JP2006317400A - 実験から発電実証まで行えるDー3Heトカマク核融合発電装置 - Google Patents

実験から発電実証まで行えるDー3Heトカマク核融合発電装置 Download PDF

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Abstract

【課題】実験から発電実証までを一台で行えるDーHeトカマク核融合発電装置を提供する。
【解決手段】垂直磁場のプラズマ電流駆動効果とオーミックトランスフォーマを利用し、主半径7.5mの高アスペクト比トカマク装置で40〜50MAのプラズマ電流を長時間駆動できるようにした。小半径は3.2mと大きくすることで、閉じ込めを良くし、トロイダル磁場を5.0〜7.0Tに設定し、十分な安全係数を持ち、シンクロトロン輻射の影響を低減し、かつベータ値を既存の12.5%以下にし、また、輻射パワーによる第一壁熱流束も1MW/mに低減した。このようにして中性子を発生しない実験時においても輻射パワーを冷却材で冷却する一方で発電を行い、密度、粒子閉じ込め、ベータ値の性能が向上したらD−He核融合反応実験を行い、輻射パワーにより本格的に発電実証を行えるようにした核融合発電装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、電力を生産するための、安全性が高く、一台の装置で実験から発電実証まで行う核融合発電装置に関するものである。
核融合発電には重水素とトリチウムを用いるDーT核融合炉と、重水素とヘリウム3を用いるDーHe核融合炉がある。DーT〔化1〕核融合炉では高エネルギー中性子発生のために第一壁の放射化、照射損傷を起こし、さらにエネルギー変換装置であるブランケットの照射損傷を起こすため、ブランケットは2、3年おきに交換しなければいけない。また、放射性物質であるトリチウムを燃料として使用するのでトリチウム漏洩を完全になくすことは不可能である。一方DーHe核融合炉では、中性子発生を100分の1以下に減少させることができるので、冷却ブランケットを炉の寿命の間交換する必要はない。また、トリチウムの発生量も少ないのでトリチウム漏洩問題は軽減される。このようにDーHe核融合炉はDーT核融合炉よりはるかに安全である。一方、DーT核融合炉に比してより高温度、高密度、高閉じ込めが必要なので実現は困難と見なされてきた。しかしながらDーHe核融合炉を実現するために以下のように多くの炉が考案されてきた。
高アスペクト比トカマクを用いたDーHe核融合炉に、例えば米国ウイスコンシン大学グループによるアポロトカマク炉がある。(例えば、特許文献1参照)。本核融合炉はベータ値6〜12%の第一安定化領域で運転し、装置パラメータは、主半径R=7.0m、小半径a=3m、トロイダル磁場B=10T、プラズマ電流I=69〜80MAである。
高アスペクト比トカマクを用いたDーHe核融合炉のシステム設計として、米国のARIESーIIIトカマク炉がある。(例えば、特許文献2参照)。本核融合炉はベータ値24%の第二安定化領域で運転し、装置パラメータは、主半径R=7.5m、小半径a=2.5m、トロイダル磁場B=7.58T、プラズマ電流I=30MAである。
高アスペクト比トカマクを用いたDーHe核融合炉のシステム設計として本特許申請者によるACトカマク核融合炉がある。(例えば、特許文献3参照)。本核融合炉の装置パラメータは、主半径R=9.5m、小半径a=3.2m、トロイダル磁場B=7.5T、プラズマ電流I=52.5MAである。
さらに低アスペクト比トカマクを用いたDーHeスフェリカルトカマク核融合炉のシステム設計として本特許申請者によるDーHeスフェリカルトカマク核融合炉がある。(例えば、特許文献4参照)。本核融炉のパラメータは、主半径R=5.6m、小半径a=3.6m、トロイダル磁場B=4.4T、プラズマ電流I=90MAであり、今までのトカマクよりもアスペクト比(A=1.25)が小さい核融合炉である。
