JP2006153520A - 溶媒含有組成物の状態解析方法 - Google Patents

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中村  文彦
Takahiro Kawaguchi
高広 川口
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Abstract

【課題】解析対象である溶媒含有組成物に対して濃縮・希釈などの化学的操作や機械力を加えることなく非破壊状態で実施可能な、信頼性が高く、汎用性に優れた、溶媒含有組成物中における閉塞系溶媒相の存在の検出方法を提供すること。
【解決手段】NMR磁場勾配スピンエコー測定法を用いる、開放系溶媒相Xが閉塞系溶媒相Yの周囲を満たしてなると予想される組成物中における溶媒相Yの存在の検出方法であって、磁場勾配パルス間隔時間Δを、溶媒相Xの溶媒分子のスピンエコーシグナルが実質的に消失するに至る時間以上にとり、溶媒相Yの溶媒分子のスピンエコーシグナルを測定する工程を有し、溶媒相Yの溶媒分子のスピンエコーシグナルが測定された場合に該組成物中における溶媒相Yの存在が検出される、検出方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶媒含有組成物の状態解析方法に関する。より詳しくは、本発明は、NMR磁場勾配スピンエコー測定法を用いる、開放系溶媒相Xが閉塞系溶媒相Yの周囲を満たしてなると予想される組成物中における溶媒相Yの存在の検出方法、開放系溶媒相Xが閉塞系溶媒相Yの周囲を満たしてなる組成物中における溶媒相Yの存在割合の算出方法、並びに開放系溶媒相Xが閉塞系溶媒相Yの周囲を満たしてなる組成物中における溶媒相Yの形態的大きさの推定方法に関する。
溶媒含有組成物の解析には種々の方法があるが、同じ組成でもその存在状態に応じて、粘性や溶解度などの物理的特性や、偏光や吸収などの光学的特性に大きな違いが現れる。
それらの特性は、各成分の相対的な位置や量比などの関係によって変わってくるものであり、特に成分の自由流動性が制限された閉じた構造(閉塞系)を有する場合には、制限されない場合(開放系)に比して面白い特性を示す場合がある。
その様な閉じた構造の代表的なものとしては、ベシクル構造が知られている。ベシクル構造を有する溶媒含有組成物は、通常、ベシクル構造の周囲を満たす開放系溶媒相とベシクル構造内部の閉塞系溶媒相の2相からなる。
ベシクル量の評価方法としては、偏光顕微鏡による観察が広く用いられている。また、非特許文献1には、DSCにより、界面活性剤のアルキル鎖の融解ピークの位置がベシクルと層状ラメラで異なることを利用し、ベシクル量を評価できることが示されている。
より一般的に使用できる方法としては、特許文献1にも記載されている色素内包法が挙げられる。この方法は、溶媒に色素を添加した後に構造形成を起こさせ、その後に連続相の溶媒を置換したうえで構造を破壊し、ベシクル内部に含まれていた色素量を定量する方法であり、界面活性剤の特性や見かけの問題に依存せず、ベシクルの定量が可能である。
特開2001−97809号公報 Langmuir 15, 7461 (1999)
しかしながら、偏光顕微鏡観察はマルチラメラベシクルに限定された方法であり、かつ、光学顕微鏡の空間分解能がベシクルの観察に充分でないこともあって、見た目による定性的な評価に留まっており、定量的に取り扱うことは困難であった。
また、DSCによる方法は、層状ラメラとベシクルに由来するピークは互いのピーク位置が近いため、ピークが分割しきれず、定量化はできない。また、アルキル鎖の融解ピークを利用することから、使用した基剤の特性に強く依存し、汎用性に欠けている。
さらに、色素内包法には、連続相置換のために行う、濾過・濃縮・希釈などの過程により、構造が変化してしまう危険があり、信頼性に劣る。
このように、従来、ベシクル等の閉じた構造に対して外乱を与えることなく、溶媒含有組成物の状態や、該構造の存在に関して定量的に解析することができる汎用性のある手法は存在しなかった。
本発明の課題は、解析対象である溶媒含有組成物に対して濃縮・希釈などの化学的操作や機械力を加えることなく非破壊状態で実施可能な、信頼性が高く、汎用性に優れた、溶媒含有組成物中における閉塞系溶媒相の存在の検出方法、該組成物中における閉塞系溶媒相の存在割合の算出方法、並びに該組成物中における閉塞系溶媒相の形態的大きさの推定方法を提供することにある。
すなわち、本発明の要旨は、
