JP2005502365A - アレイ状に配置した増大させた生体試料の核酸の表示配列中における生体試料の遺伝分析 - Google Patents
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Abstract
本発明は、生体試料の核酸を表示しているサブセットを作製および増大させた後に生体試料を遺伝分析する方法に関する。各サブセットは、特徴的であるが任意で選択した表示配列を含む。異なるサブセットが相補的な表示配列を示す。本方法は、遺伝子発現プロファイルの研究に特に適している。
Description
【技術分野】
【0001】
(発明の概要)
任意で選択した表示配列をスライド内にアレイ状に配置し、各スライドは複数の試料由来の複数の表示配列を収容し得る。遺伝分析は、標識した分子プローブ(経験的な推論または以前の実験的観察のいずれかに基づいて研究者によって選択される)の、アレイ状に配置した表示配列へのハイブリダイゼーションによって行う。アレイ状に配置した各表示配列の標識シグナルを測定することにより、プローブされた核酸種の相対的なコピー数の推定値がもたらされる。本方法は、ハイ・スループットの薬理ゲノミクス調査における遺伝子発現の研究、および癌細胞中の遺伝異常の分析に特に適しており、また、診断におけるその使用、ならびに作用剤であるかもしれない化合物の同定、治療に潜在的に有用な拮抗剤の同定、およびこのようなポリペプチドやポリヌクレオチドの生成に特に適している。
【0002】
(背景技術)
遺伝物質の並外れた複雑性およびその発現調節は、生物の分子プロセスを理解することにおける主な制限の1つである。さらに、疾病で観察される異常性の不均一性も、その分子研究を困難にする。生理的および病理的な状況下にある細胞の複雑な遺伝プロファイルの包括的な描写を得ることは、疾病の分子的機序を理解するのに重要である。これは、大量の遺伝分析方法を適用することによってのみ達成可能である。
【0003】
不均一性要素を伴う複雑な疾病の顕著な例は癌である。類似の生物特性および化学特性を有する同型の癌は、遺伝異常の不均一性範囲を示す。癌細胞の遺伝プロファイリングは、悪性形質転換に関連する分子プロセスを理解するのに有用である。この種の研究によりもたらされる情報は、診断、予後評価、および最終的にはヒトの癌を治療するための具体的な療法を設計するのに寄与するかもしれない。
【0004】
DNAマイクロアレイ技法(広範な総説にはNature Genetics、1999年、第21巻、1〜60頁参照)は、癌細胞中で起こる遺伝変化を探索する非常に強力なツールを提供する。従来のマイクロアレイは、様々な遺伝子または発現された配列をスライド上にスポットし、蛍光標識した所定の試料の核酸とハイブリダイズさせることからなる。最近の研究により、この技法の可能性はすでに証明されている。しかし、DNAマイクロアレイ技法には、技術的な問題および仮説駆動(hypothesis−driven)の実験に対する方法の適合性が乏しいことを含めた重大な制限がある。
【0005】
遺伝子マイクロアレイを使用したハイブリダイゼーション技法による、ヒト生検中の示差的遺伝子発現の研究における制限には、(1)実験に大量の高品質RNA(100μgの全RNAまたは1μgのmRNA)が必要であること、(2)異なる試料間でプローブ標識の性能が劇的に変動し得ること、(3)個々のスポット間で非特異的結合が変動し得ること、(4)実験の設計は探索の研究には良く適しているが、仮説駆動の調査にはあまり適していないことが含まれる。その結果、発現の分析はアレイ内に最初に表示されている遺伝子に限定されており、新しい遺伝子の導入には追加のマイクロアレイ様式の構築を含めた反復実験が必要であり、(5)感度、特異性および精度が表示された各遺伝子で異なり、(6)稀少な転写物(発現が低いもの)は検出が困難であり、(7)データ解析が非常に複雑であり、洗練された生命情報科学のツールが必要であるので結果を直接解釈することは不可能である。
【0006】
本発明は、この技法に改変を導入し、これにより、仮説駆動の設計の下で選択された標的遺伝子または核酸断片の分析が可能になる。この手法は、大規模な一連の試料を分析する場合、また新規の疾病マーカーまたは治療標的を同定することを目的とした探索的調査に特に役立つ。
【0007】
(発明の概要)
本発明は、生体試料の核酸を表示しているサブセットを作製および増大させた後に生体試料を遺伝分析する方法に関する。各サブセットは、特徴的であるが任意で選択した表示配列を含む。異なるサブセットが相補的な表示配列を示す。表示配列をスライド内にアレイ状に配置し、各スライドは複数の試料由来の複数の表示配列を収容し得る。遺伝分析は、標識した分子プローブ(経験的な推論または以前の実験的観察のいずれかに基づいて研究者によって選択される)の、アレイ状に配置した表示配列へのハイブリダイゼーションによって行う。アレイ状に配置した各表示配列の標識シグナルを測定することにより、プローブされた核酸種の相対的なコピー数の推定値がもたらされる。本方法は、ハイ・スループットの薬理ゲノミクス調査における遺伝子発現の研究、および癌細胞中の遺伝異常の分析に特に適している。
【0008】
(発明の説明)
第1に、実験中での試薬の配置が逆位である(「逆位」とは、以前の「従来の」設計とは反対ということである)。分析する試料(すなわち腫瘍生検)の核酸またはその表示配列をスライド上にスポットし、選択したプローブ(標的遺伝子/複数の標的遺伝子)とハイブリダイズさせる。これは、従来のサザン/ノーザンハイブリダイゼーション実験と類似している。
【0009】
第2に、核酸の表示配列の複雑性を軽減させ、核酸の鋳型がDNAまたはRNAの場合は、それぞれ任意プライマーPCR(Arbitrarily Primed PCR、AP−PCR)(Welsh他、1990年)またはRNA任意プライマーPCR(RNA Arbitrarily Primed PCR、 RAP−PCR) (Welsh他、1992年)によってその量を増大させることが提案されている。このステップは、(i)試料の核酸の圧倒的な複雑性によって著しく制限されている、この技法の感度を上げるため、および(ii)臨床背景で日常的に得られる試料の限界に打ち勝つために、重要である。
【0010】
「従来の」DNAマイクロアレイに基づいた装置に対して、この新しい方法は重要な利点を示す。それらは、(1)必要な出発生体材料の量が少なく、実質的に無制限の量のスポット可能な生成物が作製されること(これにより、この実験設計で生検および顕微解剖試料を研究することが可能となる);(2)複数の内部および外部からの制御を分析するそれぞれの特異的遺伝子で容易に行うことができること;(3)分析することができる遺伝子または核酸断片のライブラリが最初に選択したものに限定されず、トランスクリプトームおよびゲノムの大部分にまで拡大可能であること;(4)マイクロアレイ技法の能力が仮説駆動の実験に適応されることである。
【0011】
複雑性が軽減された(RAP−PCRによって作製した)表示配列を構成する「逆位」マイクロアレイの利点により、大量の試料を使用する仮説駆動の実験および探索研究の評価が可能になる。より詳細には、内部制御を行う柔軟性、中程度から大規模の一連(数千個まで)の事例での適合性、同時に分析する複数の遺伝子の発現、および限定された数の事前に選択された変数による分析の単純化が、既知の方法を超える相当な利点を示す。
【0012】
RAP−PCRによって得られた複雑性が軽減した表示配列を使用することにより、稀少mRNAおよび一般的なmRNAの不偏的な表示配列が可能となり、また、必要な生体材料が少なく(1回の実験あたり<50 ngの全RNAまたは10 pgのmRNA)、これにより顕微解剖試料の使用が可能になる。同時に、RAP−PCRにより大量のスポットする生成物が作製され、これにより単一のRAP−PCRから数千個のマイクロアレイの生成が可能になる。それぞれのRAP−PCRに表示される遺伝子はさらに、容易に同定され、既知および未知の遺伝子が同様に表示される。この方法は、プロセスの性能を向上させるために改変および自動化するのに適している。
【0013】
(発明の詳細な説明)
本発明に記載する方法は、細胞内に存在する2種類の核酸、すなわちゲノム物質(これはDNAである)および発現された遺伝子のメッセンジャー(これはRNAである)の研究に適している。核酸の表示配列は、AP−PCR(鋳型がDNAである場合)またはRAP−PCR(鋳型がRNAである場合)のいずれかによって生成される。AP−PCR実験の例は、Peinado他(1992年)、Arribas他(1997年)に記載されている。RAP−PCRの例は、Tortola他(1998年、1999年)に記載されている。方法が非常に類似しているので、ここでの記載は、2つの方法のうちより複雑なRAP−PCRに焦点を合わせる。
【0014】
