JP2006070803A - 内燃機関の無線データ収集装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 内燃機関に取り付けられた複数のセンサからの計測データを、無線通信により収集する内燃機関の無線データ収集装置を提供する。
【解決手段】 無線データ収集装置10は、運転状態を計測する無線センサユニット12を内燃機関の複数箇所に配設し、前記各無線センサユニット12の少なくとも1つ以上は他の前記無線センサユニット12の通信距離内に配設され、少なくとも1つ以上の前記無線センサユニット12の通信距離内に、前記無線センサユニット12と双方向の無線通信手段14を接続した演算表示装置16を設けた構成とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は内燃機関の無線データ収集装置に係り、特に発電用や船舶推進用等に用いられている内燃機関に取り付けられた複数のセンサから情報を得る内燃機関の無線データ収集装置に関する。
発電用や船舶推進用に用いられている大型ディーゼルエンジン設備において、エンジンを安全かつ効率的に運転するために、吸気温度、排気温度、エンジン回転数、油圧、燃料圧力、排気中の酸素濃度や窒素酸化物濃度等を計測する必要がある。そのためにエンジン各部に多数のセンサを取り付け、また一部のセンサとデータ収集装置を配線で接続して、センサ出力を集中管理している。データ収集装置は安全上の問題からエンジン本体とは離れた場所に設置した制御室に置かれることが多い。
また特許文献1には、大型ディーゼルエンジンに圧力センサと回転角センサを取り付け、これらのセンサに計測装置を接続してセンサの計測データを収集し、メモリカードを用いて前記計測データをコンピュータに読み込んで、このコンピュータでデータ解析することが開示されている。
特開2000−186611号公報
しかしながら、大型のエンジン各部に多数の配線を敷設するためには、長大な配線と多数のコネクタが必要であり、その費用がかさむ問題点がある。またこの費用に加えて、配線敷設に要する人件費、配線カバー等の安全対策のための付帯設備費用、配線維持にかかる追加メンテナンスコストが必要である。またディーゼルエンジンの設置スペースが限定されているために、大型ディーゼルエンジン設備において多大な配線設置スペースを確保するためには運転員巡回通路や保安設備を縮小せざるを得ず、安全上の問題が生じる。これら費用的、保安的な制約が大きいため、技術的に配線を敷設することが可能な場所であっても配線敷設を諦め、エンジン運転上不可欠な部分にのみ最小限の配線を敷設している。結果として、より効率的な運転制御や予防保全などに重要な役割を果たすエンジン各部のデータ収集が疎かになっている問題点がある。
また配線を敷設しなかった場所に設置されたセンサ出力を確認するためには、運転員が大型エンジン設備内を定期的に巡回してセンサ出力を読み取る必要がある。そして運転員が巡回したときにしかセンサ出力を読み取ることができないので、センサが異常値を示している場合でもその発見が遅れる可能性が高い。また運転員の労働負荷が大きくなるため、他の作業に支障をきたし、あるいは運転員を増員する必要が生じるため運転コストが上昇する問題点がある。
また配線敷設コストを少しでも低減するために複数の配線を束ねて敷設する場合が多いが、火災等の事故が発生した場合には多数の配線が同時に切断され、復旧が極めて困難になる問題点がある。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、内燃機関に取り付けられた複数のセンサからの計測データを、無線通信により収集する内燃機関の無線データ収集装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る内燃機関の無線データ収集装置は、運転状態を計測する無線センサユニットを内燃機関の複数箇所に配設し、前記各無線センサユニットの少なくとも1つ以上は他の前記無線センサユニットの通信距離内に配設され、少なくとも1つ以上の前記無線センサユニットの通信距離内に、前記無線センサユニットと双方向の無線通信手段で接続した演算表示装置を設けた、ことを特徴としている。
