JP2006205899A - 椅子用キャスタ及びこれを備えた椅子 - Google Patents

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稔 佐藤
Chihiro Kobayashi
千尋 小林
Yoshimasa Komatsu
良昌 幸松
Yumiko Katsukawa
由美子 勝川
Masayuki Mochida
真之 持田
Yutaka Aihara
豊 相原
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Abstract

【課題】 例えばキッチンにおける様々なキッチン作業や、ナースステーションにおける医療関連作業を行うのに適した椅子に用いられる椅子用キャスタを提供する。
【解決手段】 着座部20と、当該着座部20に連結された脚部40と、当該脚部40の下端に備わった車輪付きのキャスタ100を有する椅子に用いられる椅子用キャスタであって、キャスタ100が、椅子に取り付けられた状態で椅子の着座部20への着座者の非着座時において車輪130の回転を抑制する回転抑制部115,135を有し、回転抑制部115,135による車輪の回転抑制が椅子の座面への着座者の着座動作中に解除されるようになっている。
【選択図】 図4

Description

本発明は、キッチンにおけるキッチン作業やナースステーションなどにおける医療関連作業において使いやすい椅子用キャスタ及びこれを備えた椅子に関する。
例えば、近年、台所にはいわゆるシステムキッチンを備えることが多くなっている。かかるシステムキッチンはその収納スペースの確保や水洗い用のシンクを備える必要上、さらには使用者が調理作業中に周囲のガスレンジやオーブン、電子レンジなどの調理機器を頻繁に利用する関係上、立った姿勢のままでのキッチン作業を可能にする構造をとるために、キッチンカウンタ自体がある程度の高さを有することが一般的である。
また、近年の日本人の平均身長の伸びに伴ってキッチンカウンタ自体の高さも例えば850mm程度まで高くなっている。
このようなカウンタ自体がある程度の高さを有するキッチンカウンタの傍らに立ったままで調理や洗い物を長時間行うことは高齢者にとっては辛いので、座面の高さが高く座面の一部に腰掛けても立ったままの姿勢とあまり変わらない姿勢を確保することのできるキッチン用椅子が用いられることがある。しかしながら、このようなキッチン用椅子をキッチンフロアの定位置において腰掛けたままでは、調理作業中にキッチンカウンタ周囲のガスレンジやオーブン、電子レンジなどの周辺調理機器を利用する際に無理に腰を曲げたり手を伸ばして身体に負担がかかる。また、これに加えて、キッチン用椅子を無理に傾けたりして椅子ごと転倒するおそれもある。
一方、キッチン用椅子としてではなく一般的なテーブル高さの低い事務机や勉強机に利用される椅子の利便性を高めるために、かかる椅子の脚の下端部にキャスタを備えた構造が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
特許文献1に記載された椅子用キャスタは、支持ヨークと、支持ヨークの一側部に設けられた収納筒と、支持ヨークの一部を貫通する受け孔と、受け孔に貫通した連結ピンを介して設けられた車輪を備えている。そして、受け孔近傍からは制動部材が突出して設けられ、この制動部材は車輪の車軸周面に常時押し付けられて車輪の車軸の周面に対して押圧力を常に作用させている。これによって、キャスタ自体の回転力を弱めて椅子が不用意に後方に移動してしまうのを防止している。
一方、特許文献2に記載の椅子用キャスタは、上壁と側壁を連結したフレームと、側壁に沿って昇降可能なスライダと、上壁とスライダを離間する方向に付勢するスプリングと、スライダに対して水平方向のシャフトを介して回転自在な車輪を備えている。また、この車輪の内側には歯車部が形成され、フレームにスライダが接近したときに歯車部に爪が係合するようになっている。そして、このような構成によって人が座っていない状態では車輪を回転可能とすることで椅子を容易に移動させることができる。一方、人が座ると、スプリングの押圧力に抗してフレームが下降し、歯車部に爪が係合して車輪の回転がロックされ、着座時において椅子を移動できないようになっている。
特開平10−81105号公報(2−3頁、図1) 特開平9−315104号公報(2頁、図1)
キッチン用椅子は上述したようにその座面の高さが高く、人が腰掛けると重心位地が高くなる。そのため、特許文献1に記載したようないわゆる常時半制動型のキャスタをキッチン用椅子に適用した場合、着座者が椅子に腰掛けた状態においても回転抑制力が常に働いている。一方、調理に加えて調理器具を出し入れしたり加熱調理器やシンクを使うために、椅子に腰掛けたままキッチンカウンタに対して平行に移動する場合がある。しかしながら、冷蔵庫やオーブン、電子レンジなどの周辺調理機器を利用するためにキッチン用椅子に腰掛けたままでこの椅子を移動させようとすると、椅子が傾いて着座者が転倒するおそれがある。また、例えば天ぷらの衣作り中では手が汚れており、手でキッチンカウンタを押して椅子を自由に移動させることもできない。
また、キッチンフロアは一般的にフローリングとなっており滑りやすく、また食器洗いなどによって床が濡れてさらに滑りやすくなっていることが多い。そのため、特許文献1に記載したようないわゆる常時半制動型のキャスタを備えたキッチン用椅子では、この椅子に腰掛ける前においてもキャスタが半制動状態でキッチンフロア上を滑りやすくなる。そのため、座面の高さが高いキッチン用椅子に着座者が腰掛ける際に、着座者の体重が座面に対して斜めに作用してしまい、着座動作中にキッチン用椅子がキッチンフロア上を滑ったりずれたりして着座者が転倒するおそれもある。