複雑性が軽減された細胞のRNAの表示配列をRAP−PCRによって作製するためには、それぞれのRAP−PCR実験で1〜50 ngの全RNAが必要となる。代わりにポリ−A RNA(10 pg〜10 ng)を使用しても同様の結果が得られる(Tortola他、1998年)。RNAを、任意で選択したプライマー(たとえば20量体)、逆転写酵素およびヌクレオチドと共に適切な条件下でインキュベートすることによって、プライマーの3’末端で一定の相同性を提示している(これは、実験条件に基づいて部分的に予測可能である)複数のRNA種(転写物)の相補DNA(cDNA)が作製される。実験的観察に基づいた理論的な推定により、1000塩基対の配列では、cDNAが作製されている確率は実験条件に応じて10〜>65%までの範囲であることが示されている。第2ステップでは、cDNAのアリコートを、同じ任意プライマー、Taqポリメラーゼおよびヌクレオチドを含む試験管に、適切な緩衝液と共に移す。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を適用することにより、プライマーの3’末端で一定の相同性を提示している(これは、実験条件に基づいて部分的にしか予測可能でない)cDNA種が複製かつ増幅される。プライマーが新しく合成された生成物の5’末端に取り込まれ、最初のPCRサイクルの後、完全に相補的な配列がPCR生成物の3’末端で合成される。新しく合成されたDNA鎖はプライマーとの完全一致を示し、これら生成物の特異的なPCR増幅が得られる。したがって、手順に沿ってプライマーとの2つのハイブリダイゼーション事象が生じるRNAのコピー数が増大される。
【0015】
RAP−PCR実験の性能は、ゲル電気泳動分析および作製されたバンドプロファイルの濃度測定分析によって評価される。生成物の量は、従来の条件下で最低2.5μgであると推定され、反応体積を増大させることによって、または試料アリコートの平行反応を行うことによって、より多い量も容易に得られる。
【0016】
各RAP−PCR実験により、RAP−PCR生成物の従来のcDNAマイクロアレイへのハイブリダイゼーションから決定されるように、すべての発現されたRNA種の一部分に匹敵する表示配列が作製される(実施例2)。異なるプライマーを用いて行ったRAP−PCR間で遺伝子表現における限られた重複が存在し(実施例5)、したがって、トランスクリプトーム(発現された遺伝子の全コレクション)の>95%の表示配列が限定された数の異なるRAP−PCRで達成されることが推定される。RAP−PCR生成物の従来のマイクロアレイへのハイブリダイゼーションに加えて、ナイロン膜(Research Genetics、Incyte、 Clontechから購入可能)にアレイ状に配置したcDNAのコレクションへのハイブリダイゼーションおよび作製されたその生成物の配列分析によって、どのRAP−PCR表示配列(または複数の表示配列)にそれぞれの遺伝子が表示されるかを事前に知ることも可能である。
【0017】
全手順を、示差的遺伝子発現を調査する一組の試料で行う。たとえば、一連の結腸直腸癌の生検およびそれと合わせた非腫瘍形成性組織(正常な結腸粘膜)、または組織全アレイを、ハイ・スループット分析スクリーニングで薬理的ライブラリに曝露させる。
【0018】
RAP−PCRにより作製された、複雑性が軽減された表示配列をアレイ状に配置するためには、異なるRAP−PCR実験で得られた各試料の異なった表示配列をスライドにアレイスポットとして配置する。各スポットは、〜1ngの表示配列を含む。試料の性質、表示配列(表示される配列およびスライド上のその配置)の性質に関する情報を用いてデータベースを構築する。2.5μgのRAP−PCR生成物で作製することができるスライドの数は、数百から数千個の範囲にわたり得る。アレイ状に配置可能なRAP−PCR生成物の量は、反応の体積スケールを変えることによって、または平行RAP−PCR実験を行うことによって、増大させ得る。
【0019】
アレイに含まれるすべての試料における選択された遺伝子の示差的発現を分析するために、所定の遺伝子の蛍光色素で標識したプローブを、アレイ状に配置した表示配列にハイブリダイズさせる。試料の表示配列の配置をデータベースに記憶する(実施例7)。非特異的なハイブリダイゼーションおよび交差ハイブリダイゼーションを決定するため、また実験の性能を決定するために(陽性対照および精度対照(accuracy control))、適切なハイブリダイゼーション対照を設計する(実施例8)。RAP−PCRで表示配列が未知の遺伝子の発現を分析することも可能である。表示配列内で同時発生的でないプローブが異なる蛍光色素で標識されている場合は、いくつかのプローブの同時ハイブリダイゼーションを行ってもよい。
【0020】
適切な濃度測定装置によってアレイ状に配置した各スポットの蛍光シグナルを決定し(実施例9)、データを試料データベースに転送する(実施例6)。異なる試料の表示配列間のシグナルの相対差異は、(プローブがハイブリダイズする)標的配列のコピー数のパラレル差異(parallel difference)を示しており、したがって、RNAレベルでの示差的発現を示している。RNAの分析に本発明を適用すると、このシステムは、1つまたはいくつかの遺伝子の示差的発現を検査する大規模な一連の試料の同時分析に適している。少量のRNAから作製し得るスライドの数が非常に多いので、すべての遺伝子(推定50,000個)を分析するための十分な数のスライドを作製することが可能である。あるいは、最初の物質がDNAである場合は、このシステムにより、コピー数の変化を特定の染色体領域で調査する、大規模な一連の試料の同時分析が可能になる。これは、このシステムで対立遺伝子の損失および獲得が分析できるということである。
【実施例】
【0021】
さらなる実施例
本発明の実現可能性を実証するために、プロセスのすべての手順を小スケールの実験で行った。生体試料のトランスクリプトームの表示配列を作製するこの技法の特徴を評価するために、RAP−PCR生成物を「従来の」遺伝子マイクロアレイ中でハイブリダイズさせた。結腸直腸癌の研究に応用される、ヒト生体試料中における遺伝子発現を決定するための逆位マイクロアレイのプロトタイプである「結腸直腸癌チップ(colorectal cancer chip)」も記載する。これには、様々な癌腫、細胞株および正常組織の、RAP−PCRによる中程度の複雑性の表示配列の作製が含まれ、作製されたRAP−PCR生成物をスライド上にスポットし、発現の決定が重要であるかもしれない遺伝子に対応する特異的なプローブとハイブリダイズさせる。
【0022】
(実施例1)
RAP−PCRによる表示配列の作製
標準方法を使用して、正常粘膜および結腸直腸癌試料から全RNAを得た。50 ngのRNAを、ヌクレオチド、逆転写酵素、1種の任意プライマーおよび適切な緩衝液と共にインキュベートすることによって逆転写を行った。この反応により、プライマーと最小の相同性(3’末端で8個中6個以上)を示しているRNAからcDNAが生成される。第2ステップでは、逆転写反応のアリコートに、ヌクレオチド、Taq DNAポリメラーゼ、以前の反応で使用したもとの同じプライマーおよび適切な緩衝液を加えた。この混合物をサイクル反応に供し、最初の試料中に存在するRNA種のサブセットを表示している二本鎖DNAを作製した。代わりのRNA表示配列を得るためには、個別の反応で異なるプライマーを使用しなければならない。
【0023】
逆転写(RT):50ngのRNAを、最終体積20μlが得られるまで200Uのモロニーネズミ白血病ウイルス逆転写酵素(M−MLV−RT)、50mMのTris−HCl、75mMのKCl、3mMのMgCl2、それぞれ0.5mMのdNTP、0.5μMのプライマー、10mMのDTT、18UのRnasinおよびH2Oの混合物に加えた。RT反応は、37℃で1時間および95℃で5分間行った。
【0024】
RAP−PCR:この反応は、20mMのTris−HCl、50mMのKCl、2.5mMのMgCl2、それぞれ0.1mMのdNTP、2μMのプライマー、2.5単位のTaqポリメラーゼ、以前のRTで得られたcDNAの最終体積の1/10およびH2Oを用いて、最終体積50μlで行った。反応は、Tortola他、1998年に記載のように、5回の低い厳密性のサイクルおよび35回の高い厳密性のサイクルからなる。表示配列の獲得に適したプライマーの配列も、Tortola他、1998年に記載されている。
【0025】
電気泳動:RAP−PCRの性能を可視化させるために、増幅した生成物をホルムアミド染色緩衝液で1/4に希釈し、95℃で3分間変性させ、3μlを6%ポリアクリルアミド8M尿素シークエンシングゲルに55Wで5時間かけた。従来の手順を使用してゲルを銀染色し、光写真または走査によって画像を得た。
【0026】
図1は、電気泳動によって分離したRAP−PCR生成物の一例を示す。生成物は、正常組織および癌組織に対応する様々な試料から作製した。
【0027】
【表1】
【0028】
(実施例2)
各RAP−PCRの生成物を従来のマイクロアレイにハイブリダイズさせることによる、各RAP−PCRに表示される遺伝子のスクリーニング
蛍光色素を含むヌクレオチドをRAP−PCRに加えることによって、RAP−PCRの生成物を蛍光色素(すなわちCy5またはCy3)で標識した。この生成物を、スライドにアレイ状に配置した(従来のマイクロアレイ)配列が知られている核酸(通常は遺伝子または遺伝子断片)にハイブリダイズさせた。所定の遺伝子を含有しているスポットの蛍光シグナルは、この配列がRAP−PCR生成物中に表示されていることの指標である。各RAP−PCRが、スポットした遺伝子の10〜40%についての情報を提供する。試料の発現された遺伝子の包括的な表示配列を得るためには、複数の反応(RAP−PCR)を行わなければならない。ヒト細胞で発現されるすべての遺伝子の>95%を表示するには、10〜20回の異なるRAP−PCRで十分であることが推定される。これらの実験は、使用するマイクロアレイ中に存在する配列の表示配列についての情報のみを提供する。この手法で「存在する」と同定されなかった遺伝子の研究も可能である(以下参照)。
