JP2005536235A - 腸凝集性大腸菌(eaec)感染の診断および治療に有用なeaecにおける新規タンパク質 - Google Patents

腸凝集性大腸菌(eaec)感染の診断および治療に有用なeaecにおける新規タンパク質 Download PDF

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Abstract

腸凝集性E.coli(EAEC)中の新規タンパク質およびその対応するヌクレオチド配列が提供される。特に、AapおよびEAEC 042のpAAプラスミドのAAプローブ領域の5つの遺伝子のクラスター(aat)が同定され、配列決定され、そしてさらに特徴づけられる。これらの新規タンパク質およびその対応するヌクレオチド配列の、EAEC感染の診断、治療および予防のための使用もまた、提供される。配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8からなる群から選択されるタンパク質のうち少なくとも1つコードする核酸を含む、発現ベクター。

Description

(関連出願との相互参照)
本非仮特許出願は、米国特許法120条下において、米国仮特許出願第60/334,425号および同第60/398,775号(それぞれ2001年11月30日および2002年7月26日出願)の利益を主張し、この内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
(政府の利益の声明)
本発明は、国立衛生院(the National Institute of Health)によるNIADA許可番号第AI33096号下において、米国政府の支援を受けてなされた。米国政府は、本発明において一定の権利を有し得る。
(発明の分野)
本発明は、一般に、腸凝集性大腸菌(Escherichia coli)(EAEC)における新規タンパク質および遺伝子に関し、より具体的には、EAEC感染の診断、治療、および予防のための、これらのタンパク質およびそれに対応するヌクレオチド配列の使用に関する。
(発明の背景)
腸凝集性Escherichia coli(EAEC)は、開発途上国および先進国の両方における、全年齢の個々において、散発性、地方性、および流行性の下痢疾病に伴う、発現腸性病原体である。(Nataroら,Emerg Infect Dis 4:251−261(1998);Nataroら,Clin Microbiol Rev.11:142−201(1998);Okekeら,Lancet Infect Dis 1:304−313(2001))。EAEC感染の病因としては、腸粘膜(最も可能性が高くは、小腸および大腸の両方)への強力な粘着が挙げられる。これは、引き続き腸上皮細胞における細胞変性効果を誘発する1つ以上のエンテロトキシンの分泌を起こす。(Nataroら,Infect Immun 64:4761−4768(1996);Eslavaら,Escherichia coli.Infect Immun 66:3155−3163(1998);Czeczulinら,Infect Immun 67:2692−2699(1999))。EAECの腸粘膜への粘着は、濃く凝集したバイオフィルムの存在によって特徴付けられ、これは、この生物がヒトの腸内に粘り強く留まることを助け得る。(Nataroら,Clin Microbiol Rev.11:42−201(1998);Tziporiら,Infect Immun 60:5302−5306(1992))。加えて、EAECは、腸の炎症を誘発し得、これは、下痢がなくとも、成長不全に陥れ得る。(Steinerら,J Infect Dis 177:88−96(1998))。
EAECの定義となる特徴は、培養におけるHEp−2細胞への、その際立って特徴的な凝集粘着(AA)パターンである。(Nataroら,Pediatr Infect Dis J 6:829−831(1987))。特に、EAECは、HEp−2細胞の表面へ、ガラス基層へ、およびEAEC同士で、特徴的なレンガを積んだ(stacked−brick)形状で粘着する。よく特徴付けられた細胞株におけるHEp−2細胞への凝集粘着は、プラスミドが有する凝集粘着綿毛(Aggregative Adherence Fimbriae)(AAF)ファミリーの、1つ以上のメンバーの発現を必要とする。(Nataroら,Infect Immun 60:2297−2304(1992);Czeczulinら,Infect Immun 65:4135−4145(1997))。AAFファミリーの2つのメンバー、AAF/IおよびAAF/IIは、遺伝子レベルで特徴付けられており、この各々は大型のプラスミド(pAAと称される)にコードされている。(Savarinoら,J Bacteriol 176:4949−57(1994);Eliasら,J Bacteriol 181:1779−85(1999))。ヒト病原性株042は、結腸粘膜への細菌の粘着のために、AAF/II綿毛状抗原を必要とすることが示されており、これにより、この粘着因子は、ヒト感染のビルレンス因子であることが示唆される。(Czeczulinら,Infect Immun 65:4135−4145(1997))。
EAEC株の大部分は、AAF/IおよびAAF/IIを欠いていることが示されている。(Czeczulinら,Infect Immun 67:2692−2699(1999))。にも関わらず、殆どのEAEC株は、幾つかの保存された遺伝子座の存在により認識される、およそ100kbのpAAプラスミドを有する。これらの遺伝子座の中で最も重要なものは、AggRと呼ばれるAraCクラスの転写アクチベーターで、これは、AAF/IおよびAAF/II両方の発現に必要である。AggRはまた、確認されているどのAAFも発現しないEAEC株の大部分において存在している。(Nataroら,J Bacteriol 176:4691−4699(1994))。最近、EAEC042においてAggRのすぐ上流に存在する新規のAggR依存性遺伝子が、同定され、特徴づけられた。(Sheikhら,J Clin Invest(印刷中)(2002))。このAggR依存性遺伝子は、細菌表面を被膜し、腸粘膜上におけるEAECの分散を促進するようである、Aapと呼ばれる、10.2kDの分泌性タンパク質をコードする。また、Aapは、ジスペルジン(dispersin)とも呼ばれる。Aapの変異型は、野生型より、より大きく凝集し、個々の細菌数はよりまばらで、そしてより激しく凝集することが示された。加えて、Aapは、AAF仲介凝集を部分的に相殺し、そしてEAECの病因における基本的な役割を果たし得る。さらに、データは、Aapが、細菌細胞表面へ、非共有結合的に結合することを示唆する。しかし、Aapが外膜を横切って転位される機構は、まだ知られていない。
プラスミド上における、もう1つの重要な遺伝子座は、DNAプローブの結合部位、CVD432である。CVD432プローブは、EAECの同定を簡潔にするために開発され、AAプローブとして使用された。(Baudryら,J Infect Dis 161:1249−1251(1990))。その独自の評価において、このプローブは、EAECに対して89%の感受性および99%の特異性であることが見出された。AAプローブのヌクレオチド配列は、プラスミドのレプリコンに隣接して位置する、潜在の開放読み取り枠(ORF)を表した。(Nataroら,Infect Immun 64:4761−4768(1996))。AAプローブ領域のさらなる配列分析により、5つのORFが、明らかになった。そのうち1つのORFより予測されるタンパク質は、ABC輸送体のATP結合カセット(ABC)ドメインに類似した。このことは、この遺伝子クラスターが、未同定のEAEC分子の移送に関係することを示唆する。さらに、この遺伝子クラスターは、Aapのトランスロケーション、およびEAECのビルレンス因子の新しい輸送系の構成に関連すると見られる。この5つの遺伝子クラスターは、aatと呼ばれた。
EAEC感染は、世界人口において医学的に重要である。例えば、開発途上国においては、児童は、しばしばEAECに感染し、そして長期にわたる下痢を発症し得、しばしば深刻な栄養失調を起こす。先進国においては、EAECは、旅行者の下痢の新たな原因である。腸毒性大腸菌(Enterotoxigenic E.Coli)から防御するのに効果的なワクチンは、旅行者の下痢の症例の少なくとも2分の1を防御する。しかし、過去、EAEC誘発性疾病の効果的な処置または予防は、なかった。
従って、AapおよびEAEC042のpAAプラスミドのAAプローブ領域の5つの遺伝子クラスター(aat)を同定し、特徴づけること、ならびにこれらのタンパク質およびその対応ヌクレオチド配列をEAEC感染の診断、治療、および予防のために使用することが、望ましい。
(発明の要旨)
従って、EAEC感染の診断、治療、および予防のための、Aap、AatP、AatA、AatB、AatC、およびAatD、ならびにこれらのタンパク質のフラグメントの同定および特徴づけが、本発明の目的である。EAEC感染の診断、治療、および予防のための、aap、aatP、aatA、aatB、aatC、およびaatD(aat遺伝子クラスターまたはaatクラスター)およびこれら遺伝子のフラグメントの同定および特徴づけも、本発明の目的である。
本発明の一実施形態は、Aap、AatP、AatA、AatB、AatC、またはAatDの組換え産物およびキャリアを含む、免疫原性組成物に関する。この実施形態の種々の局面は、Aap、AatP、AatA、AatB、AatC、またはAatDの組換え産物が、それぞれAap、AatP、AatA、AatB、AatC、もしくはAatDのフラグメント、それぞれAap、AatP、AatA、AatB、AatC、もしくはAatDの全長、またはそれぞれAap、AatP、AatA、AatB、AatC、もしくはAatDと少なくとも95%相同であるような産物である、組成物に関する。Aap、AatP、AatA、AatB、AatC、またはAatDの組換え産物は、それぞれAap、AatP、AatA、AatB、AatC、またはAatDそのものを、含み得る。
本発明の別の実施形態は、aap、aatP、aatA、aatB、aatC、もしくはaatDを含む単離されたヌクレオチド配列、またはこれらの機能フラグメントに関する。
本発明のさらに別の実施形態は、Aap、AatP、AatA、AatB、AatC、もしくはAatD、またはAap、AatP、AatA、AatB、AatC、もしくはAatDの機能的等価物をコードする精製されたポリペプチド配列に関する。
本発明のさらなる実施形態は、aap、aatP、aatA、aatB、aatC、またはaatDをコードする遺伝子、これらの産物、およびこれらのフラグメントを使用する方法に関する。本明細書中で開示されるある特定の実施形態は、Aap、AatP、AatA、AatB、AatC、もしくはAatD、これらの機能フラグメント、またはそれらの産物を含む免疫原性組成物を被験体に提供する工程、および免疫原性組成物を被験体に接触させる工程であって、この免疫原性組成物が被験体において免疫反応を生じる、工程を包含する、免疫反応の発生方法を教示する。
本発明の別の実施形態は、aap、aatP、aatA、aatB、aatC、もしくはaatD、またはこれらの機能フラグメントをコードするポリヌクレオチドからポリペプチド産物を産生する方法に関し、これは、発現ベクターにおいてaap、aatP、aatA、aatB、aatC、またはaatDを提供する工程、組換え体宿主細胞が産生されるように発現ベクターを宿主細胞へ導入する工程、およびaap、aatP、aatA、aatB、aatC、またはaatDからのタンパク質が発現するような条件に組換え体宿主細胞を晒す工程を包含する。
本発明のさらなる実施形態は、組換え型のaap、aatP、aatA、aatB、aatC、もしくはaatD、またはこれらのフラグメントを含む細胞、およびaap、aatP、aatA、aatB、aatC、もしくはaatD、またはこれらのフラグメントを含む発現ベクターに関する。
本発明のさらに別の実施形態は、Aap、AatP、AatA、AatB、AatC、もしくはAatD、またはAap、AatP、AatA、AatB、AatC、もしくはAatDのフラグメントに結合し、これらを認識する抗体および抗体フラグメントに関する。
本発明のさらなる実施形態は、腸凝集性E.coli(EAEC)によって引き起こされる疾患の診断に関する。EAECにより引き起こされる疾患の診断はAap、AatP、AatA、AatB、AatC、もしくはAatD、またはAap、AatP、AatA、AatB、AatC、もしくはAatDのフラグメントに結合し、これらを認識する抗体または抗体フラグメントの使用により行う。EAECによって引き起こされる疾患の診断に関する本発明の代替の実施形態は、EAECによって引き起こされる疾患を診断するための、aap、aatP、aatA、aatB、aatC、もしくはaatD、またはaap、aatP、aatA、aatB、aatC、もしくはaatDの部分に相補的なポリヌクレオチドの使用に関する。
本発明のさらなる実施形態は、Aap、AatP、AatA、AatB、AatC、もしくはAatD、またはAap、AatP、AatA、AatB、AatC、もしくはAatDのフラグメントに結合し、これらを認識する抗体または抗体フラグメントを利用するキット、抗体または他のタンパク質(すなわち、Aap、AatP、AatA、AatB、AatC、もしくはAatD)を利用するキット、およびaap、aatP、aatA、aatB、aatC、もしくはaatD、またはaap、aatP、aatA、aatB、aatC、もしくはaatDのフラグメントに結合し、これらを認識するポリヌクレオチドを利用するキットを含む。これらのキットは、EAECによって引き起こされる疾患の診断およびEAEC感染の診断に使用し得る。
Aapタンパク質をコードする、単離され、精製されたポリヌクレオチド分子が、中程度からストリンジェントまでの条件下で、配列番号1またはその相補鎖の15またはそれ以上の隣接したヌクレオチドのオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし得ることは、本発明の特徴である。
本発明の別の特徴は、AatPタンパク質をコードする、単離され、精製されたポリヌクレオチド分子が、中程度からストリンジェントまでの条件下で、配列番号9またはその相補鎖の15またはそれ以上の隣接したヌクレオチドのオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし得ることである。
本発明のまた別の特徴は、AatAタンパク質をコードする、単離され、精製されたポリヌクレオチド分子が、中程度からストリンジェントまでの条件下で、配列番号10またはその相補鎖の15またはそれ以上の隣接したヌクレオチドのオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし得ることである。
本発明のさらなる特徴は、AatBタンパク質をコードする、単離され、精製されたポリヌクレオチド分子が、中程度からストリンジェントまでの条件下で、配列番号11またはその相補鎖の15またはそれ以上の隣接したヌクレオチドのオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし得ることである。
AatCタンパク質をコードする、単離され、精製されたポリヌクレオチド分子が、中程度からストリンジェントまでの条件下で、配列番号12またはその相補鎖の15またはそれ以上の隣接したヌクレオチドのオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし得ることも、本発明の特徴である。
本発明のさらなる特徴は、AatDタンパク質をコードする、単離され、精製されたポリヌクレオチド分子が、中程度からストリンジェントまでの条件下で、配列番号13またはその相補鎖の15またはそれ以上の隣接したヌクレオチドのオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし得ることである。
本発明の前述のおよび他の目的、特徴、ならびに利点は、添付の図面と共に、以下の詳細な記載の考察より、以降で完全に明らかにされる。しかし、これらの図面は例示する目的のものであり、本発明の限界を定義するものとして解釈されないことが、はっきりと理解されるべきである。
本発明の利点は、特に、添付の図面と共に考察される場合、以下の本発明の詳細な開示の考察の上に明らかである。
(発明の詳細な記載)
本発明は、Aap(nti−ggregation rotain(抗凝集タンパク質)、ジスペルジンとも呼ばれる)、AatP、AatA、AatB、AatC、およびAatDを含む。これらは、全て腸凝集性E.coli(EAEC)において見出されたタンパク質である。本発明は、これらのタンパク質の遺伝子(aap、aatP、aatA、aatB、aatC、およびaatD)ならびに遺伝子フラグメントおよびタンパク質フラグメント、かつこれらのタンパク質、遺伝子、およびそれらのフラグメントの、EAEC感染の診断および治療のための使用も含む。以下の遺伝子は、aat遺伝子クラスターとも呼ばれる:aatP、aatA、aatB、aatC、およびaatD。
Aapは、腸凝集性E.coli(EAEC)から分泌され、そして腸粘膜においてEAECの強い凝集表現型を調節する。Aapの分泌は、EAEC綿毛状発現(fimbrial expression)または綿毛状生物発生(fimbrial biogenesis)に、否定的な影響を及ぼさない。Aapは、116アミノ酸のタンパク質で、SDS−PAGEから判断すると約10.2キロダルトン(kDa)の分子量を有し、pIはおよそ9.25、そしてアミノ酸配列は図2(配列番号2)において図示される。SIGNALP分析は、21位の後ろでの切断を伴う、シグナル配列を強く予測する。細菌培養上清からのAapのN末端アミノ酸配列により、この切断が確証される。
aapは、348塩基対(bp)長で、図1(配列番号1)に図示するポリヌクレオチド配列を有する。aapは、原型EAEC株042(EAEC042)のpAAプラスミド(およそ100kb)上の、aggR遺伝子(綿毛サブユニット(fimbrial subunit)(aafA)の下流に位置する)の上流に位置する。aggRの上流のpAAプラスミドDNAの配列決定は、aggR開始コドンから上流の開放読み取り枠の843ヌクレオチドを明らかにした。この開放読み取り枠は、348ヌクレオチド長で、116アミノ酸の推定タンパク産物をコードした。SIGNALP(シグナル配列プロセシングの部位を予測するウェブベースのアルゴリズム)を用いた分析は、21位の後ろでの切断を伴う、シグナル配列を強く予測した。細菌培養上清からのAapのN末端アミノ酸配列により、切断シグナル配列が確証された。この配列を図2に示す。
pAAプラスミドは、推定上のビルレンス因子AAF、Aap(ジスペルジン)、Pet、EAST1、およびAggRを含むだけでなく、EAEC株に感受性の経験的に誘導されたプローブ(「AAプローブ」)と相同な配列をも含む。(Baudreyら、J Infect Dis 161:1249−1251(1990))。AAプローブを含む領域(すなわち、プラスミドpCVD432の挿入部分)は、病原性EAEC株に関連し、そしてビルエンス因子らしき存在と連動することが示された。(Okekeら,J Infect Dis 81:252−60(2000);Cohen,M.およびNataro,J.P.,未発表)。プローブの765bp配列自体は以前に報告されているが(Schmidtら,J Clin Microbiol 33:701−5(1995))、この配列は、可能性のある1つの読み取り枠において終止コドンを含まないと言及された。pAA2プラスミドの7kb配列は、pBluescriptライブラリーのショットガン配列決定法(shotgun sequencing)により決定された(図9(配列番号3)参照)。不一致な部分は、所望の領域を含むpBluescriptの定方向配列決定法(directed sequencing)により解明された。
このプローブのこの領域のDNA配列の分析は、同じ右側方向の非常に近接な場所における5つの開放読み取り枠(ORF)のクラスターを明らかにする(図3参照)。このORFのクラスターは、aat遺伝子クラスターまたはaatクラスターとして知られる。何故なら、このクラスターにおける遺伝子のうちの2つが、細菌ABC輸送タンパク質と有意の相同性を示すがゆえに、enteroggregative BC ransporter(腸凝集性ABC輸送体)の略語としたからである。aat遺伝子クラスターの特徴は、G+C比率が非常に低く、29.6から34.3の範囲であることである。aat遺伝子クラスターは、aatP、aatA、aatB、aatC、およびaatDを含む。IS配列の残りの部分が、各々の側で500bp以上の距離でaat遺伝子クラスターに隣接する。
aapのヌクレオチド配列を、図15(配列番号9)に示す。AatPのアミノ酸配列を、(配列番号4)に示す。AatPは、377アミノ酸(42.7kDa)の推定タンパク質で、図9で示されるpAA由来7kbフラグメントのヌクレオチド1425位からヌクレオチド2555位までにわたる。AatPは、その全長にわたって、リポタンパク質放出に関わるABC型輸送系の透過酵素成分と、アミノ酸レベルで20%の同一性がある。このタンパク質は5つの膜貫通領域を有し、コンピューター分析に基づき、内膜タンパク質であると信じられる。
aatAのヌクレオチド配列を、図16(配列番号10)に示す。AatAのアミノ酸配列を、図11(配列番号5)に示す。AatAは、413アミノ酸(48.5kDa)の推定タンパク質で、図9(配列番号3)で示されるpAA由来7kbフラグメントのヌクレオチド2552位からヌクレオチド3790位までにわたる。SignalP分析は、23位の後ろでの切断を伴う、シグナル配列を強く予測する。391アミノ酸の推定成熟タンパク質は、45.9kDaの大きさである。aatAのヌクレオチド配列も、その推定アミノ酸配列も、任意の他の公知の遺伝子またはタンパク質と、有意の同一性を示さない。Aapは、超コイル(coiled coil)領域を有し、外膜タンパク質またはペリプラズムタンパク質であると信じられる。
aatBのヌクレオチド配列を、図17(配列番号11)に示す。AatBのアミノ酸配列を、図12(配列番号6)に示す。AatBは、274アミノ酸(31.1kDa)の推定タンパク質で、図9(配列番号3)で示されるpAA由来7kbフラグメントのヌクレオチド3687位からヌクレオチド4508位までにわたる。AatBは、GenBankライブラリーにおける任意の公知のタンパク質配列と、有意な相同性を有しない。このタンパク質は、N末端の領域に1つの膜貫通領域を有し、内膜タンパク質であると信じられる。
aatCのヌクレオチド配列を、図18(配列番号12)に示す。AatCのアミノ酸配列を、図13(配列番号7)に示す。AatCは、210アミノ酸(23.3kDa)の推定タンパク質で、図9(配列番号3)で示されるpAA由来7kbフラグメントのヌクレオチド4501位からヌクレオチド5130位までにわたる。AatCは、その全長にわたって、ABC輸送ATP結合タンパク質と、アミノ酸レベルで45%同一である。E.coliのABCドメインは、4つの短いモチーフを有し、これらは常に保存される:Walker A、Walker B、ABCシグネチャー(signature)、およびヒスチジンモチーフ(Linton 1998)。これらの全てのモチーフは、AatCにおいて保存された。
aatDのヌクレオチド配列を、図19(配列番号13)に示す。AatDのアミノ酸配列を、図14(配列番号8)に示す。AatDは、405アミノ酸(47.2kDa)の推定タンパク質で、図9(配列番号3)で示されるpAA由来7kbフラグメントのヌクレオチド5142位からヌクレオチド6356位までにわたる。AatDは、その34%の長さにわたって、NADHデヒドロゲナーゼのサブユニット2と、アミノ酸レベルで29%同一である。AatDは、N末端の領域に5つの膜貫通領域を有し、内膜タンパク質であると信じられる。
上で議論したそれぞれの遺伝子のために、上で議論したタンパク質をコードする追加のポリヌクレオチド分子は、マイナーな遺伝子多型、株間の相違、縮重改変体、ならびにアミノ酸置換、付加および/または欠失を含むタンパク質のコードを生じるポリヌクレオチド配列を含む。
aapおよび/またはaat遺伝子クラスターをコードするヌクレオチド配列は、cDNAライブラリーまたは他の生物(原核または真核生物)からのDNAライブラリーのスクリーニングにより、Aapおよび/またはaat遺伝子クラスターのタンパク質と同様の生物学的機能を持つ他のタンパク質をコードするポリヌクレオチド分子を同定するために使用され得る。これらの新規のDNA分子は、標準的ハイブリダイゼーション技術を用いて、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅を使用した配列の増幅により、本明細書中で開示されるポリヌクレオチド配列を使用して、このようなライブラリーから単離され得る。タンパク質ホモログ配列を同定するのに使用するための適切なプローブは、遺伝子特異的配列から得られ得る。あるいは、これらの遺伝子のコード領域由来の特異的DNA配列を含むオリゴヌクレオチドは、関連クローンの同定に使用し得る。当業者は、遺伝子およびその相同遺伝子の調節領域が、同様の方法を使用して得られ得ることを認識する。
相同のポリヌクレオチド分子は、少なくとも約7ヌクレオチド長、より好ましくは15ヌクレオチド長(しかしコード配列全長と同じ長さにもし得る)のプローブを用いた標準的ハイブリダイゼーション技術を使用して、単離され得る。相同ポリヌクレオチド配列は、中程度またはより高いストリンジェンシーの条件でのハイブリダイゼーションが可能である、本明細書中に開示される配列に基づく縮重オリゴヌクレオチドの使用により同定され得る。用語「ハイブリダイゼーションが可能である」は、本明細書中で使用されるように、被験核酸分子(DNAまたはRNAのどちらでも)が、本明細書中に開示されるポリヌクレオチド配列の1つの15以上の隣接したヌクレオチドのオリゴヌクレオチドとアニールすることを意味する。
