JP2006313075A - 導波管及び温度特性測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱伝導を抑制できる導波管、これにより高周波部品の故障を防止できる温度特性測定装置に関する。
【解決手段】金属又は合金からなる第1導波管1a、第2導波管1bを具備する導波管1であって、第1導波管1aと第2導波管1bとの間に、第1導波管1aと第2導波管1b内の信号伝送路1cを閉塞する誘電体膜2を介装してなる導波管1である。このような導波管1を温度特性測定装置において用いることにより、恒温槽11内と外部の検波器13との間を連結する導波管1内の信号伝送路1cを誘電体膜2により閉塞でき、これにより、導波管1内の信号伝送路1cの空気を介して検波器13に伝達される熱を遮断できるとともに、誘電体膜2により、金属又は合金からなる導波管1自体を伝導する熱を遮断でき、温度特性測定装置の故障を防止できる。
【選択図】図1
【解決手段】金属又は合金からなる第1導波管1a、第2導波管1bを具備する導波管1であって、第1導波管1aと第2導波管1bとの間に、第1導波管1aと第2導波管1b内の信号伝送路1cを閉塞する誘電体膜2を介装してなる導波管1である。このような導波管1を温度特性測定装置において用いることにより、恒温槽11内と外部の検波器13との間を連結する導波管1内の信号伝送路1cを誘電体膜2により閉塞でき、これにより、導波管1内の信号伝送路1cの空気を介して検波器13に伝達される熱を遮断できるとともに、誘電体膜2により、金属又は合金からなる導波管1自体を伝導する熱を遮断でき、温度特性測定装置の故障を防止できる。
【選択図】図1
Description
本発明は導波管及び温度特性測定装置に関するもので、特に30GHz以上で使用される電子部品の電磁気的特性の温度特性や、誘電体材料の誘電定数の温度特性を測定する温度特性測定装置に関するものである。
近年、車載用ミリ波レーダやミリ波無線LANの開発が行われてきており、回路設計のために、ミリ波領域における電子部品の電磁気的特性や誘電体材料の誘電定数の高精度な測定方法が必要となっている。
電子部品の電磁気的特性の温度特性の測定においては、一般に、測定対象物、あるいは測定治具の温度を可変できる恒温槽内に設置し、アイソレータ、検波器、ネットワークアナライザー等の高周波測定用電子部品は恒温槽の外で室温環境に設置される。そして、測定周波数が30GHz以上、特に、50GHz以上のミリ波における電磁気的特性の温度特性の測定においては、恒温槽内の測定対象物、あるいは測定治具と、恒温槽外の高周波測定用電子部品とをつなぐ信号伝送路として導波管が使用されている。
一方、ミリ波領域における円柱形状の誘電体材料の比誘電率や誘電正接の高精度な測定方法として、NRDガイドで励振検波される誘電体円柱共振器法がJIS規格(JIS R 1660−3:2004)に採用されている(特許文献1参照)。このJIS規格では入出力用NRDガイドは導波管に変換され、アイソレータ、検波器、ネットワークアナライザー等の高周波測定用電子部品と連結される。NRDガイドが使用される理由は、測定試料であり、かつ誘電体円柱共振器でもある誘電体円柱試料のTE0m1共振モードとNRDガイドが容易に電磁結合するからである。また、NRDガイドが導波管に変換される理由は、ミリ波の電気的特性を測定する一般的な高周波測定用電子部品であるアイソレータ、検波器の入出力線路が一種の導波管になっているためである。
このJIS規格の測定方法を誘電定数の温度特性測定に応用するためには、少なくとも誘電体円柱試料を含む測定治具を恒温槽の中に設置し、低温もしくは高温に誘電体円柱試料の温度を制御する必要がある。
特開平11−14558号公報
しかしながら、上記のように電子部品のミリ波領域における電磁気的特性の温度特性や円柱形状誘電体材料のミリ波領域における比誘電率や誘電正接を測定する場合、一般に金属で作製された高い熱伝導率を有する導波管を通じて、ミリ波の電気的特性を測定する高周波測定用電子部品であるアイソレータ、検波器等も低温や高温に晒されるため、測定系全体として故障する虞があった。
