JP2005516992A6 - オキシブチニンの非心律動異常惹起性代謝物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、オキシブチニンが付随する有害作用の共動責任を減少させるとともに、尿失禁および頻尿を処置する方法を提供し、この方法はこのような処置を必要とする患者に治療有効量の4−エチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシル−フェニルグリコレートまたはその医薬として許容される塩を投与することを包含する方法である。

Description

(発明の分野)
本発明は、4−ジエチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシルフェニルグリコールのラセミ体状モノ−デスエチル代謝物に関する。この代謝物の化学名は、4−エチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシルフェニルグリコレートであり、これはまた、デスエチルオキシブチニン(DEO)と称される。化合物4−ジエチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシルフェニルグリコールは、一般名オキシブチニン(OXY)を有し、尿失禁および頻尿の処置に認められている医薬である。現在、化合物DEOは尿失禁または頻尿を患う個人による使用、または胃腸器官およびその他の平滑筋運動機能亢進性障害を有する患者による使用が示唆されている。DEOは、この化合物がOXYにより惹起される心臓血管系副作用を惹起しないことから、特に有用である。
化合物オキシブチニン(OXY)は下記化学構造を有する:
Figure 2005516992
化合物デスエチルオキシブチニン(DEO)は下記化学構造を有する:
Figure 2005516992
(発明の背景)
ラセミ体状オキシブチニン(OXY)は、排尿筋不安定による尿失禁の処置に治療的に用いられる。この医薬はまた、胃腸器官およびその他の平滑筋運動機能亢進性障害、例えば過敏性腸症候群(IBS)などを患う患者に使用することができる。OXYは、コリン作用性神経支配による平滑筋の収縮を抑制することによって鎮痙作用を発揮する。
不随意の膀胱収縮を特徴とする症状を有する患者において、臨床的研究は、OXYが膀胱容積を増加させ、排尿筋の不随意収縮の頻度を減少させ、また初期排尿尿意を遅延させることが証明された。従って、OXYは失禁および頻繁な随意排尿の両方の処置および予防に有用である。
OXYの第二アミン代謝物は、OXY投与後のヒトにおいて同定されており、デスエチルオキシブチニン(DEO)と称されている(Douchamps等、1988)。第一アミン代謝物、ジデスエチル−オキシブチニン(DIDEO)は、現時点で合成されている。DIDEOは、抗ムスカリン薬としてDEOよりも効力が低いことが見出されているが、DEOと同様に、DIDEOはOXYの心臓に対する副作用を有しておらず、またDIDEOは抗ムスカリン薬として有用であることができる(Aberg等に対し発行)。N−オキシド−オキシブチニンと称される第三の代謝物は、化学的に、または代謝的に安定ではないことがあるものと示唆されている(Lindeke等、1981)。
医薬オキシブチニンが心臓に対し副作用を生じることは見出されている。このような副作用の例には、負の変力性作用(negative inotropic effects)、負の変時性作用(negative chronotropic effects)、負の変伝導性作用(negative dromotropic effects)およびEKGのQTc−間隔(interval)の延長がある。心臓機能に対する負の作用は、特に心臓機能抑制性医薬を摂取している患者および心臓病が存在する患者において、非常に重篤であることがある。これらの作用中の或る作用は、オキシブチニンが強力な膜安定化(「局所麻酔」)活性を有するという事実によるものと信じられる。QTc−間隔の延長は、心臓細胞における遅延された整流体カリウム電流(rectifier potassium current)の抑制により惹起される。さらにまた、QTc−間隔の延長は、トルサード・デ・ポワント(Torsades de Pointes)と称される致命的形態の心律動異常(心室細動)を示唆し、また関連することが知られている。テロジリン(terodiline)は、尿失禁用のもう1種の抗ムスカリン薬であるが、共動的で、致死的なトルサード・デ・ポワント心律動異常を伴うECGのQTc間隔の延長を惹起することから、市場から回収されている。
