JP2006102947A - 平版印刷版原版および平版印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 親水性支持体上に、下塗り層およびレーザー感受性の光重合層をこの順に有する、アルカリ現像せずに画像形成可能な平版印刷版原版であって、該下塗り層単体の光照射後の接触角が、光照射前に比べて5°以上増大することを特徴とする平版印刷版原版およびそれを用いた平版印刷方法。前記下塗り層には少なくとも(a1)エチレン性不飽和結合を少なくとも1つ含有する繰り返し単位と(a2)支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位と(a3)親水性基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位とを有する共重合体を含有していることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルム等の原画を通した露光を行った後、画像部の画像記録層を残存させ、非画像部の画像記録層をアルカリ性現像液または有機溶剤によって溶解して除去することで親水性の支持体の表面を露出させる方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
機上現像の具体的方法としては、例えば、湿し水、インキ溶剤または湿し水とインキとの乳化物に溶解しまたは分散することが可能な画像記録層を有する平版印刷版原版を用いる方法、印刷機のローラー類やブランケット胴との接触により、画像記録層の力学的除去を行う方法、湿し水、インキ溶剤等の浸透によって画像記録層の凝集力または画像記録層と支持体との接着力を弱めた後、ローラー類やブランケット胴との接触により、画像記録層の力学的除去を行う方法が挙げられる。
なお、本発明においては、特別な説明がない限り、「現像処理工程」とは、印刷機以外の装置(通常は自動現像機)を使用し、液体(通常はアルカリ性現像液)を接触させることにより、平版印刷版原版の赤外線レーザー未露光部分を除去し、親水性支持体表面を露出させる工程を指し、「機上現像」とは、印刷機を用いて、液体(通常は印刷インキ及び/又は湿し水)を接触させることにより、平版印刷版原版の赤外線レーザー未露光部分を除去し、親水性支持体表面を露出させる方法および工程を指す。
露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術が注目されてきている。したがって、このような技術に適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題の一つとなっている。
また、機上現像可能な平版印刷版としては、例えば、特許文献1には、親水性結合剤中に疎水性熱可塑性重合体粒子を分散させた像形成層を親水性支持体上に設けた平版印刷版原版が記載されている。この特許文献1には、上記平版印刷版原版を赤外線レーザーにより露光して、疎水性熱可塑性重合体粒子を熱により合体させて画像を形成させた後、印刷機のシリンダー上に取り付け、湿し水および/またはインキにより機上現像することが可能である旨記載されている。
このように微粒子の単なる熱融着による合体で画像を形成させる方法は、良好な機上現像性を示すものの、画像強度(支持体との密着性)が極めて弱く、耐刷性が不十分であるという問題を有していた。
さらに、支持体上に、赤外線吸収剤とラジカル重合開始剤と重合性化合物とを含有する感光層を設けた平版印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
このように重合反応を用いる方法は、重合体微粒子の熱融着により形成される画像部に比べ、画像部の化学結合密度が高いため画像強度が比較的良好であるという特徴を有するが、実用的な観点から見ると、機上現像性、耐刷性および重合効率(感度)のいずれも未だ不十分であり、実用化には至っていない。
また、本発明の目的は該平版印刷版原版を用いて、コンピュータ等のデジタルデータから直接、画像を記録させ、現像処理工程を行うことなく、機上現像する平版印刷方法であって、実用的なエネルギー量で良好な印刷物を多数枚得ることができる平版印刷方法を提供することでもある。
が達成されることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)親水性支持体上に、下塗り層およびレーザー感受性の光重合層をこの順に有する、アルカリ現像せずに画像形成可能な平版印刷版原版であって、該下塗り層単体の光照射後の接触角が、光照射前に比べて5°以上増大することを特徴とする平版印刷版原版。
(2)前記下塗り層が少なくとも(a1)エチレン性不飽和結合を少なくとも1つ含有する繰り返し単位と(a2)支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位と(a3)親水性基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位とを有する共重合体を含有することを特徴とする前記(1)に記載の平版印刷版原版。
(3)前記下塗り層が熱により親水性から疎水性に変化する化合物を含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の平版印刷版原版。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の平版印刷版原版を、印刷機に装着し、画像様にレーザー露光した後、または、レーザーで画像様に露光した後、印刷機に装着し、該平版印刷版原版に、印刷インキと湿し水とを供給して、該光重合層のレーザー未露光部分を除去し、印刷する平版印刷方法。
本発明の平版印刷版原版は、親水性支持体上に、下塗り層およびレーザー感受性の光重合層をこの順に有する。
本発明に用いられる下塗り層を構成する成分としては、下塗り層単体としての光照射後の接触角が、光照射前に比べて5°以上増大していれば特に制限されないが、好ましくは、少なくとも(a1)エチレン性不飽和結合を少なくとも1つ含有する繰り返し単位と(a2)支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つが含有する繰り返し単位と(a3)親水性基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位とを有する共重合体(以下「特定共重合体」とも言う。)を含有することである。
式(I)において、A1で表される繰り返し単位は、好ましくは下記式(A1)で表される。
L1:−CO−NH−二価の脂肪族基−O−CO−
L2:−CO−二価の脂肪族基−O−CO−
L3:−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−