また前記無線センサユニットは、内燃機関の運転状態を計測するセンサ部と、前記センサ部の計測結果を送信する無線通信部と、少なくとも前記無線通信部への電力供給部とを備えたことを特徴としている。
また前記センサ部は、圧力センサ、温度センサ、振動センサ、音響センサ、ガスセンサ、加速度センサ、酸素濃度センサの何れか1つまたは任意の組み合わせからなることを特徴としている。
また複数の前記無線センサユニットにより無線センサユニット群を形成し、前記無線センサユニット群内で自律的に複数の無線通信経路を選択することを特徴としている。
また前記無線センサユニットにより構築する無線ネットワークに、無線通信を中継する無線中継ユニットを設けたことを特徴としている。
また前記無線センサユニット同士の無線通信と、前記無線センサユニットと前記無線通信手段との無線通信とに、ブルートゥースを用いることを特徴としている。
上述した無線データ収集装置を用いることにより、内燃機関の各部を計測して、計測した結果を無線で収集することができる。そして無線センサユニットは自律的に無線ネットワークを構築できるので、短時間で容易に内燃機関各部の計測を行うシステムを構築できる。また無線ネットワークの一部が機能しなくなっても、自律的に新たな無線ネットワークを構築できるので、計測システムとしての機能を保つことができる。
以下に、本発明に係る内燃機関の無線データ収集装置の好ましい実施の形態について説明する。本実施の形態では、内燃機関として発電用や船舶推進用に用いられる大型ディーゼルエンジン設備を用いた形態について説明するが、本発明はこの実施の形態に限定されることはない。
図1に無線データ収集装置のブロック図を示す。また図2に無線センサユニットの説明図を示す。なお図2(a)は無線センサユニットの平面図を示し、同図(b)は無線センサユニットの側面図を示す。無線データ収集装置10は、ディーゼルエンジンの各部に配設される複数の無線センサユニット12と、ディーゼルエンジンから離れた位置に設けられ、無線センサユニット12と双方向の無線通信を行う無線通信手段14と、この無線通信手段14と接続し、前記無線センサユニット12で計測したデータを解析・表示する演算表示装置16とから、主に構成されている。
無線センサユニット12は小型に形成され、1つ以上のセンサを備えたセンサ部18を有している。センサ部18はエンジン各部の運転状態を計測するものである。このためセンサ部18に備えられる前記センサは計測対象によって異なり、例えば圧力センサ、温度センサ、油温センサ、振動センサ、音響センサ、ガスセンサ、加速度センサ、酸素濃度センサ等の何れかまたはこれらが任意に組み合わされている。また既存の計測設備から出力される電気信号、例えば回転計から回転数に比例して出力される電圧信号を測定する電位計等の計測機器もセンサとみなすことができる。さらに無線センサユニット12は、このユニット12自身の位置を計測する位置計測部36や、ユニット12が設置された場所を示す発光器37やスピーカ38を有している。
このセンサ部18、位置計測部36、発光器37およびスピーカ38はデータ処理部22に接続されている。このデータ処理部22は演算部24に接続され、演算部24はデータ記憶部26に接続されている。演算部24とデータ記憶部26は、データ送受信制御を行うことができるだけの機能と記憶容量を有し、データ送受信制御部28を構成している。すなわちデータ記憶部26は、例えば無線センサユニット12自身のネットワーク・アドレス、サービス・クラス等や、無線通信と計測とを制御するソフトウェア、データを送信した時刻、センサ部18が計測したデータ等を記憶しておくものである。また演算部24は無線で送られてきたアドレス等の情報と、データ記憶部26が記憶しているネットワーク・アドレスとを比較し、次に何処にデータを送信するか判断している。さらに演算部24は、センサ部18が計測したデータを、何処の無線センサユニット12を介して演算表示装置16へ出力したり、無線センサユニット12自身のアドレス情報を送信するデータに加えたり、内部クロックの管理をしたり等の処理を行っている。また演算部24はアンテナ30と接続されている。そしてデータ処理部22およびデータ送受信制御部28により無線通信部32を構成し、この無線通信部32は1チップ化されている。