オキシブチニンと同一の、または同様の代謝酵素を利用する或る種の医薬は、オキシブチニンと組合された場合、トルサード・デ・ポワントの危険を増大させるものと見なされることが開示されている。このような医薬の例には、ケトコナゾール(ketoconazole)およびエリスロマイシン(erythromycin)がある。
トルサード・デ・ポワントは確かに、オキシブチニンの最も望ましくない副作用であり、オキシブチニンを付与された患者全員に関連する。特に、老齢の患者(Hughes等、1992)または心臓血管系症状の予兆、例えば長い基礎QTc間隔を有する患者は、トルサード・デ・ポワント心律動異常に対する特別の危険性を有する。この観点から、尿失禁用の医薬を摂取している患者の大部分が老齢の個人であることは重要である。
オキシブチニンのデスエチル−オキシブチニンへの代謝は、CYP 3A4と称される酵素を利用することから、遺伝的理由で、「遅滞代謝者」(slow metabolizers)である患者では高濃度のオキシブチニンが蓄積するものと見なされ、従ってトルサード・デ・ポワント心律動異常に対する薬物誘発危険性が発現する危険が存在する。オキシブチニンと同一または同様の代謝酵素を利用する或る種の医薬はまた、オキシブチニンと組合された場合、トルサード・デ・ポワントに対する危険性が増大されることが開示されている。このような医薬の例には、ケトコナゾールおよびエリスロマイシンがある。
例えば「遅滞代謝者」である老齢の患者のように、1種よりも多くの危険因子を有する患者は、一般の人々よりもオキシブチニン誘発心律動異常を発症する危険性はかなり高い。
QTcの延長を生じさせ、従ってトルサード・デ・ポワント心律動異常を発症させることが見出されている医薬の別の例には、抗ヒスタミン薬テルフェナジン(terfenadine)[セルダン(Seldane)(登録商品名)]およびアセテミゾール(astemizole)[ヒスマナル(Hismanal)(登録商品名)]、ならびに失禁用医薬テロジリン(terodiline)[ミクツリン(Micturin)(登録商品名)]があり、この副作用によって、これらの医薬の全部が市場から回収されている。
QTcに対するオキシブチニンの作用を21人の患者で検討した一つの臨床試験が報告されている(Hussain等、1996)。この研究でQTcの延長が2人の患者に見出された。これは統計学的には有意ではないが、この試験は副作用試験であり、このような試験において、市販医薬の治療用量における重大な副作用の統計学的有意性は稀である。医薬オキシブチニンが非常に汎用されていることに留意されるべきであり、Hussainにより示されたように、10%までの患者が増加されたQTc間隔を発現するという予測は障害になる。
デスエチル−オキシブチニンがオキシブチニンの公知代謝物であることは知られているが、我々の知る限り、この化合物が尿意促迫失禁または頻尿、もしくは別の筋肉性障害の処置において治療的に有用であることは、従来開示されておらず、または示唆されてもいない。
(発明の要旨)
従来技術の問題が、本発明によって解決された。本発明は、オキシブチニンが付随する有害作用の共動責任を減少させるとともに、尿失禁および頻尿を処置および/または予防する方法を提供し、この方法はこのような処置を必要とするヒトに治療有効量の4−エチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシル−フェニルグリコレートまたはその医薬として許容される塩を投与することを包含する。さらに特に、本発明は、オキシブチニンが付随する心臓に対する有害作用の共動責任を減少させるとともに、尿失禁および頻尿を処置する方法に関し、この方法はこのような処置を必要とするヒトに治療有効量の4−エチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシル−フェニルグリコレートまたはその医薬として許容される塩を投与することを包含する。特に好適な態様において、本発明は、オキシブチニンが付随する心律動異常惹起性有害作用の共動責任を減少させながら尿失禁および頻尿を処置する方法を提供し、この方法はこのような処置を必要とするヒトに治療有効量の4−エチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシル−フェニルグリコレートまたはその医薬として許容される塩を投与することを包含する。
