JP2006256101A - 染色方法及び染色液 - Google Patents
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Abstract
【課題】木材樹皮を利用し、従来より濃色の染色が可能であり、木材の心材の赤色に近い染色が可能な染色液及び染色方法を提供する。また、木材に光を照射して着色する場合において、短時間で、木材の心材の赤色に近い染色が可能な染色方法を提供する。
【解決手段】まず抽出工程S1として、スギ樹皮粉300gを熱水抽出を行う。次に、染色工程S2として、スギ辺材にスギ樹皮抽出液を刷毛によって塗布し、乾燥させる。そして、媒染工程S3として、上記スギ樹皮抽出液を塗布したスギ辺材の表面に、さらに塩化第ニスズ・5水和物の5重量%水溶液を刷毛によって塗布し、乾燥させる。最後に、紫外線照射工程S4として、上記媒染工程S3が終了したスギ辺材の塗布面に、キセノンランプを用いて紫外線照射を行う。
【選択図】図1
【解決手段】まず抽出工程S1として、スギ樹皮粉300gを熱水抽出を行う。次に、染色工程S2として、スギ辺材にスギ樹皮抽出液を刷毛によって塗布し、乾燥させる。そして、媒染工程S3として、上記スギ樹皮抽出液を塗布したスギ辺材の表面に、さらに塩化第ニスズ・5水和物の5重量%水溶液を刷毛によって塗布し、乾燥させる。最後に、紫外線照射工程S4として、上記媒染工程S3が終了したスギ辺材の塗布面に、キセノンランプを用いて紫外線照射を行う。
【選択図】図1
Description
本発明は、木材の樹皮を利用した染色方法及び染色液に関する。
木材樹皮は、日本国内において年間600万トン以上も産業廃棄物として捨てられており、木材樹皮の有用資源化は重要な課題となっている。こうした状況下、木材樹皮を利用した染色技術が開発されている。
例えば特許文献1及び特許文献2には、草木染めの手法を木材樹皮に応用し、木材樹皮を水で煮た煮汁で染色を行う染色方法が記載されている。この方法で織物等を染めた場合、自然で温かみのある風合いの染め上がりとすることができる。
特開2003−94409号公報
特開平9−228260号公報
一方、木材に可視光や紫外線等の光を照射して、色を変化させることも知られており(例えば非特許文献1)、その現象を利用した木材の着色方法も公知である(非特許文献3)。
木材学会誌,47巻,52〜57頁 特許第3382599号
木材学会誌,47巻,52〜57頁
しかし、上記従来の木材樹皮を利用した染色方法では、染め上がりが淡い色となり、濃色に染めることは困難であった。
また、上記従来の木材に光を照射して着色する方法は、たとえ光照射後に加熱処理をして着色を促進したとしても、やはり着色に時間がかかるという問題があった。さらには、その色合いも茶褐色で、木材の心材の赤色とは異なるものであった。
本発明は、上記従来の木材樹皮を利用した染色方法の問題点に鑑みなされたものであり、木材樹皮を利用し、従来より濃い色の染色が可能であり、木材の心材の赤色に近い染色が可能な染色方法及び染色液を提供することを目的とする。また、本発明は、木材に光を照射して着色する場合において、短時間で、木材の心材の赤色に近い染色が可能な染色方法を提供することを目的とする。
第1発明の染色方法は、木材樹皮を水で抽出する抽出工程と、該抽出工程で得られた抽出液に被染色部材を接触させる染色工程と、媒染剤の水溶液に被染色部材を接触させる媒染工程と、染色工程及び媒染工程が終了した後、該被染色部材に紫外線を照射する紫外線照射工程とを備えることを特徴とする。
第1発明の染色方法では、まず抽出工程として、木材樹皮を水で抽出することによって、木材樹皮中に含まれる水可溶成分を抽出する。この際、抽出を促進するために、加熱することが好ましい。
