提供する。
本発明のIGF−2ペプチドは、配列番号:1のIGF−2タンパク質、または免疫応答を調節する能力があるそのフラグメントを含む。特定の実施形態において、IGF−2ペプチドは、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100アミノ酸を含む。別の実施形態において、本発明のIGF−2ペプチドは、アミノ酸配列GELVDTLQFVCGDR(配列番号:2;B11−25)を含む。別の実施形態において、IGF−2ペプチドは改変ペプチドリガンド(APL)である。特定の実施形態において、本発明のIGF−2ペプチドは、被検体のHLA−D対立遺伝子に結合する能力がある。1つの実施形態において、HLA−D対立遺伝子はHLA−DQである。別の実施形態において、HLA−D対立遺伝子はHLA−DQ8である。別の実施形態において、HLA−DQ対立遺伝子はHLA−DQ2である。
特定の実施形態において、IGF−2ペプチドの安定性を増加させるために、IGF−2ペプチドは、修飾、例えば変更または改変される。別の実施形態において、IGF−2ペプチドの修飾は、IGF−2ペプチドの低い免疫原性をさらに低下させる。特定の実施形態において、IGF−2ペプチドは、PEG化により修飾される。他の実施形態において、IGF−2ペプチドは、IGF−2ペプチドをMHCクラスII二量体と複合化させることにより、修飾される。
本発明はまた、I型糖尿病に対して被検体を免疫化する、またはI型糖尿病を患っている被検体を治療するキットを特色とする。これらのキットは、発明のIGF−2ペプチド、および随意に使用説明書を含む。
[発明の詳細な説明]
[定義]
本発明をさらに記載する前に、そして本発明がより容易に理解されるようにするために、特定の用語を最初に定義し、そして便宜上ここにまとめる。
本明細書中で使用される場合、用語「IGF−2ペプチド」または「IGF−2分子」は、天然に生じるIGF−2、天然および非天然の機能性類似体、ならびに免疫応答を阻害する能力があるそれらのフラグメントおよび誘導体を示す。IGF−2のアミノ酸配列は、(配列番号:1)として記載される。複数の保護、非保護、および部分保護した、天然および非天然の機能性類似体ならびにIGF−2誘導体もまた本発明の範囲内にあると意図される。当該技術分野で既知のとおり、アミノ酸残基は、それらが(1)アミノ基およびカルボキシ基の両方が適切な保護基を有する保護型でも、(2)アミノ基またはカルボキシ基のいずれかが適切な保護基を有する部分保護型でも、または(3)アミノ基およびカルボキシ基のいずれも適切な保護基を有さない非保護型でもよい。そのような保護基を形成および除去する多数の反応が複数の標準的な業書に記載され、例えば、「有機化学の保護基(Protective Groups in Organic Chemistry)」, Plenum Press (London and New York, 1973), Green, T. H.,「有機合成の保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」, Wiley (New York, 1981),および「ペプチド(The Peptides)」, Vol.1, Schroder and Lubke, Academic Press (London and New York, 1965)が挙げられる。そのような型の全てが本発明に包含される。代表的なアミノ保護基として、例えば、ホルミル、アセチル、イソプロピル、ブトキシカルボニル、フルオレニルメトキシカルボニル、カルボベンジルオキシなどが挙げられる。代表的なカルボキシ保護基として、例えば、ベンジルエステル、メチルエステル、エチルエステル、t−ブチルエステル、p−ニトロフェニルエステルなどが挙げられる。
アミノ基およびカルボキシ基の両方が適切な保護基を有する保護型に加え、本発明のIGF−2ペプチドは修飾もされ得る。本明細書中で使用される場合、用語「修飾された」は、IGF−2ペプチドの安定性または半減期を増加させるために、修飾、例えば、変更、改変などされたIGF−2ペプチドを示す。そのような修飾として、PEG化、IGF−2ペプチドのMHC四量体との、例えば、MHCクラスII四量体との複合化などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの修飾されたペプチドの調製法は、当業者に既知である。
同じく本発明の範囲内であるのは、天然に生じるIGF−2ペプチドの誘導体であり、これらは、天然に生じる配列のフラグメント化により得られるか、または、配列をコードする遺伝子材料(DNAまたはRNA)の天然に生じるアミノ酸配列の配列の知識に基づいて合成される。本明細書中で使用される場合、用語「改変ペプチドリガンド」は、本来の配列には存在しない1つまたは複数のアミノ酸が付加または欠失された天然または非天然のIGF−2ペプチドおよびIGF−2ペプチドの類似体、ならびにそれらの誘導体の化学修飾を示す。改変ペプチドリガンドの例として、Alleva, D. G. et al.により記載される、INSのB9−23ペプチド内の様々な場所でアラニン置換基を挿入することにより当該ペプチドが修飾されたもの(例えば、Alleva, D. G. et al. (2002) Diabetes 51: 2126-2134を参照)、16位および19位にアラニン置換基を含む米国特許第6,197,926号に記載されるような改変ペプチドNBI−6024、およびKappos, et alにより記載される、改変ミエリン(mylein)塩基性タンパク質ペプチドD−Ala83−Lys84−Ley89−Ala91−MBP83−99を含むもの(例えば、Kappos et al., (2000) Nat. Med. 1176-1182を参照)などが挙げられるが、これらに限定されない。
記載される配列の一部分またはセグメントもまた、自己抗原(すなわち膵臓島β細胞に特異的な自己免疫原性T細胞)を認識するT細胞を調節するが、自己抗原を認識しないT細胞に対しては調節しない免疫系に影響を及ぼす所望のIGF−2ペプチドまたはそのフラグメントの特徴を十分有するかぎり、本発明で用いられ得ることが理解されるだろう。配列におけるそのような改変は、例えば、代替配列を合成することにより容易になされ得る。次いで、代替配列は、例えば、脊椎動物モデルなどのモデルで、その有効性を確かめるために試験され得る。
本明細書中で使用される場合、用語「フラグメント」は、T細胞を調節する免疫系に影響を及ぼし得る(例えば、免疫寛容を誘導する、Th自己免疫応答を阻害する、Th性免疫応答を誘導するなど)IGF−2ペプチドのアミノ酸配列が保存されたサブセットを意味する。この用語は、付加配列または部分と連結もしくは結合した、例えば、ペプチドが他のアミノ酸配列と、またはキャリアとカップリングしているようなフラグメントを含むことが意図される。したがって、ペプチドはIGF−2タンパク質の最も一般的なフラグメントとなることから、用語「フラグメント」および「ペプチド」は同義に用いられ得る。本明細書中、IGF−2ペプチドの「フラグメント」、「部分」、または「セグメント」への言及は、その組成物が無処置のIGF−2タンパク質由来でなければならないことを意味しない。そのような「フラグメント」、「部分」、または「セグメント」は、例えば、手動または自動ペプチド合成、様々なクローニング方法、あるいは全IGF−2タンパク質の酵素処理などの当業者に既知である様々な手段により生成され得る。特定の実施形態において、IGF−2ペプチドはアミノ酸配列GELVDTLQFVCGDR(配列番号:2)を含む。他の実施形態において、IGF−2ペプチドは、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100アミノ酸を含む。特定の実施形態において、本発明のIGF−2ペプチドは、被検体のHLA−D対立遺伝子に結合する能力がある。1つの実施形態において、HLA−D対立遺伝子はHLA−DQである。別の実施形態において、HLA−D対立遺伝子はHLA−DQ8である。別の実施形態において、HLA−DQ対立遺伝子はHLA−DQ2である。
用語「ペプチド」または「ポリペプチド」は、本明細書中、その最も広義、すなわち、ペプチド結合を通して連結したアミノ酸の任意のポリマー(ジペプチドまたはそれより大きい)で使用される。したがって、用語「ペプチド」は、タンパク質、オリゴペプチド、タンパク質フラグメント、突然変異タンパク質、融合タンパク質などを含む。用語「タンパク質」は、本明細書中、天然に生じるポリペプチドを指定するのに使用される。本発明のペプチドは、当該技術分野で既知の技法を用いて合成され得るか、またはDNAもしくはRNAなどの核酸によりコードされ得る。
本発明はまた、宿主細胞で発現される能力があるベクターに操作可能に連結された、IGF−2ペプチドをコードする核酸配列を含む組換え分子を含む。DNA「コード配列」または特定のペプチドもしくはタンパク質を「コードするヌクレオチド配列」は、適切な制御配列の制御下に置かれた場合に宿主細胞で転写されてポリペプチドに翻訳されるDNA配列である。コード配列の境界は、5'(アミノ)末端での開始コドンおよび3'(カルボキシ)末端での翻訳終止コドンにより決められる。コード配列として、原核生物配列、cDNA配列、真核生物mRNAからのcDNA、真核生物(例えば、哺乳類)DNAからのゲノムDNA配列、および合成DNA配列さえもが挙げられ得るが、これらに限定されない。転写終結配列は、通常、コード配列に対して3'に配置される。
