JP2006505789A - 脱髄の検出 - Google Patents
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Abstract
本発明は、哺乳動物における脱粋の検出のための方法であって、脱随が疑われている哺乳動物の個体の体液中の代謝物質のNMRスペクトルを用意すること、及び前記NMRスペクトルを複数のNMRスペクトル線位置を含む差プロファイルと比較することを含む方法に関し、差スペクトルは、前記哺乳動物の1以上の健康な個体の体液中の代謝物質の1以上のNMRスペクトルと、脱随が診断されている前記哺乳動物の1以上の個体の対応する体液中の代謝物質の1以上の対応するNMRスペクトルとの間の正規化された差を示す。本発明はさらに、哺乳動物における脱随の検出のための前記差プロファイル及びそれらの作成のための方法に関する。本発明はまた、脱随、特に多発性硬化症の検出のためのバイオマーカーであって、前記バイオマーカーがフォスフォグリセリドの極性頭部基であることを特徴とするバイオマーカー、並びに脱随及び多発性硬化症の検出におけるバイオマーカーの使用に関する。
Description
本発明は、哺乳動物における脱髄の検出のためのバイオマーカー、脱髄の決定のための代謝パターンとしてのNMRスペクトル間の差プロファイル、そのような差プロファイルを作成するための方法、及び本発明に従うバイオマーカー及び/又は差プロファイルによって哺乳動物における脱髄を検出するための方法に関する。
中枢神経系(CNS)において、軸索は、オリゴデンドロサイトによって生産されるミエリン鞘によって囲まれている。ミエリン鞘の絶縁機能は、軸索に沿った活動電位の刺激電導にとって重要である。多発性硬化症(MS)は、神経線維の保護的ミエリン鞘が冒され且つ分解される(脱髄)ところのCNSの慢性病である。このミエリン分解は、神経インパルスの(一時的な)中断をもたらし、それ故にMS患者の運動系、視力、感覚などに非常に影響する。影響を受けた神経組織の該硬化症は、永久の麻痺を結局生じるかもしれない。
MSは中枢神経系の最も一般的な炎症性疾患であり、主として若い大人に影響を及ぼす。該疾患は進行の様々な形式を有し、再燃緩解型(患者の40%)及び二次的進行型(患者の40%)を最も生じる。
これまでに、攻撃及び回復が交互に起きる再燃緩解型は、より厳しい二次的進行型をもたらしうることが知られている。研究は、患者のこのグループが、治療によって該疾患プロセスを遅くして、過渡期をできる限り延長することから非常に利益を得ることを示している。現在、そのような治療は、インターフェロン−ベータ又はグラチラマーアセテート(共重合体-1)を伴う薬剤を関与させる。
二次的進行徴候では、臨床像がいかなる回復動きにもはや関与せず、そして症状が数及び程度において増加するのみである。このグループの患者についても、薬剤が該疾患の進行を遅くするために非常に有益である。
現在、該疾患が100%の確実性で診断されうるところの、MSのための診断学的テスト(実験室検出又は測定技術)はない。MSの診断は、複雑であり、腰椎穿刺を介して腰液(髄液)中の指示的タンパク質の検査、及び脳又は脊髄中の炎症及び損傷の部位の発生についてのMRI(磁気共鳴画像)検査と組み合わせて、神経学的検査(運動系、協調、感覚及び反射)に基づいてなされる。この組み合わせは重要である。何故ならば、多くの場合、臨床学的検査は完全に正常な像を示し、一方患者は多くの症状をすでに有するからである。それでも、神経学者は、確実にMSをいつも診断することができるとは限らないだろう。それ故に、実際の診断のために、臨床像の進行を遅すぎずに示すことがまた必要である。
MSのための検査における問題は、該疾患の実際の進行を決定することが困難であることである。MRI検査が非常に重要であるという事実にもかかわらず、この方法は、MRIスキャン上で可視的である炎症の部位が組織劣化に実際に関与するかどうかを決定できないという不利点を有する。該疾患の重大性と、炎症の可視的部位の数又は性質との間の関係は、このために余りにもわずかである。
それ故に、現在の技術によって、中枢神経系における組織劣化の程度及び速度が決定されることができず又は簡単に決定されることができない。これは、早期の段階で既に治療的処置を開始することを不可能にし、従って疾患が、医薬が投与される前でさえ、しばしば既に進行した段階にある。
また、早期の診断学の欠如は、より特異的な且つより有効な治療の展開を制限する。中枢神経系における脱髄に関連付けられた変化を、定量的に、確実に、敏感に及び明確に示す代替の方法について大きな必要性がある。さらに、脱髄が、早期の段階で、好ましくは進行が不可逆変化をもたらす前に、診断されることができる方法の必要性がある。
脱髄に特異的である分子マーカー(すなわちバイオマーカー)の使用は、これらの必要性を満たすことができ、且つ該疾患の進行の診断、予後及び監視に重要な寄与をすることができる。さらに、そのような分子マーカーによって、臨床上の処置治療の効果についての研究及び新しい医薬の開発が容易にされうる。したがって、分子マーカーは、臨床前の研究(イン ビトロ及び実験動物におけるイン ビボの両方)及び一般に脱髄の病理生理学に、そして特にMSに向けられた研究を有効に実行するために重大であると考えられる。
理想的な分子のマーカーは、疾患特異的であり、実際の疾患活動を反映し、治療の有効性を決定するために使用されることができ、及び該疾患の信頼できる予後に寄与する。しかしながら、全てのこれら要求は、1つの単一マーカーに統合される必要はない;補完的なマーカーの組合せが可能であり及び特定の場合、さらによく機能することができる。
