JP2005531291A - Pmsr相同体を使用する超変異性細胞の作成方法 - Google Patents

Pmsr相同体を使用する超変異性細胞の作成方法 Download PDF

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Abstract

共通の配列モチーフを有するPMS2相同体を使用する細胞を超変異性にする方法が開示される。本発明のPMS2相同体はATPアーゼ様モチーフを有し、そしてPMS2−134に最低約90%同一である。変異体ライブラリーの生成方法ならびに癌についての診断および治療の応用でのPMS2相同体の使用方法もまた開示される。

Description

本出願は2002年2月21日出願の米国仮出願第60/358,578号明細書(その開示はそっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)の利益を主張する。
本発明はミスマッチ修復遺伝子の領域に関する。具体的には、それは、ドミナントネガティブのミスマッチ修復遺伝子を使用する超変異性(hypermutable)細胞の生成の分野に関し、ここで、該ミスマッチ修復遺伝子によりコードされるタンパク質はATPアーゼのコンセンサス配列を含んでなる。
過去4年以内に、遺伝性非ポリープ性結腸直腸癌症候群(HNPCC)(リンチ症候群II型としてもまた知られる)の遺伝的原因が、該疾患に冒された家系の大多数について確かめられた(非特許文献1)。HNPCCの分子的基礎は不完全なミスマッチ修復(MMR)由来の遺伝的不安定性を伴う。今日まで、mutS相同体(homolog)GTBP、hMSH2、hMSH3ならびにmutL相同体hMLH1、hPMSIおよびhPMS2を包含するMMRの過程中のタンパク質をコードしかつそれに参画すると思われる6遺伝子がヒトで同定されている(非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8)。これらの遺伝子の機能に影響を及ぼす突然変異すなわち後成的変化が、上に列挙された相同体の全部について、マイクロサテライトの不安定性(MI)(MMR欠損による一、二もしくは三ヌクレオチド反復中の「翻訳スリップ突然変異」から生じるある型のゲノムの不安定性)を表す腫瘍組織中で報告されている(非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11)。これらの遺伝子の全部中の生殖系列突然変異がHNPCCの家系で同定されている(非特許文献2;非特許文献4;非特許文献1;非特許文献5;非特許文献8)一方、MIを表す腫瘍型が既知のMMR遺伝子のいずれか中の突然変異を欠く多くの例が存在し、MMR過程に関与する付加的遺伝子の存在を示唆している(個人的観察結果;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14)。HNPCC患者で生じる事実上全部の腫瘍におけるその発生に加え、MIは、多くの異なる組織型から発する独特の分子および表現型の特性をもつ散発性腫瘍の1サブセットにおいてもまた見出され、他の癌の型における不完全なMMRの拡大された関与のためのある役割を示唆している(非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16)。
MMR欠損から生じる変異誘発体(mutator)欠損はいずれかのDNA配列に影響を及ぼし得るとはいえ、マイクロサテライト配列はMMR異常に対しとりわけ感受性である(非特許文献17)。マイクロサテライトの不安定性(MI)は従って不完全なMMRの有用な指標である。HNPCC患者で生じる事実上全部の腫瘍におけるその発生に加え、MIは独特の分子および表現型の特性をもつ散発性腫瘍の小さな部分で見出される(非特許文献10)。
HMPCCは常染色体ドミナントの様式で遺伝され、その結果、冒された家族メンバーの正常細胞は、関連するMMR遺伝子の1変異体アレル(冒された親から遺伝される)および1野性型アレル(冒されていない親から遺伝される)を含有する。しかしながら、腫瘍発生の初期段階の間に、野性型アレルは体細胞突然変異により不活性化されて機能的なMMR遺伝子をもたない細胞を残し、そしてMMR活性の大きな欠陥をもたらす。体細胞突然変異は、生殖系列突然変異に加えて腫瘍細胞中で不完全なMMRを生成させるのに必要とされるため、この機構は一般に、他の遺伝性癌を開始させる腫瘍抑制遺伝子の二対立遺伝子的不活性化に類似の2ヒットを伴うものと称されている(非特許文献4;非特許文献1;非特許文献18)。この2ヒット機構と一致して、HMPCC患者の非腫瘍性細胞は一般に、野性型アレルの存在により正常レベル近くのMMR活性を保持する。
遺伝的研究は、PMS2を包含するミスマッチ修復(MMR)遺伝子の不活性化がヒトおよびげっ歯類組織中での遺伝的不安定性および腫瘍形成性をもたらすことを明確に示した。大多数の症例において、MMRスペルチェック系(腫瘍抑制アレルの不活性化の「2ヒット」仮説に類似である過程)の1成分を完全にノックアウトするために特定の1MMR遺伝子の双方のアレルの不活性が必要とされる。正常および腫瘍性組織中の突然変異されたMMR遺伝子のスクリーニングに焦点をあてた独立した研究が、MMR遺伝子の単一の突然変異されたアレルのみが腫瘍に関連して見出された2症例を除き、2ヒット仮説を確認した。このアレルはコドン134にナンセンス突然変異を含有するPMS2遺伝子であり、これは細胞のMMR活性に対するドミナントネガティブな影響を導き出すことが可能な133アミノ酸のタンパク質をコードする短縮型ポリペプチドをもたらす。この仮説は、それ以外はMMRに熟達した哺乳動物細胞のMMR活性に対するドミナントネガティブな影響を引き起こすPMS134タンパク質の能力を示すその後の研究により確認された。
PMS134の短縮型ドメインはPMSR2およびPMSR3タンパク質のコーディング領域に高度に相同性であり、タンパク質レベルで90%以上の同一性を共有する。しかしながら、PMSR2およびPMSR3は正常組織中で発現されるとは思われず、また、HMPCCと関連することが示されていない。
野性型タンパク質もしくはそのフラグメントの過剰発現または該タンパク質の特定のタンパク質ドメインへの突然変異の導入(いわゆるドミナントネガティブの阻害性変異体)のいずれかによる遺伝子産物機能の操作によりシグナル伝達経路を変える能力は、Herskowitz(非特許文献19)により酵母の系、ビール酵母菌(Saccharomyces cerevisiae)で10年にわたって記述された。野性型遺伝子産物の過剰発現が、最もありそうには低レベルで存在しかつ活性に必要であるタンパク質のようなある因子の「飽和(saturating−out)」により類似のドミナントネガティブの阻害性表現型をもたらし得;高レベルのその同族のパートナーへの結合によるタンパク質の除去が同一の正味の影響をもたらし、タンパク質および関連するシグナル伝達経路の不活性化に至る。最近、Nicolaidesら(非特許文献20;特許文献1)によりなされた研究は、包括的DNA超変異性を賦与するための哺乳動物細胞中へのドミナントネガティブの阻害性ミスマッチ修復変異体の導入の利用性を示した。MMR過程を操作しかつ従ってこの例では哺乳動物細胞中の標的の宿主ゲノムの変異性を随意に増大させる能力は、元の野性型細胞の革新的な細胞サブタイプもしくはバリアントの生成を可能にする。これらのバリアントは指定される所望の選択過程下に置くことができ、その結果は変えられた生物学的分子(1種もしくは複数)を発現しかつ新たな特質を有する新規生物体である。細菌細胞中のMMRアレルを包含する1遺伝子のドミナントネガティブのアレルの創製かつ導入という概念は、遺伝的に変えられた原核生物のミスマッチ修復遺伝子をもたらすことが報告されている(非特許文献21;非特許文献22;非特許文献23)。
さらに、変えられたMMR活性は、酵母、哺乳動物細胞および植物を包含する多様な種からのMMR遺伝子が過剰発現される場合に示されている(非特許文献3;非特許文献24;非特許文献25;非特許文献26)。
最近、Guarneら(非特許文献27)はMLH1およびPMS2のヘテロ二量体MutLαのATPアーゼ機能を記述した。GuarneらはPMS2の三次元構造を研究し、そしてATP結合および加水分解に参画する分子の部分を決定した。Guarneらは、二量体化およびATPアーゼ活性がおそらくMMR機能に必要とされると仮定した。しかしながら、Guarneらは彼らの知見がミスマッチ修復のドミナントネガティブの表現型にどのように関係するかを教示もしくは示唆していない。
それらの作動の特徴および能力を増大させるための細胞の遺伝的操作方法に対する当該技術分野における継続的必要性が存在する。この目的のため、超変異性細胞の生成における使用のためにドミナントネガティブな影響を賦与するMMR遺伝子を理解、開発および設計することの当該技術分野における必要性が存在する。
Nicolaidesらへの米国特許第6,146,894号明細書 Liu,B.ら(1996)Nat.Med.2:169−174 Bronner,C.E.ら(1994)Nature 368:258−261 Fishel,R.ら(1993)Cell 7:1027−1038 Leach,F.S.ら(1993)Cell 75:1215−1225 Nicolaides,N.C.ら(1994)Nature 371:75−80 Nicolaides,N.C.ら(1996)Genomics 31:395−397 Palombo,F.ら(1995)Science 268:1912−1914 Papadopoulos,N.ら(1994)Science 263:1625−1629 Jiricny,J.とM.Nystrom−Lahti(2000)Curr.Opin.Genet.Dev.10:157−161 Perucho,M.(1996)Biol.Chem.377:675−684 Strand,M.ら(1993)Nature 365:274−276 Nagy,M.ら(2000)Leukemia 14:2142−2148 Peltomaki P.(2001)Hum.Mol.Genet.10:735−740 Wang Y.ら(2001)Int.J.Cancer 93:353−360 Starostik P.ら(2000)Am.J.Pathol.157:1129−1136 Chen Y.ら(2001)Cancer Res.61:4112−4121 Modrich,P.(1994)Science 266:1959−1960 Parsons,R.ら(1993)Cell 75:1227−1236 Herskowitz(1987)Nature 329(6136):219−222 Nicolaides N.C.ら(1998)Mol.Cell.Biol.18:1635−1641 Aronshtam A.とM.G.Marinus(1996)Nucl.Acids Res.24:2498−2504 Wu T.H.とM.G.Marinus(1994)J.Bacteriol.176:5393−400 Brosh R.M.Jr.とS.W.Matson(1995)J.Bacteriol.177:5612−5621 Studamire B.ら(1998)Mol.Cell.Biol.18:75907601 Alani E.ら(1997)Mol.Cell.Biol.17:2436−2447 Lipkin S.M.ら(2000)Nat.Genet.24:27−35 Guarneら(2001)EMBO J.20(19):5521−5531
[発明の要約]
本発明は、配列番号23のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなるPMS2相同体を細胞に導入してそれにより細胞を超変異性にすることを含んでなる、細胞を超変異性にする方法を提供し、ここで該PMS2相同体はPMSR2およびPMSR3以外である。
本発明はまた、ポリペプチド(ここで該ポリペプチドは配列番号23のアミノ酸配列を含んでなる)をコードするヌクレオチド配列を含んでなるPMS2相同体を、目的の1遺伝子を含有する細胞中に導入してそれにより前記細胞を超変異性にすること(ここで該PMS2相同体はPMSR2およびPMSR3以外である)、ならびに目的の前記遺伝子中の1突然変異を含んでなる変異体細胞を選択することを含んでなる、目的の1遺伝子中での突然変異の作成方法も提供する。
本発明はまた、超変異性細胞を創製するための細胞中への導入のためのドミナントネガティブのMMR遺伝子の作成方法も提供する。該ドミナントネガティブのMMR遺伝子は、配列番号23のアミノ酸配列を含んでなるタンパク質をコードしかつPMS2−134(配列番号13)と最低約90%の相同性を共有する。
本発明はまた、突然変異された遺伝子のライブラリーの生成方法も提供する。本発明の該方法の態様において、PMS2相同体のドミナントネガティブなアレルが細胞中に導入されてそれにより該細胞は超変異性となる。該細胞は遺伝子中に突然変異を蓄積し、そして細胞の一集団は従って安定なゲノムをもつ野性型細胞に比較して突然変異された遺伝子のライブラリーを含みうる。
