JP2005509431A - 天然産生物の発現と検定に用いるための遺伝的修飾の細菌株及び新規ベクター - Google Patents

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Abstract

ウンデシルプロドロジギオシン、アクチノロジン又はその双方を発現不可能であった従来未知のストレプトミセス(Streptomyces)属の菌株、ストレプトミセス属において染色体突然変異を創出するが、ストレプトミセスのゲノム中に、選択マーカーをベクターと共に挿入することのない新規なベクター、及びDNAの巨大な断片を接合によってストレプトミセス属及びシュードモナス属の染色体へ転移させる方法を提示する。

Description

当該発明は、ウンデシルプロドロジギオシン、アクチノロジン、又はその双方を発現することが不可能な新規で従来未知のストレプトミセス属(Streptomyces)菌株に関するものである。更に、ベクターにより細菌ゲノムに選択マーカーを挿入しない細菌、殊にストレプトミセス属(Streptomyces)及びシュードモナス属(Pseudomonas)の染色体突然変
異を創生する新規なベクター、並びに接合により細菌染色体にDNAの巨大断片を転移させる方法を提供するものである。
天然産生物は、ヒトの全治療薬の30%以上、抗菌剤や抗癌剤では60%以上にも達する極めて豊富な製薬化合物の原材料物質である。
高生産性のスクリーニング技術の進歩及び外的環境からの微生物の単離や培養の試練にも拘らず、新規化合物の発見される率は減少してきている。
しかしながら、自然界における微生物の大多数は未だ未知のものであり、そしてそれらの多くは、標準的な実験条件下では培養が不可能である。
土壌中の多くの微生物種のうち、少なくとも98%の種は、実験室では生育できないということより、これら培養されていない(微生物)種が、新規な化合物の未だ満たされていない大きな供給源を提供するものと思われる。
現代分子生物学が、この問題を解決する方法を提供するであろう。即ち、培養不可能な微生物のDNAを自然界の標品から直接単離することができ、これを適切なベクターにクローンし、そして、実験室で生育可能な代理宿主の中で発現させることができるからである。不幸にもこれまでの既知の分子生物学の方法は,天然産生物の特性を明らかにすることや試験することの応用には制限があったが、それは、100キロ塩基あるいはそれ以上であるDNAの巨大断片をある種から他の種へ転移させることが研究者にとって一般的には不可能だったからである。
このように、天然産生物を検定する利点は、高生産性スクリーニング法をも含めて、未だ最大限には活用されていなかったのである。
ストレプトミセスリビダンス(Streptomyces lividans)は、組換えDNA技術により
作成される天然産生物を同定し、特性を検定するのに直ちに利用され得るように,よく特性化された微生物である。しかしながら不幸にして、ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)は、二種類の色素を有する抗生物質、即ち、ウンデシルプロドロジギオシンと
アクチノロジンを産生する。そしてこれら二種類の抗生物質は、種々の検定法において、殊に、抗菌検定及び電磁気スペクトルを利用する検定、例えば、蛍光分析、りん光分析、赤外線分析、紫外線分析等において、干渉することがある。その結果、かかる検定法においては、ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)の利用は制限を受けることになる
よって、必要となるのはウンデシルプロドロジギオシン、アクチノロジン又はその双方を産生しないように、遺伝的に修飾されたストレプトミセスリビダンス(S. lividans)
という新規な微生物を得ることである。
シュードモナス属(Pseudomonas spp.)も、よく特性が調べられている実験室用微生物である。シュードモナス属はグラム陰性細菌である。これらの菌は、土壌中でも、水中でも、また生物系又は非生物系表面において、多くのくぼみ(niches)を形成して集落する
これらの菌は、巨大なゲノム(6Mb以上)を有し、豊富な代謝多様性を有することが知られている。その中には、異種性物質の消化、ポリケチドや非リボソームペプチドのような二次代謝物の産生等が含まれる。重要なことは、これらの微生物については、多くの道具(形質転換、接合、トランスポゾン突然変異誘発、多種類のベクターやレポーターシステムを含む)が開発されており、遺伝子操作を比較的簡単に行うことができるという点である。
かくして、シュードモナス宿主の開発は、我々の宿主レパートリーにとって有意義な追加となるものと思われる。何故ならば、それは、FACS選択を受けやすい細菌において、ポリケチドや非リボソームペプチドのような低分子化合物を発現することを可能とし、それ故に、高生産性な遺伝子の前スクリーンを可能とするからである。
そのような微生物の創生に当って、必要となるものは、微生物において染色体DNA断片を除去又は置換することができ、それでいて、抗生物質抵抗性遺伝子のような選択マーカー遺伝子を副産物として微生物に挿入することがない新規な有用なベクターである。
更に必要となるものは、DNA断片を細菌の染色体の中に統合させて、安定性を高めるために、DNAの巨大断片(300kbまで)を細菌に誘導するのに使用できる新規なベクター及び、これらの巨大なDNA断片を細菌の中に高生産性に転移させることを可能とする新規な方法である。
このような事情であるから、引用されているいかなる先行技術文献も、即時に使用され得る「背景技術」(“Prior Art”)として可能であると認めるような解釈をするべきで
はない。
〔発明の概要〕
最初の局面において、当該発明は、単一細胞宿主、殊に細菌の染色体において、遺伝的に無標識な突然変異を誘導させるためのベクターに着手した。
かかる細菌宿主の例としては、これらに限定されるわけではないが、ストレプトミセス属(Streptomyces spp.)及びシュードモナス属(Pseudomonas spp.)を含めることがで
きる。当該発明におけるかかるベクターは、複製起点、細菌の対抗選択マーカー及び細菌の選択マーカーを含むものであり、選択マーカーは単一細胞宿主の中で乗換えの後に除去される。当該発明に係るベクターを使用すれば、二回目の乗換えが起きた後には、単一細胞宿主のゲノム中には、ベクター切片も薬剤耐性マーカーも残留しないという結果を得ることができる。
数多くの複製起点は、当該分野における技術常識としてよく知られているものであり、それ故にここでも使用している。ここで殊に使用した複製起点は、ストレプトミセスガナエンシス(S. ghanaensis)プラスミドpSG5の温度感受性複製起点を含むものである
尚、当該発明においては、対抗選択マーカーをコードする数多くの遺伝子を用いることができる。そのような対抗選択マーカーの例としては、殊に、rpslを含めることができる。また、当該発明において用いられる選択マーカーの例としては、殊に、チオステプトン耐性の宿主遺伝子を挙げることができる。
更に、当該発明のベクターの例としては、殊に、pGM160 rpsL14を挙げる
ことができ、これは、ブダペスト条約の要件に適合するように、2001年11月9日に、アメリカ合衆国ヴァージニア州20110−2209、マナサス市、ユニヴァーシティ通り10801番地、American Type Culture Collection(以下、「ATCC」という)に寄託し、ATCC受理番号PTA−3850を既に受領している。当該発明のベクターの他の例としては、殊に、pSrpsL6があり、これは、ブダペスト条約に基づき2001年12月13日にATCCに寄託し、受理番号PTA−3849を既に受領している。これらの実施例は以下に詳述する。
更に、当該発明の目的は、ウンデシルプロジギオシン、アクチノロジン、又はその双方を産生しないように遺伝的に修飾した新規なストレプトミセス(Streptomyces)菌株を提供することである。これらの化合物は色素を有する抗生物質であり、種々の検定法において干渉を引き起こすからである。それ故、当該発明において、アクチノロジンの産生を不可能とするように遺伝的に修飾したストレプトミセスリビダンス(S. lividans)菌株に
着手した。当該発明におけるかかる菌株の遺伝的修飾は、菌株のゲノム中のact遺伝子群の無標識除去を含むものである。当該発明におけるかかる実施例は以下に記載する。菌株は、2001年11月9日に、ブダペスト条約に基づき、ATCCに寄託し、ATCC受理番号PTA−3847を既に受領している。
他の実施例として、当該発明は、ウンデシルプロジギオシンの産生を不可能とするように遺伝的に修飾したストレプトミセスリビダンス(S. lividans)菌株に着手した。この
修飾には、菌株ゲノムのred遺伝子群の除去を含むものである。当該発明の菌株は、2001年11月9日に、ATCCに寄託し、ATCC受理番号PTA−3848を既に受領している。
更に、本発明は、菌株ゲノムのact遺伝子群とred遺伝子群の双方を除去する修飾により、アクチノロジンとウンデシルプロドロジギオシン双方の産生を不可能としたストレプトミセスリビダンス(S. lividans)の遺伝的修飾菌株にも着手している。これらの
代謝物は色素を有し、種々の検定法において干渉を引き起こすものである。しかしながら、本発明における菌株では、かかる代謝物は産生されることがない。このように、本発明は、従来既知の菌株では使用できなかった検定法に使用され得る菌株を提供するものである。
他の実施例として、本発明は、種々のプラスミド、及びDNAの巨大断片を細菌細胞、殊に、ストレプトミセス属(Streptomyces spp.)又はシュードモナス属(Pseudomonas spp.)の細菌細胞へ転移させる方法を挙げることができる。
上述の通り、ストレプトミセス(Streptomyces)のような細菌細胞へ巨大DNA断片を転移させる従来の方法は、ポリエチレングリコールを用いたプロトプラスト転移のような困難で骨の折れる工程を一般に含んでいたために用いることが制限され、また、自動化することもできないものであった。今日当該分野で好んで用いられているストレプトミセス(Streptomyces)の細胞へのDNA転移、及び大腸菌(Escherichia coli)とストレプトミセス(Streptomyces)間の接合法では、45キロ塩基以上のDNA断片を転移させることは不可能である。
しかしながら、本発明のベクター及び方法を用いれば、巨大DNA断片を転移させることが可能となる。1つの実施例では、100キロ塩基のDNA断片が大腸菌からストレプトミセスリビダンス(S. lividans)へ転移されている。更に、一旦ストレプトミセス(Streptomyces)細胞に転移されると、本発明においては、DNAはストレプトミセス(Streptomyces)の染色体に取り込まれ、その結果新しい宿主中で、DNAの安定度が向上する。このように、本発明は、種々の検定法、殊に、高生産性のタンパク質のスクリーニングや巨大DNA断片によりコードされた代謝物の検定法等に極めて良く使用され得るものである。
かかる転移にとって重要な、本発明の一要素は、以下により構成されるカセットである。
(a) 最初のloxP部位、
(b) プロモーターに作用可能なインテグラーゼをコードするDNA配列、