(発明の詳細な説明)
ここに予想外なこととして、オキシブチニンのデスエチル代謝物(DEO)がオキシブチニンよりも少ない「局所麻酔」活性を有し、従ってオキシブチニンの治療活性を維持しながら、オキシブチニンよりも少ない心臓機能低下作用を有することが見出された。オキシブチニンとは異なり、デスエチル−オキシブチニンがオキシブチニンの治療活性を維持しながら、ECGのQTc間隔の延長を惹起しないことが驚くべきことに見出された。
(化学的説明)
オキシブチニンは、4−ジエチルアミノ−2−ブチニル α−シクロヘキシル−α−ヒドロキシベンゼンアセテートであり、4−ジエチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシルフェニルグリコレートとしても知られており、本明細書ではOXYで表わされている。USANカウンシルによってオキシブチニンの塩酸塩に対し与えられた一般名は、オキシブチニンクロライドである;この化合物は種々の名前で販売されており、例えばジトロパン(Ditropan)(登録商品名)およびジトロパン(Ditropan)XL(登録商品名)として販売されている。
デスエチルオキシブチニンは、4−ジエチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシルフェニル−グリコレートであり、オキシブチニンの公知代謝物である(Hughes等、1992)。本明細書において、この化合物をDEOで表わす。この化合物またはそのいずれかの塩の一般名は、知られていない。
DEOの総合的製造方法は、下記工程を包含する:
(a)ジクロロブチンから側鎖4−エチルアミノ−2−ブチニルクロライドを製造する、
(b)標準的エステル化技術により、シクロヘキシルフェニルグリコール酸と4−エチルアミノ−2−ブチニルクロライドとを反応させ、4−エチルアミノ−2−ブチニルシクロヘキシルフェニル−グリコレート(DEO)を生成する。
本発明による化合物の別の製造方法は上記ハロゲン化側鎖の形成の代わりに、ヒドロキシル化側鎖の形成を包含する。
シクロヘキシルフェニルグリコール酸は、SIPSY Chem Corp.(2137 Route 33,Suite2,Hamilton Square,NJ08690)から市販されている。
DEOのR−異性体の製造方法は、米国特許6,123,961に開示されており、またDEOのS−異性体の製造方法は、米国特許5,532,278に開示されており、これらの記載を引用してここに組入れる。
(投与、剤型、医薬組成物)
急性または慢性疾病の管理における本発明による化合物の予防的または治療的投与の量は、処置する症状の重篤度および種類ならびに投与経路によって変化する。用量および投与頻度はまた、各患者の年齢、体重および応答に従い変化する。一般に、本明細書に記載されている症状に対する本発明による化合物の一日投与量は、一回または分割用量で約1mg〜約100mgである。患者の処置において、治療は低用量、多分約0.5mg〜約25mgで開始すべきであり、患者の総合的応答に応じて約200mgまで増量することができる。
65歳以上の患者および損傷した腎臓または肝臓機能を有する患者では、初期に低用量を与えること、および個人的応答および血漿医薬レベルに基づき検定することがまた、推奨される。当業者にとって明白なように、これらの範囲外の用量を使用する必要があることもある。さらにまた、臨床医または処置する医師は、治療をいかにして、また何時中断、調節または停止するかについて各患者の応答に関連して知ることに留意すべきである。「治療有効量」および「尿失禁の処置に充分な量であるが、有害な作用を惹起するには不充分な量」の用語は、上記投与量および投与頻度計画に包含される。
有効量の本発明による化合物を患者に付与するためには、いずれか適当な投与経路を使用することができる。一例として、経口、舌下、直腸、非経口(皮下、筋肉内、静脈内)、眼内、経皮、エアゾルなどの投与形態を用いることができる。剤型は、錠剤、制御放出錠剤、トローチ剤、分散液、懸濁液、溶液、カプセル、微細封入系、シロップ、経皮放出システムなどを包含する。
