JP2005502330A - 消化器系の疾患および病態ならびに癌の診断および治療の方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
発明の分野
本発明は、消化器系の疾患および癌を診断する方法および治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
腸、膵臓、および肝臓等の消化器の内表面となる細胞は、内胚葉と呼ばれる初期胚の一部から生じる。内胚葉細胞は、機能している成熟器官を共同で構成する高度に組織化された構造の形成を最終的にもたらすような、細胞形態における特定の移動および変化を起こす。器官形成をもたらす個々の段階は、発生胚の顕微鏡分析により説明されてきたが、これらの段階を導く原因となる分子はほとんど未知である。
【0003】
ゼブラフィッシュであるダニオ・レリオ(Danio rerio)は、発生の遺伝解析に用いるのに便利な生物である。世代時間が短いことと旺盛な繁殖力に加えて、その胚は扱いやすく透明であることから、発生の最も早い段階から器官機能を直接観察することができる。
【発明の開示】
【0004】
発明の概要
本発明は、(「絶食」のラテン語であるnil per os(npo)と命名された)ゼブラフィッシュ遺伝子の変異が消化器の異常な成長および発達をもたらすという知見に基づいた、診断、薬物スクリーニング、および治療の方法を提供する。
【0005】
第一の局面において、本発明は、被験者(例えば、ヒト等の哺乳動物)が、npoタンパク質に関連する疾患または病態(例えば、消化器(例えば、腸、肝臓、胆管、膵臓、胃、胆嚢、または食道)の疾患もしくは病態、または癌)を有するか否か、または被験者がその疾患を発症する危険性を有するか否かを判定する方法を提供する。この方法は、被験者由来の試料の核酸分子を解析し、被験者がこのタンパク質をコードする遺伝子に変異(例えばnpo変異;以下を参照のこと)を有するか否かを判定する段階を含む。変異の存在により、被験者がnpoに関連する疾患を有するまたは発症する危険性を有することが示唆される。この方法は、ポリメラーゼ連鎖反応による遺伝子の核酸分子増幅のために、npoタンパク質をコードする遺伝子に特異的な核酸分子プライマーを用いる段階を含んでもよい。この方法は、被験者由来のnpoタンパク質をコードする核酸分子のシーケンシングをさらに含んでもよい。
【0006】
第二の局面において、本発明は、消化器系の疾患もしくは病態または癌を治療または予防するのに使用可能な化合物を同定する方法を提供する。この方法は、nil per osタンパク質をコードする遺伝子に変異(例えばnil per os変異)を有しそのような疾患または病態に特有の表現型を有する生物(例えばゼブラフィッシュ)に化合物を接触させる段階、およびその化合物の表現型への効果を決定する段階を含む。表現型において改善が認められれば、疾患または病態を治療または予防するのに使用可能な化合物が同定されたことが示される。
【0007】
第三の局面において、本発明は、患者(例えば、nil per osタンパク質をコードする遺伝子に変異(例えばnil per os変異)を有する患者)における消化器系の疾患もしくは病態または癌を治療または予防する方法を提供するが、これは、上記の方法を用いて同定される化合物を患者に投与する段階を含む。本発明には、そのような疾患または病態の治療または予防におけるそのような化合物の使用、およびそのような治療または予防のための医薬品の調製におけるこれらの化合物の使用もまた含まれる。
【0008】
第四の局面において、本発明は、患者における消化器系の疾患もしくは病態または癌を治療または予防する方法を提供する。この方法は、機能的なnil per osタンパク質またはそのタンパク質コードする(例えば発現ベクター内の)核酸分子を患者に投与する段階を含む。本発明には、そのような疾患または病態の治療または予防におけるそのようなタンパク質または核酸分子の使用、およびそのような治療または予防のための医薬品の調製におけるこれらのタンパク質または核酸分子の使用もまた含まれる。
【0009】
第五の局面において、本発明は、実質的に純粋なnil per osポリペプチド(例えば、ゼブラフィッシュまたはヒトのnpoポリペプチド)またはその断片を含む。このポリペプチドは、例えば配列番号:3または配列番号:5のアミノ酸配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むかまたは本質的にそれらの配列からなっていてよい。コードされるポリペプチドは、以下で詳述するように、RNA認識モチーフ(RRM)を含みRNAに結合し得る。
【0010】
第六の局面において、本発明は、nil per osポリペプチド(例えば、ゼブラフィッシュまたはヒトのnpoポリペプチド)またはその断片をコードする配列を含む実質的に純粋な核酸分子(例えばDNA分子)を提供する。この核酸分子は、配列番号:3または配列番号:5のアミノ酸配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むかまたは本質的にそれらの配列からなるポリペプチドをコードし得る。コードされるポリペプチドは、以下で詳述するように、RNA認識モチーフ(RRM)を含みRNAに結合し得る。
【0011】
第七の局面において、本発明は上記の核酸分子を含むベクターを提供する。
【0012】
第八の局面において、本発明は上記のベクターを含む細胞を含む。
【0013】
第九の局面において、本発明は、上記の核酸分子を含む非ヒトトランスジェニック動物(例えば、ゼブラフィッシュまたはマウス)を提供する。
【0014】
第十の局面において、本発明は、nil per osポリペプチドをコードする対立遺伝子の一方または両方にノックアウト変異を有する非ヒト動物を提供する。
【0015】
第十一の局面において、本発明は、上記の非ヒトノックアウト動物由来の細胞を含む。
【0016】
第十二の局面において、本発明は、例えばnil per os変異を有するポリペプチド等の変異型nil per osポリペプチドをコードする核酸分子を含む非ヒトトランスジェニック動物(例えばゼブラフィッシュ)を含む。
【0017】
第十三の局面において、本発明は、nil per osポリペプチドに特異的に結合する抗体を提供する。
【0018】
第十四の局面において、本発明は、nil per osタンパク質活性を促進または阻害するRNAを投与することにより、この活性を調節する方法を提供する。本発明には、この活性を促進または阻害するそのようなRNAの使用、およびそのような促進または阻害のための医薬品の調製におけるこのRNA分子の使用もまた含まれる。
【0019】
第十五の局面において、本発明は、胃腸管の幹細胞を同定する方法を提供するが、これは候補細胞のプールをnil per os発現について解析する段階を含む。次に、nil per os発現細胞は、選択的に元の候補細胞プールから回収され得る。
【0020】
「ポリペプチド」または「ポリペプチド断片」とは、いかなる翻訳後修飾(例えば、グリコシル化またはリン酸化)であるかにかかわらず、2つまたはそれ以上のアミノ酸の鎖を意味するが、これは天然ポリペプチドまたは非天然ポリペプチドのすべてまたは一部を構成する。「翻訳後修飾」とは、合成中または合成後のポリペプチドまたはポリペプチド断片に対する何らかの変化を意味する。翻訳後修飾は、(細胞内での合成中等に)自然に起こり得るか、または(組換えまたは化学的手段による等)人工的に引き起こされ得る。「タンパク質」は、1つまたは複数のポリペプチドから構成され得る。
【0021】
「nil per osタンパク質」、「npoタンパク質」、「nil per osポリペプチド」、または「npoポリペプチド」とは、ヒト(配列番号:5)またはゼブラフィッシュ(配列番号:3)のnil per osポリペプチドの配列と少なくとも45%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも75%、80%、または85%、および最も好ましくは少なくとも90%または95%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドを意味する。nil per os遺伝子配列のスプライシング変種および変異を含むnil per os遺伝子によるポリペプチド産物もまた、この定義に含まれる。本明細書において定義するようなnil per osポリペプチドは、消化器の発達、モデリング、および機能に関与している。これを、消化器系の疾患および病態、消化器、または癌のマーカーとして用いることができる。
【0022】
「nil per os核酸分子」または「npo核酸分子」とは、先に定義したように、nil per osタンパク質(例えば、(配列番号:4によりコードされる)ヒトまたは(配列番号:1または配列番号:2によりコードされる)ゼブラフィッシュのnil per osタンパク質)、nil per osポリペプチド、またはその一部をコードするゲノムDNA、cDNA、またはRNA(例えばmRNA)分子等の核酸分子を意味する。nil per os核酸分子における変異は、例えば、221位のアミノ酸のコドンにおけるチロシンコドンから終止コドンへの変化(TATからTAA)を特徴とする。本発明は、このゼブラフィッシュnil per os変異(以下「nil per os変異」と呼ぶ)に加えて、異常なnil per osタンパク質の産生または機能をもたらすいかなる変異も含み、単なる例示として、ヌル突然変異および切断を引き起こすさらなる変異も含む。
【0023】
「同一性」という用語は、本明細書において、特定の核酸分子またはポリペプチドの配列と、それと同じ種類の参照分子の配列との関係を示すために用いられる。例えば、整列させた参照分子と比較して、ポリペプチドまたは核酸分子がある位置で同じアミノ酸またはヌクレオチド残基を有する場合、その位置で「同一」であるという。参照分子に対する核酸分子またはポリペプチドの配列同一性のレベルは、典型的には、最適な配列比較を行うためのギャップの導入など内部で規定されたデフォルトパラメーターを用いて、配列解析ソフトウェアを用いて測定される(例えば、ウィスコンシン大学バイオテクノロジーセンター、ジェネティクスコンピューターグループの配列解析ソフトウェアパッケージ、1710 University Avenue, Madison, WI 53705、BLAST、またはPILEUP/PRETTYBOXプログラム)。これらのソフトウェアプログラムは、様々な置換、欠失、または他の修飾に同一性の程度を割り当てることによって、同一または類似の配列を整合させる。保存的置換には、典型的に以下の群内での置換が含まれる:グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、およびロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、およびグルタミン;セリンおよびトレオニン;リシンおよびアルギニン;ならびにフェニルアラニンおよびチロシン。
【0024】
核酸分子またはポリペプチドは、参照分子の配列に対して、その全長にわたって少なくとも51%、好ましくは少なくとも55%、60%、または65%、および最も好ましくは75%、85%、90%、または95%の同一性を示す場合に、参照分子に対して「実質的に同一」であるという。ポリペプチドに関しては、比較配列の長さは少なくとも16アミノ酸、好ましくは少なくとも20アミノ酸、より好ましくは少なくとも25アミノ酸、および最も好ましくは少なくとも35アミノ酸である。核酸分子に関しては、比較配列の長さは少なくとも50ヌクレオチド、好ましくは少なくとも60ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも75ヌクレオチド、および最も好ましくは少なくとも110ヌクレオチドである。もちろん、比較の長さは全長以下および全長を含む任意の長さであってよい。
【0025】
nil per os核酸分子またはnil per osポリペプチドは、その生体活性の決定またはそれが野生型であるかもしくは変異型であるかの決定を可能にする試験手順が実施された場合に、「解析される」、または「解析」に供される。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を用いて動物のゲノムDNAを増幅し、次に、例えばヌクレオチド配列または制限酵素断片解析によって増幅されたDNAが例えばnil per os変異等の変異を含むか否かを判定することにより、動物(例えば、ヒトまたはゼブラフィッシュ)のnil per os遺伝子を解析することができる。
