JP2006058245A - 環境騒音推計方法及び環境騒音推計システム並びに環境騒音推計方式の評価方法及びその評価システム - Google Patents
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Abstract
【課題】道路等の騒音を測定・推計・評価する区域における騒音分布状態を精度よく求める。また、評価区間、街区、基準点、背後地測定点を合理的に定める手段を提供する。さらに、環境騒音推計方式の精度を評価する。
【解決手段】騒音発生源データベースと道路や建物などの三次元形状データベースから、精密な三次元騒音音場データベースを調製し、この騒音音場データベースを参照することにより、各住居等の騒音レベルを求める。また、この騒音音場データベースを解析することにより、適切な評価区間、街区、基準点、背後地測定点を選定する。
また、全住居等の騒音レベルデータベースを生成し、これと環境騒音推計方式から求められた騒音レベルと比較することにより、該推計方式との推計差を求め、推計方式の精度等を評価する。
【選択図】図2
【解決手段】騒音発生源データベースと道路や建物などの三次元形状データベースから、精密な三次元騒音音場データベースを調製し、この騒音音場データベースを参照することにより、各住居等の騒音レベルを求める。また、この騒音音場データベースを解析することにより、適切な評価区間、街区、基準点、背後地測定点を選定する。
また、全住居等の騒音レベルデータベースを生成し、これと環境騒音推計方式から求められた騒音レベルと比較することにより、該推計方式との推計差を求め、推計方式の精度等を評価する。
【選択図】図2
Description
本発明は、道路から発生する自動車等の交通騒音の推計システムに関し、詳しくは、環境基準の改定により、従来の「点」における測定値により基準達成状況を評価する方法から「面的」な評価方法に変更されたことに対応した環境騒音推計方法並びにそのシステムに関する。
また、この面的な環境騒音評価に用いられる種々の環境騒音推計方式の評価を可能とする方法並びにそのシステムに関する。
さらには、道路騒音に限らず、他の騒音発生源、すなわち、鉄道、航空機、工場、建設工事などから発生する騒音に関する環境騒音推計方法及びそのシステムに関する。
また、この面的な環境騒音評価に用いられる種々の環境騒音推計方式の評価を可能とする方法並びにそのシステムに関する。
さらには、道路騒音に限らず、他の騒音発生源、すなわち、鉄道、航空機、工場、建設工事などから発生する騒音に関する環境騒音推計方法及びそのシステムに関する。
従来の「点」による環境騒音の評価は、「その地域を代表すると思われる測定点」における実測した騒音レベルをその地域全体の騒音とみなして、環境基準の達成度を評価していたが、環境基準の評価方法が「面的」なものへ変更されたことにともない、実際に道路に面する地域の環境騒音評価を行なうためには、各評価区域における全ての住居等における等価騒音レベルを把握することが必要となった(「騒音に係る環境基準について」平成10年9月30日環境庁告示第64号、以下単に「環境基準」という)。
すなわち、従来はある測定点の騒音レベルが環境基準を達成している場合にはその測定点が代表する範囲の全ての住居等が環境基準を達成したものとみなされる一方、測定点において環境基準を達成していない場合には全ての住居等が基準に達していないとみなされており、各住居等においては実際の騒音環境から大きく掛け離れた騒音レベルを用いて評価されてしまう可能性が大きかった。
この点をふまえて、環境基準が改正されて「面的」な評価が義務付けられたものであり、この新しい評価においては、その地域に属する全ての個々の住居等の騒音レベルを求め、これを基礎として騒音基準の達成度を評価することなるため、従来の評価とは比較にならないほどの、現場における環境騒音測定のための作業が必要となった。
この現状に対応するために、現場における僅かな実測値とそれを用いた環境騒音の推計方式が環境省から推奨提案されており、さらに、各自治体においても独自の推計方式を提案している。
すなわち、従来はある測定点の騒音レベルが環境基準を達成している場合にはその測定点が代表する範囲の全ての住居等が環境基準を達成したものとみなされる一方、測定点において環境基準を達成していない場合には全ての住居等が基準に達していないとみなされており、各住居等においては実際の騒音環境から大きく掛け離れた騒音レベルを用いて評価されてしまう可能性が大きかった。
この点をふまえて、環境基準が改正されて「面的」な評価が義務付けられたものであり、この新しい評価においては、その地域に属する全ての個々の住居等の騒音レベルを求め、これを基礎として騒音基準の達成度を評価することなるため、従来の評価とは比較にならないほどの、現場における環境騒音測定のための作業が必要となった。
この現状に対応するために、現場における僅かな実測値とそれを用いた環境騒音の推計方式が環境省から推奨提案されており、さらに、各自治体においても独自の推計方式を提案している。
これらの、沿道周辺や背後地への騒音伝播状況を推計する具体的な方法には、例えば、環境庁の「騒音に係る環境基準の評価マニュアル 2.地域評価編(道路に面する地域)」(非特許文献1参照、以下単に「評価マニュアル」という)の中で示されている基本調査及び詳細調査、あるいは、日本音響学会のASJmodel1998(非特許文献2を参照)による方式、更には各自治体が独自に定めているもの等がある。
また、これらの推計方式に準拠した環境騒音の評価を支援する様々な技術が開発されており、最近では、道路交通センサスデータや地図情報を扱うシステム(GIS)などの普及にともない道路に面する地域の環境基準の評価にこれらのデジタルデータベースを活用することができるようになってきた(非特許文献3,4)。
騒音に係る環境基準の評価マニュアル 2.地域評価編(道路に面する地域)環境庁編 平成12年4月 日本音響学会のASJmodel1998 日立エンジニアリング株式会社ホームページ 中央復建コンサルタンツ株式会社ホームページ
また、これらの推計方式に準拠した環境騒音の評価を支援する様々な技術が開発されており、最近では、道路交通センサスデータや地図情報を扱うシステム(GIS)などの普及にともない道路に面する地域の環境基準の評価にこれらのデジタルデータベースを活用することができるようになってきた(非特許文献3,4)。
騒音に係る環境基準の評価マニュアル 2.地域評価編(道路に面する地域)環境庁編 平成12年4月 日本音響学会のASJmodel1998 日立エンジニアリング株式会社ホームページ 中央復建コンサルタンツ株式会社ホームページ
上記した環境騒音推計方式による面的評価は、それぞれの推計方式に定められたフローチャートや簡易計算式・補正式に従って推計された騒音レベルにより実施されるが、以下の問題点がある。
その1.ある地域において実測された騒音値に基づいてそれらの推計方式を用いて環境騒音の推計を行なって見ると、その結果に大きなばらつきが生じており(図6)、各住居等の実際の騒音曝露状況を精度良く推計した上で環境基準の達成度を評価するという「面的」評価本来の目的が達成できているのかとの大きな疑問を抱かせるという問題点がある。
その1.ある地域において実測された騒音値に基づいてそれらの推計方式を用いて環境騒音の推計を行なって見ると、その結果に大きなばらつきが生じており(図6)、各住居等の実際の騒音曝露状況を精度良く推計した上で環境基準の達成度を評価するという「面的」評価本来の目的が達成できているのかとの大きな疑問を抱かせるという問題点がある。
その2.実際の環境基準達成度の評価は、毎年、一年のある日(評価マニュアルでは一年を代表する日として秋の平日が好ましいとされている)のある測定点での24時間の騒音測定値に基づいてその年間の騒音の評価として良いとされているが、譬えその24時間の測定値に基づいた評価が正しいものであったとしても、その測定点が必ずしもその地域の騒音を評価する上で適切であるかどうかを判断することができず、したがって評価の信頼性を担保し得ないという問題点がある。
その3:面的評価の目的・趣旨からして、評価対象となる全住居等において年間を通した騒音レベルの実測を行なうということが究極的には考えられるが、これは実際の環境行政を行う上で実施困難であることから、上記した種々の環境騒音推計方式が提唱されているものである。
しかし、例えば、道路端における騒音の測定点(基準点)の選定を取ってみても、その基準は騒音の発生側にのみ着目して周辺の建物等の状況はそれ程考慮することなく定められている。
また、建物が密集する区域においては、建物の立地状況がほぼ一定と見なせる範囲を一つの「街区」として、この街区に属する住居等に対しては一律に同じ騒音減衰量を適用するとしている。
しかし、例えば、道路端における騒音の測定点(基準点)の選定を取ってみても、その基準は騒音の発生側にのみ着目して周辺の建物等の状況はそれ程考慮することなく定められている。
また、建物が密集する区域においては、建物の立地状況がほぼ一定と見なせる範囲を一つの「街区」として、この街区に属する住居等に対しては一律に同じ騒音減衰量を適用するとしている。
これは、本来、騒音の発生とその伝播を一体とした音響特性を考慮した上で環境騒音の推計がなされるべきであるのに、騒音発生源の基準と、評価対象地域の基準が、個別に定められており、これらの推計方式においては、推計の精度や信頼性が科学的に担保されていないという根本的な問題点がある。
既存の環境騒音推計評価支援システムは、各環境騒音推計方式を適用して推計した騒音レベルをいわゆる地理情報システム(GIS=Geographic Information System)を用いて視覚的に表現したに過ぎず、音響特性までも考慮した実体に近い環境騒音状態を基礎としたものではなく、これらの問題点を解決するには至っていない(非特許文献3,4参照)。
そこで、本発明者らは、地形、道路及びその周辺建物を一体とした音響特性の解析を行なうことにより、実際の環境騒音状態を充分に近似した精密な騒音分布状態を算出し、これに基づいて各住居等の騒音を推計することを目的として本発明をなしたものである。
また、各自治体においては、それぞれ定められた推計方式を用いて環境騒音の評価をすることが義務付けられていることに鑑み、評価区間等の選定や、騒音測定点等の選定に合理的な一定の基準を提供することを目的として、また、各環境騒音推計方式の精度を評価することを目的として本発明をなしたものである。
なお、環境基準で採用された「等価騒音レベル」とは、ある時間範囲について、変動する騒音レベルをエネルギー的な平均値として表したもので、騒音のその時間範囲における平均二乗音圧と等しい平均二乗音圧をもつ定常音の騒音レベルに相当するものである(非特許文献1参照)。本明細書では特に必要のない限りこれを単に「騒音レベル」という。
また、各自治体においては、それぞれ定められた推計方式を用いて環境騒音の評価をすることが義務付けられていることに鑑み、評価区間等の選定や、騒音測定点等の選定に合理的な一定の基準を提供することを目的として、また、各環境騒音推計方式の精度を評価することを目的として本発明をなしたものである。
なお、環境基準で採用された「等価騒音レベル」とは、ある時間範囲について、変動する騒音レベルをエネルギー的な平均値として表したもので、騒音のその時間範囲における平均二乗音圧と等しい平均二乗音圧をもつ定常音の騒音レベルに相当するものである(非特許文献1参照)。本明細書では特に必要のない限りこれを単に「騒音レベル」という。
さらに、本発明は、道路騒音に係る環境基準が変更されたことを契機として研究・開発されたものであるが、この技術は、他の交通機関や、工場などから発生する騒音についても適用できるものであることから、これらの騒音に関する推計方法並びにそのシステムを提供するものも含むものである。
本出願人は、地形や建造物などの三次元構造物の影響を考慮した幾何音響を基礎とした高次の反射、吸収、回折などによる騒音伝播経路の探索を可能とし、また、回折、干渉等による減衰量の計算を積分形式の厳密解として求めることのできる騒音伝播シミュレーションソフトを開発して提供している(商品名「geonoise」)。
このシミュレーションソフトにより生成された三次元騒音音場を実際に測定された音場と比較したものを図7に示す。
図7は、ある水平高さの騒音レベルを5dB毎の等音レベル線として示してあるが、実測音場をほぼ忠実に再現していることが分かる。
このシミュレーションソフトにより生成された三次元騒音音場を実際に測定された音場と比較したものを図7に示す。
図7は、ある水平高さの騒音レベルを5dB毎の等音レベル線として示してあるが、実測音場をほぼ忠実に再現していることが分かる。