また無線センサユニット12は、無線通信部32やセンサ部18に電力を供給する電力供給部34を有している。図1では電力供給部34と、無線通信部32やセンサ部18との接続を省略して記載している。この電力供給部34は一次電池、二次電池、コンデンサ、燃料電池、太陽電池、マイクロ波送電装置から出力されたマイクロ波電力を受電して電力を得るマイクロ波受電装置、またはゼーベック効果を生じる半導体素子からなり、この半導体素子に温度差が生じると電力を生じる熱電発電器等によって構成され、それ自体が外部から有線で電力供給を受けることのない電力供給源である。なお電力供給部34をマイクロ波受電装置によって構成する場合は、ディーゼルエンジンの外部にマイクロ波送電装置を設ける必要がある。
また無線センサユニット12には、無線通信を行わないときは無線センサユニット12自身の電力消費が極めて少ないモードに切り換えるとともにセンサ部18の電源を切り、無線通信を行うときのみ無線センサユニット12とセンサ部18の電源が入るように制御する機能を組み込むことができる。この一種の休眠状態と活動状態の切り換えは、無線センサユニット12に組み込んだソフトウェアによって、または外部からの指令によって切り換えることができるので、電力供給部34に小型の一次電池を用いた場合でも、無線通信の頻度を落せば一年以上の間、電池交換なしに無線センサユニット12を稼動させることができる。
前記無線通信手段14は、無線センサユニット12と双方向の無線通信を行うものであり、無線センサユニット12に設けられたアンテナ30や無線通信部32と同様の機能を有している。この無線通信手段14は演算表示装置16と接続している。そして無線通信手段14と無線センサユニット12の無線通信部32とにブルートゥース技術が用いられ、無線通信手段14と無線センサユニット12と、および無線センサユニット12同士はブルートゥースを用いた双方向の無線通信が行われる。
図3にブルートゥースを用いた無線通信の説明図を示す。ブルートゥースを用いた無線通信は、通信を制御する役割を担うチップ(マスタ)40と、制御されるチップ(スレーブ)42の間で通信が行われるが、無線通信部32に組み込んだソフトウェアによって、または外部からの指令によってマスタ40とスレーブ42を切り換えることができる。したがって、互いの通信距離内にある複数の無線センサユニット12を数珠繋ぎに無線で接続して、通信距離を実効的に伸ばすことが可能となる。
また無線センサユニット12には無線通信が可能な近隣の無線センサユニット12を自ら探し出し、自律的に無線ネットワークを構築するソフトウェアが組み込まれている。このため無線センサユニット12を配設するユーザは各無線センサユニット12間の通信距離にさえ留意していれば、実際に各無線センサユニット12がどのような無線ネットワークを構成するかを考える必要がないため、ネットワーク構築の専門家でなくても無線ネットワークを容易に構築することが可能となる。
さらにネットワークを構築した後、ネットワークを構成する幾つかの無線センサユニット12が故障するなどして当初構築したデータ転送経路が寸断されたとしても、通信可能距離内に存在する他の無線センサユニット12を経由して新たな無線ネットワークを直ちに自律的に構築することが可能となる。
次に、無線ネットワークの構築について、さらに詳しく説明する。図4に無線ネットワークの構築例の説明図を示す。無線ネットワークの接続点はノードと説明されるので、無線センサユニット12をノードと表示する。前提として、各ノードは、ノード識別のためのノード・アドレス(無線センサユニット固有もの)とともに、無線ネットワーク(NW)構築がなされたときに必要なネットワーク・アドレス(NWAD)を設定しておく。ノード群の中に、外部ネットワークとの接続ノード(PAS)を導入するとともに、ここにNWコンフィグレーション・マネージメント機能(NWCMS)をもたせる。各ノードには、サービス機能(サービス・クラスという)を設定する。また各ノードにはノード検索パケットを送受信するプログラムを格納しておく。
