JP2006014729A - 睡眠障害実験システム - Google Patents

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【課題】 再現性の高い睡眠障害実験を可能とする実験システムを提供すること、および、この実験システムを使用して睡眠時無呼吸症候群モデル動物など睡眠障害のモデル動物を提供すること。
【解決手段】 本発明の実験システムは、飼育器内の酸素濃度及び/又は二酸化炭素濃度を調節することによって、飼育器内におかれた実験動物の睡眠を障害するものである。この実験システムは、睡眠時無呼吸症候群の病態をよく再現し、睡眠時無呼吸症候群と生理的状況が極めて近い睡眠障害モデル動物を作製することができる。また、飼育器内に供給される各気体の流量を精度良くコントロールすることによって、再現性の高い睡眠障害実験および睡眠障害モデル動物の作製を実現できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、睡眠障害実験システムに関するものであり、たとえば、睡眠時無呼吸症候群の研究に利用できるほか、再現性の高い睡眠障害実験によって睡眠・覚醒さらに意識レベルに関与する薬剤や機器の開発に役立つものである。
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:略称SAS)は、最も頻度の高い睡眠異常であり、睡眠中に無呼吸状態・低呼吸状態など異常な呼吸が現れ(これは睡眠呼吸障害とよばれる)、その結果睡眠が障害され、高血圧を含め身体に様々な不具合を及ぼす疾患である。睡眠時無呼吸症候群は、十分に睡眠がとれない結果、日中眠気を催し、あるいは、集中力・活力に欠け、居眠り運転や重大事故などを引き起こす危険が高くなる。そればかりでなく、痴呆症を引き起こす危険が指摘されている。即ち、睡眠時呼吸障害は、睡眠中に無呼吸・低呼吸を引き起こすが、このために頻回に生じる低酸素血症によって、不可逆的な脳の障害が生じ、痴呆症を引き起こす可能性が指摘されている。
このような睡眠時無呼吸症候群などの睡眠時呼吸障害の病態をより詳細に解明し、その新たな診断法、予防法および治療法などを開発するためには、マウスなどの実験動物を使った睡眠障害の実験・研究が非常に重要である。たとえば、睡眠時呼吸障害の状態をマウスで再現し、得られた無呼吸症候群モデルマウスにおいて、遺伝子群の発現および個体の行動などを詳細に解析する手法は、睡眠時無呼吸症候群の病態を解明する上で非常に有効な方法と考えられる。
従来、睡眠障害の実験・研究として断眠実験が行われていたが、一般に、従来の断眠実験は、実験者がマウスに触れ、あるいは、ケージを揺らすなどの、自然な状況では起こらないようなストレスを与える実験系が用いられてきた。この実験系は、ヒトの睡眠障害で実際に起こっている生理現象を再現しているものといえるか疑問があった。
動物実験において、間欠的に低酸素を投与する実験法が報告されているが(下記の非特許文献1参照)、この実験法は、睡眠・覚醒の状態と無関係に交互に90秒から2分程度の間隔で空気と低酸素とを投与するというものである。
また、マウスの脳波・筋電図を測定し、電磁弁によりケージ内の酸素濃度のみを変化させる実験系も報告されている(下記の非特許文献2参照)。この実験系は、初期設定の時点で2種類の気体の圧力を決めた後に気体の混合比を較正する必要があり、一旦決めた混合比を変更するためにはその都度較正する必要がある。また、電磁弁とボンベを使用した場合、圧力の変化がないことを逐次確認する必要があり、さらに、実験中に供給している気体のモニターを別個に設ける必要がある。
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上述のように、従来の睡眠障害実験システムは、ヒトの睡眠時無呼吸症候群で実際に起こっている生理現象を再現しているものといえるか疑問があり、また、再現性の高い睡眠障害モデルを作製する上で改善が望まれていた。
