JP2005534356A - 凍結手術組成物と方法 - Google Patents
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- A61B18/00—Surgical instruments, devices or methods for transferring non-mechanical forms of energy to or from the body
- A61B18/02—Surgical instruments, devices or methods for transferring non-mechanical forms of energy to or from the body by cooling, e.g. cryogenic techniques
Abstract
装置及びその使用方法を含めた共晶変更組成物。有効成分として生体物質の局所領域において組織共晶氷点を変更するのに有効な少なくとも1種類の溶質を含む前記共晶変更組成物は、生体物質、例えば哺乳動物の局所領域で使用されることができる。前記溶質は、前記生体物質の組織の共晶氷点を上げるのに有効でありうる。
Description
関連出願の相互参照
当該出願は、2002年6月13日に出願された米国仮出願番号第60/388,223号からの優先権を主張し、その全体を本明細書中に援用する。
当該出願は、2002年6月13日に出願された米国仮出願番号第60/388,223号からの優先権を主張し、その全体を本明細書中に援用する。
政府の資金提供
本発明は、全米科学財団から付与された認可番号第BES9703326号と、米国国立衛生研究所から付与された認可番号第5R29CA75284−05号の下で政府の支援により成された。政府はこの発明に一定の権利を有する。
本発明は広く凍結手術に関する。
本発明は、全米科学財団から付与された認可番号第BES9703326号と、米国国立衛生研究所から付与された認可番号第5R29CA75284−05号の下で政府の支援により成された。政府はこの発明に一定の権利を有する。
本発明は広く凍結手術に関する。
凍結手術は、悪性組織を凍結させることによって破壊する低侵襲手術技術である。凍結手術中、悪性組織の凍結は、非常に低温(摂氏マイナス120℃未満(−120℃))までに冷却されうる単独の又は複数の細い手術用プローブを用いて達成される。プローブは、超音波のような画像技術の誘導で組織に挿入される。挿入後に、そのプローブが冷却される。アイスボールが形成され、そして凍結プローブの表面から大きくなる。その低侵襲特性、及び術中のモニタリング技術における最近の進歩によって、凍結手術は、前立腺、肝臓及び乳癌の有望な治療モダリティーとして現われている。しかし、凍害機構の理解と正確な管理は、改善された治療効果に取り組むために必要である。
誘発された細胞損傷を凍結させる機構を理解することは、凍結手術の使用に付随するので、低温生物学の分野内の検討領域である。2つの異なる凍害機構を基礎とした直接的な細胞損傷を説明するための二因子仮説が提案された−細胞内の氷形成(IIF)及び脱水が、系の冷却速度に依存して凍結中の損傷プロセスを支配する。冷却速度が速い場合、細胞の水は核となり、そして致命的な細胞内の氷を形成する。それ以外に、まず氷が細胞外溶液中で形成され、そしてそれが非凍結画分の高い濃縮をもたらす。高い細胞外濃度は、浸透圧の違いによる細胞の脱水を結果として誘発する。この脱水が厳しすぎれば、その結果、高濃度の電解質に起因して毒性又は損傷の一形態が「溶質」効果(”solute” effect)と総称される機構により細胞を傷つける可能性がある。IIFは、致命的であると一般にみなされて、急速な冷却速度での主な損傷機構であると思われている。しかし、溶質効果の損傷は、より複雑であるらしく、まだ完全に理解されていない。
凍結手術技術の中で最も重要な課題の1つが、組織は凍るが、完全に破壊されるわけではないアイスボール辺縁付近の不完全な腫瘍の破壊に起因している。不完全な死滅区域は3つの潜在的な問題をもたらす。第一に、凍結区域は、完全な腫瘍破壊を確実にするために(すなわち、サージカルマージン)、腫瘍のサイズより一般に大きい。しかし、この慣例は、腫瘍周辺の健全な正常組織の破壊のようなさらなる問題を引き起こす可能性があり、そして隣接組織、神経系及び/又は凍害から保護される必要がある器官ではしばしば実施不可能である。第2に、不完全な破壊により術後に腫瘍再発の可能性がある。術後の腫瘍再発は回避されるべきである。最後に、大部分の利用可能な技術が完全な死滅区域よりむしろアイスボール辺縁に注意を向け続けるので、凍結手術中の完全な死滅区域を監視する能力に制限がある。従って、所定の腫瘍サイズの完全な破壊は、手術医の経験によって決定されるサージカルマージンを使ってのみ達成されることができる。よって、必要が交付の改善と凍結手術技術の使用のために芸術の中にある。
本発明の概要
本発明は、生物系内の共晶凝固に基づき、凍結手術中に組織を破壊して、及び/又は決定的に傷つける装置及び方法を提供する。この組織破壊は、共晶凝固から起こった細胞膜への機械的破損によって引き起こされた直接的な細胞損傷機構の、少なくともその一部の結果であると考えられる。さらに、本発明の使用は、より死滅区域とアイスボールの辺縁を一緒に提示することにより凍結手術モニタリングをも改善し、それによってより完全な損傷情報を手術医に提供する。
本発明は、生物系内の共晶凝固に基づき、凍結手術中に組織を破壊して、及び/又は決定的に傷つける装置及び方法を提供する。この組織破壊は、共晶凝固から起こった細胞膜への機械的破損によって引き起こされた直接的な細胞損傷機構の、少なくともその一部の結果であると考えられる。さらに、本発明の使用は、より死滅区域とアイスボールの辺縁を一緒に提示することにより凍結手術モニタリングをも改善し、それによってより完全な損傷情報を手術医に提供する。
本発明は、組成物、方法、及び/又は凍結手術による破壊において上記組成物を使用した装置を提供する。1の態様において、前記組成物は、生体物質の共晶氷点を効果的に変えることができる1以上の溶質を含む。生体物質は、これだけに制限されることなく、細胞、腫瘍細胞、組織、腫瘍組織、内臓組織、例えば肝組織、前立腺組織、胸部組織、腎組織、及びその関連体液を含みうる。さらに、生体物質は、これだけに制限されることなく、血管組織、心筋を含む筋組織、皮膚の組織、結合組織、及びその関連体液を同様に含む。これらの生体物質の組み合わせが同様に可能である。
本発明は、これだけに制限されることなく、様々な癌/腫瘍、例えば前立腺癌、肝癌、乳癌、子宮筋腫、凍結手術が伝統的に使われてきたか又は今後使われるかもしれない全ての他の腫瘍及び組織の治療に有用かもしれない。同様に、他の生理的状態の治療が可能であるかもしれない。
さらなる態様において、本発明は、生体物質(例えば、組織)の共晶氷点を変えることができる、凍結手術における使用のための組成物、方法、及び/又は装置を提供する。1の態様において、凍結手術を受ける生体物質(例えば、組織及び/又は細胞)が同定され、ここで上記生体物質の少なくとも一部が共晶凍結を受ける。共晶変更組成物(a eutectic changing composition)は、生体物質に導入され、ここで上記生体物質は、共晶氷点を変更する、及び/又は当該生体物質の共晶凝固を広げる/その広がりを増大させるのに効果的な時期及び量で上記組成物によって処理される。従って、本発明は、生体物質内部での共晶氷点を変更する、及び/又は共晶凝固を広げるか又はその広がりを増大させる(例えば、より完全な共晶凝固を可能にさせる)。
