JP2006111513A - 廃棄物を業種を越えて利用する生産方法と生産物 - Google Patents
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Abstract
【課題】循環型社会作りにおける静脈産業作りとして一業種の製品の廃棄物を他の業種での製品作りに利用することを考え、その際、他業種で利用できるようにするとともに、製品の品質の向上に結びつくように考えた。
【解決手段】廃棄陶磁器を別業種の粘土瓦の原料素材として利用する際、陶磁器は約1300℃で焼結し、瓦は1000℃〜1200℃近辺で焼結しているという生産上の取り扱いに差があったが、本願では廃陶磁器を従来にない乾式粉砕し、アルカリを閉じ込めた粉砕粉を利用し、低温焼成でもマッチングできるとともに、水分を絞った成型を可能にし、瓦の品質向上を実現した。このように廃棄物に特別な加工を施すことにより、他業種での製品素材や品質向上素材として利用できる道を途いた。
【選択図】図1
【解決手段】廃棄陶磁器を別業種の粘土瓦の原料素材として利用する際、陶磁器は約1300℃で焼結し、瓦は1000℃〜1200℃近辺で焼結しているという生産上の取り扱いに差があったが、本願では廃陶磁器を従来にない乾式粉砕し、アルカリを閉じ込めた粉砕粉を利用し、低温焼成でもマッチングできるとともに、水分を絞った成型を可能にし、瓦の品質向上を実現した。このように廃棄物に特別な加工を施すことにより、他業種での製品素材や品質向上素材として利用できる道を途いた。
【選択図】図1
Description
本発明は、陶磁器や陶器の廃棄物を他業種の製品作りに生かすための技術に関する。
陶器や陶磁器は、長石、珪石、粘土を主要構成素材とし、陶器の場合、長石プラス珪石と粘土の割合が2:3、陶磁器の場合、反対に3:2とされ、焼成温度はそれぞれ略800℃と略1300℃以上とされてきた。粘土鉱物は100℃〜200℃の温度で周囲に吸着している吸着水が脱水し、500℃〜600℃でカオリナイトの結晶を構成し、SiやAlを結合していた水酸基(−OH)が結晶から追い出され、カオリナイトはメタカオリンという非晶質に代わる。
1300℃になると。このメタカオリンも破壊されて、γアルミナ(γAl2O3)やムライト(3AL2O3・2SiO2)となり、これに長石の働きで二酸化珪素や珪砂(いずれもSiO2)がガラス化し、このγアルミナやムライトの結晶にこのガラスが結合し、硬くて強い陶磁器が出来る。しかし、落下や互いの接触による打撃には弱い。
ところが、日常家庭で最も使用される食器は、この互いの接触や落下の機会が多く、破損することが多い。ちなみに日本の家庭から廃棄される不燃ごみ(鉄類、陶器類、プラスチック類など)のうち、重量の半分がこの陶磁器であるという報告もある。陶磁器の廃棄量は一人が一年間で1.5kgと言われ、日本全国では15万トンにもなる。この不燃ごみは、ごみの最終処分場に廃棄され、今ではこの最終処分場も残余処分能力がひっ迫し、社会問題となっている。
そこで、こうした廃陶磁器(以下廃陶磁器)をリサイクルして使用していこうという試みが行われ、「陶磁器製品リサイクルの新しい可能性(LCA評価)−磁器食器のリサイクルにおける環境負荷−」(「セラミックデータブック2000・別刷」発行/工業製品技術協会<テクノプラザ>)などという形で発表されている。
一方、粘土瓦はいぶし瓦、塩焼き瓦および釉薬瓦に大別されるが、いぶし瓦は量産が難しく、工場の大型化が遅れている。塩焼き瓦は、煙害と需要の減退によって衰退傾向にある。釉薬瓦は1960年頃から急速に採用されたトンネル窯によって各産地で大型化が進んでいる。
