JP2006306056A - 退色防止方法、木質材の退色防止方法、退色防止塗料及び木質材用退色防止塗料 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐光性に劣る色素を含む色材表面、特に加熱処理木質材又は着色化木質材の材料表面に対して、多価フェノール化合物溶液を塗布することにより、日光暴露変色(色褪せ)を長期的に抑制可能とする。
【解決手段】退色防止方法は、耐光性に劣る色素を含む色材表面に対して、ヒドロキノン、カテコール、ピロガロール、レゾルシン、又はこれらの側鎖にアルキル基ないしはハロゲン基を有する誘導体から選択された一又は複数の多価フェノール化合物を水、有機溶剤、混合溶剤、染料液又は塗料に溶解した多価フェノール化合物溶液を塗布する。ここで、色材表面は、木質材を加熱処理により濃色化発色した材料表面、又は木質材、金属、プラスチック、繊維、布帛ないしは紙に透明着色あるいは染料着色を施した材料表面である。
【選択図】 なし
【解決手段】退色防止方法は、耐光性に劣る色素を含む色材表面に対して、ヒドロキノン、カテコール、ピロガロール、レゾルシン、又はこれらの側鎖にアルキル基ないしはハロゲン基を有する誘導体から選択された一又は複数の多価フェノール化合物を水、有機溶剤、混合溶剤、染料液又は塗料に溶解した多価フェノール化合物溶液を塗布する。ここで、色材表面は、木質材を加熱処理により濃色化発色した材料表面、又は木質材、金属、プラスチック、繊維、布帛ないしは紙に透明着色あるいは染料着色を施した材料表面である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、耐光性に劣る色素を含む色材表面が色褪せ(明色化に同じ。)するのを防止するための退色防止方法及び退色防止塗料に関する。また、加熱処理により濃色化発色した加熱処理木質材、又は透明着色ないしは染料着色を施した着色化木質材に対しておこなう木質材の退色防止方法及び木質材用退色防止塗料に関する。
近年、木材の寸法安定性の向上を目的として、木質材を140℃以上で数時間以上加熱処理することがしばしば行われている。(例えば、非特許文献1を参照。)
木質新素材ハンドブック編集委員会;「木質新素材ハンドブック」,第1版,技報堂出版株式会社,1996年5月30日,pp.413-414
木質新素材ハンドブック編集委員会;「木質新素材ハンドブック」,第1版,技報堂出版株式会社,1996年5月30日,pp.413-414
一般に、高温で長時間加熱した木質材は褐色ないし茶褐色に濃色化する傾向にあるのであるが、一旦濃色化した木質材を加工して木製品を製造した場合、保管中あるいは使用中に日光が当たるなどして早期に赤みが失われ明色化する現象、すなわち褪せ又は単に退色と呼ばれる現象が進むという問題が明らかになってきた。退色は、室内光でも進行することから紫外線ではなく主として可視光によって退色が進むということが推測されている。
木質材の変色防止に関しては、これまでにも幾多の提案がある。木質材にベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤溶液を塗布する技術(例えば、特許文献1を参照。)、木質材にセミカルバジド溶液を塗布する技術(例えば、特許文献2を参照。)、及びヒンダードアミン溶液塗布の効果を開示したもの(例えば、特許文献3を参照。)が知られている。
特開平2−223401号公報
特開平8−207017号公報
特開2000−25010号公報
また、紫外線吸収剤のほかにモノフェノール系抗酸化剤の塗布も有効であることが示されているもの(例えば、特許文献4を参照。)、フェノール系抗酸化剤を配合した樹脂酸化防止に関する技術(例えば、特許文献5を参照。)、立体障害フェノール型抗酸化剤溶液の効果を開示したもの(例えば、特許文献6を参照。)が知られている。
特開昭59−115805号公報
米国特許第3285855号公報
特開平5−253539号公報
