JP2006072312A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】現像剤の飛散及び白抜けの発生を低減させた画像形成装置を提供する。また、直流バイアス現像方式を採用した場合においても、現像能力向上のための現像条件において副作用的に発生する、現像剤の飛散及びエッジ効果による白抜けの発生を低減させた画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体10と、トナー及びキャリアを含む2成分現像剤を磁気ブラシとして表面に担持し、感光体10に対向する現像領域でトナーを感光体10上の潜像に供給する現像ローラ15と、感光体10上のトナー像が転写される転写ベルト20とを備え、転写ベルト20は、感光体10と現像ローラ15との上方に配置され、現像領域で磁気ブラシを穂立ちさせるための現像磁極S1による磁界の半値幅中心線l1が、感光体10の回転中心と現像ローラ15の回転中心とを結ぶ線分l2よりも下方にある。
【選択図】 図3

Description

本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式を採用した画像形成装置、詳しくはトナーとキャリアとからなる2成分現像剤を用いた磁気ブラシ現像方式を採用した画像形成装置に関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式を用いた画像形成装置では、像担持体である感光体上に画像情報に応じた静電潜像が形成され、現像装置によって現像動作が実行され、トナー像が得られるようになっている。このような現像動作を実行するにあたり、トナーの帯電安定性や帯電能力、現像能力等の点から、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤を用いた磁気ブラシ現像方式がよく用いられている。磁気ブラシ現像方式は、トナーとキャリアとの摩擦によりトナーを帯電させ、現像剤担持体である現像ローラ上に磁気ブラシを形成し、その磁気ブラシで感光体上の潜像に対して現像を行う方式である。磁気ブラシは、キャリアから形成される穂に帯電したトナーを付着させている。現像ローラは、非磁性スリーブと、非磁性スリーブ内に配置された複数の磁極を備える磁石ローラとからなり、スリーブ上に現像剤の穂立ちを生じさせるように磁界を形成している。スリーブ又は磁石ローラが動くことでスリーブ表面に穂立ちを起こした現像剤が移動する。感光体に対向する現像領域に搬送されたスリーブ上の現像剤は上記磁石ローラの現像磁極から発せられる磁力線に沿って穂立ちを起こす。穂立ちを起こした現像剤は感光体表面をなでるように接触し、感光体と現像ローラの相対線速比に基づき静電潜像に対してトナー供給、いわゆる現像を行う。
従来、この種の画像形成装置では、例えば、図9に示すように、図中矢印方向に回転するドラム状の感光体100と、感光体100の図中右方に配置された現像装置101、感光体100の下方に配置された転写ベルト102を備えている。現像装置101は、感光体100に向けて開口部が形成される現像容器103内に、現像容器103内の現像剤を担持する現像ローラ104と、現像ローラ104上の現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材105と、現像容器104内の現像剤を攪拌搬送する現像剤搬送部材106、107を備えている。現像装置101によって感光体100上に可視像化されたトナー像は、転写バイアスローラ108によって転写ベルト102上に転写される。ここで、一般に、現像ローラ104の現像磁極による磁界Hの半値幅中心線l1は、感光体100の回転中心と現像ローラ104の回転中心を結ぶ線分l2と略同一線上にある。現像磁極による磁界Hの半値幅中心線l1は、感光体100の中心と現像ローラ104の中心を結ぶ線分l2となす角度(以下、現像磁極角度という)が0°に近いほど現像能力が向上することが知られている。感光体100と現像ローラ104との間の現像ギャップが最狭となる位置で現像剤の充填密度が最大となり、感光体100上の静電潜像に対する現像剤の穂の接触機会が増大するためだと考えられている。
しかしながら、図9に示すように、転写ベルト102が感光体100の下方に配置されていると、現像剤が現像剤規制部材105や現像領域を通過する際に、現像ローラ104表面から離脱した現像剤が重力により転写ベルト102上に落下してしまう。転写ベルト102上に現像剤が落下すると、感光体100を傷つけたり、白抜け画像を発生させたりしてしまう。転写ベルト102上に現像剤が落下して感光体100と転写ベルト102との間にキャリアが介在すると、転写ベルト102の感光体100への密着不良が起き、その結果キャリアやその周辺に対向しているベルト部分の画像部がトナーの転写不良によって白く抜けてしまう。従来より、図示しないが現像ローラ104から離脱して鉛直下方に落下する現像剤を受け止める部材が感光体100と転写ベルト102の間に配置されている。しかし、現像剤の落下そのものを防止するものではないため、感光体100のキズや白抜け画像の発生を抑制する効果としては未だ不十分である。
そこで、図10に示すように、転写ベルトを感光体の上方に配置する画像形成装置も検討されている(例えば特許文献1及び2)。なお、図10中、図9で示した同一構成部材には、同一符号を付して説明を省略する。このように、感光体100の上方に転写ベルト102が配置されている場合には、現像ローラ104から離脱した現像剤が重力により鉛直方向に落下したとしても、転写ベルト102上には落下せず、現像剤の落下による感光体100のキズや白抜け画像の発生をある程度低減できる。
一方、この種の画像形成装置においては、直流バイアスと交流バイアスを重畳させて現像を行う現像方式が良く用いられている。このときの交流バイアスは現像領域におけるトナーの振動に用いられ、細線の再現性向上や階調再現性の向上等に貢献している。そのため交流バイアスを用いる現像方式は直流バイアスのみを印加する現像方式よりも高画質であるという認識が一般的であった。しかしながら、近年粉砕トナーに替わって、粒径が均一で転写効率が高く、一般的に画質も良いという、重合法で製造された重合トナーが使用されるようになってきている。重合トナーを用いた画像形成装置では、直流バイアスのみを用いる現像方式の方が交流バイアスを用いる現像方式よりも細部の再現性が高い場合もあり、必ずしも交流バイアスを用いる現像方式が総合画質で有利ではなくなってきている。また交流バイアスを用いない直流バイアス現像方式は交流バイアス電源を必要としない分コストを下げることが可能となり、そのユーザーメリットは大きい。以上の理由により重合トナーを用い、かつ直流バイアス現像方式を採用した画像形成装置は画質の面とコストの面の両方から今後主流になることも考えられる。
特開2003−122127号公報 特開2001−324862号公報
