まず、図1を参照しながら、本発明にかかる移動体通信端末装置の特徴について説明する。
本発明にかかる移動体通信端末装置(2)は、電力供給源となる電池パック(1)を着脱可能に構築した移動体通信端末装置(2)であって、移動体通信端末装置(2)は、電池パック(1)と電源線(陽極端子(6、7)間)を介して電気的に接続した際に、電源線(陽極端子(6、7)間)を介して電池パック(1)から入力される電池パック(1)固有の電池信号を基に、該電池信号が、移動体通信端末装置(2)側に設定されている電池パック(1)固有の信号と、一致するか否かを判断し、一致すると判断した場合に、電池パック(1)側から供給される電力を基に主電源を起動する手段を有することを特徴とするものである。また、本発明にかかる電池パック(1)は、通信端末装置(2)の電力供給源となる電池パック(1)であって、電池パック(1)は通信端末装置(2)と着脱可能に構築されており、電池パック(1)は、通信端末装置(2)と電源線(陽極端子(6、7)間)を介して電気的に接続し、通信端末装置(2)において生成された任意の信号が電源線(陽極端子(6、7)間)を介して入力された際に、該入力された任意の信号と、電池パック(1)固有の識別信号と、を合成して電池パック(1)固有の電池信号を生成し、該生成した電池信号を通信端末装置(2)に電源線(陽極端子(6、7)間)を介して出力する手段を有することを特徴とするものである。これにより、移動体通信端末装置(2)に特有の正規の電池パック(1)が移動体通信端末装置(2)に搭載された場合にのみ、移動体通信端末装置(2)の電源が入ることになり、模造の電池パックを移動体通信端末装置(2)に接続しても、移動体通信端末装置(2)の電源が入らないことになり、電池パックの機密性を向上させることが可能となる。
(第1の実施形態)
以下、添付図面を参照しながら、本実施形態における移動体通信端末装置について説明する。
まず、図1を参照しながら、本実施形態における移動体通信端末装置内に電池パックを搭載した場合の構成について説明する。なお、図1は、移動体通信端末用の電池パック(1)と、移動体通信端末装置本体(2)と、の接続関係を示唆したものである。
図1に示唆する移動体通信端末装置は、電池パック(1)と、移動体通信端末装置本体(2)と、が接続して構成されており、電池パック(1)は、装置本体(2)と着脱可能となっている。
(電池パック(1)の構成)
まず、電池パック(1)の構成について説明する。
電池パック(1)は、素電池(3)と、保護回路(4)と、電池ID発生回路(5)と、電池パックの陽極端子(6)と、電池パックの陰極端子(10)と、を有して構成されている。
素電池(3)は、移動体通信端末装置本体(2)の電力供給源となる電池であり、電池パック(1)と、移動体通信端末装置本体(2)と、が接続された際に、移動体通信端末装置本体(2)側に電力を供給することになる。保護回路(4)は、電圧、電流などを検出し、過負荷や過電荷などの異常時に、電池パック自体(1)の破損を防止することになる。電池ID発生回路(5)は、電池パック(1)固有の電池ID出力信号(15)を発生するためのものであり、この電池ID発生回路(5)にて発生した電池ID出力信号(15)を移動体通信端末装置本体(2)側に送信することになる。
(移動体通信端末装置本体(2)の構成)
次に、移動体通信端末装置本体(2)の構成について説明する。
移動体通信端末装置本体(2)は、移動体通信端末装置の陽極端子(7)と、フューズ(FUSE)(8)と、電源制御用FET(Field Effect Transistor)スイッチ(9)と、移動体通信端末装置の陰極端子(11)と、電池ID検出回路(12)と、移動体通信端末装置主回路(13)と、を有して構成されている。
電池ID検出回路(12)は、電池パック(1)にて発生した電池ID出力信号(15)を検出し、該検出した電池ID出力信号(15)が移動体通信端末装置本体(2)に適合する信号であると認識した場合に、制御信号(16)を電源制御用FETスイッチ(9)に出力することになる。電源制御用FETスイッチ(9)は、移動体通信端末装置本体(2)の電源を制御するための半導体素子であり、電池ID検出回路(12)から入力される制御信号(16)を基に、移動体通信端末装置主回路(13)を制御することになる。移動体通信端末主回路(13)は、電源制御用FETスイッチ(9)から電圧が入力された際に、回路(13)自体を起動させ、移動体通信端末装置本体(2)の電源をONにするためのものである。
