JP2005500001A - 単離ヒトトランスポータータンパク、ヒトトランスポータータンパクをコード化する核酸分子、及びその使用 - Google Patents

単離ヒトトランスポータータンパク、ヒトトランスポータータンパクをコード化する核酸分子、及びその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、本発明にかかるトランスポーターペプチドであるヒトゲノム中の遺伝子によりコード化されるペプチドのアミノ酸配列を提供する。特に本発明は、単離ペプチドと核酸分子、トランスポーターペプチドのオルソログとパラログを特定する方法、及びトランスポーターペプチドの変調剤を特定する方法を提供する。

Description

【0001】
関連出願
本出願は、2000年9月11日付け出願のU.S. Serial No.60/231,572、及び2001年9月11日付け出願のU.S. Serial No.09/949,654の優先権を主張するものである。
【0002】
技術分野
本発明は、グルタミン酸受容体サブファミリーに関連するトランスポータータンパク、組換え体DNA分子、及びタンパク製造に関する。特に本発明は、リガンド輸送をもたらす新規なペプチドとタンパク、及び該ペプチド及びタンパク分子をコード化する核酸分子を提供し、それらのすべてはヒト治療と、診断薬組成物、診断方法の発展のために有益である。
【0003】
背景技術
トランスポーター
トランスポータータンパクは、細胞の内外においてイオンや高分子等の分子の流れを調節し、細胞増殖、分化、及びシグナルプロセスを含む細胞の多種の機能を調整している。トランスポーターは、真核生物の生体において、事実上すべての細胞の原形質膜中に見られる。トランスポーターは、膜電位の調節、及び細胞膜を透過する分子とイオンの吸収と分泌を含む種々の細胞機能を媒介している。また、塩化物チャンネル等のトランスポーターは、ゴルジ装置及びエンドサイト−シス小胞の細胞内膜に存在する時には、細胞小器官のpHを調節する。論評としては、Greger, R. (1988) Annu. Rev. Physiol. 50:111−122を参照。
【0004】
トランスポーターは、一般に構造及び作用形態により分類される。さらに、トランスポーターは、例えば糖トランスポーター、塩素チャンネル、カリウムチャンネル等、輸送される分子の種類により分類されることもある。単一種類の分子を輸送するチャンネルには多くの種類がある(チャンネルタイプの詳細な論評は、Alexander, S.P.H. and J.A. Peters: Receptor and transporter nomenclature supplement. Trends Pharmacol. Sci., Elsevier, pp. 65−68 (1997)に見られる)。
下記の一般的な分類体系は当技術において公知であり、本発明においても準拠されている。
【0005】
1.チャンネルタイプトランスポーター。この種類の貫膜チャンネルタンパクは、細菌から高級真核生物まですべての生物膜のいたるところに見られる。このタイプの輸送システムは、貫膜水孔又はチャンネルを通ることにより、キャリヤー媒介なしに、(エネルギー独立工程により)促通拡散を触媒する。これらのチャンネルタンパクは、通常大部分はa−ヘリカルスパナからなるが、b−ストランドも存在し、チャンネルを形成することもある。しかしながら、外膜ポーリン−タイプチャンネルタンパクは、この種類から除外され、代わりにクラス9に含まれる。
【0006】
2.キャリヤータイプトランスポーター。単輸送(単一種が、促通拡散により輸送される)、対向輸送(2種以上が固く結合された工程において逆方向に輸送されるが、化学浸透エネルギー以外のエネルギーの直接的な形態は連結されない)、及び/又は共輸送(2種以上が堅く結合された工程において同方向に輸送されるが、化学浸透エネルギー以外のエネルギーの直接的な形態は連結されない)を触媒するために、キャリヤー媒介工程を利用する場合、輸送システムはこの種類に含まれる。
【0007】
3.ピロリン酸結合加水分解による能動性トランスポーター。溶質の能動的な吸収及び/又は排出を誘導するために、ATP又は別のヌクレオシド三リン酸において、ピロリン酸又は末端ピロリン酸結合を加水分解する場合、輸送システムはこの種類に含まれる。
【0008】
4.PEP−従属、リン酸基転移によるグループのトランスポーター。細菌のホスホエノールピルビン酸の輸送システム:糖リン酸基転移酵素システムは、この種類に含まれる。細胞外糖に由来する反応生成物は、細胞質の糖リン酸塩である。
【0009】
5.脱炭酸による能動性トランスポーター。細胞質基質の脱炭酸により、溶質(例えばイオン)の吸収又は排出を誘導する輸送システムは、この種類に含まれる。
【0010】
6.酸化還元による能動性トランスポーター。還元基質から酸化基質への電子の流れによりエネルギーを得た溶質(例えばイオン)の輸送を誘導する輸送システムは、この種類に含まれる。
【0011】
7.光による能動性トランスポーター。溶質(例えばイオン)の輸送を誘導するために光エネルギーを利用する輸送システムは、この種類に含まれる。
8.機械による能動性トランスポーター。電気化学勾配の膜を通じてイオン(又は他の溶質)の流れを許容し、細胞又は細胞小器官の動きを誘導する輸送システムは、この種類に含まれる。
【0012】
9.外膜ポーリン(b−構造)。これらのタンパクは、通常、膜を透過する溶質のエネルギー独立輸送を許容する貫膜細孔又はチャンネルを成形する。これらのタンパクの貫膜部分は、b−バレルを成形するb−ストランドのみから成る。これらのポーリンタイプタンパクは、グラム陰性菌、ミトコンドリア、及び真核生物の色素体の外膜に見られる。
【0013】
10.メチルトランスフェラーゼによる能動性トランスポーター。一つのタンパク(Na輸送メチルテトラヒドロメタノプテリン:補酵素Mメチルトランスフェラーゼ)が、現在この種類に分類される。
【0014】
11.非リボソーム合成チャンネル形成ペプチド又はペプチド様分子。通常これらの分子は、乳酸塩等の他の小分子構築ブロックだけでなく、L−及びD−アミノ酸の鎖であり、オリゴマーの貫膜イオンチャンネルを形成する。電圧は、貫膜チャンネルの集合を促進してチャンネル形成を誘導しうる。これらのペプチドは、しばしば生物戦の媒介として細菌と菌類により作られる。
【0015】
12.非タンパク性輸送複合体。タンパク又はペプチドから成っていない、あるいはタンパク又はペプチドに由来しない生物膜のイオン伝達物質は、この種類に分類される。
【0016】
13.配列データがなく、機能的に特徴付けられるトランスポーター。生理学上重要であるが、ファミリー帰属できない特定のトランスポーターは、この種類に含まれる。
【0017】
14.トランスポーターであることが証明されていない推定のトランスポーター。トランスポーターであると推定されているタンパクファミリーは、この番号の下にグループ分けされ、メンバーの輸送機能が証明された時は、他のグループに分類され、提案された輸送機能が反証される時は、TC分類システムから除外される。これらのファミリーは、輸送機能が提案されてはいるが、その機能がまだ証明されていないメンバーを含む。
【0018】
15.補助輸送タンパク。ある方法により、1つ以上の生物膜を透過する輸送を促進するけれども、それ自身は輸送に直接参加しないタンパクは、この種類に含まれる。これらのタンパクは、常に1つ以上の輸送タンパクと連携して機能する。これらは、輸送においてエネルギー共役に関連する機能を提供する、複合体構成において構造的役割を果たす、あるいは調整機能を提供することできる。
【0019】
16.分類が不明であるトランスポーター。分類が不明である輸送タンパクファミリーは、この番号の下にグループ分けされ、輸送工程とエネルギー連結機構が特徴付けられた時には、他のグループに分類される。これらのファミリーは、輸送機能が証明されてはいるが、輸送方法あるいはエネルギー連結機序が知られていない1つ以上のメンバーを含む。
【0020】
イオンチャンネル
トランスポーターの重要なタイプとして、イオンチャンネルがある。イオンチャンネルは、細胞内外でイオンの流れを調節して、多種の細胞増殖、分化、及びシグナリングプロセスを調節する。イオンチャンネルは、真核細胞の生体において、事実上すべての細胞の原形質膜に見られる。イオンチャンネルは、膜電位、及び上皮膜を透過するイオンの吸収と分泌の調節を含む種々の細胞機能を媒介する。ゴルジ装置及びエンドサイト−シス小胞の細胞内膜に存在する時、塩化物チャンネル等のイオンチャンネルは細胞小器官のpHを調節する。論評としては、Greger, R. (1988) Annu. Rev. Physiol. 50:111−122を参照。
【0021】
イオンチャンネルは、一般に構造及び作用形態により分類される。例えば、細胞外リガンドゲートチャンネル(ELG)は、5つのポリペプチドサブユニットを含み、個々のサブユニットは4つの貫膜ドメインを持ち、細胞外リガンドのチャンネルへの結合によって活性化する。さらにチャンネルは、例えば塩素チャンネル、カリウムチャンネル等、輸送されるイオンタイプにより分類されることもある。単一タイプの分子を輸送するチャンネルには、多くの種類が存在しうる(チャンネルタイプの詳細な論評は、Alexander, S.P.H. and J.A. Peters (1997). Receptor and ion channel nomenclature supplement. Trends Pharmacol. Sci., Elsevier, pp. 65−68 及び http://www−biology.ucsd.edu/ ̄msaier/transport/toc.htmlに見られる)。
【0022】
構造に基づいて多くのタイプのイオンチャンネルが存在する。例えば、多くのイオンチャンネルは、以下のグループの1つに分類される:細胞外リガンドゲートチャンネル(ELG)、細胞内リガンドゲートチャンネル(ILG)、内部整流チャンネル(INR)、細胞間(ギャップ結合)チャンネル、及び電圧ゲートチャンネル(VIC)。そこで、イオンタイプ輸送、細胞位置、及び薬剤感受性に基づく他のチャンネルファミリーが付加的に認められている。それらの活性、リガンドタイプ、イオンタイプ、疾患との関連、薬剤能力、及び本発明に関係するその他の情報のそれぞれについての詳細な情報は、当技術においてよく知られている。
【0023】
細胞外リガンドゲートチャンネル(ELG)は、一般に5つのポリペプチドサブユニットを含む (Unwin, N. (1993), Cell 72: 31−41; Unwin, N. (1995), Nature 373: 37−43; Hucho, F., et al., (1996) J. Neurochem. 66: 1781−1792; Hucho, F., et al., (1996) Eur. J. Biochem. 239: 539−557; Alexander, S.P.H. and J.A. Peters (1997), Trends Pharmacol. Sci., Elsevier, pp. 4−6; 36−40; 42−44; and Xue, H. (1998) J. Mol. Evol. 47: 323−333)。各サブユニットは4つの貫膜ドメインを持ち、これはタンパクのELGファミリーにかかる他のメンバーを識別する手段として役立つ。ELGはリガンドと結合し、これに応じてイオンの流れを変調する。ELGの例としては、例えばGABAI受容体等のタンパクの神経伝達物質受容体ファミリーにかかるほとんどのメンバーが含まれる。このファミリーのイオンチャンネルにかかる他のメンバーとしては、グリシン受容体、リアンジン受容体、及びリガンドゲートカルシウムチャンネルが含まれる。
【0024】
電圧ゲートイオンチャンネル(VIC)スーパーファミリー
VICファミリーのタンパクは、様々な細菌、古細菌、及び真核生物に発見されたイオン選択的なチャンネルタンパクである( Hille, B. (1992), Chapter 9: Structure of channel proteins; Chapter 20: Evolution and diversity. In: Ionic Channels of Excitable Membranes, 2nd Ed., Sinaur Assoc. Inc., Pubs., Sunderland, Massachusetts; Sigworth, F.J. (1993), Quart. Rev. Biophys. 27: 1−40; Salkoff, L. and T. Jegla (1995), Neuron 15: 489−492; Alexander, S.P.H. et al., (1997), Trends Pharmacol. Sci., Elsevier, pp. 76−84; Jan, L.Y. et al., (1997), Annu. Rev. Neurosci. 20: 91−123; Doyle, D.A, et al., (1998) Science 280: 69−77; Terlau, H. and W. Stuhmer (1998), Naturwissenschaften 85: 437−444.)。これらは、しばしば、いくつかの異なるサブユニット(例えば、a1−a2−d−b Ca2+チャンネル、ab1b2 Naチャンネル、又は(a)4−b Kチャンネル)を持つ相同又は非相同オリゴマー構造であるが、チャンネル及び主要な受容体は、通常a(又はa1)サブユニットと関連する。Kチャンネルは通常、同型四量体構造から成り、6つの貫膜スパナ(TMS)を持つ個々のa−サブユニットを有する。a1、及びCa2+、Naチャンネルのサブユニットは、それぞれ約4倍の大きさであり、4つのユニットを有し、それぞれが親水性ループにより分離された6つのTMSを持ち、合計24のTMSがある。これらの大きなチャンネルタンパクは、ほとんどのKチャンネルの同型四量体構造と等しい非相同テトラユニット構造を成形する。Ca2+、Naチャンネルの4つのすべてのユニットは、同型四量体Kチャンネルの単一ユニットと相同である。真核細胞チャンネルを通るイオン流速は、ある程度はリガンド又は結合受容体により制御されるが、一般に貫膜電位(電位感応性の指示によって)により制御される。