〔1〕 NMR磁場勾配スピンエコー測定法を用いる、開放系溶媒相Xが閉塞系溶媒相Yの周囲を満たしてなると予想される組成物中における溶媒相Yの存在の検出方法であって、磁場勾配パルス間隔時間Δを、溶媒相Xの溶媒分子のスピンエコーシグナルが実質的に消失するに至る時間以上にとり、溶媒相Yの溶媒分子のスピンエコーシグナルを測定する工程を有し、溶媒相Yの溶媒分子のスピンエコーシグナルが測定された場合に該組成物中における溶媒相Yの存在が検出される、検出方法、
〔2〕 NMR磁場勾配スピンエコー測定法を用いる、開放系溶媒相Xが閉塞系溶媒相Yの周囲を満たしてなる組成物中における溶媒相Yの存在割合の算出方法であって、
(1)磁場勾配パルス間隔時間Δを、溶媒相Xの溶媒分子のスピンエコーシグナルが実質的に消失するに至る時間以上にとり、溶媒相Yの溶媒分子のスピンエコーシグナルを測定する工程、
(2)工程(1)で得られたシグナルの強度を遅延時間に対し対数プロットして得られる直線の切片の値を得る工程、及び
(3)工程(2)で得られた切片の値を磁場勾配強度の2乗に対しプロットして得られる直線の切片の値を得、当該切片の値により該組成物中における溶媒相Yの存在割合を算出する工程、
を有する、算出方法、並びに
〔3〕 NMR磁場勾配スピンエコー測定法を用いる、開放系溶媒相Xが閉塞系溶媒相Yの周囲を満たしてなる組成物中における溶媒相Yの形態的大きさの推定方法であって、
(1)磁場勾配パルス間隔時間Δを、溶媒相Xの溶媒分子のスピンエコーシグナルが実質的に消失するに至る時間以上にとり、溶媒相Yの溶媒分子のスピンエコーシグナルを測定する工程、
(2)工程(1)で得られたシグナルの強度を遅延時間に対し対数プロットして得られる直線の切片の値を得る工程、及び
(3)工程(2)で得られた切片の値を磁場勾配強度の2乗に対しプロットして得られる直線の傾きの値を得、当該傾きの値により該組成物中における溶媒相Yの形態的大きさを推定する工程、
を有する、推定方法、
に関する。
本発明によれば、溶媒含有組成物中における、閉塞系溶媒相の存在の検出、閉塞系溶媒相の存在割合の算出、並びに閉塞系溶媒相の形態的大きさの推定を充分な信頼性を持って容易に行うことができる。
一般的に溶媒含有組成物中における閉じた構造の内外で同種の溶媒分子自体の局所的な存在環境が大きく変わることはない。従って、例えば、溶媒分子のNMRスペクトルにおいて、閉じた構造の内外の差によるケミカルシフトの変化などの特徴を生じさせることは期待できない。それゆえ、開放系溶媒相が閉塞系溶媒相の周囲を満たしてなる溶媒含有組成物において、両相を分けて測定することは非常に困難である。
本発明においては、NMR磁場勾配スピンエコー測定法を利用することで、かかる比較的大きな構造差の溶媒分子に対する影響をスペクトルに生じさせることが可能であることを見出し、前記のような、溶媒含有組成物に関する種々の状態解析を可能にした。本発明の方法においては、測定試料に手を加えず、分光学的手法により、閉じた構造の内外の溶媒分子の状態を個別に測定することができる。
すなわち、NMR磁場勾配スピンエコー測定においては、磁場勾配パルス間隔時間(以下、パルス間隔時間という)Δの間に移動した分子の距離に依存したスピンエコーシグナル(単にシグナルという場合がある)の減衰が見られ、開放系溶媒相の溶媒分子であれば、このパルス間隔時間Δを充分長くとることにより、移動距離が伸びて減衰が進行し、やがて実質的にシグナルが消失する。ここで、「実質的にシグナルが消失する」とは、シグナル強度がノイズレベル以下に低下し、シグナルの検出が不可能になることをいう。シグナルが全く消失してしまっては測定する意味がないため、通常、そこまでパルス間隔時間Δを伸ばすことは有り得ないが、本発明者は、閉塞系溶媒相の溶媒分子については、移動距離が制限されるために減衰が頭打ちになり、長いパルス間隔時間Δの測定においてもシグナルが消失せずに残ると考えた。そこで、そのような条件下で測定を行ったところ、開放系溶媒相が閉塞系溶媒相の周囲を満たしてなる溶媒含有組成物において、たとえ開放系溶媒相と閉塞系溶媒相の溶媒分子が同種のものであったとしても閉塞系溶媒相の溶媒分子のみからのシグナルを抽出できることを見出し、該組成物中における閉塞系溶媒相の存在の検出が可能になった。
さらに、緩和や拡散によるシグナル強度の変化を補正して、通常条件での溶媒含有組成物の測定により得られるシグナルに含まれる、閉塞系溶媒相の溶媒分子からのシグナルの強度を見積もる方法を考案し、該組成物中における閉塞系溶媒相の存在割合の算出を可能にし、また、この一連の手続きにより算出される減衰率には閉塞系溶媒相の形態的大きさに関する情報が含まれていることを指摘し、単に閉塞系溶媒相の存在割合の算出だけでなく、該相の形態的大きさの推定も可能にした。
