JP2006127842A - 燃料電池発電システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱効率および水自給率を向上すると同時に、スタックの金属汚染を防ぐことで、長寿命の固体高分子型燃料電池発電システムを提供する。
【解決手段】 燃料ガスと酸化剤ガスを反応させて電力を発生させるスタックと、前記スタックを冷却する冷却水を循環させる冷却系統と、前記スタックから排出される水を回収し、前記冷却水、酸化剤排ガスおよび、燃料排ガスに添加する水回収系統と、前記燃料排ガスあるいは前記酸化剤排ガスの少なくとも一方により、前記燃料ガスあるいは前記酸化剤ガスの少なくとも一方を加温しかつ加湿すると同時に、前記冷却水により前記燃料ガスあるいは前記酸化剤ガスの少なくとも一方を加温しかつ加湿しない熱交換器とを有し、ガスおよび水の通ずる流路のうち、熱交換器から水回収系統までを結ぶ流路および水回収系統において、ガスおよび水に接する部分である内面がフッ化水素酸耐性の素材で構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池発電システムに関する。より詳しくは、排ガス中の水を回収利用すると同時に、ガスの供給と排出の流路および水回収の流路の内面がフッ化水素酸耐性の素材で構成され、排ガスは供給ガスの加温と加湿に利用され、かつ、冷却水は供給ガスの加温のみに利用され、加湿には利用されない固体高分子型燃料電池発電システムに関する。
固体高分子型燃料電池システムは、高分子電解質膜を陰極と陽極とで挟んでなるセルが積層されたスタックと呼ばれる構造を有する。そして、燃料ガスと酸化剤ガスがそれぞれ、各セルの高分子電解質膜の陰極側と陽極側に供給され、電気化学的反応により電力が発生する。ここで、電力が発生するためには、高分子電解質膜がプロトン透過性を持つことが必要である。プロトン透過性は、高分子電解質膜がイオン交換能力を持つことで生じる。高分子電解質膜のイオン交換能力を維持するためには、高分子電解質膜の水分含量を高く維持する必要がある。このため、固体高分子型燃料電池システムの運転においては、十分な水を高分子電解質膜に供給する必要がある。一般には、酸化剤ガスや燃料ガス(以下、反応ガス)を加湿し、これらの反応ガスを通じて間接的に水が高分子電解質膜に供給される。
上述の通り、燃料電池発電システムは大量の水を必要とするため、製品化において水の利用効率(以下、水自給率)を上げる必要がある。さらに言えば、固体高分子型燃料電池は、スタックの温度が摂氏100度前後で動作する。このため、酸化剤ガスや燃料ガスは、加湿されると同時に加温もされる必要がある。よって、システムの熱効率を上げるために、効率よく反応ガスの加温を行う必要もある。
スタックからは、未反応(消費されなかった)の反応ガス(以下、排ガス)が排出される。排ガスには、加湿に由来する水や、プロトンと酸素が反応して生じた水(以下、生成水)などが含まれている。このため、スタックから出てくる排ガスは水分含量が高い。また、スタックは高温で動作することから、スタックの冷却水や、スタックから出てくる排ガスは、温度も高い。よって、全熱交換を利用して、排ガスや冷却水による酸化剤ガスや燃料ガスの加温と加湿を行えば、水自給率および熱効率を上げることができる。さらに、排ガスを冷却することで、排ガス中の水を凝縮水として回収することで、水自給率を向上させることもできる。
ここで、酸化剤ガスや燃料ガス中の水は、純粋な気体として存在する訳ではなく、ある程度液体の水としても存在する。一方、高分子電解質膜ではプロトンが発生するため、排ガス中の水は酸性を帯びている。全熱交換膜は、水だけでなくイオンも透過する。よって、排ガス中の水が酸性であれば、酸化剤ガスや燃料ガスに含まれる水も酸性となる。配管等が金属で構成されていると、金属イオンが前記ガス中の水へ溶出する。前記金属イオンがガスの流れに乗ってスタックに入ると、高分子電解質膜を汚染する。その結果、プロトン透過性等が低下し、ひいては電池の特性が劣化する。
上記問題を防止する手段として、凝縮水の循環配管をステンレスなどの耐酸性の素材で構成するもの(特開2002−298894)や、燃料ガス、酸化剤ガス、冷却水の出入り口を耐食性とするもの(特開2000−164238)などがある。
特開2002−298894号公報 特開2000−164238号公報
しかしながら、発明者らは、前記特許文献に開示されている手法では、燃料電池発電システムの寿命を高めるには不十分であることを発見した。家庭用に開発されている燃料電池発電システムの寿命としては、例えば6万時間程度が要求されている。しかしながら、現行のシステムではせいぜい8千時間程度の寿命しか得られない。先行技術は、要求されている寿命を達成する上でまだまだ未熟である。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、簡易かつ安価な構成により、高い熱効率および水自給率を有しながら長寿命である固体高分子型燃料電池発電システムを提供することにある。
本願発明者らは、燃料電池発電システムの寿命について、鋭意研究した。その結果、燃料電池発電システムの寿命向上を阻む原因の一つとして考えられたのが、金属イオンによる高分子電解質膜の汚染である。
本願発明者らの研究によれば、耐酸性を有するステンレスで配管を構成したシステムにおいても、排ガスや冷却水には、1mg/L前後の金属イオンが含まれることが判明した。同じ水のpHは3.8程度であり、さらに1mg/L程度のフッ化物イオンも含まれていた。すなわち、排ガス中の水や冷却水は、微弱なフッ化水素酸酸性であることが明らかとなった。セルを構成する高分子電解質膜には、一般にパーフルオロスルホン酸膜が用いられる。よって、高分子電解質膜そのものがフッ素を含んでいる。また、高分子電解質膜では発電によりプロトンも発生する。このために、排ガス中の水そのものがフッ化水素酸酸性となると考えられる。フッ化物イオンは全熱交換膜を通過する。このため、排ガスや冷却水と反応ガスの全熱交換を行うと、反応ガス中の水や冷却水までフッ化水素酸酸性となる。
ステンレスの耐酸性は、主に酸化クロム水和物による酸化物不動態皮膜による。しかし、フッ化水素酸はこの酸化物不動態皮膜を侵すため、ステンレスからも金属イオンが溶出する。したがって、特許文献1のように、凝縮水の循環配管を耐酸性の素材で構成しても、前記素材がフッ化水素酸耐性を有しなければ、循環配管からの金属イオンの溶出を防ぐことはできない。さらに、循環配管のみを耐酸性としてもその他の部分の配管から金属イオンが溶出しうる。また、特許文献2のように、ガスや冷却水の出入り口のみを耐食性としても、その他の部分からの金属イオンの溶出を防ぐことはできない。したがって、これらの先行技術では、高分子電解質膜の金属イオン汚染による電池特性の劣化は防止できないことが分かる。
ここで、凝縮水に含まれるフッ化物イオンや金属イオンをイオン交換樹脂により除去すれば、問題を解決できるとも思われる。しかし、イオン交換樹脂そのものの能力も寿命や事故等により低下する。不慮の事故等によりフッ化物イオン(フッ化水素酸)や金属イオンが反応ガスの配管に侵入する場合がある。このとき、配管からフッ化水素酸に侵されて溶出した金属イオンや、凝縮水から侵入した金属イオンが、スタックに入れば、高分子電解質膜は汚染され使用不能となる。固体高分子型燃料電池発電システムを構成する部材のうち、最も高価で修理が困難なのは高分子電解質膜である。よって、高分子電解質膜が使用不能となれば、実質的に燃料電池発電システムそのものが再生不能となる。スタックの金属イオン汚染を防ぐためには、反応ガス中の水へ金属イオンが混入することを極力防ぐ必要がある。そのための方策としては、全ての配管をプラスチック等のフッ化水素酸耐性の素材で構成することが考えられる。
しかし、冷却系統は、熱交換を行うため、熱伝導性の高い材質で構成される必要がある。したがって、冷却系統の部品をすべてプラスチック類で構成することは困難である。熱伝導性が高く、しかもフッ化水素酸耐性を有する素材としては、黒鉛を混入したプラスチックを利用する方法等も考えられる。しかしながら、現実にこうした素材で冷却系統を全て構成することは、採算面で困難であると言わざるを得ない。よって、冷却系統にはフッ化水素酸耐性を有しない金属製部品を使用しつつ、かつ、高い熱効率や高い水効率を有する燃料電池発電システムを構築する必要がある。
上記課題を解決するために、本発明に係る固体高分子型燃料電池発電システムは、燃料ガスと酸化剤ガスを反応させて発電するスタックと、前記スタックに燃料ガスを供給する燃料ガス供給流路と、前記スタックに酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給流路と、前記スタックから未反応の燃料ガスである燃料排ガスを排出する燃料ガス排出流路と、前記スタックから未反応の酸化剤ガスである酸化剤排ガスを排出する酸化剤ガス排出流路と、前記スタックを、冷却水を循環させて冷却する冷却系統と、前記スタックから排出される水を回収し、前記冷却水、前記酸化剤排ガスおよび、前記燃料排ガスに添加する水回収系統と、前記燃料排ガスおよび前記酸化剤排ガスの少なくとも一方により、前記燃料ガスおよび前記酸化剤ガスの少なくとも一方を加温しかつ加湿すると同時に、前記冷却水により前記燃料ガスおよび前記酸化剤ガスの少なくとも一方を加湿しないで加温する熱交換器とを有し、前記燃料ガス供給流路のうち、前記熱交換器の中に存在する部分および前記熱交換器と前記スタックとを結ぶ部分、前記酸化剤ガス供給流路のうち、前記熱交換器の中に存在する部分および前記熱交換器と前記スタックとを結ぶ部分、前記燃料ガス排出流路のうち、前記スタックと前記熱交換器とを結ぶ部分、前記熱交換器の中に存在する部分、および前記熱交換器と水回収系統とを結ぶ部分、前記酸化剤ガス排出流路のうち、前記スタックと前記熱交換器とを結ぶ部分、前記熱交換器の中に存在する部分、および前記熱交換器と水回収系統とを結ぶ部分、前記水回収系統、およびスタック内部において前記燃料ガス、前記燃料排ガス、前記酸化剤ガス、前記酸化剤排ガスが通じる部分の流路である内部流路において、ガスおよび水に接する部分である内面がフッ化水素酸耐性の素材で構成されている(請求項1)。
これにより、燃料排ガスおよび酸化剤排ガスに含まれる水および熱、および冷却水に含まれる熱、を有効に利用しつつ、内部流路において金属イオンの発生を防ぐことができる。また、これにより、冷却系統と加湿系統が分離される。よって、冷却水の流路を、ステンレス等の安価でかつ熱伝導性の高い素材で構成しても、冷却水中に含まれる金属イオンが燃料ガスおよび酸化剤ガスに混入するのを防ぐことができる。よって、スタックにある高分子電解質膜の金属イオンによる汚染を防ぐことが可能となる。これにより、簡易かつ安価な構成により、固体高分子型燃料電池発電システムの寿命を飛躍的に向上させることができる。