【0029】
RAP−PCR標識:コンサート(Concert)核酸精製システム(Gibco BRL)を使用してRAP−PCR生成物を精製し、その21μlを、バイオプライム(Bioprime)標識キット(Invitrogen)を使用したランダムプライマー法で標識した。プロトコルおよび試薬は、dATP、dGTPおよびdTTP(それぞれ120 μM)、dCTP(60 μM)ならびにCy5−dCTPまたはCy3−dCTP(60 μM)の蛍光染色したヌクレオチドを取り込むように改変されたヌクレオチド混合物以外は、キット中に提供されているものである。標識した生成物は、コンサート核酸精製システム(Gibco BRL)を使用して精製した。
【0030】
マイクロアレイへのハイブリダイゼーション:≒1012分子のプローブを乾燥し、50%の7×SSC、0.6%のSDS、16%のブロッキング溶液(オリゴdA 10 μg/μl、酵母tRNA 10 μg/μl、ヒトcot-1 DNA 10 μg/μl)に溶かした。エール大学癌センター(Yale Cancer Centre)から提供される、4609個の異なる転写物を含むスライド「Hu4.6K」を使用した。最終体積は、カバーガラスの大きさに応じて変えた。100℃で1分間プローブを変性させ、室温で30分間放置して反復要素へCot-1ハイブリダイゼーションを行わせた。プローブをスライド上に載せ、プローブの上にカバーガラスを載せ、これを、65℃でハイブリダイゼーションオーブン内に終夜放置されるハイブリダイゼーションチャンバ内に入れる。3種の異なるプライマーとのハイブリダイゼーションの図例を図2に示す。各遺伝子の発現を調査するのに適したRAP−PCRの同定を可能にするので、このハイブリダイゼーションから集めた情報も有用である。
【0031】
(実施例3)
各RAP−PCRで表示される遺伝子のスクリーニングの再現性
発現された遺伝子のRAP−PCR増幅は、プローブの複雑性の軽減および表示された遺伝子の増大を含む。本発明は、複数の試料間の遺伝子の示差的発現を調査するために提案されたので、RAP−PCR技法により再現可能な表示配列が作製されることを実証することが重要である。この問題は、同一試料のRAP−PCRによる反復増幅および従来のマイクロアレイへのハイブリダイゼーションによって分析する。本技術が再現可能である場合、各実験に表示される遺伝子の組は同一となる。
【0032】
この実験の設計のスキームを図3Aに示す。同じRNAを、RAP−PCRの独立した実験および従来のマイクロアレイへのハイブリダイゼーションに供した。
【0033】
結果は、ほとんどの遺伝子で表示配列が主として再現性があるが(図3B)、いくらかのばらつきも検出されたことを実証している。手順の各ステップで生じたばらつきを決定するために、中間分析を行った。実験毎の差の統計分析により、各ステップにおける実際のばらつきの度合いが明らかになった。発現された遺伝子の配列表示度におけるこの方法のばらつきは、複製数を増やすことおよび表1に示すように生成物のプールを実施することによって大いに減少される。試料の正確な表示配列のために提案された設計は、RTを2つ組で実施すること、各RTのRAP−PCRを独立に3つ組で実施すること、ゲル電気泳動でRAP−PCRの性能を確認すること(実施例1参照)、性能およびスポットが良好なすべてのRAP−PCR生成物をプールすることである。この設計で推定されるばらつきは0.4であり、95%の信頼区間の試料間の発現の2倍の差の検出が可能になる。
【0034】
(実施例4)
全cDNAに対するRAP−PCRの表示配列
RAP−PCRプローブの複雑性の軽減およびその配列表示度を確認するために、異なるプライマーを用いて作製したRAP−PCR生成物(Cy5で標識、実施例2参照)を、同一試料の完全なcDNA(Cy3で標識)に対して、4609個の遺伝子を含むHu4.6Kマイクロアレイにハイブリダイズさせた(実施例2参照)。cDNAの獲得および標識を、標準の手順(RT反応中に標識)を使用して行った。ハイブリダイゼーションは65℃で行った(実施例2に記載のように)。RAP−PCR生成物およびcDNAの比較表示配列を、2種の蛍光色素の強度のプロットとして示す(Cy3対Cy5)(図4)。異なるプライマーを用いて実施した4回のRAP−PCRの情報を、マイクロアレイでアレイ状に配置した各遺伝子で得られた最も高いシグナルをcDNAのシグナルに対してプロットした1つのグラフに統合すると(図5)、95%の遺伝子が、1つまたは複数のRAP−PCRでcDNAより高いレベルの表示配列を示す。これは、4回のRAP−PCRの実験の組み合わせが、発現された遺伝子の少なくとも95%の表示配列を作製するのに十分であることを示唆している。
【0035】
(実施例5)
RAP−PCR間の重複および遺伝子の冗長な表示配列
実施例2で示したように、異なるプライマーを用いて実施したRAP−PCRにより遺伝子の異なる表示配列が作製されるが、重複も存在する。この重複は、いくつかのRAP−PCRを組み合わせた場合にトランスクリプトームのカバー率の損失を示唆しているが、対照として使用し得る冗長の情報の作製も示唆している。各RAP−PCRの表示配列を比較するために、同一試料から作製した2回の異なるRAP−PCRからの生成物を異なる蛍光色素で標識し、Hu4.6Kの従来のマイクロアレイにハイブリダイズさせた。各遺伝子の配列表示の度合いを、2つの同時ハイブリダイズさせたRAP−PCRについてプロットした(図6)。
【0036】
(実施例6)
マイクロアレイのプロトタイプ「結腸直腸癌チップ」の設計
このプロトタイプは、合計で22種類のRNA試料からの7種の異なるプライマーを用いたRAP−PCRの表示配列を含む。試料には、結腸直腸がんを患っている患者からの生検(正常組織および腫瘍組織)(表2)およびヒト結腸直腸癌から得られた確立された細胞株が含まれる(表3)。一部の細胞株を、抗腫瘍形成剤で処置した。したがって、このマイクロアレイは、「結腸直腸癌チップ」の小スケールのプロトタイプである。このマイクロアレイにより、正常細胞に関する腫瘍状態における遺伝子発現、異なる臨床病理学的特徴を有する、異なる腫瘍における遺伝子発現、および抗腫瘍形成剤に対するがん細胞における遺伝子発現の研究が可能となる。
【0037】
スポット用の生成物の獲得:実験のばらつきの影響を減らすために、実施例1に記載のように、実施例3の設計に従って(RT:2つの複製、PCR:各RTで3つの複製、すべての生成物をプール)、RAP−PCRを実施した。コンサート核酸精製システム(Gibco BRL)を使用してRAP−PCR生成物を精製し、生成物の3つの異なる希釈液(5、50および100 pg)を3つ組みで前処理したスライド上にスポットした。異なる種類の対照も含めた(実施例8参照)。試料の配置およびデータベース。スポットの分布を図7に示す。試料について入手可能な情報を表に整理し、「サンプルデータベース」として記憶させる。スポットの起源、内容物および分布に関する情報を、データベースの「アレイリスト」に記憶させる(実施例7)。
【0038】
(実施例7)
「アレイリスト」、「結腸直腸癌チップ」の情報を含む一次データベース
このデータベースは、「結腸直腸癌チップ」を構成するスポットの情報を含み、生体試料の同定、表示配列(RAP−PCR)を得る手順、生成物の濃度、およびマイクロアレイにおけるその局在化(X、Y座標)に関するデータを集積する。発現用にスクリーニングされる遺伝子(実施例9参照)のハイブリダイゼーションシグナルに関する情報をこのデータベースに新しい変数として加える。「アレイリスト」は「サンプルデータベース」に連係させ、特定の試料中での遺伝子の発現を問い合わせする。
【0039】
「アレイリスト」の2つの部分を表4および表5に示す。
【0040】
(実施例8)
「結腸直腸癌チップ」の対照
実験の性能を評価するため、および決定の質を評定するためには、マイクロアレイに様々な種類の対照を含めることが必要である。プロトタイプでは、以下の種類の対照が含まれていた。
【0041】
陰性対照を使用して、非特異的ハイブリダイゼーション、交差ハイブリダイゼーションおよび/またはバックグラウンドシグナルを評価する
陽性対照を使用して、実験の性能を決定する
スポット対照(spotting control)を使用して、スポットした生成物の量のばらつきを決定する
精度対照を使用して、発現の差の検出における分析の精度を評価する
位置付け対照を使用して、マイクロアレイ内のスポットのアレイの位置を特定する。
【0042】
スポットした生成物の異なる起源および複数のプローブ(各プローブは異なる蛍光色素で標識されている)を同時にハイブリダイズさせる実行可能性により、スポットした試料をin situでのスポット対照および陽性対照として使用することが可能である。スポットした物質の量のばらつきについてハイブリダイゼーションシグナルを補正するために、所定の表示配列のスポットした物質の全体的な定量が、蛍光色素で標識した表示配列の全生成物とのハイブリダイゼーションによって成される(これは、スポット対照として使用される)。スポットの位置を決定する走査プロセスにおける基準として使用するためには、蛍光色素で標識したRAP−PCR生成物も、通常は各サブアレイの角の1つにスポットする。