しかしながら、上記紫外線吸収剤は一般に明色材の濃色化を防止する機能は持っているが、可視光による退色に対しては防止効果をほとんど持っていない。また、上記抗酸化剤についても、塗料樹脂などの酸化防止に主眼を置いたものであり、濃色木質材の退色防止については、触れられていない。
このため、現状では退色を防止する効果的な方法がなく、加熱処理木質材は木製浴槽、敷居滑り材など退色が余り問題とならない木製品に用いるか、あるいは見えがかり部分に別材料で化粧張りを施したのち家具、フローリングに使用するなど、利用方法が限定されていた。
さらに、木質材の変色防止に関する先行技術の殆どが黄変を伴う暗色化、通称ヤケの防止に関わるものであって、赤みの喪失を伴う明色化即ち色褪せの防止に関わるものは少ない(例えば、特許文献7、8及び9を参照)。
特開平4−351501号公報
特開平11−165303公報
特開2005−59218号公報
特許文献7の文献公知発明には、有機酸にチオ尿素などの還元剤及び金属塩を配合した薬剤によりコルク材の光退色を防止する技術が開示されている。また、特許文献8及び9の各文献公知発明には、銅化合物と多価フェノール誘導体を混合した処理液を木質材に塗布することにより、木質材の光退色を防止する技術が開示されている。
しかし、これらの方法は褐色の金属化合物の生成を利用するもので、必ずしも光照射量に同調して木質材の元の色を適切に補えるものではなかった。
こうしたなかで、本発明者らは濃色木質材の退色防止に係る研究において、以下の取り組みをおこなってきた。
木質材は熱分解により様々な化合物を生成する。その中に、光に対して不安定なキノンあるいは芳香族環隣接カルボニル基などを持った発色団が多量に含まれており、それが加熱時とは異なった温度、酸素濃度、水分環境において光特に可視光エネルギーを受け、水酸基に還元されるなどして退色していると考えられている。この種の反応は可逆的工程を含むことがあるので、初めからフェノール性水酸基を持った化合物を塗布しておけば、キノンやカルボニル基の還元反応が抑制できる可能性があるが、光学活性を考慮すると多価フェノール化合物の方がより効果的であると考えられる。
同時に、初め無色であり光によって茶褐色に発色する物質の塗布も退色防止策として有効であろうと予測される。
以上の知見及び着想から、加熱処理木質材に多価フェノール化合物溶液を塗布し窓ガラス透過日光による光暴露試験を試みたところ、明らかな退色防止効果が認められた。本発明は研究の成果物(方法及び塗料の開発)を特徴抽出したものである。
発明が解決しようとする課題は、耐光性に劣る色素を含む色材表面、とりわけ加熱により濃色化した加熱処理木質材の光による退色防止技術を確立することにより、該木質材の利用範囲の拡大を図ることである。あわせて、表面処理後の加熱処理木質材の日光暴露変色(色褪せ)を長期的に抑制可能とする退色防止塗料を開発することである。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、上記課題を解消し、耐光性に劣る色素を含む色材表面が色褪せ(明色化に同じ。)するのを防止するための退色防止方法及び退色防止塗料を提供するものである。また、加熱処理により濃色化発色した加熱処理木質材、又は透明着色ないしは染料着色を施した着色化木質材に対しておこなう木質材の退色防止方法及び木質材用退色防止塗料を提供するものである。
課題を解決するために本発明は、耐光性に劣る色素を含む色材表面が色褪せ(明色化に同じ。)するのを防止するための退色防止方法であって、前記色材表面に対して多価フェノール化合物溶液を塗布することを特徴とするものである。
ここで、多価フェノール化合物溶液は、ヒドロキノン、カテコール、ピロガロール、レゾルシン、又はこれらの側鎖にアルキル基ないしはハロゲン基を有する誘導体から選択された一又は複数の多価フェノール化合物を水、有機溶剤、混合溶剤、染料液又は塗料に溶解したものである。〔退色防止塗料に同じ。〕
また、色材表面は、木質材を加熱処理により濃色化発色した材料表面、又は木質材、金属、プラスチック、繊維、布帛ないしは紙に透明着色あるいは染料着色を施した材料表面である。