本明細書中で使用される場合、「操作可能に連結された」は、宿主細胞中に形質転換された場合に、核酸配列が発現されることができるような様式で、発現ベクターに核酸配列を挿入することを示す。本明細書中で使用される場合、「発現ベクター」は、宿主細胞を形質転換し、そして適切な核酸配列の発現に作用する、例えば宿主細胞内で複製する能力がある、RNAまたはDNAベクターである。発現ベクターは、原核生物または真核生物のいずれかであることができ、そして通常はウイルスまたはプラスミドである。
ベクターDNAは、従来の形質転換またはトランスフェクション技法を介して、原核生物細胞または真核生物細胞中に導入され得る。本明細書中で使用される場合、用語「形質転換」および「トランスフェクション」は、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、または電気穿孔法を含む、外来核酸(例えば、DNA)を宿主細胞中に導入するさまざまな当該技術分野で認められた技法を示すことが意図される。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトするのに適した方法は、Sambrook et al. (「分子クローニング:実験室手引書(Molecular Cloning : A Laboratory Manual)」2nd ed, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989)、および他の実験室手引書に見いだされ得る。
哺乳類細胞の安定なトランスフェクションについては、用いた発現ベクターおよびトランスフェクション技法に依存して、細胞の小さなフラクションのみが外来DNAを自らのゲノム中に組み込まれうることは既知である。これらの組み込み体を同定して選別するために、一般的に、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質耐性)をコードする遺伝子が、目的の遺伝子と一緒に宿主細胞中に導入される。好ましい選択可能なマーカーとして、G418、ハイグロマイシン、およびメトトレキセートなどの薬物への耐性を与えるものが挙げられる。選択可能なマーカーをコードする核酸は、本発明のIGF−2ペプチドをコードするものと同じベクター上で宿主細胞中に導入され得るか、または別々のベクター上で導入され得る。導入された核酸で安定してトランスフェクトされる細胞は、薬物選別により同定され得る(例えば、選択可能な標識遺伝子が組み込まれた細胞は生存するが、他の細胞は死ぬ)。
調節配列として、核酸の転写および翻訳に必要なものが挙げられ、そしてプロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、および分子を適切な細胞区画(compartment)に輸送するのに必要な配列を含み得る。核酸がcDNA、組換え発現ベクターの場合、cDNAの転写および/または翻訳の原因である調節機能は、しばしばウイルス配列により提供される。一般的に用いられるウイルスプロモーターの例として、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびサルウイルス40、ならびにレトロウイルスLTR由来のものが挙げられる。
核酸に結合した調節配列は、例えば、誘導性エンハンサーの使用により、構成的または誘導的転写を提供するように選択され得る。したがって、本発明の特定の実施形態において、本発明のIGF−2ペプチドをコードする核酸分子は、その核酸を含む宿主細胞(単数または複数)が誘導性制御エレメントに影響を及ぼす薬剤と接触することまたは接触しないことそれぞれにより遺伝子を発現させたりまたはさせなかったりし得るようにして、誘導性制御エレメントの制御下にある。本発明の他の実施形態において、本発明のIGF−2ペプチドをコードする核酸分子は、核酸分子の発現を構成的に駆動するプロモーターの制御下にある。操作可能に連結された核酸分子の構成的発現を駆動する調節エレメントは、ウイルスエレメントであり得る(例えば、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、サルウイルス40、またはレトロウイルス由来)。
適した宿主細胞とは、本発明のペプチドを産生する能力がある任意の細胞であり得る。そのような宿主細胞として、細菌細胞、真菌細胞、昆虫細胞、および哺乳類細胞が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の宿主細胞はまた、MHC分子を自然に発現する細胞であり得るか、またはMHC分子を発現する能力があり、そして本発明のペプチドを産生してそれらをMHC分子上に提示し得る細胞である。例として、T細胞およびB細胞などの抗原提示細胞、樹状細胞、ならびにマクロファージが挙げられるが、これらに限定されない。他の例として、細胞表面でMHCクラスI分子を発現させる非免疫細胞が挙げられ、線維芽細胞、上皮細胞、および内皮細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
「プロモーター配列」は、細胞のRNAポリメラーゼと結合して下流(3'方向の)コード配列の転写を開始する能力があるDNA調節領域である。本発明を定義する目的のため、プロモーター配列はコード配列の翻訳開始コドン(ATG)により3'末端で結合され、そしてバックグラウンドより上の検出可能なレベルで転写を開始するのに必要な、最小数の塩基またはエレメントを含むように上流(5'方向)に延びる。プロモーター配列内に、転写開始部位(ヌクレアーゼS1でのマッピングにより便宜上定義される)、ならびにRNAポリメラーゼの結合の原因であるタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が見いだされるだろう。真核生物プロモーターは、常にではないが、しばしば、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含む。原核生物プロモーターは、−10および−35コンセンサス配列に加えてシャイン・ダルガーノ(Shine-Dalgarno)配列を含む。
用語「I型糖尿病」または「インスリン依存性糖尿病(IDDM)」(「若年発症糖尿病」または「ケトン症易発性(ketosis-prone)糖尿病」としても既知である)は、膵臓島β細胞量の減少により引き起こされるインスリンの重篤な、しばしば完全な欠乏により特徴付けられる状態を示す。I型糖尿病は通常、幼児期に発症し、思春期で顕在化および重篤になる。I型糖尿病を患っている患者は、生存のためインスリンに依存する。すなわち、インスリンがないと、患者は、急性ケトアシドーシスおよび昏睡などの急性代謝合併症を発症する。
本発明の方法は、I型糖尿病の危険があるかこれを患っている被検体に免疫寛容を誘導、または再構築するのに有用である。本発明は、I型糖尿病を示している、または再発的にもしくは初めてのいずれかでI型糖尿病を発症する「危険がある」もしくは「非常に危険がある」被検体のI型真性糖尿病の最初の開始または再発を治療および/または予防することに関する。特に再発性I型糖尿病を発症する危険がある被検体は、かつては糖尿病であったが膵臓島β細胞の移植により非糖尿病になった糖尿病のヒトまたは動物である。したがって、「危険がある」もしくは「非常に危険がある」被検体は、当該技術分野で既知の複数の試験により決定されるように、以下の形質のどれか1つまたはその組み合わせを有するものである。
(1)HLA−D対立遺伝子について陽性。糖尿病の遺伝的感受性は、分子生物学的手段の使用を通じて、通常は末梢血から得られたDNA試料から、ますます限定可能になってきている。IDDの遺伝的感受性に関与する1つの主要な遺伝子は、HLA−DQ座、例えば、HLA−DQ8およびHLA−DQ2に位置するものである。基本的に危険無しからその遺伝子型のない場合の70倍もの高さまで変化する危険性を同定することが現在可能である。特定のファミリーでは、罹患した発端者と共有するHLAハプロタイプの同定を通じて罹患していない兄弟の遺伝的危険性が1/4もの高さであると見積もられ得る。
(2)自己抗体の存在。IDDを発症したばかりまたはIDDを発症する過程にある人は、その血液中に、多数の疾患特異的自己抗体を有する。そのような自己抗体として、島細胞抗原(ICA)に対するもの、64kDaのβ細胞特異的タンパク質に対するもの、グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD65)の低分子アイソフォームであると現在思われているもの、天然のインスリンおよびプロインスリンに対するもの、チロシンホスファターゼIA−2に対するもの、ならびに複数のより軽微な決定因子(カルボキシペプチダーゼ−Hおよびhsp−60ファミリーに属する熱ショックタンパク質など)に対するものが挙げられる。
(3)インスリン自己抗体の存在。インスリン自己抗体(IAA)が、治療を受けていない、新たにIDDMと診断された患者(例えば、Palmer et al. (1983) Science 222: 1337-1339を参照)ならびに糖尿病発端者の見かけ上罹患していない身内で観測されている。インスリンに対する自己免疫は、β細胞損傷を直接引き起こし得るか、内因性インスリンの作用に干渉し得るか、または両方の効果を有することができるが、IAAは島細胞破壊の割合を反映し、したがって侵攻性島指向性自己免疫のレポーターとして作用するにすぎないことを示す研究者もいる(例えば、Ziegler et al. (1989) Diabetes 38: 1320-1325; Vardi (1988) Diabetes Care 11: 736-739を参照)。
