JP2006263113A - 驚愕反応減衰現象測定装置並びに驚愕反応減衰現象測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 より実用的な驚愕反応減衰現象測定方法を提供すること。
【解決手段】 驚愕刺激音のみと、該驚愕刺激よりも弱い事前刺激音を有する驚愕刺激音とを個別に被験者に印加し、驚愕刺激音のみを印加したときにおいて被検者が感じた音の大きさレベルである基準レベルと、事前刺激音を有する驚愕刺激音を印加したときにおいて被検者が感じた音の大きさレベルである対象レベルとを受付け、該受付けた基準レベルと対象レベルとから該被検者における驚愕反応減衰現象を測定する驚愕反応減衰現象測定方法において、前記驚愕刺激音並びに前記事前刺激音を有する驚愕刺激音を被検者に印加する前に、被検者が音の大きさレベルを評価する際の目安となる所定の大きさレベルの参照音を被検者に印加する。
【選択図】 図5
【解決手段】 驚愕刺激音のみと、該驚愕刺激よりも弱い事前刺激音を有する驚愕刺激音とを個別に被験者に印加し、驚愕刺激音のみを印加したときにおいて被検者が感じた音の大きさレベルである基準レベルと、事前刺激音を有する驚愕刺激音を印加したときにおいて被検者が感じた音の大きさレベルである対象レベルとを受付け、該受付けた基準レベルと対象レベルとから該被検者における驚愕反応減衰現象を測定する驚愕反応減衰現象測定方法において、前記驚愕刺激音並びに前記事前刺激音を有する驚愕刺激音を被検者に印加する前に、被検者が音の大きさレベルを評価する際の目安となる所定の大きさレベルの参照音を被検者に印加する。
【選択図】 図5
Description
本発明は、統合失調症(精神分裂病)患者において減衰することが知られている驚愕反応減衰現象(PPI;prepulse inhibition )を簡便に測定するための驚愕反応減衰現象測定装置並びに驚愕反応減衰現象測定方法に関する。
統合失調症(精神分裂病)を始めとする幾つかの精神神経科的疾患は、脳内情報処理過程の異常が想定されている。この脳内情報処理過程を操作的に測定する方法は、幾つかの方法が開発されており、驚愕反応におけるプレパルスインヒビション(PPI)は、代表的な方法のひとつである。PPIとは、突然の強力で短い感覚刺激の提示(印加)によって引き起こされる驚愕反応が、その感覚刺激(驚愕刺激)の30から500ミリ秒の直前に、それ自体では驚愕反応を引き起こさないような驚愕刺激よりも弱い感覚刺激(プレパルス)を提示(印加)することで、驚愕反応の運動出力強度自体が減弱する現象である。PPIは、統合失調症(精神分裂病)での障害が確認されており、情報処理過程を保護するために備わった前注意的、自動的、不随意的なフィルタリング機能の障害を示唆していると考えられており、その思考障害の程度等と相関する。PPIを測定して、PPIの障害の有無等を把握することで、統合失調症(精神分裂病)の診断や病状の度合いの判断に資することが可能である。
従来、これら驚愕反応減衰現象測定装置としては、驚愕刺激として音(驚愕刺激音)を使用し、これら驚愕刺激音(パルス音)のみと、プレパルス音(事前刺激音)を有する驚愕刺激音(パルス音)とを組み合わせて被検者(患者)に聴取させる。前述したPPIは、この時惹起される運動出力となる眼輪筋の筋電図を測定することで、運動出力の強度を測定し、驚愕反応の度合いを測定する。また、PPIと類似したパラダイムを用いて特定の脳波であるP50事象関連電位を測定する方法もある。
しかしながら、これら驚愕反応減衰現象測定装置は、特定の脳波を測定するための装置や、眼輪筋の筋電図を測定するための装置を備える必要があり、装置自体が非常に大がかりで複雑なものとなるとともに、非常に高価なのものであることから、臨床現場においては殆ど導入されていない。
このため、これら驚愕刺激音を使用したPPIにおいては、被検者が驚愕刺激音(パルス音)に対して感じる音の大きさ、つまり、被検者により“主観的に知覚された音の大きさ”も減弱すること(これをPPI−PSI (perceived stimulus intensity) という)が知られており、このPPI−PSIを利用して、従来の驚愕反応減衰現象測定装置と同様に、驚愕刺激音(パルス音)のみと、プレパルス音を有する驚愕刺激音(パルス音)とを組み合わせて被検者(患者)に聴取させ、被検者(患者)自身に、自分が感じた驚愕刺激音の大きさを直接測定することが可能であれば、脳内の反応を運動出力や電気活動という“代替的”な方法に頼らずに、直接測定可能である。その方法として聴覚刺激として感じた感覚を、言語や視覚的スケールやnumerical number scaleで測定する方法が存在する。例えば、感じた音の大きさに相当する視覚的スケール上の位置を示すことで、被検者の驚愕反応の度合いを測定することを可能とするものが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
Peak H. Some comparisons between reflex inhibition and summation and the time error function. Psychol Bull. 1937; 34
しかしながら、前記非特許文献1においては、従来の驚愕反応減衰現象測定装置に比較して、特定の脳波を測定するための装置や、眼輪筋の筋電図を測定するための装置を備える必要がなく、装置を簡素化し、且つ安価なものにできるものの、その驚愕反応のレベル、つまり、驚愕刺激音の大きさのレベルを、各被検者が、非常に幅の広いスケールにより評価するので、従来の驚愕反応減衰現象測定装置に比較して、測定のダイナミックレンジが狭いとともに、その測定感度が低いという問題があった。
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、PPI−PSIを利用した驚愕反応減衰現象測定装置において、よりダイナミックレンジが広く、より感度の良い、実用的な驚愕反応減衰現象測定装置並びに驚愕反応減衰現象測定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の驚愕反応減衰現象測定方法は、
