JP2006317918A - 撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光束分岐手段の退避時間に伴う撮影時のシャッタタイムラグをなくして良好な撮影を可能にする。
【解決手段】被写体光束を撮像面に結像するレンズ102と前記撮像面の間に配置され、被写体光束を撮像光路外に分離させる光束分岐手段103と、光束分岐手段で分離された被写体光束を受光して前記レンズの焦点調節のための信号を得る受光手段112と、光束分岐手段を、前記撮像光路内に位置させる作用位置と前記撮像光路外に退避した退避位置のいずれかの位置に保持する保持手段とを有し、撮像条件に応じて、自動的に光束分岐手段を前記作用位置もしくは前記退避位置に保持する。
【選択図】図1
【解決手段】被写体光束を撮像面に結像するレンズ102と前記撮像面の間に配置され、被写体光束を撮像光路外に分離させる光束分岐手段103と、光束分岐手段で分離された被写体光束を受光して前記レンズの焦点調節のための信号を得る受光手段112と、光束分岐手段を、前記撮像光路内に位置させる作用位置と前記撮像光路外に退避した退避位置のいずれかの位置に保持する保持手段とを有し、撮像条件に応じて、自動的に光束分岐手段を前記作用位置もしくは前記退避位置に保持する。
【選択図】図1
Description
本発明は、撮影レンズと撮像面間に配置され、撮影光束を撮影光路外に分離させる光束分岐手段を有する撮像装置に関する。
撮影光束を分離して焦点検出の為の受光素子に導く方法は従来から提案されている。特開昭63−195630号公報(特許文献1)は、ズームレンズを備えたカメラに関し、ズームレンズの光路の途中で光束を分離して、この分離した光束によって焦点検出を行う技術の開示例である。また、特開2003−140246号公報(特許文献2)は、結像光学系で形成された1次物体像をCCDセンサやCMOSセンサなどの2次元受光センサ上に結像する。そして、光学像を光電変換して物体に関する画像出力を得るデジタル一眼レフカメラに関する開示例である。これらの提案においては、スプリッタ等の光束分岐手段により撮影光束を撮像センサと焦点検出センサに分けて入射させ、焦点検出センサ側で焦点状態を検出し、撮像センサ側で撮影を行う構成にしている。
特開昭63−195630号公報
特開2003−140246号公報
上記の従来例においては、撮影光束内にスプリッタ等の光束分岐手段が設けられているが、このような光束分岐手段を用いると一般的に撮像センサに入射する光量が減じられる。その対策として、撮影時には光束分岐手段を退避させて全光量が撮像センサに入射する構成にすれば良いのであるが、毎回撮影のたびに光束分岐手段の退避動作を行うことはシャッタタイムラグを招くものであった。
(発明の目的)
本発明の目的は、光束分岐手段の退避時間に伴う撮影時のシャッタタイムラグをなくして良好な撮影を行うことのできる撮像装置を提供しようとするものである。
本発明の目的は、光束分岐手段の退避時間に伴う撮影時のシャッタタイムラグをなくして良好な撮影を行うことのできる撮像装置を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、被写体光束を撮像面に結像するレンズと前記撮像面の間に配置され、被写体光束を撮像光路外に分離させる光束分岐手段と、前記光束分岐手段で分離された被写体光束を受光して前記レンズの焦点調節のための信号を得る受光手段と、前記光束分岐手段を、前記撮像光路内に位置させる作用位置と前記撮像光路外に退避した退避位置のいずれかの位置に保持する保持手段とを有し、撮像条件に応じて、自動的に前記光束分岐手段を前記作用位置もしくは前記退避位置に保持する撮像装置とする。
同じく上記目的を達成するために、本発明は、被写体光束を撮像面に結像するレンズと前記撮像面の間に配置され、被写体光束を撮影光路外に分離させる光束分岐手段と、前記光束分岐手段で分離された被写体光束を受光して前記レンズの焦点調節のための信号を得る受光手段と、前記光束分岐手段を、前記撮像光路内に位置させる作用位置と前記撮像光路外に退避した退避位置のいずれかの位置に保持する保持手段とを有し、静止画撮影が選択されている場合に、前記光束分岐手段を、前記作用位置に保持させて撮像するか、前記退避位置に保持させて撮像するかを、選択可能にした撮像装置とする。
本発明によれば、光束分岐手段の退避時間に伴う撮影時のシャッタタイムラグをなくして良好な撮影を行うことのできる撮像装置を提供できるものである。
本発明を実施するための最良の形態は、以下に記載の実施例1ないし実施例3に示す通りである。
図1は本発明の実施例1に係わるデジタルカメラを示す断面図である。
図1において、101はデジタルカメラ、102は物体像を形成するための結像光学系、104は結像光学系102の光軸、105は結像光学系102を収納するレンズ鏡筒である。
上記の結像光学系102は不図示のエネルギー源と不図示の駆動機構により結像位置を光軸104の方向に調節可能である。フォーカシングレンズを柔軟性のある透明弾性部材や液体レンズで構成し、界面形状を変化させて屈折力を変えることで、物体にピントを合わせることもできる。結像光学系102は単焦点レンズ、ズームレンズ、あるいはシフトレンズ等であっても良い。また、種々の特性(Fナンバーや焦点距離など)を具備した結像光学系に交換可能であっても良い。この結像光学系102を構成するレンズの材質として、アクリル樹脂に大きさが5nmから30nm程度の酸化ニオブ粒子を均一に分散させたコンポジット材を使用することができる。この場合、屈折率が1.8程度と高屈折率でありながらガラスよりも衝撃に強く、しかも射出成形で安価に製造可能である。
103は光束を分岐するスプリッタ、110はスプリッタ103内における光軸、111はシャッタレリーズ釦、108は画像データを格納するメモリカードである。109は光学ファインダの接眼レンズである。106は2次元型CCDやCMOS受光センサであるところの撮像素子である。112はAFモジュールに含まれる焦点検出用センサ(AFセンサ)、113は光学ローパスフィルタである。後述するディスプレイ装置107に表示されている画像の取り込み時および撮影時には、スプリッタ103、光学ローパスフィルタ113を透過した光束が撮像素子106上に投影されるようになっている。114は光路長補完光学系である平板ガラスであり、スプリッタ103が光束内(光軸104上)から退避することによる光路長の変化を補完する役割をしている。
107はカメラの背面に取り付けられたディスプレイ装置であり、撮像素子106で捉えられた物体像が該ディスプレイ装置107上に表示される。使用者は撮影準備時に直接これを観察して撮影構図を定めることができる。このディスプレイ装置107は、有機EL空間変調素子や液晶空間変調素子、微粒子の電気泳動を利用した空間変調素子などで構成すると消費電力が小さくかつ薄型で都合が良い。
撮像素子106は、間引き読み出しによるディスプレイ装置107用の画像出力動作と、撮影時には全ての画素を読み出す高精彩画像出力動作を行う。
図2はデジタルカメラ101の電気的構成を示すブロック図である。まず、物体像の撮像、記録に関する部分から説明する。
デジタルカメラ101は、撮像系、画像処理系、記録再生系、制御系を有する。撮像系は、結像光学系102、撮像素子106を含み、画像処理系は、A/D変換器130、RGB画像処理回路131およびYC処理回路132を含む。記録再生系は、記録処理回路133および再生処理回路134を含む。制御系は、カメラシステム制御回路135、情報表示回路142、操作検出回路136および撮像素子駆動回路137を含む。138は外部のコンピュータ等に接続して、データの送受信をするための規格化された接続端子である。これらの電気回路は、例えば不図示の小型燃料電池によって駆動される。なお、電源の種類は小型燃料電池に限られるものではなく、汎用の電源を用いることが可能であることは言うまでもない。
撮像系は、物体からの光を結像光学系102を介して撮像素子106の撮像面に結像する光学処理系である。結像光学系102の不図示の絞りとメカニカルシャッタを調節し、適切な光量の物体光を撮像素子106に露光する。撮像素子106は、例えば、正方画素が長辺方向に3264個、短辺方向に2448個並べられ、合計約800万個の画素数を有する受光素子が適用される。この受光素子の各画素に、例えば、R(赤色)G(緑色)B(青色)のカラーフィルタを交互に配して4画素が一組となる所謂ベイヤー配列を形成している。ベイヤー配列では、観察者が画像を見たときに強く感じやすいGの画素をRやBの画素よりも多く配置する事で、総合的な画像性能を上げている。一般に、この方式の撮像素子を用いる画像処理では、輝度信号の多くの部分をGから生成し、色信号はR,G,Bから生成する。
撮像素子106から読み出された画像信号は、A/D変換器130を介して画像処理系に供給される。A/D変換器130は露光した各画素の信号の振幅に応じた、たとえば12ビットのデジタル信号に変換して出力する信号変換する回路である。これ以降の画像信号処理はデジタル処理にて実行される。
画像処理系は、R,G,Bのデジタル信号から所望の形式の画像信号を得る信号処理回路であり、R,G,Bの色信号を輝度信号Yおよび色差信号(R−Y),(B−Y)にて表わされるYC信号などに変換する。RGB画像処理回路131は、A/D変換器130を介して撮像素子106から受けた各画素の画像信号を処理する信号処理回路である。そして、ホワイトバランス回路、ガンマ補正回路、補間演算による高解像度化を行う補間演算回路を有する。