本発明においてはNMR磁場勾配スピンエコー装置が使用されるが、スピンエコー測定の可能なパルス型であることと、磁場勾配プローブを有すること以外は特に限定はない。つまり、磁場強度や共鳴周波数には制限はない。共鳴周波数としては、良好な解像度を確保する観点から100MHz以上のものが好ましいが、溶媒分子として大過剰に存在する水を測定対象とする場合には共鳴周波数は任意でよい。なお、該装置を使用する試料の基本的な測定操作については、装置に付属する説明書を参照すればよい。
本発明において解析対象となる試料としては、開放系溶媒相が閉塞系溶媒相の周囲を満たしてなると予想されるか、もしくは満たしてなる溶媒含有組成物であれば特に限定はされない。両相の溶媒は通常同種のものであるが、本発明の方法が適用され得る限り、両相で溶媒の組成が異なっていてもよい。
なお、本明細書において開放系溶媒相とは、溶媒含有組成物において、それに含まれる閉塞系溶媒相の周囲を満たす、NMR磁場勾配スピンエコー測定法においてパルス間隔時間Δを充分に長くとることでシグナルが実質的に消失し得る溶媒分子からなる相をいう。開放系における開放の次元としては特に限定されないが、少なくとも一次元である。一方、閉塞系溶媒相とは、溶媒含有組成物中に含まれる、パルス間隔時間Δを充分に長くとっても磁場勾配の影響によるシグナル消失から逃れ得る溶媒分子からなる相をいう。
好適な解析対象試料としての溶媒含有組成物としては、例えば、ベシクルを含有する乳化物や、W/O/W、O/W/O等の多重乳化物等が挙げられる。なお、乳化物の組成は、本発明の溶媒含有組成物が形成され得る限り、特に限定されるものではない。
前記乳化物としては、例えば、水、カチオン系界面活性剤、高級アルコール等からなる乳化物が挙げられる。そのような乳化物では、閉塞系がベシクル構造よりなり、閉塞系溶媒相にはカチオン系界面活性剤又は高級アルコールとともに水が含まれることになる。
前記カチオン系界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩や第3級アミンまたはその酸中和物が挙げられる。
第4級アンモニウム塩としては、例えば、下記一般式(A)で表わされる第4級アンモニウム塩が挙げられる。該式中、R、R、R及びRのうち少なくとも1つは、直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルカノイルアミノ基、アルケノイルアミノ基、アルカノイルオキシ基又はアルケノイルオキシ基が置換していてもよい、総炭素数12〜28、好ましくは16〜28の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、残余はベンジル基、炭素数1〜5のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又は合計付加モル数10以下のポリオキシエチレン基を示し、Zはハロゲンイオン又は有機アニオン、例えば、アセテート、シトレート、ラクテート、グリコレート、ホスフェート、ニトレート、スルフォネート、スルフェート及びアルキルスルフェート基から選択されたもの、を示す。具体的には、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルオキシプロピルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルオキシプロピルトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。
Figure 2006153520
第3級アミン又はその酸中和物としては、例えば、下記一般式(B)で表わされるアミドアミン化合物又はその酸中和物が挙げられる。該式中、Rは炭素数11〜21の高級脂肪酸の残基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、tは2〜4の整数を示す。
Figure 2006153520
また、第3級アミン又はその酸中和物としては、下記一般式(C)で表わされる化合物が挙げられる。該式中、Rは、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、R及びRは、同一又は異なる、炭素数1〜6のアルキル基、又は−(AO)H(Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜6の数を示し、n個のAは同一でも異なってもよく、その配列は任意である。)を示す。