1つの例において、共晶凍結温度を変えるための組成物は、共晶凍結が望まれる生体物質の部分に導入される。前記組成物の導入は、共晶凍結が望まれる生体物質塊に局所化される。あるいは、前記組成物は、共晶凍結が望まれる生体物質塊の1以上の部分に局所化されうる。生体物質中の組成物の位置の電子視覚化が、例えば当該組成物の位置を電子的に視覚化させるのに電子センサーを使うことができるような、組成物に添加される造影剤の使用によって達成される。1の態様において、造影剤は、これだけに制限されることなく、超音波を含むいくつもの技術によって視覚化される。同様に、他の視覚化技術が可能である。例えば、視覚化は、蛍光透視とハイパック(hypaque)、MRIとガドリニウム、インピーダンス技術(例えば、Le Pivertに対する米国特許番号第4,252,130号を参照のこと)、又は場合により他の方法の使用により達成される。
前記共晶変更組成物により処理された生体物質は、上記共晶変更組成物によって処理された生体物質の少なくとも一部の共晶形成を引き起こすのに有効な冷却速度で冷やされる。共晶変更組成物によって処理された生体物質とは対照的に、共晶変更組成物もよって処理されていない生体物質(例えば、処理された組織を囲んでいる組織)は、より共晶凍結を受けにくい。よって、共晶変更組成物は、そのように処理されていない生体物質と比べて、共晶変更組成物によって処理された生体物質における共晶凍結の達成を容易にする。
1の態様において、哺乳動物の局所化された領域において使用するための共晶変更組成物は、上記哺乳動物の局所化された領域にて生体物質の共晶氷点の変更に効果的な少なくとも1つの溶質を含む。例えば、共晶変更組成物は、(溶液状態のとき)共晶濃度で塩化ナトリウムのそれより高い共晶凍結温度を持つ少なくとも1つの溶質を含み、ここで少なくとも1つの溶質が生体物質の共晶氷点を変えるのに有効である。少なくとも1つの溶質が、少なくとも1つの溶質の共晶濃度より大きくない量で医薬として許容される溶剤中に溶解される。
いくつかの側面において、本発明は、生体物質の治療のための薬品製造のために共晶変更組成物の使用を伴う。
本発明の上述の概要は、本発明の各々の実施例、又はあらゆる実施について記載するようには意図されない。添付図面に関連して理解される以下の詳細な説明を参照することによって、より完全な本発明の理解と共に、利点が明らかになり、そして評価される。
本発明の上述の概要は、本発明の各々の実施例、又はあらゆる実施について記載するようには意図されない。添付図面に関連して理解される以下の詳細な説明を参照することによって、より完全な本発明の理解と共に、利点が明らかになり、そして評価される。
実施態様の詳細な説明
以下の実施態様の詳細な説明で、参照は、本明細書の一部を形成する図面に対して作成され、そして本発明が実施される特定の態様の例証の目的で示される。他の態様が利用され、そして処理ステップ/構造変更が本発明の範囲から逸脱することなく成されることは、理解されるべきである。
以下の実施態様の詳細な説明で、参照は、本明細書の一部を形成する図面に対して作成され、そして本発明が実施される特定の態様の例証の目的で示される。他の態様が利用され、そして処理ステップ/構造変更が本発明の範囲から逸脱することなく成されることは、理解されるべきである。
以下に記載される時、本発明は、生体物質(例えば、細胞と組織)の共晶氷点を変えるための方法、組成物、及び装置を提供する。本明細書中に使用される場合、生体物質は、細胞と組織に制限されることなく含むことができ、細胞、細胞外マトリックス構造体(例えば、コラーゲン、タンパク質)、及び関連の体液を含む。さらに、用語、細胞及び/又は組織が本明細書中に使用され、同様にいずれかの生体物質、細胞、及び/又は組織を含むこと、並びに/あるいはいずれかの生体物質、細胞、及び/又は組織をこれらの用語と交換することも可能である。
生体物質の共晶氷点の変更は、凍結手術により処理される生体物質の破壊の増大をもたらす。本明細書中に使用される場合、破壊及び/又は凍結手術による破壊は、本発明が使用される凍結手術手法の結果としての生体物質の細胞及び組織の死滅を含むことができる。生体物質の細胞及び組織の死滅は、凍結手術手法の完成後の時間を含めた凍結手術手法の間のあらゆる部分で起こる。
さらに、本発明は、生体物質上の凍結手術中に形成されたアイスボールによる細胞及び組織の死滅についての実際の位置のより良好な評価を提供する。同様に、本発明は、凍結手術による破壊中の生体物質の細胞及び組織の破壊についてより大きな割合を可能にさせる共晶氷点の変更を提供する。
凍結手術による破壊は、種々の腫瘍組織に関して効果的な治療モダリティーであることが示された。悪性組織の除去のための外科的手法において、全ての腫瘍組織が除去又は破壊されたことを保証するために悪性組織の周囲に十分なサージカルマージンをとることが重要である。既知の技術を使った十分なマージンは、腫瘍を越えて正常組織の中へと凍結することを一般に必要とする。凍結手術中の正常組織の被害の見込まれる副作用を最小限にし、かつ、凍結手術アイスボールの辺縁での腫瘍の破壊を最大限にするために、本発明は、凍結に対して細胞を保護し(例えば、正常)、そして感作する(例えば、腫瘍)ストラテジーを提供することが望まれる。
本発明は、着目(例えば、腫瘍)の生体物質を破壊し、同時に経験する温度が氷形成温度と共晶凝固温度の間にあるアイスボール辺縁付近の上記着目の生体物質周囲の正常で、健全な組織を保護するために使用される。結果として、周囲の正常で、健全な組織への破損を減少させながら、サージカルマージンを最小限にすることが可能である。アイスボール辺縁付近の細胞破壊の効率を高めることは、隣接構造(例えば、前立腺凍結手術における直腸)への過剰な凍結の被害の可能性を減少させながら、多数の腫瘍細胞が着目の生体物質の周辺付近で死滅させられたという信頼を高める。本明細書中に使用される場合、アイスボール辺縁は、凍結手術プローブによって形成された氷の先端と規定されることができる。
本発明は、凍結手術中に、ひとつには共晶凝固から成る細胞損傷機構に基づいて、細胞と組織をより効果的に破壊するために使用される。低温生物学の分野において、2つの異なる細胞損傷機構が提案された。最初のものは、緩慢な冷却速度中に生じる溶質結果損傷の結果である。2番目のものは、迅速な冷却速度での細胞内の氷形成の結果である。本発明は、共晶結晶化の共晶形成から成るさらなる細胞損傷機構を導入する。凍結手術のための細胞及び組織における共晶結晶化の共晶形成は、細胞の傷害及び死滅のための可能性のある機構であると現時点まで認識されていないか又は考えられていなかった。しかし、本発明は、凍結手術を受ける細胞及び/又は組織系における共晶凍結の形成と、共晶結晶体の形成が、細胞及び/又は組織系の破壊を高めることを認識する。
本発明は、共晶結晶化の形成を用いた共晶凍結の使用による凍結手術における見込まれる細胞及び組織の破壊の増大を提供する。本明細書中に使用される場合、共晶の形成及び/又は結晶化は、示差走査熱量測定(DSC)における二次的な放熱によって認識されることができる水と溶質が水和物を形成することによる凝固プロセスと規定される。