【0025】
原核生物において、いくつかの推定VICファミリーのK選択的チャンネルタンパクが特定された。それらのうち1つの構造(Streptomyces lividansのKcsA Kチャンネル)は、3.2Åの分解能で解明された。タンパクは4つの同一サブユニットを有し、それぞれは2つの貫膜ヘリックスを持ち、逆円錐型又は円錐形に配置される。円錐は、その外端において「選択的フィルター」Pドメインを選り分ける。チャンネルの残基は幅広く、疎水性残基が並んでいるのに対し、狭い選択的フィルターはほんの12Å長である。水で満たされた大きいキャビティとヘリックス双極子は、孔のKを安定化させる。選択的フィルターは、互いに約7.5Å離れた2つの連結Kイオンを持つ。イオン伝導は、静電的引力及び反発力のバランスに起因すると言われている。
【0026】
真核生物では、各VICファミリーチャンネルタイプは、薬学及び電気生理的データーに基づくいくつかのサブタイプを持つ。従って、Ca2+チャンネルには5タイプ(L、N、P、Q、及びT)がある。Kチャンネルには少なくとも10タイプがあり、それぞれ異なる刺激により異なる反応をする:電圧感応性[Ka、Kv、Kvr、Kvs、Ksr]、Ca2+感応性[BKCa、IKCa、SKCa]、及び受容体結合[KM、KACh]。Naチャンネルには少なくとも6タイプ(I、II、III、μ1、H1、PN3)がある。原核生物及び真核生物の生体由来の四量体チャンネルは、各a−サブユニットは6つというよりも2つのTMSを有することが知られており、これらの2つのTMSは、電圧感応性チャンネルタンパクに見られる6TMSユニットのTMS5及び6と相同である。S.lividansのKcsAは、そのような2つのTMSチャンネルタンパクの例である。これらのチャンネルは、酵母のTok1 Kチャンネル、マウスのTWIK−1内整流Kチャンネル、及びマウスのTREK−1 Kチャンネル等の遠く関連したチャンネルだけでなく、KNa(Na活性)、及びKVol(細胞容量感応性)Kチャンネルも含まれうる。VICファミリーのタンパクとの配列類似が不十分であるため、Pドメイン及び2つの隣接TMSを有する内整流KIRKチャンネル(ATP調節;Gタンパク活性)は別個のファミリーに分類される。しかしながら、P領域での実質的な配列類似は、それらが相同であることを示唆する。VICファミリーメンバーのb、g、及びdサブユニットが存在する時、頻繁に、チャンネル活性化/非活性化において調整の役割を果たす。
【0027】
上皮Na チャンネル(ENaC)ファミリー
ENaCファミリーは、24以上の連続したタンパクから成る (Canessa, C.M., et al., (1994), Nature 367: 463−467, Le, T. and M.H. Saier, Jr. (1996), Mol. Membr. Biol. 13: 149−157; Garty, H. and L.G. Palmer (1997), Physiol. Rev. 77: 359−396; Waldmann, R., et al., (1997), Nature 386: 173−177; Darboux, I., et al., (1998), J. Biol. Chem. 273: 9424−9429; Firsov, D., et al., (1998), EMBO J. 17: 344−352; Horisberger, J.−D. (1998). Curr. Opin. Struc. Biol. 10: 443−449)。すべては動物由来であり、他の真核生物又は細菌には識別可能な相同体がない。脊椎動物の上皮細胞由来のENaCタンパクは、系統樹において堅く群生する:また、電圧非感応性ENaC相同は脳に見られる。Degenerinsを含む11の連続線虫タンパクは、互いに関連するだけでなく脊椎動物のタンパクとも遠く関連する。これらのタンパクのうち少なくともいくつかは、感触感応性のために機械的−変換複合体の一部を成形する。相同ヘリックスaspersa(FMRF−アミド)活性Naチャンネルは、連続した最初のペプチド神経伝達物質ゲートイオン向性受容体である。
【0028】
このファミリーのタンパクメンバーは、それぞれ細胞内のN−及びC−末端、2つの両親媒性貫膜スパニング部分、及び大きな細胞外ループと同じ明白な形態をすべて示す。細胞外ドメインは、多くの高く維持されたシステイン残基を含む。それらは受容体機能を提供するといわれている。
【0029】
哺乳動物ENaCは、Naバランスの維持及び血圧の調節のために重要である。3つの相同のENaCサブユニット、α、β、及びγは、Na高選択性チャンネルを成形するために集まることが明らかにされた。3つのサブユニットの化学量論は、相同四量体構造のα2、β1、γ1である。
【0030】
塩化物チャンネル(ClC)ファミリー
ClCファミリーは、グラム陰性菌、グラム陽性菌、ラン藻、古細菌、酵母、植物、及び動物由来の数十の連続タンパクから成る大きなファミリーである (Steinmeyer, K., et al., (1991), Nature 354: 301−304; Uchida, S., et al., (1993), J. Biol. Chem. 268: 3821−3824; Huang, M.−E., et al., (1994), J. Mol. Biol. 242: 595−598; Kawasaki, M., et al, (1994), Neuron 12: 597−604; Fisher, W.E., et al., (1995), Genomics. 29:598−606; and Foskett, J.K. (1998), Annu. Rev. Physiol. 60: 689−717)。これらのタンパクは実質的にいたるところにあるが、ヘモフィールスインフルエンザ、マイコプラズマ感染症、及びマイコプラズマ肺炎のゲノム内ではコード化されない。連続タンパクは、395のアミノアシル残基(M. jannaschii)から988の残基(man)まで様々なサイズである。いくつかの生物は複数のClCファミリーパラログを含む。例えば、ラン藻類は、1つが長さの451残基長、他方が899残基長を持つ2つのパラログを有する。シロイスナズナは、4つ以上の連続パラログ(775−792 残基)を持ち、ヒトは5つ以上の連続パラログ(820−988 残基)を持ち、 線虫は5つ以上の連続パラログ(810−950 残基)を持つ。哺乳動物には、9つの公知メンバーが存在し、対応した遺伝子の3つの変異は、ヒトの疾患を引き起こす。大腸菌、メタン細菌、及び出芽酵母は、それぞれ1つのClCファミリーメンバーを有するのみである。大きいクロオコッカスパラログを除いて、すべての細菌のタンパクは小さく(395−492残基)、すべての真核生物のタンパクは大きい(687−988残基)。これらのタンパクは、10〜12の推定の貫膜a−ヘリカルスパナ(TMS)を示し、膜にホモ二量体として現れるようである。ファミリーメンバーの1つTorpedo ClC−Oは、1つのサブユニット当たり2つのチャンネルを有するのに対し、他のメンバーは1つのチャンネルのみを持つと言われている。
【0031】
機能的に特徴付けられたのすべてのメンバーは、電圧調節された工程で塩化物を輸送する。これらのチャClCファミリーンネルにより様々な生理学上の機能が提供される(細胞容積調節;膜電位安定;シグナルの形質導入;上皮透過輸送等)。ヒトにおける異なる相同体は、異なるアニオン選択性を示す、すなわちClC4及びClC5は、NO3 > Cl > Br > Iコンダクタンス配列を有するのに対し、ClC3は、I > Cl選択性を有する。ClC4、ClC5チャンネル及びその他は、+20mVより大きい電圧においてのみ、外整流を示す。
【0032】
動物性の内整流 K+ チャンネル(IRK−C)ファミリー
IRKチャンネルは、VICファミリーのチャンネルタンパクに特有のPドメイン、及び2つの連続貫膜スパナのみで「最小のチャンネル形成構造」を有する (Shuck, M.E., et al., (1994), J. Biol. Chem. 269: 24261−24270; Ashen, M.D., et al., (1995), Am. J. Physiol. 268: H506−H511; Salkoff, L. and T. Jegla (1995), Neuron 15: 489−492; Aguilar−Bryan, L., et al., (1998), Physiol. Rev. 78: 227−245; Ruknudin, A., et al., (1998), J. Biol. Chem. 273: 14165−14171)。これらはホモ又はヘテロオリゴマーとして膜に存在する。これらは、Kを細胞外に流出するよりも流入させる傾向を持つ。電圧依存は、外部K、内部Mg2+、内部ATP、及び/又はG−タンパクによって調節できる。IRKチャンネルのPドメインは、VICファミリーのドメインと同様な限定配列を示したが、この配列類似はホモロジーの確立には不十分である。内整流は、細胞膜電位を設定する役割を果たし、脱分極におけるこれらのチャンネルの閉鎖は長期間の活動電位の発生をプラトー位相によって許容する。内整流は、VICファミリーチャンネル内で本質的な電圧感知ヘリックスがない。Kir1.1a及びKir6.2のあるケースでは、例えば、ABCスーパーファミリーメンバーとの直接的な相互作用は、ATP感受性を含む異側性複合体に、独特の機能的な及び規定の特性を与えるよう提案された。SUR1 スルフォニル尿素受容体(spQ09428)は、ATPに対応してKir6.2チャンネルを調節するABCタンパクであり、CFTRはKir1.1aを調節できる。SUR1での変異は、膵臓においてインスリン分泌が調整されないことに特徴付けられる常染色体劣勢障害である、幼少時の家族性高インシュリン性低血糖(PHHI)の原因である。
【0033】
ATPゲート陽イオンチャンネル(ACC)ファミリー
ACCファミリーのメンバー(P2X受容体とも呼ばれる)は、ATP(エキソサイトーシスにより多くのタイプの神経細胞から解放された機能的な神経伝達物質)に反応する (North, R.A. (1996), Curr. Opin. Cell Biol. 8: 474−483; Soto, F., M. Garcia−Guzman and W. Stuhmer (1997), J. Membr. Biol. 160: 91−100)。これらは、薬学的特性に基づき7グループ(P2X1〜P2X7)に分類された。神経細胞−神経細胞、及び神経細胞−平滑筋接合点で機能するこれらのチャンネルは、血圧及び痛感の制御において役割を果たす。また、これらはリンパ球及び血小板の生理学において機能しうる。これらは動物にのみ見られる。
【0034】
ACCファミリーのタンパクは配列(>35%同一性)で完全に類似であるが、主にC−末端ドメインに偏在し、サブユニット当たり380〜1000アミノアシル残基長の変動性を有する。それらは2つの貫膜スパナ(1つはそれらのN−末端から約30〜50残基、もう1つは320〜340残基付近)を有する。これらの2つのスパナ(約270の残基の)間の細胞外受容体ドメインは、多くの維持されたグリシル、システリル残基により、よく維持される。親水性のC−末端は、25〜240残基長に変化する。それらは形態が類似の上皮Naチャンネル(ENaC)タンパクと似ており、(a) 細胞内に偏在するN−末端、C−末端、 (b) 2つの推定の貫膜スパナ、(c)大きな細胞外ループドメイン、及び (d)多くの維持細胞外システイル残基を有する。しかし、ACCファミリーメンバーはそれらと明白に相同ではない。ACCチャンネルは、おそらく、ヘテロ−又はホモ多量体であり、小さな一価陽イオン(Me)を輸送する。Ca2+も輸送するものもある;小さい代謝産物も輸送するものもある。
【0035】
リアノジン イノシトール 1,4,5− 三リン酸受容体 Ca2+ チャンネル( RIR−CaC )ファミリー
