JP2006141436A - 経皮血管穿刺封止材および経皮血管穿刺封止装置 - Google Patents

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浩 吉岡
Yuichi Mori
森  有一
Shinya Otsubo
真也 大坪
Yuichi Murayama
雄一 村山
Hiroyuki Takao
洋之 高尾
Yoshio Toyoda
芳穂 豊田
Atsushi Kureha
篤史 呉羽
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Abstract

【課題】 血管穿刺して治療や検査を行った後に、血管穿刺部における注射針等を抜いた後の止血を、容易かつ確実にできる経皮血管穿刺封止材を提供する。
【解決手段】 ハイドロゲル形成性高分子と、水とを少なくとも含む経皮血管穿刺封止材。該経皮血管穿刺封止材は、ゾル−ゲル転移温度(例えば0℃以上37℃以下の範囲にある)より低温では流動性のゾル状態となり、ゾル−ゲル転移温度より高温では可逆的にハイドロゲル状態となる。
【選択図】 図1

Description

本発明はハイドロゲルを含む経皮血管穿刺封止材に関する。更に詳しくは、低温の流動状態で経皮血管穿刺部位に容易に注入でき、体温ではゲル状となって経皮血管穿刺部位を封止して血管からの出血を防止できる経皮血管穿刺封止材に関する。
近年、血管穿刺カテ−テル、血管造影、血管内注射などの経皮血管穿刺を伴う治療や検査が広く行われている。血管穿刺カテ−テルは、例えば、手術時に動静脈圧をモニタ−したり、血液透析等の場合にも実施されている。また、血管造影は診断の場合だけでなく、血管塞栓術や経皮カテ−テル的血管形成術などにも広く用いられている。
これらの経皮血管穿刺を伴う治療や検査では注射針、カテ−テル、チュ−ブ等を取外した後、経皮血管穿刺部位を手などを用いて物理的に圧迫して止血する方法や、コラーゲン等の生化学的止血性を有する材料を用いて止血する方法が用いられてきた。これらの中で最も広く用いられている方法は、手を用いて物理的に圧迫して止血する方法である。これは、穿刺孔よりも中枢側にある血管を体表外から手で圧迫する方法である。この方法は、止血の状態を目視で確認しながら実施するので安全確実であるが、確実な止血を得るためには数時間〜十数時間を要するため、止血を担当する術者や患者に甚だしい肉体的負担を強いるという欠点がある。
一方、生化学的止血性を有する材料を用いて止血する方法として、コラーゲン製の止血材料を用いる方法が提案されており(特許文献1;特開平6−339483号公報等)、最近、多く実施されている。この方法では、線維状のコラーゲンが生化学的な止血作用を奏することを利用して、これをプラグ状に成型して穿刺孔等の破孔にデリバリーすることにより止血を行うことを目的としている。しかしながら、天然の線維状のコラーゲンは生体内での分解性が低く、長期間残留することによって異物反応が起きる可能性がある。一方、抗原決定基を酵素処理して得られる抗原性の少ないアテロコラーゲンは止血性が弱いため、再線維化しても架橋を加えないと、止血するまでの一定期間、生体内に溶解させずに留置させることは難しい。しかし、強度に架橋を加えたアテロコラーゲンは、生体適合性が低く、炎症性を発現するという報告がある(非特許文献1;Koideら,Journal of Biomedical Materials Research,27(1)(1993)p.79−87)。
特開平6−339483号公報 Koideら,Journal of Biomedical Materials Research,27(1)(1993)p.79−87)
本発明の目的は、上記したような血管穿刺して治療や検査を行った後に、血管穿刺部における注射針等を抜いた後の止血を、容易かつ確実にできる経皮血管穿刺封止材を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記経皮血管穿刺封止材を簡便且つ確実に、封止を行うべき部位に注入可能な経皮血管穿刺封止装置を提供することにある。
本発明者らは上述の点を改良した経皮血管穿刺封止材について種々検討した結果、ハイドロゲル形成性高分子と、水とを少なくとも含み、0℃以上37℃以下の範囲にあるゾル−ゲル転移温度より低温では流動性のゾル状態、ゾル−ゲル転移温度より高温では可逆的にハイドロゲル状態となることを特徴とする経皮血管穿刺封止材によって上述の課題が解決できることを見出し、本発明を完成した。
上記構成を有する本発明の経皮血管穿刺封止材を用いた場合には、そのゾルーゲル転移温度より低い温度のゾル状態で容易に穿刺部位に注入することができ、そのまま体温でゲル化させることにより流動性のないハイドロゲル状態とすることができるので、該経皮血管穿刺封止材は血管と皮膚表面の間および皮膚表面に留置することができる。その結果、血管穿刺部位からの継続的な出血を止めることができる。血管穿刺部位からの継続的な出血が止まった後は、生理的な凝血反応によって永続的な止血に至る。
また、上記構成を有する本発明の経皮血管穿刺封止装置を用いた場合には、前記経皮血管穿刺封止材を簡便且つ確実に、封止を行うべき部位に注入することが可能となる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ本発明を更に具体的に説明する。以下の記載において量比を表す「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準とする。
(ハイドロゲル)
本発明のハイドロゲルは、ゾル−ゲル転移温度を有するハイドロゲル形成性の高分子を少なくとも含む。該ハイドロゲルは、より低い温度でゾル状態、より高温でゲル状態となる熱可逆的なゾル−ゲル転移を示す。
本発明のハイドロゲルを構成する「ハイドロゲル形成性高分子」とは、架橋(crosslinking)構造ないし網目構造を有し、該構造に基づき、その内部に水等の分散液体を保持することによりハイドロゲルを形成可能な性質を有する高分子をいう。又、「ハイドロゲル」とは高分子を含む架橋ないし網目構造と該構造中に支持ないし保持された(分散液体たる)水を少なくとも含むゲルをいう。
架橋ないし網目構造中に保持された「分散液体」は水を主要成分として含む液体である限り、特に制限されない。より具体的に言えば、分散液体は水自身であってもよく、また水溶液及び/又は含水液体のいずれであってもよい。この含水液体は、該含水液体の全体100部に対して、水を80部以上、更には90部以上含むことが好ましい。
本発明の目的に反しない限り、上記分散液体は、所定の含量で有機溶媒(例えば、水と相溶性を有するエタノール等の親水性溶媒)あるいは造影剤を含んでいてもよい。
(ゾル−ゲル転移温度)
本発明において「ゾル状態」、「ゲル状態」および「ゾル−ゲル転移温度の定義および測定は、文献(H. Yoshiokaら、Journal of Macromolecular Science,A31(1),113(1994))に記載された定義および方法に基づく。即ち、観測周波数1Hzにおける試料の動的弾性率を低温側から高温側へ徐々に温度を変化(1℃/1分)させて測定し、該試料の貯蔵弾性率(G´、弾性項)が損失弾性率(G″、粘性項)を上回る点の温度をゾル−ゲル転移温度とする。一般に、G″>G´の状態がゾルであり、G″<G´の状態がゲルであると定義される。このゾル−ゲル転移温度の測定に際しては、下記の測定条件が好適に使用可能である。
<動的・損失弾性率の測定条件>
測定機器(商品名):ストレス制御式レオメーター AR500、TAインスツルメント社製
試料溶液(ないし分散液)の濃度(ただし「ゾル−ゲル転移温度を有するハイドロゲル形成性高分子」の濃度として):10(重量)%
試料溶液の量:約0.8 g
測定用セルの形状・寸法:アクリル製平行円盤(直径4.0cm)、ギャップ600μm
測定周波数:1Hz
適用ストレス:線形領域内。
本発明においては、生体組織の熱的損傷を防ぐ点からは、上記ゾル−ゲル転移温度は0℃より高く、37℃以下であることが好ましく、更には、5℃より高く35℃以下(特に10℃以上33℃以下)であることが好ましい。
