JP2005514097A - 運動の急停止プロトコルを用いて心臓虚血を評価する方法およびシステム - Google Patents

運動の急停止プロトコルを用いて心臓虚血を評価する方法およびシステム Download PDF

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Abstract

本願には、被験者の心臓又は心臓血管の健康状態の尺度を提供して、その被験者で心臓虚血を評価する方法(40a〜48aおよび40b〜48b)が説明されている。

Description

[関連出願]
本願は、2001年6月26日に出願した同時出願の米国特許出願第09/891,910号の一部継続出願であり、この特許出願も同様に2000年6月26日に出願した同時出願の米国特許出願第09/603,286号の一部継続出願である。これら両方の特許の開示内容の全ては、引用することにより、本願明細書の一部をなすものとする。
[発明の分野]
本発明は、体表面における心電図(ECG)データの処理に基づいた、心臓虚血の非侵襲性の高精度診断に関する。心臓虚血に対する本発明の定量的な評価方法は、概して、心臓自体の健康状態および心臓血管系の健康状態の両方を同時に示すことができる。
心臓発作および他の心臓の虚血性事象は、合衆国では死亡および障害の主要原因である。一般に、特定の患者の心臓発作などへの罹病性は、心臓活動を上昇させた期間に心臓の虚血(心臓組織自体への血流が十分でないことであり、結果として酸素の供給が不十分になる)の形跡を検査することによって評価することができる。無論、測定技術が十分に容易で、心臓へ過度のストレス(その状態はまだ知られていない)を加えることなく、また患者へ過度の不快感を与えずに実行できることが極めて望ましい。
心臓血管系は、心拍数を調整することによって生理学的なストレスの変化に反応する。この調整は、体表面のECGのR−R間隔を測定することによって評価することができる。連続するR波間の時間間隔は、連続する心拍間の間隔(RR間隔)を示す。この調整は通常、ECGのQT間隔の持続時間における対応する変化と一緒に行われる。このQT間隔は、心筋の電気的興奮の持続時間を特徴付けると共に、心筋の一定体積に対して平均された活動電位の持続時間を示す(図1)。一般的に言うと、各ECGリード(lead)においてQT間隔として測定された平均活動電位の持続時間は、時間的に変化する心臓収縮活動の指標と考えることができる。
コンピュータ技術における最近の進歩により、心拍数およびQT間隔の変動の自動分析に改善がもたらされた。心拍数(又はRR間隔)の変動分析とは別に又はそれと組み合わせて行われるQT間隔の変動(分散)を観察することにより、心不整脈の個々の罹病性の評価に対する効果的なツールが提供されることは、現在では周知である(B.Surawicz, J. Cardiovasc. Electrophysiol, 1996, 7, 777-784)。心不整脈の罹病性に対する別の種類のQTおよび他の間隔の変動についての特許出願は、Chamounによる米国特許第5,020,540号、1991年;Wangの米国特許第4,870,974号、1989年;Krollらの米国特許第5,117,834号、1992年;Henkinらの米国特許第5,323,783号、1994年;Xueらの米国特許第5,792,065号、1998年;Landerの米国特許第5,827,195号、1998年;Landerらの米国特許第5,891,047号、1999年;Hojumらの米国特許第5,951,484号、1999年の中で説明されている。
心臓の電気的不安定性は、QT分散の観察をECGのT波の交互分析と結びつけることによって予測することもできることが、最近発見された(Verrierらの米国特許第5,560,370号、5,842,997号、5,921,940号)。この方式は、突然心臓死に対する危険に対して個人を特定および管理する上である程度有用である。発明者らは、QT間隔の分散は長QT症候群の患者の不整脈に対する危険に結びつくと報告している。しかしながら、T波の変化を同時に測定せずにQT間隔の分散だけでは、心臓の電気的不安定性を正確に予測することは難しいと言われている(米国特許第5,560,370号の第6欄、行4〜15)。
突然心臓死の予測に対するQT間隔の分散を分析する別の出願は、J. Sarmaによって行われている(米国特許第5,419,338号)。彼は自律神経系を試験する方法を説明している。この方法は、心臓に対する副交感神経および交感神経の両方の制御の間の不均衡を評価し、これにより、突然心臓死に対する素因を示すように決められている。
同じ発明者は、自律神経系の試験手順はQTヒステリシスに基づいて決めることができると提案されている(J.SarmaらのPACE 10、485-491 (1988))。ヒステリシスは、運動と回復との間において観察され、初期の運動後の期間における交感神経副腎の活動(sympatho-adrenal activity)に原因があると考えられた。そのような活動は、負荷が急速に変化する運動の間のRR間隔の変化にQT間隔が順応する過程に現れた。
RR間隔のダイナミクスの素早い変化に対して急速にQT間隔が順応する時間的経過における交感神経副腎の活動とこのヒステリシスのはっきりした依存性との影響のために、心筋の電気的パラメータと心臓の電気伝導とにおける現実の虚血様の変化に対するこの方法の感受性が劇的に薄められる。このため、この種のヒステリシス現象は、心筋自体の健康状態の評価すなわち心臓虚血の評価に対しては有用ではない。
同様の交感神経副腎の不均衡形のヒステリシス現象は、A. Krahnらによって観察されている(Circulation 96、1551-1556 (1997)(同文献の図2を参照のこと))。著者らは、この種のQT間隔のヒステリシスが長QT症候群用の標識になるであろうと述べている。しかしながら、長QT症候群のヒステリシスは、運動又はストレスに誘導された失神又は突然死に関連する心臓内のイオンチャネルの遺伝的な欠陥を反映したものである。このため、2つの異なる理由によるものであるが、前述した例と同様に、本手法も心臓虚血又は心筋の虚血性の健康状態の尺度にはならない。
心臓虚血に関連する冠動脈疾患を評価する従来の非侵襲性の方法は、生理的な運動(ストレス試験)の間に、体表面心電図における形態学的な変化を観察することによる。T波の反転のようなECG形態の変化は、虚血の定性的な徴候として周知である。平均ベースラインに関連して測定されるSTセグメントの上昇又は下降に加えて、形状および勾配が運動負荷に呼応して変化している間に、ECGのSTセグメントのダイナミクスが連続的にモニタされる。これらの変化のいくつかとモニタしたST部分のデータの平均値とを比較することにより、不十分な冠状血液の循環と虚血の発生とについての徴候が得られる。広く臨床的に受け入れられ、自動的にST部分のデータ処理を行うコンピュータ化されたホルターモニタ式装置を利用できるにもかかわらず、この方法の診断の価値は、その感度が低いことおよび分解能が低いことのために限定される。この方式は、主に比較的大きな冠動脈の閉塞に関連した虚血性の症状に対して特に信頼できるため、それが広く用いられることにより結果として偽陽性が生ずることが多い。このことは今度は、不必要でより高価な侵襲的な心臓カテーテル法につながる可能性がある。
従来のSTセグメント降下方法の基本的な欠点である比較的感度が低いことおよび分解能が低いことは、本質的にそのような方法が体表面のECG信号の振幅を測定することに基づいているためである。この信号自体は、通常は心臓の虚血性事象の間変化している個々の心臓のセルの電気的パラメータの変化を正確に反映してはいない。体表面のECG信号は、数十万の個々の興奮した心臓セルの放電から生じた活動電位により決定される複合体である。運動からもたらされた局所的な虚血が進行する間に、興奮したセルの電気活動がわずかに局所的に変化する場合には、体表面上のECG信号内の電気的イメージは心臓の休息からの集合的な信号によって著しく薄められる。このため、ストレス又は運動などの生理的な状態にかかわらず、従来の体表面のECGデータの処理は、ECG信号における検出可能な虚血性の形態上の変化のしきい値が比較的高い(感度が低い)という特徴がある。そのような変化を正確で完全に識別することは、今なお未解決のある信号処理の問題である。
従って、本発明の目的は、患者の心臓虚血を検出および測定するための非侵襲性の技術を提供することである。
本発明の別の目的は、心臓虚血を検出および測定するための、患者にとって過度に不快であったり又はストレスをかけたりはしない非侵襲性の技術を提供することである。
本発明の別の目的は、心臓虚血を検出および測定するための、比較的簡単な機器を用いて実行することができる技術を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、心臓虚血を検出および測定するための、そういった虚血の低いレベルのものに対して感度が良い技術を提供することである。
本発明は、従来のSTセグメントの分析における問題点を解決する。体表面のECG信号の処理にまだ基づいているが、本発明はそれにもかかわらず、発生する心臓虚血に関連する心臓の電気伝導における変化を識別するための高感度で高分解能の方法を提供する。従来の方法によって検出可能な著しい心臓虚血の変化に加えて、本発明により、はるかに小さい虚血による状態と心臓の電気伝導との変化を測定することが可能になる。このため、従来のSTセグメントの降下による虚血分析とは異なり、本発明の方法は、レベルの低い心臓虚血を検出(通常のSTセグメント法では検出不可能)すると同時に、心臓虚血の小さな変動を分解およびモニタする可能性を広げる。特に、従来のECG評価(ST降下法)に基づいて心臓および心臓血管の健康状態が同じレベルと考えられていた個人の測定値は、本発明の方法に基づいて比較すれば異なるであろう。また、個人の心臓および心臓血管の健康状態は、本発明の方法を繰り返し適用することにより、定量的に評価、比較およびモニタすることができる。
本発明は、ある生理的状態のもとでは、QT間隔および/またはRR間隔データセットが複合の分散−回復曲線を表わすものであると解釈することができるとの発見に部分的に基づいている。これらの曲線は、媒体(この場合は心筋)の基本的な動的特性を特徴付ける。実際、外部の生理的な状態の緩慢な変化に追随しておこる交感神経副腎の活動により促進された急速な間隔の順応が、緩やかな心拍数の変化よりもずっと早く起こる場合には、この間隔は、主に心拍数および/または以前の心臓周期の長さの関数として考えられ、時間に依存した交感神経副腎の過渡現象にはほとんど依存しない。そのような場合は、特定の間隔データセットは時間に依存した、分散形の(dispersion-like)、準定常的な曲線を決定する。この曲線は、急激な順応の過渡現象にはほとんど依存せず、主に媒体の電気的パラメータに依存する。
この発見に基づいて、本発明は心臓虚血を評価する高感度で高分解能の方法を提供する。本方法により、適度な虚血状態の間ですら現れる心筋の電気的興奮の特性の比較的小さな変化を検出することができる。例えば、外部の生理的な状態のゆっくりした(準定常的な)往復の変化(there-and-back changes)に応答する特定の被験者の穏やかな心拍数の調整について考えてみる。理想的には、心拍数が徐々に上昇する段階および徐々に低下する段階の両方の間に、心筋に十分な量の酸素を供給する場合は、対応する往復の準定常的な結果的に生ずる間隔の曲線はほぼ同一である。しかしながら、虚血が存在する場合は、極めて程度が軽い場合であっても、特定の準定常的なヒステリシスループが結果的に観察される被験者に対しては、心筋の再分極および興奮特性の変化がある。非定常的なループ(前掲のJ. Sarmaら(1987);前掲のA. Krahnら(1997))とは異なり、本発明の準定常的なヒステリシスは交感神経副腎の間隔調整の過程に対してほとんど変化しない。これらのループの領域および形状は、ある特定の心拍数から別の心拍数へ過渡的に変化する間に急速に衰える時間に依存する過渡現象によってほとんど影響されない。その代わり、それらは媒体のパラメータの虚血に起因する変化に主に依存する。そのような準定常的なヒステリシスループによって囲まれた領域およびその形状は、一般に、心筋の健康状態自体および心臓血管系の健康状態を示す新しい定量的な特性を示す。さらに、ヒステリシスループの中に囲まれた形状および/または領域の任意の尺度(積分理論の中で定義されるようなセットの尺度)は、領域の任意の拡大が結果として尺度の増加を生ずる特性を有する。任意のそのような数学的な尺度は、前述した心臓の健康状態の新しい特性と見なすことができる。そのような尺度の任意の単調関数は、別の変換された倍率であってもなお同じ尺度を示す。
本発明の第1の態様は、被験者の心臓血管の健康状態の尺度を提供するために、その被験者の心臓虚血を評価する方法である。この方法は以下のステップを備える、すなわち、
(a)心拍数が徐々に増加する段階の間に、被験者から第1のRR間隔データセット(例えば、第1のQTおよびRRの間隔データセット)を収集するステップと、
(b)心拍数が徐々に減少する段階の間に、この被験者から第2のRR間隔データセット(例えば、第2のQTおよびRRの間隔データセット)を収集するステップと、
(c)データセット間の相違を確定するために、第1の間隔データセットと第2の間隔データセットとを比較するステップと、
(d)ステップ(c)の比較から、前記第1および第2のデータセット間の相違が大きいことが、前記被験者の心臓虚血が大きく、心臓血管の健康状態が低下していることを示す、前記被験者における運動中の心臓虚血の尺度を生成するステップと
を備える。
心拍数が徐々に増加および徐々に減少する期間の間は、ヒステリシスループの形成に対する交感神経、副交感神経、およびホルモンの制御の効果が十分に小さく、最小化又は制御されて、虚血性の変化を容易に検出することができる。このメンテナンスは、例えば、心拍数を薬理学的な関与を通して制御することにより、心臓を直接電気的に刺激することにより、又は運動負荷を徐々に増加および徐々に減少させることにより、心拍数が徐々に増加および徐々に減少して実現される。
その結果、前述した方法は、種々の様々な方法で実現することができる。特定の実施形態は、以下のステップから構成する、すなわち、
(a)運動負荷を徐々に増加させて心拍数が徐々に増加する段階の間に、前記被験者から第1のRR間隔データセット(例えば、第1のQTおよびRRの間隔データセット)を収集するステップと、
(b)運動負荷を徐々に減少させて心拍数が徐々に減少する段階の間に、前記被験者から第2のRR間隔データセット(例えば、第2のQTおよびRRの間隔データセット)を収集するステップと、
(c)前記データセット間の相違を確定するために、第1のRR間隔データセットと第2のRR間隔データセットとを比較するステップと、
(d)前記ステップ(c)の比較から、前記第1および第2のデータセット間の相違が大きいことが、前記被験者における運動中の心臓虚血の尺度を生成し、前記被験者の心臓虚血が大きく、心臓血管の健康状態が低下していることを示す、生成するステップと
から構成する。
本発明の別の実施形態では、運動で突然停止に続く休息段階は、冠動脈疾患を患っている患者において心拍数が徐々に減少する期間としての働きをする。
本発明の第2の態様は、被験者の心臓血管の健康状態の尺度を提供するために、その被験者の心臓虚血を評価するシステムである。このシステムは以下を備えている、すなわち、
(a)心拍数が徐々に増加する段階の間に、被験者から第1のRR間隔データセット(例えば、第1のQTおよびRRの間隔データセット)を収集し、心拍数が徐々に減少する段階の間に、この被験者から第2のRR間隔データセット(例えば、第2のQTおよびRRの間隔データセット)を収集するECGレコーダと、
(b)データセット間の相違を確定するために、第1の間隔データセットを第2の間隔データセットと比較するための、コンピュータ又は他の適当な手段の中で動作するコンピュータプログラムと、
(c)データセット間の相違を確定することから、第1および第2のデータセット間の相違が大きい場合は被験者の心臓虚血が大きく心臓血管の健康状態が低下していることを示す、前記被験者が運動する間の心臓虚血の尺度を生成する、コンピュータ又は他の適当な手段の中で動作するコンピュータプログラムと
を備えている。
本発明のさらに別の態様は、被験者の心臓又は心臓血管の健康状態の尺度を提供するために、その被験者の心臓虚血を評価する方法である。コンピュータシステム上で実行されるこの方法は、以下のステップを備える、すなわち、
(a)心拍数が徐々に増加する段階の間に、被験者から収集された第1のRR間隔データセット(例えば、第1のQTおよびRRの間隔データセット)を提供するステップと、