即ち、導波管と接続されるアイソレータや検波器等には、一般に、導波管と接続するため、信号の入出力線路として入出力用導波管が設けられており、例えば導波管とアイソレータの入力用導波管、アイソレータの出力用導波管と検波器の入力用導波管が接続されているが、導波管内の空間からなる信号伝送路を介して恒温槽内と高周波測定用電子部品が連結されており、つまり、恒温槽から、導波管内の信号伝送路、アイソレータ内の信号伝送路、検波器の入力用導波管内の信号伝送路が連通しており、恒温槽内の熱が、導波管、アイソレータ、該アイソレータの入出力用導波管、検波器の入力用導波管内の空間からなる信号伝送路を介してアイソレータ及び/又は検波器からなる高周波測定用電子部品に伝達され、高周波測定用電子部品が故障する虞があった。
また、金属製の導波管を介してアイソレータに熱伝導し、若しくは導波管、アイソレータ、該アイソレータの入出力用導波管、検波器の入力用導波管自体を介して熱伝導し、恒温槽外部の高周波測定用電子部品が低温や高温に晒されるため、高周波測定用電子部品が故障する虞もあった。
本発明は、熱伝導を抑制できる導波管、これにより高周波測定用電子部品の故障を防止できる温度特性測定装置に関するものである。
本発明者等は上記課題に対して検討を重ねた結果、恒温槽から熱に弱い高周波測定用電子部品までの間の中空の信号伝送路のいずれかで、信号伝送路の空間を閉塞する誘電体膜を介装することにより、中空の信号伝送路を介する高周波測定用電子部品への熱伝導を抑制できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の導波管は、金属又は合金からなる第1導波管及び第2導波管を具備する導波管であって、前記第1導波管と前記第2導波管との間に、前記第1導波管内の信号伝送路と前記第2導波管内の信号伝送路とを閉塞する誘電体膜を介装してなることを特徴とする。
本発明では、第1導波管内の信号伝送路と第2導波管内の信号伝送路とを閉塞する誘電体膜を介装して導波管を構成することにより、例えば、温度特性測定装置において、恒温槽内と外部の高周波測定用電子部品との間を連結する導波管内の信号伝送路を誘電体膜により閉塞でき、これにより、導波管内の信号伝送路の空気を介して高周波測定用電子部品に伝達される熱を遮断できるとともに、誘電体膜により、金属又は合金からなる導波管自体を伝導する熱を遮断でき、温度特性測定装置の故障を防止できる。
また、本発明の温度特性測定装置は、測定試料が収容される恒温槽と、該恒温槽の外部に設けられた高周波測定用電子部品と、前記恒温槽と前記高周波測定用電子部品とを連結する中空の信号伝送路とを具備する温度特性測定装置であって、前記中空の信号伝送路を誘電体膜により閉塞してなることを特徴とする。このような温度特性測定装置では、恒温槽内と外部の高周波測定用電子部品との間を連結する中空の信号伝送路を誘電体膜により閉塞することにより、信号伝送路の空気を介して高周波測定用電子部品に伝達される熱を遮断できる。
さらに、本発明の温度特性測定装置は、前記信号伝送路の少なくとも一部が導波管であり、該導波管が、第1導波管と第2導波管との間に、該第1導波管内の信号伝送路と第2導波管内の信号伝送路とを閉塞する誘電体膜を介装してなることを特徴とする。このような温度特性測定装置では、導波管を介する熱伝導を誘電体膜により遮断でき、信号伝送路の空気を介して高周波測定用電子部品に伝達される熱を遮断できる。
また、本発明の温度特性測定装置は、前記信号伝送路の少なくとも一部が導波管であり、前記高周波測定用電子部品がアイソレータであり、前記導波管と前記アイソレータとの間に、前記導波管内の信号伝送路を閉塞する誘電体膜を介装してなることを特徴とする。このような温度特性測定装置では、高周波測定用電子部品であるアイソレータの熱による故障を防止できるとともに、わざわざ導波管を分割する必要がないため、構造を簡素化でき、製造も容易である。
本発明では、誘電体膜は樹脂製であることが望ましい。これにより、誘電体膜が高周波信号を有効に透過させ、かつ、断熱性を有することができる。特に、導波管は30GHz以上の高周波信号を伝送するものであることが望ましく、言い換えれば、誘電体膜が30GHz以上の高周波信号を透過させることが望ましい。
本発明では、導波管内の信号伝送路を閉塞するように誘電体膜を介装することにより、導波管内の信号伝送路を介して伝導する熱を遮断できる。従って、このような導波管を温度特性測定装置に用いることにより、高温槽を用いて温度特性を測定する温度特性測定装置であっても、高温槽外部の検波器等の高周波測定用電子部品の熱による故障を防止できる。
本発明の導波管は、図1に示すように、矩形管状となっており、第1導波管1aと第2導波管1bとを有し、第1導波管1aと第2導波管1bとの間に誘電体膜2が介装されている。これらの第1導波管1aと第2導波管1bは、金属又は合金製であり、特に、導電率が高いという点から銅で形成されたり、金メッキした金属で形成されている。