なお、一般的な移動体通信端末装置は、電池パック側(1)に、素電池(3)と、保護回路(4)と、電池パックの陽極端子(6)と、電池パックの陰極端子(10)と、を有し、また、移動体通信端末本体(2)側に、フューズ(FUSE)(8)と、移動体通信端末装置の陽極端子(7)と、移動体通信端末装置の陰極端子(11)と、移動体通信端末装置主回路(13)と、を有して構成することになる。
なお、本実施形態における移動体通信端末装置は、図1に示唆するように、電池パック(1)側に電池ID発生回路(5)を有し、移動体通信端末装置本体(2)側に電池ID検出回路(12)と、電源制御用FETスイッチ(9)と、を有して構成されることになる。
上記構成からなる移動体通信端末装置は、移動体通信端末装置本体(2)に対して、電池パック(1)を物理的に接続することで、電池パック(1)の陽極端子(6)と、移動体通信端末装置本体(2)の陽極端子(7)と、が接触し、また、電池パック(1)の陰極端子(10)と、移動体通信端末装置本体(2)の陰極端子(11)と、が接触することになる。これにより、電池パック(1)と、移動体通信端末装置本体(2)と、が端子(6,7、10,11)を介して電気的に接続されることになる。
これにより、電池パック(1)側から移動体通信端末装置本体(2)側に電圧が印可されることになり、この電圧が、フューズ(FUSE)(8)を介して電池ID検出回路(12)と、電源制御用FETスイッチ(9)と、に印加されることになる。
電池ID検出回路(12)は、電圧が印加されることで、電池ID問い合わせ信号(14)を電源線に重畳させ、フューズ(FUSE)(8),端子(7,6)を介して電池ID発生回路(5)に電池ID問い合わせ信号(14)を送信することになる。
電池ID発生回路(5)は、電池ID問い合わせ信号(14)を検出すると、その電池ID問い合わせ信号(14)に電池ID情報を畳み込んだ電池ID出力信号(15)を電源線に重畳させ、端子(6,7),フューズ(FUSE)(8)を介して電池ID検出回路(12)に送信することになる。
電池ID検出回路(12)は、この電池ID出力信号(15)を検出することで、電池パック(1)が移動体通信端末装置本体(2)に適合する電池パックか否かを識別することになる。そして、電池ID検出回路(12)は、電池ID出力信号(15)が、移動体通信端末装置本体(2)側の電池ID出力信号と一致し、電池パック(1)が移動体通信端末装置本体(2)に適合する電池パックであると認識した場合は、電池ID検出回路(12)は、制御信号(16)を電源制御用FETスイッチ(9)に出力することになり、電源制御用FETスイッチ(9)は、制御信号(16)が入力されることで、移動体通信端末装置主回路(13)に電圧を印加することになる。これにより、移動体通信端末主回路(13)が起動することになり、移動体通信端末装置本体(2)の電源がONとなる。
また、電池ID検出回路(12)は、電池ID出力信号(15)が、移動体通信端末装置本体(2)側の電池ID出力信号と一致せず、電池パック(1)が移動体通信端末装置(2)に適合する電池パックでないと認識した場合は、制御信号(16)を電源制御用FETスイッチ(9)に出力せず、電源制御用FETスイッチ(9)は、制御信号(16)によりオンとならず、移動体通信端末装置主回路(13)に電圧を印加しないことになる。これにより、移動体通信端末装置本体(2)の電源がONとならないことになる。
次に、図2を参照しながら、図1に示唆する電池ID発生回路(5)と、電池ID検出回路(12)と、の構成について詳細に説明する。なお、図2は、電池ID発生回路(5)と、電池ID検出回路(12)と、の詳細構成を示唆するものである。
(電池ID発生回路(5)の構成)
まず、電池ID発生回路(5)の構成について説明する。