(b)心拍数が徐々に減少する段階の間に、被験者から収集された第2のRR間隔データセット(例えば、第2のQTおよびRRの間隔データセット)を提供するステップと、
(c)データセット間の相違を確定するために、第1の間隔データセットと第2の間隔データセットとを比較するステップと、
(d)ステップ(c)の比較から、第1および第2のデータセット間の相違が大きい場合は、被験者の心臓虚血が大きく、心臓又は心臓血管の健康状態が低下していることを示す、被験者が刺激される間の心臓虚血の尺度を生成するステップと
を備える。
第1および第2の間隔データセットは、これらデータセットに対する自律神経系およびホルモンの制御による急激な過渡現象の影響を最小にしている間に収集することができる。第1および第2の間隔データセットは、休息段階を間に入れずに収集される。生成するステップは、それぞれデータセットから曲線を生成することによって、および/またはデータセットからの曲線の形状を比較することによって実行することができる。特定の実施形態においては、生成するステップは、曲線間の領域の尺度を決定することによって実行される。別の特定の実施形態においては、生成するステップは、データセットからの曲線の形状を比較することおよび曲線間の領域の尺度を決定することの両方によって実行される。この方法は、曲線を表示するステップをさらに含むことができる。1つの実施形態においては、比較するステップは、(i)第1および第2の間隔データセットをフィルタ処理し、(ii)フィルタ処理された第1および第2の間隔データセットから平滑化されたヒステリシスループを生成し、次に(iii)平滑化されたヒステリシスループ内部の領域の尺度を決定する、ことによって実行される。別の実施形態においては、比較するステップは、(i)第1および第2の間隔データセットをフィルタ処理し、(ii)第1および第2の間隔データセットに対して仮の最小値を生成し、(iii)この仮の最小値を補正し、(iv)それぞれのフィルタ処理されたデータセットから第1および第2の仮の平滑化された曲線を生成し、(v)これらの仮の平滑化された曲線を補正し、(vi)仮の平滑化された曲線をフィッティングさせ、(vii)第1および第2のフィッティングおよび平滑化された曲線から平滑化されたヒステリシスループを生成し、次に(viii)ヒステリシスループ内部の領域の尺度を決定する、ことによって実行することができる。さらに別の実施形態においては、比較するステップは、(i)第1および第2の間隔データセットを移動平均による平滑化によってフィルタ処理し、(ii)平滑化されたヒステリシスループをこのフィルタ処理された第1および第2の間隔データセットから生成し、次に(iii)ヒステリシスループ内部の領域の尺度を決定する、ことによって実行することができる。
本発明のさらに別の態様は、被験者の心臓又は心臓血管の健康状態の尺度を提供するために、その被験者の心臓虚血を評価するコンピュータシステムである。このシステムは以下を備える、すなわち、
(a)心拍数が徐々に増加する段階の間に、被験者からの第1のRR間隔データセット(例えば、第1のQTおよびRRの間隔データセット)を提供する手段と、
(b)心拍数が徐々に減少する段階の間に、被験者からの第2のRR間隔データセット(例えば、第2のQTおよびRRの間隔データセット)を提供する手段と、
(c)データセット間の相違を確定するために、第1の間隔データセットと第2の間隔データセットとを比較する手段と、
(d)ステップ(c)の比較から、第1および第2のデータセット間の相違が大きい場合は、被験者の心臓虚血が大きく、心臓又は心臓血管の健康状態が低下していることを示す、被験者が刺激される間の心臓虚血の尺度を生成する手段と
を備える。
本発明のさらに別の態様は、被験者の心臓又は心臓血管の健康状態の尺度を提供するために、その被験者の心臓虚血を評価するコンピュータプログラム製品である。このコンピュータプログラム製品はコンピュータが使用可能な記録媒体を備え、このコンピュータが使用可能な記録媒体は媒体の中に組み込まれたコンピュータが読取り可能なプログラムコード手段を有し、このコンピュータが読取り可能なプログラムコード手段は、
(a)第1のRR間隔データセット(例えば、第1のQTおよびRRの間隔データセット)と第2のRR間隔データセット(例えば、第2のQTおよびRRの間隔データセット)とを比較し、これらデータセット間の相違を確定するコンピュータが読取り可能なプログラムコード手段と、
(b)ステップ(c)の比較から、第1および第2のデータセット間の相違が大きい場合は被験者の心臓虚血が大きく心臓又は心臓血管の健康状態が低下していることを示す、被験者が刺激される間の心臓虚血の尺度を生成するコンピュータが読取り可能なプログラムコード手段と
を備える。
本発明は、本願の中で主にQTおよびRRの間隔データセットを使用することに関連して説明されるが、本発明はRR間隔データセットだけを使用する簡易化した形式で実行できることは認識されよう。下記の特許請求の範囲において使用する場合は、「RR間隔データセット」という用語は、QTおよびRRの間隔データセット並びにRR間隔データセット単独の両方の実施形態を含む意図があることは理解されよう。これは、データセットがQT間隔データセットを含まないという但し書きに特に従う場合は除く。
本発明は、以下に記載する図面および明細書の中でより詳細に説明される。
本発明を以下により詳細に説明する。この説明は、本発明の特定の要素を実現することができる、全ての種々の方法の詳細な総覧となることを意図してはいない。また多数の変形例が、当面の開示に基づいて当業者には明らかになるであろう。
当業者は理解するであろうが、本発明のいくつかの態様は、方法、データ処理システム、又はコンピュータプログラム製品として具体化することができる。従って、本発明のいくつかの態様は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態、又はソフトウェアおよびハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形態を取る。さらに、本発明のいくつかの態様では、媒体の中に組み込まれたコンピュータが読取り可能なプログラムコード手段を有するコンピュータが使用可能な記録媒体上のコンピュータプログラム製品の形態が採用される。ハードディスク、CD−ROM、光記憶装置および磁気記憶装置を含む任意の適当なコンピュータが読取り可能な媒体を使用することができるが、これらに限定されることはない。
本発明のある態様を、方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャートによる説明を参照して以下のように説明する。フローチャートの説明の各ブロックおよびフローチャートの説明におけるブロックの組み合わせは、コンピュータプログラムの命令によって実行することができることは理解されよう。これらのコンピュータプログラムの命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに送られて、これらの命令がコンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサによって実行され、フローチャートのブロックの中で指定された機能を実行する手段を作り出すような装置を作る。
コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置を特定の方法で機能させることができるコンピュータプログラムの命令を、コンピュータが読取り可能なメモリの中に記憶して、このコンピュータが読取り可能なメモリ内に記憶された命令がフローチャートのブロックの中で指定された機能を実行する命令手段を含む製品を作ることもできる。
コンピュータプログラムの命令をコンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置にロードし、一連の動作ステップをコンピュータ又は他のプログラム可能な装置上で実行させて、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置上で実行される命令がフローチャートのブロックの中で指定された機能を実現するステップを提供するような、コンピュータが実行するプロセスを作ることもできる。
[1.定義]
「心臓虚血」とは、心筋の領域への血液の供給が不足している又は不十分なことを指す。心臓虚血は通常、1つ又は複数の冠動脈の動脈硬化による閉塞が存在する場合に発生する。動脈硬化は脂質沈着過程の産物であり、結果として冠動脈の内壁上に成長する繊維性脂肪の蓄積すなわちプラークを生じる。そのような閉塞は動脈を通る血流を減少させ、この減少により、生理的な必要量が増加する間、例えば、運動負荷が増す間に、周りの組織への酸素の供給を損なうことになる。心臓虚血の後期の段階(例えば、冠動脈にかなりの閉塞がある段階)では、心筋の休息時でさえ血液の供給は不十分になる。しかしながら、その初期の段階では、心筋への酸素の供給が通常の生理的レベルに戻るときに心筋が正常機能に回復する場合と同様の方法で、そのような虚血は元の状態に戻ることができる。このため、本発明が検出することができる虚血には、一時的な、慢性の、および急性の虚血が含まれる。
本願で用いられる「運動」は、継続して静止された休息状態において見られるよりも心拍数を高くする、被験者の自主的な骨格筋の活動のことを指す。運動の例には、サイクリング、ボート漕ぎ、ウェイトリフティング、散歩、ランニング、階段の昇降などが含まれるが、これらに限定されない。これらの運動はトレッドミルなどの静止した装置上で又は静止していない環境の中で実行することができる。
「運動負荷」又は「負荷レベル」は、被験者の心拍数がより高くなる所定の運動に対してより大きな負荷又は負荷レベルを用いる、特定の運動の相対的な激しさのことを言う。例えば、ウェイトリフティングではウェイトの量を増加することにより負荷を増加することができ、ウォーキング又はランニングでは、速度を増すことにより、および/またはウォーキング又はランニング面の勾配すなわち傾斜を強めることによって、負荷を増加することができる。
運動負荷を「徐々に増加させること」および「徐々に減少させること」は、複数の様々な順次増加又は順次減少する負荷のもとで、被験者が行う運動のことを指す。シーケンスのステップ数は無限にすることができるため、負荷を徐々に増加および徐々に減少させるという用語には、それぞれ、連続的な負荷の増加および減少が含まれる。
「介在する休息」は、心臓刺激を高めた後の段階に関して用いられる場合は、はっきりした交感神経副腎の応答を引き起こすように、心臓刺激を極めて急激に減少すること(例えば、運動負荷の急速な減少)によって開始された時間の段階のことを言う。このため、介在する休息の段階は、急速な交感神経副腎の調整(後述の実施例8の中でさらに詳細に説明する)によって特徴付けられ、介在する休息段階を含めることにより、準定常的な運動(又は刺激)のプロトコルを使用しないで済む(以下の実施例9でさらに説明する)。
「ヒステリシス」は、外部の状態が変化する場合の生理的影響の遅滞のことを指す。
「ヒステリシス曲線」は、一方の曲線が、心拍数が徐々に増加するような状態の第1の配列に対する系の応答を反映し、他方の曲線が、心拍数が徐々に減少するような状態の第2の配列に対する系の応答を反映するような一対の曲線を指す。ここで、状態の両方のセットは本質的に同じである、すなわち、同じ(又はほぼ同じ)ステップから構成するが、時間の経過と共に通過する順序が異なる。「ヒステリシスループ」は、対の2つの連続的な曲線によって形成されたループのことを言う。
「心電図」すなわち「ECG」は、心筋の外部の1つ以上の位置から得られた局所的な電位場の連続的又は逐次的な記録(又はそのような記録のセット)のことを指す。この場は、多数の心臓の細胞の結合された電気活動によって生成される(活動電位の生成)。記録電極は皮下に埋め込むか、又は被験者の通常は胸部の皮膚の表面に一時的に取り付ける。ECG記録には、一般に、ゼロすなわちグラウンド電位の部位を含む任意の2つの記録部位間の電位差を示す、単一リードのECG信号が含まれる。
「準定常状態」は、外部状態における、および/またはそれが生じさせる生理的応答における緩やかな変化のことを指し、交感神経または副交感神経の制御およびホルモンの制御による任意の対応する調整よりもはるかに遅く発生する。外部状態の変化の代表的な時間をτextで示し、τintが内部の交感神経または副交感神経の制御とホルモンの制御とのうちの最も早い代表的な時間であるとすると、「準定常状態」とはτext>>τintを表わす(例えば、τextはτintよりも少なくとも約5倍大きい)。「急な変化」とは、外部状態の極めて急速な変化に対応する、交感神経または副交感神経の制御およびホルモンの制御の速度と比較すると対照的な状況のことを言う。すなわち、「準定常状態」はτext<<τintであることを要件とする(例えば、τextはτintよりも少なくとも約5倍小さい)。特に、「急な停止」は、τintが約20又は30秒より短い時間の間に行われる運動負荷を急速に取り去ることを言う(下記の図9およびその中の注釈を参照のこと)。
「QTおよびRRのデータセット」は、心筋を通って広がる活動電位を含む電気信号の時間的経過の記録を指す。任意の単一リードのECGの記録には、QRS複合波(QRS complex)と通常呼ばれ、心室を通る活動電位の前部が伝搬することにより生成される3つの連続した鋭い振れのグループが含まれる。対照的に、心室組織の電気的回復が、T波として知られる比較的小さい振れとしてECG上に見られる。心臓周期間の時間間隔(すなわち、連続したR波の最大値の間)はRR間隔と呼ばれ、一方活動電位の持続時間(すなわち、QRS複合波の開始とその後のT波の終端との間の時間)はQT間隔と呼ばれる。これらの間隔の別の定義も、本発明の枠組みの中で同様の意味合いで使用することができる。例えば、RR間隔は、2つの連続するR波上の、同様の変曲点のような、任意の2つの同様の点間の時間、又は心臓の周期長を測定する他の方法として定義することができる。QT間隔は、Q波のピークとT波のピークとの間の時間間隔として定義することができる。QT間隔は、Q波の始点(又は中心)と時間軸(ベースライン)上の点として定義されるその後のT波の終点との間の時間間隔、又は活動電位の持続時間を測定する任意の他の方法として定義することもできる。T波の終点で、QT間隔はT波の下降ブランチの線形の外挿と交差し、その変曲点で開始する。拍動間のベースで又は任意の所定の拍動サンプリング速度のベースで蓄積された始点又は終点の時刻で同時に順序付けられたそのような間隔の持続時間のセットは、対応するQTおよびRRの間隔データセットを形成する。このため、QTおよびRRの間隔データセットは、2つのQT間隔に関連した配列{TQT,1,TQT,2,...,TQT,n}および{t1,t2,...,tn}を含み、2つのRR間隔に関連した配列{TRR,1,TRR,2,...,TRR,n}および{t1,t2,...,tn}も含む(配列{t1,t2,...,tn}は、QTデータセット内の同様の配列と正確に一致する場合又は一致しない場合がある)。
次の定義では、C[a,b]は、セグメント[a,b]上の連続関数f(t)のセットを示す。{ti},i=1,2,...,Nは、[a,b]からの点のセットを示す、すなわち、{ti}={ti:a≦ti≦b,i=1,2,...,N}および{f(ti)}である。ここで、f∈C[a,b]は、点{ti}における関数fの値のセットを示す。行列演算では、量τ={ti},y={f(ti)}は、列ベクトルとして扱われる。ENは、距離RN(x,y),x,y∈ENのN次元の距離空間を示す。(RN(x,y)は点xおよびy間の距離と言われる。)(全)変化量
Figure 2005514097
は、C[a,b]から任意の絶対連続関数Fに対して積分
Figure 2005514097
として定義される(スティルチェス積分)。
区間[a,b]上で単調な関数Fに関して、その変化量は単に|F(a)−F(b)|となる。関数F(t)が交互的な最大値および最小値を有する場合は、Fの全変化量は、単調性のある間隔におけるその変化量の合計である。例えば、最小値および最大値の点がx1=a,x2,x3,...,xk=bの場合は、
Figure 2005514097
となる。
「フィッティング(最良のフィッティング)」:
Figure 2005514097
をC[a,b]のサブセットとする。
Figure 2005514097
の場合は、連続した関数
Figure 2005514097
は、データセット{xi,ti}(i=1,2,...,N)に対する距離RNに関してクラス
Figure 2005514097
の「(最良の)フィット(又は最良のフィッティング)関数」と呼ばれる。この時、RNの最小値はフィットのエラーと呼ばれる。
Figure 2005514097
からの関数f(t)は、試行関数と呼ばれる。
