JP2005500035A - 新規線維芽細胞成長因子およびそれをコード化する核酸 - Google Patents
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Abstract
本発明は、FGF−CX、新規単離ポリペプチド、ならびにFGF−CXをコード化するポリヌクレオチドおよびFGF−CXに免疫特異的に結合する抗体、または誘導体、変異体、またはFGF−CXポリペプチドのフラグメント、ポリヌクレオチドまたは抗体を提供する。加えて、本発明は、幅広い範囲の病態の検出および処置、ならびにたの使用において用いられるFGF−CXポリペプチド、ポリヌクレオチドおよび抗体を提供する。
Description
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、一般に核酸およびポリペプチドに関する。本発明は、特に線維芽細胞成長因子ファミリーのメンバーに関するポリペプチドをコード化する核酸に関する。
【0002】
(本発明の背景)
サイトカインである線維芽細胞成長因子(FGF)グループは、成長、生存、アポトーシス、運動性および分化のような多種多様の細胞機能を調節する少なくとも21のメンバーを含む。プロトタイプメンバーが、酸性FGF(FGF−1)および塩基性FGF(FGF−2)を含むタンパク質であるFGFファミリーは、4つの関連する受容体チロシンキナーゼに結合する。これらの分子は、細胞表面チロシンキナーゼFGF受容体(FGFR)との高親和性相互作用を経由してシグナルを伝達する。これらのFGF受容体は、組織培養において大部分の細胞タイプで発現する。リガンド結合上のFGF受容体モノマーの2量体化は、受容体のリン酸化を導くキナーゼドメインの活性化に必要であると報告されてきた。4つのFGF受容体の広範な発現パターンを示すFGF受容体1(FGFR−1)は、少なくとも7つのチロシンリン酸化部位を含有する。多くのシグナル伝達分子は、これらのリン酸化部位に対する異なる親和性での結合により作用される。
【0003】
正常成長および正常発生での関与に加えて、既知のFGFはまた、癌を含む病態の発生において関係するとみなされてきた。FGFは、腫瘍細胞の成長を直接的に増強することにより腫瘍の原因となり得る。例えば、同一細胞でのFGFとFGFRの共発現を介するオートクリン成長刺激は、細胞の形質転換を導くと報告されてきた。
【0004】
(発明の概要)
本発明は、タンパク質である線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーのメンバーに対して相同性を有する新規ポリペプチドをコード化する核酸の発見に部分的に基づく。線維芽細胞成長因子CX(FGF−CX)と名付けられたポリヌクレオチド配列は本発明に含まれ、これらの核酸配列によりコード化されたFGF−CXポリペプチド、およびスプライスバリアント、SNP、フラグメント、相同体、類似体、およびそれらの誘導体が本発明において請求される。FGF−CX核酸の実施例は配列番号:1であり、FGF−CXポリペプチドの実施例は配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。このアミノ酸配列は、配列番号:1の核酸配列によりコード化される。
【0005】
1つの態様において、本発明は単離FGF−CXポリペプチドを含む。いくつかの実施態様においては、単離ポリペプチドは配列番号:2のアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、本発明は配列番号:2の変異体を含み、変異体のいくつかのアミノ酸残基において、例えば、配列番号:2のアミノ酸配列の1%、2%、3%、5%、10%または15%未満が変更を受けている。いくつかの実施態様においては、単離FGF−CXポリペプチドは、配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の成熟型のアミノ酸配列、または配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の成熟型の変異体を含む。好ましくは、アミノ酸配列の成熟型の変異体において配列番号:2のアミノ酸配列の1%、2%、3%、5%または15%未満が変更を受ける。
【0006】
FGF−CXポリペプチドの変異体、FGF−CXポリペプチドの成熟型およびFGF−CXポリペプチドの成熟型の変異体のフラグメントを含むFGF−CXポリペプチドのフラグメント、ならびにFGF−CX核酸の対立遺伝子変異体および1塩基多型によりコード化されるFGF−CXポリペプチドも、本発明において含まれる。FGF−CXポリペプチドの実施例は、配列番号:2の残基54〜211または配列番号:2の残基24〜211を含むフラグメントである。
【0007】
別の態様において、本発明は単離FGF−CX核酸分子を含む。FGF−CX核酸分子は、上で開示された任意のFGF−CXポリペプチド、変異体、またはフラグメント、またはかかる核酸配列のいずれかに対する相補体をコード化する配列を含に得る。1つの実施態様において、配列は、配列番号:1において開示されたものを含む。他の実施態様において、FGF−CX核酸は、配列番号:1において与えられるものと異なるヌクレオチドが取り込まれ得る配列を含む。好ましくは、ヌクレオチドの1%、2%、3%、5%、10%、15%、または20%未満が変更を受ける。
【0008】
1つの実施態様において、 核酸は、配列番号:2の残基54〜211または配列番号:2の残基24〜211を含むポリペプチドフラグメントをコード化する。核酸は、例えば、配列番号:1のヌクレオチド163〜633または配列番号:1のヌクレオチド70〜633を含むことができる。
【0009】
他の実施態様において、本発明はこれらの核酸配列のフラグメントまたは相補体を含む。FGF−CX核酸を取り込むベクターおよび細胞はまた、本発明において含まれる。
【0010】
本発明は、本明細書において記載される任意のFGF−CXポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体も含む。様々な実施態様におけるFGF−CX抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体および/またはヒト抗体を含む。
【0011】
本発明は、加えて、本発明のFGF−CXポリペプチド、FGF−CX核酸またはFGF−CX抗体を含む医薬組成物を提供する。例えば、FGF−CXポリペプチド、FGF−CX核酸またはFGF−CX抗体を含むキットも本発明において含まれる。
【0012】
いくつかの方法が、本発明において含まれる。例えば、試料中の本発明のFGF−CXポリペプチドの存在または量を測定する方法が開示される。方法は、試料をポリペプチドに免疫特異的に結合するFGF−CX抗体と接触させること;および該ポリペプチドに結合する抗体の存在または量を測定することを含み、かかる抗体が、試料中のポリペプチドの存在または量を示す。
【0013】
同様に、本発明は、試料中のFGF−CX核酸分子の存在または量を測定する方法を開示する。方法は、試料を核酸分子に結合するプローブと接触させること;および核酸分子に結合するプローブの存在または量を測定することを含み、かかるプローブが試料中のFGF−CX核酸分子の存在または量を示す。
【0014】
本発明により、FGF−CXポリペプチドに結合する物質を同定する方法も提供される。方法は、候補物質がFGF−CXポリペプチドに結合する否かの決定を含む。候補物質の結合は、物質がFGF−CXポリペプチド結合物質であることを示す。
【0015】
本発明は、病態の処置において用いる潜在的治療物質を同定する方法も含む。病態は、例えば、本発明のFGF−CXポリペプチドの異常発現、異常プロセッシング、または異常生理的相互作用と関係する。この方法は、FGF−CXポリペプチドを発現し、かつポリペプチドに基づく性質または機能を有する細胞を用意すること;用意した細胞を、候補物質を含む組成物と接触させること;および対照細胞との比較において物質がポリペプチドに基づく性質または機能を変化させるか否かを決定することを含む。かかる物質のいずれかが、潜在的治療物質として同定される。さらに、治療物質は、この方法で同定された任意の潜在的治療物質を、病態の処置において用いる治療物質を同定するための付加試験の対象とすることにより同定され得る。
【0016】
いくつかの実施態様において、性質または機能が細胞成長または細胞増殖に関与し、物質がポリペプチドに結合し、それによりポリペプチドの活性化を調節する。いくつかの実施態様においては、候補物質は約1500Da以下の分子量を有する。いくつかの実施態様において、候補物質は抗体である。本発明は、加えて、本明細書において記載されるような方法を用いて同定される任意の治療物質を提供する。
【0017】
本発明の別の重要な態様は、FGF−CXポリペプチドと関連する疾患の処置または予防する方法に関与する。疾患は、細胞または組織の不十分な成長または役に立たない成長により、または細胞または組織の過形成または異常増殖により特徴付けられる。方法は、該対象の疾患を処置または予防するのに十分な量および持続時間での本発明のFGF−CXポリペプチド、または本発明のFGF−CX核酸、または本発明の任意の他の治療物質を対象に投与することを含む。有意義な実施態様において、対象はヒトである。
【0018】
本発明は、FGF−CXポリペプチドの異常発現、異常プロセッシング、または異常生理的相互作用と関連する疾患の潜在活性または素因のモジュレーターをスクリーニングする方法も含む。方法は、本発明のFGF−CXポリペプチドを組替え発現し、疾患に対して増加したリスクのある被検動物を用意すること;被検動物に試験化合物を投与すること;化合物の投与後の被検動物中のポリペプチドの活性を測定すること;および被検動物中のFGF−CXポリペプチドの活性を、化合物を投与されていない対照動物中のFGF−CXポリペプチドの活性と比較することを含む。対照動物と比較して被検動物中のポリペプチドの活性での変化が存在すると、試験化合物は疾患の潜在活性または素因のモジュレーターである。
【0019】
本発明はまた、第1の哺乳動物対象中の本発明のFGF−CXポリペプチドまたはFGF−CX核酸の変化したレベルと関連する疾病の存在または素因を決定する方法を提供する。方法は、第1の哺乳動物対象由来の試料中のポリペプチドの発現レベルまたは核酸の量を測定すること;試料中のその量を、疾病を有さない、または素因を有さないと知られている第2の哺乳動物対象由来の対照試料中その量と比較することを含む。対照試料と比較して第1の対象中のポリペプチドの発現レベルまたは核酸の量での変化は、疾病の存在または素因を示す。
【0020】
本発明により、哺乳動物において病態を処置する方法も提供される。ここで、病態は、本発明のFGF−CXポリペプチドの異常発現、異常プロセッシング、または異常生理的相互作用に関与する。方法は、哺乳動物へ病態を緩和するのに十分な量で本発明のポリペプチドを投与することを含む。ここで、FGF−CXポリペプチドは、配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、または実に99%同一なアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性なフラグメントである。別の関係する方法において、本発明の抗体が、哺乳類に投与される。
【0021】
別の態様において、本発明は対象における細胞成長を促進する方法を含む。方法は、細胞成長の促進に作用する量および持続時間で本発明のFGF−CXポリペプチドを対象へ投与することを含む。いくつかの実施態様において、対象はヒトであり、成長が促進されるべき細胞は、傷の近くにある細胞、血管系における細胞、血管新生において含まれる細胞、赤血球新生において含まれる細胞、消化管の内壁にある細胞、および毛包にある細胞から選択され得る。
【0022】
さらなる態様において、本発明は対象における細胞成長を阻害する方法を提供する。ここで、成長は本発明のFGF−CXポリペプチドの発現と関係する。この方法は、細胞成長を阻害する組成物を対象へ投与することを含む。非常に重要な実施態様において、組成物は本発明の抗体または別の治療物質を含む。有意義なことに、対象はヒトであり、成長が阻害されるべき細胞は、形質転換細胞、過形成細胞、腫瘍細胞、および異常増殖細胞から選択される。
【0023】
なお更なる態様において、本発明は、組織増殖と関連する疾患を処置または予防、または進行を妨げる方法を提供する。方法は、かかる処置または予防または進行の妨げが対象中の組織増殖と関連する疾患を処置、予防、または進行を妨げるのに十分な量でFGF−CX核酸、FGF−CXポリペプチド、またはFGF−CX核酸抗体を望む対象への投与を含む。
【0024】
FGF−CX核酸分子、ポリペプチドまたは抗体を用いて診断、処置、予防または進行を妨げられる組織増殖と関連する疾患は、上皮細胞、例えば、手術後の眼球前部での線維芽細胞およびケラチノサイトを含み得る。他の組織増殖と関連する疾患は、例えば、腫瘍、再狭窄、乾癬、デュピュイトレン拘縮(Dupuytren's contracture)、糖尿病合併症、カポジ肉腫、および関節リウマチを含む。
【0025】
別段の定義がなければ、本明細書において用いられる全技術用語および科学用語は、本発明が属する当分野の通常の知識を有するものにより普通に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において記載されるものと類似または等しい方法および物質が、本発明の実施または試験において用いることができるが、適当な方法および物質は以下に記載される。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、全体として、参考文献により取り込まれる。矛盾のある場合は、定義を含む本明細書が支配する。加えて、物質、方法、および実施例は、ただ例示的なものであり、制限されることを意図するものでない。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な記載および請求項から明らかであろう。
【0026】
(図面の簡単な説明)
図1は、FGF−CXのウエスタン分析を示す。293細胞由来試料(パネルA)または望ましい構築物で一過性に形質移入したNIH3T3細胞由来試料(パネルB)を、抗V5抗体を用いたウエスタン分析により調べた。CMは条件培地、SEはスラミンで抽出した条件培地である。分子量マーカーは左に示す。
【0027】
図2は、293細胞により分泌されたFGF−CXタンパク質のウエスタン分析を示す。
【0028】
図3は、E.coli細胞において発現させたFGF−CX(配列番号:2)タンパク質のウエスタン分析を示す。
【0029】
図4は、FGF−CX特異的TaqMan試薬を用いたリアルタイム定量的PCRにより得たFGF−CXの発現分析である。正常ヒト組織試料由来の標準化RNAの結果をパネルAに示し、腫瘍細胞株由来の標準化RNAの結果をパネルBに示す。手術で直接的に得た腫瘍組織を用いて得た結果を、パネルCおよびパネルDに示す。
【0030】
図5は、DNA合成への作用により表される、組換えFGF−CXの生物学的活性を表示する。細胞を、血清飢餓状態におき、望ましい因子と18時間インキュベートし、BrdU取込みアッセイにより分析した。試料は3度実行された。パネルAはNIH3T3マウス線維芽細胞である。パネルBはCCD−1070ヒト線維芽細胞である。パネルCはCCD−1106ヒトケラチノサイトである。
【0031】
図6は、細胞成長への作用により表される組換えFGF−CXの生物学的活性を表示する。NIH3T3細胞を、望ましい因子を補足した無血清培地でインキュベートし、48時間後にカウントした。試料は2度実行された。
【0032】
図7は、細胞形態への作用により表される組換えFGF−CXの生物学的活性である。NIH3T3細胞を、FGF−CXまたは対照タンパク質と48時間インキュベートし、25倍の拡大率で写真撮影した。
【0033】
図8は、FGF−CXの腫瘍化活性を表すグラフである。望ましい構築物で安定的に形質移入したNIH3T3細胞を、胸腺欠損ヌードマウスの皮下組織に注入し、2週間の期間にわたり腫瘍形成について調べた。4匹の動物の最小値をそれぞれのデータポイントに用いた。
【0034】
図9は、FGF−CX構築物で安定的に形質移入したNIH3T3細胞を皮下組織へ注入された対照胸腺欠損ヌードマウスおよび胸腺欠損ヌードマウスの写真である。
【0035】
図10は、還元条件下および非還元条件下で調整されたFGF−CXの精製試料のクーマシーブルー染色したSDS−PAGEゲルのイメージである。
【0036】
図11は、786−0ヒト腎臓腺癌細胞を用いて実行した投与量タイトレーション実験の結果を提供する。この実験において、種々の量のFGF−CX(図21において20858として表す)により誘導されたブロモデオキシウリジンの取込みを測定した。
【0037】
図12は、インビトロでの病巣の形成を示す。望ましい構築物で形質移入したNIH3T3細胞を、DMEM/5%子ウシ血清中で2週間培養し、染色して写真撮影した。pIgκ−FGF−20構築物によりもたらされる病巣は、多数だが、密集に起因して小さい。
【0038】
図13は、FGF−CXの受容体結合特異性を評価する実験の結果を示す。NIH3T3細胞を血清飢餓状態におき、望ましい成長因子(四角はPDGF−BB;三角はaFGF;丸はFGF−CX)のみ、または望ましい可溶性FGFRと共にのいずれかでインキュベーションし、BrdU取込アッセイにより分析した。実験を3度実行し、成長因子のみを受け取った細胞と比べるBrdUの取込でのパーセントBrdU増加として表す。
【0039】
図14は、プラスミドpET24a−FGF20X−del154コドンをE.coli菌株BL21(DE3)で発現させた場合に得たアルギニン上清のクーマシーブルー染色SDS−PAGEゲルのイメージを示す。
【0040】
図15は、全長FGF−CX(図中でFGF20と表す)と比較して、DNA合成への作用により表す組換えFGF−CXの切断型(図中で(d1〜23)FGF20により示す)の生物学的活性を示す。NIH3T3マウス線維芽細胞を血清飢餓状態におき、望ましい因子で18時間インキュベートし、BrdU取込アッセイにより分析した。
【0041】
(発明の詳細な説明)
この発明は、線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーのメンバーであるポリペプチドをコード化する新規FGF−CX核酸配列の発見に部分的に基づく。本明細書において開示される様に、表示「FGF−CX」は、核酸、ポリヌクレオチド、タンパク質、ポリペプチド、および変異体、誘導体およびそれらのいずれかのフラグメント、ならびにこれらのクラスの化合物のいずれかに免疫特異的に結合する抗体に関する。
【0042】
上述した様に、FGFファミリーのメンバーは、成長、生存、アポトーシス、運動性および分化のような多種多様な細胞機能を制御する(Szebenyi & Fallon (1999) Int. Rev. Cytol. 185, 45-106)。これらの分子は、細胞表面チロシンキナーゼFGF受容体(FGFR)との高親和性相互作用を経由して細胞内にシグナルを伝達する。4つのFGF受容体が今までに同定された(Xu, X., Weinstein, M., Li, C. & Deng, C. (1999) Cell Tissue Res. 296, 33-43; Klint, P. & Claesson-Welsh, L. (1999) Front. Biosci. 4, 165-177)。これらのFGF受容体は、組織培養での多くの細胞タイプで発現する。リガンド結合上のFGF受容体モノマー2量体化は、受容体のリン酸化を導くキナーゼドメインの活性化に必要であると報告されてきた。4つのFGF受容体の広範な発現パターンを示すFGF受容体1(FGFR−1)は、少なくとも7つのチロシンリン酸化部位を含有する。多くのシグナル伝達分子は、これらのリン酸化部位に異なる親和性で結合することにより作用する。
【0043】
FGFはまた、低親和性にも関わらず、たいていの細胞表面および細胞外基質(ECM)に存在するヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)に結合する。FGFとHSPGとの相互作用は、FGF/FGFR相互作用を安定させ、かつFGFを隔離してそれらを分解から守るために働く(Szebenyi, G. & Fallon, J. F. (1999))。成長促進能力に起因するため、FGFファミリーの1メンバーであるFGF−7は現在、化学療法により誘導された粘膜炎(mucositis)の処置のための臨床試験中である(Danilenko, D. M. (1999) Toxicol. Pathol. 27, 64-71)。
【0044】
正常成長および正常発生において関与することに加えて、既知のFGFはまた、癌を含む病態の発生に関係してきた(Basilico, C & Moscatelli, D. (1992) Adv. Cancer Res. 59, 115-165)。FGFは、腫瘍細胞の成長を直接的に増強することによる腫瘍の原因であり得る。例えば、同一細胞でのFGFとFGFRの共発現を介するオートクリン成長刺激は、細胞の形質転換を導く(Matsumoto-Yoshitomi, et al. (1997) Int. J. Cancer 71, 442-450)。同じく、変異または転位を経由するFGFRの常時活性化は、無調節の増殖を導く(Lorenzi, et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 93, 8956-8961; Li, et al. (1997) Oncogene 14, 1397-1406)。さらに、いくつかのFGFは血管原性である(Gerwins, et al. (2000) Crit. Rev. Oncol. Hematol. 34, 185-194)。かかるFGFは、腫瘍成長を維持するために必要とされる血液供給の発達を促進することにより腫瘍形成過程の原因となり得る。驚くことではないが、少なくとも1つのFGFが現在、癌療法の潜在的標的として研究中である(Gasparini (1999) Drugs 58, 17-38)。
【0045】
出生時マウスおよび成長マウスの脳でのFGFおよびそれらの受容体の発現は調べられてきた。FGF−4を除く全てのFGF遺伝子のメッセンジャーRNAは、これらの組織において検出される。FGF−3遺伝子、FGF−6遺伝子、FGF−7遺伝子およびFGF−8遺伝子は、出生後の期間よりも胚後期においてより高い発現を示す。このことは、これらのメンバーが脳発生の後期において関与することを示す。対照的に、FGF−1およびFGF−5の発現は、出生後増加した。特に、出生時マウスでのFGF−6発現が、胚の大脳発生のはあるが、5日目の新生児の小脳のはない強力なシグナルを有する中枢神経系および骨格筋に限られることが報告されてきた。FGF−6の同族受容体であるFGF受容体(FGFR)4は、類似の時空発現を示す。このことは、FGF−6およびFGF−4が神経系の成熟においてリガンド受容体システムとして重要な働きをすることを示す。Ozawa等によると、これらの結果は、様々なFGFおよびそれらの受容体が、神経の前駆細胞の増殖および遊走、神経細胞の分化およびグリア細胞の分化、神経突起伸長、およびシナプス形成のような脳の様々な発生過程の制御において関与することを強く示す。
【0046】
FGFポリペプチドファミリーの他のメンバーは、FGF受容体チロシンキナーゼ(FGFRTK)ファミリーおよびFGF受容体ヘパラン硫酸プロテオグリカン(FGFRHS)ファミリーを含む。これらのメンバーは、活性化および特異的FGFRシグナル伝達複合体を制御する。これらの制御活性化は、哺乳動物の幅広いレンジの器官および組織、および正常組織および腫瘍組織の両方において多様化される。制御された選択的メッセンジャーRNA(mRNA)スプライシングおよび変異体サブドメインの組合せは、FGFRTKモノマーの多様性を生じる。2価の陽イオンは、FGFRHSと協力し、キナーゼ活性の抑制を引き起こし、FGFによるFGFR複合体の適当な活性化を促進する、FGFRTKトランスリン酸化を高次構造的に制限する。例えば、FGFRTKにおける異なる点変異が、全FGFR複合体のFGF依存性活性での段階的な増加による頭蓋顔面異常および骨格異常の段階的な重傷を一般に引き起こすことは知られている。FGFファミリーが重大な作用を発揮する他の過程は、肝臓成長および肝臓機能、および前立腺腫瘍の進行である。
【0047】
別のFGFファミリーメンバーであるグリア細胞活性化因子(GAF)は、ヒト神経膠腫細胞株の培養上清から精製されたヘパラン結合成長因子である。Miyamoto et al. 1993, Mol Cell Biol 13(7): 4251-4259を参照されたい。GAFは、他の既知の成長因子のものとは若干異なる活性のスペクトルを示し、FGF−9と名付けられる。ヒトFGF−9cDNAは、208アミノ酸のポリペプチドをコード化する。FGFファミリーの他のメンバーに対する配列類似性は、約30%であると推定された。他のファミリーメンバーにおいて見られる2つのシステイン残基および他の共通配列も、FGF−9配列においてよく保存されていた。FGF−9は、酸性FGFおよび塩基性FGF中のものの様なN末端中の典型的シグナル配列を有さないと分かった。
【0048】
酸性FGFおよび塩基性FGFは、通常の方法で細胞から分泌されないことは知られている。しかしながら、FGF−9は、典型的シグナル配列を欠くにもかかわらずcDNAを形質移入されたCOS細胞から効率的に分泌されることが分かった。それは、細胞培地においてもっぱら検出されることができた。分泌タンパク質は、開始メチオニンを除くcDNA配列により予測されるものに関して、N末端でアミノ酸残基を失っていない。ラットFGF−9cDNAもクローン化され、構造分析はFGF−9遺伝子が非常に保存されていることを示した。
【0049】
データベース検索を用いて、染色体8p22〜21.3由来のヒト配列(GenBank AB20858)はアフリカツメガエルFGF20に相同すると同定された。Kirikoshi et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 274: 337-343, 2000, PMID 10913340を参照されたい。ヒト配列に対して設計されたPCRプライマーを用いて、大腸癌細胞株および胃癌細株由来の重複FGF20cDNAを増幅した。FGF20の3つの予測エキソンは、FGFコアドメインを含有する推定211アミノ酸タンパク質をコード化する。予測分子量は、23kDaである。FGF20は、FGFコアドメインにおいて強疎水性領域およびN末端にて弱疎水性領域を含有する。N末端シグナル配列または潜在的Nグリコシル化部位は、同定されていない。FGF20は、FGF9およびFGF16とそれぞれ71.6%および66.2%の全体的アミノ酸配列同一性を共有する。Kirikoshi et al. (2000)は、系統学的解析から、FGF20、FGF9、およびFGF16が哺乳類FGFファミリー間のサブファミリーを形成すると結論付けた。20の成人および胎児組織、および8つの癌細胞株のノーザンブロット分析を用いて、Kirikoshi et al. (2000)は、2.4〜kbのFGF20転写物を大腸癌細胞株SW480においてのみ検出した。RT−PCRは、SW480細胞においてFGF20の大量発現を確認し、ヒト胎児脳、胎児肝臓、胎児腎臓、および胃癌細胞株において低レベルの発現を示した。
【0050】
Kirikoshi et al. (2000)は、染色体8p22〜p21.3領域は、ヒト癌においてヘテロ接合性喪失頻繁部位であることに気付いた。
本発明は、新規ヒトFGFならびにその対応するcDNAを提供する。この遺伝子のタンパク質産物は、成長刺激性および発現性を示す。さらに、FGFmRNAの過剰発現が、ある特定の癌細胞株において見つかった。これらの知見は、新規FGFがヒトの悪性腫瘍の処置で優れた標的として働くことにより有用であり得ることを示す。
【0051】
本発明はまた、FGF−CXポリペプチド成熟型、FGF−CXポリペプチド成熟型の変異体、FGF−CXポリペプチド成熟型のフラグメントおよびFGF−CXポリペプチド変異体の成熟型のフラグメント、およびそれらポリペプチドおよびフラグメントをコード化する核酸を含む。本明細書において使用する様に、本発明において開示されたFGF−CXポリペプチドまたはFGF−CXタンパク質の「成熟」型は、天然に存在するポリペプチド、前駆体型、またはプロタンパク質の産物である。天然に存在するポリペプチド、前駆体またはプロタンパク質は、実施例に限定されないで、対応する遺伝子によりコード化された全長遺伝子産物を含む。いくつかの実施態様において、成熟型は、本明細書において記載されるオープンリーディングフレームによりコード化されるFGF−CXポリペプチド、前駆体、プロタンパク質を含む。産物「成熟」型は、例えば、遺伝子産物が生じる細胞、または宿主細胞内で起こり得る1またはそれ以上の天然に存在するプロセッシングステップの結果として生じることができる。
【0052】
ポリペプチドまたはタンパク質の「成熟」型を導く、かかるプロセッシングステップの実施例は、オープンリーディングフレームの開始コドンによりコード化されたN末端メチオニン残基の切断、またはシグナルペプチドまたはリーダー配列のタンパク質分解性の切断を含む。従って、残基1〜Nを有する(ここで、残基1はN末端メチオニンである)FGF−CX前駆体ポリペプチドまたはタンパク質から生じる成熟型は、N末端メチオニンの除去後残存するNを介する残基2を有するN末端メチオニンである。または、残基1〜N(ここで、残基1〜MのN末端シグナル配列は切断されている。)を有する前駆体ポリペプチドまたはタンパク質から生じる成熟型は、残存する残基Nに対する残基M+1由来の残基を有する。加えて、「成熟」タンパク質またはフラグメントは、開始メチオニンの除去またはシグナルペプチドの除去以外の切断現象から生じ得る。本明細書においてさらに用いられる様に、FGF−CXポリペプチドまたはタンパク質の「成熟」型は、タンパク質分解性切断現象以外の翻訳後修飾のステップから生じ得る。かかる別の過程は、実施例に限定されないで、グリコシル化、ミリストイル化またはリン酸化を含む。一般に、成熟ポリペプチドまたはタンパク質は、これら過程の1つのみの働き、またはそれらのいずれかの組合せから生じ得る。
【0053】
本明細書において使用する様に「同一」残基は、2配列アラインメントの等しいヌクレオチド塩基またはアミノ酸残基が同一残基である2つの配列間比較における、それらの残基に対応する。残基は代わりに、アラインメントの2配列間比較が、比較において等しい位置にある残基が以下で定義される同一アミノ酸または保存アミノ酸のいずれかであることを示すと、「類似」または「ポジティブ」として記載される。
【0054】
FGF−CX核酸、FGF−CXポリペプチドまたはそれらの一部をコード化する単離核酸、FGF−CXポリペプチド、これらの核酸を含有するベクター、FGF−CX核酸で形質転換された宿主細胞、抗FGF−CX抗体、および医薬組成物が、本発明において含まれる。FGF−CXを生成する方法、ならびにスクリーニング、診断、これらの化合物を用いる状態を処置する方法、およびFGF−CXポリペプチド活性を調節する化合物をスクリーニングする方法も、開示される。以下の表Aは、本発明を通じて用いられる配列記述子を表す。
【0055】
表A
【表1】
【0056】
本明細書において話題にするFGF−CX核酸およびポリペプチド、ならびにFGF−CX抗体、治療物質および医薬組成物は、とりわけ組織増殖関連疾患の処置において有用である。これらの組織増殖関連疾患は、上皮細胞、例えば、手術後の眼球前部での線維芽細胞およびケラチノサイトに作用する疾患を含み得る。他の組織増殖関連疾患は、例えば、腫瘍、再狭窄、乾癬、デュピュイトレン拘縮、糖尿病合併症、カポジ肉腫、および関節リウマチを含む。
【0057】
本発明において、線維芽細胞成長因子20X(FGF−CX)(表1;配列番号:1を参照)と名付けられた新規線維芽細胞成長因子をコード化するヌクレオチド配列(配列番号:1)が含まれる。このコード配列は、ヒトゲノムDNA配列において同定された。開示されたDNA配列は、211アミノ酸残基(配列番号:2)を有すると予測されるポリペプチドをコード化する633塩基を有する。表1および配列番号:2において示された配列に基づくFGF−CXの予測分子量は、23498.4Daである。
【0058】
表1
表1は、本発明の新規FGF−CXポリヌクレオチドおよびタンパク質のヌクレオチド配列(配列番号:1)および翻訳アミノ酸配列(配列番号:2)の表示である(CG53135−01または線維芽細胞成長因子AB020858としても言及される)。
【表2】
【0059】
FGF−CX核酸配列を、BLASTN検索でのクエリーヌクレオチド配列として用いて、関連核酸配列を同定した。FGF−CXヌクレオチド配列は、マウス線維芽細胞成長因子9(FGF−9)(543のうち392塩基同一、または72%同一;GenBank受託番号S82023)およびグリア細胞活性化因子(GAP)をコード化するヒトDNA(554のうち385塩基同一、または69%;GenBank受託番号E05822、FGF−9とも称される)に対して高類似性を有する。加えて、FGF−CXは、名称「Glia-Activating Factor And Its Production」の日本国特許番号:JP1993301893でNaruo等により開示されたGAF配列(配列番号:5)に対して同程度の同一性(424のうち311塩基同一、または73%同一)を有すると判明した(表2を参照)。
【0060】
表2
表2は、FGF−9様グリア細胞活性化因子(GAF)配列(配列番号:5)を有する配列番号:1の核酸配列のBLASTNアラインメントである。
【表3】
【0061】
ゲノム探索により同定されたオープンリーディングフレーム(ORF)が正しいことを示すために、PCR増幅を用いて、予測ゲノムクローンに対応するcDNAを得た。得られた産物のヌクレオチド配列は、予測遺伝子のものと正確に一致する(実施例1を参照)。
【0062】
表3は、ヒト染色体8の伸長ゲノムフラグメント(GenBank受託番号AB020858)である3つの非連続セグメント(それぞれ、表3A〜表3Cの配列番号:6〜8)を有する配列番号:1の核酸配列の相補鎖のBLASTNアラインメントである。
【0063】
表3A
【表4】
【0064】
表3B
【表5】
【0065】
表3C
【表6】
【0066】
cDNAによりコード化されるタンパク質は、アフリカツメガエルのFGF−20X(本明細書においてXFGF−CXまたはXFGF−20Xと名付ける)、ならびにヒトFGF−9およびヒトFGF−16(それぞれ、80%、70%および64%アミノ酸同一性である;表4および表5を参照)に非常に密接に関係する。XFGF−CXとの高相同性に基づき、本発明の開示において同定された遺伝子は、そのヒトのオルソログを表すと分かり、本明細書においてFGF−CXと名付けられる。
【0067】
加えて、FGFファミリーメンバー間で保存されるアミノ酸残基は、表4および表5として表されるアラインメントにより示される様に、変化に対する影響を多少受けると予測される。例えば、本発明のFGF−CXタンパク質は、FGFファミリーメンバー、すなわち、FGF−9およびXFGF−CXタンパク質、およびFGF−CX相同体中に典型的保存領域の少なくとも1つのドメインを含有し得る。従って、これらの保存ドメインは、変異の影響を受けにくいであろう。しかしながら、他のアミノ酸残基(例えば、保存されていないもの、またはFGFタンパク質のメンバーのうち半分のみ保存されたもの)は、活性に対して本質的でないかもしれなく、従って変異の影響をよりうけやすいであろう。黒、グレーおよび白は、それぞれアラインメントでの同一残基、保存残基および非保存残基を表す。
【0068】
表4
表4.本発明のFGF−CXタンパク質(配列番号:2)を有する4つの脊椎動物FGF様タンパク質(配列番号:9〜12)のCulstalWアラインメント
【表7】
【0069】
FGF−CXを、ヒトFGF−9、ヒトFGF−16およびアフリカツメガエルFGF−CX(それぞれ、受託番号D14838、AB009391およびAB012615)でアラインメントした。ClustalWを、表5に示す。
【0070】
表5.他の3つのFGFファミリーメンバーでのFGF−CXのClustalWアラインメント
【表8】
【0071】
ヒトFGF−9(配列番号:9)を有するFGF−CXポリペプチド配列(配列番号:2)の最初の208アミノ酸のBLASTPアラインメントを、表6に示す。グリア細胞活性化因子前駆体(GAF)(線維芽細胞成長因子9)についてのSWISSPROT受託番号P31371;Miyamoto et al. 1993 Mol. Cell. Biol. 13:4251-4259;およびNaruo et al. 1993 J. Biol. Chem. 268:2857-2864を参照されたい。ポジティブ残基は、整列させたときの比較配列の同一関連部位での同一アミノ酸残基(「|」)または保存アミノ酸残基(「+」)のいずれかである残基を含む。以下を参照されたい。
【0072】
表6は、同一残基(「|」)およびポジティブ残基(「+」)を示す、ヒトFGF−9(配列番号:9)でのFGF−CXポリペプチド配列(配列番号:2)のBLASTPアラインメントである。
【表9】
【0073】
マウスFGF−9(配列番号:10)およびラットFGF−9(配列番号:11)配列を有するFGF−CXポリペプチド(配列番号:1から翻訳された配列番号:2)の最初の208アミノ酸のBLASTXアラインメントを、それぞれ表7および表8に示す。マウスFGF−9について、グリア細胞活性化因子前駆体(GAF)(線維芽細胞成長因子9)のSWISSPROT受託番号P54130、Santos-Ocampo et al., 1996 J. Biol. Chem. 271:1726-1731;および、ラットFGF−9について、グリア細胞活性化因子前駆体(GAF)(線維芽細胞成長因子9)(FGF−9)のSWISSPROT受託番号P36364、Miyamoto, 1993 Mol. Cell. Biol. 13:4251-4259を参照。
【0074】
表7は、同一残基(「|」)およびポジティブ残基(「+」)を示す、マウスFGF−9(配列番号:10)でのFGF−CXポリペプチド配列(配列番号:2)のBLASTXアラインメントである。
【表10】
【0075】
表8は、同一残基(「|」)およびポジティブ残基(「+」)を示す、ラットFGF−9(配列番号:11)でのFGF−CXポリペプチド配列(配列番号:2)のBLASTXアラインメントである。
【表11】
【0076】
表6〜9において棒(「|」)により示された様に、全3種のFGF−9配列は、70%の全体的配列同一性について、FGF−CX(配列番号:2)と208のうち147残基同一を有する。加えて、208のうち170残基が、81%のポジティブ残基の全体的パーセンテージについて、FGF−CX(配列番号:2)の配列に対してポジティブである。
【0077】
全長FGF−CXポリペプチド(配列番号:2)をまた、アフリカツメガエルXFGF−CX(配列番号:12)でのBLASTXにり整列させた。表9に示す様に、アフリカツメガエルXFGF−CXと比較して、FGF−CXは、211のうち170(80%)同一残基、および211のうち189(89%)ポジティブ残基を有する。アフリカツメガエルXFGF−CXが、プローブとして哺乳動物FGF−9に基づくプライマーで実施した変性PCR産物を用いる尾芽ステージで調製されたcDNAライブラリーから最近得られた。Koga et al., 1999 Biochem Biophys Res Commun 261(3):756-765を参照されたい。XFGF−CXオープンリーディングフレームの推定208アミノ酸配列は、FGFファミリーのモティーフ特性を含有する。XFGF−CXは、XFGF−9に対して71.3%全体類似性を有するが、そのアミノ末端領域(33.3%類似)においてXFGF−9と異なる。このことは、ヒトを含む(上記参照)様々な哺乳動物FGF−9およびFGF−16配列に関して、本発明において開示される配列番号:2について見られ類似性に似ている。表4、5およいb7〜9を参照。
【0078】
表9は、同一残基(「|」)およびポジティブ残基(「+」)を示す、アフリカツメガエルFGF−9(配列番号:12)でのFGF−CXポリペプチド配列(配列番号:2)のBLASTXアラインメントである。
【表12】
【0079】
別のFGF−20変異体が実施例において記載の様にクローン化され、同定された。BLASTNおよびBLASTP解析を、2つの変異体、特にCG53135−02およびCG53135−06について実施した。高スコアが、本発明の線維芽細胞成長因子20様遺伝子の配列を用いる、日付06/12/01のGenBank合成物(HTGではない)のBLASTN検索により決定された様に、一致する。高スコアが、本発明の線維芽細胞成長因子20様タンパク質の配列を用いるBLASTP検索(日付06/12/01の非重複合成物に対する)により決定された様に、一致する。結果を、それぞれ、表10および11に示す。
【0080】
表10.FGF−20CG53135−02変異体のBLASTNおよびBLASTP結果
【表13】
【0081】
表11.FGF−20CG53135−06変異体のBLASTNおよびBLASTP結果
【表14】
【0082】
表1(配列番号:2)のポリペプチド配列を、小胞体の膜およびミクロボディー(ペルオキシソーム)の膜を介する局在化について高確率を有するようにプログラムPROSTにより予測する。CG53135−02およびCG53135−06変異体ポリペプチドを、小胞体(膜)に存在する確率0.8500を有するように、PSORTにより予測する。これに代わる実施態様において、CG53135−02およびCG53135−06変異体ポリペプチドは、確率0.7900で細胞膜、確率0.7478でミクロボディー(ペルオキシソーム)、または確率0.100でミトコンドリアの内膜に位置する。CG53135−02およびCG53135−06変異体ポリペプチドを、アミノ酸残基62〜78(60〜81)の間の膜貫通型ドメインである〜6.42の可能性を有するように、ソフトウエアプログラムINTEGRALにより予測される。FGF−CXポリペプチドは、タイプII(Ncty Cexo)膜タンパク質であると思われる。
【0083】
加えて、それは予測された既知の切断シグナル配列をN末端で有さないが、タンパク質の疎水性親水性指標プロットは、FGFG−CXが約90〜約115のアミノ酸位置(配列番号:13)で卓越した疎水性セグメントを有することを示す。この単一疎水性領域は、FGFファミリーの他のメンバーにおいて局在化シグナルとして知られている。それゆえに、配列番号:13のアミノ酸を含むポリペプチドは、小胞体、ゴルジ膜または細胞膜のような、様々な細胞の膜を介する分泌を可能とする局在化シグナルとして有用である。CG53135−02およびCG53135−06変異体タンパク質の疎水性親水性指標プロットは、2つの卓越した疎水性セグメントが約23〜約60のアミノ酸位置および約82〜末端のアミノ酸位置に属することを示す。様々な実施態様において、疎水性セグメントは、FGF−CX/FGF−20様タンパク質特異的抗体に対する抗原性および標的である。
【0084】
FGF−CXは、その最も近いヒトファミリーメンバー(例えば、FGF−9およびFGF−16)のいくつかについて丁度見られる様に、PSORT(Nakai, K & Kanehisa, M. (1992) Genomics 14, 897-911)およびSIGNALP(Nielsen, et al. (1997) Protein Eng. 10, 1-6)コンピューターアルゴリズムにより予測される様に古典的アミノ末端シグナル配列を失っている。にもかかわらず、FGF−9およびFGF−16の両方が、分泌される(Matsumoto-Yoshitomi, et al. (1997) Int. J. Cancer 71, 442-450; Miyake, et al. (1998) Biochem. Biophys. Res. Comm. 243, 148-152; Miyakawa, et al. (1999) J. Biol. Chem. 274, 29352-29357; Revest et al. (2000) J Biol. Chem. 275, 8083-8090)。FGF−CXも分泌されるか否かを決定するために、全長FGF−CXタンパク質をコード化するcDNAを、pFGF−CXと名付けられた哺乳類発現ベクターにサブクローン化した。ヒト胚腎臓293細胞がこのベクターで形質移入されると発現されるタンパク質は、培養上清において見つかり、〜27kDaのウエスタンブロットの見かけ上の分子量で(図1、実施例7)、C末端V5エピトープに対する抗体により検出されるバンドを表す。発現タンパク質の別の部分は、ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)との相互作用を阻害する物質での処理により293細胞の隔離から放出される。この方法により放出されたタンパク質はまた、同様のウェスタンブロットパターンを表す(図1)。同様に、タンパク質が対応するIgκシグナル配列を取り込む組換えプラスミド由来のHEK293細胞において発現すると、バンドは、約34kDaの見かけ上の分子量を有するウエスタンブロットにより検出される(図2、実施例5)。
【0085】
本発明のFGF−CXを含むいくつかの多種多様なFGF様タンパク質についてのClustalW多型タンパク質アラインメント(Thompson, et al. (1994) Nucleic Acids Res. 22, 4673-4680)は、図4および図5において見られる。3つの哺乳動物のタンパク質(配列番号:9〜11)は、それぞれ非常に似ているが、本発明のFGF−CXタンパク質(配列番号:2)とかなり異なる。また、アフリカツメガエルXFGF−CXおよび配列番号:2の配列は、FGF−9のそれより、それぞれ非常に似ている。FGF−9分泌において関係する内部疎水ドメイン(例えば、Miyakawa, et al. (1999) J. Biol. Chem. 274, 29352-29357を参照)は、FGF−9配列の残基95〜120を補う。FGF−CXの疎水性親水性指標プロットを測定するソフトウエアは、当分野においてよく知られており、例えば、Kyte Doolittle、および以下にさらに記載するたのアルゴリズムを含む。
【0086】
XFGF−20およびアフリカツメガエルFGF−9の発現は、それぞれ異なる。XFGF−CXmRNAは、2倍体細胞、胞胚ステージの胚および胞胚ステージ後の胚において、および大人の胃および精巣において特異的に発現する;XFGF−9 mRNAは、卵および多くの大人組織において母系性に発現する。上述のKoga et alを参照。原腸形成でのXFGF−CXの正しい発現は、Xenopus laevisnの正常頭構造の形成に必要えあることは明らかである。XFGF−CXmRNAが初期胚において発現したら、原腸形成が異常であり、前構造の発生が抑制されたものである。上述のKoga et alを参照。かかる胚において、精巣でのXbra転写発現は、原腸形成において抑制され、このことはXbra遺伝子の発現がXFGF−CXエフェクターを調節することを示す。上述のKoga et al.,を参照されたい。
【0087】
増殖組織(例えば、卵、精巣、胃、および母カエルの多型組織を含む)での関連XFGF−9ポリペプチドの発現パターンは、機能器官の生成を正常に行う組織の維持でのXFGF−20の役割を示す。
【0088】
FGF−CXmRNAは正常小脳、ならびに肺、胃および大腸の腺癌を含むいくつかのヒト腫瘍細胞株において発現するが、対応する正常組織において発現しないことを、実施例8において示す。正常肺、胃および大腸でのFGF−CX発現を欠くこと、およびこれらの組織由来の腫瘍細胞株でのその存在は、これらの癌細胞株が適当でない種類のFGF−CXを明らかに過剰発現することを示す。FGF−CXが位置する染色体領域は、結腸直腸、肺および胃腺癌において普通に変化する(Emi, et al. (1992) Cancer Res. 52, 5368-5372; Baffa, et al. (2000) Clin. Cancer Res. 6, 1372-1377)。これらの細胞中のFGF−CX促進オートクリン成長ループの構築が、それらの腫瘍化変換の開始および/または引き続く増殖の原因となることは可能である。このシナリオは、NIH3T3細胞でのFGF−CX促進オートクリンループの生成が腫瘍化潜在性を活性化するという発見により支持される(実施例11を参照)。腫瘍細胞によるFGF−CX分泌はストローマ細胞上のパラクリン作用を経由するインビボでの成長を刺激することも可能とする。
【0089】
NIH3T3細胞での異種性FGF−CXの発現は、それらの形質転換および腫瘍形成を誘導することが分かる(実施例11参照)。これらの作用は、天然のFGF−CX(構築物pFGF−CX)およびアミノ末端の異種性Igκシグナル配列(構築物pIgκ−FGF−CX)で発現させたFGF−CXの両方により仲介される。しかしながら、より高いインビトロでの形質転換能力(データは示されていない)およびインビボでの腫瘍形成(図8)により証明される様に、pIgκ−FGF−CXがpFGF−CXより、発癌遺伝子的により高く活性であることは気付かれなければならない。pFGF−CXに比べpIgκ−FGF−CXの優れた発癌能は、pIgκ−FGF−CXが、NIH3T3細胞においてpFGF−CXより有意に多い分泌FGF−CXタンパク質を産生する事実に起因するようである(図1B)。
【0090】
FGF−CXの様に、他のFGFは、異所性発現に従い、細胞を形質転換することがわかった。かつ、ある場合において、FGF−CXシグナル伝達の遮断が、細胞の形質転換を抑制することが分かった(Matsumoto-Yoshitomi, et al. (1997) Int. J. Cancer 71, 442-450; Li, et al. (1994) Mol. Cell. Biol. 14, 7660-7669を参照)。
【0091】
本明細書において記載するFGF−CXの発現、ならびに関連FGFタンパク質について見られるエフェクターとの類似性に基づき、FGF−CXがヒト悪性腫瘍において重要な働きをすると信じられている。これらの理由のため、本明細書において開示されるFGF−CXポリペプチド、核酸および抗体は、これらの組成物の存在または量を診断する方法、FGF−CX関連病態に関係する治療物質のスクリーニングおよび同定、および様々な種類の悪性腫瘍の処置方法において有用である。
【0092】
FGF−CX核酸
本発明の核酸は、FGF−CXタンパク質またはFGF−CX様タンパク質のコード化物を含む。これらの間で、核酸は、配列が表1および配列番号:1において提供される核酸、またはそれらのフラグメントである。FGF−CX核酸は、ゲノムFGF−CX核酸のヌクレオチド配列、またはcDNAのヌクレオチド配列を有することができる。加えて、本発明は配列番号:1の突然変異体または変異体核酸、またはそれらのフラグメントを含み、任意の塩基が、表1において示される対応する塩基から変更され得る一方で、そのFGF−CX様活性および生理機能を維持するタンパク質を依然としてコード化する。本発明は、フラグメント、誘導体、類似体およびそれらの相同体を含む、配列番号:1の核酸の相補的配列をさらに含む。FGF−CXの部分の相補鎖の実施例を、表3において示す。本発明は、加えて、構造が化学的修飾を含む核酸または核酸フラグメント、またはそれらの相補的配列を含む。
【0093】
本発明の1つの態様は、FGF−CXタンパク質またはそれらの生物学的に活性な部分をコード化する単離核酸分子に関する。FGF−CXコード化核酸(例えば、FGF−CXmRNA)を同定するためのハイブリダイゼーションプローブとして用いるのに十分な核酸フラグメント、および増幅のためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーとして用いられるフラグメントまたはFGF−CX核酸分子の変異体も含まれる。本明細書いおいて用いる用語「核酸分子」は、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、ヌクレオチド類似体を用いて生成されたDNAまたはRNAの類似体、および誘導体、フラグメントおよびそれらの相同体を含むことを意図する。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であり得るが、好ましくは二本鎖DNAである。
【0094】
「プローブ」は、可変長の核酸配列、好ましくは少なくとも約10ヌクレオチド(nt)、100nt、または例えば、使用に依存する約6,000ntと同数の核酸配列について言及する。プローブは、同一、類似、または相補的核酸配列の検出において使用される。天然供給源または組換え供給源から普通に得られるより長いプローブは、オリゴマーより非常に特異的にハイブリダイズし、ずっとゆっくりハイブリダイズする。プローブは、一本鎖または二本鎖であることができ、PCR、膜ベースのハイブリダイゼーションテクノロジー、またはELISA様テクノロジーにおいて特異性を有するようにデザインされ得る。
【0095】
「単離」核酸分子は、核酸の天然供給源に存在する他の核酸分子から分離されたものである。単離核酸分子の実施例は、制限されることなく、ベクターに含有される組換えDNA分子、異種性宿主細胞中で維持される組換えDNA分子、部分的または実質的に精製された核酸分子、および合成DNA分子またはRNA分子を含む。好ましくは、「単離」核酸は、核酸がもたらされる生物のゲノムDNA中の天然の隣接核酸(すなわち、核酸の5’末端および3’末端に位置する配列)である遊離配列である。例えば、様々な実施態様において、単離FGF−CX核酸分子は、核酸がもたらされる細胞のゲノムDNA中の天然の隣接核酸分子である約50kb、25kb、5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kbまたは0.1kb未満のヌクレオチド配列を含有できる。さらに、cDNA分子のような「単離」核酸分子は、組換え技術により産生された場合の他の細胞の物質または培養上清、または化学的に合成された場合の化学物質前駆体または他の化学物質の実質的な遊離物であり得る。
【0096】
本発明の核酸分子、例えば、配列番号:1のヌクレオチド配列を有する核酸分子、またはこのヌクレオチド配列のいずれかの相補的配列は、標準分子生物学的技術および本明細書において提供される配列情報を用いて単離され得る。ハイブリダイゼーションプローブとして配列番号:1の核酸配列の全てまたは一部を用いて、FGF−CX核酸配列は、標準ハイブリダイゼーションおよびクローニング技術を使用して単離され得る(例えば、Sambrook et al., eds., Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989;および Ausubel, et al., eds., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, NY, 1993に記載される)。
【0097】
本発明の核酸は、鋳型および適切なオリゴヌクレオチドプライマーとしてcDNA、mRNA、代わりにゲノムDNAを用いて、標準PCR増幅技術により増幅され得る。増幅された核酸は、適切なベクターにクローン化され、DNA配列解析により特徴付けられることができる。さらに、FGF−CXヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドは、標準合成技術、例えば、自動DNA合成機により準備されることができる。
【0098】
本明細書において用いる様に、用語「オリゴヌクレオチド」は、オリゴヌクレオチドがPCR反応に用いられるために十分な数のヌクレオチド塩基を有する連鎖ヌクレオチドのシリーズに言及する。短いオリゴヌクレオチド配列は、ゲノム配列またはcDNA配列に基づくか、またはそれからデザインされ、特定の細胞または組織中の同一、類似または相補的DNAまたはRNAの存在を増幅、確認、または明らかにするために用いられる。オリゴヌクレオチドは、長さ約10nt、50nt、または100nt、好ましくは長さ約15ntから30ntを有する核酸配列の一部を含む。1つの実施態様において、長さ100nt未満の核酸分子を含むオリゴヌクレオチドは、配列番号:1の少なくとも6連続ヌクレオチド、またはそれらの相補的配列をさらに含む。
【0099】
別の実施態様において、本発明の単離核酸分子は、配列番号:1において示されるヌクレオチド配列の相補的配列である核酸分子を含む。別の実施態様において、本発明の単離核酸分子は、配列番号:1において示されるヌクレオチド配列の相補的配列である核酸分子、またはこのヌクレオチド配列の一部を含む。配列番号:1において示されるヌクレオチド配列に相補的な核酸分子は、配列番号:1に示されるヌクレオチド配列にほとんどミスマッチなしでまたは全くミスマッチなしで水素結合し、それにより安定二本鎖を形成する配列番号:1において示されるヌクレオチド配列に十分に相補的なものである。
【0100】
本明細書において使用する、用語「相補的」は、核酸分子のヌクレオチド単位間のWatson-Crick型塩基対またはHoogsteen型塩基対に言及し、用語「結合」は、2つのポリペプチドまたは化合物または関連ポリペプチドまたは化合物、またはそれらの組合せの物理的相互作用または化学的相互作用を意味する。結合は、イオン結合、非イオン結合、ファンデルワールス結合、疎水性相互作用等を含む。物理的相互作用は、直接的または非直接的のいずれかであり得る。非直接的相互作用は、別のポリペプチドまたは化合物の作用を介したものであるか、またはそれに起因したものである。直接的結合は、別のポリペプチドまたは化合物の作用を介しては生じないか、またはそれに起因しない相互作用に言及するが、それよりむしろ他の実質的な化学中間体なしである。
【0101】
さらに、本発明の核酸分子は、配列番号:1の核酸配列の一部のみ、例えば、プローブまたはプライマーとして用いられ得るフラグメント、またはFGF−CXの生物学的に活性な部分をコード化するフラグメントを含み得る。本明細書において提供されるフラグメントは、核酸の少なくとも6(隣接)核酸または少なくとも4(隣接)アミノ酸の配列として、それぞれ核酸の場合の特異的ハイブリダイゼーション、またはアミノ酸の場合のエピトープの特異的認識を可能とするのに十分な長さを定義し、多くても全長配列より短い部分である。フラグメントは、核酸またはアミノ酸配列の任意の隣接部分の選択に由来する。誘導体は、直接的、修飾、部分的な置換のいずれかにより天然の化合物から形成された核酸配列またはアミノ酸配列である。類似体は、天然の化合物に類似だが同一でない構造を有するが、ある成分または側鎖に関してそれと異なる核酸配列またはアミノ酸配列である。類似体は、合成であるか、または異なる進化起源由来であり得るし、かつ野生型と比較し類似または逆の代謝活性を有し得る。
【0102】
誘導体および類似体は、誘導体または類似体が以下に記載する様に修飾核酸またはアミノ酸を含有する場合、全長または全長以外であり得る。本発明の核酸またはタンパク質の誘導体または類似体は、限定されることなく、様々な実施態様において、同一サイズの核酸またはアミノ酸の少なくとも約70%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%と同一性(好ましくは80〜99%の同一性を有する)により、またはアラインメントが当分野において既知のコンピューター相同プログラムによりなされる整列配列に比較した場合、本発明の核酸またはタンパク質に実質的に相同な領域を含む分子、または厳密、中厳密、または低厳密条件下で上述のタンパク質をコード化する配列の相補的配列にハイブリダイズする能力があるそのコード化核酸を含む。例えば、Ausubel, et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, NY, 1993、および以下を参照されたい。例示的プログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package, Version 8 for UNIX, Genetics Computer Group, University Research Park, Madison, WI)は、Smith−Watermanのアルゴリズム(Adv. Appl. Math., 1981, 2: 482-489、ここで全体を参考文献により本明細書に取り込まれる)を使用するデフォルト設定を用いるGapプログラムである。
【0103】
「相同核酸配列」または「相同アミノ酸配列」、またはそれらの誘導体は、上述した様にヌクレオチドレベルまたはアミノ酸レベルでの相同性により特徴付けられる配列に言及する。相同ヌクレオチド配列は、FGF−CXポリペプチドのアイソフォームをコードするこれらの配列をコード化する。アイソフォームは、例えば、RNAの選択的スプライシングの結果として同一生物の異なる組織において発現し得る。または、アイソフォームは、異なる遺伝子によりコード化され得る。本発明において、相同ヌクレオチド配列は、限定されることなく、哺乳動物、従って例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、および他の生物を含む得るヒト以外の種のFGF−CXポリペプチドをコード化するヌクレオチド配列を含む。相同ヌクレオチド配列はまた、制限されることなく、本明細書において設定されるヌクレオチド配列の天然に存在する対立遺伝子バリエーションおよび変異を含む。しかしながら、相同ヌクレオチド配列は、ヒトFGF−CXタンパク質をコード化するヌクレオチド配列を含まない。相同核酸配列は、配列番号:2の保存的アミノ酸置換(以下を参照)、ならびにFGF−CX活性を有するポリペプチドをコード化するそれらの核酸配列を含む。FGF−CXタンパク質の生物学的活性は、以下に記載される。相同アミノ酸配列は、ヒトFGF−CXポリペプチドのアミノ酸配列をコード化しない。
【0104】
ヒトFGF−CX遺伝子のクローニングから決定されるヌクレオチド配列は、他の細胞タイプ、例えば、他の組織由来のFGF−CX相同体、ならびに他の哺乳動物由来のFGF−CX相同体の同定および/またはクローニングにおいて使用するためにデザインされるプローブおよびプライマーの生成を可能とする。プローブ/プライマーは、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを典型的に含む。オリゴヌクレオチドは、配列番号:1の少なくとも約12、25、50、100、150、200、250、300、350または400またはそれ以上の連続センス鎖ヌクレオチド配列;または配列番号:1のアンチセンス鎖ヌクレオチド配列;または配列番号:1の天然に存在する突然変異体に厳密な条件下でハイブリダイズするヌクレオチドの領域を典型的に含む。
【0105】
ヒトFGF−CXヌクレオチド配列に基づくプローブを用いて、転写物、または同一タンパク質または相同タンパク質をコード化するゲノム配列を検出できる。様々な実施態様において、プローブは、それらに結合する標識群、例えば、放射性同位元素、蛍光化合物、酵素、または酵素補助因子であり得るラベル群をさらに含む。かかるプローブを、対象由来の細胞試料中のFGF−CXコード化核酸のレベルを測定すること、例えば、FGF−CXmRNAレベルを測定すること、またはゲノムFGF−CX遺伝子を突然変異したか、または欠損するか否かを決定することにより、FGF−CXタンパク質を異所性発現する細胞または組織の同定のための診断試験キットの一部として用いることができる。
【0106】
「FGF−CXの生物学的に活性な部分を有するポリペプチド」は、用量依存性であるまたは依存性でない特定の生物学的アッセイにおいて測定される様に、成熟型を含む本発明のポリペプチドの活性に類似だが同一である必要のない活性を表すポリペプチドに言及する。「FGF−CXの生物学的に活性な部分」をコード化する核酸フラグメントを、FGF−CXの生物学的活性(FGF−CXタンパク質の生物学的な活性は、以下に記載する)を有する、FGF−CXタンパク質のコード化部分を発現する(例えば、インビトロでの組換え発現により)、およびFGF−CXのコード化部分の活性を評価するポリペプチドをコード化する配列番号:1の一部を単離することにより調製されることができる。例えば、FGF−CXの生物学的に活性な部分をコード化する核酸フラグメントは、ATP結合ドメインを任意で含むことができる。別の実施態様において、FGF−CXの生物学的に活性な部分をコード化する核酸フラグメントは、1またはそれ以上の領域を含む。
【0107】
FGF−CX変異体
本発明は、遺伝子コードの縮重に起因する図1において示されるヌクレオチド配列と異なる核酸分子をさらに包含する。従って、これらの核酸は、配列番号:1において示されるヌクレオチド配列によりコード化されるものの様に同一FGF−CXタンパク質をコード化する。別の実施態様において、本発明の単離核酸分子は、配列番号:2において示されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコード化するヌクレオチド配列を有する。
【0108】
配列番号:1において示されるヒトFGF−CXヌクレオチド配列に加えて、FGF−CXのアミノ酸配列の変化を導くDNA配列多型は、集団内(例えば、ヒト集団)に存在し得ることは、当業者により認識されるであろう。FGF−CX遺伝子のかかる遺伝子多型は、天然の対立遺伝子のバリエーションに起因して集団内の個体間で存在し得る。本明細書において使用する、用語「遺伝子」および「組換え遺伝子」は、FGF−CXタンパク質、好ましくは哺乳動物FGF−CXタンパク質をコード化するオープンリーディングフレームを含む核酸分子に言及する。かかる天然の対立遺伝子のバリエーションは、典型的に、FGF−CX遺伝子のヌクレオチド配列の1〜5%バリエーションとなり得る。かかるヌクレオチドバリエーションのいずれかおよび全ては、天然の対立遺伝子バリエーションの結果物であり、かつFGF−CXの機能活性を変化させないFGF−CX中の結果として生じるアミノ酸多型性は、本発明の範囲内にあることを意図される。
【0109】
さらに、他の種由来のFGF−CXたんぱく質をコード化する核酸分子、およびゆえに配列番号:1のヒト配列と異なるヌクレオチド配列を有する核酸は、本発明の範囲内であることを意図される。天然の対立遺伝子変異体に対応する核酸分子および本発明のFGF−CXcDNAの相同体は、本明細書において開示されるヒトFGF−CX核酸に対する相同性に基づき、厳密なハイブリダイゼーション条件下の標準ハイブリダイゼーション技術によるハイブリダイゼーションプローブとして、ヒトcDNA、またはそれらの一部を用いて単離され得る。例えば、可溶性ヒトFGF−CXcDNAは、ヒト膜結合FGF−CXに対する相同性に基づき単離され得る。同じく、膜結合ヒトFGF−CXcDNAは、可溶性ヒトFGF−CXに対する相同性に基づき単離され得る。
【0110】
または、別の実施態様において、本発明の単離核酸分子は、少なくとも長さ6ヌクレオチドであり、配列番号:1のヌクレオチド配列を含む核酸分子に厳密な条件下でハイブリダイズする。別の実施態様において、核酸は、少なくとも長さ10、25、50、100、250、500または750ヌクレオチドである。別の実施態様において、本発明の単離核酸分子は、コード領域にハイブリダイズする。本明細書において用いられる様に、用語「厳密な条件下でハイブリダイズする」は、互いに少なくとも60%相同なヌクレオチド配列が、典型的に互いにハイブリダイズしたままであるハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を記載することを意図される。
【0111】
相同体(すなわち、ヒト以外の種由来のFGF−CXタンパク質をコード化する核酸)または他の関連配列(例えば、パラログ)は、核酸ハイブリダイゼーションおよびクローニングの当分野においてよく知られた方法を用いるプローブとして、特定のヒト配列の全部または一部との低厳密、中程度厳密、または高厳密なハイブリダイゼーションにより得られることができる。
【0112】
本明細書において用いられる様に、語句「厳密なハイブリダイゼーション条件」は、プローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチドがその標的配列にハイブリダイズするが、他の配列にはハイブリダイズしない条件に言及する。厳密な条件は、配列依存性であり、違った状況で異なるものである。長い配列は、短い配列より高い温度で特異的にハイブリダイズする。一般的に、厳密な条件は、定義されたイオン強度およびpHで特異的な配列の温熱性融解温度(Tm)より約5度低くなるように選択される。Tmは、標的配列に相補的なプローブの50%が、平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度である(定義されたイオン強度、pHおよび核酸濃度の下)。標的配列は、一般に過剰に存在するので、Tmにおいて、プローブの50%が平衡状態で占められる。典型的に、厳密な条件は、塩濃度が約1.0Mのナトリウムイオン未満であり、典型的にはpH7.0〜8.3で約0.01〜1.0Mのナトリウムイオン(または他の塩)、および温度は短いプローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチド(例えば、10nt〜50nt)のために少なくとも約30℃であり、より長いプローブ、プライマーおよびオリゴヌクレオチドのために少なくとも約60℃である。厳密な条件は、ホルムアミドの様な不安定試薬の添加でも成し遂げられ得る。
【0113】
上述したような厳密な条件は、当業者にとって既知であり、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.16.3.6において見られる。好ましくは、条件は、互いに少なくとも約65%、70%、85%、90%、95%、98%または99%相同である配列が、典型的に互いに結合したままである様な条件である。厳密な条件の非制限の実施例は、65℃で6×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM EDTA、0.02%PVP、0.02%Ficoll、0.02%BSA、および500mg/ml変性サケ精子DNAを含む高塩バッファー中でのハイブリダイゼーションである。このハイブリダイゼーションは、50℃で0.2×SSC、0.01%BSA中での1回またはそれ以上の洗浄が続く。配列番号:1の配列に厳密な条件下でハイブリダイズする本発明の単離核酸分子は、天然に存在する核酸分子に対応する。本明細書において用いられる様に、「天然に存在する」核酸分子は、天然において生じるヌクレオチド配列(例えば、天然のタンパク質をコード化する)を有するRNA分子またはDNA分子に言及する。
【0114】
相同体(すなわち、ヒト以外の種由来のFGF−CXタンパク質をコード化する核酸)または他の関連配列(例えば、パラログ)は、核酸ハイブリダイゼーションおよびクローニングの当分野においてよく知られた方法を用いるプローブとして、特定のヒト配列の全部または一部との低厳密、中程度厳密、高厳密なハイブリダイゼーションにより得られる。
【0115】
第2の実施態様において、配列番号:1のヌクレオチド配列を含む核酸分子、またはフラグメント、それらの類似体または誘導体に中程度厳密な条件下でハイブリダイズすることが可能である核酸配列が提供される。中程度厳密なハイブリダイゼーション条件の非制限の実施例は、55℃で6×SSC、5×デンハート液、0.5%SDSおよび100mg/mlの変性サケ精子DNA中でのハイブリダイゼーションであり、37℃で1×SSC、0.1%SDS中での1回またはそれ以上の洗浄が続く。用いられ得る中程度厳密な他の条件は、当分野においてよく知られている。例えば、Ausubel et al. (eds.), 1993, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY, and Kriegler, 1990, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NYを参照されたい。
【0116】
第3の実施態様において、配列番号:1のヌクレオチド配列を含む核酸分子、またはフラグメント、それらの類似体または誘導体に低厳密な条件下でハイブリダイゼーションする核酸が提供される。低厳密なハイブリダイゼーション条件の非制限の実施例は、40℃で35%ホルムアミド、5×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.02%PVP、0.02%Ficoll、0.2%BSA、100mg/ml変性サケ精子DNA、10%(wt/vol)デキストラン硫酸中でのハイブリダイゼーション、50℃で2×SSC、25mM Tris−HCl(pH7.4)、5mM EDTA、および0.1%SDS中での1回またはそれ以上の洗浄が続く。用いられ得る低厳密な他の条件は、当分野においてよく知られている(例えば、異種間ハイブリダイゼーションに用いられる様に)。例えば、Ausubel et al. (eds.), 1993, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY、およびKriegler, 1990, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NY; Shilo and Weinberg, 1981, Proc Natl Acad Sci USA 78: 67896792を参照されたい。
【0117】
保存的変異体
集団中に存在し得るFGF−CX配列の天然に生じる対立遺伝子変異体に加えて、当業者は、変更が配列番号:1のヌクレオチド内への変異により誘導され得ること、それによりFGF−CXタンパク質の機能的能力を変えることなくコード化FGF−CXタンパク質のアミノ酸配列の変更を導き得ることをさらに理解する。例えば、「非必須」アミノ酸残基でのアミノ酸置換を導くヌクレオチド置換は、配列番号:1の配列において起こり得る。「非必須」アミノ酸残基は、「必須」アミノ酸残基は、生物学的活性を必要とするのに、生物学的活性を変えることなくFGF−CXの野生型配列から変更され得る残基である。例えば、本発明のFGF−CXタンパク質間で保存されるアミノ酸残基は、変更に特に従わないものであると予測される。
【0118】
本発明の別の態様は、活性に必須でないアミノ酸残基での変化を含有するFGF−CXタンパク質をコード化する核酸分子に関する。かかるFGF−CXタンパク質は、配列番号:2由来のアミノ酸配列において異なり、生物学的活性は依然保持している。1つの実施態様において、単離核酸分子は、タンパク質をコード化するヌクレオチド配列を含み、該タンパク質は、配列番号:2のアミノ酸配列に対して少なくとも約75%相同であるアミノ酸配列を含む。好ましくは、核酸によりコード化されるタンパク質は、配列番号:2に少なくとも約80%相同であり、さらに好ましくは、配列番号:2に少なくとも約90%、95%、98%、および最も好ましくは少なくとも約99%相同である。
【0119】
配列番号:2のタンパク質に対するFGF−CXタンパク質相同体をコード化する単離核酸分子は、1またはそれ以上のアミノ酸置換、付加または欠損がコード化タンパク質に誘導される様な1またはそれ以上のヌクレオチド置換、配列番号:1のヌクレオチド配列への付加または欠損を導入することにより生成され得る。
【0120】
変異は、部位指向変異誘発およびPCR仲介変異誘発のような標準技術により配列番号:1に導入され得る。好ましくは、保存的アミノ酸置換は、1またはそれ以上の予測非必須アミノ酸残基でもたらされる。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で取って代わられるものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当分野において定義されてきた。あるアミノ酸は、1より多い分類特性を伴う側鎖を有する。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷の極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、トリプトファン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、チロシン、トリプトファン)、β分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。従って、成長因子中の予測非必須アミノ酸残基は、同一の側鎖ファミリーから別のアミノ酸残基で取って代わる。または、別の実施態様において、変異は、飽和変異誘発によるような成長因子コード化配列の全部または一部に沿って、ランダムに導入され、結果として生じる変異は、成長因子の生物学的活性をスクリーニングして、活性を保持する変異を同定することができる。配列番号:1および3の変異誘発に続くコード化タンパク質を、当分野において既知の任意の組換え技術により発現させることができ、かつタンパク質の活性は決定され得る。
【0121】
別の重要な実施態様において、変異FGF−CXタンパク質は、(1)タンパク質を形成する能力:タンパク質が他のFGF−CXタンパク質、他の細胞表面タンパク質、またはそれらの生物学的に活性な部分と相互作用する、(2)変異FGF−CXタンパク質とFGF−CX受容体との複合体形成;(3)変異FGF−CXタンパク質が細胞内標的タンパク質またはそれらの生物学的に活性な部分に結合する能力;(例えば、アビジンタンパク質);または(4)抗FGF−CXタンパク質抗体に特異的に結合する能力についてアッセイされ得る。
【0122】
アンチセンス
本発明の別の態様は、配列番号:1のヌクレオチドを含む核酸分子、またはフラグメント、それらの類似体または誘導体にハイブリダイズ可能であるか、または相補的配列である単離アンチセンス核酸分子に関する。「アンチセンス」核酸は、タンパク質をコード化する「センス」核酸に相補的配列、例えば、二本鎖cDNAのコード鎖に相補的配列、またはmRNAに相補的な配列であるヌクレオチド配列を含む。特定の態様において、アンチセンス核酸分子は、少なくとも約10、25、50、100、250または500ヌクレオチドまたは全FGF−CXコード鎖、またはそれら部分のみに対する相補的配列を含むものを提供する。配列番号:2のFGF−CXタンパク質のフラグメント、相同体、誘導体および類似体をコード化する核酸分子、または配列番号:1のFGF−CX核酸配列に相補的なアンチセンス核酸は、さらに提供される。
【0123】
1つの実施態様において、アンチセンス核酸分子は、FGF−CXをコード化するヌクレオチド配列のコード鎖の「コード領域」に対するアンチセンスである。用語「コード領域」は、アミノ酸残基に翻訳されるコドンを含むヌクレオチド配列の領域(例えば、配列番号:2に対応するヒトFGF−CXのタンパク質コード領域)に言及する。別の実施態様において、アンチセンス核酸分子は、FGF−CXをコード化するヌクレオチド配列のコード鎖の「非コード領域」に対するアンチセンスである。用語「非コード領域」は、アミノ酸に翻訳されないコード領域に隣接する5’および3’配列(すなわち、5’および3’非翻訳領域にも言及する)に言及する。
【0124】
本明細書において開示されるFGF−CX(例えば、配列番号:1)をコード化するコード鎖配列を与えられ、本発明のアンチセンス核酸は、Watson and Crick型塩基対またはHoogsteen型塩基対のルールによりデザインされ得る。アンチセンス核酸分子は、FGF−CXmRNAの全コード領域に相補的であり得るが、さらに好ましくは、FGF−CXmRNAのコード領域または非コード領域の一部のみに対するアンチセンスであるオリゴヌクレオチドである。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、FGF−CXmRNAの翻訳開始部位を囲む領域に対して相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、長さ約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50ヌクレオチドであり得る。本発明のアンチセンス核酸は、当分野において既知の方法を用いる化学合成または酵素ライゲーションを使用して構築され得る。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に生じるオリゴヌクレオチドまたは分子の生物学的安定性を増大するためにデザインされたまたはアンチセンスとセンス核酸間で形成される二本鎖の物理的安定性を増大するために様々に修飾されたヌクレオチドを用いて化学的に合成され得る。例えば、ホスホロチオネート誘導体およびヌクレオチドを置換されたアクリジンが用いられ得る。
【0125】
アンチセンス核酸を生成するために用いられ得る修飾ヌクレオチドの実施例は以下を含む:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシ水酸化メチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルエクノシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルエクオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキヨシン、プソイドウラシル、クエオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリン。または、アンチセンス核酸は、核酸がアンチセンスの向きでサブクローンされた発現ベクターを用いて生物学的に生成され得る(すなわち、挿入核酸から転写されたRNAは、該標的核酸に対するアンチセンス向きのものであり、以下の節においてさらに記載される)。
【0126】
本発明のアンチセンス核酸は、細胞のmRNAおよび/またはFGF−CXをコード化するゲノムDNAとハイブリダイズするか、または結合し、それによりタンパク質の発現を阻害、例えば転写および/または翻訳を阻害することにより対象に典型的に投与されるか、または組織内で生成される。ハイブリダイゼーションは、安定二本鎖を形成するための通常のヌクレオチド相補的配列によるものであり、または、例えば、DNA二本鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合において、二本鎖ヘリックスの大溝での特異的相互作用を介するものであり得る。本発明のアンチセンス核酸の投与経路の実施例は、組織部位での直接注入を含む。または、アンチセンス核酸分子は、選択された細胞を標的とするために修飾され、次に全身性に投与され得る。例えば、全身性投与のため、アンチセンス分子は、選択された細胞表面上で発現する受容体または抗原に特異的に結合するように、例えば、細胞表面の受容体または抗原に結合するペプチドまたは抗体に対するアンチセンス核酸分子に結合することにより修飾され得る。アンチセンス核酸分子はまた、本明細書に記載するベクターを用いる細胞に送達され得る。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を達成するために、アンチセンス核酸分子が、強力なpol IIまたはpol IIIプロモーターの制御下に置かれるベクター構築物が好ましい。
【0127】
さらに別の実施態様において、本発明のアンチセンス核酸は、α−アノマー核酸分子である。α−アノマー核酸分子は、普通のβ−ユニットと反対で、鎖が互いに平行に走る相補的RNAとハイブリダイズする特異的な二本鎖を形成する(Gaultier et al. (1987) Nucleic Acids Res 15: 66256641)。アンチセンス核酸分子はまた、2’−o−メチルリボヌクレオチド (Inoue et al. (1987) Nucleic Acids Res 15: 61316148)またはキメラRNA−DNA類似体(Inoue et al. (1987) FEBS Lett 215: 327330)を含み得る。
【0128】
リボザイムおよびPNA部分
かかる修飾は、実施例に限定されることなく、修飾塩基、および糖リン酸主鎖が修飾されるかまたは誘導される核酸を含む。これらの修飾は、例えば、対象での治療応用において核酸に結合するアンチセンスとして用いられ得るように、修飾された核酸の化学的安定性を増大するために少なくとも一部実行される。
【0129】
さらに別の実施態様において、本発明のアンチセンス核酸は、リボザイムである。リボザイムは、相補的領域を有するmRNAの様な一本鎖核酸を切断する能力のあるリボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNA分子である。従って、リボザイムは(例えば、ハンマーヘッドリボザイム(Haselhoff and Gerlach (1988) Nature 334:585591において記載される)を用いて、FGF−CXmRNA転写物を触媒的に切断し、それによりFGF−CXmRNAの翻訳を阻害することができる。FGF−CXコード化核酸に対する特異性を有するリボザイムは、本明細書において開示されるFGF−CXDNA(すなわち、配列番号:1)のヌクレオチド配列に基づいてデザインされ得る。例えば、テトラヒメナL−19IVS RNAの誘導体は、活性化部位のヌクレオチド配列が、FGF−CXコード化mRNAにおいて切断されるべきヌクレオチド配列に相補的配列であものに構築され得る。例えば、Cech等の米国特許番号4,987,071;およびCech等の米国特許番号5,116,742を参照されたい。または、FGF−CXmRNAを用いて、RNA分子のプールから特異的なリボヌクレアーゼを有する触媒性RNAを選択することができる。Bartel et al., (1993) Science 261:14111418を参照されたい。