一方、特許文献2に記載したようなキャスタを備えた椅子は、人が腰掛けていない状態では床上を自在に移動できる一方、人が腰掛けると床上を容易に移動できないようになっている。そのため、このような椅子は一度椅子に腰掛けると長時間一定の姿勢での作業を伴う例えば勉強机や事務机と組み合わせて利用するとその機能を発揮できるであろうが、このような椅子をキッチン用椅子として利用した場合、上述したようにキッチン用椅子に着座者が腰掛ける際に着座動作中にキッチン用椅子がキッチンフロア上を滑ったりずれたりして着座者が転倒するおそれがある。また、椅子に腰掛けたままでオーブンや電子レンジなどの周辺調理機器を利用するために椅子を自在に移動させることができず、椅子を無理に移動させようとするとキッチン用椅子がキッチンフロア上を急に滑ったりして着座者が転倒するおそれもある。
また、例えばナースステーションのナーステーブルにおいて看護師がナースコールを待ち受けたり、カルテラックから様々な患者のカルテを取り出してナーステーブル上で確認したり、調剤ユニットから薬剤を取り出して患者ごとに分配したり、注射や採血などの準備や検査の準備を行う場合、頻繁に立ち上がって移動したりする必要上、上述したキッチン作業のようにその都度椅子に腰掛けたり立ち上がったりして作業することが多い。また、回診に必要な器具や道具をナーステーブル付近配置された回診車に揃えたり、採血済みの採血管を所定のキャリアに収容したり様々な作業を椅子に腰掛けたり立ち上がって行う必要もある。このような場合、椅子に腰掛けたまま、立った姿勢に近い状態でナーステーブル回りを移動できると看護師の腰や足、手に負担をかけずに済む。そのため、上述したような課題が同様に当てはまる。
本発明の目的は、例えばキッチンにおける様々なキッチン作業や、ナースステーションにおける医療関連作業を行うのに適した椅子に用いられる椅子用キャスタを提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明にかかる椅子用キャスタは、
座面と、当該座面に連結された脚部と、当該脚部に備わった車輪付きのキャスタを有する椅子に用いられる椅子用キャスタにおいて、
前記椅子用キャスタが、前記椅子に取り付けられた状態で当該椅子の座面への着座者の非着座時において前記車輪の回転を抑制する回転抑制部を有し、
前記回転抑制部による車輪の回転抑制が前記椅子の座面への着座者の着座動作中に解除されることを特徴としている。
椅子の座面に着座者が腰掛ける前はキャスタの車輪の回転が抑制され、着座者が座面に腰掛ける着座動作に応じてこの回転抑制が解除されるので、椅子に腰掛ける直前にキャスタの車輪の回転やフロア上での滑りによって椅子が急に移動することがなく、安心して腰掛けることができる。また、一旦腰掛けた後はキャスタの回転抑制が解除されるので、着座者がキャスタを介してフロア上を自由に移動できるようになる。そのため、例えば、キッチンカウンタにおいてこのキャスタを備えた椅子を利用したとすると、様々な作業を同時に行わなければならない場合、すなわちキッチンカウンタ上での料理の下ごしらえ作業やシンクでの食器洗い作業、ガスレンジでの調理作業の他に電子レンジやオーブンなどの周辺調理機器を利用する場合に、その都度キッチン用椅子から立ち上がる必要がなくなる。すなわち、調理に伴う一連の作業をキッチン用椅子に腰掛けたまま行うことができ、これら一連の作業を腰や脚、腕などに負担をかけずに行うことが可能となる。また、安心して腰掛けることができるので、椅子から立ったり座ったりを頻繁に繰り返す場合であっても、キッチン用椅子を安全に使用することができる。
また、ナースステーションのテーブルにこのキャスタを備えた椅子を利用した場合も、様々な医療関連作業を行うに当たってその都度椅子を立ったり座ったりすることなく、椅子に座ったまま行うことができる。
また、本発明の請求項2に記載の椅子用キャスタは、請求項1に記載の椅子用キャスタにおいて、
前記回転抑制部が前記車輪に及ぼす回転抑制力が前記椅子の座面への着座者の着座動作中に徐々に減少することを特徴としている。
回転抑制力が着座者の着座動作中に徐々に減少するようになっているので、キャスタの車輪が着座動作に伴い徐々に回転するようになる。すなわち、着座者が着座動作に伴う椅子の動き始めを察知できることに加えて、着座動作に伴って椅子がフロア上で急激に移動することがない。これによって、着座者が椅子に安心して腰掛けることができるようになる。
また、本発明の請求項3に記載の椅子用キャスタは、請求項1又は請求項2に記載の椅子用キャスタにおいて、
前記回転抑制部によって前記車輪に及ぼされる回転抑制力が前記椅子の座面への着座者の着座前で最大値になるとともに、着座動作中に減少し、着座後にゼロ又は最低値となることを特徴としている。
椅子への着座動作に伴って回転抑制力がこのように変化することで、着座者が椅子に腰掛ける前には椅子がフロア上で定位置を保つとともに、着座後には着座者がキャスタを介して椅子をフロア上で自在に移動させることができるようになる。
また、本発明の請求項4に記載の椅子用キャスタは、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の椅子用キャスタにおいて、
前記椅子用キャスタは、キャスタ本体と、前記椅子の脚に取り付けられるキャスタ取り付け部と、前記キャスタ本体に沿って前記キャスタ取り付け部方向に所定量スライド可能なスライダと、当該スライダに車軸を介して取り付けられた車輪と、前記キャスタ本体に取り付けられかつ前記車輪の回転を選択的に抑制する回転抑制部材と、前記キャスタ本体と前記スライダ間に介装され、前記スライダを前記キャスタ取り付け部と離間する方向に付勢する弾性部材を備え、
前記車輪の側面には回転抑制溝が周方向全周にわたって形成されるとともに、当該回転抑制溝の溝外周壁面には凹凸部が連続的に形成され、
前記椅子の座面への着座者の非着座時における前記弾性部材の付勢力により前記回転抑制部材が前記凹凸部の凹部と係合して当該車輪の回転を抑制することを特徴としている。