大抵の場合は、ENはユークリッド距離を有するユークリッド空間を意味する。この時、エラーRNは良く知られている二乗平均平方根エラーになる。フィットは、試行関数の特定のパラメータ化、および/または試行関数が所定の点を通過するおよび/または所定の点において所定の値の勾配を有するという要求事項としての制約を通常意味しているため、フィットはサブセット
Figure 2005514097
上で実行される。
「スムーザー関数(smoother function)(平滑度の比較)」:
f(t)およびg(t)を、この区間上で絶対連続微分を有しているC[a,b]からの関数とする。
Figure 2005514097
が成立し、かつ、
Figure 2005514097
の場合、関数f(t)は関数g(t)「よりも平滑」である、という。ここで、プライム(´)は時間微分を表し、等号のない不等式(strict inequality)が、関係式(式D.4)および(式D.5)の少なくともいずれかにおいて成立する。
「スムーザーセット」:
セット{xi,ti}(i=1,2,...,N)がセット{x’j,t’j}(j=1,2,...,N’)と同じ又はより小さいエラーで同じクラスのスムーザー関数f(t)にフィットすることができる場合、前者は、後者よりも「平滑である」という。
「データセットのスムージング」:
データセット(x,t)≡{xi,ti}(i=1,2,...,N0)の下記の形式の別のセット(y,τ)≡{yj,τj}(j=1,2,...,N1)への(線形)変換は、後者のセットが前者よりも平滑である場合は「スムージング」と呼ばれる:
y=A・x,τ=B・t (式D.6)。
ここで、AおよびBはN1×N0の行列である。{yj,τj}を「平滑化されたセット」と呼ぶことができる。
「閉じた領域(closed domain)の尺度」:
Ωを、単純な(すなわち、自己交差がない)連続した曲線によって形成された境界を有する平面(τ,T)上の単独で接続されている領域とする。平面(τ,T)上のそのような領域Ωの尺度Mは、リーマン積分
Figure 2005514097
として定義される。ここで、ρ(τ,T)は、Ω上の非負の(重み)関数である。
ρ(τ,T)≡1の場合は、領域の尺度Mはその面積Aと一致し、ρ(τ,T)≡1/τ2の場合は、尺度Mは、変換された平面(f,T)上の領域Ω’の面積A’を意味することに注意されたい。ここで、f=1/τは、数量τがRR間隔の意味を有するため、心拍数と理解することができる。(領域Ω’は、マッピング(τ,T)→(1/τ,T)における領域Ωのイメージである。)
[2.分散/回復曲線]
図1は、心筋の中で生成され、その全体積にわたって合計された周期的な活動電位(AP、上側のグラフ20)の時間的な位相と、体表面上で発生して心電図(ECG、下側のグラフ21)として記録された電気信号の時間的な位相との間の対応を示す。この図は、2つの規則的な心臓周期を示す。活動電位の上昇運動の間、QRS複合波(QRS composite)が形成される。その複合波は、下側パネル上にマークされた3つの波形、Q,RおよびSから構成される。活動電位の回復段階は、APプロット上のその落ち込みおよびECGプロット上のT波によって特徴付けられる。活動電位の持続時間はQ波とT波との間の時間によって適切に示され、従来はQ波の始点からその後のT波の終点まで測定されたQT間隔として定義されることが分かる。連続したR波間の時間(RR間隔)は、心臓周期の持続時間を示し、一方その逆数の値は対応する瞬間的な心拍数を示す。
図2は、心臓組織を通る周期的な活動電位の伝搬過程および対応する複合波の分散−回復曲線の形成の主な様相を示す。組織は連続する媒体として考えることができ、また伝搬過程は、興奮および回復の連続した局面の各媒体の点における繰返しとして考えることができる。前者の局面は、局所的な膜電位の急速な成長(脱分極)を特徴とし、後者は、それが負の休息値へ戻ること(再分極)を特徴とする。興奮局面には、興奮しきい値の極めて早い(約0.1 ms)減少、およびその後の活動電位の上昇運動を起こす急速な内向きのナトリウム電流の発生(約1 ms)が含まれる。次に、中間のプラトー局面(約200 ms)の間に、ナトリウム電流が不活性化され、膜が一時的に興奮していない(すなわち、しきい値が高い)間に、カルシウムおよびカリウム電流が発生する。次の回復局面(約100 ms)の間に、カリウム電流が膜を再分極するため、膜は再び興奮する(興奮しきい値が低下される)。
工程に含まれる多数のイオン電流の複雑な説明を、その工程を局所的な膜電位uおよび局所的な興奮しきい値vによって直接処理する場合に行うことができる。そのような数学的な説明はCSCモデルと呼ばれ、Chernyak、Starobin、およびCohenによって開発され(Phys. Rev. Lett., 80, pp.5675-5678, 1998)、パネルA内に2つの反応−拡散(RD)方程式のセットとして示されている。第1の式の左手側は膜上の電荷の局所蓄積を説明し、右手側の第1の項は媒体の隣接する点間のオーム結合を説明し、また項i(u,v)は膜電位および変化する興奮しきい値の関数として膜貫通電流を示す(εは小さい一定の、遅い回復速度の早い興奮速度に対する比率である)。周期的な解(波列)は、いくつかの特定の関数i(u,v)およびg(u,v)に対して分析的に発見することができる。パネルBに示した波列は、g(u,v)=ζu+vr−vに対して計算された。ここで、ζおよびvrは、適切に選択された定数である(vrは初期の興奮しきい値を意味し、媒体の興奮性の主な決定要因である)。関数i(u,v)は、2つの線形の部分、1つはしきい値以下の領域u<vに対する部分、また1つはしきい値上方の領域u>vに対する部分から構成するように選択された。すなわち、u≦vの場合はi(u,v)=λruであり、u>vの場合はi(u,v)=λex(u−uex)である。ここで、λrおよびλexは、それぞれ休息状態(u=0)および興奮状態(u=uex)における膜の弦のコンダクタンスである。休息状態u=0は、電位目盛(potential scale)の原点とする。発明者らは、λex=1およびuex=1の単位を使用した。(詳細については、ChernyakおよびStarobinのCritical Reviews in Biomed. Eng. 27, 359-414 (1999)を参照されたい。)
伝導が良好な組織に対応する興奮性が高い媒体は、活動電位の持続時間(APD)が長いより急速でより活発な活動電位を引き起こす。この状態は、より長く続く興奮はより早く伝搬することをも意味する。同様に、周波数が高い波列は、媒体が先行する興奮から回復する時間が少なく、このため有効な興奮性が低いために伝搬は遅い。これらは、CSCモデルに特有の極めて一般的な特徴である。物理学的には、波動の速度cとその周波数fすなわちその周期T=1/fとの間の関係は、分散関係と呼ばれる。CSCモデルでは、この分散関係は明示的な形式T=FT(c)の中で得ることができる。ここで、FTはcおよび媒体のパラメータの周知の関数である。CSCモデルにより、明示的な形式TAP=FAP(c)の中で伝搬速度とADP TAPとの間の関係を見つけることができる。これは、媒体の回復特性を示す。医学文献の中では、回復曲線はTAP対拡張期の間隔TDIであり、これは極めて似通った物理的な表現を別に作る。パネルC(図2)に示すように、一対の分散および回復関係式{T=FT(c),TAP=FAP(c)}を(T,TAP)平面上の1つの曲線のパラメータ表示として考えることができる。そのような曲線(関係式)は、複合の分散−回復曲線(関係式)と呼び、実験によるECG記録からQTまたはRR間隔のデータセットを測定しTQT対TRRをプロットすることによって直接得ることができる。実験から得た{TQT,TRR}データセットが実際に複合の分散−回復関係を示す条件は、データが準定常状態のもとで収集されることが必要である。この事実を理解することは、本発明に対する重要な発見である。
[3.試験方法]
本発明の方法は、主に被験者を試験することを目的とする。事実上、男性、女性、若年者、若者、大人および老人の被験者を含むどのような被験者も、本発明の方法によって試験することができる。この方法は、十分な既往歴すなわち以前の記録を使用しない、被験者に対する初期の選別試験として実施することができ、また同じ被験者に繰り返し実施して(特に、長期にわたる個々の心臓の健康状態の比較的定量的な徴候が求められる場合)、試験期間の間にその被験者に介在する事象および/または介在する治療の効果又は影響を評価することができる。
前述したように、本発明の方法は、概して、(a)心拍数が徐々に増加する段階の間に、前記被験者から第1のQTおよびRRの間隔データセットを収集するステップと、(b)心拍数が徐々に減少する段階の間に、この被験者から第2のQTおよびRRの間隔データセットを収集するステップと、(c)前記データセット間の相違を確定するために、第1のQTおよびRRの間隔データセットと第2のQTおよびRRの間隔データセットとを比較するステップと、(d)前記ステップ(c)の比較から、被験者の心臓虚血の尺度を生成するステップとを備える。第1および第2のデータセット間の相違が大きい場合は、その被験者の心臓虚血が大きく心臓又は心臓血管の健康状態が低下していることを示す。
心拍数が徐々に増加および徐々に減少する段階は、両方の期間の間に、心臓に対してほとんど又は大体同じ刺激を末梢神経系およびホルモンの制御系によって維持するような方法で実施され、それが本発明の手段によって測定される外部制御の効果ではなく心臓虚血の効果であるようにされる。この方法は、現在行われている運動負荷(又は平均の心拍数)が徐々に増加および徐々に減少する2つの連続する段階を実行するような多数の技術によって行うことができる。
運動負荷を徐々に増加させる(又は平均の心拍数が増加する)段階および運動負荷を徐々に減少させる(又は平均の心拍数が減少する)段階の持続時間は、同じであっても異なっていても良い。一般に、各段階の持続時間は、少なくとも3,5,8又は10分又はそれ以上である。同時に、2つの段階の持続時間は、約6,10,16又は20分から約30,40又は60分又はそれ以上とすることができる。2つの段階は、時間的に連続して、すなわち、1つの段階が他の段階のほぼ直後に、休息の段階を介在させずに実行することが好ましい。別の方法では、2つの段階を時間的に離して、「プラトー」段階(例えば、1から5分)を介在させて実行することができる。プラトー段階の間は、心臓の刺激すなわち運動負荷は、負荷を減少させる段階を開始するまでほぼ一定に保たれる。被験者が冠動脈疾患を患っているような後で説明する特定の実施形態では、運動負荷を徐々に減少させる段階は急激な運動停止の後の段階の間に行うことが考えられる。
運動プロトコルの心拍数が増加又は減少する段階の間の負荷ステップのセットは、同じでも又は異なっていても良い。例えば、各段階のピーク負荷は同じでも異なっていても良く、各段階の最小負荷も同じでも異なっていても良い。一般に、各段階は、段階によって決まる昇順又は降順の、少なくとも2つ又は3つの異なる負荷レベルからなる。心拍数が比較的高くなるような比較的高い負荷レベルを使用することができるが、それは不可欠なものではない。本発明の利点は、その感度により、被験者の心拍数が過度に増加しない比較的低い負荷レベルで両方の運動手順を実行することができることである。例えば、この方法は、被験者の心拍数が上昇又は下降の段階のいずれか(又は両方)の間に、被験者の状態にもよるが、分当たりの拍動が約140,120又は100さえも超えないように実行することができる。無論、被験者の状態次第であるが、分当たりの拍動が100,120又は140を超える心拍数で収集されたデータも、必要なら使用することができる。
例えば、運動又は訓練を受ける被験者については、第1すなわち上昇段階では、第1の負荷レベルは被験者が60から100又は150ワットのパワー出力を必要とするように選択され、中間の負荷レベルは被験者が100から150又は200ワットのパワー出力を必要とするように選択され、第3の負荷レベルは被験者が200から300又は450ワット以上のパワー出力を必要とするように選択される。第2のすなわち下降段階に関しては、第1の負荷レベルは被験者が200から300又は450ワット以上のパワー出力を必要とするように選択され、中間すなわち第2の負荷レベルは被験者が100から150又は200ワットのパワー出力を必要とするように選択され、第3の負荷レベルは被験者が60から100又は150ワットのパワー出力を必要とするように選択される。別の負荷レベルを、全ての前記の負荷レベルの前、後、又はその間に必要に応じて入れることができ、負荷レベル間の調整は、階段状又は連続的な方法を含む任意の適当な方法で行うことができる。
さらに別の実施例では、平均的な被験者又は心臓血管の病歴がある被験者については、第1すなわち上昇段階では、第1の負荷レベルは被験者が40から75又は100ワットのパワー出力を必要とするように選択され、中間の負荷レベルは被験者が75から100又は150ワットのパワー出力を必要とするように選択され、第3の負荷レベルは被験者が125から200又は300ワット以上のパワー出力を必要とするように選択される。第2のすなわち下降段階に関しては、第1の負荷レベルは、被験者が125から200又は300ワット以上のパワー出力を必要とするように選択され、中間すなわち第2の負荷レベルは、被験者が75から100又は150ワットのパワー出力を必要とするように選択され、第3の負荷レベルは、被験者が40から75又は100ワットのパワー出力を必要とするように選択される。前述したように、別の負荷レベルを、全ての前記の負荷レベルの前、後、又はその間に必要なら入れることができ、負荷レベル間の調整は、階段状又は連続的な方法を含む任意の適当な方法で行うことができる。
所定の予定の刺激を患者に加えることにより、心拍数が徐々に増加および徐々に減少することができる。例えば、所定のプログラム又は予定に基づいて、患者を徐々に増加する運動負荷および徐々に減少する運動負荷、又は徐々に増加する電気的又は薬理学的な刺激および徐々に減少する電気的又は薬理学的な刺激に当てることができる。そのような所定の予定には、患者からの実際の心拍数のフィードバックがない。別の方法では、患者のモニタリングを同時に行うことにより収集された実際の心拍数のデータに呼応して、前記患者の心拍数が徐々に増加および徐々に減少することができる。そのようなシステムはフィードバックシステムである。例えば、患者の心拍数を試験の間モニタして、心拍数が両方の試験の段階の間に処方した方法で変化するように、運動負荷(トレッドミルの場合は速度および/または傾斜)を調整することができる。負荷のモニタリングおよび制御は、制御システムおよびアナログ信号を発生する運動装置に接続されている単純な制御プログラムおよび出力パネルを用いるコンピュータ又は他の制御システムによって実現することができる。そのようなフィードバックシステムの1つの利点は、心拍数が第1の段階の間にほぼ直線的に増加し、第2の段階の間にほぼ直線的に減少することを、制御システムが(必要なら)確実に行うことができることである。
生成するステップ(d)は、データセットから曲線を(それらの曲線を実際に表示して又は表示しないで)生成し、次に、(i)ヒステリシス曲線間の領域(例えば、区域)の尺度を、尺度が大きい場合はその被験者の心臓虚血が大きいことを示すように、直接又は間接的に評価し(例えば、積分理論の中で定義されるように)、(ii)曲線の形状(例えば、傾斜又はその導関数)を、形状の相違が大きい場合は被験者の心臓虚血が大きいことを示すように、直接又は間接的に比較し、又は(iii)(i)および(ii)を組み合わせる、などの何らかの適当な手段によって実行することができる。特定の実施例は、下記の実施例4で与えられる。
本発明の方法は、(e)運動の間の心臓虚血の尺度を少なくとも1つの基準値(例えば、個体の母集団又は部分母集団からの定量的な表示のための平均値、中央値又はモード)と比較するステップ、および次に、(f)ステップ(e)の比較から、前記被験者の心臓血管の健康状態に対する少なくとも1つの定量的な表示を生成するステップをさらに含む。任意のそのような定量的な表示は、一時的に(例えば、被験者が心筋梗塞又は心室頻拍のような将来の虚血に関連した心臓の事変に直面する危険の可能性を評価するために)生成される、又は特に処方された心臓血管の治療に対して又は単に被験者が回復又は悪化する物理的な状態の継続するモニタリングとして、被験者の時間的な経過をモニタするために生成される(繰り返すが、特定の実施例は、下記の実施例4で与えられる)。そのような場合は、上記のステップ(a)から(f)は、被験者の心臓血管の治療の効果又は経過を評価するために、少なくとも1つの個々の場合に繰り返される。前記治療の前から前記治療後の又は時間の経過にわたる前記データセット間の相違が減少する場合は、前記被験者の心臓の健康状態が前記心臓血管の治療から改善していることが示される。エアロビクス体操、筋力ビルディング、ダイエットの変更、栄養補給剤、減量、禁煙、ストレスの軽減、薬品治療(遺伝子治療を含む)、外科治療(バイパス、バルーン血管形成、カテーテル焼灼術などの開心術および閉心術の両方を含む)、およびそれらの組み合わせを含む任意の適当な心臓血管治療を与えることができるが、これらに限定されることはない。