本発明の該方法のいくつかの態様において、該ポリペプチドは配列番号24のアミノ酸配列を含んでなる。いくつかの態様において、該ポリペプチドは保存されたATPアーゼドメインを有する。本発明の該方法のいくつかの態様において、PMS2相同体はPMSR6である。本発明の該方法のある態様において、PMSR6ポリペプチドは配列番号22のアミノ酸配列を含んでなりかつ配列番号21のポリヌクレオチド配列によりコードされる。
本発明の該方法のいくつかの態様において、PMS2相同体はさらに、MLH1と二量体化することの不能をもたらす短縮を含んでなる。これは、例えばGuarneら(2001)EMBO J.20(19):5521−5531により記述されかつ図2に示されるところの、E’ α−へリックスからC末端、E α−へリックスからC末端、F α−へリックスからC末端、G α−へリックスからC末端、H’ α−へリックスからC末端、H α−へリックスからC末端、もしくはI α−へリックスからC末端からの短縮でありうる。
本発明の方法は真核生物細胞、とりわけ原生動物、酵母、昆虫、脊椎動物、および哺乳動物、とりわけヒトからの細胞に使用してよい。本発明の方法は細菌細胞のような原核生物細胞にもまた使用してよく、そして植物細胞に使用してよい。
本発明の方法はまた、ミスマッチ修復単独を混乱させることにより観察されるものを上回って突然変異の率を増大させるように化学物質変異原もしくは放射線で細胞を処理することを含んでもよい。
本発明の超変異性細胞は、所望の表現型を賦与する目的の遺伝子中の突然変異を検出するためにスクリーニングしてよい。該細胞は、該細胞の核酸、タンパク質もしくは表現型を検査することによりスクリーニングしてよい。
本発明の該方法のいくつかの態様において、遺伝的安定性が超変異性細胞に復帰されるかもしれず、それによりさらに誠実に増殖しうる、目的の遺伝子中に突然変異を含んでなる細胞を維持することができる。
本発明はまた、配列番号23のアミノ酸配列を含んでなるPMS2相同体をコードするポリヌクレオチドの発現を検出するために配列番号23のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列と前記サンプルを接触させることを含んでなる、新形成を検出するための細胞のアッセイ方法も提供し、ここで前記PMS2相同体の発現は新形成と関連する。PMS2相同体の検出は、限定されるものでないがノーザンブロット分析およびRT−PCRを挙げることができる当該技術分野で既知のいかなる手段によって達成してもよい。
本発明はまた、PMS2相同体もしくはそのペプチドフラグメントに反応する抗体と前記サンプルを接触させること;およびPMS2相同体もしくはそのペプチドフラグメントとともに形成された抗体複合体の存在を検出してそれにより前記サンプル中の前記PMS2相同体の存在を検出することを含んでなる、新形成を検出するための細胞のアッセイ方法も提供し、ここで前記PMS2相同体の存在は新形成と関連する。PMS2相同体の検出方法は、限定されるものでないがラジオイムノアッセイ、ウェスタンブロット、免疫蛍光アッセイ、酵素免疫測定法(ELISA)および化学発光アッセイを挙げることができる当該技術分野で既知のいずれの手段によってもよい。
本発明はまた、PMS2相同体関連の新形成を伴う患者を同定すること、前記PMS2相同体の発現の阻害剤を前記患者に投与することを含んでなる、癌を伴う患者の治療方法も提供し、ここで前記阻害剤は前記PMS2相同体関連の新生物における前記PMS2相同体の発現を抑制する。こうした新形成は例えばリンパ腫を包含する。PMS2相同体発現の阻害剤は、PMS2相同体を特異的に結合するアンチセンスヌクレオチド、リボザイム、抗体フラグメントおよびATPアーゼ類似物を包含する。
[発明の詳細な説明]
本発明はATPアーゼのコンセンサス配列をもつミスマッチ修復遺伝子の誘導体を使用して細胞を超変異性にする方法を提供する。このコンセンサス配列は、宿主細胞にトランスフェクトされる場合にミスマッチ修復のドミナントネガティブな表現型を賦与する多数のPMS2相同体中に存在する。
PMSR2およびPMSR3のようなPMS2相同体はタンパク質のmutLミスマッチ修復ファミリーの相同体をコードする。PMSR2およびPMSR3双方のタンパク質は、例えばヒトPMS2遺伝子およびそのコードされるポリペプチドのN末端に高度に相同性である。機能研究は、PMSR2もしくはPMSR3 cDNAがMMRに熟練した哺乳動物細胞中で発現される場合にこれらの相同体のいずれもドミナントネガティブな様式でMMRを不活性化することが可能であり遺伝的不安定性に至ることを示している(図5を参照されたい)。
予備的遺伝子発現研究は、PMSR2もしくはPMSR3遺伝子が非腫瘍性組織中で発現されず、また、マイクロサテライトの不安定性(MMR欠損の特質)を表すバーキットリンパ腫起源のヒトリンパ腫細胞株の1サブセット中でのみ検出されることを見出している(図3および4を参照されたい)。
本発明は、ドミナントネガティブな様式でMMR活性を低下させるよう機能するPMS2相同体をコードするポリヌクレオチド配列を細胞中に導入することによる、超変異性細胞の生成における使用のための、PMS134、PMSR2およびPMSR3の保存されたドメインを含んでなりかつATPアーゼドメインの保存された部分を共有するPMS2相同体の使用に向けられる。
コンセンサス配列、およびATPアーゼドメインの構造的特徴を包含するPMS2のN末端ドメインに対する相同性を含んでなるタンパク質がドミナントネガティブのミスマッチ修復阻害剤として機能することが発見された。特定の一態様において、PMSR6発現は細胞中のMMR欠損のドミナントネガティブの表現型を賦与する。
配列番号23もしくは配列番号24のコンセンサス配列を含んでなりかつPMS2−134と最低約90%の相同性を有する一部分を含んでなるタンパク質が、細胞中に導入される場合にドミナントネガティブの表現型およびMMR活性の低下を賦与し得ることがさらに発見された。いくつかの態様において、PMS2相同体はATPアーゼドメインを含んでなる。PMS2相同体はさらに、PMS2−134に相同であるドメインおよび異種である部分を含んでなるキメラもしくは融合タンパク質のようなMMRタンパク質以外であるドメインを含んでもよい。
本明細書で使用されるところの「PMS2相同体」という用語はAVKE LVENSLDAGA TN(配列番号23)のコンセンサス配列を有するポリペプチド配列を指す。いくつかの態様において、PMS2相同体はLRPNAVKE LVENSLDAGA TNVDLKLKDY GVDLIEVSGN GCGVEEENFE(配列番号24)のポリペプチド配列を含んでなる。PMS2相同体はこの構造的特徴を含んでなり、また、作動のいずれか特定の理論により拘束されることを願わない一方、この構造的特徴は既知のATPアーゼとの高い相同性によりATPアーゼ活性と相関すると考えられている。この構造的特徴および相互に関連づけられる機能の知識、ならびに本明細書に提供される代表的な数の例は、本発明の方法でどのタンパク質を使用してよいかを当業者に容易に同定させることができる。
本明細書で使用されるところの「PMS2相同体をコードする核酸配列」は、ATPアーゼコンセンサス配列モチーフを有しかつ細胞中で発現される場合に該細胞中でのミスマッチ修復の活性を低下させるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を指す。PMS2相同体をコードする核酸配列は、細胞中に導入しかつ発現される場合に、内因性のミスマッチ修復媒介性のDNA修復活性の有効性を低下させることにより自発的突然変異の率を増大させ、それにより該細胞を遺伝的変化に対し高度に感受性にする(すなわち細胞を超変異性とする)。超変異性細胞は、その後、野性型細胞中で見出されない発現特質(output trait)(1種もしくは複数)を表すバリアント同胞中での1遺伝子もしくは一組の遺伝子中の突然変異についてスクリーニングするのに利用し得る。PMS2相同体は変えられたミスマッチ修復遺伝子であってよいか、もしくは、細胞中で過剰発現される場合は損なわれたミスマッチ修復活性をもたらすミスマッチ修復遺伝子であってよい。
PMS2相同体をコードする核酸配列を細胞中に導入しかつ発現させる。該細胞のミスマッチ修復活性が低下され、そして該細胞は超変異性となる。いくつかの態様において、細胞をさらに化学物質変異原とともにインキュベートして突然変異の率をさらに高めてもよい。
MMR欠損が宿主の内在性のDNA突然変異率の約1000倍の増大に至る可能性があることが報告されている一方、MMR欠損単独で、新たな活性(1種もしくは複数)をもつ変えられた生化学物質(biochemicals)を創製するように宿主細菌のDNA内のすべての遺伝子を変えるのに十分であることができるという保証は存在しない。従って、臭化エチジウム、EMS、MNNG、MNU、タモキシフェン、8−ヒドロキシグアニンのような化学物質変異原およびそれらのそれぞれの類似物、ならびに:Khromov−Borisov,N.N.ら(1999)Mutat.Res.430:55−74);Ohe,T.ら(1999)Mutat.Res.429:189−199);Hour,T.C.ら(1999)Food Chem.Toxicol.37:569−579);Hrelia,P.ら(1999)Chem.Biol.Interact.118:99111);Garganta,F.ら(1999)Environ.Mol.Mutagen.33:75−85);Ukawa−Ishikawa S.ら(1998)Mutat.Res.412:99−107;www.ehs.utah.edu/ohh/mutagensなどに教示されるもののような他者の使用は、突然変異の範囲をさらに拡大しかつ所望の新たな発現特質(1種もしくは複数)をもつ宿主細胞を順に生成させ得る1種もしくはそれ以上の遺伝子中の変化を得る見込みを増大させるために使用し得る。ミスマッチ修復欠損は、DNA損傷活性をもつ化学物質による毒性に対する増大された抵抗性をもつ宿主に至る。この特徴は、ミスマッチ欠損細胞がこうした作用物質に曝露される場合に、こうした化学物質変異原の毒性の影響によりそうでなければ不可能であるとみられる付加的な遺伝的に多彩な宿主の創製を可能にする[Colella,G.ら(1999)Br.J.Cancer 80:338−343);Moreland,N.J.ら(1999)Cancer Res.59:2102−2106);Humbert,O.ら(1999)Carcinogenesis 20:205−214);Glaab,W.E.ら(1998)Mutat.Res.398:197−207]。
PMS2相同体でトランスフェクトしてよい細胞はいかなる原核生物もしくは真核生物細胞も包含する。原核生物細胞は多様な属の細菌細胞であってよい。
他の態様において、細胞は限定されるものでないが昆虫細胞、原生動物、酵母、真菌、脊椎動物細胞(例えば魚類、鳥類、は虫類および両生類細胞のような)、哺乳動物細胞(例えばヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類、ヤギ、ウマ、ウシおよびヒツジ細胞を包含する)を挙げることができる真核生物細胞である。
他の態様において、植物細胞をPMS2相同体でトランスフェクトして該植物細胞を超変異性にしてもよい。
細胞が一旦超変異性にされれば、細胞のゲノムは目的の遺伝子中の突然変異を包含する突然変異を蓄積し始めることができる。目的の遺伝子中の突然変異は、選択し得る望ましい新たな表現型をこれらの遺伝子に賦与するかもしれない。制限しない一例として、タンパク質をコードする遺伝子中の突然変異は該タンパク質をより高レベルで発現されるようにするかもしれない。別の制限しない例として、抗体および酵素のようなタンパク質は、それぞれそれらの抗原もしくは基質に対するより高い親和性のような変えられた結合の特徴を有するかもしれない。こうした変えられた表現型はスクリーニングすることができ、そして、該遺伝子を含有しかつ変えられた表現型を表す細胞をさらなる培養のため選択してよい。
新たな表現型を伴う目的の遺伝子を含有する細胞のゲノムは、トランスフェクトされたPMS2相同体の影響を相殺することにより遺伝的に安定にされるかもしれない。当業者は、PMS2相同体を含有するプラスミドの細胞を「キュアリング」、つまりPMS2相同体がもはや発現されないように細胞内のPMS2相同体を破壊しうる。薬物圧下でのみ細胞中で維持されるプラスミドを使用して、PMS2相同体をもつ細胞を培養してよい。薬物圧を除去する場合に、該細胞は該プラスミドを喪失する傾向がある。他の態様において、誘導可能な発現ベクターを使用してPMS2相同体を発現させてもよい。その後、誘導物質分子を取り上げてゲノムを安定化させることができる。