粘土瓦工業は、オイルショック後の経済不況も生産調整などによって生産量を維持してきたが、これは景気回復策として取られた住宅政策だけでなく、この工業界が近代化を進めた結果である。さて粘土瓦は通常1000℃〜1200℃の温度で焼成される。450℃までの温度域で吸着水の脱水(100℃)をはかり、結晶水の脱水(250℃から)もはかる。水分が失われることによって収縮が起こる。400〜900℃位は焼成の第2段階で、この温度帯で結晶水の脱水が終了し、粘土に結合していた水は素地にはほとんどなくなる。この温度帯までで、素地、釉薬などの脱水、酸化、分解が終わり、900℃以上の焼成で素地の焼結、釉薬の溶融に入る。
ところで、粘土瓦工業では、当面する大きな問題として原土採取難がある。これまでの生産量(年間15億万枚、約500万トン)を継続して行けば、全国の産地で入手できる粘土があと10年から20年であるという報告もある。
[特許文献1]特公昭53−44260
[特許文献2]特願2003−147015
[非特許文献1]セラミックデータブック2000・別刷 発行/工業製品技術協会
[非特許文献2]粘土瓦ハンドブック 著者 田中稔 発行/技報堂出版株式会社
[非特許文献3]瀬戸焼1300年の伝統と技術 編集/せとものフェスタ99実行委員会 発行/大せともの祭協賛会
[特許文献2]特願2003−147015
[非特許文献1]セラミックデータブック2000・別刷 発行/工業製品技術協会
[非特許文献2]粘土瓦ハンドブック 著者 田中稔 発行/技報堂出版株式会社
[非特許文献3]瀬戸焼1300年の伝統と技術 編集/せとものフェスタ99実行委員会 発行/大せともの祭協賛会
本願出願人は先に特願2003−147015を出願し、その中で以下の点を整理した。
▲1▼家庭や地域の小規模事業体から出る一般廃棄物を責任処理する市町村において、廃陶磁器を資源として分別・回収し、企業体から出るペケ品とともにこれらを収集するシステムを作り、
▲1▼家庭や地域の小規模事業体から出る一般廃棄物を責任処理する市町村において、廃陶磁器を資源として分別・回収し、企業体から出るペケ品とともにこれらを収集するシステムを作り、
▲2▼これまで鉱工業における工業材料素材作りとして利用されてきたローラーミル等の乾式粉砕装置で、この集めた廃陶磁器を平均粒径10μmレベルに微粉砕し、▲3▼可塑性添加剤と低融点化添加剤を工夫し、これを本来の陶磁器産業における、杯土作りに当たる製土(混練)、成型、焼成の事業とを結びつけ、廃陶磁器を利用した低温焼成による食器や花器などの陶磁器の生産と、高勾配磁器分離装置によって有害重金属等を除去する技術を提案した。
そして、この発明に基づく陶磁器生産を行えば、廃陶磁器の再生利用が可能となり、▲1▼これまでごみとして処理・処分することによって処分場を確保するために自然を壊すなどの環境に与えていた負荷が無くなり、▲2▼廃陶磁器の特性、一度磁器化したエネルギーを効率よく利用し、これまでは1300℃以上でなければ焼成磁器化できなかったものを、1150℃以下の低温焼成で陶磁器化でき、▲3▼さらに釉薬も1300℃では色がほとんど消えてしまった銅、亜鉛、セレンなどを原料とした釉薬も使用でき、緑や黄や色鮮やかな赤の色を出すことができるようになった。
以上のような廃陶磁器の再生利用方法に基づくと、廃陶磁器を50%以上混入したリサイクル食器や花器、その他の陶磁器製品を作ることが出来た。既に瀬戸市、同市のリサイクルセンターに於いてビン・カン・ペットボトルなどの資源物の回収のコーナーに隣接して、廃陶磁器の回収箱を設け、市民からの資源回収を受け付け始めた。そこで、回収した廃陶磁器は製土工場に運び、再生した陶磁器用杯土として出荷し、焼物工場でリサイクル食器“Re瀬ッ戸“として製品化している。
日本の廃棄物処理法(廃棄物の処理と清掃に関する法律)では、家庭から出るごみや地域の小規模な店舗や事業体から出る一般ごみは、市町村の責任で処理することになっている。お茶碗やお皿などの廃陶磁器も、もちろん市町村が不燃ごみとて収集した上で、最終処分場に運んでいるが、この処分費が東京や首都圏では3〜5万円/tもかかる。しかも処分場ひっ迫の折、今後さらに高くなる怖れがある。
こうした自治体にとっては、瀬戸や多治見の陶産地まで廃陶磁器を運んでくる運送費などを考えても費用コストの上でメリットがある。もちろん処分場の延命に寄与できるので環境の上でも良い。
