JP2006244192A - 光学式座標入力装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】所定距離dを有する複眼センサにより、複数の指示手段により入力が同時に行われた場合、少なくとも一方の指示手段の直径がdを超えると、複数の指示手段の座標値を正確に算出できなくなる場合が起こり得る。
【解決手段】指示手段の直径を計測する手段を設け、該距離dより大きな径を有する指示手段により座標入力動作が行われた場合に、その旨を告知する、あるいは算出座標値を制御することによって、操作者の意図と異なる重大な結果を招かないように機器を制御する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、座標入力装置、より詳しくは、入力面に指示具や指によって指示して座標を入力することにより、接続されたコンピュータを制御したり、文字や図形などを書き込むために用いられる座標入力装置であって、その性能を改善する技術に関するものである。
特に本発明は、入力面周囲に再帰反射材を設け、或いは、指示具に再帰反射材を設け、指示具や指等による遮光状態を検知することにより指示位置座標を入力する光学式座標入力装置、更には、指示具に発光手段を設け、その発光位置座標を検知することにより指示位置座標を入力する光学式座標入力装置に関する。
従来より、この種の装置としてはタッチパネルとして、各種方式のものが提案、または製品化されており、特殊な器具などを用いずに、画面上でPCなどの操作が簡単にできるため、広く用いられている。
方式としては、抵抗膜を用いたもの、また、超音波を用いたものなど、さまざまなものがあるが、光を用いたものとして特許文献1などに見られるように、座標入力面外側に再帰性反射シートを設け、光を照明する手段からの光を再帰反射シートで反射し、受光手段により光量分布を検出する構成において、入力領域内にある、指などで遮蔽された領域の角度を検出し、遮蔽位置つまり入力位置の座標を決定するものが、知られている。
また、国内件においても特許文献2や、特許文献3などにあるように、再帰反射部材を入力領域周辺に構成し、再帰反射光が遮光される部分の座標を検出する装置が開示されている。
これらの装置において、例えば特許文献2では、微分などの波形処理演算によって遮光部分のピークを検出することにより、遮光部分の角度を検出し、また、特許文献3では、特定のレベルパターンとの比較によって遮光部位の一方の端と他方の端を検出しそれらの座標の中心を検出する構成が示されている。
また、更に、このような座標入力装置においては、特にサイズの大きな場合には、複数の操作者が同時に入力することにより、利便性が向上し、より効率的な会議等の用途での要求があるので、複数同時入力に対応する座標入力装置が考案されている。複数の座標を同時に入力するために、特許文献4、特許文献5、特許文献6で、一つの受光センサで複数の遮光部分の角度を検出し、各センサの角度の組み合わせから数点の入力座標候補を算出し、更に、その入力座標候補から実際に入力した座標を判別する技術が公開されている。
例えば、図37(a)に示すように、地点A及び地点Bの二箇所で座標入力が行われた場合、算出される角度情報に基づき導出される入力位置座標の候補は、地点A、地点Bの他に地点C、地点Dの4の座標が算出されるが、この位置候補4点の内実際に入力した座標2点を識別して出力しなければならない。この識別をここでは虚実判定と称することにするが、虚実判定の具体的な手段としては、特許文献5、特許文献6例では、従来の座標入力領域の一辺の両端に、入力領域内で指示された座標を精度良く算出するに十分な距離を隔てて設置される第1及び第2のセンサ(図37のセンサ1L、センサ1R)の他に、これも、第1及び第2のセンサから入力領域内で指示された座標を精度良く算出するに十分な距離を隔てて第1及び第2のセンサの間の位置に設置される第3のセンサ(センサ1C)を設け、例えばこの第3のセンサ1Cと第1のセンサlLの組み合わせで位置候補を算出すれば、地点A、地点B、地点E、及び領域外に計算される他の地点の4箇所が候補として算出され、演算に用いるセンサの組み合わせを変更しても同一の位置座標が得られる地点A、地点Bが実際の入力地点であると判定できる。また、第3のセンサ1Cと第2のセンサlRの組み合わせで位置候補を算出すれば、地点A、地点B、地点F、及び領域外に計算される他の地点の4箇所が候補として算出され、やはり同一の位置座標が得られた地点A、地点Bが実際の入力地点であると判定できる。
米国特許第4507557号明細書 特開2000−105671号公報 特開2001−142642号公報 特開2002−055770号公報 特開2003−303046号公報 特許第2896183号公報
しかし、従来の再帰反射光等の光を遮る部分の光量分布のピーク或いは、遮光影に関わる光量分布の両端の情報の中心から角度を検出し、各受光手段のその角度の組み合わせから指示座標を算出するこの種の座標入力装置あっては、複数(例えば2箇所)の座標入力を検知して各々の座標値を算出する場合、前述複数の各々の座標入力位置と受光手段を結ぶ各々の直線が略同一直線となるような場合(各々の遮光影が重なった場合)には、各々の遮光影を分離して角度を検出することが出来ないので、位置算出不能状態となってしまう。
具体的に例えば図28に示すような座標入力領域に、位置Aと位置Bの2点に指示具等で座標入力を同時に行った場合、受光手段S2の遮光光量分布は、図33(B)のようになり、位置Aと位置Bの2点の遮光位置に対応した遮光影が、各々検出される。尚、参照データとして、何も指示入力しない場合の光量分布を図33(A)で示す。この図に模式的に示されている光量分布は、座標入力領域の周囲に設けられた再帰反射材の形状(座標入力領域の縦横比)、投光手段からの光を再帰的に反射する再帰反射材の再帰反射効率や入射角特性、投光手段の角度依存性や、投光手段から再帰反射部材までの距離等により依存して出力される光量分布である。
一方、図28に示す受光手段S1の場合における遮光光量分布は、図33(C)のようになり、位置Aと位置Bの2点の遮光位置に対応した遮光影が重なって検出される。図28の受光手段S1と位置A及び位置Bの指示手段を結ぶ光線から明らかなように、遮光影が部分的に重なった場合には、それぞれの指示具(或いは、指)の片方の遮光端の情報しか得られず(いわゆる部分食状態)、指示具等の両端の情報からその中心方向を算出する構成では、その検出が不能となる。さらには一方の指示具の影に他方の指示具の影が完全に含まれてしまう様な場合(いわゆる皆既食状態)には、遮光影の両端から一方の指示具の中心位置(角度)を求めることが出来るが、他方の指示具に関する情報は何も得ることが出来ない。
従って、先行例においては、それぞれの予め遮光影の数を検出して、受光手段によるこの数が、例えば、他の受光手段においては2個なのに、当該受光手段においては1個である様な場合には、当該受光手段において、この遮光影が受光手段の光量分布において重なった場合とみなし、ある場合(特許文献6)には警告を発することで使用者に注意を喚起し、その状態を回避するように求め、或いは、当該受光手段を他の第3の遮光影の重なりの無い分離された受光手段に切り替え(特許文献4、5)、遮光影が2つに分離されている2つの受光手段で角度を算出し、前記のように虚実判定から2点の実入力座標を算出する必要があった。尚、この場合の虚実判定は、前記遮光重なりのある受光手段の角度情報でも十分に可能なので、この遮光重なりのある受光手段の角度情報で行う(特許文献5、6)。
さて、この切り替える関係にある2つの受光手段は、そのいずれか少なくとも一方が2つの遮光影を分離して検出できるような状態になっていなければならない。つまり、この切り替える関係にある2つの受光手段がいずれも遮光重なりがある状態では、そもそも受光手段を切り替える事の意味が無く、座標算出不能のままである。従って、切り替える関係にある2つの受光手段のいずれか少なくとも一方で、2つの遮光影が必ず分離した状態で観測されるようにするためには、この2つの受光手段を一定の距離、離して配置する必要がある。
従来技術である特許文献4、5、6においては、明確にその制約について触れていないが、2つの受光手段を一定の距離、離して配置しなければならないことは明白である。また、全ての座標入力領域で上記の少なくとも一方の受光手段で2つの遮光影が分離されているための条件は、前述の受光手段間の距離に関するだけでなく、受光手段と座標入力領域との位置関係、座標入力領域の寸法、指示具の大きさ、指示2点間の距離等、複雑な関係が存在する。
図28を用いて説明した通り、図示が如く2箇所を指示した場合、受光手段S1では部分食状態の遮光重なりが生じ、その時得られる光量分布は図33(C)で示す様に遮光影が2個に分離されていないので、それぞれ2箇所の位置を算出することは出来ない。そこで、図29に示すように、受光手段S1の代わりに異なった方角から2箇所の指示具の遮光状態が検出できる、受光手段S3−1と受光手段S3−2を考える。受光手段S3−1では、図30に示すように、指示具A,Bは分離された遮光影として検出できる。これは、受光手段S1から十分に離れた距離D2に受光手段S3−1が配置されていることによる。一方、受光手段が受光手段S1から距離D3の位置に配置された受光手段S3−2における遮光影の光量分布は、図31に示すように部分食となり、遮光端が片側ずつしか検出されず、その結果として受光手段S1から受光手段S3−2に切り替えたとしても、その位置を検出することはできない。
更に一般化して、図32で示す様に、基本的に受光手段S1と受光手段S2で座標を検出する場合、S1に遮光重なりが生じた場合、その受光手段S1を切り替える受光手段S3をどの位置に配置するのが遮光重なりが生じない為の最適条件かを考える。まず、受光手段S1から図で破線で示す一直線上に指示具A、Bが並ぶ場合がもっとも遮光重なりが生じる基本的な場合であり、その2点が図の位置1〜位置4を指示した4ケースを想定する。座標入力領域の左右両端部近傍に配置された受光手段S1と受光手段S2の中間部、言い換えれば座標入力領域の左右方向に対して略中央部に配置された受光手段S3−1は、位置1〜位置4を2点が指示した場合であっても、図示が如くA,Bの遮光影は分離している。それに対し受光手段S1から距離D3(D3<D2)の位置に配置された受光手段S3−2にあっては、位置3及び位置4の指示具AとBに対する遮光影は重なりが生じてしまうことがわかる。
つまり、本来、最も指示具AとBの遮光影を分離するのに適した受光手段の位置は、遮光重なりが生じている受光手段と指示具AとBを結ぶ一直線(図では破線)に対して、その指示位置から垂直方向に存在する位置であるが、この関係を基に、座標入力領域でもっとも広い領域にわたって遮光分離が確保される受光手段位置を考えると、座標入力領域の両端に配置された2受光手段の略中央部分に配置された場合であることは明らかである。裏返せば、第3の受光手段の配置位置をこの2受光手段の略中央部分からいずれかの左右受光手段に近づけるに従い、遮光重なりが生ずる頻度が大きくなることがわかる。
つまり従来の先行例においては、座標入力領域の一辺の両端(左右)近傍に配置された受光手段における遮光重なりが生じた場合に発生する検出不能状態を回避するために、第3の受光手段に切り替える構成となっているが、その第三の受光手段を例えばその座標入力領域の一辺の両端(左右)近傍に配置された受光手段の中間位置近傍(両端の受光手段S1、S2から十分に離れた位置)とすることで、遮光分離を確保できるように構成されている。
