JP2006112330A - エンジンの冷却装置 - Google Patents

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善一 新保
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Abstract

【課題】エンジン運転状態及びエンジン本体放熱熱量に応じて得られる要求ラジエータ流量に基づき冷却水温度を制御する冷却装置につき、エンジン過渡運転時に冷却水温度の制御性を向上させること。
【解決手段】電子制御装置(ECU)30は、エンジン1から奪われる冷却損失熱量QWを運転状態に基づき算出し、エンジン本体放熱熱量Qoengを車速SPD及び外気温度THAに基づき算出し、要求ラジエータ流量V2を冷却損失熱量QW、エンジン本体放熱熱量Qoeng、目標冷却水温度Tt及びラジエータ出口水温T2に基づき算出し、その要求ラジエータ流量V2に基づき流量制御弁16を制御する。ECU30は、エンジン過渡運転時に、実際のエンジン本体放熱熱量の変化遅れを要求ラジエータ流量V2の算出に反映させるために、エンジン本体放熱熱量Qoengの計算値をなまし処理する。
【選択図】 図2

Description

この発明は、ラジエータを含む冷却水循環経路を通じて冷却水を循環させることによりエンジンを冷却する冷却装置であって、ラジエータを通過する冷却水流量を流量調整手段により調整することにより冷却水温度を目標冷却水温度に制御するようにしたエンジンの冷却装置に関する。
従来、車両等に搭載されるエンジンの冷却装置として、例えば、下記の特許文献1に記載される水冷式の冷却装置がある。この冷却装置は、エンジン本体のウォータジャケットを含む冷却水循環経路と、その冷却水循環経路に設けられるラジエータ、ウォータポンプ及び流量制御弁と、流量制御弁の開度を制御する電子制御装置(ECU)とを備える。この冷却装置において、ウォータポンプが作動することにより、冷却水循環経路を冷却水が循環し、エンジン本体と冷却水との間で熱の受け渡しが行われる。エンジン本体から冷却水へ奪われる熱は、冷却水がラジエータを通過する過程で放熱される。そこで、実際の冷却水温度が目標冷却水温度となるように、ECUが流量制御弁を制御することにより、ラジエータを通過する冷却水流量が調整されて冷却水循環経路における冷却水温度が制御され、エンジンの冷却度合いが制御されるようになっている。
ここで、特許文献1の冷却装置において、エンジンの運転状態が変化したときに、エンジン本体から冷却水に奪われる熱量(冷却損失熱量)QWが変化しても冷却水温度を目標冷却水温度へ応答性よく収束させるために、ECUは、エンジンの運転状態(エンジン回転速度及びエンジン負荷)に基づいて冷却損失熱量QWを算出する。また、冷却水温度を目標冷却水温度に収束させるためのラジエータにおける冷却水要求通過量(要求ラジエータ流量)V2を、ECUは、冷却損失熱量QW、目標冷却水温度Tt及びラジエータ通過後の冷却水の温度T2に基づいて算出する。ここで、冷却損失熱量QWは、エンジンの運転状態以外にも、エンジン本体から放出される熱量(エンジン本体放熱熱量)Qoengの変化によっても変動することが考えられる。そこで、ECUは、エンジン本体放熱熱量Qoengを要求ラジエータ流量V2の算出に反映させている。具体的には、ECUは、車速SPDに基づき基本エンジン本体放熱熱量Qoを算出する。ECUは、この算出を、車速SPDと基本エンジン本体放熱熱量Qoとの関係を予め定めた関数データ(マップ)を参照することで行う。また、ECUは、外気温度THAに基づき外気温度補正係数Kthaを算出する。この算出も、ECUは、外気温度THAと外気温度補正係数Kthaとの関係を予め定めた関数データ(マップ)を参照することで行う。更に、ECUは、算出される基本エンジン本体放熱熱量Qo及び外気温度補正係数Kthaに基づきエンジン本体放熱熱量Qoengを算出する。そして、ECUは、そのエンジン本体放熱熱量Qoengにより要求ラジエータ流量V2を補正し、その補正される要求ラジエータ流量V2に基づき流量制御弁を制御する。このようにエンジンの運転状態とエンジン本体放熱熱量Qoengに応じてエンジンの冷却度合いを制御することにより、エンジンのフリクション低減、燃費の向上及びノッキング性能の向上等を図ることができる。
特開2003−239742号公報(第7−9頁、図1,図8−10)
ところが、上記した特許文献1の冷却装置において、図10に示すように、エンジンの過渡運転時(減速運転時及び加速運転時)には、実際のエンジン本体放熱熱量Qoengの変化(特にその立ち上がり時間)は、車速SPDや外気温度THAの違いによって異なる。すなわち、外気温度THAが低いときのエンジン本体放熱熱量Qoengの計算値の変化に対して、実際のエンジン本体放熱熱量Qoengの変化には遅れがあり、その遅れ時間は、外気温度THAが低いとき、中程度のとき、高いときの順に長くなる。従って、エンジンの過渡運転時に、上記したように予め定めたマップを参照してエンジン本体放熱熱量Qoengを算出しただけでは、その計算値に誤差が生じるおそれがあった。このため、要求ラジエータ流量V2の算出に誤差が生じ、冷却水温度の制御性が悪化してオーバーシュートやアンダーシュートを引き起こすおそれがあった。この結果、エンジンのフリクション低減、燃費及びノッキング性能が悪化する懸念があった。