MSに関連付けられた研究において現在使用されるマーカーは、免疫学的マーカー、例えば免疫グロブリンGの遊離の軽鎖、サイトカイン及びサイトカイン受容体、抗体のオリゴクロナールバンド、抗ウイルス性抗体、鞘内の免疫グロブリン生産、T細胞、接着分子及び他の表面分子を含む。免疫学的マーカーは、血液又は腰液において決定される。そのような免疫学的マーカーの不利点は、それらがMSの特徴である一方、MSに特有でないということである。
MS研究において使用される他のバイオマーカーは、中枢神経系の組織のためのマーカーである。これらは、なかんずく、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、S‐100タンパク質(Missler等、1997年、Acta Neurol. Scand.、第96巻: 第142-4頁)、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE) (Persson等、1987年、Stroke 、第18巻: 第911-8頁)、グリア線維性酸性タンパク質 (GFAP) (Eng等、2000年、Neurochem. Res.、第25巻: 第1439-51頁)、神経フィラメント(Rosengren等、1996年、J. Neurochem.、第67巻: 第2013-8頁)、神経細胞の接着分子(Elovaara等、2000年、Arch. Neurol.、第57巻: 第546-51頁)、及び網膜神経栄養因子(CNTF)(Massaro. 1998年、Mult. Scler.、第4巻:第228-31頁)を含む。これら組織マーカーは組織損害の特徴であり、それ故に実際に脱髄の直接の表示でない。
最後に、バイオマーカー、例えばグリオトキシン(Menard等、1998年、J. Neurol. Sci. 第154巻:第 209-21頁)、ネオプテリ(Sorensen. 1999年、Mult. Scler. 第5巻:第287-90頁)及びマトリックスメタロプロテイナーゼ(Sellebjerg等、2000年、J. Neuroimmunol. 第102巻: 第98-106頁)が使用される。しかしながら、そのようなマーカーはいずれも脱髄進行の直接的なマーカーでない。多発性硬化症のより多くの詳細な記述及びその診断学の状況について、上記の出版物、ならびに概括出版物Multiple Sclerosis: Current Status and Strategies for the Future. Joy & Johnston, eds. Nat. Acad. Press, Washington DC,2001が参照され、そして本明細書に取り込まれる。
脱髄の検出のための新規なシステム及び方法を提供することが本発明の目的である。
本発明の他の目的は、上記の脱随の検出のための既存システム及び方法に伴う問題の少なくとも幾つかを解決するところのシステム及び方法を提供することである。
本発明の他の目的は、イン ビボ及び/又はイン ビトロ医学的診断において使用されうる、本明細書の上記で記載されたようなシステム及び方法を提供することである。
脱髄を有する個体の尿中において、健康な個体においては存在しない代謝物質が存在する、又はより大きい若しくはより少ない量で存在することが見い出された。哺乳動物の尿中の代謝物質のプロトン核磁気共鳴(1H NMR)スペクトル分析によってこれら脱髄に特異的な代謝物質濃度の存在を示すことが可能であった。それ故に、これら代謝物質は、脱髄の診断学及び予後においてバイオマーカーとして、個々に又は組合せで使用されうる。
健康な個体の尿中の代謝物質から記録されたNMRスペクトルにおいて定義された位置を有する多くのスペクトル線の信号強度と、脱髄を有する個体の尿中の代謝物質から記録されたNMRスペクトル中の対応するスペクトル線の信号強度との間の統計学的に有意な差のコレクションが、脱髄の検出を容易にするパターンを提供することができるということがさらに見つけられた。本発明では、このパターンが差プロファイル又は代謝的フィンガープリントと呼ばれる。そのような差プロファイルは、要素スペクトルとしてグラフ的に表されうる(図2を参照)。
それ故に、本発明は、哺乳動物における脱髄の検出のための差プロファイルであって、NMRスペクトル線の複数のスペクトル線位置及び任意的に、対応する信号強度を含み、この哺乳動物の1以上の健康な個体の体液中の代謝物質の1以上のNMRスペクトルと、脱髄がすでに診断されている1以上のこの哺乳動物の対応する体液中の代謝物質の1以上の対応するNMRスペクトルとの間の正規化された差を示す差プロファイルに関する。
図1は、上記及び実施例1に記載されたような様式において得られたNMRスペクトルのスコア・プロットの図である。水平軸において、成分D1(100.00 %)がプロットされる。垂直軸において成分D2(0.00 %)がプロットされる。左の連続的に描かれたクラスタ(A)は、健康な対照個体のNMRスペクトルのクラスタである、一方、右の点線で描かれたクラスタ(B)は、脱髄を有する患者のNMRスペクトルのクラスタを表わす。
図2は、本明細書の上記及び実施例1に記載されたような様式において得られた脱髄の因子スペクトル(また差プロファイル又は代謝的フィンガープリント)の図である。水平軸において、スペクトル線位置が「ppm」でプロットされる。垂直軸において、信号強度が「回帰」でプロットされる。
図2は、本明細書の上記及び実施例1に記載されたような様式において得られた脱髄の因子スペクトル(また差プロファイル又は代謝的フィンガープリント)の図である。水平軸において、スペクトル線位置が「ppm」でプロットされる。垂直軸において、信号強度が「回帰」でプロットされる。