ハイブリダイゼーション条件の選択は、当業者に明白であり、一般に、ハイブリダイゼーションの目的、ハイブリダイゼーションの様式(DNA−DNAまたはDNA−RNA)、および配列間の望ましい関連性の程度により導かれる。ハイブリダイゼーションの方法は、文献においてよく確立されている。当業者は、核酸二重鎖の安定性が、不一致塩基の数および位置が増加するに応じて減少することを理解する。結果として、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、このような二本鎖の安定性を最大化または最小化するように使用され得る。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、例えば、ハイブリダイゼーション温度の調節、ハイブリダイゼーション混合物における螺旋不安定化剤(例えば、ホルムアミド)の比率の調節、および洗浄溶液の温度および塩濃度の調節により、変化させ得る。一般に、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、塩濃度および/または温度を変えること(この結果、進行的にストリンジェンシーが上がる条件となる)により、ハイブリダイゼーション後の洗浄の間に調節される。
進行的にストリンジェンシーが上がる条件の例は、以下である:およそ室温で2×SSC/0.1%SDS(ハイブリダイゼーション条件);およそ室温で0.2×SSC/0.1%SDS(低ストリンジェンシー条件);約42℃で0.2×SSC/0.1%SDS(中程度ストリンジェンシー条件);および約68℃で0.1×SSC(高ストリンジェンシー条件)。洗浄は、これらの条件のうち1つだけ(例えば高ストリンジェンシー条件)を使用して行い得るか、またはそれぞれの条件が使用され得る(例えば、それぞれ10〜15分、上に列挙した順序で、列挙した任意のまたは全ての工程を繰り返して)。最適な条件は、関与する特定のハイブリダイゼーション反応に依存して変化し、そして経験的に決定され得る。高ストリンジェンシー条件は、対象となるプローブのハイブリダイゼーションに、好ましく使用される。
あるいは、aapまたはaat遺伝子クラスターのポリヌクレオチド配列の1つと、実質的に同じであるヌクレオチド配列を有するか、または、実質的に同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドは、aap様またはaatクラスター様の遺伝子を代表する。機能的にAapと同等なタンパク質もしくはAap機能フラグメントまたはaat遺伝子クラスターのタンパク質をコードするポリヌクレオチドも、本発明に含まれる。「実質的に同じ」または「実質的に同一」は、核酸、ポリヌクレオチド、またはポリペプチドが、参照の核酸、ポリヌクレオチド、またはポリペプチドに対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の相同性を示すことを意味する。ヌクレオチド配列に関しては、比較配列の長さが、一般に少なくとも10から500ヌクレオチド長である。好ましくは、比較の長さが、少なくとも50ヌクレオチド長、より好ましくは少なくとも60ヌクレオチド長、さらにより好ましくは少なくとも75ヌクレオチド長、最も好ましくは少なくとも110ヌクレオチド長である。
「単離された」核酸は、その構造が、任意の天然に存在する核酸の構造にも、3つより多い別個の遺伝子にわたる、天然に存在するゲノム核酸の任意のフラグメントの構造にも同一ではない、核酸である。従って、この用語は、例えば、以下を包含する:(a)天然に存在するゲノムDNA分子の一部の配列を有するが、それが天然に存在する生物のゲノム中の分子のこの部分に隣接する両方のコード配列によって隣接されない、DNA;(b)得られた分子が、天然に存在する発現ベクターまたはゲノムDNAと同一ではないような様式で、発現ベクターまたは原核生物もしくは真核生物のゲノムDNA中に組み込まれた、核酸;(c)cDNA、ゲノムフラグメント、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって生成されたフラグメントまたは制限フラグメントのような、別個の分子;ならびに(d)ハイブリッド遺伝子(すなわち、融合タンパク質をコードする遺伝子)。この定義から特に除外されるのは、以下の混合物中に存在する核酸である:(i)DNA分子、(ii)トランスフェクトされた細胞、および(iii)細胞クローン(例えば、これらは、cDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーのようなDNAライブラリーを生じるので)。
本発明のDNA配列は、いくつかの方法によって獲得され得る。例えば、DNAは、当該分野で周知のハイブリダイゼーション技術またはコンピュータベースの技術を使用して、単離され得る。このような技術としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:相同なヌクレオチド配列を検出するための、プローブを用いた、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーのハイブリダイゼーション;共有される構造的特徴を有する、クローニングされたDNAフラグメントを検出するための、発現ライブラリーの抗体スクリーニング;目的のDNA配列にアニーリングし得るプライマーを使用した、ゲノムDNAまたはcDNAに対する、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR);類似の配列についての配列データベースのコンピュータ検索;ならびにサブトラクティドDNAライブラリーの差示的スクリーニング。
核酸ハイブリダイゼーションに基づくスクリーニング手順は、適切なオリゴヌクレオチドプローブが入手可能である場合、任意の生物から任意の遺伝子配列を単離することを可能にする。本明細書中に提供されるaap遺伝子クラスターまたはaat遺伝子クラスターの配列の一部に対応するオリゴヌクレオチドプローブは、化学的に合成され得る。他のオリゴヌクレオチドプローブの合成は、アミノ酸配列の短いオリゴペプチドストレッチが既知であることを必要とし得る。なぜなら、特定のタンパク質をコードするDNA配列は、遺伝子コードを使用して推論され得るからであるが;コードの縮重が考慮されなければならない。配列が縮重していると、変性した二本鎖DNAの異種混合物を含む混合付加反応を実施することが可能である。このようなスクリーニングのために、ハイブリダイゼーションは、好ましくは、一本鎖DNAまたは変性した二本鎖DNAのいずれかに対して実施される。ハイブリダイゼーションは、目的のポリペプチドに関する極度に少ない量のmRNA配列が存在する供給源に由来するcDNAクローンの検出において、特に有用である。非特異的結合を回避するために、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を使用することによって、例えば、標的DNAの完全な相補体である混合物中の単一のプローブへの標的DNAのハイブリダイゼーションによって、特異的なcDNAクローンまたはDNAクローンの、オートラジオグラフィーによる可視化を可能にすることができる(Wallaceら、Nuc.Acid Res.9:879(1981))。あるいは、サブトラクティブライブラリーは、非特異的cDNAクローンの排除のために有用である。
目的のDNA配列を単離するための別の標準的手順は、目的の生物由来の総DNAを含む、プラスミドまたはファージが運搬するゲノムライブラリーの形成である。ポリメラーゼ連鎖反応技術と組み合わせて使用される場合、稀な発現産物でさえ、クローニングされ得る。ポリペプチドのアミノ酸配列の有意な部分が既知である場合、標的DNA中におそらく存在する配列を複製する、標識された一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAのプローブ配列の作製は、DNA/DNAハイブリダイゼーション手順において使用され得、この手順は、一本鎖形態に変性されたDNAのクローニングされたコピーに対して実施される(Jayら、Nucl.Acid Res.、11:2325(1983))。
aap遺伝子クラスターおよびaat遺伝子クラスターのヌクレオチド配列は、無数の適用を有する。これらのヌクレオチド配列の代表的な用途としては、ノザン、サザン、イムノ−PCR、ドットブロット、ならびにEAECを検出するため、細胞中のAap、AatP、AatA、AatB、AatCまたはAatDの発現レベルを定量するため、あるいはこのヌクレオチド配列によってコードされる特定のタンパク質またはポリペプチドを生成するための他のアッセイにおいて有用な、DNAおよびオリゴヌクレオチドプローブの構築が挙げられる。aap遺伝子クラスターおよびaat遺伝子クラスターのヌクレオチド配列は、組換え細胞株、組換え生物、発現ベクターなどの構築のために使用され得る。このような組換え構築物は、組換えAap、AatP、AatA、AatB、AatCおよび/またはAatDを発現するために使用され得、そしてワクチンとして(生の弱毒化ベクターワクチンまたは他の型の侵襲性ベクターワクチンを介して)使用され得るか、または1つ以上のこれらのタンパク質を発現する生物の病理を変更し得る候補治療剤についてスクリーニングするために使用され得る。
これらのタンパク質がEAECの凝集、粘膜粘液表層の貫通、接着および集落形成において果たす重要な役割を考慮すると、本発明のタンパク質またはポリペプチドは、(例えば、サブユニットワクチンを介して)被験体における免疫応答を生成するために使用され得る免疫原性組成物の生成において、そしてEAECの検出のためのキットにおいて、非常に有用である。サブユニットワクチンについて、本発明の1つ以上のタンパク質が、発現され、精製され、そして免疫原性組成物を調製するために使用され得る。生の弱毒化ベクターワクチンについて、本発明の1つ以上のタンパク質はまた、弱毒化された侵襲性の細菌またはウイルスにおいて発現され得、そして生物全体が、免疫原性組成物へと処方され得る。別の型のワクチンにおいて、本発明の1つ以上の遺伝子は、真核生物プロモーターのシグナル配列の下流で、プラスミド上に配置され得る。このプラスミドは、1つ以上の選択マーカーを含み得、そして原核生物(例えば、Salmonella spp.、Shigella spp.または他の適切な細菌)中にトランスフェクトされる。次いで、この細菌は、EAECに対する免疫応答が所望される、真核生物被験体に投与される。例えば、Honeらに対する米国特許第5,887,159号を参照のこと。さらに、本発明のタンパク質のうちの1つをコードするポリヌクレオチドが、被験体の粘膜組織に投与されて、免疫応答を生じさせ得る。例えば、Maloneらに対する米国特許第6,110,898号を参照のこと。また、本発明のタンパク質のうちの1つをコードする裸のポリヌクレオチドが、Drabick,J.J.ら;Cutaneous transfection and immune responses to intradermal nucleic acid vaccination are significantly enhanced by in vivo electropermeabilization,Mol.Ther.Vol3(2);pp.249−55(2001)に記載される方法を使用して、被験体にエレクトロポレーションされて、免疫応答を生じさせ得る。
本発明の遺伝子はまた、以下により完全に考察される発現ベクター中に配置され得る。
(アンチセンス)
本発明の遺伝子に対するアンチセンスヌクレオチド配列は、本発明のタンパク質の発現をブロックするために使用され得る。適切なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも11ヌクレオチド長であり、そして非翻訳(上流)および関連のコード配列を含み得る。当業者に公知なように、アンチセンスオリゴヌクレオチドの最適な長さは、アンチセンスオリゴヌクレオチドと相補的mRNAとの間の相互作用の強度、翻訳が生じる温度およびイオン環境、アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列、ならびにmRNAおよび/またはアンチセンスオリゴヌクレオチド中の二次構造および三次構造の存在に依存する。アンチセンスオリゴヌクレオチドの適切な標的配列としては、プロモーター領域、リボソーム結合部位、およびリボソームの進行を妨害する部位が挙げられる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、標的DNA配列を含むDNA分子を、適切な発現ベクターに挿入して、このDNA分子が、本発明の特定の遺伝子と比較して逆の方向でプロモーターの下流に挿入されるようにすることによって、調製され得る。次いで、この発現ベクターは、このアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現するために適切な細胞(原核生物および/または真核生物)に、形質導入、形質転換またはトランスフェクトされ得る。あるいは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標準的な、手動または自動の合成技術を使用して合成され得る。これらの合成オリゴヌクレオチドは、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿およびマイクロインジェクションを含む種々の手段によって、適切な細胞中に導入される。適切なアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与方法の選択は、当業者に明らかである。
合成オリゴヌクレオチドに関して、アンチセンスオリゴヌクレオチド−mRNAハイブリッドの安定性は、オリゴヌクレオチドへの安定剤の付加によって、有利に増大される。安定剤の一例としては、オリゴヌクレオチドのいずれかの末端または両方の末端に共有結合したインターカレート剤が挙げられる。好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは、ホスホトリエステル、ホスホネート、ホスホロチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホラミデート、ホスホロジチオエートまたはモルホリノ環の導入による、ホスホジエステル骨格の改変によって、ヌクレアーゼに対して耐性にされる。
(アミノ酸)
本明細書中に記載される場合、「Aap」、「AatP」、「AatA」、「AatB」、「AatC」および「AatD」とは、タンパク質全体(それぞれ、Aap、AatP、AatA、AatB、AatCおよびAatD)、機能的に活性なタンパク質のフラグメント(それぞれ、Aap、AatP、AatA、AatB、AatCおよびAatD)、ならびに置換(別の塩基性アミノ酸による、ある塩基性アミノ酸の置換、または別の酸性アミノ酸による、ある酸性アミノ酸の置換、または別の中性アミノ酸による、ある中世アミノ酸の置換)を含むポリペプチド、を包含する。「Aap」、「AatP」、「AatA」、「AatB」、「AatC」および「AatD」はまた、それぞれ、天然に存在する材料、および特定のタンパク質に特異的な抗血清によって検索された、密接に関連する機能的に類似のタンパク質から精製された、Aap、AatP、AatA、AatB、AatCおよびAatDを包含する。特定の遺伝子配列中の領域に対する類似性に基づいて検索された遺伝物質(DNA、RNA、cDNA)によってコードされる、組換え的に発現されるタンパク質もまた、本記述に包含される。
Aap、AatP、AatA、AatB、AatCおよびAatDをコードするポリヌクレオチド分子としては、それぞれ、Aap、AatP、AatA、AatB、AatCおよびAatD、またはそれぞれ、配列番号2(図2);配列番号4(図10);配列番号5(図11);配列番号6(図12);配列番号7(図13)および配列番号8(図14)に示される配列と同一性を共有するペプチドをコードする分子が挙げられる。これらの分子は、好ましくは、開示されたタンパク質と、アミノ酸レベルで30%より高い同一性を共有する。好ましい実施形態において、これらのポリヌクレオチド分子は、高度に保存された領域にわたって、アミノ酸レベルでより高い同一性を共有する。特定の遺伝子によりコードされるタンパク質の改変体としては、軽微な遺伝的多型、株間の差異から生じるアミノ酸配列、ならびにアミノ酸の置換、付加および/または欠失、および保存的アミノ酸置換を含む改変体が挙げられる。保存的アミノ酸置換としては、1つのアミノ酸残基の、類似の生物学的特徴(例えば、大きさ、電荷および極性 対 非極性)を有する異なる残基による置換が挙げられる。
配列番号2;配列番号4;配列番号5;配列番号6;配列番号7および配列番号8に示される配列と実質的に同じアミノ酸配列が、本発明によって包含される。好ましい実施形態としては、本明細書中に記載される配列と実質的に同じアミノ酸配列を有するポリペプチド、その機能的フラグメント、または本明細書中に記載される配列と実質的に同一なアミノ酸配列が挙げられる。上記のように、「実質的に同じ」または「実質的に同一」とは、ポリペプチドが、参照アミノ酸配列に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%〜100%の相同性を示すことを意味する。ポリペプチドについて、比較配列の長さは、一般に、少なくとも16アミノ酸、好ましくは少なくとも20アミノ酸、より好ましくは少なくとも25アミノ酸、そして最も好ましくは少なくとも35アミノ酸であり得る。
配列の相同性は、しばしば、配列分析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group、University of Wisconsin Biotechnology Center、1710 University Avenue、Madison、WI 53705またはNCBI BLASTプログラム)を使用して測定される。このようなソフトウェアは、種々の置換、欠失、置換および他の改変に対して相同性の程度を割り当てることによって、類似の配列を一致させる。
用語「実質的に同一」はまた、保存的アミノ酸置換(例えば、同じクラスの別のアミノ酸による、1つのアミノ酸の置換(例えば、グリシンによるバリン、リジンによるアルギニンなど))のみが異なるか、またはアッセイされるタンパク質(例えば、本明細書中に記載されるような)の機能を破壊しないアミノ酸配列の位置に位置する、1つ以上の非保存的置換、欠失もしくは挿入により異なる、アミノ酸配列を意味する。好ましくは、このような配列は、本明細書中に記載される配列に対して、アミノ酸レベルで、少なくとも85%、そしてより好ましくは90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%〜100%相同である。
用語「機能的フラグメント」は、類似のアミノ酸配列を有し、そして特定のタンパク質の機能または活性を保持する、本明細書中に記載されるタンパク質のフラグメントを含む。全長タンパク質が記載される場合、当業者は、本明細書中に提供される実施例を使用することによって、フラグメントの機能性についてスクリーニングし得る。
用語「実質的に純粋なポリペプチド」は、本明細書中で使用される場合、このポリペプチドに天然に付随する成分から分離されたポリペプチドを意味する。代表的には、このポリペプチドは、このポリペプチドが代表的に関連するタンパク質および他の天然に存在する分子を、少なくとも60重量%を含まない場合、実質的に純粋である。好ましくは、この調製物は、少なくとも75重量%、80重量%、90重量%、95重量%、そして最も好ましくは少なくとも99重量%である。実質的に純粋なタンパク質は、例えば、天然の供給源からの抽出、特定のタンパク質をコードする組換え核酸の発現、またはタンパク質の化学的合成によって、獲得され得る。純度は、任意の適切な方法(例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびHPLC分析)によって測定され得る。
タンパク質は、その天然の状態において付随する混入物から分離された場合に、天然の関連する成分を実質的に含まない。従って、化学的に合成されたタンパク質、またはこのタンパク質が天然に起源する細胞または宿主とは異なる細胞系において産生されたタンパク質は、それが天然に関連する成分を実質的に含まない。従って、実質的に純粋なポリペプチドとしては、原核生物に由来するが、真核生物において合成されたポリペプチドが挙げられる。精製ポリペプチドは、その天然の状態でこのポリペプチドに付随する混入物から分離された場合に、天然に関連する成分を実質的に含まないポリペプチドである。当業者に明らかなように、本開示に従うポリヌクレオチド分子は、調節配列、発現ベクター、および精製され得るポリペプチドまたはタンパク質を生成するための、文献中に十分確立された方法を使用して、種々の原核生物および真核生物において発現され得る。
本発明のタンパク質の精製は、多数の確立された方法(例えば、固体支持体に結合された特定のタンパク質に特異的な抗体を使用するアフィニティクロマトグラフィー)を使用して実施され得る。抗原タグと目的のタンパク質との融合タンパク質は、このタグに対する抗体を使用して精製され得る。必要に応じて、さらなる精製が、従来の精製手段(例えば、液体クロマトグラフィー、勾配遠心分離またはゲル電気泳動)を使用して達成される。タンパク質の精製方法は、当該分野で周知であり、そして本明細書中に記載される組換えタンパク質の精製に適用され得る。本発明のタンパク質の精製は、以下により詳細に考察される。
融合タンパク質は、代表的に、ネイティブのタンパク質の1つ以上連続するアミノ酸の、適切な融合タンパク質パートナー由来のアミノ酸による、付加、置換(substitution)または置換(replacement)を含む。このような融合タンパク質は、当業者によって容易に同定されかつ周知の組換えDNA技術を使用して獲得される。例えば、目的のハイブリッドAap融合タンパク質をコードするDNA分子は、一般に利用可能な方法(例えば、PCR変異誘発、部位特異的変異誘発ならびに/または制限消化および連結)を使用して調製される。次いで、ハイブリッドDNAは、発現ベクターに挿入され、そして適切な宿主細胞に導入される。
本発明の1実施形態は、本明細書中に記載されるタンパク質と相互作用するか、または本明細書中に記載されるタンパク質のレセプターであるタンパク質の単離を含む。Aap、AatP、AatA、AatB、AatCおよび/またはAatDは、相互作用因子を単離するため、またはツーハイブリッドスクリーニングの異なる方法を使用する相互作用因子のスクリーニングのために、免疫沈降において使用され得る。これらのタンパク質の単離された相互作用因子は、宿主またはEAEC間の特定のタンパク質の活性を調節またはブロックするために使用され得る。
合成ペプチド、組換え的に誘導されたペプチド、融合タンパク質、キラルタンパク質(立体化学異性体、ラセミ体、鏡像異性体およびD−異性体)などが提供され、これらは、本明細書中に記載されるタンパク質のうち1つの一部またはタンパク質全体を含む。本発明のペプチドは、配列番号1、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12または配列番号13の、15以上連続するヌクレオチドのオリゴヌクレオチドと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるアミノ酸配列を有する。本発明のペプチドの代表的なアミノ酸配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7または配列番号8に開示されている。本発明のペプチドは、種々の用途(特異的抗体の調製および本明細書中に記載されるタンパク質の活性のアンタゴニストの調製を含む)を見出す。
(Aap、AatP、AatA、AatB、AatCまたはAatDに結合する抗体)
抗血清またはモノクローナル抗体(例えば、マウス、ウサギ、ブタ、ウマまたはヒト)の産生は周知であり、そして当業者によって容易に同定される方法(例えば、本明細書中に記載されるタンパク質の1つまたはタンパク質の1つに由来するペプチドを用いた動物の免疫)によって達成され得る。モノクローナル抗体の産生について、抗体産生細胞を、免疫した動物から獲得し、不死化し、そしてスクリーニングする。あるいは、抗体産生細胞は、特定のタンパク質または特定の誘導ペプチドに結合する抗体の産生について最初にスクリーニングされ、次いで不死化される。非ヒト抗体の抗原結合領域(例えば、F(ab’)2領域または超可変領域)を、組換えDNA技術によってヒト抗体のフレームワークに移して、実質的にヒトの分子を生成することが所望され得る。
特定のタンパク質またはその一部の合成または発現、および単離または精製の後、単離または精製されたタンパク質は、特定のタンパク質および目的のフラグメントと相互作用する因子を同定するための抗体およびツールを作製するために使用され得る。文脈に依存して、用語「抗体」は、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、単鎖、Fabフラグメント、およびFabライブラリーよって生成されるフラグメントを包含し得る。Aap、AatP、AatA、AatB、AatCおよび/またはAatDならびにこれらのフラグメントを認識する抗体は、多数の用途を有し、その用途としては、バイオテクノロジー適用、治療適用/予防適用、および診断適用が挙げられるが、これらに限定されない。
