JP2006280952A - 中足骨固定板 - Google Patents

Abstract

【課題】中足骨の外科的治療に使用可能な固定器具を提供する。
【解決手段】中足骨の骨分節を整復する固定器具が、中足骨の骨頭と骨底との間の中足骨体と全体として同形であるような寸法形状の固定板１０を有する。板は、骨底側端部１５よりも幅の広い骨頭側端部１４を有すると共に湾曲した側縁２０，２１を有し、これら側縁は、２つの端部１４，１５相互間で次第にテーパしていて、２つの端部１４，１５相互間にいずれの端部よりも幅の狭いくびれ部分を生じさせている。板のプロフィールは、板をその幅全体にわたって且つ板の全長に沿って湾曲させると共に板を約０．９ｍｍの最小厚さで形成することによって、一段と減少している。板は、板の長さおよび幅全体にわたり互い違いに配列された複数個のねじ穴２５を備えている。
【選択図】図１

Description

開示の内容

〔発明の背景〕
本発明は、骨折の整復、外反母趾矯正およびこれらに類似した外科的手技のための足の中足骨の固定に用いられる板に関する。

外反母趾変形は、腱膜瘤と呼ばれることが多い非常によく見られる足の疾患である。この変形をもたらす最も一般的な原因は、正しくないまたは合っていない履物である。ただし、実際には、他の生体力学的要因、外傷性要因および代謝性要因がこの状態の病因である可能性が高いことがある。外反母趾変形は、第１中足骨の内側偏位ならびに母指の外側変位および（または）軸転として現れる。この病態により、関節の運動に痛みが伴う場合があり、靴を履くのが困難になる場合があり、しかも歩きぶりを調節するようになる場合があり、これにより最終的には、脚の更に上方まで問題が生じる場合がある。軽微な症例では、装具学的手法により、変形を軽減できるが、矯正をすることはできない。

外反母趾変形の治療の外科的取り組みの目的は、症状および痛みを緩和し、機能を復元させ、変形を矯正しまたは整復することにある。幾つかの適応に関しては、外科的治療は、腱膜瘤の隆起を減少させるための中足骨の内側部分の除去に限定される。重症度の高い症例または老人患者の場合、インプラントを用いまたは用いない中足趾（ＭＴＰ）関節の切除的関節形成術または関節固定術が適応とされる場合がある。ただし、これら手技の結果として、その関節のところの動きが失われることになる。

外反母趾症例の大部分では、楔状骨、中足骨および指節骨に関連した構造的変形を矯正する骨切り術が行われる。骨切り術は、関連の軟骨および靱帯の適応的変化に取り組む外側解離および嚢縫合によって行われる場合が多い。その目的は、中足骨およびＭＴＰ関節をこれらの最適な解剖学的位置に戻し、許容限度内の外反母趾、中足骨間角度および遠位中足骨角度を復元することにある。指節骨および楔状骨骨切り術が実施されているが、広く行われている手技では、楔状部を中骨の遠位端または骨頭端から除去する。軽度の変形の矯正には山形骨切り術が用いられるのが一般的であり、中等度の変形には、ミッチェルの横骨切り術（Mitchell's transverse osteotomies）が用いられる。より深刻な症例では、通常、横方向平面におけるＺ字形骨切り術が中足骨頭から中足骨底まで及ぶスカーフの骨切り術（Scarf osteotomy）が必要である。変形の性状に応じて、骨切り術は、骨の除去（閉鎖楔状骨切り術）または骨の楔状部の挿入（開放楔状骨切り術）を必要とする場合がある。

これら骨切り術の全てにおいて、骨分節の堅固な固定は、完全な癒合を達成する上で必要不可欠である。同じことは、中足の骨折の整復にも当てはまる。中足骨骨折は、比較的よく見られる状態であり、不完全な分離から、変位を伴う完全な分離、そして重度の粉砕まで重症度が様々である。

従来、中足骨破損を矯正する典型的な外科的手法の１つは、骨分節から骨分節まで延びる骨ねじを用いて骨セグメントを固定することであった。他の手法としては、締結ワイヤの使用、Kワイヤによる内側髄内釘止めおよびモノフィラメントワイヤ固定法が挙げられる。或る幾つかの場合には、平らな板が骨折部または骨切り術用開口部を跨いだ状態で骨に取り付けられる。これら平らな板は典型的には、中足長骨の単純骨折のための軸方向圧迫をもたらすことに限定される。