このような好適なゾル−ゲル転移温度を有するハイドロゲル形成性高分子は、後述するような具体的な化合物の中から、上記したスクリーニング方法(ゾル−ゲル転移温度測定法)に従って容易に選択することができる。本発明の経皮血管穿刺封止材を生体の目的部位に留置し、穿刺部位を封止させる一連の操作においては、上記したゾル−ゲル転移温度(a℃)を生体の温度(b℃)と、生体の目的部位へ注入するための冷却時の温度(c℃)との間に設定することが好ましい。すなわち、上記した3種の温度a℃、b℃、およびc℃の間には、b>a>cの関係があることが好ましい。より具体的には、(b−a)は1〜36℃、更には2〜30℃であることが好ましく、また(a−c)は1〜35℃、更には2〜30℃であることが好ましい。
(経皮血管穿刺封止材の動作に対する追従性)
本発明の経皮血管穿刺封止材に基づくハイドロゲルは、その生体組織の形態変化への追従性のバランスの点から、より高い周波数に対しては固体的な挙動を示し、他方、より低い周波数に対しては液体的な挙動を示すことが好ましい。より具体的には、該ハイドロゲルの動作に対する追従性は以下の方法で好適に測定することが可能である。
(動作に対する追従性の測定方法)
ハイドロゲル形成性の高分子を含む本発明の経皮血管穿刺封止材(ハイドロゲルとして1mL)をゾル状態(ゾル−ゲル転移温度より低い温度)で内径1cmの試験管に入れ、該経皮血管穿刺封止材のゾル−ゲル転移温度よりも充分高い温度(たとえば該ゾル−ゲル転移温度よりも約10℃高い温度)とした水浴中で上記試験管を12時間保持し、該ハイドロゲルをゲル化させる。
次いで、該試験管の上下を逆にした場合に溶液/空気の界面(メニスカス)が溶液の自重で変形するまでの時間(T)を測定する。ここで1/T(sec−1)より低い周波数の動作に対して該ハイドロゲルは液体として振舞い、1/T(sec−1)より高い周波数の動作に対しては、該ハイドロゲルは固体として振舞うことになる。本発明のハイドロゲルの場合にはTは1分〜24時間、好ましくは5分〜10時間である。
(定常流動粘度)
本発明の経皮血管穿刺封止材に基づくハイドロゲルのゲル的性質は、定常流動粘度の測定によっても好適に測定可能である。定常流動粘度η(イータ)は、例えばクリープ実験によって測定することができる。クリープ実験では一定のずり応力を試料に与え、ずり歪の時間変化を観測する。一般に粘弾性体のクリープ挙動では、初期にずり速度が時間とともに変化するが、その後ずり速度が一定となる。この時のずり応力とずり速度の比を定常流動粘度ηと定義する。この定常流動粘度は、ニュートン粘度と呼ばれることもある。ただし、ここで定常流動粘度は、ずり応力にほとんど依存しない線形領域内で決定されなければならない。
具体的な測定方法は、測定装置としてストレス制御式粘弾性測定装置(AR500、TAインスツルメント社製)を、測定デバイスにアクリル製円盤(直径4cm)を使用し、試料厚み600μmとして少なくとも5分間以上の測定時間クリープ挙動(遅延曲線)を観測する。サンプリング時間は、最初の100秒間は1秒に1回、その後は10秒に1回とする。適用するずり応力(ストレス)の決定にあたっては、10秒間ずり応力を負荷して偏移角度が2×10−3rad以上検出される最低値に設定する。解析には5分以降の少なくとも20以上の測定値を採用する。本発明の経皮血管穿刺封止材に基づくハイドロゲルは、37℃において、ηが5×10〜1×10Pa・secであることが好ましく、更には8×10〜8×10Pa・sec、特に1×10Pa・sec以上、7×10Pa・sec以下であることが好ましい。
上記ηが5×10Pa・sec未満では短時間の観測でも流動性が比較的高くなり、生体内の目的部位から移動し易くなる。他方、ηが1×10Pa・secを超えると、長時間の観測でもゲルが流動性をほとんど示さなくなる傾向が強まり、生体の変形に対する経皮血管穿刺封止材の追従性が不十分となる。また、ηが1×10Pa・secを超えるとゲルが脆さを呈する可能性が強まり、わずかの純弾性変形の後、一挙にもろく破壊する脆性破壊が生起しやすい傾向が強まる。
(動的弾性率)
本発明の経皮血管穿刺封止材に基づくハイドロゲルのゲル的性質は、動的弾性率によっても好適に測定可能である。該ゲルに振幅γ、振動数をω/2πとする歪みγ(t)=γcosωt(tは時間)を与えた際に、一定応力をσ、位相差をδとするσ(t)=σcos(ωt+δ)が得られたとする。|G|=σ/γとすると、動的弾性率G’(ω)=|G|cosδと、損失弾性率G”(ω)=|G|sinδとの比(G”/G’)が、ゲル的性質を表す指標となる。
本発明の経皮血管穿刺封止材に基づくハイドロゲルは、ω/2π=1Hzの歪み(速い動作に対応する)に対しては固体として挙動し、且つ、ω/2π=10−4Hzの歪み(遅い動作に対応する)に対しては流体として挙動する。より具体的には、本発明の経皮血管穿刺封止材に基づくハイドロゲルは、以下の性質を示すことが好ましい(このような弾性率測定の詳細については、例えば、文献:小田良平ら編集、近代工業化学19、第359頁、朝倉書店、1985を参照することができる)。
ω/2π=1Hz(ゲルが固体として挙動する振動数)の際に、(G”/G’)s=(tan δ)sが1未満であることが好ましい(より好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.5以下)。
ω/2π=10−4Hz(ゲルが液体として挙動する振動数)の際に、(G”/G’)L=(tan δ)Lが1以上であることが好ましい(より好ましくは1.5以上、特に好ましくは2以上)。
上記(tan δ)sと、(tan δ)Lとの比{(tan δ)s/(tan δ)L}が1未満であることが好ましい(より好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.5以下)。
<測定条件>
経皮血管穿刺封止材中のハイドロゲル形成性高分子の濃度:約8質量%
温度:37℃
測定機器:ストレス制御式レオメータ(機種名:AR500、TAインスツルメンツ社製)
測定用セルの形状・寸法:ステンレス製平行円盤(直径4.0cm)、ギャップ600μm
適用ストレス:線形領域内。
(低温での流動性)
本発明の経皮血管穿刺封止材は低温で経皮血管穿刺部位へ注入するため、低温で適度な粘性を有することが必要である。粘性の測定は通常の静的粘性率の測定によって求めることが可能である。
本発明の経皮血管穿刺封止材は10℃における粘性率が、0.005〜100Pa・secであることが好ましく、更には0.01〜10Pa・sec、特に0.1Pa・sec以上、1Pa・sec以下であることが好ましい。
<測定条件>
経皮血管穿刺封止材中のハイドロゲル形成性高分子の濃度:約8質量%
温度:10℃
測定機器:ストレス制御式レオメータ(機種名:AR500、TAインスツルメンツ社製)
測定用セルの形状・寸法:ステンレス製平行円盤(直径4.0cm)、ギャップ600μm
適用ストレス:線形領域内。
(ハイドロゲル形成性高分子)
上述したような熱可逆的なゾル−ゲル転移を示す(すなわち、ゾル−ゲル転移温度を有する)限り、本発明の経皮血管穿刺封止材に使用可能なハイドロゲル形成性の高分子は特に制限されない。
その水溶液がゾル−ゲル転移温度を有し、該転移温度より低い温度で可逆的にゾル状態を示す高分子の具体例としては、例えば、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドとのブロック共重合体等に代表されるポリアルキレンオキサイドブロック共重合体;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のエーテル化セルロース;キトサン誘導体(K. R. Holmeら、Macromolecules,24,3828(1991))等が知られている。
ポリアルキレンオキサイドブロック共重合体として、ポリプロピレンオキサイドの両端にポリエチレンオキサイドが結合したプルロニック(Pluronic)F−127(商品名、BASF Wyandotte Chemicals Co.製)ゲルが開発されている。このプルロニックF−127の高濃度水溶液は、約20℃以上でハイドロゲルとなり、これより低い温度で水溶液となることが知られている。しかしながら、この材料の場合は約20質量%以上の高濃度でしかゲル状態にはならず、また約20質量%以上の高濃度でゲル化温度より高温に保持しても、更に水を加えるとゲルが溶解してしまう。また、プルロニックF−127は分子量が比較的小さく、約20質量%以上の高度のゲル状態で非常に高い浸透圧を示すのみならず細胞膜を容易に透過するので、生体に悪影響を及ぼす可能性がある。
