JP2005500706A - ナノスケール製品、及びナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法 - Google Patents

ナノスケール製品、及びナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法 Download PDF

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Abstract

電気的に活性なドナー原子のパターンが形成されたレイヤーが、アニールまたは熱処理によって、シリコン結晶の表面上に結合される。このレイヤーは、シリコンのエピタキシャル成長により、カプセル化されるであろう。パターンが形成されたレイヤーは、リン原子を有しており、リン原子は、選択的に脱離された水素の保護レイヤーをホスフィンガスに曝露することにより形成される。このドナー原子は、固体量子コンピュータ内のキュービットとして用いられるであろう。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノメートルの精度で加工された電子デバイスなどのナノスケール製品、及び原子スケール製品に関する。我々は、これらナノスケール製品及び原子スケールの製品を意図して、ナノスケールの用語を用いる。このような製品は、量子コンピュータの製造において中間製品となり得るが、多様な用途に用いることが出来る。本発明の別の点は、このような製品の製造方法及び量子コンピュータに関する。
【背景技術】
【0002】
Kane1、2は、シリコンに基づく量子コンピュータを提案している。この量子コンピュータでは、リン原子核(I=1/2)の核スピンが、純粋な28Si(I=0)同位体に埋め込まれたキュービットして用いられている。低温下では、リンの原子核に結び付けられて、ドナー電子が残る。表面の「A」ゲートで、これら原子核スピンと電子スピンとの間で超微細の相互作用を、表面の「A」ゲートで制御し、2つの分極を可能にする。この2つのリンのドナーは、隣接したドナー電子の波動関数が重なるように、〜20nm、離す必要がある。隣接したドナー電子間では、表面で離れた「J」ゲートを用いて、カップリングすることが出来、キュービット間の相互作用を電子に媒介させることが出来る。図1は、この提案された構造を示している。
【0003】
このような従来のデバイスの構成に、多数の特許出願と論文が関連しており、後述する文献を引用した。
【0004】
現在のところ、ホスフィンなどのドーパント源による、シリコンへの単一のリンイオンの結合に関して、STMの研究はされていない。
【0005】
本発明では、Kaneが提案した量子コンピュータなどの、シリコンをベースにした原子スケールのデバイスを生産するのに必要な、多数の中間製品及び工程を初めて示している。
【発明の開示】
【0006】
本発明の第1の点は、量子コンピュータなどの原子スケールデバイスの製造工程における中間製品である、ナノスケール製品において、
シリコン結晶の表面のシリコン原子がドナー原子に置換されて、互いに100nm以下の間隔で配置されたドナー原子のアレイが形成されており、かつドナー原子が電気的に活性である、シリコン結晶を有する、
ナノスケール製品である。
【0007】
後述する本発明の最良の形態では、このようなシリコン表面におけるアレイの形成を初めて明らかにしている。
【0008】
シリコン結晶の表面は、σ結合のシリコンダイマー列で構成された2×1ユニットセルの表面構造を有する、(100)の配向であってもよい。この場合、ドナー原子は、表面のシリコン原子と置換されてドナー−シリコンのへテロダイマーを形成する。
【0009】
ドナーは、リンでもよく、またこのドナー原子を、50nm、20nmなどの間隔を介した高い精度で配置してもよい。
【0010】
本発明の第2の点は、量子コンピュータなどの原子スケールデバイスの製造工程における中間製品である、ナノスケール製品において、
シリコン結晶内のシリコン原子をドナー原子に置換したレイヤーがカプセル化され、かつ実質的に全てのドナー原子が電気的に活性である、シリコン結晶を有する、
ナノスケール製品である。
【0011】
後述する本発明の最良の形態では、0.1モノレイヤー(monolayer)以上の濃度で、電気的に完全に活性なリン原子がカプセル化された、レイヤーの生成を初めて明らかにしている。
【0012】
カプセル化されたレイヤーは、ドナー原子のレイヤー上でエピタキシャル成長させてもよく、またこのレイヤーを、5nmないし50nmの間の厚さにしてもよい。
【0013】
シリコン結晶の表面は、(100)の配向であり、その表面は、シリコン原子と置換されてドナー−シリコンのへテロダイマーを形成するドナー原子を覆っていてもよい。
【0014】
ドナーは、リンであってもよく、またこのドナー原子を、アレイ状に配置してもよい。
【0015】
本発明の第3の点は、ナノスケール製品または原子スケールの製品の製造方法において、
(a)清浄なシリコン結晶の表面を準備する工程、
(b)表面に水素原子で保護レイヤーを生成する工程、
(c)走査型トンネル顕微鏡(STM)のチップを用いて、生成された保護レイヤーの表面から単一の水素原子を選択的に脱離させて、水素の保護レイヤーに、露出された領域のパターンを、互いに100nm以下の間隔で形成する工程、
(d)パターンが形成された表面をドナー分子に晒して、露出された領域内において単一のドナー原子を持つ分子でアレイを形成する工程、
(e)アレイが形成された表面を、約300℃ないし約650℃の間でアニールして、電気的に活性なドナー原子をシリコンに結合させる工程、
を備えたことを特徴とする、ナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法である。
【0016】
後述する本発明の最良の形態では、シリコンに結合されたドナー原子からなる、アレイを予め選択した形で形成する製造方法を、初めて明らかにしている。これは、アニール工程(e)を用いることにより達成される。この工程では、シリコン表面から水素が脱離しないように、アニールの温度範囲を、約300℃または350℃から530℃の範囲としてもよい。またこの水素を、STMまたは走査型電子顕微鏡(SEM)の電子ビームや、紫外(UV)線を用いて脱離してもよい。これらの工程は、更に、STMを用いてシリコン表面上のドナー原子を見て、ドナー原子がシリコンの格子点で置換された形で電気的に活性であることを確認する工程(f)を有してもよい。
【0017】
シリコン結晶の表面は、σ結合のシリコンダイマー列で構成された2×1ユニットセルの表面構造を有する、(100)の配向(Si(100)表面)であってよい。この場合、ドナー原子は、表面のシリコン原子と置換されてドナー−シリコンのへテロダイマーを形成する。
【0018】
ドナーは、リンでもよく、またこのドナー原子を、50nm、20nmなどの間隔を介した高い精度で配置してもよい。
【0019】
本発明の第4の点は、ナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法において、
(a)清浄なシリコン結晶の表面を準備する工程、
(b)表面に水素原子で保護レイヤーを生成する工程、
(c)水素の保護レイヤーがSTMのチップを用いて脱離されて、リソグラフィ的に規定された領域のシリコン内に、ドナー原子を注入する工程、
(d)表面を約500℃ないし約650℃の間で短時間加熱することにより、または電子ビームを用いることにより、または紫外(UV)線を用いることにより、ドープされた表面から、保護レイヤーとして生成された水素原子を脱離させる工程、
(e)約0℃ないし約400℃の間で、表面上のシリコンを成長させ、ドナー原子の拡散を防ぎ、かつ電気的に活性なドナー原子を表面でカプセル化する工程、
を備えたことを特徴とする、ナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法である。
【0020】
後述する本発明の最良の形態では、我々は、保護レイヤーとして生成された水素を脱離させた後に、表面上でのシリコンの成長によりカプセル化した製造方法を選択出来ることを、明らかにしている。工程(e)においてシリコンを、0℃ないし250℃の間の温度、例えば室温で成長させてもよい。
【0021】
この製造方法は、原子レベルで表面が滑らかになるように、この表面をアニールする工程(f)を有してもよい。
【0022】
シリコン結晶の表面は、σ結合のシリコンダイマー列で構成された2×1ユニットセルの表面構造を有する、(100)の配向(Si(100)表面)であってもよい。この場合、ドナー原子は、表面のシリコン原子と置換されてドナー−シリコンのへテロダイマーを形成する。
【0023】
ドナーは、リンでもよく、またこのドナー原子を、100nm、50nm、または20nmなどの間隔を介した高い精度で配置してもよい。
【0024】
本発明の第5の点は、ナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法において、
(a)清浄なシリコン結晶の表面を準備する工程、
(b)シリコンの表面上にドナー原子が吸着するように、表面をドナー分子に晒す工程、
(c)電気的に活性なドナー原子をシリコンに結合させるために、アレイが形成された表面を、約300℃ないし約650℃の間でアニールする工程、
(d)STMを用いてシリコン表面上のドナー原子を見て、ドナー原子がシリコンの格子点で置換された形で電気的に活性であることを確認する工程、
を備えたことを特徴とする、ナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法である。
【0025】
後述する本発明の最良の形態では、ナノスケールデバイスを製造する際に、シリコンの表面中またはその表面下で、ドナー原子が見えるように、STMを用いる製造方法を初めて明らかにしている。
【0026】
アニールの温度範囲を、シリコン表面から水素が脱離しないように、300℃または350℃から530℃の範囲としてもよい。またこの水素を、STMまたは走査型電子顕微鏡(SEM)の電子ビームや、紫外(UV)線を用いて脱離してもよい。これに代えて、ドナー原子を結合させると共に、単一のステップ内の水素を脱離させるために、アニールの温度範囲を、530℃ないし650℃の間の温度にしてもよい。
【0027】
この製造方法は、約0℃ないし400℃の間で、または約0℃ないし250℃の間で、または室温で、表面上のシリコンを成長させて、ドナー原子が拡散することを防ぎ、かつ電気的に活性なドナー原子を表面でカプセル化する工程(e)を有してもよい。
