JP2006070873A - 排気ガスセンサ特性評価方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 応答遅れ時間が空燃比切替周期よりも長くなる場合であっても、空燃比の切替タイミングと排気ガスセンサのセンサ出力の応答タイミングとの対応関係を正確に判別できるセンサの特性評価方法を提供する。
【解決手段】 排気ガスセンサ特性評価装置10は、一定の切替周波数で空燃比を切り替えて、空燃比の変化波形およびセンサ出力の変化波形に基づき応答遅れ時間を検出するにあたり、空燃比の切替周波数を変更する周波数変更ステップ(S140)を実行する。これにより、応答遅れ時間が空燃比指令信号の切替周期よりも長くなる場合でも、一定の切替周波数で繰り返し変化する2つの波形(空燃比指令信号の変化波形およびセンサ出力信号の変化波形)における空燃比の切替タイミングとセンサ出力の応答タイミングとの対応関係を正確に判別することができ、応答遅れ時間を正確に検出することが可能となる。
【選択図】 図3
【解決手段】 排気ガスセンサ特性評価装置10は、一定の切替周波数で空燃比を切り替えて、空燃比の変化波形およびセンサ出力の変化波形に基づき応答遅れ時間を検出するにあたり、空燃比の切替周波数を変更する周波数変更ステップ(S140)を実行する。これにより、応答遅れ時間が空燃比指令信号の切替周期よりも長くなる場合でも、一定の切替周波数で繰り返し変化する2つの波形(空燃比指令信号の変化波形およびセンサ出力信号の変化波形)における空燃比の切替タイミングとセンサ出力の応答タイミングとの対応関係を正確に判別することができ、応答遅れ時間を正確に検出することが可能となる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、内燃機関の排気ガスに含まれる特定ガス成分を検出する排気ガスセンサについて、内燃機関に取り付けられた状態での排気ガスセンサの特性を評価する排気ガスセンサ特性評価方法に関する。
従来より、排気ガスセンサは、内燃機関の排気経路に装着されて、内燃機関の排気ガスに含まれる特定ガス成分を検出するために使用されている。
そして、排気ガスセンサの特性を評価する排気ガスセンサ特性評価方法としては、一定の切替周波数で前記内燃機関の空燃比をリッチ空燃比およびリーン空燃比に交互に切り替えて、空燃比の切替タイミングを開始点とし、排気ガスセンサのセンサ出力が空燃比判定閾値に達する応答タイミングを終了点として、開始点から終了点までの応答遅れ時間を検出し、この応答遅れ時間に基づき排気ガスセンサを評価する排気ガスセンサ特性評価方法がある(特許文献1参照)。
そして、排気ガスセンサの特性を評価する排気ガスセンサ特性評価方法としては、一定の切替周波数で前記内燃機関の空燃比をリッチ空燃比およびリーン空燃比に交互に切り替えて、空燃比の切替タイミングを開始点とし、排気ガスセンサのセンサ出力が空燃比判定閾値に達する応答タイミングを終了点として、開始点から終了点までの応答遅れ時間を検出し、この応答遅れ時間に基づき排気ガスセンサを評価する排気ガスセンサ特性評価方法がある(特許文献1参照)。
なお、空燃比を一定とするのではなく、特性評価用周波数で空燃比をリッチおよびリーンに交互に変化させることで、センサの動的出力特性を評価することができる。また、空燃比の切替サイクルにおける複数のサイクルにわたり応答遅れ時間を検出して平均値を演算することで、誤差の影響を低減でき、応答遅れ時間の検出精度を向上できる。
図6(a)に、応答遅れ時間が空燃比切替周期(空燃比切替周波数の逆数)よりも短い場合における空燃比指令信号の変化波形およびセンサ出力信号の変化波形を示し、図6(b)に、応答遅れ時間が空燃比切替周期よりも短い場合における空燃比指令信号の変化波形およびセンサ出力信号の変化波形を示す。
図6(a)に示すように、排気ガスセンサ特性評価方法では、リッチ空燃比からリーン空燃比に切り替えたときの応答遅れ時間(TRS)と、リーン空燃比からリッチ空燃比に切り替えたときの応答遅れ時間(TLS)とを検出することができる。そして、「TRS+TLS」は、排気ガスセンサの応答遅れの大きさを示す指標となり、「TRS−TLS」は、リーン側でのセンサ応答性とリッチ側でのセンサ応答性とのアンバランスの程度を示す指標となる。
よって、この排気ガスセンサ特性評価方法を用いることで、TRSおよびTLSに基づき、評価対象となる排気ガスセンサの特性(応答遅れの大きさや空燃比ごとのセンサ応答性のアンバランスなど)を評価することができる。
なお、排気ガスセンサは、空燃比切替周期(空燃比切替周波数の逆数)が異なる条件下ではそれぞれ異なる特性を示すため、実際のセンサ設置環境での排気ガスセンサの特性を評価するに際しては、空燃比切替周期が異なる複数の条件下において、それぞれ応答遅れ時間を検出する必要がある。
特開平8−105343号公報(請求項1)
しかし、上記従来の排気ガスセンサ特性評価方法では、排気ガスセンサの特性をより詳細に評価するために空燃比切替周期を様々な数値に設定することにより、応答遅れ時間が空燃比切替周期よりも長くなると、空燃比切替タイミングに対するセンサ出力の応答タイミングを正確に検出することができず、応答遅れ時間を誤って検出する虞がある。
つまり、図6(b)に示すように、応答遅れ時間が空燃比切替周期よりも長くなる場合には、空燃比の切替タイミングから次の切替タイミングに至るまでの間に、空燃比の切り替え時に対応した本来のセンサ出力が空燃比判定閾値に達することができず、空燃比の切替タイミングの直後に現れるセンサ出力の応答タイミングは、当該空燃比の切替タイミングに対応するセンサ出力の応答タイミングに相当しない。このため、応答遅れ時間が空燃比切替周期よりも長くなる場合には、空燃比の切替タイミングに対応する本来のセンサ出力の応答タイミングを正確に識別できず、応答遅れ時間を誤って検出する虞がある。