本発明は、このシミュレーションソフトに、評価対象道路の交通量データ等から求められる騒音発生源データ、並びにその地形、道路形状、建造物の形状データ等を入力することにより、評価対象となる地区の三次元騒音音場データベースを生成し、このデータベースにおいて、各住居等の三次元位置データを対応させることにより、各住居等の騒音レベルを推計するものである。
さらに、この騒音音場データベースから該地域の騒音音場を把握して、環境騒音推計方式において必要となる、評価区間や街区の決定、さらには適切な基準点等の選定を可能とするとともに、それら推計方式を適用して各住居等の騒音レベルを推計して、該騒音レベルを本発明から推計された騒音レベルと比較することにより、該推計方式の妥当性の目安を提供するものである。
さらに、この騒音音場データベースから該地域の騒音音場を把握して、環境騒音推計方式において必要となる、評価区間や街区の決定、さらには適切な基準点等の選定を可能とするとともに、それら推計方式を適用して各住居等の騒音レベルを推計して、該騒音レベルを本発明から推計された騒音レベルと比較することにより、該推計方式の妥当性の目安を提供するものである。
すなわち、本願発明は、
(1)一の道路交通センサス調査区間に対応する騒音評価対象となる区域の騒音音場データベースを参照することにより、該区域に属する各住居等における騒音レベルを出力する環境騒音推計方法。
(2)一の道路交通センサス調査区間に対応する騒音評価対象となる区域の騒音音場データベースが、騒音発生源データベースと構造物等の三次元形状データベースから調製されたことを特徴とする前記(1)記載の環境騒音推計方法。
(3)前記騒音音場データベースと、対応する区域に属する全ての住居等に関するデータから構成された住居等データベースの、少なくとも二つのデータベースを備える環境騒音推計システムであって、該騒音音場データベースを参照することにより全ての住居等の騒音レベルを出力して騒音レベルデータベースを生成する環境騒音推計システム。
(1)一の道路交通センサス調査区間に対応する騒音評価対象となる区域の騒音音場データベースを参照することにより、該区域に属する各住居等における騒音レベルを出力する環境騒音推計方法。
(2)一の道路交通センサス調査区間に対応する騒音評価対象となる区域の騒音音場データベースが、騒音発生源データベースと構造物等の三次元形状データベースから調製されたことを特徴とする前記(1)記載の環境騒音推計方法。
(3)前記騒音音場データベースと、対応する区域に属する全ての住居等に関するデータから構成された住居等データベースの、少なくとも二つのデータベースを備える環境騒音推計システムであって、該騒音音場データベースを参照することにより全ての住居等の騒音レベルを出力して騒音レベルデータベースを生成する環境騒音推計システム。
(4)前記騒音音場データベースにおいて、道路端における騒音レベルが一定範囲となるように一の道路交通センサス調査区間を一又は複数の評価区間に区分するとともに、区分された一の評価区間に対応する評価区域において道路端からの距離に応じた騒音レベルの減衰変化が一定範囲となるような範囲毎に該評価区域を区分して一又は複数の街区とする評価区間及び街区の決定方法。
(5)前記騒音音場データベースから、前記(4)記載の方法により決定された評価区間の基準点及び/又は各街区から選んだ背後地測定点における騒音レベルを取得し、環境騒音推計方式で用いられる騒音レベル推計式に入力することにより該評価範囲に属する各住居等の推計騒音レベルを算出する推計騒音レベル算出方法。
(5)前記騒音音場データベースから、前記(4)記載の方法により決定された評価区間の基準点及び/又は各街区から選んだ背後地測定点における騒音レベルを取得し、環境騒音推計方式で用いられる騒音レベル推計式に入力することにより該評価範囲に属する各住居等の推計騒音レベルを算出する推計騒音レベル算出方法。
(6)前記(4)記載の方法による評価区間及び街区の決定手段を有し、かつ、前記(5)記載の方法による推計騒音レベル算出手段を有しており、環境騒音推計方式に応じた全住居等の推計騒音レベルを書き込み記憶することにより推計騒音データベースを生成する前記(3)記載の環境騒音推計システム。
(7)前記(6)記載の環境騒音推計システムにおいて、推計差が一定レベル以上となる住居等を抽出して、個別の騒音測定が必要な住居等を決定する環境騒音推計システム。
(8)ある地域に属する全ての道路交通センサス調査区間に対応した複数の騒音音場データベースと、該地域の全ての環境騒音評価対象となる区域に属する全ての住居等に関するデータから構成された住居等データベースの、少なくとも二種類のデータベースを有する環境騒音推計システムであって、該騒音音場データベースを参照することによって、全ての住居等の騒音レベルを出力して騒音レベルデータベースを生成する環境騒音推計システム。
(7)前記(6)記載の環境騒音推計システムにおいて、推計差が一定レベル以上となる住居等を抽出して、個別の騒音測定が必要な住居等を決定する環境騒音推計システム。
(8)ある地域に属する全ての道路交通センサス調査区間に対応した複数の騒音音場データベースと、該地域の全ての環境騒音評価対象となる区域に属する全ての住居等に関するデータから構成された住居等データベースの、少なくとも二種類のデータベースを有する環境騒音推計システムであって、該騒音音場データベースを参照することによって、全ての住居等の騒音レベルを出力して騒音レベルデータベースを生成する環境騒音推計システム。
(9)騒音評価対象となる区域の騒音音場データベースを、鉄道騒音発生源データベース、航空機騒音発生源データベース、工場騒音発生源データベース又は建設工事騒音発生源データベースのいずれか一つの騒音発生源データベースと、構造物等の三次元形状データベースから調製し、該騒音音場データベースを参照することにより、該区域に属する各住居等における騒音レベルを出力する環境騒音推計方法並びにそのシステム。
である。
である。
ここで、道路交通センサス調査区間とは、国土交通省が実施する交通量調査の単位とされる道路区間をいい、交通量がほぼ一定とみなされる区間であり、したがって騒音の発生源としての走行車両がこの区間では一定とみなされることから、これを本発明の騒音音場データベースを生成する単位とするものである。
なお、環境騒音の評価をすべき道路であって、道路交通センサス調査の対象となっていない道路については、一の道路交通センサス調査の区間とされる程度の範囲を本発明における騒音音場データベースを調製する範囲と定める。
本明細書における「道路交通センサス調査区間」にはこうした道路区間をも含むものとする。
本明細書における「道路交通センサス調査区間」にはこうした道路区間をも含むものとする。
また、騒音音場データベースとは、少なくとも三次元位置とその位置における騒音レベルをデータとして有し、他のデータベース等との関連を付け得るように構成された一群のデータの集合である。
また、住居等データベースとは、少なくとも住居等の建物三次元位置及びその形状及びその住居等を建物単位で特定できる建物コード(以下、建物IDという)をデータとして有し、他のデータベースとの関連を付け得るように構成された一群のデータの集合であり、さらに環境騒音推計方式において必要とされる各住居等の属性、例えば、その建物面積、属する距離帯(道路端から平行に10m毎に帯状に区分された区域)、道路見通し角等の騒音レベル推計に必要なもの、さらには、建物用途、近接空間判定コード、地域の類型、戸建・集合住宅の別、等の騒音評価を行なうさいに必要なもの、その他のデータを有したものであってもよい。
これらのデータのうち、例えば、建物の三次元位置及びその形状等は市販されているGISデジタルデータから引用することができ、該データベースの調製を効率よく行なうこともできる。
なお、騒音発生源データベース及び構造物等の三次元形状データベースについては後述する。
また、住居等データベースとは、少なくとも住居等の建物三次元位置及びその形状及びその住居等を建物単位で特定できる建物コード(以下、建物IDという)をデータとして有し、他のデータベースとの関連を付け得るように構成された一群のデータの集合であり、さらに環境騒音推計方式において必要とされる各住居等の属性、例えば、その建物面積、属する距離帯(道路端から平行に10m毎に帯状に区分された区域)、道路見通し角等の騒音レベル推計に必要なもの、さらには、建物用途、近接空間判定コード、地域の類型、戸建・集合住宅の別、等の騒音評価を行なうさいに必要なもの、その他のデータを有したものであってもよい。
これらのデータのうち、例えば、建物の三次元位置及びその形状等は市販されているGISデジタルデータから引用することができ、該データベースの調製を効率よく行なうこともできる。
なお、騒音発生源データベース及び構造物等の三次元形状データベースについては後述する。
これらのデータベースは補助記憶装置内において、それぞれ個別のファイルあるいは分割した複数のファイルの集合として保持されていても、あるいは全体が一つのファイルとして保持されていてもよく、データ相互間に一定の関連が付け得るように構成されているものであればよいが、これらのデータの更新などの保守管理を考慮して、個別のファイルあるいは分割した複数のファイルとすることが望ましい。
例えば、住居等データベースを、オペレーティングシステム上の単位としての建物毎の主ファイルと、集合住宅についての副ファイルの二つのファイルとすることもできる。
例えば、住居等データベースを、オペレーティングシステム上の単位としての建物毎の主ファイルと、集合住宅についての副ファイルの二つのファイルとすることもできる。
本発明によれば、一連の「道路に面する地域の騒音に係る環境基準の評価」作業において、環境騒音の実態を、できる限り現場における実測、調査、計測等の負担を軽減しつつ高精度の騒音レベルデータとして把握できるものであり、また、各自治体が毎年実施する環境騒音の測定・評価において、評価区間並びに街区等を適切に決定して、環境騒音推計方式を適用できるものであり、さらに、これらの推計方式から得られた騒音レベルと、本発明から得られる騒音レベルと比較することにより、その環境騒音推計方式の精度を判断する目安を提供できるものである。
さらに、鉄道、航空機、工場、建設工事から発生する騒音についての推計を精度よく行なうことができるものである。
さらに、鉄道、航空機、工場、建設工事から発生する騒音についての推計を精度よく行なうことができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、道路騒音を対象としたものついて述べる。
{騒音音場データベースの調製}
以下の(1)(2)(3)(4)の過程を経て調製する。
(1)騒音発生源データベースの調製
本形態で対象とする環境騒音は、様々な騒音発生源のうち、道路を走行する通常の車両等から発生するものを対象とし、航空機や鉄道からの騒音は対象とはならない。
そこで、国土交通省から発表されている道路交通センサスデータを用いて、一の道路交通センサス調査区間における走行車両の、車種、台数、車線、走行速度等を得て、さらに、これら全ての車両がその道路区間を定常的に流れると仮定して、騒音発生源データとする。
もちろん、道路交通センサスデータを用いずに、ある一日24時間の交通量を実測して上記した個々のデータとすることもできる。
{騒音音場データベースの調製}
以下の(1)(2)(3)(4)の過程を経て調製する。
(1)騒音発生源データベースの調製
本形態で対象とする環境騒音は、様々な騒音発生源のうち、道路を走行する通常の車両等から発生するものを対象とし、航空機や鉄道からの騒音は対象とはならない。
そこで、国土交通省から発表されている道路交通センサスデータを用いて、一の道路交通センサス調査区間における走行車両の、車種、台数、車線、走行速度等を得て、さらに、これら全ての車両がその道路区間を定常的に流れると仮定して、騒音発生源データとする。
もちろん、道路交通センサスデータを用いずに、ある一日24時間の交通量を実測して上記した個々のデータとすることもできる。
また、環境基準では、環境騒音レベルは、二つの基準時間帯(昼間は6:00から22:00、夜間は22:00から6:00)について、各基準時間帯の観測時間(該基準では当面1時間、昼間は16時間の16個、夜間は8個)毎に基礎となる騒音レベルを求め、それらを合成して各基準時間帯の騒音レベルとする、と定められている(非特許文献1参照)。
したがって、評価マニュアルに定められた騒音測定に則してシミュレーションをするのであれば、24時間の観測時間に対応した24個の騒音発生源データを準備する必要がある。
したがって、評価マニュアルに定められた騒音測定に則してシミュレーションをするのであれば、24時間の観測時間に対応した24個の騒音発生源データを準備する必要がある。
しかし、時間的なエネルギー平均である等価騒音レベルの考え方をふまえれば、上記の16個及び8個のデータからエネルギー的に平均的なものを算出する等して、それぞれ昼と夜の騒音発生源データとして用いることも許される。この場合には、合計26個の騒音発生源データが得られる。