G.L.Kulcinski、et al、Fusion Technology、Vol.15(1989)p1233 F.Najimabardi et al、“The ARIESーIII Dー3He Tokamak Reactor Study”、IEEE 14th Symposium on Fusion Engineering、(SanDiego、CA、Oct.1ー3、1991)p231 O.Mitarai、Fusion Engineering and Design、Vol.26(1995)p605 御手洗 修、日本原子力学会2003年春の年回予稿集2003年3月27ー28日、アルカスSASEBO、p175
DーT核融合炉より安全なDーHe核融合炉は、DーT核融合炉に比して高温、高密度、高閉じ込めが必要なので、いろいろな設計の試みがなされてきたが、現在の技術水準では実現困難と見なされている。それは以下のような解決すべき多くの課題があるからである。本発明は、その解決すべき課題を認識し、それを克服することでなされた。
米国ウイスコンシン大学グループによるアポロトカマク炉は現在達成できる低ベータ値の第1安定化領域のプラズマを用いる設計であるが、次のような欠点がある。
(1)トロイダル磁場がプラズマ中心で10Tと高く、現在の技術ではまだ実現が困難である。
(2)プラズマ電流が60〜80MAと大きく、ディスラプション時の炉に対する破壊的影響が大きい。
(3)核融合による発電を行うのに、プラズマから放射されるマイクロ波領域のシンクロトロン輻射パワーを電力に変換するレクテナを利用するものである。しかしプラズマから輻射されるシンクロトロン輻射は種々の周波数からなるのに、単一波長のエネルギー変換しかまだできていないレクテナを使用するという難点がある。
(4)現在のトカマク実験において実証されていない短い粒子閉じ込め時間とエネルギー閉じ込め時間比1を仮定している。
米国のARIESーIIIトカマク炉では現在達成できるベータ値以上の値を仮定している。従って、次のような欠点がある。
(1)仮定しているベータ値が24%と高すぎる。
(2)第一壁への熱流束が現在の技術では除去困難な1.8MW/mと大きく、そのために冷却材には技術的にまだ不明な点が多い有機冷却材を使用しなければならない欠点がある。
(3)プラズマ電流を一定に保つために中性粒子ビームによる電流駆動を仮定している。しかし高密度において、全電流から自発電流を差し引いて得られる2MA程度のプラズマ電流を駆動できるかどうかはきわめて疑問である。
(4)ここでも現在のトカマク実験において実証されていない非常に短い粒子閉じ込め時間とエネルギー閉じ込め時間比1を仮定している。
本特許申請者による交流(AC)トカマク核融合炉では、プラズマ電流を駆動するために大きなオーミックトランスフォーマを使用しパルス長を長くし、かつプラズマ電流を交互に反転するいわゆるAC運転により準定常化を図るものであった。しかし、次のような欠点がある。
(1)炉サイズ(主半径)が大きくなり、炉建設コストが高いという欠点がある。
(2)また、トロイダル磁場も7.5Tと大きく、これも現在の技術で製作できる値よりも若干大きく、装置建設を阻む欠点を有していた。
本特許申請者によるDーHeスフェリカルトカマク核融合炉には次のような欠点がある。
(1)高アスペクト比のトカマクよりも大きい90MAのプラズマ電流が必要である。
(2)低アスペクト比のために最大トロイダル磁場がトロイダルコイル上で20.6Tとなり、新しい超伝導線材の開発が必要で、今すぐに製作できない欠点を持つ。
(3)スフェリカルトカマクではオーミックトランスフォーマを設置する場所がないので、垂直磁場と加熱パワーを有効に利用してプラズマ電流を立ち上げるが、プラズマ電流分布の外部からの制御が困難で中空分布になりやすく、高エネルギーアルファ粒子、プロトン粒子の閉じ込めが悪化する欠点がある。
(4)プラズマ閉じ込めが変化すると、プラズマ電流が変化減少しそのまま発電を継続できるかどうか不明である。