YC処理回路132は、輝度信号Yおよび色差信号(R−Y),(B−Y)を生成する信号処理回路である。YC処理回路132は、高域輝度信号YHを生成する高域輝度信号発生回路、低域輝度信号YLを生成する低域輝度信号発生回路、および、色差信号(R−Y),(B−Y)を生成する色差信号発生回路で構成されている。輝度信号Yは高域輝度信号YHと低域輝度信号YLを合成することによって形成される。
記録再生系は、メモリへの画像信号の出力とディスプレイ装置107への画像信号の出力とを行う処理系である。記録処理回路133はメモリへの画像信号の書き込み処理および読み出し処理を行い、再生処理回路134はメモリから読み出した画像信号を再生して、ディスプレイ装置107に出力する。また、記録処理回路133は、静止画像および動画像を表わすYC信号を所定の圧縮形式にて圧縮し、また、圧縮データを読み出した際に伸張する圧縮伸張回路を内部に有する。圧縮伸張回路は、信号処理のためのフレームメモリなどを含み、このフレームメモリに画像処理系からのYC信号を1画像毎に蓄積して、それぞれ複数のブロック毎に読み出して圧縮符号化する。圧縮符号化は、例えば、ブロック毎の画像信号を2次元直交変換、正規化およびハフマン符号化することにより行われる。再生処理回路134は、輝度信号Yおよび色差信号(R−Y),(B−Y)をマトリックス変換して、例えばRGB信号に変換する回路である。再生処理回路134によって変換された信号はディスプレイ装置107に出力され、可視画像が表示再生される。
制御系は、シャッタレリーズ釦111等の操作を検出する操作検出回路136と、その検出信号に応動して各部を制御し、撮像の際のタイミング信号などを生成して出力するカメラシステム制御回路135とを含む。更に、このカメラシステム制御回路135の制御の下に、撮像素子106を駆動する駆動信号を生成する撮像素子駆動回路137と、光学ファインダ内の情報表示装置やカメラの外面にある情報表示装置を制御する情報表示回路142を含む。また、制御系は、外部操作に応動して撮像系、画像処理系、記録再生系をそれぞれ制御し、例えば、シャッタレリーズ釦111の押下を検出して、撮像素子106の駆動、RGB画像処理回路131の動作、記録処理回路133の圧縮処理などを制御する。さらに、情報表示回路142によって光学ファインダ等に情報表示を行う情報表示装置の各セグメントの状態を制御する。
カメラシステム制御回路135にはさらにAF制御回路140とレンズシステム制御回路141が接続されている。これらはカメラシステム制御回路135を中心にして各々の処理に必要とするデータを相互に通信している。AF制御回路140は、撮影画面上の所定位置に対応して設定された焦点検出用センサ112の焦点検出視野の信号出力を得て焦点検出信号を生成し、結像光学系102の結像状態を検出する。デフォーカスが検出されると、これを結像光学系102の一部の要素であるフォーカシングレンズの駆動量に変換し、カメラシステム制御回路135を中継してレンズシステム制御回路141に送信する。また、AF制御回路140は、移動する物体に対しては、シャッタレリーズ釦111が押下されてから実際の撮像制御が開始されるまでのタイムラグを勘案し、適切なレンズ位置を予測してフォーカシングレンズ駆動量を指示する。AF制御回路140は、物体の輝度が低く、十分な焦点検出精度が得られないと判定されるときには、不図示の閃光発光装置、あるいは不図示の白色LEDや蛍光管によって物体を照明し、不足していた輝度を補う。
レンズシステム制御回路141は、フォーカシングレンズの駆動量を受信すると、不図示の駆動機構によって結像光学系102内のフォーカシングレンズを光軸104方向に移動させて、物体にピントを合わせる。一連のピント調節動作の結果、AF制御回路140によって、物体にピントが合ったことが検出されると、この情報はカメラシステム制御回路135に伝えられる。このとき、シャッタレリーズ釦111が2段目まで押下され、スプリッタ103を光路から外す方が良い場合には、後述する機構によってスプリッタ103と平板ガラス114が入れ代わる。そして、高精細画像が光学ローパスフィルタ113を透過した光束で形成されて、前述のごとく撮像系、画像処理系、記録再生系による撮像制御が成される。この際、結像光学系102のピント変動が生じないように、スプリッタ103があった位置に平板ガラス114が挿入されるので、ピントの補正をする必要は無い。したがって、高速な焦点検出動作を損ねることなく短いレリーズタイムラグを実現できる。
図3はデジタルカメラ101のレンズ鏡筒105部分の撮影準備状態時の断面図である。また、図4は撮影状態の断面図、図5はスプリッタ103の断面図、図6はスプリッタ103の斜視図、図7はスプリッタ103の分解斜視図である。これらの図を用いてスプリッタ103とその周辺部分について詳述する。
スプリッタ103は結像光学系102を構成するレンズ群の後端と撮像素子106の間に位置する。102aはフォーカシングレンズであって、光軸104方向に移動することで、ピント調節を行う。撮像素子106はレンズ鏡筒105の不図示の固定地板に対して位置決めされている。また、可視波長域においてスプリッタ103の光学長は平板ガラス114の厚みにより定まる光学長に一致させてある。図3に示したスプリッタ103が図4のように退避して、その位置に平板ガラス114が挿入された時にも、結像光学系102の撮像素子106上への合焦状態は変化しない。
概略の撮像シーケンスは次の通りである。シャッタレリーズ釦111の第1段階押下を検出したら、撮像素子106を駆動してスプリッタ103を透過した光束によって物体像を繰り返し撮像し、ディスプレイ装置107に物体像のリアルタイム表示を行う。また、スプリッタ103で分割した可視波長域の光束によって焦点検出用センサ112を用いて焦点検出を行う。所定量以上のデフォーカスが検出されたら、フォーカシングレンズ102aの駆動量を算出し、その量だけフォーカシングレンズ102aを光軸104方向に動かして焦点調節を行う。焦点調節終了後に再び焦点検出用センサ112を用いて焦点検出を行い、デフォーカス量が所定の範囲内にあることを確認したら、音や光による合焦表示を出す。
シャッタレリーズ釦111の第2段階押下を検出し、例えば露光時にスプリッタ103を光路から外す方が良い場合は、後述する機構によりスプリッタ103を結像光学系102の光路から退避させ、代わりに平板ガラス114を挿入する(図4参照)。撮像素子106を駆動して高精細モードでの撮像を行う。撮影終了後に平板ガラス114を結像光学系102の光路から退避させて、スプリッタ103を元の位置に戻す(図3参照)。撮像された物体像に関する画像データをメモリに書き込む。
さて次に、光分割機能について詳述する。スプリッタ103は、図5〜図7に示すように、2つのプリズム103−1と103−2を光分割機能面103aで貼り合せたものである。スプリッタ103の光入射面は、プリズム103−1の面103−1bとプリズム103−2の面103−2bで構成される。そして、直進光の射出面はプリズム103−1の面103−1dとプリズム103−2の面103−2dで構成されている。プリズム103−1の面103−1bとプリズム103−2の面103−2bの段差や、プリズム103−1の面103−1dとプリズム103−2の面103−2dの段差はない。また、プリズム103−1の面103−1bと面103−1d、および、プリズム103−2の面103−2bと面103−2dは平行である。したがって、スプリッタ103は直進する光束もあるので、平行平板としてみなすこともできる。
プリズム103−1の面103−1bと光分割機能面103a、および、プリズム103−2の面103−2dと光分割機能面103aとは異なる傾斜角度を有する。そして、面103−1bと光分割機能面103a、および、面103−2dと光分割機能面103aはそれぞれ交差する。
スプリッタ103の光分割機能面103aは、プリズム103−2の面103−2a上に誘電体多層膜を形成する。そして、インデックスマッチングをとった光学用接着剤を用いてプリズム103−1の面103−1aと貼り合せることによって形成する。これにより、所望の光学特性を得る。光分割機能面103aの光学特性は図8に示す通りである。すなわち、波長400nmから1000nmまでの分光透過率特性は500nm付近に極小値を持つ谷型、一方、分光反射率特性は500nm付近に極大値を持つ山型である。つまり、所定波長域の入射光のうちの一部を反射し、他の一部を透過する。誘電体多層膜の特徴として、吸収をほとんど無視できる程に小さく出来る。よって、光分割機能面103aにおいて入射光は撮像素子106と焦点検出用センサ112の方向に分かれることになる。
ここで、450nmから650nmまでの可視域についてみると、分光透過率特性はおよそ45%で一定している。カラーカメラでは撮像素子106の感度域を視感度域に合致させるので、撮像素子106の感度波長域では分光反射率特性がフラットであると言える。
プリズム103−1の面103−1bとプリズム103−2の面103−2bによる光入射面からスプリッタ103の内部に入射した光束のうち、光分割機能面103aで反射した光束は、面103−2bで全反射して、面103−2cから射出する。面103−2cに対向する位置には焦点検出用センサ112が設けられ、スプリッタ103からの光束が入射している。これによって焦点検出機能が動作する。