被検者に対して、該被検者が驚愕反応を引き起こすような驚愕刺激音のみと、該驚愕刺激よりも弱い事前刺激音を有する驚愕刺激音とを個別に印加し、驚愕刺激音のみを印加したときにおいて被検者が感じた音の大きさレベルである基準レベルと、事前刺激音を有する驚愕刺激音を印加したときにおいて被検者が感じた音の大きさレベルである対象レベルとを被検者から受付け、該受付けた基準レベルと対象レベルとから該被検者における驚愕反応減衰現象を測定する驚愕反応減衰現象測定方法において、
前記驚愕刺激音並びに前記事前刺激音を有する驚愕刺激音を被検者に印加する前に、被検者が音の大きさレベルを評価する際の目安となる所定の大きさレベルの参照音を被検者に印加することを特徴としている。
この特徴によれば、被検者に対して、驚愕刺激音並びに事前刺激音を有する驚愕刺激音を印加する前に参照音を印加することで、被検者は、驚愕刺激音並びに事前刺激音を有する驚愕刺激音が印加された際に、感じた音の大きさを、これら事前に印加された参照音の大きさの感覚と比較して評価できるようになるので、従来の参照音を印加しない方法に比較して、ダイナミックレンジをより広く、且つ測定感度をより向上できるようになり、結果的に実用的な驚愕反応減衰現象測定方法を提供できる。
被検者に対して、該被検者が驚愕反応を引き起こすような驚愕刺激音のみと、該驚愕刺激よりも弱い事前刺激音を有する驚愕刺激音とを個別に印加し、驚愕刺激音のみを印加したときにおいて被検者が感じた音の大きさレベルである基準レベルと、事前刺激音を有する驚愕刺激音を印加したときにおいて被検者が感じた音の大きさレベルである対象レベルとを被検者から受付け、該受付けた基準レベルと対象レベルとから該被検者における驚愕反応減衰現象を測定する驚愕反応減衰現象測定方法において、
前記驚愕刺激音並びに前記事前刺激音を有する驚愕刺激音を被検者に印加する前に、被検者が音の大きさレベルを評価する際の目安となる所定の大きさレベルの参照音を被検者に印加することを特徴としている。
この特徴によれば、被検者に対して、驚愕刺激音並びに事前刺激音を有する驚愕刺激音を印加する前に参照音を印加することで、被検者は、驚愕刺激音並びに事前刺激音を有する驚愕刺激音が印加された際に、感じた音の大きさを、これら事前に印加された参照音の大きさの感覚と比較して評価できるようになるので、従来の参照音を印加しない方法に比較して、ダイナミックレンジをより広く、且つ測定感度をより向上できるようになり、結果的に実用的な驚愕反応減衰現象測定方法を提供できる。
本発明の請求項2に記載の驚愕反応減衰現象測定方法は、請求項1に記載の驚愕反応減衰現象測定方法であって、
前記基準レベル並びに前記対象レベルの受付けを、一方端が小さい音で他方端が大きい音となる棒状スケール上において、被検者が感じた音のレベルに該当する位置の指定にて受付け、
前記参照音が、前記棒状スケールの一方端に対応する小さい音である小参照音と、前記棒状スケールの他方端に対応する大きい音である大参照音とから成ることを特徴としている。
この特徴によれば、被検者は、前記棒状スケールの両端に該当する音の大きさを事前に把握できるので、より広いレンジで感じた音の大きさの評価を実施できるようになるので、測定感度をより一層向上できる。
前記基準レベル並びに前記対象レベルの受付けを、一方端が小さい音で他方端が大きい音となる棒状スケール上において、被検者が感じた音のレベルに該当する位置の指定にて受付け、
前記参照音が、前記棒状スケールの一方端に対応する小さい音である小参照音と、前記棒状スケールの他方端に対応する大きい音である大参照音とから成ることを特徴としている。
この特徴によれば、被検者は、前記棒状スケールの両端に該当する音の大きさを事前に把握できるので、より広いレンジで感じた音の大きさの評価を実施できるようになるので、測定感度をより一層向上できる。
本発明の請求項3に記載の驚愕反応減衰現象測定方法は、請求項1または2に記載の驚愕反応減衰現象測定方法であって、
前記参照音の印加を、驚愕刺激音のみ並びに前記事前刺激音を有する驚愕刺激音とを複数回印加するセッション期間の開始前において実施することを特徴としている。
この特徴によれば、驚愕刺激音のみ並びに事前刺激音を有する驚愕刺激音を印加する毎に参照音の印加する場合に、例えば、これら参照音として棒状スケールの他方端に対応する大きい音を印加するような場合には、被検者にセッション期間中において何回も大きな音が印加されることにより被検者が疲労してしまうことを回避できる。
前記参照音の印加を、驚愕刺激音のみ並びに前記事前刺激音を有する驚愕刺激音とを複数回印加するセッション期間の開始前において実施することを特徴としている。
この特徴によれば、驚愕刺激音のみ並びに事前刺激音を有する驚愕刺激音を印加する毎に参照音の印加する場合に、例えば、これら参照音として棒状スケールの他方端に対応する大きい音を印加するような場合には、被検者にセッション期間中において何回も大きな音が印加されることにより被検者が疲労してしまうことを回避できる。
本発明の請求項4に記載の驚愕反応減衰現象測定方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の驚愕反応減衰現象測定方法であって、
前記事前刺激音と前記驚愕刺激音との時間間隔を、30ミリ秒より長く240ミリ秒より短い間隔とすることを特徴としている。
この特徴によれば、他の時間間隔に比較して、より効果的に驚愕反応減衰現象を得ることができる。
前記事前刺激音と前記驚愕刺激音との時間間隔を、30ミリ秒より長く240ミリ秒より短い間隔とすることを特徴としている。
この特徴によれば、他の時間間隔に比較して、より効果的に驚愕反応減衰現象を得ることができる。
本発明の請求項5に記載の驚愕反応減衰現象測定方法は、請求項1〜4のいずれかに記載の驚愕反応減衰現象測定方法であって、
測定結果として、前記対象レベルのレベルスコアを前記基準レベルのレベルスコアにより除した値に基づくパラメータ値を使用することを特徴としている。
この特徴によれば、対象レベルのレベルスコアのみを使用した比較を実施する場合に比較して、被検者の違いによるレベルスコアの偏差(バラツキ)による影響を低減することができ、測定結果を汎用的な評価に資することができる。
測定結果として、前記対象レベルのレベルスコアを前記基準レベルのレベルスコアにより除した値に基づくパラメータ値を使用することを特徴としている。
この特徴によれば、対象レベルのレベルスコアのみを使用した比較を実施する場合に比較して、被検者の違いによるレベルスコアの偏差(バラツキ)による影響を低減することができ、測定結果を汎用的な評価に資することができる。
本発明の請求項6に記載の驚愕反応減衰現象測定装置は、