本発明が解決しようとする課題は、数年ごとにブランケットを交換する必要もなく、トリチウム漏洩の可能性も少なく、DーT核融合炉よりも本質的に安全なDーHe核融合炉を提供する点にある。また、今までに実現は困難と見なされてきたDーHe核融合炉にかわって、より実現性の高いDーHeトカマク核融合炉を提供する点にある。さらに、装置一台で実験から発電実証まで行い、開発コストを総合的に下げることができるDーHe核融合炉を提供する点にある。
本発明は上記問題点を一挙に解消するもので、主半径R=7.5m、小半径a=3.2m、トロイダル磁場B=5.0〜7.0Tのサイズで以下のようにしてより安全性の高いDーHeトカマク核融合発電炉を実現するものである。これは最近の実験データに基づき申請者の研究をさらに発展させた結果考え出されものである。
請求項1および2に関しては、本装置においてはトリチウムを用いず重水素とヘリウム3を用いるので、プラズマ閉じ込め実験を行いながら装置のアップグレード化を図ることができる。実験の初期段階から発生する輻射パワーを第一壁で受熱、冷却し、高温になった冷却水を発電装置に導入し発電を行う。従って、本装置一台で実験から発電実証まで行え、核融合炉開発のコストを総合的に下げることができ、開発に要する時間も短縮することができる。
請求項3は、重水素とヘリウム3の核融合を用いる核融合反では、中性子もトリチウムも発生量がわずかなので実行できる。
請求項4のパラメータは、実験データが豊富で、最も核融合炉として有望な高アスペクト比トカマクを用いた詳細な理論シミュレーションを行って初めて得られるものである。
請求項5に関しては、第一壁への熱流束を現在の技術で除熱可能な1.0MW/mに抑えるために、プラズマ小半径を大きくし、プラズマ表面積をできる限り大きくとることによって行った。それは同時にプラズマ閉じ込め性能も向上させることになる。冷却材には技術的に不明な点の少ない超臨界圧水を使用し、制動輻射パワー、シンクロトロン輻射パワーをエネルギー変換して発電する。さらにダイバータへの熱流束もエネルギーに変換して全体で1000MW程度の発電を目指す。また、バックアップのために有機冷却材の使用も考える。
オーミックトランスフォーマを用いることなくプラズマ電流を非誘導駆動、垂直磁場駆動で立ち上げる最近の実験では、プラズマ電流分布が中空分布になるので、高エネルギーアルファ粒子、プロトン粒子の閉じ込め悪化が懸念される。これを改善するために、請求項6のように、プラズマ電流を駆動するための垂直磁場とオーミックトランスフォーマをプラズマ温度が低い初期段階に使用して電流分布が中空分布にならないように制御し、高エネルギーアルファ粒子、プロトン粒子の閉じ込めを改善する。
請求項7に関しては、プラズマ電流立ち上げに垂直磁場を有効に利用することでオーミックトランスフォーマのサイズを小型化し、炉サイズ全体の小型化を図ることができる。
請求項8の問題は、オーミックトランスフォーマがなければプラズマ閉じ込めが変化するとプラズマエネルギーが変化し、それによってプラズマを平衡に保つ垂直磁場が変化すると同時に磁束が変化し、その結果プラズマ電流が変動するというものである。これは、従来のようにオーミックトランスフォーマによってプラズマ電流をフィードバック制御で一定に保つようにしておけば回避することができ、そのまま発電を続けることができる。
請求項9の問題は、オーミックトランスフォーマを積極的に用いることで、非誘導駆動よりも確実に、短時間にプラズマ電流を40〜50MAに駆動し、かつ一定に保つことによって解決できた。従って、核融合出力上昇時に実験値として得られているIPB98(y、2)閉じ込めスケーリング則の2倍の閉じ込めが得られるとイグニッションに到達できる。閉じ込めが良くなる結果、運転領域が広がり、粒子閉じ込め時間とエネルギー閉じ込め時間比もより現実的な値2〜4で発電できる。
請求項10に関しては、燃料比を細かく調整できるフィードバック制御アルゴリズムの開発によって、中性子パワーを150MW以下に低減できる低中性子パワー運転が行えるようになった。
