JP2006212933A - 粗骨材選定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 コンクリートの圧縮強度を当該コンクリートから粗骨材を除いて作製されたベースモルタルの圧縮強度で除した値を評価指標とし、これと粗骨材のヤング率又は圧縮強度との関係から、目標とするコンクリート圧縮強度に応じた粗骨材を選定する。また、ヤング率、圧縮強度をそれぞれ絶乾密度又は表乾密度、点載荷強度に置換し、より簡易に粗骨材を選定することもできる。
【選択図】 図5
Description
本実施形態ではコンクリートの圧縮強度を、当該コンクリートから粗骨材を除いて作製されたベースモルタルの圧縮強度で除して無次元化した値を評価指標値として、粗骨材に要求されるヤング率又は圧縮強度の範囲を規定し、少なくともいずれかに該当する粗骨材を選定するものである。
本実施形態では、粗骨材の選定にあたり、コンクリート供試体及びコンクリート供試体から粗骨材を除いて作製されたベースモルタル供試体を用いた試験結果を利用する。従って、まず実際に行った試験を例に挙げて説明する。
本試験では、安山岩系1種、硬質砂岩系2種、石灰岩系2種、石英片岩系1種の、物性が異なる計6種類の粗骨材1乃至6を用い、粗骨材種類毎にコンクリート供試体(以下、ベースモルタル供試体とあわせて総称する時は単に供試体という。)を作製した。図1は、供試体作製に用いた粗骨材の各種物性(ヤング率、圧縮強度、絶乾密度、点載荷強度)に関する試験結果を示す図である。
図3は、本試験例における供試体作製に用いたコンクリート及びベースモルタルの調合を示す図である。コンクリートは粗骨材の絶対容積を一定(容積比0.36)とし、水結合材比毎に粗骨材の種類以外の条件を同一とした。粗骨材には上記の粗骨材1乃至6をそれぞれ用い、水結合材比を15〜65%の範囲の5水準として、合計30調合について試験を行った。ベースモルタルは各コンクリートから粗骨材を除いて作製されたもの(使用材料が同一)とし、合計5調合について試験を行った。また、空気量がコンクリートおよびベースモルタルの圧縮強度に与える影響を同一条件とするため、ベースモルタル中の空気量がコンクリートを構成するモルタル中の空気量と同水準となるように設定した。
図5(a)乃至(d)はベースモルタルの圧縮強度を4つの領域に分けて評価指標値と粗骨材1乃至6のヤング率との関係を示した図であり、図5(a)はベースモルタルの圧縮強度≦50N/mm2の領域、図5(b)は50N/mm2<ベースモルタルの圧縮強度≦100N/mm2の領域、図5(c)は100N/mm2<ベースモルタルの圧縮強度≦150N/mm2の領域、図5(d)はベースモルタルの圧縮強度>150N/mm2の領域、をそれぞれ示す。
図6(a)乃至(d)はベースモルタルの圧縮強度を4つの領域に分けて評価指標値と粗骨材1乃至6の圧縮強度との関係を示した図であり、図6(a)はベースモルタルの圧縮強度≦50N/mm2の領域、図6(b)は50N/mm2<ベースモルタルの圧縮強度≦100N/mm2の領域、図6(c)は100N/mm2<ベースモルタルの圧縮強度≦150N/mm2の領域、図6(d)はベースモルタルの圧縮強度>150N/mm2の領域、をそれぞれ示す。
以下、本発明の実施形態として、粗骨材の選定方法を2種類説明する。粗骨材の選定は、これら2種類の選定方法の双方の要件を満たすことが望ましいが、いずれか一方であってもよい。
・準備工程
供試体による試験より得た評価指標値(基準指標値という。)と、コンクリート供試体に用いた粗骨材のヤング率と、の関係を示す指標データを準備する。指標データは、例えば、図5(a)乃至図5(d)に示す試験データであり、予め図5(a)乃至図5(d)に示す相関関係式を算出していた場合には当該相関関係式だけ準備できればよく、これが指標データとなる。本実施形態では相関関係式を用いる場合について説明する。また、指標データはこれから製造するコンクリートの目標圧縮強度(例えば、設計基準強度)に必要な範囲で準備できればよい。
これから製造するコンクリートから粗骨材を取り除いた調合(使用材料が同一)のベースモルタルの供試体(以下、ベースモルタルサンプルという。)を作製する。ベースモルタルサンプルは、供試体による試験におけるベースモルタル供試体と同一条件で製造することが望ましく、例えば、標準養生とし、28日材齢の圧縮強度が、これから製造するコンクリートの目標圧縮強度の1.1〜1.3倍程度の強度になるようにセメント−水比を調整するなどして作製する。例えば、これから製造するコンクリートの28日材齢の目標圧縮強度を150N/mm2とする場合、ベースモルタルサンプルの28日材齢の圧縮強度が180N/mm2となるように調合を決定する。