図10においては、感光体100の上方に転写ベルト102を配置し、転写ベルト102への現像剤の落下を防止したが、現像容器103の開口部において現像ローラ104から現像剤が離脱してしまう理由は、重力によるものだけではない。まず、現像ローラ104の回転による遠心力によって現像剤が現像ローラ104表面から離脱して、現像容器103の開口部から飛散する。また、現像領域では、現像剤の穂が速度をもって感光体100に衝突するため、その跳ね返る力が磁界Hによる拘束力に打ち勝った場合には、現像剤が感光体移動方向下流側(図中上方)に飛散してしまうと考えられている。特に、図9及び図10に示すように、現像磁極角度が0度となるように構成された場合には、現像ギャップが一番狭い位置で現像剤の充填密度が最大となる。そのため、感光体100と現像剤の穂の衝突が強く、現像剤が飛散しやすい状態であると考えられる。
このように、現像ローラ104から離脱する現像剤は、下方に落下する現像剤のみではなく、上方にも飛散すると考えられる。そのため、図10に示すように感光体100の上方に転写ベルト102を配置しても、飛散したキャリアが感光体100上のベタ画像に付着し、これが感光体の移動に伴って転写ニップに運ばれると、感光体100を傷つけたり、白抜け画像を発生させたりしてしまう。特に、最近の画像形成装置においては、感光体の径がφ20〜φ40と小さく曲率(1/半径)が大きいため、飛散したキャリアが感光体上に乗りやすくなっている。
また、一般に、現像に寄与した穂はその保持しているトナーが減少するため、現像後に逆に感光体100から既に現像されたトナーを掻きとってしまう逆現像が発生する現象が知られている。その結果、画像後端がかすれたり、ベタ画像周辺が白く抜けたりする、白抜け画像が発生してしまう。特に、図9及び図10に示すように、現像磁極角度が0度となるように構成された場合には、現像ギャップが一番狭い位置で現像剤が穂立ちされた状態で感光体100と衝突するため、トナーの掻き取り力が大きいと考えられる。
一方、直流バイアス現像方式は交流バイアスを用いる現像方式と比較して現像能力が不足している。その不足分を補うために感光体と現像ローラの相対線速比(現像ローラ線速/感光体線速)を大きくしたり、現像ギャップを小さくしたりすることが必要となる。しかしながら、感光体と現像ローラの相対線速比向上や狭現像ギャップ化は、それぞれ重大な副作用として現像ローラからの現像剤飛散の余裕度を下げてしまう。前者は現像ローラ線速が早くなることにより現像ローラ表面の現像剤が受ける遠心力が大きくなるためであると考えられている。後者は現像ギャップでの現像剤密度が上がるため、磁力により保持されている現像ローラ上の現像剤が離脱してしまうと考えられている。
さらに、直流バイアス現像方式において、現像能力を向上させるために、感光体と現像ローラの相対線速比を大きくしたり、トナー濃度を上げたりすると、潜像端部のトナー付着量が増加する、いわゆるエッジ効果が顕著となることが懸念される。ベタ領域やハーフトーン領域の周囲が強調され、更にその外側が白く抜けたりする白抜けといった現象が見られるようになる。例えばハーフトーン領域内にベタ領域が存在した場合、ベタ領域周辺のハーフトーン部がエッジ効果により現像されずに白く抜けてしまうといった現象がみられるようになる。これはベタ部の潜像電界がエッジ効果によって回りこみ、ベタ部周辺のハーフトーン部の潜像電界を低下させてしまうためにベタ部周辺が現像できず、白く抜けてしまう現象である。このエッジ効果による白抜け現象は、潜像周囲の電界がエッジ効果によって潜像に回り込むことに起因して現像時に発生する現象であり、先に説明した飛散キャリアに起因して転写時に発生する白抜け現象とは発生原因が異なっている。
なお、特許文献1では、感光体の上方に転写ベルトが配置された画像形成装置が提案されている。しかし、上述した現像剤飛散を認識しているものではなく、現像磁極の位置は現像領域に対向する位置に配置されたと記載があるのみで、明確に規定されていない。また、特許文献2では、乳化重合法により製造されたトナーを用い、直流バイアス現像方式を採用し、かつ感光体の上方に転写ベルトが配置された画像形成装置が提案されている。しかし、上述した現像剤飛散を認識しているものではなく、磁極の配置が異なる。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、現像剤の飛散及び白抜けの発生を低減させた画像形成装置を提供することである。また、直流バイアス現像方式を採用した場合においても、現像能力向上のための現像条件において副作用的に発生する、現像剤の飛散及びエッジ効果による白抜けの発生を低減させた画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、像担持体と、回動する非磁性スリーブ内に固定配置された複数の磁極を有し、トナー及びキャリアを含む2成分現像剤を磁気ブラシとして表面に担持し、該像担持体に対向する現像領域でトナーを該像担持体上の潜像に供給する現像剤担持体と、該像担持体上のトナー像が転写される転写体とを備える画像形成装置において、上記転写体は、上記像担持体と上記現像剤担持体との上方に配置され、上記現像領域で磁気ブラシを穂立ちさせるための現像磁極による磁界の半値幅中心線が、該像担持体の回転中心と該現像剤担持体の回転中心とを結ぶ線分よりも下方にあることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記現像磁極による磁界の半値幅中心線は、上記像担持体の回転中心と上記現像剤担持体の回転中心とを結ぶ線分に対する角度が2°以上8.5°以内であることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1の画像形成装置において、弾性部材から構成され、上記現像磁極による磁界の半値幅中心線よりも下方にある上記像担持体表面に自由端が接触するように配置され、該像担持体表面から離脱して落下する現像剤を受け止める現像剤受け止め部材を備えることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記トナーが重合トナーであることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4の画像形成装置において、上記非磁性スリーブへの電圧印加方式が直流バイアス印加方式であることを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項5の画像形成装置において、上記像担持体と上記現像剤担持体との間の現像ギャップが0.25mm以上0.45mm以内であることを特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項5の画像形成装置において、像担持体の線速Vpと現像剤担持体の線速Vsとの比(Vs/Vp)が1.7以上2.0以内であることを特徴とするものである。
請求項8の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記トナーは、体積平均粒径が3μm以上8μm以内で、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00以上1.40以内であることを特徴とするものである。