色材表面に、1ないし10%の多価フェノール化合物溶液を塗布した後、ポリウレタン樹脂塗料等の保護塗装(常法)をすることによって、日光暴露変色を抑制できるため、これらを家具、フローリング、壁面材などに用いても変色によるクレームを招くことがなくなる。
以下に、実験的事実に基づく具体的な作用効果を挙げるが、限定列挙というわけではない。
加熱処理によって茶褐色に濃色化した木質材に、ヒドロキノン、カテコール、ピロガロール、レゾルシンなどの多価フェノール化合物を、1〜10%溶解させた木工用塗料を塗布することによって、加熱処理木質材の色彩は日光を浴びても退色を示し難くなる。これらの多価フェノール化合物は、光照射量に比例して黄褐色ないし赤褐色に発色するので、元の木質材が光照射量に比例して黄みないし赤みを喪失するのに同調して、これを適切に補うことができる。
多価フェノール化合物としては、上記の他、メチルヒドロキノン、クロルヒドロキノン、ジヒドロキシ安息香酸などの二価フェノール化合物、およびフロログルシンなどの三価フェノール化合物及び側鎖にアルキル基やハロゲンなどを結合した誘導体も退色防止効果を有する。このように、多価フェノール化合物は大なり小なり加熱処理木質材の退色を遅らせる作用があるが、1価のフェノールでは退色防止効果が全く現れないので採用することはできない。
多価フェノール化合物の種別については、元の木質材の材色に合わせて選択するのが望ましい。赤みの強い初期材色であればカテコール、レゾルシンが適しており、黄みの強い初期材色であれば、ピロガロール、フロログルシンが適している。
また、多価フェノール化合物濃度については、元の木質材の色の濃さや吸い込み特性の大小により加減する。元の木質材の材色が濃い場合やキリなどのように吸い込みの大きい材には、5%以上の高い濃度が望ましい。概して、1%以下では殆ど効果が現れず、10%以上では元の木質材の材色以上の濃色化を招くことになる。
また、被塗装物は、必ずしも加熱処理木質材に限定されるものではなく、通常の木質材に塗布して、木質材自体の初期色調の光退色を補う目的にも用いることができる。さらに、染料等で人為的に着色した通常の木質材〔着色化木質材〕に塗布して、人為的着色の光退色を補う目的にも用いることができる。
多価フェノール化合物を溶解させる木工用塗料としては、2液型ポリウレタン樹脂塗料、硝化綿ラッカー、アクリルラッカー、水溶性アクリル樹脂系ワニス、アクリル系エマルション、アミノアルキド樹脂塗料、油性ワニス、シェラックニスなどが使用できる。ただ、代表的な木工用塗料である2液型ポリウレタン樹脂塗料は、多価フェノールと容易に反応する遊離イソシアネート化合物を含んでいるため、高濃度の多価フェノール化合物配合は、硬化障害をもたらす可能性がある。また、水系塗料の場合は、そのpHによって大きく多価フェノールの発色が影響を受ける。初期発色を避けるため、水系塗料pHは7以下に調整した状態で使用しなければならない。水溶液の場合もpH7以下という条件は守らなければならない。
また、溶媒も水のほか、難水溶性の多価フェノールには、エタノールなどのアルコール類、アセトン、MEKなどのケトン類、酢酸ブチルなどのエステル類、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、トルエンなどの芳香族系溶剤、ミネラルスピリットなどの脂肪族石油系溶剤など、有機溶剤を用いても効果は損なわれない。むしろ、木質材の毛羽立ち防止の観点から、あるいは難水溶性の多価フェノール化合物を高濃度に溶解させるために、単体または水と混合した形の有機溶剤を用いた方が望ましい場合がある。
なお、多価フェノール化合物を塗布したのちに塗布するべき下塗り塗料としては、木工用塗料であれば特に制限されない。
木質材は、日光暴露によりあるものは濃色化し、あるものは淡色化する。そして、濃色化するにせよ淡色化するにせよ、一般に日光暴露最初の1ヶ月程度で急激に変色が進むが、その後は緩やかな変色となり数ヶ月で変色の少ない安定状態に入る。