一方、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等に代表されるエーテル化セルロースの場合は、通常は、ゾル−ゲル転移温度が高く約45℃以上である(N.Sarkar,J.Appl.Polym.Science,24,1073,1979)。これに対して、生体の体温は通常37℃近辺の温度であるため、上記エーテル化セルロースはゾル状態であり、該エーテル化セルロースを経皮血管穿刺封止材として用いることは事実上困難である。
上記したように、その水溶液中がゾル−ゲル転移点を有し、且つ該転移温度より低い温度で可逆的にゾル状態を示す従来の高分子の問題点は、1)ゾル−ゲル転移温度より高温で一旦ゲル化しても、更に水を添加するとゲルが溶解してしまうこと、2)ゾル−ゲル転移温度が生体の体温(37℃近辺)よりも高く、体温ではゾル状態であること、3)ゲル化させるためには、水溶液の高分子濃度を非常に高くする必要があること、等である。
これに対して、本発明者らの検討によれば、好ましくは0℃より高く37℃以下であるゾル−ゲル転移温度を有するハイドロゲル形成性の高分子(例えば、曇点を有する複数のブロックと親水性のブロックが結合してなり、その水溶液がゾル−ゲル転移温度を有し、且つ、ゾル−ゲル転移温度より低い温度で可逆的にゾル状態を示す高分子)を用いて経皮血管穿刺封止材を構成した場合に、上記問題は解決されることが判明している。
(好適なハイドロゲル形成性高分子)
本発明の経皮血管穿刺封止材として好適に使用可能な疎水結合を利用したハイドロゲル形成性高分子は、曇点を有する複数のブロックと親水性のブロックが結合してなることが好ましい。該親水性のブロックは、ゾル−ゲル転移温度より低い温度で該ハイドロゲルが水溶性になるために存在することが好ましく、また曇点を有する複数のブロックは、ハイドロゲルがゾル−ゲル転移温度より高温でゲル状態に変化するために存在することが好ましい。換言すれば、曇点を有するブロックは該曇点より低い温度では水に溶解し、該曇点より高温では水に不溶性に変化するために、曇点より高温で、該ブロックはゲルを形成するための疎水結合を含む架橋点としての役割を果たす。すなわち、疎水性結合に由来する曇点が、上記ハイドロゲルのゾル−ゲル転移温度に対応する。
ただし、該曇点とゾル−ゲル転移温度とは必ずしも一致しなくてもよい。これは、上記した「曇点を有するブロック」の曇点は、一般に、該ブロックと親水性ブロックとの結合によって影響を受けるためである。
本発明に用いるハイドロゲルは、疎水性結合が温度の上昇と共に強くなるのみならず、その変化が温度に対して可逆的であるという性質を利用したものである。1分子内に複数個の架橋点が形成され、安定性に優れたゲルが形成される点からは、ハイドロゲル形成性の高分子が「曇点を有するブロック」を複数個有することが好ましい。
一方、上記ハイドロゲル形成性高分子中の親水性ブロックは、前述したように、該ハイドロゲル形成性高分子がゾル−ゲル転移温度よりも低い温度で水溶性に変化させる機能を有し、上記転移温度より高温で疎水性結合力が増大しすぎて上記ハイドロゲルが凝集沈澱してしまうことを防止しつつ、含水ゲルの状態を形成させる機能を有する。
更に本発明に用いるハイドロゲルは、生体内で分解、吸収されるものであることが望ましい。すなわち、本発明のハイドロゲル形成性高分子が生体内で加水分解反応や酵素反応により分解されて、生体に無害な低分子量体となって吸収、排泄されることが好ましい。
本発明のハイドロゲル形成性高分子が曇点を有する複数のブロックと親水性のブロックが結合してなるものである場合には、曇点を有するブロックと親水性のブロックの少なくともいずれか、好ましくは両方が生体内で分解、吸収されるものであることが好ましい。
(曇点を有する複数のブロック)
曇点を有するブロックとしては、水に対する溶解度−温度係数が負を示す高分子のブロックであることが好ましく、より具体的には、ポリプロピレンオキサイド、プロピレンオキサイドと他のアルキレンオキサイドとの共重合体、ポリN−置換アクリルアミド誘導体、ポリN−置換メタアクリルアミド誘導体、N−置換アクリルアミド誘導体とN−置換メタアクリルアミド誘導体との共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール部分酢化物を含む群より選ばれる高分子が好ましく使用可能である。
曇点を有するブロックを生体内で分解、吸収されるものとするには、曇点を有するブロックを疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸から成るポリペプチドとすることが有効である。あるいはポリ乳酸やポリグリコール酸などのポリエステル型生分解性ポリマーを生体内で分解、吸収される曇点を有するブロックとして利用することもできる。
上記の高分子(曇点を有するブロック)の曇点が4℃より高く40℃以下であることが、本発明に用いる高分子(曇点を有する複数のブロックと親水性のブロックが結合した化合物)のゾル−ゲル転移温度を0℃より高く37℃以下とする点から好ましい。
ここで曇点の測定は、例えば、上記の高分子(曇点を有するブロック)の約1質量%の水溶液を冷却して透明な均一溶液とした後、除々に昇温(昇温速度約1℃/min)して、該溶液がはじめて白濁する点を曇点とすることによって行うことが可能である。
本発明に使用可能なポリN−置換アクリルアミド誘導体、ポリN−置換メタアクリルアミド誘導体の具体的な例を以下に列挙する。
ポリ−N−アクリロイルピペリジン;ポリ−N−n−プロピルメタアクリルアミド;ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド;ポリ−N,N−ジエチルアクリルアミド;ポリ−N−イソプロピルメタアクリルアミド;ポリ−N−シクロプロピルアクリルアミド;ポリ−N−アクリロイルピロリジン;ポリ−N,N−エチルメチルアクリルアミド;ポリ−N−シクロプロピルメタアクリルアミド;ポリ−N−エチルアクリルアミド。
上記の高分子は単独重合体(ホモポリマー)であっても、上記重合体を構成する単量体と他の単量体との共重合体であってもよい。このような共重合体を構成する他の単量体としては、親水性単量体、疎水性単量体のいずれも用いることができる。一般的には、親水性単量体と共重合すると生成物の曇点は上昇し、疎水性単量体と共重合すると生成物の曇点は下降する。従って、これらの共重合すべき単量体を選択することによっても、所望の曇点(例えば4℃より高く40℃以下の曇点)を有する高分子を得ることができる。
(親水性単量体)
上記親水性単量体としては、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタアクリレート、ヒドロキシメチルアクリレート、酸性基を有するアクリル酸、メタアクリル酸およびそれらの塩、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等、並びに塩基性基を有するN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドおよびそれらの塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(疎水性単量体)
一方、上記疎水性単量体としては、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のアクリレート誘導体およびメタクリレート誘導体、N−n−ブチルメタアクリルアミド等のN−置換アルキルメタアクリルアミド誘導体、塩化ビニル、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(親水性のブロック)
一方、上記した曇点を有するブロックと結合すべき親水性のブロックとしては、具体的には、メチルセルロース、デキストラン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリN−ビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、ポリN−メチルアクリルアミド、ポリヒドロキシメチルアクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸およびそれらの塩;ポリN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、ポリN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドおよびそれらの塩等が挙げられる。