請求項9の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記トナーは、形状係数SF−1が100以上180以内であり、形状係数SF−2が100以上180以内であることを特徴とするものである。
請求項10の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記トナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーであることを特徴とするものである。
請求項11の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記トナーは、その形状が長軸r1、短軸r2、厚さr3で規定され(但し、r1≧r2≧r3とする。)、長軸r1と短軸r2との比(r2/r1)が0.5以上1.0以内であり、厚さr3と短軸r2との比(r3/r2)が0.7以上1.0以内であることを特徴とするものである。
この画像形成装置においては、現像磁極の半値幅中心線が像担持体の回転中心と現像剤担持体の回転中心とを結ぶ線分より下方に配置される。現像磁極の半値幅中心線上での像担持体と現像剤担持体との間隔は、像担持体と現像剤担持体との間が最狭となる現像ギャップに比べ広くなる。そのため、現像磁極により保持される現像剤が最密に保持される位置、すなわち半値幅中心線上では、像担持体と現像剤担持体との間が最狭となる現像ギャップに比べ、像担持体と現像剤の穂との衝突が緩和される。像担持体と現像剤の穂との衝突が緩和された結果、磁界からの拘束からはずれて飛散する現像剤が少なくなる。また、たとえ現像剤が拘束からはずれて現像剤担持体から離脱しても、上方にいくに従って像担持体と現像剤担持体との間隔が狭くなるため、上方への現像剤の移動が阻止されて飛散しにくくなる。また、像担持体と現像剤担持体との間が最狭となる現像ギャップでは、像担持体に接触する現像剤の穂立ちの角度が寝るように磁力が作用するために、像担持体と現像剤の穂との衝突が緩和され、飛散する現像剤が少なくなる。また、上記現像ギャップでは、像担持体に接触する現像剤の穂立ちの角度が寝るため、現像剤の穂のトナー掻き取り能力も低減され、白抜け画像の発生が低減される。さらに、上記現像ギャップでは、像担持体に接触する現像剤の穂立ちの角度が寝て、像担持体に接触する現像剤の穂立ちの単位時間当たりの接触面積が増加する。そのため、エッジ効果によって現像ポテンシャルが低下した領域にも現像が良好に行える。よって、直流バイアス現像方式を採用した場合においても、現像能力向上のための現像条件において副作用的に発生する、現像剤飛散及びエッジ効果による白抜け画像の発生を低減させることができる。
本発明によれば、現像剤の飛散及び白抜けの発生を低減させた画像形成装置を提供できるという優れた効果がある。また、直流バイアス現像方式を採用した場合においても、現像能力向上のための現像条件において副作用的に発生する、現像剤の飛散及びエッジ効果による白抜けの発生を低減させた画像形成装置を提供できるという優れた効果がある。
以下、本発明を画像形成装置であるフルカラープリンタ(以下、プリンタという)に適用した場合の実施形態について説明する。図1は、このプリンタの概略構成を示す構成図である。このプリンタは、図1に示すように、像形成手段としての各構成部材を収納する位置固定された装置本体1と、転写紙Pを収納する引き出し可能な給紙カセット2とを備えている。装置本体1の中央部には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)、黒(K)の各色のトナー像を形成するための画像ステーション3Y、3C、3M、3Kを備えている。以下、各符号の添字Y、C、M、Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンダ、黒用の部材であることを示す。
図2は、画像ステーションの概略構成を示す構成図である。図1及び図2に示すように、画像ステーション3Y、3C、3M、3Kは、図中矢印A方向に回転するドラム状の感光体10Y、10C、10M、10Kを備えている。感光体10は、直径40mmのアルミニウム製の円筒状基体と、その表面を覆う、例えばOPC(有機光半導体)感光層とから構成されている。各画像ステーション3は、感光体10の周囲に、感光体10を帯電する帯電装置11Y、11C、11M、11K、感光体10に形成された潜像を現像する現像装置12Y、12C、12M、12K、感光体10上の残留トナーをクリーニングするクリーニング装置13Y、13C、13M、13Kを備える。各画像ステーション3の下方には、感光体10Y、10C、10M、10Kにレーザ光Lを照射可能な露光手段としての光学ユニット4を備えている。各画像ステーション3の上方には、各画像ステーション3により形成されたトナー画像が転写される転写ベルト20を備えた中間転写ユニット5を備えている。また、転写ベルト20に転写されたトナー画像を転写紙Pに定着する定着ユニット6を備えている。また、装置本体1の上部には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黒(K)の各色のトナーを収容するトナーボトル7Y、7C、7M、7Kが装填されている。このトナーボトル7Y、7C、7M、7Kは、装置本体1の上部に形成される排紙トレイ8を開くことにより、装置本体1から脱着可能に構成されている。
上記光学ユニット4は、光源であるレーザダイオードから発射させるレーザ光Lをポリゴンミラー等によって煩瑣させ、感光体10Y、10C、10M、10K上に照射しながら順次走査している。上記中間転写ユニット5の転写ベルト20は、駆動ローラ21、テンションローラ22、及び従動ローラ23に掛け回され、所定タイミングで図中反時計回り方向に回転駆動される。また、中間転写ユニット5は、感光体10Y、10C、10M、10Kに形成されたトナー像を転写ベルト20に転写する一次転写ローラ24Y、24C、24M、24Kを備えている。中間転写ユニット5は、転写ベルト20上に転写されたトナー像を転写紙Pに転写する二次転写ローラ25、転写紙P上に転写されなかった転写ベルト6上の転写残トナーをクリーニングするベルトクリーニング装置26を備えている。