【0028】
この製造方法は、表面が原子レベルで滑らかになるように、表面をアニールする工程(f)を有してもよい。
【0029】
シリコン結晶の表面は、σ結合のシリコンダイマー列で構成された2×1ユニットセルの表面構造を有する、(100)の配向であってもよい。この場合、ドナー原子は、表面のシリコン原子と置換されてドナー−シリコンのへテロダイマーを形成する。
【0030】
ドナーは、リンでもよく、またこのドナー原子を、100nm、50nm、または20nmなどの間隔を介した高い精度で配置してもよい。
【0031】
本発明の第6の点は、ナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法において、
(a)清浄なシリコン結晶の表面を準備する工程、
(b)ドナーのレイヤーを形成するべきシリコンの表面上に、ドナー原子が吸着するように、表面をドナー分子に晒す工程、
(c)表面を約300℃ないし約650℃でアニールして、ドナー原子をシリコンの表面に結合させる工程、
(d)約0℃ないし約400℃の間で、表面上のシリコンを成長させて、ドナー原子が拡散することを防ぎ、かつ電気的に活性なドナー原子を表面でカプセル化する工程、
(e)ドープされたレイヤーの電気的な活性を測定する工程、
を備えたことを特徴とする、ナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法である。
【0032】
後述する本発明の最良の形態では、ナノデバイスの製造において、0.1モノレイヤーより大きい濃度で、リン原子が電気的に完全に活性であることを測定した製造方法を初めて明らかにしている。
【0033】
アニールの温度範囲を、シリコン表面から水素が脱離しないように、300℃または350℃から530℃の範囲としてもよい。またこの水素を、STMまたは走査型電子顕微鏡(SEM)の電子ビームや、紫外(UV)線を用いて脱離してもよい。これに代えて、ドナー原子を結合させると共に、単一のステップ内の水素を脱離させるために、アニールの温度範囲を、530℃ないし650℃の間の温度にしてもよい。
【0034】
約0℃ないし250℃の間で、または室温で、シリコンを成長させて、ドナー原子が拡散することを防ぎ、かつ電気的に活性なドナー原子を表面でカプセル化してもよい。
【0035】
シリコン結晶の表面は、σ結合のシリコンダイマー列で構成された2×1ユニットセルの表面構造を有する、(100)の配向であってもよい。この場合、ドナー原子は、表面のシリコン原子と置換されてドナー−シリコンのへテロダイマーを形成する。
【0036】
ドナーは、リンでもよく、またこのドナー原子を、100nm、50nm、または20nmなどの間隔を介した高い精度で配置してもよい。
【0037】
清浄なシリコン表面は、以下の工程により、超真空環境下で加工してもよい。
(i)
(ii)サンプルに直流電流を直接流すことにより、〜1200℃で1分間、加熱する工程、
(iii)サンプルの温度を〜950℃に冷却し、〜950℃から室温まで徐冷する工程、
【0038】
同一の超真空環境下で、水素原子で終端する保護レイヤーを表面に生成するために、真空システム全体の圧力をモニターして供給量を制御し、それぞれのシリコン原子に1個の水素原子を結合させた(モノハイドライドダイマーが生成された)、水素のモノレイヤーを生成してもよい。
【0039】
同一の超真空環境下でSTMのチップを用いて、そのチップに1msオーダの短時間、電圧及びトンネル電流が共に大きいパルスを加え、保護レイヤーの表面からH原子を選択的に脱離させて、保護(水素)レイヤーのパターンを形成してもよい。
【0040】
同一の超真空環境下で、表面をドナー分子に晒して、例えば、表面が露出されたパターンにドナー分子を結合させてもよい。
【0041】
リンのドナー原子を供給するために、ドナー分子は、ホスフィンであってもよい。
【0042】
特に、これらの工程は、量子コンピュータに基づくシリコンに対して分離を制御することで、シリコン中のリン原子で構成された原子アレイを形成する工程の一部を構成してもよい。このような固体量子コンピュータでは、純粋な28Si(I=0)同位体内に埋め込まれたキュービットとして、電子スピンまたはリン原子核(I=1/2)の核スピンを用いてもよい。
【0043】
本発明の第7の点は、上述したいずれかの製造方法で製造された量子コンピュータである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
[製造アプローチ]
まず、図2を参照するように、これら図には、製造戦略のための、個々のプロセス工程の概略が示されている。超高真空(UHV)中で、Si(シリコン)の融点近くまで加熱することにより、清浄なSi(100)2×1の表面構造が形成される。この表面は、2×1ユニットセルを有しており、σ結合のSiダイマー(二量体)列で構成されている。Siダイマーには、それぞれのSi原子上にダングリングボンドが残されており、またこのSi原子は、ダイマーの他のSi原子と間で弱いπ結合を有している。
【0045】
この表面にH(水素)原子を晒すと、弱いπ結合でSiを切断することが出来、H原子がSiのダングリングボンドに結合される。制御された条件下では、それぞれのSi原子に1個のH原子を結合させた、Hの単原子レイヤーを生成することが出来、図2a(a)に示すように、反応性のダングリングボンドを飽和させる形で、表面に効果的な保護レイヤーが生成される。
【0046】
次いで、適当な電圧及びトンネル電流を加えることで、保護レイヤーが生成された表面から、H原子を選択的に脱離させるために、STM(走査型トンネル電子顕微鏡)のチップ(先端部)が用いられ、図2a(b)に示すように、Hレジストにパターンを形成する。このようにして、露出した反応性のSi原子の領域を晒した形で、このSi表面に、後述する反応種を直接吸着させる。
【0047】
特別に設計されたホスフィン(PH)の微量導入システムに接続されたリークバルブを介して、PHガスが、真空システムに導入される。PH分子は、図2a(c)に示すように、Hレジストの穴を通って、露出したSi(100)2×1表面に強く結合する。
【0048】
STMでパターンが形成された表面を、結晶成長のために加熱(後述)することにより、PH分子が解離され、図2a(d)に示すように、P(リン)がSiの最上レイヤーに結合する。従って、要求されるPのアレイを形成するには、STMでパターンが形成されたHの保護レイヤーをPHに晒せばよい。
【0049】
次いで、図2a(e)に示すようにHが脱離すると、図2b(f)に示すように、Siが室温で過剰に成長する。これまで見捨てられてきた代案としては、図2b(g)に示すように、Hレイヤーを介して、Siを直接成長させることである。
【0050】
次の工程は、図2b(h)に示すように急速な表面のアニールである。
【0051】
Siは、図2b(i)に示すように昇温下では表面上で更に成長する。次いで、バリアが、図2b(j)に示すように成長する。最後に、導電性のゲートが、図2b(k)に示すように表面に配列される。
【0052】
この製造計画に見合うように、数多くの挑戦がなされてきた。上記概要を述べた全てのプロセスにおいて、電荷及び不純物スピンを導入することが、量子コンピュータが機能することを決定付けるであろう。このために、Pのアレイが形成されるSi(100)2×1表面に、欠陥のない広い領域を準備することが必要である。また、所望の領域のみにPHが吸着されるように、Hの脱離を制御して、Si表面をHで完全に覆うことも極めて重要である。これらの各挑戦を如何に上手く処理したか、以下に詳細を述べる。
【0053】
[低い欠陥密度の表面の準備]
(100)表面は、Siの成長に最適な特徴を有しているので、Kane量子コンピュータの製造のために、Pのアレイを原子スケールの精度で配置する場合に、この表面を最適な候補として選択した。
【0054】
この作業に用いられるシステムは、3チャンバーのオミクロン(Omicron)社製、UHV温度可変(VT)STMマルチプローブRMシステムである。保護レイヤーを生成させるステージとして、H原子源が分析チャンバーに備え付けられており、分析チャンバーは、W(タングステン)フィラメント、水冷ヒートシュラウド、及びリークバルブから構成されている。PHガスは、UHVリークバルブ及びニ重封入ガス管を介して、チャンバーに導入される。
【0055】
同一の真空環境で分離されているチャンバーには、シリコン堆積セルが収容されている。この装置により、1つのUHV環境で、表面の準備、Pアレイの配置、及び後述する過剰なSi成長を行うことが出来る。
【0056】
オミクロン社製、ダイレクトヒーティングSTMサンプルホルダーを用いるために、n型Siウェハーから、2×10mm寸法のSiサンプルを切り出した。このSiウェハーは、市販されているPドープのn型半導体であり、抵抗率が1〜10Ωcmである。以下の工程からなる、標準的な温度調整手順により、UHV条件下でサンプルの表面を準備した。(i)サンプルホルダーの後方にマウントされた抵抗ヒーティングエレメントを用いて、間接的に加熱することにより、サンプルを、〜600℃で6時間、脱ガスした。そして、電流ヒーティングにより、600℃以下で3ないし6時間、脱ガスした。(ii)サンプルに直流電流を直接流すことにより、サンプルを、〜1200℃で30ないし60秒間、加熱した。この工程により、表面から生来の酸化層が除去されて、表面のSi原子が移動することが出来るようになる。(iii)サンプルの温度を、〜950℃に冷却し、950℃から室温まで除冷する。以前に報告されているように、表面の欠陥密度が、最後の冷却速度に強く依存することが判明した。上記手順の初めから終わりまで、赤外線高温計を用いて、サンプルの温度をモニターした。初めの脱ガス処理の後(1、200℃に加熱している間を含めて)、真空チャンバーは、10−10mbarより低い圧力に保たれる。
【0057】
図3aは、上述した手順に従って準備された、低い欠陥密度のSi(100)2×1表面を示す、代表的なSTM画像である。平坦な(100)表面に2つのテラス領域32、33が形成されたことで、1つの単原子ステップ31を見ることが出来る。上位テラス32は、明瞭に見える一方で、下位テラス33は、不明瞭であるが、2つのダイマー列34が、互いに直角に伸びていることを見ることが出来る。このようなステップは、平坦な表面が(100)の結晶方向に対して僅かに誤った方向に向いたために存在する。全く欠陥のない表面を作製することは不可能であるが、図3aに示す表面の欠陥密度は、約1%であり、これは、論文(例えば、参考文献5を参照)で報告された表面の最も低い欠陥密度に一致している。この画像は、サンプルに負バイアスを掛けることにより得られ、個々のダイマーが充満状態(filled state)にある画像である。ダイマーのπ結合からポテンシャル障壁を通り抜けるために、これらダイマーは、豆形状の突出部35のように現れている。