本明細書で使用されるところの、「ミスマッチプルーフリーディング」ともまた呼ばれる「ミスマッチ修復」という用語は、細菌のような原核生物細胞からより複雑な哺乳動物細胞までほど異質な細胞で報告されているタンパク質複合体により実施される進化上高度に保存された過程を指す(Modrich,P.(1994)Science 266:1959−1960;Parsons,R.ら(1995)Science 268:738−740;Perucho,M.(1996)Biol Chem.377:675−684)。ミスマッチ修復遺伝子はこうしたミスマッチ修復複合体のタンパク質の1種をコードする遺伝子である。いずれかの特定の作用機序理論により拘束されることを欲しないとは言え、ミスマッチ修復複合体はヌクレオチド塩基の非相補的対形成から生じるDNAらせんの歪みを検出すると考えられている。より新しいDNA鎖上の非相補的塩基が取り出され、そして該取り出された塩基がより古いDNA鎖に相補的である適切な塩基で置換される。こうして、細胞は、DNA複製中の誤りの結果として起こる多くの突然変異を排除して、親細胞由来の同胞細胞の遺伝的安定性をもたらす。
数種の野性型アレル、ならびにドミナントネガティブのアレルは、同一細胞中の野性型アレルの存在下であってもミスマッチ修復欠損表現型を生じさせる。ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブのアレルの一例は、コドン134に短縮突然変異を持つヒト遺伝子hPMS2−134である(Parsons,R.ら(1995)Science 268:738−740;Nicolaides N.C.ら(1998)Mol.Cell.Biol.18:1635−1641)。突然変異はこの遺伝子の産物を134番目のアミノ酸の位置で異常に終止させ、N末端の133アミノ酸を含有する短縮されたポリペプチドをもたらす。こうした突然変異は、DNA複製後に細胞中に蓄積する突然変異の率の増大を引き起こす。ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブのアレルの発現は、野性型アレルの存在下であってもミスマッチ修復活性の減損をもたらす。こうした影響を生じさせるいかなるPMS2相同体も、それが野性型であろうと変えられていようと、それが哺乳動物、酵母、真菌、両生類、昆虫、植物、細菌由来であろうとキメラもしくは融合タンパク質として設計されていようと、本発明で使用し得る。
例えば宿主MMRの供給源となりうる酵母は突然変異されていてももしくはされていなくてもよい。本出願で使用される「酵母」という用語は、限定されるものでないがサッカロミセス属(Saccharomyces)種、ピキア属(Pichia)種、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)種、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)種および他の真菌を挙げることができる真核生物界からのいかなる株も含んでなる(Gellissen,G.とHollenberg,C.P.(1997)Gene 190(1):87−97)。これらの生物体は例えば化学物質変異原もしくは放射に曝露し得、そして不完全なミスマッチ修復についてスクリーニングし得る。ミスマッチ修復タンパク質をコードするいかなる細胞からのゲノムDNA、cDNA、mRNAもしくはタンパク質も野性型配列からの変異について分析し得る。PMS2相同体のドミナントネガティブのアレルもまた、例えば、タンパク質の一部分が配列番号23もしくは配列番号24のコンセンサス配列を含んでなり、PMS2−134と約90%のアミノ酸相同性を有する、および異種アミノ酸配列である別の部分の融合タンパク質もしくはキメラタンパク質を創製することにより人工的に創製し得る。
部位特異的突然変異誘発の多様な技術を使用し得る。超変異性酵母の生成における使用のためのこうしたアレル(天然であれ人工的であれ)の適合性は、(Nicolaides N.C.ら(1998)Mol.Cell.Biol.18:1635−1641に記述される方法を使用して)1種もしくはそれ以上の野性型アレルの存在下での該アレルにより引き起こされるミスマッチ修復活性を試験してそれがドミナントネガティブのアレルであるかどうかを決定することにより評価し得る。
ミスマッチ修復遺伝子の野性型ミスマッチ修復アレルもしくはドミナントネガティブのアレルを過剰発現する細胞は超変異性になることができる。これは、こうした細胞の自発的突然変異率がこうしたアレルを伴わない細胞に比較して上昇されることを意味している。自発的突然変異率の上昇の程度は、1時間あたりの細胞倍加の関数として測定されるところの正常細胞のものの最低2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、200倍、500倍もしくは1000倍であり得る。
本発明の一局面によれば、PMS2相同体をコードするポリヌクレオチドを例えば哺乳動物細胞、脊椎動物細胞、植物細胞もしくは酵母のような細胞中に導入する。該遺伝子はPMS2相同体でありかつドミナントネガティブである。PMS2相同体は天然に存在し得るか、もしくは実験室で作成し得る。ポリヌクレオチドはゲノムDNA、cDNA、RNA、または化学的に合成されたポリヌクレオチドもしくはポリペプチドの形態であり得る。該分子は、形質転換、電気穿孔法、交接、粒子砲撃法、もしくは文献中に記述される他の方法により細胞中に導入し得る。
形質転換は、本明細書で、それによりポリヌクレオチドもしくはポリペプチドが細胞中に導入されるいずれかの方法として使用される。形質転換の方法は細胞の懸濁液を使用して酵母培養物中で実施し得る。
一般に、形質転換は細胞の懸濁液を使用して実施することができるが、しかし、他の方法もまた、処理された細胞の十分な部分がトランスフェクトされた細胞を増殖かつ利用させるように該ポリヌクレオチドもしくはポリペプチドを取り込む限りは使用可能である。ポリヌクレオチドのタンパク質産物は細胞中で一過性にもしくは安定に発現されてよい。形質転換の技術は当業者に公知である。細胞中にポリヌクレオチドもしくはポリペプチドを導入するのに利用可能な技術は、限定されるものでないが電気穿孔法、ウイルス形質導入、細胞融合、スフェロプラストもしくは化学的にコンピテントな細胞(例えば塩化カルシウム)の使用、および目的の細胞との融合のための脂質と一緒のポリヌクレオチドのパッケージングを挙げることができる。細胞がミスマッチ修復遺伝子もしくはタンパク質で一旦形質転換されれば、該細胞を液体培養物中もしくはペトリ皿のような固形アガーマトリックス上のいずれかで増殖させかつ操作し得る。トランスフェクトした細胞が安定である場合、遺伝子は多くの細胞世代について一貫したレベルで発現されることができ、そして安定な超変異性酵母株が生じる。
単離された酵母細胞は、発現ベクターの抗生物質選択を使用して株を化学的に選択することにより酵母培養物から得ることができる。酵母細胞が単一細胞由来である場合はそれをクローンと定義する。酵母のような微生物の単一細胞クローニング技術は当該技術分野で公知である。
PMS2相同体をコードするポリヌクレオチドは、酵母のゲノム中に導入し得るか、もしくは2−μプラスミドのような染色体外プラスミド上で増殖させ得る。ミスマッチ修復遺伝子発現ベクターをもつクローンの選択は、適切なアミノ酸もしくは記述されるところの(Schneider,J.C.とL.Guarente(1991)Methods in Enzymology 194:373)他の必須栄養素を欠く合成完全培地上で細胞をプレーティングすることにより達成し得る。酵母は、限定されるものでないがサッカロミセス属(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)、ピキア属(Pichia)、ハンセヌラ属(Hansenula)、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)および他者を包含する属を挙げることができるトランスジェニック微生物を生じさせるのに適する技術が利用可能であるいかなる種でもあり得る。
当該技術分野で既知のトランスジェニック酵母のいかなる作成方法も使用し得る。トランスジェニック微生物の1製造方法によれば、当業者に公知の方法の一によりポリヌクレオチドを酵母中に導入する。次に、ミスマッチ修復遺伝子をコードするポリヌクレオチドが安定な実体として宿主ゲノム中に取り込まれるかもしくは自己複製する染色体外プラスミド上で増殖するかのいずれかでありかつ該ポリヌクレオチドフラグメントによりコードされるタンパク質が細胞内で転写されかつその後機能的タンパク質に翻訳される細胞について選択する条件下で、該酵母培養物を増殖させる。トランスジェニック酵母が発現構築物をもつように一旦工作すれば、その後それを増殖させてトランスジェニック酵母の培養物を生成させかつ無期限に持続する。
PMS2相同体を発現するように安定なトランスジェニック細胞を一旦工作すれば、該細胞を培養して同一細胞内に保持される目的の1種もしくはそれ以上の遺伝子中で新規突然変異を創製し得る。目的の遺伝子は細胞により天然に有されるいかなる遺伝子、もしくは標準的組換えDNA技術により細胞宿主中に導入されたものであり得る。標的遺伝子(1種もしくは複数)は選択前に知られていてももしくは未知であってもよい。酵母内の常在性のもしくは染色体外遺伝子中で突然変異を誘発するためにトランスジェニック酵母細胞を使用する一利点は、標的遺伝子(1種もしくは複数)中に一連のランダムな遺伝子変化を生じさせるために細胞を変異原性傷害(それが化学物質であるにせよ放射であるにせよ)に曝露することが不必要であることである。これは、変えられたミスマッチ修復過程の結果として生じる天然に生じる突然変異の高度に効率的な性質および範囲による。しかしながら、MMR欠損細胞と一緒に化学物質および/もしくは放射のいずれかの同時の使用により突然変異の範囲および頻度を増大させることが可能である。組合せ処置の正味の影響は、新たな発現特質を生じさせるのに有用である遺伝的に変えられた酵母における突然変異率の増大である。組合せ処置の率は、MMR欠損細胞のみもしくは野性型MMR細胞とともに変異原のみを使用する率より高い。同一の戦略が脊椎動物および哺乳動物細胞を包含する他の型の細胞に有用である。
本発明のMMR欠損細胞は、商業的に望ましい応用とともに新たな発現特質を表すバリアントサブクローンの直接選択のための遺伝子スクリーニングで使用し得る。これは遺伝子の同定、単離および特徴付けの退屈かつ時間のかかる段階を迂回することを可能にする。
突然変異は、その遺伝子型および/もしくは表現型の変化について突然変異誘発した細胞を内的にかつ/もしくは外的に分析することにより検出し得る。MMR欠損微生物細胞中で変えられた表現型を生じさせる遺伝子は、当業者に公知の多様な分子技術のいずれかにより識別し得る。例えば、細胞のゲノムを単離し得、そして、酵母ゲノムの制限フラグメントのライブラリーをプラスミドベクター中にクローン化し得る。該ライブラリーを「正常」細胞に導入し得、そして新規表現型を表す細胞をスクリーニングし得る。新規表現型を表す正常細胞からプラスミドを単離し得、そして遺伝子(1種もしくは複数)をDNA配列分析により特徴付けし得る。
あるいは、ドライバーおよびテスターRNA(それぞれ野性型および新規変異体由来)を利用し、次いで、当業者に公知の標準的分子生物学の方法により示差的転写物をクローニングしかつそれらを特徴付けする示差的メッセンジャーRNAスクリーニングを使用し得る。さらに、探究された変異体が染色体外プラスミドによりコードされる場合には、ドミナントネガティブのMMR遺伝子および目的の遺伝子の共発現後、ならびに表現型選択後に、プラスミドを変異体クローンから単離し得、そして当業者に公知の方法を使用するDNA配列分析により分析し得る。
MMR欠損変異体における発現特質についての表現型スクリーニングは、変えられた遺伝子産物の生化学的活性および/もしくは容易に観察可能な表現型によることができる。変異体の表現型はまた、変異体遺伝子によりコードされるタンパク質の電気泳動の移動度、転写因子の場合はDNA結合、IR、CD、X線結晶学もしくは高電界型NMR分析のような分光学的特性または他の物理的もしくは構造的特徴の変化を同定することによっても検出可能である。in situで、単離された形態でもしくはモデル系でタンパク質の変えられた新規機能についてスクリーニングすることもまた可能である。遺伝子が選択前に既知であろうと未知であろうと、目的の遺伝子の機能に関連した酵母のいかなる特性の変化についてもスクリーニングし得る。
論考されるスクリーニングおよび選択方法は商業的に価値のある発現特質をもつ新規変異体を得る潜在的手段を具体的に説明することを意味しているが、しかし、それらはスクリーニングおよび選択が当業者により実施され得る多くの可能な方法を制限することを意味していない。
PMS2相同体挿入物をもつプラスミド発現ベクターを多数の商業的に入手可能な制御配列とともに使用して、ドミナントネガティブのMMRタンパク質の一時的および定量的双方の生化学的発現レベルを制御し得る。制御配列はプロモーター、エンハンサーもしくはプロモーター/エンハンサーの組合せより構成され得、そして、MMR遺伝子の上流もしくは下流のいずれかに挿入して発現レベルを制御し得る。制御配列は、染色体外発現ベクターについて当業者に公知のもののいずれであることもできるか、もしくは相同的組換えを介してゲノム中に組込まれる構築物上にあり得る。これらの型の制御系は学術的刊行物中に開示されており、そして当業者に馴染みがある。