(c) ベクターに含まれているDNA配列を細菌染色体へ組み込むためのattP部位、
(d) 接合のための複製起点、及び
(e) 第二loxP部位。
要素(b)、(c)及び(d)は、要素(a)と(e)との間に位置している。
特殊な要素であるインテグラーゼ遺伝子とその接合のためのattP部位は、ファージΦC31由来である。
更に、本発明は、抗生物質耐性遺伝子を含む、上記記載のカセットにも及んでいる。従来既知の多くの抗生物質耐性遺伝子は、当該分野の技術常識として、ここでは使用している。
他の実施例においては、対抗選択マーカーであるバチルスズブチリス(Bacillus subtilis)sacB遺伝子を含むベクターにカセットが挿入されている。このベクターは、cre−loxPのin vitroでの組換え実験において、カセットを他の多くのベクターへ転移させるためのドナーとして用いることができる。
更に、本発明は、巨大DNA断片をクローンし、そしてこれらの断片を細菌細胞へ転移するのに使用される2種類の細菌性人工染色体(BAC)にも及んでいる。
本発明のそのようなBACは、大腸菌(E. coli)において複製することができるBA
Cベクターを含んでおり、本発明のカセットは、細菌染色体Aの中へ接合転移し、また組み込まれることができる。
本発明の細菌性人工染色体の特殊な実施例としては、pMBD13を含んでおり、2001年12月13日に、ブダペスト条約に基づいて、ATCCに寄託し、ATCC受理番号PTA−3854を既に受領している。
本発明の細菌性人工染色体の他の実施例としては、pMBD14があり、2001年11月9日に、ブダペスト条約に基づき、ATCCに寄託し、ATCC受理番号PTA−3855をを既に受領している。
遺伝的に修飾された細菌種、殊に、ストレプトミセス属(Streptomyces spp.)とシュ
ードモナス属(Pseudomonas spp.)の菌株を提供することも本発明の目的であり、そのためには本発明のBACを用いることができ、BACの接合転移及び細菌染色体への組込みを行うことができる。
当然のことではあるが、本発明は、巨大DNA配列を本発明に係るBACを利用することができる細菌へ挿入するための方法をも提供する。上記の通り、DNA配列の細菌への挿入に成功した実施例があり、これは、高生産性スクリーニングを含む種々の異なった検定に直ちに利用することができる。それ故、本発明は、大腸菌(E. coli)の巨大DNA
分子をストレプトミセス(Streptomyces)及び/又はシュードモナス(Pseudomonas)へ
転移させる方法にも及ぶものである。
当該方法の第一工程は、細菌性人工染色体(BAC)を有する大腸菌(E. coli)を提
供することを含む方法であり、ここでのBACは、巨大DNA分子を挿入したBAC及び本発明のカセットを含むものである。
本発明に係る方法の次の工程は、ストレプトミセス(Streptomyces)又はシュードモナ
ス(Pseudomonas)の細胞を提供することである。
野生型であれ、遺伝的修飾を受けたものであれ、ストレプトミセス(Streptomyces)又はシュードモナス(Pseudomonas)のいかなる菌株であっても、本発明において使用する
ことができる。
大腸菌(E. coli)の細胞とストレプトミセス(Streptomyces)又はシュードモナス(Pseudomonas)細胞とを接触させておくことにより二つの細胞間で接合転移が起こり、BACが大腸菌細胞からストレプトミセス(Streptomyces)又はシュードモナス(Pseudomonas)細胞へ転移する。この接合転移の後に、BACを含んでいるストレプトミセス(Streptomyces)又はシュードモナス(Pseudomonas)の細胞は、本発明のBAC中に存在する抗生物質耐性マーカーを用いることにより選択することができる。上記で既に説明した通り、本発明における巨大DNA配列は細菌細胞へ転移することができ、その大きさは、45キロ塩基を超えておそらく300キロ塩基に達するものと思われる。
本発明のこれらのまた他の概要は、図面及び詳細な説明を参照することにより理解することができる。
〔図面の説明〕
図1:遺伝子置換ベクターpSrpsL14及びpSrpsL6並びに、ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)菌株におけるactクラスター及びredクラスターを
除去するために用いるプラスミドpΔact及びpΔredについての図解的概要。
図2:ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)のゲノム中のactクラスターを
除去する方法の図解的概要。
図3:ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)ゲノムからのact遺伝子クラス
ター及びred遺伝子クラスター除去の図解的概要。
図4:本発明におけるストレプトミセスリビダンス(S. lividans)菌株の抗生物質生
合成の表現型の概要。
図5:TK24とストレプトミセスリビダンス(S. lividans)ΔactΔredとの
比較概要及びHPLC測定図。
図6a:本発明に係るプラスミドpMBD7、pMBD9及びpMBD12の図解的概要。
図6b:本発明に係るカセットの図解的概要。
図7:プラスミドpSGranと接合したストレプトミセスリビダンス(S. lividans
)の概要とHPLC測定図とを比較した、本発明(無処理対照実験)のプラスミドpMBD10と接合したストレプトミセスリビダンス(S. lividans)の概要とHPLC測定図

図8:本発明におけるBACベクター、pMDB13及びpMBD14の図解的概要。
図9:プラスミドpBT3の図解的概要。
図10:シュードモナスプチダ(P. putida)の染色体中にΦC31(ストレプトミセ
スファージ)attB部位が組み込まれていく工程の図解的概要。
図11:BamBAC8がMBD1染色体へ組み込まれていく様子を表わしたサザン分析。
図12:シュードモナスプチダ(P. putida)MBD1における異種性分子の発現を表
わしたRP−HPLC溶出図。
図13:高生産性接合の実験結果を表わす培養プレート。
〔発明の詳細な説明〕
本願発明においては、当該技術分野における従来の分子生物学、微生物学、組換DNA技術を用いることができる。そのような技術は、引用文献中に詳細に説明されている。例えば、Sambrook, Fritsch & Maniatis著作の「Molecular Cloning」: New York州Cold Spring Harbor市役所のCold Spring Harbor Laboratory Press出版の「A Laboratory Manual」第二版 (1989年), (以下、「Sambrook et al., 1989」という。);「DNA Cloning」:「A Practical Approach」, 第I巻及び第II巻 (D.N. Glover編 1985年); 「Oligonucleotide Synthesis」(M.J Gait編, 1984年); 「Nucleic Acid Hybridization」 [B.D. Hames & S.J. Higgins編 (1985年)]; 「Transcription And Translation」 [B.D. Hames & S.J. Higgins編 (1984年)]; 「Animal Cell Culture」[R.I. Freshney編 (1986年)]; 「Immobilized Cells And Enzymes」[IRL Press, (1986年)]; B. Perbal編, 「A Practical Guide To Molecular Cloning」(1984年); F.M. Ausubel et. al.(編) 著作, 「Current Protocols in Molecular Biology」, John Wiley & sons, Inc. (1994年)。
従って、ここに記載されている以下の用語は下記の通りに定義されている。
「ベクター」(vector)とは、プラスミド、ファージ、細菌人工染色体(BAC)のようなレプリコン(replicon)、又は、接触した断片の複製を生じさせるように他のDNA配列が接触することができるコスミド(cosmid)をいう。
「レプリコン」(replicon)とは、自己調節下で複製可能な細胞中におけるDNA複製の自律的単位としての作用を有するいかなる遺伝的要素(例えば、プラスミド、染色体、ウイルス)をいう。
ここで用いる「カセット」とは、部位特異的組換えでベクターの中へ挿入することができるDNA断片をいう。
「部位特異的組換え」(Site-specific recombination)とは、通常20〜30塩基の長さ
の付着部位(att)と呼ばれる特異的な部位で起こる二本のDNA分子間における組換え工程をいう。「インテグラーゼ」(integrase)と呼ばれる特殊な酵素が2つのatt
部位を認識し、二本のDNA分子を結合し、その後DNA二重鎖切断を消化し、そして再結合することによってDNA分子の1つを他のDNA分子へ転移させることができる。
ここで用いられているように、「組換え細菌人工染色体」(Recombinant Bacterial Artificial Chromosome, BAC)とは、最大300,000塩基にまで及ぶ巨大なDNAの挿入配列を含むBACベクターをいう。一旦、組換えBACのDNAが宿主細菌へ誘導されると、その複製が造られる。
ここで用いられている「接合転移」(conjugative transfer)とは、1つの細胞のゲノムの一部又は全部が他の細胞へ転移するときに形成される2つの細胞の一時的な結合をいう。
ここで用いられている「巨大DNA断片」とは、45キロ塩基から200キロ塩基までの概略的範囲にあるDNAの切片をいう。
かかるDNAが細胞の中へ導入されたとき、外因性(exogenous)又は異種性(heterologous)DNAによって、その細胞は「形質転移」(transfected)される。この形質転移したDNAが表現型変換に影響を及ぼすときに、その細胞は外因性又は異種性DNAによって「形質転換」(transformed)されることになる。望ましくは、形質転換したDNAは、染色体DNAの中へ組み込まれ(共有結合により)、細胞のゲノムを形成すべきである。
「異種性」DNAとは、細胞の中にあるいは細胞の染色体部位に自然の状態では存在しないDNAを意味する。望ましくは、異種性DNAは、その細胞にとっては外来性の遺伝子を含んでいることである。
「核酸分子」とは、リボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジン又はシチジン;「RNA分子」)、又はデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン又はデオキシシチジン;「DNA分子」)のリン酸エステルの重合体若しくは、いかなるリン酸エステル類似化合物、即ち、一本鎖型であれあるい