リアノジン(Ry)感応性、及びイノシトール1、4、5−三リン酸(IP3)−感応性Ca2+放出チャンネルは、動物性細胞の細胞内貯蔵部位からのCa2+の放出において機能し、様々なCa2+依存生理学的工程を調節する (Hasan, G. et al., (1992) Development 116: 967−975; Michikawa, T., et al., (1994), J. Biol. Chem. 269: 9184−9189; Tunwell, R.E.A., (1996), Biochem. J. 318: 477−487; Lee, A.G. (1996) Biomembranes, Vol. 6, Transmembrane Receptors and Channels (A.G. Lee, ed.), JAI Press, Denver, CO., pp 291−326; Mikoshiba, K., et al., (1996) J. Biochem. Biomem. 6: 273−289)。Ry受容体は、主に筋肉細胞筋小胞体(SR)膜に存在し、IP3受容体は、主に脳神経細胞小胞体(ER)膜に存在し、チャンネルの活性化(開口)において細胞質にCa2+の放出をもたらす。
【0036】
Ry受容体は、ジヒドロピリジン−官能性Ca2+チャンネルの活性の結果として、活性化される。後者は電圧感応性イオンチャンネル(VIC)ファミリーのメンバーである。ジヒドロピリジン−感応性チャンネルは、筋肉組織のT管系に存在する。
Ry受容体は相同四量体複合体であり、個々のサブユニットは500000ドルトン以上の分子サイズ(約5000のアミノアシル残基)を持つ。それらは、6つの推定の貫膜a−ヘリカルスパナ(TMS)を持つC−末端ドメインを有する。推定の細孔形成配列は、VICファミリーメンバーのために提案されるように、5番目と6番目のTMS間に起こる。大きなN−末端親水性ドメイン及び小さなC−末端親水性のドメインは、細胞質に偏在する。低解像度3次元構造データが入手可能である。哺乳動物は、おそらく哺乳動物種の分岐以前に遺伝子複写と分岐により生じた3つ以上のイソ型を有する。相同はヒトと線虫に存在する。
【0037】
IP3受容体はRyと多くの点で似ている。(1)同型四量体の複合体であり、300000ダルトン以上の分子のサイズを持つ個々のサブユニット(約2700のアミノアシル残基)を有する点。(2)Ry受容体と相同なC−末端チャンネルドメインを有する点。(3)チャンネルドメインは、6つの推定のTMS、及びTMS 5と6の間の領域に並ぶ推定のチャンネルを有する点。(4)大きなN−末端ドメイン及び小さなC−末端尾部の両方が、細胞質に面している点。(5)チャンネルドメインの細胞質外ループに共有結合した炭水化物を有する点。(6)哺乳動物において、異なる調節を受け、異なる組織分配を有する現在認識されている3つのイソ型(タイプ1、2、及び3)を有する点。
【0038】
IP3受容体は3つのドメインを有する:N−末端IP3−結合ドメイン、中心的な共役又は規定ドメイン、及びC−末端チャンネルドメインである。チャンネルはIP3結合により活性化され、Ry受容体のように、IP3受容体チャンネルの活性は、規定ドメインのリン酸化により調節され、様々なタンパクキナーゼにより触媒される。これらは、脳の様々な細胞タイプの小胞体膜において優位を占めるが、様々な組織由来のいくつかの神経細胞の原形質膜にも見られた。
【0039】
Ry及びIP3受容体のチャンネルドメインは、明白な構造類似を持つにもかかわらず、VICファミリーのタンパクの評価できる配列類似を示さない首尾一貫したファミリーを含む。Ry受容体及びIP3受容体は、RIR−CaCファミリー系統樹に別々に群生する。それら両方はショウジョウバエに相同体を有する。ファミリー系統樹に基づくと、ファミリーはおそらく以下の配列に発展した: (1)遺伝子重複が起こり、無脊椎動物にRy及びIP3受容体が発現した。 (2) 無脊椎動物から脊椎動物が進化した。(3)各受容体の3つのイソ型が、2つの別個の遺伝子重複の結果として生じた。 (4)これらのイソ型は哺乳動物種の分岐以前に哺乳動物に伝達された。
【0040】
細胞小器官塩化物チャンネル(O−ClC)ファミリー
O−ClCファミリーのタンパクは、細胞内膜に見られるが、動物細胞の原形質膜には見られない電圧感応性の塩化物チャンネルである(Landry, D, et al., (1993), J. Biol. Chem. 268: 14948−14955; Valenzuela, Set al., (1997), J. Biol. Chem. 272: 12575−12582; and Duncan, R.R., et al., (1997), J. Biol. Chem. 272: 23880−23886)。
【0041】
これらは、ツメガエル卵母細胞に発現する時、ヒト核膜、及びミクロソームに対する牛属タンパクに見られるが、原形質膜には見られない。これらのタンパクは、膜電位の調節、及び腎臓での上皮透過イオン吸収及び分泌において機能すると考えられる。これらは、細胞質のN−末端、C−末端、及びグリコシル化されているかもしれない大きな管腔ループを持つ2つの推定の貫膜a−ヘリカルスパナ(TMS)を有する。牛属タンパクは437アミノアシル残基長であり、223−239及び367−385位置に2つの推定のTMSを有する。ヒトの核タンパクはずっと小さい(241残基)。線虫の相同は260残基長である。
【0042】
神経伝達物質受容体のグルタミン酸ゲートイオンチャンネル( GIC )ファミリー
GICファミリーのメンバーは、5つの各サブユニットが800−1000アミノアシル残基長の相同五量体複合体である (Nakanishi, N., et al, (1990), Neuron 5: 569−581; Unwin, N. (1993), Cell 72: 31−41; Alexander, S.P.H. and J.A. Peters (1997) Trends Pharmacol. Sci., Elsevier, pp. 36−40)。これらのサブユニットは、細胞外に偏在するN−末端(グルタミン酸塩結合ドメイン)、及び細胞質に偏在するC−末端を有する推定のa−ヘリックスとして、膜を3回又は5回スパンする。これらは、リガンドゲートイオンチャンネルと遠く関連することができ、その時には、実質的なb−構造をそれらの貫膜領域に有する。しかしながら、これら2つのファミリー間の相同性は、配列比較のみに基づいて確立することはできない。サブユニットは、a、b、g、d、e、zの6つのサブファミリーに分類される。
【0043】
GICチャンネルは3タイプに分割される: (1)a−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキサゾールプロピオン酸塩(AMPA)−、(2)カイニン酸−、及び (3) N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)−選択的グルタミン酸塩受容体。AMPA及びカイニン酸のサブユニットは、互いに35〜40%の相同性を示し、NMDA受容体のサブユニットは、AMPAのサブユニットに22〜24%の相同性を示す。これらは、大きなN−末端、ペリプラズムグルタミン酸と相同な細胞外グルタミン酸結合ドメイン、及びグラム陰性菌のABCタイプ吸収パーミアーゼのグルタミン酸受容体を有する。公知のGICファミリーメンバーすべては動物由来である。異なるチャンネル(受容体)タイプは、異なるイオン選択性及びコンダクタンス特性を示す。NMDA選択性の高いコンダクタンスチャンネルは、一価の陽イオン及びCa2+をよく透過する。AMPA及びカイニン酸選択性イオンチャンネルは、主として一価の陽イオンをよく透過するが、Ca2+はあまり透過しない。
【0044】
グルタミン酸受容体
本発明のグルタミン酸受容体4はグルタミン酸受容体サブファミリーのメンバーである。イオントロピック(Ionotropic)グルタミン酸受容体(GluR)は、生物学的に活動的なアミンにより操作されたリガンドゲートイオンチャンネルである;これらのポリアミンのうちの1つはグルタミン酸、神経伝達物質である。
【0045】
いくつかのGluRのサブユニットが特定された;シナプス領域においてGluR1、2、3、及び4が、AMPAチャンネルを成形する。GluR5は発達神経において発現される。GluR5はアフリカツメガエル卵母細胞においてホモマーを成形する;in vitroで生成したチャンネルはグルタミン酸に反応するが、不十分である。2つのスプライシングイソ型(flip及びflop)は、これらの受容体のうちのいくつかに記述される。これらのイソ型は、海馬における細胞の種々の群において発現される別個のチャンネルに組み入れられる。
【0046】
グルタミン酸受容体は、α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソオキサゾールプロピオン酸(AMPA)、グルタミン酸、及びカイニットに活性化され(ゲートされ)、及び6,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオン(CNQX)により抑制される。
【0047】
グルタミン酸受容体は中枢神経系において発現される。これらのうちのいくつかは胎児の発達の特定段階に限定され、神経の分化と神経細胞の成熟に関連しうる。GluR受容体は、ホルモン分泌に関連する視床下部において種々の製法を媒介する。
【0048】
競合及び非競合阻害剤はカイニットに由来し、グルタミン酸は、グルタミン酸受容体活性に影響する薬剤として使われうる。GluR活性のモジュレーターのより明らかな臨床上の用途は、憂鬱、慢性神経変性、パーキンソン病、薬剤依存症、及び精神分裂症の苦痛管理と治療である。サブタイプ選択的組成物は、薬理学的研究に特定の関係がある;これらはGluRの特定のタイプの操作を可能にする。新規のGluRは、GluR組成物への私達の理解に貢献し、特定グループの薬剤の発展を可能にする。
【0049】
本発明に関連するグルタミン酸受容体の論評として、以下の参考文献が入手可能である: Keinanen et al., Science 1990 Aug 3;249 (4968):556−60, Bettler et al., Neuron 1990 Nov;5(5):583−95, Sommer et al., Science 1990 Sept 28;249(4976):1580−5, Coquelle et al., Neuroreport 2000 Aug 21;11(12):2643−8, Gonzalez et al., J Endocrinol 2000 Sep;166(3):669−675。
【0050】
トランスポータータンパク、特にグルタミン酸受容体サブファミリーのメンバーは、薬剤作用と発展のための主要な対象である。従って、それは未知な輸送タンパクを識別し特徴付ける調剤開発の分野において貴重である。本発明は、未確認のヒトトランスポータータンパクを提供することにより、技術レベルを進歩させる。
【0051】
発明の概要
本発明は、グルタミン酸受容体サブファミリーと関連するヒトトランスポーターペプチド、タンパクのアミノ酸配列、対立変異体やその他の哺乳動物のオルソログの特定に基づく。これら独特なペプチド配列及びこれらのペプチドをコード化する核酸配列は、ヒト治療対象の発達のモデルとして使用でき、治療タンパクの同定に役立ち、トランスポーターを発現する細胞及び組織におけるトランスポーター活性を調節するヒト治療薬剤開発の対象として役立つ。図1の実験データは、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系での発現を示している。
【0052】
発明の詳細な説明
一般説明
本発明はヒトゲノム配列決定に基づく。ヒトゲノムの配列解析及び構築において、配列情報を分析することにより、当該分野においてトランスポータータンパク又はトランスポータータンパクの一部であると特定されるタンパク/ペプチド/ドメインに、構造及び/又は配列の相同性を有するペプチドをコード化し、グルタミン酸受容体サブファミリーに関連するヒトゲノムの未知のフラグメントが明らかとなった。これらの配列を利用することにより、付加的なゲノム配列が組み立てられ、転写及び/又はcDNA配列は単離され特徴付けられた。この分析に基づき、本発明は、グルタミン酸受容体サブファミリーに関連するヒトトランスポーターペプチド及びタンパクのアミノ酸配列、転写配列型の核酸配列、これらのトランスポーターペプチド及びタンパクをコード化するcDNA配列及び/又はゲノム配列、核酸変異(対立変異体情報)、発現の組織分布、及び本発明のトランスポーターと構造又は配列の相同性を有する近似の公知タンパク/ペプチド/ドメインに関する情報を提供する。
【0053】
本発明において提供されるペプチドは、未知なだけでなく、商業的に重要な製品及びサービスの開発において有用であるかどうかに基づいて選択される。特に、本発明のぺプチドは、グルタミン酸受容体サブファミリーの公知のトランスポータータンパクとの相同性及び/又は構造上の相関、及び観察される発現パターンに基づき選択される。図1の実験データは、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系での発現を示している。この技術は、このタンパクファミリーのメンバー、及び本遺伝子と同様な発現型を持つタンパクのメンバーの、商業的な重要性を明確に確立した。本発明のペプチドのより具体的な機能及びその用途は、本明細書、特に発明の背景、及び図の注釈に説明されており、及び/又は公知のグルタミン酸受容体ファミリー又はトランスポータータンパクのサブファミリーの技術において知られている。
【0054】
具体的な実施例
ペプチド分子