このような具体的構成を備えることで、請求項1に記載した作用を実現可能となる。すなわち、椅子に腰掛ける直前にキャスタの車輪の回転やフロア上での滑りによって椅子が急に移動することがなく、安心して腰掛けることができる。また、一旦腰掛けた後はキャスタの回転抑制が解除されるので、着座者がキャスタを介してフロア上を自由に移動できるようになる。そのため、例えばキッチンカウンタ上での料理の下ごしらえ作業やシンクでの食器洗い作業、ガスコンロでの調理作業の他に電子レンジやオーブンなどの周辺調理機器を利用する場合にその都度キッチン用椅子から立ち上がる必要がなくなる。すなわち、料理に伴う一連の作業をキッチン用椅子に腰掛けたままで腰や足、腕などに負担をかけずに行うことが可能となる。
また、回転抑制部を構成する回転抑制溝と回転抑制部材が上述のような関係で備わることで、椅子の外側に回転抑制部を露出させることがなく、椅子の外観上の見栄えを向上させることができる。また、フロア上のゴミや異物、着座者の衣服が回転抑制部に挟み込まれにくくなり、椅子に腰掛けた後にこの椅子を常に滑らかに移動させることができる。
また、本発明の請求項5に記載の椅子用キャスタは、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の椅子用キャスタにおいて、
前記椅子用キャスタは、キャスタ本体と、当該キャスタ本体に車軸を介して取り付けられた車輪と、前記椅子の脚に取り付けられ、前記キャスタ本体に対して車輪の接地面方向に所定量スライド可能なキャスタ取り付け部と、前記キャスタ取り付け部に取り付けられかつ前記車輪の回転を選択的に抑制する回転抑制部材と、前記車輪に対して前記回転抑制部材を押し付けるように付勢する弾性部材を備え、
前記座面への着座者の非着座時において前記弾性部材の付勢力により前記キャスタ取り付け部の前記車輪接地面と離間する方向への移動に合わせて前記回転抑制部材が前記車輪の周面に接触して当該車輪の回転を抑制することを特徴としている。
このような具体的構成を有することで、請求項4の場合と同様に請求項1に記載した作用を実現可能となる。また、回転抑制部材が車輪の外部に備わっているので、構造が簡単でコストが安く作れるとともに、この回転抑制部材と車輪との間にゴミや異物などが詰まったとしてもこれを簡単に取り除くことができる。
また、本発明の請求項6に記載の椅子用キャスタは、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の椅子用キャスタにおいて、前記椅子への着座者の着座状態において前記弾性部材が前記スライダに作用する付勢力の総和が196Nに前記椅子の重さを加えた合計値とほぼ等しいかそれ以下であることを特徴としている。
スライダに作用する弾性体の付勢力の総和がこのような値となることで、例えば体重40Kg程度の比較的体重の軽い着座者が椅子に腰掛けた場合でも回転抑制部による車輪の回転抑制を確実に解除することができ、本発明に係る椅子用キャスタの作用を発揮させることができる。
また、本発明の請求項7に記載の椅子は、前記請求項1乃至請求項6の何れかに記載の椅子用キャスタを備えたことを特徴としている。
このような椅子用キャスタを備えた椅子を用いることで、本発明の課題を十分に解決することが可能となる。
本発明によると、例えばキッチンにおける様々なキッチン作業や、ナースステーションにおける医療関連作業を行うのに適した椅子に用いられる椅子用キャスタを提供することができる。
以下、本発明の第1の実施形態にかかる椅子用キャスタ100(以下、「キャスタ100」とする)について説明する。なお、本実施形態では、キャスタ100を備えた椅子をキッチン用椅子1として利用する場合について説明する。かかるキッチン用椅子1は、図1に示すように円形の着座部20と、着座部を高さ調整可能に支持する支持部30と、支持部30の下端に放射状に延在した5本の脚部40と、各脚部40の端部上側に結合され各脚部端部を連結するリング状の足掛け部50と、各脚部40の端部下側に備わったキャスタ100を有している。
また、着座部20には着座面に向かって折り畳み可能な簡易な構造の背凭れ部21が備わっている。また、着座部20は、キッチン作業を行い易いように適度な硬さのクッション材とこれを覆う滑り難い表皮とを備えている。
また、支柱部30にはガススプリングが内蔵されるとともに着座部20の下部にはこのガススプリングのガス圧を利用して座面の高さ調整を可能とする高さ調整用レバー(図示せず)が備わっている。そして、背凭れ部21を倒すとともに、高さ調整用レバーを握ってキッチン用椅子1の座面の高さを低くした状態で図12に示したキチンカウンタKCのニースペースにこのキッチン用椅子1を収容できるようになっている。
続いて、このキッチン用椅子1に備わったキャスタ100について説明する。なお、各キャスタ100は互いに同等の構成を有している。また、以下の説明における上下方向や左右方向、水平方向、鉛直方向の記載は、このようなキャスタ100を備えたキッチン用椅子1をキッチンフロア上に普通においた状態を基準とした方向である。
キャスタ100は、図2及び図3に示すような双輪キャスタをなし、キャスタ本体110と、キャスタ本体110の上面から突出したキャスタ取り付け部120と、キャスタ本体110の両側面に備わった車輪130と、図3乃至図5に示すように車輪130を連結する車軸140と、車軸140に備わったスライダ150と、キャスタ本体内に収容されたスプリング160を有している。
キャスタ本体110は、例えばナイロンなどの強度と成型性に優れた樹脂でできており、図2乃至図6に示すように厚さの薄い直方体のブロック形状を有している。そして、キャスタ本体上面の一方の端部付近には、キャスタ100を脚部40に対して水平方向に回転可能なまま連結する例えばステンレス鋼(SUS)や鉄などの金属でできたシャフト状のキャスタ取り付け部120が当該キャスタ本体110に一部を挿入した状態で備わっている。また、キャスタ本体110の内部には水平方向の断面で見て四隅が広がった異型矩形形状のスライダ収容部111(図6参照)が形成されている。