電池ID発生回路(5)は、図2に示唆するように、結合コイル(21)と、復調器(23)と、変調器(24)と、同期検出部(27)と、第1のシフトレジスタ(29)と、第2のシフトレジスタ(30)と、XORゲート(31)と、フリップフロップ(F/F)(32)と、を有して構成される。
結合コイル(21)は、電池パック(1)の陽極端子(6)と、移動体通信端末装置本体(2)の陽極端子(7)と、の間の電源線に、電池ID発生回路(5)において発生する電池ID出力信号(15)(図1参照)を重畳させるためのものである。また、結合コイル(21)は、電池ID検出回路(12)において発生した電池ID問い合わせ信号(14)(図1参照)を受信することになる。
なお、移動体通信端末装置本体(2)の電池ID検出回路(12)から送信された電池ID問い合わせ信号(14)(図1参照)は、結合コイル(21)を介して、変調器(24)から出力される出力信号と交流結合され、復調器(23)において論理信号(電池ID問い合わせ信号(14))として受信することになる。復調器(23)は、論理信号(電池ID問い合わせ信号(14))を復調し、該復調した論理信号(電池ID問い合わせ信号(14))を同期検出部(27)に出力することになる。
同期検出部(27)は、復調器(23)から入力された論理信号(電池ID問い合わせ信号(14))を、調歩同期により、第1のシフトレジスタ(29)に出力することになる。なお、図2には図示されていないが、電池パック(1)は、クロック発生器を有しており、同期検出部(27)は、クロック発生器(図示せず)から入力されるクロック信号を基に調歩同期を行い、電池ID問い合わせ信号(14)が陽極端子(6)を占有している期間分だけ、第1のシフトレジスタ(29)においてラッチされる信号(電池ID問い合わせ信号(14))を遅延することになる。
第1のシフトレジスタ(29)は、同期検出部(27)から出力される信号(電池ID問い合わせ信号(14))をラッチするためのレジスタであり、同期検出部(27)の制御により、陽極端子(6)において電池ID問い合わせ信号(14)(図1参照)が発生している期間だけ遅らせた電池ID問い合わせ信号(14)を、XORゲート(31)に出力することになる。
第2のシフトレジスタ(30)は、電池パック(1)側で設定されている電池パックID(図2参照)をシリアル信号に変換するシフトレジスタであり、第2のシフトレジスタ(30)は、同期検出部(27)の制御により、第1のシフトレジスタ(29)において遅延された電池ID問い合わせ信号(14)に同期して、シリアル信号に変換した電池パックIDの信号(電池ID出力信号)を、XORゲート(31)に出力することになる。
XORゲート(31)は、第2のシフトレジスタ(30)から出力された電池ID出力信号と、第1のシフトレジスタ(29)から出力された電池ID問い合わせ信号(14)と、のビット毎の排他的論理和の出力信号を電池ID出力信号(15)として、フリップフロップ(F/F)(32)に出力するものである。
フリップフロップ(F/F)(32)は、XORゲート(31)で合成された電池ID出力信号(15)を再度、成形、同期するためのものである。変調器(24)は、フリップフロップ(F/F)(32)から出力される電池ID出力信号(15)を変調し、その変調した電池ID出力信号(15)を結合コイル(21)、陽極端子(6,7)を介して、移動体通信端末装置本体(2)側に送信することになる。
(電池ID検出回路(12)の構成)
次に、電池ID検出回路(12)の構成について説明する。
電池ID検出回路(12)は、結合コイル(22)と、復調器(25)と、変調器(26)と、同期検出部(28)と、時計情報ラッチ(33)と、第1のシフトレジスタ(34)と、第2のシフトレジスタ(35)と、第3のシフトレジスタ(37)と、XORゲート(36)と、比較器(38)と、フリップフロップ(F/F)(39)と、を有して構成される。
結合コイル(22)は、電池パック(1)の陽極端子(6)と、移動体通信端末装置本体(2)の陽極端子(7)と、の間の電源線に、電池ID検出回路(12)において発生する電池ID問い合わせ信号(14)(図1参照)を重畳させるためのものである。また、結合コイル(22)は、電池ID発生回路(5)において発生した電池ID出力信号(15)(図1参照)を受信することになる。