なお、図6(a)に示すように、応答遅れ時間が空燃比切替周期よりも短い場合には、空燃比の切替タイミングの直後に現れるセンサ出力の応答タイミングが、当該切替タイミングに対応するセンサ出力の応答タイミングであることから、空燃比の切替タイミングと排気ガスセンサのセンサ出力の応答タイミングとの対応関係が容易に判断できるため、応答遅れ時間を正確に検出することができる。
そして、応答遅れ時間が空燃比切替周期よりも長くなる要因としては、燃焼室から排気ガスセンサの設置位置までの距離が長く設定されることや、内燃機関の運転状態の変化などが挙げられる。
例えば、燃焼室から排気ガスセンサの設置位置までの距離が長い場合には、空燃比の切り替え直後に燃焼室から排出された排気ガスが排気ガスセンサに到達するまでの時間が長くなるため、空燃比の切替タイミングの後から次の切替タイミングに至る前までに、切り替えた空燃比に対応して排出される排気ガスが排気ガスセンサに到達できないことがある。この場合には、空燃比の切替タイミングから次の切替タイミングに至る前までに、当該空燃比の切り替えに対応した排気ガスセンサのセンサ出力が空燃比判定閾値に達しないため、応答遅れ時間が空燃比切替周期よりも長くなる。
また、内燃機関(エンジン)のエンジン回転数(エンジン回転速度)が低くなる運転状態の場合には、単位時間あたりに燃焼室から排出される排気ガスの量が減少することから、切り替えた空燃比に対応して排出される排気ガスが排気ガスセンサに到達するまでの時間が長くなり、応答遅れ時間が空燃比切替周期よりも長くなることがある。
なお、センサの特性評価方法としては、空燃比(リッチ、リーン)を周期的に繰り返し変化させることが基本となるが、内燃機関の運転開始直後は、空燃比の周期的変化が不安定な状態となることが多いため、応答遅れ時間の検出精度が低下する可能性が高くなる。このため、通常は、空燃比の周期的変化が安定するまでは応答遅れ時間を検出せず、空燃比の周期的変化が安定した段階で応答遅れ時間を検出することで、検出精度の低下を抑制している。
このことから、空燃比の切替タイミングに対応するセンサ出力の応答タイミングを特定するにあたり、初回の空燃比の切替タイミングを基準として、空燃比の切替タイミングとセンサ出力の応答タイミングとの対応関係を特定することは、極めて困難である。
そこで、本発明はこうした問題に鑑みなされたものであり、応答遅れ時間が空燃比切替周期よりも長くなる場合であっても、空燃比の切替タイミングと排気ガスセンサのセンサ出力の応答タイミングとの対応関係を正確に判別できるセンサの特性評価方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明方法は、排気ガスセンサを内燃機関の排気経路に取り付け、一定の切替周波数で内燃機関の空燃比をリッチ空燃比およびリーン空燃比に交互に切り替えると共に、排気ガスの成分に応じて排気ガスセンサから出力されるセンサ出力を検出し、空燃比の変化波形における空燃比の切替タイミングを開始点とし、センサ出力の変化波形においてセンサ出力が空燃比判定閾値に達する応答タイミングを終了点として、開始点から終了点までの応答遅れ時間を検出し、応答遅れ時間に基づき排気ガスセンサの特性を評価する排気ガスセンサ特性評価方法であって、空燃比を交互に切り替えるにあたり、空燃比の切替周波数を変更する周波数変更ステップと、周波数変更ステップによる周波数変更タイミングの後において、センサ出力の変化波形において応答タイミングの発生周期が変化する応答周期変化タイミングを検出し、応答周期変化タイミングにおけるセンサ出力の応答タイミングを周波数変更タイミングでの空燃比の切替タイミングに対応する応答タイミングとして判別する基準判別ステップと、周波数変更タイミングでの空燃比の切替タイミングおよび応答周期変化タイミングでのセンサ出力の応答タイミングを基準として、その他の空燃比の切替タイミングに対応するセンサ出力の応答タイミングを判別する対応判別ステップと、を有することを特徴とする排気ガスセンサ特性評価方法である。
この排気ガスセンサ特性評価方法は、一定の切替周波数で空燃比をリッチまたはリーンに切り替えて、空燃比の変化波形およびセンサ出力の変化波形に基づき応答遅れ時間を検出するにあたり、空燃比の切替周波数を上記一定の切替周波数とは異なる値に変更する周波数変更ステップを有することに特徴がある。
つまり、このような周波数変更ステップを有することで、空燃比の切替周波数が変更される周波数変更タイミングの前後において、空燃比の変化波形における切替タイミングの発生周期が変化するため、周波数変更タイミングの前と後では異なる周期の波形を示すことになる。
また、センサ出力の変化波形は、周波数変更タイミングでの空燃比の切替タイミングに対応する応答タイミング(応答周期変化タイミング)の前後において、空燃比の切替周期(切替周波数)の変更に伴い応答タイミングの発生周期が変化するため、応答周期変化タイミングの前と後では異なる周期の変化波形を示す。
このため、空燃比の変化波形とセンサ出力の変化波形とを対比するにあたり、波形周期が変化する部分どうしを対応づけることで、周波数変更タイミングにおける空燃比の切替タイミングとセンサ出力の応答タイミングとの対応関係を正確かつ容易に判別することが可能となる。つまり、センサ出力の変化波形において応答タイミングの発生周期が変化する応答周期変化タイミングを検出することで、この応答周期変化タイミングにおけるセンサ出力の応答タイミングを、周波数変更タイミングでの空燃比の切替タイミングに対応する応答タイミングとして判別することができる。
そして、空燃比の変化波形において周波数変更タイミングでの空燃比の切替タイミングの直前にみられた切替タイミングと、センサ出力の変化波形において応答周期変化タイミングでのセンサ出力の応答タイミングの直前にみられた応答タイミングとは、互いに対応するものである。このため、周波数変更タイミングにおける空燃比の切替タイミングに隣接する切替タイミングに関しては、周波数変更タイミングでの空燃比の切替タイミングおよび応答周期変化タイミングでのセンサ出力の応答タイミングを基準とすることにより、センサ出力の応答タイミングとの対応関係を正確に判別することができる。