【0130】
代わりに、FGF−CX遺伝子発現は、FGF−CXの制御領域(例えば、FGF−CXプロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なヌクレオチド配列を標的とすることにより阻害されて、標的細胞中のFGF−CX遺伝子の転写を妨げる3重ヘリックス構造を形成し得る。Helene. (1991) Anticancer Drug Des. 6: 56984; Helene. et al. (1992) Ann. N.Y. Acad. Sci. 660:2736;およびMaher (1992) Bioassays 14: 80715を一般に参照。
【0131】
様々な実施態様において、FGF−CXの核酸は、塩基部分、糖部分またはリン酸主鎖で修飾され、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーション、または可溶性を改善され得る。例えば、核酸のデオキシリボースリン酸主鎖は、修飾されて、ペプチド核酸を生成し得る(Hyrup et al. (1996) Bioorg Med Chem 4: 523を参照)。本明細書において用いられる様に、用語「ペプチド核酸」または「PNA」は、デオキシリボースリン酸主鎖が擬ペプチド主鎖により取って代わられ、4つの元々の核酸塩基のみ保持する核酸ミメティクス、例えば、DNAミメティクスに言及する。PNAの天然の主鎖は、低イオン強度の条件下でDNAおよびRNAへの特異的なハイブリダイゼーションを可能とすると見られてきた。PNAオリゴマーの合成は、Hyrup et al. (1996) above; PerryO'Keefe et al. (1996) PNAS 93: 14670675に記載される様に、標準固相ペプチド合成プロトコールを用いて実行され得る。
【0132】
FGF−CXのPNAは、治療応用および診断応用において用いられ得る。例えば、PNAは、遺伝子発現の配列特異的調節のためアンチセンスまたは抗原物質として、転写または翻訳の抑止を誘導、または複製を阻害することにより、用いられ得る。FGF−CXのPNAは、例えば、遺伝子の単一塩基対変異の解析において、例えば、PNA指向性PCRclamping法より;他の酵素との組合せにおいて用いられる場合の人工制限酵素、例えば、SIヌクレアーゼ(上述のHyrup B. (1996))として;またはDNA配列決定およびハイブリダイゼーションのプローブまたはプライマー(上述のHyrup et al. (1996);上述のPerry−O'Keefe (1996))としても用いられ得る。
【0133】
別の実施態様において、FGF−CXのPNAは、親油性またはPNAに対する他のヘルパー群と関連することにより、PNA−DNAキメラの形成により、または当分野において既知の薬輸送のリボソームまたは他の技術の使用により例えば、安定性または細胞の取り込みを増強するために修飾され得る。例えば、FGF−CXのPNA−DNAキメラは、PNAおよびDNAの有利な特性を組合せ得るものを生成され得る。かかるキメラは、DNA認識酵素、例えば、RNase HおよびDNAポリメラーゼがDNA部分と相互作用することを可能とする一方で、PNA部分は高結合親和性および特異性を提供する。PNA−DNAキメラは、塩基スタッキング、核酸塩基間の多くの結合、および向きの点で選択される適当な長さのリンカーを用いて結びつき得る(上述のHyrup (1996))。PNA−DNAキメラの合成は、上述のHyrup (1996)およびFinn et al. (1996) Nucl Acids Res 24: 335763に記載される様に実行されることができる。例えば、DNA鎖は、標準ホスホラミダイトカップリング化学反応、およびモディファイされたヌクレオシド類似体、例えば、PNAとDNAの5’末端との間で用いられ得る5’−(4−メトキシトリチル)アミノ−5’−デオキシ−チミジンホスホラミダイトを用いて固体支持上で合成され得る(Mag et al. (1989) Nucl Acid Res 17: 597388)。PNAモノマーは次に、段階的な方法でカップリングされ、5’PNAセグメントおよび3’DNAセグメントを有するキメラ分子を産生する(上述のFinn et al. (1996))または、キメラ分子は、5’DNAセグメントおよび3’PNAセグメントと共に合成され得る。Petersen et al. (1975) Bioorg Med Chem Lett 5: 111911124を参照されたい。
【0134】
他の実施態様において、オリゴヌクレオチドは、ペプチドの様な他の添加群(例えば、インビボにおいて宿主細胞受容体を標的とする)、または細胞膜を介する輸送を促進する物質(例えば、Letsinger et al., 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86:65536556; Lemaitre et al., 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. 84:648652; PCT公開番号W088/09810を参照)、または血管脳関門(例えば、PCT公開番号W089/10134を参照)を含み得る。加えて、オリゴヌクレオチドは、切断を引き起こすハイブリダイゼーション試薬(例えば、Krol et al., 1988, BioTechniques 6:958976を参照)または介在試薬(例えば、Zon, 1988, Pharm. Res. 5:539549を参照)でモディファイされ得る。最後に、オリゴヌクレオチドは、別の分子、例えば、ペプチド、クロスリンクを引き起こすハイブリダイゼーション試薬、輸送物質、切断を引き起こすハイブリダイゼーション試薬等と共役し得る。
【0135】
FGF−CXポリペプチド
本発明の新規タンパク質は、表1(配列番号:2)において提供される配列のFGF−CX様タンパク質を含む。本発明はまた、表1において示される対応する残基から任意の残基が変更され得る一方、FGF−CX様活性化および生理学的機能を維持するタンパク質、またはそれらの機能的なフラグメントを依然コード化する突然変異体または変異体タンパク質を含む。突然変異体または変異体タンパク質において、残基の20%以下またはそれより多くが、そのように変更され得る。
【0136】
一般に、FGF−CX様機能を維持するFGF−CX様変異体は、配列の特定の位置の残基が、他のアミノ酸により置換された任意の変異体を含み、および別の残基または該タンパク質の2残基間の残基を挿入する可能性、ならびに該配列由来の1またはそれ以上の残基を欠く可能性をさらに含む。任意のアミノ酸置換、挿入、または欠損が本発明により包含される。好ましい場合において、置換は上で定義されたように保存的置換である。さらに、本発明の範囲を制限することなく、表12の以下の位置(配列番号:2において提供される番号付けを用いる)が、突然変異体または変異体タンパク質が1またはそれ以上の指示された置換の1つを含み得るように指示された様に置換され得る。示された置換は、与えられた位置でおこり得る可能な置換の範囲を制限しない。
【0137】
表12
【表15】
【0138】
表12の続き
【表16】
【0139】
本発明の1つの態様は、単離FGF−CXタンパク質、およびそれらの生物学的に活性な部分、または誘導体、フラグメント、それらの類似体または相同体に関する。抗FGF−CX抗体を生じる免疫原としての使用に適したポリペプチドフラグメントもさらに提供される。1つの実施態様において、天然のFGF−CXタンパク質は、標準タンパク質精製技術を用いる適当な精製スキームにより細胞または組織供給源から単離されることができる。別の実施態様において、FGF−CXタンパク質は、組換えDNA技術により産生される。組換え発現の代わりに、FGF−CXタンパク質またはポリペプチドは、標準ペプチド合成技術を用いて化学的に合成され得る。
【0140】
「単離」または「精製」タンパク質またはそれらの生物学的に活性な部分は、細胞の物質またはFGF−CXタンパク質がもたらされる細胞または組織供給源由来のタンパク質の混入が実質的にない、または化学的前駆体または化学的に合成される場合の他の化学物質が実質的にない。用語「細胞の物質が実質的にない」は、タンパク質は単離または組替え的に産生されるもの由来の細胞の細胞成分から分離されるFGF−CXタンパク質の標本を含む。1つの実施態様において、用語「細胞の物質が実質的にない」は、非FGF−CXタンパク質(「混入するタンパク質」として本明細書においても言及される)の約30%(乾燥重量による)未満、より好ましくは、非FGF−CXタンパク質の薬20%未満、さらに好ましくは、非FGF−CXタンパク質の約10%未満、そしてさらに好ましくは非FGF−CXタンパク質の約5%未満を有するFGF−CXタンパク質の標本を含む。FGF−CXタンパク質またはそれらの生物学的に活性な部分が組変え的に産生される場合、好ましくは培養上清が実質的にない、すなわち、培養液が約20%未満、さらに好ましくは、約10%未満、そして最も好ましくはタンパク質標本の用量の約5%未満を意味する。
【0141】
用語「化学的前駆体または他の化学物質が実質的にない」は、タンパク質が化学的前駆体またはタンパク質の合成において関与する他の化学物質から分離されるFGF−CXタンパク質の標本を含む。1つの実施態様において、用語「化学的前駆体または他の化学物質が実質的にない」は、化学的前駆体または非FGF−CX化学物質の約30%(乾燥重量による)未満、さらに好ましくは、化学的前駆体または非FGF−CX化学物質の約20%未満、なおさらに好ましくは、化学的前駆体または非FGF−CX化学物質の約10%未満、そして最も好ましくは、化学的前駆体または非FGF−CX化学物質の約5%未満を有するFGF−CXタンパク質の標本を含む。
【0142】
FGF−CXタンパク質の生物学的に活性な部分は、FGF−CXタンパク質のアミノ酸配列に十分に相同なアミノ酸配列またはFGF−CXタンパク質のアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列、例えば、全長FGF−CXタンパク質より少ないアミノ酸を含む配列番号:2において示されるアミノ酸配列を含むペプチドを含み、FGF−CXタンパク質の少なくとも1つの活性を表す。典型的に、生物学的に活性な部分は、少なくとも1つのFGF−CXタンパク質の活性を有するドメインまたはモティーフを含む。FGF−CXタンパク質の生物学的に活性な部分は、例えば、長さ10、25、50、100またはそれ以上のアミノ酸であるポリペプチドであり得る。
【0143】
本発明のFGF−CXタンパク質の生物学的に活性な部分は、FGFファミリータンパク質間で実質的に保存された上で同定されたドメインの少なくとも1つを含有し得る。さらに、タンパク質の他の領域を欠いている他の生物学的に活性な部分は、組換え技術により調製され、かつ天然のFGF−CXタンパク質の1またはそれ以上の機能的活性化を評価し得る。
【0144】
1つの実施態様において、FGF−CXタンパク質は、配列番号:2においれ示されるアミノ酸配列を有する。他の実施態様において、FGF−CXタンパク質は、配列番号:2に実質的に相同であり、配列番号:2のタンパク質の機能的活性化を保持し、以下に詳細に記載する様に、天然の対立遺伝子バリエーションまたは変異誘発に起因するアミノ酸配列において依然異なる。他の実施態様によると、FGF−CXタンパク質は、配列番号:2のアミノ酸配列に少なくとも45%相同なアミノ酸配列を含み、かつ配列番号:2のFGF−CXタンパク質の機能的活性を保持するタンパク質である。別の実施態様において、FGF−CXは、配列番号:2のアミノ酸配列に少なくとも約45%相同なアミノ酸配列、さらに好ましくは、約55、65、70、75、80、85、90、95、98さらに99%相同なアミノ酸配列を含有し、かつ配列番号:2の配列を有する対応ポリペプチドのFGF−CXタンパク質の機能的活性を保持するタンパク質である。
【0145】
2またはそれ以上の配列間の相同性の測定
2つのアミノ酸または2つの核酸のパーセント相同性を測定するために、配列を最適な比較目的のため整列させる(例えば、ギャップが配列間の最適なアラインメントのため比較された配列のいずれかにおいて導入され得る)。対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置でのアミノ酸残基またはヌクレオチドは、次に比較される。第1の配列の位置が、第2の配列の対応する位置の同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドにより占められている場合、分子はその位置で相同である(すなわち、本明細書において用いられる様に、アミノ酸または核酸「相同性」は、アミノ酸または核酸「同一」と等しい。)
【0146】
核酸配列相同性は、2配列間の同一性の程度として測定され得る。相同性は、GCGプログラムパッケージにおいて提供されるGAPソフトウェアのような、当分野において既知のコンピュータープログラムを用いて測定され得る。Needleman and Wunsch 1970 J Mol Biol 48: 443-453を参照されたい。核酸配列比較の以下の設定:5.0のGAP生成ペナルティーおよび0.3のGAP伸長ペナルティーを伴なうGCG GAPソフトウエアを用いて、上で言及された類似核酸配列のコード領域は、配列番号:1において示されるDNA配列のCDS(コード化)部分と好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%の同一性の程度を表す。
【0147】
用語「配列同一性」は、2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列が、比較の特定領域にわたって残基毎に同一である程度に言及する。用語「配列同一性のパーセンテージ」は、比較の領域にわたって、2つの最適整列配列を比較すること、一致位置の数をもたらすために両配列において生じる同一核酸塩基(例えば、核酸の場合、A、T、C、G、UまたはI)のある位置の数を測定すること、比較の領域中の位置の合計数(すなわち、ウィンドウサイズ)により一致位置の数を割ること、および配列同一性のパーセンテージをもたらすために、結果を100倍することにより測定される。本明細書において用いられる様に、用語「実質的同一性」は、ポリヌクレオチド配列の特徴を示す。ここで、該ポリヌクレオチドは、比較領域にわたって参考配列と比較して、少なくとも80%配列同一性、好ましくは、少なくとも85%同一性、およびしばしば90〜95%配列同一性、さらに一般的には少なくても99%配列同一性を有する配列を含む。用語「ポジティヴ残基のパーセンテージ」は、比較の領域にわたって2つの最適化整列配列を比較すること、上で定義された様に同一および保存アミノ酸置換が、一致位置の数をもたらすために両配列間で生じる位置の数を測定すること、比較の領域の位置の合計数(すなわち、ウインドウサイズ)により一致位置の数を割ること、およびポジティブ残基のパーセンテージをもたらすために、結果を100倍することにより測定される。
【0148】
キメラタンパク質および融合タンパク質
本発明はまた、FGF−CXキメラタンパク質または融合タンパク質を提供する。本明細書において用いられる様に、FGF−CX「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、非FGF−CXポリペプチドに作用可能に結合したFGF−CXポリペプチドを含む。「FGF−CXポリペプチド」は、FGF−CXに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドに言及し、「非FGF−CXポリペプチド」は、FGF−CXタンパク質に実質的に相同でないタンパク質、例えば、FGF−CXタンパク質と異なり、かつ同一生物または異なる生物からもたらされるタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドに言及する。FGF−CX融合タンパク質内で、FGF−CXポリペプチドは、FGF−CXタンパク質の全部または一部に対応し得る。1つの実施態様において、FGF−CX融合タンパク質は、少なくとも1つのFGF−CXタンパク質の生物学的に活性な部分を含む。別の実施態様において、FGF−CX融合タンパク質は、少なくとも2つのFGF−CXタンパク質の生物学的に活性な部分を含む。融合タンパク質内で、用語「作用可能に結合する」は、FGF−CXポリペプチドおよび非FGF−CXポリペプチドが互いにインフレームで融合されることを示すことを意図する。非FGF−CXポリペプチドは、FGF−CXポリペプチドのN末端またはC末端に融合し得る。
【0149】
例えば、1つの実施態様において、FGF−CX融合タンパク質は、第2のタンパク質の細胞外ドメインに作用可能に結合するFGF−CXポリペプチドを含む。かかる融合タンパク質は、FGF−CX活性を調節する化合物のスクリーニングアッセイ(かかるアッセイは、以下で詳細に記載される)においてさらに利用され得る。
【0150】
別の実施態様において、融合タンパク質は、FGF−CX配列がGSTのC末端に融合する(すなわち、グルタチオンSトランスフェラーゼ)GST−FGF−CX融合タンパク質である。かかる融合タンパク質は、組換えFGF−CXの精製を促進することができる。
【0151】
さらに別の実施態様において、融合タンパク質は、N末端にある異種性シグナル配列を含有するFGF−CXタンパク質である。例えば、天然のFGF−CXシグナル配列(すなわち、配列番号:2のアミノ酸1〜20)が、取り除かれ、別のタンパク質由来のシグナル配列で取って代わられ得る。ある宿主細胞において(例えば、哺乳動物細胞)、FGF−CXの発現または/および分泌は、異種性シグナル配列の使用を介して増加され得る。
【0152】
別の実施態様において、融合タンパク質は、1またはそれ以上のドメインを含むFGF−CX配列が、免疫グロブリンタンパク質ファミリーのメンバーからもたらされる配列に融合されるFGF−CX免疫グロブリン融合タンパク質である。本発明のFGF−CX免疫グロブリン融合タンパク質は、医薬組成物に取り込まれ、対象に投与され、細胞表面上のFGF−CXリガンドとFGF−CXタンパク質との相互作用を阻害し、それによりインビボでのFGF−CX仲介シグナル伝達を抑制できる。制限されない実施例において、本発明の考えられるFGF−CXリガンドは、FGF−CX受容体である。FGF−CX免疫グロブリン融合タンパク質を用いて、FGF−CX同族リガンドの生物学的利用能に作用させることができる。FGF−CXリガンド/FGF−CX相互作用の阻害は、増殖性疾患および分化性疾患の両方の処置、ならびに細胞生存の調節(例えば、促進または阻害)のために治療的に有用であり得る。さらに、本発明のFGF−CX免疫グロブリン融合タンパク質を免疫原として用いて、対象において抗FGF−CX抗体を産生し、FGF−CXリガンドを精製し、FGF−CXリガンドとのFGF−CXの相互作用を阻害する分子を同定するためのスクリーニングにおいて用いられ得る。
【0153】
本発明のFGF−CXキメラタンパク質または融合タンパク質は、標準組換えDNA技術により産生され得る。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNAフラグメントは、例えば、ライゲーションのための平滑末端またはねじれ(stagger)末端、適当な末端を提供するための制限酵素切断、適当な粘着末端の充填、望まない結合を避けるためのアルカリフォスファターゼ処理、および酵素ライゲーションを用いることにより、従来技術に従いインフレームで互いに結合する。別の実施態様において、融合遺伝子は、自動DNA合成機を含む従来技術により合成され得る。または、遺伝子フラグメントのPCR増幅は、引き続いてアニーリングし、再増幅され、キメラ遺伝子配列を精製し得る2つの連続遺伝子フラグメント間の相補的なオーバーハングを生じるアンカープライマーを用いて実行されうる(例えば、 Ausubel et al. (eds.) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, 1992を参照)。さらに、多くの発現ベクターは、融合部分を既にコード化する市販されるもの(例えば、GSTポリペプチド)である。FGF−CXコード化核酸は、融合部分がFGF−CXタンパク質にインフレームで結合するように発現ベクターにクローン化され得る。
【0154】
FGF−CX作用物質および拮抗物質
本発明はまた、FGF−CX作用物質(ミメティクス)またはFGF−CX拮抗物質のいずれかとして機能するFGF−CXタンパク質の変異体に関する。FGF−CXタンパク質の変異体は、変異誘発、例えば、FGF−CXタンパク質の別々の点変異または切断により生成され得る。FGF−CXの作用物質は、FGF−CXタンパク質の天然に存在する型の生物学的に活性な同一物またはサブセットを実質的に保持し得る。FGF−CXタンパク質の拮抗物質は、例えば、FGF−CXタンパク質を含む細胞のシグナルカスケイドの下流または上流のメンバーに競合的に結合することにより、1またはそれ以上のFGF−CXタンパク質の天然に生じる形の活性化を阻害し得る。従って、特異的な生物学的作用は、機能を制限された変異体との処理により誘発され得る。1つの実施態様において、タンパク質の天然に生じる形の生物学的に活性なサブセットを有する変異体との対象の処理は、FGF−CXタンパク質の天然に生じる形との処置と関係する対象においてより少ない副作用を有する。
【0155】
FGF−CX作用物質(ミメティクス)としてまたはFGF−CX拮抗物質のいずれかとして作用するFGF−CXタンパク質の変異体は、例えば、FGF−CXタンパク質の作用物質または拮抗物質の活性についてFGF−CXタンパク質の切断突然変異体の組合せライブラリーをスクリーニングすることにより同定され得る。1つの実施態様において、FGF−CX変異体の多彩アなライブラリーは、核酸レベルの組合せ変異誘発により生成され、多彩な遺伝子ライブラリーによりコード化される。FGF−CX変異体の多彩なライブラリーは、例えば、潜在的なFGF−CX配列の変性セットが、個々のポリペプチドとして、または代わりにFGF−CX配列のセットを含有するより大きな融合タンパク質のセット(例えば、ファージディスプレイ)として発現可能である様な遺伝子配列に合成オリゴヌクレオチドの混合物を酵素的にライゲーションすることにより産生され得る。変性オリゴヌクレオチド配列由来の潜在的FGF−CX変異体のライブラリーを産生するために用いられ得る様々な方法がある。変性遺伝子配列の化学的合成を、自動DNA合成機において実行することができ、合成遺伝子は次に、適当な発現ベクターに結合させられる。遺伝子の変性セットの使用は、潜在的FGF−CX配列の望まれるセットをコード化する配列の全部である混合物の1つにおいて供給を可能とする。変性オリゴヌクレオチドを合成する方法は、当分野において既知である(例えば、Narang (1983) Tetrahedron 39:3; Itakura et al. (1984) Annu Rev Biochem 53:323; Itakura et al. (1984) Science 198:1056; Ike et al. (1983) Nucl Acid Res 11:477を参照)。
【0156】
ポリペプチドライブラリー
加えて、FGF−CXコード配列のフラグメントのライブラリーを用いて、FGF−CXタンパク質の変異体のスクリーニングおよび続く選択のためのFGF−CXの多彩な群を産生し得る。1つの実施態様において、コード配列フラグメントのライブラリーは、ニッキングが1分子あたり約1回のみ生じる条件下でヌクレアーゼを有するFGF−CXコード配列の二本鎖PCRフラグメントの処理、ニ本鎖DNAの変性、異なるニック産物由来のセンス/アンチセンスプライマーを含み得る二本鎖DNAを形成するためのDNAの再生、S1ヌクレアーゼとの処理によりニ本鎖の再形成から一本鎖部分を取り除くこと、および結果として生じるフラグメントライブラリーの発現ベクターへのライゲーションにより生成されうる。この方法により、発現ライブラリーは、N末端およびFGF−CXタンパク質の様々なサイズの内部フラグメントをコード化するものがもたらされ得る。
【0157】
点変異または切断により作られた組合せライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングすること、および選択された性質を有する遺伝子産物のcDNAライブラリーをスクリーニングするいくつかの技術は、当分野において既知である。かかる技術は、FGF−CXタンパク質の組合せ変異誘発により生成される遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに適している。複製可能な発現ベクターへの遺伝子ライブラリーのクローン化、結果として生じるベクターライブラリーとの適当な細胞の形質移入、および望まれる活性の検出が産物が検出される遺伝子をコード化するベクターの単離を促進する条件下での組合せ遺伝子の発現を典型的に含む大きな遺伝子ライブラリーをスクリーニングする高処理量分析に従った技術が、最も広く用いられる。ライブラリーの機能的変異の頻度を増大する新たな技術である再帰全変異誘発(REM)が、FGF−CX変異体を同定するためのスクリーニングアッセイとの組合せにおいて用いられ得る(Arkin and Yourvan (1992) PNAS 89:78117815; Delgrave et al. (1993) Protein Engineering 6:327331)。
【0158】
抗FGF−CX抗体
本明細書において用いられる用語「抗体」は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、抗原に特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含有する分子に言及する。かかる抗体は、限定されることなく、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、一本鎖、Fab、Fab’およびF(ab’)2フラグメント、およびFab発現ライブラリーを含む。一般に、ヒトから得られる抗体分子は、分子に存在する天然の重鎖により別のものと異なる任意のクラスのIgG、IgM、IgA、IgEおよびIgDに関する。あるクラスは、同様に、IgG1、IgG等のサブクラスを有する。さらに、ヒトにおいて、軽鎖は、κ鎖またはλ鎖であり得る。抗体に対する本明細書における参考文献は、ヒト抗体種のかかるクラス、サブクラスおよびタイプの全てに対する参考文献を含む。
【0159】
抗原、またはそれらの一部またはフラグメントとして機能することを意図される単離タンパク質は、ポリクローナル抗体標本およびモノクローナル抗体標本の標準技術を用いる、抗原に免疫特異的に結合する抗体を生成するための免疫原として用いられ得る。全長タンパク質を用いることができるか、または、本発明は免疫原としての使用のため抗原性ペプチドフラグメントを提供する。抗原性ペプチドフラグメントは、配列番号:2において示されるアミノ酸配列のような全長タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも6アミノ酸残を含み、全長タンパク質またはエピトープを含有する任意のフラグメントとの特異的免疫複合体を形成するペプチドに対して生じる抗体のエピトープを包含する。好ましくは、抗原性ペプチドは、少なくとも10アミノ酸残基、または少なくとも15アミノ酸残基、または少なくとも20アミノ酸残基、または少なくとも30アミノ酸残基を含む。抗原性ペプチドにより包含される好ましいエピトープは、その表面に位置するタンパク質の領域;普通は、親水性領域である。
【0160】
本発明のある実施態様において、抗原性ペプチドにより包含される少なくとも1つのエピトープが、タンパク質の表面に位置するFGF−CXの領域、例えば親水性領域である。ヒトFGF−CXタンパク質配列の疎水性分析は、FGF−CXポリペプチドの領域が特定の親水性領域であり、それゆえ、抗体産物の標的化に有用である表面残基をコード化することを示す。抗体産物の標的化を意味する様に、親水性領域および親水性を示す疎水性親水性指標プロットは、例えば、フーリエ形質転換ありでまたはなしのいずれかでのKyte Doolittle法またはHopp Woods法を含む、当分野においてよく知られた任意の方法により生成され得る。例えば、Hopp and Woods, 1981, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 78: 3824-3828;Kyte and Doolittle 1982, J. Mol. Biol. 157: 105-142を参照されたい。それぞれ、全体として参考文献により本明細書において取り込まれる。抗原性タンパク質、または誘導体、フラグメント、それらの類似体または相同体内の1またはそれ以上のドメインに特異的な抗体も、本明細書において提供される。
【0161】
本発明のタンパク質、または誘導体、フラグメント、類似体、それらの相同体またはオルソログは、これらのタンパク質成分に免疫特異的に結合する抗体の生成での、免疫原として利用され得る。
【0162】
当分野内において既知の様々な方法は、本発明のタンパク質、またはそれらの誘導体、フラグメント、類似体、またはそれらの相同体またはオルソログに対して指示されるポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体の産生に用いられ得る(例えば、Antibodies: A Laboratory Manual, Harlow E, and Lane D, 1988, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NYを参照。参考文献により本明細書に組み込まれる)。これらの抗体のいくつかを、以下に論じる。
【0163】
1.ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体の産生のために、様々な適当な宿主動物(例えば、ウサギ、ヤギ、マウスまたは他の哺乳動物)が、FGF−CX天然タンパク質、それらの合成変異体、または上述の誘導体を伴う1回またはそれ以上の注入により免疫され得る。適当な免疫原性標本は、例えば、天然に存在する免疫原性タンパク質、免疫原性タンパク質を表す化学的に合成されたポリペプチド、または組換え的に発現させた免疫原性タンパク質を含有することができる。さらに、FGF−CXタンパク質は、免疫された哺乳動物での免疫原であると知られた第2のタンパク質に複合され得る。かかる免疫原性タンパク質の実施例は、制限されることなく、キーホールカサガイヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、および大豆トリプシンインヒビターを含む。標本は、アジュバントをさらに含むことができる。免疫学的反応を増大させるために用いられる様々なアジュバントは、制限されることなく、フロイント(完全および不完全)、ミネラルジェル(例えば、水酸化アルミニウム)、表面活性物質(例えば、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、ジニトロフェノール等)、Bacille Calmette-GuerinおよびCorynebacterium parvumのようなヒトに使用可能なアジュバント、または類似の免疫促進剤が挙げられる。使用し得るアジュバントのさらに別な例としては、MPL−TDMアジュバント(モノホスホリルリピドA、合成ジコリノミコール酸トレハロース)を挙げ得る。
【0164】
免疫原性FGF−CXタンパク質に対して指示されるポリクローナル抗体分子は、哺乳動物(例えば、血液から)単離され、免疫血清のIgG分画を第1に提供するタンパク質Aまたはタンパク質Gを用いるアフィニティークロマトグラフィーのようなよく知られた技術によりさらに精製され得る。引き続いて、または代わりに、探された免疫グロブリンの標的である特異的抗原、またはそれらのエピトープは、免疫親和性クロマトグラフィーにより免疫特異的抗体を精製するためのカラム上に固定され得る。免疫グロブリンの精製は、例えば、D. Wilkinson (The Scientist, published by The Scientist, Inc., Philadelphia PA, Vol. 14, No. 8 (April 17, 2000), pp. 25-28)により考察される。
【0165】
2.モノクローナル抗体
本明細書において用いる用語「モノクローナル抗体」(MAb)または「モノクローナル抗体組成物」は、特徴のある軽鎖遺伝子産物および特徴のある重鎖遺伝子産物からなる抗体分子の1分子種のみを含有する抗体分子群に言及する。特に、モノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)は、全ての分子群において同一である。従って、MAbは、それらに特徴のある結合親和性により特徴付けられる抗原の特定のエピトープと免疫反応が可能な抗原結合部位を含有する。
【0166】
モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein, Nature, 256:495 (1975)により記載される様に、ハイブリドーマ法を用いて調製され得る。ハイブリドーマ法において、マウス、ハムスター、または他の適当な宿主動物は、免疫試薬で典型的に免疫され、免疫試薬に特異的に結合する抗体を産生するか、または産生可能であるリンパ球を促進する。または、リンパ球は、インビトロで免疫され得る。
【0167】
免疫試薬は、FGF−CXタンパク質抗原、それらのフラグメントまたはそれらの融合タンパク質を典型的に含む。ヒト起源の細胞が望まれるなら用いられ一般に、末梢血液リンパ球が用いられ、非ヒト哺乳動物起源が望まれるなら、脾細胞またはリンパ節が用いられる。リンパ球は、そこでポリエチレングリコールのような適当な融合試薬を用いた不死化細胞株と融合され、ハイブリドーマ細胞を形成する。例えば、Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, (1986) pp. 59-103を参照されたい。不死化細胞株は、普通は、哺乳類細胞特定の場合げっ歯類、ウシおよびヒト機嫌の骨髄腫に形質移入される。普通は、ラットまたはマウス骨髄腫細胞株が用いられる。ハイブリドーマ細胞は、好ましくは、非融合細胞不死化細胞の成長または生存を阻害する1またはそれ以上の物質を含有する適当な培養液において培養され得る。例えば、親細胞が、酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマの培養液は、物質がHGPRT欠乏細胞の成長を妨げるヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(「HAT培地」)を典型的に含む。
【0168】
好ましい不死化細胞株は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定した高発現レベルをサポートするものであり、HAT培地のような培地に感受性がる。さらに好ましくい不死化細胞株は、例えば、the Salk Institute Cell Distribution Center, San Diego, California and the American Type Culture Collection, Manassas, Virginiaから得られる、マウス骨髄腫細胞株である。ヒト骨髄腫細胞株およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株は、ヒトモノクローナル抗体の産物についても記載される。例えば、Kozbor: J. Immunol., 133:3001 (1984); Brodeur et al.: Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York, (1987) pp. 51-63を参照されたい。
【0169】
ハイブリドーマ細胞が培養される培養液は、そのとき抗原に対して指示するモノクローナル抗体の存在をアッセイされ得る。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降またはラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫測定法(ELISA)のようなインビトロ結合アッセイにより測定される。かかる技術およびアッセイは、当分野において既知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson and Pollard, Anal. Biochem., 107:220 (1980)のScatchard analysisにより測定され得る。それは、高い程度の特異性および標的抗原の高結合親和性を有する抗体を同定するためのモノクローナル抗体の治療的増幅において特に重要な目的であり。
【0170】
望ましいハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンは、限界希釈法によりサブクローン化され、標準方法(Goding,1986)により成長する。この目的に適当な培地は、例えば、ダルベッコ変法イーグル培地およびRPMI培地を含む。または、ハイブリドーマ細胞は、哺乳動物の腹水の様にインビボにおいて成長し得る。
【0171】
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、単離されるか、または例えば、タンパク質Aセファロース、ヒドロキシルアバタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳道、透析、またはアフィニティークロマトグラフィーのような通常の免疫グロブリン精製により、培地または腹水液から精製される。
【0172】
モノクローナル抗体はまた、米国特許番号4,816,567において記載される様な組換えDNA方法により作られることがきる。本発明のモノクローナル抗体をコード化するDNAは、迅速に単離され、通常の方法(例えば、マウス抗体の重鎖おとび軽鎖をコード化する遺伝子に免疫特異的に結合することが可能なオリゴヌクレオチドプローブ用いることにより)を用いて配列決定され得る。本発明のハイブリドーマ細胞は、かかるDNAの好ましい供給源として働く。一旦単離されると、DNAは、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または免疫グロブリンタンパク質を別に産生しない骨髄腫細胞のような宿主細胞に形質移入される発現ベクター内に位置し、組換え宿主細胞においてモノクローナル抗体の合成を得られる。DNAは、例えば、相同マウス配列の場所にあるヒト重鎖および軽鎖定常ドメインの配列をコードする置換(米国特許番号4,816,567;Morrison, Nature 368, 812-13 (1994))により、または非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全部または一部の免疫グロブリンコード配列に共有結合性結合することによりモディファイされ得る。かかる非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常ドメインのために置換され得るし、またはキメラ二価抗体を生成するための本発明の抗体の抗原結合部位の可変ドメインのために置換され得る。
【0173】
3.ヒト化抗体
本発明のFGF−CXタンパク質抗原に対して指示する抗体は、ヒト化抗体またはヒト抗体を含む。これらの抗体は、投与された免疫グロブリンに対するヒトによる免疫応答を生じさせることなくヒトへの投与に適している。抗体のヒト化型は、ヒト免疫グロブリンの配列を主に含み、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含有するキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはそれらのフラグメント(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、または他の抗体の抗原結合配列)である。ヒト化は、Winter and co-workers (Jones et al., Nature, 321:522-525 (1986); Riechmann et al., Nature, 332:323-327 (1988); Verhoeyen et al., Science, 239:1534-1536 (1988))の方法に従い、ヒト交代の対応する配列のげっ歯類CDRまたはCDR配列を置換することにより実行され得る(米国特許番号5,225,539も参照)。時には、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基により置きかえられる。ヒト化抗体は、レシピエント抗体において、または移動されたCDRまたはフレームワーク配列のどちらにおいても見られない残基も含む。一般に、ヒト化抗体は、可変ドメインの少なくとも1つの全体、および典型的な2つの可変ドメインを実質的に含む。ここで、非ヒト免疫グロブリンの対応するCDR領域の全て、または実質的に全て、およびフレームワーク領域の全て、または実質的に全ては、ヒト免疫グロブリン共通配列の領域である。ヒト化抗体は、好ましくは、少なくとも免疫グロブリン定常領域(Fc)の一部、ヒト免疫グロブリンの一部を典型的に含む(Jones et al., 1986; Riechmann et al., 1988; and Presta, Curr. Op. Struct. Biol., 2:593-596 (1992))。
【0174】
4.ヒト抗体
完全にヒト抗体は、ヒト遺伝子から生じるCDRを含む軽鎖および重鎖の両方の全配列の抗体分子に基本的に関与する。かかる抗体は、本明細書において「ヒト抗体」または「完全にヒト抗体」と名付けられる。FGF−CXタンパク質に対して指示するヒトモノクローナル抗体は、trioma技術;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor, et al., 1983 Immunol Today 4: 72を参照)およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBVハイブリドーマ技術(Cole, et al., 1985 In: Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 7796を参照)により調製され得る。ヒトモノクローナル抗体は、本発明の実施において利用され得るし、ヒトハイブリドーマを用いることにより、またはインビトロでのEBウイルスとのヒトB細胞の形質移入により産生され得る(Cole, et al., 1985 In: Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 7796を参照)。
【0175】
加えて、ヒト交代はまた、ファージディスプレイライブラリーを含む別の技術を用いて産生され得る(Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581 (1991))。同様に、ヒト抗体は、トランスジェニック動物、例えば部分的に不活性化されたまたは完全に不活性化された内在性免疫グロブリン遺伝子であるマウスにヒト免疫グロブリン遺伝子座を導入することにより作られることができる。挑戦により、ヒト抗体産物は、遺伝子再配列、構築、抗体レパートリーを含む全観点においてヒトにおいて見られるものはよく似ていることを観察される。このアプローチは、例えば、米国特許番号5,545,807;5,545,806;5,569,825;5,625,126;5,633,425;5,661,016、およびMarks et al. (Bio/Technology 10, 779-783 (1992));Lonberg et al. (Nature 368 856-859 (1994));Morrison ( Nature 368, 812-13 (1994));Fishwild et al,( Nature Biotechnology 14, 845-51 (1996));Neuberger (Nature Biotechnology 14, 826 (1996));およびLonberg and Huszar (Intern. Rev. Immunol. 13 65-93 (1995))において記載される。
【0176】
FGF−CXタンパク質に特別に結合するヒト抗体は、抗原により、挑戦に対する応答での動物の内在性抗体よりむしろ完全にヒト抗体を産生するためにモディファイされるトランスジェニック非ヒト動物を用いて別に産生され得る(公開番号WO94/02602参照)。非ヒト宿主での重鎖免疫グロブリンおよび軽鎖免疫グロブリンをコード化する内在性遺伝子は、能力を奪われ、宿主のゲノムに挿入されるヒト重鎖免疫グロブリンおよび軽鎖免疫グロブリンをコード化する遺伝子座を活性化する。ヒト遺伝子は、例えば、要求されるヒトDNAセグメントを含有する酵母人工染色体を用いて組み込まれる。全ての望まれる修飾を提供する動物は、修飾の全相補的配列より少ない相補的配列を含有するトランスジェニック動物が仲介する交配により子孫として得られる。かかる非ヒト動物の好ましい実施態様は、マウスおよびPCT公開番号WO96/33735およびWO96/34096において開示される様にXenomouseTMと名付けられる。この動物は、完全にヒト免疫グロブリンを分泌するB細胞を産生する。抗体は、例えば、ポリクローナル抗体の標本、またはモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマのような動物由来の不死化B細胞由来の標本として該FGF−CX免疫グロブリンでの免疫の後の動物から直接的に得られることができる。加えて、ヒト可変領域を有する免疫グロブリンをコード化する遺伝子は、回復させ、直接的に抗体を得るために発現させるか、または例えば、一本鎖Fv分子のような抗体の類似体を得るためにさらにモディファイされ得る。
【0177】
マウスとして例示され、内在性免疫グロブリン重鎖の発現を欠く非ヒト宿主を産生する方法の実施例は、米国特許番号5,939,598において開示される。それは、遺伝子座の転座および転座免疫グロブリン重鎖遺伝子座の転写物の形成を防ぐために胚性幹細胞での少なくとも1つの内在性重鎖遺伝子座由来のJセグメントを欠くことを含む方法により得られることができ、欠損は、選択可能なマーカーをコード化する遺伝子を含有するベクターを標的とすること;および体細胞および生殖細胞が胚性幹細胞から選択可能なマーカーをコード化する遺伝子を含有するトランスジェニックマウスを賛成することにより作用される。
【0178】
ヒト抗体のような、該抗体を産生する方法は、米国特許番号5,916,771において開示される。それは、重鎖をコード化するヌクレオチド配列を含有する発現ベクターを培養での1つの哺乳動物宿主細胞内へ導入すること、軽鎖をコード化するヌクレオチド配列を含有する発現ベクターを別の哺乳動物宿主細胞へ導入すること、およびハイブリドーマ細胞を形成するために2つの細胞を融合させることを含む。ハイブリドーマ細胞は、重鎖および軽鎖を含有する交代を発現する。
【0179】
この産物のさらなる改良において、免疫原の臨床的に関連するエピトープを同定する方法、および高親和性で関連するエピトープに免疫特異的に結合する抗体を選択する相関連する方法は、PCT公開番号WO99/53049において開示される。
【0180】
5.Fabフラグメントおよび一本鎖抗体
本発明によると、技術は、本発明の抗原性FGF−CXタンパク質に対して特異的な一本鎖抗体の産物に適応させ得る(例えば、米国特許番号4,946,778を参照)。加えて、方法は、タンパク質または誘導体、フラグメント、類似体またはそれらの相同体にたいする望まれる特別性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速で効果的な同定を可能とするFab発現ライブラリー(例えば、Huse, et al., 1989 Science 246: 12751281を参照)の構造に適応され得る。タンパク質抗原に対するイディオタイプを含有する抗体フラグメントは、制限されることなく、:(i)抗体分子のペプシン切断により産生されるF(ab’)2フラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメントのジスルフィドブリッジを還元することにより生成されるFabフラグメント;(iii)パパインでの抗体分子の処理により生成されるFabフラグメントおよび還元剤および(iv)Fvフラグメントを含む当分野において既知の技術により産生され得る。
【0181】
6.二重特異性抗体
二重特異性抗体は、モノクローナルであり、好ましくは少なくとも2つの異なる抗原への結合特異性を有するヒトまたはヒト化抗体である。当該場合において、結合特異性の1つは、本発明の抗原性タンパク質によるものである。第2の結合標的は、別の抗原であり、有利には細胞表面タンパク質または受容体または受容体サブユニットである。
【0182】
二重特異性抗体を作る方法は、当分野において既知である。伝統的に、二重特異性抗体の組換え産物は、2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖ペアーの共発現に基づき、2つの重鎖は、異なる特異性を有する(Milstein and Cuello, Nature, 305:537-539 (1983))。
免疫グロブリン重鎖および軽鎖のランダムな分類のため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、1つのみが正しい二重特異性構造の10の異なる抗体分子の潜在的な混合物を産生する。正しい分子の精製は普通、アフィにティークロマトグラフィーステップにより成し遂げられる。類似の方法が、1993年5月13日に公開されたWO93/08829、およびTraunecker et al., EMBO J., 10:3655-3659 (1991)において開示される。
【0183】
望まれる結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体抗原結合部位)は、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合され得る。好ましくは、融合は、少なくともヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域の一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインと共にある。好ましくは、少なくとも融合の1つにおいて存在する軽鎖結合を必要とする部位を含有する第1の重鎖定常領域(CH1)を有する。免疫グロブリン重鎖融合をコード化するDNAは、望まれるなら、免疫グロブリン軽鎖は、別の発現ベクターに挿入され、適当な宿主生物に同時形質移入される。二重特異性抗体の生成のさらんる詳細のため、例えば、Suresh et al., Methods in Enzymology, 121:210 (1986)を参照されたい。
【0184】
WO96/27011において記載される別のアプローチによると、抗体分子ペアー間の干渉は、組換え細胞培養から回復させるヘテロダイマーの最大パーセンテージに設計され得る。好ましい干渉は、抗体定常ドメインのCH3領域の少なくとも一部を含む。最後に、第1の抗体分子の干渉由来の1またはそれ以上の小さなアミノ酸側鎖は、より大きな側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)でとって代わられる。大きな側鎖と同一または類似の側鎖の代償性「穴」は、より小さなものでの大きなアミノ酸側鎖を取って代わることにより第2の抗体分子の干渉で生成される。このことは、ホモダイマーのような他の望まれていない末端産物のヘテロダイマー分野を増大するメカニズムを提供する。
【0185】
二重特異性抗体は、全長抗体または抗体フラグメント(例えば、F(ab’)2二重特異性抗体)として調製され得る。抗体フラグメントから二重特異性抗体を生成する技術は、文献において記載されている。例えば、二重特異性抗体は、化学的な連鎖を用いて調製され得る。Brennan et al., Science 229:81 (1985)は、無処理抗体が、F(ab’)2フラグメントを生成するためにタンパク質分解性に切断され得る方法を記載する。これらのフラグメントは、ジチオール複合体試薬ナトリウム亜ヒ酸塩存在下において近接ジチオールを安定化、分子間ジスルフィド形成を防ぐために置換される。生成されたFab’フラグメントは、チオニトロベンゾエイト(thionitrobenzoate)(TNB)誘導体にそこのとき変換される。Fab’−TNB誘導体の1つは、そのときFab’−チオールにメルカプトエチルアミンとの置換により再変換され、二重特異性抗体を形成するために他のFab’−TNB誘導体の等モル量と混合される。産生された二重特異性抗体は、酵素の選択的固定化のための試薬として用いられ得る。
【0186】
加えて、Fab’フラグメントは、E.coliから直接的に回復され、二重特異性抗体を形成するために化学的にカップリングされ得る。Shalaby et al., J. Exp. Med. 175:217225 (1992)は、完全にヒト化二重特異性抗体F(ab’)2分子産物を記載する。それぞれのFab’フラグメントは、E.coliから別々に分泌され、二重特異性抗体を形成するためにインビトロでの直接化学カップリングの対象とされた。従って、形成された二重特異性抗体は、ErbB2受容体を過剰発現する細胞、および正常ヒトT細胞、ならびにヒト乳癌標的に対するヒト細胞障害性リンパ球の細胞溶解性活性のトリガーに結合可能であった。
【0187】
組換え細胞培養に直接由来する二重特異性抗体フラグメントを作り、単離するための様々な技術は、また記載されている。例えば、二重特異性抗体は、ロイシンジッパーを用いて産生され得る。Kostelny et al., J. Immunol. 148(5):15471553 (1992)を参照。Fosタンパク質およびJunタンパク質由来のロイシンジッパーペプチドは、遺伝子融合により2つの異なる抗体のFab’部分に結合させた。抗体ホモダイマーを、モノマーを形成するためにヒンジ領域で還元し、抗体へテロダイマーを形成するために再び酸化した。Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:64446448 (1993)により記載される「ダイアボーイ」技術は、二重特異性抗体フラグメントを作る選択的メカニズムを提供した。フラグメントは、同一鎖の2つのドメイン間の対形成を可能とするには短いリンカーにより軽鎖可変領域(VL)に結合する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。代わりに、1つのフラグメントのVHドメインおよびVLドメインは、別のフラグメントの相補的なVLドメインおよびVHドメインを有する対に強制され、それにより、2つの後援結合部位を形成する。一本鎖Fv(sFv)ダイマーの使用による二重特異性抗体フラグメントを作る別のストラテジーも、報告されている。Gruber et al., J. Immunol. 152:5368 (1994)を参照されたい。
【0188】
2より多い結合価を有する抗体が熟慮される。例えば、三重特異性抗体が、調製され得る。Tutt et al., J. Immunol. 147:60 (1991)を参照。
【0189】
例示的に二重特異性抗体は、少なくとも1つが本発明のタンパク質抗原に起源を有する、2つの異なるエピトープに結合することができる。また、免疫グロブリン分子の抗−抗原性アームは、T細胞受容体分子(例えば、CD2、CD3、CD28、またはB7)、FcyRI(CD64)、FcyRII(CD32)およびFcyRIII(CD16)のような特定の抗原を発現する細胞にたいする細胞の防御メカニズムに力をおくために白血球上の引き金を引く分子に結合するアームと結合されることができる。二重特異性抗体を用いて、細胞障害性試薬を特定の抗原を発現する細胞に直接作用させることができる。これらの抗体は、抗原結合アームおよび細胞障害性試薬またはEOTUBE、DPTA、DOTAまたはTETAのような放射性核種キレート剤を結合するアームを有する。当該別の二重特異性抗体は、本明細所において記載されるタンパク質抗原に結合し、組織因子(TF)にさらに結合する。
【0190】
ヘテロ結合抗体
ヘテロ結合抗体もまた、本発明の範囲内である。ヘテロ結合抗体は、2つの共有結合性に結合した抗体から構成される。かかる抗体は、例えば、望まれる細胞に対して免疫系細胞を標的するため(米国特許番号4,676,980)、およびHIV感染の処置のために(WO91/00360;WO92/200373;EP03089)提案される。抗体が、クロスリンクする試薬を含むそれらを含む、合成タンパク質化学反応において既知の方法を用いて調製され得る。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を用いて、チオエーテル結合の形成により構築され得る。この目的のための適切な試薬の実施例は、イミノチオレートおよびメチル−4−メルカプトブチリミデイトおよび例えば、米国特許番号4,676,980に開示されるものを含む。
【0191】
エフェクター機能操作
例えば、癌処置における抗体の有効性を増強するために、エフェクター機能に関する本発明のFGF−CX抗体をモディファイことは望ましい。例えば、システイン残基(s)は、Fc領域に挿入され、それにより、この領域での内部鎖のジスルフィド結合形成を可能とする。従って、生成されたホモダイマー抗体は、改善したインターナリゼーション能力および/または増大した相補的配列仲介の細胞死滅および抗体依存の細胞傷害(ADCC)を有することができる。Caron et al., J. Exp Med., 176: 1191-1195 (1992)およびShopes, J. Immunol., 148: 2918-2922 (1992)を参照されたい。増強抗腫瘍活性を有するホモダイマー抗体はまた、Wolff et al. Cancer Research, 53: 2560-2565 (1993)において記載される様にヘテロ二重特異性クロスリンカーを用いて調製され得る。または、抗体は、二重Fc領域を有するものを操作され、それにより、増強した相補的な分解およびADCC能力を有することができる。Stevenson et al., Anti-Cancer Drug Design, 3: 219-230 (1989)を参照されたい。
【0192】
9.免疫複合体
本発明は、化学療法物質、毒(例えば、細菌、真菌、植物、または動物起源の酵素的に活性な毒、またはそれらのフラグメント)、または放射性同位元素(すなわち、放射性複合体)の様な細胞傷害性物質に結合したFGF−CX抗体を含む免疫複合体に関する。
【0193】
そのような免疫複合体の生成に有用な化学療法物質を上述した。使用できる酵素的に活性な毒素およびそれらのフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性フラグメント、内毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アビリンA鎖、モデシンA鎖、アルファサルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ディアンティンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP−S)、momoridica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalisc阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、リストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシンおよびトリコテセンが挙げられる。種々の放射性核種を放射性複合抗体の生産に利用できる。例として、212Bi、131I、131In、90Yおよび186Reを挙げ得る。
【0194】
抗体と細胞障害性薬剤との複合体を、N−サクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの2機能性誘導体(ジメチルアジピイミデートHCLのような)、活性エステル(ジサクシンイミジルスベレートのような)、アルデヒド(グルタルアルデヒドのような)、ビスアジド誘導体(ビス−(p−アジドベンゾイル)−ヘキサンジアミンのような)、ビスジアゾニウム誘導体(ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンのような)、ジイソシアネート(トリエン2、6−ジイソシアネートのような)、およびビス活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ2,4−ジニトロベンゼンのような)のような種々の2機能性タンパク質カップリング剤を用いて作る。例えば、リシン免疫毒素を、Vitetta et al., Science, 238: 1098 (1987)に記載のように調製することができる。炭素14で標識した1−イソチオシアナートベンジル−3−メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX−DTPA)は、放射性ヌクレオチドを抗体に結合するための典型的なキレート剤である。WO94/11026を参照されたい。
【0195】
もう一つの実施態様では、抗体を、腫瘍をプレターゲティンブのための「受容体」(ストレプトアビジンのような)に結合することができて、そこでは抗体−受容体複合体を患者に投与し、引き続いて未結合の複合体を除去剤を用いて血液循環から除去し、次いで今度は細胞障害性薬剤に複合した「リガンド」(例えばアビジン)を投与する。
【0196】
10.免疫リポソーム
本明細書のおいて開示される抗体はまた、免疫リポソームとして処方され得る。抗体を含有するリポソームは、Epstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688 (1985); Hwang et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA, 77: 4030 (1980);および米国特許番号4,485,045および4,544,545に記載されるような、当分野において既知の方法により調製される。増大した循環時間を有するリポソームは、米国特許番号5,013,556において開示される。
【0197】
特に有用なリポソームリポソームを、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いて逆相蒸発法により生成し得る。リポソームリポソームを定められた孔径のフィルターを通して押し出して、所望の直径のリポソームリポソームを得る。本発明の抗体のFab'フラグメントを、Martin et al ., J. Biol. Chem., 257: 286-288 (1982)に記載されるように、ジスルフィド交換反応を介してリポソームリポソームに結合し得る。化学療法剤(ドキソルビシンのような)を任意にリポソーム内に含有する。Gabizon et al., J. National Cancer Inst., 81(19): 1484 (1989)を参照されたい。
【0198】
11.本発明のタンパク質に対して指向した抗体の診断応用
本発明のFGF−CXタンパク質に対して指向した抗体を、タンパク質の局在および/または定量(例えば、適切な生理的試料中のタンパク質レベルの測定における使用、診断法における使用、タンパク質のイメージングにおける使用等)に関する当分野内において公知の方法で使用し得る。ある一定の実施態様では、タンパク質またはその誘導体、フラグメント、類似体、または相同体に対する抗原結合ドメインを含有する抗体を、薬理学的に活性な化合物として利用する(下記を参照)。
【0199】
本発明のFGF−CXタンパク質に対して特異的な抗体を、イムノアフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降のような標準的な技術により、タンパク質を単離するために使用し得る。そのような抗体を、細胞由来の天然タンパク質および宿主細胞で発現する組換え的に生産した抗原の精製を容易にし得る。さらに、そのような抗体を使用して、抗原タンパク質の存在量またはパターンを評価するために抗原タンパク質(例えば、細胞溶解物または細胞上清中の)を検出することができる。FGF−CXタンパク質に対して指向した抗体を診断的に使用して、例えば、与えられた処置法の有効性を測定するために臨床検査の手順の一環として組織中のタンパク質レベルをモニターすることができる。抗体を検出可能な物質にカップリング(即ち物理的に連結)することにより、検出を促進し得る。検出可能な物質の例としては、種々の酵素、配合群、蛍光物質、発光物質、生物発光物質および放射性物質を挙げる。適当な酵素の例としては、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼおよびアセチルコリンエステラーゼを挙げ得る;適当な配合群の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを挙げ得る;適当な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレッセイン、フルオレッセインイソチオシアナート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレッセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリスリンを挙げ得る;発光物質の例としては、ルミノールを挙げ得る;生物発光物質の例としてはルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンを挙うるし、適当な放射性物質の例としては、125I、131I、35Sまたは3Hを挙げ得る。
【0200】
12.抗体療法
ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化および完全なヒト化抗体を含む本発明のFGF−CX抗体は、治療物質として用いられ得る。かかる物質は、一般に、対象の疾病または病態を処置または予防するために使用される。抗体調合物、好ましくは標的抗原に対する高特異性および高親和性を有する抗体調合物は、対象に投与され、標的との結合に起因する作用を一般に有する。かかる作用は、2種のうちの1つであり、与えられる抗体分子と当該標的抗原との相互作用の特異的性質に依存する。第1の場合、抗体の投与は、標的が本来結合する内在性リガンドとの標的の結合を抑制または阻害し得る。この場合、抗体は標的に結合し、リガンドがエフェクター分子として働く、天然に存在するリガンドの結合部位を覆う。従って、受容体は、リガンドが責任を負うシグナル伝達経路を仲介する。
【0201】
または、作用は、抗体が標的分子上のエフェクター結合部位への結合である長所による生理的結果を誘発するものであり得る。この場合の標的において、疾病または病態において存在しないか、または不完全であり得る内在性リガンドを有する受容体は、代わりのエフェクターリガンドとして抗体を結合し、受容体に基づくシグナル伝達事象を開始する。
【0202】
本発明の抗体の治療的に有効な量は、一般に治療目的を達成するのに必要とされる量に関与する。上述のように、このことは抗体とその標的抗原との結合相互作用であり得、ある場合においては標的の機能との干渉、そして他の場合においては生理的応答を促進し得る。投与に必要な量は、その特異的抗原に対する抗体の結合親和性にさらに依存し、投与される抗体が投与される他の対象において遊離の量から使い果たされる速度にも依存する。本発明の抗体または抗体フラグメントの治療的に有効な投与量の通常の範囲は、限定されない例として、体重あたり約0.1mg/kg〜約50mg/kgであり得る。通常の投与回数は、例えば、1日2回から1週間に1回の範囲である。
【0203】
13.抗体の医薬組成物
本発明のFGF−CXタンパク質を免疫特異的に結合する抗体、ならびに本明細書において開示されるスクリーニングアッセイにより同定される他の分子は、医薬組成物の形で様々な疾患を処置するために投与され得る。かかる組成物の調製に関与する原理および考慮事項、ならびに成分の選択の指針は、例えば、Remington : The Science And Practice Of Pharmacy 19th ed. (Alfonso R. Gennaro, et al., editors) Mack Pub. Co., Easton, Pa. : 1995; Drug Absorption Enhancement : Concepts, Possibilities, Limitations, And Trends, Harwood Academic Publishers, Langhorne, Pa., 1994; および Peptide And Protein Drug Delivery (Advances In Parenteral Sciences, Vol. 4), 1991, M. Dekker, New Yorkにおいて提供される。
【0204】
抗原性タンパク質が細胞内にあり、かつ全抗体が阻害剤として用いられると、内部移行抗体が好ましい。しかしながら、リポソームを用いて、抗体、または抗体フラグメントを細胞内に輸送することができる。抗体フラグメントが用いられる場合、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最小の阻害剤フラグメントが好ましい。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、ペプチド分子が標的タンパク質配列を結合する能力を保持するようにデザインされ得る。かかるペプチドは、化学的に合成されるか、および/または、組換えDNA技術により産生されることができる。例えば、Marasco et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 7889-7893 (1993)を参照されたい。本明細書における製剤は、処置される特定の徴候に必要である1より多い活性化化合物、好ましくは、互いに逆に作用しない相補的活性を有するものを含有できる。代わりに、または加えて、組成物は、例えば細胞障害性物質、サイトカイン、化学療法剤、または成長阻害物質のような機能を増強する物質を含むことができる。かかる分子は、意図される目的のために作用する量の組合せにおいて適切に存在する。
【0205】
活性成分はまた、例えば、コアセルベーション技術または界面重合により調製されるマイクロカプセル、例えば、ハイドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリル酸塩)マイクロカプセルにより、それぞれ、コロイド薬輸送システム(例えば、リポソーム、アルブミン微粒子、ミクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)、またはマクロエマルジョン中に封入され得る。
【0206】
インビボ投与に用いられるべき製剤は無菌でなければならない。このことは、無菌ろ過膜を介するろ過により容易に成し遂げられる。
【0207】
FGF−CX組換え発現ベクターおよび宿主細胞
本発明に別の態様は、ベクター、好ましくは、FGF−CXタンパク質、誘導体、フラグメント、類似体、またはそれらの相同体をコード化する核酸を含有する発現ベクターに関する。本明細書において使用する、用語「ベクター」は、それが結合した別の核酸を輸送する能力のある核酸分子に言及する。ベクターの1つのタイプは、別のDNAセグメントが結合され得る環状二本鎖DNAループに言及する「プラスミド」である。ベクターの別のタイプは、ウイルスベクターであり、別のDNAセグメントは、ウイルスゲノムに結合され得る。あるベクター(例えば、細菌の複製開始点を有する細菌ベクターおよびエピゾームの哺乳類ベクター)は、そららが導入される宿主細胞において自立増殖できる。他のベクター(例えば、非エピゾーム哺乳類ベクター)は、宿主細胞への導入において宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それにより、宿主ゲノムと共に複製される。さらに、あるベクターは、作用可能に結合するゲノムの発現に指示することができる。かかるベクターは、本明細書において「発現ベクター」として言及される。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしばプラスミドの形である。本発明の明細書において、「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドはベクターの最も普通に用いられる形であるので、交互に用いられることができる。しかしながら、本発明は、等しい機能を有するウイルスベクター(例えば、複製能を欠いたレトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)のような、発現ベクターの他の形を含むことを意図する。
【0208】
本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸発現に適当な形で本発明の核酸を含み、このことは、組換え発現ベクターが、発現のために用いられる宿主細胞に基づき選択される1またはそれ以上の制御配列、発現されるべき核酸配列に作用可能に結合することを意味する。組換え発現ベクター内で、「作用可能に結合する」は、該ヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列の発現を可能とする哺乳動物において(例えば、インビトロの転写システム/翻訳システムにおいて、またはベクターが宿主細胞に導入される宿主細胞において)制御配列に結合することを意味することを意図する。用語「制御配列」は、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現調節エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図する。かかる制御配列は、例えば、Goeddel; Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)において記載される。制御配列は、宿主細胞の多くのタイプでのヌクレオチド配列の構成的発現に指示するもの、およびある宿主細胞でのヌクレオチドの発現に指示するもの(例えば、組織特異的制御配列)を含む。発現ベクターのデザインが形質転換されるべき宿主細胞の選択、望まれるタンパク質の発現のレベル等のような因子に依存し得ることは、当業者により理解される。本発明の発現ベクターは、宿主細胞に導入され、それにより、本明細書において記載される核酸によりコード化される融合タンパク質または融合ペプチドを含む、タンパク質またはペプチド(例えば、FGF−CXタンパク質、FGF−CXの成熟型、融合タンパク質等)を産生することができる。
【0209】
本発明の組換え発現ベクターは、原核細胞または真核細胞におけるFGF−CXの発現のためにデザインされる得る。例えば、FGF−CXは、E.coliのような細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用する)、酵母細胞、または哺乳類細胞において発現され得る。適当な宿主細胞は、Goeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)においてさらに記載される。または、組換え発現ベクターは、インビトロにおいて、例えば、T7プロモーター制御配列およびT7ポリメラーゼを用いて、転写および翻訳され得る。
【0210】
真核細胞でのタンパク質の発現は、融合または非融合タンパク質のいずれかの発現に指示する構成的または誘導性プロモーターを含有するベクターを有するE.coliにおいて、しばしば実行される。融合ベクターは、多くのアミノ酸を、それらにコード化されるタンパク質、普通は組換えタンパク質のアミノ末端に加える。かかる融合ベクターは、3つの目的:(1)組換えタンパク質の発現を増加するため;(2)組換えタンパク質の溶解性を増加するため;および(3)アフィニティー精製でのリガンドとして作用することにより組換えタンパク質の溶解性を増加するために、典型的に役立つ。しばしば、融合発現ベクターにおいて、タンパク質分解性の切断部位が、融合部分と組換えタンパク質との結合で導入され、融合部分からの組換えタンパク質の分離、引き続いて、融合タンパク質の精製を可能とする。かかる酵素、およびそれらの同族認識配列は、Xa因子、トロンビンおよびエンテロキナーゼを含む。典型的な融合発現ベクターは、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはタンパク質Aをそれぞれ標的組換えタンパク質に融合するpGEC(Pharmacia Biotech Inc; Smith and Johnson (1988) Gene 67:3140)、pMAL(New England Biolabs, Beverly, Mass.)およびpRIT5(Pharmacia, Piscataway, N.J.)を含む。
【0211】
適当な誘導性非融合E.coli発現ベクターの実施例は、pTrc(Amrann et al., (1988) Gene 69:301315)およびpET11d(Studier et al., Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990) 6089)を含む。
【0212】
E.coliでの組換えタンパク質発現を最大にする1つのストラテジーは、組換えタンパク質をタンパク質分解性に切断する障害性能力を有する宿主細菌でのタンパク質を発現することである。Gottesman, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990) 119128を参照されたい。別のストラテジーは、それそれのアミノ酸の個々のコドンがE.coliで優先的に利用されるものであるように、発現ベクターに挿入されるべき核酸の核酸配列を変えることである(Wada et al., (1992) Nucleic Acids Res. 20:21112118)。本発明の核酸配列のかかる変化は、標準DNA合成技術により実行されることができる。
【0213】
別の実施態様において、FGF−CX発現ベクターは酵母発現ベクターである。酵母S. cerivisaeでの発現のためのベクターの実施例は、pYepSec1(Baldari, et al., (1987) EMBO J 6:229234)、pMFa(Kurjan and Herskowitz, (1982) Cell 30:933943)、pJRY88(Schultz et al., (1987) Gene 54:113123)、pYES2(Invitrogen Corporation, San Diego, Calif.)、およびpicZ(InVitrogen Corp, San Diego, Calif.)を含む。
【0214】
代わりに、FGF−CXは、バキュロウイルス発現ベクターを用いる昆虫細胞において発現され得る。培養昆虫細胞(例えば、SF9細胞)でのタンパク質発現に利用可能なバキュロウイルスベクターは、pAcシリーズ(Smith et al. (1983) Mol Cell Biol 3:21562165)およびpVLシリーズ(Lucklow and Summers (1989) Virology 170:3139)を含む。
【0215】
なお別の実施態様において、本発明の核酸は、哺乳類発現ベクターを用いる哺乳類細胞において発現する。哺乳類発現ベクターの実施例は、pCDM8((1987) Nature 329:840を参照)およびpMT2PC(Kaufman et al. (1987) EMBO J 6:187195)を含む。哺乳類細胞において用いられると、発現ベクターの調節機能は、ウイルス制御エレメントによりしばしば提供される。例えば、普通に用いられるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびシミアンウイルス40由来である。原核細胞および真核細胞の両方に適当な他の発現システムについては、例えば、Chapters 16 and 17 of Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989を参照されたい。
【0216】
別の実施態様において、組換え哺乳類発現ベクターは、特定の細胞タイプにおいて核酸の発現を優先的に指示する能力がある(例えば、組織特異的制御エレメントを用いて、核酸を発現する)。組織特異的制御エレメントは、当分野において既知である。適当な組織特異的プロモーターの制限されない実施例は、アルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkert et al. (1987) Genes Dev 1:268277)、リンパ系特異的プロモーター(Calame and Eaton (1988) Adv Immunol 43:235275)、特にT細胞受容体のプロモーター(Winoto and Baltimore (1989) EMBO J 8:729733)および免疫グロブリンのプロモーター(Banerji et al. (1983) Cell 33:729740; Queen and Baltimore (1983) Cell 33:741748)、神経細胞特異的プロモーター(例えば、ニューロフィラメントプロモーター; Byrne and Ruddle (1989) PNAS 86:54735477)、膵臓特異的プロモーター(Edlund et al. (1985) Science 230:912916)、および乳腺特異的プロモーター(例えば、乳清プロモーター;米国特許番号4,873,316およびヨーロッパ出願公開番号264,166)を含む。発生的に制御されるプロモーターは、例えば、マウスhoxプロモーター(Kessel and Gruss (1990) Science 249:374379)およびα−フェトタンパク質プロモーター(Campes and Tilghman (1989) Genes Dev 3:537546)を包含する。
【0217】
本発明はさらに、発現ベクターの中にアンチセンスの配向でクローン化した本発明のDNA分子を含む組換え発現ベクターを提供する。即ち、DNA分子は、脳RNAに対してアンチセンスであるRNA分子の発現(DNA分子の転写による)を可能にするような様式で、調節配列に機能し得るように結合する。種々の細胞タイプ中のアンチセンスRNA分子の連続的発現を指示するアンチセンスの配向にクローン化した核酸に機能し得るように結合した調節配列、例えば、ウイルスのプロモーターおよび/またはエンハンサーを選択することができるか、またはアンチセンスRNAの組織特異的または細胞タイプ特異的な構成的発現を指示する調節配列を選択することができる。アンチセンス発現ベクターは、ベクターを導入した細胞タイプにより活性を決定する高効率調節領域の制御下で、アンチセンス核酸を生産する組換えプラスミド、ファージミドまたは弱毒化ウイルスの形であり得る。アンチセンス遺伝子を用いた遺伝子発現の調節の考察については、Weintraub, et al., 「Antisense RNA as a molecular tool for genetic analysis」 Reviews-Trends in Genetics, Vol. 1(1) 1986を参照されたい。
【0218】
本発明のもう一つの態様は、本発明の組換え発現ベクターを導入する宿主細胞に関する。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」を、本明細書においては互換的に使用する。そのような用語は、特定の対象の細胞のみならずそのような細胞の子孫または潜在的子孫をまた指すことを理解する。突然変異または環境の影響により後の世代に特定の修飾が生じるかもしれないため、そのような子孫は、実際には親細胞と同一ではないかもしれないが、本明細書において使用する用語の範囲内になお含まれる。
【0219】
宿主細胞は任意の原核細胞または真核細胞であり得る。例えば、FGF−CXタンパク質を、E. coliのような細菌細胞、昆虫細胞、酵母または哺乳動物細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞)のような細菌の細胞中で発現することができる。他の適当な宿主細胞は当業者に周知である。
【0220】
ベクターDNAを、従来の形質転換または形質移入技術により原核細胞または真核の細胞の中に導入することができる。本明細書において使用する用語「形質転換」および「形質移入」とは、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈、DEAE−デキストラン仲介性形質移入、リポフェクション、またはエレクトロポレーションを含む外来の核酸(例えばDNA)を宿主細胞に導入するために当分野で認める種々の技術を指すものとする。宿主細胞を形質転換しまたは形質移入するための適当な方法は、MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)および他の実験室マニュアルに見出すことができる。