被検者に対して、該被検者が驚愕反応を引き起こすような驚愕刺激音のみと、該驚愕刺激よりも弱い事前刺激音を有する驚愕刺激音とを個別に印加するための刺激音印加手段と、驚愕刺激音のみを印加したときにおいて被検者が感じた音の大きさレベルである基準レベルと、事前刺激音を有する驚愕刺激音を印加したときにおいて被検者が感じた音の大きさレベルである対象レベルとを被検者から受付けるための音レベル受付け手段と、を備え、該音レベル受付け手段にて受付けた基準レベルと対象レベルとから該被検者における驚愕反応減衰現象を測定する驚愕反応減衰現象測定装置において、
前記驚愕刺激音並びに前記事前刺激音を有する驚愕刺激音を被検者に印加する前に、被検者が音の大きさレベルを評価する際の目安となる所定の大きさレベルの参照音を被検者に印加するための参照音印加手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、被検者に対して、驚愕刺激音並びに事前刺激音を有する驚愕刺激音を印加する前に参照音を印加することで、被検者は、驚愕刺激音並びに事前刺激音を有する驚愕刺激音が印加された際に感じた音の大きさを、これら事前に印加された参照音の大きさの感覚と比較して評価できるようになるので、従来の参照音を印加しない方法に比較して、ダイナミックレンジをより広く、且つ測定感度をより向上できるようになり、結果的に、実用的な驚愕反応減衰現象測定装置を提供できる。
被検者に対して、該被検者が驚愕反応を引き起こすような驚愕刺激音のみと、該驚愕刺激よりも弱い事前刺激音を有する驚愕刺激音とを個別に印加するための刺激音印加手段と、驚愕刺激音のみを印加したときにおいて被検者が感じた音の大きさレベルである基準レベルと、事前刺激音を有する驚愕刺激音を印加したときにおいて被検者が感じた音の大きさレベルである対象レベルとを被検者から受付けるための音レベル受付け手段と、を備え、該音レベル受付け手段にて受付けた基準レベルと対象レベルとから該被検者における驚愕反応減衰現象を測定する驚愕反応減衰現象測定装置において、
前記驚愕刺激音並びに前記事前刺激音を有する驚愕刺激音を被検者に印加する前に、被検者が音の大きさレベルを評価する際の目安となる所定の大きさレベルの参照音を被検者に印加するための参照音印加手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、被検者に対して、驚愕刺激音並びに事前刺激音を有する驚愕刺激音を印加する前に参照音を印加することで、被検者は、驚愕刺激音並びに事前刺激音を有する驚愕刺激音が印加された際に感じた音の大きさを、これら事前に印加された参照音の大きさの感覚と比較して評価できるようになるので、従来の参照音を印加しない方法に比較して、ダイナミックレンジをより広く、且つ測定感度をより向上できるようになり、結果的に、実用的な驚愕反応減衰現象測定装置を提供できる。
本発明の請求項7に記載の驚愕反応減衰現象測定装置は、請求項6に記載の驚愕反応減衰現象測定装置であって、
前記音レベル受付け手段は、前記基準レベル並びに前記対象レベルの受付けを、一方端が小さい音で他方端が大きい音となる棒状スケール上において、被検者が感じた音のレベルに該当する位置の指定にて受付け、
前記参照音印加手段は、前記棒状スケールの一方端に対応する小さい音である小参照音と、前記棒状スケールの他方端に対応する大きい音である大参照音とから成る参照音を印加することを特徴としている。
この特徴によれば、被検者は、前記棒状スケールの両端に該当する音の大きさを事前に把握できるので、より広いレンジで感じた音の大きさの評価を実施できるようになるので、測定感度をより一層向上できる。
前記音レベル受付け手段は、前記基準レベル並びに前記対象レベルの受付けを、一方端が小さい音で他方端が大きい音となる棒状スケール上において、被検者が感じた音のレベルに該当する位置の指定にて受付け、
前記参照音印加手段は、前記棒状スケールの一方端に対応する小さい音である小参照音と、前記棒状スケールの他方端に対応する大きい音である大参照音とから成る参照音を印加することを特徴としている。
この特徴によれば、被検者は、前記棒状スケールの両端に該当する音の大きさを事前に把握できるので、より広いレンジで感じた音の大きさの評価を実施できるようになるので、測定感度をより一層向上できる。
本発明の請求項8に記載の驚愕反応減衰現象測定装置は、請求項6または7に記載の驚愕反応減衰現象測定装置であって、
前記参照音印加手段は、前記参照音の印加を、驚愕刺激音のみと並びに前記事前刺激音を有する驚愕刺激音とを複数回印加するトライアル期間の開始前において実施することを特徴としている。
この特徴によれば、驚愕刺激音のみ並びに事前刺激音を有する驚愕刺激音を印加する毎に参照音の印加する場合に、例えば、これら参照音として棒状スケールの他方端に対応する大きい音を印加するような場合には、被検者にトライアル期間中において何回も大きな音が印加されることにより被検者が疲労してしまうことを回避できる。
前記参照音印加手段は、前記参照音の印加を、驚愕刺激音のみと並びに前記事前刺激音を有する驚愕刺激音とを複数回印加するトライアル期間の開始前において実施することを特徴としている。
この特徴によれば、驚愕刺激音のみ並びに事前刺激音を有する驚愕刺激音を印加する毎に参照音の印加する場合に、例えば、これら参照音として棒状スケールの他方端に対応する大きい音を印加するような場合には、被検者にトライアル期間中において何回も大きな音が印加されることにより被検者が疲労してしまうことを回避できる。
本発明の請求項9に記載の驚愕反応減衰現象測定装置は、請求項6〜8のいずれかに記載の驚愕反応減衰現象測定装置であって、
前記刺激音印加手段は、前記事前刺激音と前記驚愕刺激音との時間間隔が30ミリ秒より長く240ミリ秒より短い間隔である前記事前刺激音を有する驚愕刺激音を印加することを特徴としている。
この特徴によれば、他の時間間隔に比較して、より効果的に驚愕反応減衰現象を得ることができる。
前記刺激音印加手段は、前記事前刺激音と前記驚愕刺激音との時間間隔が30ミリ秒より長く240ミリ秒より短い間隔である前記事前刺激音を有する驚愕刺激音を印加することを特徴としている。
この特徴によれば、他の時間間隔に比較して、より効果的に驚愕反応減衰現象を得ることができる。
本発明の請求項10に記載の驚愕反応減衰現象測定装置は、請求項6〜9のいずれかに記載の驚愕反応減衰現象測定装置であって、