【0058】
図3bは、3次元で示したSi結晶の構造である。
【0059】
[Hレジスト]
製造手順の次のステージは、Si(100)2×1表面にHで保護レイヤーを生成することである。これを行うために、我々は原子水素源(AHS)を用いた。AHSフィラメントは、〜1、500℃に加熱され、99.999%の純粋なH分子源からのガスが、AHSを通過して、リークバルブを介してUHVチャンバーに流される。AHSは、H分子の重要な一部をH原子に変え、そのH原子をサンプルの表面に反応させて、保護レイヤーを生成する。Hの供給量は、UHVチャンバー内全体の圧力をモニターすることにより制御されている。チャンバーに導入されるガスの純度は、質量分析装置を用いてモニターされる。
【0060】
Siダイマーのπ結合が、非常弱い性質であるために、Si(100)2×1表面は、反応性が非常に高い。Si(100)2×1表面に衝突するH原子は、ダイマーの弱いπ結合を切断し、H原子が吸着することの出来る反応性の表面領域を、2つ生成する。吸着したH原子を1個だけ持つダイマーは、ヘミハイドライド(半水化物)ダイマーと呼ばれる。このダイマーのSi原子は、2個目のH原子が吸着することの出来る、Hで終端していないダングリングボンドを有している。Siダイマーは、2個のH原子で完全な保護レイヤーが生成されると、モノハイドライド(一水化物)ダイマーと呼ばれる。
【0061】
モノハイドライドのレイヤーを均一化させるために、Hの供給条件を最適化させて、いくつかの実験を行った。図4aは、保護レイヤー表面41のSTM画像を示している。この保護レイヤー表面41は、サンプルの温度が300〜400℃、チャンバーの圧力が10−7mbarの条件で、30分掛けて生成された。サンプルにHを供給する間、その表面を、AHS UHVの入口の前から、〜10cmの距離を介して配置した。その結果、ほぼ均一なモノハイドライド42のレイヤーが生成されたが、ジハイドライド(二水化物)43及び、これら2つの相のコンビネーション(トリハイドライド)44も生成された。このコンビネーション44は、H:(3×1)相として知られている。
【0062】
図4bは、モノハイドライド42の構造を示しており、モノハイドライド42は、Hで終端するダイマーの2個のSi原子を有している。
【0063】
図4cは、ジハイドライド43の構造を示しており、ジハイドライド43は、H原子がそれぞれ結合されたSi原子を有している。この特徴は、図4aに示す暗いスポットで示されている。
【0064】
図4dは、これら2つの相のコンビネーション44の構造を示しており、2つの相は、表面上で同一ものと認められる。
【0065】
図4では、Si(100)表面にHを制御した形で供給して、その結果生じた表面の核種を確認出来たことを明らかにした。しかしながら、更に、Hが結合された清浄な表面の特性を明らかにするために、走査型トンネル分光法(STS)による多くの実験22を行った。我々は、(STMのチップのフィードバック機構を外すことにより)表面から所定距離を介した、固定された位置にSTMのチップを保持し、トンネル電流を測定しながら、チップに−2Vないし2Vのバイアスを加えた。図4eは、清浄な表面(図3a)及びHで終端された(図4a)表面に対して行った、STSによる実験結果を示している。清浄な表面(実線)では、分光器が、π結合及びπ反結合の両ピークを示している。Hで終端された表面(破線)では、分光器が、Siバルクの状態密度についてのブロードなショルダーと、Si−Hの反結合についての顕著なピークとを示している。こられ両方の結果は、従来の研究と一致している。
【0066】
[HリソグラフィとPアレイ]
Si表面上にHの単原子レイヤーを生成することに続いて、次の工程は、STMのチップを用いて、Hレジストの領域を選択的に脱離することである。これにより、P原子の配置が制御されるように、Si表面の領域が露出されるであろう。
【0067】
高い精度で原子を脱離させるには、STMのチップについて厳しい要求を満たす必要がある。STMのチップに大きなバイアスを加えることで、脱離を制御することも出来るが、画像を表示する際に、意に反してHが脱離されてしまう可能性がある。我々は、このような障害を克服し、Kane量子コンピュータの製造に適したアレイから、繰り返し制御された形でHを脱離出来たことを、明らかにする。
【0068】
高い精度で原子を脱離させるためには、大きな円錐角で、非常に鋭利なWのチップが必要とされる。この要求を満たすために、我々は、市販のチップエッチングデバイス(オミクロン社製、W-Tek Semi-Automatic Tip Etching system)を用いた。(半径=0.38mmの)Wワイヤを、ステンレス鋼の陰極リングを中心に、〜2mmの長さだけ、NaOH(水酸化ナトリウム)溶液に浸漬した。電極間に〜5−10Vを印加すると、溶液の表面で優先的に進む電子化学反応が発生する。小さい半径のチップを残して、〜10分間、ワイヤを完全にエッチングする。フッ化水素酸では、2分間のエッチングで、いずれの酸化層も除去される。チップの形状を評価するために、光学顕微鏡で検査し、満足なものであれば、酸化物の形成を防ぐために、UHVシステムに30分間放置する。他のチップの材料としては、PtIr(白金イリジウム)を用いることも出来、上述と同様の準備が必要とされる。
【0069】
このSTMのチップは、Hを表面から脱離するために、チップとサンプルとの間に制御した電圧パルスを印加した形で用いられる。Wチップの形状の入念な最適化と、電圧パルスの制御(サンプルバイアス〜6V、トンネル電流〜1nAを〜1ms)とを行うことにより、高い精度で原子を脱離させることが出来る。1個のPH分子、即ち1個のP原子を、所定の領域に吸着させるためには、適当なPHの曝露で、その領域で脱離させる必要があり、こうすることによって、P原子をその領域に吸着させることが出来る。
【0070】
図5aは、(PHの曝露前の)Siダイマー列に沿った2つの脱離領域を示すSTM画像である。画像中の明るい丸部51は、ダイマー列に沿って配列された、2つのダングリングボンドである。露出されたダングリングボンドの表面状態によって、その表面から電子密度が増大した結果、脱離領域が明るい突出部として現れている。それぞれのSiダイマー上に残ったHは、過渡的11なものと知られており、我々は、一方のダイマーから他方のダイマーに、Hが拡散することを観察した。次の工程は、Pアレイを形成することである。Si(100)2×1表面の小さな領域を露出するための、STMリソグラフィに続いて、個々のP原子を持つ分子がSi表面上に吸着するように、リークバルブを制御して、PHガスをチャンバー内に供給する。
【0071】
PHガスを高い純度で供給するために、PHのマイクロ供給システムと、それに接続され、電解研磨されたガス管を内部で使用する、UHV STMを、クリーンルームの環境下に組み立てた。チャンバー内で10−8mbarの圧力に晒している間に測定した質量スペクトルは、いずれの核種の分圧について、顕著な増加を示していない。清浄なSi表面上でのPHの付着計数は「1」12である。
【0072】
図5dは、2つのダングリングボンド領域に吸着されたPH分子のSTM画像を示しており、このダングリングボンド領域は、ダングリングボンド毎に1個の分子が吸着されて露出されている(図5e)。図5cは、ダングリングボンドの1つを通過した形で、図5aのダイマー列を横切ったラインプロファイルであり、0.12nmの典型的な高さを示している。図5fは、0.17nmの典型的な高さで、PH分子が結合したダングリングボンドの1つを通過した、ラインプロファイルを示している。
【0073】
図6aないし図6dは、図5a〜dと同様の画像を示しているが、ダイマー列の方向と直角な3つのダングリングボンド領域を示している。
【0074】
図5a及び図6aのSTM画像は、領域同士が一定の狭い間隔で配置されており、高い精度で原子を脱離出来たことを強調している。領域同士の間隔は、キュービットに要求される間隔の20nmまでに、容易に広げることが出来、我々は、単一の原子の脱離領域を>100nmの長さで1列にする、リソグラフィの制御を行うことが出来る。この画像は、それぞれの脱離に1個のPH分子を結合出来ることを明らかにするのに、十分な画像である。
【0075】
これら全ての画像の条件は、サンプルバイアスが−1.8V、及びトンネル電流が0.4nAである。
【0076】
図5d及び図6dは、室温でPHガスを曝露した後の、図5a及び図6aと同一の領域を示している。
【0077】
Hが脱離していない領域では、PHを曝露した後でもHが均一に被覆されていることから、Hレジストについて、PHの吸着に対するバリアとしての有効性が明らかとされる。PHで晒した後、何らかの変化を観察するために、我々は、比較的大きい脱離領域よりはむしろ、領域同士が非常に狭い間隔で配置された画像を高い解像度で示す、単一のH原子の脱離領域を特別に選択した。
【0078】
図5f及び図6fのラインプロファイル分析結果は、PHを供給すると、〜0.05nmだけ高さが増大する、突出部の特徴を示している。このような相違は、走査間の画像条件の僅かな変更により頻繁に起き、その結果、STMのチップが、ダイマー列間のギャップ内まで挿入されてしまうことがあるが、PH吸着による高さの相違は、ダイマー列の上部から突起部の上部までを測定するので、これにより何ら影響を受けない。
【0079】
ラインプロファイルにおける、〜0.05nmの高さの増大は、いくつかの画像に渡って全ての吸着で見ることが出来た。この増大した高さにより、PHの曝露前後の両方で、同一の表面(図示せず)上において原子ステップのエッジに対して、較正を行った。このような増大が再現されたことで、PH分子が吸着したことを確認出来ると共に、再現された増大が、露出したSiダングリングボンドと吸着したPHとの相違に対応していることを確認することが出来る。Siダイマー上のH原子が、過渡的な性質を有していることから、最後の画像において、一方のPH分子が、ダイマー(上方)の左方のSiと結合し、他方のPH分子が、ダイマー(下方)の右方のSiと結合した結果、非対称になっている。
【0080】
PHと清浄なSi(001)2×1表面との相互作用の研究10、13、14では、PH分子がSiダイマーの一端に吸着した後、近くに利用することの出来るSiのダングリングボンドが存在する場合、解離したHを再吸着させるために、PHをPHにして、Hを解離させることが出来ることが述べられている。このような解離プロセスは、Hで終端する表面上に、利用可能なダングリングボンドの領域がない場合は、行われない。Si(001)2×1表面上にNH 15とAsH 16を吸着させた場合、同様の解離プロセスで、Si−XH構造になることが分かっている。これらのN(窒素)及びAs(ヒ素)は、Pと同じ電子数である。