つぎに騒音発生源のモデル化を行なう。すなわち、実際の環境騒音は交通量の変動により時々刻々と変化するものであり、その時間変化を考慮したリアルタイムな騒音レベル算出を行なうことも理論的には可能であるが、多数の走行移動する車両および多様な形状を有する建物群に対して経時的に音響的解析をすることは、現在の普通の能力のコンピュータでは不可能である。そこで、車両走行は定常的なものとみなして、走行速度を考慮した車種毎の発生騒音をその台数に応じて平均し、交通量から道路上の密度を求めて、本来移動する騒音源を対象道路上に等間隔に点音源として固定配置する。さらに、車両が実際に発生する騒音周波数特性を考慮して、そのエネルギー換算で100%となるように、周波数域を区分して各周波数域を代表する単一周波数の単音の集合に置き換えて、発生騒音とする。
なお、周波数域を区分することなく一つの周波数の単音を配置することにより騒音レベルの演算・算出を簡略化することもできる。
なお、周波数域を区分することなく一つの周波数の単音を配置することにより騒音レベルの演算・算出を簡略化することもできる。
点音源を配置する間隔はできる限り細かくすることが精密な音場を得るうえで好ましいが、後述する算出点の間隔とも関連するが、算出点の間隔が1mの場合、住居等が10m程度の間隔で立地することを考慮し、反射音の効果が抜け落ちることのないように、算出点の間隔と同程度、即ち1m間隔以下で配置すれば充分な精度の音場を得ることができる。
また、この点音源の配置は実際の車線ごとにすることが好ましいが、例えば上り・下り毎にまとめて二列に、あるいは、道路中心に一列に配置することもできる。
評価対象道路の両端近傍においては、その区間に入って来る車両及びその区間から出て行った車両から発生する騒音も考慮する必要があるため、その端部から一定の範囲、例えばそれぞれ100m合計200mの範囲に、同等の点音源を配置する。
このようにして得られた点音源のデータをその三次元位置とともに書き込み記憶して騒音発生源データベースが調製される。
また、この点音源の配置は実際の車線ごとにすることが好ましいが、例えば上り・下り毎にまとめて二列に、あるいは、道路中心に一列に配置することもできる。
評価対象道路の両端近傍においては、その区間に入って来る車両及びその区間から出て行った車両から発生する騒音も考慮する必要があるため、その端部から一定の範囲、例えばそれぞれ100m合計200mの範囲に、同等の点音源を配置する。
このようにして得られた点音源のデータをその三次元位置とともに書き込み記憶して騒音発生源データベースが調製される。
これによって、騒音発生源を総エネルギーが等価な固定点から発せられる単音の集合として表現することができ、定常音場に対するシミュレーションを行なうこととなり、充分な精度を保ちながら、騒音音場の演算・算出を比較的迅速に行なうことができる。
なお、騒音源のモデル化はここに述べられたものに限るものではなく、例えば、日本音響学会が定めるASJmodel1998にあるような、ユニットパターンによるもの等、等価騒音レベルを算出する上で実際の騒音源を充分近似できるものであればよい。
したがって、上述した固定点による騒音源のモデル化はあくまでもマシンパワーの制約から実用性を考慮して行ったものであり、移動する車両個々に騒音レベルを与えて時間変動を含んだリアルタイムの騒音発生源データベースの調製を排除するものではない。
なお、騒音源のモデル化はここに述べられたものに限るものではなく、例えば、日本音響学会が定めるASJmodel1998にあるような、ユニットパターンによるもの等、等価騒音レベルを算出する上で実際の騒音源を充分近似できるものであればよい。
したがって、上述した固定点による騒音源のモデル化はあくまでもマシンパワーの制約から実用性を考慮して行ったものであり、移動する車両個々に騒音レベルを与えて時間変動を含んだリアルタイムの騒音発生源データベースの調製を排除するものではない。
(2)地形、道路構造並びに建物などの構造物等の三次元形状データベースの調製
対象となる地域(現在は、環境騒音の評価対象区域は、道路端から50mまでの地域とされている)における音の伝播などに影響のある構造物等、すなわち、地形、道路構造、住居等の建造物の三次元的形状及びその三次元位置、並びにそれらの外壁面等における反射率、吸音率等を定める。
具体的には、評価対象地域を囲む一定範囲までの構造物等を対象として該データベースを調製する必要がある。これは、評価対象地域外の建造物等からの反射音の寄与を考慮するためである。実用的には評価対象地域の背後外側50m程度、対象道路に沿って両側100m程度を取ればよい。
この場合において、地形、道路構造や建造物等の形状の規定は、その詳細な形状を定めることは音響計算が膨大なものとなるため、平面や球面や直方体や円柱等ならびにそれらの結合として近似的に表現する。また、吸音率(反射率、透過率)の設定は、個々の構造物等について測定することは作業が繁雑となるので、路面舗装や、建物構造(木造モルタル、鉄筋コンクリート等)、壁面仕上げなどの目視により判定できる属性から、一律に定めることが実際的である。
対象となる地域(現在は、環境騒音の評価対象区域は、道路端から50mまでの地域とされている)における音の伝播などに影響のある構造物等、すなわち、地形、道路構造、住居等の建造物の三次元的形状及びその三次元位置、並びにそれらの外壁面等における反射率、吸音率等を定める。
具体的には、評価対象地域を囲む一定範囲までの構造物等を対象として該データベースを調製する必要がある。これは、評価対象地域外の建造物等からの反射音の寄与を考慮するためである。実用的には評価対象地域の背後外側50m程度、対象道路に沿って両側100m程度を取ればよい。
この場合において、地形、道路構造や建造物等の形状の規定は、その詳細な形状を定めることは音響計算が膨大なものとなるため、平面や球面や直方体や円柱等ならびにそれらの結合として近似的に表現する。また、吸音率(反射率、透過率)の設定は、個々の構造物等について測定することは作業が繁雑となるので、路面舗装や、建物構造(木造モルタル、鉄筋コンクリート等)、壁面仕上げなどの目視により判定できる属性から、一律に定めることが実際的である。
(3)空間騒音レベルの算出
騒音レベルを算出する空間は、対象区域平面であってその高さは該区域に存在する建造物の最大高さまでの空間で十分であり、この三次元空間に騒音レベルを算出すべき複数の点(以下、算出点という)を例えば均等に配置してこれら算出点に対してそれぞれ騒音レベルを算出する。
ある算出点の騒音レベルを算出するには、上記(1)の騒音発生源データベースから該算出点に実質的に影響のある範囲のデータを選び、また、上記(2)の建造物等の三次元形状データベースから該算出点に対して反射や吸収や回折・干渉により音響的に影響のある範囲のデータを選び、これらのデータにより騒音レベルを演算・算出して、その算出点の騒音レベルデータとする。
騒音レベルを算出する空間は、対象区域平面であってその高さは該区域に存在する建造物の最大高さまでの空間で十分であり、この三次元空間に騒音レベルを算出すべき複数の点(以下、算出点という)を例えば均等に配置してこれら算出点に対してそれぞれ騒音レベルを算出する。
ある算出点の騒音レベルを算出するには、上記(1)の騒音発生源データベースから該算出点に実質的に影響のある範囲のデータを選び、また、上記(2)の建造物等の三次元形状データベースから該算出点に対して反射や吸収や回折・干渉により音響的に影響のある範囲のデータを選び、これらのデータにより騒音レベルを演算・算出して、その算出点の騒音レベルデータとする。
具体的には、ある一つの算出点において、対象となる騒音発生源データから一つの点音源を選び、この点から発せられる単音が反射・回折・干渉によりその算出点に至る伝播経路を求め、その単音による騒音レベルとする。この単音による騒音レベルの算出を全ての周波数領域を代表する単音について行ない、さらに、全ての点音源についてこの算出を行なって、騒音レベルを合成して得たものを、その算出点の騒音レベルとする。
これにより、各算出点に、上記(1)の騒音発生源データに対応した昼間騒音レベルと夜間騒音レベルの二つの騒音レベルが算出され、これらを該算出点の騒音レベルデータとする。
これにより、各算出点に、上記(1)の騒音発生源データに対応した昼間騒音レベルと夜間騒音レベルの二つの騒音レベルが算出され、これらを該算出点の騒音レベルデータとする。
上記(1)(2)の演算対象とするデータの範囲を大きくとり、かつ、反射・回折を高次までとれば、それだけ精密な騒音レベルが得られるが、その計算量が膨大なものとなるため、実用的には、ある算出点から対象道路へ下ろした垂点から道路沿い両側100mの計200mまでの騒音発生源データ、並びに、この200mの辺と、道路端から算出点の背後10mまでの辺を有する長方形内に存在する建造物等をその対象とし、2次までの反射及び回折・干渉を計算して近似的に騒音レベルを算出する。
ある一つの算出点における騒音レベルの算出にさいして、その算出点の背後に近接する建物がある場合には、その外壁面が騒音の到来伝播経路とほぼ直交する場合等には、この面からのこの音の反射音を除外する必要がある。これは、伝播音とその反射音によるエネルギーが二重に加えられることとなり、精密な騒音レベルが得られないからである。
算出点を配置する間隔は、小さく取ればそれだけ細かい三次元騒音レベルデータが得られるが、例えばある間隔に対してその半分の間隔を取れば、同じ三次元空間に対してはほぼ8倍の算出点を配置することとなり、それだけ騒音レベル計算が膨大なものとなってしまう。
ある一つの算出点における騒音レベルの算出にさいして、その算出点の背後に近接する建物がある場合には、その外壁面が騒音の到来伝播経路とほぼ直交する場合等には、この面からのこの音の反射音を除外する必要がある。これは、伝播音とその反射音によるエネルギーが二重に加えられることとなり、精密な騒音レベルが得られないからである。
算出点を配置する間隔は、小さく取ればそれだけ細かい三次元騒音レベルデータが得られるが、例えばある間隔に対してその半分の間隔を取れば、同じ三次元空間に対してはほぼ8倍の算出点を配置することとなり、それだけ騒音レベル計算が膨大なものとなってしまう。
実用的には、まず道路端に沿って地上高さ1.2mに間隔1mで算出点を配し、これを基準として鉛直上方および水平方向に1m間隔で該空間に算出点を配置し、全ての算出点について騒音レベルを算出する。この1.2mの高さ及び1mという間隔は、環境基準において騒音測定は原則として地上1.2mで行うことと定められていること、及び、本発明を完成するまでの模型実験や実際の現場における騒音観測によって、1m間隔で算出点を配置すれば騒音レベルの実態を十分に反映し得ることを確認したことに基づいている。
したがって、特に精密な騒音レベルデータが求められるなどの特別な場合には、必要に応じてさらに細かく算出点を配置する。
したがって、特に精密な騒音レベルデータが求められるなどの特別な場合には、必要に応じてさらに細かく算出点を配置する。
(4)騒音音場データベースの調製
上記(3)に従い全ての算出点について昼間及び夜間の二つの騒音レベルを演算・算出し、これらを各算出点における騒音レベルデータとする騒音音場データベースが得られる。
なお、建造物等の内部に配置されることとなる算出点に対しては騒音レベルを算出することなく騒音レベルは0に設定する。
上記(3)に従い全ての算出点について昼間及び夜間の二つの騒音レベルを演算・算出し、これらを各算出点における騒音レベルデータとする騒音音場データベースが得られる。
なお、建造物等の内部に配置されることとなる算出点に対しては騒音レベルを算出することなく騒音レベルは0に設定する。
{住居等データベースの調製}
このデータベースにおいては、評価対象地域に属する全ての建造物である住居等、例えば住宅、学校、病院、工場、倉庫、その他の建造物に対して、それぞれの住居等が特定できるように建物IDが付与される。また、それぞれの住居等には三次元位置データがその形状データも含めて付与される。この建造物のこれらのデータの内容は前記騒音音場データベースを調製するさいに用いた建造物等の三次元形状データベースと同等であるので、該三次元形状データベースを参照することにより取得することが本発明システムを構築する上で極めて好ましい。
このデータベースにおいては、評価対象地域に属する全ての建造物である住居等、例えば住宅、学校、病院、工場、倉庫、その他の建造物に対して、それぞれの住居等が特定できるように建物IDが付与される。また、それぞれの住居等には三次元位置データがその形状データも含めて付与される。この建造物のこれらのデータの内容は前記騒音音場データベースを調製するさいに用いた建造物等の三次元形状データベースと同等であるので、該三次元形状データベースを参照することにより取得することが本発明システムを構築する上で極めて好ましい。
