JP2006290014A - 空間移送システム - Google Patents

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Abstract

【課題】安価で簡便な空中吊り上げ作業が可能な、折畳式低失速速度翼を有する空間移送システムを提供する。
【解決手段】低速で旋回運動を可能にする折畳式低失速速度翼を使用することと翼面荷重を小さくすることで、小さな旋回半径で低速で旋回しても失速しない空間移送システムを実現することで課題解決を図った。これにより折畳式低失速速度翼を有する空中吊上下ロボットを用いて、吊り上げワイヤー長に比して十分小さい半径での旋回による近似的定点滞空を可能にし、かつ大きな吊り上げ荷重を発揮する空中吊り上げ方法が実現できる。空中吊上下ロボットには固定翼を用いるため、安価で単純な構造を持ち、かつ折畳式とすることにより産業で使用する際に高い利便性、経済性を実現する。
【選択図】図12

Description

本発明は、空中で物体を吊り上げる、または吊り下げる方法とそれを可能にする折畳式低失速速度翼を有する空中吊上下ロボットを用いた空間移送システムに関するものである。
交通機関の公共交通機関からパーソナル交通機関への移行は、21世紀に入り国土の狭い日本においても郊外型小売業の展開など住環境構造、社会構造を大きく変化させる要因となっている。しかし、交通機関の公共交通機関からパーソナル交通機関への移行は、まだ陸上交通でのみしか実現していない。これは技術的問題によるもので、十分な技術が整えば、いずれ現在公共交通機関しか存在しない空中交通機関もパーソナル交通機関への移行が確実となる。その技術的問題の解決技術として、特願2003-374911号を出願した。
この技術を応用すると、結果的に空中から物体を吊り上げたり吊り下げたりすることが可能となることから、本願特許の出願に至った。
特願2003−374911号 岩田拡也 著 「空間移動ロボットに関する研究(第1報)」計測自動制御学会 システムインテグレーション部門講演会論文集 2004年
陸上交通機関において、公共交通機関である鉄道とパーソナル交通機関である自動車が、現代では技術的にかなりかけ離れた物となってしまったのと同様、空中交通機関においても、現在の公共交通機関である航空機と次世代のパーソナル交通機関である特願2003-374911号に記載されている空間移動体では技術的に大きくかけ離れたものとなる。
特願2003-374911号に記載されている通り、その技術の一番の特徴は空港や滑走路を使用せず空中において離発着を行う点であるが、そのための空間移動体に要求される技術から、重心位置を半径10m以内に常駐させることが可能となる旋回運動が可能となった。
従来技術の問題点は、現在の空中吊り上げ、吊り下げは高価で維持も大変な回転翼機(ヘリコプター)においてしか実現していない点である。空中吊り上げ、吊り下げ作業は、災害救助時にはその重要性において不可欠なものであるが、それ以外にも簡単に行えると便利な状況や環境は多く存在する。しかし、従来より提案されている各種の技術では、機体自体が高価となり複雑な機械構造によりメンテナンスを含めた維持に多額の費用が必要で、エンジン停止時の安全性確保が困難な回転翼機の実情により、手軽な空中吊り上げ、吊り下げ作業の実現は事実上不可能な状況にある。
したがって本発明は、これまでの回転翼機(ヘリコプター)の使用によりのみ可能であった空中吊り上げ作業を、安価で構造が簡単でメンテナンス性、信頼性も高く、コンパクトで陸上では場所をとらない空間移送システムを提供することにより、安価で簡便な空中吊り上げ吊り下げ作業を可能にすることを主たる目的とする。
本発明は、安価で手軽な空中吊り上げ、吊り下げ作業を可能とするため、安価で構造も単純な固定翼機を使用することを最も主要な特徴とする。そのために解決した技術的課題は、旋回半径を吊り上げ吊り下げワイヤーと比較して近似的に定点とみなせる距離まで短縮することであった。従来の固定翼航空機では速度が高いために、10m以内の旋回半径の実現は不可能であった。この課題を低速で失速しない翼を使用することにより解決した点に特徴がある。そして、この折畳式低失速速度翼を有する空間移送システムによる空中吊り上げにより簡便に安価に空中吊り上げ作業が実現される。