上記固体高分子型燃料電池発電システムにおいて、前記内部流路が、フッ化水素酸耐性の素材で構成されていてもよい(請求項2)。
これにより、内面は当然にフッ化水素酸耐性となり、内部流路において金属イオンの発生を確実に防ぐことができる。よって、スタックにある高分子電解質膜の金属イオンによる汚染を防ぐことが可能となる。したがって、固体高分子型燃料電池発電システムの寿命を飛躍的に向上させることができる。
上記固体高分子型燃料電池発電システムにおいて、前記内部流路の表面処理によって、前記内面をフッ化水素酸耐性の素材で構成してもよい(請求項3)。
これにより、前記内部流路および水回収系統そのものがフッ化水素酸耐性を有さない場合にあっても、内部流路および水回収系統において金属イオンの発生を防ぐことができる。よって、スタックにある高分子電解質膜の金属イオンによる汚染をより容易に防ぐことが可能となる。したがって、固体高分子型燃料電池発電システムの寿命を飛躍的に向上させることができる。
上記固体高分子型燃料電池発電システムにおいて、前記内面が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン、シリコーン、フッ素樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、シンジオタクチック・ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリエーテルニトリル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、および熱可塑性ポリイミドからなる樹脂群のうち少なくとも一種類を用いて構成されてもよい(請求項4)。
これにより、プラスチックを用いて前記内面を構成することが可能となる。プラスチックはフッ化水素酸耐性を有する上、金属も含まないため、内部流路において金属イオンの発生を確実に防ぐことができる。よって、スタックにある高分子電解質膜の金属イオンによる汚染を防ぐことが可能となる。したがって、固体高分子型燃料電池発電システムの寿命を飛躍的に向上させることができる。
なお、特許請求の範囲に記載された「フッ化水素酸耐性」とは、フッ化水素酸を含む溶液に接触しても金属イオンを溶出しない性質をいう。より好ましくは、フッ化物イオン濃度0.1mg/Lの溶液を水温摂氏70度で通流したときに、腐蝕速度が一年あたり0.01mm以下であることをいう。
本発明は、以上に説明したような構成を有する。これにより、燃料排ガスおよび酸化剤排ガスに含まれる水および熱、および冷却水に含まれる熱、を有効に利用しつつ、内部流路においては金属イオンの発生を防ぐことができる。同時に、冷却水中に金属イオンが溶出しても、前記金属イオンが燃料ガスおよび酸化剤ガスに混入するのを防ぐことができる。よって、スタックにある高分子電解質膜の金属イオンによる汚染を防ぐことが可能となる。したがって、本発明は、固体高分子型燃料電池発電システムの寿命を飛躍的に向上させることができる、という効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態における固体高分子型燃料電池発電システムの概略構成を示すブロック図である。以下、図1を参照しながら、本実施の形態の燃料電池発電システムについて説明する。
図1に示す通り、本実施の形態の固体高分子型燃料電池発電システムは、燃料ガスおよび酸化剤ガスを利用して発電するスタック10と、原料を改質して燃料である水素リッチなガスを発生させる水素生成装置20と、酸化剤ガスをスタック10に供給する酸化剤ガス供給器25と、スタック10から排出される未反応の酸化剤ガスである酸化剤排ガスとの全熱交換により酸化剤ガスを加温および加湿し、かつ内部冷却水により酸化剤ガスを加温するカソード熱交換器31と、スタック10から排出される未反応の燃料ガスである燃料排ガスとの全熱交換により燃料ガスを加温および加湿し、かつ内部冷却水により燃料ガスを加温するアノード熱交換器33と、スタック10を冷却する冷却水を循環させる冷却系統40と、燃料排ガス、酸化剤排ガス、水素生成装置排ガスに含まれる水を凝縮水として回収し、前記原料、前記冷却水、前記酸化剤ガスおよび、前記燃料ガスに添加する、水回収系統60とを備えている。
水素生成装置20は、原料と水を用いて改質反応を行う改質器22と、改質器22により生成された水素リッチなガス中の一酸化炭素を変成反応により除去する変成器23と、変成器23から出てくる水素リッチなガス中の一酸化炭素を選択酸化反応により除去する選択酸化器24と、改質器22を改質反応に必要な温度に加熱するバーナ21とを備えている。
冷却系統40は、内部冷却水と外部冷却水との間で熱交換を行う冷却用熱交換器41と、内部冷却水を貯留する内部冷却水タンク43と、内部冷却水をスタック10へ供給する内部冷却水供給配管44と、スタック10から排出される内部冷却水を冷却用熱交換器41を経由して内部冷却水タンク43へ供給する内部冷却水排出配管45と、外部冷却水が循環する外部冷却水循環配管46と、外部冷却水を冷却する外部冷却回路42と、外部冷却水により酸化剤排ガスを冷却して酸化剤排ガス中の水を凝縮水として回収する酸化剤排ガス凝縮器51と、外部冷却水により燃料排ガスを冷却して燃料排ガス中の水を凝縮水として回収する燃料排ガス凝縮器52と、水素生成装置20のバーナ21から排出される燃焼ガスである水素生成装置排ガスを外部冷却水により冷却し、水素生成装置排ガス中の水を凝縮水として回収する水素生成装置排ガス凝縮器53とを備えている。
水回収系統60は、凝縮水を貯留する凝縮水タンク61と、凝縮水をろ過するフィルタ62と、ろ過された凝縮水をイオン交換により浄化するイオン交換部63とを備えている。
水素生成装置20とスタック10(正確には燃料ガス供給マニフォールド)との間は燃料ガス供給配管26により接続されている。スタック10(正確には燃料ガス排出マニフォールド)には、燃料ガス排出配管27が接続されてる。燃料ガス排出配管27は、アノード熱交換器33、バーナ21、水素生成装置排ガス凝縮器53を経て、系外へと未反応の燃料ガス(以下、燃料排ガス)を排出可能に配管されている。酸化剤ガス供給器25とスタック10(正確には酸化剤ガス供給マニフォールド)との間は酸化剤ガス供給配管28により接続されている。スタック10(正確には酸化剤ガス排出マニフォールド)には、酸化剤ガス排出配管29が接続されている。酸化剤ガス排出配管29は、カソード熱交換器31、酸化剤排ガス凝縮器51を経て、系外へと未反応の酸化剤ガス(以下、酸化剤排ガス)を排出可能に配管されている。
なお、図1中の矢印は、気体および液体が流れる方向を示す。
図1に示すように、本実施の形態にかかる個体高分子型燃料電池発電システムには、スタック10から発生する電力を負荷する電力負荷回路70が接続されている。
本実施の形態では、原料には、例えばLPG、LNG、ガソリン等の少なくとも炭素及び水素からなる有機化合物が用いられる。酸化剤ガスには、例えば、空気が用いられる。また、酸化剤ガス供給器25には例えばブロワやコンプレッサ等が用いられる。カソード全熱交換器30およびアノード全熱交換器32に使用する全熱交換膜には、例えば、スタック10で用いられている高分子電解質膜、より具体的には、例えば、パーフルオロスルフォン酸膜が好適に用いられる。
次に、スタック10の内部構造について説明する。スタック10は、セル11が多数積層され、その両端に一対の端板が配置され、かつその一対の端板に一対の電気出力端子が配設されるようにして構成されている。図12に示すように、セル11は、MEA(Membrane Electrode Assembly:高分子電解質膜―電極接合体)13を有している。MEA13は、高分子電解質膜14と、この高分子電解質膜14の周縁部を除く部分(内側部分)の両面にそれぞれ形成されたアノード15a及びカソード15bとを有している。アノード15aは、高分子電解質膜14の上に形成された触媒層16aとこの触媒層16aの上に形成されたガス拡散電極層17aとで構成されている。カソード15bは、高分子電解質膜14の上に形成された触媒層16bとこの触媒層16bの上に形成されたガス拡散電極層17bとで構成されている。そして、このMEA13の高分子電解質膜14の周縁部(外側部分)の両面に、中央部に開口を有する一対のガスケット18、18が、その開口にそれぞれアノード15a及びカソード15bが位置するようにして、配設されている。従って、アノード15a及びカソード15bはこのMEA13とガスケット18、18との接合体(以下、MEA−ガスケット接合体という)の両面の中央部(内側部分)に露出している。このMEA−ガスケット接合体のアノード側の主面に接するようにアノードセパレータ19aが配設され、MEA−ガスケット接合体のカソード側の主面に接するようにカソードセパレータ19bが配設されている。
アノードセパレータ19aには、その内面に溝状の燃料ガス流路80が形成され、その外面に溝状の内部冷却水流路82aが形成されている。アノードセパレータ19aの周縁部には該周縁部を貫通するように、燃料ガス供給マニフォールド孔83a、酸化剤ガス供給マニフォールド孔84a、内部冷却水供給マニフォールド孔85a、燃料ガス排出マニフォールド孔83b、酸化剤ガス排出マニフォールド孔84b、及び内部冷却水排出マニフォールド孔85bがそれぞれ形成されている。そして、燃料ガス流路80は燃料ガス供給マニフォールド孔83aと燃料ガス排出マニフォールド孔83bとを接続するように形成され、内部冷却水流路82aは内部冷却水供給マニフォールド孔85aと内部冷却水排出マニフォールド孔85bとを接続するように形成されている。
また、カソードセパレータ19bは、その内面に溝状の酸化剤ガス流路81が形成され、その外面に溝状の内部冷却水流路82bが形成されている。カソードセパレータ19bの周縁部には該周縁部を貫通するように、燃料ガス供給マニフォールド孔83a、酸化剤ガス供給マニフォールド孔84a、内部冷却水供給マニフォールド孔85a、燃料ガス排出マニフォールド孔83b、酸化剤ガス排出マニフォールド孔84b、及び内部冷却水排出マニフォールド孔85bがそれぞれ形成されている。そして、酸化剤ガス流路81は酸化剤ガス供給マニフォールド孔84aと酸化剤ガス排出マニフォールド孔84bとを接続するように形成され、内部冷却水流路82bは内部冷却水供給マニフォールド孔85aと内部冷却水排出マニフォールド孔85bとを接続するように形成されている。そして、MEA−ガスケット接合体の周縁部にも、アノードセパレータ19a及びカソードセパレータ19bに対応するように、該周縁部を貫通するようにして燃料ガス供給マニフォールド孔83a、酸化剤ガス供給マニフォールド孔84a、内部冷却水供給マニフォールド孔85a、燃料ガス排出マニフォールド孔83b、酸化剤ガス排出マニフォールド孔84b、及び内部冷却水排出マニフォールド孔85bが形成されている。
