JP2005513460A - Faclのターゲティングによるインスリンレセプターシグナル伝達の調節 - Google Patents

Faclのターゲティングによるインスリンレセプターシグナル伝達の調節 Download PDF

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Abstract

ヒトFACL遺伝子はINRシグナル伝達のモジュレーターとして同定されており、したがってこれらはINRシグナル伝達に関連する疾患の治療上の標的である。FACLの活性を調節する作用剤を探すためにスクリーニングすることを含む、FACLのモジュレーターを同定する方法が提供される。

Description

(関連出願への言及)
この出願は、2001年12月19日出願の米国特許仮出願第60/342,429号の優先権を主張するものである。先の出願の内容は、その全体が本明細書中に組み込まれる。
(発明の背景)
インスリンは脊椎動物における代謝を制御する中心的なホルモンである(Steiner等, 1989, Endocrinology, DeGroot編 Philadelphia, Saunders:1263-1289に総説あり)。ヒトにおいて、インスリンは上昇した血糖値に応答して膵臓のβ細胞によって分泌されるが、本来、食事のあとに起こる。インスリン分泌の即効性の効果は、筋肉、脂肪組織、及び肝臓によるグルコース摂取を誘導することである。インスリンの長期効果は、肝臓におけるグリコーゲン及び脂肪組織におけるトリグリセリドを合成する酵素活性を増強することである。インスリンは、筋肉中でのカリウム輸送の増大、脂肪細胞の細胞分化の促進、ナトリウムの腎臓貯留の増大、及び卵巣によるアンドロゲン産生の促進を含む、「古典的な」代謝活性の範囲を超えた他の活性を発揮することができる。インスリンの分泌及び/又はインスリンへの応答における欠陥は、糖尿病の要因になり、多大なる経済的重要性を有している。米国内において、糖尿病は、患者が医者を訪れる上で四番目によくある理由となっている;それは、労働年齢層の個々人において、腎臓疾患の最終段階、非外傷性の手足切断、及び失明の主な原因となっている(Warram等, 1995, In Joslin's Diabetes Mellitus, Kahn及びWeir, eds., Philadelphia, Lea & Febiger, pp201-215;Kahn等, 1996, Annu. Rev. Med. 47:509-531;Kahn, 1998, Cell 92:593-596)。糖尿病における役割を超えて、インスリン耐性の現象は、肥満症、卵巣アンドロゲン過剰症、高血圧症を含む他の病原性疾患と関連している。
医薬業界では、脂質欠損とインスリン耐性とを結びつける分子機構を理解することに興味が持たれている。高脂血症及び遊離脂肪酸レベルの上昇は、しばしば同一患者において発症し、2型糖尿病及び循環器疾患へと進行する主たる危険因子である肥満症及びインスリン耐性を含む、幾つかの疾患間の関連において定義される「代謝症候群」と相関する。現在の研究により、血糖値に加えて、脂質レベルのコントロールが2型糖尿病、心臓疾患、及び他の代謝症候群の症状を治療するのに必要とされることが示唆されている(Santomauro AT等, Diabetes (1999)48:1836-1841)。
ショウジョウバエや線虫のようなモデル生物のゲノムを操作しスクリーニングする能力は、遺伝子、経路及び細胞プロセスの有意な進化上の保存のため、より複雑な脊椎動物生物に直接的な関連を有している生化学プロセスを分析する強力な手段を提供する。そのようなモデル生物における特定の経路に関与する遺伝子の新規な機能の同定は哺乳動物における相関する経路とそれを調節する方法の理解に直接寄与し得る(Dulubova I等, J Neurochem 2001 Apr;77(1):229-38; Cai T等, Diabetologia 2001 Jan;44(1):81-8; Pasquinelli AE等, Nature. 2000 Nov 2;408(6808):37-8; Ivanov IP等, EMBO J 2000 Apr 17;19(8):1907-17; Vajo Z等, Mamm Genome 1999 Oct;10(10):1000-4; Miklos GL及びRubin GM, Cell 1996,86:521-529)。ショウジョウバエと線虫はヒトの病気にかかることは少ないが、様々な実験的モデルで病理状態を模倣することが可能である。ショウジョウバエ又は線虫遺伝子の改変された発現と病理モデルの相関により、ヒトのオルソログのヒトの疾患との関連を特定することができる。
一例では、遺伝子スクリーニングは、既知の遺伝子のミスエクスプレッション−一般に低減した、亢進した又は異所的な発現−のために変異体(一般に可視可能又は選択可能)表現型を示す無脊椎動物モデル生物で実施される(「遺伝子エントリーポイント」)。更なる遺伝子を無作為に又は標的化した形で変異させる。更なる遺伝子突然変異が元の変異表現型を変化させる場合、この遺伝子は、遺伝的エントリーポイント及びその関連経路と直接的に又は間接的に相互作用する「モディファイヤー」として同定される。遺伝的エントリーポイントがヒトの病理に関係するヒト遺伝子のオルソログである場合、新規の治療薬の候補標的であるモディファイヤー遺伝子をスクリーニングにより同定することができる。
インスリンレセプター(INR)シグナル伝達経路は線虫において広く研究されている。線虫INRオルソログであるdaf-2によるシグナル伝達は、生殖成長及び正常な成人寿命を含む様々な事象を媒介する(例えば米国特許第6225120号;Tissenbaum HA及びRuvkun G, 1998, Genetics 148:703-17; Ogg S及びRuvkun G, 1998, Mol Cell 2:887-93; Lin K等, 2001, Nat Genet 28:139-45を参照のこと)。
脂肪酸CoAリガーゼ(アシルCoA合成酵素とも呼ばれる)はコエンザイムA(CoA)と共に脂肪酸のライゲーションを触媒してアシル-CoAを製造する。これらのアシルCoA分子はトリアシルグリセロールの合成又はβ酸化の経路において更に代謝され得る。長鎖の合成酵素は12以上の炭素原子を持つ脂肪酸を活性化させる。ヒト長鎖アシルCoA合成酵素、脂肪酸CoAリガーゼ4(FACL4、GI12669909)は非常に多くの組織中で発現され、胎盤、脳、精巣、卵巣、脾臓、及び副腎皮質において最も高度に発現され、基質としてアラキドン酸を好むことを示している(Cao等, 1998, Genomics 49:327)。
長鎖アシル-CoAエステルはまた幾つかの細胞系及び機能の生理学的調節因子として関与している(Faergeman及びKnudsen 1997, Biochem J. 323:1)。例えば、長鎖アシル-CoAエステルは脂質合成に関与する酵素、例えばアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)を負に調節する。また、アシル-CoAエステルはER及びゴルジ出芽及び融合に要求され、アシルCoA合成酵素はラット脂肪細胞中にGLUT-4含有小胞体と関連して見出されている(Sleeman等, 1998, J Biol Chem 273:3132-3135)。
特許、特許出願、刊行物及び参照したGenbank識別番号を含むここで引用したすべての参考文献は、その全体が本明細書中に組み込まれる。
(発明の概要)
我々は、線虫でINR経路を調節する遺伝子を発見し、ここで脂肪酸CoAリガーゼ(FACL)と称する、そのヒトのオルソログを同定した。本発明は、これらのINRモディファイヤー遺伝子及びポリペプチドを利用して、欠陥又は損傷INR機能及び/又はFACL機能に関連する疾患の治療に使用できる候補治療剤であるFACL調節剤を同定する方法を提供する。好ましいFACL調節剤は、FACLポリペプチドに特異的に結合してINR機能を修復する。他の好ましいFACL調節剤は、アンチセンスオリゴマーなど核酸モジュレーターや、例えば各核酸(すなわちDNA又はmRNA)に結合してそれを阻害することによって、FACL遺伝子の発現又は生成物の活性を抑制するRNAiである。
FACL調節剤は、FACLポリペプチド又は核酸との分子相互作用のための任意の簡便なインビトロ又はインビボのアッセイによって評価することができる。一実施態様では、FACLポリペプチド又は核酸を含むアッセイ系を用いて候補FACL調節剤を試験する。対照と比べてアッセイ系の活性に変化を生じさせる作用剤は、候補INR調節剤として同定される。このアッセイ系は細胞に基づくものでも、細胞を含まないものでもよい。FACL調節剤には、FACL関連タンパク質(例えばドミナントネガティブ変異体やバイオ治療薬);FACLに特異的な抗体;FACLに特異的なアンチセンスオリゴマー及び他の核酸モジュレーター;並びにFACLに特異的に結合又は相互作用する又はFACL結合対と(例えばFACL結合対に結合することによって)競合する化学剤が含まれる。特定の一実施態様では、酵素アッセイを用いて小分子モジュレーターを同定する。特定の実施態様では、スクリーニングアッセイ系は、結合アッセイ、肝臓脂質蓄積アッセイ、血漿脂質蓄積アッセイ、脂肪細胞脂質蓄積アッセイ、血漿血糖値アッセイ、血漿インスリン値アッセイ、及びインスリン感度アッセイから選択される。
別の実施態様では、INRシグナル伝達に関連した活性の変化を検出する第2アッセイ系を使用して、候補INR経路調節剤を更に試験する。第2アッセイ系では、培養細胞又は非ヒト動物を使用することができる。特定の実施態様では、二次アッセイ系は、INR経路に関係づけられた疾病又は疾患を有することが事前に確定されている動物を含めた、非ヒト動物を使用する。
本発明は、さらに、哺乳動物細胞をFACLポリペプチド又は核酸に特異的に結合する作用剤と接触させることによって、哺乳動物細胞中のFACL機能及び/又はINR経路を調節する方法を提供する。この作用剤は、小分子モジュレーター、核酸モジュレーター、又は抗体であってよく、INR経路に関連する病状を有することが事前に確定されている哺乳動物に投与することができる。
(発明の詳細な記載)
INRシグナル伝達とのFACLの関連性を、欠陥のあるインスリンレセプター機能の線虫モデルを使用して同定した。我々はRNAiベースのスクリーニングを用いて、daf-2での機能喪失突然変異の幼虫抑止(dauer形成)表現型、線虫でのインスリン-レセプターのモディファイヤーを同定した(Kimura KD等, 1997, Science 277:942)。スクリーニングには、それぞれワームインスリンレセプターのリガンド結合ドメインにミスセンス突然変異を含む二つのワーム株を用いた。後期幼虫又は成体動物を制限温度まで上げ、その子孫をdauer幼虫として抑止した(悪条件でのみ通常生じる交代発達)。スクリーニングは、これらの遺伝子の機能低減を生じさせるためにワーム遺伝子のcDNA又はエキソンに富むゲノム断片から誘導されたdsRNAでその遺伝子をRNAi処理することを含む。潜在的なサプレッサーは、RNAi処理によってノックダウンされると、幼虫抑止よりむしろインスリン-レセプター変異体株の成長を可能にする遺伝子として同定した。候補のサプレッサーは少なくとも一回の再試験で類似した表現型を付与し、dsRNAを産生させるために使用したクローンは遺伝子の同定を確認するために配列決定をした。
