JP2006160878A - キラルポリマーの製造方法及びキラルポリマー並びにキラルポリマーの動的な電気化学的方法による光学活性制御 - Google Patents

キラルポリマーの製造方法及びキラルポリマー並びにキラルポリマーの動的な電気化学的方法による光学活性制御 Download PDF

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Abstract

【課題】 選択された光学活性を有するキラルポリマーを簡便に製造する。また、キラルポリマーの光学活性を簡便に制御する。
【解決手段】 キラルモノマー又はキラルドーパントを使用して電解重合を行ってキラルポリマーを得て、このキラルポリマーに対して酸化又は還元電位を印加して、キラルポリマーの光学活性を制御する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、キラルポリマーの製造方法及びキラルポリマー並びにキラルポリマーの光学活性制御方法に関する。
ポリペプチド、ビニルポリマー類及び螺旋状共役ポリマーの合成に関連した光学活性ポリマーについての多くの研究がなされてきた。光学活性ポリマーは、光学活性モノマーの重合、不斉選択重合及びポリマー反応による光学的不活性ポリマーへのキラル基の導入を含む種々の方法によって得られてきた(例えば、非特許文献1〜3)。このような方法により調製されるポリマーは、側鎖又は主鎖の不斉炭素を含む。光学活性触媒の使用によって、右あるいは左方向のネジ向きを有する共役ポリマーを合成することも可能であるが、嵩高い置換基のないこのようなポリマーの光学活性は、融解及び分解の際に消失されることになる。
カイロオプティカル(Chiroptical)特性を有する螺旋形のポリアセチレンは、反応場としてのキラルネマティック液晶において合成された(非特許文献4及び5)。このような方法で調製された螺旋形のポリアセチレンは、その難溶性及び不溶解性の結果として、比較的安定した光学活性を示している。
これに対して、電気化学的合成は、共役ポリマーの製法に対して簡単、安全且つ効果的である。電気化学重合は、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)及びポリ(3,4−エチレンジオキシピロール)(PEDOP)のような多くの種類の共役ポリマーを調製するために使用できる。これらのポリマーは、エレクトロクロミック素子のバッファ層としてエレクトロクロミック素子において、またセンサにおいて潜在的な適用について調査されている。
このような電気化学重合により合成されるポリマー膜は、通常、線二色性あるいは円二色性のどちらも示さないが、キラルネマティック液晶(N*−LC)場を用いることによって、光学活性を有する非置換光学活性PEDOT(PEDOT*)を製造できることが報告されている(特許文献1)。
ところで、このようなキラル共役系ポリマーは、その導電性及び光学活性から光スイッチ機能やホトクロミック機能を有する物質として有効であることが知られている。このため、安定なキラルポリマーを得ることのみならず、光学活性を制御することに対する要請がある。
光学活性を制御する方法としては、金属イオンをドープすることによって光学活性を生じさせる方法(特許文献2)や、貧溶媒を添加して凝集構造に変換することによって光学活性を変更する方法が開発されている(特許文献3)。
Macromolecules, 2002, Vol.35, pp.6439 J. Polym. Sci., 1959, Vol.34, pp.157. Nature, 1999, Vol.399, pp.449. Science 1998, Vol.282, pp.1683. Curr. Appl. Phys. 2001, Vol.1, pp.88. 特開2003−306531号公報 特開2004−168992号公報 特開2004−115033号公報
しかしながら、光学活性を簡便に制御することができれば、特定の光学活性を有するキラルポリマーを効率よく得ることができる。
従って、本発明の目的は、選択された光学活性を有するキラルポリマーを簡便に製造する製造方法及び光学活性を容易に変更可能なキラルポリマーを提供することである。また、キラルポリマーの光学活性を簡便に制御する制御方法を提供することである。
本発明のキラルポリマーの製造方法は、キラルモノマー又はキラルドーパントを使用して電解重合を行い、キラルポリマーを得ること、キラルポリマーの電荷に対して酸化電位又は還元電位を印加して、キラルポリマーの光学活性を制御すること、を含む方法である。
また本発明のキラルポリマーの光学活性を制御する方法は、電解重合によって得られたキラルポリマーに、酸化電位又は還元電位を印加することを含む方法である。
更に本発明のキラルポリマーは、電解重合によって得られると共に酸化電位又は還元電位を印加することによって光学活性を変更可能なキラルポリマーである。
本発明者らは、キラルポリマーに所定の範囲の電圧を印加することによって電気化学的にキラルポリマーの光学活性を簡便に制御することができることを見出して、本発明を完成した。
本発明によれば、所定の条件の電圧をキラルポリマーに印加することによって電気化学的に光学活性を制御することができるので、特定の光学活性を有するキラルポリマーを簡便に得ることができ、また、キラルポリマーの光学活性を簡便に制御することができる。
本発明のキラルポリマーの製造方法は、キラルモノマー又はキラルドーパントを使用して電解重合を行い、キラルポリマーを得ること及びキラルポリマーの電荷に対して酸化電位又は還元電位を印加してキラルポリマーの光学活性を調整すること、を含む。
また本発明のキラルポリマーの光学活性の制御方法は、電解重合によって得られたキラルポリマーに、酸化電位又は還元電位を印加することを含む。
本発明におけるキラルポリマーは、電解重合によって得られ且つ光学活性を有するポリマーであればよく、キラルモノマー又はキラルドーパントを使用して製造することができるものであり、当業者であれば、モノマー及び重合条件を適宜選択することができる。
キラルモノマーを用いた電解重合は、当業者には周知であり、例えば J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem., 2001, Vol.39, p2164-p.2178、Chem. Mater., 2000, Vol.12, p.1563-p.1571などに記載された方法を用いることができる。
ここで用いられるキラルモノマーとしては、公知のものを種々挙げることができるが、液晶との親和性の点から、ヘテロ原子を含む炭素数4〜6の芳香族化合物であることが好ましく、チオフェン、ピロール、イソチアナフテン、ビチオフェン、ターチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン誘導体を挙げることができる。
電解重合に用いられる支持塩としては、テトラブチルアンモニウムパークロレート、リチウムパークロレート、食塩などを挙げることができる。このような支持塩を、適当な有機溶媒あるいは水に溶解して電解液を作製する。キラルモノマーを用いた電解重合としては、作製された電解液にキラルなモノマーを加え、さらに2極間あるいは参照電極を含む3極間に電圧を印加し、電解重合を行う方法を挙げることができる。