Figure 2006153520
第3級アミン又はその酸中和物として具体的には、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、べへニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアロキシプロピルジメチルアミン又はその酸中和物が挙げられる。
第3級アミンに対する中和酸としては、例えば、塩酸、リン酸等の無機酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸等の有機酸、及びグルタミン酸、α―アラニン等の酸性アミノ酸が挙げられる。
本明細書において高級アルコールとは炭素数8以上のアルコールをいい、炭素数の上限としては24が好適である。例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる
同一組成物であっても、乳化時の製造条件、例えば、乳化のための混合温度や攪拌時間などの違いにより乳化物の状態は変化するが、本発明の方法は原理的には温度の制約を受けず、また、測定中にサンプルに機械力をかけることもないため、冷却や加熱による乳化物の状態の変化を捉えることが可能であり、また、攪拌時間の異なる試料を測定すれば、攪拌時間による状態変化を追跡することも可能であり、同様に、静置保存による経時変化の追跡も可能である。したがって、例えば、乳化条件の異なる種々の解析対象試料中、状態が異なる相(ラメラ構造やベシクル構造など)ごとで閉塞系溶媒相の存在状態を捉え、各試料間で比較することにより、乳化物の状態の変化を評価することができる。
本発明によれば、このような解析を行うことができることから、本発明の応用用途としては、例えば、化粧品、香粧品の状態解析、保存状態の把握などの品質管理、製造条件の検討が挙げられる。
本発明の検出方法では、溶媒含有組成物のNMR磁場勾配スピンエコー測定において、パルス間隔時間Δを、開放系溶媒相Xの溶媒分子のスピンエコーシグナルが実質的に消失するに至る時間以上にとり、閉塞系溶媒相Yの溶媒分子のスピンエコーシグナルを測定し、溶媒相Yの溶媒分子のスピンエコーシグナルが測定された場合に該組成物中における溶媒相Yの存在が検出される。
本発明においては、測定条件の設定に1つの大きな特徴がある。つまり、NMR磁場勾配スピンエコー測定法による溶媒含有組成物の一般的測定条件に比べて、パルス間隔時間Δの値を非常に長くとる。そのΔの値としては、測定対象の状態にもよるが、通常、10×10−2〜150×10−2秒である。この値は、一般的測定条件で用いられるΔに比して1から2オーダー高い値である。
NMR磁場勾配スピンエコー測定法のパルスシーケンスには、さまざまなバリエーションがあるが、もっとも基本的なパルスシーケンスは図1に示したものである。以下、これを例にとり説明を行うが、他のシーケンスを用いても同様の議論が可能である。シーケンスによっては、横緩和ではなく縦緩和が進行するものもあるが、その場合には、以下の説明における横緩和を縦緩和、横緩和時間Tを縦緩和時間Tと読み替えれば全く同じ議論が成り立つ。
図1に示したパルスシーケンスでは、1つ目の磁場勾配パルスで分子の位置に応じた変調をかけ、2つ目の磁場勾配パルスで復調する。2つ目の磁場勾配パルスをかけたときに、分子が移動していなければ復調が完全に行われるが、分子が拡散により移動しているとその分だけ復調しきれず、シグナル強度が減衰する。自己拡散係数をDとすると、シグナル強度Mの減衰挙動は、緩和の効果も加えて式(1)で表される。
Figure 2006153520
パルス間隔時間Δの間の移動距離の2乗平均<x2>は自己拡散係数がDのとき式(2)で表されることから、Δ≫δ/3として、式(1)は、式(3)のように、<x2>に対する式に書きなおせる。
Figure 2006153520
測定対象である溶媒含有組成物のシグナル強度、すなわち、開放系溶媒相と閉塞系溶媒相の両相の溶媒分子からのシグナル強度は各相の溶媒分子からのシグナル強度の足し合わせで、式(4)のように導ける。なお、式(4)中、添え字のAは閉塞系溶媒相を、Bは開放系溶媒相を意味する。従って、シグナル強度の減衰がない場合、閉塞系溶媒相の溶媒分子からのシグナル強度はMと、開放系溶媒相の溶媒分子からのシグナル強度はMと、溶媒含有組成物のシグナル強度はM+Mと、それぞれ記載される。
Figure 2006153520