L4:−二価の脂肪族基−O−CO−
L5:−CO−NH−二価の芳香族基−O−CO−
L6:−CO−二価の芳香族基−O−CO−
L7:−二価の芳香族基−O−CO−
L8:−CO−O−二価の脂肪族基−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−
L9:−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−二価の脂肪族基−O−CO−
L10:−CO−O−二価の芳香族基−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−
L11:−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−二価の脂肪族基−O−CO−
L12:−CO−O−二価の脂肪族基−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−
L13:−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−二価の芳香族基−O−CO−
L14:−CO−O−二価の芳香族基−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−
L15:−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−二価の芳香族基−O−CO−
L16:−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−NH−二価の脂肪族基−O−CO−
二価の脂肪族基は、環状構造よりも鎖状構造の方が好ましく、さらに分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造の方が好ましい。
二価の脂肪族基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至15であることがより好ましく、1乃至12であることがさらに好ましく、1乃至10であることがさらにまた好ましく、1乃至8であることが最も好ましい。
二価の脂肪族基の置換基の例としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオ
キシ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基およびジアリールアミノ基等が挙げられる。
二価の芳香族基の置換基の例としては、上記二価の脂肪族基の置換基の例に加えて、アルキル基が挙げられる。
前記L1からL16の中では、L1、L3、L5、L7が好ましい。
特定官能基としては、例えば、陽極酸化処理または親水化処理を施した支持体上に存在する金属、金属酸化物、水酸基などと共有結合、イオン結合、水素結合、極性相互作用、ファンデルワールズ相互作用などの相互作用が可能な基が挙げられる。
特定官能基の具体例を以下に挙げる。
これらのなかでも特定官能基としては、アンモニウム基、ピリジニウム基等のオニウム塩基、リン酸エステル基、ホスホン酸基、ホウ酸基、アセチルアセトン基などのβ−ジケトン基などが好適である。
組み合わせからなるLの具体例としては、前記式(A1)におけるLの具体例に加えて以下のものを挙げることができる。なお、下記例において左側が主鎖に結合し、右側がエチレン性不飽和結合に結合する。
L17: −CO−NH−
L18: −CO−O−
L19: −二価の芳香族基−
R7およびR8はそれぞれ独立に、水素原子、あるいは炭素数1〜6の直鎖または分岐
のアルキル基を表す。R9は炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキレン基を表し、エチレン基が好ましい。R10は水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を表す。nは1〜100の整数を表し、1〜30が好ましい。
前記(A3)で表される親水性基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位は、そのlogPが、−3〜3であるのが好ましく、−1〜2であるのがより好ましい。この範囲で、良好な機上現像性が得られる。
ここでlogPとは、Medicinal Chemistry Project.Pomona College,Claremont.Californiaで開発され、Daylight Chemical Information System Inc.より入手できるソフトウェアPCModelsを用いて算出した化合物のオクタノール/水分配係数(P)の値の対数である。
前記Wとしては、アルキレンオキシ基を含むものが好ましい。
前記特定共重合体の分子量としては、質量平均分子量で500〜100,000の範囲が好ましく、700〜50,000の範囲がより好ましい。また(a1)は全共重合モノマーに対して5〜80モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましい。(a2)は全共重合モノマーに対して5〜80モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましい。さらに、(a3)は全共重合モノマーに対して5〜80モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましい。
本発明において前記特定共重合体を下塗り層中に含有させるに際して、通常該共重合体を溶剤で希釈して用いる。溶媒としては、水や、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、THF、DMF、1−メトキシ−2−プロパノール、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒が挙げられ、特にアルコール類が好ましい。これらの有機溶媒は混合して用いることもできる。
本発明において用いることができる極性変換化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
30mg/m2 であるのがより好ましい。
次に、本発明の平版印刷版原版におけるレーザー感受性の光重合層の構成成分について説明する。
本発明では、光重合層の皮膜特性や機上現像性の向上のため、バインダーポリマーを必須成分として用いる。バインダーポリマーとしては、従来公知のものを制限なく使用でき、皮膜性を有する線状有機ポリマーが好ましい。このようなバインダーポリマーの例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴムが挙げられる。