本発明は、上記問題点に着目してなされたものであり、その目的は、再現性の高い睡眠障害実験を可能とする実験システムを提供すること、および、この実験システムを使用して睡眠時無呼吸症候群モデル動物など睡眠障害のモデル動物を提供することにある。
本発明者は、上記の課題に鑑み鋭意研究を進めた結果、後述する睡眠障害実験システムを構築し、この実験システムを用いて飼育器内に供給される気体流量を制御したところ、飼育器内の酸素濃度を低濃度とし、あるいは、二酸化炭素濃度を高濃度とすることによって実験動物の睡眠障害を作り出すことに成功し、この実験システムにより再現性の高い睡眠障害モデル動物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、産業上および医療・医学上有用な、下記A)〜H)の発明を包含するものである。
A) 飼育器内の酸素濃度及び/又は二酸化炭素濃度を調節することによって実験動物の睡眠障害を作り出すことを特徴とする、睡眠障害実験システム。
B) 実験動物を飼育する飼育器と、複数の各気体を飼育器に供給するための気体供給手段とを備え、飼育器に供給する各気体の流量を独立して制御することによって飼育器内の酸素濃度及び/又は二酸化炭素濃度を調節し、これにより実験動物の睡眠障害を作り出すことを特徴とする、上記A)記載の睡眠障害実験システム。
C) マスフローコントローラによって飼育器に供給する各気体の流量を独立して制御することを特徴とする、上記B)記載の睡眠障害実験システム。
D) 空気、窒素、酸素および二酸化炭素の4種類の気体のうち、少なくとも空気を含む2種類以上の気体を、その流量を制御しつつ飼育器に供給することを特徴とする、上記B)又はC)記載の睡眠障害実験システム。
E) 実験動物の脳波および筋電図を計測しながら、飼育器に供給する各気体の流量を制御することを特徴とする、上記B)〜D)のいずれかに記載の睡眠障害実験システム。
F) 上記A)〜E)のいずれかに記載の睡眠障害実験システムによって作出された睡眠障害モデル動物。
G) 睡眠時無呼吸症候群(SAS)モデル動物である、上記F)記載の睡眠障害モデル動物。
H) マウスである、上記F)又はG)記載の睡眠障害モデル動物。
本発明の実験システムは、飼育器内の酸素濃度及び/又は二酸化炭素濃度を調節することによって、飼育器内におかれた実験動物の睡眠を障害するものである。この実験システムは、睡眠時無呼吸症候群の病態をよく再現し、睡眠時無呼吸症候群と生理的状況が極めて近い睡眠障害モデル動物を作製することができる。また、飼育器内に供給される各気体の流量を精度良くコントロールすることによって、再現性の高い睡眠障害実験および睡眠障害モデル動物の作製を実現できる、等の効果がある。
以下、本発明の実施の一形態について図面に基づいて説明するが、本発明は以下の実施形態の構成によって何ら限定されるものではない。
〔1〕本実施形態の睡眠障害実験システム
本実施形態の睡眠障害実験システムは、図1に示すように、大略的に、ケージ(飼育器)1、制御装置(制御手段)2、気体流量制御手段4、および、気体供給手段5を備えて構築されている。
ケージ1は、内部の様子が観察できるように透明プラスチック等からなる密閉容器である。ケージ1には、実験動物(たとえばマウス)が飼育される。実験動物には、後述のように、脳波用電極および筋電図用電極が取付けられ、各電極より取得された電気信号は、たとえばアンプによって増幅した後に制御装置2に送られる。ケージ1には、さらに、必要に応じてケージ内の各気体割合を検出するケージ内気体検出装置(検出手段)3、および、ケージ内気体の排気を調節する排気装置(排気手段)6が設けられている。ケージ1に、ケージ1内の酸素濃度および二酸化炭素濃度を検出する装置(濃度検出手段)を設置
する構成とすることは好ましい。