市町村がこの陶産地における廃陶磁器のリサイクルに注目しているが、廃棄物の再商品化のためには再商品としたリサイクル食器が売却される必要がある。それには廃棄物を出す側が出した分を買い戻すことが一番の早道となる。ところが、10万都市で考えると年間150トンの排出量である。月にして約10トンの廃陶磁器が出る。再商品化した時にはこの倍の量ができる。廃棄物を出す側の市町村が努力し、買い戻す体制を作るようにしても時間がかかる。廃陶磁器のリサイクルシステムが一般的となり、再生紙のように再生した陶磁器用杯土が、どのような陶磁器でも使われるようになるためにも、やはり、時間がかかる。また、時間がかかっても2倍量まで再生陶磁器として製品化し、販売ルートにのせるには、困難が伴うと考えてよい。
循環型社会作りは、こうした廃棄する側と、それを再商品化する側のバランスがうまく行かないと今回の件で言えば各市町村の最終処分場の代わりに廃陶磁器を持ち込まれる陶産地が廃陶磁器の捨て場となるだけということにもなりかねない。
そこで、本願ではまず、廃陶磁器を同一業種内で再生陶磁器とするだけでなく、他の業種に於いて利用できる道がないかを考えた。もし、そこで再商品化の素材として使用することが可能となれば、廃棄した側がそれを購入すれば一つの循環が形作られるからである。
粘土瓦工業は、原土採取難があるが、もちろん代替品を使った時、これまでの瓦と同じ品質が保たれるのかが最大の問題となる。また、粘土瓦の品質として、これまで一番問われてきたのは「凍らない」、「行儀が良い=寸法・精度がよい」瓦ということであった。
本願で課題としている廃陶磁器をこの粘土瓦の素材として使い、品質を下げず、逆に品質を上げるような形で利用できるようにするためには、どのような生産上の工夫が必要か、その点も本願では課題とした。これまでの常識で言うと、陶磁器は1300℃で焼結したものであり、これを粉砕しても1150℃位で焼成する粘土瓦の素材としてそもそも適合するのかという問題もあった。
先のセラミックデータブックの報告などでは、企業で生産された規格外となったペケ品や、アンテナショップで回収した生活使用後の廃陶磁器を、再生利用する試みが報告されている。そこではペケ品をジョーククラッシャーやロールクラッシャーなどで数mmに粗粉砕した後、ボールミルで湿式粉砕する方法が行われている。
この問題を追試するために、ペケ品を含む廃陶磁器を、湿式粉砕機のボールミルで粉砕し、報告に書かれている方法で再利用品を作ってみた。ボールミルを使って数mmから所定の粒度(10μm以下)にするためには、24時間近くボールミルを作動させる必要がある。その追試によって大事なことが分かった。1度焼成し、磁器化した廃陶磁器でもその位の時間、湿式粉砕するとソーダ分がアルカリ溶出し、その結果、泥しょうは部分的に固まり、いわゆるどぼつくことがわかった。
また、これを陶磁器用の杯土として使った時、ソーダ分の流出により融点が上がり、焼成温度を通常の陶磁器の焼成温度(1300℃)レベルにまで高めなければガラス化し、いわゆる磁器化しないことが分かった。
粘土瓦工業に於いて、まず凍らない瓦作りのためには、焼成した瓦の空隙率を減少させるということが大事である。空隙率が大きいとそこに水がたまることになる。水は直接入ったり、空気が入って露点以下となって水分が滴下することが考えられるが、この水の凍結によって釉薬面の剥離が起こると素地が露出し、水漏れとなる。
空隙率を少なくするためには、成型前の製土が水分を適度に含むことが大事だが、一方水分が多すぎると焼成前の乾燥時点でゆがみや亀裂が出て、焼成後の空隙率を大きくすることになる。この点は「行儀の良い」すなわち寸法・精度のよいものを作るにあたっても問題となる。
従って、水分を出来るだけ絞って成型することが大切となるが、真空土練機を通す際にささくれ立つことなく押し出すためには17〜22%の含水量が必要となる。粘土粒子の大きさで水分量が異なるが、大きいほど少なくてすむが、粒子が大きければその分、空隙率が増える計算となる。