抗体産生について、種々の宿主(ヤギ、ウサギ、ラット、マウス、ヒトなどが挙げられるが、これらに限定されない)は、特定のタンパク質、または免疫学的特性を保持する任意の部分、フラグメントもしくはオリゴペプチドを注射することによって、免疫され得る。宿主の種に依存して、種々のアジュバントが、免疫学的応答を増大するために使用され得る。このようなアジュバントとしては、E.coli由来の無毒化熱不安定性毒素、フロイント、金属ゲル(例えば、水酸化アルミニウム)および界面活性物質(例えば、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油エマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニンおよびジニトロフェノール)が挙げられるが、これらに限定されない。BCG(Bacillus Calmette−Guerin)およびCorynebacterium parvumもまた、潜在的に有用なアジュバントである。
特異的抗体を誘導するために使用されるペプチドは、少なくとも3アミノ酸のアミノ酸配列、そして好ましくは少なくとも10〜15アミノ酸のアミノ酸配列を有する。好ましくは、特定のタンパク質のフラグメントをコードするアミノ酸の短いストレッチは、別のタンパク質(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン)のものと融合され、その結果、このキメラ分子に対する抗体が産生される。本発明の特定のタンパク質を特異的に認識し得る抗体は、特定のタンパク質のアミノ酸配列に対応する3マー、10マーおよび15マーの合成ペプチドを、宿主(例えば、マウス)に注射することによって生成され得るが、より多様なセットの抗体が、特定の組換えタンパク質、特定の精製タンパク質または特定のタンパク質のフラグメントを使用することによって生成され得る。
Aap、AatP、AatA、AatB、AatC、AatDおよび/またはこれらのフラグメントに対する抗体を生成するために、実質的に純粋なAap、AatP、AatA、AatB、AatC、AatDまたはこれらのフラグメントを、トランスフェクトもしくは形質転換された細胞、または野生型EAECから単離する。最終調製物中のポリペプチドの濃度は、例えば、Amiconフィルタデバイスで濃縮することによって、数マイクログラム/mlのレベルにまで調節される。
Aap、AatP、AatA、AatB、AatC、AatDまたはこれらのフラグメントに対するモノクローナル抗体は、培養物中の継続する細胞株による抗体分子の産生を提供する任意の技術を使用して、調製され得る。このような技術としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:KoehlerおよびMilstein(Nature 256:495−497(1975))に元々記載されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosborら、Immunol Today 4:72(1983);Coteら、Proc Natl.Acad.Sci 80:2026−2030(1983))およびEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R.Liss Inc.、New York N.Y.、pp 77−96(1985))。「キメラ抗体」の産生のために開発された技術(すなわち、適切な抗原特異性および生物学的活性を有する分子を得るための、マウス抗体遺伝子の、ヒト抗体遺伝子へのスプライシング)もまた、使用され得る(Morrisonら、Proc Natl.Acad.Sci 81:6851−6855(1984);Neubergerら、Nature 312:604−608(1984);Takedaら、Nature 314:452−454(1985))。あるいは、単鎖抗体の産生のために記載された技術(例えば、米国特許第4,946,778号(その全体が本明細書中で参考として援用される)に開示されるような技術)が、Aap特異的単鎖抗体を産生するために適合され得る。さらに、抗体は、リンパ球集団においてインビボ産生を誘導することによって、または組換え免疫グロブリンライブラリーもしくは高度に特異的な結合試薬(Orlandiら、Proc Natl.Acad.Sci 86:3833−3837(1989);ならびにWinter G.およびMilstein C.、Nature 349:293−299(1991)に開示される)のパネルをスクリーニングすることによって、産生され得る。
本発明の特定のタンパク質に対する特異的結合部位を含む抗体フラグメントもまた、生成され得る。例えば、このようなフラグメントとしては、抗体分子のペプシン消化によって生成されるF(ab’)フラグメント、およびF(ab’)フラグメントのジスルフィド結合の還元によって生成されるFabフラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、Fab発現ライブラリーは、所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ容易な同定を可能にするように構築され得る(Huse W.D.ら、Science 256:1275−1281(1989))。
Aap、AatP、AatA、AatB、AatC、AatDまたはこれらのフラグメントに対するモノクローナル抗体を作製する1つの方法は、数週間にわたって、数μgの選択されたタンパク質またはペプチドで、マウスを繰り返し接種する工程を包含する。次いで、このマウスは屠殺され、そして脾臓の抗体産生細胞が単離される。これらの脾臓細胞は、ポリエチレングリコールの存在下で、マウス骨髄腫細胞と融合される。過剰の非融合細胞を、アミノプテリンを含む選択培地(HAT培地)で、系の増殖によって破壊する。次いで、首尾よく融合した細胞を希釈し、そして希釈物のアリコートを、マイクロタイタープレートのウェル中に配置し、ここで、培養物の増殖を続ける。抗体産生クローンを、ELISA(Engvall,E.、Meth.Enzymol.70:419(1980)に元々記載された)およびその派生方法のようなイムノアッセイ手順によって、ウェルの上清流体中の抗体を検出することによって同定する。選択されたポジティブクローンを増殖させ得、そしてそのモノクローナル抗体産物を、使用のために収集する。モノクローナル抗体産生の詳細な手順の例は、Davis,L.ら、Basic Methods in Molecular Biology、Elsevier、New York、セクション21−2に見出され得る。
単一タンパク質の異種エピトープに対する抗体を含むポリクローナル抗血清は、発現されたタンパク質またはそれらに由来するペプチドで適切な動物を免疫することによって調製され得、そのタンパク質またはペプチドは、免疫原性を増強するために非改変または改変され得る。効果的なポリクローナル抗体の生成は、抗原および宿主種の両方に関する多くの因子によって影響される。例えば、低分子は、より大きい分子より抗原性が低い傾向にあり、キャリアおよびアジュバントの使用を要求し得る。また、宿主動物は、接種部位および用量に応じて変化し、不十分または過剰の用量の抗原の両方が、低力価抗血清を生じる。複数の皮内部位に投与される少用量(例えば、ngレベル)の抗原は、最も信頼性があるようである。ウサギに対する効果的な免疫のプロトコルの例は、Vaitukaitis,J.ら、J.Clin.Endocrinol.Metab.33:988−991(1971)に見出され得る。
追加免疫は、規則的な間隔で与えられ得、そして抗血清の抗体力価が低下し始める場合、抗血清は収集され得る。この抗体力価の低下は、半定量的に、例えば、既知濃度の抗原に対する寒天中における二重免疫拡散法によって決定され得る(例えば、Ouchterlony,O.ら、Handbook of Experimental Immunology D.Wier編、Blackwell(1973)の19章を参照のこと)。抗体のプラトー濃度は、通常、血清(約12μM)の0.1〜0.2mg/mlの範囲である。抗原に対する抗血清の親和性は、例えば、Fisher,D.らによってManual of Clinical Immunology,第2版(RoseおよびFriedman編)Amer.Soc.For Microbiol.,Washington,D.C.(1980)の中の42章に記載されたような競合的結合曲線を作成することによって決定される。いずれかのプロトコルによって調製される抗体調製物は、生物学的サンプル中の抗原保有物質の濃度を決定する定量的イムノアッセイに有用である。これらの抗体調製物はまた、(例えば、生物学的サンプル中のAapの存在を同定する診断的実施形態において)半定量的または定量的に使用される。分子モデリングおよび合理的な薬物設計の種々の方法は、Aap、AatP、AatA、AatB、AatC、AatD、それらのフラグメントまたは誘導体に類似の化合物ならびにAap、AatP、AatA、AatB、AatCおよび/またはAatDと相互作用し、それによって特定のタンパク質の機能を調節する分子を同定するために適用され得ることもまた企図される。
Aapタンパク質またはAatタンパク質に対する抗体の非治療的使用は、細菌の検出を含む。モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体は、迅速に細菌を検出するためのスライド凝集反応アッセイにおいて使用され得る。便由来のE.coliは、栄養寒天上に継代され、37℃で一晩培養される。次いで、コロニーは、爪楊枝で選び出され、顕微鏡スライドガラス上の1滴のリン酸緩衝化生理食塩水に再懸濁される。1滴の抗体再懸濁液は、次いで、細菌懸濁液に添加され、混合され、そして1分間振とうされる。この時点で、この懸濁液は、細菌の凝集反応について試験される。凝集反応は、抗体と細菌との正の相互作用を示し、そして細菌がAapタンパク質またはAatタンパク質を発現したことを示す。この技術の改変として、抗体は、視覚化を改善するためにラテックスビーズに添付され得る。
(発現ベクター)
本発明の遺伝子またはそれらの一部のいずれかを含む組換え遺伝子発現ベクターは、当該分野で周知の種々の形態で構築され得る。好ましい発現ベクターとしては、プラスミドまたはコスミドが挙げられる。発現ベクターは、特定の遺伝子の1つ以上のフラグメントを含み、好ましくは、全長遺伝子を含む。本発明の遺伝子の1つ以上を含む発現ベクターは、そのタンパク質を生成するためにか、もしくは免疫応答を生成するため、または他のいくつかの目的のために、適切な細胞(原核細胞または真核細胞)をトランスフェクトまたは形質転換するために使用され得る。
本明細書中で使用される場合、句「動作可能にコードする」は、コード領域によってコードされるポリペプチドの発現に必要とされる調節配列を伴う、1つ以上のタンパク質コード領域をいう。このような調節領域の例としては、プロモーター結合部位、エンハンサーエレメント、リボソーム結合部位などが挙げられる。当業者は、調節配列を選択し得、そして過度の実験なしに本明細書中に記載される組換え発現ベクターにそれらを組み込み得る。例えば、種々の真核細胞系または原核細胞系における使用のために適切な調節配列は、Ausubelら、Short Protocols in Molecular Biology、第3版、John Wiley&Sons,Inc,New York,1997に記載されており、これは、その全体が参考として本明細書中に援用される。
aap遺伝子クラスターまたはaat遺伝子クラスターと使用のための発現ベクターは、代表的に、所望の宿主細胞内での発現のために適合性のある種由来の調節配列を含む。例えば、E.coliが宿主細胞である場合、宿主細胞集団は、代表的に、アンピシリン耐性(AMPR)およびテトラサイクリン耐性についての遺伝子を含む、E.coli種由来のプラスミドであるpBR322を使用して形質転換される(Bolivarら、Gene 2:95(1977))。従って、pBR322は、形質転換された細胞を同定するための簡便な手段を提供する。Galen、WO00/32047に記載されるプラスミドはまた、いくつかの細菌における発現ベクターについて有用である。
原核生物の宿主との使用に適切なプロモーターとしては、例として、β−ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系(Changら、Nature 275:617(1978);Goeddelら、Nature 281:544(1979))、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddel、Nucleic Acids Res.8:4057(1980))、ompC、nirB、およびハイブリッドプロモーター(例えば、taqプロモーター)(de Boerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:21−25(1983))が挙げられる。他の機能的細菌プロモーターもまた、適切であり、そして当業者によって容易に同定可能である。これら機能的細菌プロモーターのヌクレオチド配列はまた、一般的に当該分野に公知であり、それによって熟練者が、任意の必要な制限部位を提供するリンカーまたはアダプターを使用して、目的のペプチドをコードするポリヌクレオチドにこれらのプロモーターを連結することが可能になる(Siebenlistら、Cel 20:269(1980))。
真核生物微生物(例えば、酵母培養物)もまた、調節配列のための供給源として使用され得る。例えば、Saccharomyces cerevisiaeは、一般的に使用される真核生物宿主微生物である。酵母宿主と使用するのに、適切なプロモーター配列としては、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitzemanら、J.Biol.Chem.255:12073(1980))または他の解糖酵素(例えば、エノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、グルコースリン酸イソメラーゼおよびグルコキナーゼ(Hessら、J.Adv.Enzyme Reg.7:149(1968);Holland,Biochemistry 17:4900(1978))のプロモーターが挙げられる。
増殖条件によって制御される転写の利点を有する誘導性プロモーターである他の酵母プロモーターとしては、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロームC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関する分解された酵素、メタチオネイン、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼならびにマルトースおよびガラクトースの利用を担う酵素のプロモーター領域が挙げられる。酵母エンハンサーは、酵母プロモーターによって有利に使用される。
組換えウイルスはまた、発現ベクターとして使用され得る。例示的なウイルスとしては、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニア、CMV、BLUESCRIPT(Stratagene,San Diego,CA)、バキュロウイルス、あるいはレトロウイルスまたはαウイルスのようなRNAウイルスが挙げられる。好ましくは、レトロウイルスベクターは、マウスレトロウイルスまたは鳥類レトロウイルスの誘導体である。αウイルスベクターは好ましくは、SindbisウイルスまたはSemliki Forestウイルスに由来する。これらの発現ベクターのすべては選択可能なマーカーに関する遺伝子を運搬または組み込み得るので、形質転換された細胞が同定および生成され得る。
ウイルスのベクターは、特定の標的細胞上のレセプターに対するリガンドをコードする他の遺伝子とともに、ウイルスベクター目的の一つ以上の配列を挿入することによって標的特異性を生じさせ得る。例えば、レトロウイルスベクターは、糖、糖脂質またはタンパク質をコードするポリヌクレオチドを挿入することによって標的特異性を生じさせ得る。好ましい標的は、MALT−特異抗体を使用しての粘膜誘導性部位の周辺のように、レトロウイルスベクターを標的とする抗体を使用することによって達成される。当業者にとって、目的のポリヌクレオチドを含むレトロウイルスベクターの標的特異的な送達を可能にするためにレトロウイルスゲノム内に挿入し得る、特異的ポリヌクレオチド配列は公知であるか、あるいは過度の実験なしでも容易に確認し得る。
いくつかの場合、発現ベクターおよび目的のDNAを含む細胞および生物を同定するために、選択マーカーを使用することが好ましくあり得る。選択マーカーは、通常クローン化されたDNA分子と共に細胞または生物に導入され、そしてアンピシリン、ネオマイシン、ハイグロマイシンおよびメトトレキセートのような薬物に対して耐性を与える遺伝子を含む。選択マーカーはまた、宿主細胞の栄養要求性を補足し得るか、あるいはクローン化したDNA分子を含む細胞または生物を同定するために、β−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質、または黄色蛍光タンパク質のような検出可能なシグナルを提供し得る。
aapおよび/またはaat遺伝子クラスターのヌクレオチド配列、および必要に応じて他の免疫賦活性のポリヌクレオチドをウイルス遺伝子発現ベクターに組み込むために活用される同じ技術では、免疫原性の組成物として使用するための生きたウイルスおよび活性を弱めた生きたウイルスが組み込むために使用され得ることが理解される。
粘膜組織の標的化を、標的化されるリンパ球床(bed)の固有の、生物学的な特性を利用することによって実行し得る。これらの特性は扁桃体柱の陰窩構築を含み、それは粒子を捕らえるために使用され得、そしてまた、脂質粒子および他の小粒子を含む広い範囲の粒子を特異的にエンドサイトーシスする腸の、パイアー斑のM細胞を含む。従って、当業者は広い範囲の分子粒子の調製物を調製し得、腸に供給される場合、腸のパイアー斑の陰窩部位内にとどまり、そしてM細胞によってエンドサイトーシスする。このような粒子が、生物学的に活性なポリヌクレオチドのM細胞への送達を提供する場合、粒子はM細胞を行き来するパイアー斑のリンパ組織によって、粘膜の免疫応答誘導の刺激または調節を可能とする。
所望するコード配列、非コード配列および制御配列を含む適切な発現ベクターの構築は、標準的な連結技術を使用する。単離されたプラスミドまたはDNAフラグメントを切断し、編成し、そして必要なプラスミドを構築するために所望される形態において再連結する。プラスミドにおいて正しい配列が構築されたことを確認するために、例えば、宿主細胞を形質転換するために連結混合物を使用し得る適切な場合、抗生物質耐性によって成功した形質転換体が選択され得る。形質転換体からプラスミドを調製し、制限によって分析されそして/または配列決定される(例えば、Messingら、(Nucleic Acid Res.,9:309(1981))、Maxamら、(Method in Enzymology65:499(1980))に記載の方法、あるいは当業者に公知の他の適切な方法によって)。切断フラグメントのサイズ分離は、例えば、Maniatisら、(Molecular Cloning,pp.133〜134(1982))によって記載されるような従来のゲル電気泳動を使用することで実行され得る。
宿主細胞を、前記本明細書中に記載の発現ベクターで形質転換し得、そしてプロモーター誘導に適切なように、形質転換体を選択するためにまたは遺伝子を選択するために、改変された従来の栄養培地で培養し得る。温度、pHなどの培養条件は、発現に関して選択した宿主細胞で以前に使用したものであり、そして当業者に明らかである。
(精製)
本発明の一つ以上のタンパク質の精製に含まれる工程は、(1)所望のタンパク質の可溶化、(2)一以上の分離手順および濃縮手順の発達、(3)精製に続くタンパク質の安定化、および(4)所望のタンパク質の存在を決定するために適するアッセイの発達、を含む。タンパク質単離およびタンパク質精製のさまざまな局面は、Cooper,T.G.,「The Tools of Biochemistry」、John Wiley&Sons,New York,1977に詳細に議論されており、これはその全体が本明細書によって参考として援用される。タンパク質単離および精製の技術は、当該分野で一般に周知であり、本開始は、それらを詳細に議論することを控える。それにもかかわらず、参考文献の要素を以下で要約し、そして議論する。
一般的に使用される大部分の単離手順は、水溶液中で操作を行うので、精製されるほとんどのタンパク質に可溶化が必要である。幾つかの場合において、可溶化は、所望のタンパク質が発現される宿主細胞を単に溶解させることによって達成され得る。他の状況において、さらなる工程(例えば、所望のタンパク質を非細胞小器官から抽出する工程)は、必要であり得る。浸透溶解、粉砕、混合機の使用、超音波、プレス、および他の周知のタンパク質可溶化の技術は、本明細書に開示される方法とともに使用され得る。
本発明のタンパク質の単離および濃縮について当該分野で周知である、種々の利用可能な技術が存在する。これらの技術としては、(1)示差的可溶化、(2)イオン交換クロマトグラフィー、(3)吸着クロマトグラフィー、(4)モレキュラーシーブ技術、(5)アフィニティークロマトグラフィー、(6)電気泳動、および(7)焦点電気泳動が挙げられるが、これらに限定されない。これらの技術の各々はまた、本発明のタンパク質の精製において有用であり得る。Aapの精製の例は、以下に見出され得る。
精製されたタンパク質産物を機能的な状態で可溶化および維持することは、多数の異なる条件(例えば、(1)pH、(2)酸化の程度、(3)重金属濃度、(4)媒体極性、(5)プロテアーゼ濃度、および(6)温度)に対する注意を保証する。当業者は、過度の実験をすることなく、活性な形態の精製されたタンパク質を維持するために、どの利用可能な技術を使用すればよいかが容易に分かる。
(組成物)
aap遺伝子クラスターおよびaat遺伝子クラスターによってコードされるタンパク質を使用して、免疫応答を促進する免疫原性組成物を処方し得る。EAEC感染に対する代表的な免疫応答の例としては、粘膜免疫応答および全身性免疫応答が挙げられる。
本発明の1つの局面にしたがって、本発明のタンパク質のより小さなフラグメントを使用して、免疫原性組成物を提供する。特に、これらのフラグメントは、代表的に、約5、6、8、10または12アミノ酸から約20、22,24、30以上のアミノ酸までの発現産物の免疫原性領域を含む。適切なフラグメントまたは免疫原性領域は、スクリーニング手順として以下に示される技術を使用して、容易に確認され得る。適切なスクリーニング手順の1つの例において、多数の候補フラグメントは、多かれ少なかれ、無作為に産生され、そしてそれらを使用して、モルモットまたは他の適切なモデルを免疫する。あるいは、本発明において活性であると示される全長ポリペプチドは、短縮され得、そして反復プロセスにおいてスクリーニングされ、最小フラグメントに対する免疫原性活性および保護活性を単離し得る。このようなスクリーニングは、過度の実験をすることなく、容易に実施され得、そして活性なフラグメントは、本発明の企図内にある。第3の実施例は、疎水性および/または他のアミノ酸特性を用いて、表面曝露エピトープおよび免疫原性エピトープを予測することである。予測された表面曝露残基は、オリゴペプチドとして合成され、そして抗体は、例えば、ウサギまたはマウスにおいて、これらのペプチドに対して惹起される。次いで、この抗体は、インタクトなタンパク質に対しての反応について試験される。タンパク質への結合は、予測されたエピトープが、実際に表面曝露されており、それゆえに、EAECワクチンについての潜在的保護エピトープに相当し得ることを示唆する。
(組換え生物)
本発明の1つの実施形態において、aap遺伝子もしくはその機能的フラグメントまたはaat遺伝子クラスターの1つ以上の遺伝子もしくはそのフラグメントを含むヌクレオチド配列は、当業者に周知の標準的分子生物学的技術を用いて、外因性生物に導入される。例示的な分子生物学的技術は、Ausubelら、「Short Protocols in Molecular Biology」に記載される。次いで、得られる組換え生物は、免疫応答が発生し得る免疫原として使用され得る。好ましい実施形態において、弱毒化された病原性生物は、外因性生物として機能する。さらに、組換え生物全体またはその機能的フラグメント(例えば、単離された膜画分、リポソームなど)を使用して、免疫原性組成物を生成し得ることが企図される。1つのこの企図された実施形態では、aap遺伝子は、親生物、EAEC 042由来の案内役(usher)およびシャペロンを用いて同時発現され、細菌外側膜を介するAapタンパク質の分泌を保証する。案内役(aafC)およびシャペロン遺伝子(aafD)は、キメラクローンとして入手可能である。別の実施形態において、aat遺伝子クラスター全体は、生物内で発現される。
(サブユニット免疫原性組成物)
本発明の別の実施形態は、目的の生物の別個の免疫原性タンパク質(もしくはそのフラグメント)または機能的フラグメントを含む、免疫原性組成物の作製に関する。このような免疫原性組成物は、本明細書でサブユニット免疫原性組成物として参照される。なぜなら、組成物の少なくとも1つの成分は、生物全体ではなく、生物のサブユニットであるからである。代表的に、このような免疫原性組成物は、1つ以上の免疫原性成分を含む。
好ましい実施形態において、サブユニット免疫原性組成物は、キャリア成分および免疫原性成分を含む。代表的に、キャリア成分は、発生する生物が、宿主生物に結合し、そして宿主生物への入口を得るために使用する結合部分として機能する。別の好ましい実施形態において、EAEC由来のAap、AatP、AatA、AatB、AatC、および/またはAatDは、キャリア成分として機能する。免疫応答を誘発する任意のタンパク質、ペプチド、またはアミノ酸配列は、サブユニット免疫原性組成物において、免疫原性成分として使用され得る。