【0221】
哺乳動物細胞の安定的な形質移入については、使用される発現ベクターおよび形質移入の技法に依存して、細胞のごく小数のフラクションが外来性DNAをそのゲノムの中に組み込み得る。これらの組み込み体を同定し選択するために、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質に対する抵抗性)が一般的に、興味のある遺伝子と一緒に宿主細胞に導入される。種々の選択可能なマーカーとしては、G418,ハイグロマイシンおよびメトトレキセートのような薬剤に抵抗性を与えるものが挙げられる。選択可能なマーカーをコードする核酸を、FGF−CXをコードするものと同一のベクター上で宿主細胞に導入することができか、または別のベクター上で導入することもできる。導入された核酸で安定に形質移入された細胞は、薬剤選択により同定されることができる(例えば、選択可能なマーカーを組み込んでいる細胞は生き残る一方で、他の細胞は死ぬ)。
【0222】
培地中の原核細胞または真核細胞のような本発明の宿主細胞を用いて、FGF−CXタンパク質を生産する(即ち、発現する)ことができる。したがって、本発明は、本発明の宿主細胞を用いるFGF−CXタンパク質の生産方法をさらに提供する。一つの実施態様では、その方法は、本発明の宿主細胞(その中にFGF−CXタンパク質をコードする組換え発現ベクターを導入する)を、FGF−CXタンパク質を生産するような適当な培地中で培養することを含む。もう一つの実施態様では、その方法は、培地または宿主細胞からFGF−CXタンパク質を単離することをさらに含む。
【0223】
トランスジェニック動物
本発明の宿主細胞をまた使用して、非ヒトトランスジェニック動物を生産し得る。例えば、一つの実施態様では、本発明の宿主細胞は、その中にFGF−CXタンパク質コード化配列を導入する受精卵母細胞または胚性幹細胞である。次いで、そのような宿主細胞を使用して、その中で外来性のFGF−CX配列をゲノムの中に導入する非ヒトトランスジェニック動物、またはその中で内在性のFGF−CX配列を変更する相同な組換え動物を創成することができる。そのような動物は、FGF−CXの機能および/または活性の研究にならびにFGF−CXタンパク質活性のモジュレーターの同定および/または評価に有用である。本明細書において使用する「トランスジェニック動物」とは、その中で動物の一つまたはそれ以上の細胞が導入遺伝子を含む非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはラットまたはマウスのようなげっ歯類である。トランスジェニック動物の他の例としては、ヒト以外の霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両棲類等を挙げ得る。導入遺伝子は、それからトランスジェニック動物が発生する細胞のゲノムの中に取り込まれ、そして成熟動物のゲノム内に残存して、それによりトランスジェニック動物の一つまたはそれ以上の細胞タイプまたは組織中におけるコード化遺伝子産物の発現を指令する外来性DNAである。本明細書において使用する「相同の組換え動物」とは、その中で内在性FGF−CX遺伝子が内在性遺伝子および、動物の細胞、例えば、動物の胚細胞の中に動物の発生前に導入された外来性DNA分子との間で相同組換えにより変更した非ヒト動物、好ましくは哺乳類、さらに好ましくはマウスである。
【0224】
本発明のトランスジェニック動物は、FGF−CXをコードする核酸を受精卵母細胞の雄性前核の中に、例えば、マイクロインジェクション、レトロウイルス感染により導入して、卵母細胞を偽妊娠雌性仮親動物の体内で発生することを可能にすることにより、創成することができる。配列番号:1のFGF−CXDNA配列を、非ヒト動物のゲノム内に導入遺伝子として導入することができる。これに代えて、マウスFGF−CX遺伝子のようなヒトFGF−CX遺伝子の非ヒト相同体を、ヒトFGF−CXのcDNAとのハイブリダイゼーション(上にさらに詳述)に基づいて単離して、導入遺伝子として使用し得る。イントロン配列およびポリアデニル化シグナルもまた、導入遺伝子の発現効率を増加するために導入遺伝子中に含み得る。組織特異的調節配列をFGF−CX導入遺伝子に機能し得るように結合して、特定の細胞にFGF−CXタンパク質の発現を指示し得る。胚の操作およびマイクロインジェクションによる、トランスジェニック動物、特にマウスのような動物の作成方法は当分野において従来的となってきており、例えば、米国特許番号4,736,866; 4,870,009; および4,873,191;ならびにHogan, 1986. In: MANIPULATING THE MOUSE EMBRYO, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.に記載されている。類似の方法を他のトランスジェニック動物の生産に用い得る。初代トランスジェニック動物を、ゲノム内のFGF−CX導入遺伝子の存在および/または動物の組織または細胞中におけるFGF−CXmRNAの発現に基づいて、同定し得る。次いで、初代トランスジェニック動物を、導入遺伝子を保持する追加的動物の繁殖に使用し得る。さらに、FGF−CXをコードする導入遺伝子を保持するトランスジェニック動物を使用して、他の導入遺伝子を保持するさらに別なトランスジェニック動物を繁殖し得る。
【0225】
相同の組換え動物を創成するために、その中に欠失、付加または置換を導入していて、それによりFGF−CX遺伝子を変化させる例えば機能的に破壊するあるFGF−CX遺伝子の少なくとも一部を含有するベクターを調製する。FGF−CX遺伝子は、ヒト遺伝子(例えば配列番号:1)であり得るが、さらに好ましくはヒトFGF−CX遺伝子の非ヒト相同体である。例えば、配列番号:1のヒトFGF−CX遺伝子のマウス相同体を使用して、マウスゲノム中の内在性FGF−CX遺伝子を変更するのに適する相同組換えベクターを構築することができる。一つの実施態様では、ベクターを、相同組換えにより、内在性遺伝子を機能的に破壊する(即ち、もはや機能的なタンパク質をコードしない;「ノックアウト」ベクターとも呼称する)ようにデザインする。
【0226】
これに代えて、ベクターは、相同組換えにより内在性FGF−CX遺伝子を変異するかまたは他のように変更するが、依然機能性タンパク質をコードする(例えば、上流の調節領域を変更してそれにより内在性FGF−CXタンパク質の発現を変更する)ようにデザインし得る。相同組換えベクターでは、FGF−CX遺伝子の変更したタンパク質は、FGF−CX遺伝子のさらに別な核酸により5'末端または3'末端に隣接して、ベクターにより保持する外来性FGF−CX遺伝子および胚性幹細胞中の内在性FGF−CX遺伝子の間で相同組換えが起こることを可能にする。さらに別な隣接FGF−CX核酸は、内在性遺伝子と成功裏に相同組換えが起きるように十分な長さを持つ。典型的には、数キロ塩基の隣接DNA(5'末端および3'末端の両方とも)をベクターに含み得る。相同組換えベクターの記載については、例えば、Thomas, et al., (1987). Cell 51: 503を参照されたい。次いで、ベクターを胚性幹細胞株に(例えば、エレクトロポレーションにより)導入し、そしてその中で導入したFGF−CX遺伝子を内在性FGF−CX遺伝子と相同的に組み換えた細胞を選択する(例えば、Li, et al., (1992). Cell 69: 915を参照)。
【0227】
次いで、選択した細胞を動物(例えば、マウス)の胚盤胞の中に注入して、凝集キメラを形成する。例えば、Bradley, 1987. In: TERATOCARCINOMAS AND EMBRYONIC STEM CELLS: A PRACTICAL APPROACH, Robertson, ed. IRL, Oxford, pp. 113-152を参照されたい。次いで、キメラ胚を適当な偽妊娠雌性仮親動物に植え込んで、胚を満期出産する。生殖細胞内に相同組換えしたDNAを保持している子孫を用いて、その中で動物の全ての細胞が、導入遺伝子の生殖系列を介した伝達により相同組換えDNAを含有する動物を繁殖させることができる。相同組換えベクターおよび相同組換え動物を構築する方法は、Bradley, (1991). Curr. Opin. Biotechnol. 2: 823-829; PCT国際公開第: WO90/11354号;WO91/01140号;WO92/0968号;およびWO93/04169号にさらに記載される。
【0228】
もう一つの実施態様では、導入遺伝子の調節発現を可能にする選択したシステムを含有する非ヒトトランスジェニック動物を生産し得る。そのようなシステムの一つの例は、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼシステムである。cre/loxPリコンビナーゼシステムの記載については、例えば、Lakso, et al., (1992). PNAS 89: 6232-6236を参照されたい。リコンビナーゼシステムのもう一つの例は、Saccharomyces cerevisiaeのFLPリコンビナーゼシステムである。O'Gorman, et al., (1991). Science 251:1351-1355を参照されたい。もしcre/loxPリコンビナーゼシステムを用いて導入遺伝子の発現を調節するならば、Creリコンビナーゼおよび選択したタンパク質の両方をコードする導入遺伝子を含有する動物が必要となる。そのような動物は、例えば、一つは選択したタンパク質をコードする導入遺伝子を含有し、他はリコンビナーゼをコードする導入遺伝子を含有する二つのトランスジェニック動物を交配させることによる「ダブル」トランスジェニック動物の構築により提供し得る。
【0229】
本明細書に説明した非ヒトトランスジェニック動物のクローンはまた、Wilmut, et al., (1997). Nature 385: 810-813. In brief, a cell, e.g., a somatic cellに記載された方法にしたがって生産することができる。略述すれば、トランスジェニック動物から細胞(例えば体細胞)を単離し、誘導して、増殖サイクルから抜け出てG0期に入ることができる。次いで、静止細胞を、例えば、電気パルスの使用により静止細胞を単離したのと同じ種類の動物由来の脱核した卵母細胞と融合することができる。次いで、再構成した卵母細胞を、それを桑実胚または胚盤胞にまで発生させて、次いで擬妊娠雌性仮親動物に導入するように培養する。この雌性仮親動物から生まれた子孫は、細胞、例えば、体細胞を単離する動物のクローンである。
【0230】
医薬組成物
本発明のFGF−CX核酸分子、FGF−CXタンパク質、抗−FGF−CX抗体(本明細書では「活性化合物」ともいう)、ならびにそれらの誘導体、フラグメント、類似体および相同体を投与に適する医薬組成物の中に組込み得る。典型的に、そのような組成物は核酸分子、タンパク質または抗体およびおよび医薬的に許容され得る担体を含む。本明細書において使用する「医薬的に許容され得る担体」とは、医薬品投与に適合する任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌および抗かび剤、等張および吸収遅延剤等を含むことを意図する。適当な担体は、この分野で標準的な参照テキストであるRemingtonの薬剤学の最新版(出典明示により本明細書の一部とする)に記載されている。そのような担体または賦形剤の好ましい例としては、水、食塩水、ビンガー溶液、ブドウ糖溶液および5%ヒト血清アルブミンを挙げるが、それらに限定しない。リポソームおよび脂肪油のような非水溶性ビークルもまた使用する。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および薬剤は当分野において周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性化合物に適合しない限りでなければ、組成物内のそれらの使用を意図する。補助的な活性化合物をまた、組成物の中に組込み得る。
【0231】
本発明の医薬組成物を、その意図する投与経路に適合するように処方する。投与経路の例としては、非経口の、例えば、静脈の、皮内の、皮下の、経口の(吸入)、経皮の(局所)、経粘膜のおよび直腸の投与を挙げ得る。非経口の、皮内のまたは皮下の応用に使用する溶液または懸濁液としては、以下の成分を挙げることができる:注射用水のような無菌賦形剤、食塩水溶液、脂肪油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝剤、ならびに塩化ナトリウムまたはブドウ糖のような等張性を調整する薬剤。塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基を用いてpHを調整することができる。非経口性製剤を、ガラスまたはプラスチックで作るアンプル、使い捨て注射器、または多回使用バイアルの中に封入し得る。
【0232】
注射用に適する医薬組成物としては、無菌水溶液(水溶性である場合)または分散液および無菌注射用の溶液または分散液の必要に応じて調合する製剤用の無菌粉末を挙げ得る。静脈投与のためには、適当な担体としては、生理食塩水、静菌性水、Cremophor EL[登録商標] (BASF, Parsippany, N.J.)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)を挙げ得る。全ての場合において、組成物は無菌でなければならず、容易に注射できる程度に流動性であるべきである。それは製造および保管の条件下で安定でなければならず、そして細菌および真菌のような微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコールおよび液性ポリエチレングリコール等)ならびにそれらの適当な混合液を含有する溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性を、例えば、レシチンのようなコーティングの使用により、分散液の場合には必要な粒子径の維持により、および界面活性剤の使用により、保持し得る。微生物作用の保護は、種々の抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等、により達成される。多くの場合に、組成物中に、等張性薬剤、例えば、砂糖、マニトールのようなポリアルコール、ソルビトール、塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成剤の吸収の延長は、組成物中に吸収を遅延する薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含むことによりもたらせ得る。
【0233】
無菌注射用溶液を、適切な溶媒の中に一つまたは上で列挙した成分の組合せと共に必要な量で活性化合物(例えば、あるFGF−CXタンパク質または抗FGF−CX抗体)を組み込み、ついでろ過滅菌を行なうことにより調製することができる。一般的に、分散液は、基本的な分散媒体および上で列挙したものから必要な他の成分を含有する無菌ビークルの中に活性化合物を組み込むことにより調製することができる。無菌注射用溶液の調製のための無菌粉末の場合には、調製方法は、活性成分の粉末プラス前もって無菌ろ過されたその溶液からの任意のさらに別の望ましい成分の粉末を生成する真空乾燥および凍結乾燥である。
【0234】
一般的に、経口の組成物は、不活性賦形剤または食用の担体を含む。それらをゼラチンカプセル中に封入するかまたは錠剤に打錠することができる。経口治療投与の目的には、活性化合物を添加物と共に組込んで錠剤、トローチまたはカプセルの形状で使用することができる。経口の組成物をまた、うがい薬としての使用のために液体担体を用いて調製し得るが、そこでは液体担体中の化合物を経口的に塗布し、さっと取り除いて、吐き出すか飲み込む。薬学的に適合する結合剤、おおび/またはアジュバント材料を組成物の一部として含み得る。錠剤、丸剤、カプセル、トローチ等は任意の以下の成分または同様な性質を持つ化合物を含有し得る:微結晶セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンのような結合剤;デンプンまたは乳糖のような添加剤、アルギン酸、プリモゲルまたはコーンスターチのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロートのような滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素のような滑り剤;ショ糖またはサッカリンのような甘味剤;またはハッカ、サルチル酸メチル、オレンジ香料のような着香剤。
【0235】
吸入による投与のためには、化合物を、適当な噴射剤、例えば二酸化炭素のようなガスを含有する加圧容器またはディスペンザー、またはネブライザーからエアゾールスプレイの形式で送達し得る。
【0236】
全身的投与はまた、経粘液または経皮手段により得る。経粘液または経皮投与のためには、透過すべきバリアーに適切な浸透剤を処方に使用する。そのような浸透剤は当分野において一般的に公知であり、そして、例えば、経粘液投与のためには、洗剤、胆汁酸塩、フシジン酸誘導体を挙げ得る。経粘液投与は鼻腔スプレーまたは坐剤の使用により達成され得る。経皮投与のためには、活性化合物は、当分野において一般的に公知であるように、軟膏、軟膏剤、ゲルまたはクリームの中に処方される。
【0237】
化合物をまた、直腸送達のために坐薬(例えば、ココアバターおよび他のグリセリドのような従来の坐剤用基材と共に)または保持浣腸剤の形式で調製し得る。
【0238】
一つの実施態様において、活性化合物を、インプラントおよびマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤のように、化合物を身体からの迅速な排泄から防止する担体と共に調製する。酢酸エチレンビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ酢酸のような、生物分解性で生体適合性のポリマーを使用し得る。そのような製剤を調製する方法は当業者に明らかである。材料はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc.から市販で入手可能である。リポソームの懸濁液(モノクローナル抗体を持つ感染した細胞からウイルス抗体に至って標的化したリポソームを含む)をまた、医薬的に許容され得る担体として使用することができる。これらを、例えば米国特許番号4,522,811に記載のように、当業者に公知の方法に従い調製し得る。
【0239】
投与の容易さおよび投与量の均一性のために、経口性または非経口性の組成物を単位投与剤型で処方することが特に有益である。本明細書で使用する単位投与剤型とは、処置する対象に対して単一の投与量として適する物理学的に分離した単位を指し;それぞれの単位は、必要な薬学的な担体と一緒に望ましい治療効果を生じるように計算した予め決められた量の活性化合物を含有する。本発明の単位投与剤型の規格は、活性化合物の特異な特色および達成するべき特別な治療効果により指示されかつ直接に依存する。
【0240】
本発明の核酸分子をベクターの中に挿入して遺伝子治療ベクターとして使用することができる。遺伝子治療ベクターを輸送して、例えば米国特許番号5,703,055に記載されるように多くの経路のいずれかによる対象とされ得る。従って、輸送はまた、例えば、静脈注射、局所投与により(米国特許番号5,328,470を参照)または走触性注射(例えば、Chen, et al., (1994). PNAS USA 91: 3054-3057を参照)を含む。遺伝子治療ベクターの医薬製剤は、許容される賦形剤の中に遺伝子治療ベクターを含むか、またはその中に遺伝子治療ベクターを埋め込んだ持続性マトリックスを含み得る。これに代えて、完全な遺伝子治療ベクターを組換え細胞、例えばレテロウイルスベクターから無傷で生産し得る場合には、医薬製剤は遺伝子送達システムを生産する一つまたはそれ以上の細胞を含み得る。
医薬製剤を、投与指示書と共に、容器、パックまたはディスペンサーの中に含み得る。
【0241】
本発明の使用および方法
本明細書のおいて記載される核酸分子、タンパク質、タンパク質相同体、および抗体は、以下の方法の1つまたはそれ以上において用いられ得る:(a)スクリーニングアッセイ;(b)検出アッセイ(例えば、染色体マッピング、組織タイピング、法医学的生物学)、(c)予測医療(例えば、診断アッセイ、予測アッセイ、臨床試験のモニタリング、および薬理ゲノミクス);および(d)処置方法(例えば、治療的および予防的)。本明細書において記載されるように、ある実施態様において、本発明のFGF−CXタンパク質はATPに結合する能力を有する。
【0242】
以下に詳述するように、本発明の単離核酸分子を使用して、FGF−CXタンパク質を発現し(例えば、遺伝子治療応用において宿主細胞中で組換え発現ベクターを介して)、FGF−CXmRNA(例えば、生物学的試料中の)またはFGF−CX遺伝子中の遺伝的欠損を検出し、そしてFGF−CX活性を調整することができる。加えて、FGF−CXタンパク質を用いて、FGF−CXの活性または発現を調整する薬または化合物をスクリーニングし、ならびに、例えば、増殖性疾患または分化性疾患のようなFGF−CXタンパク質の不十分なまたは過剰な生産、またはFGF−CXの野生型タンパク質と比較して低下または異常な活性を有するFGF−CXタンパク質型の生産を特徴とする疾患を処置し得る。加えて、本発明の抗FGF−CX抗体を使用して、FGF−CXタンパク質を検出しかつ単離し、そしてFGF−CX活性を調整し得る。
本発明はさらに、本明細書に説明するスクリーニングアッセイで同定する新規な薬剤および上述の処置のためのそれらの使用に関する。
【0243】
スクリーニングアッセイ
本発明は、モジュレーター、即ち、FGF−CXタンパク質に結合するか、または、例えばFGF−CXの発現またはFGF−CXの活性に促進的または阻害的作用を有する候補または試験化合物または薬剤(例えば、ペプチド、ペプチドミメティクス、低分子または他の薬)を同定する方法(本明細書では「スクリーニングアッセイ」とも呼称する)を提供する。
【0244】
一つの実施態様では、本発明は、膜結合型のあるFGF−CXタンパク質またはポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分の活性を調整する候補または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。本発明の試験化合物を、生物学的ライブラリー;空間的にアドレス参照可能な並列の固相または液相ライブラリー;デコンボリューションを必要とする合成的ライブラリー方法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー方法;およびアフィニティークロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリー方法:を含む、当分野において周知のコンビナトリアルライブラリーにおける数多くのアプローチのいずれを用いても得られる。生物学的ライブラリーのアプローチはペプチドライブラリーに限定される一方で、他の4種のアプローチはペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは化合物の低分子ライブラリーに適用可能である。例えば、Lam, 1997. Anticancer Drug Design 12: 145を参照されたい。
【0245】
分子ライブラリー合成方法の例を、例えば、DeWitt, et al., (1993). Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90: 6909、Erb, et al., (1994). Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91: 11422、Zuckermann, et al., (1994). J. Med. Chem. 37: 2678、Cho, et al., (1993). Science 261: 1303; Carrell, et al., (1994). Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2059、Carell, et al., (1994). Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2061、およびGallop, et al., (1994). J. Med. Chem. 37: 1233における当分野に見出し得る。
【0246】
化合物のライブラリーを、溶液中で(例えば、Houghten, (1992). Biotechniques 13: 412-421)、またはビーズ上で(Lam, (1991). Nature 354: 82-84)、チップ上で(Fodor, (1993). Nature 364: 555-556)、バクテリア(Ladner, 米国特許番号5,223,409)、胞子 (Ladner, 米国特許番号5,233,409)、プラスミド (Cull, et al., (1992). Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 1865-1869)上でまたはファージ上で(Scott and Smith, (1990). Science 249: 386-390; Devlin, (1990). Science 249: 404-406、Cwirla, et al., (1990). Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87: 6378-6382、Felici, (1991). J. Mol. Biol. 222: 301-310)で提供し得る。
【0247】
ある実施態様では、アッセイは細胞に基づくアッセイであり、そこでは膜結合型のFGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を細胞表面に発現する細胞を試験化合物と接触させ、そして試験化合物があるFGF−CXタンパク質に結合する能力を測定する。細胞は、例えば、哺乳動物由来または酵母細胞であり得る。試験化合物がFGF−CXタンパク質に結合する能力を測定することは、例えば、試験化合物を放射性同位元素または酵素標識とカップリングして、FGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分への試験化合物の結合を、複合物中の標識化合物を検出することにより測定できるようにする。例えば、試験化合物を、125I、35S、14Cまたは3Hで直接的にまたは間接的に標識し、そして放射性同位元素を放射線放射の直接計数またはシンチレーション計数により検出する。これに代えて、試験化合物を、例えば、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼにより酵素的に標識し、そして適切な基質の生産物への変換の測定により酵素標識を検出する。ある実施態様では、アッセイは、膜結合型のFGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を細胞表面に発現する細胞を、FGF−CXに結合する既知の化合物と接触して、アッセイ混合物を形成して、アッセイ混合物を試験化合物と接触し、そして試験化合物があるFGF−CXタンパク質と相互作用する能力を測定することを含むが、そこでは試験化合物があるFGF−CXタンパク質と相互作用する能力を測定することは、試験化合物がFGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分に、既知化合物と比較して優先的に結合する能力を測定することを含む。
【0248】
もう一つの実施態様では、アッセイは細胞に基づくアッセイであり、膜結合型のFGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を細胞表面に発現する細胞を試験化合物と接触し、そして試験化合物がFGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分の活性を調整する(例えば促進または阻害する)能力を測定することを含む。試験化合物がFGF−CXまたはその生物学的に活性な部分の活性を調整する活性を測定することは、例えば、FGF−CXタンパク質があるFGF−CXの標的分子と結合するかまたは相互作用をする能力を測定することにより達成し得る。本明細書において使用する「標的分子」とは、自然界にあるFGF−CXタンパク質が結合または相互作用する分子、例えば、あるFGF−CXと相互作用するタンパク質を発現する細胞表面の分子、2番目の細胞表面の分子、細胞外の環境中の分子、細胞膜の内側表面と会合している分子または細胞質の分子である。FGF−CXの標的分子は、非FGF−CX分子または本発明のあるFGF−CXタンパク質またはポリペプチドであり得る。一つの実施態様では、あるFGF−CXの標的分子は、細胞外のシグナル(例えば、膜結合FGF−CX分子への化合物の結合により発生するシグナル)を細胞膜を通してかつ細胞内への伝達を促進する情報伝達経路の成分である。標的は、例えば、触媒活性を有する2番目の細胞内タンパク質または下流のシグナル分子とFGF−CXとの会合を促進するタンパク質であり得る。
【0249】
FGF−CXタンパク質を、あるFGF−CXの標的分子と結合するかまたは相互作用をする能力を測定することは、直接的な結合を測定する上述の方法の一つにより達成し得る。一つの実施態様では、FGF−CXタンパク質があるFGF−CXの標的分子と結合または相互作用する能力を測定することは、標的分子の活性を測定することにより達成することができる。例えば、標的分子の活性を、標的の細胞性第二のメッセンジャー(即ち、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IP3等)の誘導を検出すること、適切な基質に対する標的の触媒/酵素活性を検出すること、受容体遺伝子(検出可能なマーカー、例えば、ルシフェラーゼ、をコードする核酸に機能し得るように結合したFGF−CX応答性調節要素を含む)の誘導を検出すること、または細胞応答、例えば、細胞の生存、細胞の分化、または細胞の増殖、を検出することにより測定し得る。
【0250】
なおもう一つの実施態様では、本発明のアッセイは無細胞アッセイであって、あるFGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を試験化合物と接触し、そして試験化合物がFGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分と結合する能力を測定することを含む。FGF−CXタンパク質への試験化合物の結合を、上述のように、直接的または間接的のどちらかで測定することができる。一つのそのような実施態様では、アッセイは、FGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分をFGF−CXと結合する既知の化合物と接触して、アッセイ混合物を形成すること、アッセイ混合物を試験化合物と接触すること、および試験化合物があるFGF−CXタンパク質と相互作用する能力を測定することを含むが、そこでは試験化合物があるFGF−CXタンパク質と相互作用する能力を測定することは、試験化合物がFGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分に既知化合物と比較して優先的に結合する能力を測定することを含む。
【0251】
なおもう一つの実施態様では、アッセイは、FGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性なタンパク質を試験化合物と接触し、そして試験化合物がFGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性なタンパク質の活性を調整する(例えば促進または阻害する)能力を測定することを含む無細胞アッセイである。FGF−CXの活性を調整する試験化合物の能力を測定することは、例えば、FGF−CXタンパク質があるFGF−CXの標的分子に結合する活性を直接な結合を測定するために上述した方法の一つにより達成することができる。さらに別の実施態様では、試験化合物がFGF−CXタンパク質の活性を調節する能力を測定することは、FGF−CXタンパク質がさらにあるFGF−CXの標的分子を調整する能力を測定することにより達成することができる。例えば、適切な基質に対する標的分子の触媒/酵素活性を上述のように測定することができる。
【0252】
なおもう一つの実施態様では、無細胞アッセイは、FGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分をFGF−CXタンパク質と結合する既知の化合物と接触して、アッセイ混合物を形成すること、アッセイ混合物を試験化合物と接触すること、そして試験化合物がFGF−CXタンパク質と相互作用する能力を測定することを含むが、そこでは試験化合物があるFGF−CXタンパク質と相互作用する能力を測定することは、FGF−CXタンパク質があるFGF−CXの標的分子に優先的に結合するかまたはその活性を調整する能力を測定することを含む。
【0253】
本発明の無細胞アッセイは、可溶性型または膜結合型のFGF−CXタンパク質の両方に使用することができる。膜結合型のFGF−CXタンパク質を含む無細胞アッセイの場合には、膜結合型のFGF−CXタンパク質を溶液中に維持するように、可溶化剤を利用するのが望ましい。そのような可溶化剤の例としては、n−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、Triton[登録商標]X-100、Triton[登録商標]X-114、Thesit[登録商標]、イソトリデシポリ(エチレングリコールエーテル)nのような非イオン性界面活性剤、N−ドデシル−N,N−ジメチル−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、3−(3−クロルアミドプロピル)ジメチルアミニオール−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、または3−(3−クロルアミドプロピル)ジメチルアミニオール−2ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(CHAPSO)を挙げ得る。
【0254】
本発明の上記のアッセイ法の二つ以上の実施態様において、FGF−CXタンパク質またはその標的分子を固相化して、一つまたは両方のタンパク質の非複合型から複合型の分離を容易にし、ならびにアッセイの自動化に適合することができる。試験化合物のFGF−CXタンパク質への結合、または候補化合物存在下および非存在下でのFGF−CXタンパク質と標的分子との相互作用は、反応物質を含有するのに適する任意の容器において達成することができる。そのような容器の例としては、マイクロタイタープレート、試験管、およびマイクロ遠心チューブを挙げ得る。一つの実施態様では、一つまたは両方のタンパク質をマトリックスに結合することを可能にするドメインを付加する融合タンパク質を提供し得る。例えば、GST−FGF−CX融合タンパク質またはGST−標的融合タンパク質をグルタチオンセファローズビーズ(Sigma Chemical, St. Louis, MO)またはグルタチオンで誘導体化したマイクロタイタープレート上に吸着し、これを次いで試験化合物、または試験化合物および非吸着標的タンパク質またはFGF−CXタンパク質のどちらかと結合し、そして混合物を複合体形成を促進する条件下で(例えば、塩およびpHに関して生理的な条件で)インキュベートする。インキュベーション後、ビーズまたはマイクロタイタープレート穴を洗滌して、非結合成分を全て除去し、ビーズの場合にはマトリックスを固定化し、複合体を例えば上述のように、直接的にまたは間接的に測定する。これに代えて、複合体をマトリックスから解離し、そしてFGF−CXタンパク質の結合または活性レベルを標準的技術を用いて測定することもできる。
【0255】
マトリックス上にタンパク質を固定化する他の技術をまた、本発明のスクリーニングアッセイに使用し得る。例えば、FGF−CXタンパク質またはその標的分子のいずれかをビオチンおよびストレプトアビジンの結合を利用して固定化することができる。ビオチニル化FGF−CXタンパク質または標的分子をビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−サクシンイミド)から当分野内で周知の技術(例えば、ビオチニル化キット、Pierce Chemicals, Rockford, Ill.)を用いて調製して、ストレプトアビジンをコーティングした96穴プレート(Pierce Chemical)の穴に固定化することができる。これに代えて、FGF−CXタンパク質または標的分子と反応性であるが、FGF−CXタンパク質のその標的タンパク質への結合を妨害しない抗体をプレートの穴に誘導体化して、非結合標的またはFGF−CXタンパク質を抗体との結合により穴に捕捉することができる。そのような複合体を検出する方法としては、GST−固定化複合体について上述したものに加えて、FGF−CXタンパク質または標的分子と反応する抗体を用いる複合体の免疫検出、ならびにFGF−CXタンパク質または標的分子に関連した酵素活性を検出することに依存する酵素結合アッセイを挙げ得る。
【0256】
もう一つの実施態様では、FGF−CXタンパク質発現のモジュレータを、細胞を候補化合物と接触し、細胞中のFGF−CXmRNAまたはタンパク質の発現を測定する方法で同定する。候補化合物の存在下でのFGF−CXmRNAまたはタンパク質の発現レベルを、候補化合物の非存在下でのFGF−CXmRNAまたはタンパク質の発現レベルと比較する。次いで、候補化合物を、この比較に基づいてFGF−CXmRNAまたはタンパク質のモジュレータとして同定し得る。例えば、FGF−CXmRNAまたはタンパク質の発現を候補化合物の存在下での方がその非存在下でよりも多い(即ち統計的に有意に多い)ときには、候補化合物を、FGF−CXmRNAまたはタンパク質発現の促進剤として同定する。これに代えて、FGF−CXmRNAまたはタンパク質の発現が候補化合物の存在下での方がその非存在下でよりも少ない(即ち統計的に有意に少ない)ときには、候補化合物を、FGF−CXmRNAまたはタンパク質発現の阻害剤として同定する。細胞中のFGF−CXmRNAまたはタンパク質の発現のレベルを、FGF−CXmRNAまたはタンパク質を検出するために本明細書で説明する方法により測定することができる。
【0257】
本発明のなおもう一つの態様では、FGF−CXタンパク質は2ハイブリッドアッセイまたは3ハイブリッドアッセイ(例えば米国特許番号5,283,317、Zervos, et al., 1993. Cell 72: 223-232、Madura, et al., 1993. J. Biol. Chem. 268: 12046-12054、Bartel, et al., 1993. Biotechniques 14: 920-924、Iwabuchi, et al., 1993. Oncogene 8: 1693-1696、および Brent 第WO94/10300号を参照)おける「ベイトタンパク質」として使用して、FGF−CXと結合または相互作用をしてFGF−CX活性を調整する他のタンパク質(「FGF−CX結合タンパク質」または「FGF−CX−bp」)を同定し得る。そのようなFGF−CX結合タンパク質はまた、例えば、FGF−CX経路の上流または下流の要素としてFGF−CXタンパク質によるシグナルの増幅に関与する。
【0258】
2ハイブリッドシステムは、分離可能なDNA結合および活性化ドメインより成る殆どの転写因子のモジュール構成的性質に基づく。略述すれば、アッセイには2つの異なるDNA構築物を利用する。1つの構築物においては、FGF−CXをコードする遺伝子を既知の転写因子(例えば、GAL−4)のDNA結合ドメインをコードする遺伝子に融合する。他の構築物においては、未同定のタンパク質(「プレイ」または「試料」)をコードするDNA配列ライブラリー由来のDNAを、既知の転写因子の活性化ドメインをコードする遺伝子に融合する。もし「ベイト」および「プレイ」タンパク質がインビボで相互作用してFGF−CX依存性複合体を形成することができれば、転写因子のDNA結合および活性化ドメインを近くに引き寄せ得る。この近接は、転写因子に応答性の転写調節部位に機能し得るように結合したレポーター遺伝子(例えば、LacZ)の転写を可能にする。レポーター遺伝子の発現を検出し、機能的転写因子を含有する細胞コロニーを単離し、そしてこれを用いてFGF−CXと相互作用するタンパク質をコードするクローン化遺伝子を得ることができる。
本発明はさらに前述のスクリーニングアッセイにより同定する新規薬剤および本明細書に説明する処置へのその使用に関する。
【0259】
検出アッセイ
本明細書で同定するcDNAの一部またはフラグメント(および対応する完全な遺伝子配列)をポリヌクレオチド試薬として種々の方式で使用することができる。例として、限定は無しに、これらの配列を:(i)染色体上にそれぞれの遺伝子をマップし;かくして遺伝的疾患に関連した遺伝子領域を位置決定する;(ii)微量の生物学的試料から個体を同定する(組織タイピング);および(iii)生物学的試料の法医学的同定を助けるために用い得る。
【0260】
本発明のFGF−CX配列をまた使用して、微量な生物学的試料から個体を同定し得る。この技術では、個体のゲノムDNAを一つまたはそれ以上の制限酵素で消化して、サザンブロット上でプローブ結合し、同定用のユニークなバンドを生成する。本発明の配列は、RFLP(制限断片長多型、米国特許番号5,272,057に記載)のさらに別なDNAマーカーとして有用である。
【0261】
さらに、本発明の配列を使用して、個体のゲノムの選択した部分の実際の塩基ごとのDNA配列を測定するさらに別な技術を提供し得る。かくして、本明細書に説明したFGF−CX配列を用いて、配列の5'末端および3'末端から二つののPCRプライマーを調製し得る。次いで、これらのプライマーを用いて、個体のDNAを増幅し、引き続いてこれをシークエンシングし得る。
【0262】
それぞれの個体は、対立遺伝子の違いによるそのようなDNAの特徴的セットを有するため、この様式で調製した個体由来の対応するDNA配列のパネルは、特徴的個体の同定を提供し得る。本発明の配列を使用して、個体および組織由来のそのような同定配列を得ることができる。本発明のFGF−CX配列は、ヒトゲノムの部分を特徴的に表現する。対立遺伝子の変異は、これらの配列のコード化領域中にある程度起こり、そして非コード化領域中にはより大きな程度で起こる。個別のヒト間の対立遺伝子の変異は、500塩基に約1個の頻度で起こるとみつもられる。対立遺伝子変異の多くは、制限断片長多型(RFLP)を含む単一ヌクレオチド多型(SNP)に因る。
【0263】
本明細書に説明する配列のそれぞれを、個体由来のDNAを同定の目的で比較し得る標準として、ある程度、使用し得る。上述した様に配列番号:1の非コード化領域にはより多くの遺伝子多型が起こるため、個体を識別するにはより少ない配列が必要である。非コード化配列は、それぞれが100塩基の非コード化増幅配列を生じる多分10〜1,000個のプライマーのパネルにより個体の明白な同定を無理なく提供し得る。もし予想するコード化配列を使用すれば、明白な個体の同定のためのさらに適切なプライマーの数は500〜2,000である。
【0264】
予測医学
本発明はまた、診断アッセイ、予後アッセイ、薬理ゲノミクス、および臨床試験のモニタリングを予後的(予測的)目的で使用し、それにより個体を予防的に処置する、予測医学の分野に関する。したがって、本発明の1つの態様は、FGF−CXタンパク質および/または核酸の発現ならびにFGF−CX活性を生物学的試料(例えば、血液、血清、細胞、組織)との関連で測定して、それにより個体が異常なFGF−CXの発現または活性に関連した疾患または障害に罹患しているか、または障害を発症するリスクを有しているか否かを測定するための診断アッセイに関する。本発明はまた、個体がFGF−CXタンパク質、核酸の発現または活性に関連した障害を発症するリスクを有しているか否かを測定するための予後的(予測的)アッセイを提供する。例えば、あるFGF−CX遺伝子の突然変異を生物学的試料中でアッセイし得る。そのようなアッセイを、予後的または予測的目的に使用し、それによりFGF−CXタンパク質、核酸の発現または活性を特徴とするかまたはこれと関連する障害の発生に先立って個体を予防的に処置し得る。
【0265】
本発明のもう一つの態様は、個体におけるFGF−CXタンパク質、核酸発現または活性を測定し、それによりその個体にとって適切な治療的または予防的な薬剤を選択する方法(本明細書では「薬理ゲノミクス」と呼称する)を提供する。薬理ゲノミクスは、個体の遺伝子型に基づいた個体の治療的または予防的処置のための薬剤(例えば薬)の選択を可能にする(例えば、個体の遺伝子型を検査して、個体が特定の薬剤に応答する能力を測定する)。
【0266】
本発明のなおもう一つの態様は、薬剤(例えば、薬、化合物)が臨床試験においてFGF−CXの発現または活性に与える影響をモニタリングすることに関する。
これらおよび他の薬剤については以下のセクションで詳細に説明する。
【0267】
診断アッセイ
線維芽細胞成長因子FGF−1ないしFGF−9は、特定の成長因子受容体を輸送する細胞において細胞増殖を一般に促進する。FGF成長促進の実施例は、手術後の眼球前部での線維芽細胞およびケラチノサイトのような上皮細胞を含む。細胞の増殖が機能する他の条件は、腫瘍、再狭窄、乾癬、デュピュイトレン拘縮、糖尿病合併症、カポジ肉腫および関節リウマチを含む。
【0268】
FGF−CXは、試料または組織中の対応する線維芽細胞成長因子受容体CX(FGFRCX)を検出する本発明の方法において用いられる。方法は、細胞または組織をFGF−CXと接触させること、受容体−リガンド対の形成を可能とし、任意のFGFRCX:FGF−CX対を検出することを含む。FGF−CXを含有する組成物を用いて、例えば、軟骨または骨修復を刺激するために、FGFRCX活性を増大させることができる。FGF−CX拮抗物質またはFGF−CX結合試薬(例えば、抗FGF−CX抗体)を含有する組成物は、FGF−CXの過剰またはFGFRCXの過剰活性、特に多数または唯一の遺伝性外骨腫症、外反母趾変形、軟骨形成不全、滑膜骨軟骨腫症およびendochondromasにより引き起こされる疾病を処置するために用いられ得る。
【0269】
グリア細胞活性化因子(GAF)およびGAFをコード化するDNAは、グリア細胞の成長を特異的に促進するために働く。GAFがグリア細胞の活性化を調節するために利用され得るグリア関連疾患のいくつかの実施例は、大脳傷害、大脳浮腫、老年痴呆、アルツハイマー病、糖尿病性神経障害等である。同様に、FGF−CXは、グリア細胞関連疾患の診断または処置において用いられ得る。FGF−CXのグリア細胞調節活性は、神経保護様活性としてであり、FGF−CXは、神経保護試薬として用いられ得る。グリア活性化因子として元々同定されたFGF−CXのFGF−9に対する近接する相同性に起因し、FGF−CX配列がグリア活性化因子であることを推定できる。FGF−CXは、それゆえ、グリア細胞の成長を刺激するために用いられ、大脳傷害の治癒を促進するか、または大脳浮腫、老年痴呆、アルツハイマー病、または糖尿病性神経障害を処置するために用いられ得る。
【0270】
FGF−CXはまた、用いて、線維芽細胞(火傷、傷、潰瘍の治癒を加速するために)、巨核球(血小板の数を増加するための)、造血細胞、免疫システム細胞、および血管の平滑筋細胞を刺激し得る。FGF−CXはまた、骨形成促進活性を有すると予測され、かつ骨折および骨粗鬆症の両方の処置に用いられ得る。FGF−CXポリペプチドまたは核酸部分のアッセイは、大脳腫瘍の診断で用いられ得るし、抗体もかかる腫瘍の処置のために用いられ得る。それはまた、培養細胞の成長を促進する物質として用いられ得る。処置される疾患のタイプまたは重症度に非常に依存するが、予測投与量は、1日当たり、1ng〜0.1mg/体重である。FGF−CXポリペプチドは、血小板増加物質、骨形成促進物質として、または大脳疾病または肝硬変のような肝障害のために用いられ得る。それらはまた、抗癌剤と一緒に用いられると癌を処置し得る。FGF−CXポリペプチド、またはフラグメント、誘導体、またはそれらの類似体に対して指示する抗体を、FGF−CXポリペプチドの生物学的活性を検出または決定するため、またはFGF−CXポリペプチドを精製するために用いられ得る。FGF−CXの細胞成長活性を中和もするこれらの抗体は、抗癌剤として用いられ得る。
【0271】
全部ではないが、当分野において既知の相同タンパク質は、密接に関係し、または同一の機能を有する。例えば、Lewin, "Chapter 21: Structural Genes Belong to Families" In: Genes II, 1985, John Wiley and Sons, Inc., New Yorkを参照されたい。FGF−CXポリペプチドは、高増殖性組織(例えば、上述のKoga et al.,を参照)で特異的に発現するべきと明らかに見られるアフリカツメガエルXFGF−CXタンパク質に非常に似ている。それゆえ、FGF−CXはまた高増殖性組織での細胞活性を調節することは推定される。従って、FGF−CXは、かかる成長が抑制または阻害された病態に打ち勝つために増殖性疾患の診断、および細胞および組織の成長の刺激において特に有用であり得る。配列番号:1のFGF−CX核酸の任意の位置に対応するオリゴヌクレオチドは、用いられて、FGF−CX様遺伝子の発現を検出し得る。本発明のタンパク質は、タンパク質に免疫特異的に結合する抗体の産生を刺激するために用いられ得る。かかる抗体は、試料中のタンパク質の発生を検出するための免疫診断的方法で用いられ得る。本発明のタンパク質は、かかる成長が好ましいものである条件下で、細胞成長および細胞増殖を刺激するために用いられ得る。実施例は、例えば、血管新生および血小板形成、消化管の内壁、および毛包への化学療法剤の反対の毒性副作用である。それらはまた、例えば、アルツハイマー病を含む神経性疾患での新たな細胞成長を刺激するために用いられ得る。または、拮抗作用的な処置は、本発明のFGF−CX様タンパク質に免疫特異的に結合する抗体がタンパク質の特異的な成長誘導作用を抑制するので投与され得る。かかる抗体は、例えば、様々な腫瘍および良性過形成を含む増殖性疾患の処置において有用であり得る
【0272】
生物学的試料中におけるFGF−CXの存在または非存在を検出する例示的な方法は、被験対象から生物学的試料を得ること、および生物学的試料をFGF−CXタンパク質またはFGF−CXタンパク質をコードする核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)を検出する能力のある化合物または薬剤と接触し、FGF−CXの存在が生物学的試料中で検出できるようにすることを伴う。FGF−CXmRNAまたはゲノムDNAの検出用の薬剤は、FGF−CXmRNAまたはゲノムDNAとハイブリダイズする能力のある標識核酸プローブである。核酸プローブは、上述のように、例えば、配列番号:1の核酸のような全長FGF−CX核酸、または少なくとも15、30、50、100、250または500ヌクレオチド長でそして厳密な条件下でFGF−CXmRNAまたはゲノムDNAに特異的にハイブリダイズするのに十分なオリゴヌクレオチドの一部である。本発明の診断的アッセイにおいて使用するための他の適当なプローブを本明細書で説明する。
【0273】
FGF−CXタンパク質検出用の薬剤は、FGF−CXタンパク質に結合する能力のある抗体、好ましくは検出可能な標識を持つ抗体である。抗体は、ポリクローナル、またはさらに好ましくはモノクローナルであり得る。インタクトな抗体、またはそのフラグメント(例えば、FabまたはF(ab')2)を使用し得る。プローブまたは抗体に関する用語「標識」とは、検出可能な物質をプローブまたは抗体にカップリングする(即ち物理的に連結する)ことによりプローブまたは抗体を直接的に標識すること、ならびに直接標識したもう一つの試薬との反応性によりプローブまたは抗体を間接的に標識することを包含する。間接的な標識の例としては、蛍光標識した第2抗体を用いた第1抗体の検出、および蛍光標識したストレブトアビジンで検出し得るように、ビオチンでDNAプローブを末端標識することを挙げ得る。用語「生物学的試料」とは、対象から単離した組織、細胞および生物学的流体、ならびに対象内に存在する組織、細胞および流体を含む。即ち、本発明の検出法を使用して、インビトロおよびインビボで生物学的試料中のFGF−CXmRNA、タンパク質、またはゲノムDNAを検出し得る。例えば、FGF−CXmRNAの検出のためのインビトロ技術としては、ノーザンハイブリダイゼーションおよびインシツハイブリダイゼーションを挙げ得る。FGF−CXタンパク質を検出するためのインビトロ技術としては、酵素結合免疫測定法(ELISA)、ウエスタンブロット、免疫沈降、および免疫蛍光を挙げ得る。FGF−CXゲノムDNAを検出するためのインビトロ技術としては、サザンハイブリダイゼーションを挙げ得る。さらに、FGF−CXタンパク質を検出するためのインビボ技術は、対象中へ標識抗FGF−CX抗体を導入することを含む。例えば、抗体を、対象中のその存在および位置を標準造影技術で検出し得る放射活性マーカーで標識することができる。
【0274】
一つの実施態様では、生物学的試料は被験対象由来のタンパク質分子を含有する。これ代えて、生物学的試料は、被験対象由来のmRNA分子または被験対象由来のゲノムDNA分子を含有し得る。好ましい生物学的試料は、対象より従来の手段で単離した末梢血白血球試料である。
【0275】
もう一つの実施態様では、方法は、対照対象から対照の生物学的試料を得ること、対照試料をFGF−CXタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAを検出する能力のある化合物または薬剤と、FGF−CXタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在を生物学的試料中で検出するように接触すること、および対照試料中のFGF−CXタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在を試験試料中のFGF−CXタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAと比較することをさらに伴う。
【0276】
本発明はまた、生物学的試料中のFGF−CXの存在を検出するキットを包含する。例えば、キットは:生物学的試料中のFGF−CXタンパク質またはmRNAを検出する能力のある標識化合物または薬剤;試料中のFGF−CXの量を測定する手段;および試料中のFGF−CXの量を標準と比較する手段を含み得る。化合物および薬剤を適当な容器中に包装し得る。キットは、FGF−CXタンパク質または核酸を検出するキットの使用のための使用説明書をさらに含み得る。
【0277】
予後アッセイ
さらに、本明細書に説明する診断方法を利用して、異常FGF−CXの発現または活性に関連した疾患または障害を有するかまたは発症するリスクにある対象を同定し得る。例えば、先行の診断アッセイおよび以下のアッセイのような、本明細書で説明するアッセイを利用して、例えば、過形成、腫瘍、再狭窄、乾癬、デピュイトレン拘縮、糖尿病性合併症、または関節リウマチ等のような増殖性疾患または分化性疾患;および大脳障害、糖尿病性神経障害、大脳浮腫、老年痴呆、アルツハイマー病等のようなグリア細胞関連疾患でのFGF−CXタンパク質、核酸の発現または活性に関連した障害を有するかまたは発症するリスクにある対象を同定し得る。これに代えて、予後アッセイを利用して、疾患または障害を有するかまたは発症するリスクにある対象を同定し得る。かくして、本発明は、試験試料を対象から得て、そして異常なFGF−CXタンパク質または核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)を検出する異常なFGF−CXの発現または活性に関連した疾患または障害を同定する方法を提供し、そこではFGF−CXタンパク質または核酸の存在は、異常なFGF−CXの発現または活性に関連した疾患または障害を有するかまたは発症するリスクにある対象に対する診断になる。本明細書において使用する「試験試料」とは、興味のある対象から得られる生物学的試料を指す。例えば、試験試料は生物学的流体(例えば血清)、細胞試料、または組織であり得る。
【0278】
さらに、本明細書に説明する予後アッセイを使用して、異常なFGF−CXの発現または活性に関連した疾患または障害を処置するために、対象に薬剤(例えばアゴニスト、アンタゴニスト、ペプチドミメティック、タンパク質、ペプチド、核酸、低分子、または他の医薬候補物)を投与することができるか否かを決定し得る。例えば、そのような方法を使用して、対象の増殖性疾患、分化性疾患、グリア細胞関連疾患などのような疾患を薬剤により有効に処置するか否かを決定し得る。かくして、本発明は、試験試料を得て、FGF−CXタンパク質または核酸を検出する異常なFGF−CXの発現または活性に関連した障害を薬剤により対象を有効に処置し得るか否かを決定する方法を提供する(例えば、そこではFGF−CXタンパク質または核酸の存在は、異常なFGF−CXの発現または活性に関連した障害を処置するために薬剤を投与され得る対象に対する診断になる)。
【0279】
本発明の方法をまた使用してあるFGF−CX遺伝子中の遺伝的損傷を検出し、それにより損傷のある遺伝子を有する対象が増殖性疾患、分化性疾患、グリア細胞関連疾患などのリスク、または病むリスクにあるか否かを決定し得る。種々の実施態様において、これらの方法は、対象由来の細胞試料中において、あるFGF−CXタンパク質をコードする遺伝子の完全性に影響を及ぼす少なくとも一つの変更、またはFGF−CX遺伝子の誤発現を特徴とする遺伝的損傷の存在または不在の検出を含む。例えば、そのような遺伝的損傷を、(1)あるFGF−CX遺伝子からの一つまたはそれ以上のヌクレオチドの欠失;(2)あるFGF−CX遺伝子への一つまたはそれ以上のヌクレオチドの付加;(3)あるFGF−CX遺伝子の一つまたはそれ以上のヌクレオチドの置換、(4)あるFGF−CX遺伝子の染色体再編成、(5)あるFGF−CX遺伝子のmRNA転写物レベルの変化、(6)ゲノムDNAのメチル化パターンのようなあるFGF−CX遺伝子の異常修飾、(7)あるFGF−CX遺伝子のmRNA転写物の非野生型スプライシングパターンの存在、(8)あるFGF−CXタンパク質の非野生型レベル、(9)あるFGF−CX遺伝子の対立遺伝子欠失、および(10)あるFGF−CXタンパク質の不適切な翻訳後修飾の少なくとも一つの存在の確認により検出し得る。本明細書に説明するあるFGF−CX遺伝子の損傷を検出するために使用し得る当分野において公知の多数のアッセイ技術が存在する。好ましい生物学的試料は、対象から従来の手段で単離した末梢血白血球試料である。しかしながら、例えば、頬粘膜細胞を含む有核細胞を含有する任意の生物学的試料を使用し得る。
【0280】
特定の実施態様では、損傷の検出は、アンカーPCRまたはRACE PCRのようなポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば米国特許番号4,683,195および4,683,202を参照)におけるかまたはこれに代えて、連結連鎖反応(LCR)(例えば、Landegran, et al., (1988). Science 241: 1077-1080、およびNakazawa, et al., (1994). PNAS. USA 91: 360-364を参照)におけるプローブ/プライマーの使用を伴うが、後者はFGF−CX遺伝子中の点突然変異検出に特に有用であり得る(Abravaya, et al., (1995). Nucl. Acids Res. 23: 675-682を参照)。この方法は、患者から細胞試料を集め、試料の細胞から核酸(例えば、ゲノム、mRNAまたは両方)を単離し、FGF−CX遺伝子(もし存在するならば)のハイブリダイゼーションおよび増幅が起きるような条件下で、あるFGF−CX遺伝子と特異的にハイブリダイズする一つまたはそれ以上のプライマーと核酸試料を接触し、そして増幅産物の存在または不在を検出し、または増幅産物のサイズを検出し、そして対照試料と長さを比較するステップを含み得る。PCRおよび/またはLCRは、本明細書に説明する変異の検出に使用する任意の技術と一緒に予備的増幅ステップとして使用するのが望ましい。
【0281】
さらに別な増幅法としては:自己保持配列複製(Guatelli, et al., (1990). Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 1874-1878を参照)、転写増幅システム(Kwoh, et al., (1989). Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 1173-1177を参照);Qβレプリカーゼ(Lizardi, et al, (1988). BioTechnology 6: 1197を参照)、または任意の他の核酸増幅法に引き続いて当業者に周知の技術を用いる増幅分子の検出を挙げ得る。これらの検出スキームは、核酸分子がごく少数で存在するならば、そのような分子の検出に特に有用である。
【0282】
さらに別の実施態様では、試料細胞由来のあるFGF−CX遺伝子中の変異を、制限酵素切断パターンの変化により同定し得る。例えば、試料および対照のDNAを単離し、増幅し(任意に)、一つまたはそれ以上の制限エンドヌクレアーゼで処理し、そしてフラグメントのサイズをゲル電気泳動で測定して比較する。試料と対照のDNA間のフラグメントサイズの差は試料DNA中の変異を示す。さらに、配列特異的リボザイム(例えば、米国特許番号5,493,531を参照)を使用して、リボザイム切断部位の発生または消失により特異的な変異の存在を評価し得る。
【0283】
他の実施態様では、FGF−CX中の遺伝的突然変異は、試料および対照の核酸、例えば、DNAまたはRNAを数百または数千個のオリゴヌクレオチドプローブを含有する高密度アレイにハイブリダイズすることにより同定することができる。例えば、Cronin, et al., (1996). Human Mutation 7: 244-255、Kozal, et al., (1996). Nat. Med. 2: 753-759を参照されたい。例えば、FGF−CX中の遺伝的変異を、上述のCronin, et al.に記載するように光を発生するDNAプローブを含有する2次元アレイ中で同定し得る。略述すれば、プローブの1番目のハイブリダイゼーションアレイを用いて、試料と対照中の長い一続きのDNAをスキャンして、一連の重なり合うプローブの線形アレイを作成することにより配列間の塩基変化を同定し得る。このステップは点突然変異の同定を可能にする。これに、検出した全ての変異体または突然変異に相補的なさらに小さな特別のプローブアレイを用いることにより特定の変異の特徴化を可能にする2番目のハイブリダイゼーションを行う。それぞれの変異アレイは、一つは野生型遺伝子に相補的で、他は突然変異遺伝子に相補的な並行なプローブのセットから成る。
【0284】
なおもう一つの実施態様において、当分野において公知の種々のシークエンシング反応のいずれかを使用してFGF−CX遺伝子を直接にシークエンシングして、試料のFGF−CXの配列を対応する野生型(対照)配列と比較することにより変異を検出し得る。シークエンシング反応の例としては、Maxim and Gilbert, (1977). PNAS. USA 74: 560またはSanger, (1977). PNAS. USA 74: 5463により開発された技術に基づくものを挙げ得る。質量分析によるシークエンシング(例えば、PCT国際公開第WO94/16101号; Cohen, et al., (1996). Adv. Chromatography 36: 127-162およびGriffin, et al., (1993). Appl. Biochem. Biotechnol. 38: 147-159を参照)を含む種々の自動化シークエンシング方法のいずれも診断アッセイの実施に際して利用され得ることをまた考え得る(例えば、Naeve, et al., (1995). Biotechniques 19: 448を参照)。
【0285】
FGF−CX遺伝子中の変異を検出する他の方法としては、切断剤からの保護を用いてRNA/RNAまたはRNA/DNAヘテロ二重鎖中のミスマッチ塩基を検出する方法を挙げ得る。例えば、Myers, et al., (1985). Science 230: 1242を参照されたい。一般に、「ミスマッチ切断」の当分野の技術は、野生型FGF−CX配列を含有する(標識した)RNAまたはDNAを、組織試料より得た潜在的突然変異体のRNAまたはDNAとハイブリダイズすることにより形成したヘテロ二重鎖を提供することから始まる。二重鎖を、対照および試料の鎖の間の塩基のミスマッチのために存在する二重鎖の単鎖領域を切断する薬剤で処理する。例えば、RNA/DNA二重鎖をRNaseで処理し、DNA/DNAハイブリッドはS1ヌクレアーゼで処置し、ミスマッチ領域を酵素的に処理し得る。他の実施態様では、ミスマッチ領域を消化するために、DNA/DNAまたはRNA/DNAの二重鎖のどちらかをヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウムおよびピペリジンで処理し得る。ミスマッチ領域の処理の後、得られた材料を次いで変性ポリアクリルアミドゲル上でサイズにより分離して変異の部位を決定する。例えば、Cotton, et al., (1988). Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 4397、Saleeba, et al., (1992). Methods Enzymol. 217: 286-295を参照されたい。一つの実施態様では、対照のDNAまたはRNAを検出用に標識し得る。
【0286】
なおもう一つの実施態様では、ミスマッチ切断反応は、細胞の試料より得られたFGF−CXcDNA中で点突然変異を検出しマッピングするために、規定したシステム中で二重鎖DNA中のミスマッチ塩基対を認識する一つまたはそれ以上のタンパク質(いわゆる「DNAミスマッチ修復」酵素)を使用する。例えば、E. coliのmutY酵素はG/AミスマッチのAを切断し、そしてHeLa細胞からのチミジンDNAグリコシダーゼはG/TミスマッチのTを切断する。例えば、Hsu, et al., (1994). Carcinogenesis 15: 1657-1662を参照されたい。例示的な実施態様によれば、あるFGF−CX配列、例えば、野生型FGF−CX配列に基づくプローブを、試験細胞(複数を含む)由来のcDNAまたは他のDNA産物とハイブリダイズする。この二重鎖をDNAミスマッチ修復酵素で処理して、切断生産物をもしあれば電気泳動のプロトコール等から検出し得る。例えば、米国特許番号5,459,039を参照されたい。
【0287】
他の実施態様では、電気泳動上の移動度の変化を用いて、FGF−CX遺伝子の突然変異を同定する。例えば、単鎖コンフォーメーション多型(SSCP)を使用して、突然変異体および野生型核酸の間の電気泳動移動度の差を検出し得る。例えば、Orita, et al., (1989). Proc. Natl. Acad. Sci. USA: 86: 2766、Cotton, (1993). Mutat. Res. 285: 125-144、Hayashi, 1992. Genet. Anal. Tech. Appl. 9: 73-79を参照されたい。試料および対照のFGF−CX核酸の単鎖DNAフラグメントを変性し、復元することを可能にする。単鎖核酸の二次構造は配列により異なり、電気泳動上の移動度のそこで得た変化はたとえ1個の塩基変化の検出をも可能にする。DNAフラグメントを標識プローブで標識または検出し得る。アッセイの感度を、2次構造が配列変化により感受性であるRNA(DNAよりもむしろ)を使用することにより増大し得る。一つの実施態様では、主題の方法は、ヘテロ二重らせん分析を利用して、電気泳動の移動度の変化に基づいて二重らせんへテロ二重鎖分子を分離する。例えば、Keen, et al., (1991). Trends Genet. 7: 5を参照されたい。
【0288】
なおもう一つの実施態様では、ある勾配の変性剤を含有するポリアクリルアミドゲル中での突然変異体または野生型フラグメントの移動を、変性濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)を用いてアッセイする。例えば、Myers, et al., (1985). Nature 313: 495を参照されたい。DGGEを分析法として使用する際、DNAを修飾し、例えば、凡そ40bpの高融点GC富化DNAのGCクランプをPCRで付加することにより、それが完全に変性しないことを保証する。さらなる実施態様では、変性勾配に代えて温度勾配を使用して、対照および試料のDNAの移動度の差を同定する。例えば、Rosenbaum and Reissner, (1987). Biophys. Chem. 265: 12753を参照されたい。
【0289】
点突然変異を検出するための他の技術の例として、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅、または選択的プライマー伸長を挙げ得るが、これらに限定しない。例えば、既知の変異を中央に置いたオリゴヌクレオチドプライマーを調製し、次いで完全なマッチが見られる場合にのみハイブリダイゼーションを認める条件下で、標的DNAとハイブリダイズする。例えば、Saiki, et al., (1986). Nature 324: 163、Saiki, et al., (1989). Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 6230を参照されたい。オリゴヌクレオチドをハイブリダイズ用膜に付着して、標識した標的DNAとハイブリダイズする際、そのような対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドは、PCR増幅した標的DNAまたはある数の異なる突然変異体とハイブリダイズする。
【0290】
これに代えて、選択的PCR増幅に基づく対立遺伝子特異的増幅技術を本発明と一緒に使用し得る。特異的増幅のためのプライマーとして使用するオリゴヌクレオチドは、興味のある変異を分子の中央で(増幅がディファレンシャルハイブリダイゼーションに依存するように;例えば、Gibbs, et al., (1989). Nucl. Acids Res. 17: 2437-2448を参照)または適切な条件下で、ミスマッチがポリメラーゼ伸長を阻止または低減できる(例えば、Prossner, (1993). Tibtech. 11: 238を参照)一つのプライマーの3'最末端において保持していてもよい。加えて、切断に基づく検出を創成するために、変異の領域に新規制限部位を導入するのが望ましい。例えば、Gasparini, et al., (1992). Mol. Cell Probes 6: 1を参照されたい。特定の実施態様では、増幅はまた、増幅のためのTaqリガーゼを使用して実施され得ることを予想する。例えば、Barany, (1991). Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 189を参照されたい。このような場合には、5'末端配列の3'末端に完全なマッチがある場合にのみ連結が起こり、増幅の存在または不在を調べることにより特定の部位における既知の変異の存在を検出することを可能にする。
【0291】
本明細書に説明する方法を、例えば、本明細書に説明する少なくとも1つのプローブ核酸または抗体試薬を含むプレパック診断キットを利用することにより実施し得る。これを、例えば、臨床の場においてFGF−CX遺伝子の関与する疾患または疾病の症状を示すかまたは家族歴のある患者を診断するのに簡便に使用し得る。
【0292】
さらに、FGF−CXを発現する任意の細胞タイプまたは組織、好ましくは末梢血白血球を本明細書に説明した予後アッセイに利用し得る。しかしながら、例えば、頬粘膜細胞の有核細胞を含む任意の生物学的試料を使用し得る。
【0293】
薬理ゲノミクス
本明細書に説明したスクリーニングアッセイにより同定するようなFGF−CX活性(例えば、FGF−CX遺伝子発現)に促進的または阻害的効果を有する薬剤またはモジュレータを個体に投与し、異常FGF−CX活性よ関連する疾患(例えば、神経性疾患、癌関連疾患、または妊娠性疾患)を(予防的にまたは治療的に)処置することができる。そのような処置と一緒に、個体の薬理ゲノミクス(即ち、個体の遺伝子型および外来性化合物または薬に対するその個体の応答との間の関係の研究)を考慮し得る。治療薬の代謝の差は、薬理学的に活性な薬の用量と血中濃度の関係を変えることにより、重症の毒性または治療の失敗をもたらし得る。かくして、個体の薬理ゲノミクスは、個体の遺伝子型の考慮に基く予防的または治療的処置ための有効な薬剤(例えば薬)の選択を許容する。そのような薬理ゲノミクスをさらに用いて、適切な投与量および治療方法を決定し得る。したがって、個体のFGF−CXタンパク質の活性、FGF−CX核酸の発現、またはFGF−CX遺伝子の変異の含量を測定し、それにより個体の治療的処置または予防的処置に適切な薬剤(複数を含む)を選択し得る。
【0294】
薬理ゲノミクスは、罹患した人における変化した薬剤分布および異常な作用に因る薬への応答における臨床的に有意な遺伝的変異を取り扱う。例えば、Eichelbaum, 1996. Clin. Exp. Pharmacol. Physiol., 23: 983-985; Linder, 1997. Clin. Chem., 43: 254-266を参照されたい。一般に、二つのタイプの薬理遺伝学的異常を区別し得る。薬が身体に作用する方式を変える単一の因子として伝達する遺伝的異常(変化した薬剤作用)または身体が薬に作用する方式を変える単一因子として伝達する遺伝的異常(変化した薬物代謝)がある。これらの薬理遺伝学的異常は、稀な欠陥または多型性のどちらかとして生じ得る。例えば、グルコース−6−リン酸脱水素酵素(G6PD)欠乏症は、よくみられる遺伝性酵素異常症であり、そこでは主な臨床的合併症は、酸化剤の薬(抗マラリア剤、スルホンアミド剤、鎮痛剤、ニトロフラン類)摂取後またはソラマメ摂食後の溶血である。
【0295】
例示的実施態様として、薬の代謝酵素の活性は、薬の作用の強度および持続の両者の主たる決定因子である。薬の代謝酵素の遺伝的多型性(例えば、N−アセチルトランスフェラーゼ2(NAT2)ならびにチトクロームP450酵素のCYP2D6およびCYP2C19)の発見は、なぜ或る患者は標準かつ安全用量の薬物摂取後に期待した薬の効果を得られないかまたは過大な薬の応答および重篤な毒性を示すのかについての説明を提供する。これらの多型性を、人口集団で高代謝群(EM)および低代謝群(PM)の2つの表現型で表現する。PMの存在比率は異なる集団間で異なる。例えば、CYP2D6をコードする遺伝子は高度に多型性で、そして幾つかの変異が、機能的なCYP2D6の不在をもたらすPMを同定する。CYP2D6およびCYP2C19の低代謝群は、標準的な用量の投与を受けた際、極めて頻繁に過剰な薬の応答および副作用を経験する。代謝物が活性な治療成分であるならば、CYP2D6が生成する代謝物モルヒネにより仲介するコデインの鎮痛作用について実証するように、PMは治療応答を示さない。それと全く正反対なのが、標準の用量に応答しないいわゆる超高速代謝群である。最近、超高速代謝群の分子的根拠をCYP2D6遺伝子増幅に因ると確認した。
【0296】
従って、個体のFGF−CXタンパク質の活性、FGF−CX核酸の発現、またはFGF−CX遺伝子の変異含量を測定し、それにより個体の治療的処置または予防的処置のために適切な薬剤(複数を含む)を選択し得る。加えて、薬理遺伝学的研究を用いて、薬の代謝酵素をコードする遺伝子多型の対立遺伝子の遺伝子型決定を、個体の薬の応答性の表現型の同定に応用し得る。この知識を投与量および薬の選択に応用する際、本明細書で説明する例示的スクリーニングアッセイの一つにより同定したモジュレータのようなFGF−CXモジュレータで対象を処置する際に、有害作用または治療失敗を避け、かくして治療的または予防的効率を増強し得る。
【0297】
臨床作用のモニタリング
FGF−CXの発現または活性(例えば、異常な細胞増殖および/または分化を調整する活性)に対する薬剤(例えば、薬、化合物)の影響をモニタリングすることは、基礎的な薬のスクリーニングに応用できるだけでなく、また臨床試験にも応用できる。例えば、本明細書に説明したようにスクリーニングアッセイにより、FGF−CX遺伝子発現、タンパク質レベルを増加し、またはFGF−CX活性を上方調節すると決定した薬剤の有効性を、低下したFGF−CX遺伝子発現、タンパク質レベル、または下方制御されたFGF−CX活性を示す対象の臨床試験でモニターし得る。これに代えて、FGF−CX遺伝子発現、タンパク質レベルを減少し、またはFGF−CX活性を下方調節すると決定した薬剤の有効性を、増加したFGF−CX遺伝子発現、タンパク質レベル、または上方制御したFGF−CX活性を示す対象の臨床試験でモニターし得る。そのような臨床試験において、FGF−CX、および、好ましくは、例えば、細胞増殖性疾患または神経障害性疾患に関係する他の遺伝子の発現または活性を、特定の細胞の免疫応答性の「読み出し」またはマーカーとして使用し得る。
【0298】
例えば、FGF−CX活性(例えば、本明細書で説明するスクリーニングアッセイで同定する)を調整する薬剤(例えば、化合物、薬または低分子)を用いた処置により細胞中で調整するFGF−CXを含む遺伝子を同定し得る。従って、細胞増殖障害に対する薬剤の効果を、例えば、臨床試験において検討するために、細胞を単離してRNAを調製し、そして障害に関連すると思うFGF−CXおよび他の遺伝子の発現レベルを分析し得る。遺伝子発現レベル(即ち、遺伝子発現パターン)を、本明細書に説明するようにノーザンブロット分析またはRT−PCRにより、またはこれに代えて本明細書で説明する方法の一つにより生産したタンパク質の量を測定することにより、またはFGF−CXまたは他の遺伝子の活性レベルを測定することにより、定量することができる。この様式においては、遺伝子発現パターンは、薬剤に対する細胞の生理学的応答を示すマーカーとしての役割を果たす。したがって、薬剤による個体の処置の前および処置中の種々の時点で、この応答状態を測定し得る。
【0299】
一つの実施態様において、本発明は、薬剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、タンパク質、ペプチド、核酸、ペプチドミメティック、低分子、または本明細書で説明するスクリーニングアッセイで同定した他の薬候補物)で対象を処置することの有効性をモニターする方法を提供し、その方法は、(i)薬剤投与前に対象から投与前試料を得て、(ii)投与前試料中のFGF−CXタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現レベルを検出し、(iii)対象から一つまたはそれ以上の投与後の試料を得て、(iv)投与後の試料中のFGF−CXタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性レベルを検出し、(v)投与前の試料中のFGF−CXタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性レベルを投与後のひとつまたは複数の試料中のFGF−CXタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAと比較し、そして(vi)それにしたがって対象への薬剤の投与を変更するステップを含む。例えば、FGF−CXの発現または活性を検出したより高レベルに増加するためには、即ち、薬剤の有効性を増加するためには、薬剤の増加した投与が望ましい。これに代えて、FGF−CXの発現または活性を検出したより低レベルに減少する、即ち、薬剤の有効性を減少するためには、薬剤の減少した投与が望ましい。
【0300】
処置方法
本発明は、異常なFGF−CXの発現または活性に関連した疾患のリスクにある(感受性)かまたは疾患を有する対象を処置する予防的方法および治療的方法の両方を提供する。
【0301】
増加したレベル(疾患または障害に罹患していない対象と比べて)または生物学的活性を特徴とする疾患および障害を、活性に拮抗する(即ち、低下するかまたは阻害する)治療薬で処置し得る。活性に拮抗する治療薬を、治療的様式または予防的様式で投与し得る。利用し得る治療薬としては、(i)FGF−CXポリペプチド、またはその類似体、誘導体、フラグメントまたは相同体;(ii) FGF−CXペプチドに対する抗体;(iii) FGF−CXペプチドをコードする核酸;(iv)アンチセンス核酸およびFGF−CXペプチドの内在的機能を相同組換えにより「ノックアウト」するのに使用する「機能障害性」である核酸(即ち、FGF−CXペプチドに対するコード化配列のコード化配列内への異種挿入に因る)の投与(例えば、Capecchi, 1989. Science 244: 1288-1292を参照);または(v) FGF−CXペプチドおよびその結合相手との相互作用を変化するモジュレータ(即ち、本発明のさらに別なペプチドのミメティックまたは本発明のペプチドに特異的な抗体を含む阻害剤、アゴニスト、アンタゴニスト)を挙げ得るが、これらに限定しない。
【0302】
減少したレベル(疾患または障害に罹患していない対象と比べて)または生物学的活性を特徴とする疾患および障害を、活性を増加する(即ち、アゴニストである)治療薬で処置し得る。活性を上方制御する治療薬を、治療的様式または予防的様式で投与し得る。利用し得る治療薬としては、FGF−CXペプチド、またはその類似体、誘導体、フラグメント、または相同体;またはバイオアベイラビリティーを増加するアゴニストを挙げ得るが、これらに限定しない。
【0303】
増加または減少したレベルを、患者の組織試料(例えば、生検組織から)を得て、インビトロでRNAまたはペプチドのレベル、発現したペプチド(またはFGF−CXペプチドのmRNA)の構造および/または活性をアッセイすることにより、ペプチドおよび/またはRNAを定量することにより容易に検出し得る。当分野内で周知の方法としては、イムノアッセイ(例えば、ウエスタンブロット分析、免疫沈降とそれに引き続くドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動、免疫細胞化学、等)および/またはmRNA発現を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンアッセイ、ドットブロット、インシツハイブリダイゼーション、等)を挙げ得るが、これらに限定しない。
【0304】
一つの態様では、異常なFGF−CX発現または少なくともあるFGF−CX活性を調整する薬剤を対象に投与することにより、本発明は、異常なFGF−CXの発現または活性に関連した疾患または異常を、対象において予防する方法を提供する。異常なFGF−CXの発現または活性が原因または一因となって生じる疾患のリスクを有する対象を、例えば、本明細書で説明するように診断的アッセイまたは予後的アッセイのいずれかまたはそれらの組合せによって同定し得る。疾患または障害を予防し、または、これに代えて、その進行を遅らせるようにFGF−CX異常に特徴的な症状の出現に先立って予防的薬剤の投与を行い得る。FGF−CX異常のタイプに依存して、例えば、あるFGF−CXアゴニストまたはFGF−CXアンタゴニストである薬剤を対象の処置に使用し得る。適切な薬剤を、本明細書で説明するスクリーニング法に基づいて決定することができる。本発明の予防的方法をさらに以下のサブセクションで考察する。
【0305】
治療的方法
本発明のもう一つの態様は、治療目的のためにFGF−CXの発現または活性を調整する方法に関する。本発明の調整方法は、細胞を細胞に関連するFGF−CXタンパク質活性の一つまたはそれ以上の活性を調整する薬剤と接触することを含む。FGF−CXタンパク質活性を調整する薬剤は、核酸またはタンパク質、あるFGF−CXタンパク質の天然に存在する同属のリガンド、ペプチド、あるFGF−CXペプチドミメティック、または低分子のような本明細書に説明する薬剤であり得る。一つの実施態様では、薬剤は一つまたはそれ以上のFGF−CXタンパク質活性を促進する。そのような促進的薬剤の例としては、活性なFGF−CXタンパク質および細胞中に導入したFGF−CXをコードする核酸分子を挙げ得る。もう一つの実施態様では、薬剤は一つまたはそれ以上のFGF−CXタンパク質活性を阻害する。そのような阻害的薬剤の例としては、アンチセンスFGF−CX核酸分子および抗−FGF−CX抗体を挙げ得る。これらの調整方法は、インビトロで(例えば、細胞を薬剤と共に培養することにより)または、これに代えて、インビボで(例えば、薬剤を対象に投与することにより)実施し得る。このように、本発明はあるFGF−CXタンパク質または核酸分子の異常な発現または活性を特徴とする疾患または障害に罹患した個体を処置する方法を提供する。一つの実施態様では、その方法は、薬剤(例えば、本明細書で説明するスクリーニングアッセイで同定した薬剤)またはFGF−CXの発現または活性を調整する(例えば、上方制御または下方制御する)薬剤の組合せを投与することを伴う。もう一つの実施態様では、その方法は減少または異常なFGF−CXの発現または活性を補償するための治療としてあるFGF−CXタンパク質または核酸分子を投与することを伴う。
