JP2005509089A - 有益なバイオ膜による腐蝕防止 - Google Patents

有益なバイオ膜による腐蝕防止 Download PDF

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Abstract

本発明は、金属表面の腐蝕を防止および/または低減する保護バイオ膜を形成する細菌類を提供する。また、本発明は、金属腐蝕の抑制剤であるポリアニオン性化学組成物を分泌する金属上に保護バイオ膜を形成する細菌類も提供する。

Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、金属腐蝕の防止および/または低減に関する。さらに詳細には、本発明は、保護バイオ膜を含む金属、および保護バイオ膜による金属腐蝕の防止および/または低減方法を提供する。
【0002】
(背景技術)
金属類、コンクリートおよびモルタルのような材料に対する腐蝕損害は、現代の経済性おいてかなりの出費である。例えば、腐蝕損害の年間コストは、国民総生産のかなりの画分となると推定されている。腐蝕感受性材料、とりわけ金属類を腐蝕損害から保護する優れた方法により、これらのコストを有意に節減することができる。
カルボキシレート類(例えば、(C〜C10)の直鎖脂肪族モノカルボン酸類、(C〜C14)ジカルボン酸類、ポリマレイン酸およびポリアクリル酸)、ポリペプチド類およびポリホスフェートのような広範囲のアニオン性有機および無機化合物は、鋼、銅およびアルミニウムのような金属の腐蝕を抑制する(Sekineら, Electrochem. Soc., Vol. 139, 11:3167−3173頁, 1992年、これはここで参考として取り入れる;Hefterら, Corrosion. 53, 8:657−667頁, 1997年、これはここで参考として取り入れる;Wranglen, ”An Introduction to the Corrosion and Protection of Metals”, Halsted Press, New York, NY, 1972年)。従って、これらの抑制剤を金属類に適用することは、腐蝕損害を低減する1つの方法である。
腐蝕損害を低減する他の方法は、金属類のような腐蝕感受性材料上でのバイオ膜の増殖を防止することである。バイオ膜は、好気性細菌類からなり、自然環境において金属表面上に容易に発生し、これら表面の腐蝕速度を増大させることに関与している。代謝的に活性な細菌類は、表面に対する増強された侵蝕性向を示し、十分な栄養素の下に、外多糖類(exopolysaccaharide)を産生して成熟バイオ膜を形成する。従って、バイオ膜は、表面に付着した外多糖類マトリックス内に囲い込まれた微生物集団である。外多糖類は、表面への細菌類の固定を助長し、さらなるバイオ膜の発生に不可欠である。
【0003】
微生物類は、電気化学反応の速度を増大させ、それによって腐蝕メカニズムを変えることなく、殆どの金属類の腐蝕速度を増大させるものと信じられている(Littleら, Int. Mat Rev., 36, 6, 1, 1991年)。また、腐蝕は、金属表面上での不均一なバイオ膜形成および微小コロニーの発生によっても生じ得、金属表面近くでの酸素濃度勾配および差動通気セル(differential aeration cells)をもたらす。典型的には、金属表面近くに位置する好気性バイオ膜の領域は、細菌の呼吸によって生ずる酸素欠乏のために無酸素状態である。硫酸塩還元性細菌は、これらの嫌気性領域において発生し、広範な金属表面に対して著しい腐食損害を生じ得る。
微生物によって生ずる腐食に対処する通常の方法としては、pH調整、レドックス電位操作、無機コーティング、陰極性保護および殺生剤がある。塗料またはエポキシ類のような保護コーティングは、一般的に使用されているが、適用および保全に費用がかかる。陰極性保護は、電気防食陽極と接続するかまたは外部電源から耐腐食性陽極に電流を通すことによって金属表面上の陰極反応を刺激する必要がある。電流は、金属表面上の電気化学的電位を低下させ、それによって金属カチオン形成および結果としての腐蝕を防止する。
殺生剤は、恐らく、微生物によって生ずる腐食を低減させる最も普通の方法である。塩素、クロラミン類、および塩素化化合物のような酸化性殺生剤は、多くの場合、淡水系において使用される。塩素および塩素化誘導体は、最もコスト効率性で有効な殺生剤である。しかしながら、塩素および塩素化化合物の活性はpH、光および温度に依存しており、これらのハロゲン誘導体は、通常、バイオ膜増殖を阻害しない。
第4級塩、アミンタイプ化合物およびアンスラキノン類のような非酸化性殺生剤は、安定であり、種々の環境において使用し得る。しかしながら、これらの殺生剤は、費用高であり、重大な環境劣化を生じ得る。
微生物によって生ずる腐食を制御する他の方法は、栄養素操作によってとりわけ有害な微生物の増殖を抑制することである。また、表面への細菌付着を防止するポリマー類を使用して表面をコーティングし、それによってバイオ膜形成を防止するもできる。
【0004】
驚くべきことに、最近の幾つかの研究においては、好気性細菌が鋼、銅およびアルミニウムのような金属表面上に保護バイオ膜を形成することによって金属腐蝕を抑制することが示唆されている(K.M. Ismailら, Electrochimica Acta、印刷中;K. M. Ismailら、Corrosionへ投稿済み;A. Jayaramanら, Journal of Industrial Mocrobiology 18:396−401, 1997年;A. Jayaramanら, Journal of Applied Microbiology 84:485−492, 1997年;A. Jayaramanら, Applied Microbiology & Biotechnology 47:62−68, 1997年;A. Jayaramanら, Applied Microbiology & Biotechnology 52:787−790, 1997年、これらはここで参考として取り入れる)。好気性細菌は、呼吸により、金属を酸化させる酸素を欠乏させ得る(A. Jayaramanら, Applied Microbiology & Biotechnology 48:11−17, 1997年、ここで参考として取り入れる)。