上記のように、遮光重なりが生じた場合にその受光手段の角度情報を使用せず、その遮光重なりが生じた受光手段から上記のごとく離れた距離に配置された他の第3の受光手段に切り替えて座標を算出する場合には、次のような問題が生じる。
まず、受光手段を切り替えることによる算出座標の不連続性の問題である。これは、例えば受光手段S1と受光手段S2を用いて、指示具の位置座標を算出した場合の座標値と、受光手段S3と受光手段S2を用いて指示具の位置座標を算出した場合の座標値が、指示具を同一の場所に配置したにもかかわらず、両者の座標値が異なって算出されることによって生じる現象である。この現象が発生する主な原因は、受光手段毎に光学特性(角度特性)が異なる、受光手段の位置取り付け誤差、あるいは座標算出の際に用いられる受光手段間の距離(切り替えることによってその値が変化)が挙げられる。
さらには、選択された受光手段位置と指示具の位置関係によっては、座標検出精度を大幅に劣化させる場合がある。座標入力領域の一辺の左右の両端近傍に配置された図34の受光手段1と受光手段2の各々の角度情報の組み合わせで、例えば位置1の指示具の位置座標を検出する場合、各受光手段の角度検出誤差Δを考慮しても、位置座標算出にその誤差が著しく影響して算出座標値が大幅に異なった位置となることは無い(算出座標に影響する程度は小さい)。また複数同時入力の場合でも図28で示す様に、指示位置から距離の遠い受光手段S1において遮光重なりが生じている場合、その遮光重なり受光手段S1を前記のごとく中央に配置されたS3−1に切り替えても、先に説明した図32の場合と同様に、受光手段位置と入力領域の関係からくる座標検出精度の劣化の問題は生じない。
ところが、図35に示す様に、その指示位置から距離の近い受光手段S2において遮光重なりが生じている場合には、前述説明の通り図36に示すように、受光手段2を中央の受光手段S3に切り替える事になるが、この場合特に位置Aにおける指示に関して、受光手段S1の指示具の検出方向、及び受光手段S3の指示具の検出方向とが成す角度(図中の指示位置の中心を通る太線のなす角度)が極端に小さくなり、受光手段での角度検出誤差が含まれるとその誤差の影響が大きくなり(幾何学的に自明)、座標算出精度の著しい劣化を招く可能性が大きくなる。
更に、座標入力装置と一体的に構成される表示器の構造・仕様によっては、従来の上記座標入力領域の上辺か下辺の左右両端センサユニットの中央部分に遮光重なり時の切り替え用センサユニットを配置する為のスペースの確保が困難となる場合があった。また、その中央部に設けるセンサユニットは、角部に設けるセンサユニットに比べて検出範囲が広く無ければならず、単独ユニットで光学的に180°に近い視野角を確保するためには、ミラー構成等により座標入力領域との実質的な光路長を長くするか、複数のセンサユニットに分割して視野範囲を分担する必要があり、ミラー構成、複数のセンサユニットいずれの場合も、更に表示器周囲の設置スペースを必要とし、いわゆる額縁が大きくなる不具合の他、必然的にコストが大幅アップしてしまうという課題もあった。
以上の課題を解決するために、本願発明の座標入力装置は、座標入力有効領域の角部に少なくとも2個の受光検出手段が設けられ、該受光検出手段が検出した光量分布の変化から、指または指示具等が指示した方向を検出する角度検出手段を有し、導出した複数の角度情報に基づき、前述指または指示具等が指示した位置座標を算出する光学式座標入力装置であって、前記各々の受光検出手段が、2組の受光手段を有する事で、複数の指示具等による同時入力動作が行われた場合であっても、その両者の位置座標を高精度に検出できる様にしたものである。また、各々の受光検出手段に、座標入力面に略平行に光束を投光する2組の投光手段が、前記2組の受光手段の検出基準位置と投光手段の発光中心が各々一致するように、前記受光検出手段に設けることで、高精度で複数の指示具の位置を各々検出できるようにしたものである。
さらには、前記2組の受光手段の光学的対称軸が略平行に設定され、その両者の距離をd、並びに前記座標入力装置の入力領域における水平方向をX軸、天地方向をY軸とした時に、該距離dのX軸投影距離dx、もしくは該距離dのY軸投影距離dyを、指示手段の直径と等しく設定することで、座標入力領域内で操作している複数の指示具がどの位置関係にあっても、精度良く両者の位置座標を検出できる様にしたものである。
以上の構成に有っては、複数の指示具による座標入力が行われた際に、その位置情報を得るために、座標入力有効領域の角部に設けられた2つの受光検出手段に設けられた各々2つの受光手段による検出動作が必要となるが、常時複数の指示具による座標入力動作が行われているとは限らない。つまり、装置の使い勝手を想定すると、その大半は1つの指示具による座標入力動作が行われているのであって、その場合にあっては、前記座標入力有効領域の角部に設けられた2つの受光検出手段に設けられた各々2つの受光手段の内、一方の受光手段による検出動作により、指示具の位置座標を導出することが可能である。従って、その一方のみの受光手段が、座標入力有効領域全域を視野とする受光手段に設定することで、その一方の受光手段による検出動作により、指示具による座標入力動作が何箇所行われているかを判定し、複数の指示具による座標入力動作が行われていると判定した場合のみ、他方の受光手段による検出動作を実行するように構成することで、単一の指示具による座標入力動作が行われている場合の座標サンプリングレート(単位時間あたりの座標算出回数)を向上させ、例えば指示具による筆跡を忠実に再現できるように構成したものである。
また、複数同時入力が成された場合に動作する、前述した他方の受光手段の有効視野は、必ずしも座標入力有効領域全域をカバーする必要は無く、そのように構成することで、装置の筐体枠をより小さく構成できるようにしたものである。
上記の様な場合、前記一方の受光手段の有効視野領域であって、かつ他方の受光手段による有効視野外領域に複数の指示手段が存在している状態を検知する検知手段をさらに有することで、その出力結果に基づき例えば警告を操作者に発することで、操作者の使い勝手を向上できるようにしたものである。
さらには、前記複数の受光手段で検出された光量分布が前記指示手段による座標入力動作により光量変化した範囲、並びに該範囲の端部情報を検出する端部検出手段を有し、一方の受光検出手段中の各々の受光手段毎で得られた少なくとも一つの端部情報と、他方の受光検出手段中の各々の受光手段より得られる端部情報を用いて、前記指示手段の座標を演算する演算手段を有する事で、複数の指示具による同時入力動作が行われた場合であっても、各々の指示具の位置座標を高精度に算出できるように構成したものである。
また該座標入力装置の座標入力面を表示装置の表示面として構成、あるいは前記座標入力面を表示装置の表示面に重ねて配置することで、例えば操作者による座標入力動作による軌跡情報がエコーバックとして表示装置に表示され、あたかも『紙と鉛筆』『マーカーとホワイドボード』といったような関係の情報入出力機器を構成できるようにしたものである。
さらには、指示手段の直径、より正確には指示手段によって投光手段からの光を遮光する部分の指示具の直径が、各々の受光検出手段に設けられている受光手段の距離d、もしくは、前記該距離dのX軸投影距離dx、あるいは該距離dのY軸投影距離dyより大きい場合には、受光検出手段の位置と複数の受光手段の位置関係によっては、その複数の指示手段の位置を各々高精度に算出できなくなる場合が有り得る。
従って、複数の指示手段により位置指示動作を行って、その位置を各々導出する本願発明の構成に有って、検出された座標値と、指示手段によって投光手段よりの光が遮光される範囲の幅(以後『遮光幅』と称す)から、指示具の遮光部分の直径を導出する手段を設け、指示手段の直径が、各々の受光検出手段に設けられている受光手段の距離d、もしくは、前記該距離dのX軸投影距離dx、あるいは該距離dのY軸投影距離dyより大きい場合には、複数入力による複数の位置検出を停止し、あるいは検出した座標値を外部機器に出力するのを停止して、重大な誤操作、誤動作が発生することを防止できる様に構成したものである。
さらには、受光手段により指示具の方向、つまり遮光方向であるところの検出角Θが、指示具の位置座標を算出する際に導出されているので、その方向への該距離dの投影距離dΘより導出された指示具の直径が大きい場合には、複数入力による複数の位置検出を停止し、あるいは検出した座標値を外部機器に出力するのを停止して、重大な誤操作、誤動作が発生することを防止できる様に構成したものである。
さらには、操作者の意図に反してこの様な座標入力動作が行えない状態にあること回避することができる様に、その様な状況にあることを操作者に報知できる様に構成したものである。
以上、本発明についてその詳細を説明したが、これを下記に整理して記述する。
(1)距離d離れた位置に2組の受光手段を各々有する受光検出手段が、座標入力有効領域の角部に少なくとも2個配置され、該受光検出手段が検出した光量分布の変化から指示手段が指示した方向を検出し、導出した角度情報に基づき前述指示手段の指示位置座標を算出する光学式座標入力装置であって、前記算出された位置座標と該受光検出手段が検出した光量分布の変化から指示手段の直径を導出する径導出手段、径導出手段の計測結果と前記距離dを比較する比較手段の比較結果に基づき、座標入力装置の座標出力形態を制御する制御手段を有することを特徴とする光学式座標入力装置。
以上の課題を解決するための上記構成とすることで、複数の指示具により、複数の座標を同時に入力した場合であっても、高精度で複数の指示具の位置を各々検出できる、優れた効果が得られるようになった。具体的には、従来のように、2つの遮光範囲が分離している場合のみならず、部分食という遮光重なりが生じた場合にでも精度が劣化することなく、座標を算出できる。部分食の遮光重なりの場合でも座標が算出できるので、従来の技術では実現し得ない、切り替え受光検出手段間の距離の短縮により小型化が実現できる。
複数の入力が重なった場合にでもセンサの切り替えを行うことを避けることが出来るので、或いは、切り替えを行ってもセンサユニット内での上記近距離の受光検出手段間での切り替えであるので、従来のような、切り替えによる算出座標の不連続性や、センサユニットの組み合わせによる座標演算上の誤差拡大の発生を招くことなく高精度な座標算出が可能となった。
さらには、各々の受光検出手段(センサユニット1)に設けられた受光手段の光学的配置、並びに該受光手段や投光手段の制御方法により操作性、筆記再現性を良好なものとし、しかも筐体枠の小さな座標入力装置を実現できる、優れた効果が得られるようになった。
さらには、複数の指示手段により位置指示動作を行って、その位置を各々導出する本願発明の構成に有って、指示手段の直径、正確には指示手段によって投光手段よりの光が遮光される範囲の幅(遮光幅)が、各々の受光検出手段に設けられている受光手段の距離dより大きい場合には、受光検出手段の位置と複数の受光手段の位置関係によっては、その複数の指示手段の位置を幾何学的に算出できなくなる場合が有り、その様な状況が発生する場合に合っては、座標出力を外部機器に出力するのを停止したり、またその様な状況を操作者に報知して、重大な誤動作につながることを防止、あるいは操作者による障害の回避を促すことができる、優れた効果が得られるようになった。
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
(第1の実施形態)
〈装置構成の概略説明〉