【0306】
実施例
実施例1.FGF−CX遺伝子の同定
FGF−CX遺伝子を、クエリーとしてアフリカツメガエルFGF−CXを有するGenbankヒトゲノムDNA配列(Koga, et al. (1999) Biochem. Biophys. Res. Comm. 261, 756-765;受託番号AB012615)の検索である、TBLASTN(Altschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215, 403-410)に従い、同定した。この検索により、染色体8上の高相同性の遺伝子座(受託番号AB020858)を同定した。イントロン/エキソン境界を、既知のFGF由来の相同体と共に、標準コンセンサススプライスパラメーター(Mount (1996) Science 271, 1690-1692)を用いて推定した。FGF−CX開始コドンは、AB020858配列の16214bpに位置し、このエキソンの残存3’部分は、15930bpに続く。FGF−CXの5’UTRは、公開EST(受託番号AA232729、AA236522、AI272876およびAI272878)を用いて別の606bpにより、開始コドンの上流に伸長した。遺伝子座AB020858に関する様にFGF−CX遺伝子の残存構造は、以下にの通りである:イントロン1(15929〜9942bp);エキソン2(9941〜9838bp);エキソン3(7499bpで開始し、表13において示す様に続く;3’非翻訳領域の構造がまだ決定されていない)。表13は、FGF−CXのヌクレオチド(配列番号:25)配列および推定アミノ酸(配列番号:2)配列を含むFGF−CX遺伝子の解析である。開始コドンおよび停止コドンは、はっきりしており、5’UTRに備わるインフレームの停止コドンに下線を引いてある。
【0307】
表13
【表17】
【0308】
上述の段落の方法により発見した遺伝子は、3つのエキソンおよび2つのイントロンを含む(表13)。DNA配列は、開始メチオニンの117bp上流のインフレームの停止コドンを有する211アミノ酸残基のORFを予測する。探し出された遺伝子由来のDNAセグメントは、放射線ハイブリッド解析により確認された位置である染色体8p21.3〜p22に位置する(実施例2参照)。
【0309】
G−X−[LI]−X−[STAGP]−X(6,7)−[DE]−C−X−[FLM]−X−E−X(6)−Yである、FGFの特別のモティーフを、PROSITE検索(Bucher & Bairoch (1994) Ismb. 2, 53-61)により同定し、二重下線を引いたアミノ酸残基125〜148間に位置し、イントロン/エキソンの境界は、矢印で表す。イントロン1および2は、それぞれ5988bpおよび2338bpの長さである。5’UTR配列は、公開ESTに由来し、全体としては示していない。
【0310】
実施例2.FGF−CXの放射線ハイブリッドマッピング
ヒト染色体マーカーを用いる放射線ハイブリッドマッピングを、FGF−CXについて行った。用いた方法は、Steen, RG et al. (A High-Density Integrated Genetic Linkage and Radiation Hybrid Map of the Laboratory Rat, Genome Research 1999 (Published Online on May 21, 1999)Vol. 9, AP1-AP8, 1999)に記載されるものと類似である。無作為放射線誘導ヒト染色体フラグメントを含有する93細胞クローンのパネルを特徴的な方法で検索したクローンを同定するためにデザインされたPCRプライマーを用いて96ウェルプレート中でスクリーニングした。同定したFGF−CXをコード化するヌクレオチド配列由来のDNAセグメントを、染色体8p21.3〜p22へのマッピングとして注釈をつけた。この結果を、マーカーAFM177XB10にオーバーラップすし、かつマーカーWI−5104由来の1.6cRおよびマーカーWI−9262由来の3.2cRである遺伝子座にある染色体8に位置するFGF−CXの発見による本解析により、絞り込んだ。
【0311】
実施例3.FGF−CXタンパク質をコード化する配列の分子クローニング
オリゴヌクレオチドプライマーを、オープンリーディングフレームを表し、全長FGF−CXをコードする、DNAセグメントのPCRにより増幅のためにデザインした。順方向プライマーは、BglII制限部位(AGATCT)および一致コザック配列(CCACC)を含む。逆方向プライマーは、さらなるサブクローニング目的のためのインフレームのXhoI制限部位を含有する。順方向および逆方向プライマーの両方は、5’クランプ配列(CTCGTC)を含有する。プライマーの配列は、以下である:
FGF−CX 順方向:5’−CTCGTC AGATCT CCACC ATG GCT CCC TTA GCC GAA GTC−3’(配列番号:3)
FGF−CX 逆方向:5’−CTCGTC CTCGAG AGT GTA CAT CAG TAG GTC CTT G−3’(配列番号:4)
【0312】
PCR反応を、50μlの用量中の全部で5ngのヒト前立腺cDNA鋳型、それぞれ1μMのFGF−CX順方向およびFGF−CX逆方向プライマー、5μmolのdNTP(Clontech Laboratories, Palo Alto CA)および1μlの50×Advantage-HF2ポリメラーゼ(Clontech Laboratories)を用いて実施した。以下のPCR反応条件を用いた:
a) 96℃ 3分
b) 96℃ 30秒 変性
c) 70℃ 30秒 プライマーアニーリング この温度を1℃/サイクルにより徐々に下げた。
d) 72℃ 1分 伸長
ステップ(b)〜(d)を10回繰り返す
e) 96℃ 30秒 変性
f) 60℃ 30秒 アニーリング
g) 72℃ 1分 伸長
ステップ(e)〜(g)を25回繰り返す
h) 72℃ 5分 最終伸長
【0313】
約640bpの予測した配列を有するシングルPCR産物を、アガロースゲルの電気泳動後単離し、pCR2.1ベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA)に結合させた。クローン化したインサートを、ベクターに特異的なM13順方向(〜40)M13逆方向プライマーを用いて配列決定し、ヌクレオチド配列が上流BglIIクローニング部位と下流XhoI部位との間に直接挿入された表1の配列(配列番号:1)に100%同一であることを確認した。クローン化配列は、予測FGF−CX全長タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを構成する。クローンをTA−AB02085−S274−F19と呼ぶ。
【0314】
実施例4.哺乳類発現ベクターpCEP4/Secの調製
オリゴヌクレオチドプライマーpSec−V5−His 順方向(CTCGT CCTCG AGGGT AAGCC TATCC CTAAC(配列番号:14)およびpSec−V5−His 逆方向(CTCGT CGGGC CCCTG ATCAG CGGGT TTAAA C(配列番号:15)を、V5およびHis6を含むpcDNA3.1−V5His(Invitrogen, Carlsbad, CA)発現ベクター由来のフラグメントを増幅するためにデザインした。PCR産物を、XhoIおよびApaIで切断し、Igκリーダー配列にある(Invitrogen, Carlsbad CA)XhoI/ApaI切断pSecTag2 Bベクター に結合させた。インフレームのIgκリーダーおよびV5−His6を含む結果として得たベクターpSecV5Hisの正しい構造を、DNA配列分析により確認した。ベクターpSecV5Hisを、正しいフレーム中の上記エレメントを保持するフラグメントを提供するためにPmeIおよびNheIで切断した。PmeI−NheIフラグメントをBamHI/クレノーおよびNheI処理ベクターpCEP4(Invitrogen, Carlsbad, CA)に結合した。結果として得たベクターをpCEP4/Secと名付け、ベクターは、インフレームのIgκリーダー、該クローンの挿入部位、およびPCMVおよび/またはPT7プロモーターの制御下のV5エピトープ6×Hisを含んでいる。pCEP4/Secは、任意のタンパク質をIgκ鎖シグナルペプチドに続く多型クローニング部位に融合されることにより異種性タンパク質の発現および分泌を可能とする発現ベクターである。発現タンパク質の検出および精製は、C末端にあるV5エピトープ標識(Invitrogen, Carlsbad, CA)および6×His標識の存在により助けられる。
【0315】
実施例5.ヒト胚腎臓(HEK)293細胞でのFGF−CXの発現
FGF−CX配列を含有するBglII−XhoIフラグメントを、TA−AB02085−S274−F19(実施例3)から単離し、発現ベクターpCEP4/Sec−FGF−CXを生成するためにBamHI−XhoI切断pCEP4/Secにサブクローン化した。pCEP4/Sec−FGF−CXベクターを、製造元(Gibco/BRL/Life Technologies, Rockville, MD)の指示に従い、LipofectaminePlus試薬を用いて293細胞に形質移入した。細胞ペレットおよび上清を、形質移入後72時間で回収し、抗V5抗体でのウェスタンブロット(還元条件)によりFGF−CX発現を調べた。図2は、FGF−CXを、293細胞により分泌された約34kDAタンパク質である見かけ上の分子量(Mr)を有するポリペプチドとして発現することを示す。
【0316】
実施例6.E.coliでのFGF−CXの発現
ベクターpRSETA(InVitrogen Inc., Carlsbad, C)を、XhoIおよびNcoI制限酵素で切断した。配列5’ CATGGTCAGCCTAC 3’(配列番号:16)および5’ TCGAGTAGGCTGAC 3’(配列番号:17)のオリゴヌクレオチドリンカーを、37℃でアニーリングし、XhoI−NcoIで処理したpRSETAに結合させた。結果として得たベクターを、制限分析および配列決定により確認し、pETMYと名付けた。FGF−CXをコード化する配列のBglII−XhoIフラグメント(実施例3参照)を、BamHIおよびXhoI制限酵素で切断されたベクターぺTMYに結合させた。発現ベクターを、pETMY−FGF−CXと名付ける。このベクターにおいて、hFGF−CXを、N末端の6×His標識おとびT7エピトープに融合させた。プラスミドpETMY−FGF−CXを、そこでE.coli発現宿主BL21(DE3、pLYs)(Novagen, Madison, WI)に形質移入し、タンパク質FGF−CXの発現を製造元の指示により誘導した。誘導後、全細胞を回収し、タンパク質を抗HisGly抗体(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いるウエスタンブロットにより分析した。図3は、FGF−CXをMr約32kDaとして発現することを示す。
【0317】
実施例7.クローン化シグナルペプチドを伴なう組換えFGF−CXタンパク質および伴なわない組換えFGF−CXタンパク質の発現の比較
a)シグナルペプチドを伴なわない発現
本発明の詳細な説明で言及した様に、FGF−CXは、古典的なアミノ末端シグナル配列を明らかに欠いている。FGF−CXが、哺乳類細胞から分泌されるか否かを決定するために、全長FGF−CXタンパク質をコード化するBglII−XhoIフラグメントとして得たcDNAを、TA−AB02085−S274−F19(実施例3)からBamHI/XhoI切断pcDNA3.1(Invitrogen)にサブクローンした。これは、pFGE−CXと名付けられた哺乳類発現ベクターを提供する。この構造は、同定および精製のそれぞれにおいて確認されるためにタンパク質のカルボキシ末端にV5エピトープ標識およびポリヒスチジン標識を取り込み、約27kDaのポリペプチドを生成するはずである。293ヒト胚腎臓細胞への一過性の形質移入の後、培養上清を形質移入後48時間で回収した。
【0318】
培養上清へのFGF−CXの分泌に加えて、細胞ペレット/ECMと関連することも分かった(データは示していない)。FGFは、細胞表面および細胞外基質(ECM)ヘパリン硫酸プロテオグリカン(HSPG)に結合することが知られているので、本発明者は、FGF−CXをこの方法で解離することが可能かを調べた。最後に、FGF−CXで形質移入した細胞を成長因子とHSPGとの低親和性の相互作用を分断することが知られている化合物である、100Mの スラミンを含有する0.5mlのDMEMでの30分間、4℃での処理により抽出した(La Rocca, R.V., Stein, C.A. & Myers, C.E. (1990) Cancer Cells 2, 106-115)。スラミンで抽出した培養上清を、次に回収し、遠心分離(5分;200×g)により明らかにした。
【0319】
培養上清およびスラミン抽出物を次に、同量の2×ゲルローディングバッファーと混合した。試料を、10分間沸騰させ、還元条件下で4〜20%の勾グラジエントポリアクリルアミドゲル(Novex, Dan Diego, CA)上でのSDS−PAGEにより分離し、ニトロセルロースフィルター(Novex)にトランスファーした。ウエスタン分析を、HRP結合抗V5抗体(Invitrogen)およびECL検出システム(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)を用いる標準方法により実施した。
【0320】
予測Mrを有する1つのバンドを、pFGF−CXで形質移入した293細胞由来の培養上清で同定した(図1A、レーン1)。対照ベクターで形質移入した細胞由来の培養上清は、抗体と反応しなかった(図1A、レーン5)。スラミン処置の後、有意な量のFGF−CXが、細胞表面/ECMから実際に放出され得ることがわかった。このことは、HSPGがこのタンパク質の隔離において働きそうであることを示す(図1A、レーン2)。これらの結果は、HGF−CXが古典的なシグナルペプチドを伴なわず分泌され得ることを示す。
【0321】
組換えFGF−CXタンパク質は、DNA合成、細胞増殖、細胞表面受容体へのFGF−CXの高親和性結合を経由して仲介され、およびHSPGとの低親和性相互作用を経由して調節されるべき作用を刺激する。スラミン抽出物のデータは、FGF−CXが細胞表面および/またはECMに存在するHSPGに結合することを示す。
【0322】
b)シグナルペプチドを伴なう発現
タンパク質分泌を増強するゴールで、FGF−CXcDNAをIgκ遺伝子由来の切断可能なアミノ末端分泌シグナル配列と共にインフレームで融合させた、構造(pCEP4/Sec−FGF−CX)を生成した。結果として得られるタンパク質はまた、pFGF−CXについて上述したようにカルボキシ末端のV5およびポリヒスチジン標識を含有していた。293細胞への形質移入に続き、約31kDaの予測Mrを有するタンパク質産物を得た。スラミンが有意な量の解離FGF−CXタンパク質を放出することが再び分かった(図1A、レーン3および4)。予測した様に、pCEP4/Sec−FGF−CXは、pFGF−CXより可溶性の高いFGF−CXタンパク質を生成した。
293細胞について上述したものと同様の結果を、NIH3T3細胞でも得た(図1B)。
【0323】
実施例8.PCRによるFGF−CX核酸のリアルタイム定量的発現解析
様々なクローンの定量的発現を、41の正常試料および55の腫瘍試料(多くの場合、図4のパネルAおよびBにおいて表す試料が、表14において同定されたものである。)において、Perkin-Elmer Biosystems ABI PRISM[登録商標]7700配列検出システムで実施するリアルタイム定量的PCR(TAQMAN[登録商標]分析)により評価した。表14において、以下の略語を用いた:
ca.=癌腫
*=転移から確立された
s cell var=小細胞変異体
non-s=non-sm=非小細胞
squam=扁平上皮
pl. eff=pl effusion=胸膜浸出液
glio=神経膠腫
astro=星細胞腫、および
neuro=神経芽細胞腫
【0324】
第1に、96RNA試料をβアクチンおよびグリセルアルデヒド三リン酸脱水素酵素(GAPDH)に対して標準化した。RNA(〜50ng トータルまたは〜1ng polyA+)を、TAQMAN[登録商標]逆転写試薬キット(PE Biosystems, Foster City, CA;カタログ番号N808−0234)および製造元のプロトコールによるランダム6量体化を用いてcDNAに転換した。反応を、20μlで実行し、30分間、48℃でインキュベートした。cDNA(5μl)を次に、製造元のプロトコールにより、βアクチンおよびGAPDH TAQMAN[登録商標]アッセイ試薬(PE Biosystems;それぞれ、カタログ番号4310881Eおよび4310884E)およびTAQMAN[登録商標]universal PCR Master Mix(PE Biosystems;カタログ番号4304447)を用いるTAQMAN[登録商標]反応のための分離プレートに移した。反応を、以下のパラメーターを用いて25μlで実施した:50℃で2分;95℃で10分;95℃で15秒/60℃で1分(40サイクル)。結果を、logスケールを用いるCT値(与えられた試料が蛍光の閾値を横切るサイクル)として、与えられた試料とΔCTの値に対して2として表される最も低いCT値を有する試料とのRNA濃度の差で記録した。パーセント比較発現を、次にこのRNAの差の逆数を求め、かつ100倍することにより得られた。β−アクチンおよびGAPDHについて得られた平均CT値を用いて、RNA試料を標準化した。最も高いCT値を生成するRNA試料は、さらなる希釈を必要としない一方で、他の全部の試料をβ−アクチン/GAPDH平均CT値によりこの試料と比べて希釈した。
【0325】
標準化RNA(μl)をcDNAに変換してOne Step RT-PCR Master Mix Reagent(PE Biosystems;カタログ番号4309169)および製造元の指示により遺伝子特異的なプライマーをを用いるTAQMAN[登録商標]を経由して分析した。プローブおよびプライマーを、Perkin Elmer Biosystemのプライマー発現ソフトウエアパッケージ(version I for Apple Computer's Macintosh Power PC)により、クローン10326230.0.38の配列を入力として用いて互いのアッセイのためデザインした。デフォルト設定を反応条件のために用いて、以下のパラメーターをプライマー選択の前に設定した:プライマー条件=250nM、プライマーメルティング温度(Tm)範囲=58℃〜60℃、プライマー最適Tm=59℃、最大プライマー温度差=2℃、プローブが5’Gを有さない、プローブTmがプライマーのTmより10℃高くなければならない、増幅サイズが75bp〜100bpである。選択したプローブおよびプライマー(以下を参照)をSynthegen (Houston, TX, USA)により合成した。プローブをHPLCにより二重精製して、未結合のダイを取り除き、質量分析法により評価して、プローブの5’末端および3’末端、それぞれに対する受容体とクエンチャーダイとのカップリングを示した。それらの最終濃度は、順方向プライマーおよび逆方向プライマーがそれぞれ900nM、およびプローブが200nMであった。
【0326】
PCRのため、それぞれの組織および細胞株由来の標準化RNAを96穴PCRプレート(Perkin Elmer Biosystems)の各ウエルにスポットした。2つのプローブ(1つはFGF−CXに特異的であり、2つめは内部標準として機能する遺伝子特異的プローブ)を含むPCRカクテルをPE Biosystems 7700の1×TaqMan[登録商標]PCR Master Mixを用いて、5mM MgCl2、dNTPs(1:1:1:2の割合のdA、G、C、U)、0.25U/ml AmpliTaq Gold[登録商標](PE Biosystems)、および0.4U/μl RNaseインヒビター、および0.25U/μl 逆転写酵素で設定した。逆転写を、48℃で30分間のあと、以下のような:95℃10分、次に95℃15秒、60℃1分の40サイクルの増幅/PCRサイクルにより実施した。
【0327】
表14.TaqMan発現解析において用いた組織試料
【表18】
【0328】
表14の続き
【表19】
【0329】
本発明において開示される線維芽細胞成長因子20様遺伝子は、少なくとも以下の組織において発現する:哺乳動物組織、大腸、肺、脳、肝臓、腎臓、および胃。発現情報は、CuraGen ACC番号CG53135−02の配列の誘導において含まれる配列の組織供給源由来であった。
【0330】
以下のプライマーおおびプローブをデザインした。それぞれ、FGF−CXに特異的であるために、非常に相同であるヒトFGF−9およびFGF−16遺伝子の対応する領域の3つのミスマッチの最小値を有する。セットAg81bは、表1の塩基270〜塩基343(配列番号:1)由来の領域を覆う。それは他の既知のFGFファミリーメンバーを決して検出しない。利用したプライマーおよびプローブは:
Ag81b(F):5’−GGACCACAGCCTCTTCGGTA−3’(配列番号:18);
Ag81b(R):5’−TGTCCACACCTCTAATACTGACCAG−3’(配列番号:19);および
Ag81b(P):5’−FAM−CCCACTGCCACACTGATGAATTCCAA−TAMRA−3’(配列番号:20)である。
【0331】
代表的な実験結果を図4、パネルAおよびBにおいて示す。発現を、最も高いレベルの発現を示す試料のパーセンテージとしてプロットする。4回の反復実施を行い、様々な斜線であらわした。調べた39のヒト正常組織において、FGF−CXは、脳、特に小脳において最も高発現することが分かった(図4、パネルAおよびB)。中枢神経系の他の組織は、ずっと低いレベルのFGF−CXを発現した。調べた54のヒト腫瘍細胞のうち、FGF−CXは、肺癌腫細胞株(LX−1)、大腸癌腫細胞株(SW−480)、大腸癌細胞株および転移(SW480)および胃癌腫細胞株(NCI−N87;図4、パネルAおよびBを参照)において、最も高発現することがわかった。
【0332】
別のリアルタイム発現分析を、手術において得た腫瘍組織の広範なパネルで行った。これらの組織は、実際の腫瘍本体から得られた部分、らびに「正常隣接組織(NAT)」と名付けられた部分を含む、典型的に既に炎症しており異形性の組織学的な証拠を示す。FGF−CXに特異的であるように選択されたプライマーとプローブのセット(Ag81)を、かかる外科手術の組織試料でのTaqMan実験において用いた。2度の反復実施を行った:
Ag81(F):5’−AGGCAGAAGCGGGAGATAGAT−3’(配列番号:21);
Ag81(R):5’−AGCAGCTTTACCTCATTCACAATG−3’(配列番号:22);および
Ag81(P):TET−5’−CCATCTACATCCACCACCAGTTGCAGAA−3’−TAMRA(配列番号:23)
【0333】
セットAg81は、表1の塩基477〜塩基554(配列番号:1)由来の領域を覆う。複製を。図4、パネルCおよびDにおいてグレーおよび黒の斜線として示す。結果は、腫瘍とそれらの形質異常NAT試料の多くの対応ペアーについて、FGF−CXは、NATにおいて高発現するが、腫瘍においては発現しないこと;さらに特異的には、腫瘍に隣接する実質細胞においては発現することを劇的に示す。この対応パターンが生じる実施例は、卵巣癌、子宮癌、肺癌、前立腺癌および肝臓癌を含む。
【0334】
それにより制限されることなく、図4における結果、パネルCおよびパネルDから、FGF−CXが腫瘍上皮および/または宿主組織中の他の成分(内皮細胞、胃線維芽細胞、非浸潤上リンパ球、および類似の細胞タイプ)のパラクリン刺激による腫瘍進行の原因となり得ることがわかる。同じく、FGF−CXは、オートクライン方法でのFGF−CX合成または分泌する宿主組織中の成分を刺激するために機能しうる。これらの宿主成分細胞は、腫瘍成分で引き続いてふるまう。
【0335】
FGF−CXの高発現特徴は、腫瘍進行の予測する働きまたは促進する働きをする非対応正常組織に関係する。それゆえ、多くの標的アプローチ(制限されない例として、モノクローナル抗体、リボザイム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、同族受容体とのFGF−CXの相互作用を中和するペプチド、およびFGF−CXの未同定受容体を調節する小薬を含む。)のいずれかを用いるFGF−CXの治療標的を予測し、標的は疾病の進行へのポジティブな治療の影響を有する。同じく、腫瘍進行でのFGF−CXの生物活性を調節するような物質の使用を予測し、通常の化学療法および放射線療法にシナジーを与えるか、または増強させる。FGF−CXの治療標的が適用される特異的な疾病の同一性は、大腸、前立腺、胚、腎臓、子宮、乳房、膀胱、卵巣の腺癌を含む
【0336】
実施例9.組換えFGF−CXによるブロモデオキシウリジン取込刺激
293EBNA細胞(Invitrogen)を、製造元のプロトコール(Life Technologies, Gaithersburg, MD)により、Lipofectamine 2000を用いて形質移入した。細胞を、形質移入後の5時間、10%子ウシ血清(FBS; Life Technologies)で補った。BrdUおよび成長アッセイ(実施例10)のタンパク質を生成するために、細胞を洗浄し、形質移入後18時間、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM; Life Technologies)を与えた。48時間後、培地を除去し、細胞単層を0.5mlDMEM中100μMスラミン(Sigma, St. Louis, MO)で、30分、4℃でインキュベートした。スラミン抽出培養上清を、次に取り除き、遠心分離(5分;2000×g)により明らかにして、製造元の指示により、カルボキシ末端ポリヒスチジン標識を利用するTALONメタルアフィニティークロマトグラフィー(Clontech, Palo Alto, CA)の対象とした。保留融合タンパク質を、イミダゾールでのカラム洗浄により放出させた。
【0337】
FGF−CXタンパク質濃度を、既知の濃度のV5標識タンパク質で作成された標準曲線を用いるウエスタン分析により推定した。ウエスタン分析のため、培養上清を形質移入後48時間で回収し、細胞単層を、100μMのスラミンを含有する0.5mlのDMEMで、30分間4℃でインキュベートした。スラミン含有培養上清を次に回収した。
【0338】
対照タンパク質を生成するために、293−EBNA細胞を、pCEP4プラスミド(Invitrogen)で形質移入し、上でアウトラインを記載した精製方法の対象とした。
【0339】
組換えFGF−CXを、DNA合成を誘導する能力についてブロモデオキシウリジン(BrdU)取込アッセイにおいて試験した。NIH3T3細胞(ATCC番号CRL−1658、American Type Culture Collection, Manassas, VA)、CCD−1070sk細胞(ATCC番号CRL−2091)またはMG−63細胞(ATCC番号CRL−1427)を、96ウエルプレートにて100%の密集度まで培養し、DMEMで洗浄し、DMEM中で24時間(NIH3T3)または48時間(CCD−1070skおよびMG−63)血清飢餓状態にした。組換えFGF−CXまたは対照タンパク質を、次に細胞に18時間添加した。BrdUアッセイを、製造元(Roche Molecular Biochemicals, Indianapolis, IN)の説明により、5時間BrdU取込時間を用いて実施した。
【0340】
FGF−CXが、NIH3T3マウス線維芽細胞において〜5ng/mlの最大半分の濃度で、DNA合成を誘導することが分かった(図5のパネルA)。対照的に、対照ベクターで形質移入した細胞から精製したタンパク質は、DNA合成を誘導しなかった。FGF−CXが、BrdU取込により決定された様に、CCD−1070sk正常ヒト皮膚線維芽細胞(図5、パネルB)、CCD−1106ケラチノサイト(図5、パネルC)、MG−63骨肉腫細胞(データは示していない)、および乳房上皮細胞を含む様々なヒト細胞株での比較可能な投与レベルで、DNA合成を誘導することも分かった。
【0341】
実施例10.組換えFGF−CXによる細胞増殖の誘導
組換えFGF−CXが細胞増殖を誘導するかを決定するため、NIH3T3細胞を6ウェルプレート中で50%の密集度まで培養し、DMEMで洗浄し、組換えFGF−CXまたは対照タンパク質を含有するDMEMを48時間与え、次にカウントした。細胞数を、細胞をトリプシン処理し、Beckman Coulter Z1シリーズのカウンター(Beckman Coulter, Fullerton, CA)でカウントすることにより決定した。このアッセイにおいてFGF−CXが、対照タンパク質と比べ細胞数で約3倍の増加を誘導することが分かった(図6)。
【0342】
増殖での形態的変化を測定するために、NIH3T3細胞をDMEM/2%子ウシ血清中の組換えFGF−CXまたは対照タンパク質で処理し、Zeiss Axiovert 100顕微鏡(Carl Zeiss, Inc., Thornwood, NY)で写真撮影した。
【0343】
より高い細胞密度(図6)にいたることに加えて、実施例9で記載した様に調製したFGF−CXの存在下で培養したNIH3T3細胞は、接触阻害の減少を示す、成長の整理されていないパターンを表した(図7)。さらに、個々の細胞は、細長くかつ屈折していることが分かった。これらの結果は、FGF−CXが成長因子としてふるまうことを示し、組換えFGF−CXがNIH3T3細胞の形態的な形質転換を仲介することを示す。
【0344】
実施例11.ヌードマウスでの異所性FGF−CXで形質移入されたNIH3T3細胞による腫瘍形成
NIH3T3細胞を、製造元のプロトコール(Life Technologies)により、Lipofectamine Plusを用いて、pCEP4/Sec−FGF−CXまたは対照ベクターで形質移入した。細胞に形質移入後5時間で、10%子ウシ血清(CS; Life Technologies)を添加した。pCEP4/Sec−FGF−CXで形質移入された細胞は、形質移入後48時間までに形態的に形質転換され、ハイグロマイシン含有成長培地中でのセレクションの2週間後でも残っていることがわかった。対照的に、対照ベクターえ形質移入された細胞は、正常な形態を保持していた(データは示していない)。従って、形質移入された細胞は、例えば、実施例10において報告した実験に基づいて予測される様にふるまう。
【0345】
異所性腫瘍の誘導を研究するために、NIH3T3細胞を、様々な実験ベクターおよび対照ベクターで形質移入した。形質移入後2日で、細胞を、DMEM/5%CS(pFGF−CXで形質移入した細胞用)または500μg/mlのハイグロマイシンBを添加したDMEM/10%CS(pSEP4/Sec−FGF−CXで形質移入した細胞)のいずれかに置いた。培養2週間後、半分密集した細胞をトリプシン処理し、DMEM/10%で中和し、PBSで洗浄してカウントした。PBS中の100万個の細胞を、メス胸腺欠損ヌードマウス(Jackson Laboratories, Bar Harbor, ME)の側方皮下組織に注入した。
【0346】
NIH3T3細胞を、FGF−CX発現プラスミド(pFGF−CXおよびpIgκ―FGF−CX)またはそれらの適当な対照ベクターで形質移入した。FGF−CX発現ベクターのいずれかで形質移入された細胞を、形質移入後48時間までに形態学的に形質転換し(データは示していない)、組換えFGF−CXにさらされた後に生成されたものと類似のフェノタイプを有することが分かった(図6)。対照的に、対照ベクターで形質移入された細胞は、正常な形態を保持していた(データは示していない)。
【0347】
FGF−CXの異所性発現がインビボにおいてNIH3T3細胞の腫瘍形成を誘導するかを決定するために、安定な形質移入体を生成し、ヌードマウスの皮下に注入した。11日までに、pFGF−CXまたはpIgκ−FGF−CXのいずれかで形質移入した細胞で注入した全ての動物が、14日までに急激な腫瘍サイズの増大を有し、一方で、対照細胞で注入された動物のいずれもが 2週間までに腫瘍を発生しなかった(図8)。対照処理を受けたあるマウスおよびFGF−CXベクターで形質移入した細胞を受けた別のマウスの写真を、図9に示す。これらの結果は、FGF−CX遺伝子を有するベクターとの形質移入により形質移入された細胞が、インビボでの腫瘍発生および腫瘍成長を促進することを示す。
【0348】
実施例12.FGF−CXの発現
FGF−CXは、実施例6において記載される様に、本来発現する。タンパク質を、Ni2+アフィニティークロマトグラフィーを用いて精製し、還元条件と非還元条件下のSDS−PAGEの対象とし、クーマシーブルーを用いて染色した。結果を、図10において示す。それは、両方の条件下で見られ、タンパク質は、約29〜30kDaの見かけ上の分子量と共に移動する。
【0349】
実施例13.組換えFGF−CXによるブロモでオキシウリジン取込刺激
BrdUの取込についての用量反応実験を、ヒト腎臓癌腫細胞(786-0; American Type Culture Collection, Manassas, VA)を用いて行った。結果を図11において示す。FGF−CXは、「20858」と名付けられる。FGF−CXは、約2.5ng/mlである半分作用する用量で対照よりは4倍より多く、腎臓癌腫細胞の増殖を刺激することが分かる。
【0350】
実施例14.FGF−CXで形質移入された細胞でのインビトロでの病巣形成
培養における異所性FGF−CX発現の細胞成長への作用を評価するために、NIH3T3細胞を、FGF−CX発現プラスミド(図12においてpFGF−20およびpIgκ−κ−FGF−CX−20として同定した。実施例7を参照)または対照ベクターで形質移入した。NIH3T3細胞を、製造元のプロトコール(Life Technologies)により、Lipofectamine-Plusを用いて形質移入した。細胞を、形質転換後5時間で10%子ウシ血清(CS; Life Technologies)で補足した。形質移入後2日で、細胞を、90mmディッシュに移し、子ウシ血清をプラスしたDMEMで2週間培養した。細胞を、次に0.2%クリスタルヴァイオレット/70%エタノール溶液で染色し、写真撮影した。90mmディッシュそれぞれは、1.5μgのプラスミドDNAで形質移入された35mmディッシュ由来の細胞の半分を表す。
【0351】
2つのFGF−CX発現ベクターいずれかで形質移入された細胞は、形質移入後約2週間で形態的に形質導入された細胞の病巣を生成するが、一方で対照ベクターで形質移入された細胞は正常形態を維持していることがわかった(図12)。pIgκ−FGF−20構造は、密集に起因し、見られるイメージにおいて小さい病巣の形成において、pFGF−20構造より有意により効率的であるように改善した(図12参照)。
【0352】
実施例15.FGF−CXの受容体結合特異性
線維芽細胞成長因子(FGF)は、形態形成、細胞の分化、血管形成、組織リモデリング、炎症、腫瘍形成を含む様々な機能において重要な働きをする。FGFは、普通の3次構造を有する保存120アミノ酸FGFコアドメインを含有する。FGFシグナル伝達を、一般に膜貫通型チロシンキナーゼ受容体の活性化により生じると予測する。FGFR1ないしFGFR4である、4つの受容体を同定し、活性化受容体変異または不活性化受容体変異を、マウスおよびハムスターの両方でこれらの遺伝子のサブセットについて記載した。
【0353】
FGF−CXの受容体結合特異性を測定するために、組換えFGF−CXによりNIH3T3細胞でのDNA合成の誘導への可溶性FGF−CX受容体(FGFR)の作用を調べた。4つの受容体を、今日までに同定した(Klint P and Claesson-Welsh L. Front. Biosci., 4: 165-177, 1999; Xu X, et al. Cell Tissue Res., 296: 33-43, 1999)。FGFR1β(IIIc)、FGFR2α(IIIb)、FGFR2β(IIIb)、FGFR2α(IIIc)、FGFR3α(IIIc)およびFGFR4の可溶性受容体を利用した。これらFGFRのそれぞれの可溶性型は、FGF−CXの生物学的活性化を特異的に阻害できることが分かった(図13を参照)。完全阻害またはほぼ完全な阻害を、可溶性FGFR2α(IIIb)、FGFR2β(IIIb)、FGFR2α(IIIc)、およびFGFR3α(IIIc)で得たが、一方で、部分的な阻害を、可溶性FGFR1β(IIIc)およびFGFR4で成し遂げた。可溶性受容体物質のいずれもが、それにより、それらの特異性を示す、PDGF−BBによるDNA合成の誘導での妨害をしなかった。それぞれの可溶性受容体物質の完全性を、分析下でずべてのFGFRと相互作用すると知られている因子であるaFGF(酸性FGF)によるDNA合成の誘導を阻害する能力を示すことにより示した。
【0354】
実施例16.FGF−CXのN末端欠損型のクローニングおよび発現
プラスミドpET24a−FGF20X−del154コドンを宿すE.colli菌株BL21(DE3)(Invitrogen)を、LB培地中で、37℃で成長させた。このプラスミドは、位置55で宿すFGF−CXのC末端部分をコード化する。細胞の密集度が0.6ODに達したときに、IPTGを最終濃度1mMになるように加えた。誘導培養液を、次に追加の4時間、37℃でインキュベートした。細胞を、3000×g、15分間、4℃での遠心分離により回収し、PBSに縣濁し、次にマイクロ流動化(microfluidizer)を介して2つの層で分離した。可溶性タンパク質および非可溶性タンパク質を分離するために、溶解物を、10,000×g、20分間、4℃で遠心分離の対象とした。非溶解性分画(ペレット)を、1M Lアルギニンを含有するPBSで抽出した。残存非可溶性物質を、次に遠心分離により除去し、アルギニン抽出の可溶性分画を、0.2μ低タンパク質結合膜を介してフィルター処理し、SDS−PAGEにより分析した。結果を、産物が約20kDaの見かけ上の分子量(矢印参照)を有するポリペプチドであることを示す図14に示す。発現ポリペプチドのN末端配列決定は、FGF−CXの残基55〜69(表1、配列番号:2)に100%同一である配列AQLAHLHGILRRRQLを提供する。
【0355】
実施例17.FGF−CXの切断型に対する応答でのNIH3T3細胞へのブロモデオキシウリジン取込刺激
FGF−CXの残基24〜211((d1〜23)FGF−CX;表1および配列番号:2)を発現するベクターを調製した。この切断型を取り込むベクターを用いて得た条件培地で処理したNIH3T3細胞によるBrdUの取込を、全長FGF−CXをコード化するベクターを用いて条件培地での処置への応答での取込と比較した。この実験を実施例9において記載した様に行った。
【0356】
結果を、図15において示す。(d1〜23)FGF−CXは、最も低濃度10ng/mlで試験した場合に高活性を維持する。この濃度で、全長FGF−CXの活性は、非常に低下し、対照のレベルに接近する。(d1〜23)FGF−CXは、全長FGF−CXより少なくとも5倍の活性化であり得ることを推定する。
【0357】
実施例18.FGF−CX変異体CG53135−02のクローニングおよび発現
線維芽細胞成長因子20様タンパク質の変異体をコード化するヌクレオチド配列は、受託番号CG53135−02と関連し、同定された。受託番号CG53135−02の配列は、配列のコンピューターでの予測によるcDNAフラグメントの実験室でのクローニングによりもたらされた。DNA配列の全長または配列の一部のいずれか、または両方を覆うcDNAフラグメントをクローン化した。コンピュータでの予測は、CuraGen専売配列データベースまたは公開ヒト配列データベースにおいて利用可能な配列に基づき、全長DNA配列、またはそれらのいくつかの部分のいずれかを提供した。実験室のクローニングを、以下に要約する1またはそれ以上の方法を用いて実行した。
【0358】
SeqCalling[登録商標]技術:cDNAは、多様な組織タイプ、正常および疾病状態、病態、および異なるドナー由来の発生状態を表す様々なヒト試料からもたらされた。試料を、全体として、一次細胞または一次細胞または細胞株を培養した組織として得た。細胞および細胞株を、遺伝子発現を制御する生物学的物質または化学的物質、例えば、成長因子、ケモカイン、またはステロイドで処理した。従って、もたらされたcDNAをCuraGenの専売SeqCalling技術を用いて配列決定した。配列トレースを手動で評価し、適切な場合、訂正のため編集した。時としてヒト公開配列を含む、全試料由来のcDNA配列を、互いのアセンブリーのための共通配列を生むためのバイオインフォマティックプログラムを用いて、一緒に集めた。それぞれのアセンブリーを、CuraGenコーポレーションのデータベースに含む。配列を、互いの成分との同一性の伸展が少なくとも50bpを超える95%である場合、アセンブリーのための成分として含んだ。それぞれのアセンブリーは、遺伝子またはそれらの部分を表し、スプライスフォーム1塩基多型(SNP)、挿入、欠損および他の配列変異体のような、変異体の情報を含む。
【0359】
エキソン結合:CG53135−02配列をコードするcDNAを、プライマー:5’−AGGTCACCATGGCTGTTATTGGC−3’(配列番号:26)および5’−CTGTCTGTCCTCAGAAGAAGTTCTTGATC−3’(配列番号:27)を用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりクローン化した。プライマーを、本発明のcDNA/タンパク質配列の全長またはある部分(1またはそれ以上のエキソン)のコンピューターでの予測に基づいてデザインした。これらのプライマーを用いて、以下の組織由来の発現ヒト配列を含有するプールからcDNAを増幅した:副腎、骨髄、脳−扁桃体、脳−小脳、脳−海馬、脳−黒質、脳−視床、脳−全体、胎児の脳、胎児の腎臓、胎児の肝臓、胎児の肺、心臓、腎臓、リンパ腫−Raji、乳腺、膵臓、下垂体、胎盤、前立腺、唾液腺、骨格筋、小腸、脊髄、脾臓、胃、精巣、甲状腺、気管および子宮。
【0360】
多数のクローンを配列決定し、時として公開ヒト配列を含むこれらのフラグメントを、互いのアセンブリーのため共通配列を生むためのバイオインフォマティックプログラムを用いて一緒に集めた。それぞれのアセンブリーは、CuraGenのデータベースに含まれる。配列を、互いの成分との同一性の伸展が、少なくとも50bpを超える95%である場合、アセンブリーの成分として含まれる。互いのアセンブリーは、それらの遺伝子またはタンパク質を表し、スプライスフォーム1塩基多型(SNP)、挿入、欠損および他の配列変異体のような変異体の情報を含む。
【0361】
物理的クローン:全オープンリーディングフレームを覆う、エキソン結合によりもたらされたPCR産物を、クローン137627::160083874.A9を提供するためにInvitrogenのpCR2.1ベクターにクローン化した。
【0362】
新規線維芽細胞成長因子20様遺伝子のDNA配列およびタンパク質配列を、エキソン結合により得た。CuraGen受託番号CG53135−02として本明細書において報告する。
【0363】
新規線維芽細胞成長因子20様タンパク質(配列番号:29)をコード化する540ヌクレオチド(CuraGen受託番号CG53135−02と名付けられた)の新規核酸(配列番号:28)を、表15に示す。オープンリーディングフレームを、ヌクレオチド1〜3で始まり、ヌクレオチド538〜540で終わることを同定した。このポリペプチドは、新規線維芽細胞成長因子20様タンパク質を表す。オープンリーディングフレームの開始コドンおよび停止コドンは、太字で強調する。推定の非翻訳領域(下線)は、もしあれば、開始コドンから上流および終止コドンから下流で見つかる。179アミノ酸残基を有するコード化タンパク質を、表16において1文字コードを用いて表す。
【0364】
表15.本発明の線維芽細胞成長因子20様タンパク質をコード化するヌクレオチド配列(配列番号:28)
【表20】
【0365】
表16.上記の表15において示されたヌクレオチド配列によりコード化されるタンパク質配列(配列番号:29)
【表21】
【0366】
配列データベース検索において、例えば、本発明の核酸配列が、Homo sapiens(FGF−20のHomo sapiens mRNA,完全コード領域)由来のgb:GENBANK ID:AB044277|acc:AB044277.1mRNAに同一な506のうち495塩基(97%)を有することがわかった(表10)。本発明のタンパク質の全長アミノ酸配列は、Homo sapiens(ヒト)由来の211アミノ酸残基ptnr:SWISSNEW−ACC:Q9NP95タンパク質(線維芽細胞成長因子20(FGF−20))に同一な162のうち160のアミノ酸残基(98%)を有し、類似の162のうち160のアミノ酸残基(98%)を有することが分かった(表10)。
【0367】
多様な配列アラインメントを、本発明のタンパク質を本発明のタンパク質を関連タンパク質配列と比較したClustalW解析において第1の線で示す、表17に示す。この配列が、位置20〜51で示された様に線維芽細胞成長因子のスプライスフォームを表すことに注意されたい。
【0368】
表17.CG53135−02タンパク質と関連するタンパク質のClustalWアラインメント
【表22】
【0369】
表17において示すアラインメントにおいて、黒で輪郭を描かれたアミノ酸残基は、配列(すなわち、構造的性質または機能的性質を保つことを必要とされ得る残基)間で完全に保存された残基を示し;グレーの背景を伴うアミノ酸残基は、タンパク質構造または機能が変わらない(例えば、群L、V、IおよびMを類似であるとみなされる)同程度の物理的性質および/または化学的性質を有する配列間で互いに類似である;および白の背景を伴うアミノ酸残基は、配列間で保存されないか、あるいは類似でない。
【0370】
本明細書において開示するタンパク質中の同定可能なドメインの存在を、Pfam、PROSITE、ProDom、BlockまたはPrintのようなドメインデータベースに対する検索により決定し、プロリン間のドメイン受託番号により同定した。有意な一致を、表18において要約する様に、IPR002209;(HBGF_FGF)ドメインに対して見た。
【0371】
表18.CG53135−02のドメイン解析
【表23】
【0372】
IPR002209;(HBGF_FGF)ヘパリン結合成長因子IおよびII(HBGF)(中胚葉起源または神経外胚葉起源の広範なバラエティーに富む細胞の成長または刺激を促進する構造上関連するマイトジェンである酸性および塩基性線維芽細胞成長因子(FGF)としても知られる。例えば、Burgess & Maciag, 1989参照。)Annu. Rev. Biochem. 58: 575-606; Thomas 1988 Trends Biochem. Sci. 13: 327-328を参照。これらの2つのタンパク質は、成長因子ファミリーに属し、インターロイキン1タンパク質、Kunitzタイプダイズトリプシン阻害剤(STI)およびヒスタクトフィリン(histactophilin)も含有するスーパーファミリーのメンバーである腫瘍形成に属する。
全てが非常に小さな構造を有するが、HBGFおよびインターロイキン1ファミリーは配列類似性(約25%)を共有するけれど、STIに対して全く示さない。例えば、Burgess & Maciag, 1989) Annu. Rev. Biochem. 58: 575-606; Thomas 1988 Trends Biochem. Sci. 13: 327-328; Heath et al. 1995 Curr. Biol. 5: 500-507; Matthews et al. 1991 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 88: 3441-3445; Murzin 1992 J. Mol. Biol. 223: 531-543; Gimenez-Gallego et al. 1985 Science 230: 1385-1388; Copeland et al. 1996 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93: 9850-9857;およびAyres et al. 1994 Virology 202: 586-605を参照されたい。
【0373】
HBGFは、細胞の分化および成長調節に関連する多くの分化過程において含まれる。例えば、Burgess & Maciag, 1989) Annu. Rev. Biochem. 58: 575-606を参照されたい。HBGF1およびHBGF2は、類似の作用を有する:それらは、胚形成での中胚葉形成を誘導し、傷修復、血管新生、神経細胞の伸長を仲介する;それらはまた、線維芽細胞、内皮細胞、およびアストログリア細胞の増殖および遊走を誘導する。HBGF3(int−2)およびHBGF4(hst/ks)は、それぞれ胃癌およびカポジ肉腫由来の既知の癌遺伝子である。HBGFおよびHBGF6はまた、癌遺伝子産物である。ケラチノサイイト成長因子である、HBGF7は、正常上皮細胞増殖の主要なパラクリンエフェクターである。
【0374】
これらの成長因子は、細胞内シグナル伝達えお導く、それらのチロシンキナーゼ受容体上の2量体化を引き起こす。線維芽細胞成長因子の4つの既知のチロシンキナーゼ受容体が現在存在する。これらの受容体は、このファミリーのいくつかの異なるメンバーにそれぞれ結合する。例えば、Heath et al. 1995 Curr. Biol. 5: 500-507を参照されたい。
【0375】
HBGF1およびHBGF2の結晶構造を溶解した。例えば、Matthews et al. 1991 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 88: 3441-3445を参照されたい。HBGF1およびHBGF2は、インターロイキン1およびKunitzタイプダイズトリプシン阻害剤両方のような同一の12本鎖βシート構造を有する例えば、Murzin 1992 J. Mol. Biol. 223: 531-543を参照されたい。HBGF1およびインターロイキン1は、類似であると分かり、類似の構造を有することを予測した。例えば、Gimenez-Gallego et al. 1985 Science 230: 1385-1388を参照されたい。βシートを、抗類似βバレルを形成する6本鎖である中心軸のまわりの3つの類似葉にアレンジする。HBGF1のいくつかの領域は、受容体結合、明白に、β構造1ないし3、および鎖8と9との間のループにおいて関係する。鎖10と11との間のループは、ヘパリン結合において関係すると考える。
【0376】
このことは、本発明の配列がHBGF1様およびHBGF2様ドメインを含有すると知られている他のタンパク質の配列と類似する性質、かつこれらのドメインの性質に類似する性質を有することを示す。
【0377】
本発明の核酸およびタンパク質は、様々な疾病および疾患の診断および/または処置での応用を有する。例えば、本発明の組成物は、:ヒルシュスプルング病、クローン病、虫垂炎、炎症性腸疾患、憩室疾患、全身性エリトマトーデス、自己免疫疾患、喘息、肺気腫、強皮症、アレルギー、ARDS、フォンヒッペルリンドウ(Von Hippel-Lindau)(VHL)症候群、肝硬変、移植、高カルシウム血症、潰瘍、心筋症、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、先天性心臓欠陥、大動脈弁狭窄、心房中隔欠損症(ASD)、房室(A−V)チャネル欠損症、動脈管開存症、肺動脈弁狭窄、大動脈弁下部狭窄、心室中隔欠損症(VSD)、弁疾患、結節性硬化症、強皮症、糖尿病、自己免疫疾患、腎動脈狭窄、間質性腎炎、糸球体腎炎、多発性嚢胞腎、全身性エリトマトーデス、尿細管性アシドーシス、IgA腎症、高カルシウム血症、アルツハイマー病、脳梗塞、結節硬化、高カルシウム血症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、脳性麻痺、てんかん、レッシュ−ナイハン症候群、多発性硬化症、毛細血管拡張性運動失調症、白質萎縮症、行動障害、依存症、不安、痛み、神経変性、ならびに他の疾病、疾患、状態を病む患者の処置に効力を有する。
【0378】
実施例19.FGF−CX変異体CG53135−06のクローニングおよび発現
受託番号CG53135−06に言及した線維芽細胞成長因子20様タンパク質(配列番号:31)の変異体をコード化するヌクレオチド配列を、表19および20に示す様に同定した。SeqCallingアセンブリー配列を、FGF20のSNP変異体および/またはFGF20ファミリーのメンバー対して類似性を有するタンパク質に翻訳されるDNA配列についてのCuragenコーポレーションヒトSeqCalling[登録商標]データベースの検索によりまず同定した。1またはそれ以上のSeqCallingアセンブリー174203299を、適当な類似性を有するとして同定した。上に示した表11を参照されたい。選択されたアセンブリーを、さらに解析して、新規全長タンパク質ならびに新規スプライスフォームをコード化する任意のオープンリーディングフレームを同定した。結果として得られたDNA配列およびFGF20様遺伝子の新規SNP変異体のタンパク質配列を、CuraGen受託番号CG53135−06として本明細書において報告する。
【0379】
表19.本発明のFGF20様タンパク質(受託番号CG53135−06)のSNP変異体をコード化するヌクレオチド配列(配列番号:30)
【表24】
【0380】
表20.表19において示されたヌクレオチド配列によりコード化されるタンパク質配列(配列番号:31)
【表25】
【0381】
多型配列アラインメントを、関連タンパク質配列を有する本発明のタンパク質と比較するClustalW解析での第1のラインに示す本発明のタンパク質を伴う表21に示す。この配列がCG53135−06の位置53において示された様にFGF20のSNPを表すことに注意されたい。別のSNPを、以下の実施例21において記載する。
【0382】
表21.CG53135−06タンパク質と関連するタンパク質のClustalWアラインメント
【表26】
【0383】
本明細書において開示されるタンパク質の同定可能なドメインの存在を、Pfam、PROSITE、ProDom、BlockまたはPrintのようなドメインデータベースに対する検索により決定し、次にプロリン間のドメイン受託番号により同定した。有意義なドメインを表22に要約する。プロリン間IPR002209FGFドメインを上述する。
【0384】
表22.CG53135−06のドメイン解析
【表27】
【0385】
実施例20.最適化FGF−CXを含むFGF−CX変異体のクローニングおよび特徴
別のFGF−CX変異体を、上述のようにクローン化した。ヌクレオチドおよびポリペプチドを表23〜29において示す。コドン最適化FGF−CXを表25に示す。
【0386】
表23.CG53135−03のヌクレオチドおよびポリペプチド配列、コンセンサスDNA配列
【表28】
【0387】
表24.CG53135−04のヌクレオチドおよびポリペプチド配列:コンセンサスDNA配列:
【表29】
【0388】
表25.クローンアセンブリー、FGF−20X、コドン最適化、CG53135−05のヌクレオチドおよびポリペプチド配列
【表30】
【0389】
表26.CG53135−07のヌクレオチドおよびポリペプチド配列
【表31】
【0390】
表27.CG53135pep2、CG53135−08のヌクレオチドおよびポリペプチド配列
【表32】
【0391】
表28.CG53135pep、CG53135−09のヌクレオチドおよびポリペプチド配列
【表33】
【0392】
表29.FGF−20、CG53135pep、CG53135−10のヌクレオチドおよびポリペプチド配列
【表34】
【0393】
FGF−CX変異体CG53135−01ないしCG53135−08(それぞれ、v−01ないしv−04として標識した)のClustalWアラインメントを表30に示す。
【0394】
表30.CG53135−01変異体からCG53135−08変異体のClustalW多様性アラインメント
【表35】
【0395】
コドン最適化FGF−CX核酸(配列番号:378)およびポリペプチド(配列番号:38)配列のBLASTPアラインメントおよびBLASTNアラインメントを実施した。結果を表31に示す。
【0396】
表31.配列番号:37および38のBLAST解析
【表36】
【0397】
実施例21.FGF−CX SNP変異体のクローニングおよび発現
SeqCalling[登録商標]技術:cDNAは、多様な組織タイプ、正常および疾病状態、病態、および異なるドナー由来の発生状態を表す様々なヒト試料からもたらされた。試料を、全体組織、細胞株、一次細胞または一次細胞および細胞株を培養した組織として得た。細胞および細胞株を、遺伝子発現を制御する生物学的物質または化学的物質、例えば、成長因子、ケモカイン、ステロイドで処理した。それゆえにもたらされたcDNAを、次に、CuraGen専売のSeqCalling技術を用いて配列決定した。配列トレースを、手動で評価し、適切な場合、訂正のため編集した。全試料由来のcDNA配列を、それ自体、SeqCallingアセンブリーのCuragenのヒトSeqCallingデータベースを生成するためのバイオインフォマティックプログラムを用いる公開ESTで集めた。それぞれのアセンブリーは、1またはそれ以上のヒト試料からもたらされた1またはそれ以上の重複cDNA配列を含有する。フラグメントおよびESTを、アセンブリーの別の成分との同一性の伸展が、少なくとも50bpを超える95%であると、アセンブリーの成分として含まれる。それぞれのアセンブリーは、スプライスフォームおよび/または1塩基多型(SNP)およびそれらの組合せのような遺伝子および/またはその変異体をあらわすことができる。
【0398】
ヒトゲノムDNAにおいて同定された様々な配列は、この発明に含まれる。変異体配列は、1塩基多型(SNP)を含むことができる。SNPは、時には、cDNAとしてSNP起源を含有するヌクレオチド配列意味する「cSNP」として言及することができる。SNPを様々な方法で生じさせることができる。例えば、SNPは、多型部位での別のものへの1ヌクレオチドの置換に起因し得る。かかる置換は、トランジションまたはトランスバージョンのいずれかであり得る。SNPはまた、参考対立遺伝子と関係するヌクレオチドの欠損またはヌクレオチドの挿入から生じ得る。この場合、多型部位は、ある対立遺伝子は、別の対立遺伝子中の特定のヌクレオチドに関して、ギャップを生む部位である。遺伝子内で生じるSNPは、SNPの位置の遺伝子によりコード化されたアミノ酸の変化において結果として起こり得る。しかしながら、SNPはまた、SNPを含むコドンが遺伝子コードの重複性の結果として同一アミノ酸をコード化する場合、サイレントであり得る。遺伝子領域の外側、または遺伝子内のイントロン中で生じるSNPは、タンパク質の任意のアミノ酸配列中で変化を生じないが、発現パターンの変化制御、例えば、時間的な発現での変化、生理的応答制御、細胞タイプ発現制御、発現の強度、転写されたメッセンジャーの安定性において生じる。
【0399】
新規SNP同定方法:SNPは、CuraGen専売特許のSNPToolアルゴリズムでのDeep SNP Mining(DSM)により同定された。SNPToolは、以下の基準でのアセンブリーでのバリエーションを同定する:それぞれアセンブリー位置に対して、アラインメントの両末端上の10塩基対内で解析されない;ウインドウサイズ(一見の塩基数)が10である;ウインドウでのミスマッチの許される数は2である;最小のSNP塩基の質(PHREDスコア)は23である;スコアSNPに対する変化の最小数は2である。SNPToolは、アセンブリーを解析し、アセンブリーでの個々の変異体配列と関連するSNP位置、与えられた位置でのアセンブリーの深さ、推定アセンブリー対立遺伝子頻度、SNP配列変異体、およびゲノムDNAプール供給源を表す。配列トレースを選択し、手動での確認のため図する。内臓のフレーム検索ソフトウエアは、アミノ酸変更SNPの同時同定を可能とする。イントロン/エキソン境界に接するSNPを、SNPコンセンサスをCuraToolに入力することおよび該CGUIDタンパク質配列に対する1×1TBLASTNをを実施することにより二重チェックした。包括的なSNPデータ解析を次にSNPCallingデータベースに出力した。
【0400】
新規SNP確認方法:SNPを、Pyrosequencingとして知られる有効な方法を利用して確認する。Pyrosequencingの詳細なプロトコールは、Alderborn et al.. (2000). Genome Research. 10, Issue 8, Augustにおいて見ることができる。SNP結果を、表32に示す。
【0401】
表32.図1において記載したヌクレオチド配列の変異体
【表37】
【0402】
実施例22.FGF−CX変異体CG53135−04の分子クローニング
A.CG53135−04の残基1〜179の分子クローニング
残基1〜179由来のCG53135−04の全長型をコードするcDNAを、PCRによる「インフレーム」クローニングの標的とした。PCR鋳型は、以前に同定されたプラスミドに基づく。
【0403】
以下のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、標的cDNA配列をクローン化した:
F1 5’−CACCAGATCT ATGGCTCCCTTAGCCGAAGTCGGGGGC−3’(配列番号:55)
R1 5’−GCCGTCGAC AGTGTACATCAGTAGGTCCTTGTACAATTC−3’(配列番号:56)
【0404】
下流のクローニング目的のため、順方向プライマーは、インフレームのBglII制限部位を含み、逆方向プライマーは、インフレームのSalI制限部位を含有する。
2度のPCR反応を、CG53135−04のインサートを含有するプラスミドの全量1〜5ngを用いてセットアップした。
【0405】
反応混合液は、50μl反応用量中の、2μlのそれぞれのプライマー(元々の濃度:5pmol/μl)、1μlの10mM dNTP(Clontech Laboratories, Palo Alto CA)および1μlの50×Advantage-HF2ポリメラーゼ(Clontech Laboratories)を含有していた。以下の反応条件を用いた:
PCR条件1:
a) 96℃ 3分
b) 96℃ 30秒 第2の変性
c) 60℃ 30秒 プライマーアニーリング
d) 72℃ 6分 伸長
ステップb〜dを15回繰り返す
e) 96℃ 15秒 変性
f) 60℃ 30秒 プライマーアニーリング
g) 72℃ 6分 伸長
ステップe〜gを29回繰り返す
e) 72℃ 10分 最終伸長
PCR条件2:
a) 96℃ 3分
b) 96℃ 15秒 第2の変性
c) 76℃ 30秒 サイクル当たり1℃温度を下げる
d) 72℃ 4分 伸長
ステップb〜dを34回繰り返す
【0406】
増幅産物を、アガロース電気泳動により検出した。フラグメントをゲル精製し、製造元の指示に従い、pCR2.1 TOPOベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA)に結合させた。PCR反応当たり12クローンをピックアップし、配列決定した。インサートを、ベクター特異的M13順方向プライマーおよびM13逆方向プライマーを用いて配列決定した。
SF1:GTATCTTGGAATTCATCAGTGTGGC(配列番号:57)
SF2:TGGTCTCTATCTTGGAATGAATGAC(配列番号:58)
SR1:GAAGAGGCTGTGGTCCTGCC(配列番号:59)
SR2:ACTGTCCACACCTCTAATACTGACC(配列番号:60)
【0407】
インサートアセンブリー250059596が、CG53135−04の標的配列の残基1と残基179の間のオープンリーディングフレームをコード化することが分かった。表33〜36を参照されたい。クローンインサートは、元々の配列に対して100%同一である。CG53135−04でのアラインメントを、表37のClustalWに示す。アセンブリーの最初の3アミノ酸残基および最後の3アミノ酸残基は、サブクローニングの目的のプライマーに加えられた制限酵素部位由来である。白またはグレーの背景を有する異なるアミノ酸に注意し、欠損/挿入アミノ酸を、その位置でコードしない配列の破線により検出できる。
【0408】
表33.クローン配列
【表38】
【0409】
表34.クローン配列
【表39】
【0410】
表35.CG53135−04のビューDNA配列解析
【表40】
【0411】
表36.250059596のビューDNA配列解析
【表41】
【0412】
表37.クローン配列のClustalW
【表42】
【0413】
B,CG53135−04の分子クローニング(31〜162aa)
残基31〜162由来のCG53135−04のドメインをコードするcDNAを、PCRによる「インフレーム」クローニングの標的とした。PCR鋳型は、以前に同定されたプラスミドに基づく。
【0414】
以下のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、標的cDNA配列をクローン化した:
F2 5’−CACCAGATCT ATCCTGCGCCGCCGGCAGCTCTATTGCC−3’(配列番号:63):
F2 5’−CACCAGATCT ATCCTGCGCCGCCGGCAGCTCTATTGCC−3’(配列番号:63):
R2 5’−GCCGTCGAC TGGTCTAGGTAAGAAATGTGTAAATTTCTGATGCC−3’(配列番号:64)
【0415】
下流のクローニング目的のため、順方向プライマーは、インフレームのBglII制限部位を含み、逆方向プライマーは、インフレームのSalI制限部位を含有する。
PCR反応を、CG53135−04のインサートを含有する全部で1〜5ngのプラスミドを用いてセットアップした。
【0416】
反応混合液は、50μlの反応液中に、2μlのそれぞれのプライマー(元々の濃度:5pmol/μl)、1μlの10mM dNTP(Clontech Laboratories, Palo Alto CA)および1μlの50×Advantage-HF2ポリメラーゼ(Clontech Laboratories)を含有する。用いた反応条件は、実施例22Aにおいて、上で提供される。
【0417】
増幅産物を、アガロース電気泳動により検出した。フラグメントをゲル精製し、製造元の指示に従い、pCR2.1 TOPOベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA)に結合させた。PCR反応当たり12クローンをピックアップし、配列決定した。インサートを、ベクター特異的M13順方向プライマーおよびM13逆方向プライマーを用いて配列決定した。
【0418】
インサートアセンブリー250059629が、CG53135−04の標的配列の残基31と162との間のオープンリーディングフレームをコード化することが分かった。クローン化インサートは、元々の配列と100%同一である。表38〜42を参照されたい。CG53135−04でのアラインメントを、表42のClustalWにおいて示す。アセンブリーの最初の3アミノ酸残基および最後の3アミノ酸残基は、サブクローニングの目的のためのプライマーに加えられた制限酵素部位由来である。白またはグレーの背景を有する異なるアミノ酸に注意し、欠損/挿入アミノ酸を、その位置でコードしない配列中の破線により検出できる。
【0419】
表38.クローン配列
【表43】
【0420】
表39.クローン配列
【表44】
【0421】
表40.CG53135−04のビューDNA配列解析
【表45】
【0422】
表41.250059629のビューDNA配列解析
【表46】
【0423】
表42.ClustalWアラインメント
【表47】
【0424】
C.CG53135−04の分子クローニング(31〜179aa)
残基31〜179由来のCG53135−04の成熟型をコードするcDNAを、PCRにより「インフレーム」の標的とした。PCR鋳型は、以前に同定されたプラスミドに基づく。
【0425】
以下のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、標的cDNA配列をクローン化した:
F2 5’−CACCAGATCT ATCCTGCGCCGCCGGCAGCTCTATTGCC−3’(配列番号:63)
R1 5’−GCCGTCGAC AGTGTACATCAGTAGGTCCTTGTACAATTC−3’(配列番号:56)
【0426】
下流クローニング目的のため、順方向プライマーは、インフレームのBglII制限部位を含み、逆方向プライマーは、インフレームのSalI制限部位を含有する。
2度のPCR反応を、CG53135−04のインサートを含有するプラスミドの全量1〜5ngを用いてセットアップした。
【0427】
反応混合液は、50μl反応量中で、2μlのそれぞれのプライマー(元々の濃度:5pmol/μl)、1μlの10mM dNTP(Clontech Laboratories, Palo Alto CA)および1μlの50×Advantage-HF2ポリメラーゼ(Clontech Laboratories)を含有する。用いた反応条件は、実施例22Aにおいて上で提供された。
【0428】
増幅産物を、アガロースゲル電気泳動により検出した。フラグメントを、ゲル精製し、製造元の指示に従い、pCR2.1 TOPOベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA)に結合させた。PCR反応当たり12クローンをピックアップし、配列決定した。インサートを、ベクター特異的なM13順方向プライマーおよびM13プライマーを用いて配列決定した。
【0429】
インサートアセンブリー250059669が、標的配列のCG53135−04の残基31と179間のオープンリーディングフレームをコード化することが分かった。クローンインサートは、元々の配列と100%同一である。表43〜46を参照されたい。CG53135−04でのアラインメントを、表47でのClustalWに示す。アセンブリーの最初の3アミノ酸残基および最後の3アミノ酸残基は、サブクローニングの目的のためのプライマーに加えられた制限酵素部位由来である。白またはグレーの背景を有する異なるアミノ酸に注意し、欠損/挿入アミノ酸を、その位置でコードしない配列中の破線により検出され得る。
【0430】
表43.クローン配列
【表48】
【0431】
表44.クローン配列
【表49】
【0432】
表45.CG53135−04のビューDNA配列解析
【表50】
【0433】
表46.250059669のビューDNA配列解析
【表51】
【0434】
表47.ClustalWアラインメント
【表52】
【0435】
(相当発明)
本発明の特別な実施例の上述の詳細な記載から、特定の新規組成物および記載した核酸、ポリペプチド、抗体、検出および処置を含む方法が明らかである。これらの特定の実施態様は本明細書において開示されたが、このことは例示のみを目的とする実施例によりなされ、以下の添付請求項の範囲に関して制限することを意図するものではない。特に、様々な置換、変更、および修飾が、請求項により定義されるように本発明の要旨を逸脱しないで当業者にとって日課として行われ得ることは、本発明者により意図される。実際、本明細書において記載したものに加えて、本発明の様々な修飾が、上述の記載および添付の図から当業者にとって明らかである。かかる修飾は、添付請求項の範囲内にあることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0436】
【図1】図1は、FGF−CXのウエスタン分析を示す。
【図2】図2は、293細胞により分泌されたFGF−CXタンパク質のウエスタン分析を示す。
【図3】図3は、E.coli細胞において発現させたFGF−CX(配列番号:2)タンパク質のウエスタン分析を示す。
【図4−A】図4−Aは、FGF−CX特異的TaqMan試薬を用いたリアルタイム定量的PCRにより得たFGF−CXの発現分析である。正常ヒト組織試料由来の標準化RNAの結果をパネルAに示す。
【図4−B】図4−Bは、FGF−CX特異的TaqMan試薬を用いたリアルタイム定量的PCRにより得たFGF−CXの発現分析である。腫瘍細胞株由来の標準化RNAの結果をパネルBに示す。
【図4−C】図4−Cは、FGF−CX特異的TaqMan試薬を用いたリアルタイム定量的PCRにより得たFGF−CXの発現分析である。手術で直接的に得た腫瘍組織を用いて得た結果を、パネルCに示す。
【図4−D】図4−Dは、FGF−CX特異的TaqMan試薬を用いたリアルタイム定量的PCRにより得たFGF−CXの発現分析である。手術で直接的に得た腫瘍組織を用いて得た結果を、パネルDに示す。
【図5−A】図5−Aは、DNA合成への作用により表される、組換えFGF−CXの生物学的活性を表示する。
【図5−B】図5−Bは、DNA合成への作用により表される、組換えFGF−CXの生物学的活性を表示する。
【図5−C】図5−Cは、DNA合成への作用により表される、組換えFGF−CXの生物学的活性を表示する。
【図6】図6は、細胞成長への作用により表される組換えFGF−CXの生物学的活性を表示する。
【図7】図7は、細胞形態への作用により表される組換えFGF−CXの生物学的活性である。
【図8】図8は、FGF−CXの腫瘍化活性を表すグラフである。
【図9】図9は、FGF−CX構築物で安定的に形質移入したNIH3T3細胞を皮下組織へ注入された対照胸腺欠損ヌードマウスおよび胸腺欠損ヌードマウスの写真である。
【図10】図10は、還元条件下および非還元条件下で調整されたFGF−CXの精製試料のクーマシーブルー染色したSDS−PAGEゲルのイメージである。
【図11】図11は、786−0ヒト腎臓腺癌細胞を用いて実行した投与量タイトレーション実験の結果を提供する。
【図12】図12は、インビトロでの病巣の形成を示す。
【図13】図13は、FGF−CXの受容体結合特異性を評価する実験の結果を示す。
【図14】図14は、プラスミドpET24a−FGF20X−del154コドンをE.coli菌株BL21(DE3)で発現させた場合に得たアルギニン上清のクーマシーブルー染色SDS−PAGEゲルのイメージを示す。
【図15】図15は、全長FGF−CXと比較して、DNA合成への作用により表す組換えFGF−CXの切断型の生物学的活性を示す。
(発明の技術分野)
本発明は、一般に核酸およびポリペプチドに関する。本発明は、特に線維芽細胞成長因子ファミリーのメンバーに関するポリペプチドをコード化する核酸に関する。
【0002】
(本発明の背景)
サイトカインである線維芽細胞成長因子(FGF)グループは、成長、生存、アポトーシス、運動性および分化のような多種多様の細胞機能を調節する少なくとも21のメンバーを含む。プロトタイプメンバーが、酸性FGF(FGF−1)および塩基性FGF(FGF−2)を含むタンパク質であるFGFファミリーは、4つの関連する受容体チロシンキナーゼに結合する。これらの分子は、細胞表面チロシンキナーゼFGF受容体(FGFR)との高親和性相互作用を経由してシグナルを伝達する。これらのFGF受容体は、組織培養において大部分の細胞タイプで発現する。リガンド結合上のFGF受容体モノマーの2量体化は、受容体のリン酸化を導くキナーゼドメインの活性化に必要であると報告されてきた。4つのFGF受容体の広範な発現パターンを示すFGF受容体1(FGFR−1)は、少なくとも7つのチロシンリン酸化部位を含有する。多くのシグナル伝達分子は、これらのリン酸化部位に対する異なる親和性での結合により作用される。
【0003】
正常成長および正常発生での関与に加えて、既知のFGFはまた、癌を含む病態の発生において関係するとみなされてきた。FGFは、腫瘍細胞の成長を直接的に増強することにより腫瘍の原因となり得る。例えば、同一細胞でのFGFとFGFRの共発現を介するオートクリン成長刺激は、細胞の形質転換を導くと報告されてきた。
【0004】
(発明の概要)
本発明は、タンパク質である線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーのメンバーに対して相同性を有する新規ポリペプチドをコード化する核酸の発見に部分的に基づく。線維芽細胞成長因子CX(FGF−CX)と名付けられたポリヌクレオチド配列は本発明に含まれ、これらの核酸配列によりコード化されたFGF−CXポリペプチド、およびスプライスバリアント、SNP、フラグメント、相同体、類似体、およびそれらの誘導体が本発明において請求される。FGF−CX核酸の実施例は配列番号:1であり、FGF−CXポリペプチドの実施例は配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。このアミノ酸配列は、配列番号:1の核酸配列によりコード化される。
【0005】
1つの態様において、本発明は単離FGF−CXポリペプチドを含む。いくつかの実施態様においては、単離ポリペプチドは配列番号:2のアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、本発明は配列番号:2の変異体を含み、変異体のいくつかのアミノ酸残基において、例えば、配列番号:2のアミノ酸配列の1%、2%、3%、5%、10%または15%未満が変更を受けている。いくつかの実施態様においては、単離FGF−CXポリペプチドは、配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の成熟型のアミノ酸配列、または配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の成熟型の変異体を含む。好ましくは、アミノ酸配列の成熟型の変異体において配列番号:2のアミノ酸配列の1%、2%、3%、5%または15%未満が変更を受ける。
【0006】
FGF−CXポリペプチドの変異体、FGF−CXポリペプチドの成熟型およびFGF−CXポリペプチドの成熟型の変異体のフラグメントを含むFGF−CXポリペプチドのフラグメント、ならびにFGF−CX核酸の対立遺伝子変異体および1塩基多型によりコード化されるFGF−CXポリペプチドも、本発明において含まれる。FGF−CXポリペプチドの実施例は、配列番号:2の残基54〜211または配列番号:2の残基24〜211を含むフラグメントである。
【0007】
別の態様において、本発明は単離FGF−CX核酸分子を含む。FGF−CX核酸分子は、上で開示された任意のFGF−CXポリペプチド、変異体、またはフラグメント、またはかかる核酸配列のいずれかに対する相補体をコード化する配列を含に得る。1つの実施態様において、配列は、配列番号:1において開示されたものを含む。他の実施態様において、FGF−CX核酸は、配列番号:1において与えられるものと異なるヌクレオチドが取り込まれ得る配列を含む。好ましくは、ヌクレオチドの1%、2%、3%、5%、10%、15%、または20%未満が変更を受ける。
【0008】
1つの実施態様において、 核酸は、配列番号:2の残基54〜211または配列番号:2の残基24〜211を含むポリペプチドフラグメントをコード化する。核酸は、例えば、配列番号:1のヌクレオチド163〜633または配列番号:1のヌクレオチド70〜633を含むことができる。
【0009】
他の実施態様において、本発明はこれらの核酸配列のフラグメントまたは相補体を含む。FGF−CX核酸を取り込むベクターおよび細胞はまた、本発明において含まれる。
【0010】
本発明は、本明細書において記載される任意のFGF−CXポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体も含む。様々な実施態様におけるFGF−CX抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体および/またはヒト抗体を含む。
【0011】
本発明は、加えて、本発明のFGF−CXポリペプチド、FGF−CX核酸またはFGF−CX抗体を含む医薬組成物を提供する。例えば、FGF−CXポリペプチド、FGF−CX核酸またはFGF−CX抗体を含むキットも本発明において含まれる。
【0012】
いくつかの方法が、本発明において含まれる。例えば、試料中の本発明のFGF−CXポリペプチドの存在または量を測定する方法が開示される。方法は、試料をポリペプチドに免疫特異的に結合するFGF−CX抗体と接触させること;および該ポリペプチドに結合する抗体の存在または量を測定することを含み、かかる抗体が、試料中のポリペプチドの存在または量を示す。
【0013】
同様に、本発明は、試料中のFGF−CX核酸分子の存在または量を測定する方法を開示する。方法は、試料を核酸分子に結合するプローブと接触させること;および核酸分子に結合するプローブの存在または量を測定することを含み、かかるプローブが試料中のFGF−CX核酸分子の存在または量を示す。
【0014】
本発明により、FGF−CXポリペプチドに結合する物質を同定する方法も提供される。方法は、候補物質がFGF−CXポリペプチドに結合する否かの決定を含む。候補物質の結合は、物質がFGF−CXポリペプチド結合物質であることを示す。
【0015】
本発明は、病態の処置において用いる潜在的治療物質を同定する方法も含む。病態は、例えば、本発明のFGF−CXポリペプチドの異常発現、異常プロセッシング、または異常生理的相互作用と関係する。この方法は、FGF−CXポリペプチドを発現し、かつポリペプチドに基づく性質または機能を有する細胞を用意すること;用意した細胞を、候補物質を含む組成物と接触させること;および対照細胞との比較において物質がポリペプチドに基づく性質または機能を変化させるか否かを決定することを含む。かかる物質のいずれかが、潜在的治療物質として同定される。さらに、治療物質は、この方法で同定された任意の潜在的治療物質を、病態の処置において用いる治療物質を同定するための付加試験の対象とすることにより同定され得る。
【0016】
いくつかの実施態様において、性質または機能が細胞成長または細胞増殖に関与し、物質がポリペプチドに結合し、それによりポリペプチドの活性化を調節する。いくつかの実施態様においては、候補物質は約1500Da以下の分子量を有する。いくつかの実施態様において、候補物質は抗体である。本発明は、加えて、本明細書において記載されるような方法を用いて同定される任意の治療物質を提供する。
【0017】
本発明の別の重要な態様は、FGF−CXポリペプチドと関連する疾患の処置または予防する方法に関与する。疾患は、細胞または組織の不十分な成長または役に立たない成長により、または細胞または組織の過形成または異常増殖により特徴付けられる。方法は、該対象の疾患を処置または予防するのに十分な量および持続時間での本発明のFGF−CXポリペプチド、または本発明のFGF−CX核酸、または本発明の任意の他の治療物質を対象に投与することを含む。有意義な実施態様において、対象はヒトである。
【0018】
本発明は、FGF−CXポリペプチドの異常発現、異常プロセッシング、または異常生理的相互作用と関連する疾患の潜在活性または素因のモジュレーターをスクリーニングする方法も含む。方法は、本発明のFGF−CXポリペプチドを組替え発現し、疾患に対して増加したリスクのある被検動物を用意すること;被検動物に試験化合物を投与すること;化合物の投与後の被検動物中のポリペプチドの活性を測定すること;および被検動物中のFGF−CXポリペプチドの活性を、化合物を投与されていない対照動物中のFGF−CXポリペプチドの活性と比較することを含む。対照動物と比較して被検動物中のポリペプチドの活性での変化が存在すると、試験化合物は疾患の潜在活性または素因のモジュレーターである。
【0019】
本発明はまた、第1の哺乳動物対象中の本発明のFGF−CXポリペプチドまたはFGF−CX核酸の変化したレベルと関連する疾病の存在または素因を決定する方法を提供する。方法は、第1の哺乳動物対象由来の試料中のポリペプチドの発現レベルまたは核酸の量を測定すること;試料中のその量を、疾病を有さない、または素因を有さないと知られている第2の哺乳動物対象由来の対照試料中その量と比較することを含む。対照試料と比較して第1の対象中のポリペプチドの発現レベルまたは核酸の量での変化は、疾病の存在または素因を示す。
【0020】
本発明により、哺乳動物において病態を処置する方法も提供される。ここで、病態は、本発明のFGF−CXポリペプチドの異常発現、異常プロセッシング、または異常生理的相互作用に関与する。方法は、哺乳動物へ病態を緩和するのに十分な量で本発明のポリペプチドを投与することを含む。ここで、FGF−CXポリペプチドは、配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、または実に99%同一なアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性なフラグメントである。別の関係する方法において、本発明の抗体が、哺乳類に投与される。
【0021】