そして、染色工程及び媒染工程が行われる。染色工程と媒染工程とはどちらを先に行ってもかまわない。染色工程では、被染色部材を木材樹皮の抽出液に接触させ、媒染工程では、被染色部材を媒染剤の水溶液に接触させる。染色工程や媒染工程における抽出液や媒染剤水溶液と被染色部材との接触方法は特に限定はないが、塗布したり、噴霧したり、抽出液に浸漬したりして接触させることができる。また、被染色部材が木材のような多孔体の場合には、非染色部材を減圧下で抽出液や媒染剤の水溶液に浸漬することも可能である。こうであれば、被染色部材の内部まで抽出液や媒染剤が浸透し、内部にまで染色を行うことが可能となる。また、媒染剤の種類についても特に限定はなく、アルミ系媒染剤(酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ミョウバン、焼ミョウバン、カリミョウバン等)や、銅媒染剤 (銅塩)、スズ媒染剤 (スズ酸ナトリウム、塩化第一スズ、塩化第ニスズ、有機酸スズ)、クロム媒染剤 (クロム塩)、コバルト媒染剤 (コバルト塩)等を使用することができる。特に、被染色部材が木材である場合には、アルミ系媒染剤やスズ媒染剤 を用いることによって、木材の自然な赤みの色に染色することができる。また、ツバキ灰、サワフタギ灰、ヒサカキ灰、クヌギ灰、アカザ灰、早稲藁灰などの草木灰(木灰や藁灰)を用いることもできる。これらの草木灰は、アルミニウムイオンのほか、染色に有用な他の金属イオンやアルカリ物質を含んでいる。
こうして、被染色部材に木材樹皮の抽出液と、媒染剤の水溶液とを接触させた後、紫外線を照射する。この紫外線照射によって、媒染剤と結合した抽出液中の色成分が木材の心材の色と同様の色に着色する。この着色は、おそらく抽出液中に含まれていたポリフェノール類が酸化されることによるものであると考えられる。紫外線の照射方法については特に限定はなく、キセノンランプ、水銀ランプ等の紫外線を照射するランプを用いる他、太陽光線に当ててもよい。
この染色方法では、紫外線の照射によって木材樹皮の抽出液中の色成分が紫外線照射によって濃い赤色となるため、単に木材樹皮の抽出液で染色した場合に比べ、濃色に染色することができる。また、その色合いも、木材の心材の赤色と非常に似たものとなる。さらには、被染色部材に紫外線を照射する際、マスキングを施して紫外線が照射される部分と照射されない部分を故意につくることにより、絵や模様や文字等、所望のパターンを描くこともできる。
第2発明の染色方法は、木材樹皮を水で抽出する抽出工程と、該抽出工程で得られた抽出液に媒染剤を添加して染色媒染液とする媒染剤添加工程と、該染色媒染液に被染色部材を接触させる染色媒染工程と、該染色媒染工程終了後、該被染色部材に紫外線を照射する紫外線照射工程とを備えることを特徴とする。
第2発明の染色方法では、第1発明の染色方法のように、木材樹皮の抽出液と媒染剤の水溶液とを別々に被染色部材に接触させるのではなく、木材樹皮を水で抽出した抽出液に媒染剤を添加した染色媒染液によって被染色部材を染色する方法である。抽出液に媒染剤を添加する媒染剤添加工程において沈殿物を生ずるが、この沈殿物を染色媒染工程前に除去する必要はない。この沈殿物は、おそらくポリフェノール類と媒染剤とが結合したものであると推定される。そして染色媒染工程終了後、被染色部材に紫外線を照射することにより、被染色部材が着色する。発明者らの試験結果によれば、このような染色媒染液で被染色部材を染色した場合、木材樹皮の抽出液と媒染剤の水溶液とを別々に用いた場合よりも、さらに鮮やかな色に染色することができる。また、その色合いも、木材の心材の赤色と非常に似たものとなる。さらには、こうして染色することにより、工程数を減らすことができ、より短時間により低コストの染色が可能となる。
第1発明及び第2発明における被染色部材としては、例えば木材、織物、糸、紙、繊維等を用いることができるが、セルロースを主成分とする被染色部材は染色が容易であり、好適である。特に、被染色部材が木材である場合には、木材を自然な赤みがかった色に染めることができ、商品価値を高めることができる。すなわち、スギやヒノキ等の木材は、赤みとよばれる中心部が赤く、白太とよばれる周辺部が白っぽい色をしており、この色の差が著しい木材は、外観的に好まれず、商品価値が下がるからである。この場合において、抽出する木材樹皮をスギ樹皮やヒノキ樹皮とすれば、スギやヒノキの中心部分と色合いとほとんど変わらない色に染めることができるため、スギ材やヒノキ材の商品価値を著しく高めることができる。