本発明の1の側面は、共晶変更組成物の使用を伴う。ほとんどの生理的溶液は、水と生理学的に許容される電解質を含む混合物である。塩化ナトリウムは、許容される電解質の一例である。純水の凍結に対して、生理的溶液の凍結は、一般に少なくとも2つの異なる熱的事象に帰着する。最初のものは、溶液中の純水の凍結である。これは溶液の温度が水の氷点を下回る時に生じ、ここで、水の氷点は塩化ナトリウムの存在により一般的に下がっている。
温度が下がるにつれ、より多くの氷が形成される。氷が形成される時、水が溶液から取り除かれる。これが起こるので、溶液中の塩化ナトリウム濃度が高くなる。温度が下がるにつれ、溶液の共晶点が、例えば、約−21.1℃で達せられる。塩化ナトリウムについて、共晶濃度(EuC)は23.6%(wt./wt NaCl対水)であり、そして−21.1℃でNaClと残りの水の両方の結晶がその溶解中に形成される(共晶凝固)。NaClと水の結晶の形成により、塩化ナトリウムの共晶点が達成された。
認識されるように、塩化ナトリウムのための−21.1℃の共晶点凍結を達成するのに熱力学平衡が必要である。しかし、一般に塩化ナトリウム溶液の共晶凍結を大幅に遅らせる、すなわち、過冷却させる(例えば、−40℃以下)ことができる。本明細書中に使用される場合、過冷却は、熱力学平衡の共晶温度と、実際の共晶凝固が生じる温度の間の温度差を含む。各々の塩は、塩化ナトリウムのそれと同じか又は異なるそれ自身の共晶温度及び濃度を有する。
特に、共晶形成が生じる温度を高めることができる(例えば、生体物質の共晶温度を高めることができる)時、共晶形成が緩慢な冷却速度で顕著で直接的な細胞損傷を引き起こす。緩慢な冷却速度は、例えば1℃/分以上(すなわち、少なくとも1℃/分)の冷却速度を持つものを含むことができる。あるいは、緩慢な冷却速度は、1℃/分〜10℃/分の冷却速度を持つものを含むことができる。しかし、共晶凝固が、10℃/分以上のもの、及び/又は1℃/分以下のものを含む多くの異なる冷却速度で生じうることが理解される。共晶形成を高めることは、凍結手術手法中に達成されることができる生体物質の共晶氷点を増やす、及び/又は作り出すために、細胞及び/又は組織の微小環境を変えることを含む。
生理的溶液中に懸濁された細胞が緩慢な冷却速度で冷凍される時、氷晶が一般に細胞外の空間で形成される。温度が下がるにつれ、氷晶は発達して、溶液の不凍画分の濃度が高まる。一方、細胞は、氷晶の間で高度に濃縮された不凍画分中に懸濁される。温度が下がるにつれ、共晶形成が不凍画分中で誘発されて、共晶凝固と呼ばれる新たな固相への同時の凝固によって不凍画分中の細胞に直接的に破損を与える。
先に記載のように、共晶凝固は、緩慢な冷却速度で重大な直接的な細胞損傷を引き起こす。共晶凝固が生体物質の細胞及び/又は組織で生じるポイントを制御することは、凍結手術による破壊が成功する度合いに大いに影響を与えうる。溶液中、共晶氷点温度がその共晶濃度で塩化ナトリウムのそれ以上である溶質を使用することは、組織の共晶凍結温度を有利に変更するという効果がある。
1の実施例において、共晶凍結温度を変えるために使用される少なくとも1種類の溶質は、上記少なくとも1種類の溶質が当該少なくとも1種類の溶質の共晶濃度以下の量で溶解されうる医薬として許容される溶剤中に存在する。すなわち、共晶氷点を変更するためか、又は共晶凝固を広げる/その広がりを増大させるために使用される溶質は、共晶濃度(wt./wt)の数値の濃度で、又はそれより少ない(すなわち、それ以下)で使用される。医薬として許容される溶剤は、これだけに制限されることなく、水、ここで上記水は既知の技術を使って蒸留される(例えば、二重蒸留される)か、脱イオンされるか、及び/又は殺菌される(例えば、ろ過精製される、及び/又は熱及び圧力殺菌される)を含みうる。
共晶形成温度の変更のために有用な溶質は、これだけに制限されることなく、以下のものを含む:
1の態様において、高張NaCl溶液は、生体物質の細胞及び/又は組織の共晶点を変更するために使用される。あるいは、その共晶凍結温度がNaClのそれより高い濃縮溶質を注入することは、共晶氷点を変更するか、又は共晶凝固を広げる/その広さを増大させることができる。同様に、2種類以上の溶質をもつ溶液(すなわち、2以上の塩)が可能であり、得られた共晶温度及び溶液の濃度は、上記2種類以上の溶質単独のいずれとも異なる。これらの方法は、悪性細胞及び組織の機械的凍害(すなわち、細胞中及びその周囲の共晶形成)を強調するための制御可能な、かつ、再現可能な技術を提供することによって凍結手術プロトコルを改善することができる。
図1は、凍結手術による破壊を受ける部分(14)を含む組織(10)の区分から成る1の態様を示す。組織(10)の部分(14)は、組織(10)の周囲の区分と類似した細胞及び/又は組織構造を有する可能性がある。あるいは、部分(14)は、組織(10)の残りの区分と比べて、1以上の形態学的に異なる細胞及び/又は組織構造を有する可能性がある。一例において、部分(14)が腫瘍であるかもしれない。
組織の部分(14)の共晶氷点は、本発明の共晶変更組成物の使用によって組織(10)の残りの区分に依存して変更されるかもしれない。凍結手術の破壊中に共晶凍結を受ける組織(10)の部分(14)は、いくつもの既知の技術によって同定される。例えば、腫瘍構造は、組織構造、生物学的マーカー、超音波又はいくつもの他の技術によって確認されうる。
そして、共晶凍結を受ける組織の部分(14)は、組織の部分(14)の共晶氷点を変えるか、又は共晶凝固を広げる/その広さを増大させるのに有効な時間、量及び種類の共晶変更組成物によって処理される。一例において、共晶変更組成物は、本明細書中に記載されるように共晶形成温度を変えるための溶質の1種類以上を含みうる。さらに、共晶変更組成物の溶質は、それらの共晶濃度か、あるいはそれらのいずれか効果的な画分又はパーセンテージで提供されうる。
一例において、共晶変更組成物は、組織の部分(14)の1以上の位置に注入されうる。米国特許番号第5,807,395号は、本発明の共晶変更組成物を注入するのに好適なカテーテルのいくつかの例を提供する。さらに、共晶変更組成物は、例えば皮下注射針、凍結プローブに付けられた1本以上の針、拡散、及び/又はイオン導入(又は組織中のイオン溶液を駆動するためのいずれか他の電界の使用)の使用により1箇所以上の位置に導入されうる。
共晶変更組成物が組織に注入された位置及び/又は広がり(例えば、図1の部分(14))は、いくつもの技術によって監視されうる。共晶変更組成物の位置の視覚化を可能にするために、例えば、超音波造影、フルオロスコープ、MRI、インピーダンス技術(例えば、Le Pivertに対する米国特許番号第4,252,130号)を高める化合物及び/又は溶液が当該共晶変更組成物に加えられうる。例は、これだけに制限されることなく、塩と共に添加される造影剤(すなわち、ヒパーク)、蛍光標識体で標識された塩、及び/又は注入によって局所的にインピーダンスがどう変化したかを見るためのインピーダンス測量デバイスの使用を含む。
そして、少なくとも組織(10)の部分(14)における共晶形成を引き起こすのに有効な冷却速度で組織(10)の部分(14)を冷やすために、1以上の凍結プローブ(20)が使用される。
好ましくは、組織の冷却中にアイスボールが形成される。アイスボール形成は、各々の凍結プローブの先端で、又はその周囲に一般に発生する。凍結プローブが組織から熱を奪う時に、アイスボールが成長する。アイスボール形成の境界線を視覚化することは、凍結手術手法中に死滅した組織及び細胞要素の広さ又は量を決定する重要な要素でありうる。アイスボールの境界線の視覚化は、例えば超音波造影の使用によって達成される。