なお、スライダ収容部111の上端面111b(図4参照)からはスプリング160を支持する凸状のスプリング支持部(図示せず)が下方に延出している。
また、キャスタ本体110の車輪130が備わる両側面には、図9及び図11に示すように、その上下方向を長手方向とする長孔状の車軸貫通孔113が形成されている。なお、車軸貫通孔113は、車軸140のキャスタ本体長手方向における移動量を規制することで、キャスタ本体内のスライダ150の移動量を規制する役目を果たしている。また、車軸貫通孔113の開口部上方には、図4及び図6に示すように、回転ローラ取り付け部114を介して車輪と相対回転可能とする回転ローラ115(回転抑制部材)が回動自在に備わっている。なお、回転ローラ取り付け部114と回転ローラ115をすべり性の良い例えばポリアセタール(POM)などで一体に構成しても良い。
車軸140は、例えばステンレス鋼(SUS)や鉄などの金属でできたシャフトからなり、図4及び図5に示すように、その長手方向中央部に車軸140に対して相対回転可能なスライダ150を備えるとともにその両端部に車軸140に対して相対回転可能な車輪130を備えている。
車輪130は、例えばナイロンなどの合成樹脂でできており、その外周方向外側が図7に示すようにキッチンフロアと車輪130との滑りをなくすために全周にわたってウレタンゴム131で覆われている。また、車輪130の内側側面、すなわちキャスタ本体との向き合う面には、その内周全周にわたって回転抑制溝135が形成されている。また、この回転抑制溝135の外周壁には、図9及び図11に示すように凹凸部が全周にわたって交互に連続的に形成されている。そして、この凹凸部の凹部135aに上述した回転ローラ115が係合することで、車輪130の回転を抑制するようになっている。
スライダ150は例えばナイロンなどの樹脂でできており、図5及び図6に示すように、直方体形状をなし車軸130が貫通するスライダ本体151(図5参照)と、当該スライダ本体151の上面四隅から上方に向かって延出したスライダガイド152(図6参照)を備えている。そして、このスライダガイド152は、キャスタ本体110のスライダ収容部111の水平方向断面で見て四隅に形成されたガイド収容部111cに沿ってスライドし、スライダ150をキャスタ本体内において上下方向に滑らかに移動させる役目を果たしている。
スプリング160は、図4に示すように、スライダ収容部111の上面凸部(図示せず)に一端が嵌合され、他端がスライダ本体151の上面に押し付けられている。なお、スライダガイド152は上述の通りスライダ収容部111の四隅に収容されるようになっており、キャスタ本体内でのスライダ150の移動時にスプリング160とスライダガイド152が干渉しないようになっている。
スプリング160は、キッチン用椅子1に着座者が腰掛けていない場合に車軸140を車軸貫通孔113の長孔下端部に押し付けるとともにキャスタ本体110の回転ローラ115を車輪130の回転抑制溝135の凹部135aに係合させる付勢力を有している。
具体的には、例えば5つのキャスタ100を備えたキッチン用椅子1の場合では、5つのスライダ150に作用する付勢力の総和は、ほぼ196Nに椅子の重さ約100Nを加算した値とほぼ等しいかそれ以下となっている。
これによって、キッチン用椅子1に人が腰掛けていない状態では回転ローラ115がスプリング160の付勢力によってキャスタ本体110の回転ローラ115が車輪130の回転抑制溝135の上方に位置する凹部135aに係合することで、キッチン用椅子1がキャスタ100を介してキッチンフロア上を移動しないようになっている。
また、キッチン用椅子1に人が腰掛けると、腰掛け動作に応じてスプリング160が着座者の体重によって徐々に圧縮され、スライダ150と車軸130がキャスタ本体内のスライダ収容部111を上方に向かって相対的に移動するようになっている。
図8は着座移動中の大腿部の角度とキッチン用椅子1の座面垂直下方に作用する荷重を示した図である。このような腰掛け動作中においては、着座者の着座移動に応じてキッチン用椅子の座面下方に作用する荷重が徐々に大きくなるので、図9に示すように回転抑制溝135の凹部135aに係合した回転ローラ115がこの凹部135aから徐々に抜け出してゆっくりと凸部135bを乗り越えて隣接する凹部135aに移動する。これによって、図8に示すように椅子使用者の着座動作に伴って回転抑制力が一度に解除されることなく連続的に減少する構造となっている。
なお、図10は、着座前から着座動作を経て着座後に至るまでの回転抑制力の変化を示した説明図である。本実施形態においては、上述の通り同図の一点鎖線(a)又は実線(b)に示すように回転抑制力が着座動作の少なくとも前半か着座動作中全体にわたって連続的に減少し、点線(c)に示すように回転抑制力がいきなり解除されないようになっている。
そして、キッチン用椅子1に完全に腰掛けると、図11に示すように車輪130の回転抑制溝135の凸部135bにも回転ローラ115が接触することがなくなり、この状態で車輪130が回転ローラ115によって回転を阻害させることがなく自由に回転できるようになる。
続いて、このような構成を有するキャスタ100を備えたキッチン用椅子1の実際の使用方法について説明する。このキッチン用椅子1は、図12に示すようにある程度の高さを有するシステムキッチンSKに好適に利用される。かかるシステムキッチンSKはキッチンカウンタKCとキッチンの壁(図示せず)に備え付けられたウォールキャビネットを有している。そして、キッチンカウンタKCはその下部にニースペースが確保されるとともに引き出し付きの多数の収納スペースが備わっている。