本発明による医薬組成物は、活性成分として本発明による化合物またはその医薬として許容される塩を含有し、また医薬上で許容される担体および所望により、別種の治療成分を含有する。
「医薬として許容される塩」または「その医薬上で許容される塩」の用語は、医薬上で許容される無毒性酸から製造される塩を表わす。本発明による化合物の適当な医薬として許容される酸付加塩は、酢酸、ベンゼンスルホン酸(ベシレート)、安息香酸、カンファスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマール酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パトテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などの酸の付加塩を包含する。塩酸塩は特に好適である。
本発明による組成物は、懸濁液、溶液、エレキシルまたは固形剤型を包含する。担体(例えばデンプン、糖および微結晶セルロース)、稀釈剤、顆粒形成剤、滑剤、結合剤、崩壊剤などは、経口固形製剤(例えば、粉末、カプセルおよび錠剤)の場合に適しており、また経口固形製剤は経口液状製剤よりも好適である。
それらの投与が容易であることから、錠剤およびカプセル剤はさらに有利な経口剤型の一つに相当し、この場合、固形調剤用担体が用いられる。所望により、錠剤は、標準的水性または非水性技法により被覆することができる。本発明による化合物は体内において、比較的短い作用持続性を有することから、制御放出性または徐放出性製剤として医薬を投与すると有利であることがあり、これにより患者に対する医薬投与の頻度を減少させ、また当該医薬の抗コリン作用性副作用を減少させることができる。本発明による化合物はまた、制御放出手段および放出用具、例えば米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,536,809号;同第3,598,123号;および同第4,008,719号;ならびにPCT出願WO92/20377に記載のものによって投与することもでき、これらの特許の記載を引用してここに組入れる。種々の制御放出性および徐放出性経皮投与形態および用具をまた、使用し、患者に対する投与の簡便性を改良することができ、これをまた引用してここに組入れる。
経口投与に適する本発明による医薬組成物は、それぞれが既定量の活性成分を粉末として、または顆粒として含有する分割単位剤型、例えばカプセル、カシェまたは錠剤として提供することができ、または水性液体、非水性液体、水中油型エマルジョンまたは油中水型エマルジョン中の溶液または懸濁液として提供することができる。このような組成物は調剤方法のいずれかによって製造することができるが、全部の方法が活性成分を1種または2種以上の必要成分を構成する担体と一緒にする工程を包含する。一般に、組成物は活性成分を液体担体または微粉砕した固体担体またはその両方と均質に、また緊密に混合し、次いで必要に応じて、この生成物をラセミ体混合物用に公知である望ましい形態に成形することによって製造される。
一例として、錠剤は、場合により1種または2種以上の補助成分とともに圧縮または成型することによって製造することができる。圧縮錠剤は、自由流動形態、例えば粉末または顆粒の活性成分を、場合により、結合剤、滑剤、不活性稀釈剤、界面活性剤または分散剤と混合し、適当な機械で圧縮することによって製造することができる。成型錠剤は、不活性稀釈剤により湿らせた粉末状化合物の混合物を適当な機械で成型することによって製造することができる。前記技法は全部が調剤技術の当業者にとって周知である。各錠剤は、活性成分を約0.5mg〜約25mgの量で含有することができる。
例1
経口単位剤型製剤
錠剤
Figure 2005516992
本発明による化合物を、乳糖およびセルロースと混合し、均質な配合物を形成する。レーキを添加し、さらに混合する。最後に、ステアリン酸カルシウムを配合し、生成する混合物を、9/32インチ(7mm)薄型凹面パンチを用い錠剤に圧縮する。別の強度を有する錠剤は、賦形剤に対するまたは錠剤の最終重量に対する活性成分の割合を変更することによって製造することができる。
本発明による化合物の驚くべき有用性は、下記試験により確立された。
薬理学的試験
1.リガンド結合試験:ムスカリンレセプター