これにより、スタック10には、各セル11の燃料ガス供給マニフォールド孔83a、酸化剤ガス供給マニフォールド孔84a、内部冷却水供給マニフォールド孔85a、燃料ガス排出マニフォールド孔83b、酸化剤ガス排出マニフォールド孔84b、及び内部冷却水排出マニフォールド孔85bがそれぞれ繋がって燃料ガス供給マニフォールド、酸化剤ガス供給マニフォールド、内部冷却水供給マニフォールド、燃料ガス排出マニフォールド、酸化剤ガス排出マニフォールド、及び内部冷却水排出マニフォールドが形成されている。また、アノードセパレータ19aの外面の内部冷却水流路82aとカソードセパレータ19bの外面の内部冷却水流路82bとが合わさって、隣接する2つのセル11の間に1つの内部冷却水流路が形成されている。
そして、燃料ガス供給マニフォールドに燃料ガス供給配管26が接続され、燃料ガス排出マニフォールドに燃料ガス排出配管27が接続されている。また、酸化剤ガス供給マニフォールドに酸化剤ガス供給配管28が接続され、酸化剤ガス排出マニフォールドに酸化剤ガス排出配管29が接続されている。さらに、内部冷却水供給マニフォールドに内部冷却水供給配管44が接続され、冷却水排出マニフォールドに内部冷却水排出配管45が接続されている。
なお、図12には、燃料ガス供給マニフォールド孔83a、酸化剤ガス供給マニフォールド孔84a、及び冷却水供給マニフォールド孔85aが2本の破線で示され、同様に燃料ガス排出マニフォールド孔83b、酸化剤ガス排出マニフォールド孔84b、及び冷却水排出マニフォールド孔85bが2本の破線で示されているが、これは図12の断面視においてこれらが重なっていることを示しているのであり、これらが1つのマニフォールド孔を共用しているのではなく個別に形成されているのは言うまでもない。また、各マニフォールド孔83a〜85a、83b〜85bを任意に配置することができることは言うまでもない。
次に、カソード熱交換器31の内部構造について説明する。カソード熱交換器31は、熱交換ユニット90が多数積層され、その両端に一対の端板が配置されるようにして構成されている。図13に示すように、熱交換ユニット90は、MGA(Membrane Gass−diffusion−layer Assembly:全熱交換膜―ガス拡散層接合体)91を有している。MGA91は、全熱交換膜92と、この全熱交換膜92の周縁部を除く部分(内側部分)の両面にそれぞれ形成された反応ガス拡散層93及び排ガス拡散層94とを有している。そして、このMGA91の全熱交換膜92の周縁部(外側部分)の両面に、中央部に開口を有する一対のガスケット95、95が、その開口にそれぞれ反応ガス拡散層93及び排ガス拡散層94が位置するようにして、配設されている。従って、反応ガス拡散層93及び排ガス拡散層94はこのMGA91とガスケット95、95との接合体(以下、MGA−ガスケット接合体という)の両面の中央部(内側部分)に露出している。このMGA−ガスケット接合体の反応ガス側の主面に接するように反応ガス熱交換プレート96が配設され、MGA−ガスケット接合体の排ガス側の主面に接するように排ガス熱交換プレート97が配設されている。
反応ガス熱交換プレート96には、その内面に溝状の反応ガス流路98が形成され、その外面に溝状の内部冷却水流路100aが形成されている。反応ガス熱交換プレート96の周縁部には該周縁部を貫通するように、反応ガス供給マニフォールド孔101a、排ガス供給マニフォールド孔102a、内部冷却水供給マニフォールド孔103a、反応ガス排出マニフォールド孔101b、排ガス排出マニフォールド孔102b、及び内部冷却水排出マニフォールド孔103bがそれぞれ形成されている。そして、反応ガス流路98は反応ガス供給マニフォールド孔101aと反応ガス排出マニフォールド孔101bとを接続するように形成され、内部冷却水流路100aは内部冷却水供給マニフォールド孔103aと内部冷却水排出マニフォールド孔103bとを接続するように形成されている。
また、排ガス熱交換プレート97は、その内面に溝状の排ガス流路99が形成され、その外面に溝状の内部冷却水流路100bが形成されている。排ガス熱交換プレート97の周縁部には該周縁部を貫通するように、反応ガス供給マニフォールド孔101a、排ガス供給マニフォールド孔102a、内部冷却水供給マニフォールド孔103a、反応ガス排出マニフォールド孔101b、排ガス排出マニフォールド孔102b、及び内部冷却水排出マニフォールド孔103bがそれぞれ形成されている。そして、排ガス流路99は排ガス供給マニフォールド孔102aと排ガス排出マニフォールド孔102bとを接続するように形成され、内部冷却水流路100bは内部冷却水供給マニフォールド孔103aと内部冷却水排出マニフォールド孔103bとを接続するように形成されている。そして、MEA−ガスケット接合体の周縁部にも、反応ガス熱交換プレート96及び排ガス熱交換プレート97に対応するように、該周縁部を貫通するようにして反応ガス供給マニフォールド孔101a、排ガス供給マニフォールド孔102a、内部冷却水供給マニフォールド孔103a、反応ガス排出マニフォールド孔101b、排ガス排出マニフォールド孔102b、及び内部冷却水排出マニフォールド孔103bが形成されている。
これにより、カソード熱交換器31には、各熱交換ユニット90の反応ガス供給マニフォールド孔101a、排ガス供給マニフォールド孔102a、内部冷却水供給マニフォールド孔103a、反応ガス排出マニフォールド孔101b、排ガス排出マニフォールド孔102b、及び内部冷却水排出マニフォールド孔103bがそれぞれ繋がって反応ガス供給マニフォールド、排ガス供給マニフォールド、内部冷却水供給マニフォールド、反応ガス排出マニフォールド、排ガス排出マニフォールド、及び内部冷却水排出マニフォールドが形成されている。また、反応ガス熱交換プレート96の外面の内部冷却水流路100aと排ガス熱交換プレート97の外面の内部冷却水流路100bとが合わさって、隣接する2つの熱交換ユニット90の間に1つの内部冷却水流路が形成されている。
なお、図13には、反応ガス供給マニフォールド孔101a、排ガス供給マニフォールド孔102a、及び内部冷却水供給マニフォールド孔103a、が2本の破線で示され、同様に反応ガス排出マニフォールド孔101b、排ガス排出マニフォールド孔102b、及び内部冷却水排出マニフォールド孔103bが2本の破線で示されているが、これは図12の断面視においてこれらが重なっていることを示しているのであり、これらが1つのマニフォールド孔を共用しているのではなく個別に形成されているのは言うまでもない。また、各マニフォールド孔101a〜103a、101b〜103bを任意に配置することができることは言うまでもない。
ここで、反応ガス供給マニフォールドは、酸化剤ガス供給配管28を介して酸化剤ガス供給器25に接続され、反応ガス排出マニフォールドは、酸化剤ガス供給配管28を介してスタック10に接続されている。また、排ガス供給マニフォールドは、酸化剤排ガス排出配管29を介してスタック10に接続され、排ガス排出マニフォールドは、酸化剤排ガス排出配管29を介して酸化剤排ガス凝縮器51に接続されている。さらに、内部冷却水供給マニフォールドは、内部冷却水排出配管45を介してアノード熱交換器33に接続され、冷却水排出マニフォールドは、内部冷却水排出配管45を介して冷却用熱交換器41に接続されている。ただし、カソード熱交換器31とアノード熱交換器33とを隣接して設置する場合には、配管を介さず、内部冷却水供給マニフォールドとアノード熱交換器33を直接に接続してもよい。また、カソード熱交換器31とスタック10を隣接して設置する場合には、配管を介さず、カソード熱交換器31とスタック10を直接に接続してもよい。
図14に、本実施の形態におけるカソード熱交換器31の概略的な分解斜視図を示す。図14を見れば分かるように、MGA91、反応ガス熱交換プレート96、排ガス熱交換プレート97の周縁部に、反応ガス供給マニフォールド孔101a、排ガス供給マニフォールド孔102a、内部冷却水供給マニフォールド孔103a、反応ガス排出マニフォールド孔101b、排ガス排出マニフォールド孔102b、及び内部冷却水排出マニフォールド孔103bが形成されている。さらに、これらがそれぞれに繋がって、反応ガス供給マニフォールド、排ガス供給マニフォールド、内部冷却水供給マニフォールド、反応ガス排出マニフォールド、排ガス排出マニフォールド、及び内部冷却水排出マニフォールドが形成されている。そして、酸化剤ガスは、反応ガス供給マニフォールド、反応ガス流路98、反応ガス排出マニフォールドの順に通過する。また、酸化剤排ガスは、排ガス供給マニフォールド、排ガス流路99、排ガス排出マニフォールドの順に通過する。また、内部冷却水は内部冷却水供給マニフォールド、内部冷却水流路、内部冷却水排出マニフォールドの順に通過する。
以上の構成により、カソード熱交換器31の内部においては、反応ガス流路98に酸化剤ガスが、排ガス流路99に酸化剤排ガスが、内部冷却水流路には内部冷却水が通じるこことになる。そして、反応ガス流路98と排ガス流路99は全熱交換膜を介してつながっているため、酸化剤ガスと酸化剤排ガスとの間の全熱交換によって、酸化剤排ガス中の熱と水分が酸化剤ガスに移動する。すなわち、酸化剤排ガスにより、酸化剤ガスの加温および加湿が行われる。また、反応ガス流路98、排ガス流路99は、内部冷却水流路と熱交換プレートを介してつながっているため、酸化剤ガス、酸化剤排ガスと内部冷却水との熱交換によって、内部冷却水中の熱と水分が酸化剤ガスに移動する。しかし、熱交換プレートは水分およびイオンを通過させない。したがって、内部冷却水により、酸化剤ガスの加湿は行われず、加温のみが行われる。
アノード熱交換器33の内部構造は、カソード熱交換器31のものと同様である。よって、説明を省略する。なお、アノード熱交換器33においては、反応ガス供給マニフォールドは、燃料ガス供給配管26を介して水素生成装置20に接続され、反応ガス排出マニフォールドは、燃料ガス供給配管26を介してスタック10に接続されている。また、排ガス供給マニフォールドは、燃料排ガス排出配管27を介してスタック10に接続され、排ガス排出マニフォールドは、燃料排ガス排出配管27を介して燃料排ガス凝縮器51に接続されている。さらに、内部冷却水供給マニフォールドは、内部冷却水排出配管45を介してスタック10に接続され、内部冷却水排出マニフォールドは、内部冷却水排出配管45を介してカソード熱交換器31に接続されている。ただし、カソード熱交換器31とアノード熱交換器33とを隣接して設置する場合には、配管を介さず、内部冷却水排出マニフォールドとカソード熱交換器31を直接に接続してもよい。また、アノード熱交換器33とスタック10を隣接して設置する場合には、配管を介さず、カソード熱交換器33とスタック10を直接に接続してもよい。