請求項1に関して、一台の核融合装置で実験から発電までできるので、核融合発電までの開発時間の短縮、開発コストを低減でき、社会的インパクトは大きい。また、ブランケットを交換する必要もないので、低コスト化、安全性が高まる。今までの核融合炉が実験から発電実証まで最低2台は必要であったことと比して大きな進歩である。
本発明においては、プラズマ閉じ込め実験時から輻射エネルギーによって第一壁が加熱されるので、その冷却水を用いて発電することができる。重水素とヘリウム3の核融合反応実験に移行後も同様にすぐに発電を行える。このように実験装置においても発電ができる本発明は、今までのプラズマ閉じ込め実験しか行えなかった装置とは明確に一線を画するもので、請求項2は、核融合研究の歴史の上でも新たな考え方を提供するものである。
本発明においては、トリチウムを使用せず中性子発生量も少ないので装置内部へのアクセスもDーTトカマク核融合炉に比して行いやすい。従って、請求項3の様にロボット技術、遠隔操作が未完成の場合でも核融合炉の進展が図れる長所を有する。
請求項4に関しては、設計にあたって現在の技術水準で得られているパラメータを用いているので、今までのDーHeトカマク核融合発電炉の設計例よりもはるかに優れている。本装置は今までに考案されたDーTトカマク核融合炉と遮蔽、ブランケット以外は同じ構造で、装置サイズが全体的に大きくはなるものの、製作できる範囲にある。トロイダル磁場も今までに考案されたDーTトカマク核融合炉の値よりは大きいものの、コイル製作も現在の技術の外挿範囲内にある。
請求項5に関して、プラズマや真空容器を大型化することにより、第一壁への熱流束を現在の技術で除熱可能な1.0MW/mに抑えることができるようになった。DーHe核融合発電で議論されるまだ開発されていない直接発電を用いることはせずに、エネルギー変換に既存の技術を用いることで、発電を信頼性の高い現実的なものとした。
高エネルギーアルファ粒子、プロトン粒子の閉じ込めを改良するため、請求項6の様に、プラズマ電流を駆動するための垂直磁場とオーミックトランスフォーマをプラズマ温度が低い初期段階に使用して電流分布が中空分布にならないように制御する。オーミックトランスフォーマを持たないスフェリカルトカマク核融合炉ではこのような制御は困難であり、高アスペクト比トカマクの優れた点である。
本発明では、プラズマ電流立ち上げに垂直磁場を有効に利用することでオーミックトランスフォーマのサイズを小型化し、核融合炉全体の小型化を図ることができた。請求項7は今までの核融合装置設計で考慮されていなかった垂直磁場の効果を主張したものである。
本発明では、プラズマ閉じ込め時間が変化してもオーミックトランスフォーマによってプラズマ電流をフィードバック制御で一定に保つことができるので、そのまま発電を続けることができる。請求項8は、低アスペクト比のスフェリカルトカマク核融合炉では得られないものであり、高アスペクト比としたために得られた効果である。
オーミックトランスフォーマを用いることでプラズマ電流を40〜50MAに設定し、かつすでに実験的に達成されたIPB98(y、2)閉じ込めスケーリング則の2倍の値を用いることで、イグニッションに到達する本発明の装置では、請求項9にあるように、粒子閉じ込め時間とエネルギー閉じ込め時間比が4と大きい場合でも発電できる。これは今までのDーHe核融合炉と大きく異なる長所である。
請求項10に関して、重水素とヘリウム3の燃料比フィードバック制御によって中性子パワーを160MW以下に低減できる本低中性子パワー核融合炉は、その高い安全性のために大都市近郊に設置することもでき、社会的受容性も高い。
本発明は、人類が長年夢に見てきた、DーT核融合よりも安全なDーHe核融合発電が実現できることを世界で初めて示したもので、社会的インパクトはきわめて大きい。