また親水性のブロックは生体内で分解、代謝、排泄されることが望ましく、アルブミン、ゼラチンなどのたんぱく質、ヒアルロン酸、ヘパリン、キチン、キトサンなどの多糖類などの親水性生体高分子が好ましく用いられる。
曇点を有するブロックと上記の親水性のブロックとを結合する方法は特に制限されないが、例えば、上記いずれかのブロック中に重合性官能基(例えばアクリロイル基)を導入し、他方のブロックを与える単量体を共重合させることによって行うことができる。また、曇点を有するブロックと上記の親水性のブロックとの結合物は、曇点を有するブロックを与える単量体と、親水性のブロックを与える単量体とのブロック共重合によって得ることも可能である。また、曇点を有するブロックと親水性のブロックとの結合は、予め両者に反応活性な官能基(例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基、イソシアネート基等)を導入し、両者を化学反応により結合させることによって行うこともできる。この際、親水性のブロック中には通常、反応活性な官能基を複数導入する。また、曇点を有するポリプロピレンオキサイドと親水性のブロックとの結合は、例えば、アニオン重合またはカチオン重合で、プロピレンオキサイドと「他の親水性ブロック」を構成するモノマー(例えばエチレンオキサイド)とを繰り返し逐次重合させることで、ポリプロピレンオキサイドと「親水性ブロック」(例えばポリエチレンオキサイド)が結合したブロック共重合体を得ることができる。このようなブロック共重合体は、ポリプロピレンオキサイドの末端に重合性基(例えばアクリロイル基)を導入後、親水性のブロックを構成するモノマーを共重合させることによっても得ることができる。更には、親水性のブロック中に、ポリプロピレンオキサイド末端の官能基(例えば水酸基)と結合反応し得る官能基を導入し、両者を反応させることによっても、本発明に用いる高分子を得ることができる。また、ポリプロピレングリコールの両端にポリエチレングリコールが結合した、プルロニック F−127(商品名、旭電化工業(株)製)等の材料を連結させることによっても、本発明に用いるハイドロゲル形成性の高分子を得ることができる。
この曇点を有するブロックを含む態様における本発明の高分子は、曇点より低い温度においては、分子内に存在する上記「曇点を有するブロック」が親水性のブロックとともに水溶性であるので、完全に水に溶解し、ゾル状態を示す。しかし、この高分子の水溶液の温度を上記曇点より高温に加温すると、分子内に存在する「曇点を有するブロック」が疎水性となり、疎水的相互作用によって、別個の分子間で会合する。
一方、親水性のブロックは、この時(曇点より高温に加温された際)でも水溶性であるので、本発明の高分子は水中において、曇点を有するブロック間の疎水性会合部を架橋点とした三次元網目構造を持つハイドロゲルを生成する。このハイドロゲルの温度を再び、分子内に存在する「曇点を有するブロック」の曇点より低い温度に冷却すると、該曇点を有するブロックが水溶性となり、疎水性会合による架橋点が解放され、ハイドロゲル構造が消失して、本発明の高分子は、再び完全な水溶液となる。このように、好適な態様における本発明の高分子のゾル−ゲル転移は、分子内に存在する曇点を有するブロックの該曇点における可逆的な親水性、疎水性の変化に基づくものであるので、温度変化に対応して、完全な可逆性を有する。
(ゲルの溶解性)
上述したように水溶液中でゾル−ゲル転移温度を有する高分子を少なくとも含む本発明のハイドロゲル形成性の高分子は、該ゾル−ゲル転移温度より高温(d℃)で実質的に水不溶性を示し、ゾル−ゲル転移温度より低い温度(e℃)で可逆的に水可溶性を示す。
上記した高い温度(d℃)は、ゾル−ゲル転移温度より1℃以上高い温度であることが好ましく、2℃以上(特に5℃以上)高い温度であることが更に好ましい。また、上記「実質的に水不溶性」とは、上記温度(d℃)において、水100mLに溶解する上記高分子の量が、5.0g以下(更には0.5g以下、特に0.1g以下)であることが好ましい。
一方、上記した低い温度(e℃)は、ゾル−ゲル転移温度より(絶対値で)1℃以上低い温度であることが好ましく、2℃以上(特に5℃以上)低い温度であることが更に好ましい。また、上記「水可溶性」とは、上記温度(e℃)において、水100mLに溶解する上記高分子の量が、0.5g以上(更には1.0g以上)であることが好ましい。更に「可逆的に水可溶性を示す」とは、上記ハイドロゲル形成性の高分子の水溶液が、一旦(ゾル−ゲル転移温度より高温において)ゲル化された後においても、ゾル−ゲル転移温度より低い温度においては、上記した水可溶性を示すことをいう。
上記高分子は、その10%水溶液が5℃で、10〜3,000センチポイズ (更には50〜1,000センチポイズ)の粘度を示すことが好ましい。このような粘度は、例えば以下のような測定条件下で測定することが好ましい。
粘度計:ストレス制御式レオメータ(機種名:AR500、TAインスツルメンツ社製)
ローター直径:60mm
ローター形状:平行平板
本発明のハイドロゲル形成性高分子の水溶液は、上記ゾル−ゲル転移温度より高温でゲル化させた後、多量の水中に浸漬しても、該ゲルは実質的に溶解しない。上記経皮血管穿刺封止材の上記特性は、例えば、以下のようにして確認することが可能である。
すなわち、本発明のハイドロゲル形成性の高分子0.15gを、上記ゾル−ゲル転移温度より低い温度(例えば氷冷下)で、蒸留水1.35gに溶解して10wt%の水溶液を作製し、該水溶液を径が35mmのプラスチックシャーレ中に注入し、37℃に加温することによって、厚さ約1.5mmのゲルを該シャーレ中に形成させた後、該ゲルを含むシャーレ全体の重量(fグラム)を測定する。次いで、該ゲルを含むシャーレ全体を250ml中の水中に37℃で10時間静置した後、該ゲルを含むシャーレ全体の重量(gグラム)を測定して、ゲル表面からの該ゲルの溶解の有無を評価する。この際、本発明のハイドロゲル形成性の高分子においては、上記ゲルの重量減少率、すなわち(f−g)/fが、5.0%以下であることが好ましく、更には1.0%以下(特に0.1%以下)であることが好ましい。
本発明のハイドロゲル形成性高分子の水溶液は、上記ゾル−ゲル転移温度より高温でゲル化させた後、多量(体積比で、ゲルの0.1〜100倍程度)の水中に浸漬しても、長期間に亘って該ゲルは溶解することがない。このような本発明に用いる高分子の性質は、例えば、該高分子内に曇点を有するブロックが2個以上(複数個)存在することによって達成される。
これに対して、ポリプロピレンオキサイドの両端にポリエチレンオキサイドが結合してなる前述のプルロニックF−127を用いて同様のゲルを作成した場合には、数時間の静置で該ゲルは完全に水に溶解することを、本発明者らは見出している。
非ゲル化時の細胞毒性をできる限り低いレベルに抑える点からは、水に対する濃度、すなわち{(高分子)/(高分子+水)}×100(%)で、20%以下(更には15%以下、特に10%以下)の濃度でゲル化が可能なハイドロゲル形成性の高分子を用いることが好ましい。
本発明に用いられるハイドロゲル形成性高分子の分子量は3万以上3,000万以下が好ましく、より好ましくは10万以上1,000万以下、更に好ましくは50万以上500万以下である。
(造影剤)
本発明の経皮血管穿刺封止材は、造影剤を含有させることによりX線等の放射線や核磁気共鳴(MRI)造影下で視認できるようにすることができる。造影剤としては放射線不透過性の金属(例えばタンタルや白金など)、ヨード製剤、ガドリニウム化合物などのMRI用の磁性体造影剤、バリウム製剤などを用いることができる。
本発明の経皮血管穿刺封止材ではハイドロゲル中に均一に分布させることが容易な点から、水溶性のイオン性あるいは非イオン性のヨード製剤が好ましく用いられる。イオン性ヨード製剤としてはイオン性ダイマーであるイオキサグル酸など、非イオン性ヨード製剤としては、イオベルソール、イオヘキソール、イオパミドール、イオメプロール、メトリザマイドなどを挙げることができる。
(止血剤)