【0043】
表6は、様々な種類の対照として使用するためにスポットするさらなる試料を示す。
【0044】
(実施例9)
生体試料中の特定遺伝子の発現の分析
本実施例は、直腸結腸癌チップに表示されるヒト試料中の遺伝子の示差的発現の研究における本発明の適用性を例示する。発現される遺伝子は、(i)既知の遺伝子(CEA−CAM1寄託番号AA406571号)、(ii)未知の遺伝子、ならびに(iii)EST(寄託番号AL359650号)およびcDNA(寄託番号AK057879号)に相同である18Sのリボソーム配列(寄託番号U13369号)であってよい。
【0045】
分析は、試験プローブとして表示された配列を含むDNAを使用することによって行う。試験プローブを蛍光色素(例えばCy3)で標識し、RAP−PCRの表示配列を含む「結腸直腸癌チップ」にハイブリダイズさせる。対照としては、RAP−PCRの完全生成物も異なる蛍光色素(例えばCy5)で標識し、プローブと共に同時ハイブリダイズさせる。
【0046】
試験プローブの標識:発現が問われている遺伝子の全配列または断片を含むDNAを、プラスミド中にクローニングすることによって、またはPCRによって増幅する。コンサート核酸精製システム(Gibco BRL)を使用して生成物を精製し、その21μlを、バイオプライム標識キット(Invitrogen)を使用したランダムプライマー法で標識した。プロトコルおよび試薬は、dATP、dGTPおよびdTTP(それぞれ120 μM)、dCTP(60 μM)ならびにCy5−dCTPまたはCy3−dCTP(60 μM)の蛍光染色したヌクレオチドを取り込むように改変されたヌクレオチド混合物以外は、キット中に提供されているものである。標識した生成物は、コンサート核酸精製システム(Gibco BRL)を使用して精製した。
【0047】
RAP−PCR標識:コンサート核酸精製システム(Gibco BRL)を使用してRAP−PCR生成物を精製し、その21μlを、バイオプライム標識キット(Invitrogen)を使用したランダムプライマー法で標識した。プロトコルおよび試薬は、dATP、dGTPおよびdTTP(それぞれ120μM)、dCTP(60μM)ならびにCy5−dCTPまたはCy3−dCTP(60μM)の蛍光染色したヌクレオチドを取り込むように改変されたヌクレオチド混合物以外は、キット中に提供されているものである。標識した生成物は、コンサート核酸精製システム(Gibco BRL)を使用して精製した。
【0048】
マイクロアレイへのハイブリダイゼーション:22種類の異なるRNA試料(実施例6)および様々な対照(実施例8)の表示配列を含む「結腸直腸癌チップ」を使用した。≒1012分子の標識した試験プローブ(Cy3)および≒1012分子の標識したRAP−PCRプローブ(Cy5)を混合した。混合物を乾燥し、50%の7×SSC、0.6%のSDS、16%のブロッキング溶液(オリゴdA 10 μg/μl、酵母tRNA 10 μg/μl、ヒトcot-1 DNA 10 μg/μl)に溶かした。最終体積は、カバーガラスの大きさに応じて変えた。100℃で1分間プローブを変性させ、室温で30分間放置して反復要素へCot-1ハイブリダイゼーションを行わせた。プローブをスライド上に載せ、プローブの上にカバーガラスを載せ、これを、65℃でハイブリダイゼーションオーブン内に終夜放置されるハイブリダイゼーションチャンバ内に入れる。
【0049】
試験プローブ(Cy3)で測定されたシグナルは、各スポットに表示される試料中の調査する遺伝子の相対発現に正比例する。得られたシグナルは、スポットした物質の全量(Cy5で標識した全RAP−PCR生成物のシグナルから決定する)ならびに、必要な場合はバックグラウンドおよび/または非特異的なシグナル(この情報は、試料23〜28(陰性対照)からのスポット中の試験プローブのハイブリダイゼーションの分析、および同時にハイブリダイズさせた完全RAP−PCR生成物のシグナル(スポット対照および陽性対照)の分析によって得られた)によって調節される。スポット間の相対強度は示差的な表示配列を示し、したがって、試料間の試験した遺伝子の示差的発現を示す。技術的な非再現性を切り捨てるために複製物を使用するべきである。
【0050】
試験遺伝子の相対表示配列がまず「アレイリスト」に加えられ、複製分析で1度処理され、サンプルの希釈率が発現の相対差異として「サンプルデータベース」に加えられる。
【0051】
図8は、逆マイクロアレイを使用した正常組織と腫瘍組織との間の示差的遺伝子発現の分析の例を示す。この実験で使用したプローブは、上述のCD44遺伝子に対応する。プロトタイプの結腸直腸癌のチップに対する試験プローブおよびRAP−PCR対照プローブのハイブリダイゼーションの例を図9に示す。
【0052】
(実施例10)
DNAマイクロアレイ法の感度
従来のマイクロアレイと比較した、逆マイクロアレイの検出感度を決定するために、理論計算を行った。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】
【表8】
【0060】
【表9】
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】対合した正常組織(N)および腫瘍組織(T)のRNAのRAP−PCR(プライマーR1)分析を示す図である。逆転写(RT)は2つ組で行い、PCR増幅は3つ組で行った。それぞれのPCR(試料では全部で6回)の生成物を変性尿素/ポリアクリルアミドゲルに流し、標準の手順に従って銀染色した。
【図2】3種の異なるRAP−PCR生成物(プライマーR1、R2およびR3を用いて実施)の、従来のマイクロアレイへのハイブリダイゼーションを示す図である。4609個の異なるDNA配列の複製されたスポットを含む、ハイブリダイズしたサブアレイを上段に示し、詳細をその下に示す。RAP−PCRの全生成物を蛍光色素で標識し、スライド上のcDNAマイクロアレイにハイブリダイズさせた。それぞれのスポット内のシグナルは、ハイブリダイゼーションでプローブとして使用したRAP−PCRにおける各DNAの配列表示の度合いを示す。
【図3】RAP−PCRの再現性実験の設計を示す図である(パネルA)。独立した実験における同一試料から得た2つの生成物のハイブリダイゼーションの図例も示す(パネルB)。
【図4】同一試料における、cDNA(X軸)に対するRAP−PCR生成物(Y軸)のハイブリダイゼーションシグナルの散布図である。4回の異なるRAP−PCR実験を示す。
【図5】同一試料における、cDNA(X軸)に対する、異なるプライマーを用いて得られた4回の異なるRAP−PCR生成物を統合したシグナル(Y軸)の散布図である。RAP−PCRは個別にハイブリダイズさせ、各スポットの統合されたシグナルは、4つのシグナルすべての最大強度として計算した。この実験によれば、従来のマイクロアレイ中に存在するDNA配列の95%が、cDNAと比べて、4回のRAP−PCRのグループ(agrupation)でより高い配列の表示を示した。
【図6】異なるプライマー間でのRAP−PCRの表示配列の重複を示す図である(パネルAはR4およびR5)(パネルBはR4およびR1)。異なるプライマーを用いて実施した2回のRAP−PCRの、従来のマイクロアレイへのハイブリダイゼーションの後の散布図である。
【図7】プロトタイプの結腸直腸癌チップ中の試料の分布の概略図である。
【図8】Cy3で標識した試験プローブ(CD44)および対照としてCy5で標識したRAP−PCR(R4)とハイブリダイズさせた結腸直腸癌チップのプロトタイプのサブアレイの走査画像である(パネルA)。スポットの分布は図7および実施例7に記載する「アレイリスト」に従う。ハイブリダイゼーション(パネルAの枠で囲んだ領域)の詳細をパネルBに示す。スポットした物質の量(100、50または5 pgのDNA)、組織の種類(正常/腫瘍)および試料ID(1〜4)を対応するスポットの隣に示す。事例1の正常組織および腫瘍組織ならびにCD44のうち4種で発現の差が観察された。これは、正常組織に関しては腫瘍中でCD44遺伝子が過少発現されていると解釈される。
【図9】Cy3で標識した試験プローブ(パネルA)および対照としてCy5で標識したRAP−PCR(パネルB)とハイブリダイズさせた結腸直腸癌チップのプロトタイプのサブアレイの走査画像である。スポットの分布は図7および実施例7に記載する「アレイリスト」に従う。
【0001】
(発明の概要)
任意で選択した表示配列をスライド内にアレイ状に配置し、各スライドは複数の試料由来の複数の表示配列を収容し得る。遺伝分析は、標識した分子プローブ(経験的な推論または以前の実験的観察のいずれかに基づいて研究者によって選択される)の、アレイ状に配置した表示配列へのハイブリダイゼーションによって行う。アレイ状に配置した各表示配列の標識シグナルを測定することにより、プローブされた核酸種の相対的なコピー数の推定値がもたらされる。本方法は、ハイ・スループットの薬理ゲノミクス調査における遺伝子発現の研究、および癌細胞中の遺伝異常の分析に特に適しており、また、診断におけるその使用、ならびに作用剤であるかもしれない化合物の同定、治療に潜在的に有用な拮抗剤の同定、およびこのようなポリペプチドやポリヌクレオチドの生成に特に適している。