第1導波管1a、第2導波管1bの内部には、断面が四角形の信号伝送路1cが形成されており、第1導波管1a内の信号伝送路と、第2導波管1b内の信号伝送路は、誘電体膜2が存在しない場合(従来技術)、連通するように連結されている。本発明では、誘電体膜2により、第1導波管1a内の信号伝送路と、第2導波管1b内の中空空間からなる信号伝送路が閉塞されている。
誘電体膜2は断熱性を有し、かつ、ミリ波信号に対する透過性を有するために、誘電率、誘電正接が低い有機膜、特にテフロン(登録商標)膜が好適である。誘電体膜2の膜厚は、断熱性を確保するためには厚い方が良く、ミリ波信号の透過性を確保するためには薄い方が良いが、断熱性とミリ波信号の透過性を両立させるためには、適当な厚みに設定する必要があり、テフロン(登録商標)膜の場合には0.05〜0.2mmが好適である。第1導波管1a、第2導波管1bと、誘電体膜2とは、接着剤等により接合されている。
尚、本発明の導波管1は、第1導波管1a、第2導波管1bにそれぞれフランジを設け、該フランジ間に誘電体膜2を介装し、フランジ同士をネジ締めすることにより構成することができる。この場合には、接着剤等により誘電体膜2を導波管1a、1bに接合することなく、誘電体膜2を介装することができ、製造が容易となる。
図2は、本発明の導波管を用いた温度特性測定装置を示すもので、温度特性測定装置は、恒温槽11と、アイソレータ13からなる高周波測定用電子部品とを、金属又は合金からなる導波管1にて連結し、アイソレータ13と高周波測定用電子部品である検波器27を連結して構成されている。導波管1は、図1に示すように、第1導波管1aと第2導波管1bとの間に、第1導波管1a内の信号伝送路1cと第2導波管1b内の信号伝送路1cとを閉塞するように誘電体膜2を介装して構成されている。
また、図2の温度特性測定装置では、さらに信号発生器15、逓倍器17、方向性結合器19、基準信号用アイソレータ21、基準信号用検波器24、ネットワークアナライザー25、恒温槽11を具備しており、信号発生器15から出力されたマイクロ波信号は逓倍器17でミリ波信号に変換され、方向性結合器19に入力される。方向性結合器19から分波された信号は基準信号として、基準信号用アイソレータ21、基準信号用検波器24を介してネットワークアナライザー25に入力される。
方向性結合器19から出力された他方の信号はアイソレータ13、導波管1を介して、恒温槽11の中に設置された測定治具31に入力される。測定治具31にはNRDガイドで励振検波される誘電体円柱共振器が設置されている。測定治具31の出力信号は導波管1、アイソレータ13、検波器27を介してネットワークアナライザー25に入力される。ネットワークアナライザー25は測定治具31を透過した信号と基準信号の比を周波数の関数として表示し、即ち共振波形が出力される。
信号出力系におけるアイソレータ13は、高周波信号の入出力線路として、アイソレータ本体の両側に入出力用導波管(導波管1に接続するための導波管)を有し、検波器27は、高周波信号の入力線路として、検波器本体のアイソレータ側に入力用導波管(アイソレータ13の出力用導波管に接続するための導波管)を有しており、アイソレータ13の入出力用導波管、アイソレータ本体内の信号伝送路の空間、検波器本体のアイソレータ側の入力用導波管、導波管1内の信号伝送路1cは連通している。一方、信号入力系における逓倍器17の出力用導波管、方向性結合器19の入出力用導波管、アイソレータ13の入出力導波管、導波管1内の信号伝送路1cは連通している。
以上のように構成された温度特性測定装置では、導波管1として市販されている導波管を使用すると、恒温槽11内の低温、高温が、導波管1材質の熱伝導あるいは導波管の空間、アイソレータ13に伝達され、また、この熱がアイソレータ本体及びその両側の入出力用導波管、検波器24、27の入力用導波管を通して、検波器本体に伝わる。出力検波器27は一般に半導体素子を有しており、低温、高温により破壊される危険がある。また、信号入力系では、アイソレータ13、方向性結合器19を介して逓倍器17に伝導し、逓倍器17が破損する危険がある。
本発明の温度特性測定装置では、導波管1は、第1導波管1aと第2導波管1bとの間に誘電体膜2を介装して構成されているため、断熱性を有し、ミリ波信号の透過性を有した導波管1を用いることで、導波管1の信号伝送路1c内の空間を介して熱が、アイソレータ13へ伝達されることを防止できるとともに、導波管自体を介して伝導する熱を抑制でき、ミリ波領域における誘電定数の温度特性測定を行なうことができ、信号入力系におけるアイソレータ13、基準信号用検波器24、逓倍器17や、信号出力系におけるアイソレータ13、検波器27の熱伝導による破損を防止できる。