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、エンジン運転状態及びエンジン本体放熱熱量に応じて算出される要求ラジエータ流量に基づき冷却水温度制御を実行する冷却装置であって、エンジンの過渡運転時に冷却水温度の制御性を向上させることを可能にしたエンジンの冷却装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、エンジンの冷却水が循環する冷却水循環経路と、冷却水循環経路に設けられるラジエータと、ラジエータを通過する冷却水流量を調整するための流量調整手段とを備え、エンジンの冷却水温度が目標冷却水温度となるように流量調整手段を制御するようにしたエンジンの冷却装置であって、エンジンから冷却水へ奪われる冷却損失熱量をエンジンの運転状態に基づき算出するための冷却損失熱量算出手段と、エンジンの本体から放熱される本体放熱熱量をエンジンの環境状態に基づき算出するための本体放熱熱量算出手段と、エンジンの冷却水温度を目標冷却水温度にするために、ラジエータで要求される冷却水の要求ラジエータ流量を、算出される冷却損失熱量、算出される本体放熱熱量、目標冷却水温度及びラジエータを通過した後のラジエータ通過後冷却水温度に基づき算出するための要求ラジエータ流量算出手段と、算出される要求ラジエータ流量に基づき流量調整手段を制御するための制御手段とを備えたエンジンの冷却装置において、エンジンの少なくとも過渡運転時に、実際の本体放熱熱量の変化遅れを要求ラジエータ流量の算出に反映させるために、本体放熱熱量の計算値をなまし処理するためのなまし処理手段を備えたことを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、エンジンから冷却水へ奪われる冷却損失熱量が、運転状態検出手段による運転状態の検出値に基づき冷却損失熱量算出手段により算出される。エンジンの本体から放熱される本体放熱熱量が、エンジンの環境状態に基づき本体放熱熱量算出手段により算出される。また、エンジンの冷却水温度を目標冷却水温度にするために、ラジエータで要求される冷却水の要求ラジエータ流量が、算出される冷却損失熱量、算出される本体放熱熱量、目標冷却水温度及びラジエータ通過後冷却水温度に基づき要求ラジエータ流量算出手段により算出される。そして、その算出される要求ラジエータ流量に基づき制御手段により流量調整手段が制御される。これにより、エンジンの冷却水温度が目標冷却水温度に近付けられる。
ここで、エンジンの少なくとも過渡運転時(加速運転時及び減速運転時)には、実際の本体放熱熱量の変化遅れを要求ラジエータ流量の算出に反映させるために、本体放熱熱量の計算値がなまし処理手段によりなまし処理される。従って、エンジンの少なくとも過渡運転時には、実際の本体放熱熱量の変化が遅れても、その遅れが、本体放熱熱量の計算値がなまし処理されることで要求ラジエータ流量の算出に反映され、流量調整手段が正確に制御される。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、本体放熱熱量算出手段は、エンジンを搭載した車両の速度及び外気温度の少なくとも一方を環境状態の要素として本体放熱熱量を算出することを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、本体放熱熱量の算出に使われる環境状態の要素を、エンジンを搭載した車両の速度及び外気温度の少なくとも一方に特定することにより、請求項1に記載の発明と同等の作用が得られる。ここで、車両の速度は、エンジンの本体が受ける走行風の強さを反映し、外気温度は、エンジンの本体がさらされる温度を反映しており、それぞれ本体放熱熱量に影響を与える。
請求項1に記載の発明によれば、エンジンの少なくとも過渡運転時に、実際の本体放熱熱量の変化が遅れても、その遅れが、本体放熱熱量の計算値がなまし処理されることで要求ラジエータ流量の算出に反映され、流量調整手段が正確に制御されるので、エンジンの過渡運転時に冷却水温度の制御性を向上させることができる。延いては、エンジンのフリクションを低減させることができ、エンジンの燃費向上を図ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、車両の速度及び外気温度の少なくとも一方を環境状態の要素として本体放熱熱量が算出されることで、請求項1に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
以下、この発明におけるエンジンの冷却装置を具体化した一実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図1に、この実施形態におけるエンジンシステムを概略構成図により示す。車両に搭載された多気筒のエンジン1は、シリンダブロック及びシリンダヘッド等からなるエンジン本体2を備える。エンジン本体2には、各気筒(シリンダ)の燃焼室に対応して燃料噴射弁及び点火装置(共に図示略)が設けられる。また、エンジン本体2には、各気筒毎にピストン(図示略)が設けられ、各ピストンに連動するクランクシャフト3が設けられる。エンジン本体2には、各燃焼室に空気を取り込むために吸気通路4が設けられる。また、エンジン本体2には、各燃焼室から排気ガスを排出するために排気通路5が設けられる。吸気通路4には、エアクリーナ6及びスロットルボディ7が設けられる。エアクリーナ6は、吸気通路4を通じて各燃焼室に取り込まれる空気を清浄化する。スロットルボディ7には、吸気通路4を流れる空気量(吸気量)を調節するために開閉されるスロットルバルブ8と、そのバルブ8を開閉駆動するためのモータ9が設けられる。
エンジン本体2の各燃焼室には、燃料噴射弁から噴射される燃料が供給される。各燃焼室では、点火装置が作動することにより、燃料と空気との可燃混合気が爆発・燃焼する。この燃焼エネルギーを受けてピストンが動作することにより、クランクシャフト3が回転してエンジン1に動力が発生する。各燃焼室で生じた燃焼後の排気ガスは、排気通路5を通じて外部へ排出される。エンジン1で発生した燃焼エネルギーの一部は熱としてエンジン本体2に残留する。この残留熱によりエンジン本体2が過熱状態となるのを防止するために、エンジン1には、水冷式の冷却装置10が設けられる。