中足骨、特に第１中足骨の外科的治療に使用できる固定器具が要望されている。この要望は、更に、骨折部または骨切り部を正確に整復し、癒合が生じるまで整復状態を維持する固定器具に及ぶ。

〔発明の概要〕
中足骨の整復に用いられる固定器具の要望に取り組むため、本発明は、中足骨の骨頭と骨底との間の中足骨の骨体に全体として合致するような寸法形状の固定板を提供する。この固定板は、骨底側端部よりも幅の広い骨頭側端部を有すると共に湾曲した側縁を有し、これら側縁は、２つの端部相互間で次第にテーパしている。本発明の一特徴では、側縁は、２つの端部相互間にいずれの端部よりも幅の狭いくびれ部分を生じさせるよう湾曲している。この輪郭により、固定板の全体的プロフィール（側面高さ）が減少する。

固定板のプロフィールは、固定板をその幅全体にわたって且つ板の全長に沿って湾曲させることによって一段と減少する。曲率は、中足骨の骨体の形状に一致する。板の隆起を減少させるもう１つの特徴は、好ましい実施形態では、板の最小厚さが約０．９ｍｍであるということである。

本発明の重要な特徴では、固定板は、固定板の長さおよび幅全体にわたり互い違いに配列された複数個のねじ穴を備える。好ましい実施形態では、外科医が板を骨に最適に固定するために骨ねじの本数、組合せおよび配設場所を選択できるよう１２個のねじ穴が設けられている。さらに、本発明の固定板に設けられたねじ穴のアレイにより、外科医は、骨ねじが骨折部または楔状骨切り部を整復するのに最も必要な場所に骨ねじを位置決めすることができる。

ねじ穴は、骨内での骨ねじのかち合いを回避するよう互い違いに配列されている。別の特徴では、ねじ穴は、種々の寸法の骨ねじを受け入れるよう円周方向面取り部を有する。

本発明の固定板の一利点は、骨折部を整復し、癒合が生じるまでこの整復状態を維持するためにねじ配設場所に関する大幅な融通性を外科医に与えるということにある。もう１つの利点は、板が骨よりも上の隆起またはプロフィールは最小限度であり、これにより、軟組織外傷が減少し、しかも、患者の足指の中に板のあることが目に見えるということが最小限に抑えられるということにある。本発明の上記利点および目的ならびに他の利点および目的は、添付の図面と共に以下の説明を読むと理解できる。

〔好ましい実施形態の説明〕
次に、本発明の原理の理解を促進する目的で、図面に示されていて以下の明細書において説明される実施形態を参照する。言うまでもないが、それにより本発明の範囲の限定を意図しているわけではない。さらに、本発明は、図示の実施形態の変形例および改造例を含み、また、当業者にとって通常思いつく本発明の原理の別の用途を含むものである。

足の第１指列が図１に示されており、本発明の一実施形態の板１０がこれに取り付けられている。第１足指列は、楔状骨、中足骨および指節骨を有する。板１０は、好ましくは中足骨の骨頭と骨底との間の中足骨の骨体の骨折部または骨分節を整復するよう形作られている。

図２〜図４を参照すると、板１０の特定の細部が示されている。板１０は、上面１１および中足骨の骨体に実質的に面一をなして取り付けられるよう形作られた下面１２を有している。特に、下面１２は、中足骨のアールとほぼ同じアールに形成されている。特定の実施形態では、アールは、約１５．０ｍｍである。骨の上の板の隆起を一段と減少させるため、板は、上面１１と下面１２との間に実質的に一様な厚さを有し、この厚さは、板の強度を損なうことなく最小限に抑えられている。特定の実施形態では、１．０ｍｍ未満、好ましくは約０．９ｍｍの厚さが骨の上で最小限のプロフィール（側面高さ）をもたらす一方で、整復し、癒合が骨内で生じるためにこの整復状態を維持するのに充分な強度を保持することが判明した。板の曲率（図３に最もよく示されている）は、板の曲げ剛性を増大させる。好ましい実施形態では、板は、生体適合性金属、例えばチタンで作られている。特定の実施形態では、板は、チタン合金、例えばＴＩ−６ＡＬ−４Ｖで作られている。

板１０は、中足骨の骨頭よりも骨底の方が幅の狭い中足骨の幾何学的形状に全体として一致するよう骨底側端部１５よりも幅の広い骨頭側端部１４を有している。好ましい実施形態では、骨頭側縁１７の幅は、約２１．０ｍｍであり、骨底側縁１８の幅は、約１４．０ｍｍである。