目的の新規の所望の発現特質をもつ細胞が一旦創製されれば、異常なMMR活性の活性は、望ましくは、当該技術分野で既知のいずれかの手段により減弱もしくは排除される。これらは、限定されるものでないが、培地からプロモーター活性化の原因である誘導物質を除去すること、形質転換された酵母細胞からプラスミドをキュアリングすること、および目的の遺伝子を「ループアウトさせる」5−フルオロオロト酸のような化学物質の添加を挙げることができる。
誘導可能に制御されるドミナントネガティブのPMS2相同体の場合には、PMS2相同体の発現のスイッチを入れて(誘導して)新たな発現特質をもつ超変異性細胞の一集団を生成させることができる。ドミナントネガティブのMMRアレルの発現のスイッチを迅速に切って、商業的目的の新たな発現特質を表す遺伝的に安定な株を再構成することができる。生じる細胞は今や、それにかけられる選択方法に依存して多様な商業的応用に適用し得る安定な細胞株として有用である。
遺伝的に欠損のミスマッチ修復細胞を使用して新たな発現特質を得る場合には、遺伝的欠損を補いそして従って特質選択後に宿主のミスマッチ修復活性を復帰させるのに十分な野性型ミスマッチ修復遺伝子を発現するトランスジェニック構築物を使用し得る[Grzesiuk,E.ら(1998)Mutagenesis 13:127−132);Bridges,B.A.ら(1997)EMBO J.16:3349−3356);LeClerc,J.E.(1996)Science 15:1208−1211);Jaworski,A.ら(1995)Proc.Natl.Acad.Sci USA 92:11019−11023]。生じる細胞は遺伝的に安定でありかつ多様な商業的応用に使用し得る。
ヒトおよびMSH2、MLH1、MLH3などのような酵母からの外来(外因性、トランスジェニック)ミスマッチ修復遺伝子の過剰発現の使用は、酵母宿主においてドミナントネガティブの変異誘発体表現型を生じさせることが以前に示されている(Shcherbakova,P.V.ら(2001)Mol.Cell.Biol.21(3):940−951;Studamire,B.ら(1998)Mol.Cell.Biol.18:7590−7601;Alani E.ら(1997)Mol.Cell.Biol.17:2436−2447;Lipkin,S.M.ら(2000)Nat.Genet.24:27−35)。加えて、原核生物のドミナントネガティブのMMR遺伝子を発現する酵母株ならびに内在性MMRタンパク質中にゲノム欠損を有する宿主の使用もまた、ドミナントネガティブの変異誘発体表現型をもたらすことが以前に示されている(Evans,E.ら(2000)Mol.Cell.5(5):7897−7899;Aronshtam,A.とM.G.Marinus(1996)Nucl.Acids Res.24:2498−2504;Wu,T.H.とM.G.Marinus(1994)J.Bacteriol.176:5393−5400;Brosh R.M.Jr.とS.W.Matson(1995)J.Bacteriol.177:5612−5621)。しかしながら、ここに開示される知見は、超変異性酵母を創製するための、ヒトPMSR2遺伝子(Nicolaides,N.C.ら(1995)Genomics 30:195−206)、関連するPMS2−134短縮型MMR遺伝子(Nicolaides N.C.ら(1995)Genomics 29:329−334)、植物のミスマッチ修復遺伝子(米国特許出願第09/749,601号明細書)およびPMS2遺伝子の134個のN末端アミノ酸に相同である遺伝子を包含するPMS2相同体の使用を教示する。
PMS2相同体を使用して超変異性生物体を創製する能力は、限定されるものでないが製造業を挙げることができる多様な応用、新たな生化学物質の生成、有毒化学物質(製造工程の副生成物もしくは触媒として使用されるもののいずれか)の解毒、ならびに、限定されるものでないがポリクロロベンゼン(PCB)、重金属および他の環境の危険を挙げることができる環境中に存在するトキシンの是正を助けるのに有用な新たな出力の特徴を表す革新的酵母株を生成させるのに使用し得る。新規細胞株は、生体内変換によってタンパク質もしくは非タンパク質治療的分子の増大された量もしくは質のいずれかを生じさせる高められた活性について選択し得る。生体内変換は、微生物もしくは微生物由来の抽出物による、経路もしくはスキーム中の一化学物質中間体の次の中間体もしくは生成物への酵素的転化である。ペニシリンG、エリスロマイシンおよびクラブラン酸を包含する重要な生物学的および化学的生成物の商業的製造のための使用における生体内変換の多数の例が存在する。「原」材料の次段階の(advanced)中間体および/もしくは最終生成物への転化で効率的である生物体もまた生体内変換を実施し得る(Berry,A.(1996)Trends Biotechnol.14(7):250−256)。PMS2相同体を使用する宿主細胞中でのDNAの超変異性を制御する能力は、限定されるものでないがトキシン耐性であり、トキシンをin situで分解する能力もしくはある分子を中間体から次段階の中間体もしくは最終生成物のいずれかに転化する能力を有する生物体を挙げることができる商業的目的の新たな表現型について選択し得るバリアントサブタイプの生成を可能にする。
新たな発現特質について宿主細胞の遺伝的変化を生じさせるPMS2相同体を使用する他の応用は、限定されるものでないがより多量の組換えポリペプチドを生じさせる組換え生産株、ならびに化学物質を転換もしくは製造下流の工程を触媒し得る変えられた内因性遺伝子の使用を挙げることができる。調節可能なPMS2相同体を使用して商業的に有益な発現特質をもつ細胞を生じさせ得る。この方法を使用して、PMS2相同体を発現する細胞を目的の表現型について直接選択し得る。指定された発現特質をもつ選択された細胞が一旦単離されれば、当業者に公知のいくつかの方法により超変異性活性のスイッチを切ることができる。例えば、PMS2相同体が誘導可能なプロモーター系により発現される場合、誘導物質が除去もしくは枯渇され得る。こうした系は、限定されるものでないが:ラクトースの誘導可能なGALi−GAL10プロモーター(Johnston,M.とR.W.Davis(1984)Mol.Cell Biol.4:1440);リン酸の誘導可能なPH05プロモーター(Miyanohara,A.ら(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.U S A 80:1−5);アルコール脱水素酵素I(ADH)および3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(PKG)プロモーターのようなプロモーター、限定されるものでないが乳酸(Ammerer,G.(1991)Methods in Enzymology 194:192;Mellor,J.ら(1982)Gene 24:563);Hahn S.とL.Guarente(1988)Science 240:317);ピキア パストリス(Pichia pastoris)中のアルコール酸化酵素(AOX)(Tschopp,J.F.ら(1987)Nucl.Acids Res.15(9):3859−76;および分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)中のチアミンで抑制可能な発現プロモーターnmtl(Moreno,M.B.ら(2000)Yeast 16(9):861−872)を挙げることができる、構成的であると考えられるがしかし酵母細胞を醗酵可能でない炭素源中で増殖させる場合に抑制/脱抑制され得るものを挙げることができる。酵母細胞は、LiClでの化学的形質転換(Mount,R.C.ら(1996)Methods Mol.Biol.53:139−145)および電気穿孔法(Thompson,J.R.ら(1998)Yeast 14(6):565−571)を包含する当業者に既知のいずれかの手段により形質転換し得る。DNAで形質転換されている酵母細胞は、限定されるものでないが選択可能なマーカー(URA3;Rose,M.ら(1984)Gene 29:113;LEU2;Andreadis,A.ら(1984)J.Biol.Chem.259:8059;ARG4;Tschumper G.とJ.Carbon(1980)Gene 10:157;およびHIS3;Struhl,K.ら(1979)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76:1035)ならびに酵母細胞の増殖を阻害する薬物(ツニカマイシン、TUN;Hahn S.ら(1988)Mol.Cell Biol.8:655)を挙げることができる多様な方法により増殖について選択し得る。組換えDNAは上述されたとおり酵母に導入し得、また、酵母ベクターは染色体外でもしくは特定の遺伝子座中に組込まれてのいずれかで酵母細胞内で持たれ得る。染色体外に基づく酵母発現ベクターは高コピーに基づく(2−pmベクターYepl3のような;Rose,A.B.とJ.R.Broach(1991)Methods in Enzymology 185:234)、YRp7のような自律複製配列(ARS)を含有する低コピーセントロメアベクター(Fitzgerald−Hayes,M.ら(1982)Cell 29:235)ならびに目的の遺伝子を宿主ゲノム内の指定された遺伝子座に導入させかつ安定な様式で増殖させる組込みベクター(Rothstein,R.J.(1991)Methods in Enzymology 101:202)のいずれかであり得る。酵母におけるMMR遺伝子の異所性発現は、限定されるものでないが特定の化学的誘導物質の培地からの除去(例えば、ビール酵母菌(Saccharomyces cerevisiae)中のGAL10プロモーターの発現を駆動するガラクトース、もしくはピキア パストリス(Pichia pastoris)中のAOX1プロモーターの発現を駆動するメタノールを枯渇させる)を挙げることができる多様な方法により随意に減弱もしくは完全に排除し得、染色体外で複製するプラスミドは非選択的条件下での細胞の増殖により発現プラスミドから「キュアリング」され得(例えば、YEpl3を持つ細胞はロイシンの存在下で増殖し得る)、また、ゲノム中に挿入された遺伝子を有する細胞は挿入された遺伝子座を「ループアウト」させる化学物質とともに増殖させ得る(例えば、URA3を有する組込み体は5−フルオロオロト酸での組込み体の増殖により挿入された遺伝子の喪失について選択し得る(Boeke,J.D.ら(1984)Mol.Gen.Genet.197:345−346)。誘導物質の除去によるにしろ化学物質での酵母細胞の処理にしろ、MMR発現の除去は遺伝的に安定な酵母細胞株の再樹立をもたらす。その後、変異体MMRの欠如は、宿主細胞中での内因性の野性型MMR活性が正常に機能してDNAを修復することを可能にする。新規の選択された発現特質を表す新たに生成された変異体酵母株は、広範な商業的工程もしくは特定の発現特質の生成に関与する新たな生体分子を同定するための遺伝子/タンパク質の発見に適する。もちろん、酵母は使用しうる細胞型の一例にすぎず、そして、既知のプロモーターおよび誘導物質を使用する類似の戦略を、例えば脊椎動物、昆虫および哺乳動物細胞を包含する他の型の細胞での使用に使用してよい。
さらに、ミスマッチ修復は化学的に誘導されるDNA付加物の修復を司り、従って、この過程を遮断することは、理論上、酵母の数、型、突然変異率およびゲノムの変化を増大させ得る[Rasmussen,L.J.ら(1996)Carcinogenesis 17:2085−2088);Sledziewska Gojska,E.ら(1997)Mutat.Res.383:31−37);およびJanion,C.ら(1989)Mutat.Res.210:15−22)]。上に列挙した化学物質に加え、酵母中でDNA突然変異誘発を引き起こすことが知られているイオン化放射およびUV照射を包含する他の型のDNA変異原もまたこの過程を潜在的に高めるのに使用し得る(Lee C.C.ら(1994)Mutagenesis 9:401−405;Vidal A.ら(1995)Carcinogenesis 16:817−821)。宿主細胞に対し極めて毒性でありかつ従って変えられた酵母細胞の実際のプールのサイズの減少をもたらすこれらの作用物質はMMR欠損宿主中でより耐えられ、そして順に高められた範囲および程度のゲノム突然変異誘発を可能にする。
本発明の一般的方法は、従って、PMS2相同体の導入から超変異性にされた細胞が突然変異を蓄積する、突然変異された遺伝子のライブラリーの生成方法もまた提供し、そして、その後、突然変異された遺伝子(野性型親宿主細胞に比較して)を含んでなるcDNAおよびゲノムライブラリーを生じさせるのに使用してよい。cDNAおよびゲノムライブラリーの製造方法は当該技術分野で公知であり、そして、技術は例えばSambrookら MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、第3版、2001に見出されるかもしれない。