尚、本発明における高周波測定用電子部品とは、アイソレータ13、逓倍器17、基準信号用検波器24、検波器27が該当するが、最も破損し易く、高価な基準信号用検波器24、検波器27を保護すべく、アイソレータ13と導波管1との間に誘電体膜2を介装しても良く、この場合には、製造が容易となる。また、アイソレータ13と検波器24、27との間に誘電体膜2を介装することもできる。
誘電体膜として市販のテフロン(登録商標)膜からなる0.2mm厚シートを適当な大きさに切断したものを、信号入力系のアイソレータ13の出力用導波管と導波管1の間と、導波管1と信号出力系のアイソレータ13の入力用導波管との間に介装し、インサーションロスIL(dB)を測定した。この結果を0.2mmテフロン(登録商標)×1として図3に示す。同じように市販の0.2mm厚シートを2枚重ねし、インサーションロスIL(dB)を測定した結果を0.2mmテフロン(登録商標)×2として図3に示す。
なおテフロン(登録商標)膜を挟まない場合のインサーションロスIL(dB)を0dBラインとした。一般に2dB程度の損失は許容されるので、0.2mm厚以下のテフロン(登録商標)シートを用いれば75〜100GHzの領域でミリ波測定が可能であることが分かる。
また、断熱性を評価するため、0.2mm厚のテフロン(登録商標)膜を用い、恒温槽を−40℃から80℃に変化させたところ、検波器の温度はおおよそ10〜30℃の変化に留まった。尚、テフロン(登録商標)膜を介装しない従来の場合についても、同様の条件で検波器の温度変化を確認したところ、0〜60℃と非常に大きかった。この結果により、0.2mm厚のテフロン(登録商標)膜を介装した導波管は断熱性とミリ波透過性の両方を備えていると判断できる。
次に、信号入力系のアイソレータ13と導波管1の間と、導波管1と信号出力系のアイソレータ13との間に0.2mm厚みのテフロン(登録商標)膜1枚を介装した条件で、サファイア円柱共振器のTE021モードの共振周波数の温度特性を2回測定した。この結果を図4に示す。この図4から、共振周波数の絶対値は70MHz程度ずれているが、共振周波数の温度に対する傾きは良く一致していることが判る。
次に、この共振周波数の温度特性から比誘電率ε’の温度特性を計算し、結果を図5に示した。サファイアのε’の温度係数TCεは85ppm/℃、87ppm/℃と求められた。
以上のように、本発明の断熱性を有した導波管を用いれば、温度変化による高周波測定用電子部品の破損の危険を回避して、ミリ波における比誘電率の温度特性を測定することができる。
1・・・導波管
1a・・・第1導波管
1b・・・第2導波管
1c・・・信号伝送路
2・・・誘電体膜
11・・・恒温槽
13・・・アイソレータ
24、27・・・検波器
1a・・・第1導波管
1b・・・第2導波管
1c・・・信号伝送路
2・・・誘電体膜
11・・・恒温槽
13・・・アイソレータ
24、27・・・検波器
Claims (5)
- 金属又は合金からなる第1導波管及び第2導波管を具備する導波管であって、前記第1導波管と前記第2導波管との間に、前記第1導波管内の信号伝送路と前記第2導波管内の信号伝送路とを閉塞する誘電体膜を介装してなることを特徴とする導波管。
- 前記誘電体膜は樹脂製であることを特徴とする請求項1記載の導波管。
- 測定試料が収容される恒温槽と、該恒温槽の外部に設けられた高周波測定用電子部品と、前記恒温槽と前記高周波測定用電子部品とを連結する中空の信号伝送路とを具備する温度特性測定装置であって、前記中空の信号伝送路を誘電体膜により閉塞してなることを特徴とする温度特性測定装置。
- 前記信号伝送路の少なくとも一部が導波管であり、該導波管が、第1導波管と第2導波管との間に、該第1導波管内の信号伝送路と第2導波管内の信号伝送路とを閉塞する誘電体膜を介装してなることを特徴とする請求項3記載の温度特性測定装置。
- 前記信号伝送路の少なくとも一部が導波管であり、前記高周波測定用電子部品がアイソレータであり、前記導波管と前記アイソレータとの間に、前記導波管内の信号伝送路を閉塞する誘電体膜を介装してなることを特徴とする請求項3記載の温度特性測定装置。
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