電池パック(1)側の電池ID発生回路(5)から送信される電池ID出力信号(15)は、フューズ(FUSE)(8)、結合コイル(22)を介して、変調器(26)から出力される出力信号と交流結合され、復調器(25)により論理信号として受信することになる。復調器(25)は受信した論理信号(電池ID出力信号(15))を復調し、該復調した論理信号(電池ID出力信号(15))を同期検出部(28)に出力することになる。
同期検出部(28)は、復調器(25)から受信した論理信号(電池ID出力信号(15))を、調歩同期によりXORゲート(36)に出力することになる。なお、図2には図示されていないが、移動体通信端末本体(2)には、クロック発生器を有し、同期検出部(28)は、クロック発生器(図示せず)から入力されるクロック信号を基に、調歩同期を行い、XORゲート(36)に電池ID出力信号(15)を出力することになる。
時計情報ラッチ(33)は、移動体通信端末装置本体(2)における時計情報をラッチするものである。第1のシフトレジスタ(34)は、時計情報ラッチ(33)においてラッチされた時計情報をシリアル信号に変換し、電池ID問い合わせ信号(14)を生成する。そして、第1のシフトレジスタ(34)は、その生成した電池ID問い合わせ信号(14)を変調器(26)に出力することになる。なお、第1のシフトレジスタ(34)は、調歩同期用の制御ビットを電池ID問い合わせ信号(14)に付加することになる。
変調器(26)は、第1のシフトレジスタ(34)にて生成された電池ID問い合わせ信号(14)を変調し、その変調した電池ID問い合わせ信号(14)を結合コイル(22)に出力し、フューズ(FUSE)(8)、陽極端子(7,6)を介して電池パック(1)側に送信することになる。
第2のシフトレジスタ(35)は、第1のシフトレジスタ(34)と同様に、時計情報ラッチ(33)においてラッチされた時計情報をシリアル信号に変換し、XORゲート(36)に出力することになる。なお、本実施形態における移動体通信端末装置本体(2)における時計情報は、ボタン電池と呼ばれる二次電池でバックアップされるカレンダ用ICから出力される時計情報である。
XORゲート(36)は、排他的論理和(XOR)ゲートであり、同期検出部(28)から出力される電池ID出力信号(15)に同期して、第2のシフトレジスタ(35)においてラッチされた時計情報のシリアル信号を受信することになり、同期検出部(28)から入力される電池ID出力信号(15)と、第2のシフトレジスタ(35)から入力される時計情報のシリアル信号と、を基に、排他的論理和を行い、第3のシフトレジスタ(37)に出力信号を出力することになる。
第3のシフトレジスタ(37)は、XORゲート(36)から出力された出力信号を並列信号に変換するためのレジスタである。比較器(38)は、第3のシフトレジスタ(37)で変換された並列信号と、電池ID検出回路(12)側に設定されている電池パックID(図2参照)の信号と、を比較するものである。この比較器(38)は、並列信号と、電池パックIDの信号と、が一致すると判断した場合に、フリップフロップ(F/F)(39)に対して信号を出力することになる。フリップフロップ(F/F)(39)は、比較器(38)から出力される出力信号をラッチするためのものであり、そのラッチした出力信号を電源制御用FETスイッチ(9)に出力することになる。
次に、図2、図3を参照しながら、本実施形態の移動体通信端末装置内の回路構成における処理動作について説明する。なお、図3に示唆する(41)は、陽極端子(6または7)の電圧波形、(42)は、電源制御用FETスイッチ(9)の電圧波形、(43)は、移動体通信端末装置本体(2)の電圧波形、(44)は、電池ID検出回路(12)において発生する電池ID問い合わせ信号、(45)は、電池ID発生回路(5)において発生する電池ID出力信号、(46)は、XORゲート(36)の出力信号、(47)は、フリップフロップ(F/F)(39)の出力信号を示唆する。