このとき、パルス間隔時間Δ、換言すれば溶媒分子の拡散時間を充分長くとれば、開放系溶媒相では溶媒分子の拡散は無限に進行するため<x2→∞となり、式(4)の第2項全体が消失する。それに対し、閉塞系溶媒相自体の拡散が無視できるとすると、閉塞系溶媒相は閉じた系であるので当該相の溶媒分子の拡散には限界が有り、<x2はある一定の値<x2A∞に収束する。その結果、Δを充分大きくとれば式(4)は式(5)のように単純化できる。
Figure 2006153520
よって、パルス間隔時間Δを、開放系溶媒相の溶媒分子のシグナルが実質的に消失するに至る時間以上にとる条件では、閉塞系溶媒相の溶媒分子のシグナルのみが測定されることになる。そして、当該シグナルが測定された場合、開放系溶媒相が閉塞系溶媒相の周囲を満たしてなると予想される溶媒含有組成物中における閉塞系溶媒相の存在が検出されることになる。
さらに本発明によれば、測定結果を以下のようにして演算解析することにより、閉塞系溶媒相を定量的に捉え、しかもその形態的大きさをも把握することができる。
前記式(4)においてMを求め、それをM+Mで割れば、溶媒含有組成物中における閉塞系溶媒相の存在割合が算出できる。
すなわち、M+Mについては、Δ≒0(同時にτ≒0になる)の条件で測定すれば近似値が直接求められる。
一方、Mは以下のようにして算出することができる。前記式(4)は、パルス間隔時間Δを充分長くとった場合、前記式(5)のように単純化できる。そして、式(5)において両辺の対数をとると、以下の式(6)になる。τ(s)を変えて試料のシグナル強度Mを測定し、lnMをτに対してプロットすると、傾きが(7)、切片が(8)の直線になる。
Figure 2006153520
さらに、この測定をgを変えて行うと、傾き(7)はgによらず一定であるが、切片(8)はgにより変化する。このとき、(8)をgに対してプロットすれば、傾き(9)、切片(10)の直線になる。
Figure 2006153520
従って、閉塞系溶媒相の溶媒分子のみに由来するシグナル強度Mは(10)から算出することができる。得られた値を、τ=0(実際にはτ≒0)のときの測定試料のシグナル強度(M+M)で割れば、溶媒含有組成物中の全溶媒における閉塞系溶媒相中の溶媒の存在割合を算出することができる。本発明の方法が適用される溶媒含有組成物は、通常、溶媒が大過剰な組成物であり、該組成物中で閉塞系を構成する隔壁の構造形成成分(界面活性剤等)は少量(例えば、溶媒含有組成物中、20重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下)であることから、該存在割合は、該組成物中における閉塞系溶媒相の重量換算での存在割合の近似値として扱うことができる。
以上より、NMR磁場勾配スピンエコー測定において、パルス間隔時間Δを充分長くとり、開放系溶媒相の溶媒分子のシグナルが該溶媒分子の拡散のために消失することを利用して抽出された閉塞系溶媒相の溶媒分子のシグナルの強度を遅延時間に対して対数プロットして得られる直線の切片の値を、さらに磁場勾配強度の2乗に対して対数プロットすることにより得られる直線の切片の値から、溶媒含有組成物中の閉塞系溶媒相の量を見積もることができる。
また、(9)から<x2A∞が求まるが、これは閉塞系溶媒相の形態的大きさを示す指標として利用可能で有り、閉塞系溶媒相の形態を仮定することで、具体的な大きさに換算することが可能である。粒径分布を無視すれば、例えば、多重エマルションやユニラメラベシクルでは球形であるから、式(11)により、また、マルチラメラベシクルでは同心球と仮定(すなわち、各層の厚さを無視)すると、式(12)により、閉塞系溶媒相の粒径を求めることができる。
Figure 2006153520
よって、NMR磁場勾配スピンエコー測定において、パルス間隔時間Δを充分長くとり、開放系溶媒相の溶媒分子のシグナルが該溶媒分子の拡散のために消失することを利用して抽出された閉塞系溶媒相の溶媒分子のシグナルの強度を遅延時間に対して対数プロットして得られる直線の切片の値を、さらに磁場勾配強度の2乗に対して対数プロットすることにより得られる直線の傾きの値から、溶媒含有組成物中の閉塞系溶媒相の形態的大きさに関する情報が得られる。
なお、上記において、通常、シグナル強度の実測値はなんらかの誤差の影響により良好な線形性を示さないので、直線の式は、得られた測定値に基づき最小二乗法等により近似式として求めるのが好適である。また、シグナル強度の測定値は、開放系溶媒相の溶媒分子のシグナルが実質的に消失し、かつ閉塞系溶媒相の溶媒分子の拡散が飽和するに至った後のものを採用する。開放系溶媒相からのシグナルが残留するか、または閉塞系溶媒相の溶媒分子の拡散が飽和に至らない段階ではプロットが下に凸となる曲線を描くことから、直線に収束した部分のデータを採用すればよい。傾きは近似式より得られ、切片は該式により外挿して求めればよい。