治療又は治療介入は、承認されたもの又は実験的なものとすることができる。後者の場合は、本発明は実験的治療の臨床試験との関連で実行され、試験は提案された治療の効果を求める目的で治療の前後に(および/または治療中に)行われる。
[4.試験装置]
図3は、本発明によるデータを収集、処理および分析を行う装置の実施例を提供する。被験者の身体上に置かれた導線を介して、心電図がECGレコーダ30によって記録される。このECGレコーダは、例えば、標準的な複数リードのホルターレコーダ(Holter recorder)又は他の任意の適当なレコーダとすることができる。アナログ−ディジタル変換器31は、ECGレコーダによって記録された信号をディジタル化し、それらの信号を標準的な外部入出力ポートを介して、パーソナルコンピュータ32又は他のコンピュータ若しくは中央処理装置に転送する。次に、ディジタル化されたECGデータは、標準的なコンピュータベースの波形分析器ソフトウェアによって処理される。次に、複合の分散−回復曲線および心臓虚血の存在、無いこと又は程度に対する心臓又は心臓血管の健康状態の表示又は他の定量的な尺度が、ソフトウェア、ハードウェア、又はハードウェアおよびソフトウェアの両方として中で実行されるプログラム(例えば、ベーシック、フォートラン、C++など)によって、コンピュータ内で自動的に計算される。
図4Aおよび図4Bは、生理的状態における往復の準定常変化の間に被験者から収集されたQTまたはRRのデータセットの分析を行うための、ディジタル化されたデータ処理の主なステップを説明する。図4Aおよび図4Bの最初の4つのステップは、ほぼ同じである。複数リードのレコーダから収集されたディジタル化データは、各リードごとにデータ配列としてコンピュータのメモリの中に記憶される(40a,40b)。各データ配列の大きさは、心拍数が上昇および下降する段階の持続時間と、到来するディジタル化されたECG信号を処理する波形分析器が使用するサンプリングレートとによって決定される。波形分析器のソフトウェアは、各特定のリードにおけるECG信号の主な特徴的な波動(Q,R,SおよびT波)を最初に検出する(41a,41b)。次に、各ECGのリードで、このソフトウェアは連続するR波の間、およびQ波の始点とT波の終点との間の時間間隔を決定する42a,42b。これらの基準点を用いて、このソフトウェアは心拍数並びにRRおよびQT間隔を計算する。次に、ソフトウェアのアプリケーション部が、心拍数が上昇および下降する段階に対する間隔をソートする(43a,43b)。次の2つのステップは、それぞれ図4Aおよび図4Bで示される2つの別の方法の1つの中で行われる。図4Aに示す第5のステップは、ソフトウェアのアプリケーション部によって、QT間隔対RR間隔を、運動、薬理的/電気的な刺激などの生理的な状態における往復の緩やかな変化によって行われる心拍数が上昇および下降する段階に対して別々に表示するステップ44aから構成する。このソフトウェアの同じ部分は、次のステップ45aを実行する。このステップ45aは、各段階に対して十分に平滑な曲線TQT=F(TRR)を得るための、指数関数又は任意の他の適当な関数を用いる平滑化、フィルタ処理、又はデータのフィッティングを行うステップである。図4Bに示した直ぐ前の2つのステップに対する別の方法は、ソフトウェアのアプリケーション部は指数関数又は任意の他の適当な関数を用いて、2つの段階に対する時間の関数としてQT間隔を始めに平均化、および/またはフィルタ処理および/またはフィッティングし、RR間隔データセットを同様に処理して、それぞれが、心拍数が上昇および下降するブランチを含む、2つの十分に平滑な曲線TQT=FQT(t)およびTRR=FRR(t)を発生させることが必要である44b。次のステップ45bでは、ソフトウェアのアプリケーション部はこのパラメータ表示を用いて時間を取り除き、十分に平滑なヒステリシスループTQT=F(TRR)を生成およびプロットする。図4Aおよび図4Bに示す次のステップは、この場合もほぼ同様である。ソフトウェアのアプリケーション部が実行する次のステップ46a,46bは、(TQT,TRR)平面上に閉じたヒステリシスループを作るために、垂直な直線又は始点と終点とを接続する線などの適当に相互接続する線又は部分的に接続する線を用いて、2つのブランチのヒステリシスループを閉じるように図示することができる。次のステップ47a,47bにおいて、アプリケーションソフトウェアは、閉じたヒステリシスループの内部の領域の適当な尺度を各ECGのリードについて評価する。尺度は数学の積分理論に中で定義されるように、面積の概念を一般化したものであり、領域の異なる点のこの尺度への寄与を増加又は減少させる適当な重み関数を含んでいる。各ECGのリードに対するデータ処理の最終ステップ48a,48bは、アプリケーションソフトウェアがこの尺度又はこの尺度の任意の単調な関数を適当に繰り込む(renormalizing)ことによって指数を計算することである。指数と共に尺度自体は、局所的な虚血の素因だけでなく運動がもたらした虚血の両方の重大性を反映する。この局所的な虚血の素因は、測定された複合の分散−回復曲線の形状のいくつかの特性の中で反映される。全ての前述した信号処理のステップの結果を使用して、試験される特定の個人の心臓虚血および、同時に行われるオプションとして、心臓血管系の健康状態を定量的に評価することができる。
(TQT,TRR)平面を使用する代わりに、同様のデータ処理方法は、(TQT,fRR)のような(TQT,TRR)平面の非縮退変換によって得られる任意の平面上で同様に実行することができる。ここで、fRR=1/TRRは心拍数などである。そのような変換の一部又は全体を、前記尺度の適当な定義の中に組み込むことができる。
[5.急激に停止する運動プロトコルを準定常プロトコルと考えることができる条件]
一般に、準定常な運動プロトコルを徐々に増加および減少させる各段階の持続時間は、少なくとも3,5,8又は10分である。各段階の持続時間は、平均のピーク負荷心拍数の値(約120〜150心拍/分)と平均の休息心拍数の値(約50〜70拍/分)との間の急激な運動停止の間の心拍数(HR)の調整の平均持続時間(約1分)よりもほぼ1桁長い。
急激な運動停止の後の約1分の心拍数の調整期間は、健康な個人およびせいぜい比較的中ぐらいの程度の冠動脈疾患を患う個人に対してのみ典型的であることに注意されたい。しかしながら、冠動脈疾患の程度が明白な個人に対しては負荷の高い運動に起因する虚血が急速に発生するため、同じ調整周期の持続時間を10分又はそれ以上と著しく長くすることができる。これらの症例では、心拍数の変動(後の実施例9の中で説明される)は小さく、そのような病気の患者は急激な運動停止の後でこれ以上の運動負荷を加えなくても、大きな物理的なストレスが残ることを示す。そのような場合では、完全な準定常運動の処方計画が終わる前に、医師は通常プロトコルを中断する必要がある。しかしながら、これらの条件のもとでは、QT/RRのヒステリシスループの回復部分は急激な運動停止の後に形成されたループと同様に、準定常なループと考えることができる。実際に、遅い心拍数が運動前の心拍数と等しいレベルに回復する時間は3,5,8,10分又はそれ以上かかり、心拍数の変動は小さいため、緩やかな運動プロトコルの基調を成す定義を依然として満足している(下記の実施例9を参照のこと)。
従って、冠動脈疾患を患っている病人に対しては、急激な運動の停止によって本発明の方法が完了することが妨げられることはない。その理由は、心拍数の回復段階が長くなるため、運動プロトコルを全部完了しなくても、心臓又は心臓血管の健康状態の表示を準定常なループの指数としてやはり計算することができるためである。
一般に、物理的な消耗、息切れ、胸痛および/または他の何らかの臨床的な症状によって決定された明白な冠動脈疾患を患っている患者は、たとえパワー出力が約20ワットの低レベルであっても、3,5,8,10分又はそれ以上長い運動を行うことはできないことに注意されたい。そのような患者のそのような急激な運動停止の後の緩やかな回復過程は、本願で与えられるような準定常的なプロセスの定義を満たしている(例えば、実施例9を参照のこと)。中程度の冠動脈疾患の患者はもっと長い20分以上の運動を行うことができ、50から300ワットの範囲の著しく高い運動負荷を受けることができることに注意されたい。
本発明は下記の実施例の中でより詳細に説明されるが、それらの実施例に限定されることはない。
[実施例1]<試験装置>
図3と一致する試験装置が組み立てられた。心電図が製造業者の指示書に基づいて被験者の身体上に配置されたLead-Lok Holter/Stress Test Electrodes LL510 (LEAD-LOK, INC.; 500 Airport Way, P.O.Box L, Sandpoint, ID, USA 83864)の12本の導線を介して、RZ152PM12 Digital ECG Holter Recorder (ROZINN ELECTRONICS, INC.; 71-22 Myrtle Av., Glendale, New York, USA 11385-7254)によって記録される。ディジタルのECGデータは、PC 700フラッシュカードリーダを有する40 MBのフラッシュカード(RZFC40)(両方ともRozinn Electronics, Inc.製である)を用いて、パーソナルコンピュータ(Dell Dimension XPS T500MHz/Windows(登録商標)98)に転送される。Windows (登録商標)(4.0.25)用のホルター波形分析ソフトウェアがコンピュータにインストールされる。このソフトウェアを使用して、標準的なコンピュータベースの波形分析器ソフトウェアによってデータを処理する。次に、複合の分散−回復曲線および心臓虚血の程度に対する定量的な特性を提供する表示が手動で又はフォートラン90で実行されるプログラムによってコンピュータの中で自動的に計算される。
実験的なデータが、Landice L7 Executive Treadmill (Landice Treadmills; 11I Canfield Av., Randolph, NJ 07869)においてプログラムされた運動プロトコルを通じて収集された。このプログラムされたプロトコルは、各持続時間が48秒から1.5分の一定の運動負荷の20の階段状の間隔を含んでいた。これらの間隔全体で、全持続時間が16分から30分まで変化する、2つの持続時間が等しい運動負荷を徐々に増加および減少させる段階を形成した。各段階に対して、トレッドミルのベルトの速度および高さが被験者の年齢および健康状態に基づいて、それぞれ往復で2.4 km/時(1.5マイル/時)から8.8 km/時(5.5マイル/時)まで、トレッドミルの高さが1から10段階まで変化した。
[実施例2〜6]
<人のヒステリシス曲線の研究>
これらの実施例は、多数の様々な被験者の準定常的な虚血で生じたQT−RR間隔のヒステリシスを示す。これらのデータは、この方法が高い感度および高い分解能を有することを実証している。
[実施例2〜3]
<年令が異なる健康な男性の被験者のヒステリシス曲線>
これらの実施例は、上記の実施例1で説明した装置および方法を用いて、二人の男性の被験者に対して実施された。図5を参照すると、年令が異なる二人の概ね健康な男性の被験者間のヒステリシスの面積に著しい相違があることを容易に見ることができる。これらの被験者(23才と47才)は、運動負荷を徐々に増加および徐々に減少させる準定常的な30分のプロトコルに従って、トレッドミルで運動した。ここで、正方形および円形(太い線)は23才の被験者のヒステリシスループを示し、ダイヤモンドおよび三角形(細い線)は47才の被験者の大きなループに対応する。フィッティング曲線は、三次の多項式関数を用いて得られる。波形分析器がQTおよびRR間隔を決定する拍動のサンプリングレートは、分当たり1サンプルである。どの被験者にも、ECG−STセグメントには従来の虚血に起因する降下がなかった。しかしながら、本発明の方法により、虚血事象の従来のしきい値以下の範囲内に十分な分解能を備える虚血に起因するヒステリシスを観察することができ、また二人の被験者のヒステリシス間を定量的に区別することができる。
[実施例4〜5]
<STセグメントが降下した又は心筋梗塞の病歴がある(Prior Cardiac Infarction)被験者のヒステリシス曲線>
これらの実施例は、上記の実施例1で説明した装置および方法を用いて、二人の55才の男性の被験者に対して実施された。図6は、男性の被験者に対する準定常的なQT−RR間隔のヒステリシスを示す。正方形および空の円に一致した曲線は第1の被験者に関係し、従来のECG−STセグメント降下技術によっても検出できる心臓虚血の症例を示す。ダイヤモンドおよび三角形に一致した曲線は、別の被験者すなわち以前心筋梗塞を経験したことがある被験者に関連する。これらの被験者は、運動負荷を徐々に増加および徐々に減少させる準定常的な20分のプロトコルに従って、トレッドミルで運動した。フィッティング曲線は、三次の多項式関数を用いて得られる。これらの症例は、本発明の方法により、(1)従来のST降下法により検出することができる虚血のレベル間の相違、および(2)従来の方法にとってはしきい値以下であるため、それでは検出できない虚血(図5に示す)の低いレベル間の相違、を分解することおよび定量的に特徴付けることができることを実証する。図5で報告された運動に起因する虚血のレベルは、図6に示したレベルよりも著しく低い。この事実は、従来のST降下法の分解能は、本発明の方法と比較すると不十分であることを示している。
[実施例6]<規則的な運動方式の前後の同じ被験者によるヒステリシス曲線>
この実施例は、前記の実施例1で説明した装置および方法を用いて実施された。図7は、55才の男性の被験者が規則的なエアロビクス運動を行った前後の準定常的なヒステリシスの実施例を提供する。両方の実験は、運動負荷を徐々に増加および徐々に減少させる同じ準定常的な20分のプロトコルに基づいて実施された。フィッティング曲線は、三次の多項式関数を用いて得られる。第1の試験は、本発明の方法および従来のECG−ST降下法の両方によって検出された、運動負荷のほぼピークレベルで作成された明白な運動に起因する心臓虚血事象を示す。この第1の試験(規則的な運動方式を始めた前)の間に達した最大の心拍数は、146に等しかった。規則的な運動の経過の後、被験者はその心臓血管の健康状態を改善させた。このことは、ピークの心拍数を比較することによって、従来は大ざっぱに定性的に評価することしかできない。実際に、第1の実験から第2の実験へ移る場合のピーク運動負荷における最大心拍数は、146から122に低下して16.4%減少した。従来のSTセグメント法はST降下がないことも示しているが、この虚血の範囲がその方法のしきい値以下であるため、そのような改善のいかなる定量化も提供しなかった。そのような従来の方法とは異なり、本発明の方法はまさに上記の定量化を提供した。本発明を適用すると、第2の実験から作成された図7の曲線は、準定常的なQT−RR間隔のヒステリシスの面積が第1の実験から著しく減少したことを示し、またそのようなヒステリシスループによって、あるレベルの運動に起因する虚血がまだ残っていることが示されている。観察された複合の分散−回復曲線の形状の変化が改善していることも示されている。その理由は、これらの曲線が図2の平たい曲線(興奮性が低くしきい値が高い、vr=0.3〜0.35)に似た平たい曲線から、図2のしきい値が低い曲線(vr=0.2〜0.25)に類似した、より健康な(虚血が少ない)より凸形の曲線に変化したためである。このように、感度および分解能が高いために、従来の心臓血管の介入により治療された心臓血管の健康状態の変化を示す、心臓虚血のレベルの微細な変化を評価するために本発明の方法が使用できることを図7は実証している。
[実施例7]<心臓血管の健康状態を定量的に表示するための計算>
