以下、本発明の実施の形態を、図面に沿って詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、人頭模型等の支持体を利用した本発明に係るアイブロウメイクアップ練習用ピースについて説明する。図1は、本発明に係るアイブロウメイクアップ練習用ピースの一例を示す説明図である。
アイブロウメイクアップ練習用ピース10では、図1(a)に示すように、図1(b)に例示する支持体Sとしての人頭模型の顔面部に着脱自在に装着可能なベース部11を有している。ベース部11は、人頭模型の顔面部における所定範囲の凹凸、起伏を再現するように形成されている。
図1(a)に示す場合には、ベース部11に、図1(b)に例示する支持体Sとしての人頭模型の顔面部における破線で囲んだ所定範囲の鼻の一部、両目、両眉及び額の一部を含めた範囲全体の凹凸、起伏が再現されている。
すなわち、ベース部11には、図1(a)に示すように、人頭模型の顔面部における鼻の一部に対応した部分鼻部21、両目に対応した目部22、両眉に対応した眉部23、額の一部に対応した額部24が形成されている。
かかるベース部11は、シリコンで薄く形成されている。例えば、人頭模型の顔面部における上記範囲の凹凸、起伏を採型して得られた雄型、雌型を一対とした合わせ型の間に、シリコンを流し込む等することにより形成される。尚、ベース部11の素材に関しては、上記の如くシリコン樹脂に限定する必要はなく、人の肌に似せることができるその他の樹脂を用いても構わない。
このように型成形により形成されたベース部11は、その表裏が人頭模型の顔面部の凹凸、起伏を再現するように形成されているため、装着に際しては、ベース部11の裏面を人頭模型の凹凸、起伏に合わせて載せることで、ピッタリとフイットした状態に着脱自在に装着させることができる。
また、上記シリコンは、成形後の眉部23に、アイブロウメイクアップペンシルで着色できる種類のものが選択されている。アイブロウメイクアップでは、眉毛のカットの他に、眉描きも含まれており、かかるシリコン素材を採用することで、カット練習の他に、眉描きの練習を併せて行えるようにすることができる。勿論、アイブロウメイクアップペンシルによるかかる眉描きの練習に特段の配慮を行う必要がない場合には、アイブロウメイクアップペンシルによる着色が行えない種類のシリコンを採用しても構わない。
かかるベース部11は薄く形成されているので、人頭模型の顔面部に装着したときに、ベース部のみが顔面部から極端に突出して見えることがない。アイブロウメイクアップでは、適切な眉毛のカット等のアイブロウメイクアップ技術を施すに際して、顧客の顔全体の印象を基に適切な美的バランスを考慮する必要があり、極端にベース部11のみが人頭模型の顔面部から突出して浮き出すような印象を与える構成では、顔全体の印象が実際の人物の顔からかけ離れたものとなり、特に実戦的な練習という観点からは好ましくない。そのため、ベース部11は、薄く形成することが好ましい。
また、薄く形成しておくことで、装着に際しては、フィルムが物体の外表面に密着するようなイメージに、人頭模型の顔面部の起伏等に沿った密着度をより向上させることもできる。
ベース部11の厚さとしては、上記の如く、薄い方が好ましいが、しかし、特段上記実戦的観点を考慮する必要がない場合には、厚くても勿論構わない。また、薄過ぎると、後記する眉部23における眉毛23aの植毛が行いにくくなる。さらに、植付けが可能としても眉毛23aの保持力が足りなく、眉毛のカット練習時等に抜ける等の障害が発生し易くなる虞もある。
そこで、シリコン素材で形成する場合には、カット練習に上記実戦的配慮等を考慮した上で、ベース部11の平均的な厚みとして、現時点では、より好ましくは0.8mm以上、5mm以内とすればよいと判断した。
尚、上記範囲は、あくまでより好ましい平均的な厚みとしての例示であり、本発明は、かかる範囲に限定されるものではない。カット時における実戦的配慮等を特段考慮する必要ない場合には、5mm以上の厚みで形成しても勿論構わない。さらに、アイブロウメイクアップの技術習得に際して実質的に眉毛が抜け易い等の支障が発生しないのであれば、0.8mm未満の厚さで形成しても勿論構わない。