本発明の空中吊り上げ吊り下げ方法は、安価で構造も単純な固定翼機を使用することにより、空中吊り上げ吊り下げ作業を安価に比較的手軽に行うことが可能となり、その装備の維持が安価でエンジン停止時の安全性が確保される利点がある。
空中吊り下げ吊り上げという従来回転翼機(ヘリコプター)でしか実現できていなかった動作を、安価で取扱の簡便な折畳式固定翼を用いて実現した。
図1は、本発明の空中吊り上げ吊り下げの装置とその実施方式の例の説明図である。図1中の1は、本発明による空間移送システムで用いる空中吊上下ロボットを示しており、2は物体を吊り上げ吊り下げする巻き取り式のワイヤー、3は物体を吊り上げ吊り下げるフック、4は空中吊上下ロボットの旋回方向を示している。
図2は、本発明の空中吊り上げ吊り下げ方式の力学的釣り合い状態を示している。1〜4は、図1と同様である。図2中の5は空中吊上下ロボットの折畳式低失速翼が発生する揚力を、6は空中吊上下ロボットの旋回運動による求心力を、7はその両者の合力を示している。また、8は空中吊り上げ吊り下げ荷重による力を、9は旋回運動による遠心力を示しており、10はその両者の合力となっている。空中吊上下ロボットは、求心力6と遠心力9の釣り合いで旋回運動を続け、反重力方向の合力7と重力方向の合力10との釣り合いにより旋回高度を維持する。旋回高度Hと比較して旋回半径Rが十分小さい場合、図2中の角度θは近似的にゼロとみなせる。このことにより、新しい空中吊り上げ吊り下げ方式を可能にする。
図3は、空中吊上下ロボットの説明図である。11は、空中吊上下ロボットを浮遊させるための折畳式低失速速度翼である。12は、空中吊上下ロボットが姿勢を保つために折畳式低失速速度翼を制御する2軸関節機構を示している。13は、空力的にロール姿勢制御を行うためのエルロンである。14は折畳式低失速速度翼と本体を連結するスイングロッド(Swing rod)を示しており、15は噴流式のエンジンを示している。実証実験ではこのエンジンにターボジェットエンジンを用いているが、電動ファンでも、圧縮空気タービンでも本システムは実現可能である。16物体を吊り上げ吊り下げするためのワイヤーを巻き取り、あるいは送り出す機構及びワイヤの張力を計測するトルクセンサとワイヤの送り出し角度を図2のθに調整する機構を示している。17は吊り下げ吊り上げ用ワイヤ、18はその先に吊り上げ吊り下げ時、または始動、格納時のアンカーを中心とする螺旋旋回運動時にフックにかかる力を感知する力センサとバランスさせるための錘、19は吊り上げ吊り下げを行う物体と連結するフックである。
図4は、空中吊上下ロボットの内部構造の説明図である。折畳式低失速速度翼11とスイングロッド14との接点に折畳式低失速速度翼11のロール角とピッチ角を検出する角速度センサ(ジャイロセンサ)と3軸加速度センサ搭載したセンサユニット20があり、その20からの情報をもとに空中吊上下ロボットの姿勢制御を行うユニット21が図4に示されている。21は各種センサからの情報をもとに空中吊上下ロボットの姿勢制御に関する信号処理を行う回路とプログラム格納型マイクロプロセッサ、出力ドライバ回路、遠隔指令用受信機、受信信号処理回路から構成されている。22はバッテリで実施例では48Vで120Wの2軸制御用モータを動作させている。23はターボジェットエンジン用燃料タンクで、2基のエンジン用に独立に2つのタンクを装備している。24は、自律制御動作を行うための位置制御用RTK-GPS受信機、無線通信によるマンマシンインターフェイスを処理するマイクロプロセッサである。
図5は、図3、4の11に示す折畳式低失速速度翼の特徴である折畳機構の説明である。折畳式低失速速度翼は、25の炭素繊維複合材(CFRP)でできた骨格と26に高張力合成繊維でできた表皮材によって構成される。折り畳むことが可能なため、地上での保管、運搬、メンテナンスが容易で安価な利点がある。また、本体のロボットと関節で接続する構造を持つため、本体と翼が分離した構造であるため、翼と本体との境界層による流体の乱れがなく、重心のある翼の中央付近で最大揚力を発生する利点がある。