本発明では、差プロファイルは、信号強度が、健康な個体の体液中の代謝物質の正規化されたNMRスペクトルと比較して、脱髄患者の体液中の代謝物質の正規化されたNMRスペクトルにおいて有意に異なるところの、定義された位置を有するNMRスペクトル線の特徴的な選択として定義される。そのような差プロファイルは、スペクトル線位置及び任意的に、それらの対応する信号強度を含む。
本発明では、正規化されたNMRスペクトルは、サンプル間のスペクトル線の信号強度における多様性又は変化が、欠陥を算術的に考慮することによって制限されているところのNMRスペクトルとして定義される。正規化のために、すべての強度の二乗の合計が、1と等しくされる。これについての理由は、各サンプルが等しい量の情報を含むと仮定されるからである。正規化を実行することによって、各NMRスペクトル中の情報の絶対量は等しくされ(NMRスペクトル下の等しい表面)、従って、それらは相互に比較可能になる。
2つの比較可能なNMRスペクトルにおける特定のスペクトル線の変化する信号強度は、それらのサンプルのうちの1つにおける水素原子の濃度が変化したこと、従ってこれらの原子を含む1以上の化学成分(この場合、代謝物質)の量がこれらサンプルのうちの1つ中で変化したことを示す。
従って、本発明に従う差プロファイルは、その対応する信号強度が健康な個体の正規化されたNMRスペクトルにおける対応するスペクトル線位置の信号強度と比較して、脱髄により増加される又は減少されるところの、正規化されたNMRスペクトルにおけるスペクトル線位置のコレクションを含む。
好ましくは、本発明に従う差プロファイルは、その対応する信号強度が、健康な個体の対応するスペクトルに比べて脱髄患者のスペクトルにおいて特定の係数で増加される又は減少されるところのスペクトル線位置を含む。この係数は、増加のために(正の)閾値(又は基準値)を及び減少のために対応する(負の)閾値を適用するために使用されうる。その対応する信号強度が対応する閾値の上に又は下であるところのスペクトル線位置は、差プロファイルに含まれる。データが特異的な及び「有意な」脱髄に関連付けられた変化に結びつけられるように、内因的及び外因的代謝物質(以下を参照)がそのような差プロファイルから除去された。
本発明に従う差プロファイルから内因的及び外因的代謝物質を除去するために、信号対ノイズ比の、およそ1.5倍、好ましくはおよそ2倍、より好ましくはおよそ3倍に対応する閾値が、正規化されたスペクトル中で非常に適切に使用されうる。本明細書では、NMRスペクトル中のノイズは、特定の測定事象から来る信号、例えば機械ノイズ、環境上の揺れ、及び/又は化学薬品における汚染等を意味すると理解される。
本発明に従う差プロファイルを得るために、閾値として、健康な個体と脱髄患者との間の強度における変化を示す全てのスペクトル線位置の60〜99%、好ましくは70〜95%、より好ましくは80〜90%の平均信号強度の値を例えば使用することがまた可能である。
閾値のレベルのための選択はまた、差プロファイルが決定される哺乳動物の個々の特性になかんずく依存するだろう。そのような特性は、性別、年齢、生命の段階(受精/未受精)、食事、有りうる薬物投与、遺伝的背景及びヒトにおいてタバコ及び/又はアルコール消費を含む。個体の均質なグループの使用が、本明細書の下記に記載された本発明に従う方法において好ましく、均質なグループは、できるだけ多くの同等の特性を有する個体のグループとして定義され、唯一の差が、疾病の存在又は不存在である。
好ましくは、哺乳動物の体液中の代謝物質の正規化されたスペクトルは、個体の均質なグループから来る一組のデータを含む。それは、男性個体における脱髄の検出のための本発明に従う差プロファイルが、好ましくは専ら男性の個体の対応する信号強度を有するNMRスペクトル線位置を含むことを意味する。それ故に、脱髄のための差プロファイルは、それが得られた個体の特性に依存して異なりうる。
好ましくは、哺乳動物の体液中の代謝物質の正規化されたスペクトルは、少なくとも2、より好ましくは少なくとも3、なおより好ましくは少なくとも4及びさらに好ましくは5の個体から来る一組のデータを表す。
差プロファイルは、おそらくオリジナルのスペクトル線に対応する3〜1,000のスペクトル線位置を非常に適切に含みうる。好ましくは、本発明に従う差プロファイルは、好ましくは10〜500、より好ましくは15〜100、及びなおより好ましくは20〜70のスペクトル線位置を含む。非常に良い結果は、30〜50のスペクトル線位置を含む差プロファイルで得られた。
差プロファイルがそれから構築されるスペクトル線位置の数は、上記された閾値の定義によって主に決定される。正規化されたスペクトル中のノイズのピッチについての値が考慮されうるこの閾値は、脱髄が診断されている個体と健康な個体との間のスペクトル線の高さにおける差がどの値から「有意である」かを示す。高さにおける差は、プラス(強度の増加)又はマイナス(強度の減少)のいずれかでありうる。
上記されたように、本発明に従う差プロファイルによる脱髄の検出は、差プロファイルがそれから得られた個体の特性に対応する又は類似する特性を有する個体において好ましくは使用されるが、しかしこれは決して必要ではない。
本発明はまた、哺乳動物における脱髄の検出のための差プロファイルを作成する方法に関する。
本発明に従う差プロファイルは、哺乳動物の健康な個体の体液中の代謝物質から記録されたNMRスペクトルにおけるスペクトル線の位置及び対応する強度の第一のセットを用意するステップを含む方法によって非常に適切に作成されうる。
本発明に従う方法において使用されうる体液として、原則として、任意の体液が使用されうる。好ましくは、非浸潤性の様式において得られうる体液が使用される。体液が尿であることが最も好ましい。