本発明の経皮血管穿刺封止材は、各種の止血性成分を含有させることにより経皮血管穿刺封止後の止血時間を短縮することができる。止血性成分としては、コラーゲン、フィブリン、フィブリノーゲン、トロンビンなどのタンパク質、血小板、カルシウムイオンなどを挙げることができる。
(経皮血管穿刺封止装置)
本発明の経皮血管穿刺封止材を経皮血管穿刺部位に注入するための装置は、外部コンタミネーションを実質的に遮断することができ、且つ、該注入を行うための、ある程度の圧力を経皮血管穿刺封止材に印加することが可能な装置である限り、特に制限なく公知のデバイスを使用することができる。
(好適な経皮血管穿刺封止装置)
上記した本発明の経皮血管穿刺封止材との組合せにおいては、経皮血管穿刺封止材を収容するための封止材収容部と、該封止材を封止を行うべき部位に注入するするための封止材注入部とを少なくとも有する封止材注入器具が好適に使用可能である。このような封止材注入器具としては、例えば、通常の医療用シリンジ、加圧のためのフレキシブルな部位を有する筒状の器具(例えば、一方に細い部分を有する袋状のプラスチック製品)を使用することができる。
その他、本発明の経皮血管穿刺封止材を経皮血管穿刺部位に注入するための装置として、例えばUSP6,656,207、USP5,922,009、特開平6−339483号に記載された止血剤注入器具を用いることもできる。
(好適な経皮血管穿刺封止材注入器具)
本発明において好適な経皮血管穿刺封止材注入器具は、前記封止材注入器具が、血管壁が組織溝に隣接するその位置に穿刺傷を有する患者の前記組織溝を経てかつ前記血管の外壁に向けて経皮血管穿刺封止材を挿入するための器具であるものである。
本発明において更に好適な経皮血管穿刺封止材注入器具は、前記封止材注入器具が、(a)経皮血管穿刺封止材のチャージと;(b)前記組織溝を通過するように適合された中空シースであって、前記穿刺傷よりも大きい横断面外形を有する中空シースと;(c)前記経皮血管穿刺封止材を前記中空シース中に配置する器具と;(d)前記経皮血管穿刺封止材を、前記シースを経て前記穿刺傷周りの前記血管壁の外側へ推進する器具とを含むものである。
このような経皮血管穿刺封止材注入器具は、管状シースの差込みによる皮膚の開口を小さくできるとともに、開口を塞ぐために残留させる経皮血管穿刺封止材を低減できるという点から、特に有利である。
上記構成を有する経皮血管穿刺封止装置の好適な一態様は、多条コイルの外周に樹脂被覆を施した可撓性の中空管体内に、撚り線からなる心材を相対変位可能に挿通させ、前記中空管体と前記心材との先端を相互に固着するとともに前記中空管体の先端側に膨縮機構を設け、前記中空管体の手元側に前記中空管体と前記心材とを相対変位させ前記膨縮機構を膨縮させるための螺合機構を装着した管状処置具と、先端部が経皮して血管に差し込まれ、後端部にいずれか一方から経皮血管穿刺封止材を注入するための側注チューブを少なくとも2本備えており、前記管状処置具が挿通する管状シースとからなる。側注チューブにはシリンジなどの経皮血管穿刺封止材注入具が接続でき、経皮血管穿刺封止材を注入できる。
好適な第2の態様の経皮血管穿刺封止装置は、管状処置具の先端側に、1または2以上の放射線不透過マーカを付設したことを特徴とする。
好適な第3の態様の経皮血管穿刺封止装置は、側注チューブが、長さの異なる長側注チューブと短側注チューブとを有し、前記短側注チューブが前記経皮血管穿刺封止材を注入するための側注チューブであることを特徴とする。
好適な第4の態様の経皮血管穿刺封止装置は、管状シースが造影剤を混入した材料で形成されていることを特徴とする。
好適な第5の態様の経皮血管穿刺封止装置は、上記した第1〜第4の態様のいずれか1に記載の経皮血管穿刺封止装置を用い、皮膚を貫通して血管まで差し込まれた前記管状シース内へ、前記管状処置具の先端側を挿入した後に前記螺合機構を操作して前記膨縮機構を膨大させるとともに、前記側注チューブより前記経皮血管穿刺封止材を前記血管の開口に注入して止血することを特徴とする。
本発明の特に好適な態様の装置の例を、図に示す装置例とともに説明する。
装置例1
図1は、この装置例の経皮血管穿刺封止装置を示し、管状処置具1と、皮膚から所定の血管に差し込まれる管状シース2とからなる。管状シース2には、図示上端部に2本以上の側注チューブ3が分岐的に連結されている。管状処置具1は、図2に示す如く、可撓性の中空管体4、該中空管体4内に貫挿された可撓性の心材5、中空管体4および心材5の手元端(後端)に取り付けられた螺合機構6を有する。側注チューブ3からは、経皮血管穿刺封止材注入手段7により経皮血管穿刺封止材が注入できるようになっている。
中空管体4は、ステンレスなどからなる複数(たとえば線径0.10〜0.15mmの素線を10〜15本、この装置例では14本)の素線41を同一半径(たとえば直径0.7〜0.8mm)の円周上に接触して配し、所定のピッチで撚った中空で円形断面を有する多条コイルで形成されている。素線41は数本から十数本の範囲が適当で、同一の太さであっても、太さの異なる2種または3種以上の素線を使用してもよい。心材5は、ステンレスなどからなる複数(数本)の素線51を撚って1本の撚り線に形成されており、中空管体4を円滑に摺動できる外径(直径0.1〜0.15mm)を有する。
中空管体4と心材5とは、それぞれの先端42、52が白金製の放射線不透過マーカ11とともにロウ付けまたは溶接により固着されており、後端は螺合機構6を介して相互に螺合関係となっている。中空管体4は、膨縮部43を形成する先端部を除いた外周に樹脂被覆44(たとえば肉厚0.1〜0.2mmのPTFE熱収縮チューブ)が施されている。中空管体4の手元端には、後端側から設けられた内ネジ61を有する筒部材62が取り付けられている。心材5の手元端には、先端側に外ネジ63が設けられ後部に把手64となっているネジ棒65が連結されている。
筒部材62とネジ棒65とは、螺合機構6を構成している。この装置例では、ネジ棒65は筒体であり、心材5はネジ棒65内を挿通して配され、心材5の後端とネジ棒65の後端とが固着されている。管状処置具1の先端から一定距離(たとえば10mm間隔)を隔てた位置には、放射線不透過マーカ(たとえば白金製の造影マーカ)12〜14がロウ付けなどにより付設されている。先端の放射線不透過マーカ11と先端から2番目の放射線不透過マーカ12との間は、樹脂被覆44を除去した膨縮部43となっている。なお、膨縮部43は、50〜60μmの樹脂またはゴムなどの薄膜を被覆した構造であってもよい。
図3の(イ)に示す如く、螺合機構6を操作しない状態では、膨縮部43は他部の中空管体4とほぼ同一外径の円筒状である。螺合機構6のネジ棒65を捩じると、心材5が手元端側に変位するため、樹脂被覆44のない、膨縮部43は、図3の(ロ)に示す如く、徐々に略紡錘籠状に径大化し、略球籠状を経て、図3の(ハ)に示す如く、略偏平な鍔状に拡がる。ネジ棒65を逆方向に捩じると、膨縮部43は逆の形状変化を経て円筒状に戻る。この装置例において、中空管体4および心材5は、同一方向に撚られているため、膨縮部43の膨縮形状変化が円滑に行われる。
管状シース2は、図4に示す如く、造影剤として酸化ビスマス(Bi)を20重量%混入したPFA製で放射線不透過性の樹脂パイプ21と、樹脂パイプ21の手元端(図示上端)に連結した樹脂製の中空の継手22とを有する。継手22は、下側が径小の筒部23、上側が大径の胴部24となっており、中間はテーパー部25となっている。樹脂パイプ21は、上端が筒部23に差し込まれて固着され、皮膚への差込み端である先端(図示下端)2Aがやや尖っている。
胴部24の上端開口には、段付き差込み穴26が設けられた蓋27が固着されている。蓋27の裏面(下面)には、血液の吹き出しを阻止するために、弾性膜からなる逆止弁28が貼着されている。逆止弁28の中央には、管状処置具1を挿通させるための挿通穴29が開けられている。テーパー部25、筒部23および樹脂パイプ21の上端部の外周にはゴム製のカラー20が外嵌されている。
胴部24の中間位置には、側注チューブ3を分岐的に接続するための横穴31、32が対抗的に開けられている。側注チューブ3は、横穴31に連結された経皮血管穿刺封止材を注入するための短側注チューブ33と、横穴32に接続され、血液洩れ、位置確認などに対応するための長側注チューブ34とからなる。短側注チューブ33と長側注チューブ34とは、いずれもビニールパイプが使用され、それぞれの先端部にはコック付きの器具接続具35、36が取り付けられている。