しかし、住居等が集合住宅である場合には、その集合住宅の各戸に対して上記の建物IDとともに更に各戸ID及び三次元位置データを付与し、さらに個別の属性データ等を必要により付与することが好ましい。
これは、騒音音場データベースを調製する場合には、構造物等は音響的な影響を算出するためにその壁面等の位置及び外面形状が規定できれば足りるのに対し、住居等データベースにおいては、各住居等の騒音レベルを求める必要があるからである。
これは、騒音音場データベースを調製する場合には、構造物等は音響的な影響を算出するためにその壁面等の位置及び外面形状が規定できれば足りるのに対し、住居等データベースにおいては、各住居等の騒音レベルを求める必要があるからである。
{住居等の騒音レベルの出力}
ある一つの住居等について、その住居等の建物IDを入力すると、この建物IDに応じて該住居等の位置、形状、属性等のデータが、住居等データベースから読み出され、該住居が、一戸建ての場合には、形状データから地上1.2mにある平面形状を求め、その二次元平面形状の各点において、騒音音場データベースを参照して、その点に最も近い騒音音場データベースの算出点の騒音レベルデータを読み出して、その点における騒音レベルとし、これを二次元平面形状の全ての点について行なう。そして、その騒音レベルが最も高くなった点におけるものを該住居等の騒音レベルとする。音響の特性から、昼間と夜間の最高騒音レベルが異なる点となることはないと考えられるので、その一つの点が、その住居等の「評価地点」とされ、その騒音レベルとともに出力され、あるいは書き込み記憶される。以下、このように騒音音場データベースから求められた騒音レベルを「音場騒音レベル」という。
ある一つの住居等について、その住居等の建物IDを入力すると、この建物IDに応じて該住居等の位置、形状、属性等のデータが、住居等データベースから読み出され、該住居が、一戸建ての場合には、形状データから地上1.2mにある平面形状を求め、その二次元平面形状の各点において、騒音音場データベースを参照して、その点に最も近い騒音音場データベースの算出点の騒音レベルデータを読み出して、その点における騒音レベルとし、これを二次元平面形状の全ての点について行なう。そして、その騒音レベルが最も高くなった点におけるものを該住居等の騒音レベルとする。音響の特性から、昼間と夜間の最高騒音レベルが異なる点となることはないと考えられるので、その一つの点が、その住居等の「評価地点」とされ、その騒音レベルとともに出力され、あるいは書き込み記憶される。以下、このように騒音音場データベースから求められた騒音レベルを「音場騒音レベル」という。
最も高い騒音レベルとなる点を、その住居等の「評価地点」とするのは、評価マニュアルに、ある住居等の評価地点は「騒音の影響を受けやすい面」とすることを原則とするが、図上で判断する場合は道路に近い側の壁面をその住居等の評価地点とする、と定められていることに対応するものである。
二次元平面形状での参照点の配置は、騒音音場データベースの算出点が1m間隔で配置されている場合には、ある角を基準として、その点から50cm間隔で配置すればよい。
なお、一つの住居等の指定入力は、GISのGUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)を用いて地図画面上に表示された該当住居等をポインティングデバイスで選択することにより行なうこともできる。
二次元平面形状での参照点の配置は、騒音音場データベースの算出点が1m間隔で配置されている場合には、ある角を基準として、その点から50cm間隔で配置すればよい。
なお、一つの住居等の指定入力は、GISのGUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)を用いて地図画面上に表示された該当住居等をポインティングデバイスで選択することにより行なうこともできる。
入力指定された住居等が、集合住宅の場合には、上記した二次元平面形状の設定を、各住居が所属する階の床高さから1.2mの高さにおいて行ない、また、その階の中間部分に位置する部分については、外壁面となる部分にのみ参照点を配置する。
さらに、大規模な集合住宅のように、一つの建物が複数の距離帯に跨がる場合には、各住居等の騒音レベルとは別に距離帯毎に上記と同様に騒音レベルを出力する。
これは、集合住宅の個々の住居等の形状等のデータがなく個別の騒音レベルが得られない場合に、この距離帯毎の騒音レベルを、その階の同一距離帯に属する住居等の騒音レベルとして一律に適用するためのものである。
上記では、建物IDを入力して住居等データベースからデータを読み込んで騒音レベルを出力する方法を述べたが、その都度、ある住居等に関するこれらのデータを手入力することにより、その騒音レベルを出力させることもできる。
さらに、大規模な集合住宅のように、一つの建物が複数の距離帯に跨がる場合には、各住居等の騒音レベルとは別に距離帯毎に上記と同様に騒音レベルを出力する。
これは、集合住宅の個々の住居等の形状等のデータがなく個別の騒音レベルが得られない場合に、この距離帯毎の騒音レベルを、その階の同一距離帯に属する住居等の騒音レベルとして一律に適用するためのものである。
上記では、建物IDを入力して住居等データベースからデータを読み込んで騒音レベルを出力する方法を述べたが、その都度、ある住居等に関するこれらのデータを手入力することにより、その騒音レベルを出力させることもできる。
{騒音レベルデータベースの生成}
上記した各住居等についての音場騒音レベルの出力処理を、建物IDをキーとして住居等データベースの全ての住居等について行ない、それら音場騒音レベルを評価地点位置とともに書き込み保存することにより、騒音レベルデータベースを生成することができる。評価地点の位置は、その住居等が属する距離帯を定める基準とされるものである。
具体的には、騒音レベルデータベースを生成する命令を入力し、これに応じて、住居等データベースから建物IDをキーとして住居等データを順次読み出して、騒音音場データベースを参照して音場騒音レベルを出力して評価地点位置とともに書き込み、全ての住居等についてこの処理を繰り返えすことにより、騒音レベルデータベースの生成が完了する。
騒音レベルデータベースは、住居等データベースに設けた音場騒音レベルと評価点位置を保持するフィールドに書き込むことにより生成しても、別個のファイルとして生成してもよい。別個のファイルとする場合には、建物IDや各戸IDをキーとするなど、音場騒音レベルが参照できるものとする。
上記した各住居等についての音場騒音レベルの出力処理を、建物IDをキーとして住居等データベースの全ての住居等について行ない、それら音場騒音レベルを評価地点位置とともに書き込み保存することにより、騒音レベルデータベースを生成することができる。評価地点の位置は、その住居等が属する距離帯を定める基準とされるものである。
具体的には、騒音レベルデータベースを生成する命令を入力し、これに応じて、住居等データベースから建物IDをキーとして住居等データを順次読み出して、騒音音場データベースを参照して音場騒音レベルを出力して評価地点位置とともに書き込み、全ての住居等についてこの処理を繰り返えすことにより、騒音レベルデータベースの生成が完了する。
騒音レベルデータベースは、住居等データベースに設けた音場騒音レベルと評価点位置を保持するフィールドに書き込むことにより生成しても、別個のファイルとして生成してもよい。別個のファイルとする場合には、建物IDや各戸IDをキーとするなど、音場騒音レベルが参照できるものとする。
{評価区間並びに街区の決定、並びに基準点、背後地測定点の選定}
一つの道路交通センサス調査区間は、交通量が一定とみなせる道路範囲を一つの単位とするものであり、騒音発生源としてはこれを一つの評価区間とすることにある程度の合理性はあるが、道路構造や沿道建物を一体とした音響特性まで考慮したものとはなっていない。環境基準おいては、「道路構造・交通条件等から道路交通騒音の影響が概ね一定とみなせる区間に区分し、この区間を基本的な単位とする」とし、車線数の増減や、高架道路の併設などの道路構造条件の変わる場合、また、交通量、車種構成等の交通条件の変化する場合、沿道建物の反射等音響特性が大きく変わる場合、には、これらの条件が一定となる範囲に分けて、これを一つの評価範囲とすると定める。
これをふまえて、本発明においては、騒音音場データベースを解析して、一の道路交通センサス調査区間において、道路端における騒音レベルが一定とみなせる範囲を一つの評価区間とする方法を提供する。
一つの道路交通センサス調査区間は、交通量が一定とみなせる道路範囲を一つの単位とするものであり、騒音発生源としてはこれを一つの評価区間とすることにある程度の合理性はあるが、道路構造や沿道建物を一体とした音響特性まで考慮したものとはなっていない。環境基準おいては、「道路構造・交通条件等から道路交通騒音の影響が概ね一定とみなせる区間に区分し、この区間を基本的な単位とする」とし、車線数の増減や、高架道路の併設などの道路構造条件の変わる場合、また、交通量、車種構成等の交通条件の変化する場合、沿道建物の反射等音響特性が大きく変わる場合、には、これらの条件が一定となる範囲に分けて、これを一つの評価範囲とすると定める。
これをふまえて、本発明においては、騒音音場データベースを解析して、一の道路交通センサス調査区間において、道路端における騒音レベルが一定とみなせる範囲を一つの評価区間とする方法を提供する。
すなわち、一の道路交通センサス調査区間全長の道路端の地上1.2mから5mまでの高さ位置の騒音レベルを騒音音場データベースから読み込み、単位区間(例えば10m)当たりの平均騒音レベルを算出し、この平均騒音レベルが大きく変化する場合(例えば5dB)に、そのあたりの評価対象道路と交わる道路を目安として区分して一の評価区間とする。
評価区間とは、行政が環境騒音を評価するために定められるいわば便宜的な単位であるところ、道路が交差分岐する地点をその区分の基準とするためでる。
その意味で、前記した単位区間として、実際の長さではなく、道路の交差分岐のない範囲とすることもできる。
評価区間とは、行政が環境騒音を評価するために定められるいわば便宜的な単位であるところ、道路が交差分岐する地点をその区分の基準とするためでる。
その意味で、前記した単位区間として、実際の長さではなく、道路の交差分岐のない範囲とすることもできる。
これにより、評価区間を決定することができるが、より具体的には、一の道路交通センサス調査区間に対応する騒音音場データベースと単位区間を指定して(例えば、10m、あるいは交差分岐道路のない範囲)、評価区間を決定する命令を与えると、単位区間の指定に応じて上記した計算を行ない、一の評価区間を決定する。これにともない、この決定された評価区間に対して、上記したように道路端における平均騒音レベルを改めて算出して(以下、これを基準騒音レベルという)、この基準騒音レベルとともに識別コード(以下、評価区間IDという)を付与し、さらに、住居等データベースにおいてこの評価区間に対応する区域に属する住居等に属性データとしてその評価区間IDを書き込む。
上記したデータ処理を、一の道路交通センサス調査区間全体について行なうことにより、一の道路交通センサス調査区間が一又は複数の適切な評価区間に区分できるものである。
次に、「街区」を決定する。「街区」とは、建物が密集する区域で個々の住居等の騒音測定が困難となる場合に、その密集の程度に応じてその評価対象道路から直交する帯状にその区域を区分して、騒音減衰を一律に適用するためのものであり、したがって道路に囲まれた範囲を最低限の単位とすることが原則となるが、騒音減衰が同等とみなせる範囲はさらに大きく区分して一つの街区とすることができる。
本発明は、一の評価区間において、道路に囲まれた範囲を単位に、その道路端からの距離に応じた騒音レベルの減衰変化を、騒音音場データベースから求め、隣り合う範囲が、ほぼ同一の減衰変化を示す場合には、これら範囲をまとめて一つの街区として決定するものである。
次に、「街区」を決定する。「街区」とは、建物が密集する区域で個々の住居等の騒音測定が困難となる場合に、その密集の程度に応じてその評価対象道路から直交する帯状にその区域を区分して、騒音減衰を一律に適用するためのものであり、したがって道路に囲まれた範囲を最低限の単位とすることが原則となるが、騒音減衰が同等とみなせる範囲はさらに大きく区分して一つの街区とすることができる。
本発明は、一の評価区間において、道路に囲まれた範囲を単位に、その道路端からの距離に応じた騒音レベルの減衰変化を、騒音音場データベースから求め、隣り合う範囲が、ほぼ同一の減衰変化を示す場合には、これら範囲をまとめて一つの街区として決定するものである。
また、「街区」の考え方から、余りに短い区間を街区とすることは好ましくなく、最低50mの範囲とすることが実際的であり、評価マニュアルにも適合したものとなる。