次に、上記構成のプリンタにおいて、カラー画像を得る行程について説明する。まず、画像ステーション3Y、3C、3M、3Kにおいて、感光体10Y、10C、10M、10Kが帯電装置11Y、11C、11M、11Kによって一様に帯電される。その後、光学ユニット4により、画像情報に基づきレーザ光Lが走査露光されて感光体10Y、10C、10M、10K表面に潜像が形成される。感光体10Y、10C、10M、10K上の潜像は、現像装置12の現像ローラ15Y、15C、15M、15K上に担持された各色のトナーによって現像されてトナー像として可視像化される。感光体10Y、10C、10M、10K上のトナー像は、各一次転写ローラ24Y、24C、24M、24Kの作用によって反時計回りに回転駆動される転写ベルト20上に順次重ねて転写される。このときの各色の作像動作は、そのトナー像が転写ベルト20上の同じ位置に重ねて転写されるように、転写ベルト20の移動方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。一次転写終了後の感光体10Y、10C、10M、10Kは、クリーニング装置13Y、13C、13M、13Kのクリーニングブレード13aによってその表面がクリーニングされ、次の画像形成に備えられる。トナーボトル7Y、7C、7M、7Kに充填されているトナーは、必要性に応じて図示しない搬送経路によって各画像ステーション3Y、3C、3M、3Kの現像装置12Y、12C、12M、12Kに所定量補給される。
一方、上記給紙カセット2内の転写紙Pは、給紙カセット2の近傍に配設された給紙ローラ27によって、装置本体1内に搬送され、レジストローラ対28によって所定のタイミングで2次転写部に搬送される。そして、二次転写部において、転写ベルト20上に形成されたトナー画像が転写紙Pに転写される。トナー画像が転写された転写紙Pは、定着ユニット6を通過することで画像定着が行われ、排出ローラ29によって排紙トレイ8に排出される。感光体10と同様に、転写ベルト20上に残った転写残のトナーは、転写ベルト20に接触するベルトクリーニング装置26によってクリーニングされる。
次に、現像装置12について詳細に説明する。現像装置12Y、12M、12C、12Kは、トナー色が異なる以外は同一構成になっているので、ひとつの現像装置12について構成を説明する。図3は、現像装置の内部構成を示す構成図である。図3に示すように、現像装置12は、現像容器14内に現像容器14の開口部を介して感光体10と対向するように配置され、矢印B方向に回転する、すなわち、現像領域においてローラ表面が下方から上方に移動する現像ローラ15を備える。現像ローラ15の下方には、現像ローラ15上の現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材16を備える。現像容器14の下方には、現像容器14内の現像剤を攪拌搬送する第1現像剤搬送スクリュ17及び第2現像剤搬送スクリュ18と、現像容器14内の現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度センサ19とを備える。第1現像剤搬送スクリュ17と第2現像剤搬送スクリュ18は、仕切壁14aによって仕切られる。本実施形態に係る第1現像剤搬送スクリュ17及び第2現像剤搬送スクリュ18の直径は14mmに形成される。
上記現像ローラ15は、回動する直径18mmのアルミニウム製の現像スリーブ15a内に、固定配置されたマグネットローラ15bを内包する。現像スリーブ15aの表面は、現像剤の搬送能力を高めるために、溝を設けたり、サンドブラスと処理等によって粗くしたりしている。図4は、マグネットローラの磁束密度分布の波形図である。尚、図4の磁極配置は、構成例であり、現像磁極以外の磁極の個数や配置はこれに限定されない。図4に示すように、マグネットローラ15bは、感光体10との対向領域である現像領域の箇所から現像スリーブ15aの回転方向に磁極S1、N1、S2、S3、N2を備えている。これらのうち、現像ローラ15と感光体10のそれぞれの中心を結ぶ線l2より回転方向上流側の位置にその磁極の半値幅中心線があるように配設された現像磁極S1は、5つの磁極の中で最も強い磁力を発揮する。そして、現像スリーブ15a上の二成分現像剤を現像領域で穂立ちさせて磁気ブラシを形成する役割を担っている。かかる現像磁極S1の磁力によって現像スリーブ15a上に形成された磁気ブラシは、その先端を感光体10に摺擦させながら、現像ギャップを通過する。
このような構成の現像装置12における現像剤の動きについて説明する。現像容器14内の2成分現像剤は、第1現像剤搬送スクリュ17及び第2現像剤搬送スクリュ18によって循環搬送されながら、トナーとキャリアが攪拌により摩擦帯電する。そして、第1現像剤搬送スクリュ17は現像剤の一部を現像ローラ15に供給し、現像ローラ15はその現像剤を磁極N2により磁気的に担持して搬送する。現像ローラ15上の現像剤は、現像剤規制部材16によりその層厚(担持量)が規制され、感光体10に対して接触する状態に形成される。磁極N2は、現像剤の汲み上げ作用と層厚規制作用を兼用する極である。この磁極N2で現像スリーブ15a表面に引き寄せされながら層厚が規制される二成分現像剤中では、トナーの摩擦帯電が促進される。そして、現像スリーブ15aには、図示しない電源によって現像バイアスが印加されている。現像領域に搬送された現像剤は、現像磁極S1の磁力によって現像スリーブ15a上に穂立ちされ、その先端を感光体10に摺擦させた状態で、感光体10上の静電潜像にトナーを供給し、現像ギャップを通過する。現像スリーブ15aの回転に伴って上記現像ギャップを通過した後の現像剤は、立てていた穂を磁力の低下に伴って寝かしながら、上記磁極N1の磁力によって現像スリーブ15a上に拘束されて移動する。そして、磁極S3と磁極N2との間の法線方向磁界が規制されている領域において、現像スリーブ15a表面から離脱して現像容器14内に戻される。現像容器14内に戻された現像剤は、再び第1搬送スクリュ17により搬送され、仕切壁14aを介して再び第2現像剤搬送スクリュ18によって搬送される。現像容器14内の現像剤のトナー濃度がトナー濃度センサ19によって所定濃度以下になったことが検知されると、トナーがトナー補給口から供給されて第2搬送スクリュ18による攪拌で現像剤と混合される。所定濃度に調整された現像剤は、再び現像スリーブ15aに担持され、現像剤規制部材16を通過して薄層化され、以上のサイクルを繰り返す。
ところで、本実施形態に係る画像形成装置においては、図1及び図2に示すように、転写体である転写ベルト20が感光体10及び現像ローラ15の上方に配置される。そのため、現像ローラ15上の現像剤が現像剤規制部材16や現像領域を通過する際に、現像ローラ15から離脱した現像剤が落下しても、転写ベルト20に付着することがない。また、図4に示すように、上記現像磁極S1は、現像磁極S1による磁界の半値幅中心線l1が感光体10の中心と現像ローラ15の中心とを結ぶ線分l2より下方に配置される。なお、半値幅中心線l1とは、法線磁界を表す曲線とこの曲線のピーク値の半値となる同心円(図4中では50mT)との交点を結ぶ線分l3を2等分する2等分点と、現像ローラ15の回転中心とを結ぶ線のことをいう。現像磁極S1により保持される現像剤は、半値幅中心線l1上において最密に保持される。そのため、現像剤が最密に保持される位置での感光体10と現像ローラ15との間隔が、感光体10と現像ローラ15との間が最狭となる現像ギャップに比べ広くなる。よって、現像磁極S1による磁界の半値幅中心線l1上において、感光体10と現像剤の穂との衝突が緩和され、磁界からの拘束からはずれて飛散する現像剤も少なくなる。たとえ拘束からはずれて現像ローラ15から離脱しても、上方にいくに従って感光体10と現像ローラ15との間隔が狭くなるため、上方への現像剤の移動が阻止されて飛散しにくくなる。また、感光体10と現像ローラ15との間が最狭となる現像ギャップでは、感光体10に接触する現像剤の穂立ちの角度が寝るように磁力が作用するために、感光体10と現像剤の穂との衝突が緩和され、飛散する現像剤が少なくなる。また、上記現像ギャップでは、感光体10に接触する現像剤の穂立ちの角度が寝るため、現像剤の穂のトナー掻き取り能力も低減され、白抜け画像の発生が低減される。さらに、上記現像ギャップでは、感光体10に接触する現像剤の穂立ちの角度が寝て、感光体10に接触する現像剤の穂立ちの単位時間当たりの接触面積が増加する。そのため、エッジ効果によって現像ポテンシャルが低下した領域にも現像が良好に行える。