一方、この成形性をよくする方法として、炭酸ソーダなどのアルカリ添加で素地の改良が出来ることが知られている。これをpH調整という。このpH調整すれば、可塑性(流動性)が増大し、土練機で押し出す時の負荷が少なくなるため、その分、含水量を少なくし、水分を絞ることが出来る。
そこで、本願では、廃陶磁器を湿式粉砕機を使うことなくローラーミルを使った乾式粉砕で平均粒径10μmの大きさに粉砕し、粉砕粉内にアルカリを閉じ込め、瓦の原土素材として整えた。そして瓦の生産プロセスで、アルカリを溶出させ、アルカリ添加によるpH調整と同様の効果を誘出し、水分を絞った状態で押し出し成型するようにした。これによって空隙率を少なくし、乾燥や焼成時点でのゆがみや亀裂の発生を抑え、凍らない、行儀の良い品質の良い瓦を作った。また、アルカリを閉じ込めた素材を使用することによって、粘土瓦の焼成温度が1150℃位という低温焼成であるにもかかわらず、素材とのマッチングを計り、うまく焼結するようにした。
また、この廃陶磁器の乾式粉砕粉を作るにあたり、光ファイバーの工業用の廃棄物を10〜20%投入し、これを瓦の原土素材とした。管状の光ファイバーの微細粉を均一にかつ、瓦の中に閉じ込めて分散するようにして、かわらの軽量化を計った。同一の容積で強度的に遜色なく、軽量化することにより品質向上を計った。
さらに、廃陶磁器には釉薬が使われており、釉薬には有害重金属も使用されている。そこで、こうしたものが原土素材として混入すれば、瓦の生産過程、特に焼成時点での公害発生や出来上がった瓦の品質にも影響する。そこで本願では特開2000−412 に明らかにされている磁気分離の技術を使い、粉砕粉からPbやCdなどの重金属を除去するようにした。
磁気分離の技術については特公昭53−44200でも明らかにされている。あらゆる物質は、磁場の中で大なり小なり磁性を持つ。その磁性を持った微粒子をマグネット(電磁石)の磁気力によって捕獲し、除去する磁気分離の原理は30年以上も前に英国のネイチャー誌などで紹介されていたが、強磁性の鉄やニッケル、コバルトだけでなく、弱磁性や非磁性のものを分離除去することについては、強い磁力が必要であり、その電磁力を発生させるためには多くの消費電力と熱の発生がこれまで課題となっていた。また、特公昭53−44260で示された磁気分離の技術を実用化する上で表れた問題を解決する形での幾つかの改良特許が出されている。例えば、取りきれない非磁性物質を磁性物質と一緒に取り除くために、凝集剤を用いようとした特公昭56−30049。磁気フィルターを金網状に作り、磁界と直行するように配置し、磁気勾配を高めた特公昭59−49044。逆洗に当たって、原水中の微粒子と逆極性のゼータ電位を有する微粒子の含有水を流し、逆洗を効率よくできるようにした特公昭60−49006。
しかし、こうした改良にもかかわらず、磁気分離の技術は多くの実用上の問題を残し、超伝導方式が分離精度を高める上で残された唯一の方法というのが現状である。しかし、それは研究開発と設備費に巨額のお金がかかるという問題を抱えていた。本発明ではこうした問題も解決しつつ、目的の実現を果たそうとするものである。粒子に働く磁気力の3要素として▲1▼粒子の体積、▲2▼粒子と分散媒体の磁性差、▲3▼磁気勾配が知られている。
そこで、本願では、▲1▼粒子の体積を出来るだけ小さくするために、ローラーミル等の従来鉱工業で使われていた乾式粉砕方法をとり、細粒にするようにした。そしてさらに細粒化するときには短時間、ボールミル等の湿式粉砕をとるようにした。
また、▲2▼磁気分離で除去する粒子とベースとなっている分散媒体の磁性差を保つため、複数の磁力区分を設け、電磁力を弱いものから徐々に強いものへと進むようにし、最初は鉄、ニッケル、コバルト等、電磁力が弱くとも除去できるものを除去し、最後には強い力で非磁性のものを取るように工夫した。