このようなキラルモノマーから得られるキラルポリマーは、光学活性共役系高分子であり、このような共役系高分子としては、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリイソチアナフテン、ポリビチオフェン、ポリターチオフェン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)の誘導体など、各種のものが例示される。また、2種類以上のモノマーを電解重合して得られる混合共役系高分子としては、ポリチオフェンフェニレン誘導体などが例示される。これらの共役系高分子は、モノマーが有する光学活性を反映した光学活性を有する。2種類の異なるユニットから構成されるキラルモノマーに関して、好ましくは(R)−又は(S)−1,4−ビス[2−(3,4−エチレンジオキシ)チエニル]−2,5−安息香酸−1−メチルヘプチルエステル[BEDOT−B(OCT*)]などを挙げることができる。
また、キラルドーパントを使用して得られるキラルポリマーとしては、反応場としてネマティック液晶を使用し、少なくともキラルドーパントとモノマーとを支持電解質に添加して電解不斉重合を行って得られるキラルポリマーを挙げることができる。反応場として使用されるネマティック液晶は、電解重合反応を阻害しないものであって、反応場として有機キラルネマティック相を得るためにはネマティック液晶であることが必要である。中でも、溶媒を包含しなくても液晶形態が実現されるサーモトロピック液晶が好ましい。また、主鎖型、側鎖型という分類でも、ある程度フレキシブルな主鎖に液晶形成基(メソゲン)を導入した側鎖型の液晶であっても、主鎖にメソゲンがある主鎖型の液晶であってもよい。このような液晶の構造もとくに限定されず、例えば、2つのベンゼン環をトランス−スチルベンやアゾキシベンゼン、ニトロンなどの二重結合を含む連結基やビフェニル、またはシクロヘキサンなどの連結基でつないだものが例示される。さらに、メソゲン化合物の末端にはアルキル基、またはアルコキシ基などのフレキシブルな置換基が導入されていることが好ましく、さらに、脂肪族鎖、剛直鎖あるいは非対称構造を有する置換基等が導入されていてもよい。これらの置換基の長さは液晶の転移温度に影響を及ぼすため、電解不斉重合の温度等を考慮して、適宜選択すれば良い。
以上のとおりの各種液晶のうち、室温以上で液晶の状態を保持でき、かつ液晶相を示す温度範囲の広いものを挙げることができる。また、モノマーとイオンを容易に搬送して重合高率を高める観点から、極性の大きな液晶分子、例えばニトリル基、エステル基及びニトロ基を含むものが好ましく、具体的には、次式の5CBや6CB、あるいはフェニルシクロヘキシル基とn−アルキル基とヘキサメチレン鎖を有するPCHnORなどを挙げることができる。
キラルドーパントとしては、電解不斉重合反応を阻害せず、ネマティック液晶との相溶性の高い化合物であればよく、その種類は特に限定されない。種々の軸性キラルな化合物及び中心性キラリティー化合物からなる群より選択されたものを挙げることができ、中でもキラルな液晶系が適用でき、バイノール誘導体や不斉炭素を有するフェニルシクロヘキシル系化合物が好ましいものとして例示される。具体的には、次の化学式(I)または(II)のバイノール誘導体や化学式(III)または(IV)のフェニルシクロヘキシル系化合物が挙げられる。このうち、充分な螺旋ねじれ力を有すること及び反応場としての液晶の遷移温度を高く維持するために、PCH506−バイノールなどの強い軸性キラリティーをもつものが好ましい。
このような電解不斉重合方法は、様々な共役系高分子のモノマーに適用されるものである。モノマーは、脂肪族共役系、芳香族共役系、複素環式共役系、および含ヘテロ原子共役系等の様々な高分子を与える各種の化合物から1種類以上を選択すればよい。1種を選択すればホモポリマーが得られ、2種以上とすれば、混合共役系の高分子が得られる。電解不斉重合で用いられるモノマーは、光学活性がないものであり、モノマーとしては、とくにイオン化ポテンシャルの低い化合物が好ましく、具体的には、次式(V)の3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)、式(VI)のイソチアナフテン(ITN)、式(VII)のピロール、あるいは式(VIII)のチオフェン、ビチオフェンなどを例示することができる。このうち安定したポリマーを得るためには、分子形状が直線的で液晶と親和性の良いビチオフェン(BT)、ターチオフェン(3T)、チオフェンフェニレンチオフェン(TPT)が好ましい。
上記電解不斉重合において支持電解質は、キラルドーパントとモノマー以外に導電性を付与するために用いられる。この支持電解質は、電解重合反応を阻害せず、液晶に十分な導電性を与えるものであればよく、一般的に電気化学反応に用いられる種々のイオン性の塩等から印加電圧に応じて適宜選択できる。具体的には、テトラブチルアンモニウムパークロレート(TBAP)やリチウムパークロレートが好ましく挙げられる。また食塩も挙げることができる。
このような電解不斉重合で得られるキラルポリマーは、光学活性共役系高分子であり、このような共役系高分子としては、ポリアセチレン、ポリ(1,6−ヘプタジイン)等の脂肪族共役系高分子、ポリ(パラフェニレン)やポリナフタレン、ポリアントラセン等の芳香族共役系高分子、ポリピロール、ポリフラン、ポリチオフェン等の複素環式共役系高分子、およびポリ(パラフェニレンスルフィド)、ポリ(パラフェニレンオキシド)、ポリアニリン等の含ヘテロ原子共役系高分子など、各種のものが例示される。また、2種類以上のモノマーを電解重合して得られる混合共役系高分子としては、ポリ(パラフェニレンビニレン)、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリ(2,2’−チエニルピロール)などが例示される。これらの共役系高分子は、前述の電解不斉重合によって、反応場であるキラルネマティック液晶の螺旋構造を反映し、光学活性を有する。
本発明における電解重合で印加される電圧は、重合されるモノマー(すなわち、目的の共役系高分子)の種類や、電解不斉重合で使用される液晶反応場、電極材料等に合わせて適宜選択すればよく、とくに限定されない。例えば、後述の実施例に示されるように、ピロールの(R)−PCH5O6−バイノール/6CBにおける電解重合は、1.1V程度の電圧下で行うことができる。もちろん、印加電圧はこのような例に限定されない。
さらに電解重合で使用される電極はどのようなものであってもよく、とくに限定されない。例えば、金、銀、白金等の金属電極、カーボン電極、あるいは酸化インジウム・スズ(ITO)等の透明性ガラス電極などが例示される。これらは、モノマー(すなわち、目的の共役系高分子)の種類や液晶の種類等、あるいは目的とする高分子の量に応じて適宜選択される。
本発明では、キラルポリマーの光学活性を制御ないしは変更するために、電解重合によって得られたキラルポリマーに対して、所定の酸化又は還元電位を印加する。
ここで印加される酸化・還元電位は、参照電極(標準電極)の電荷を基準に設定されるものであり、モノマーに応じて選択された参照電極によって適宜設定される。例えば、本発明では、電解重合によって得られたキラルポリマーが(R)−ポリビチオフェンであり、Ag/Ag+参照電極が選択された場合には、100mV〜1300mVの酸化電位が印加されると、キラルポリマーの光学活性が反転する。キラルポリマーの光学活性の変化は、酸化電位又は還元電位を室温の条件で印加することによって可逆的に行うことができる。この範囲から外れると効果的に光学活性の反転を行うことができない場合がある。
光学活性の制御に必要な酸化・還元電位は、ポリマーによって異なるが通常−1〜+1.3Vの範囲内で電位を掃引し、酸化還元を行う。掃引速度は10mV/s〜500mV/sの範囲で行う。高速で掃引する場合は耐久性が劣ることがあるため、30mV/s程度の速度での掃引が好ましい。
このように本発明のキラルポリマーは、電解重合によって得られると共に酸化電位又は還元電位を印加することによって光学活性を変更可能なキラルポリマーである。このキラルポリマーは更に、製膜性が優れ、塗布のような簡単な工程によって容易に膜を形成することができる。これにより、更に、簡便に且つ低コストで、本発明によって得られたキラルポリマーを用いた機能化を行うことができる。