制御装置2は、実験者の設定にしたがって、気体流量制御手段4の各マスフローコントローラにおける気体流量を制御するとともに、各マスフローコントローラを通過する気体の質量を逐次記録する(記録手段)。制御装置2は、たとえば、演算装置や記憶装置等からなるハードウェア、および、制御用ソフトウェア(制御プログラム)を備えたコンピュータによって実現される。
気体流量制御手段4は、3つのマスフローコントローラ(質量流量制御器)4a・4b・4cによって構成される。本実験システムにおいては、これらマスフローコントローラ4a・4b・4cを通過してケージ1内に供給される各気体流量が制御されることによって、ケージ1内の酸素濃度及び/又は二酸化炭素濃度を調節することができるようになっている。
気体供給手段5は、3つのガスボンベ(ガス供給容器)、即ち、CO2ガスボンベ5a、N2ガスボンベ5b、および、空気ガスボンベ(または空気供給用ポンプ)5cによって構成される。これらのガスボンベ5a・5b・5cから供給される各気体流量は、上記3つのマスフローコントローラ4a・4b・4cによって独立して制御される。
上記マスフローコントローラ4a・4b・4cによる気体制御には、次のような利点がある。(1)まず、各マスフローコントローラを通過する気体の質量を設定値にしたがって正確にコントロールすることができる。(2)その結果、ケージ内の酸素濃度及び/又は二酸化炭素濃度を容易に調節できる。(3)また、実際の各気体流量をモニターできる。(4)気体流量制御手段として高い再現性と信頼性を有する。
上記構成の実験システムを用いてケージ1内に供給される気体流量を制御したところ、ケージ1内の実験動物の睡眠をコントロールすることができ、たとえば、ケージ1内の酸素濃度を低濃度とし、あるいは、二酸化炭素濃度を高濃度とすることによって実験動物の睡眠障害を作り出すことができた。なお、ここで、酸素濃度を低濃度にするとは、ケージ1内の混合気体における酸素割合を5%〜18%程度に設定することを意味する。また、二酸化炭素濃度を高濃度にするとは、ケージ1内の混合気体における二酸化炭素割合を1%〜20%程度に設定することを意味する。
本実験システムにおいては、さらに、実験動物の脳波および筋電図を計測しつつ、ケージ1内に供給する各気体流量を制御し、実験動物の睡眠を障害することができるようになっている。そこで以下ではこの方法の一例について説明する。
実験動物にマウスを使用した場合を例に挙げ、まず、マウスからの脳波・筋電図の記録法とその解析法について説明する。次に、その結果を利用してどのように睡眠を障害していくかについて説明する。
たとえば、図2に示すように、麻酔下でマウスの頭皮を切開し、定位的に頭蓋骨2カ所にドリルで穴をあける。そこに脳波記録用の電極を埋め込み歯科用セメントで固定する。筋電図用の電極コードは、背中から後足にかけて皮下を通し、後足の皮膚を切開して大腿直筋に直接差し込む(図2において、皮膚の下に電源コードを通している箇所が、点状に示される)。
脳波および筋電図の計測によって睡眠・覚醒の判定は従来行われてきたが、背部から後足までの筋電図を測定するという方法は独特であり、これによって、覚醒・レム(REM)睡眠・ノンレム(Non REM)睡眠の各ステージの判定がより容易かつ確実になる。
上記のようにしてマウスに電極を埋め込む手術のおよそ一週間後から、脳波および筋電図の電気信号を制御装置2であるコンピュータに取り込み、マウスの睡眠状態を判定させる。そして、その判定結果に基づいて空気・二酸化炭素・窒素(後述のように窒素の代わりに酸素にしてもよい)の気体流量をそれぞれ独立に自動制御して、混合した気体をケージ1内のマウスに投与する(図3参照)。ケージ1内を低酸素または高二酸化炭素とすることで、その覚醒作用により、マウスを自動的に覚醒させることができる。