まず図4を用いて座標入力装置全体の概略構成を説明する。
図中1L、1Rは投光手段および受光手段を有するセンサユニット1であり、本実施例の場合、図示の如く座標入力面であるところの座標入力有効領域3のX軸に平行に、かつY軸に対称な位置に所定距離離れて配置されている。センサユニット1は制御・演算ユニット2に接続され、制御信号を制御・演算ユニット2から受け取ると共に、検出した信号を制御・演算ユニット2に送信する。4は入射光を到来方向に反射する再帰反射面を有する再帰反射手段であって、座標入力有効領域3の外側3辺に図示が如く配置され、左右それぞれのセンサユニット1から略90°範囲に投光された光を、センサユニット1に向けて再帰反射する。
さて、再帰反射部材4で再帰反射された光は、集光光学系とラインCCD等によって構成されたセンサユニット1の受光手段によって1次元的に検出され、その光量分布が制御・演算ユニット2に送られる。
前述した座標入力有効領域3は、PDPやリアプロジェクタ、LCDパネルなどの表示装置の表示画面で構成することで、インタラクティブな入力装置として、利用可能となる。
このように構成することで、入力領域に指などによる入力指示がなされると、上記投光手段から投光された光が、指等の指示手段によって遮られ、センサユニット1の受光手段ではその部位のみの光(再帰反射による反射光)を検出する事ができなくなり、その結果、どの方向からの光が検出できなかったかを判別することが可能となる。つまり制御・演算ユニット2の演算制御手段は、左右のセンサユニット1の光量変化から入力指示された部分の遮光範囲を検出し、その遮光範囲の情報から遮光位置の方向(角度)をそれぞれ導出する。さらに、前記導出された方向(角度)、及びセンサユニット1L、及び1R間の距離情報等から、入力エリア上の遮光位置を幾何学的に算出すると共に、表示装置に接続されているPCなどに、USBなどのインタフェース7を経由してその座標値を出力する。
このようにして、指等の指示具によって、画面上に線を描画したり、表示画面上のアイコン操作によりPCの制御等が可能となる。
以降、各部材毎にその構成、動作について詳細説明を行う。
〈センサユニット1の詳細説明〉
図5は、センサユニット1の詳細を説明するための説明図であり、図中101(A)、101(B)は、赤外光を発する赤外LEDであり、各々投光レンズ102(A)、102(B)によって、前述再帰反射板4に向けて略90°範囲に光を投光する。投光された赤外光は、再帰反射部材4により到来方向に再帰反射され、センサユニット1中の受光手段によって、その光を検出する。
本願発明の受光手段は、光線の視野を制限すると共に電気的なシールドをになうシールド部材105を設けた1次元のラインCCD104、集光光学系としてのレンズ106(A)、106(B)、入射光の入射方向を概略制限する絞り108(A)、108(B)、及び可視光など余分な光の入射を防止する赤外フィルター107(A)、107(B)からなり、再帰反射部材4によって反射された光は、前述赤外フィルター107、絞り108を抜けて受光用レンズ106によって、ラインCCD104の検出素子110面上に集光される。部材103、及び部材109は、これらの光学部品を配置するとともに、投光手段で投光した光が直接受光手段に入射、あるいは外来光等の余分な光をカットするためのため上フード103、下フード109である。
なお、本願発明の実施例に有っては、絞り108(A)、108(B)は下フード109に一体で成型されているが、別部品であってもよいことは言うまでも無く、さらには、上フード103側に、絞り108、及び受光用レンズ106の位置決め手段を設けることで、投光手段の発光中心に対する受光手段の位置決めを容易(つまり上フード103のみで、すべての主要な光学部品が配置される)に実現することも可能となる。
図6(A)は、図5の状態から組み上げた状態のセンサユニット1を、正面方向(座標入力面に対し垂直方向)から見た図であり、二つの投光手段が所定距離d離れた状態で、それぞれの主光線方向が略平行となるように配置され、各々の投光レンズ102によって、それぞれ略90°範囲に光を投光する様に構成している。
図6(B)は、図6(A)の太矢印で示される部分の断面図であり、赤外LED101からの光は、投光レンズ102により、座標入力平面に略平行に制限された光束として、主に再帰反射部材4に対して光が投光されるように構成する。
一方図6(C)は図6(A)におけるLED101、投光レンズ102、上フード103を説明のために取り除いた状態で、同様に正面方向(座標入力面に対し垂直方向)から見た図である。従って本実施例の場合、投光手段と受光手段は重ねた配置構成(図6(B)参照)となっており、正面方向(座標入力面に対し垂直方向)から見て、投光手段の発光中心と受光手段の基準位置(つまり角度を計測するための基準点位置に相当し、本願発明にあっては絞り位置108の位置であって、図中の光線が交差する点となる)が一致する構造となっている。従って、前述した通り、二つの投光手段は所定距離d離れた状態で、それぞれの主光線方向略平行となるように配置されているので、二つの受光手段も同様に所定距離d離れた状態で、かつ各々の光軸(光学的な対称軸)が略平行となるように構成されている。
従って、投光手段により投光された座標入力平面に略平行な光束であって、面内方向に略90°方向に投光されている光は、再帰反射部材4により光の到来方向に再帰反射され、赤外フィルター107、絞り108、集光レンズ106を経て、ラインCCD104の検出素子110面上に集光、結像することになる。従って、ラインCCD104の出力信号は、反射光の入射角に応じた光量分布を出力することになるので、CCD41画素番号が角度情報を示すことになる。
なお、図6(B)に示す投光手段と受光手段の距離Lは、投光手段から再帰反射手段4までの距離に比べて十分に小さな値であり、距離Lを有していても十分な再帰反射光を受光手段で検知することが可能な構成となっている。
以上説明したように、本願発明のセンサユニット1は、少なくとも2つの投光手段と、各々の投光手段で投光された光を各々検出する受光手段(本実施例の場合、投光手段が2組、受光手段が2組)を有する構成である。また本願実施例に有っては、受光手段におけるラインCCD104におけるライン状に配置された検出素子110の左側部分を第一の受光手段の集光領域、右側部分を第二の受光手段の集光領域とすることで、部品の共通化を図っているが、これに限定されるものでなく、個別にラインCCDを設けてもよいことは言うまでもない。
〈センサユニット1の光学配置に関する詳細説明〉
図3は、本願発明の座標入力装置の光学的な配置を説明するための説明図であって、特に左側センサユニット1Lの配置について説明する(右側センサユニット1Rについては、図中Y軸について左側センサユニット1Lと対称な関係にあるので、説明を省略する)。
先に述べた通り、センサユニット1Lには2組の投光手段と受光手段を有し、両者の光軸(光学的な対称軸であって、光線151、及び光線161に相当)は略平行にかつ距離d離れて配置されている。座標入力有効領域3の水平方向にX軸、天地方向をY軸として、該光軸が図示が如くX軸と交わる角度をΘとし、またセンサユニット1L中の一方の投光手段の投光範囲(もしくは受光手段の検出角度範囲)を光線152、光線153、もう一方のそれを光線162、光線163と定義する。光線152、光線153、もしくは光線162、光線163で定義される2組の光学手段の有効視野は略90°であり、無論その範囲を例えば100°とすることも可能であるが、その有効視野をより大きく設定、設計することは、例えばレンズの光学歪が大きくなり、安価に光学系を構成すると言う点で不利となる。
従って、各々の受光手段で、投光された光を遮光する指示具等の物体位置情報を得るためには、光線152、及び光線163で定義される領域内に、座標入力有効領域を設定するのが好ましい形態であり、座標入力有効領域を図示が如く領域171に設定すれば、センサユニット1L中の2組の受光手段で、領域171中の遮光物体の遮光位置を検出することが可能となる。
しかしながら、このように設定することで、例えば各パーツを内蔵した装置の筐体172と座標入力可能な領域171の関係で決まる筐体枠が大きくなり、操作可能な領域に比べ装置全体の大きさが大きくなってしまうと言う課題が生じる。この課題を解決するためには、センサユニット1の形状を小さくすることは言うまでも無く、さらには、光線151、光線161で定義される2組の光学手段の距離dをより小さくするのが好ましい。
本願発明の座標入力装置に有っては、座標入力有効領域3と筐体172で決まる筐体枠を極力小さくするために、センサユニット1中の一方の受光手段は、座標入力有効領域3の全ての領域を有効視野に収めているが、もう一方の受光手段は、図中領域173で定義される領域が有効視野外となる設定となっている。
さて本願発明の主目的は、課題の項等でも述べたとおり、複数の遮蔽物(専用の指示具であったり、あるいは指等)、つまり複数の物体による座標入力動作が同時に行われた場合であっても、その両者の位置情報をそれぞれ正確に得ることにある。
具体的な使用例を考えてみると、例えば本願発明の座標入力装置を表示装置に重ねて配置した入出力一体のディスプレイ(表示領域が、例えば60インチ相当で、そのアスペクト比を16:9とすれば、表示領域の大きさは、横1330mm、縦750mm)で、指示具等により座標入力動作を行い、その入力した軌跡を筆跡として表示ディスプレイに表示することで、あたかも筆記用具用のペンを用いてホワイトボードに文字、図形等を入力したが如くできる様に構成した情報入出力装置を想定する(この場合、図中Y軸方向が天地方向と一致する)。
座標入力動作が複数行われ、その両者の軌跡が逐次表示されていく状態とは、複数の操作者がいることが前提となる。この時、操作者はディスプレイの前面に立って操作することになるので、通常使われる使い勝手としては、画面の左右に別れて操作者が位置し、画面の比較的左側領域における座標入力動作と、画面の比較的右側領域における座標入力動作が行われることになる。従って、操作者が操作する上で、その作業姿勢を譲り合って2人の操作者が同時に領域173で座標入力動作をすることは非常にまれであり、仮に領域173における同時複数入力動作を仕様上禁止したとしても、製品の使い勝手として大きな制約とはならない。
さらには、後述する方法により、領域173における同時複数入力動作が行われていることを検出することも可能であり、その場合に有っては、その旨を警告する等の手段を設けても良い。
また、領域173をもカバーする有効視野を有する受光手段で、指示具等による座標入力の有無を判定し、その判定結果に基づき、例えば、遮光部位が複数あるような場合には、必要に応じてもう一方の受光手段による遮光部位の検出を行うように構成することで、後述するような動作時間により決まる座標サンプリングレートの改善、低消費電力化、あるいは上述した筐体構造の小型化を図ることができる様になる。
また、先に説明した距離dをより小さくすることで、一方の受光手段の有効視野外となる領域173をより小さくすることが可能となるが、例えば、先に定義した角度Θを調整することでも、その領域をより小さくすることができる場合がある。つまり図3において、Θは略45°に設定されているが、センサユニット1の位置と座標入力有効領域3の位置関係により、例えばΘをより大きく(例えば48°)設定することで、領域173を小さくできる(光線163が時計回りの方向に回転するので、設定角度に応じて領域173の下側領域が、有効視野内に含まれることになる。一方、他方の有効視野も同時に回転することになるが、その場合であっても、他方の受光手段の有効視野は、座標入力有効領域3の全てをカバーしている状態に設定される)。