図2は、温度対アイスボール中心からの距離の関係の一例を表す。ライン(100)は、共晶変更組成物によって処理されていない組織に関して細胞死が一般に生じる、アイスボールの中心(例えば、凍結プローブの場所)からの距離を説明する。注目されるとおり、表された例において、細胞死が腫瘍内に生じることが示唆される距離での温度は摂氏約マイナス50(−50)(℃)である。対照的に、組織が本明細書中に記載の共晶変更組成物によって処理された場合、細胞死が一般に生じるアイスボール中心(例えば、凍結プローブの場所)からの距離は温度とともに延ばされる。これは、ライン(120)によって説明される。よって、共晶変更組成物は、細胞死が一般に生じる凍結プローブからの距離を効果的に延ばす。
細胞死が一般に生じる凍結プローブからの距離の増加に加え、共晶変更組成物の使用は、アイスボールの境界線のサイズ、及び/又は広がりをも変える。例えば、共晶変更組成物の使用は、共晶変更組成物の使用がない同条件と比べてアイスボールの境界線を減少させる。理論に縛られることは望まないが、これは、ひとつには、共晶変更組成物の導入によって引き起こされた氷点降下の効果によると考えられる。アイスボールにおいて細胞死が一般に生じるであろうことの増加に加えて、アイスボール形成の境界線の減少は、実際の細胞死が生じるか又は生じるであろう場所をより厳密に規定する境界線をもつアイスボールをもたらす。
図3A及び3Bは、この後者の趣旨を説明する。図3Aは、生体物質(154)中に配置された凍結手術用凍結プローブ(150)を説明する。凍結手術用凍結プローブ(150)は、アイスボール(156)を形成するように、生体物質(154)から熱を奪うために使用される。アイスボール(156)は、少なくとも第1の体積(160)と第2の体積(164)の生体物質(154)を一般に含む。生体物質(154)の第1の体積(160)は、一般に生体物質(154)の第2の体積(164)より凍結手術用凍結プローブ(150)によりいっそう近接する。アイスボール(156)の第1の体積(160)は、一般に凍結手術手法中に本質的に破壊される生体物質の体積(154)を規定する。組織のこの第1の体積(160)は、凍結手術手法中の死滅区域と呼ばれることができる。アイスボール(156)の第2の体積(164)は、凍結手術手法中に、部分的に破壊されるか又は破壊されないが、しかし冷凍されるか又は少なくとも部分的に冷凍される第1の体積(160)を囲む生体物質(154)の体積を一般に規定する。組織のこの第2の体積(164)は、凍結手術手法中の不完全な死滅区域と呼ばれることができる。
組織のこの第2の体積(164)(不完全な死滅区域)の存在は、少なくとも3つの潜在的な問題に帰着することができる。第一に、腫瘍のサイズより大きな凍結区域が、完全な腫瘍破壊を確実にするために要求される(いわゆる、サージカルマージン)。第二に、その不完全な破壊のために術後に、例えば腫瘍の再発の可能性が残る。最後に、凍結手術中の生体物質(154)の第1の体積(160)(死滅区域)を完全に監視する能力に制限がありうる。
先の潜在的な問題は、凍結手術中の本発明による共晶変更組成物の使用によって軽減されることができる。生体物質がまず本発明による共晶変更組成物により処理される場合、本発明の共晶変更組成物により処理しなかった生体物質と比較して、上記生体物質の第1の体積(160)から成る死滅区域は拡大され(拡大された死滅区域)、一方で、アイスボール(156)の第2の体積(164)は縮小される(より狭い不完全な死滅区域)。
図3Bは、この後者の趣旨の例を提供する。図3Bにおいて、生体材料(170)は本発明に従って共晶変更組成物で処理された。凍結手術用凍結プローブ(150)は、生体物質(170)中に配置され、そして共晶促進アイスボール(eutectic enhanced ice ball)(176)を形成するように生体物質(170)から熱を奪うために使用される。共晶促進アイスボール(176)は、一般に生体物質(170)の第1の体積(180)と第2の体積(184)を少なくとも含む。生体物質(170)の第1の体積(180)は、一般に生体物質(150)の第2の体積(164)より凍結手術用凍結プローブ(170)により近くに近接する。アイスボール(176)の第1の体積(180)は、凍結手術手法中に本質的に破壊する生体物質(170)の体積(すなわち、死滅区域)を一般に規定する。共晶促進アイスボール(176)の第2の体積(184)は、凍結手術手法中に不完全に破壊されるか又は破壊されないが、しかし凍結を受けるか又は部分的に凍結を受ける第1の体積(180)を囲む生体物質(170)の体積(すなわち、不完全な死滅区域)を一般に規定する。
図3Aと3Bに示されるアイスボールの部分の比較は、同程度の凍結手術手法(例えば、同程度の凍結速度)についての本発明の凍結手術組成物の少なくとも1つの効果を説明する。図3Bに示されるとおり、共晶促進アイスボール(176)の第1の体積(180)は、アイスボール(156)の第1の体積(160)(図3A)に比べ拡大した。未処理の生体物質(156)のアイスボール(154)の第1の体積(160)と比較した、この「死滅区域」の拡大は、図3Bの(186)に示される。この第1の体積(180)の拡大(186)は、本発明の凍結手術組成物の使用によると考えられる。
共晶促進アイスボール(176)による「死滅区域」の増大に加え、本発明の凍結手術組成物の使用は、未処理の生体物質(154)のアイスボールの体積(156)と比べて、共晶促進アイスボールの総体積(176)を減少させる(例えば、共晶促進アイスボール(176)の境界線が減少した)とも考えられる。アイスボールの体積(156)と比較した、共晶促進アイスボールのこの体積の減少(176)は、図3Bに(188)で示される。未処理の生体物質(154)のアイスボールの体積(156)と比較した共晶促進アイスボールの体積(176)の減少は、本発明の凍結手術組成物の使用に起因する氷点降下の結果であると考えられる。
本明細書中で記載のとおり、アイスボールの境界線の減少と死滅区域の増加は、共に本発明の共晶変更組成物の使用による。未処理の生体物質(154)のアイスボールの体積(156)と比較した、共晶促進アイスボール(176)の第1の体積(180)及び総体積のこの変化の1つの潜在的な利点は、第1の体積(180)の死滅区域が共晶促進アイスボール(176)の第2の体積(184)の境界線のより近くに近接することである。これは、凍結手術による破壊手法中に作り出される実際の死滅区域のより正確な予測を可能にするかもしれない。
上記のとおり、本発明は、凍結手術による破壊における組成物、方法、及び/又は本明細書中に記載の組成物を使用する装置をも提供する。前記組成物は、当該共晶変更組成物にさらされた生体物質の共晶氷点を効果的に変えることができる1種類以上の溶質を含む。先に述べたように、共晶変更組成物は、有効成分として、哺乳動物の天然又は人工組織の局所領域で組織の共晶氷点の変更に効果的な少なくとも1種類の溶質を含む、哺乳動物のいずれかの天然又は人工組織の局所領域における使用のための組成物を含む。
1の態様において、本発明の装置は、医薬として許容される溶剤中に溶解した本明細書中に記載の共晶変更組成物、及び内腔があるカテーテルを含む。ここで、前記共晶変更組成物は前記カテーテルの内腔を通して、そして共晶氷点の変更が望まれる組織内に移動させることができる。同様に、本発明のカテーテルは、共晶変更組成物をデリバリーするためのカテーテルの先端に針を含む。あるいは、カテーテルは、共晶氷点の変更が望まれる組織へのカテーテルの一部のデリバリーを容易にするためにカテーテルの内腔内にトロカールをさらに含むことができる。