電池パック(1)が移動体通信端末装置本体(2)に接続されると、電池パック(1)と、移動体通信端末装置本体(2)と、が端子(6,7、10,11)を介して電気的に接続されることになる。
これにより、電池パック(1)側から移動体通信端末装置本体(2)側に電圧が印可されることになり、この電圧が、フューズ(FUSE)(8)を介して電池ID検出回路(12)と、電源制御用FETスイッチ(9)と、に印加されることになる。
電池ID検出回路(12)は、陽極端子(6,7)における電圧波形(41)に現れる一定時間のチャタリング(図3の(a)部)の後に、起動することになり、この電池ID検出回路(12)の起動により、移動体通信端末装置本体(2)における時計情報(図2参照)が、時計情報ラッチ(33)において一旦ラッチされることになる。
時計情報ラッチ(33)においてラッチされた時計情報は、第1のシフトレジスタ(34)に入力され、第1のシフトレジスタ(34)は、時計情報ラッチ(33)においてラッチされた時計情報をシリアル信号に変換すると共に、該変換した時計情報の信号に調歩同期用の制御ビットを付加し、調歩同期用の制御ビットが付加された電池ID問い合わせ信号(44)を生成することになる。そして、第1のシフトレジスタ(34)は、調歩同期用の制御ビットが付加された電池ID問い合わせ信号(44)を変調器(26)に出力することになる。
変調器(26)は、第1のシフトレジスタ(34)において生成された電池ID問い合わせ信号(44)を変調し、結合コイル(22)に出力することになる。これにより、結合コイル(22)に出力された電池ID問い合わせ信号(44)が、フューズ(FUSE)(8)、陽極端子(7,6)、を介して電源ID発生回路(5)に入力されることになり、電源ID発生回路(5)に入力された電池ID問い合わせ信号(44)は、結合コイル(21)を介して、復調器(23)に入力されることになる。
復調器(23)は、結合コイル(21)を介して入力された電池ID問い合わせ信号(44)を復調し、該復調した電池ID問い合わせ信号(44)を同期検出部(27)に出力する。
同期検出部(27)は、入力された電池ID問い合わせ信号(44)のスタートビットを検出した際に、電池ID問い合わせ信号(44)を第1のシフトレジスタ(29)にラッチさせると共に、第2のシフトレジスタ(30)を起動し、第2のシフトレジスタ(30)に電池パックID(図2参照)が入力されることになる。これにより、第2のシフトレジスタ(30)は、入力された電池パックID(図2参照)をシリアル変換し、電池パックID信号を生成することになる。
また、同期検出部(27)は、電池ID問い合わせ信号(44)のストップビットを検出した際に、第1のシフトレジスタ(29)においてラッチされた問い合わせ信号(44)と、第2のシフトレジスタ(30)において生成された電池パックID信号と、をXORゲート(31)に入力することになる。
このように、同期検出部(27)は、電池ID問い合わせ信号(44)に付加されている調歩同期用の制御ビットを基に、電池ID問い合わせ信号(44)が陽極端子(6)を占有している期間分だけ第1のシフトレジスタ(29)において遅延させ、その第1のシフトレジスタ(29)において遅延された電池ID問い合わせ信号(44)と、第2のシフトレジスタ(30)において生成される電池パック(1)固有の電池パックID信号と、を同期させてXORゲート(31)に入力することになる。
XORゲート(31)は、第1のシフトレジスタ(29)から入力される電池ID問い合わせ信号(44)と、第2のシフトレジスタ(30)から入力される電池パックID信号と、を合成し、電池ID出力信号(45)を形成し、該形成した電池ID出力信号(45)をフリップフロップ(F/F)(32)に出力することになる。
フリップフロップ(F/F)(32)は、XORゲート(31)から出力された電池ID出力信号(45)を、リタイミングし、変調器(24)に出力することになる。変調器(24)は、フリップフロップ(F/F)(32)から入力された電池ID出力信号(45)を変調し、その変調した電池ID出力信号(45)を結合コイル(21)に出力し、陽極端子(6,7)を介して、移動体通信端末装置本体(2)側に送信することになる。移動体通信端末装置本体(2)は、電池ID出力信号(45)をフューズ(FUSE)(8)を介して電池ID検出回路(12)に出力することになる。