この冷却装置10は、エンジン本体2に設けられるウォータジャケット11を含む。ウォータジャケット11の入口11a及び出口11bは、ラジエータ通路12を介してラジエータ13に接続される。ウォータジャケット11の入口11aの近傍には、ウォータポンプ(W/P)14が設けられる。ウォータポンプ14は、プーリ及びベルト等を介してクランクシャフト3に駆動連結され、エンジン1の運転に連動して作動する。ウォータポンプ14は、ラジエータ通路12を流れる冷却水を吸引してウォータジャケット11へ吐出する。この冷却水の吸引・吐出により、冷却水がウォータポンプ14を起点として、ラジエータ通路12を図1に矢印で示す時計方向に循環する。この循環中に、冷却水は、ウォータジャケット11を通過する過程で、エンジン本体2から熱を吸収して昇温する。昇温した冷却水は、ラジエータ13を通過する過程で熱を放出して温度を下げる。
ラジエータ通路12には、ラジエータ13を迂回するバイパス通路15が接続される。バイパス通路15の一端(図1の右端)は、ラジエータ通路12において、ラジエータ13とウォータジャケット11の出口11bとの間に接続される。バイパス通路15の他端(図1の左端)は、ラジエータ通路12において、ラジエータ13とウォータポンプ14との間に接続される。上記したウォータジャケット11及びラジエータ通路12により本発明における冷却水循環経路が構成される。
バイパス通路15の他端とラジエータ通路12との接続部分には、流量制御弁16が設けられる。この流量制御弁16は、ステップモータを駆動源として構成され、その弁開度ODVを制御することにより、ラジエータ通路12及びバイパス通路15を流れる冷却水の流量を調整する。この流量制御弁16は、本発明における流量調整手段に相当する。ここで、流量制御弁16は、弁開度ODVが大きくなるほどラジエータ通路12を通る冷却水流量が多くなるように構成される。
この流量制御弁16により、ラジエータ通路12における冷却水流量を調整することにより、エンジン本体2を冷却するための冷却水温度が制御される。すなわち、流量制御弁16の弁開度ODVを制御してラジエータ通路12における冷却水流量を多くすることにより、エンジン本体2に流れる冷却水のうち、ラジエータ13で冷却される冷却水の割合が大きくなり、エンジン本体2を冷却する冷却水温度が低くなる。また、流量制御弁16を制御してラジエータ通路12における冷却水流量を少なくすることにより、エンジン本体2に流れる冷却水のうち、ラジエータ13で冷却される冷却水の割合が小さくなり、エンジン本体2を冷却する冷却水温度が高くなる。
ラジエータ13には、ラジエータ13を通過した後の冷却水温度(ラジエータ出口水温T2)を検出するためのラジエータ出口水温センサ21が設けられる。エンジン本体2には、ウォータジャケット11の出口11bを通過した後の冷却水温度(エンジン出口水温TO)を、エンジン本体2の冷却水温度として検出するためのエンジン出口水温センサ22が設けられる。ここで、エンジン出口水温TOは、エンジン通過後冷却水温度に相当する。
この冷却装置10は、バイパス通路15とは別に、ラジエータ13を迂回するようにラジエータ通路12に設けられる複数の受放熱回路を更に含む。これら受放熱回路として、スロットルボディ温水回路31、EGRクーラ回路32、温水加熱式のホットエアインテーク回路33、ヒータ回路34及びオイルクーラ回路35が設けられる。
スロットルボディ温水回路31は、スロットルボディ7に接続され、同回路31を冷却水(温水)が流れる過程でスロットルボディ7が暖められる。これにより、極寒時等におけるスロットルバルブ8の作動を安定化させる。
EGRクーラ回路32は、スロットルボディ温水回路31の下流側に直列に接続される。EGRクーラ回路32の一部は、EGR装置36に沿って設けられる。周知のようにEGR装置36は、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を低減するために、排気ガスの一部を吸気通路4へ再循環させて可燃混合気の最高燃焼温度を低下させるものである。EGR装置36は、EGR通路37、EGR弁38及びEGRチャンバ39を含む。EGR通路37は、排気通路5と吸気通路4との間に設けられる。EGR弁38は、EGR通路37の途中に設けられ、EGR通路37を流れるEGRガスの流量を調整するよう構成される。EGRチャンバ39は、EGR通路37の下流側に設けられ、EGRガスを各気筒に均等に導くように構成される。EGRクーラ回路32を流れる冷却水により、EGRチャンバ39、EGR弁38及び吸気通路4が冷却される。
ホットエアインテーク回路33はエアクリーナ6に接続される。この回路33は、エアクリーナ6の近傍に設けられたヒータコア(図示略)を含み、そのヒータコアを冷却水が通過する過程で吸気通路4に吸入される空気が暖められる。
ヒータ回路34は、車室用暖房装置のヒータコア40に接続される。このヒータ回路34を流れる冷却水が、熱源としてヒータコア40に導かれることにより、車室用暖房装置が機能する。
オイルクーラ回路35は、エンジン1の潤滑装置における潤滑油と、自動変速機における作動油(オートマチック・トランスミッション・フルード:ATF)を冷却するためのオイルクーラ41に接続される。このオイルクーラ41に冷却水が流れることにより、高温時に潤滑油やATFが速やかに冷やされる。このオイルクーラ41は、潤滑油やATFの温度が低いときには、オイルウォーマとしても機能する。
上記した各受放熱回路の上流部は、ウォータジャケット11の出口11bとラジエータ13との間においてラジエータ通路12に接続される。これらの受放熱回路の下流部は、互いに合流してウォータポンプ14に接続される。各受放熱回路の合流部42の近傍には、その合流部42における冷却水温度を合流部水温T3として検出するための合流部水温センサ23が設けられる。