は二重鎖型へリックスであれ、ホスホロチオエイト類及びチオエステル類のようなものをも意味する。二重鎖DNA−DNA、DNA−RNA及びRNA−RNAへリックスであってもよい。「核酸分子」の用語は殊に、特別なDNA又はRNA分子にあっては、その分子の一次構造及び二次構造に限って用いられるが、いかなる特別の三次構造に対してであっても制限される訳ではない。このように、この用語は、なかんずく、線状又は環状DNA分子(例えば、制限断片)、プラスミド、及び染色体中で見られる二重鎖DNAを含むものである。特別な二重鎖DNA分子の構造について論述するときにおいては、配列は複製していないDNA鎖の5′末端から3′末端方向に沿った配列(即ち、mRNAに相応する配列を有するDNA鎖)のみを意味する通常の用い方通りに記載されている。「組換えDNA分子」とは、分子生物学的操作を受けたDNA分子をいう。
「相同組換え」とは、ベクターを含んでもよいが、DNAを染色体中へ挿入することができる酵素的工程を意味する。ベクターは、相同組換えのために、染色体の特異的部位を標的とすることが望ましい。特殊な相同組換えにおいては、相補性結合を引き起こしてベクターを染色体中へ取り込ませるために、ベクターは、染色体配列に相同な部位を十分に長く含んでいることが必要である。その相同な部位が長ければ長い程、そしてまた、配列の類似性が高ければ高い程、相同組換えの効率は増大する。
ここで用いられている「遺伝的無標識突然変異」とは、抗生物質耐性遺伝子のような選択マーカーを含んでいない突然変異を意味する。
「対抗選択マーカー」とは、特定の生育条件下において、そこで生育している微生物の死を促進する遺伝子を意味する。
DNA「コード配列」とは、適切な調節配列の調整下に置かれたときに、in vitro又はin vivoの細胞中のポリペプチドに転写され、また翻訳される二重鎖DNA配列をいう。
コード配列への結合は、5′(アミノ)末端の開始コドン及び3′(カルボキシ)末端の翻訳終止コドンにより決定される。転写及び翻訳調節配列とは、宿主細胞においてコード配列の発現をもたらすプロモーター、エンハンサー、ターミネーター等のようなDNA調節配列をいう。
「プロモーター配列」又は「プロモーター」は、相互変換的に使用することができ、細胞の中で、RNAポリメラーゼに結合可能な、そして、下流方向(3′末端方向)のコード配列の転写可能なDNA調節領域を意味する。本発明を明示する目的のために言及すると、プロモーター配列は、転写開始部位により3′末端に結合し、上流方向(5′末端方向)へと伸展し、その結果、バックグランド以上の測定可能なレベルにおける、転写開始に必要な最少限の塩基又は要素を含むようになる。プロモーター配列の中には、転写開始部位(例えば、ヌクレアーゼS1でマッピングすることにより好都合に測定される。)及びRNAポリメラーゼ結合に必要なタンパク質結合領域(コンセンサス配列)が含まれている。
コード配列は細胞中で、RNAポリメラーゼがコドン配列をmRNAへ転写し、転移RNAによるスプライスを受け、そして、コドン配列によってコードされたタンパク質へと翻訳されるときの転写及び翻訳調節配列の調節下にある。
本発明は、以下に掲げる限定列挙ではない実施例、それらは本発明の典型的なものではあるが、それらを参照することにより、より良く理解され得るものと思われる。
実験材料及び方法
細菌の菌株及びプラスミド
本研究において使用された菌株及びプラスミドは、表1に掲載している。
Figure 2005509431
Figure 2005509431
Figure 2005509431
培地及び生育条件
大腸菌(E. coli)及びシュードモナスプチダ(P. putida)はLB中で培養した。ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)は、既に指摘しているように(9)、R2、R
2YE、R5、GYM、又はYEME培地中で培養した。抗生物質の濃度は、1ミリリットル中に含まれている微生物の菌数(microgrms/ml)で表わしている。
プラスミドの構成
DNAの単離及びプラスミドの構成には、標準的方法(9、19)を用いた。PCRは、操作指針に7.5〜10%のDMSOを加えて用い、Ventポリメラーゼ(ニューエン
グランドバイオラボ社製、New England Biolabs)により行った。
a. pSrpsL
遺伝子置換ベクターpSrpsLは、次のようにして作成した。野生型rpsL遺伝子は、プライマー
Figure 2005509431
を用いてストレプトミセスケリカラー(S. coelicolor)A2(3)からPCR法で増幅
した。1.3Kb rpsL断片は、EcoRI(制限部位は下線で示してある。)で消化し、pBKII SK-(Stratagene社製)のEcoRI部位にクローン化して、pBKrpsL122が得られた。pBKrpsL122のrpsL断片はEcoRI消化の後に単離し、pGM160(15)のEcoRI部位にクローン化し、挿入方向に従って、pSrpsL14及びpSrpsL6が得られた。pSrpsL6は2001年11月9日に、ブダペスト条約に基づいて、ATCCに寄託し、ATCC受理番号RTA−3850を既に受領している。
b. pΔact18
actVIBA遺伝子(actクラスター(6)の左側末端)は、プライマー
Figure 2005509431
を用いてストレプトミセスリビダンス(S. lividans)TK24からPCR法で増幅し、
BglIIとEcoRIで消化して作成した。actクラスター(13)の右側末端であるactVB ORF11及びORF12遺伝子は、プライマー
Figure 2005509431
を用いてTK24からPCR法で増幅し、EcoRIとBamHIで消化した。act
VIとactVB断片は、既にBamHIとBglIIで消化して、SAPで脱リン酸してあるpSrpsL14を用いて連結させた。得られたプラスミド、pΔact18は、ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)のactクラスターを除去するのに使用した。
3. pΔred
redD遺伝子は、プライマー
Figure 2005509431
を用いてTK24からPCR法で増幅した。PCR生成物は、pCR4−Blunt−TOPO(Invitrogen社製)にクローン化することにより、pTOPO−TK3を得た。SC10A5.02(redクラスターの右側末端として選択した)のストレプトミセスリ
ビダンス(S. lividans)相同体は
Figure 2005509431
をプライマーとして用いて増幅し、pBKIISK-(Stratagene社製)のEcoRV部位
にクローンすることにより、pBK−TK3を得た。pΔredは、redD断片(pTOPO−TK3の1.9kb HindIII−PmeI断片として)及びSC10A5.02相同断片(pBK−TK4由来の1.9Kb PmeI−BamHI断片)とをHindIIIと
BamHIで既に切断してあるpSrpsL6への連結反応により創生した。pΔredはストレプトミセスリビダンス(S. lividans)由来のredクラスターを除去するのに
使用した。
4. pMBD7、pMBD9、及びpMBD12
pMBD7は、pOJ436(2)の6.6kb SpeI−DreI断片をpDNR−1(Clonetech社製)の4.1kb XbaI−部分的PvuII断片にPOJ436(2)の6.6kb SpeI−DraI断片をクローンして構成した。pMBD7は、2001年11月9日にブダペスト条約に基づき、ATCCに寄託し、ATCC受理番号PTA−3851を既に受領している。
制限分析に先立って、DH10B中での形質転換体は、LB Amp100Apra50プレートで選択し、7%スクロース(ショ糖)感受性テスト(部分的PvuII断片中で、sacB遺伝子に接触することによって引き起こされる)を行っている。pMBD9はpMBD7の誘導体であり、aac(3)IV遺伝子の末端にあるBstXI部位を、BstXIにより消化して、T4DNAポリメラーゼの末端を平滑末端とした後に連結反応により除去している。pMBD9は、2001年11月9日に、ブダペスト条約に基づき、ATCCに寄託し、ATCC受理番号PTA−3852を既に受領している。pMBD12はpMBD9の誘導体であり、唯一のBamHI部位は、上記のpMBD9.5について記載した方法により除去している。pMBD12も同様に2001年11月9日に、ブダペスト条約に基づき、ATCCに寄託し、ATCC受理番号PTA−3853を既に受領している。
5. pGran
ストレプトミセスビオラセオルベ(S. violaceoruber)Tu22(1)由来のグラナチシン遺伝子クラスターを含んでいるpOJ446−22−24の38.2kb EcoRV断
片は、PUCベクターを含んでいるpBeloBac11の修飾体であるpBTP3にクローンした後、アダプタークローニング法により、ポリリンカー領域及びBstXIクローニング部位(図9)へ挿入した。それを簡単に説明すると、pOJ446−22−24はEcoRVで消化し、エタノールで沈殿させ、そして、平滑末端の連結反応緩衝液(50mM Tris HCl pH7.8、50mM ATP、10mM BME、5mM MgCl2)、15%w/v PEG 8000、リガーゼ400単位、16℃で一夜インキュベートして、BstXI アダプター(Invitrogen社製 N418-18)へ連結させた。
グラナチシンをコードした断片は、1%LMP(0.5× TBE、0.1秒から35秒
の切替時間、6ボルト、14℃で12時間)中で、パルスフィールド電気泳動により精製した。Gelase(Epicenter社製)による消化を行う前に、Epicenter社の操作指針に従って、ゲル切片をTE緩衝液で2時間透析し、その後、pBTP3ベクターのBstXI切片の20ナノグラム(ベクター対挿入分子の比率は10対1)を16℃で6時間インキュベートして連結させた。Electro Max DH10B 細胞への電気穿孔の後、形質転換体をLB Chlor12プレート上で選択した。
6. pSDAPG
2,4−ジアセチルフロログルシノール合成に必要な遺伝子座(DAPGクラスター)
を含んでいる6.5kb XbaI−EcoRI断片は、pMON1522から切り取り、T4 DNAポリメラーゼを用いて平滑末端とし、その後、平滑末端の連結反応緩衝液(50mM Tris HCl p H7.8、50□M ATP、10mM BME、5mM MgCl2)15%w/v PEG 8000、リガーゼ400単位、16℃で一夜インキュベートしてBstXIアダプター(Invitrogen社製N418-18)へ連結させた。DAPG断片は、ゲルを用いて精製し、16℃で6時間インキュベートして、pMBD13ベクターのBstXI切片の20ナノグラム(ベクター対挿入分子の比率は10対1)へ連結させた。Electro Max DH10B への電気穿孔の後、形質転換体をLB Chlor 12.5プレート上で選択した。
ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)における遺伝子置換
プラスミドpΔact及びpΔredを、それぞれ別々に、標準方法(9)によるTK24(Smr)プロトプラスト形質転換に用いた。形質転換体はチオストレプトン(Th
io50)を含むR2YE中で29℃において選択した。個々の形質変換体は、YEME
Thio8中、29℃で3〜5日間かけて、2回成長させた後、ホモジナイズし、1回の
乗換えを起こしたものを選択するためにR2YE Thio50上にプレートし、39℃に