加熱処理材は、暴露初期において急激に淡色化が進み徐々に安定化して行く。塗装工程を経て製品化され、施工された後クレームになりやすいのは、特にこの初期退色が顕著であるからである。暴露開始1ヶ月における変色が通常木質材並であればクレームになる危険率は大幅に減少する。目標としては、特開平8−207017号公報(上掲の特許文献2)にも記載されているように、暴露開始1ヶ月における変色がΔEab* 値として5以下であることが望ましい。
退色防止方法に係る本発明を実施するための最良形態は、加熱処理により濃色化発色した加熱処理木質材、又は透明着色ないしは染料着色を施した着色化木質材に対しておこなう木質材の退色防止方法であって、前記加熱処理木質材又は着色化木質材の材料表面に対して、ヒドロキノン、カテコール、ピロガロール、レゾルシン、又はこれらの側鎖にアルキル基ないしはハロゲン基を有する誘導体から選択された一又は複数の多価フェノール化合物を水、有機溶剤、混合溶剤、染料液又は木工用塗料に溶解した多価フェノール化合物溶液を塗布することを特徴とするものである。
また、塗料に係る本発明を実施するための最良形態は、耐光性に劣る色素を含む材料表面が色褪せ(明色化に同じ。)するのを防止するために、加熱処理により濃色化発色した加熱処理木質材、又は透明着色ないしは染料着色を施した着色化木質材に対して施用する木質材用退色防止塗料であって、ヒドロキノン、カテコール、ピロガロール、レゾルシン、又はこれらの側鎖にアルキル基ないしはハロゲン基を有する誘導体から選択された一又は複数の多価フェノール化合物を水、有機溶剤、混合溶剤、染料液又は木工用塗料に溶解した多価フェノール化合物溶液からなることを特徴とするものである。
本発明の一実施例について以下説明する。
〔実施例1〕
200℃に調整した熱風循環式電気恒温槽内に6時間保って加熱処理された厚さ10mmのカバ材、ヒノキ材およびキリ材に、カテコール3%水溶液を刷毛で約 0.4g/100 cm2 塗布し、乾燥後硝化綿変性ポリウレタン樹脂塗料を塗布し、南に面した窓辺室内に、窓ガラスから10cm以内の直近に垂直に懸架して、1週間ごとに試験片表面の色彩を測定した。
200℃に調整した熱風循環式電気恒温槽内に6時間保って加熱処理された厚さ10mmのカバ材、ヒノキ材およびキリ材に、カテコール3%水溶液を刷毛で約 0.4g/100 cm2 塗布し、乾燥後硝化綿変性ポリウレタン樹脂塗料を塗布し、南に面した窓辺室内に、窓ガラスから10cm以内の直近に垂直に懸架して、1週間ごとに試験片表面の色彩を測定した。
〔実施例2〕
カテコール1%水溶液を用いる他は実施例1と同様にして試験片を作成し、色彩を測定した。
カテコール1%水溶液を用いる他は実施例1と同様にして試験片を作成し、色彩を測定した。
〔参考例〕
200℃に調整した熱風循環式電気恒温槽内に6時間保って加熱処理された厚さ10mmのカバ材、ヒノキ材およびキリ材を、実施例と同様に懸架して色彩を測定した。なお、参考例は、実施例1及び2に共通する比較例(比較例1、2に相当するもの)として考慮されたい。そういうわけで、後述の実施例3−8については、それぞれ比較例3−8を対応させている。
200℃に調整した熱風循環式電気恒温槽内に6時間保って加熱処理された厚さ10mmのカバ材、ヒノキ材およびキリ材を、実施例と同様に懸架して色彩を測定した。なお、参考例は、実施例1及び2に共通する比較例(比較例1、2に相当するもの)として考慮されたい。そういうわけで、後述の実施例3−8については、それぞれ比較例3−8を対応させている。
上記色彩測定の結果を表1に示す。変色度はΔEab* で示した。加熱処理木材の場合、全ての試験片において、日光暴露により、明るさの指標であるL* 値の増加、即ち退色だけがおこっている。そのため、明るさの変化データΔL* がプラスであるかマイナスであるかといった変色の方向性については問題にする必要はなく、変色の大きさ(ΔEab* )だけで退色防止性能(効果)の比較ができる。