以上の構成により、アノード熱交換器33の内部においては、反応ガス流路に燃料ガスが、排ガス流路に燃料排ガスが、内部冷却水流路には内部冷却水が通じることになる。そして、反応ガス流路と排ガス流路は全熱交換膜を介してつながっているため、燃料ガスと燃料排ガスとの間の全熱交換によって、燃料排ガス中の熱と水分が燃料ガスに移動する。すなわち、燃料排ガスにより、燃料ガスの加温および加湿が行われる。また、反応ガス流路、排ガス流路は、内部冷却水流路と熱交換プレートを介してつながっているため、燃料ガス、燃料排ガスと内部冷却水との熱交換によって、内部冷却水中の熱と水分が燃料ガスに移動する。しかし、熱交換プレートは水分およびイオンを通過させない。したがって、内部冷却水により、燃料ガスの加湿は行われず、加温のみが行われる。
以上のような構成を有する本実施の形態の燃料電池発電システムの動作について、以下、概略的に説明する。
まず、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流れについて説明する。原料および水が改質器22に供給される。改質器22において、前記原料および前記水から、水蒸気改質反応により水素リッチなガスが発生する。改質器22の温度は、バーナ21により、水蒸気改質反応に好適な温度に維持される。前記水素リッチなガスには一酸化炭素が含まれる。前記一酸化炭素は変成器23および選択酸化器24において水素リッチなガスから適宜な程度に除去される。実施の形態において、前記水素リッチなガスが特許請求の範囲で言うところの燃料ガスである。前記燃料ガスは、アノード熱交換器33において、所定の温度および湿度に調整され、スタック10へと供給される。また、実施の形態において、空気が特許請求の範囲で言うところの酸化剤ガスである。酸化剤ガス供給器25により供給された前記酸化剤ガスは、カソード熱交換器31において、所定の温度および湿度に調整され、スタック10へと供給される。スタック10の各セル11において、燃料ガスと酸化剤ガスが電気化学的反応により電力を発生させる。前記電力は、電力負荷回路70を通じて利用される。
スタック10では、燃料排ガスおよび酸化剤排ガスが発生する。前記燃料排ガスおよび前記酸化剤排ガスは、それぞれ燃料ガス排出配管27および酸化剤ガス排出配管29を通じて系外へと排出される。燃料排ガスおよび酸化剤排ガスは、それぞれ、燃料ガスおよび酸化剤ガスに比べ、温度および露点が高い。よって、カソード熱交換器31においては、酸化剤排ガスにより酸化剤ガスの加温および加湿が行われる。また、アノード熱交換器33においては、燃料排ガスにより燃料ガスの加温および加湿が行われる。これにより、燃料排ガスおよび酸化剤排ガス中の熱および水を有効に利用することが可能となる。よって、燃料電池発電システムの熱効率および水自給率が向上する。
カソード熱交換器31から排出された前記酸化剤排ガスは、酸化剤排ガス凝縮器51を経て、系外へと排出される。また、アノード熱交換機33から排出された前記燃料排ガスは、燃料排ガス凝縮器2を経て、バーナ21に供給され、燃焼される。バーナ21からの排ガス(以下、水素生成装置排ガス)は、水素生成装置排ガス凝縮器53を経て系外へと排出される。
次に、冷却系統40の動作について説明する。
まず、内部冷却水の流れについて説明する。スタック10における電気化学的反応を効率よく発生させるためには、スタック10の温度を摂氏100度前後に保つ必要がある。前記電気化学的反応が起こると熱が発生する。前記熱は、内部冷却水によりスタック10から除去される。スタック10から出てきた内部冷却水は高温であるため、アノード熱交換器33およびカソード熱交換器31において、それぞれ、燃料ガスおよび酸化剤ガスの加温に用いられる。これにより、内部冷却水中の熱を有効に利用することが可能となる。よって、燃料電池発電システムの熱効率が向上する。なお、内部冷却水の流路と燃料ガスおよび酸化剤ガスの流路は分離されており、水やイオンは交換されないような構成となっている。また、内部冷却水はさらに冷却用熱交換器41に送られる。冷却用熱交換器41において、内部冷却水の熱は外部冷却水へと伝達される。これにより、内部冷却水の温度は一定に保たれる。
次に外部冷却水の流れについて説明する。外部冷却水は、外部冷却回路42を通じて、酸化剤排ガス凝縮器51、燃料排ガス凝縮器52、水素生成装置排ガス凝縮器53に供給される。酸化剤排ガス凝縮器51において、酸化剤排ガスは外部冷却水により冷却される。これにより、酸化剤排ガス中の水は凝縮して、水回収系統60へと流出する(DW1)。燃料排ガス凝縮器52において、燃料排ガスは外部冷却水により冷却される。これにより、燃料排ガス中の水は凝縮して、水回収系統60へと流出する(DW2)。水素生成装置排ガス凝縮器53において、水素生成装置排ガスは外部冷却水により冷却される。これにより、水素生成装置排ガス中の水は凝縮して、水回収系統60へと流出する(DW3)。
次に、水回収系統60の動作について説明する。酸化剤排ガス凝縮器51、燃料排ガス凝縮器52、水素生成装置排ガス凝縮器53から流出する凝縮水(DW1、DW2、DW3)は、まず凝縮水タンク61に集まる。凝縮水タンク61中の凝縮水の一部は、浄化せずにそのまま、必要に応じて、酸化剤ガスの加温および加湿に用いられる前の酸化剤排ガスへ(DW4)、燃料ガスの加温および加湿に用いられる前の燃料排ガスへ(DW5)、あるいは内部冷却水へ(DW7)と添加される。また、凝縮水タンク61中の凝縮水の一部は、フィルタ62およびイオン交換部63により浄化され、必要に応じて、原料へ(DW6)と添加される。これにより、酸化剤排ガス、燃料排ガス、水素生成装置排ガスのそれぞれに含まれる凝縮水を再利用することが可能となる。よって、燃料電池発電システムの水自給率が向上する。なお、凝縮水タンク61中の凝縮水のうち、過剰となった分は、系外へと排出される。
次に、本発明の特徴である、配管の素材および系統の分離について以下に説明する。
まず、配管の素材について説明する。本実施の形態において、1)アノード熱交換器33およびカソード熱交換器31の中に存在する、反応ガス供給マニフォールド、反応ガス流路、反応ガス排出マニフォールド、排ガス供給マニフォールド、排ガス流路、排ガス排出マニフォールド、2)燃料ガス供給配管26のうち、アノード熱交換器33とスタック10とを結ぶ部分、3)酸化剤ガス供給配管28のうち、カソード熱交換器31とスタック10とを結ぶ部分、4)燃料ガス排出配管27のうち、スタック10とアノード熱交換器33とを結ぶ部分、およびアノード熱交換器33と水回収系統60とを結ぶ部分、5)酸化剤ガス排出配管29のうち、スタック10とカソード熱交換器31とを結ぶ部分、およびカソード熱交換器と水回収系統60とを結ぶ部分、6)水回収系統60、および7)スタック10の中に存在する、燃料ガス供給マニフォールド、燃料ガス流路80、燃料ガス排出マニフォールド、酸化剤ガス供給マニフォールド、酸化剤ガス流路81、酸化剤排出マニフォールド、すなわち、図1の二重線で示されている部分(本実施の形態においては、以上の部分が、特許請求の範囲で言うところの「内部流路」である)の、ガスおよび水に接触する部分(以下、内面)が、フッ化水素酸耐性の素材で構成されている。かかる構成とすることにより、内部流路においては金属イオンが溶出しなくなる。よって、凝縮水をそのまま酸化剤ガスおよび燃料ガスに添加しても、金属イオンがスタック10に侵入しなくなる。よって、スタック10に含まれる高分子電解質膜が金属イオンにより汚染されることを防止することが可能となる。これにより、燃料電池発電システムの寿命が飛躍的に向上する。
なお、本実施の形態においては、カソード熱交換器31およびアノード熱交換器33とスタック10を結ぶ流路、および、カソード熱交換器31およびアノード熱交換器33と水回収系統60とを結ぶ流路は、パイプ状の配管により構成した。しかし、カソード熱交換器31およびアノード熱交換器33とスタック10を一体で成型する場合等においては、流路は特定の部材中に形成された溝や孔等であってもよい。
また、本実施の形態においては、アノードセパレータ19aおよびカソードセパレータ19bの全体を、フッ化水素酸耐性を有し、かつ電気伝導性の高い素材、例えば黒鉛を含む樹脂により構成する。しかし、セパレータの流路を構成する部分はフッ化水素酸耐性を有する樹脂等で構成し、流路以外の部分に通電部を設けてもよい。この場合には、インサート成型等により、金属等の電気伝導性を有する素材で構成した通電部が、ガス拡散電極層と電極を結ぶように設けられる。セパレータは、内部に存在する流路の内面がフッ化水素酸耐性を有し、かつ、ガス拡散電極層17a、17bにおいて発生した電力を取り出せるように電導性を有すべく構成されたものであれば、いかなる構成であってもよい。
また、本実施の形態において、カソード熱交換器31およびアノード熱交換器33の構成要素である、ガスケット、反応ガス熱交換プレート、排ガス熱交換プレートは、フッ化水素酸耐性を有し、かつ熱伝導性の高い素材、例えば黒鉛を含む樹脂により構成する。しかし、構成素材そのものが必ずしもフッ化水素酸耐性を有する素材である必要はない。素材そのものは、ステンレスなど、フッ化水素酸耐性を有さない素材で構成し、反応ガス供給マニフォールド、排ガス供給マニフォールド、内部冷却水供給マニフォールド、反応ガス排出マニフォールド、排ガス排出マニフォールド、及び内部冷却水排出マニフォールド、反応ガス流路、排ガス流路において、その内面を、樹脂などの表面処理によってフッ化水素酸耐性を有するように構成されていてもよい。
次に、系統の分離について説明する。本実施の形態において、冷却系統40は、燃料ガスおよび酸化剤ガスの配管および流路とは分離されている。すなわち、カソード熱交換器31およびアノード熱交換器33において、内部冷却水により、酸化剤ガスおよび燃料ガスの加温は行われるものの、加湿は行われない。また、その余の部分において、酸化剤ガスおよび燃料ガスは、冷却水と接触しない。よって、冷却水中に金属イオンが溶出しても、前記金属イオンがスタック10へと侵入することはない。したがって、冷却系統40の配管については、フッ化水素酸耐性の素材を用いる必要はない。これにより、高い熱伝導性を要求される冷却系統の部品については、ステンレス等の安価な金属を素材として利用することが可能となる。
以上の構成および動作により、本実施の形態にかかる燃料電池発電システムでは、酸化剤排ガスおよび燃料排ガスに含まれる熱および水、および、冷却水に含まれる熱を有効に利用しつつ、スタック10への金属イオンの流入を防ぐことが可能となる。よって、燃料電池発電システムの熱効率および水自給率を高めると同時に、燃料電池発電システムの寿命を飛躍的に高めることが可能となる。