このような前提のもと、無線ネットワークの形成の手段は次のように行われる。外部ネットワークとの接続機能を有するノードであるPASに対し、他のネットワークもしくはノード自身の機能により探索命令が入り、PASはまず周辺のノード検索を行う。この問い合わせを受信できる近隣のノードA,Bは探索パケットに対してデバイス固有のノード・アドレスを通知するパケットを返す。次いで、PASはノードA,Bに対してサービス・クラスを問い合わせ、ノードA,Bは問い合わせパケットに対して、サービス・クラスを返す。そして、ノードPASのネットワーク・コンフィグレーション・マネージメント機能(NWCMS)は、ノードPASからノードA,Bに接続し、同時にNWCMSはノードA,Bにネットワーク・アドレス(NWAD)を与える。こうしてノードPAS、ノードA,Bの第一のスコープが出来上がる。
ここでスコープとは、次のようなものと定義する。このネットワークをコンピュータと考えると、システムの部分と全体という構成を考えないと、全体のシステム記述が膨大で、その動作検証も容易ではない。その部分はプログラム的にはモジュールであるが、この空間的広がりを持つネットワークでは、空間的に一つの単位として扱ったほうがいい領域なのでスコープと表現する。一つのスコープはプログラマブル・コントローラに近い動きをすると考えてよい。スコープをつないで全体のシステムが構成される。このネットワークは外部ネットワークとの接続を前提としているので、処理体系の大きさはここで表現されている範囲には限定されない。
次に、ノードPASのNWCMSはノードA,Bにデバイス探索を命じる。この命令にしたがって、ノードA,Bはそれぞれ探索パケットを送信する。近隣にあって無線受信可能なノードC,D,E,Fは探索パケットに対してデバイス固有のノード・アドレスをAに通知するパケットを返す。同様にノードDは探索パケットに対してデバイス固有のノード・アドレスをノードBに通知するパケットを返す。そしてノードAはノードC,D,E,Fに対し、またノードBはノードDに対してサービス・クラスを問い合わせる。これに対して、ノードC,D,E,Fは問い合わせパケットに対して、ノードAにサービス・クラスを返し、ノードDは探索パケットに対して、ノードBにサービス・クラスを返すのである。ノードA,BはノードPASに対してそれぞれノード(C,D,E,F)、ノード(D)の存在、サービス・クラスを通知する。
ノードPASのNWCMSはノードAに、それぞれノードC,E,Fと接続し、それぞれにネットワーク・アドレス(NWAD)を付与するよう通知し、また、ノードBにノードDと接続し、ネットワーク・アドレス(NWAD)を付与するよう通知する。
次に、ノードPASのNWCMSは、ノードC,E,F,Dに周辺のノードの探索を命じる。ノードC,F,Dは周辺のノードを発見できなかったが、ノードEはGというノードを発見した場合、ノードC,F,Dはノードが存在しないことをノードPASのNWCMSに通知する。一方、ノードEはノードGのサービス・クラスを問いかけ、そのサービス・クラスを取得する。ノードEはノードGの存在とそのノード・アドレス、サービス・クラスをノードPASに通知する。
このような操作でノードC,D,Fの次ノード(ネクスト・ノード)は存在しないことが分かった。そこでネットワークの通路は、
経路1:PAS−B−D
経路2:PAS−A−C
経路3:PAS−A−F
経路4:PAS−A−E
これが第2スコープの構成ということになる。
ノードAを経由するネットワークがまだ拡張される可能性があるので、ノードPASのNWCMSはノードGにデバイスを探索する命令を出力する。これを受けて、ノードGは探索パケットを送信する。これを受信可能なノードH,I,Jは探索パケットに対してデバイス固有のノード・アドレスをノードGに通知するパケットを返す。そしてノードGはノードH,I,Jに対してサービス・クラスを問い合わせ、ノードH,I,Jは問い合わせパケットに対して、ノードGにサービス・クラスを返すとともに、ノードGはノードH,I,Jの存在、サービス・クラスをノードPASに通知する。ノードPASのNWCMSは、ノードGを介してノードH,I,Jへそれぞれネットワーク・アドレスを通知する。次に、ノードPASのNWCMSはノードH,I,Jに対してノードの探索を命じる。
このように本実施形態では、起点となるノード(PAS)から通信可能なノードを探し、起点ノードに格納したプログラムにより、通信できたノードへネットワーク・アドレスと同時に各ノードが発揮できる機能(サービス・クラス)が起点ノードのプログラムに返される。探索されたノードへは更に次のノードを探索する命令が発せられ、これを次々繰り返していくことにより、探索できない最終ノードを得て、ネットワークが完成するのである。