また、本発明では、光学活性の変更の条件をそのまま適用することによって、キラルポリマーの吸収波長を制御し、エレクトロクロミック現象を誘導することができる。これにより、キラルポリマーのエレクトロクロミック現象を容易に誘導することができる。これは、現在まで見出されていなかった効果である「光学活性エレクトロクロミック現象」と定義することができる。また、電位の印加による「光学回転現象」および「光学活性エレクトロクロミックヒステリシス現象」も示す。
本発明では、キラルポリマーの光学活性を可逆的に変更して簡便に制御することができるので、特定の光学活性を有するキラルポリマーを容易に得ることができると共に、生物化学及び光学におけるこのようなポリマーの用途を拡大することができる。このような用途としては、光スイッチ、光ファイバーケーブルに用いる、光アイソレーター、光学モジュレーターなどが可能である。また、光学活性エレクトロクロミックヒステリシス現象を有するため、キラルポリマーの物性の切り替えを種々の目的に応じて調整することができ、上記の用途に限定されず、光学活性の切り替えを利用した種々の用途に幅広く利用することができる。
以下に本発明の実施例について説明するが、これに限定されるものではない。また実施例中の%は、特に断らない限り、重量(質量)基準である。
[実施例1]
液晶反応場でのキラルドーパントを利用したキラルポリマーの合成
(1)キラルネマティック電解質
少量の光学活性分子をキラルドーパントとしてネマティック液晶(N−LC)に追加することによって、メゾスコピックレベルの螺旋構造を有するキラルN−LC(N*−LC)の形成を誘導できることが知られている。N*−LCのダイレクターは、螺旋構造を形成するために1つのネジ方向に徐々に回転する。4−シアノ−4’−ヘキシルビフェニル(6CB)の液晶性は、支持塩としてのテトラブチルアンモニウム過塩素酸塩(TBAP)及びモノマーとしてのビチオフェンの追加の後に維持されていることが確認され、少量のキラルドーパントの添加は、混合系においてキラルネマティック液晶を誘導することが見出された。キラルドーパントそのものは、液晶性を示さないが、これはキラルネマティック相を引き起こす。サーモトロピック液晶性を有する物質6CBは、流動性の溶媒とみなすことができ、6CBに支持塩を追加することはイオン伝導性をもたらす。従って、LC及び支持塩の混合物は、アセトニトリル中のTBAP又は過塩素酸リチウムのような通常の系の代わりに、電気化学重合のための電解質として使用できる。
この合成では、6CBは、不斉電気化学重合のための溶媒として採用した。本物質の分子構造は、下記スキーム1に示される。
42mMの(R)−又は(S)−PCH506−バイノール(キラルドーパント)、0.48Mのビチオフェン(モノマー)及び6CB(LC溶媒)中、3mMのTBAP(支持電解質)から成るN*−LC混合物を、電解質として調製した(スキーム1)。
キラルドーパント、即ち、(R)−又は(S)−1,1−ビナフチル−2,2−ビス[パラ−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ−1−ヘキシル]−エーテル[略語(R)−又は(S)−PCH506−バイノール]は、それぞれ、カイロオプティカルな(R)−(+)−及び(S)−(−)−1,1’−2−ビナフトールとフェニルシクロヘキシル誘導体とのウィリアムソン・エーテル化反応によって、文献(Science, 1998, Vol.282, p.1683-p.1686)に記載に従って調製し、但し、エーテル化反応の間に部分的ラセミ化を防止するために、156℃のシクロヘキサノンにヨウ化カリウムを使用する代わりに、60℃のアセトンの触媒として18−クラウン−6−エーテルを用いて合成した。
1−[パラ−(トランス−4−n−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ]−6−ブロモヘキサンは、文献(Macromolecules, 2001, Vol..34, p.7989-p.7988)に記載された方法により合成された。キラルドーパントの化学構造は、NMRで確認された。4−n−ヘキシル−4’−シアノビフェニル(6CB)は、メルク社(Merck Ltd.)から購入された。ビチオフェン(BTh)は、シグマ・アルドリッチ(Sigma Aldrich)から得られ、使用前にエタノールからの再結晶により浄化された。スズ・インジウム酸化物(ITO)のガラスは、ガラス(9Ω/cm2)上に厚さ0.2乃至0.3μmのITO層から構成される。
光学測定については次のようにして測定した。
赤外線分光測定は、Jasco550フーリエ赤外(FT−IR)分光器を使用して実行した。示差走査熱量測定(DSC)は、窒素気流下で10℃/分の割合で、TA機器Q100DSC機器を使用して実行した。光学組織は、Linkam TM 600PM加熱冷却ステージを備えたニコンECLIPS E 400 POL偏光顕微鏡を使用した偏光光学顕微鏡検査(POM)によって観察された。重合の間の温度制御は、ペルチェ素子に基づいて特注の冷却ステージを使用して達成された。ポリマーの光学位相差顕微鏡検査(PCM)の観察は、光学位相差ユニットを備えたWRAYMER BX-3500T顕微鏡を使用して実行した。走査形電子顕微鏡検査法(SEM)の観察は、JEOL ED電子顕微鏡を用いて実行した。ポリマーの電気化学的測定は、ALS660A電気化学分析器(BAS)を使用して得られた。
(2)(R)−(+)−1,1−ビナフチル−2,2−ビス[パラ−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ−1−ヘキシル]エーテル[(R)−PCH506−バイノール]の合成
(R)−(+)−1,1’−ビ−2−ナフトール(1g、3.5mmol)、1−[p−(トランス−4−n−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ]−6−ブロモヘキサン(3.1g、7.3mmol)、K2CO3(1.4g、10mmol)及びアセトン(100mL)の18−クラウン−6−エーテル(46mg、0.2mmol)は、60℃で還流された。24時間後、溶液は蒸発され、水で十分に洗浄され、エーテルで抽出された。有機層は蒸発された。粗製品は、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、CHCl3/n−ヘキサン= 1)により精製され、2.7gの白色固体(収率:82%)を生ずる。Anal. Calcd for C68H92O4: C、 83.90, H; 9.53. Found: C; 84.02, H; 9.22. IR (KBr, cm-1): 2937, 2884, 1515, 1235 (COC st.). 1H NMR (500 MHz, CDCl3, ppm): 0.87-1.87 (m, 33H, CH, CH2, CH3), 2.35 2.45 (m, 1H, ph), 3.71 (t, J = 6.8 Hz, 2H, CH2O), 3.9-4.0 (m, 2H, CH2O), 6.8-7.9 (m, 8H, ph). 13C NMR (125 MHz, CDCl3, ppm): 14.1, 22.7, 25.4, 25.5, 26.6, 29.0, 29.3, 32.2, 33.6, 34.6, 37.3, 37.4, 43.7, 67.6, 69.6, 114.0, 115.7, 120.6, 123.2, 125.2, 125.8, 127.3, 127.5, 128.8, 129.0, 133.9, 139.6, 154.2, 156.9. [α]D 23 = + 22.5°(THF).