また、キッチンカウンタKCの上部には食器洗い用のシンクや調理に伴う食材の下ごしらえ用のカウンタスペース、及び調理用のガスコンロが備わっている。
一方、ウォールキャビネットには例えば電子レンジ、レンジフード、及び各種の収納スペースが備わっている。また、ここでは図示ないがオーブンなどの周辺調理機器もキッチンカウンタKCの周囲に配置されている。
かかるキッチンカウンタKCの高さは従来技術でも説明したように例えば850mmとある程度の高さを有している。
このキッチン用椅子1を実際に使用するに当たって、まず、キッチンカウンタKCのニースペースに収容されたキッチン用椅子1を図12に示すようにキッチン作業の行い易い位置までに引き出す。そして、キッチン用椅子1の背凭れ21を起こすとともに、高さ調整用レバーを握ってキッチン用椅子1の座面を例えば高さ600mm程度まで高さ調整する。なお、キッチン用椅子1をキッチンカウンタKCのニースペースから引き出す際においても、キッチン用椅子1の座面を椅子使用者が手である程度押すことによって、後述する着座動作と同様に車輪の回転抑制力をある程度弱めることができるので、座面を手で押してキャスタ100の車輪130を徐々に回転させながらキッチン用椅子1を移動させることが可能である。
上述の通り、座面が高さ600mm程度と椅子使用者がキッチンカウンタ付近に立った状態に近い姿勢を保てる程度の高さにキッチン用椅子1の座面を調整した後、キッチン用椅子1に腰掛ける。この腰掛ける前のキッチン用椅子1のキャスタ100は、図9に示すように回転ローラ115が車輪130の回転抑制溝135の凹部135aに係合しており、キャスタ100の車輪130が回転しないようになっている。これによって、例えば着座者が座面の前半分に腰掛けるような着座動作をとって着座者の臀部が座面に対して斜めに力を作用させても、キッチン用椅子1がキッチンフロア上を急に滑り出すことはない。キッチンフロアは、例えばフローリングでできていたり食器洗い作業などによって濡れていたりするので、一般的に滑りやすくなっていることが多いが、本実施形態にかかるキャスタ100を備えたキッチン用椅子1は着座者が座面に臀部を接触させる瞬間においてはキャスタ100の車輪130が未だ回転を拘束されて動かない状態になっているので、このような腰掛ける瞬間におけるキッチン用椅子1の逃げを防止することができる。
続いて、座面に接触した臀部を座面に更に押し付けてキッチン用椅子1に十分に腰掛けると、この着座動作に合わせてキャスタ本体内に収容したスプリング160が圧縮してスライダ150がキャスタ本体内のスライダ収容部上面に向かって相対的に移動し始める。このスライダ150の移動中には、スライダガイド152が上述したようにスプリング160と干渉しないようになっている。また、スライダ本体151の上面四隅から延在した4つの細長のスライダガイド152がキャスタ本体110の各ガイド収容部111cに沿って移動するようになっているので、スライダ150がキャスタ本体110のスライダ収容部内でせったりすることがなく、スライダ150がキャスタ本体内を滑らかに相対移動する。
続いて、着座者が臀部を更に押し付けてキッチン用椅子1に完全に腰掛けると、図11に示すように車軸130がキャスタ本体110に備わった車軸貫通穴113の長孔上端部に達してキャスタ本体内のスライダ収容部内において上方に向かったスライダ150のキャスタ本体110に対する相対移動が停止する。
このように、スライダ150がキャスタ本体内のスライダ収容部111を若干相対移動した状態においては、図9に示す回転ローラ115が回転抑制溝135の凹部底面から僅かに離れ、その横の凸部135bを乗り越えて隣接する凹部135aに移動しやすくなる。すなわち、図10の一点鎖線(a)又は実線(b)に示すように回転抑制力が着座動作の少なくとも前半か着座動作中全体にわたって連続的に減少し、点線(c)に示すように回転抑制力がいきなり解除されることはない。このように回転抑制部材として回転ローラ115を使用しているので、キャスタ100に作用するブレーキ力が緩やかに低下するようになり、危険性が少なくなる。これによって、着座者は着座動作中にキッチン用椅子1のキャスタ100の車輪130が徐々に動き出すことを察知することができる。その結果、キッチン用椅子1への着座動作中に回転抑制力が急に解除されてキッチン用椅子1がいきなり移動し始めるのを回避することができ、着座者がキッチン用椅子1に安心して腰掛けることができる。
そして、図11に示すような状態にまで回転ローラ115が達すると、もはや回転ローラ115は回転抑制溝135の凹凸部と係合することがなくなり、車輪130が自在に回転するようになる。これによって、着座者がキッチン用椅子1に腰掛けたまま、例えばその足先を用いてキッチン用椅子ごとキッチンフロア上を自在に移動することが可能となる。これによって、料理の下ごしらえ中にオーブンに入れた他の料理を取り出したり電子レンジに別の料理を入れるような様々なキッチン作業をキッチン用椅子1から立ち上がることなく腰掛けたままの姿勢で行うことが可能となる。
なお、本実施形態においては、5つのスプリング160が5つのスライダ150に作用する付勢力の総和がほぼ196Nに椅子の重さ約100Nを加えた合計値とほぼ等しいかそれ以下であるので、例えば体重40Kg程度の比較的体重の軽い着座者がキッチン用椅子1に腰掛けた場合でも車輪130の回転抑制を確実に解除することができる。
また、上述したキッチン用椅子1は、その回転抑制部(回転抑制溝135の凹部135aと回転ローラ115)が車輪130の内側に形成されているので、椅子使用中にゴミが回転抑制部に詰まりにくく、また椅子使用者の衣服がこの回転抑制部に挟み込まれるようなこともない。