さらに、ベース部11を形成するシリコンには、人頭模型の顔面部と同様の着色が施されている。着色は、シリコン素材に着色料等を混入した着色シリコンを用いればよい。勿論、着色に手間がかかる等の面倒はあるものの、成形後のベース部11の表面に着色するようにしても構わない。このようにしてベース部11を、人頭模型の顔面部と同色に形成しておけば、極端にベース部11のみが人頭模型の顔面部から区画されたように見えることがなく、アイブロウメイクアップの練習に際して顔全体の印象が把握し易くなって、より実戦的な練習に好ましい。
また、図1(a)に示す構成では、ベース部11には部分鼻部21が設けられているため、ベース部11を人頭模型の顔面部に装着する際の位置決めが行いやすい。シリコンで薄くベース部11を形成すると、比較的にぺらぺらとした感じで、人頭模型の顔面部の表面にくっつき易くなるので、装着時に、より簡単に位置決めできるように部分鼻部21を設けておくことが好ましい。勿論、かかる配慮を必要としない場合には、部分鼻部21を設けない構成も当然に考えられる。
また、かかる部分鼻部21は、ベース部11が人頭模型の顔面部に装着された状態では、人頭模型の顔面部の突起に相当する鼻に係止されることとなるため、ベース部11に設けた眉部23における眉毛カット練習や眉描き等に際してベース部11を動かそうとする力が多少及んでも、ベース部11の顔面部からの剥がれ、外れ等を防止するストッパとして部分鼻部21が機能することとなる。
また、ベース部11の装着状態をより安定させるために、ベース部11に人頭模型の顔面部への着脱自在に仮貼りができるように仮貼り可能な粘着材を設けても構わない。仮貼りに際しては、被装着側の人頭模型の顔面部側には糊移りがしないものが勿論好ましい。かかる粘着材としては、糊移りを起こさず、簡単に貼ったり、剥がしたりできるような粘着材を選択すればよい。例えば、貼ったり剥がしたりが簡単に行えるポスト・イット(登録商標)等に使用されている粘着材等を使用すればよい。
かかる粘着材は、ベース部11の面全体に設けても、部分的に設けても構わない。後記する人工眉Aにおいて、眉毛23aの植え替え可能とする構成では、植毛範囲には粘着材を設けない方が好ましい。
かかる粘着材を用いる着脱可能な装着手段を用いれば、シリコン薄片が有する密着性で着脱自在に装着させる場合と同様に、人頭模型の顔面部には、装着用の特段の構成を設けなくても済む。そこで、ベース部11を形成するための型起こしを行うだけで、市販の人頭模型を支持体Sとして利用することができる。ヘアーカット、ヘアーウェービング等の練習用の人頭模型をそのまま利用することもできる。人頭模型には各種のものが市販されているが、例えば、理美容試験等の資格試験で使用される人頭模型を用いれば、支持体Sとして全国的に統一した規格の人頭模型を使用してアイブロウメイクアップの練習を行うことができるので好ましい。
アイブロウメイクアップ技術の習得を目指す者が、このように統一された全国共通の人頭模型を用いてアイブロウメイクアップの練習を行えば、多数のアイブロウメイクアップ技術者は共通の技術的土台に立脚することができる。かかる技術的土台を、例えば少なくともアイブロウメイクアップ技術者であれば習得しておくべき最低限度の技術として据えれば、多数のアイブロウメイクアップ技術者は、かかる規格統一的な最低限度の技術を習得した上で、個々の技術者の感性を活かしたアイブロウメイクアップを顧客に施すことができ、顧客にとっても安心してアイブロウメイクアップを受けられる環境が整えられることとなる。
特段の構成を設けることなく市販の人頭模型の顔面部をそのまま利用する着脱自在の装着手段としては、例えば、シリコンの裏面に吸盤部を設けておき、装着時にかかる吸盤部を押し付けるようにして負圧を利用する吸着手段等も考えられる。
勿論、支持体Sとして市販の人頭模型を利用するのではなく、本発明のアイブロウメイクアップ練習用ピース10に合わせて新たに人頭模型を作成しても構わないことは言うまでもない。かかる場合には、上記以外の着脱自在の装着手段を適用することができる。