【0081】
上述した結果は、次に示す理由から重要である。我々は、PHの吸着に対するバリアとしての、Hレジストの有効性を初めて明らかにすると共に、単一のP原子を持つ分子をSi表面上に配置制御する技術を初めて用いたからである。この技術は、Siベースの量子コンピュータの製造で中心的な工程である。このプロセスは、間隔が密接したドーピングについて示したが、比較的広い間隔(〜20nm)でも達成出来、広範囲に渡ってPのキュービットアレイを高い精度で配置することが出来る。この製造プロセスは、原子やドーパントが配列されたアレイを利用する可能性のある、他のマイクロスケールまたはナノスケールの電子デバイスの製造にも適用することが出来る。
【0082】
[Si(100)表面上のPHの検出]
PHガスによるP原子のSi(100)表面への結合を理解するためには、Si表面上の核種としてPを確認出来ること、及びこれらの核種を、Si(100)表面上の他の特徴部と識別出来ることが必要である。図7(a)は、多数の欠陥を示すSi(100)のSTM画像である。これらの欠陥はいくつかの形態で生じており、その特徴としてダイマー列が暗く見える。このような欠陥は、図7(b)ないし(e)の画像が示すように4種類あり、充満状態(filled state)または空状態(empty state)で、特徴付けられている。充満状態及び空状態の両方で欠陥が特徴的な外観を示している事実により、それぞれの特徴部に対して特有な「指紋」を得ることが出来るので、1つの特徴部を他のものから識別する手法を想像することが出来る。
【0083】
図7(b)ないし(e)に示す画像は、充満状態または空状態の欠陥を示している。(b)欠損ダイマーの欠陥(missing dimmer defect)、(c)複合的な欠損ダイマーの欠陥(multiple missing dimmer defect)、(d)C欠陥(C-defect)、(e)分割されたダイマーの欠陥(split-off dimmer defect)。
【0084】
全ての画像の条件は、トンネル電流が0.1nAで、バイアス電圧が、(bi)−1.8V、(ci)+1.6V、(di)−1.8V、(ei)+1.2V、(bii)−1.8V、(cii)+1.2V、(dii)−1.3V、(eii)+1.2Vである。
【0085】
図8は、Si(100)表面の25×25nmの領域であって、(a)は少量のPHに晒す前の表面、(b)は少量のPHに晒した後の表面を示している。PHを曝露する前では(図8(a))、表面に僅かの欠陥が存在しており、PHを曝露した後でも、丸で囲む81の符号を付した、複合的な欠損ダイマーの欠陥のvacancy領域が現れている。しかしながら、曝露した後では(図8(b))、欠陥のほとんどが外観上変化しており、表面上における特徴部の個数が顕著に増大していることを見ることが出来る。例えば、明るい突出部82が現れている。こうした表面上における外観上の変化は、PH分子の吸着と、PHの部分的な解離とによって形成される、核種を原因として生じる。
【0086】
この画像の条件は、(a)−1.6V、0.2nA、及び(b)−1.6V、0.2nAである。
【0087】
図9aは、少量のPHを曝露したSi(100)表面の50×50nmの領域であって、充満状態のSTM画像を示している。清浄なSi(100)表面では見えなかった画像に、いくつかの特徴部を見ることが出来る。PHを曝露した後に形成された核種の吸着を特徴付けるためには、我々は、表面を曝露したPHの充満状態及び空状態を、高い解像度の画像で表示した。特徴部について、充満状態及び空状態の特有な外観と、充満状態の顕著な高さとを研究することで(図9bないし図9e参照)、我々は、4種類の新しい核種が存在することを見つけた。図9b及び図9cは、Pを含む分子(X=2、3のPH)図9dは、へミハイドライド、即ち、一方がH原子で飽和したダングリングボンドと、他方が反応性でないダングリングボンドとを有した、Siダイマーである。図9(biii)、(ciii)、(diii)、(eiii)は、空状態の特徴部を示している。図9(bii)、(cii)、(dii)、(eii)は、上述した充満状態の特徴部の高さプロファイルを示している(クリス:札?)。
【0088】
全ての画像の条件は、トンネル電流が0.1nAであり、充満(空)状態の画像は、−1.8V(+1.2V)である。
【0089】
[表面とのPの結合−図2a(d)]
図10(a)は、図9aと同様に、少量のPHを曝露したSi(100)2×1表面である。図10(b)は、その後350℃でアニールした表面、図10(c)は、475℃でアニールした表面、図10(d)は、700℃でアニールした表面を示している。
【0090】
図10(a)の表面に示された特徴部は、PHを供給した後における、図9aに示す特徴部である。
【0091】
350℃でアニールすると、PHの分子として知られる明るい点が消滅した。図10(e)及び(f)に示す充満状態及び空状態の画像を表示させることにより、ダイマー列と直角をなす大きく明るい線101が、詳細に調査された。この鎖は、Si−Pヘテロダイマーを形成するためにP原子がSiに結合した際に、表面から放出されたSi原子(Si鎖)で構成されている。図10(e)及び(f)の画像の条件は、それぞれ−1.6V及び+1.6Vのサンプルバイアスである。
【0092】
暗い線102は、モノハイドライドであり、図10(g)が示す(図10(a)の)拡大で容易に見ることが出来る。この構造を図10(h)の模式図で示す。
【0093】
ジグザグパターン103は、Si−Pヘテロダイマーであり、図10(g)で同様に容易に見ることが出来る。この構造を図10(i)の模式図で示す。
【0094】
475℃でアニールすると、図10(c)に示すようにSi鎖101が消滅し、700℃でアニールすると、図10(d)に示すようにモノハイドライド102及びSi−Pヘテロダイマー103は、もはや表面上から消滅する。
【0095】
図10に示したこれらの画像は、Si表面でどのような反応が起きているかについて、詳細な分析結果を提示している。即ち、室温ではPHが表面に吸着し、PHのほとんどは直ちにPH及びHに解離する。この表面を350℃に加熱すると、P−Siへテロダイマーが形成する形で、PHの解離が見られ、それに伴い、P原子が表面に結合する。また、1次元状のSi鎖が形成する形で、表面からSiが放出される。そしてPHが解離すると、Hがモノハイドライドの相として表面に吸着するに至る。この表面を475℃に加熱すると、Si鎖が表面から消滅するように、Si鎖のSi原子に対して、ステップのエッジに拡散するのに十分なエネルギーが供給される。表面の温度を700℃まで上げると、モノハイドライド及びP原子が、H及びPとしてそれぞれ表面から脱離する。
【0096】
図11は、清浄なSi(100)表面の最上レイヤーにPを結合させることが可能であることを明らかにしている。図11aは、図11bのSTM画像が示す充満状態について、即ち、露出されたSi(100)表面に吸着した後のPのペアを含む分子について説明している。このことは、図11cのラインプロファイルで確認される。
【0097】
これに対して、図11dは、図11eに示すSTM画像について説明している。即ち、PHを曝露した表面を400℃でアニールした結果、この表面にPのペアを含む分子が結合する。図11cと比較すると、図11fのラインプロファイルは、Pが結合するかしないかで、表面からの高さに〜0.06nmの特有の差があることを示している。この高さの差は、Pの配位構造を2つ示す、図11a及び図11bの模式化した構造図から明らかである。
【0098】
図12aは、少量のPHを曝露して350℃に加熱した、表面のSTM画像であり、図10(b)と同一の特徴部を示している。図12bは、上記と同様の画像であるが、PHを曝露した時間を6倍にした。その結果、Si鎖121は、その長さが伸びると共に、その個数も増大した。従って、放出されたSi鎖は、表面に結合されたPの存在に関係していることが確認された。
【0099】
アニールした後に、表面の所定領域にPが存在することを確認するために、我々は、化学的な特殊技術である、オージェ電子分光装置(AES)を用いて、表面に曝露されたPを分析した。120eVにおけるP特有のAESピークは、図12cの実線に示すように、曝露を継続する間、ピーク強度が飽和するまでモニターされた。次いで、表面を590℃でアニールした。590℃とは、P結合のために用いられる、温度範囲のほぼ上限値である。もう1つのAESスペクトルが、図12cの破線に示すように測定された。120eVにおけるPのピーク強度は、(室温では、)物理吸着したPHが若干脱離するために、(590℃にアニールした場合に比べて)〜40%ほど少ないが、その強度は、表面の所定領域に大量のPが存在することを推論するのに、十分大きい値である。
【0100】
[リソグラフィで定めた領域へのPの結合]
図13は、PHの吸着を空間的に制御するために、Si(100)上におけるHの保護レイヤーをレジストとして用いた、STMに基づくリソグラフィを示している。STMのチップでHを脱離した結果、図13aに示すように、表面に生成されたHの保護レイヤー上で、200×50nmのパッチ131と、長さ〜100nmの2つの長いライン132、133との位置で、Siが露出される。
【0101】
PHを表面に曝露して、〜375℃でアニールすると、図13bを参照するように、Siダイマー鎖134が現れたことから、Hが脱離したパッチ内でP原子が結合したことが推定される。しかしながら、その周りのHで終端する表面では、PHによる効果は見られなかった。
【0102】
図13c及び図13dは、図13bの枠内を示しており、曝露及びアニールが行われた高解像度のパッチである。また図13c及び図13dはそれぞれ、充満状態及び空状態を示している。図13bの空状態を示す画像は、放出されたSi−Siダイマー鎖がSi−Siダイマーに分裂する特性を示している。
【0103】