そして、上記現像磁極S1は、現像磁極S1による磁界の半値幅中心線l1が、感光体10の回転中心と現像ローラ15の回転中心とを結ぶ線分l2となす角度(以下、現像磁極角度という)αが2°〜8.5°となるように配置されている。この現像磁極角度αが2°よりも小さいと、上述した上方への現像剤飛散抑制効果が小さい。そのために、飛散したキャリアが感光体10に付着し、感光体10に付着したキャリアが転写ニップに運ばれることで、感光体10を傷つけたり、キャリア付着による白抜け画像が発生したりしてしまう。また、この現像磁極角度αが2°よりも小さいと、現像剤の穂のトナー掻き取り力が大きく、白抜け画像が発生してしまう。一方、この現像磁極角度αが9°を超えると、現像能力の低下により、画像濃度ムラが発生してしまう。以上の理由により、現像磁極角度αは、2〜8.5°が好ましく、6°近傍がより好ましい。
また、図3に示すように、現像装置12には、現像剤受け止め部材としての入り口シール30が設けられている。この入り口シール30は、例えばポリウレタンゴムやマイラーフィルムからなる弾性部材より構成される。そして、入り口シール30は、一端が現像容器14の側壁に貼り付けられ、自由端が現像磁極S1による磁界の半値幅中心線l1よりも下方にある感光体10表面に接触するように配置される。現像容器14の開口部から現像剤が重力により下方に落下したとしても、入り口シール部材30により受け止められるため、装置本体1内が現像剤により汚染されることがない。
また、本実施形態に係るプリンタは、上記現像スリーブ15aへの電圧印加方式として、直流バイアス印加方式を用いるとよい。直流バイアス用電源は、交流バイアスを用いない分、低コスト化につながる。現像バイアスとして、直流バイアスを印加する場合には、以下に説明する現像条件が好ましい。
上記感光体10と現像ローラ15との間隔が最狭となる現像ギャップは0.25〜0.45mmであることが好ましい。現像ギャップが狭いほど現像能力が向上するが、ある距離を境に現像能力はほぼ飽和する傾向にあることが分かった。感光体10の線速Vpと現像ローラ15の線速Vsとの比Vs/Vpは、1.7〜2.0が好ましい。現像ローラ15の線速Vsを早くすることにより、感光体10上の静電潜像に対して現像スリーブ15a上の穂が接触する頻度が高くなる。接触頻度が高くなるほど一般的に現像能力は向上する。
以下、本実施形態で使用されるトナーについて説明する。600dpi以上の微少ドットを再現するために、トナーの体積平均粒径は3〜8μmが好ましい。体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(Dv/Dn)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図5は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した模式図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。
SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4)・・・式(1)
図5(a)で示されるトナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。
SF−2={(PERI)/AREA}×(100π/4)・・・式(2)
図5(b)で示されるトナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなる。また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
また、本実施形態に係る画像形成装置に好適に用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)及び3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、又は(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)及び3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、及び(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸等);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)等が挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイド等公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
また、ポリエステルの重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたもの;及びこれら2種以上の併用が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、及びB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)等が挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);及び脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)等が挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン等が挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン等が挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物等が挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1及びB1と少量のB2の混合物である。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、等により製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイド等公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレン等);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等);エステル類(酢酸エチル等);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)及びエーテル類(テトラヒドロフラン等)等のイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)、及びそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)等が挙げられる。