また、第1発明及び第2発明にける紫外線照射工程を行った後、染色面を紫外線の遮蔽が可能な透明塗料で塗装することも好ましい。こうであれば、染色後において染色面に太陽光が当たる等して紫外線が照射されたとしても、変色を防止することができる。
本発明の染色液は、木材樹皮を水で抽出した抽出液に媒染剤が添加されていることを特徴とする。本発明の染色液は、上述した第2発明の染色方法における染色媒染液として用いることができる。この場合において、木材樹皮がスギ樹皮及びヒノキ樹皮の少なくとも1種を含めば、スギやヒノキの心材の色である自然な赤色に染めることができる。
以下、本発明を具体化した実施例を比較例と比較しつつ説明する。
(実施例1)
実施例1では、スギ樹皮を原料とし、スギの「白太」部分であるスギ辺材を染色した。以下にその工程の詳細を示す。
実施例1では、スギ樹皮を原料とし、スギの「白太」部分であるスギ辺材を染色した。以下にその工程の詳細を示す。
抽出工程S1
図1に示す抽出工程S1として、スギの樹皮を粉砕機で粉砕したスギ樹皮粉300gを5Lのビーカーに入れ、蒸留水を3L加え、バーナーで加熱しながら30分間沸騰させて熱水抽出を行う。そして、ろ過によってスギ樹皮粉を除去し、スギ樹皮抽出液を得た。
図1に示す抽出工程S1として、スギの樹皮を粉砕機で粉砕したスギ樹皮粉300gを5Lのビーカーに入れ、蒸留水を3L加え、バーナーで加熱しながら30分間沸騰させて熱水抽出を行う。そして、ろ過によってスギ樹皮粉を除去し、スギ樹皮抽出液を得た。
染色工程S2
次に、染色工程S2として、スギ辺材(6cm×6cm×1cm)を用意し、上記スギ樹皮抽出液を刷毛によって塗布し、乾燥させた。
次に、染色工程S2として、スギ辺材(6cm×6cm×1cm)を用意し、上記スギ樹皮抽出液を刷毛によって塗布し、乾燥させた。
媒染工程S3
そして、媒染工程S3として、上記スギ樹皮抽出液を塗布したスギ辺材の表面に塩化第二スズ・5水和物の10重量%水溶液を刷毛によって塗布し、乾燥させる。
そして、媒染工程S3として、上記スギ樹皮抽出液を塗布したスギ辺材の表面に塩化第二スズ・5水和物の10重量%水溶液を刷毛によって塗布し、乾燥させる。
紫外線照射工程S4
最後に、紫外線照射工程S4として、上記媒染工程S3が終了したスギ辺材の塗布面に対し、キセノンランプ(48W/m2)を用いて2時間の紫外線照射を行った。
最後に、紫外線照射工程S4として、上記媒染工程S3が終了したスギ辺材の塗布面に対し、キセノンランプ(48W/m2)を用いて2時間の紫外線照射を行った。
(実施例2)
実施例2では、媒染工程S3における塩化第ニスズ・5水和物の濃度を5重量%とした。他の条件は実施例1と同様であり説明を省略する。
実施例2では、媒染工程S3における塩化第ニスズ・5水和物の濃度を5重量%とした。他の条件は実施例1と同様であり説明を省略する。
(実施例3)
実施例3では、媒染工程S3における塩化第ニスズ・5水和物の濃度を1重量%とした。他の条件は実施例1と同様であり説明を省略する。
実施例3では、媒染工程S3における塩化第ニスズ・5水和物の濃度を1重量%とした。他の条件は実施例1と同様であり説明を省略する。
(比較例1)
比較例1では、染色工程S2を行わなかった。他の条件は、実施例2と同様であり説明を省略する。
比較例1では、染色工程S2を行わなかった。他の条件は、実施例2と同様であり説明を省略する。
(比較例2)
比較例2では、媒染工程S3を行わなかった。他の条件は、実施例1〜3と同様であり説明を省略する。
比較例2では、媒染工程S3を行わなかった。他の条件は、実施例1〜3と同様であり説明を省略する。
<評 価>