車両には、エンジン1の運転状態を検出するための各種センサが設けられる。すなわち、運転席に設けられるアクセルペダル43には、アクセルセンサ24が設けられる。アクセルセンサ24は、アクセルペダル43の踏み込み量(アクセル開度)ACCPを検出する。スロットルボディ7に設けられるスロットルセンサ25は、スロットルバルブ8の開度(スロットル開度)TAを検出する。スロットルボディ7より下流の吸気通路4に設けられる吸気圧センサ26は、吸気通路4における吸気圧PMを検出する。クランクシャフト3に対応して設けられる回転速度センサ27は、クランクシャフト3の回転角度(クランク角度)及び回転速度(エンジン回転速度)NEを検出する。これらのセンサ24〜27は、エンジン1の運転状態を検出するための運転状態検出手段に相当する。この他、エンジン1を搭載した車両には、その走行速度、すなわち車速SPDを検出するための車速センサ51が設けられる。また、車両には、外気温度THAを検出するための外気温センサ52が設けられる。これらのセンサ51,52は、エンジン1の環境状態に係る要素として、車速SPD、外気温度THAを検出するものであり、環境状態検出手段に相当する。ここで、車速SPDは、車両の走行中にエンジン本体2が受ける走行風の強さを反映し、外気温度THAは、エンジン本体2がさらされる温度を反映しており、それぞれエンジン本体2からの放熱熱量に影響を与える。
この冷却装置10は、エンジン1の運転状態に応じてエンジン1の冷却度合いを制御するために、エンジン1の運転状態に基づいて流量制御弁16を制御して冷却水循環経路における冷却水の循環流量を調整する。この制御を司るために、冷却装置10は、電子制御装置(ECU)30を備える。ECU30には、ラジエータ出口温度センサ21、エンジン出口水温センサ22、合流部水温センサ23及び流量制御弁16が接続される。また、ECU30には、エンジン1の運転状態を取り込むために、アクセルセンサ24、スロットルセンサ25、吸気圧センサ26及び回転速度センサ27が接続される。更に、ECU30には、イグニションスイッチ(IGSW)28が接続される。イグニションスイッチ28は、エンジン1を始動、停止させるために操作される。加えて、ECU30には、車速センサ51及び外気温センサ52が接続される。
この実施の形態において、ECU30は冷却水温度制御を実行するものであり、本発明における冷却損失熱量算出手段、本体放熱熱量算出手段、要求ラジエータ流量算出手段、制御手段及びなまし処理手段に相当する。周知のように、ECU30は中央処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、バックアップRAM、外部入力回路及び外部出力回路等を備える。ECU30は、CPU、ROM、RAM及びバックアップRAMと、外部入力回路及び外部出力回路等とをバスにより接続してなる論理演算回路を構成する。ROMは、冷却水温制御等に関する所定の制御プログラムを予め記憶したものである。RAMは、CPUの演算結果を一時記憶するものである。バックアップRAMは、予め記憶したデータを保存するものである。CPUは、入力回路を介して入力される各種センサ等21〜28,51,52からの検出信号に基づき所定の制御プログラムに従い冷却水温制御等を実行する。
次に、ECU30が実行する冷却水温度制御の内容につき図2に示すフローチャートに従って説明する。ECU30は、図2に示すルーチンを所定間隔毎に周期的に実行する。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ100で、ECU30は、回転速度センサ27及び吸気圧センサ26の検出値から得られるエンジン回転速度NE及びエンジン負荷LEに基づいて冷却損失熱量QWを算出する。この算出に際し、ECU30は、図3に示すような関数データ(マップ)を参照する。このマップは、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷LEに対する冷却損失熱量QWの関係を予め定めたものである。このマップは、エンジン出口水温TOの各値毎に用意されている。このマップにおいて、冷却損失熱量QWは、エンジン回転速度NEが低いときは少なく、エンジン回転速度NEが高くなるに連れて多くなる。これは、エンジン回転速度NEが高いほど単位時間当りに燃焼室に供給される燃料が増え、エンジン本体2で発生する熱量が多くなり、これに伴いエンジン本体2から冷却水に奪われる熱量が多くなるためである。また、このマップにおいて、冷却損失熱量QWは、エンジン負荷LEが小さいときは少なく、エンジン負荷LEが大きくなるに連れて多くなる。但し、エンジン回転速度NEが高い領域では、エンジン負荷LEが大きくなるに連れて冷却損失熱量QWの増加度合が緩やかになる。これは、前述したようにエンジン回転速度NEの上昇により単位時間当りに供給される燃料が増え、その燃料増量に伴う冷却効果により燃焼室の温度が下がり、エンジン本体2から冷却水に奪われる熱量が減少するためである。
上記したエンジン負荷LEに代えてエンジン負荷率を用いることもできる。エンジン負荷率は、最大負荷に対する負荷割合を示すパラメータである。この場合も、エンジン負荷率に対応するなましエンジン負荷率が算出されることになり、図3に準ずるマップを使用することができる。
上記した冷却損失熱量QWは、基本的には、エンジン本体2からの発熱量に左右されることから、エンジン負荷LEとしては、エンジン本体2からの発熱量に関係するパラメータ、例えば、1燃焼サイクル当りの燃料噴射量、吸気量等を用いることができる。吸気量については、別途実行される燃料噴射制御において、吸気量に応じた量の燃料が噴射されることから、エンジン本体2からの発熱量に間接的に関係するパラメータであると言える。その他、エンジン負荷LEとして、吸気圧センサ26により検出される吸気圧PM、スロットルセンサ25により検出されるスロットル開度TA等を用いることも可能であるが、この場合には、適宜に補正を行うことが望ましい。