よって、本発明の一態様として、
(1)開放系溶媒相Xが閉塞系溶媒相Yの周囲を満たしてなる溶媒含有組成物のNMR磁場勾配スピンエコー測定において、パルス間隔時間Δを、溶媒相Xの溶媒分子のシグナルが実質的に消失するに至る時間以上にとり、溶媒相Yの溶媒分子のシグナルを測定する工程、
(2)工程(1)で得られたシグナルの強度を遅延時間に対し対数プロットして得られる直線の切片の値を得る工程、及び
(3)工程(2)で得られた切片の値を磁場勾配強度の2乗に対しプロットして得られる直線の切片の値を得、当該切片の値により該組成物中における溶媒相Yの存在割合を算出する工程、
を有する、前記組成物中における溶媒相Yの存在割合の算出方法、
並びに、
(1)開放系溶媒相Xが閉塞系溶媒相Yの周囲を満たしてなる溶媒含有組成物のNMR磁場勾配スピンエコー測定において、パルス間隔時間Δを、溶媒相Xの溶媒分子のシグナルが実質的に消失するに至る時間以上にとり、溶媒相Yの溶媒分子のシグナルを測定する工程、
(2)工程(1)で得られたシグナルの強度を遅延時間に対し対数プロットして得られる直線の切片の値を得る工程、及び
(3)工程(2)で得られた切片の値を磁場勾配強度の2乗に対しプロットして得られる直線の傾きの値を得、当該傾きの値により該組成物中における溶媒相Yの形態的大きさを推定する工程、
を有する、前記組成物中における溶媒相Yの形態的大きさの推定方法が提供される。
なお、上述の本発明の溶媒含有組成物の状態解析原理からわかるように、本発明の方法が適用できるためには、通常、室温(25℃)での測定において、該組成物について以下の条件が要求される。
1 緩和時間によって制限される測定可能時間内に開放系溶媒相の溶媒分子のシグナルが拡散により実質的に消失すること。
2 緩和時間によって制限される測定可能な時間内に閉塞系溶媒相の溶媒分子の拡散が飽和すること。
3 閉塞系溶媒相自体の拡散が無視できること。
以上の条件は、閉塞系溶媒相の形態や溶媒の粘度などのファクターが関与するため、具体的な数字で示すことはできないが、測定試料のシグナル強度の対数(lnM)を遅延時間τに対してプロットしたとき磁場勾配強度gによらず一定の傾きをもった直線に収束すれば、本発明の方法を適用可能であると判定できる。
その理由としては、開放系溶媒相の溶媒分子の拡散が不充分で、開放系溶媒相の溶媒分子に由来するシグナルが残存しているか、もしくは、閉塞系溶媒相の溶媒分子の拡散が飽和に達していない、という状態であれば直線には収束しないことが挙げられる。また、閉塞系溶媒相そのものの拡散が無視できなければ、磁場勾配強度gに依存して、収束する直線の傾きが異なる結果になることが挙げられる。従って、測定結果をみれば、本発明の方法が適用可能かどうか容易に判定することができる。
ただし、前述の1、2の条件が満たせなかった溶媒含有組成物であっても、構造の変化を誘発しない範囲で測定温度をより高く設定することで、溶媒含有組成物中での溶媒分子の分子運動性が高まり、並進拡散速度が上昇するとともにシグナルの緩和時間が長くなるため、本発明の方法が適用可能である場合がある。
以上を総合すると本発明の方法が適用できる溶媒含有組成物とは、室温から該組成物の構造変化を誘発しない温度範囲において上記1〜3の条件を満たし得る組成物といえる。
なお、式(4)からのもっとも精力的なアプローチは、<x2および<x2Bをそれぞれ仮定された溶媒相中での拡散方程式を解いてΔの関数として記述し、シグナルの減衰挙動と溶媒相の形態とを直接的に結びつけることであると考えられるが、予想される形態によっては、この手続きはしばしば複雑過ぎて実際的には不可能であることが多い。
本発明においては、極限状態を仮定することでこの手順を単純化することを試み、実際に測定を行ったところ、実測可能なパラメータ範囲において近似が成り立ち得ることを初めて見出したのである。
測定試料として以下の化粧料組成物を製造し、本発明の方法を適用して、該試料中の閉塞系溶媒相の存在を検出し、その存在割合、形態的大きさを見積もった。
製造例1
以下に製造した化粧料組成物1の組成を示す:
(1)ステアロキシプロピルN、N−ジメチルアミン 6.90g
(2)ステアリルアルコール(花王製 カルコール8098) 18.00g
(3)ジプロピレングリコール 15.00g