睡眠状態の判定は、たとえば次のように行う。まず5秒間の筋電図の積分値あるいは分散を計算し、それが閾値以上なら覚醒と判定する。覚醒以外の状態の場合、比較的遅い周波数の脳波(0.5〜5Hz)の周波数解析(たとえばFFT)を行う(5秒間)。そして遅い成分が閾値以下ならレム睡眠と判定し、閾値以上ならノンレム睡眠と判定する(ノンレム睡眠では0.5Hz〜3Hzで振幅が大きいδ波が多く、レム睡眠では4Hz〜7Hzで振幅が小さいθ波が多い)。なお、これらの値はマウス個々によって異なるため個体ごとに適宜設定を変えるとよい。
図6には、以上のようにマウスの脳波FFTおよび筋電図積分値を計測しつつ、ケージ1内に供給する各気体流量を制御した結果が示される。図中「Stage」欄は上記方法により睡眠状態を判定した結果であり、「0」は覚醒、「1」はノンレム睡眠、「2」はレム睡眠を意味する。また、「CO2設定」「N2設定」「Air設定」は、制御装置2から各マスフローコントローラ4a・4b・4cに対して指示された流量設定値であり、「CO2出力」「N2出力」「Air出力」は、各マスフローコントローラ4a・4b・4cにおける流量実測値である。流量設定値および流量実測値における各数字は、10000が100.00%を意味し、100.00%とは毎分5Lの気体の供給を意味する。
図4および図5も、マウスの脳波および筋電図を計測しつつ、本実験システムを使用して行った睡眠障害実験の結果を示すものである。本実験により、実際にマウスに低酸素または高二酸化炭素を吸気させ覚醒させたところ、ケージ1内を低酸素(およそ10%の酸素割合)、あるいは、高二酸化炭素(およそ10〜20%の二酸化炭素割合)とすることによって、数時間マウスを完全に覚醒させ続けることができた。また、特に高二酸化炭素投与下では2日間から5日間の断眠が可能であった。図4に示すように、2日間の断眠実験直後は覚醒の割合が少なく、レム睡眠が多く認められた。図5は、特にレム睡眠を障害したときの実験であり、障害を止めた後にレム睡眠の割合が特に多く認められた。
そして、断眠実験の間マウスが酸素・二酸化炭素濃度の増減に従って睡眠・覚醒を繰り返していることが確認できた。このように本実験システムを利用して長期間の断眠実験を行い、それによって生じる様々な変化を解析することができる。
また、本実験システムを利用して同様の気体流量制御を再現することによって、再現性の高い睡眠障害モデル動物を作製することができる。とりわけ、本実験システムによる睡眠障害は、ヒトの睡眠時無呼吸症候群で実際に起こっている現象の再現であり、睡眠時無呼吸症候群と生理的状況が極めて近い睡眠障害モデル動物といえる。
以上のように、本実験システムにおいて、実験動物の脳波および筋電図をリアルタイムで計測しながら睡眠を判定し、ケージ1内の酸素濃度・二酸化炭素濃度を自在にコントロールしたところ、低酸素あるいは高二酸化炭素を投与している間、実験動物の睡眠を障害することができた。
本実験システムは、空気、窒素、および二酸化炭素の3種類の気体流量を制御しつつケージ1内に供給し、ケージ1内の酸素濃度及び/又は二酸化炭素濃度を調節する構成であったが、本発明はこの構成に限定されるものではない。たとえば、空気、窒素、酸素および二酸化炭素の4種類の気体のうち、少なくとも空気を含む2種類以上の気体を、その流量を制御しつつケージ1内に供給する構成であってもよい。
また、制御装置2は、ケージ内気体検出装置3によって検出されたケージ1内の各気体
割合に応じて、空気・窒素(酸素でもよい)・二酸化炭素の各気体流量を制御する構成としてもよい。さらに、制御装置2は、排気装置6を制御し、ケージ内気体の排気を調節する構成としてもよい。
実験に使用される動物種は、実験動物として利用可能なものであれば特に限定されるものではなく、たとえば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、マウス、ラットなどの哺乳動物を挙げることができる。これらのうち、実験動物として入手容易でよく使用されるマウス、ラットなどの齧歯目は好ましい動物種である。