(3)(S)−(−)−1,1−ビナフチル−2,2−ビス[パラ−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ−1−ヘキシル]エーテル[(S)−PCH506−バイノール]の合成
この化合物は、(R)−PCH506−バイノールに対して記載ものと同様の方法を使用して調製した。使用量は、次の通り:PCH506Br(4.4g、10.5mmol)、K2CO3(1,4g、10.5mmol)、18−クラウン−6−エーテル(46mg、0.2mmol)及びアセトン(100mL)。収率:57%、9g(白色結晶)。Anal. Calcd for C68H92O4:C; 83.90, H; 9.53, O; 6.57。Found: C; 83.92, H; 9.19. IR (KBr, cm-1): 2940, 2843, 1514, 1247 (COC st.). 1H NMR (500 MHz, CDCl3, ppm): 0.87-1.87 (m, 33H, CH, CH2, CH3), 2.35-2.45 (m, 1H, ph), 3.72 (t, J = 6.8 Hz, 2H, CH2O), 3.86-3.98 (m, 2H, CH2O), 6.76-7.90 (m, 8H, ph).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, ppm): 14.1 (CH, CH2, CH3), 22.7, 25.4, 25.4, 26.6, 29.0, 29.3, 32.2, 33.6, 34.6, 37.3, 37.4, 43.7, 67.6, 69.6, 114.0, 115.7, 120.6, 123.2, 125.2, 125.8, 127.3, 127.5, 128.8, 129.0, 133.9, 139.6, 154.2, 156.9. [α]D 23 = -23.3°(THF).
(4)重合
インジウム酸化チタン(ITO)ガラス板によるサンドイッチ系でのモノマー不存在(R)−N*−LC電解質では、25℃における周波数の関数としてイオン伝導度を調べると、対応するインピーダンススペクトルは、より高い周波数での半円形の部分と、より低い周波数での直線部分とを有するコール・コール・プロットを示すことがわかった(図示せず)。このことは、モノマー不存在N*−LC電解質を、インピーダンスのモデルとして同等の電気回路により説明できることを示している。LC電解質の低イオン直流伝導度(<106S/cm)は、irドロップ(Eの低下)をもたらすことがあるので、このドロップを補正するために、電気化学重合は、図1に示されるような重合セル10によるナローギャップを有する2電極法を使用して実行された。
重合セル10は、厚さ0.19mmのテフロン(登録商標)製のスペーサ14を有する一対のITO電極16を、クリップ18で一体化することによって構成されている。スペーサ14の一部には、N*−LC混合物12の注入口20が設けられている。
重合セル10は、温度調整のためにペルチェ素子を備えた温度制御ステージ22に載置されている。
*−LC混合物(N*−LC、電解質、モノマー)12を注入口20から重合セル10に注入すると、重合セル10を30℃まで加熱し、次に10℃まで徐々に冷却して、良好なフィンガープリント組織を得た。それから4Vの電圧を重合セル10に印加した。N*−LC混合物の光学的組織は、電圧が印加されても変化しないままだった。しかしながら、重合プロセスの間のサイクリックボルタンメトリーによる反復電圧走査は、N*−LCの螺旋構造を破壊し、結果として透明の混合物となった。これは、交流下で螺旋性の巻き戻しによるものとすることができ、そこではLC分子が、基板に垂直に位置合わせされる(ホメオトロピック配列)。
重合温度を、N*−LC相を維持するために10℃一定に維持されし、30分後に、厚さ6μmまでの不溶で不融性の藍色ポリマー膜が、ITO電極16のアノード側を被覆した。メタノール、水、アセトニトリル、メタノール、水及びアセトンの順で洗浄した後、ITO16上のポリマー膜を減圧下で乾燥した。
モノマーを含むN*−LC電解質の遷移温度をDSCによって測定した。(R)−N*−LC電解質について、重合前でK・10(3)・N*・16(14)・I、重合後でK・11(3)・N*・16(15)・Iであり、(S)−N*−LC電解質について、重合前でK・10(4)・N*・16(15)・I、重合後でK・11(5)・N*・17(16)・Iであった(K、結晶;N*、キラルネマティック;I、等方性)。
電気化学重合後のN*−LC溶液の遷移温度は、重合前よりもわずかに高いものであった。これは、一般にLC混合物中の不純物が遷移温度を下げるためにN*−LC中のモノマーが重合の際に消費されたことを示唆している。この方法を使用してモノマーとしてのチオフェンを重合することにより、安定した膜が与えられなかったのは、おそらくチオフェンが、N*−LC媒体においてビチオフェンよりも重合活性が低いためであろうということに注意するものである。
ビチオフェンの電気化学重合を、PCH506−バイノール(Binol)の代わりにキラルドーパントとして(R)−若しくは(S)−4−シアノ−4’−(1−メチルヘプチルオキシ)−ビフェニル(CB60*)又は(R)−若しくは(S)−1,1’−ビ−2,2’−ナフトール(バイノール*)を使用して、N*−LC中で実行した。
これらの場合、PCH506−バイノールの場合と比較して、キラルネマティック相の形成をもたらすために多くの量が必要とされた。これは、PCH506−バイノール(βM = 22.5)と比較して、CB60*及びバイノール*の螺旋ねじれ力が低い(βM<2)ことによると考えられる。なお、キラルドーパントの螺旋ねじれ力は、カノ・ウェッジ法によって、キラルドーパント含有N*−LCの螺旋ピッチから評価した。
電気化学重合は、また、以下の系で構成されるキラルスメクチックLCを使用して実行された。
TBAP及びモノマーを含むLC電解質(LCマトリックス、5mg;CB60*、5mg;TBAP、0.03mg;ビチオフェン、0.1mg)がSmC*相を示したが、ポリマー膜は、7℃ではキラル・スメクチック相の高粘度のために形成できなかった。析出もまた、キラルスメクチックマトリックス中のモノマーの低い伝導率及び低い移動性により抑制された。これらの結果は、サーモトロピックLCにおける電気化学重合が、N*−LCを形成するための十分な螺旋ねじれ力を有するキラルドーパントと、イオンとモノマーとを容易に搬送するための十分に低い粘性のN*−LCマトリックスとの双方を必要とすることを示している。
(5)特性評価
A)光学組織