なお、水回収系統60において、凝縮水タンクと冷却水タンクを接続する部分については、必ずしもフッ化水素酸耐性の素材を用いる必要はない。これは、冷却水については酸化剤ガスおよび燃料ガスに接触することがないため、金属イオンが溶出しても、スタック10の汚染原因となる恐れがないためである。
また、改質器22へ供給する水(DW6)については、フィルタおよびイオン交換により浄化が行われる。これは、改質器22に含まれる触媒を保護するためである。
なお、配管の内面をフッ化水素酸耐性の素材で構成する方法としては、配管そのものの素材をフッ化水素酸耐性としてもよい。あるいは、前記内面を樹脂等により表面処理してもよい。いずれの方法にせよ、前記内面がフッ化水素酸耐性を有するように構成するものであれば、如何なるものでもよい。
また、フッ化水素酸耐性の素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン、シリコーン、フッ素樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、シンジオタクチック・ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリエーテルニトリル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、および熱可塑性ポリイミドからなる樹脂群のうち少なくとも一種類を用いて構成されていてもよい。
なお、本実施の形態では、フッ化水素酸耐性の素材として、ポリプロピレンが特に好適に用いられる。その理由として第一に挙げられるのは、ポリプロピレンは安価でありながら優れたフッ酸耐性を有していることである。次に、高分子電解質形燃料電池の運転温度には充分耐えられることが挙げられる。ポリプロピレンを用いた配管部材は汎用配管部材として上市されている。また、凝縮水タンク61、フィルタ62、イオン交換部63等の筐体素材としても、上述の樹脂が好ましい。また、ポンプ、弁その他の流体部品については、その内面が樹脂製のものが多数上市されており、これらの使用が好ましい。
[比較例1]
スタックの金属汚染と電池の寿命との関係を調べるべく、同一仕様の試験用スタックを3種類の試験系(試験系A、試験系B、試験系C)を用いて運転し、1セルあたりの平均電圧の変化を測定した。
まず前記試験用スタックについて説明する。前記試験用スタックは、1KW級燃料電池スタックである。その仕様は、以下の通りである。電極面積は169cm、段数は50段、定格電流密度は0.2A/cmとした。燃料ガスは、後述する水素生成装置により得られた水素リッチなガス(二酸化炭素20%を含む)とした。燃料ガスの基本定格運転条件は、ガス露点を67℃、燃料利用率を75%とした。また酸化剤ガスは空気とした。酸化剤ガスの基本定格運転条件は、供給露点を67±2℃、空気利用率を50%とした。前記スタックは、内部冷却水の流路を、ひとつの電極面につき一段ずつ備える構成とした。また、定格運転時には、水量1.6L/分の内部冷却水により前記試験用スタックが冷却されるように調整された。投入温度を60度とした場合、排出される内部冷却水の温度は約70℃であった。
前記試験用スタックに使用される高分子電解質膜−電極接合体(以下、MEA)は、商品名プライメアとして上市されているジャパンゴアテックス社製ものを用いた。セパレータには樹脂と黒鉛を組成として含むセパレータ(大日本インキ製:試作品)を用いた。これにより、セパレータは導電性を有すると同時に、セル内部の燃料ガス、酸化剤ガス、内部冷却水の流路の内面がフッ化水素酸耐性を有することになる。
また、セルのシールを含めた流体シールに使用される部材は、フッ素ゴム製のシール(NOK製:試作品)とした。さらに、前記試験用スタックにおける流体の供給、排出および配管締結の様式は、本発明の発明者らが特公開2003−331905によって開示したものとし、金属製の端板および集電板と流体との接触はないように構成した。
次に、試験系Aについて説明する。図2は、試験系Aの概略構成を示すブロック図である。以下、図2を参照しながら、試験系Aのハードウェア構成について説明する。図2において、図1と対応する構成要素には同一符号が付されている。試験系Aは、実施の形態における水回収系統60および凝縮水を回収する系統(酸化剤排ガス凝縮器51、燃料排ガス凝縮器52、水素生成装置排ガス凝縮器53)および熱交換の系統(カソード熱交換器31、アノード熱交換器33)が省略され、酸化剤ガスバブラ38、燃料ガスバブラ39が追加されたものであり、他の構成要素は実施の形態と同じである。よって、試験系Aと実施の形態との間で対応する構成要素(図1と図2において同一符号が付されている構成要素)については説明を省略する。なお、試験系Aにおいて、スタック10が前記試験用スタックとなっている。
酸化剤ガスバブラ38、燃料ガスバブラ39は、それぞれ酸化剤ガスおよび燃料ガスを加湿するために設置されているバブラである。試験系Aにおいては、酸化剤ガスバブラ38、燃料ガスバブラ39として、従来の加湿装置であるバブラが用いられた。
次に、試験系Aの動作について説明する。酸化剤ガス供給器25は酸化剤ガスとして空気を供給する。前記酸化剤ガスは酸化剤バブラ38を用いて加湿され、その後にスタック10へ供給される。前記酸化剤ガスは、スタック10において所定の空気利用率で消費された後、廃棄される。また、水素生成装置20は燃料ガスとして水素リッチなガスを供給する。前記燃料ガスは、燃料ガスバブラ39を用いて加湿され、その後にスタック10へ供給される。前記燃料ガスは、スタック10において所定の燃料利用率で消費された後、廃棄される。また、冷却用熱交換器41、外部冷却回路42、冷却水タンク43、からなる冷却系統40により、所定の温度に冷却がなされる。
なお、試験系Aが、上市されている通常の試験装置の形態である。
次に、試験系Bについて説明する。図3は、試験系Bの概略構成を示すブロック図である。以下、図3を参照しながら、試験系Bのハードウェア構成について説明する。図3において、図1と対応する構成要素には同一符号が付されている。試験系Bは、実施の形態における水回収系統60、凝縮水を回収する系統(酸化剤排ガス凝縮器51、燃料排ガス凝縮器52、水素生成装置排ガス凝縮器53)、および内部冷却水により酸化剤ガスおよび燃料ガスを加温する系統(カソード熱交換器31およびアノード熱交換器33)が省略され、カソード全熱交換器30、カソード温水加湿器36、アノード全熱交換器32、アノード温水加湿器37が追加されたものであり、他の構成要素は実施の形態と同じである。よって、試験系Bと実施の形態との間で対応する構成要素(図1と図3において同一符号が付されている構成要素)については説明を省略する。なお、試験系Bにおいて、スタック10が前記試験用スタックとなっている。
カソード全熱交換器30は、酸化剤排ガスと酸化剤ガスとの間の全熱交換により、酸化剤ガスの加温および加湿を行う全熱交換器である。カソード全熱交換器30の内部には、酸化剤ガスが通じる酸化剤ガス流路と、酸化剤排ガスが通じる酸化剤排ガス流路とが形成されている。前記酸化剤ガス流路と前記酸化剤排ガス流路とは、全熱交換膜を介してつながっている。試験系Bにおいて、前記全熱交換膜には、例えば、スタック10で用いられている高分子電解質膜、より具体的には、例えば、パーフルオロスルフォン酸膜が好適に用いられる。
また、アノード全熱交換器32は燃料排ガスと燃料ガスとの間の全熱交換により、燃料ガスの加温および加湿を行う全熱交換器である。アノード全熱交換器32の内部には、燃料ガスが通じる燃料ガス流路と、燃料排ガスが通じる燃料排ガス流路とが形成されている。前記燃料ガス流路と前記燃料排ガス流路とは、全熱交換膜を介してつながっている。試験系Bにおいて、前記全熱交換膜には、例えば、スタック10で用いられている高分子電解質膜、より具体的には、例えば、パーフルオロスルフォン酸膜が好適に用いられる。
カソード温水加湿器36は、内部冷却水と酸化剤ガスとの間の全熱交換を利用して酸化剤ガスの加湿および加温を行う温水加湿器である。カソード温水加湿器36の内部には、酸化剤ガスが通じる酸化剤ガス流路と、内部冷却水が通じるカソード冷却水流路とが形成されている。そして、前記酸化剤ガス流路と前記カソード冷却水流路とは、温水加湿膜を介してつながっている。試験系Bにおいて、前記温水加湿膜には、例えば、スタック10で用いられている高分子電解質膜、より具体的には、例えば、パーフルオロスルフォン酸膜が好適に用いられる。
また、アノード温水加湿器37は、内部冷却水と燃料ガスとの間の全熱交換を利用して燃料ガスの加湿および加温を行う温水加湿器である。アノード温水加湿器37の内部には、燃料ガスが通じる燃料ガス流路と、内部冷却水が通じるアノード冷却水流路とが形成されている。そして、前記燃料ガス流路と前記アノード冷却水流路とは、温水加湿膜を介してつながっている。試験系Bにおいて、前記温水加湿膜には、例えば、スタック10で用いられている高分子電解質膜、より具体的には、例えば、パーフルオロスルフォン酸膜が好適に用いられる。
次に、試験系Bの動作について説明する。酸化剤ガス供給器25は酸化剤ガスとして空気を供給する。前記酸化剤ガスはカソード全熱交換器30により加温および加湿される。前記酸化剤ガスはその後カソード温水加湿器36において、さらに加温および加湿される。カソード全熱交換器30およびカソード温水加湿器36において所定の温度および湿度に調整された酸化剤ガスは、スタック10へ供給される。前記酸化剤ガスは、スタック10において所定の空気利用率で消費された後、廃棄される。また、水素生成装置20は燃料ガスとして水素リッチなガスを供給する。前記燃料ガスは、アノード全熱交換器32により加温および加湿される。前記燃料ガスはその後アノード温水加湿器37において、さらに加温および加湿される。アノード全熱交換器32およびアノード温水加湿器37において所定の温度および湿度に調整された燃料ガスは、スタック10へ供給される。前記燃料ガスは、スタック10において所定の燃料利用率で消費された後、廃棄される。また、スタック10は、冷却用熱交換器41、外部冷却回路42、冷却水タンク43、からなる冷却系統40により、所定の温度に冷却がなされる。
なお、試験系Bにおいて、燃料ガス、燃料排ガス、酸化剤ガス、酸化剤排ガス、および冷却水の配管、継ぎ手類は全てステンレス鋼(SUS316)で構成した、またカソード全熱交換器30、アノード全熱交換器32、カソード温水加湿器36、アノード温水加湿器37の内部において、全熱交換膜および温水加湿膜の保持および伝熱に用いるガス拡散層にはステンレス鋼(SUS316)のエッチングプレートを用いた。試験系Bは、従来技術であるステンレス配管を用いた場合の構成である。