揚力により飛行する移動体の場合、失速速度の壁があるためむしろ低速での飛行は技術的に困難となる。この課題を解決するために、低速で流体力学的動作を用いない重心の位置制御による飛行安定制御を行う。ロボットの姿勢制御用2軸関節の駆動源であるDCサーボモータは翼と本体を結合するスイングロッドの翼側の根元に取り付けられ、その動力は一段減速歯車を介してスイングロッドに伝えられる。センサとしては、モータ軸にロータリエンコーダ、レートジャイロが存在する。図6は、図5の折畳式低失速速度翼を空中吊上下ロボット本体が2軸関節により姿勢制御を行うメカニズムをロール軸についてモデル化したものである。基本的には振子の運動方程式に振子の支点が大きな空気抵抗を持つ物体により移動することを考慮することとなる。図6では飛行体が外乱Tzを受け水平面とθ1の角度で姿勢が傾き、その姿勢を修正するためにDCサーボモータが働いた場合を示している。
このロール姿勢制御モデルにおいて、機体のロール方向を反時計回りが正となるように方向を定めたときの運動方程式は、図6及び下記の表1の記号を用いて、[数式1][数式2]のようになる。下記の表1には数式の各物理量の実用的な値の例を示す。
この運動方程式は、下記の[数式1][数式2]によって求まるということが数学的にすでにわかっている。下記の表1に数式の各物理量の実用的な値の例を示す。
Figure 2006290014
・・・・[数式1]
Figure 2006290014
・・・・[数式2]
Figure 2006290014
姿勢制御中の機体は翼がほぼ水平でswing rodが垂直に直立した状態となる。実際の機体の傾きは、表1に示した翼と本体の慣性モーメント J1, J2の比較によりθ1で近似できる。また実際の外乱Tzは、通常の場合平均風速2~5m/s程度とシステムに対して相対的に小さい。このとき、θ1は0近傍の値しかとらないため、θ1≒0, sinθ1≒θ1, cosθ1≒1 とおくことにより線形化することが可能となる。そこで、線形制御理論におけるシステム表現をすると、[数式3]のようになる。
Figure 2006290014
・・・・[数式3]
但し、
Figure 2006290014
要素a1a3, b1, b2 は以下のように求められる。
運動方程式[数式1、2]において、次の[数式4]のように表すことができる。
Figure 2006290014
・・・・[数式4]
但し、
Figure 2006290014
翼の空気抗力が非線形なためθ12≒0 の近似により線形制御を行うと、数式4は次の[数式5]に変形できる。
Figure 2006290014
・・・・[数式5]
Figure 2006290014
Figure 2006290014
以上のような線形近似を用いると本システムは可制御であり、4つの状態変数が全てセンシングできるため、状態フィードバックによって安定化することが可能となる。
空中吊り上げ吊り下げ能力は、飛行体である空中吊上下ロボットの上昇性能に律則して決定される。本実施例の場合、図3、4の空中吊上下ロボットに搭載されている2基のターボジェットエンジンの推力を、静止推力において合計400Nとしたが、以下の実施例ではこの出力から安全マージンを取った推力値が採用されている。この推力の速度依存性と折畳式低失速速度翼の揚力抗力比の速度依存性から必要推力曲線が算出される。
計算で使用する以下の3種類の折畳式低失速速度翼を用いた結果を示す。
F195型 (運用速度範囲24 60km/h)
US147型 (運用速度範囲28 80km/h)
EXT160型 (運用速度範囲28 110km/h)
それぞれの折畳式低失速速度翼の必要推力曲線を図7に示す。必要推力曲線は、以下のように求められる。
揚力、抗力、水平飛行に必要な推力、重力をそれぞれL、D、T、Wとすると、
D=CD(1/2)ρV2S=Tr ・・・・[数式6]
L=CL(1/2)ρV2S=W ・・・・[数式7]
の関係が成り立つ。ρは大気密度、Vは対気速度、Sは翼面積、CDは抗力係数、CLは揚力係数である。 上記[数式6、7]より、Tr =W/(CL / CD)の関係が成り立ち、実測の揚力抗力比曲線から図7が得られる。
次に図7の必要推力曲線を元に上昇率と上昇角を計算する。上昇率ωは、対気速度Vと上昇角θとの間に、ω=Vsinθ、L=Wsinθの関係が成り立っている。機体に備わっている推力をTaとすると、