具体的には、ある道路に囲まれた範囲について、騒音音場データベースから道路端からの距離を10mおきに高さ1.2mから5mまでの、騒音レベルを取得し、その距離毎に、平均騒音レベルを求め、距離に対する平均騒音レベルを求める。この場合に、算出点が住居等の内部に位置する場合にはその算出点は除外する。
具体的には、ある道路に囲まれた範囲について、騒音音場データベースから道路端からの距離を10mおきに高さ1.2mから5mまでの、騒音レベルを取得し、その距離毎に、平均騒音レベルを求め、距離に対する平均騒音レベルを求める。この場合に、算出点が住居等の内部に位置する場合にはその算出点は除外する。
同様に、隣接する範囲についても距離に対して平均騒音レベルを求め、先に求めたものと比較することにより、距離ごとの差の標準偏差が2.5dB以内のものを基準に、それぞれ独立の街区とするか一つの街区とするかを決定する。
ある範囲について、両側に範囲がある場合には、上記した方法により、その差がより近い範囲との比較を優先して街区を決定する。
そして、この決定された街区の距離毎の平均騒音レベルを改めて算出する(これを街区騒音レベルとする。10m毎に求めるとすると、50mまでの範囲に5個の街区騒音レベルがその街区に対して定められる。)。
ある範囲について、両側に範囲がある場合には、上記した方法により、その差がより近い範囲との比較を優先して街区を決定する。
そして、この決定された街区の距離毎の平均騒音レベルを改めて算出する(これを街区騒音レベルとする。10m毎に求めるとすると、50mまでの範囲に5個の街区騒音レベルがその街区に対して定められる。)。
このようにして決定された街区には、街区番号が付与され、その街区番号はその街区に属する住居等の属性データとして住居等データベースに書き込まれる。
なお、道路に囲まれた一つの範囲において道路端から同一距離にある騒音レベルの変動やばらつきが大きい場合には、そもそもこの範囲を「街区」と決定することはできず、個別に騒音レベルを求める必要がある。
なお、道路に囲まれた一つの範囲において道路端から同一距離にある騒音レベルの変動やばらつきが大きい場合には、そもそもこの範囲を「街区」と決定することはできず、個別に騒音レベルを求める必要がある。
しかし、この場合には、一応この範囲を「街区」として定めて住居等データベースへの書き込みを行なうとともに、その街区が騒音減衰を一律に適用するのには相応しくないことを示すコードを、住居等データベースの各住居等の属性データとして書き込む。
上記したように、本発明では、音響的に裏付けのある評価区間及び街区の決定をすることができる。
なお、通常、道路にはその両側に住居等が存在するものであり、また、一方通行でない限り、対向する車線があり、また、道路両側で建築物等の状態も異なることから、上記した評価区間及び街区の決定は道路の両側のそれぞれにおいて行なうことも考えられるが、騒音評価の一つの大きな単位という評価区間の考え方からして、評価区間については、その両側を併せて単位区間による判定を行ない、それにより評価区間を決定し、一方、街区に関しては、それぞれの側での判定により区分して決定する。
上記したように、本発明では、音響的に裏付けのある評価区間及び街区の決定をすることができる。
なお、通常、道路にはその両側に住居等が存在するものであり、また、一方通行でない限り、対向する車線があり、また、道路両側で建築物等の状態も異なることから、上記した評価区間及び街区の決定は道路の両側のそれぞれにおいて行なうことも考えられるが、騒音評価の一つの大きな単位という評価区間の考え方からして、評価区間については、その両側を併せて単位区間による判定を行ない、それにより評価区間を決定し、一方、街区に関しては、それぞれの側での判定により区分して決定する。
また、一の評価区間には、道路端において騒音源の強さを把握するための測定点(すなわち基準点)が配置されるが、その評価区間の範囲において基準騒音レベルと同等あるいは充分に近い騒音レベルとなる点を基準点とすることが極めて好ましい。
後に述べるように、本発明において環境騒音推計方式を適用する場合に、騒音音場データベースにおいて基準点を指定してその点における騒音レベルを取得するが、この指定した点の騒音レベルが、基準騒音レベルと大きく異なる場合(例えば事前の設定により5dBとする)には、本発明環境騒音推計システムがオペレータに対して警告を発するなどして、結局、適切な基準点を選定することができる。
後に述べるように、本発明において環境騒音推計方式を適用する場合に、騒音音場データベースにおいて基準点を指定してその点における騒音レベルを取得するが、この指定した点の騒音レベルが、基準騒音レベルと大きく異なる場合(例えば事前の設定により5dBとする)には、本発明環境騒音推計システムがオペレータに対して警告を発するなどして、結局、適切な基準点を選定することができる。
同様に、街区における背後地測定点の選定においても、騒音音場データベースにおける指定した点の騒音レベルが街区騒音レベルと大きく異ならないようにすることができ、適切な背後地測定点を選定することができる。
なお、「背後地」とは、評価対象となる道路に直接面しない住居等が存在する区域を言う(非特許文献1)。
なお、「背後地」とは、評価対象となる道路に直接面しない住居等が存在する区域を言う(非特許文献1)。
{環境騒音推計方式による騒音レベルの推計と推計差の算出}
環境騒音推計方式には、環境省が定める方式やASJモデル等があることは既に述べたが、これらの推計方式の趣旨は、全戸における個別の騒音測定が現実的でないことから、一定の簡便な推計手法を提供することにある。
これらの手法は、少数の実測した騒音レベルに、各住居等の有する属性等から定まる一定の算出方式を適用して、その住居等の騒音レベルを求める、という点で共通している。
環境騒音推計方式には、環境省が定める方式やASJモデル等があることは既に述べたが、これらの推計方式の趣旨は、全戸における個別の騒音測定が現実的でないことから、一定の簡便な推計手法を提供することにある。
これらの手法は、少数の実測した騒音レベルに、各住居等の有する属性等から定まる一定の算出方式を適用して、その住居等の騒音レベルを求める、という点で共通している。
そして、推計方式に応じて、騒音レベルを実測すべき測定点に関する基準、必要となる住居等の属性、減衰量計算式などが、詳細に定められている。
本明細書では、一つの環境騒音推計方式のこれらの定めを全体としてその推計方式の「騒音レベル推計式」という。
ここでは環境省の定める推計方式を、基本調査についてのみ評価マニュアルにある記載に基づきその概略を述べる。すなわち、
(1)基準点における実測に基づいて騒音レベルを取得する、あるいは、測定を行なわない範囲については、その実測した騒音レベルを適用する。
(2)ある住居等の所属する距離帯に応じて、評価マニュアルで予め定められた距離減衰量を求め、基準点の騒音レベルから差し引く。
さらに、その住居等の状態により、
(3)近接建物列(道路に面して建物がほぼ列をなして存在している状態)の住居等であるである場合は、(2)の値をそのままその住居等の騒音レベルとする。
本明細書では、一つの環境騒音推計方式のこれらの定めを全体としてその推計方式の「騒音レベル推計式」という。
ここでは環境省の定める推計方式を、基本調査についてのみ評価マニュアルにある記載に基づきその概略を述べる。すなわち、
(1)基準点における実測に基づいて騒音レベルを取得する、あるいは、測定を行なわない範囲については、その実測した騒音レベルを適用する。
(2)ある住居等の所属する距離帯に応じて、評価マニュアルで予め定められた距離減衰量を求め、基準点の騒音レベルから差し引く。
さらに、その住居等の状態により、
(3)近接建物列(道路に面して建物がほぼ列をなして存在している状態)の住居等であるである場合は、(2)の値をそのままその住居等の騒音レベルとする。
(4a)近接建物列がなく道路見通し角が120゜超の場合にも、(2)で求めた騒音レベルをその住居等の騒音レベルとする。
(4b)近接建物列がなく、道路見通し角が120゜以下の場合には、見通し角による簡易式(補正式(1))により、減衰量を求め、それを(2)の騒音レベルから差し引き、これをその住居等の騒音レベルとする。
(4c)近接建物列が形成されており、その背後直近(道路から二列目で道路が見通せる位置)にある住居等については、間隙率による簡易式(補正式(2))により、減衰量を求め、これを(2)で求めた騒音レベルから差し引くことにより、その住居等の騒音レベルとする。
(4d)近接建物列が形成されており、その背後建物(道路から三列目以降で道路が見通せない位置)である住居等については、建物群密度による簡易式(補正式(3))により、減衰量を求め、これを(2)で求めた騒音レベルから差し引くことにより、その住居等の騒音レベルとする。
(4b)近接建物列がなく、道路見通し角が120゜以下の場合には、見通し角による簡易式(補正式(1))により、減衰量を求め、それを(2)の騒音レベルから差し引き、これをその住居等の騒音レベルとする。
(4c)近接建物列が形成されており、その背後直近(道路から二列目で道路が見通せる位置)にある住居等については、間隙率による簡易式(補正式(2))により、減衰量を求め、これを(2)で求めた騒音レベルから差し引くことにより、その住居等の騒音レベルとする。
(4d)近接建物列が形成されており、その背後建物(道路から三列目以降で道路が見通せない位置)である住居等については、建物群密度による簡易式(補正式(3))により、減衰量を求め、これを(2)で求めた騒音レベルから差し引くことにより、その住居等の騒音レベルとする。
以上の(1)から(4)に述べた手順により求められた各住居等の騒音レベル(以下、推計騒音レベルという)を騒音レベルデータベースの該当住居等の音場騒音レベルと比較することにより、例えば、音場騒音レベルから推計騒音レベルを差し引いて、騒音レベルの推計差が求められる。
この場合、背後地にある住居等については、上記の(4b)(4c)(4d)のいずれの補正式を用いるべきかは評価マニュアルにあるフローチャートで定まるが、人的な判断による部分が大きく明確に決めることができない場合も多いので、それぞれの補正式を用いて全てについて算出しておく。
これにより、ある住居等についてその推計差が最も小さいものがより適切な補正式であると判断できる。
なお、この環境省方式において、必要とされる住居等の見通し角、間隙率、建物群密度、その他の属性は、GISデータから既存のGISプログラムにより取得することもできる。
この場合、背後地にある住居等については、上記の(4b)(4c)(4d)のいずれの補正式を用いるべきかは評価マニュアルにあるフローチャートで定まるが、人的な判断による部分が大きく明確に決めることができない場合も多いので、それぞれの補正式を用いて全てについて算出しておく。
これにより、ある住居等についてその推計差が最も小さいものがより適切な補正式であると判断できる。
なお、この環境省方式において、必要とされる住居等の見通し角、間隙率、建物群密度、その他の属性は、GISデータから既存のGISプログラムにより取得することもできる。
以上環境省方式を例として述べたように、各環境騒音推計方式において、必要な属性データ等を参照しながら、騒音レベル推計式を適用することにより各住居等の推計騒音レベルが得られるものである。
例えば、東京都方式では、一つの距離帯に属する住居等は、一つの背後地騒音レベルを一律にその住居等の騒音レベルとする、という騒音レベル推計式が用いられている。
さらに、各環境騒音推計方式の騒音レベル推計式をデータベースとして予め調製しておき、そのうちの一を指定して、その方式による推計騒音レベルと推計差を得ることもできる。
例えば、東京都方式では、一つの距離帯に属する住居等は、一つの背後地騒音レベルを一律にその住居等の騒音レベルとする、という騒音レベル推計式が用いられている。
さらに、各環境騒音推計方式の騒音レベル推計式をデータベースとして予め調製しておき、そのうちの一を指定して、その方式による推計騒音レベルと推計差を得ることもできる。
{推計騒音データベースの生成及びその利用方法}
このようにして求められた推計騒音レベル及び推計差を、対象とした推計方式毎に、必要に応じて基本調査・詳細調査の別や用いた簡易計算式・補正式が分かるように、騒音レベルデータベースに書き込み記憶し、このデータ処理を住居等データベースの全ての住居等について行なうことにより、推計騒音データベースが生成できる。
なお、推計差は単に引き算により求められるのでデータとして独立したフィールドとして保持することは必須ではない。