我々は、ヒト長鎖脂肪酸CoAリガーゼ(FACL)遺伝子(GI14728545及び12669909)の線虫オルソログであるF37C12.7(Genbank登録番号[GI]15617831)がINRシグナル伝達を調節することを発見した。アシルCoA合成酵素は、インスリンシグナル伝達経路によって、またインスリン感作物質PPAR-α及びPPAR-γ(Martin等, 1997, J Biol Chem 272:28210)によっても転写的に調節される。また、アシル-CoA合成酵素Iはラット脂肪細胞中にインスリン感受性グルコーストランスポーターGLUT-4を含む小胞体に関連することが示されており、膜輸送中の出芽及び融合に所定の役割を担っていると考えられている(上掲のSleeman等, 1998)。これらの結果は、アシル-CoA合成酵素がインスリンにより刺激されたグルコースの取り込みの媒介を支援しうることを示唆する。
したがって、FACL遺伝子(すなわち核酸及びポリペプチド)は、INRシグナル伝達に関連する疾患の治療のための魅力的な薬剤標的である。一例では、治療法は、糖尿病及び/又は代謝症候群に関連する病理状態を治療するためにINRを通してシグナル伝達を増大させることを含む。
本発明は、FACL機能を評価するインビトロ及びインビボの方法、及びFACL活性を調節(一般に阻害又はアゴナイズ)する方法を提供し、これらはINRシグナル伝達を更に解明し、INRシグナル伝達に関連する病理状態の診断及び治療様式を開発するために有用である。ここで使用されるところの、INRシグナル伝達に関連する病理状態は、INRシグナル伝達が健康な状態を維持するのに寄与する病理状態、並びにその過程がINRシグナル伝達の調節によって改変されうる病理状態を包含する。
FACL核酸及びポリペプチド
ヒトFACL核酸(cDNA)配列は配列番号:1及び3並びにGenbank登録番号GI17441726及びGI12669908にそれぞれ提供されている。対応するタンパク質配列は配列番号:2及び4並びにGenbank登録番号GI14728545及びGI12669909に提供されている。
「FACLポリペプチド」という用語は、完全長のFACLタンパク質又はその「機能的に活性のある」断片又は誘導体を意味し、「機能的に活性のある」とは、FACLタンパク質断片又は誘導体が、完全長の野生型FACLタンパク質に関連する一又は複数の機能活性を示すことを意味する。一例として、断片又は誘導体は、更に以下に検討されるように、それがイムノアッセイ、免疫化、阻害抗体の産生に使用することができるように抗原性を有しうる。好ましくは、機能的に活性なFACL断片又は誘導体はFACLタンパク質に関連する一又は複数の生物学的活性、例えば酵素活性、シグナル伝達活性、天然の細胞基質等々への結合能等々を示す。好適なFACLポリペプチドは酵素(リガーゼ)活性を示す。一実施態様では、機能的に活性なFACLポリペプチドは、例えば、細胞ベース又は動物アッセイにおいて、欠陥のある内因性FACL活性を救出することが可能なFACL誘導体であり;その救出誘導体は同種又は異なった種由来でありうる。FACL断片が調節剤を同定するためにアッセイで使用される場合、断片は好ましくはFACLドメイン、例えば特にC又はN末端又は触媒ドメインを有し、好ましくはFACLタンパク質の少なくとも10、好ましくは少なくとも20、より好ましくは少なくとも25、及び最も好ましくは少なくとも50の近接アミノ酸を含む。好適なFACL断片は触媒ドメインを含む。機能性ドメインは、PFAMプログラムを使用して同定することができる(Bateman A.等, 1999 Nucleic Acids Res 27:260-262;ウェブサイトpfam.wustl.edu)。
「FACL核酸」という用語は、FACLポリペプチドをコードするDNA又はRNA分子を意味する。好ましくは、FACLポリペプチド又は核酸あるいはその断片はヒト由来であるが、ヒトFACLと少なくとも70%の配列同一性、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは85%、更に好ましくは90%、最も好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するオルソログ又はその誘導体でもよい。これらの遺伝子のヒトのオルソログを同定する方法は当該分野で知られている。通常、異なる種のオルソログは、一又は複数のタンパク質モチーフの存在及び/又は3次元構造のために、同じ機能を保持している。一般に、オルソログは、通常タンパク質ベイト配列を使用し、BLAST分析のような配列相同分析により同定される。フォワードBLASTの結果のうち最も合致する配列が、リバースBLASTの元のクエリ配列を取り出す場合に、配列を潜在的オルソログとして指定する(Huynen MA及びBork P, Proc Natl Acad Sci (1998) 95:5849-5856; Huynen MA等、Genome Research (2000) 10:1204-1210)。CLUSTAL(Thompson JD等, 1994, Nucleic Acids Res 22:4673-4680)など、多重配列比較のためのプログラムを使用して、オルソロガスなタンパク質の保存領域及び/又は残基をハイライトし、系統樹を作成してもよい。多様種の多重相同配列(例えばBLAST分析により取り出されたもの)を表す系統樹において、2種のオルソロガスな配列は、それら2種のそれ以外の全配列に対し、系統樹中最も近いものとして現われる。構造のスレッディング、又はタンパク質の折り畳みのその他分析法(例えばProCeryon, Biosciences, Salzburg, Austriaのソフトウェアを使用するもの)により潜在的なオルソログを同定してもよい。進化において、種分化に続いて遺伝子複製が起こるとき、ショウジョウバエなど単一種の単一遺伝子は、ヒトなど別の種の複数の遺伝子(パラログ)に対応する場合がある。ここで使用される「オルソログ」という表現は、パラログも含む。特定された対象配列又は対象配列の一部分に関してここで使用される「パーセント(%)配列同一性」とは、検索パラメータを初期値に設定したプログラムWU-BLAST-2.0a19(Altschul等, J.Mol.Biol.,(1997)215:403〜410;http://blast.wustl.edu/blast/README.html)によって得られるように、配列のアラインメントを行い、最大のパーセント配列同一性を得るために必要に応じてギャップを導入した後に、対象配列(又はその特定の一部分)中のヌクレオチドやアミノ酸と同一である候補誘導体の配列中のヌクレオチドやアミノ酸のパーセントとして定義される。HSP S及びHSP S2パラメータは動的値であり、プログラム自体により、特定の配列の組成と、目的配列が比較して検索されている特定のデータベースの組成とに応じて確定される。「%同一性値」は、一致する同一ヌクレオチド又はアミノ酸の数を、パーセント同一性が報告される対象となる配列の長さで割ることによって決定される。「パーセント(%)アミノ酸配列類似性」は、%アミノ酸配列同一性の決定と同じ計算を行うが、同一アミノ酸に加えて保存的アミノ酸置換を含めて算定することによって決定される。保存的アミノ酸置換とは、タンパク質のフォールディングや活性が有意には影響されないように、あるアミノ酸が類似の特性を有する別のアミノ酸で置換される置換である。互いに置換できる芳香族アミノ酸はフェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシンであり、互換性のある疎水性アミノ酸はロイシン、イソロイシン、メチオニン、及びバリンであり、互換性のある極性アミノ酸はグルタミン及びアスパラギンであり、互換性のある塩基性アミノ酸はアルギニン、リジン及びヒスチジンであり、互換性のある酸性アミノ酸はアスパラギン酸及びグルタミン酸であり、互換性のある小さいアミノ酸はアラニン、セリン、スレオニン、システイン及びグリシンである。
あるいは、核酸配列のアラインメントは、Smith及びWatermanの局所的相同性アルゴリズムによって提供される(Smith及びWaterman, 1981, Advances in Applied Mathematics, 2:482-489;Smith及びWaterman, 1981, J. of Molec. Biol., 147:195-197; Nicholas等, 1998,「A Tutorial on Searching Sequence Databases and Sequence Scoring Methods」(ウェブサイトwww.psc.edu)及びそこに引用されている参考文献;W.R.Pearson, 1991, Genomics, 11:635-650)。このアルゴリズムは、Dayhoffによって開発され(Dayhoff: Atlas of Protein Sequences and Structure、M.O.Dayhoff編、第5補遺, 3:353-358, National Biomedical Research Foundation, Washington, D.C., USA)、Gribskovによって正規化された(Gribskov 1986, Nucl.Acids Res. 14(6):6745-6763)スコア化マトリックス(scoring matrix)を使用することによって、アミノ酸配列に適用することができる。スコアをつけるのに初期パラメータを用いたSmith-Watermanアルゴリズムを使用することができる(例えば、ギャップ開始ペナルティ12、ギャップ伸張ペナルティ2)。作成されたデータでは、「一致」値は「配列同一性」を反映している。
対象核酸分子の誘導核酸分子には、配列番号:1又は3の核酸配列とハイブリダイズする配列が含まれる。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、温度、イオン強度、pH、並びにハイブリダイゼーション及び洗浄中にホルムアミドなどの変性剤を存在させることによって調節することができる。常套的に使用される条件は、直ぐに入手可能な手順書に記載されている(例えば、Current Protocol in Molecular Biology, 第1巻, 第2.10章, John Wiley & Sons, Publishers (1994);Sambrook等, Molecular Cloning, Cold Spring Harbor (1989))。一部の実施態様では、本発明の核酸分子は、6×単位強度クエン酸(SSC)(1×SSCは0.15MのNaCl、0.015Mのクエン酸Na;pH7.0である)、5×デンハート液、0.05%のピロリン酸ナトリウム及び100μg/mlのニシン精子DNAを含む溶液中で、核酸を含むフィルターを8時間から終夜、65℃でプレハイブリダイゼーションを行うこと;6×SSC、1×デンハート液、100μg/mlの酵母tRNA及び0.05%のピロリン酸ナトリウムを含む溶液中で、18〜20時間、65℃でハイブリダイゼーションを行うこと、及び;0.1×SSC及び0.1%のSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を含む溶液で、65℃で1時間フィルターを洗浄することを含むストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号:1又は3の何れか一のヌクレオチド配列を含む核酸分子にハイブリダイズすることができる。他の実施態様では、35%のホルムアミド、5×SSC、50mMのトリス-HCl(pH7.5)、5mMのEDTA、0.1%のPVP、0.1%のフィコール、1%のBSA、及び500μg/mlの変性サケ精子DNAを含む溶液中で、核酸を含むフィルターを6時間、40℃で前処理すること;35%のホルムアミド、5×SSC、50mMのトリス-HCl(pH7.5)、5mMのEDTA、0.02%のPVP、0.02%のフィコール、0.2%のBSA、100μg/mlのサケ精子DNA、及び10%(重量/容量)のデキストラン硫酸を含む溶液中で、18〜20時間、40℃でハイブリダイゼーションを行うこと;ついで、2×SSC及び0.1%のSDSを含む溶液で2回、1時間55℃で洗浄することを含む、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を使用する。あるいは、20%のホルムアミド、5×SSC、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート液、10%のデキストラン硫酸、及び20μg/mlの変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中で、8時間から終夜、37℃でインキュベートすること;同じ緩衝液中で18〜20時間、ハイブリダイゼーションを行うこと、及び;1×SSCで、約37℃で1時間フィルターを洗浄することを含む、低ストリンジェント条件を使用することができる。