【0026】
「プローブ」または「プライマー」とは、相補的配列(「標的」)を含む第二のDNAまたはRNA分子と塩基対を形成することができる、確定した配列の一本鎖DNAまたはRNA分子を意味する。形成されたハイブリッドの安定性は、塩基対形成の起こる程度に依存する。この安定性は、プローブと標的分子間の相補性の程度、およびハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーの程度等のパラメータの影響を受ける。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーの程度は、温度、塩濃度、およびホルムアミド等の有機分子の濃度のようなパラメータの影響を受け、当業者に周知の方法によって決定される。nil per os核酸分子に特異的なプローブまたはプライマーは、ヒト(配列番号:4)またはゼブラフィッシュ(配列番号:1または配列番号:2)のnil per os遺伝子の配列と好ましくは45%を超える配列同一性、より好ましくは少なくとも55%〜75%の配列同一性、さらにより好ましくは少なくとも75%〜85%の配列同一性、さらにより好ましくは少なくとも85%〜99%の配列同一性、および最も好ましくは100%の配列同一性を有する。
【0027】
プローブは、当業者に周知の方法により、検出可能な程度に放射性標識または非放射性標識することができる。プローブは、核酸シーケンシング、ポリメラーゼ連鎖反応による核酸増幅、一本鎖DNA高次構造多型(SSCP)解析、制限断片長多型(RFLP)解析、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法、インサイチューハイブリダイゼーション法、電気泳動移動度シフトアッセイ法(EMSA)、および当業者に周知の他の方法等の、核酸ハイブリダイゼーションに関する方法に用いることができる。
【0028】
分子、例えば、オリゴヌクレオチドプローブもしくはプライマー、遺伝子もしくはその断片、cDNA分子、ポリペプチド、または抗体は、その存在が試料中において直接同定され得るように標識される場合に、「検出可能な程度に標識される」ということができる。検出可能な程度に分子を標識する方法は当技術分野で周知であり、(例えば、32Pまたは35Sのような同位元素による)放射性標識および(例えば、フルオレセインのような蛍光標識による)非放射性標識が含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
「実質的に純粋な」とは、それが天然に付随するタンパク質および有機分子から分離されているポリペプチドまたはポリヌクレオチド(またはその断片)を意味する。典型的に、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、それが天然に会合しているタンパク質および天然有機分子を重量で少なくとも60%含まない場合に、実質的に純粋である。好ましくは、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、重量で少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは少なくとも99%純粋であるnil per osポリペプチドまたはポリヌクレオチドである。実質的に純粋なnil per osポリペプチドは、例えば、天然供給源(例えば単離された消化器)からの抽出、nil per osポリペプチドをコードする組換え核酸分子の発現、または化学合成によって得ることができる。純度は、例えばカラムクロマトグラフィー法、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法、またはHPLC分析等の任意の適切な方法により、測定することができる。ポリヌクレオチドもまた「単離」され得るが、これはゲノム内で天然に付随する隣接ヌクレオチド配列から分離されることを意味する。単離されたポリヌクレオチド配列は、コード配列のみを含んでもよいし、または同様にコード配列に関連したプロモーターおよび他の制御配列を含んでもよい。
【0030】
ポリペプチドは、天然状態でこれに付随するタンパク質および有機分子から分離されている場合に、天然に会合する成分を実質的に含まない。したがって、化学合成されたタンパク質、またはそれが天然に産生される細胞とは異なる細胞系において産生されたタンパク質は、天然に会合する成分を実質的に含まない。したがって、実質的に純粋なポリペプチドには、真核生物に由来するポリペプチドが含まれるのみならず、大腸菌、他の原核生物、または他のそのような系で合成されたポリペプチドも含まれる。
【0031】
抗体は、例えば天然にポリペプチドを含む生体試料等の試料において、このポリペプチド(例えばnil per osポリペプチド)を認識して結合するが、他の分子(例えばnil per os非関連ポリペプチド)を実質的に認識せず結合しない場合に、ポリペプチドに「特異的に結合する」という。
【0032】
「高ストリンジェンシー条件」とは、0.5 M NaHPO4、pH 7.2、7% SDS、1 mM EDTA、および1% BSA(画分V)を含む緩衝液において65℃で、または48% ホルムアミド、4.8×SSC、0.2 Mトリス-Cl、pH 7.6、1×デンハルト溶液、10% 硫酸デキストラン、および0.1% SDSを含む緩衝液において42℃で、少なくとも100ヌクレオチド長、例えば200ヌクレオチド長、350ヌクレオチド長、または500ヌクレオチド長のDNAプローブを用いて起こるハイブリダイゼーションに匹敵するハイブリダイゼーションを可能にする条件を意味する。(これらは、高ストリンジェンシーのノーザンハイブリダイゼーション法またはサザンハイブリダイゼーション法の典型的な条件である。)高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションはまた、高ストリンジェンシーPCR法、DNAシーケンシング、一本鎖DNA高次構造多型解析、およびインサイチューハイブリダイゼーション法等、分子生物学者によって日常的に行われる多数の技法の確立に貢献している。ノーザンハイブリダイゼーション法およびサザンハイブリダイゼーション法とは対照的に、これらの技法は通常比較的短いプローブ(例えば、PCRまたはシーケンシングに関しては、通常16ヌクレオチドまたはそれ以上、およびインサイチューハイブリダイゼーション法に関しては、40ヌクレオチドまたはそれ以上)を用いて行われる。これらの技法において用いられる高ストリンジェンシー条件は分子生物学分野の当業者に周知であり、その例は例えば、参照として本明細書に組み入れられるAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, NY、1998に見出され得る。
【0033】
「試料」とは、患者または被験者から得られた組織生検、羊水、細胞、血液、血清、尿、便、またはその他の検体を意味する。当技術分野において周知の方法により試料を解析し、nil per os遺伝子における変異またはnil per os遺伝子の発現レベルを検出することができる。例えば、患者の試料に由来するPCR産物にシーケンシング、一本鎖DNA高次構造多型(SSCP)解析、または制限断片長多型(RFLP)解析等の方法を用いてnil per os遺伝子における変異を検出することができ、ELISA法および他の免疫測定法を用いてnil per osポリペプチドのレベルを測定することができ、PCRを用いてnil per os核酸分子のレベルを測定することができる。
【0034】
「nil per os関連疾患」、「npo関連疾患」、「nil per os関連病態」、または「npo関連病態」とは、nil per os遺伝子の不適当に高いもしくは低い発現、またはnil per os核酸分子もしくはポリペプチドの生体活性を変化させるnil per os遺伝子における変異に起因する疾患または病態を意味する。nil per os関連疾患および病態は、nil per osが出生前または出生後に発現される任意の組織において起こり得る。nil per os関連疾患および病態には、消化器(例えば、腸、肝臓、胆管、膵臓、胆嚢、胃、または食道)の疾患もしくは病態、または癌が含まれ得る。
【0035】
本発明はいくつかの利点を提供する。例えば、本発明の診断方法を用いて、患者において消化器系の疾患もしくは病態または癌が起こる可能性の増大を検出することが可能であり、よって何らかの症状が見られる以前に適切な処置を行うことが可能である。これは、例えば、そのような疾患または病態の危険性の高い群の患者に有効となり得る。また、本発明の診断方法により、患者における消化器系の疾患もしくは病態または癌の既存の病因決定が容易になり、適切な治療法が選択され得る。さらに、本発明のスクリーニング法は、これらの疾患または病態を治療または予防するのに使用可能な化合物を同定するために用いることが可能である。
【0036】
本発明はまた、本発明以前には、ドナー臓器の入手および臓器の拒絶反応の可能性により制限される臓器移植が唯一の治療法であった疾患または病態(例えば消化器不全)を治療するためにも用いられ得る。
【0037】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、添付の図面、および添付の特許請求の範囲から明らかとなると思われる。
【0038】
詳細な説明
本発明は、消化器系(例えば、腸(大腸または小腸)、肝臓、膵臓、胃、胆嚢、または食道)の疾患および病態または癌の診断および治療の方法、そのような疾患および病態を治療または予防するのに使用可能な化合物を同定するスクリーニング法、ならびにそのような化合物を用いてそのような疾患および病態を診断または治療する方法を提供する。特に、本発明者らは、ゼブラフィッシュ遺伝子の変異(nil per os(npo)変異)が、消化器の異常な成長および発達を特徴とする表現型をゼブラフィッシュにもたらすということを発見した。したがって、本発明の診断方法は、nil per osタンパク質をコードする遺伝子における変異の検出に関連し、化合物の同定方法は、そのようなタンパク質をコードする遺伝子に変異を有する生物または他の消化管疾患および病態モデルの表現型に影響を与える化合物のスクリーニングに関連する。このようにして同定された化合物、ならびにnpo遺伝子およびnpoタンパク質自体は、消化管疾患および病態を治療または予防する方法において用いることができる。npo機能を阻害することが見出された化合物、アンチセンス分子、および抗体を用いて、癌を予防または治療することも可能である。
【0039】
本発明はまた、上記のスクリーニング法に使用可能な動物モデル系(例えば、nil per osタンパク質をコードする遺伝子に変異(例えばnil per os変異)を有するゼブラフィッシュ、またはそのような変異を有するマウス(または他の動物))、ならびにnil per osタンパク質、およびこのタンパク質をコードする遺伝子を提供する。本発明は、変異型ゼブラフィッシュnil per osタンパク質をコードする遺伝子(例えば、nil per os変異を有する遺伝子)、およびこれらの遺伝子にコードされるタンパク質も含む。これらのタンパク質(野生型または変異型)に特異的に結合する抗体もまた、本発明に含まれる。
【0040】
本発明の診断、スクリーニング、および治療法、ならびに本発明の動物モデル系、タンパク質、および遺伝子について、以下に詳述する。
【0041】
診断法
nil per osタンパク質をコードする核酸分子、ならびにこれらの核酸分子によってコードされるポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに特異的な抗体は、このタンパク質をコードする遺伝子における変異またはその不適当な発現に関連する疾患および病態を診断またはモニターする方法において用いることができる。上記のように、ゼブラフィッシュにおけるnil per os変異は、消化器の異常な成長および発達という表現型を特徴とする。したがって、nil per os遺伝子またはその発現における異常の検出は、消化器の疾患または病態を診断する方法、またはその治療もしくは発症をモニターする方法において用いることができる。また、nil per osは、細胞増殖制御にも関与している。したがって、この遺伝子(またはこの遺伝子がコードするタンパク質)における異常の検出は、癌の診断、および癌治療のモニタリングにおいて用いることができる。