さらに、▲3▼磁気勾配をつけるために、突起型の常磁性部材を用い、その突起部においての磁気勾配を大きくつけ、比較的弱い電磁力で非磁性のものまで除去できるようにした。
そして、これらすべてがうまく働くよう、機械系を2連、すなわち2系統にして、1連を除去機能を発揮するため着磁させている一方で、他方は消磁し、付着した対象物を実際に除去し、これらを交互に利用し、付着物の付着による分離性能の緩慢化を避けるようにした。
以上、説明したように本願発明を用いれば▲1▼廃陶磁器の再商品化に於いて、陶磁器業界にのみ再商品化の道を求めることなく、別業種である瓦業界にも原土素材として供給することにより、廃陶磁器のリサイクルを大きく進めることができた。この結果、市町村がこれに取り組めば、現状廃陶磁器を不燃ごみとして最終処分場に捨てている現状を改めることが出来、処分場の延命化ひいては環境保全に寄与することが出来た。
また、▲2▼原上採取に困っている粘度瓦業界に対し、新たな原土供給源として廃陶磁器の粉末粉を提供することができた。
さらに、▲3▼一度焼成して出来上がっている廃陶磁器の粉末粉には、アルカリ分を含有し、これが水分の存在でアルカリ溶出する。この点は陶磁器生産に於いてはマイナス作用を及ぼすが、瓦の生産に於いては品質向上のプラスに作用する。そこで、所定の粒度が得られるまでロールミルを使用して乾式粉砕で作り、アルカリを閉じ込めたまま瓦の生産過程に渡し、そこで溶出するアルカリ分によって押し出し成型を容易にし、水分を絞った上で成型して品質向上につなげた。また、このアルカリ分を作用させ、瓦の焼成温度が極めて低い温度(1150℃位)であるにもかかわらず、廃陶磁器の粉末粉を粘土瓦の素材と馴染ませて、焼結可能にすることが出来た。
ここでは主に廃陶磁器について説明してきたが、廃棄物としてはこれに限らず、廃棄された生活用品がその業種の中で再商品化が計られるとともに、他の業種で利用できるようにする場合、そのまま利用できるとは限らない。これまでは往々にしてこうした場合、利用を諦めていた。本願では、加工面で工夫することによって再商品化を可能にし、さらに他業種の品質アップにつなげるようにして、循環型社会における新たな静脈産業作りに大きく寄与するものである。
以下、図面によって本願発明を説明する。第1図は本願発明の概念を説明する為のブロック図であり、(2)はA業種、(4)はA業種の製品の廃棄物、(6)は特別な加工、(8)はB業種、(10)は原料素材、(12)は生産プロセス、(14)は製品である。
A業種(2)たとえば陶磁器産業とすると、廃棄物(4)は廃陶磁器や廃陶器となる。この廃棄物(4)は産業廃棄物とは限らず、一度使用され、家庭から出されて集められたものも含む。B業種(8)、これを例えば粘度瓦産業とすると、原材料(10)は田んぼ等の素掘りした粘土などとなる。生産プロセス(12)としては、いくつかの産地から取り寄せた原材料を「配合」、「粉砕・混練」、「加水混合」を経て、「真空土練機」で押し出しし、「成型」し、「乾燥」、「施釉」の後、「焼成」し製品(14)とする形となる。
陶磁器は粘土、長石、珪石を素材として湿式粉砕機にかけて数μmの粒径に整えた上で成形し、1300℃で焼成して作る。(陶器の場合800℃)廃陶磁器を同じ陶磁器工業の方法で湿式粉砕すると、アルカリ分が溶出し、この粉砕粉を改めて焼結するためには、やはり1300℃の焼成温度が必要となる。ところが、粘土瓦はもう少し低い1150℃近辺で焼結させているため、従来は廃陶磁器の粉砕粉は粘土瓦の素材としては使えないとされてきていた。
本願では、A業種から出た廃陶磁器の廃棄物(4)を特別な加工(6)すなわち、アルカリ溶出を閉じ込める乾式粉砕装置で平均粒径10μm位まで粉砕することにより、B業種である瓦業種まで持ち込み、その生産プロセス(12)の中でアルカリ溶出させ、これを低温(1150℃)で、廃陶器の粉砕粉が焼結するとともに、このアルカリ溶出によるpH調整によって可塑性や押し出し成形性を良くし、水分を絞るようにした。それによって凍結のない行儀の良い製品(14)作りに寄与させた。