本発明は、タンパクのトランスポーターファミリーメンバーであると特定され、タンパク分子をコード化する核酸配列を提供し、グルタミン酸受容体サブファミリーに関連する。(タンパク配列は図2、転写/cDNA配列は図1、ゲノム配列は図3に提供される)。ここに示した明らかな変異体と同様に、図2に提供されたペプチド配列、特にここで特定され図3の情報を用いる対立遺伝子変異は、本発明のトランスポーターペプチド、トランスポーターペプチド、あるいは本発明のペプチド/タンパクとしてここに参照される。
【0055】
本発明は、当技術の製造と用途におけるこれらペプチドのすべての明らかな変異だけでなく、図2に示されるトランスポーターペプチドのアミノ酸配列(図1の転写/cDNA、又は図3のゲノム配列の核酸分子よってコード化される)から成っているか、実質的に成っているか、又はそれを含む単離ペプチド及びタンパク分子を提供する。これらの変異は以下に詳細に説明される。
【0056】
ここでペプチドは、細胞物質、又は化学前駆体や他の化学物質を実質的に含まない場合に、「単離」又は「精製」されたという。本発明のペプチドは均一に、又はある程度の純度に精製され得る。精製のレベルは使用目的に基づく。重要な特徴は、調製物中に相当量の他成分が存在していたとしても、調製物がペプチドの所望の機能を発揮できるということである(単離核酸分子の特徴については以下に記述される)。
【0057】
ここで、「細胞物質を実質的に含まない」とは、少なくとも約30%(乾燥重量)以下の他のタンパク(即ち汚染タンパク)、20%以下の他のタンパク、10%以下の他のタンパク、又は5%以下の他のタンパクを有するペプチド組成物を含む。ペプチドが組替えにより生産される場合、タンパク調製物の容量に対して培地が約20%以下の場合、培地を実質的に含まないとすることができる。
【0058】
「化学前駆体又は他の化学物質を実質的に含まない」とは、合成時において関与する化学前駆体又は他の化学物質から分離されたペプチド調製物を含む。ある例においては、「化学的前駆体又は他の化学物質を実質的に含まない」とは、約30%(乾燥重量)以下の化学前駆体又は他の化学物質、20%以下の化学前駆体又は他の化学物質、10%以下の化学前駆体又は他の化学物質、又は5%以下の化学前駆体又は他の化学物質を有するトランスポーターペプチド調製物を含む。
【0059】
単離トランスポーターペプチドは、天然にそれを発現する細胞から精製でき、それを発現するよう変異した細胞(組換体)から精製でき、或いは公知のタンパク合成手法を用いて合成できる。図1の実験データは、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系での発現を示している。例えば、トランスポーターペプチドをコード化する核酸分子は、発現ベクターへクローンされ、該発現ベクターは宿主細胞へ導入され、タンパクが該宿主細胞で発現する。該タンパクはその後、標準的なタンパク精製技術を用いて適当な精製過程により細胞から単離され得る。これらの技術の多くは以下に記述される。
【0060】
したがって、本発明は、図2で与えられたアミノ酸配列(SEQ ID NO:2)からなるタンパクを提供する。例えば、図1に示された転写/cDNA核酸配列(SEQ ID NO:1)、及び図3に示されたゲノム配列(SEQ ID NO:3)によってコード化されたタンパクである。このようなタンパクのアミノ酸配列は図2に提供される。このアミノ酸配列がタンパクの最終的なアミノ酸配列である場合、タンパクはそのアミノ酸配列からなる。
【0061】
本発明はさらに、図2で与えられたアミノ酸配列(SEQ ID NO:2)から実質的になるタンパクを提供する。例えば、図1に示された転写/cDNA核酸配列(SEQ ID NO:1)、及び図3に示されたゲノム配列(SEQ ID NO:3)によってコード化されたタンパクである。アミノ酸配列が、例えば最終タンパク中に約1〜100の付加的な残基、典型的には約1〜20の付加的残基のように少ない付加的アミノ酸残基のみが存在する場合、タンパクは実質的にそのアミノ酸配列からなる。
【0062】
本発明はさらに、図2に与えられるアミノ酸配列(SEQ ID NO:2)を含むタンパクを提供する。例えば、図1に示された転写/cDNA核酸配列(SEQ ID NO:1)、及び図3に示されたゲノム配列(SEQ ID NO:3)によってコード化されたタンパクである。アミノ酸配列が該タンパクの最終的なアミノ酸配列の少なくとも一部分である場合、タンパクはこのアミノ酸配列を含む。このように、タンパクは該ペプチドのみからなることができ、又は通常そのタンパクに関連する又は非相同アミノ酸残基/ペプチド配列であるアミノ酸残基(隣接コード化配列)のような、付加的アミノ酸分子を有することもできる。このようなタンパクは、わずかな付加的アミノ酸残基を有することができ、又は数百或いはそれ以上の付加的アミノ酸を有することもできる。本発明のトランスポーターペプチドを含む好ましいタンパクは、成熟タンパクに自然に生じる。これらの各種タンパクを調製/単離する方法を、以下に簡潔に説明する。
【0063】
本発明のトランスポーターペプチドは、キメラ又は融合タンパクを形成するために非相同配列と接合することができる。このようなキメラ又は融合タンパクは、トランスポーターペプチドと実質的に相同でないアミノ酸配列を有する非相同タンパクに作用的に結合されたトランスポーターペプチドを含む。「作用的に結合された」とは、トランスポーターペプチドと非相同タンパクとがフレーム内に融合することを示す。非相同タンパクは、トランスポーターペプチドのN末端又はC末端に融合されることができる。
【0064】
ここで、融合タンパクはトランスポーターペプチドの活性に本質的に影響しない。例えば、融合タンパクは、例えばベータガラクトシダーゼ融合体、酵母ツーハイブリッドGAL融合体、ポリ−His融合体、MYC付加体、HI付加体、及びIg融合体等の酵素融合タンパクを含むがこれらに限定されない。このような融合タンパク、特にポリ−His融合体は、本発明の組替えトランスポーターペプチドの精製を容易にすることができる。ある宿主細胞(例えば哺乳類の宿主細胞)では、タンパクの発現及び/又は分泌が非相同信号配列を用いることで増加する。
【0065】
キメラ又は融合タンパクは、標準の組替えDNA技術により生産することができる。例えば、異なるタンパク配列をコードするDNAフラグメントは、従来技術により互いにフレーム内に配置される。他の例では、融合遺伝子は自動DNA合成を含む従来技術により合成され得る。あるいは、二つの連続した遺伝子フラグメントの間に相補的な突出を生じるアンカープライマーを用い、その後アニールし、キメラ遺伝子配列を再増幅することにより、遺伝子フラグメントのPCR増幅を行うことができる(Ausubel et al., CurrentProtocols in Molecular Biology,1992を参照)。さらに、既に融合部分をコード化した多くの発現ベクターが、商業的に入手可能である(例えばGSTタンパク)。トランスポーターペプチドコード化核酸は、発現ベクター等へクローニングすることができるので、融合部分はトランスポーターペプチドにフレーム内で結合される。
【0066】
上述のように、本発明は、ペプチドの天然由来の成熟型、ペプチドの対立遺伝子/配列変異体、天然由来でない組換えによるペプチドの変異体、及びペプチドのオルソログとパラログ等の本発明のタンパクのアミノ酸配列の明らかな変異体も提供し、使用可能にする。このような変異体は、組換え核酸技術及びタンパク生化学の分野における公知の技術を用い、容易に生成することができる。しかしながら、変異体は、本発明以前に公開されたいずれのアミノ酸配列をも含まない。
【0067】
このような変異体は、分子技術とここに開示された配列情報を用いて、容易に特定/製造できる。さらに、このような変異体は、本発明のトランスポーターペプチドに相同である配列及び/又は構造に基づき、他のペプチドと容易に区別できる。相同性/同一性の程度は、第一にペプチドが機能的変異体であるか非機能的変異体であるか、パラロググループに存在する分化量、及びオルトログ間の進化的相違に基づき判断される。
【0068】
2つのアミノ酸配列又は2つの核酸配列の同一性%を決定するために、配列は最適な比較をするように並べられる(例えば、最適配列のため、ギャップは第一及び第二アミノ酸又は核酸配列の一方あるいは両方に導入され、非相同配列は比較のため無視し得る)。好ましい例においては、参照配列の長さの30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%以上が比較のため並べられる。対応するアミノ酸配置あるいはヌクレオチド配置に対応したアミノ酸残基あるいはヌクレオチドが比較される。第一配列の配置が、第二配列の対応した配置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドに占められている場合、分子はその位置で同一である(ここで、アミノ酸又は核酸の「同一性」は、アミノ酸又は核酸の「相同性」と同等である)。2つの配列間の同一性%は、配列において共有される同一位置の数に相関があり、ギャップ数と各ギャップの長さを考慮し、ギャップは2つの配列の最適配置に導入される必要がある。
【0069】
2つの配列間の配列比較と、同一性%と類似性の定量は、数学的アルゴリズムを使って遂行できる。(Computational Molecular Biology, Lesk, A.M., ed., Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A.M., and Griffin, H.G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987; and Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M Stockton Press, New York, 1991).好ましい例において、2つのアミノ酸配列の同一性%は、GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムに装着されたNeedleman and Wunsch(J.Mol.Biol.(48):444−453 (1970))アルゴリズム(http://www.gcg.comより入手可)を用い、Blossom 62 matrix又はPAM250 matrix、及び16,14,12,10,8,6,4のギャップ重量、及び1,2,3,4,5又は6の長さ重量の両者を用いて決定される。さらに別の好ましい例において、2つのヌクレオチド配列の同一性%は、GCGソフトウェアパッケージ(Devereux,J.,et al., Nucleic Acids Res. 12(1):387(1984)(http://gcg.comより入手可))を用い、NWSgapdna.CMPマトリックス及び40,50,60,70又は80のギャップ重量、及び1,2,3,4,5,又は6の長さ重量を用いて決定される。異なる例において、2つのアミノ酸あるいはヌクレオチド配列の同一性%は、ALIGNプログラム(version 2.0)に装着されたE.Myers and W.Miller(CABIOS,4:11−17(1989))アルゴリズムを用い、PAM120重量残基テーブル、12のギャップ長ペナルティー及び4のギャップペナルティーを用いて決定される。
【0070】
本発明の核酸及びタンパクの配列は、例えば他のファミリーメンバー又は関連配列を特定するために配列データペースに対する調査を行う「クエリー配列」として用いることができる。このような調査は、Altschul,et al(J.Mol.Biol.215:403−10(1990))のNBLAST及びXBLASTプログラム(version 2.0)を用いて行われる。BLASTヌクレオチド調査は、NBLASTプログラムにより行われ、スコア=100、ワードレングス=12で、本発明の核酸分子に相同であるヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク調査は、XBLASTプログラムを用い、スコア=50、ワードレングス=3で、本発明のタンパクに相同であるアミノ酸配列性を得ることができる。比較目的のためのギャップ配列を得るため、Altschul et al.(Nucleic Acid Res.25(17):3389−3402(1997))に記載されているGapped BLASTを用いることができる。BLAST及びGapped BLASTプログラムを用いる場合、対応プログラム(例えばXBLAST及びNBLAST)の規定パラメーターを用いることができる。
【0071】
成熟処理型(mature processed forms)と同様、本発明のペプチドの一つを含むタンパクの全長処理前型(full−length pre−processed forms)は、ここで提供される本発明のトランスポーターペプチドと同じ遺伝子位置によってコード化されるだけでなく、本発明のトランスポーターペプチドの一つと完全配列同一性を有するものとして、容易に特定できる。
【0072】
本発明のトランスポーターペプチドの対立変異体は、ここで提供されるトランスポーターペプチドと同じ遺伝子位置でコード化されたものと同様、少なくともトランスポーターペプチドの部位で配列相同性/同一性の高い程度(重大な)を有するヒトタンパクとして容易に確認される。遺伝子座は、対象となるヒトに対してマップされたゲノム配列のように、図3に提供されたゲノム情報に基づきすぐに決定できる。
【0073】