この試験は、バクロウイルスに感染させ、ヒト組換えムスカリンレセプターサブタイプを発現するSF9細胞から調製された膜で行う。被験物質および適当な放射性リガンドとともにインキュベートし、次いで洗浄した後、結合した放射能を液体シンチレーションカウンターにより、市販のシンチレーションカクテルを用い測定する。各レセプターに結合する特定の放射性リガンドは、総合結合と過剰の未標識リガンドの存在下に測定された非特異的結合との間の差であると定義される。IC50値(特異的結合の50%を抑制するのに要する濃度)は、競合曲線の非線型回帰分析によって決定した。
結果:
ヒトM1−M4ムスカリンレセプターに対するオキシブチニン(OXY)およびデスエチル−オキシブチニン(DEO)の結合
Figure 2005516992

結論:オキシブチニンおよびデスエチル−オキシブチニンは両方ともに、ヒトM1−M4ムスカリンレセプターに対し高い親和性を有していた。デスエチル−オキシブチニンはオキシブチニンよりもほぼ2倍の活性を有していた。
2.抗ムスカリン/抗痙攣活性の機能上の特徴
膀胱筋肉組織片を、体重400−600gの雄ハートレイ(Hartley)モルモットの身体から分離採取する。この組織片を下記組成を有する酸素化緩衝液または類似の平衡化された生理学的溶液中に懸濁する:mM単位で、NaCl,133;KCl,4.7;CaCl2,2.5;MgSO4,0.6;NaH2PO4,1.3;NaHCO3,16.3;およびグルコース,7.7。これらを一定の温度に維持する。インキ印刷ポリグラフに等尺変換器(Model FT−10)を用い記録する。これらの組織片は試験を進行する前に、浴溶液により1時間かけて平衡化させた。
各組織の生存性を評価し、対照枠として使用するために、NaClの代わりにKClを使用し、媒質中に137.7Mmの濃度のKClを得た組織媒質に露呈する応答として、各組織片の濃度を始めに記録する。次いで、標準媒質に戻し、次いでピーク応答が記録されるまで、各濃度のみに斬新的に増加させた濃度のカルバコールに別々に曝す。次いで、未処理の1個の組織片および/または対照組織(1個または2個以上)として被験溶液に曝した組織片を分離し、残りの組織片はそれぞれ、1種の濃度のアンタゴニストに1時間にわたり曝す。最後に、カルバコールの濃度を増加し、次いで137.7mMのKClに曝すことによって、応答を秒単位で記録する。アンタゴニストがアゴニストに対するピーク応答を減少させるかを測定するために、第二組の測定期間中に各組織片により発現されたピークテンションを、最初の濃度−効果測定期間中に各組織片によって発現されたピークテンションのパーセントとして表わす。次いで、各アンタゴニストについて、得られたデータを、標準的統計学的方法を用い分析する。
結果:
モルモット膀胱の単離組織片のカルバコール誘発収縮のオキシブチニンおよびデスエチル−オキシブチニンによる抑制
Figure 2005516992

pA2=アゴニストのEC50を2倍にするアンタゴニスト濃度の負の対数
結論:オキシブチニンおよびデスエチル−オキシブチニンは両方ともに、単離されたモルモット排尿筋のコリン作用誘発収縮を強力に抑制した。この試験における2種の化合物間に鎮痙活性にかかわる統計学的に有意の差は存在していなかった。傾斜は一貫性を有していなかった。各化合物の1種のみのレセプタータイプ(M−3)との相互反応は一定である。
3.心律動異常副作用
雄モルモット(450−600g)を新しく調製されたジアルウレタンナトリウムにより麻酔させる。被験医薬のiv投与用に、頚静脈にカテーテルを付け、また気管を開き、カテーテルを付ける。グラスポリグラフ(Grass Polygraph)記録器で追跡されるリード(Lead)II心電図記録用の皮下電極を取り付ける。手術完了後、動物は30分間かけて安定化させ、次いでベースラインEGK記録を10分間の間隔で行う。動物に次いで、被験化合物5mg/kgまたは媒質を30分間かけて静脈潅流として付与する。EKG記録を使用し、QT間隔および心拍数を測定する。心拍数における変化を補償するために、当業者に知られているとおりに(Bazettの公式)、QTc間隔はQT−間隔およびRR−間隔から計算する。QTcの延長は遅延された整流体カリウムチャンネルの抑制によって生じる延長された作用力価を示す。QTcの延長は、医薬、例えばテルフェナジン(terfenadine)、アステミゾール(astemizole)およびテロジリン(terodiline)(これらは、現時点で市場から回収されている)によるトルサード・デ・ポワント心室細動の公知病因である。