用語「免疫学的免疫寛容」または「抗原に対する免疫寛容」または「免疫寛容」は、長期全般性免疫不全(prolonged genralized immune deficiency)の誘導なしの、抗原に対する無反応を含む。その結果、本発明に従って、免疫寛容な宿主は免疫寛容化抗原以外の抗原と反応し得る。免疫寛容は、免疫寛容誘導手順を受けていなければ、その抗原に対する免疫応答を高める(mount)能力があるであろう被検体の応答における抑制の誘導を表す。
本明細書中で使用される場合、用語「移植片拒絶」は、他のヒトドナー(同種移植)からの、またはヒツジ、ブタ、もしくは非ヒト霊長類などの他の種(異種移植)からの、移植組織および/または器官に対する免疫反応を示す。それゆえ、本発明の方法は、他のヒトドナー(同種移植)から、または他の種(異種移植)から移植された膵臓島β細胞に対する免疫反応を予防するのに有用である。この定義に同じく含まれるのは、「移植片対宿主病」つまり「GVHD」であり、これは移植片細胞が宿主に対して免疫応答を高める状態である。それゆえ、本発明の方法は、組織、すなわち例えば、I型糖尿病の治療用膵臓島β細胞の不一致の場合に移植片対宿主病を予防するのに有用である。
用語「誘導する」、「阻害する」、「増強する」、「上昇させる」、「増加させる」、「減少させる」などは、2つの状態間の量的差異を表示し、そして2つの状態間の少なくとも統計的な有意差を示す。例えば、「免疫応答を阻害するのに有効な量」は、治療されていない被検体と比較して、被検体における免疫応答が少なくとも有意に少なくなるだろうということを意味する。免疫応答は、それぞれ酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ELISPOT(登録商標)アッセイ、または[H]−チミジン取込みアッセイにより測定されるように、サイトカイン産生および/またはT細胞の増殖活性の評価をはじめとする当該技術分野で既知の複数の技法を用いて測定され得る。そのような用語は、本明細書中、例えば、サイトカイン産生の量を評価するのに適用される。
本明細書中で使用される場合、用語「被検体」は、全ての脊椎動物、すなわち、ヒトおよび非ヒト動物を含むことを意図する。本発明の用語「非ヒト動物」として、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などの、哺乳類、齧歯類、マウス、および非哺乳類が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、被検体は哺乳類、例えば、霊長類、例えば、ヒトである。他の実施形態において、ヒト被検体は、I型糖尿病の危険がある、またはこれを患っているものを含む。
本明細書中で使用される場合、用語「治療」または「治療する(treating)」は、(1)疾患または障害の予防(予防(prophylaxis))、あるいは(2)疾患または障害の症状の低減または除去(治療)のいずれかを示す。
本明細書中で使用される場合、用語「予防」、「予防する(prevent)」、または「予防する(preventing)」は、疾患または障害の発症または進行を、阻害、阻止、または除去することを示す(予防)。
本明細書中で使用される場合、用語「免疫」および「免疫性」は、特定の感染疾患に抵抗することができる性質または状態を示す。
本明細書中で使用される場合、用語「免疫化する」および「免疫化」は、被検体が、(1)疾患または障害にかからないようにする、あるいは(2)疾患または障害に反応しにくくなるようにする、あるいは(3)疾患または障害へ抵抗する度合いが高くなるようにする作用を示す。
用語「MHCクラス保有細胞」は、細胞表面で、MHC分子、すなわちMHCクラスI分子またはクラスII分子、を発現する任意の細胞を示す。ヒトでは、ほとんど全ての有核細胞がMHCクラスI分子を発現するが、発現レベルは細胞型によって様々である。免疫系の細胞はその表面で豊富にMHCクラスIを発現するが、一方肝細胞は比較的低レベルで発現する。MHCクラスII分子は、免疫細胞、特に抗原提示細胞(APC)、すなわち、B細胞、樹状細胞、単球、およびマクロファージで主として発現される。しかしながら、多くの他の細胞型がMHCクラスII分子を発現するように誘導されることができ、そして同じく本発明の範囲内にあることを意味する。MHC分子は、しばしば、脊椎動物によって異なる名前を有する。例えば、MHCは、しばしば、ヒトではHLA、およびマウスではH−2と示される。名称におけるこれらの違いは、本発明の範囲内にあることが意図される。
用語「免疫細胞」は、免疫応答、例えば、1型(Th)または2型(Th)免疫応答を調節するサイトカインを発現、産生、または分泌する能力がある免疫系の細胞を含む。本発明の免疫細胞には、ヒト免疫細胞が含まれ、マクロファージ、樹状細胞、T細胞、B細胞、および好中球などであるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用される場合、用語「T細胞」または「Tリンパ球」は、哺乳類(例えば、ヒトまたはマウス)からの、胸腺細胞、未成熟T細胞、成熟T細胞(表面マーカーCD4および/またはCD8を保有するT細胞を含む)などをはじめとするT細胞系譜内の全ての細胞を含むことが意図される。用語「サイトカイン」は、Tリンパ球およびBリンパ球により産生されるホルモン様メディエータの群のうちの任意の1つを含むことが意図される。代表的なサイトカインとして、インターロイキン(IL)−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−15、IL−18、インターフェロン(IFN)−γ、腫瘍壊死因子(TNF)α、およびトランスフォーミング成長因子(TGF)−βが挙げられるが、これらに限定されない。サイトカインの「活性」フラグメントは、in vitroおよびin vivoの標準アッセイを用いて決定されるとおりの活性を保持するサイトカインフラグメントである。例えば、IL−2およびIFN−γ活性を決定するアッセイが当該技術分野で既知である(例えば、Campos, M. (1989) Cell. Immunol. 120: 259-269 および Czarnieki, C. W. (1986) J. Interferon Res. 6: 29-37を参照)。他のサイトカインの活性を決定するアッセイは、既知であると同時に市販されており、そして当業者により容易に行われ得る。
用語「免疫応答」は、免疫に伴う任意の応答を含み、これにはサイトカイン発現、産生、または分泌(例えば、IL−12、IL−10、TGF−β、またはTNF−αの発現、産生、または分泌)の増加または減少、細胞毒性、免疫細胞移動、抗体産生、および/または免疫細胞性応答が挙げられるが、それらに限定されない。本明細書中で使用される場合、免疫応答は調節されてもよく、これには、本明細書中で定義されるとおりの、免疫応答のアップレギュレーション、増強、刺激、向上、または増加が挙げられる。あるいは、本明細書中で使用される場合、免疫応答の調節はまた、本明細書中で定義されるとおりの、免疫応答のダウンレギュレーション、阻害、または減少を含む。
被検体における免疫応答は、ThまたはTh性免疫応答のいずれかであるとして、さらに特徴付けられ得る。
「Th性免疫応答」は、本明細書中、「1型応答」としても示され、1種または複数種の1型サイトカインの発現、産生、または分泌により特徴付けられ、かつ多くの自己免疫応答および遅延型過敏性応答を伴う、CD4T細胞による応答を含む。語句「1型サイトカイン」または「Th型サイトカイン」は、Th細胞により、優先的にまたは排他的に、発現、産生、または分泌されるサイトカインを含み、これはTh細胞の発達に有利に働き、かつ/または自己免疫反応または遅延型過敏性反応を増強、向上、またはそれ以外で媒介する。Th型サイトカインの例として、GM−CSF、IL−2、IFN−γ、TNF−α、IL−12、IL−15、およびIL−18が挙げられるが、これらに限定されない。
Th性免疫応答に含まれるものとして、「自己免疫応答」がある。本明細書中で使用される場合、用語「自己免疫応答」は、免疫系が宿主自身の組織(単数または複数)を攻撃する状態を示す。自己免疫応答または疾患において、患者の免疫寛容系は、自己抗原を認識することができなくなり、この免疫寛容損失の結果として、免疫系の力を抗原を発現する組織に注ぐ。したがって、用語「自己免疫応答」は、細胞障害性T細胞(CD8T細胞)およびヘルパーT細胞(CD4T細胞)免疫性を伴う任意の反応を含み、これにはサイトカイン発現、産生、または分泌(例えば、IL−2、IL−12、IL−15、またはIFN−γ発現、産生、または分泌)、細胞毒性、免疫細胞移動、抗体産生、および/または免疫細胞性応答の増加または減少が挙げられるが、それらに限定されない。語句「自己免疫応答を阻害する」は、本明細書中で定義されるとおりの、免疫応答のダウンレギュレーション、阻害、または減少を含む。例えば、自己免疫応答は、本発明のIGF−2ペプチドの使用により直接ダウンレギュレート、阻害、または減少され得る。