【0002】
(背景技術)
遺伝物質の並外れた複雑性およびその発現調節は、生物の分子プロセスを理解することにおける主な制限の1つである。さらに、疾病で観察される異常性の不均一性も、その分子研究を困難にする。生理的および病理的な状況下にある細胞の複雑な遺伝プロファイルの包括的な描写を得ることは、疾病の分子的機序を理解するのに重要である。これは、大量の遺伝分析方法を適用することによってのみ達成可能である。
【0003】
不均一性要素を伴う複雑な疾病の顕著な例は癌である。類似の生物特性および化学特性を有する同型の癌は、遺伝異常の不均一性範囲を示す。癌細胞の遺伝プロファイリングは、悪性形質転換に関連する分子プロセスを理解するのに有用である。この種の研究によりもたらされる情報は、診断、予後評価、および最終的にはヒトの癌を治療するための具体的な療法を設計するのに寄与するかもしれない。
【0004】
DNAマイクロアレイ技法(広範な総説にはNature Genetics、1999年、第21巻、1〜60頁参照)は、癌細胞中で起こる遺伝変化を探索する非常に強力なツールを提供する。従来のマイクロアレイは、様々な遺伝子または発現された配列をスライド上にスポットし、蛍光標識した所定の試料の核酸とハイブリダイズさせることからなる。最近の研究により、この技法の可能性はすでに証明されている。しかし、DNAマイクロアレイ技法には、技術的な問題および仮説駆動(hypothesis−driven)の実験に対する方法の適合性が乏しいことを含めた重大な制限がある。
【0005】
遺伝子マイクロアレイを使用したハイブリダイゼーション技法による、ヒト生検中の示差的遺伝子発現の研究における制限には、(1)実験に大量の高品質RNA(100μgの全RNAまたは1μgのmRNA)が必要であること、(2)異なる試料間でプローブ標識の性能が劇的に変動し得ること、(3)個々のスポット間で非特異的結合が変動し得ること、(4)実験の設計は探索の研究には良く適しているが、仮説駆動の調査にはあまり適していないことが含まれる。その結果、発現の分析はアレイ内に最初に表示されている遺伝子に限定されており、新しい遺伝子の導入には追加のマイクロアレイ様式の構築を含めた反復実験が必要であり、(5)感度、特異性および精度が表示された各遺伝子で異なり、(6)稀少な転写物(発現が低いもの)は検出が困難であり、(7)データ解析が非常に複雑であり、洗練された生命情報科学のツールが必要であるので結果を直接解釈することは不可能である。
【0006】
本発明は、この技法に改変を導入し、これにより、仮説駆動の設計の下で選択された標的遺伝子または核酸断片の分析が可能になる。この手法は、大規模な一連の試料を分析する場合、また新規の疾病マーカーまたは治療標的を同定することを目的とした探索的調査に特に役立つ。
【0007】
(発明の概要)
本発明は、生体試料の核酸を表示しているサブセットを作製および増大させた後に生体試料を遺伝分析する方法に関する。各サブセットは、特徴的であるが任意で選択した表示配列を含む。異なるサブセットが相補的な表示配列を示す。表示配列をスライド内にアレイ状に配置し、各スライドは複数の試料由来の複数の表示配列を収容し得る。遺伝分析は、標識した分子プローブ(経験的な推論または以前の実験的観察のいずれかに基づいて研究者によって選択される)の、アレイ状に配置した表示配列へのハイブリダイゼーションによって行う。アレイ状に配置した各表示配列の標識シグナルを測定することにより、プローブされた核酸種の相対的なコピー数の推定値がもたらされる。本方法は、ハイ・スループットの薬理ゲノミクス調査における遺伝子発現の研究、および癌細胞中の遺伝異常の分析に特に適している。
【0008】
(発明の説明)
第1に、実験中での試薬の配置が逆位である(「逆位」とは、以前の「従来の」設計とは反対ということである)。分析する試料(すなわち腫瘍生検)の核酸またはその表示配列をスライド上にスポットし、選択したプローブ(標的遺伝子/複数の標的遺伝子)とハイブリダイズさせる。これは、従来のサザン/ノーザンハイブリダイゼーション実験と類似している。
【0009】
第2に、核酸の表示配列の複雑性を軽減させ、核酸の鋳型がDNAまたはRNAの場合は、それぞれ任意プライマーPCR(Arbitrarily Primed PCR、AP−PCR)(Welsh他、1990年)またはRNA任意プライマーPCR(RNA Arbitrarily Primed PCR、 RAP−PCR) (Welsh他、1992年)によってその量を増大させることが提案されている。このステップは、(i)試料の核酸の圧倒的な複雑性によって著しく制限されている、この技法の感度を上げるため、および(ii)臨床背景で日常的に得られる試料の限界に打ち勝つために、重要である。
【0010】
「従来の」DNAマイクロアレイに基づいた装置に対して、この新しい方法は重要な利点を示す。それらは、(1)必要な出発生体材料の量が少なく、実質的に無制限の量のスポット可能な生成物が作製されること(これにより、この実験設計で生検および顕微解剖試料を研究することが可能となる);(2)複数の内部および外部からの制御を分析するそれぞれの特異的遺伝子で容易に行うことができること;(3)分析することができる遺伝子または核酸断片のライブラリが最初に選択したものに限定されず、トランスクリプトームおよびゲノムの大部分にまで拡大可能であること;(4)マイクロアレイ技法の能力が仮説駆動の実験に適応されることである。
【0011】
複雑性が軽減された(RAP−PCRによって作製した)表示配列を構成する「逆位」マイクロアレイの利点により、大量の試料を使用する仮説駆動の実験および探索研究の評価が可能になる。より詳細には、内部制御を行う柔軟性、中程度から大規模の一連(数千個まで)の事例での適合性、同時に分析する複数の遺伝子の発現、および限定された数の事前に選択された変数による分析の単純化が、既知の方法を超える相当な利点を示す。
【0012】
RAP−PCRによって得られた複雑性が軽減した表示配列を使用することにより、稀少mRNAおよび一般的なmRNAの不偏的な表示配列が可能となり、また、必要な生体材料が少なく(1回の実験あたり<50 ngの全RNAまたは10 pgのmRNA)、これにより顕微解剖試料の使用が可能になる。同時に、RAP−PCRにより大量のスポットする生成物が作製され、これにより単一のRAP−PCRから数千個のマイクロアレイの生成が可能になる。それぞれのRAP−PCRに表示される遺伝子はさらに、容易に同定され、既知および未知の遺伝子が同様に表示される。この方法は、プロセスの性能を向上させるために改変および自動化するのに適している。
【0013】
(発明の詳細な説明)
本発明に記載する方法は、細胞内に存在する2種類の核酸、すなわちゲノム物質(これはDNAである)および発現された遺伝子のメッセンジャー(これはRNAである)の研究に適している。核酸の表示配列は、AP−PCR(鋳型がDNAである場合)またはRAP−PCR(鋳型がRNAである場合)のいずれかによって生成される。AP−PCR実験の例は、Peinado他(1992年)、Arribas他(1997年)に記載されている。RAP−PCRの例は、Tortola他(1998年、1999年)に記載されている。方法が非常に類似しているので、ここでの記載は、2つの方法のうちより複雑なRAP−PCRに焦点を合わせる。
【0014】
複雑性が軽減された細胞のRNAの表示配列をRAP−PCRによって作製するためには、それぞれのRAP−PCR実験で1〜50 ngの全RNAが必要となる。代わりにポリ−A RNA(10 pg〜10 ng)を使用しても同様の結果が得られる(Tortola他、1998年)。RNAを、任意で選択したプライマー(たとえば20量体)、逆転写酵素およびヌクレオチドと共に適切な条件下でインキュベートすることによって、プライマーの3’末端で一定の相同性を提示している(これは、実験条件に基づいて部分的に予測可能である)複数のRNA種(転写物)の相補DNA(cDNA)が作製される。実験的観察に基づいた理論的な推定により、1000塩基対の配列では、cDNAが作製されている確率は実験条件に応じて10〜>65%までの範囲であることが示されている。第2ステップでは、cDNAのアリコートを、同じ任意プライマー、Taqポリメラーゼおよびヌクレオチドを含む試験管に、適切な緩衝液と共に移す。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を適用することにより、プライマーの3’末端で一定の相同性を提示している(これは、実験条件に基づいて部分的にしか予測可能でない)cDNA種が複製かつ増幅される。プライマーが新しく合成された生成物の5’末端に取り込まれ、最初のPCRサイクルの後、完全に相補的な配列がPCR生成物の3’末端で合成される。新しく合成されたDNA鎖はプライマーとの完全一致を示し、これら生成物の特異的なPCR増幅が得られる。したがって、手順に沿ってプライマーとの2つのハイブリダイゼーション事象が生じるRNAのコピー数が増大される。
【0015】
RAP−PCR実験の性能は、ゲル電気泳動分析および作製されたバンドプロファイルの濃度測定分析によって評価される。生成物の量は、従来の条件下で最低2.5μgであると推定され、反応体積を増大させることによって、または試料アリコートの平行反応を行うことによって、より多い量も容易に得られる。