サブユニット免疫原性成分のキャリア成分は、それら自体の免疫原性特性を保有し得る。代表的に、アジュバントが、免疫原性組成物において使用され、免疫原性組成物の免疫原性成分に対して指向する免疫応答を増強する。粘膜結合特性および免疫原性特性の両方を保有するキャリア成分が、使用され得る。例えば、Aap、AatP、AatA、AatB、AatC、および/またはAatDは、キャリア成分としてかつ免疫原性成分として機能し得る。
上記のキャリア成分について、分子全体が、キャリア成分として使用され得るか、または分子の機能的に活性なフラグメントが、使用され得る。これらの分子の変異誘発された形態もまた、キャリア成分として使用され得る。
理論に束縛されることを望まないが、サブユニット免疫原性組成物は、粘膜およびそこに存在する種々の免疫系成分にこのサブユニット免疫原性組成物の免疫原性成分を曝すことにより機能するという仮説が立てられる。1つの理論によれば、サブユニット免疫原性組成物による所望される免疫応答の発生が、標的組織へのこの免疫原性組成物の曝露を増加させることにより生じる。キャリア成分および免疫原性成分の両方の存在が、この目的を達成するよう理論付けられる。
本発明の1つの実施形態において、Aapが、単離され、精製され、そして1つ以上の免疫原性化合物またはアジュバント化合物と混合または組み合わせられる。例えば、Aapが、発現され、精製され、そしてサブユニット免疫原性組成物における使用のために毒素、トキソイド(弱毒化された毒素)またはいくつかの他の免疫原性化合物に架橋され得る。別の実施形態において、AatAが、発現され、精製され、そしてサブユニット免疫原性組成物における使用のために毒素、トキソイド(弱毒化された毒素)またはいくつかの他の免疫原性化合物に架橋され得る。
別の実施形態において、発現されたAapもしくはそのフラグメントまたはAatAもしくはそのフラグメントが、免疫原性成分に架橋され得、この免疫原性成分は、単離されたタンパク質、その機能性フラグメント、生物全体(例えば、細菌またはウイルス)、または一部分が単離されるかもしくは全体として病原性生物として用いられるかのいずれかのその機能性フラグメントであり得る。AapおよびAatAが、細菌自体から単離され得るか、または当該分野で周知の組換えDNA技術を用いて産生され得る。組換え生物全体またはその機能的フラグメント(例えば、単離された膜画分、リポソームなど)が用いられて免疫原性組成物を生成することが企図されかつ本発明の範囲内である。
サブユニット免疫原性組成物を形成するために用いられる本発明のタンパク質は、タンパク質全体、その免疫原性フラグメント、タンパク質の変異形態、または特定のタンパク質もしくはそのフラグメントと適切な融合パートナー(例えば、当該分野において公知の組換えDNA技術を用いてタンパク質および融合パートナーの発現および/または精製を容易にする任意のタンパク質、ペプチド、またはアミノ酸配列)とを有する含む融合タンパク質であり得る。あるいは、1つ以上の追加の免疫原が、融合タンパク質における融合パートナーとしての役割を果たし得る。
(ヌクレオチド免疫原性組成物)
免疫応答がまた、ヌクレオチド含有組成物を用いて誘発され得る。例えば、本発明中により包含される1つの実施形態において、宿主に、抗原性エピトープをコードするDNAまたはRNAを含む抗原コードポリヌクレオチド調製物を投与することにより、宿主において粘膜性免疫応答または全身性免疫応答が誘発される。好ましくは、このヌクレオチド含有組成物が、宿主の粘膜組織における粘膜性誘導因子部位に投与される。裸のDNAが、粘膜に直接か(例えば、生理食塩水の液滴中で)、または組換え遺伝子発現ベクター中で投与され得る。好ましくは、組み換え遺伝子発現ベクターは、複製も播種もし得ない。
ヌクレオチド含有免疫原性組成物はまた、生きたウイルス性免疫原性組成物を含む。ウイルス性免疫原性組成物における使用のためのウイルスは、免疫刺激性ポリヌクレオチドを含む。好ましくは、標的タンパク質抗原が、組換え遺伝子発現ベクターによるその発現を介して投与される。
「DNA vaccines for eliciting a mucosal immune response」と題された、Maloneらに対する米国特許第6,110,898号(その全体が、本明細書中に参考として援用される)は、そのような免疫原性組成物の作製についての詳細な教示を提供する。特に、Maloneは、Malone,J.G.ら、「Mucosal immune responses associated with polynucleotide vaccination」、Behring Inst Mitt 98:63−72(1997年2月)に記載されるような組換えアルファウイルスベクター系を得ることを教示する。(例えば)AapをコードするDNAが、ベクターにおいてlacZ遺伝子で置換される。複製欠損アルファウイルス粒子が、1/20容量のキモトリプシン10mg/ml(Ca2+/Mg2+を有するPBS中)および1/50容量のCaCl(50mM)に1容量のウイルスストックを合わせることにより活性化される。この混合物を、室温での30分のインキュベーションに供し、次いで氷上に置く。次に、1/2容量のアプロチニン2mg/mlを添加する。この溶液を氷上で1時間まで保持し、そして用いられない場合、廃棄する。
Balb−Cマウス(SPF雌、6週齢、Charles River)に、10のウイルス粒子(10/ml)を、気管内経路、鼻腔内経路、または静脈内経路を介して、接種する。接種の前に、動物を、ケタミン(22mg/kg)、キシラジン(2.5mg/kg)およびアセプロマジン(0.75mg/kg)のカクテルを用いて麻酔する。気管内接種を、頸部の腹側部位で皮膚に沿って小さい医学的切開を作製することにより実施する。唾液腺を、平担切開(blunt dissection)を用いて取り出して、気管を露出させた。気管を可視化し、1ccのツベルクリンシリンジを取り付けた30.5ゲージの針を、気管の環を通して気管支まで入れた。100μlの上記のウイルス粒子を、肺に注射する。鼻腔内点滴注入は、外鼻腔のうち1つへの50μlのウイルス粒子の注入から構成される。一旦、吸入によりこれが鼻腔経路へと取りこまれると、他方の側に、同じ様式で接種される。静脈内接種が、30.5ゲージの針を用いて、100μlの上記のウイルス粒子を尻静脈(tail vein)に挿入することによって実施される。
血液を、マイクロキャピラリーチューブを用いて、0日目、14日目、および28日目に後眼窩静脈叢(retro−orbital venous plexus)から回収する。血液を、2〜4時間室温に置いて血塊にし、次いで、それを、IEC Centra MP4R遠心分離機において、6,000RPMで6分間、回転させる。上清(血清)を取り出し、そしてELISAアッセイを実施するまで−20℃で貯蔵する。
4週間目での肺の洗浄を、以下の方法により実施する。マウスを二酸化炭素での窒息により殺傷する。腹部(ventrum)の皮膚をむき、そして腸間膜を取り出し、肝臓を露出させる。肝臓を、横に移動して、横隔膜を可視化する。横隔膜を開き、そして胸骨を通して両側から胸郭を切断する。この切断部を、マウスを頭部の上に吊り上げ、気管を露出したままにする。気管の逆側の切開を、気管支の約2cm上で作製する。平担な24ゲージの針を、気管内に0.5cm挿入し、そして外科用糸を用いて適所に固定する。1mlのBBS(89mM ホウ酸、90mM NaCl、pH8.3[NaOH])を、平担な針を取り付けられた1mlのツベルクリンシリンジを用いて肺に徐々に導入し、次いで、その容量を、徐々に引き出す。この溶液を、遠心分離して細胞(粒子)成分および上清成分を生成する。回収される容量は、通常0.85〜0.95mlの範囲内である。この細胞性成分および上清成分を、使用するまで−20℃で貯蔵する。
組織学的切片標本が取り出される動物を、2日目に二酸化炭素により殺傷する。これらの動物の肺をパラホルムアルデヒド中に30分間、固定し、次いで、その組織を、PBS+2mM MgCl+30%スクロースの混合物中で4℃で一晩インキュベートする。肺組織を、低温で切開し(cryosection)、そしてゼラチンスライド上に置く。次いで、これらのスライドを、固定し、ビオチン化標識した抗Aap抗体を用いてAapについて染色する。
ELISAアッセイを、Engvall,E.Meth.Enzymol.70:419(1980)によって記載されたと同じ基本的なプロトコール、およびその派生した方法を用い、96ウェルマイクロタイタープレートを用いて、試料について実施する。手短に言えば、Aapを、5mg/mlウシ血清アルブミンを補充したPBSで、1mg/mlの濃度に懸濁する。マイクロタイタープレートのウェルを、5mg Aap(その溶液中)/ml BBS(89mMホウ酸、90mM NaCl、pH8.3[NaOH])でコーティングする。このプレートを、4℃で一晩インキュベートする。このプレートを、重ねたペーパータオルに連打して乾燥させ、150μl BB(上記のように1%ウシ血清アルブミンを添加したBBS)でブロッキングする。このプレートを室温で2時間静置後、サンプル血清をBBで8回2倍希釈した希釈物をマイクロタイタープレートにピペットで入れる(1ウェルあたり50μl)。以下のように希釈を行う:血清IgGおよび血清IgA−1:10〜1:5120、洗浄(lavage)IgGおよび洗浄IgA−1:1〜1:128。このプレートを、4℃で一晩インキュベートする。プレートを、PBS+0.05%Tweenで5〜6回洗浄し、乾燥させる。アルカリホスファターゼ結合ヤギ抗マウスIgG(1:2000希釈)またはヤギ抗マウスIgA(BBで1:1000希釈)のいずれかを添加する(1ウェルあたり50μl)。プレートを、室温で2時間インキュベートする。これらを上記のように洗浄および乾燥させ、そして基質緩衝液(1mg/ml p−ニトロフェノールリン酸、50mM 炭酸水素ナトリウム緩衝液、pH9.8、1mM MgCl)を添加する。プレートを、室温で1時間、再度インキュベートする。iMac(適切なソフトウェアを有する)に接続したDynatech MR5000 ELISAプレートリーダー(Dynatech Laboratories,Chantilly,VA)が、405nm波長で、これらのプレートを読み取る。バックグラウンド信号を、バックグラウンドの2.5倍より大で確認されるポジティブな力価を有するコントロール血清を用いて規定する。洗浄(lavage)サンプルのために、バックグラウンドの2.5倍として規定されるポジティブな信号を有する1:2希釈を用いて、OD405を記録する。
肺洗浄研究の結果から、鼻腔内の接種によって、結果としてIgGおよびIgAの両方が高レベルになる(粘膜免疫を示す)ことが実証される。気管内および血管内の接種は、全身性の免疫応答を引き起こす。
あるいは、aatクラスターの1つ以上の遺伝子が、弱毒化した(attenuated)EAEC、Salmonella spp.、Shigella spp.、Lactobacillus spp.、または粘膜組織に侵襲性の他の弱毒化した細菌に導入され得、従って、この遺伝子にコードされる特定のAatタンパク質を発現する。この細菌を、コード化された特定のAatタンパク質に対する免疫応答を引き起こすために、動物に投与する。
(処方物および投与)
本明細書中に記載される免疫原性組成物は、種々の経路による投与に関して、種々の有用な様式で処方され得る。上記の処方物中の免疫原性組成物の濃度は、これらの免疫原性成分の有効用量が処方物中に含まれるような濃度である。このような濃度の決定は、当業者に容易に明らかである。
これらの免疫原性組成物の投与は、鼻適用によって、吸入によって、眼的、経口的、直腸的、膣的な適用によって、または免疫原性組成物が粘膜組織に接触する結果となる任意の他の様式によって、なされ得る。
これらの組成物の経口投与のための固体処方物は、適切なキャリアまたは賦形剤(例えば、コーンスターチ、ゼラチン、乳糖、アラビアゴム、ショ糖、微晶質セルロース、カオリン、マンニトール、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、またはアルギン酸)を含み得る。使用され得る崩壊薬(disintegrator)としては、制限無く、微晶質セルロース、コーンスターチ、デンプングリコレートナトリウム(sodium starch glycolate)、およびアルギン酸が挙げられる。使用され得る錠剤結合剤としては、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ショ糖、デンプン、およびエチルセルロースが挙げられる。使用され得る潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、アイリコン流体(ailicone fluid)、滑石、ワックス、油、およびコロイド状シリカ(colloidal silica)が挙げられる。
本発明の1つの実施形態において、これらの免疫原性組成物は、吸入による送達のために、微粒化分散として存在する。これらの免疫原性成分の微粒化分散は、代表的に、微粒化分散またはエアロゾル化分散のための一般的なキャリア(例えば、緩衝化生理食塩水および/または当業者に周知の他の化合物)を含む。免疫原性組成物の吸入を介した送達は、免疫原性成分を粘膜組織の広い面積に迅速に分散化する効果および免疫原性成分の循環のための血液による迅速な吸収の効果を有する。微粒化分散を調製する方法の1つの例は、米国特許第6,187,344号に「Powdered Pharmaceutical Formulations Having Improved Dispersibility」という題名で記載され、その全体が参考として本明細書中に援用される。
本明細書中に記載される免疫原性組成物はまた、直腸座薬または膣座薬の形態でも処方され得る。座薬の不活性な部分の処方物に使用される代表的なキャリアとしては、ポリエチレングリコール、グリセリン、カカオバター、および/または当業者に周知の他の化合物が挙げられる。理論によって結合されることを希望しないが、座薬を介する免疫原性組成物の送達は、近位粘膜組織に放出するために、粘膜表面を免疫原性組成物と接触する効果を有すると仮定される。遠位粘膜組織は、拡散によっても免疫原性組成物を受容する。本発明に含まれる免疫原性組成物の送達に適切な他の座薬処方物もまた、企図される。
さらに、免疫原性組成物もまた、液体形態で存在する。液体は、経口投薬のためか、滴下剤として眼投薬もしくは鼻投薬のためかまたは浣腸もしく灌注器としての使用のためであり得る。免疫原性組成物が液体として処方される場合、この液体は、免疫原性組成物の液剤または懸濁剤のいずれかであり得る。その意図する用途に依存して、免疫原性組成物の液剤または懸濁剤について、当業者に周知の種々の適切な処方が存在する。水中、または他の水性ビヒクル中で調製される経口投与用の液体処方は、種々の懸濁剤(例えば、メチルセルロース、アルギン酸、トラガカント、ペクチン、ケルギン(kelgin)、カラゲナン、アカシア、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコール)を含み得る。液体処方としてはまた、活性化合物、湿潤剤、甘味剤、ならびに着色剤および矯味剤を一緒に含む、液剤、乳剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられ得る。種々の液体処方および粉末処方が、処置すべき哺乳動物の肺への吸入のための従来の方法によって調製され得る。
経口投薬による液体形態の、記載される免疫原性組成物の送達は、胃腸管および尿生殖器管の粘膜を免疫原性組成物に曝露する。胃の極端なpHに抵抗して安定化される適切な用量が、免疫原性組成物を胃腸管の全ての部分、特にその上位部分に送達する。組成物の効果的な送達が胃腸管に沿って分布するように、液体経口投薬において免疫原性組成物を安定化するための任意の方法は、本明細書中で記載される免疫原性組成物用いる使用が企図される。
点眼剤による液体形態の、記載される免疫原性組成物の送達は、眼および関連組織の粘膜を免疫原性組成物に曝露する。点眼剤のための代表的な液体キャリアは、緩衝され、そして、当業者にとって周知であり、当業者が容易に同定可能な他の化合物を含む。
点鼻薬による液体形態の、記載される免疫原性組成物の送達は、鼻および洞ならびに関連組織の粘膜を免疫原性組成物に曝露する。点鼻薬のための液体キャリアは、代表的には種々の形態の緩衝化生理食塩水である。
コロイド分散系が、免疫原性組成物を含む核酸の標的送達のために使用され得る。コロイド分散系としては、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズならびに水中油エマルジョン、ミセル、混合ミセルおよびリポソームを含む、脂質ベースの系が挙げられる。好ましいコロイド系は、単層リポソームおよび多層リポソームを含む脂質調製物である。
本組成物の注入可能な処方は、植物油、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド(dimethylformaamide)、エチルラクテート、エチルカーボネート、イソプロピルミリステート(mristate)、エタノール、ポリオール(グリセロ−ル、プロピレングリコールおよび液状ポリエチレングリコール)などのような種々のキャリアを含み得る。静脈内注入について、本化合物の水溶性の種類が、点眼注で投与され得、それにより、抗真菌剤を含む薬学的処方物と生理学的に受容可能な賦形剤が注入される。生理学的に受容可能な賦形剤としては、例えば、5%ブドウ糖、0.9%生理食塩水、Ringer溶液または他の適切な賦形物が挙げられ得る。筋肉内用調製物(例えば、本組成物の適切な可溶性塩の形態の無菌処方)が注射用水、0.9%生理食塩水または5%グルコース溶液のような薬学的賦形剤に溶解され、投与され得る。本組成物の適切な不溶性の形態は、水溶性基剤または、長鎖脂肪酸のエステル(例えば、オレイン酸エチル)のような薬学的に受容可能な油性基剤中の懸濁剤として調製され、そして投与され得る。
リポソームは、インビトロおよびインビボにおいて送達ビヒクルとして有用な、人工膜ビヒクルである。0.2〜4.0μmのサイズの範囲の大きな単層ビヒクル(LUV)が、大きな高分子を含む水性緩衝液の実質的な割合をカプセル化し得ることが示された。RNA、DNAおよびインタクトなビリオン粒子が、水性内部にカプセル化され得、そして生物学的に活性な形態で細胞へと送達され得る(Fraleyら、Trends Biochem.Sci.6:77(1981))。哺乳動物細胞に加え、リポソームは、植物細胞、酵母細胞および細菌細胞においてポリヌクレオチドの送達のために使用された。リポソームが十分な遺伝子伝達ビヒクルであるためには、以下の特性が存在すべきである:(1)高い効率でポリヌクレオチドをコードする遺伝子をカプセル化する一方で、それらの生物学的な活性は損なっていない;(2)非標的細胞と比較して、優先的かつ実質的に標的細胞に結合する;(3)ビヒクルの水性内容物の標的細胞細胞質への高い効率での送達;および(4)遺伝情報の急速かつ効率的な発現(Manninoら、Biotechniques 6:682(1988))。このようなLUV構造に加え、種々のカチオン性脂質両親媒性物質を組み込む多層状脂質調製物および小さな単層脂質調製物もまた、アニオン性ポリヌクレオチドと混合され、しばしばリポソームとも呼ばれる核脂質粒子を形成し得る(Felgnerら、Proc Natl.Acad.Sci.U.S.A.84(21):7413(1987))。これらの核脂質粒子は、核酸を細胞内に送達するのに使用され得る。
リポソームの組成は、通常、リン脂質(好ましくは高い相転移温度のリン脂質)の組み合わせであり、通常はステロイド(好ましくはコレステロール)の組み合わせである。しかし、他のリン脂質または他の脂質もまた、使用され得る。リポソームの物理的特性は、pH、イオン強度および二価のカチオンの存在に依存する。カチオン性脂質両親媒性物質:ポリヌクレオチド処方の適切な組成物および調製物は当業者に公知であり、この情報を提供する多くの参考文献が入手可能である(例えば、Bennettら、J.Liposome Res.6(3):545)。
リポソーム産生に有用な脂質の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ホスファチジルグリセロ−ル、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシドおよびガングリオシドのようなホスファチジル化合物。特に、有用なのは、ジアシルホスファチジルグリセロ−ルであり、この脂質部分は14〜18個の炭素原子、好ましくは16〜18個の炭素原子を含み、そして飽和している。例示的なリン脂質としては、卵のホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンおよびジステアロイルホスファチジルコリンが挙げられる。ポリヌクレオチド送達のための核脂質粒子の処方に有用な、カチオン性両親媒性脂質の例としては、一価の脂質(DOTAP、DOTMAおよびDC−Chol)、多価の脂質(LipofectAMINE、DOGS、Transfectamおよび他の両親媒性ポリアミン)が挙げられる。これらの試薬は、ヘルパー脂質(例えば、Dioleoyl Phosphatidyl Ethanolamine)または、種々のキャリア組成物(種々のアジュバント(例えば、コレラ毒を含むコレラ由来分子)を含む)を用いて調製され得る。
リポソームの標的化は、解剖学的因子および機械的因子に基づいて分類され得る。解剖学的分類は、例えば、臓器特異的、細胞特異的およびオルガネラ特異的のような選択性のレベルに基づく。機械的標的化は、標的化が受動的かまたは能動的かで区別され得る。受動的標的化は、洞様毛細血管を含む臓器における細網内皮系(RES)の細胞に分布するというリポソームの本来の傾向を利用する。一方で、能動的標的化は、特定のリガンド(例えば、モノクローナル抗体、糖、糖脂質またはタンパク質)へのリポソームの結合によるか、または自然に生じる局在化部位以外の臓器および細胞型への標的化を達成するために、リポソームの組成またはサイズを変更することによる、リポソームの改変を含む。
標的化送達系の表面は、多様な方法で改変され得る。リポソームの標的化送達系の場合、標的リガンドをリポソームの脂質二重層との安定な会合に維持するために、脂質基がリポソームの脂質二重層に組み込まれ得る。種々の連結基が、脂質鎖を標的リガンドに連結するのに使用され得る。
上で検討した化合物の投与は、インビトロまたはインビボで実施され得る。インビトロで実施される場合、任意の滅菌、かつ無毒性の投与経路が使用され得る。インビボで実施される場合、上で検討した化合物の投与は、皮下、静脈内、筋肉内、眼内、経口、経粘膜または経皮の経路で、例えば、注射によってかまたは制御放出機構によって、有利に達成され得る。制御放出機構の例としては、ポリマー、ゲル、ミクロスフェア、リポソーム、錠剤、カプセル、坐剤、ポンプ、シリンジ、眼挿入物(ocular insert)、経皮処方、ローション、クリーム、経鼻スプレー、親水性ガム、ミクロカプセル、吸入剤およびコロイド薬物送達系が挙げられる。
免疫原性組成物は、薬学的に受容可能な形態で、そして実質的に無毒性の量で投与される。特に、免疫原性組成物は、免疫応答を生じる個々の化合物に適当な組成物の量で投与され得る。適切な用量は、過度の実験を必要とせず、容易に当業者に周知の技術によって決定され得る。このような決定は、適切な化学療法用量を決定するのに使用される技術に類似した技術を使用する、特定の用量の許容性および有効性に部分的に基づく。さらに、この化合物は、界面活性剤を伴うかまたは伴わない水中で投与され得る。
注射用調製物としては、滅菌水性溶液または使用前に滅菌環境下で希釈または懸濁され得る懸濁剤および散剤が挙げられる。水、エタノールポリオ−ル、植物油などを含有する液剤または分散媒体のようなキャリアもまた、本明細書に記載される組成物に添加され得る。レクチンおよび界面活性剤のようなコーティング剤が、組成物の適切な流動性を維持するために使用され得る。糖または塩化ナトリウムのような等張剤ならびに活性化合物の吸収を遅らせることを意図される生成物(例えば、アルミニウムモノステアレートおよびゼラチン)が添加され得る。滅菌注射溶液は、当業者に周知の方法に従って調製され、保存および/または使用の前に濾過され得る。滅菌散剤は、液剤または懸濁剤から減圧乾燥されるか凍結乾燥され得る。徐放性調製物および処方物もまた企図される。本明細書中に記載される組成物に使用される任意の物質は、薬学的に受容可能であり、かつ使用される量において実質的に無毒性であるべきである。抗菌化合物が、必要に応じて調製物に添加され得る。
以下のいくつかの実験において、化合物は単一用量で投与されるが、臨床設定においては、化合物は、長期の時間にわたって多用量で投与され得ることが理解されるべきである。特に、化合物は、約1週間までの期間で、そしてさらに1ヶ月または1年より長い、長期間にわたって投与され得る。いくつかの例において、化合物の投与は、中止され、そして後に再開され得る。
全ての化合物調製物は、均一な投薬量および投与の容易さのために投薬単位形態で提供され得る。各投薬単位形態は、薬学的に受容可能なキャリアと関連して所望の効果を生じるように計算された所定の量の活性成分を含む。それゆえ、このような投薬量は、特定の化合物の有効量を規定する。
選択された免疫原性成分に対する免疫応答を誘発する免疫原性組成物の必須の成分を含むキットもまた、本発明の範囲内である。
(診断)
本発明はまた、サンプル中のAap、AatP、AatA、AatB、AatC、および/またはAatDを検出する方法を提供し、この方法は、被験体からのサンプルとこれらのタンパク質の1つ以上に対する抗体を接触させ、そしてこの抗体と特定のタンパク質(この抗体が認識する)との結合を検出する工程を包含する。抗体結合は、サンプルにおける特定のタンパク質の存在を示す。本発明の1つの実施形態において、サンプルにおけるAap、AatP、AatA、AatB、AatC、および/またはAatDの存在は、EAECによる感染を示す。AapおよびAatは、EAECに高度に特異的であるので、臨床サンプルにおける細菌に関するこれらのタンパク質の検出は、患者がEAEC細菌に感染していることを示唆する。