図1は本発明の第1例の主半径7.5m、小半径3.2m、トロイダル磁場5.0〜7.0Tのパラメータを持つDーHeトカマク核融合発電炉の右断面図である。中心部にオーミックトランスフォーマ[図1ー1]を設置し、トロイダルコイル[図1ー4]、プラズマ[図1ー5]となる。本装置は今までに考案されたDーTトカマク核融合炉とほとんど同じ構造である。
トロイダル磁場が5.0〜7.0Tと今までに考案されたDーTトカマク核融合炉よりもやや大きく、最大磁場が内側トロイダルコイル上で15.9Tとなるが、スフェリカルトカマク炉に必要な20Tより小さいので、超伝導トロイダル磁場コイルも製作に際しての問題が少なくなる。ただ、プラズマ閉じ込めをよくするためにプラズマ断面を大きくした分、真空容器断面が大きくなるが、第一壁への熱流束は減少するので冷却もし易くなる。トロイダルコイルの外側にはダイバータ生成用コイル[図1ー2]、垂直磁場コイル[図1ー8]、三角度形成用垂直磁場コイル[図1ー7]を設置している。また、ベータ値をできる限り大きくするためにプラズマ断面形状の三角度を大きくする。三角度形状生成を助けるため、オーミックトランスフォーマは分割コイル構造とし、プラズマは上下に2個セパラトリックスを持つダブルヌル配位、2個のダイバータ[図1ー3][図1ー9]を持つ。
通常のトカマク核融合炉装置のように中心にはオーミックトランスフォーマを設置し40〜50MAのプラズマ電流を駆動する。40MAのプラズマ電流の誘導磁束は約300Vsで、そのうちオーミックトランスフォーマが供給できる最大磁束は217Vsなので、残りはプラズマ加熱と同時に外側に設置した垂直磁場コイルがプラズマの平衡をとると同時に供給する磁束によって補う。従って、装置全体が小型になっても大きなプラズマ電流を長時間駆動できる特徴を持つ。
プラズマからの輻射パワーで第一壁を加熱し、第一壁のすぐ後ろにある冷却流路[図1−6]を流れる冷却材を外部に導き発電する。また、プラズマからダイバータに流れ出たプラズマ伝導損失パワーによるエネルギーを利用し、 例えば、M.Nishikawa、Fusion Engineering and Design、00(2003)p1:に記載されているようなペブルダイバータを[図1ー3][図1ー9]部に設置し、熱をエネルギーに変換し発電する。
図2は、本発明の第2例のDーHeトカマク核融合発電装置において初期に核融合反応を起こさずに実験する場合の運転法を0次元粒子バランス、エネルギーバランス方程式、IPB98(y、2)閉じ込めスケーリング則を用いてシミュレーション計算をして得た結果である。また、以下図2〜図5においてはTi/Te=1.5倍の高イオンモードの成立条件を満たし、正規化ベータ値が達成可能な6.0以下になる範囲でパラメータを計算している。燃料比をD:He=0.3:0.7に常時設定して[図2ー(8)]核融合反応をなくして運転したものである。図2ー(6)に示すように、主にオーミックトランスフォーマによってプラズマ電流を40MAまで駆動し、外部加熱パワーを200MW印加して[図2ー(8)]、かつプラズマ密度を0.62x1020−3以下[図2ー(1)]に下げて運転すれば閉じ込めの良いHモードとなり[図2ー(3)]、72keV以上のイオン温度[図2ー(1)]が得られ、DーHe核融合に必要なパラメータ領域の実験が十分に行えることを示している。また,図2ー(5)に示すように、1000秒時のオーミックトランスフォーマの磁束は182Vsなので、さらに217Vsまでパルスをのばすことができることから、全体で30分のパルス放電が得られる。本実験の場合、中性子はほとんど発生しないので[図2ー(4)]、装置内部に人間が入り、装置の管理、調整、アップグレードができる。また、現在得られているパラメータ領域に制限して運転しているので実現は問題ない。