図14は、リソグラフィによる(STMで形成された)ラインに沿った、Pドーパント原子の結合を明らかにしている。図14aは、幅〜1nmのライン141を示しており、このライン141により、Hで終端するSi(100)表面が露出されている。0.3ラングミュア(Langmuir)のPHに晒すと、図14bに示すように、PHの核種及びHが吸着する。そして375℃でアニールすると、PHの核種はその多くが解離する。こうして、Hの吸着、Pの結合、及びSiの放出が進行していく。図14cが比較的暗く見えるように、一部のHにより、Si表面上に再び保護レイヤーが生成する。図14d及び図14eはそれぞれ、PHが曝露された後にアニールされたラインの、充満状態及び空状態を示している。それぞれラインの領域で、Siダイマー鎖142が現れたことが確認される。空状態の画像(図14e)では、サブストレートにおいて、Hで終端するダイマー列の分裂する特性が観察される。充満状態及び空状態の両方の画像(図14d及び図14e)では、単一のダングリングボンド144の一部が、単一の明るい突出部として現れている。表面に露出したSi−Siダイマーにより存在する、一部のダングリングボンドペア145も、同様である。
【0104】
放出された単一のダイマー鎖142は、画像の中央近くに見ることが出来る。この鎖は、サブストレートのダイマー列に対して直角な方向に向いていること、及び空状態の突出部のペアに分離されていることから、ダイマー鎖として特定される。ダイマー鎖は、図13のSiが露出したダイマー鎖と異なり、Hで終端している。このことは、鎖の強度が周囲のダングリングボンドと同等であることによって証明される。― 露出したSi−Siダイマー鎖は、表面のダングリングボンドよりもずっと明るく見えるであろう。この終端を生成するためのHは、PH分子の解離で生成される。図14fは、曝露された後にアニールされたラインの、充満状態を高い解像度で示している。このラインは、表面のダングリングボンドが非常に明るいことから暗くなってしまうので、表面の特徴が目立つようにコントラストを強くしている。図14f中の矢印は、P−Si−Hヘテロダイマーを指しており、このP−Si−Hヘテロダイマーの一部は、リソグラフィによるラインの長さに沿って形成されている。
【0105】
図14hでは、図14gに示すX及びX’間で得られたラインプロファイルを示しており、図14gは、ラインプロファイルを得た表面の一部の構造を示している。ラインプロファイルでは、P−Si−Hヘテロダイマーで、最も大きいピークが現れている。この結果は、STMを用いてSi(100)表面上で特定した領域に、サブナノメータの(ナノメータ以下の)精度で、Pドーパント原子を注入出来ることを示している。
【0106】
[高い純度のSiによる、結合されたPのカプセル化]
図15ないし図24はいずれも、Siによるカプセル化のプロセスに関するものである。このプロセスとは、埋め込められたSi−Pヘテロダイマーを画像に示すと共に、Si−Pヘテロダイマーをアレイから確実に動かないように、レイヤーを原子スケールで滑らかにする最適な方法である。
【0107】
[Siの成長−図2(f)及び(g)]
図15は、Pの存在なしで、Siを成長させる2つの方法を示している。図15aないし図15dは、室温から温度を上昇させた場合のカプセル化に関する。図15eないし図15hは、室温から後述のアニールを行った場合のカプセル化に関する。図15iないし図15kは、温度に依存するSiのエピタキシャル成長モデルを示す模式図である。
【0108】
図15aは、Siのエピタキシャルレイヤーを示しており、このエピタキシャルレイヤーは、Si(100)2×1サブストレート上で、室温で堆積され、その厚さは、約12モノレイヤー(ML:MonolLayer)である。サブストレートの温度が低いと、サブストレート上のSi吸着原子の移動度が、強く制限される。従って、Si吸着原子は、ガス相から堆積されて形成された3次元状のSiの島(island)の近くから動かなくなる。このプロセスは、図15kの模式図で説明しており、この図では、表面粗さが大きいことから、ランダムな成長を見ることが出来る。
【0109】
サブストレートの温度を上昇させると、表面上のSi吸着原子の移動度が増大し、Siの島が伸長した形で成長する。一部のレイヤーが、サブストレートの温度に従って、同時に成長する。
【0110】
220℃になると、図15bに示すように、3つのレイヤーが同時に成長する。このメカニズムは、図15jで説明している。
【0111】
420℃になると、図15cに示すように、レイヤーが2つのみとなって、同時に成長する。
【0112】
サブストレートの温度が、図15dに示すように590℃になると、SiがStep−flowモード(テラス上の島がステップに吸収された形で成長するモード)で成長してゆく。このメカニズムは、図15iで説明している。Si吸着原子の移動度は、テラスで拡散してSi結晶に結合するステップのエッジに到達するのに十分大きい。この結果、表面は、短時間加熱して表面をSi(100)2×1に再構成させた方法と同じ方法で、滑らかな結晶となる。
【0113】
図15eないし図15hは、図15aないし図15dに代わるカプセル化の手順を示している。図15eは、図15aと同一であるが、図15f及び図15gはそれぞれ、335℃で1分間、及びこれに9分を追加した時間、アニールした効果を示している。図15hは、その後660℃で1分間、アニールした効果を示している。
【0114】
全体として、アニールの温度及び時間を増大させることで、表面粗さ及び欠陥密度が低減することを見ることが出来る。このように、成長を進行させること、またはアニール温度を上昇上させることで、エピタキシャルレイヤーの構造的な品質を向上させることが出来る。図15のSTM画像は、2つの異なる方法でも、同様の表面形態の形成が可能であることを示している。
【0115】
図16は、Siの5モノレイヤーを250℃で成長させ、異なる温度及び時間でアニールした、詳細な研究結果を示している。
【0116】
図16aは、模式化した構造図であり、図16(e)は、Siが成長する前における、Si(100)表面の充満状態に類似したSTM画像を示している。
【0117】
図16bは、模式化した構造図であり、図16(f)は、250℃で5モノレイヤーが成長した後における、Si(100)表面の充満状態に類似したSTM画像を示している。サブストレートの温度が250℃では、Siが、Layer−by−Layerモード(原子が一層ずつ配列して成長するモード)で成長する。
【0118】
図16の残りの画像は、多様なアニール条件の結果を示している。粗い表面構造は、328℃でアニールした後でもまだ良く見える。363℃及び407℃でアニールすると、テラス構造の配列が、清浄なSi表面の構造に似てくる。しかしながら、テラスは、小さいSiの島、vacancy領域、及び逆位相境界を有している。この構造では、欠損ダイマーの欠陥が高い密度を示している。これに加えて456℃及び490℃でアニールすると、移動する単一の欠損ダイマーは、複合的な欠損ダイマーの欠陥を形成する。更に548℃及び605℃でアニールすると、Siの島やホールがなくとも、Si(100)表面の初期のテラス構造が回復される。しかしながら、欠損ダイマーの欠陥密度は、短時間加熱した後における、初期の清浄なSi表面よりも大きくなる。これらのSTM画像のサイズは、50×50nmである。
【0119】
図17は、同様の研究結果を示しているが、Siが成長する前にHの保護レイヤーが表面上に生成されている。
【0120】
図17aは、模式化した構造図であり、図17(e)は、清浄なSi(100)表面における、充満状態に類似したSTM画像を示している。
【0121】
図17(f)は、Hで終端したSi(100)表面における充満状態のSTM画像を示している。モノハイドライドで終端した表面は、STM画像に明るい突起部として現れ、低い密度のSiダングリングボンドを示している。
【0122】
図17bは、模式化した構造図であり、図17(g)は、Hで終端した表面上に5モノレイヤー(ML)のSiを250℃で成長させた後における、充満状態に類似したSTM画像を示している。Hで終端した表面上のSi原子が拡散すると、Hの存在によりその拡散が強く抑制され、清浄なSi(100)表面上における250℃でのlayer−by−layerモードの成長(図16(f)参照)とは対称的に、island growモード(原子が島状に離れて成長するモード)で、Siが成長する。
【0123】
図17c及び図17dは、模式化した構造図であり、図17の残りは、多様なアニール条件における充満状態のSTM画像である。島の構造は、315℃、345℃、350℃、及び400℃でアニールした後でも残っている。
【0124】
しかしながら、更に401℃で55秒間、アニールすると、表面形態が変化する。島は平坦になると共に、ダイマー列はその構造を伸長させていく。このダイマー列は、単一の欠損ダイマーの欠陥と同様に、暗い領域で示される。これらの暗い特徴部は、いまだSi表面に吸着しているように見える。次の工程として456℃で5秒間、アニールすると、表面上における暗い特徴部の密度が低くなる。このことは、アニールする間にHが脱離したことを示している。表面でHの密度が減少すると、Siの拡散率が大きくなり、表面の形態が変化することになる。508℃で5秒間、アニールすると、テラスからSi原子が再配列される。しかしながら、テラスには、逆位相境界と同様の小さいSiの島及びホールが現れており、このテラス上での欠損ダイマーの欠陥密度が大きい。更に、507℃、561℃、及び560℃、アニールすると、ダイマー列と直角をなす欠陥に対して配列された、テラス上での欠損ダイマーの欠陥の密度は、大きい値を示す。この欠陥密度は、成長前における初期の清浄な表面上よりも非常に大きく、また、その後にアニールした場合よりも大きい。成長後にテラス構造からSi原子を再配列するためには、561℃で5秒間の、アニール工程が必要である。この条件は、456℃でテラス構造が既に形成された、清浄なSi表面上での成長条件より、約100℃高い。これらのSTM画像のサイズは、50×50nmである。
【0125】
図18aは、図16(Hで終端)と、図17(Hで終端せず)とを示すSTM画像における、Siの表面粗さのRMS(二乗平均)を示している。約500℃以下のアニールでは、図18aに示すように、表面粗さは、Hで終端しない清浄な表面上での成長に比べて、Hで終端する表面上での成長の方が大きい。約400℃以下でサンプルをアニールしても、表面粗さはほとんど変化しない。また、約550℃以上でアニール(短時間で加熱)しても、これらのサンプルの表面粗さは、清浄なSi表面と同様である。これらの(図中の)線は、判断の指針となる。
【0126】