本発明はまた、配列番号23のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列と前記サンプルを接触させて配列番号23のアミノ酸配列を含んでなるPMS2相同体をコードするポリヌクレオチドの発現を検出することを含んでなる、新形成を検出するための細胞のアッセイ方法も提供し、ここで前記PMS2相同体の発現は新形成と関連する。
PMS2相同体は配列番号23もしくは配列番号24のコンセンサス配列を有するとして同定され、そして、配列番号23もしくは配列番号24をコードする配列を含んでなる核酸により検出されうる。当業者は、腫瘍性であると疑われる細胞中のPMS2相同体の発現を検出するように逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応アッセイ(RT−PCRアッセイ)を設計しうる。ノーザンブロットもまた、例えばSambrookら MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、第3版、2001に見出されるもののような標準的プロトコルを使用してPMS2相同体発現を検出するのに使用してよい。
本発明はまた、PMS2相同体もしくはそのペプチドフラグメントに対し向けられた抗体と前記サンプルを接触させること;およびPMS2相同体もしくはそのペプチドフラグメントとともに形成された抗体複合体の存在を検出してそれにより前記サンプル中の前記PMS2相同体の存在を検出することを含んでなる、新形成を検出するための細胞のアッセイ方法も提供し、ここで前記PMS2相同体の存在は新形成と関連する。PMS2相同体の検出方法は、限定されるものでないがラジオイムノアッセイ、ウェスタンブロット、免疫蛍光アッセイ、酵素免疫測定法(ELISA)および化学発光アッセイを挙げることができる当該技術分野で既知のいかなる手段によってもよい。これらのアッセイの多様なプロトコルが当該技術分野で公知である。
本発明はまた、PMS2相同体関連の新形成を伴う患者を同定すること、前記患者に前記PMS2相同体の発現の阻害剤を投与することを含んでなる、癌を伴う患者の治療方法も提供し、ここで前記阻害剤は前記PMS2相同体関連の新形成における前記PMS2相同体の発現を抑制する。こうした新形成は例えばリンパ腫を包含する。PMS2相同体発現の阻害剤は、PMS2相同体を特異的に結合するアンチセンスヌクレオチド、リボザイム、抗体フラグメントおよびATPアーゼ類似物を包含する。
アンチセンス分子は、PMS2相同体をコードするRNAの一部分に相補的でありかつ該RNAに特異的に結合するポリヌクレオチドである。アンチセンス分子はPMS2相同体RNAの翻訳を阻害し、そしてそれによりPMS2発現の影響を阻害する。アンチセンス分子は、リボソーム結合もしくは翻訳の開始に関与するRNAの部分ならびにコーディング配列の部分に向けられてよい。一般に、アンチセンス分子は長さが最低15ヌクレオチドであるが、しかし、長さが20、25、30、35、40、45、50ヌクレオチドもしくはそれ以上であってよい。
リボザイムは、基質ヌクレオチドを切断する特定の触媒的分類のアンチセンス分子である。PMS2相同体のためのリボザイムの設計は、例えばLyngstadaas SP.(2001)“Synthetic hammerhead ribozymes as tools in gene expression”Crit.Rev.Oral.Biol.Med.12(6):469−78;Samarsky D,Ferbeyre G,Bertrand E.(2000)“Expressing active ribozymes in cells”Curr.Issues Mol.Biol.2(3):87−93に記述されるところの当該技術分野で公知の方法を使用して実施してよい。リボザイムもしくはリボザイムをコードするベクターを、PMS2相同体を発現する細胞に導入し、そしてPMS2相同体をコードするポリヌクレオチドにリボザイムが結合しかつ切断するように活性化し、それによりPMS2相同体の発現を予防する。
上の開示は本発明を一般的に記述する。より完全な理解は、具体的説明のみの目的上本明細書に提供されることができかつ本発明の範囲を制限することを意図していない以下の特定の実施例への言及により得ることができる。
実施例1:リンパ組織の腫瘍中のPMSR2およびPMSR3 RNA発現の関連の評価ならびにマイクロサテライトの不安定性プロファイルとの比較
一団のリンパ腫組織および細胞系を、PCR媒介性の遺伝子型分析によりマイクロサテライトの不安定性(MI)について、ならびに以前に使用されかつNicolaides博士による刊行物中(Liu,B.ら(1996)Nature Med.2:169−174;Nicolaides,N.C.ら(1996)Genomics 31:395−397)で記述された方法に従ったRT−PCRを介してPMSR2およびPMSR3発現について分析する。RNA発現研究のため、製造元(ギブコ/BRL(Gibco/BRL))により記述されたところのトライゾール法を使用して一団の83種のリンパ腫細胞株(ATCCおよび個人的接触から得た)からRNAを抽出する。100ngの全RNAを、製造元(ギブコ/BRL(Gibco/BRL))により推奨されるとおり20μlの反応中でスーパースクリプト(Superscript)II逆転写酵素(RT)およびプライマーとしてのランダムヘキサマーを使用して逆転写する。各サンプルをRTを含む(RT+)もしくは含まない(RT−)反応緩衝液中でインキュベートし、ここでRT−サンプルは陰性対照としてはたらく。反応を37℃で1時間インキュベートし、そして100マイクロリットルの最終容量まで希釈する。慣例で、5μlの各サンプルを、67mMトリス、pH8.8、16.6mM(NHSO、6.7mM MgCl、10mM 2−メルカプトエタノール、4%DMSO、1.25mMの4種のdNTPのそれぞれ、175ngの各cDNA特異的プライマー、および1UのTaqポリメラーゼを含有する25μlの反応中でのPCR反応に使用する。増幅は94℃30秒間、58℃90秒間、72℃90秒間で30周期実施する。反応の半分を1×トリス酢酸EDTA泳動用緩衝液中1%アガロースゲル上に負荷し、そして臭化エチジウム染色により検出する。下は、遺伝子特異的プライマーおよび期待される分子量のPCRフラグメントを含む表(表1)である。サンプルは、RT+反応が期待された分子量のDNAフラグメントを含有する一方でRT−もしくは水対照中でシグナルが観察されない場合に陽性と評価する。
PMSR2およびPMSR3を発現することが既に決定された細胞株を陽性対照として使用する一方、PMSRヌルと以前に同定された株を陰性対照として使用する。サンプルを二重で分析して発現の再現性を確認する。
リンパ腫サンプルのマイクロサテライトの不安定性を評価するために、上述されたところの一団のリンパ腫からDNAを単離する。DNAは記述されるところの(Liuら(1996)Nature Med.2:169−174)プロテイナーゼK消化およびフェノール抽出手順を使用して単離することができる。リンパ腫細胞およびHCT116(MMR欠損のヒト結腸上皮細胞株)からの多様な量の試験DNAを使用してわれわれのマイクロサテライト試験の感受性を決定する。D2S123、BAT26およびBAT40アレルはHCT116細胞中で不均一であることが知られており、そして従ってMIの検出のための陽性対照として使用する。MIについて測定するために、DNAを制限希釈により力価測定して各マーカーの組について感受性のレベルを決定する。DNAは、BAT26F:5’−tgactacttttgacttcagcc−3’(配列番号35)およびBAT26R:5’−aaccattcaacatttttaaccc−3’(配列番号36);BAT40F:5’−attaacttcctacaccacaac−3’(配列番号37)およびBAT40R:5’−gtagagcaagaccaccttg−3’(配列番号38);ならびにD2S123F:5’−acattgctggaagttctggc−3’(配列番号39)およびD2S123R:5’−cctttctgacttggatacca−3’(配列番号40)プライマーを記述された(Nicolaides,N.C.ら(1995)Genomics 30:195−206)ところの緩衝液中で使用してPCR増幅する。簡潔には、1pgないし100ngのDNAを以下の条件すなわち94℃30秒間、50〜55℃30秒間、72℃30秒間を30周期を使用して増幅する。その後PCR反応を8%変性ポリアクリルアミドゲル上で分離しかつオートラジオグラフィーにより可視化する。これらの試薬およびパラフィン包埋組織から抽出したDNAを使用する予備試験は、0.1ngのゲノムDNAがわれわれの条件を使用する検出の限界であることを慣例に見出している。
マイクロサテライトの安定性は、同一の臨床サンプルもしくは細胞からの0.01ngのDNAの20回の独立した反応を使用してPCRにより細胞中で測定しうる。この濃度は、典型的に、サンプルあたり同等な1ゲノムの測定を可能にし、また、特定の1細胞株もしくは組織の増殖の間に起こっていたクローン性バリアント中のマイクロサテライトの変化の検出を可能にする。サンプルは、特定の1マーカーの最低2サンプルが所定のサンプルの優位を占めるアレルの大きさと異なるPCRフラグメントを有することが見出される場合にMI+と評価する。統計学的解析は、PMSR2もしくはPMSR3を発現するMI+細胞の数をいずれのPMSR遺伝子も発現しないものと比較することにより実施する。
実施例2:免疫染色およびタンパク質レベルでの概念の証明のためのPMSR2およびPMSR3に特異的なポリクローナル抗血清の生成
PMSR2もしくはPMSR3を特異的に認識し得る抗体を産生する能力は、診断的マーカーとして、これらのタンパク質を発現する組織のin situ分析方法を確立するために非常に有用である。図4に示されるとおり、PMSR特異的ペプチドの生成を、特定の1PMSRポリペプチドの特異的発現を測定するための組織分析に使用する。図4に示されるイムノブロットは、他のPMS相同体に対する交差反応性をもたないPMSRタンパク質の特異的検出を可能にする新たな抗血清に対する必要性を示す。PMSR特異的抗血清を生成させるために、われわれは20アミノ酸のペプチドを合成しかつウサギでの抗血清産生のためにKLH免疫原にそれらを結合することができる。hPMSR2およびhPMSR3タンパク質のアミノおよびカルボキシ末端に向けられるペプチドを既知の方法により生成しうる。合成されるべきペプチドのアミノ酸配列を表2に提供する。全ペプチドは、過去にわれわれのグループについて溶解性の問題を呈した複数のシステインおよびトリプトファン残基を回避するようにアミノ酸5ないし26を含有するN末端hPMSR3ペプチドを除き、コードされるポリペプチド(Nicolaides,N.C.ら(1998)Mol.Cell.Biol.18:1635−1641)の最初のもしくは最後の20アミノ酸残基に向けられる。
製造したペプチドを精製し、そして質量分析およびHPLC分析により分析する。3mgの免疫純粋なペプチドを、配列中のシステイン残基に対する必要性を排除する水溶性カルボジイミドを使用してキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)担体に複合体化する。残存するペプチド物質はELISAおよびウェスタンブロットによる抗血清分析に使用する。複合体化後にKLHに連結したペプチドをフロイントのアジュバントに再懸濁し、そして免疫感作の準備が完了である。
以下のプロトコルを使用してウサギを各ペプチドに対し免疫する。第0日に前採血を各宿主ウサギから採取することができる。20mlの血清サンプルを収集しかつ分析する第49、63および77日の3回の予定した採血を伴う毎週の予定でのアジュバントを含有する溶液の注入により、抗原をウサギに投与する。採血は酵素免疫測定法(ELISA)およびウェスタンブロットにより、PMSR2およびPMSR3についての免疫化ペプチドに対し向けられた抗血清について分析することができる。
ELISAアッセイを実施して、上述された天然のペプチドに対する抗体の反応性について測定するための未精製採血中で抗体力価を試験する。簡潔には、各ペプチドを含有する1μg/ml溶液50μlで96ウェルプレートを4℃で4時間被覆する。各ペプチドを含有するウェルを各抗血清によりプロービングしてバックグラウンドおよび抗体特異性について測定する。プレートをカルシウムおよびマグネシウムを含まないリン酸緩衝生理的食塩水(PBS−/−)で3回洗浄し、そして5%粉乳を含む100μlのPBS−/−中室温で1時間ブロッキングする。ブロッキング後にウェルをすすぎ、そして各ウサギからの免疫前血清もしくはそれぞれの採血の5倍希釈物を含有する100μlのPBS溶液とともに2時間インキュベートする。その後プレートをPBS−/−で3回洗浄し、そしてヒツジ抗ウサギワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合二次抗体の3000倍希釈物を含有する50μlのPBS−/−溶液とともに室温で1時間インキュベートする。その後、プレートをPBS−/−で3回洗浄し、そして50μlのTMB−HRP基質(バイオラッド(BioRad))とともに室温で15分間インキュベートして抗体力価を検出する。50μlの500mM重炭酸ナトリウムを添加することにより反応を停止し、そしてバイオラッド(BioRad)のプレートリーダーを使用して415nmのODにより分析する。サンプルは、バックグラウンド(免疫前血清および/もしくは陰性対照ペプチド)を上回る高められたシグナルが観察される場合に陽性であると決定する。
