JP2006337098A - 管内流速測定方法及びシステム - Google Patents

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健一 中島
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Abstract

【課題】
配管を破壊すること無く管内流体の流速を測定することができ、被覆管に対しても適用することができる管内流速測定システムを提供する。
【解決手段】
上記課題を解決するための管内流速測定システムは、配管60内部を流れる流体に混入されるRFIDチップ20と、予め定められた間隔で前記配管60に沿って配置され、配管60内部を流れる流体70に混入されたRFIDチップ20から出力される信号を読み取る複数のリーダ30(30a,30b)と、このリーダ30がRFIDチップ20から出力された信号を読み取った時間と読み取ったリーダ30の個体情報とを関連付けた情報と、前記信号を読み取った複数のリーダ30間の距離とに基づいて、配管60内部を流れる流体70の流速を算出するコンピュータ40とを備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、配管内を流れる流体の流速を測定する方法、及びシステムに係り、特に既設の配管、稼動中の施設に設けられた配管等の内部を流れる流体の流速を測定する場合に好適な管内流速測定方法、及びシステムに関する。
プラント等における各種空調用の配管や、生活に密着した上下水道配管内を流れる流体の流量の測定は一般に、配管の口径と、この配管内を流れる流速とに基づいて導き出されている。
配管内を流れる流体の流速を測定する技術として普及しているものは、流体を流す配管に直接流速計(流量計)を設置し、この流速計に備えられた回転計や圧力計を介して計測を行うというものである。こうした技術は管内の流れを直接捉えることができることより、確実性があり計測自体は簡易に行うことができる。しかし、上記のような技術によれば、配管に対して流速計を設置する作業が必要であり、既設の配管内の流速を計測するためには、一時的に流体を止めることが必要となり、作業を行う配管に接続された設備は稼動を停止しなければならない。
このような実状を鑑み、配管を加工あるいは交換することなく非破壊で管内を流れる流体の流速を測定することができる技術が提案されている。このような技術の1つとして、超音波を利用した管内流れの流速測定を挙げることができる。この技術は、流体が流れる配管の上流側と下流側とに送信機と受信機を配置し、送信機側から受信機側へ伝達される信号に生じる位相差に基づいて流体の流速を測定するというものである(例えば特許文献1)。
その他の技術として、特許文献2に提示されているような技術がある。特許文献2に提示されている技術は、配管内に放射性アイソトープを注入し、配管の外部に備えた2つの検出器のそれぞれで、配管内を流れる流体と共に移動する放射性アイソトープから放出されるエネルギーを順次測定し、測定時間の差と検出器間の距離とに基づいて流体の流速を算出するというものである。
2002−296290号公報 特開平8−304127号公報
上記のような流速測定技術を用いれば、配管を破壊することなく管内流体の流速を測定することが可能となる。しかし、超音波による計測方法は、送信機及び受信機を共に、計測対象とする配管に密着させる必要があり、断熱材等が被覆された配管への適用には適していない。また、この技術は原則として配管の口径いっぱいに流体が満ちていることが必要である。
一方配管内に放射性アイソトープを注入する技術は、被覆配管にも適用することが可能であり、配管に余剰空間が存在する場合等でも対応することが可能である。しかし、放射性アイソトープは、人体あるいは環境に有害とされる放射線を放出するため、一般的なプラントや、家庭内の配管等には使用することが懸念される。また、注入した放射線アイソトープが配管内で拡散してしまった場合には、検出精度が低下することが考えられる。
本発明では、配管を破壊すること無く管内流体の流速を測定することができ、被覆管に対しても適用を可能とし、人体に害の無い管内流速測定方法及びシステムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するためには、上述した放射性アイソトープに代わる無害で環境への影響が少ない物質を配管内に導入し、この物質の存在を配管外部から検知することができるようにすれば良いと考えられる。そこで本発明に係る管内流速測定方法は、予め定めた間隔でRFIDチップ読取装置を前記配管に沿って複数配置し、前記配管内を流れる流体中にRFIDチップを混入し、流体と共に上流から下流へ流れるRFIDチップから出力される信号を前記RFIDチップ読取装置のうちの少なくとも2つで順次読み取り、信号を読み取ったRFIDチップ読取装置間の距離と読取時の時間差とに基づいて配管内を流れる流体の流速を算出することを特徴とした。