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性及びフルカラー画像形成装置100に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、又はマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及び及びパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等を挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタル等が発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒及び塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)等の有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等のアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等の非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)等が挙げられる。
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸又は無水マレイン酸等の酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等、又はビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の含窒素化合物、又はその複素環を有するもの等のホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等のポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類等が使用できる。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波等の公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート等が挙げられる。
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する等の方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解等の操作によっても除去できる。
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
また、本実施形態に係るトナーの形状は略球形状であり、以下の形状規定によって表すことができる。
図6は、本発明のトナーの形状を模式的に示す模式図である。図6(a)において、略球形状のトナーを長軸r1、短軸r2、厚さr3(但し、r1≧r2≧r3とする。)で規定する。このとき、本実施形態に係るトナーは、長軸と短軸との比(r2/r1)(図6(b)参照)が0.5〜1.0で、厚さと短軸との比(r3/r2)(図6(c)参照)が0.7〜1.0の範囲にあることが好ましい。長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5未満では、真球形状から離れるためにドット再現性及び転写効率が劣り、高品位な画質が得られなくなる。また、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7未満では、扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなる。特に、厚さと短軸との比(r3/r2)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる。なお、r1、r2、r3は、走査型電子顕微鏡(SEM)で、視野の角度を変えて写真を撮り、観察しながら測定した。
次に、本発明を実験結果を基に説明する。
[実験例1]
まず、図3で示される現像装置において、以下に示す現像条件により現像磁極角度やトナー濃度に対する白抜け量を測定した。その結果を図7に示す。
(現像条件)
感光体の線速度:180mm/sec
感光体と現像ローラの線速比:可変域0.5〜3.0
現像ローラの現像剤汲み上げ量:55〜60mg/cm
現像ギャップ:可変域0.25〜0.50mm
トナー:本実施形態に記載の重合トナー
キャリア:質量平均粒径が35μmの鉄粉キャリア
現像剤のトナー濃度:約7wt%
現像バイアス:DCバイアス
白抜け量の測定は以下の方法で行う。使用測定器はHEIDERBERG社製NEXSCAN F5100。取り込み条件は解像度1200dpi。サンプルは1枚中で画像濃度を振っている白抜け量測定チャートを用いる。ベタ部IDは1.5程度、ハーフトーン部IDは0.5程度であることが測定条件である。所望の画像濃度を得るために現像ポテンシャルを変化させる場合もある。転写紙は特に規定しない。得られる白抜け量は白抜けが発生している面積の積分値である。本発明で課題となっている白抜けは画像先端部で顕著であるため、画像先端部の白抜け量を比較する。より詳しく説明すると、白抜け量の測定にあたっては、まず、図1に示したプリンタと同様の構成の試験機により、現像条件を先に列記した範囲内で適宜変更しながら、それぞれの現像条件で白抜け量測定チャートをプリントアウトする。この白抜け量測定チャートは、ID(画像濃度)=0.5程度のハーフトーン部内に、ID=1.5程度、大きさ=3cm×3cm程度のベタ部が所定のピッチでマトリクス状に形成されるものである。白抜け量測定チャートの現像時に、ベタ部のエッジ効果が比較的大きくなると、ハーフトーン部におけるベタ部周囲箇所に白抜けが発生する。そこで、プリントアウトされた白抜け量測定チャートをスキャナ装置であるNEXSCAN F5100によって1200dpiの解像度で読み取って画像データを得る。そして、得られた画像データを、自社で開発した解析プログラムで解析して、そのベタ部周囲における白抜け量を測定する。このとき、ベタ部周囲において所定値以下の明度である領域が白抜け領域として特定され、その領域の面積が求められる。そして、その面積の大きさに応じて、白抜け量がレベル0、1、2、3、4、5、6、7、8、9の10段階の何れかとして特定される。このレベルの数値が大きくなるほど、白抜けの面積が大きくなることを示している。白抜け量の目標値は自他社機の実力を踏まえて5以下とする。白抜け量が5以下であれば白抜けは目視で確認できるものの、それほど問題とならないレベルである。白抜け量と目視評価との関係は、以下の通りである。白抜け量1以下:白抜け確認できず。白抜け量1以上5以下:白抜けがあることが分かる程度で、問題とならないレベル。白抜け量5以上8以下:ベタ部周囲に幅0.5mm程度の白抜けがあり、やや悪いレベル。白抜け量8以上:ベタ部周囲に幅0.5mm以上の白抜けがあり、非常に悪いレベル。