上記実施例1〜3及び比較例1、2のスギ辺材の紫外線照射工程S4前後について、耐候性試験機(ウエザーメータ WEL−75XS−LHP スガ試験機製)のキセノンランプを用いて耐候性試験(照射強度:48W/m2 ブラックパネル温度63°C 湿度50%)を行い、紫外線照射時間毎の明度L*、色度(赤み)a*及び色度(黄み)b*の値を測定した。結果を図2〜4に示す。これらの図から分かるように、実施例1〜3では、紫外線照射時間が長くなるほど、明度が下がった(図2参照)。また、(赤み)a*については、塩化第ニスズ・5水和物の濃度を5重量%とした実施例2で最も強くなった(図3参照)。さらに、色度(黄み)b*については、塩化第ニスズ・5水和物の濃度を1重量%とした実施例3で最も強くなり、実施例1、2では黄みb*はほとんど変化しなかった(図4参照)。スギの「赤み」の色と、スギの「白太」の色とを上記と同様の方法で測定したところ、「赤み」の色は「白太」の色よりL*値が20低く、a*値が6大きく、色度(黄み)b*はほぼ同じであた。この結果から、実施例1〜3はスギの「赤み」の色に近く、特に塩化第ニスズ・5水和物の濃度を5重量%とした実施例2はスギの「赤み」の色に最も似ていることが分かる。また、肉眼による観察においても、実施例1〜3では、紫外線照射工程S4前において「白太」の色であったのが、紫外線照射工程S4後ではスギの「赤み」に極めて近い色となった。
上記実施例1〜3及び比較例1、2のスギ辺材の紫外線照射工程S4前後について、耐候性試験機(ウエザーメータ WEL−75XS−LHP スガ試験機製)のキセノンランプを用いて耐候性試験(照射強度:48W/m2 ブラックパネル温度63°C 湿度50%)を行い、紫外線照射時間毎の明度L*、色度(赤み)a*及び色度(黄み)b*の値を測定した。結果を図2〜4に示す。これらの図から分かるように、実施例1〜3では、紫外線照射時間が長くなるほど、明度が下がった(図2参照)。また、(赤み)a*については、塩化第ニスズ・5水和物の濃度を5重量%とした実施例2で最も強くなった(図3参照)。さらに、色度(黄み)b*については、塩化第ニスズ・5水和物の濃度を1重量%とした実施例3で最も強くなり、実施例1、2では黄みb*はほとんど変化しなかった(図4参照)。スギの「赤み」の色と、スギの「白太」の色とを上記と同様の方法で測定したところ、「赤み」の色は「白太」の色よりL*値が20低く、a*値が6大きく、色度(黄み)b*はほぼ同じであた。この結果から、実施例1〜3はスギの「赤み」の色に近く、特に塩化第ニスズ・5水和物の濃度を5重量%とした実施例2はスギの「赤み」の色に最も似ていることが分かる。また、肉眼による観察においても、実施例1〜3では、紫外線照射工程S4前において「白太」の色であったのが、紫外線照射工程S4後ではスギの「赤み」に極めて近い色となった。
一方、媒染工程S3を行わなかった比較例1では、明度L*及び(赤み)a*はほとんど変化がなく、(黄み)b*は上昇し、淡い色に染色された。また、スギ樹皮抽出液を用いなかった比較例2では、明度L*は低下するが、(赤み)a*及び(黄み)b*はあまり変化しなかった。
なお、上記実施例1〜3では、スギ樹皮抽出液及び媒染液をスギ辺材に塗布したが、この方法に代え、真空チャンバー内に入れたスギ樹皮抽出液や媒染液にスギ辺材を浸すこともできる。こうであれば、スギ辺材の内部までスギ樹皮抽出液や媒染液が入り込むため、、製材後において紫外線照射すれば、赤色に染色することができる。
(実施例4)
実施例4では、「白太」と「赤み」が混ざったスギ源平板を用いた。他の条件は実施例2と同様であり、説明を省略する。
実施例4では、「白太」と「赤み」が混ざったスギ源平板を用いた。他の条件は実施例2と同様であり、説明を省略する。
こうして染色されたスギ源平板の紫外線照射工程S4前後における写真を図5に示す。この写真から分かるように、紫外線照射工程S4前において、「白太」と「赤み」が混ざったスギ源平板であったのが、紫外線照射工程S4後ではスギの「赤み」に極めて近い色となり、スギ源平材の商品価値を高めることができた。
(実施例5)
実施例5では、紫外線照射工程S4において、絵柄を黒色で印刷したOHP用のフィルムをスギ源平板に重ねた。他の条件は実施例2と同様であり、説明を省略する。