また、上記のような管内流速測定方法においては、複数のRFIDチップ読取装置間毎でそれぞれ流速を算出し、算出した各RFIDチップ読取装置間における流速に基づいて流体の平均流速を算出することが望ましい。
このような方法を採用することにより、流速測定の精度を向上させることが可能となる。
また、上記のような管内流速測定方法においては、前記RFID読取装置を配管近傍に少なくとも3つ配置し、それぞれのRFID読取装置の配置位置と読み取ったRFIDチップから出力された信号の位相差とに基づいて、RFIDチップの配管内における位置情報を算出し、これを流速を算出する際の補正値として組み込んで演算するようにすると良い。
このような方法を採用することにより、RFIDチップが配管内の何処を流れていようとも、正確な移動距離を算出することができ、流速の測定精度を向上させることができる。
また、上記管内流速測定方法を実施する場合には、前記配管は非導電性材料で構成し、前記流体は非導電性物質とすることが望ましい。
こうすることにより、減衰の大きな短波帯以上の周波数帯を使用した場合であっても、RFIDチップとRFID読取装置との間の通信が可能となる。
また、上記のような管内流速測定方法をプラント等の配管施設に採用する場合には、配管に沿ったRFIDチップ読取装置の配置を、配管以外の装置あるいは設備を跨ぐことなく行うようにすると良い。こうすることにより、流速の測定誤差を減らすことができる。
上記目的を達成するための本発明に係る管内流速測定システムは、配管内を流れる流体の流速を測定するシステムであって、配管内を流れる流体に混入されるRFIDチップと、予め定められた間隔で前記配管に沿って配置され、配管内を流れる流体に混入されたRFIDチップから出力される信号を読み取る複数のRFIDチップ読取装置と、RFIDチップ読取装置がRFIDチップから出力された信号を読み取った時間と読み取ったRFIDチップ読取装置の個体情報とを関連付けた情報と、前記信号を読み取った複数のRFIDチップ読取装置間の距離とに基づいて、配管内を流れる流体の流速を算出する演算装置と、を備えたことを特徴とする。
また、上記のような構成の管内流速測定システムでは、前記演算装置は、複数のRFIDチップ読取装置間においてそれぞれ流速を算出し、算出した各RFIDチップ読取装置間の流速に基づいて流体の平均流速を算出するものであると良い。
このような構成とすることにより、流速測定の測定精度を向上させることが可能となる。
上記のような管内流速測定方法及びシステムによれば、配管を破壊すること無く管内流体の流速を測定することができ、被覆管に対しても適用することができる。また、人体に対しても害を与えることが無い。
以下、本発明の管内流速測定方法及び管内流速測定システムに係る実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明に係る好適な形態の一部を示すものであり、本発明の技術的範囲は以下の実施形態のみに拘束されるものではない。
まず、図1を参照して本発明の管内流速測定システム10に係る第1の実施形態について説明する。本実施形態の管内流速測定システム10は、配管60内を流れる流体70の流速を測定するシステムであって、配管60内を流れる流体70に混入させるRFID(Radio Frequency Identification)チップ20と、前記RFIDチップ20から出力される信号を読み取る複数(本実施形態では2つ)のRFIDチップ読取装置(以下、リーダという)30(30a,30b)と、前記リーダ30によって読み取った信号及び前記複数のリーダ30の配置距離Lに基づいて流速を算出する演算装置(以下、コンピュータという)40とを基本構成とする。
前記RFIDチップ20の構造は特に限定するものでは無いが、例えば図2に示すようなものであれば良い。すなわち、チップ本体26の内部に備えられるアンテナ21、電力生成部22、メモリ24、コントロール回路23等を備えるものである。前記アンテナ21は、詳細を後述するリーダ30から出力される信号(電波)を受信すると共にコントロール回路23から伝達される信号を応答信号(電波)として出力する。電力生成部22は、前記アンテナ21によって受信した電波によって起電力を発生させてコントロール回路23へ供給する。コントロール回路23は、前記電力生成部22から供給された電力によって起動し、メモリ24に記録された情報(例えばID(Identification)番号等)を読み出し、この情報を送信信号に重畳させて応答信号としてアンテナ21に伝達する。このような構成のRFIDチップ20は、必要とする電力をリーダ30から供給される信号によって賄うことができるため、大型の電源部を必要とせずに長期的な使用が可能となると共に、小型化を実現することができる。現在開発されているRFIDチップは、小型なものでは、数十μmのものがあり、こういったサイズのRFIDチップであれば配管内の流れに混入させた場合であっても、実際の流体の流れとRFIDチップの移動速度との間に大きな差(遅れ)が出ることは無い。