前記対象レベルのレベルスコアを前記基準レベルのレベルスコアにより除した値に基づくパラメータ値を算出するパラメータ算出手段と、
該パラメータ算出手段にて算出したパラメータ値を出力する出力手段とを備えることを特徴としている。
この特徴によれば、対象レベルのレベルスコアのみを使用した比較を実施する場合に比較して、被検者の違いによるレベルスコアの偏差(バラツキ)による影響を低減することができ、測定結果を汎用的な評価に資することができる。
前記対象レベルのレベルスコアを前記基準レベルのレベルスコアにより除した値に基づくパラメータ値を算出するパラメータ算出手段と、
該パラメータ算出手段にて算出したパラメータ値を出力する出力手段とを備えることを特徴としている。
この特徴によれば、対象レベルのレベルスコアのみを使用した比較を実施する場合に比較して、被検者の違いによるレベルスコアの偏差(バラツキ)による影響を低減することができ、測定結果を汎用的な評価に資することができる。
本発明の請求項11に記載の驚愕反応減衰現象測定装置は、請求項6〜10のいずれかに記載の驚愕反応減衰現象測定装置であって、
前記刺激音印加手段により印加される音圧校正用の校正用純音に基づいて、該刺激音印加手段により印加される各種刺激音の音圧を校正する音圧校正手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、被検者に印加される各種刺激音の音圧を、ほぼ一定とすることができ、これら音圧の違いにより、同一の被検者の異なる時期の複数の測定結果の比較が正確にできなくなってしまう等の問題を解消することができる。
前記刺激音印加手段により印加される音圧校正用の校正用純音に基づいて、該刺激音印加手段により印加される各種刺激音の音圧を校正する音圧校正手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、被検者に印加される各種刺激音の音圧を、ほぼ一定とすることができ、これら音圧の違いにより、同一の被検者の異なる時期の複数の測定結果の比較が正確にできなくなってしまう等の問題を解消することができる。
本発明の実施例を以下に説明する。
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、本発明の実施例における驚愕反応減衰現象測定装置の全体像を示す斜視図である。
本実施例の驚愕反応減衰現象測定装置(以下PPI測定装置と略す)は、図1に示すように、安楽椅子5に着座させた被検者の頭部に装着され、その内部にパソコン1にて再生された音声を出力するスピーカ21と、本発明における音圧校正手段を構成する再生音量検出用マイク23とを有するヘッドホン2と、該ヘッドホン2に再生した音声信号を、該音声信号を増幅するアンプ3を介して出力して被検者に印加するとともに、再生音量検出用マイク23からの再生音声が入力されて、該再生音声の音量に基づき再生音声の校正を行うパソコン1と、再生する驚愕刺激音となるパルス音と、事前刺激音となるプレパルス音を有するパルス音の各出力(印加)時において、被検者が感じた音の大きさを、表示したビジュアルアナログスケール(VAS;visual analogue scale)上の位置において受付けるタッチパネルディスプレイ10と、から構成されている。
まず、本実施例に用いたヘッドホン2は、通常において使用される音楽再生用のヘッドホンを好適に使用でき、その内部に、パソコン1の後述する音声処理部17から出力されて、アンプ3にて増幅された参照音やパルス音やプレパルス音を有するパルス音を出力するピーカ21とともに、該ピーカ21から出力された音を入力するための再生音量検出用マイク23が設けられており、該再生音量検出用マイク23は、接続コードを介してパソコン1の後述する音声処理部17に接続されていて、該再生音量検出用マイク23から入力される出力音声がパソコン1の後述する音声処理部17に入力される。
次に、本実施例に用いたパソコン1は、図2に示すように、コンピュータ内部にてデータの送受を行うデータバス11に、記憶装置15に記憶されている測定プログラム等の各種プログラムを実行するCPU12、ワークメモリ等として使用されるRAM13、キーボード7やマウス8が接続される操作入力部14、磁気ディスクや光磁気ディスクから成る記憶装置15、ディスプレイ6が接続され該ディスプレイ6に表示される表示画面の生成処理を行うグラフィックボード等から成る第1表示処理部16、サウンドボード等から成る音声処理部17や、グラフィックボード等から成る第2表示処理部18や、RS232C通信ボード等からなるデータ通信部19が接続された通常のコンピュータである。
また、前記音声処理部17は、アンプ3を介してヘッドホン2に接続されているとともに、前記ヘッドホン2の再生音量検出用マイク23とは、アンプ3を介することなく直接接続されている。また、アンプ3には、ヘッドホン2に出力される音声を、測定を実施する測定者がモニターするためのモニターイアホンが接続されている。
また、記憶装置15には、該パソコン1が動作するためのオペレーティング・システム(OS)や、驚愕反応減衰現象測定を行うための測定プログラムに加えて、該測定において再生される背景雑音(バックグラウンド用ノイズ)や、驚愕反応減衰現象測定において使用される参照音やパルス音やプレパルス音や、操作案内の音声等の各種再生用データが記憶されている。
この記憶装置15に記憶されている本実施例の測定プログラムには、測定の実施時において再生する校正用純音(本実施例では1000Hz)による音圧校正を実施する音圧校正処理プログラムや、パルス音の音圧(音量)やパルス幅(時間幅)や、プレパルス音の音圧(音量)やパルス幅(時間幅)、並びにプレパルス音とパルス音との時間間隔(ISI)、繰返し回数、繰返し間隔等の各種パラメータを設定して、被検者に印加(出力)する測定用音声(PPIセッション)を作成するPPIセッション作成プログラムや、これらPPIセッションの音声が再生される再生チャンネルと、背景雑音(バックグラウンド用ノイズ)の音声が再生される再生チャンネルとを合成して再生するためのチャンネル統合処理プログラムや、タッチパネルディスプレイ10にて被検者から受付けた基準レベルや対象レベルから本発明におけるパラメータ値となる%PPI−PSIを算出してディスプレイ6に表示出力する%PPI−PSI算出プログラムとが含まれている。