このように、スプリッタ103で分割された光束の分光特性を直進光と実質的に同一としてあり、この光束によって焦点検出機能を動作させる。ここでの分光反射率特性はおよそ55%であるので、十分な光量により高精度な焦点検出が可能である。なお、焦点検出用センサ112の分光感度を厳密に撮像素子106に合わせるために、焦点検出用センサ112の入射面保護ガラスなどに赤外線カット機能を付加しておくとさらに良い。
プリズム103−1の面103−1bとプリズム103−2の面103−2dには、ND(Neutral Density)フィルタが形成されている。このNDフィルタは一種の光吸収膜で、クロメルなどの蒸着膜が用いられ、非常に広い波長域に対してフラットな透過特性を得ることが出来る。クロメルはニッケル(Ni)を主成分とした合金で、Cr:7.0〜10.5%、Mn:1.5%以下、Si:1.0以下、といった組成比を有する。
図9はクロメルの蒸着膜を用いたNDフィルタの光学特性の例である。450nmから650nmまでの可視域についてみると分光透過率はおよそ45%で一定であり、吸収が多いのでこの間の分光反射率はおよそ15%となる。
次に、焦点検出用センサ112について説明する。図10は焦点検出用センサ112による焦点検出視野を示す図である。
図10において、120は撮像範囲を観察範囲としたファインダ視野、121−1から121−9までは焦点検出視野である。焦点検出視野は撮像範囲の中央付近に設定すると使い勝手が良いカメラとなる。縦方向の画素列によって構成された焦点検出視野は、縦方向の輝度分布に対して感度があるので、例えば、横線に対する焦点検出が可能である。他方、横方向の画素列によって構成された焦点検出視野は、横方向の輝度分布に対して感度があるので、例えば、縦線に対する焦点検出が可能である。
実際の焦点検出用センサ112は、図11のように構成される。図11は焦点検出用センサの平面図であって、112−1から112−9は焦点検出視野121−1〜121−9を構成する画素列である。
図12は焦点検出用センサ112の焦点検出視野(例えば121−1)の画素部の断面図、図13(a)は焦点検出用センサ112の1画素の光電変換部を表す平面図である。図13(b)は、図13(a)に示す光電変換部上に配置されるマイクロレンズを示す、焦点検出用センサ112の1画素の平面図である。
光は、図12においては、図中上方から焦点検出用センサ112に入射し、図13(a),図13(b)においては、紙面手前方向から焦点検出用センサ112に入射する。焦点検出用センサ112はワンチップ型マイクロレンズを有するCMOS型のセンサで、このマイクロレンズの働きで焦点検出光束のFナンバーを規定できる。
図12において、151はシリコン基板、152Aと152Bは埋め込みフォトダイオードの光電変換部である。154はアルミニウムあるいは銅による遮光性を有する第1配線層、155はアルミニウムあるいは銅を用いた第2配線層である。また、156はシリコン酸化膜、疎水性多孔質シリカ、シリコン酸化窒化膜、あるいはシリコン窒化膜などによる層間絶縁膜とパッシベーション膜である。158はマイクロレンズである。更に、157は第2配線層155からマイクロレンズ158までの距離を高精度に設定するための平坦化層である。第1配線層154と第2配線層155は離散的に設けられた開口を備えた金属膜であって、開口以外は可視光を通さない。第1配線層154と第2配線層155は焦点検出用センサ112を動作させる電気的な機能と受光光束の角度特性を制御する光学的な機能を併せ持っている。平坦化層157は熱硬化型の樹脂や紫外線硬化型の樹脂をスピンコートした後にキュアするとか、樹脂フィルムを接着するといった手法で形成する。
光電変換部152A,152Bは、図13(a)に示すように、ジグザグ形をしており、端部にはそれぞれ回路部159A,159Bが接続されている。回路部159A,159B内には転送スイッチとして働く転送用MOSトランジスタを有する。更に、リセット電位を供給するリセット用MOSトランジスタを有する。さらには、ソースフォロワアンプMOSトランジスタ、選択的にソースフォロワアンプMOSトランジスタから信号を出力させるための選択用MOSトランジスタ等を有する。光電変換部152(152A,152B)の上には、図13(b)に示すように、1画素につき5個のマイクロレンズ158がやはりジグザグ形に連なって設けられている。
ここで、マイクロレンズ158は、樹脂、SiO2,TiO2,Si3N4などで形成され、単に集光のためではなく結像のために使用するので軸対称型の球面レンズ、あるいは軸対称型の非球面レンズである。対称軸160(図12参照)を持つ形状であるために平面的に見ると円形である。しかし、一画素に複数のマイクロレンズを設けたことによって、画素ピッチを小さくしながらも1画素の受光面積を大きくすることが出来ている。したがって、低輝度の物体に対しても十分な焦点検出出力が得られる。また、例えば蒲鉾型など対称軸を持たない形状はレンズとしての結像作用が無いので、この焦点検出用センサ112には適当でない。なお、マイクロレンズ158には、光の表面反射を抑制するために、マイクロレンズの表面に低屈折率の薄膜や可視光の波長以下の微細構造(所謂Sub−WaveLength Structure)を形成しても良い。
スプリッタ103を射出した光束は焦点検出用センサ112のマイクロレンズ158に先ず入射する。そして、第2配線層155に設けられた開口155Aと第1配線層154に設けられた開口154Aを通り抜けた成分が光電変換部152Aに入射する。そして、第2配線層155に設けられた開口155Aと第1配線層に設けられた開口154Bを通り抜けた成分が光電変換部152Bに入射して、それぞれ電気信号に変換される。開口を形成するための遮光層と第1配線層154および第2配線層155を兼用したので、開口のための遮光層を特別に設ける必要が無く、焦点検出用センサ112の構成を簡略化することが出来ている。
図14と図15は、図13に示した画素を連結して焦点検出に使用するための画素列とした状態を表す平面図と斜視図である。
図14では、光電変換部152(152A,152B)とマイクロレンズ158との位置関係がわかるように両端のマイクロレンズの図示を省略し、光電変換部が見えるようにしてある。また、図15では、構成要素のうち、光電変換部152、第1配線層154、第2配線層155、およびマイクロレンズ158を抜き出し、上下方向に分解して示している。1画素の境界を分かりやすくするため、第1配線層上と第2配線層上に光電変換部のジグザグの形状を射影して破線で示している。
図14において、網掛けした5個のマイクロレンズ158aが1画素を構成し、こういった画素が横方向に多数連なって図11に示した画素列112−1から112−9を形成している。ジグザグに並んだマイクロレンズが隣接する画素のマイクロレンズとの間をちょうど埋めるため、画素列上にはマイクロレンズが密に敷きつめられることとなる。したがって、マイクロレンズに入射せず利用できない光束は、ほとんど無視できる程度に少ない。
また、配列方向について注目したとき、ジグザグに並んでいることによって、ナイキスト周波数付近の画素の周波数レスポンスを下げることが出来る。この結果、ナイキスト周波数以上の高い空間周波数成分を含む物体像が投影させても折り返し歪みを生じ難く、後述する焦点検出用センサ112の出力信号波形間の位相差検出が高精度で行える。更に、画素列の周囲には光電変換部上に配置せず、光電変換に寄与しないハッチングで示したマイクロレンズ158bを形成してある。これは、できるだけ均一にマイクロレンズを敷きつめた方がマイクロレンズを精度良く製作できるという製造上の理由からである。
図15に示した第1配線層154は、菱形様の多数の開口154A,154Bを有している。これらの開口154A,154Bは、平面図である図16に示すように、マイクロレンズ158の各々に対応して一対ずつ設けられ、その深さ方向はマイクロレンズ158の焦点の近傍に位置している。こういった構成により、開口154A,154Bがマイクロレンズ158によって結像光学系102の射出瞳上に逆投影される。よって、画素が取り込む光束の受光角度特性を開口154A,154Bの形状によって決めることが可能となる。第2配線層155に設けられた開口155Aは第1配線層154の開口154A,154B以外の開口部に光が入射するのを防ぐための絞りである。この結果、開口154A,154Bに入射できた光束だけが、それぞれ光電変換部152A,152Bに入射する。ここで、焦点検出用センサ112の各画素列から出力される出力信号に不均一を生じさせないために、1つの焦点検出視野を形成する画素列については開口154A,154Bの形状は一定である。
図17と図18は、図10に示した焦点検出視野121−1(画素列112−1)の部分断面図である。各マイクロレンズ158は第1配線層154の開口154A,154Bを結像光学系102の射出瞳に逆投影しているので、図17に示すように、光束132Aが開口154Aを通過できる。これは、光束132Aが第1配線層154の開口154Aの逆投影像から射出して来るということと等価である。