以上述べたように、センサユニット1中の2組の光学系は、各々約90°の有効視野を有し、2組の光学系の対称軸間の距離dをより小さく設定することで、筐体枠を小さくできることや、仕様上設定される領域173をより縮小できることが示された。
〈センサユニット1の検出信号波形の詳細説明〉
センサユニット1中の複数の受光手段で得られる検出信号波形について図7を用いて説明する。先にも説明した通り図7(A)に示されるように、一方の投光手段Aで投光される光線(もしくは受光手段Aの有効視野)は、光学的対称軸の方向が光線151で示され、その投光範囲は光線152、光線153により定義される。そして他方の投光手段B(もしくは受光手段B)のそれは、それぞれ光線161、光線162、光線163で定義される。実際に受光手段A、もしくは受光手段Bで検出される光は、各々の投光手段で投光された光線が、再帰反射部材4により再帰反射されることによって検出されるので、実際に検出される光の検出範囲は再帰反射手段4の配置関係によって決まり、有効視野より小さな範囲となるのが通例である。
このような配置関係において、半径R1を有する円柱状の指示具191により座標入力動作を行えば、受光手段Aにおいては、光線181から光線182にいたる範囲で、投光手段Aで投光された光が遮られるので、この範囲の光を受光できなくなる。一方、この状態における受光手段Bにあっては、同様に光線183から光線184間の光を検出できなくなる。
図7(B)は受光手段Aの検出信号波形を、同図(C)は受光手段Bの検出信号波形を示すものであり、横軸に角度情報を示すCCD画素番号、縦軸に検出光量を示し、例えば検出光量αのレベルが全く光信号が得られない状態であり、検出光量βになるに従って、受光した光信号の強度レベルが増大することを示すものである。前述した通り、有効視野内に指示具191を配置することによって、図7(B)に示されるように受光手段Aに有っては、光線181方向から光線182方向までの光が、また図7(C)に示されるように受光手段Bに有っては、光線183方向から光線184方向までの光を検出できない状態を示すものである。
なお、投光手段により投光された光は、その投光方向に応じて光強度が異なる、あるいは投光方向に応じて再帰反射部材4に入射する入射角が異なる(一般に再帰反射部材4は、光の入射角が大きくなると、再帰反射効率が低下する)、あるいは投光方向に依存して、投光手段から再帰反射部材4までの距離が異なる、等々により、検出される光強度は受光方向(角度)に依存して、例えば光強度βで一定とはならないのが通例である。
図8は、図7における指示具191に加えて、同一形状の指示具192により同時に座標入力動作が行われていることを示すものである。今説明を簡略にするために、指示具191は所定の位置を指示し続けているものとし、指示具192は地点(イ)から地点(ロ)、そして地点(ト)へと順に移動していくものとする。図9は、指示具192が各地点にある時の受光手段Aの出力、受光手段Bの出力を各々示すもので、かつ図7(B)における光線181から光線182の方向の近傍範囲、及び図7(C)における光線183から光線184の方向の近傍範囲を拡大して模式的に各々示すものである。なお、図9における太線の遮光部位は指示具191の遮光範囲であり、細線は指示具192による遮光範囲を示す。従ってセンサユニット1Lに指示具191のほうが指示具192より近い位置にあるので、CCD画素上では、指示具191による遮光範囲が指示具192による遮光範囲より大きくなる。
まず図8における指示具192が位置(イ)にある状態にあっては、光線範囲181から182、及び光線範囲183から184と全く関係無い位置に指示具192が存在しているので、図9(イ)にあっては、受光手段A、受光手段Bともに2つの遮光範囲を取得することになる。しかしながら、図8(ロ)の位置にあっては光線183を遮るような位置(他の光線181、182、184はまだ遮っていない)に有るので、図9(ロ)に有っては、受光手段Bの指示具191による遮光範囲と指示具192による遮光範囲が重複し、1つの遮光範囲が検出されるのみとなる。
従って、この一つの遮光範囲は、左側が指示具192による遮光、右側が指示具191による遮光で構成されることになる。さらに指示具192が位置(ハ)に位置すると、受光手段Bの光線183から光線184の範囲に含まれてしまうので、位置(ハ)における受光手段Bの遮光信号は、指示具191のみで生成され、指示具192に関する遮光情報を全く検出することができない。一方、この状態における受光手段Aにあっては、光線181を遮る位置に指示具192があるので、位置(ハ)における受光手段Aの遮光信号は、1つの遮光範囲が検出されるのみであって、その左側が指示具192による遮光、右側が指示具191による遮光で構成される。指示具192が光線181と光線184の範囲内に収まった位置(ニ)にあっては、受光手段A及び受光手段Bの遮光範囲は指示具191のみによって構成され、指示具192の影響を全く受けない、つまり、指示具192の情報を何ら検出できない状態となる。
さらに指示具192がホの位置になると、指示具192は光線184を遮っているので、受光手段Bに有っては、1つの遮光範囲が検出されるのみであるが、その遮光信号の左側は指示具191、右側は指示具192によって形成されることになる。一方受光手段Aにあっては、光線181と光線182間に指示具192が含まれているので、指示具192に影響されること無く、指示具191のみで遮光範囲が形成されている。そして、指示具192が位置(ヘ)になると、受光手段Bに有っては、遮光範囲が2つ形成され、受光手段Aにあっては遮光範囲は一つではあるものの、その遮光範囲は、その左側が指示具191、右側が指示具192により生成され、指示具192が位置(ト)になると、両者の受光手段で2つの遮光範囲が検出できる様になる。
以上、図8、図9を用いた説明では、指示具192が位置(ニ)近傍にある場合のみ、指示具192の位置に関係なく指示具191のみの遮光で、受光手段A及び受光手段Bの検出信号波形が構成されるので、指示具192の位置情報を全く得ることができない。つまり図10において、指示具192が位置(ニ)にあっても、また図中破線で示される位置(チ)、位置(リ)にあっても、センサユニット1L中の受光手段A、及び受光手段Bの検出信号は、何ら変化がないので、指示具192の位置座標を算出することが不能となる。
一方、その他の位置(位置(ロ)(ハ)(ホ)(ヘ))にあっては、遮光範囲がたとえ一つしか検出できなくても、その遮光範囲の両端は、どちらか一方が指示具191により形成され、他方は指示具192により形成されることになるので、指示具191と指示具192の位置情報を得ることが可能となる(位置情報を得る具体的方法については、別途後述する)。
従って、センサユニット1L、指示具191、並びに指示具192が、位置(ニ)に有るような状態にならなければ、指示具191、指示具192の位置情報を各々取得することが可能となる。よって、本願発明にあっては図11に示すが如く、指示具191、指示具192の直径(=R1×2)に比べて、十分な大きさの光学手段間の距離dを設けることによって、このような状態が発生しないように構成する。図11は、その状態を示すものであり、指示具191の直径に比べ、十分に大きな距離dを設けてあるので、光線181と光線184で構成される領域範囲は、センサユニット1Lからの距離が遠くなるにつれて、小さくなるように設定される(図8の配置に有っては、光線181と光線184で構成される領域範囲は、センサユニット1Lからの距離が遠くなるにつれて、大きくなっている)。言い換えれば、よりセンサユニット1に近い位置に位置する指示具により規定されるセンサユニット1中の一方の受光手段の光線181ともう一方の受光手段の光線184を、センサユニット1から座標入力有効領域方向へ外挿した時に必ず交差する様に構成してある。
従って図11において、受光手段Aに有っては、光線181と光線182の範囲内に指示具192が位置しているので、受光手段Aでは全く指示具192の情報を得ることはできないが、受光手段Bに有っては光線184を遮る位置に指示具192が位置しているので、指示具192の遮光位置情報を得ることが可能となる。つまり、指示具の直径に比べ、十分な長さの距離dを設定することにより、少なくともどちらかの受光手段で必ず指示具191と指示具192の両者の位置情報を得ることが可能となるのである。
〈光学手段間距離dの詳細説明〉
上述した通り、装置を小型に安価に製造するためには、センサユニット1に組み込まれている2組の光学手段の距離dは、より小さいのが好ましい。一方で、複数の遮光物による座標入力を想定すれば、該距離dは指示具の直径に比べて十分に大きいのが好ましい。従って、これらの相反する要求を満足させるための最適値について述べる。
再び図3に戻って、座標入力有効領域3内において、たとえ複数の指示具による座標入力が行われた場合であっても、その指示具の位置情報を得るためには、常に図11のように、よりセンサユニット1に近い位置に位置する指示具により規定されるセンサユニット1中の一方の受光手段の光線181ともう一方の受光手段の光線184が、センサユニット1から座標入力有効領域方向へ外挿した時に交差する必要がある。
図示が如く、2組の光学手段の対称軸と座標系のX軸がなす角度をΘとすれば、上記の条件が成立するためには、例えば、指示具191がセンサユニットの真下方向(例えば光線153方向)にある場合には、d sinΘ>2 R1が成立する必要があるし、真横方向(例えば光線152方向)にある場合には、d cosΘ>2 R1が成立しなければならない。つまり、センサユニット1中の2つの光学手段の各々の光学的対称軸の距離dをX軸に投影した距離dx(=d sinΘ)、もしくはY軸に投影した距離dy(=d cosΘ)が、指示具の直径(=2 R1)より大きく設定されていれば良い。さらには、Θ=45°で有れば、X軸投影距離dxとY軸投影距離dyは等距離となり、例えば指示具の直径を14mmとすれば、距離dを約20mmより大きく設定する必要がある。無論Θが45°以外の値であれば、X軸投影距離dxとY軸投影距離dyの大きい方の値に基づき、該距離dを設定すれば良い。
ここで、指示具の直径について詳述すると、投光手段により投光された光が指示具により遮光されたことにより、指示具の位置(方向)を検出する方式であることから、座標入力面に略平行に投光されている光束を、指示具が遮る部分の最大直径が、ここでいう指示具の直径となる。つまり、光束は指示具の先端部付近で遮られるので、例えば座標入力面に略平行に投光された光束が、座標入力面からの高さ3〜10mm程度に設けられているとすれば、指示具の先端部から3〜10mmの範囲の最大直径、もしくはその範囲の平均的な直径ということになる。また、幾何学的には上述した通り、指示具の直径より大きければ課題を解決することができるが、実質的には例えばラインCCD104の画素ピッチや光学性能等による光学的分解能(解像度)、電気的ノイズ等の影響があるので、指示具の直径に対してマージン(例えば指示具の直径の1.5倍)を見込むのが好ましい形態であり、このマージンを見込んだ範囲を指示具の直径に略等しい範囲と定義する。