実施例1と参考例の結果から、供試した全ての樹種において、3%カテコール水溶液塗布により変色(この場合は退色)が顕著に抑制されていることが認められた。実施例2の結果から、1%カテコール水溶液塗布によって、カバ材とキリ材において4週目までは変色(この場合は退色)が抑制されているが、最終的には抑制効果は十分でないこと、またヒノキに対しては効果がないことが認められた。
〔実施例3〕
ユニオンペイント(株)製硝化綿ラッカー“58−32グレーズラッカーシーラー”100 部に、ヒドロキノン12%酢酸ブチル溶液17部及びラッカーシンナー50部を混合溶解させた塗料を、180 ℃で加熱処理されて成る濃色化カバ材に、刷毛で約80g/m2 塗布、乾燥させた後、南に面した窓辺室内に、窓ガラスから10cm以内に垂直懸架暴露して、試験片表面の色彩変化を測定した。
ユニオンペイント(株)製硝化綿ラッカー“58−32グレーズラッカーシーラー”100 部に、ヒドロキノン12%酢酸ブチル溶液17部及びラッカーシンナー50部を混合溶解させた塗料を、180 ℃で加熱処理されて成る濃色化カバ材に、刷毛で約80g/m2 塗布、乾燥させた後、南に面した窓辺室内に、窓ガラスから10cm以内に垂直懸架暴露して、試験片表面の色彩変化を測定した。
〔比較例3〕
ユニオンペイント(株)製硝化綿ラッカー“58−32グレーズラッカーシーラー”100 部にラッカーシンナー50部を混合溶解させた塗料を用い、実施例3と同様にして試験片を作成し、かつ同様に暴露して色彩変化を測定した。
ユニオンペイント(株)製硝化綿ラッカー“58−32グレーズラッカーシーラー”100 部にラッカーシンナー50部を混合溶解させた塗料を用い、実施例3と同様にして試験片を作成し、かつ同様に暴露して色彩変化を測定した。
〔実施例4〕
日本ペイント(株)製水溶性アクリル樹脂塗料“つや出しニス”100 部に、ヒドロキノン12%酢酸ブチル溶液17部を混合溶解させた塗料を用い、実施例3と同様にして試験片を作成し、かつ同様に暴露して色彩変化を測定した。
日本ペイント(株)製水溶性アクリル樹脂塗料“つや出しニス”100 部に、ヒドロキノン12%酢酸ブチル溶液17部を混合溶解させた塗料を用い、実施例3と同様にして試験片を作成し、かつ同様に暴露して色彩変化を測定した。
〔比較例4〕
日本ペイント(株)製水溶性アクリル樹脂塗料“つや出しニス”を用い、実施例3と同様にして試験片を作成し、かつ同様に暴露して色彩変化を測定した。
日本ペイント(株)製水溶性アクリル樹脂塗料“つや出しニス”を用い、実施例3と同様にして試験片を作成し、かつ同様に暴露して色彩変化を測定した。
〔実施例5〕
カシュー(株)製2液型ポリウレタン樹脂塗料“ストロン24号”のA液50部にヒドロキノン12%酢酸ブチル溶液17部を混合し、更に同塗料B液を50部混合調製した塗料を用い、実施例3と同様にして試験片を作成し、かつ同様に暴露して色彩変化を測定した。
カシュー(株)製2液型ポリウレタン樹脂塗料“ストロン24号”のA液50部にヒドロキノン12%酢酸ブチル溶液17部を混合し、更に同塗料B液を50部混合調製した塗料を用い、実施例3と同様にして試験片を作成し、かつ同様に暴露して色彩変化を測定した。
〔比較例5〕
カシュー(株)製2液型ポリウレタン樹脂塗料“ストロン24号”のA液50部に同塗料B液を50部混合調製した塗料を用い、実施例3と同様にして試験片を作成し、かつ同様に暴露して色彩変化を測定した。
カシュー(株)製2液型ポリウレタン樹脂塗料“ストロン24号”のA液50部に同塗料B液を50部混合調製した塗料を用い、実施例3と同様にして試験片を作成し、かつ同様に暴露して色彩変化を測定した。
上記色彩測定の結果を、表2に示す。変色度はΔEab* で示した。この場合も加熱処理木材であり、全ての試験片において、日光暴露により、明るさの指標であるL* 値の増加、即ち退色だけがおこっており、変色の大きさ(ΔEab* )だけで退色防止性能(効果)の比較ができる。