この装置例の経皮血管穿刺封止装置の使用方法を図5〜図10とともに説明する。
図5に示す如く、患者の皮膚Aおよび血管Bの穿孔部に差し込まれた管状シース2を介して管状処置具1の先端部を血管B内へ挿通させる。
図6に示す如く、長側注チューブ34からの血液の飛び出し具合を見ながら、管状シース2の先端2Aを血管Bの穿孔部へ位置決めする(図6の操作では、管状シース2の先端2Aを血管穿孔部端へ一致させるため、管状シース2を所定量引き上げる)。つぎに、管状シース2の先端2Aと、管状処置具1の膨縮部43の根元の放射線不透過マーカ12とを位置合わせする。図示の操作では、管状処置具1を所定量引き上げる。
つぎに、図7に示す如く、螺合機構6のネジ棒65の把手64を捩じって、血管Bの内壁に沿って膨縮部43を膨大させる。なお、この位置合わせは、図7の(ロ)に示す如く、膨縮部43が膨大した際に、血管Bの外壁に沿った位置に設定されてもよい。
つぎに、図8に示す如く、管状シース2を10mm(放射線不透過マーカ12と放射線不透過マーカ13との距離)引き上げる。これは管状シース2の先端2Aを、管状処置具1の先端から3番目の放射線不透過マーカ13に合わせることで実行できる。
つぎに、図9に示す如く、短側注チューブ33から、シリンジなどの経皮血管穿刺封止材注入手段7により経皮血管穿刺封止材Cを注入する。
つぎに、図10に示す如く、螺合機構6の把手64を逆方向に捩じって、膨縮部43を縮小させた後に、患部より管状シース2とともに管状処置具1を抜き去る。この際に、膨縮部43の径を調節しながら一定の膨大部を維持して抜き去ってもよい。これにより、封止材Cの一部を血管穿孔部から除去できる。
この装置例の効果は以下のものである。
1)管状処置具1の膨縮部43が螺合機構6の操作で大きさを自由に調整できるため、次の効果が生じる。
イ)血管穿孔部の管壁に即して蓋をすることができる。これにより、注入した封止材Cが血管内へ洩れる割合が低減でき、患者は体内に異物が入ることによる違和感が少ない。
ロ)膨縮部43を偏平とすることができるため、血流を阻害する度合いが少なく、虚血による弊害が防止できる。
ハ)膨縮部43は、螺合機構6の捩じり度合いにより膨大形状を調節することが可能である。このため、たとえば血管内より少し引き上げた後に膨大させることにより、血管穿孔部の近傍組織への圧迫作用が生じ止血効果を高めることができる。
ニ)経皮血管穿刺封止材を注入した後、適度に膨大径を調整することにより、一旦注入した封止材Cを部分的に体外へ回収することができる。これにより、患者の体内に残留する封止材Cを最小限に低減でき、術後の患者の違和感を低減できる。
2)膨縮部43の両端部および所定間隔に放射線不透過マーカ11〜14を設けているので、次の効果が生じる。
イ)膨縮部43の両端部の放射線不透過マーカ11、12の距離間により放射線透視下において膨大状態を把握することができる。たとえば放射線不透過マーカ11、12が近接すれば膨縮部43は最大径で偏平状態に拡張していることが分かる。
ロ)造影剤入りシースと併用することにより、管状シース2を一定量引き上げる際に、先端部の放射線不透過マーカ11と、造影剤入りシースの先端部を一致させることにより、引き上げ位置を視認することができ、引き上げ量を確実に一定にできる。
3)管状シース2について、
イ)三酸化ビスマスなどの造影剤を混入した管状シース2と、放射線不透過マーカ11〜14を付設した管状処置具1とを併用することにより、位置合わせなどを視覚認識できる。
ロ)管状シース2に付設した側注チューブ3の栓を開けることにより、管状シース2の引き上げ時に血液の吐出量の状態を視認でき引き上げの際の目安とすることができる。
ハ)短側注チューブ33から封止材Cを注入する際に、短側注チューブ33が短いことにより、患部へ迅速に注入できる。
装置例2
図11の(イ)〜(ハ)は管状処置具1の他の装置例を示す。この装置例では、膨縮部83をシリコンチューブ、ラテックスチューブなどの筒状の極薄膜体8で包んでいる。極薄膜体8は図11の(ニ)に示す両端が開放した筒体81であっても、図11の(ホ)に示す一端が閉じた袋体82であってもよい。この構成では、螺合機構6を操作して形成される膨縮部83が膜となるため、穿孔部からの血液の流出を防止する効果が大きい。
上述した態様の経皮血管穿刺封止装置を用いた場合には、更に、以下の効果を得ることができる。
1)構造が単純であり、処置具全体の径小化が可能となり、低侵襲化の要請に合致する。
2)血液が凝固するまで血管に長期間圧迫を加えることが不要になり、患者や看護師への負担が軽減できる。
3)経皮血管穿刺封止材を部分的に回収できる機能を有するため、体内に残留する異物を最小限にでき、患者の違和感を低減できる。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は特許請求の範囲により限定されるものであり、以下の実施例によって限定されるものではない。
製造例1
ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイド共重合体(プロピレンオキサイド/エチレンオキサイド平均重合度約60/180、旭電化工業(株)製:プルロニックF−127)10gを乾燥クロロホルム30mlに溶解し、五酸化リン共存下、ヘキサメチレンジイソシアネート0.13gを加え、沸点還流下に6時間反応させた。溶媒を減圧留去後、残さを蒸留水に溶解し、分画分子量3万の限外濾過膜(アミコンPM−30)を用いて限外濾過を行い、高分子量重合体と低分子量重合体を分画した。得られた水溶液を凍結乾燥して、F−127高重合体およびF−127低重合体を得た。
上記により得たF−127高重合体(本発明のハイドロゲル形成性高分子、TGP−1)を、氷冷下、8質量%の濃度で蒸留水に溶解した。この水溶液をゆるやかに加温していくと、21℃から徐々に粘度が上昇し、約27℃で固化して、ハイドロゲルとなった。このハイドロゲルを冷却すると、21℃で水溶液に戻った。この変化は、可逆的に繰り返し観測された。一方、上記F−127低重合体を、氷点下8質量%の濃度で蒸留水に溶解したものは、60℃以上に加熱しても全くゲル化しなかった。
製造例2
トリメチロールプロパン1モルに対し、エチレンオキサイド160モルをカチオン重合により付加して、平均分子量約7000のポリエチレンオキサイドトリオールを得た。
上記により得たポリエチレンオキサイドトリオール100gを蒸留水1000mlに溶解した後、室温で過マンガン酸カリウム12gを徐々に加えて、そのまま約1時間、酸化反応させた。固形物を濾過により除いた後、生成物をクロロホルムで抽出し、溶媒(クロロホルム)を減圧留去してポリエチレンオキサイドトリカルボキシル体90gを得た。
上記により得たポリエチレンオキサイドトリカルボキシル体10gと、ポリプロピレンオキサイドジアミノ体(プロピレンオキサイド平均重合度約65、米国ジェファーソンケミカル社製、商品名:ジェファーミンD−4000、曇点:約9℃)10gとを四塩化炭素1000mlに溶解し、ジシクロヘキシルカルボジイミド1.2gを加えた後、沸点還流下に6時間反応させた。反応液を冷却し、固形物を濾過により除いた後、溶媒(四塩化炭素)を減圧留去し、残さを真空乾燥して、複数のポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドとが結合した本発明のハイドロゲル形成性高分子(TGP−2)を得た。これを氷冷下、5質量%の濃度で蒸留水に溶解し、そのゾル−ゲル転移温度を測定したところ、約16℃であった。
製造例3
N−イソプロピルアクリルアミド(イーストマンコダック社製)96g、N−アクリロキシスクシンイミド(国産化学(株)製)17g、およびn−ブチルメタクリレート(関東化学(株)製)7gをクロロホルム4000mlに溶解し、窒素置換後、N,N’−アゾビスイソブチロニトリル1.5gを加え、60℃で6時間重合させた。反応液を濃縮した後、ジエチルエーテルに再沈(再沈殿)した。濾過により固形物を回収した後、真空乾燥して、78gのポリ(N−イソプロピルアクリルアミド−コ−N−アクリロキシスクシンイミド−コ−n−ブチルメタクリレート)を得た。