用語「サンプル」は、動物(例えば、魚、鳥、哺乳動物、ヒト、など)由来の物質を含む。そのようなサンプルとしては、髪、皮膚、組織、培養細胞、培養細胞培地、および生物学的流体が挙げられるが、これらに限定されない。用語「組織」とは、ヒトまたは他の動物由来の結合細胞塊(例えば、CNS組織、神経組織、または眼組織)をいい、そしてこの細胞と関連する結合性物質および液体物質を含む。本明細書で使用される場合、用語「生物学的流体」とは、ヒトまたは他の動物由来の液体物質をいう。そのような生物学的流体としては、血液、血漿、尿、精液、排泄物、血清、血清誘導体、胆汁、粘液、唾液、汗、羊水、胸膜液、および脳脊髄液(CSF)(例えば、腰部CSFまたは心室CSF)が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「サンプル」としてはまた、単離されたAap、AatP、AatA、AatB、AatC、および/またはAatDポリペプチドを含む溶液、これらのタンパク質が分泌された培地、およびこれらのタンパク質を産生する宿主細胞を含む培地が挙げられる。例えば、サンプルは、SDS−PAGEによって分けられ、そしてウエスタンブロット分析のためにニトロセルロース膜に移されるタンパク質サンプルであり得る。反応物を得るために必要なサンプル量は、標準的な実験室技術により、当業者によって難なく決定され得る。サンプルの最適量は、連続希釈によって決定され得る。
動物におけるEAECの存在を診断するかまたは決定するためのキットは、本発明の範囲内の実施形態である。本発明の1つの実施形態において、キットは、Aap、AatP、AatA、AatB、AatC、および/もしくはAatDまたはこれらのタンパク質の1つ以上のフラグメントを認識する1つ以上の抗体(例えば、上述される)を含む。このキットは、Aap、AatP、AatA、AatB、AatC、および/またはAatDの検出のために有用であり、抗体(Aap、AatP、AatA、AatB、AatC、および/またはAatDと結合する)を含む容器を閉鎖性の制限体で受けいれることが可能な区画化されたキャリアを有する。本明細書で使用される場合、「容器」は、バイアル、チューブ、などを含み、各容器は、使用される別々の要素の1つを含む。好ましい実施形態において、Aap、AatP、AatA、AatB、AatC、および/またはAatDと結合する抗体は、検出可能に標識される。さらにより好ましい実施形態において、標識は放射性同位体、生体発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、金属キレート、または酵素である。このキットは、あるいは、抗Aap抗体、または抗AatP抗体、または抗AatA抗体、または抗AatB抗体、または抗AatC抗体、または抗AatD抗体を認識する抗体を含み得、そのためこのキットは、これらのタンパク質の1つ以上に対する抗体がサンプル中または組織中に存在するか否かを決定するために使用され得る。
キット様式において、抗体は、商業上ラテックスビーズと結合され得る。ビーズは、生理食塩水中のE.coli細菌の懸濁液と混合される。この懸濁液は、1分間室温で激しく揺さぶられ得、そして懸濁液の凝集の存在が、陽性試験として読みとられる。
さらに別の実施形態では、キットは、aapポリヌクレオチドおよび/またはaat遺伝子クラスターの1つ以上の遺伝子に関するポリヌクレオチドの検出のために有用である。キットは、aap、および/またはaat遺伝子クラスターの1つ以上の遺伝子に関するポリヌクレオチドにハイブリダイズする核酸プローブを含む容器を、閉鎖性の制限形態で受け入れるための区画化されたキャリアである。好ましくは、サンプルからのポリヌクレオチドにハイブリダイズする核酸プローブは、検出可能に標識される。この標識は、放射性同位体、生体発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、金属キレート、または酵素であることが好ましい。
(EAECの間のaatクラスターの有病率)
aatの配列は、AAF/I−コード株17−2とAAF/II−コード株042との間で明らかに保存されている。それらは、ヌクレオチドレベルで96%同一であり、そしてアミノ酸レベルで95%同一である。臨床EAEC分離物間のaatクラスターの保存性を評定するために、aatAおよびaatBCD(aatB、aatC、aatDとも称される)に関して世界中のいくつかの地区の子供から単離された31株を、PCRによって試験する。図4は、典型的なPCRの結果を示す。さらに、aggRの存在は、aatおよびaggRの有病率を比較するために、PCRによって調査される。31EAEC分離物におけるaatA、aatBCD、およびaggRの有病率は、以下で示される表1の下方で示される。aatAおよびaatBCDの発生率は、それぞれ71.0%(22/31)および74.2%(23/31)である。1つの株を除いて、aatAは、aatBCDによって必ず随伴されることに留意のこと。この観察は、aatクラスターは、EAEC臨床分離物間で高度に保存されることを示唆する。22aat陽性株のうち19株は、aggR陽性であり、一方9aat陰性株のうちの5株は、aggR陰性である。aggRの存在は、aatクラスターの存在と有意に関係がある。
Figure 2005536235
(aatクラスターの転写およびそのAggRに対する依存性)
初め、042株のaatA変異体、aatC変異体、およびaatD変異体が構築される。各遺伝子は、自殺プラスミド、pJP5603の組み込みによって不活性化される。各転写物は、野生型において観察されるが、変異体においては観察されない(データは示されない)。
5つの遺伝子間での転写における連鎖を評価するために、RT−PCRが、aatクラスターにおけるそれらの遺伝子とプライマーとの多数の組み合わせを使用することで実行される。プライマー、aatPint−FおよびaatAint−Rを使用するRT−PCRアッセイは、予想されるサイズの産物を生じるが、aatA遺伝子、aatB遺伝子、aatC遺伝子、およびaatD遺伝子に由来するプライマーとの組み合わせを使用するアッセイは、産物を生じない(データは示されない)。これらの結果は、aatP遺伝子およびaatA遺伝子がポリシストロン的に転写される。データはまた、aatクラスターにおける他の遺伝子の転写における連鎖を示す。
Figure 2005536235
aatクラスターの転写に関するAggRの影響を試験するために、042株および042aggR株におけるaatA転写についてのRT−PCRが実行される。予測されたサイズの産物が042において観察されるが、042aggRにおいては観察されない。AggRがaatクラスター転写のために必要とされることを確認するために、相補性の株におけるaatAの転写がアラビノース依存性プロモーター、042aggR(pBADaggR)の制御下にあることが見出される(図6、レーン4および5を参照のこと)。細胞が、アラビノースの存在下では増加するが(ara誘導状態)、グルコース存在下では増加しない(抑制状態)場合に、aatAの転写が、042aggR(pBADaggR)において回復される。aat転写は、陰性対照株042aggR(pBAD30)においては観察されなかった(図6、レーン3を参照のこと)。同様の方法を使用して、AggRはまた、aatP、aatC、およびaatDの転写に不可欠であることが示される(データは示されない)。
(AatAタンパク質の局在)
AatA−His融合タンパク質は、発現されそして精製される(以下を参照のこと)。このタンパク質は、高度に特異的なAatA抗血清を生成するために使用される。AatA特異的抗体は、この精製タンパク質に対する親和性精製によって濃縮される(以下を参照のこと)。ウエスタン免疫ブロット法は、全細胞、ペリプラズマ、および外膜から調製される。予想されるサイズのバンドが、0.45%グルコースを追加したダルベッコ最小限必須培地(DMEM)(高グルコースDMEM)中で培養された042の全細胞溶解産物において観察されるが、042aatAにおいては観察されない(データは示されない)。同じサイズのバンドが、外膜において観察されるが、ペリプラズマ分画においては観察されない。AatAは、培地中に観察されない(データは示されない)。従って、AatAは、主に外膜に存在する。AatAが、AatCのABCトランスポータージャンクションによって生成されるエネルギーを使用することで外膜へ転位されるか否かを決定するために、042aatCおよび042aatDが、ウエスタン免疫ブロット法によってAatAに関して試験される。AatAは、042aatCおよび042aatDの両方の外膜において観察される(データは示されない)。
(aatクラスターは、Dispersin、Aapの分泌と関連する)
原核生物のABCトランスポーター間の輸送体(importer)の膜貫通ドメインは、C末端における保存されたモチーフである、EAAをを保持する(Holland,J Mol Biol 293:381〜399(1999))。このモチーフが、aatクラスターのアミノ酸配列中に観察されないので、aatクラスターが、内膜および/または外膜を介して未同定のタンパク質を輸送することが仮説立てられる。この仮説を証明するために、トリクロロ酢酸(TCA)で沈殿された培地のドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)で、野生型と変異体との間での分泌性タンパク質における違いが、調査される。042株および042aatA株は、一晩高グルコースDMEM中で培養された。この培地は、TCAで沈殿され、5分間煮沸され、そして15%SDS−PAGEを使用することで分離された。L−ブロス培地のSDS−PAGEパターンにおける有意な違いは観察されない。しかし、高グルコースDMEM(AggRを発現することが公知である)におけるわずかな違い(図4A)が、観察される。
このゲルの銀染色は、野生型EAECにおける10kDのバンドを示すが、042aatAにおいてそのバンドを示さない。成熟Aapの分子量は、10.2kDであることが公知であるので、この分泌性タンパク質は、Aapであることが予測される。Aapは、細菌の細胞表面に非共有結合することが公知であり、そして最終濃度0.1%で培地中にTriton X−100を添加することによって、培地中に容易に放出されることが公知である。培地上清のSDS−PAGEが、0.1%Triton X−100で実行される(図4Bを参照のこと)。042、042aatA、042aatC、042aatD、および042petの培地のSDS−PAGEである。これらの株は、0.1%Triton X−100を含む高グルコースDMEM中で6時間培養された。この培地は、TCAで沈殿され、5分間煮沸され、15%SDS−PAGEを使用して分離され、そしてクマシーブルーで染色された。野生型におけるバンドは、クマシーブルー染色によって容易に観察される。他方、このバンドは、042aatA、042aatC、および042aatDにおいて観察されない。pJP5603の効果の可能性を除去するために、変異体042pet(EAECの毒素、petの遺伝子内に統合されるpJP5603を保有する)が、コントロールとして試験される。この042petは野生型と同じバンドを示す。
この10kDaの分泌性タンパク質は、ウエスタン免疫ブロット法によってAapであることが確認される(図5を参照のこと)。各株は、0.1%Tritonを有する高グルコースDMEM中および0.1%Tritonを有さない高グルコースDMEM中で6時間培養され、そしてこの上清がTCAで沈殿された。次いで、サンプルは、煮沸され、そして15%SDS−PAGEを使用して分離された。ウエスタン免疫ブロット法が、Aapに対する特異的ポリクローナル抗体を使用する標準的な方法によって実行された。
図5において示されるように、Aapは、高グルコースDMEN中の野生型EAECの上清において観察されるが、042aatAにおいては観察されない。分泌性Aapの量は、野生型および042aatAの両方において0.1%Triton X−100の添加後に増加する。しかし、野生型におけるAapの分泌のレベルは、042aatAにおけるものよりもより高い。細胞ペレットに残るAapのレベルは、野生型よりも042aatAにおけるもののほうが高い。
分泌性Aapのレベルはまた、042aatCおよび042aatDにおいて縮小されるが、042petにおいては縮小されない(図6Aを参照のこと)。ウエスタン免疫ブロット分析が、(上清およびペレットにおける)042、042aatA、042aatC、042aatD、および042petに関して行われた。各株は、0.1%Triton X−100を有する高グルコースDMEM中で6時間培養された。次いで、この上清は、TCAで沈殿され、煮沸され、そして15%SDS−PAGEを使用して分離された。ウエスタン免疫ブロットは、Aapに対する特異的ポリクローナル抗体を使用する標準的な方法によって実行された。減少の程度は、10倍以下であることが算定される。
さらに、ウエスタン免疫ブロット分析は、042、042aatA、042aatC、および042aatDのペリプラズムにおけるAapに関して行われた。各株は、一晩高グルコースDMEM中で培養された。ペリプラズムは、「細胞性分画の調製および分析」と題される部分の下方に記載されるように、抽出された。
042aatA、042aatCおよび042aatDにおけるペレットならびにペリプラズムのAapレベルは、野生型におけるものよりも高く、これは、非分泌性Aapが外膜の中、多分ペリプラズム中に残存することを示唆する(図6Aおよび6Bを参照のこと)。
aatAがAapの分泌と関連することを証明するために、042aatAが補われる。初め、pJNAD(図3を参照のこと)(単一コピー発現ベクターpZC320内にクローン化されるaatABCDをコードする4.5kbフラグメントを有する)が、042aatA内に導入される。しかし、この補足物042aatA(pJNAD)は、Aap分泌を完全には回復しない(データは示されない)。RT−PCRアッセイは、042aatA(pJNAD)におけるaatAの転写レベルは、野生型と比較して非常に低いことを示す(データは示されない)。それゆえ、aatAのプロモーターは、aatPの上流領域中に存在することが考えられる。
6.5kbの全aatクラスター(pZC320(図3を参照のこと)内にクローン化されるaatPの上流領域を含む)を含むpJNWが、042aatA内に導入される。この補足物は、042aatA(pJNW)として定義される。AatAは、ウエスタン免疫ブロット法によって、全細胞および042aatA(pJNW)の外膜において検出される(図7Aを参照のこと)。ウエスタン免疫ブロット法分析は、042、042aatA、および042aatA(pJNW)の全細胞、外膜、および上清中のAatAに関して行われた。各株は、一晩高グルコースDMEM中で培養された。外膜分画は、「細胞性分画の調製および分析」と題される以下の節に記載されるように調製された。外膜分画および全細胞サンプルは、煮沸後10%SDS−PAGEを使用して分離された。上清は、TCAで沈殿され、煮沸され、そして15%SDS−PAGEを使用して分離された。ウエスタン免疫ブロットは、AatAに対して特異的なポリクローナル抗体を使用する標準的な方法によって実行された。Aapの分泌レベルは、042aatA(pJNW)において、野生型とほとんど同じレベルまでに回復される(図7Bを参照のこと)。
補足物042aatC(pJNW)および042aatD(pJNW)はまた、Aap分泌を回復させる(図8を参照のこと)。図8に例示される結果は、042、042aatC、042aatC(pJNW)、042aatD、および042aatD(pJNW)の上清中のAapのウエスタン免疫ブロット分析の結果である。特に各株は、0.1%Tritonを有する高グルコースDMEM中で6時間培養された。この上清は、TCAで沈殿化され、煮沸され、そして12.5%SDS−PAGEを使用することで分離された。ウエスタン免疫ブロットは、Aapタンパク質に対する特異的ポリクローナル抗体を使用する標準的な方法によって実行された;
翻訳の極性効果の可能性を決定するために、pJNAP(pZC320内にクローン化されるaatPAをコードする3.9kbのフラグメント(図3))が、042aatA内へ導入される。この補足物042aatA(pJNPA)は、042aatA(pJNW)とほとんど同じレベルまでAapの分泌を回復し、これは、変異誘発の極性効果がないことを示唆する。
(実験手順)
(細菌株、プラスミド、および増殖条件)
本明細書で使用される株およびプラスミドは、以下で示される表3中で列挙される。
Figure 2005536235
Figure 2005536235
株042は、1983年に、ペルーのリマにおける疫学研究中に下痢を有する子供から分離された(Nataroら,J.Infect Dis 152:560〜565(1985))。この株はまた、成人ボランティアにおいて下痢を引き起こすことが示される(Nataroら,J.Infect Dis 171:465〜468(1995))。追想的な(retrospective)PCR分析において使用されるEAEC株は、ワクチン開発センター(Center for Vaccine Development)由来であり、そして疫学研究の間に世界中の種々の地域から分離された。全株は、15%グリセロールを有するトリプチカーゼ大豆ブロス(Trypticase soy broth)中で−70℃で保管される。他の点で言及されない限り、全E.coli株は、ルリア−ベルタニ(Luria−Bertani)(LB)培地中で37℃で好気的に増殖される。抗生物質が、以下の濃度(適切な場合:アンピシリン、100μg/ml;カナマイシン、50μg/ml;およびナリジクス酸、50μg/ml)で添加される。
(分子クローニングおよび配列決定手順)
プラスミドDNA精製、制限、ライゲーション、形質転換、およびアガロースゲル電気泳動が、標準方法(Sambrookら,Molecular cloning:a laboratory manual,第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001))によって実行される。pAA2を除く、プラスミドDNAは、QIAprep Spin Miniprep KitまたはQIAEX II Gel Extraction kit(Qiagen,Valencia,CA)を使用することで抽出される。アガロースゲルからのDNAフラグメントの抽出は、Concert Rapid PCR purification kit(Life Technologies,Rockville,MD)を使用することで実行される。プラスミドDNAは、Hanahan(J.Mol.Biol.166:557〜580(1983)の方法によるコンピテント細胞の熱ショック形質転換によってE.coliDH5α、DH5αλpir、およびS17−1λpir内へ、またはGene Pulser II system(Bio−rad,Hercules,CA)を使用するエレクトロポレーションによって042aatA、042aatC、および042aatD内へ導入される。DNA配列分析は、University Maryland Department of Microbiology & Immunology Biopolymer FacilityでApplied Biosystemsモデル373Aシーケンサーで実行される;鋳型DNAは、Amersham−Pharmacia−Biothech(Piscataway,N.J.)からのミニカラムを使用することによって精製された。
(PCR手順)
増幅は、50μlの反応混合物(2.5UのTaqDNAポリメラーゼ、0.5μMの各プライマー、0.2mMの各デオキシヌクレオシドトリホスフェート、2mM MgClおよび5μlのメーカーの緩衝剤(Invitrogen,Carlsbad,CA)を含む)において、鋳型として500ngの精製されたゲノムDNAを用いて実行される。増幅反応は、他の点で言及されない限り、MJ Minicyclerで、94℃で5分間、引き続いて94℃で30秒間、50℃で40秒間、および1kbあたり72℃で1分間を30サイクル、そして72℃で10分間での伸長で終了する。この産物は、0.7〜1.0%アガロースゲルによって分離され、臭化エチジウムで染色され、そしてUVトランスイルミネーションで可視化される。この研究で使用されるプライマー配列は、上の表2中で示される。
(RT−PCR分析)
総RNAは、対数相の中間まで振とうされたLB培地から、RNeasy mini kit(Qiagen Inc.、Valencia,CA)で抽出される。混在したDNAを除去するために、調製物は、RNaseの存在しないDNase I(Roche Molecular Biochemicals、Indianapolis、IN)で処理される。RNA調製物中のゲノムDNAの混在の無さは、染色体クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(cat)遺伝子に関するPCRの実行によって証明される。cDNAを合成するために、総RNA(2μg)は、メーカーの指示に従って、Thermoscript RT(Invitrogen)および遺伝子特異的逆方向プライマーを使用する逆転写酵素(RT)反応を受ける。RT−PCRのために使用されるプライマーは、表2中に示される。増幅反応は、他の点で言及されない限り、MJ Minicyclerで94℃で5分間、引き続いて94℃で30秒間、50℃で40秒間、および1kbあたり72℃で1分間を30サイクル、そしてこれは72℃で10分間の伸長で終了する。この産物は、0.7〜1.0%アガロースゲルによって分離され、臭化エチジウムで染色され、そしてUVトランスイルミネーションで可視化される。
(Aapの単離)
Aapを単離するための単離技術は、以下に記載されるが、AatP、AatA、AatB、AatC、およびAatDの単離が、同じ手段で行われる。
Aapが、EAEC細菌の表面と非共有結合する優性タンパク質である場合、それは容易に単離される。細菌は、最小必須培地またはL培地中(Aap発現を最大にするために0.05%グルコースを含むいずれか)で37℃で一晩培養される。培養後、細菌は、20,000×gでの20分間の遠心によってペレット化される。次いで、この細菌ペレットは、0.1%Tritonを有するPBS中に再懸濁され、そして1時間37℃で培養される。次いで、細菌は、以前のようにペレット化される。上清は、実質的に純粋なAapタンパク質(約95%)を含む。
(AatA発現および精製)
AatAの発現および精製は、以下に記載されるが、Aap、AatP、AatB、AatC、およびAatDの発現および精製は、同じ手段で行われる。
aatA遺伝子産物は、発現ベクターpET21a(+)(Novagen,Madison,WI)のBamHIおよびEcoRI部位内への1064bpフラグメント(PCRによって生成された)のクローニングによって発現される。増幅のためのaatA−FおよびaatA−Rのプライマー配列は、表2に示される。このタンパク質は、そのカルボキシ末端およびT7−tagに6Hisタグを伴う融合体として合成される。タンパク質発現は、光学密度が600nmで0.5〜0.6に到達するまで、構築物のLB培地を37℃での振とうを伴うインキュベーションによって達成される。細胞は、最終濃度0.4mMのイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)(Sigma Chemical Co.、St.Louis,MO.)で3時間培養される。融合タンパク質は、Talon metal affinity resin(Clontech,Palo Alto,CA)を供給する標準的プロトコルによる金属アフィニティーマトリクスの通過による変性条件において精製される。カラム溶出液は、8M尿素(pH7.4)を含むPBSで一晩透析される。ヒスチジン標識融合タンパク質は、SDS−PAGEによって分離され、そしてクマシーブリリアントブルーR250での染色によって検出される。関心のタンパク質の正体を決定するために、バンドはゲルから切り出され、そしてタンパク質核酸研究施設(スタンフォード大学医学部,Palo Alto,CA)で質量分光法によって分析される。
(AatA特異的抗体の調製)
AatA特異的抗体の調製は以下に記載されるが、Aap、AatP、AatB、AatC、およびAatDに対する抗体が同じ手段で調製される。
AatAに特異的なウサギ抗血清抗体は、フロインドアジュバンド中のAatA調製物(例えば、Harlowら、1998に記載される)の皮下注射によって産生される。抗血清のアフィニティー精製は、AatA特異的抗体を精製するために実行される。ヒスチジン標識AatA融合タンパク質(10mg)は、CNBr活性化Sepharose 4B(Pharmacia,Uppsala,Sweden)に結合させられる。ウサギ抗血清は、His−AatAタンパク質結合Sepharoseと2時間室温で混合することで吸収される。洗浄後、結合した抗体は、0.2Mグリシン(pH1.85)で溶出され、そして直ちに1Mトリス−HCl(pH8.5)で中和される。溶出液は、PBSで透析され、Vivaspin20、50,000MWCO(Vivascience,Hannover,Germany)を使用することで濃縮され、そして続いてウエスタン免疫ブロットのために使用される。
モノクローナル抗体は、精製したタンパク質をマウスへ注射することによって、Aapに対して産生され得る。50mcgの精製されたAapタンパク質は、0日目、14日目、28日目および43日目に、フロインドアジュバンドとともにそれぞれ3頭のマウスに注射される。最終ブーストから3日後、マウスリンパ球は、標準的な手順によって単離され、そして骨髄腫細胞と融合される。融合から24日後、細胞株は、ウエスタンブロットによるAapに対する抗体の存在に関して、個々のコロニーの培地を試験することで抗体産生についてスクリーニングされる。高レベルの特異的抗体産生を有するコロニーは、細胞培養フラスコを満たすために増大され、そして将来的な使用のために保存される。