電池ID検出回路(12)は、電池パック(1)側から入力された電池ID出力信号(45)を、結合コイル(22)を介して復調器(25)に入力し、復調器(25)は、入力された電池ID出力信号(45)を復調し、該復調した電池ID出力信号(45)を同期検出部(28)に出力する。
同期検出部(28)は、入力された電池ID出力信号(45)をXORゲート(36)に入力すると共に、電池ID出力信号(45)のスタートビットを検出した際に、第2のシフトレジスタ(35)を起動することになる。第2のシフトレジスタ(35)は、同期検出部(28)からの制御信号を基に、時計情報ラッチ(33)においてラッチされた時計情報をシリアル信号に変換し、該変換した時計情報の信号をXORゲート(36)に出力することになる。
これにより、同期検出部(28)からXORゲート(36)に電池ID出力信号(45)が入力されると共に、第2のシフトレジスタ(35)からXORゲート(36)に時計情報の信号が入力されることになる。
XORゲート(36)は、同期検出部(28)から入力された電池ID出力信号(45)と、第2のシフトレジスタ(35)から入力された時計情報の信号と、を基に、出力信号Dを形成することになる。
なお、移動体通信端末装置本体(2)の第1のシフトレジスタ(34)において生成された電池ID問い合わせ信号(44)=時計情報=Aとし、電池パック(1)の第2のシフトレジスタ(30)において生成された電池パックID信号=Bとすると、電池パック(1)のXORゲート(31)において生成された電池ID出力信号C(45)は、C=A・/B+/A・Bとなり、移動体通信端末装置本体(2)のXORゲート(36)から出力される出力信号D(46)は、以下の(式1)により求まることになる。
(式1)
D=C・/A+/C・A
=(A・/B+/A・B)・/A+/(A・/B+/A・B)・A
=A・/B・/A+/A・B・/A+/(A+/B)・/(/A+B)・A
=0+/A・B+(/A+B)・(A+/B)・A
=0+/A・B+/A・A・A+B・A・A+/A・/B・A+B・/B・A
=0+/A・B+0+B・A+0+0
=B
上記の(式1)から明らかなように、XORゲート(36)は、電池ID発生回路(5)の第2シフトレジスタ(30)において発生した電池パックID信号Bを復調することになる。なお、上記(式1)において、A,B,C,Dのとり得る値は、0、または1、+は論理和、・は論理積、/は否定を示唆するものである。
従って、XORゲート(36)は、電池ID発生回路(5)に設定されている電池パックIDの信号を出力信号Dとして第3のシフトレジスタ(37)に入力することになり、第3のシフトレジスタ(37)は、入力された出力信号Dを比較器(38)に入力し、比較器(38)は、第3のシフトレジスタ(37)から入力される出力信号Dと、移動体通信端末装置本体(2)側に設定されている電池パックID(図2参照)の信号と、を比較し、第3のシフトレジスタ(37)から入力された出力信号Dと、移動体通信端末装置側(2)に設定されている電池パックID(図2参照)の信号と、が一致すると判断した場合に、比較器(38)は、出力信号をフリップフロップ(F/F)(39)に出力し、フリップフロップ(F/F)(39)において出力信号がラッチされることになる。
フリップフロップ(F/F)(39)においてラッチされた出力信号は、フリップフロップ出力信号(47)として、電源制御用FETスイッチ(9)のゲートに入力されることになり、電源制御用FETスイッチ(9)は、フリップフロップ出力信号(47)が入力されることでオンとなり、電源制御用FETスイッチ(9)は、電圧を移動体通信端末装置主回路(13)(図1参照)に入力することになり、移動体通信端末装置主回路(13)は、電源制御用FETスイッチ(9)から電圧が入力されることで本体電圧(43)が印加されることになる。これにより、移動体通信端末主回路(13)が起動することになり、移動体通信端末装置本体(2)の電源がオンとなる。