本発明の実施態様では、体液中の代謝物質を測定するための種々の測定方法が原則として使用されうるが、好ましくはプロトン核磁気共鳴スペクトル分析が使用される。少なくともおよそ200MHzの周波数を備えたNMR装置が原則としては適切である。しかし、より高い周波数、例えば少なくともおよそ300MHz、より好ましくは少なくともおよそ400〜600MHzを備えた装置の使用が好ましい。
NMRスペクトル分析を実行するために、体液のサンプルが非常に適切に凍結乾燥されることができ、次いで、該凍結乾燥物は、適切なバッファー、例えばD20に基づいて調製されるリン酸ナトリウムバッファー中でもどされる。そのようなバッファーのための適切な酸含量は、pH 4〜10、好ましくはpH 4〜8の範囲であり、及びより好ましくはそのようなバッファーはおよそ6のpHを有する。好ましくは、相互に比較されるだろう種々のサンプルは等しいpHのバッファー中にもどされる。等しいpHのバッファーにおける体液のサンプルの凍結乾燥された成分のもどしは、種々のサンプル間のpHにおける差によって生ずるスペクトル差を最小にするために役立つ。該もどされたサンプルにさらに、内部標準、例えばTMSP(トリメチルシリル-[2,2,3,3,-2H4]-1-プロピオン酸ナトリウム)又はテトラメチルシラン等が添加されうる。その後、NMRスペクトルが、これらのサンプルから記録されることができ、NMR装置が1H NMR分析のためにセットされる。好ましくは、サンプルのNMRスペクトルは三回記録される。一般に、製造者によって推奨されるような既定の設定が、この目的のために使用されうる。測定結果は、内部標準に相対的に化学シフトで示され、及び「ppm」(parts per million)で表される。本発明において、スペクトル線位置は「ppm」で表され、一方信号強度が、この分野で慣用的であるように「回帰」で表される(図2をまた参照)。
記録されたスペクトルに、任意的に、手動のベースライン修正が適用され、次いで該スペクトルは標準のNMR手法による、所謂ライン列挙に処理される。この目的のために、ノイズより上のスペクトルにおける全ての線が集められ、そして多変量データ解析に適切であるデータ・ファイルに変換される。
好ましくは、個々の哺乳動物の幾つかの健康な個体が、欠陥が算術的に考慮されうるように測定されうる。欠陥のそのような算術的考慮は、測定データの正規化の処理との組み合わせで非常に適切に起こることができる。健康な哺乳動物の体液中の代謝物質の正規化されたスペクトルを決定するために、原則として、1つの単一の健康な個体が測定されることができ、しかし、好ましくは、健康な個体の群、より好ましくは均質な群から来るスペクトルが使用される。
いくつかの記録されたNMRスペクトルの正規化は、複数の個体から得られた一組の値の信頼度に寄与する。さらに、正規化は、一組の以前に記録されたスペクトルと別々に記録されたスペクトルとの比較を可能にする。
差プロファイルを作成するための方法はまた、脱随が診断されたその同じ哺乳動物の個体の対応する体液中の代謝物質から対応する様式において記録されたNMRスペクトル中のスペクトル線の位置及び対応する信号強度の第2のセットを用意するステップを含む。
好ましくは、ここでも同様に、脱随が診断された該哺乳動物の均質の群の幾つかの個体は、欠陥が算術的に考慮されうるように測定される。記録されたスペクトルに、任意的に、手動のベースライン補正が適用され、次いで該スペクトルは標準のNMR手法による、所謂ライン列挙へと処理される。この目的のために、ノイズより上のスペクトルにおける全ての線が集められ、そして多変量データ解析に適切であるデータ・ファイルに変換される。該記録されたNMRスペクトルは、上記された様式において好ましくは正規化される。
最後に、差プロファイルを作成するための方法は、NMRスペクトルにおけるスペクトル線の位置及び対応する強度の第1のセットと第2のセットの正規化された値を比較し、そして本発明に従う差プロファイルを得るためにそれらの間の差を検出するステップを含む。
多変量データ解析又はパターン認識は、これらスペクトルにおける疾病及び治療に関連する差を視覚化するために非常に適切に使用されうる。国際公開第02/13228号に記載されるような部分的線形適合アルゴリズム(Partial-Linear-Fit algorithm)に基づいた算術的方法が、特に好ましい。このアルゴリズムは、分解能の損失なしにNMRスペクトルにおけるスペクトル線の位置における小さな変化の調節を可能にする。
上記された部分的線形適合アルゴリズムは、主成分判別分析(PCDA)部分を含む。ここで、変数の数は、主成分分析(PCA)によって最初に減少される。第1の主成分(PC)上でのサンプルの投影(いわゆるスコア)は、線形判別分析のための開始点として使用される。サンプルのスコアがスコア・プロット中にプロットされ、そこでは同様のサンプルがクラスタに分かれる傾向があり及び相違するサンプルが、互いにより大きな距離で離されるだろう(図1を参照)。判別式軸とオリジナルの変数(NMR信号)との関係は、ローディングプロットにおいて視覚化される。ここで、オリジナルの変数の位置が、判別式軸に平行な変数ベクトルの長さが、その軸へのその変数のローディングに比例するように示される。
データを視覚化する他の可能性は、ローディングベクトルのグラフ的回転によって、スコア・プロット中のクラスタ(例えば、図1の脱随クラスタ)の位置に関連する因子スペクトル(なかんずく図2を参照)によってである。他のカテゴリーに相対的に1つのカテゴリーの最大の分離の方向に作られたこれら因子スペクトルすなわち代謝的フィンガープリントが、カテゴリー間の分離の原因である代謝物質の型における洞察を提供する。