ポリクローナル抗体は、ニュージランドホワイトウサギにゲル薄片を注射することで産生される。20mcgの純粋Aapタンパク質を含む調製物は、SDS−PAGE泳動緩衝液(Bio−Radから市販されている)に添加され、そして4時間SDS−PAGEゲル(15%ゲル)上で分離される。次いで、このゲルは、クマシーブリリアントブルー(Bio−Rad)で染色され、そして可視化される。Aapに対応するバンドは、サイズによって容易に同定される。このバンドは、かみそり刃を使用することでゲルから切り出され、そしてこのバンドは、かみそり刃で非常に小さい薄片に切り刻まれる。この薄片は、等容量のPBSと混合され、そしてPBS中でこのゲル薄片をさらにホモジネートするために、20ゲージ皮下針を通して出し入れされる。小さな(約1mm)塊のみが残される場合、スラリーは、1.5kgニュージランドホワイトウサギの背中で、その皮下領域内へ皮下的に注射される。代表的には、注射物は、3〜4回の注射に分けられる。この手順は、2週間後、次いで、2回目の注射から4週間後に再度繰り返される。3回目の注射から1週間後、ウサギは抗血清のために採血される。この血液は、室温で3時間凝固させられ、次いでこの血液は、15,000×gで10分間遠心される。上清が除去され、そして−20℃で保管される。
(細胞性分画の調製および分析)
培養上清分画を調製するために、株は、一晩または6時間37℃で5mlの高グルコースDMEM中で増殖される。変異体の増殖率は、野生型とほとんど同じである(データは示されない)。13,000×gでの5分間の遠心後、上清中のタンパク質は、三塩化酢酸(TCA)で沈殿化される。0.4%(wt/vol)デオキシコレートを含むTCAの1/4容量が、エッペンドルフチューブ内の上清に添加され、そしてボルテックス後、氷上で30分間インキュベートされる。ペレットは、14,000×gで15分間遠心され、そして1.5mlのアセトンで15分間室温で洗浄される。ペレットは、再度14,000×gでの15分間の遠心によって集められ、乾燥され、そして50μlのLaemmliサンプル緩衝液中で懸濁される。外膜に非共有結合したAapを検出するために、株は、0.1%Triton X−100を有する培地中で増殖される。この上清は、TCAで沈殿化される。
外膜タンパク質は、20mlの高グルコースDMEM中で37℃で一晩増殖された培養物から抽出される。細菌は、6,000×gで10分間4℃での遠心によって回収され、そして3.0mlの10mMトリス(pH8.0)で再懸濁される。細胞はフレンチプレスで溶解され、そして30分間13,000×gで4℃で遠心される。ペレットは、240μlの10mMトリス(pH8.0)、60μlの10%Triton X−100、および1.5μlの1M MgCl(Skare,ら,J Bacteriol 178:4909〜4918(1996))または35μlの蒸留HOおよび265μlのサルコシル(Sarkosyl)(Amako,ら,Microbiol Immunol 40:749〜754(1996))中で再懸濁される。それは、室温で20分間インキュベートされ、そしてペレットは、50μlのLaemmliサンプル緩衝液中で再懸濁される。
ペリプラズムは、5mlの高グルコースDMEM中で37℃で一晩増殖された培養物から抽出される。細菌は、3,800×gで10分間の遠心によって回収され、そして500μlの溶解緩衝液(50mMトリス(pH8.0)、3mM EDTA、および01%Triton X−100)中で再懸濁される(Thorstenson,ら,J Bacteriol 179:5333〜5339(1997))。懸濁液は、氷上で30分間保持され、そして15分間3,800×gで遠心される。上清は、保存され、そしてペレットは、500μlの溶解緩衝液中で再懸濁される。懸濁液は、15分間3,800×gで遠心される。上清は、集められそして上述されるようにTCAで沈殿化される。ペレットは、100μl中のLaemmliサンプル緩衝液中で再懸濁される。
1次元SDS−PAGE(Laemmliら,J Mol Biol.第47巻(1):69〜85(1970))が、10〜15%(wt/vol)のアクリルアミド分離ゲルおよび4.0%(wt/vol)のアクリルアミドスタッキングゲルを使用することで実行される。サンプルは、充填前に慣用的にLaemmliサンプル緩衝液中(Laemmliら,Nature 227:680〜685(1970))で5分間100℃で加熱される。タンパク質は、クマシーブリリアントブルーまたは銀染色キット(Bio−Rad Loboratories,Inc.,Hercules,CA)での染色によって検出される。
(ウエスタン免疫ブロット分析)
調製タンパク質サンプルは、5分間煮沸され、SDS−PAGE(10.5%、12.5%、または15%)によって分離され、そしてImmobion−P膜(Millipore)上に転移された。乾燥脱脂乳(5%[wt/vol])が、ブロッキング試薬として使用される。AatAおよびAapの検出のために、抗AatA特異的抗体および抗Aap抗血清が、それぞれ1:1,000および1:8,000の希釈倍率で使用される。抗原抗体複合体が、1;40,000の希釈倍率で西洋ワサビペルオキダーゼ共役ヤギ抗ウサギIgGと反応され、そして化学発光ECLキット(Amersham,Uppsala,Sweden)を使用して可視化される。
(変異誘発および相補性)
aatA変異体を構築するために、aatA遺伝子(ヌクレオチド2893〜3412)の内部部分は、PCRによって生成され、そして自殺ベクターpJP5603のXbaIおよびEcoRI部位内でクローン化され、その複製は、トランスで供給されるR6Kpirをコードするπタンパク質の1コピーを必要とする(Penfoldら,Gene 118:145〜146(1992))。この内部フラグメントを増幅するために使用されるプライマーの配列は、表2中に示される。結果として生じるプラスミド、pINTAは、S17−1λpirにおけるドナーE.coli株への形質転換前にE.coli DH5αλpirにおいて増加される。次いで、変異体株は、野生型の親株042(ナリジクス酸耐性である)とS17−1λpirにおけるE.coli株との間で接合交配によって得られる。接合交配体は、カナマイシンおよびナリジクス酸を補充されたLB寒天培地上で選択される。このプロセスは、aatA遺伝子内の相同性部位(そして部分的に二倍体の状態であるので)でのpINTAの組み込みを生じる。結果として生じる株は、042aatAとして表される。天然のaatA遺伝子への自殺プラスミドの挿入は、MluIおよびBamHIを使用するpAA2プラスミドの制限分析によって確認される。aatA転写物およびAatAタンパク質の欠乏は、それぞれRT−PCRおよびウエスタン免疫ブロットによって確認される。
aatCおよびaatD変異体(それぞれ042aatCおよび042aatD)の構築のために、各遺伝子(それぞれヌクレオチド4610〜4909およびヌクレオチド5361〜5860)の内部部分は、PCRによって生成され、そしてpJP5603(それぞれ、pINTCおよびpINTD)内にクローン化される。この内部フラグメントを増幅するために使用されるプライマーの配列は、表2中で示される。042aatCおよび042aatDは、上述されるように生成される。aatCおよびaatDの転写物の欠失は、RT−PCRによって確認される。
変異体のトランス相補体を構築するために、全aatクラスターは、PCRによって増幅され、そして単一コピーベクターpZC320内にクローン化される。増幅のために使用されるaatW−FおよびaatW−Rのプライマー配列は、表2中に示される。増幅は、50μlの反応混合物(2.5UのプラチナpfxDNAポリメラーゼ、0.5μMの各プライマー、0.3mMの各デオキシヌクレオシドトリホスフェート、2mMのMgClおよび5μlのメーカーの緩衝液(Invitrogen,Carlsbad,CA)を含む)中で、鋳型として500ngの精製されたゲノムDNAを用いて実行される。増幅反応は、MJ Minicyclerで、94℃で5分間、引き続いて94℃で30秒間、54℃で40秒間、そして68℃で6.5分間を30サイクルで実行され、そしてこれは68℃での10分間の伸長で終了される。6.5kbのPCR産物を、ベクターpZC320のBamHI部位およびNotI部位にクローン化する。このプラスミドは、pJNWと称される。pJNWは、042aatA、042aatC、042aatD中に、エレクトロポレーションによって導入される。
pJNPA(pZC320内でクローン化されたaatPおよびaatAをコードする3.9kbのフラグメント)は、プライマーaatW−FおよびaatPW−Rを使用する上述される手段と同じ手段で構築される。pJNPAは、エレクトロポレーションによって042aatAに導入される。pJNAD(pZC320内にクローン化されたaatABCDをコードする4.5kbのフラグメント)もまた構築され、042aatAに導入される。
(コンピューター分析および統計分析)
DNAおよびタンパク質配列の分析は、National Center for Biotechnology Information(www.ncbi.nlm.nih.gov)およびSwiss Institute of Informatics(www.expasy.ch)のExPASyサーバーを介して利用可能なプログラムを使用して実行される。統計学的試験は、Fisher’s exact testを使用して実行される。0.05未満の確率値は、有意とみなされる。
(aap遺伝子の同定)
上で言及されるように、aapは、aggR開始コドンからおおよそ843ヌクレオチド上流のpAAに位置する。SDS−PAGEが、Laemmliら、J Mol Biol.,Vol.47(1):69〜85(1970)(例えば、Ausubelらに記載される)の標準方法によって実行された。このゲルの全ては、1mmのスペーサーを使用してBio−RadのMini−Protean III電気泳動システムで泳動される。SDS−PAGEの全試薬は、BioRad,Inc.(Hercules,CA)から購入される。SDS−PAGEにおいて使用されるゲルは、他の点で言及されない限り、10%ポリアクリルアミドである。全てのサンプルは、BioRad SDS−PAGE泳動緩衝液中で調製され、そしてゲル充填前に10分間煮沸される。ゲルは、メーカーのプロトコルに従い、BioRadからのゲル染色試薬を使用してクマシーブルー中で染色された。
aggR遺伝子は、基本型EAEC株042のpAAプラスミド上において線毛サブユニット(aafA)の下流に位置される。この領域は、株17−2のAAF/Iをコードするプラスミドの配列中で完全に保存される(97%の配列相同性および全オープンリーディングフレームの保存性を有する)。
さらに、Aap配列は、ジスルフィドループを形成し得る2つのシステイン残基を特色としたが、他の特徴的なアミノ酸配列モチーフまたは特性はないことが決定された。
(株042におけるaapノックアウト変異体の構築)
aap変異体が、以下の方法を使用して自殺プラスミドpJP5603の単一交差挿入によって、E.coli株042において構築される:
aapに対して内部のDNAフラグメントは、以下のプライマーを使用するPCRによって合成される:
Figure 2005536235
PCRは、メーカーの使用説明書にしたがって、Stratagene,Inc.(La Jolla,CA)からのOptiprime kit(緩衝液8)を使用して実行される。
このPCR反応は、以下のプログラムを使用してMJ Reseach,Inc.,(Watertown,MD)からのPTC−150 Minicyclerで実行される:94℃で1分間、58℃で90秒間、72℃で2分間を40サイクル;引き続く、72℃で10分間の一回の伸長反応。
次に、反応産物は、制限酵素KpnIおよびSacI(Gibco/BRL,Gaithesburg,MD)で3時間消化され、次いで標準的な方法を使用してアガロースゲル電気泳動で分離される。このフラグメントは、ゲルから切り出され、そして自殺ベクターpJP5603(Dr.JM.Pembertonから得られ、そしてPenfold RJ and Pemberton JM,Gene 118:145;1992中で言及される)(前もって同じ制限酵素で3時間消化されている)中にクローン化される。E.coli自殺ベクターpJP5603は、カナマイシン耐性であり、そして自殺P6Kレプリコンを有する。
ライゲーションは、Ausubelらに開示される標準プロトコルによって、Gibco/BRLから得られるDNAリガーゼで18時間室温で、その製造業者によって提供される緩衝液およびGibco/BRLから得られるATPを使用して実行される。ライゲーション反応の容量は、20μlである。5μlは、標準的なプロトコルに従う標準的な塩化カルシウム形質転換条件を使用して、E.coli DH5α(λpir)を形質転換するために使用される。次いで、組み換えプラスミドは、製造業者の指示書(Qiagen,Inc.Valencia,QA)に従いQiagen midi−plasmid kitを使用して精製される。1μgの精製されたプラスミドDNAが、標準的な塩化カルシウム技術に従い、株S17−1(λpir)に形質転換される。
株S17−1(λpir)が、株042中にプラスミドを動員するために使用される。pJP5603aap構築物を保持するS17−1(λpir)およびレシピエント株042(ナリジクス酸耐性)は、それぞれルリア培地中で対数期(3時間)まで37℃で増殖される。次いで、100μlの各ブロス培養物は、抗生物質なしのルリア寒天プレートに適用される硝酸セルロースディスク(Scheicher and Schuell,Inc.,Keene,N.H.から得られる)上で混合される。このプレートは、一晩37℃でインキュベートされる。翌日、細菌増殖物は、Lブロス中で再懸濁され、そしてアンピシリン(100μg/ml)およびナリジクス酸(100μg/ml)を有するL寒天上にプレートされる。一晩のインキュベーション後、個々のコロニーが突かれ、そして天然のaap遺伝子への自殺プラスミドの挿入は、100kb pAA2プラスミドを抽出し、そしてそれをBamHI制限酵素およびHindIII制限酵素で消化することによって確認される。この天然プラスミドの消化のパターンは、公知であるので、挿入の部位は、容易に決定される。
生じたE.coli株は、042aapと称される。この構築物は、天然プラスミドpAA2上でaap遺伝子に組み込まれたpJP5603プラスミドを含んだ。不活性化の方法は、pJP5603中にクローン化されたaapフラグメントについて部分的に二倍体の複製物を生じる。Aap発現の欠失を、以下のようにウエスタンブロットによって確認した。042aapは、振とうしながら37℃で3時間L培地中で増殖される。細菌は、遠心(10,000×g)でペレット化され、そして20μlの培養物上清は、SDS−PAGE泳動緩衝液(Bio−Rad Inc.,Hercules,CAから得られる)と混合され、次いで、10%SDS−PAGEゲルで分離される。次いで、このゲルは電気ブロットによってニトロセルロース紙に転移される。電気ブロットは、60Vで4時間4℃で、20%メタノールを有するTowbin Tris/グリシン緩衝液中でBio−Rad Mini−Transfer sysytemを使用して実行される。
ニトロセルロース膜(Schleicher and Schuell,Keene,N.H.)への転移後、このブロットは、0.5% Tween 20(Sigma Chemical Co.,St.Louis MO)、0.5%脱脂乳(Carnation,Nestle,Inc.,Glendale,CA)を有するリン酸緩衝化生理食塩水中で一晩4℃でブロッキングされる。次いで、このブロットは、抗Aap抗体(以下で記載されるように惹起される)と、PBS 0.5% Tween−20(Sigma Chemical Co.,St.Louis MO)中での1:2000の希釈で、18時間インキュベートされる。次に、このブロットは、0.5%脱脂乳と共に2時間室温でインキュベートされ、次いで0.5% Tween−20を含むPBSで3回洗浄される。次いで、このブロットは、室温で1時間、二次抗体(1:40,000の希釈(PBS Tween中)のヤギ抗ウサギ西洋ワサビぺルオキシダーゼ結合体(Amersham Pharmacia Biotech、Piscataway、NJ)であった)と反応させされる。次いで、ブロットはPBS Tweenで3回洗浄される。次いで、ブロットは、製造業者の指示書に従い、Amersham Pharmaciaからの化学発光キットで現像される。次いで、このブロットは風乾され、そしてX線フィルム(X−omat film,Kodak,Rochester,NY)に露光される。
全PCR反応を、Stratagene Inc.(La Jolla,CA)からの緩衝液およびこの製造業者からのプロトコルを使用して実行した。各PCR反応に特異的な詳細は、以下で提供される。
(Aapタンパク質の単離および精製ならびに抗体産生)
Aapタンパク質の精製のために、aapポリヌクレオチドが、プラスミドpQE70(結果として生じるプラスミドは、pAapと称される)中に、lacプロモーターの上流および6つのヒスチジン残基の上流に連結される。さらなる6つのヒスチジン残基(タンパク質のC末端に融合される)を保持する天然のAapタンパク質が、生成される。
aap遺伝子は、以下の配列を有するプライマーを使用するPCRによって増幅される:
Figure 2005536235
増幅は、製造業者のプロトコルに従い、Stratagene,Inc.(La Jolla,CA)からのOpti−Prime kit中の緩衝液8番および他の試薬を使用して実行される。PCR反応は、以下の順番の工程をプログラムされたPTC−150 Minicycler thermal cycler(MJ Research,Inc.)で実行される:94℃で3分間;引き続いて94℃で1分間、43℃で3分間、72℃で2分間を35サイクル;引き続いて72℃で10分間の最終伸長。この反応は、SphI制限部位およびBamHI制限部位を、それぞれaapの上流端部および下流端部に有する、ポリヌクレオチドフラグメントを生じる。
増幅後、PCR産物は、SphIおよびBamHI(製造業者の指示書;Gibco/BRL,Gaithersburg,MDに従い)で消化され、そして発現ベクターpQE70(同じ酵素で消化された)に連結される。このライゲーション反応は、塩化カルシウム技術によってE.coli株DH5αを形質転換するために使用される。生じるプラスミドは、pAapと称される。
プラスミドpAap DNAは、製造業者の指示書に従い、Qiagenプラスミド抽出キット(Qiagen、Valencia、CA)を使用してDH5αpAapから単離される。このプラスミドDNAは、SphIおよびBamHIを使用する制限消化によって所望の構築物であることが確認される。PCRは、クローニングのために使用されるフラグメントを生成するために使用されたのと同じプライマーおよび条件を使用して実行される。この構築物は、所望のサイズの産物を生じる。
pAapプラスミドは、上述されるように抽出され、次いでE.coli 042aap内にエレクトロポレーションされる。042aapは、以下のように、Ausubelらに記載される方法によってコンピテントにされる:042aapは、500mlのLブロス中で一晩振とうしながら、OD600が0.6になるまで増殖される。次いで、この培養物は、氷上で冷やされ、そして遠心分離によって回収される。ペレットは、500mlの氷冷された水に再懸濁され、そして再度遠心分離される。このプロセスは、繰り返される。最終的なペレットは、5mlの氷水中で再懸濁される。
エレクトロポレーションは、Bio−Rad,Inc.からのGene Pulserを使用して実行される。蒸留水中で再懸濁された0.5μgの精製されたプラスミドDNAは、Bio−Radからの0.2cmキュベットにおいて、0.5mlの細胞懸濁液中に添加される。Gene Pulserは、2.5kV、25μF、200Ωに設定され、そして一回のパルスが適用される。次いで、1mlのSOC培地(Gibco/BRL,Gaithersburg,MD)が添加され、そして培養物は、100mcg/mlのアンピシリン(Sigma)を有するL寒天培地上でプレートする前に、振とうしながら37℃で30分間インキュベートされる。
抗Aap抗体を使用するE.coli 042aap(pAap)のウエスタン免疫ブロット分析は、Aap発現の回復を示す。IPTG誘導欠如下でのE.coli 042aap(pAap)におけるAapの発現レベルは、天然のレベルよりわずかに高い。
Aap−6His融合タンパク質は、ODが0.6に到達するまで、Lブロス中で振とうしながら37℃で増殖された、100mlの培養容量から精製される。この時点で、IPTG(Sigma Chemical Co,St;Louis,MO)が、1mMの濃度まで添加され、そして37℃でのインキュベーションが、さらに4時間続けられる。次いで、細菌細胞は、4,000×gでの20分間の遠心分離でペレット化される。タンパク質の抽出は、QIAexpressionistマニュアル(Version 3/99;Qiagen,Inc,Valencia,CA)中のプロトコル10(「Purification of periplasmic proteins」)で記載されるように実行される。特に、細胞ペレットは、30mM Tris−Cl、20%ショ糖(pH8.0)中でペレット1グラム湿重量(wet weight)当たり80mlで再懸濁される。次いで、EDTAが、1mMの濃度に到達するまで添加され、そして細胞は、穏やかに10分間攪拌される。次いで、細胞懸濁液は、8000×gで20分間、4℃で遠心分離され、そしてペレットは、同じ容量の冷5mM MgSO中に再懸濁される。次に、懸濁液は、穏やかに10分間攪拌され、次いで、8000×gで20分間、4℃で遠心分離される。次いで、懸濁液は、3回(少なくともそれぞれ6時間)、1Lの溶解緩衝液(8M尿素、0.1M NaHPO、0.01M Tris−Cl(pH8.0)を含む)に対して透析される。透析は、Spectra/Por 5,000 Da MWカットオフ透析チュービング(Spectrum Medical Industries,Inc.,Houston TX)を使用して、本明細書中および本願の他の箇所で実施されることに留意すべきである。
次いで、上で得られた清浄化された溶解産物は、QIAexpressionistマニュアル(Version 3/99)からのプロトコル14を使用して、Ni−NTA精製に供される。簡単には、精製は以下のように実行される:1mlの50%Ni−NTAスラリー(Qiagen,Inc.)が、4mlの清浄化された溶解産物に添加され、そして穏やかに回転式振とう器で60分間混合される。次いで、混合物は、5mlのクロマトグラフィーカラム(Qiagen,Inc.)に充填され、そしてフロースルーが集められる。カラムは、4mlの「緩衝液C」[8M尿素、0.1M NaHPO、0.01M Tris−Cl(pH6.3)]で2回洗浄される。次いで、カラムは、0.5mlの「緩衝液D」[8M尿素、0.1M NaHPO、0.01M Tris−Cl(pH5.9)]を用いた4回の洗浄で溶出され、その後「緩衝液E」[8M尿素、0.1M NaHPO、0.01M Tris−Cl(pH4.5)]を用いた4回の同様の洗浄が行われる。Aap−6Hisタンパク質のほとんどは、緩衝液E洗浄液中に見出される。これらの分画は、プールされ、そして5,000Da MW透析チュービング(Spectrum)を使用して、リン酸緩衝化生理食塩水を3回交換(それぞれ18時間)して、透析される。
高品質のポリクローナル抗血清は、精製されたAap−6Hisタンパク質融合体に対して、ウサギの皮下注射によって(以下に示されるように)惹起される。ヒスチジンタグを含むAapタンパク質は、製造業者の指示書に従い、Quiagen,Inc.,によって提供されるニッケルを基にしたカラムを通すクロマトグラフィーによって精製される。
カラムからの溶出後、タンパク質は、10%SDS−PAGE上で分離され、そしてかみそり刃を使用してゲルから切り出される。タンパク質の正体は、Protein and Nucleic Acid Facility、Stanford University School of Medicineにおいて、自動Edman分解を使用するN末端配列分析によって確認される。次いで、ゲル薄片内に含まれるおおよそ1mgのタンパク質は、浸軟され、そして1.5kgのニュージーランドホワイトウサギに皮下注射された。2週間後、タンパク質を含む第2の複製ゲル薄片が、同一の形式でウサギに注射される。第2の注射から3週間後、このウサギは、採血される。血液を、室温で一晩凝固させ、次いで赤血球が、3,000×gで遠心され、そして血清が集められる。血清は、−20℃で保存される。血清の一アリコートは、1mlの抗血清(PBSで最終容量10mlに希釈される)を一晩、製造業者の指示書に従ってE.coliアガロースビーズ(Sigma Chemical Co,St.Louis,MO)と反応させることによって、交差反応する抗体について吸収される。生じる吸収された抗血清は、上述されるように実行されるウエスタンブロット分析によってAap−6Hisタンパク質とのみ反応することが見出される。
(Aapの機能)
株042のLブロス中での37℃での一晩の増殖は、培養チューブの底に沈殿される細菌の凝集塊(「綿状沈降物」)を生じる。042aapは、一晩の増殖後、大容量の沈殿物質(肉眼まで)を産生する。さらに、042aap(pAap)は、株042と比較して、類似の量の培養沈殿物を産生する。
(AAF/II線毛の発現)