先に述べたように、米国特許番号第5,807,395号は、本発明の共晶変更組成物を注入するのに好適なカテーテルのいくつかの例を提供する。同様に、前記装置は少なくとも1つのプローブを含み、ここで、上記プローブは、本明細書中に記載のとおり、凍結手術による破壊位置で組織が共晶凍結を受けるのに十分な速度で凍結手術による破壊位置から熱エネルギーを奪うことができる。
同様に、共晶変更組成物を含む溶質を伴う追加の添加剤を含むことも可能である。例えば、追加の添加剤は、これだけに制限されることなく、凍結手術による細胞及び組織の破壊をさらに促進するための組成物を含む。Rubinskyらに対する米国特許番号第5,654,279号は、考えられる追加の添加剤の一例を提供する。さらに、化学療法薬を、共晶変更組成物と共に導入することもできる。
本発明の対象及び利点が、以下の実施例によってさらに説明されるが、しかし、これらの実施例において列挙される特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本願発明を過度に制限するように解釈されるべきでない。
当該実施例は、凍結手術中に悪性組織を破壊するための生体物質内の共晶形成における、本発明の共晶変更組成物の使用についての説明を提供する。一般に、共晶結晶化を、本発明の共晶変更組成物をAT−1ラット前立腺腫瘍(細胞懸濁液/組織)と、正常なラット肝臓組織の中に注入することによって誘発した。同様に、様々な培地中のAT−1細胞懸濁液の凍結手術後の生存度を、共晶形成のより高い温度と、低い温度にて評価した。凍結中の組織における共晶結晶化の誘発を、正常なラット肝臓とAT−1腫瘍組織で行い、そして対応の凍害の増大を、凍結/解凍後に評価した。結果は、組織における共晶により誘発された凍害の生物物理学的証拠を提供し、そしてデリバリーと、凍結手術技術の使用の改善をもたらす。
実施例1
AT−1ラット前立腺腫瘍細胞を以下の実施例で使用した。AT−1ラット前立腺腫瘍細胞を、既知の標準的な組織培養条件下、インビトロで培養した。培養したAT−1細胞を0.05(容量)%のトリプシン及び0.53mMのEDTA中への浸漬によって培養フラスコから分離し、そしてトリプシン終濃度が<0.005(容量)%となるように、5(容量)%のウシ胎仔血清(FBS)追加培地中に懸濁した。懸濁後、前記細胞を遠心沈殿によりペレットにして、過剰な培地を取り除いた。細胞ペレットを、実験前に(約1.0ml)の様々な水溶液中に再懸濁し、そして名目上の細胞濃度は、約2×106細胞/mlであった。前記懸濁液を、1.5ml容マイクロ遠心管中で氷上(約4℃)保存した。
AT−1ラット前立腺腫瘍細胞を以下の実施例で使用した。AT−1ラット前立腺腫瘍細胞を、既知の標準的な組織培養条件下、インビトロで培養した。培養したAT−1細胞を0.05(容量)%のトリプシン及び0.53mMのEDTA中への浸漬によって培養フラスコから分離し、そしてトリプシン終濃度が<0.005(容量)%となるように、5(容量)%のウシ胎仔血清(FBS)追加培地中に懸濁した。懸濁後、前記細胞を遠心沈殿によりペレットにして、過剰な培地を取り除いた。細胞ペレットを、実験前に(約1.0ml)の様々な水溶液中に再懸濁し、そして名目上の細胞濃度は、約2×106細胞/mlであった。前記懸濁液を、1.5ml容マイクロ遠心管中で氷上(約4℃)保存した。
凍結/解凍中の生物物理学的現象を調査するために、DSC(Pyris1、Perkin−Elmer社、Norwalk、CT)を使用した。前記DSCの温度尺度は、シクロヘキサンの2つの異なる転移温度(−85.8℃と6.4℃)により基準化した。前記DSCの熱流の尺度を、5℃/分で解凍中の純水(335J/g)の溶解熱に対して基準化した。
異なる温度で保持され、そして調整可能な隙間によって分離される2つの一定温度のリザーバから成る一方向凝固ステージを実験に使用した。第1のリザーバを0℃を上回る温度(0℃以上)で、そして第2のリザーバを0℃を下回る温度(0℃以下)で保持した。サンプルを、幅3mm、深さ1mmの顕微鏡用微小スライドのウェル上に置いた。ガラス微小スライドを、第1のリザーバ(0℃を上回る温度)から第2のリザーバ(0℃を下回る温度)に厳密に制御された速度で隙間の上を移動させた。微小スライドの速度、隙間のサイズ、及びリザーバの温度を好適に設定することによって、一定の冷却速度と正確な最終温度を細胞懸濁液にかけることができる。
制御された凍結及び解凍速度を、DSC及び一方向凝固ステージによって達成した。別段の言及がない限り、冷却と解凍の速度は5℃/分だった。
一方向凝固ステージに関して、速い解凍速度(約200℃/分)を使用した。急速な解凍速度を得るために、ガラス微小スライドを一方向凝固ステージから取り出し、37℃のアルミニウム・ブロック上に速やかに移した。
一方向凝固ステージに関して、速い解凍速度(約200℃/分)を使用した。急速な解凍速度を得るために、ガラス微小スライドを一方向凝固ステージから取り出し、37℃のアルミニウム・ブロック上に速やかに移した。
様々な培地中、AT−1細胞懸濁液の解凍後の生存度を、一方向凝固ステージ上の凍結及び解凍プロトコルの最終温度を変えることについて評価した。AT−1細胞懸濁液の生存度を、Hoechst及びヨウ化プロピジウムを使った膜完全性アッセイによって計測した。約10μlのサンプルを凍結/解凍プロトコル後に採取し、0.01μlのHoechst及び0.01μlのヨウ化プロピジウムと一緒に37℃で15分間インキュベートした。インキュベーション後に、各々のサンプルについて200超の細胞を採点することによって、生存度を蛍光顕微鏡下で評価した。
AT−1細胞を2×NaCl水溶液中に懸濁した。懸濁したAT−1細胞を、冷凍顕微鏡のステージ上で凍結及び解凍プロトコルに供した。詳細なプロトコルは、以下の:i)室温(約20℃)から5℃/分の冷却速度で−25℃に凍結し、ii)−25℃で3分間保持し;そしてiii)130℃/分の加熱速度で室温に解凍する、から成る。2つのAT−1細胞懸濁液グループ間のプロトコルの唯一の違いは、液体窒素に沈めた前もって冷却した針でサンプルの端に触れることで保持ステップ(ステップii)の初めに一方のグループで共晶凝固を起こすことである。3分間の保持時間は、サンプル全体にわたって共晶結晶化を広げるのに十分に長かった。これらの凍結及び解凍条件は、最終温度、−25℃が、共晶凝固温度とNaCl−水の熱力学平衡の共晶温度の間にあるので可能であった。共晶結晶化は、培地を透明から不透明へとはっきりとした不透明度の変化を引き起こすので、各々の実験群において、共晶結晶化の発生又は不発生を視覚的に確認した。
図4は、凍結/解凍プロトコル中の共晶凝固の存在による、2×NaCl水溶液中のAT−1細胞懸濁液の解凍後生存度の変化を示す。たとえAT−1細胞を高緊張生理食塩液に懸濁したとしても、対照AT−1細胞懸濁液の生存度は95%程度に高いままだった。−25℃への凍結/解凍プロトコル後、共晶凝固を受けなかったAT−1細胞の生存度は約64%まで減少した。理論に縛られることを望まないが、これが、高電解質濃度に起因する溶質効果損傷の伝統的な形式である。共晶形成が、−25℃への同じ凍結/解凍、凍結/解凍プロトコル中にサンプルで生じる時、生存度は約17%まで減少した。この場合、共晶凝固は生存度を、それ以外同じ凍結/解凍プロトコルのほぼ50%減少させた。どちらのグループも共晶凝固の発生を除いて同じ熱履歴を経過し同じ最終温度で凍結したので、両装置の細胞は等しく上昇した電解質濃度を受ける。これは、生存度の相違が共晶凝固の発生に関係する損傷によって引き起こされることを示唆する。