アミド残基の具体例としては、−CH2 CH=CH2 、−CH2 CH2 −Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)、−CH2 CH2 −OCO−CH=CH2 が挙げられる。
インキに対する溶解性又は分散性を向上させるためには、バインダーポリマーは、親油的な方が好ましく、湿し水に対する溶解性又は分散性を向上させるためには、バインダーポリマーは、親水的な方が好ましい。このため、本発明においては、親油的なバインダーポリマーと親水的なバインダーポリマーを併用することも有効である。
かかるバインダーポリマーは、従来公知の方法により合成することができる。側鎖に架橋性基を有するバインダーポリマーは、ラジカル重合又は高分子反応によって容易に合成
できる。
バインダーポリマーの含有量は、光重合層の全固形分に対して、10〜90質量%であるのが好ましく、20〜80質量%であるのがより好ましい。この範囲で、良好な画像部の強度と画像形成性が得られる。
また、後述する重合性化合物とバインダーポリマーは、質量比で1/9〜7/3となる量で用いるのが好ましい。
本発明の平版印刷版原版を、例えば760〜1200nmの赤外線を発するレーザー光源により画像形成する場合には、赤外線吸収剤を光重合層中に含有させることが好ましい。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有している。この際発生した熱により、後述する重合開始剤(ラジカル発生剤)が熱分解し、ラジカルを発生する。本発明で用いられるかかる赤外線吸収剤としては、波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料又は顔料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等の公報に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等の公報に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等の公報に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号公報等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許第434,875号明細書記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、特に好ましい他の例として、特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素を挙げることができる。
本発明の光重合層に用いられる重合開始剤としては、使用する光源の波長により、特許、文献等で公知である種々の光重合開始剤、または2種以上の光重合開始剤の併用系(光重合開始系)を適宜選択して使用することができる。
ロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフエニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)フェニル)チタニウム(以下「T−2」ともいう。)等を挙げることができる。
ラジカル発生剤としては、オニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、キノンジアジド、オキシムエステル化合物、トリアリールモノアルキルボレート化合物などが挙げられるが、オニウム塩又はオキシムエステル化合物が高感度であり、好ましい。以下に、本発明において重合開始剤として好適に用い得るオニウム塩について説明する。好ましいオニウム塩としては、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩が挙げられる。本発明において、これらのオニウム塩は酸発生剤ではなく、ラジカル重合の開始剤として機能する。本発明において好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(A)〜(C)で表されるオニウム塩である。
サフルオロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
はZ11-と同義の対イオンを表す。
以下に、本発明に適用し得る他の好ましい重合開始剤の代表的な化合物を例示する。
また、VとZは互いに結合して環を形成してもよい。
なお、上記一般式(D)におけるN−O結合の構造はE体であってもZ体であっても構わない。
本発明の平版印刷版原版において、光重合層は増感色素を含有することができる。該増感色素としては、350〜850nmに吸収ピークを有するものが好ましい。このような増感色素としては、分光増感色素、光源の光を吸収して光重合開始剤と相互作用する以下に示す染料あるいは顔料が挙げられる。
好ましい分光増感色素または染料としては、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン
、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、フタロシアニン類(例えば、フタロシアニン、メタルフタロシアニン)、ポルフィリン類(例えば、テトラフェニルポルフィリン、中心金属置換ポルフィリン)、クロロフィル類(例えば、クロロフィル、クロロフィリン、中心金属置換クロロフィル)、金属錯体、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)等が挙げられる。
本発明における光重合層に用いることができる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
エチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
(ただし、R4及びR5は、H又はCH3を示す。)
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、光重合層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、重合開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体や後述のオーバーコート層等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
以上併用してもよい。そのほか、重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、更に場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