FACL核酸及びポリペプチドの単離、生成、発現、及びミスエクスプレッション
FACL核酸及びポリペプチドは、FACL機能を調節する薬剤の同定及び試験、並びにINRシグナル伝達におけるFACLの関与に関連する他の用途に有用である。FACL核酸は、利用可能な任意の方法を使用して得ることができる。例えば、DNAライブラリーをスクリーニングすることによって、又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用することによって、対象のcDNA又はゲノムDNA配列を単離する技術は当該分野で周知である。
非常に様々な方法がFACLポリペプチドを取得するために利用可能である。一般に、ポリペプチドの意図された使用により、発現、生成、及び精製方法の詳細が規定される。例えば、スクリーニングして調節剤を探すために使用するポリペプチドを生成するには、これらのタンパク質の特異的生物活性を保存する方法が必要である場合があり、抗体産生のためのポリペプチドを生成するには、特定のエピトープの構造的な完全性が必要である場合がある。スクリーニング又は抗体産生のために精製すべきポリペプチドを発現させるには、特異的タグの付加が必要である場合がある(例えば融合タンパク質の生成)。尿細管生成(tubulogenesis)への関与などFACL機能を評価するのに使用される細胞ベースアッセイのためのFACLポリペプチドを過剰発現させるには、これらの細胞活動が可能な真核細胞株中での発現が必要である場合がある。タンパク質を発現、生成、及び精製する方法は当該分野で周知であり、そのための任意の適切な手段を使用することができる(例えば、Higgins SJ及びHames BD(編) Protein Expression: A Practical Approach、Oxford University Press Inc., New York 1999; Stanbury PF等, Principles of Fermentation Technology, 第2版, Elsevier Science, New York, 1995; Doonan S編, Protein Purification Protocols, Humana Press, New Jersey, 1996; Coligan JE等, Current Protocols in Protein Science編, 1999, John Wiley & Sons, New York;米国特許第6165992号)。
FACLポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を、任意の適切な発現ベクター内に挿入して、挿入されたタンパク質コード配列を発現させることができる。プロモーター/エンハンサーエレメントを含む必要な転写シグナル及び翻訳シグナルは、天然のFACL遺伝子及び/又はそのフランキング領域由来のものでよく、また異種性のものでもよい。ウイルス(例えばワクシニアウイルス、アデノウイルスなど)で感染させた哺乳動物細胞系;ウイルス(例えばバキュロウイルス)で感染させた昆虫細胞系;酵母ベクターを含む酵母、あるいはバクテリオファージ、プラスミド、又はコスミドDNAで形質転換させた細菌などの微生物など、様々な宿主−ベクター発現系が利用できる。遺伝子産物の発現を変調させ、修飾し、及び/又は特異的にプロセッシングする宿主細胞系を使用することができる。
FACLポリペプチドは、場合によっては、異種タンパク質配列とペプチド結合を介して連結された、融合体又はキメラ産物として発現されてもよい。一応用例では、異種配列は、転写レポーター遺伝子(例えば、GFP又は他の蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼなど)をコードする。キメラ産物は、所望のアミノ酸配列をコードする適当な核酸配列を、適切なコード化フレーム内で標準的な方法を用いて互いに連結し、キメラ産物を発現することによって調製することができる。また、キメラ産物は、タンパク質合成技術、例えば、ペプチド合成装置(Hunkapiller等, Nature(1984) 310:105-111)の使用などにより調製することもできる。
FACLポリペプチドは、標準的方法(例えばイオン交換、アフィニティー、及びゲル排除クロマトグラフィー;遠心分離;溶解度差;電気泳動)を使用して単離及び精製することができる。あるいは、標準的方法(例えば免疫親和性精製)によって、天然源から天然FACLタンパク質を精製することができる。タンパク質を得た後は、イムノアッセイ、バイオアッセイ、又は結晶学など他の物理的特性の測定などの適切な方法によってこれを定量し、その活性を測定することができる。
本発明の方法では、FACL又はINRシグナル伝達に関連する他の遺伝子の発現が変化するように(ミスエクスプレスされるように)操作された細胞を使用することもできる。ここで使用されるミスエクスプレッションとは、異所性発現、過剰発現、過少発現、及び無発現(例えば遺伝子のノックアウト又は通常は正常に引き起こされる発現の遮断による)を包含する。
遺伝子改変動物
この発明の方法はFACL及び/又はINRシグナル伝達に関与していることが知られている他の遺伝子の発現を改変するように遺伝子的に改変された非ヒト動物を使用しうる。好適な遺伝子改変動物は哺乳動物、特にマウス又はラットである。好適な非哺乳動物種には、ゼブラフィッシュ、線虫、及びショウジョウバエが含まれる。好ましくは、改変されたFACL又は他の遺伝子発現は、例えば改変遺伝子の正常な発現を有するコントロール動物と比較した場合に、INRシグナル伝達の改変されたレベル、血漿グルコース又はインスリンの改変されたレベル、又は改変された脂質プロファイルのような、検出可能な表現型を生じる。遺伝子改変動物は、以下に記載されるように、INRシグナル伝達に関連する病状の動物モデルにおけるINRシグナル伝達を更に解明するために、また候補治療剤のインビボ検査のために使用されうる。
好適な遺伝子改変動物はトランスジェニックで、その細胞の少なくとも一部分は、典型的にはモザイクである安定なゲノム挿入物か又は染色体外エレメントとして存在する非天然核酸を有する。好適なトランスジェニック動物は子孫動物の全細胞に安定に伝達される生殖系列挿入物を有する。
非天然核酸は任意の好都合な方法によって宿主動物中に導入される。トランスジェニック動物を作製する方法は当該分野で周知である(トランスジェニックマウスについては、Brinster等, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 82:4438-4442 (1985), どちらもLeder等の米国特許第4736866号及び第4870009号、Wagner等の米国特許第4873191号、並びにHogan, B., Manipulating the Mouse Embryo、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., (1986)を参照;パーティクルボンバードメントについては、Sandford等の米国特許第4,945,050号参照;トランスジェニックショウジョウバエについては、Rubin及びSpradling, Science, 1982, 218:348-53及び米国特許第4670388号を参照;トランスジェニック昆虫については、Berghammer A.J.等, A Universal Marker for Transgenic Insects (1999) Nature 402:370-371を参照;トランスジェニックゼブラフィッシュについては、Lin S., Transgenic Zebrafish, Methods Mol Biol. (2000); 136:375-3830を参照);魚、両生類卵及び鳥でのマイクロインジェクションの手順については、Houdebine及びChourrout, Experientia (1991) 47:897-905を参照;トランスジェニックラットについては、Hammer等, Cell (1990) 63:1099-1112を参照;胚性幹(ES)細胞を培養し、その後、電気穿孔、リン酸カルシウム/DNA沈降、直接注入などの方法を使用してDNAをES細胞に導入することによるトランスジェニック動物の作製については、例えばTeratocarcinomas and Embryonic Stem Cells, A Practical Approach、E.J.Robertson編、IRL Press、(1987)を参照)。利用可能な方法に従って非ヒトトランスジェニック動物のクローンを作製することができる(Wilmut,I等 (1997) Nature 385:810-813;PCT国際公開公開番号WO97/07668号及びWO97/07669号を参照)。
一実施形態では、トランスジェニック動物は、好ましくはFACL発現が検出不可能又は僅かとなるように、FACL機能の低下をもたらす内因性FACL遺伝子の配列中のヘテロ接合性又はホモ接合性の変化を有する「ノックアウト」動物である。ノックアウト動物は、通常、ノックアウトされる遺伝子の少なくとも一部を有する導入遺伝子を含むベクターを用いた相同組換えによって作製される。通常、導入遺伝子を機能的に破壊するために、これに欠失、付加、又は置換を導入しておく。導入遺伝子はヒト遺伝子(例えばヒトゲノムクローン由来)でもよいが、より好ましくは、トランスジェニック宿主種由来の、ヒト遺伝子のオルソログである。例えば、マウスゲノム中の内因性FACL遺伝子を変化させるのに適した相同組換えベクターを構築するために、マウスFACL遺伝子を使用する。マウスにおける相同組換えの詳細な方法が利用可能である(Capecchi, Science (1989) 244:1288-1292;Joyner等, Nature (1989) 338:153-156を参照)。非げっ歯類トランスジェニック哺乳動物及び他の動物を作製する手順も利用可能である(上掲のHoudebine及びChourrout; Pursel等, Science (1989) 244:1281-1288; Simms等, Bio/Technology (1988) 6:179-183)。好ましい実施形態では、特定の遺伝子がノックアウトされたマウスなどのノックアウト動物を使用して、ノックアウトされた遺伝子のヒトでの対応物に対する抗体を産生させることができる(Claesson MH等, (1994) Scan J Immunol 40:257-264; Declerck PJ等, (1995) J Biol Chem. 270:8397-400)。