別の態様において、本発明は対象における細胞成長を促進する方法を含む。方法は、細胞成長の促進に作用する量および持続時間で本発明のFGF−CXポリペプチドを対象へ投与することを含む。いくつかの実施態様において、対象はヒトであり、成長が促進されるべき細胞は、傷の近くにある細胞、血管系における細胞、血管新生において含まれる細胞、赤血球新生において含まれる細胞、消化管の内壁にある細胞、および毛包にある細胞から選択され得る。
【0022】
さらなる態様において、本発明は対象における細胞成長を阻害する方法を提供する。ここで、成長は本発明のFGF−CXポリペプチドの発現と関係する。この方法は、細胞成長を阻害する組成物を対象へ投与することを含む。非常に重要な実施態様において、組成物は本発明の抗体または別の治療物質を含む。有意義なことに、対象はヒトであり、成長が阻害されるべき細胞は、形質転換細胞、過形成細胞、腫瘍細胞、および異常増殖細胞から選択される。
【0023】
なお更なる態様において、本発明は、組織増殖と関連する疾患を処置または予防、または進行を妨げる方法を提供する。方法は、かかる処置または予防または進行の妨げが対象中の組織増殖と関連する疾患を処置、予防、または進行を妨げるのに十分な量でFGF−CX核酸、FGF−CXポリペプチド、またはFGF−CX核酸抗体を望む対象への投与を含む。
【0024】
FGF−CX核酸分子、ポリペプチドまたは抗体を用いて診断、処置、予防または進行を妨げられる組織増殖と関連する疾患は、上皮細胞、例えば、手術後の眼球前部での線維芽細胞およびケラチノサイトを含み得る。他の組織増殖と関連する疾患は、例えば、腫瘍、再狭窄、乾癬、デュピュイトレン拘縮(Dupuytren's contracture)、糖尿病合併症、カポジ肉腫、および関節リウマチを含む。
【0025】
別段の定義がなければ、本明細書において用いられる全技術用語および科学用語は、本発明が属する当分野の通常の知識を有するものにより普通に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において記載されるものと類似または等しい方法および物質が、本発明の実施または試験において用いることができるが、適当な方法および物質は以下に記載される。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、全体として、参考文献により取り込まれる。矛盾のある場合は、定義を含む本明細書が支配する。加えて、物質、方法、および実施例は、ただ例示的なものであり、制限されることを意図するものでない。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な記載および請求項から明らかであろう。
【0026】
(図面の簡単な説明)
図1は、FGF−CXのウエスタン分析を示す。293細胞由来試料(パネルA)または望ましい構築物で一過性に形質移入したNIH3T3細胞由来試料(パネルB)を、抗V5抗体を用いたウエスタン分析により調べた。CMは条件培地、SEはスラミンで抽出した条件培地である。分子量マーカーは左に示す。
【0027】
図2は、293細胞により分泌されたFGF−CXタンパク質のウエスタン分析を示す。
【0028】
図3は、E.coli細胞において発現させたFGF−CX(配列番号:2)タンパク質のウエスタン分析を示す。
【0029】
図4は、FGF−CX特異的TaqMan試薬を用いたリアルタイム定量的PCRにより得たFGF−CXの発現分析である。正常ヒト組織試料由来の標準化RNAの結果をパネルAに示し、腫瘍細胞株由来の標準化RNAの結果をパネルBに示す。手術で直接的に得た腫瘍組織を用いて得た結果を、パネルCおよびパネルDに示す。
【0030】
図5は、DNA合成への作用により表される、組換えFGF−CXの生物学的活性を表示する。細胞を、血清飢餓状態におき、望ましい因子と18時間インキュベートし、BrdU取込みアッセイにより分析した。試料は3度実行された。パネルAはNIH3T3マウス線維芽細胞である。パネルBはCCD−1070ヒト線維芽細胞である。パネルCはCCD−1106ヒトケラチノサイトである。
【0031】
図6は、細胞成長への作用により表される組換えFGF−CXの生物学的活性を表示する。NIH3T3細胞を、望ましい因子を補足した無血清培地でインキュベートし、48時間後にカウントした。試料は2度実行された。
【0032】
図7は、細胞形態への作用により表される組換えFGF−CXの生物学的活性である。NIH3T3細胞を、FGF−CXまたは対照タンパク質と48時間インキュベートし、25倍の拡大率で写真撮影した。
【0033】
図8は、FGF−CXの腫瘍化活性を表すグラフである。望ましい構築物で安定的に形質移入したNIH3T3細胞を、胸腺欠損ヌードマウスの皮下組織に注入し、2週間の期間にわたり腫瘍形成について調べた。4匹の動物の最小値をそれぞれのデータポイントに用いた。
【0034】
図9は、FGF−CX構築物で安定的に形質移入したNIH3T3細胞を皮下組織へ注入された対照胸腺欠損ヌードマウスおよび胸腺欠損ヌードマウスの写真である。
【0035】
図10は、還元条件下および非還元条件下で調整されたFGF−CXの精製試料のクーマシーブルー染色したSDS−PAGEゲルのイメージである。
【0036】
図11は、786−0ヒト腎臓腺癌細胞を用いて実行した投与量タイトレーション実験の結果を提供する。この実験において、種々の量のFGF−CX(図21において20858として表す)により誘導されたブロモデオキシウリジンの取込みを測定した。
【0037】
図12は、インビトロでの病巣の形成を示す。望ましい構築物で形質移入したNIH3T3細胞を、DMEM/5%子ウシ血清中で2週間培養し、染色して写真撮影した。pIgκ−FGF−20構築物によりもたらされる病巣は、多数だが、密集に起因して小さい。
【0038】
図13は、FGF−CXの受容体結合特異性を評価する実験の結果を示す。NIH3T3細胞を血清飢餓状態におき、望ましい成長因子(四角はPDGF−BB;三角はaFGF;丸はFGF−CX)のみ、または望ましい可溶性FGFRと共にのいずれかでインキュベーションし、BrdU取込アッセイにより分析した。実験を3度実行し、成長因子のみを受け取った細胞と比べるBrdUの取込でのパーセントBrdU増加として表す。
【0039】
図14は、プラスミドpET24a−FGF20X−del154コドンをE.coli菌株BL21(DE3)で発現させた場合に得たアルギニン上清のクーマシーブルー染色SDS−PAGEゲルのイメージを示す。
【0040】
図15は、全長FGF−CX(図中でFGF20と表す)と比較して、DNA合成への作用により表す組換えFGF−CXの切断型(図中で(d1〜23)FGF20により示す)の生物学的活性を示す。NIH3T3マウス線維芽細胞を血清飢餓状態におき、望ましい因子で18時間インキュベートし、BrdU取込アッセイにより分析した。
【0041】
(発明の詳細な説明)
この発明は、線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーのメンバーであるポリペプチドをコード化する新規FGF−CX核酸配列の発見に部分的に基づく。本明細書において開示される様に、表示「FGF−CX」は、核酸、ポリヌクレオチド、タンパク質、ポリペプチド、および変異体、誘導体およびそれらのいずれかのフラグメント、ならびにこれらのクラスの化合物のいずれかに免疫特異的に結合する抗体に関する。
【0042】
上述した様に、FGFファミリーのメンバーは、成長、生存、アポトーシス、運動性および分化のような多種多様な細胞機能を制御する(Szebenyi & Fallon (1999) Int. Rev. Cytol. 185, 45-106)。これらの分子は、細胞表面チロシンキナーゼFGF受容体(FGFR)との高親和性相互作用を経由して細胞内にシグナルを伝達する。4つのFGF受容体が今までに同定された(Xu, X., Weinstein, M., Li, C. & Deng, C. (1999) Cell Tissue Res. 296, 33-43; Klint, P. & Claesson-Welsh, L. (1999) Front. Biosci. 4, 165-177)。これらのFGF受容体は、組織培養での多くの細胞タイプで発現する。リガンド結合上のFGF受容体モノマー2量体化は、受容体のリン酸化を導くキナーゼドメインの活性化に必要であると報告されてきた。4つのFGF受容体の広範な発現パターンを示すFGF受容体1(FGFR−1)は、少なくとも7つのチロシンリン酸化部位を含有する。多くのシグナル伝達分子は、これらのリン酸化部位に異なる親和性で結合することにより作用する。
【0043】
FGFはまた、低親和性にも関わらず、たいていの細胞表面および細胞外基質(ECM)に存在するヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)に結合する。FGFとHSPGとの相互作用は、FGF/FGFR相互作用を安定させ、かつFGFを隔離してそれらを分解から守るために働く(Szebenyi, G. & Fallon, J. F. (1999))。成長促進能力に起因するため、FGFファミリーの1メンバーであるFGF−7は現在、化学療法により誘導された粘膜炎(mucositis)の処置のための臨床試験中である(Danilenko, D. M. (1999) Toxicol. Pathol. 27, 64-71)。
【0044】
正常成長および正常発生において関与することに加えて、既知のFGFはまた、癌を含む病態の発生に関係してきた(Basilico, C & Moscatelli, D. (1992) Adv. Cancer Res. 59, 115-165)。FGFは、腫瘍細胞の成長を直接的に増強することによる腫瘍の原因であり得る。例えば、同一細胞でのFGFとFGFRの共発現を介するオートクリン成長刺激は、細胞の形質転換を導く(Matsumoto-Yoshitomi, et al. (1997) Int. J. Cancer 71, 442-450)。同じく、変異または転位を経由するFGFRの常時活性化は、無調節の増殖を導く(Lorenzi, et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 93, 8956-8961; Li, et al. (1997) Oncogene 14, 1397-1406)。さらに、いくつかのFGFは血管原性である(Gerwins, et al. (2000) Crit. Rev. Oncol. Hematol. 34, 185-194)。かかるFGFは、腫瘍成長を維持するために必要とされる血液供給の発達を促進することにより腫瘍形成過程の原因となり得る。驚くことではないが、少なくとも1つのFGFが現在、癌療法の潜在的標的として研究中である(Gasparini (1999) Drugs 58, 17-38)。
【0045】
出生時マウスおよび成長マウスの脳でのFGFおよびそれらの受容体の発現は調べられてきた。FGF−4を除く全てのFGF遺伝子のメッセンジャーRNAは、これらの組織において検出される。FGF−3遺伝子、FGF−6遺伝子、FGF−7遺伝子およびFGF−8遺伝子は、出生後の期間よりも胚後期においてより高い発現を示す。このことは、これらのメンバーが脳発生の後期において関与することを示す。対照的に、FGF−1およびFGF−5の発現は、出生後増加した。特に、出生時マウスでのFGF−6発現が、胚の大脳発生のはあるが、5日目の新生児の小脳のはない強力なシグナルを有する中枢神経系および骨格筋に限られることが報告されてきた。FGF−6の同族受容体であるFGF受容体(FGFR)4は、類似の時空発現を示す。このことは、FGF−6およびFGF−4が神経系の成熟においてリガンド受容体システムとして重要な働きをすることを示す。Ozawa等によると、これらの結果は、様々なFGFおよびそれらの受容体が、神経の前駆細胞の増殖および遊走、神経細胞の分化およびグリア細胞の分化、神経突起伸長、およびシナプス形成のような脳の様々な発生過程の制御において関与することを強く示す。
【0046】
FGFポリペプチドファミリーの他のメンバーは、FGF受容体チロシンキナーゼ(FGFRTK)ファミリーおよびFGF受容体ヘパラン硫酸プロテオグリカン(FGFRHS)ファミリーを含む。これらのメンバーは、活性化および特異的FGFRシグナル伝達複合体を制御する。これらの制御活性化は、哺乳動物の幅広いレンジの器官および組織、および正常組織および腫瘍組織の両方において多様化される。制御された選択的メッセンジャーRNA(mRNA)スプライシングおよび変異体サブドメインの組合せは、FGFRTKモノマーの多様性を生じる。2価の陽イオンは、FGFRHSと協力し、キナーゼ活性の抑制を引き起こし、FGFによるFGFR複合体の適当な活性化を促進する、FGFRTKトランスリン酸化を高次構造的に制限する。例えば、FGFRTKにおける異なる点変異が、全FGFR複合体のFGF依存性活性での段階的な増加による頭蓋顔面異常および骨格異常の段階的な重傷を一般に引き起こすことは知られている。FGFファミリーが重大な作用を発揮する他の過程は、肝臓成長および肝臓機能、および前立腺腫瘍の進行である。
【0047】
別のFGFファミリーメンバーであるグリア細胞活性化因子(GAF)は、ヒト神経膠腫細胞株の培養上清から精製されたヘパラン結合成長因子である。Miyamoto et al. 1993, Mol Cell Biol 13(7): 4251-4259を参照されたい。GAFは、他の既知の成長因子のものとは若干異なる活性のスペクトルを示し、FGF−9と名付けられる。ヒトFGF−9cDNAは、208アミノ酸のポリペプチドをコード化する。FGFファミリーの他のメンバーに対する配列類似性は、約30%であると推定された。他のファミリーメンバーにおいて見られる2つのシステイン残基および他の共通配列も、FGF−9配列においてよく保存されていた。FGF−9は、酸性FGFおよび塩基性FGF中のものの様なN末端中の典型的シグナル配列を有さないと分かった。
【0048】
酸性FGFおよび塩基性FGFは、通常の方法で細胞から分泌されないことは知られている。しかしながら、FGF−9は、典型的シグナル配列を欠くにもかかわらずcDNAを形質移入されたCOS細胞から効率的に分泌されることが分かった。それは、細胞培地においてもっぱら検出されることができた。分泌タンパク質は、開始メチオニンを除くcDNA配列により予測されるものに関して、N末端でアミノ酸残基を失っていない。ラットFGF−9cDNAもクローン化され、構造分析はFGF−9遺伝子が非常に保存されていることを示した。
【0049】
データベース検索を用いて、染色体8p22〜21.3由来のヒト配列(GenBank AB20858)はアフリカツメガエルFGF20に相同すると同定された。Kirikoshi et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 274: 337-343, 2000, PMID 10913340を参照されたい。ヒト配列に対して設計されたPCRプライマーを用いて、大腸癌細胞株および胃癌細株由来の重複FGF20cDNAを増幅した。FGF20の3つの予測エキソンは、FGFコアドメインを含有する推定211アミノ酸タンパク質をコード化する。予測分子量は、23kDaである。FGF20は、FGFコアドメインにおいて強疎水性領域およびN末端にて弱疎水性領域を含有する。N末端シグナル配列または潜在的Nグリコシル化部位は、同定されていない。FGF20は、FGF9およびFGF16とそれぞれ71.6%および66.2%の全体的アミノ酸配列同一性を共有する。Kirikoshi et al. (2000)は、系統学的解析から、FGF20、FGF9、およびFGF16が哺乳類FGFファミリー間のサブファミリーを形成すると結論付けた。20の成人および胎児組織、および8つの癌細胞株のノーザンブロット分析を用いて、Kirikoshi et al. (2000)は、2.4〜kbのFGF20転写物を大腸癌細胞株SW480においてのみ検出した。RT−PCRは、SW480細胞においてFGF20の大量発現を確認し、ヒト胎児脳、胎児肝臓、胎児腎臓、および胃癌細胞株において低レベルの発現を示した。
【0050】
Kirikoshi et al. (2000)は、染色体8p22〜p21.3領域は、ヒト癌においてヘテロ接合性喪失頻繁部位であることに気付いた。
本発明は、新規ヒトFGFならびにその対応するcDNAを提供する。この遺伝子のタンパク質産物は、成長刺激性および発現性を示す。さらに、FGFmRNAの過剰発現が、ある特定の癌細胞株において見つかった。これらの知見は、新規FGFがヒトの悪性腫瘍の処置で優れた標的として働くことにより有用であり得ることを示す。
【0051】
本発明はまた、FGF−CXポリペプチド成熟型、FGF−CXポリペプチド成熟型の変異体、FGF−CXポリペプチド成熟型のフラグメントおよびFGF−CXポリペプチド変異体の成熟型のフラグメント、およびそれらポリペプチドおよびフラグメントをコード化する核酸を含む。本明細書において使用する様に、本発明において開示されたFGF−CXポリペプチドまたはFGF−CXタンパク質の「成熟」型は、天然に存在するポリペプチド、前駆体型、またはプロタンパク質の産物である。天然に存在するポリペプチド、前駆体またはプロタンパク質は、実施例に限定されないで、対応する遺伝子によりコード化された全長遺伝子産物を含む。いくつかの実施態様において、成熟型は、本明細書において記載されるオープンリーディングフレームによりコード化されるFGF−CXポリペプチド、前駆体、プロタンパク質を含む。産物「成熟」型は、例えば、遺伝子産物が生じる細胞、または宿主細胞内で起こり得る1またはそれ以上の天然に存在するプロセッシングステップの結果として生じることができる。
【0052】
ポリペプチドまたはタンパク質の「成熟」型を導く、かかるプロセッシングステップの実施例は、オープンリーディングフレームの開始コドンによりコード化されたN末端メチオニン残基の切断、またはシグナルペプチドまたはリーダー配列のタンパク質分解性の切断を含む。従って、残基1〜Nを有する(ここで、残基1はN末端メチオニンである)FGF−CX前駆体ポリペプチドまたはタンパク質から生じる成熟型は、N末端メチオニンの除去後残存するNを介する残基2を有するN末端メチオニンである。または、残基1〜N(ここで、残基1〜MのN末端シグナル配列は切断されている。)を有する前駆体ポリペプチドまたはタンパク質から生じる成熟型は、残存する残基Nに対する残基M+1由来の残基を有する。加えて、「成熟」タンパク質またはフラグメントは、開始メチオニンの除去またはシグナルペプチドの除去以外の切断現象から生じ得る。本明細書においてさらに用いられる様に、FGF−CXポリペプチドまたはタンパク質の「成熟」型は、タンパク質分解性切断現象以外の翻訳後修飾のステップから生じ得る。かかる別の過程は、実施例に限定されないで、グリコシル化、ミリストイル化またはリン酸化を含む。一般に、成熟ポリペプチドまたはタンパク質は、これら過程の1つのみの働き、またはそれらのいずれかの組合せから生じ得る。
【0053】
本明細書において使用する様に「同一」残基は、2配列アラインメントの等しいヌクレオチド塩基またはアミノ酸残基が同一残基である2つの配列間比較における、それらの残基に対応する。残基は代わりに、アラインメントの2配列間比較が、比較において等しい位置にある残基が以下で定義される同一アミノ酸または保存アミノ酸のいずれかであることを示すと、「類似」または「ポジティブ」として記載される。
【0054】
FGF−CX核酸、FGF−CXポリペプチドまたはそれらの一部をコード化する単離核酸、FGF−CXポリペプチド、これらの核酸を含有するベクター、FGF−CX核酸で形質転換された宿主細胞、抗FGF−CX抗体、および医薬組成物が、本発明において含まれる。FGF−CXを生成する方法、ならびにスクリーニング、診断、これらの化合物を用いる状態を処置する方法、およびFGF−CXポリペプチド活性を調節する化合物をスクリーニングする方法も、開示される。以下の表Aは、本発明を通じて用いられる配列記述子を表す。
【0055】
表A
【表1】
【0056】
本明細書において話題にするFGF−CX核酸およびポリペプチド、ならびにFGF−CX抗体、治療物質および医薬組成物は、とりわけ組織増殖関連疾患の処置において有用である。これらの組織増殖関連疾患は、上皮細胞、例えば、手術後の眼球前部での線維芽細胞およびケラチノサイトに作用する疾患を含み得る。他の組織増殖関連疾患は、例えば、腫瘍、再狭窄、乾癬、デュピュイトレン拘縮、糖尿病合併症、カポジ肉腫、および関節リウマチを含む。
【0057】
本発明において、線維芽細胞成長因子20X(FGF−CX)(表1;配列番号:1を参照)と名付けられた新規線維芽細胞成長因子をコード化するヌクレオチド配列(配列番号:1)が含まれる。このコード配列は、ヒトゲノムDNA配列において同定された。開示されたDNA配列は、211アミノ酸残基(配列番号:2)を有すると予測されるポリペプチドをコード化する633塩基を有する。表1および配列番号:2において示された配列に基づくFGF−CXの予測分子量は、23498.4Daである。
【0058】
表1
表1は、本発明の新規FGF−CXポリヌクレオチドおよびタンパク質のヌクレオチド配列(配列番号:1)および翻訳アミノ酸配列(配列番号:2)の表示である(CG53135−01または線維芽細胞成長因子AB020858としても言及される)。
【表2】
【0059】
FGF−CX核酸配列を、BLASTN検索でのクエリーヌクレオチド配列として用いて、関連核酸配列を同定した。FGF−CXヌクレオチド配列は、マウス線維芽細胞成長因子9(FGF−9)(543のうち392塩基同一、または72%同一;GenBank受託番号S82023)およびグリア細胞活性化因子(GAP)をコード化するヒトDNA(554のうち385塩基同一、または69%;GenBank受託番号E05822、FGF−9とも称される)に対して高類似性を有する。加えて、FGF−CXは、名称「Glia-Activating Factor And Its Production」の日本国特許番号:JP1993301893でNaruo等により開示されたGAF配列(配列番号:5)に対して同程度の同一性(424のうち311塩基同一、または73%同一)を有すると判明した(表2を参照)。
【0060】
表2
表2は、FGF−9様グリア細胞活性化因子(GAF)配列(配列番号:5)を有する配列番号:1の核酸配列のBLASTNアラインメントである。
【表3】
【0061】
ゲノム探索により同定されたオープンリーディングフレーム(ORF)が正しいことを示すために、PCR増幅を用いて、予測ゲノムクローンに対応するcDNAを得た。得られた産物のヌクレオチド配列は、予測遺伝子のものと正確に一致する(実施例1を参照)。
【0062】
表3は、ヒト染色体8の伸長ゲノムフラグメント(GenBank受託番号AB020858)である3つの非連続セグメント(それぞれ、表3A〜表3Cの配列番号:6〜8)を有する配列番号:1の核酸配列の相補鎖のBLASTNアラインメントである。
【0063】
表3A
【表4】
【0064】
表3B
【表5】
【0065】
表3C
【表6】
【0066】
cDNAによりコード化されるタンパク質は、アフリカツメガエルのFGF−20X(本明細書においてXFGF−CXまたはXFGF−20Xと名付ける)、ならびにヒトFGF−9およびヒトFGF−16(それぞれ、80%、70%および64%アミノ酸同一性である;表4および表5を参照)に非常に密接に関係する。XFGF−CXとの高相同性に基づき、本発明の開示において同定された遺伝子は、そのヒトのオルソログを表すと分かり、本明細書においてFGF−CXと名付けられる。
【0067】
加えて、FGFファミリーメンバー間で保存されるアミノ酸残基は、表4および表5として表されるアラインメントにより示される様に、変化に対する影響を多少受けると予測される。例えば、本発明のFGF−CXタンパク質は、FGFファミリーメンバー、すなわち、FGF−9およびXFGF−CXタンパク質、およびFGF−CX相同体中に典型的保存領域の少なくとも1つのドメインを含有し得る。従って、これらの保存ドメインは、変異の影響を受けにくいであろう。しかしながら、他のアミノ酸残基(例えば、保存されていないもの、またはFGFタンパク質のメンバーのうち半分のみ保存されたもの)は、活性に対して本質的でないかもしれなく、従って変異の影響をよりうけやすいであろう。黒、グレーおよび白は、それぞれアラインメントでの同一残基、保存残基および非保存残基を表す。
【0068】
表4
表4.本発明のFGF−CXタンパク質(配列番号:2)を有する4つの脊椎動物FGF様タンパク質(配列番号:9〜12)のCulstalWアラインメント
【表7】
【0069】
FGF−CXを、ヒトFGF−9、ヒトFGF−16およびアフリカツメガエルFGF−CX(それぞれ、受託番号D14838、AB009391およびAB012615)でアラインメントした。ClustalWを、表5に示す。
【0070】
表5.他の3つのFGFファミリーメンバーでのFGF−CXのClustalWアラインメント
【表8】
【0071】
ヒトFGF−9(配列番号:9)を有するFGF−CXポリペプチド配列(配列番号:2)の最初の208アミノ酸のBLASTPアラインメントを、表6に示す。グリア細胞活性化因子前駆体(GAF)(線維芽細胞成長因子9)についてのSWISSPROT受託番号P31371;Miyamoto et al. 1993 Mol. Cell. Biol. 13:4251-4259;およびNaruo et al. 1993 J. Biol. Chem. 268:2857-2864を参照されたい。ポジティブ残基は、整列させたときの比較配列の同一関連部位での同一アミノ酸残基(「|」)または保存アミノ酸残基(「+」)のいずれかである残基を含む。以下を参照されたい。
【0072】
表6は、同一残基(「|」)およびポジティブ残基(「+」)を示す、ヒトFGF−9(配列番号:9)でのFGF−CXポリペプチド配列(配列番号:2)のBLASTPアラインメントである。
【表9】
【0073】
マウスFGF−9(配列番号:10)およびラットFGF−9(配列番号:11)配列を有するFGF−CXポリペプチド(配列番号:1から翻訳された配列番号:2)の最初の208アミノ酸のBLASTXアラインメントを、それぞれ表7および表8に示す。マウスFGF−9について、グリア細胞活性化因子前駆体(GAF)(線維芽細胞成長因子9)のSWISSPROT受託番号P54130、Santos-Ocampo et al., 1996 J. Biol. Chem. 271:1726-1731;および、ラットFGF−9について、グリア細胞活性化因子前駆体(GAF)(線維芽細胞成長因子9)(FGF−9)のSWISSPROT受託番号P36364、Miyamoto, 1993 Mol. Cell. Biol. 13:4251-4259を参照。
【0074】
表7は、同一残基(「|」)およびポジティブ残基(「+」)を示す、マウスFGF−9(配列番号:10)でのFGF−CXポリペプチド配列(配列番号:2)のBLASTXアラインメントである。
【表10】
【0075】
表8は、同一残基(「|」)およびポジティブ残基(「+」)を示す、ラットFGF−9(配列番号:11)でのFGF−CXポリペプチド配列(配列番号:2)のBLASTXアラインメントである。
【表11】
【0076】
表6〜9において棒(「|」)により示された様に、全3種のFGF−9配列は、70%の全体的配列同一性について、FGF−CX(配列番号:2)と208のうち147残基同一を有する。加えて、208のうち170残基が、81%のポジティブ残基の全体的パーセンテージについて、FGF−CX(配列番号:2)の配列に対してポジティブである。
【0077】
全長FGF−CXポリペプチド(配列番号:2)をまた、アフリカツメガエルXFGF−CX(配列番号:12)でのBLASTXにり整列させた。表9に示す様に、アフリカツメガエルXFGF−CXと比較して、FGF−CXは、211のうち170(80%)同一残基、および211のうち189(89%)ポジティブ残基を有する。アフリカツメガエルXFGF−CXが、プローブとして哺乳動物FGF−9に基づくプライマーで実施した変性PCR産物を用いる尾芽ステージで調製されたcDNAライブラリーから最近得られた。Koga et al., 1999 Biochem Biophys Res Commun 261(3):756-765を参照されたい。XFGF−CXオープンリーディングフレームの推定208アミノ酸配列は、FGFファミリーのモティーフ特性を含有する。XFGF−CXは、XFGF−9に対して71.3%全体類似性を有するが、そのアミノ末端領域(33.3%類似)においてXFGF−9と異なる。このことは、ヒトを含む(上記参照)様々な哺乳動物FGF−9およびFGF−16配列に関して、本発明において開示される配列番号:2について見られ類似性に似ている。表4、5およいb7〜9を参照。
【0078】
表9は、同一残基(「|」)およびポジティブ残基(「+」)を示す、アフリカツメガエルFGF−9(配列番号:12)でのFGF−CXポリペプチド配列(配列番号:2)のBLASTXアラインメントである。
【表12】
【0079】
別のFGF−20変異体が実施例において記載の様にクローン化され、同定された。BLASTNおよびBLASTP解析を、2つの変異体、特にCG53135−02およびCG53135−06について実施した。高スコアが、本発明の線維芽細胞成長因子20様遺伝子の配列を用いる、日付06/12/01のGenBank合成物(HTGではない)のBLASTN検索により決定された様に、一致する。高スコアが、本発明の線維芽細胞成長因子20様タンパク質の配列を用いるBLASTP検索(日付06/12/01の非重複合成物に対する)により決定された様に、一致する。結果を、それぞれ、表10および11に示す。
【0080】
表10.FGF−20CG53135−02変異体のBLASTNおよびBLASTP結果
【表13】
【0081】
表11.FGF−20CG53135−06変異体のBLASTNおよびBLASTP結果
【表14】
【0082】
表1(配列番号:2)のポリペプチド配列を、小胞体の膜およびミクロボディー(ペルオキシソーム)の膜を介する局在化について高確率を有するようにプログラムPROSTにより予測する。CG53135−02およびCG53135−06変異体ポリペプチドを、小胞体(膜)に存在する確率0.8500を有するように、PSORTにより予測する。これに代わる実施態様において、CG53135−02およびCG53135−06変異体ポリペプチドは、確率0.7900で細胞膜、確率0.7478でミクロボディー(ペルオキシソーム)、または確率0.100でミトコンドリアの内膜に位置する。CG53135−02およびCG53135−06変異体ポリペプチドを、アミノ酸残基62〜78(60〜81)の間の膜貫通型ドメインである〜6.42の可能性を有するように、ソフトウエアプログラムINTEGRALにより予測される。FGF−CXポリペプチドは、タイプII(Ncty Cexo)膜タンパク質であると思われる。
【0083】
加えて、それは予測された既知の切断シグナル配列をN末端で有さないが、タンパク質の疎水性親水性指標プロットは、FGFG−CXが約90〜約115のアミノ酸位置(配列番号:13)で卓越した疎水性セグメントを有することを示す。この単一疎水性領域は、FGFファミリーの他のメンバーにおいて局在化シグナルとして知られている。それゆえに、配列番号:13のアミノ酸を含むポリペプチドは、小胞体、ゴルジ膜または細胞膜のような、様々な細胞の膜を介する分泌を可能とする局在化シグナルとして有用である。CG53135−02およびCG53135−06変異体タンパク質の疎水性親水性指標プロットは、2つの卓越した疎水性セグメントが約23〜約60のアミノ酸位置および約82〜末端のアミノ酸位置に属することを示す。様々な実施態様において、疎水性セグメントは、FGF−CX/FGF−20様タンパク質特異的抗体に対する抗原性および標的である。
【0084】
FGF−CXは、その最も近いヒトファミリーメンバー(例えば、FGF−9およびFGF−16)のいくつかについて丁度見られる様に、PSORT(Nakai, K & Kanehisa, M. (1992) Genomics 14, 897-911)およびSIGNALP(Nielsen, et al. (1997) Protein Eng. 10, 1-6)コンピューターアルゴリズムにより予測される様に古典的アミノ末端シグナル配列を失っている。にもかかわらず、FGF−9およびFGF−16の両方が、分泌される(Matsumoto-Yoshitomi, et al. (1997) Int. J. Cancer 71, 442-450; Miyake, et al. (1998) Biochem. Biophys. Res. Comm. 243, 148-152; Miyakawa, et al. (1999) J. Biol. Chem. 274, 29352-29357; Revest et al. (2000) J Biol. Chem. 275, 8083-8090)。FGF−CXも分泌されるか否かを決定するために、全長FGF−CXタンパク質をコード化するcDNAを、pFGF−CXと名付けられた哺乳類発現ベクターにサブクローン化した。ヒト胚腎臓293細胞がこのベクターで形質移入されると発現されるタンパク質は、培養上清において見つかり、〜27kDaのウエスタンブロットの見かけ上の分子量で(図1、実施例7)、C末端V5エピトープに対する抗体により検出されるバンドを表す。発現タンパク質の別の部分は、ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)との相互作用を阻害する物質での処理により293細胞の隔離から放出される。この方法により放出されたタンパク質はまた、同様のウェスタンブロットパターンを表す(図1)。同様に、タンパク質が対応するIgκシグナル配列を取り込む組換えプラスミド由来のHEK293細胞において発現すると、バンドは、約34kDaの見かけ上の分子量を有するウエスタンブロットにより検出される(図2、実施例5)。
【0085】
本発明のFGF−CXを含むいくつかの多種多様なFGF様タンパク質についてのClustalW多型タンパク質アラインメント(Thompson, et al. (1994) Nucleic Acids Res. 22, 4673-4680)は、図4および図5において見られる。3つの哺乳動物のタンパク質(配列番号:9〜11)は、それぞれ非常に似ているが、本発明のFGF−CXタンパク質(配列番号:2)とかなり異なる。また、アフリカツメガエルXFGF−CXおよび配列番号:2の配列は、FGF−9のそれより、それぞれ非常に似ている。FGF−9分泌において関係する内部疎水ドメイン(例えば、Miyakawa, et al. (1999) J. Biol. Chem. 274, 29352-29357を参照)は、FGF−9配列の残基95〜120を補う。FGF−CXの疎水性親水性指標プロットを測定するソフトウエアは、当分野においてよく知られており、例えば、Kyte Doolittle、および以下にさらに記載するたのアルゴリズムを含む。
【0086】
XFGF−20およびアフリカツメガエルFGF−9の発現は、それぞれ異なる。XFGF−CXmRNAは、2倍体細胞、胞胚ステージの胚および胞胚ステージ後の胚において、および大人の胃および精巣において特異的に発現する;XFGF−9 mRNAは、卵および多くの大人組織において母系性に発現する。上述のKoga et alを参照。原腸形成でのXFGF−CXの正しい発現は、Xenopus laevisnの正常頭構造の形成に必要えあることは明らかである。XFGF−CXmRNAが初期胚において発現したら、原腸形成が異常であり、前構造の発生が抑制されたものである。上述のKoga et alを参照。かかる胚において、精巣でのXbra転写発現は、原腸形成において抑制され、このことはXbra遺伝子の発現がXFGF−CXエフェクターを調節することを示す。上述のKoga et al.,を参照されたい。
【0087】
増殖組織(例えば、卵、精巣、胃、および母カエルの多型組織を含む)での関連XFGF−9ポリペプチドの発現パターンは、機能器官の生成を正常に行う組織の維持でのXFGF−20の役割を示す。
【0088】
FGF−CXmRNAは正常小脳、ならびに肺、胃および大腸の腺癌を含むいくつかのヒト腫瘍細胞株において発現するが、対応する正常組織において発現しないことを、実施例8において示す。正常肺、胃および大腸でのFGF−CX発現を欠くこと、およびこれらの組織由来の腫瘍細胞株でのその存在は、これらの癌細胞株が適当でない種類のFGF−CXを明らかに過剰発現することを示す。FGF−CXが位置する染色体領域は、結腸直腸、肺および胃腺癌において普通に変化する(Emi, et al. (1992) Cancer Res. 52, 5368-5372; Baffa, et al. (2000) Clin. Cancer Res. 6, 1372-1377)。これらの細胞中のFGF−CX促進オートクリン成長ループの構築が、それらの腫瘍化変換の開始および/または引き続く増殖の原因となることは可能である。このシナリオは、NIH3T3細胞でのFGF−CX促進オートクリンループの生成が腫瘍化潜在性を活性化するという発見により支持される(実施例11を参照)。腫瘍細胞によるFGF−CX分泌はストローマ細胞上のパラクリン作用を経由するインビボでの成長を刺激することも可能とする。
【0089】
NIH3T3細胞での異種性FGF−CXの発現は、それらの形質転換および腫瘍形成を誘導することが分かる(実施例11参照)。これらの作用は、天然のFGF−CX(構築物pFGF−CX)およびアミノ末端の異種性Igκシグナル配列(構築物pIgκ−FGF−CX)で発現させたFGF−CXの両方により仲介される。しかしながら、より高いインビトロでの形質転換能力(データは示されていない)およびインビボでの腫瘍形成(図8)により証明される様に、pIgκ−FGF−CXがpFGF−CXより、発癌遺伝子的により高く活性であることは気付かれなければならない。pFGF−CXに比べpIgκ−FGF−CXの優れた発癌能は、pIgκ−FGF−CXが、NIH3T3細胞においてpFGF−CXより有意に多い分泌FGF−CXタンパク質を産生する事実に起因するようである(図1B)。
【0090】
FGF−CXの様に、他のFGFは、異所性発現に従い、細胞を形質転換することがわかった。かつ、ある場合において、FGF−CXシグナル伝達の遮断が、細胞の形質転換を抑制することが分かった(Matsumoto-Yoshitomi, et al. (1997) Int. J. Cancer 71, 442-450; Li, et al. (1994) Mol. Cell. Biol. 14, 7660-7669を参照)。
【0091】
本明細書において記載するFGF−CXの発現、ならびに関連FGFタンパク質について見られるエフェクターとの類似性に基づき、FGF−CXがヒト悪性腫瘍において重要な働きをすると信じられている。これらの理由のため、本明細書において開示されるFGF−CXポリペプチド、核酸および抗体は、これらの組成物の存在または量を診断する方法、FGF−CX関連病態に関係する治療物質のスクリーニングおよび同定、および様々な種類の悪性腫瘍の処置方法において有用である。
【0092】
FGF−CX核酸
本発明の核酸は、FGF−CXタンパク質またはFGF−CX様タンパク質のコード化物を含む。これらの間で、核酸は、配列が表1および配列番号:1において提供される核酸、またはそれらのフラグメントである。FGF−CX核酸は、ゲノムFGF−CX核酸のヌクレオチド配列、またはcDNAのヌクレオチド配列を有することができる。加えて、本発明は配列番号:1の突然変異体または変異体核酸、またはそれらのフラグメントを含み、任意の塩基が、表1において示される対応する塩基から変更され得る一方で、そのFGF−CX様活性および生理機能を維持するタンパク質を依然としてコード化する。本発明は、フラグメント、誘導体、類似体およびそれらの相同体を含む、配列番号:1の核酸の相補的配列をさらに含む。FGF−CXの部分の相補鎖の実施例を、表3において示す。本発明は、加えて、構造が化学的修飾を含む核酸または核酸フラグメント、またはそれらの相補的配列を含む。
【0093】
本発明の1つの態様は、FGF−CXタンパク質またはそれらの生物学的に活性な部分をコード化する単離核酸分子に関する。FGF−CXコード化核酸(例えば、FGF−CXmRNA)を同定するためのハイブリダイゼーションプローブとして用いるのに十分な核酸フラグメント、および増幅のためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーとして用いられるフラグメントまたはFGF−CX核酸分子の変異体も含まれる。本明細書いおいて用いる用語「核酸分子」は、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、ヌクレオチド類似体を用いて生成されたDNAまたはRNAの類似体、および誘導体、フラグメントおよびそれらの相同体を含むことを意図する。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であり得るが、好ましくは二本鎖DNAである。
【0094】
「プローブ」は、可変長の核酸配列、好ましくは少なくとも約10ヌクレオチド(nt)、100nt、または例えば、使用に依存する約6,000ntと同数の核酸配列について言及する。プローブは、同一、類似、または相補的核酸配列の検出において使用される。天然供給源または組換え供給源から普通に得られるより長いプローブは、オリゴマーより非常に特異的にハイブリダイズし、ずっとゆっくりハイブリダイズする。プローブは、一本鎖または二本鎖であることができ、PCR、膜ベースのハイブリダイゼーションテクノロジー、またはELISA様テクノロジーにおいて特異性を有するようにデザインされ得る。
【0095】
「単離」核酸分子は、核酸の天然供給源に存在する他の核酸分子から分離されたものである。単離核酸分子の実施例は、制限されることなく、ベクターに含有される組換えDNA分子、異種性宿主細胞中で維持される組換えDNA分子、部分的または実質的に精製された核酸分子、および合成DNA分子またはRNA分子を含む。好ましくは、「単離」核酸は、核酸がもたらされる生物のゲノムDNA中の天然の隣接核酸(すなわち、核酸の5’末端および3’末端に位置する配列)である遊離配列である。例えば、様々な実施態様において、単離FGF−CX核酸分子は、核酸がもたらされる細胞のゲノムDNA中の天然の隣接核酸分子である約50kb、25kb、5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kbまたは0.1kb未満のヌクレオチド配列を含有できる。さらに、cDNA分子のような「単離」核酸分子は、組換え技術により産生された場合の他の細胞の物質または培養上清、または化学的に合成された場合の化学物質前駆体または他の化学物質の実質的な遊離物であり得る。
【0096】
本発明の核酸分子、例えば、配列番号:1のヌクレオチド配列を有する核酸分子、またはこのヌクレオチド配列のいずれかの相補的配列は、標準分子生物学的技術および本明細書において提供される配列情報を用いて単離され得る。ハイブリダイゼーションプローブとして配列番号:1の核酸配列の全てまたは一部を用いて、FGF−CX核酸配列は、標準ハイブリダイゼーションおよびクローニング技術を使用して単離され得る(例えば、Sambrook et al., eds., Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989;および Ausubel, et al., eds., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, NY, 1993に記載される)。
【0097】
本発明の核酸は、鋳型および適切なオリゴヌクレオチドプライマーとしてcDNA、mRNA、代わりにゲノムDNAを用いて、標準PCR増幅技術により増幅され得る。増幅された核酸は、適切なベクターにクローン化され、DNA配列解析により特徴付けられることができる。さらに、FGF−CXヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドは、標準合成技術、例えば、自動DNA合成機により準備されることができる。
【0098】
本明細書において用いる様に、用語「オリゴヌクレオチド」は、オリゴヌクレオチドがPCR反応に用いられるために十分な数のヌクレオチド塩基を有する連鎖ヌクレオチドのシリーズに言及する。短いオリゴヌクレオチド配列は、ゲノム配列またはcDNA配列に基づくか、またはそれからデザインされ、特定の細胞または組織中の同一、類似または相補的DNAまたはRNAの存在を増幅、確認、または明らかにするために用いられる。オリゴヌクレオチドは、長さ約10nt、50nt、または100nt、好ましくは長さ約15ntから30ntを有する核酸配列の一部を含む。1つの実施態様において、長さ100nt未満の核酸分子を含むオリゴヌクレオチドは、配列番号:1の少なくとも6連続ヌクレオチド、またはそれらの相補的配列をさらに含む。
【0099】
別の実施態様において、本発明の単離核酸分子は、配列番号:1において示されるヌクレオチド配列の相補的配列である核酸分子を含む。別の実施態様において、本発明の単離核酸分子は、配列番号:1において示されるヌクレオチド配列の相補的配列である核酸分子、またはこのヌクレオチド配列の一部を含む。配列番号:1において示されるヌクレオチド配列に相補的な核酸分子は、配列番号:1に示されるヌクレオチド配列にほとんどミスマッチなしでまたは全くミスマッチなしで水素結合し、それにより安定二本鎖を形成する配列番号:1において示されるヌクレオチド配列に十分に相補的なものである。
【0100】
本明細書において使用する、用語「相補的」は、核酸分子のヌクレオチド単位間のWatson-Crick型塩基対またはHoogsteen型塩基対に言及し、用語「結合」は、2つのポリペプチドまたは化合物または関連ポリペプチドまたは化合物、またはそれらの組合せの物理的相互作用または化学的相互作用を意味する。結合は、イオン結合、非イオン結合、ファンデルワールス結合、疎水性相互作用等を含む。物理的相互作用は、直接的または非直接的のいずれかであり得る。非直接的相互作用は、別のポリペプチドまたは化合物の作用を介したものであるか、またはそれに起因したものである。直接的結合は、別のポリペプチドまたは化合物の作用を介しては生じないか、またはそれに起因しない相互作用に言及するが、それよりむしろ他の実質的な化学中間体なしである。
【0101】
さらに、本発明の核酸分子は、配列番号:1の核酸配列の一部のみ、例えば、プローブまたはプライマーとして用いられ得るフラグメント、またはFGF−CXの生物学的に活性な部分をコード化するフラグメントを含み得る。本明細書において提供されるフラグメントは、核酸の少なくとも6(隣接)核酸または少なくとも4(隣接)アミノ酸の配列として、それぞれ核酸の場合の特異的ハイブリダイゼーション、またはアミノ酸の場合のエピトープの特異的認識を可能とするのに十分な長さを定義し、多くても全長配列より短い部分である。フラグメントは、核酸またはアミノ酸配列の任意の隣接部分の選択に由来する。誘導体は、直接的、修飾、部分的な置換のいずれかにより天然の化合物から形成された核酸配列またはアミノ酸配列である。類似体は、天然の化合物に類似だが同一でない構造を有するが、ある成分または側鎖に関してそれと異なる核酸配列またはアミノ酸配列である。類似体は、合成であるか、または異なる進化起源由来であり得るし、かつ野生型と比較し類似または逆の代謝活性を有し得る。
【0102】
誘導体および類似体は、誘導体または類似体が以下に記載する様に修飾核酸またはアミノ酸を含有する場合、全長または全長以外であり得る。本発明の核酸またはタンパク質の誘導体または類似体は、限定されることなく、様々な実施態様において、同一サイズの核酸またはアミノ酸の少なくとも約70%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%と同一性(好ましくは80〜99%の同一性を有する)により、またはアラインメントが当分野において既知のコンピューター相同プログラムによりなされる整列配列に比較した場合、本発明の核酸またはタンパク質に実質的に相同な領域を含む分子、または厳密、中厳密、または低厳密条件下で上述のタンパク質をコード化する配列の相補的配列にハイブリダイズする能力があるそのコード化核酸を含む。例えば、Ausubel, et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, NY, 1993、および以下を参照されたい。例示的プログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package, Version 8 for UNIX, Genetics Computer Group, University Research Park, Madison, WI)は、Smith−Watermanのアルゴリズム(Adv. Appl. Math., 1981, 2: 482-489、ここで全体を参考文献により本明細書に取り込まれる)を使用するデフォルト設定を用いるGapプログラムである。
【0103】
「相同核酸配列」または「相同アミノ酸配列」、またはそれらの誘導体は、上述した様にヌクレオチドレベルまたはアミノ酸レベルでの相同性により特徴付けられる配列に言及する。相同ヌクレオチド配列は、FGF−CXポリペプチドのアイソフォームをコードするこれらの配列をコード化する。アイソフォームは、例えば、RNAの選択的スプライシングの結果として同一生物の異なる組織において発現し得る。または、アイソフォームは、異なる遺伝子によりコード化され得る。本発明において、相同ヌクレオチド配列は、限定されることなく、哺乳動物、従って例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、および他の生物を含む得るヒト以外の種のFGF−CXポリペプチドをコード化するヌクレオチド配列を含む。相同ヌクレオチド配列はまた、制限されることなく、本明細書において設定されるヌクレオチド配列の天然に存在する対立遺伝子バリエーションおよび変異を含む。しかしながら、相同ヌクレオチド配列は、ヒトFGF−CXタンパク質をコード化するヌクレオチド配列を含まない。相同核酸配列は、配列番号:2の保存的アミノ酸置換(以下を参照)、ならびにFGF−CX活性を有するポリペプチドをコード化するそれらの核酸配列を含む。FGF−CXタンパク質の生物学的活性は、以下に記載される。相同アミノ酸配列は、ヒトFGF−CXポリペプチドのアミノ酸配列をコード化しない。
【0104】
ヒトFGF−CX遺伝子のクローニングから決定されるヌクレオチド配列は、他の細胞タイプ、例えば、他の組織由来のFGF−CX相同体、ならびに他の哺乳動物由来のFGF−CX相同体の同定および/またはクローニングにおいて使用するためにデザインされるプローブおよびプライマーの生成を可能とする。プローブ/プライマーは、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを典型的に含む。オリゴヌクレオチドは、配列番号:1の少なくとも約12、25、50、100、150、200、250、300、350または400またはそれ以上の連続センス鎖ヌクレオチド配列;または配列番号:1のアンチセンス鎖ヌクレオチド配列;または配列番号:1の天然に存在する突然変異体に厳密な条件下でハイブリダイズするヌクレオチドの領域を典型的に含む。
【0105】
ヒトFGF−CXヌクレオチド配列に基づくプローブを用いて、転写物、または同一タンパク質または相同タンパク質をコード化するゲノム配列を検出できる。様々な実施態様において、プローブは、それらに結合する標識群、例えば、放射性同位元素、蛍光化合物、酵素、または酵素補助因子であり得るラベル群をさらに含む。かかるプローブを、対象由来の細胞試料中のFGF−CXコード化核酸のレベルを測定すること、例えば、FGF−CXmRNAレベルを測定すること、またはゲノムFGF−CX遺伝子を突然変異したか、または欠損するか否かを決定することにより、FGF−CXタンパク質を異所性発現する細胞または組織の同定のための診断試験キットの一部として用いることができる。
【0106】
「FGF−CXの生物学的に活性な部分を有するポリペプチド」は、用量依存性であるまたは依存性でない特定の生物学的アッセイにおいて測定される様に、成熟型を含む本発明のポリペプチドの活性に類似だが同一である必要のない活性を表すポリペプチドに言及する。「FGF−CXの生物学的に活性な部分」をコード化する核酸フラグメントを、FGF−CXの生物学的活性(FGF−CXタンパク質の生物学的な活性は、以下に記載する)を有する、FGF−CXタンパク質のコード化部分を発現する(例えば、インビトロでの組換え発現により)、およびFGF−CXのコード化部分の活性を評価するポリペプチドをコード化する配列番号:1の一部を単離することにより調製されることができる。例えば、FGF−CXの生物学的に活性な部分をコード化する核酸フラグメントは、ATP結合ドメインを任意で含むことができる。別の実施態様において、FGF−CXの生物学的に活性な部分をコード化する核酸フラグメントは、1またはそれ以上の領域を含む。
【0107】
FGF−CX変異体
本発明は、遺伝子コードの縮重に起因する図1において示されるヌクレオチド配列と異なる核酸分子をさらに包含する。従って、これらの核酸は、配列番号:1において示されるヌクレオチド配列によりコード化されるものの様に同一FGF−CXタンパク質をコード化する。別の実施態様において、本発明の単離核酸分子は、配列番号:2において示されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコード化するヌクレオチド配列を有する。
【0108】
配列番号:1において示されるヒトFGF−CXヌクレオチド配列に加えて、FGF−CXのアミノ酸配列の変化を導くDNA配列多型は、集団内(例えば、ヒト集団)に存在し得ることは、当業者により認識されるであろう。FGF−CX遺伝子のかかる遺伝子多型は、天然の対立遺伝子のバリエーションに起因して集団内の個体間で存在し得る。本明細書において使用する、用語「遺伝子」および「組換え遺伝子」は、FGF−CXタンパク質、好ましくは哺乳動物FGF−CXタンパク質をコード化するオープンリーディングフレームを含む核酸分子に言及する。かかる天然の対立遺伝子のバリエーションは、典型的に、FGF−CX遺伝子のヌクレオチド配列の1〜5%バリエーションとなり得る。かかるヌクレオチドバリエーションのいずれかおよび全ては、天然の対立遺伝子バリエーションの結果物であり、かつFGF−CXの機能活性を変化させないFGF−CX中の結果として生じるアミノ酸多型性は、本発明の範囲内にあることを意図される。
【0109】
さらに、他の種由来のFGF−CXたんぱく質をコード化する核酸分子、およびゆえに配列番号:1のヒト配列と異なるヌクレオチド配列を有する核酸は、本発明の範囲内であることを意図される。天然の対立遺伝子変異体に対応する核酸分子および本発明のFGF−CXcDNAの相同体は、本明細書において開示されるヒトFGF−CX核酸に対する相同性に基づき、厳密なハイブリダイゼーション条件下の標準ハイブリダイゼーション技術によるハイブリダイゼーションプローブとして、ヒトcDNA、またはそれらの一部を用いて単離され得る。例えば、可溶性ヒトFGF−CXcDNAは、ヒト膜結合FGF−CXに対する相同性に基づき単離され得る。同じく、膜結合ヒトFGF−CXcDNAは、可溶性ヒトFGF−CXに対する相同性に基づき単離され得る。
【0110】
または、別の実施態様において、本発明の単離核酸分子は、少なくとも長さ6ヌクレオチドであり、配列番号:1のヌクレオチド配列を含む核酸分子に厳密な条件下でハイブリダイズする。別の実施態様において、核酸は、少なくとも長さ10、25、50、100、250、500または750ヌクレオチドである。別の実施態様において、本発明の単離核酸分子は、コード領域にハイブリダイズする。本明細書において用いられる様に、用語「厳密な条件下でハイブリダイズする」は、互いに少なくとも60%相同なヌクレオチド配列が、典型的に互いにハイブリダイズしたままであるハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を記載することを意図される。
【0111】
相同体(すなわち、ヒト以外の種由来のFGF−CXタンパク質をコード化する核酸)または他の関連配列(例えば、パラログ)は、核酸ハイブリダイゼーションおよびクローニングの当分野においてよく知られた方法を用いるプローブとして、特定のヒト配列の全部または一部との低厳密、中程度厳密、または高厳密なハイブリダイゼーションにより得られることができる。
【0112】
本明細書において用いられる様に、語句「厳密なハイブリダイゼーション条件」は、プローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチドがその標的配列にハイブリダイズするが、他の配列にはハイブリダイズしない条件に言及する。厳密な条件は、配列依存性であり、違った状況で異なるものである。長い配列は、短い配列より高い温度で特異的にハイブリダイズする。一般的に、厳密な条件は、定義されたイオン強度およびpHで特異的な配列の温熱性融解温度(Tm)より約5度低くなるように選択される。Tmは、標的配列に相補的なプローブの50%が、平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度である(定義されたイオン強度、pHおよび核酸濃度の下)。標的配列は、一般に過剰に存在するので、Tmにおいて、プローブの50%が平衡状態で占められる。典型的に、厳密な条件は、塩濃度が約1.0Mのナトリウムイオン未満であり、典型的にはpH7.0〜8.3で約0.01〜1.0Mのナトリウムイオン(または他の塩)、および温度は短いプローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチド(例えば、10nt〜50nt)のために少なくとも約30℃であり、より長いプローブ、プライマーおよびオリゴヌクレオチドのために少なくとも約60℃である。厳密な条件は、ホルムアミドの様な不安定試薬の添加でも成し遂げられ得る。
【0113】
上述したような厳密な条件は、当業者にとって既知であり、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.16.3.6において見られる。好ましくは、条件は、互いに少なくとも約65%、70%、85%、90%、95%、98%または99%相同である配列が、典型的に互いに結合したままである様な条件である。厳密な条件の非制限の実施例は、65℃で6×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM EDTA、0.02%PVP、0.02%Ficoll、0.02%BSA、および500mg/ml変性サケ精子DNAを含む高塩バッファー中でのハイブリダイゼーションである。このハイブリダイゼーションは、50℃で0.2×SSC、0.01%BSA中での1回またはそれ以上の洗浄が続く。配列番号:1の配列に厳密な条件下でハイブリダイズする本発明の単離核酸分子は、天然に存在する核酸分子に対応する。本明細書において用いられる様に、「天然に存在する」核酸分子は、天然において生じるヌクレオチド配列(例えば、天然のタンパク質をコード化する)を有するRNA分子またはDNA分子に言及する。
【0114】
相同体(すなわち、ヒト以外の種由来のFGF−CXタンパク質をコード化する核酸)または他の関連配列(例えば、パラログ)は、核酸ハイブリダイゼーションおよびクローニングの当分野においてよく知られた方法を用いるプローブとして、特定のヒト配列の全部または一部との低厳密、中程度厳密、高厳密なハイブリダイゼーションにより得られる。
【0115】
第2の実施態様において、配列番号:1のヌクレオチド配列を含む核酸分子、またはフラグメント、それらの類似体または誘導体に中程度厳密な条件下でハイブリダイズすることが可能である核酸配列が提供される。中程度厳密なハイブリダイゼーション条件の非制限の実施例は、55℃で6×SSC、5×デンハート液、0.5%SDSおよび100mg/mlの変性サケ精子DNA中でのハイブリダイゼーションであり、37℃で1×SSC、0.1%SDS中での1回またはそれ以上の洗浄が続く。用いられ得る中程度厳密な他の条件は、当分野においてよく知られている。例えば、Ausubel et al. (eds.), 1993, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY, and Kriegler, 1990, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NYを参照されたい。
【0116】
第3の実施態様において、配列番号:1のヌクレオチド配列を含む核酸分子、またはフラグメント、それらの類似体または誘導体に低厳密な条件下でハイブリダイゼーションする核酸が提供される。低厳密なハイブリダイゼーション条件の非制限の実施例は、40℃で35%ホルムアミド、5×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.02%PVP、0.02%Ficoll、0.2%BSA、100mg/ml変性サケ精子DNA、10%(wt/vol)デキストラン硫酸中でのハイブリダイゼーション、50℃で2×SSC、25mM Tris−HCl(pH7.4)、5mM EDTA、および0.1%SDS中での1回またはそれ以上の洗浄が続く。用いられ得る低厳密な他の条件は、当分野においてよく知られている(例えば、異種間ハイブリダイゼーションに用いられる様に)。例えば、Ausubel et al. (eds.), 1993, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY、およびKriegler, 1990, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NY; Shilo and Weinberg, 1981, Proc Natl Acad Sci USA 78: 67896792を参照されたい。
【0117】
保存的変異体
集団中に存在し得るFGF−CX配列の天然に生じる対立遺伝子変異体に加えて、当業者は、変更が配列番号:1のヌクレオチド内への変異により誘導され得ること、それによりFGF−CXタンパク質の機能的能力を変えることなくコード化FGF−CXタンパク質のアミノ酸配列の変更を導き得ることをさらに理解する。例えば、「非必須」アミノ酸残基でのアミノ酸置換を導くヌクレオチド置換は、配列番号:1の配列において起こり得る。「非必須」アミノ酸残基は、「必須」アミノ酸残基は、生物学的活性を必要とするのに、生物学的活性を変えることなくFGF−CXの野生型配列から変更され得る残基である。例えば、本発明のFGF−CXタンパク質間で保存されるアミノ酸残基は、変更に特に従わないものであると予測される。
【0118】
本発明の別の態様は、活性に必須でないアミノ酸残基での変化を含有するFGF−CXタンパク質をコード化する核酸分子に関する。かかるFGF−CXタンパク質は、配列番号:2由来のアミノ酸配列において異なり、生物学的活性は依然保持している。1つの実施態様において、単離核酸分子は、タンパク質をコード化するヌクレオチド配列を含み、該タンパク質は、配列番号:2のアミノ酸配列に対して少なくとも約75%相同であるアミノ酸配列を含む。好ましくは、核酸によりコード化されるタンパク質は、配列番号:2に少なくとも約80%相同であり、さらに好ましくは、配列番号:2に少なくとも約90%、95%、98%、および最も好ましくは少なくとも約99%相同である。
【0119】
配列番号:2のタンパク質に対するFGF−CXタンパク質相同体をコード化する単離核酸分子は、1またはそれ以上のアミノ酸置換、付加または欠損がコード化タンパク質に誘導される様な1またはそれ以上のヌクレオチド置換、配列番号:1のヌクレオチド配列への付加または欠損を導入することにより生成され得る。
【0120】
変異は、部位指向変異誘発およびPCR仲介変異誘発のような標準技術により配列番号:1に導入され得る。好ましくは、保存的アミノ酸置換は、1またはそれ以上の予測非必須アミノ酸残基でもたらされる。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で取って代わられるものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当分野において定義されてきた。あるアミノ酸は、1より多い分類特性を伴う側鎖を有する。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷の極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、トリプトファン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、チロシン、トリプトファン)、β分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。従って、成長因子中の予測非必須アミノ酸残基は、同一の側鎖ファミリーから別のアミノ酸残基で取って代わる。または、別の実施態様において、変異は、飽和変異誘発によるような成長因子コード化配列の全部または一部に沿って、ランダムに導入され、結果として生じる変異は、成長因子の生物学的活性をスクリーニングして、活性を保持する変異を同定することができる。配列番号:1および3の変異誘発に続くコード化タンパク質を、当分野において既知の任意の組換え技術により発現させることができ、かつタンパク質の活性は決定され得る。
【0121】
別の重要な実施態様において、変異FGF−CXタンパク質は、(1)タンパク質を形成する能力:タンパク質が他のFGF−CXタンパク質、他の細胞表面タンパク質、またはそれらの生物学的に活性な部分と相互作用する、(2)変異FGF−CXタンパク質とFGF−CX受容体との複合体形成;(3)変異FGF−CXタンパク質が細胞内標的タンパク質またはそれらの生物学的に活性な部分に結合する能力;(例えば、アビジンタンパク質);または(4)抗FGF−CXタンパク質抗体に特異的に結合する能力についてアッセイされ得る。
【0122】
アンチセンス
本発明の別の態様は、配列番号:1のヌクレオチドを含む核酸分子、またはフラグメント、それらの類似体または誘導体にハイブリダイズ可能であるか、または相補的配列である単離アンチセンス核酸分子に関する。「アンチセンス」核酸は、タンパク質をコード化する「センス」核酸に相補的配列、例えば、二本鎖cDNAのコード鎖に相補的配列、またはmRNAに相補的な配列であるヌクレオチド配列を含む。特定の態様において、アンチセンス核酸分子は、少なくとも約10、25、50、100、250または500ヌクレオチドまたは全FGF−CXコード鎖、またはそれら部分のみに対する相補的配列を含むものを提供する。配列番号:2のFGF−CXタンパク質のフラグメント、相同体、誘導体および類似体をコード化する核酸分子、または配列番号:1のFGF−CX核酸配列に相補的なアンチセンス核酸は、さらに提供される。
【0123】
1つの実施態様において、アンチセンス核酸分子は、FGF−CXをコード化するヌクレオチド配列のコード鎖の「コード領域」に対するアンチセンスである。用語「コード領域」は、アミノ酸残基に翻訳されるコドンを含むヌクレオチド配列の領域(例えば、配列番号:2に対応するヒトFGF−CXのタンパク質コード領域)に言及する。別の実施態様において、アンチセンス核酸分子は、FGF−CXをコード化するヌクレオチド配列のコード鎖の「非コード領域」に対するアンチセンスである。用語「非コード領域」は、アミノ酸に翻訳されないコード領域に隣接する5’および3’配列(すなわち、5’および3’非翻訳領域にも言及する)に言及する。
【0124】
本明細書において開示されるFGF−CX(例えば、配列番号:1)をコード化するコード鎖配列を与えられ、本発明のアンチセンス核酸は、Watson and Crick型塩基対またはHoogsteen型塩基対のルールによりデザインされ得る。アンチセンス核酸分子は、FGF−CXmRNAの全コード領域に相補的であり得るが、さらに好ましくは、FGF−CXmRNAのコード領域または非コード領域の一部のみに対するアンチセンスであるオリゴヌクレオチドである。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、FGF−CXmRNAの翻訳開始部位を囲む領域に対して相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、長さ約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50ヌクレオチドであり得る。本発明のアンチセンス核酸は、当分野において既知の方法を用いる化学合成または酵素ライゲーションを使用して構築され得る。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に生じるオリゴヌクレオチドまたは分子の生物学的安定性を増大するためにデザインされたまたはアンチセンスとセンス核酸間で形成される二本鎖の物理的安定性を増大するために様々に修飾されたヌクレオチドを用いて化学的に合成され得る。例えば、ホスホロチオネート誘導体およびヌクレオチドを置換されたアクリジンが用いられ得る。
【0125】
アンチセンス核酸を生成するために用いられ得る修飾ヌクレオチドの実施例は以下を含む:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシ水酸化メチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルエクノシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルエクオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキヨシン、プソイドウラシル、クエオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリン。または、アンチセンス核酸は、核酸がアンチセンスの向きでサブクローンされた発現ベクターを用いて生物学的に生成され得る(すなわち、挿入核酸から転写されたRNAは、該標的核酸に対するアンチセンス向きのものであり、以下の節においてさらに記載される)。
【0126】
本発明のアンチセンス核酸は、細胞のmRNAおよび/またはFGF−CXをコード化するゲノムDNAとハイブリダイズするか、または結合し、それによりタンパク質の発現を阻害、例えば転写および/または翻訳を阻害することにより対象に典型的に投与されるか、または組織内で生成される。ハイブリダイゼーションは、安定二本鎖を形成するための通常のヌクレオチド相補的配列によるものであり、または、例えば、DNA二本鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合において、二本鎖ヘリックスの大溝での特異的相互作用を介するものであり得る。本発明のアンチセンス核酸の投与経路の実施例は、組織部位での直接注入を含む。または、アンチセンス核酸分子は、選択された細胞を標的とするために修飾され、次に全身性に投与され得る。例えば、全身性投与のため、アンチセンス分子は、選択された細胞表面上で発現する受容体または抗原に特異的に結合するように、例えば、細胞表面の受容体または抗原に結合するペプチドまたは抗体に対するアンチセンス核酸分子に結合することにより修飾され得る。アンチセンス核酸分子はまた、本明細書に記載するベクターを用いる細胞に送達され得る。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を達成するために、アンチセンス核酸分子が、強力なpol IIまたはpol IIIプロモーターの制御下に置かれるベクター構築物が好ましい。
【0127】
さらに別の実施態様において、本発明のアンチセンス核酸は、α−アノマー核酸分子である。α−アノマー核酸分子は、普通のβ−ユニットと反対で、鎖が互いに平行に走る相補的RNAとハイブリダイズする特異的な二本鎖を形成する(Gaultier et al. (1987) Nucleic Acids Res 15: 66256641)。アンチセンス核酸分子はまた、2’−o−メチルリボヌクレオチド (Inoue et al. (1987) Nucleic Acids Res 15: 61316148)またはキメラRNA−DNA類似体(Inoue et al. (1987) FEBS Lett 215: 327330)を含み得る。
【0128】
リボザイムおよびPNA部分
かかる修飾は、実施例に限定されることなく、修飾塩基、および糖リン酸主鎖が修飾されるかまたは誘導される核酸を含む。これらの修飾は、例えば、対象での治療応用において核酸に結合するアンチセンスとして用いられ得るように、修飾された核酸の化学的安定性を増大するために少なくとも一部実行される。
【0129】
さらに別の実施態様において、本発明のアンチセンス核酸は、リボザイムである。リボザイムは、相補的領域を有するmRNAの様な一本鎖核酸を切断する能力のあるリボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNA分子である。従って、リボザイムは(例えば、ハンマーヘッドリボザイム(Haselhoff and Gerlach (1988) Nature 334:585591において記載される)を用いて、FGF−CXmRNA転写物を触媒的に切断し、それによりFGF−CXmRNAの翻訳を阻害することができる。FGF−CXコード化核酸に対する特異性を有するリボザイムは、本明細書において開示されるFGF−CXDNA(すなわち、配列番号:1)のヌクレオチド配列に基づいてデザインされ得る。例えば、テトラヒメナL−19IVS RNAの誘導体は、活性化部位のヌクレオチド配列が、FGF−CXコード化mRNAにおいて切断されるべきヌクレオチド配列に相補的配列であものに構築され得る。例えば、Cech等の米国特許番号4,987,071;およびCech等の米国特許番号5,116,742を参照されたい。または、FGF−CXmRNAを用いて、RNA分子のプールから特異的なリボヌクレアーゼを有する触媒性RNAを選択することができる。Bartel et al., (1993) Science 261:14111418を参照されたい。
【0130】
代わりに、FGF−CX遺伝子発現は、FGF−CXの制御領域(例えば、FGF−CXプロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なヌクレオチド配列を標的とすることにより阻害されて、標的細胞中のFGF−CX遺伝子の転写を妨げる3重ヘリックス構造を形成し得る。Helene. (1991) Anticancer Drug Des. 6: 56984; Helene. et al. (1992) Ann. N.Y. Acad. Sci. 660:2736;およびMaher (1992) Bioassays 14: 80715を一般に参照。
【0131】
様々な実施態様において、FGF−CXの核酸は、塩基部分、糖部分またはリン酸主鎖で修飾され、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーション、または可溶性を改善され得る。例えば、核酸のデオキシリボースリン酸主鎖は、修飾されて、ペプチド核酸を生成し得る(Hyrup et al. (1996) Bioorg Med Chem 4: 523を参照)。本明細書において用いられる様に、用語「ペプチド核酸」または「PNA」は、デオキシリボースリン酸主鎖が擬ペプチド主鎖により取って代わられ、4つの元々の核酸塩基のみ保持する核酸ミメティクス、例えば、DNAミメティクスに言及する。PNAの天然の主鎖は、低イオン強度の条件下でDNAおよびRNAへの特異的なハイブリダイゼーションを可能とすると見られてきた。PNAオリゴマーの合成は、Hyrup et al. (1996) above; PerryO'Keefe et al. (1996) PNAS 93: 14670675に記載される様に、標準固相ペプチド合成プロトコールを用いて実行され得る。
【0132】
FGF−CXのPNAは、治療応用および診断応用において用いられ得る。例えば、PNAは、遺伝子発現の配列特異的調節のためアンチセンスまたは抗原物質として、転写または翻訳の抑止を誘導、または複製を阻害することにより、用いられ得る。FGF−CXのPNAは、例えば、遺伝子の単一塩基対変異の解析において、例えば、PNA指向性PCRclamping法より;他の酵素との組合せにおいて用いられる場合の人工制限酵素、例えば、SIヌクレアーゼ(上述のHyrup B. (1996))として;またはDNA配列決定およびハイブリダイゼーションのプローブまたはプライマー(上述のHyrup et al. (1996);上述のPerry−O'Keefe (1996))としても用いられ得る。
【0133】
別の実施態様において、FGF−CXのPNAは、親油性またはPNAに対する他のヘルパー群と関連することにより、PNA−DNAキメラの形成により、または当分野において既知の薬輸送のリボソームまたは他の技術の使用により例えば、安定性または細胞の取り込みを増強するために修飾され得る。例えば、FGF−CXのPNA−DNAキメラは、PNAおよびDNAの有利な特性を組合せ得るものを生成され得る。かかるキメラは、DNA認識酵素、例えば、RNase HおよびDNAポリメラーゼがDNA部分と相互作用することを可能とする一方で、PNA部分は高結合親和性および特異性を提供する。PNA−DNAキメラは、塩基スタッキング、核酸塩基間の多くの結合、および向きの点で選択される適当な長さのリンカーを用いて結びつき得る(上述のHyrup (1996))。PNA−DNAキメラの合成は、上述のHyrup (1996)およびFinn et al. (1996) Nucl Acids Res 24: 335763に記載される様に実行されることができる。例えば、DNA鎖は、標準ホスホラミダイトカップリング化学反応、およびモディファイされたヌクレオシド類似体、例えば、PNAとDNAの5’末端との間で用いられ得る5’−(4−メトキシトリチル)アミノ−5’−デオキシ−チミジンホスホラミダイトを用いて固体支持上で合成され得る(Mag et al. (1989) Nucl Acid Res 17: 597388)。PNAモノマーは次に、段階的な方法でカップリングされ、5’PNAセグメントおよび3’DNAセグメントを有するキメラ分子を産生する(上述のFinn et al. (1996))または、キメラ分子は、5’DNAセグメントおよび3’PNAセグメントと共に合成され得る。Petersen et al. (1975) Bioorg Med Chem Lett 5: 111911124を参照されたい。
【0134】
他の実施態様において、オリゴヌクレオチドは、ペプチドの様な他の添加群(例えば、インビボにおいて宿主細胞受容体を標的とする)、または細胞膜を介する輸送を促進する物質(例えば、Letsinger et al., 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86:65536556; Lemaitre et al., 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. 84:648652; PCT公開番号W088/09810を参照)、または血管脳関門(例えば、PCT公開番号W089/10134を参照)を含み得る。加えて、オリゴヌクレオチドは、切断を引き起こすハイブリダイゼーション試薬(例えば、Krol et al., 1988, BioTechniques 6:958976を参照)または介在試薬(例えば、Zon, 1988, Pharm. Res. 5:539549を参照)でモディファイされ得る。最後に、オリゴヌクレオチドは、別の分子、例えば、ペプチド、クロスリンクを引き起こすハイブリダイゼーション試薬、輸送物質、切断を引き起こすハイブリダイゼーション試薬等と共役し得る。
【0135】
FGF−CXポリペプチド
本発明の新規タンパク質は、表1(配列番号:2)において提供される配列のFGF−CX様タンパク質を含む。本発明はまた、表1において示される対応する残基から任意の残基が変更され得る一方、FGF−CX様活性化および生理学的機能を維持するタンパク質、またはそれらの機能的なフラグメントを依然コード化する突然変異体または変異体タンパク質を含む。突然変異体または変異体タンパク質において、残基の20%以下またはそれより多くが、そのように変更され得る。
【0136】
一般に、FGF−CX様機能を維持するFGF−CX様変異体は、配列の特定の位置の残基が、他のアミノ酸により置換された任意の変異体を含み、および別の残基または該タンパク質の2残基間の残基を挿入する可能性、ならびに該配列由来の1またはそれ以上の残基を欠く可能性をさらに含む。任意のアミノ酸置換、挿入、または欠損が本発明により包含される。好ましい場合において、置換は上で定義されたように保存的置換である。さらに、本発明の範囲を制限することなく、表12の以下の位置(配列番号:2において提供される番号付けを用いる)が、突然変異体または変異体タンパク質が1またはそれ以上の指示された置換の1つを含み得るように指示された様に置換され得る。示された置換は、与えられた位置でおこり得る可能な置換の範囲を制限しない。
【0137】
表12
【表15】
【0138】
表12の続き
【表16】
【0139】
本発明の1つの態様は、単離FGF−CXタンパク質、およびそれらの生物学的に活性な部分、または誘導体、フラグメント、それらの類似体または相同体に関する。抗FGF−CX抗体を生じる免疫原としての使用に適したポリペプチドフラグメントもさらに提供される。1つの実施態様において、天然のFGF−CXタンパク質は、標準タンパク質精製技術を用いる適当な精製スキームにより細胞または組織供給源から単離されることができる。別の実施態様において、FGF−CXタンパク質は、組換えDNA技術により産生される。組換え発現の代わりに、FGF−CXタンパク質またはポリペプチドは、標準ペプチド合成技術を用いて化学的に合成され得る。
【0140】
「単離」または「精製」タンパク質またはそれらの生物学的に活性な部分は、細胞の物質またはFGF−CXタンパク質がもたらされる細胞または組織供給源由来のタンパク質の混入が実質的にない、または化学的前駆体または化学的に合成される場合の他の化学物質が実質的にない。用語「細胞の物質が実質的にない」は、タンパク質は単離または組替え的に産生されるもの由来の細胞の細胞成分から分離されるFGF−CXタンパク質の標本を含む。1つの実施態様において、用語「細胞の物質が実質的にない」は、非FGF−CXタンパク質(「混入するタンパク質」として本明細書においても言及される)の約30%(乾燥重量による)未満、より好ましくは、非FGF−CXタンパク質の薬20%未満、さらに好ましくは、非FGF−CXタンパク質の約10%未満、そしてさらに好ましくは非FGF−CXタンパク質の約5%未満を有するFGF−CXタンパク質の標本を含む。FGF−CXタンパク質またはそれらの生物学的に活性な部分が組変え的に産生される場合、好ましくは培養上清が実質的にない、すなわち、培養液が約20%未満、さらに好ましくは、約10%未満、そして最も好ましくはタンパク質標本の用量の約5%未満を意味する。
【0141】
用語「化学的前駆体または他の化学物質が実質的にない」は、タンパク質が化学的前駆体またはタンパク質の合成において関与する他の化学物質から分離されるFGF−CXタンパク質の標本を含む。1つの実施態様において、用語「化学的前駆体または他の化学物質が実質的にない」は、化学的前駆体または非FGF−CX化学物質の約30%(乾燥重量による)未満、さらに好ましくは、化学的前駆体または非FGF−CX化学物質の約20%未満、なおさらに好ましくは、化学的前駆体または非FGF−CX化学物質の約10%未満、そして最も好ましくは、化学的前駆体または非FGF−CX化学物質の約5%未満を有するFGF−CXタンパク質の標本を含む。
【0142】
FGF−CXタンパク質の生物学的に活性な部分は、FGF−CXタンパク質のアミノ酸配列に十分に相同なアミノ酸配列またはFGF−CXタンパク質のアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列、例えば、全長FGF−CXタンパク質より少ないアミノ酸を含む配列番号:2において示されるアミノ酸配列を含むペプチドを含み、FGF−CXタンパク質の少なくとも1つの活性を表す。典型的に、生物学的に活性な部分は、少なくとも1つのFGF−CXタンパク質の活性を有するドメインまたはモティーフを含む。FGF−CXタンパク質の生物学的に活性な部分は、例えば、長さ10、25、50、100またはそれ以上のアミノ酸であるポリペプチドであり得る。
【0143】
本発明のFGF−CXタンパク質の生物学的に活性な部分は、FGFファミリータンパク質間で実質的に保存された上で同定されたドメインの少なくとも1つを含有し得る。さらに、タンパク質の他の領域を欠いている他の生物学的に活性な部分は、組換え技術により調製され、かつ天然のFGF−CXタンパク質の1またはそれ以上の機能的活性化を評価し得る。
【0144】