実施例5では、紫外線照射工程S4において、絵柄を黒色で印刷したOHP用のフィルムをスギ源平板に重ねた。他の条件は実施例2と同様であり、説明を省略する。
この結果、図6及び図7に示すように、スギ源平板に赤色の絵柄を描くことができた。
(実施例6)
上記実施例1〜5では、染色工程S2と媒染工程S3を別工程で行ったのに対して、実施例6では、スギ樹皮の水抽出液中に媒染剤を添加した染色液を用い、染色と媒染をいっしょに行った。図8にその工程を示す。
上記実施例1〜5では、染色工程S2と媒染工程S3を別工程で行ったのに対して、実施例6では、スギ樹皮の水抽出液中に媒染剤を添加した染色液を用い、染色と媒染をいっしょに行った。図8にその工程を示す。
抽出工程S11
まず抽出工程S11として、スギの樹皮を粉砕機で粉砕したスギ樹皮粉300gを5Lのビーカーに入れ、蒸留水を3L加える。そして、バーナーで加熱しながら30分間沸騰させて熱水抽出を行った後、ろ過を行いスギ樹皮粉を除去し、スギ樹皮抽出液を得た。
まず抽出工程S11として、スギの樹皮を粉砕機で粉砕したスギ樹皮粉300gを5Lのビーカーに入れ、蒸留水を3L加える。そして、バーナーで加熱しながら30分間沸騰させて熱水抽出を行った後、ろ過を行いスギ樹皮粉を除去し、スギ樹皮抽出液を得た。
媒染剤添加工程S12
次に、上記スギ樹皮抽出液に対し、塩化第ニスズ・5水和物を5重量%添加して、染色媒染液とする。こうして得られた染色媒染液は、沈殿物が生じていた。
次に、上記スギ樹皮抽出液に対し、塩化第ニスズ・5水和物を5重量%添加して、染色媒染液とする。こうして得られた染色媒染液は、沈殿物が生じていた。
染色媒染工程S13
そして、染色媒染工程S13として、スギ辺材(6cm×6cm×1cm)を用意し、上記染色媒染液を撹拌し懸濁させながら塗布し、乾燥させる。
そして、染色媒染工程S13として、スギ辺材(6cm×6cm×1cm)を用意し、上記染色媒染液を撹拌し懸濁させながら塗布し、乾燥させる。
紫外線照射工程S14
最後に、紫外線照射工程S14として、上記染色媒染工程S13が終了したスギ辺材の塗布面に対し、キセノンランプ(48W/m2)を用いて2時間の紫外線照射を行った。
最後に、紫外線照射工程S14として、上記染色媒染工程S13が終了したスギ辺材の塗布面に対し、キセノンランプ(48W/m2)を用いて2時間の紫外線照射を行った。
<評 価>
上記実施例6のスギ辺材の染色では、実施例1〜3よりも色が濃く、赤みもさらにスギ心材に近いものであった。
上記実施例6のスギ辺材の染色では、実施例1〜3よりも色が濃く、赤みもさらにスギ心材に近いものであった。
(実施例7)
実施例7では、ヒノキ樹皮の水抽出液を用い、「白太」のヒノキ材を染色した。他の条件は実施例2と同様であり、説明を省略する。
実施例7では、ヒノキ樹皮の水抽出液を用い、「白太」のヒノキ材を染色した。他の条件は実施例2と同様であり、説明を省略する。
<結 果>
上記実施例7のヒノキ材の処理品は、ヒノキの「赤み」に極めて近い色に染色された。
上記実施例7のヒノキ材の処理品は、ヒノキの「赤み」に極めて近い色に染色された。
紫外線遮蔽透明塗料の塗布による変色防止効果
(実施例8)
実施例8では、実施例2と同様の方法によって染色したスギ辺材に、紫外線遮蔽透明塗料を2回刷毛塗りした。ただし、紫外線照射工程S4における紫外線の照射時間は4時間とした。紫外線遮蔽透明塗料としては、和信化学製 水性アクリル塗料 AQRX−3550を用いた。
(実施例8)
実施例8では、実施例2と同様の方法によって染色したスギ辺材に、紫外線遮蔽透明塗料を2回刷毛塗りした。ただし、紫外線照射工程S4における紫外線の照射時間は4時間とした。紫外線遮蔽透明塗料としては、和信化学製 水性アクリル塗料 AQRX−3550を用いた。
(比較例3)
比較例3では、実施例8と同様の方法によってスギ辺材を染色し、紫外線遮蔽透明塗料の塗装は行わなかった。