また、現在RFIDチップに使用されている無線周波数帯としてはLF帯(長波帯)、HF帯(短波帯)、UHF帯(極超短波帯)等があり、LF帯として125kHz、HF帯として13.56MHz、UHF帯として868MHz、2.45GHz等の周波数が使用されており、用途・環境に応じて使いわけることができる。
前記リーダ30は、信号の送受信を行うためのアンテナ(不図示)を備えた読取装置である。リーダ30は、前記RFIDチップ20に対して規定の周期で信号(電波)を出力すると共に、RFIDチップ20が出力した応答信号を受信して後述するRFIDコントローラ32へ出力する。また、本実施形態ではリーダ30を複数用いるため、RFIDチップ20を読み取ったリーダ30を特定するためにリーダ30毎のID番号が定められており、RFIDチップ20から情報を読み取った際(情報を重畳させた応答信号を受信した際)には、このリーダ30毎のID番号と共に読取情報をRFIDコントローラ32へ出力する。
前記RFIDコントローラ32は、前記リーダ30の制御を担うものであり、RFIDシステム(RFIDチップ20、リーダ30、RFIDコントローラ32)の電源部も兼ねる。そして、RFIDコントローラ32は、管内流速測定システム10の全体の制御を統括するコンピュータ40に接続されており、リーダ30とコンピュータ40との間における情報の授受を中継する。
前記コンピュータ40は少なくとも、図3に示すようにインターフェース42、演算手段44、及び記憶手段46を備える。前記インターフェース42は、外部に接続された各種機器、例えばRFIDコントローラ32、入力手段52、出力手段50等と演算手段44との間において情報の仲介を行う。前記演算手段44は、インターフェース42から伝達された情報の記録先の決定、並びに記憶手段46への情報の書き込み、並びに記憶手段46からの情報の読み出し、並びに記録情報の出力、並びに内部時計(不図示)の制御、及び各種演算を実行する。前記記憶手段46には、複数のデータベース(DB)が構築されている。本実施形態の記憶手段46に構築されるDBとしては、例えば、リーダ間距離DB46a、読取時刻DB46b、及び流速値DB46c等がある。
リーダ間距離DB46aは、例えば図4に示すようなものであれば良い。すなわち、上流から下流にかけて配置された複数のリーダ30間の距離を、各リーダ30に該当するID番号と共に記録するものである。なお、リーダ30の数並びにID番号や、リーダ30間の距離は、入力手段52を介して入力すれば良い。
読取時刻DB46aは、例えば図5に示すようなものであれば良い。すなわち、リーダ30がRFIDチップ20からの出力信号を読み取った時刻と、読み取ったRFIDチップ20のID番号、及びRFIDチップ20からの信号を読み取ったリーダ30固有のID番号とを関連付けて時系列に記録するものである。なお、時刻とID番号の読取は、リーダ30から伝達された情報がインターフェース42を介して演算手段44に入力された段階で、コンピュータ40の内部に記憶されている時計(不図示)の時刻と結びつけ、これをDBへ記録するようにすれば良い。
また、流測値DB46cは、図示しないが、演算手段44によって算出された流測値を測定時刻や測定範囲と共に記録するものであれば良い。
このような構成の管内流速測定システム10では、流体70が流れる配管60の外周、あるいは近傍に、少なくとも2つのリーダ30a,30bを流体の流れ方向に沿って配置する。リーダ30a,30bの配置終了後、それぞれのリーダ30a,30b間の距離Lを計測し、入力手段52を介してコンピュータ40内の記憶手段46に構築されたリーダ間距離DB46aに記録する。
上記作業終了後、配管60の内部を流れる流体70にRFIDチップ20を混入する。RFIDチップ20にはそれぞれID番号が記録されているため、混入させる数は1つであっても複数であっても良く、リーダ30a,30bでID番号を読み取ることにより個々の流れ速度を把握することが可能となる。