以下、本実施例のPPI測定装置による驚愕反応減衰現象測定の流れについて説明すると、まず、PPIセッション作成プログラムにより、好適なパラメータを設定して、被検者に印加するPPIセッション、具体的にはWAVEファイルを作成しておく。尚、該PPIセッションには、該WAVEファイルとともに、セッションの開始からどの時点(経過時間)において、パルス音のみが印加されるか、プレパルス音とパルス音が印加されるかを特定されるタイムスケジュールを含んでおり、該タイムスケジュールに基づいて、VASがタッチパネルディスプレイ10に表示される。
そして、測定の開始に先だって、測定プログラム中の音圧校正処理プログラムを起動して、音圧校正を実施する。
この音圧校正においては、前記した校正用純音を所定の音圧レベル(所定dB)にて再生して、スピーカ21から出力するととともに、前記再生音量検出用マイク23から入力される校正用純音の音声データから、実際に出力されている校正用純音の音圧レベルを、事前に調整されている校正用テーブルから特定するとともに、実際に出力する音圧レベルの補正値を特定して、該特定した補正値にて、予め作成したPPIセッションであるWAVEファイルにおけるパルス音やプレパルス音の振幅を変換することで、出力される音圧(音量)が指定された音量になるように調整する。尚、出力レベルの調整範囲が、調整能力範囲を越えている場合には、アンプ3の増幅量を増加或いは低下させる指示が、ディスプレイ6に表示されることで、これらアンプ3における増幅量を調整した後、再度校正用純音を出力して校正を実施する。
これら音圧校正の終了後において、作成しておいたPPIセッションをバックグラウンド用ノイズとともに、チャンネル統合処理プログラムを介して前記音声処理部17にて再生して、被検者に印加する。
この被検者へのPPIセッションに印加に際して測定プログラムは、PPIセッションに含まれる前述のタイムスケジュールに基づいて、タッチパネルディスプレイ10にVASを表示して、パルス音のみがスピーカ21から出力(印加)されるときには、被検者が感じた音の大きさレベルである基準レベルを受付け、プレパルス音を有するパルス音がスピーカ21から出力(印加)されるときには、被検者が感じた音の大きさレベルである対象レベルを受付ける。
図3はタッチパネルディスプレイ10に表示されるvisual analogue scale(VAS)の例を示す。図3(a)は、VASの両端をまったく大きくない音、耐えられないほど大きい音と設定した場合、印加された刺激音に対して感じた音の大きさのレベルをそのスケールの上で指またはペンで指示する。図3(a)の場合VASスコアは78となる。
そして、前記%PPI−PSI算出プログラムにより、該被検者から受付けた基準レベルと対象レベルから%PPI−PSIを算出し、該算出した%PPI−PSIを測定結果としてディスプレイ6に表示出力する。
この%PPI−PSIを算出する算出式は、
%PPI−PSI=100−(対象レベル値/基準レベル値)×100
で表され、対象レベル値(スコア)を基準レベル値(スコア)にて除した値に100を乗じて%の表記態様とした値を100から除した値とすることで、基準レベル値に対して対象レベル値が最も小さいレベル値となったとき、すなわち、驚愕反応減衰の効果が最も大きくなった場合に100%となるようなパラメータとされており、これら%PPI−PSIのパラメータを用いることで、対象レベルのレベル値(スコア)のみを使用した比較を実施する場合に比較して、被検者の違いによるレベル値(スコア)の偏差(バラツキ)による影響を低減することができ、測定結果を汎用的な評価に資することができるようになる。
%PPI−PSI=100−(対象レベル値/基準レベル値)×100
で表され、対象レベル値(スコア)を基準レベル値(スコア)にて除した値に100を乗じて%の表記態様とした値を100から除した値とすることで、基準レベル値に対して対象レベル値が最も小さいレベル値となったとき、すなわち、驚愕反応減衰の効果が最も大きくなった場合に100%となるようなパラメータとされており、これら%PPI−PSIのパラメータを用いることで、対象レベルのレベル値(スコア)のみを使用した比較を実施する場合に比較して、被検者の違いによるレベル値(スコア)の偏差(バラツキ)による影響を低減することができ、測定結果を汎用的な評価に資することができるようになる。
以下、本実施例のPPI測定装置を用い、各種のパラメータにて測定を実施した結果に関して示す。被検者の対象として、男性6人女性4人からなる10人。平均年齢は34±7歳。東北大学倫理委員会で研究承認後、同意が得られた聴覚障害の既往がない健常者を対象として測定を実施した。
PPIセッションで用いるパルス音とバックグラウンドノイズはノイズバーストを用いた。ノイズバーストはMATLAB7.0.4(The MathWorks社製商品名)により作成した。1秒当たり44100ポイントの乱数を必要な刺激時間分の個数作成し、それぞれの物理的ノイズの大きさを揃えた。更に、刺激音の前後にraised cosineによる1msの包絡線をつけた。音圧の校正に用いるための純音は1000Hzで作成した。純音を基準にこれらの刺激音の振幅を変換することで求める音圧の刺激音を作成、これを繋ぎ合わせることで、バックグラウンド用ノイズバーストを作成した。尚、これら各バックグラウンド用ノイズバーストは、Wave形式のファイルとして再生可能に記憶した。
そして、パソコン1においてPPIセッション作成プログラムにより、好適なパラメータ、例えば、後述する評価において好適とされるプレパルス音の音圧85dB(20ミリ秒)、パルス音の音圧105dB(40ミリ秒)、プレパルス音とパルス音との時間間隔(ISI)を60ミリ秒として設定して、被検者に印加する各種のPPIセッションをそれぞれ作成した。これらPPIセッション作成プログラムは、前記したバックグラウンド用ノイズバーストと同様に、前記純音を基準にこれらの刺激音の振幅を変換することで求める音圧の刺激音を作成、これを繋ぎ合わせることでPPIセッションを作成した。尚、これらPPIセッションもバックグラウンド用ノイズバーストと同様にWave形式のファイルとして再生可能に記憶した。
尚、これらPPIセッションとしては、参照音を含まない、比較例となる従来のPPIセッションである測定方法A(VAS原法)と、本発明における特徴となる参照音をトライアル毎に含むPPIセッションである測定方法B(VAS変法A)と、本発明における特徴となる参照音をトライアルの前のプレトライアルにおいてのみ含むPPIセッションである測定方法C(VAS変法B)とを作成した。