次に、試験系Cについて説明する。図4は、試験系Cの概略構成を示すブロック図である。以下、図4を参照しながら、試験系Cについて説明する。図4において、図3と対応する構成要素には同一符号が付されている。図4に示すように、試験系Cの構成は、配管に用いられる素材を除いては試験系Bと同様である。よって、試験系Cの構成要素(図3と図4において同一符号が付されている構成要素)の機能、配置およびその動作については説明を省略する。なお、試験系Cにおいて、スタック10が前記試験用スタックとなっている。
試験系Cにおいて、燃料ガス、燃料排ガス、酸化剤ガス、酸化剤排ガス、および冷却水の配管、継ぎ手類(図4において二重線で示されている部分)は全てポリプロピレン製配管で構成した、冷却水タンク43および冷却水のポンプにおいて水に接する部分(内面)の材質もポリプロピレン製配管で構成した。さらに、カソード全熱交換器30、アノード全熱交換器32、カソード温水加湿器36、アノード温水加湿器37の内部において、全熱交換膜および温水加湿膜の保持および伝熱に用いるガス拡散層にはろ紙を、熱交換プレートには、樹脂含浸黒鉛板(東海カーボン製)を切削加工して製作された熱交換プレート(以下、カーボン熱交換プレート)を用いた。試験系Cは、本発明の特徴である、フッ化水素酸耐性を有する素材を配管に用いた場合の構成である。
以上の、試験系A、B、Cを用いて発電を行った場合の1セルあたりの平均電圧の変化を、10000時間まで測定した。その結果を図7に示す。試験系Aおよび試験系Cにおける電圧の低下率は、1000時間あたり3mVから4mVであった。一方、試験系Bでは、電圧が1000時間あたり10mV程度低下しており、試験系Aおよび試験系Cに比べて特異的に電池の寿命が短くなることが分かった。
上記のような電圧の低下率の違いをもたらした要因を調べるべく、各実験系について水質の分析を行った。すなわち、試験系Aにおけるアノード排ガスから回収された凝縮水(サンプルA)、試験系Bを1000時間動かしたのちの内部冷却水(サンプルB)、試験系Cを1000時間動かしたのちの内部冷却水(サンプルC)の水質を分析した。pHはpHメーターにより測定した。陰イオン濃度についてはイオンクロマトグラフにより測定した。金属類に関しては原子吸光光度法により測定した。全有機態炭素(TOC)については触媒燃焼−非分散赤外線吸法によった。結果を図8に示す。
サンプルAの分析結果から、試験系Aにおける凝縮水は微弱ながら硫酸酸性およびフッ化水素酸酸性であることが分かった。アノード触媒上では電気化学的反応により水素がプロトンに解離する。また、高分子電解質膜の素材として使われているパーフルオロスルフォン酸膜は、硫酸修飾されたフッ素樹脂からなる。以上のことから、試験系Aにおける凝縮水中の硫酸イオンとフッ化物イオンは、高分子電解質膜に由来すると推察された。
サンプルBの分析結果からは、試験系Bにおける内部冷却水は、試験系Aにおける凝縮水と同様に、硫酸イオンとフッ化物イオンを含むことが分かった。カソード全熱交換器30、カソード温水加湿器36、アノード全熱交換器32、およびアノード温水加湿器37においては、全熱交換膜あるいは温水加湿膜を介してイオンも移動する。したがって、試験系Bにおける内部冷却水中の硫酸イオンとフッ化物イオンも、試験系Aにおける凝縮水と同様に、高分子電解質膜に由来すると考えられた。
また、サンプルBは、鉄、ニッケル、クロム等の金属類も含んでいた。これらの金属成分は、配管および熱交換器を構成するSUS316ステンレス鋼の構成成分である。SUS316は耐食性のある金属素材として種々の用途に用いられるものの、硫酸とフッ化水素酸の混酸である凝縮水に対する耐食性は充分ではない。このことから、試験系Bにおける内部冷却水中の金属類は、配管や熱交換器から溶出したものであると推定された。
サンプルCは、硫酸イオンとフッ化物イオンを含むが、金属は含まれていない。これは試験系Cが、配管および熱交換器の構成素材としてフッ化水素酸耐性を有するプラスチックを使用しているためと考えられた。
以上の結果を踏まえた解釈を以下に記載する。試験系Bにおいては、内部冷却水等のステンレス配管から溶け出した金属が、直接、あるいは全熱交換膜や温水加湿膜を介して、酸化剤ガスおよび燃料ガスに含まれる水へと混入する。これが高分子電解質膜の金属汚染につながる。試験系AおよびCについては、凝縮水が接触する部分の配管は全てフッ化水素酸耐性を有するプラスチックで構成されている。よって、酸化剤ガスおよび燃料ガスに含まれる水に金属が混入することはない。よって、高分子電解質膜の金属汚染が発生しない。すなわち、各試験系における水質の違いが、電池の寿命特性に反映していると推察された。よって、内部流路の内面をフッ化水素酸耐性を有する素材により構成することにより、燃料電池発電システムの寿命を飛躍的に向上させることが可能となることが分かった。
次に、スタック10に入った金属が、MEAのどの部位を阻害しているのかを解析すべく、MEAの抜き取り試験を行った。上述の各試験系を1000時間連続運転する毎に、スタック10を一旦分解してMEA1個を抜き取り、再度組み立てて運転するという方式で、10000時間分のMEAを採取した。抜き取ったMEAについて、サイクリックボルタモグラム(CV)試験および、電解質膜イオン交換容量の測定を行った。
試験系Bから取り出されたMEAについて、試験開始前および10000時間後(試験終了後)のサイクリックボルタモグラフを図9に示す。図9を見れば明らかなように、10000時間の連続運転を行った後も、CV曲線は初期状態のものと大差がなかった。すなわち、触媒に対する金属イオンの被毒は限定的であると解された。この点は、試験系AおよびCから回収されたMEAについても同様であったので図を省略する。
各試験系について、MEAのイオン交換容量の経時変化を図10に示す。図10を見れば明らかなように、試験系Bでは、イオン交換容量の低下が試験系Aおよび試験系Cに比べ顕著であった。試験系Bから取り出したMEAの高分子電解質膜を王水に溶解して成分を分析した。その結果、試験系BのMEA触媒層には、本来含まれる白金、ルテニウムのほか、鉄、ニッケル、クロムが含まれることが分かった。
以上の結果を踏まえた解釈を以下に記載する。試験系Bにおいては、スタック10に由来する硫酸とフッ化水素酸によってステンレス配管が侵され、金属が溶出する。前記金属は、酸化剤ガスや燃料ガスに含まれる水に溶解し、スタック10へと侵入する。そして、前記金属が、イオン交換反応により、高分子電解質膜へ結合し、高分子電解質膜のイオン交換容量を低下させる。これが、電池寿命特性の劣化につながっていると推察された。
以上の事実から、内部流路の内面をフッ化水素酸耐性を有する素材により構成することにより、燃料電池発電システムの寿命を飛躍的に向上させることができることが分かった。
[比較例2]
前記試験用スタックを用いて、2種類の異なる1KW級燃料電池発電システム(試験系D、試験系E)を構築し、1セルあたりの平均電圧の変化を測定した。
まず試験系Dについて説明する。図5は、試験系Dの概略構成を示すブロック図である。以下、図5を参照しながら、試験系Dのハードウェア構成について説明する。図5において、図1および図3と対応する構成要素には同一符号が付されている。試験系Dは、試験系Bと同様に、実施の形態における水回収系統60、凝縮水を回収する系統(酸化剤排ガス凝縮器51、燃料排ガス凝縮器52、水素生成装置排ガス凝縮器53)、および内部冷却水により酸化剤ガスおよび燃料ガスを加温する系統(カソード熱交換器31およびアノード熱交換器33)が省略され、カソード全熱交換器30、カソード温水加湿器36、アノード全熱交換器32、アノード温水加湿器37が追加されたものであり、他の構成要素は実施の形態と同じである。よって、試験系Dと実施の形態との間で対応する構成要素(図1と図5において同一符号が付されている構成要素)については説明を省略する。また、カソード全熱交換器30、カソード温水加湿器36、アノード全熱交換器32、アノード温水加湿器37は、試験系Bを構成するものと同様のものである。よって、試験系Dと試験系Bとの間で対応する構成要素(図3と図5において同一符号が付されている構成要素)については、説明を省略する。試験系Dの動作については、実施の形態および比較例1の試験系Bと同様であるので説明を省略する。なお、試験系Dにおいて、スタック10が前記試験用スタックとなっている。
試験系Dにおいては、比較例1における試験系Bと同様に、燃料ガス、燃料排ガス、酸化剤ガス、酸化剤排ガス、および冷却水の配管、継ぎ手類は全てステンレス鋼(SUS316)で構成した。冷却水タンク43および冷却水のポンプにおいて水に接する部分(内面)の材質もステンレス鋼(SUS316)で構成した。冷却用熱交換器41、カソード全熱交換器30、アノード全熱交換器32、カソード温水加湿器36、アノード温水加湿器37の内部に用いる熱交換プレートも、ステンレス鋼(SUS316)で構成した。さらに、カソード全熱交換器30、アノード全熱交換器32、カソード温水加湿器36、アノード温水加湿器37の内部において全熱交換膜および温水加湿膜の保持および伝熱に用いるガス拡散層にはステンレス鋼(SUS316)のエッチングプレートを用いた。試験系Dは、従来技術であるステンレス配管を用いた場合の構成である。
次に、試験系Eについて説明する。図6は、試験系Eの概略構成を示すブロック図である。図6において、図5と対応する構成要素には同一符号が付されている。図6に示すように、試験系Eの構成は、配管の素材を除けば試験系Dと同様である。よって、試験系Eの構成要素(図6と図5において同一符号が付されている構成要素)の機能、配置、およびその動作については説明を省略する。なお、試験系Eにおいて、スタック10が前記試験用スタックとなっている。
試験系Eにおいては、比較例1における試験系Cと同様に、燃料ガス、燃料排ガス、酸化剤ガス、酸化剤排ガス、および冷却水の配管、継ぎ手類(図6において二重線で示されている部分)は全てポリプロピレン製配管で構成した。冷却水タンク43および冷却水のポンプにおいて水に接する部分(内面)の材質もポリプロピレン製配管で構成した。さらに、冷却用熱交換器41、カソード全熱交換器30、アノード全熱交換器32、カソード温水加湿器36、アノード温水加湿器37の内部に用いる熱交換プレートには、樹脂含浸黒鉛板(東海カーボン製)を切削加工して製作された熱交換プレートを用いた。また、カソード全熱交換器30、アノード全熱交換器32、カソード温水加湿器36、アノード温水加湿器37の内部に用いる、全熱交換膜および温水加湿膜の保持および伝熱に用いるガス拡散層にはろ紙を用いた。試験系Eは、本発明の特徴である、フッ化水素酸耐性を有する素材を特定の配管に用いた場合の構成である。