【0016】
各RAP−PCR実験により、RAP−PCR生成物の従来のcDNAマイクロアレイへのハイブリダイゼーションから決定されるように、すべての発現されたRNA種の一部分に匹敵する表示配列が作製される(実施例2)。異なるプライマーを用いて行ったRAP−PCR間で遺伝子表現における限られた重複が存在し(実施例5)、したがって、トランスクリプトーム(発現された遺伝子の全コレクション)の>95%の表示配列が限定された数の異なるRAP−PCRで達成されることが推定される。RAP−PCR生成物の従来のマイクロアレイへのハイブリダイゼーションに加えて、ナイロン膜(Research Genetics、Incyte、 Clontechから購入可能)にアレイ状に配置したcDNAのコレクションへのハイブリダイゼーションおよび作製されたその生成物の配列分析によって、どのRAP−PCR表示配列(または複数の表示配列)にそれぞれの遺伝子が表示されるかを事前に知ることも可能である。
【0017】
全手順を、示差的遺伝子発現を調査する一組の試料で行う。たとえば、一連の結腸直腸癌の生検およびそれと合わせた非腫瘍形成性組織(正常な結腸粘膜)、または組織全アレイを、ハイ・スループット分析スクリーニングで薬理的ライブラリに曝露させる。
【0018】
RAP−PCRにより作製された、複雑性が軽減された表示配列をアレイ状に配置するためには、異なるRAP−PCR実験で得られた各試料の異なった表示配列をスライドにアレイスポットとして配置する。各スポットは、〜1ngの表示配列を含む。試料の性質、表示配列(表示される配列およびスライド上のその配置)の性質に関する情報を用いてデータベースを構築する。2.5μgのRAP−PCR生成物で作製することができるスライドの数は、数百から数千個の範囲にわたり得る。アレイ状に配置可能なRAP−PCR生成物の量は、反応の体積スケールを変えることによって、または平行RAP−PCR実験を行うことによって、増大させ得る。
【0019】
アレイに含まれるすべての試料における選択された遺伝子の示差的発現を分析するために、所定の遺伝子の蛍光色素で標識したプローブを、アレイ状に配置した表示配列にハイブリダイズさせる。試料の表示配列の配置をデータベースに記憶する(実施例7)。非特異的なハイブリダイゼーションおよび交差ハイブリダイゼーションを決定するため、また実験の性能を決定するために(陽性対照および精度対照(accuracy control))、適切なハイブリダイゼーション対照を設計する(実施例8)。RAP−PCRで表示配列が未知の遺伝子の発現を分析することも可能である。表示配列内で同時発生的でないプローブが異なる蛍光色素で標識されている場合は、いくつかのプローブの同時ハイブリダイゼーションを行ってもよい。
【0020】
適切な濃度測定装置によってアレイ状に配置した各スポットの蛍光シグナルを決定し(実施例9)、データを試料データベースに転送する(実施例6)。異なる試料の表示配列間のシグナルの相対差異は、(プローブがハイブリダイズする)標的配列のコピー数のパラレル差異(parallel difference)を示しており、したがって、RNAレベルでの示差的発現を示している。RNAの分析に本発明を適用すると、このシステムは、1つまたはいくつかの遺伝子の示差的発現を検査する大規模な一連の試料の同時分析に適している。少量のRNAから作製し得るスライドの数が非常に多いので、すべての遺伝子(推定50,000個)を分析するための十分な数のスライドを作製することが可能である。あるいは、最初の物質がDNAである場合は、このシステムにより、コピー数の変化を特定の染色体領域で調査する、大規模な一連の試料の同時分析が可能になる。これは、このシステムで対立遺伝子の損失および獲得が分析できるということである。
【実施例】
【0021】
さらなる実施例
本発明の実現可能性を実証するために、プロセスのすべての手順を小スケールの実験で行った。生体試料のトランスクリプトームの表示配列を作製するこの技法の特徴を評価するために、RAP−PCR生成物を「従来の」遺伝子マイクロアレイ中でハイブリダイズさせた。結腸直腸癌の研究に応用される、ヒト生体試料中における遺伝子発現を決定するための逆位マイクロアレイのプロトタイプである「結腸直腸癌チップ(colorectal cancer chip)」も記載する。これには、様々な癌腫、細胞株および正常組織の、RAP−PCRによる中程度の複雑性の表示配列の作製が含まれ、作製されたRAP−PCR生成物をスライド上にスポットし、発現の決定が重要であるかもしれない遺伝子に対応する特異的なプローブとハイブリダイズさせる。
【0022】
(実施例1)
RAP−PCRによる表示配列の作製
標準方法を使用して、正常粘膜および結腸直腸癌試料から全RNAを得た。50 ngのRNAを、ヌクレオチド、逆転写酵素、1種の任意プライマーおよび適切な緩衝液と共にインキュベートすることによって逆転写を行った。この反応により、プライマーと最小の相同性(3’末端で8個中6個以上)を示しているRNAからcDNAが生成される。第2ステップでは、逆転写反応のアリコートに、ヌクレオチド、Taq DNAポリメラーゼ、以前の反応で使用したもとの同じプライマーおよび適切な緩衝液を加えた。この混合物をサイクル反応に供し、最初の試料中に存在するRNA種のサブセットを表示している二本鎖DNAを作製した。代わりのRNA表示配列を得るためには、個別の反応で異なるプライマーを使用しなければならない。
【0023】
逆転写(RT):50ngのRNAを、最終体積20μlが得られるまで200Uのモロニーネズミ白血病ウイルス逆転写酵素(M−MLV−RT)、50mMのTris−HCl、75mMのKCl、3mMのMgCl2、それぞれ0.5mMのdNTP、0.5μMのプライマー、10mMのDTT、18UのRnasinおよびH2Oの混合物に加えた。RT反応は、37℃で1時間および95℃で5分間行った。
【0024】
RAP−PCR:この反応は、20mMのTris−HCl、50mMのKCl、2.5mMのMgCl2、それぞれ0.1mMのdNTP、2μMのプライマー、2.5単位のTaqポリメラーゼ、以前のRTで得られたcDNAの最終体積の1/10およびH2Oを用いて、最終体積50μlで行った。反応は、Tortola他、1998年に記載のように、5回の低い厳密性のサイクルおよび35回の高い厳密性のサイクルからなる。表示配列の獲得に適したプライマーの配列も、Tortola他、1998年に記載されている。
【0025】
電気泳動:RAP−PCRの性能を可視化させるために、増幅した生成物をホルムアミド染色緩衝液で1/4に希釈し、95℃で3分間変性させ、3μlを6%ポリアクリルアミド8M尿素シークエンシングゲルに55Wで5時間かけた。従来の手順を使用してゲルを銀染色し、光写真または走査によって画像を得た。
【0026】
図1は、電気泳動によって分離したRAP−PCR生成物の一例を示す。生成物は、正常組織および癌組織に対応する様々な試料から作製した。
【0027】
【表1】
【0028】
(実施例2)
各RAP−PCRの生成物を従来のマイクロアレイにハイブリダイズさせることによる、各RAP−PCRに表示される遺伝子のスクリーニング
蛍光色素を含むヌクレオチドをRAP−PCRに加えることによって、RAP−PCRの生成物を蛍光色素(すなわちCy5またはCy3)で標識した。この生成物を、スライドにアレイ状に配置した(従来のマイクロアレイ)配列が知られている核酸(通常は遺伝子または遺伝子断片)にハイブリダイズさせた。所定の遺伝子を含有しているスポットの蛍光シグナルは、この配列がRAP−PCR生成物中に表示されていることの指標である。各RAP−PCRが、スポットした遺伝子の10〜40%についての情報を提供する。試料の発現された遺伝子の包括的な表示配列を得るためには、複数の反応(RAP−PCR)を行わなければならない。ヒト細胞で発現されるすべての遺伝子の>95%を表示するには、10〜20回の異なるRAP−PCRで十分であることが推定される。これらの実験は、使用するマイクロアレイ中に存在する配列の表示配列についての情報のみを提供する。この手法で「存在する」と同定されなかった遺伝子の研究も可能である(以下参照)。
【0029】
RAP−PCR標識:コンサート(Concert)核酸精製システム(Gibco BRL)を使用してRAP−PCR生成物を精製し、その21μlを、バイオプライム(Bioprime)標識キット(Invitrogen)を使用したランダムプライマー法で標識した。プロトコルおよび試薬は、dATP、dGTPおよびdTTP(それぞれ120 μM)、dCTP(60 μM)ならびにCy5−dCTPまたはCy3−dCTP(60 μM)の蛍光染色したヌクレオチドを取り込むように改変されたヌクレオチド混合物以外は、キット中に提供されているものである。標識した生成物は、コンサート核酸精製システム(Gibco BRL)を使用して精製した。
【0030】
