JP2006167028A - 哺乳動物用授精適期計算尺、受精機能シーケンスシール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スライド式計算尺であって、固定尺として時刻を目盛りとした時間尺と、滑尺として所定の哺乳動物の雌の発情期における所定のタイミングの指示と卵子の受精可能期間における卵子の受精能強度を面形状により表現した卵子受精能強度表示部とを含んだ目盛りを有する雌尺と、カーソルとして機能するとともに精子の授精タイミングの指示と精子の受精可能期間における精子の受精能強度を面形状により表現した精子受精能強度表示部とを含んだ目盛りが透明板上に表示された雄尺とから構成され、雌尺と雄尺とが相対摺動するのに伴って卵子受精能強度表示部の面と精子受精能強度表示部の面の重複面がそれぞれの受精能表示部の面と光学的状態が異なる哺乳動物用授精適期計算尺としている。
【選択図】 図2
Description
長澤弘、他209名著,「養賢堂 新編畜産大事典1996年板」,1996年2月20日
(1)スライド式計算尺であって、固定尺として所定期間の時刻を目盛りとした時間尺と、滑尺として所定の哺乳動物の雌の性周期に関する時期や期間などの雌の受精機能シーケンスを目盛りとした雌尺と、カーソルとして機能するとともに前記哺乳動物の雄の精子活動能力に関する時期や期間などの雄の受精機能シーケンスを目盛りとした雄尺とからなること。
(11)上記基本発明において、卵子受精能強度表示部と精子受精能強度表示部は、それぞれの受精能強度を、面形状に代えて、濃淡により表現していること。
図1に本発明の実施例における哺乳動物用授精適期計算尺(以下、計算尺)の斜視図を示した。この計算尺1の基本構造は、スライド式計算尺と同様である。しかし、この計算尺1は、牛の授精適期を求めるように設計されている。そして、所定期間の時刻を目盛りとした時間尺10と、雌の性周期に関する各種指示や期間(雌の受精機能シーケンス)が目盛りとして刻まれた雌尺20と、雄の精子活動能力に関する時期や期間(雄の受精機能シーケンス)が目盛りとして刻まれた雄尺30とにより構成されている。なお受精機能シーケンスについては所定の受精理論に基づいている。
雌尺20の目盛り21は、発情期の開始/終了タイミング(22,23)、卵子受精可能期間24の開始となる排卵時期の指示25、および当該期間24の終了(卵子老化)時期の指示26など、雌の受精機能シーケンス上の各種時期や期間が時間尺10と同じ時間尺度で刻まれている。すなわち、任意の目盛り(22〜26)を時間尺10の適当な時刻の目盛り11に合わせると、雌の受精機能シーケンス上の各時期や期間の時刻を読み取ることができる。また、卵子受精可能期間(受精能保持期間)に当たる時間帯を示す目盛り24は、所定の色(本実施例では青色)に着色された台形状の面で表現された卵子受精能強度表示部24となっている。この卵子受精能強度表示部24は、卵子の受精能が排卵後2時間程度を経つと次第に低下し排卵後、約12間後には老化してしまうことから、その受性能自体の強度を面形状によって表している。雌尺20の右方向、すなわち時間経過に伴って徐々に上下方向が狭くなり、その上下幅が受精能強度を示している。この面による受精能強度表現により、受胎する確率(受胎率)が感覚的に把握できるようにしている。したがって、排卵に伴う受精可能期間24の開始25と終了26が同様の確率で受胎が可能であるかのように錯覚されることがない。
雄尺30の目盛り32は、雄の受精機能シーケンスを示しており、授精のタイミングの指示33や受精可能期間34の開始(受精能獲得)時期の指示35、授精可能期間34の終了(精子老化)時期の指示36など、授精タイミング33を起点とした精子活動能力に関わる時期や期間を示している。精子の受精可能期間34については、注入(授精)された精子が初期6時間は受精能獲得のために費やされ、受精能を獲得した精子も時間の経過とともに次第に老化し、授精後およそ24時間で受精能を失うことから、雌尺30の卵子受精能強度表示部24と同様に、所定の色(本実施例では黄色)に着色された台形状の面で表示された精子受精能強度表示部34となっている。また、精子受精能強度表示部34は、セルロイドなどの光透過性の素材でできており、この表示部34が雄尺30本体の透明板上に貼付されている。光透過性を確保できるのであれば、雄尺30の透明板を着色することも考えられる。
===授精適期計算尺の使用例===
本実施例の計算尺1により、実際に授精適期を推定する場合、まず雌が発情状態にあることが認められたならば、現在その発情状態が開始期なのか、終了期なのか。あるいは最盛期なのかを確認する。希少動物の繁殖などを目的とした飼育施設では、繁殖対象となる動物の状態を常時詳細に観察できる環境や体勢が整っており、性周期における現状を詳細に把握することができる。一方、畜産農家などの家畜飼育の現場では、発情期の開始兆候が見逃される可能性が十分にあり得る。すなわち、既に発情した後に発情状態が確認されることが多い。最盛期についても、同様である。しかし、発情期にあること自体は、例えば、発情した雌を含む群れ全体の行動など、経験に基づいて容易に確認できるので、発情した雌をしばらく観察して発情が終了する時期を判断し、その発情終了時期に基づいて授精適期を推定するのが現実的である。具対的な例としては、飼育されている牛の群れの全頭が雌の場合、発情していない雌が雄役となって、発情している雌とスタンディングと呼ばれる雌同士による擬似的な交尾行動をとる。発情が終了すると、発情していた雌はスタンディングに対して拒否反応を示す。この行動変化を認知することで発情期の終了時期をより正確に特定することができる。この発情期の終了時期に基づいて授精適期を計算する。