同様に、図18に示すように、光束132Bが開口154Bを通過できる。これは、光束132Bが第1配線層154の開口154Bの逆投影像から射出して来るということと等価である。したがって、開口154A,154Bの逆投影像以外から焦点検出用センサ112に入射した光線は必ず第1配線層154か第2配線層155に阻止されて光電変換部152A,152Bまで到達できず、光電変換されることはない。1つの焦点検出視野を構成する画素列について、光電変換部152Aからの出力信号を配列して得た出力信号波形と、光電変換部152Bからの出力信号を配列して得た出力信号波形との間には、以下の状態が観察される。即ち、焦点検出視野上に結像光学系102によって形成された物体像の結像状態に応じて、相対的に横シフトした状態が観測される。これは、結像光学系の射出瞳上で光束の通過する領域が、光電変換部152Aからの出力信号を配列して得た出力信号波形と、光電変換部152Bからの出力信号を配列して得た出力信号波形とでは異なるためである。前ピン、後ピンでは出力信号波形のシフト方向が逆になり、相関演算などの手法を用いてこの位相差(シフト量)を方向を含めて検出するのが焦点検出の原理である。
図19と図20は、AF制御部140に入力された焦点検出用センサ112の出力信号波形を示す図である。横軸は画素の並びを、縦軸は出力値を、それぞれ表している。
図19は物体像にピントが合っていない状態での出力信号波形、図19は物体像にピントが合った状態での出力信号波形である。このように、先ず、一組の信号の同一性を判定することで合焦検知を行うことができる。さらに、相関演算を用いた公知の手法、例えば特公平05−088445号公報に開示されている手法を用いて位相差を検出することにより、デフォーカス量を求めることができる。得られたデフォーカス量を結像光学系102のフォーカシングレンズ102aを駆動すべき量に換算すれば、自動焦点調節が可能である。フォーカシングレンズ102aを駆動すべき量があらかじめ分かる。よって、通常、合焦位置までのレンズ駆動はほぼ一回で済み、極めて高速な焦点調節ができる。
ここで、焦点検出光束について説明する。焦点検出用センサ112は、焦点検出視野毎に受光角度特性を制御することによって、焦点検出視野毎に焦点検出光束のFナンバーを異ならせてある。結像光学系の射出瞳上で光束の通過する領域の大きさは,中央の焦点検出視野121−1で大きく、周辺の焦点検出視野、例えば、121−4では小さい。
図21は結像光学系102の射出瞳上での焦点検出光束の通過領域を説明するための図である。瞳領域141は焦点検出視野121−1の端部から見たときの結像光学系102の口径蝕を表す。瞳領域145は焦点検出視野121−4,121−5,121−6,121−7の端部から見たときの結像光学系102の口径蝕である。これに対して、焦点検出視野121−1の焦点検出光束の通過領域143A,143Bは瞳領域141の内側に位置する。また、焦点検出視野121−4の焦点検出光束の通過領域144A,144Bは瞳領域145の内側に位置する。
焦点検出光束の通過領域は広いほど受光センサに投射する光量が多くなって、低輝度の物体の焦点検出も高精度に行うことができるようになる。この構成を物体光の利用効率の観点から見てみると、結像光学系102の特性として瞳領域が大きい画面中央の焦点検出視野112−1では、実際の焦点検出光束の通過領域も大きい。一方、結像光学系102の特性として瞳領域が狭く、けられが生じ易くなっている画面周辺の焦点検出視野121−4では、実際の焦点検出光束の通過領域も狭い。したがって、画面中央での光量と画面周辺での焦点検出視野の配置という2つの要求をうまく満たし、極めて効率的に物体光の利用が図られていることが分かる。
次に、スプリッタ103上での焦点検出光束の通過領域について説明する。図22は焦点検出光束を描いたスプリッタ103及びその近傍を示す断面図である。
図22において、170は焦点検出用センサ112の焦点検出視野121−3へ向かう焦点検出光束である。171は焦点検出視野121−1へ向かう焦点検出光束、172は焦点検出視野121−2へ向かう焦点検出光束である。焦点検出光束170,171,172は光分離機能面103aで反射した後、面103−2bでは空気とプリズム103−2の屈折率差で全反射し、面103−2cから射出する。この断面においては、全焦点検出光束内で焦点検出光束170と172が最も外側を通過するので、各面の有効範囲の大きさを決める上では焦点検出光束170と172に注目すればよい。
スプリッタ103は撮影光学系102の一部であるので、その厚みを出来るだけ薄く構成するほうが、撮像光学系102のコンパクト化に有利である。特に、結像光学系102を沈胴させてカメラ本体の内部に収納する場合には、光学系102の光学面間隔のうち空気の長さが大きいほど、収納時の寸法を短く出来る。スプリッタ103の厚さTを出来るだけ小さくするためには、光分離機能面103aの寸法Lと面103−2cの寸法Dの設定を、少なくとも焦点検出光束を通す最小の値に製作上考慮すべき誤差量を加算した値とすればよい。
このように焦点検出視野の光束だけが光分離機能面103aに入射するように光分離機能面103aを小さく設定すると、焦点検出視野以外の光束は光分離機能面103aよりはみ出ることになる。
図23は実際の撮影光束の説明図である。同23において、173は撮像素子106の上端部に入射する撮影光束、174は撮像素子106の中央に入射する撮影光束である。175は撮像素子106の下端部に入射する撮影光束である。撮影光束174は光分割機能面103aを通過するので、スプリッタ103の射出側では、先に図8を用いて説明した光分割機能面103aの分光透過特性と物体の分光強度特性の積で得られる強度分布の光となる。
また、図22に示す撮影光束170と172はNDフィルタが形成されたプリズム103−1の面103−1bとプリズム103−2の面103−2bをそれぞれ通過する。そのため、スプリッタを出射した光束は、先に図9を用いて説明したNDフィルタの分光透過特性と物体の分光強度特性の積で得られる強度分布の光となる。光分割機能面103a、面103−1bおよび面103−2dの分光透過率が可視波長域においてほとんど差がない。よって、均一輝度面の光学像を撮像素子106によって撮像すると、図24に示すように均一な明るさの画像180が得られ、特段輝度ムラが発生するわけではなく何ら通常の画像と変わらない撮影結果となる。仮に、プリズム103−1の面103−1bとプリズム103−2の面103−2dにNDフィルタが形成されておらず、100%に近い透過率を有するとする。その場合、撮像素子106によって撮像された物体の画像は、図25に示すように中央の暗い領域181を挟んで上下に明るい領域182と183が形成された画像184のようになってしまう。このように、NDフィルタを用いて透過率を調整する効果は極めて大きいと言える。
図26(a),図26(b)は、光束分岐手段であるスプリッタ103及び焦点検出用センサ112を内包するAFモジュールがレンズ鏡筒105に配置された断面及び正面を示す図である。
図26(a)及び図26(b)において、スプリッタ103を保持する腕201は、レンズ鏡筒105の固定部に対して軸205で該軸205回りに回転可能に軸支されている。腕201のスプリッタ103の背面はくりぬかれており、撮影光束は被写体、撮影レンズからスプリッタ103を通して撮像素子106に結像する。腕201には駆動コイル202が固定されており、駆動コイル202に電流を印加すると、レンズ鏡筒105側に固定された主磁石203、副磁石204との関連により腕201が軸205回りに回転駆動される。ここで、腕201、コイル202、主磁石203、副磁石204、軸205により、スプリッタ103を含む光束分岐手段の保持手段を構成する。
ストッパ206a,206bは腕201が図26(b)に示す位置に来た時の位置決めピンであり、駆動コイル202の付勢力により腕201がストッパ206a,206bに押し付けられることで位置決め精度を高めている。この位置(作用位置)では、スプリッタ103により撮影光束が焦点検出用センサ112と撮像素子106の両者に導かれている。腕201が図26(b)の位置にある時には、図23の側面図からも明らかなように腕201の端面に対向して焦点検出用センサ112が配置されている。
ここで、主磁石203と副磁石204について説明する。図27は腕201が光路から退避した状態(退避位置)を示しており、主磁石203は紙面上方向が例えばN極になるように厚み方向に着磁され、副磁石204は反対に下方向がN極になるように厚み方向に着磁されている。
今、駆動コイル202に電流を印加するとき、駆動コイル202には矢印202e,202f,202g、202hの方向に電流が流れているとする。この時コイル部202cにおける電流の向き(矢印202e)と主磁石203の磁束の向きによりコイル部202cは主磁石203に対して矢印202j方向に力を受ける。又、コイル部202dの電流の向き(矢印202g)は電流の向き(矢印202e)と逆になる。しかし、副磁石204の磁束の向きは主磁石203の磁束の向きと逆なのでコイル部202dは副磁石204に対してやはり矢印202jの方向に力を受ける。そのため、腕201は軸205を中心として時計と反対回りに回転する。この時、腕201と軸205の間にも僅かなガタが存在し、これが駆動精度の劣化を招く。しかし図27において、コイル部202bの電流の向き(矢印202f)と主磁石203の磁束の向きとの関係により腕201は矢印202iの方向にも付勢力が働いている。これが腕201と軸205の嵌合ガタを抑える役割を果たしている。このようにガタの少ない状態でスプリッタ103が図27の退避位置から図26の作用位置に移動する。