次に、ステップ110で、ECU30は、流量制御弁16の弁開度ODV及びエンジン回転速度NEに基づいて合流部42における冷却水流量(合流部流量)V3を算出する。この算出に際して、ECU30は、図4に示すような関数データ(マップ)を参照する。このマップは、流量制御弁16の弁開度ODV及びエンジン回転速度NEに対する合流部流量V3の関係を予め定めたものである。このマップにおいて、弁開度ODVが小さな領域では、弁開度ODVが大きくなるに連れて合流部流量V3は緩やかに少なくなる。弁開度ODVが中から大の領域では、弁開度ODVにかかわらず合流部流量V3は略一定となる。また、合流部流量V3はエンジン回転速度NEが低いときは少なく、エンジン回転速度NEが高くなるに連れて多くなる。ここで、合流部流量V3は、本発明における回路通過後冷却水流量に相当する。上記した弁開度ODVとして、例えば、ECU30が前回の制御周期で流量制御弁16に用いた指令開度ODCを適用するとができる。
次に、ステップ120で、ECU30は、今回得られた各種パラメータ、すなわち、合流部流量V3、合流部水温T3及びエンジン出口水温TOに基づいて受放熱熱量Qetcを算出する。ECU30は、下記の計算式(1)に従って全受放熱回路における受放熱熱量Qetc(各回路31〜35における受放熱熱量の総和)を算出する。下記の計算式(1)の中で、「C」は、温度を流量に変換するための係数であり、例えば、冷却水の比熱と密度との積によって決定される。
Qetc=C・V3・(TOold−T3) ・・・(1)
次に、ステップ130で、ECU30は、車速センサ51の検出値から得られる車速SPDに基づいて基本エンジン本体放熱熱量Qoを算出する。この算出に際し、ECU30は、図5に示すような関数データ(マップ)を参照する。ここで、エンジン本体2からの放熱熱量は、エンジン本体2の温度と周囲の温度との温度差により決まり、温度差が大きくなるほど多くなる。また、この放熱熱量は、エンジン本体2のうち高温部位の表面積が大きくなるほど多くなる。一方、車速SPDが高くなると、車両のフロントグリルなどを通じてエンジン本体2が受ける走行風は強くなり、エンジン本体2の周囲には、エンジン本体2との温度差の大きい空気が多量に存在することになる。このため、エンジン本体2の放熱熱量は、車速SPDが低いときは少なく、車速SPDの増加に伴い増大することになる。このことを考慮して、図5のマップは、車速SPDの低いときに基本エンジン本体放熱熱量Qoが少なく、車速SPDの増加に連れて基本エンジン本体放熱熱量Qoが増大するように設定される。
次に、ステップ140で、ECU30は、外気温センサ52の検出値から得られる外気温度THAに基づいて外気温度補正係数Kthaを算出する。この算出に際し、ECU30は、図6に示すような関数データ(マップ)を参照する。ここで、上記したようにエンジン本体2からの放熱熱量は、エンジン本体2の温度と周囲の温度との温度差が大きくなるほど多くなる。このため、図7に示すように、外気温度THAが低くなるほど、エンジン本体2の温度と周囲の温度との温度差が大きくなり、エンジン本体2の放熱熱量も多くなる。その逆に、外気温度THAが高いときは、上記の温度差が小さくなり、エンジン本体2の放熱熱量は少なくなる。このことを考慮して、図6に示すマップは、外気温度THAが低いときに外気温度補正係数Kthaが大きく、外気温度THAの増加に従い外気温度補正係数Kthaが小さくなるように設定される
次に、ステップ150で、ECU30は、上記のように算出される基本エンジン本体放熱熱量Qoと外気温度補正係数Kthaに基づいてエンジン本体放熱熱量Qoengを算出する。ECU30は、下記の計算式(2)に従ってエンジン本体放熱熱量Qoengを算出する。
Qoeng=Qo・Ktha ・・・(2)
次に、ステップ160で、ECU30は、車速SPD及び外気温度THAに基づいてなまし時定数t1を算出する。この算出に際し、ECU30は、図8に示すような関数データ(マップ)を参照する。このマップは、車速SPD及び外気温度THAに対するなまし時定数t1の関係を予め定めたものである。このマップにおいて、車速SPDに対するなまし時定数t1の関係は、低速領域で比較的大きく、高速領域になるほど小さくなる。また、このマップにおいて、なまし時定数t1は、外気温度THAが高くなるほど大きくなる。
次に、ステップ170で、ECU30は、上記のように算出されるなまし時定数t1に基づきエンジン本体放熱熱量Qoengをなまし処理することにより、なましエンジン本体放熱熱量Qoengsmを算出する。ECU30は、下記の計算式(3)に従ってなましエンジン本体放熱熱量Qoengsmを算出する。
Qoengsm={(Qoengsmold−Qoeng)/t1}+Qoengsmold ・・・(3)
ここで、「Qoengsmold」は、前回算出されたなましエンジン本体放熱熱量Qoengsmを意味する。この計算において、なましエンジン本体放熱熱量Qoengsmは、なまし時定数t1が大きくなると変化が小さくなり、なまし時定数t1が小さくなると変化が大きくなる。上記のように算出されるなましエンジン本体放熱熱量Qoengsmは、特にエンジン1の過渡運転時(加速運転時及び減速運転時)に、なまし処理の効果が顕著に現れ、なましエンジン本体放熱熱量Qoengsmの変化が緩やかになる。
次に、ステップ180で、ECU30は、今回得られた各種パラメータ、すなわち、冷却損失熱量QW、目標エンジン出口水温Tt、ラジエータ出口水温T2、なましエンジン本体放熱熱量Qoengsm及び受放熱熱量Qetcに基づいて要求ラジエータ流量V2を算出する。ECU30は、下記の計算式(3)に従ってこの流量V2を算出する。下記の計算式(4)の中で、「C」は、上記と同様の係数を意味する。
V2=(QW−Qoengsm−Qetc)/{C・(Tt−T2)} ・・・(4)
ここで、目標エンジン出口水温Ttは、エンジン1の運転状態に応じて決定され、本発明における目標冷却水温度に相当する。例えば、エンジン1がアイドル運転状態である場合、目標エンジン出口水温Ttは、発進時のノッキング対策等のために若干低めの温度(例えば「90℃」)に設定される。一方、エンジン1が部分負荷(パーシャル)運転状態にある場合、目標エンジン出口水温Ttは、フリクションロス低減のために高めの温度(例えば「100℃」)に設定される。エンジン1が全負荷(WOT)運転状態にある場合、目標エンジン出口水温Ttは、充填率を高めるために低めの温度(例えば「80℃」)に設定される。上記した目標エンジン出口水温Ttに関する各値(90℃、100℃、80℃)は、一例に過ぎない。