この実施例は、上記の実施例2−6で得られたデータを用いて実行された。図8は、本発明の方法による虚血評価に基づいた、心臓血管の健康状態の比較分析を示す。この実施例では、心臓血管の健康状態の表示(本願では心臓虚血指数を意味し、「CII」と略記した)を決定した。それは、準定常的なQT−RR間隔のヒステリシスループの面積Sとして定義され、積(TRR,max−TRR,min)(TQT,max−TQT,min)でそれを除算することにより正規化されている。各特定の被験者に対して、この因数は、準定常的なトレッドミルの運動プロトコルのもとでの試験の間に発生するQTおよびRR間隔の実際の範囲内の個々の差に対して面積を補正する。発明者らは、14の運動試験のサンプルの中で最大および最小のCIIを決定し、0から1まで変化する正規化指数<CII>=(CII−CIImin)/(CIImax−CIImin)を導き出した。様々な被験者における<CII>の変化は、本発明の方法により、従来のST降下法がしきい値以下でありいかなる運動に起因する虚血も検出できない領域の心臓および心臓血管の健康状態の様々なレベルを分解および定量的に特徴付けることができることを示す。このため、粗い従来のSTセグメント降下による虚血評価とは異なり、本発明の方法は、心臓虚血および関連した心臓および心臓血管の健康状態の変化の小さな変動に対する極めて正確な評価およびモニタリングを提供する。
[実施例8]<急速な交感神経副腎の過渡現象の説明>
図9は、運動負荷を増加させる10分の運動後の急速な停止に対するQT間隔(パネルA,C)およびRR間隔(パネルB,D)に対する典型的な急速な交感神経/副交感神経およびホルモンの調整を示す。全てのパネルは、12誘導(12 lead)の複数リードの心電図の右前胸部リードV3から得られたQTまたはRR間隔の時間的な変動を示す。波形分析器がQT間隔およびRR間隔を測定したサンプリングレートは、15サンプル/分に等しかった。被験者(47才の男性)は最初の10分は休息し、次に、運動負荷を徐々に(10分間)増加させる運動を開始した(パネルA,B−RRおよびQTの最小値から左側)。次に、運動負荷のピーク(心拍数は約120拍/分)において、被験者はトレッドミルから降りて、最も早いRRおよびQT間隔を運動負荷の完全な急な停止に対して適用することを解消した。QTおよびRR間隔が確実に運動後の平均の定常値になるように、被験者は十分長く(13分)休んだ。パネルCおよびDは、QTおよびRR間隔の変化の最大速度が運動負荷の急な停止の直後に発生したことを実証する。これらの速度は、0.28sから0.295sまで変化する間のQT間隔に対しては約0.015s/分であり、0.45sから0.6sまで変わる間のRR間隔に対しては約0.15s/分である。前述した実験に基づいて、「急速な交感神経副腎およびホルモンの過渡現象」又は「急速な自律神経系およびホルモンの過渡現象」に対する定義を与えることができる。
自律神経系およびホルモンの制御による急速な過渡現象は、RR間隔に対しては0.15s/分の速度の過渡現象を指し、これは心拍数の約25拍/分の変化速度に対応する。またQT間隔に対しては0.02s/分の速度の過渡現象を指す。又はこの急速な過渡現象は運動負荷(又は他の心臓刺激)における極めて急激な変化(停止又は増加)に応答するRR/QT間隔における変化のより早い速度のことを言う。運動負荷における極めて急激な変化は本願では、運動のピークから定常の平均休息値までの全範囲の大きさに匹敵する、RR/QT間隔内に急速な変動を引き起こす負荷変動として定義される。
[実施例9]<準定常的な運動プロトコルの説明>
図10は、12誘導心電図(12 lead electrocardiogram)の記録の右前胸部V3のリードにおいて運動負荷を徐々に増加および徐々に減少させる間に測定された、典型的な遅い(準定常的な)QT間隔(パネルA)およびRR間隔(パネルB)の調整を例証する。サンプリングは、毎分15のQTおよびRR間隔であった。男性の被験者は、運動負荷を徐々に増加および徐々に減少させる2つの連続した長い10分間の段階の間に運動した。QTおよびRR間隔の両方は、ほぼピークの運動負荷(ピークの心拍数は約120拍/分)で最小値に次第に近付き、次に始めの運動前の休息値よりもわずかに低いレベルに次第に戻った。QTおよびRR間隔の展開は、パネルAおよびBで灰色で示した指数関数のフィッティング曲線によりうまく近似された。QT−RR間隔の往復の時間変動の範囲は、QTおよびRR間隔に対してそれぞれ、0.34s−0.27s−0.33s(変化の平均速度は約0.005s/分)および0.79s−0.47s−0.67s(変化の平均速度は約0.032s/分すなわち約6拍/分)であった。指数関数のフィッティングから両方のパネルの中で黒点で示された、観察されたQTおよびRR間隔の二乗平均平方根の標準偏差σは、試験全体の間の対応するピーク値と休息値との間の平均の差よりも1桁小さかった。これらの偏差は、それぞれ、QT間隔についてはσ≒0.003sであり、RR間隔に対してはσ≒0.03sであった。図9(パネルC,D)によると、この種の小さい動揺は、生理的な変動による又は運動負荷の不連続による急激な心拍数の変化と結びつく場合は、10sよりも早く増加および減少することがある。その時間は、運動プロトコルの1つの緩やかな(上昇および下降)段階の持続時間よりも60倍も短い。QT/RR間隔の緩やかな変化および急激な心拍数の変動の振幅の間および時定数の間のそのような著しい差により、適当な平滑化する指数関数のような精度が高い関数によって、これらの時間にわたる変動を平均し、QT/RRプロトコルの持続時間の変遷をフィッティングすることができる。同時に行われるフィッティング手順(パネルA,B)は、両方の測定されたQTまたはRRのデータセットからパラメータの時間依存性を削除するアルゴリズムを決定し、各運動段階に対するQT間隔を単調な関数として考えることを可能にする。
上述の実験に基づいて、緩やかな又は「準定常的な」運動(又は刺激)プロトコルに対する定義は、定量的に規定することができる。すなわち、準定常的な運動(又は刺激)プロトコルは、以下のような、運動負荷又は刺激を徐々に増加又は徐々に減少させる2つの連続した段階(各段階の持続時間は3,5,8又は10分以上)のことを指す。
1.各段階の持続時間は、平均したピーク負荷の心拍数(約120〜150拍/分)と平均した休息の心拍数の値(約50〜70拍/分)との間で運動の急激な停止の間の心拍数を調整するための平均持続時間(約1分)よりもほぼ1桁(例えば、少なくとも約10倍)長い。
2.平滑で単調な(各段階に対して)フィッティングからの最初のQTまたはRR間隔のデータセットの二乗平均平方根の標準偏差は、準定常的なプロトコルによる運動全体の間に測定されたピークおよび休息のQT/RR間隔の値の間の差の平均よりも1桁(例えば、少なくとも約10倍)小さい。
前に(図10)示したように、緩やかな準定常的プロトコル自身により、急激な時間に依存する変動を測定されたQTまたはRR間隔のデータセットからかなり取り除くことが可能になる。その理由は、これらの変動の持続時間が短く、振幅が小さいためである。各段階に対応するそれぞれのQTまたはRR間隔のデータセットを時間の単調関数にフィッティングすることによって、それらの効果をさらに減少させることができる。その結果、各運動段階の間のフィッティングされたQT間隔の値は、準定常的に変化するRR間隔の値のほぼ単調で平滑な関数として示すことができる。(RR間隔,QT間隔)平面上に示されたこの関数は、形状、面積、および他の尺度が準定常的なプロトコルの細部にわずかしか依存しない、図2に示したヒステリシスループに極めてよく似たループを生じる。一般のヒステリシスループと同様に、このループは心筋の電気伝導特性を主に示すと考えることができる。
運動に起因する虚血は、心臓の電気伝導の状態を変えることは周知である。特定の個人に運動に起因する虚血事象がある場合は、準定常的なプロトコルの上昇および下降の段階に対応する2つの実験から得た複合の分散−回復曲線が異なり、独特の準定常的なヒステリシスループを形成することは、予想することができる。準定常的なプロトコルに従って、QTおよびRR間隔の平均値の進展が、交感神経/副交感神経の制御およびホルモンの制御による過渡現象の速度と比較すると極めて遅く発生するので、ヒステリシスループは過渡現象の特性にはほとんど依存しない。その場合は、そのようなヒステリシスは、心臓の電気伝導における緩やかな虚血の運動に依存する変化に対する優れた尺度を提供することができ、また一般に心臓の健康状態自身および心臓血管系の健康状態を反映することができる。
前掲のSarmaらもまた前掲のA. Krahnらも、QT間隔およびRR間隔の依存性に類似した、準定常的な依存性の収集に基づいた研究を報告していないことは、特に強調する必要がある。それは、実際には、両方の研究は別の目的を意図したからである。それとは反対に、彼らは運動負荷のピーク又はピークの近くでの急激な運動停止を含む準定常的でない運動プロトコルに意図的に基づいていた。これらのプロトコルは、非定常的な交感神経副腎の過渡現象をかなり示す、異なる種類のQT/RR間隔のヒステリシスループを発生した(上記の図9を参照のこと)。従って、これらの従来技術の実施例は、心臓の電気伝導の分散および回復特性における緩やかな変化を特徴づけるデータを含まず、また含むことができないので、運動がもたらした虚血に帰することができる重要な表示を含まない。
[実施例10〜12]<ステップ44〜45a,b(図4Aおよび図4B)のデータ処理>
以下の実施例においては、図4Bに示した処理を実施するための種々の具体的な実施形態を説明する。ここでは、ステップ44Bおよび45Bで実行されたソフトウェアは、次の主なステップを行う。
(i)指数関数又は他の任意の適当な関数によりこれらの平均化されたデータを平均化またはフィルタ処理およびフィッティングをすることによって、十分に平滑な時間依存するQTおよびRRのデータセットを生成する。
(ii)同じ時刻に対応するRRおよびQTデータセットの点を対に結合し、これにより、(TRR,TQT)平面又はコンピュータメモリ内の同様な面若しくはそのイメージ上で、心拍数が上昇および下降する段階(ブランチ)に対する平滑なQTまたはRR曲線を生成する。
(iii)QTまたはRR曲線の端部を閉じて、それらを閉鎖ループに変換し、面積S又は前記ループによって閉じ込められた領域の同様の大きさを決定し、この領域の大きさに基づいて被験者の心臓血管の健康状態の定量的な特性を提供する指数を計算する。これら3つの主要なステップのそれぞれは、図11、図13および図15、図16で示し、後でより詳細に説明するそれぞれの方法で示すように、いくつかのサブステップから構成する。
[実施例10]
<移動平均、指数関数および多項式フィッティングを最適に統合する方法>
{1.生データの平均化/フィルタ処理(図11のボックス1)}
生データのセットは、2つのサブセット{ti RR,Ti RR},i=1,2,..,NRR−1および{ti QT,Ti QT},i=1,2,..,NQT−1から構成する。ここで、ti xおよびTi xは、i番目のサンプリング時刻およびそれぞれのRR又はQT間隔の持続時間を示す(下付き文字xはRR又はQTを表す)。表記を簡略化するために、下付き文字RRおよびQTを両方のサブサンプルに適用できる場合は、下付き文字を省略する。各データポイントを2成分ベクトルui=(ti,Ti)として示すと便利である。この実施例におけるフィルタリング方法は、隣接するデータポイントの移動平均からなる。隣接ポイントのセットに対する移動平均を、下付き文字が平均オペレータ内に含まれるポイント数を示す角ブラケットで表示する。これにより、このサブステップにおける予備的なデータのフィルタリングは、i=1,2,..,N−1に対して次の式によって説明される。
Figure 2005514097
ここで、Nは対応する(RR又はQT)生データセット内のデータポイントの数である。このため、RRおよびQT間隔の持続時間および対応するサンプリング時間のポイントは、それらの間の1対1の対応を維持するために同様に平均化される。この方法は、生データの中に存在する高周波ノイズを取り除く。この予備平滑化は周波数領域の中でも説明され、別の方法では、適当なローパスフィルタ処理により実現することができる。この実施例に関係する全ての以下の処理は、平均化されたデータポイント<ui2に対して行われる。また角ブラケットは表記を容易にするために省略する。
{2.最小値のt−座標の予備的評価(図11のボックス2)}
このサブステップは、それぞれ最初に平均化されたRR間隔およびQT間隔データセットの最小値の時定数
Figure 2005514097
の予備的評価から構成する。このアルゴリズムはデータセットを順次ソーティングして、RR又はQT間隔のM個の最小値に対応するM個のデータポイントを選択し、次に結果を平均する。(この実施例では、M=10である。)第1に、このアルゴリズムによって、最短の間隔
Figure 2005514097
に相当するu−ベクトル
Figure 2005514097
が発見される。次に、このデータポイントはデータセット{ui}から除かれ、アルゴリズムは残りデータセットをソーティングして、最短の間隔
Figure 2005514097
に相当するu−ベクトル
Figure 2005514097
が再度発見される。最小ポイントが再びデータセットから除かれ、最短の間隔
Figure 2005514097
に相当するM番目のu−ベクトル
Figure 2005514097
が発見されるまで、ソーティングは何度も繰り返される。次に、アルゴリズムは全てのM個の対を平均し、下記の式として定義された平均最小時間座標
Figure 2005514097
を計算する。
Figure 2005514097
最後に、このアルゴリズムにより、
Figure 2005514097
に最も近いサンプリング時定数
Figure 2005514097
が決定される。このようにして、RRおよびQTデータセットに対して、それぞれ
Figure 2005514097
に到達される。
{3.予備最小値の座標の第1の補正(図11のボックス3)}
このサブステップでは、最小値座標
Figure 2005514097
に対する第1の補正を求める。アルゴリズムのこの部分は、下記の式の関数により最初にフィルタ処理されたデータセット{ui}={ti,Ti}のT成分の反復する指数関数のフィッティングに基づく。
T(t)=Aexp[β|t−tm|] (式10.3)
ここで、tmは、前述のサブステップ(例えば、RR間隔に対しては
Figure 2005514097
、QT間隔に対しては
Figure 2005514097
)において決定された対応する最小値の時刻である。フィッティングは、両方のブランチに対して定数Aおよびtmの値は同じで定数βの値は異なるu(t)の下降(t<tm)および上昇(t>tm)ブランチに対して別々に行われる。Aの初期値は、サブステップ2における予備評価、すなわち、
Figure 2005514097
(すなわち、RR間隔に対しては
Figure 2005514097
およびQT間隔に対しては
Figure 2005514097
)から得られる。各ブランチおよび各データのサブセットに対する定数βの初期値は、対応するブランチ全体の式(10.3)によるフィッティングからの初期の二乗平均平方根の偏差σ=σ0が最小であるという必要条件から得られる。その後の各繰返しサイクルの中で、定数Aおよびβの新しい値が各ブランチに対して決定される。各繰返しサイクルの開始時に、定数Aが前のステップから取得され、βの値の数値が調整されて、偏差値σを最小にする。そのような反復は、平均二乗偏差σが小さくなっていく間は繰り返され、σが最小値σ=σminに達すると停止される。このサブステップの終了時に、アルゴリズムは補正値Aおよびβ並びにσRR minおよびσQT minのそれぞれの値を出力する。
{4.予備平滑化曲線(図11のボックス4)}
このサブステップは、下記の式のように、各データのサブセット{u}に対してp個の連続したポイントについての一連の移動平均を計算するステップから構成する。
Figure 2005514097
量pを平均化窓の幅と呼ぶ。計算はpの様々な値に対して実行され、次にサブステップ3で決定されたパラメータA、tmおよびβの値を用いて、式(10.3)によるフィッティングからセット{ui p}={ti p,Ti p}の平均二乗偏差を最小にすることによって、平均化窓の幅の最適値p=mが求められる。データセット(RRおよびQT)の各成分に対してこの方法を実行した後、予備的に平滑化されたデータセット{ui m}={ti m,Ti m}に到達する。ここでは、
Figure 2005514097
が成立する。
このようなデータセットにおけるポイント数は、Nm=N−m+1である。ここで、Nはサブステップ1で初期のフィルタリングを行った後のデータポイントの数である。
{5.予備平滑化曲線の補正およびQTおよびRRの最小値およびその座標の第2の補正(図11のボックス5)}
このサブステップにおいて、数量T(RR又はQT間隔)の最小値の近くの移動平均(より小さい平均化窓を使用)を再度定義する。このことは、その最小値近くの探求された(フィッティング)曲線T=T(t)の歪みを避けるために有用である。このアルゴリズムにおいては、Ti
Figure 2005514097
の間に位置するように、最初に全てのデータポイント{ti,Ti}が規定される。これらのデータポイントにおいては、下記の集合から上付き文字の値iが得られる。