ここで、2つのタンパク(あるいはタンパクの領域)は、アミノ酸配列が典型的には少なくとも約70〜80%、80〜90%、及びより典型的には少なくとも約90〜95%あるいはそれ以上の相同性を有するとき、強い相同性を有するとする。強い相同性を有するアミノ酸配列は、本発明によれば、より詳細には以下に示されるストリンジェント条件下で、核酸分子をコード化するトランスポーターペプチドに対してハイブリダイズされる核酸配列によりコード化される。
【0074】
トランスポーターペプチドのパラログは、少なくともトランスポーターペプチドの領域に対し、強い配列相同性/同一性の程度を有し、ヒト遺伝子によりコード化される、また同様の活性又は機能を有することが容易に確認できる。アミノ酸配列が典型的には少なくとも約60%以上、より典型的には約70%以上、与えられた領域あるいはドメインに相同性を有する場合、2つのタンパクは典型的にはパラログであると考えられる。このようなパラログは、より詳細には以下に述べられるストリンジェント条件で変調された核酸分子をコード化するトランスポーターペプチドにハイブリダイズする核酸配列によりコード化される。
【0075】
トランスポーターペプチドのオルトログは、少なくともトランスポーターペプチドの領域に対し、強い配列相同性/同一性の程度を有し、他の生物の遺伝子にコード化されることが容易に確認できる。好ましいオルトログは、哺乳類、好ましくは霊長類から単離され、ヒト治療対象及び薬剤として開発される。このようなオルトログは、詳細には以下に述べられるストリンジェント条件で変調された、核酸分子をコード化するトランスポーターペプチドにハイブリダイズする核酸配列によりコード化され、タンパクを産生する2つの生物の相関性の程度に依存する。
【0076】
本発明のトランスポーターペプチドの天然由来でない変異体は、組換え技術を用いて容易に調製することができる。このような変異体は、トランスポーターペプチドのアミノ酸配列の削除、付加、置換を含むがこれに限られない。例えば、置換の1種として、維持アミノ酸置換が挙げられる。これらの置換は、近似した性質を有する他のアミノ酸によりトランスポーターペプチドのアミノ酸を置換するものである。維持置換は、脂肪族アミノ酸Ala,Val,Leu及びIle間の一方から他方への置換;ヒドロキシル残基Ser及びThrの交換;酸性残基Asp及びGluの交換、アミド残基Asn及びGln間の置換;塩基性残基Lys及びArgの交換;及び芳香族残基Phe及びTyr間の置換に典型的に認められる。いずれのアミノ酸置換が表現型的に能動的でないかに関する指針は、Bowie et al., Science 247:1306−1310(1990)に記載されている。
【0077】
変異体トランスポーターペプチドは完全に機能することもあり、あるいは例えばリガンド結合能、リガンド輸送能、信号調整能等の1つ以上の活性において機能を失うこともある。完全に機能する変異体は、典型的には維持変異あるいは非致命的残基又は非致命的領域の変異を含む。図2はタンパク分析の結果を提供し、致命的ドメイン/領域の特定に用いることができる。機能的変異体は、変化のない、あるいは変化が機能上重要ではない近似アミノ酸の置換を含む。あるいは、このような置換はある程度、プラス又はマイナスに作用する。
【0078】
非機能的変異体は、典型的には、1つ以上の非維持的アミノ酸置換、欠失、挿入、転化、移動、又は致命的残基あるいは致命的領域における置換、挿入、転化又は欠失を含む。
【0079】
機能に必須なアミノ酸は、特定部位の変異誘発あるいはアラニンスキャニング変異誘発(Cunningham et al., Science 244:1081−1085(1989))等の当該分野で公知の方法によって特定され、特に図2に示す結果が用いられる。後者の手法は分子のすべての残基において1つのアラニン変異を導入するものである。得られた変異分子は、トランスポーター活性等の生物学的活性あるいはin vitroの延命活性等の活性について試験される。対象/基質結合に重要な位置は、また、結晶化、核磁気共鳴又は光学親和性標識(Smith et al., J.Mol.Biol.224:899−904(1992)); de Vos et al. Science 255:306−312(1992)) 等の構造分析により決定できる。
【0080】
本発明はさらに、トランスポーターペプチドのフラグメントを提供し、このフラグメントを含む及びこのフラグメントからなるタンパク及びペプチドに加えて、特に図2に特定される残基が含まれる。しかしながら、本発明が関連するフラグメントは、本発明以前に公知のフラグメントを含まない。
【0081】
ここで、フラグメントは、トランスポーターペプチドの少なくとも8,10,12,14,16あるいはそれ以上の隣接アミノ酸残基を含む。このようなフラグメントは、トランスポーターペプチドの生物学的活性の一つ以上を有する能力に基づき選択され、あるいは、例えば基質に結合する又は抗原として働くなどの機能を果たす能力により選択される。特に重要なフラグメントは生物学的に活性なフラグメントであり、ペプチドは、例えば8あるいはそれ以上のアミノ酸長を有する。このようなフラグメントは、典型的には活性部位、貫膜ドメイン、あるいは基質結合ドメイン等の、トランスポーターペプチドのドメインあるいはモチーフを有する。さらに、可能なフラグメントは、フラグメントを含むドメインあるいはモチーフ、可溶性ペプチドフラグメント、及び抗原構造を有するフラグメントを含むが、これに限定されない。予想されるドメイン及び機能性部位は、当業者に容易に利用可能な、よく知られたコンピュータプログラム(例えばPROSITE analysis)により容易に特定可能である。このような分析の一つの結果は図2に示されている。
【0082】
ポリペプチドは、20天然由来アミノ酸と通常呼ばれる20個のアミノ酸以外のアミノ酸をしばしば含む。さらに、末端アミノ酸を含む多くのアミノ酸は、加工や翻訳後修飾等の天然の過程、又は従来技術としてよく知られている化学修飾技術により修飾される。トランスポーターペプチドに天然に起こる典型的な修飾は、基本テキスト、詳細な専攻論文、及び研究文献に記述されており、当業者によく知られている (図2において、これらの機能のいくつかが特定される)。
【0083】
知られている修飾は、アセチル化、アシル化、ADPリボシル化、フラビンの共有結合、ヘム半部の共有結合、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質又は脂質誘導体の共有結合、ホスホチジリノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、ジメチル化、共有結合架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタミンの形成、ホルミル化、ガンマカルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、水和化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク分解加工、ホスホリル化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化のようなアミノ酸のタンパクへの転移RNA媒介付加、及びユビキチン化を含むがこれに限定されない。
【0084】
このような修飾は当業者によく知られており、科学文献に非常に詳細に記述されている。いくつかの汎用されている修飾として、例えばグリコシル化、脂質結合、硫酸化、グルタミン酸残基のガンマカルボキシル化、水和化、及びADPリボシル化はほとんどの基本書に記述されている。このような基本書としては、Proteins−Structure AND Molecular Properties, 2ndEd., T.E.Creighton, W.H.Freeman and Company, New York(1993)が挙げられる。この主題についての多くの詳細な評論が入手でき、例えば Wold, F., Posttranslational Covalent Modification of Proteins, B.C. Johnston, Ed., Academic Press, New York 1−12(1983);Seifter et al.(Meth. Enzymol. 182:626−646(1990)) AND Rattan et al.(Ann. N.Y. Acad. Sci. 663:48−62(1992))が挙げられる。
【0085】
したがって本発明のトランスポーターペプチドは、置換アミノ酸残基が遺伝子コードによりコード化されたものではない誘導体又は類似体;置換基が含まれる誘導体又は類似体;トランスポーターペプチドの半寿命を増加する化合物(例えばポリエチレングリコール)等の他の化合物が本発明の成熟タンパクに融合した誘導体又は類似体;リーダー又は分泌性の配列、又は成熟トランスポーターペプチドまたはプロタンパク精製のための配列等の付加的なアミノ酸が成熟トランスポーターペプチドに融合した誘導体又は類似体も含む。
【0086】
タンパク/ペプチドの使用
本発明のタンパクは、抗体を引き起こす又は別の免疫反応を誘発するため;生物的液体のタンパク(又はその結合相手又はリガンド)のレベルを定量的に決定するために設計されたアッセイにおける試薬(ラベル試薬を含む)として;対応したタンパクが優先的に発現される組織(形成的に、組織の分化又は発達の特別な段階において、あるいは病気の状態において)のマーカーとして;図に提供された機能的な情報と関連した実質的及び特異的なアッセイにおいて使われうる。タンパクが、別のタンパク又はリガンドに結合する又は潜在的に結合する所(例えば、トランスポーター効果器タンパク相互作用又はトランスポーターリガンド相互作用等において)では、タンパクを、結合相手/リガンドを特定するために使用し、結合相互作用の阻害剤を特定するシステムを発達させることができる。これらの一部又は全てを使用することにより、商業製品としての商用化のための試薬グレード又はキットフォーマットへと発展させることができる。
【0087】
上記の使用を達成するための方法は、当業者によく知られている。このような方法を示す文献には、”Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, 2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Sambrook, J., E. F. Fritsch and T. Maniatis eds., 1989, や ”Methods in Enzymology: Guide to Molecular Cloning Techniques”, Academic Press, Berger, S. L. and A. R. Kimmel eds., 1987 等がある。
【0088】
本発明のペプチドの潜在的な用途は、第一に、タンパクの種類/作用と同様にタンパク源に基づく。例えば、ヒトから単離されたトランスポーター及びヒト/哺乳動物オルソログは、例えばヒト薬剤、特にトランスポーターを発現する細胞又は組織における生物学又は病理学的反応を調整するものなどの哺乳動物の治療に使用する薬剤を特定する対象として役立つ。図1に提供された実験データにより、本発明のグルタミン酸受容体4タンパクが、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系に発現されることが示される。特に、仮想ノーザンブロットにより、ヒト胎児、幼児、及び、精神分裂症の脳、ヒトの正常神経質系、ヒトの網膜、及びヒトの生殖細胞腫瘍での発現が示される。
【0089】
調剤の大部分はトランスポータータンパク、特にグルタミン酸受容体サブファミリーの活性を調整するよう開発されている(発明の背景を参照)。背景や図における構造及び機能的な情報により、特に図1において提供された発現情報との組み合わせにおいて、本発明の分子の特有及び本質的な用途が提供される。図1に提供された実験データは、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系に発現されることを示している。このような使用は、当技術において公知のここに提供された情報、及び規定通りの実験を使って容易に決定できる。
【0090】
本発明のタンパク(本発明以前に開示された変異体とフラグメントを含む)はグルタミン酸受容体サブファミリーと関連するトランスポーターと関連する生物学的アッセイとして有用である。このようなアッセイは、公知のトランスポーターの機能又は活性、あるいは本発明のひとつが属している、特にトランスポーターを発現する細胞と組織においてトランスポーターサブファミリーに特有のトランスポーター関連の状態の診断及び治療に有用な特性に関係する。図1に提供された実験データにより、本発明のグルタミン酸受容体4タンパクが、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系に発現されることが示される。特に、仮想ノーザンブロットにより、ヒト胎児、幼児、及び、精神分裂症の脳、ヒトの正常神経質系、ヒトの網膜、及びヒトの生殖細胞腫瘍での発現が示される。
【0091】