マイクロアレイへのハイブリダイゼーション:≒1012分子のプローブを乾燥し、50%の7×SSC、0.6%のSDS、16%のブロッキング溶液(オリゴdA 10 μg/μl、酵母tRNA 10 μg/μl、ヒトcot-1 DNA 10 μg/μl)に溶かした。エール大学癌センター(Yale Cancer Centre)から提供される、4609個の異なる転写物を含むスライド「Hu4.6K」を使用した。最終体積は、カバーガラスの大きさに応じて変えた。100℃で1分間プローブを変性させ、室温で30分間放置して反復要素へCot-1ハイブリダイゼーションを行わせた。プローブをスライド上に載せ、プローブの上にカバーガラスを載せ、これを、65℃でハイブリダイゼーションオーブン内に終夜放置されるハイブリダイゼーションチャンバ内に入れる。3種の異なるプライマーとのハイブリダイゼーションの図例を図2に示す。各遺伝子の発現を調査するのに適したRAP−PCRの同定を可能にするので、このハイブリダイゼーションから集めた情報も有用である。
【0031】
(実施例3)
各RAP−PCRで表示される遺伝子のスクリーニングの再現性
発現された遺伝子のRAP−PCR増幅は、プローブの複雑性の軽減および表示された遺伝子の増大を含む。本発明は、複数の試料間の遺伝子の示差的発現を調査するために提案されたので、RAP−PCR技法により再現可能な表示配列が作製されることを実証することが重要である。この問題は、同一試料のRAP−PCRによる反復増幅および従来のマイクロアレイへのハイブリダイゼーションによって分析する。本技術が再現可能である場合、各実験に表示される遺伝子の組は同一となる。
【0032】
この実験の設計のスキームを図3Aに示す。同じRNAを、RAP−PCRの独立した実験および従来のマイクロアレイへのハイブリダイゼーションに供した。
【0033】
結果は、ほとんどの遺伝子で表示配列が主として再現性があるが(図3B)、いくらかのばらつきも検出されたことを実証している。手順の各ステップで生じたばらつきを決定するために、中間分析を行った。実験毎の差の統計分析により、各ステップにおける実際のばらつきの度合いが明らかになった。発現された遺伝子の配列表示度におけるこの方法のばらつきは、複製数を増やすことおよび表1に示すように生成物のプールを実施することによって大いに減少される。試料の正確な表示配列のために提案された設計は、RTを2つ組で実施すること、各RTのRAP−PCRを独立に3つ組で実施すること、ゲル電気泳動でRAP−PCRの性能を確認すること(実施例1参照)、性能およびスポットが良好なすべてのRAP−PCR生成物をプールすることである。この設計で推定されるばらつきは0.4であり、95%の信頼区間の試料間の発現の2倍の差の検出が可能になる。
【0034】
(実施例4)
全cDNAに対するRAP−PCRの表示配列
RAP−PCRプローブの複雑性の軽減およびその配列表示度を確認するために、異なるプライマーを用いて作製したRAP−PCR生成物(Cy5で標識、実施例2参照)を、同一試料の完全なcDNA(Cy3で標識)に対して、4609個の遺伝子を含むHu4.6Kマイクロアレイにハイブリダイズさせた(実施例2参照)。cDNAの獲得および標識を、標準の手順(RT反応中に標識)を使用して行った。ハイブリダイゼーションは65℃で行った(実施例2に記載のように)。RAP−PCR生成物およびcDNAの比較表示配列を、2種の蛍光色素の強度のプロットとして示す(Cy3対Cy5)(図4)。異なるプライマーを用いて実施した4回のRAP−PCRの情報を、マイクロアレイでアレイ状に配置した各遺伝子で得られた最も高いシグナルをcDNAのシグナルに対してプロットした1つのグラフに統合すると(図5)、95%の遺伝子が、1つまたは複数のRAP−PCRでcDNAより高いレベルの表示配列を示す。これは、4回のRAP−PCRの実験の組み合わせが、発現された遺伝子の少なくとも95%の表示配列を作製するのに十分であることを示唆している。
【0035】
(実施例5)
RAP−PCR間の重複および遺伝子の冗長な表示配列
実施例2で示したように、異なるプライマーを用いて実施したRAP−PCRにより遺伝子の異なる表示配列が作製されるが、重複も存在する。この重複は、いくつかのRAP−PCRを組み合わせた場合にトランスクリプトームのカバー率の損失を示唆しているが、対照として使用し得る冗長の情報の作製も示唆している。各RAP−PCRの表示配列を比較するために、同一試料から作製した2回の異なるRAP−PCRからの生成物を異なる蛍光色素で標識し、Hu4.6Kの従来のマイクロアレイにハイブリダイズさせた。各遺伝子の配列表示の度合いを、2つの同時ハイブリダイズさせたRAP−PCRについてプロットした(図6)。
【0036】
(実施例6)
マイクロアレイのプロトタイプ「結腸直腸癌チップ」の設計
このプロトタイプは、合計で22種類のRNA試料からの7種の異なるプライマーを用いたRAP−PCRの表示配列を含む。試料には、結腸直腸がんを患っている患者からの生検(正常組織および腫瘍組織)(表2)およびヒト結腸直腸癌から得られた確立された細胞株が含まれる(表3)。一部の細胞株を、抗腫瘍形成剤で処置した。したがって、このマイクロアレイは、「結腸直腸癌チップ」の小スケールのプロトタイプである。このマイクロアレイにより、正常細胞に関する腫瘍状態における遺伝子発現、異なる臨床病理学的特徴を有する、異なる腫瘍における遺伝子発現、および抗腫瘍形成剤に対するがん細胞における遺伝子発現の研究が可能となる。
【0037】
スポット用の生成物の獲得:実験のばらつきの影響を減らすために、実施例1に記載のように、実施例3の設計に従って(RT:2つの複製、PCR:各RTで3つの複製、すべての生成物をプール)、RAP−PCRを実施した。コンサート核酸精製システム(Gibco BRL)を使用してRAP−PCR生成物を精製し、生成物の3つの異なる希釈液(5、50および100 pg)を3つ組みで前処理したスライド上にスポットした。異なる種類の対照も含めた(実施例8参照)。試料の配置およびデータベース。スポットの分布を図7に示す。試料について入手可能な情報を表に整理し、「サンプルデータベース」として記憶させる。スポットの起源、内容物および分布に関する情報を、データベースの「アレイリスト」に記憶させる(実施例7)。
【0038】
(実施例7)
「アレイリスト」、「結腸直腸癌チップ」の情報を含む一次データベース
このデータベースは、「結腸直腸癌チップ」を構成するスポットの情報を含み、生体試料の同定、表示配列(RAP−PCR)を得る手順、生成物の濃度、およびマイクロアレイにおけるその局在化(X、Y座標)に関するデータを集積する。発現用にスクリーニングされる遺伝子(実施例9参照)のハイブリダイゼーションシグナルに関する情報をこのデータベースに新しい変数として加える。「アレイリスト」は「サンプルデータベース」に連係させ、特定の試料中での遺伝子の発現を問い合わせする。
【0039】
「アレイリスト」の2つの部分を表4および表5に示す。
【0040】
(実施例8)
「結腸直腸癌チップ」の対照
実験の性能を評価するため、および決定の質を評定するためには、マイクロアレイに様々な種類の対照を含めることが必要である。プロトタイプでは、以下の種類の対照が含まれていた。
【0041】
陰性対照を使用して、非特異的ハイブリダイゼーション、交差ハイブリダイゼーションおよび/またはバックグラウンドシグナルを評価する
陽性対照を使用して、実験の性能を決定する
スポット対照(spotting control)を使用して、スポットした生成物の量のばらつきを決定する
精度対照を使用して、発現の差の検出における分析の精度を評価する
位置付け対照を使用して、マイクロアレイ内のスポットのアレイの位置を特定する。
【0042】
スポットした生成物の異なる起源および複数のプローブ(各プローブは異なる蛍光色素で標識されている)を同時にハイブリダイズさせる実行可能性により、スポットした試料をin situでのスポット対照および陽性対照として使用することが可能である。スポットした物質の量のばらつきについてハイブリダイゼーションシグナルを補正するために、所定の表示配列のスポットした物質の全体的な定量が、蛍光色素で標識した表示配列の全生成物とのハイブリダイゼーションによって成される(これは、スポット対照として使用される)。スポットの位置を決定する走査プロセスにおける基準として使用するためには、蛍光色素で標識したRAP−PCR生成物も、通常は各サブアレイの角の1つにスポットする。
【0043】
表6は、様々な種類の対照として使用するためにスポットするさらなる試料を示す。
【0044】
(実施例9)
生体試料中の特定遺伝子の発現の分析
本実施例は、直腸結腸癌チップに表示されるヒト試料中の遺伝子の示差的発現の研究における本発明の適用性を例示する。発現される遺伝子は、(i)既知の遺伝子(CEA−CAM1寄託番号AA406571号)、(ii)未知の遺伝子、ならびに(iii)EST(寄託番号AL359650号)およびcDNA(寄託番号AK057879号)に相同である18Sのリボソーム配列(寄託番号U13369号)であってよい。
【0045】
分析は、試験プローブとして表示された配列を含むDNAを使用することによって行う。試験プローブを蛍光色素(例えばCy3)で標識し、RAP−PCRの表示配列を含む「結腸直腸癌チップ」にハイブリダイズさせる。対照としては、RAP−PCRの完全生成物も異なる蛍光色素(例えばCy5)で標識し、プローブと共に同時ハイブリダイズさせる。
【0046】