流体に混入されたRFIDチップ20は、配管60内を流れる流体70と共に移動し、上流側に配置されたリーダ30aから出力される信号を受信する。リーダ30aからの信号を受信したRFIDチップ20はこの信号により電力を発生させ、内部に記録されたID番号を応答信号に重畳させて出力する。RFIDチップ20から出力された応答信号は微弱であるが、リーダ30が信号の到達範囲内に存在すればその信号を受信することができる。現時点において、RFIDチップ20の最も近くに存在するリーダ30は、RFIDチップ20が出力信号を受信したリーダ30aであるため、RFIDチップ20からの応答信号は、このリーダ30aが受信することとなる。そして、RFIDチップ20からの応答信号を受信したリーダ30aは、受信した情報をRFIDコントローラ32を介してコンピュータ40へ伝達する。
コンピュータ40に伝達された情報は、演算手段44によって記録場所が選択され、情報がコンピュータ40へ伝達された際の時刻と共に記憶手段46に構築された読取時刻DB46bに記録される。
リーダ30aが設置してある箇所を通過したRFIDチップ20は、リーダ30aの下流側に配置されたリーダ30bから出力された信号を受信して応答信号を出力する。リーダ30bは前述したリーダ30aと同様にこの応答信号を受信し、読取情報としてコンピュータ40へ伝達する。そしてコンピュータ40内部でも前述と同様の処理が行われ、伝達された情報が時刻と共に読取時刻DB46bへ記録される。
前記演算手段44は、1つのRFIDチップ20に記録されたID番号が、少なくとも2つのリーダ30a,30bによって読み取られた場合、読取時刻DB46aからそれぞれのリーダ30によってRFIDチップ20のID番号を読み取った時刻を読み出す。そして、読み出した2つの時刻の差を算出し、この値をRFIDチップ20が2つのリーダ30a,30b間を移動するために要した「移動時間」とする。その後、演算手段44は、リーダ間距離DB46aに記録された前記2つのリーダ30a,30b間の「距離」を読み出し、読み出した「距離」を前述のようにして算出した「移動時間」によって除す。このような演算を行うことにより、ある時刻におけるリーダ30a,30b間を流れる流体70の流速を算出することができる。演算手段44によって算出された流体70の流速は、記憶手段46に構築された流速値DB46cに記憶され、あるいはインターフェース42を介して出力手段50に出力される。
上記のような管内流速測定システム10で配管60の内部を流れる流体70の流速を測定する場合、前記配管60は、非導電性材料で構成されたものであることが望ましく、例えば樹脂管やガラス管などであると良い。また、前記流体70も、非導電性物質とすることが望ましく、例えば油などであると良い。配管60や流体70を導電性のものとした場合、電波の減衰が大きくなり、配管60の外部に配置するリーダ30との通信が困難となる可能性があるからである。ここで、配管60や流体70が導電性のものである設備に本発明の管内流速測定システム10を採用する場合には、RFIDチップ20の使用周波数帯を長波帯以上とすると良い。長波は指向性が高く水中等でも減衰しずらいため、配管近傍に配置されたリーダ30との通信であれば行うことが可能となる。なお、電波として長波帯を使用する場合、アンテナを大型化する必要が生じ、RFIDチップ20自体の小型化が困難となることが考えられるが、この場合、以下のような対策を採ることで、管内流速の測定への影響を回避することができる。
まず、RFIDチップ20を樹脂等でコーティングすることで浮力(溶媒との比重)を調整する。その後、予め溶媒となる流体にRFIDチップ20を混入させて、RFIDチップ20の移動速度と実際の流速との誤差を求める。そして、この誤差を補正値としてコンピュータ40に記録し、演算手段44によって算出された値にこの補正値を反映させるようにする。
また、長波を使用した場合、情報の送受信に時間がかかることが懸念されるが、通信情報がID番号のみである場合には問題視する必要性は低い。
上述した管内流速測定システム10によれば、既設の配管内部を流れる流体の流速や、稼動中の設備の配管内部を流れる流体の速度を測る場合であっても、配管を破壊、加工すること無く測定することができる。また、配管60にリーダ30を密着させる必要性が無いため、被覆配管の内部を流れる流体に対しても適用することができる。また、RFIDチップ20はそれぞれID番号に基づいて個体識別が可能であるため、循環経路などでは、繰返しの流速測定を行うことが可能となる。また、リーダ30は常設しておく必要が無く、流速測定を行う際に、配管60の所望の位置に配設することで足りるため、測定箇所の応用範囲が広く、少数の測定機器で多くの箇所を測定することが可能となる。さらに、RFIDチップ20は配管内部の流体に溶け込むことも無いため回収することができ、環境への影響も少ない。
次に、本発明の管内流速測定システムに係る第2の実施形態について図6を参照して説明する。