1つの実施態様において、FGF−CXタンパク質は、配列番号:2においれ示されるアミノ酸配列を有する。他の実施態様において、FGF−CXタンパク質は、配列番号:2に実質的に相同であり、配列番号:2のタンパク質の機能的活性化を保持し、以下に詳細に記載する様に、天然の対立遺伝子バリエーションまたは変異誘発に起因するアミノ酸配列において依然異なる。他の実施態様によると、FGF−CXタンパク質は、配列番号:2のアミノ酸配列に少なくとも45%相同なアミノ酸配列を含み、かつ配列番号:2のFGF−CXタンパク質の機能的活性を保持するタンパク質である。別の実施態様において、FGF−CXは、配列番号:2のアミノ酸配列に少なくとも約45%相同なアミノ酸配列、さらに好ましくは、約55、65、70、75、80、85、90、95、98さらに99%相同なアミノ酸配列を含有し、かつ配列番号:2の配列を有する対応ポリペプチドのFGF−CXタンパク質の機能的活性を保持するタンパク質である。
【0145】
2またはそれ以上の配列間の相同性の測定
2つのアミノ酸または2つの核酸のパーセント相同性を測定するために、配列を最適な比較目的のため整列させる(例えば、ギャップが配列間の最適なアラインメントのため比較された配列のいずれかにおいて導入され得る)。対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置でのアミノ酸残基またはヌクレオチドは、次に比較される。第1の配列の位置が、第2の配列の対応する位置の同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドにより占められている場合、分子はその位置で相同である(すなわち、本明細書において用いられる様に、アミノ酸または核酸「相同性」は、アミノ酸または核酸「同一」と等しい。)
【0146】
核酸配列相同性は、2配列間の同一性の程度として測定され得る。相同性は、GCGプログラムパッケージにおいて提供されるGAPソフトウェアのような、当分野において既知のコンピュータープログラムを用いて測定され得る。Needleman and Wunsch 1970 J Mol Biol 48: 443-453を参照されたい。核酸配列比較の以下の設定:5.0のGAP生成ペナルティーおよび0.3のGAP伸長ペナルティーを伴なうGCG GAPソフトウエアを用いて、上で言及された類似核酸配列のコード領域は、配列番号:1において示されるDNA配列のCDS(コード化)部分と好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%の同一性の程度を表す。
【0147】
用語「配列同一性」は、2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列が、比較の特定領域にわたって残基毎に同一である程度に言及する。用語「配列同一性のパーセンテージ」は、比較の領域にわたって、2つの最適整列配列を比較すること、一致位置の数をもたらすために両配列において生じる同一核酸塩基(例えば、核酸の場合、A、T、C、G、UまたはI)のある位置の数を測定すること、比較の領域中の位置の合計数(すなわち、ウィンドウサイズ)により一致位置の数を割ること、および配列同一性のパーセンテージをもたらすために、結果を100倍することにより測定される。本明細書において用いられる様に、用語「実質的同一性」は、ポリヌクレオチド配列の特徴を示す。ここで、該ポリヌクレオチドは、比較領域にわたって参考配列と比較して、少なくとも80%配列同一性、好ましくは、少なくとも85%同一性、およびしばしば90〜95%配列同一性、さらに一般的には少なくても99%配列同一性を有する配列を含む。用語「ポジティヴ残基のパーセンテージ」は、比較の領域にわたって2つの最適化整列配列を比較すること、上で定義された様に同一および保存アミノ酸置換が、一致位置の数をもたらすために両配列間で生じる位置の数を測定すること、比較の領域の位置の合計数(すなわち、ウインドウサイズ)により一致位置の数を割ること、およびポジティブ残基のパーセンテージをもたらすために、結果を100倍することにより測定される。
【0148】
キメラタンパク質および融合タンパク質
本発明はまた、FGF−CXキメラタンパク質または融合タンパク質を提供する。本明細書において用いられる様に、FGF−CX「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、非FGF−CXポリペプチドに作用可能に結合したFGF−CXポリペプチドを含む。「FGF−CXポリペプチド」は、FGF−CXに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドに言及し、「非FGF−CXポリペプチド」は、FGF−CXタンパク質に実質的に相同でないタンパク質、例えば、FGF−CXタンパク質と異なり、かつ同一生物または異なる生物からもたらされるタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドに言及する。FGF−CX融合タンパク質内で、FGF−CXポリペプチドは、FGF−CXタンパク質の全部または一部に対応し得る。1つの実施態様において、FGF−CX融合タンパク質は、少なくとも1つのFGF−CXタンパク質の生物学的に活性な部分を含む。別の実施態様において、FGF−CX融合タンパク質は、少なくとも2つのFGF−CXタンパク質の生物学的に活性な部分を含む。融合タンパク質内で、用語「作用可能に結合する」は、FGF−CXポリペプチドおよび非FGF−CXポリペプチドが互いにインフレームで融合されることを示すことを意図する。非FGF−CXポリペプチドは、FGF−CXポリペプチドのN末端またはC末端に融合し得る。
【0149】
例えば、1つの実施態様において、FGF−CX融合タンパク質は、第2のタンパク質の細胞外ドメインに作用可能に結合するFGF−CXポリペプチドを含む。かかる融合タンパク質は、FGF−CX活性を調節する化合物のスクリーニングアッセイ(かかるアッセイは、以下で詳細に記載される)においてさらに利用され得る。
【0150】
別の実施態様において、融合タンパク質は、FGF−CX配列がGSTのC末端に融合する(すなわち、グルタチオンSトランスフェラーゼ)GST−FGF−CX融合タンパク質である。かかる融合タンパク質は、組換えFGF−CXの精製を促進することができる。
【0151】
さらに別の実施態様において、融合タンパク質は、N末端にある異種性シグナル配列を含有するFGF−CXタンパク質である。例えば、天然のFGF−CXシグナル配列(すなわち、配列番号:2のアミノ酸1〜20)が、取り除かれ、別のタンパク質由来のシグナル配列で取って代わられ得る。ある宿主細胞において(例えば、哺乳動物細胞)、FGF−CXの発現または/および分泌は、異種性シグナル配列の使用を介して増加され得る。
【0152】
別の実施態様において、融合タンパク質は、1またはそれ以上のドメインを含むFGF−CX配列が、免疫グロブリンタンパク質ファミリーのメンバーからもたらされる配列に融合されるFGF−CX免疫グロブリン融合タンパク質である。本発明のFGF−CX免疫グロブリン融合タンパク質は、医薬組成物に取り込まれ、対象に投与され、細胞表面上のFGF−CXリガンドとFGF−CXタンパク質との相互作用を阻害し、それによりインビボでのFGF−CX仲介シグナル伝達を抑制できる。制限されない実施例において、本発明の考えられるFGF−CXリガンドは、FGF−CX受容体である。FGF−CX免疫グロブリン融合タンパク質を用いて、FGF−CX同族リガンドの生物学的利用能に作用させることができる。FGF−CXリガンド/FGF−CX相互作用の阻害は、増殖性疾患および分化性疾患の両方の処置、ならびに細胞生存の調節(例えば、促進または阻害)のために治療的に有用であり得る。さらに、本発明のFGF−CX免疫グロブリン融合タンパク質を免疫原として用いて、対象において抗FGF−CX抗体を産生し、FGF−CXリガンドを精製し、FGF−CXリガンドとのFGF−CXの相互作用を阻害する分子を同定するためのスクリーニングにおいて用いられ得る。
【0153】
本発明のFGF−CXキメラタンパク質または融合タンパク質は、標準組換えDNA技術により産生され得る。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNAフラグメントは、例えば、ライゲーションのための平滑末端またはねじれ(stagger)末端、適当な末端を提供するための制限酵素切断、適当な粘着末端の充填、望まない結合を避けるためのアルカリフォスファターゼ処理、および酵素ライゲーションを用いることにより、従来技術に従いインフレームで互いに結合する。別の実施態様において、融合遺伝子は、自動DNA合成機を含む従来技術により合成され得る。または、遺伝子フラグメントのPCR増幅は、引き続いてアニーリングし、再増幅され、キメラ遺伝子配列を精製し得る2つの連続遺伝子フラグメント間の相補的なオーバーハングを生じるアンカープライマーを用いて実行されうる(例えば、 Ausubel et al. (eds.) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, 1992を参照)。さらに、多くの発現ベクターは、融合部分を既にコード化する市販されるもの(例えば、GSTポリペプチド)である。FGF−CXコード化核酸は、融合部分がFGF−CXタンパク質にインフレームで結合するように発現ベクターにクローン化され得る。
【0154】
FGF−CX作用物質および拮抗物質
本発明はまた、FGF−CX作用物質(ミメティクス)またはFGF−CX拮抗物質のいずれかとして機能するFGF−CXタンパク質の変異体に関する。FGF−CXタンパク質の変異体は、変異誘発、例えば、FGF−CXタンパク質の別々の点変異または切断により生成され得る。FGF−CXの作用物質は、FGF−CXタンパク質の天然に存在する型の生物学的に活性な同一物またはサブセットを実質的に保持し得る。FGF−CXタンパク質の拮抗物質は、例えば、FGF−CXタンパク質を含む細胞のシグナルカスケイドの下流または上流のメンバーに競合的に結合することにより、1またはそれ以上のFGF−CXタンパク質の天然に生じる形の活性化を阻害し得る。従って、特異的な生物学的作用は、機能を制限された変異体との処理により誘発され得る。1つの実施態様において、タンパク質の天然に生じる形の生物学的に活性なサブセットを有する変異体との対象の処理は、FGF−CXタンパク質の天然に生じる形との処置と関係する対象においてより少ない副作用を有する。
【0155】
FGF−CX作用物質(ミメティクス)としてまたはFGF−CX拮抗物質のいずれかとして作用するFGF−CXタンパク質の変異体は、例えば、FGF−CXタンパク質の作用物質または拮抗物質の活性についてFGF−CXタンパク質の切断突然変異体の組合せライブラリーをスクリーニングすることにより同定され得る。1つの実施態様において、FGF−CX変異体の多彩アなライブラリーは、核酸レベルの組合せ変異誘発により生成され、多彩な遺伝子ライブラリーによりコード化される。FGF−CX変異体の多彩なライブラリーは、例えば、潜在的なFGF−CX配列の変性セットが、個々のポリペプチドとして、または代わりにFGF−CX配列のセットを含有するより大きな融合タンパク質のセット(例えば、ファージディスプレイ)として発現可能である様な遺伝子配列に合成オリゴヌクレオチドの混合物を酵素的にライゲーションすることにより産生され得る。変性オリゴヌクレオチド配列由来の潜在的FGF−CX変異体のライブラリーを産生するために用いられ得る様々な方法がある。変性遺伝子配列の化学的合成を、自動DNA合成機において実行することができ、合成遺伝子は次に、適当な発現ベクターに結合させられる。遺伝子の変性セットの使用は、潜在的FGF−CX配列の望まれるセットをコード化する配列の全部である混合物の1つにおいて供給を可能とする。変性オリゴヌクレオチドを合成する方法は、当分野において既知である(例えば、Narang (1983) Tetrahedron 39:3; Itakura et al. (1984) Annu Rev Biochem 53:323; Itakura et al. (1984) Science 198:1056; Ike et al. (1983) Nucl Acid Res 11:477を参照)。
【0156】
ポリペプチドライブラリー
加えて、FGF−CXコード配列のフラグメントのライブラリーを用いて、FGF−CXタンパク質の変異体のスクリーニングおよび続く選択のためのFGF−CXの多彩な群を産生し得る。1つの実施態様において、コード配列フラグメントのライブラリーは、ニッキングが1分子あたり約1回のみ生じる条件下でヌクレアーゼを有するFGF−CXコード配列の二本鎖PCRフラグメントの処理、ニ本鎖DNAの変性、異なるニック産物由来のセンス/アンチセンスプライマーを含み得る二本鎖DNAを形成するためのDNAの再生、S1ヌクレアーゼとの処理によりニ本鎖の再形成から一本鎖部分を取り除くこと、および結果として生じるフラグメントライブラリーの発現ベクターへのライゲーションにより生成されうる。この方法により、発現ライブラリーは、N末端およびFGF−CXタンパク質の様々なサイズの内部フラグメントをコード化するものがもたらされ得る。
【0157】
点変異または切断により作られた組合せライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングすること、および選択された性質を有する遺伝子産物のcDNAライブラリーをスクリーニングするいくつかの技術は、当分野において既知である。かかる技術は、FGF−CXタンパク質の組合せ変異誘発により生成される遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに適している。複製可能な発現ベクターへの遺伝子ライブラリーのクローン化、結果として生じるベクターライブラリーとの適当な細胞の形質移入、および望まれる活性の検出が産物が検出される遺伝子をコード化するベクターの単離を促進する条件下での組合せ遺伝子の発現を典型的に含む大きな遺伝子ライブラリーをスクリーニングする高処理量分析に従った技術が、最も広く用いられる。ライブラリーの機能的変異の頻度を増大する新たな技術である再帰全変異誘発(REM)が、FGF−CX変異体を同定するためのスクリーニングアッセイとの組合せにおいて用いられ得る(Arkin and Yourvan (1992) PNAS 89:78117815; Delgrave et al. (1993) Protein Engineering 6:327331)。
【0158】
抗FGF−CX抗体
本明細書において用いられる用語「抗体」は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、抗原に特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含有する分子に言及する。かかる抗体は、限定されることなく、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、一本鎖、Fab、Fab’およびF(ab’)2フラグメント、およびFab発現ライブラリーを含む。一般に、ヒトから得られる抗体分子は、分子に存在する天然の重鎖により別のものと異なる任意のクラスのIgG、IgM、IgA、IgEおよびIgDに関する。あるクラスは、同様に、IgG1、IgG等のサブクラスを有する。さらに、ヒトにおいて、軽鎖は、κ鎖またはλ鎖であり得る。抗体に対する本明細書における参考文献は、ヒト抗体種のかかるクラス、サブクラスおよびタイプの全てに対する参考文献を含む。
【0159】
抗原、またはそれらの一部またはフラグメントとして機能することを意図される単離タンパク質は、ポリクローナル抗体標本およびモノクローナル抗体標本の標準技術を用いる、抗原に免疫特異的に結合する抗体を生成するための免疫原として用いられ得る。全長タンパク質を用いることができるか、または、本発明は免疫原としての使用のため抗原性ペプチドフラグメントを提供する。抗原性ペプチドフラグメントは、配列番号:2において示されるアミノ酸配列のような全長タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも6アミノ酸残を含み、全長タンパク質またはエピトープを含有する任意のフラグメントとの特異的免疫複合体を形成するペプチドに対して生じる抗体のエピトープを包含する。好ましくは、抗原性ペプチドは、少なくとも10アミノ酸残基、または少なくとも15アミノ酸残基、または少なくとも20アミノ酸残基、または少なくとも30アミノ酸残基を含む。抗原性ペプチドにより包含される好ましいエピトープは、その表面に位置するタンパク質の領域;普通は、親水性領域である。
【0160】
本発明のある実施態様において、抗原性ペプチドにより包含される少なくとも1つのエピトープが、タンパク質の表面に位置するFGF−CXの領域、例えば親水性領域である。ヒトFGF−CXタンパク質配列の疎水性分析は、FGF−CXポリペプチドの領域が特定の親水性領域であり、それゆえ、抗体産物の標的化に有用である表面残基をコード化することを示す。抗体産物の標的化を意味する様に、親水性領域および親水性を示す疎水性親水性指標プロットは、例えば、フーリエ形質転換ありでまたはなしのいずれかでのKyte Doolittle法またはHopp Woods法を含む、当分野においてよく知られた任意の方法により生成され得る。例えば、Hopp and Woods, 1981, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 78: 3824-3828;Kyte and Doolittle 1982, J. Mol. Biol. 157: 105-142を参照されたい。それぞれ、全体として参考文献により本明細書において取り込まれる。抗原性タンパク質、または誘導体、フラグメント、それらの類似体または相同体内の1またはそれ以上のドメインに特異的な抗体も、本明細書において提供される。
【0161】
本発明のタンパク質、または誘導体、フラグメント、類似体、それらの相同体またはオルソログは、これらのタンパク質成分に免疫特異的に結合する抗体の生成での、免疫原として利用され得る。
【0162】
当分野内において既知の様々な方法は、本発明のタンパク質、またはそれらの誘導体、フラグメント、類似体、またはそれらの相同体またはオルソログに対して指示されるポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体の産生に用いられ得る(例えば、Antibodies: A Laboratory Manual, Harlow E, and Lane D, 1988, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NYを参照。参考文献により本明細書に組み込まれる)。これらの抗体のいくつかを、以下に論じる。
【0163】
1.ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体の産生のために、様々な適当な宿主動物(例えば、ウサギ、ヤギ、マウスまたは他の哺乳動物)が、FGF−CX天然タンパク質、それらの合成変異体、または上述の誘導体を伴う1回またはそれ以上の注入により免疫され得る。適当な免疫原性標本は、例えば、天然に存在する免疫原性タンパク質、免疫原性タンパク質を表す化学的に合成されたポリペプチド、または組換え的に発現させた免疫原性タンパク質を含有することができる。さらに、FGF−CXタンパク質は、免疫された哺乳動物での免疫原であると知られた第2のタンパク質に複合され得る。かかる免疫原性タンパク質の実施例は、制限されることなく、キーホールカサガイヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、および大豆トリプシンインヒビターを含む。標本は、アジュバントをさらに含むことができる。免疫学的反応を増大させるために用いられる様々なアジュバントは、制限されることなく、フロイント(完全および不完全)、ミネラルジェル(例えば、水酸化アルミニウム)、表面活性物質(例えば、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、ジニトロフェノール等)、Bacille Calmette-GuerinおよびCorynebacterium parvumのようなヒトに使用可能なアジュバント、または類似の免疫促進剤が挙げられる。使用し得るアジュバントのさらに別な例としては、MPL−TDMアジュバント(モノホスホリルリピドA、合成ジコリノミコール酸トレハロース)を挙げ得る。
【0164】
免疫原性FGF−CXタンパク質に対して指示されるポリクローナル抗体分子は、哺乳動物(例えば、血液から)単離され、免疫血清のIgG分画を第1に提供するタンパク質Aまたはタンパク質Gを用いるアフィニティークロマトグラフィーのようなよく知られた技術によりさらに精製され得る。引き続いて、または代わりに、探された免疫グロブリンの標的である特異的抗原、またはそれらのエピトープは、免疫親和性クロマトグラフィーにより免疫特異的抗体を精製するためのカラム上に固定され得る。免疫グロブリンの精製は、例えば、D. Wilkinson (The Scientist, published by The Scientist, Inc., Philadelphia PA, Vol. 14, No. 8 (April 17, 2000), pp. 25-28)により考察される。
【0165】
2.モノクローナル抗体
本明細書において用いる用語「モノクローナル抗体」(MAb)または「モノクローナル抗体組成物」は、特徴のある軽鎖遺伝子産物および特徴のある重鎖遺伝子産物からなる抗体分子の1分子種のみを含有する抗体分子群に言及する。特に、モノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)は、全ての分子群において同一である。従って、MAbは、それらに特徴のある結合親和性により特徴付けられる抗原の特定のエピトープと免疫反応が可能な抗原結合部位を含有する。
【0166】
モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein, Nature, 256:495 (1975)により記載される様に、ハイブリドーマ法を用いて調製され得る。ハイブリドーマ法において、マウス、ハムスター、または他の適当な宿主動物は、免疫試薬で典型的に免疫され、免疫試薬に特異的に結合する抗体を産生するか、または産生可能であるリンパ球を促進する。または、リンパ球は、インビトロで免疫され得る。
【0167】
免疫試薬は、FGF−CXタンパク質抗原、それらのフラグメントまたはそれらの融合タンパク質を典型的に含む。ヒト起源の細胞が望まれるなら用いられ一般に、末梢血液リンパ球が用いられ、非ヒト哺乳動物起源が望まれるなら、脾細胞またはリンパ節が用いられる。リンパ球は、そこでポリエチレングリコールのような適当な融合試薬を用いた不死化細胞株と融合され、ハイブリドーマ細胞を形成する。例えば、Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, (1986) pp. 59-103を参照されたい。不死化細胞株は、普通は、哺乳類細胞特定の場合げっ歯類、ウシおよびヒト機嫌の骨髄腫に形質移入される。普通は、ラットまたはマウス骨髄腫細胞株が用いられる。ハイブリドーマ細胞は、好ましくは、非融合細胞不死化細胞の成長または生存を阻害する1またはそれ以上の物質を含有する適当な培養液において培養され得る。例えば、親細胞が、酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマの培養液は、物質がHGPRT欠乏細胞の成長を妨げるヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(「HAT培地」)を典型的に含む。
【0168】
好ましい不死化細胞株は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定した高発現レベルをサポートするものであり、HAT培地のような培地に感受性がる。さらに好ましくい不死化細胞株は、例えば、the Salk Institute Cell Distribution Center, San Diego, California and the American Type Culture Collection, Manassas, Virginiaから得られる、マウス骨髄腫細胞株である。ヒト骨髄腫細胞株およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株は、ヒトモノクローナル抗体の産物についても記載される。例えば、Kozbor: J. Immunol., 133:3001 (1984); Brodeur et al.: Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York, (1987) pp. 51-63を参照されたい。
【0169】
ハイブリドーマ細胞が培養される培養液は、そのとき抗原に対して指示するモノクローナル抗体の存在をアッセイされ得る。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降またはラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫測定法(ELISA)のようなインビトロ結合アッセイにより測定される。かかる技術およびアッセイは、当分野において既知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson and Pollard, Anal. Biochem., 107:220 (1980)のScatchard analysisにより測定され得る。それは、高い程度の特異性および標的抗原の高結合親和性を有する抗体を同定するためのモノクローナル抗体の治療的増幅において特に重要な目的であり。
【0170】
望ましいハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンは、限界希釈法によりサブクローン化され、標準方法(Goding,1986)により成長する。この目的に適当な培地は、例えば、ダルベッコ変法イーグル培地およびRPMI培地を含む。または、ハイブリドーマ細胞は、哺乳動物の腹水の様にインビボにおいて成長し得る。
【0171】
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、単離されるか、または例えば、タンパク質Aセファロース、ヒドロキシルアバタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳道、透析、またはアフィニティークロマトグラフィーのような通常の免疫グロブリン精製により、培地または腹水液から精製される。
【0172】
モノクローナル抗体はまた、米国特許番号4,816,567において記載される様な組換えDNA方法により作られることがきる。本発明のモノクローナル抗体をコード化するDNAは、迅速に単離され、通常の方法(例えば、マウス抗体の重鎖おとび軽鎖をコード化する遺伝子に免疫特異的に結合することが可能なオリゴヌクレオチドプローブ用いることにより)を用いて配列決定され得る。本発明のハイブリドーマ細胞は、かかるDNAの好ましい供給源として働く。一旦単離されると、DNAは、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または免疫グロブリンタンパク質を別に産生しない骨髄腫細胞のような宿主細胞に形質移入される発現ベクター内に位置し、組換え宿主細胞においてモノクローナル抗体の合成を得られる。DNAは、例えば、相同マウス配列の場所にあるヒト重鎖および軽鎖定常ドメインの配列をコードする置換(米国特許番号4,816,567;Morrison, Nature 368, 812-13 (1994))により、または非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全部または一部の免疫グロブリンコード配列に共有結合性結合することによりモディファイされ得る。かかる非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常ドメインのために置換され得るし、またはキメラ二価抗体を生成するための本発明の抗体の抗原結合部位の可変ドメインのために置換され得る。
【0173】
3.ヒト化抗体
本発明のFGF−CXタンパク質抗原に対して指示する抗体は、ヒト化抗体またはヒト抗体を含む。これらの抗体は、投与された免疫グロブリンに対するヒトによる免疫応答を生じさせることなくヒトへの投与に適している。抗体のヒト化型は、ヒト免疫グロブリンの配列を主に含み、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含有するキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはそれらのフラグメント(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、または他の抗体の抗原結合配列)である。ヒト化は、Winter and co-workers (Jones et al., Nature, 321:522-525 (1986); Riechmann et al., Nature, 332:323-327 (1988); Verhoeyen et al., Science, 239:1534-1536 (1988))の方法に従い、ヒト交代の対応する配列のげっ歯類CDRまたはCDR配列を置換することにより実行され得る(米国特許番号5,225,539も参照)。時には、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基により置きかえられる。ヒト化抗体は、レシピエント抗体において、または移動されたCDRまたはフレームワーク配列のどちらにおいても見られない残基も含む。一般に、ヒト化抗体は、可変ドメインの少なくとも1つの全体、および典型的な2つの可変ドメインを実質的に含む。ここで、非ヒト免疫グロブリンの対応するCDR領域の全て、または実質的に全て、およびフレームワーク領域の全て、または実質的に全ては、ヒト免疫グロブリン共通配列の領域である。ヒト化抗体は、好ましくは、少なくとも免疫グロブリン定常領域(Fc)の一部、ヒト免疫グロブリンの一部を典型的に含む(Jones et al., 1986; Riechmann et al., 1988; and Presta, Curr. Op. Struct. Biol., 2:593-596 (1992))。
【0174】
4.ヒト抗体
完全にヒト抗体は、ヒト遺伝子から生じるCDRを含む軽鎖および重鎖の両方の全配列の抗体分子に基本的に関与する。かかる抗体は、本明細書において「ヒト抗体」または「完全にヒト抗体」と名付けられる。FGF−CXタンパク質に対して指示するヒトモノクローナル抗体は、trioma技術;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor, et al., 1983 Immunol Today 4: 72を参照)およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBVハイブリドーマ技術(Cole, et al., 1985 In: Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 7796を参照)により調製され得る。ヒトモノクローナル抗体は、本発明の実施において利用され得るし、ヒトハイブリドーマを用いることにより、またはインビトロでのEBウイルスとのヒトB細胞の形質移入により産生され得る(Cole, et al., 1985 In: Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 7796を参照)。
【0175】
加えて、ヒト交代はまた、ファージディスプレイライブラリーを含む別の技術を用いて産生され得る(Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581 (1991))。同様に、ヒト抗体は、トランスジェニック動物、例えば部分的に不活性化されたまたは完全に不活性化された内在性免疫グロブリン遺伝子であるマウスにヒト免疫グロブリン遺伝子座を導入することにより作られることができる。挑戦により、ヒト抗体産物は、遺伝子再配列、構築、抗体レパートリーを含む全観点においてヒトにおいて見られるものはよく似ていることを観察される。このアプローチは、例えば、米国特許番号5,545,807;5,545,806;5,569,825;5,625,126;5,633,425;5,661,016、およびMarks et al. (Bio/Technology 10, 779-783 (1992));Lonberg et al. (Nature 368 856-859 (1994));Morrison ( Nature 368, 812-13 (1994));Fishwild et al,( Nature Biotechnology 14, 845-51 (1996));Neuberger (Nature Biotechnology 14, 826 (1996));およびLonberg and Huszar (Intern. Rev. Immunol. 13 65-93 (1995))において記載される。
【0176】
FGF−CXタンパク質に特別に結合するヒト抗体は、抗原により、挑戦に対する応答での動物の内在性抗体よりむしろ完全にヒト抗体を産生するためにモディファイされるトランスジェニック非ヒト動物を用いて別に産生され得る(公開番号WO94/02602参照)。非ヒト宿主での重鎖免疫グロブリンおよび軽鎖免疫グロブリンをコード化する内在性遺伝子は、能力を奪われ、宿主のゲノムに挿入されるヒト重鎖免疫グロブリンおよび軽鎖免疫グロブリンをコード化する遺伝子座を活性化する。ヒト遺伝子は、例えば、要求されるヒトDNAセグメントを含有する酵母人工染色体を用いて組み込まれる。全ての望まれる修飾を提供する動物は、修飾の全相補的配列より少ない相補的配列を含有するトランスジェニック動物が仲介する交配により子孫として得られる。かかる非ヒト動物の好ましい実施態様は、マウスおよびPCT公開番号WO96/33735およびWO96/34096において開示される様にXenomouseTMと名付けられる。この動物は、完全にヒト免疫グロブリンを分泌するB細胞を産生する。抗体は、例えば、ポリクローナル抗体の標本、またはモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマのような動物由来の不死化B細胞由来の標本として該FGF−CX免疫グロブリンでの免疫の後の動物から直接的に得られることができる。加えて、ヒト可変領域を有する免疫グロブリンをコード化する遺伝子は、回復させ、直接的に抗体を得るために発現させるか、または例えば、一本鎖Fv分子のような抗体の類似体を得るためにさらにモディファイされ得る。
【0177】
マウスとして例示され、内在性免疫グロブリン重鎖の発現を欠く非ヒト宿主を産生する方法の実施例は、米国特許番号5,939,598において開示される。それは、遺伝子座の転座および転座免疫グロブリン重鎖遺伝子座の転写物の形成を防ぐために胚性幹細胞での少なくとも1つの内在性重鎖遺伝子座由来のJセグメントを欠くことを含む方法により得られることができ、欠損は、選択可能なマーカーをコード化する遺伝子を含有するベクターを標的とすること;および体細胞および生殖細胞が胚性幹細胞から選択可能なマーカーをコード化する遺伝子を含有するトランスジェニックマウスを賛成することにより作用される。
【0178】
ヒト抗体のような、該抗体を産生する方法は、米国特許番号5,916,771において開示される。それは、重鎖をコード化するヌクレオチド配列を含有する発現ベクターを培養での1つの哺乳動物宿主細胞内へ導入すること、軽鎖をコード化するヌクレオチド配列を含有する発現ベクターを別の哺乳動物宿主細胞へ導入すること、およびハイブリドーマ細胞を形成するために2つの細胞を融合させることを含む。ハイブリドーマ細胞は、重鎖および軽鎖を含有する交代を発現する。
【0179】
この産物のさらなる改良において、免疫原の臨床的に関連するエピトープを同定する方法、および高親和性で関連するエピトープに免疫特異的に結合する抗体を選択する相関連する方法は、PCT公開番号WO99/53049において開示される。
【0180】
5.Fabフラグメントおよび一本鎖抗体
本発明によると、技術は、本発明の抗原性FGF−CXタンパク質に対して特異的な一本鎖抗体の産物に適応させ得る(例えば、米国特許番号4,946,778を参照)。加えて、方法は、タンパク質または誘導体、フラグメント、類似体またはそれらの相同体にたいする望まれる特別性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速で効果的な同定を可能とするFab発現ライブラリー(例えば、Huse, et al., 1989 Science 246: 12751281を参照)の構造に適応され得る。タンパク質抗原に対するイディオタイプを含有する抗体フラグメントは、制限されることなく、:(i)抗体分子のペプシン切断により産生されるF(ab’)2フラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメントのジスルフィドブリッジを還元することにより生成されるFabフラグメント;(iii)パパインでの抗体分子の処理により生成されるFabフラグメントおよび還元剤および(iv)Fvフラグメントを含む当分野において既知の技術により産生され得る。
【0181】
6.二重特異性抗体
二重特異性抗体は、モノクローナルであり、好ましくは少なくとも2つの異なる抗原への結合特異性を有するヒトまたはヒト化抗体である。当該場合において、結合特異性の1つは、本発明の抗原性タンパク質によるものである。第2の結合標的は、別の抗原であり、有利には細胞表面タンパク質または受容体または受容体サブユニットである。
【0182】
二重特異性抗体を作る方法は、当分野において既知である。伝統的に、二重特異性抗体の組換え産物は、2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖ペアーの共発現に基づき、2つの重鎖は、異なる特異性を有する(Milstein and Cuello, Nature, 305:537-539 (1983))。
免疫グロブリン重鎖および軽鎖のランダムな分類のため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、1つのみが正しい二重特異性構造の10の異なる抗体分子の潜在的な混合物を産生する。正しい分子の精製は普通、アフィにティークロマトグラフィーステップにより成し遂げられる。類似の方法が、1993年5月13日に公開されたWO93/08829、およびTraunecker et al., EMBO J., 10:3655-3659 (1991)において開示される。
【0183】
望まれる結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体抗原結合部位)は、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合され得る。好ましくは、融合は、少なくともヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域の一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインと共にある。好ましくは、少なくとも融合の1つにおいて存在する軽鎖結合を必要とする部位を含有する第1の重鎖定常領域(CH1)を有する。免疫グロブリン重鎖融合をコード化するDNAは、望まれるなら、免疫グロブリン軽鎖は、別の発現ベクターに挿入され、適当な宿主生物に同時形質移入される。二重特異性抗体の生成のさらんる詳細のため、例えば、Suresh et al., Methods in Enzymology, 121:210 (1986)を参照されたい。
【0184】
WO96/27011において記載される別のアプローチによると、抗体分子ペアー間の干渉は、組換え細胞培養から回復させるヘテロダイマーの最大パーセンテージに設計され得る。好ましい干渉は、抗体定常ドメインのCH3領域の少なくとも一部を含む。最後に、第1の抗体分子の干渉由来の1またはそれ以上の小さなアミノ酸側鎖は、より大きな側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)でとって代わられる。大きな側鎖と同一または類似の側鎖の代償性「穴」は、より小さなものでの大きなアミノ酸側鎖を取って代わることにより第2の抗体分子の干渉で生成される。このことは、ホモダイマーのような他の望まれていない末端産物のヘテロダイマー分野を増大するメカニズムを提供する。
【0185】
二重特異性抗体は、全長抗体または抗体フラグメント(例えば、F(ab’)2二重特異性抗体)として調製され得る。抗体フラグメントから二重特異性抗体を生成する技術は、文献において記載されている。例えば、二重特異性抗体は、化学的な連鎖を用いて調製され得る。Brennan et al., Science 229:81 (1985)は、無処理抗体が、F(ab’)2フラグメントを生成するためにタンパク質分解性に切断され得る方法を記載する。これらのフラグメントは、ジチオール複合体試薬ナトリウム亜ヒ酸塩存在下において近接ジチオールを安定化、分子間ジスルフィド形成を防ぐために置換される。生成されたFab’フラグメントは、チオニトロベンゾエイト(thionitrobenzoate)(TNB)誘導体にそこのとき変換される。Fab’−TNB誘導体の1つは、そのときFab’−チオールにメルカプトエチルアミンとの置換により再変換され、二重特異性抗体を形成するために他のFab’−TNB誘導体の等モル量と混合される。産生された二重特異性抗体は、酵素の選択的固定化のための試薬として用いられ得る。
【0186】
加えて、Fab’フラグメントは、E.coliから直接的に回復され、二重特異性抗体を形成するために化学的にカップリングされ得る。Shalaby et al., J. Exp. Med. 175:217225 (1992)は、完全にヒト化二重特異性抗体F(ab’)2分子産物を記載する。それぞれのFab’フラグメントは、E.coliから別々に分泌され、二重特異性抗体を形成するためにインビトロでの直接化学カップリングの対象とされた。従って、形成された二重特異性抗体は、ErbB2受容体を過剰発現する細胞、および正常ヒトT細胞、ならびにヒト乳癌標的に対するヒト細胞障害性リンパ球の細胞溶解性活性のトリガーに結合可能であった。
【0187】
組換え細胞培養に直接由来する二重特異性抗体フラグメントを作り、単離するための様々な技術は、また記載されている。例えば、二重特異性抗体は、ロイシンジッパーを用いて産生され得る。Kostelny et al., J. Immunol. 148(5):15471553 (1992)を参照。Fosタンパク質およびJunタンパク質由来のロイシンジッパーペプチドは、遺伝子融合により2つの異なる抗体のFab’部分に結合させた。抗体ホモダイマーを、モノマーを形成するためにヒンジ領域で還元し、抗体へテロダイマーを形成するために再び酸化した。Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:64446448 (1993)により記載される「ダイアボーイ」技術は、二重特異性抗体フラグメントを作る選択的メカニズムを提供した。フラグメントは、同一鎖の2つのドメイン間の対形成を可能とするには短いリンカーにより軽鎖可変領域(VL)に結合する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。代わりに、1つのフラグメントのVHドメインおよびVLドメインは、別のフラグメントの相補的なVLドメインおよびVHドメインを有する対に強制され、それにより、2つの後援結合部位を形成する。一本鎖Fv(sFv)ダイマーの使用による二重特異性抗体フラグメントを作る別のストラテジーも、報告されている。Gruber et al., J. Immunol. 152:5368 (1994)を参照されたい。
【0188】
2より多い結合価を有する抗体が熟慮される。例えば、三重特異性抗体が、調製され得る。Tutt et al., J. Immunol. 147:60 (1991)を参照。
【0189】
例示的に二重特異性抗体は、少なくとも1つが本発明のタンパク質抗原に起源を有する、2つの異なるエピトープに結合することができる。また、免疫グロブリン分子の抗−抗原性アームは、T細胞受容体分子(例えば、CD2、CD3、CD28、またはB7)、FcyRI(CD64)、FcyRII(CD32)およびFcyRIII(CD16)のような特定の抗原を発現する細胞にたいする細胞の防御メカニズムに力をおくために白血球上の引き金を引く分子に結合するアームと結合されることができる。二重特異性抗体を用いて、細胞障害性試薬を特定の抗原を発現する細胞に直接作用させることができる。これらの抗体は、抗原結合アームおよび細胞障害性試薬またはEOTUBE、DPTA、DOTAまたはTETAのような放射性核種キレート剤を結合するアームを有する。当該別の二重特異性抗体は、本明細所において記載されるタンパク質抗原に結合し、組織因子(TF)にさらに結合する。
【0190】
ヘテロ結合抗体
ヘテロ結合抗体もまた、本発明の範囲内である。ヘテロ結合抗体は、2つの共有結合性に結合した抗体から構成される。かかる抗体は、例えば、望まれる細胞に対して免疫系細胞を標的するため(米国特許番号4,676,980)、およびHIV感染の処置のために(WO91/00360;WO92/200373;EP03089)提案される。抗体が、クロスリンクする試薬を含むそれらを含む、合成タンパク質化学反応において既知の方法を用いて調製され得る。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を用いて、チオエーテル結合の形成により構築され得る。この目的のための適切な試薬の実施例は、イミノチオレートおよびメチル−4−メルカプトブチリミデイトおよび例えば、米国特許番号4,676,980に開示されるものを含む。
【0191】
エフェクター機能操作
例えば、癌処置における抗体の有効性を増強するために、エフェクター機能に関する本発明のFGF−CX抗体をモディファイことは望ましい。例えば、システイン残基(s)は、Fc領域に挿入され、それにより、この領域での内部鎖のジスルフィド結合形成を可能とする。従って、生成されたホモダイマー抗体は、改善したインターナリゼーション能力および/または増大した相補的配列仲介の細胞死滅および抗体依存の細胞傷害(ADCC)を有することができる。Caron et al., J. Exp Med., 176: 1191-1195 (1992)およびShopes, J. Immunol., 148: 2918-2922 (1992)を参照されたい。増強抗腫瘍活性を有するホモダイマー抗体はまた、Wolff et al. Cancer Research, 53: 2560-2565 (1993)において記載される様にヘテロ二重特異性クロスリンカーを用いて調製され得る。または、抗体は、二重Fc領域を有するものを操作され、それにより、増強した相補的な分解およびADCC能力を有することができる。Stevenson et al., Anti-Cancer Drug Design, 3: 219-230 (1989)を参照されたい。
【0192】
9.免疫複合体
本発明は、化学療法物質、毒(例えば、細菌、真菌、植物、または動物起源の酵素的に活性な毒、またはそれらのフラグメント)、または放射性同位元素(すなわち、放射性複合体)の様な細胞傷害性物質に結合したFGF−CX抗体を含む免疫複合体に関する。
【0193】
そのような免疫複合体の生成に有用な化学療法物質を上述した。使用できる酵素的に活性な毒素およびそれらのフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性フラグメント、内毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アビリンA鎖、モデシンA鎖、アルファサルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ディアンティンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP−S)、momoridica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalisc阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、リストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシンおよびトリコテセンが挙げられる。種々の放射性核種を放射性複合抗体の生産に利用できる。例として、212Bi、131I、131In、90Yおよび186Reを挙げ得る。
【0194】
抗体と細胞障害性薬剤との複合体を、N−サクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの2機能性誘導体(ジメチルアジピイミデートHCLのような)、活性エステル(ジサクシンイミジルスベレートのような)、アルデヒド(グルタルアルデヒドのような)、ビスアジド誘導体(ビス−(p−アジドベンゾイル)−ヘキサンジアミンのような)、ビスジアゾニウム誘導体(ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンのような)、ジイソシアネート(トリエン2、6−ジイソシアネートのような)、およびビス活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ2,4−ジニトロベンゼンのような)のような種々の2機能性タンパク質カップリング剤を用いて作る。例えば、リシン免疫毒素を、Vitetta et al., Science, 238: 1098 (1987)に記載のように調製することができる。炭素14で標識した1−イソチオシアナートベンジル−3−メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX−DTPA)は、放射性ヌクレオチドを抗体に結合するための典型的なキレート剤である。WO94/11026を参照されたい。
【0195】
もう一つの実施態様では、抗体を、腫瘍をプレターゲティンブのための「受容体」(ストレプトアビジンのような)に結合することができて、そこでは抗体−受容体複合体を患者に投与し、引き続いて未結合の複合体を除去剤を用いて血液循環から除去し、次いで今度は細胞障害性薬剤に複合した「リガンド」(例えばアビジン)を投与する。
【0196】
10.免疫リポソーム
本明細書のおいて開示される抗体はまた、免疫リポソームとして処方され得る。抗体を含有するリポソームは、Epstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688 (1985); Hwang et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA, 77: 4030 (1980);および米国特許番号4,485,045および4,544,545に記載されるような、当分野において既知の方法により調製される。増大した循環時間を有するリポソームは、米国特許番号5,013,556において開示される。
【0197】
特に有用なリポソームリポソームを、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いて逆相蒸発法により生成し得る。リポソームリポソームを定められた孔径のフィルターを通して押し出して、所望の直径のリポソームリポソームを得る。本発明の抗体のFab'フラグメントを、Martin et al ., J. Biol. Chem., 257: 286-288 (1982)に記載されるように、ジスルフィド交換反応を介してリポソームリポソームに結合し得る。化学療法剤(ドキソルビシンのような)を任意にリポソーム内に含有する。Gabizon et al., J. National Cancer Inst., 81(19): 1484 (1989)を参照されたい。
【0198】
11.本発明のタンパク質に対して指向した抗体の診断応用
本発明のFGF−CXタンパク質に対して指向した抗体を、タンパク質の局在および/または定量(例えば、適切な生理的試料中のタンパク質レベルの測定における使用、診断法における使用、タンパク質のイメージングにおける使用等)に関する当分野内において公知の方法で使用し得る。ある一定の実施態様では、タンパク質またはその誘導体、フラグメント、類似体、または相同体に対する抗原結合ドメインを含有する抗体を、薬理学的に活性な化合物として利用する(下記を参照)。
【0199】
本発明のFGF−CXタンパク質に対して特異的な抗体を、イムノアフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降のような標準的な技術により、タンパク質を単離するために使用し得る。そのような抗体を、細胞由来の天然タンパク質および宿主細胞で発現する組換え的に生産した抗原の精製を容易にし得る。さらに、そのような抗体を使用して、抗原タンパク質の存在量またはパターンを評価するために抗原タンパク質(例えば、細胞溶解物または細胞上清中の)を検出することができる。FGF−CXタンパク質に対して指向した抗体を診断的に使用して、例えば、与えられた処置法の有効性を測定するために臨床検査の手順の一環として組織中のタンパク質レベルをモニターすることができる。抗体を検出可能な物質にカップリング(即ち物理的に連結)することにより、検出を促進し得る。検出可能な物質の例としては、種々の酵素、配合群、蛍光物質、発光物質、生物発光物質および放射性物質を挙げる。適当な酵素の例としては、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼおよびアセチルコリンエステラーゼを挙げ得る;適当な配合群の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを挙げ得る;適当な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレッセイン、フルオレッセインイソチオシアナート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレッセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリスリンを挙げ得る;発光物質の例としては、ルミノールを挙げ得る;生物発光物質の例としてはルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンを挙うるし、適当な放射性物質の例としては、125I、131I、35Sまたは3Hを挙げ得る。
【0200】
12.抗体療法
ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化および完全なヒト化抗体を含む本発明のFGF−CX抗体は、治療物質として用いられ得る。かかる物質は、一般に、対象の疾病または病態を処置または予防するために使用される。抗体調合物、好ましくは標的抗原に対する高特異性および高親和性を有する抗体調合物は、対象に投与され、標的との結合に起因する作用を一般に有する。かかる作用は、2種のうちの1つであり、与えられる抗体分子と当該標的抗原との相互作用の特異的性質に依存する。第1の場合、抗体の投与は、標的が本来結合する内在性リガンドとの標的の結合を抑制または阻害し得る。この場合、抗体は標的に結合し、リガンドがエフェクター分子として働く、天然に存在するリガンドの結合部位を覆う。従って、受容体は、リガンドが責任を負うシグナル伝達経路を仲介する。
【0201】
または、作用は、抗体が標的分子上のエフェクター結合部位への結合である長所による生理的結果を誘発するものであり得る。この場合の標的において、疾病または病態において存在しないか、または不完全であり得る内在性リガンドを有する受容体は、代わりのエフェクターリガンドとして抗体を結合し、受容体に基づくシグナル伝達事象を開始する。
【0202】
本発明の抗体の治療的に有効な量は、一般に治療目的を達成するのに必要とされる量に関与する。上述のように、このことは抗体とその標的抗原との結合相互作用であり得、ある場合においては標的の機能との干渉、そして他の場合においては生理的応答を促進し得る。投与に必要な量は、その特異的抗原に対する抗体の結合親和性にさらに依存し、投与される抗体が投与される他の対象において遊離の量から使い果たされる速度にも依存する。本発明の抗体または抗体フラグメントの治療的に有効な投与量の通常の範囲は、限定されない例として、体重あたり約0.1mg/kg〜約50mg/kgであり得る。通常の投与回数は、例えば、1日2回から1週間に1回の範囲である。
【0203】
13.抗体の医薬組成物
本発明のFGF−CXタンパク質を免疫特異的に結合する抗体、ならびに本明細書において開示されるスクリーニングアッセイにより同定される他の分子は、医薬組成物の形で様々な疾患を処置するために投与され得る。かかる組成物の調製に関与する原理および考慮事項、ならびに成分の選択の指針は、例えば、Remington : The Science And Practice Of Pharmacy 19th ed. (Alfonso R. Gennaro, et al., editors) Mack Pub. Co., Easton, Pa. : 1995; Drug Absorption Enhancement : Concepts, Possibilities, Limitations, And Trends, Harwood Academic Publishers, Langhorne, Pa., 1994; および Peptide And Protein Drug Delivery (Advances In Parenteral Sciences, Vol. 4), 1991, M. Dekker, New Yorkにおいて提供される。
【0204】
抗原性タンパク質が細胞内にあり、かつ全抗体が阻害剤として用いられると、内部移行抗体が好ましい。しかしながら、リポソームを用いて、抗体、または抗体フラグメントを細胞内に輸送することができる。抗体フラグメントが用いられる場合、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最小の阻害剤フラグメントが好ましい。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、ペプチド分子が標的タンパク質配列を結合する能力を保持するようにデザインされ得る。かかるペプチドは、化学的に合成されるか、および/または、組換えDNA技術により産生されることができる。例えば、Marasco et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 7889-7893 (1993)を参照されたい。本明細書における製剤は、処置される特定の徴候に必要である1より多い活性化化合物、好ましくは、互いに逆に作用しない相補的活性を有するものを含有できる。代わりに、または加えて、組成物は、例えば細胞障害性物質、サイトカイン、化学療法剤、または成長阻害物質のような機能を増強する物質を含むことができる。かかる分子は、意図される目的のために作用する量の組合せにおいて適切に存在する。
【0205】
活性成分はまた、例えば、コアセルベーション技術または界面重合により調製されるマイクロカプセル、例えば、ハイドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリル酸塩)マイクロカプセルにより、それぞれ、コロイド薬輸送システム(例えば、リポソーム、アルブミン微粒子、ミクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)、またはマクロエマルジョン中に封入され得る。
【0206】
インビボ投与に用いられるべき製剤は無菌でなければならない。このことは、無菌ろ過膜を介するろ過により容易に成し遂げられる。
【0207】
FGF−CX組換え発現ベクターおよび宿主細胞
本発明に別の態様は、ベクター、好ましくは、FGF−CXタンパク質、誘導体、フラグメント、類似体、またはそれらの相同体をコード化する核酸を含有する発現ベクターに関する。本明細書において使用する、用語「ベクター」は、それが結合した別の核酸を輸送する能力のある核酸分子に言及する。ベクターの1つのタイプは、別のDNAセグメントが結合され得る環状二本鎖DNAループに言及する「プラスミド」である。ベクターの別のタイプは、ウイルスベクターであり、別のDNAセグメントは、ウイルスゲノムに結合され得る。あるベクター(例えば、細菌の複製開始点を有する細菌ベクターおよびエピゾームの哺乳類ベクター)は、そららが導入される宿主細胞において自立増殖できる。他のベクター(例えば、非エピゾーム哺乳類ベクター)は、宿主細胞への導入において宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それにより、宿主ゲノムと共に複製される。さらに、あるベクターは、作用可能に結合するゲノムの発現に指示することができる。かかるベクターは、本明細書において「発現ベクター」として言及される。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしばプラスミドの形である。本発明の明細書において、「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドはベクターの最も普通に用いられる形であるので、交互に用いられることができる。しかしながら、本発明は、等しい機能を有するウイルスベクター(例えば、複製能を欠いたレトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)のような、発現ベクターの他の形を含むことを意図する。
【0208】
本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸発現に適当な形で本発明の核酸を含み、このことは、組換え発現ベクターが、発現のために用いられる宿主細胞に基づき選択される1またはそれ以上の制御配列、発現されるべき核酸配列に作用可能に結合することを意味する。組換え発現ベクター内で、「作用可能に結合する」は、該ヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列の発現を可能とする哺乳動物において(例えば、インビトロの転写システム/翻訳システムにおいて、またはベクターが宿主細胞に導入される宿主細胞において)制御配列に結合することを意味することを意図する。用語「制御配列」は、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現調節エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図する。かかる制御配列は、例えば、Goeddel; Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)において記載される。制御配列は、宿主細胞の多くのタイプでのヌクレオチド配列の構成的発現に指示するもの、およびある宿主細胞でのヌクレオチドの発現に指示するもの(例えば、組織特異的制御配列)を含む。発現ベクターのデザインが形質転換されるべき宿主細胞の選択、望まれるタンパク質の発現のレベル等のような因子に依存し得ることは、当業者により理解される。本発明の発現ベクターは、宿主細胞に導入され、それにより、本明細書において記載される核酸によりコード化される融合タンパク質または融合ペプチドを含む、タンパク質またはペプチド(例えば、FGF−CXタンパク質、FGF−CXの成熟型、融合タンパク質等)を産生することができる。
【0209】
本発明の組換え発現ベクターは、原核細胞または真核細胞におけるFGF−CXの発現のためにデザインされる得る。例えば、FGF−CXは、E.coliのような細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用する)、酵母細胞、または哺乳類細胞において発現され得る。適当な宿主細胞は、Goeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)においてさらに記載される。または、組換え発現ベクターは、インビトロにおいて、例えば、T7プロモーター制御配列およびT7ポリメラーゼを用いて、転写および翻訳され得る。
【0210】
真核細胞でのタンパク質の発現は、融合または非融合タンパク質のいずれかの発現に指示する構成的または誘導性プロモーターを含有するベクターを有するE.coliにおいて、しばしば実行される。融合ベクターは、多くのアミノ酸を、それらにコード化されるタンパク質、普通は組換えタンパク質のアミノ末端に加える。かかる融合ベクターは、3つの目的:(1)組換えタンパク質の発現を増加するため;(2)組換えタンパク質の溶解性を増加するため;および(3)アフィニティー精製でのリガンドとして作用することにより組換えタンパク質の溶解性を増加するために、典型的に役立つ。しばしば、融合発現ベクターにおいて、タンパク質分解性の切断部位が、融合部分と組換えタンパク質との結合で導入され、融合部分からの組換えタンパク質の分離、引き続いて、融合タンパク質の精製を可能とする。かかる酵素、およびそれらの同族認識配列は、Xa因子、トロンビンおよびエンテロキナーゼを含む。典型的な融合発現ベクターは、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはタンパク質Aをそれぞれ標的組換えタンパク質に融合するpGEC(Pharmacia Biotech Inc; Smith and Johnson (1988) Gene 67:3140)、pMAL(New England Biolabs, Beverly, Mass.)およびpRIT5(Pharmacia, Piscataway, N.J.)を含む。
【0211】
適当な誘導性非融合E.coli発現ベクターの実施例は、pTrc(Amrann et al., (1988) Gene 69:301315)およびpET11d(Studier et al., Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990) 6089)を含む。
【0212】
E.coliでの組換えタンパク質発現を最大にする1つのストラテジーは、組換えタンパク質をタンパク質分解性に切断する障害性能力を有する宿主細菌でのタンパク質を発現することである。Gottesman, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990) 119128を参照されたい。別のストラテジーは、それそれのアミノ酸の個々のコドンがE.coliで優先的に利用されるものであるように、発現ベクターに挿入されるべき核酸の核酸配列を変えることである(Wada et al., (1992) Nucleic Acids Res. 20:21112118)。本発明の核酸配列のかかる変化は、標準DNA合成技術により実行されることができる。
【0213】
別の実施態様において、FGF−CX発現ベクターは酵母発現ベクターである。酵母S. cerivisaeでの発現のためのベクターの実施例は、pYepSec1(Baldari, et al., (1987) EMBO J 6:229234)、pMFa(Kurjan and Herskowitz, (1982) Cell 30:933943)、pJRY88(Schultz et al., (1987) Gene 54:113123)、pYES2(Invitrogen Corporation, San Diego, Calif.)、およびpicZ(InVitrogen Corp, San Diego, Calif.)を含む。
【0214】
代わりに、FGF−CXは、バキュロウイルス発現ベクターを用いる昆虫細胞において発現され得る。培養昆虫細胞(例えば、SF9細胞)でのタンパク質発現に利用可能なバキュロウイルスベクターは、pAcシリーズ(Smith et al. (1983) Mol Cell Biol 3:21562165)およびpVLシリーズ(Lucklow and Summers (1989) Virology 170:3139)を含む。
【0215】
なお別の実施態様において、本発明の核酸は、哺乳類発現ベクターを用いる哺乳類細胞において発現する。哺乳類発現ベクターの実施例は、pCDM8((1987) Nature 329:840を参照)およびpMT2PC(Kaufman et al. (1987) EMBO J 6:187195)を含む。哺乳類細胞において用いられると、発現ベクターの調節機能は、ウイルス制御エレメントによりしばしば提供される。例えば、普通に用いられるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびシミアンウイルス40由来である。原核細胞および真核細胞の両方に適当な他の発現システムについては、例えば、Chapters 16 and 17 of Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989を参照されたい。
【0216】
別の実施態様において、組換え哺乳類発現ベクターは、特定の細胞タイプにおいて核酸の発現を優先的に指示する能力がある(例えば、組織特異的制御エレメントを用いて、核酸を発現する)。組織特異的制御エレメントは、当分野において既知である。適当な組織特異的プロモーターの制限されない実施例は、アルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkert et al. (1987) Genes Dev 1:268277)、リンパ系特異的プロモーター(Calame and Eaton (1988) Adv Immunol 43:235275)、特にT細胞受容体のプロモーター(Winoto and Baltimore (1989) EMBO J 8:729733)および免疫グロブリンのプロモーター(Banerji et al. (1983) Cell 33:729740; Queen and Baltimore (1983) Cell 33:741748)、神経細胞特異的プロモーター(例えば、ニューロフィラメントプロモーター; Byrne and Ruddle (1989) PNAS 86:54735477)、膵臓特異的プロモーター(Edlund et al. (1985) Science 230:912916)、および乳腺特異的プロモーター(例えば、乳清プロモーター;米国特許番号4,873,316およびヨーロッパ出願公開番号264,166)を含む。発生的に制御されるプロモーターは、例えば、マウスhoxプロモーター(Kessel and Gruss (1990) Science 249:374379)およびα−フェトタンパク質プロモーター(Campes and Tilghman (1989) Genes Dev 3:537546)を包含する。
【0217】
本発明はさらに、発現ベクターの中にアンチセンスの配向でクローン化した本発明のDNA分子を含む組換え発現ベクターを提供する。即ち、DNA分子は、脳RNAに対してアンチセンスであるRNA分子の発現(DNA分子の転写による)を可能にするような様式で、調節配列に機能し得るように結合する。種々の細胞タイプ中のアンチセンスRNA分子の連続的発現を指示するアンチセンスの配向にクローン化した核酸に機能し得るように結合した調節配列、例えば、ウイルスのプロモーターおよび/またはエンハンサーを選択することができるか、またはアンチセンスRNAの組織特異的または細胞タイプ特異的な構成的発現を指示する調節配列を選択することができる。アンチセンス発現ベクターは、ベクターを導入した細胞タイプにより活性を決定する高効率調節領域の制御下で、アンチセンス核酸を生産する組換えプラスミド、ファージミドまたは弱毒化ウイルスの形であり得る。アンチセンス遺伝子を用いた遺伝子発現の調節の考察については、Weintraub, et al., 「Antisense RNA as a molecular tool for genetic analysis」 Reviews-Trends in Genetics, Vol. 1(1) 1986を参照されたい。
【0218】
本発明のもう一つの態様は、本発明の組換え発現ベクターを導入する宿主細胞に関する。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」を、本明細書においては互換的に使用する。そのような用語は、特定の対象の細胞のみならずそのような細胞の子孫または潜在的子孫をまた指すことを理解する。突然変異または環境の影響により後の世代に特定の修飾が生じるかもしれないため、そのような子孫は、実際には親細胞と同一ではないかもしれないが、本明細書において使用する用語の範囲内になお含まれる。
【0219】
宿主細胞は任意の原核細胞または真核細胞であり得る。例えば、FGF−CXタンパク質を、E. coliのような細菌細胞、昆虫細胞、酵母または哺乳動物細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞)のような細菌の細胞中で発現することができる。他の適当な宿主細胞は当業者に周知である。
【0220】
ベクターDNAを、従来の形質転換または形質移入技術により原核細胞または真核の細胞の中に導入することができる。本明細書において使用する用語「形質転換」および「形質移入」とは、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈、DEAE−デキストラン仲介性形質移入、リポフェクション、またはエレクトロポレーションを含む外来の核酸(例えばDNA)を宿主細胞に導入するために当分野で認める種々の技術を指すものとする。宿主細胞を形質転換しまたは形質移入するための適当な方法は、MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)および他の実験室マニュアルに見出すことができる。
【0221】
哺乳動物細胞の安定的な形質移入については、使用される発現ベクターおよび形質移入の技法に依存して、細胞のごく小数のフラクションが外来性DNAをそのゲノムの中に組み込み得る。これらの組み込み体を同定し選択するために、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質に対する抵抗性)が一般的に、興味のある遺伝子と一緒に宿主細胞に導入される。種々の選択可能なマーカーとしては、G418,ハイグロマイシンおよびメトトレキセートのような薬剤に抵抗性を与えるものが挙げられる。選択可能なマーカーをコードする核酸を、FGF−CXをコードするものと同一のベクター上で宿主細胞に導入することができか、または別のベクター上で導入することもできる。導入された核酸で安定に形質移入された細胞は、薬剤選択により同定されることができる(例えば、選択可能なマーカーを組み込んでいる細胞は生き残る一方で、他の細胞は死ぬ)。
【0222】
培地中の原核細胞または真核細胞のような本発明の宿主細胞を用いて、FGF−CXタンパク質を生産する(即ち、発現する)ことができる。したがって、本発明は、本発明の宿主細胞を用いるFGF−CXタンパク質の生産方法をさらに提供する。一つの実施態様では、その方法は、本発明の宿主細胞(その中にFGF−CXタンパク質をコードする組換え発現ベクターを導入する)を、FGF−CXタンパク質を生産するような適当な培地中で培養することを含む。もう一つの実施態様では、その方法は、培地または宿主細胞からFGF−CXタンパク質を単離することをさらに含む。
【0223】
トランスジェニック動物
本発明の宿主細胞をまた使用して、非ヒトトランスジェニック動物を生産し得る。例えば、一つの実施態様では、本発明の宿主細胞は、その中にFGF−CXタンパク質コード化配列を導入する受精卵母細胞または胚性幹細胞である。次いで、そのような宿主細胞を使用して、その中で外来性のFGF−CX配列をゲノムの中に導入する非ヒトトランスジェニック動物、またはその中で内在性のFGF−CX配列を変更する相同な組換え動物を創成することができる。そのような動物は、FGF−CXの機能および/または活性の研究にならびにFGF−CXタンパク質活性のモジュレーターの同定および/または評価に有用である。本明細書において使用する「トランスジェニック動物」とは、その中で動物の一つまたはそれ以上の細胞が導入遺伝子を含む非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはラットまたはマウスのようなげっ歯類である。トランスジェニック動物の他の例としては、ヒト以外の霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両棲類等を挙げ得る。導入遺伝子は、それからトランスジェニック動物が発生する細胞のゲノムの中に取り込まれ、そして成熟動物のゲノム内に残存して、それによりトランスジェニック動物の一つまたはそれ以上の細胞タイプまたは組織中におけるコード化遺伝子産物の発現を指令する外来性DNAである。本明細書において使用する「相同の組換え動物」とは、その中で内在性FGF−CX遺伝子が内在性遺伝子および、動物の細胞、例えば、動物の胚細胞の中に動物の発生前に導入された外来性DNA分子との間で相同組換えにより変更した非ヒト動物、好ましくは哺乳類、さらに好ましくはマウスである。
【0224】
本発明のトランスジェニック動物は、FGF−CXをコードする核酸を受精卵母細胞の雄性前核の中に、例えば、マイクロインジェクション、レトロウイルス感染により導入して、卵母細胞を偽妊娠雌性仮親動物の体内で発生することを可能にすることにより、創成することができる。配列番号:1のFGF−CXDNA配列を、非ヒト動物のゲノム内に導入遺伝子として導入することができる。これに代えて、マウスFGF−CX遺伝子のようなヒトFGF−CX遺伝子の非ヒト相同体を、ヒトFGF−CXのcDNAとのハイブリダイゼーション(上にさらに詳述)に基づいて単離して、導入遺伝子として使用し得る。イントロン配列およびポリアデニル化シグナルもまた、導入遺伝子の発現効率を増加するために導入遺伝子中に含み得る。組織特異的調節配列をFGF−CX導入遺伝子に機能し得るように結合して、特定の細胞にFGF−CXタンパク質の発現を指示し得る。胚の操作およびマイクロインジェクションによる、トランスジェニック動物、特にマウスのような動物の作成方法は当分野において従来的となってきており、例えば、米国特許番号4,736,866; 4,870,009; および4,873,191;ならびにHogan, 1986. In: MANIPULATING THE MOUSE EMBRYO, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.に記載されている。類似の方法を他のトランスジェニック動物の生産に用い得る。初代トランスジェニック動物を、ゲノム内のFGF−CX導入遺伝子の存在および/または動物の組織または細胞中におけるFGF−CXmRNAの発現に基づいて、同定し得る。次いで、初代トランスジェニック動物を、導入遺伝子を保持する追加的動物の繁殖に使用し得る。さらに、FGF−CXをコードする導入遺伝子を保持するトランスジェニック動物を使用して、他の導入遺伝子を保持するさらに別なトランスジェニック動物を繁殖し得る。
【0225】
相同の組換え動物を創成するために、その中に欠失、付加または置換を導入していて、それによりFGF−CX遺伝子を変化させる例えば機能的に破壊するあるFGF−CX遺伝子の少なくとも一部を含有するベクターを調製する。FGF−CX遺伝子は、ヒト遺伝子(例えば配列番号:1)であり得るが、さらに好ましくはヒトFGF−CX遺伝子の非ヒト相同体である。例えば、配列番号:1のヒトFGF−CX遺伝子のマウス相同体を使用して、マウスゲノム中の内在性FGF−CX遺伝子を変更するのに適する相同組換えベクターを構築することができる。一つの実施態様では、ベクターを、相同組換えにより、内在性遺伝子を機能的に破壊する(即ち、もはや機能的なタンパク質をコードしない;「ノックアウト」ベクターとも呼称する)ようにデザインする。
【0226】
これに代えて、ベクターは、相同組換えにより内在性FGF−CX遺伝子を変異するかまたは他のように変更するが、依然機能性タンパク質をコードする(例えば、上流の調節領域を変更してそれにより内在性FGF−CXタンパク質の発現を変更する)ようにデザインし得る。相同組換えベクターでは、FGF−CX遺伝子の変更したタンパク質は、FGF−CX遺伝子のさらに別な核酸により5'末端または3'末端に隣接して、ベクターにより保持する外来性FGF−CX遺伝子および胚性幹細胞中の内在性FGF−CX遺伝子の間で相同組換えが起こることを可能にする。さらに別な隣接FGF−CX核酸は、内在性遺伝子と成功裏に相同組換えが起きるように十分な長さを持つ。典型的には、数キロ塩基の隣接DNA(5'末端および3'末端の両方とも)をベクターに含み得る。相同組換えベクターの記載については、例えば、Thomas, et al., (1987). Cell 51: 503を参照されたい。次いで、ベクターを胚性幹細胞株に(例えば、エレクトロポレーションにより)導入し、そしてその中で導入したFGF−CX遺伝子を内在性FGF−CX遺伝子と相同的に組み換えた細胞を選択する(例えば、Li, et al., (1992). Cell 69: 915を参照)。
【0227】
次いで、選択した細胞を動物(例えば、マウス)の胚盤胞の中に注入して、凝集キメラを形成する。例えば、Bradley, 1987. In: TERATOCARCINOMAS AND EMBRYONIC STEM CELLS: A PRACTICAL APPROACH, Robertson, ed. IRL, Oxford, pp. 113-152を参照されたい。次いで、キメラ胚を適当な偽妊娠雌性仮親動物に植え込んで、胚を満期出産する。生殖細胞内に相同組換えしたDNAを保持している子孫を用いて、その中で動物の全ての細胞が、導入遺伝子の生殖系列を介した伝達により相同組換えDNAを含有する動物を繁殖させることができる。相同組換えベクターおよび相同組換え動物を構築する方法は、Bradley, (1991). Curr. Opin. Biotechnol. 2: 823-829; PCT国際公開第: WO90/11354号;WO91/01140号;WO92/0968号;およびWO93/04169号にさらに記載される。
【0228】
もう一つの実施態様では、導入遺伝子の調節発現を可能にする選択したシステムを含有する非ヒトトランスジェニック動物を生産し得る。そのようなシステムの一つの例は、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼシステムである。cre/loxPリコンビナーゼシステムの記載については、例えば、Lakso, et al., (1992). PNAS 89: 6232-6236を参照されたい。リコンビナーゼシステムのもう一つの例は、Saccharomyces cerevisiaeのFLPリコンビナーゼシステムである。O'Gorman, et al., (1991). Science 251:1351-1355を参照されたい。もしcre/loxPリコンビナーゼシステムを用いて導入遺伝子の発現を調節するならば、Creリコンビナーゼおよび選択したタンパク質の両方をコードする導入遺伝子を含有する動物が必要となる。そのような動物は、例えば、一つは選択したタンパク質をコードする導入遺伝子を含有し、他はリコンビナーゼをコードする導入遺伝子を含有する二つのトランスジェニック動物を交配させることによる「ダブル」トランスジェニック動物の構築により提供し得る。
【0229】
本明細書に説明した非ヒトトランスジェニック動物のクローンはまた、Wilmut, et al., (1997). Nature 385: 810-813. In brief, a cell, e.g., a somatic cellに記載された方法にしたがって生産することができる。略述すれば、トランスジェニック動物から細胞(例えば体細胞)を単離し、誘導して、増殖サイクルから抜け出てG0期に入ることができる。次いで、静止細胞を、例えば、電気パルスの使用により静止細胞を単離したのと同じ種類の動物由来の脱核した卵母細胞と融合することができる。次いで、再構成した卵母細胞を、それを桑実胚または胚盤胞にまで発生させて、次いで擬妊娠雌性仮親動物に導入するように培養する。この雌性仮親動物から生まれた子孫は、細胞、例えば、体細胞を単離する動物のクローンである。
【0230】
医薬組成物
本発明のFGF−CX核酸分子、FGF−CXタンパク質、抗−FGF−CX抗体(本明細書では「活性化合物」ともいう)、ならびにそれらの誘導体、フラグメント、類似体および相同体を投与に適する医薬組成物の中に組込み得る。典型的に、そのような組成物は核酸分子、タンパク質または抗体およびおよび医薬的に許容され得る担体を含む。本明細書において使用する「医薬的に許容され得る担体」とは、医薬品投与に適合する任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌および抗かび剤、等張および吸収遅延剤等を含むことを意図する。適当な担体は、この分野で標準的な参照テキストであるRemingtonの薬剤学の最新版(出典明示により本明細書の一部とする)に記載されている。そのような担体または賦形剤の好ましい例としては、水、食塩水、ビンガー溶液、ブドウ糖溶液および5%ヒト血清アルブミンを挙げるが、それらに限定しない。リポソームおよび脂肪油のような非水溶性ビークルもまた使用する。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および薬剤は当分野において周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性化合物に適合しない限りでなければ、組成物内のそれらの使用を意図する。補助的な活性化合物をまた、組成物の中に組込み得る。