試験プローブの標識:発現が問われている遺伝子の全配列または断片を含むDNAを、プラスミド中にクローニングすることによって、またはPCRによって増幅する。コンサート核酸精製システム(Gibco BRL)を使用して生成物を精製し、その21μlを、バイオプライム標識キット(Invitrogen)を使用したランダムプライマー法で標識した。プロトコルおよび試薬は、dATP、dGTPおよびdTTP(それぞれ120 μM)、dCTP(60 μM)ならびにCy5−dCTPまたはCy3−dCTP(60 μM)の蛍光染色したヌクレオチドを取り込むように改変されたヌクレオチド混合物以外は、キット中に提供されているものである。標識した生成物は、コンサート核酸精製システム(Gibco BRL)を使用して精製した。
【0047】
RAP−PCR標識:コンサート核酸精製システム(Gibco BRL)を使用してRAP−PCR生成物を精製し、その21μlを、バイオプライム標識キット(Invitrogen)を使用したランダムプライマー法で標識した。プロトコルおよび試薬は、dATP、dGTPおよびdTTP(それぞれ120μM)、dCTP(60μM)ならびにCy5−dCTPまたはCy3−dCTP(60μM)の蛍光染色したヌクレオチドを取り込むように改変されたヌクレオチド混合物以外は、キット中に提供されているものである。標識した生成物は、コンサート核酸精製システム(Gibco BRL)を使用して精製した。
【0048】
マイクロアレイへのハイブリダイゼーション:22種類の異なるRNA試料(実施例6)および様々な対照(実施例8)の表示配列を含む「結腸直腸癌チップ」を使用した。≒1012分子の標識した試験プローブ(Cy3)および≒1012分子の標識したRAP−PCRプローブ(Cy5)を混合した。混合物を乾燥し、50%の7×SSC、0.6%のSDS、16%のブロッキング溶液(オリゴdA 10 μg/μl、酵母tRNA 10 μg/μl、ヒトcot-1 DNA 10 μg/μl)に溶かした。最終体積は、カバーガラスの大きさに応じて変えた。100℃で1分間プローブを変性させ、室温で30分間放置して反復要素へCot-1ハイブリダイゼーションを行わせた。プローブをスライド上に載せ、プローブの上にカバーガラスを載せ、これを、65℃でハイブリダイゼーションオーブン内に終夜放置されるハイブリダイゼーションチャンバ内に入れる。
【0049】
試験プローブ(Cy3)で測定されたシグナルは、各スポットに表示される試料中の調査する遺伝子の相対発現に正比例する。得られたシグナルは、スポットした物質の全量(Cy5で標識した全RAP−PCR生成物のシグナルから決定する)ならびに、必要な場合はバックグラウンドおよび/または非特異的なシグナル(この情報は、試料23〜28(陰性対照)からのスポット中の試験プローブのハイブリダイゼーションの分析、および同時にハイブリダイズさせた完全RAP−PCR生成物のシグナル(スポット対照および陽性対照)の分析によって得られた)によって調節される。スポット間の相対強度は示差的な表示配列を示し、したがって、試料間の試験した遺伝子の示差的発現を示す。技術的な非再現性を切り捨てるために複製物を使用するべきである。
【0050】
試験遺伝子の相対表示配列がまず「アレイリスト」に加えられ、複製分析で1度処理され、サンプルの希釈率が発現の相対差異として「サンプルデータベース」に加えられる。
【0051】
図8は、逆マイクロアレイを使用した正常組織と腫瘍組織との間の示差的遺伝子発現の分析の例を示す。この実験で使用したプローブは、上述のCD44遺伝子に対応する。プロトタイプの結腸直腸癌のチップに対する試験プローブおよびRAP−PCR対照プローブのハイブリダイゼーションの例を図9に示す。
【0052】
(実施例10)
DNAマイクロアレイ法の感度
従来のマイクロアレイと比較した、逆マイクロアレイの検出感度を決定するために、理論計算を行った。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】
【表8】
【0060】
【表9】
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】対合した正常組織(N)および腫瘍組織(T)のRNAのRAP−PCR(プライマーR1)分析を示す図である。逆転写(RT)は2つ組で行い、PCR増幅は3つ組で行った。それぞれのPCR(試料では全部で6回)の生成物を変性尿素/ポリアクリルアミドゲルに流し、標準の手順に従って銀染色した。
【図2】3種の異なるRAP−PCR生成物(プライマーR1、R2およびR3を用いて実施)の、従来のマイクロアレイへのハイブリダイゼーションを示す図である。4609個の異なるDNA配列の複製されたスポットを含む、ハイブリダイズしたサブアレイを上段に示し、詳細をその下に示す。RAP−PCRの全生成物を蛍光色素で標識し、スライド上のcDNAマイクロアレイにハイブリダイズさせた。それぞれのスポット内のシグナルは、ハイブリダイゼーションでプローブとして使用したRAP−PCRにおける各DNAの配列表示の度合いを示す。
【図3】RAP−PCRの再現性実験の設計を示す図である(パネルA)。独立した実験における同一試料から得た2つの生成物のハイブリダイゼーションの図例も示す(パネルB)。
【図4】同一試料における、cDNA(X軸)に対するRAP−PCR生成物(Y軸)のハイブリダイゼーションシグナルの散布図である。4回の異なるRAP−PCR実験を示す。
【図5】同一試料における、cDNA(X軸)に対する、異なるプライマーを用いて得られた4回の異なるRAP−PCR生成物を統合したシグナル(Y軸)の散布図である。RAP−PCRは個別にハイブリダイズさせ、各スポットの統合されたシグナルは、4つのシグナルすべての最大強度として計算した。この実験によれば、従来のマイクロアレイ中に存在するDNA配列の95%が、cDNAと比べて、4回のRAP−PCRのグループ(agrupation)でより高い配列の表示を示した。
【図6】異なるプライマー間でのRAP−PCRの表示配列の重複を示す図である(パネルAはR4およびR5)(パネルBはR4およびR1)。異なるプライマーを用いて実施した2回のRAP−PCRの、従来のマイクロアレイへのハイブリダイゼーションの後の散布図である。
【図7】プロトタイプの結腸直腸癌チップ中の試料の分布の概略図である。
【図8】Cy3で標識した試験プローブ(CD44)および対照としてCy5で標識したRAP−PCR(R4)とハイブリダイズさせた結腸直腸癌チップのプロトタイプのサブアレイの走査画像である(パネルA)。スポットの分布は図7および実施例7に記載する「アレイリスト」に従う。ハイブリダイゼーション(パネルAの枠で囲んだ領域)の詳細をパネルBに示す。スポットした物質の量(100、50または5 pgのDNA)、組織の種類(正常/腫瘍)および試料ID(1〜4)を対応するスポットの隣に示す。事例1の正常組織および腫瘍組織ならびにCD44のうち4種で発現の差が観察された。これは、正常組織に関しては腫瘍中でCD44遺伝子が過少発現されていると解釈される。
【図9】Cy3で標識した試験プローブ(パネルA)および対照としてCy5で標識したRAP−PCR(パネルB)とハイブリダイズさせた結腸直腸癌チップのプロトタイプのサブアレイの走査画像である。スポットの分布は図7および実施例7に記載する「アレイリスト」に従う。
Claims (13)
- RNA任意プライマーPCR(RAP−PCR)による、核酸プールをサブグループに分類する方法。
- 前記核酸プールがRNAである、
A)RNAの逆転写
B)サブグループに分類するための異なるプライマーを用いたRNA任意プライマーPCR
を含む請求項1に記載の方法。 - 前記核酸プールがDNAを含有する、サブグループに分類するための異なるプライマーを用いたRNA任意プライマーPCRを含む請求項1および2に記載の方法。
- 互いへのハイブリダイゼーションによって前記RAP−PCRサブグループを比較する、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
- 前記RAP−PCRサブグループを従来のcDNAマイクロアレイにハイブリダイズさせる、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
- 前記cDNAマイクロアレイが正常組織および疾病組織のcDNAを表す、請求項5に記載の方法。
- 既知の遺伝子のcDNAをRAP−PCRサブグループにハイブリダイズさせる、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
- 遺伝子を定量するために標識したRAP−PCRサブグループを反応させることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
- RAP−PCRサブグループを定量するために既知の遺伝子の標識したcDNAを反応させることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
- 顕微解剖した試料を使用する、請求項1および2に記載の方法。
- 全RNAの量が50ng〜10pgである、請求項1、2および10に記載の方法。
- 請求項1から11のいずれか1つを含むキット。
- 請求項1から12のいずれかに記載の、診断および処置のための癌の遺伝的異常の分析。
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