本実施形態の管内流速測定システムの構成の殆どは、第1の実施形態に示した管内流速測定システムと等しい。よって、その機能を同一とする部分は、図面に同一符号を附して詳細な説明を省略する。
本実施形態の管内流速測定システム10は、配管60に沿って配置するリーダ30の数を3つにしたことが第1の実施形態に示した管内流速測定システムと異なる。リーダ30を3つとすることにより、流速の測定は、リーダ30aとリーダ30bとの間、リーダ30bとリーダ30cとの間、及びリーダ30aとリーダ30cとの間で実施することが可能となる。このように複数箇所で流速の測定を行った場合、演算手段44は、それぞれの区間における流速に基づいて配管60内部の平均流速を算出することができるようになる。このため、管内流速を測定する上での精度を向上させることが可能となる。
また、3つのリーダ30(30a,30b,30c)を配管60に沿って近接配置した場合には、特定のRFIDチップ20から出力される同一の応答信号を3つのリーダ30のそれぞれで受信することとなる。こうした場合、それぞれのリーダ30の配置位置の違いより、受信する応答信号に位相差が生じることとなる。このため、演算手段44によって、3つのリーダ30の配置位置と受信した応答信号の位相差とに基づいて配管60内部でのRFIDチップ20の位置情報を算出することが可能となる。この位置情報の算出を複数回行うことにより、RFIDチップ20の瞬時移動方向、及び距離を3次元的に導き出すことが可能となり、それに基づく移動速度の算出も可能となる。また、RFIDチップ20の位置情報を取得することを複数箇所で同様に行い、その2点間におけるRFIDチップ20の移動速度を算出し、これを流速とすることもできる。
3つ以上となるリーダ30の配置は、図7に示すような形態であっても良い。すなわち、配管60の外周の同心円上に複数(本実施形態では3つ)のリーダ30を配置し、それぞれのリーダ30の配置位置を3次元データとして予め記録しておくのである。このような構成であっても上記と同様に、RFIDチップ20からの応答信号の位相差とリーダ30の位置情報とから、配管60の内部を流れるRFIDチップ20の位置情報を取得することが可能となる。
なお、リーダ30の数をさらに増やしたとしても、本実施形態の一部とみなすことができることは言うまでも無い。
上記実施形態に示した管内流速測定システム10は、前記RFIDチップ20に、図8に示すようなセンサ25を搭載したものであっても良い。センサ25として、例えば温度センサを備えた場合であれば、配管60内部の流体温度を計測することが可能となる。センサ25によって検出された計測値はメモリ24に記録するような構成とすることができる。そして、リーダ30からの出力信号を受信した際に出力する応答信号には、ID番号の他、メモリ24に記録された温度情報も重畳させて出力するような機能を持たせると良い。このような構成とすることによれば、配管内の流速と共に流体の温度情報等も得ることが可能となり、その後の設備制御等に各種情報を反映させることが可能となる。
上記のような管内流速測定システム10をプラント内の設備に利用する場合には、図9に示すような、空調、冷水設備における循環系経路の流速測定を対象として用いると良い。図9に示すような設備における配管内を流れる流体の流速を測定する場合、前記リーダ30a,30bは、上流側と下流側とで冷凍機や空調機、熱交換器等の熱交換設備を跨ぐことが無いように配置する。こうすることにより、配管内の流体の流速を精度良く測定することができる。これは、熱交換設備内の配管構造が複雑に分岐しているということに起因する。すなわち、2つのリーダ30a,30bを熱交換設備の入口側(A,C,E)と出口側(B,D,F)とに配置した場合、RFIDチップ20が熱交換設備の入口から出口までどのような経路で流れてきたかということを把握することができなくなってしまうのである。このため、リーダ30aとリーダ30bとの間の距離は設定することができなくなり、RFIDチップ20の移動速度も算出することができなくなってしまう。換言すれば、リーダ30a,30bをA〜Fのそれぞれに対として配置することにより、配管内部の流速を精度良く測定することが可能となるのである。なお、図9に示すような設備で本発明の管内流速測定方法を実施する場合には、前記RFIDチップ20は、開放部である冷水槽から配管内部へ混入させることができる。なお、冷水槽等の設備が無い管路において、管内流体を補給する箇所がある場合には、そこからRFIDチップ20を混入するようにすれば良い。