別の実施形態では、トランスジェニック動物は、例えばFACLの追加のコピーを導入することによって、又はFACL遺伝子の内因性コピーの発現を変化させる制御配列を作用可能に挿入することによって、FACL遺伝子の発現の変化(例えば発現の増大(異所性の増大を含む)及び低減)をもたらす変化をそのゲノム中に有する「ノックイン」動物である。このような制御配列としては、誘発性であり、組織特異的で構成的なプロモーター及びエンハンサーエレメントが含まれる。ノックインは、ホモ接合性又はヘテロ接合性でありうる。
導入遺伝子の制御された発現を可能にする選択された系を含む非ヒトのトランスジェニック動物も作製することができる。作製し得るこのような系の一例は、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼ系である(Lakso等, PNAS (1992) 89:6232-6236;米国特許第4959317号)。導入遺伝子の発現を制御するためにcre/loxPリコンビナーゼ系を使用する場合、Creリコンビナーゼと選択タンパク質の両方をコードする導入遺伝子を含む動物が必要となる。このような動物は、例えば、一方が選択タンパク質をコードする導入遺伝子を含み、他方がリコンビナーゼをコードする導入遺伝子を含む2匹のトランスジェニック動物を交配させることによる「ダブル」トランスジェニック動物の作製によって、提供することができる。リコンビナーゼ系の別の例は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のFLPリコンビナーゼ系である(O'Gorman等, (1991) Science 251:1351-1355;米国特許第5654182号)。好ましい実施形態では、導入遺伝子の発現を制御するため、また同一細胞内でのベクター配列が順次削除されるように、Cre−LoxP及びFlp−Frtの両方が同一系内で使用される(Sun X等 (2000) Nat Genet 25:83-6)。
INR機能の欠陥に関係する疾病及び疾患の動物モデルとして、また以下に記載するスクリーニングで同定されたものなど候補治療剤のインビボ試験のために、遺伝子改変動物を遺伝子研究に使用してINR経路をさらに解明することができる。候補治療剤をFACL機能が変化した遺伝子改変動物に投与し、表現型の変化を、偽薬による処置を与えた遺伝子改変動物及び/又は候補治療剤を与えたFACL発現が変化していない動物などの適切な対照動物と比較する。
FACL機能が変化した上述の遺伝子改変動物に加えて、欠陥INR機能(及びそれ以外は正常なFACL機能)を有する動物モデルを本発明の方法において使用することができる。例えば、以下に記載するインビトロアッセイのうち1つで同定された候補INR調節剤の活性をインビボで評価するために、INRノックアウトマウスを使用することができる。好ましくは、候補INR調節剤をINR機能に欠陥がある細胞を有するモデル系に投与した場合、モデル系において検出可能な表現型の変化がもたらされ、これにより、INF機能が修復されていることが示される。
FACL調節剤
本発明は、FACLの機能及び/又はINRシグナル伝達と相互作用し及び/又はこれを調節する作用剤を同定する方法を提供する。このような作用剤は、INRシグナル伝達に関連する様々な診断及び治療用途、並びにFACLタンパク質及びINRシグナル伝達に対するその寄与のより詳しい分析に有用である。したがって、本発明はまた、FACL相互作用剤又は調節剤を投与することによってFACL活性を特異的に調節する工程を含む、INRシグナル伝達を調節する方法も提供する。
ここで使用される場合、「FACL調節剤」は、FACL機能を調節する任意の薬剤、例えばFACLと相互作用してFACL活性を阻害又は増強させ、あるいはその他の方法によって正常なFACL機能に影響を与える薬剤である。FACL機能は、転写、タンパク質発現、タンパク質の局在化、細胞活性又は細胞外活性を含めた任意のレベルで影響を受けうる。好ましい実施態様では、FACL調節剤はFACLの機能を特異的に調節する。「特異的調節剤」、「特異的に調節する」などの語句は、本明細書中では、FACLポリペプチド又は核酸に直接結合し、好ましくはFACLの機能を阻害、増強、又は他の形で変化させる調節剤を意味するために使用する。また、これらの語句は、(例えば、FACLの結合パートナーと、又はタンパク質/結合パートナー複合体と結合してFACL機能を改変することによって)FACLと結合パートナー又は基質、又はコファクターとの相互作用を変化させる調節剤をも包含する。更に好適な実施態様では、FACL調節剤はINR経路のモジュレーターであり(例えばINR機能を回復し、及び/又はアップレギュレートする)、よってまたINR調節剤である。
好ましいFACL調節剤には、小分子の化学薬剤;抗体及びその他生物治療剤を含めたFACL相互作用タンパク質;及びアンチセンスオリゴマーやRNAを含む核酸モジュレーターが含まれる。調節剤を、例えば組合せ療法などにおけるような他の活性成分及び/又は適切な担体や賦形剤を含んでもよい組成物として、医薬組成物中に配合してもよい。化合物を製剤又は投与する技術は、「Remington's Pharmaceutical Sciences」, Mack Publishing Co., Easton, PA, 19版に見出される。
小分子モジュレーター
当該分野で「小分子」化合物と呼ばれる化学薬剤は通常、分子量が10000未満、好ましくは5000未満、より好ましくは1000未満、最も好ましくは500未満である有機の非ペプチド分子である。このクラスのモジュレーターには、化学的に合成した分子、例えばコンビナトリアル化学ライブラリーからの化合物が含まれる。合成化合物は、FACLタンパク質の既知又は推定の特性に基づいて合理的に設計又は同定するか、あるいは化合物ライブラリーをスクリーニングすることによって同定することができる。このクラスの代わりの適切なモジュレーターは、天然産物、特に、やはり化合物ライブラリーをスクリーニングしてFACL変調活性を探すことによって同定することができる、植物や真菌類など生物由来の二次代謝産物である。化合物を作製して得る方法は、当該分野で周知である(Schreiber SL, Science (2000) 151:1964-1969; Radmann J及びGunther J, Science (2000) 151:1947-1948)。
以下に記載するスクリーニングアッセイから同定された小分子モジュレーターをリード化合物として使用することができ、それから候補臨床化合物を設計し、最適化し、合成することができる。このような臨床化合物は、INRシグナル伝達に関連する病状を処置するのに有用でありうる。候補小分子調節剤の活性は、以下にさらに記載する対話型の二次的な機能検証、構造決定、及び候補モジュレーターの改変及び試験によって、数倍改善されるかもしれない。さらに、候補臨床化合物は、臨床的及び薬理的特性に特に注意を払って作製される。例えば、活性を最適化し、製薬開発における毒性を最小限に抑えるために、試薬を誘導体化し、インビトロ及びインビボアッセイを使用して再スクリーニングすることができる。
タンパク質モジュレーター
特異的なFACL相互作用タンパク質は、INR経路及び関連疾患に関連する様々な診断上及び治療上の用途、並びに他のFACL調節剤の検証アッセイにおいて有用である。好ましい実施態様では、FACL相互作用タンパク質は、転写、タンパク質の発現、タンパク質の局在化、細胞活性又は細胞外活性を含めた正常なFACL機能に影響を与える。別の実施態様では、FACL相互作用タンパク質は、糖尿病などのINRに関連する疾患に関連しているので、FACLタンパク質の機能に関する情報を検出及び提供するのに有用である(例えば診断上の手段用)。
FACL相互作用タンパク質は、FACL発現、局在化、及び/又は活性を調節するFACL経路のメンバーなど内因性のもの、すなわちFACLと自然に遺伝学的又は生化学的に相互作用するものであってよい。FACLモジュレーターには、FACL相互作用タンパク質及びFACLタンパク質自体のドミナントネガティブ型が含まれる。酵母2ハイブリッド及び変異体スクリーニングにより、内因性FACL相互作用タンパク質を同定する好ましい方法が提供される(Finley, R.L.等 (1996) DNA Cloning-Expression Systems: A Practical Approach, Glover D.及びHames B.D編 (Oxford University Press, Oxford, England), pp.169-203; Fashema SF等, Gene (2000) 250:1-14; Drees BL Curr Opin Chem Biol (1999) 3:64-70; Vidal M及びLegrain P Nucleic Acids Res (1999) 27:919-29;米国特許第5928868号)。質量分析は、タンパク質複合体を解明するための好ましい代替方法である(例えば、Pandley A及びMann M, Nature (2000) 405:837-846; Yates JR 3rd, Trends Genet (2000) 16:5-8に総説あり)。
FACL相互作用タンパク質は、FACL特異的抗体やT細胞抗原受容体などの外因性タンパク質でありうる(例えば、Harlow及びLane (1988) Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory; Harlow及びLane (1999) Using antibodies: a laboratory manual. Cold Spring Harbor, NY: Cold Spring Harbor Loboratory Pressを参照)。FACL抗体については以下でさらに説明する。
好ましい実施態様では、FACL相互作用タンパク質はFACLタンパク質に特異的に結合する。好ましい他の実施態様では、FACL調節剤はFACL基質、結合パートナー、又はコファクターと結合する。
抗体
別の実施態様では、タンパク質モジュレーターはFACL特異的抗体アゴニスト又はアンタゴニストである。この抗体は治療上及び診断上の用途を有しており、FACLモジュレーターを同定するスクリーニングアッセイで使用することができる。また、様々な細胞性応答並びにFACLの一般的なプロセッシング及び成熟を担当するFACL経路の部分の分析においても、この抗体を使用することができる。