試験系Dおよび試験系Eの仕様は以下の通りである。電極面積は169平方センチ、段数は50段、定格電流密度は0.2A/cmとした。燃料ガスは、水蒸気改質水素(二酸化炭素20%を含む)とした。燃料ガスの基本定格運転条件は、ガス露点を67℃、燃料利用率を75%とした。また酸化剤ガスは空気とした。酸化剤ガスの基本定格運転条件は、供給露点を67℃、空気利用率を50%とした。
試験系Dおよび試験系Eにおける理論物質収支は以下の通りである。
反応 H+1/2O → H
反応モル数 50[段]×169[cm]×0.2[A/cm]/(96500×2)=0.0087564[mol/秒]
必要水素量 0.0087564[mol/秒]×60[秒/分]×22.4[NL/mol]/0.75[Uf]= 15.69[NL/分]
必要燃料ガス 15.69[NL/分]/0.8[水素分圧]=19.61[NL/分]
必要酸素量 1/2×0.0087564[mol/秒]×60[秒/分]×22.4[NL/mol]/0.5[Uo]=11.76[NL/分]
必要酸化剤ガス 11.76[NL/分]/0.2[酸素分圧]=58.84[NL/分]
また、水収支に関しては、以下の通りである。
67℃における飽和水蒸気分圧 205.05[mmHg]
必要となる燃料ガスの加湿量 19.61[NL/分]×(1/(760[mmHg]−205.05[mmHg])−1)×(18[g/mol]/22.4[NL/mol])=5.82[g/分]
必要となる酸化剤ガスの加湿量 58.84×(1/(760[mmHg]−205.05[mmHg])−1)×(18[g/mol]/22.4[NL/mol])=17.46[g/分]
また、試験系Dおよび試験系Eにおける水素生成装置20の仕様は以下の通りである。
水素生成装置20は、水蒸気改質反応により、メタンガスを原料として燃料ガスである水素リッチなガスを生成する水素生成装置である。前記水素生成装置20は、定格状態で、組成として20%の二酸化炭素を含む燃料ガスを19.6NL/分の速度で生成すべく調整した。したがって前記水素生成装置20の水素生成能力は、15.7NL/分となった。前記水素生成装置20は、スチームカーボン比(S/C)が2.7(モル比)となるように運転された。また、原料の露点は58度であった。
改質機供給加湿量(S/C2.7)
58℃における飽和水蒸気分圧 136.15mmHg
燃料ガスの水分含量 19.61[NL/分]×(1/(760[mmHg]−136.15[mmHg])−1)×(18[g/mol]/22.4[NL/mol])=3.43[g/分]
アノード側で必要となる追加的な加湿量は、必要となる燃料ガスの加湿量から燃料ガスの水分含量を引いたものであり、5.82−3.43=2.39g/分と計算された。これがアノード全熱交換器32およびアノード温水加湿器37が達成すべき追加的な加湿量である。水の蒸発潜熱は、0.54Kcal/gであるから、追加的な加湿に必要な熱量は1.29Kcal/分となる。そこで、アノード全熱交換器32およびアノード温水加湿器37の交換熱容量の合計が1.29Kcal/分以上となるように、それぞれ適切な設計がなされた。
また、必要となる酸化剤ガスの加湿量は17.46g/分である。ここで、試験系Dおよび試験系Eにおいて使用されたカソード全熱交換器36は、エンタルピー効率70%程度で動作可能であり、カソード排ガスに含まれる水量から計算して約10.5g/分がカソード全熱交換器36から供給可能なことが過去の実績より分かっていた。そこで、必要となる酸化剤ガスの加湿量と全熱交換器36における加湿量の差である約7g/分に相当する3.78Kcal/分以上の交換熱容量を持つように、カソード温水加湿器36が設計された。
試験系Dおよび試験系Eを用いて、定格出力にて運転を行った場合の1セルあたりの平均電圧の変化を、図11に示す。図11を見れば明らかなように、試験系Eは試験系Dに比べ、電圧の低下が緩やかであった。従って、配管にフッ化水素酸耐性を有する素材を使用すると、配管にステンレス鋼を使用した場合に比べ、電池寿命が改善されることが明らかとなった。
[実施例]
比較例1における試験系Cおよび比較例2における試験系Eを構築するにあたり、図4および図6には示されない他の部材(継ぎ手、電磁弁、温度調節用三方弁、温度センサ等の検知器類等)についても、樹脂により構成した。金属製の部材を用いる場合には内面にフッ化樹脂を電着処理した専用部材を用いた。しかし、量産型の燃料電池発電システムにおいては、主にコスト削減の必要から、専用部材よりも汎用部材を使用可能とすることが望ましい。ここにおいて、特に冷却系統においては熱伝導性の高い素材を使用することが必要である。プラスチックは、フッ化水素酸耐性は有するものの、熱伝導性が低いために使用することができない。一方、熱伝導性を高めるべく、樹脂含浸黒鉛板を用いた専用部材とすると、製造コストが高価となり製品化が困難となる。そこで、本実施例では、冷却系統と加湿系統の流路を分離し、冷却水を加湿用の水源に利用しない燃料電池発電システムの構築を試みた。
本発明の課題は、スタックの金属イオンによる汚染を防ぐことで燃料電池発電システムの寿命向上を図るものである。上記のような構成とすることは、かかる課題を解決する点でも有利である。なぜなら、冷却水とガスの配管を分離することにより、冷却水にたとえ金属イオンが含まれていても、これが反応ガスあるいは排ガスに混入することがなくなるからである。すなわち、本実施例では、比較例1の実験系Cに比べ、スタックの金属イオンによる汚染をより効果的に防ぐことができる。
本実施例に係る燃料電池発電システムの概略構成は、図3に示した実施の形態に係る燃料電池発電システムと同様である。よって、各構成要素については説明を省略する。また、本実施例に係る燃料電池発電システムの動作についても実施の形態に係る燃料電池発電システムと同様であるため、説明を省略する。
本実施例において、カソード熱交換器31の全熱交換膜には、ゴアセレクト30μ(ジャパンゴアテックス製)を使用した。また、熱交換ユニット90の一段あたりの熱交換面積は150cmとし、これを図14に示す様式により、30段積層した。その結果、総熱交換面積は4500cmとなった。
また、本実施例において、アノード熱交換器33の全熱交換膜には、ゴアセレクト30μ(ジャパンゴアテックス製)を使用した。また、熱交換ユニットの一段あたりの熱交換面積を150cmとし、これを図14に示す様式により、8段積層した。その結果、総熱交換面積は1200cmとなった。
なお、カソード熱交換器31およびアノード熱交換器33の流路を構成する熱交換プレートは、樹脂含浸黒鉛板(東海カーボン製)を切削加工して製作した。また、カソード熱交換器31およびアノード熱交換器33の内部に用いる、全熱交換膜の保持および伝熱に用いるガス拡散層には厚さ0.2mmのろ紙を用いた。
カソード熱交換器31において、酸化剤排ガスの流路には、水回収系統60により回収された凝縮水が供給された。供給量は、0.1A/cmあたり5.0g/分とした。また、アノード熱交換器32において、燃料排ガスの流路にも、水回収系統60により回収された凝縮水が供給された。供給量は、0.1A/cmあたり1.2g/分とした。定格運転時においては、スタック10から出た直後の内部冷却水の温度は70℃であった。内部冷却水は、スタック10を出た後、アノード冷却水流路、カソード冷却水流路の順に通過すべく配管を接続した。その結果、計画運転時において、酸化剤ガスおよび燃料ガスの露点は、それぞれ、約67.7℃、68.3℃となり、仕様を満足するものとなった。
さらに、本実施例において、燃料ガス供給配管26のうちアノード熱交換器33とスタック10とを結ぶ部分と、燃料ガス排出配管27のうちスタック10とアノード熱交換器33とを結ぶ部分およびアノード熱交換器33と水回収系統60とを結ぶ部分と、酸化剤ガス供給配管28のうちカソード熱交換器31とスタック10とを結ぶ部分と、酸化剤ガス排出配管29のうちスタック10とカソード熱交換器31とを結ぶ部分およびカソード熱交換器31と水回収系統60とを結ぶ部分と、水回収系統60の配管は全てフッ化水素酸耐性の素材であるポリプロピレンにより構成した。これにより、内部流路(図1において二重線で示されている部分)の内面は全て、フッ化水素酸耐性を有する素材である、樹脂含浸黒鉛板あるいはポリプロピレンにより構成されることになった。また、内部冷却水は反応ガスへ熱を供給するが、水は供給しない構成となった。よって、冷却系統では熱伝導性の高いステンレスなどの素材を使用しても、スタックの金属イオンによる汚染を防ぐことが可能となった。
本実施例についても、比較例2と同様の試験を行い、配管にステンレス鋼を使用した場合に比べ、電池寿命が改善されることが明らかとなった。これにより、冷却系統と加湿系統を分離した場合でも、十分な加温および加湿を行うと同時に、スタックを金属汚染から保護することが可能であることが明らかとなった。よって、簡易かつ安価な構成により、高い熱効率および水自給率を有しながら長寿命である固体高分子型燃料電池発電システムを提供することが可能となった。
[変形例]
本変形例においては、集積化によって熱損失を低減すべく、燃料電池発電システム用の統合加湿器を製作し、これを用いて燃料電池発電システムを構成した。本変形例に係る燃料電池発電システムの概略構成は、図1においてカソード熱交換器31とアノード熱交換器33を統合して、単一の統合加湿器としたものである。その余の部分については図1と同様である。よって、本変形例に係る燃料電池発電システムの概略構成については、図および説明を省略する。
図15は、本変形例に係る統合加湿器の概略的な分解斜視図である。図15に示すように、この統合加湿器では、酸化剤ガスと酸化剤排ガスの熱交換を行う部分であるカソード熱交換部104と、燃料ガスと燃料排ガスの熱交換を行う部分であるアノード熱交換部105からなる。カソード熱交換部104は、上述の実施例におけるカソード熱交換器31に相当するものである。また、アノード熱交換部105は、上述の実施例におけるアノード熱交換器33に相当するものである。カソード熱交換部104の構成要素およびアノード熱交換部105の構成要素は、それぞれ、カソード熱交換器31およびアノード熱交換器33の構成要素と同様である。よって、図14と図15の間で対応する構成要素に同一符号を付して説明を省略する。