このようなキッチン用椅子1を用いてキッチン作業を行った後、椅子使用者はキッチン用椅子1から降りて背凭れ部21をたたむとともに高さ調整用レバーを握ってキッチン用椅子1の高さを低くし、座面を手で押さえてキャスタ100の車輪130を徐々に回転させながらキッチンカウンタKCのニースペースにキッチン用椅子1を収容してキッチン作業を終える。
なお、上述した回転ローラ115の代わりに固定した円柱状の突部を備えるとともに、回転抑制溝135の外周壁に形成された凹凸部を連続した波状の凹凸部とすることによっても、キッチン用イスへの着座動作中に車輪の回転抑制を徐々に解放することができるようになる。
また、回転抑制溝の代わりに、内周壁に連続した凹凸部の形成された突状部が車輪内側に周方向全周にわたって形成されていても良い。
続いて、本発明の第2の実施形態にかかる椅子用キャスタ200について説明する。なお、この第2の実施形態に係る椅子用キャスタ200を備えたキッチン用椅子2の構造は、そのキャスタ200の部分を除いて第1の実施形態にかかるキャスタ100を備えたキッチン用椅子1の構造と同等であるので、キャスタ200の構造についてのみ図面に基づいて説明する。また、このキャスタ200に関して第1の実施形態のキャスタ100と同等の構造については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。また、各構成要素の材質も、第1の実施形態にかかるキャスタ100に対応しているので、その記載を省略する。
本発明の第2の実施形態にかかるキャスタ200は、図13乃至図15に示すようにキャスタ本体210と、キャスタ本体210を貫通するように備わったキャスタ取り付け部220と、キャスタ本体210の両側面に備わった車輪230と、キャスタ本体210の下部に備わった回転抑制プレート(回転抑制部材)270を有している。
キャスタ本体210には、図16に示すように車輪230を覆うカバー219が備わるとともに、キャスタ本体自体にはキャスタ取り付け部220を上下に貫通させる取り付け部貫通孔211が形成されている。また、キャスタ本体210の取り付け部貫通孔211にはキャスタ取り付け部220をキャスタ本体210に対して上下方向に摺動可能とする軸受212,213が圧入されている。また、キャスタ本体210にはスプリング収容部216が形成され、この収容部内にキャスタ取り付け部220をキャスタ本体210の上方に向かって付勢するスプリング260が収容されている。また、キャスタ本体210の両側に備わった2つの車輪230(図17参照)はキャスタ本体210に支持された車軸240に互いに回転自在に結合されている。
キャスタ取り付け部220は、図16に示すように、その上端部がキッチン用椅子2の脚にキャスタ200を水平方向回動自在に取り付ける役目をなし、その長手方向中央部分に拡径段部221が形成されている。また、キャスタ取り付け部220の下端部には車輪230の周面に選択的に押し付けられて車輪230の回転を抑制する回転抑制プレート270がネジ等の締結具を介して車輪230の周面方向に向かって延在した状態で固定されている。なお、キャスタ本体210の回転抑制プレート270の背面側には当該プレート自体の回転防止のための板状ガイドが備わっている。
また、キャスタ取り付け部220の拡径段部221とキャスタ本体210のスプリング収容部底面との間にはスプリング260が介装されている。そして、このスプリング260の付勢力によって、キッチン用椅子2への非着座時においてキャスタ取り付け部220の拡径段部221がキャスタ本体210の取り付け部貫通孔211の開口部周縁に突き当てられるとともに、キャスタ取り付け部下端の回転抑制プレート270が車輪230の周面に押し付けられるようになっている。また、キャスタ取り付け部220の長手方向上部にはキャスタ取り付け部220がキャスタ本体210に対して下方向に移動するのを規制するストッパ用段部222が形成されている。
本発明の第2の実施形態にかかるキャスタ200はこのような構造を有しているので、本発明の第1の実施形態にかかるキャスタ100と同等の作用効果を発揮することができる。すなわち、本発明の第2の実施形態にかかるキャスタ200を備えたキッチン用椅子2に人が腰掛けていない状態では、スプリング260の付勢力によってキャスタ取り付け部220がキャスタ本体210に対して上側に移動し、これと同時にキャスタ取り付け部220の回転抑制プレート270がキャスタ200の車輪周面に押し付けられて車輪230の回転を抑制するようになっている。
また、キッチン用椅子2の座面に人が腰掛け始めた状態では、スプリング260が徐々に圧縮されるとともにキャスタ取り付け部220がキャスタ本体210に対して徐々に下降し始め、これによって、キャスタ取り付け部下端の回転抑制プレート270が車輪230の周面に及ぼす押し付け力、すなわち、回転抑制力が図10の一点鎖線(a)又は実線(b)に示すように着座動作の少なくとも前半か着座動作中全体にわたって連続的に減少し、車輪230が徐々に回転するようになっている。
また、椅子使用者が座面に完全に腰掛けた状態では、キャスタ取り付け部下端の回転抑制プレート270がキャスタ200の車輪230の周面から完全に離れ、車輪230の回転が抑制されなくなって着座者がキッチン用椅子2に腰掛けたままの状態でキャスタ200を動かすことができるようになっている。
なお、第2の実施形態にかかるキャスタ200を備えたキッチン用椅子2は、第1の実施形態にかかるキャスタ100を備えたキッチン用椅子1と同等の動きを着座動作中に行うようにするため、そのスプリング260のバネ乗数は第1の実施形態のスプリング160に対応する圧縮特性を有するように設定されている。
具体的には、第1の実施形態と同様に、5つのスプリング260が5つのキャスタ取り付け部220に作用する付勢力の総和がほぼ196Nに椅子の重さ約100Nを加算した値とほぼ等しいかそれ以下となっている。