「Th免疫応答」は、本明細書中、「2型応答」または「Th性免疫応答」としても示され、1種または複数種の2型サイトカインの発現により特徴付けられ、かつ体液性免疫または抗体性免疫(例えば、Th細胞により提供される効率的なB細胞「援助」が、例えば、向上したIgG、および/またはIgE産生を導く)を伴う、CD4T細胞による応答を含む。語句「2型サイトカイン」または「Th型サイトカイン」は、Th細胞により優先的に、または排他的に発現、産生、または分泌されるサイトカインを含み、これはTh細胞の発達に有利に働き、かつ/またはBリンパ球による抗体産生を増強、向上、またはそれ以外で媒介する。Th型サイトカインの例として、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、およびIL−13が挙げられるが、これらに限定されない。
Th性免疫応答に含まれるものとして、抗体性免疫応答がある。用語「抗体性免疫応答」または「Th性免疫応答」は、TヘルパーT細胞(CD4T細胞)免疫性を伴う任意の応答を含み、これにはサイトカイン発現、産生、または分泌(例えば、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、またはIL−13発現、産生、または分泌)、免疫細胞移動、抗体産生、および/または免疫細胞性応答の増加または減少が挙げられるが、それらに限定されない。語句「Th性免疫応答を調節する」または「Th性免疫応答の調節」は、本明細書中で定義されるとおりの、免疫応答のアップレギュレーション、向上、刺激、または増加を含む。
語句「1型免疫性」は、少なくとも1種の1型サイトカインの発現、産生、または分泌、および/または1型免疫性サイトカインプロファイルの発現による1型免疫応答(例えば、遅延型過敏性、マクロファージ活性化、および/または細胞性細胞毒性)により主に特徴付けられる免疫性を含む。語句「2型免疫性」は、少なくとも1種の2型サイトカインの発現、産生、または分泌、および/または2型免疫性サイトカインプロファイルの発現による2型免疫応答(例えば、B細胞援助、IgG、および/またはIgE産生、好酸球活性化、肥満細胞刺激、および/またはマクロファージ不活化)により主に特徴付けられる免疫性を含む。
[発明の実施形態]
本発明は、少なくとも部分的に、被検体のI型糖尿病を予防しかつ治療する方法を提供する。本発明は、IGF−2、すなわちインスリンファミリーの自己抗原前駆体、およびそのフラグメントが、寛容原性特性を示し、したがってI型糖尿病の治療および/または予防に用いられ得るという発見に基づく。
したがって、本発明は、自己免疫応答が阻害されるように有効量の本発明のIGF−2ペプチドを被検体に投与することを含む、被検体、例えばヒトなどの哺乳類の自己免疫応答、すなわち、Th性免疫応答を阻害する方法を提供する。
本発明の別の態様は、Th性免疫応答が誘導されるように有効量のIGF−2ペプチドを被検体に投与することを含む、被検体にTh性免疫応答を誘導する方法を提供する。
別の態様において、本発明はI型糖尿病を発症する危険がある被検体に免疫寛容を誘導する方法を提供する。この方法は、被検体に免疫寛容を誘導するのに有効な量で、本発明のIGF−2ペプチドを被検体に投与することを含む。
さらに別の態様において、本発明は、I型糖尿病を患っている被検体に免疫寛容を再構築する方法を提供する。この方法は、個体に免疫寛容を再構築するのに有効な量で、有効量の本発明のIGF−2ペプチドを被検体に投与することを含む。
本発明はまた、I型糖尿病が被検体で予防されるように、有効量のIGF−2ペプチドを被検体に投与することを含む、被検体のI型糖尿病を予防する方法を特色とする。
本発明の別の特色は、被検体のI型糖尿病を治療する方法を提供する。この方法は、被検体のI型糖尿病を治療するのに有効な量で、本発明のIGF−2ペプチドを被検体に投与することを含む。
別の態様において、本発明はさらに、I型糖尿病から被検体を保護するのに有効な量で、本発明のIGF−2ペプチドを投与することを含む、I型糖尿病を発症する危険がある被検体を保護する方法を提供する。
本発明の別の特色は、膵臓島β細胞の移植を受けた被検体の移植片拒絶を治療または予防する方法を提供する。この方法は、移植された島β細胞の拒絶を治療または予防するのに有効な量で、本発明のIGF−2ペプチドを被検体に投与することを含む。
本発明はまた、核酸分子、例えば本発明のIGF−2ペプチドをコードする核酸分子を、宿主細胞、例えば抗原提示細胞などの免疫細胞に導入して発現させる方法にも関する。したがって、本発明の方法は、核酸でトランスフェクトされていない宿主細胞と比較して、宿主細胞に導入された場合により高いレベルの核酸発現を提供する。宿主細胞でペプチドが発現されるように、本発明のIGF−2ペプチドをコードする核酸分子で宿主細胞にトランスフェクトできるようになると、特に遺伝子治療に多数の応用がある。
別の実施形態において、本発明の外因性IGF−2ペプチドは、Th性免疫応答を阻害するペプチドである。別の実施形態において、本発明のIGF−2ペプチドは、Th性免疫応答を誘導するペプチドである。
本発明のIGF−2ペプチドをコードする核酸は、当該技術分野で既知の方法を用いて、宿主細胞中に導入されて発現され得る。したがって、I型真性糖尿病である被検体からの宿主細胞は、ex vivoで本発明のIGF−2ペプチドをコードする核酸でトランスフェクトされ、続いて宿主細胞が患者へ投与され得る。別の実施形態において、本発明のIGF−2ペプチドをコードする核酸は、in vivoで患者に投与される。In vivo遺伝子治療プロトコルは、例えば、Dev et al., 1994, Cancer Treat. Rev. 20: 105-115, Ragot, T. et al., 1993, Nature 3: 647; Dunckley, M. G. et al., 1993, Hum. Mol. Genet. 2: 717-723に記載されており、これらは援用されて本明細書の一部とする。
したがって、本発明はまた、遺伝子治療により被検体のI型糖尿病を治療する方法にも関する。本発明のIGF−2ペプチドは、ウイルスまたは非ウイルスベクターを用いて細胞、例えば免疫抗原提示細胞中に挿入されることができ、ベクターとして、例えば、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ウシパピローマウイルス由来のベクター、またはプラスミドなどの非ウイルスベクターが挙げられるが、これらに限定されない。また、DNAを哺乳類細胞に導入するために当業者により頻繁に用いられる技法が用いられてもよい。組換えベクターを宿主細胞中に輸送するのに、例えば、電気穿孔法、DEAE−デキストラン(dektran)媒介DNA移入、DNA銃(gun)、リポソーム、直接注射などが挙げられるがこれらに限定されない方法が用いられてもよい。あるいは、DNAは、通常細胞の内側に標的にされるタンパク質との結合を通じて細胞中に輸送されてもよい。例えば、DNAは、通常ウイルス粒子を標的として標的とする宿主細胞中に入れるウイルスタンパク質に結合されてもよい。したがって、本明細書中に記載されるものなどの技法は、本発明のIGF−2ペプチドをヒト細胞中に導入するのに利用され得る。
[治療法]
本発明はまた、被検体(例えば、ヒトなどの哺乳類)のI型糖尿病を治療する治療法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、有効量の本発明のIGF−2ペプチドをI型糖尿病の被検体に投与し、それにより被検体のI型糖尿病を治療することを含む。
同じく本発明の範囲内であるのは、予防的なIGF−2ペプチド投与である。I型糖尿病が予防されるか、またはその進行を遅らせるように、本発明のIGF−2ペプチドの投与は、I型糖尿病の症状の顕在化の前に行われ得る。本発明の予防法は、投薬量および治療レジメン(regimen)が異なるかもしれないが、本明細書中に記載される治療法と同様な様式で行われ得る。
したがって、本方法は、免疫応答の調節に治療上の有用性を有する。特定の実施形態において、本方法は、所望の治療レジメンの投与に依存して免疫応答をTh性免疫応答に偏らせる(例えば、Th介在サイトカインの産生を刺激する)ことに治療上の有用性を有する。別の実施形態において、本発明は、Th性免疫応答を阻害する(例えば、Th細胞がTh介在サイトカインを産生するのを阻害する)ことに治療上の有用性を有する。これらの方法は、I型糖尿病などの自己免疫疾患を治療するのに有用である。
別の態様において、本発明は、I型糖尿病に対して被検体を免疫化するワクチンを提供し、ここでワクチンは、本発明のIGF−2ペプチドを、単独で、または生理学的に許容可能な無毒のビヒクル中にI型糖尿病に対して被検体を免疫化するのに有効な量で分散させてのいずれかで含む。
本発明のワクチンは、投薬配合物と適合的に、かつ治療上有効かつ寛容原性であるような量で、投与される。投与されるべき量は、治療される被検体、被検体の免疫系の細胞性免疫応答を生成する能力、および所望の保護の度合いによって決まる。投与される必要がある活性成分の正確な量は、臨床医の判断によって決まり、そしてそれぞれの個体特有である。しかしながら、適した投薬範囲は、70キログラムの個体あたり1キログラムあたり約30マイクログラムの活性成分のオーダー(order)である。初期投与および追加免疫ショットに適したレジメンもまた可変であるが、初期投与に続いて1週または2週の間隔を置いて続く注射または他の投与により代表される。同じく本発明の範囲内であるのは、本発明のIGF−2ペプチドと組み合わせたアジュバントの同時投与である。