図3は本発明の第3例のDーHeトカマク核融合発電装置において現在の技術レベルで達成されている密度限界値の1.5倍、第一壁の反射係数も実際に達成される値0.95、粒子閉じ込め時間とエネルギー閉じ込め時間比も実験で得られている4に設定した場合のDーHeトカマク核融合発電装置のイグニッション運転法を、図2と同様に0次元粒子バランス、エネルギーバランス方程式を用いてシミュレーション計算して得た結果である。現在の技術水準で達成できる密度限界値の最高値は、例えば、R.Maingi et al、Physics of Plasmas、4(5)(1997)p1752:に記載されているような米国のDIIIーDトカマク装置で得られている1.5倍なのでその値を用いた。すなわち最も現実的なパラメータを採用した場合のDーHeトカマク核融合発電装置の運転法を示したものである。
放電初期には核融合反応が最も起き易いようにD:Heの燃料比を2:1とし[図3ー(8)]、閉じ込め増倍度が2の場合、初期外部加熱パワーPEXT=130MWを印加すると180秒時から加熱パワーが減少し最小となるが、再び129MWまで上昇してサブイグニッションとなる[図3ー(8)]。何故なら、粒子閉じ込め時間とエネルギー閉じ込め時間比が4なので、核融合反応生成物であるプロトンとヘリウム灰が燃えかすとして溜まり[図3ー(2)]、その結果燃料希釈が起こり、核融合反応が減少するために外部加熱パワーがフィードバック制御で印加されるからである[図3ー(8)]。なお、核融合反応の増大をはかるために300秒以降は燃料比をD:He=0.67:0.33に設定している。また、同時に密度が限界値の1.5倍を超えないように制御するので[図3ー(1)]、核融合出力は1992MW以上にはならない[図3ー(2)]。電気出力は制動輻射パワー、シンクロトン輻射パワー、プラズマ伝導損失パワーの総和に発電の熱効率33%をかけて580MWが得られるので、実際のエネルギー増倍率は4.5(=580MW/129MW)となる[表1]。全中性子パワーは158MW[図3ー(5)]で(平均中性子壁負荷は0.1MW/m)、プロトンとヘリウム灰の和の密度比は10.5%[図3ー(2)]、ピーク電子密度は2.8x1020−3[図3ー(1)]、ピークイオン温度は91keV[図3ー(1)]、ベータ値は10.9%[図3ー(4)]で、後述するように達成可能値以下にある。制動輻射パワーとシンクロトロン輻射パワーの和824MWを第一壁の面積で割って得られる平均熱流束は0.6MW/m、ダイバータへのプラズマ伝導損失パワーは939MWなのでダイバータ熱負荷は1mのプラズマ接触幅の場合20.0MW/mとなる[表1].本発明ではこのように大きなダイバータ熱負荷に対する除熱とエネルギー変換のために、例えば、ペブルダイバータを使用し除熱を行うとともにエネルギーに変換する。また,図3ー(7)に示すように、核融合反応の結果プラズマエネルギーが増大し、平衡をとる垂直磁場の作る磁束が増加するので、1000秒時のオーミックトランスフォーマの磁束は33.8Vsに低下するが、217Vsまで使用できることから、全体で6.3時間の長パルス放電が得られる。本実施例で示されたように、129MWの外部加熱入力パワーに対して580MWの電気出力が得られる。このように、エネルギー増倍率は小さいが、現在の技術レベルでDーHe核融合の発電実証が行える。
図4は、本発明の第4例のDーHeトカマク核融合発電炉のイグニッション運転法を例2と同様にシミュレーション計算して得られた結果である。現在の技術水準で達成できるベータ値の最高値は、例えば、T.S.Taylor、Physics of Plasmas、2(6)(1995)p2390:に記載されている米国のDIIIーDトカマク装置で得られた12.5%なので、最大ベータ値をそれ以下の12%に設定し[図4ー(4)]、かつ粒子閉じ込め時間とエネルギー閉じ込め時間比を2に設定(即ち反応粒子灰の排気能力がさらに改善された場合に対応)して運転法を計算した。