それ故に、本発明に従う差プロファイルは、因子スペクトル(その例が図2に示される)として又はスペクトル線位置を有するテーブル(その例が表1に示される)として非常に適切に示されうる。
本発明では、プロトン核磁気共鳴法の分析的方法論が代謝物質に関する数字データを得るために使用される故に、得られた値は装置の設定及び測定が行なわれる条件に依存する。また、絶対値は、測定において使用される基準(例えば、内部標準)に依存する。従って、差プロファイル(それが表1に示される)が種々の測定時点間で及び種々の測定条件間で異なりうる値を含む。この理由のために、表1に示されるような値は絶対値でない。従って、脱髄のための差プロファイルにおけるスペクトル線位置及び可能なスペクトル線強度の両方の個々の値の意味が、それらの比率及び相対的な位置において及びそれ故にこれらの値のパターンにおいて実質的に存在する。
本明細書の上記に示されたような逸脱した測定条件の故に、表1に定義されたスペクトル線のppm値は、表1に示されるように±0.05 ppmのppm値を有するポイントに位置されうる。
本発明はさらに、哺乳動物における脱髄の検出のための方法であって、脱髄が疑われるこの哺乳動物の個体の体液中の代謝物質のNMRスペクトルを用意すること、及びこのNMRスペクトルと、対応する哺乳動物における対応する体液について本発明に従い決定された差プロファイルを比較することのステップを含む方法に関する。そのような比較ステップは、視覚的に行われることができるが、また算術的に行われうる。
当該哺乳動物の健康な個体の体液中の代謝物質のスペクトルによって本発明に従う差プロファイルと比較する前に、脱随が疑われるこの哺乳動物の個体の体液中の代謝物質のNMRスペクトル正規化することが可能であるが、必ずしも必要でない。従って、特徴的な差プロファイルが、脱随が疑われる個体から記録されたスペクトル中に実際に含まれることが比較ステップから明らかである場合、疾病の存在が決定される。
脱髄がスコア・プロット、例えば図1のスコア・プロット等において疑われる個体から記録されたスペクトルのデータをプロットすること、及び該データが「脱随」スペクトルのクラスタ内にあるかどうかを決定することがまた可能である。脱髄が疑われる個体のこれらデータが「脱髄」と指定されたクラスタ内にない場合、該疾病は個体中に存在しない。本発明では、そのような診断学的方法ステップが、NMRスペクトルを差プロファイルと比較するためのステップ内に含まれることが理解される。
内因的な代謝物質は、代謝的転化工程によって生体内で形成され、そして血管又はリンパ管を介して移動する。外因的な代謝物質は、身体の外部から、例えば医薬の形で由来する。
代謝物質は、種々の形及び数において身体中に見つけられた廃棄物である。例えば、健康な身体では、体液、例えば尿又は血液中の代謝物質の比及び発生が、病身の身体中のとは全く異なる。
原則として、バイオマーカーによって、不健康な状態を健康な状態と素早く区別することが可能である。本明細書の文脈において、バイオマーカーは、有機化合物若しくはその代謝物質、又は幾つかの有機化合物又はそれらの代謝物質の特異的パターン若しくは特異的量を意味すると理解され、それらは、哺乳動物の身体で見つけられることが出来且つその体内における亜臨床的な又は臨床的な事象の結果である。
本発明は、脱随のためのバイオマーカーの同定のための方法であって、本発明に従い差プロファイルを作成すること、及びこの差プロファイルにおいて1以上の定義されたスペクトル線によって特徴付けられた代謝物質を識別することを含む方法を提供する。
差プロファイルにおいて1以上の定義されたスペクトル線によって特徴づけられる代謝物質の同定は例えば、質量分析計をNMR装置に連結すること及び質量分析(MS)によって1以上の定義されたスペクトル線に対応する代謝物質を分析することによって行われうる。当業者は、物質及び代謝物質の同定のための質量分析に精通している。しかしながら、1以上の定義されたスペクトル線に対応する代謝物質の同一性を決定することがまた、既知の代謝物質からのNMRスペクトルを記録すること、そしてそれを本発明に従う差プロファイルにおけるNMRスペクトル線と比較することによって行われうる。
図2及び表1に示されるように、本発明に従う脱随のための差プロファイルが、フォスフォグリセリドに関連する脂質の極性頭部基又はフォスフォグリセリド自身の極性頭部基の特徴である正の回帰を有するスペクトル線(すなわち、その高さが増加したスペクトル線)を含むことが決定されえた。脱髄、そして随伴する複雑な分解及び炎症性症状の結果として、これら代謝物質が尿中に分泌され、従って尿中のこれら代謝物質の分泌が脱随の存在に特異的であると考えられる。
ミエリンは、70%の脂質及び15〜30%のタンパク質から成り且つ白い塊(mass)の総脂質含量に大いに寄与することが知られている。中枢神経系の白い塊に特有である脂質はないけれども、白及び灰色の塊の定量的脂質組成は相当に異なる。
ヒトのミエリンの脂質割合は、22%のコレステロール、15%のフォスファチジルエタノールアミン、9%のフォスファチジルセリン、10%のフォスファチジルコリン、8%のスフィンゴミエリン、28%の糖脂質(主としてガラクトセレブロシド)、及び8%の他の脂質を含む。軸索の膜は、特定のタイプのフォスフォグリセリド、すなわちプラスマロゲンを含む。すべての哺乳動物の脳ミエリンの生化学的組成が大いに対応するので、同じ値が、動物、例えばサル、モルモット及びげっ歯動物に適用されることはありそうである。
プラスマロゲンは、最も通常の極性頭部基としてエタノールアミンを有し且つフォスフォグリセリドより少ないコリンを有するフォスフォグリセリド類似体である。