また、比較器(38)は、第3のシフトレジスタ(37)から入力された出力信号Dと、移動体通信端末装置側(2)に設定されている電池パックID(図2参照)の信号と、が一致しないと判断した場合には、フリップフロップ(F/F)(39)に出力信号を出力せず、フリップフロップ(F/F)(39)において出力信号がラッチされないことになる。このため、フリップフロップ(F/F)(39)は、電源制御用FETスイッチ(9)のゲートに出力信号を入力しないことになり、電源制御用FETスイッチ(9)は、移動体通信端末装置主回路(13)(図1参照)に電圧を入力することはなく、本体電圧(43)が印加されないことになる。このため、移動体通信端末主回路(13)は起動することはなく、移動体通信端末装置本体(2)の電源はOFFのままとなる。
このように、本実施形態における移動体通信端末装置は、電池パック(1)が移動体通信端末装置本体(2)に搭載され、電池パック(1)と、移動体通信端末装置本体(2)と、が電気的に接続した際に、移動体通信端末装置本体(2)が、カレンダ用ICから出力される時計情報を基に、電池ID問い合わせ信号(44)を生成し、該生成した電池ID問い合わせ信号(44)を、電池パック(1)側に電源線(陽極端子(7、6)間)を介して出力することになる。そして、電池パック(1)は、電池ID問い合わせ信号(44)が入力された際に、該入力された電池ID問い合わせ信号(44)を基に、電池パック(1)固有の電池ID出力信号(45)を生成し、該生成した電池ID出力信号(45)を、移動体通信端末装置本体(2)側に電源線(陽極端子(6、7)間)を介して出力することになる。移動体通信端末装置本体(2)は、電池パック(1)側から電池ID出力信号(45)が入力された際に、該入力された電池ID出力信号(45)が移動体通信端末装置本体(2)側に設定されている電池パックIDの信号と一致するか否かを判断し、一致すると判断した場合に、移動体通信端末装置本体(2)側の主電源を起動することになる。これにより、移動体通信端末装置本体(2)に特有の正規の電池パック(1)が移動体通信端末装置本体(2)に搭載された場合にのみ、移動体通信端末装置本体(2)の電源が入ることになり、模造の電池パックを移動体通信端末装置本体(2)に接続しても、移動体通信端末装置本体(2)の電源が入らないことになり、模造の電池パックが市場に流通しないことになる。
また、電池パック(1)が移動体通信端末装置本体(2)側に出力する電池ID出力信号(45)を、移動体通信端末装置本体(2)から入力された電池ID問い合わせ信号(44)と、電池パック(1)側に設定してある電池パックIDの信号と、を合成して作成することで、その電池パック(1)単体の出力信号(電池パックIDの信号)のみが移動体通信端末装置本体(2)側に入力されても移動体通信端末装置本体(2)の電源が入らないように設計することになるため、模造業者が電池パック(1)単体の出力信号(電池パックIDの信号)を観測し、その観測した出力信号(電池パックIDの信号)を発生する模造電池パック(1)を製造したとしても、移動体通信端末装置本体(2)の電源が入らないことになり、正規の電池パック(1)から出力される電池ID出力信号(45)の機密性を向上させることが可能となる。
また、例え、模造業者が、電池パック(1)側から出力する電池ID出力信号(45)をアナライザで観測し、該観測した電池ID出力信号(45)を固定的に発生する電気回路を模造電池パック(1)に組み込もうと試みたとしても、移動体通信端末装置本体(2)の具備する電池ID検出回路(12)において発生する電池ID問い合わせ信号(44)に乱数を合成することで、電池パック(1)側で生成される電池ID出力信号(45)は、電池ID問い合わせ信号(44)に合成される乱数により変化することになるため、回路解析を困難にすることが可能となる。