このようにして得られた推計騒音データベースにおいて、一定の推計差を指定(例えば、音場騒音レベルより推計騒音レベルが10dB低い)することにより、該当住居等を抽出して、特に推計方式との差が大きいことから、個別の騒音推計が必要な住居として決定することができ、また、その推計差の分布を、街区毎、距離帯毎に集計して、その範囲に在る住居等を母数として割合を求めて、推計騒音レベルを求めた環境騒音推計方式の精度、あるいは妥当性を判断する基礎データとすることができる。
このようにして求められた推計騒音レベル及び推計差を、対象とした推計方式毎に、必要に応じて基本調査・詳細調査の別や用いた簡易計算式・補正式が分かるように、騒音レベルデータベースに書き込み記憶し、このデータ処理を住居等データベースの全ての住居等について行なうことにより、推計騒音データベースが生成できる。
なお、推計差は単に引き算により求められるのでデータとして独立したフィールドとして保持することは必須ではない。
このようにして得られた推計騒音データベースにおいて、一定の推計差を指定(例えば、音場騒音レベルより推計騒音レベルが10dB低い)することにより、該当住居等を抽出して、特に推計方式との差が大きいことから、個別の騒音推計が必要な住居として決定することができ、また、その推計差の分布を、街区毎、距離帯毎に集計して、その範囲に在る住居等を母数として割合を求めて、推計騒音レベルを求めた環境騒音推計方式の精度、あるいは妥当性を判断する基礎データとすることができる。
あるいは、推計差に対して住居等全体で統計処理を行ない(例えば、標準偏差を求めることにより)、ある評価区間における推計方式の妥当性判断の基礎データとする。
また、ある住居等に対して複数の簡易計算式・補正式が適用された場合の、簡易計算式・補正式毎の推計差を統計的に比較して、適切な簡易計算式・補正式を選択することもできる。
なお、本発明においては騒音音場データベースから求められる音場騒音レベル、また、それらの集合である騒音レベルデータベースは、評価対象となる道路以外からの騒音は対象としていないため、環境基準の評価に本発明を利用する場合には、残留騒音の処理が必要となる。
また、ある住居等に対して複数の簡易計算式・補正式が適用された場合の、簡易計算式・補正式毎の推計差を統計的に比較して、適切な簡易計算式・補正式を選択することもできる。
なお、本発明においては騒音音場データベースから求められる音場騒音レベル、また、それらの集合である騒音レベルデータベースは、評価対象となる道路以外からの騒音は対象としていないため、環境基準の評価に本発明を利用する場合には、残留騒音の処理が必要となる。
ここで、残留騒音とは、音源の特定できない騒音であって、例えば、都市部においては街全体を覆う指向性の感じられない遠方の道路騒音等である。
具体的には、ある評価区域の背後地における24時間測定を行ない、90%時間率騒音レベル(非特許文献1参照)を求めるなどして、本発明システムにこの値をその評価区域の参照残留騒音として書き込み保持して、各住居等の音場騒音レベルあるいは推計騒音レベルと定められた合成式により合成して、最終的な騒音レベル(これをそれぞれ評価音場騒音レベル、評価推計騒音レベルという)とする。
上記したように、全ての住居等について音場騒音レベル、推計騒音レベル及び対応する評価音場騒音レベル、評価推計騒音レベルを順次算出して、騒音レベルデータベースに書き込み記憶するか、あるいは、別ファイルとして建物IDなどとともにこれらのデータを書き出して、環境騒音評価に用いるものである。
具体的には、ある評価区域の背後地における24時間測定を行ない、90%時間率騒音レベル(非特許文献1参照)を求めるなどして、本発明システムにこの値をその評価区域の参照残留騒音として書き込み保持して、各住居等の音場騒音レベルあるいは推計騒音レベルと定められた合成式により合成して、最終的な騒音レベル(これをそれぞれ評価音場騒音レベル、評価推計騒音レベルという)とする。
上記したように、全ての住居等について音場騒音レベル、推計騒音レベル及び対応する評価音場騒音レベル、評価推計騒音レベルを順次算出して、騒音レベルデータベースに書き込み記憶するか、あるいは、別ファイルとして建物IDなどとともにこれらのデータを書き出して、環境騒音評価に用いるものである。
{複数の道路交通センサス調査区間を有する地域における環境騒音推計システム}
二つの道路交通センサス調査区間が交差する交差点近傍に位置する住居等は、両方の道路から騒音を被曝するため、上述した単一の道路に対する騒音の推計だけではその騒音レベルとすることはできない。
また、通常は環境騒音の評価は行政の単位で行なわれるものであるから、ある行政区域全体で本発明の環境騒音推計システムを組むことは有用なものとなる。
この観点から、この地域全体の騒音音場データベース並びに住居等データベースを生成して、複数の評価区域に属することとなる住居等についても、その住居等の騒音レベルを求めて、その地域の総合的な環境騒音の評価を可能とするものである。
評価マニュアルでは、これを建物のユニーク化といい、それぞれの道路からの騒音レベルを合成して、該住居等の騒音レベルとするとしている。
二つの道路交通センサス調査区間が交差する交差点近傍に位置する住居等は、両方の道路から騒音を被曝するため、上述した単一の道路に対する騒音の推計だけではその騒音レベルとすることはできない。
また、通常は環境騒音の評価は行政の単位で行なわれるものであるから、ある行政区域全体で本発明の環境騒音推計システムを組むことは有用なものとなる。
この観点から、この地域全体の騒音音場データベース並びに住居等データベースを生成して、複数の評価区域に属することとなる住居等についても、その住居等の騒音レベルを求めて、その地域の総合的な環境騒音の評価を可能とするものである。
評価マニュアルでは、これを建物のユニーク化といい、それぞれの道路からの騒音レベルを合成して、該住居等の騒音レベルとするとしている。
本発明においては、評価区間毎にその騒音音場データベースから音場騒音レベルを求め、その複数の音場騒音レベルを合成して評価マニュアルと同様のユニーク化を行なうことにより、その住居等の音場騒音レベルを得るものである。
具体的には、ある地域の全ての住居等に重複することなく建物IDもしくは各戸IDを付与した住居等データベースを調製し、各住居等には、属することとなる評価区間IDを付与して、複数の評価区間に属することとなる住居等に対しては上記したように音場騒音レベルを求め、一方、推計騒音レベルについては、その推計方式で定められたユニーク化を行なうことにより、推計騒音レベルを求める。そして、これら求めた騒音レベルを騒音レベルデータベースに書き込み記憶し、さらに必要により推計差を求めて書き込み記憶する。
これにより、地域全体として推計方式の妥当性を判断する基礎とすることができるものである。
具体的には、ある地域の全ての住居等に重複することなく建物IDもしくは各戸IDを付与した住居等データベースを調製し、各住居等には、属することとなる評価区間IDを付与して、複数の評価区間に属することとなる住居等に対しては上記したように音場騒音レベルを求め、一方、推計騒音レベルについては、その推計方式で定められたユニーク化を行なうことにより、推計騒音レベルを求める。そして、これら求めた騒音レベルを騒音レベルデータベースに書き込み記憶し、さらに必要により推計差を求めて書き込み記憶する。
これにより、地域全体として推計方式の妥当性を判断する基礎とすることができるものである。
本発明は、環境騒音の推計等を行なうものであるが、これは、詳述した道路騒音を対象とするものに限るものではなく、例えば、鉄道騒音、航空機騒音、工場騒音、建設工事騒音にも適用できるものである。
すなわち、これらの騒音は、道路騒音のように定常的かつ均一に発生するものではないという点で、騒音源としての性質が大きく異なるものであるが、対象となる区域の形状や広さは別として、その騒音を受ける住居等には大きく異なるところがなく、したがって、騒音発生源の相違を、騒音発生源データベースに反映して、また、非定常騒音であることから、時間変化を反映した騒音発生源データベース並びに騒音音場データベースを調製することにより、同様の環境騒音推計を行なうことができるものである。
これらの騒音の性質を道路騒音の性質と簡単に比較すると表1のようになる。
すなわち、これらの騒音は、道路騒音のように定常的かつ均一に発生するものではないという点で、騒音源としての性質が大きく異なるものであるが、対象となる区域の形状や広さは別として、その騒音を受ける住居等には大きく異なるところがなく、したがって、騒音発生源の相違を、騒音発生源データベースに反映して、また、非定常騒音であることから、時間変化を反映した騒音発生源データベース並びに騒音音場データベースを調製することにより、同様の環境騒音推計を行なうことができるものである。
これらの騒音の性質を道路騒音の性質と簡単に比較すると表1のようになる。
ここで、「一定」とは、発生する場所がほぼ特定できることをいい、「不定」とは、その位置が特定できないことを言う。また、「線的」とは、その発生場所が、ほぼ線状に並んでいる状態を言い、「面的」とは、その発生場所が一定の広がりを有する面に存在している状態をいう。また、「定常的」とは、時間的に変動の少ない騒音を発生するもの、「間欠的」とは、漸増してピークを過ぎ漸減して零となるパターンが繰り返すものをいい、「平面的」とは伝搬経路がほぼ地上と沿う騒音をいい、「立体的」とは上方を含めあらゆる方向から騒音が到来するものを言う。さらに、「通年」とは、年間を通し常に騒音が発生している状態をいい、「短期」とは、一定期間で騒音発生が無くなるものをいう。
このように、騒音には種類に応じた特性があり、これらの特性を踏まえた上で、環境騒音推計システムを設計する必要がある。
例えば、「間欠的」な鉄道騒音・航空機騒音、あるいは「断続的」な建設騒音は、時間平均である「等価騒音レベル」のみの騒音の把握では適切でなく、瞬間的な最大騒音を把握する必要があると考えられるので、時間的な変動を反映した「騒音発生源データベース」を調製する必要があり、また、航空機騒音は「立体的」であるが、空港近傍を除き、ほぼ上方からのそれも長距離を伝搬する騒音となり、上方からの平面波となり、建造物による反射等はそれ程考慮しなくてもよい。しかし、通常は空港近傍における航空機騒音が問題となることが多いことから、モデル化には一定の工夫が必要である。
例えば、「間欠的」な鉄道騒音・航空機騒音、あるいは「断続的」な建設騒音は、時間平均である「等価騒音レベル」のみの騒音の把握では適切でなく、瞬間的な最大騒音を把握する必要があると考えられるので、時間的な変動を反映した「騒音発生源データベース」を調製する必要があり、また、航空機騒音は「立体的」であるが、空港近傍を除き、ほぼ上方からのそれも長距離を伝搬する騒音となり、上方からの平面波となり、建造物による反射等はそれ程考慮しなくてもよい。しかし、通常は空港近傍における航空機騒音が問題となることが多いことから、モデル化には一定の工夫が必要である。
「定常的」な工場騒音は、道路騒音と同様の点音源によるモデル化が有効であると考えられるのに対し、「断続的」な建設工事騒音は時間的変動が大きく、また工事の進捗に伴い作業内容が変わり場所は同じでも発生位置が上方に移動するなど固定できないので、これもモデル化には工夫が必要である。
対象となる地域は、鉄道についてはその沿線地域、工場、建設工事についてはその周辺地域、航空機については通常空港周辺地域とすることが合理的である。
環境騒音を推計すべき住居等については大きく変わるところがないので、以下に、主に、騒音別に騒音発生源データベースの調製について述べる。
対象となる地域は、鉄道についてはその沿線地域、工場、建設工事についてはその周辺地域、航空機については通常空港周辺地域とすることが合理的である。
環境騒音を推計すべき住居等については大きく変わるところがないので、以下に、主に、騒音別に騒音発生源データベースの調製について述べる。
{鉄道騒音に係る騒音発生源データベースの調製と騒音音場データベースの調製}
鉄道騒音は定常的ではないが、ある瞬間ではその発生する範囲は列車長さの範囲であるから、この列車長さ範囲に複数個の固定音源を単位時間配置し、走行速度から求められる一定時間後の位置に同様の固定音源を配置することにより騒音発生源データベースを調製する。定速走行に対しては、固定音源に割り当てる音源は同一のものとし、加速や減速の場合は、一定時間毎に、その平均速度に対する音圧に応じた音源とし、また、減速時にはブレーキ音に対応する音源も配置する。
このようにして、一定時間毎に移動する固定音源の集合として騒音発生源データベースが調製される。
鉄道騒音は定常的ではないが、ある瞬間ではその発生する範囲は列車長さの範囲であるから、この列車長さ範囲に複数個の固定音源を単位時間配置し、走行速度から求められる一定時間後の位置に同様の固定音源を配置することにより騒音発生源データベースを調製する。定速走行に対しては、固定音源に割り当てる音源は同一のものとし、加速や減速の場合は、一定時間毎に、その平均速度に対する音圧に応じた音源とし、また、減速時にはブレーキ音に対応する音源も配置する。