それらの限定されたサイズにより、フォスフォグリセリド、例えばフォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルコリン、フォスファチジルセリン又はホスファチジルイノシトールの遊離された極性頭部基が、損傷から迅速に遊離され、体液中で分泌され、そして実質的な代謝的修飾無しに及び脱髄活性に対して比例的に尿を介して排泄されると考えられる。極性頭部基分子が、遊離状態で又は誘導体形式(例えば、サルフェート又はフォスフェートに共役した)で尿中に分泌されるかどうかは知られていない。
上記された代謝物質は、脱髄患者の尿において増加した量で見つけられ、それ故にバイオマーカーとして使用されることが極めて適切である。量において減少する代謝物質は、特定の検出方法における偽の負の結果の危険によりバイオマーカーとしてあまり適用できない。
さらに、因子スペクトル分析によって、多発性硬化症の結果として、多くの特定のスペクトル線が特徴的な代謝物質に対応する強度の増加を示すことが決定されえた。これら特徴的な代謝物質の1H化学シフトが表2に示され、そしてこれらスペクトル線に対応する代謝物質が同定された:N-アセチルアスパルテート(2.05 ppmでシングレット[帰属CH3]及び2.91及び1.95 ppmでマルチプレット[CH2]); イノシトール(3.25 ppmでダブレットダブレット[H1/H3]及び4.10 ppmでトリプレット[H2]); コリン(3.19 ppmでマルチプレット[NCH2]及び3.94 ppmでマルチプレット[OCH2]); ネオプテリン(4.34及び4.44 ppmでマルチプレット[CH2]、及び4.60及び4.70ppmでマルチプレット[CH]、及び5.20 ppmでシングレット[OCH2])、及びタウリン(3.26 ppm[CH2SO3]及び3.31 ppm[NCH2]でトリプレット)。個々に又は組合せにおいて、これら代謝物質は、患者における多発性硬化症を検出するために本発明に従うバイオマーカーとして非常に適切に使用されることができ、そこではバイオマーカーの濃度における増加は例えば、これら代謝物質がそれから生じる基本物質の(増加した)分解又は転化を示す。
これらの代謝物質が、疾病、そして随伴する複雑な生理学的劣化及び炎症症状の結果として尿中に分泌され、従って、尿中のこれら代謝物質の分泌が疾病の存在に特異的であると考えられる。
それ故に、本発明に従う差プロファイルにおける正の回帰を有する代謝物質は、脱髄の迅速な且つ早期の検出のためのシステムにおいてバイオマーカーとして非常に適切に使用されることができる。多くの場合では、代謝物質が、遊離状態で又は誘導体形式(例えば、共役された又は他の様式で結合された)で尿中に分泌されるかどうかを差プロファイルから結論付けることは可能でないだろう。例えば、極性頭部基はグリセロールに結合されることができる。しかしながら、当業者は、記載された代謝物質が、それらが体液中で見つけられうる任意の条件においてバイオマーカーとして使用されうることを理解するだろう。
それ故に、本発明はまた、一般に脱随、特に多発性硬化症の診断及び予後のためのバイオマーカーであって、バイオマーカーがフォスフォグリセリドの極性頭部基であることを特徴とするバイオマーカーに関する。
本発明に従うバイオマーカーは、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルコリン、フォスファチジルセリン及び/又はホスファチジルイノシトール、それらの部分又は誘導体から成る群から選択されうる。
本発明はさらに、哺乳動物における脱髄の検出(すなわち、診断及び/又は予後)のための方法であって、体液、好ましくは尿中の本発明に従うバイオマーカーを測定することを含む方法に関する。そのような測定は好ましくは、健康な個体の体液中で見つけられ且つ定量的変化が脱随のための差プロファイルにおけるそのバイオマーカーの回帰に対応するところのそのバイオマーカーの通常の値に相対的なバイオマーカーの発生における定量的変化(脱随が疑われている哺乳動物の個体の体液中での)の検出を含む。
バイオマーカーの測定はまた、バイオマーカーが幾つかの代謝物質濃度のパターンである場合、脱随が疑われる哺乳動物の個体の体液中の代謝物質の濃度又は量のパターンの検出を含むことができる。代謝物質の濃度又は量のそのようなパターン(該パターンは、哺乳動物の個体におけるバイオマーカー測定の形式で測定される)が、バイオマーカーが決定された当該疾病の差プロファイルに対応する場合、該疾病はその個体中に存在する。その場合、定性的バイオマーカー測定が関与する。
従って、本発明に従う哺乳動物にける脱髄の検出のための方法は、その個体の体液中の本発明に従うバイオマーカーの定量的又は定性的検出を含む。
本発明に従うバイオマーカーの測定は、好ましくは尿について実行される。
発明に従う脱髄の検出のために哺乳動物の個体の体液中のバイオマーカーの測定は、見つけられた測定値を基準と比較するステップを常に含むだろう。該基準は、健康な個体について特徴的な値及び/又は脱随が診断された個体の特徴的な値を含みうる。
診断は、本発明に従うバイオマーカーの測定の結果に基づいてなされうる。例えば、代謝物質の正常なレベル又は代謝物質の正常なパターンは、診断「健康」を提供するだろう。逆に、外れる代謝物質パターン又は外れる代謝物質レベルは、診断「脱髄」を提供するだろう。
それ故に、本発明によって、哺乳動物の個体の体液における特定の生化学的変化を観察することによって哺乳動物における脱随を検出することが可能であり、該変化は好ましくは、本発明に従うバイオマーカーの測定によって検出される。
このバイオマーカーは、種々の様式において体液中で検出されうる。例えば、NMR及び/又は質量分析(MS)が、体液のサンプルに適用されうる。