なおノードPASのNWCMSは一定時刻、一定時間間隔やイベントに際し、このネットワークが維持されているかどうかを、自己判断する。例えば、ノードPASからそれぞれのノードに問い合わせをし、その応答の時間、ホップ数などから判断する。そして必要があると判断するときは、最初からの操作を再度行い、構成をリフレッシュするようにすればよい。
このような無線データ収集装置10の無線センサユニット12は、ディーゼルエンジン設備の所望の場所に配設される。図5にディーゼルエンジンの各部に無線センサユニット12を配設したときの説明図を示す。図5に示すように、例えばセンサとして酸素濃度センサを設けた無線センサユニット12aを排気管52に、温度センサを設けた無線センサユニット12bを吸気口、排気口およびクランクベアリング54に、振動センサと圧力センサを設けた無線センサユニット12cをディーゼルエンジン50の側部に、振動センサを設けた無線センサユニット12dおよび油温センサを設けた無線センサユニット12eを主軸受56に配設し、ディーゼルエンジン50の各部を各センサで計測して、計測データを収集している。
図6に無線センサユニット12により構築した無線ネットワークの説明図を示す。無線センサユニット12間が無線通信(概ね30m程度)に不都合なほど離れている場合には、無線通信の中継のために無線センサユニット12を追加設置する。すると各無線センサユニット12は少なくとも1つ以上の他の無線センサユニット12と無線通信可能な距離内に置かれる。そして、例えば大型ディーゼルエンジン50の各シリンダの排気温度および吸気温度を測定するために、排気管52および吸気管に無線センサユニット12を1つずつ配設した場合、各シリンダ間の距離は数m以内であるため、各無線センサユニット12は複数の無線センサユニット12の通信可能な距離内に置かれることになる。
したがって、ディーゼルエンジン50の各部に配設された複数の無線センサユニット12からなる無線センサユニット群が自律的に無線ネットワークを構築して、複数の通信経路を選択することになり、1つの通信経路が寸断された場合でも無線ネットワークの健全性を保つことが可能となる。また無線センサユニット群の数が無線通信を行うエリアに対して「疎」である場合には、複数の通信経路の設定を容易にしてネットワークの冗長性を増すために、中継のための無線センサユニット12を追加配設すればよい。なお中継のための無線センサユニット12には必ずしもセンサ部18を搭載する必要はなく、無線中継するだけの機能、すなわちアンテナ、データ送受信制御部および電力供給部を持った無線中継ユニットを追加配設してもよい。
また大型ディーゼルエンジン50設備の各所に設置された無線センサユニット群の中の少なくとも1つ、好ましくは複数の無線センサユニット12と無線通信可能な距離内に無線通信手段14が設置される。この無線通信手段14にもブルートゥース技術が用いられているので、無線通信手段14と無線センサユニット12との間で双方向の無線通信を行える。また無線通信手段14は演算表示装置16とケーブルで接続され、双方向のデータ通信を行っている。
そして無線センサユニット12のセンサ部18および位置計測部36で計測された計測データは、データ処理部22において、例えばアナログからディジタル信号に変換されたり、12bitのディジタル信号を10bitの信号に変換されたり等の処理がされた後、演算部24に出力される。また計測データは、演算部24において、例えばデータを何処に送信するか、すなわちデータをどの無線センサユニット12を中継させて演算表示装置16へ出力するか等の判断がなされる。そして計測データはアンテナ30を介して無線送信される。この無線送信された計測データは、演算部24で判断された無線センサユニット12を介して無線通信手段14へ出力される。そして前記計測データは無線通信手段14で受信された後、演算表示装置16へ出力される。演算表示装置16では各無線センサユニット12の位置データと計測データから、ディーゼルエンジン50各部の計測結果、例えば排気管52の酸素濃度や、吸気口、排気口およびクランクベアリング54の温度等が表示される。