さて、図3において、センサユニット1Lの位置と、座標入力有効領域3の配置関係により、例えば光線153方向は、座標入力有効領域3に含まれておらず、距離dを設定する上で、X軸投影距離dxは、実際にはより厳しい条件での設定となっている。つまり先の説明で例えばX軸投影距離により距離d>20mm以上とされたが、実際には座標入力有効領域3のセンサユニット1の配置を考慮すると、例えば距離d>19mmで十分な場合がある。従って、投影距離dx、もしくはdyを用いて該距離dを決定すると、より大きな距離dを設定しなければならなくなるのが通例で、装置を小さくすると言う意味で、不利な結果が導出されている。
逆に言えば、X軸投影距離dxもしくはY軸投影距離dyと指示具の直径を等しく設定しても、十分にマージンを持って同時入力されている2つの指示具の位置(角度)情報を得ることができる様に構成されている、と言える。従って、本願発明に有っては、該距離dをX軸投影距離dx、もしくはY軸投影距離dyの内の大きな値に設定することで、複数同時入力が行われている場合であっても、それぞれの位置(角度)情報を得るための信号を検出できるようにすると共に、座標入力有効領域外に構成される余分な領域を小さくすることで、装置全体の大きさを極力小さなものとするように構成したものである。
〈制御・演算ユニットの説明〉
図4の制御・演算ユニット2とセンサユニット1L、1R、の間では、CCDの制御信号、CCD用クロック信号とCCDの出力信号、および、複数の受光手段夫々に対応する投光手段としてのLED駆動信号がやり取りされている。
図12は制御・演算ユニットのブロック図である。CCD制御信号は、ワンチップマイコンなどで構成される演算制御回路21から出力されており、CCDのシャッタタイミングや、データの出力制御などをおこなっている。CCD用のクロックはクロック発生回路22からセンサユニットに送られる。
センサユニットの受光手段であるCCDからの検出信号は、制御・演算ユニットのADコンバータ23に入力され、演算制御回路21からの制御によって、デジタル値に変換される。
変換されたデジタル値はメモリに記憶され、角度計算に用いられる。
計算された角度から、座標値が求められ外部PCなどにシリアルインタフェース7などを介して出力される。
また、指示具としてペンを用いる場合、ペンからの信号を受信する受信手段5からはペンからの信号を復調したデジタル信号が出力され、ペンスイッチ信号検出回路としてのサブCPU24に入力され、信号が解析されたのち、演算制御回路21にその情報が伝達される。
〈光量分布検出の説明〉
図13はセンサユニット1中の一つの受光手段およびそれに対応する照明としてのLED101への制御信号のタイミングチャートである。
71、72がCCD制御用の制御信号であり、71SH信号の間隔で、CCDのシャッタ開放時間が決定される。72はセンサへのゲート信号であり、CCD内部の光電変換部の電荷を読み出し部へ転送する信号である。
73はLED101の駆動信号であり、SHの周期でLEDを点灯するためLEDに供給される。
読み出される信号は、入力がない場合には、それぞれのセンサからの出力として、図14(A)のような光量分布が得られる。
同図においては、βのレベルが最大光量であり、αのレベルが最低のレベルとなる。
つまり反射光のない状態では、得られるレベルがα付近になり、反射光量が増えるほどβのレベルに近づく。この様にCCDから出力されたデータは、逐次AD変換されCPUにデジタルデータとして取り込まれる。
図14(B)は指示具などで入力を行った、つまり、反射光を遮った場合の出力の例である。
C1、C2の部分が複数の指や指示具などで反射光が遮られたため、その部分のみ、光量が低下している。
検出はこの光量分布の変化から行い、図14(A)81のような照明が無い状態の光量分布状態と、82のように入力が無い(遮蔽物がない状態)状態で証明した時の光量分布を予め記憶しておき(以後、これらのデータを初期状態と称す)、それぞれのサンプル期間に図14(B)のような変化があるかを初期状態との差によって検出し、変化があった部分を入力点として、遮光された領域の端部を決定する演算を行う。
上述したように、本願発明に有っては、一つのCCDの対して複数の受光手段が設けられ、その各々に対して投光手段が設けられている。従って、各々の受光手段(もしくは投光手段)を別のタイミングで駆動する場合には、各々を上記のような信号タイミングで駆動すればよい。
図15はその信号のタイミングチャート例であり、まずセンサユニット1L中のCCDの読み出し先頭側の受光手段による検出を行うために、SH61に対して、63のようなタイミングでLEDが駆動される。ICG62によって、CCDの信号が読み出されるが、このときはCCDの先頭側の受光範囲の画素データが読み出される(信号65A)。
次に同じCCDに対して、SH信号61が与えられ、センサユニット1L中の他方の受光手段に対応するLEDに駆動信号64が供給される。これの出力は信号65Bのように、先に検出した先頭部分の信号(破線部)と重ならない領域に、受光された信号が出力される。
別のタイミングでもう一方のセンサユニット1Rを同様に駆動することで、CCDの信号が各々のセンサから読み出され、本願発明に有っては、最大4つの受光手段による信号を得ることになる。
本願実施例では、左右のセンサユニット合わせ、4個の受光手段に対して、別々のタイミングで駆動しているが、これに限るわけではなく、お互いの発光が影響しないのであれば、同時に駆動してもかまわないし、各々の組み合わせで駆動してもかまわない。
〈角度計算出の説明〉
座標計算にあたっては、まず、遮光範囲を検出する必要がある。以降一つの検出データについて説明するが、他のデータにも同様の処理を行っている。
電源投入時の光量分布図14(A)の信号81、信号82を記憶しておき、その分布との比較から入力範囲を検出する。
図14(B)のようにC1,C2の部分で入力があったときに、記憶しておいた初期時の光量分布82との差を計算し、82と81の光量差を用いて遮光の無い時との変化率を計算する。このように変化率を計算することによって、部分的な光量分布の不均一などの影響を除去できる。計算された変化率に対して、閾値などを用いて、変化している画素番号を特定する。この時、検出信号レベルの情報などを用いることで、画素番号より細かい画素情報が特定可能になる。これらの画素番号から、遮光された領域の端部が決定でき、例えばその遮光領域の中央値(CCD画素番号)を指示具の角度情報として導出する。
得られた画素番号から、実際の座標値を計算するためには、角度情報に変換する必要がある。角度情報への変換は例えば多項式を用い、CCD画素番号をe、次数をn、各次数の係数をTnとすれば
θ=Tn・e^n+T(n−1)・e^(n−1)+T(n−2)・e^(n−2)+ ・・・ +T0 (1)
のようにして求めることができる。各次数の係数は、実測値や設計値などから決定できる。また、次数は必要とされる座標精度等を鑑みて決定すれば良い。
〈座標計算方法の説明〉
得られた角度データから位置座標を算出する。入力が一点である場合には、夫々のデータから算出された遮光範囲の中央の角度を用いることでも座標計算が可能である。
図16は座標入力点が一箇所のみで、センサユニット1L、及びセンサユニット1R中の一方の受光手段のみの位置関係、並びに座標系を示すものである。入力範囲の上辺左右にセンサユニット1L、センサユニット1Rが取り付けられており、各センサユニットに内蔵されている受光手段受光手段間の距離をDLRとする。画面中央が画面の原点位置であり、P0はそれぞれのセンサユニットの角度0の交点つまり基準角度の交点になる。センサ位置から原点までのY座標距離をDYとする。基準角度からの角度θL、θRが図示が如く与えられた時、その交点の座標値P(x、y)は、tanθL、tanθRを用いて
x=DLR/2(tanθL+tanθR)/(1+(tanθLtanθR)) (2)
y=DLR/2((1+tanθL)(1+tanθR))/(1+(tanθLtanθR))−DY (3)
で計算される。
各センサユニット中の受光手段は、実際には座標入力領域の水平方向(X軸方向)に同一ライン上には配置されていない。そのため、座標計算時に、異なる位置の受光手段のデータを用いる場合には、この位置のずれ分の補正を行う。
図17にあるように、各センサの瞳位置をL1、L2、R1、R2とした時に、L1とL2とのx軸方向の差、およびy軸方向の差をそれぞれΔxs、Δysとする。
L2で検出されたデータがθL2で有った時、X軸方向にR1と同一高さで見ると、仮想的にVL2の位置にセンサが有るとして、高さ方向の距離Δysと得られた角度θL2とから、
Δvxs=Δys/tanθL2
よって、式(2)、(3)のセンサ間距離DLRを、受光手段L1、L2のX方向距離Δxsと、算出されたΔvxsで補正し、仮の座標値を計算する事が可能となる。得られたこの仮の座標値におけるx座標は、VL2とR1の中間を原点として計算されるので、そのX座標から(Δxs+Δvxs)/2をさらに補正すれば、異なる位置にあるセンサのデータを用いて座標計算が可能になる。
入力が一点であるような場合には、遮光幅の中央の角度を用いても座標計算が可能であるが、図8のように複数の入力があり、受光手段と複数の入力手段の位置関係が、例えば位置(ハ)、位置(ニ)位置(ホ)となって、センサユニット1中の2つの受光手段で検出される信号が共に重なってしまうような場合には、このような方法では計算できない。
図8における位置関係(ホ)の状態では、センサユニット1L中の図面左側の受光手段では、指示具192は指示具191の影に完全に隠れてしまっており、またもう一方の受光手段では、指示具192と指示具191の遮光範囲が連続してしまっている。図9信号(ホ)はその時の出力信号であり、一方の信号は指示具191の遮光データのみで構成され、他方の信号は、指示具191と指示具192の遮光データがつながった状態として出力される。このような場合には、遮光範囲の中央を用いた計算では正確な入力座標は計算できない。
そこで、夫々のセンサユニットで検出された遮光範囲の端部の角度情報を用いて座標計算を行う。入力指示具の入力形状を略円形とし、図18のようにセンサユニット1中の一つ受光手段に対して、指示具Aと指示具Bが一部重なった状態にあるとする。つまり、この受光手段L1では、θL1とθL2の遮光幅が観測されている状態であるとする。
一方、R側のセンサユニット1R中の例えば受光手段R1で観測される角度は、夫々の入力手段の遮光領域で形成される遮光範囲の端であり、θR11から、θR22までの4つの角度が観測される。
図19はこのような遮光幅端を用いた場合の座標計算を説明するための図である。
今、たとえば、P点に入力が成されたとした場合、θL1とθR1、θR2の交点を夫々P1、P2とすると、入力位置の座標Pは、夫々の交点における角度2θ1、2θ2の2等分線の交点として計算可能となる。
p1、p2の座標値は、上述のそれぞれの角度の交点の座標を計算するのと同様の式(2)(3)によって計算可能であるので、この値と角度情報を用いることにより入力座標Pを算出できる。
このように、左右のセンサにおける、領域の端部情報を用いることで、遮光領域の中央値を用いる事無しに、入力に対する座標計算が可能となる。
図20は其の計算の一例である。
図のようにP1(x1、y1)とP2(x2、y2)の間の距離をL、夫々の点における角の二等分線の角度をθ1、θ2とすれば、
L=((x2−x2)^2+(y2−y1)^2)^0.5 (4)
θ1=(π−(θL+θR1))/2 (5)
θ2=(θL+θR2)/2 (6)
ここで、
L1・tanθ1=L2・tanθ2 (7)
であるので、
L2=L・tanθ1・/(tanθ1+tanθ2) (ただしtanθ1+tanθ2≠0) (8)