さらに、対応関係が明らかとなった空燃比の切替タイミングおよびセンサ出力の応答タイミングを基準として、隣接する切替タイミングおよび応答タイミングを繰り返し特定することで、空燃比の変化波形およびセンサ出力の変化波形の全体について、空燃比の切替タイミングとセンサ出力の応答タイミングとの対応関係を正確に判別できる。
これにより、応答遅れ時間が空燃比の切替周期(空燃比の切替周波数の逆数)よりも長くなる場合であっても、一定の切替周波数で繰り返し変化する2つの波形(空燃比の変化波形およびセンサ出力の変化波形)における空燃比の切替タイミングとセンサ出力の応答タイミングとの対応関係を正確に判別することができ、応答遅れ時間を正確に検出することが可能となる。
よって、本発明方法によれば、応答遅れ時間が空燃比切替周期よりも長くなる場合であっても、空燃比の切替タイミングと排気ガスセンサのセンサ出力の応答タイミングとの対応関係を正確に判断でき、応答遅れ時間を正確に検出できることから、精度良くセンサの特性を評価することができる。
次に、上述の排気ガスセンサ特性評価方法においては、請求項2に記載のように、周波数変更ステップにおいて、空燃比をリッチ空燃比またはリーン空燃比のいずれかに固定し、空燃比の切替周波数を0[Hz]に設定するとよい。
このように、周波数変更タイミング後の空燃比をリッチ空燃比またはリーン空燃比に固定することで、周波数変更タイミングの前後における空燃比の切替周波数の違いを容易に識別できると共に、周波数変更タイミングでの空燃比の切替タイミングと応答周期変化タイミングでのセンサ出力の応答タイミングとの対応関係をより一層容易に判別できる。
また、空燃比の切替周波数を0[Hz]以外の周波数に設定する場合に比べて、空燃比の切替周波数を0[Hz]に設定する手法は、空燃比の制御が容易であることから、排気ガスセンサの評価作業における空燃比制御作業の負担軽減を図ることができる。
よって、本発明方法によれば、空燃比制御における作業負担を軽減できると共に、周波数変更タイミングにおける空燃比の切替タイミングとセンサ出力の応答タイミングとの対応関係を容易に判断することができる。
次に、上述の排気ガスセンサ特性評価方法においては、請求項3に記載のように、周波数変更タイミングの経過後は、空燃比をリッチ空燃比に固定するとよい。
つまり、リーン空燃比での運転時には、内燃機関において失火などの不安定な運転状態が発生しやすく、内燃機関へのダメージが大きくなる虞があるのに対して、リッチ空燃比での運転時には、失火などの不安定な運転状態が発生し難くなるため、内燃機関へのダメージを抑制できるという利点がある。
つまり、リーン空燃比での運転時には、内燃機関において失火などの不安定な運転状態が発生しやすく、内燃機関へのダメージが大きくなる虞があるのに対して、リッチ空燃比での運転時には、失火などの不安定な運転状態が発生し難くなるため、内燃機関へのダメージを抑制できるという利点がある。
よって、本発明方法によれば、排気ガスセンサの特性評価を行うにあたり、内燃機関が不安定な運転状態になるのを抑制して内燃機関へのダメージの軽減できると共に、周波数変更タイミングにおける空燃比の切替タイミングとセンサ出力の応答タイミングとの対応関係を容易に判断することができる。
以下に、本発明を適用した実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明方法に係る排気ガスセンサ特性評価方法に使用する排気ガスセンサ特性評価装置10の概略構成図である。
図1は、本発明方法に係る排気ガスセンサ特性評価方法に使用する排気ガスセンサ特性評価装置10の概略構成図である。
なお、排気ガスセンサ特性評価装置10は、自動車用エンジンの排気系統に装着される排気ガスセンサの特性を評価するための装置であり、エンジン本体1、吸気多岐管11、排気多岐管12、電子制御装置5、特性評価用制御装置42などを備えた、いわゆる実機評価用の装置である。
エンジン本体1は、4気筒の排気量2000[cc]のエンジンである。電子制御装置5は、自動車用エンジンを所定の運転条件(エンジン回転数(エンジン回転速度)、吸気圧など)で制御するためのマイコンを備える周知のエンジンコントロールユニット(ECU)である。
吸気多岐管11の上流部には、吸入空気量を測定するためのエアフローセンサ13が備えられており、また、吸気多岐管11のエンジンインポート部分には、燃料噴射のためのインジェクタ14が気筒毎に備えられている。
排気多岐管12の下流部には、排気ガス中の窒素酸化物、一酸化炭素、炭化水素を反応させる3元触媒を担持させた担体を備える触媒コンバータ2が備えられている。また、排気多岐管12のうち触媒コンバータ2の上流側には、特性評価の対象となる排気ガスセンサを取り付けるためのセンサ取付部15が備えられている。さらに、排気多岐管12は、エンジン本体1と連結される入口側端部からセンサ取付部15までの配管長さ寸法が1[m]となるよう形成されている。
なお、本実施形態では、センサ取付部15に、排気ガスセンサ3が装着されている。排気ガスセンサ3のセンサ出力は、モニタ装置16により所定の電気信号に変換されて、特性評価用制御装置42に入力される。
排気ガスセンサ3は、ジルコニアを主体とする酸素イオン伝導性固体電解質管の内面および外面に白金などを主体とする多孔質電極層が被着されて、該多孔質電極層のうち外面に被着された多孔質電極層の表面を多孔性セラミック層で保護した
有底筒状の酸素濃淡電池素子を、排気ガス通気穴付きのハウジング内に固定した構造を有する。この排気ガスセンサ3は、3元触媒コンバータを使用した自動車エンジンにおいて、排気ガス中の酸素濃度を検出する用途に適用されるものであり、理論空燃比(空気過剰率λ=1)を境界として急激な起電力(センサ出力)の変化を示す酸素センサ(λセンサ)に相当する。