AAF/II線毛の発現は、走査型電子顕微鏡検査法によって観察される。試験されるべき株は、Lブロス中で振とうしながら一晩37℃で増殖される。細菌培養物は、前もってポリリジンで5分間コートされたシリカチップ(Ted Pella,Inc.,Redding,CA)上にスポットされる。このポリリジンストックは、蒸留水中の0.1%ポリリジン(Sigma Chemical Co,St.Louis,MO)から成った。30μlの一晩細菌培養物がチップ上にスポットされ、そして室温で5分間インキュベートされた。水は、パスツールピペットを使用して抜かれ、次いでCaCo緩衝液(0.1M Ca カコジレート、3mM CaCl、全試薬はE.M.S.,Inc.から)中2%のグルタルアルデヒド(E.M.S.,Inc,Fort Washington,PA)が1時間適用され、室温でインキュベートされた。液体は、抜かれ、そして0.1M CaCo緩衝液がそれぞれの洗浄で5分間3回適用される。次いで、標本は、CaCo緩衝液中2%の四酸化オスミウム(E.M.S.,Inc)で1時間氷上で後固定される。次いで、標本は、それぞれ5分間蒸留水で2回洗浄される。次いで、標本は、2%ウラニルアセテート(Ted Pella,Inc.)で30分間室温で染色され、50%エタノールですすがれ、次いで、それぞれ5分間一連のエタノール浴槽(50%、70%、90%、100%)で脱水される。100%エタノールでの洗浄工程は、それぞれ5分間3回実行される。次いで、標本は、乾燥するまで臨界点乾燥器(モデルCPD−030,Bal−Tee AG,Balzer,Switzeerland)に差し込まれ、その後、製造業者のプロトコル(Denton Vacuum,Inc,Moorestown,NJ)に従い、90秒間プラチナ/パラジウム(paladium)を使用して、90秒間のDesk II Cold Sputtercoaterにおけるスピュッター(Sputter)コーティングを行う。次いで、標本は、Leo 1550電界放出型走査型電子顕微鏡(Leo Electron Microscopy Inc,Thornwood,NY)での走査型電子顕微鏡検査法によって試験される。
(Aapタンパク質の局在)
野生型E.coli 042におけるAapを位置づけるために、野生型E.coli 042および042aapの細胞分画実験が、実行される。試験細菌の培養は、5mlのLブロス培養物に接種され、そして37℃で振とうしながら一晩培養される。それぞれの分画について、サンプルが、以下のように調製される:
1)上清:100μlの培養が抜かれ、そしてこの細菌は、遠心分離によってペレット化される。20μlの残存上清が、SDS−PAGEゲルに適用される。
2)ペリプラズム:遠心分離された5mlの培養物からのペレットは、1mlの30mM Tris−Cl、20%ショ糖(pH8.0)に再懸濁される。氷上で、EDTA(0.5Mのストック溶液、Sigma Chemical)が、最終濃度を1mMにするために添加される。氷上で5分間おいた後、細胞は、遠心分離によってペレット化され、次いで1mlの冷5mM MgSO(Sigma)に再懸濁される。懸濁液は、10分間攪拌される。次いで、細胞は、遠心分離によってペレット化され、そして20μlの上清が、ぺリプラズム分画としてSDS−PAGEで泳動される。
3)全細胞:遠心分離後、残存ペレットは吸引され、そして細胞ペレットは等容量のSDS−PAGE泳動緩衝液中で再懸濁される。上清は10分間煮沸される。この調製物の10μlが、ゲル上で泳動される。
SDS−PAGEゲルを泳動し、そして元の培養物中の細胞の数に戻って外挿することによって、株042によって産生されるAapの少なくとも50%が、培養上清に局在し、そして細菌細胞から遊離していると概算される。培養ペレットの全細胞溶解産物は、Aapと関連する細胞の大部分が、12kDaのプロセシングされていない細胞質形態にあることを示す。また、Aapタンパク質は、配列番号1の残基21と22との間に、優れたシグナル配列を有することが決定される。
(腸管接着におけるAapの役割)
E.coli 042aap(pAap)の凝集における減少に起因して、aap変異体が、インビトロ器官培養(IVOC)においてヒトの粘膜に接着する能力が試験される。結腸サンプルは、起こりうる炎症性腸疾患について、結腸鏡検査法を経験する小児患者(その親に十分にインフォームドコンセントが与えられる)から得られる。これらの実験に使用される全組織は、実験前に病理学試験によって正常と決定される。
内視鏡検査法は、Olympus PCF小児内視鏡を使用することで実行される。2〜3mmの生検標本は、6人の小児患者(5人の雄性:1人の雌性;年齢41〜174ヶ月、中間年齢107ヶ月)由来の横行結腸から取り出される。組織は、37℃で95%Oおよび5%COガス雰囲気において、ペトリ皿(VWR Scientific,Dorset,England)における発泡支持体(foam support)(廃棄されたパッキング材料から取り出されるポリエチレンパッキング発泡体)上に乗せられる(粘膜表面を上にして)。この組織は、NCTC−135培地と0.5%d−マンノースを含み、10%(vol/vol)新生仔ウシ血清(Gibco/BRL,Gaithersburg MD)を有するDMEMとの、1:1の混合物を含む培地中に、部分的に浸水される。培地は、pHおよび栄養素供給を維持するために2時間ごとに交換される。細菌は、脳−心臓注入ブロス(Difco,Becton Dickenson,Franklin Lakes,NJ)中で18時間37℃で振とうせずに増殖される。25μlの一晩細菌培養物は、組織に塗布され、そして8時間培養される。この組織標本は、任意の非接着性の細菌を除去するために、新鮮なNCTC−135/DMEM培地で3回洗浄される。次いで、標本は、3%リン酸緩衝化生理食塩水グルタルアルデヒド(Sigma Chemical Co,St.Louis MO)で固定され、そしてその後1%水性四酸化オスミウム(mgf)で固定される。次いで、標本は、段階分けした一連のエタノールおよびPolaron E3000臨界点乾燥器を使用する液体COでの臨界点乾燥から得られる。サンプルは、Polaron E5100シリーズIIコーティングシステムにおいて金 パラジウムでスピュッターコートされ、そしてJEOL JSM走査型電子顕微鏡検査法(JEOL Inc.,Peabody,MA)で試験される。8時間の小児腸IVOCが、接種されないコントロールおよび野生型E.coli 042と比較される。
E.coli 042野生型は、細菌の厚い凝集塊および単一細菌で、粘膜と接着する。対照的に、aap変異体(E.coli 042aap)は、粘膜表面上で実質的には単一の細菌のない「過剰凝集塊」で接着した。従って、IVOC実験は、AapがEAECの分散または非凝集において助成することを示す。
(aapの発現条件)
Aapは、対数増殖期の間に最大限に発現される。E.coli 042は、Lブロス培地中で37℃で振とうしながら培養され、そして2mlのサンプルが2時間ごとにサンプルから抜かれる。この細菌細胞は、10,000×gでの遠心分離でペレット化され、そして50μlの上清が等量のSDS−PAGEローディング緩衝液(BioRad,Valencia,CA)と混合される。次いで、サンプルは、10分間煮沸され、そして10%SDS−PAGEゲルで泳動される。次いで、ゲルはナイロン膜に電気ブロットされ、そして抗Aap抗血清を使用する免疫ブロットに供される。Aap発現は、対数期中期の間で最も高いことが示される。
(アッシャーシャペロン経路)
Aapは、細菌のピリンサブユニットに特徴的ないくつかの特性(小さいサイズ、切断可能なシグナル配列、ジスルフィドループを形成することが可能な2つのシステイン残基、およびPapD様のシャペロンタンパク質との関連を示し得るC末端のグリシン残基を含む)を有する。
AAF/II発現は、PapD様のシャペロンAafDおよびPapCアッシャーホモログAafCに依存することが示されている(Elias,ら,J Bioteriol 181:1779〜85(1999))。Aggregative Adherence Fimbria IIに関する生物発生遺伝子の組織化は、腸凝集性E.coliにおける毒性遺伝子クラスターを規定する(Id)。
pJP5603の挿入を有する株042の変異体は、細胞内空間へAapを分泌する能力に関して試験される(Id)。pJP5603の挿入方法は、上述される。
Aapは、E.coli 042ならびにaafD、aafC、およびaafA遺伝子内に挿入変異を有するE.coli 042の上清において検出された。Aapは、aafD変異体およびaafC変異体において検出不可能である。しかし、Aapは、aafA変異体(すなわち、AAF/II主要線毛サブユニットの発現が欠損している)において野生型より多く分泌される。
この点をさらに証明するために、以下の実験が、プラスミドpAA2ならびにaafC、aafDおよびaafAにおいて変異を有するpAA2を保持するE.coli HSの培養物中のAapのタンパク質の存在を決定するために行なわれる。野生型株と比較される場合、同一の結果が観察され、そしてこれは、Aap発現が、E.coli株042のアッシャーシャペロンシステムに依存するが、AAF/II線毛自身の発現に依存しないことを示す。
(EAEC感染の診断)
EAEC感染の診断は、Aapに特異的な抗体を使用して以下に記載されるが、AatP、AatA、AatB、AatC、およびAatDに対する抗体が、同様の方法で診断のために使用され得る。
EAECに罹患した個体は、便中に、Aapタンパク質を細菌表面上で発現させるEAECを排泄する可能性が最も高い。それゆえ、Aapを発現するE.coliの検出(免疫学的方法または遺伝学的方法による)は、EAEC感染を診断する。免疫学的検出は、Aapに対する抗体を使用して、スライド凝集方法によって実行され得る。抗体は、単独で使用され得るか、またはラテックスビーズと結合体化され得る。
Aap遺伝子が、EAEC株においてのみ存在することに起因して、aap遺伝子を保持するE.coliの存在が、EAEC感染を診断する。E.coliコロニーにおいてaap遺伝子を見出す1つの有用な方法は、ポリメラーゼ連鎖反応、PCRを介する。PCRは、下痢を伴う患者の便から単離されたE.coliで実行され得る。陽性反応は、感染を診断する。患者の便は、MacConkey培地でプレートされ、そして一晩37℃でインキュベートされる。そのようなインキュベーション後、このプレートは試験され、そして乳糖陽性コロニーが、つま楊枝で突かれ、そして500mclの蒸留水中に再懸濁され、次いで、10分間煮沸される。次いで、2mclのこの調製物が、10mM Tris−HCl[pH8.3]、50mM KCl、2mM MgCl、それぞれ100μMのdATP、dCTP、dGTP、およびdTTP、2.5UのAmpli Taq ポリメラーゼ[Perkin−Elmer、Norwalk、Conn.]、25pmolの各aapプライマーを含む水性緩衝液に添加される。PCRプライマーの配列は、
Figure 2005536235
である。
反応混合物は、DNAサーマルサイクラーで5分間94℃に加熱され、次いで、35サイクル(94℃で30秒間、50℃で1分間、および72℃で45秒間)の増幅を受け、次いで、72℃で7分間の最終的な伸長を受ける。次いで、増幅されたPCR産物のそれぞれ10μlが、1−kbのDNA分子量マーカー(GibcoBRL)と共に、1%アガロース電気泳動ゲルに添加される。陽性反応は、0.4kbの予想されるサイズのPCR産物の存在として規定される。
コロニーブロットハイブリダイゼーションは、標準方法(Sambrook and Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2001;1.126〜1.142頁)によって実施される。一枚のニトロセルロース紙(Millipore HAWP)が、L寒天プレート上に層状に重ねられる。試験されるべき細菌コロニーは、つま楊枝を使用してニトロセルロース上に植え付けられる。この植え付けられたプレートは、37℃で一晩インキュベートされる。一晩のインキュベーション後、ニトロセルロース紙は、水中10%SDSで3分間飽和され、次いで、変性溶液[0.4M NaOH/10mM EDTA]で5分間飽和される。この工程後、このフィルタは、中和溶液[1M Tris(pH7.0)、1.5M NaCl]で2回、それぞれ5分間濡らされる。これらの処理後、このフィルタは、2×SSPE[0.3M NaCl、20mM NaHPO、2mM EDTA(pH7.0)]で5分間濡らされる。次いで、このフィルタは、真空下で80℃でベーキングする前に乾燥される。
ハイブリダイゼーション反応のために、フィルタは最初、2×SSC[0.3M NaCl/0.03Mクエン酸三ナトリウム]中で5分間濡らされ、次いで50℃で60分間、3×SSC[0.45M NaCl、0.045Mクエン酸三ナトリウム]/1%SDS(4×Denhardt溶液[100×Denhardt溶液は、2%Ficoll 400、2%ポリビニルピロリドン、および20g/Lウシ血清アルブミンを含む]が添加されている)中でインキュベートされる。100μg/mlの変性サーモン精子DNAが、添加される。ハイブリダイゼーションのために、25ngのプローブフラグメント(このセクションにおいて上述されるPCR産物)が、低融点アガロースを使用するアガロースゲル電気泳動によって、そしてゲル薄片を70°で1時間溶解することによるゲルからの抽出によって、精製される;次いで、このDNAは、市販の標識キット(Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)を使用することにより、32Pd−CTPを用いるランダムプライミングによって標識される。組み込まれていないヌクレオチドは、Sephadex G50 マイクロカラム(Pharmacia Biotech)を通り抜けさせることによって除去される。次いで、放射性標識されたプローブフラグメントは、上のハイブリダイゼーション混合物中に既にあるブロットに直接添加される。ブロットは、ハイブリダイズするために65℃で一晩放置され、その後、このブロットは、0.1×SSC/0.1%SDSで65℃で3回洗浄され、そして−80℃で一晩X線フィルムに露光される。以前の研究において特徴付けられた株が、コントロールとして使用された。E.coliコロニーの領域においてフィルムが暗くなることは、陽性試験として解釈され、それゆえ、E.coliが単離された患者におけるEAEC感染を診断する。
(免疫原性組成物)
免疫原性組成物は、Aapに関して以下に記載されるが、本明細書で記載される任意の他のタンパク質を使用する免疫原性組成物が、類似の方法で行われる。
免疫原性組成物は、アジュバントと共に注射によって精製されたタンパク質を投与することにより、Aapを使用して作製され得る。動物およびヒトに使用されるそのようなアジュバントの1つは、水酸化アルミニウム(ミョウバン)である。1ミリグラムの水酸化アルミニウムは、1mlの0.9%生理食塩水中で50mcgのタンパク質抗原と混合され、そして混合物はボルテックスされ、次いで室温で20分間インキュベートされる。混合物は、10,000×gで10分間遠心される。上清が回収され、そして4℃で貯蔵される。免疫原性を試験するために、混合物は、2回0.5mlの注射でウサギに皮下注射され得る。ヒトへの注射のために、調製物は、正確に同じ方法で作られるが、優良製造規則の条件下においてである。抗原は、サブユニットワクチンとしてヒトに筋肉内注射され得る。
(ヌクレオチド免疫原性組成物)
免疫原性組成物は、aapに関して以下に記載されるが、本明細書で記載される任意の他の遺伝子を使用する免疫原性組成物が、同様にして作製される。
aap遺伝子が、Aapタンパク質に対する抗体を誘導するために、DNAワクチンとして送達され得る。aap遺伝子は、このプライマーを使用することで増幅される
Figure 2005536235
これらのプライマーの使用が、DNAフラグメントへのHindIII部位およびBamHI部位の組み込みを生じる。PCR産物は、メーカーのプロトコル(New England Biolabs)によりこれらの2つの酵素で消化され、そしてこのフラグメントは、ベクターpcDNA2(前もって同じ酵素で消化した)に連結される。この反応は、またNew England BiolabsからのDNAリガーゼを使用してメーカーが提唱するプロトコルを使用することで起こる。この実験は、このようにして、このベクターのCMVプロモーターの下流へのaap遺伝子の配置を生じる。ライゲーション混合物は、E.coli DH5αに形質転換され、アンピシリン耐性に関して選択される。次いで、プラスミドは、標準的なアルカリ溶解技術によって精製され得、そしてDNAワクチンとして注射するために用意される。DNAは、内毒素の無いPBS中で1mg/mlの濃度で溶解される。この懸濁液の50μlは、免疫原性を試験するためにマウス大腿筋肉に注射され得る。おおよそ1mlが、ヒト用量として作用する。
(EAECワクチン)
Aapタンパク質はまた、EAEC感染のための効果的なワクチンとして作用し得る。Aapタンパク質は、細菌細胞の外側に分泌されること、ならびにタンパク質の機能の阻害(遺伝子の変異誘発により)が、細菌が粘膜層に浸透する能力を変化させること、そしてまた、腸管粘膜との相互作用の形態を変化させることが示される。この理由のために、Aapは、ビルレンス因子であること、ならびにこのタンパク質に対する抗体の存在が、病理学的なプロセスを妨げることが推論される。従って、Aapタンパク質の発現が、EAECワクチンの有用な成分として作用し得る。
Aapタンパク質は、ワクチン送達ベクターにおけるタンパク質の発現を操作することによって、ワクチンの一部とて発現され得る。おそらく、大部分のグラム陰性ワクチンベクターが、これを成し遂げるために首尾よく操作され得る。この技術の1つの例は、ベクターワクチン株CVD1204にpAapプラスミドを導入することである(1998年7月21日Noreigaらに対して発行された、米国特許第5,783,196号)。CVD1204は、結腸粘膜でコロニーを作り、そして赤痢菌表面抗原および細菌細胞表面上で発現される異物タンパク質(腸毒素産生性のE.coli線毛タンパク質を含む)の両方に対する抗体応答を誘導する弱毒化赤痢菌ベクターワクチンである(Altboumら,Infect Immun 69:3150〜8(2001))。pAapプラスミドは、セクション「Aapタンパク質の単離および精製ならびに抗体産生」において上述される方法を使用するエレクトロポレーションによって導入され得る。次いで、ワクチンは、文献(Kotloffら,Infect Immun 68:1034〜9(2000))中で記載されるように経口で投与され、そして抗体応答は、上述される方法を使用するウエスタン免疫ブロットによって検出され得る。
この技術の別の例は、BamHI部位(上流プライマー)およびNheI部位(下流プライマー)を組み込む上流および下流プライマーを使用して、株042からaap遺伝子をPCR増幅することである。PCR後、フラグメントは、アガロースゲルから精製され、そしてBamHIおよびNheIで消化される。発現ベクターpSEC10は、制限酵素BamHIおよびNheIで消化され、2つのフラグメントを生成する。より大きいフラグメントは、アガロースゲルから単離され、そして前もってBamHIおよびNheIで消化されたaapPCRフラグメントと連結される。消化プロトコルおよびライゲーションプロトコルは、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biologyに記載されるものである。次いで、このライゲーション混合物は、コンピテントShigella flexneriワクチンベクター株CVD1204にエレクトロポレーションされる。形質転換株は、カナマイシンを含む寒天上で選択され、そしてプラスミドはBamHIおよびNheIでの消化によって証明される。
CVD1204におけるaap発現プラスミドは、aapを発現する弱毒化赤痢菌株(その表面でAapを発現することが予測される)を含む。これは、上述される方法を使用するウエスタンブロットによって証明される。10mlのLブロスは、Aapを発現するpSEC10クローンを植え付けられ、そして一晩増殖させられる。この期間後、細胞は、遠心によって沈殿化され、そして表面に局在するAapタンパク質を除去するために500mclの0.1%Triton X−100界面活性剤で10分間洗浄される。20mclのこの洗浄された洗浄剤は、SDS−PAGEゲルに適用され、そして電気泳動を被る。ゲルは、ニトロセルロースに転移され、そして上記のように抗Aap抗血清を使用するウエスタン免疫ブロットを受ける。
増幅されたaapは、そのシグナル配列(ペリプラズマへの分泌を媒介する)を含む。Aapは、専用の分泌システム(Aat)を有するようだが、Aatが無いときにおいてでさえ、細菌細胞表面への残存のトランスロケーションがあることが示されている。それゆえ、Aap単独発現は、輸出を確立するために十分であり得る。
(aatワクチン)
AatAタンパク質はまた、EAEC感染のための効果的なワクチンとして作用し得る。我々は、AatAタンパク質が細菌細胞の外膜に分泌され、そして他の遺伝子が無いときにおいてそうできるようであることを示してきた。それゆえ、AatAタンパク質が、さらなるタンパク質を加えることなくワクチン送達ベクターにおいてタンパク質の発現を操作することによって、ワクチンの一部として発現し得た。aatは、弱毒化EAEC、サルモネラ菌、赤痢菌、乳酸杵菌、または他の細菌に導入され得る。次いで、この細菌は、Aatに対する免疫応答を生成するために動物に投与される。
aatA遺伝子は、BamHI部位(上流プライマー)およびNheI部位(下流プライマー)を組み込む上流および下流プライマーを使用して、株042からPCR増幅される。PCR後、フラグメントは、アガロースゲルから精製され、そしてBamHIおよびNheIで消化される。発現ベクターpSEC10は、制限酵素BamHIおよびNheIで消化され、2つのフラグメントを生成する。より大きいフラグメントは、アガロースゲルから単離され、前もってBamHIおよびNheIで消化されたaatA PCRフラグメントと連結される。消化プロトコル、ライゲーションプロトコルおよび形質転換/エレクトロポレーションプロトコルは、記載されるとおりである(Sambrook and Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press,2001)。次いで、ライゲーション混合物は、コンピテントShigella flexneriワクチンベクター株CVD1204にエレクトロポレーションされる。形質転換株は、カナマイシンを含む寒天上で選択され、そしてプラスミドはBamHIおよびNheIでの消化によって証明される。
CVD1204におけるaatA発現プラスミドは、aatAを発現している弱毒化Shigella株(その表面(外膜に挿入された)上でAatAを発現することが予測される)を含む。これは、標準的な方法(Harlowe and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988)を使用されるウエスタンブロットによって証明される。10mlのLブロスが、AatAを発現しているpSEC10クローンに植え付けされ、そして一晩増殖させられる。この期間後、細胞は、遠心によって沈殿化され、そしてTriton X−100が最終濃度2%まで上清に添加される。この調製物は、20,000×gで15分間遠心され、そしてペレットはSDS−PAGEゲルに適用され、次いで電気泳動に供される。このゲルは、ニトロセルロースに転移され、そして抗AatA抗血清を使用するウエスタン免疫ブロットに供される。
上記で記載されるような弱毒化赤痢菌株において発現される場合、モルモット(ケタマインHCL(40mg/kg)およびキシラジン(5mg/kg)で皮下麻酔した)に、2回、0日目および14日目に、鼻腔内投与によって、約2×10(0.1mlの40OD600nm)の赤痢菌AatA株(TSA/コンゴーレッド/グアニンを含む平板上で増殖され、そしてPBS中に回収された)細菌が植え付けられる。血清を、麻酔をかけられた動物の前方大静脈への穿刺によって、0日目、14日目および30日目に得た。この免疫された動物を、細菌凝集、免疫ブロット、および血球凝集およびAatを発現する株のCaco−2細胞への接着の阻害について試験した。動物は、上述されるようにウエスタンブロットによってAatAに対する免疫応答に関して試験される。次いで、この群の動物は、10cfuの株042で経口的にチャレンジされる;免疫されない対照動物の第2の群もまた、042でチャレンジされる。全動物からの便サンプルは、上述されるようにaapに関するコロニーハイブリダイゼーションにより、EAECの脱粒(shedding)についてスクリーニングされる。aapを含む細菌の存在は、EAEC感染を示した。
(作用機構および重要性)
腸病原体は、有効なコロニー化をもたらすために上皮表面に接着しなければならないことが示されている(Nataroら,Clin Microbiol Reviews Jan;11(1):142〜201(1998))。しかし、上皮表面を横断する広がりの改善を可能にするようにその接着を調節することが重要であり得る。Knutton,ら,Molecular Microbiology 33:499〜509(1999)は、EPECの束形成ピリ線毛(bundle−forming pilus)(BFP)が凝集形成の役割および剥離の役割(これらは、引き続いて生じる)の両方を提供する。このようにして、EPECは接着し、そして病原性の連鎖反応における初期に繁殖して、上皮上で足場を確立し得るが、次いで、遊離している個々の子孫を「自由に振り落として(shake loose)」、粘膜上でいくらか距離をおいて感染の新たな中心を確立し得る。この範例は、細菌にとって直観的に有益であり、そしてそれゆえ、多くの他の粘膜病原体の特性であり得る。確かに、Benitezらは、Vibrio choleraeのHapムチナーゼが、酵素の「剥離酵素(detachase)」として作用し得、その変異が、細菌のコロニー化の増加された密度を生じるが、毒性の弱毒化もまた生じることを示唆した(Infection and Immunity 69:6549〜53(2001))。同様に、EAECの高度に保存されたAapタンパク質は、EAECにおける接着およびコロニー化の調節因子として作用し得る。