図7の結果からわかるように、現像磁極角度αを0°、2°、6°と傾けることで、一般的に現像能力は低下する方向であるものの、白抜け量に関しては良い結果となった。現像磁極角度αを2°以上にすることにより、トナー濃度5〜7.5wt%では白抜け量が目標値である5以下を満たしており、白抜けの改善効果が得られた。特に、現像磁極角度6°近辺では、トナー濃度5〜9wt%の範囲で白抜け量の改善効果が顕著に見られた。通常現像能力を最大限に確保するために現像磁極角度αは0°にすることが多い。そのため現像磁極角度を感光体に対して傾けることはあまりやらない。しかしながら本実験結果によると、現像磁極角度αを6°傾けることによる現像能力の低下はそれほどではなく、画像に影響を与えるほどではなかった。逆に白抜けの改善効果が顕著に見られた。現像ギャップにおいて、感光体に接触する現像剤の穂立ちの角度が寝るために、穂立ちが感光体上のすでに現像されたトナーを物理的に掻き取るスキャベンジ力が低下するためと考えられる。また、感光体に接触する現像剤の穂立ちの角度が寝て、感光体に接触する穂立ちの単位時間当たりの面積が増加するために、エッジ効果によって現像ポテンシャルが低下した領域にも良好な現像を行えるようになったためと考えられる。一方、現像磁極角度αを9°にして同様に実験したところ、現像ギャップにおいて穂立ちの角度が寝すぎたために感光体に対して十分に接触しなくなり、その結果現像不良となった。画像形成装置の工場での大量生産時における歩留まりを考慮すると、現像磁極角度αの角度公差は±2°程度を許容する必要がある。そこで、この観点から、更なる検証実験を行うことにした。この検証実験においては、感光体と現像ローラの線速比が2.0という、磁気ブラシの摺擦力が高いことに起因して白抜けし易くなると考えられる条件において、現像磁極角度αを0°、3.5°、6°、8.5°、9°の5水準で振ってみた。この検証実験の結果を図11に示す。図11のグラフより、現像磁極角度αが3.5°、6°、8.5°の範囲であれば、エッジ効果による白抜け量はトナー濃度が高くなっても7のやや悪い程度で収まっていることがわかる。したがって量産品のばらつきである現像磁極角度α=6°±2.5°という範囲での画像形成であれば、白抜け量は許容できる範囲に収まるものと考えられる。なお、現像磁極角度αを9°にした場合には、著しい現像不良が発生した。このため、現像危局角度α=9°における実験結果については、図11に示していない。また、現像磁極角度αを0°にした場合には、トナー濃度によってはエッジ効果による白抜けが許容できないレベルとなり、また感光体上へのキャリア飛散による転写時の白抜けも発生していた。
なお、トナー濃度は通常6〜9wt%の範囲で用いられることが一般的である。トナー濃度が6wt%を下回るとキャリアを被覆するトナーが少なくなり、現像剤は現像スリーブにより汲み上げられているものの、感光体上の潜像に対して現像すべきトナーが不足し、現像量不足による画像濃度低下する。またトナーによる被覆率が低下したキャリアが感光体表面の電位によって静電誘導を起こし、キャリアが感光体上に現像される、いわゆるキャリア付着といった現象が発生する。逆にトナー濃度が9wt%を超えると、キャリアでトナーを保持しきれなくなり、その結果トナー飛散や、現像ローラからトナーが零れ落ちるトナー落ちといった現象が発生する。
[実験例2]
実験例1と同じ現像条件により、現像ギャップや感光体と現像ローラとの線速比に対する現像能力の測定を行った。その結果を図8に示す。現像能力の測定方法は、以下の通りである。一般的に現像能力は感光体上の現像付着量を現像バイアスに対する傾き、いわゆる現像γで表すことが多い。5cm程度のベタパッチが画像中に点在しているチャートを用い、トナーが感光体上に現像されたタイミングで感光体を強制停止させ、感光体上に残ったベタ部をサックイン法により吸引し、重量を測定する。横軸に現像バイアスを、縦軸に単位面積あたりの感光体付着量をとり(単位はmg/cm)、その傾きが現像γと呼ばれる。現像γが大きいほうが現像能力が高いことを示している。現像γは、いくつ以上あればいいという閾値は特に設けていないが、1.5を下回ると、トナー濃度を高くしたり、線速比を大きくしたりといった現像条件変更でも現像能力を補えないほど現像能力が低くなる。よって、現像γは、1.5以上を推奨する。
図8の結果から、現像ギャップが狭いほど現像γが高くなっていることがわかる。現像ギャップ0.50mmでは線速比を2.0まで上げても現像γ1.5を達成できない。よって、現像γ1.5以上を得るためには、現像ギャップは0.45mm以下であること好ましい。しかし、現像ギャップが狭くなると、現像の穂立ちの感光体へのあたりが強くなり、感光体フィルミングの悪化につながる。また組み付け時の公差振れ幅を小さくする必要が出てくるが、現像ギャップの組み付け公差を狭めるには製造コストがそれにつれて増大するために、実質0.20mm程度が下限であると認識されている。また、図8の結果から、線速比が上がるほど現像γが高くなっていることがわかる。よって、現像ギャップ0.45mm以下で現像γ1.5以上を達成するためには、線速比は1.7以上、大量生産に対するばらつき余裕度を考慮すれば1.8以上がより好ましい。しかし、線速比が上がるほど副作用で後端かすれやタテヨコライン比の悪化が発生するため、現実問題として線速比2.0が上限である。逆に、現像ギャップが狭ければ線速比に対して現像γが大きくなり、線速比を上げなくとも現像γ1.5を得ることが可能となる。
なお、感光体の線速を150mm/sec及び205mm/secにし、感光体と現像ローラとの線速比を1.5、1.8、2.0と振った結果からも、線速比1.7以上が好ましいことが確認された。また、交流バイアス現像方式による現像方式により同じ現像条件で線速比振り実験を行ったところ、現像能力が高いため線速比1.5〜2.0で高い現像能力が得られることが確認された。
以上、本実施形態に係るプリンタは、現像磁極S1による磁界の半値幅中心線l1が、感光体10の回転中心と現像ローラ15の回転中心とを結ぶ線分l2よりも下方にある。よって、現像剤の飛散、及び白抜け等の異常画像の発生を低減させることができる。また直流バイアス現像方式を採用した場合においても、現像能力向上のための現像条件において副作用的に発生する、現像剤の飛散及びエッジ効果による白抜けを低減させることができる。