全細胞抽出物中の期待される分子量のタンパク質を認識する抗血清の能力を立証するため、プローブとして上で生成された抗血清を使用してウェスタンブロットもまた実施する。最初に、複合体化されていないペプチドを抗体反応性について試験する。表2に列挙したペプチドを20μlの2×SDS溶解緩衝液(60mMトリス、pH6.8/2%SDS/0.1M 2−メルカプトエタノール/0.1%ブロモフェノールブルー)に添加しかつ2分間沸騰させる。その後、18%トリス−グリシンSDS/PAGEゲル中で各サンプル20マイクロリットルを10分間電気泳動し、そして転写緩衝液(48mMトリス/40mMグリシン/0.0375%SDS/20%メタノール)中でイモビロン(Immobilon)−P(ミリポア(Millipore))メンブレンに20分間電気ブロッティングしてペプチド結合を最大にする。フィルターをブロッキング緩衝液(TBS、0.05%トゥイーン(Tween)−20/5%粉乳)中で一夜ブロッキングする。フィルターは、各ウサギからの多様な前採血および抗血清、次いで二次ワサビペルオキシダーゼ結合抗ウサギ(ピアース(Pierce))でプロービングし、そして化学発光のため調製する。サンプルは、適切な抗血清が対応するペプチド抗原と反応する一方で陰性もしくはペプチド対照レーンで反応が観察されない場合に陽性とみなす。サンプルはまた、免疫前血清を使用して反応が観察されない場合にも陽性とみなす。
上述されたところの陽性の抗血清の反応性は、RNAおよび/もしくはPMSR2の場合はタンパク質レベルで(抗PMS2抗血清により認識される、図4を参照されたい)PMSR2およびPMSR3を発現することが以前に同定された細胞からの抽出物を使用するウェスタンブロットで全細胞ライセートを使用して分析する。50,000個の細胞を遠心分離し、そして25μlの2×サンプル緩衝液中で直接溶解しかつ5分間沸騰させる。サンプルを4〜20%トリス−グリシンゲルに負荷し、そして電気泳動および転写時間が1時間であることを除き上述されたとおり電気ブロットする。フィルターを多様な抗血清および採血ロットでプロービングしかつ上のとおり検出する。抗血清は、PMSR陽性株で免疫反応が観察されるがしかしPMSR陰性細胞株で非存在である場合に陽性とみなす。陽性反応は、図4にみられるところの内因性PMS2の交差反応性に関するモニタリングならびに結合についてモニターするための多様なペプチドを使用する競合により、特異性についてさらに確認することができる。バックグラウンドがいずれかの抗血清で観察される場合は、ブロッキング緩衝液、洗浄のストリンジェンシーおよび抗血清の希釈(成功裏の抗体プロービングのためわれわれのグループにより慣例に改変されたパラメータ)を変えることにより反応条件を変える。
PMSR特異的抗血清は、例えば>95%純度まで全免疫グロブリンを精製することが可能であるピアース(Pierce)のIg精製キットを使用して精製してよい。抗体全体を分光測光法により定量し、保存剤としてアジ化ナトリウムを含有するPBS中1mg/mlの濃度で再懸濁する。抗血清を、10、100および1000倍希釈物を使用するウェスタンブロットにて活性について再試験して純粋な物質の至適濃度を決定する。その後、精製した抗血清を下述されるところの組織ブロックの免疫組織学的分析に使用してよい。
PMSRで生じられた抗血清が全細胞抽出物中の標的タンパク質を検出することが不可能である場合には、製造元のプロトコル(ピアース(Pierce))に従って臭化シアンで活性化したアガロースビーズに対応するペプチドを結合することにより抗体をアフィニティー精製することができる。全抗血清を、5周期の間、回転装置の回転板上で2時間アフィニティー樹脂とともにインキュベートし、PBS緩衝液中で洗浄し、次いで遠心分離することができる。酸性グリシン緩衝液中でのインキュベーションにより抗体を樹脂から遊離させる。遊離抗体を1Mトリス pH8.0中の中和緩衝液に添加する。その後抗体を上述されたとおり再試験する。
実施例3:PMSR2およびPMSR3発現についての他の腫瘍源の分析
一次組織からのRNAを使用して、ならびに結腸直腸腫瘍組織および細胞株のサブセットで、PMSR2およびPMSR3発現の予備分析を実施した。以前に同定されたMMR遺伝子中での検出可能な突然変異を欠くMI腫瘍の広範な分布(Xu,L.ら(2001)Int.J.Cancer 91:200−204)を鑑み、PMSR2およびPMSR3発現についての他の組織型のより広範囲の調査を実施してもよい。サンプルは、協同ヒト組織ネットワーク(Cooperative Human Tissue Network)により支援されるNCIの組織アレイ研究プログラム(Tissue Array Research Program)(TARP)のような供給元から購入した組織団を使用して試験してもよい。マイクロアレイをhPMSR2およびhPMSR3抗血清を用いてスクリーニングして、腫瘍性試料中での発現についてモニターする。
スライドガラスの免疫組織化学を、記述された(Grasso,L.ら(1998)J.Biol.Chem.273:24016−24024)ところの標準的プロトコルを使用して実施する。簡潔には、パラフィン包埋切片をキシレン中で各10分間インキュベートし、次いで100%エタノール中で2分間インキュベートする。次に、サンプルを95%、70%、50%、30%エタノール中に各2分間入れることによりそれらを水和させる。その後、水和させたサンプルをメタノール中0.3%過酸化水素中で30分間インキュベートして内因性のペルオキシダーゼ活性を封鎖する。スライドガラスを流水のチャンバー中で20分間洗浄しそして0.25Mトリス−HCl pH7.5緩衝液に入れる。免疫染色のために、加湿したチャンバー中室温でPBS中10%ヤギ血清を用いてスライドガラスを20分間ブロッキングし、次いでPBS緩衝液中で最終洗浄する。0.25Mトリス−HCl pH7.5;0.5%BSAおよび2%ウシ胎児血清を含有する反応緩衝液で抗体を20倍希釈し、そして、組織領域を浸水するのに十分な容量でスライドガラス表面に添加する。スライドガラスを室温で4時間インキュベートし、そしてPBS中で5分間洗浄し、反応緩衝液中で5分間ブロッキングし、そして加湿したチャンバー中、反応緩衝液で200倍希釈した二次抗ウサギHRP結合抗体で30分間プロービングする。二次染色後にスライドガラスを前のとおり緩衝液中で5分間洗浄する。製造元の説明書に従ってベクタスタチンキット(アマシャム(Amersham))を使用するペルオキシダーゼ染色により切片を可視化する。均一な褐色が切片上で目に見えるようになった後に、水中ですすぐことにより反応を停止する。特異的結合についてモニターするための競合体としての免疫化ペプチドとともにもしくは伴わずに抗体を使用して反応を実施する。顕微鏡を介してスライドガラスを検査し、そして、適切な抗体を単独でもしくはナンセンスペプチド競合体の存在下でインキュベートした場合に内的染色が観察されるが、抗体をブロッキングペプチドとともにインキュベートした場合には陰性なサンプルを陽性と評価する。サンプルを反復して再現性を確認することができる。
実施例4:誘導可能なMMRドミナントネガティブアレルベクターおよび該発現ベクターをもつ酵母細胞の生成
酵母発現構築物を調製して、ヒトPMS2関連遺伝子(hPMSR2)(Nicolaides,N.C.ら(1995)Genomics 30(2):195−206)およびヒトPMS134遺伝子(Nicolaides N.C.ら(1998)Mol.Cell.Biol.18:1635−1641)が酵母のMMR活性を不活性化することが可能でありそしてそれによりゲノムの超変異性(その結果は宿主選択後の新規発現特質を伴うバリアント同胞細胞の生成である)の全体的頻度を増大させるかどうかを決定した。これらの研究のため、hPMS134 cDNAをコードするプラスミドをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により変えた。5’オリゴヌクレオチドは、NdeI制限部位CAT ATGを包含する以下の構造すなわち5’−ACG CAT ATG GAG CGA GCT GAG AGC TCG AGT−3’(配列番号45)を有する。3’−オリゴヌクレオチドは、EcoRI部位GAA TCCおよびV5抗体の14アミノ酸のエピトープを包含する以下の構造すなわち5’−GAA TTC TTA TCA CGT AGA ATC GAG ACC GAG GAG AGG GTT AGG GAT AGG CTT ACC AGT TCC AAC CTT CGC CGA TGC−3’(配列番号46)を有する。該オリゴヌクレオチドは25周期のPCR(95℃1分間、55℃1分間、72℃1.5分間を25周期、次いで72℃で3分)を包含した標準的条件下でのPCRに使用した。
PCRフラグメントをゲル電気泳動により精製し、そして標準的クローン化方法(Sambrookら MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、第3版、2001)によりpTA2.1(インビトロジェン(Invitrogen))にクローン化してプラスミドpTA2.1−hPMS134を創製した。pTA2.1−hPMS 143を制限酵素EcoRIで消化して挿入物を遊離させ、それをpPIC3.5K(インビトロジェン(Invitrogen))のEcoRI制限部位にクローン化した。ヒトPMS134をクローン化するための上述されたものに類似の以下の戦略を使用してヒト関連遺伝子PMSR2の発現ベクターを構築した。最初に、hPMSR2フラグメントを、2個の制限部位すなわちフラグメントの5’端のNdeI制限部位および3’端のEcoRI部位を導入するためのPCRにより増幅した。PCRに使用した5’−オリゴヌクレオチドは、NdeI制限部位CAT ATGを包含する以下の構造すなわち5’−ACG CAT ATG TGT CCT TGG CGG CCT AGA−3’(配列番号47)を有する。PCRに使用した3’−オリゴヌクレオチドは、EcoRI部位GAA TTCおよび抗体検出を可能にするV5エピトープを包含する以下の構造すなわち5’−GAA TTC TTA TTA CGT AGA ATC GAG ACC GAG GAG AGG GTT AGG GAT AGG CTT ACC CAT GTG TGA TGT TTC AGA GCT−3’(配列番号48)を有する。pBluescript SK中にヒトPMSR3を含有したプラスミド(Nicolaides N.C.ら(1995)Genomics 30(2):195−206)を、上のhPMS2特異的オリゴヌクレオチドとともにPCR標的として使用した。25周期のPCR(95℃1分間、55℃1分間、72℃1.5分を25周期、次いで72℃で3分)後、PCRフラグメントをゲル電気泳動により精製し、そして標準的クローン化方法(Sambrookら MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、第3版、2001)によりpTA2.1(インビトロジェン(Invitrogen))にクローン化してプラスミドpTA2.1−hR2を創製した。pTA2.1−hR2を次に制限酵素EcoRIで消化して挿入物(挿入物に隣接するpTA2.1のマルチクローニング部位に2個のEcoRI制限部位が存在する)を遊離させ、そして酵母発現ベクターpPIC3.5K(インビトロジェン(Invitrogen))に挿入した。
ピキア パストリス(Pichia pastoris)酵母細胞を、後に続くとおりpPIC3.5Kベクター、pPIC3.5K−PMS134およびpPIC3.5K−hR2で形質転換した。最初に、5mlのYPD(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、1%D−ブドウ糖)培地にYPDプレート(YPD液体と同一だがしかしプレート化するため2%Difcoアガーを添加する)からの単一コロニーを接種し、そして振とうを伴い30℃で一夜インキュベートした。一夜培養物を使用して500mlのYPD培地に接種し(200μlの一夜培養物)、そして600nmでの光学密度が1.3ないし1.5に達するまで培養物を30℃でインキュベートした。その後細胞を回転して落とし(4,000×g、10分間)、そしてその後滅菌水で2回洗浄し(各回1容量)、その後細胞を20mlの1Mソルビトールに懸濁した。ソルビトール/細胞懸濁液を回転して落とし(4,000×g、10分間)そして1mlの1Mソルビトールに懸濁した。80μlの細胞懸濁液を5ないし10μgの直鎖状にしたプラスミドDNAと混合し、そして0.2cmキュベットに入れ、7,500V/cmの電場強度で長さ5ないし10ミリ秒でパルス投与した(pulsed)。次に、細胞を1mlの1Mソルビトールで希釈しかつ15mlチューブに移し、そして振とうを伴わずに30℃で1ないし2時間インキュベートする。次に細胞を回転して落とし(4,000×G、10分間)かつ100μlの滅菌水に懸濁し、そして50μl/プレートを適切な選択培地プレート上に広げる。プレートを30℃で2ないし3日間インキュベートし、そしてコロニーをさらなる試験のためYPDプレート上に斑点状にする。