図26の作用位置になった後も継続して駆動コイル202に電流を印加していると、腕201は矢印202jの方向に力を受けている。しかし、ストッパ206a,206bで位置規制されているので、その位置に精度良く停止している。又、コイル部202bも主磁石203内に配置されているので、腕201は矢印202i方向にも力を受け、軸205と腕201の嵌合ガタを押えている(片寄せしている)。更に、図26の作用位置の場合には、コイル部202dの一部は主磁石203内に配置される。そのために駆動コイル202全体は主磁石203に対して紙面垂直方向の力も受けることになり、この方向のガタも片寄せされて高精度な位置決めが出来る。
スプリッタ103を退避位置に戻したい時には、駆動コイル202に逆方向に電流を流す。すると、コイル部202cと主磁石203の関係、及びコイル部202dの一部と副磁石204の関係により腕201は矢印202jと反対方向の力を受ける(矢印202iと反対方向の力も受ける)。そのため、腕201は軸205を中心にして時計回りに回転をはじめて退避位置に戻る。
図28は、図26及び図27の機構の動作をカメラの撮影シーケンスに沿って説明するためのフローチャートである。このフローはカメラの電源オンでスタートし、電源オフで終了する。尚、煩雑を避ける為にこのフローでは、本発明に直接関係のない要素の動作や、各ステップにおける詳細な動作(例えば動作後の確認やタイマーによる待機動作など)は省いている。
ステップ#1001では、撮像素子106を駆動して被写体情報を蓄積し、RGB処理回路131やYC処理回路132により各種処理を行う。これと同時に、ディスプレイ装置107に出力して、被写体をディスプレイ装置107で確認できるようにする。また、これら一連の処理の中で被写体の明るさを不図示の測光手段により求め、その明るさに応じてレンズ鏡筒105内の絞りを調節したり、撮像素子106の信号のゲインアップを行ったりする。そして、ディスプレイ装置107に適切な明るさの被写体を表示出来るようにしている。さらに、この明るさ情報はステップ#1007にてスプリッタ103の退避必要性の判定に使われる。
次のステップ#1002では、シャッタレリーズ釦111の半押し(以下、S1と記す)が行われるまでステップ#1001を循環して待機し、半押しが行われる(S1=ON)とステップ#1003へ進む。そして、ステップ#1003では、スプリッタ103を通して焦点検出用センサ112に入射される光束を蓄積してデフォーカス量の検出(焦点状態の検出)を行う。このように、スプリッタ103は通常は撮影レンズ内(図26に示す作用位置)に配置されている。
次のステップ#1004では、焦点検出結果に合わせて結像光学系102の一部或いは全部を駆動して撮像素子106面にピント合わせを行う。そして、次のステップ#1005にて、再度焦点検出用センサ112に入射される光束を蓄積してデフォーカス量を検出してピントが合っている事を確認する。フローでは割愛しているが、もしもここでピントが十分にあっていないと判定した場合には、その結果を基に再度結像光学系102を駆動してピント残り分を補正し、再度合焦確認を行う動作を繰り返す。複数回上記動作を行ってもピントが合わない場合には合焦不能を表示し、合焦動作を止めてステップ#1006に進む。
次のステップ#1006では、シャッタレリーズ釦111の押し切り(以下、S2と記す)が行われた(S2=ON)か否かを判定し、S2=ONでなければステップ#1002に戻る。一方、S2=ONであることを判定するとステップ#1007に進む。尚、図28のフローではステップ#1003から#1005の動作が終了しないとステップ#1006に進まないフローになっているが、これに限られず、合焦動作が完了しない状態でステップ#1006に進む構成にしても良い。即ち、ピントが合わない状態でもレリーズ釦の押し切りが行われることで露光に進んでも良い。
ステップ#1007では、撮影者の好みで露光時にスプリッタ103を光路内(図26の作用位置)に位置させるか退避させるかを選べる選択モードか否かを判定する。撮影者により選択可能とする選択モードの場合にはステップ#1010に進み、自動選択モードの場合にはステップ#1008に進む。
自動選択モードの場合でステップ#1007からステップ#1008へ進むと、上記ステップ#1001にて不図示の測光手段により求めた被写体の明るさに基づいて、露光時にスプリッタ103を光路から退避させるか否かを判定する。スプリッタ103自体は前述した様に撮像素子106に入射する光量を減ずる。その為、通常の撮影のように明るい被写体の場合にはスプリッタ103を光路内の作用位置に配置(保持)していても良い。しかし、暗い被写体の場合にはスプリッタ103を退避位置に駆動させて撮像素子106に十分被写体光量が入射するようにしている。
最近の撮像素子は感度が高くなってきているために少々被写体が暗くてもスプリッタ103の退避は不要である。逆に撮像素子の感度が高い為に、被写体が明るくて撮影絞りを絞り込まなくてはならない状況が増えてくる。そのような場合においても、スプリッタ103による光量減衰が出来るので撮影絞りを絞る必要がなく、絞りを絞ることによる回折の影響や被写界深度が深くなってしまう事を回避できる。デジタルカメラの中には被写体が明るい場合の対策として、NDフィルタを撮影光束内に出し入れして光量調節している機種もある。しかし、本発明のデジタルカメラの場合にはNDフィルタは不要になる。更に、露光時にスプリッタ103が退避する動作が不要なために撮影レリーズタイムラグを短くすることが出来る。もしスプリッタ103を作用位置に保持することにより光量減少が大きい場合、その光量減少分だけ撮影絞りを開放側に広げる、或いは、露光時間を長くすることで対処することも可能である。こうすることにより、通常の撮影においてスプリッタ103を退避させること無しに撮影を行えるようになり、撮影準備状態からスムーズに撮影状態に移行可能となる。
一方、極端に暗い被写体の場合、撮影時の絞りが最大の場合、或いは、露光時間を長くすることで手ぶれを誘発しそうな撮影条件となる場合には、スプリッタ103を退避させて十分な光を撮像素子106に導いてノイズの発生を抑えるようにしている。
上記ステップ#1008では、スプリッタ103を退避位置にさせた方が好ましい暗さの場合にはステップ#1011に進み、スプリッタ103を光路内の作用位置に配置しても良い場合はステップ#1009に進む。なお、ステップ#1008では具体的には、ステップ#1001で所得した被写体の明るさを予め設定しておいた閾値と比較し、閾値より高い場合にはステップ#1009に、低い場合にはステップ#1011に、それぞれ進む。また、閾値は、撮像素子106の感度や、スプリッタ103の透過率などを鑑みて、工場の出荷時に設定しておく。勿論、ユーザーが好みに応じて変更可能な構成にしても良い。
ステップ#1009では、スプリッタ103を光路内の作用位置に配置した状態で露光動作を行う。この露光動作は、撮像素子106に蓄積されている電荷をリセットし、その後被写体の明るさに応じた蓄積時間経過後に該撮像素子106前面をシャッタなどで遮光して蓄積された電荷を読み出す動作である。又、この時同時に読み出した撮影データを記録媒体に記録する。そして露光が終了すると、このフローでは図示していないが、シャッタレリーズ釦111の操作(S1,S2=ON)が継続されている場合はステップ#1009で待機し、その間撮影した画像をディスプレイ装置107に再生しつづける。シャッタレリーズ釦111の操作が解除された場合には再びシャッタを開けて、ステップ#1002に戻る。
上記ステップ#1008で、被写体が暗く、露光時にはスプリッタ103を退避させた方が好ましいと判定した場合には上記のようにステップ#1011に進み、ここでは、静止画撮影か動画撮影かを判定する。この結果、静止画撮影の場合には、スプリッタ103を退避させるステップ#1012以降の処理に進むが、動画撮影の場合には、スプリッタ103を退避させないで動画記録を行うためにステップ#1009に進む。これは、動画撮影の場合には動画記録中に焦点検出、合焦動作を必要とする場合があるからである。
静止画撮影の場合、ステップ#1011からステップ#1012に進むと、ここでスプリッタ103を図27に示す退避位置に配置させる。そして、次のステップ#1013にて、スプリッタ103が退避されたことによる光路長の変化を補正する為に平面ガラス114を撮影光束内に入れる。続くステップ#1014では、上記ステップ#1009と同様に露光動作を行う。そして露光の終了後、このフローでは図示されていないが、シャッタレリーズ釦111の操作(S1,S2=ON)が継続されている場合はステップ#1014で待機し、その間撮影した画像をディスプレイ装置107に再生しつづける。シャッタレリーズ釦111の操作が解除された場合には再びシャッタを開けて、ステップ#1015に進む。
次のステップ#1015では、スプリッタ103を図26に示す作用位置に配置させる。そして、次のステップ#1016にて、スプリッタ103が挿入されたことによる結像光学系102のピント変動を補正する為に平面ガラス114を元の位置に駆動し、ステップ#1002に戻る。
また、上記ステップ#1007で撮影者がスプリッタ103の位置を選択する選択モードでステップ#1010に進んだ場合は、スプリッタ103を作用位置に配置するか、退避位置に配置するかの操作状況を判定する。そして、作用位置が選択されていた場合には上記のステップ#1009に進んで露光動作に移り、一方、退避位置を選択している場合にはステップ#1012に進んで退避動作を行わせる。ここで退避位置が選択されていた場合には、静止画、動画に関わらず露光時にはスプリッタ103を退避位置に配置させてユーザーの選択に従う構成にしている。