周知の方法を使用してFACLポリペプチドと特異的に結合する抗体を作製することができる。好ましくは、この抗体はFACLポリペプチドの哺乳動物オルソログ、より好ましくはヒトFACLに、特異的である。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAbs)、ヒト化又はキメラ抗体、単鎖抗体、Fab断片、F(ab')断片、FAb発現ライブラリーによって産生された断片、抗イディオタイプ(抗-Id)抗体、及び上記のうちいずれかのエピトープ結合断片であってよい。例えば、抗原性を示すFACLポリペプチドの常套的なスクリーニングによって、又は配列番号:2又は4に示したアミノ酸配列に対するタンパク質の抗原性領域を選択する理論的な方法を施用することによって、特に抗原性であるFACLのエピトープを選択することができる(Hopp及びWood, (1981) Proc. Nati. Acad. Sci. U.S.A. 78:3824-28; Hopp及びWood, (1983) Mol. Immunol. 20:483-89; Sutcliffe等, (1983) Science 219:660-66)。記載された標準的手順によって、10−1、好ましくは10−1〜1010−1、又はそれより強力な親和性を有するモノクローナル抗体を作製することができる(上掲のHarlow及びLane; Goding (1986) Monoclonal Antibodies: Principles and Practice(第2版) Academic Press, New York;及び米国特許第4381292号;米国特許第4451570号;及び米国特許第4618577号)。FACLの粗細胞抽出物又は実質的に精製されたその断片に対する抗体を作製することができる。FACL断片を使用する場合、これらは、好ましくはFACLタンパク質の少なくとも10個、より好ましくは少なくとも20個の連続したアミノ酸を含む。特定の実施態様では、FACL特異的抗原及び/又は免疫原は、免疫応答を刺激する担体タンパク質に結合している。例えば、主題のポリペプチドはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)担体に共有結合しており、このコンジュゲートは免疫応答を増強させるフロイント完全アジュバント中で乳化される。従来のプロトコルに従って実験ウサギやマウスなど適切な免疫系を免疫化する。
固定した対応するFACLポリペプチドを使用した固相酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)など適切なアッセイによって、FACL特異的抗体の存在をアッセイした。ラジオイムノアッセイや蛍光アッセイなど他のアッセイを使用することもできる。
異なる動物種由来の異なる部分を含む、FACLポリペプチドに特異的なキメラ抗体を作製することができる。例えば、抗体の生物活性はヒト抗体由来であり、その結合特異性はマウス断片由来となるように、ヒト免疫グロブリン定常領域をマウスmAbの可変領域に連結させてもよい。それぞれの種由来の適切な領域をコードする遺伝子を併せてスプライスすることによってキメラ抗体を作製する(Morrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. (1984) 81:6851-6855; Neuberger等, Nature (1984) 312:604-608; Takeda等, Nature (1985) 31:452-454)。キメラ抗体の一形態であるヒト化抗体は、組換えDNA技術によって(Riechmann LM等, (1988) Nature 323:323-327)マウス抗体の相補性決定領域(CDR)をヒトフレームワーク領域及び定常領域のバックグラウンドに移植することによって(Carlos, T.M., J.M.Harlan (1994) Blood 84:2068-2101)作製することができる。ヒト化抗体は約10%のマウス配列及び約90%のヒト配列を含み、それにより、抗体特異性を保持したままで免疫原性がさらに低下又は排除される(Co MS及びQueen C. 1991 Nature 351:501-501; Morrison SL. 1992 Ann. Rev. Immun. 10:239-265)。ヒト化抗体及びそれらを産生させる方法は当分野で周知である(米国特許第5530101号、第5585089号、第5693762号、及び第6180370号)。
アミノ酸架橋によってFv領域の重鎖断片と軽鎖断片とを連結させて形成した組換え単鎖ポリペプチドであるFACL特異的単鎖抗体を、当分野で周知の方法によって産生することができる(米国特許第4946778号;Bird, Science (1988) 242:423-426; Huston等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1988) 85:5879-5883; Ward等, Nature (1989) 334:544-546)。
抗体を産生するための他の適切な技術は、リンパ球をインビトロで、抗原ポリペプチド、又は代わりにファージや類似のベクター中の選定抗体ライブラリーに曝すことを含む(Huse等, Science (1989) 246:1275-1281)。本明細書中で使用するT細胞抗原受容体は、抗体モジュレーターの範囲に含まれる(上掲のHarlow及びLane, 1988)。
本発明のポリペプチド及び抗体は、改変して又は改変せずに使用することができる。多くの場合、検出可能なシグナルをもたらす基質又は標的タンパク質を発現する、細胞にとって毒性である基質を共有結合又は非共有結合のどちらかによって結合させることによって抗体を標識する(Menard S等, Int J.Biol Markers (1989) 4:131-134)。幅広い種類の標識及びコンジュゲーション技術が知られており、科学文献及び特許文献のどちらにも広く報告されている。適切な標識には、放射性核種、酵素、基質、コファクター、阻害剤、蛍光部分、蛍光発光ランタニド金属、化学発光部分、生物発光部分、磁気粒子などが含まれる(米国特許第3817837号;第3850752号;第3939350号;第3996345号;第4277437号;第4275149号;第4366241号)。また、組換え免疫グロブリンを産生させてもよい(米国特許第4816567号)。膜貫通毒素タンパク質とコンジュゲートさせることによって細胞質ポリペプチドに対する抗体をその標的に送達し到達させることができる(米国特許第6086900号)。
患者に治療的に使用する場合は、可能な場合は標的部位に非経口的投与によって、又は静脈投与によって本発明の抗体を投与する。臨床研究によって治療上有効な用量及び投与計画を決定する。通常、投与する抗体の量は患者の体重1kgあたり約0.1mg〜約10mgである。非経口投与には、薬学的に許容されるビヒクルを含む単位用量の注射可能な形態(例えば溶液、懸濁液、乳濁液)で抗体を配合する。このようなビヒクルは本質的に無毒性で治療作用がない。例は、水、生理食塩水、リンゲル溶液、ブドウ糖溶液、及び5%のヒト血清アルブミンである。また、不揮発性油、オレイン酸エチル、又はリポソーム担体などの非水性ビヒクルを使用してもよい。ビヒクルには、等張性や化学的安定性を高める又は他の形で治療の可能性を高める緩衝剤や保存料など少量の添加剤が含まれ得る。このようなビヒクル中の抗体濃度は、通常約1mg/ml〜約10mg/mlである。免疫療法的な方法は文献にさらに記載されている(米国特許第5859206号;国際公開WO0073469号)。
核酸モジュレーター
他の好ましいFACL調節剤としては、一般的にFACL活性を阻害するアンチセンスオリゴマーや二本鎖RNA(dsRNA)などの核酸分子が含まれる。好ましいアンチセンスオリゴマーは、DNAの複製、転写、FACL RNAの転位、FACL RNAからのタンパク質の翻訳、RNAスプライシング、及びFACL RNAが関与する任意の触媒活性など、FACL核酸の機能を妨げる。
一実施態様では、アンチセンスオリゴマーは、好ましくは5’非翻訳領域に結合することによってFACL mRNAと結合して、翻訳を阻止するのに十分相補的なオリゴヌクレオチドである。FACLに特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、好ましくは少なくとも6〜約200個の範囲のヌクレオチドである。一部の実施態様では、このオリゴヌクレオチドは、好ましくは少なくとも10、15、又は20ヌクレオチド長である。他の実施態様では、このオリゴヌクレオチドは、好ましくは50未満、40、又は30ヌクレオチド長である。このオリゴヌクレオチドは、一本鎖又は二本鎖のDNA又はRNA、あるいはDNA及びRNAのキメラ混合物、誘導体又はそれを改変した変形であり得る。このオリゴヌクレオチドの塩基部分、糖部分、又はリン酸骨格を修飾してもよい。このオリゴヌクレオチドは、ペプチド、細胞膜を横切る輸送を促進する作用剤、ハイブリダイゼーションによって惹起される切断剤、インターカレーション剤など他の付属基を含んでいてもよい。
別の実施態様では、このアンチセンスオリゴマーはホスホチオエートモルホリノオリゴマー(PMO)である。PMOは、それぞれがモルホリンの六員環に結合している4種の遺伝子塩基(A、C、G、又はT)のうちの一つを含む、4種の異なるモルホリノサブユニットから構築されている。これらサブユニットのポリマーは、非イオン性のホスホジアミデートサブユニット間の連結によって結合されている。PMO及び他のアンチセンスオリゴマーの詳細な生成方法及び使用方法は、当分野で周知である(例えば、国際公開WO99/18193号;Summerton J及びWeller D., Antisense Nucleic Acid Drug Dev 1997, 7:187-95; Probst JC, Methods 2000, 22(3):271-281;米国特許第5235033号;米国特許第5378841号を参照)。
好ましい代替のFACL核酸モジュレーターは、RNA干渉(RNAi)を媒介する二本鎖RNA種である。RNAiは、動物及び植物における配列特異的な翻訳後の遺伝子サイレンシングプロセスであり、サイレンシングされる遺伝子と相同の配列をもつ二本鎖RNA(dsRNA)によって開始される。線虫、ショウジョウバエ、植物、及びヒトで遺伝子をサイレンシングするためのRNAiの使用に関する方法は、当分野で周知である(Fire A等, 1998 Nature 391:806-811; Fire, A. Trends Genet. 15, 358-363 (1999); Sharp, P.A. RNA interference 2001. Genes Dev. 15,485-490 (2001); Hammond, S.M.等, Nature Rev.Genet. 2,110-1119(2001); Tuschl, T. Chem. Biochem. 2, 239-245 (2001); Hamilton, A.等, Science 286, 950-952 (1999); Hammond, S.M.等, Nature 404, 293-296 (2000); Zamore, P.D.等, Cell 101, 25-33 (2000); Bernstein, E.等, Nature 409, 363-366 (2001); Elbashir, S.M.等, Genes Dev. 15, 188-200 (2001);国際公開WO0129058号;国際公開WO9932619号;Elbashir SM等, 2001 Nature 411:494-498)。