上記により得たポリ(N−イソプロピルアクリルアミド−コ−N−アクリロキシスクシンイミド−コ−n−ブチルメタクリレート)に、過剰のイソプロピルアミンを加えてポリ(N−イソプロピルアクリルアミド−コ−n−ブチルメタクリレート)を得た。このポリ(N−イソプロピルアクリルアミド−コ−n−ブチルメタクリレート)の水溶液の曇点は19℃であった。
前記のポリ(N−イソプロピルアクリルアミド−コ−N−アクリロキシスクシンイミド−コ−n−ブチルメタクリレート)10g、および両末端アミノ化ポリエチレンオキサイド(分子量6,000、川研ファインケミカル(株)製)5gをクロロホルム1000mlに溶解し、50℃で3時間反応させた。室温まで冷却した後、イソプロピルアミン1gを加え、1時間放置した後、反応液を濃縮し、残渣をジエチルエーテル中に沈澱させた。濾過により固形物を回収した後、真空乾燥して、複数のポリ(N−イソプロピルアクリルアミド−コ−n−ブチルメタクリレート)とポリエチレンオキサイドとが結合した本発明のハイドロゲル形成性高分子(TGP−3)を得た。
このようにして得たTGP−3を氷冷下、5質量%の濃度で蒸留水に溶解し、そのゾル−ゲル転移温度を測定したところ、約21℃であった。
製造例4
(滅菌方法)
上記した本発明のハイドロゲル形成性高分子(TGP−3)の2.0gを、EOG(エチレンオキサイドガス)滅菌バッグ(ホギメディカル社製、商品名:ハイブリッド滅菌バッグ)に入れ、EOG滅菌装置(イージーパック、井内盛栄堂製)でEOGをバッグに充填し、室温にて一昼夜放置した。更に40℃で半日放置した後、EOGをバッグから抜き、エアレーションを行った。バッグを真空乾燥器(40℃)に入れ、時々エアレーションしながら半日放置することにより滅菌した。
この滅菌操作により高分子のゾル−ゲル転移温度が変化しないことを、別途確認した。
製造例5
N−イソプロピルアクリルアミド37gと、n−ブチルメタクリレート3gと、ポリエチレンオキサイドモノアクリレート(分子量4,000、日本油脂(株)製:PME−4000)28gとを、ベンゼン340mlに溶解した後、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.8gを加え、60℃で6時間反応させた。得られた反応生成物にクロロホルム600mlを加えて溶解し、該溶液をエーテル20L(リットル)に滴下して沈澱させた。得られた沈殿を濾過により回収し、該沈澱を約40℃で24時間真空乾燥した後、蒸留水6Lに再び溶解し、分画分子量10万のホローファイバー型限外濾過膜(アミコン社製H1P100−43)を用いて10℃で2lまで濃縮した。該濃縮液に蒸留水4lを加えて希釈し、上記希釈操作を再度行った。上記の希釈、限外濾過濃縮操作を更に5回繰り返し、分子量10万以下のものを除去した。この限外濾過により濾過されなかったもの(限外濾過膜内に残留したもの)を回収して凍結乾燥し、分子量10万以上の本発明のハイドロゲル形成性高分子(TGP−4)60gを得た。
上記により得た本発明のハイドロゲル形成性高分子(TGP−4)1gを、9gの蒸留水に氷冷下で溶解した。この水溶液のゾル−ゲル転移温度を測定したところ、該ゾル−ゲル転移温度は25℃であった。
製造例6
製造例3の本発明のハイドロゲル形成性高分子(TGP−3)を10質量%の濃度で蒸留水に溶解し、37℃におけるηを測定したところ、5.8×10 Pa・secであった。一方、寒天を2質量%の濃度で蒸留水に90℃で溶解して、10℃で1時間ゲル化させた後、37℃におけるηを測定したところ、そのηは機器の測定限界(1×10Pa・sec)を越えていた。
製造例7
N−イソプロピルアクリルアミド71.0gおよびn−ブチルメタクリレート4.4gをエタノール1117gに溶解した。これにポリエチレングリコールジメタクリレート(PDE6000、日本油脂(株)製)22.6gを水773gに溶解した水溶液を加え、窒素気流下70℃に加温した。窒素気流下70℃を保ちながら、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)0.8mLと10%過硫酸アンモニウム(APS)水溶液8mLを加え30分間攪拌反応させた。更にTEMED0.8mLと10%APS水溶液8mLを30分間隔で4回加えて重合反応を完結させた。反応液を10℃以下に冷却後、10℃の冷却蒸留水5Lを加えて希釈し、分画分子量10万の限外ろ過膜を用いて10℃で2Lまで濃縮した。
該濃縮液に冷却蒸留水4Lを加えて希釈し、上記限外ろ過濃縮操作を再度行った。上記の希釈、限外ろ過濃縮操作を更に5回繰り返し、分子量10万以下のものを除去した。この限外ろ過によりろ過されなかったもの(限外ろ過膜内に残留したもの)を回収して凍結乾燥し、分子量10万以上の本発明のハイドロゲル形成性高分子(TGP−5)72gを得た。
上記により得た本発明のハイドロゲル形成性高分子(TGP−5)1gを、9gの蒸留水に氷冷下で溶解した。この水溶液のゾル−ゲル転移温度を測定したところ、該ゾル−ゲル転移温度は20℃であった。
製造例8
N−イソプロピルアクリルアミド42.0gおよびn−ブチルメタクリレート4.0gをエタノール592gに溶解した。これにポリエチレングリコールジメタクリレート(PDE6000、日本油脂(株)製)11.5gを水65.1gに溶解した水溶液を加え、窒素気流下70℃に加温した。窒素気流下70℃を保ちながら、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)0.4mLと10%過硫酸アンモニウム(APS)水溶液4mLを加え30分間攪拌反応させた。更にTEMED0.4mLと10%APS水溶液4mLを30分間隔で4回加えて重合反応を完結させた。反応液を5℃以下に冷却後、5℃の冷却蒸留水5Lを加えて希釈し、分画分子量10万の限外ろ過膜を用いて5℃で2Lまで濃縮した。
該濃縮液に冷却蒸留水4Lを加えて希釈し、上記限外ろ過濃縮操作を再度行った。上記の希釈、限外ろ過濃縮操作を更に5回繰り返し、分子量10万以下のものを除去した。この限外ろ過によりろ過されなかったもの(限外ろ過膜内に残留したもの)を回収して凍結乾燥し、分子量10万以上の本発明のハイドロゲル形成性高分子(TGP−6)40gを得た。
上記により得た本発明のハイドロゲル形成性高分子(TGP−6)1gを、9gの蒸留水に氷冷下で溶解した。この水溶液のゾル−ゲル転移温度を測定したところ、該ゾル−ゲル転移温度は7℃であった。
製造例9
N−イソプロピルアクリルアミド45.5gおよびn−ブチルメタクリレート0.56gをエタノール592gに溶解した。これにポリエチレングリコールジメタクリレート(PDE6000、日本油脂(株)製)11.5gを水65.1gに溶解した水溶液を加え、窒素気流下70℃に加温した。窒素気流下70℃を保ちながら、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)0.4mLと10%過硫酸アンモニウム(APS)水溶液4mLを加え30分間攪拌反応させた。更にTEMED0.4mLと10%APS水溶液4mLを30分間隔で4回加えて重合反応を完結させた。反応液を10℃以下に冷却後、10℃の冷却蒸留水5Lを加えて希釈し、分画分子量10万の限外ろ過膜を用いて10℃で2Lまで濃縮した。
該濃縮液に冷却蒸留水4Lを加えて希釈し、上記限外ろ過濃縮操作を再度行った。上記の希釈、限外ろ過濃縮操作を更に5回繰り返し、分子量10万以下のものを除去した。この限外ろ過によりろ過されなかったもの(限外ろ過膜内に残留したもの)を回収して凍結乾燥し、分子量10万以上の本発明のハイドロゲル形成性高分子(TGP−7)22gを得た。
上記により得た本発明のハイドロゲル形成性高分子(TGP−7)1gを、9gの蒸留水に氷冷下で溶解した。この水溶液のゾル−ゲル転移温度を測定したところ、該ゾル−ゲル転移温度は37℃であった。
製造例10
N−イソプロピルアクリルアミド44.0gおよびn−ブチルメタクリレート1.68gをエタノール592gに溶解した。これにポリエチレングリコールジメタクリレート(PDE6000、日本油脂(株)製)11.5gを水65.1gに溶解した水溶液を加え、窒素気流下70℃に加温した。窒素気流下70℃を保ちながら、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)0.4mLと10%過硫酸アンモニウム(APS)水溶液4mLを加え30分間攪拌反応させた。更にTEMED0.4mLと10%APS水溶液4mLを30分間隔で4回加えて重合反応を完結させた。反応液を10℃以下に冷却後、10℃の冷却蒸留水5Lを加えて希釈し、分画分子量10万の限外ろ過膜を用いて10℃で2Lまで濃縮した。