〔2〕本実施形態の睡眠障害実験システムの利点と利用法
本実験システムの利点とその利用法を列挙すれば、以下のとおりである。
(1) 従来の断眠実験は、実験者がマウスに触れるあるいはケージを揺らす等の自然な状況では起こらないようなストレスの多い実験系が用いられてきた。本実験システムによる断眠法は、ヒトの睡眠時無呼吸症候群で実際に起こっている現象の再現であり、より生理的状況に近い睡眠障害モデルと考えられる。また、覚醒時に同量の低酸素・高二酸化炭素を加えることにより、断眠群と同程度のストレスを加えるコントロール群が得られ、より再現性の高い実験となる。しかも、マウスの睡眠・覚醒状態の制御をすべて自動で行うため、同時に複数のマウスで長期間の断眠実験が可能である。
(2) 本実験システムは、投与する空気・窒素(酸素でもよい)・二酸化炭素の流量を正確かつ自在にコントロールすることにより、再現性の高い睡眠障害モデル動物を提供できる。また、実験者によるばらつきの少ない、再現性の高い実験系を提供できる。
(3) マスフローコントローラを用いることにより、気体の流量を厳密にコントロールすると共に、その流量がモニターできる。しかも、投与する気体の流量の変化は、供給時の気体の圧力に依存しないシステムであるため、非常に再現性の高い実験が可能であり、また、投与する気体の種類を増やすことが容易である。これによって、生理的状況により近い実験が可能であると共に、生じる変化が低酸素によるものであるのか、高二酸化炭素によるものかを明確に区別することができる。
(4) 実験動物を用いた再現性の高い睡眠障害実験が可能になり、また、同程度の低酸素・高二酸化炭素を覚醒時に投与するといった比較実験ができるため、薬物などによる睡眠・覚醒、更には意識レベルの変化を解析することが可能になる。したがって、睡眠・覚醒、更に意識レベルに関与する薬物や機器の開発に利用することができ、たとえば、中枢神経作動薬の開発・評価に有用である。
(5) ヒトの睡眠時無呼吸症候群においては、気道の閉鎖・窒息による低酸素や高二酸化炭素状態が原因となって睡眠を妨げている。本発明は、実験動物においてヒトの睡眠時無呼吸症候群の状態を再現することにより、睡眠を障害する実験系を提供し、睡眠が障害されたときに起こる変化を解析することを通して、睡眠時無呼吸症候群の病態解明および睡眠調節機構の解明に寄与することができる。
(6) 本発明は、睡眠の状態に応じて複数の気体の流量を正確かつ自在にコントロ−ルできる点に特徴があり、この実験システムは、今後実験動物を用いた睡眠や意識レベルの変化の測定において標準的な検査法となる可能性がある。
(7) 本実験システムは、供給気体の圧力の低下に比較的依存しない実験系であるため、ボンベの圧力が低下しても安定して同じ量の気体を投与することができ、実験系を維持・管理するのが容易である。また、気体の流量を自在に調節できるため、気体の混合比の変更が随時可能であり、また、気体の種類を変更・追加することも容易である。さらに、マスフロ−コントローラは流れる気体の質量を正確に逐次モニターしながら、正確に流量を調節できるため、別個にモニター装置を設けなくても、気体の流入状況が確認し続けられる。
(8) 本実験システムによって得られた睡眠時無呼吸症候群の病態を再現するモデル動物は、たとえば次のような実験・研究に利用できる。
・行動学的変化を調べる実験(恐怖条件付け、物体再認テスト、Open Field、高架型十字迷路など)
・DNAアレイ等を用いて長期断眠などで発現が変化する遺伝子群の同定
・合併症のメカニズムの解明
・合併症予防法の開発
・睡眠調節に関わる遺伝子群の同定
・睡眠導入剤の開発・評価
・覚醒状態を維持するための薬剤の開発・評価