【0042】
本発明の診断法は、例えば、消化管の疾患もしくは病態または癌を患う患者にその病因を決定するために用いることができ、そのため適切な治療過程の選択が容易になる。この診断法はまた、そのような疾患または病態をまだ発症していないが今後発症する危険性を有する患者、またはそのような疾患または病態を発症する初期段階にある患者についても用いることができる。同様に、本発明の診断法は出生前遺伝子スクリーニングに用いることができ、例えば、nil per osタンパク質をコードする遺伝子において劣性変異を保因する可能性のある親が同定される。
【0043】
本発明の方法を用いて診断(および治療)され得る消化管の疾患または病態には、腸(大腸または小腸)、肝臓、胆道、膵臓、胃、胆嚢、または食道等の消化器を冒す任意の疾患または病態が含まれる。例えば、本方法を用いて、消化器不全(肝不全)、炎症性腸疾患(例えば、クローン病または潰瘍性大腸炎)、憩室疾患(例えば、憩室炎または憩室症)、吸収不良、脂肪便、虚血性腸疾患、過敏性腸症候群、セリアック病、大腸炎、肝炎(自己免疫性肝炎、またはA型、B型、C型、D型、E型、もしくはG型肝炎)、肝硬変、脂肪肝、胃炎(急性および慢性)、胃潰瘍、肥厚性胃病、消化性腫瘍、口咽頭嚥下障害、アカラシア、および逆流性食道炎を診断(または治療)することができる。
【0044】
本発明の方法は、例えば消化管癌のような癌の診断(および治療)においても用いることができる。例えば、本発明の方法を用いて、大腸癌、直腸癌、肝臓癌(例えば肝細胞癌)、膵癌(外分泌腺または膵島)、胆嚢癌、食道癌、胃癌、または胆管癌を診断または治療することができ、これらの癌は、例えば腺癌、腺腫、カルチノイド、または癌腫であってよい。
【0045】
本発明の方法を用いて、任意の哺乳動物、例えばヒト、ペット、または家畜において、本明細書に記載の疾患を診断(または治療)することができる。
【0046】
本発明の診断法を用いて検出できるnil per osの異常には、例えば、(i)異常なnil per osタンパク質の産生を引き起こす変異を含むnil per osタンパク質をコードする遺伝子、(ii)異常なnil per osポリペプチド自体(例えば、切断されたタンパク質)、および(iii)異常な量のnil per osタンパク質の産生を引き起こすこのタンパク質をコードする遺伝子の変異、を特徴とする異常が含まれる。そのような異常の検出は、ヒトの消化管の疾患または病態を診断する方法において使用できる。nil per osタンパク質の例示的な変異とはnil per os変異であり、これについては以下で詳述する。
【0047】
nil per osタンパク質をコードする遺伝子の変異は、たとえこのタンパク質が発現されていなくても、被験者の任意の組織において検出され得る。おそらくこれらのタンパク質が発現され得る組織の数は限られ、期間も限られているため、およびアッセイのためのそのような組織(例えば消化器)の試料採取は望ましくないため、血液または羊水試料等のより容易に得られる別の種類の試料において、変異型遺伝子を検出することが好ましいと思われる。
【0048】
nil per osタンパク質をコードする遺伝子における変異の検出は、任意の標準的な診断技法を用いて行うことができる。例えば、患者から得られた生体試料は、ミスマッチ検出法により、nil per osタンパク質をコードする核酸分子における1つまたは複数の変異(例えばnil per os変異)に関して解析することができる。一般に、この方法は患者の試料からの核酸分子のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅を含み、それに続いて、ハイブリダイゼーションの変化、異常な電気泳動ゲル移動、結合、もしくはミスマッチ結合タンパク質によって媒介される切断の検出により、または直接的な核酸分子シーケンシングにより、変異(すなわちミスマッチ)の同定が行われる。これらの技法のいずれかを用いて、nil per osタンパク質をコードする変異型遺伝子の検出を容易にすることができるが、これらの技法はそれぞれ当技術分野で周知である。例えばこれらの技法の例は、Oritaら(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86:2766-2770、1989)およびSheffieldら(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86:232-236、1989)によって記載されている。
【0049】
上記のように、変異の検出アッセイ法により、既存の疾患または病態の診断が容易になるだけでなく、nil per osタンパク質をコードする遺伝子の変異に関連する疾患の素因を、症状が発現する前に診断する機会も提供される。例えば、正常なnil per osの生体活性または発現を抑制する異常なnil per osタンパク質(またはその異常な量)をコードする遺伝子に関してヘテロ接合性の患者は、そのようなタンパク質に関連した疾患の臨床症状を示さない可能性があるが、なおもそのような疾患を発症する確率は正常より高い。そのような診断が仮定されれば、患者は有害な環境因子に対する曝露を最小限にするように予防することができ、かつ、例えば頻繁に健康診断を受けることにより、その病状を注意深くモニターすることができる。上記のように、この種の診断法を用いて、出生前スクリーニングにおいてnil per osタンパク質をコードする遺伝子の変異を検出することもできる。
【0050】
上記のように、容易に入手できる組織由来のゲノムDNAを使用して、nil per osタンパク質をコードする遺伝子の変異を検出する診断法を実施することが好ましいと思われるが、このタンパク質をコードするmRNAまたはタンパク質自体を、このタンパク質を発現しそれほど容易に入手できないであろう組織試料からアッセイすることもできる。患者のそのような組織試料におけるnil per osタンパク質をコードする遺伝子の発現レベルは、当技術分野で周知の多くの標準的な技法のいずれかを用いて測定することができ、この技法にはノーザンブロット解析および定量的PCR(例えば、Ausubelら、前記;PCR Technology: Principles and Applications for DNA Amplification、H.A. Ehrlich編、Stockton Press、NY;Yapら、Nucl. Acids. Res. 19:4294、1991を参照のこと)が含まれる。
【0051】
本発明のもう一つの診断方法においては、免疫測定法を用いて、生体試料中のnil per osタンパク質のレベルを検出またはモニターする。nil per osタンパク質に特異的なポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を、任意の標準的な免疫測定形式(例えば、ELISA法、ウェスタンブロット法、またはRIA法;例えばAusubelら、前記を参照のこと)において用いることにより、nil per osタンパク質のポリペプチドレベルを測定することができる。このレベルは、健常人由来の試料におけるnil per osタンパク質のレベルと比較することができる。この方法を用いてnil per osタンパク質の産生が減少していることが検出されれば、例えば、nil per osタンパク質の不十分な生体活性に関与する病態または病態に対する素因があることが示唆され得る。
【0052】
患者の試料におけるnil per osタンパク質の検出には、免疫組織化学的技法も用いることができる。例えば、患者から組織試料を得て、切片にし、抗nil per osタンパク質抗体および任意の標準的な検出系(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ等の酵素に結合した二次抗体を含む系)を用いて、nil per osタンパク質の存在について染色することができる。そのような技法に関する一般的な手引きは、例えば、Bancroftら、Theory and Practice of Histological Techniques、Churchill Livingstone、1982、およびAusubelら、前記に見出され得る。
【0053】
消化管の疾患もしくは病態または癌を治療または予防するのに使用可能な分子の同定
消化器の異常な成長および発達をもたらす表現型を生じるようなnil per osタンパク質をコードする遺伝子における変異を同定することにより、消化器系の疾患もしくは病態または癌を治療または予防するのに使用可能な分子(例えば、小さな有機もしくは無機分子、ペプチド、または核酸分子)の同定が容易になる。候補化合物がそのような疾患または病態にもたらす効果は、例えばゼブラフィッシュの系を用いて調べることができる。上記のように、ゼブラフィッシュであるDanio rerioは、発生の遺伝解析に用いるのに便利な生物である。その胚は扱いやすく透明であることから、発生の最も早い段階から器官機能を直接観察することができ、また、世代時間が短く繁殖力が旺盛である。以下に詳述するように、nil per os変異を有するゼブラフィシュをはじめとする動物は、これらの方法において用いることができ、よって本発明にはこれらの動物も含まれる。
【0054】
本発明のスクリーニング法の一例として、nil per osタンパク質をコードする遺伝子に変異を有するゼブラフィッシュ(例えば、nil per os変異を有するゼブラフィッシュ)を候補化合物と接触させ、消化管異常の発症に及ぼす化合物の影響、またはそのような既存の異常の状態に及ぼす化合物の影響を、未処置の同一の変異型対照と比較してモニターする。
【0055】
ゼブラフィッシュ系において化合物が所望の効果を有することが示された後、消化管疾患の他のモデル、例えばnil per osタンパク質をコードする遺伝子に変異を有するマウスまたは他の動物において、この化合物を試験することができる。または、ゼブラフィッシュの試験を行わずに、そのような動物モデル系における試験を実施することも可能である。本発明の化合物を、癌の動物モデルにおいて試験することもできる。
【0056】
nil per osのレベルまたは生体活性を上昇または低下させる分子の同定には、細胞培養に基づくアッセイ法も利用できる。ある方法では、nil per os mRNAを発現する細胞の培養液に、候補分子を種々の濃度で添加する。次に、標準的な技法により、nil per osの生体活性を測定する。生体活性の測定には、nil per osタンパク質レベルおよびnil per os核酸分子レベルの測定が含まれ得る。
【0057】
一般に、nil per osタンパク質をコードする遺伝子における変異に関連する疾患の予防または治療のための新規薬剤は、天然物、合成(または半合成)抽出物、および化学物質ライブラリの大規模ライブラリから、当技術分野で周知の方法により同定され得る。創薬および医薬品開発の分野の技術者には、被験抽出物または被験化合物の詳細な供給源が本発明のスクリーニング法に重要ではないこと、および脱反復(dereplication)法、またはnil per osに対する治療活性が既に明らかな物質の反復もしくは繰り返しの除去を必要に応じて行い得ることが理解されると思われる。
【0058】
被験候補化合物には、精製された(または実質的に精製された)分子または化合物の混合物(例えば、細胞由来の抽出物または上清;Ausubelら、前記)の1つまたは複数の成分が含まれ、そのような化合物には、さらに天然型または人工的な化学物質および既存の化合物の修飾物質の両方が含まれる。例えば、候補化合物は、ポリペプチド、合成有機分子または合成無機分子、天然有機分子または天然無機分子、核酸分子、およびそれらの成分であってよい。
【0059】