さらに単純で且つより多くの迅速な診断が、ミクロシステム技術、例えば、「マイクロフルイディクス(microfluidics)」装置を、テストされるべきサンプル中に見つけられた代謝物質が定量的に及び定性的に測定されうる特定の蛍光酵素と組み合わせて使用することによってなされうる。当業者は、脱髄の診断及び/又は予後のために哺乳動物の体液における本発明に従うバイオマーカーを検出するための方法を公式化するために、代謝物質の迅速な検出の分野における技術的現状を知ることができるだろう。(例えば、Microfabrication Technology for Biomedical Innovations. Proc. Cambridge Healthtech Inst. 3rd Annual Conf., 1997年10月, サンノゼ, 米国を参照)。
本システム及び方法によって、脱髄は定量的様式で診断されうる。この目的のために、例えば、脱随が診断された個体の体液中の代謝物質からのNMRスペクトルのセットのデータベースが編集されることができ、脱随は進行の異なる段階にあり、及びこれらセットは、例えば、MRI又は他のバイオマーカーとの組み合わせて脱随の進行の定量的データに注釈をつけられる。進行の種々の段階の脱髄のための差プロファイルを作ることによって、定量的な一連の差プロファイルが得られうる。脱随が疑われる又は脱随の深刻さが決定されるべき個体のNMRスペクトルと定量的な一連の差プロファイルとの間の比較を実行することによって、脱随の存在が定量的に表現されうる。さらに、疾病の進行が、この様式において定量的に追跡されうる。
脱髄の定量的分析のために本発明に従うバイオマーカーを使用することがまた可能である。上記されるように、そのような分析は体液、好ましくは尿中のフォスフォグリセリドの極性頭部基の定量的測定を含む。
たとえば、いわゆる磁化トランスファー(magnetization transfer)によってCNS組織における代謝的変化を例えば測定することによって、神経組織中の又は上の代謝的且つ生理学的測定と組み合わせて本発明を使用することによって、中枢神経系において既に存在するミエリン劣化を決定し且つ定量することがいま可能である。脱髄のこの分析、病原の知識及び治療の効率が、本発明の使用を通じて非常に改善することができる。従って、本発明に従うバイオマーカーを使用することによって、実際の脱髄工程を監視することがいま可能である。
本発明は、一般に哺乳動物、及び特にウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ネズミ、イヌ、げっ歯動物、サル及び特に霊長類に適用されうる。好ましくは、本発明はモルモット、イヌ又はヒトに適用される。
本発明は、実施例に基づき本明細書の下記に示されるだろう。
サンプルの予備的処理
NMRスペクトル分析の前に、1 mlの尿サンプルが凍結乾燥され、そして内部標準としてトリメチルシリル-[2,2,3,3,2H4]-1-プロピオン酸ナトリウム(TMSP) 1 mMを有する1 mlのリン酸ナトリウムバッファー(pH 6.0、D20に基づく)中にもどされた。
NMRスペクトル分析の前に、1 mlの尿サンプルが凍結乾燥され、そして内部標準としてトリメチルシリル-[2,2,3,3,2H4]-1-プロピオン酸ナトリウム(TMSP) 1 mMを有する1 mlのリン酸ナトリウムバッファー(pH 6.0、D20に基づく)中にもどされた。
NMR測定
NMRスペクトルは、プロトンNMRセットアップを備えたバリアン(Varian) UNITY 400 MHzスペクトル計で、293 Kの作業温度で、完全に自動化された様式で三回記録された。自由誘導減衰(FID)は、8,000 Hzのスペクトルバンド幅を有する64 Kデータポイントとして集められた;45度のパルスが4.10秒の測定時及び2秒の緩和遅延で使用された。スペクトルが、128 FIDの蓄積によって決定された。残余の水の信号が、水ピークが測定パルスの前に一定の頻度で2秒間照射されたプリサチュレーション技術によって除去された。
NMRスペクトルは、プロトンNMRセットアップを備えたバリアン(Varian) UNITY 400 MHzスペクトル計で、293 Kの作業温度で、完全に自動化された様式で三回記録された。自由誘導減衰(FID)は、8,000 Hzのスペクトルバンド幅を有する64 Kデータポイントとして集められた;45度のパルスが4.10秒の測定時及び2秒の緩和遅延で使用された。スペクトルが、128 FIDの蓄積によって決定された。残余の水の信号が、水ピークが測定パルスの前に一定の頻度で2秒間照射されたプリサチュレーション技術によって除去された。
スペクトルは、標準のバリアン・ソフトウェアを使用して処理された。0.5 Hzの線広がりを有する指数ウィンドウ関数及び手動のベースライン補正が、すべてのスペクトルに適用された。
内部NMR標準(TMSPδ=0.0)への参照後に、ライン・リストが、標準のバリアンNMRソフトウェアによって編集された。これらのライン・リストを得るために、ノイズより上の信号強度を有するスペクトルにおける全ての線が集められ、そして多変量データ解析の使用に適していたデータ・ファイルに変換された。
脱髄代謝物質の代謝的フィンガープリント又は差プロファイルの決定