(Ta -D)V = WVsinθ ・・・・[数式8]
となり、ωは、
ω=(Ta -D)V/W ・・・・[数式9]
と上昇率の対気速度依存性が計算でき、図7が得られ、θの対気速度依存性から図7が得られる。 この結果から図8の最大上昇率速度と図9の最大上昇角速度が異なっていることが分かる。最大上昇率を発揮する速度は、翼が滑空する際の最良滑空速度に対応し、最大上昇角を発揮する速度は、翼が滑空する際の最小沈下速度に対応することから、空中吊り上げを行う際には折畳式低失速速度翼の迎角を上げて旋回速度を下げた吊り上げと、折畳式低失速速度翼の迎角を必要最小として旋回速度を上げた吊り上げの双方にそれぞれエンジンの出力を加味した設定を使用状況に応じて使用者が選択し本発明の空中吊り上げ吊り下げシステムは使用することになる。
実際の空中吊上下ロボットの旋回速度と吊り上げ荷重の関係を図10に示す。折畳式低失速速度翼の最大効率を発揮する対気速度点において、吊り上げ荷重の最大値を示す特性を本発明の空中吊り上げシステムは有している。図10は、EXT160型折畳式低失速速度翼の空中吊上下ロボットの場合、表1の通り全装備重量が僅か138kgの空中吊上下ロボットで最大472kgの吊り上げ荷重を発揮することを示している。
比較のため従来のヘリコプターの吊り上げ能力との比較を行う。下記の例は、福島県消防防災ヘリコプター「ふくしま」の例であるが、吊り上げ能力のみを見ると、272.2kgで上記で述べた本発明の最大吊り上げ荷重472kgに遠く及ばない。全備重量は、5398kgと138kgの差があるにもかかわらずである。これは本発明が空中吊り上げに特化したロボットであるためでもあるが、この比較は本発明の有効性を示す結果となっている。
Figure 2006290014
空中吊り上げ荷重に対する吊り上げ速度の関係を示したのが図11である。これは推力最大時の特性を示しているため、それぞれの吊り上げ速度から吊り上げ速度ゼロまでは推力を減少させることにより網羅可能であることを示している。上記で述べたとおり、折畳式低失速速度翼の特性から同じ上昇速度を発揮する点が異なる2点の旋回速度から得られるため、図11の吊り上げ速度曲線は、最大吊り上げ荷重点を除き各々の吊り上げ荷重点において2点の吊り上げ速度を有する特性を持つ。図11の曲線に囲まれた範囲はもちろん、曲線の示す吊り上げ速度以下の値は全てエンジン出力を下げることにより達成可能な範囲となっている。このことは、本発明の空中吊り上げシステムは、吊り上げロボットの有する折畳式低失速速度翼の迎角とエンジン出力の調整により、最大吊り上げ荷重以下の範囲内で自由に物体を空中に吊り上げかつ吊り下げることが可能であることを示している。
図12は空中吊上下ロボットの始動動作及び格納動作を説明した図である。空中吊上下ロボットの翼は折畳翼であるため、小型トラック27で運搬が可能であり、これにより作業現場28に搬入される。地上に空中吊上下ロボット29を置き、アンカー30を地中に打ち込み空中吊上下ロボットのフックをかける場所を地表に固定する。固定したアンカーに空中吊上下ロボットのフックをかけて、風上に向け空中吊上下ロボットを設置し、システムを始動する。始動後、ロボットは折畳翼を展開しエンジンを始動した後、アンカーを中心に周回しながら螺旋状に上昇する。周囲の地形的な問題や状況で直線上昇の方が安全性が高い場合などは状況に応じて空中吊上下ロボットの上昇は、ワイヤーをたるませた状態やワイヤーとアンカーの接続を切った状態でも行われる。この場合は、空中吊上下ロボットが一定高度旋回に入ったところでワイヤーを降下させ、アンカーと接続する。十分な高度に達したところで、フックの力センサー及びワイヤ巻き取り機のトルクセンサからの信号が小さくなるように、翼の迎角とエンジン出力を調整し旋回速度を決定し、フックが上下方向につりあいが取れる状態すなわちアンカーを引く張力がゼロとなる状態にしてから玉掛け作業を行う。フックは空中に完全には静止しないが上下方向に力がかからない状態であるため、手動でアンカーからフックをはずし玉掛け作業を行うことができる。この状態をReady状態またはスタンバイ状態とする。