保温した。39℃で選抜した数個(4〜6個)のクローンをYEME Thio8中39℃で5日間生育させた。100mlのクラスターをThioを含まない100mlのYEME中に接種した。プラスミド配列を切除した結果として得られる二回乗換えを起こしたものをGYM(21)Strep50上にプレートして39℃に保温した。個々のクローンは、その後Thio感受性テスト及びR2プレート上での有色素抗生物質の合成テストに供した。染色体上における抗生物質クラスターの存否は、次のプライマーを用いたPCR分析により検定した。
Figure 2005509431
シュードモナスプチダ(P. putida)MBD1の工作
シュードモナスプチダ(P. putida)のΦC31 attB配列は、
Figure 2005509431
プライマー並びに、Ventポリメラーゼ(NEB)を用いてPCR法により増幅した。得られた939断片は、pCR−Blunt II Topo(Invitrogen社製)にクローンして、p
TOPO attBを得た。次に、ΦCTX(シュードモナスエルギノサファージ、P. aeruginosa pharge)attP部位(27)を含んでいるプラスミドp1000由来の1.1kb PstI断片をpTOPO attBのPstI部位にクローンした。こうして得られたプラスミド、p2.10は、ΦCTXインテグラーゼ(27)を電気処理可能なシュードモナスプチダ(P. putida)KT−2440にコードしたpUCプラスミド、pIHBを用いて形質転換した。電気穿孔の後、選択を行うに先立って、細胞は2mlのSOC中に集めて30℃に保温した。p2.10がΦCTX attB部位に組込まれた形質転換体はLBカナマイシン(25μg/ml)上で選択した。シュードモナスプチダ(P. putida)の染色体中のΦC31 attB部位の存在は、938bp ΦC31 attB断片をプローブとして用いたサザーンハイブリダイゼーション法により検定した。こうして得られたものは、P. putida MBD1。P. putida MBD1と名付けて、ブダペスト条約に基づいて、2002年11月7日にATCCに寄託しATCC受理番号PTA−4787を既に受領している。
CISカセットのBACベクターへの転移
pMBD7、pMBD9及びpMBD12のCISカセットは、Clonetech社の操作指
針に基づいて、creレコンビナーゼ(Clonetech社製)を用いたin vitro cre-lox組換
え法によりBACベクターに転移させた。得られた組換え体は、7%スクロース(蔗糖)を含むLB Chlor12、Apra30寒天にプレートすることによりElectro Max DH10B(Gibco/BRL 社製)へ形質転換させた後に選択した。
BamBACライブラリー構成
前述した通り(11)、巨大塩基数を有する自然環境下のDNAを、ある地方の土壌から単離した。この土壌巨大塩基DNAプラグは、BSAを含む15mlのBamHI緩衝液を用いて4℃で1時間透析した。ゲル切片は、65℃で5分間融解させた後、37℃で5分間放置して平衡とし、その後BamHIの0.8単位を用いて37℃で1時間消化させた
。消化反応は、EDTA(50mM最終濃度)を加えて停止させた。1%のLMP pf
ge中(0.5× TBE、0.5秒から35秒の切替え時間、6ボルト、14℃、
10時間)で電気泳動の後、50〜100kb DNAを含んでいるゲル切片をゲルから切
断しそしてゲラーゼ(Epicenter社製)を用いて消化させた。土壌DNAはBamHIで
消化し、CIPを用いて脱リン酸化させたpMBD14の20ナノグラムを用いて、16℃で一夜放置して連結反応を行った(ベクターと挿入分子の比率は10対1である)。連結体の2マイクロリットルをElectro Max DH10B(Gibco/BRL 社製、0.2cmキュベット、2.5KV)による電気穿孔に用いた。形質転換体はLB Chlor12 Apre30プレート上で選択した。
ストレプトミセス(Streptomyces)の接合
基本的には上述の通りの方法で(9)、ドナー菌株とし、ET12567/pUB307又はPH10B/pUB307を用いて、個々のプラスミドの接合を行った。
ドナーとしてDH10B/pUB307を使用したときは、対数増殖期(log phase)
の培養菌体(OD600値は0.5〜0.7)は、接合のために1:100に希釈した。
シュードモナス(Pseudomonas)の接合
転移に用いるためのBAC構造を含んでいる大腸菌(E. coli)DH10B pUB307ドナー菌株をChlor12.5、Apra30、Kan50を含んでいるLB中において37℃で一夜生育させた。受容体であるシュードモナスプチダ(P. putida)MBD1もLB Kan50中において30℃で一夜生育させた。ドナーと受容体は、新しい培地に1:100の比率で接種し、4時間生育させた。受容体の方は、制限酵素を不活化させるために42℃で15分間インキュベートした。ドナーと受容体をエッペンドルフ管中で、1:3の比率で混合し、1分間遠心分離をした後、50mlのLB中に懸濁した。その混合物はLB寒天培地上に移し、30℃でインキュベートした。24時間後、菌をプレートからかき集めて、1mlのLB中に懸濁させた。その希釈液をNa120、Apra25中にプレートした。外来性接合体は、30℃で2日間のインキュべーション後に拾い集めた。
ライブラリーのストレプトミセスリビダンス(S. lividans)への高生産性転移
自然環境下のライブラリーの高生産性転移は、次のようにして行った。BACライブラリー形質転換体のプールをLB Apra30 Chlor12中で生育させた後、BACDNAをQuiagen Maxiprepキットを用いて単離した。プールしたBAC DNAは電気処
理可能なET1256/pUB307又はDH10B/pUB307へ形質転換させた。形質転換体はQ−botロボット(Genetix社製)を用いて、LB Apra30 Chl
or12 Kan50を含む96穴の深底プレートに接種して、37℃で一夜生育させた
。ET12567/pUB307の培養菌体は、そのまま使用し、DH10B/pUB307の培養菌体は接合前に1:1000に新しい培地で希釈して使用した。96−ピンスタンパーを用いて、大腸菌(E. coli)培養菌体の5〜10μlずつを採取し、ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)の胞子を前もって発芽させておいた(概略96穴の接合に対し108胞子)改良R2培地(スクロースを含んでいないこと以外は(9)と同じ)上にプレートした。ナリジキ酸(最終濃度100μg/ml)及びApra(最終濃度50μg/ml)を含んでいるSNAを二重層として用いて、30℃で24時間培養後に、外来性接合体を選択した。こうして得られた外来性接合体は、R5 Nal100、Apra50の上に転写した。
ライブラリーのシュードモナスプチダ(P. putida)への高生産性転移
pMBD14中に構成されたDNAライブラリーを大腸菌(E. coli)ドナー菌株、D
H10BpUB307へ形質転換させた。個々のクローンは、Q−botを用いて、適量の試験薬を添加した2mlのLBを含んでいる96穴の深底プレートに採取した。定常期に達した時に、ドナー菌体を試験薬無添加の新しいLB中へ1:10の比率で希釈した。同様に作成したドナー希釈液をストレプトミセスリビダンス(S. lividans)及びシュード
モナスプチダ(P. putida)へ接合するのに用いた。シュードモナスプチダ(P. putida)の場合は、制限酵素を不活化させるために42℃で15分間インキューベートした指数増
殖期にあるシュードモナスプチダ(P. putida)MBD1の50μlを含んでいる96穴プレート中へドナー培養菌を分配するために96−ピンレプリケーターを使用した。同様のレプリケーターは、LB Q−botプレートへ培養菌を分配するためにも使用している
。プレートは30℃で一夜インキュベートした。我々のライブラリークローンを含んでいるシュードモナスプチダ(P. putida)の外来性接合体は、LBプレート中のコロニーを
Apra25とNaI20を含んだM9ベンゾエイトプレート[Espinosa-Urgel, M, Salido, A., and Ramos J.L (2000) シュードモナスプチダ(Pseudomonas putida)を種子へ着生させる機構の遺伝子分析。J. Bacteriology 182: 2363-2369]に複製することによって選択した。外来性接合体のみがこの培地中で生育することができるからである。外来性接合体のコロニーは、2〜3日のインキュベート後には目視できるようになる。
抗細菌活性のスクリーン
既に指摘しているように、クローンはR5又はSSM(9)上で生育させた。プレートは、その後、指数増殖期にあるバチルスズブチリス(Bacillus subtilis)BR151/
pPL608株(入手先は、オハイオ州コロンブス市のBacillus Genetic Stock Center
である)を含んでいる表面寒天上に重層し、30℃で一夜インキュベートし、その後室温に数日間静置しておいた。抗細菌活性を生成するクローンは、クローン周辺に生じた阻止円により同定した。
サザンハイブリダイゼーション
染色体DNAはDneasyカラム(Quiagen社製)を用いて調整した。1ゲル当たり
HindIII又はEcoRIで消化した5mgの染色体DNAを用いた。サザンハイブリダ
イゼーションは、次に記載する標準的操作(19)により行った。プローブとしては、BamBAC8プラスミドDNA及びpTOPOattB由来のゲル精製ФC3lattB断片を用いた。プローブは、Readyprime IIキット(Amersham社製)を用いてP32−dCT
Pにより標識した。
ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)抽出物の調整とHPLC分析
既に記載の通り、抽出物の調製のためには、ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)の菌株を25mlのYEME Apra50中で30℃で4日間、又はR5寒天培地上で生育させた。培養菌体は凍結粉砕し、3:1比率のメタノール:エチルアセテート混合液で抽出した。抽出液を濾過した後、濃縮し(Pierce Reacti-Therm社製のチッ素ガス流中で)、SPE(Waters SepPak C-18カートリッジ: Vac 3cc、200mg)で精製し、チッ素ガス流中で乾燥させた後、再びメタノールに溶かし、0.2μm濾紙で濾過した。HPLC分析には、Metachem Polaris C-18A カラム(5μ、120A、4.6×150mmを用いた。カラム当たり、25μlのサンプルを供した。クロマトグラムは次のように展開した。溶媒は、A:H2O/0.08%TFA、B:ACN/0.08%TFA。傾斜度は、0分ではA:B=95:5、2分ではA:B=95:5、21分ではA:B=2:98、25分ではA:B=2:98、28分ではA:B=95:5、33分ではA:B=95:5である。流出速度は、1.5ml/分であり、240nm及び500nmでの吸光度を0.1AUFSで記録した。
シュードモナスプチダ(P. putida)抽出物の調整とHPLC分析