Figure 2005514097
{ti}(i∈I)の間で最も早い時刻および最も遅い時刻に対応する下付き文字の値を、i0∈Iおよびiq∈Iにより表わす。従って、i0=min{I}およびiq=max{I}と設定する。ポイントの数をRRデータについてはqRRで、QTデータについてはqQTによりそのようなセットの中で表示して、平均化窓の幅qを2つの最小値q=min{qQT,qRR}として求める。ここで、最小値の近くのデータポイントに対する移動平均を
Figure 2005514097
のように記載する。そのような修正された平均化は、下付き文字iがi0からiqにわたる全ての連続したデータポイントuiに適用される。最終的な(平滑化された)データセットは、i=1,2,..,i0−1に対して式(10.4)により定義された最初のi0−1個のデータポイント、i=i0,i0+1,..,iqに対して式(10.7)により定義されたq個のデータポイント、およびi=iq+1,iq+2,...,N−m+1に対して再度式(10.4)により定義されたN−iq−m個のポイントから構成する。この最終的なセット
Figure 2005514097
は、下記の式として示すことができる。
Figure 2005514097
サブステップ10.5の最後に、このアルゴリズムはQTおよびRR間隔の最終的な最小値および対応する時刻を決定する。アルゴリズムは、平滑化されたデータセット(10.8)をソートし、
Figure 2005514097
の最小値に相当する
Figure 2005514097
を決定する。これは、下記の式として記載することができる。
Figure 2005514097
{6.最終的なフィッティングおよび最終的な平滑なQTおよびRR曲線(図11のボックス6)}
このサブステップでは、最終的な平滑なQTおよびRR曲線を示す関数のパラメータを発見する。先ず初めに、各データセット
Figure 2005514097
は、それぞれ、下降
Figure 2005514097
および上昇
Figure 2005514097
ブランチに対応する2つのサブセット{ui -}および{ui +}に分割される。時間の原点を最小ポイント
Figure 2005514097
に移動し、下降ブランチの軸方向を変更する。これにより、これらの再定義された変数は、下記のように与えられる。
Figure 2005514097
最小ポイントが両方のブランチの中に含まれることに注意されたい。次に、各ブランチを下記の形式の4次多項式関数を用いて各ブランチをフィッティングすることによって、直線回帰を実行する。
T±(t±)=a±t±4+b±t±3+c±y±2+d (式10.11)
この関数はt±=0において最小値を有する必要があるため、直線項はこの方程式には含まれない。dの値は、下記の式で定義される。
Figure 2005514097
計算の都合上、変数u±はz±=T±−dに変換され、次に係数a±、b±およびc±が、下記のエラーの方程式を最小にする条件から決定される。
Figure 2005514097
この式では、合計が対応するブランチの全てのポイントにわたって実行される。このように、代表的な直線方程式の4つの同様なセット、すなわち2つのRRおよびQTデータセットの各u±ブランチに対して2つ、が得られる。これらの方程式は、下記の形式を取る。
Figure 2005514097
全ての合計が、ブランチの全てのポイントにわたって実行される。ここで、QTおよびRR間隔の時間依存曲線を、下記のように示すことができる。
RR(t)=TRR -(t−tmin RR),t≦tmin RR (式10.15)
=TRR +(t−tmin RR),t≧tmin RR
および
QT(t)=TQT -(t−tmin QT),t≦tmin QT (式10.16)
=TQT +(t−tmin QT),t≧tmin QT
ここで、TRR±(t)およびTQT±(t)は、式(10.11)によって与えられた4次の多項式であり、tmin RRおよびtmin QTは式(10.9)によって定義された対応する最小値の時間座標である。このように、式(10.10)〜式(10.16)は、式(10.9)により定義された最小値を用いて、最終的な平滑なQTおよびRR曲線を決定する。
{7.最終的な平滑化ヒステリシスループ(図11のボックス7)}
このサブステップでは、ソフトウェアは始めに、稠密な(N+1)ポイントの時間グリッドτk=tstart+k(tend−tstart)/Nを生成する。ここで、k=0,1,2,..,N(この実施例ではN=1000)であり、tstartおよびtendは、それぞれ、測定の開始時および終了時の実際の値である。次にこのサブステップは、グリッド上の4つの関数TRR±(τ−tmin RR)およびTQT±(τ−tmin QT)の値を計算する。これはそれぞれ、上昇(+)および下降(−)ブランチに対して、コンピュータのメモリ内に最終的な平滑化曲線(TRR±(τ−tmin RR),TQT±(τ−tmin QT))をパラメータ表示する。この方法は、時間を分析的に除去したものと計算上等価である。次にソフトウェアはまた、これらの平滑化曲線を(TRR,TQT)平面又は(fRR,TQT)のような別の同様な平面上にプロットする。ここで、f=1/TRRは、瞬間的な心拍数である。最後にアルゴリズムは、下側(下降)ブランチの終点を上側(上昇)ブランチの始点と接続する閉鎖線を示すポイントのセットを曲線に加え、これにより、閉じたQT/RRヒステリシスループを生成する。
{8.QT/RRヒステリシスループにより囲まれた領域の測定(図11のボックス8)} このサブステップでは、QT/RRヒステリシスループ内部の領域の測定が、下記の積分を数値的に評価することによって計算される(上記の定義を参照のこと)。
Figure 2005514097
ここで、Ωは、閉じたヒステリシスループによって形成された境界を有する(TRR,TQT)平面上の領域であり、ρ(TRR,TQT)は、負でない(重み)関数である。この実施例では、Sが領域Ωの面積と一致するようにρ(TRR,TQT)=1としたり、又はSが(f,TQT)平面上のヒステリシスループ内部の領域の微小な面積と一致するように、ρ=1/(TRR2と設定することができる。ここで、f=1/TRRは心拍数である。
[実施例11]<順次移動平均の方法>
{1.生データの平均化/フィルタリング}
このサブステップ(10.1に類似している)は、式(10.4)による生データの平均化(フィルタリング)からなる。これは、平均化窓の幅pの値の予備セットに対して実行される。
{2.最終的な移動平均による平滑化}
このサブステップは、下記のような前述したステップで求められたセット{ui p}により示される予備平滑化データのその後の最終的な平滑化処理を含む。
Figure 2005514097
窓の幅mfは数の上で変化して、フィッティングの最適な平滑性および精度を実現する。最適に平均化されたデータポイントは、対応する平面上に平滑な曲線を形成する(図12、図14)。
{3.QT/RRヒステリシスループ内部の領域の尺度}
このサブステップの方法は、上記の実施例10のステップ8の中で定義されているものと同様である。
[実施例12]
<最適化非線形変換の方法>
図15は、この非線形変換方法を含むデータ処理手順における主なステップを説明する。RRおよびQTデータセットに対する始めの3つの段階は極めて似ており、各々は結果として稠密な時間グリッド上に、フィッティングされた鳥状の曲線TRR=TRR(t)およびTQT=TQT(t)の計算を行う。両方の鳥状の曲線を計算すると、データ処理手順が実際に完了される。その理由は、適切な同期化の後に、これら2つの依存性はパラメータ的に閉鎖線と共に、(TRR,TQT)平面又は同様の平面上に、探求されたヒステリシスループを示すからである。発明者らはQTおよびRRの間隔データセットに同様に適用できる一般的な用語でこれらの方法を説明し、またアルゴリズムの中に相違がある特定の瞬間を示す。
{1.予備的なデータ処理段階}
[Tk},k=1,2,..,Nを測定されたRR又はQT間隔の持続時間のセットとし、{tk}を対応する時刻のセットとすると、t1およびtNは記録全体の開始時刻および終了時刻(セグメント)になる。最初の3つの同様な段階(図15の段階1〜段階3)は、予備的段階、第2の非線形変換の段階、および計算段階である。これらの段階に対する一層詳細なデータのフローチャートを、図16に示す。図16のボックス1〜ボックス7で示された予備段階は、従来のデータ処理方法の組み合わせであり、下記の処理を含む、すなわち、(1)データセットの平滑化(平均化)、(2)最小値近傍の領域の決定、(3)この領域内のデータへの二次放物線のフィッティング、(4)結果の整合性のチェック、(5)最小値のデータの繰り込みおよびセンタリング、(6)運動領域外のデータセグメントの切離し、および上昇および下降ブランチの分離、および最後に(7)最小値近傍のデータセグメントのフィルタリング、の処理を含む。これらのステップをより詳細に説明する。
図16のボックス1は移動平均を示し、またそれ自体は2つのステップを含む。第1は、移動平均手順のパラメータmの初期値を、下記の式で指定する。
m=max{γ(N/Nc),mmin} (式12.1)
ここで、r(x)はxに最も近い整数であり、Ncおよびmminの値は、データポイントの数Nおよびデータ内のランダム変動の量(データ内のランダム成分の大きさ)に基づいて選択される。この実施例では、Nc=100およびmmin=3とした。mの値は、後の段階で繰り返し再定義することができ、その選択についてはその時に説明する。次に、下記のような所定の平均化パラメータmを用いて、{ti}および{Ti}データセットに対して移動平均を計算する。
Figure 2005514097
mが一定であり不明確性が生じる恐れがない場合は、下付き文字mは以下では省略される。このアルゴリズムの次のステップは、放物線のフィッティングが行われる時間間隔(放物線フィッティング間隔)の初期決定である。このステップを、図16のボックス2の中で示す。一定の条件が満足されない場合は、このデータのサブセットを後の段階で再定義できることに注意する。このアルゴリズムを現在実現するために、この領域を{ti,Ti RR}および{ti,Ti QT}データセットに対して別々に定義した。データセット{ti,Ti RR}に対して、初期の放物線のフィッティング区間が、i1とi2との間のiの全ての連続した値を有するデータ区間{ti,Ti RR}として定義される。ここで、i1=nmin−△mおよびi2=nmin+△mであり、整数のパラメータnminおよび△mは次のように定義される。数値nminは、平均化されたデータセット{<ti>,<Ti>}上の最小値に最も近い時刻の本来のセット内の時刻
Figure 2005514097
を決定する。換言すると、
Figure 2005514097
は、平均のRR間隔<Ti RR>の最小値に対応する平均時刻<tM>、すなわち、下記の条件により定義された下付き文字の値Mを有する時刻に最も近い。
Figure 2005514097
△mの値は、条件△m=2mによってmの値にリンクされる。△nとmとの間のリンクは、アルゴリズムが安定で一貫しているという要求事項から生ずる。この一貫性は、移動平均および二次フィッティングによって得られた曲線の最小値の位置はほぼ同じであったという要求事項である。他方、二次フィッティングは最小値の直ぐ近くの局所的なデータのみを説明する目的で行われるため、mの値は十分に小さいことも重要である。
データセット{ti,Ti QT}に対しては、初期の放物線フィッティングの区間は、非平均化{Ti QT}データセットの下部に属する全ての連続したポイントから構成するデータのサブセットとして定義される。発明者らはこのようにi1を、下記のような第1の(最小の)数値iとして定義する。
Figure 2005514097
ここで、Rは、二次放物線を用いてフィッティングされるデータの部分を決定するパラメータ0<R<1である。この計算では、R=1/8=0.125と設定して、間隔の持続時間の底部12.5%に相当するデータポイントを放物線とフィッティングする。このため、下付き文字i1は、条件(式12.4)が満足されるようなiの第1の(最小の)値である。同様に、i2は、条件(式12.4)が満足されるようなiの最後の(最大の)値である。次に、初期のフィッティング領域が、以下の非平均化データのサブセット{(ti,Ti QT):i=i1,i1+1,i1+2,..,i2}として定義される。この方法は、RRデータセットの二次多項式フィッティングに対して初期のデータ区間を決定するために使用することもできる。
図12.2のボックス3で示す次のステップでは、データが下記の式によって概ね示されるように、放物線によってこの領域のデータを(各データセットに対して)フィッティングする。
Figure 2005514097
これは、このデータのサブセットに対して通常の直線回帰を用いて行われる。次のステップ(図16のボックス4)では、放物線が最小値を有するかどうか(すなわち、P1>0かどうか)をチェックする。この条件が満足される場合は、放物線のフィッティング間隔およびフィッティング放物線自身に対する決定が完了する。満足されない場合は、図16のボックス1a〜ボックス3aで示すループに入る。第1のステップは、RR間隔データセットに対して使用された上記の第2のステップに似ており、放物線のフィッティングに対して拡張された区間を定義する。このことは、図16のボックス1aに示すように式(12.2)に従って、mをm+1に置き換え、この新しいmの値を用いて△m=2mを再定義し、新しい平均化されたデータセットを計算することによって行われる。これにより、nminの新しい値および並びにi1=nmin−△mおよびi2=nmin+△mの新しい値をmの新しい値で評価することができる(ボックス2a)。次に、放物線のフィッティングが再度行われ(ボックス3a)、放物線が最小値を有する条件P1>0が再びチェックされる。その条件が満足される場合は、フィッティングの間隔および二次フィッティング係数を決定する手順が完了する。満足されない場合は、mをm+1で置き換えて、条件P1>0が満足されるまで何回も処理を繰り返す。この条件は、二次放物線の極値が実際に最小値であることを保証する。運動プロトコルをまさにこのように決めることによって、平均の心拍数が負荷段階内のどこかで一定の最大値に到達し、これにより、対応する平均のRR間隔が最小になる。このことは、そのように定義されたデータ区間が存在し1つしかないこと、このため、二次放物線の係数がうまく定義されていることを保証する。要するに、発明者らは平均化されたデータセットの最小値の周りに集中し、最小値(P1>0)を有する二次放物線を生成する最も短いデータ区間を使用する。
放物線のフィッティングは、データ処理手順の2つの重要なパラメータ、すなわち、下記のような(t,T)平面上の最小値の位置(tmin,Tmin)を定義する。
min=−P2/2P1,Tmin=P3−P2 2/4P1 (式12.6)
本願の最終的なフィッティング曲線はポイント(tmin,Tmin)において最小値を常に通過すると共にその最小値を有しているという意味で、これらのパラメータは最終的なものである。座標(tmin,Tmin)はこのように、最終的な鳥状のフィッティング曲線のパラメータを構成する。最小値の縦座標Tminを見出すと、下記のようにTデータのセットの繰り込みを行うことができる。
k=Tk/Tmin (式12.7)
発明者らはまた放物線の最小値tminの横座標を時間原点としてとらえ、データポイントの時間成分を下記のように定義する。
i -=ti−tmin,ti≦0 (式12.8)
j +=tj−tmin,tj>0
これら2つのデータ変換を、図16のボックス5で示す。発明者らはまたデータセットを、運動期間にいくつかの短い前後の間隔を加えたものにのみ限定する(ボックス5)。条件ti -≦0およびtj +>0は、上昇{ti -,Ti}および下降{tj +,Tj}ブランチをそれぞれ定義するため、対応するデータポイントを容易に識別および分離することができる(ボックス6)。下降および上昇の負荷段階の持続時間をそれぞれtdおよびtaとすると、下降ブランチ上のポイントをti -<−tdで、上昇ブランチ上のポイントをtj +>taで切り離すことによって、元のセットを減少させることができる(図16のボックス6)。これにより、下降ブランチに対して下付き文字iの最小値i0、および上昇ブランチ上の下付き文字jの最大値jmaxが決定される。
予備データ処理の最終段階は、条件付きソーティングである(ボックス7)。この条件付きソーティングは、全ての連続したポイントを、それらの少なくとも1つが放物線の最小値より下にくるように移動する。最小値より下にポイントを移動することは、非線形変換がyi≧1の場合のみ可能であるため必要である。最小値y=1より下の離れたポイントのみを除去することにより、データの中にバイアスが作られる。このため、最小値近傍のデータの全ての区間を除去する必要がある。しかしながら、式(12.6)により(tmin,Tmin)を決定した上記の二次フィルタリング処理の中で、これらのポイントはすでに考慮されていることを思い出す必要がある。