(4)ベンジルオキシエタノール 3.00g
(5)90%乳酸 5.16g
(6)水 251.9g
500mLビーカーに(3)、(5)、及び(6)をはかりとり、毎分250回転で攪拌しながら湯浴にて65℃まで昇温し、あらかじめ65℃に温めておいた(1)、(2)、及び(4)の混合物を加え、そのまま65℃で攪拌を30分間続けた。30分後、湯浴をはずし、組成物の温度が40℃に下がるまで、攪拌を続け、化粧料組成物1を得た。
製造例2
製造した化粧料組成物2の組成は製造例1のものと同様である。500mLビーカーに(3)、(5)、及び(6)をはかりとり、毎分250回転で攪拌しながら湯浴にて75℃まで昇温し、あらかじめ75℃に温めておいた(1)、(2)、及び(4)の混合物を加え、そのまま75℃で攪拌を30分間続けた。30分後、湯浴をはずし、組成物の温度が40℃に下がるまで攪拌を続け、化粧料組成物2を得た。
製造例3
製造した化粧料組成物3の組成は製造例1のものと同様である。500mLビーカーに(3)、(5)、及び(6)をはかりとり、毎分250回転で攪拌しながら湯浴にて75℃まで昇温し、あらかじめ75℃に温めておいた(1)、(2)、及び(4)の混合物を加え、そのまま75℃で攪拌を30分間続けた。30分後、攪拌を停止し、湯浴をはずし、組成物の温度が40℃に下がるまで放冷し、化粧料組成物3を得た。
実施例1〜3
化粧料組成物1〜3を、以下の測定条件の下、NMR磁場勾配スピンエコー測定法により測定し、試料全体のシグナル強度(M+M)、閉塞系溶媒相の溶媒分子のみのシグナル強度(M)、遅延時間τを得た。なお、本実施例で使用するパラメータの記号の意味は前記式(1)〜(10)のものと同じである。また、測定試料として化粧料組成物1を用いた場合を実施例1、化粧料組成物2を用いた場合を実施例2、化粧料組成物3を用いた場合を実施例3とする。
〔測定条件〕
NMR磁場勾配スピンエコー装置:Varian社製 InovaUNITY 300
プローブ: Doty社製 磁場勾配プローブ
測定温度: 25.0℃
磁場勾配パルス幅(δ): 1000μs
磁場勾配強度(g): 0, 50, 100, 200, 300 Gauss/cm
パルス間隔時間(Δ): 0.002, 0.003, 0.005, 0.011, 0.021, 0.041, 0.101, 0.201, 0.301, 0.401, 0.501s
繰り返し待ち時間: 15s
積算回数: 4回
解析対象溶媒分子: 水
上記測定条件におけるパルス間隔時間Δは、測定試料における開放系溶媒相の溶媒分子のシグナルが実質的に消失するのに充分に長い時間に及んでおり、実施例1〜3においていずれもMを測定することができた。従って、化粧料組成物1〜3には閉塞系溶媒相が存在することが分かる。なお、化粧料組成物の組成に基づいて判断すると、かかる閉塞系溶媒相はベシクル構造を形成しているものと考えられる。当該相は乳酸により中和されたステアロキシプロピルN、N−ジメチルアミンおよびステアリルアルコールを主成分とする二分子膜により、水を主成分とする溶媒が取り囲まれた構造であると考えられ、ジプロピレングリコール、ベンジルオキシエタノールは、二分子膜と溶媒の間にしかるべき平衡で分配されていると考えられる。このとき、水を主成分とする溶媒の微視的な状態は開放系溶媒相に等しいと考えられる。
化粧料組成物1〜3を演算解析した結果を示すグラフを、図2〜7に示す。図2、4、6が、それぞれ化粧料組成物1〜3のτ−lnMプロットであり、これらから得られた切片の値を、gに対してプロットしたのが図3、5、7である。実施例1の結果を図2と3に、実施例2の結果を図4と5に、実施例3の結果を図6と7に、それぞれ示す。なお、各グラフの直線の式は、最小二乗法により近似式として求めた。ただし、図3については、最小二乗法による近似式では傾きが理論的に有り得ない正となったため、測定精度に対して傾きの絶対値が小さすぎたと考え、傾きを0として扱い、平均値を以って切片とした。
図3、5、7の各グラフの切片の値から、化粧料組成物1〜3における閉塞系溶媒相の水分子の存在割合を算出した。なお、M/(M+M)を計算し、得られた値に100を乗じて水分子の存在割合を重量%表示した。その結果、化粧料組成物における閉塞系溶媒相の水分子の存在割合(化粧料組成物中における閉塞系溶媒相の存在割合)は、実施例1では0.1重量%、実施例2では1.3重量%、実施例3では34.2重量%であると算出された。