実施例2
共晶形成を誘発するために、硝酸カリウム(KNO3)、塩化カリウム(KCl)及び塩化ナトリウム(NaCl)を、以下の表1で要約されるそれらの共晶温度及び濃度に基づいて共晶変更組成物に使用した。これらの塩の各々の共晶変更溶液を半共晶(half eutectic)濃度で準備した(硝酸カリウム溶液が5.4%wt./wt.であり、塩化カリウム溶液が9.85%であり、そして塩化ナトリウム溶液が11.8%のwt./wt.である)。細胞懸濁液を用いた凍結実験において、半共晶濃度溶液を、1(塩溶液):2(培養液)の体積比で細胞培養液(ダルベッコ変性イーグル培地/F−12)と混合した。
共晶形成を誘発するために、硝酸カリウム(KNO3)、塩化カリウム(KCl)及び塩化ナトリウム(NaCl)を、以下の表1で要約されるそれらの共晶温度及び濃度に基づいて共晶変更組成物に使用した。これらの塩の各々の共晶変更溶液を半共晶(half eutectic)濃度で準備した(硝酸カリウム溶液が5.4%wt./wt.であり、塩化カリウム溶液が9.85%であり、そして塩化ナトリウム溶液が11.8%のwt./wt.である)。細胞懸濁液を用いた凍結実験において、半共晶濃度溶液を、1(塩溶液):2(培養液)の体積比で細胞培養液(ダルベッコ変性イーグル培地/F−12)と混合した。
AT−1ラット前立腺腫瘍細胞を、既知の標準的な組織培養条件下、インビトロで培養した。AT−1細胞を各々の共晶変更溶液中に懸濁して、約4℃で保持した。対照における高濃度塩中への混合後の生存度の変化は2時間で5%未満だった。
培養したAT−1細胞を0.05(容量)%のトリプシン及び0.53mMのEDTA中への浸漬によって培養フラスコから分離し、そしてトリプシン終濃度が<0.005(容量)%となるように、5(容量)%のウシ胎仔血清(FBS)追加培地中に懸濁した。懸濁後、前記細胞を遠心沈殿によりペレットにして、過剰な培地を取り除いた。細胞ペレットを、実験前に(約1.0ml)の様々な水溶液中に再懸濁し、そして名目上の細胞濃度は、約2×106細胞/mlであった。前記懸濁液を、1.5ml容マイクロ遠心管中で氷上(約4℃)保存した。
凍結/解凍中の生物物理学的現象を調査するために、DSC(Pyris1、Perkin−Elmer社、Norwalk、CT)を使用した。前記DSCの温度尺度は、シクロヘキサンの2つの異なる転移温度(−85.8℃と6.4℃)により基準化した。前記DSCの熱流の尺度を、5℃/分で解凍中の純水(335J/g)の溶解熱に対して基準化した。
異なる温度で保持され、そして調整可能な隙間によって分離される2つの一定温度のリザーバから成る一方向凝固ステージを実験に使用した。第1のリザーバを0℃を上回る温度(0℃以上)で、そして第2のリザーバを0℃を下回る温度(0℃以下)で保持した。サンプルを、幅3mm、深さ1mmの顕微鏡用微小スライドのウェル上に置いた。ガラス微小スライドを、第1のリザーバ(0℃を上回る温度)から第2のリザーバ(0℃を下回る温度)に厳密に制御された速度で隙間の上を移動させた。微小スライドの速度、隙間のサイズ、及びリザーバの温度を好適に設定することによって、一定の冷却速度と正確な最終温度を細胞懸濁液にかけることができる。
制御された凍結及び解凍速度を、DSC及び一方向凝固ステージによって達成した。別段の言及がない限り、冷却と解凍の速度は5℃/分だった。
一方向凝固ステージに関して、速い解凍速度(約200℃/分)を使用した。急速な解凍速度を得るために、ガラス微小スライドを一方向凝固ステージから取り出し、37℃のアルミニウム・ブロック上に速やかに移した。
一方向凝固ステージに関して、速い解凍速度(約200℃/分)を使用した。急速な解凍速度を得るために、ガラス微小スライドを一方向凝固ステージから取り出し、37℃のアルミニウム・ブロック上に速やかに移した。
様々な培地中、AT−1細胞懸濁液の解凍後の生存度を、一方向凝固ステージ上の凍結及び解凍プロトコルの最終温度を変えることについて評価した。結果を図4Bに示す。要するに、凍結及び解凍プロトコルは、i)サンプルを4℃から最終温度まで5℃/分で凍結させ;そしてii)約200℃/分で37℃にて解凍する、であった。使用した対照溶液は、等張のNaCl−水(1×NaCl−水)溶液と、AT−1培地であった。
異なる温度での細胞懸濁液の共晶凝固を誘発するために、水中、硝酸カリウム(KNO3)(KNO3−水)、又は水中、塩化カリウム(KCl)(KCl−水)の半共晶濃度を、1:2の体積比でAT−1培地と混ぜた(1のKNO3−水又はKCl−水の溶液:2のAT−1培地)。これらの溶液の使用が高浸透圧によるAT−1細胞の過剰な死滅をもたらさないように、これらの溶液の濃度が決定された。これらの試験溶液の対照AT−1細胞の生存度は、約4℃で1時間後に90%超であった。
AT−1細胞懸濁液の生存度を、Hoechst及びヨウ化プロピジウムを使った膜完全性アッセイによって計測した。約10μlのサンプルを凍結/解凍プロトコル後に採取し、0.01μlのHoechst及び0.01μlのヨウ化プロピジウムと一緒に37℃で15分間インキュベートした。インキュベーション後に、各々のサンプルについて200超の細胞を採点することによって、生存度を蛍光顕微鏡下で評価した。
図5は、一方向凝固ステージにおける先に記載の培地によるAT−1細胞懸濁液の解凍後生存度を示す。本明細書中に記載のとおり、共晶凝固の発現温度をDSCを使って計測した。一般的に言えば、懸濁溶液中のAT−1細胞の生存度は、使用した培地にかかわらず最終温度によって減少した。顕著な生存度の低下する温度が各々の懸濁培地の共晶結晶化温度と一致することに留意のこと。1×NaClによるAT−1細胞懸濁液(約−37℃で共晶結晶化の発現)の生存度をKCl注入AT−1細胞懸濁液(約−21℃で共晶結晶化の発現)のそれと比べた時、KCl注入AT−1細胞懸濁液において、−30℃で70%低い生存度であった。
−40℃で、培地中と、1×NaCl−水中のAT−1細胞懸濁液の生存度を比較することによって同様の変化が見られ、ここで1×NaCl−水中の生存度は培地中の生存度より50%低かった。同様に、約−10℃にて、硝酸カリウム(KNO3)注入AT−1細胞懸濁液の生存度と、塩化カリウム(KCl)注入AT−1細胞懸濁液の間にも違いがあり、ここで硝酸カリウム(KNO3)注入培地中のAT−1細胞懸濁液は共晶凝固を受けるが、しかし、塩化カリウム(KCl)注入培地中のAT−1細胞懸濁液はそうではない。この温度(約−10℃)で、塩化カリウム(KCl)注入培地中のAT−1細胞の生存度は、硝酸カリウム(KNO3)注入培地中より10〜20パーセント高かった。高い電解質濃度による伝統的な溶質効果損傷に基づいて、塩化カリウム(KCl)注入培地中の生存度は硝酸カリウム(KNOs)注入培地中より低いはずである。従って、これらの結果は、少なくとも凍結中、細胞に対して共晶凝固が有害だったことを示す。同様に、それらは共晶変更組成物へのより高い共晶温度をもつ他の溶質の追加によって、凍結及び解凍中の直接的な細胞損傷が促進される可能性を示唆する。
実施例3