しかしながら、酸素欠乏は、嫌気性硫酸塩還元性細菌類が金属表面に群落しかなりの腐食損害を生ずる機会も創生し得る。即ち、金属腐蝕を抑制するバイオ膜の使用は、硫酸塩還元性細菌によって生ずる腐食による反対作用も起し得る。最近、上記問題に対する可能性ある解決法において、硫酸塩還元性細菌の増殖を抑制する抗菌性たんぱく質を分泌する遺伝子操作された好気性細菌を使用して、ステンレススチールの全体的腐蝕を抑制するバイオ膜を形成させている(A. Jayaramanら, Journal of Industrial Microbiology and Biotechnology 22:167−175, 1999;A. Jayaramanら, Applied Microbiology and Biotechnology 52:267−275, 1999、これらはここで参考として取り入れられる)。
鋼、銅またはアルミニウムの腐蝕を低減または防止するバイオ膜の能力は最近示唆されているが、他の金属の腐蝕を防止または低減するバイオ膜の使用は、まだ研究されていない。さらに、ポリアニオン性化学組成物を分泌して金属類の全体的腐蝕を防止する保護バイオ膜を形成する遺伝子操作された細菌の使用も、まだ研究されていない。そのような発明は、バイオ膜類が腐蝕抑制剤および殺生剤よりもはるかに安価であるため、また、これらのバイオ膜が天然に形成され自己永続性であるので、当該技術における著しい進歩である。
【0005】
(発明の開示)
本発明は、金属表面の腐蝕を防止および/または低減する保護バイオ膜を形成する細菌類を使用することによって上記の要求に対処する。また、本発明は、保護バイオ膜を形成し且つ金属腐蝕の抑制剤であるポリアニオン性化学組成物を分泌する細菌類も提供する。
1つの様相において、本発明は、外表面を有する基体を有する鋼、銅またはアルミニウムではない金属を提供する。保護バイオ膜は、その外表面の腐蝕を低減する外表面上に存在させる。
1つの実施態様においては、上記金属は黄銅UNS−C26000である。もう1つの実施態様においては、上記バイオ膜は細菌である。好ましくは、上記細菌は好気性生物であり、より好ましくは、上記細菌はバチルス スブチリス(Bacillus subtilis)またはバチルス リケニホルミス(Bacillus licheniformis)である。好ましくは、上記バイオ膜は、約10μm〜約20μmの厚さである。
もう1つの様相においては、本発明は、金属腐蝕の低減方法を提供する。本発明の方法においては、外表面を有する鋼、銅またはアルミニウムではない金属を用意し、腐蝕を低減する保護バイオ膜を外表面上に適用する。
1つの実施態様においては、上記金属は黄銅UNS−C26000である。もう1つの実施態様においては、上記バイオ膜は細菌である。好ましくは、上記細菌は好気性生物であり、より好ましくは、上記細菌はチルス スブチリスまたはバチルス リケニホルミスである。好ましくは、上記バイオ膜は、約10μm〜約20μmの厚さである。1つの実施態様においては、上記金属は、液体中に浸漬される。好ましくは、その液体は、人工海水またはルリア−バータニ(Luria−Bertani)媒体である。
【0006】
さらにもう1つの様相においては、本発明は、外表面を有する基体である金属を提供する。保護バイオ膜は、ポリアニオン性化学組成物を分泌し、外表面上におかれ、外表面の腐蝕を低減する。
1つの実施態様においては、上記金属は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、ニッケルまたはニッケル合金である。もう1つの実施態様においては、金属は鋼である。好ましい実施態様においては、鋼は軟鋼−1010である。
好ましくは、細菌は好気性生物であり、より好ましくは、細菌は大腸菌(E. coli)である。1つの実施態様においては、この細菌は、遺伝子操作されてポリアニオン性化学組成物を分泌する。もう1つの実施態様においては、このポリアニオン性化学組成物はポリホスフェートである。好ましくは、上記バイオ膜は、約10μm〜約20μmの厚さである。
最後の様相においては、本発明は、金属腐蝕のもう1つの低減方法を提供する。この方法においては、外表面を有する金属を用意し、腐蝕を低減する保護バイオ膜を外表面上に適用する。この保護バイオ膜は、ポリアニオン性化学組成物を分泌する細菌である。
1つの実施態様においては、上記金属は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、ニッケルまたはニッケル合金である。もう1つの実施態様においては、金属は鋼である。好ましい実施態様においては、鋼は軟鋼−1010である。
好ましくは、細菌は好気性生物であり、より好ましくは、細菌は大腸菌である。1つの実施態様においては、この細菌は、遺伝子操作されてポリアニオン性化学組成物を分泌する。もう1つの実施態様においては、このポリアニオン性化学組成物はポリホスフェートである。好ましくは、上記バイオ膜は、約10μm〜約20μmの厚さである。1つの実施態様においては、上記金属は液体中に浸漬される。好ましくは、その液体は、人工海水またはルリア−バータニ媒体である。
【0007】
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の好ましい実施態様について詳細に説明する。本発明を好ましい実施態様に関連して説明するけれども、本発明をこれらの好ましい実施態様に限定するものではないことを理解されたい。逆に、特許請求の範囲において定義したような本発明の精神および範囲に属し得る変更、修正および均等物は、本発明に包含されるものとする。
本発明の金属102を図1に示す。金属102は、少なくとも1つの外表面104を有する任意の可能性ある形状を有し得る。従って、例えば、基体の選択は、使用または形状によって制約されない。また、金属基体の外表面も使用または形状によって制約されない。一般に、図1に示すように、基体の外表面上に、外表面の腐蝕を低減または防止する保護バイオ膜106を存在させる。