Aapは、細菌細胞から分泌され、そして細胞外環境において細胞から遊離して存在する。この証拠は、Aapが単一様式で作用することを示唆する。Aapは、AAF/IIよりもより親水性であり、したがって細胞外でのその存在は、AAF線毛の発現によって与えられる高表面親水性(hydrophicity)を緩和する。Aapもまた、酵素活性を同様に所有するが、この場合、Aap効果が細胞非含有インビトロシステムにおいてのみ例示されることに起因して、基質は細菌起源である必要がある。代替の実施形態は、Aapが細菌外膜またはAAF線毛自身に結合することであり、それにより細菌細胞の生物物理学的特徴を調整する。しかし、Aapは、細胞性成分のいずれにも結合しない。別の実施形態において、Aapは、翻訳後のレベルでAAF線毛の発現を抑制する。
Aapは、粘膜の粘液表層の穿通(多分、粒子サイズを減少させながら)において役割を担う。確かに、精製されたムチンゲルカラムアッセイにおいて論証されるように、Aap変異体は、野生型の親株よりもよりゆっくり浸透した(上記を参照のこと)。したがって、EAEC凝集体の軽減は、粘液表層への浸透を促進し、かつ/または粘膜表面を横断する生物の播種を促進するように作用し得る。
本出願の発明は、一般的実施形態および特異的な実施形態の両方に関して上述される。本発明は、好ましい実施形態と考えられることを示すが、当業者に公知の広く多様な代替が、一般的な開示以内で選択され得る。本発明は、以下に示される特許請求の範囲の公開を除いて、他の点で限定されない。
図1は、aapのヌクレオチド配列を示す(配列番号1(SEQ ID No:1))。 図2は、Aapのアミノ酸配列を示す(配列番号2(SEQ ID No:2))。 図3は、aat遺伝子クラスターの位置を示す、EAEC042のpAAプラスミドの7kbフラグメントの地図である。 図4Aは、野生型および変異体aatを、三塩化酢酸で沈殿させた培養液の、SDS−PAGEの写真である。図4Bは、野生型および変異体aatの、0.1%Triton X−100を加えた培養液の上清の、SDS−PAGEの写真である。 図5は、上清および細胞ペレットにおける、042および042aatの、ウェスタン免疫ブロットの写真である。 図6Aは、上清および細胞ペレットにおける、分泌されたAatのウェスタン免疫ブロットの写真で、以下における種々のレベルの発現を図示する:野生型、042aatCおよび042aatD、だが042petはなし。図6Bは、ペリプラズムにおける、Aat野生型、042aatC、042aatDおよび042petのレベルのウェスタン免疫ブロットの写真である。 図7Aは、042aatA(pJNW)の全細胞および外膜のウェスタン免疫ブロットの写真である。図7Bは、042、042aatA、および042aatA(pJNW)の上清におけるAapのウェスタン免疫ブロット分析の写真である。 図8は、相補の042aatC(pJNW)および042aatD(pJNW)が、Aap分泌を元に戻すことを図示する、ウェスタン免疫ブロットの写真である。 図9は、EAEC042のpAAの7kbフラグメントのヌクレオチド配列を示す(配列番号3)(SEQ ID No:3)。 図10は、AatPのアミノ酸配列を示す(配列番号4(SEQ ID No:4))。 図11は、AatAのアミノ酸配列を示す(配列番号5(SEQ ID No:5))。 図12は、AatBのアミノ酸配列を示す(配列番号6(SEQ ID No:6))。 図13は、AatCのアミノ酸配列を示す(配列番号7(SEQ ID No:7))。 図14は、AatDのアミノ酸配列を示す(配列番号8(SEQ ID No:8))。 図15は、aatPのヌクレオチド配列を示す(配列番号9(SEQ ID No:9))。 図16は、aatAのヌクレオチド配列を示す(配列番号10(SEQ ID No:10))。 図17は、aatBのヌクレオチド配列を示す(配列番号11(SEQ ID No:11))。 図18は、aatCのヌクレオチド配列を示す(配列番号12(SEQ ID No:12))。 図19は、aatDのヌクレオチド配列を示す(配列番号13(SEQ ID No:13))。
【配列表】
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Claims (101)

  1. 配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8からなる群から選択されるタンパク質のうち少なくとも1つコードする核酸を含む、発現ベクター。
  2. 請求項1に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
  3. 配列番号1、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12および配列番号13からなる群から選択される遺伝子のうち少なくとも1つコードする核酸を含む、発現ベクター。
  4. 請求項3に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
  5. 配列番号1または配列番号1の縮重改変体のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
  6. 配列番号2のアミノ酸配列、または保存的アミノ酸置換を有する配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする配列を含む、単離された核酸分子。
  7. 配列番号2のアミノ酸配列、または保存的アミノ酸置換を有する配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質を調製する方法であって、該方法は、該タンパク質の発現を可能にする条件下で、請求項2に記載の宿主細胞を培養する工程、および該細胞培養物から該タンパク質を回収する工程、を包含する、方法。
  8. 配列番号2のアミノ酸配列または保存的アミノ酸置換を有する配列番号2のアミノ酸配列を含む、精製されたポリペプチド分子。
  9. Aapに特異的に結合する抗体。
  10. 前記抗体が、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、単鎖およびFabフラグメントからなる群から選択される、請求項9に記載の抗体。
  11. 前記抗体が、検出可能に標識される、請求項9に記載の抗体。
  12. 前記標識が、放射性同位体、生体発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、金属キレートおよび酵素からなる群から選択される、請求項11に記載の抗体。
  13. サンプル中のAapの存在を検出する方法であって、
    請求項9に記載の抗体と該サンプルとを接触させる工程;および
    該抗体のAapへの結合を検出する工程;
    を包含し、ここで、該結合が、該サンプル中のAapの存在を示す、方法。
  14. 前記Aapの存在が、腸凝集性E.coliの存在を示す、請求項13に記載の方法。
  15. 前記サンプルが、髪、皮膚、組織、培養細胞、培養細胞培地および生物学的流体である、請求項13に記載の方法。
  16. 前記抗体が標識される、請求項13に記載の方法。
  17. 前記標識が、放射性同位体、生体発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、金属キレートおよび酵素からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
  18. 請求項9に記載の抗体を含む容器、およびタンパク質Aapを検出するために該抗体を使用するための指示書を備える、キット。
  19. 腸凝集性E.coliによって引き起こされる感染を検出するためのキットであって、以下:
    容器、該容器上のラベル、該容器内の請求項9に記載の抗体を含む組成物、該抗体とAapとの結合を検出するための視覚化手段;および腸凝集性E.coliによって引き起こされる感染を検出するために該組成物を使用するための指示書を備え、ここで、該容器上の該ラベルは、該組成物が腸凝集性E.coliによって引き起こされる感染を検出するために使用され得ることを示す、キット。
  20. 配列番号9または配列番号9の縮重改変体のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
  21. 配列番号4のアミノ酸配列、または保存的アミノ酸置換を有する配列番号4のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする配列を含む、単離された核酸分子。
  22. 配列番号4のアミノ酸配列、または保存的アミノ酸置換を有する配列番号4のアミノ酸配列を有するタンパク質を調製する方法であって、該方法は、該タンパク質の発現を可能にする条件下で、請求項2に記載の宿主細胞を培養する工程、および該細胞培養物から該タンパク質を回収する工程、を包含する、方法。
  23. 配列番号4のアミノ酸配列または保存的アミノ酸置換を有する配列番号4のアミノ酸配列を含む、精製されたポリペプチド分子。
  24. AatPに特異的に結合する抗体。
  25. 前記抗体が、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、単鎖およびFabフラグメントからなる群から選択される、請求項24に記載の抗体。
  26. 前記抗体が、検出可能に標識される、請求項24に記載の抗体。
  27. 前記標識が、放射性同位体、生体発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、金属キレートおよび酵素からなる群から選択される、請求項26に記載の抗体。
  28. サンプル中のタンパク質AatPの存在を検出する方法であって、
    請求項24に記載の抗体と該サンプルとを接触させる工程;および
    該抗体のAatPへの結合を検出する工程;
    を包含し、ここで、該結合が、該サンプル中のAatPの存在を示す、方法。
  29. 前記AatPの存在が、腸凝集性E.coliの存在を示す、請求項28に記載の方法。
  30. 前記サンプルが、髪、皮膚、組織、培養細胞、培養細胞培地および生物学的流体である、請求項28に記載の方法。
  31. 前記抗体が標識される、請求項28に記載の方法。
  32. 前記標識が、放射性同位体、生体発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、金属キレートおよび酵素からなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
  33. 請求項24に記載の抗体を含む容器、およびタンパク質AatPを検出するために該抗体を使用するための指示書を備える、キット。
  34. 腸凝集性E.coliによって引き起こされる感染を検出するためのキットであって、
    容器、該容器上のラベル、該容器内の請求項24に記載の抗体を含む組成物、該抗体とAatPとの結合を検出するための視覚化手段;および腸凝集性E.coliによって引き起こされる感染を検出するために該組成物を使用するための指示書を備え、ここで、該容器上の該ラベルは、該組成物が腸凝集性E.coliによって引き起こされる感染を検出するために使用され得ることを示す、キット。
  35. 配列番号10または配列番号10の縮重改変体のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
  36. 配列番号5のアミノ酸配列、または保存的アミノ酸置換を有する配列番号5のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする配列を含む、単離された核酸分子。
  37. 配列番号5のアミノ酸配列、または保存的アミノ酸置換を有する配列番号5のアミノ酸配列を有するタンパク質を調製する方法であって、該方法は、該タンパク質の発現を可能にする条件下で、請求項2に記載の宿主細胞を培養する工程、および該細胞培養物から該タンパク質を回収する工程、を包含する、方法。
  38. 配列番号5のアミノ酸配列または保存的アミノ酸置換を有する配列番号5のアミノ酸配列を含む、精製されたポリペプチド分子。
  39. AatAに特異的に結合する抗体。
  40. 前記抗体が、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、単鎖およびFabフラグメントからなる群から選択される、請求項39に記載の抗体。
  41. 前記抗体が、検出可能に標識される、請求項39に記載の抗体。
  42. 前記標識が、放射性同位体、生体発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、金属キレートおよび酵素からなる群から選択される、請求項41に記載の抗体。
  43. サンプル中のAatAの存在を検出する方法であって、
    請求項39に記載の抗体と該サンプルとを接触させる工程;および
    該抗体のAatAへの結合を検出する工程;
    を包含し、ここで、該結合が、該サンプル中のAatAの存在を示す、方法。
  44. 前記AatAの存在が、腸凝集性E.coliの存在を示す、請求項43に記載の方法。
  45. 前記サンプルが、髪、皮膚、組織、培養細胞、培養細胞培地および生物学的流体である、請求項43に記載の方法。
  46. 前記抗体が標識される、請求項43に記載の方法。
  47. 前記標識が、放射性同位体、生体発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、金属キレートおよび酵素からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
  48. 請求項39に記載の抗体を含む容器、およびタンパク質AatAを検出するために該抗体を使用するための指示書を備える、キット。
  49. 腸凝集性E.coliによって引き起こされる感染を検出するためのキットであって、
    容器、該容器上のラベル、該容器内の請求項39に記載の抗体を含む組成物、該抗体とAatAとの結合を検出するための視覚化手段;および腸凝集性E.coliによって引き起こされる感染を検出するために該組成物を使用するための指示書、を備え、ここで、該容器上の該ラベルは、該組成物が腸凝集性E.coliによって引き起こされる感染を検出するために使用され得ることを示す、キット。
  50. 配列番号11または配列番号11の縮重改変体のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
  51. 配列番号6のアミノ酸配列、または保存的アミノ酸置換を有する配列番号6のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする配列を含む、単離された核酸分子。
  52. 配列番号6のアミノ酸配列、または保存的アミノ酸置換を有する配列番号6のアミノ酸配列を有するタンパク質を調製する方法であって、該方法は、該タンパク質の発現を可能にする条件下で、請求項2に記載の宿主細胞を培養する工程、および該細胞培養物から該タンパク質を回収する工程、を包含する、方法。
  53. 配列番号6のアミノ酸配列または保存的アミノ酸置換を有する配列番号6のアミノ酸配列を含む、精製されたポリペプチド分子。
  54. AatBに特異的に結合する抗体。
  55. 前記抗体が、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、単鎖およびFabフラグメントからなる群から選択される、請求項54に記載の抗体。
  56. 前記抗体が、検出可能に標識される、請求項54に記載の抗体。
  57. 前記標識が、放射性同位体、生体発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、金属キレートおよび酵素からなる群から選択される、請求項56に記載の抗体。
  58. サンプル中のタンパク質AatBの存在を検出する方法であって、
    請求項54に記載の抗体と該サンプルとを接触させる工程;および
    該抗体のAatBへの結合を検出する工程;
    を包含し、ここで、該結合が、該サンプル中のAatBの存在を示す、方法。
  59. 前記AatBの存在が、腸凝集性E.coliの存在を示す、請求項58に記載の方法。
  60. 前記サンプルが、髪、皮膚、組織、培養細胞、培養細胞培地および生物学的流体である、請求項58に記載の方法。
  61. 前記抗体が標識される、請求項58に記載の方法。
  62. 前記標識が、放射性同位体、生体発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、金属キレートおよび酵素からなる群から選択される、請求項61に記載の方法。
  63. 請求項54に記載の抗体を含む容器およびAatBを検出するために該抗体を使用するための指示書を備える、キット。
  64. 腸凝集性E.coliによって引き起こされる感染を検出するためのキットであって、
    容器、該容器上のラベル、該容器内の請求項54に記載の抗体を含む組成物、該抗体とAatBとの結合を検出するための視覚化手段;および腸凝集性E.coliによって引き起こされる感染を検出するために該組成物を使用するための指示書を備え、ここで、該容器上の該ラベルは、該組成物が腸凝集性E.coliによって引き起こされる感染を検出するために使用され得ることを示す、キット。
  65. 配列番号12または配列番号12の縮重改変体のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
  66. 配列番号7のアミノ酸配列、または保存的アミノ酸置換を有する配列番号7のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする配列を含む、単離された核酸分子。
  67. 配列番号7のアミノ酸配列、または保存的アミノ酸置換を有する配列番号7のアミノ酸配列を有するタンパク質を調製する方法であって、該方法は、該タンパク質の発現を可能にする条件下で、請求項2に記載の宿主細胞を培養する工程、および該細胞培養物から該タンパク質を回収する工程、を包含する、方法。
  68. 配列番号7のアミノ酸配列または保存的アミノ酸置換を有する配列番号7のアミノ酸配列を含む、精製されたポリペプチド分子。
  69. AatCに特異的に結合する抗体。
  70. 前記抗体が、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、単鎖およびFabフラグメントからなる群から選択される、請求項69に記載の抗体。
  71. 前記抗体が、検出可能に標識される、請求項69に記載の抗体。
  72. 前記標識が、放射性同位体、生体発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、金属キレートおよび酵素からなる群から選択される、請求項71に記載の抗体。
  73. サンプル中のAatCの存在を検出する方法であって:
    請求項69に記載の抗体と該サンプルとを接触させる工程;および
    該抗体のAatCへの結合を検出する工程;
    を包含し、ここで、該結合が、該サンプル中のAatCの存在を示す、方法。
  74. 前記AatCの存在が、腸凝集性E.coliの存在を示す、請求項73に記載の方法。
  75. 前記サンプルが、髪、皮膚、組織、培養細胞、培養細胞培地および生物学的流体である、請求項73に記載の方法。
  76. 前記抗体が標識される、請求項73に記載の方法。
  77. 前記標識が、放射性同位体、生体発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、金属キレートおよび酵素からなる群から選択される、請求項76に記載の方法。
  78. 請求項69に記載の抗体を含む容器、およびAatCを検出するために該抗体を使用するための指示書を備える、キット。
  79. 腸凝集性E.coliによって引き起こされる感染を検出するためのキットであって、
    容器、該容器上のラベル、該容器内の請求項69に記載の抗体を含む組成物、該抗体とAatCとの結合を検出するための視覚化手段;および腸凝集性E.coliによって引き起こされる感染を検出するために該組成物を使用するための指示書を備え、ここで、該容器上の該ラベルは、該組成物が腸凝集性E.coliによって引き起こされる感染を検出するために使用され得ることを示す、キット。
  80. 配列番号13または配列番号13の縮重改変体のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
  81. 配列番号8のアミノ酸配列、または保存的アミノ酸置換を有する配列番号8のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする配列を含む、単離された核酸分子。
  82. 配列番号8のアミノ酸配列、または保存的アミノ酸置換を有する配列番号8のアミノ酸配列を有するタンパク質を調製する方法であって、該方法は、該タンパク質の発現を可能にする条件下で、請求項2に記載の宿主細胞を培養する工程、および該細胞培養物から該タンパク質を回収する工程、を包含する、方法。
  83. 配列番号8のアミノ酸配列または保存的アミノ酸置換を有する配列番号8のアミノ酸配列を含む、精製されたポリペプチド分子。
  84. AatDに特異的に結合する抗体。
  85. 前記抗体が、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、単鎖およびFabフラグメントからなる群から選択される、請求項84に記載の抗体。
  86. 前記抗体が、検出可能に標識される、請求項84に記載の抗体。
  87. 前記標識が、放射性同位体、生体発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、金属キレートおよび酵素からなる群から選択される、請求項86に記載の抗体。
  88. サンプル中のAatDの存在を検出する方法であって、
    請求項84に記載の抗体と該サンプルとを接触させる工程;および
    該抗体のAatDへの結合を検出する工程;
    を包含し、ここで、該結合が、該サンプル中のAatDの存在を示す、方法。
  89. 前記AatDの存在が、腸凝集性E.coliの存在を示す、請求項88に記載の方法。
  90. 前記サンプルが、髪、皮膚、組織、培養細胞、培養細胞培地および生物学的流体である、請求項88に記載の方法。
  91. 前記抗体が標識される、請求項88に記載の方法。
  92. 前記標識が、放射性同位体、生体発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、金属キレートおよび酵素からなる群から選択される、請求項91に記載の方法。
  93. 請求項84に記載の抗体を含む容器、およびAatDを検出するために該抗体を使用するための指示書を備える、キット。
  94. 腸凝集性E.coliによって引き起こされる感染を検出するためのキットであって、
    容器、該容器上のラベル、該容器内の請求項84に記載の抗体を含む組成物、該抗体とAatDとの結合を検出するための視覚化手段;および腸凝集性E.coliによって引き起こされる感染を検出するために該組成物を使用するための指示書を備え、ここで、該容器上の該ラベルは、該組成物が腸凝集性E.coliによって引き起こされる感染を検出するために使用され得ることを示す、キット。
  95. 動物において腸凝集性E.coliに対する免疫応答を刺激し得る免疫原性組成物であって、該免疫原性組成物は、薬学的に受容可能なキャリア、ならびにAat、AatP、AatA、AatB、AatC、およびAatDまたはそれらのフラグメントからなる群から選択される、1種以上の単離され精製されたタンパク質を含む、免疫原性組成物。
  96. 前記免疫原性組成物が、経口投与、経鼻投与、吸入、眼投与、直腸投与または膣投与からなる群から選択される経路によって投与される、請求項95に記載の免疫原性組成物。
  97. 動物において腸凝集性E.coliに対する免疫応答を生じさせる方法であって、該動物に対して請求項95に記載の免疫原性組成物を投与する工程を包含する、方法。
  98. 動物において腸凝集性E.coliに対する免疫応答を刺激し得る免疫原性組成物であって、該免疫原性組成物は、薬学的に受容可能なキャリア、ならびに配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、および配列番号8、または保存的アミノ酸置換を有するこれらの配列からなる群から選択されるポリペプチドをコードする、1種以上の単離され精製された核酸分子を含む、免疫原性組成物。
  99. 前記免疫原性組成物が、経口投与、経鼻投与、吸入、眼投与、直腸投与または膣投与からなる群から選択される経路によって投与される、請求項98に記載の免疫原性組成物。
  100. 動物において腸凝集性E.coliに対する免疫応答を生じさせる方法であって、該動物に対して請求項98に記載の免疫原性組成物を投与する工程を包含する、方法。
  101. キットであって、以下:
    容器、該容器上のラベル、ならびに該容器内に含まれる、請求項95に記載の免疫原性組成物および腸凝集性E.coliに対する免疫応答を誘発するために該免疫原性組成物を使用するための指示書を備え、ここで、該容器上の該ラベルは、該免疫原性組成物が動物において腸凝集性E.coliに対する免疫応答を誘発するために使用され得ることを示す、キット。
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