天然の候補化合物の供給源の多くは、当業者にとって容易に入手可能である。例えば、天然化合物は、(植物、真菌、原核生物、および動物を含む)細胞抽出物、哺乳動物の血清、哺乳動物細胞が培養された増殖培地、タンパク質発現ライブラリ、または発酵培養液に見出され得る。さらに、細菌、真菌、植物、および動物抽出物の形式の天然化合物のライブラリが多くの業者から市販されており、これには、バイオティクス(Biotics)(英国、サセックス)、ゼノバ(Xenova)(英国、スラウ)、ハーバーブランチ海洋研究所(Harbor Branch Oceanographic Institute)(フロリダ州、フォートピアス)、およびファルママー(PharmaMar)、U.S.A.(マサチューセッツ州、ケンブリッジ)が含まれる。さらに、例えば標準的な抽出法および分画法のような当技術分野で周知の方法により、必要に応じて天然化合物のライブラリを作製することができる。
【0060】
人工的な候補化合物も、当業者にとって容易に入手可能である。非常に多くの化合物をランダム合成または標的合成(例えば、半合成または全合成)する多数の方法が利用可能であり、これには、糖類、脂質、ペプチド、および核酸分子に基づく化合物が含まれる。また、合成化合物ライブラリは、ブランドンアソシエイツ(Brandon Associates)(ニューハンプシャー州、メリマク)およびアルドリッチケミカルズ(Aldrich Chemicals)(ウィスコンシン州、ミルウォーキー)から市販されている。例えば標準的な抽出法および分画法のような当技術分野で周知の方法により、必要に応じて、合成化合物のライブラリを作製することも可能である。さらに、必要に応じて、標準的な化学的、物理的、または生化学的方法により、任意のライブラリまたは化合物を容易に修飾することができる。
【0061】
粗抽出物が消化管疾患の発症または持続に影響を与えることが判明したら、陽性リード抽出物の分画をさらに行い、観察された効果をもたらす化学成分を単離することができる。つまり、抽出、分画、および精製過程の目的は、所望の活性を有する粗抽出物に含まれる化学物質の特性を慎重に決定し、同定することである。本明細書に記載の、化合物混合物中における活性を検出するアッセイ法と同様のアッセイ法を用いて、活性成分を精製し、それらの化合物の誘導体を試験することができる。このような不均一な抽出物の分画法および精製法は、当技術分野において周知である。治療に有用な薬剤であることが判明した化合物は、必要に応じて、当技術分野において周知の方法により化学的に修飾することができる。
【0062】
一般に、npo発現またはnpo活性を活性化することが判明した化合物は、異常な成長もしくは発達または臓器不全を特徴とする疾患または病態のような、消化管の疾患または病態の予防または治療において使用され得る。npo発現またはnpo活性を阻害することが判明した化合物は、癌を予防または治療するために使用され得る。
【0063】
動物モデル系
本発明はまた、上記のスクリーニング法を行うのに用いられる動物モデル系を提供する。これらのモデル系の例には、nil per osタンパク質をコードする遺伝子に変異(例えばnil per os変異)を有するゼブラフィッシュ、およびマウス等の他の動物が含まれる。例えば、本発明において使用され得るゼブラフィッシュモデルには、nil per osタンパク質産生の欠損をもたらす変異、または(例えば、終止コドンの導入による)切断型もしくはさもなくば改変nil per os遺伝子産物産生をもたらす変異が含まれ得る。具体的な例として、nil per os変異を有するゼブラフィッシュが使用され得る(以下を参照のこと)。
【0064】
消化器系疾患もしくは病態または癌の治療または予防
上記のスクリーニング法により同定された化合物を用いて、消化器系の疾患もしくは病態または癌を有する患者、またはそれらを発症する危険性を有する患者を治療することができる。nil per osタンパク質をコードする核酸分子およびこのタンパク質自体も、そのような方法において使用され得る。治療は短期間必要であるに過ぎないか、または患者の生涯にわたって何らかの形で必要である可能性がある。しかし、治療が継続的に必要であるか否かは、例えば上記の診断法により決定され得る。様々な治療を検討するに当たって、そのような治療は、好ましくは罹患器官または罹患している可能性のある器官(例えば、腸(大腸または小腸)、肝臓、胆管、膵臓、胃、胆嚢、または食道)を標的とすることを理解すべきである。そのようなターゲティングは、標準的な方法により達成され得る。
【0065】
nil per osタンパク質をコードする変異遺伝子に起因する疾患の治療または予防は、例えば変異型nil per osタンパク質の機能を調節することにより達成され得る。治療は、正常なnil per osタンパク質を適切な細胞に送達することにより、正常もしくは変異型nil per osタンパク質のレベルを変化させることにより、nil per osタンパク質をコードする変異型遺伝子をnil per osタンパク質をコードする正常遺伝子で置換することにより、またはnil per osタンパク質をコードする正常遺伝子を投与することによっても、達成され得る。同様に、nil per osタンパク質が関与する生理的経路(例えばシグナル伝達経路)を改変することにより、nil per osタンパク質をコードする遺伝子における欠陥の影響を修正することも可能である。
【0066】
変異型nil per osタンパク質をコードする遺伝子に関してヘテロ接合であると診断された患者、または(たとえ、変異または発現パターンがnil per osの発現または生体活性に未だ変化を生じていなくても)そのような変異もしくは異常なnil per os発現を起こす可能性があると診断された患者において、本明細書に記載のいずれかの治療をその疾患の表現型が生じる前に行うことができる。特に、変異型の表現型に対して効果を有することが示されている化合物、またはnil per osの発現を調節することが示されている化合物は、任意の標準用量および任意の投与経路によって、潜在的な疾患または実際の疾患を有すると診断された患者に投与することができる。
【0067】
任意の適切な投与経路を用いて、上記のように同定された化合物、npo遺伝子、またはnpoタンパク質を、本発明に従って投与することができる。例えば、投与として、非経口投与、静脈内投与、動脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、脳室内投与、関節内投与、髄腔内投与、槽内投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、エアゾルによる投与、坐剤による投与、または経口投与が可能である。
【0068】
本発明の治療化合物は、薬学的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤に含めて単位剤形として投与することができる。投与は、患者の症状が出現する前または後に行うことができる。当技術分野で周知の製剤法は、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences (第18版)、A. Gennaro編、1990、Mack Publishing Company、Easton PA. に見出される。治療剤形は、溶液状または懸濁液状とすることができる。非経口投与用の剤形は、例えば、賦形剤、滅菌水、もしくは生理食塩水;ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール;植物性油;または水素化ナフタレンを含み得る。化合物の放出を制御するには、生体適合性があり生物分解性のある、ラクチド重合体、ラクチド/グリコリド共重合体、またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体を用いることができる。有用と考えられる非経口送達系には、他に、エチレン-ビニルアセテート共重合体粒子、浸透圧ポンプ、移植可能な注入系、およびリポソームが含まれる。経口投与する場合は、剤形は錠剤またはカプセル剤の形でよい。吸入用の剤形には、例えばラクトースなどの賦形剤を含むことができ、もしくは例えばポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、グリココール酸、およびデオキシコール酸を含む水溶液とすることができ、または点鼻薬もしくはゲル剤の形で投与する油性溶液とすることができる。または、鼻腔内投与用の剤形は、粉末剤またはエアゾル剤の形でよい。
【0069】
変異型タンパク質を正常タンパク質に置換するため、または、十分なもしくは正常なnil per osタンパク質を発現しない細胞にタンパク質を加えるためには、nil per osタンパク質が発現される培養細胞系から大量の純粋なnil per osタンパク質を得る必要があり得る(例えば以下を参照のこと)。次に、適切なパッケージングまたは投与系を用いて、罹患組織へのタンパク質の送達が達成され得る。
【0070】
遺伝子治療は、nil per os遺伝子の欠陥によって引き起こされる疾患を予防または回復させるためのもう一つの治療方法である。野生型nil per osタンパク質をコードする核酸分子を、正常nil per osタンパク質の生体活性が十分ではない細胞(例えば、nil per os遺伝子に変異(例えばnil per os変異)を有する細胞)に送達することができる。核酸分子は、細胞に取り込まれ得る形でそれらの細胞に送達されなければならず、それにより、有効なnil per osタンパク質機能を提供するのに十分なレベルのタンパク質が産生される。または、いくつかのnil per os変異に関して、その遺伝子において第二の変異を有する相同的な遺伝子の別のコピーを導入することにより、結果として生じた疾患の進行を遅らせることもしくはnil per osタンパク質活性を調節すること、変異を変化させること、または任意の負の影響を遮断するために別の遺伝子を使用することが可能であると考えられる。
【0071】
形質導入ウイルス(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)ベクターは、特にそれらの感染、安定な組込み、および発現の効率が高いことから、体細胞遺伝子治療に用いられ得る(例えば、Cayouetteら、Human Gene Therapy 8:423-430、1997;Kidoら、Current Eye Research 15:833-844、1996;Bloomerら、Journal of Virology 71:6641-6649、1997;Naldiniら、Science 272:263-267、1996;およびMiyoshiら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94:10319、1997を参照のこと)。例えば、完全長のnil per os遺伝子またはその一部をレトロウイルスベクターにクローニングし、その内在性プロモーター、レトロウイルス末端反復配列、または関心対象の標的細胞種に特異的なプロモーターから発現を駆動させることができる。使用可能なウイルスベクターには、他に、例えば、ワクシニアウイルス、ウシパピローマウイルス、またはエプスタイン・バーウイルス等のヘルペスウイルスが含まれる(同様に、例えば、Miller、Human Gene Therapy 15-14、1990;Friedman、Science 244:1275-1281、1989;Eglitisら、BioTechniques 6:608-614、1988;Tolstoshevら、Current Opinion in Biotechnology 1:55-61、1990;Sharp、The Lancet 337:1277-1278、1991;Cornettaら、Nucleic Acid Research and Molecular Biology 36:311-322、1987;Anderson、Science 226:401-409、1984;Moen、Blood Cells 17:407-416、1991;Millerら、Biotechnology 7:980-990、1989;Le Gal La Salleら、Science 259:988-990、1993;およびJohnson、Chest 107:77S-83S、1995のベクターも参照のこと)。レトロウイルスベクターは、特に十分に開発され、臨床状況において用いられている(Rosenbergら、N. Engl. J. Med. 323:370、1990;Andersonら、米国特許第5,399,346号)。
【0072】