このように特定業種で作られた使用済みの廃棄物をその産業業種の中で再生しようと思っても、そのままでは使用できなかったり、使用できても再商品として流通できるものが数少ない時に、他業種への利用を計ることは当然考えられることである。もちろん、鍵穴に鍵が差し込まれて合致するように、一産業の廃棄物が他の産業ですぐ利用できるといったケースはほとんどあり得ない。従って、本願発明に示した他の産業で利用できるように特別な加工を施して再商品化していくという生産方法は廃棄物の循環利用の方法として今後も益々重要になる。
図2は、本願発明の特許請求の範囲、請求項2に示した発明を説明する粘土瓦の生産プロセスを示すブロック図である。
20は天然粘土、22は製土工程、24は家庭や焼物産業から集められた廃陶磁器、26はローラーミルなどの乾式粉砕工程、28は光ファイバー、30は混練工程、32は真空土練機、34は切断工程、36は成型工程、38は乾燥炉、40は施釉工程、42は釉薬、44は焼成工程、46は瓦である。
瓦用に使用される粘土は、陶磁器や陶器用と異なり、いわば1ランク下の土を用いる。こうした天然土(20)を原料素材として用い、いくつかの産地のものをブレンドし、粉砕し、水分を加え、瓦用の粘土として製土するのが製土工程(22)である。一方、廃陶磁器(24)は産業から出るものや家庭で使用され壊れたものを市町村が集めたり、陶磁器店が回収したりしたものであり、これを従来の陶磁器産業では使われていなかったローラーミル等の乾式粉砕(26)によって平均粒径10μmレベルとし、瓦の原料素材として使えるようにする。この時、乾式粉砕(26)で行われるので、粉砕粉の生産プロセスでのアルカリ流出がほとんどなく、粉砕粉内にアルカリ分が閉じ込められる。
この粉砕粉を混練工程(30)でさらに水分を与えつつ、製土工程(22)から送られてくる粘土素材と混練する。この過程で粉砕粉からアルカリ分が溶出し、混練した土のpH調整が行われることになり、真空土練機(32)で押し出し成型するのが容易となる。そこで水分量を極力抑え、水分を絞った状態で、ここでの押し出し成型をする。通常真空土練機を通す前の水分量はおよそ20%位であるが、本願の場合通常より数%近くに水分を絞ってもよくなる。
真空土練機(32)から押し出された土を切断工程(34)で所定の大きさに切断し、さらにプレス成型(36)して、瓦の形にする。これを乾燥炉(38)で5〜7%位の水分量まで乾燥させる。本願の場合、水分量を抑えているため、この乾燥炉(38)での乾燥でゆがんだり、亀裂が入ることは抑えることが出来る。
乾燥炉(38)で乾燥した焼成前の瓦は、釉薬(42)によって、施釉(40)した後、焼成工程(44)で1000℃〜1200℃で焼成する。元々水分を充分に絞り、乾燥工程でのゆがみを抑えることが出来ているため、この焼成工程(44)でもゆがみを抑え、寸法精度の良い、いわゆる行儀の良い瓦(46)ができる。また、空隙率も抑えることが出来るため、凍らない瓦も出来る。
廃陶磁器は元々1300℃で焼結しているため、その粉砕粉が瓦用の土に混練された時、土が1150℃位という低温で焼結するに際して、粉砕粉が焼結可能となり、まわりとマッチングして行くかという心配があったが、粉砕粉に閉じ込められたアルカリ分が低温での焼結を助け、マッチングが可能となった。
こうして、廃陶磁器の粉砕粉を混入率25〜50%使用した粘土瓦(46)を作ることが出来た。なお光ファイバー(28)を混入する時は廃陶磁器と一緒に粉砕するか、もしくはそれぞれ粉砕した後、よく混練した上で、混練工程(30)で瓦用の土と混ぜるようにし、均一分散を計って使用するようにした。この光ファイバーを用いることにより、用いた量にほぼ比例して軽量化を計ることが出来た。
図3は廃陶磁器の釉薬中の重金属を取り除く高勾配磁力選別機を通した粉砕粉を瓦の原料素材として使った時の本発明による生産方法を示すブロック図である。