結果:
QTcおよび心拍数(HR)に対するオキシブチニンおよびデスエチル−オキシブチニンの効果
Figure 2005516992
結論:オキシブチニンは、QTc間隔における統計学的に有意の増加を生じさせたが、デスエチル−オキシブチニンはこのような作用を有していなかった。オキシブチニン群の動物内では高い生存率が存在していたことから、心拍数に対する作用は有意ではなかった。
評価:
追加の常習的試験を行わなくても、当業者は本明細書に記載されている本発明の特定の態様に対するかなりの同等態様を認識するか、または推定できるものと見なされる。このような同等の態様は、多くの医薬として許容される塩形態、例えば硫酸塩、フマール酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、二塩酸塩、メタンスルホン酸塩、ヒドロキシナフト酸塩、クロロテオフィリンまたはその相当する1種または2種以上の水化物を包含し、Merck Index 11版(1989)、項目:9089、209、3927、4628、8223、5053、5836、8142、2347、7765、1840、9720、7461、1317、4159および963、ならびにここに引用されている文献、およびAm.Rev.Resp.Dis.1988,137:(4;2/2)32を参照することができる。
このような同等態様はまた、本発明による化合物と本明細書に記載されている哺乳動物の疾病との戦いに用いられるいずれか別種の医薬との同時的投与を包含する。このような同等態様はまた、本発明による化合物と尿失禁または腸過敏活動またはその他の形態の平滑筋、例えば直腸、膀胱および呼吸器/気管過敏活動または活動低下用の医薬と組合わせて使用することができるいずれか別種の化合物または医薬との共−投与を包含する。医薬の当業者は、本明細書に記載されている投与量よりも多いか、または少ない投与量が好適であることがあること、および投与量を本明細書に示唆されている頻度よりも多いか、または少ない頻度で付与できることを認識するものと見なされる。
オキシブチニンのジデスエチル代謝物は、デスエチルオキシブチニンと類似する薬理学的活性を有するが、ジデスエチル代謝物はデスエチル代謝物に比較し、ムスカリンレセプターに対し幾分低い親和性を有する。ジデスエチル代謝物は、ECGのQTc間隔を延長させないことから、この代謝物およびその光学活性異性体、ならびにその塩形態は、治療用途を有し、本発明に包含されるものとする。
化合物デスエチルオキシブチニンは、尿失禁、頻尿および腸過敏活動以外の別種の治療用途にまた有用である抗ムスカリン医薬である。すなわち、デスエチルオキシブチニンは、ムスカリン性(コリン作用性)神経支配による別の平滑筋、例えば膀胱平滑筋、直腸平滑筋および呼吸器/気管平滑筋の収縮活性を減少させることができる。この医薬はまた、各種腺、例えば唾液腺に対するムスカリン性神経支配を効果的に抑制することができ、従って過剰の唾液産生の処置に使用することができる。デスエチルオキシブチニンはまた、急性膵炎の処置に使用することができる。デスエチルオキシブチニンは延長されたQTcおよびトルサード・デ・ポワント心律動異常にかかわる危険性を有していないことから、これらの治療用途に特に有用であることができる。
腸過敏活動障害および腸運動低下障害の用語が、過敏性腸症候群(IBS)を包含することは、当業者の認識されることである。
或る種の薬理学的性質(例えば、種々のタイプのレセプターに対する抗ムスカリン活性、カルシウムアンタゴニスト活性、種々の種類の平滑筋に対する鎮痙活性など)を有するとともに、心臓に対する副作用、例えばトルサード・デ・ポワント心律動異常を惹起しない本発明による化合物が本明細書に記載されている用途以外の用途に有用であることは、薬理学の当業者にとって明白であると見なされる。このような用途は、本明細書に記載されている発明の特定の態様と同等である。
同等態様の全部が本発明に包含されるものとする。

Claims (15)

  1. オキシブチニンが付随する有害作用の共動責任を減少させるとともに、尿失禁および頻尿を処置する方法であって、このような処置を必要とするヒトに治療有効量の4−エチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシル−フェニルグリコレートまたはその医薬として許容される塩を投与することを包含する、上記処置方法。