以上のように、撮影時に測光手段の信号に応じてスプリッタ103を撮影光路に位置させるか、退避させるかを選択可能にしている。このため、被写体が明るくて撮影絞りを絞り込まなくてはならない状況の場合においても、スプリッタ103による光量減衰によって撮影絞りを絞る必要がないので、絞りを絞ることによる回折の影響や被写界深度が深くなってしまう事を回避できる。又、被写体が暗い場合には、スプリッタ103を退避させることで、十分な光量を撮像素子106に導くことが出来る。
以上の構成により、簡単な構成で、被写体の明るさの影響による被写界深度の変化や回折の影響を回避でき、NDフィルタなどの機構も不要に出来る。又、撮影時のレリーズタイムラグも短く出来るようになった。
図29は本発明の実施例2に係わるデジタルカメラに具備されるスプリッタ103を含む光路分岐手段およびその保持手段の構成を示す正面図であり、図26の実施例1と同じ機能をもつ部品は同じ符号で示している。また、図30は図29をわかりやすく説明する為に特徴部分だけを図示した断面図である。その他のデジタルカメラの構成は、上記実施例1と同様である。
本発明の実施例2において、上記第1の実施例との機構上の違いは、以下の2点である。即ち、焦点検出用センサ112がスプリッタ103と一体に回転する構成になっている点である。又、ピント補正用の透明板207も一体に回転し、スプリッタ103が退避した後の撮影光束内に配置されるようになっている点である。
図29において、スプリッタ103を保持する腕201はレンズ鏡筒105の固定部に対して軸205を中心として回転可能に軸支されている。腕201のスプリッタ103の背面はくりぬかれており、撮影光束は、被写体、撮影レンズから該スプリッタ103を通して撮像素子106に結像する。腕201には駆動モータとなる駆動コイル202がギア結合しており、駆動コイル202に電流を流す。すると、電流の向きにより駆動モータが矢印202kもしくはその反対方向に回転する。それにつれて腕201も矢印202lもしくはその反対方向に軸205回りに回転駆動する。
ストッパ206a,206bは腕201が図29の位置に来た時の位置決めピンであり、駆動コイル202の付勢力により腕201がストッパ206a,206bに押し付けられることで位置決め精度を高めている。この位置(作用位置)では撮影光束は焦点検出用センサ112と撮像素子106の両者に導かれている。焦点検出用センサ112も腕201上に配置されており、スプリッタ103と一体になって軸205回りに回転する。
このように、焦点検出用センサ112とスプリッタ103が一体の為に、スプリッタ103の作用、退避動作におけるそれらの相対的な位置誤差による焦点検出誤差を無くすことができる。
図30において、スプリッタ103は腕201に固定されており、同様に焦点検出用センサ112も腕201に固定されている。そして、撮影光軸104に沿う光束は撮像素子106ばかりではなく、スプリッタ103内の2つの分割面およびその間の全反射面で反射されて焦点検出用センサ112にも導かれている。腕201は軸205を中心として回転して、光路内にスプリッタ103と透明板207とを切り換え可能になっている。スプリッタ102を退避位置に配置したい時には、駆動コイル202に電流を流すと、腕201は矢印202l方向の力を受ける。そのため、腕201が軸205を中心にして時計回りに回転を始めて退避位置に配置される。
図31は本発明の実施例2における図29及び図30の機構の動作をカメラの撮影シーケンスに沿って説明するフローチャートである。このフローはカメラの電源オンでスタートし、電源オフで終了する。尚、煩雑を避ける為にこのフローでは、本発明に直接関係のない要素の動作や、各ステップにおける詳細な動作(例えば動作後の確認やタイマーによる待機動作など)は省いている。
ステップ#1001では、撮像素子106を駆動して被写体情報を蓄積し、RGB処理回路131やYC処理回路132により各種処理を行うと共にディスプレイ装置107に出力して、被写体をディスプレイ装置107で確認できるようにする。また、これら一連の処理の中で被写体の明るさを不図示の測光手段により求め、その明るさに応じてレンズ鏡筒105内の絞りを調節したり、撮像素子106の信号のゲインアップを行ったりする。そして、ディスプレイ装置107に適切な明るさの被写体を表示出来るようにしている。さらに、この明るさ情報はステップ#1007にてスプリッタ103の退避必要性の判定に使われる。
次のステップ#1002では、シャッタレリーズ釦111の操作によりS1=ONとなるまでステップ#1001を循環して待機しており、その後S1=ONになるとステップ#1003へ進む。そして、ステップ#1003では、スプリッタ103を通して焦点検出用センサ112に入射される光束を蓄積してデフォーカス量の検出(焦点状態の検出)を行う。このように、スプリッタ103は通常は撮影レンズ内(図26に示す作用位置)に配置されている。
次のステップ#1004では、焦点検出結果に合わせて結像光学系102の一部或いは全部を駆動して撮像素子106面にピント合わせを行う。そして、次のステップ#1005にて、再度焦点検出用センサ112に入射される光束を蓄積してデフォーカス量を検出してピントが合っている事を確認する。フローでは割愛しているが、もしもここでピントが十分にあっていないと判定した場合には、その結果を基に再度結像光学系102を駆動してピント残り分を補正し、再度合焦確認を行う動作を繰り返す。複数回上記動作を行ってもピントが合わない場合には合焦不能を表示し、合焦動作を止めてステップ#1006に進む。
次のステップ#1006では、シャッタレリーズ釦111の操作によりS2=ONとなったかを判定し、S2=ONでなければステップ#1002に戻る。一方、S2=ONであることを判定するとステップ#1007に進む。尚、図31のフローではステップ#1003から#1005の動作が終了しないとステップ#1006に進まないフローになっている。しかしこれに限らず、合焦動作が完了しない状態でステップ#1006に進む構成にしても良い。即ち、ピントが合わない状態でもレリーズ釦の押し切りが行われることで露光に進んでも良い。
ステップ#1007では、撮影者の好みで露光時にスプリッタ103を光路内(図26の作用位置)に位置させるか退避させるかを選べる選択モードか否かを判定する。撮影者により選択可能とする選択モードの場合にはステップ#1010に進み、自動選択モードの場合にはステップ#1008に進む。
自動選択モードの場合でステップ#1007からステップ#1008へ進むと、上記ステップ#1001にて測光手段により求めた被写体の明るさに基づいて、露光時にスプリッタ103を光路から退避させるか否かを判定する。スプリッタ103自体は前述した様に撮像素子106に入射する光量を減ずる。その為、通常の撮影のように明るい被写体の場合にはスプリッタ103を光路内の作用位置に配置していても良いが、暗い被写体の場合にはスプリッタ103を退避位置に駆動させて撮像素子106に十分被写体光量が入射するようにしている。
上記ステップ#1008にてスプリッタ103を退避位置にさせた方が好ましい暗さの場合にはステップ#1012に進み、スプリッタ103を光路内の作用位置に配置しても良い場合はステップ#1009に進む。
ステップ#1009では、スプリッタ103を光路内の作用位置に配置した状態で露光動作を行う。この露光動作は、撮像素子106に蓄積されている電荷をリセットし、その後被写体の明るさに応じた蓄積時間経過後に該撮像素子106前面をシャッタなどで遮光して蓄積された電荷を読み出す動作である。又、この時同時に読み出した撮影データを記録媒体に記録する。そして露光が終了すると、このフローでは図示していないが、シャッタレリーズ釦111の操作(S1,S2=ON)が継続されている場合はステップ#1009で待機し、その間撮影した画像をディスプレイ装置107に再生しつづける。シャッタレリーズ釦111の操作が解除された場合には再びシャッタを開けて、ステップ#1002に戻る。
上記ステップ#1008で、被写体が暗く、露光時にはスプリッタ103を退避させた方が好ましいと判定した場合には上記のようにステップ#1012に進み、スプリッタ103を退避位置に配置させる。
ここで、上記実施例1では、図28のステップ#1011で露光モードが静止画撮影か動画撮影かを判定し、動画撮影の場合には被写体が暗くてもスプリッタ103を作用位置に固定していた。これに対し、本発明の実施例2では、そのステップ#1011を省いている為に被写体が暗い場合には動画撮影でもスプリッタ103は退避し、撮像素子106に十分な光量が得られるようにしている。その場合、動画撮影中には焦点検出用センサ112を用いた焦点検出動作は出来なくなる。勿論ステップ#1003から#1005で合焦動作しているので、動画撮影初期のピント合わせは出来ているが、動画撮影中に被写体が動いた場合や、パンニングを行った場合に、再度焦点検出を行うことが出来ない。
しかし、動画撮影中には撮影光束が撮像素子106に入射されているので、その情報を基に被写体のコントラストよりピント位置を合わせつづけること(いわゆるTV−AF)が可能である。即ち、被写体が暗い場合には動画記録の場合でもスプリッタ103は退避させて撮像素子106に入射する光量を増やしてノイズの発生を防ぎ、ピント変動は撮像素子106で検出して結像光学系102を駆動し続けるようにしても良い。