周囲の地形的な問題や状況で直線上昇の方が、安全性が高い場合などは状況に応じて空中吊上下ロボットの上昇は、ワイヤーをたるませた状態やワイヤーとアンカーの接続を切った状態でも行われる。この場合は、空中吊上下ロボットが一定高度旋回に入ったところでワイヤーを降下させ、アンカーと接続する。
作業終了後は、始動時と同じくアンカーにフックをかけ、エンジン出力を減少させながら、螺旋状に降下する。着地後、翼が折り畳まれて、空中吊上下ロボットの動作は終了する。エンジンの自動冷却作業の後、小型トラックに空中吊上下ロボットを積載し搬出を行うことで一連の空中吊り上げ吊り下げ作業は終了する。
周囲の地形的な問題や状況で直線降下の方が、安全性が高い場合などは状況に応じて空中吊上下ロボットの降下は、ワイヤーをたるませた状態やワイヤーとアンカーの接続を切った状態でも行われる。
アンカーを別な場所に設置しその位置情報を空中吊上下ロボットにネットワークを介して入力すれば、2地点間の吊荷の運搬も可能である。
図13は、本発明の空中吊上下法の玉掛け作業の様子を説明する図である。フックは、アンカー用と吊荷用の2つが装備され、常にいずれか1つがアンカー又は吊荷31に連結されている状態で運用される。アンカー用と吊荷用のフックは、分岐器32から2つに分かれ、アブソーバ33を介してフックに接続されている。
また、吊荷の移動が近距離で移動精度が要求される場合、高い安全性が確保される必要のある場合には、アンカーと吊荷の両方にフックが接続された状態で使用すると、ワイヤークレーンとしての使用が可能となる。その場合の空中吊上下ロボットの旋回中心は、分岐器32の上空となる。
図14は、図10に示したような大きな吊り上げ可能荷重が得られている理由を説明した図である。原理的には、本発明の方法は、図14に示すとおり回転翼機ヘリコプターのローターの1本を固定翼機に置き換えたものである。この置き換えられた固定翼は、前記表1に示すとおり全幅10mにもなるため、図14の34に示される長さはおおよそ30m近くに達し、周速度、翼形、回転軸付近の相違を考慮に入れてもかなり大型のヘリコプタと等価になると考えられる。実際には現在のヘリコプターは図14の34以下のローター径で図10の最大値を超える吊り下げ能力を持つ。以下に大型ヘリコプターの実例を挙げる。
型式・製造者 ユーロコプター式AS332L-2型、ユーロコプタフランス社
発動機(エンジン) シルボメカ式マキラ1A2型を2基装備
最大出力(馬力) 1845馬力(エンジン1基あたり)×2
寸法
1.全長(ローター回転時) 19.50m
2.メインローター径 16.20m
3.全高(タールローター回転時) 4.97m
4.機体幅 3.38m
5.ロータヘッド高さ 4.60m
搭乗者数 20名(最大)
操縦士2名、整備士1名、カメラオペレーター1名、乗客16名
機体重量
最少運用重量 6,370KG
最大離陸重量 9,300KG
機外吊り下げ時 10,500KG
燃料搭載量
標準時(機内タンク) 2,367リッター(約3時間15分飛行可能)
最大時(含む機外) 3,003リッター(約3時間50分飛行可能)
速度
最大時 315km/h(170ノット)
巡航時 230km/h(130ノット)
運用最大高度 6,000m
上記実例の大型ヘリコプターの場合、ローター径16.2mで吊り下げ能力10500kgを有する。ただし、機体の重量とエンジン出力は桁違いである。
本発明の効率的な点は、図14に示すとおり、ヘリコプターのローターのみを使用していることと等価であり、その分だけ無駄がなく効率的であることが特徴である。
ただし、荷重能力を上げようとすると、旋回の周速度を上げる必要があり、周速度が上昇すると旋回半径が大きくなるため高度を上げワイヤー長を伸ばさなくてはならなくなり、運用が困難となる。本実施例では、旋回速度が40km/h程度が実際の運用条件であり、この条件では最大吊り上げ荷重は300kg程度、最大吊り上げ速度3km/h程度であった。
これまでの回転翼機(ヘリコプター)の使用によりのみ可能であった空中吊り上げ作業を、安価で構造が簡単でメンテナンス性、信頼性も高く、コンパクトで陸上では場所をとらない空間移送システムが可能にすることで、安価で簡便な空中吊り上げ吊り下げ作業を可能にすることから、建築、建設のみならず、運輸、運搬、配送など様々な産業ニーズに応える用途に適用できる。