有底筒状の酸素濃淡電池素子を、排気ガス通気穴付きのハウジング内に固定した構造を有する。この排気ガスセンサ3は、3元触媒コンバータを使用した自動車エンジンにおいて、排気ガス中の酸素濃度を検出する用途に適用されるものであり、理論空燃比(空気過剰率λ=1)を境界として急激な起電力(センサ出力)の変化を示す酸素センサ(λセンサ)に相当する。
また、排気多岐管12の触媒コンバータ2の上流側には、エンジンに供給された混合気の空燃比(A/F)の平均値を検出するための空燃比センサ4が装着されている。
空燃比センサ4は、周知の全領域空燃比センサであり、酸素濃淡電池素子と酸素ポンピング素子とを組み合わせて構成され、リッチ空燃比からリーン空燃比の全域に沿って混合気の空燃比に対応した出力を生じる。空燃比センサ4のセンサ出力は、空燃比メータ41(A/Fメータ41)により所定の電気信号に変換されて、特性評価用制御装置42に入力される。
空燃比センサ4は、周知の全領域空燃比センサであり、酸素濃淡電池素子と酸素ポンピング素子とを組み合わせて構成され、リッチ空燃比からリーン空燃比の全域に沿って混合気の空燃比に対応した出力を生じる。空燃比センサ4のセンサ出力は、空燃比メータ41(A/Fメータ41)により所定の電気信号に変換されて、特性評価用制御装置42に入力される。
特性評価用制御装置42は、エアフローセンサ13および空燃比センサ4の各センサ出力信号が入力されて、これらのセンサ出力に基づきエンジンにおける実際の空燃比をモニタしつつ、一定の切替周波数で空燃比をリッチ空燃比(空燃比λ=0.95)およびリーン空燃比(空燃比λ=1.05)に交互に切り替えるように、電子制御装置5に出力する空燃比指令信号を制御する。このとき、電子制御装置5は、エンジン回転数(エンジン回転速度)が2000[rpm]、吸気圧が−50[kPa]となるように、自動車用エンジンの運転条件を制御する。
また、特性評価用制御装置42は、排気ガスセンサ3のセンサ出力信号が入力されており、このセンサ出力信号の変化波形と空燃比指令信号の変化波形とを用いて、排気ガスセンサ3の特性評価を行う。
ここで、空燃比指令信号(インジェクション信号)、排気ガスセンサ3のセンサ出力信号(酸素センサ信号)、空燃比センサ4のセンサ出力信号(空燃比センサ信号)の各変化波形を表すタイムチャートを図2に示す。また、特性評価用制御装置42で実行されるセンサ特性評価制御処理の処理内容を表すフローチャートを図3に示す。
特性評価用制御装置42において、センサ特性評価制御処理が起動されると、図3に示すように、まず、S110(Sはステップを表す)にて、空燃比指令信号の切替周波数(インジェクション周波数)を特性評価用切替周波数(本実施形態では、1.5[Hz])に設定すると共に、設定された切替周波数(特性評価用切替周波数)で空燃比指令信号をリッチ空燃比およびリーン空燃比に交互に切り替える処理を開始する。
次のS120では、空燃比指令信号(インジェクション信号)、排気ガスセンサ3のセンサ出力信号(酸素センサ信号)をそれぞれ記録する処理を開始する。
続くS130では、S120での変化波形の記録開始時を起点として評価用センサ出力記録時間が経過したか否かを判断しており、肯定判定する場合にはS140に移行し、否定判定する場合には同ステップを繰り返し実行することで、評価用センサ出力記録時間が経過するまで待機する。
続くS130では、S120での変化波形の記録開始時を起点として評価用センサ出力記録時間が経過したか否かを判断しており、肯定判定する場合にはS140に移行し、否定判定する場合には同ステップを繰り返し実行することで、評価用センサ出力記録時間が経過するまで待機する。
なお、評価用センサ出力記録時間は、空燃比の周期的変化が安定した後において、排気ガスセンサ3の評価に必要な個数の応答遅れ時間を採取することができる時間が予め設定されている。
S140では、空燃比指令信号の切替周波数を識別用切替周波数(本実施形態では、0[Hz])に設定すると共に、空燃比指令信号をリッチ空燃比に固定する処理を行う。つまり、S140では、空燃比指令信号の切替周波数を変更する処理を行う。
次のS150では、S140での周波数変更タイミングを起点として識別用センサ出力記録時間が経過したか否かを判断しており、肯定判定する場合にはS160に移行し、否定判定する場合には同ステップを繰り返し実行することで、識別用センサ出力記録時間が経過するまで待機する。
なお、識別用センサ出力記録時間は、周波数変更タイミングでの空燃比指令信号の切替タイミングに対応するセンサ出力信号の応答タイミングを採取することができる時間が予め設定されている。
S160では、空燃比指令信号(インジェクション信号)、排気ガスセンサ3のセンサ出力信号(酸素センサ信号)の各変化波形を記録する処理を停止する。
次のS170では、まず、センサ出力信号の変化波形においてセンサ出力信号が空燃比判定閾値(酸素センサ信号閾値)に達する応答タイミングを検出し、検出した複数の応答タイミングのうち応答タイミングの発生周期が変化する応答周期変化タイミングを検出する処理を行う。そして、検出した応答周期変化タイミングにおけるセンサ出力信号の応答タイミングを、周波数変更タイミングでの空燃比指令信号の切替タイミングに対応する応答タイミングとして判別する処理を行う。なお、本実施形態においては、空燃比判定閾値(酸素センサ信号閾値)は、0.45[V]に予め設定されている。
次のS170では、まず、センサ出力信号の変化波形においてセンサ出力信号が空燃比判定閾値(酸素センサ信号閾値)に達する応答タイミングを検出し、検出した複数の応答タイミングのうち応答タイミングの発生周期が変化する応答周期変化タイミングを検出する処理を行う。そして、検出した応答周期変化タイミングにおけるセンサ出力信号の応答タイミングを、周波数変更タイミングでの空燃比指令信号の切替タイミングに対応する応答タイミングとして判別する処理を行う。なお、本実施形態においては、空燃比判定閾値(酸素センサ信号閾値)は、0.45[V]に予め設定されている。