また、上記実施例1では、図28のステップ#1012の次のステップ#1013にて、スプリッタ103が退避されたことによる光路長の変化を補正する為に光路長補完光学系(平面ガラス114)を撮影光束内に進入(もしくは結像光学系102を光軸方向に駆動)させていた。しかし、本発明の実施例2では、そのステップも省いている。これは、スプリッタ103の代わりに同じ厚みの透明板207が光路内に挿入されることでピント変動の補正が行える為である。
次のステップ#1014では、上記ステップ#1009と同様に露光動作を行う。そして露光の終了後、このフローでは図示されていないが、シャッタレリーズ釦111の操作(S1,S2=ON)が継続されている場合はステップ#1014で待機し、その間撮影した画像をディスプレイ装置107に再生しつづける。シャッタレリーズ釦111の操作が解除された場合には再びシャッタを開けて、ステップ#1015に進む。
次のステップ#1015では、スプリッタ103を図29に示す作用位置に配置させ、ステップ#1002に戻る。
また、上記ステップ#1007で撮影者がスプリッタ103の位置を選択する選択モードでステップ#1010に進んだ場合は、スプリッタ103を作用位置に配置するか、退避位置に配置するかの操作状況を判定する。そして、作用位置が選択されていた場合には上記のステップ#1009に進んで露光動作に移り、一方、退避位置を選択している場合にはステップ#1012に進んで退避動作を行わせる。ここで退避位置が選択されていた場合には、静止画、動画に関わらず露光時にはスプリッタ103を退避位置に配置させてユーザーの選択に従う構成にしている。
以上のように、撮影時に測光手段の信号に応じてスプリッタ103を撮影光路に位置させるか、退避させるかを選択可能にしている。このため、被写体が明るくて撮影絞りを絞り込まなくてはならない状況の場合においても、スプリッタ103による光量減衰によって撮影絞りを絞る必要がない。よって、絞りを絞ることによる回折の影響や被写界深度が深くなってしまう事を回避できる。又、被写体が暗い場合には、スプリッタ103を退避させることで、十分な光量を撮像素子106に導くことが出来る。
以上の構成により、簡単な構成で、被写体の明るさの影響による被写界深度の変化や回折の影響を回避でき、NDフィルタなどの機構も不要に出来る。又、撮影時のレリーズタイムラグも短く出来るようになった。更に、焦点検出用センサ112とスプリッタ103が一体の為に、スプリッタ103の作用位置、退避位置への駆動に伴うそれらの相対的な位置誤差による焦点検出誤差を無くすことができた。
図32は本発明の実施例3に係わるデジタルカメラの主要部分の動作を示すフローチャートである。このフローはカメラの電源オンでスタートし、電源オフで終了する。尚、煩雑を避ける為にフローでは本発明に直接関係のない要素の動作や、各ステップにおける詳細な動作(例えば動作後の確認やタイマーによる待機動作など)は省いている。また、本実施例3におけるデジタルカメラの各構成は上記実施例1もしくは上記実施例2と同様であるものとする。
ステップ#1001では、撮像素子106を駆動して被写体情報を蓄積し、RGB処理回路131やYC処理回路132により各種処理を行うと共にディスプレイ装置107に出力して、被写体をディスプレイ装置107で確認できるようにする。また、これら一連の処理の中で被写体の明るさを不図示の測光手段により求め、その明るさに応じてレンズ鏡筒105内の絞りを調節したり、撮像素子106の信号のゲインアップを行ったりする。そして、ディスプレイ装置107に適切な明るさの被写体を表示出来るようにしている。さらに、この明るさ情報はステップ#1007にてスプリッタ103の退避必要性の判定に使われる。
次のステップ#1002では、シャッタレリーズ釦111の操作によりS1=ONとなるまでステップ#1001を循環して待機しており、S1=ONとなるとステップ#1003へ進む。そして、ステップ#1003では、スプリッタ103を通して焦点検出用センサ112に入射される光束を蓄積してデフォーカス量の検出(焦点状態の検出)を行う。このように、スプリッタ103は通常は撮影レンズ内(図26に示す作用位置)に配置されている。
次のステップ#1004では、焦点検出結果に合わせて結像光学系102の一部或いは全部を駆動して撮像素子106面にピント合わせを行う。そして、次のステップ#1005にて、再度焦点検出用センサ112に入射される光束を蓄積してデフォーカス量を検出してピントが合っている事を確認する。フローでは割愛しているが、もしもここでピントが十分にあっていないと判定した場合には、その結果を基に再度結像光学系102を駆動してピント残り分を補正し、再度合焦確認を行う動作を繰り返す。複数回上記動作を行ってもピントが合わない場合には合焦不能を表示し、合焦動作を止めてステップ#1006に進む。
次のステップ#1006では、シャッタレリーズ釦111の操作によりS2=ONであるかを判定し、S2=ONでなければステップ#1002に戻る。一方、S2=ONであることを判定するとステップ#1007に進む。尚、図32のフローではステップ#1003から#1005の動作が終了しないとステップ#1006に進まないフローになっている。しかしこれに限らず、合焦動作が完了しない状態でステップ#1006に進む構成にしても良い。即ち、ピントが合わない状態でもレリーズ釦の押し切りが行われることで露光に進んでも良い。
次のステップ#1007では、露光モードが動画撮影か静止画撮影かを判定し、動画撮影の時はステップ#1008に進み、静止画撮影の時はステップ#1012に進む。
ステップ#1008へ進むと、ステップ#1001で求めた測光結果を判定する。この結果、被写体が明るい場合はステップ#1009へ進み、スプリッタ103を撮影光束内の作用位置に配置した状態で露光動作を行う。この露光動作は、撮像素子106に蓄積されている電荷をリセットし、その後被写体の明るさに応じた蓄積時間経過後に該撮像素子106前面をシャッタなどで遮光して蓄積された電荷を読み出す動作である。又、この時同時に読み出した撮影データを記録媒体に記録する。そして露光が終了すると、このフローでは図示していないが、シャッタレリーズ釦111の操作(S1,S2=ON)が継続されている場合はステップ#1009で待機し、その間撮影した画像をディスプレイ装置107に再生しつづける。シャッタレリーズ釦111の操作が解除された場合には再びシャッタを開けて、ステップ#1002に戻る。
上記ステップ#1008で、被写体が暗く、露光時にはスプリッタ103を退避させた方が好ましいと判定した場合には上記のようにステップ#1012に進み、スプリッタ103を退避位置に配置させる。そして、次のステップ#1014にて、上記ステップ#1009と同様に露光動作を行う。そして露光の終了後、このフローでは図示されていないが、シャッタレリーズ釦111の操作(S1,S2=ON)が継続されている場合はステップ#1009で待機し、その間撮影した画像をディスプレイ装置107に再生しつづける。シャッタレリーズ釦111の操作が解除された場合には再びシャッタを開けて、ステップ#1015に進む。
次のステップ#1015では、スプリッタ103を作用位置に配置させ、ステップ#1002に戻る。
また、上記ステップ#1007で撮影者がスプリッタ103の位置を選択する選択モードであるとしてステップ#1010に進んだ場合は、ここでスプリッタ103を作用位置に配置するか、退避位置に配置するかの操作状況を判定する。そして、作用位置が選択されていた場合には上記のステップ#1009に進んで露光動作に移り、一方、退避位置を選択している場合にはステップ#1012に進んで退避動作を行わせる。ここで退避位置が選択されていた場合には、静止画、動画に関わらず露光時にはスプリッタ103を退避位置に配置させてユーザーの選択に従う構成にしている。
以上のように、動画撮影の場合には、撮影条件に合わせてスプリッタ103を作用位置、退避位置の両方に保持可能にし、静止画撮影の場合には、撮影時にスプリッタ103を退避位置に配置させるようにしている。このため、動画撮影では、被写体が明るくて撮影絞りを絞り込まなくてはならない状況の場合においても、光束分岐手段による光量減衰によって撮影絞りを絞る必要がなく、絞りを絞ることによる回折の影響や被写界深度が深くなってしまう事を回避できる。また、被写体が暗い場合には光束分岐手段を退避させることで十分な光量を撮像素子106に導くことが出来る。又、静止画撮影時には、常に十分な光量を撮像素子106に導くことが出来る。
つまり、動画撮影において測光手段により被写体が明るいと検出された場合は、焦点検出用センサ112を用いて軽快なピント合わせが可能になる。また、被写体が暗いことが検出された場合には、撮像素子106に十分な光量を取り込むことができる。
図33は本発明の実施例4に係わるデジタルカメラの断面図である。本実施例4のカメラは、交換レンズ3302がカメラ本体3301に脱着可能な一眼レフタイプのデジタルカメラである。交換レンズ3302を通る被写体光束はハーフミラーであるメインミラー3303aで反射され、プリズム3306aで折り曲げられて接眼レンズ3306bに到達する。撮影者はこの像を確認しながら撮影構図を定める。他方、メインミラー3303aを透過した光束はサブミラー3304aで反射される。その後はフィールドレンズ3305aを通り、AFミラー3305bで反射され、めがねレンズ3305cで瞳分割されてAFセンサ3305dに到達する。AFセンサ3305dの瞳分割された2像に基づいて不図示の演算手段が2像のずれ状態の相関を演算してデフォーカス量を求める。