La=L2/cosθ2 (ただしcosθ2≠0) (9)
これから、Δx、Δyとして
Δx=La・cos(θL−θ2) (10)
Δy=La・sin(θL−θ2) (11)
入力座標として、P(x、y)は
x=x2−Δx (12)
y=y2−Δy (13)
と計算できる。
図18のように、センサからみて後ろ側の入力点が、完全に影に隠れてしまう、いわゆる皆既食状態でないような場合には、その入力点は、pa,pbまたはpa’,pb’のどちらかの組み合わせになる。
θL1とθL2、θR11、θR12、θR21そしてθR22の組み合わせについて、上記のように2等分線の交点に相当する計算を行いそれぞれpa,pb、pa’,pb’を計算し、どの組み合わせが正しいか判定を行う。
判定は、もう一方の受光手段のデータを用いて行うことが出きる。
例えば、図21のように、もう一方のデータθL21、θL22とθR11、θR12、で座標計算を行った結果と先の計算の結果を比較し、Paと重なるのか、あるいはPa’と重るのかを双方の距離などから判定して、PaかPa’どちらが正しいか判定できる。ここで、Paが採用されてしまえば、組み合わせとして、Pbが自動的に採用されることになる。
より確実に判定するには、θR21θR22を用いてPbについて計算を行っても良い。
このように、部分的に隠れてしまう「部分食」の状態であれば、夫々の遮光範囲の端部の角度を検出し、その交点における2等分線に相当する情報を得ることで、複数の入力指示位置を特定することが可能になる。従って、本願発明に有っては、複数の指示具がどの領域にあっても、センサユニット1中に設けられた2組の受光手段の内少なくとも一方の受光手段では、必ず「部分食」の状態、あるいは2つの遮光範囲が分離した状態で検出できるように、センサユニット1中の受光手段等の光学的配置を設定したものである。
実際の計算については、以下のようになる。
まず、上述説明したように、各々に照明を行い、光量分布データの取得を行う。
得られた各データから遮光部位の数を閾値などを用いて算出する。遮光部の数により、入力が無い場合と一箇所に対して行われた場合、2箇所に対して行われた場合の判定が可能になるとともに、演算に用いるデータを選択することが出きる。
表1は各センサユニットの受光手段をL1,L2、R1,R2として、其の組み合わせを表したものである。遮光範囲の数の組み合わせは、最大入力数を2入力としたとき、入力が無い場合を含めて17通りとなる。
Figure 2006244192
すべてのセンサにおいて、入力が1の場合には、単一点入力の場合と、二つの入力が接触している場合とが考えられるが、本例では接触も単一点入力として扱うこととする。ただし、指示具の入力幅などがわかっている場合には、それによって補正するなどして、計算してもよい。
遮光範囲の数を計数して、入力無し、単一点入力、複数入力などように状態を判定することができる。各センサの遮光範囲が一つしか無い単一点入力の場合には、上記遮光端の情報を用いた座表計算をおこなってもよいし、あるいは、従来とおりの遮光領域の中央を計算して、座標算出を行ってもかまわない。
複数入力の場合、入力が各々独立に検出できている遮光範囲が2つのものと、センサに対して入力位置の関係が「食」状態にあるような、1つの場合とが混在することになる。
このような場合にどの組み合わせで座標計算を行うか、夫々の遮光範囲の数から決定する。
まず、各遮光範囲の数のうち、2箇所の遮光範囲が検出されているものを抽出し、これを座標算出第1データとする。このとき、複数のデータで遮光範囲が2箇所あるような場合には、先に優先順位などを決定しておき、それによって選択すればよい。
次に、座標算出第1データとして選択されたセンサユニットと反対側のセンサユニットのデータに着目し、其のうち、複数の遮光範囲があるものがあればそれを、座標算出第2データとする。複数の影が無いときには、とりあえず、先に決定してあった優先度に応じて、遮光範囲が単数のデータを座標算出第2データとして選択する。
次に、座標算出第2データと同じセンサユニットにおけるもう一つの受光手段によるデータを、虚実判定データとして選択する。
これは、先に述べたように、複数の入力がある場合に、真に入力した座標(実座標)のほかに、データの組み合わせによって生じる虚の座標が算出されるので、真の座標がどれであるかを判定するのに用いられるものである。
表1からわかるように、計算第1データは複数で共通であるが、第2データが複数の場合と単数の場合、判定データが複数の場合と単数の場合が有る。第1データ、第2データ、判定データの順に並べると、1:複、単、単 2:複、複、単 3:複、複、複の3タイプに分類できる。図22、図23、図24が各々上記組み合わせの関係を表したものである。
各々の図中Aで示した接線が第1データ、Bが第2データ、Cが判定データである。
計算はまず、計算第1データの一方の遮光範囲、図ではA11,A12に対して、計算第2データB11,B12及び判定データC11,C12の組み合わせで、先に説明したような遮光端情報を用いて座標計算を行う。このときBで計算した座標値をP11、P12、Cで計算したものを判定座標値としてP21,P22とする。この時点で、算出された上記4つの座標のうち、少なくとも2つの算出値は略等しい値となり、指示具の位置座標を示す値となる。
組み合わせが1:複、単、単の場合には、単の情報のどちらかに「皆既食」の状態が含まれている可能性がある。皆既状態のデータは、判定データとして、センサに近い側の座標計算には使えるが、遠い側の計算には使えない。このような場合には、計算第2データとしたデータと、判定データとしたデータを入れ替えることで、両方の座標を計算することが可能になる。このために、まずこの判定を行う。
図22にあるように、皆既食の状態(あるいは、それに近いとき)には、B11、B12のラインがほぼ同一の入力の遮光幅の両端を表すことになるので、夫々で計算された座標値が略同じか近い値として計算されるP11,P12。一方、皆既で無い側のデータでは、それぞれ違う入力の遮光端の情報になるので、皆既状態よりは大きく異なった値となるP21,P22。そこで、計算第2データと判定データから求めた夫々の座標値P11,P12とP21、P22の夫々の差分を計算し、差分値の大きいほうを部分食状態と判定する。判定された結果によって、座標値データと判定座標値データの入れ換えを行う。このとき計算第2データと判定データの入れ換えを行うようにしてもよい。
これ以外の組み合わせ2:複、複、単 3:複、複、複については、2点入力であれば、皆既状態はありえないので、上記処理は必要ではない。ただし、入力点数を増加させる場合には同様の判定が必要になる。
次に座標の虚実判定を行う。この作業はすべての組み合わせの座標を計算してから行ってもかまわないが、先に一方の座標値に対して、判定を行っておくことで、不要な座標計算を行わずに処理時間の短縮が図れる。
先のP11,P12,P21,P22に対して、どの座標値が正しい値かを夫々の距離の近さで判定する。
それぞれ、P11とP21,P22、P12とP21,P22の距離を算出して、一番近い組み合わせからP11またはP12のどちらかを真の座標値として選択する。
判定結果がP11であれば、残りの未計算の座標値は、P14となるので、それを計算し、P12が選択されたなら、P13の座標計算を行う。
このようにして、実際の入力に対する座標の判定(虚実判定)を行うことができる。
図23、図24のような場合にも同様に処理することで座標算出が可能になる。
座標計算に際して、遮光範囲数が複、複の場合には、遮光端データの両端から座標計算しても良いが、片側の端のデータからのみで計算してもかまわない。あるいは、従来通り遮光範囲の中央を計算して、座標計算に用いてもかまわない。
上記、遮光範囲の数によるデータの割り振りについての例として、第1データ、第2データ、判定データに夫々どのセンサのデータが割り振られるか、また、皆既判定の要否についてまとめると表2のようになる。
同表において、単一入力の時には、L1,R1あるいはL2,R2のどの組み合わせを用いて計算してもかまわない。
また、各センサユニットにおいて両データとも複数領域がある場合には、どちらのデータを第1データにしてもかまわない。
Figure 2006244192
<座標の連続性の判定>
上述したように複数の受光手段を有するセンサユニットを用い、遮光範囲の端部のデータを用いて座標計算および、座標の虚実の判定を行うことで、複数の入力の座標値を決定できる。
得られた複数の座標値については、このまま座標値を出力しただけでは、受け取った側のホストで二つの座標値の区別がつかず両者をつないでしまうようなことになりかねない。
そこで、座標の連続性を表す識別子を付加する。
複数の座標値の、その連続性は、各サンプリング毎に前回の座標値との差分を計算して、夫々をその近いものを当てはめることで可能である。
影が最初に検出された時には、例えば、検出された順にID番号を付加する。
図25のように二つの座標値P1(X1n,Y1n)、P2(X2n,Y2n)が得られたときに、前回サンプリング時の座標値がID0:X1n−1,Y1n−1、ID1:X2n−1,Y2n−1であれば、P1,P2ともども、夫々に対する差分を計算して、近い方を採用し、P1をID0、P2をID1とする。このように連続性の判定を行い、夫々の座標値に対して、このIDを割り振って座標出力する。
ホスト側でこのIDを参照して、座標値の連続性を判断し、線で連結するなどの描画の処理を行う様にすればよい。
<制御フローの説明>
図26はデータ取得から座標計算までの工程を示した、フローチャートである。
電源投入されると、ステップS101で演算制御回路などのポート設定、タイマ設定などさまざまな初期化が行われ、その後に不揮発メモリ等から基準データや補正用の定数をそれぞれ読みだし、演算制御ユニットのRAMに格納する。
また、各センサ毎に図14(A)のような、照明無しの時の光量分布データ81、および初期入力が無いときの光量分布データ82も取り込まれ、メモリに記憶される。
このステップまでが、電源投入時の初期設定動作になり、次から通常の取り込み動作になる。
ステップS102では、座標入力が連続して行われているか否かを示すフラグ等が初期化され、ステップS103にて各センサのLEDを点灯させ光量分布データを取得する。
取得されたデータは、先の初期時データに対して差分および比が計算され、例えば閾値を越えるものがあるか否かの判定などによって、遮光範囲の検出が行われる(ステップS104)。入力が無いと判定されたときにはステップS102にもどりフラグなどのクリアを行い、データ取得動作を繰り返す。
ステップS105で遮光領域が有りと判定されたら、各受光手段毎の遮光領域の数を検出し(ステップS106)、複数入力か単一入力かの判定を行う(ステップS107)。単一入力と判定されたら、従来通り単一入力として座標計算を行う。このときの座標系計算は、遮光端情報を用いた計算でも良いし、遮光範囲の中央を用いたものでもかまわない。複数入力と判定されたら、その遮光領域の数に従って、表2にあるように、計算第1データ、計算第2データ、判定データをそれぞれ決定する(ステップS110)。
各データが決定されたら、夫々の遮光端データを算出し、そのデータから一方の座標値および判定座標値の計算を行う(ステップS110)。このとき第2データと判定データが単一データであった場合、どちらかのデータが「皆既食」状態である可能性があるので、各座標値間の距離からその判定を行う(ステップS111)。判定結果にしたがって、データの入れ換えが必要であれば、座標値の入れ換えを行う(ステップS112).