重合前のN*−LC混合物は、キラルネマティックLC組織をはっきりと表示した。この溶液を、一度80℃まで加熱し、TBAP、ビチオフェン及びキラルドーパントをN*−LC溶媒中に完全に溶解させた。示差走査熱量測定(DSC)の測定値及び偏光光学顕微鏡検査(POM)の観測値は、(R)−及び(S)−N*−LC系の両方が、サーモトロピックN*−LC相を示したことを確認した。一般的なN*−LCフィンガープリント組織は、POMによって観察された(図2A)。組織内のストライプの間の距離は、螺旋のハーフピッチと一致する。
一方、(R)−N*−LC中で作製されたポリビチオフェン[(R)−PBTh*]の位相差光学顕微鏡検査(PCM)(図2B及び図2C)は、ポリマーの螺旋組織を示し、本来のN*−LCシステムのものに類似している。図2Dは、同じ(R)−PBTh*膜の他の部分を示している。この画像は、サンプルが多数の層から構成されていることを示し、また、LC固着条件の変化のために、螺旋組織(上層)及び多角形の網目状組織(下層)の間のいくらか重複した部分を示す。この固有のパターンは、電気化学重合の間のN*−LC組織を模倣する。したがって、この電気化学重合方法は、また、LC構造の分類に関する詳細情報を提供する。
PBTh*膜はPOM下で複屈折を示さなかったが、これは、この組織がLCに起因するものでなく、ポリマーそのものに起因することを示唆する。このように合成されたPBTh*は、N*−LCの構造を反復しているように見え、N*−LCが不斉反応場として有効であることを証明している。
B)サイクリックボルタンメトリー
図3に、TBAP/アセトニトリル溶液における種々の掃引速度での(R)又は(S)−PBTh*膜(対Ag/Ag+)のサイクリックボルタンメトリーが示されている。モノマー不存在電解質溶液における酸化還元のスイッチングは、明確な準可逆的酸化還元プロセスを示している。(R)−及び(S)−キラル電解質の双方で調製されたポリマーは、同じ酸化還元挙動を示し、これは、ポリマーが基本的に同一構造を有することを示唆している。いずれのポリマーも電気活性であり、ITO電極に十分に付着した。
C)光学的性質
ポリマーの円偏光二色性(CD)スペクトルは、図4に示されている。ここで、Ag/Ag+に対する酸化電位は+1.3Vであり、還元電位は0.1Vである(0.1MのTBAP/アセトニトリル溶液)。
図4に示されるように、(R)−及び(S)−PBTh*膜は共に、還元状態でポリマー主鎖のπ−π*遷移領域に鏡像を示す効果を強く示した。これは、(R)−及び(S)−PBTh*が、同程度のキラリティを有するが、反対向きであることを意味する。酸化状態において、ポリマーのCDスペクトルは、強度の低下及びコットン効果の符合の反転を示した。図5に示すように、キラルドーパントのコットン効果が240nm乃至340nmにて観察されるだけであるので、(R)−及び(S)−PBTh*の間の鏡像関係は、重合において使われるキラルドーパントに起因するものではない。ポリマーの電子状態における変化を経て、酸化還元プロセスにおいて592nmでのコットン効果の符合の可逆的反転の現象は、ポリマーが本質的にキラル構造を有することを示している。
また図6に示されるように、酸化工程(a→d)では、ポリマー主鎖のπ−π*遷移に関連した吸収スペクトル中の492nmのピークは弱くなり、一方、ポリマー主鎖上のラジカル・カチオンの生成に帰因した680nm(1.8eV、ミッド・ギャップ)のピークは強くなる。
ポリマーの色も、酸化の際には赤から藍色に変わり(図示せず)、NIR領域での広い吸収バンドの発生を伴なう(図7)。この遷移はまた、CDスペクトラムにおける592nmの正の極値及び410nmの負の極値を弱めることによって、また、461nmにおける等吸収点の出現によっても明らかである。
一方、還元工程(d→f)では、0.6V又は0.1Vの印加は、UV−Vis−NIR及びCDスペクトルの双方において、還元状態の元々の強度にまでこれらのピークを回復させることになる(図6)。
この結果は、ポリチオフェン主鎖そのものがキラル構造であり、ポリマーのコットン効果が、電気化学重合の条件を調整することによって変化できることを示している。しかしながら、酸化還元プロセスは、PBTH*sの光学組織又は表面構造にいかなる変化も生じさせなかった。TBAP/アセトニトリル溶液中での酸化還元反応によるポリマーのコットン効果の大きな変化は、酸化状態でのより弱いコットン効果に起因している。この電気化学的プロセスにより、CD強度の制御が可能である。
貧溶媒中のポリマーのCDスペクトル又は光学活性置換基が注入されたポリチオフェン膜のCDスペクトルは、通常は、電子振動分裂と同位のダビドフ分裂による励起子結合に起因するものと解釈されている。励起子結合は、キラル配置において共役でない発色団の存在を必要とし、それは、凝結状態における鎖間及び鎖内相互作用を介して発生できる。還元PBTh*のCDスペクトルが、bisignateなコットン効果を示している一方で、酸化状態にある場合は、それを示さない。
PBTh*のためこのようなbisignateバンドの観察は、凝結体形成中の分子間プロセスの存在を示唆することもできる。この場合において、凝結体誘導バンドはポリマー主鎖の電荷移動形π−π*スタッキングであり、これは、電子連絡によって生じる。あるいは、共役ポリマー主鎖は螺旋状にねじれていてもよく、それによって、キラル発色団を生成する。螺旋凝集状態のポリマーでは、分子から肉眼視できる状態までの螺旋構造の幾つかの階層的レベルが可能である。PBTh*のためのCDにおけるこの酸化還元誘導変化は、それゆえ、分子レベルでポリマー主鎖の間の過塩素酸イオンと溶媒とのインターカレーションに起因するものとして合理的に説明でき、この結果、酸化状態のポリマー主鎖の間の距離を拡張することになる。この場合、CDスペクトルの励起子結合bisignateカプレットは、(R)−PTBh*では正のカプレット、(S)−PTBh*では負のカプレットを有する片手螺旋形アセンブリを示している。酸化状態では、ポリマーはこのようなbisignateな特性を示さず、600nm程度のコットン効果の符合は、還元状態のものに対して反対である。この結果は、螺旋凝結体が、ドーピングの際に放出され、キラル凝結体構造を消失することを示している。しかしながら、ポリマーは、ポリマー主鎖のキラル構造から生じるコットン効果を依然として示している。
この現象に対しては、他の説明が考えられる。ポリチオフェン誘導体の固体膜がドーピング−非ドーピング(dedoping)酸化還元法を介して立体配座誘導クロミズムを示すと報告されている。この光学的効果は可逆的であると見られ、ポリマーのいかなる劣化にも起因しないものである。このような光学的効果は、高共役状態の共面形状とポリマー主鎖の低共役構造の非平面形状との間での可逆的遷移に関連があると考えられる。従って、酸化還元プロセスの間でのCDにおけるPBTh*sのエレクトロクロミズムは、隣接するチオフェン単位セル間の二面角の小さな変化から生じるかもしれない。