フォーカルプレンシャッタ3307は、図33では閉じているが、撮像素子3308に被写体光束を蓄積する時には開口する。液晶モニター3309は、撮像素子3308で得られた被写体信号を表示する。
ここで、メインミラー3303aは、レバー3303b,3303c,3303dで軸3303e,3303f回りに軸支されており、矢印3303g,3303h方向に回転可能である。また、サブミラー3304aもレバー3304bにより軸3304c回りに軸支されており、矢印3304d方向に回転可能である。
上記したように図33の状態は、被写体光束を接眼レンズ3306b及びAFセンサ3305dに導いており、撮影者が被写体を捉え、構図を合わせ、ピント調節する段階である。
実際に被写体を撮影する時には、メインミラー3303aを矢印3303h方向に退避させ、同時にサブミラー3304aも矢印3304d方向に退避させる。そして、シャッタ3307を開口する(図34の状態)。そして、所望時間、被写体光束を撮像素子3308に蓄積させ、適正な露出条件になったところでシャッタ3307を閉じ、再び図33の状態に戻す。
この実施例4におけるデジタルカメラはもう一つのモードを有しており、図33において動画撮影を行う場合、或いは、液晶モニター3309で被写体の構図を定めて静止画撮影を行う場合には、メインミラー3303aを矢印3303g方向に移動させ、同時にサブミラー3304aを矢印3304d方向に退避させる。
図35はその状態を表しており、シャッタ3307は開口して、撮像素子3308は所定の周期で被写体光束の蓄積、読み出し、電荷リセットを繰り返し、得られた映像信号を液晶モニター3309に表示する。メインミラー3303aで反射した光束は、図33と同様に、フィールドレンズ3305aを通り、AFミラー3305bで反射され、めがねレンズ3305cで瞳分割されてAFセンサ3305dに到達する。AFセンサ3305dの瞳分割された2像に基づいて、不図示の演算手段が2像のずれ状態の相関を演算してデフォーカス量を求める。このような構造のために、動画撮影時或いは液晶モニター3309を用いて被写体の撮影構図を定めて静止画撮影を行う場合においても、AFが可能になっている。
しかし、上記のようにメインミラー3303aを透過した光束で、動画撮影或いは構図決定を行う場合、被写体が暗い場合にはハーフミラーである該メインミラー3303aを透過することで光量が減ってしまう問題がある。
そこで、本実施例4の一眼レフタイプのデジタルカメラにおいては、動画撮影或いは構図確認後の静止画撮影時であっても、不図示の輝度検出手段により被写体が暗いことが検出される場合には、図34の状態になり、光量を稼ぐようにしている。図34の状態では、AFはできない構成になっているが、その分明るい被写体光束を撮像素子3308に取り込むことが出来る。その他の構成や効果は、上記実施例1ないし2と同様である。
以上の各実施例では、デジタルカメラを例にして説明を続けてきたが、本発明はデジタルカメラに限られず、ビデオカメラや、監視カメラ、Webカメラ、撮像機能を有する携帯電話などにも展開できる。
102 結像光学系(撮影レンズ)
103 スプリッタ(光束分岐手段)
106 撮像素子(撮像面)
112 焦点検出用センサ(受光手段)
113 ローパスフィルタ
114 平板ガラス(保持手段の一部)
201 腕(保持手段の一部)
202 駆動コイル(保持手段の一部)
203 主磁石(保持手段の一部)
204 副磁石(保持手段の一部)
205 軸(保持手段の一部)
207 透明板(光路長補完光学系)
3301 カメラ本体
3302 交換レンズ(撮影レンズ)
3303a メインミラー(光束分岐手段)
3303b,3303c,3303d レバー(保持手段の一部)
3303e,3303f 軸(保持手段の一部)
3304a サブミラー(光束分岐手段)
3304b レバー(保持手段の一部)
3304c 軸(保持手段の一部)
103 スプリッタ(光束分岐手段)
106 撮像素子(撮像面)
112 焦点検出用センサ(受光手段)
113 ローパスフィルタ
114 平板ガラス(保持手段の一部)
201 腕(保持手段の一部)
202 駆動コイル(保持手段の一部)
203 主磁石(保持手段の一部)
204 副磁石(保持手段の一部)
205 軸(保持手段の一部)
207 透明板(光路長補完光学系)
3301 カメラ本体
3302 交換レンズ(撮影レンズ)
3303a メインミラー(光束分岐手段)
3303b,3303c,3303d レバー(保持手段の一部)
3303e,3303f 軸(保持手段の一部)
3304a サブミラー(光束分岐手段)
3304b レバー(保持手段の一部)
3304c 軸(保持手段の一部)
Claims (10)
- 被写体光束を撮像面に結像するレンズと前記撮像面の間に配置され、被写体光束を撮像光路外に分離させる光束分岐手段と、
前記光束分岐手段で分離された被写体光束を受光して前記レンズの焦点調節のための信号を得る受光手段と、
前記光束分岐手段を、前記撮像光路内に位置させる作用位置と前記撮像光路外に退避した退避位置のいずれかの位置に保持する保持手段とを有し、
撮像条件に応じて、自動的に前記光束分岐手段を前記作用位置もしくは前記退避位置に保持することを特徴とする撮像装置。 - 前記保持手段は、ユーザーの選択操作に応じて、撮像時に、前記光束分岐手段を前記作用位置もしくは前記退避位置に保持することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 被写体の明るさを検出する測光手段を更に有し、
前記保持手段は、前記測光手段の検出結果による明るさに応じて、自動的に前記光束分岐手段を前記作用位置もしくは前記退避位置に保持することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。 - 前記保持手段は、動画撮影が選択されていることに応じて、撮像時に、前記光束分岐手段を作用位置に保持することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
- 前記保持手段は、前記被写体の明るさが予め設定された閾値よりも明るい場合に、撮像時に、前記光束分岐手段を前記作用位置に保持することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
- 前記保持手段は、前記被写体の明るさが予め設定された閾値よりも明るく、且つ、動画撮影が選択されている場合に、撮像時に、前記光束分岐手段を前記作用位置に保持することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
- 前記保持手段が撮像時に前記光束分岐手段を前記退避位置に保持する場合は、前記光束分岐手段の前記作用位置における被写体光束の光路長さと同等の光路長を有する光路長補完光学系を前記撮像光路内に進入させることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 前記保持手段が撮像時に前記光束分岐手段を前記退避位置に保持する場合は、前記光束分岐手段の前記作用位置における被写体光束の光路長と同等の光路長を得るために、前記レンズを光軸方向に移動させることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 前記保持手段が前記光束分岐手段を前記退避位置に移動させるタイミングは、撮像が指示された後であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 被写体光束を撮像面に結像するレンズと前記撮像面の間に配置され、被写体光束を撮影光路外に分離させる光束分岐手段と、
前記光束分岐手段で分離された被写体光束を受光して前記レンズの焦点調節のための信号を得る受光手段と、
前記光束分岐手段を、前記撮像光路内に位置させる作用位置と前記撮像光路外に退避した退避位置のいずれかの位置に保持する保持手段とを有し、
静止画撮影が選択されている場合に、前記光束分岐手段を、前記作用位置に保持させて撮像するか、前記退避位置に保持させて撮像するかを、選択可能にしたことを特徴とする撮像装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010122686A (ja) * | 2008-11-18 | 2010-06-03 | Samsung Electronics Co Ltd | サブミラーを備える自動焦点装置及び撮像装置 |
-
2006
- 2006-04-06 JP JP2006105120A patent/JP2006317918A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010122686A (ja) * | 2008-11-18 | 2010-06-03 | Samsung Electronics Co Ltd | サブミラーを備える自動焦点装置及び撮像装置 |
KR101505602B1 (ko) * | 2008-11-18 | 2015-03-30 | 삼성전자주식회사 | 서브 미러를 구비하는 자동 초점 장치 및 촬상장치 |
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