核酸モジュレーターは一般的に、研究試薬、診断薬、及び治療薬として使用される。例えば、遺伝子の発現を特異的に阻害することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、しばしば特定の遺伝子の機能を解明するのに使用される(例えば、米国特許第6165790号参照)。また、核酸モジュレーターは、例えば生物学的経路の様々なメンバーの機能を識別するためにも使用される。例えば、アンチセンスオリゴマーは、疾病状態の動物及びヒトの処置における治療的部分として利用されてきており、安全かつ効果的であることが数々の臨床治験で実証されてきた(Milligan JF等, 1993, J Med Chem 36:1923-1937; Tonkinson JL等, 1996, Cancer Invest 14:54-65)。したがって、本発明の一態様では、INRシグナル伝達におけるFACLの機能をさらに解明するためのアッセイで、FACL特異的アンチセンスオリゴマーが使用される。ゼブラフィッシュはアンチセンスオリゴマーを使用するINRシグナル伝達の研究のための特に有用なモデルである。例えば、PMOはゼブラフィッシュの胚において一又は複数の遺伝子をインビボで選択的に不活性にするために使用される。1−16細胞段階でゼブラフィッシュにPMOを注射することによって、ショウジョウバエのスクリーニングから生じた候補標的の有効性がこの脊椎動物モデル系において確認される。本発明の別の態様では、INRシグナル伝達の他の治療的モジュレーターの同定のためにゼブラフィッシュゲノムをスクリーニングするためにPMOが使用される。本発明の更なる態様では、FACL特異的アンチセンスオリゴマーは代謝病理状態の処置のための治療剤として使用される。
アッセイ系
本発明は、FACL活性の特異的なモジュレーターを同定するアッセイ系及びスクリーニング方法を提供する。本明細書中で使用する「アッセイ系」とは、特定の事象を検出及び/又は測定するアッセイを実施してその結果を分析するのに必要なすべての構成要素を包含する。一般的に、一次アッセイを使用して、FACL核酸又はタンパク質に関するモジュレーターの特異的な生化学的効果又は分子効果を同定又は確認する。一般的に、二次アッセイでは、一次アッセイによって同定されたFACL調節剤の活性がさらに評価され、この調節剤がINRシグナル伝達に関連する形でFACLに影響を与えることが確認されることもある。場合によっては、FACLモジュレーターを、「一次アッセイ」で同定したり確認せずに、直接「二次アッセイ」で試験する。
好ましい実施態様では、アッセイ系は、候補剤が存在しなければ、アッセイ系で検出される特定の分子事象に基づく対照活性が系によってもたらされる条件下で、FACLポリペプチドを含む適切なアッセイ系を候補剤と接触させることを含む。該方法はさらに候補剤が存在する場合の同じタイプの活性(「作用剤によって影響を受ける系の活性」)を検出することを含む。作用剤の影響を受ける活性と対照活性との差により、この候補剤がFACL活性を、したがってINRシグナル伝達を調節することが示される。作用剤の影響を受ける活性と対照活性との統計的に有意な差により、この候補剤がFACL活性を、したがってINRシグナル伝達を調節することが示される。アッセイで使用されるFACLポリペプチド又は核酸は上述した核酸又はポリペプチドの任意のものを含みうる。
一次アッセイ
一般的に、試験されるモジュレーターの種類によって一次アッセイの種類が決まる。
小分子モジュレーター用の一次アッセイ
小分子モジュレーターには、候補モジュレーターを同定するためにスクリーニングアッセイを使用する。スクリーニングアッセイは、細胞に基づくものでもよく、またこの標的タンパク質の関連する生化学的反応を再度引き起こさせる又は保持する無細胞系を使用してもよい(Sittampalam GS等, Curr Opin Chem Biol (1997) 1:384-91及び添付の参考文献に総説がある)。本明細書中で使用する用語「細胞に基づく」とは、生細胞、死滅細胞、又は膜分画、小胞体分画、ミトコンドリア分画など特定の細胞分画を使用したアッセイを指す。「無細胞」という用語は、実質的に精製されたタンパク質(内因性又は組換えによって生成された)、部分的に精製した細胞抽出物又は粗細胞抽出物を使用したアッセイを包含する。スクリーニングアッセイでは、タンパク質-DNA相互作用、タンパク質-タンパク質相互作用(例えば受容体-リガンド結合)、転写活性(例えばレポーター遺伝子)、酵素活性(例えば基質の特徴を介するもの)、セカンドメッセンジャーの活性、免疫原性、及び細胞形態や他の細胞性特徴の変化を含めた様々な分子事象を検出することができる。適切なスクリーニングアッセイでは、蛍光、放射性、比色、分光光度、及び電流滴定を含めた広範囲の検出方法を使用して、検出する特定の分子事象の読出しを行うことができる。
好適な実施態様では、スクリーニングアッセイは、蛍光偏光、時間分解蛍光、蛍光共鳴エネルギー移動を含めた蛍光技術を使用する。これらの系は、色素で標識した分子から放出されたシグナルの強度がそのパートナー分子との相互作用に依存する、タンパク質-タンパク質又はDNA-タンパク質相互作用をモニターする手段を提供する(例えば、Selvin PR, Nat Struct Biol (2000) 7:730-4; Fernandes PB, Curr Opin Chem Biol (1998) 2:597-603; Hertzberg RP及びPope AJ, Curr Opin Chem Biol (2000) 4:445-451)。
FACLモジュレーターのスクリーニングに適合させることのできる適切なアッセイ様式は、当分野で周知である。好ましいアッセイはFACL酵素(リガーゼ)活性を検出する。一例では、FACL活性は比色分析分光法によって測定される(上掲のSleeman等, 1998; Ichihara K及びShibasaki Y, 1991, J Lipid Res 32:1709-1712)。簡単に述べると、脂肪酸とCoAからアシル-CoA合成酵素によって形成されたアシル-CoAがアシル-CoAオキシダーゼによって脱水素化される。生成された過酸化水素はついでカタラーゼによってメタノールの存在下でホルムアルデヒドに転化される。ホルムアルデヒドはアルカリ性条件でトリアゾール化合物と反応して紫色の染料を形成し、その吸光度が分光測光的に測定される。好適なスクリーニングアッセイは、高スループット又は超高スループットであり、したがって、リード化合物用の化合物ライブラリーをスクリーニングする、自動化された費用効率の高い手段を提供する(上掲のFernandes PB, 1998; Sundberg SA, Curr Opin Biotechnol 2000, 11:47-53)。、
通常、細胞に基づくスクリーニングアッセイには、FACLの組換え発現系及び特定のアッセイで要求される任意の補助タンパク質が必要である。無細胞アッセイでは、しばしば組換え生産され精製された又は実質的に精製されたタンパク質が用いられる。組換えタンパク質を生じさせる適切な方法では、関連する生物活性を保持しており、活性を最適化してアッセイの再現性を保証するのに十分な純度のタンパク質が、十分な量で生成される。酵母2ハイブリッドスクリーニング、変異体スクリーニング及び質量分析は、タンパク質-タンパク質相互作用を決定し、タンパク質複合体を解明する好ましい方法を提供する。ある種の用途では、スクリーニングアッセイにFACL相互作用タンパク質を使用する場合、FACLタンパク質に対する相互作用タンパク質の結合特異性を、結合平衡定数(通常少なくとも約10−1、好ましくは少なくとも約10−1、より好ましくは少なくとも約10−1)、及び免疫原性を含む、様々な周知の方法によってアッセイすることができる。酵素及び受容体について、結合はそれぞれ基質及びリガンドによる処理によってアッセイすることができる。
スクリーニングアッセイでは、FACLポリペプチド、その融合タンパク質、又はこのポリペプチドもしくは融合タンパク質を含む細胞又は膜に特異的に結合する、あるいはその活性を調節する、候補剤の能力を測定することができる。FACLポリペプチドは、完全長のものでも、また機能的なFACL活性を保持しているその断片でもよい。FACLポリペプチドは、検出又は固定用のペプチドタグあるいは別のタグなど別のポリペプチドに融合させてもよい。FACLポリペプチドは、好ましくはヒトFACL、あるいは上記のようなそのオルソログ又は誘導体である。好ましい実施態様では、スクリーニングアッセイで、FACLと内因性タンパク質又は外因性タンパク質、又はFACLに特異的な結合活性を有する他の基質などの結合標的との相互作用の候補剤に基づく変調を検出し、これを使用して正常なFACL遺伝子機能を評価することができる。
ある種のスクリーニングアッセイをまた使用して抗体及び核酸モジュレーターを試験することができる;核酸モジュレーターに対して、適切なアッセイ系はFACL mRNAの発現を含む。
抗体モジュレーターの一次アッセイ
抗体モジュレーターでは、適切な一次アッセイ法は、FACLタンパク質に対する抗体の親和性及び特異性を試験する結合アッセイである。抗体の親和性及び特異性を試験する方法は当該分野で周知である(上掲のHarlow及びLane, 1988, 1999)。酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)がFACLに特異的な抗体を検出する好ましい方法である;他の方法には、FACSアッセイ、ラジオイムノアッセイ、及び蛍光アッセイが含まれる。
核酸モジュレーターの一次アッセイ
核酸モジュレーターでは、一次アッセイにより核酸モジュレーターがFACL遺伝子の発現、好ましくはmRNAの発現を阻害する能力を試験し得る。一般的に、発現分析には、核酸モジュレーターの存在下及び非存在下での細胞の類似集団(例えば、内因的に又は組換えによってFACLを発現する2種の細胞プール)中のFACL発現を比較することが含まれる。mRNA及びタンパク質の発現を分析する方法は当該分野で周知である。例えば、ノーザンブロッティング、スロットブロッティング、RNA分解酵素保護、定量的RT-PCR(例えばTaqMan(登録商標)、PE Applied Biosystemsを使用)、又はマイクロアレイ分析を使用して、核酸モジュレーターで処置した細胞中でFACL mRNAの発現が低減していることを確認することができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology(1994) Ausubel FM等編, John Wiley & Sons, Inc., 第4章; Freeman WM等, Biotechniques (1999) 26:112-125; Kallioniemi OP, Ann Med 2001, 33:142-147; Blohm DH及びGuiseppi-Elie, A Curr Opin Biotechnol 2001, 12:41-47)。タンパク質の発現をモニターすることもできる。タンパク質は、最も一般的にはFACLタンパク質又は特異的なペプチドのどちらかに対する特異的な抗体又は抗血清を用いて検出される。ウエスタンブロッティング、ELISA、又はin situ検出を含めた様々な手段が利用可能である(上掲のHarlow E及びLane D, 1988及び1999)。
二次アッセイ
調節剤がINRシグナル伝達に関連する形でFACLに影響を与えることを確認するために、二次アッセイを使用して上記の任意の方法によって同定したFACL調節剤の活性を更に評価することができる。ここで使用されるところのFACL調節剤は、以前に同定した調節剤から誘導した候補臨床化合物又は他の作用剤を包含する。また、二次アッセイを使用して、特定の遺伝的又は生化学的経路に対する調節剤の活性を試験し、あるいはモジュレーターがFACLと相互作用する特異性を試験することもできる。