上記実施例では、雌尺20や雄尺30における受精機能シーケンス上の目盛り(21,32)位置を、一般的な受精理論に基づいて設定している。しかし、他の理論に基づく受精機能シーケンスも種々提唱されており、これらの理論も一概に誤っているとは言い難い。また、動物の個体差、種別、飼育環境などによっても、受精機能シーケンスが異なる。しかし、多様な受精機能シーケンスに対応して製造者側で多種多様な計算尺を揃えていたのでは、量販効果によるコストダウンが期待できず、計算尺を普及させて繁殖効率を高めることが難しい。また飼育現場においても、飼育環境が変わって受精機能シーケンスも変わった場合などでは、その都度、新規の計算尺を入手する必要が生ずる。
上記実施例では、卵子および精子の受精能強度表示部(24,34)は、互いに異なる色で着色された台形面であった。この例に限らず、例えば、双方の受精能強度表示部をクロスニコルの位置など、互いに偏光方向が異なる偏光板で形成してもよい。それによって、双方の受精能強度表示部が重複する部分の透過光強度が低下して暗状態となり、重複していない部分の明状態との光学的差異を認識することができる。また受精能強度表示部を台形状とせず、長方形状とし、時間経過方向に従って徐々に濃度が低下するように着色しておいてもよい。それによって、重複部分の濃淡によって受胎率を把握することができる。
本発明の授精適期計算尺は、飼育現場における授精タイミングの決定や繁殖効率の向上などの利用形態や利用目的以外にも様々な利用形態・目的が考えられる。例えば、家畜の人工授精技術に関する研修会などの教材として、種々の発情発見時刻、終了時刻を想定しながら、本計算尺を使い授精適期の選定を反復練習すれば、授精適期選定の重要性と選定の実技を習熟することができる。また、畜産農家の啓蒙教材として利用すれば、適期授精の重要性、発情発見の重要性、とくに発情期終了時刻の確認の重要性を再認識することとなる。
10 時間尺
11 時間尺の時刻目盛り
20 雌尺
21 雌尺の受精機能シーケンス目盛り
23 発情期終了指示
24 卵子受精能強度表示部
30 雄尺
32 雄尺の受精機能シーケンス目盛り
33 授精タイミング指示
34 精子受精能強度表示部
Claims (10)
- スライド式計算尺であって、固定尺として所定期間の時刻を目盛りとした時間尺と、滑尺として所定の哺乳動物の雌の性周期に関する時期や期間などの雌の受精機能シーケンスを目盛りとした雌尺と、カーソルとして機能するとともに前記哺乳動物の雄の精子活動能力に関する時期や期間などの雄の受精機能シーケンスを目盛りとした雄尺とからなり、
雌尺の目盛りは、時間尺と同じ尺度で、前記雌の発情期における特定の状態に対応するタイミングの指示と、排卵時期を起点とした卵子の受精能保持期間における卵子の受精能強度を面形状により表現した卵子受精能強度表示部とを含み、
前記雄尺の目盛りは、透明板上に表示されて当該透明板上方から時間尺と雌尺のそれぞれの目盛りとともに読み取り可能とするとともに、時間尺と同じ尺度で、授精タイミングの指示と、精子の受精能保持期間における精子の受精能強度を面形状により表現した精子受精能強度表示部とを含み、
卵子受精能強度表示部の面と精子受精能強度表示部の面は、雌尺と雄尺とが相対摺動するのに伴って重複し、当該重複面はそれぞれの受精能表示部の面と光学的状態が異なる、
ことを特徴とする哺乳動物用授精適期計算尺。 - 請求項1において、前記卵子受精能強度表示部と前記精子受精能強度表示部は、それぞれの受精能強度を、面形状に代えて濃淡により表現したことを特徴とする哺乳動物用授精適期計算尺。
- 請求項1または2において、前記雌尺は、表裏入れ替え可能とし、当該雌尺の表裏の目盛りは、それぞれ前記雌の受精機能シーケンスにおける各指示位置が異なることを特徴とする哺乳動物用授精適期計算尺。
- 請求項1または2において、前記雄尺は、表裏入れ替え可能とし、当該雄尺の表裏の目盛りは、それぞれ前記雄の受精機能シーケンスにおける各指示位置が異なることを特徴とする哺乳動物用授精適期計算尺。
- 請求項1または2において、前記雌尺は、発情終了時期と排卵時期までの適宜な位置で分離可能とし、当該分離操作により、発情終了時期と受精可能期間の開始時期までの時間間隔を自在に設定できることを特徴とする哺乳動物用授精適期計算尺。
- 請求項1において、卵子受精能強度表示部と精子受精能強度表示部とは異なる色で表示され、精子受精能強度表示部は光透過性であることを特徴とする哺乳動物用授精適期計算尺。
- 請求項1において、卵子受精能強度表示部と精子受精能強度表示部は偏光方向が異なる偏光板により形成されていることを特徴とする哺乳動物用授精適期計算尺。
- 請求項1において、雌尺の目盛りに指示される前記発情期における特定の状態は、発情期の終了タイミングの指示であることを特徴とする哺乳動物用授精適期計算尺。
- 請求項1〜8のいずれかにおいて、前記雌尺、あるいは前記雄尺、あるいはその両方の尺の目盛りは、尺の板面に貼着されたシート上に印刷されていることを特徴とする哺乳動物用授精適期計算尺。
- 請求項9に記載の哺乳動物用授精適期計算尺の雌尺あるいは雄尺の板面に貼付される前記シートであって、剥離ライナーに剥離可能に貼着されるとともに哺乳動物の雌あるいは雄の受精機能シーケンスに基づく目盛りが印刷されたシールであることを特徴とする受精機能シーケンスシール。
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