例えば、人頭模型の顔面部に、嵌合用凹部あるいは凸部を設けておき、一方のベース部11の裏面側にもそれに対応した嵌合用凸部あるいは凹部を設けておき、装着に際して、双方の嵌合用凹凸部を嵌合させることで着脱自在に装着するようにしても構わない。あるいは、磁力を用いた吸着手段、静電気による吸着手段等その他の着脱自在を可能とする種々の手段を用いることができる。
尚、人頭模型は、後頭部まで人頭を模して形成されたものでなくても良く、例えば、顔面部をレリーフ状に形成して背面側は平らに形成された人頭を半分にしたような構成のものでも構わない。要は、顔面部にアイブロウメイクアップ練習用ピース10が装着できるような顔の起伏が再現されているものであれば構わない。
かかる構成のシリコン等で形成されたベース部11には、眉部23に人の毛髪等を用いた眉毛23aが人工的に植え付けられて、人工眉Aが形成されている。人工眉Aは、図2(a)、(b)、(c)にその手順を示すように、ベース部11の眉部23のシリコン層12内に眉毛23aを植毛して形成する。勿論、眉毛23aとしては、化学繊維を用いても構わないが、より人の眉毛に近い感触のものを選ぶようにするのが好ましい。
すなわち、図2(a)、(b)に示すように所定長さの人工の眉毛23aの略中央付近を植毛治具25の二股状の先端部25aで挟むようにして、眉毛23aを松葉状に二つ折りにした状態で、図2(c)に示すようにそのままベース部11のシリコン層12に押し込む。押し込んだ状態で、植毛治具25をシリコン層12から引き抜くと、シリコン層12の押し込み時に開いた孔が塞がり、眉毛23aが抜けないように押さえられてシリコン層12に植毛されることとなる。
このようにして植え付けられた人工眉Aにおける眉毛23aは、眉毛のカット練習ができるように、未整形の状態に植え付けられている。未整形の状態とは、実質的にアイブロウメイクアップが施されたと同様の状態とは異なる状態である。例えば、人の眉において自然に生えた眉毛に人工的に何らの整形も施していない状態を再現したような状態が例示として挙げられる。また、わざと、ぼうぼうに生えた状態に植え付けておいた状態も未成形の状態である。
実際の植毛に際しては、図3(a)に模式的に示すように、人の眉のように毛先の流れに留意して行えばよい。より詳細には、図3(b)に示すように、眉頭では毛先が下から上に向かうように(図中矢印1の方向)、眉中では毛先が眉山に向かうように(図中矢印2の方向)、眉山では毛先が眉中から続きで斜め上に向かう方向(図中矢印3の方向)と眉尻に向かって斜め下に向かう方向(図中矢印4の方向)が混ざるように、その後は眉尻に向けて収束する方向に(図中矢印5の方向)、植毛後の毛先方向に留意しながら生やすようにすればよい。図1に、上記図3で説明した眉毛23aの方向性を考慮して植毛した状態の一例を示している。
さらに、眉毛23aの密度調整も眉の濃さの演出に必要な技術であるため、上記未整形には、眉毛23aの密度調整がほどこされていない状態も含めて構わない。人の眉に似せて種々の毛量のものを作成しておけばよい。密度調整の練習を行うために実際の人の場合よりも毛量を多くしてもよい。さらには、毛量を実際の人の場合よりも少なくして眉描きにより毛量感を増やすような練習が行えるようにしてもよい。また、眉毛23aの長さも種々のものを作成しておけばよい。眉毛23aの長さも、見た目の毛量感に大いに影響するためである。
尚、植付けに際しては、実際の人間の眉毛の生え方を極力再現するように行うのが好ましい。例えば、生え際の間隔、生える方向、眉毛の密度等を再現するように行うのが好ましい。これは、玩具の人形のように眉毛を放射状に上方に向けて画一的に生やしたのでは、実際の人に対して適用するカット練習としては実際性が乏しく、十分な練習を行うことができ難くなるためである。
また、眉毛23aは、植毛に際して、図2(c)に示すように、眉毛23aの二つ折りにされた屈曲点Pに相当する押し込み先端が、シリコン層12を少し貫通するように植付けられている。図2(d)に示すように、押し込み先端の屈曲点Pをつまんで、矢印方向に引き抜くことで、簡単に眉毛23aはシリコン層12から抜くことができる。抜いた後はシリコン層12の孔がシリコン層12の収縮性により自然に塞がり、再度、図2(a)〜(c)の手順で、眉毛23aの植付けを行うことができる。