同様に非ウイルス方法を用いて、nil per osタンパク質に関連する疾患になりやすいと予測される細胞に治療用DNAを導入することができる。例えば、nil per os核酸分子またはアンチセンス核酸分子は、リポフェクション(Felgnerら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84:7413、1987;Onoら、Neuroscience Letters 17:259、1990;Brighamら、Am. J. Med. Sci. 298:278、1989;Staubingerら、Methods in Enzymology 101:512、1983)、アシアロオロソムコイド-ポリリジン結合(Wuら、Journal of Biological Chemistry 263:14621、1988;Wuら、Journal of Biological Chemistry 264:16985、1989)、または外科的状況下でのマイクロインジェクション(Wolffら、Science 247:1465、1990)によって細胞に導入することができる。
【0073】
遺伝子導入は、インビトロにおけるトランスフェクションを含む非ウイルス手段を用いても達成され得る。そのような方法には、リン酸カルシウム、DEAEデキストラン、エレクトロポレーション、およびプロトプラスト融合の使用が含まれる。リポソームもまた、細胞にDNAを送達するためにおそらく有用となり得る。
患者の罹患組織への正常遺伝子の移植は、培養可能な細胞種に正常なnil per osタンパク質をエクスビボで導入し、その後、その細胞(またはその子孫)を標的組織に注入することによっても達成され得る。
【0074】
遺伝子治療法において用いられるnil per os cDNA発現は、任意の適切なプロモーター(例えば、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス40(SV40)、またはメタロチオネインプロモーター)から指示され得り、任意の適切な哺乳動物調節エレメントによって制御され得る。例えば、必要に応じて、特定の細胞種において選択的に遺伝子発現を指示することが周知であるエンハンサーを用いて、nil per os発現を指示することができる。用いるエンハンサーには、組織特異的または細胞特異的エンハンサーとしての特徴を有するエンハンサーが含まれ得るが、これらに限定されない。または、nil per osゲノムクローンを治療構築物として用いる場合には(本明細書に記載するように、そのようなクローンはnil per os cDNAとのハイブリダイゼーションによって同定可能である)、同族の調節配列、または必要ならば上記のプロモーターもしくは調節エレメントのいずれかを含む異種起源に由来する調節配列によって、調節がなされ得る。
【0075】
nil per osタンパク質の遺伝子機能を調べるため、治療薬デザインの基礎として、およびnpoに関連した癌を治療するため、アンチセンスに基づく戦略をもたらす分子を用いることができる。これらの戦略は、(転写または翻訳を経る)遺伝子発現の配列特異的抑制が、ゲノムDNAまたはmRNAと相補的アンチセンス種との間の細胞内ハイブリダイゼーションによって行われ得るという原理に基づいている。ハイブリッドRNA二本鎖の形成により、標的nil per osタンパク質をコードするゲノムDNA分子の転写、または標的nil per os mRNA分子のプロセシング、輸送、翻訳、もしくは安定性が妨げられる。
【0076】
様々な方法により、アンチセンス戦略を実現させることができる。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスRNAは、(例えば、静脈内注射により)細胞に取り込まれ得る形で、被験者に直接投与され得る。または、アンチセンスRNA(またはアンチセンスRNA断片)をコードするウイルスまたはプラスミドベクターを、インビボまたはエクスビボで細胞に導入することができる。アンチセンス効果は対照(センス)配列によって誘導され得るが、表現型の変化の程度は非常に多様である。アンチセンス効果によって誘導される表現型への効果は、タンパク質レベル、タンパク質活性の測定、および標的mRNAレベル等の基準の変化に基づく。
【0077】
nil per os遺伝子治療は、野生型または変異型nil per osタンパク質の発現によって負の影響を受けると予測される細胞に、アンチセンスnil per os mRNAを直接投与することによっても達成され得る。アンチセンスnil per os mRNAは、任意の標準的な技法により産生され単離され得るが、高効率プロモーター(例えばT7プロモーター)の制御下にあるアンチセンスnil per os cDNAを用いてインビトロ転写することにより、最も容易に産生される。核酸分子を直接投与する上記方法のいずれかにより、アンチセンスnil per os mRNAを細胞に投与することができる。
【0078】
遺伝子治療を用いてnil per osタンパク質機能を阻害する代替的な方法には、抗nil per osタンパク質抗体または抗nil per osタンパク質抗体の一部を細胞内で発現させることが含まれる。例えば、nil per osタンパク質に特異的に結合し、その生体活性を阻害するモノクローナル抗体をコードする遺伝子(または遺伝子断片)を、組織特異的遺伝子制御配列の転写制御下に置くことができる。
【0079】
本発明に包含される別の治療法には、(例えば、注射によって)罹患している可能性のある組織もしくは実際の罹患組織の部位に直接的に、または(例えば、任意の従来の組換えタンパク質投与技法によって)全身的にのどちらかにより、組換えnil per osポリペプチドを投与することが含まれる。nil per osタンパク質の用量は、個々の患者の体格および健康状態を含む多数の要因に依存するが、一般に、任意の薬学的に許容される剤形で、一日当たり0.1 mgから100 mgを含めて成人に投与される。
【0080】
上記のように、npo発現またはnpo活性を活性化することが判明した化合物は、異常な成長もしくは発達(上記リストを参照のこと)または臓器不全を特徴とする疾患または病態のような、消化管の疾患または病態の予防または治療において使用され得る。npoタンパク質およびnpo核酸分子自体も同様に、これらの方法において使用され得る。例えば、npo発現もしくはnpo活性を活性化することが判明した化合物、npoタンパク質、またはnpo核酸分子を用いて、機能を失いつつある消化器の再生を促進することにより、消化器不全(例えば肝不全)を治療することができる。npo発現またはnpo活性を阻害する化合物、アンチセンス分子、または抗体を用いて、癌を予防または治療することが可能である。
【0081】
本発明のさらなる治療法は、npoタンパク質はいくつかのRNA認識モチーフ(RRM)を含みかつしたがって、これらモチーフの少なくともいくつかのRNA結合活性により機能する可能性が高いという事実に基づくものである。この方法において、npoタンパク質の機能は、上記のような方法を用いて、所望の効果に依存しnpo活性を促進または阻害するとして同定されたRNA分子の投与により調節される。例えば、消化器の成長または発達を促進するために(例えば、臓器不全等の、本明細書内で言及される疾患もしくは病態のいずれかを治療もしくは予防するために、または器官培養を促進するために)、促進性のRNAが投与され得る。これとは対照的に、癌を治療または予防するために、抑制性のRNAが投与され得る。当然のことながら、当技術分野において理解されるように、インビボにおいて転写されそのような促進性のRNAまたは抑制性のRNAを生じるDNA分子も、同様に投与され得る。これらの分子の投与は、ウイルスベクター等のベクター内であるか否かにかかわらず、当技術分野において周知の標準的な方法により行うことができる(例えば上記を参照のこと)。
【0082】
npo調節化合物、npoタンパク質、またはnpo核酸を患者に投与する段階を含む、本明細書に記載の治療法に加え、本発明は、そのような分子の存在下における器官培養の方法を提供する。特に、上記のように、npo変異は消化器の異常な成長および発達に関連している。したがって、これらの分子の存在下における消化器の培養により、その成長および発達を促進することができる。これらの器官は、例えば同種ドナーもしくは異種ドナーからの移植に備えて調製される器官、または合成器官であってよい。
【0083】
nil per os タンパク質、ポリペプチド、およびポリペプチド断片の合成
分子生物学分野の当業者は、多種多様な発現系を用いて、組換えnil per osタンパク質を産生し得ることを理解されよう。以下に詳述するように、実際に使用した宿主細胞は、本発明にとって重要ではない。nil per osタンパク質は、原核生物宿主(例えば大腸菌)または真核生物宿主(例えばS. セレビシエ、Sf9細胞等の昆虫細胞、またはCOS-1、NIH 3T3、もしくはHeLa細胞等の哺乳動物細胞)において産生され得る。これらの細胞は、例えばアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、バージニア州、マナッサスから市販されている(Ausubelら、前記も参照のこと)。形質転換法および発現媒体(例えば発現ベクター)の選択は、選択した宿主系によって変わることになる。形質転換およびトランスフェクションの方法は、例えばAusubelら、前記に記載されており、発現媒体は、例えばPouwelsら、Cloning Vectors: A laboratory Manual、1985、別冊 1987において提供される発現媒体から選択され得る。本発明に使用可能な発現系の具体例については、以下に詳述する。
【0084】
タンパク質を発現させるために、プラスミドをはじめとするベクターにnil per os遺伝子配列を導入し、次にこれを用いて生細胞を形質転換するという、真核生物または原核生物の発現系を構築することができる。発現プラスミドに正しい方向に挿入された全オープンリーディングフレームを含む全長のnil per os cDNAを有する構築物を用いて、タンパク質を発現させることができる。または、野生型または変異型のnil per os配列を含む、nil per os遺伝子の一部を挿入してもよい。原核生物または真核生物の発現系では、nil per osタンパク質の種々の重要な機能ドメインを必要であれば融合タンパク質として回収してから、結合試験、構造試験、および機能試験に使用することが可能であり、さらに抗体作製にも使用できる。
【0085】
典型的な発現ベクターは、ベクターに挿入された核酸分子に対応する、大量のmRNAの合成を指示するプロモーターを含む。ベクターはまた、宿主細胞内において自律的な複製を可能にする真核生物または原核生物の複製起点、ベクターを含む細胞を薬剤存在下で選択可能とする、通常は毒性作用をもたらす薬剤に対する耐性を付与する配列、および合成されたmRNAの翻訳効率を増加させる配列も含む。長期安定型ベクターは、例えばウイルスの制御エレメント(例えば、エプスタイン・バーウイルスゲノム由来のOriP配列)を用いることにより、遊離の複製分子として維持され得る。ベクターを細胞のゲノムDNAに組み込まれた形で有する細胞株を作製することも可能であり、この方法では、遺伝子産物が細胞内で連続的に産生され得る。
【0086】
大腸菌等の細菌内において外来分子を発現させるためには、外来核酸分子、例えばnil per os核酸分子を細菌の発現ベクターに挿入する必要がある。そのようなプラスミドベクターは、細菌内におけるプラスミドの増殖、およびプラスミド内に含まれる外来DNAの発現に必要とされるいくつかのエレメントを含む。プラスミドを有する細菌のみの増殖は、毒性薬剤の存在下でプラスミドを有する細菌の増殖を可能にする選択マーカーをコードする遺伝子を、プラスミド内に導入することにより達成される。プラスミドはまた、外来DNAから大量のmRNAの合成を指示し得る転写プロモーターも含む。このようなプロモーターは、適切な条件下(例えば、プロモーターを活性化する薬剤の存在下)での培養による誘導に応じて転写を開始する誘導性プロモーターであってよいが、必ずしもその必要はない。プラスミドはまた、遺伝子をベクター内で正しい方向に挿入しやすくするポリリンカーを含むことが好ましい。
【0087】