このため、予備データ処理は、負荷を下降および上昇させる段階に対応する2つデータセットを結果として生ずる。下降データセットは、連続した対(ti -,yi)≡(ti -,yi -),i=i0,i0+1,i0+2,..,imaxのセットとして定義される。ここで、imaxは、条件yi≧1をなおも満足する最大の下付き文字i値として条件付きソーティングによって決定される。同様に、上昇データセットは、連続した対(ti +,yi)≡(ti +,yi +),j=jmin,j0+1,j0+2,..,jmaxのセットとして定義される。ここで、jminは、条件yj≧1が全てのその後のjに対して満足される位置から始まる上昇ブランチ上の第1の下付き文字j値として条件付きソーティングによって決定される。
{2.第2のデータ処理}
第2の段階では、発明者らは、2つの連続した最適な非線形変換による非線形回帰の根本的に新しい方法を導入する。この方法の考えは、各ブランチに対して従属変数および独立変数y=f(u)およびu=φ(t)のいくつかのパラメータに依存する2つの適切な非線形変換を導入し、またこれらの変換の成分f(φ(ti))がyiに対する近似値を提供するような方法で、パラメータの値を選択することである。(ti -,yi -)および(ti +,yi +)を、運動の間にRR又はQT間隔のダイナミクスを示す下降および上昇ブランチに対応する、切断、条件付きソート、および正規化されたデータセットとする。非線形変換y⇒uは、下記の平滑関数により定義される。
y=fγ(u) (式12.9)
この平滑関数は、u=1において単位最小値(unit minimum)を有するため、fγ(1)=1,fγ’(1)=0であり、fγ(u)は、u≧1の場合は単調増加し、u≦0の場合は単調減少する。下付き文字yは、離散又は連続したパラメータのセットを表し、そのような関数の特定の選択を示す。fγ-(u)によりfγ(u)の単調減少ブランチを示し、fγ+(u)によって単調増加ブランチを示すとする。すると、下記のように記載することができる。
fγ(u)=fγ-(u)、u≦1 (式12.10)
fγ(u)=fγ+(u)、u≧1
u=gγ+(y)およびu=gγ-(y)を、fγ(u)のそれぞれのブランチに対する逆関数とする。関数gγ+(y)およびfγ+(u)は単調増加し、一方関数gγ-(y)およびfγ-(u)は単調減少する。{ti,yi -}をデータセットの減少区間、すなわち、ti<tminに対するデータを示し、{ti,yi +}をデータセットの上昇区間、すなわち、ti>tminに対するデータを示すとする。下記の変換は
uγ,i -=gγ-(yi -) (式12.11)
単調減少(平均で)データセット{ti,yi -}を、下記の式のように、単調増加データセットにマッピングする。
{ti,yi -}⇒{ti,gγ-(yi -)}≡{ti,uγ,i -} (式12.12)
さらに、元データセットの平均勾配は、tiがtminに近付くにつれて減少し、最小値で最後には消滅する。対照的に、変換されたデータセットの平均勾配は、t=tminにおいて常にゼロにはならない。同様に、下記の変換は
uγ,j +=gγ+(yj +) (式12.13)
単調増加(平均で)データセット{ti,yi +}を、下記の式のように、単調増加データセットにマッピングする。
{tj,yj +}⇒{tj,gγ+(yj +)}≡{tj,uγ,j +} (式12.14)
この実施例では、発明者らは非線形y−変換の2つの特定の選択に対応する2つの値γ=1およびγ=2を取る離散パラメータγを使用した。第1の場合(γ=1)は、下記の式により説明される。
Figure 2005514097
第2の場合γ=2は、下記の式により説明される。
Figure 2005514097
両方の関数は、u=1で最小値y=1になる。連続パラメータγ>0に依存するそのような関数の実施例は、下記により与えられる。
fγ(u)=Aγ(1/(γ2+bγu)+γ2bγu/(γ2bγu+1)),
bγ≡1+γ+1/γ (式12.17)
パラメータbγは、fγ(u)がu=1で最小値になる条件から決定され、係数Aγは条件fγ(1)=1によって決定され、下記の式を生成する。
Aγ=(γ3+γ2+γ+1)/(γ3+γ2+2γ) (式12.18)
下記の数値の例では、発明者らは2つの値1および2を取るγを有する離散パラメータの事例を使用する。元のセットおよび変換されたセットを、図17(RR間隔)および図18(QT間隔)で示す。両方の図面のパネルAは、(t,T)平面上の元データセットを示し、パネルBおよびパネルCは、それぞれγ=1およびγ=2に対する(t,u)平面上の変換されたセットを示す。パネルAおよびパネルC上の放物線の最小値を、円で囲ったアスタリスクで示す。元のデータポイントは、単調でない曲線(平均曲線)の近くに集中している。変換された平面上のデータポイントは、単調に増加する(平均)曲線の周りに集中する。その上、図面は、変換がゼロから最後のゼロでない値までのt=tminの近傍で、平均曲線の勾配を変化することを示している。(t−tmin,u)平面上では、放物線の最小値に対応するポイントは(0,1)である。このポイントも、図17および図18のパネルBおよびパネルC上で、円で囲ったアスタリスクによってマークする。
一対の新しい時間変数τ-およびτ+を、それぞれ下降および上昇ブランチに対して導入する。発明者らはそれらを、下記のようにフィッティングされた放物線およびセットの最小値の横座標から数えてみる。
τi -=tmin−ti, ti≦tmin, i=1,2,..,I- (式12.19)
τj +=tj−tmin, tj≧tmin, j=1,2,..,J+
ここで、I-およびJ+は、それぞれ下降および上昇ブランチ上のデータポイントの数である。同時に式(12.19)の第1のラインにより与えられた時間反転を用いて、下記のように下降ブランチの座標に対して別の変換を行う場合は、(従来のように)下降ブランチを上昇ブランチと正確に同じ方法で取り扱うことができる。
νk=1−uk - (式12.20)
これらの変数では、両方のブランチ(τi -,νi)および(τj +,uj +)は単調に増加し、両者がゼロでない勾配を有しまた同様の動き(凸状)をする同じポイント(τ=0,u=1)から開始する。
両方のブランチが正確に同じ方法で処理されるため、発明者らは表記を単純化し、上付き文字±を一時的に省略し、また対τi -,νi)又は(τj +,uj +)のいくつかを(τk,uk)と書く。発明者らはデータセット{uk}を{φ(α,β,τk)}でフィッティングし、これにより、{uk}は下記のように表される。
Figure 2005514097
ここで、関数φはKに直線的に依存し、下記のように定義される。
φ(α,β,K,τ)≡1+Kζ(α,β,t) (式12.22)
ここで、
ζ(α,β,τ)=α/β(1+τ/α)β β>0の場合
=s≡αln(1+τ/α) β=0の場合
=α/(1+β)[(1+s/α)1+β−1] −1≦β<0の場合
関数ζ(α,β,τ)のファミリーを、15の値のパラメータβに対して図19に示す。パラメータαは、平面(τ/α,ε/α)上にこの関数をプロットすることによって完全に外される。関数ζ(α,β,τ)は全ての3つの変数の中で連続であり、固定されたαおよびβにおいてτの関数として、τ=0,ζ’(α,β,0)=1において単位勾配(unit slope)を有する。このため、τ→0において、関数ζは、αおよびβから独立した極めて単純なζ〜τという動きをする(そのような動きの過程の領域の寸法は、αおよびβに依存する)。関数ζは次のような重要な特徴を有する、すなわち、βがβ=0を通過するとき、τ→∞におけるその漸近の動きは、β>0におけるパワー関数ζ〜τβから、β=0におけるζ〜ln(τ)を通り、−1<β<0の場合の対数のパワー関数ζ〜ln1+β(τ)まで連続的に変化する。β→−1の場合は、ζの動きはもう一度変化し、ζ〜ln(ln(τ))になる。β<1の場合は、このファミリーの任意の関数の凸性は同じである。
発明者らは、所定の対αおよびβの式(式12.22)および式(式12.23)に対する要求事項を使用するαおよびβによるパラメータKが、ポイント(τ=0,u=1)の一定の近傍のu空間で最適なデータのフィッティングを保証することを明白に表明する。K1をフィッティングが必要なポイントの数とする。このとき、対応する二次エラーは、下記のように記載することができるK、αおよびβの関数である。
Figure 2005514097
また、その最小値についての必要条件のために、Kに対して下記の式が直接生成される。
Figure 2005514097
これらの計算において、発明者らは、u=1とu=1+0.4(umax−1)との間のuの値を有する全ての隣接するポイントを含むようなK1値を使用した。発明者らはこのように、フィッティング手順におけるフィッティングパラメータの数を、2つの連続パラメータαおよびβと1つの離散パラメータγとに減少させた。このため、フィッティング関数は下記のようになる。
Figure 2005514097
パラメータα、βおよびK(およびγ)の値は、この場合は、下記のy空間におけるフィッティングエラーが最小になる条件によって決定される。
Figure 2005514097
式(12.27)の合計は、1および2に等しいγに対するグリッド(α,β)値上で数値的に評価される。次に、εγ(Y)に対する最小値を示すα、βおよびγの値が、数値試験により発見される。次に、発見された最小値の近傍のより細かいグリッド上で、計算を繰り返すことができる。
上昇ブランチに対するパラメータαmin、βminおよびγminを求めると、発明者らは稠密なtグリッド{ts,s=1,2,..,N}を生成し、下記のような間隔の持続時間の対応する値を計算する。
Figure 2005514097
下降ブランチの同様の稠密な表示は、正確に同じ方法で計算することができる。結果として生ずる鳥状の曲線を、図20のパネルAおよびパネルCに示す。実際の絶対エラーおよび相対エラーは、見出しの中で示される。左手側のパネルBおよびパネルDは、それぞれがパネルAおよびパネルCで示した曲線から結果として生じた、2つの異なる表示のヒステリシス曲線を示す。ヒステリシスループのその後の計算および式(10.17)により与えられるその尺度が、実施例10で説明されるように、次に実行される。
[実施例13]
<実施例10〜12の手順によるRRヒステリシスループの作成>
平面(QT間隔対RR間隔)又は同等の平面上にヒステリシスループを生成する手順に加えて、RR間隔対運動の作業負荷の持続時間の別個のヒステリシスを導入および評価することができる。この運動の作業負荷は、運動を上昇および下降させる段階の間に往復で徐々に変化する。RRヒステリシスは、単に1つのRRデータセット{tRR i,TRR i}の分析に基づいて、異なる平面上のループとして表示することができる。例えば、そのようなループを(τi,TRR i)平面上に表示することができる。ここで、τi=|tRR i−tmin|であり、tminは運動負荷のピーク又は最大負荷の期間の中心に対応する時刻である。このことは、実施例10〜12の中で説明した数値技術に基づいて決定することができる。RRループを、(W(tRR i),TRR i)又は(τi,(TRR i-1)平面上に導入することもできる。ここで、W(tRR i)は運動段階に対して変化する作業負荷である、すなわち、時間および(TRR i-1は心拍数を示す。
実施例10(又は実施例11又は12の他のいずれか)からの数値技術を適用するためには、これらの実施例の中で説明された同じ計算段階を事実上繰り返すことになる。しかしながら、両方のQT−{tQT i,TQT i}およびRR−{tRR i,TRR i}間隔データセットを検討する代わりに、1つのRRデータセットのみが、ヒステリシスループを作成するために、説明された段階の全シーケンスにわたって数値的に処理される。この場合は、変数τi,(TRR i-1又はW(tRR i)は、第1のTRR i変数と共に、RRヒステリシス平面を形成する第2の別の成分の役割を演ずる。
前述の実施例は本発明を説明するものであり、それを限定するものと解釈してはならない。本発明は、以下に記載する特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲と等価なものはその中に含まれる。
心筋内のその体積上に合計された活動電位および人の体表面上で記録された発生した心電図(ECG)の概略図である。 周期的興奮の簡略化した数学モデルの中で用いられる数式を示す図である。 周期的な興奮波を示す図である。(簡略化した数学モデルを用いてコンピュータにより生成された活動電位uおよび瞬間しきい値vを示す。これらの数式は、図2Aに記載されている。) 媒体の興奮しきい値の4つの値に対応する4つの合成の分散−回復曲線のファミリーを示す図である。 本発明による方法を実行する装置のブロック図である。 本発明のデータ収集および分析用の処理ステップのブロック図である。 本発明のデータ収集および分析用の処理ステップの別のブロック図である。 合成の分散−回復曲線面上にプロットした、二人の健康な男性(23才、太い線および47才、細い線)の被験者に対する実験から得たQT間隔対RR間隔のヒステリシスループを示す図である。 二人の男性被験者のQT−RR間隔のヒステリシスの例を示す図である。一方は従来のECGのSTセグメントの降下があり(細い線)、他方は試験の12年前に心筋梗塞の病歴がある(太い線)。これらの曲線の生成については、以下の明細書の中で一層詳細に説明する。 本発明の感度を説明すると共に、男性被験者に対するQT−RR間隔のヒステリシスループを示す図である。第1のループ(太い線)は、従来のECG上にSTセグメントの降下が観察された間の初期試験に対応し、細い線で示した第2のループは、定期的な運動周期の後に測定された。 ヒステリシスループの領域の正規化された尺度の特定の例に基づいた、心臓虚血の比較分析を説明する図である。<CII> = (CII -CIImin)/(CIImax - CIImin)(「CII」は「心臓虚血指数」を意味する。)O1,X1およびY1は、被験者のデータを示す。Xiは、一連の試験(昼/夜試験、走行/歩行、試験の間隔は約2ヶ月)の中で一人の被験者から収集したデータ(0.28〜0.35)を示し、運動のピーク心拍数は120から135の範囲である。Yiは、一連の試験(走行/歩行、定期的な運動段階の周期の前後の試験の間隔は6週間)の中で一人の被験者から収集したデータ(0.46〜0.86)を示し、運動のピーク心拍数は122から146の範囲である。黒のバーは、従来のST降下法が心臓虚血を検出しない区域(<CII>が0.70未満)を示す。従来の方法は、高い白のバー(Y2,Y3,O7:<CII>が0.70より大きい)で示した極めて狭い範囲内でのみ心臓虚血を検出することができる。 運動の急な停止(すなわち、休息段階の急な開始)に対して、QTおよびRR間隔に対する一般的な末梢神経系およびホルモンによる急速な制御調整を示す図である。 心臓刺激が徐々に増加および徐々に減少する間に測定された、一般的な遅い(準定常的な)QTおよびRR間隔の調整を示す図である。 移動平均、指数関数および多項式のフィッティングの連結を最適にする方法によるデータ処理のブロック図を示す図である(実施例10、ステップ1〜8)。 実施例10のステップ1から8全体にわたる処理の結果を示す図である。上パネルは、ステップ1から3で処理されたQTおよびRRのデータセット(それぞれ左から右へ)、およびステップ1後のQT/RRのヒステリシスループを示す。指数関数のフィッティング曲線(ステップ3)は、最初の2つのパネルの中で灰色で示される。下パネルは、ステップ4から最終ステップ8の処理後の、同じ平滑化の依存性を示す。ここで、CII(右下のパネルを参照のこと)は、比S/{((T- RR(tend−tRR min)−T- RR(0))((T+ QT(tstart−tQT min)−T+ QT(0))}に等しい(実施例10のセクション7を参照のこと)。 順次移動平均法によるデータ処理のブロック図である(実施例11、ステップ1〜3)。 実施例11のステップ1からステップ2にわたる処理結果を示す図である。上パネルは、ステップ1後の処理されたQTおよびRRのデータセットおよびQT/RRのヒステリシスループを示す(それぞれ左から右へ)。下パネルは、第2の移動平均処理および最終ステップ3の後の同じ平滑化の依存性を示す。 最適化された非線形変換方法における主なステップの、一般的なデータのフローチャートである。左手側および右手側のボックスは、それぞれRRおよびQT間隔に対する同様の処理段階を説明する。 図15の段階(1a/b)〜(3a/b)間の1つのデータサブセット{tk,Tk RR}又は{tk,Tk QT}に対する詳細なデータのフローチャートを示す図である。先行段階のボックス1〜7は、従来のデータ処理方法の組み合わせを使用し、移動平均(1)、最小領域の決定(2)、二次放物線のこの領域のデータへのフィッティング(3)、結果の整合性のチェック(4)、最小値における最小データおよび中心データの検出(5)および(6)、データの条件付きソーティング(7)を含む。段階(8)〜(11)は、非線形回帰に対する双対非線形変換方法に基づいている。 フィルタ処理したRR間隔データセットの非線形変換を示す図である。パネルAは本来の(t,y)面上のデータを示し、最小値は円内のアスタリスクでマークされている。パネルBおよびCは、それぞれj=1およびj=2に対する(t,u)面上の変換されたセットを示す。最小値のイメージも、囲ったアスタリスクでマークされている。変換されたデータセットは、中央部にはっきりした直線部分がある、単調に増加する(平均)曲線の周りに集中していることに注意されたい。 QT間隔データセットであることを除くと、図17と同様の図である。 β=-0.9(下側の曲線)からβ=0(中間の太い曲線)を通りβ=0.5(上側の曲線)まで△β=0.1のステップで変化する、15の値のパラメータβに対する関数ζ(α,β,τ)のファミリーの適切な縮尺の図である。この関数ζ(α,β,τ)は3つ全ての変数において連続しており、τの関数として、τ=0,ζ’(α,β,0)=1において単位勾配を有する。 一人の患者に対するRRおよびQTデータセットの完全な処理の実施例を示す図である。パネルAおよびCは、RRおよびQTデータセットおよびそのフィット性を示す。パネルBは、対応する上昇および下降する曲線並びに(TRR,TQT)面上の閉鎖線を示す。この面上では、そのようなヒステリシスループの区域は、二乗された時間の次元を有する。パネルDは、(fRR,TQT)面上のヒステリシスループを示す。ここで、fRR=1/TRRは心拍数であり、ループ区域は無次元数である。パネルAに対する全エラーは2.2%であり、パネルCについては0.8%である。