本実施形態に係るプリンタは、現像磁極S1による磁界の半値幅中心線l1と、感光体10の回転中心と現像ローラ15の回転中心とを結ぶ線分l2とがなす現像磁極角度αが2°〜8.5°である。この現像磁極角度αが2°より小さいと、現像剤飛散抑制効果が小さく、また現像ギャップでの現像剤の穂のトナー掻き取り能力が強く、白抜け画像を発生させてしまう。現像磁極角度αが8.5°を超えると、現像不良となり画像濃度ムラが発生してしまう。
本実施形態に係るプリンタは、現像剤受け止め部材として入り口シール30を備えているので、例え現像ローラ15から離脱した現像剤が下方に落下しても、装置本体1内が汚染されない。
実施形態に係るプリンタは、粒径が均一な重合トナーを用いているため、高画質化を図ることが可能である。
本実施形態に係るプリンタは、以下に挙げる現像条件の組み合わせより、低コストな直流バイアス印加方式を搭載しても、高画質な画像を得ることが可能となる。現像ギャップは0.25〜0.45mmが好ましい。感光体10の線速Vpと現像ローラ15の線速Vsとの比(Vs/Vp)が1.7〜2.0であることが好ましい。
また、本実施形態に係るプリンタは、以下に挙げる条件で示されるトナーを用いることにより、小粒径で、粒径分布がシャープで、かつ略球形状のトナーを得ることができ、画質の向上や異常画像の発生の余裕度向上を図ることができる。体積平均粒径は3μm以上8μm以内で、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00〜1.40であることが好ましい。形状係数SF−1は100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2は100〜180であることが好ましい。また、トナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーであることが好ましい。トナーの形状は長軸r1、短軸r2、厚さr3で規定され(但し、r1≧r2≧r3とする。)、長軸r1と短軸r2との比(r2/r1)が0.5〜1.0であり、厚さr3と短軸r2との比(r3/r2)が0.7〜1.0であることが好ましい。
なお、本実施形態では、転写体として中間転写体である転写ベルト20を用いた画像形成装置について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、転写体として転写材を搬送する搬送ベルトを用いた画像形成装置であってもよい。
本実施形態に係るプリンタの構成を示す概略構成図。 同プリンタの画像ステーションの構成を示す概略構成図。 同画像ステーションの現像装置の内部構成を示す概略構成図。 同現像装置のマグネットローラの磁束密度分布の波形図。 トナーの形状を模式的に表した模式図。 トナーの形状を模式的に表した模式図。 トナー濃度や現像磁極角度に対する白抜け量を示す特性図。 線速比や現像ギャップに対する現像γを示す特性図。 従来のプリンタの構成を示す概略構成図。 従来の別のプリンタの構成を示す概略構成図。 トナー濃度と現像磁極角度と白抜け量との関係を示すグラフ。
符号の説明
10 感光体
12 現像装置
15 現像ローラ
20 転写ベルト
30 入り口シール

Claims (11)

  1. 像担持体と、
    回動する非磁性スリーブ内に固定配置された複数の磁極を有し、トナー及びキャリアを含む2成分現像剤を磁気ブラシとして表面に担持し、該像担持体に対向する現像領域でトナーを該像担持体上の潜像に供給する現像剤担持体と、
    該像担持体上のトナー像が転写される転写体とを備える画像形成装置において、
    上記転写体は、上記像担持体と上記現像剤担持体との上方に配置され、
    上記現像領域で磁気ブラシを穂立ちさせるための現像磁極による磁界の半値幅中心線が、該像担持体の回転中心と該現像剤担持体の回転中心とを結ぶ線分よりも下方にあることを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1の画像形成装置において、
    上記現像磁極による磁界の半値幅中心線は、上記像担持体の回転中心と上記現像剤担持体の回転中心とを結ぶ線分に対する角度が2°以上8.5°以内であることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1、又は2の画像形成装置において、
    弾性部材から構成され、上記現像磁極による磁界の半値幅中心線よりも下方にある上記像担持体表面に自由端が接触するように配置され、該像担持体表面から離脱して落下する現像剤を受け止める現像剤受け止め部材を備えることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1、2、又は3の画像形成装置において、
    上記トナーが重合トナーであることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1、2、3又は4の画像形成装置において、
    上記非磁性スリーブへの電圧印加方式が直流バイアス印加方式であることを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項5の画像形成装置において、
    上記像担持体と上記現像剤担持体との間の現像ギャップが0.25mm以上0.45mm以内であることを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項5の画像形成装置において、
    像担持体の線速Vpと現像剤担持体の線速Vsとの比(Vs/Vp)が1.7以上2.0以内であることを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項4の画像形成装置において、
    上記トナーは、体積平均粒径が3μm以上8μm以内で、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00以上1.40以内であることを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項4の画像形成装置において、
    上記トナーは、形状係数SF−1が100以上180以内であり、形状係数SF−2が100以上180以内であることを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項4の画像形成装置において、
    上記トナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーであることを特徴とする画像形成装置。
  11. 請求項4の画像形成装置において、
    上記トナーは、その形状が長軸r1、短軸r2、厚さr3で規定され(但し、r1≧r2≧r3とする。)、長軸r1と短軸r2との比(r2/r1)が0.5以上1.0以内であり、厚さr3と短軸r2との比(r3/r2)が0.7以上1.0以内であることを特徴とする画像形成装置。
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