さらに別の態様において、本発明はI型糖尿病に対して被検体を免疫化するキットを特色とし、ここでキットは、本発明のワクチン(すなわち、本発明のIGF−2ペプチドおよび医薬上許容可能なキャリア)、および任意に使用説明書を含む。
別の態様において、本発明は、本発明のワクチン(すなわち、本発明のIGF−2ペプチドおよび医薬上許容可能なキャリア)、および任意に使用説明書を含む、被検体のI型糖尿病治療用キットを特色とする。
[医薬組成物およびその使用]
本発明の別の態様は、CTL性免疫応答を調節するのに有効な量で、本発明のIGF−2ペプチドおよび医薬上許容可能なキャリア(単数または複数)を含む、医薬上許容可能な組成物を提供する。
特定の実施形態において、本発明のIGF−2ペプチドは、医薬上許容可能な配合物、例えば、被検体に投与された後、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、1週間、2週間、3週間、または4週間、被検体に本発明のIGF−2ペプチドの持続した送達を提供する医薬上許容可能な配合物を用いて、被検体に投与される。
特定の実施形態において、これらの医薬組成物は、被検体への経口投与に適する。他の実施形態において、以下に詳細に記載されるとおり、本発明の医薬組成物は、固形または液状で投与されるように特別に配合されてもよく、以下、(1)経口投与(例えば、水薬(水溶液、または非水性溶液、または懸濁液)、錠剤、ボーラス、粉末、顆粒、ペースト)、(2)非経口投与(例えば、皮下、筋肉内、または静脈内注射(例えば、滅菌溶液または懸濁液として)により、)、(3)局所的塗布(例えば、クリーム、軟膏、または皮膚に塗布するスプレーとして)、(4)膣内用または直腸内用(例えば、ペッサリー、クリーム、またはフォームとして)、あるいは(5)エーロゾル(例えば、水性エーロゾル、リポソーム調製物、または前記化合物含有固体粒子として)に適合したものが挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「有効量」は、投薬量および必要な時間の長さにおいて、例えばCD4Th1およびCTL性免疫応答を調節するのに十分な、所望の結果を達成するのに有効な量を含む。本発明のIGF−2ペプチドの有効量は、本明細書中で定義されるとおり、被検体の疾患の段階、年齢、および体重、ならびに被検体に所望の応答を誘発する本発明のIGF−2ペプチドの能力などの要因に依存して変化し得る。投薬レジメンは、最適な治療応答を提供するように調節され得る。有効量とはまた、本発明の本発明のIGF−2ペプチドの毒性効果または有害な効果(例えば、副作用)のどれよりも治療上有益な効果が勝っているというものである。
本発明のIGF−2ペプチドの治療上有効な量(すなわち、有効投薬量)は、70キログラムの個体あたり、約0.001〜40μg/kg体重、好ましくは約0.01〜30μg/kg体重の範囲であり得る。被検体を有効に治療するのに要求される投薬量に特定の要因が影響を及ぼす可能性があり、これには被検体の疾患または障害の重篤度、これまでの治療、全体的な健康、および/または年齢、ならびに存在する他の疾患が挙げられるが(それらに限定されない)、それらに限定されないことを当業者は理解するであろう。そのうえ、治療上有効な量の本発明のIGF−2ペプチドでの被検体の治療は、単回の治療を含み得るか、または一連の治療を含み得る。1つの例において、被検体は、約0.1〜30μg/kg体重の範囲の本発明のIGF−2ペプチドで、約1〜10週間の間、好ましくは2〜8週間の間、より好ましくは約3〜7週間の間、そしてさらにより好ましくは約4、5、または6週間の間、1週間に1回治療される。治療に用いられる本発明のIGF−2ペプチドの有効投薬量は、特定の治療の経過にわたり増加または減少してもよいこともまた理解されるであろう。
本発明の方法はさらに、被検体に、治療上有効な量の本発明のIGF−2ペプチドを、免疫応答を調節することが知られている別の医薬的に活性な化合物、例えば、インターロイキン(IL)(例えば、IL−2、IL−12、IL−15)、リポ多糖類(LPS)、コンカナバリン(Conconavalin)A(ConA)、ホルボールエステル、およびイオノマイシンなどの薬剤と組み合わせて投与することを含む。用いられ得る他の医薬的に活性な化合物は、「ハリソン内科学(Harrison's Principles of Internal Medicine)」, Thirteenth Edition, Eds. T. R. Harrison et al. McGraw-Hill N. Y., NY; および 「米医薬品便覧(the Physicians Desk Reference)」, 50th Edition 1997, Oradell New Jersey, Medical Economics Co.に見いだすことができ、これらの内容は全て、明確に参照して本明細書の一部とする。本発明のIGF−2ペプチドおよび医薬的に活性な化合物は、同じ医薬組成物で、または異なる医薬組成物で(同時にまたは異なる時点で)被検体に投与されてよい。
投与のレジメンもまた、有効量を制定するものに影響を及ぼし得る。本発明のIGF−2ペプチドは、他の薬剤(単数または複数)の投与前、それと同時に、またはその後に、被検体に投与され得る。さらに、複数回に分割された投薬量、ならびにずらし用量(staggered dosages)が毎日または経時的に投与されることができ、または用量が治療状況の要求により示されるように比例して(proportionally)増加または減少され得る。
語句「医薬上許容可能な」は、本明細書中、正当な医療判断の範囲内で、合理的な利益/リスク比につり合って、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしにヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに適しているこれらの本発明のIGF−2ペプチド、そのような化合物を含む組成物、および/または剤形を示すのに用いられる。
本明細書中用いられる語句「医薬上許容可能なキャリア」は、目的の化学物(chemical)を一つの器官もしくは身体の一部から別の器官もしくは身体の一部へ運搬または輸送するのに関与する、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、または封入材料などの、医薬上許容可能な材料、組成物、またはビヒクルを意味する。それぞれのキャリアは、配合物の他の成分と適合性であり、かつ被検体に有害ではないという意味において「許容可能」でなければならない。医薬上許容可能なキャリアとして機能し得る材料の例のいくつかとして、(1)糖類(ラクトース、グルコース、およびスクロースなど)、(2)デンプン(コーンスターチおよびジャガイモデンプンなど)、(3)セルロースおよびその誘導体(ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、および酢酸セルロースなど)、(4)粉末トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)賦形剤(カカオバターおよび坐剤ワックスなど)、(9)油(ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、および大豆油など)、(10)グリコール(プロピレングリコールなど)、(11)ポリオール(グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールなど)、(12)エステル(オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなど)、(13)寒天、(14)緩衝剤(水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなど)、(15)アルギン酸、(16)発熱物質を含まない水、(17)等張性生理食塩水、(18)リンガー溶液、(19)エチルアルコール、(20)ホスフェート緩衝液、ならびに(21)医薬配合物に用いられる他の無毒性適合性物質が挙げられる。
ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの、湿潤剤、乳化剤、および潤滑剤、ならびに着色剤、離型(release)剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、および着香剤、保存料および抗酸化剤もまた、組成物中に存在し得る。
医薬上許容可能な抗酸化剤の例として、(1)水溶性抗酸化剤(アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど)、(2)油可溶性抗酸化剤(パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなど)、および(3)金属キレート化剤(クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸など)、などが挙げられる。