入力点が複数の場合、ここで計算される座標値は、実際に入力された、実の点と虚の点が計算されることになる。ステップS113において、座標値と判定座標値から座標値の虚実判定を行う。実座標が判定されたら、それに対応する側の残りの座標値の計算を行う(ステップS114)。座標値が確定したら、連続入力されているかどうかを示すフラグなどを参照し(ステップS115)、連続入力されている場合は、それ以前に記憶されている座標値(前回の座標値等)との差分などから、連続性の判定が行われる(ステップS116)。連続性判定が成されたら、連続入力フラグをセットし、また、今の座標値を次の連続性判定のために記憶しておく(ステップS117)。
次にIDなどの付帯情報が座標値に付加される。連続していると判定された座標値には、前回と同じIDが付与され、新規に検出された座標値に対しては、未使用のIDが付加されることになる。また、スイッチ情報などがある場合には、其の情報も付加される(ステップS118)。
このように付帯情報をもった座標値はホストなどの出力され(ステップS119)、データ取得のループを電源OFFまで繰り返すことになる。
以上述べてきたように、指示具による座標入力動作が行われているかいないかを判定することは容易に行える。さらには、一つの指示具による座標入力動作が行われている状態にあっては、例えば、座標入力有効領域3の全領域を有効視野とする受光手段を用いて、容易にその位置座標を導出することも可能である。しかしながら、複数の指示具による座標入力動作が同時に行われると、その状態に応じて、異なる処理を行う必要があり、一連の処理を実行するための処理時間も大幅に長くなる。
そこで、図27を用いて本願発明の他の実施例について説明する。
電源投入されると、ステップS201で演算制御回路などのポート設定、タイマ設定などさまざまな初期化が行われ、その後に不揮発メモリ等から基準データや補正用の定数をそれぞれ読み出し、演算制御ユニットのRAMに格納する。また、各受光手段毎に図14(A)のような、照明無しの時の光量分布データ81、および初期入力が無いときの光量分布データ82も取り込まれ、メモリに記憶される。このステップまでが、電源投入時の初期設定動作になり、次から通常の取り込み動作になる。
ステップS202では、座標入力が連続して行われているか否かを示すフラグ等が初期化され、ステップS203にてセンサユニット1L、及び1R中の座標入力有効領域3の全領域を有効視野とする受光手段(及び投光手段)を用いて、光量分布データを取得する。従って、左右のセンサユニット1から、各々1つの検出信号波形が得られる。
取得されたデータは、先の初期時データに対して差分および比が計算され、例えば閾値を越えるものがあるか否かの判定などによって、遮光範囲の検出が行われる(ステップS204)。入力が無いと判定されたときにはステップS202にもどりフラグなどのクリアを行い、データ取得動作を繰り返す。
ステップS205で遮光領域が有りと判定されたら、各受光手段毎の遮光領域の数を検出し(ステップS206)、複数入力か単一入力かの判定を行う(ステップS207)。つまり、左右の受光手段で検出される遮光領域の数が共に1である状態とは、指示具による入力が一個の状態であるか、2個の指示具により入力されている状態であっても、その両者が隣接している状態であると言える。つまり操作者の操作性、用途を考慮するとそのような状況は発生しないと考えられるので、2個の指示具が隣接(接触)している状態にあっては、たとえ複数同時入力が行われた状態であったとしても、単一座標が入力されたとしても処理しても何ら不都合は生じない。
そこで、左右の受光手段で検出される遮光領域の数が共に1であれば、単一入力と判定し、ステップS208にて単一入力として座標計算を行う。このときの座標計算は、遮光端情報を用いた計算でも良いし、遮光範囲の中央を用いたものでもかまわない。
表3は、先の実施例と同様に、各センサユニット1中の第1受光手段、第2受光手段(本願発明にあっては、第1受光手段は座標入力有効領域3の全領域を有効視野とし、第2受光手段はそうでない設定とすることで、装置の大きさを極力小さなものとしている。無論両受光手段共に、有効視野が座標入力有効領域3全域を含む構成であっても良い)が出力する遮光部位の数を場合分けしたものであり、入力無し状態、もしく単一入力状態では、センサユニット1L,1R中の第1受光手段のみが動作している状態であって、第2受光手段を動作させる必要が無いことを示している。
Figure 2006244192
各センサユニット1L、1R中の第1受光手段を動作させることによって、その一方に遮光部位が2箇所あるものと判定した場合(ステップS207)には、ステップS220にて他方の第2受光手段を選択し、その受光手段を動作(ステップS221)させて、遮光部位の数を判定する(ステップS222)。ステップS209において、まず2箇所の部位を判定した第1受光手段を第1データとして、他方のセンサユニット中の第1受光手段、並びに第2受光手段のデータを、その遮光部位の数に応じて第2データ、判定データとして選択する。
つまり、表3を用いて説明すれば、第1受光手段であるL1、R1を動作させることによって、例えばL1で遮光部位1個、R1で遮光部位2個が測定されたならば(ステップS207)、遮光部位2個が測定されたセンサユニット1Rの他方(センサユニット1L)に設けられた第2受光手段L2を選択(ステップS220)、動作(ステップS221)させる。そしてまず、第一の受光手段で2個の遮光部位を検出したR1のデータを第1データとし、そして例えばL2による遮光部位が2個であれば第2データをL2、判定データをL1とすれば良いし、L2の遮光部位が1個であれば、あらかじめ決めた順番に従って各々のデータを格納すればよい(ステップS209)。従って、R2を動作させる事無く、複数の指示具の位置座標を検出することが可能となるので、第一の実施例に比べ、座標算出にかかる動作時間の短縮、省電力化等が可能となる。
なお以上の説明に有って、第1受光手段であるL1、R1を動作させることによって、L1、R1で共に遮光部位2個が測定されたならば、虚実判定を行うことで複数の指示具の位置座標を算出可能となるので、どちらか一方の第2受光手段を動作させれば、複数の指示具の位置座標を算出することが可能となる。
各データが決定されたら、夫々の遮光端データを算出し、そのデータから一方の座標値および判定座標値の計算を行う(ステップS210)。このとき第2データと判定データが単一データであった場合、どちらかのデータが「皆既食」状態である可能性があるので、各座標値間の距離からその判定を行う(ステップS211)。判定結果にしたがって、データの入れ換えが必要であれば、座標値の入れ換えを行う(ステップS212).
入力点が複数の場合、ここで計算される座標値は、実際に入力された、実の点と虚の点が計算されることになる。ステップS213において、座標値と判定座標値から座標値の虚実判定を行う。実座標が判定されたら、それに対応する側の残りの座標値の計算を行う(ステップS214)。座標値が確定したら、連続入力されているかどうかを示すフラグなどを参照し(ステップS215)、連続入力されている場合は、それ以前に記憶されている座標値(前回の座標値等)との差分などから、連続性の判定が行われる(ステップS216)。連続性判定が成されたら、連続入力フラグをセットし、また、今の座標値を次の連続性判定のために記憶しておく(ステップS217)。
次にIDなどの付帯情報が座標値に付加される。連続していると判定された座標値には、前回と同じIDが付与され、新規に検出された座標値に対しては、未使用のIDが付加されることになる。また、スイッチ情報などがある場合には、其の情報も付加される(ステップS218)。
このように付帯情報をもった座標値はホストコンピュータ等に出力され(ステップS219)、データ取得のループを電源OFFまで繰り返すことになる。
一方、図3のようにセンサユニット1中の受光手段の有効視野と座標入力領域の配置関係により、その一方の受光手段の有効視野外に座標入力領域が設定され、その受光手段で検出できない領域173が存在し、その領域内で複数の指示具による同時入力動作が行われたものと想定する。この時、ステップS203〜ステップS207による動作により、L1センサによる遮光部位1、R1センサによる遮光部位2が検出され、複数同時入力状態にあることが検知される。その結果、ステップS220〜ステップS222による動作でL2センサによる信号検出が行われることになるが、L2センサの有効視野外に両者の指示具が位置しているために、遮光領域を検出することができず(遮光部位無し)、領域173における複数同時入力が行われている状態を検知することが可能となる。従って、このような状態を検知したならば、操作者に警告(警告メッセージを表示装置に表示したり、警告音を発する等)する等の手段を設けることで、操作者の混乱を防止することも可能となる。
さて上述したように指示具の径と距離dの関係を満足する専用指示具を用いることで、複数の指示具による指示位置の座標を各々高精度に算出できることが示されたが、この専用指示具を用いれば、次のようなメリットも得られるようになる。
電波、光等の通信手段を用いて専用指示具から座標入力装置の制御部へ情報を伝送することができれば、例えば指示具の識別情報を伝送することが可能となる。従って、ホワイトボードとして使用する際には、その指示具は『黒色』ペン、あの指示具は『赤色』ペン、そしてこの指示具は『消しゴム』として作用するように、使い分けることが可能となるし、指示具にスイッチ手段を設けることで、表示画面をスクロールしたりアプリケーションを起動したりすることが、手元操作でできる様になり、操作者の使い勝手を大幅に向上させる。
従って、以上説明したように、受光検出手段1内に設けられた受光手段間の距離dを鑑み、専用指示具の遮光部分の直径を設定することで、少なくともどちらかの受光手段で必ず指示具191と指示具192の両者の位置情報を得ることが可能となる。しかしながら本願発明の座標入力装置に有っては、専用の指示具を用いなくても、例えば指等、光を遮光することができる物体であれば、その指示位置検出が可能な構成である。
さて、専用指示具よりその直径が大きく、かつ距離dよりも大きな遮光物体を用いて座標入力することは可能であるが、その場合、複数の指示具による各々の位置座標を高精度に算出することができない場合が発生する。例えば、径の大きな指示具と専用指示具による同時操作を行った場合、図33(B)の様な信号(遮光影が分離している状態)が、左右に設けられているセンサユニットの少なくともいずれか一方の受光手段で得られていれば、各々高精度に位置座標を算出することができるが、受光手段と2つの指示具の位置関係が略一直線上に並ぶと、センサユニット中の2つの受光手段の両者で、一方の指示具による遮光影の情報を得ることができなくなり(センサユニット中の2つの受光手段の両者で、一方の遮光物体が、もう一方の遮光物体と『皆既食状態』の位置関係にある)、位置算出不能となってしまう。
具体的に図2を用いて説明すれば、距離dより大きな遮光物体193の半径をR1、もう一方の遮光物体194の半径をR2として、遮光物体193による遮光範囲は、受光手段L1では光線181、光線182で定義され、受光手段L2では光線183、光線184で定義される。従って、光線181、光線184で定義される皆既食範囲に、第二の遮光物体194が完全に入ってしまうと、受光手段L1、受光手段L2の両者では、第二の遮光物体194の位置情報を全く得ることができなくなり、その位置座標の算出ができなくなるという課題が生じる。したがって操作者が、マニュアル等で遮光物体の径が所定値以上となると、同時入力できなくなる場合があるということを認識していなければ、その使用時に大きな混乱状態に陥ってしまう。
ここでの説明では、センサユニット1中の受光手段間の距離dと指示手段の直径の関係について説明したが、厳密に言えば前記座標入力領域の水平方向をX軸、天地方向をY軸として、2組の受光手段の各々の対称軸の距離dのX軸方向投影距離dx、もしくは該距離dのY軸方向投影距離dyの小さいほうの値より、指示手段の直径が小さければ、座標入力有効領域全域で、複数の指示手段の位置座標を各々精度良く算出できる。つまり、入力されている指示具の位置、言い換えれば受光手段からのみて、指示具がどの方向にあるかによって、複数の指示具による各々の位置を算出できる指示具の直径は異なる。