このようにして、一定時間毎に移動する固定音源の集合として騒音発生源データベースが調製される。
騒音音場データベースの調製は、ある算出点からみて鉄道線路に沿って、例えば前後500m、計1000mの範囲の固定音源による騒音レベルを、単位時間毎の騒音発生源データから定常騒音として騒音レベルを求め、この範囲を通過するまでの時間にわたり繰り返して個々の単位時間ごとの騒音レベルを合成することにより、等価騒音レベルを求める。
また、鉄道騒音の特徴から、上記の単位時間当たりの騒音レベルのうち最大のものをピーク騒音レベルとして記録する。
これを全ての算出点について行なうことにより、一つの列車による騒音音場データベースを、ピーク騒音レベルとともに書き込み記憶することにより調整できる。
種類のことなる列車には、上記と同様に別の騒音発生源データベースを調製して、また、二つの列車が同時に通過する場合は、個々の騒音レベルを合成することにより、対応する騒音音場データベースを得ることができる。
また、鉄道騒音の特徴から、上記の単位時間当たりの騒音レベルのうち最大のものをピーク騒音レベルとして記録する。
これを全ての算出点について行なうことにより、一つの列車による騒音音場データベースを、ピーク騒音レベルとともに書き込み記憶することにより調整できる。
種類のことなる列車には、上記と同様に別の騒音発生源データベースを調製して、また、二つの列車が同時に通過する場合は、個々の騒音レベルを合成することにより、対応する騒音音場データベースを得ることができる。
{空港周辺の航空機騒音に係る騒音発生源データベースの調製}
空港近傍においては、航空機の離着陸前後の飛行位置並びに滑走路上の走行位置はほぼ一定しているので、この範囲に線状に固定音源を配置する。配置は、鉄道騒音と同様に単位時間固定した音源とし、また、航空機と住居等の距離は一般に1km単位としてよいので、一つの点音源としてよいと考えられる。
離着陸時の速度は大きく変化しエンジン出力も変動するためするため、単位時間毎に予めその発生騒音レベルを求めておき、これをそれぞれの固定点に割り当てて、騒音発生源データベースとする。
空港近傍においては、航空機の離着陸前後の飛行位置並びに滑走路上の走行位置はほぼ一定しているので、この範囲に線状に固定音源を配置する。配置は、鉄道騒音と同様に単位時間固定した音源とし、また、航空機と住居等の距離は一般に1km単位としてよいので、一つの点音源としてよいと考えられる。
離着陸時の速度は大きく変化しエンジン出力も変動するためするため、単位時間毎に予めその発生騒音レベルを求めておき、これをそれぞれの固定点に割り当てて、騒音発生源データベースとする。
{工場騒音に係る騒音発生源データベースの調製}
工場騒音は、定常的な騒音と考えられ、また、時間的にその発生位置が移動しないので、固定的な点音源を配置することにより、騒音発生源データベースとすることができる。工場の面積により、この点音源を複数配置する。
工場騒音は、定常的な騒音と考えられ、また、時間的にその発生位置が移動しないので、固定的な点音源を配置することにより、騒音発生源データベースとすることができる。工場の面積により、この点音源を複数配置する。
{建設工事騒音に係る騒音発生源データベースの調製}
建設工事の騒音は、モデル化することが難しいが、工事の種類・内容により類型化し、その建設行程の進捗に従い、それぞれの騒音源を点音源として配置する。建設面積に応じて、必要に応じて複数の点音源を配置する。また、高層建築物においては、同時に進められる工事の種類・内容に応じてその階にそれぞれ点音源を配置して、騒音発生源データベースとする。
建設工事の騒音は、モデル化することが難しいが、工事の種類・内容により類型化し、その建設行程の進捗に従い、それぞれの騒音源を点音源として配置する。建設面積に応じて、必要に応じて複数の点音源を配置する。また、高層建築物においては、同時に進められる工事の種類・内容に応じてその階にそれぞれ点音源を配置して、騒音発生源データベースとする。
これらの騒音発生源データベースと三次元形状データベースから騒音音場データベースを調製することができ、この騒音音場データベースを参照することにより前述したように各住居等の音場騒音レベルが求められ、また、騒音レベルデータベースが生成される。
なお、これら道路騒音以外の騒音についての推計について、自治体などで騒音推計方式が定められている場合には、これら推計方式に必要な属性データ等を住居等データベースに保持するなどして、該推計方式を適用し、それにより得られた騒音レベルとの比較を行ない、また、その推計方式の精度を評価することができることは、これも前述した通りである。
以下、図面にしたがって本発明を道路騒音に適用した実施例を説明する。
図1は、本発明騒音推計方法の一つの実施例を示すものであって、一の建物IDを入力することにより、その住居等の騒音レベルが出力されるまでのフローが表わされている。1は騒音音場データベース(以下、データベースを「DB」と記す、図面において同じ。)、2は住居等DBである。
この騒音音場DB1には、一つの道路交通センサス調査区間に対応する空間に配置された算出点の三次元位置と、その算出点における、昼間と夜間の二つの基準時間帯の騒音レベルが記憶保持されている。
図1は、本発明騒音推計方法の一つの実施例を示すものであって、一の建物IDを入力することにより、その住居等の騒音レベルが出力されるまでのフローが表わされている。1は騒音音場データベース(以下、データベースを「DB」と記す、図面において同じ。)、2は住居等DBである。
この騒音音場DB1には、一つの道路交通センサス調査区間に対応する空間に配置された算出点の三次元位置と、その算出点における、昼間と夜間の二つの基準時間帯の騒音レベルが記憶保持されている。
図3は、この騒音音場DB1が、予め調製されている騒音発生源DB5と構造物等の三次元形状DB6から調製される流れを示すものであり、一の算出点が定められると、この算出点との位置関係から、騒音レベル演算・算出の対象となる範囲の、騒音発生源データが騒音発生源DB5から、構造物等の三次元形状データが構造物等の三次元形状DB6から取得され、これらのデータから、一の騒音発生源位置と該算出点までの騒音の伝播経路を探索し、それぞれの経路について、距離減衰・反射減衰・回折減衰等を演算し、各経路による騒音レベルを合成し、この演算・算出を対象となる全ての騒音発生源データについて実行して、更にそれらの騒音レベルを合成して、その算出点の騒音レベルとし、この騒音レベルを、算出点位置とともに騒音音場DB1に書き出して、全ての算出点についての演算・算出処理を行うことにより、一の道路交通センサス調査区間に対応した、騒音音場DB1が調製される。
住居等DB2には、建物ファイルと集合住宅ファイルが含まれ、それぞれのファイルは、図形データ部分と属性データ部分からなる。
ここで図形データとは、その建物などの三次元位置や三次元形状を表わすデータであって、GISシステムによりその形状を地図上に表示などするに適した形式を有している。また、属性データとの関連をつけるために建物IDや各戸IDが付与されている。
属性データとは、住居等DB内でその建物を特定するためのキーとなる建物IDや各戸ID、建物用途、建物種別(戸建か集合住宅かの別)データ、建物高さデータ、建物面積データ、階数データ、総戸数データ、所属階データ、階の高さデータ、などのデータからなる。
ここで図形データとは、その建物などの三次元位置や三次元形状を表わすデータであって、GISシステムによりその形状を地図上に表示などするに適した形式を有している。また、属性データとの関連をつけるために建物IDや各戸IDが付与されている。
属性データとは、住居等DB内でその建物を特定するためのキーとなる建物IDや各戸ID、建物用途、建物種別(戸建か集合住宅かの別)データ、建物高さデータ、建物面積データ、階数データ、総戸数データ、所属階データ、階の高さデータ、などのデータからなる。
図4には、属性データ部分の関係及びその構成データの例を示してあり、建物ファイルの建物種別データが集合住宅を示す場合には、その建物に対応して一つの集合住宅ファイルが作られている。この集合住宅ファイルは対応する建物と建物IDにより関連が付けられている。他に保持する属性データとしては、図示はしていないが、属する道路交通センサス調査区間データ、属する評価区間データ、属する街区データなどがある。
したがって、建物ファイルに二以上の集合住宅がある場合には、破線で囲んで示すように複数の集合住宅ファイルが作られることとなる。
また、建物が集合住宅であって、対応する集合住宅ファイルがない場合には、その建物の高さ、階数、総戸数などから、各階の戸数、高さ、各戸の形状、面積などを推定して割り出し、この建物に対応する図形データと属性データからなる集合住宅ファイルを調製する(a2)。
したがって、建物ファイルに二以上の集合住宅がある場合には、破線で囲んで示すように複数の集合住宅ファイルが作られることとなる。
また、建物が集合住宅であって、対応する集合住宅ファイルがない場合には、その建物の高さ、階数、総戸数などから、各階の戸数、高さ、各戸の形状、面積などを推定して割り出し、この建物に対応する図形データと属性データからなる集合住宅ファイルを調製する(a2)。
このようにして、建物IDが入力される(a0)と、建物属性データの取得(a1)あるいは集合住宅ファイルの調整(a2)を経て、対応する住居等の形状が得られ(a3)、この形状に対して、測定高さ(地上1.2m、各階床高さ1.2m)平面での断面である建物などの二次元平面形状が求められ(a4)、この二次元平面形状の外壁線上に、例えば、一つの角を基点として、50cm間隔に参照点が配置される(a5)。
ついで、騒音音場DB1を参照して、建物外部に存在するその参照点に直近の算出点の騒音レベルを各参照点における騒音レベルとして取得し、全ての参照点における騒音レベルのうち最大のものを、該住居等の騒音レベルとし、その参照点を評価地点として決定し(a7)、この騒音レベルを、音場騒音レベルとして、その評価地点位置とともに出力する(a8)。
ついで、騒音音場DB1を参照して、建物外部に存在するその参照点に直近の算出点の騒音レベルを各参照点における騒音レベルとして取得し、全ての参照点における騒音レベルのうち最大のものを、該住居等の騒音レベルとし、その参照点を評価地点として決定し(a7)、この騒音レベルを、音場騒音レベルとして、その評価地点位置とともに出力する(a8)。
上述した環境騒音推計方法のうち、(a1)から(a8)までのステップは、後述する本発明環境騒音推計システムにおいて、音場騒音レベル算出手段とされるものであり、この部分を矩形で囲って示してある(A)。
図2は、本発明環境騒音推計システムの実施例を示すものであり、一の道路交通センサス調査区間(以下、単に調査区間という)に対応するシステムの構成を示している。
この調査区間に関するデータは、調査区間ファイル10に予め保持されている。
該調査区間に対応して予め調製された、騒音音場DB1と住居等DB2が外部記憶装置内に保持され、音場騒音レベル算出手段A、評価区間・街区決定手段B及び推計騒音レベル算出手段Cを有している。
図2は、本発明環境騒音推計システムの実施例を示すものであり、一の道路交通センサス調査区間(以下、単に調査区間という)に対応するシステムの構成を示している。
この調査区間に関するデータは、調査区間ファイル10に予め保持されている。
該調査区間に対応して予め調製された、騒音音場DB1と住居等DB2が外部記憶装置内に保持され、音場騒音レベル算出手段A、評価区間・街区決定手段B及び推計騒音レベル算出手段Cを有している。
さらに、各騒音推計方式に応じた騒音レベル推計式を参照できるように保持した騒音レベル推計式DB7が外部記憶装置内に保持されている。
また、調査区間に関するデータからなる調査区間ファイル10が予め保持されており、この調査区間ファイルには、道路交通センサス区間ID及びその始点終点位置データ、一又は複数の評価区間ID及び評価区間始点終点位置データ、並びに街区ID等が記録されている。
さらに、本システムの音場騒音レベル算出手段Aと推計騒音レベル算出手段Cにより出力された音場騒音レベル、推計騒音レベル等を記憶保持するファイルとして共通の騒音レベルDB3及び推計騒音DB4が外部記憶装置内に設けられる。
また、調査区間に関するデータからなる調査区間ファイル10が予め保持されており、この調査区間ファイルには、道路交通センサス区間ID及びその始点終点位置データ、一又は複数の評価区間ID及び評価区間始点終点位置データ、並びに街区ID等が記録されている。
さらに、本システムの音場騒音レベル算出手段Aと推計騒音レベル算出手段Cにより出力された音場騒音レベル、推計騒音レベル等を記憶保持するファイルとして共通の騒音レベルDB3及び推計騒音DB4が外部記憶装置内に設けられる。