400 MHzのNMRスペクトル計によって、健康な個体の及び脱髄が診断された個体の尿サンプルが試験された。スペクトルが処理され、そしてライン・リストが内部標準への参照後に標準のバリアン・ソフトウェアによって編集された。NMRデータ換算ファイルが、Winlin VI. 10内にインポートされた。種々のNMRスペクトルにおける比較可能な信号の小さな変化が、国際公開第02/13228号に記載されたような部分的線形適合アルゴリズムを使用することによって調節され、そして該線が解像度の損失無しにフィットされた。データのスケールは自動的に調節され、そして単位強度へと「正規化」された。内因的及び外因的代謝物質が、NMRスペクトルから除去され、それは特定の及び「有意的な」脱随に関連した変化へのデータの変換をもたらした。この目的のために、それによってスペクトル線位置の80〜90%が除去されたところの閾値が使用された。
400 MHzのNMRスペクトル計によって、健康な個体の及び脱髄が診断された個体の尿サンプルが試験された。スペクトルが処理され、そしてライン・リストが内部標準への参照後に標準のバリアン・ソフトウェアによって編集された。NMRデータ換算ファイルが、Winlin VI. 10内にインポートされた。種々のNMRスペクトルにおける比較可能な信号の小さな変化が、国際公開第02/13228号に記載されたような部分的線形適合アルゴリズムを使用することによって調節され、そして該線が解像度の損失無しにフィットされた。データのスケールは自動的に調節され、そして単位強度へと「正規化」された。内因的及び外因的代謝物質が、NMRスペクトルから除去され、それは特定の及び「有意的な」脱随に関連した変化へのデータの変換をもたらした。この目的のために、それによってスペクトル線位置の80〜90%が除去されたところの閾値が使用された。
NMRスペクトルのスコア・プロットが、本明細書の上記されたような多変量データ解析によって作られた。スコア・プロットから、脱髄の代謝的フィンガープリント又は差プロファイルが、脱髄患者の尿中での発生の比較的高い頻度を有する上昇及び下降NMRシグナルを選択することによって得られた。これらから、脱随への関連した寄与(回帰>0.5)を有するおよそ35のNMR信号が選択された。これらNMR信号が、表1及び図2に示される。
尿中の濃度における増加が決定されうる且つ多発性硬化症に関与されるとして同定されえたところの他の特徴的な代謝物質が、表2に与えられる。
Claims (17)
- バイオマーカーがフォスフォグリセリドの極性頭部基であることを特徴とする、脱髄の検出のための前記バイオマーカー。
- 前記極性頭部基が、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルコリン、フォスファチジルセリン及び/又はホスファチジルイノシトール、又はそれらの一部分若しく誘導体である、請求項1に記載のバイオマーカー。
- N-アセチルアスパルテート、イノシトール、コリン、ネオプテリン及びタウリン、並びにそれらの組み合わせから成る群から選択される1以上の代謝物質又はそれらの部分を含むバイオマーカー。
- 脱髄を監視するために、請求項1〜3のいずれか一項に記載のバイオマーカーを使用する方法。
- 多発性硬化症の診断及び予後のために、請求項1〜3のいずれか一項に記載のバイオマーカーを使用する方法。
- 哺乳動物における脱髄の診断及び予後のための方法であって、個々の哺乳動物の個体の体液中の請求項1〜3のいずれか一項に記載のバイオマーカーを測定することを含む、方法。
- 前記バイオマーカーが体液中の代謝物質のプロトン核磁気共鳴分光分析によって測定され、及び前記体液が尿である、請求項6に記載の方法。
- 哺乳動物における脱髄の検出のための差プロファイルであって、NMRスペクトル線の複数のスペクトル線位置及び任意的に、対応する信号強度を含み、哺乳動物の1以上の健康な個体の体液中の代謝物質の1以上のNMRスペクトルと、脱髄が診断されている前記哺乳動物の1以上の個体の対応する体液中の代謝物質の1以上の対応するNMRスペクトルとの間の正規化された差を示す、差プロファイル。
- 前記哺乳動物が、ヒト、イヌ及びモルモットから成る群から選択されている、請求項8に記載の差プロファイル。
- 前記体液が尿である、請求項8又は9に記載の差プロファイル。
- 表1に従うスペクトル線及びそれに対応する値を含む、請求項10に記載の差プロファイル。
- 哺乳動物における脱髄の検出のための方法であって、脱髄が疑われている前記哺乳動物の個体の体液中の代謝物質のNMRスペクトルを用意すること、及び前記NMRスペクトルを、対応する体液について決定された請求項8〜11のいずれか一項に記載の差プロファイルと比較することのステップを含む、方法。
- 前記哺乳動物が、ヒト、イヌ及びモルモットから成る群から選択されている、請求項12に記載の方法。
- 前記体液が尿である、請求項12又は13に記載の方法。
- 哺乳動物における脱髄の検出のための差プロファイルを作成する方法であって、a)哺乳動物の1以上の健康な個体の体液中の代謝物質から記録されたNMRスペクトルのスペクトル線の位置及び対応する信号強度の第1のセットを用意すること、b)脱髄が診断されている前記哺乳動物の1以上の個体の対応する体液中の代謝物質から記録されたNMRスペクトルのスペクトル線の位置及び対応する信号強度の第2のセットを用意すること、及びc)前記差プロファイルを得るために、前記第1のセット及び第2のセットの正規化された値の間の差を検出することのステップを含む、方法。
- 前記正規化された値の決定が、国際公開第02/13228号に記載の方法の使用を含む、請求項15に記載の方法。
- 脱髄用のバイオマーカーを識別する方法であって、請求項8〜11のいずれか一項に記載の差プロファイルを作成すること、及び前記差プロファイルにおける1以上の定義されたスペクトル線によって特徴付けられる代謝物質を同定することを含む、方法。
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