本発明における光重合層には、上記した以外の成分、例えば、界面活性剤、着色剤、焼き出し剤、重合禁止剤(熱重合防止剤)、高級脂肪酸誘導体、可塑剤、無機微粒子、低分子親水性化合物等を含有させることができる。かかる添加剤は、光重合層に分子分散状に添加することもできるが、必要に応じて前記重合性化合物と共にマイクロカプセルに内包することもできる。
本発明において、光重合層には、印刷開始時の機上現像性を促進させるため、および、塗布面状を向上させるために界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ことができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
界面活性剤は、光重合層の全固形分に対して、0.001〜10質量%含有させることが好ましく、0.01〜5質量%含有させることがより好ましい。
本発明における光重合層には、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、及び特開昭62−293247号公報に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料も好適に用いることができる。
本発明における光重合層には、焼き出し画像生成のため、酸又はラジカルによって変色する化合物を添加することができる。このような化合物としては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
本発明における光重合層には、光重合層の製造中又は保存中において重合性化合物の不要な熱重合を防止するために、少量の熱重合防止剤を添加することができる。
熱重合防止剤としては、例えば、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好適に挙げられる。
熱重合防止剤は、光重合層の全固形分に対して、約0.01〜約5質量%含有させるのが好ましい。
本発明における光重合層には、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で光重合層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、光重合層の全固形分に対して、約0.1〜約10質量%であるのが好ましい。
本発明における光重合層は、機上現像性を向上させるために、可塑剤を含有してもよい。
可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカプリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレエート等の脂肪族二塩基酸エステル類;ポリグリシジルメタクリレート、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル等が好適に挙げられる。
可塑剤は、光重合層に、約30質量%以下の割合で含有させることができる。
本発明における光重合層は、表面粗面化による界面接着性の強化、画像部の硬化皮膜強度向上及び非画像部の機上現像性向上のために、無機微粒子を含有してもよい。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム又はこれらの混合物が好適に挙げられる。
無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5μm〜3μmであるのがより好ましい。上記範囲であると、光重合層中に安定に分散して、光重合層の膜強度を十分に保持し、印刷時の汚れを生じにくい親水性に優れる非画像部を形成することができる。
上述したような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は、光重合層の全固形分に対して、20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。
本発明における光重合層は、機上現像性向上のため、親水性低分子化合物を含有しても良い。親水性低分子化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類及びそのエーテル又はエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類及びその塩、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類及びその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類及びその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類及びその塩等が上げられる。
低分子親水性化合物の含有量は、光重合層の全固形分に対して、30質量%以下である
のが好ましい。
本発明においては、上記の光重合層構成成分を光重合層に含有させる方法として、いくつかの態様を用いることができる。一つは、例えば、特開2002−287334号公報に記載のごとく、該構成成分を適当な溶媒に溶解して塗布する分子分散型画像記録層である。もう一つの態様は、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、前記構成成分の全て又は一部をマイクロカプセルに内包させて画像記録層に含有させるマイクロカプセル型画像記録層である。さらに。マイクロカプセル型画像記録層において、該構成成分は、マイクロカプセル外にも含有させることもできる。ここで、マイクロカプセル型画像記録層は、疎水性の構成成分をマイクロカプセルに内包し、親水性構成成分をマイクロカプセル外に含有することが好ましい態様である。より良好な機上現像性を得るためには、画像記録層をマイクロカプセル型画像記録層とすることが有利である。
マイクロカプセルの光重合層(画像形成層)への添加量は、固形分換算で、光重合層固形分の50質量%以上が好ましく、60〜95質量%がより好ましい。この範囲内で、良好な現像性と同時に、良好な感度及び良好な耐刷性が得られる。
本発明の光重合層は、同一又は異なる上記各成分を同一又は異なる溶剤に分散、又は溶かした塗布液を複数調製し、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成することも可能である。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
本発明の平版印刷版原版は、光重合層における傷等の発生防止、酸素遮断、高照度レーザー露光時のアブレーション防止などの目的のために、印刷インキ、湿し水またはこれらの両方により除去可能なオーバーコート層(保護層)を光重合層上に設けることができる。