二次アッセイでは一般的に、候補モジュレーターの存在下及び非存在下において、細胞や動物の類似集団(例えば、内因的に又は組換えによってFACLを発現する2種の細胞プール)を比較する。一般的に、このようなアッセイでは、候補FACL調節剤を用いて細胞や動物を処置することにより、処置しない(あるいはモック処置又は偽薬処置した)細胞や動物と比較してINRシグナル伝達に変化がもたらされるかどうかを試験する。INRシグナル伝達の変化はINR経路成分の改変又はその発現もしくは活性の変化として検出することができる。アッセイは、また、グルコース取り込みのような即時の出力、又は長期にわたる効果、例えばグリコーゲン及びトリグリセリド代謝、脂肪細胞分化、又は糖尿病又は他のINR関連病理の進行を包含するようにここで用いられる正常な又は欠陥のあるINRシグナル伝達の出力を検出しうる。ある種のアッセイでは、INR又は相互作用経路、又はINRシグナル伝達又はINRシグナル伝達の出力に関連する経路における遺伝子の発現が変化するように操作された細胞や動物を表すものとしてここで使用される、感作させた遺伝的バックグラウンドを使用する。
細胞ベースのアッセイ
細胞ベースのアッセイは、種々のインスリン感受性哺乳動物細胞を使用し、内在性INRシグナルを検出し、又はINR及び/又は他のINR経路の構成要素の組換え発現によるものである。例示的なインスリン感受性細胞には、脂肪細胞、肝細胞、及び膵臓β細胞が含まれる。適切な脂肪細胞には、インスリン感受性アッセイにおいて最も一般的に使用される3T3L1細胞、並びにマウス又はヒトのバイオプシーによる一次細胞が含まれる。適切な肝細胞には、ラット肝細胞腫H4−II−E細胞株が含まれる。適切なβ細胞には、至適化されたグルコース感受性インスリン分泌を行うラットINS-I細胞が含まれる(クローン823−13等, Hohmeier等, 2000, Diabetes 49: 424)。他の適切な細胞には、筋細胞、例えばINRを過剰発現するように操作されたL6筋管、CHO細胞が含まれる。あるアッセイ系に関して、インスリン耐性な状態を誘導するグルコサミン、遊離脂肪酸又はTNFαなどの因子で細胞を処理することが有用である。候補モジュレーターは、典型的には、細胞培養液中に添加されるが、細胞に注入されるか又は他のいずれかの効果的な手段によって送達されてもよい。
細胞ベースのアッセイは、一般に、FACL調節剤によるインスリン応答性細胞の処理がインスリン刺激に応答してINRシグナルを変更させるかどうか(「インスリン感受性」)を試験する;このようなアッセイは当該技術分野において周知である(例えば Sweeney等, 1999, J Biol Chem 274: 10071を参照)。好ましい実施態様において、アッセイはFACL機能がインスリン感受性を増加を阻害するか否か決定するために実施される。
一例において、INRシグナル伝達はインスリン応答性遺伝子の発現を測定することにより評価される。肝細胞は、これらのアッセイに対して好ましいものである。多くのインスリン応答性遺伝子が知られている(例えば、p85 PI3キナーゼ、 ヘキソキナーゼII、グリコーゲン合成酵素、リポタンパク質リパーゼなど;PEPCKはINRシグナル伝達に応答して特異的に下方制御される)。既に記述されているような、発現解析に関する任意の有用な手段が使用される。典型的には、mRNA発現が検出される。好ましい適用において、Taqman解析はmRNA発現を直接測定するために使用される。あるいは、発現は、インスリン応答遺伝子の制御配列(例えば、エンハンサー/プロモーター領域)のコントロール下において、レポーター遺伝子(ルシフェラーゼ、GFP又は他の蛍光タンパク質、β−ガラクトシダーゼなど)をコードする配列を含む遺伝子組換えレポーターコンストラクトから間接的にモニターされる。レポーターコンストラクトの作製及び使用方法は周知である。
また、INRシグナル伝達はINRシグナル伝達経路の構成要素の活性を測定することによっても測定され、当該技術分野において周知である(例えば、Kahn及びWeir編, Joslin's Diabetes Mellitus, Williams & Wilkins, Baltimore, MD, 1994を参照)。適切なアッセイは、IRS、PI3K、Akt、GSK3などを含む経路のメンバーのリン酸化を、例えば、リン酸化されたタンパク質を特異的に認識する抗体を用いて検出する。また、アッセイは経路構成要素の特異的なシグナル伝達活性における変化も検出する(例えば、PI3K、GSK3、Aktなどのキナーゼ活性)。キナーゼアッセイ、並びにリン酸化タンパク質基質の検出方法は、当該技術分野において周知である(例えば、Ueki K等, 2000, Mol Cell Biol ; 20: 8035-46を参照のこと)。
他の例において、アッセイでは、好ましくは肝細胞を用いて、インスリン刺激への応答におけるグリコーゲン合成が測定される。グリコーゲン合成は、グリコーゲン含有量の測定、及び放射標識などで標識されたグルコースを用いたグリコーゲン合成の定量を含む、種々の手段によってアッセイされる(例えば、Aiston S及びAgius L, 1999, Diabetes 48: 15-20;Rother KI等, 1998, J Biol Chem 273: 17491-7を参照)。
他の適切なアッセイでは、インスリン刺激に応答したグルコース(典型的には標識化グルコース)の細胞内取込みが測定される。脂肪細胞はこれらのアッセイに対して好ましい。また、アッセイにおいて、主として筋肉及び脂肪細胞中でのインスリン誘導性グルコースの取込みの主なメディエーターであり、インスリン刺激の後細胞表面へ特異的に移行する、グルコーストランスポーター(GLUT)4の移行が測定される。このようなアッセイは、GLUT−4特異的抗体を使用して内在性GLUT4の移行を検出するか又は特定のエピトープに特異的な抗体を使用して外因的に導入されたエピトープタグ化GLUT4を検出する (例えば、Sweeney, 1999, 上掲;Quon MJ等, 1994, Proc Natl Acad Sci USA 91: 5587-91を参照)。
他の好ましいアッセイは、グルコースに応答したβ細胞からのインスリン分泌を検出する。このようなアッセイは典型的にはエライザ(例えば、Bergsten及びHellman, 1993, Diabetes 42: 670-4を参照)、又はラジオイムノアッセイを用いる (RIA;例えば、Hohmeier等, 2000, 上掲を参照)。
動物アッセイ
候補FACLモジュレーターを試験するために、代謝性疾患の様々な非ヒト動物のモデルを使用することができる。通常、そのようなモデルでは、脂質代謝、脂質生成、及び/又はINRシグナル伝達経路に関与する遺伝子がミスエクスプレスされる(例えば過剰発現又は発現が欠けている)ように操作された遺伝子改変動物を使用する。また、特定の摂食状態、及び/又は投与又はある種の生物学的に活性な化合物は、脂質及び/又は代謝疾患の動物モデルに貢献し又はこれを作成する。アッセイは、一般に、経口投与、注射(静脈内、皮下、腹腔内)、ボーラス投与などにより、候補モジュレーターの全身的な送達を必要とする。
一実施態様において、アッセイでは、糖尿病及び/又はインスリン耐性のモデルマウスが使用される。ob(レプチン)又はdb(レプチンレセプター)などレプチン経路において、又はINR又はインスリンレセプター基質(IRS)などINRシグナル伝達経路において遺伝子がノックアウトされているマウスは、糖尿病の症状を示し、肝臓の脂質の蓄積(脂肪肝)、及び、しばしば、増大した血漿脂質レベルを示す(Nishina等, 1994, Metabolism 43: 549- 553;Michael等, 2000, Mol Cell 6: 87-97; Bruning JC等, 1998, Mol Cell 2: 559-569)。C57BL/6などのある種の感受性の高い野生型マウスは、高脂肪食餌を与えると類似の症状を呈する(Linton及びFazio, 2001, Current Opinion in Lipidology 12: 489-495)。従って、これらのモデルマウスを用いる適切なアッセイでは、候補モジュレーターの投与により肝臓における脂質の蓄積が変更され、好ましくは減少されるかどうかが試験される。血漿及び脂肪細胞中の脂質レベルも試験される。脂質含有量をアッセイする方法は、典型的にはFPLC又は比色アッセイ(Shimano H等, 1996, J Clin Invest 98: 1575-1584;Hasty等, 2001, J Biol Chem 276: 37402-37408)、及び放射標識基質(Horton JD等, 1999, J Clin Invest 103: 1067-1076)の取り込みのシンチレーション測定などの脂質合成が当該技術分野において周知である。他の有用なアッセイでは、血糖値、インスリン値、及びインスリン感受性が試験される(例えば、Michael MD, 2000, Molecular Cell 6:87)。インスリン感受性はグルコース耐性試験又はインスリン耐性試験などによって常套的に試験される。
他の実施態様において、アッセイでは、リポタンパク質生物学及び心臓血管疾患のマウスモデルが使用される。例えば、アポリポタンパク質E(apoE)のノックアウトマウスは、上昇した血漿コレステロール及び自発的な動脈障害を示す(Zhang SH, 1992, Science 258: 468-471)。また、コレステロールエステル転移タンパク質(CETP)を過剰発現するトランスジェニックマウスも、増大した血漿脂質レベル及び(特に、超低比重リポタンパク質[VLDL]及び低比重リポタンパク質[LDL]コレステロールレベル)及び動脈におけるプラーク形成(Marotti KR等, 1993, Nature 364: 73-75)を示す。これらのモデルを使用するアッセイでは、候補モジュレーターの投与がアテローム誘発性(pro-atherogenic)LDL及びVLDLのレベルを減少させ、HDLを増加させ、若しくは全脂質(トリグリセリドを含む)レベルを減少させることにより血漿脂質レベルを変更させるかどうか試験される。さらに、動脈の形態及び障害の形成の組織学的な解析(即ち、障害の数及び大きさ)により、候補モジュレーターがアテローム性動脈硬化の進行及び/又は重症度を減じることができるかどうかが示される。Apo−A1、PPARγ、及びLDLR中のスカベンジャーレセプター(SR)−B1のノックアウト又はApoE−nullバックグラウンドを含む、アテローム性動脈硬化に対する多くの他のマウスモデルが利用可能である(例えば、Glass CK及びWitztum JL, 2001, Cell 104: 503-516中に総説あり)。
他の実施態様において、血漿脂質レベル及びアテローム性動脈硬化の進行を変更させる候補モジュレーターの能力が、多重性脂質障害に関するマウスモデル中で試験される。例えば、レプチン及びLDLレセプター遺伝子の両方がノックアウトされているマウスは、高コレステロール症、高トリグリセリド血症及び動脈障害を示し、障害を受けた燃料代謝、増大した血漿残余リポタンパク質、糖尿病、及びアテローム性動脈硬化同士の関連性のモデルを提供する(Hasty AH等, 2001, 上掲)。
診断方法
FACLがINRシグナル伝達に関係しているという発見により、INRシグナル伝達に関与する疾病及び疾患の診断及び予後評価、並びにこのような疾病及び疾患の素因を有する被験者の特定に使用可能な様々な方法が提供される。これまでに記載されているような、試料中のFACLの発現を評価するための任意の方法を使用することができる。そのような方法は、(1)FACL遺伝子変異の存在の検出、又は疾患でない状態と比較したFACL mRNAの過剰発現又は過少発現のいずれかの検出、(2)疾患でない状態と比較したFACL遺伝子産物の過剰存在量又は過少存在量のいずれかの検出、並びに(3)FACLに媒介された生物学的経路における摂動又は異常の検出のために、上に記載したように、試薬、例えばFACLオリゴヌクレオチド及びFACLに対する抗体を利用しうる。