このようにして、本発明に係るアイブロウメイクアップ練習用ピース10では、人工眉Aの眉毛23aの植え替えが行えるので、カット練習で短くなった眉毛23aをシリコン層12から抜き、新たに未カットの眉毛23aを植え付けることで、練習の都度廃棄することなく、ベース部11を繰り返し使用することができる。
また、ベース部11は、図4に示すように、シリコン層12の間に、補強層13を介在させることで、収納あるいはバッグに入れて持ち運びする等に際して、ベース部11を曲げたり、折り畳んだり、巻いたり等しても破損しないように構成することができる。補強層13としては、布13a等の布層を用いることができる。特に、ガーゼ等の比較的に目の粗い布13aを用いると、植毛に際しての眉毛23aを前記説明の要領で押し込むに際して、目を通して押し込み易い。目が緊密に詰まった状態では、上記要領で眉毛23aを押し込み難い。
ベース部11を構成するシリコンの補強手段としては、シリコン層内にフィラー等を入れる構成も考えられる。フィラーを入れた場合には、上記補強層13を設けない構成も考えられる。
アイブロウメイクアップでは、眉毛のカット、トリミング、トゥイーズ、眉描きにおいては、顔面部に眉尻、眉山、眉中、眉頭の位置を目安として想定してカット等の処理を行う。かかる眉尻、眉山、眉中、眉頭の位置は、正面を正視した状態の顔面部の鼻(特に小鼻)と目とを見当として想定することとなる。
本明細書では、かかる見当として用いる鼻、目等の部分を、説明の便宜上、顔面見当部と呼び、かかる顔面見当部を模したアイブロウメイクアップ練習用ピースの箇所を見当模倣部と呼ぶ場合がある。
本発明に係るアイブロウメイクアップ練習用ピース10には、図1に示すように、アイブロウメイクアップの練習が行い易いように、目部22が見当模倣部として設けられている。部分鼻部21は一部しか形成されていないが、人頭模型の顔面部にベース部11を装着した状態では人頭模型の顔面部の鼻が露出するので、かかる顔面部の鼻を顔面見当部として、目部22の見当模倣部と併せて使用することで、アイブロウメイクアップの練習に際して、上記眉尻、眉山、眉中、眉頭の位置把握を行うことができる。
因みに、アイブロウメイクアップの眉毛のカット、トリミング、トゥイーズ、眉描きにおける眉尻、眉山、眉中、眉頭の位置の想定は、正面を正視した状態の顔面部における小鼻、瞳、目尻を用いて次のようにして行う。
すなわち、図5に示すように、顔の中心に想定した垂線aに平行に、顔面見当部としての小鼻31の内側と外側とを通る平行線b、cをそれぞれ引いた場合の両平行線b、cの間が眉頭の存在範囲である。垂線aに対して、瞳32である黒目32aの外側と目尻33とを通る平行線d、eをそれぞれ引いた場合の両平行線d、eの間が眉山の存在範囲となる。眉尻は、小鼻の外側と目尻とを結んだ斜線fと、上記垂線aに平行な目尻を通る平行線eとの間が存在範囲となる。
図1に示す構成のアイブロウメイクアップ練習用ピースには、見当模倣部として目部22が形成されている構成を示したが、目部22の他に顔面見当部としての鼻、特に小鼻を含めた全体を見当模倣部として形成する構成であっても構わない。
さらには、目部22に顔面見当部の瞳32に相当する見当模倣部を形成するようにしても構わない。元来、瞳は眼球表面に凹凸を示すものではないため、例えば、薄く瞳様に着色する等して描いておけばよい。あるいは、黒色、青色、褐色等実際の瞳色の略円形の瞳形状のシールを貼り込むようにしても構わない。かかるシールは、着脱自在の粘着材を用いて種々の瞳に交換できるようにして、種々の顔の印象を演出し、それぞれの演出に合わせたアイブロウメイクアップの練習が行えるようにしてもよい。
図6には、アイブロウメイクアップ練習用ピースの変形例を示した。図6(a)に示す構成では、ベース部11に、人頭模型の顔面部の額部24、眉部23が形成され、眉部23に眉毛23aが植毛されて人工眉Aが設けられている。図6(b)に示す変形例では、ベース部11に額部24、目部22、眉部23が形成され、眉部23に眉毛23aが植毛された人工眉Aが設けられている。