実施例5:ミスマッチ修復遺伝子の誘導可能なドミナントネガティブのアレルをもつ超変異性酵母の生成
ヒトPMS2相同体2PMS−R2もしくは空のベクターを発現する酵母クローンをBMG(100mMリン酸カリウム、pH6.0、1.34%YNB(酵母窒素ベース)、4×10−5%ビオチン、1%グリセロール)液体培養物中で30℃で24時間増殖させた。次の日に培養物をMM培地(1.34%YNB、4×10−5%ビオチン、0.5%メタノール)で100倍希釈し、そして振とうを伴い30℃でインキュベートした。細胞を変異体選択のため、下述されるとおりメタノールインキュベーション後24および48時間に取り出した(実施例6を参照されたい)。
実施例6:ドミナントネガティブのMMR遺伝子は酵母中で新たな遺伝的バリアントおよび商業的に実現可能な発現特質を生じさせ得る。
実施例5に提示されたところの酵母中でMMR遺伝子を発現する能力は、ドミナントネガティブのMMR遺伝子を発現する酵母中で遺伝的変化および新たな表現型を生成する能力を示す。本実施例において、われわれは、商業的に有意義な発現特質をもつ真核生物株を創製するための本方法の利用性を教示する。
ウラシル依存性酵母株の生成
利用性の一例は、アミノ酸もしくはヌクレオチドのような特定の代謝産物についての変異体である酵母株の生成である。こうした酵母株の工作は、組換え製造の測定可能な工程のための遺伝子の導入のための酵母株の組換え操作を可能にすることができる。MMRを酵母中で操作して特定の分子構成要素を産生する能力を欠く変異体を生成させ得ることを示すために、以下の実験を実施した。メタノールで誘導可能なヒトPMS2相同体hPMS2−R2(上の実施例4に記述されるところの)を発現する酵母細胞をBMY培地中で一夜増殖させ、その後100倍希釈しかつMM培地に移し、これはAOXプロモーターの活性化および酵母細胞内に常在性であるhPSM2−R2 MMR遺伝子の産生をもたらす。対照細胞を同一の様式で処理し(これらの細胞は酵母中にpPIC3.5ベクターを含有するが挿入物を欠く)、細胞を24および48時間誘導し、そしてその後、後に続くとおりウラシル要求突然変異について選択した。細胞を5−FOA培地(Boeke,J.D.ら(1984)Mol.Gen.Genet.197:345−346)にプレーティングした。プレートは後に続くとおり作成する。すなわち、(2×濃縮物(フィルター滅菌):酵母窒素ベース7グラム;5−フルオロオロト酸1グラム;ウラシル50ミリグラム;ブドウ糖20グラム;水で500mlまで;500mlの4%アガー(オートクレーブ済み)に添加しかつプレートに注ぐ。細胞を5−FOAプレート上にプレーティングし(0、24および48時間の時間点)、そして30℃で3と5日との間インキュベートする。典型的な実験からのデータを表3に示す。ウラシル要求クローンは「空の」ベクターをもつ酵母細胞中の誘導していないもしくは誘導した培養物では観察されなかった一方、MMR遺伝子hPMS2−R2をもつ細胞は選択培地上での増殖が可能であるクローンを有する。hPMS2−R2の誘導されない培養物は5−FOAに対し抵抗性であるいかなるコロニーも有さず、新規表現型が生成されるためには該遺伝子が誘導されなければならないことを示すことに注目されたい。
(エチルメチルスルホン酸のような変異原が少数のura変異体をもたらすこと、およびこの分類の変異体を生成させるための自発的突然変異率が低いことが示されている(Boeke,J.D.ら(1984)Mol.Gen.Genet.197:345−346)。
表3:ウラシル要求変異体ピキア パストリス(Pichia pastoris)酵母細胞の生成。
#は24時間メタノール誘導を、および@は48時間誘導を表す。比較のため処理/未処理の野性型酵母細胞を示す(Galli,A.とR.H.Schiestl、(1999)Mutat.Res.429(1):13−26)。
熱抵抗性産生株の生成
商業的利用性の一例は熱抵抗性組換えタンパク質産生株の生成である。組換え体製造のスケーラブルな工程において、原核生物および真核生物双方の大スケール醗酵は培養物内での過度の熱の生成をもたらす。この熱は、培養物が活発に増殖しかつ生成物を産生している際にそれを取り囲む冷却ジャケットを使用することのような物理的手段により散逸させなければならない。高温の出現に効果的に耐え得る酵母株の製造は、大スケールの組換え体製造工程に有利であるとみられる。この目的のため、実施例5に記述されたところの酵母株をメタノールの存在下で増殖させてドミナントネガティブのMMR遺伝子を誘導し得、そして該細胞を多様な時間の間(例えば12、24、36および48時間)増殖させ得、その後プレート上に置きかつ上昇された温度でインキュベートして高温の出現(例えば37℃もしくは42℃)に耐える変異体について選択し得る。これらの株は醗酵の開発および工程のスケールアップに有用であるとみられ、また、より少なくしばしば醗酵を冷却する必要性による製造費用の減少をもたらすはずである。
高組換えタンパク質生産株およびより低い内因性プロテアーゼ活性をもつ株の生成
酵母は増殖させるのが安価でありかつスケールで(at scale)の醗酵に容易に役立つ単細胞生物体であるために、それは価値のある組換え製造生物体である。さらに、大腸菌(Escherichia coli)の系で発現される場合に効果的にフォールディングすることが不可能である多くの真核生物タンパク質は、酵母中で適正なコンホメーションを伴いフォールディングし、そしてそれらの哺乳動物の対蹠物に構造上同一である。組換えタンパク質の過剰および/もしくは不適切なグリコシル化、内因性の酵母の酵素によるタンパク質分解、ならびに酵母細胞の内側から培地への組換えタンパク質の不十分な分泌(精製を助長する)を包含する、酵母中で発現される多くのタンパク質のいくつかの固有の限界が存在する。タンパク質を過剰分泌するこの能力、またはより低い内因性プロテアーゼ活性およびもしくはより低い高グリコシル化活性を伴う酵母細胞を生成させるために、実施例4に記述されたところの酵母細胞を12、24、36および48時間メタノールとともに増殖させ得、そして、酵母細胞を、目的のタンパク質を過剰分泌しそれを過小グリコシル化する能力について、もしくは減弱されたプロテアーゼ活性を伴うもしくはプロテアーゼ活性をもたない細胞を選択し得る。こうした株は組換え製造もしくは他の商業的目的上有用であることができ、そして上に概説された熱抵抗性株と組合せ得る。
例えば、高温の出現に対し抵抗性でありかつ大量のタンパク質を培地中に分泌し得る変異体酵母細胞が生じるとみられる。
同様の結果が、PMSR2、PMSR3およびヒトMLH1タンパク質のような他のドミナントネガティブ変異体で観察された。
実施例7:不完全なMMRにより酵母の宿主ゲノム中で生成される突然変異は遺伝的に安定である
実施例6に記述されたとおり、酵母中のMMR経路の操作は宿主ゲノム内の変化、および新規発現特質について選択する能力、例えば特定の栄養素を要求する酵母細胞の能力をもたらす。MMR経路により導入される突然変異は遺伝的に安定であり、そして野性型MMR経路が一旦再確立されれば娘細胞に再現可能に渡されることが重要である。酵母ゲノム中に導入された突然変異の遺伝的安定性を決定するために以下の実験を実施した。ura−であるpPIC3.5KhPMS2−R2からの5個の独立したコロニー、5個の野性型対照細胞(URA+)および5個のpPIC3.5K形質転換細胞(「空のベクター」)を5mlのYPD(1%酵母抽出物、2%バクトペプトンおよび1%D−ブドウ糖)中で単離されたコロニーから30℃で振とうを伴い一夜増殖させた。YPD培地は、ウラシルを包含する、酵母が増殖するのに必要な全栄養素を含有する。次に、>3.0の600nmで測定されるところの光学密度(OD)であった一夜培養物1pLをYPDで0.01のOD600に希釈し、そして培養物を振とうを伴い30℃で追加の24時間インキュベートした。この過程をもう3回、合計5回の一夜インキュベーションの間反復した。これは100世代以上の倍加(プレート上の最初のコロニーから最後の一夜インキュベーションの終わりまでの同等物である。その後、細胞(uraである5個の独立したコロニーおよび野性型であった5個を300ないし1,000細胞/プレートの細胞密度でYPDプレート上でプレーティングし、そして30℃で2日間インキュベートした。これらのプレートからの細胞を、以下のプレート;合成完全(SC)SC−ura(1.34%酵母窒素ベースおよび硫酸アンモニウム;4×10−5%ビオチン;全アミノ酸を補充、ウラシル補充なし;2%D−ブドウ糖および2%アガー);SC+URA(SC−uraと同一だがしかし50mgのウラシル/培地1リットルを含む補充プレート)、ならびにYPDプレートにレプリカプレーティングし、そして30℃での3日インキュベーション後の増殖について評価した。それらは以下の順序−SC−ura、SC完全、YPDでレプリカプレーティングした。変異体MMR(本実施例においてはPMS2のヒト相同体hPMS2−R2)の発現により生成された酵母ゲノム内に常在性である新規発現特質が不安定である場合は、ウラシル依存性細胞はウラシル非依存性の表現型を「復帰」させるはずである。該表現型が安定である場合、非選択的条件下での変異体細胞の増殖は、ウラシルの外因性補給に依存するそれらの生存可能性を維持する酵母細胞をもたらすはずである。表4に提示されるデータで見ることができるとおり、ウラシル依存性の表現型は、酵母細胞が非選択的条件下で増殖される場合に安定であり、ウラシル生合成経路遺伝子の1つ中の突然変異に由来するMMRで生成される表現型が遺伝的に安定であることを示す。
これらのデータは、遺伝的に変えられた株を生成させるために真核生物系で誘導可能な発現系およびドミナントネガティブのMMR遺伝子を使用することの利用性を示す。本実施例で開発された株(今や増殖のためにウラシルの添加を必要とする酵母株)は組換え製造のための株として潜在的に有用であり;組込みプラスミドもしくは染色体外ベクターのいずれか上で野性型URA3遺伝子をもつ発現ベクターを構築することにより、目的のタンパク質を発現する新規細胞を形質転換かつ創製することが今や可能である。酵母細胞中の他の常在性遺伝子を改変しかつ新規生体内変換を実施する能力のような他の有用な表現型を与える遺伝子中の突然変異について選択することもまた可能である。さらに、上述されたところの変えられたMMR活性を有する酵母株中で染色体外で遺伝子を発現させかつ該染色体外遺伝子中の突然変異について選択することが可能である。従って、上述されたものに類似の様式で変異体の酵母細胞を特定の選択圧下に置きかつ商業的に重要な生化学的属性をもつ新規タンパク質を選択することが可能である。
これらの例は具体的説明としてのみ意味しており、そして本発明の範囲を制限することを意味していない。
最後に、上述されたとおり、突然変異が一旦目的の遺伝子中に導入されれば、MMR活性が減弱されるかもしくは完全に廃止される。該結果は目的の標的遺伝子(1種もしくは複数)中に安定な変異体をもつ酵母細胞である。
実施例8:新たな発現特質の生成のためのMMR欠損酵母および化学物質変異原の高められた生成
MMR欠損が、増大された突然変異頻度、ならびに限定されるものでないが:臭化エチジウム、EMS、MNNG、MNU、タモキシフェン、8−ヒドロキシグアニンのようなもの、ならびに限定されるものでないが:Khromov−Borisov,N.N.ら(1999)Mutat.Res.430:55−74;Ohe,T.ら(1999)Mutat.Res.429:189−199;Hour,T.C.ら(1999)Food Chem.Toxicol.37:569−579;Hrelia,P.ら(1999)Chem.Biol.Interact.118:99−111;Garganta,F.ら(1999)Environ.Mol.Mutagen.33:75−85;Ukawa−Ishikawa S.ら(1998)Mutat.Res.412:99−107;www.ehs.utah.edu/ohh/mutagens;Marcelino,L.A.ら(1998)Cancer Res.58(13):2857−2862;Koi,M.ら(1994)Cancer Res.54:4308−4312による刊行物中に列挙される他者を挙げることができる化学物質変異原(CM)およびそれらのそれぞれの類似物の毒性の影響に対する増大された抵抗性を生じさせることが以前に報告されている。ミスマッチ修復はメチル化剤もしくは6チオグアニン(しかしエチル化剤でない)で処理したハムスター細胞中の染色体異常を惹起する。MMR欠損酵母細胞中での突然変異頻度を増大させるCMの能力を示すために、われわれは、メタノール(PMS2に対する常在性のヒト相同体hPMS2−R2の発現を誘導する)の存在もしくは非存在下でのCMへの酵母細胞の曝露が酵母細胞内での突然変異の増大をもたらすであろうことを予測することができる。