本発明のタンパクは、細胞系、又は無細胞系の薬剤スクリーニングアッセイにおいても有益である。細胞系は、天然型、すなわちトランスポーターを正常に発現する細胞であり、生体組織検査、又は細胞培地中で増殖する。図1の実験データは、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系での発現を示している。他の例では、細胞系アッセイは、トランスポータータンパクを発現する組み換え宿主細胞に関係している。
【0092】
ポリペプチドは、自然状態でタンパクのトランスポーター活性を変調する化合物、又はトランスポーターに関連する特定の疾患又は症状を引き起こす変異型を同定するために用いることができる。本発明のトランスポーター及び適切な変異体とフラグメントは、候補化合物のトランスポーターに結合する能力をアッセイするために、ハイスループットスクリーンにおいて使用できる。これらの化合物は、トランスポーター活性における化合物の効果を決定するために、本発明の機能的なトランスポーターについてさらにスクリーニングされうる。さらに、これらの化合物は、動物又は無脊椎の系において活性/有効性を決定する試験ができる。化合物は、トランスポーターを望ましい程度に、活性化(作動薬)、又は不活性化(拮抗薬)すると特定される。
【0093】
さらに、本発明のタンパクは、トランスポータータンパクと、通常トランスポータータンパクと相互作用する分子、例えばトランスポータータンパクが通常相互作用する信号経路の基質あるいは構成成分(例えば別のトランスポーター)との相互作用を促進又は抑制する能力により、化合物をスクリーンするために使用できる。このようなアッセイは一般的には、トランスポータータンパク又はフラグメントが対象分子と相互作用する条件下で、トランスポータータンパクと候補化合物とを結合する工程を含み、タンパクと対象との複合物の構成を検出する、あるいは、膜電位の変化、タンパクリン酸化、cAMP代謝回転、アデニル酸シクラーゼ活性化等の信号伝達関連の効果等のトランスポータータンパクと対象と相互作用の生化学的結果を検出する。
【0094】
候補化合物には、例えば、1)最後部がIgの融合ペプチド、及びランダムペプチドライブラリー(例えばLam et al., Nature 354:82−84(1991); Houghten et al., Nature 354:84−86(1991))や、D型及び/又はL型アミノ酸の組み合わせからできている化学誘導分子ライブラリーのメンバーを含む可溶性ペプチドのようなペプチド;2)ホスホペプチド(例えばランダムあるいは部分的変質したホスホペプチドライブラリー(例えばSongyang et al., Cell 72:767−778(1993) 参照)のメンバー); 3)抗体(例えば、Fab,F(ab‘)2、Fab発現ライブラリーフラグメント、抗体のエピトープ結合フラグメントだけでなく、ポリクロナール、モノクロナール、ヒューマナイズド、抗イディオティピック、キメラ、及び単一鎖抗体);及び4)小有機及び無機分子(例えば組み合わせ及び天然産物ライブラリーから得られる分子)等が例示的に含まれる。
【0095】
ある候補化合物は、リガンド結合と競合する受容体の可溶性フラグメントである。他の候補化合物には、変異トランスポーター、又はトランスポーター機能に影響を及ぼす変異を含む適切なフラグメントがあり、このためにリガンドとの競合が起こる。従って、発明には基質に競合するフラグメントは、例えばより高い親和性を持ち、又はリガンドを結合するが解放しないフラグメントが含まれる。
【0096】
本発明はさらに、トランスポーター活性を変調(促進又は阻害)する化合物を同定するための、他の末端アッセイを含む。このアッセイは、一般的にトランスポーター活性を示す信号伝達経路における挙動のアッセイに関連している。このため、リガンドの輸送、膜電位変化、タンパクの活性、及びトランスポータータンパク依存信号カスケードに応答して上向き又は下向き調整される遺伝子発現の変化がアッセイされる。
【0097】
トランスポーターにより調整された生物学又は生化学の機能のうちのいずれもが、末端アッセイとして使われうる。これらは、ここに記載され、ここに文献が参照され、これら末端アッセイの対象に関する文献に参照され、及び当業者が知る他の機能あるいは図、特に図2に提供される情報により容易に特定される機能による生化学的、あるいは生化学/生物学的挙動のすべてを含む。特に、トランスポーターを発現する細胞又は組織の生物学的機能が試験できる。図1に提供された実験データにより、本発明のグルタミン酸受容体4タンパクが、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系に発現されることが示される。特に、仮想ノーザンブロットにより、ヒト胎児、幼児、及び、精神分裂症の脳、ヒトの正常神経質系、ヒトの網膜、及びヒトの生殖細胞腫瘍での発現が示される。
【0098】
結合及び/又は活性化化合物は、キメラトランスポータータンパクを用いスクリーニングすることができ、アミノ末端細胞外ドメイン又はその一部、貫膜ドメイン全体又は一部(例えば7種の貫膜セグメントあるいは細胞内又は細胞外ループ)、及びカルボキシ末端細胞内ドメイン又はその一部は、非相同ドメイン又はサブレジオンに置換されうる。例えば、リガンド結合領域は、異なるリガンドと相互作用し、天然トランスポーターにより認識されるものとして用いることができる。従って、信号転換要素の異なる組は活性化のエンドポイントアッセイに有用である。これは、トランスポーターが誘導される特定宿主細胞以外で行われるアッセイを可能とする。
【0099】
本発明のタンパクは、トランスポーターと相互作用する化合物(例えば結合相手及び/又はリガンド)を発見するために設計された方法である競合結合アッセイに有用でもある。従って、ポリペプチドに結合又は相互作用することができる条件下で、化合物はトランスポーターポリペプチドに接触する。可溶性トランスポーターポリペプチドも混合物に加えられる。被検化合物が可溶性トランスポーターポリペプチドと相互作用する場合には、トランスポーター対象から形成される複合物の量、あるいは活性が減少する。この種のアッセイは、特にトランスポーターの特定領域に相互作用する化合物を探索する場合に有用である。そして、対象トランスポーター領域と競合する可溶性ポリペプチドは、対象の領域に対応するペプチド配列を含むよう設計される。
【0100】
無細胞薬剤のスクリーニングアッセイを行うため、トランスポータータンパク又はフラグメント、あるいはその対象分子を免疫化することが好ましい場合があり、アッセイの自動化を可能とするだけでなく、タンパクの1つあるいは両方の非複合化形態からの複合化形態の分離を効率化する。
【0101】
基質上のタンパクを免疫化する技術は、薬剤スクリーニングアッセイに用いられる。ある例において、融合タンパクは、タンパクが基質に結合することを可能にするドメインを付加するものである。例えば、グルタチオン−S−トラスフェラーゼ融合タンパクは、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical, St. Louis,MO)、又はグルタチオン誘導マイクロタイタープレート上に吸着され、細胞ライセート(lysates)(例えば35S−labeled)、対象化合物、又は複合物形成条件(例えば、塩及びpHの生理学的条件)下で培養された混合物と結合する。培養に続いて、ビーズは、結合していない標識を除くため洗浄され、基質は免疫化され、放射性ラベルが直接測定され、あるいは複合物を解離した後上澄みを測定する。あるいは、複合体は基質から解離され、SDS−PAGEにより分離され、ビーズ断片中に見出されるトランスポーター結合タンパクのレベルを、標準的な電気泳動技術によりゲルから定量する。例えば、ポリペプチドあるいはその対象分子のいずれかは、周知の方法により、ビオチン及びストレプトアビジンの共役を用いて免疫化する。あるいは、タンパクと反応するが該タンパクが対象分子と結合することを妨げない抗体をプレートのウェルに誘導し、抗体結合によりタンパクをウェルに取り付ける。トランスポーター結合タンパク及び候補化合物の組成物は、トランスポータータンパク存在ウェル中で培養され、ウェルに取り付けられた複合物の量を定量することができる。このような複合体の検出方法としては、GST固定複合体による前述の方法に加えて、トランスポータータンパク対象分子に反応性のある抗体、又は、トランスポータータンパクに反応性があり対象分子と競合する抗体を用いた複合体の免疫検出法、及び対象分子と関連する酵素活性の検出に基づく酵素結合アッセイが含まれる。
【0102】
本発明のトランスポーターの一つを調整する薬剤は、上記アッセイの1つ以上を単独あるいは組み合わせて用いることで特定することができる。一般的には最初に細胞系又は無細胞系を用い、その後動物又は他のモデル系で活性を確認することが好ましい。このようなモデル系は当技術において周知であり、この記載において容易に用いることができる。
【0103】
このような薬剤スクリーニングアッセイよって特定されるトランスポータータンパク活性の変調剤は、トランスポーターを発現する細胞又は組織を扱うことにより、トランスポーター経路の異常制御の患者を治療するのに用いることができる。図1の実験データは、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系での発現を示している。これらの治療方法は、医薬組成物中のトランスポーター活性の変調剤を治療に必要な量、患者に投与する工程を含み、変調剤はここに記載されたように特定されたものである。
【0104】
本発明の他の形態において、トランスポータータンパクは、ツーハイブリッドアッセイあるいはスリーハイブリッドアッセイにおいて「バイトタンパク」として用いることができ(例えばU.S.Patent No.5,283,317;Zervos et al.(1993)Cell 72:223−232;Madura et al.(1993)J.Biol.Chem.268:12046−12054;Bartel et al.(1993) Biotechniques 14:920−924; Iwabuchi et al. (1993) Oncogene 8:1693−1696; 及びBrent WO94/10300参照)、トランスポーターと結合あるいは相互作用しトランスポーター活性に関与する他のタンパクを特定する。このようなトランスポーター結合タンパクは、トランスポータータンパク、又はトランスポーター媒介信号経路の下流因子等のトランスポーター対象による信号伝達に関与している。このようなトランスポーター結合タンパクは、トランスポーター阻害剤であることがある。
【0105】
ツーハイブリッド系は、分離可能なDNA−結合及び活性化ドメインからなる多くの転写因子の変調性に依存する。簡潔に言えば、このアッセイは2つの異なるDNA構造を利用する。1つの構造においては、トランスポータータンパクをコードする遺伝子は、公知の転写因子(例えばGAL−4)のDNA結合ドメインをコード化する遺伝子に融合されている。他方の構造においては、DNA配列ライブラリーから得られ、未知のタンパク(「prey」又は「sample」)をコード化しているDNA配列が、公知の転写因子の活性化ドメインをコード化している遺伝子に融合される。 「bait」及び「prey」タンパクは相互作用が可能であり、in vivoでトランスポーター依存複合体を形成し、転写因子のDNA−結合及び活性化ドメインは近接する。この近接は、転写因子に応答する転写制御サイトへ動作可能に結合するリポーター遺伝子(例えばLacZ)の転写を許容する。レポーター遺伝子の発現は検出可能であり、機能性転写因子を含む細胞コロニーが単離され、トランスポータータンパクと相互作用するタンパクをコード化するクローン化遺伝子を得るのに用いることができる。
【0106】
本発明はさらに前記スクリーニングアッセイにより特定される新規薬剤に関する。従って、ここで記述された特定薬剤を適当な動物モデルで使用することも本発明の範囲内である。例えば、ここで記述された特定薬剤(例えば、トランスポーター調整薬剤、アンチセンストランスポーター核酸分子、トランスポーター特異的抗体、あるいはトランスポーター結合対象)は、動物あるいは他のモデルにおいて、それらの薬剤で処理した場合の有効性、毒性、あるいは副作用を判定するために用いることができる。あるいは、ここで記述された特定薬剤は、動物あるいは他のモデルにおいて、それらの薬剤の挙動機構を判定するために用いることができる。さらに本発明は、ここに記載される治療のためのスクリーニングアッセイにより同定された新規な薬剤の使用に関する。
【0107】
本発明のトランスポータータンパクは、また、ペプチドにより調整される疾患又は疾患の傾向を診断する対象を提供するのに有効である。従って本発明は、細胞、組織、又は生体中でのタンパク(あるいはコード化したmRNA)の存在又は程度を検出する方法を提供する。図1の実験データは、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系での発現を示している。この方法は、生物サンプルと、トランスポータータンパクとの相互作用能力を有する化合物との接触に関係しており、相互作用が検出される。このようなアッセイは、シングルディテクション形態、又は抗体チップアレイのようなマルチディテクション形態で提供される。
【0108】
サンプル中のタンパクを検出するある薬剤は、タンパクと選択的に結合することのできる抗体である。生物サンプルは、患者から単離した組織、細胞、及び生物的液体、同様に患者中の組織、細胞及び生物的液体を含む。
【0109】