まず放電初期には核融合反応が最も起き易いようにD:Heの燃料比を2:1とし[図4ー(8)]、閉じ込め増倍度が2では初期外部加熱パワーPEXT=130MWを印加すると180秒時に加熱パワーが零となり、イグニッションに到達する[図4ー(8)]。300秒以降は中性子パワーを減らすために燃料比をD:He=0.52:0.48に設定する[図4ー(8)].最大ベータ値が12%なのでそれ以下になるように燃料制御を行う。その結果、核融合出力は1308MWとなり[図4ー(2)]、全中性子パワーは44MWに減少する[図4ー(5)](平均中性子壁負荷は0.028MW/m)。また、プロトンとヘリウム灰の和の密度比は5.4%[図4ー(2)]、ピーク電子密度は2.2x1020―3[図4ー(1)]、ピークイオン温度は95keVである[図4ー(1)]。制動輻射パワーとシンクロトロン輻射パワーの和は553MWなので第一壁への熱流束は0.4MW/m、ダイバータへのプラズマ伝導損失パワーは630MWなのでダイバータ熱負荷は1mのプラズマ接触幅の場合13.4MW/mとなる[表1]。従って電気出力は、輻射パワーとプラズマ伝導損失パワーを利用し、熱効率33%の発電装置を用いて390MWとなる。また,図4ー(7)に示すように、さらに垂直磁場の作る磁束が増加するので、1000秒時のオーミックトランスフォーマの磁束は73Vsまで低下し、217Vsまでパルスをのばすことができることから、全体で約3.2時間の長パルス放電が得られる。
図5は、本発明の第5例のDーHeトカマク核融合発電装置において、プラズマ電流を50MA、トロイダル磁場を7.0Tまで増大した場合のイグニッション運転法を、図2と同様に0次元粒子バランス、エネルギーバランス方程式を用いてシミュレーション計算して得た結果である。ベータ値は12.2%と12.5%以下なので[図5ー(4)]、核融合出力3000MWの運転ができる[図5ー(2)]。熱効率40%で発電できれば電気出力1000MWが得られるので[表1]商用発電炉級の出力となる。また,図5ー(7)に示すように、さらに垂直磁場の作る磁束が増加するので、1000秒時にオーミックトランスフォーマの磁束は42Vsまで低下し、217Vsまでパルスをのばすことができることから、全体で約5.5時間の長パルス放電となる。
より安全なDーHe核融合発電所として利用可能である。
実施例1のDーHeトカマク核融合発電装置の右断面図である。 実施例2の、DーHeトカマク核融合発電装置において中性子を発生しない初期実験運転法のシミュレーション結果である。 実施例3の、DーHeトカマク核融合発電装置において現在得られているパラメータ領域に制限した場合、すなわち、密度限界を1.5、粒子閉じ込め時間とエネルギー閉じ込め時間比を4、第一壁の反射係数を0.95に設定した場合のイグニッション運転のシミュレーション結果である。 実施例4の、DーHeトカマク核融合発電装置において、粒子閉じ込め時間とエネルギー閉じ込め時間比2が得られる場合の、イグニッション運転のシミュレーション結果である。 実施例5の、DーHeトカマク核融合発電装置において、粒子閉じ込め時間とエネルギー閉じ込め時間比2が得られる場合に、プラズマ電流、トロイダル磁場をさらに増大させた場合のイグニッション運転のシミュレーション結果である。
Figure 2006317400

実施例2〜実施例5までのプラズマパラメータの詳細な定常値。全ての場合において、密度分布係数は1.0、温度分布係数は1.0である。
符号の説明
1:オーミックトランスフォーマ
2:上側ダイバータコイル
3:上側ダイバータ
4:トロイダルコイル
5:プラズマ
6:真空容器、第一壁、ブランケット
7:三角度形成用垂直磁場コイル
8:垂直磁場コイル
9:下側ダイバータ
(1):[NE0、n(0)]ピーク電子密度、
[T、T(0)]ピークイオン温度
(2):[FASH、fash]プロトン、ヘリウム4灰の和の電子密度に対する比、
[PF、P]核融合出力、
[PF0、Pf0]核融合出力設定値
(3):[TAUE、τ]閉じ込め時間、
[MHLI、MHL]Hモード指標
(4):[BETAP、β]ベータポロイダル値、
[BETAA、<β>]トロイダルベータ値(通常、ベータ値と呼ぶ)
(5):[PNV、P]全中性子出力、[BV、B]垂直磁場