２つの端縁１７，１８相互間の板１０の隆起は、側縁２０，２１を湾曲させることにより最小限に抑えられている。具体的に言えば、端縁は、板が骨底側端縁１８の幅よりも小さな幅を有するくびれ領域１９を有するよう大きなアールで湾曲している。特定の実施形態では、側縁は、中足骨の骨体の幾何学的形状に酷似するよう互いに異なるアールで湾曲している。特定の実施形態では、図１において内側縁である側縁２０は、約４３．０ｍｍのアールで湾曲している。反対側の側縁２１、即ち、外側縁は、内側縁のアールの２倍よりも大きなアールで湾曲している。特定の実施形態では、外側縁２１は、約９０．０ｍｍのアールで湾曲している。２つの側縁が湾曲している結果として、くびれ領域のところの板幅は、約１２．０ｍｍとなる。

図２で理解できるように、端縁１７，１８および側縁２０，２１相互間の板のコーナ部は、好ましくは約３．８ｍｍのアールで湾曲している。加うるに、板１０の縁の全ては、上面１１と下面１２との間の厚さ全体にわたり湾曲している。これら丸くなったコーナ部および縁は、中足骨の周りの軟組織に対する外傷を軽減させる。

本発明の一特徴によれば、板１０を貫通して複数個の穴２５が設けられ、これら穴は、骨係合締結具、例えば骨ねじを受け入れるよう形作られている。これら穴は、非戻り止めねじまたは戻り止めねじを受け入れるよう形作られたものであってもよい。後者の場合、穴２５は、止めねじにとって許容できる従来の角度（例えば１２°）でテーパしたものであるのがよい。

好ましい実施形態では、各穴２５は、この穴が種々の寸法のねじを受け入れることができるようにする円周方向面取り部２６を有している。特定の実施形態では、穴２５は、板１０を骨に固定するために２．７ｍｍまたは３．５ｍｍの皮質性止めねじまたは皮質性非止めねじを受け入れることができる。

板１０の別の特徴では、ねじ穴２５は、板の幅全体および長さ全体にわたり互い違いに（千鳥状に）配列されている。ねじ穴のこのパターンにより、顕著な利点が得られる。一利点は、板が板の多用性を広げるよう数個のねじ穴を有することができるということにある。好ましい実施形態では、第１中足骨用の板１０は、外科医が選択できる１２個のねじ穴を有する。治療対象の変形が中足骨の骨折である場合、外科医は、骨折部の各側で２本以上のねじの幾つかの組合せの中から選択することができる。中足骨が多数の骨折部を有している場合、多数個のねじ穴は事実上、全ての骨分節を整復して癒合が生じるまで固定できるようにする。中足骨の骨頭のところの楔状骨切り部が整復されている場合、ねじを板の骨底側端部１５のところの１対のねじ穴のところに配置するのがよく、そして、骨切り術の実施位置および種類に応じて骨頭側端部１４のところで任意の数の骨位置を選択するのがよい。

ねじ穴２５を板１０に上記のように配列して得られるもう１つの利点は、たとえ骨ねじが全てのねじ穴２５に打ち込まれても、２本のねじが中足骨内でかち合うことが無いということにある。板の曲率は上述した利点をもたらすが、この曲率は、隣り合うねじ相互間のかち合いの恐れを生じさせる。ねじ穴を図２に示すように互い違いに配列することにより、かかるかち合いの恐れが無くなる。本発明の好ましい実施形態では、骨頭側端部１４および骨底側端部１５のところのねじの対は、これらねじの対が骨内での接触を回避するのに充分な幅だけ分離しているので、横方向に整列することができる。板１０の内側長さ方向に沿う残りのねじ穴のうち内側縁２０に隣接して位置するねじ穴は好ましくは、側縁２１に隣接したねじ穴に対して約３．０ｍｍだけ互い違いに配列されている。

本発明を図面に示すと共に上記説明において詳細に説明したが、本発明は、例示として解されるべきであって、本質において限定されるべきではない。好ましい実施形態だけが提供されており、本発明の精神に属する全ての変更、改造および別の用途は、保護が望まれている。