好ましい実施態様においては、多糖類コーティング内に取り囲まれた付着性細菌が金属上に保護バイオ膜を形成する。好ましくは、保護バイオ膜は、約10μm〜約20μmの厚さである。好ましい実施態様においては、保護バイオ膜は好気性細菌から形成される。
好ましくは、保護バイオ膜の厚さは、共焦点走査レーザー顕微鏡のような当該技術において既知の方法によって測定し得る(A. Jayaramanら, J. Appl. Microbiol., 84: 485, 1998年;A. Jayaramanら, J. Industrial Microbiology & Biotechnology 22:167, 1999年;1999年3月31日に出願された米国特許出願第09/282,277号)。バイオ膜から得られた共焦点走査レーザー顕微鏡データの画像処理と解析も、当該技術における既知の方法によって行い得る(A. Jayaramanら, J. Appl. Microbiol., 84: 485, 1998年;A. Jayaramanら, J. Ind. Microbiol. & Biotechnol. 22:167, 1999年;1999年3月31日に出願された米国特許出願第09/282,277号)。
【0008】
一般に、1つの好ましい実施態様においては、細菌が保護バイオ膜を形成する場合、金属は、銅、アルミニウムまたは鋼以外の任意の金属である。好ましくは、金属は、鉄、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、銅合金、ニッケル、ニッケル合金またはこれらの混合物である。より好ましくは、金属は、黄銅UNS−C26000であり、この標示は、この標示のための工業的基準を満たす特定等級の黄銅を称する。
好ましくは、細菌が保護バイオ膜を形成し且つまたアニオン性化学組成物をも分泌する場合には、金属は、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、軟鋼、ステンレススチールまたはこれらの混合物である。好ましくは、金属は鋼であり、より好ましくは、軟鋼−1010であり、この標示は、この標示のための工業的基準を満たす特定等級の鋼を称する。
一般に、細菌は、金属基体の外表面の腐蝕を低減または防止する金属環境に適合し得えなければならない。例えば、海水中での腐蝕からの金属保護を必要とする場合、細菌は、海水と適合性でなければならない。逆に、淡水中での腐蝕からの金属保護を必要とする場合、細菌は、淡水と適合性でなければならない。
好ましくは、金属は、液体中に浸漬される。より好ましくは、その液体は、バターネン9(Vataanen nine)塩溶液(好ましくは、約pH 7.5)またはルリア−バータニ媒体(好ましくは、約pH 6.5)である。
【0009】
選択する細菌類は、金属表面上でバイオ膜を形成し得なければならない。個々の細菌の種々の環境におけるバイオ膜形成能力を測定する方法は、当該技術において既知である(Jayaramanら, J. Appl. Microbiol. Biotechnol., 48: 11−17, 1997年)。好ましくは、バチルス(Bacillus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、セラティア(Serrtia)属またはエシェリヒア(Esherichia)属からの細菌を使用して金属類上にバイオ膜を形成させる。より好ましくは、バチルス属からの細菌を使用して金属上にバイオ膜を形成させる。最も好ましくは、バチルス スブチリスおよびバチルス リケニホルミスを使用して金属の外表面上にバイオ膜を形成させる。もう1つの好ましい実施態様においては、大腸菌を使用して金属の外表面上にバイオ膜を形成させる。
さらに、バイオ膜を形成させるのに使用する細菌類は、金属の環境条件の温度およびpH条件下において増殖しなければならない。殆どの細菌種の温度、pH、他の環境条件および許容性は、熟練技術者であれば、当該技術における既知の情報を使用して、一般的に確認し得ることである。即ち、当業者であれば、特定の細菌が金属環境において増殖するかどうかを確認することは可能なことである。
細菌類は、細菌類が表面に接触し得る任意の手段によって、基体の外表面に適用し得る。従って、例えば、細菌類は、基体の外表面に、細菌類または細菌類を含有する混合物を腐食感受性材料の外表面上に接触させ、スプレーし、ブラシ掛けし、ホース掛けし、或いはドリッピングすることによって適用することができる。細菌類は、存在するバイオ膜内に空間を生ずるためのスクラッピングによってまたは表面のスクラッピングなしでも表面上に適用することができる。
【0010】
バイオ膜は、金属の外表面を腐蝕から保護すべきである。金属表面の腐蝕を検出ための当業者にとって周知の好ましい方法は、電気化学インピーダンス分光測定法である。電気化学インピーダンス分光測定法は、細菌誘発型腐食の実験室研究において、さらに野外における腐蝕モニタリングにおいて使用されている(A. Jayaramanら, J. Appl. Microbiol. Biotechnol., 48: 11−17, 1997年)。電気化学インピーダンス分光測定法は、連続媒体実験において腐蝕を測定するのに理想的な非侵略的な方法である。従って、当業者であれば、電気化学インピーダンス分光測定のような方法を使用して、バイオ膜が金属外表面を特定の環境における腐蝕から保護しているかどうかを容易に測定できるだろう。
バイオ膜の耐腐食効果は、腐蝕を低減させる化学組成物(好ましくは。ポリアニオン性化学組成物)を分泌する細菌を使用してバイオ膜を形成させることによって増強させることができる。細菌類は、腐蝕を低減する化学組成物を本来的に分泌し得るか、或いは遺伝子操作して腐蝕を低減する化学組成物を分泌するようにすることができる。
例えば、アミノ酸類は、有効な腐蝕抑制剤として当該技術において周知である。最近、ポリグルタミン酸塩、ポリグリシン、ポリアスパラギン酸塩またはこれらアミノ酸類の組合せのようなポリペプチド類が金属類の腐蝕の低減において有効であることが示されてきている。従って、ポリグルタミン酸塩、ポリグリシン、ポリアスパラギン酸塩またはこれらアミノ酸類の混合物のような化学組成物を分泌する好気性バイオ膜は、腐蝕低減において有効であり得る。