図6は、本発明の共晶変更組成物により処理されたか、又は処理されていないラット肝臓組織のDSCサーモグラムを示す。実線(500)は、共晶変更組成物によって処理されていないAT−1腫瘍組織のデータを表す。破線(510)は、本明細書中に記載のとおり、半共晶濃度の塩化カリウム(KCl)から成る共晶変更組成物によって処理されたAT−1腫瘍組織のデータを表す。リンク線(一点鎖線)(520)は、本明細書中に記載のとおり、半共晶濃度の塩化ナトリウム(NaCl)から成る共晶変更組成物によって処理されたAT−1腫瘍組織のデータを表す。組織は単離され、そして本明細書中に記載のとおり、凍結(528)、及び加熱(524)(すなわち、解凍)を受けた。
図6は、本発明の共晶変更組成物により処理されたか、又は処理されていないラット肝臓組織のDSCサーモグラムを示す。実線(500)は、共晶変更組成物によって処理されていないAT−1腫瘍組織のデータを表す。破線(510)は、本明細書中に記載のとおり、半共晶濃度の塩化カリウム(KCl)から成る共晶変更組成物によって処理されたAT−1腫瘍組織のデータを表す。リンク線(一点鎖線)(520)は、本明細書中に記載のとおり、半共晶濃度の塩化ナトリウム(NaCl)から成る共晶変更組成物によって処理されたAT−1腫瘍組織のデータを表す。組織は単離され、そして本明細書中に記載のとおり、凍結(528)、及び加熱(524)(すなわち、解凍)を受けた。
注入なしの組織、線(500)は、水/氷相変化に関連する吸熱ピーク(530)、及び放熱ピーク(534)をもつ。しかし、本発明の共晶変更組成物が組織に注入された場合、共に共晶相変化に関連する二次的な吸熱ピーク(538)、及び二次的な放熱ピーク(540)が観察された。この情報に基づいて、生体物質への共晶変更組成物の溶質の注入又は拡散によって共晶結晶化を誘発することができると考えられる。
図7A〜7Fは、一方向凝固ステージによる凍結実験の2日後のAT−1腫瘍組織の組織学プレパラートの像を示す。対照組織は全ての事件(図7A、7C及び7E)において非常に類似している。対照サンプル(図7A)を上回るいくらかの細胞質収縮が、図7C及び7Eにおいて塩注入後に見られるが、しかし総体的な生存度は高いと思われる。サンプルを−20℃に凍らせた後に、全ての凍結サンプルの細胞核の数と質の低下を指摘した(図7B、7D及び7F)。細胞核の変化は、暗化、クロマチンのサイズの減少、細胞核濃縮、そしていくつかの事件において細胞核物質の損失を含む。さらに、凍結塩注入サンプルの細胞膜は、はっきりせず、確認するのが困難である。これらの変更の全てがKNO3及びKCl注入サンプルにおいて強調されているようである。
実施例4
共晶形成を誘発するために、硝酸カリウム(KNO3)を、上記の表1で要約されるその共晶温度及び濃度に基づいて共晶変更組成物に使用した。KNO3の溶液を半共晶(half eutectic)濃度で準備した(硝酸カリウム溶液は5.4%wt./wt.である)。細胞懸濁液を用いた凍結実験において、半共晶濃度溶液を、1(塩溶液):2(培養液)の体積比で細胞培養液(ダルベッコ変性イーグル培地/F−12)と混合した。
共晶形成を誘発するために、硝酸カリウム(KNO3)を、上記の表1で要約されるその共晶温度及び濃度に基づいて共晶変更組成物に使用した。KNO3の溶液を半共晶(half eutectic)濃度で準備した(硝酸カリウム溶液は5.4%wt./wt.である)。細胞懸濁液を用いた凍結実験において、半共晶濃度溶液を、1(塩溶液):2(培養液)の体積比で細胞培養液(ダルベッコ変性イーグル培地/F−12)と混合した。
AT−1細胞を各々の共晶変更溶液中に懸濁して、約4℃で保持した。対照における高濃度塩中への混合後の生存度の変化は2時間で5%未満だった。組織凍結実験のために、皮下注射針を使った組織サンプル中への溶液の注射(約50〜100μl)によって各々の溶液を組織スライスに注入した。注入後に、過剰な溶液を紙タオルで吸い取って取り除いた。
AT−1ラット前立腺腫瘍細胞を、既知の標準的な組織培養条件下、インビトロで培養した。培養したAT−1細胞を0.05(容量)%のトリプシン及び0.53mMのEDTA中への浸漬によって培養フラスコから分離し、そしてトリプシン終濃度が<0.005(容量)%となるように、5(容量)%のウシ胎仔血清(FBS)追加培地中に懸濁した。懸濁後、前記細胞を遠心沈殿によりペレットにして、過剰な培地を取り除いた。細胞ペレットを、実験前に(約1.0ml)の様々な水溶液中に再懸濁し、そして名目上の細胞濃度は、約2×106細胞/mlであった。前記懸濁液を、1.5ml容マイクロ遠心管中で氷上(約4℃)保存した。
AT−1腫瘍を、雄コペンハーゲン・ラット(約250g)(Harlan−Spraque−Dawley,Inc.,Indianapolis,IN)の脇腹部分への100μlのハンク平衡塩類溶液中、2×106AT−1細胞の皮下注射によって播種した。最大寸法が2〜3cmの大きさに腫瘍を増殖させ、そして上記ラットから採取した。同様に、肝臓組織をラットから分離した。採取及び分離の後に、上記組織を培地と共にペトリ皿に移した。凍結実験のために、かみそりの刃又は精密カッターを使って、組織を長さ3mm、幅3mm、厚さ3mmにスライスした。
凍結/解凍中の生物物理学的現象を調査するために、DSC(Pyris1、Perkin−Elmer社、Norwalk、CT)を使用した。前記DSCの温度尺度は、シクロヘキサンの2つの異なる転移温度(−85.8℃と6.4℃)により基準化した。前記DSCの熱流の尺度を、5℃/分で解凍中の純水(335J/g)の溶解熱に対して基準化した。
先に記載のとおり、一方向凝固ステージを実験に使用した。制御された凍結及び解凍速度を、DSC及び一方向凝固ステージによって達成した。別段の言及がない限り、冷却及び解凍速度は50℃/分だった。
一方向凝固ステージに関して、速い解凍速度(約200℃/分)を使用した。急速な解凍速度を得るために、ガラス微小スライドを一方向凝固ステージから取り出し、37℃のアルミニウム・ブロック上に速やかに移した。
一方向凝固ステージに関して、速い解凍速度(約200℃/分)を使用した。急速な解凍速度を得るために、ガラス微小スライドを一方向凝固ステージから取り出し、37℃のアルミニウム・ブロック上に速やかに移した。
様々な培地中、AT−1細胞懸濁液の解凍後の生存度を評価した。単独で約−50℃に冷凍された細胞培地中の組織サンプルに関して、生存度は62.7±7.5%であった、ここで対照サンプル(凍結/解凍手法なし)は98.6%の生存度を有する。半共晶濃度で準備されたKNO3溶液によって処理され、そして約−20℃に冷凍された組織サンプルに関して、生存度は15.2±7.1%であった、ここで対照サンプルは92.1%の生存度を有する。スミスらからの比較的なデータ(Smith,et al.,”A parametric study of freezing injury in AT−1 rat prostate tumor cell”,Cryobiology39,13−28,1999)は、同じ凍結プロトコルによる培地中のAT−1細胞懸濁液の生存度が74.7±4.6%だったことを示す。
図8A及び8Bは、先に記載のとおり、半共晶濃度のKNO3溶液を注入した/注入していないラット肝臓組織のDSCサーモグラムを示す。図8Aは、半共晶濃度のKNO3溶液の注入なしに組織が放熱/吸熱ピーク、それぞれ(700)及び(710)を有することを示す。これらのピーク(700)及び(710)は、水/氷相変化に関係する。しかし、図8Bは、塩溶液(例えば、半共晶濃度のKNO3溶液)が注入される場合、二次的な放熱ピーク(720)が共晶相変化に関連して観察されることを示す。