図18bは、欠損ダイマーの欠陥密度を示しており、これら欠陥密度は、Si(100)の清浄な表面上で成長した場合と、Hで終端する表面で成長した場合とのSTM画像で測定された。同一の熱処理では、即ち250℃で成長させた後にアニールする工程では、清浄なSi(100)表面での成長より、Hで終端する表面で、250℃で成長させた方が、Si表面の欠陥密度が非常に大きいことを示している。欠陥密度が大きくなる主な理由により、清浄なSi(100)表面上でのlayer−by−layerモードとは対称的な、island growモードが現れる。密度が大きい初期の島について粗くするプロセスが行うと、逆位相境界及びvacancy領域がテラスに配列されることになる。しかしながら、たとえ600℃以上で1分間アニールしても、Hの終端に関係なく、清浄なSi表面を短時間、加熱した場合(図中矩形枠で図示)に比べて、大きい欠陥密度を示している。これらの(図中の)線は、判断の指針でなる。
【0127】
これらの結果は、滑らかな表面を得るためには、まず初めにHを除去することが最善であることを明らかにしている。これにより、表面を原子スケールで平坦にすることが出来ると共に、欠陥の個数を減少させることが出来る。
【0128】
[ドープされた表面上でのSiの成長 図2b(f)及び(h)(室温での成長、及び急速なアニール)]
図19ないし図21は、表面にP原子を偏析及び拡散させる場合において、Siによりカプセル化した後のアニールについて、異なる成長温度の効果を示している。
【0129】
図19は、表面にドープされたP原子を室温でカプセル化した後に、アニールした場合を示している。
【0130】
図19a(i)は、模式化した構造図であり、図19a(ii)は、清浄なSi(100)が再構成された表面における、STM画像の充満状態を示している。
【0131】
図19b(i)は、模式化した構造図であり、図19b(ii)は、1×10−9mbarのチャンバー内で曝露させるPHを飽和させ、P原子を結合させるように600℃でアニールし、Hを脱離させた後における充満状態のSTM画像を示している。
【0132】
図19c(i)は、模式化した構造図であり、図19c(ii)は、室温(RT)でSiの5モノレイヤーをエピタキシャル成長させた後における、充満状態のSTM画像を示している。
【0133】
図19d(i)は、模式化した構造図であり、図19d(ii)、(iii)、(iv)、(v)は、サンプルをそれぞれ325℃、450℃、600℃、及び750℃で1分間、アニールした後の表面における、充満状態のSTM画像を示している。エピタキシャル成長した表面は、Siの3次元状の島で覆われており、その後のアニール工程の間、平坦である。325℃ないし600℃のアニール工程では、表面上の明るいジグザグな特徴部の密度が増大している。これらの特徴部は、Si(100)表面上のSi−Pヘテロダイマーに関連している。このことから、エピタキシャル成長したSiのレイヤー下で、多量にドープされたPのレイヤーから、P原子が拡散するために、表面上のP原子の密度が増大したことが明らかにされている。
【0134】
図19e(i)は、模式化した構造図であり、図19e(ii)は、サンプルを900℃で1分間、アニールした後の表面における、充満状態のSTM画像を示している。この最後のアニール工程により、表面のP原子が脱離した後、初期の清浄なSi表面に回復する。
【0135】
図20は、260℃で表面にドープされたPがカプセル化された後に、アニールした場合を示している。
【0136】
図20a(i)は、模式化した構造図であり、図20a(ii)は、再構成された清浄なSi(100)表面における、充満状態のSTM画像を示している。
【0137】
図20b(i)は、模式化した構造図であり、図20b(ii)は、室温でPHを曝露し、Si表面にP原子をSi−Pヘテロダイマーとして結合させるように、600℃で60秒間、アニールした後の表面における、充満状態のSTM画像を示している。Si−Pヘテロダイマーは、ダイマー列に沿った、明るいジグザグの特徴部として見える。
【0138】
図20c(i)は、模式化した構造図であり、図20c(ii)は、Siの5モノレイヤー(ML)が200℃で成長した後の表面における、充満状態のSTM画像を示している。これらは、layer−by−layerモードで成長する。
【0139】
図20(i)は、模式化した構造図であり、図20(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)は、それぞれ350℃、399℃、454℃、500℃、552℃、及び609℃で5秒間、アニールした後の表面における、充満状態のSTM画像を示している。成長後のSi表面は、単一のダイマー列と、ダイマー列における明るいジグザグな特徴部の低い密度と同様な、伸長したダイマー列の島とを示している。これらのジグザグな特徴部は、Si−Pヘテロダイマーとして同一視される。明るいジグザグの特徴の密度は、アニール温度の上昇と共に増大している。アニールにより、清浄なSi(100)表面の成長(図16)と同様に、表面の形態が変化する。454℃で5秒間、アニールすると、テラス構造が消滅するが、500℃でアニールした後であっても、小さい島がまだ表面上に存在している。
【0140】
上記図19及び図20は、ドーパントの偏析及び拡散を評価するために、STM画像を初めて用いたことを示している。
【0141】
図21は、Si表面に室温(RT)及び260℃でそれぞれSiエピタキシャルレイヤーを過剰に成長させ、PHの曝露及びPの結合後にアニールした、Si表面におけるPの原子密度を、初期の密度と比較した形で示すグラフを示している。Pの原子密度は、260℃での成長及びアニールの後、図20が示すSTM画像で分析された。表面上におけるPの原子密度は、いずれのアニール工程でも、成長の途中でPが偏析するために、260℃で成長させた方が、室温(RT)で成長させた場合より非常に大きい。このことから、Siを室温で成長させた後にアニールする方が、温度上昇させてアニールする場合に比べて、表面でのP原子の偏析及び拡散を少なくすることが出来る。
【0142】
オージェ電子分光装置によるPの原子密度の測定は、Siが成長した後に実行され、この測定結果は、いずれのアニール工程において、STM画像の分析結果と一致している。
【0143】
[Pのデルタドーピング]
Siにより過剰にエピタキシャル成長された、P原子の電気的な活性を測定するために、図23aに示すように、Pがデルタドーピングされたレイヤーを成長させて、van der Pauw法によるデバイス構造を形成する。図22は、このようなデバイスの製造工程の概要を示している。
【0144】
図22a(i)は、模式化した構造図であり、図22a(ii)は、清浄な(100)2×1のSi表面を示すSTM画像を示している。
【0145】
図22b(i)は、模式化した構造図であり、図22b(ii)は、室温で曝露したPHを飽和した後の表面を示す、STM画像及びその拡大を示している。
【0146】
図22c(i)は、模式化した構造図であり、図22c(ii)は、P原子がP−Siダイマーとして表面に結合するように、550℃でアニールした後の表面における、STM画像を示している。
【0147】
図22d(i)は、模式化した構造図であり、図22d(ii)は、24nmのエピタキシャルSiを250℃で成長させた後の表面における、STM画像を示している。
【0148】
図23aは、van der Pauw法により、デバイス構造内のオーミック接触を配列させた後のデバイスを示している。図23bは、4K(絶対温度)のサンプル温度で、面抵抗ρxxを磁界Bの関数として示している。この結果は、B=0でピークを示しており、電子の弱い局在性を特徴付けている。弱い局在性の抑制を除去して、(図23cから)ホールスロープ(Hall slope)を計算することにより、2次元状のレイヤーにおける移動度を、130.3cm−1−1と見積もることが出来る。
【0149】
図23cは、Pがデルタドーピングされたレイヤーのホール低効率(Hall resistivity)により、キャリア密度が1.99×1014cm−2になることを示している。この密度は、2次元状のドーパント密度に完全に一致している。このことは、Si結晶に結合されたPのドーパントが、測定誤差の範囲で、電気的に活性であることを明らかにしている。この結果は、電子デバイス構造の製造において非常に重要である。なぜなら、これらの工程を用いて結合されたP原子が、大きいドーピング密度で、電気的に活性になることを明らかにしているからである。
【0150】
我々は、デルタドープされたレイヤー内のP原子が封じ込められた範囲を測定するために、このデルタドープされたサンプルについて、二次電子質量分析装置(SIMS)の測定を行った。図24は、PがデルタドープされたSi内のレイヤーにおける、質量31のデプスプロファイルを示している。これは、ATOMIKA社製のSIMSを用いて、5.5keVのCS(セシウム)一次イオンで測定された。質量の相違が僅かである30SiHと31Pとを分離するには、ATOMIKAシステムの質量判別では不十分であるため、質量31の信号は、30SiHと、31Pの両方を示している。しかしながら、CAMECA社製のシステムを用いて、高い質量分解能のSIMSの測定結果を比較することにより(図24に挿入)、表面近くのピークは、Hが表面に吸着した30SiHピーク、及び深さ〜24nmの深さのPピークであることを明らかにすることが出来る。このPピークは、Siのエピタキシャルレイヤーと、Siのサブストレートとの間の境界に位置しており、このことは、エピタキシャルレイヤーの厚さが〜24nmであることを明らかにしている。いわゆるイオンビームミキシングのために、Pの信号は、サブストレートに向かって徐々に減少していく。これは、Siマトリックス内のP原子が、CS一次イオンと衝突して、Siウェハー内に押し込まれることを意味し、このためPピークは幅広くなっている。そのため、イオンビームミキシングによる一次イオンエネルギーで、Pピークの半値幅(FWHM)が増大している。一次イオンエネルギーが2keVの場合、〜5nmが、最小の半値幅であることが分かっていることから、イオンビームミキシングを考慮に入れると、Pがデルタドープされたレイヤーの幅は、<5nmである。
【0151】
最後に、ここで明らかにした製造戦略が、量子コンピュータのアーキテクチャーに基づく他のSiにも直接、適用出来ることに注目すべきである。
【0152】
当技術分野の技術者は、広く記載された本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、具体的な実施形態に示すように、多数の変更及び/または修正が可能であることを正確に認識すべきであろう。従って、本実施形態は、一例として考慮されるべきであり、これに限定されることはない。
【0153】
上記明細書で参照した文献は、以下のものである。
1.Kane, B. E. A silicon-based nuclear spin quantum computer. Nature 393, 133 (1998).