次に、ステップ190で、ECU30は、算出される要求ラジエータ流量V2及びエンジン回転速度NEに基づいて流量制御弁16に対する指令開度ODCを算出する。この算出に際して、ECU30は、図9に示すような関数データ(マップ)を参照する。このマップは、要求ラジエータ流量V2及びエンジン回転速度NEに対する指令開度ODCの関係を予め定めたものである。このマップにおいて、指令開度ODCは、要求ラジエータ流量V2が少ないときは小さく、要求ラジエータ流量V2が多くなるに連れて大きくなる。また、指令開度ODCは、エンジン回転速度NEが低いときは、要求ラジエータ流量V2がわずかに変化しても大きく変化する。これに対し、指令開度ODCは、エンジン回転速度NEが高くなるときは、要求ラジエータ流量V2が多く変化しなければあまり変化しない。
その後、ステップ200で、ECU30は、算出される指令開度ODCに基づいて流量制御弁16を駆動制御した後、その後の処理を一旦終了する。このように流量制御弁16の開度を制御することにより、ラジエータ13を通る冷却水流量が調整され、エンジン出口水温TOが目標エンジン出口水温Ttに収束することになる。
以上説明したこの実施形態におけるエンジンの冷却装置によれば、エンジン本体2から冷却水へ奪われる冷却損失熱量QWが、エンジン1の運転状態に基づいてECU30により算出される。また、エンジン本体2から放熱されるエンジン本体放熱熱量Qoengが、エンジン1の環境状態、すなわち、車速SPD及び外気温度THAに基づいてECU30により算出される。また、受放熱回路(各回路31〜35)と冷却水との間で受け放される受放熱熱量Qetcが、エンジン出口水温TO、合流部水温T3及び合流部流量V3に基づいてECU30により算出される。また、エンジン出口水温TOを目標エンジン出口水温Ttにするために、ラジエータ13で要求される冷却水の要求ラジエータ流量V2が、上記のようにそれぞれ算出される冷却損失熱量QW、エンジン本体放熱熱量Qoeng(なましエンジン本体放熱熱量Qoengsm)及び受放熱熱量Qetc、並びに、目標エンジン出口水温Tt及びラジエータ出口水温T2に基づいてECU30により算出される。そして、その算出される要求ラジエータ流量V2に基づいてECU30により指令開度ODCが算出され、その指令開度ODCに基づいて流量制御弁16が駆動制御される、すなわち、流量制御弁13の弁開度ODVが制御される。これにより、エンジン出口水温TOが目標エンジン出口水温Ttに近付けられる。
ここで、この実施形態では、上記したようにエンジン1の運転状態に関するパラメータとして、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷LEが、流量制御弁16の弁開度ODVの制御に反映される。このため、単に冷却水の温度のみに基づいて流量制御弁16の弁開度ODVの制御が行われる場合とは異なり、実際のエンジン出口水温TOを、そのときどきのエンジン回転速度NE及びエンジン負荷LEに適した目標エンジン出口水温Ttに制御することができる。例えば、エンジン1が高出力となる場合には、エンジン出口水温TOを低くして各気筒の冷却効率を高めることができる。また、エンジン1が低燃費で運転される場合には、エンジン出口水温TOを高くして各気筒内での燃焼効率を向上させることができる。このため、上記した高出力及び低燃費という相反する性能を両立させながらエンジン性能を向上させることができる。
この実施形態では、冷却損失熱量QWを算出するために、エンジン1の運転状態に関するパラメータとして、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷LEが適用される。このように、エンジン本体2からの発熱を左右するエンジン回転速度NE及びエンジン負荷LEをパラメータとして計算に適用することで、冷却損失熱量QWを精度よく算出することができる。また、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷LEの両者に基づいて冷却損失熱量QWを算出するので、エンジン回転速度NE又はエンジン負荷LEを単独で適用した場合に比べて、冷却損失熱量QWの算出精度の向上を図ることができる。
この実施形態では、冷却損失熱量QWがエンジン1の運転状態を示すエンジン回転速度NE及びエンジン負荷LEに基づいて算出され、その算出される冷却損失熱量QWが要求ラジエータ流量V2の算出に反映される。そして、その算出される要求ラジエータ流量V2に基づいて流量制御弁16の弁開度ODVが制御される。このため、エンジン1の運転状態が変化して冷却損失熱量QWが変化しても、その冷却損失熱量QWの変化に応じて流量制御弁16の弁開度ODVを制御することができ、エンジン出口水温TOを目標エンジン出口水温Ttに応答性よく制御することができる。
ここで、冷却水温度と目標冷却水温度との偏差(水温差)のみに基づいて流量制御弁の弁開度をフィードバック制御するという従来技術では、エンジン本体2における冷却損失熱量QWの変化に対応できないことから、本実施形態のような制御に関する良好な応答性を得ることは困難である。このため、この実施形態では、前述したエンジン1の高出力運転時には、エンジン出口水温TOを速やかに低下させることができ、エンジン1の低燃費運転時には、エンジン出口水温TOを速やかに上昇させることができ、高出力及び低燃費の両立を実現するうえで発生する制御ロスを低減することができる。