粗抽出物を以下のようにして調整し、スクリーンにかけた。外因性接合体は、96穴ピンレプリケーターを用いて、接合させた後、選択プレートからNaI20 Apra25
を含む新しいM9ベンゾエートプレートへ移し換えた。この選択試薬を含む2回目の生育は、ドナー大腸菌(E. coli)の残りを除去するために行うものである。ここで96穴レ
プリケーターを再び用いているが、それは、検定試薬を添加せず、クエン酸鉄(6mg/L)を補足した液体LB培地の150μlを含む96穴浅底プレートに接種するためである。他の培地としては、YM、M9クエン酸塩、又はM9ベンゾエート塩を使用することができる。培養は加湿したコンテナ中で29℃で5〜7日間行った。その後培養菌はSavant Speed-Vac Plus SC210Aを用いて乾燥させた。等量のメタノールをペレットに加えた。プレートに蓋をして室温で15分間静置した後、固形残渣を取り込まないように注意して、抽出物を多口ピペットマンで採出した。抽出物は、二つに分けてSpeed-Vac中で完全に乾燥させてから、測定に供した。抗細菌活性測定には、抽出物を145μlのLBに再び懸濁した。初期の指数増殖期(log phase)にあるバチルスズブチリス(B. subtilis)BR151/pPL608の1:10希釈液の5μlを抽出物の再懸濁液に加えた後、プレートは37℃で一夜振とう培養した(振とう数は250rpm)。バチルスズブチリス(B. subtilis)のテスト株の生育は肉眼で観察することができる。
抗カビ活性の検定には、グリセロール凍結保存しておいたカンジダアルビカンス(Candida albicans)ATCC 90028株の1:100希釈液の5μlを加えたYPD培地(10gの酵母抽出物、20gのぺプトン、20gのグルコース)の145μl中に再び懸濁して測定した。プレートは35℃で一夜培養した。カンジダアルビカンス(C. albicans)の生育も肉眼で観察することができる。
シュードモナスプチダ(P. putida)MBD1における二次代謝物産生のHPLC分析
シュードモナスプチダ(P. putida)MBD1の液体及び固体培養で得られるpMBD
14、pSgran、pSMG1.1又はpSDAPGを含んでいる外因性接合体を代謝
物生産の測定に用いた。液体培養は、25μg/mlのアプラマイシンを含むYM培地(28
)の50ml中において27℃で7日間行った。固形培地は、25μg/mlのアプラマイシ
ンを含むYM寒天培地を含んだ径150mmのプレートを用い、29℃で7日間行った。抽出物は次のように調整し、そして分析した。
液体/液体抽出物
細菌の培養菌体の50mlを25mlの酢酸エチルで2回抽出した[注意:相の分離に時間がかかり(1時間以上)、それでいて完全には分離されない;懸濁はNa2SO4を加えることによって取り除いた]抽出物はNa2SO4で乾燥し、そして濾過した。溶媒を取り除き(Savant Speed vac SC 210Aを用いた)、0.08%TFAを含む1mlのH2O/CH3
CN(50:50v/v)溶液中に再び懸濁させた。こうして得られた標品を濾過し(Whatman 4mm、0.2mm PTFEシリンジ濾紙)そしてHPLC分析に供した。
プレート抽出物
寒天プレートの各半分を概略0.5cm3の小片に切断し、50mlガラス管に移した。標品は48時間凍結乾燥させた後(Labconco Freezone 4.5を用いた)、粉砕して微細粉末と
し、そして、15mlの酢酸エチルで2回抽出した。抽出物は濾過してから、次のように
処理をした。
HPLC分析
分析用RP−HPLCは、Waters 600システムを用い、検出器は996PDAデテクター(210〜610nm、1.2nm 解析度、Millenium 4.0ソフトウエア)、カラムはInertsil ODS-3カラム(5μm、150×4.6nm、GL Sciences社製)を用いた。流出相は、0.08%TFA水溶液(A)と0.08%TFAアセトニトリル溶液(B)である。溶出は、100%Aを用いて開始し、2分間行った後、0〜100%Bの直線傾斜で20分間行ない、100%Bに達したときに、10分間流し続けた。流出速度は毎分1ml(1ml/分)で、抽入量は10μlである。2,4−ジアセチルフロログルシノールの同定はUVスペクトル(29)に基づいて行った。
結果
有色素抗生物質をコードする一種又は二種の遺伝子クラスター欠失ストレプトミセスリビ
ダンス(S. lividans)菌株の構成
欠失菌株の構成に使用された方法は、無標識対立交換変異の陽性選択である。この方法は、温度感受性レプリコン及び対立選択マーカー((17)で概説されている)の組合せという二段階の戦略を用いている。そしてそれは他の細菌として、ストレプトミセスロセオスポルス(S. roseosporus)(8)において既に記載してあり、野生型rpsL遺伝子は、ストレプトマイシンに対して優性的感受性を与える故に、StrepRバックグランドに
おいて対抗選択が可能となる。しかしながら、本発明における新規な遺伝子置換ベクターであるpSrpsL(図1)は、pGM160にクローンしたストレプトミセスケリカラー(S. coelicolor)A2(3)の野生型rpsL遺伝子を含んでおり、そしてそれはストレプトミセスリビダンス(S. lividans)の複製にとっては温度感性である(15)、SG5 oriを有するシャトルベクターである。
ここで用いられている無標識突然変異の選択方法は、US特許第6,096,549号(16)に記載されているミコバクテリウムツベルクロシス(Mycobacterium tuberculosis)の方法に類似のものであるから、引用文献として、そっくりそのままの状態で、ここに取り上げることとする。一例として、actクラスターの除去方法については図2に表示している。先ず最初に、actVIAB遺伝子(クラスター(6)の左側末端)及びactVB ORF11−12遺伝子(クラスター(13)の右側末端)を、遺伝子置換ベクター上適切な方向でクローンすることにより、pΔactを得ることができる(図1)。pΔactはTK24に形質転換し、得られた形質転換体は、プラスミド複製の許容温度範囲である29℃において、Thio耐性によって選択した。染色体へのプラスミド組換えを起こさせる一回乗換えを生じたものは、39℃におけるThioにより選択することができる。かかる三種類の可能な組込み体は図2に表示してある。抗生物質選択をすることなく39℃で液体培地中で一回生育させた後、2回乗換えを起こさせてプラスミド由来のrpsL遺伝子を切り出して欠失させた細胞を、39℃でSm培地にプレートすることにより選択した。PCR法でスクリーンした12個のクローンの内3個のクローンはactクラスターの無標識欠失を有していた。一方、残りの9個のクローンは、欠失のない完全なactクラスターを思わせるパターンを示した。
redクラスターは、actクラスター程にはよく特性が知られていないが、しかし、ストレプトミセスケリカラー(S. coelicolor)では、red遺伝子が、径路特異的な調
節因子redDによって、一方の末端である概略37kbの領域にクラスターされることが知られている(5、12)。ストレプトミセスケリカラー(S. coelicolor)配列プロジェ
クト( http://www. sanger. ac. uk/Projects/S. coelicolor/)のデータは、red
クラスター欠失の限界を明確化するために使用した。redDは、redX、redY及びredZと同様に、ストレプトミセスケリカラー(S. coelicolor)コスミド2E9(Genbank受理番号AL021530)の右側末端(5Kb)に位置している。クラスターは、重なり合っているコスミド3F7(Genbank受理番号AL021409)の24kbに至るまでに伸長していて、ポリケチドシンテターゼ及びペプチドシンテターゼのような生合成酵素と推定されている酵素を次のコスミド10A5(Genbank受理番号AL021529)にコードしている。おそらくオキシダーゼをコードしていると思われるSC10A5.02(径路の最後に明らかに認識され得るものと思われる酵素)をredクラスター欠失の右側末端として選んだ。しかしながら、クラスターはコスミド10A5におよそ11kbほど伸長することができ、そこに抗生物質輸送タンパク質と推定され得るもの(SC10A5.10C)が位置している。配列分析の結果、この領域の遺伝子は輸送及び耐性に関与しているものと思われ、それ故に、異種性天然産生物の発現には影響しないものと思われる。このようにして、ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)redD及びSC10A5.02相同体を遺伝子置換ベクターにクローンさせてpΔredを作成した。このプラスミドは、上述の方法により、TK24及びストレプトミセスリビダンス(S. lividans)Δactのredクラスターを欠失するのに用いて、ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)Δred及びストレプトミセスリビダンス(S.lividans)ΔactΔredを、それぞれ得ることができた。これらのストレプトミセスリビダンス(S. lividans)Δact、ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)Δred及びストレプトミセスリビダンス(S.lividans)ΔactΔredは、ブダペスト条約に基づいて、2001年11月9日に、ATCCに寄託し、ATCC受理番号PTA−3847、PTA−3848及びPTA−3846をそれぞれ受領している。これら新しい菌株におけるact及び/又はredクラスターの欠失の存在はPCR分析によって確認されている。染色体欠失を起こした領域は図3に表示してある。
新しい菌株における抗生物質生合成の発現は図4に表示してある。新しい三種の菌株は全て、親株であるTK24と同様に生育し、また胞子を形成した。アクチノロジン又はウンデシルプロジギオシンを産生しないストレプトミセスリビダンス(S.lividans)Δa
ctΔredは、外因性天然産生物の発現及び分析の宿主として使用され得るものである。TK24とストレプトミセスリビダンス(S.lividans)ΔactΔredとのHPLC分析結果を比較したものは図5に示してある。
本発明のカセットを含んでいるプラスミドの構成
ΦC31を基礎とした新しいベクターシリーズを構成した。そのベクターでは、ストレプトミセス属における接合転移に必要な、またその後に続く染色体への組込みに必要な全ての要素が2個のloxP部位の側面に並んでいて、それ故にin vitroでのcre−lox組換え(20)により、いかなるloxPを含んだプラスミドへも効率よく転移させることが可能となる。先ず最初に、自己透過性のプラスミドPK4のoriT、ΦC31インテグラーゼ及び接融部位、並びにApraRマーカーを含んだpOJ436(2)断片を
pDNR−1のloxP部位の間にクローンした。このようにして得られた新規なプラスミド、pMBD7(図6A)を、大腸菌(E. coli)菌株ET12567/pUB307
(7)をドナーとして用いてストレプトミセスリビダンス(S. lividans)へ接合させた