螺旋ポリアセチレンの場合、二面角は0.02°乃至0.23°の範囲にあり、ポリマーは、CDスペクトルにおいて強いコットン効果を示している。ポリアセチレンの隣接する単位間の片手ねじれ方向におけるねじれ角の小さな連続的変化は、一貫したコットン効果をもたらすことになる。膜状態のPBTh*のコットン効果における変化が、反復酸化還元ドーピング/非ドーピングプロセスの間の交流電位の結果としての小さい二面角変化によって生じる可能性がある。このプロセスは、ポリマーのポーラロン状態及びバイポーラロン状態を生じる。モノマー単位では、二面角は非常に小さくなければならないが、1方向におけるねじれ角の小さい連続的変化は、PBTh*に対し強いキラリティを生じることになると考えられ、キラル化学の「高分子効果」を示している。これは、酸化還元プロセスの間でのポリマーの弾性挙動と密接な関連があり、これは、膜におけるドーピング状態及び非ドーピング状態の間に構造回復を可能にすることになる。従って、コットン効果における可逆変化の現象は、「電気化学的異性化」の形態とみなされる可能性がある。
PBTh*構造は、分子形態及びN*−LC凝結状態の双方において反映されなければならない。CDバンドは、このように、発色団の分子間凝集及びポリマー主鎖の螺旋ねじれから生じる。
等方相(30℃)を使用するLC混合物中でのビチオフェンの電気化学重合は、螺旋構造を有しないポリマーを生じさせた。SEM写真に見られるように、得られたPBThは、ランダムな球状構造を有していたが、コットン効果はなかった。同様に、N*−LCに関して同じ重合条件のもとで、キラルドーパントを用いないで、ネマティック液晶(N−LC)を使用する電気化学重合によって合成されたポリマーでは、コットン効果は示されなかった。これらの結果は、キラルネマティックLC環境がキラルビチオフェンの合成にとって重要であることを示唆している。このように、N*−LC場の電気化学重合は、制御可能なコットン効果を有する電気的及び光学的活性な固体状態の共役ポリマーの製法を可能にする。
(6)N*−LC場の重合モデル
PBTh*膜は、カイロオプティカル特性を示し、N*−LCのものと同様のキラル構造を形成した。重合の間に形成された構造は、洗浄後でも保存された。キラル分子のどれもが、重合の間にモノマーと化学反応しなかったが、電解質がマトリックスとしてのみ動作することが知られている。PBTh*の難溶性及び不溶解性は、準安定性キラル構造の保持にとって重要である。
図8には、N*−LC場のPBTh*のための妥当な重合機構が示されている。このモデルでは、ポリマーは、N*−LCの三次元螺旋構造を介して、アノードからカソードまで成長する。ポリマー主鎖は、重合プロセスの間に1つの方向にのみねじれて成長し、ファンデルワールス力によって、ねじれたポリマー主鎖の凝集により束構造を形成する。この束は、巨視的なコレステリック液晶のフィンガー状構造を形成する。N*−LC場での重合機構がキラル触媒を使用するアキラルモノマーのものとは異なることを強調すべきである。
(7)反復酸化還元特性及びCD
電気化学ドーピング/非ドーピングプロセスを介した色及びコットン効果の双方における大きな変化は、PBTh*がエレクトロクロミック材料として使用できることを示唆する。PBTh*のエレクトロクロミックスイッチング挙動は、還元状態と酸化状態との間で印加電圧における反復変化の際に、吸収及びCDスペクトルの変化の観察を通して検討された。白金プレートは対極として使用され、(R)−又は(S)−PBTh*膜のサンプルは、N*−LCの電気化学重合によって、ITO被覆ガラス上に付着させることによって調製された。
図9は、0.1MのTBAP/アセトニトリル電解質中のAg/Ag+に対する0.1乃至1.3Vの反復電圧走査(100mV/s)の(R)−PBTh*における吸収変化を示している。吸収強度は、12秒間隔の492nm及び680nmでモニターされた。酸化プロセス(Ag/Ag+に対して1.3V)において、492nmの吸収強度が弱められ、一方、680nmの吸収強度は強くなった。この吸収強度の変化は、次の還元の際(Ag/Ag+に対して0.1V)には反復性であると確認された。
図10に示すように、電圧走査の間での(R)−及び(S)−PBTh*のCD強度はまた、可逆的な対称的な変化も受けている。592nmでのCD強度は、Ag/Ag+に対する1.3V(酸化状態)で最も低く、両ポリマーはコットン効果を示し、(R)−PBTh*では負の値を、(S)−PBTh*では正の値を示した。Ag/Ag+に対して0.1Vの印加は還元状態を付与し、592nmでCD強度で、酸化状態についてのコットン効果の符合とは反対の符号を有する次の増加を引き起こす。このように、酸化還元プロセスの制御は、CD強度の可逆変化を可能にする。
このように、PBThは、電気化学重合の溶媒として使用されたN*−LCの螺旋形態を反復することが示され、光学活性エレクトロクロミズムを示す光学活性共役ポリマー(PBTh*)が得られることが明らかである。本実施例の方法によれば、キラル工学の新しい可能性を与え、カイロオプティカル特性を備えた一定範囲の共役ポリマーの合成を可能にするとともに、生物科学及び工学におけるこうしたポリマーの用途を拡大する。この研究は、また、化学合成に対するキラル反応場の重要性及び融通性を強調する。
[実施例2]
次に、キラルモノマーを用いて本発明に係るキラルポリマーを重合した。
(1)モノマーの合成
(R)−及び(S)−1,4−ビス[2−(3,4−エチレンジオキシ)チエニル]−2,5−安息香酸−1−メチルヘプチルエステル[BEDOT−B(OCT*)]のキラル化合物は、電気化学重合のためのキラルモノマーとして調製された。BEDOT−B(OCT*)への合成ルートは、スキーム1に記載されている。
有機スズ化合物は、EDOTと同等モル比の直接的リチウム化、その後の塩化スズとの反応によって容易に得られた(J. Mater. Chem., 2004, Vol.14, p1679-1681。ジブロモ化合物(R)−1及び(S)−1は、テトラヒドロフラン溶液中のアゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)及びトリフェニルホスフィン(TPP)を用いて、(R)又は(S)−オクタノールと2,5ジプロモ安息香酸との間のエステル化によって、ミツノブ反応を経て生成された。この反応は、ラセミ化を伴うことなく、キラル中心でSN2型ワルデン反転によって特徴付けられ、その結果、所望の化合物が形成される(Synthesis, 1981, p.1)。
モノマーは次いで、それぞれ、61%及び65%の収率で(R)−及び(S)−BEDOT−B(OCT*)を生成するために触媒としてPd(PPh34を使用するスティールカップリング法により生成された。これらモノマーは、構造を確認するためにプロトン核磁気共鳴(1H NMR)、及び、赤外線(IR)吸収分光法によって特徴付けられた(クロロホルムにおけるCD:(R)−1,λmax=350nm,Δε=+1.6、(S)−1,λmax=348nm,Δε=2.1).