nil per os遺伝子、もしくはその断片、融合体、またはその変異体を含む適切な発現ベクターが構築されたら、例えばカルシウムリン酸トランスフェクション、DEAEデキストラントランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、プロトプラスト融合、またはリポソームを用いたトランスフェクション等の形質転換技法により、そのベクターを適切な宿主細胞に導入することができる。本発明のベクターを形質導入され得る宿主細胞には、大腸菌をはじめとする細菌、酵母、真菌、昆虫細胞(例えば、発現用バキュロウイルスベクターを使用して)、またはマウス、ヒトをはじめとする動物由来の細胞が含まれ得るが、これらに限定されない。哺乳動物細胞を使用して、例えばAusubelら、前記に記載されるウイルス発現系(例えばワクシニアウイルス発現系)により、nil per osタンパク質を発現させることも可能である。
【0088】
クローニングされたDNAにコードされるnil per osタンパク質、融合体、ポリペプチド断片、または変異型のインビトロ発現は、T7後期プロモーター発現系を用いても行われ得る。この系は、バクテリオファージT7のDNAにコードされる酵素である、T7 RNAポリメラーゼの制御された発現に基づく。T7 RNAポリメラーゼは、T7後期プロモーターと呼ばれる特定の23塩基対のプロモーター配列から、転写を開始させる。T7後期プロモーターのコピーはT7ゲノム上の複数の部位に位置するが、大腸菌の染色体DNA上には存在しない。その結果として、T7を感染させた大腸菌では、T7 RNAポリメラーゼはウイルス遺伝子の転写を触媒するが、大腸菌遺伝子の転写は触媒しない。この発現系では、lacプロモーターの隣に、T7 RNAポリメラーゼをコードする遺伝子が存在するように、組換え大腸菌細胞を最初に操作する。これらの細胞はIPTG存在下でT7ポリメラーゼ遺伝子を高い率で転写し、大量のT7 RNAポリメラーゼを合成する。次に、これらの細胞を、T7後期プロモータータンパク質のコピーを有するプラスミドベクターで形質転換する。これらの形質転換された大腸菌細胞を含む培養液にIPTGが添加されると、大量のT7 RNAポリメラーゼが産生される。このポリメラーゼは次に、プラスミド発現ベクター上のT7後期プロモーターに結合し、挿入されたcDNAの転写を高い率で触媒する。個々の大腸菌細胞は多コピーの発現ベクターを含むので、クローニングされたcDNAに対応する大量のmRNAがこの系で産生され得り、結果として得られるタンパク質を放射性標識することが可能である。
【0089】
後期プロモーターを含むプラスミドベクター、ならびにT3、T5、およびSP6等の類縁バクテリオファージ由来の対応するRNAポリメラーゼもまた、クローニングされたDNAからのタンパク質のインビトロ産生に使用され得る。大腸菌はまた、mGPI-2等のM13ファージを用いた発現にも使用され得る。さらに、ラムダファージの制御配列を含むベクター、または融合タンパク質の発現を指示するベクター、例えばマルトース結合タンパク質の融合タンパク質もしくはグルタチオンSトランスフェラーゼの融合タンパク質も、大腸菌における発現に使用され得る。
【0090】
真核発現系は、発現されたタンパク質の適切な翻訳後修飾を得るのに有用である。nil per osタンパク質を含む真核生物の発現プラスミドを真核生物の宿主細胞に一過的にトランスフェクションすることにより、トランスフェクションされた宿主細胞によるnil per osタンパク質の一過性の産生が可能となる。nil per osタンパク質は、安定にトランスフェクションされた真核生物(例えば哺乳動物)の細胞株によっても産生され得る。哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションに適した多くのベクターが一般に利用でき(例えば、Pouwelsら、前記を参照のこと)、このような細胞を含む細胞株の構築法についても同様である(Ausubelら、前記を参照のこと)。
【0091】
一例として、nil per osタンパク質、融合体、変異型、またはポリペプチド断片をコードするcDNAを、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子を含む発現ベクターにクローニングする。プラスミドの宿主細胞染色体への組み込み、つまりnil per osタンパク質をコードする遺伝子の宿主細胞染色体への組み込みは、細胞培養液中に0.01 μM〜300 μMメトトレキセートを添加することにより選択される(Ausubelら、前記)。この優性選択法は、たいていの細胞種で行われ得る。トランスフェクションされた遺伝子をDHFRを介して増幅することにより、組換えタンパク質の発現を増加させることができる。遺伝子増幅を有する細胞株の選択法は、Ausubelら、前記に記載されている。このような方法は、一般に、メトトレキセート濃度を徐々に増加させた培養液中で長時間培養することに関連する。最も広く使用されているDHFR含有発現ベクターは、pCVSEII-DHFRおよびpAdD26SV(A)である(例えばAusuelら、前記に記載されている)。上記の宿主細胞、または好ましくはDHFR欠損CHO細胞株(例えばCHO DHFR細胞、ATCCアクセッション番号CRL 9096)は、安定にトランスフェクションされた細胞株のDHFR選択またはDHFRによる遺伝子増幅に極めて好ましい細胞株の例である。
【0092】
真核生物の別の好ましい発現系には、例えばクロンテック(Clontech)(カリフォルニア州、パロアルト)から市販されているpBacPAK9ベクターを用いるバキュロウイルスの系がある。この系は、必要に応じて、例えばEvanら(Molecular and Cellular Biology 5:3610-3616、1985)に記載のmycタグ法等の他のタンパク質発現技法と併せて使用され得る。
【0093】
組換えタンパク質が発現されたら、細胞溶解とそれに続くアフィニティクロマトグラフィー等のタンパク質精製技法により、発現細胞からこの組換えタンパク質を単離することができる。この例では、本明細書に記載の方法により作製可能な抗nil per osタンパク質抗体をカラムに結合させ、組換えnil per osタンパク質の単離に使用することができる。アフィニティクロマトグラフィーに先行するnil per osタンパク質を有する細胞の溶解および分画は、標準的な方法で行うことができる(例えばAusubelら、前記を参照のこと)。単離後、必要に応じて、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC;例えばFisher、Laboratory Techniques In Biochemistry and Molecular Biology、WorkおよびBurden編、Elsevier、1980を参照のこと)により組換えタンパク質をさらに精製することができる。
【0094】
本発明のポリペプチド、特に短いnil per osタンパク質断片、ならびにnil per osタンパク質のN末端およびC末端のより長い断片も、化学合成により(例えばSolid Phase Peptide Synthesis、第2版、1984, The Pierce Chemical Co.、Rockford、ILに記載の方法により)作製することができる。本明細書に記載したように、ポリペプチドを発現させて精製するこれらの一般的な技法を用いても、有用なnil per osタンパク質断片または類似体を作製し単離することができる。
【0095】
nil per os タンパク質断片
nil per osタンパク質の様々な部分を含むポリペプチド断片は、タンパク質間相互作用、転写、およびRNA結合等の生体活性に重要なnil per osタンパク質のドメイン(例えばRRM)の同定に有用である。本明細書で提供するヌクレオチド配列を用いてそのような断片を作製する方法は、当技術分野で周知である(例えばAusubelら、前記を参照のこと)。例えば、nil per osタンパク質断片は、nil per os核酸配列に基づいて設計したオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、所望のnil per osタンパク質核酸分子断片をPCR増幅することにより作製できる。オリゴヌクレオチドプライマーは、発現ベクター(例えば哺乳動物発現ベクター、上記を参照のこと)のクローニング部位への増幅された断片の挿入を容易にする、固有の制限酵素切断部位を含むことが好ましい。このベクターは、次に、本明細書に記載された方法をはじめとする当技術分野で周知の様々な技法のいずれかを用いて、細胞(例えば哺乳動物細胞、上記を参照のこと)に導入され得り、その結果、発現ベクターを含む細胞内でnil per osタンパク質断片が産生される。nil per osタンパク質断片(例えばキメラの融合タンパク質)は、例えば後述する方法により、nil per osタンパク質の様々な領域に特異的な抗体を産生させる際にも使用され得る。
【0096】
nil per os タンパク質抗体
ポリクローナル抗体を調製するために、nil per osタンパク質、nil per osタンパク質の断片、またはnil per osタンパク質の特定部分を含む融合タンパク質を、例えば細菌中で、適切なクローニング媒体に含まれる対応DNA配列を発現させることによって合成することができる。通常は、抗体産生に用いられる抗原の供給源として融合タンパク質が使用される。大腸菌で広く用いられている発現系には、pURシリーズのベクターを用いるlacZ融合およびpATHベクターを用いるtrpE融合の2つがある。タンパク質は精製後に担体タンパク質と結合させ、被接種動物における抗原応答を促進するためにフロイントアジュバントと混合し、ウサギをはじめとする実験動物に注入することができる。または、タンパク質は、nil per osタンパク質を発現する培養細胞から単離され得る。ウサギをはじめとする実験動物を2週間間隔でブースター注射した後、採血して血清を分離する。この血清は直接使用できるほか、プロテインAセファロース、抗原セファロース、および抗マウスIgセファロース等の試薬を用いるアフィニティクロマトグラフィーを含む様々な方法で使用前に精製することができる。次にこの血清を用いて、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分画したnil per osタンパク質発現組織由来のタンパク質抽出物を精査し、nil per osタンパク質を同定することができる。または、タンパク質の抗原性部分に対応する合成ペプチドを作製して、動物への接種に用いることができる。
【0097】
例えばnil per osタンパク質特異的抗体の作製に使用するためにペプチドまたは全長タンパク質を作製するためには、nil per osタンパク質をコードする配列をグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST;Smithら、Gene 67:31-40、1988)とのC末端融合体またはN末端融合体として発現させてもよい。融合タンパク質をグルタチオン-セファロースビーズ上で精製し、グルタチオンで溶出し、トロンビンまたはXaファクター等のプロテアーゼで(作出された切断部位において)切断し、さらにウサギを良好に免疫化するのに必要な程度まで精製する。初回免疫はフロイント完全アジュバントを用いて実施し、それに続く免疫はフロイント不完全アジュバントを用いて実施することができる。GST-nil per osタンパク質をプロテアーゼで切断したnil per osタンパク質断片を用いてウェスタンブロットおよび免疫沈降解析することにより、抗体の力価を評価できる。免疫血清は、CNBrセファロースに結合させたnil per osタンパク質を用いてアフィニティ精製することができる。抗血清の特異性は、関連のないGST融合タンパク質のパネルを用いて決定することができる。
【0098】