S170では、具体的には、まず、センサ出力信号が空燃比判定閾値と等しくなる時刻をそれぞれ応答タイミングとして検出し、時系列において隣接する応答タイミング間の時間間隔を応答タイミングの発生周期として検出する処理を行う。なお、最後の応答タイミングの直後の発生周期は、図2に示す波形からも明らかなように、実際には無限大であるが、マイコン内部での演算処理では無限大という数値を扱うことができない場合がある。このため、マイコン内部での演算処理を正常に動作させるためには、例えば、最後の応答タイミングの直後の発生周期に、他の発生周期よりも十分に大きい仮の数値(例えば、直前の発生周期の100倍に相当する数値)を代入することで、上記の演算処理を正常に行うことができる。
次に、センサ出力信号における複数の応答タイミングのうち、周波数変更タイミングでの空燃比指令信号の切替方向(リッチからリーンへの切替方向、リーンからリッチへの切替方向)が同一方向となる応答タイミングを抽出する処理を行う。
そして、抽出した応答タイミングを境界として隣接する発生周期どうしの差分値を検出し、差分値が最も大きくなる発生周期どうしの境界となる応答タイミングを、応答周期変化タイミングとして検出する処理を行う。このようにして検出した応答周期変化タイミングにおけるセンサ出力信号の応答タイミングを、周波数変更タイミングでの空燃比指令信号の切替タイミングに対応する応答タイミングとして判別する処理を行う。
なお、図2のタイムチャートでは、空燃比指令信号(インジェクション信号)の変化波形において、最後に空燃比指令信号がリーン空燃比からリッチ空燃比に変化した時刻はti1であり、この時刻ti1が周波数変更タイミングに相当する。そして、排気ガスセンサ3のセンサ出力信号(酸素センサ信号)の変化波形においては、変化方向がリーン側からリッチ側であって最後に酸素センサ信号閾値と等しくなる時刻はts1である。
なお、本実施形態においては、周波数変更タイミングの後は、空燃比指令信号をリッチ空燃比に固定しており、空燃比指令信号の切替周波数を0[Hz]に設定することから、S170での処理内容を次のように置き換えることも可能である。
つまり、S170を、センサ出力信号の変化波形においてセンサ出力信号が空燃比判定閾値(酸素センサ信号閾値)に達する応答タイミングを検出し、検出した応答タイミングのうち最後の応答タイミングを応答周期変化タイミングとして検出し、応答周期変化タイミングにおけるセンサ出力の応答タイミングを周波数変更タイミングでの空燃比指令信号の切替タイミングに対応する応答タイミングとして判別する処理内容に置き換えることも可能である。
次に、S180では、記録した空燃比指令信号の変化波形およびセンサ出力信号の変化波形について、周波数変更タイミングでの空燃比の切替タイミングおよび応答周期変化タイミングでのセンサ出力の応答タイミングを基準として、その他の空燃比の切替タイミングに対応するセンサ出力の応答タイミングを判別する処理を行う。
具体的には、図2のタイムチャートからも明らかなように、空燃比指令信号の変化波形においては、周波数変更タイミングは時刻ti1であり、この時刻ti1での空燃比指令信号の切替タイミングを基準として、隣接する時刻ti2(換言すれば、直前の時刻ti2)での空燃比指令信号の切替タイミングを検出する。また、センサ出力信号の変化波形においては、応答周期変化タイミングは時刻ts1であり、この時刻ts1でのセンサ出力信号の応答タイミングを基準として、隣接する時刻ts2(換言すれば、直前の時刻ts2)でのセンサ出力信号の応答タイミングを検出する。そして、このようにして検出された時刻ti2での空燃比指令信号の切替タイミングと、時刻ts2でのセンサ出力信号の応答タイミングとを、互いに対応するものであると判別する。
同様に、時刻ti2での空燃比の切替タイミングおよび時刻ts2でのセンサ出力の応答タイミングを基準として、これらのタイミングに隣接する時刻ti3での空燃比の切替タイミングおよび時刻ts3でのセンサ出力の応答タイミングがそれぞれ対応するものであると判断する。このような判断を繰り返し実行することにより、その他の空燃比の切替タイミング(図2においては、時刻ti3〜時刻ti7)に対応するセンサ出力の応答タイミング(図2においては、時刻ts3〜時刻ts7)を判別する処理を行う。
次のS190では、空燃比の変化波形における複数の空燃比の切替タイミングとセンサ出力の変化波形における複数のセンサ出力の応答タイミングとに基づいて、空燃比の切替タイミングを開始点とし、センサ出力の応答タイミングを終了点として、開始点から終了点までの応答遅れ時間を検出する処理を行う。
なお、応答遅れ時間を複数検出できる場合には、平均値を算出することで、誤差の影響を抑えることができる。また、応答遅れ時間は、詳細に区分すると、空燃比指令信号をリッチ空燃比からリーン空燃比に切り替えたときの応答遅れ時間であるTRSと、空燃比指令信号をリーン空燃比からリッチ空燃比に切り替えたときの応答遅れ時間であるTLSとに区分することができる。
次のS200では、検出した応答遅れ時間に基づき、評価対象の排気ガスセンサ3の特性を評価する処理を行う。例えば、S190で検出した応答遅れ時間と、予め定められた評価用判定値とを比較して、比較結果に応じて排気ガスセンサ3の特性を評価する処理を行う。
なお、S200においては、「TRS+TLS」を算出し、「TRS+TLS」と予め定められた評価用判定値とを比較して、排気ガスセンサの応答遅れの大きさを評価する処理や、「TRS−TLS」を算出し、「TRS−TLS」と予め定められた評価用判定値とを比較して、リーン側でのセンサ応答性とリッチ側でのセンサ応答性とのアンバランスの程度を評価する処理を行うこともできる。
そして、S200での処理が完了すると、センサ特性評価制御処理が終了する。