Claims (48)

  1. (a)心拍数が徐々に増加する段階の間に、前記被験者から第1のRR間隔データセットを収集するステップと、
    (b)心拍数が徐々に減少する段階の間に、前記被験者から第2のRR間隔データセットを収集するステップと、ここで、前記第1および第2のRR間隔のデータセットが、自律神経系およびホルモンの前記データセットに対する影響による急速な過渡現象の影響が最小である間に収集されるものであり
    (c)前記第1のRR間隔データセットと前記第2のRR間隔データセットとを比較して、前記データセット間の相違を確定するステップと、
    (d)前記ステップ(c)の比較から、前記第1および第2のデータセット間の相違が大きいことが、前記被験者の心臓虚血が大きく、心臓又は心臓血管の健康状態が低下していることを示す、前記被験者における刺激中の心臓虚血の尺度を生成するステップと、
    を含む、冠動脈疾患を患っている被験者の心臓又は心臓血管の健康状態の尺度を提供するために前記被験者の心臓虚血を評価する方法。
  2. 前記第1および第2のRR間隔のデータセットが準定常状態のもとで収集されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 心拍数が徐々に増加する前記段階と心拍数が徐々に減少する前記段階とはそれぞれ、持続時間が少なくとも3分であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 心拍数が徐々に増加する前記段階と心拍数が徐々に減少する前記段階とが、全体の時間を6分から40分として一緒に実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 心拍数が徐々に増加する前記段階と心拍数が徐々に減少する前記段階との両方がピーク心拍数と最低心拍数との間において実行され、
    心拍数が徐々に増加する前記段階と心拍数が徐々に減少する前記段階との両方の前記ピーク心拍数が同じであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 心拍数が徐々に増加する前記段階と心拍数が徐々に減少する前記段階との両方の前記最低心拍数がほぼ同じであることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 心拍数が徐々に減少する前記段階が少なくとも3つの異なる心拍数刺激レベルにおいて実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 心拍数が徐々に増加する前記段階が少なくとも3つの異なる心拍数刺激レベルにおいて実行されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 心拍数が徐々に増加する前記段階および心拍数が徐々に減少する前記段階が時間的に連続して実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. 心拍数が徐々に増加する前記段階および心拍数が徐々に減少する前記段階が時間的に間を置いて実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  11. 前記生成するステップが前記それぞれデータセットから曲線を生成することによって実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  12. 前記生成するステップがデータセットからの前記曲線の形状を比較することによって実行されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 前記生成するステップが前記曲線間の領域の尺度を決定することによって実行されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  14. 前記生成するステップがデータセットからの前記曲線の形状を比較することおよび前記曲線間の領域の尺度を決定することの両方によって実行されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  15. 前記曲線を表示するステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
  16. 心拍数が徐々に増加する前記段階の間において、前記心拍数が120拍/分を超えないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  17. 心拍数が徐々に増加する前記段階の間において、前記心拍数が120拍/分を超えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  18. (e)刺激を加える間の心臓虚血の前記尺度と少なくとも1つの基準値とを比較するステップと、
    (f)前記ステップ(e)の比較から、前記被験者に対する心臓又は心臓血管の健康状態の定量的な表示を生成するステップと
    をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  19. (g)心臓血管の治療により前記被験者を治療するステップと、
    (h)前記ステップ(a)から前記ステップ(f)までを繰り返して、前記心臓血管の治療の効果を評価して、前記心臓血管の治療によって、前記治療の前から前記治療の後までの前記データセット間の相違の減少が前記被験者の心臓の健康状態が改善していることを示す、繰り返しステップと
    をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
  20. 前記心臓血管の治療が、エアロビクス体操、筋力ビルディング、ダイエットの変更、栄養補給剤、減量、ストレスの軽減、禁煙、薬品治療、外科治療、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
  21. 前記定量的な表示から、前記被験者が将来の虚血に関連した心臓の事故に直面する危険の可能性を評価するステップをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
  22. (a)運動負荷を徐々に増加させて心拍数が徐々に増加する段階の間に、前記被験者から第1のRR間隔データセットを収集するステップと、
    (b)次いで、運動を急に停止させた後、心拍数が徐々に減少する休息の段階の間に、前記被験者から第2のRR間隔データセットを収集するステップと、
    (c)前記第1のRR間隔データセットと前記第2のRR間隔データセットとを比較して、前記データセット間の相違を確定するステップと、
    (d)前記ステップ(c)の比較から、前記第1および第2のデータセット間の相違が大きいことが、前記被験者の心臓虚血が大きく、心臓又は心臓血管の健康状態が低下していることを示す、前記被験者における運動中の心臓虚血の尺度を生成するステップと
    を含む、冠動脈疾患を患っている被験者の心臓又は心臓血管の健康状態の尺度を提供するために前記被験者の心臓虚血を評価する方法。
  23. 運動負荷を徐々に増加させる前記段階と休息の前記段階とはそれぞれ、持続時間が少なくとも3分であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
  24. 運動負荷を徐々に増加させる前記段階と休息の前記段階とが、全体の時間を6分から40分として一緒に実行されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
  25. 運動負荷を徐々に増加させる前記段階が少なくとも3つの異なる負荷レベルにおいて実行されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
  26. 前記生成するステップが前記それぞれデータセットから曲線を生成することによって実行されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
  27. 前記生成するステップが前記データセットからの前記曲線の形状を比較することによって実行されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
  28. 前記生成するステップが前記曲線間の領域の尺度を決定することによって実行されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
  29. 前記生成するステップがデータセットからの前記曲線の形状を比較することと前記曲線間の領域の尺度を決定することとの両方によって実行されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
  30. 前記曲線を表示するステップをさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
  31. 運動負荷を徐々に増加させる前記段階の間において、前記心拍数が120拍/分を超えないことを特徴とする請求項22に記載の方法。
  32. 心拍数が徐々に増加する前記段階の間において、前記心拍数が120拍/分を超えることを特徴とする請求項22に記載の方法。
  33. (e)運動する間の心臓虚血の前記尺度と少なくとも1つの基準値とを比較するステップと、
    (f)前記ステップ(e)の比較から、前記被験者に対する心臓又は心臓血管の健康状態の定量的な表示を生成するステップと
    をさらに含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
  34. (g)心臓血管の治療により前記被験者を治療するステップと、
    (h)前記ステップ(a)から(f)までを繰り返して、前記心臓血管の治療の効果を評価して、前記心臓血管の治療によって、前記治療の前から前記治療の後までの前記データセット間の相違の減少が前記被験者の心臓又は心臓血管の健康状態が改善していることを示す、繰り返しステップと
    をさらに含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
  35. 前記心臓血管の治療が、エアロビクス体操、筋力ビルディング、ダイエットの変更、栄養補給剤、減量、ストレスの軽減、禁煙、薬品治療、外科治療、およびそれらの組み合わせから構成するグループから選択されることを特徴とする請求項34に記載の方法。
  36. 前記定量的な表示から、前記被験者が将来の虚血に関連した心臓の事故に直面する危険の可能性を評価するステップをさらに含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
  37. (a)持続時間が少なくとも5分間で少なくとも3つの異なる負荷レベルの運動負荷を徐々に増加させて心拍数が徐々に増加する段階の間に、前記被験者から第1のRR間隔データセットを収集するステップと、
    (b)次いで、運動を急に停止させた後、持続時間が少なくとも5分間の心拍数が徐々に減少する休息の段階の間に、前記被験者から第2のRR間隔データセットを収集するステップと、
    (c)前記データセット間の相違を確定するために、前記第1のRR間隔データセットと前記第2のRR間隔データセットとを比較するステップと、
    (d)前記ステップ(c)の比較から、前記第1および第2のデータセット間の相違が大きいことが、前記被験者の心臓虚血が大きく、心臓又は心臓血管の健康状態が低下していることを示す、前記被験者における運動中の心臓虚血の尺度を生成するステップと、
    (e)運動する間の前記心臓虚血の尺度と少なくとも1つの基準値とを比較するステップと、
    (f)前記ステップ(e)の比較から、前記被験者に対する心臓又は心臓血管の健康状態の定量的な表示を生成するステップと
    を含む、冠動脈疾患を患っている被験者の心臓又は心臓血管の健康状態の尺度を提供するために、前記被験者の心臓虚血を評価する方法。
  38. 前記運動負荷を徐々に増加させる段階と前記休息の段階とは、全体の時間を6分から40分として一緒に実行されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
  39. 前記生成するステップが前記それぞれデータセットから曲線を生成することによって実行されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
  40. 前記生成するステップが前記データセットからの前記曲線の形状を比較することによって実行されることを特徴とする請求項39に記載の方法。
  41. 前記生成するステップが前記曲線間の領域の尺度を決定することによって実行されることを特徴とする請求項39に記載の方法。
  42. 前記生成するステップが前記データセットからの前記曲線の形状を比較することと前記曲線間の領域の尺度とを決定することの両方によって実行されることを特徴とする請求項39に記載の方法。
  43. 前記曲線を表示するステップをさらに含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
  44. 運動負荷を徐々に増加させる前記段階の間において、前記心拍数が120拍/分を超えないことを特徴とする請求項37に記載の方法。
  45. 心拍数が徐々に増加する前記段階の間において、前記心拍数が120拍/分を超えることを特徴とする請求項22に記載の方法。
  46. (g)心臓血管の治療により前記被験者を治療するステップと、
    (h)前記ステップ(a)から(f)までを繰り返して、前記心臓血管の治療の効果を評価して、前記心臓血管の治療によって、前記治療の前から前記治療の後までの前記データセット間の相違の減少が前記被験者の心臓又は心臓血管の健康状態が改善していることを示す、繰り返しステップと
    をさらに含むことを特徴とする請求項37に記載の方法。
  47. 前記心臓血管の治療が、エアロビクス体操、筋力ビルディング、ダイエットの変更、栄養補給剤、減量、ストレスの軽減、禁煙、薬品治療、外科治療、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択されることを特徴とする請求項46に記載の方法。
  48. 前記定量的な表示から、前記被験者が将来の虚血に関連した心臓の事故に直面する危険の可能性を評価するステップをさらに含むことを特徴とする請求項37に記載の方法。
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