第2の実施形態にかかるキャスタ200が以上のような構成を有することによって、第2の実施形態にかかるキャスタ200を備えたキッチン用椅子2も第1の実施形態にかかるキャスタ100を備えたキッチン用椅子1と同等の使い方をすることができる。具体的には、キッチンカウンタKCのニースペースからこのキッチン用椅子2をその座面を手で押さえて回転抑制力を低下させた状態で所定位置まで引き出し、背凭れ部21を起こすとともに座面の高さ調整を行った後、椅子使用者がこのキッチン用椅子2の座面に腰掛ける。
キッチン用椅子2に腰掛ける前及び椅子使用者の臀部が座面に接触した瞬間においては、キャスタ200の車輪230の回転が回転抑制プレート270によって拘束されているので、キッチン用椅子2の座面に椅子使用者が腰掛ける瞬間に椅子が逃げることがない。また、椅子使用者の着座動作中においては、回転抑制プレート270が車輪230の周面に及ぼす回転抑制力が徐々に低下するので、着座動作中にキャスタ200が急激に動き出すようなことがなく、着座者はキッチン用椅子2が着座動作中に徐々に動き出すことを実感することができる。これによって、キッチン用椅子2に着座者が安心して腰掛けることが可能となる。
また、着座者がキッチン用椅子2に完全に腰掛けると、キャスタ取り付け部220の回転抑制プレート270が車輪230の周面から離れるので、車輪230が自由に回転するようになり、キッチン用椅子2に腰掛けた状態のまま椅子ごと移動することによって様々なキッチン作業を容易に行うことができる。すなわち、料理の下ごしらえ作業やガスレンジによる調理作業に加えて電子レンジやオーブンへの料理の出し入れ作業を椅子に腰掛けたままで行うことができ、例えば高齢者にとって頻繁な椅子からの立ち上がり作業を無くすことができて腰や腕、脚などに無理な負担をかけずに済む。
なお、本実施形態においても、5つのスプリング260が5つのキャスタ取り付け部220に及ぼす付勢力の総和がほぼ196Nに椅子の重さ約100Nを加算した値とほぼ等しいかそれ以下となっているので、例えば体重40Kg程度の比較的体重の軽い着座者がキッチン用椅子1に腰掛けた場合でも車輪130の回転抑制を確実に解除することができる。
なお、上述した第2の実施形態にかかるキャスタ200は、回転抑制プレート270が第1の実施形態のキャスタ100と異なり車輪230の外部に備わっているので、構造が簡単でコストが安く作れるとともに、この回転抑制プレート270と車輪230との間にゴミや異物などが詰まったとしてもこれを簡単に取り除くことができる。
以上説明したキャスタ100,200を備えたキッチン用椅子1,2は、その座面の高さを調整可能であったが、必ずしもこのように高さ調整機構を備える必要はなく座面の高さを約600mm程度に固定しておいても良い。
続いて、以上説明した2つの実施形態にかかるキャスタ100,200を備えたキッチン用椅子1,2の使いやすさについて、図18に示す比較表を用いて確認する。同図に示す比較表は、キャスタの備わらない椅子と、キャスタが備わって常に移動可能な椅子と、キャスタが備わっているが座面に座らないときのみキャスタの車輪が回転する椅子と、キャスタが備わっているがキャスタの車輪の動きを常に悪くした椅子を比較例とし、本実施形態にかかるキャスタ100,200を備えたキッチン用椅子1,2を発明品として比較した比較表である。
なお、従来技術で説明した特許文献1のキャスタは、キャスタの動きが常に半制動状態になって上述したキャスタの車輪の動きが常に悪い椅子のキャスタに相当する。また、特許文献2に記載したキャスタは、キャスタが備わっているが座面に座らないときのみキャスタの車輪が回転する椅子のキャスタに相当する。
図18に示す本発明品と他の構成を備えた椅子との比較から、本発明品は腰掛けるときに椅子が動かず、腰掛けた後に椅子が動くようになっているので、フローリングになっていたり食器洗い作業などによって濡れていたりすることが多い特別な事情を有するキッチンフロアに本発明品にかかるキッチン用椅子を備えた場合に最も腰掛け易いことが比較表の左側欄から分かる。
また、キッチン作業の場合、事務机用の椅子や勉強机用の椅子などのように着座した後に椅子に長時間座ったままになることがなく、食材の下ごしらえやガスレンジなどの調理作業に加えて、オーブンや電子レンジなどへの料理の出し入れなど様々な作業を行う必要があるため、キッチン用椅子に腰掛けたままこれら一連のキッチン作業を行うことのできる本発明品が特にキッチン用椅子としてその機能上適していることが比較表の右側欄から分かる。
以上説明したように、キャスタ100,200を備えるのに適した椅子は、本発明の課題において説明したように、キッチン用椅子に限定されるものでなく、例えばナースステーションにおけるナーステーブル用の椅子にも好適に利用される。看護師は、このようなナーステーブルにおいて、ナースコールを待ち受けたり、カルテラックから様々な患者のカルテを個別に取り出してナーステーブル上で確認したり、調剤ユニットから薬剤を取り出して患者ごとに分配したり、注射や投薬、採血等の準備を行ったり、周辺のラックから様々な医療器具を取り出したり、採血済みの採血管をキャリアに収容したりすることが多い。この場合に単なる背の高い椅子を用いても、椅子から立ち上がったり椅子に腰掛けたりする連続作業を行わなければならず、腰や足、手に負担がかかる。しかしながら、本発明に係るキャスタを備えた椅子を用いることで、立った状態に近い姿勢で椅子に腰掛けたままテーブル付近を自在に移動することができるので、そのような負担が軽減される。また、滑りやすいフロアであっても、安心してこの椅子に腰掛けることができる。