【0231】
本発明の医薬組成物を、その意図する投与経路に適合するように処方する。投与経路の例としては、非経口の、例えば、静脈の、皮内の、皮下の、経口の(吸入)、経皮の(局所)、経粘膜のおよび直腸の投与を挙げ得る。非経口の、皮内のまたは皮下の応用に使用する溶液または懸濁液としては、以下の成分を挙げることができる:注射用水のような無菌賦形剤、食塩水溶液、脂肪油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝剤、ならびに塩化ナトリウムまたはブドウ糖のような等張性を調整する薬剤。塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基を用いてpHを調整することができる。非経口性製剤を、ガラスまたはプラスチックで作るアンプル、使い捨て注射器、または多回使用バイアルの中に封入し得る。
【0232】
注射用に適する医薬組成物としては、無菌水溶液(水溶性である場合)または分散液および無菌注射用の溶液または分散液の必要に応じて調合する製剤用の無菌粉末を挙げ得る。静脈投与のためには、適当な担体としては、生理食塩水、静菌性水、Cremophor EL[登録商標] (BASF, Parsippany, N.J.)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)を挙げ得る。全ての場合において、組成物は無菌でなければならず、容易に注射できる程度に流動性であるべきである。それは製造および保管の条件下で安定でなければならず、そして細菌および真菌のような微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコールおよび液性ポリエチレングリコール等)ならびにそれらの適当な混合液を含有する溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性を、例えば、レシチンのようなコーティングの使用により、分散液の場合には必要な粒子径の維持により、および界面活性剤の使用により、保持し得る。微生物作用の保護は、種々の抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等、により達成される。多くの場合に、組成物中に、等張性薬剤、例えば、砂糖、マニトールのようなポリアルコール、ソルビトール、塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成剤の吸収の延長は、組成物中に吸収を遅延する薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含むことによりもたらせ得る。
【0233】
無菌注射用溶液を、適切な溶媒の中に一つまたは上で列挙した成分の組合せと共に必要な量で活性化合物(例えば、あるFGF−CXタンパク質または抗FGF−CX抗体)を組み込み、ついでろ過滅菌を行なうことにより調製することができる。一般的に、分散液は、基本的な分散媒体および上で列挙したものから必要な他の成分を含有する無菌ビークルの中に活性化合物を組み込むことにより調製することができる。無菌注射用溶液の調製のための無菌粉末の場合には、調製方法は、活性成分の粉末プラス前もって無菌ろ過されたその溶液からの任意のさらに別の望ましい成分の粉末を生成する真空乾燥および凍結乾燥である。
【0234】
一般的に、経口の組成物は、不活性賦形剤または食用の担体を含む。それらをゼラチンカプセル中に封入するかまたは錠剤に打錠することができる。経口治療投与の目的には、活性化合物を添加物と共に組込んで錠剤、トローチまたはカプセルの形状で使用することができる。経口の組成物をまた、うがい薬としての使用のために液体担体を用いて調製し得るが、そこでは液体担体中の化合物を経口的に塗布し、さっと取り除いて、吐き出すか飲み込む。薬学的に適合する結合剤、おおび/またはアジュバント材料を組成物の一部として含み得る。錠剤、丸剤、カプセル、トローチ等は任意の以下の成分または同様な性質を持つ化合物を含有し得る:微結晶セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンのような結合剤;デンプンまたは乳糖のような添加剤、アルギン酸、プリモゲルまたはコーンスターチのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロートのような滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素のような滑り剤;ショ糖またはサッカリンのような甘味剤;またはハッカ、サルチル酸メチル、オレンジ香料のような着香剤。
【0235】
吸入による投与のためには、化合物を、適当な噴射剤、例えば二酸化炭素のようなガスを含有する加圧容器またはディスペンザー、またはネブライザーからエアゾールスプレイの形式で送達し得る。
【0236】
全身的投与はまた、経粘液または経皮手段により得る。経粘液または経皮投与のためには、透過すべきバリアーに適切な浸透剤を処方に使用する。そのような浸透剤は当分野において一般的に公知であり、そして、例えば、経粘液投与のためには、洗剤、胆汁酸塩、フシジン酸誘導体を挙げ得る。経粘液投与は鼻腔スプレーまたは坐剤の使用により達成され得る。経皮投与のためには、活性化合物は、当分野において一般的に公知であるように、軟膏、軟膏剤、ゲルまたはクリームの中に処方される。
【0237】
化合物をまた、直腸送達のために坐薬(例えば、ココアバターおよび他のグリセリドのような従来の坐剤用基材と共に)または保持浣腸剤の形式で調製し得る。
【0238】
一つの実施態様において、活性化合物を、インプラントおよびマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤のように、化合物を身体からの迅速な排泄から防止する担体と共に調製する。酢酸エチレンビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ酢酸のような、生物分解性で生体適合性のポリマーを使用し得る。そのような製剤を調製する方法は当業者に明らかである。材料はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc.から市販で入手可能である。リポソームの懸濁液(モノクローナル抗体を持つ感染した細胞からウイルス抗体に至って標的化したリポソームを含む)をまた、医薬的に許容され得る担体として使用することができる。これらを、例えば米国特許番号4,522,811に記載のように、当業者に公知の方法に従い調製し得る。
【0239】
投与の容易さおよび投与量の均一性のために、経口性または非経口性の組成物を単位投与剤型で処方することが特に有益である。本明細書で使用する単位投与剤型とは、処置する対象に対して単一の投与量として適する物理学的に分離した単位を指し;それぞれの単位は、必要な薬学的な担体と一緒に望ましい治療効果を生じるように計算した予め決められた量の活性化合物を含有する。本発明の単位投与剤型の規格は、活性化合物の特異な特色および達成するべき特別な治療効果により指示されかつ直接に依存する。
【0240】
本発明の核酸分子をベクターの中に挿入して遺伝子治療ベクターとして使用することができる。遺伝子治療ベクターを輸送して、例えば米国特許番号5,703,055に記載されるように多くの経路のいずれかによる対象とされ得る。従って、輸送はまた、例えば、静脈注射、局所投与により(米国特許番号5,328,470を参照)または走触性注射(例えば、Chen, et al., (1994). PNAS USA 91: 3054-3057を参照)を含む。遺伝子治療ベクターの医薬製剤は、許容される賦形剤の中に遺伝子治療ベクターを含むか、またはその中に遺伝子治療ベクターを埋め込んだ持続性マトリックスを含み得る。これに代えて、完全な遺伝子治療ベクターを組換え細胞、例えばレテロウイルスベクターから無傷で生産し得る場合には、医薬製剤は遺伝子送達システムを生産する一つまたはそれ以上の細胞を含み得る。
医薬製剤を、投与指示書と共に、容器、パックまたはディスペンサーの中に含み得る。
【0241】
本発明の使用および方法
本明細書のおいて記載される核酸分子、タンパク質、タンパク質相同体、および抗体は、以下の方法の1つまたはそれ以上において用いられ得る:(a)スクリーニングアッセイ;(b)検出アッセイ(例えば、染色体マッピング、組織タイピング、法医学的生物学)、(c)予測医療(例えば、診断アッセイ、予測アッセイ、臨床試験のモニタリング、および薬理ゲノミクス);および(d)処置方法(例えば、治療的および予防的)。本明細書において記載されるように、ある実施態様において、本発明のFGF−CXタンパク質はATPに結合する能力を有する。
【0242】
以下に詳述するように、本発明の単離核酸分子を使用して、FGF−CXタンパク質を発現し(例えば、遺伝子治療応用において宿主細胞中で組換え発現ベクターを介して)、FGF−CXmRNA(例えば、生物学的試料中の)またはFGF−CX遺伝子中の遺伝的欠損を検出し、そしてFGF−CX活性を調整することができる。加えて、FGF−CXタンパク質を用いて、FGF−CXの活性または発現を調整する薬または化合物をスクリーニングし、ならびに、例えば、増殖性疾患または分化性疾患のようなFGF−CXタンパク質の不十分なまたは過剰な生産、またはFGF−CXの野生型タンパク質と比較して低下または異常な活性を有するFGF−CXタンパク質型の生産を特徴とする疾患を処置し得る。加えて、本発明の抗FGF−CX抗体を使用して、FGF−CXタンパク質を検出しかつ単離し、そしてFGF−CX活性を調整し得る。
本発明はさらに、本明細書に説明するスクリーニングアッセイで同定する新規な薬剤および上述の処置のためのそれらの使用に関する。
【0243】
スクリーニングアッセイ
本発明は、モジュレーター、即ち、FGF−CXタンパク質に結合するか、または、例えばFGF−CXの発現またはFGF−CXの活性に促進的または阻害的作用を有する候補または試験化合物または薬剤(例えば、ペプチド、ペプチドミメティクス、低分子または他の薬)を同定する方法(本明細書では「スクリーニングアッセイ」とも呼称する)を提供する。
【0244】
一つの実施態様では、本発明は、膜結合型のあるFGF−CXタンパク質またはポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分の活性を調整する候補または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。本発明の試験化合物を、生物学的ライブラリー;空間的にアドレス参照可能な並列の固相または液相ライブラリー;デコンボリューションを必要とする合成的ライブラリー方法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー方法;およびアフィニティークロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリー方法:を含む、当分野において周知のコンビナトリアルライブラリーにおける数多くのアプローチのいずれを用いても得られる。生物学的ライブラリーのアプローチはペプチドライブラリーに限定される一方で、他の4種のアプローチはペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは化合物の低分子ライブラリーに適用可能である。例えば、Lam, 1997. Anticancer Drug Design 12: 145を参照されたい。
【0245】
分子ライブラリー合成方法の例を、例えば、DeWitt, et al., (1993). Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90: 6909、Erb, et al., (1994). Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91: 11422、Zuckermann, et al., (1994). J. Med. Chem. 37: 2678、Cho, et al., (1993). Science 261: 1303; Carrell, et al., (1994). Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2059、Carell, et al., (1994). Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2061、およびGallop, et al., (1994). J. Med. Chem. 37: 1233における当分野に見出し得る。
【0246】
化合物のライブラリーを、溶液中で(例えば、Houghten, (1992). Biotechniques 13: 412-421)、またはビーズ上で(Lam, (1991). Nature 354: 82-84)、チップ上で(Fodor, (1993). Nature 364: 555-556)、バクテリア(Ladner, 米国特許番号5,223,409)、胞子 (Ladner, 米国特許番号5,233,409)、プラスミド (Cull, et al., (1992). Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 1865-1869)上でまたはファージ上で(Scott and Smith, (1990). Science 249: 386-390; Devlin, (1990). Science 249: 404-406、Cwirla, et al., (1990). Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87: 6378-6382、Felici, (1991). J. Mol. Biol. 222: 301-310)で提供し得る。
【0247】
ある実施態様では、アッセイは細胞に基づくアッセイであり、そこでは膜結合型のFGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を細胞表面に発現する細胞を試験化合物と接触させ、そして試験化合物があるFGF−CXタンパク質に結合する能力を測定する。細胞は、例えば、哺乳動物由来または酵母細胞であり得る。試験化合物がFGF−CXタンパク質に結合する能力を測定することは、例えば、試験化合物を放射性同位元素または酵素標識とカップリングして、FGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分への試験化合物の結合を、複合物中の標識化合物を検出することにより測定できるようにする。例えば、試験化合物を、125I、35S、14Cまたは3Hで直接的にまたは間接的に標識し、そして放射性同位元素を放射線放射の直接計数またはシンチレーション計数により検出する。これに代えて、試験化合物を、例えば、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼにより酵素的に標識し、そして適切な基質の生産物への変換の測定により酵素標識を検出する。ある実施態様では、アッセイは、膜結合型のFGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を細胞表面に発現する細胞を、FGF−CXに結合する既知の化合物と接触して、アッセイ混合物を形成して、アッセイ混合物を試験化合物と接触し、そして試験化合物があるFGF−CXタンパク質と相互作用する能力を測定することを含むが、そこでは試験化合物があるFGF−CXタンパク質と相互作用する能力を測定することは、試験化合物がFGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分に、既知化合物と比較して優先的に結合する能力を測定することを含む。
【0248】
もう一つの実施態様では、アッセイは細胞に基づくアッセイであり、膜結合型のFGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を細胞表面に発現する細胞を試験化合物と接触し、そして試験化合物がFGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分の活性を調整する(例えば促進または阻害する)能力を測定することを含む。試験化合物がFGF−CXまたはその生物学的に活性な部分の活性を調整する活性を測定することは、例えば、FGF−CXタンパク質があるFGF−CXの標的分子と結合するかまたは相互作用をする能力を測定することにより達成し得る。本明細書において使用する「標的分子」とは、自然界にあるFGF−CXタンパク質が結合または相互作用する分子、例えば、あるFGF−CXと相互作用するタンパク質を発現する細胞表面の分子、2番目の細胞表面の分子、細胞外の環境中の分子、細胞膜の内側表面と会合している分子または細胞質の分子である。FGF−CXの標的分子は、非FGF−CX分子または本発明のあるFGF−CXタンパク質またはポリペプチドであり得る。一つの実施態様では、あるFGF−CXの標的分子は、細胞外のシグナル(例えば、膜結合FGF−CX分子への化合物の結合により発生するシグナル)を細胞膜を通してかつ細胞内への伝達を促進する情報伝達経路の成分である。標的は、例えば、触媒活性を有する2番目の細胞内タンパク質または下流のシグナル分子とFGF−CXとの会合を促進するタンパク質であり得る。
【0249】
FGF−CXタンパク質を、あるFGF−CXの標的分子と結合するかまたは相互作用をする能力を測定することは、直接的な結合を測定する上述の方法の一つにより達成し得る。一つの実施態様では、FGF−CXタンパク質があるFGF−CXの標的分子と結合または相互作用する能力を測定することは、標的分子の活性を測定することにより達成することができる。例えば、標的分子の活性を、標的の細胞性第二のメッセンジャー(即ち、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IP3等)の誘導を検出すること、適切な基質に対する標的の触媒/酵素活性を検出すること、受容体遺伝子(検出可能なマーカー、例えば、ルシフェラーゼ、をコードする核酸に機能し得るように結合したFGF−CX応答性調節要素を含む)の誘導を検出すること、または細胞応答、例えば、細胞の生存、細胞の分化、または細胞の増殖、を検出することにより測定し得る。
【0250】
なおもう一つの実施態様では、本発明のアッセイは無細胞アッセイであって、あるFGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を試験化合物と接触し、そして試験化合物がFGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分と結合する能力を測定することを含む。FGF−CXタンパク質への試験化合物の結合を、上述のように、直接的または間接的のどちらかで測定することができる。一つのそのような実施態様では、アッセイは、FGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分をFGF−CXと結合する既知の化合物と接触して、アッセイ混合物を形成すること、アッセイ混合物を試験化合物と接触すること、および試験化合物があるFGF−CXタンパク質と相互作用する能力を測定することを含むが、そこでは試験化合物があるFGF−CXタンパク質と相互作用する能力を測定することは、試験化合物がFGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分に既知化合物と比較して優先的に結合する能力を測定することを含む。
【0251】
なおもう一つの実施態様では、アッセイは、FGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性なタンパク質を試験化合物と接触し、そして試験化合物がFGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性なタンパク質の活性を調整する(例えば促進または阻害する)能力を測定することを含む無細胞アッセイである。FGF−CXの活性を調整する試験化合物の能力を測定することは、例えば、FGF−CXタンパク質があるFGF−CXの標的分子に結合する活性を直接な結合を測定するために上述した方法の一つにより達成することができる。さらに別の実施態様では、試験化合物がFGF−CXタンパク質の活性を調節する能力を測定することは、FGF−CXタンパク質がさらにあるFGF−CXの標的分子を調整する能力を測定することにより達成することができる。例えば、適切な基質に対する標的分子の触媒/酵素活性を上述のように測定することができる。
【0252】
なおもう一つの実施態様では、無細胞アッセイは、FGF−CXタンパク質またはその生物学的に活性な部分をFGF−CXタンパク質と結合する既知の化合物と接触して、アッセイ混合物を形成すること、アッセイ混合物を試験化合物と接触すること、そして試験化合物がFGF−CXタンパク質と相互作用する能力を測定することを含むが、そこでは試験化合物があるFGF−CXタンパク質と相互作用する能力を測定することは、FGF−CXタンパク質があるFGF−CXの標的分子に優先的に結合するかまたはその活性を調整する能力を測定することを含む。
【0253】
本発明の無細胞アッセイは、可溶性型または膜結合型のFGF−CXタンパク質の両方に使用することができる。膜結合型のFGF−CXタンパク質を含む無細胞アッセイの場合には、膜結合型のFGF−CXタンパク質を溶液中に維持するように、可溶化剤を利用するのが望ましい。そのような可溶化剤の例としては、n−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、Triton[登録商標]X-100、Triton[登録商標]X-114、Thesit[登録商標]、イソトリデシポリ(エチレングリコールエーテル)nのような非イオン性界面活性剤、N−ドデシル−N,N−ジメチル−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、3−(3−クロルアミドプロピル)ジメチルアミニオール−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、または3−(3−クロルアミドプロピル)ジメチルアミニオール−2ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(CHAPSO)を挙げ得る。
【0254】
本発明の上記のアッセイ法の二つ以上の実施態様において、FGF−CXタンパク質またはその標的分子を固相化して、一つまたは両方のタンパク質の非複合型から複合型の分離を容易にし、ならびにアッセイの自動化に適合することができる。試験化合物のFGF−CXタンパク質への結合、または候補化合物存在下および非存在下でのFGF−CXタンパク質と標的分子との相互作用は、反応物質を含有するのに適する任意の容器において達成することができる。そのような容器の例としては、マイクロタイタープレート、試験管、およびマイクロ遠心チューブを挙げ得る。一つの実施態様では、一つまたは両方のタンパク質をマトリックスに結合することを可能にするドメインを付加する融合タンパク質を提供し得る。例えば、GST−FGF−CX融合タンパク質またはGST−標的融合タンパク質をグルタチオンセファローズビーズ(Sigma Chemical, St. Louis, MO)またはグルタチオンで誘導体化したマイクロタイタープレート上に吸着し、これを次いで試験化合物、または試験化合物および非吸着標的タンパク質またはFGF−CXタンパク質のどちらかと結合し、そして混合物を複合体形成を促進する条件下で(例えば、塩およびpHに関して生理的な条件で)インキュベートする。インキュベーション後、ビーズまたはマイクロタイタープレート穴を洗滌して、非結合成分を全て除去し、ビーズの場合にはマトリックスを固定化し、複合体を例えば上述のように、直接的にまたは間接的に測定する。これに代えて、複合体をマトリックスから解離し、そしてFGF−CXタンパク質の結合または活性レベルを標準的技術を用いて測定することもできる。
【0255】
マトリックス上にタンパク質を固定化する他の技術をまた、本発明のスクリーニングアッセイに使用し得る。例えば、FGF−CXタンパク質またはその標的分子のいずれかをビオチンおよびストレプトアビジンの結合を利用して固定化することができる。ビオチニル化FGF−CXタンパク質または標的分子をビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−サクシンイミド)から当分野内で周知の技術(例えば、ビオチニル化キット、Pierce Chemicals, Rockford, Ill.)を用いて調製して、ストレプトアビジンをコーティングした96穴プレート(Pierce Chemical)の穴に固定化することができる。これに代えて、FGF−CXタンパク質または標的分子と反応性であるが、FGF−CXタンパク質のその標的タンパク質への結合を妨害しない抗体をプレートの穴に誘導体化して、非結合標的またはFGF−CXタンパク質を抗体との結合により穴に捕捉することができる。そのような複合体を検出する方法としては、GST−固定化複合体について上述したものに加えて、FGF−CXタンパク質または標的分子と反応する抗体を用いる複合体の免疫検出、ならびにFGF−CXタンパク質または標的分子に関連した酵素活性を検出することに依存する酵素結合アッセイを挙げ得る。
【0256】
もう一つの実施態様では、FGF−CXタンパク質発現のモジュレータを、細胞を候補化合物と接触し、細胞中のFGF−CXmRNAまたはタンパク質の発現を測定する方法で同定する。候補化合物の存在下でのFGF−CXmRNAまたはタンパク質の発現レベルを、候補化合物の非存在下でのFGF−CXmRNAまたはタンパク質の発現レベルと比較する。次いで、候補化合物を、この比較に基づいてFGF−CXmRNAまたはタンパク質のモジュレータとして同定し得る。例えば、FGF−CXmRNAまたはタンパク質の発現を候補化合物の存在下での方がその非存在下でよりも多い(即ち統計的に有意に多い)ときには、候補化合物を、FGF−CXmRNAまたはタンパク質発現の促進剤として同定する。これに代えて、FGF−CXmRNAまたはタンパク質の発現が候補化合物の存在下での方がその非存在下でよりも少ない(即ち統計的に有意に少ない)ときには、候補化合物を、FGF−CXmRNAまたはタンパク質発現の阻害剤として同定する。細胞中のFGF−CXmRNAまたはタンパク質の発現のレベルを、FGF−CXmRNAまたはタンパク質を検出するために本明細書で説明する方法により測定することができる。
【0257】
本発明のなおもう一つの態様では、FGF−CXタンパク質は2ハイブリッドアッセイまたは3ハイブリッドアッセイ(例えば米国特許番号5,283,317、Zervos, et al., 1993. Cell 72: 223-232、Madura, et al., 1993. J. Biol. Chem. 268: 12046-12054、Bartel, et al., 1993. Biotechniques 14: 920-924、Iwabuchi, et al., 1993. Oncogene 8: 1693-1696、および Brent 第WO94/10300号を参照)おける「ベイトタンパク質」として使用して、FGF−CXと結合または相互作用をしてFGF−CX活性を調整する他のタンパク質(「FGF−CX結合タンパク質」または「FGF−CX−bp」)を同定し得る。そのようなFGF−CX結合タンパク質はまた、例えば、FGF−CX経路の上流または下流の要素としてFGF−CXタンパク質によるシグナルの増幅に関与する。
【0258】
2ハイブリッドシステムは、分離可能なDNA結合および活性化ドメインより成る殆どの転写因子のモジュール構成的性質に基づく。略述すれば、アッセイには2つの異なるDNA構築物を利用する。1つの構築物においては、FGF−CXをコードする遺伝子を既知の転写因子(例えば、GAL−4)のDNA結合ドメインをコードする遺伝子に融合する。他の構築物においては、未同定のタンパク質(「プレイ」または「試料」)をコードするDNA配列ライブラリー由来のDNAを、既知の転写因子の活性化ドメインをコードする遺伝子に融合する。もし「ベイト」および「プレイ」タンパク質がインビボで相互作用してFGF−CX依存性複合体を形成することができれば、転写因子のDNA結合および活性化ドメインを近くに引き寄せ得る。この近接は、転写因子に応答性の転写調節部位に機能し得るように結合したレポーター遺伝子(例えば、LacZ)の転写を可能にする。レポーター遺伝子の発現を検出し、機能的転写因子を含有する細胞コロニーを単離し、そしてこれを用いてFGF−CXと相互作用するタンパク質をコードするクローン化遺伝子を得ることができる。
本発明はさらに前述のスクリーニングアッセイにより同定する新規薬剤および本明細書に説明する処置へのその使用に関する。
【0259】
検出アッセイ
本明細書で同定するcDNAの一部またはフラグメント(および対応する完全な遺伝子配列)をポリヌクレオチド試薬として種々の方式で使用することができる。例として、限定は無しに、これらの配列を:(i)染色体上にそれぞれの遺伝子をマップし;かくして遺伝的疾患に関連した遺伝子領域を位置決定する;(ii)微量の生物学的試料から個体を同定する(組織タイピング);および(iii)生物学的試料の法医学的同定を助けるために用い得る。
【0260】
本発明のFGF−CX配列をまた使用して、微量な生物学的試料から個体を同定し得る。この技術では、個体のゲノムDNAを一つまたはそれ以上の制限酵素で消化して、サザンブロット上でプローブ結合し、同定用のユニークなバンドを生成する。本発明の配列は、RFLP(制限断片長多型、米国特許番号5,272,057に記載)のさらに別なDNAマーカーとして有用である。
【0261】
さらに、本発明の配列を使用して、個体のゲノムの選択した部分の実際の塩基ごとのDNA配列を測定するさらに別な技術を提供し得る。かくして、本明細書に説明したFGF−CX配列を用いて、配列の5'末端および3'末端から二つののPCRプライマーを調製し得る。次いで、これらのプライマーを用いて、個体のDNAを増幅し、引き続いてこれをシークエンシングし得る。
【0262】
それぞれの個体は、対立遺伝子の違いによるそのようなDNAの特徴的セットを有するため、この様式で調製した個体由来の対応するDNA配列のパネルは、特徴的個体の同定を提供し得る。本発明の配列を使用して、個体および組織由来のそのような同定配列を得ることができる。本発明のFGF−CX配列は、ヒトゲノムの部分を特徴的に表現する。対立遺伝子の変異は、これらの配列のコード化領域中にある程度起こり、そして非コード化領域中にはより大きな程度で起こる。個別のヒト間の対立遺伝子の変異は、500塩基に約1個の頻度で起こるとみつもられる。対立遺伝子変異の多くは、制限断片長多型(RFLP)を含む単一ヌクレオチド多型(SNP)に因る。
【0263】
本明細書に説明する配列のそれぞれを、個体由来のDNAを同定の目的で比較し得る標準として、ある程度、使用し得る。上述した様に配列番号:1の非コード化領域にはより多くの遺伝子多型が起こるため、個体を識別するにはより少ない配列が必要である。非コード化配列は、それぞれが100塩基の非コード化増幅配列を生じる多分10〜1,000個のプライマーのパネルにより個体の明白な同定を無理なく提供し得る。もし予想するコード化配列を使用すれば、明白な個体の同定のためのさらに適切なプライマーの数は500〜2,000である。
【0264】
予測医学
本発明はまた、診断アッセイ、予後アッセイ、薬理ゲノミクス、および臨床試験のモニタリングを予後的(予測的)目的で使用し、それにより個体を予防的に処置する、予測医学の分野に関する。したがって、本発明の1つの態様は、FGF−CXタンパク質および/または核酸の発現ならびにFGF−CX活性を生物学的試料(例えば、血液、血清、細胞、組織)との関連で測定して、それにより個体が異常なFGF−CXの発現または活性に関連した疾患または障害に罹患しているか、または障害を発症するリスクを有しているか否かを測定するための診断アッセイに関する。本発明はまた、個体がFGF−CXタンパク質、核酸の発現または活性に関連した障害を発症するリスクを有しているか否かを測定するための予後的(予測的)アッセイを提供する。例えば、あるFGF−CX遺伝子の突然変異を生物学的試料中でアッセイし得る。そのようなアッセイを、予後的または予測的目的に使用し、それによりFGF−CXタンパク質、核酸の発現または活性を特徴とするかまたはこれと関連する障害の発生に先立って個体を予防的に処置し得る。
【0265】
本発明のもう一つの態様は、個体におけるFGF−CXタンパク質、核酸発現または活性を測定し、それによりその個体にとって適切な治療的または予防的な薬剤を選択する方法(本明細書では「薬理ゲノミクス」と呼称する)を提供する。薬理ゲノミクスは、個体の遺伝子型に基づいた個体の治療的または予防的処置のための薬剤(例えば薬)の選択を可能にする(例えば、個体の遺伝子型を検査して、個体が特定の薬剤に応答する能力を測定する)。
【0266】
本発明のなおもう一つの態様は、薬剤(例えば、薬、化合物)が臨床試験においてFGF−CXの発現または活性に与える影響をモニタリングすることに関する。
これらおよび他の薬剤については以下のセクションで詳細に説明する。
【0267】
診断アッセイ
線維芽細胞成長因子FGF−1ないしFGF−9は、特定の成長因子受容体を輸送する細胞において細胞増殖を一般に促進する。FGF成長促進の実施例は、手術後の眼球前部での線維芽細胞およびケラチノサイトのような上皮細胞を含む。細胞の増殖が機能する他の条件は、腫瘍、再狭窄、乾癬、デュピュイトレン拘縮、糖尿病合併症、カポジ肉腫および関節リウマチを含む。
【0268】
FGF−CXは、試料または組織中の対応する線維芽細胞成長因子受容体CX(FGFRCX)を検出する本発明の方法において用いられる。方法は、細胞または組織をFGF−CXと接触させること、受容体−リガンド対の形成を可能とし、任意のFGFRCX:FGF−CX対を検出することを含む。FGF−CXを含有する組成物を用いて、例えば、軟骨または骨修復を刺激するために、FGFRCX活性を増大させることができる。FGF−CX拮抗物質またはFGF−CX結合試薬(例えば、抗FGF−CX抗体)を含有する組成物は、FGF−CXの過剰またはFGFRCXの過剰活性、特に多数または唯一の遺伝性外骨腫症、外反母趾変形、軟骨形成不全、滑膜骨軟骨腫症およびendochondromasにより引き起こされる疾病を処置するために用いられ得る。
【0269】
グリア細胞活性化因子(GAF)およびGAFをコード化するDNAは、グリア細胞の成長を特異的に促進するために働く。GAFがグリア細胞の活性化を調節するために利用され得るグリア関連疾患のいくつかの実施例は、大脳傷害、大脳浮腫、老年痴呆、アルツハイマー病、糖尿病性神経障害等である。同様に、FGF−CXは、グリア細胞関連疾患の診断または処置において用いられ得る。FGF−CXのグリア細胞調節活性は、神経保護様活性としてであり、FGF−CXは、神経保護試薬として用いられ得る。グリア活性化因子として元々同定されたFGF−CXのFGF−9に対する近接する相同性に起因し、FGF−CX配列がグリア活性化因子であることを推定できる。FGF−CXは、それゆえ、グリア細胞の成長を刺激するために用いられ、大脳傷害の治癒を促進するか、または大脳浮腫、老年痴呆、アルツハイマー病、または糖尿病性神経障害を処置するために用いられ得る。
【0270】
FGF−CXはまた、用いて、線維芽細胞(火傷、傷、潰瘍の治癒を加速するために)、巨核球(血小板の数を増加するための)、造血細胞、免疫システム細胞、および血管の平滑筋細胞を刺激し得る。FGF−CXはまた、骨形成促進活性を有すると予測され、かつ骨折および骨粗鬆症の両方の処置に用いられ得る。FGF−CXポリペプチドまたは核酸部分のアッセイは、大脳腫瘍の診断で用いられ得るし、抗体もかかる腫瘍の処置のために用いられ得る。それはまた、培養細胞の成長を促進する物質として用いられ得る。処置される疾患のタイプまたは重症度に非常に依存するが、予測投与量は、1日当たり、1ng〜0.1mg/体重である。FGF−CXポリペプチドは、血小板増加物質、骨形成促進物質として、または大脳疾病または肝硬変のような肝障害のために用いられ得る。それらはまた、抗癌剤と一緒に用いられると癌を処置し得る。FGF−CXポリペプチド、またはフラグメント、誘導体、またはそれらの類似体に対して指示する抗体を、FGF−CXポリペプチドの生物学的活性を検出または決定するため、またはFGF−CXポリペプチドを精製するために用いられ得る。FGF−CXの細胞成長活性を中和もするこれらの抗体は、抗癌剤として用いられ得る。
【0271】
全部ではないが、当分野において既知の相同タンパク質は、密接に関係し、または同一の機能を有する。例えば、Lewin, "Chapter 21: Structural Genes Belong to Families" In: Genes II, 1985, John Wiley and Sons, Inc., New Yorkを参照されたい。FGF−CXポリペプチドは、高増殖性組織(例えば、上述のKoga et al.,を参照)で特異的に発現するべきと明らかに見られるアフリカツメガエルXFGF−CXタンパク質に非常に似ている。それゆえ、FGF−CXはまた高増殖性組織での細胞活性を調節することは推定される。従って、FGF−CXは、かかる成長が抑制または阻害された病態に打ち勝つために増殖性疾患の診断、および細胞および組織の成長の刺激において特に有用であり得る。配列番号:1のFGF−CX核酸の任意の位置に対応するオリゴヌクレオチドは、用いられて、FGF−CX様遺伝子の発現を検出し得る。本発明のタンパク質は、タンパク質に免疫特異的に結合する抗体の産生を刺激するために用いられ得る。かかる抗体は、試料中のタンパク質の発生を検出するための免疫診断的方法で用いられ得る。本発明のタンパク質は、かかる成長が好ましいものである条件下で、細胞成長および細胞増殖を刺激するために用いられ得る。実施例は、例えば、血管新生および血小板形成、消化管の内壁、および毛包への化学療法剤の反対の毒性副作用である。それらはまた、例えば、アルツハイマー病を含む神経性疾患での新たな細胞成長を刺激するために用いられ得る。または、拮抗作用的な処置は、本発明のFGF−CX様タンパク質に免疫特異的に結合する抗体がタンパク質の特異的な成長誘導作用を抑制するので投与され得る。かかる抗体は、例えば、様々な腫瘍および良性過形成を含む増殖性疾患の処置において有用であり得る
【0272】
生物学的試料中におけるFGF−CXの存在または非存在を検出する例示的な方法は、被験対象から生物学的試料を得ること、および生物学的試料をFGF−CXタンパク質またはFGF−CXタンパク質をコードする核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)を検出する能力のある化合物または薬剤と接触し、FGF−CXの存在が生物学的試料中で検出できるようにすることを伴う。FGF−CXmRNAまたはゲノムDNAの検出用の薬剤は、FGF−CXmRNAまたはゲノムDNAとハイブリダイズする能力のある標識核酸プローブである。核酸プローブは、上述のように、例えば、配列番号:1の核酸のような全長FGF−CX核酸、または少なくとも15、30、50、100、250または500ヌクレオチド長でそして厳密な条件下でFGF−CXmRNAまたはゲノムDNAに特異的にハイブリダイズするのに十分なオリゴヌクレオチドの一部である。本発明の診断的アッセイにおいて使用するための他の適当なプローブを本明細書で説明する。
【0273】
FGF−CXタンパク質検出用の薬剤は、FGF−CXタンパク質に結合する能力のある抗体、好ましくは検出可能な標識を持つ抗体である。抗体は、ポリクローナル、またはさらに好ましくはモノクローナルであり得る。インタクトな抗体、またはそのフラグメント(例えば、FabまたはF(ab')2)を使用し得る。プローブまたは抗体に関する用語「標識」とは、検出可能な物質をプローブまたは抗体にカップリングする(即ち物理的に連結する)ことによりプローブまたは抗体を直接的に標識すること、ならびに直接標識したもう一つの試薬との反応性によりプローブまたは抗体を間接的に標識することを包含する。間接的な標識の例としては、蛍光標識した第2抗体を用いた第1抗体の検出、および蛍光標識したストレブトアビジンで検出し得るように、ビオチンでDNAプローブを末端標識することを挙げ得る。用語「生物学的試料」とは、対象から単離した組織、細胞および生物学的流体、ならびに対象内に存在する組織、細胞および流体を含む。即ち、本発明の検出法を使用して、インビトロおよびインビボで生物学的試料中のFGF−CXmRNA、タンパク質、またはゲノムDNAを検出し得る。例えば、FGF−CXmRNAの検出のためのインビトロ技術としては、ノーザンハイブリダイゼーションおよびインシツハイブリダイゼーションを挙げ得る。FGF−CXタンパク質を検出するためのインビトロ技術としては、酵素結合免疫測定法(ELISA)、ウエスタンブロット、免疫沈降、および免疫蛍光を挙げ得る。FGF−CXゲノムDNAを検出するためのインビトロ技術としては、サザンハイブリダイゼーションを挙げ得る。さらに、FGF−CXタンパク質を検出するためのインビボ技術は、対象中へ標識抗FGF−CX抗体を導入することを含む。例えば、抗体を、対象中のその存在および位置を標準造影技術で検出し得る放射活性マーカーで標識することができる。
【0274】
一つの実施態様では、生物学的試料は被験対象由来のタンパク質分子を含有する。これ代えて、生物学的試料は、被験対象由来のmRNA分子または被験対象由来のゲノムDNA分子を含有し得る。好ましい生物学的試料は、対象より従来の手段で単離した末梢血白血球試料である。
【0275】
もう一つの実施態様では、方法は、対照対象から対照の生物学的試料を得ること、対照試料をFGF−CXタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAを検出する能力のある化合物または薬剤と、FGF−CXタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在を生物学的試料中で検出するように接触すること、および対照試料中のFGF−CXタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在を試験試料中のFGF−CXタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAと比較することをさらに伴う。
【0276】
本発明はまた、生物学的試料中のFGF−CXの存在を検出するキットを包含する。例えば、キットは:生物学的試料中のFGF−CXタンパク質またはmRNAを検出する能力のある標識化合物または薬剤;試料中のFGF−CXの量を測定する手段;および試料中のFGF−CXの量を標準と比較する手段を含み得る。化合物および薬剤を適当な容器中に包装し得る。キットは、FGF−CXタンパク質または核酸を検出するキットの使用のための使用説明書をさらに含み得る。
【0277】
予後アッセイ
さらに、本明細書に説明する診断方法を利用して、異常FGF−CXの発現または活性に関連した疾患または障害を有するかまたは発症するリスクにある対象を同定し得る。例えば、先行の診断アッセイおよび以下のアッセイのような、本明細書で説明するアッセイを利用して、例えば、過形成、腫瘍、再狭窄、乾癬、デピュイトレン拘縮、糖尿病性合併症、または関節リウマチ等のような増殖性疾患または分化性疾患;および大脳障害、糖尿病性神経障害、大脳浮腫、老年痴呆、アルツハイマー病等のようなグリア細胞関連疾患でのFGF−CXタンパク質、核酸の発現または活性に関連した障害を有するかまたは発症するリスクにある対象を同定し得る。これに代えて、予後アッセイを利用して、疾患または障害を有するかまたは発症するリスクにある対象を同定し得る。かくして、本発明は、試験試料を対象から得て、そして異常なFGF−CXタンパク質または核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)を検出する異常なFGF−CXの発現または活性に関連した疾患または障害を同定する方法を提供し、そこではFGF−CXタンパク質または核酸の存在は、異常なFGF−CXの発現または活性に関連した疾患または障害を有するかまたは発症するリスクにある対象に対する診断になる。本明細書において使用する「試験試料」とは、興味のある対象から得られる生物学的試料を指す。例えば、試験試料は生物学的流体(例えば血清)、細胞試料、または組織であり得る。
【0278】
さらに、本明細書に説明する予後アッセイを使用して、異常なFGF−CXの発現または活性に関連した疾患または障害を処置するために、対象に薬剤(例えばアゴニスト、アンタゴニスト、ペプチドミメティック、タンパク質、ペプチド、核酸、低分子、または他の医薬候補物)を投与することができるか否かを決定し得る。例えば、そのような方法を使用して、対象の増殖性疾患、分化性疾患、グリア細胞関連疾患などのような疾患を薬剤により有効に処置するか否かを決定し得る。かくして、本発明は、試験試料を得て、FGF−CXタンパク質または核酸を検出する異常なFGF−CXの発現または活性に関連した障害を薬剤により対象を有効に処置し得るか否かを決定する方法を提供する(例えば、そこではFGF−CXタンパク質または核酸の存在は、異常なFGF−CXの発現または活性に関連した障害を処置するために薬剤を投与され得る対象に対する診断になる)。
【0279】
本発明の方法をまた使用してあるFGF−CX遺伝子中の遺伝的損傷を検出し、それにより損傷のある遺伝子を有する対象が増殖性疾患、分化性疾患、グリア細胞関連疾患などのリスク、または病むリスクにあるか否かを決定し得る。種々の実施態様において、これらの方法は、対象由来の細胞試料中において、あるFGF−CXタンパク質をコードする遺伝子の完全性に影響を及ぼす少なくとも一つの変更、またはFGF−CX遺伝子の誤発現を特徴とする遺伝的損傷の存在または不在の検出を含む。例えば、そのような遺伝的損傷を、(1)あるFGF−CX遺伝子からの一つまたはそれ以上のヌクレオチドの欠失;(2)あるFGF−CX遺伝子への一つまたはそれ以上のヌクレオチドの付加;(3)あるFGF−CX遺伝子の一つまたはそれ以上のヌクレオチドの置換、(4)あるFGF−CX遺伝子の染色体再編成、(5)あるFGF−CX遺伝子のmRNA転写物レベルの変化、(6)ゲノムDNAのメチル化パターンのようなあるFGF−CX遺伝子の異常修飾、(7)あるFGF−CX遺伝子のmRNA転写物の非野生型スプライシングパターンの存在、(8)あるFGF−CXタンパク質の非野生型レベル、(9)あるFGF−CX遺伝子の対立遺伝子欠失、および(10)あるFGF−CXタンパク質の不適切な翻訳後修飾の少なくとも一つの存在の確認により検出し得る。本明細書に説明するあるFGF−CX遺伝子の損傷を検出するために使用し得る当分野において公知の多数のアッセイ技術が存在する。好ましい生物学的試料は、対象から従来の手段で単離した末梢血白血球試料である。しかしながら、例えば、頬粘膜細胞を含む有核細胞を含有する任意の生物学的試料を使用し得る。
【0280】
特定の実施態様では、損傷の検出は、アンカーPCRまたはRACE PCRのようなポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば米国特許番号4,683,195および4,683,202を参照)におけるかまたはこれに代えて、連結連鎖反応(LCR)(例えば、Landegran, et al., (1988). Science 241: 1077-1080、およびNakazawa, et al., (1994). PNAS. USA 91: 360-364を参照)におけるプローブ/プライマーの使用を伴うが、後者はFGF−CX遺伝子中の点突然変異検出に特に有用であり得る(Abravaya, et al., (1995). Nucl. Acids Res. 23: 675-682を参照)。この方法は、患者から細胞試料を集め、試料の細胞から核酸(例えば、ゲノム、mRNAまたは両方)を単離し、FGF−CX遺伝子(もし存在するならば)のハイブリダイゼーションおよび増幅が起きるような条件下で、あるFGF−CX遺伝子と特異的にハイブリダイズする一つまたはそれ以上のプライマーと核酸試料を接触し、そして増幅産物の存在または不在を検出し、または増幅産物のサイズを検出し、そして対照試料と長さを比較するステップを含み得る。PCRおよび/またはLCRは、本明細書に説明する変異の検出に使用する任意の技術と一緒に予備的増幅ステップとして使用するのが望ましい。
【0281】
さらに別な増幅法としては:自己保持配列複製(Guatelli, et al., (1990). Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 1874-1878を参照)、転写増幅システム(Kwoh, et al., (1989). Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 1173-1177を参照);Qβレプリカーゼ(Lizardi, et al, (1988). BioTechnology 6: 1197を参照)、または任意の他の核酸増幅法に引き続いて当業者に周知の技術を用いる増幅分子の検出を挙げ得る。これらの検出スキームは、核酸分子がごく少数で存在するならば、そのような分子の検出に特に有用である。
【0282】
さらに別の実施態様では、試料細胞由来のあるFGF−CX遺伝子中の変異を、制限酵素切断パターンの変化により同定し得る。例えば、試料および対照のDNAを単離し、増幅し(任意に)、一つまたはそれ以上の制限エンドヌクレアーゼで処理し、そしてフラグメントのサイズをゲル電気泳動で測定して比較する。試料と対照のDNA間のフラグメントサイズの差は試料DNA中の変異を示す。さらに、配列特異的リボザイム(例えば、米国特許番号5,493,531を参照)を使用して、リボザイム切断部位の発生または消失により特異的な変異の存在を評価し得る。
【0283】
他の実施態様では、FGF−CX中の遺伝的突然変異は、試料および対照の核酸、例えば、DNAまたはRNAを数百または数千個のオリゴヌクレオチドプローブを含有する高密度アレイにハイブリダイズすることにより同定することができる。例えば、Cronin, et al., (1996). Human Mutation 7: 244-255、Kozal, et al., (1996). Nat. Med. 2: 753-759を参照されたい。例えば、FGF−CX中の遺伝的変異を、上述のCronin, et al.に記載するように光を発生するDNAプローブを含有する2次元アレイ中で同定し得る。略述すれば、プローブの1番目のハイブリダイゼーションアレイを用いて、試料と対照中の長い一続きのDNAをスキャンして、一連の重なり合うプローブの線形アレイを作成することにより配列間の塩基変化を同定し得る。このステップは点突然変異の同定を可能にする。これに、検出した全ての変異体または突然変異に相補的なさらに小さな特別のプローブアレイを用いることにより特定の変異の特徴化を可能にする2番目のハイブリダイゼーションを行う。それぞれの変異アレイは、一つは野生型遺伝子に相補的で、他は突然変異遺伝子に相補的な並行なプローブのセットから成る。
【0284】
なおもう一つの実施態様において、当分野において公知の種々のシークエンシング反応のいずれかを使用してFGF−CX遺伝子を直接にシークエンシングして、試料のFGF−CXの配列を対応する野生型(対照)配列と比較することにより変異を検出し得る。シークエンシング反応の例としては、Maxim and Gilbert, (1977). PNAS. USA 74: 560またはSanger, (1977). PNAS. USA 74: 5463により開発された技術に基づくものを挙げ得る。質量分析によるシークエンシング(例えば、PCT国際公開第WO94/16101号; Cohen, et al., (1996). Adv. Chromatography 36: 127-162およびGriffin, et al., (1993). Appl. Biochem. Biotechnol. 38: 147-159を参照)を含む種々の自動化シークエンシング方法のいずれも診断アッセイの実施に際して利用され得ることをまた考え得る(例えば、Naeve, et al., (1995). Biotechniques 19: 448を参照)。
【0285】
FGF−CX遺伝子中の変異を検出する他の方法としては、切断剤からの保護を用いてRNA/RNAまたはRNA/DNAヘテロ二重鎖中のミスマッチ塩基を検出する方法を挙げ得る。例えば、Myers, et al., (1985). Science 230: 1242を参照されたい。一般に、「ミスマッチ切断」の当分野の技術は、野生型FGF−CX配列を含有する(標識した)RNAまたはDNAを、組織試料より得た潜在的突然変異体のRNAまたはDNAとハイブリダイズすることにより形成したヘテロ二重鎖を提供することから始まる。二重鎖を、対照および試料の鎖の間の塩基のミスマッチのために存在する二重鎖の単鎖領域を切断する薬剤で処理する。例えば、RNA/DNA二重鎖をRNaseで処理し、DNA/DNAハイブリッドはS1ヌクレアーゼで処置し、ミスマッチ領域を酵素的に処理し得る。他の実施態様では、ミスマッチ領域を消化するために、DNA/DNAまたはRNA/DNAの二重鎖のどちらかをヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウムおよびピペリジンで処理し得る。ミスマッチ領域の処理の後、得られた材料を次いで変性ポリアクリルアミドゲル上でサイズにより分離して変異の部位を決定する。例えば、Cotton, et al., (1988). Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 4397、Saleeba, et al., (1992). Methods Enzymol. 217: 286-295を参照されたい。一つの実施態様では、対照のDNAまたはRNAを検出用に標識し得る。
【0286】
なおもう一つの実施態様では、ミスマッチ切断反応は、細胞の試料より得られたFGF−CXcDNA中で点突然変異を検出しマッピングするために、規定したシステム中で二重鎖DNA中のミスマッチ塩基対を認識する一つまたはそれ以上のタンパク質(いわゆる「DNAミスマッチ修復」酵素)を使用する。例えば、E. coliのmutY酵素はG/AミスマッチのAを切断し、そしてHeLa細胞からのチミジンDNAグリコシダーゼはG/TミスマッチのTを切断する。例えば、Hsu, et al., (1994). Carcinogenesis 15: 1657-1662を参照されたい。例示的な実施態様によれば、あるFGF−CX配列、例えば、野生型FGF−CX配列に基づくプローブを、試験細胞(複数を含む)由来のcDNAまたは他のDNA産物とハイブリダイズする。この二重鎖をDNAミスマッチ修復酵素で処理して、切断生産物をもしあれば電気泳動のプロトコール等から検出し得る。例えば、米国特許番号5,459,039を参照されたい。
【0287】
他の実施態様では、電気泳動上の移動度の変化を用いて、FGF−CX遺伝子の突然変異を同定する。例えば、単鎖コンフォーメーション多型(SSCP)を使用して、突然変異体および野生型核酸の間の電気泳動移動度の差を検出し得る。例えば、Orita, et al., (1989). Proc. Natl. Acad. Sci. USA: 86: 2766、Cotton, (1993). Mutat. Res. 285: 125-144、Hayashi, 1992. Genet. Anal. Tech. Appl. 9: 73-79を参照されたい。試料および対照のFGF−CX核酸の単鎖DNAフラグメントを変性し、復元することを可能にする。単鎖核酸の二次構造は配列により異なり、電気泳動上の移動度のそこで得た変化はたとえ1個の塩基変化の検出をも可能にする。DNAフラグメントを標識プローブで標識または検出し得る。アッセイの感度を、2次構造が配列変化により感受性であるRNA(DNAよりもむしろ)を使用することにより増大し得る。一つの実施態様では、主題の方法は、ヘテロ二重らせん分析を利用して、電気泳動の移動度の変化に基づいて二重らせんへテロ二重鎖分子を分離する。例えば、Keen, et al., (1991). Trends Genet. 7: 5を参照されたい。
【0288】
なおもう一つの実施態様では、ある勾配の変性剤を含有するポリアクリルアミドゲル中での突然変異体または野生型フラグメントの移動を、変性濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)を用いてアッセイする。例えば、Myers, et al., (1985). Nature 313: 495を参照されたい。DGGEを分析法として使用する際、DNAを修飾し、例えば、凡そ40bpの高融点GC富化DNAのGCクランプをPCRで付加することにより、それが完全に変性しないことを保証する。さらなる実施態様では、変性勾配に代えて温度勾配を使用して、対照および試料のDNAの移動度の差を同定する。例えば、Rosenbaum and Reissner, (1987). Biophys. Chem. 265: 12753を参照されたい。
【0289】
点突然変異を検出するための他の技術の例として、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅、または選択的プライマー伸長を挙げ得るが、これらに限定しない。例えば、既知の変異を中央に置いたオリゴヌクレオチドプライマーを調製し、次いで完全なマッチが見られる場合にのみハイブリダイゼーションを認める条件下で、標的DNAとハイブリダイズする。例えば、Saiki, et al., (1986). Nature 324: 163、Saiki, et al., (1989). Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 6230を参照されたい。オリゴヌクレオチドをハイブリダイズ用膜に付着して、標識した標的DNAとハイブリダイズする際、そのような対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドは、PCR増幅した標的DNAまたはある数の異なる突然変異体とハイブリダイズする。
【0290】
これに代えて、選択的PCR増幅に基づく対立遺伝子特異的増幅技術を本発明と一緒に使用し得る。特異的増幅のためのプライマーとして使用するオリゴヌクレオチドは、興味のある変異を分子の中央で(増幅がディファレンシャルハイブリダイゼーションに依存するように;例えば、Gibbs, et al., (1989). Nucl. Acids Res. 17: 2437-2448を参照)または適切な条件下で、ミスマッチがポリメラーゼ伸長を阻止または低減できる(例えば、Prossner, (1993). Tibtech. 11: 238を参照)一つのプライマーの3'最末端において保持していてもよい。加えて、切断に基づく検出を創成するために、変異の領域に新規制限部位を導入するのが望ましい。例えば、Gasparini, et al., (1992). Mol. Cell Probes 6: 1を参照されたい。特定の実施態様では、増幅はまた、増幅のためのTaqリガーゼを使用して実施され得ることを予想する。例えば、Barany, (1991). Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 189を参照されたい。このような場合には、5'末端配列の3'末端に完全なマッチがある場合にのみ連結が起こり、増幅の存在または不在を調べることにより特定の部位における既知の変異の存在を検出することを可能にする。
【0291】
本明細書に説明する方法を、例えば、本明細書に説明する少なくとも1つのプローブ核酸または抗体試薬を含むプレパック診断キットを利用することにより実施し得る。これを、例えば、臨床の場においてFGF−CX遺伝子の関与する疾患または疾病の症状を示すかまたは家族歴のある患者を診断するのに簡便に使用し得る。
【0292】
さらに、FGF−CXを発現する任意の細胞タイプまたは組織、好ましくは末梢血白血球を本明細書に説明した予後アッセイに利用し得る。しかしながら、例えば、頬粘膜細胞の有核細胞を含む任意の生物学的試料を使用し得る。
【0293】
薬理ゲノミクス
本明細書に説明したスクリーニングアッセイにより同定するようなFGF−CX活性(例えば、FGF−CX遺伝子発現)に促進的または阻害的効果を有する薬剤またはモジュレータを個体に投与し、異常FGF−CX活性よ関連する疾患(例えば、神経性疾患、癌関連疾患、または妊娠性疾患)を(予防的にまたは治療的に)処置することができる。そのような処置と一緒に、個体の薬理ゲノミクス(即ち、個体の遺伝子型および外来性化合物または薬に対するその個体の応答との間の関係の研究)を考慮し得る。治療薬の代謝の差は、薬理学的に活性な薬の用量と血中濃度の関係を変えることにより、重症の毒性または治療の失敗をもたらし得る。かくして、個体の薬理ゲノミクスは、個体の遺伝子型の考慮に基く予防的または治療的処置ための有効な薬剤(例えば薬)の選択を許容する。そのような薬理ゲノミクスをさらに用いて、適切な投与量および治療方法を決定し得る。したがって、個体のFGF−CXタンパク質の活性、FGF−CX核酸の発現、またはFGF−CX遺伝子の変異の含量を測定し、それにより個体の治療的処置または予防的処置に適切な薬剤(複数を含む)を選択し得る。
【0294】
薬理ゲノミクスは、罹患した人における変化した薬剤分布および異常な作用に因る薬への応答における臨床的に有意な遺伝的変異を取り扱う。例えば、Eichelbaum, 1996. Clin. Exp. Pharmacol. Physiol., 23: 983-985; Linder, 1997. Clin. Chem., 43: 254-266を参照されたい。一般に、二つのタイプの薬理遺伝学的異常を区別し得る。薬が身体に作用する方式を変える単一の因子として伝達する遺伝的異常(変化した薬剤作用)または身体が薬に作用する方式を変える単一因子として伝達する遺伝的異常(変化した薬物代謝)がある。これらの薬理遺伝学的異常は、稀な欠陥または多型性のどちらかとして生じ得る。例えば、グルコース−6−リン酸脱水素酵素(G6PD)欠乏症は、よくみられる遺伝性酵素異常症であり、そこでは主な臨床的合併症は、酸化剤の薬(抗マラリア剤、スルホンアミド剤、鎮痛剤、ニトロフラン類)摂取後またはソラマメ摂食後の溶血である。
【0295】
例示的実施態様として、薬の代謝酵素の活性は、薬の作用の強度および持続の両者の主たる決定因子である。薬の代謝酵素の遺伝的多型性(例えば、N−アセチルトランスフェラーゼ2(NAT2)ならびにチトクロームP450酵素のCYP2D6およびCYP2C19)の発見は、なぜ或る患者は標準かつ安全用量の薬物摂取後に期待した薬の効果を得られないかまたは過大な薬の応答および重篤な毒性を示すのかについての説明を提供する。これらの多型性を、人口集団で高代謝群(EM)および低代謝群(PM)の2つの表現型で表現する。PMの存在比率は異なる集団間で異なる。例えば、CYP2D6をコードする遺伝子は高度に多型性で、そして幾つかの変異が、機能的なCYP2D6の不在をもたらすPMを同定する。CYP2D6およびCYP2C19の低代謝群は、標準的な用量の投与を受けた際、極めて頻繁に過剰な薬の応答および副作用を経験する。代謝物が活性な治療成分であるならば、CYP2D6が生成する代謝物モルヒネにより仲介するコデインの鎮痛作用について実証するように、PMは治療応答を示さない。それと全く正反対なのが、標準の用量に応答しないいわゆる超高速代謝群である。最近、超高速代謝群の分子的根拠をCYP2D6遺伝子増幅に因ると確認した。
【0296】
従って、個体のFGF−CXタンパク質の活性、FGF−CX核酸の発現、またはFGF−CX遺伝子の変異含量を測定し、それにより個体の治療的処置または予防的処置のために適切な薬剤(複数を含む)を選択し得る。加えて、薬理遺伝学的研究を用いて、薬の代謝酵素をコードする遺伝子多型の対立遺伝子の遺伝子型決定を、個体の薬の応答性の表現型の同定に応用し得る。この知識を投与量および薬の選択に応用する際、本明細書で説明する例示的スクリーニングアッセイの一つにより同定したモジュレータのようなFGF−CXモジュレータで対象を処置する際に、有害作用または治療失敗を避け、かくして治療的または予防的効率を増強し得る。
【0297】
臨床作用のモニタリング
FGF−CXの発現または活性(例えば、異常な細胞増殖および/または分化を調整する活性)に対する薬剤(例えば、薬、化合物)の影響をモニタリングすることは、基礎的な薬のスクリーニングに応用できるだけでなく、また臨床試験にも応用できる。例えば、本明細書に説明したようにスクリーニングアッセイにより、FGF−CX遺伝子発現、タンパク質レベルを増加し、またはFGF−CX活性を上方調節すると決定した薬剤の有効性を、低下したFGF−CX遺伝子発現、タンパク質レベル、または下方制御されたFGF−CX活性を示す対象の臨床試験でモニターし得る。これに代えて、FGF−CX遺伝子発現、タンパク質レベルを減少し、またはFGF−CX活性を下方調節すると決定した薬剤の有効性を、増加したFGF−CX遺伝子発現、タンパク質レベル、または上方制御したFGF−CX活性を示す対象の臨床試験でモニターし得る。そのような臨床試験において、FGF−CX、および、好ましくは、例えば、細胞増殖性疾患または神経障害性疾患に関係する他の遺伝子の発現または活性を、特定の細胞の免疫応答性の「読み出し」またはマーカーとして使用し得る。
【0298】
例えば、FGF−CX活性(例えば、本明細書で説明するスクリーニングアッセイで同定する)を調整する薬剤(例えば、化合物、薬または低分子)を用いた処置により細胞中で調整するFGF−CXを含む遺伝子を同定し得る。従って、細胞増殖障害に対する薬剤の効果を、例えば、臨床試験において検討するために、細胞を単離してRNAを調製し、そして障害に関連すると思うFGF−CXおよび他の遺伝子の発現レベルを分析し得る。遺伝子発現レベル(即ち、遺伝子発現パターン)を、本明細書に説明するようにノーザンブロット分析またはRT−PCRにより、またはこれに代えて本明細書で説明する方法の一つにより生産したタンパク質の量を測定することにより、またはFGF−CXまたは他の遺伝子の活性レベルを測定することにより、定量することができる。この様式においては、遺伝子発現パターンは、薬剤に対する細胞の生理学的応答を示すマーカーとしての役割を果たす。したがって、薬剤による個体の処置の前および処置中の種々の時点で、この応答状態を測定し得る。
【0299】
一つの実施態様において、本発明は、薬剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、タンパク質、ペプチド、核酸、ペプチドミメティック、低分子、または本明細書で説明するスクリーニングアッセイで同定した他の薬候補物)で対象を処置することの有効性をモニターする方法を提供し、その方法は、(i)薬剤投与前に対象から投与前試料を得て、(ii)投与前試料中のFGF−CXタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現レベルを検出し、(iii)対象から一つまたはそれ以上の投与後の試料を得て、(iv)投与後の試料中のFGF−CXタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性レベルを検出し、(v)投与前の試料中のFGF−CXタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性レベルを投与後のひとつまたは複数の試料中のFGF−CXタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAと比較し、そして(vi)それにしたがって対象への薬剤の投与を変更するステップを含む。例えば、FGF−CXの発現または活性を検出したより高レベルに増加するためには、即ち、薬剤の有効性を増加するためには、薬剤の増加した投与が望ましい。これに代えて、FGF−CXの発現または活性を検出したより低レベルに減少する、即ち、薬剤の有効性を減少するためには、薬剤の減少した投与が望ましい。
【0300】
処置方法
本発明は、異常なFGF−CXの発現または活性に関連した疾患のリスクにある(感受性)かまたは疾患を有する対象を処置する予防的方法および治療的方法の両方を提供する。
【0301】
増加したレベル(疾患または障害に罹患していない対象と比べて)または生物学的活性を特徴とする疾患および障害を、活性に拮抗する(即ち、低下するかまたは阻害する)治療薬で処置し得る。活性に拮抗する治療薬を、治療的様式または予防的様式で投与し得る。利用し得る治療薬としては、(i)FGF−CXポリペプチド、またはその類似体、誘導体、フラグメントまたは相同体;(ii) FGF−CXペプチドに対する抗体;(iii) FGF−CXペプチドをコードする核酸;(iv)アンチセンス核酸およびFGF−CXペプチドの内在的機能を相同組換えにより「ノックアウト」するのに使用する「機能障害性」である核酸(即ち、FGF−CXペプチドに対するコード化配列のコード化配列内への異種挿入に因る)の投与(例えば、Capecchi, 1989. Science 244: 1288-1292を参照);または(v) FGF−CXペプチドおよびその結合相手との相互作用を変化するモジュレータ(即ち、本発明のさらに別なペプチドのミメティックまたは本発明のペプチドに特異的な抗体を含む阻害剤、アゴニスト、アンタゴニスト)を挙げ得るが、これらに限定しない。
【0302】
減少したレベル(疾患または障害に罹患していない対象と比べて)または生物学的活性を特徴とする疾患および障害を、活性を増加する(即ち、アゴニストである)治療薬で処置し得る。活性を上方制御する治療薬を、治療的様式または予防的様式で投与し得る。利用し得る治療薬としては、FGF−CXペプチド、またはその類似体、誘導体、フラグメント、または相同体;またはバイオアベイラビリティーを増加するアゴニストを挙げ得るが、これらに限定しない。
【0303】
増加または減少したレベルを、患者の組織試料(例えば、生検組織から)を得て、インビトロでRNAまたはペプチドのレベル、発現したペプチド(またはFGF−CXペプチドのmRNA)の構造および/または活性をアッセイすることにより、ペプチドおよび/またはRNAを定量することにより容易に検出し得る。当分野内で周知の方法としては、イムノアッセイ(例えば、ウエスタンブロット分析、免疫沈降とそれに引き続くドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動、免疫細胞化学、等)および/またはmRNA発現を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンアッセイ、ドットブロット、インシツハイブリダイゼーション、等)を挙げ得るが、これらに限定しない。
【0304】
一つの態様では、異常なFGF−CX発現または少なくともあるFGF−CX活性を調整する薬剤を対象に投与することにより、本発明は、異常なFGF−CXの発現または活性に関連した疾患または異常を、対象において予防する方法を提供する。異常なFGF−CXの発現または活性が原因または一因となって生じる疾患のリスクを有する対象を、例えば、本明細書で説明するように診断的アッセイまたは予後的アッセイのいずれかまたはそれらの組合せによって同定し得る。疾患または障害を予防し、または、これに代えて、その進行を遅らせるようにFGF−CX異常に特徴的な症状の出現に先立って予防的薬剤の投与を行い得る。FGF−CX異常のタイプに依存して、例えば、あるFGF−CXアゴニストまたはFGF−CXアンタゴニストである薬剤を対象の処置に使用し得る。適切な薬剤を、本明細書で説明するスクリーニング法に基づいて決定することができる。本発明の予防的方法をさらに以下のサブセクションで考察する。
【0305】
治療的方法
本発明のもう一つの態様は、治療目的のためにFGF−CXの発現または活性を調整する方法に関する。本発明の調整方法は、細胞を細胞に関連するFGF−CXタンパク質活性の一つまたはそれ以上の活性を調整する薬剤と接触することを含む。FGF−CXタンパク質活性を調整する薬剤は、核酸またはタンパク質、あるFGF−CXタンパク質の天然に存在する同属のリガンド、ペプチド、あるFGF−CXペプチドミメティック、または低分子のような本明細書に説明する薬剤であり得る。一つの実施態様では、薬剤は一つまたはそれ以上のFGF−CXタンパク質活性を促進する。そのような促進的薬剤の例としては、活性なFGF−CXタンパク質および細胞中に導入したFGF−CXをコードする核酸分子を挙げ得る。もう一つの実施態様では、薬剤は一つまたはそれ以上のFGF−CXタンパク質活性を阻害する。そのような阻害的薬剤の例としては、アンチセンスFGF−CX核酸分子および抗−FGF−CX抗体を挙げ得る。これらの調整方法は、インビトロで(例えば、細胞を薬剤と共に培養することにより)または、これに代えて、インビボで(例えば、薬剤を対象に投与することにより)実施し得る。このように、本発明はあるFGF−CXタンパク質または核酸分子の異常な発現または活性を特徴とする疾患または障害に罹患した個体を処置する方法を提供する。一つの実施態様では、その方法は、薬剤(例えば、本明細書で説明するスクリーニングアッセイで同定した薬剤)またはFGF−CXの発現または活性を調整する(例えば、上方制御または下方制御する)薬剤の組合せを投与することを伴う。もう一つの実施態様では、その方法は減少または異常なFGF−CXの発現または活性を補償するための治療としてあるFGF−CXタンパク質または核酸分子を投与することを伴う。
【0306】
実施例
実施例1.FGF−CX遺伝子の同定
FGF−CX遺伝子を、クエリーとしてアフリカツメガエルFGF−CXを有するGenbankヒトゲノムDNA配列(Koga, et al. (1999) Biochem. Biophys. Res. Comm. 261, 756-765;受託番号AB012615)の検索である、TBLASTN(Altschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215, 403-410)に従い、同定した。この検索により、染色体8上の高相同性の遺伝子座(受託番号AB020858)を同定した。イントロン/エキソン境界を、既知のFGF由来の相同体と共に、標準コンセンサススプライスパラメーター(Mount (1996) Science 271, 1690-1692)を用いて推定した。FGF−CX開始コドンは、AB020858配列の16214bpに位置し、このエキソンの残存3’部分は、15930bpに続く。FGF−CXの5’UTRは、公開EST(受託番号AA232729、AA236522、AI272876およびAI272878)を用いて別の606bpにより、開始コドンの上流に伸長した。遺伝子座AB020858に関する様にFGF−CX遺伝子の残存構造は、以下にの通りである:イントロン1(15929〜9942bp);エキソン2(9941〜9838bp);エキソン3(7499bpで開始し、表13において示す様に続く;3’非翻訳領域の構造がまだ決定されていない)。表13は、FGF−CXのヌクレオチド(配列番号:25)配列および推定アミノ酸(配列番号:2)配列を含むFGF−CX遺伝子の解析である。開始コドンおよび停止コドンは、はっきりしており、5’UTRに備わるインフレームの停止コドンに下線を引いてある。
【0307】
表13
【表17】
【0308】
上述の段落の方法により発見した遺伝子は、3つのエキソンおよび2つのイントロンを含む(表13)。DNA配列は、開始メチオニンの117bp上流のインフレームの停止コドンを有する211アミノ酸残基のORFを予測する。探し出された遺伝子由来のDNAセグメントは、放射線ハイブリッド解析により確認された位置である染色体8p21.3〜p22に位置する(実施例2参照)。
【0309】
G−X−[LI]−X−[STAGP]−X(6,7)−[DE]−C−X−[FLM]−X−E−X(6)−Yである、FGFの特別のモティーフを、PROSITE検索(Bucher & Bairoch (1994) Ismb. 2, 53-61)により同定し、二重下線を引いたアミノ酸残基125〜148間に位置し、イントロン/エキソンの境界は、矢印で表す。イントロン1および2は、それぞれ5988bpおよび2338bpの長さである。5’UTR配列は、公開ESTに由来し、全体としては示していない。
【0310】
実施例2.FGF−CXの放射線ハイブリッドマッピング
ヒト染色体マーカーを用いる放射線ハイブリッドマッピングを、FGF−CXについて行った。用いた方法は、Steen, RG et al. (A High-Density Integrated Genetic Linkage and Radiation Hybrid Map of the Laboratory Rat, Genome Research 1999 (Published Online on May 21, 1999)Vol. 9, AP1-AP8, 1999)に記載されるものと類似である。無作為放射線誘導ヒト染色体フラグメントを含有する93細胞クローンのパネルを特徴的な方法で検索したクローンを同定するためにデザインされたPCRプライマーを用いて96ウェルプレート中でスクリーニングした。同定したFGF−CXをコード化するヌクレオチド配列由来のDNAセグメントを、染色体8p21.3〜p22へのマッピングとして注釈をつけた。この結果を、マーカーAFM177XB10にオーバーラップすし、かつマーカーWI−5104由来の1.6cRおよびマーカーWI−9262由来の3.2cRである遺伝子座にある染色体8に位置するFGF−CXの発見による本解析により、絞り込んだ。
【0311】
実施例3.FGF−CXタンパク質をコード化する配列の分子クローニング
オリゴヌクレオチドプライマーを、オープンリーディングフレームを表し、全長FGF−CXをコードする、DNAセグメントのPCRにより増幅のためにデザインした。順方向プライマーは、BglII制限部位(AGATCT)および一致コザック配列(CCACC)を含む。逆方向プライマーは、さらなるサブクローニング目的のためのインフレームのXhoI制限部位を含有する。順方向および逆方向プライマーの両方は、5’クランプ配列(CTCGTC)を含有する。プライマーの配列は、以下である:
FGF−CX 順方向:5’−CTCGTC AGATCT CCACC ATG GCT CCC TTA GCC GAA GTC−3’(配列番号:3)
FGF−CX 逆方向:5’−CTCGTC CTCGAG AGT GTA CAT CAG TAG GTC CTT G−3’(配列番号:4)
【0312】
PCR反応を、50μlの用量中の全部で5ngのヒト前立腺cDNA鋳型、それぞれ1μMのFGF−CX順方向およびFGF−CX逆方向プライマー、5μmolのdNTP(Clontech Laboratories, Palo Alto CA)および1μlの50×Advantage-HF2ポリメラーゼ(Clontech Laboratories)を用いて実施した。以下のPCR反応条件を用いた:
a) 96℃ 3分
b) 96℃ 30秒 変性
c) 70℃ 30秒 プライマーアニーリング この温度を1℃/サイクルにより徐々に下げた。
d) 72℃ 1分 伸長
ステップ(b)〜(d)を10回繰り返す
e) 96℃ 30秒 変性
f) 60℃ 30秒 アニーリング
g) 72℃ 1分 伸長
ステップ(e)〜(g)を25回繰り返す
h) 72℃ 5分 最終伸長
【0313】
約640bpの予測した配列を有するシングルPCR産物を、アガロースゲルの電気泳動後単離し、pCR2.1ベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA)に結合させた。クローン化したインサートを、ベクターに特異的なM13順方向(〜40)M13逆方向プライマーを用いて配列決定し、ヌクレオチド配列が上流BglIIクローニング部位と下流XhoI部位との間に直接挿入された表1の配列(配列番号:1)に100%同一であることを確認した。クローン化配列は、予測FGF−CX全長タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを構成する。クローンをTA−AB02085−S274−F19と呼ぶ。
【0314】
実施例4.哺乳類発現ベクターpCEP4/Secの調製
オリゴヌクレオチドプライマーpSec−V5−His 順方向(CTCGT CCTCG AGGGT AAGCC TATCC CTAAC(配列番号:14)およびpSec−V5−His 逆方向(CTCGT CGGGC CCCTG ATCAG CGGGT TTAAA C(配列番号:15)を、V5およびHis6を含むpcDNA3.1−V5His(Invitrogen, Carlsbad, CA)発現ベクター由来のフラグメントを増幅するためにデザインした。PCR産物を、XhoIおよびApaIで切断し、Igκリーダー配列にある(Invitrogen, Carlsbad CA)XhoI/ApaI切断pSecTag2 Bベクター に結合させた。インフレームのIgκリーダーおよびV5−His6を含む結果として得たベクターpSecV5Hisの正しい構造を、DNA配列分析により確認した。ベクターpSecV5Hisを、正しいフレーム中の上記エレメントを保持するフラグメントを提供するためにPmeIおよびNheIで切断した。PmeI−NheIフラグメントをBamHI/クレノーおよびNheI処理ベクターpCEP4(Invitrogen, Carlsbad, CA)に結合した。結果として得たベクターをpCEP4/Secと名付け、ベクターは、インフレームのIgκリーダー、該クローンの挿入部位、およびPCMVおよび/またはPT7プロモーターの制御下のV5エピトープ6×Hisを含んでいる。pCEP4/Secは、任意のタンパク質をIgκ鎖シグナルペプチドに続く多型クローニング部位に融合されることにより異種性タンパク質の発現および分泌を可能とする発現ベクターである。発現タンパク質の検出および精製は、C末端にあるV5エピトープ標識(Invitrogen, Carlsbad, CA)および6×His標識の存在により助けられる。
【0315】
実施例5.ヒト胚腎臓(HEK)293細胞でのFGF−CXの発現
FGF−CX配列を含有するBglII−XhoIフラグメントを、TA−AB02085−S274−F19(実施例3)から単離し、発現ベクターpCEP4/Sec−FGF−CXを生成するためにBamHI−XhoI切断pCEP4/Secにサブクローン化した。pCEP4/Sec−FGF−CXベクターを、製造元(Gibco/BRL/Life Technologies, Rockville, MD)の指示に従い、LipofectaminePlus試薬を用いて293細胞に形質移入した。細胞ペレットおよび上清を、形質移入後72時間で回収し、抗V5抗体でのウェスタンブロット(還元条件)によりFGF−CX発現を調べた。図2は、FGF−CXを、293細胞により分泌された約34kDAタンパク質である見かけ上の分子量(Mr)を有するポリペプチドとして発現することを示す。
【0316】
実施例6.E.coliでのFGF−CXの発現
ベクターpRSETA(InVitrogen Inc., Carlsbad, C)を、XhoIおよびNcoI制限酵素で切断した。配列5’ CATGGTCAGCCTAC 3’(配列番号:16)および5’ TCGAGTAGGCTGAC 3’(配列番号:17)のオリゴヌクレオチドリンカーを、37℃でアニーリングし、XhoI−NcoIで処理したpRSETAに結合させた。結果として得たベクターを、制限分析および配列決定により確認し、pETMYと名付けた。FGF−CXをコード化する配列のBglII−XhoIフラグメント(実施例3参照)を、BamHIおよびXhoI制限酵素で切断されたベクターぺTMYに結合させた。発現ベクターを、pETMY−FGF−CXと名付ける。このベクターにおいて、hFGF−CXを、N末端の6×His標識おとびT7エピトープに融合させた。プラスミドpETMY−FGF−CXを、そこでE.coli発現宿主BL21(DE3、pLYs)(Novagen, Madison, WI)に形質移入し、タンパク質FGF−CXの発現を製造元の指示により誘導した。誘導後、全細胞を回収し、タンパク質を抗HisGly抗体(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いるウエスタンブロットにより分析した。図3は、FGF−CXをMr約32kDaとして発現することを示す。
【0317】
実施例7.クローン化シグナルペプチドを伴なう組換えFGF−CXタンパク質および伴なわない組換えFGF−CXタンパク質の発現の比較
a)シグナルペプチドを伴なわない発現