(実指標値:150/180)=1.3-0.072×(ヤング率の上限値)
(ヤング率の上限値)={1.3-(150/180)}/0.072
≒6.48(×104N/mm2)
とする。
(ヤング率の上限値:6.48)=-14.35+7.79×(絶乾密度の上限値)
(絶乾密度の上限値)=(6.48+14.35)/7.79
≒2.67(g/cm3)
とする。選定対象となる粗骨材の表乾密度を基準とする場合も同様である。
選定対象となる粗骨材の物性値を調べ、上述した許容範囲設定工程により設定された許容範囲に属する物性値を有する粗骨材を選定し、これから製造するコンクリートに使用する粗骨材とする。選定対象となる粗骨材の物性値はヤング率、絶乾密度、表乾密度のいずれかを用いることができ、物性の種類に応じた許容範囲で粗骨材をロット毎に選定する。
・下限値の設定工程
まず、供試体による試験より得た評価指標値(基準指標値という。)と、コンクリート供試体に用いた粗骨材の圧縮強度と、の関係を示す指標データを準備する。指標データは、例えば、図6(a)乃至図6(d)に示す試験データである。なお、供試体による試験は、コンクリートの製造毎に行う必要はないことは上述したヤング率を基準とする選定方法の場合と同様である。
(圧縮強度の下限値:190)=10.89+9.15×(点載荷強度の下限値)
(点載荷強度の下限値)=(190-10.89)/9.15
≒19.6(N/mm2)
とする。
選定対象となる粗骨材の物性値を調べ、上述した設定工程により設定された下限値以上の物性値を有する粗骨材を選定し、これから製造するコンクリートに使用する粗骨材とする。選定対象となる粗骨材の物性値は圧縮強度、点載荷強度のいずれかを用いることができ、物性の種類に応じた下限値で粗骨材をロット毎に選定する。
Claims (6)
- ヤング率が異なる粗骨材毎に作製されたコンクリート供試体の圧縮強度を、当該コンクリート供試体から前記粗骨材を除いて作製されたベースモルタル供試体の圧縮強度で除した基準指標値と、前記粗骨材のヤング率と、の関係を示す指標データを準備する準備工程と、
これから製造するコンクリートの目標圧縮強度を、当該コンクリートから粗骨材を除いて作製されたベースモルタルの圧縮強度で除した実指標値と、前記指標データと、に基づいて、前記コンクリートに使用する粗骨材のヤング率の許容範囲を設定する許容範囲設定工程と、
前記許容範囲設定工程により設定された前記許容範囲に属するヤング率を有する粗骨材を選定する選定工程と、
を備える粗骨材選定方法。 - 前記実指標値が、
前記目標圧縮強度に補正値を加算した値を、前記ベースモルタルの圧縮強度で除した値であることを特徴とする請求項1の粗骨材選定方法。 - 前記指標データが、前記基準指標値と粗骨材のヤング率との相関関係式であり、
前記許容範囲設定工程では、
前記実指標値と前記相関関係式とに基づいて、前記許容範囲として粗骨材のヤング率の上限値を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の粗骨材選定方法。 - 前記許容範囲設定工程では、
ヤング率の前記上限値を粗骨材の絶乾密度又は表乾密度に置換し、前記許容範囲として、置換した値を粗骨材の絶乾密度又は表乾密度の上限値とすることを特徴とする請求項3に記載の粗骨材選定方法。 - 圧縮強度が異なる粗骨材毎に作製されたコンクリート供試体の圧縮強度を、当該コンクリート供試体から前記粗骨材を除いて作製されたベースモルタル供試体の圧縮強度で除した基準指標値と、前記粗骨材の圧縮強度と、の関係に基づいて、これから製造するコンクリートに使用される粗骨材の圧縮強度の下限値を設定する設定工程と、
前記設定工程により設定された前記下限値以上の圧縮強度を有する粗骨材を選定する選定工程と、
を備える粗骨材選定方法。 - 前記設定工程では、
前記下限値を粗骨材の点載荷強度に置換し、
前記選定工程では、
置換された前記点載荷強度以上の点載荷強度を有する粗骨材を選定することを特徴とする請求項5に記載の粗骨材選定方法。
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