本発明のIGF−2ペプチド(単数または複数)を含有する組成物として、経口、経鼻、局所的(頬側および舌下を含む)、直腸、経膣、エーロゾル、および/または非経口投与に適したものが挙げられる。組成物は、便宜上、単位剤形で存在してもよく、そして医薬の当該技術分野で既知である任意の方法で調製されてよい。1回分の剤形を生成するためにキャリア材料と組み合わされ得る活性成分の量は、治療される宿主、投与の特定の様式に依存して変化するだろう。1回分の剤形を生成するためにキャリア材料と組み合わされ得る活性成分の量は、一般的に治療効果をもたらす化合物の量であるだろう。一般に、100%のうち、この量は、活性成分の約1%〜約99%、好ましくは約5%〜約70%、最も好ましくは約10%〜約30%の範囲であるだろう。
これらの組成物を調製する方法は、本発明のIGF−2ペプチドを、キャリア、および任意に1種または複数種のアクセサリ成分(accessory ingredients)と会合させる工程を含む。一般に、配合物は、本発明のIGF−2ペプチドを、液体キャリア、または細かく粉砕した固体キャリア、またはその両方と均一かつ密接に会合させ、次いで必要であれば、生成物を成形することにより調製される。
経口投与に適した本発明の組成物は、カプセル剤、カプセル(cachets)、丸剤、錠剤、ロゼンジ(香味付けした基礎(basis)、通常はスクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカントを用いる)、粉末、顆粒、または水性もしくは非水性液体の溶液もしくは懸濁液、または水中油もしくは油中水液体エマルション、またはエリキシル剤もしくはシロップ、またはトローチ(pastilles)(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアラビアゴムなどの不活性系を用いる)の形態であっても、および/または洗口剤などとしてもよく、それぞれが予め定められた量の本発明のIGF−2ペプチド(単数または複数)を活性成分として含有する。本発明のIGF−2ペプチド(単数または複数)はまた、ボーラス、舐剤、またはペーストとして投与されてもよい。
経口投与用の本発明の固体剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉末、顆粒など)において、活性成分は、1種または複数種の医薬上許容可能なキャリア(クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなど)、および/または以下、(1)充填剤または増量剤(デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸など)、(2)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアラビアゴムなど)、(3)保湿剤(グリセロールなど)、(4)崩壊剤(寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなど)、(5)溶液遅延剤(パラフィンなど)、(6)吸収促進剤(第四級アンモニウム化合物など)、(7)湿潤剤(例えば、アセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなど)、(8)吸着剤(カオリンおよびベントナイトクレイなど、(9)潤滑剤(タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物など)、ならびに(10)着色剤などのいずれかと混合される。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、医薬組成物はまた、緩衝剤も含んでもよい。同様な型の固体組成物もまた、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを用いる充填軟および硬ゼラチンカプセル剤に充填剤として用いられてもよい。
錠剤は、随意に1種または複数種のアクセサリ成分とともに圧縮またはモールド成形により作成されてもよい。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤(例えば、グリコール酸デンプンナトリウムまたは架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、界面活性剤、または分散剤などを用いて調製されてもよい。モールド成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末活性成分の混合物を適した機械でモールド成形することにより作成されてもよい。
本発明の医薬組成物の錠剤、および他の固体剤形(糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒など)は、任意に、コーティングおよび殻(腸溶性コーティングおよび製剤分野で既知の他のコーティングなど)で獲得されても(scored)調製されてもよい。それらはまた、その中の活性成分の徐放または放出制御を達成するように、例えば、所望の放出プロファイルを提供するように様々な割合でヒドロキシプロピルメチルセルロース、他の重合体マトリクス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを用いて配合されてもよい。それらは、例えば、細菌保持フィルターでの濾過により、または滅菌固体組成物の形で滅菌剤を組み込むことにより滅菌されてもよく、使用直前に滅菌水または何か他の注射用滅菌媒体に溶解され得る。これらの組成物はまた、任意に不透明薬剤を含んでもよく、そして活性成分(単数または複数)を胃腸管のある部分でのみ、またはその部分で優先的に、任意に遅延させるようにして放出する組成物のものであってもよい。用いられ得る包埋組成物の例として、重合体物質およびワックスが挙げられ得る。活性成分はまた、適切ならば、上記に記載される賦形剤の1種または複数種でマイクロカプセル化された形態にあり得る。
本発明のIGF−2ペプチド(単数または複数)の経口投与用液体剤形として、医薬上許容可能なエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤が挙げられる。活性成分に加えて、液体剤形は、当該技術分野で一般的に用いられる不活性希釈剤(例えば、水または他の溶媒など)、可溶化剤および乳化剤(エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステルなど)、ならびにそれらの混合物も含んでよい。
不活性希釈剤の他に、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤、着色剤、着香剤、ならびに保存剤などのアジュバントも含み得る。
懸濁液は、本発明の活性IGF−2ペプチド(単数または複数)に加えて、懸濁剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにそれらの混合物などを含んでもよい。
直腸または膣投与用の本発明の医薬組成物は坐剤として存在してもよく、これは、1種または複数種の本発明のIGF−2ペプチド(単数または複数)を、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール、坐剤用ワックスまたはサリチル酸塩を含む1種または複数種の適した無害な賦形剤またはキャリアと混合することにより調製されてもよく、そしてこれは室温では固体であるが体温では液体であり、それゆえ直腸または膣腔で溶融して活性剤を放出する。
膣投与に適している本発明の組成物としてはまた、適切であることが当該技術分野で既知であるようなキャリアを含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレー配合物が挙げられる。
本発明のIGF−2ペプチドの局所的または経皮投与用剤形として、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、および吸入剤が挙げられる。本発明の活性IGF−2ペプチド(単数または複数)は、滅菌条件下、医薬上許容可能なキャリアと、および必要とされうる任意の保存料、緩衝液、または噴霧剤と混合されてもよい。
軟膏、ペースト、クリーム、およびゲルは、本発明のIGF−2ペプチド(単数または複数)に加えて、動物性および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、および酸化亜鉛、またはそれらの混合物などの賦形剤を含んでもよい。
粉末およびスプレーは、本発明のIGF−2ペプチド(単数または複数)に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれら物質の混合物などの賦形剤を含み得る。スプレーは、クロロフルオロ炭化水素および揮発性無置換炭化水素(ブタンおよびプロパンなど)などの通常の噴霧剤をさらに含み得る。
本発明のIGF−2ペプチド(単数または複数)は、別法としてエーロゾルで投与され得る。これは、前記化合物を含有する、水性エーロゾル、リポソーム調製物、または固体粒子を調製することにより達成される。非水性(例えば、フルオロカーボン噴霧剤)懸濁液が使用され得る。音波噴霧器は、前記化合物の分解をもたらし得る剪断に薬剤が曝されることを最小限にするため好適である。