該濃縮液に冷却蒸留水4Lを加えて希釈し、上記限外ろ過濃縮操作を再度行った。上記の希釈、限外ろ過濃縮操作を更に5回繰り返し、分子量10万以下のものを除去した。この限外ろ過によりろ過されなかったもの(限外ろ過膜内に残留したもの)を回収して凍結乾燥し、分子量10万以上の本発明のハイドロゲル形成性高分子(TGP−8)22gを得た。
上記により得た本発明のハイドロゲル形成性高分子(TGP−8)1gを、9gの蒸留水に氷冷下で溶解した。この水溶液のゾル−ゲル転移温度を測定したところ、該ゾル−ゲル転移温度は26℃であった。
実施例
製造例10で得られたハイドロゲル形成性高分子TGP−8の凍結乾燥物1gに生理食塩水5gおよび4gのイオン性ヨード造影剤ヘキサブリックス320(栄研化学(株)製、イオキサグル酸53.33g/100mL)を加え、2℃で溶解して本発明の経皮血管穿刺封止材を調製した。この水溶液のゾル−ゲル転移温度を測定したところ22℃であった。この水溶液の10℃における粘性率は0.31Pa・secであり、37℃における定常流動粘性率は2.9x10Pa・secであった。本発明の経皮血管穿刺封止材はルアーロック付の2.5mLプラスチック製シリンジ(テルモ(株)製)に充填した。
前日より12時間絶食した体重20kgのブタに硫酸アトロピン(0.05mg/kg)、塩酸ケタミン(15mg/kg)、ジアゼパム(2mg/kg)を筋注し、イソフルレンにてマスク吸入麻酔しながら人工呼吸器にて管理した。ブタの大腿動脈に18G針(ニプロ(株)製、セーフレットキャス)を穿刺し、プラスチックコートガイドワイヤー(外径0.86mm、全長450mm、朝日インテック製)を大腿動脈に挿入した。
挿入されたガイドワイヤーに、全長160mmのダイレータ(外径2.15mm、先端部径1.2mm)とともに、図1の管状シース(2)(直径2.54mm、シース長110mm)を通し、該管状シースを大腿動脈に挿入した後、ダイレータを引き抜いた。
次に図1の管状処置具(1)(直径0.66mm)をシース上部の差込み穴(29)から管状シースを通して大腿動脈内に挿入した。
螺合機構(6)のネジ棒(65)の把手(64)を捩じって膨縮部(43)を血管内で膨大させた。管状処置具(1)を引き戻し、膨縮部(43)を管状シース(2)の先端に密着させた。そのまま管状シース(2)と管状処置具(1)を一緒に引き戻し、膨縮部(43)を血管内壁に密着させた。大腿動脈の上流側を圧迫して一時的に血管穿刺部の血圧を低下させた。本発明の経皮血管穿刺封止材を充填した2.5mLプラスチック製シリンジを氷冷し、短側注チューブの三方活栓に接合させ、短側注チューブから管状シース(2)内へ注入した。本発明の経皮血管穿刺封止材を約1mL注入しながら、管状処置具(1)の膨縮部(43)を血管内壁に密着させたまま、管状シース(2)を引き抜いた。次に螺合機構(6)のネジ棒(65)の把手(64)を捩じ戻して膨縮部(43)を縮小させ、管状処置具(1)を引き抜いた。圧迫していた大腿動脈の上流側を開放したが、経皮血管穿刺部からの出血は認められなかった。この止血操作に要した時間は2分以内であった。
比較例
前日より12時間絶食した体重20kgのブタに硫酸アトロピン(0.05mg/kg)、塩酸ケタミン(15mg/kg)、ジアゼパム(2mg/kg)を筋注し、イソフルレンにてマスク吸入麻酔しながら人工呼吸器にて管理した。ブタの大腿動脈に18G針(ニプロ(株)製、セーフレットキャス)を穿刺し、プラスチックコートガイドワイヤー(外径0.86mm、全長450mm、朝日インテック製)を大腿動脈に挿入した。
挿入されたガイドワイヤーに、全長160mmのダイレータ(外径2.15mm、先端部径1.2mm)とともに、図1の管状シース(2)(直径2.54mm、シース長110mm)を通し、該管状シースを大腿動脈に挿入した後、ダイレータを引き抜いた。
次に図1の管状処置具(1)(直径0.66mm)をシース上部の差込み穴(29)から管状シースを通して大腿動脈内に挿入した。
螺合機構(6)のネジ棒(65)の把手(64)を捩じって膨縮部(43)を血管内で膨大させた。管状処置具(1)を引き戻し、膨縮部(43)を管状シース(2)の先端に密着させた。そのまま管状シース(2)と管状処置具(1)を一緒に引き戻し、膨縮部(43)を血管内壁に密着させた。大腿動脈の上流側を圧迫して一時的に血管穿刺部の血圧を低下させた。生理食塩水を充填した2.5mLプラスチック製シリンジを氷冷し、短側注チューブの三方活栓に接合させ、短側注チューブから管状シース(2)内へ注入した。生理食塩水を約1mL注入しながら、管状処置具(1)の膨縮部(43)を血管内壁に密着させたまま、管状シース(2)を引き抜いたところ、経皮血管穿刺部から血液が漏れ出した。次に螺合機構(6)のネジ棒(65)の把手(64)を捩じ戻して膨縮部(43)を縮小させ、管状処置具(1)を引き抜いた。圧迫していた大腿動脈の上流側を開放したところ、経皮血管穿刺部から血液が噴出した。
経皮血管穿刺封止装置の構成図である(装置例1)。 管状処置具の正面図である(装置例1)。 管状処置具の正面図である(装置例1)。 管状シースの断面図である(装置例1)。 経皮血管穿刺封止装置の使用状態図である(装置例1)。 経皮血管穿刺封止装置の使用状態図である(装置例1)。 経皮血管穿刺封止装置の使用状態図である(装置例1)。 経皮血管穿刺封止装置の使用状態図である(装置例1)。 経皮血管穿刺封止装置の使用状態図である(装置例1)。 経皮血管穿刺封止装置の使用状態図である(装置例1)。 管状処置具の正面図である(装置例2)。
符号の説明
1 管状処置具
11〜14 放射線不透過マーカ
2 管状シース
21 放射線不透過性の樹脂パイプ
22 中空の継手
3 側注チューブ
33 短側注チューブ
34 長側注チューブ
4 中空管体
41 中空管体の素線
43 膨縮部
5 心材
51 心材の素線
6 螺合機構
62 筒部材
64 把手
65 ネジ棒
7 経皮血管穿刺封止材注入手段
8 極薄膜体

Claims (8)

  1. ハイドロゲル形成性高分子と、水とを少なくとも含み、ゾル−ゲル転移温度より低温では流動性のゾル状態となり、ゾル−ゲル転移温度より高温では可逆的にハイドロゲル状態となることを特徴とする経皮血管穿刺封止材。
  2. 前記ゾル−ゲル転移温度が、0℃以上37℃以下の範囲にある請求項1に記載の経皮血管穿刺封止材。
  3. 前記ハイドロゲル状態では実質的に水不溶性である請求項1または2に記載の経皮血管穿刺封止材。
  4. 造影剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の経皮血管穿刺封止材。
  5. 止血剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の経皮血管穿刺封止材。
  6. 経皮血管穿刺封止材を収容するための封止材収容部と、該封止材を封止を行うべき部位に注入するするための封止材注入部とを少なくとも有する封止材注入器具と、
    前記封止材収容部内に配置された経皮血管穿刺封止材とを少なくとも含む経皮血管穿刺封止装置であって、且つ
    前記経皮血管穿刺封止材が、ハイドロゲル形成性高分子と、水とを少なくとも含み、0℃以上37℃以下の範囲にあるゾル−ゲル転移温度より低温では流動性のゾル状態、ゾル−ゲル転移温度より高温では可逆的にハイドロゲル状態となることを特徴とする封止材であることを特徴とする経皮血管穿刺封止装置。
  7. 前記封止材注入器具が、血管壁が組織溝に隣接するその位置に穿刺傷を有する患者の前記組織溝を経てかつ前記血管の外壁に向けて経皮血管穿刺封止材を挿入するための器具である請求項6に記載の経皮血管穿刺封止装置。
  8. 前記封止材注入器具が、(a)経皮血管穿刺封止材のチャージと、
    (b)前記組織溝を通過するように適合された中空シースであって、前記穿刺傷よりも大きい横断面外形を有する中空シースと、
    (c)前記経皮血管穿刺封止材を前記中空シース中に配置する器具と、
    (d)前記経皮血管穿刺封止材を、前記シースを経て前記穿刺傷周りの前記血管壁の外側へ推進する器具とを含む請求項7に記載の経皮血管穿刺封止装置。
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