【0011】
ポリアニオン類も有効な腐蝕抑制剤として当該技術において周知である。従って、ポリアニオン性化学組成物を分泌する好気性バイオ膜は、腐蝕を低減するのに有効である。好ましい実施態様においては、ポリホスフェートのようなポリアニオン性化学組成物を分泌するように遺伝子操作した細菌を使用して金属類上にバイオ膜を形成させる。
パラバクチン(parabactin;パラコッカス デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans)から単離)およびエンテロバクチン(enterobactin;大腸菌から単離)のようなシデルホア(siderphore)類は、細菌類によって産生分泌されて輸送のための第2鉄イオンを可溶化する比較的低分子量のキレート化剤であり、鉄の腐蝕を抑制する。従って、シデルホア類も鉄の腐蝕を低減し得る。
シデルホア遺伝子は、強力な構成プロモーターの制御下に置換されて細菌内で過発現し、上記のキレート化剤を正常に分泌し得る。また、細菌類を、シデルホアを含む化学組成物を分泌するように遺伝子操作することもできる。その後、これらの細菌類を使用して、金属類を腐蝕から保護するバイオ膜を形成させることができる。
本発明において使用する細菌類は、1種以上の耐腐食剤を分泌し得る。2種以上の耐腐食剤を分泌する細菌類の使用は、2種の耐腐食剤が金属腐蝕を相乗的に低減する場合に有利であり得る。例えば、細菌類を、ポリアスパラギン酸塩、ポリグルタミン酸塩、これら2種のペプチド類からなるポリペプチド類、パラバクチン、エンテロバクチン、他のシデルホア類、ポリホスフェートのようなポリアニオン類またはこれらの混合物のような複数の耐腐食剤を産生するように遺伝子操作することができる。
【0012】
細菌類は、遺伝子発現技術における周知の方法を使用する組換えDNA技術によって、ポリグルタミン酸塩もしくはポリアスパラギン酸塩のようなポリペプチド類、シデルホア類またはポリアニオン類を分泌するように遺伝子操作し得る。これらの方法としては、例えば、インビトロ組換えDNA法、合成法およびインビボ遺伝子組換え法がある。腐蝕防止性のポリペプチド類、シデルホア類またはポリアニオン成分の発現系のDNAおよびRNAコード化ヌクレオチド配列を、例えば、商業的に入手し得る合成剤を使用して、化学的に合成することもできる。
種々の宿主発現ベクター系を使用して腐蝕防止性のポリペプチド類、シデルホア類またはポリアニオン類を発現させることができる。本発明の目的において使用し得る発現系としては、限定するものではないが、腐蝕防止性のポリペプチド類、シデルホア類またはポリアニオン成分の発現系をコード化するヌクレオチド配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターによって形質転換させた大腸菌またはB.スブチリスのような細菌類がある。
腐蝕防止性のポリペプチド類、シデルホア類またはポリアニオン成分の発現系を含有する化学組成物を、バイオテクノロジー技術における熟練者とって既知の発現系を使用して、原核細胞内に発現させることもできる。本発明の実施において有用であり得る発現系は、米国特許第5,795,745号、第5,714,346号、第5,637,495号、第5,496,713号、第5,334,531号、第4,634,677号、第4,604,359号、第4,601,980号に記載されている。
即ち、非相同性DNAを含むDNAを細菌細胞内に導入し、得られる遺伝子生成物を発現させる多くの方法が、当該技術において既知である。細菌類を形質転換させて腐蝕防止性のポリペプチド、シデルホアまたはポリアニオンの化学組成物を発現させる方法は、本発明の実施においては重要ではない。好ましい実施態様においては、ポリホスフェートキナーゼ遺伝子およびリン酸塩特異性輸送系を含有するプラスミドを使用して、大腸菌を形質転換させる。その後、得られた移入体は、ポリホスフェートを分泌する。
【0013】
実施例
以下の実施例は、本発明の特徴を単に例示する目的で提示するものであり、本発明の範囲を如何なる形においても限定するものではない。
実施例
カートリッジ黄銅(UNS−C26000、70%CU/30%Zn)プレート(10 cm×10 cm四方、2 mm厚)をシート材から切取り、240グリット紙(Buehler社、イリノイ州レークブルッフ)で研磨した。人口海水は、バターネン9種塩溶液(VNSS、pH 7.5)であった(G. Hernandezら, Corrosion Science, 50, 603, 1994年)。ルリア−バータニ(LB、pH 6.5)媒体は、1リットル当り10 gのトリプトン、5 gの酵母抽出物、および10 gのNaClから調製した富増殖培地であった(T. Maniatisら, ”Molecular Cloning: A Laboratory Manual.” Cold Spring Harbor, 1982年)。カルガリー大学のSui−Lam Wong博士から入手したバチルス スブチリスWB600は、プロテアーゼ欠乏株である(カナマイシン耐性誘導体を本実施例においては使用した) (X.−C. Wu,ら, J. Bacteriol. 173., 4952, 1991年)。バチルス リケニホルミス9945aは、American Type Culture Collectionから入手した。黄銅UNS−C26000上のバイオ膜は、ガラス/テフロン(登録商標)円筒状連続反応器内で、約30℃のLBまたはVNSS中で、約0.2 mL/minの液体栄養素流量によって発生させた(A. Jayaraman,ら, Appl. Microbiol. Biotechnol., 48, 11, 1997年)。空気流は頭部空間に向けて約200 mL/minであり、反応器の処理容積は約100 mLまたは150 mLであり、試験電極の露出表面積は約28.3 cmであった。各連続反応器(無菌および接種)を約100 μg/mLのカナマイシンの存在下に操作して無菌性を確立させた(B.リケニホルミスを除く)。濁り16時間培養物からの1%(容積/容積)細菌接種物を各連続試験において使用した。