通常、水性エーロゾルは、薬剤の水溶液または懸濁液を従来の医薬上許容可能なキャリアおよび安定剤と一緒に配合することにより作られる。キャリアおよび安定剤は、特定の化合物の要求に応じて変化するが、代表的には、非イオン性界面活性剤(Tweens、Pluronics、またはポリエチレングリコール)、血清アルブミンのような無害のタンパク質、ソルビタンエステル、オレイン酸、レシチン、グリシンなどのアミノ酸、緩衝液、塩類、糖類、または糖アルコールが挙げられる。一般に、エーロゾルは等張性溶液から調製される。
経皮パッチは、本発明のIGF−2ペプチド(単数または複数)の身体への制御された送達を提供するという付加的な利点を有する。そのような剤形は、薬剤を適切な媒体に溶解または分散させることにより作成され得る。皮膚中にわたる活性成分の流動を増加させるために吸収エンハンサーもまた使用され得る。そのような流動の割合は、割合を制御する膜を提供することによるか、または活性成分を重合体マトリクスもしくはゲルに分散させるかのいずれかにより制御され得る。
眼配合物、眼軟膏、粉末、溶液などもまた、本発明の範囲内であると考えられる。
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、1種または複数種の本発明のIGF−2ペプチド(単数または複数)を、1種または複数種の医薬上許容可能な、滅菌した等張性水性もしくは非水性の、溶液、分散液、懸濁液もしくはエマルション、または使用直前に滅菌注射溶液または分散液に再構成され得る滅菌粉末と組み合わせて含み、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、配合物を対象の受容者の血液と等張性にする溶質、または懸濁剤もしくは増粘剤を含んでもよい。
本発明の医薬組成物に用いてもよい、適した水性および非水性キャリアの例として、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適した混合物、オリーブ油などの植物油、ならびにオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用により、分散液の場合は必要とされる粒子サイズを維持することにより、および界面活性剤の使用により、適した流動性が維持され得る。
これらの組成物はまた、保存料、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などのアジュバントも含んでもよい。微生物の作用を防ぐことは、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの種々の抗菌剤および抗真菌剤の包含により確実にされ得る。糖類、塩化ナトリウムなどの等張性薬剤を組成物に含めることもまた望ましいかもしれない。また、注射用医薬的形態の持続吸収が、吸収を遅延させる、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの薬剤の包含によりもたらされてもよい。
場合によっては、薬物の効果を延長するために、皮下または筋肉内注射からの薬物吸収を遅らせることが望ましい。これは、水への溶解度が低い結晶または液晶材料の液体懸濁液を用いることにより達成されうる。薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、これは、順に、結晶の大きさおよび結晶形態に依存するかもしれない。あるいは、非経口的に投与される剤形の遅延吸収は、薬物を油ビヒクルに溶解または懸濁することにより達成される。
注射用徐放性剤形(injectable depot forms)は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性重合体中に本発明のIGF−2ペプチド(単数または複数)をマイクロカプセル化(microencapsule)したマトリクスを形成することにより作成される。薬物対重合体の比、および用いられる特定重合体の性質に依存して、薬物放出速度が制御され得る。他の生分解性重合体の例として、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。徐放性注射用配合物はまた、身体組織と適合性のリポソームまたはマイクロエマルションに薬物を捕捉することにより調製される。
ヒトおよび動物に、本発明のIGF−2ペプチド(単数または複数)が医薬品として投与される場合、それらは、それ自体で、または医薬上許容可能なキャリアとともに、例えば、0.1〜99.5%(より好ましくは、0.5〜90%)の活性成分を含有する医薬組成物として与えられる。
用語「投与」または「投与する」は、本発明のIGF−2ペプチド(単数または複数)の意図される機能を実行させるためにそれらを被検体に導入する経路を包含することが意図される。用いられ得る投与経路の例として、注射(皮下、静脈内、非経口的、腹腔内、くも膜下腔内)、経口、吸入、直腸、および経皮が挙げられる。医薬製剤は、もちろん、それぞれの投与経路に適した形態で与えられる。例えば、これらの製剤は、錠剤またはカプセル形態で、注射剤、吸入剤、眼ローション、軟膏、坐剤などにより、注射、輸液、または吸入による投与、ローションまたは軟膏により局所的に、および坐剤で直腸に投与される。経口投与が好ましい。注射はボーラスであり得るか、連続注射であり得る。投与経路に依存して、本発明のIGF−2ペプチド(単数または複数)は、その意図される機能を実行するそれの能力に有害な影響を及ぼす可能性がある自然の環境からそれを保護するように選択された材料でコーティング、またはこの中に処理され得る。本発明のIGF−2ペプチド(単数または複数)は、単独で、あるいは上記の別の薬剤もしくは医薬上許容可能なキャリアのいずれか、またはその両方と組み合わせて、投与され得る。本発明のIGF−2ペプチド(単数または複数)は、他の薬剤の投与前、薬剤と同時に、または薬剤の投与後に、投与され得る。そのうえさらに、本発明のIGF−2ペプチド(単数または複数)はまた、in vivoで、その活性代謝産物、またはより活性な代謝産物に変換されるプロフォーム(proform)で投与され得る。
本明細書中で使用される場合、語句「非経口投与」および「非経口で投与される」は、経腸および局所的投与以外の、通常は注射による投与様式を意味し、これには、制限はしないが、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内(intraarticulare)、被膜下、くも膜下、脊髄内、および胸骨内注射、ならびに輸液が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、語句「全身投与」、「全身に投与される」、「末梢投与」、および「末梢で投与される」とは、本発明のIGF−2ペプチド(単数または複数)、薬物、または他の材料が、被検体のシステムに入り、したがって、代謝および他の同様なプロセスに服するような、それの投与、例えば、皮下投与を意味する。
選択される投与経路に関わらず、本発明のIGF−2ペプチド(単数または複数)(これは適した水和型で用いられてもよいが)、および/または本発明の医薬組成物は、当業者に既知の従来法により医薬上許容可能な剤形に配合される。
本発明は、以下の実施例によりさらに示されるが、これらはいかなる方法でもさらに制限するものとして解釈されるべきではない。
この実験は、IGF−2ペプチドB11−25の、I型糖尿病に対する寛容原性ワクチンとして作用する能力を評価した。
[材料および方法]
前臨床試験を開始して、インスリンからの配列B9ー23のDR8投与(presentation)により誘発されるCD4応答とIGF−2からの相同配列B11−25とを比較した。
インスリンからの配列B9−23とIGF−2からの配列B11−25は、Neosystem (Strasburgh)から合成したものを入手した。これらのペプチドからの配列は以下のとおりである:
IGF−2(B11−25)(配列番号:2)
GELVDTFVCGRG
インスリンB9−23(配列番号:3):
SHLVEALYLVCGERG
下線は保存配列を記す
DQ8対立遺伝子が陽性である糖尿病患者を選択した(女性6人、男性4人、年齢の範囲、7歳−16歳)。内分泌系小児科医の助けを借りて、2回の標本抽出の説明会に適切な手配がなされた。若者たちの親から書面によるインフォームド・コンセントが得られた。各患者について、20mlの血液をEDTA含有管に採取した。これらの管をただちにCypro SA (Brussels)に送り、そこでLymphoprep(登録商標)(インビトロゲン)単離法を用いて末梢血単核球(PBMC)を単離した。
ELISPOTアッセイ(Cypro):一般的な方法論は、Tary-Lehmann et al. (例えば、Tary-Lahmann et al. (1998) Transplantation 66: 219- 224を参照)に記載されている。簡単には、PHA(Sigma、1μg/ml)+LPS(Sigma、1μg/ml)、精製タンパク質誘導体(PPD、5μg/ml)、インスリンB9−23(10μMおよび50μM)、IGF−2B11−25(10μMおよび50μM)のいずれかの存在下または不在下、抗ヒトIFN−γモノクローナル抗体(mAb)(Serpime/Nodia)または抗IL−10mAb(BD-Pharmingen)でコーティングした96ウェルプレートに、1×10/ウェルの濃度で、PBMCを播種した。平らな表面上、37℃、5%COで48時間インキュベーション後、ウェルを、PBSTween0.25%で3回洗浄し、次いでブロット(blot)乾燥した。