ここで、仮に、エンジン1の運転状態から流量制御弁16の指令開度ODCを直接算出し、その算出される指令開度ODCに基づいて流量制御弁16の弁開度ODVを制御しようとすると、流量特性の異なる流量制御弁を用いた場合には、それら流量制御弁毎に指令開度ODCを改めて算出する必要が生じ、汎用性に欠けることになる。これに対し、この実施形態では、ラジエータ出口水温T2に対する要求ラジエータ流量V2を一旦算出し、その算出される要求ラジエータ流量V2に基づいて流量制御弁16の指令開度ODCを算出するようにしている。このため、流量特性の異なる流量制御弁を用いた場合でも、流量制御弁毎に流量特性に応じた指令開度ODCを改めて算出する必要がなくなる。
ところで、この実施形態では、ラジエータ13を迂回するようにラジエータ通路12に複数の受放熱回路(各回路31〜35)が設けられるので、冷却水が各回路31〜35を通過する過程で、各部と冷却水との間で熱の受け放し(受放熱)が行われる。この受放熱後の冷却水は、合流部42からウォータポンプ14を介してラジエータ通路12を通り、再びエンジン本体2のウォータジャケット11を通過する。各回路31〜35での受放熱熱量Qetcが多い場合は、その受放熱熱量Qetcを考慮しなければエンジン出口水温TOを狙いの目標エンジン出口水温Ttへ収束させることは難しく、冷却水温度にオーバシュートやアンダシュートが起きる懸念がある。ここで、「オーバシュート」は、エンジン出口水温TOが目標エンジン出口水温Ttに達した後に、その目標エンジン出口水温Ttを維持することができずに上昇する現象である。また、「アンダシュート」は、エンジン出口水温TOが目標エンジン出口水温Ttに達した後に、その目標エンジン出口水温Ttを維持することができずに下降する現象である。
このように冷却水温度にオーバシュートやアンダシュートが多く起きる場合には、エンジン本体2等の各構成部品の耐熱性を考慮して各構成部品の正常動作を保障しようとすると、目標エンジン出口水温Ttを下げる必要がある。その反面、目標エンジン出口水温Ttを下げると、エンジン出口水温TOが低くなることから、エンジン1や自動変速機でフリクションが増大して燃費の悪化を招くおそれがある。
これに対し、この実施形態では、全受放熱回路(各回路31〜35の全部)における受放熱熱量Qetc が算出され、その算出される受放熱熱量Qetc が要求ラジエータ流量V2の算出に反映される。従って、各回路31〜35における受放熱熱量Qetcが変化しても、目標エンジン出口水温Ttに対するエンジン出口水温TOの収束性が向上する。このため、冷却水温度制御におけるオーバシュートやアンダシュートを少なくすることがき、エンジン本体2等の構成部品に係る耐熱性を考慮して目標エンジン出口水温Ttを下げる必要がなくなる。この結果、目標エンジン出口水温Ttの低下に伴うフリクションの増大、延いては、エンジン1の燃費悪化を抑制することができる。
この実施形態では、合流部水温T3とエンジン出口水温TOとの水温差が小さいときは、各回路31〜35における受放熱熱量Qetc が少なく、その逆に水温差が大きいときは、各回路31〜35における受放熱熱量Qetc が多い。また、合流部流量V3が少ないときは、各回路31〜35における受放熱熱量Qetc が少なく、合流部流量V3が多いときは、各回路31〜35における受放熱熱量Qetc が多い。この点につき、この実施形態では、合流部流量V3、合流部水温T3及びエンジン出口水温TOに基づいて各回路31〜35における受放熱熱量Qetc が算出される。従って、上記のように受放熱熱量Qetc を左右するパラメータとしての合流部流量V3、合流部水温T3及びエンジン出口水温TOが計算に適用されるので、受放熱熱量Qetcを精度よく算出することができる。このため、要求ラジエータ流量V2を精度よく算出することができ、流量制御弁16を精度よく制御することができる。
一方、一般に、エンジン本体2の冷却損失熱量QWは、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷LE以外にも、エンジン本体2から放出される熱量(エンジン本体放熱熱量Qoeng)によっても変動することになる。ここで、エンジン本体放熱熱量Qoengは、車速SPDに応じた走行風の強さから大きく影響を受ける。また、エンジン本体放熱熱量Qoengは、車速SPDほどではないにしろ、外気温度THAからも影響を受ける。これらの影響が大きい場合には、エンジン本体放熱熱量Qoengを考慮しないと、エンジン出口水温TOの目標エンジン出口水温Ttに対する収束性が低下するおそれがあり、冷却水温度制御がオーバーシュートしたりアンダーシュートしたりするおそれが強くなる。そこで、エンジン本体2の各構成部品の耐熱性を考慮して、それらの構成部品の正常作動を保証しようとすると、目標エンジン出口水温Ttを下げることとなる。その反面、エンジン出口水温TOが低くなることから、エンジン1や自動変速機でのフリクションが増大して、燃費の悪化を招くおそれがある。
これに対し、この実施形態では、車速SPDに基づき基本エンジン本体放熱熱量Qoを算出するとともに、外気温度THAに基づき外気温度補正係数Kthaを算出する。そして、これら基本エンジン本体放熱熱量Qo及び外気温度補正係数Kthaに基づきエンジン本体放熱熱量Qoengを算出し、要求ラジエータ流量V2の算出にエンジン本体放熱熱量Qoengを反映させている。従って、実際のエンジン本体放熱熱量が変化したとしても、エンジン出口水温TOの目標エンジン出口水温Ttに対する収束性が向上する。すなわち、冷却水温度制御のオーバーシュートやアンダーシュートを少なくすることができ、これによって、 エンジン本体2などの構成部品の耐熱性を考慮して、目標エンジン出口水温Ttを下げなくてもすむ。この結果、目標エンジン出口水温Ttの低下に伴うエンジン本体2におけるフリクションの増大、ひいては燃費の悪化を抑制することができる。