本発明においては、通常、露光を大気中で行うが、オーバーコート層は、光重合層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素、塩基性物質等の低分子化合物の光重合層への混入を防止し、大気中での露光による画像形成反応の阻害を防止する。従って、オーバーコート層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、更に、露光に用いられる光の透過性が良好で、光重合層との密着性に優れ、かつ、露光後の機上現像処理工程で容易に除去することができるものであるのが好ましい。このような特性を有するオーバーコート層については、以前より種々検討がなされており、例えば、米国特許第3,458,311号明細書および特公昭55−49729号公報に詳細に記載されている。
ポリビニルアルコールの具体例としては、71〜100モル%加水分解された分子量300〜2400の範囲のものが好適に挙げられる。具体的には、例えば、(株)クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8が挙げられる。
上記ポリビニルアルコール(PVA)等の(共)重合体の分子量は、2000〜1000万の範囲のものが使用でき、好ましくは2万〜300万の範囲のものが適当である。
の欠陥を引き起こすことがある。
更に、オーバーコート層には、他の機能を付与することもできる。例えば、露光に用いられる赤外線の透過性に優れ、かつ、それ以外の波長の光を効率よく吸収しうる、着色剤(例えば、水溶性染料)の添加により、感度低下を引き起こすことなく、セーフライト適性を向上させることができる。
本発明における平版印刷版原版に用いられる支持体は、親水性であれば特に限定されず、寸度的に安定な板状物であればよい。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされまたは蒸着された紙またはプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルムおよびアルミニウム板が挙げられる。中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流または直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80質量%溶液、液温5〜70℃、電流密度5〜60A/d m2 、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であるのが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/m2 であるのが好ましく、1.5〜4.0g/m2であるのがより好ましい。この範囲で、良好な耐刷性と平版印刷版の非画像部の良好な耐傷性が得られる。
また、支持体の色濃度としては、反射濃度値として0.15〜0.65であるのが好ましい。この範囲で、画像露光時のハレーション防止による良好な画像形成性と現像後の良好な検版性が得られる。
支持体に表面処理を施した後又は下塗り層を形成させた後、必要に応じて、支持体の裏面にバックコートを設けることができる。
バックコートとしては、例えば、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されている有機金属化合物又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。中でも、Si(OCH3 )4 、Si(OC2 H5 )4 、Si(OC3 H7 )4 、Si(OC4 H9 )4 等のケイ素のアルコキシ化合物を用いるのが、原料が安価で入手しやすい点で好ましい。
本発明の平版印刷版原版を露光する光源としては、公知のものを制限なく用いることができる。望ましい光源の波長は300nmから1200nmであり、具体的には各種レーザを光源として用いることが好適であり、中でも、波長760nm〜1200nmの赤外
線を放射する半導体レーザーが好適に用いられる。
露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでもよい。
また、本発明の平版印刷版原版に対するその他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視及び紫外の各種レーザーランプ、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等も使用できる。
本発明の平版印刷版原版を用いた平版印刷方法は、特に制限はないが、たとえば本発明の平版印刷版原版を赤外線レーザーなどのレーザーで画像様に露光した後、なんらの現像処理工程を経ることなく油性インキと水性成分とを供給して印刷する方法が挙げられる。
具体的には、平版印刷版原版をレーザーで露光した後、現像処理工程を経ることなく印刷機に装着して印刷する方法、平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上においてレーザーで露光し、現像処理工程を経ることなく印刷する方法等が挙げられる。
このようにして、平版印刷版原版はオフセット印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。
有機酸としては、クエン酸、酢酸、蓚酸、マロン酸、サリチル酸、カプリル酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸などが挙げられる。有機酸は、そのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩の形で用いることもできる。現像液中の含有量は、好ましくは0.01〜5質量%である。
これらノニオン性界面活系剤は、単独でも、2種以上を混合して用いても良い。本発明においては、ソルビトール及び/又はソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー、多価アルコールの脂肪酸エステルがより好ましい。
Balance)値が、6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。
さらに、現像液中に含有するノニオン性界面活性剤の比率は、0.01〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。
又アセチレングリコール系とアセチレンアルコール系のオキシエチレン付加物、フッ素系、シリコン系等の界面活性剤も同様に使用することができる。
本発明の現像液に使用する界面活性剤としては、抑泡性の観点から、ノニオン性界面活性剤が特に好適である。