測定は全て環境音60dB前後の部屋を用いて施行され、バックグラウンド用ノイズの設定は常に70dBとして、該バックグラウンド用ノイズとPPIセッションとがパソコン1の測定プログラムにより再生され、PPIセッションにより提示された刺激音は、スピーカ21を通じて聴取された。そして、タッチパネルディスプレイ10において、基準レベル並びに対象レベルの各スコアを受付けた。
VASの両端を“全く大きくない音”、“耐えられないほど大きい音”と設定(これをVAS原法とし、他の方法を変法とする)。セッションの最初と最後にパルスのみ(110dB)を3回ずつ提示、その間はプレパルスなしで90、95、100、105、110dBの音を6回ずつ擬似無作為的に提示した。それぞれの刺激音の長さは40ms。各トライアルの提示間隔(ITI)は平均20秒(15-25秒)。セッションの開始前には3分間の馴化期間を置いた。
図4に、各刺激音の大きさとVASスコアをプロットして両者の相関関係(ラウドネス曲線)について示す。刺激音の強さを被験者内因子とするANOVAでは、有意な主効果を認めた(F(4, 36) = 137.34; p < 0.001)。Pearsonの相関係数はr = 0.844、p < 0.001であった。刺激音の強さとVASスコアについて相関が認められた。これはとりもなおさず聴覚的な音の大きさが、視覚的スケールで精度を保って再現できるというcross modality matching を示している。
(測定方法A;VAS原法)比較例として、図5(a)に示すように、PPIセッションに参照音を含まないセッションAを作成し、VASの両端を、図3(a)の左端を “全く大きくない音”、右端を“耐えられないほど大きい音”と設定した。尚、セッションの開始前には3分間の馴化期間を置いた。
セッションの最初と最後には105dBの音を3回ずつ提示した。その間の各トライアルはパルスのみ(105dB)とプレパルス(85dB、5ms印加)+パルス(105dB、40ms印加)から構成。ITIは平均15秒とした。プレパルスとパルスの提示間隔(ISI)を0(パルスのみのトライアルを指す)、10、20、30、60、120msに設定して、以上の6種類のトライアルを6回ずつ提示することによりセッションを構成した(セッションA)。更に、パルスのみ(105dB)、プレパルス(85dB、20ms印加)+パルス(105dB、40ms印加)におけるISI 0(パルスのみのトライアルを指す)、60、120、240、500、2000msの各6種類のトライアルより構成されたセッションも同様に施行した(セッションB)。各セッションの開始前には3分間の馴化期間を置いた。
その結果を図6に示す。標準的なPPIでは、プレパルス音とパルス音の印加間隔(ISI)が30-500ミリ秒という比較的広い範囲でPPIが観察されるが、PPI-PSIでは、60ミリ秒と120ミリ秒に有意な抑制効果が認められ、30ミリ秒より長く240ミリ秒より短い間隔がプレパルス音とパルス音の印加間隔(ISI)として好適であること判る。
VAS原法を用いた%PPI-PSIは30%以下と低い。これは、パラメータの設定や個体差の問題ではなく、今まで用いられてきたVAS原法の問題であり、今まで誰も施行していない、主観的評価スケールの最小値−最大値の範囲を狭めることによりPPI-PSIの感度増強を試みた。
(測定方法B;VAS変法A)図5(b)に示すように、ひとつのトライアルを、参照音としてVASの下端(小さい方)の音となる98dBの刺激音印加、並びに、VASの上端(大きい方)の音となる108dBの刺激音印加、並びに(プレパルス音+)パルス音(105dB)印加による3回の音刺激により構成したセッションを作成した。1番目(98dBの参照音)と2番目の刺激音(108dBの参照音)の印加間隔は2秒、2番目と3番目の刺激音の印加間隔は平均8秒とした。それに従い、図3(b)に示すように、VASの左端を“1番目の音の大きさ”、右端を“2番目の音の大きさ”と表示し、3番目の音の大きさ(パルスまたはプレパルス+パルス)をVAS上で評価するように指示した。3番目の刺激音は、プレパルスは20msの75、85、95、105dBの4種類でISIは60ms。パルスは40msで105dB。ITIは15秒。セッションの最初と最後にパルスのみを3回ずつ提示、その間はパルスのみ、4種類のプレパルス+パルスのトライアルをそれぞれ6回ずつ提示してセッションを構成した。尚、セッションの開始前には3分間の馴化期間を置いた。
測定方法B(VAS変法A)では、上記のように三つ組みの刺激音を作り、最初の音(98dB)をVASの最小値に、2番面の音(108dB)をVASの最大値に、3番面の音を通常のPPI-PSIのトライアルに指定した。VAS最小値と最大値の根拠は、次の考え方に準拠した。ラウドネス曲線上の計算により、パルスを105dBに設定したとき、VAS原法の%PPI-PSIが40%近い値を呈した場合の“感じた音の大きさ”は、約98dBの位置になると推定した。これによりVAS最小値を98dBの刺激音、VAS最大値をパルスより少し大きめの108dBと設定した。
印加間隔(ISI)を好適とされる60ミリ秒に設定し、パルス音(105dB、40ms)として、プレパルス音の強度を75、85、95、105dB(いずれも20ms)として、前記した測定方法B(VAS変法A)にて測定を実施した結果を図7に示す。このVAS評価法(VAS変法A)では、最大で約55%前後の%PPI-PSIを示した。
(測定方法C;VAS変法B)図5(c)に示すように、セッションの開始前にプレトライアルとして98dBの参照音と108dBの参照音を3回ずつ被験者に印加するセッションを作成した。それに従い、98dBの音を“やや大きい音”の“参照”としてVASの左端に、108dBの音を“非常に大きい音”の“参照”としてVASの右端とするように被検者に指示した。これらの音はVAS評価のための“参照音”であることをあらかじめ被検者に説明し、測定方法Bの1番目(98dBの参照音)と2番目の刺激音(108dBの参照音)と同様に、図3(b)の括弧内に示すように、VAS線分上の両端に“やや大きい音”、“非常に大きい音”と表示し、“参照音”を忘れてしまった場合でもVAS評価を続けるように指示した。セッションの最初と最後にパルスのみ(105dB)を3回ずつ提示した。その間の各トライアルはパルスのみ(105dB、40ms提示)とプレパルス(75、85、95、105dBの4種類、20ms提示)+パルス(105dB、40ms提示)をそれぞれ6回ずつ提示するように構成した。ISIは60msに設定した。ITIは平均15秒に設定した。尚、セッションの開始前には3分間の馴化期間を置いた。