【0014】
実施例
チタン対向電極(11.3 cm表面積)とオートクレーブ処理可能なAg/AgCl参照電極(Ingold Silver Scavenger DPASモデル105053334;Metler−Toledo Process Analytical社、マサチューセッツ州ウィルミントン)を使用して、実施例1で述べたようにして調製した黄銅UNS−C26000上のバイオ膜の電気インピーダンス分光測定を行った。
電気化学インピーダンスデータは、Gateway Pentium GP6 300 MHZコンピュータ(サウスタコダ州ノースシオックスシティー)にインターフェイスさせたTHALES Impedance Measurement and Equivalent Circuit Synthesis/ Simulation/Fittingソフトウェアによって操作する16チャネル電池マルチプレクサを備えたIM6 Electrochemical Impedance Analyzer(Bioanalytical Systems −Zahner社、インディアナ州ウェストラファイエット)を使用して、20 kHz〜1.3 mHzの周波数範囲の開路電位Ecorrで得た。
各試験は、VNSSおよびLB媒体中の黄銅UNS−C26000において実施し、表1に列挙している。幾つかの試験は重複して行っている。
【0015】

Figure 2005509089
無菌VNSS(pH 7.5)において得られたボーデ(Bode)プロットを図2に示し、図3はB.スブチリスの存在する相応するボーデプロットを示している。図2と図3とのインピーダンススペクトルの比較は、バイオ膜の存在が腐蝕保護を与えていることを定性的に示唆している。図4は、VNSS中で1日、3日および10日間暴露後の黄銅において得られたインピーダンススペクトルを示し、図5および6は、それぞれ、B.スブチリスWB600/ pBE92−ポリアスパルテート(ポリアスパルテートを産生する)およびB.リケニホルミス(γ−ポリグルタメートを産生する)の存在下で得られたインピーダンススペクトルを示している。
【0016】
極めて腐食性のVNSSにおいては、インピーダンスデータは低く、数時間の一定状態が図4において示されるように観察された。しかしながら、バイオ膜の存在においては、インピーダンスの大きな上昇が、図5および6において分るように、主として容量挙動を伴って観察された。腐蝕速度に比例する正規化逆分極抵抗1/Rの時間依存性を図7に示しており、キャパシタンスCを図8に示している。バイオ膜をコーティングした黄銅における腐食速度は、図7に示すようにおよそ同じであり、黄銅単独よりも低かった。キャパシタンスCは、試験の初期段階の無菌溶液において僅かに低めであった。しかしながら、暴露終了時において、極めて類似するC値が、黄銅をバイオ膜でコーティングする3つの溶液すべてにおいて得られた。
VNSS中で黄銅UNS−C26000を保護する各バイオ膜の能力は、腐蝕電位(Ecorr)が時間と共に上昇することから、黄銅表面の酸素濃度の低下に基づくものではない。即ち、黄銅の高品位化(ennoblement)は、図9に示しているように、バイオ膜の存在するVNSSにおいて観察された。10日後、Ecorrは、細菌を含まないVNSSにおいては約100 mV低下していた。
VNSSに暴露させたサンプルは暗色膜によって覆われ、一方、細菌類を含有するVNSSに暴露させたサンプルは、変色しないままであり、腐蝕性侵蝕の兆候を示さなかった。HSO/NaCr溶液中で腐蝕生成物を除去した後、局在化侵蝕の兆候は、無菌VNSSに暴露させたサンプルにおいて見出せなかった。即ち、腐蝕過程は、黄銅の通常受ける脱亜鉛化メカニズムによって進行するものと想定される。
【0017】
pH = 6.5のLB媒体中で実施した各試験(表1)も同様な結果を生じていた。無菌LB媒体中において得られたインピーダンススペクトルは、図10に示すように、Rによる直列のウォーバーグ(Warburg)インピーダンス(ランドレス回路)によって示される拡散制御法において観察されるインピーダンススペクトルと同様であった。ポリアスパルテート(図11)またはγ−ポリグルタメート(図12)を産生するバイオ膜の存在においては、そのインピーダンスは、VNSSにおいて得られた結果(図2〜6)と同様な本質的な容量挙動を伴ってはるかに高かった。1/Rとして表す相対腐蝕速度およびキャパシタンスCの時間依存性は、それぞれ、図13および図14に示す。
腐蝕速度は、図10、11および12を比較することによって理解できるように、2種の各バイオ膜が存在する場合(極めて同様な腐蝕速度が観察された)よりも無菌LB媒体において相当程度に高かった。各バイオ膜が存在するLB媒体において測定したR値は、図13において示すように、VNSSにおける同じ条件において観察された値と同様であった。約10オーム/cmの平均R値は、約2μm/年の腐蝕速度に相当し、この値は全く低い。キャパシタンス値は、LB媒体における表1のすべての暴露条件において同様であった(図14)。重複試験は、図13および14において理解できるように、RおよびCそれぞれに匹敵する値を生じていた。図14の結果は、バイオ膜の形成が未知のメカニズムによって腐食性侵蝕を防止していることを示しているようである。
【0018】
無菌LB媒体への暴露後、サンプルは、腐蝕生成物の暗色膜に覆われていた。その膜をHSO/NaCr溶液中で除去したとき、局在化した侵蝕の兆候は見出せなかった。細菌による各試験において使用したサンプルは、変色しないままであり、腐食性侵蝕の兆候を何ら示さなかった。高品位化も、これらの系においては、無菌溶液(試験#166)とy−ポリグルタメートを産生するB.リケニホルミスを含有する溶液(試験#132および167)との間の約200 mVのEcorr差によって観察され、その高品位化は、ポリアスパルテートを産生するB.スブチリスWB600/pBE92−ポリアスパルテート(試験#131および168)におけるよりも明白なようであった(図15)。