カソード熱交換部104およびアノード熱交換部105の熱交換面積は、それぞれ150cm、20cmとした。また、カソード熱交換部104およびアノード熱交換部105の全熱交換膜の背面に内部冷却水流路を配設した。内部冷却水は、アノード熱交換部105を経てカソード熱交換部104に供給されるように構成した。内部冷却水流路を出た内部冷却水は、一度端板の外に出た後、冷却用熱交換器41に戻されるよう構成した。カソード熱交換部104およびアノード熱交換部105の全熱交換膜には、ゴアセレクト30μ(ジャパンゴアテックス製)を使用した。カソード熱交換部104およびアノード熱交換部105を構成する熱交換プレートは、厚さ3mmの樹脂含浸黒鉛板(大日本インキ製:試作品)を用いて製作した。また、セルのシールを含めた流体シールには、フッ素ゴム製のシール(NOK製:試作品)を用いた。流路部の形状、深さ、その他の詳細設計条件は、システム運転条件によって定まる交換熱容量、必要流速、圧力損失等の制約に従い、適切に設計された。そして、反応ガス熱交換プレート96、MGA91、排ガス熱交換プレート97を、図15に示す様式により30段積層して組み立てた。ガスおよび冷却水の供給および排出、配管締結の様式は、本発明の発明者らが特公開2003−331905によって開示したものとし、金属製の端板とガスとの接触はないように構成した。また、カソード熱交換部104およびアノード熱交換部105の内部に用いる、全熱交換膜の保持および伝熱に用いるガス拡散層には厚さ0.2mmのろ紙を用いた。
本変形例において、燃料ガス供給配管のうちアノード熱交換器とスタックとを結ぶ部分と、燃料ガス排出配管のうちスタックとアノード熱交換器とを結ぶ部分およびアノード熱交換器と水回収系統とを結ぶ部分と、酸化剤ガス供給配管のうちカソード熱交換器とスタックとを結ぶ部分と、酸化剤ガス排出配管のうちスタックとカソード熱交換器とを結ぶ部分およびカソード熱交換器と水回収系統とを結ぶ部分と、水回収系統の配管は全てフッ化水素酸耐性の素材であるポリプロピレンにより構成した。これにより、内部流路の内面は全て、フッ化水素酸耐性を有する素材である、樹脂含浸黒鉛板あるいはポリプロピレンにより構成されることになった。また、内部冷却水は反応ガスへ熱を供給するが、水は供給しない構成となった。よって、冷却系統では熱伝導性の高いステンレスなどの素材を使用しても、スタックの金属イオンによる汚染を防ぐことが可能となった。
本変形例では、上記統合加湿器を用いて燃料電池発電システムを構成し、比較例2と同様の試験を行い、配管にステンレス鋼を使用した場合に比べ、電池寿命が改善されることが明らかとなった。これにより、実施例にかかる燃料電池発電システムに比べさらに小型化された構成により、十分な加温および加湿を行うと同時に、スタックを金属汚染から保護することが可能であることが明らかとなった。よって、簡易かつ安価な構成により、高い熱効率および水自給率を有しながら長寿命である固体高分子型燃料電池発電システムを提供することが可能となった。
[変形対応]
なお、本実施の形態では、継ぎ手、電磁弁、センサ類など、全ての部材について、内面がフッ化水素酸耐性を有するように専用部材を用いて構成した。しかしながら、全ての部材を専用部材とすることが高コストにより困難である場合等においては、スタックの金属汚染を防止できる範囲において、一部の部材につき、ステンレス等のフッ化水素酸耐性を有しない汎用部材を用いることとしてもよい。
本発明に係る燃料電池発電システムは、簡易かつ安価な構成により、高い熱効率および水自給率を有しながら長寿命である固体高分子型燃料電池発電システムとして有用である。
本発明の実施の形態および実施例1に係る燃料電池発電システムの概略構成を示すブロック図である。 比較例1に係る試験系Aの概略構成を示すブロック図である。 比較例1に係る試験系Bの概略構成を示すブロック図である。 比較例1に係る試験系Cの概略構成を示すブロック図である。 比較例2に係る試験系Dの概略構成を示すブロック図である。 比較例2に係る試験系Eの概略構成を示すブロック図である。 比較例1における、試験系A、試験系B、試験系Cの1セルあたりの平均電圧の変化を示すグラフである。 比較例1における、サンプルA、サンプルB、サンプルCの水質分析結果を示す表である。 比較例1における、試験系Bの試験前後において取り出されたMEAのサイクリックボルタモグラフを示す図である。 比較例1における、試験系A、試験系B、試験系Cに係るMEAのイオン交換容量の経時変化を示すグラフである。 比較例2における、試験系Dおよび試験系Eの1セルあたりの平均電圧の変化を示すグラフである。 本発明の実施の形態におけるスタック10の概略構成を示す図である。 本発明の実施の形態における熱交換ユニット90の概略構成を示す図である。 本発明の実施の形態におけるカソード熱交換器31の概略的な分解斜視図である。 本発明の実施の形態の変形例における統合加湿器の概略的な分解斜視図である。
符号の説明
10 スタック
11 セル
13 MEA
14 高分子電解質膜
15a アノード
15b カソード
16a 触媒層
16b 触媒層
17a ガス拡散電極層
17b ガス拡散電極層
18 ガスケット
19a アノードセパレータ
19b カソードセパレータ
20 水素生成装置
21 バーナ
22 改質器
23 変成器
24 選択酸化器
25 酸化剤ガス供給器
26 燃料ガス供給配管
27 燃料ガス排出配管
28 酸化剤ガス供給配管
29 酸化剤ガス排出配管
30 カソード全熱交換器
31 カソード熱交換器
32 アノード全熱交換器
33 アノード熱交換器
36 カソード温水加湿器
37 アノード温水加湿器
38 酸化剤ガスバブラ
39 燃料ガスバブラ
40 冷却系統
41 冷却用熱交換器
42 外部冷却回路
43 内部冷却水タンク
44 内部冷却水供給配管
45 内部冷却水排出配管
46 外部冷却水循環流路
51 酸化剤排ガス凝縮器
52 燃料排ガス凝縮器
53 水素生成装置排ガス凝縮器
60 水回収系統
61 凝縮水タンク
62 フィルタ
63 イオン交換部
70 電力負荷回路
80 燃料ガス流路
81 酸化剤ガス流路
82a 内部冷却水流路
82b 内部冷却水流路
83a 燃料ガス供給マニフォールド孔
83b 燃料ガス排出マニフォールド孔
84a 酸化剤ガス供給マニフォールド孔
84b 酸化剤ガス排出マニフォールド孔
85a 内部冷却水供給マニフォールド孔
85b 内部冷却水排出マニフォールド孔
90 熱交換ユニット
91 MGA
92 全熱交換膜
93 反応ガス拡散層
94 排ガス拡散層
95 ガスケット
96 反応ガス熱交換プレート
97 排ガス熱交換プレート
98 反応ガス流路
99 排ガス流路
100a、100b 内部冷却水流路
101a 反応ガス供給マニフォールド孔
101b 反応ガス排出マニフォールド孔
102a 排ガス供給マニフォールド孔
102b 排ガス排出マニフォールド孔
103a 内部冷却水供給マニフォールド孔
103b 内部冷却水排出マニフォールド孔
104 カソード熱交換部
105 アノード熱交換部
DW1 酸化剤排ガスからの凝縮水
DW2 燃料排ガスからの凝縮水
DW3 水素生成装置排ガスからの凝縮水
DW4 酸化剤排ガスへ添加される凝縮水
DW5 燃料排ガスへ添加される凝縮水
DW6 原料へ添加される凝縮水
DW7 内部冷却水へ添加される凝縮水

Claims (4)

  1. 燃料ガスと酸化剤ガスを反応させて発電するスタックと、
    前記スタックに燃料ガスを供給する燃料ガス供給流路と、
    前記スタックに酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給流路と、
    前記スタックから未反応の燃料ガスである燃料排ガスを排出する燃料ガス排出流路と、
    前記スタックから未反応の酸化剤ガスである酸化剤排ガスを排出する酸化剤ガス排出流路と、
    前記スタックを、冷却水を循環させて冷却する冷却系統と、
    前記スタックから排出される水を回収し、前記冷却水、前記酸化剤排ガスおよび、前記燃料排ガスに添加する水回収系統と、
    前記燃料排ガスおよび前記酸化剤排ガスの少なくとも一方により、前記燃料ガスおよび前記酸化剤ガスの少なくとも一方を加温しかつ加湿すると同時に、前記冷却水により前記燃料ガスおよび前記酸化剤ガスの少なくとも一方を加湿しないで加温する熱交換器とを有し、
    前記燃料ガス供給流路のうち、前記熱交換器の中に存在する部分および前記熱交換器と前記スタックとを結ぶ部分、前記酸化剤ガス供給流路のうち、前記熱交換器の中に存在する部分および前記熱交換器と前記スタックとを結ぶ部分、
    前記燃料ガス排出流路のうち、前記スタックと前記熱交換器とを結ぶ部分、前記熱交換器の中に存在する部分、および前記熱交換器と水回収系統とを結ぶ部分、
    前記酸化剤ガス排出流路のうち、前記スタックと前記熱交換器とを結ぶ部分、前記熱交換器の中に存在する部分、および前記熱交換器と水回収系統とを結ぶ部分、
    前記水回収系統、
    およびスタック内部において前記燃料ガス、前記燃料排ガス、前記酸化剤ガス、前記酸化剤排ガスが通じる部分の流路である内部流路において、
    ガスおよび水に接する部分である内面がフッ化水素酸耐性の素材で構成されている、
    固体高分子型燃料電池発電システム。
  2. 前記内部流路が、フッ化水素酸耐性の素材で構成されている、
    請求項1に記載の固体高分子型燃料電池発電システム。
  3. 前記内部流路の表面処理によって、前記内面をフッ化水素酸耐性の素材で構成する、
    請求項1に記載の固体高分子型燃料電池発電システム。
  4. 前記内面が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン、シリコーン、フッ素樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、シンジオタクチック・ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリエーテルニトリル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、および熱可塑性ポリイミドからなる樹脂群のうち少なくとも一種類を用いて構成される、
    請求項1に記載の固体高分子型燃料電池発電システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009076216A (ja) * 2007-09-19 2009-04-09 Toshiba Corp 燃料電池発電システムとその水循環システム
JP2010244924A (ja) * 2009-04-08 2010-10-28 Panasonic Corp 燃料電池システム
WO2017110090A1 (ja) * 2015-12-25 2017-06-29 パナソニックIpマネジメント株式会社 燃料電池システム

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