が、その効率は、親株のプラスミド、pOJ436(先に記述してある条件下において、個数当たり10-5〜10-6接合体)と同様の効率であった。制限部位を除去したpMBD7の二種の誘導体を引き続いて行う操作:pMBD9ではBstXI部位の除去、pMBD12ではBstXI及びBamHI部位の両方の除去(図6A)を容易にするために構成した。
pMBD7、pMBD9及びpMBD12におけるloxP部位側面に並んでいるDNA断片は、容易に、いかなるloxPを含むベクターへもin vitroでのcre−lox組換えにより転移させることができる。これらの領域は、それぞれ、CIS7、CIS9及びCIS12と名付けているが、CISとはストレプトミセスへの接合及び組込み(Conjugative and Integrative into Streptomyces)の頭文字を意味する。これら3種のカセットは次のようなものを含んでいる(図6B参照)。
‐ カセットの各末端に1個のloxP部位
‐ バクテリオファージΦC31由来のint遺伝子(インテグラーゼをコードする)及びattP部位(ストレプトミセス(Streptomyces)染色体への組込みのための)
‐ 大腸菌(E. coli)及びストレプトミセス(Streptomyces)においてアプラマイシ
ン耐性を付与するaac(3)IV遺伝子
‐ ストレプトミセス(Streptomyces)への接合転移に用いるIncPプラスミドPK2のoriT領域
in vitroでの組換えによるCISカセットのBACベクターへの挿入
CIS9及びCIS12カセットは、in vitroでのcre−lox組換えにより他のBACプラスミドへと移し換え、こうして得られたプラスミドは、ストレプトミセスリビダンス(S.lividans)への接合のために、大腸菌(E. coli)菌株ET12567/pUB
307へ形質転換させた。これらの実験で得られた結果は表2に表示してある。
Figure 2005509431
単一複写の大腸菌(E. coli)ベクターpBeloBac11(22)の誘導体であるp
MBD10は、高頻度でストレプトミセス(Streptomyces)へ接合された(10-4〜10-5、高頻度複写の親株ベクターpMBD9に比べておよそ10倍の高頻度複写である)。同様に高頻度複写は、BACプラスミドpSMG1.1の接合転移においても観察され(大腸菌(E. coli)中抗細菌活性をコードする27kb土壌DNA断片を有している(11))、及びpGran(ストレプトミセスビオラセオルベ(S. violaceoruber)Tu22のグラナチシン遺伝子クラスターを含んでいる38kb断片(1))においても観察された。これらの結果は、少なくとも38kbの挿入によって、CISカセットは、単一複写のBACの効率的可動性に必要な全ての作用を付与することができるということを示唆するものである。
ストレプトミセスリビダンス(S.lividans)ΔactΔredにおける新規組換え体B
ACベクターからの異種性抗生物質の発現
ストレプトミセスビオラセオルベ(S. violaceoruber)Tu22(1)由来のグラナチシンクラスターを含んでいるpGran BACプラスミドを無色素系のストレプトミセ
スリビダンス(S. lividans)ΔactΔred菌株へ接合させることにより、肉眼でも
またHPLCでも明瞭に測定できる紫色の色素を生産するようになり、これは、他の方法では起こらず無色素のバックグランドだけであった(図7)。ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)ΔactΔred中での内因性有色素抗生物質の存在は、バチルスズ
ブチリス(Bacillus subtilis)菌株BR151/pPL608に対する抗生物質活性の
明瞭な検定によっても確認された(データは未掲載)。テストした全ての(100%)外因性接合体が色素を生成したことは、新規なベクターは大腸菌(E. coli)中でもまたス
トレプトミセスリビダンス(S. lividans)中でも安定であったことを示唆するものであ
る。重要なことは、本発明のベクターは異種性生合成クラスターが接合によって無色素系のストレプトミセスリビダンス(S. lividans)菌株へ効率よく導入され、また、これら
のクラスターが染色体から発現され、そして外因性接合体から抗生物質生合成が明瞭に検出されるようになったということが確認されたことである。
プラスミドpSMG11でコードしたもう1つの遺伝子クラスターについても、ストレ
プトミセスリビダンス(S. lividans)菌株ΔactΔredにおける抗生物質生合成の
テストを行った。大腸菌(E. coli)中では、このクラスター(MG1.1)の発現は、青色の色素を産生するようになり、また抗細菌活性も観察された(11)。しかしながら、ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)ΔactΔredの菌株においては、色素も
産生されず、また抗細菌活性も検出されなかった。更に、pSMG1.1を含んでいるス
トレプトミセスリビダンス(S. lividans)の抽出物には、HPLC分析で検出される分
子は全くなかった。これらの結果から、大腸菌(E. coli)とストレプトミセスリビダン
ス(S. lividans)間での発現特性は予想されていたように相異するものであることが確
認され、それ故、自然環境下のDNAライブラリーを複数の宿主においてスクリーニングすることの重要性を強調するものである。
ライブラリー構成のための新規なシャトルBACベクター
巨大挿入DNAライブラリーの構成に有用な2種の新規なシャトルBACベクターを構築した(図8)。一つはpMBD13であり、その中では、CIS9カセットがBstXIアダプタークローニングに好適なpBeloBac11誘導体であるpBTP3へ挿入したものであり(図9)、他の一つは、pMBD14であり、それはpBeloBac11へ組換えられたCIS12カセットを含んでいる。後者においては、lacZα断片中の唯一のBamHI部位が組換えクローンの青色/白色選択を可能としている。
pMBD14における土壌DNAライブラリーの構成
マサチューセッツ州で採取した土壌から単離したDNAをpMBD14における部分的BamHIライブラリーの構成に使用した。クローンの不特定小群の挿入サイズは11.
5から110kbの範囲にあり、平均値は47.5kbであった。このライブラリーは、Ba
mBACライブラリーとして、13,000個のクローンを含んでいた。2種の大腸菌(E. coli)ドナー菌株、ET12567/pUB307及びDH10B/pUB307を対照として、このライブラリーから得られた個々のクローンで挿入サイズが48kbから110kbの範囲のものを、ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)への接合のためのサイズ制限テストに供した。
DNAメチル化欠失(dam-、dcm-)株であるET12567/pUB307は、メチル−DNA制限のストレプトミセテス科(Streptomycetes)(7)への効率的なDNA転移に日常的に用いられている。
この菌株は、その大部分が非制限的であり、ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)へのDNA転移は、メチル化菌株に比べても5〜10倍も効率的であった。DH10Bは、DNAメチル化欠失株ではないが、殊に巨大DNAの取り込みが効率的であることが知られていることより(25)、好適なドナーになり得るものと思われる。このように、BamBACライブラリーにおける巨大クローンに対して予想されるいかなる偏見も減少させ得るものと思われる。接合実験結果は、表3に表示してあるが、両方のドナー菌株共に110kbに至るまでの大きさでもBamBACクローンを転移することが可能であり、これはこれまでに報告されている文献におけるいかなる接合実験よりも有意義に大きいものである。これらのデータから、pMBD14は、大腸菌(E. coli)からストレプトミセスリビダンス(S. lividans)への巨大DNA断片の転移に用いられる既知のシャトルベクターを大きく改善したものであると言うことが確認できたものといえる。
Figure 2005509431
ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)への自然環境下のDNAライブラリーの高
生産性転移
pMBD14(「原材料及び方法」の欄において詳述してある)において構成された巨大挿入ライブラリーを転移するために高生産性の方法を開発した。この方法を用いれば、ドナーとしてDH10B/pUB307又はET12567/pUB307のいずれかを用いて、96穴プレート当たり75クローンに至るまで(78%)接合させることが可能である。この従来未知の新規な方法は極めて効率的であり、半自動化の操作でもって、巨大挿入DNAライブラリーをストレプトミセスリビダンス(S. lividans)への迅速転移
を可能ならしめている。
検討
今後は、ストレプトミセス属(Streptomyces spp.)において、遺伝子置換操作に新規
で有用なベクターであるpSrpsLが用いられるようになり、遺伝的に無標識な突然変異を染色体の中へ導入することが可能となる。このベクターはpGM160(Hoechst AG社)及びpRHB514(文献(8)に記載)のようなこれまでに知られているベクター
に比べて格段に改善されている。何故ならば、ストレプトミセス(Streptomyces)(rpsL)の対抗選択マーカーを含んでおり、その結果、プラスミド配列を見失う希少な遺伝的変異の陽性選択が可能となり、またストレプトミセス(Streptomyces)(tsr、Thion耐性を付与する)に対する選択マーカーも含んでいるからである。ここに記載されている(図2)プラスミドと方法とを用いれば、tsrはストレプトミセス(Streptomyces)における形質転換体を選択するのに使用することができる。その結果として2回乗換えの後には失われるから、染色体の陰に存在している薬剤耐性マーカーを取り残すことはない。これは、構造−作用相関関係の明確化において、またワクチン候補の作成(17)のような多くの利用において極めて重要なことである。
更に、プラスミド中に選択マーカーが存在することにより、切除された分子を回収することが可能となり、その結果、置換された対立遺伝子を単離するのに用いることができる。
尚、今後は、1つ又は両方の有色素抗生物質の遺伝子クラスター(act及びredクラスター)の完全な及び無標識欠失を含んでいる新規なストレプトミセスリビダンス(S.
lividans)の菌株も存在する。他のストレプトミセス(Streptomyces)菌株でもアクチ
ノロジンとウンデシルプロジギシンを欠失するように操作されたものが作成されている。例えば、CH999(red無添加バックグランド(redE60)中でactクラスター(Δact::ermE)欠失を含んだストレプトミセスケリカラー(S. coelicolor)菌株、US特許5,672,491号(14))、K4−114及びK4−115(24)(野生型redバックグランドにおいてactクラスターの同じ欠失(Δact::ermE)を含んでいるストレプトミセスリビダンス(S. lividans)TK24誘導体)、actクラスター(Δact::spec)欠失の他のTK24誘導体(US特許6,057,103)。しかしながら、本発明の菌株はこれまでに既知の菌株とは相異している。何故ならば、後続の遺伝子スクリーニングに影響を与えかねない抗生物質耐性マーカーを導入しておらず、また、red突然変異は、ポイント突然変異ではなく完全な遺伝子クラスター欠失によるものだからである。それ故、本発明の菌株は、新規な異種性活性の検定にとって、残留するウンデシルプロジギオシン、アクチノロジン、また生合成径路に由来する中間体も存在しない、クリーンなバックグランドを提供することができ、また、抗生物質合成型へと自然復帰することもない。