上記管内流速測定システム10では、リーダ30間の距離はリーダ30を設置した後に入力する旨記載したが、リーダ30間の距離は予め記録されているものであっても良い。この場合、リーダ30は記録されている距離に合わせて配置することとなる。また、実施形態では、配管60の内部を流れる流体70は液体である旨示唆したが、流体70が気体である場合や、粉粒体である場合等にも、上述した管内流体測定システムを採用することができる。また、上記実施形態に示した管内流体測定システムは、直線的な配管に配置するように図示しているが、配管が湾曲または屈曲している部分における流速の測定にも対応させることができる。この場合には、リーダ30間の距離として、直線距離ではなく配管の長さに相当する距離を採用することとなる。
また、流速測定の精度を向上させたい場合には、リーダ30からの出力信号を配管60の断面方向に沿った平面上に発するような構成とすることもできる。こうすることにより、RFIDチップ20がリーダ60からの信号を受信する範囲の誤差を減らすことができ、結果として流速測定の精度を向上させることができる。
本発明の管内流速測定システムに係る第1の実施形態を示すブロック図である。 管内流速測定システムに使用するRFIDチップの構造例を示すブロック図である。 管内流速測定システムに使用するコンピュータの内部構成の例を示すブロック図である。 リーダ間距離データベースの表示例を示す図である。 読取時刻データベースの表示例を示す図である。 本発明の管内流速測定システムに係る第2の実施形態を示すブロック図である。 リーダの配置例を示すブロック図である。 センサを搭載したRFIDチップの構造例を示すブロック図である。 本発明の管内流体測定方法及びシステムを採用して管内流体の流速測定を行う設備の例を示す図である。
符号の説明
10………管内流体測定システム、20………RFIDチップ、21………アンテナ、22………電力生成部、23………コントロール回路、24………メモリ、30(30a〜30c)………リーダ(RFIDチップ読取装置)、32………RFIDコントローラ、40………コンピュータ(演算装置)、42………インターフェース、44………演算手段、46………記憶手段、50………出力手段、52………入力手段。

Claims (7)

  1. 配管内を流れる流体の流速を測定する方法であって、
    予め定めた間隔でRFIDチップ読取装置を前記配管に沿って複数配置し、
    前記配管内を流れる流体中にRFIDチップを混入し、
    流体と共に上流から下流へ流れるRFIDチップから出力される信号を前記RFIDチップ読取装置のうちの少なくとも2つで順次読み取り、
    信号を読み取ったRFIDチップ読取装置間の距離と読取時の時間差とに基づいて配管内を流れる流体の流速を算出することを特徴とする管内流速測定方法。
  2. 複数のRFIDチップ読取装置間毎でそれぞれ流速を算出し、算出した各RFIDチップ読取装置間における流速に基づいて流体の平均流速を算出することを特徴とする請求項1に記載の管内流速測定方法。
  3. 前記RFID読取装置を配管近傍に少なくとも3つ配置し、
    それぞれのRFID読取装置の配置位置と読み取ったRFIDチップから出力された信号の位相差とに基づいて、RFIDチップの配管内における位置情報を算出し、
    これを流速を算出する際の補正値として組み込んで演算することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の管内流速測定方法。
  4. 前記配管は非導電性材料で構成されており、前記流体は非導電性物質であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1に記載の管内流速測定方法。
  5. 配管に沿ったRFIDチップ読取装置の配置は、配管以外の装置あるいは設備を跨ぐことなく成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1に記載の管内流速測定方法。
  6. 配管内を流れる流体の流速を測定するシステムであって、
    配管内を流れる流体に混入されるRFIDチップと、
    予め定められた間隔で前記配管に沿って配置され、配管内を流れる流体に混入されたRFIDチップから出力される信号を読み取る複数のRFIDチップ読取装置と、
    RFIDチップ読取装置がRFIDチップから出力された信号を読み取った時間と読み取ったRFIDチップ読取装置の個体情報とを関連付けた情報と、前記信号を読み取った複数のRFIDチップ読取装置間の距離とに基づいて、配管内を流れる流体の流速を算出する演算装置と、
    を備えたことを特徴とする管内流速測定システム。
  7. 前記演算装置は、複数のRFIDチップ読取装置間においてそれぞれ流速を算出し、算出した各RFIDチップ読取装置間の流速に基づいて流体の平均流速を算出することを特徴とする請求項6に記載の管内流速測定システム。
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