また、図5、7の各グラフについては傾きが読み取れたので、閉塞系溶媒相の形態を同心球と仮定して計算することで、該相の平均粒径を算出することができた。図3ではベシクル粒径が小さすぎたために、直線の傾きが測定精度に比べて小さくなりすぎたものと考えられる。その結果、化粧料組成物における閉塞系溶媒相の形態的大きさは、平均粒径として、実施例2では2.2μm、実施例3では8.4μmであると算出された。
なお、参考として、化粧料組成物1〜3の偏光顕微鏡(ニコン製E600 POL)による写真(倍率:100倍)を図8〜10に示す。図9と10で観察される球状の粒子がベシクルである。図8ではこれがほとんど観測されず、偏光顕微鏡では定量性が乏しいものの、ベシクル量の序列は、化粧料組成物1<化粧料組成物2<化粧料組成物3となっていることがわかる。
今回の測定に使用した化粧料組成物は水が大過剰な組成物であるので、本発明の方法より算出された閉塞系溶媒相の水分子の存在割合は、閉塞構造、すなわち、ベシクルの存在割合にほぼ等しいとみなせるが、この序列は、偏光顕微鏡観察結果と一致した。偏光顕微鏡では、試料中の閉塞構造の存在割合に関し、序列を示すに留まっているが、本発明の方法では、比較定量的に把握することができ、しかもその形態的大きさも推定することができた。
本発明の溶媒含有組成物の状態解析方法は、化粧品、香粧品の状態解析や、保存状態の把握などの品質管理及び製造条件の検討に好適に使用され得る。
NMR磁場勾配スピンエコー測定法の基本的なパルスシーケンスである。 化粧料組成物1についてのτ−lnMプロットである。 化粧料組成物1についてのg−切片プロットである。 化粧料組成物2についてのτ−lnMプロットである。 化粧料組成物2についてのg−切片プロットである。 化粧料組成物3についてのτ−lnMプロットである。 化粧料組成物3についてのg−切片プロットである。 化粧料組成物1の偏光顕微鏡写真(倍率:100倍)である。 化粧料組成物2の偏光顕微鏡写真(倍率:100倍)である。 化粧料組成物3の偏光顕微鏡写真(倍率:100倍)である。

Claims (5)

  1. NMR磁場勾配スピンエコー測定法を用いる、開放系溶媒相Xが閉塞系溶媒相Yの周囲を満たしてなると予想される組成物中における溶媒相Yの存在の検出方法であって、磁場勾配パルス間隔時間Δを、溶媒相Xの溶媒分子のスピンエコーシグナルが実質的に消失するに至る時間以上にとり、溶媒相Yの溶媒分子のスピンエコーシグナルを測定する工程を有し、溶媒相Yの溶媒分子のスピンエコーシグナルが測定された場合に該組成物中における溶媒相Yの存在が検出される、検出方法。
  2. 閉塞系がベシクル構造からなる請求項1記載の方法。
  3. 溶媒相Yがカチオン系界面活性剤又は高級アルコール及び水を含有する請求項1又は2記載の方法。
  4. NMR磁場勾配スピンエコー測定法を用いる、開放系溶媒相Xが閉塞系溶媒相Yの周囲を満たしてなる組成物中における溶媒相Yの存在割合の算出方法であって、
    (1)磁場勾配パルス間隔時間Δを、溶媒相Xの溶媒分子のスピンエコーシグナルが実質的に消失するに至る時間以上にとり、溶媒相Yの溶媒分子のスピンエコーシグナルを測定する工程、
    (2)工程(1)で得られたシグナルの強度を遅延時間に対し対数プロットして得られる直線の切片の値を得る工程、及び
    (3)工程(2)で得られた切片の値を磁場勾配強度の2乗に対しプロットして得られる直線の切片の値を得、当該切片の値により該組成物中における溶媒相Yの存在割合を算出する工程、
    を有する、算出方法。
  5. NMR磁場勾配スピンエコー測定法を用いる、開放系溶媒相Xが閉塞系溶媒相Yの周囲を満たしてなる組成物中における溶媒相Yの形態的大きさの推定方法であって、
    (1)磁場勾配パルス間隔時間Δを、溶媒相Xの溶媒分子のスピンエコーシグナルが実質的に消失するに至る時間以上にとり、溶媒相Yの溶媒分子のスピンエコーシグナルを測定する工程、
    (2)工程(1)で得られたシグナルの強度を遅延時間に対し対数プロットして得られる直線の切片の値を得る工程、及び
    (3)工程(2)で得られた切片の値を磁場勾配強度の2乗に対しプロットして得られる直線の傾きの値を得、当該傾きの値により該組成物中における溶媒相Yの形態的大きさを推定する工程、
    を有する、推定方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019018148A (ja) * 2017-07-14 2019-02-07 三菱重工業株式会社 分離膜装置の汚損度評価方法

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