印加間隔(ISI)を好適とされる60ミリ秒に設定し、パルス音(105dB、40ms)として、プレパルス音の強度を75、85、95、105dB(いずれも20ms)として、前記した測定方法C(VAS変法B)にて測定を実施した結果を図8に示す。この評価法(VAS変法B)では、最大で約60%前後の%PPI-PSIを示した。
これら同じパラメータ、同じ印加回数を使った測定方法A,B,Cによる測定を実施して、各測定方法A,B,Cによる測定結果である%PPI-PSIを比較したグラフを図9に示す。測定方法A(VAS原法)と比較して、PPIセッションに参照音を含む測定方法B(VAS変法A)と測定方法C(VAS変法B)で感度は有意に増強しており、従来のPPIセッションに参照音を含まない測定方法A(VAS原法)に比較してダイナミックレンジが広くなっているとともに、測定感度も向上していることが判る。
PPIの場合、プレパルスの強度は、これが運動出力を引き起こしてしまうと驚愕反応に影響を与えるため、通常90dB以下の音しか用いられず、プレパルス音の強度と%PPIは有意に相関することが知られている。しかしながら、参照音をPPIセッションに含む測定方法B(VAS変法A)並びに測定方法C(VAS変法B)においては、図7並びに図8に示すように、通常のPPIにおいて見られるようなプレパルスの強度と%PPIとの有意な相関が見られず、プレパルス音の強度が変化しても%PPI-PSIには、殆ど変化がない。つまりは、本発明のように、参照音をPPIセッションに含むことで、プレパルス音の強度に測定結果が影響され難くなることが判ることから、これらプレパルス音をPPIセッションに含むことで、高精度なプレパルス音の強度調整を必要とせずに、安定した測定結果が得られるので、再生強度変動が少ない高価な再生装置を用いる必要がないので、測定装置をより安価なものにできる。
また、前記した測定方法B(VAS変法A)並びに測定方法C(VAS変法B)についての感想を被検者全員にインタビューした。VAS変法A(測定方法B)については、記憶、集中、注意力を三つ組みの音が印加されている間(約10秒間)保持しなければならないので何度もトライアルを繰返すと疲れるとともに、トライアル毎に大きな音を聴取することになってしまい疲れると訴える人や、最初に印加された音(98dB)を評価の段階では思い出せないと訴える人が約半数に上った。
VAS変法Bについても、VAS最小値の“参照音(98dB)”が基準として頭に残らないと訴えた人が約半数に上ったが、主観的イメージを使用して良い分VAS変法Aより分かり易く、取り組み易いと答えた人がほぼ全員だったことから、参照音を被験者に印加する形態としては、トライアル毎に参照音を印加するのではなく、VAS変法B(測定方法C)のように、これら複数のトライアルから成るセッションの開始前のプレトライアル期間において、参照音を被験者に印加することがより好適であることが判る。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、上記実施例では、参照音として、VAS最小値の参照音(98dB)と、VAS最大値の参照音(108dB)の2つの音を被験者に印加するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら参照音として、VAS最小値の参照音(98dB)と、VAS最大値の参照音(108dB)のいずれか一方のみとしても良いし、更には、これらVAS上の任意の点に該当する音、例えばVAS中央値の参照音を被験者に印加するようにしても良いし、逆に、VAS最小値の参照音(98dB)と、VAS最大値の参照音(108dB)の2つの音に加えて、VAS中央値の参照音を被験者に印加するようにしても良い。
また、前記実施例では、被験者からのVASスコアの受付けを、タッチパネルディスプレイ10にて実施しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらを、VASが印刷された複数の受付け用紙にて、順次、VASスコアを受付けるようにして、音レベル受付け手段を形成するようにしても良い。
また、前記実施例では、パソコン1にて作成されたWAVEファイルから成るPPIセッションを、該パソコン1にて再生して被験者に印加しており、該パソコン1によって本発明における刺激音印加手段を形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、これらPPIセッションや、背景雑音等をCD等の再生可能な記録媒体に記録しておき、該CDを再生する再生装置、例えば、背景雑音のCDとPPIセッションのCDの2つのCDを同時再生させて、個別に音量調整された各CDの音をミキシングして出力可能なCD再生装置、具体的には、HOME MIX社製の家庭用CDプレイヤーであるCDJ-I等を使用することもできる。
また、前記実施例では、ヘッドホン2に再生音量検出用マイク23を設けることで、音圧構成をパソコン1にて実施するようにしているが、このようにすることは、校正によってPPIセッションの振幅変換が自動で実施されるので、再生するPPIセッションを何度も再生して校正機器等により、増幅度合いを調整して音圧校正を実施する必要がなく、これら音圧校正に伴う労力を低減できることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの音圧構成を、パソコン1ではなく、他の校正機器等により実施するようにしても良い。
1 パソコン
2 ヘッドホン
3 アンプ
5 安楽椅子
6 ディスプレイ
7 キーボード
8 マウス
9 接続用ケーブル
10 タッチパネルディスプレイ
11 データバス
12 CPU
13 RAM
14 操作入力部
15 記憶装置
16 表示処理部
17 音声処理部
18 表示処理部
19 データ通信部
21 スピーカ
23 再生音量検出用マイク
2 ヘッドホン
3 アンプ
5 安楽椅子
6 ディスプレイ
7 キーボード
8 マウス
9 接続用ケーブル
10 タッチパネルディスプレイ
11 データバス
12 CPU
13 RAM