hPMS2−R2(誘導されたもしくは誘導されない)を発現する酵母細胞および空のベクター対照細胞を実施例5および6)に記述されるとおりかつ24時間増殖させ、そして上述されたとおりMM培地で希釈する。次に、MM中の細胞を0から1、10、50、100および200pMの増大する量のエチルメタンスルホン酸(EMS)とともにもしくは伴わずにのいずれかでインキュベートする。培養物の10個の活発な(zip)アリコート(300μlのMMで希釈)かつ30分、60分および120分間インキュベートし、次いで上で実施例3に記述されたところの5−FOAプレート上に細胞をプレーティングする。変異体を上のとおり選択かつ評価する。われわれは、メタノールで誘導されるPMS2−R2培養物において、誘導されない親もしくは野性型株に比較してura変異体の頻度の増大が存在するであろうことを予測することができる。本実施例のさらなる一拡張において、ヒトPMS2−R2をもつ細胞を24および48時間誘導することができ、その後EMSで突然変異誘発することができる。これはMMR遺伝子が完全に活性にされかつ高レベルで発現されることを可能にすることができ、それにより、得られるura変異体の数の増大をもたらす。われわれは、誘導されない親対照もしくは野性型の「空のベクター」細胞中で得られるura変異体の数の変化が存在しないであろうことを予測することができる。本実施例は、新たな発現特質について選択し得る高められた数の遺伝的に変えられた酵母株を生じさせるための、調節されたドミナントネガティブのMMRの系に加えて化学物質変異原を使用することの使用を示す。本方法は、限定されるものでないが組換え製造、生体内変換、および高められた活性をもつ変えられた生化学物質を挙げることができる商業的応用のためのこうした生物体の生成に有用である。それはまた、上の実施例4に記述されるものに類似の染色体外発現ベクター上に持たれる異所性に発現されるタンパク質からのタンパク質活性の変化を得るのにも有用である。
MMR遺伝子およびコードされるポリペプチドの例
酵母MLH1 cDNA(受託番号U07187)(配列番号1);酵母MLH1タンパク質(受託番号U07187)(配列番号2);マウスPMS2タンパク質(配列番号3);マウスPMS2 cDNA(配列番号4);ヒトPMS2タンパク質(配列番号5);ヒトPMS2 cDNA(配列番号6);ヒトPMS1タンパク質(配列番号7);ヒトPMS1 cDNA(配列番号8);ヒトMSH2タンパク質(配列番号9);ヒトMSH2 cDNA(配列番号10);ヒトMLH1タンパク質(配列番号11);ヒトMLH1 cDNA(配列番号12);hPMS2−134タンパク質(配列番号13);hPMS2−134 cDNA(配列番号14);hMSH6(ヒトタンパク質)(受託番号U028946(配列番号15);hMSH6(ヒトcDNA)(受託番号U28946)(配列番号16);hPMSR2(ヒトcDNA)(受託番号U38964)(配列番号17);hPMSR2(ヒトタンパク質)(受託番号U38964)(配列番号18);HPMSR3(ヒトcDNA)(受託番号MM_005395.1)(配列番号19);hPMSR3(ヒトタンパク質)(受託番号U38979.1)(配列番号20);hPMSR6(ヒトcDNA)(受託番号U38980.1)(配列番号21);hPMSR6(ヒトタンパク質)(受託番号U38980.1)(配列番号22)。
下線付けでコンセンサス配列領域を示すPMSR2、PMSR3およびPMSR6のポリペプチド配列を示す。 PMS2のコンセンサス配列領域のDNAジャイレース様ATPアーゼモチーフとのアライメントを示す。 PMS2のN末端フラグメントの構造(直交図)を示す。 図2Aおよび2Bに対応するhPMS2、hMLH1およびMutLのN末端フラグメントの配列のアライメントならびに構造的特徴を示す(Guarneら(2001)EMBO J.20(19):5521−5531、図2A−Cから)。 リンパ腫細胞株中のPMSR遺伝子のRT−PCR分析を示す。マイクロサテライトの不安定性(MI)を伴う(レーン3〜5)もしくは伴わない(レーン2)リンパ腫細胞株で30周期のRT−PCR増幅を実施した。上で示されたとおり、MIを伴う各株はPMSR2もしくはPMSR3いずれかの遺伝子を発現した一方、MIを欠く細胞株(レーン2)では発現が観察されなかった。hPMS2およびβ−アクチンのメッセージを内部対照として使用してRNA負荷について測定した。レーン1は潜在的アーチファクトもしくは汚染について測定するための疑似反応であった。45周期の増幅を使用して追加のPCR増幅を実施し、これは、30周期で観察されたところの陽性レーン中でのより確固たる産物をもたらした一方、レーン1および2に提示されるもののような陰性サンプル中ではPMSRシグナルが検出されなかった。 マイクロサテライトの不安定性(MI)を伴う(LMM−1)(レーン2)もしくは伴わない(LNM−a)(レーン1)ヒトリンパ腫細胞株のウェスタンブロット分析を示す。矢印はhPMS2およびhPMSR2ポリペプチドの期待される分子量をもつタンパク質を示す。MIを表すリンパ腫細胞株でPMSR発現の相関が観察される。 PMS2およびPMSR相同体に加えてMMR感受性のpCAR−OFレポーターを発現する293細胞中でのβ−ガラクトシダーゼ活性を示す。MMR活性が低下されている細胞はβ−ガラクトシダーゼ遺伝子内の挿入−欠失突然変異につながるMIをもたらし、その1サブセットは読み取り枠(ORF)を復帰させかつ機能的酵素を産生することができる。細胞を17日間増殖させ、そしてその後タンパク質ライセートのため収集して各細胞株により生成されたβ−ガラクトシダーゼ活性を測定する。高率の突然変異誘発が発生していた細胞はβ−ガラクトシダーゼ活性を生じさせることができる一方、MMR活性が機能的である細胞はバックグラウンドレベルの酵素活性を保持することができる。各細胞株を2回の独立した実験(実験1および実験2)で試験した。抽出物を比色性ガラクトース基質とともに1時間インキュベートした。基質転化の関数としての酵素活性を、記述されたとおり(Nicolaides,N.C.ら(1998)Mol.Cell.Biol.18:1635−1641)576nmでの光学密度により測定した。上に示されたとおり、PMSR2およびPMSR3を発現する細胞はβ−ガラクトシダーゼ活性の増大につながる高程度のMIを有した。MIを遺伝子レベルでモニターして、遺伝子変化がβ−ガラクトシダーゼのORFを混乱させるポリヌクレオチド反復内で発生したことを確認した。
【配列表】

Claims (39)

  1. 配列番号23のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなるPMS2相同体を細胞に導入してそれにより超変異性細胞を作成すること(ここで前記PMS2相同体はPMSR2およびPMSR3以外である)を含んでなる、前記細胞を超変異性にする方法。
  2. 前記ポリペプチドが配列番号24のアミノ酸配列を含んでなる、請求項1記載の方法。
  3. 前記ポリペプチドが配列番号22のアミノ酸配列を含んでなる、請求項1記載の方法。
  4. 前記PMS2相同体がATPアーゼドメインを有するタンパク質をコードする、請求項1記載の方法。
  5. 前記細胞が真核生物細胞である、請求項1記載の方法。
  6. 前記細胞が原核生物細胞である、請求項1記載の方法。
  7. 前記細胞が哺乳動物細胞である、請求項5記載の方法。
  8. 前記細胞がヒト細胞である、請求項7記載の方法。
  9. 前記細胞を変異原と接触させることをさらに含んでなる、請求項1記載の方法。
  10. 目的遺伝子中の1突然変異について前記細胞をスクリーニングすることをさらに含んでなる、請求項1もしくは9記載の方法。
  11. 前記スクリーニングが前記超変異性細胞の核酸に対して実施される、請求項10記載の方法。
  12. 前記スクリーニングが前記超変異性細胞のタンパク質に対して実施される、請求項10記載の方法。
  13. 前記スクリーニングが、前記超変異性細胞の表現型を検査することにより実施される、請求項10記載の方法。
  14. 前記超変異性細胞の遺伝的安定性を復帰させることをさらに含んでなる、請求項10記載の方法。
  15. 配列番号23のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなるPMS2相同体を、目的の1遺伝子を含有する細胞中に導入してそれにより前記細胞を超変異性にすること、および目的の前記遺伝子中に1突然変異を含んでなる変異体細胞を選択することを含んでなる、目的遺伝子中における突然変異の作成方法。
  16. 前記ポリペプチドが配列番号24のアミノ酸配列を含んでなる、請求項15記載の方法。
  17. 前記ポリペプチドが配列番号22のアミノ酸配列を含んでなる、請求項15記載の方法。
  18. 前記PMS2相同体がATPアーゼドメインを有するタンパク質をコードする、請求項15記載の方法。
  19. 前記細胞が真核生物細胞である、請求項15記載の方法。
  20. 前記細胞が原核生物細胞である、請求項15記載の方法。
  21. 前記細胞が哺乳動物細胞である、請求項19記載の方法。
  22. 前記細胞がヒト細胞である、請求項21記載の方法。
  23. 前記細胞を変異原と接触させることをさらに含んでなる、請求項15記載の方法。
  24. 前記変異体細胞の遺伝的安定性を復帰させることをさらに含んでなる、請求項15もしくは23記載の方法。
  25. 配列番号23のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなるPMS2相同体を1細胞型に導入してそれにより超変異性細胞を作成すること(ここで前記PMS2相同体はPMSR2およびPMSR3以外である)、前記超変異性細胞型をインキュベートして突然変異を蓄積させること、前記超変異性細胞から核酸を抽出すること、ならびに核酸ライブラリーを創製することを含んでなる、前記細胞型における変異体遺伝子のライブラリーの生成方法。
  26. 前記ポリペプチドが配列番号24のアミノ酸配列を含んでなる、請求項25記載の方法。
  27. 前記ライブラリーがcDNAライブラリーである、請求項26記載の方法。
  28. 前記ライブラリーがゲノムライブラリーである、請求項26記載の方法。
  29. 配列番号23のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列と試料とを接触させて、配列番号23のアミノ酸配列を含んでなるPMS2相同体をコードするポリヌクレオチドの発現を検出すること(ここで前記PMS2相同体の発現は新形成と関連する)を含んでなる、新形成を検出するための細胞のアッセイ方法。
  30. 検出することがノーザンブロット分析を含んでなる、請求項29記載の方法。
  31. 検出することがPCRを含んでなる、請求項29記載の方法。
  32. 検出することがRT−PCR分析を含んでなる、請求項29記載の方法。
  33. PMS2相同体もしくはそのペプチドフラグメントに対し作られた抗体と試料とを接触させること;およびPMS2相同体もしくはそのペプチドフラグメントとともに形成される抗体複合体の存在を検出してそれにより前記試料中の前記PMS2相同体の存在を検出すること(ここで前記PMS2相同体の存在は新形成と関連する)ことを含んでなる、新形成を検出するための細胞のアッセイ方法。
  34. 検出することが、ラジオイムノアッセイ、ウェスタンブロットアッセイ、免疫蛍光アッセイ、酵素免疫測定法および化学発光アッセイよりなる群から選択されるイムノアッセイを含んでなる、請求項33記載の方法。
  35. PMS2相同体関連の新形成を伴う患者を同定すること、前記PMS2相同体の発現の阻害剤を前記患者に投与すること(ここで前記阻害剤は前記PMS2相同体関連の新生物における前記PMS2相同体の発現を抑制する)を含んでなる、癌を伴う患者の治療方法。
  36. 前記PMS2相同体関連の新生物がリンパ腫である、請求項35記載の方法。
  37. 前記PMS2相同体の前記阻害剤が前記PMS2相同体をコードするポリヌクレオチドに対し向けられたアンチセンス核酸である、請求項35記載の方法。
  38. 前記PMS2相同体の前記阻害剤がリボザイムである、請求項35記載の方法
  39. 前記阻害剤が、前記PMS2相同体に特異的に結合するATPアーゼ類似物である、請求項35記載の方法。
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