比較例3では、実施例8と同様の方法によってスギ辺材を染色し、紫外線遮蔽透明塗料の塗装は行わなかった。
<評価>
上記実施例8及び比較例3の染色スギ辺材に対して、耐候性試験機(ウエザーメータ WEL−75XS−LHP スガ試験機製)のキセノンランプを用いて耐候性試験(照射強度:48W/m2 ブラックパネル温度63°C 湿度50%)を行い、紫外線照射時間毎の明度L*、色度(赤み)a*及び色度(黄み)b*の値を測定した。色の変化は次式で定義される色差によって評価した。なお、下式における明度L*、色度(赤み)a*及び色度(黄み)b*の添え字「0」は試験前の値を示し、添え字「t」は試験後の値を示す。
上記実施例8及び比較例3の染色スギ辺材に対して、耐候性試験機(ウエザーメータ WEL−75XS−LHP スガ試験機製)のキセノンランプを用いて耐候性試験(照射強度:48W/m2 ブラックパネル温度63°C 湿度50%)を行い、紫外線照射時間毎の明度L*、色度(赤み)a*及び色度(黄み)b*の値を測定した。色の変化は次式で定義される色差によって評価した。なお、下式における明度L*、色度(赤み)a*及び色度(黄み)b*の添え字「0」は試験前の値を示し、添え字「t」は試験後の値を示す。
結果を図9に示す。この図から分かるように、紫外線遮蔽透明塗料を塗布した実施例8は、紫外線遮蔽透明塗料を塗布しなかった比較例3に比べて、紫外線照射による変色の程度が小さかった。
本発明の染色方法によれば、被染色部材を木材の自然な赤みがかった色に染めることができ、商品価値を高めることができる。
S1、S11…抽出工程
S2…染色工程
S3…媒染工程
S4、S14…紫外線照射工程
S12…媒染剤添加工程
S13…染色媒染工程
S2…染色工程
S3…媒染工程
S4、S14…紫外線照射工程
S12…媒染剤添加工程
S13…染色媒染工程
Claims (8)
- 木材樹皮を水で抽出する抽出工程と、
該抽出工程で得られた抽出液に被染色部材を接触させる染色工程と、
媒染剤の水溶液に被染色部材を接触させる媒染工程と、
染色工程及び媒染工程が終了した後、該被染色部材に紫外線を照射する紫外線照射工程とを備えることを特徴とする染色方法。 - 木材樹皮を水で抽出する抽出工程と、
該抽出工程で得られた抽出液に媒染剤を添加して染色媒染液とする媒染剤添加工程と、
該染色媒染液に被染色部材を接触させる染色媒染工程と、
該染色媒染工程終了後、該被染色部材に紫外線を照射する紫外線照射工程とを備えることを特徴とする染色方法。 - 被染色部材はセルロースを主成分とすることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項記載の染色方法。
- 被染色部材は木材であることを特徴とする請求項3記載の染色方法。
- 木材樹皮はスギ樹皮又はヒノキ樹皮であることを特徴とする請求項4記載の染色方法。
- 紫外線照射工程を行った後、染色面を紫外線の遮蔽が可能な透明塗料で塗装することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の染色方法。
- 木材樹皮を水で抽出した抽出液に媒染剤が添加されていることを特徴とする染色液。
- 木材樹皮はスギ樹皮及びヒノキ樹皮の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項7記載の染色液。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN108994995A (zh) * | 2018-08-02 | 2018-12-14 | 安徽昌发实业有限公司 | 一种木材的高稳定性染色处理方法 |
-
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- 2005-03-17 JP JP2005076626A patent/JP2006256101A/ja active Pending
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