(2)電気化学重合
モノマーの電気化学重合は、PEDOT又はPBEDOT誘導体の確立された生成方法によって実行された(J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem., 2001, Vol.39, p.2164)。ポリマーは、ポリ[(R)−又は(S)−BEDOT−B(OCT*)])について、無水アセトニトリル中、0.01Mのモノマー及び0.1Mのテトラブチルアンモニウム過塩素酸塩(TBAP)を含む溶液から電気化学的に生成された。両モノマーは、10mV/sでのAg/Ag+に対する反復スキャニングによって、白金ディスク上で電気酸化的に重合された。
図11に示されるように、(R)−及び(S)−BEDOT−B(OCT*)の電気化学重合についての結果は、類似している。酸化性走査の間で、モノマー酸化ピークは、第1の走査において、ポリ[(R)−BEDOT−B(OCT*)]では−0.123V及び+0.579Vであり、ポリ[(S)−BEDOT−B(OCT*)]では−0.113V及び+0.579Vである。リターン走査では、ポリマー還元が観察された。成長ポリマー酸化還元プロセスは、次の走査で見ることができる。全てのピークは電流応答の増大を示し、電気活性膜の形成を示した。重合の後、ポリマー膜は、電解質溶液及びアセトニトリルで洗浄した。モノマー不存在電解質溶液における膜の酸化還元の切り換えは、明確な酸化還元工程を示した。
また図12は、0.1MのTBAP/アセトニトリル中で10、20、30、60、80及び100mV/sの走査速度で、ポリ[(S)−BEDOT−B(OCT*)]フィルムのサイクリックボルタモグラムを示している。ポリマーの半ピーク酸化電位(E1/2)は、Ag/Ag+に対して−0.339V(100mV/sにおいてEox/p=−0.098V及びEred/p=−0.540V)であり、ポリ[l,4−ビス(2−(3’,4’−エチレンジオキシ)チエニル)−2−メトキシ−5−2−エチルヘプチルベンゼン]ポリ(BEDOT−MEHB)])についての値と同様である。ポリマーは、非常に明確な準可逆的酸化還元工程を示した。おそらくポリマーのキラリティが酸化還元動作に影響を及ぼすことがないので、(R)−及び(S)−BEDOT−B(OCT*)が、非常に類似的な電気化学的動作を示すことは、注目に値する。
(3)光学的特性
ポリ[BEDOT−B(OCT*)]の膜は、0.1MのTBAP及びアセトニトリルの0.01Mのモノマー溶液からの電気化学蒸着によって、インジウム酸化チタン(ITO)が塗布されたガラス基板上に付着した。
図13には、Ag/Ag+に対して−0.85V(還元状態)又は+0.80V(酸化状態)を印加したときの、ポリ[(S)−BEDOT−B(OCT*)]のUV/Vis吸収スペクトル(図13上図)とCDスペクトル(図13下図)とサイクリックボルタンメトリー(図13下図内)が示されている。
図13に示されるように、酸化(Ag/Ag+に対して+0.80V印加)の際に、ポリマー主鎖のπ−π*遷移に対応する533nmの吸収スペクトルのピークは、より長い波長の低エネルギー電荷キャリアの生成によって、紫からエメラルドグリーンまでポリマーの色の変化と広範囲の吸収バンドの出現を伴って弱くなる。CDスペクトルにおける452nmの正シグナル及び556nmの負ピークもまた、弱くなる。還元プロセスとして−0.85Vの印加は、UV/Vis及びCDスペクトルにおけるこれらのピークを還元状態での元々の強度に回復させた。
また図14に示されるように、モノマー及び対応するポリマーのコットン効果は、単波長で基本的に同符号を有する。さらに、還元ポリマーフィルムは、ポリマー主鎖のπ−π*遷移の領域において予想された鏡像を示すコットン効果を示し、これは、そのポリマーがフィルム状態でキラルであることを示唆している。
ポリマーは、ヘッド−ヘッド(HH)位置規則性又はヘッド−テール(HT)位置規則性で形成できるが、このような構造上の変化がポリマーの光学的性質に影響を及ぼすと仮定される。しかしながら、ポリマーの部位規則性の制御は、ランダムなHH及びHT規則性を有するポリマーを形成する傾向がある本電気化学重合プロセスによって達成することは、困難である。従って、非対称構造物を有するキラルモノマーの合成と、これに続く重合は、強いコットン効果をもたらすべきである。
このように本実施例のキラルモノマーの電気化学重合は、酸化重合プロセスにおいて、安定したキラルポリマーフィルムを与えた。ITO上に付着したこれらのフィルムの光学活性が、ポリマーの電子状態を変更することによって電気化学的に調整できることも示されている。この手順は、新規なエレクトロクロミック素子の製造及びキラルポリマーの良好なフィルム形成特性に基づく耐久性エレクトロクロミック素子の改良作製をもたらす可能性が大きい。
[実施例3]
実施例1のキラルポリマー[(R)−又は(S)−PBTh*]に、光学活性履歴(ヒステリシス)現象が示されるかについて確認した。
図15には、Ag/Ag+参照電極を基準とし、電位を掃引した際の498nmの吸収スペクトルの変化を示す。図15((R)−PBTh*の吸収スペクトル。ただし、(S)体の場合も同様のグラフとなる)に示されるように、還元時は4×105/cmの吸収を示し、酸化時は2×105/cm程度に減少する。これにより酸化還元に伴い、ポリマーの吸収強度を電気化学的に制御することが可能であることが示された。また、還元状態から酸化方向と酸化から還元方向に電位を変化させたときの吸収強度が異なり、全体としてヒステリシス曲線を描くことが示された。これにより、本キラルポリマー、即ち導電性高分子の酸化還元履歴現象が見いだされた。
図16はAg/Ag+参照電極を基準とし、電位を掃引した際の480nmの円偏光二色性スペクトルの酸化還元に伴う、Ag/Ag+参照電極を基準としたサイクリックボルタンメトリー(図16上段)とそのときの592nmにおける円偏光二色性スペクトルの強度変化(図16下段)を示す。
図16に示されるように、電位を還元状態から酸化状態に変化させると(R)−PBTh*は左円偏光状態から右偏光状態に変化する。一方、(S)−PBTh*は全く逆の変化をする。この関係は鏡像関係にあり、(R)体と(S)体が反転した光学活性を持つことが示された。また、これらのキラルポリマーにおいて、それぞれ履歴現象を示した。これにより、本発明によるキラルポリマーが、電気化学的方法による「光学活性履歴現象」を示すことが確認できた。