表2から理解されるように、2%ヒドロキノン含有木工用塗料の塗布により変色(この場合は退色)が顕著にあるいは緩やかに抑制されていることが認められた。
〔実施例6〕
本願発明方法(及びこれに用いる塗料)に関し、染料着色した非加熱木材の退色防止効果を示す実験的事実を以下に述べる。
本願発明方法(及びこれに用いる塗料)に関し、染料着色した非加熱木材の退色防止効果を示す実験的事実を以下に述べる。
幅6cm、長さ15cmのキリ材表面の上半分(面積45cm2 )に、カテコール5%水溶液を約0.2 g刷毛で塗布し乾燥させたのち、和信化学工業(株)製“シークスティン”レッド、ブラック、イエローを各24部、4部、72部づつ混合した着色剤を、カシュー(株)製ウレタンシーラー“ストロン8号ストップシーラー”100 部に対して2.5 部配合して成るカラーシーラーをスプレー塗布した。このようにして作成したキリ材塗装試験片を、南に面した窓辺室内に、窓ガラスから10cm以内に垂直懸架暴露して、ミノルタ製色彩計“CR300 ”を用い表面の色彩変化を測定した。
〔比較例6〕
実施例6に示すキリ材の下半分を用い、カテコール水溶液塗布を省いた以外は、実施例6と同様にして作成した試験片について、同様に窓辺室内に暴露して色彩変化を測定した。
実施例6に示すキリ材の下半分を用い、カテコール水溶液塗布を省いた以外は、実施例6と同様にして作成した試験片について、同様に窓辺室内に暴露して色彩変化を測定した。
表3から理解されるように、実施例6(着色化木材へのカテコール水溶液塗布)においては、比較例6に比べΔEab* 自体も小さいが、ΔL* の増加、即ち明色化が起こっていないことが認められた。
〔実施例7〕
本願発明方法(及びこれに用いる塗料)に関し、染料着色した紙の退色防止効果を示す実験的事実を以下に述べる。
本願発明方法(及びこれに用いる塗料)に関し、染料着色した紙の退色防止効果を示す実験的事実を以下に述べる。
幅5cm、長さ10cmにカットした定性ろ紙に、和信化学工業(株)製“シークスティン”レッド、ブラック、イエローを各24部、4部、72部づつ混合した着色剤をスプレー塗布し、ピロガロール5部をエタノール・水混合溶液100 部に溶かした液に漬け、乾燥後、大谷塗料(株)製アクリルラッカー“No.106光沢仕上用”をスプレー塗布した。このようにして作成したろ紙塗装試験片を、南に面した窓ガラスの内側に貼り付け、ミノルタ製色彩計“CR300 ”を用い、暴露による色彩変化を測定した。
〔比較例7〕
ピロガロール溶液への浸漬を除いて実施例7と同様に作成したろ紙試験片について、色彩変化を測定した。
ピロガロール溶液への浸漬を除いて実施例7と同様に作成したろ紙試験片について、色彩変化を測定した。
表4から理解されるように、実施例7(紙へのピロガロール溶液塗布)においては、退色か濃色化かの方向性にかかわりの無い変色度ΔEab* は大きいものの、ΔL* の低下、即ち濃色化が起こっており、比較例7の明色化に比べ、退色防止効果が表れていることが認められた。
〔実施例8〕
本願発明方法(及びこれに用いる塗料)に関し、染色した布帛の退色防止効果を示す実験的事実を以下に述べる。
本願発明方法(及びこれに用いる塗料)に関し、染色した布帛の退色防止効果を示す実験的事実を以下に述べる。
日本化薬(株)製の直接染料“Kayarus Supra Brown GTL”で染色した綿布を、幅5cm、長さ10cmにカットし、メチルヒドロキノン5部をエタノール・水混合溶液100 部に溶かした液に漬け、乾燥後、大谷塗料(株)製アクリルラッカー“No.106光沢仕上用”をスプレー塗布した。このようにして作成した染色塗装綿布を、南に面した窓ガラスの内側に貼り付け、ミノルタ製色彩計“CR300 ”を用い、暴露による色彩変化を測定した。
〔比較例8〕
メチルヒドロキノン溶液への浸漬を除いて実施例8と同様に作成した試験片について、色彩変化を測定した。
メチルヒドロキノン溶液への浸漬を除いて実施例8と同様に作成した試験片について、色彩変化を測定した。