この騒音レベルDB3,推計騒音DB4を参照して、その騒音レベルデータなどを、直接にディスプレイ上に地図図形とともに出力し、あるいは、集計・統計処理手段Dからの出力を出力するための、表示・出力手段Eが備えられている。
Fは入力装置、Gはディスプレイ、Hはプリンタなどの表示・出力装置である。
本システムにおいて、入力装置Fから命令が入力されて評価区間・街区決定手段Bが実行されると、騒音音場DB1を参照して、適切な評価区間、並びにその評価区間における街区が決定され、その評価区間、街区にそれぞれ評価区間ID、街区IDが付与され、調査区間ファイル10にその内容が記録される。
同時に、これらの評価区間ID、街区IDは、その評価区間及び街区に属する住居等の属性データとして住居等DB2へ書き込み保持される。
Fは入力装置、Gはディスプレイ、Hはプリンタなどの表示・出力装置である。
本システムにおいて、入力装置Fから命令が入力されて評価区間・街区決定手段Bが実行されると、騒音音場DB1を参照して、適切な評価区間、並びにその評価区間における街区が決定され、その評価区間、街区にそれぞれ評価区間ID、街区IDが付与され、調査区間ファイル10にその内容が記録される。
同時に、これらの評価区間ID、街区IDは、その評価区間及び街区に属する住居等の属性データとして住居等DB2へ書き込み保持される。
図5は、調査区間ファイル10の構造及びデータ構成を示したものであり、(a)は、評価区間・街区決定手段Bが実行される前の状態を示したものであり、レコード番号1に、調査区間ID(ここでのデータの内容は「R001」)と始点と終点の位置情報のみが記録されている。
評価区間・街区決定手段Bが実行されて、例えば、この調査区間が二つの評価区間に区分され(その評価区間IDがそれぞれH01とH02)、さらに、そのうちの一つの評価区間(H01)が二つの街区に区分され(その街区IDがそれぞれG01とG02)た場合の調査区間ファイルへのレコードの追加及び書き込みの状態を図5(b)に示す。
評価区間・街区決定手段Bが実行されて、例えば、この調査区間が二つの評価区間に区分され(その評価区間IDがそれぞれH01とH02)、さらに、そのうちの一つの評価区間(H01)が二つの街区に区分され(その街区IDがそれぞれG01とG02)た場合の調査区間ファイルへのレコードの追加及び書き込みの状態を図5(b)に示す。
ここで、「区分」フィールドには、そのレコードが、調査区間、評価区間、街区のいずれの情報を記録しているかを示すコードが保持され、ここでは、「0」は調査区間、「1」は評価区間、「2」は街区であることを示す。
「ID0」は調査区間に付与されたIDを、「ID1」は評価区間に付与されたIDを、「ID2」は街区に付与されたIDを、それぞれ保持するフィールドである。
このように、評価区間及び街区が決定されると、調査区間ファイル10にレコードが追加され、その始点と終点の位置、並びに基準騒音レベル(昼間/夜間)、街区騒音レベル(道路からの距離に応じて複数求められる)が書き込まれる。
同時に、住居等DB2に対しては、各住居等の存在位置から、属する評価区間、あるいは街区に応じて、そのIDが属性データとして書き込み保持される。
「ID0」は調査区間に付与されたIDを、「ID1」は評価区間に付与されたIDを、「ID2」は街区に付与されたIDを、それぞれ保持するフィールドである。
このように、評価区間及び街区が決定されると、調査区間ファイル10にレコードが追加され、その始点と終点の位置、並びに基準騒音レベル(昼間/夜間)、街区騒音レベル(道路からの距離に応じて複数求められる)が書き込まれる。
同時に、住居等DB2に対しては、各住居等の存在位置から、属する評価区間、あるいは街区に応じて、そのIDが属性データとして書き込み保持される。
入力装置Fから音場騒音レベル算出の命令が入力されると、音場騒音レベル算出手段Aにより、騒音音場DB1と住居等DB2を参照して全住居等の音場騒音レベルが求められ、騒音レベルDB3が生成される。
この騒音レベルDB3は、本発明システムの構成においては住居等DB2と同一のファイルとして作られてもよく、この場合には、各住居の属性データとして記憶保持される。
この騒音レベルDB3は、本発明システムの構成においては住居等DB2と同一のファイルとして作られてもよく、この場合には、各住居の属性データとして記憶保持される。
入力装置Fから、推計騒音レベル算出の命令が、対象となる評価区間と適用する騒音レベル推計式を指定して入力されると、推計騒音レベル算出手段Cは、騒音レベル推計式DB7から、指定された騒音レベル推計式を読み込み、これにしたがって、基準点の入力をオペレータに促し、入力された点における騒音レベルを騒音音場DB1から取得し、この騒音レベルが調査区間ファイル10に記録してある基準騒音レベルから所定値以上異なる場合には、警告を発し、他の点を入力するようにオペレータ指示する。
これによって、適切な基準点の選定が行うことができる。
また必要により、背後地測定点の入力を求め、この点における騒音レベルが、調査区間ファイル10の街区騒音レベルと所定値以上異なる場合には他の点の入力を求め、これにより背後地測定点が適切に選定できる。
これによって、適切な基準点の選定が行うことができる。
また必要により、背後地測定点の入力を求め、この点における騒音レベルが、調査区間ファイル10の街区騒音レベルと所定値以上異なる場合には他の点の入力を求め、これにより背後地測定点が適切に選定できる。
そして、該騒音レベル推計式を適用するために必要な住居等の属性データを住居等DB2から取得して、全住居等についての推計騒音レベルが求められ、これらを推計騒音DB4に書き込み記憶する。
この推計騒音DB4も、本発明システムの構成においては住居等DB2と同一のファイルとして作られてもよく、この場合には、各住居の属性データとして記憶保持される。
音場騒音レベル算出手段A及び推計騒音レベル算出手段Cにより生成された騒音レベルDB3,推計騒音DB4に対して、集計・統計処理手段Dにより、種々のデータ処理が行われ、例えば、推計差の評価その他の必要となるデータを得ることができ、これらを環境騒音推計方式の評価の基礎として利用することができる。
また、これらの騒音レベルなどを出力・表示手段Eを用いて、表示装置Gを用いて地図上に視覚的に出力し、また、出力装置Hを用いて各種帳票として印刷出力することができる。
この推計騒音DB4も、本発明システムの構成においては住居等DB2と同一のファイルとして作られてもよく、この場合には、各住居の属性データとして記憶保持される。
音場騒音レベル算出手段A及び推計騒音レベル算出手段Cにより生成された騒音レベルDB3,推計騒音DB4に対して、集計・統計処理手段Dにより、種々のデータ処理が行われ、例えば、推計差の評価その他の必要となるデータを得ることができ、これらを環境騒音推計方式の評価の基礎として利用することができる。
また、これらの騒音レベルなどを出力・表示手段Eを用いて、表示装置Gを用いて地図上に視覚的に出力し、また、出力装置Hを用いて各種帳票として印刷出力することができる。
以上述べたように、本発明によれば、道路騒音に限らずあらゆる環境騒音について、必要とされる労力を極力抑えながら、精度の高い適切な環境騒音の推計を行うことができ、環境騒音に関わる様々な業務に適用できるものであり、特に行政において必要とされる定期的な環境騒音の評価においては、基礎となるデータ部分の更新をするだけでその業務を迅速に遂行することができるので非常に有用である。
なお、既に述べたように、本出願に係る発明においては、既存のGISデータを利用することによって、それらのGISが有している交通量データ、地形データ、道路構造データ並びに建物データ等を、本発明の騒音音場データベース及び住居等データベースを調製するための基礎データとして利用し、さらにまた、本発明により生成加工された騒音レベルに関するデータ等をそれらのGISの属性データとして出力することにより騒音レベル分布状態等を地図上に視覚的に出力表示することもできるが、環境に関わる騒音を実態に則して可及的に正確に推計するという本発明の目的ためには、これらGISデータが評価地域における実体を正確に表現・反映しているかの検証を常に行うことが必要であり、場合によって現場に赴いて実際の計測などを実施することも必要である。また、行政において毎年行われる環境騒音に係る評価において本発明を利用するためには、これらの基礎データの更新を行い、それに応じた騒音音場データベース及び住居等データベースの再構築を行うことが必須となる。
1 騒音音場データベース
2 住居等データベース
3 騒音レベルデータベース
4 推計騒音データベース
5 騒音発生源データベース
6 構造物等の三次元形状データベース
7 騒音レベル推計式データベース
10 調査区間ファイル
A 音場騒音レベル算出手段
B 評価区間・街区決定手段
C 推計騒音レベル算出手段
D 集計・統計処理手段
2 住居等データベース
3 騒音レベルデータベース
4 推計騒音データベース
5 騒音発生源データベース
6 構造物等の三次元形状データベース
7 騒音レベル推計式データベース
10 調査区間ファイル
A 音場騒音レベル算出手段
B 評価区間・街区決定手段
C 推計騒音レベル算出手段
D 集計・統計処理手段
Claims (9)
- 一の道路交通センサス調査区間に対応する騒音評価対象となる区域の騒音音場データベースを参照することにより、該区域に属する各住居等における騒音レベルを出力する環境騒音推計方法。
- 一の道路交通センサス調査区間に対応する騒音評価対象となる区域の騒音音場データベースが、騒音発生源データベースと構造物等の三次元形状データベースから調製されたことを特徴とする請求項1記載の環境騒音推計方法。
- 前記騒音音場データベースと、対応する区域に属する全ての住居等に関するデータから構成された住居等データベースの、少なくとも二つのデータベースを備える環境騒音推計システムであって、該騒音音場データベースを参照することにより全ての住居等の騒音レベルを出力して騒音レベルデータベースを生成する環境騒音推計システム。
- 前記騒音音場データベースにおいて、道路端における騒音レベルが一定範囲となるように一の道路交通センサス調査区間を一又は複数の評価区間に区分するとともに、区分された一の評価区間に対応する評価区域において道路端からの距離に応じた騒音レベルの減衰変化が一定範囲となるような範囲毎に該評価区域を区分して一又は複数の街区とする評価区間及び街区の決定方法。
- 前記騒音音場データベースから、請求項4記載の方法により決定された評価区間の基準点及び/又は各街区から選んだ背後地測定点における騒音レベルを取得し、環境騒音推計方式で用いられる騒音レベル推計式に入力することにより該評価範囲に属する各住居等の推計騒音レベルを算出する推計騒音レベル算出方法。
- 請求項4記載の方法による評価区間及び街区の決定手段を有し、かつ、請求項5記載の方法による推計騒音レベル算出手段を有しており、環境騒音推計方式に応じた全住居等の推計騒音レベルを書き込み記憶することにより推計騒音データベースを生成する請求項3記載の環境騒音推計システム。
- 請求項6記載の環境騒音推計システムにおいて、推計差が一定レベル以上となる住居等を抽出して、個別の騒音測定が必要な住居等を決定する環境騒音推計システム。
- ある地域に属する全ての道路交通センサス調査区間に対応した複数の騒音音場データベースと、該地域の全ての環境騒音評価対象となる区域に属する全ての住居等に関するデータから構成された住居等データベースの、少なくとも二種類のデータベースを有する環境騒音推計システムであって、該騒音音場データベースを参照することによって、全ての住居等の騒音レベルを出力して騒音レベルデータベースを生成する環境騒音推計システム。
- 騒音評価対象となる区域の騒音音場データベースを、鉄道騒音発生源データベース、航空機騒音発生源データベース、工場騒音発生源データベース又は建設工事騒音発生源データベースのいずれか一つの騒音発生源データベースと、構造物等の三次元形状データベースから調製し、該騒音音場データベースを参照することにより、該区域に属する各住居等における騒音レベルを出力する環境騒音推計方法並びにそのシステム。
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JP2004242872A JP2006058245A (ja) | 2004-08-23 | 2004-08-23 | 環境騒音推計方法及び環境騒音推計システム並びに環境騒音推計方式の評価方法及びその評価システム |
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2004
- 2004-08-23 JP JP2004242872A patent/JP2006058245A/ja active Pending
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