〔実施態様〕
（１） 中足骨の骨分節を整復する固定器具において、
骨頭側端部と骨底側端部を備えていて、前記骨頭側端部のところの幅が前記骨底側端部のところの幅よりも大きな細長い板を有し、
前記板は、前記骨頭側端部と前記骨底側端部との間で互いに反対側に位置する湾曲した側縁を更に有し、該側縁は、前記骨頭側端部と前記骨底側端部との間に前記板のくびれ部分を生じさせるよう湾曲しており、該くびれ部分は、前記頭底側端部の幅よりも小さな幅を有し、
前記板は、前記骨頭側端部および前記骨底側端部の各々のところに位置する１対の穴および前記骨頭側端部と前記骨底側端部との間に位置する複数個の穴を更に画定している、固定器具。
（２） 実施態様１記載の固定器具において、
前記複数個の穴は、互いに対して互い違いに配列されている、固定器具。
（３） 実施態様２記載の固定器具において、
前記複数個の穴は、前記側縁のうちの一方に隣接して位置する第１の群をなす穴と、前記側縁のうちの反対側の側縁に隣接して位置し、前記第１の穴群に対して互い違いに配列された第２の群をなす穴とを含む、固定器具。
（４） 実施態様３記載の固定器具において、
前記第１の穴群および前記第２の穴群は各々、少なくとも２つの穴を含む、固定器具。
（５）実施態様１記載の固定器具において、
前記細長い板は、前記側縁相互間で該板の長さに沿って実質的に一様に湾曲している、固定器具。
（６） 実施態様１記載の固定器具において、
前記穴のうち少なくとも幾つかは、前記穴がサイズの異なるねじを挿通して受け入れるように形作られた円周方向面取り部を含む、固定器具。
（７） 実施態様１記載の固定器具において、
前記板の厚さは、ほぼ１ｍｍ未満である、固定器具。
（８） 実施態様１記載の固定器具において、
前記側縁のうちの一方は、第１のアールで湾曲し、前記側縁のうちの反対側の側縁は、前記第１のアールよりも大きな第２のアールで湾曲している、固定器具。

本発明の一実施形態の固定板が取り付けられた中足骨および指節骨を含む足の第１足指列の拡大図である。 図１に示す固定板の平面図である。 図２の固定板の端面図である。 図２の固定板の側面図である。

符号の説明

１０ 板（固定板）
１１ 上面
１２ 下面
１４ 骨頭側端部
１５ 骨底側端部
１７ 骨頭側縁
１８ 骨底側縁
２０，２１ 側縁
２５ 穴
２６ 面取り部

Claims (8)

1. 中足骨の骨分節を整復する固定器具において、
   骨頭側端部と骨底側端部を備えていて、前記骨頭側端部における幅が前記骨底側端部における幅よりも大きな細長い板を有し、
   前記板は、前記骨頭側端部と前記骨底側端部との間で互いに反対側に位置する湾曲した側縁を更に有し、該側縁は、前記骨頭側端部と前記骨底側端部との間に前記板のくびれ部分を生じさせるよう湾曲しており、該くびれ部分は、前記頭底側端部の幅よりも小さな幅を有し、
   前記板は、前記骨頭側端部および前記骨底側端部の各々のところに位置する１対の穴および前記骨頭側端部と前記骨底側端部との間に位置する複数個の穴を更に画定している、
   固定器具。
2. 請求項１記載の固定器具において、
   前記複数個の穴は、互いに対して互い違いに配列されている、固定器具。
3. 請求項２記載の固定器具において、
   前記複数個の穴は、前記側縁のうちの一方に隣接して位置する第１の群をなす穴と、前記側縁のうちの反対側の側縁に隣接して位置し、前記第１の穴群に対して互い違いに配列された第２の群をなす穴とを含む、固定器具。
4. 請求項３記載の固定器具において、
   前記第１の穴群および前記第２の穴群は各々、少なくとも２つの穴を含む、固定器具。
5. 請求項１記載の固定器具において、
   前記細長い板は、前記側縁相互間で該板の長さに沿って実質的に一様に湾曲している、固定器具。
6. 請求項１記載の固定器具において、
   前記穴のうち少なくとも幾つかは、前記穴がサイズの異なるねじを挿通して受け入れるように形作られた円周方向面取り部を含む、固定器具。
7. 請求項１記載の固定器具において、
   前記板の厚さは、ほぼ１ｍｍ未満である、固定器具。
8. 請求項１記載の固定器具において、
   前記側縁のうちの一方は、第１のアールで湾曲し、前記側縁のうちの反対側の側縁は、前記第１のアールよりも大きな第２のアールで湾曲している、固定器具。
   

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