更に、大腸菌(E. coli)からストレプトミセス属(Streptomyces spp.)へプラスミドの接合転移、そして後続するストレプトミセス(Streptomyces)染色体への部位特異的組換えによるプラスミドの組込みに必要な作用を有するポータブルDNAカセットも提供することができるものとなる。本発明のこれらのカセットは、in vitroでのcre−lox組換えによりBACベクターを含むloxP部位を有するいかなる既存のプラスミドへも容易に転移させることができる。このように、これまでのように煩わしくて骨の折れるクローニング操作を行うことなく、市場で購入可能な製品のみを用いることによって、既存の大腸菌(E. coli)プラスミドを大腸菌−ストレストミセス(E. coli-Streptomyces)
シャトルプラスミドへと変換させることが可能となるのである。本発明のカセットは、ライブラリー構成の新しいベクターを創造し、あるいは、既存のプラスミドやライブラリーを造り換えることを可能とする。pSAM−2−媒介の組換えに使用されるカセットを含んでいるプラスミドであるpMBD−1は、PCT特許出願番号WO 01/40497
に公表されている。本発明のプラスミドは、先ず第一に、文献(10)に報告されているように、ある種のストレプトミセス(Streptomyces)においてはより特異的であり、又はより安定であるΦC31インテグラーゼシステムを使用している点、また第二としてはライブラリー構成にとって誘導体の使用が制限されるような制限部位を除去するように造り換えているという点において、pMBD−1とは相異するものである。ここに本発明のベクターを用いて行った効率的な接合を示しているが、これは、ここに記載した方法でpMBD−1を用いて行った接合では成功しなかったものである。
更に、ここでは、(3)(pMBD13及びpMBD14)に記載されているカセットを含んでいる2種の細菌人工染色体(BAC)のシャトルベクターが挙げられているが、それを用いれば、大腸菌(E. coli)からストレプトミセス属(Streptomyces spp.)へ転移される巨大挿入DNAライブラリーを構成することができる。ストレプトミセス(Streptomyces)へ転移される他のBACベクターとしては、以下のものが含まれる:
‐ pPAC−S1及びpPAC−S2(23)、これらはΦC31組込みシステムに用いられる。
‐ pSCP2ori(US特許6,242,211)を含んでいる自由複製BAC。
これら後記のBACについての問題となる限界は、PEG−媒介のプラスミド形質転換によるストレプトミセス(Streptomyces)への転移が必要であり、そしてこの方法は高生産性スクリーニングにはふさわしくないということである。これとは対照的に、本発明のベクターは、接合によりストレプトミセス(Streptomyces)へ容易に転移させることができる故に、明らかに改善されたものといえる。
ストレプトミセス(Streptomyces)へ接合するようにデザインされた他のBACベクターとしては、接合pMBD−5及びpMBD−6(pSAM2−誘導、WO 01/40497)、pMBD−3(ΦC31−基礎、WO 01/40497)がある。
我々のベクターは、再合成可能な高効率なストレプトミセス(Streptomyces)転移をも
たらすという点において上記のものとは相異している。加えて、pMBD14は巨大挿入サイズの土壌DNAライブラリー構成に、既に使用されて成功している。そしてそのようなライブラリーのクローン(110Kb挿入に至るまでの大きさ)を大腸菌(E. coli)か
らストレプトミセス(Streptomyces)へ効率的に転移している。そのように高分子量であるプラスミドの大腸菌(E. coli)とストレプトミセス(Streptomyces)間での接合を可
能とした実施例は他には存在しないものと信じられている。
DNAライブラリーをストレプトミセス属(Streptomyces spp.)へ転移させる高生産性
方法
簡便で高効率である我々の方法は、完全な巨大挿入DNAライブラリーをストレプトミセス(Streptomyces)への転移を実施可能なものとした。ライブラリーは、クローンを基礎に1対1に転移し、それ故、いかなる興味あるストレプトミセス(Streptomyces)クローンに対する大腸菌(E. coli)の相方からもDNAをシークエンス法及び/又は遺伝子操作のために直ちに単離することができる。更に、一旦大腸菌(E. coli)ライブラリーが配列できると、労多くせずして、種々のストレプトミセス(Streptomyces)菌株に転移させることができる。これには他のストレプトミセスリビダンス(S. lividans)を含めることができるし、あるいはストレプトミセスケリカラー(S. coelicolor)やストレプトミセスアンボヘシエンス(S. anbofaeciens)のような異なった種をも含めることができる。
シャトルBACベクターを受容するシュードモナスプチダ(Pseudomonas putida)の遺伝子工学
自然環境ライブラリーの宿主レパートリーを拡大する努力をしているうちに、シュードモナス属(Pseudomonas spp.)の宿主を開発した。新しい宿主開発の候補としては、非病原性の土壌シュードモナス種であるシュードモナスプチダ(Pseudomonas putida)を選択した。最初の一歩は、ΦC31(ストレプトミセスファージ)attB部位をシュードモナスプチダ(P. putida)の染色体へ導入することであり、このことにより更なる変換を
することなく、大腸菌−ストレプトミセスシャトルBACベクターを使用できるようにするためである。この工程は図10に要約してある。ΦC31 attB部位をシュードモ
ナスプチダ(P. putida)染色体へ誘導させるために、シュードモナスエルギノサ(P. aeruginosa)ΦCTXファージ(30)の部位特異的組込みシステムを用いた。最初に、プラスミドp1000由来のΦCTX(シュードモナスエルギノサファージ)attP部位をストレプトミセスリビダンス(S. lividans)のΦC31 attB部位を含んでいるKanRpUC誘導体であるpTOPOattBへクローンした。
こうして得られたプラスミド、p2.10はpIHB(ΦCTXインテグラーゼ(30)
をコードしているpUCプラスミド)と一緒に、シュードモナスプチダ(P. putida)K
T−2440へ共形質転換させた。両プラスミドは、シュードモナス(Pseudomonas)に
おいては複製不可能な自殺ベクターであるが、pIHB中のΦCTXインテグラーゼはトランスで働き、ΦCTX attP−含有プラスミドのシュードモナス(Pseudomonas)染色体中の相対するattB部位への組込みを触媒的に作用することができる。このようにして、形質転換の後にカナマイシンプレートにプレートすることにより、ΦCTX at
tB部位中のp2.10の組込みを選択することができ、我々のシャトルBACベクター
を受容し易いようにシュードモナス染色体中にΦC31 attB部位を位置付けること
ができる。シュードモナスプチダ(P. putida)KT−2440中にKanRクローンを
得ることができた。そしてシュードモナス染色体中でのΦC31 attB部位の存在は
、サザンハイブリダイゼーションによって確認された。こうして得られたシュードモナスプチダ(P. putida)の菌株はMBD1と名付けた。
大腸菌−ストレプトミセスシャトルBACベクターはシュードモナスプチダMBD1へ導
入されかつ維持され得る
次に、我々のライブラリーベクターである、pMBD14が、ΦC31 attBを含
んでいる新規なシュードモナスプチダ(P. putida)MBD1へ導入され得るか否かをテ
ストした。RK2システム(pMBD14及びその誘導体をストレプトミセスへ導入するために用いている)を接合によってプラスミドを大腸菌(E. coli)からシュードモナス
(Pseudomonas)へ転移させるために日常的に用いている。それ故、pMBD14を含ん
でいるDH10B pUB307を我々の新規なシュードモナスプチダ(P. putida)MBD1菌株と接合させるために標準的プロトコールとして用いた。接合の後に、アプラマイシン耐性コロニーを得ることに成功したことは、pMBD14中のΦC31インテグラーゼ遺伝子及びアプラマイシン耐性遺伝子がシュードモナスプチダ(P. putida)中で発現
し、作用したことによって指摘された。
また、我々は、各種サイズのDNA挿入を含んでいるシャトルBAC誘導体を接合することもできた。これらには、pMBD14中に構成した土壌DNAライブラリー由来のクローンの他、pGran(37kb)、pSMG1.1(27kb)及びpSDAPG(6.5kb)(下記に記載)が含まれている。土壌DNAクローンの1種を含んでいる外来接合体であるBamBAC8(40kb挿入)をサザンハイブリダイゼーションで分析した結果、BACベクターがシュードモナスプチダ(P. putida)MBD1染色体中のΦC31部位に組込まれたこと、また、主要な欠失もなく再配列も起こらなかったことが確認された。これらの結果は(図11)、予想通り、MBD1(第2列)中のΦC31 attB部位は、染色体へのBamBAC8の組込みにより創出したattLとattR部位を含んだ新しい2種のバンドによって、外因性接合体(第3〜5列)中で置換されていることを示している。同様な新しい2種のバンドはBamBAC8プローブにハイブリダイズしているが、このことにより染色体/組込まれたベクターの結合部を実際に含んでいることが明らかとなった。新規な結合バンドの他、外因性接合体中でのBamBAC8プローブのハイブリダイゼーション後に見られるバンドパターンが精製したBamBAC8のものに一致していることより、プラスミドの主要な欠失又は再配列は、40kb挿入体中では起こらなかったことが確認された。
これらの結果は、大腸菌−ストレプトミセスシャトルBACベクターはシュードモナスプチダ(P. putida)MBD1中へ導入され、そして保持されることができるものである
ことを検証しているものである。これは、大腸菌、ストレプトミセス属、及びシュードモナス属間において、BACベクターが往復移動できるという事実についての最初の記載例である。
シュードモナスプチダ(P. putida)MBD1中でシャトルBACベクターによりコード
された異種性遺伝子クラスターの発現
新規なシュードモナスプチダ(P. putida)MBD1菌株及びシャトルBACベクター
の使用によって、シュードモナス属における商業的興味の可能性のある異種性低分子化合物の発現が可能となった。この着想の試みとして、我々は、既知の抗生物質生合成に必要な遺伝子クラスターを含んでいるBAC構成のシリーズであるシュードモナスプチダ(P.