VNSSおよびLB媒体中での黄銅UNS−C26000の腐蝕挙動のこの試験において使用した微生物は、腐蝕損害を有意に低減できていた。無菌媒体中で形成された腐蝕生成物の黒色膜は、使用細菌類の存在下においては観察されなかった。観察された腐蝕防護は、負方向へのEcorrシフトを発生させているので、黄銅表面での酸素濃度の有意の低下によるものではない。
【0019】
実施例
大腸菌MV1184、プラスミドpBC29 (リン酸塩基のATPからポリホスフェート鎖への可逆的転移を触媒する大腸菌のppkポリホスフェートキナーゼ遺伝子を含有する)およびプラスミドpEPO2.2 (リン酸塩特異性輸送系をコード化する大腸菌のpstオペロンを含有する)を、日本の広島大学Kato教授から入手した(Katoら, Applied and Environmental Microbiology 59, 11: 3744, 1993年)。大腸菌MV1184 (pBC29 + pEPO2.2)を、上記各プラスミドを大腸菌MV1184株中にエレクトロポーレイティングすることによって構築した。この組換え体は、IPTG (Fisher Scientific社、ペンシルベニア州ピッツバーグ)の存在にポリホスフェートを分泌することができ、25μg/mlのクロランフェニコール(pEPO2.2プラスミド)および50μg/mlのアンピシリン(pBC29プラスミド)に耐性である。大腸菌MV1184は、10μg/mlのテトラサイクリンに耐性である。大腸菌MV1184と大腸菌MV1184 (pBC29 + pEPO2.2)の双方を、−80℃のグリセリンストックから、必要な抗生剤を補充した25 mLのLB媒体を含む250 mLのシェーカーフラスコ中に接種し、37℃、250 rpmで1夜増殖させた(シリーズ25シェーカー;New Brunswick Scientific社、ニュージャージー州エジソン) (Maniatis,ら, ”Molecular cloning: A laboratory manual” Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1982年)。
【0020】
実施例
人口海水(即ち、バターネン9種塩溶液(VNSS))を使用して、軟鋼の腐蝕速度に対する1 g/Lの精製ポリホスフェート(Sigma Chemicals社、ミズーリ州セントルイス)の効果を試験した。10 cm四方(1.2 mm厚)の軟鋼1010 (UNS G10100)をシート材(Yarde Metals社、コネチカット州ブリストル)から切取り、240グリット研磨紙(Buehler社、イリノイ州レークブルッフ)で研磨した。金属表面を、連続試験終了時に、水道水流中に保持しゴムストッパーで激しくこすることによって清浄にした。
後期指数期培養物からの1%(容積/容積)接種物をすべての連続培養試験において使用した。連続反応器系は、流動系において電気インピーダンス分光測定によって腐蝕速度をモニターするように設計構築した。8基ほどの多くの反応器を同時にモニターし得る。上記金属サンプルが反応器の底部を形成し(金属サンプルの四隅は反応器の1部ではない)、ガラスシリンダー(5.5 cmまたは6.0 cm直径)が反応器系の壁を形成し、1 cm厚のテフロン(登録商標)プレート(12.6 cm×12.6 cm)が反応器頂部を形成するようにした。反応器の処理容積は、200 mL/min (FM1050シリーズフローメーター;Matheson Gas Company社、カリフォルニア州クカモンガ)の空気流による100 mLまたは150 mLであった。増殖温度は、反応器の周りに巻いた加熱用テープによって37℃に維持した。無菌媒体は、10回転電位差計を有するMasterflex精度標準ドライブ(Cole−Parmer社、イリノイ州ナイレス)を使用して、12 mL/hrの速度で連続的にポンプ吸引した。各反応器(無菌および接種)は、必要な抗生剤によって操作し、無菌性または上記大腸菌の存在を確立させた。各バイオ膜をバッチ方式で15〜18時間に亘って発生させ、その後、栄養素を連続添加し、バイオ膜発生を電気化学インピーダンス分光測定によってモニターした。サンプル試験片は、中心のチタン対向電極(3.8 cm直径、金属プレートの上1.5 cmの位置)および周辺(金属プレートの上3.0 cm)のオートクレーブ処理可能な参照電極(モデル105053334 Ingold Silver Scavenger DPAS電極;Mettler−Toledo Process Analytical社、マサチューセッツ州ウィルミントン)を有する反応器の底部にあった。すべての試験を少なくとも重複して実施した。
【0021】
分極抵抗(R)および開路電位データ(Ecorr)は、THALESソフトウェアで操作するGateway PCコンピュータにインターフェイスさせたBAS−Zahner IM6を使用するacインピーダンスデータから得た。測定は、20 kHz〜1.3 mHzの周波数において行った。試験インピーダンススペクトルは、等価回路(BC)分析を使用して分析した。分極抵抗(R)は、腐蝕電流密度icoor (即ち、腐蝕速度)に反比例する(Sternら, Juornal of Electrochemical Society, 104: 56, 1957年)。Stern−Geary等式は、下記のとおりである:
coor = ββ/2.303(R) (ββ
式中、βおよびβは、それぞれ、陽極性および陰極性のタッフェル(Tafel)傾斜である。インピーダンス分光測定法を使用する利点は、バイオ膜によって覆われた金属類の腐蝕速度を、バイオ膜を撹乱させることなく測定できることである。従って、金属腐蝕防止におけるバイオ膜類の絡割を性格に測定することができる。
精製ポリホスフェート(1 g/L)をVNSSに添加したところ、無菌VNSSに比較して、軟鋼の腐蝕速度(1/R)を、ph 7.5、30℃で5倍近く低下させることが判明した。ポリホスフェート含有媒体は透明であり、この媒体中の金属も変色物を比較的含んでいなかった;対照的に、ポリホスフェートを含まない媒体は、濁っており(僅かに褐色)、金属は3日間のバッチ操作において錆付いていた。
【0022】