図6(c)に示す構成では、ベース部11に眉部23と部分鼻部21が形成され、眉部23に眉毛23aが植毛された人工眉Aが設けられている構成である。勿論、かかる構成で部分鼻部21ではなく、図6(d)に示すように、全体鼻部26を設けるようにしても構わない。図6(e)は、ベース部11に、額部24、目部22、眉部23、人頭模型顔面部の鼻の全体を模した全体鼻部26が形成され、眉部23に眉毛23aが植毛された人工眉Aが設けられている構成を示している。
図6(a)〜(e)に示す構成では、左右の両眉部23に人工眉Aが設けられているので、カット練習用としては、両方とも未整形に構成する場合と、いずれか一方は、整形して手本となるようにすることもできる。あるいは、未整形の眉毛23aでも、外形だけは大まかに整形しておき、トリミングで整形を完成させるようにするとか、外形は完全に整形しておき、眉毛23aの密度調整のみの練習ができるようにしても構わない。
図6(f)に示す構成では、ベース部11が片方の眉部23を人頭模型の顔面部に装着するに必要な範囲に限定され、かかる眉部23に眉毛23aが植毛された人工眉Aが設けられている構成を示している。図6(f)に示す場合は、図6(a)〜(e)に示す場合とは異なり、左右両方の眉部23がベース部11に形成されているのではなく、片方の眉部23が形成されているものである。図6(a)、(b)等に示す変形例においても、左右いずれか片方の眉部23、目部22等のみを有するように構成しても構わない。
美容技術においては、左右のバランスが対称的に整った場合ばかりではなく、例えば、事故等で顔面部に障害を負った場合等には術後の関係で左右のバランスが崩れる場合もあり、かかる場合にも極力自然に見えるように正常バランスを有する場合以上に適切なアイブロウメイクアップを必要とするものである。かかる場合に適切に対応できる練習が行えるようにするため、図6(f)に示すような、左右別々に装着できる片側アイブロウメイクアップ練習用ピース10aも必要である。
図7(a)に示す構成は、見当模倣部として目部22、全体鼻部26を設けた構成であるが、目部22部分だけ必要に応じて切り離しできるように構成されている。例えば、ベース部11に、ミシン線等に構成した切り取り線14を設けておき、場合によっては図7(b)に示すように目部22を生かした状態で立体的に、あるいは(c)に示すように目部22を切り離した状態で立体的に使用できるように構成しても構わない。かかる切り離し自在の構成は、目部22以外の部分にも適用しても当然に構わない。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、上記説明では、アイブロウメイクアップ練習用ピース10は、人頭模型の顔面部から採型した雄型、雌型を用いて型成形する場合について説明したが、ベース部11の裏面側は人頭模型の顔面部に装着し易いように人頭模型の顔面部の起伏に合わせた形状に成形しておき、表面部は人頭模型の顔面部とは異なる種々の表情の部分顔面部、全体顔面部に形成しても一向に構わない。
かかる構成を採用すれば、1種の人頭模型の顔面部を用いて、種々の表情の顔面構成を有するアイブロウメイクアップ練習用ピースを取り替えることで、一つのタイプの表情における顔面印象でアイブロウメイクアップを練習するのではなく、種々のタイプの表情に合わせたアイブロウメイクアップを練習することができ、より実効性のある練習を行うことができる。
また、支持体Sとしては、上記説明では人頭模型に形成した場合を例に挙げて説明したが、かかる人頭模型に限定する必要はない。すなわち、支持体Sのベース部11の表面を顔面形状に形成しないものであっても構わない。例えば、表面を球面等の非顔面形状に形成しておいても構わない。この場合には、アイブロウメイクアップ練習用ピース10のベース部11の裏面を、支持体Sの球面に合わせた凹面に形成し、ベース部11の表面に顔面形状を形成するにしても勿論構わない。