または、nil per osタンパク質を発現する培養細胞から単離されたnil per osタンパク質または組織から単離されたnil per osタンパク質を抗原として用いることにより、モノクローナルnil per osタンパク質抗体を作製できる。nil per osタンパク質を含む細胞抽出物または組換えタンパク質抽出物を、例えば、フロイントアジュバントと共にマウスに注射することができる。注射から数日後にマウスの脾臓を摘出し、組織を分離し、脾臓細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)に懸濁する。脾臓細胞はリンパ球の供給源となり、その一部は適切な特異性をもつ抗体を産生すると考えられる。次に、永久増殖するミエローマ細胞とこれらを融合させ、融合産物を多数の組織培養用ウェルに、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(HAT)等の選択薬剤の存在下でプレーティングする。次にこれらのウェルを対象にELISAによりスクリーニングを行い、nil per osタンパク質、ポリペプチド断片、またはその変異型に結合可能な抗体を産生する細胞を含むウェルを同定する。次にこれらの細胞を再プレーティングして増殖させた後に、同細胞を含むウェルのスクリーニングを再び行い、抗体産生細胞を同定する。続いてこれらの細胞を再度プレーティングし、増殖させた後、これらの細胞を含むウェルを再度スクリーニングして抗体産生細胞を同定する。90%を越えるウェルが特異的抗体産生について陽性を示す単一のクローンを含むようになるまで、複数のクローニング手順を実施してもよい。この手順により、抗体を産生する安定なクローン株が樹立され得る。次に、プロテインAセファロースを用いるアフィニティクロマトグラフィーおよびイオン交換クロマトグラフィー、ならびにこれらの技法を改変し組み合わせることにより、モノクローナル抗体を精製することができる。モノクローナル抗体が産生されたら、ウェスタンブロットまたは免疫沈降解析により、nil per osタンパク質に対する認識の特異性についても試験を行う(例えば、Kohlerら、Nature 256:495、1975;Kohlerら、European Journal of Immunology 6:511、1976;Kohlerら、European Journal of Immunology 6:292、1976;Hammerlingら、In Monoclonal Antibodies and T Cell Hybridomas、Elsevier、NY、1981;Ausubelら、前記を参照のこと)。
【0099】
GST融合タンパク質に対する代替的または補助的な免疫源として、nil per osタンパク質の比較的特有な親水性領域に対応するペプチドを作製し、C末端に導入したリシンを介してキーホールリンペットヘモシニアン(KLH)に結合させることができる。これらのペプチドそれぞれに対する抗血清は、BSAに結合させたペプチド上で同様にアフィニティ精製することが可能であり、その特異性は、ペプチド複合物を用いるELISAおよびウェスタンブロッティング、ならびに例えばGST融合タンパク質として発現させたnil per osタンパク質を用いるウェスタンブロッティングおよび免疫沈降により調べることができる。
【0100】
Jamesonら、CABIOS 4:181、1988のアルゴリズムを用いたペプチド構造プログラム(ジェネティクスコンピューターグループ配列解析パッケージ、Program Manual for the GCG Package、バージョン7、1991)により提供されるような基準に基づく解析から、高度保存領域内には存在しないが抗原性を示すと考えられるnil per osタンパク質アミノ酸配列を用いて、本発明の抗体を作製することができる。これらの断片は、例えばPCR等の標準的な技法により作製され、pGEX発現ベクターにクローニングされ得る。GST融合タンパク質を大腸菌内で発現させて、グルタチオン-アガロース・アフィニティマトリクス(Ausubelら、前記)を用いて精製することができる。ウサギのポリクローナル抗体を作製するため、およびnil per osタンパク質に対して非特異的な抗血清または低親和性結合を示す抗血清が得られる可能性を最小限にするためには、各タンパク質について2、3種の融合体を作製し、各融合体を少なくとも2匹のウサギに注射する。好ましくは少なくとも3回のブースター注射を含む連続的な注射を行うことで、抗血清が得られる。
【0101】
本発明は、完全な形のモノクローナルおよびポリクローナル抗nil per osタンパク質抗体に加え、遺伝子操作した様々な抗体、ヒト化抗体、ならびにF(ab')2、Fab'、Fab、Fv、およびsFvの各断片を含む抗体断片を扱う。例えば切断型のモノクローナル抗体は、所望のモノクローナル抗体断片を適切な宿主で発現するプラスミドを作製する組換え法により、産生され得る。抗体を当技術分野で周知の方法によりヒト化することが可能であり、例えば所望の結合特異性を有するモノクローナル抗体を外注でヒト化することができる(スコットジーン(Scotgene)、スコットランド;オックスフォードモレキュラー(Oxford Molecular)、カリフォルニア州、パロアルト)。トランスジェニック動物において発現される抗体のような完全なヒト抗体も、本発明に含まれる(Greenら、Nature Genetics、7:13-21、1994)。
【0102】
Ladner(米国特許第4,946,778号および第4,704,692号)は、1本鎖ポリペプチド抗体の調製法について記載している。Wardら、Nature 341:544-546、1989は、彼らが「シングルドメイン抗体」と呼び、高い抗原結合親和性を有する重鎖可変ドメインの調製法について記載している。McCaffertyら、Nature 348:552-554、1990は、完全な抗体Vドメインがfdバクテリオファージの表面に呈示され得ること、そのファージが抗原に特異的に結合すること、および稀なファージ(100万個に1個)がアフィニティクロマトグラフィーにより単離され得ることを示している。Bossら(米国特許第4,816,397号)は、単一の宿主細胞内で、免疫グロブリン、ならびに少なくとも重鎖および軽鎖の可変ドメインを含む免疫学的に機能するそれらの断片を作製する様々な方法について記載している。Cabillyら(米国特許第4,816,567号)は、キメラ抗体の調製法について記載している。
【0103】
nil per os 抗体の使用
上記のように、nil per osタンパク質に対する抗体を用いて、nil per osタンパク質を検出することができ、またはnil per osタンパク質の生体活性を抑制することができる。例えば、抗体または抗体の一部をコードする核酸分子を細胞内で発現させ、nil per osタンパク質の機能を抑制することができる。さらに、診断または治療に用いるために、抗体を放射性核種およびリポソーム等の化合物に結合させることができる。nil per osタンパク質の細胞外ドメインを特異的に認識する抗体は、nil per osタンパク質ドメインを表面に呈示する細胞に、そのような結合成分を標的する際に有用である。本明細書に記載したnil per osポリペプチドの活性を抑制する抗体は、野生型または変異型のnil per os遺伝子の不適当な発現に起因する疾患の発症を防いだりまたは緩やかにするためにも有用である。
【0104】
nil per os 遺伝子発現の検出
上述したように、上記の抗体を用いて、nil per osタンパク質の発現をモニターすることができる。RNAのインサイチューハイブリダイゼーションにより、nil per os遺伝子の発現を検出することができる。RNAインサイチューハイブリダイゼーション技法は、特異的に標識された核酸プローブと、個々の細胞または組織内における細胞RNAとのハイブリダイゼーションに基づく。したがって、RNAインサイチューハイブリダイゼーションは、組織特異的および時間特異的な遺伝子発現を調べる強力な方法である。この方法では、nil per os遺伝子の特有の部分に対応するオリゴヌクレオチド、クローニングされたDNA断片、またはクローニングされたDNA断片のアンチセンスRNA転写産物を用いて、例えばマウス等の動物組織内において、様々な発生段階において、特定のmRNA種を検出する。他の遺伝子発現検出技法も当業者に周知であり、これを用いてnil per os遺伝子の発現を検出することができる。
【0105】
さらなる nil per os 遺伝子の同定
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびDNAハイブリダイゼーション等の標準的な技法を用いて、他の種のnil per os相同体、およびヒトのnil per os関連遺伝子をクローニングすることができる。ヒトnil per osプローブまたはプライマーを用いて、低ストリンジェンシーのDNAハイブリダイゼーションまたは低ストリンジェンシーのPCRにより、nil per os関連遺伝子および相同体を容易に同定することができる。ヒトnil per osアミノ酸配列またはヒトnil per os関連アミノ酸配列をコードする縮重プライマーを用いて、RT-PCRにより、さらなるnil per os関連遺伝子および相同体をクローニングすることができる。
【0106】
トランスジェニック動物およびノックアウト動物の構築
nil per os遺伝子の特徴づけにより、相同組換えによりnil per osノックアウト動物モデルを作製し得る情報が得られる。nil per osノックアウト動物は、好ましくは哺乳動物であり、最も好ましくはマウスである。同様に、nil per osを過剰産生する動物モデルは、標準的なトランスジェニック技法に従い、1つまたは複数のnil per os配列を動物のゲノムに組み込むことにより作製され得る。さらに、nil per os変異(例えば優性遺伝子突然変異)の影響は、変異したnil per osの導入遺伝子を有するトランスジェニックマウスを用いることにより、または標準的な相同組換え技法を用いてそのような変異を内在性のnil per os遺伝子に導入することにより、調べることができる。
【0107】
ノックアウトモデルの作製に使用され得る置換型ターゲティングベクターを、例えば129/Sv(ストラタジーン社(Stratagene Inc.)、カリフォルニア州、ラホーヤ)等のマウス系統に由来する、同質遺伝子のゲノムクローンを用いて構築することができる。適切に派生された系統の胚幹(ES)細胞に、エレクトロポレーションによりターゲティングベクターを導入することで、末端が大きく切断された型のnil per os遺伝子を有するES細胞株を作製することが可能である。キメラの創始マウスを作製するためには、標的細胞株をマウスの胞胚期の胚に注入する。ヘテロ接合の子孫を同系交配することにより、ホモ接合の個体を得ることができる。nil per osノックアウトマウスは、nil per osが胚発生および疾患に果たす役割を調べるためのツールを提供する。さらにこのようなマウスは、nil per osに依存する経路またはnil per osが影響を及ぼす経路にかかわる疾患または病態を回復させる治療化合物を、インビボにて試験する手段を提供する。
【0108】
胃腸管の幹細胞マーカーとしての nil per os の使用
発生の過程において、胃腸管器官および組織を生じる細胞でnil per osが発現されることから、nil per osは胃腸管の幹細胞マーカーとして使用され得る。例えば、nil per osを用いて、そのような幹細胞を同定、選別、またはターゲティングすることができる。例えば、候補細胞のプールをnil per os発現について解析し、胃腸管幹細胞の同定を容易にすることが可能であり、この同定に基づきこの細胞をプールから分離することができる。単離された幹細胞は、当技術分野で周知の多くの目的に使用され得る。例えば、幹細胞は、新しい器官の産生、器官培養において、または損傷したもしくは移植された器官を強化するために使用され得る。
【0109】
実験結果
化学的に突然変異誘発されたゼブラフィッシュの遺伝学的スクリーニングにおいて、本発明者らは、消化器の異常な発達をもたらす変異を同定した。成体雄性ゼブラフィッシュ(TL系統)をENUで処理し、2世代にわたって外部交配させた。解剖顕微鏡を用いて、可視的欠陥について近交子孫を4日目にスクリーニングしたところ、fW07-g対立遺伝子が、腸、肝臓、および膵臓の不完全な成長を明らかに示した。変異体表現型(ヘテロ接合体の交雑による25%の子孫がこの表現型を示した)は十分に浸透する(fully penetrant)メンデル劣性遺伝を示し、次の世代の外部交配を通して先祖の形質を維持した。これらの知見は、単一の必須遺伝子の機能喪失と一致する。遺伝的背景の表現型に及ぼす検出可能な影響は見られない。
【0110】