空中吊上吊下の実施方法を示した説明図である。 空中吊上吊下実施時の力学的釣り合いを示した説明図である。 空中吊上吊下の実施を行う空中吊上吊下ロボットの説明図である。 空中吊上吊下の実施を行う空中吊上吊下ロボットの内部構造説明図である。 空中吊上下ロボットの折畳式低失速速度翼の説明図である。 空中吊上下ロボットの姿勢制御を示した説明図である。 空中吊上下ロボットの必要推力曲線を示した図である。 空中吊上下ロボットの上昇速度の旋回速度依存性を示した図である。 空中吊上下ロボットの上昇角度の旋回速度依存性を示した図である。 吊り上げ可能重量での旋回速度依存性を示した図である。 吊上速度の吊り上げ可能重量依存性を示した図である。 空中吊上下ロボットの始動、格納動作を示した図である。 空中吊上げ下げ時の玉掛け作業を示した図である。 空中吊上下ロボットの原理を示した図である。
符号の説明
1 空中吊上下ロボット
2 吊り上げ吊り下げ用巻き取り式ワイヤー
3 吊り上げ吊り下げ用フック
4 旋回方向
5 揚力
6 旋回運動による求心力
7 5と6合力
8 吊上吊下荷重
9 遠心力
10 8と9の合力
11 低失速翼
12 重心移動姿勢制御関節機構
13 エルロン
14 スイングロッド(Swing rod)
15 エンジン
16 ワイヤー巻取り送り出し装置
17 ワイヤー
18 フック用バランスウェイト
19 フック
20 ジャイロセンサ、加速度センサ
21 姿勢制御用マイクロプロセッサ、モータドライバ、信号処理回路
22 バッテリ
23 燃料
24 自律制御動作用マイクロプロセッサ
25 炭素繊維複合材
26 高張力合成繊維
27 空中吊上下ロボット運搬用小型トラック
28 空中吊上下作業現場
29 空中吊上下ロボット
30 アンカー
31 吊荷
32 吊り下げワイヤー分岐器
33 アブソーバ

Claims (11)

  1. 回転翼機を用いず固定翼機を用いて、空中吊り上げ及び空中吊り下げを実施することを特徴とした空間移送システム。
  2. 回転翼機を用いず折畳式低失速速度翼を有する空中吊上下ロボットを用いて、空中吊り上げを実施することを特徴とした空間移送システム。
  3. 回転翼機を用いず折畳式低失速速度翼を有する空中吊上下ロボットを用いて、空中吊り下げを実施することを特徴とした空間移送システム。
  4. 折畳式低失速速度翼を有する空中吊上下ロボットの旋回による周回運動の周回半径を小さくすることで、近似的定点滞空を可能にし空中吊り上げを可能にする空間移送システム。
  5. 折畳式低失速速度翼を有する空中吊上下ロボットの旋回による周回運動の周回半径を小さくすることで、近似的定点滞空を可能にし空中吊り下げを可能にする空間移送システム。
  6. 折畳式低失速速度翼を有する空中吊上下ロボットの旋回による周回運動の周回半径が小さく、吊り上げワイヤーが長いため、近似的に吊り上げワイヤー先端のフックが定点に固定可能となるために可能となる空間移送システム。
  7. 折畳式低失速速度翼を有する空中吊上下ロボットの旋回による周回運動の周回半径が小さく、吊り下げワイヤーが長いため、近似的に吊り下げワイヤー先端のフックが定点に固定可能となるために可能となる空間移送システム。
  8. 旋回による周回運動の周回半径を小さくすることにより、近似的に定点滞空を可能にする固定翼機を備えた空間移送システム。
  9. 旋回による周回運動の周回半径を小さくすることにより、近似的に定点滞空を可能にする折畳式低失速速度翼を有する空間移送システム。
  10. 吊り上げを行う折畳式低失速速度翼を有する空中吊上下ロボットの旋回による周回半径と比較して近似的に十分長いワイヤーを使用した空中吊り上げにおいて、空中に吊り上げて安全な高度に達してから前方への推進と共にワイヤーの巻取りを行う空間移送システム。
  11. 吊り下げを行う折畳式低失速速度翼を有する空中吊上下ロボットの旋回による周回半径と比較して近似的に十分長いワイヤーを使用した空中吊り下げにおいて、安全な高度で旋回による周回運動に入ると同時にワイヤーを伸ばし、吊り下げ物体が十分定点滞空を行う状態に到達してから高度を下げて、吊り下げている物体を地上に降ろすことを特徴とした空間移送システム。
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