なお、センサ特性評価制御処理においては、S140が特許請求の範囲における周期変更ステップに相当し、S170が基準判別ステップに相当し、S180が対応判別ステップに相当している。
なお、センサ特性評価制御処理においては、S140が特許請求の範囲における周期変更ステップに相当し、S170が基準判別ステップに相当し、S180が対応判別ステップに相当している。
以上説明したように、本実施形態の排気ガスセンサ特性評価装置10は、一定の切替周波数で空燃比をリッチまたはリーンに切り替えて、空燃比の変化波形およびセンサ出力の変化波形に基づき応答遅れ時間を検出するにあたり、空燃比の切替周波数を上記一定の切替周波数とは異なる値に変更する周波数変更ステップを有する排気ガスセンサ特性評価方法により、評価対象の排気ガスセンサ3を評価している。
つまり、周波数変更ステップを有することで、空燃比指令信号の切替周波数が変更される周波数変更タイミングの前後において、空燃比指令信号の変化波形における切替タイミングの発生周期が変化するため、周波数変更タイミングの前と後では異なる周期の変化波形を示すことになる。また、センサ出力信号の変化波形は、周波数変更タイミングでの空燃比の切替タイミングに対応する応答タイミング(応答周期変化タイミング)の前後において、応答タイミングの発生周期が変化するため、応答周期変化タイミングの前と後では異なる周期の変化波形を示す。
このため、空燃比指令信号の変化波形とセンサ出力信号の変化波形とを対比するにあたり、波形周期が変化する部分どうしを対応づけることで、周波数変更タイミングにおける空燃比指令信号の切替タイミングとセンサ出力信号の応答タイミングとの対応関係を正確かつ容易に判別することが可能となる。つまり、センサ出力信号の変化波形において応答タイミングの発生周期が変化する応答周期変化タイミングを検出することで、この応答周期変化タイミングにおけるセンサ出力信号の応答タイミングを周波数変更タイミングでの空燃比指令信号の切替タイミングに対応する応答タイミングとして判別できる。
そして、空燃比指令信号の変化波形において周波数変更タイミングでの空燃比指令信号の切替タイミングに隣接する切替タイミングと、センサ出力信号の変化波形において応答周期変化タイミングでのセンサ出力信号の応答タイミングに隣接する応答タイミングとは、互いに対応するものである。このため、周波数変更タイミングにおける空燃比指令信号の切替タイミングに隣接する切替タイミングに関しては、周波数変更タイミングでの空燃比指令信号の切替タイミングおよび応答周期変化タイミングでのセンサ出力の応答タイミングを基準とすることにより、センサ出力信号の応答タイミングとの対応関係を正確に判別することができる。
さらに、対応関係が明らかとなった空燃比指令信号の切替タイミングおよびセンサ出力信号の応答タイミングを基準として、隣接する切替タイミングおよび応答タイミングを繰り返し特定することで、空燃比指令信号の変化波形およびセンサ出力信号の変化波形の全体について、空燃比指令信号の切替タイミングとセンサ出力信号の応答タイミングとの対応関係を正確に判別できる。
これにより、応答遅れ時間が空燃比指令信号の切替周期(空燃比指令信号の切替周波数の逆数)よりも長くなる場合であっても、一定の切替周波数で繰り返し変化する2つの波形(空燃比指令信号の変化波形およびセンサ出力信号の変化波形)における空燃比の切替タイミングとセンサ出力の応答タイミングとの対応関係を正確に判別することができ、応答遅れ時間を正確に検出することが可能となる。
よって、本実施形態によれば、応答遅れ時間が空燃比切替周期よりも長くなる場合であっても、空燃比の切替タイミングと排気ガスセンサのセンサ出力の応答タイミングとの対応関係を正確に判断でき、応答遅れ時間を正確に検出できることから、精度良くセンサの特性を評価することができる。
なお、空燃比の切替周波数が1.2Hz以上に設定される場合に、応答遅れ時間が空燃比切替周期よりも長くなり易いことから、本発明方法は、リッチ空燃比とリーン空燃比との切替周波数が1.2Hz以上に設定される排気ガスセンサ特性評価方法に適用することで、空燃比指令信号の切替タイミングとセンサ出力信号の応答タイミングとの対応関係を誤って判別するのを、より好適に防ぐことができる。
また、本実施形態においては、周波数変更ステップ(S140)において、空燃比をリッチ空燃比に固定し、空燃比の切替周波数を0[Hz]に設定している。
このように、周波数変更タイミング後の空燃比をリッチ空燃比(またはリーン空燃比)に固定することで、周波数変更タイミングの前後における空燃比の切替周波数の違いを容易に識別できると共に、周波数変更タイミングでの空燃比の切替タイミングと応答周期変化タイミングでのセンサ出力の応答タイミングとの対応関係を容易に判別できる。
このように、周波数変更タイミング後の空燃比をリッチ空燃比(またはリーン空燃比)に固定することで、周波数変更タイミングの前後における空燃比の切替周波数の違いを容易に識別できると共に、周波数変更タイミングでの空燃比の切替タイミングと応答周期変化タイミングでのセンサ出力の応答タイミングとの対応関係を容易に判別できる。
また、空燃比指令信号の切替周波数を0[Hz]以外の周波数に設定する場合に比べて、空燃比指令信号の切替周波数を0[Hz]に設定する手法は、空燃比の制御が容易であることから、排気ガスセンサの評価処理における空燃比設定処理の負担軽減を図ることができる。
よって、本実施形態によれば、空燃比制御における処理負担を軽減できると共に、周波数変更タイミングにおける空燃比の切替タイミングとセンサ出力の応答タイミングとの対応関係を容易に判断することができる。
なお、リーン空燃比での運転時には、内燃機関において失火などの不安定な運転状態が発生しやすく、内燃機関へのダメージが大きくなる虞があるのに対して、リッチ空燃比での運転時には、失火などの不安定な運転状態が発生し難くなるため、内燃機関へのダメージを抑制できるという利点がある。