50は廃陶磁器、52は乾式粉砕工程、54は水分調整工程、56は高勾配磁力選別機、58は天然粘土、60は製土工程、62は混練工程、64は成型工程、66は乾燥工程、68は焼成工程、70は粘土瓦である。
ここでの流れは、図2とほぼ同じであるが、廃陶磁器(50)を、乾式粉砕(52)した後、一度水分調整し、流動性をもたせ、高勾配磁力選別機(56)を通して、金属類や重金属を取り除くことに特徴がある。こうして重金属等を取り除いた粉砕粉を真空フィルターにかけて、水分の抜き取り調整をし、天然粘土(58)を製土(60)したものと混練する。こうしておけば成型(64)した後、乾燥工程(66)や焼成工程(68)で有害重金属が気化し、作業者や環境に影響を与えることを防ぐことが出来る。
なお、本発明の実施例は、あくまで1実施例であり、本発明は、その実施例に捉われるものではない。また、高勾配磁力選別機の具体的な作動状況については、本願出願人が先に出願した特願2003−147015に記載の通りである。
[図1]本願発明の概念を説明する為のブロック図である
[図2]本願発明に基づく粘土瓦の生産プロセスを示すブロック図である
[図3]本願発明に基づく磁気選別機を用いて重金属類を取り除くときのブロック図である
[図2]本願発明に基づく粘土瓦の生産プロセスを示すブロック図である
[図3]本願発明に基づく磁気選別機を用いて重金属類を取り除くときのブロック図である
Claims (4)
- 異業種間を結ぶ静脈産業作りに於いて、一つの産業の廃棄物を他産業の製品の原料素材として使用するとともに、該製品の品質を上げるための素材として使用できるように該廃棄物に特別な加工を施した上で、使用できるようにした生産方法
- 前記廃棄物は、廃棄陶磁器であり、前記製品は瓦であり、前記品質として「凍らない」、「行儀の良い」、瓦作りとして、前記特別な加工として、乾式粉砕をしたことを特徴とする請求項1に示した生産方法
- 前記乾式粉砕した前記廃棄陶磁器の粉砕粉を、高勾配磁力選別機にかけ、金属分を取り除いた上で、前記瓦の原料素材として利用するようにした請求項2に示した生産方法
- 請求項1から3に示した生産方法によって作成した生産物
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JP2004329743A Pending JP2006111513A (ja) | 2004-10-15 | 2004-10-15 | 廃棄物を業種を越えて利用する生産方法と生産物 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006111513A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009046346A (ja) * | 2007-08-20 | 2009-03-05 | Takahama Industry Co Ltd | シャモット及びシャモットを配合した粘土瓦 |
CN101633210B (zh) * | 2009-08-28 | 2011-03-16 | 唐山市盈心耐火材料有限公司 | 用废瓷制备建材制品的方法 |
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2004
- 2004-10-15 JP JP2004329743A patent/JP2006111513A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009046346A (ja) * | 2007-08-20 | 2009-03-05 | Takahama Industry Co Ltd | シャモット及びシャモットを配合した粘土瓦 |
CN101633210B (zh) * | 2009-08-28 | 2011-03-16 | 唐山市盈心耐火材料有限公司 | 用废瓷制备建材制品的方法 |
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