また、図17は酸化還元に伴うキラルポリマーの光学回転を示す。(R)体と(S)体は互いに鏡像関係を示し、しかも無機化合物に匹敵する光学回転を還元状態で示すことが明らかとなった(520nm, >2×104 deg/cm)。(ファラデー回転(磁気光学回転)の例:Fe 3.825×105deg/cm, YFeO3 4.9×103deg/cm, NdFeO3 4.72×104deg/cm)。図17に示されるように、本実施例のキラルポリマーは、電気化学的に光学回転を制御することが可能であることが実証された。これより、導電性高分子における「電気化学的光学回転現象」が初めて示された。
このように、本発明によれば、キラルポリマーの光学活性を簡便に変更し、また調整することができ、これにより所望する光学活性を有するキラルポリマーを効率よく得ることができる。このように電気化学的に光学活性を変更可能なキラルポリマーは、光学活性の変更を利用した種々の用途に用いることができる。
本実施例で用いられた重合セルの概略図である。 10℃での(R)−PCH506−バイノール電解質の偏光顕微鏡像。バーは10μm。 25℃での(R)−PBTh*膜のフィンガープリント組織を示す位相差光学顕微鏡像(偏光子なし)。バーは10μm。 25℃での(R)−PBTh*膜の二螺旋組織を示す位相差光学顕微鏡像(偏光子なし)。バーは10μm。 25℃での(R)−PBTh*膜の多角形フィンガープリント組織を示す位相差光学顕微鏡像(偏光子なし)。バーは10μm。 0.1MのTBAP/アセトニトリル溶液での種々の走査速度による(R)−PBTh*膜(対Ag/Ag+)のサイクリックボルタンメトリーを示すグラフであり、ここで走査速度は、(a)10mV/秒、(b)20mV/秒、(c)40mV/秒、(d)60mV/秒、(e)80mV/秒、(f)100mV/秒である。 酸化還元状態の(R)−及び(S)−PBTh*膜の円偏光二色性スペクトルを示すグラフである。 THF中の(R)−及び(S)−PCH506−バイノールのCDスペクトルを示すグラフである。 モノマー不存在0.1MのTBAP/アセトニトリル溶液中、Ag/Ag+に対する種々の電圧[(a)0.2V、(b)1V、(c)1.2V、(d)1.25V、(e)0.6V、(f)0.1V]におけるITO電極上の(R)−PBTh*のin situ紫外線−可視線−近赤外線(UV−Vis−NIR)吸収スペクトル(上)並びにCDスペクトル(下)を示している。 0.7V印加時の(R)−PBTh*のUV−vis−NIRスペクトルを示すグラフである。 *LC反応場におけるPBTh*の重合メカニズムの概念図である。 Ag/Ag+に対する0.1乃至1.3Vの反復電圧走査時(走査速度100mV/s)の(R)−PBTh*に基づくエレクトロクロミックセルについて492nm(上)及び680nm(下)でのUV−vis吸収強度のスイッチングを示すグラフである。 Ag/Ag+に対する0.1乃至1.3Vの反復電圧走査時(走査速度100mV/s)の(R)−PBTh*(上)及び(S)−PBTh*(下)に基づくエレクトロクロミックセルについて592nmでのCD強度のスイッチングを示すグラフである。 本発明の他の実施例における10mV/sの速度で0.1MのTBAP/アセトニトリル中での反復電位走査による(R)又は(S)BEDOP−B(OCT*)(0.01M)の電気化学重合に関するボルタモグラムを示すグラフである。 0.1MのTBAP/アセトニトリル中で種々の走査速度でのポリ[(S)−BEDOT−B(OCT*)]膜のサイクリックボルタモグラムを示すグラフであり、ここで走査速度は、(a)10mV/秒、(b)20mV/秒、(c)30mV/秒、(d)60mV/秒、(e)80mV/秒、(f)100mV/秒である。 酸化及び還元状態にあるポリ[(S)−BEDOT−B(OCT*)]の紫外/可視(UV/Vis)吸収スペクトル(上)及び、モノマー不存在の0.1MのTBAP/アセトニトリル溶液中、Ag/Ag+に対し電圧を印加した後のポリ[(R)−BEDOT−B(OCT*)]のUV/Vis及びCDスペクトル(下)をそれぞれ示すグラフである。 モノマーのCDスペクトル(挿入部)と、ポリ[(R)−及び(S)−BEDOT−B(OCT*)]フィルムのCDスペクトルをそれぞれ示すグラフである。 Ag/Ag+参照電極を基準とし、電位を掃引した際の498nmの吸収スペクトルの変化を示す。 Ag/Ag+参照電極を基準とし、電位を掃引した際の480nmの円偏光二色性スペクトルの酸化還元に伴う、Ag/Ag+参照電極を基準としたサイクリックボルタンメトリー(上)と、サイクリックボルタモグラムによる連続的な電場の印加による592nmにおける(R)−および(S)−PBTh*膜(対Ag/Ag+)のコットン効果の履歴現象(下)をそれぞれ示すグラフである。 (R)−および(S)−PBTh*膜(対Ag/Ag+)の電場の印加による光学回転現象を示す。酸化状態は1.3V、および還元状態は0.1V(対Ag/Ag+)による。
符号の説明
10 重合セル

Claims (5)

  1. キラルポリマーを製造する製造方法であって、
    キラルモノマー又はキラルドーパントを使用して電解重合を行ってキラルポリマーを得ること、
    キラルポリマーに対して酸化又は還元電位を印加してキラルポリマーの光学活性を制御すること
    を含む製造方法。
  2. 前記キラルモノマーが、ヘテロ原子を含む炭素数4〜6の芳香族からなる群より選択されたものである請求項1記載の製造方法。
  3. 前記キラルドーパントが、中心性キラリティー化合物および軸性キラル化合物からなる群より選択されたものである請求項1記載のキラルポリマーの製造方法。
  4. キラルポリマーの光学活性を制御する方法であって、
    電解重合によって得られたキラルポリマーに、酸化電位又は還元電位を印加すること
    を含む光学活性制御方法。
  5. 電解重合によって得られると共に酸化電位又は還元電位を印加することによって光学活性を制御可能なキラルポリマー。
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