本明細書中に確認される全ての参考文献を、あたかも各々が別々に援用されたかのようにそれらの全体を援用する。本願発明を、例証する態様を用いて説明し、そして制限的な意味に解釈させるつもりはない。態様の様々な修飾、並びに本発明のさらなる態様は、この記載への言及により当業者にとって明白である。
Claims (34)
- 組織の共晶氷点の変更方法であって、以下の:
共晶凍結を受ける上記組織の少なくとも一部を特定し;そして
上記組織の共晶氷点の変更に有効な期間、量及び種類の共晶変更組成物によって当該組織を処理する、
を含む前記方法。 - 前記の共晶変更組成物によって組織を処理するステップが、共晶凍結を受けるために特定された組織中に上記共晶変更組成物を局在化させることを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記の共晶変更組成物を局在化させるステップが、共晶凍結を受けるために特定された組織中に当該共晶変更組成物を注入することを含む、請求項2に記載の方法。
- 前記組織中の共晶変更組成物の位置を電子的に視覚化することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記の共晶変更組成物によって組織を処理するステップが、当該組織の共晶氷点を上昇させる、請求項1に記載の方法。
- 前記の共晶変更組成物によって組織を処理するステップが、上記共晶変更組成物のための少なくとも1種類の溶質を、当該少なくとも1種類の溶質の共晶濃度以下の濃度で使用することを含む、請求項1に記載の方法。
- 凍結手術の方法であって、以下のステップ:
凍結手術を受ける組織を特定し;
上記組織の少なくとも一部の共晶氷点の変更に効果的な時期、量及び種類の共晶変更組成物によって当該組織を処理し;そして
上記組織の少なくとも一部に共晶形成を引き起こすのに有効な冷却速度で当該組織を冷却する、
を含む前記方法。 - 前記の共晶変更組成物によって組織を処理するステップが、共晶凍結を受けるために特定された組織中に上記共晶変更組成物を局在化させることを含む、請求項7に記載の方法。
- 前記の共晶変更組成物を局在化させるステップが、共晶凍結を受けるために特定された組織中に当該共晶変更組成物を注入することを含む、請求項8に記載の方法。
- 前記組織中の共晶変更組成物の位置を電子的に視覚化することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
- 前記の共晶変更組成物によって組織を処理するステップが、当該組織の共晶氷点を上昇させる、請求項7に記載の方法。
- 前記の共晶変更組成物によって組織を処理するステップが、上記共晶変更組成物のための少なくとも1種類の溶質を、当該少なくとも1種類の溶質の共晶濃度以下の濃度で使用することを含む、請求項7に記載の方法。
- 前記の冷却速度で組織を冷却するステップが、1℃/分以上の緩慢な冷却速度で当該組織を冷却することを含む、請求項7に記載の方法。
- 組織における共晶形成の方法であって、以下のステップ:
上記組織の少なくとも一部の共晶氷点の変更に効果的な時期、量及び種類の共晶変更組成物によって当該組織を処理し;そして
上記組織の少なくとも一部に共晶形成を引き起こすのに有効な冷却速度で当該組織を冷却する、
を含む前記方法。 - 前記の共晶変更組成物によって組織を処理するステップが、共晶凍結を受けるために特定された組織中に上記共晶変更組成物を局在化させることを含む、請求項14に記載の方法。
- 前記の共晶変更組成物を局在化させるステップが、共晶凍結を受けるために特定された組織中に当該共晶変更組成物を注入することを含む、請求項15に記載の方法。
- 前記組織中の共晶変更組成物の位置を電子的に視覚化することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
- 前記の共晶変更組成物によって組織を処理するステップが、当該組織の共晶氷点を上昇させる、請求項14に記載の方法。
- 前記の共晶変更組成物によって組織を処理するステップが、上記共晶変更組成物のための少なくとも1種類の溶質を、当該少なくとも1種類の溶質の共晶濃度以下の濃度で使用することを含む、請求項14に記載の方法。
- 前記の冷却速度で組織を冷却するステップが、1℃/分以上の緩慢な冷却速度で当該組織を冷却することを含む、請求項14に記載の方法。
- 哺乳動物の局所領域内での使用のための組成物であって、哺乳動物の局所領域において組織の共晶氷点を変更するのに有効な少なくとも1種類の溶質を有効成分として含む前記組成物。
- 医薬として許容される溶剤であって、前記少なくとも1種類の溶質がその少なくとも1種類の溶質の共晶濃度以下の量でその中に存在する前記溶剤をさらに含む、請求項21に記載の組成物。
- 前記少なくとも1種類の溶質が塩化ナトリウムである、請求項22に記載の組成物。
- 前記の組織の共晶氷点を変更することが、哺乳動物の局所領域の共晶氷点を上げることを含む、請求項21に記載の組成物。
- 前記組成物が造影剤をさらに含む、請求項21に記載の組成物。
- 以下の:
共晶濃度において、溶液時に塩化ナトリウムのそれ以上の共晶凍結温度を有する、組織の共晶氷点を変更するのに有効である少なくとも1種類の溶質、及び
上記少なくとも1種類の溶質を、その少なくとも1種類の溶質の共晶濃度以下の量でその中に溶解することができる医薬として許容される溶剤、
を含む共晶変更組成物。 - 前記組成物が造影剤をさらに含む、請求項26に記載の共晶変更組成物。
- 前記少なくとも1種類の溶質が、組織の共晶氷点を上げるのに有効である、請求項26に記載の共晶変更組成物。
- 組織の共晶氷点を変更するための装置であって、以下の:
共晶濃度において、溶液時に塩化ナトリウムのそれ以上の共晶凍結温度を有する、組織の共晶氷点を変更するのに有効である少なくとも1種類の溶質、及び上記少なくとも1種類の溶質を、その少なくとも1種類の溶質の共晶濃度以下の量でその中に溶解することができる医薬として許容される溶媒を含む共晶変更組成物;並びに
上記共晶変更組成物がその内腔を通って移動することができる内腔をもつカテーテル、
を含む前記装置。 - 前記組成物が造影剤をさらに含む、請求項29に記載の装置。
- 前記少なくとも1種類の溶質が、組織の共晶氷点を上げるのに有効である、請求項29に記載の装置。
- 凍結手術による破壊のための装置であって、以下の:
共晶濃度において、溶液時に塩化ナトリウムのそれ以上の共晶凍結温度を有する、組織の共晶氷点を変更するのに有効である少なくとも1種類の溶質、及び上記少なくとも1種類の溶質を、その少なくとも1種類の溶質の共晶濃度以下の量でその中に溶解することができる医薬として許容される溶媒を含む共晶変更組成物;
上記共晶変更組成物がその内腔を通って凍結手術による破壊位置に移動することができる内腔をもつカテーテル;並びに
凍結手術位置において組織が共晶凍結を受けるのに十分な速度で凍結手術位置から熱エネルギーを奪うことができるプローブ、
を含む前記装置。 - 前記組成物が造影剤をさらに含む、請求項32に記載の装置。
- 前記少なくとも1種類の溶質が、組織の共晶氷点を上げるのに有効である、請求項32に記載の装置。
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