表5から理解されるように、実施例8(染色綿布へのヒドロキノン溶液塗布)においては、比較例8に比べΔEab* 自体も小さいが、明色化(ΔL* の増加)がほとんど起こっていないことが認められた。
色材表面に対する光による退色防止技術を確立するものであり、とりわけ日光暴露変色が難点とされてきた加熱処理木質材や着色化木質材に対して極めて優れた退色防止効果を奏するものであり、該木質材の利用範囲の拡大を図ることができる点で、産業上有益である。
Claims (7)
- 耐光性に劣る色素を含む色材表面が色褪せ(明色化に同じ。)するのを防止するために、前記色材表面に対して多価フェノール化合物溶液を塗布することを特徴とする退色防止方法。
- 多価フェノール化合物溶液が、ヒドロキノン、カテコール、ピロガロール、レゾルシン、又はこれらの側鎖にアルキル基ないしはハロゲン基を有する誘導体から選択された一又は複数の多価フェノール化合物を水、有機溶剤、混合溶剤、染料液又は塗料に溶解したものである請求項1記載の退色防止方法。
- 色材表面が木質材を加熱処理により濃色化発色した材料表面である請求項1又は2項記載の退色防止方法。
- 色材表面が木質材、金属、プラスチック、繊維、布帛又は紙に透明着色又は染料着色を施した材料表面である請求項1又は2記載の退色防止方法。
- 木質材の退色防止方法において、
加熱処理により濃色化発色した加熱処理木質材、又は透明着色ないしは染料着色を施した着色化木質材に対しておこなう木質材の退色防止方法であって、
前記加熱処理木質材又は着色化木質材の材料表面に対して、ヒドロキノン、カテコール、ピロガロール、レゾルシン、又はこれらの側鎖にアルキル基ないしはハロゲン基を有する誘導体から選択された一又は複数の多価フェノール化合物を水、有機溶剤、混合溶剤、染料液又は木工用塗料に溶解した多価フェノール化合物溶液を塗布することを特徴とする木質材の退色防止方法。 - 耐光性に劣る色素を含む色材表面が色褪せ(明色化に同じ。)するのを防止するために施用する退色防止塗料であって、
ヒドロキノン、カテコール、ピロガロール、レゾルシン、又はこれらの側鎖にアルキル基ないしはハロゲン基を有する誘導体から選択された一又は複数の多価フェノール化合物を水、有機溶剤、混合溶剤、染料液又は塗料に溶解した多価フェノール化合物溶液からなることを特徴とする退色防止塗料。 - 木質材用退色防止塗料において、
耐光性に劣る色素を含む材料表面が色褪せ(明色化に同じ。)するのを防止するために、加熱処理により濃色化発色した加熱処理木質材、又は透明着色ないしは染料着色を施した着色化木質材に対して施用する木質材用退色防止塗料であって、
ヒドロキノン、カテコール、ピロガロール、レゾルシン、又はこれらの側鎖にアルキル基ないしはハロゲン基を有する誘導体から選択された一又は複数の多価フェノール化合物を水、有機溶剤、混合溶剤、染料液又は木工用塗料に溶解した多価フェノール化合物溶液からなることを特徴とする木質材用退色防止塗料。
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JP2006084388A JP2006306056A (ja) | 2005-03-30 | 2006-03-27 | 退色防止方法、木質材の退色防止方法、退色防止塗料及び木質材用退色防止塗料 |
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CN112895043A (zh) * | 2019-12-04 | 2021-06-04 | 安徽德润工艺品有限公司 | 一种防止掉色的杞柳枝条物理染色工艺 |
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2006
- 2006-03-27 JP JP2006084388A patent/JP2006306056A/ja active Pending
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