  2. オキシブチニンが付随する心臓に対する有害作用の共動責任を減少させるとともに、尿失禁および頻尿を処置する方法であって、このような処置を必要とするヒトに治療有効量の4−エチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシル−フェニルグリコレートまたはその医薬として許容される塩を投与することを包含する、上記処置方法。
  3. オキシブチニンが付随する心律動異常惹起性有害作用の共動責任を減少させるとともに、尿失禁および頻尿を処置する方法であって、このような処置を必要とするヒトに治療有効量の4−エチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシル−フェニルグリコレートまたはその医薬として許容される塩を投与することを包含する、上記処置方法。
  4. 4−エチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシルフェニルグリコレートまたはその医薬として許容される塩を、吸入により、または非経口、経皮、直腸、舌下または経口投与により投与する、請求項1に記載の方法。
  5. 4−エチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシルフェニルグリコレートまたはその医薬として許容される塩を、吸入により、または非経口、経皮、直腸、舌下または経口投与により投与する、請求項2に記載の方法。
  6. 4−エチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシルフェニルグリコレートまたはその医薬として許容される塩を、吸入により、または非経口、経皮、直腸、舌下または経口投与により投与する、請求項3に記載の方法。
  7. 4−エチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシルフェニルグリコレートまたはその医薬として許容される塩を、延長放出性製剤または制御放出性製剤として経口投与する、請求項1に記載の方法。
  8. 4−エチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシルフェニルグリコレートまたはその医薬として許容される塩を、延長放出性製剤または制御放出性製剤として経口投与する、請求項2に記載の方法。
  9. 4−エチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシルフェニルグリコレートまたはその医薬として許容される塩を、延長放出性製剤または制御放出性製剤として経口投与する、請求項3に記載の方法。
  10. 4−エチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシルフェニルグリコレートまたはその医薬として許容される塩を、経皮投与する、請求項1に記載の方法。
  11. 4−エチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシルフェニルグリコレートまたはその医薬として許容される塩を、経皮投与する、請求項2に記載の方法。
  12. 4−エチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシルフェニルグリコレートまたはその医薬として許容される塩を、経皮投与する、請求項3に記載の方法。
  13. 4−エチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシルフェニルグリコレートまたはその医薬として許容される塩を、一日当り約0.5mg〜約200mgの量で投与する、請求項1に記載の方法。
  14. 4−エチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシルフェニルグリコレートまたはその医薬として許容される塩を、一日当り約0.5mg〜約200mgの量で投与する、請求項2に記載の方法。
  15. 4−エチルアミノ−2−ブチニル シクロヘキシルフェニルグリコレートまたはその医薬として許容される塩を、一日当り約0.5mg〜約200mgの量で投与する、請求項3に記載の方法。
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