14 操作入力部
15 記憶装置
16 表示処理部
17 音声処理部
18 表示処理部
19 データ通信部
21 スピーカ
23 再生音量検出用マイク
Claims (11)
- 被検者に対して、該被検者が驚愕反応を引き起こすような驚愕刺激音のみと、該驚愕刺激よりも弱い事前刺激音を有する驚愕刺激音とを個別に印加し、驚愕刺激音のみを印加したときにおいて被検者が感じた音の大きさレベルである基準レベルと、事前刺激音を有する驚愕刺激音を印加したときにおいて被検者が感じた音の大きさレベルである対象レベルとを被検者から受付け、該受付けた基準レベルと対象レベルとから該被検者における驚愕反応減衰現象を測定する驚愕反応減衰現象測定方法において、
前記驚愕刺激音並びに前記事前刺激音を有する驚愕刺激音を被検者に印加する前に、被検者が音の大きさレベルを評価する際の目安となる所定の大きさレベルの参照音を被検者に印加することを特徴とする驚愕反応減衰現象測定方法。 - 前記基準レベル並びに前記対象レベルの受付けを、一方端が小さい音で他方端が大きい音となる棒状スケール上において、被検者が感じた音のレベルに該当する位置の指定にて受付け、
前記参照音が、前記棒状スケールの一方端に対応する小さい音である小参照音と、前記棒状スケールの他方端に対応する大きい音である大参照音とから成ることを特徴とする請求項1に記載の驚愕反応減衰現象測定方法。 - 前記参照音の印加を、驚愕刺激音のみ並びに前記事前刺激音を有する驚愕刺激音とを複数回印加するトライアル期間の開始前において実施することを特徴とする請求項1または2に記載の驚愕反応減衰現象測定方法。
- 前記事前刺激音と前記驚愕刺激音との時間間隔を、30ミリ秒より長く240ミリ秒より短い間隔とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の驚愕反応減衰現象測定方法。
- 測定結果として、前記対象レベルのレベルスコアを前記基準レベルのレベルスコアにより除した値に基づくパラメータ値を使用することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の驚愕反応減衰現象測定方法。
- 被検者に対して、該被検者が驚愕反応を引き起こすような驚愕刺激音のみと、該驚愕刺激よりも弱い事前刺激音を有する驚愕刺激音とを個別に印加するための刺激音印加手段と、驚愕刺激音のみを印加したときにおいて被検者が感じた音の大きさレベルである基準レベルと、事前刺激音を有する驚愕刺激音を印加したときにおいて被検者が感じた音の大きさレベルである対象レベルとを被検者から受付けるための音レベル受付け手段と、を備え、該音レベル受付け手段にて受付けた基準レベルと対象レベルとから該被検者における驚愕反応減衰現象を測定する驚愕反応減衰現象測定装置において、
前記驚愕刺激音並びに前記事前刺激音を有する驚愕刺激音を被検者に印加する前に、被検者が音の大きさレベルを評価する際の目安となる所定の大きさレベルの参照音を被検者に印加するための参照音印加手段を備えることを特徴とする驚愕反応減衰現象測定装置。 - 前記音レベル受付け手段は、前記基準レベル並びに前記対象レベルの受付けを、一方端が小さい音で他方端が大きい音となる棒状スケール上において、被検者が感じた音のレベルに該当する位置の指定にて受付け、
前記参照音印加手段は、前記棒状スケールの一方端に対応する小さい音である小参照音と、前記棒状スケールの他方端に対応する大きい音である大参照音とから成る参照音を印加することを特徴とする請求項6に記載の驚愕反応減衰現象測定方法。 - 前記参照音印加手段は、前記参照音の印加を、驚愕刺激音のみと並びに前記事前刺激音を有する驚愕刺激音とを複数回印加するトライアル期間の開始前において実施することを特徴とする請求項6または7に記載の驚愕反応減衰現象測定装置。
- 前記刺激音印加手段は、前記事前刺激音と前記驚愕刺激音との時間間隔が30ミリ秒より長く240ミリ秒より短い間隔である前記事前刺激音を有する驚愕刺激音を印加することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の驚愕反応減衰現象測定装置。
- 前記対象レベルのレベルスコアを前記基準レベルのレベルスコアにより除した値に基づくパラメータ値を算出するパラメータ算出手段と、
該パラメータ算出手段にて算出したパラメータ値を出力する出力手段とを備えることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の驚愕反応減衰現象測定装置。 - 前記刺激音印加手段により印加される音圧校正用の校正用純音に基づいて、該刺激音印加手段により印加される各種刺激音の音圧を校正する音圧校正手段を備えることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の驚愕反応減衰現象測定装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005084908A JP2006263113A (ja) | 2005-03-23 | 2005-03-23 | 驚愕反応減衰現象測定装置並びに驚愕反応減衰現象測定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005084908A JP2006263113A (ja) | 2005-03-23 | 2005-03-23 | 驚愕反応減衰現象測定装置並びに驚愕反応減衰現象測定方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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ID=37199672
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Country | Link |
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-
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- 2005-03-23 JP JP2005084908A patent/JP2006263113A/ja active Pending
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