サイトカインは、抗ヒトIFN−γ(Serpime/Nodia)およびIL−10(BD-Pharmingen)二次ビオチン化mAB+エクストラアビジンペロキシダーゼ(extravidinperoxydase)溶液(4μg/ml)の使用により明らかになった。湿度の高い部屋で、周辺温度で1時間インキュベーション後、プレートを洗浄し、基質AEC(3−アミノ−9−エチルカルバゾール(carazole))+30%Hを添加した。周辺温度でのインキュベーション15分後(IFN−γについて)または30分後(IL−10について)、スポットが現れたので、水中でプレートを洗浄して反応を停止させた。乾燥後、各サイトカインに特異的なフィルターを用いて、コンピュータで補助された画像分析器により点を計数した。
統計分析のためウィルコクソンテストを用いた(ノンパラメトリックな対の値)。
[結果]
図1に示すとおり、本発明のIGF−2ペプチド(50μM)の投与後のDQ8+1型糖尿病青年におけるCD4応答の比較は、統計的有意差を示した。具体的には、結果は以下を示した。
(1)IGF−2B11−25での処置後のIFN-γ分泌細胞数は、インスリンB9−23(50μM)での処置後よりも有意に少なかった(88.90±23.82対45.60±11.67SEM、p=0.002)。
(2)IGF−2B11−25での処置後のIL−10分泌細胞数は、インスリンB9−23(50μM)での処置後よりも有意に多かった(1162±208.6対701.8±160.9SEM、P=<0.05)
(3)IGF−2B11−25での処置後のIL−/IFN‐γの比は、インスリンB9−23(50μM)での処置後よりも有意に高かった(67.36±37.58対10.22±1.99、p=0.002)
結果は、MHC DQ8対立遺伝子による表現には何の変化もないが、インスリンB9−23およびIGF−2B11−25により誘導されるCD4応答は有意差があり、かつ全く反対であることを示した。インスリンB9−23に対するIFN−γ応答は、予想され先の観察と関連付けられた(例えば、Alleva et al. (2001)、前出を参照)。これらの条件下でのIL−10産生は特に興味がもたれた。インスリンB9−23はIL−10産生を誘導し得るものの、50μMのIGF−2B11−25に応答したIL−10の産生は顕著に多かった。IFN−γ分泌細胞数がIGF−2B11−25後に少なかったため、IL−10対IFN−γ(IL−10/IFN−γ)の比は、IGF−2B11−25での処理後よりも約7倍高かった。
[結論]
この実験結果は、2つの可能な仮定を示唆する。
(1)糖尿病患者の末梢T細胞レパートリーは、インスリン由来エピトープに対するT細胞のみを含み、そしてIGF−2B11−25は、これらの細胞により、DQ8−インスリンB9ー23複合体の特異的なTCRに結合した後の様々な形質導入のために様々な応答を誘発する天然の「改変ペプチドリガンド」(APL)として認識され得る。または(2)IGF−2B11−25は、IGF−2に特異的な、特異的CD4CD25REG細胞を刺激し得る。
それぞれの場合において、データは、IGF−2B11ー25が、免疫抑制性および抗炎症性を有する主要な調節サイトカインであるIL−10分泌の強力な誘導物質であることをはっきりと示している。そのうえ、データはさらに、IGF−2B11−25が寛容原性を示し、したがっておそらく、このペプチドでの能動免疫後にIGF−2に対する抗体を得ることがなぜ難しいのかを説明することを支持する。
1.配列番号:1(ヒトIGF−2全長;アミノ酸):
AYRPSETLCGGELVDTLQFVCGDRGFYFSRPASRVSRRSRGIVEECCFRSCDLALLETYCATPAKSE(一文字コード)
Ala−−tyr−−arg−−pro−−ser−−glu−−thr−−leu−−cys−−gly−−gly−−glu−−leu−−val−−asp−−thr−−leu−−gln−−phe−−val−−cys−−gly−−asp−−arg−−gly−−phe−−tyr−−phe−−ser−−arg−−pro−−ala−−ser−−arg−−val−−ser−−arg−−arg−−ser−−arg−−gly−−ile−−val−−glu−−glu−−cys−−cys−−phe−−arg−−ser−−cys−−asp−−leu−−ala−−leu−−leu−−glu−−thr−−tyr−−cys−−ala−−thr−−pro−−ala−−lys−−ser−−glu(三文字コード)
2.配列番号:2(IGF−2B11−25;ヒト;アミノ酸):
GELVDTLQFVCGDRG(一文字コード)
Gly−−glu−−leu−−val−−asp−−thr−−leu−−gln−−phe−−val−−cys−−gly−−asp−−arg−−gly(三文字コード)
配列番号:3(インスリンB9−23;ヒト;アミノ酸):
SHLVEALYLVCGERG(一文字コード)
Ser−−his−−leu−−val−−glu−−ala−−leu−−tyr−−leu−−val−−cys−−gly−−glu−−arg−−gly(三文字コード)
[参照としての援用]
本出願の全体に渡り記載される全ての参照(参照文献、発行特許、公開特許出願、および同時係属特許出願を含む)の内容は、本明細書中その全体が、明確に参照されて本明細書の一部となる。
[等価物]
当業者は、本明細書中に記載される本発明の特定の実施形態の多くの等価物を、認識し、または日常的に過ぎない実験を用いて確かめることができるだろう。そのような等価物は、以下の請求項により包含されることが意図される。また、本明細書中に記載される全ての特許および出版物の全内容が参照されて本明細書の一部となる。
1型糖尿病DQ8の青年10人における、インスリンペプチドB9−23(INS)およびIGF−2ペプチドB11−25に応答したIFN−γおよびIL−10産生のELISPOT(登録商標)分析。
【配列表】
Figure 2006509033

Claims (15)

  1. 自己免疫応答が阻害されるように被検体に有効量のIGF−2ペプチドを投与することを含む、被検体の自己免疫応答を阻害する方法。
  2. Th免疫応答が誘導されるように被検体に有効量のIGF−2ペプチドを投与することを含む、被検体のTh免疫応答を誘導する方法。
  3. 免疫寛容が被検体に誘導されるように該被検体に有効量のIGF−2ペプチドを投与することを含む、I型糖尿病を発症する危険がある被検体に免疫寛容を誘導する方法。
  4. 免疫寛容が被検体に再構築されるように該被検体に有効量のIGF−2ペプチドを投与することを含む、I型糖尿病を患っている被検体に免疫寛容を再構築する方法。
  5. 被検体でI型糖尿病疾患が予防されるように該被検体に有効量のIGF−2ペプチドを投与することを含む、被検体のI型糖尿病を予防する方法。
  6. 被検体でI型糖尿病疾患が治療されるように該被検体に有効量のIGF−2ペプチドを投与することを含む、被検体のI型糖尿病を治療する方法。
  7. 被検体をI型糖尿病から保護するのに有効な量でIGF−2ペプチドを投与することを含む、I型糖尿病を発症する危険がある被検体を保護する方法。
  8. 移植片拒絶が治療されるように被検体にIGF−2ペプチドを投与することを含む、島β細胞の移植を受ける被検体の移植片拒絶を治療する方法。
  9. 移植片拒絶が予防されるように被検体にIGF−2ペプチドを投与することを含む、島β細胞の移植を受ける被検体の移植片拒絶を予防する方法。
  10. 前記IGF−2ペプチドは、アミノ配列GELVDTLQFVCGDRG(配列番号:2;B11−25)を含む、請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。
  11. IGF−2ペプチドおよび該IGF−2ペプチドに対する医薬上許容可能なキャリアを含む、I型糖尿病を発症する危険がある被検体を保護するワクチン組成物であって、該IGF−2ペプチドは該被検体の該I型糖尿病を防ぐのに有効な量である、I型糖尿病を発症する危険がある被検体を保護するワクチン組成物
  12. IGF−2ペプチドおよび医薬上許容可能なキャリアを含む、I型糖尿病を発症する危険がある被検体に免疫寛容を誘導するワクチン組成物であって、該IGF−2ペプチドは該被検体に免疫寛容を誘導するのに有効な量である、I型糖尿病を発症する危険がある被検体に免疫寛容を誘導するワクチン組成物。
  13. 前記IGF−2ペプチドは、アミノ配列GELVDTLQFVCGDRG(配列番号:2;B11−25)を含む、請求項11〜12のいずれか1つに記載の組成物。
  14. IGF−2ペプチドが抗原提示細胞(樹状細胞など)で発現されるように、被検体の細胞にIGF−2ペプチドをコードする核酸分子をトランスフェクトする方法であって、以下、
    (a)該細胞を該被検体から単離すること、
    (b)該遺伝子が該抗原提示細胞で発現されるように該IGF−2ペプチドをコードする核酸分子を該細胞に導入すること、および
    (c)該抗原提示細胞を該被検体に再導入すること、を含む、前記方法。
  15. IGF−2ペプチドをコードする核酸分子を含むベクター。
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