そして、本実施形態においては、周波数変更タイミングの経過後は、空燃比をリッチ空燃比に固定していることから、内燃機関が不安定な運転状態になるのを抑制して内燃機関へのダメージの軽減できると共に、周波数変更タイミングにおける空燃比の切替タイミングとセンサ出力の応答タイミングとの対応関係を容易に判断することができる。
なお、上述した実施形態(以下、第1実施形態という)のセンサ特性評価制御処理においては、空燃比の切替周波数を変更する周波数変更ステップは1回のみ実行する構成であるが、周波数変更ステップを複数実行してもよい。
例えば、空燃比指令信号を一定の特性評価用周波数(例えば、1.5[Hz])で切り替えて排気ガスセンサの特性を評価するにあたり、空燃比の切替周波数を特性評価用周波数とは異なる識別用周波数(例えば、0.75[Hz])に変更した後、再度、特性評価用周波数に変更する実施形態を挙げることができる。
ここで、周波数変更ステップを2回実行する実施形態(第2実施形態)における、空燃比指令信号(インジェクション信号)、排気ガスセンサのセンサ出力信号(酸素センサ信号)、空燃比センサのセンサ出力信号(空燃比センサ信号)の各変化波形を表すタイムチャートを図4に示す。
タイムチャートにおける空燃比指令信号(インジェクション信号)の変化波形から明らかなように、第2実施形態においては、時刻ti13と時刻ti14の2回にわたり、空燃比指令信号(インジェクション信号)の切替周波数を変更する周波数変更ステップを実行している。つまり、第2実施形態の排気ガスセンサ特性評価装置は、空燃比指令信号(インジェクション信号)の切替周波数(インジェクション周波数)を1.5[Hz]から0.75[Hz]に変更した後、一定時間経過後に、切替周波数を0.75[Hz]から1.5[Hz]に変更する。
そして、センサ出力信号(酸素センサ信号)の変化波形によれば、時刻ts13でのセンサ出力信号の応答タイミングが時刻ti13での空燃比指令信号の切替タイミングに対応し、時刻ts14でのセンサ出力信号の応答タイミングが時刻ti14での空燃比指令信号の切替タイミングに対応することが判る。
これにより、時刻ti13よりも早い時刻における空燃比指令信号の切替タイミングに関しては、時刻ti13での空燃比指令信号の切替タイミングおよび時刻ts13でのセンサ出力信号の応答タイミングを基準として、対応するセンサ出力信号の応答タイミングを判別することができる。また、時刻ti14よりも遅い時刻における空燃比指令信号の切替タイミングに関しては、時刻ti14での空燃比指令信号の切替タイミングおよび時刻ts14でのセンサ出力信号の応答タイミングを基準として、対応するセンサ出力信号の応答タイミングを判別することができる。
なお、第2実施形態でのセンサ特性評価制御処理を実現するためには、例えば、第1実施形態でのセンサ特性評価制御処理の処理内容において、S150とS160との間に、S150で肯定判定された場合に切替周波数を0.75[Hz]から1.5[Hz]に変更する周波数変更ステップと、この周波数変更ステップでの周波数変更タイミングを起点として第2評価用センサ出力記録時間が経過したか否かを判断する記録時間判定ステップと、を設けるとよい。また、S170での処理内容を、2回の周波数変更タイミングそれぞれについて、空燃比の切替タイミングに対するセンサ出力の応答タイミングを判別する処理内容とし、さらに、S180での処理内容を、2回の周波数変更タイミングでの空燃比の切替タイミングおよび2回の応答周期変化タイミングでのセンサ出力の応答タイミングを基準として、その他の空燃比の切替タイミングに対応するセンサ出力の応答タイミングを判別する処理とすることで、第2実施形態でのセンサ特性評価制御処理を構成することができる。
以上説明したように、第2実施形態の排気ガスセンサ評価装置においては、空燃比指令信号を一定の特性評価用周波数で切り替える特性評価用期間の途中において、特性評価用周波数とは異なる識別用周波数に変更する識別用期間を設けることで、空燃比指令信号の変化波形とセンサ出力信号の変化波形との対応関係を判別している。
したがって、第2実施形態によれば、応答遅れ時間が空燃比切替周期よりも長くなる場合であっても、空燃比の切替タイミングと排気ガスセンサのセンサ出力の応答タイミングとの対応関係を正確に判別でき、応答遅れ時間を精度良く検出できることから、排気ガスセンサの特性評価における評価精度の向上を図ることができる。
なお、特性評価用期間の途中に識別用期間を設ける場合には、空燃比指令信号の変化波形およびセンサ出力信号の変化波形の記録処理と並行して、空燃比指令信号の変化波形とセンサ出力信号の変化波形との対応関係を判別する処理を実行してもよい。このように処理を並行して実行することにより、空燃比指令信号の変化波形およびセンサ出力信号の変化波形の記録が全て完了するのを待つことなく、変化波形を記録する途中段階においても、空燃比指令信号の変化波形とセンサ出力信号の変化波形との対応関係を正確に判別できるという利点がある。
次に、第3実施形態として、空燃比切替周期(空燃比切替周波数の逆数)が異なる条件下での排気ガスセンサの特性を評価するために、一連の処理において空燃比の切替周波数を異なる特性評価用周波数に設定して排気ガスセンサの特性評価を行う実施形態について説明する。
ここで、第3実施形態での、空燃比指令信号(インジェクション信号)、排気ガスセンサのセンサ出力信号(酸素センサ信号)、空燃比センサのセンサ出力信号(空燃比センサ信号)の各変化波形を表すタイムチャートを図5に示す。
タイムチャートにおける空燃比指令信号(インジェクション信号)の変化波形から明らかなように、第3実施形態においては、時刻ti34にて空燃比指令信号(インジェクション信号)の切替周波数を変更する周波数変更ステップを実行している。つまり、第3実施形態の排気ガスセンサ特性評価装置は、時刻ti34よりも早い時刻においては空燃比指令信号(インジェクション信号)の切替周波数(インジェクション周波数)を第1特性評価用周波数(本実施形態では1.5[Hz])に設定して、時刻ti34よりも遅い時刻においては空燃比指令信号の切替周波数を第1特性評価用周波数とは異なる第2特性評価用周波数(本実施形態では0.5[Hz])に設定している。