この実施形態では、エンジン本体2からの放熱熱量に影響を及ぼすと考えられる車速SPD及び外気温度THAに基づいてエンジン本体放熱熱量Qoengを算出するので、その放熱熱量Qoengを精度よく算出することができる。また、車速SPD及び外気温度THAの両方に基づいてエンジン本体放熱熱量Qoengを算出するので、例えば、車速SPDのみに基づいて算出した場合に比べて、その算出精度を向上させることができる。
特に、この実施形態では、エンジン1の過渡運転時、すなわち、加速運転時や減速運転時には、実際のエンジン本体放熱熱量の変化遅れを要求ラジエータ流量V2の算出に反映させるために、エンジン本体放熱熱量Qoengの計算値がECU30によりなまし処理される。従って、エンジン1の加速運転時や減速運転時には、実際のエンジン本体放熱熱量の変化が遅れても、その遅れが、エンジン本体放熱熱量Qoengの計算値がなまし処理されることで要求ラジエータ流量V2の算出に反映され、実際の要求ラジエータ流量の変化に対応するように流量制御弁16が正確に制御される。この結果、エンジン1の運転状態及びエンジン本体放熱熱量に応じて算出される要求ラジエータ流量V2に基づき冷却水温度制御を実行する冷却装置において、エンジン1の加速運転時及び減速運転時には、冷却水温度のオーバーシュートやアンダーシュートを防止することができ、冷却水温度の制御性を向上させることができる。延いては、エンジン1のフリクションを低減させることができ、エンジン1の燃費向上を図ることができる。
この実施形態では、流量制御弁16の制御量である弁開度ODV及びエンジン回転速度NEに基づいて合流部流量V3が算出されるので、ラジエータ通路12などの冷却水循環経路における冷却水流量に応じて受放熱熱量Qetcがより正確に算出される。この結果、要求ラジエータ流量V2をより一層正確に算出することができ、流量制御弁16の指令開度ODCをより一層正確に算出することができ、流量制御弁16をより一層正確に制御することができる。これにより、エンジン出口水温TOを目標エンジン出口水温Ttへより一層好適に収束させることができ、エンジン1の冷却水温度の制御性をより一層向上させることができる。
尚、この発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で以下のように実施することもできる。
(1)前記実施形態では、車速SPD及び外気温度THAの両方に基づいてエンジン本体放熱熱量Qoengを算出するようにしたが、車速SPD及び外気温度THAの何れか一方に基づいてエンジン本体放熱熱量を算出するようにしてもよい。
(2)前記実施形態では、受放熱回路として複数の回路、すなわち、スロットルボディ温水回路31、EGRクーラ回路32、ホットエアインテーク回路33、ヒータ回路34及びオイルクーラ回路35を設けた。これに対し、これら全ての回路31〜35を受放熱回路を省略してもよく、各回路31〜35の少なくとも一つを受放熱回路として設けてもよい。この場合も、基本的には、前記第1実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
エンジンシステムを示す概略構成図。 冷却水温度制御の内容を示すフローチャート。 エンジン回転速度とエンジン負荷に対する冷却損失熱量の関係を示すマップ。 弁開度とエンジン回転速度に対する合流部流量の関係を示すマップ。 車速に対する基本エンジン本体放熱熱量の関係を示すマップ。 外気温度に対する外気温度補正係数の関係を示すマップ。 外気温度とエンジン本体放熱熱量の関係を示すグラフ。 車速と外気温度に対するなまし時定数の関係を示すマップ。 要求ラジエータ流量とエンジン回転速度に対する指令開度の関係を示すマップ。 (a)は外気温度の違いに応じたエンジン本体放熱熱量の変化を示すタイムチャート、(b)は車速の変化を示すタイムチャート。
符号の説明
1…エンジン
10…冷却装置
11…ウォータジャケット(冷却水循環経路)
12…ラジエータ通路(冷却水循環経路)
13…ラジエータ
16…流量制御弁(流量調整手段)
30…ECU(冷却損失熱量算出手段、本体放熱熱量算出手段、要求ラジエータ流量算出手段、制御手段、なまし処理手段)
TO…エンジン出口水温
Tt…目標エンジン出口水温
QW…冷却損失熱量
Qoeng…エンジン本体放熱熱量
V2…要求ラジエータ流量

Claims (2)

  1. エンジンの冷却水が循環する冷却水循環経路と、前記冷却水循環経路に設けられるラジエータと、前記ラジエータを通過する冷却水流量を調整するための流量調整手段とを備え、前記エンジンの冷却水温度が目標冷却水温度となるように前記流量調整手段を制御するようにしたエンジンの冷却装置であって、
    前記エンジンから前記冷却水へ奪われる冷却損失熱量を前記エンジンの運転状態に基づき算出するための冷却損失熱量算出手段と、
    前記エンジンの本体から放熱される本体放熱熱量を前記エンジンの環境状態に基づき算出するための本体放熱熱量算出手段と、
    前記エンジンの冷却水温度を前記目標冷却水温度にするために、前記ラジエータで要求される冷却水の要求ラジエータ流量を、前記算出される冷却損失熱量、前記算出される本体放熱熱量、前記目標冷却水温度及び前記ラジエータを通過した後のラジエータ通過後冷却水温度に基づき算出するための要求ラジエータ流量算出手段と、
    前記算出される要求ラジエータ流量に基づき前記流量調整手段を制御するための制御手段と
    を備えたエンジンの冷却装置において、
    前記エンジンの少なくとも過渡運転時に、実際の本体放熱熱量の変化遅れを前記要求ラジエータ流量の算出に反映させるために、前記本体放熱熱量の計算値をなまし処理するためのなまし処理手段を備えたことを特徴とするエンジンの冷却装置。
  2. 前記本体放熱熱量算出手段は、前記エンジンを搭載した車両の速度及び外気温度の少なくとも一方を前記環境状態の要素として前記本体放熱熱量を算出することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの冷却装置。
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