このような無線データ収集装置10では、ディーゼルエンジン50各部の計測を行うシステムを、従来の有線方式に比べて低コストで実現することができる。また配線敷設のための追加スペースが不要であり、短時間にディーゼルエンジン50各部の計測を行うシステムを構築できるので、既存のディーゼルエンジン50設備に容易に追加装備することができる。その結果、従来よりも多くの箇所から温度等データ収集が可能になり、高度な運転制御やメンテナンスが容易になるため、燃費の向上や排ガスの清浄化に役立てることができる。
また運転員が定期的に巡回してセンサ出力を確認する必要がなくなり、大幅に手間が低減するので、運転員の削減等によりランニングコスト低減が可能であり、また故障の早期発見が容易になる。
また各センサと演算表示装置16とをケーブルにより接続した有線セットワークの場合、火災等の事故により長大な配線の一部にでも損傷を受けたときには有線ネットワークが寸断されてしまうが、本実施の形態の無線データ収集装置10では無線センサユニット12が損傷を受けない限り無線ネットワークが損傷することはない。また仮に無線ネットワークを構成する無線センサユニット12の一部が事故等により機能しなくなっても、損傷した無線センサユニット12を中継点として活用していた無線センサユニット12が無線通信可能な距離内にある損傷していない別の無線センサユニット12を用いて、新たな無線ネットワークを構築することができる。すなわち事故等の不測の事態に対しても、計測システムとしての機能の保全が保たれやすい無線ネットワークを構築することができる。
無線データ収集装置のブロック図である。 無線センサユニットの説明図である。 ブルートゥースを用いた無線通信の説明図である。 無線ネットワークの構築例の説明図である。 ディーゼルエンジンの各部に無線センサユニットを配設したときの説明図である。 無線センサユニットにより構築した無線ネットワークの説明図である。
符号の説明
10………無線データ収集装置、12………無線センサユニット、14………無線通信手段、16………演算表示装置、18………センサ部、28………データ送受信制御部、30………アンテナ、32………無線通信部、34………電力供給部、50………ディーゼルエンジン。

Claims (6)

  1. 運転状態を計測する無線センサユニットを内燃機関の複数箇所に配設し、
    前記各無線センサユニットの少なくとも1つ以上は他の前記無線センサユニットの通信距離内に配設され、
    少なくとも1つ以上の前記無線センサユニットの通信距離内に、前記無線センサユニットと双方向の無線通信手段を接続した演算表示装置を設けた、
    ことを特徴とする内燃機関の無線データ収集装置。
  2. 前記無線センサユニットは、内燃機関の運転状態を計測するセンサ部と、前記センサ部の計測結果を出力する無線通信部と、少なくとも前記無線通信部への電力供給部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の無線データ収集装置。
  3. 前記センサ部は、圧力センサ、温度センサ、油温センサ、振動センサ、音響センサ、ガスセンサ、加速度センサ、酸素濃度センサの何れか1つまたは任意の組み合わせからなることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の無線データ収集装置。
  4. 複数の前記無線センサユニットにより無線センサユニット群を形成し、前記無線センサユニット群内で自律的に複数の無線通信経路を選択することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の内燃機関の無線データ収集装置。
  5. 前記無線センサユニットにより構築する無線ネットワークに、無線通信を中継する無線中継ユニットを設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の内燃機関の無線データ収集装置。
  6. 前記無線センサユニット同士の無線通信と、前記無線センサユニットと前記無線通信手段との無線通信とに、ブルートゥースを用いることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の無線データ収集装置。
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