そして、センサ出力信号(酸素センサ信号)の変化波形によれば、時刻ts34でのセンサ出力信号の応答タイミングが時刻ti34での空燃比指令信号の切替タイミングに対応すると判別することができる。これにより、その他の空燃比指令信号の切替タイミングに関しては、時刻ti34での空燃比指令信号の切替タイミングおよび時刻ts34でのセンサ出力信号の応答タイミングを基準として、対応するセンサ出力信号の応答タイミングを判別することができる。
なお、第3実施形態でのセンサ特性評価制御処理を実現するためには、例えば、第1実施形態でのセンサ特性評価制御処理の処理内容において、S130での処理内容を第1評価用センサ出力記録時間が経過したか否かを判断する処理に置き換え、S140での処理内容を空燃比指令信号の切替周波数を第2特性評価用周波数に変更する処理に置き換え、S150での処理内容を第2評価用センサ出力記録時間が経過したか否かを判断する処理に置き換えるとよい。また、S190での処理内容を、空燃比を第1特性評価用周波数で切り替えた場合の応答遅れ時間と、空燃比を第2特性評価用周波数で切り替えた場合の応答遅れ時間とを、それぞれ別に検出する処理に置き換え、S200での処理内容を、検出した2種類の応答遅れ時間に基づき、異なる条件下での排気ガスセンサの特性をそれぞれ評価する処理に置き換えることで、第3実施形態でのセンサ特性評価制御処理を構成することができる。
以上説明したように、第3実施形態の排気ガスセンサ評価装置においては、一連の処理の中で空燃比指令信号の切替周期を2種類の特性評価用周波数に設定することで、空燃比切替周期が異なる条件下での排気ガスセンサの特性を評価できると共に、周波数変更タイミングの前と後における波形変化に基づいて、空燃比指令信号の変化波形とセンサ出力信号の変化波形との対応関係を判別することができる。
したがって、第3実施形態によれば、応答遅れ時間が空燃比切替周期よりも長くなる場合であっても、応答遅れ時間を精度良く検出できるから、排気ガスセンサの特性評価における評価精度の向上を図ることができる。また、第3実施形態によれば、一連の処理において、異なる条件下での排気ガスセンサの特性を評価できることから、複数の条件下におけるガスセンサの特性評価を行うにあたり、作業負担を軽減することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、空燃比判定閾値(酸素センサ信号閾値)は、リッチ側変化時とリーン側変化時とで同一値に設定する場合に限られることはなく、リッチ側変化時とリーン側変化時とでそれぞれ異なる値に設定してもよい。あるいは、空燃比判定閾値(酸素センサ信号閾値)は、固定値に限られることはなく、評価対象となるセンサの種類や内燃機関の運転条件などに応じて値が変化する可変値としても良い。
例えば、空燃比判定閾値(酸素センサ信号閾値)は、リッチ側変化時とリーン側変化時とで同一値に設定する場合に限られることはなく、リッチ側変化時とリーン側変化時とでそれぞれ異なる値に設定してもよい。あるいは、空燃比判定閾値(酸素センサ信号閾値)は、固定値に限られることはなく、評価対象となるセンサの種類や内燃機関の運転条件などに応じて値が変化する可変値としても良い。
また、空燃比指令信号を切替える場合の空燃比λの目標値に関しては、リッチ空燃比としての空燃比がλ=0.95、リーン空燃比としての空燃比がλ=1.05に限られることはなく、排気ガスセンサの種類や測定条件に応じて、その他の値を設定しても良い。
3…排気ガスセンサ、5…電子制御装置、10…排気ガスセンサ特性評価装置、11…吸気多岐管、12…排気多岐管、15…センサ取付部、42…特性評価用制御装置。
Claims (3)
- 排気ガスセンサを内燃機関の排気経路に取り付け、一定の切替周波数で前記内燃機関の空燃比をリッチ空燃比およびリーン空燃比に交互に切り替えると共に、排気ガスの成分に応じて前記排気ガスセンサから出力されるセンサ出力を検出し、
前記空燃比の変化波形における前記空燃比の切替タイミングを開始点とし、前記センサ出力の変化波形において前記センサ出力が空燃比判定閾値に達する応答タイミングを終了点として、前記開始点から前記終了点までの応答遅れ時間を検出し、
前記応答遅れ時間に基づき前記排気ガスセンサの特性を評価する排気ガスセンサ特性評価方法であって、
前記空燃比を交互に切り替えるにあたり、前記空燃比の切替周波数を変更する周波数変更ステップと、
前記周波数変更ステップによる周波数変更タイミングの後において、前記センサ出力の変化波形において前記応答タイミングの発生周期が変化する応答周期変化タイミングを検出し、前記応答周期変化タイミングにおける前記センサ出力の応答タイミングを前記周波数変更タイミングでの空燃比の切替タイミングに対応する応答タイミングとして判別する基準判別ステップと、
前記周波数変更タイミングでの前記空燃比の切替タイミングおよび前記応答周期変化タイミングでの前記センサ出力の応答タイミングを基準として、その他の前記空燃比の切替タイミングに対応する前記センサ出力の応答タイミングを判別する対応判別ステップと、
を有することを特徴とする排気ガスセンサ特性評価方法。 - 前記周波数変更ステップにおいて、前記空燃比をリッチ空燃比またはリーン空燃比のいずれかに固定し、前記空燃比の切替周波数を0[Hz]に設定すること、
を特徴とする請求項1に記載の排気ガスセンサ特性評価方法。 - 前記周波数変更ステップにおいて、前記空燃比をリッチ空燃比に固定すること、
を特徴とする請求項2に記載の排気ガスセンサ特性評価方法。
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