腸および下顎が成長できない場合、表現型は受精後約72時間(hpf)で初めて識別可能となる。これらの欠陥は96 hpfまでにさらに明白となり、野生型の腸はかなり拡大しているのに対し、変異体の腸はかろうじて見える程度である(図1Aおよび図1B)。変異体の肛門外口は閉塞しているが、総排出腔および原腎管は開存しているように見える(図1Cおよび図1D)。アルシアンブルー染色によって観察されるように、下顎および鰓弓は発達していない(図1Eおよび図1F)。その他の罹患器官として、浮袋および膵臓があげられる。抗インスリン免疫抗体法により、膵島は正常な大きさおよび構造を保持していることが示され、これにより変異は選択的に内胚葉由来の上皮に影響することが示唆される。変異体において、心機能は正常であり、脳、神経管、腎臓、脊索の形態形成には異常が見られない。変異体の幼生は(おそらく下顎の構造上の欠陥のために)摂食しなかったので、上記したように「絶食」のラテン語であるnil per os(npo)と命名された。
【0111】
変異体の胚の組織学的解析から、最も激しく影響を受けている構造は消化器であることが示される。特に、腸の欠陥によって、別々の段階における発達の停止が示唆される。通常、4日目の腸は分化した器官型細胞構築を示す。すなわち、著しい先端-基底の極性を有した単一性の円柱上皮細胞が腸管腔の内表面となる。これとは対照的に、変異体の腸上皮細胞は扁平状から立方状であり、極性がなく、多面的形態であり、数が少ない(48 hpf〜60 hpf胚と類似)(図1Gおよび図1H)。本発明者らは、どの発生点において変異体の上皮細胞が形成されたのかを識別することに関心を持ち、この目的のために3つの動的なパラメータである細胞極性、遺伝子発現、および細胞増殖を調べることを選択した。
【0112】
本発明者らが試験した細胞極性マーカーは、先端ドメインに局在する密着結合タンパク質であるzo-1、基底ドメインに局在するNa/K ATPase、および先端細胞質に局在するアクチンである。この解析の結果から、タンパク質の局在化および膜の極性は変異体細胞においても確立されることが示されたが、アクチンは先端細胞質に局在化していなかった。したがって、細胞極性におけるこの転機において、npo遺伝子が必要である。
【0113】
本発明者らは、腸の発達の様々な段階において発現されることが周知である遺伝子の発現パターンについても調べた。FoxA2(以前はフォークヘッド2)は、中期胞胚期から器官形成にかけて内胚葉において発現されるが、24 hpfおよび38 hpfにおいて、npo変異体の胚と野生型の胚の間でmRNAに識別可能な相違は認められなかった。24 hpfにおいて、ソニック・ヘッジホッグ(shh)mRNA発現は、patched-1およびpatched-2と同様に影響を受けておらず、shhシグナル伝達は無傷であることが示唆される。GATA-5は腸において4日目に強く発現され、その発現は変異体においても維持されるが、低レベルであり、おそらくこれは腸細胞存在数が少ないという事実に起因する。次に、ゼブラフィッシュの腸内で生じることが周知である細胞種3つの最終分化マーカーを試験した:腸細胞について腸脂肪酸結合タンパク質(IFABP)mRNAのインサイチューハイブリダイゼーション、腸内分泌細胞についてクロモグラニンmRNAのインサイチューハイブリダイゼーション、および、杯状細胞についてPAS細胞学的染色。この解析により、これらのマーカーは実質的に発現されないことが示され、このことから腸細胞の最終分化が行われないことが示唆された。
【0114】
大量分離法(bulked-segregant analysis)により、npo変異を連鎖群6にマッピングした。微細な遺伝子マッピングにより、npo区間はマイクロサテライトマーカーz8532とz4950の間に位置づけられた。z8532特異的プライマーを用いて染色体歩行を開始し、2つの重複するBACであるb37およびb90を有する遺伝子区間をカバーした。BACの完全なDNA配列を決定し、内部のマイクロサテライトマーカーを用いて遺伝子区間をさらに狭めた。この区間内には2つの遺伝子が含まれており、一方はEphA2(上皮細胞キナーゼ)をコードし、もう一方は複数のRNA認識モチーフ(RRM)を有する推定タンパク質をコードする。ホモ接合変異体および野生型の胚から単離された両cDNAの完全なシーケンシングから、RRMタンパク質の予想される970アミノ酸のうち221位のアミノ酸における、RRMタンパク質内でのチロシンから終止コドンへの変化(TATからTAA)が明らかになった。EphA2遺伝子内には、何らかのコドン変化を生じる変異は見られなかった。変異体および野生型の胚由来の全長RRMタンパク質をコードするcDNAのインビトロ翻訳により、予想される大きさがそれぞれ30 kDaおよび110 kDaであるタンパク質が産生された。BAC b37はRRMタンパク質をコードする完全なゲノム配列を含むが、EphA2遺伝子についてはそのC末端部分のみを含む。b37の注入により、遺伝子型で確認された変異体胚の90%以上胚において(23/25)、IFABP発現がレスキューされた。これらのデータに基づいて、RRMタンパク質がnpo遺伝子と一致すると結論づけた。したがって、npo遺伝子産物は、その機能の一部としてRNAに結合すると考えられる。
【0115】
npoタンパク質は6つのRRMドメインを含み、これらは全真核生物において高度に保存されている(図3)。この複数の配列の解析から、ゼブラフィッシュのタンパク質はヒトのオルソログと59%同一であり、ショウジョウバエ、線虫、S. セレビシエおよびシロイヌナズナに対して約30%〜40%同一であることが示される。本発明者らは、インビトロ翻訳により作製された35S標識npoタンパク質を用いて、RNAが優先的にグアノシンに結合することを実証した。任意のnpo相同体の遺伝子機能については、酵母の遺伝子欠失プロジェクトにより記載されたのみである。相同的な酵母遺伝子であるMRD1は必須であり、その転写産物はジオーキシーシフト(diauxic shift)により下方制御される。ヒト遺伝子は染色体12q24.13(DKFZp586F1023と呼ばれる)にマッピングされ、本発明以前には、疾患との関連性は知られていなかった。
【0116】
ゼブラフィッシュのnpo mRNAは母系性に発現され、かつ、発現が頭部および内胚葉に局在化する約24 hpfまでは初期胚において非特異的に発現される。脳および眼のmRNA発現は60 hpfまでに消失するが、消化器においては、かろうじて検出可能である約96 hpfまで持続する。ゼブラフィッシュ胚におけるnpoタンパク質の異所性過剰発現は致死的であり、原腸形成の欠損がもたらされる。
【0117】
その他の態様
本明細書に記載されたすべての刊行物および特許出願は、それぞれ独立した刊行物または特許出願が参照として組み入れられることが特におよび個々に示されている場合と同程度に、参照として本明細書に組み入れられる。
【0118】
本発明をその特定の態様とともに説明してきたが、本発明はさらなる改変が可能であり、本出願は、本発明の原理に一般に準拠しつつ、および本発明に関する技術分野の範囲内にある周知または慣習的な実践の中で起こるような本開示からの逸脱を含みつつ、本発明のいかなる変更、使用、または適合も含むことが意図されており、本明細書に上記した本質的特徴に適用可能であり、かつ添付の特許請求の範囲に従うことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】図1A〜1Gは、ゼブラフィッシュの野生型(パネルA、C、E、およびG)とnpo変異体(パネルB、D、F、およびH)間の表現型の相違を示す。この解析のさらなる詳細は上記で提供される。
【図2】npo遺伝子(RRM)が位置するゼブラフィッシュゲノムの領域の略図である。npo表現型を生じる変異は、221位のアミノ酸のコドンにおけるチロシンから終止コドンへの変化を起こすが、図面の下部にこれを図解する。
【図3】npo変異を星印で示したnpoタンパク質のRRMドメインの略図、ならびに、ゼブラフィッシュ、ヒト、ショウジョウバエ、線虫、S. セレビシエ、およびシロイヌナズナのnpoの配列のアラインメントである。npo変異に関連する中途の終止コドンを、同様に星印で示す。
Claims (32)
- 被験者がnil per osタンパク質に関連する疾患または病態を有するまたは発症する危険性を有することが変異の存在により示される、被験者由来の試料の核酸分子を解析して、被験者がnil per osタンパク質をコードする遺伝子に変異を有するか否かを判定する段階を含む、被験者が、nil per osタンパク質に関連する疾患または病態を有するまたは発症する危険性を有するか否かを判定する方法。
- 被験者がヒトである、請求項1記載の方法。
- 疾患または病態が消化器系の疾患もしくは病態または癌である、請求項1記載の方法。
- 疾患または病態が、腸、肝臓、胆管、膵臓、胃、胆嚢、または食道の疾患または病態である、請求項3記載の方法。
- 表現型における改善を検出することが、消化器系の疾患もしくは病態または癌の治療または予防に使用され得る化合物の同定を示す、nil per osタンパク質をコードする遺伝子に変異を含みかつ消化器系の疾患もしくは病態または癌に特有の表現型を有する生物に化合物を接触させる段階、および、該化合物の該表現型への効果を判定する段階を含む、消化器系の疾患もしくは病態または癌の治療または予防に使用され得る化合物を同定する方法。
- 消化器系の疾患または病態が、腸、肝臓、胆管、膵臓、胃、胆嚢、または食道の疾患または病態である、請求項5記載の方法。
- 生物がゼブラフィッシュである、請求項5記載の方法。
- nil per osタンパク質をコードする遺伝子における変異がnil per os変異である、請求項5記載の方法。
- 請求項5記載の方法を用いて同定された化合物を患者に投与する段階を含む、患者において消化器系の疾患もしくは病態または癌を治療または予防する方法。
- 消化器系の疾患または病態が消化器不全である、請求項9記載の方法。
- 患者がnil per osタンパク質をコードする遺伝子に変異を有する、請求項9記載の方法。
- 機能的nil per osタンパク質または該タンパク質をコードする核酸分子を含む発現ベクターを患者に投与する段階を含む、患者において消化器系の疾患または病態を治療または予防する方法。
- 患者においてnil per osの活性または発現を阻害する化合物または分子を患者に投与する段階を含む、患者において癌を治療または予防する方法。
- 実質的に純粋なnil per osポリペプチド。
- ポリペプチドがゼブラフィッシュのポリペプチドまたはヒトのポリペプチドである、請求項14記載のポリペプチド。
- 配列番号:3もしくは配列番号:5のアミノ酸配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含む、または配列番号:3もしくは配列番号:5のアミノ酸配列を含む、請求項14記載のポリペプチド。
- nil per osポリペプチドをコードする配列を含む、実質的に純粋な核酸分子。
- ゼブラフィッシュのポリペプチドまたはヒトのポリペプチドをコードする、請求項17記載の核酸分子。
- 配列番号:3もしくは配列番号:5のアミノ酸配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含む、または配列番号:3もしくは配列番号:5のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、請求項17記載の核酸分子。
- DNAである、請求項17記載の核酸分子。
- 請求項17記載の核酸分子を含むベクター。
- 請求項21記載のベクターを含む細胞。
- 請求項17記載の核酸分子を含む、非ヒトトランスジェニック動物。
- 動物がゼブラフィッシュである、請求項23記載の非ヒトトランスジェニック動物。
- nil per osポリペプチドをコードする対立遺伝子の一方または両方にノックアウト変異を有する、非ヒト動物。
- 請求項25記載の非ヒトノックアウト動物由来の細胞。
- 変異型nil per osポリペプチドをコードする核酸分子を含む非ヒトトランスジェニック動物。
- ゼブラフィッシュである、請求項27記載の非ヒトトランスジェニック動物。
- nil per os変異を含む、請求項28記載の非ヒトトランスジェニック動物。
- nil per osポリペプチドに特異的に結合する抗体。
- 候補細胞のプールを、nil per os発現について解析する段階を含む、胃腸管の幹細胞を同定する方法。
- 候補細胞のプールから、nil per osを発現する細胞を分離する段階をさらに含む、請求項31記載の方法。
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