本発明の詳細な説明で言及した様に、FGF−CXは、古典的なアミノ末端シグナル配列を明らかに欠いている。FGF−CXが、哺乳類細胞から分泌されるか否かを決定するために、全長FGF−CXタンパク質をコード化するBglII−XhoIフラグメントとして得たcDNAを、TA−AB02085−S274−F19(実施例3)からBamHI/XhoI切断pcDNA3.1(Invitrogen)にサブクローンした。これは、pFGE−CXと名付けられた哺乳類発現ベクターを提供する。この構造は、同定および精製のそれぞれにおいて確認されるためにタンパク質のカルボキシ末端にV5エピトープ標識およびポリヒスチジン標識を取り込み、約27kDaのポリペプチドを生成するはずである。293ヒト胚腎臓細胞への一過性の形質移入の後、培養上清を形質移入後48時間で回収した。
【0318】
培養上清へのFGF−CXの分泌に加えて、細胞ペレット/ECMと関連することも分かった(データは示していない)。FGFは、細胞表面および細胞外基質(ECM)ヘパリン硫酸プロテオグリカン(HSPG)に結合することが知られているので、本発明者は、FGF−CXをこの方法で解離することが可能かを調べた。最後に、FGF−CXで形質移入した細胞を成長因子とHSPGとの低親和性の相互作用を分断することが知られている化合物である、100Mの スラミンを含有する0.5mlのDMEMでの30分間、4℃での処理により抽出した(La Rocca, R.V., Stein, C.A. & Myers, C.E. (1990) Cancer Cells 2, 106-115)。スラミンで抽出した培養上清を、次に回収し、遠心分離(5分;200×g)により明らかにした。
【0319】
培養上清およびスラミン抽出物を次に、同量の2×ゲルローディングバッファーと混合した。試料を、10分間沸騰させ、還元条件下で4〜20%の勾グラジエントポリアクリルアミドゲル(Novex, Dan Diego, CA)上でのSDS−PAGEにより分離し、ニトロセルロースフィルター(Novex)にトランスファーした。ウエスタン分析を、HRP結合抗V5抗体(Invitrogen)およびECL検出システム(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)を用いる標準方法により実施した。
【0320】
予測Mrを有する1つのバンドを、pFGF−CXで形質移入した293細胞由来の培養上清で同定した(図1A、レーン1)。対照ベクターで形質移入した細胞由来の培養上清は、抗体と反応しなかった(図1A、レーン5)。スラミン処置の後、有意な量のFGF−CXが、細胞表面/ECMから実際に放出され得ることがわかった。このことは、HSPGがこのタンパク質の隔離において働きそうであることを示す(図1A、レーン2)。これらの結果は、HGF−CXが古典的なシグナルペプチドを伴なわず分泌され得ることを示す。
【0321】
組換えFGF−CXタンパク質は、DNA合成、細胞増殖、細胞表面受容体へのFGF−CXの高親和性結合を経由して仲介され、およびHSPGとの低親和性相互作用を経由して調節されるべき作用を刺激する。スラミン抽出物のデータは、FGF−CXが細胞表面および/またはECMに存在するHSPGに結合することを示す。
【0322】
b)シグナルペプチドを伴なう発現
タンパク質分泌を増強するゴールで、FGF−CXcDNAをIgκ遺伝子由来の切断可能なアミノ末端分泌シグナル配列と共にインフレームで融合させた、構造(pCEP4/Sec−FGF−CX)を生成した。結果として得られるタンパク質はまた、pFGF−CXについて上述したようにカルボキシ末端のV5およびポリヒスチジン標識を含有していた。293細胞への形質移入に続き、約31kDaの予測Mrを有するタンパク質産物を得た。スラミンが有意な量の解離FGF−CXタンパク質を放出することが再び分かった(図1A、レーン3および4)。予測した様に、pCEP4/Sec−FGF−CXは、pFGF−CXより可溶性の高いFGF−CXタンパク質を生成した。
293細胞について上述したものと同様の結果を、NIH3T3細胞でも得た(図1B)。
【0323】
実施例8.PCRによるFGF−CX核酸のリアルタイム定量的発現解析
様々なクローンの定量的発現を、41の正常試料および55の腫瘍試料(多くの場合、図4のパネルAおよびBにおいて表す試料が、表14において同定されたものである。)において、Perkin-Elmer Biosystems ABI PRISM[登録商標]7700配列検出システムで実施するリアルタイム定量的PCR(TAQMAN[登録商標]分析)により評価した。表14において、以下の略語を用いた:
ca.=癌腫
*=転移から確立された
s cell var=小細胞変異体
non-s=non-sm=非小細胞
squam=扁平上皮
pl. eff=pl effusion=胸膜浸出液
glio=神経膠腫
astro=星細胞腫、および
neuro=神経芽細胞腫
【0324】
第1に、96RNA試料をβアクチンおよびグリセルアルデヒド三リン酸脱水素酵素(GAPDH)に対して標準化した。RNA(〜50ng トータルまたは〜1ng polyA+)を、TAQMAN[登録商標]逆転写試薬キット(PE Biosystems, Foster City, CA;カタログ番号N808−0234)および製造元のプロトコールによるランダム6量体化を用いてcDNAに転換した。反応を、20μlで実行し、30分間、48℃でインキュベートした。cDNA(5μl)を次に、製造元のプロトコールにより、βアクチンおよびGAPDH TAQMAN[登録商標]アッセイ試薬(PE Biosystems;それぞれ、カタログ番号4310881Eおよび4310884E)およびTAQMAN[登録商標]universal PCR Master Mix(PE Biosystems;カタログ番号4304447)を用いるTAQMAN[登録商標]反応のための分離プレートに移した。反応を、以下のパラメーターを用いて25μlで実施した:50℃で2分;95℃で10分;95℃で15秒/60℃で1分(40サイクル)。結果を、logスケールを用いるCT値(与えられた試料が蛍光の閾値を横切るサイクル)として、与えられた試料とΔCTの値に対して2として表される最も低いCT値を有する試料とのRNA濃度の差で記録した。パーセント比較発現を、次にこのRNAの差の逆数を求め、かつ100倍することにより得られた。β−アクチンおよびGAPDHについて得られた平均CT値を用いて、RNA試料を標準化した。最も高いCT値を生成するRNA試料は、さらなる希釈を必要としない一方で、他の全部の試料をβ−アクチン/GAPDH平均CT値によりこの試料と比べて希釈した。
【0325】
標準化RNA(μl)をcDNAに変換してOne Step RT-PCR Master Mix Reagent(PE Biosystems;カタログ番号4309169)および製造元の指示により遺伝子特異的なプライマーをを用いるTAQMAN[登録商標]を経由して分析した。プローブおよびプライマーを、Perkin Elmer Biosystemのプライマー発現ソフトウエアパッケージ(version I for Apple Computer's Macintosh Power PC)により、クローン10326230.0.38の配列を入力として用いて互いのアッセイのためデザインした。デフォルト設定を反応条件のために用いて、以下のパラメーターをプライマー選択の前に設定した:プライマー条件=250nM、プライマーメルティング温度(Tm)範囲=58℃〜60℃、プライマー最適Tm=59℃、最大プライマー温度差=2℃、プローブが5’Gを有さない、プローブTmがプライマーのTmより10℃高くなければならない、増幅サイズが75bp〜100bpである。選択したプローブおよびプライマー(以下を参照)をSynthegen (Houston, TX, USA)により合成した。プローブをHPLCにより二重精製して、未結合のダイを取り除き、質量分析法により評価して、プローブの5’末端および3’末端、それぞれに対する受容体とクエンチャーダイとのカップリングを示した。それらの最終濃度は、順方向プライマーおよび逆方向プライマーがそれぞれ900nM、およびプローブが200nMであった。
【0326】
PCRのため、それぞれの組織および細胞株由来の標準化RNAを96穴PCRプレート(Perkin Elmer Biosystems)の各ウエルにスポットした。2つのプローブ(1つはFGF−CXに特異的であり、2つめは内部標準として機能する遺伝子特異的プローブ)を含むPCRカクテルをPE Biosystems 7700の1×TaqMan[登録商標]PCR Master Mixを用いて、5mM MgCl2、dNTPs(1:1:1:2の割合のdA、G、C、U)、0.25U/ml AmpliTaq Gold[登録商標](PE Biosystems)、および0.4U/μl RNaseインヒビター、および0.25U/μl 逆転写酵素で設定した。逆転写を、48℃で30分間のあと、以下のような:95℃10分、次に95℃15秒、60℃1分の40サイクルの増幅/PCRサイクルにより実施した。
【0327】
表14.TaqMan発現解析において用いた組織試料
【表18】
【0328】
表14の続き
【表19】
【0329】
本発明において開示される線維芽細胞成長因子20様遺伝子は、少なくとも以下の組織において発現する:哺乳動物組織、大腸、肺、脳、肝臓、腎臓、および胃。発現情報は、CuraGen ACC番号CG53135−02の配列の誘導において含まれる配列の組織供給源由来であった。
【0330】
以下のプライマーおおびプローブをデザインした。それぞれ、FGF−CXに特異的であるために、非常に相同であるヒトFGF−9およびFGF−16遺伝子の対応する領域の3つのミスマッチの最小値を有する。セットAg81bは、表1の塩基270〜塩基343(配列番号:1)由来の領域を覆う。それは他の既知のFGFファミリーメンバーを決して検出しない。利用したプライマーおよびプローブは:
Ag81b(F):5’−GGACCACAGCCTCTTCGGTA−3’(配列番号:18);
Ag81b(R):5’−TGTCCACACCTCTAATACTGACCAG−3’(配列番号:19);および
Ag81b(P):5’−FAM−CCCACTGCCACACTGATGAATTCCAA−TAMRA−3’(配列番号:20)である。
【0331】
代表的な実験結果を図4、パネルAおよびBにおいて示す。発現を、最も高いレベルの発現を示す試料のパーセンテージとしてプロットする。4回の反復実施を行い、様々な斜線であらわした。調べた39のヒト正常組織において、FGF−CXは、脳、特に小脳において最も高発現することが分かった(図4、パネルAおよびB)。中枢神経系の他の組織は、ずっと低いレベルのFGF−CXを発現した。調べた54のヒト腫瘍細胞のうち、FGF−CXは、肺癌腫細胞株(LX−1)、大腸癌腫細胞株(SW−480)、大腸癌細胞株および転移(SW480)および胃癌腫細胞株(NCI−N87;図4、パネルAおよびBを参照)において、最も高発現することがわかった。
【0332】
別のリアルタイム発現分析を、手術において得た腫瘍組織の広範なパネルで行った。これらの組織は、実際の腫瘍本体から得られた部分、らびに「正常隣接組織(NAT)」と名付けられた部分を含む、典型的に既に炎症しており異形性の組織学的な証拠を示す。FGF−CXに特異的であるように選択されたプライマーとプローブのセット(Ag81)を、かかる外科手術の組織試料でのTaqMan実験において用いた。2度の反復実施を行った:
Ag81(F):5’−AGGCAGAAGCGGGAGATAGAT−3’(配列番号:21);
Ag81(R):5’−AGCAGCTTTACCTCATTCACAATG−3’(配列番号:22);および
Ag81(P):TET−5’−CCATCTACATCCACCACCAGTTGCAGAA−3’−TAMRA(配列番号:23)
【0333】
セットAg81は、表1の塩基477〜塩基554(配列番号:1)由来の領域を覆う。複製を。図4、パネルCおよびDにおいてグレーおよび黒の斜線として示す。結果は、腫瘍とそれらの形質異常NAT試料の多くの対応ペアーについて、FGF−CXは、NATにおいて高発現するが、腫瘍においては発現しないこと;さらに特異的には、腫瘍に隣接する実質細胞においては発現することを劇的に示す。この対応パターンが生じる実施例は、卵巣癌、子宮癌、肺癌、前立腺癌および肝臓癌を含む。
【0334】
それにより制限されることなく、図4における結果、パネルCおよびパネルDから、FGF−CXが腫瘍上皮および/または宿主組織中の他の成分(内皮細胞、胃線維芽細胞、非浸潤上リンパ球、および類似の細胞タイプ)のパラクリン刺激による腫瘍進行の原因となり得ることがわかる。同じく、FGF−CXは、オートクライン方法でのFGF−CX合成または分泌する宿主組織中の成分を刺激するために機能しうる。これらの宿主成分細胞は、腫瘍成分で引き続いてふるまう。
【0335】
FGF−CXの高発現特徴は、腫瘍進行の予測する働きまたは促進する働きをする非対応正常組織に関係する。それゆえ、多くの標的アプローチ(制限されない例として、モノクローナル抗体、リボザイム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、同族受容体とのFGF−CXの相互作用を中和するペプチド、およびFGF−CXの未同定受容体を調節する小薬を含む。)のいずれかを用いるFGF−CXの治療標的を予測し、標的は疾病の進行へのポジティブな治療の影響を有する。同じく、腫瘍進行でのFGF−CXの生物活性を調節するような物質の使用を予測し、通常の化学療法および放射線療法にシナジーを与えるか、または増強させる。FGF−CXの治療標的が適用される特異的な疾病の同一性は、大腸、前立腺、胚、腎臓、子宮、乳房、膀胱、卵巣の腺癌を含む
【0336】
実施例9.組換えFGF−CXによるブロモデオキシウリジン取込刺激
293EBNA細胞(Invitrogen)を、製造元のプロトコール(Life Technologies, Gaithersburg, MD)により、Lipofectamine 2000を用いて形質移入した。細胞を、形質移入後の5時間、10%子ウシ血清(FBS; Life Technologies)で補った。BrdUおよび成長アッセイ(実施例10)のタンパク質を生成するために、細胞を洗浄し、形質移入後18時間、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM; Life Technologies)を与えた。48時間後、培地を除去し、細胞単層を0.5mlDMEM中100μMスラミン(Sigma, St. Louis, MO)で、30分、4℃でインキュベートした。スラミン抽出培養上清を、次に取り除き、遠心分離(5分;2000×g)により明らかにして、製造元の指示により、カルボキシ末端ポリヒスチジン標識を利用するTALONメタルアフィニティークロマトグラフィー(Clontech, Palo Alto, CA)の対象とした。保留融合タンパク質を、イミダゾールでのカラム洗浄により放出させた。
【0337】
FGF−CXタンパク質濃度を、既知の濃度のV5標識タンパク質で作成された標準曲線を用いるウエスタン分析により推定した。ウエスタン分析のため、培養上清を形質移入後48時間で回収し、細胞単層を、100μMのスラミンを含有する0.5mlのDMEMで、30分間4℃でインキュベートした。スラミン含有培養上清を次に回収した。
【0338】
対照タンパク質を生成するために、293−EBNA細胞を、pCEP4プラスミド(Invitrogen)で形質移入し、上でアウトラインを記載した精製方法の対象とした。
【0339】
組換えFGF−CXを、DNA合成を誘導する能力についてブロモデオキシウリジン(BrdU)取込アッセイにおいて試験した。NIH3T3細胞(ATCC番号CRL−1658、American Type Culture Collection, Manassas, VA)、CCD−1070sk細胞(ATCC番号CRL−2091)またはMG−63細胞(ATCC番号CRL−1427)を、96ウエルプレートにて100%の密集度まで培養し、DMEMで洗浄し、DMEM中で24時間(NIH3T3)または48時間(CCD−1070skおよびMG−63)血清飢餓状態にした。組換えFGF−CXまたは対照タンパク質を、次に細胞に18時間添加した。BrdUアッセイを、製造元(Roche Molecular Biochemicals, Indianapolis, IN)の説明により、5時間BrdU取込時間を用いて実施した。
【0340】
FGF−CXが、NIH3T3マウス線維芽細胞において〜5ng/mlの最大半分の濃度で、DNA合成を誘導することが分かった(図5のパネルA)。対照的に、対照ベクターで形質移入した細胞から精製したタンパク質は、DNA合成を誘導しなかった。FGF−CXが、BrdU取込により決定された様に、CCD−1070sk正常ヒト皮膚線維芽細胞(図5、パネルB)、CCD−1106ケラチノサイト(図5、パネルC)、MG−63骨肉腫細胞(データは示していない)、および乳房上皮細胞を含む様々なヒト細胞株での比較可能な投与レベルで、DNA合成を誘導することも分かった。
【0341】
実施例10.組換えFGF−CXによる細胞増殖の誘導
組換えFGF−CXが細胞増殖を誘導するかを決定するため、NIH3T3細胞を6ウェルプレート中で50%の密集度まで培養し、DMEMで洗浄し、組換えFGF−CXまたは対照タンパク質を含有するDMEMを48時間与え、次にカウントした。細胞数を、細胞をトリプシン処理し、Beckman Coulter Z1シリーズのカウンター(Beckman Coulter, Fullerton, CA)でカウントすることにより決定した。このアッセイにおいてFGF−CXが、対照タンパク質と比べ細胞数で約3倍の増加を誘導することが分かった(図6)。
【0342】
増殖での形態的変化を測定するために、NIH3T3細胞をDMEM/2%子ウシ血清中の組換えFGF−CXまたは対照タンパク質で処理し、Zeiss Axiovert 100顕微鏡(Carl Zeiss, Inc., Thornwood, NY)で写真撮影した。
【0343】
より高い細胞密度(図6)にいたることに加えて、実施例9で記載した様に調製したFGF−CXの存在下で培養したNIH3T3細胞は、接触阻害の減少を示す、成長の整理されていないパターンを表した(図7)。さらに、個々の細胞は、細長くかつ屈折していることが分かった。これらの結果は、FGF−CXが成長因子としてふるまうことを示し、組換えFGF−CXがNIH3T3細胞の形態的な形質転換を仲介することを示す。
【0344】
実施例11.ヌードマウスでの異所性FGF−CXで形質移入されたNIH3T3細胞による腫瘍形成
NIH3T3細胞を、製造元のプロトコール(Life Technologies)により、Lipofectamine Plusを用いて、pCEP4/Sec−FGF−CXまたは対照ベクターで形質移入した。細胞に形質移入後5時間で、10%子ウシ血清(CS; Life Technologies)を添加した。pCEP4/Sec−FGF−CXで形質移入された細胞は、形質移入後48時間までに形態的に形質転換され、ハイグロマイシン含有成長培地中でのセレクションの2週間後でも残っていることがわかった。対照的に、対照ベクターえ形質移入された細胞は、正常な形態を保持していた(データは示していない)。従って、形質移入された細胞は、例えば、実施例10において報告した実験に基づいて予測される様にふるまう。
【0345】
異所性腫瘍の誘導を研究するために、NIH3T3細胞を、様々な実験ベクターおよび対照ベクターで形質移入した。形質移入後2日で、細胞を、DMEM/5%CS(pFGF−CXで形質移入した細胞用)または500μg/mlのハイグロマイシンBを添加したDMEM/10%CS(pSEP4/Sec−FGF−CXで形質移入した細胞)のいずれかに置いた。培養2週間後、半分密集した細胞をトリプシン処理し、DMEM/10%で中和し、PBSで洗浄してカウントした。PBS中の100万個の細胞を、メス胸腺欠損ヌードマウス(Jackson Laboratories, Bar Harbor, ME)の側方皮下組織に注入した。
【0346】
NIH3T3細胞を、FGF−CX発現プラスミド(pFGF−CXおよびpIgκ―FGF−CX)またはそれらの適当な対照ベクターで形質移入した。FGF−CX発現ベクターのいずれかで形質移入された細胞を、形質移入後48時間までに形態学的に形質転換し(データは示していない)、組換えFGF−CXにさらされた後に生成されたものと類似のフェノタイプを有することが分かった(図6)。対照的に、対照ベクターで形質移入された細胞は、正常な形態を保持していた(データは示していない)。
【0347】
FGF−CXの異所性発現がインビボにおいてNIH3T3細胞の腫瘍形成を誘導するかを決定するために、安定な形質移入体を生成し、ヌードマウスの皮下に注入した。11日までに、pFGF−CXまたはpIgκ−FGF−CXのいずれかで形質移入した細胞で注入した全ての動物が、14日までに急激な腫瘍サイズの増大を有し、一方で、対照細胞で注入された動物のいずれもが 2週間までに腫瘍を発生しなかった(図8)。対照処理を受けたあるマウスおよびFGF−CXベクターで形質移入した細胞を受けた別のマウスの写真を、図9に示す。これらの結果は、FGF−CX遺伝子を有するベクターとの形質移入により形質移入された細胞が、インビボでの腫瘍発生および腫瘍成長を促進することを示す。
【0348】
実施例12.FGF−CXの発現
FGF−CXは、実施例6において記載される様に、本来発現する。タンパク質を、Ni2+アフィニティークロマトグラフィーを用いて精製し、還元条件と非還元条件下のSDS−PAGEの対象とし、クーマシーブルーを用いて染色した。結果を、図10において示す。それは、両方の条件下で見られ、タンパク質は、約29〜30kDaの見かけ上の分子量と共に移動する。
【0349】
実施例13.組換えFGF−CXによるブロモでオキシウリジン取込刺激
BrdUの取込についての用量反応実験を、ヒト腎臓癌腫細胞(786-0; American Type Culture Collection, Manassas, VA)を用いて行った。結果を図11において示す。FGF−CXは、「20858」と名付けられる。FGF−CXは、約2.5ng/mlである半分作用する用量で対照よりは4倍より多く、腎臓癌腫細胞の増殖を刺激することが分かる。
【0350】
実施例14.FGF−CXで形質移入された細胞でのインビトロでの病巣形成
培養における異所性FGF−CX発現の細胞成長への作用を評価するために、NIH3T3細胞を、FGF−CX発現プラスミド(図12においてpFGF−20およびpIgκ−κ−FGF−CX−20として同定した。実施例7を参照)または対照ベクターで形質移入した。NIH3T3細胞を、製造元のプロトコール(Life Technologies)により、Lipofectamine-Plusを用いて形質移入した。細胞を、形質転換後5時間で10%子ウシ血清(CS; Life Technologies)で補足した。形質移入後2日で、細胞を、90mmディッシュに移し、子ウシ血清をプラスしたDMEMで2週間培養した。細胞を、次に0.2%クリスタルヴァイオレット/70%エタノール溶液で染色し、写真撮影した。90mmディッシュそれぞれは、1.5μgのプラスミドDNAで形質移入された35mmディッシュ由来の細胞の半分を表す。
【0351】
2つのFGF−CX発現ベクターいずれかで形質移入された細胞は、形質移入後約2週間で形態的に形質導入された細胞の病巣を生成するが、一方で対照ベクターで形質移入された細胞は正常形態を維持していることがわかった(図12)。pIgκ−FGF−20構造は、密集に起因し、見られるイメージにおいて小さい病巣の形成において、pFGF−20構造より有意により効率的であるように改善した(図12参照)。
【0352】
実施例15.FGF−CXの受容体結合特異性
線維芽細胞成長因子(FGF)は、形態形成、細胞の分化、血管形成、組織リモデリング、炎症、腫瘍形成を含む様々な機能において重要な働きをする。FGFは、普通の3次構造を有する保存120アミノ酸FGFコアドメインを含有する。FGFシグナル伝達を、一般に膜貫通型チロシンキナーゼ受容体の活性化により生じると予測する。FGFR1ないしFGFR4である、4つの受容体を同定し、活性化受容体変異または不活性化受容体変異を、マウスおよびハムスターの両方でこれらの遺伝子のサブセットについて記載した。
【0353】
FGF−CXの受容体結合特異性を測定するために、組換えFGF−CXによりNIH3T3細胞でのDNA合成の誘導への可溶性FGF−CX受容体(FGFR)の作用を調べた。4つの受容体を、今日までに同定した(Klint P and Claesson-Welsh L. Front. Biosci., 4: 165-177, 1999; Xu X, et al. Cell Tissue Res., 296: 33-43, 1999)。FGFR1β(IIIc)、FGFR2α(IIIb)、FGFR2β(IIIb)、FGFR2α(IIIc)、FGFR3α(IIIc)およびFGFR4の可溶性受容体を利用した。これらFGFRのそれぞれの可溶性型は、FGF−CXの生物学的活性化を特異的に阻害できることが分かった(図13を参照)。完全阻害またはほぼ完全な阻害を、可溶性FGFR2α(IIIb)、FGFR2β(IIIb)、FGFR2α(IIIc)、およびFGFR3α(IIIc)で得たが、一方で、部分的な阻害を、可溶性FGFR1β(IIIc)およびFGFR4で成し遂げた。可溶性受容体物質のいずれもが、それにより、それらの特異性を示す、PDGF−BBによるDNA合成の誘導での妨害をしなかった。それぞれの可溶性受容体物質の完全性を、分析下でずべてのFGFRと相互作用すると知られている因子であるaFGF(酸性FGF)によるDNA合成の誘導を阻害する能力を示すことにより示した。
【0354】
実施例16.FGF−CXのN末端欠損型のクローニングおよび発現
プラスミドpET24a−FGF20X−del154コドンを宿すE.colli菌株BL21(DE3)(Invitrogen)を、LB培地中で、37℃で成長させた。このプラスミドは、位置55で宿すFGF−CXのC末端部分をコード化する。細胞の密集度が0.6ODに達したときに、IPTGを最終濃度1mMになるように加えた。誘導培養液を、次に追加の4時間、37℃でインキュベートした。細胞を、3000×g、15分間、4℃での遠心分離により回収し、PBSに縣濁し、次にマイクロ流動化(microfluidizer)を介して2つの層で分離した。可溶性タンパク質および非可溶性タンパク質を分離するために、溶解物を、10,000×g、20分間、4℃で遠心分離の対象とした。非溶解性分画(ペレット)を、1M Lアルギニンを含有するPBSで抽出した。残存非可溶性物質を、次に遠心分離により除去し、アルギニン抽出の可溶性分画を、0.2μ低タンパク質結合膜を介してフィルター処理し、SDS−PAGEにより分析した。結果を、産物が約20kDaの見かけ上の分子量(矢印参照)を有するポリペプチドであることを示す図14に示す。発現ポリペプチドのN末端配列決定は、FGF−CXの残基55〜69(表1、配列番号:2)に100%同一である配列AQLAHLHGILRRRQLを提供する。
【0355】
実施例17.FGF−CXの切断型に対する応答でのNIH3T3細胞へのブロモデオキシウリジン取込刺激
FGF−CXの残基24〜211((d1〜23)FGF−CX;表1および配列番号:2)を発現するベクターを調製した。この切断型を取り込むベクターを用いて得た条件培地で処理したNIH3T3細胞によるBrdUの取込を、全長FGF−CXをコード化するベクターを用いて条件培地での処置への応答での取込と比較した。この実験を実施例9において記載した様に行った。
【0356】
結果を、図15において示す。(d1〜23)FGF−CXは、最も低濃度10ng/mlで試験した場合に高活性を維持する。この濃度で、全長FGF−CXの活性は、非常に低下し、対照のレベルに接近する。(d1〜23)FGF−CXは、全長FGF−CXより少なくとも5倍の活性化であり得ることを推定する。
【0357】
実施例18.FGF−CX変異体CG53135−02のクローニングおよび発現
線維芽細胞成長因子20様タンパク質の変異体をコード化するヌクレオチド配列は、受託番号CG53135−02と関連し、同定された。受託番号CG53135−02の配列は、配列のコンピューターでの予測によるcDNAフラグメントの実験室でのクローニングによりもたらされた。DNA配列の全長または配列の一部のいずれか、または両方を覆うcDNAフラグメントをクローン化した。コンピュータでの予測は、CuraGen専売配列データベースまたは公開ヒト配列データベースにおいて利用可能な配列に基づき、全長DNA配列、またはそれらのいくつかの部分のいずれかを提供した。実験室のクローニングを、以下に要約する1またはそれ以上の方法を用いて実行した。
【0358】
SeqCalling[登録商標]技術:cDNAは、多様な組織タイプ、正常および疾病状態、病態、および異なるドナー由来の発生状態を表す様々なヒト試料からもたらされた。試料を、全体として、一次細胞または一次細胞または細胞株を培養した組織として得た。細胞および細胞株を、遺伝子発現を制御する生物学的物質または化学的物質、例えば、成長因子、ケモカイン、またはステロイドで処理した。従って、もたらされたcDNAをCuraGenの専売SeqCalling技術を用いて配列決定した。配列トレースを手動で評価し、適切な場合、訂正のため編集した。時としてヒト公開配列を含む、全試料由来のcDNA配列を、互いのアセンブリーのための共通配列を生むためのバイオインフォマティックプログラムを用いて、一緒に集めた。それぞれのアセンブリーを、CuraGenコーポレーションのデータベースに含む。配列を、互いの成分との同一性の伸展が少なくとも50bpを超える95%である場合、アセンブリーのための成分として含んだ。それぞれのアセンブリーは、遺伝子またはそれらの部分を表し、スプライスフォーム1塩基多型(SNP)、挿入、欠損および他の配列変異体のような、変異体の情報を含む。
【0359】
エキソン結合:CG53135−02配列をコードするcDNAを、プライマー:5’−AGGTCACCATGGCTGTTATTGGC−3’(配列番号:26)および5’−CTGTCTGTCCTCAGAAGAAGTTCTTGATC−3’(配列番号:27)を用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりクローン化した。プライマーを、本発明のcDNA/タンパク質配列の全長またはある部分(1またはそれ以上のエキソン)のコンピューターでの予測に基づいてデザインした。これらのプライマーを用いて、以下の組織由来の発現ヒト配列を含有するプールからcDNAを増幅した:副腎、骨髄、脳−扁桃体、脳−小脳、脳−海馬、脳−黒質、脳−視床、脳−全体、胎児の脳、胎児の腎臓、胎児の肝臓、胎児の肺、心臓、腎臓、リンパ腫−Raji、乳腺、膵臓、下垂体、胎盤、前立腺、唾液腺、骨格筋、小腸、脊髄、脾臓、胃、精巣、甲状腺、気管および子宮。
【0360】
多数のクローンを配列決定し、時として公開ヒト配列を含むこれらのフラグメントを、互いのアセンブリーのため共通配列を生むためのバイオインフォマティックプログラムを用いて一緒に集めた。それぞれのアセンブリーは、CuraGenのデータベースに含まれる。配列を、互いの成分との同一性の伸展が、少なくとも50bpを超える95%である場合、アセンブリーの成分として含まれる。互いのアセンブリーは、それらの遺伝子またはタンパク質を表し、スプライスフォーム1塩基多型(SNP)、挿入、欠損および他の配列変異体のような変異体の情報を含む。
【0361】
物理的クローン:全オープンリーディングフレームを覆う、エキソン結合によりもたらされたPCR産物を、クローン137627::160083874.A9を提供するためにInvitrogenのpCR2.1ベクターにクローン化した。
【0362】
新規線維芽細胞成長因子20様遺伝子のDNA配列およびタンパク質配列を、エキソン結合により得た。CuraGen受託番号CG53135−02として本明細書において報告する。
【0363】
新規線維芽細胞成長因子20様タンパク質(配列番号:29)をコード化する540ヌクレオチド(CuraGen受託番号CG53135−02と名付けられた)の新規核酸(配列番号:28)を、表15に示す。オープンリーディングフレームを、ヌクレオチド1〜3で始まり、ヌクレオチド538〜540で終わることを同定した。このポリペプチドは、新規線維芽細胞成長因子20様タンパク質を表す。オープンリーディングフレームの開始コドンおよび停止コドンは、太字で強調する。推定の非翻訳領域(下線)は、もしあれば、開始コドンから上流および終止コドンから下流で見つかる。179アミノ酸残基を有するコード化タンパク質を、表16において1文字コードを用いて表す。
【0364】
表15.本発明の線維芽細胞成長因子20様タンパク質をコード化するヌクレオチド配列(配列番号:28)
【表20】
【0365】
表16.上記の表15において示されたヌクレオチド配列によりコード化されるタンパク質配列(配列番号:29)
【表21】
【0366】
配列データベース検索において、例えば、本発明の核酸配列が、Homo sapiens(FGF−20のHomo sapiens mRNA,完全コード領域)由来のgb:GENBANK ID:AB044277|acc:AB044277.1mRNAに同一な506のうち495塩基(97%)を有することがわかった(表10)。本発明のタンパク質の全長アミノ酸配列は、Homo sapiens(ヒト)由来の211アミノ酸残基ptnr:SWISSNEW−ACC:Q9NP95タンパク質(線維芽細胞成長因子20(FGF−20))に同一な162のうち160のアミノ酸残基(98%)を有し、類似の162のうち160のアミノ酸残基(98%)を有することが分かった(表10)。
【0367】
多様な配列アラインメントを、本発明のタンパク質を本発明のタンパク質を関連タンパク質配列と比較したClustalW解析において第1の線で示す、表17に示す。この配列が、位置20〜51で示された様に線維芽細胞成長因子のスプライスフォームを表すことに注意されたい。
【0368】
表17.CG53135−02タンパク質と関連するタンパク質のClustalWアラインメント
【表22】
【0369】
表17において示すアラインメントにおいて、黒で輪郭を描かれたアミノ酸残基は、配列(すなわち、構造的性質または機能的性質を保つことを必要とされ得る残基)間で完全に保存された残基を示し;グレーの背景を伴うアミノ酸残基は、タンパク質構造または機能が変わらない(例えば、群L、V、IおよびMを類似であるとみなされる)同程度の物理的性質および/または化学的性質を有する配列間で互いに類似である;および白の背景を伴うアミノ酸残基は、配列間で保存されないか、あるいは類似でない。
【0370】
本明細書において開示するタンパク質中の同定可能なドメインの存在を、Pfam、PROSITE、ProDom、BlockまたはPrintのようなドメインデータベースに対する検索により決定し、プロリン間のドメイン受託番号により同定した。有意な一致を、表18において要約する様に、IPR002209;(HBGF_FGF)ドメインに対して見た。
【0371】
表18.CG53135−02のドメイン解析
【表23】
【0372】
IPR002209;(HBGF_FGF)ヘパリン結合成長因子IおよびII(HBGF)(中胚葉起源または神経外胚葉起源の広範なバラエティーに富む細胞の成長または刺激を促進する構造上関連するマイトジェンである酸性および塩基性線維芽細胞成長因子(FGF)としても知られる。例えば、Burgess & Maciag, 1989参照。)Annu. Rev. Biochem. 58: 575-606; Thomas 1988 Trends Biochem. Sci. 13: 327-328を参照。これらの2つのタンパク質は、成長因子ファミリーに属し、インターロイキン1タンパク質、Kunitzタイプダイズトリプシン阻害剤(STI)およびヒスタクトフィリン(histactophilin)も含有するスーパーファミリーのメンバーである腫瘍形成に属する。
全てが非常に小さな構造を有するが、HBGFおよびインターロイキン1ファミリーは配列類似性(約25%)を共有するけれど、STIに対して全く示さない。例えば、Burgess & Maciag, 1989) Annu. Rev. Biochem. 58: 575-606; Thomas 1988 Trends Biochem. Sci. 13: 327-328; Heath et al. 1995 Curr. Biol. 5: 500-507; Matthews et al. 1991 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 88: 3441-3445; Murzin 1992 J. Mol. Biol. 223: 531-543; Gimenez-Gallego et al. 1985 Science 230: 1385-1388; Copeland et al. 1996 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93: 9850-9857;およびAyres et al. 1994 Virology 202: 586-605を参照されたい。
【0373】
HBGFは、細胞の分化および成長調節に関連する多くの分化過程において含まれる。例えば、Burgess & Maciag, 1989) Annu. Rev. Biochem. 58: 575-606を参照されたい。HBGF1およびHBGF2は、類似の作用を有する:それらは、胚形成での中胚葉形成を誘導し、傷修復、血管新生、神経細胞の伸長を仲介する;それらはまた、線維芽細胞、内皮細胞、およびアストログリア細胞の増殖および遊走を誘導する。HBGF3(int−2)およびHBGF4(hst/ks)は、それぞれ胃癌およびカポジ肉腫由来の既知の癌遺伝子である。HBGFおよびHBGF6はまた、癌遺伝子産物である。ケラチノサイイト成長因子である、HBGF7は、正常上皮細胞増殖の主要なパラクリンエフェクターである。
【0374】
これらの成長因子は、細胞内シグナル伝達えお導く、それらのチロシンキナーゼ受容体上の2量体化を引き起こす。線維芽細胞成長因子の4つの既知のチロシンキナーゼ受容体が現在存在する。これらの受容体は、このファミリーのいくつかの異なるメンバーにそれぞれ結合する。例えば、Heath et al. 1995 Curr. Biol. 5: 500-507を参照されたい。
【0375】
HBGF1およびHBGF2の結晶構造を溶解した。例えば、Matthews et al. 1991 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 88: 3441-3445を参照されたい。HBGF1およびHBGF2は、インターロイキン1およびKunitzタイプダイズトリプシン阻害剤両方のような同一の12本鎖βシート構造を有する例えば、Murzin 1992 J. Mol. Biol. 223: 531-543を参照されたい。HBGF1およびインターロイキン1は、類似であると分かり、類似の構造を有することを予測した。例えば、Gimenez-Gallego et al. 1985 Science 230: 1385-1388を参照されたい。βシートを、抗類似βバレルを形成する6本鎖である中心軸のまわりの3つの類似葉にアレンジする。HBGF1のいくつかの領域は、受容体結合、明白に、β構造1ないし3、および鎖8と9との間のループにおいて関係する。鎖10と11との間のループは、ヘパリン結合において関係すると考える。
【0376】
このことは、本発明の配列がHBGF1様およびHBGF2様ドメインを含有すると知られている他のタンパク質の配列と類似する性質、かつこれらのドメインの性質に類似する性質を有することを示す。
【0377】
本発明の核酸およびタンパク質は、様々な疾病および疾患の診断および/または処置での応用を有する。例えば、本発明の組成物は、:ヒルシュスプルング病、クローン病、虫垂炎、炎症性腸疾患、憩室疾患、全身性エリトマトーデス、自己免疫疾患、喘息、肺気腫、強皮症、アレルギー、ARDS、フォンヒッペルリンドウ(Von Hippel-Lindau)(VHL)症候群、肝硬変、移植、高カルシウム血症、潰瘍、心筋症、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、先天性心臓欠陥、大動脈弁狭窄、心房中隔欠損症(ASD)、房室(A−V)チャネル欠損症、動脈管開存症、肺動脈弁狭窄、大動脈弁下部狭窄、心室中隔欠損症(VSD)、弁疾患、結節性硬化症、強皮症、糖尿病、自己免疫疾患、腎動脈狭窄、間質性腎炎、糸球体腎炎、多発性嚢胞腎、全身性エリトマトーデス、尿細管性アシドーシス、IgA腎症、高カルシウム血症、アルツハイマー病、脳梗塞、結節硬化、高カルシウム血症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、脳性麻痺、てんかん、レッシュ−ナイハン症候群、多発性硬化症、毛細血管拡張性運動失調症、白質萎縮症、行動障害、依存症、不安、痛み、神経変性、ならびに他の疾病、疾患、状態を病む患者の処置に効力を有する。
【0378】
実施例19.FGF−CX変異体CG53135−06のクローニングおよび発現
受託番号CG53135−06に言及した線維芽細胞成長因子20様タンパク質(配列番号:31)の変異体をコード化するヌクレオチド配列を、表19および20に示す様に同定した。SeqCallingアセンブリー配列を、FGF20のSNP変異体および/またはFGF20ファミリーのメンバー対して類似性を有するタンパク質に翻訳されるDNA配列についてのCuragenコーポレーションヒトSeqCalling[登録商標]データベースの検索によりまず同定した。1またはそれ以上のSeqCallingアセンブリー174203299を、適当な類似性を有するとして同定した。上に示した表11を参照されたい。選択されたアセンブリーを、さらに解析して、新規全長タンパク質ならびに新規スプライスフォームをコード化する任意のオープンリーディングフレームを同定した。結果として得られたDNA配列およびFGF20様遺伝子の新規SNP変異体のタンパク質配列を、CuraGen受託番号CG53135−06として本明細書において報告する。
【0379】
表19.本発明のFGF20様タンパク質(受託番号CG53135−06)のSNP変異体をコード化するヌクレオチド配列(配列番号:30)
【表24】
【0380】
表20.表19において示されたヌクレオチド配列によりコード化されるタンパク質配列(配列番号:31)
【表25】
【0381】
多型配列アラインメントを、関連タンパク質配列を有する本発明のタンパク質と比較するClustalW解析での第1のラインに示す本発明のタンパク質を伴う表21に示す。この配列がCG53135−06の位置53において示された様にFGF20のSNPを表すことに注意されたい。別のSNPを、以下の実施例21において記載する。
【0382】
表21.CG53135−06タンパク質と関連するタンパク質のClustalWアラインメント
【表26】
【0383】
本明細書において開示されるタンパク質の同定可能なドメインの存在を、Pfam、PROSITE、ProDom、BlockまたはPrintのようなドメインデータベースに対する検索により決定し、次にプロリン間のドメイン受託番号により同定した。有意義なドメインを表22に要約する。プロリン間IPR002209FGFドメインを上述する。
【0384】
表22.CG53135−06のドメイン解析
【表27】
【0385】
実施例20.最適化FGF−CXを含むFGF−CX変異体のクローニングおよび特徴
別のFGF−CX変異体を、上述のようにクローン化した。ヌクレオチドおよびポリペプチドを表23〜29において示す。コドン最適化FGF−CXを表25に示す。
【0386】
表23.CG53135−03のヌクレオチドおよびポリペプチド配列、コンセンサスDNA配列
【表28】
【0387】
表24.CG53135−04のヌクレオチドおよびポリペプチド配列:コンセンサスDNA配列:
【表29】
【0388】
表25.クローンアセンブリー、FGF−20X、コドン最適化、CG53135−05のヌクレオチドおよびポリペプチド配列
【表30】
【0389】
表26.CG53135−07のヌクレオチドおよびポリペプチド配列
【表31】
【0390】
表27.CG53135pep2、CG53135−08のヌクレオチドおよびポリペプチド配列
【表32】
【0391】
表28.CG53135pep、CG53135−09のヌクレオチドおよびポリペプチド配列
【表33】
【0392】
表29.FGF−20、CG53135pep、CG53135−10のヌクレオチドおよびポリペプチド配列
【表34】
【0393】
FGF−CX変異体CG53135−01ないしCG53135−08(それぞれ、v−01ないしv−04として標識した)のClustalWアラインメントを表30に示す。
【0394】
表30.CG53135−01変異体からCG53135−08変異体のClustalW多様性アラインメント
【表35】
【0395】
コドン最適化FGF−CX核酸(配列番号:378)およびポリペプチド(配列番号:38)配列のBLASTPアラインメントおよびBLASTNアラインメントを実施した。結果を表31に示す。
【0396】
表31.配列番号:37および38のBLAST解析
【表36】
【0397】
実施例21.FGF−CX SNP変異体のクローニングおよび発現
SeqCalling[登録商標]技術:cDNAは、多様な組織タイプ、正常および疾病状態、病態、および異なるドナー由来の発生状態を表す様々なヒト試料からもたらされた。試料を、全体組織、細胞株、一次細胞または一次細胞および細胞株を培養した組織として得た。細胞および細胞株を、遺伝子発現を制御する生物学的物質または化学的物質、例えば、成長因子、ケモカイン、ステロイドで処理した。それゆえにもたらされたcDNAを、次に、CuraGen専売のSeqCalling技術を用いて配列決定した。配列トレースを、手動で評価し、適切な場合、訂正のため編集した。全試料由来のcDNA配列を、それ自体、SeqCallingアセンブリーのCuragenのヒトSeqCallingデータベースを生成するためのバイオインフォマティックプログラムを用いる公開ESTで集めた。それぞれのアセンブリーは、1またはそれ以上のヒト試料からもたらされた1またはそれ以上の重複cDNA配列を含有する。フラグメントおよびESTを、アセンブリーの別の成分との同一性の伸展が、少なくとも50bpを超える95%であると、アセンブリーの成分として含まれる。それぞれのアセンブリーは、スプライスフォームおよび/または1塩基多型(SNP)およびそれらの組合せのような遺伝子および/またはその変異体をあらわすことができる。
【0398】
ヒトゲノムDNAにおいて同定された様々な配列は、この発明に含まれる。変異体配列は、1塩基多型(SNP)を含むことができる。SNPは、時には、cDNAとしてSNP起源を含有するヌクレオチド配列意味する「cSNP」として言及することができる。SNPを様々な方法で生じさせることができる。例えば、SNPは、多型部位での別のものへの1ヌクレオチドの置換に起因し得る。かかる置換は、トランジションまたはトランスバージョンのいずれかであり得る。SNPはまた、参考対立遺伝子と関係するヌクレオチドの欠損またはヌクレオチドの挿入から生じ得る。この場合、多型部位は、ある対立遺伝子は、別の対立遺伝子中の特定のヌクレオチドに関して、ギャップを生む部位である。遺伝子内で生じるSNPは、SNPの位置の遺伝子によりコード化されたアミノ酸の変化において結果として起こり得る。しかしながら、SNPはまた、SNPを含むコドンが遺伝子コードの重複性の結果として同一アミノ酸をコード化する場合、サイレントであり得る。遺伝子領域の外側、または遺伝子内のイントロン中で生じるSNPは、タンパク質の任意のアミノ酸配列中で変化を生じないが、発現パターンの変化制御、例えば、時間的な発現での変化、生理的応答制御、細胞タイプ発現制御、発現の強度、転写されたメッセンジャーの安定性において生じる。
【0399】
新規SNP同定方法:SNPは、CuraGen専売特許のSNPToolアルゴリズムでのDeep SNP Mining(DSM)により同定された。SNPToolは、以下の基準でのアセンブリーでのバリエーションを同定する:それぞれアセンブリー位置に対して、アラインメントの両末端上の10塩基対内で解析されない;ウインドウサイズ(一見の塩基数)が10である;ウインドウでのミスマッチの許される数は2である;最小のSNP塩基の質(PHREDスコア)は23である;スコアSNPに対する変化の最小数は2である。SNPToolは、アセンブリーを解析し、アセンブリーでの個々の変異体配列と関連するSNP位置、与えられた位置でのアセンブリーの深さ、推定アセンブリー対立遺伝子頻度、SNP配列変異体、およびゲノムDNAプール供給源を表す。配列トレースを選択し、手動での確認のため図する。内臓のフレーム検索ソフトウエアは、アミノ酸変更SNPの同時同定を可能とする。イントロン/エキソン境界に接するSNPを、SNPコンセンサスをCuraToolに入力することおよび該CGUIDタンパク質配列に対する1×1TBLASTNをを実施することにより二重チェックした。包括的なSNPデータ解析を次にSNPCallingデータベースに出力した。
【0400】
新規SNP確認方法:SNPを、Pyrosequencingとして知られる有効な方法を利用して確認する。Pyrosequencingの詳細なプロトコールは、Alderborn et al.. (2000). Genome Research. 10, Issue 8, Augustにおいて見ることができる。SNP結果を、表32に示す。
【0401】
表32.図1において記載したヌクレオチド配列の変異体
【表37】
【0402】
実施例22.FGF−CX変異体CG53135−04の分子クローニング
A.CG53135−04の残基1〜179の分子クローニング
残基1〜179由来のCG53135−04の全長型をコードするcDNAを、PCRによる「インフレーム」クローニングの標的とした。PCR鋳型は、以前に同定されたプラスミドに基づく。
【0403】
以下のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、標的cDNA配列をクローン化した:
F1 5’−CACCAGATCT ATGGCTCCCTTAGCCGAAGTCGGGGGC−3’(配列番号:55)
R1 5’−GCCGTCGAC AGTGTACATCAGTAGGTCCTTGTACAATTC−3’(配列番号:56)
【0404】
下流のクローニング目的のため、順方向プライマーは、インフレームのBglII制限部位を含み、逆方向プライマーは、インフレームのSalI制限部位を含有する。
2度のPCR反応を、CG53135−04のインサートを含有するプラスミドの全量1〜5ngを用いてセットアップした。
【0405】
反応混合液は、50μl反応用量中の、2μlのそれぞれのプライマー(元々の濃度:5pmol/μl)、1μlの10mM dNTP(Clontech Laboratories, Palo Alto CA)および1μlの50×Advantage-HF2ポリメラーゼ(Clontech Laboratories)を含有していた。以下の反応条件を用いた:
PCR条件1:
a) 96℃ 3分
b) 96℃ 30秒 第2の変性
c) 60℃ 30秒 プライマーアニーリング
d) 72℃ 6分 伸長
ステップb〜dを15回繰り返す
e) 96℃ 15秒 変性
f) 60℃ 30秒 プライマーアニーリング
g) 72℃ 6分 伸長
ステップe〜gを29回繰り返す
e) 72℃ 10分 最終伸長
PCR条件2:
a) 96℃ 3分
b) 96℃ 15秒 第2の変性
c) 76℃ 30秒 サイクル当たり1℃温度を下げる
d) 72℃ 4分 伸長
ステップb〜dを34回繰り返す
【0406】
増幅産物を、アガロース電気泳動により検出した。フラグメントをゲル精製し、製造元の指示に従い、pCR2.1 TOPOベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA)に結合させた。PCR反応当たり12クローンをピックアップし、配列決定した。インサートを、ベクター特異的M13順方向プライマーおよびM13逆方向プライマーを用いて配列決定した。
SF1:GTATCTTGGAATTCATCAGTGTGGC(配列番号:57)
SF2:TGGTCTCTATCTTGGAATGAATGAC(配列番号:58)
SR1:GAAGAGGCTGTGGTCCTGCC(配列番号:59)
SR2:ACTGTCCACACCTCTAATACTGACC(配列番号:60)
【0407】
インサートアセンブリー250059596が、CG53135−04の標的配列の残基1と残基179の間のオープンリーディングフレームをコード化することが分かった。表33〜36を参照されたい。クローンインサートは、元々の配列に対して100%同一である。CG53135−04でのアラインメントを、表37のClustalWに示す。アセンブリーの最初の3アミノ酸残基および最後の3アミノ酸残基は、サブクローニングの目的のプライマーに加えられた制限酵素部位由来である。白またはグレーの背景を有する異なるアミノ酸に注意し、欠損/挿入アミノ酸を、その位置でコードしない配列の破線により検出できる。
【0408】
表33.クローン配列
【表38】
【0409】
表34.クローン配列
【表39】
【0410】
表35.CG53135−04のビューDNA配列解析
【表40】
【0411】
表36.250059596のビューDNA配列解析
【表41】
【0412】
表37.クローン配列のClustalW
【表42】
【0413】
B,CG53135−04の分子クローニング(31〜162aa)
残基31〜162由来のCG53135−04のドメインをコードするcDNAを、PCRによる「インフレーム」クローニングの標的とした。PCR鋳型は、以前に同定されたプラスミドに基づく。
【0414】
以下のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、標的cDNA配列をクローン化した:
F2 5’−CACCAGATCT ATCCTGCGCCGCCGGCAGCTCTATTGCC−3’(配列番号:63):
F2 5’−CACCAGATCT ATCCTGCGCCGCCGGCAGCTCTATTGCC−3’(配列番号:63):
R2 5’−GCCGTCGAC TGGTCTAGGTAAGAAATGTGTAAATTTCTGATGCC−3’(配列番号:64)
【0415】
下流のクローニング目的のため、順方向プライマーは、インフレームのBglII制限部位を含み、逆方向プライマーは、インフレームのSalI制限部位を含有する。
PCR反応を、CG53135−04のインサートを含有する全部で1〜5ngのプラスミドを用いてセットアップした。
【0416】
反応混合液は、50μlの反応液中に、2μlのそれぞれのプライマー(元々の濃度:5pmol/μl)、1μlの10mM dNTP(Clontech Laboratories, Palo Alto CA)および1μlの50×Advantage-HF2ポリメラーゼ(Clontech Laboratories)を含有する。用いた反応条件は、実施例22Aにおいて、上で提供される。
【0417】
増幅産物を、アガロース電気泳動により検出した。フラグメントをゲル精製し、製造元の指示に従い、pCR2.1 TOPOベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA)に結合させた。PCR反応当たり12クローンをピックアップし、配列決定した。インサートを、ベクター特異的M13順方向プライマーおよびM13逆方向プライマーを用いて配列決定した。
【0418】
インサートアセンブリー250059629が、CG53135−04の標的配列の残基31と162との間のオープンリーディングフレームをコード化することが分かった。クローン化インサートは、元々の配列と100%同一である。表38〜42を参照されたい。CG53135−04でのアラインメントを、表42のClustalWにおいて示す。アセンブリーの最初の3アミノ酸残基および最後の3アミノ酸残基は、サブクローニングの目的のためのプライマーに加えられた制限酵素部位由来である。白またはグレーの背景を有する異なるアミノ酸に注意し、欠損/挿入アミノ酸を、その位置でコードしない配列中の破線により検出できる。
【0419】
表38.クローン配列
【表43】
【0420】
表39.クローン配列
【表44】
【0421】
表40.CG53135−04のビューDNA配列解析
【表45】
【0422】
表41.250059629のビューDNA配列解析
【表46】
【0423】
表42.ClustalWアラインメント
【表47】
【0424】
C.CG53135−04の分子クローニング(31〜179aa)
残基31〜179由来のCG53135−04の成熟型をコードするcDNAを、PCRにより「インフレーム」の標的とした。PCR鋳型は、以前に同定されたプラスミドに基づく。
【0425】
以下のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、標的cDNA配列をクローン化した:
F2 5’−CACCAGATCT ATCCTGCGCCGCCGGCAGCTCTATTGCC−3’(配列番号:63)
R1 5’−GCCGTCGAC AGTGTACATCAGTAGGTCCTTGTACAATTC−3’(配列番号:56)
【0426】
下流クローニング目的のため、順方向プライマーは、インフレームのBglII制限部位を含み、逆方向プライマーは、インフレームのSalI制限部位を含有する。
2度のPCR反応を、CG53135−04のインサートを含有するプラスミドの全量1〜5ngを用いてセットアップした。
【0427】
反応混合液は、50μl反応量中で、2μlのそれぞれのプライマー(元々の濃度:5pmol/μl)、1μlの10mM dNTP(Clontech Laboratories, Palo Alto CA)および1μlの50×Advantage-HF2ポリメラーゼ(Clontech Laboratories)を含有する。用いた反応条件は、実施例22Aにおいて上で提供された。
【0428】
増幅産物を、アガロースゲル電気泳動により検出した。フラグメントを、ゲル精製し、製造元の指示に従い、pCR2.1 TOPOベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA)に結合させた。PCR反応当たり12クローンをピックアップし、配列決定した。インサートを、ベクター特異的なM13順方向プライマーおよびM13プライマーを用いて配列決定した。
【0429】
インサートアセンブリー250059669が、標的配列のCG53135−04の残基31と179間のオープンリーディングフレームをコード化することが分かった。クローンインサートは、元々の配列と100%同一である。表43〜46を参照されたい。CG53135−04でのアラインメントを、表47でのClustalWに示す。アセンブリーの最初の3アミノ酸残基および最後の3アミノ酸残基は、サブクローニングの目的のためのプライマーに加えられた制限酵素部位由来である。白またはグレーの背景を有する異なるアミノ酸に注意し、欠損/挿入アミノ酸を、その位置でコードしない配列中の破線により検出され得る。
【0430】
表43.クローン配列
【表48】
【0431】
表44.クローン配列
【表49】
【0432】
表45.CG53135−04のビューDNA配列解析
【表50】
【0433】
表46.250059669のビューDNA配列解析
【表51】
【0434】
表47.ClustalWアラインメント
【表52】
【0435】
(相当発明)
本発明の特別な実施例の上述の詳細な記載から、特定の新規組成物および記載した核酸、ポリペプチド、抗体、検出および処置を含む方法が明らかである。これらの特定の実施態様は本明細書において開示されたが、このことは例示のみを目的とする実施例によりなされ、以下の添付請求項の範囲に関して制限することを意図するものではない。特に、様々な置換、変更、および修飾が、請求項により定義されるように本発明の要旨を逸脱しないで当業者にとって日課として行われ得ることは、本発明者により意図される。実際、本明細書において記載したものに加えて、本発明の様々な修飾が、上述の記載および添付の図から当業者にとって明らかである。かかる修飾は、添付請求項の範囲内にあることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0436】
【図1】図1は、FGF−CXのウエスタン分析を示す。
【図2】図2は、293細胞により分泌されたFGF−CXタンパク質のウエスタン分析を示す。
【図3】図3は、E.coli細胞において発現させたFGF−CX(配列番号:2)タンパク質のウエスタン分析を示す。
【図4−A】図4−Aは、FGF−CX特異的TaqMan試薬を用いたリアルタイム定量的PCRにより得たFGF−CXの発現分析である。正常ヒト組織試料由来の標準化RNAの結果をパネルAに示す。
【図4−B】図4−Bは、FGF−CX特異的TaqMan試薬を用いたリアルタイム定量的PCRにより得たFGF−CXの発現分析である。腫瘍細胞株由来の標準化RNAの結果をパネルBに示す。
【図4−C】図4−Cは、FGF−CX特異的TaqMan試薬を用いたリアルタイム定量的PCRにより得たFGF−CXの発現分析である。手術で直接的に得た腫瘍組織を用いて得た結果を、パネルCに示す。
【図4−D】図4−Dは、FGF−CX特異的TaqMan試薬を用いたリアルタイム定量的PCRにより得たFGF−CXの発現分析である。手術で直接的に得た腫瘍組織を用いて得た結果を、パネルDに示す。
【図5−A】図5−Aは、DNA合成への作用により表される、組換えFGF−CXの生物学的活性を表示する。
【図5−B】図5−Bは、DNA合成への作用により表される、組換えFGF−CXの生物学的活性を表示する。
【図5−C】図5−Cは、DNA合成への作用により表される、組換えFGF−CXの生物学的活性を表示する。
【図6】図6は、細胞成長への作用により表される組換えFGF−CXの生物学的活性を表示する。
【図7】図7は、細胞形態への作用により表される組換えFGF−CXの生物学的活性である。
【図8】図8は、FGF−CXの腫瘍化活性を表すグラフである。
【図9】図9は、FGF−CX構築物で安定的に形質移入したNIH3T3細胞を皮下組織へ注入された対照胸腺欠損ヌードマウスおよび胸腺欠損ヌードマウスの写真である。
【図10】図10は、還元条件下および非還元条件下で調整されたFGF−CXの精製試料のクーマシーブルー染色したSDS−PAGEゲルのイメージである。
【図11】図11は、786−0ヒト腎臓腺癌細胞を用いて実行した投与量タイトレーション実験の結果を提供する。
【図12】図12は、インビトロでの病巣の形成を示す。
【図13】図13は、FGF−CXの受容体結合特異性を評価する実験の結果を示す。
【図14】図14は、プラスミドpET24a−FGF20X−del154コドンをE.coli菌株BL21(DE3)で発現させた場合に得たアルギニン上清のクーマシーブルー染色SDS−PAGEゲルのイメージを示す。
【図15】図15は、全長FGF−CXと比較して、DNA合成への作用により表す組換えFGF−CXの切断型の生物学的活性を示す。
Claims (65)
- a)配列番号:2により与えられるアミノ酸配列;
b)選択された配列において特定される任意のアミノ酸が配列中のアミノ酸残基の15%より多くは変更を受けないという条件で異なるアミノ酸に変更されている、配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の変異体;
c)配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の成熟型;および
d)選択された配列の成熟型の任意のアミノ酸が成熟型の配列中のアミノ酸残基の15%より多くは変更を受けないという条件で異なるアミノ酸に変更されている、配列番号:2により与えられるアミノ酸の成熟型の変異体;および
e)a)からd)において記載されたアミノ酸配列のフラグメント
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド。 - 請求項1に記載のポリペプチドのフラグメント。
- 該ポリペプチドが配列番号:2の天然に存在する対立遺伝子変異体である、請求項1に記載のポリペプチド。
- 変異体が1塩基多型の翻訳物である、請求項3に記載のポリペプチド。
- 該ポリペプチドが変異体ポリペプチドであり、かつ配列番号:2において特定される1またはそれ以上の任意のアミノ酸が変更されて保存的置換を与える、請求項1に記載のポリペプチド。
- a)配列番号:2を含むポリペプチド;
b)選択された配列において特定された任意のアミノ酸が配列中のアミノ酸残基の15%より多くは変更を受けないという条件で、異なるアミノ酸に変更されている、配列番号:2の変異体;
c)配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の成熟型;および
d)選択された配列の成熟型の任意のアミノ酸が成熟型の配列中のアミノ酸残基の15%より多くは変更を受けないという条件で異なるアミノ酸に変更されている、配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の成熟型の変異体;
e)a)からd)において記載されたアミノ酸配列のフラグメント;および
f)a)からe)において記載された任意の核酸分子の相補的配列(complement)
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコード化する核酸配列を含む単離核酸分子。 - 核酸分子が天然に存在する対立遺伝子核酸の変異体のヌクレオチド配列を含む、請求項6に記載の核酸分子。
- 該核酸分子が天然に存在するポリペプチドの変異体のポリペプチド配列を有する変異体ポリペプチドをコード化する、請求項6に記載の核酸分子。
- 核酸分子が該変異体ポリペプチドをコード化する1塩基多型を含む、請求項6に記載の核酸分子。
- 該核酸分子が、
a)配列番号:1により与えられるヌクレオチド配列;
b)配列番号:1により与えられるヌクレオチド配列中の1またはそれ以上のヌクレオチドが、ヌクレオチドの20%より多くは変更を受けないという条件で、選択された配列により与えられるものから異なるヌクレオチドに変更されている、ヌクレオチド配列;
c)a)において記載された配列の核酸フラグメント;
d)b)において記載された配列の核酸フラグメント;および
e)任意の該核酸分子の相補的分子(complement)、
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項6に記載の核酸分子。 - 核酸分子が、選択されたヌクレオチド配列のコード配列において特定された任意のヌクレオチドが選択されたコード配列中のヌクレオチドの20%より多くは変更を受けないという条件で、選択された配列により与えられるものから異なるヌクレオチドに変更されているヌクレオチド配列を含む、請求項6に記載の核酸分子。
- FGF−CXポリペプチドのフラグメントをコード化する単離核酸分子。
- 該FGF−CXポリペプチドが配列番号:2の変異体である、請求項12に記載の核酸分子。
- 該FGF−CXポリペプチドが、成熟FGF−CXポリペプチドである、請求項12に記載の核酸分子。
- 該FGF−CXポリペプチドが配列番号:2の成熟型の変異体である、請求項12に記載の核酸分子。
- 請求項6に記載の核酸分子を含むベクター。
- 請求項16に記載のベクターを含む細胞。
- (a)配列番号:2により与えられるアミノ酸配列;(b)選択された配列において特定される任意のアミノ酸が配列中のアミノ酸残基の15%より多くは変更を受けないという条件で異なるアミノ酸に変更されている、配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の変異体;(c)配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の成熟型;および(d)選択された配列の成熟型の任意のアミノ酸が成熟型の配列中のアミノ酸残基の15%より多くは変更を受けないという条件で異なるアミノ酸に変更されている、配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の成熟型の変異体;および(e)(a)から(d)において記載されたアミノ酸配列のフラグメント、からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体。
- 該抗体がモノクローナル抗体である、請求項18に記載の抗体。
- 該抗体がヒト化抗体またはヒト抗体である、請求項18に記載の抗体。
- 試料中の(a)配列番号:2により与えられるアミノ酸配列;(b)選択された配列において特定される任意のアミノ酸が配列中のアミノ酸残基の15%より多くは変更を受けないという条件で異なるアミノ酸に変更されている、配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の変異体;(c)配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の成熟型;および(d)選択された配列の成熟型の任意のアミノ酸が成熟型の配列中のアミノ酸残基の15%より多くは変更を受けないという条件で異なるアミノ酸に変更されている、配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の成熟型の変異体;および(e)(a)から(d)において記載されたアミノ酸配列のフラグメント、からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドの存在または量を測定する方法であって、方法が:
(i)試料を用意すること;
(ii)試料をポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体と接触させること;および
(iii)該ポリペプチドに結合する抗体の存在または量を測定すること、
それにより、該試料中のポリペプチドの存在または量を測定すること、を含む方法。 - 試料中の請求項6に記載の核酸分子の存在または量を測定する方法であって、方法が:
(i)試料を用意すること;
(ii)試料を該核酸分子に結合するプローブと接触させること;および
(iii)該核酸分子に結合するプローブの存在または量を測定すること、
それにより、該試料中の核酸分子の存在または量を測定すること、を含む方法。 - (a)配列番号:2により与えられるアミノ酸配列;(b)選択された配列において特定される任意のアミノ酸が配列中のアミノ酸残基の15%より多くは変更を受けないという条件で異なるアミノ酸に変更されている、配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の成熟型の変異体;(c)配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の成熟型;および(d)選択された配列の成熟型の任意のアミノ酸が成熟型の配列中のアミノ酸残基の15%より多くは変更を受けないという条件で異なるアミノ酸に変更されている、配列番号:2により与えれるアミノ酸配列の成熟型の変異体;および(e)(a)から(d)において記載されたアミノ酸配列のフラグメント、からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドに結合する作用物質を同定する方法であって、方法が:
(i)該ポリペプチドを候補物質と接触させること;および
(ii)該候補物質が該ポリペプチドに結合するか否かを決定すること;
ここで結合する候補物質が作用物質であること、を含む方法。 - 候補物質が約1500Da以下の分子量を有する、請求項23に記載の方法。
- (a)配列番号:2により与えられるアミノ酸配列;(b)選択された配列において特定される任意のアミノ酸が配列中のアミノ酸残基の15%より多くは変更を受けないという条件で異なるアミノ酸に変更されている、配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の変異体;(c)配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の成熟型;および(d)選択された配列の成熟型の任意のアミノ酸が成熟型の配列中のアミノ酸残基の15%より多くは変更を受けないという条件で異なるアミノ酸に変更されている、配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の成熟型の変異体;および(e)(a)から(d)において記載されたアミノ酸配列のフラグメント、からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドの活性を調節する方法であって、ポリペプチドをポリペプチドの活性を調節するのに十分な量でポリペプチドに結合する化合物と接触させることを含む、方法。
- 病変の処置において有用な潜在的治療物質を同定する方法であって、当該病変が、(a)配列番号:2により与えられるアミノ酸配列;(b)選択された配列において特定される任意のアミノ酸が配列中のアミノ酸残基の15%より多くは変更を受けないという条件で異なるアミノ酸に変更されている、配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の変異体;(c)配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の成熟型;および(d)選択された配列の成熟型の任意のアミノ酸が成熟型の配列中のアミノ酸残基の15%より多くは変更を受けないという条件で異なるアミノ酸に変更されている、配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の成熟型の変異体;および(e)(a)から(d)において記載されたアミノ酸配列のフラグメント、からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドの異常発現、異常プロセッシング、または異常生理的相互作用に関連し、方法が
(i)ポリペプチドを発現しかつポリペプチドに基づく性質または機能を有する細胞を用意すること;
(ii)(i)において用意された細胞を試験物質と接触させること;および
(iii)試験物質がポリペプチドに基づく性質または機能を変えるか否か決定すること;
それにより、試験物質の存在下で観察されるポリペプチドの性質または機能の変化が、試験物質が潜在的治療物質であることを示すこと、を含む方法。 - さらに潜在的治療物質を該物質が治療物質であることを同定するための付加試験に付することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
- 候補物質が抗体であるか、または約1500Da以下の分子量を有する、請求項26に記載の方法。
- 性質または機能が細胞成長または細胞増殖を含む、請求項26に記載の方法。
- 試験物質がポリペプチドに結合する、請求項29に記載の方法。
- 請求項26に記載の方法により同定される治療物質。
- 請求項27に記載の方法を用いて同定される治療物質。
- 物質が、抗体であるか、または約1500Da以下の分子量を有する、請求項31に記載の治療物質。
- アミノ酸配列を含む単離ポリペプチドと関連する疾患を処置または予防する方法であって;
該アミノ酸配列が、(a)配列番号:2により与えられるアミノ酸配列;(b)選択された配列において特定される任意のアミノ酸が配列中のアミノ酸残基の15%より多くは変更を受けないという条件で異なるアミノ酸に変更されている、配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の変異体;(c)配列番号:2により与えられるアミノ酸の成熟型;および(d)選択された配列の成熟型の任意のアミノ酸が成熟型の配列中のアミノ酸残基の15%より多くは変更を受けないという条件で異なるアミノ酸に変更されている、配列番号:2により与えられるアミノ酸の成熟型の変異体;および(e)(a)から(d)において記載されたアミノ酸配列のフラグメント;からなる群から選択され、該疾患が、細胞または組織の不十分な成長または役に立たない成長により特徴付けられ、該方法が、該対象中の該ポリペプチド関連疾患を処置または予防するのに十分な量および持続時間で対象に該ポリペプチドを投与することを含み、対象は、疾患の傾向があるか、または疾患を病んでいると思われる、方法。 - 該対象がヒトである、請求項34に記載の方法。
- 単離ポリペプチドの異常発現、異常プロセッシング、または異常生理的相互作用と関連する疾患を処置または予防する方法であって、該単離ポリペプチドが、(a)配列番号:2により与えられるアミノ酸配列;(b)選択された配列において特定される任意のアミノ酸が、配列中のアミノ酸残基の15%より多くは変更を受けないという条件で異なるアミノ酸に変更されている、配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の変異体;(c)配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の成熟型;および(d)選択された配列の成熟型の任意のアミノ酸が成熟型の配列中のアミノ酸残基の15%より多くは変更を受けないという条件で異なるアミノ酸に変更さている、配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の成熟型の変異体;および(e)a)からd)において記載されたアミノ酸配列のフラグメントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含み;
疾患は細胞または組織の不十分な成長または役に立たない成長により特徴づけられ、該方法は、(e)配列番号:2を含むポリペプチド;(f)選択された配列中において特定される任意のアミノ酸が、配列中のアミノ酸残基の15%より多くは変更を受けないという条件で、異なるアミノ酸に変更されている、配列番号:2の変異体;(g)配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の成熟型;および(h)選択された配列の成熟型の任意のアミノ酸が、成熟型の配列中のアミノ酸残基の15%より多くは変更を受けないという条件で、異なるアミノ酸に変更されている、配列番号:2により与えられるアミノ酸配列の成熟型の変異体;(i)(e)から(h)において記載されたアミノ酸配のフラグメント;および(j)(e)から(i)において記載された任意の核酸分子の相補的分子(complement)、からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコード化する核酸配列を含む単離核酸分子を、該対象において該疾患を処置または予防するのに十分な量で、または持続時間で対象に投与することを含み、対象は疾患の傾向があるか、または疾患を病んでいると思われる、方法。 - 該対象がヒトである、請求項36に記載の方法。
- 請求項1に記載のポリペプチドの異常発現、異常プロセッシング、または異常生理的相互作用と関連する疾患を処置または予防する方法であって、疾患が細胞または組織の過形成または異常増殖により特徴付けられ、該方法が該対象における該疾患を処置または予防するのに十分な量で治療薬を対象に投与することを含み、対象が疾患の傾向があるか、または疾患を病んでいると思われる、方法。
- 治療薬が請求項18に記載の抗体である、請求項38に記載の方法。
- 対象がヒトである、請求項38に記載の方法。
- 請求項1に記載のポリペプチドおよび医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
- 請求項6に記載の核酸分子および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
- 請求項18に記載の抗体および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
- 請求項31に記載の治療物質および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
- 治療物質が約1500Da以下の分子量を有する、請求項44に記載の医薬組成物。
- 請求項41に記載の医薬組成物を、1またはそれ以上の容器内に含むキット。
- 請求項42に記載の医薬組成物を、1またはそれ以上の容器内に含むキット。
- 請求項43に記載の医薬組成物を、1またはそれ以上の容器内に含むキット。
- 請求項1に記載のポリペプチドの異常発現、異常プロセッシング、または異常生理的相互作用と関連する疾患の潜在活性または素因のモジュレーターをスクリーニングする方法であって、該方法は:
a)疾患のリスクの増大した被検動物を用意すること、該被検動物は、請求項1に記載のポリペプチドを組変え的に発現する;
b)試験化合物を被検動物に投与すること;
c)段階(a)の化合物を投与後の該被検動物中の該ポリペプチドの活性を測定すること;および
d)該被検動物中の該タンパク質の活性を、該化合物を投与されていない対照動物中の該ポリペプチドの活性と比較すること;
該対照動物と比べた該被検動物中の該ポリペプチドの活性の変化は、試験化合物が疾患の潜在活性または素因のモジュレーターであることを示す、ことを含む方法。 - 該被検動物が、試験タンパク質導入遺伝子を発現するか、または野生型被検動物と比較して増大したレベルのプロモーターの制御下で該導入遺伝子を発現する組換え被検動物であり、該プロモーターは該導入遺伝子の天然の遺伝子プロモーターでない、請求項49に記載の方法。
- 第1の対象中の請求項1に記載のポリペプチドの変化レベルと関連する疾病の存在または素因を測定する方法であって、方法は:
a)第1の哺乳動物対象由来の試料中のポリペプチドの発現レベルを測定すること;および
b)段階(a)の試料中の該ポリペプチドの量を、該疾病を有さない、または素因を有さないと知られている第2の哺乳動物対象由来の対照試料に存在するポリペプチドの量と比較すること、
対照試料と比較して第1の対象中のポリペプチドの発現レベルの変化は、該疾病の存在または素因を示す、ことを含む方法。 - 第1の哺乳動物対象中の請求項6に記載の核酸分子の変化したレベルと関連する疾病の存在または素因を決定する方法であって、方法は:
a)第1の哺乳動物対象由来の試料中の核酸の量を測定すること;および
b)段階(a)の試料中の核酸の量を、疾病を有さない、または素因を有さないことが知られている第2の哺乳動物対象由来の対照試料において存在する核酸の量と比較すること;
対照試料と比較したときの第1の対象中の核酸のレベルの変化は、疾病の存在または素因を示す、ことを含む方法。 - 哺乳動物における病態を処置する方法であって、病変が請求項1に記載のポリペプチドの異常発現、異常プロセッシング、または異常生理相互作用と関連し、方法が病態を緩和するのに十分な量で哺乳動物にポリペプチドを投与することを含み、ポリペプチドは配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドに少なくとも95%同一なアミノ酸配列、またはそれらの生物学的に活性なフラグメントを有するポリペプチドである、方法。
- 哺乳動物の病態を処置する方法であって、病変がFGF−CXポリペプチドの異常発現、異常プロセッシング、または異常生理的相互作用と関連し、病態を緩和するのに十分な量および持続時間で請求項18に記載の抗体を哺乳動物に投与することを含む、方法。
- 対象における細胞の成長を促進する方法であって、細胞成長を促進するのに作用する量および持続時間で請求項1に記載のポリペプチドをそれらを必要とする対象に投与することを含む、方法。
- 対象がヒトである、請求項55に記載の方法。
- 成長が促進されるべき細胞が、傷の近くにある細胞、血管系の細胞、血管新生に関与する細胞、赤血球新生に関与する細胞、消化管の内壁にある細胞、および毛包にある細胞からなる群から選択される、請求項55に記載の方法。
- 対象中の細胞の成長を阻害する方法であって、成長が、請求項1に記載のポリペプチドの発現と関連し、該対象中の細胞の成長を阻害するのに十分な量で対象に組成物を投与することを含む、方法。
- 組成物がFGF−CXポリペプチドの切断を阻害する、請求項58に記載の方法。
- 組成物が抗FGF−CX抗体またはFGF−CX治療物質を含む、請求項58に記載の方法。
- 対象がヒトである、請求項58に記載の方法。
- 成長が阻害されるべき細胞が、形質転換細胞、過形成細胞、腫瘍細胞、および腫瘍性細胞からなる群から選択される、請求項58に記載の方法。
- フラグメントが配列番号:2の残基55〜211および配列番号:2の残基24〜211からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項2に記載のポリペプチドフラグメント。
- 核酸分子が、配列番号:2の残基55〜211および配列番号:2の残基24〜211からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドフラグメントをコード化する核酸配列を含む、請求項6に記載の単離核酸分子。
- 核酸配列が配列番号:1のヌクレオチド163〜633および配列番号:1のヌクレオチド70〜633からなる群から選択される配列を含む、請求項10に記載の核酸分子。
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