2.Kane, B. E. Patent Application PCT / AU98 / 00778.
3.Vrijen, R., Yablonovitch, L., Kang Wang, Hong Wen Jiang, Balandin, A., Roychowdhury, V., Mor, T., DiVincenzo, D. Electrin-spin-resonance transistors for quantum computing in silicon-germanium heterostructures. Phys. Rev. A 62, 012306/1-10 (2000).
4.Swartzentruber, B. S., Mo, Y. W., Webb, M. B. & Lagally, M. G. Scanning tunneling microscopy studies of structural disorder and steps on Si surfaces. J. Vac. Sci. Tech. A7, 2901 (1989).
5.Hata, K., Kimura, T., Ozawa, S. and Miyamoto, N. How to fabricate a defect free surface. J. Vac. Sci. Technol. A 18, 1933 (2000).
6.Hata, K., Yasuda, S. and Shigekawa, H. Reinterpretation of the scanning tunneling microscopy images of the Si(100)2×1 dimers. Phys. Rev.B. 60, 8164 (1999).
7.Oura, K., Lifshits, V. G., Saranin, A. A., Zotov, A.V. & Katayama, M. Hydrogen interaction with clean and modified silicon surfaces. Surf. Sci. Rep.35, 1 (1999).
8.Hamers, R. J., Avouris, Ph. & Bozso, F. Imaging of chemical-bond formation with the scanning tunneling microscope. NH3 dissociation on Si(100) Phys. Rev. Lett. 59, 2071 (1987).
9.Thirstup, C., private communication
10.Wang, Y., Bronikowski, M. J. & Hamers, R. J. An atomically-resolved STM study of the interaction of phosphine(PH3) with the silicon (001) surface. J. Phys. Chem. 98, 5966 (1994).
11.Hill, E., Freelon, B., Ganz, E. Diffusion of hydrogen on the Si(001) surface investigated by STM atom tracking. Phys. Rev. B 60, 15896 (1999).
12.Lin, D. S., Ku, T. S., and Chen, R. P. Interaction of phosphine with Si(100) from core-level photoemission and real-time scanning tunneling microscopy Phys. Rev. B 61, 2799 (2000).
14.Wang, Y., Chen, X. and Hamers, R. J., Atomic-resolution study of overlayer formation and interfacial mixing in the interaction of phosphorus with Si(001) Phys. Rev. B 50, 4534 (1994).
15.Zhi-Heng Loh, Knag, H. C. Chemisorption of NH3 on Si(100) 2×1: A study by first-principles ab intio and density functional theory. J. Chem. Phys. 112, 2444-2451 (2000).
16.Northrup, J. E. Theoretical studies of arsine adsorption on Si(100). Phys. Rev. B 51, 2218-2222 (1995).
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】図1は、Kaneが提案する量子コンピュータに基づくシリコンの概略構成図である。
【図2】図2a(a)ないし(e)及び図2b(f)ないし(k)は、ナノスケール製品製造のための発明に関する11工程である。
【図3】図3a及び図3bは、シリコン結晶の(100)2×1表面を示す、STM画像及び模式化された構造図である。
【図4】図4aないし図4eは、保護レイヤーのSTM画像、模式化された構造図、及び走査型トンネル分光法の結果である。
【図5】図5aないし図5eは、ホスフィンを曝露する前におけるシリコン結晶表面上、及びホスフィンを曝露してPH/PH分子を吸着させたシリコン結晶表面上のダイマー列に沿って配列された2つのダングリングボンドを示す、STM画像、模式化された構造図、及びラインプロファイルである。
【図6】図6aないし図6fは、ホスフィンを曝露する前におけるシリコン結晶表面上、及びホスフィンを曝露してPH/PH分子を吸着させたシリコン結晶表面上のダイマー列に渡って配列されたダングリングボンドを示す、STM画像、模式化された構造図、及びラインプロファイルである。
【図7】図7(a)ないし(e)は、多数の欠陥を示すシリコン(100)表面のSTM画像である。
【図8】図8は、ホスフィンの曝露前後における、シリコン(100)表面のSTM画像である。
【図9】図9aないし図9eは、ホスフィンを曝露した後における、シリコン(100)表面のSTM画像である。
【図10】図10(a)ないし(i)は、ホスフィンを曝露した後のシリコン表面、及びその表面を加熱した効果を示す、一連のSTM画像及び模式化された構造図である。
【図11】図11aないし図11fは、シリコン格子の表面上における、その格子に結合されたホスフィン分子を示す、一連の模式化された構造図、STM画像、及びラインプロファイルである。
【図12】図12aないし図12cは、適度なホスフィンを曝露して加熱した後の、シリコン表面における一連のSTM画像、及び飽和したホスフィンを曝露して加熱した後の、シリコン表面を示すオージェ電子の分光結果である。
【図13】図13は、水素で終端したシリコン表面のSTM画像で、図13aは、水素が脱離したパッチ、図13bないし図13dは、350℃でアニールした後のパッチである。
【図14】図14aないし図14hは、リソグラフィによるラインに沿ったシリコン格子にリン原子が結合するように、ホスフィンを曝露してアニールした効果を示す、一連のSTM画像、及びラインプロファイルである。
【図15】図15aないし図15dは、異なる温度でのシリコン成長の効果を示す一連のSTM画像、図15eないし図15hは、室温で成長させた後に異なる温度でアニールした、シリコン表面を示す一連のSTM画像、図15iないし図15kは、異なる温度に依存する成長モードを説明する一連の模式化された構造図である。
【図16】図16は、250℃で成長させた後に多様な温度でアニールする前後における、シリコン表面を示す一連の模式化された構造図、及びSTM画像である。
【図17】図17は、水素の保護レイヤー表面上において250℃で成長させた後にアニールする前後における、シリコン表面を示す一連の模式化された構造図、及びSTM画像である。
【図18】図18は、清浄でかつ水素で終端した表面上で成長させるために、異なる温度でアニールした後で、図18aはシリコンの表面粗さを示すグラフ、図18bは欠陥密度を示すグラフである。
【図19】図19aないし図19eは、ホスフィンを曝露した後にアニールしたシリコン表面における、室温でのリンのカプセル化を示す、一連の模式化された構造図及びSTM画像である。
【図20】図20は、ホスフィンを曝露した後に260℃でアニールしたシリコン表面における、リンのカプセル化を示す、一連の模式化された構造図及びSTM画像である。
【図21】図21は、シリコンの5モノレイヤー(ML)が室温及び260℃でそれぞれ過剰に成長した表面に、ホスフィンを曝露してアニールした後における、Pの相対的な原子密度である。
【図22】図22aないし図22dは、リンがデルタドープされたシリコンのレイヤーを製造するために、シリコン表面をホスフィンで飽和させてアニールし、シリコン成長によりカプセル化した工程を示す、一連の模式化された構造図及びSTM画像である。
【図23】図23は、オーミック接触でホール効果を測定するために、リンがデルタドープされたシリコンサンプルで、(a)は模式化された構造図、(b)及び(c)はホール効果の測定結果である。
【図24】図24は、二次イオン質量分析装置を用いて測定された、リンがシリコンにデルタドープされたレイヤーにおける、質量31のデプスプロファイルを示すグラフである。

Claims (59)

  1. 量子コンピュータなどの原子スケールデバイスの製造工程における中間製品である、ナノスケール製品において、
    シリコン結晶の表面のシリコン原子がドナー原子に置換されて、互いに100nm以下の間隔で配置されたドナー原子のアレイが形成されており、かつ当該ドナー原子が電気的に活性である、シリコン結晶を有する、
    ナノスケール製品。
  2. 前記シリコン結晶の表面は、σ結合のシリコンダイマー列で構成された2×1ユニットセルの表面構造を有する、(100)の配向であり、
    前記ドナー原子は、前記表面のシリコン原子と置換されてドナー−シリコンのへテロダイマーを形成している、
    ことを特徴とする、請求項1記載のナノスケール製品。
  3. 前記ドナーは、リンである、
    ことを特徴とする、請求項1または2記載のナノスケール製品。
  4. 前記ドナー原子は、互いに50nm以下の間隔で配置されている、
    ことを特徴とする、請求項1ないし3いずれか記載のナノスケール製品。
  5. 前記ドナー原子は、互いに20nm以下の間隔で配置されている、
    ことを特徴とする、請求項4記載のナノスケール製品。
  6. 量子コンピュータなどの原子スケールデバイスの製造工程における中間製品である、ナノスケール製品において、
    シリコン結晶内のシリコン原子をドナー原子に置換したレイヤーがカプセル化され、かつ実質的に全ての当該ドナー原子が電気的に活性である、シリコン結晶を有する、
    ナノスケール製品。
  7. 前記カプセル化されたレイヤーは、前記ドナー原子のレイヤー上でエピタキシャル成長された、
    ことを特徴とする、請求項6記載のナノスケール製品。
  8. 前記カプセル化されたレイヤーは、5nmないし50nm間の深さである、
    ことを特徴とする、請求項6または7記載のナノスケール製品。
  9. 前記シリコン結晶の表面は、(100)の配向であり、該表面は、シリコン原子と置換されてドナー−シリコンのへテロダイマーを形成する前記ドナー原子を覆っている、
    ことを特徴とする、請求項6ないし8いずれか記載のナノスケール製品。
  10. 前記ドナーは、リンである、
    ことを特徴とする、請求項6ないし9いずれか記載のナノスケール製品。
  11. 前記ドナー原子は、アレイ状に配置されている、
    ことを特徴とする、請求項6ないし10いずれか記載のナノスケール製品。
  12. ナノスケール製品または原子スケールの製品の製造方法において、
    (a)清浄なシリコン結晶の表面を準備する工程、
    (b)前記表面に水素原子で保護レイヤーを生成する工程、
    (c)走査型トンネル顕微鏡(STM)のチップを用いて、前記生成された保護レイヤーの表面から単一の水素原子を選択的に脱離させて、前記水素の保護レイヤーに、露出された領域のパターンを、互いに100nm以下の間隔で形成する工程、
    (d)前記パターンが形成された表面をドナー分子に晒して、前記露出された領域内において単一のドナー原子からなる分子でアレイを形成する工程、
    (e)前記アレイが形成された表面を、約300℃ないし約650℃の間でアニールして、電気的に活性な前記ドナー原子をシリコンに結合させる工程、
    を備えたことを特徴とする、ナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  13. 前記アニールの温度範囲は、約300℃ないし約530℃の間である、
    ことを特徴とする、請求項12記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  14. 前記アニールの温度範囲は、約350℃ないし約530℃の間である、
    ことを特徴とする、請求項13記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  15. 前記水素は、電子ビームを用いて脱離される、
    ことを特徴とする、請求項13または14記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  16. 前記電子ビームは、STMまたは走査型電子顕微鏡(SEM)から発生される、
    ことを特徴とする、請求項15記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  17. 前記水素は、紫外(UV)線を用いて脱離される、