putida)MBD1を導入することとした。実験に用いた構成はpSgran、pSMG
1.1及びpSDAPGであり、これらは、それぞれ、ストレプトミセスビオラセオルベ
(S. violaceoruber)のグラナチシンクラスター、MG1.1土壌DNA断片、及びシュ
ードモナスフルオレッセンス(P. fluorescens)Q2−87の2,4−ジアセチルフロロ
グルシノールクラスターのシャトルBACである。pSMG1.1、pSGran、pD
APG及びpMBD14対照を含んだシュードモナスプチダ(P. putida)MBD1接合
体を50mlのYM培地中、27℃で6日間培養した。酢酸エチルで抽出し、それを「方法」の欄に記載されているように分析した。pSDAPG構成を含んだシュードモナスプチダ(P. putida)MBD1クローンの抽出物中には、2,4−ジアセチルフロログルシノールが明瞭に検出された(図12)。このことにより、本発明の菌株は異種性の低分子化合物の発現にとって代理宿主として用いることができることが判明した。
更に、発現宿主としてシュードモナスプチダ(P. putida)MBD1の特性が強調され
ているpSDAPG構成を含んでいる大腸菌(E. coli)DH10B又はストレプトミセ
スリビダンス(S. lividans)Δact/Δredの抽出物では、2,4−ジアセチルフロログルシノールは検出できなかった。逆に言えば、大腸菌(E. coli)及びストレプトミ
セスリビダンス(S. lividans)において、それぞれ発現されたMG1.1生成物及びグラナチシン遺伝子クラスターは、シュードモナスプチダ(P. putida)では検出されなかっ
たということである。このことは、シャトルBACベクター及び多重宿主システムが、種々の細菌宿主間での遺伝子転移を可能とし、興味ある分子の検出可能な量の発現を得るための機会を増加させるという点において優れていることを検証している。
シャトルBACプラスミドシュードモナスプチダ(P. putida)へ転移させる高生産性の
遺伝子間接合法及び低分子化合物の産生のための抽出物分析
我々はシュードモナスプチダ(P. putida)のHTP接合法を開発したが、これは大腸
菌−ストレプトミセス接合体と平行して行うことができる。簡単に説明すると、pMBD14中で構成したDNAライブラリーを大腸菌(E. coli)ドナー株であるDH10B pUB307へ形質転換させた。個々のクローンをQ−botで採取して、適切な試薬を添加したLBの2mlを含んでいる96穴深底プレートに移した。菌の生育が定常期に達したとき、ドナー菌を試薬添加のない新鮮なLB中に1:10の割合で希釈した。同様にして作成したドナー菌の希釈液をストレプトミセスリビダンス(S. lividans)及びシュード
モナスプチダ(P. putida)への接合にも用いた。シュードモナスプチダ(P. putida)の場合は、制限システムを不活化させるために42℃で15分間インキュベートした。シュードモナスプチダ(P. putida)MBD1指数増殖期の菌液の50μlを含んだ96穴プレート中へドナー菌を96−針レプリケーターを用いて分配した。同様のレプリケーターを用いて、LBQ−botプレートへもドナー菌を分配した。プレートは30℃で一夜インキュベートした。我々のライブラリークローンを含んでいるシュードモナスプチダ(P. putida)の外因性接合体を、LBプレート中のコロニーをApra30とNa120を添加したM9安息香酸塩プレート中へ複製させることによって選択した。外因性接合体のみが、この培地中で生育することができるからである。コロニーは、2〜3日間のインキュベーション後には目視できるようになる(図13)。成功率は90%以上であった。
更に、我々はストレプトミセスプロトコールになぞらえたHTP抽出標品と測定方法を開発した。宿主としてシュードモナスプチダ(P. putida)MBD1を生育させ、また、
グラナチシンクラスターとMG1.1を含む外因性接合体を96穴浅底プレートを用い、
種々の培地150μl中で、4日間生育させた。ムピロマイシン(ポリケチド抗生物質)
を産生するシュードモナスフルオレッセンス(P. fluorescens)ATCC49323を陽性対照として用いた。以前に、ストレプトマイシン用に開発した方法を用いて、メタノール粗抽出物を調製し、検定菌として、バチルスズブチリス(Bacillus subtilis)とカン
ジダアルビカンス(Candida albicans)をそれぞれに用いて、抗細菌活性と抗カビ活性を検定した。その結果、陽性対照ではムピロマイシンが検出された条件下において、我々の宿主、シュードモナスプチダ(P. putida)MBD1は、検出できる量の抗細菌活性物質
も抗カビ活性物質も産生しないことが判明した。それ故、シュードモナスプチダ(P. putida)MBD1は、新規な抗カビ及び抗細菌物質の産生と検出にとって、「クリーン」なバックグランドを提供するものである。遂に、グラナチシンとMG1.1の外因性接合体には抗細菌活性は全く検出されないことが検証できた。これらの結果は、我々のシャトルBACベクターpMBD14、及びpMBD13から構築された自然環境ライブラリーは、ここに記載した方法に更なる変更を加えることなくシュードモナスプチダ(P. putida)におけるスクリーンに用いることができることを示唆している。
本発明は、ここに記載されている特別な実施例によって範囲が制限されるものではない。実際、ここに記載されている実施例に加えて、多くの変形が後続する記載や図表等によって当該分野における専門家に明白となるものと思われる。そのような変形は、添付されている特許請求の範囲の中に属するものである。
更に、核酸やポリペプチドについての全ての塩基数、アミノ酸数、分子量、分子質量値は、概数であり、記載上そのように表示しているものである。
多くの文献が、ここでは引用されているが、それら各々の開示は「引用文献」として、完全な形で編入されている。
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遺伝子置換ベクターpSrpsL14及びpSrpsL6並びに、ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)菌株におけるactクラスター及びredクラスターを除去するために用いるプラスミドpΔact及びpΔredについての図解的概要。 ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)のゲノム中のactクラスターを除去する方法の図解的概要。 ストレプトミセスリビダンス(S. lividans)ゲノムからのact遺伝子クラスター及びred遺伝子クラスター除去の図解的概要。 本発明におけるストレプトミセスリビダンス(S. lividans)菌株の抗生物質生合成の表現型の概要。 TK24とストレプトミセスリビダンス(S. lividans)ΔactΔredとの比較概要及びHPLC測定図。 本発明に係るプラスミドpMBD7、pMBD9及びpMBD12の図解的概要。 本発明におけるBACベクター、pMDB13及びpMBD14の図解的概要。 プラスミドpSGranと接合したストレプトミセスリビダンス(S. lividans)の概要とHPLC測定図とを比較した、本発明(無処理対照実験)のプラスミドpMBD10と接合したストレプトミセスリビダンス(S. lividans)の概要とHPLC測定図。 TK24/OSI700とTK24/22G9のHPLC測定図。 シュードモナスプチダ(P. putida)の染色体中にΦC31(ストレプトミセスファージ)attB部位が組み込まれていく工程の図解的概要。 BamBAC8がMBD1染色体へ組み込まれていく様子を表わしたサザン分析。 シュードモナスプチダ(P. putida)MBD1における異種性分子の発現を表わしたRP−HPLC溶出図。 高生産性接合の実験結果を表わす培養プレート。

Claims (30)

  1. (a) 複製起点、
    (b) 単一細胞宿主の対抗選択マーカー、及び
    (c) 単一細胞宿主の選択マーカー
    から成る単一細胞宿主の染色体へ遺伝的無標識突然変異を誘発するためのベクターであって、選択マーカーは単一細胞宿主での乗換えにより切除され得るものであり、それ故に、選択マーカーは乗換え後には単一細胞宿主のゲノム中には残留しない、上記ベクター。
  2. 対抗選択マーカーがストレプトミセス(Streptomyces)及びシュードモナス(Pseudomonas)種において対抗選択性であり、かつ、選択マーカーがストレプトミセス及びシュー
    ドモナス種において選択性である請求項1記載のベクター
  3. 複製起点がプラスミドpSG5の温度感受性複製起点である請求項1記載のベクター。
  4. 選択マーカーがチオストレプトン耐性を付与する請求項3記載のベクター。
  5. 対抗選択マーカーがrpslを含んでいる請求項4記載のベクター。
  6. ATCC受理番号PTA−3850のpGM160rpsL14及びATCC受理番号PTA−3849のpSrpsL6から成る群から選択された請求項5記載のベクター。
  7. ゲノム中のact遺伝子クラスターの無標識除去の修飾によりアクチノロジン生成不能であるように遺伝的修飾されたストレプトミセスリビダンス(S. lividans)菌株。
  8. ATCC受理番号PTA−3847を有する請求項7の遺伝的修飾されたストレプトミセスリビダンス菌株。
  9. ゲノム中のred遺伝子クラスターの除去を含む修飾によりウンデシルプロジギオシン生成不能であるように遺伝的修飾されたストレプトミセスリビダンス菌株。
  10. ATCC受理番号PTA−3848を有する請求項9の遺伝的修飾されたストレプトミセスリビダンス菌株。
  11. ゲノム中のact遺伝子クラスター及びred遺伝子クラスターの除去を含む修飾によりアクチノロジン及びウンデシルプロジギオシン生成不能であるように遺伝的修飾されたストレプトミセスリビダンス菌株。
  12. ATCC受理番号PTA−3846を有する請求項11の遺伝的修飾されたストレプトミセスリビダンス菌株。
  13. attB部位を含んでいるゲノムを有するように遺伝的修飾されたシュードモナス菌株。
  14. attB部位がファージΦC31のattB部位である請求項13記載の遺伝的修飾されたシュードモナス菌株。
  15. シュードモナスプチダ(P. putida)菌株である請求項13記載の遺伝的修飾されたシ
    ュードモナス菌株。
  16. attB部位がファージΦC31のattB部位である請求項15記載のシュードモナスプチダ菌株。
  17. ATCC受理番号PTA−3847を有するシュードモナスプチダMBD1である請求項16記載のシュードモナスプチダ菌株。
  18. ベクターに挿入されるカセットが
    (a) 第1loxP部位、
    (b) プロモーターに機能的に結合しているファージインテグラーゼをコードするDNA配列、
    (c) ベクターに含まれているDNA配列をシュードモナス属又はストレプトミセス属の染色体へ組み込むためのattP部位、
    (d) 接合の転移起点、及び
    (e) 第2loxP部位
    から成り、DNAカセット中では要素(b)、(c)及び(d)が、要素(a)と(e)との間に位置しているベクターを、大腸菌(E. coli)からストレプトミセス属又はシュードモ
    ナス属へ接合転移させるために、並びに、当該ベクターを該ストレプトミセス属又はシュードモナス属へ組み込むためのDNAカセット。
  19. インテグラーゼ及びattP部位がファージΦC31由来である請求項18記載のカセット。
  20. 更に抗生物質耐性遺伝子を含んでいる請求項18記載のカセット。
  21. ベクターを大腸菌からストレプトミセスへ接合転移させるためのDNAカセットが、
    (a) 第1loxP部位、
    (b) プロモーターに機能的に結合しているインテグラーゼをコードする遺伝子、
    (c) 該ベクターをストレプトミセス属の染色体へ組み込むためのattP部位、
    (d) 接合の転移起点、及び
    (e) 第2loxP部位
    から成り、DNAカセット中では要素(b)、(c)及び(d)が要素(a)と(e)との間に位置し、並びに
    (f) 対抗選択マーカーsacB
    を含み、該ベクターが部位特異的組換えにより該カセットを新しいベクターへin vitro転移させるためのドナーとして使用され得るものである、該ベクターを大腸菌からストレプトミセスへ接合転移させるためのDNAカセットを含んでいるベクター。
  22. pMBD7、pMBD9、及びpMBD12から成る一群から選択された請求項21記載のベクター。
  23. 巨大DNA断片をクローンし、大腸菌からシュードモナス又はストレプトミセスへ転移させるために使用され得る細菌人工染色体であって、該染色体が
    (a) 第1loxP部位、
    (b) プロモーターに機能的に結合しているインテグラーゼをコードする遺伝子、
    (c) 該ベクターをシュードモナス属又はストレプトミセス属の染色体へ組み込むためのattP部位、
    (d) 接合の転移起点、及び
    (e) 第2loxP部位
    から成り、該細菌人工染色体中では、要素(b)、(c)及び(d)が要素(a)と(e)との間に位置している細菌人工染色体。
  24. 更に抗生物質耐性遺伝子を含んでいる請求項23記載の細菌人工染色体。
  25. 更に巨大DNA断片が、単一の制限部位において細菌人工染色体へクローンされるような単一の制限部位を含んでいる、請求項23記載の細菌人工染色体。
  26. pMBD14、配列番号19である請求項25記載の細菌人工染色体。
  27. 更にBSTXI部位を含んで、巨大DNA断片が該BSTXI部位において細菌人工染色体へクローンされ、そして、高頻度複写の複製起点を該細菌人工染色体から除去した請求項23記載の細菌人工染色体。
  28. pMBD13である請求項27記載の細菌人工染色体。
  29. (a) 巨大DNA断片を含んでいる組換え細菌人工染色体(BAC)を有する大腸菌細胞を提供し、
    (b) 巨大DNA断片が転移されるストレプトミセス又はシュードモナス細胞を提供し、
    (c) 組換えBACがストレプトミセス又はシュードモナス細胞へ転移される大腸菌とストレプトミセス又は大腸菌とシュードモナス細胞が接触して、接合を引き起こし、そして
    (d) 組換えBACを含んでいるストレプトミセス又はシュードモナス細胞を選択する工程から成る、大腸菌からストレプトミセス又はシュードモナスへ巨大DNA断片を高生産性に転移させるための方法。
  30. 組換えBACをストレプトミセス又はシュードモナスへ組み込むための請求項29記載の方法。
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