さらには、壁等の略平板部に適宜突設部を設ける等して、かかる突設部を支持体Sとして利用することでも構わない。要は、アイブロウメイクアップ練習用ピース10を用いてアイブロウメイクアップの練習を行う際に、アイブロウメイクアップ練習用ピース10が練習に支障がないように支持できるものであれば、支持体Sとして使用することができる。
例えば、支持体として人の顔面部を使用しても構わない。通常の人頭模型は、硬質の材料で形成されるため、どうしても実際の人の顔面とは異なり弾力性がない。アイブロウメイクアップの練習においては、かかる人の肌表面の微妙な弾力性が影響を及ぼす場面も見られる。そこで、アイブロウメイクアップ練習用ピース10を実際の人の顔面部に支持させるようにして、人の肌の弾力性の感触を感じ取りながら練習を行えるようにしても構わない。
(実施の形態2)
本実施の形態では、前記実施の形態1で説明したアイブロウメイクアップ練習用ピース10を用いて、アイブロウメイクアップ教習を行う方法について説明する。
本発明者は、前述の如く、アイブロウメイクアップ分野においても、他の理美容分野におけると同様に、全てのアイブロウメイクアップ技術者がきちんとした最低限度の基本的技術を習得した上で、個々人がさらに研鑽を心がけることで、顧客に満足される理想的なアイブロウメイクアップ分野を構築することが望ましいと考えている。
上記実施の形態1に説明した本発明に係るアイブロウメイクアップ練習用ピース10を用いることで、実際の人をアイモデルとして使用することなくアイブロウメイクアップの練習が行えるため、全国的に統一した基本技術の教習を行うことができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、全国的に同一した基本技術を取得できるようにすることを前提とするため、本発明に係るアイブロウメイクアップ練習用ピース10の装着対象とする支持体Sとしての人頭模型には、理美容試験等の資格試験で使用する人頭模型を採用しても構わない。勿論、アイブロウメイクアップ業界で統一した人頭模型を採用すれば、特段、理美容試験用の人頭模型以外の人頭模型を使用しても構わないことは言うまでもない。
本発明に係るアイブロウメイクアップ教習方法では、教科書、ビデオ等を用いて基本的なアイブロウメイクアップの知識を学んだ後のステップで、理美容試験等の資格試験で使用する人頭模型(以下、簡単に試験用人頭模型と呼ぶ場合がある)を用意し、前記実施の形態1の図1で示す構成のアイブロウメイクアップ練習用ピース10を試験用人頭模型の顔面部に、着脱自在に装着する。
アイブロウメイクアップ練習用ピース10の部分鼻部21を試験用人頭模型の顔面部の鼻に合わせるようにして位置決めを行い、アイブロウメイクアップ練習用ピース10の表面を人頭模型の顔面部に押し付けるようにしてフィットさせた状態で装着する。
かかる装着後のステップで、人工眉Aにおける眉毛23aのカット練習を教習生が行う。先ず、図5に示す要領で、試験用人頭模型の顔面部の顔面見当部として小鼻、アイブロウメイクアップ練習用ピース10の見当模倣部としての目部22の目尻、瞳等を用いて、眉尻、眉山、眉中、眉頭の位置を想定する。
眉毛のカット練習では、上記装着した状態のアイブロウメイクアップ練習用ピース10の人工眉Aの眉毛23aに、アイブロウコームを当てて眉毛23aの長さを確認しながら、眉山から眉尻に向けて余分な長さを切り揃えるようにしてカットする。必要に応じて、指導者の助言等を受けながら行う。
カット練習終了後は、アイブロウトリミングシザーズを用いて、眉中から眉尻にかけて余分な眉毛23aを切り除き、眉の形を整える。さらに必要に応じて、アイブロウトゥイーズを用いて、眉中から眉尻にかけて余分な眉毛23aを抜き、左右の人工眉Aにおける形、濃さ等を同じようになるように調整する。
かかるカット練習の後のステップで、カットにより整形された人工眉Aに対して眉描きの練習を行う。本発明のアイブロウメイクアップ練習用ピース10は、アイブロウペンシルの着色が可能なシリコンを用いて形成できるので、かかる練習が可能となる。眉山から眉尻にかけてアイブロウペンシルで一本の線を描き、眉の高さと長さを決める。その後、眉中から眉山、眉頭から眉中に向けて眉毛の流れに沿うように線を描き、眉の形を決める。さらに、眉頭から眉中に向けてアイブロウペンシルを走らせて眉色の濃さを決める。