本発明の第1の実施形態にかかる椅子用キャスタを備えたキッチン用椅子の斜視図である。 図1に示した椅子用キャスタの正面図である。 図1に示した椅子用キャスタの側面図である。 図2に対応するIV-IV断面図であり、車軸、スライダ、スプリング、及び回転ローラをその幅方向中心部分に沿って切断した断面図である。 図1に示した椅子用キャスタをその車軸に沿って水平方向に切断したV-V断面図である。 図1に示した椅子用キャスタの回転ローラに対応する部分を水平方向に切断したVI-VI断面図である。 車輪を直径方向に切断した断面図である。 着座者の大腿部の曲げ角度とキッチン用椅子の座面にかかる荷重及び椅子の逃げ力を示した図である。 図1に示したキッチン用椅子に人が腰掛けていない状態の回転抑制溝と回転ローラとの関係をキャスタ内側側面から示したIX-IX断面図である。 着座前から着座動作を経て着座後に至るまでの回転抑制力の変化を示した図である。 図9に対応する図であり、キッチン用椅子の座面に着座者が完全に腰掛けた状態を示すXI-XI断面図である。 本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態にかかる椅子用キャスタを備えたキッチン用椅子が使用されるシステムキッチンと、第1の実施形態にかかる椅子用キャスタを備えたキッチン用椅子を示した斜視図である。 本発明の第2の実施形態にある椅子用キャスタの側面図である。 図13に対応する椅子用キャスタの正面図である。 図13に対応する椅子用キャスタの底面図である。 図14に対応する椅子用キャスタをキャスタ取り付け部の長手方向に沿って切断したXVI-XVI断面図である。 図14に示した椅子用キャスタの車軸に沿って水平方向に切断したXVII-XVII断面図である。 本実施形態にかかる椅子用キャスタを備えたキッチン用椅子である発明品とそれ以外のキャスタなしの椅子やキャスタ付きの椅子、常に動きの悪いキャスタを備えた椅子を比較した評価比較表である。
符号の説明
1,2 キッチン用椅子
20 着座部
21 背凭れ部
30 支柱部
40 脚部
50 足掛け部
100 キャスタ
110 キャスタ本体
111 スライダ収容部
111a 底面
111b 上端面
111c ガイド収容部
113 車軸貫通孔
114 回転ローラ取り付け部
115 回転ローラ
120 キャスタ取り付け部
130 車輪
131 ウレタンゴム
135 回転抑制溝
135a 凹部
135b 凸部
140 車軸
150 スライダ
151 スライダ本体
152 スライダガイド
160 スプリング
200 キャスタ
210 キャスタ本体
211 貫通孔
212,213 軸受
216 スプリング収容部
219 カバー
220 キャスタ取り付け部
221 拡径段部
222 ストッパ用段部
230 車輪
240 車軸
260 スプリング
270 回転抑制プレート(回転抑制部)

Claims (7)

  1. 座面と、当該座面に連結された脚部と、当該脚部に備わった車輪付きのキャスタを有する椅子に用いられる椅子用キャスタにおいて、
    前記椅子用キャスタが、前記椅子に取り付けられた状態で当該椅子の座面への着座者の非着座時において前記車輪の回転を抑制する回転抑制部を有し、
    前記回転抑制部による車輪の回転抑制が前記椅子の座面への着座者の着座動作中に解除されることを特徴とする椅子用キャスタ。
  2. 前記回転抑制部が前記車輪に及ぼす回転抑制力が前記椅子の座面への着座者の着座動作中に徐々に減少することを特徴とする、請求項1に記載の椅子用キャスタ。
  3. 前記回転抑制部によって前記車輪に及ぼされる回転抑制力が前記椅子の座面への着座者の着座前で最大値になるとともに、着座動作中に減少し、着座後にゼロ又は最低値となることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の椅子用キャスタ。
  4. 前記椅子用キャスタは、キャスタ本体と、前記椅子の脚に取り付けられるキャスタ取り付け部と、前記キャスタ本体に沿って前記キャスタ取り付け部方向に所定量スライド可能なスライダと、当該スライダに車軸を介して取り付けられた車輪と、前記キャスタ本体に取り付けられかつ前記車輪の回転を選択的に抑制する回転抑制部材と、前記キャスタ本体と前記スライダ間に介装され、前記スライダを前記キャスタ取付け部と離間する方向に付勢する弾性部材を備え、
    前記車輪の側面には回転抑制溝が周方向全周にわたって形成されるとともに、当該回転抑制溝の溝外周壁面には凹凸部が連続的に形成され、
    前記椅子の座面への着座者の非着座時における前記弾性部材の付勢力により前記回転抑制部材が前記凹凸部の凹部と係合して当該車輪の回転を抑制することを特徴とする、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の椅子用キャスタ。
  5. 前記椅子用キャスタは、キャスタ本体と、当該キャスタ本体に車軸を介して取り付けられた車輪と、前記椅子の脚に取り付けられ、前記キャスタ本体に対して車輪の接地面方向に所定量スライド可能なキャスタ取り付け部と、前記キャスタ取り付け部に取り付けられかつ前記車輪の回転を選択的に抑制する回転抑制部材と、前記車輪に対して前記回転抑制部材を押し付けるように付勢する弾性部材を備え、
    前記座面への着座者の非着座時において前記弾性部材の付勢力により前記キャスタ取り付け部の前記車輪接地面と離間する方向への移動に合わせて前記回転抑制部材が前記車輪の周面に接触して当該車輪の回転を抑制することを特徴とする、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の椅子用キャスタ。
  6. 前記椅子への着座者の着座状態において前記弾性部材が前記スライダに作用する付勢力の総和が196Nに前記椅子の重さを加えた合計値とほぼ等しいかそれ以下であることを特徴とする、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の椅子用キャスタ。
  7. 前記請求項1乃至請求項6の何れかに記載の椅子用キャスタを備えたことを特徴とする椅子。
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