その後、遺伝子操作細菌から産生させたポリホスフェート(その調製については、実施例3に記載している、大腸菌MV1184 /pBC29 + pEPO2.2)の存在下における連続反応器内での軟鋼の腐蝕挙動を試験した。この株がポリホスフェートを産生し分泌するためには、リン酸塩と0.5 mM濃度のIPTGを栄養素媒体に添加しなければならない。その後、この細菌は、リン酸塩をポリホスフェートに転化してポリホスフェートを分泌する。従って、0.1〜5.0 g/LのKHPOを、12 mL/hの流量で反応器に連続ポンプ吸引している上記ポリホスフェート産生株およびポリホスフェートを産生しない対照MV1184双方の媒体中に添加した。この方法において、腐蝕低減におけるポリホスフェート形成の利点が、リン酸塩単独の効果よりも高く評価された。
大腸菌MV1184 (pBC29 + pEPO2.2)と大腸菌MV1184は共に良好に増殖していた。図16は、腐蝕電位Ecorrが、無菌対照に比較したとき、バイオ膜形成(Jayaramanら, Applid Microbiology and Biotechnology, 48: 11−17, 1997年)の結果として300〜400 mV上昇していたことを示す。より価値ある値へのこの有意の変位は、表面膜のより高度の保護挙動を示している。軟鋼のEcorrは、5日間の試験の間連続的に上昇していた。
大腸菌MV1184 (pBC29 + pEPO2.2)を有する軟鋼において、0.1、1.0および5 g/LのKHPO並びに0.5 mMのIPTGをpH 7.0および37℃で含有するLB媒体を連続反応器において使用し、ポリホスフェート産生が最大となるようにした。ポリホスフェートを分泌しない大腸菌MV1184を、バイオ膜形成対照として使用した。LB媒体中での種々のKHPO濃度における軟鋼の分極抵抗(R)を表2に示す。0.1〜5.0 g/LのKHPOを含有するLB媒体中での軟鋼の分極抵抗を1時期一定モデル(OTCM)即ちウォーバーグ(Warburg)モデルによって測定した。5日間試験の最後の3〜6日間の平均R×A値を表2に示している。
【0023】
Aは、3〜6日間において平均した金属片(45.4 cm)の露出表面積(A)を掛けた分極抵抗を示す。Rは、1時期一定モデルから得る。

Figure 2005509089
【0024】
1 g/LのKHPOを含有する大腸菌MV1184/pBC29 + pEPO2.2 (ポリホスフェートを産生する)は、軟鋼において、大腸菌MV1184に比較して腐蝕速度を2.3倍低下させているようである。しかしながら、0.1または5 g/LのKHPOを含有するLBにおいては、ポリホスフェート産生の利益はなかった。
図17は、LB中の大腸菌培養物への5日間暴露中の軟鋼において得られた適合パラメーター1/R(相対的腐蝕速度)の時間依存性を示す。インピーダンス分析は、大腸菌MV1184 (pBC29 + pEPO2.2)および大腸菌MV1184の添加により、無菌LB媒体に比較して、軟鋼の腐蝕速度が3.8および1.6(5日間試験の最後の4日の平均)低下したことを示していた。従って、ポリホスフェートを産生する遺伝子操作大腸菌MV1184 (pBC29 + pEPO2.2)のバイオ膜は、大腸菌MV1184に比較して、軟鋼の腐蝕速度を2.3倍低下させて得ていた(モデル化した結果に基づく)。
LB中の大腸菌および無菌LBに暴露させた後の軟鋼片の表面外観を検査した。目視検査において、軟鋼の表面は完全に黒色であった(無菌LB媒体)。しかしながら、バイオ膜が存在していた場合、軟鋼は全く影響を受けていなかった(すべて大腸菌培養物);従って、金属表面上でのバイオ膜形成は、軟鋼の腐蝕低減をもたらしていた。
【0025】
最後に、本発明の方法および装置を実施する別の方法も存在することに留意すべきである。例えば、種々の細菌類を使用してバイオ膜を形成させ得るし、これらの細菌類は種々の腐蝕防止性の化学組成物を分泌し得る。バイオ膜は種々の金属類上で増殖し得るし、種々のバイオ膜を人口海水と異なる環境内の金属類上で増殖させ得る。従って、上記の各実施態様は例示であり限定するものではないとみなすべきであり、本発明は、本明細書で開示した詳細に限定すべきではなく、特許請求する範囲およびその均等物内において修正可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
保護バイオ膜で被覆されている外表面を有する腐蝕感受性基体を示す。
【図2】
pH 7.5のバターネン9種塩溶液に5.5日間暴露中の黄銅UNS−C26000において得られたインピーダンススペクトルを示す。得られたスペクトルをボーデプロットにおいてプロットしている。
【図3】
バチルス スブチリスWB600の存在するpH 7.5のバターネン9種塩溶液に5.5日間暴露中の黄銅UNS−C26000において得られたインピーダンススペクトルを示す。得られたスペクトルをボーデプロットにおいてプロットしている。
【図4】
pH 7.5のバターネン9種塩溶液に10日間暴露中の黄銅UNS−C26000において得られたインピーダンススペクトルを示す。得られたスペクトルをボーデプロットにおいてプロットしている。
【図5】
ポリアスパラギン酸塩を産生するバチルス スブチリスWB600/pBE92−Aspの存在するpH 7.5のバターネン9種塩溶液に10日間暴露中の黄銅UNS−C26000において得られたインピーダンススペクトルを示す。得られたスペクトルをボーデプロットにおいてプロットしている。
【図6】
γ−グルタミン酸塩を分泌するバチルス リケニホルミスの存在するpH 7.5のバターネン9種塩溶液に10日間暴露中の黄銅UNS−C26000において得られたインピーダンススペクトルを示す。得られたスペクトルをボーデプロットにおいてプロットしている。
【図7】
pH 7.5のバターネン9種塩溶液に多くの種々の条件下で暴露中の黄銅UNS−C26000における相対腐蝕速度1/Rの時間依存性を示す。
【図8】
pH 7.5のバターネン9種塩溶液に多くの種々の条件下で暴露中の黄銅UNS−C26000におけるキャパシタンスCの時間依存性を示す。
【図9】
pH 7.5のバターネン9種塩溶液に多くの種々の条件下で暴露中の黄銅UNS−C26000におけるEcorrの時間依存性を示す。