したがって、特定の実施態様では、本発明は、a)患者から生体試料を得ること;b)試料をFACL発現用のプローブと接触させること;c)工程(b)からの結果を対照と比較すること;及び(d)工程(c)が疾病又は疾患の可能性を示しているかどうかを決定することを含む、FACLの発現の改変に関連した患者の疾病又は疾患を診断する方法を対象としている。プローブは、DNA又は抗体を含めたタンパク質のどちらであってもよい。
以下の実験セクション及び実施例は、限定ではなく例示のために提供するものである。
I.daf-2変異体表現型のモディファイヤーF37C12.7の同定と特徴付け
二つのインスリンレセプター(daf-2)変異体株をF37C12.7に対応するdsRNAと共に浸漬することによって、次の世代の幼虫抑止の弱い抑制(〜20−30%)が生じた。対照の未処理変異体株には同じ条件下で幼虫抑止からの脱出体はなかった。類似の結果が再試験において見られ、クローンの同一性を配列決定により確認した。注射によって投与されたdsRNAは通常は浸漬によって投与されるものよりも強い表現型を付与するので、F37C12.7のRNAiの注射が双方の株並びに野生型の10の動物に実施した。子孫間の抑制は変動した(〜10−60%)。幼虫抑止を逃れたワームは不完全な貫通刺胞繁殖不能表現型を有していたことが分かった。
PFAM(Bateman等, 1999, Nucleic Acids Res 27:260-262)、Prosite(Hofmann等, 1999, Nucleic Acids Res 27:215-219)、PSORT(Nakai K及びHorton P, 1999, Trends Biochem Sci 24:34-6)、CLUSTAL(Thompson JD等, 1994, Nucleic Acids Res 22:4673-4680)及び/又は線虫プロテオームデータベース(Costanzo MC等, 2000, Nucleic Acids Res 28:73-76)を用いて配列比較及び分析を実施した。
F37C12.7のタンパク質配列を使用するBLAST及びSmith-Waterman(Smith及びWaterman, 1981, Advances in Applied Mathematics 2:482-489; Smith及びWaterman, 1981, J Molec Biol 147:195-197; Pearson WR, 1991, Genomics 11:635-650)分析により、このタンパク質をアシルCoA合成酵素に相同であると同定した。第二の密接に関連した推定パラログを線虫(C46F4.2、GI1049407)において同定した。F37C12.7及びC46F4.2の推定オルソログは、限定するものではないがヒト(GI14728545及び12669909)、ショウジョウバエ(GI7304019)、シロイヌナズナ(GI4587615及び6382514)及びパン酵母(GI1346423、6324893及び6322182)を含む多くの他の種において同定された。これらの推定オルソログのそれぞれは線虫アミノ酸の翻訳を含むデータベースを使用してBLAST分析で最も一致するものとしてF37C12.7及びC46F4.2を同定した。
PFAM(Bateman等, 1999, Nucleic Acids Res 27:260-262)を用いた分析によりAMP結合モチーフを同定した。TM-HMM(Sonnhammer ELL等, Proc. of Sixth Int. Conf. on Intelligent Systems for Molecular Biology, p175-182, Ed J. Glasgow等編, Menlo Park, CA: AAAI Press, 1998)及びPSORT(Nakai K,及びHorton P, 1999, Trends Biochem Sci 24:34-6)プログラムではF37C12.7には膜貫通ドメインがなく、線虫パラログC46F4.2には一つの膜貫通ドメインがあることが予想された。単一の膜貫通ドメインがヒトタンパク質GI14728545及び12669909のそれぞれにおいて予測された。
II.ハイスループットのインビトロ蛍光偏光アッセイ
蛍光標識したFACLペプチド/基質を、試験緩衝液(10mMのHEPES、10mMのNaCl、6mMの塩化マグネシウム、pH7.6)中の選択した試験化合物と共に96ウェルのマイクロタイタープレートの各ウェルに加えた。Fluorolite FPM−2 Fluorescence Polarization Microtiter System(Dynatech Laboratories,Inc)を用いて決定した蛍光偏光の、対照値に対する変化により、試験化合物がFACL活性の候補モディファイヤーであることが示される。
III.ハイスループットのインビトロ結合アッセイ
33P標識のFACLペプチドを、対象の化合物と共にアッセイ緩衝液(100mMのKCl、20mMのHEPES pH7.6、1mMのMgCl、1%のグリセロール、0.5%のNP-40、50mMのβ-メルカプトエタノール、1mg/mlのBSA、プロテアーゼ阻害剤カクテル)中で、Neutralite-アビジンでコーティングしたアッセイプレートのウェルに加え、25℃で1時間インキュベートした。その後、ビオチン標識した基質を各ウェルに加え、1時間インキュベートした。PBSで洗浄することによって反応を停止させ、シンチレーション計数器で計数した。
IV.免疫沈降及び免疫ブロッティング
形質移入させたタンパク質の共沈では、3×10個の適切な細胞を10cmの皿に蒔き、発現用コンストラクトを用いて次の日に形質移入させた。空ベクターを加えることによって、それぞれの形質移入で総DNA量を一定に保った。24時間後、細胞を回収し、リン酸緩衝生理食塩水で1回洗浄し、50mMのHepes、pH7.9、250mMのNaCl、20mMのグリセロホスフェート、1mMのオルトバナジン酸ナトリウム、5mMのリン酸p-ニトロフェニル、2mMのジチオスレイトール、プロテアーゼ阻害剤(complete, Roche Molecular Biochemicals)、及び1%のノニデットP-40を含む溶解緩衝液1ml中、氷上で20分間溶解させた。15000×g、15分間の2回の遠心分離によって、細胞細片を取り除いた。細胞溶解物を25μlのM2ビーズ(Sigma)と共に2時間、4℃で緩やかに揺り動かしながらインキュベートした。
溶解緩衝液でよく洗浄した後、SDS試料緩衝液中で煮沸することによってビーズに結合したタンパク質を溶解させ、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分画し、ポリ二フッ化ビニリデン膜に移し、指示抗体を用いてブロットした。適切な二次抗体に結合させた西洋わさびペルオキシダーゼ及び高感度化学発光(ECL)ウエスタンブロッティング検出システム(Amersham Pharmacia Biotech)によって、反応性のバンドを可視化させた。

Claims (22)

  1. (a)FACLポリペプチド又は核酸を含むアッセイ系を提供し、
    (b)試験剤が存在しない場合に系により対照活性がもたらされる条件下で、アッセイ系を試験剤と接触させ、
    (c)試験剤の影響を受けたアッセイ系の活性を検出し、試験剤の影響を受けた活性と対照活性との差により試験剤を候補INRシグナル伝達調節剤として同定する、
    工程を含んでなる、候補INRシグナル伝達調節剤を同定する方法。
  2. アッセイ系がFACLポリペプチドを含むスクリーニングアッセイを含み、候補試験剤が小分子モジュレーターである、請求項1に記載の方法。
  3. スクリーニングアッセイが酵素アッセイである、請求項2に記載の方法。
  4. アッセイ系が、FACLポリペプチドを含む結合アッセイを含み、候補試験剤が抗体である、請求項1に記載の方法。
  5. アッセイ系がFACL核酸を含む発現アッセイを含み、候補試験剤が核酸モジュレーターである、請求項1に記載の方法。
  6. 核酸モジュレーターがアンチセンスオリゴマーである、請求項5に記載の方法。
  7. 核酸モジュレーターがPMOである、請求項6に記載の方法。
  8. アッセイ系が、FACLを発現する培養細胞又は非ヒト動物を含み、
    アッセイ系が、INRシグナル伝達又はINRシグナル伝達の出力における試験剤の影響を受けた変化を検出するアッセイを含む、請求項1に記載の方法。
  9. アッセイ系が培養細胞を含む、請求項8に記載の方法。
  10. アッセイが、インスリン応答性遺伝子の発現、INRシグナル伝達経路成分のリン酸化、INRシグナル伝達経路成分のキナーゼ活性、グリコーゲン合成、グルコース取り込み、GLUT4転位置、及びインスリン分泌からなる群から選択される事象を検出する、請求項9に記載の方法。
  11. アッセイ系が非ヒト動物を含む、請求項8に記載の方法。
  12. 非ヒト動物が糖尿病及び/又はインスリン耐性のモデルを提供するマウスである、請求項11に記載の方法。
  13. アッセイ系が、肝臓中の脂質の蓄積、血漿中の脂質の蓄積、脂肪中の脂質の蓄積、血漿中の糖レベル、血漿中のインスリンレベル、及びインスリン感受性からなる群から選択される事象を検出するアッセイを含む、請求項12に記載の方法。
  14. (d)FACLを発現する培養細胞又は非ヒト動物を含む第二のアッセイ系を提供し、
    (e)(b)の試験剤又はそれから誘導された薬剤に第二のアッセイ系を、試験剤又はそれから誘導された薬剤が存在しない場合に系により対照活性がもたらされる条件下で、接触させ、
    (f)試験剤の影響を受けた第二のアッセイ系の活性を検出する、
    更なる工程を含んでなり、
    試験剤の影響を受けた活性と第二のアッセイ系の対照活性との差により試験剤又はそれから誘導された薬剤を候補INRシグナル伝達調節剤として確認し、
    第二のアッセイ系が、INRシグナル伝達に関連した活性又はINRシグナル伝達の出力の試験剤の影響を受けた変化を検出する第二のアッセイを含む、請求項1に記載の方法。
  15. 第二のアッセイ系が培養細胞を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 第二のアッセイが、インスリン応答性遺伝子の発現、INRシグナル伝達経路成分のリン酸化、INRシグナル伝達経路成分のキナーゼ活性、グリコーゲン合成、グルコース取り込み、GLUT4転位置、及びインスリン分泌からなる群から選択される事象を検出する、請求項15に記載の方法。
  17. 第二のアッセイ系が非ヒト動物を含む、請求項14に記載の方法。
  18. 非ヒト動物が、糖尿病及び/又はインスリン耐性のモデルを提供するマウスである、請求項17に記載の方法。
  19. 第二のアッセイ系が、肝臓中の脂質の蓄積、血漿中の脂質の蓄積、脂肪中の脂質の蓄積、血漿中の糖レベル、血漿中のインスリンレベル、及びインスリン感受性からなる群から選択される事象を検出するアッセイを含む、請求項18に記載の方法。
  20. 哺乳動物細胞においてINRシグナル伝達を調節する方法であって、FACLポリペプチド又は核酸に特異的に結合する薬剤と細胞を接触させることを含む方法。
  21. 薬剤が、INRシグナル伝達に関連する病状を有することが事前に確定されている哺乳動物に薬剤を投与する、請求項20に記載の方法。
  22. 薬剤が小分子モジュレーター、核酸モジュレーター又は抗体である、請求項20に記載の方法。
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