(6):[IP、I]プラズマ電流、
[ICD、ICD]非誘導駆動電流、
[IBS、IBS]自発電流
(7):[BVFLUX]垂直磁場の作る磁束、
[OHFLUX]オーミックトランスフォーマの作る磁束、
[TOTALFLUX]全磁束
(8):[PEXT、PEXT]外部加熱パワー、
[SSDD、S]重水素燃料供給率、
[SSHE3、SHe3]ヘリウム3燃料供給率
[化1]
D:重水素
He:ヘリウム3
[化2]
D:重水素
T:トリチウム

Claims (10)

  1. 本装置一台で実験から発電実証まで行えるので、核融合炉開発のコストを総合的に下げ、及び開発に要する時間も短縮することができるDーHe〔化1〕核融合発電装置。
  2. プラズマ閉じ込め実験時から第一壁を冷却し、冷却水を用いた発電を行い、重水素とヘリウム3の核融合反応実験に移行後、すぐに輻射エネルギーで発電を行えるDーHe核融合発電装置。
  3. トリチウムを用いることなくプラズマ閉じ込め実験を行い、人間が内部に入ることでロボットの使用を減らし、実験装置の設置、修理ができ、実験と平行して装置の性能向上を行うことができるDーHe核融合発電装置。
  4. トロイダル磁場がプラズマ中心で5.0〜7.0T、ベータ値10〜12.5%で稼働し、超伝導コイルを使用した主半径7.5m、小半径3〜3.5m、重水素とヘリウム3の安全な核融合反応を利用して発電する高アスペクト比DーHeトカマク核融合発電装置。
  5. 第一壁への熱流束を現在の技術で除熱可能な1.0MW/mに抑え、及び冷却材には超臨界圧水又は有機冷却材を使用し、制動輻射パワー、シンクロトロン輻射パワーを第一壁においてエネルギー変換して発電し、さらにダイバータへの熱流束もエネルギーに変換して全体で1000MWの発電を行うDーHe核融合発電装置。
  6. 高エネルギーアルファ粒子、プロトン粒子の閉じ込めが中空電流分布で悪化するのを改善するために、プラズマ電流を駆動するための垂直磁場とともにオーミックトランスフォーマをプラズマ温度が低い初期段階に使用して電流分布が中空分布にならないように制御するDーHe核融合発電装置。
  7. プラズマ電流立ち上げに垂直磁場を有効に利用することでオーミックトランスフォーマのサイズを小型化し、核融合炉全体の小型化を図るDーHe核融合発電装置。
  8. プラズマ閉じ込め時間が変化してもオーミックトランスフォーマによってプラズマ電流をフィードバック制御で一定に保ち、そのまま発電を続けることができるDーHe核融合発電装置。
  9. オーミックトランスフォーマを用いることでプラズマ電流を40MA〜50MAに設定し、最新のIPB98(y、2)閉じ込めスケーリング則の2倍でもイグニッションに到達でき、粒子閉じ込め時間とエネルギー閉じ込め時間比が2〜4で発電できるDーHe核融合発電装置。
  10. 重水素とヘリウム3の燃料比制御によって中性子パワーを150MW以下に低減し、より安全な低中性子パワー運転ができるDーHe核融合発電装置。











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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105027222A (zh) * 2013-03-11 2015-11-04 黄耀辉 用于无中子和中子聚变的旋转高密度聚变反应器
CN110164566A (zh) * 2019-04-25 2019-08-23 中国科学院合肥物质科学研究院 一种用于east装置的等离子体电流保护的方法
WO2021122588A1 (en) * 2019-12-17 2021-06-24 Tokamak Energy Ltd Inboard shaping using a modified solenoid

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