極性溶剤としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、メチルフェニルカルビノール、n−アミルアルコール、メチルアミルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、乳酸メチル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート、レブリン酸ブチル等)、その他(トリエチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン等)、が挙げられる。
水溶性高分子化合物は2種以上を併用することもできる。水溶性高分子化合物の現像液中における含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%である。
上記現像液の温度は、任意の温度で使用できるが、好ましくは10℃〜50℃である。
1.平版印刷版原版の作成
(1)支持体の作成
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm3)を用いアルミ表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
〔実施例1〕
上記で作成した支持体上に、上記特定共重合体例(28)(x/y/z=20/20/60、質量平均分子量15000)のメタノール溶液を塗布した後、70℃、30秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量10mg/m2の下塗り層を形成した。引き続いて、下記組成の画像記録層塗布液(1)をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.8g/m2の画像記録層を形成して平版印刷版原版を得た。
・下記のバインダーポリマー(1)(質量平均分子量10万) 0.162g
・下記の重合開始剤(1) 0.100g
・下記の赤外吸収剤(1) 0.020g
・重合性モノマー、アロニックスM-215(東亜合成(株)製) 0.385g
・下記のフッ素系界面活性剤(1) 0.044g
・メチルエチルケトン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609g
マイクロカプセル液(1)
・下記の通り合成したマイクロカプセル(1) 2.640g
・水 2.425g
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N、75%酢酸エチル溶液)10g、アロニックスM−215(東亞合成(株)製)6.00g、およびパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.12gを酢酸エチル16.67gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分および水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で2時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。平均粒径は0.2μmであった。
実施例1において使用した共重合体(28)を表1に示す化合物に変えた他は、実施例1と同様にして平版印刷版原版を得た。
実施例1において使用した共重合体(28)を下記比較化合物(1)に変えた他は、実施例1と同様にして平版印刷版原版を得た。
上記で作成した支持体上に、表1に示す共重合体のメタノール溶液を塗布した後、70℃、30秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量10mg/m2の下塗り層を形成した。引き続いて、下記組成の画像記録層塗布液(2)をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.8g/m2の画像記録層を形成して平版印刷版原版を得た。
・下記の赤外線吸収剤(2) 0.05g
・上記の重合開始剤(1) 0.20g
・上記バインダーポリマー 0.50g
・重合性モノマー、アロニックスM-215(東亜合成(株)製) 1.00g
・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩 0.02g
・上記のフッ素系界面活性剤(1) 0.10g
・メチルエチルケトン 18.0g
実施例6において使用した共重合体(28)を下記比較化合物(2)に変えた他は、実施例6と同様にして平版印刷版原版を得た。
上記で作成した支持体上に、表1に示す共重合体及び表2に示す極性変換化合物を塗布した後、70℃、30秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量10mg/m2の下塗り層を形成した。引き続いて、実施例6〜10と同様の画像記録層塗布液(2)をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.8g/m2の画像記録層を形成して平版印刷版原版を得た。
上記で作成した支持体上に、表1に示す共重合体のメタノール溶液を塗布した後、70℃、30秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量10mg/m2の下塗り層を形成した。引き続いて、下記組成の画像記録層塗布液(3)をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.8g/m2の画像記録層を形成し、この上に下記組成よりなる保護層塗布液(1)を乾燥塗布量が0.5g/m2となるように塗布し、120℃で1分間乾燥して平版印刷版原版を得た。
・下記の重合開始剤(2) 0.2g
・下記の増感色素(1) 0.5g
・上記バインダーポリマー(1) 6.0g
・重合性モノマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート 12.4g
(東亜合成(株)製M−315)
・ロイコクリスタルバイオレット 3.0g
・熱重合開始剤、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩 0.1g
・テトラエチルアンモニウムクロリド 0.1g
・下記フッ素系界面活性剤(1) 0.1g
・メチルエチルケトン 70.0g
・ポリビニルアルコール(ケン化度95モル%、重合度800) 40g
・ポリビニルピロリドン(分子量5万) 5g
・ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1))分子量7万 5g
・水 950g
実施例16において使用した共重合体例(17)を上記比較化合物(1)に変えた他は、実施例16と同様にして平版印刷版原版を得た。