【図10】
pH 6.5のルリア−バータニ媒体に8日間暴露中の黄銅UNS−C26000において得られたインピーダンススペクトルを示す。得られたスペクトルをボーデプロットにおいてプロットしている。
【図11】
pH 6.5のルリア−バータニ媒体に8日間暴露中の黄銅UNS−C26000において得られたインピーダンススペクトルを示す。得られたスペクトルをボーデプロットにおいてプロットしている。
【図12】
pH 6.5のルリア−バータニ媒体に8日間暴露中の黄銅UNS−C26000において得られたインピーダンススペクトルを示す。得られたスペクトルをボーデプロットにおいてプロットしている。
【図13】
pH 6.5のルリア−バータニ媒体に多くの種々の条件下で暴露中の黄銅UNS−C26000における相対腐蝕速度1/Rの時間依存性を示す。
【図14】
pH 6.5のルリア−バータニ媒体に多くの種々の条件下で暴露中の黄銅UNS−C26000におけるキャパシタンスCの時間依存性を示す。
【図15】
pH 6.5のルリア−バータニ媒体に多くの種々の条件下で暴露中の黄銅UNS−C26000におけるEcorrの時間依存性を示す。
【図16】
pH 6.5のルリア−バータニ媒体に多くの種々の条件下で暴露中の黄銅UNS−C26000におけるEcorrの時間依存性を示す。
【図17】
pH 6.5のルリア−バータニ媒体に多くの種々の条件下で暴露中の黄銅UNS−C26000における相対腐蝕速度1/Rの時間依存性を示す。

Claims (34)

  1. 外表面を有する基体;および、
    前記外表面の腐蝕を低減する前記外表面上の保護バイオ膜;
    を含む金属であって、前記金属が鋼、銅またはアルミニウムでないことを特徴とする金属。
  2. 前記金属が黄銅UNS−C26000である、請求項1記載の金属。
  3. 前記バイオ膜が細菌である、請求項1記載の金属。
  4. 前記細菌が好気性生物である、請求項3記載の金属。
  5. 前記細菌がバチルス スブチリスまたはバチルス リケニホルミスである、請求項4記載の金属。
  6. 前記バイオ膜が約10μm〜約20μmの厚さである、請求項1記載の金属。
  7. 外表面を有する金属を調製する工程;
    前記外表面上に、前記外表面の腐蝕を低減する保護バイオ膜を適用する工程;
    を含む金属腐蝕の低減方法であって、
    前記金属が銅、アルミニウムまたは鋼でないことを特徴とする方法。
  8. 前記調製工程が、黄銅UNS−C26000である金属を調製する工程を含む、請求項7記載の方法。
  9. 前記適用工程が、細菌である保護バイオ膜を適用する工程を含む、請求項7記載の方法。
  10. 前記適用工程が、好気性生物である細菌を適用する工程を含む、請求項9記載の方法。
  11. 前記適用工程が、バチルス スブチリスまたはバチルス リケニホルミスである細菌を適用する工程を含む請求項10記載の方法。
  12. 前記適用工程が、約10μm〜約20μmの厚さである保護バイオ膜を適用する工程を含む請求項7記載の方法。
  13. 前記調製工程が、液体中に浸漬された金属を調製する工程を含む請求項7記載の方法。
  14. 前記調製工程が、人工海水またはルリア−バータニ媒体中に浸漬された金属を調製する工程を含む請求項13記載の方法。
  15. 外表面を有する基体;および、
    前記外表面の腐蝕を低減する前記外表面上の保護バイオ膜;
    を含む金属であって、前記保護バイオ膜がポリアニオン性化学組成物を分泌する細菌であることを特徴とする金属。
  16. 前記金属が、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、ニッケルおよびニッケル合金からなる群から選ばれる請求項15記載の金属。
  17. 前記金属が鋼である、請求項15記載の金属。
  18. 前記鋼が軟鋼−1010である、請求項17記載の金属。
  19. 前記細菌が好気性生物である、請求項15記載の金属。
  20. 前記細菌が大腸菌である、請求項19記載の金属。
  21. 前記細菌が、ポリアニオン性化学組成物を分泌するように遺伝子操作されている、請求項15記載の金属。
  22. 前記ポリアニオン性化学組成物がポリホスフェートである、請求項15記載の金属。
  23. 前記バイオ膜が約10μm〜約20μmの厚さである、請求項15記載の金属。
  24. 外表面を有する金属を調製する工程;
    前記外表面上に、前記外表面の腐蝕を低減する保護バイオ膜を適用する工程;
    を含む腐蝕の低減方法であって、前記保護バイオ膜がポリアニオン性化学組成物を分泌する細菌であることを特徴とする方法。
  25. 前記調製工程が、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、ニッケルおよびニッケル合金からなる群から選ばれる金属を調製する工程を含む、請求項24記載の方法。
  26. 前記調製工程が、鋼である金属を調製する工程を含む、請求項24記載の方法。
  27. 前記調製工程が、軟鋼−1010である金属を調製する工程を含む、請求項26記載の方法。
  28. 前記適用工程が、好気性生物である細菌を適用する工程を含む、請求項24記載の方法。
  29. 前記適用工程が、大腸菌である細菌を適用する工程を含む、請求項28記載の方法。
  30. 前記適用工程が、ポリアニオン性化学組成物を分泌するように遺伝子操作された細菌を適用する工程を含む、請求項24記載の方法。
  31. 前記適用工程が、ポリホスフェートであるポリアニオン性化学組成物を適用する工程を含む、請求項24記載の方法。
  32. 前記適用工程が、約10μm〜約20μmの厚さである保護バイオ膜を適用する工程を含む、請求項24記載の方法。
  33. 前記調製工程が、液体中に浸漬された金属を調製する工程を含む、請求項24記載の方法。
  34. 前記調製工程が、人工海水またはルリア−バータニ媒体中に浸漬された金属を調製する工程を含む請求項24記載の方法。
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