図3に於いて光線151、光線161の方向に指示具が位置する場合には、その条件を満足する指示具の直径は距離d以下であるが、例えば光線163の方向にあれば指示具の直径はX軸方向投影距離dx以下となり、距離d>投影距離dxなる関係から、全域で条件を満足するための指示具直径はdx以下となる。従って投影距離dxより大きくて距離dより小さな指示具直径を有する指示具を用いた場合には、光線163方向で座標入力動作を行えば、各々の座標値を算出することが不能となる状態が有り得るが、光線151、あるいは光線161の方向で使用すれば、各々の指示具の位置座標を算出することが可能となる(実際には、センサユニット1Lのみならず、センサユニット1Rからみても条件が成立しないといけないので、その領域は座標入力有効領域の中央部に限定される)。
この点を鑑み、本願発明の座標入力装置にあっては、位置座標を算出するために遮光物体の方向をまず算出しているので、その検出角Θ方向を法線とした直線に距離dを投影した値を距離dΘとすることで、その距離dΘと指示具の直径を比較することで、各々の指示具の位置を算出できる状態にあるのかを判定できるようにした。
この様に構成することで、全領域複数の指示具の位置座標算出可能な直径dx以下の指示具より大きな径を有する指示具を用いても、その操作領域の位置に応じて、複数入力ができる様にしたものである。
さて本願発明に有っては、複数の指示具による各々の位置座標が検出できなる可能性がある状態が起こりえることを判断して、その旨警告、放置する手段を有する。さらには、そのような状態が起こりえることを判断して、常に単一の入力が行われているものとして機器を制御し、図33(B)のような信号がいずれかの受光手段により検出された場合には、座標値の出力を停止しするように構成している。
まず、図38を用いて、遮光物体の径を算出する方法について説明する。図38(B)において、201はセンサユニット1中の受光手段の光学的基準位置であって、そこから半径R1を有する遮光物体202までの距離をdslと定義する。その光学的基準位置から投光手段により投光された光を遮光物体が遮光する範囲を光線203、光線204で定義すれば、その成す角(遮光幅角Θsl)より、次式が成立する。
R1=dsl・sin(Θsl/2)
遮光幅角Θslは、図38(B)の信号波形より導出可能であり、またこれらの信号より得られる位置座標より、幾何学的に光学的基準位置から遮光物体の位置までの距離dsl算出も可能なことから、遮光物体の径を算出することが可能となる。
図38(A)は、光学的基準位置から遮光物体の位置までの距離dslと観測された遮光幅角の関係を示す測定結果であり、距離dslに依存する事無く良好に遮光物体の径を算出できることを示す。実際に図38(A)のデータは、φ8.5の遮光物体を用いて計測した結果であり、距離dsl=480mm、遮光幅角Θsl=1°として計算するとR1=4.2mmとして算出される。よって算出された遮光物体の直径は略8.4mmであり、この値と距離dを比較して、その値が距離dより大きければ、複数同時入力ができなくなる場合が有りえるので、操作者にその旨警告、報知すると共に、複数入力による座標検出を停止したり、算出した座標値の出力を停止するように動作するように構成する。
図1は、その制御の一例を示すフローチャートであり、まずステップS302にて座標入力動作が行われているか、つまり出力信号から遮光影が出力されているかを判断し、座標入力動作が行われていなければ、複数の指示具による座標入力を可能な状態にセット(ステップS303)して、待機状態となる。入力が有った場合には、ステップS304にてセンサユニット1Lの受光手段1L、及び受光手段1Rの遮光影の数を算出し、数の多い受光手段を選択すると共に、同様にセンサユニット1Lの受光手段L1、及び受光手段L2の遮光影の数を算出して遮光影数の多い受光手段を選択し、同様にしてセンサユニット1Rの受光手段R1、及び受光手段R2の遮光影の数を算出して数の多い受光手段を選択する。2本の指示手段により座標入力動作が行われた場合には、少なくとも4つの受光手段のうち、その一つに2つの遮光影が出力されるはずであり、先に説明した通り、左右のセンサユニット中の各々いずれかの受光手段で、2個の遮光影が得られている場合には、虚実判定により正確に座標を算出することが可能である。また左右のセンサユニット中におけるいずれの受光手段で、1個の遮光影しか得られていない場合には、入力数が1であると判定できるので、同様に正確に座標算出が可能となる。
従って、ステップS305にて、左右のセンサユニットの最大遮光数が一致するかを判定し、一致した場合には、その座標値を算出(ステップS307)して、ステップS308にて上述した方法により、指示具の直径を導出する。ステップS309では、センサユニット中の受光手段間の距離dに基づき比較処理が行われ、指示具の径が距離dより小さければ、複数の指示具によって座標入力が行われた場合であっても、その位置関係によらず正確に各々の位置座標を算出できるので、算出した座標値を確定して外部機器等へその値を出力する。
一方、指示具の径が前述距離dより大きければ、複数同時入力が行えなくなる場合があるので、警告信号を生成し、例えば単数入力時に検知した場合には、表示装置にその旨出力して、複数入力を禁止、あるいは複数入力を検知したら、その座標値出力をしないなどの制御を行う。また、複数座標入力が行われている場合で検知した場合には、座標出力を停止して、指示具の径による不具合発生の可能性を警告するように構成する。
一方、ステップS305にて遮光数が一致しない場合(一方のセンサユニット中の受光手段が検出した最大遮光数ともう一方のセンサユニット中の受光手段が検出した最大遮光数が一致しない場合)、ステップS306にて、『部分食状態』にあるのか、『皆既食状態』にあるのかを判定する。『部分食状態』であれば、先に説明した方法で座標値の算出が可能であり、ステップS307移行の処理を行うが、『皆既食状態』にあれば、少なくとも一方の座標算出は不能となる。
判定方法は、図18、図39を用いて説明すると、まず図18において『部分食状態』であれば、座標入力点位置候補Pa、Pa’、Pb、Pb’の4候補が得られ虚実判定により、座標値を確定することになる。しかしながら図39の様にセンサユニット1L中のいずれかの受光手段において『皆既食状態』となった場合、同図(A)に於いては、左側のセンサユニット1L中の受光手段により近い指示手段Aの影に、遠くに位置する指示手段Bが全く隠れてしまうような場合、あるいは同図(B)のように、指示手段Bの影に手前側の指示手段Aが完全に隠れてしまうような場合、前者においては指示手段Bの位置がPbからPb’の範囲で特定することができず、後者においては指示手段Aの位置がPaからPa’の範囲で特定することができない。また同図(C)にあっては、指示手段Bの直径は指示手段Aの直径より大きいが、それぞれの位置と受光手段の位置関係により、直径の大きな指示手段Bの位置が不定となっている。
しかしながら、『皆既食状態』にあっては、得られる指示具の位置候補は3つしか得られておらず、候補が4つ得られる『部分食状態』とは区別することが可能である。従って、ステップS306にてその判定を行い、『皆既食状態』と判定された場合には、ステップS312にて座標算出が不能であることを報知して、座標出力を停止しても良い。しかしながら本願発明では、そのような状態にあっても、一方の指示具の位置を算出することが可能なので、ステップS313にて、位置候補の座標値がPa=Pa’となった場合には指示具Aの座標値を、位置候補の座標値がPb=Pb’となった場合には指示具Bの座標値を確定して、ステップS314にて座標値を出力するように構成してある。
以上述べたように、『皆既食状態』『部分食状態』を判別することによって、『皆既食状態』にあっても、そのどちらか一方の座標値を高精度に算出できるようになった。
実施例を説明するフローチャート 距離dと指示具径の説明図 本発明の光学的配置を説明する説明図 本願発明の概略構成図 センサユニット1の組み立て説明図 センサユニット1の光学的配置図 センサユニット1の出力信号波形の説明図 複数の指示具の位置を説明する説明図 複数の指示具を配置した時のセンサユニット1の出力信号波形を示す図 皆既食状態の不具合を説明する説明図 センサユニット1中の2組の受光手段の距離Dを説明する説明図 演算制御部のブロック図 座標取得用発光期間のタイミングチャート 光量分布の説明図 信号読み出しのタイミングチャート 座標計算の説明図 位置の異なるセンサを用いた座表計算の説明図 虚実判定の説明図 遮光端角度による座標計算の例を示す図 遮光端角度の重なり部分の2等分線と座標値の関係を示す図 遮光端角度による座標計算の詳細を示す図 複数範囲、単一範囲、単一範囲の検出例を示す図 複数範囲、複数範囲、単一範囲の検出例を示す図 複数範囲、複数範囲、複数範囲の検出例を示す図 座標連続性の判定の例を示す図 第一実施例における座標取得のフローチャート 第ニ実施例における座標取得のフローチャート 部分食状態を説明する説明図 センサユニットの配置図 部分食状態を回避するセンサユニットの説明図 センサ位置の違いによる効果を説明する説明図 センサ位置と指示位置の関係を説明する説明図 部分食状態の検出信号波形を説明する説明図 センサ位置と指示位置の関係を説明する説明図 座標算出不能状態の説明図 座標算出可能状態の説明図 従来例における虚実判定を説明するための説明図 指示具径算出の説明図 『皆既食状態』の説明図
符号の説明
1L,1R センサユニット
2 制御ユニット
3 座標入力有効領域
4 再帰反射部材
5 ペンからの信号を受信する受信手段
102 投光レンズ
106 受光用レンズ
191 第一の指示具
192 第二の指示具

Claims (8)

  1. 距離d離れた位置に2組の受光手段を各々有する受光検出手段が、座標入力有効領域の角部に少なくとも2個配置され、該受光検出手段が検出した光量分布の変化から指示手段が指示した方向を検出し、導出した角度情報に基づき前述指示手段の指示位置座標を算出する光学式座標入力装置であって、前記算出された位置座標と該受光検出手段が検出した光量分布の変化から指示手段の直径を導出する径導出手段、径導出手段の計測結果と前記距離dを比較する比較手段の比較結果に基づき、座標入力装置の座標出力形態を制御する制御手段を有することを特徴とする光学式座標入力装置。
  2. 請求項1記載の光学式座標入力装置であって、前記座標入力有効領域の周辺部に設けられ再帰的に入射光を反射する再帰反射手段と、該再帰性反射手段に向けて座標入力面に略平行に光束を投光する2組の投光手段が、前記受光検出手段に各々設けられていることを特徴とする光学式座標入力装置。
  3. 請求項1記載の光学式座標入力装置であって、前記座標入力領域の水平方向をX軸、天地方向をY軸、2組の受光手段の各々の対称軸の距離をdとした時に、前記比較手段は、径導出手段の計測結果と該距離dのX軸投影距離dx、もしくは該距離dのY軸投影距離dyを比較することを特徴とする光学式座標入力装置。
  4. 請求項1記載の光学式座標入力装置であって、指示具等により指示された入力位置の検出方向を検出角Θとした時に、前記比較手段は、径導出手段の計測結果と該検出角Θ方向を法線とする直線に距離dを投影した距離dΘを比較することを特徴とする光学式座標入力装置。
  5. 請求項1記載の光学式座標入力装置であって、前記制御手段は複数の指示手段の位置座標を各々算出して出力する出力形態と、単一の座標値のみを出力する出力形態を選択することを特徴とする光学式座標入力装置。
  6. 請求項1、請求項3、請求項4、請求項5のいずれか記載の光学式座標入力装置であって、前記制御手段は複数の指示手段を位置座標を各々算出して出力する出力形態と、単一の座標値のみを出力する出力形態を選択し、操作者に選択結果を報知する報知手段をさらに有することを特徴とする光学式座標入力装置。
  7. 請求項1、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6のいずれか記載の光学式座標入力装置であって、単一の座標値のみを出力する出力形態が選択されている場合に、操作者により複数の指示手段による操作があったと判定した場合に、その旨警告する手段、もしくは座標出力を停止する手段をさらに有することを特徴とする光学式座標入力装置。
  8. 請求項1、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7のいずれか記載の光学式座標入力装置であって、部分食状態の位置関係にあるのか皆既食状態の位置関係にあるのかを判定する判定手段をさらに有し、判定手段の出力結果に基づき、出力形態を選択することを特徴とする光学式座標入力装置。
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