上記で作成した支持体上に、表1に示す共重合体のメタノール溶液を塗布した後、70℃、30秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量10mg/m2の下塗り層を形成した。引き続いて、下記組成の画像記録層塗布液(4)をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.8g/m2の画像記録層を形成して平版印刷版原版を得た。
・下記の重合開始剤(3) 0.2g
・上記バインダーポリマー(1) 3.0g
・重合性モノマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート 6.2g
(東亜合成(株)製M−315)
・ロイコクリスタルバイオレット 3.0g
・熱重合開始剤、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩 0.1g
・上記のフッ素系界面活性剤(1) 0.1g
・上記のマイクロカプセル(1)(固形分換算で) 10.0g
・メチルエチルケトン 35.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 35.0g
・水 10.0g
実施例21において使用した共重合体例(30)を上記比較化合物(2)に変えた他は、実施例21と同様にして平版印刷版原版を得た。
露光方法
(実施例1〜15、比較例1,2)
平版印刷版原版を水冷式40W赤外線半導体レーザ搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。露光画像には細線チャートを含むようにした。
(実施例16〜25、比較例3,4)
平版印刷版原版を375nm又は405nm半導体レーザーにて、出力2mW、周長900mmの外面ドラム、ドラム回転数800rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。1画素描画時間は表5に示したとおりである。
平版印刷版原版は得られた露光済み原版を現像処理することなく、各々、ハイデルベルグ社製SOR−Mのシリンダーに取り付け、湿し水(EU−3(富士写真フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業社製)とを用い、湿し水とインクを供給した後、毎時6000枚の印刷速度で印刷を100枚行った。印刷機上で画像記録層の未露光部の除去が完了し、非画像部にインキ汚れがない印刷物が得られた。
一般に、ネガ型平版印刷版原版の場合、露光量が少ないと画像記録層(感光層)の硬化度が低くなり、露光量が多いと硬化度が高くなる。画像記録層の硬化度が低すぎる場合には、平版印刷版の耐刷性が低くなり、また、小点や細線の再現性が不良となる。一方、画像記録層の硬化度が高い場合には、耐刷性が高くなり、また、小点や細線の再現性が良好となる。
本実施例では、以下に示すように、上記で得られたネガ型平版印刷版原版を、上述した同一の露光量条件で耐刷性および細線再現性を評価することにより、平版印刷版原版の感度の指標とした。即ち、耐刷性における印刷枚数が高いほど、また、細線再現性における細線幅が細いほど、平版印刷版原版の感度が高いと言える。
それぞれの平版印刷版原版で用いた赤外線吸収色素、重合開始剤を本発明の特定共重合
体と共に塗布(10mg/m2)を行い、下塗り層のみを支持体上に形成した後、レーザ露光。露光前後の空中水滴接触角を測定した。空中水滴接触角は協和界面科学(株)製CA-Vを使用した。
上述したように、100枚印刷して非画像部にインキ汚れがない印刷物が得られたことを確認した後、続けて500枚の印刷を行った。合計600枚目の印刷物の細線チャート(10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、60、80、100および200μmの細線を露光したチャート)を25倍のルーペで観察し、途切れることなくインキで再現された細線幅により、細線再現性を評価した。
上述したように、細線再現性の評価において印刷を行った後、更に印刷を続けた。印刷枚数を増やしていくと徐々に画像記録層が磨耗しインキ受容性が低下するため、印刷用紙におけるインキ濃度が低下した。インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により、耐刷性を評価した。
100枚印刷を行って、非画像部にインキ汚れがない印刷物が得られたことを確認した後、続けて500枚の印刷を行った。合計600枚目の印刷物において、画像部のインキ濃度にムラがない露光量を感度として計測した。
露光されていない平版印刷版原版を、白色蛍光灯下に置き、平版印刷版原版の表面で400luxの光量になる条件下に設置し、曝光を行った。これら白灯下に曝した平版印刷版原版を、現像処理が必要なものは現像処理を行った後、上記同様、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付け、100枚の印刷を行った後、インキ汚れが生じない白色蛍光灯下での曝光時間を計測した。この時間が長いほど、白灯安全性が良好であるといえる。
上記評価結果を機上現像性結果とともに表3〜5に示す。
Claims (4)
- 親水性支持体上に、下塗り層およびレーザー感受性の光重合層をこの順に有する、アルカリ現像せずに画像形成可能な平版印刷版原版であって、該下塗り層単体の光照射後の接触角が、光照射前に比べて5°以上増大することを特徴とする平版印刷版原版。
- 前記下塗り層が少なくとも(a1)エチレン性不飽和結合を少なくとも1つ含有する繰り返し単位と(a2)支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位と(a3)親水性基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位とを有する共重合体を含有することを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版。
- 前記下塗り層が熱により親水性から疎水性に変化する化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の平版印刷版原版。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の平版印刷版原版を、印刷機に装着し、画像様にレーザー露光した後、または、レーザーで画像様に露光した後、印刷機に装着し、該平版印刷版原版に、印刷インキと湿し水とを供給して、該光重合層のレーザー未露光部分を除去し、印刷する平版印刷方法。
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