    ことを特徴とする、請求項13または14記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  18. STMを用いて前記シリコン表面上のドナー原子を見て、前記ドナー原子がシリコンの格子点で置換された形で電気的に活性であることを確認する工程、
    を有することを特徴とする、請求項12ないし17いずれか記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  19. 前記シリコン結晶の表面は、σ結合のシリコンダイマー列で構成された2×1ユニットセルの表面構造を有する、(100)の配向であり、
    前記ドナー原子は、前記表面のシリコン原子と置換されてドナー−シリコンのへテロダイマーを形成している、
    ことを特徴とする、請求項12ないし18いずれか記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  20. 前記ドナーは、リンである、
    ことを特徴とする、請求項12ないし19いずれか記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  21. 前記ドナー原子は、互いに50nm以下の間隔で配置されている、
    ことを特徴とする、請求項12ないし20いずれか記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  22. 前記ドナー原子は、互いに20nm以下の間隔で配置されている、
    ことを特徴とする、請求項21記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  23. ナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法において、
    (a)清浄なシリコン結晶の表面を準備する工程、
    (b)前記表面に水素原子で保護レイヤーを生成する工程、
    (c)前記水素の保護レイヤーがSTMのチップを用いて脱離されて、リソグラフィ的に規定された領域のシリコン内にドナー原子を注入する工程、
    (d)前記表面を約500℃ないし約650℃の間で短時間加熱することにより、または電子ビームを用いることにより、または紫外(UV)線を用いることにより、前記ドープされた表面から、前記保護レイヤーとして生成された水素原子を脱離させる工程、
    (e)約0℃ないし約400℃の間で、前記表面上のシリコンを成長させて、前記ドナー原子の拡散を防ぎ、かつ電気的に活性な前記ドナー原子を前記表面でカプセル化する工程、
    を備えたことを特徴とする、ナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  24. 前記(e)工程におけるシリコンの成長は、0℃ないし250℃の間で行われる、
    ことを特徴とする、請求項23記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  25. 前記(e)工程におけるシリコンの成長は、室温で行われる、
    ことを特徴とする、請求項24記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  26. 前記表面が原子レベルで滑らかになるように、前記表面を熱的にアニールする工程、
    を有することを特徴とする、請求項23ないし25いずれか記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  27. 前記シリコン結晶の表面は、σ結合のシリコンダイマー列で構成された2×1ユニットセルの表面構造を有する、(100)の配向であり、
    前記ドナー原子は、前記表面のシリコン原子と置換されてドナー−シリコンのへテロダイマーを形成している、
    ことを特徴とする、請求項23ないし26いずれか記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  28. 前記ドナーは、リンであり、
    前記ドナー原子は、互いに100nm以下の間隔で配置されている、
    ことを特徴とする、請求項23ないし27いずれか記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  29. 前記ドナー原子は、互いに50nm以下の間隔で配置されている、
    ことを特徴とする、請求項23ないし28いずれか記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  30. 前記ドナー原子は、互いに20nm以下の間隔で配置されている、
    ことを特徴とする、請求項29記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  31. ナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法において、
    (a)清浄なシリコン結晶の表面を準備する工程、
    (b)前記シリコンの表面上にドナー原子が吸着するように、前記表面をドナー分子に晒す工程、
    (c)アレイが形成された表面を、約300℃ないし約650℃の間でアニールして、電気的に活性な前記ドナー原子をシリコンに結合させる工程、
    (d)STMを用いて前記シリコン表面上のドナー原子を見て、前記ドナー原子がシリコンの格子点で置換された形で電気的に活性であることを確認する工程、
    を備えたことを特徴とする、ナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  32. 前記アニールの温度範囲は、約300℃ないし約530℃の間である、
    ことを特徴とする、請求項31記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  33. 前記アニールの温度範囲は、約350℃ないし約530℃の間である、
    ことを特徴とする、請求項32記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  34. 水素は、電子ビームを用いて脱離される、
    ことを特徴とする、請求項32または33記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  35. 前記電子ビームは、低いエネルギーであって、STMまたはSEMから発生される、
    ことを特徴とする、請求項34記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  36. 水素は、紫外(UV)線を用いて脱離される、
    ことを特徴とする、請求項32または33記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  37. 前記アニールの温度範囲は、前記ドナー原子を結合させると共に、単一のステップ内の水素を脱離させるために、約530℃ないし約650℃の間である、
    ことを特徴とする、請求項31記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  38. 0℃ないし400℃の間で、前記表面上のシリコンを成長させる工程、
    を有することを特徴とする、請求項31ないし37いずれか記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  39. 前記シリコンを成長させる温度は、0℃ないし250℃の間である、
    ことを特徴とする、請求項38記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  40. 前記シリコンを成長させる温度は、室温である、
    ことを特徴とする、請求項39記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  41. 前記表面が原子レベルで滑らかになるように、前記表面を熱的にアニールする工程、
    を有することを特徴とする、請求項31ないし40いずれか記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  42. 前記シリコン結晶の表面は、σ結合のシリコンダイマー列で構成された2×1ユニットセルの表面構造を有する、(100)の配向であり、
    前記ドナー原子は、前記表面のシリコン原子と置換されてドナー−シリコンのへテロダイマーを形成している、
    ことを特徴とする、請求項31ないし41いずれか記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  43. 前記ドナーは、リンであり、
    前記ドナー原子は、互いに100nm以下の間隔で配置されている、
    ことを特徴とする、請求項31ないし42いずれか記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  44. 前記ドナー原子は、互いに50nm以下の間隔で配置されている、
    ことを特徴とする、請求項31ないし43いずれか記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  45. 前記ドナー原子は、互いに20nm以下の間隔で配置されている、
    ことを特徴とする、請求項44記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  46. ナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法において、
    (a)清浄なシリコン結晶の表面を準備する工程、
    (b)ドナーのレイヤーを形成するべき前記シリコンの表面上に、ドナー原子が吸着するように、前記表面をドナー分子に晒す工程、
    (c)前記表面を約300℃ないし約650℃でアニールして、前記ドナー原子をシリコンの表面に結合させる工程、
    (d)約0℃ないし約400℃の間で、前記表面上のシリコンを成長させて、前記ドナー原子が拡散することを防ぎ、かつ電気的に活性な前記ドナー原子を前記表面でカプセル化する工程、
    (e)前記ドープされたレイヤーの電気的な活性を測定する工程、
    を備えたことを特徴とする、ナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  47. 前記アニールの温度範囲は、約300℃ないし約530℃の間である、
    ことを特徴とする、請求項46記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  48. 前記アニールの温度範囲は、約350℃ないし約530℃の間である、
    ことを特徴とする、請求項47記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  49. 水素は、電子ビームを用いて脱離される、
    ことを特徴とする、請求項47または48記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  50. 前記電子ビームは、STMまたはSEMから発生される、
    ことを特徴とする、請求項49記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  51. 水素は、紫外(UV)線を用いて脱離される、
    ことを特徴とする、請求項47または48記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  52. 前記アニールの温度範囲は、前記ドナー原子を結合させると共に、単一のステップ内の水素を脱離させるために、約530℃ないし約650℃の間である、
    ことを特徴とする、請求項46記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  53. 前記シリコンを成長させる温度は、0℃ないし250℃の間である、
    ことを特徴とする、請求項46記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  54. 前記シリコンを成長させる温度は、室温である、
    ことを特徴とする、請求項53記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  55. 前記シリコン結晶の表面は、σ結合のシリコンダイマー列で構成された2×1ユニットセルの表面構造を有する、(100)または(001)の配向であり、
    前記ドナー原子は、前記表面のシリコン原子と置換されてドナー−シリコンのへテロダイマーを形成している、
    ことを特徴とする、請求項46ないし54いずれか記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  56. 前記ドナーは、リンである、
    ことを特徴とする、請求項46ないし55いずれか記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  57. 前記ドナー原子は、互いに50nm以下の間隔で配置されている、
    ことを特徴とする、請求項46ないし56いずれか記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  58. 前記ドナー原子は、互いに20nm以下の間隔で配置されている、
    ことを特徴とする、請求項57記載のナノスケール製品または原子スケール製品の製造方法。
  59. 請求項12ないし58いずれか記載の製造方法で製造された、量子コンピュータ。
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