本発明にかかるペプチドは、また、変異ペプチドを有する患者の活性タンパクの活性度、疾患、疾患の傾向、特に本発明のタンパクが属するタンパクグループの他のものにおいて知られている活性及び状態を診断する対象を提供する。そして、生物サンプルからペプチドを単離することができ、変異ペプチドを生じる遺伝子変異の存在をアッセイすることができる。これはアミノ酸置換、欠失、挿入、再配置(異常組織挙動の結果)、及び適当でない転写後変異を含む。分析方法は、変更された電気泳動、変更されたトリプティックペプチド消化、細胞系あるいは無細胞における変更されたトランスポーター活性のアッセイ、リガンドあるいは抗体結合パターンの変化、変化した当電点、直接アミノ酸配列、及びその他のタンパク中の変異を検出するのに有用な公知のアッセイ技術を含む。このようなアッセイは、シングル検出形態、あるいは抗体チップアレイのようなマルチ検出形態に適用できる。
【0110】
ペプチドのIn vitro検出技術としては、酵素結合免疫吸着剤アッセイ(ELISAs)ウェスタンブロット、抗体、又はタンパク結合剤のような検出試薬を用いた免疫沈降、免疫蛍光検査法を含む。あるいは、ペプチドは、ラベルされた抗ペプチド抗体あるいは他種の検出薬剤を対象中に導入し、対象中でin vitroで検出することができる。例えば、抗体は放射性のマーカーによりラベルすることができ、その対象中における存在及び分布は標準的なイメージ化技術により検出することができる。対象中に発現されたペプチドの対立変異体の検出方法、及びサンプル中のペプチドのフラグメントの検出方法は、特に有用である。
【0111】
ペプチドはまた、薬理学的分析に有用である。薬理学では、変更された薬剤位置による薬剤への反応、及び影響されたヒトの異常挙動において、臨床的に重要な遺伝変異態を扱う。例えばEichelbaum,M.(Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.23(10−11):983−985(1996))、及びLider, M.W.(Clin.Cem.43(2):254−266(1997))を参照。これらの変異体から生じる臨床結果は、個人の代謝の変動により、ある個人に対しては治療用薬剤の重篤な毒性となり、又はある個人に対しては治療の失敗となる。そして、個人の遺伝子型は、体への治療薬剤の作用、あるいは薬剤の体内代謝を決定する。さらに、薬剤代謝酵素の活性は、薬剤挙動の強度と存続期間の両方に影響を与える。そして、個人の薬理学は、個人の遺伝子型に応じて、予防あるいは治療処置に効果的な薬剤及び効果的な薬剤の投与量の選択を可能とする。ある薬剤代謝酵素における遺伝子多型の発見は、なぜある患者に対しては期待された薬剤効果が得られず、または過大な薬剤効果を示し、あるいは標準的な薬剤投与量において重大な毒性を示すのかを明らかにするものである。多型は、強い代謝表現型と弱い代謝表現型とで表現される。従って、遺伝子多型は、ある集団に見られるトランスポーター機能の1つ以上が他の集団のものとは異なり、トランスポータータンパクの対立タンパク変異体を導き出すものと思われる。よってペプチドは、治療方法に影響を与える遺伝子配置を確かめる対象となる。よってリガンドベース治療において、多型は、リガンド結合で多少能動的であるアミノ末端細胞外ドメイン及び/又は他のリガンド結合領域に起こり、トランスポーターを活性化する。従って、リガンド投与量は、多型を含む集団に対する治療効果を最大とするように調整されることが必要である。遺伝子型の代わりに特定の多型ペプチドを特定することもできる。
【0112】
ペプチドはまた、タンパクの発現の欠如、不適切あるいは不必要な発現により特徴づけられる異常を治療するためにも有用である。図1の実験データは、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系での発現を示している。従って治療方法は、トランスポータータンパクあるいはフラグメントの使用も含むものである。
【0113】
抗体
本発明はまた、その変異やフラグメントだけでなく、本発明のペプチド及び該ペプチドのフラグメントを含むタンパクの一つに、選択的に結合する抗体を提供する。ここで抗体は、対象ペプチドと結合し、関連しないタンパクとは有意に結合しない場合、選択的に対象ペプチドと結合する。抗体は、それが対象ペプチドと実質的に同種ではない他のタンパクとも結合する場合であっても、そのタンパクが抗体の対象ペプチドのフラグメント又はドメインと同一性を共有する限り、選択的にペプチドと結合するとみなされる。この場合、ペプチドに結合している抗体は、ある程度の交差反応性を持つにも関わらず、選択的であると理解される。
【0114】
ここで抗体は、当技術において認識されるものと一致する用語で定義される:それらは、抗原の攻撃に応答して哺乳類生物により生産された、マルチサブユニットタンパクである。本発明の抗体は、Fab又はF(ab’)、及びFvフラグメント等の抗体のフラグメントだけでなく、ポリクロナール抗体及びモノクロナール抗体も含むがこれに限定されない。
【0115】
与えられた対象ペプチドに対する抗体を生成及び/又は特定する多くの方法が知られている。このような方法の幾つかは、Harlow,Antibodies,Cold Spring Harbor Press,(1989)に記述されている。
【0116】
一般的に、抗体を生成するには、単離されたペプチドを免疫原として用い、これを哺乳動物、例えばラット、ウサギあるいはマウスに投与する。全長タンパク、抗原ペプチドフラグメント又は融合タンパクを使用することができる。特に重要なフラグメントは、図2に特定されるような機能性ドメインをカバーするものであり、また、タンパク配置方法を使用して容易に確認することができる相同配列又はグループの中での分化配列のドメインであり、図に示される。
【0117】
抗体は、好ましくはトランスポータータンパクの領域又は離散的なフラグメントから調製される。抗体は、ここに示されるペプチドのいかなる領域においても調製され得る。しかしながら、好ましい領域は機能/活性、及び/又はトランスポーター/結合相手相互作用を伴う領域を含む。配列整列により維持された特有の配列フラグメントを特定できるので、図2により特に重要な領域を特定することができる。
【0118】
抗原性フラグメントは通常、少なくとも8個の隣接アミノ酸残基を含む。しかしながら、該抗原性ペプチドは、少なくとも10、12、14、16又はそれ以上のアミノ酸残基を含むことができる。このようなフラグメントは、例えば疎水性領域のようなタンパクの表面に位置する領域に相当するフラグメントのような、物理的性質により選択され得る、又は特有の配列に基づき選択され得る(図2を参照)。
【0119】
本発明の抗体の検出は、抗体を検知可能な物質へ共役(即ち、物理的な結合)させることにより行うことができる。検知可能な物質の例としては、様々な酵素、補綴基、蛍光物質、発光物質、バイオ発光物質、及び放射性物質が含まれる。適当な酵素の例としては、ホルセラディッシュパーオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、又はアセチルコリンエステラーゼが含まれる;適当な補綴基複合物の例としては、ストレプタビジン/ビオチン、及びアビジン/ビオチンが含まれる;適当な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアナーゼ、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、又はフィコエリスリンが含まれる;発光物質の例としては、ルミノールが含まれる;バイオ発光物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、及びアエクオリンが含まれ、適当な放射性物質の例としては、125I、131I、35S、又はHが含まれる。
【0120】
抗体の使用
抗体は、アフィニティークロマトグラフィー又は免疫沈降のような標準的な技術により、本発明のタンパクの一つを単離するために使用することができる。抗体は、細胞及び、宿主細胞で発現し組替え的に生産されたタンパクからの、天然タンパクの精製を容易にすることができる。さらにこの抗体は、通常の発達の進行に渡って、生物の様々な組織間におけるタンパクの発現のパターンを決定するため、細胞又は組織中における該タンパクの存在を検知するのに有用である。図1に提供された実験データにより、本発明のグルタミン酸受容体4タンパクが、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系に発現されることが示される。特に、仮想ノーザンブロットにより、ヒト胎児、幼児、及び、精神分裂症の脳、ヒトの正常神経質系、ヒトの網膜、及びヒトの生殖細胞腫瘍での発現が示される。さらにこの抗体は、発現の豊富さ及びパターンを評価するために、in situ、in vitro、又は細胞溶解液あるいは上澄み中におけるタンパクを検知するために使用することができる。また、このような抗体は、生物学的状態の発展又は進行間における、異常な組織分布又は異常な発現を評価するのに用いることができる。全長タンパクの循環フラグメントにおける抗体検出は、代謝回転を特定するために使用することができる。
【0121】
さらに抗体は、タンパク機能に関連した疾患の活性段階、又は該疾患素因を持つ個人等の、疾患の症状発現を評価するのに用いることができる。変調が不適切な組織分布、成長的な発現、タンパクの発現レベル、又は発現/加工された型により引き起こされる場合、抗体は通常のタンパクに対して調製することができる。図1に提供された実験データにより、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系に発現されることが示される。もし変調がタンパクの特異的な変異により特徴付けられる場合には、この変異タンパクに特異的な抗体を、特異的な変異タンパクの存在のアッセイに使用することができる。
【0122】
この抗体は、生物の様々な組織中の細胞の、通常及び異常型の遺伝子局在を評価するためにも使用することができる。図1の実験データは、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系での発現を示している。診断的な使用は、遺伝子試験だけでなく、治療法をモニターするためにも適用できる。したがって、治療が終局的に発現レベル、又は異常型配列の存在及び異常型組織分布、又は成長的な発現を直すことを意図している場合には、そのタンパク又は関連するフラグメントに直接的に対する抗体を、治療効率をモニターするために使用することができる。
【0123】
さらに、抗体は薬理ゲノム分析に有用である。例えば、多型タンパクに対して調製された抗体は、修正した治療法が求められる個人を特定するために使用することができる。この抗体は、電気伝導度、等電点、トリプシンペプチド消化、そして従来技術において知られている他の物理的アッセイにより分析される異常タンパクのための免疫的マーカーとしての診断にも有用である。
【0124】
この抗体は、組織分類のためにも有用である。図1の実験データは、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系での発現を示している。従って、特異的なタンパクが特異的な組織の発現と関係している場合、このタンパクに特異的な抗体は、組織タイプを特定するために使用できる。
【0125】
抗体は、タンパク機能の阻害、例えば、リガンドやタンパク結合相手等の結合相手へのトランスポーターペプチドの結合の阻害にも有用である。これらの使用は、タンパクの機能阻害に関連する治療法における、治療環境において適用されることができる。抗体は、例えば結合を阻害し、これによりペプチドの活性を変調(作動又は拮抗)するために使用することができる。抗体は、機能が要求されるサイトを含む特別なフラグメントに対して、又は細胞あるいは細胞膜と関連する完全なタンパクに対して調製することができる。構造の情報としては、本発明のタンパクと関連する図2を参照。
【0126】
本発明は、生物学的サンプル中のタンパクの存在を検知するための抗体を使用するためのキットも包む。このキットは、ラベル化又はラベル可能な抗体の等の抗体、及び生物サンプル中のタンパクを検知するための化合物又は試薬;サンプル中のタンパクの量を決定する手段;サンプル中のタンパクの量を基準と比較する手段;及び使用のための手引きを含むことができる。このようなキットは、単一のタンパク又はエピトープを検出するために供給される、あるいは抗体検出アレイ等において多数のエピトープのうちの1つを検出するために設定される。核酸アレイについてのアレイが以下に詳細に記述されるが、同様な方法が抗体アレイにも開発されている。
【0127】
核酸分子
本発明はさらに、本発明にかかるトランスポーターペプチド又はタンパクをコード化する単離核酸分子を提供する(cDNA、転移、及びゲノム配列)。該核酸分子は、本発明のトランスポーターペプチドの1つ、その対立変異体、又はそのオルソログあるいはパラログをコード化するヌクレオチド配列からなるか、本質的に該ヌクレオチド配列からなるか、又は該ヌクレオチド配列を含む。
【0128】