また、例え、模造業者が、電池ID問い合わせ信号(44)と、電池ID出力信号(55)と、を同時に観測し、電池パック(1)側の回路の解析を試みたとしても、移動体通信端末装置本体(2)において発生する時計情報に応じて電池ID問い合わせ信号(44)が変化し、その変化した電池ID問い合わせ信号(44)を基に、電池パック(1)側で電池ID出力信号(55)を形成することで、移動体通信端末装置本体(2)において発生する時計情報に応じて電池ID出力信号(45)を変化させるように構築したことから、回路解析をより困難にすることが可能となる。なお、本実施形態における時計情報は、移動体通信端末装置本体(2)のカレンダ用ICから出力される時計情報を用いることを特徴としている。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態は、電池パック(1)側と、移動体通信端末装置本体(2)側と、の双方にカレンダ用ICを保持させると共に、電池パック(1)と、移動体通信端末装置本体(2)と、に設定されている電池パックIDを複数有し、電池パック(1)と移動体通信端末装置本体(2)とに保持させたカレンダ用ICから出力される時計情報に応じて、電池パック(1)と、移動体通信端末装置本体(2)と、に設定される電池パックIDを任意に変化させることを特徴とするものである。これにより、電池ID発生回路(5)は、カレンダ用ICから出力される時計情報に応じて任意に変化する電池パックIDを基に、電池ID出力信号(45)を発生することになるため、電池ID発生回路(5)で生成する電池ID出力信号(45)を動的に変化させることが可能となり、電池ID検出回路(12)は、電池ID発生回路(5)から入力された電池ID出力信号(45)と、移動体通信端末装置本体(2)側のカレンダ用ICから出力される時計情報に応じて任意に変化する電池パックIDの信号と、が一致するか否かを判断し、一致すると判断した場合に、電池ID検出回路(12)は、移動体通信端末装置本体(2)側の主電源を起動することになる。
このように、電池パック(1)と、移動体通信端末装置本体(2)と、に搭載したカレンダ用ICから出力される時計情報に応じて、電池パック(1)と、移動体通信端末装置本体(2)と、に設定される電池パックIDを動的に変化させることで、移動体通信端末装置本体(2)の主電源を起動させるための判断材料となる電池パックIDをカレンダ用ICから出力される時計情報に応じて動的に変化させることが可能となり、電池パック(1)側の入力(電池ID問い合わせ信号(44))と、出力(電池ID出力信号(55))と、の関係を複雑にし、正規の電池パック(1)から出力される電池ID出力信号(45)の機密性を向上させることが可能となる。
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。例えば、上述した実施形態においては、クロック発生器(図示せず)を用いて、調歩同期を行うためのクロック信号を生成することとしたが、調歩同期を行うためのクロック信号を生成することが可能な構成であれば、特に限定するものではなく、クロック発生器(図示せず)を搭載することなく、既存の回路において発生するクロック信号を基に、調歩同期を行うためのクロック信号を生成するように構築することも可能である。また、調歩同期のほか、CMI(Coded Mark Inversion Cords)符号を使って電池側のクロック発生器を不要とするように構築することも可能である。また、図1に示唆する移動体通信端末装置において、電池パック(1)内に、温度検出用サーミスタ(図示せず)を搭載し、また、温度検出用サーミスタ(図示せず)が検出した検出データを基に移動体通信端末装置本体(2)の電源を遮断するためのFETスイッチ(図示せず)を、移動体通信端末装置本体(2)側に搭載し、電池パック(1)内に搭載した温度検出用サーミスタ(図示せず)の検出データを、移動体通信端末装置本体(2)側で監視し、移動体通信端末装置本体(2)が、温度検出用サーミスタ(図示せず)の検出データが所定の閾値を超えたと判断した場合に、電池パック(1)に異常が発生したと判断し、FETスイッチ(図示せず)をOFFにし、移動体通信端末装置本体(2)の電源を遮断し、移動体通信端末装置の安全性を図るように構築することも可能である。