(9) 低酸素投与した場合と高CO2投与した場合とで、それぞれ動脈血酸素飽和度(SPO2)がどのように変化するか、その影響を検討した。その結果、図7に示すように、高CO2投与した場合ではSPO2の低下は起こらなかったが、対照的に低酸素投与した場合ではSPO2の低下を招来した。
高CO2投与と低酸素投与は、前述のようにどちらも覚醒作用を有するが、上記実験結果からSPO2に対する影響が両者では異なることがわかった。したがって、高CO2投与と低酸素投与によって引き起こされる覚醒の作用機構には違いがあると考えられる。本実験システムは、これらの作用機構の相違点および共通点を容易に解析可能な実験系であり、睡眠障害のメカニズムを解析するための有用な実験系といえる。
以上のように、本発明は、睡眠障害実験システムに関するものであり、たとえば、睡眠時無呼吸症候群の研究に利用できるほか、再現性の高い睡眠障害実験によって睡眠・覚醒さらに意識レベルに関与する薬剤や機器の開発に役立つなど、産業上種々の有用性を有するものである。
本発明の実施の一形態に係る睡眠障害実験システムの構成を示すブロック図である。 実験動物であるマウスへの脳波用電極および筋電図用電極の取付け位置を説明する図である。 本発明の睡眠障害実験システムを用いた実験手順の一例を説明する図である。 本発明の睡眠障害実験システムを用いた実験結果を示す図である。 本発明の睡眠障害実験システムを用いた実験結果を示すグラフである。 本発明の睡眠障害実験システムによる実際の気体流量制御などを説明する図表である。 (a)(b)は、それぞれ低酸素投与した場合と高CO2投与した場合の、動脈血酸素飽和度(%)の変化を調べた結果を示すグラフである。各グラフにおいて、太線は低酸素(又は高CO2)投与した時間帯を示す。各濃度の実験数はn=4である。
符号の説明
1 ケージ(飼育器)
2 制御装置(制御手段)
3 ケージ内気体検出装置(検出手段)
4 気体流量制御手段
4a CO2用マスフローコントローラ(質量流量制御器)
4b N2用マスフローコントローラ(質量流量制御器)
4c 空気用マスフローコントローラ(質量流量制御器)
5 気体供給手段
5a CO2ガスボンベ(ガス供給容器)
5b N2ガスボンベ(ガス供給容器)
5c 空気ガスボンベまたは空気供給用ポンプ(ガス供給容器)
6 排気装置(排気手段)


Claims (8)

  1. 飼育器内の酸素濃度及び/又は二酸化炭素濃度を調節することによって実験動物の睡眠障害を作り出すことを特徴とする、睡眠障害実験システム。
  2. 実験動物を飼育する飼育器と、複数の各気体を飼育器に供給するための気体供給手段とを備え、飼育器に供給する各気体の流量を独立して制御することによって飼育器内の酸素濃度及び/又は二酸化炭素濃度を調節し、これにより実験動物の睡眠障害を作り出すことを特徴とする、請求項1記載の睡眠障害実験システム。
  3. マスフローコントローラによって飼育器に供給する各気体の流量を独立して制御することを特徴とする、請求項2記載の睡眠障害実験システム。
  4. 空気、窒素、酸素および二酸化炭素の4種類の気体のうち、少なくとも空気を含む2種類以上の気体を、その流量を制御しつつ飼育器に供給することを特徴とする、請求項2又は3記載の睡眠障害実験システム。
  5. 実験動物の脳波および筋電図を計測しながら、飼育器に供給する各気体の流量を制御することを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の睡眠障害実験システム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の睡眠障害実験システムによって作出された睡眠障害モデル動物。
  7. 睡眠時無呼吸症候群(睡眠呼吸障害)モデル動物である、請求項6記載の睡眠障害モデル動物。
  8. マウスである、請求項6又は7記載の睡眠障害モデル動物。


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