このようにして眉毛のカット、眉描きに至るまでの一連のアイブロウメイクアップを練習した後は、試験用人頭模型の顔面部に装着していたアイブロウメイクアップ練習用ピース10を、手で軽く上に持ち上げるようにして剥がし、1回のアイブロウメイクアップ教習を終えることとなる。
アイブロウメイクアップ練習用ピース10を剥がした試験用人頭模型の顔面部には、再度、別のアイブロウメイクアップ練習用ピース10を装着することで、アイブロウメイクアップ練習を繰り返し行うことができる。
本発明のアイブロウメイクアップ教習方法では、上記説明のように同一の試験用人頭模型の顔面部と、同一のアイブロウメイクアップ練習用ピース10を用いて教習を行わせることができるため、多数の教習性に対して同一の基本的技術を習得させることが容易に行える。
従来のように実際の人をアイモデルとして使用する場合には、人それぞれ眉毛の毛質、太さ、密度等が微妙に異なり、且つ、顔面表情が全く異なるため、その都度アイブロウメイクアップに求められる美的バランスが当然に変わり、統一的な基本技術を教えることは実際上不可能であった。しかし、上記説明の本発明のアイブロウメイクアップ教習方法を採用すれば、共通の顔面表情における美的バランスに配慮しながらアイブロウメイクアップの練習が行えるので、効率的に、且つ、安価な費用で、教習生にも特段の負担をそれ程にかけることなく教習を行うことができる。
さらに、本発明では、実際の人をアイモデルとして使わないので、敢えて、教習生にカットミスを起こさせることで、どのようなアイブロウシザーズの使用方法ではカットミスを起こすのかを体験させることができる。
アイブロウメイクアップ教習が済んだアイブロウメイクアップ練習用ピース10は、それ自体がシリコンで形成されたもので、極めて安価に製造できるものであるため、勿論使い捨てとしても構わないが、前記実施の形態1で説明したように、植毛治具25、眉毛23aを用いることで植え替えすることで繰り返し使用しても構わない。
(実施の形態3)
前記実施の形態1では、人頭模型を用いることを前提としたアイブロウメイクアップ練習用ピースについて説明したが、本実施の形態では、人頭模型を用いることなくそれ自体でアイブロウメイクアップの練習が行える構成のアイブロウメイクアップ練習用ピース40について説明する。
本実施の形態のアイブロウメイクアップ練習用ピース40は、それ自体で剛性を有する素材を使用して顔面表情を形成したベース部41が、図8(a)に示すように形成されている。顔面部正面には、図8(b)に示すように、アイブロウメイクアップに際して必要な顔面見当部である小鼻31、瞳32、目尻33が少なくとも形成され、眉部23には人工眉Aが設けられている。
本発明のアイブロウメイクアップ練習用ピース40は、人頭模型の顔面部に着脱自在に装着することを前提していない。そのため、前記実施の形態1で説明したアイブロウメイクアップ練習用ピース10とは異なり、人頭模型の顔面部における顔面見当部をアイブロウメイクアップ練習に際しての眉尻、眉山、眉中、眉頭の位置の想定の見当として利用することができないため、ベース部41には、少なくとも小鼻部、目尻部が見当模倣部として形成されている。
人工眉A部分は付け替え可能に構成しておき、カット練習後には、新しい人工眉Aと交換できるようにしておけば、ベース部41を繰り返し使用することができ、アイブロウメイクアップ練習用ピース40にかける教材費を抑制することができる。勿論、人工眉Aを交換式に形成することなく、人工眉A部分の眉毛のみを植え替え可能に構成しておいても構わない。
また、かかる配慮が必要ない場合には、人工眉Aを交換可能に、あるいは眉毛を植え替え可能に構成することなく、アイブロウメイクアップ練習用ピース40自体を使い捨てに構成しても構わない。アイブロウメイクアップ練習用ピース40自体を、人頭模型と同様の形状に構成しても一向に構わない。さらには、顔面表情を紙面、板面等の略平板面に描き、かかる平板面に眉毛のカット練習様の人工眉Aを設けるようにしても構わない。