ここでいう「単離」核酸分子とは、核酸の天然源に存在する他の核酸から区別されたものである。好ましくは、「単離」核酸は、その核酸の由来となる生物のゲノムDNA中で核酸のフランキング配列(すなわち、5’、及び3’末端に位置する配列)は含まない。しかしながら、例えば、約5KB、4KB、3KB、2KB又は1KB以上又はこれ以下の、フランキングヌクレオチド配列があり、特に連続的にペプチドをコード化する配列及び同一遺伝子内でペプチドをコード化する配列であるが、ゲノム配列のイントロンにより分離されている。重要な点は、核酸が離れた重要でないフランキング配列から単離されたことであり、ここで述べる組換えの発現、プローブ及びプライマーの調製、及び核酸配列に特異的な他の用途等の特殊な操作の対象となるということである。
【0129】
さらに、転移/cDNA分子等の「単離」核酸分子は、他の細胞材料、組換え技術で製造された場合には培地、化学合成された場合には化学前駆体又は他の化学物質を実質的に含まない。しかしながら、核酸分子は他のコード化又は調節配列と融合することができ、これも単離したと考えられる。
【0130】
例えば、ベクターに含まれる組換えDNA分子は単離されていると考えられる。単離DNA分子のさらなる例としては、非相同な宿主細胞中に維持された組換えDNA分子、又は溶液中の精製(部分的に又は実質的に)されたDNA分子が挙げられる。単離RNA分子は、in vivo、又はin vitroでの本発明の単離DNA分子のRNA転写を含む。さらに本発明にかかる単離核酸分子は合成的に製造された分子を含む。
【0131】
従って、本発明は、図1又は3に示されるヌクレオチド配列(SEQ ID NO:1の転移配列、及びSEQ ID NO:3のゲノム配列)よりなる核酸分子、又は図2SEQ ID NO:2のタンパクをコード化するいくつかの核酸分子を提供する。ヌクレオチド配列が核酸分子の完全なヌクレオチド配列である場合、核酸分子はヌクレオチド配列からなっている。
【0132】
本発明はさらに、図1又は3に示されるヌクレオチド配列(SEQ ID NO:1の転移配列、及びSEQ ID NO:3のゲノム配列)より実質的になる核酸分子、又は図2SEQ ID NO:2のタンパクをコード化するいくつかの核酸分子を提供する。このようなヌクレオチド配列が、ごくわずかの付加核酸残基とともに、最終的な核酸分子中に存在するとき、核酸分子はヌクレオチド実質的に配列から成る。
【0133】
本発明はさらに、図1又は3に示されるヌクレオチド配列(SEQ ID NO:1の転移配列、及びSEQ ID NO:3のゲノム配列)を含む核酸分子、又は図2SEQ ID NO:2のタンパクをコード化するいくつかの核酸分子を提供する。核酸分子は、該ヌクレオチド配列が核酸分子の最終的なヌクレオチド配列の少なくとも一部である核酸配列である時、該ヌクレオチド配列を含む。このように、核酸分子はヌクレオチド配列のみ、又は付加的核酸残基を有することができ、核酸残基はヌクレオチド配列又は非相同ヌクレオチド配列と自然に関連したものである。このような核酸分子は少しの付加的ヌクレオチドを有する、あるいは数百又はそれ以上の付加的ヌクレオチドを含む。これら様々なタイプの核酸分子がどのようにして製造され/単離されたかの簡単な説明を以下に提供する。
【0134】
図1,3には、コード化及び非コード化配列の両方が提供されている。本発明のヒトゲノム配列(図3)、及びcDNA/転写配列(図1)により、図中の核酸分子は、ゲノムイントロニック配列、5´及び3´非コード化配列、遺伝子規定領域、及び非コード化相互ゲノム配列を含むことがある。一般的には、このような配列特徴は図1か3のどちらかに表示されており、当技術分野で知られている計算機を使って容易に特定できる。以下に述べられるように、いくつかの非コード化領域、特にプロモーターのような遺伝子特定要素は、例えば、非相同遺伝子発現の変調、化合物を変調する遺伝子活性を特定する対象として様々な目的に有用であり、ここに与えられるゲノム配列のフラグメントとして特に要求される。
【0135】
単離核酸分子は、成熟タンパクと付加的アミノ酸又はカルボキシル末端アミノ酸、又は成熟ペプチド内のアミノ酸(例えば成熟形態が1つ以上のペプチド鎖を有する場合)をコード化することがある。このような配列はタンパクが前駆体から成熟体へ成長する際、タンパク搬送の促進、タンパク半減期の延長又は短縮、アッセイ又は製造の際のタンパク操作の効率化、あるいは他の事由に役割を果たす。一般にin situの場合、付加的アミノ酸は細胞酵素により成熟タンパクから切り離される。
【0136】
上記のように、単離核酸分子は、トランスポーターペプチドのみをコード化する配列、主又は副配列(例えばpre−pro 又はpro−タンパク配列)等の、成熟ペプチド及び付加的コード配列をコード化する配列、付加的コード配列を有し又は有さない成熟ペプチドをコード化する配列、プロモーターなどのゲノム調節配列に加えて、例えばイントロン及び非コード化5´及び3´配列のような転写はされるが翻訳はされず、転写、mRNA処理(スプライシング及びポリアデニル化信号を含む)、リボゾーム結合及びmRNAの安定化に役割を果たす付加的非コード配列を含むが、これに制限されない。さらに、核酸分子は、例えば精製に有用なペプチドなどをコード化するマーカー配列に融合されたものでもよい。
【0137】
単離核酸分子は、mRNAのようなRNA形態、あるいはcDNA及びクローニング又は化学合成技術又はこれらの組み合わせで得られたゲノムDNAを含むDNA形態でありえる。核酸、特にDNAは二重鎖又は一重鎖でありえる。一重鎖核酸はコード鎖(センス鎖)又は非コード鎖(アンチセンス鎖)でありえる。
【0138】
本発明はさらに、先に述べた本発明のトランスポータータンパクの明らかな変異をコード化する核酸分子だけでなく、本発明のペプチドのフラグメントをコード化する核酸分子を提供する。このような核酸分子は、対立変異体(同じ位置)、パラログ(異なる位置)、オルソログ(異なる生物)等の天然に由来する、又はDNA組換え法あるいは化学合成により構成される。このような天然に由来しない変異は、核酸分子、細胞、又は生物に適用されるものを含む変異誘発技術により作られる。よって、上記のように、変異はヌクレオチドの置換、欠失、転化、及び挿入を含む。変異はコード化領域、非コード化領域の一方あるいは両方に起こりうる。変異は維持又は非維持アミノ酸置換を作る。
【0139】
本発明はさらに図1及び3に示される核酸分子の非コード化フラグメントを提供する。好ましい非コード化フラグメントとしては、プロモーター配列、エンハンサー配列、遺伝子変調配列、遺伝子終止配列が挙げられるが、これに限定されない。このようなフラグメントは非相同遺伝子発現を調整し、遺伝子変調薬剤を特定するスクリーンを発現するのに有用である。
【0140】
フラグメントは、12又はそれ以上のヌクレオチドの連続的ヌクレオチド配列を含む。さらにフラグメントは、少なくとも30,40,50,100,250,又は500のヌクレオチド長であることができる。フラグメントの長さは使用目的に依存する。例えば、フラグメントはペプチドのエピトープ挙動領域をコード化し、又はDNAプローブ又はプライマーとして有用である。このようなフラグメントは、オリゴヌクレオチドプローブを合成する公知のヌクレオチド配列を用い、単離することができる。ラベルされたプローブは、コード領域に対応する核酸を単離するcDNAライブラリー、ゲノムDNAライブラリー、又はmRNAをスクリーニングするために用いることができる。さらにプライマーは、遺伝子の特定領域をクローンするPCR反応を用いることができる。
【0141】
プローブ/プライマーは、典型的には実質的に精製されたオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対を含む。オリゴヌクレオチドは典型的には、少なくとも約12,20,25,40,50又はそれ以上の連続的なヌクレオチドとなるストリンジェント条件下で、ハイブリダイズするヌクレオチド配列領域を含む。
【0142】
オルソログ、ホモログ、及び対立変異体は、当技術においてよく知られている方法により特定できる。ペプチドの項で記載したように、これらの変異体はペプチドをコードする核酸配列を含み、図面に示された核酸配列あるいはこの配列のフラグメントに対し、典型的には60〜70%、70〜80%,80〜90%、及びより典型的には90〜95%あるいはそれ以上の相同性を有するものである。このような核酸分子は、図に記載されたヌクレオチド配列あるいはその配列のフラグメントに対して、ストリンジェント条件でハイブリダイズできるものとして、容易に特定することができる。対立変異体は遺伝子をコード化する遺伝子座により容易に決定することができる。
【0143】
ここで「ストリンジェント条件下でのハイブリダイズ」とは、典型的には相互にハイブリダイズして残存し、ペプチドをコード化するヌクレオチド配列が互いに少なくとも60〜70%の相同性を有するまでハイブリダイズ及び洗浄を行うことを意味する。前記条件は、典型的には相互にハイブリダイズして残存し、互いに配列が少なくとも約60%、少なくとも約70%、又は少なくとも約80%以上の相同性を有する。
【0144】
このようなストリンジェント条件は、当業者に公知であり、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons, N.Y.(1989),6.3.1−6.3.6に記載されている。ストリンジェントハイブリダイズ条件の一例は、約45℃において6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でハイブリダイズし、続いて50〜65℃において、0.2XSSC、0.1%SDSで一回以上洗浄するという条件である。低いストリンジェントハイブリダイズ条件へ加減する例は、当技術においてよく知られている。
【0145】
核酸分子の使用
本発明の核酸分子はプローブ、プライマー、化学的中間体、マッピング試薬、発現調整試薬及び生物学的アッセイに有用である。核酸分子は、図2に表現されたペプチドをコード化する全長cDNAとゲノムクローンを単離するため、及び図2に示すペプチドと同じ又は関連したペプチドを生成する変異体(対立遺伝子、オルソログ等)に関連するcDNAとゲノムクローンを単離するための、mRNA、転写/cDNA、及びゲノムDNAへのハイブリダイズプローブとして有益である。
【0146】
プローブは、図に示した核酸分子の全長にわたって、いずれかの配列にも対応することができる。従って、それは5´非コード化領域、コード化領域、及び3´非コード化領域から誘導できる。しかしながら、前述したように、フラグメントは、本発明以前に公開されたフラグメントを含むものではない。
【0147】
核酸分子は、PCRによる核酸分子のいずれかの与えられた領域のプライマーとして有用であり、また、所望の長さ及び配列のアンチセンス分子の合成に有用である。このような分子は遺伝子分類やマッピング実験に有用であり、特にプローブ領域が、ここに表された対立変異体の1つ又はそれ以上を含む時に有用である。
【0148】
核酸分子はまた、組換ベクターを構成するのにも有用である。このようなベクターはペプチド配列の一部分又はすべてを発現する発現ベクターを含む。ベクターは挿入ベクターを含み、他の核酸分子配列に融合して使用され、例えば細胞ゲノム中に、遺伝子及び/又は遺伝子生成物の発現状態をin situで変えるために用いられる。例えば、内生コード化配列を、そのすべて又はその一部について1以上の特に変異を引き起こすコード化領域に相同的に組換えることができる。
【0149】
核酸分子はまた、タンパクの抗原部位を示すのにも有用である。
核酸分子はまた、in situハイブリダイズ法によって、核酸分子の染色体位置を決定するプローブとして有用である。
【0150】
核酸分子はまた、本発明の核酸分子の遺伝子特定領域を含むベクターを作るのに有用である。
核酸分子また、ここに記述された核酸分子から、全長又は一部のmRNAに対応するリボザイムを設計するのに有用である。
核酸分子はまた、ペプチドの一部又は全部を発現するベクターを作るのに有用である。
【0151】
核酸分子はまた、核酸分子及びペプチドの一部またはすべてを発現する宿主細胞を構築するのに有用である。
核酸分子はまた、前記核酸分子及びペプチドのすべて又は一部を発現する遺伝子組換動物を構築するのに有用である。
【0152】
核酸分子はまた、核酸分子の発現の存在、レベル、形態及び分布を決定するハイブリダイズプローブとして有用である。図1に提供された実験データにより、本発明のグルタミン酸受容体4タンパクが、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系に発現されることが示される。特に、仮想ノーザンブロットにより、ヒト胎児、幼児、及び、精神分裂症の脳、ヒトの正常神経質系、ヒトの網膜、及びヒトの生殖細胞腫瘍での発現が示される。従って、プローブは、細胞、組織及び有機体における特定核酸分子の存在を検知し、又はレベルを決定するために用いられ得る。核酸のレベルはDNA又はRNAで決定される。従って、ここに記述されるペプチドに対応するプローブは、与えられた細胞、組織、又は有機体で、発現及び/又は遺伝子複製数の評価に用いることができる。これらを使用することは、正常状態に比較し、トランスポータータンパクの発現が増加又は減少することを含む異常の診断に等価である。
【0153】
mRNAの検出のin vitro技術は、ノーザンハイブリダイズ及びin situハイブリダイズを含む。DNA検出のin vitro技術は、サザンハイブリダイズ及びin situハイブリダイズを含む。
【0154】
プローブは、トランスポータータンパクを発現する細胞又は組織を特定するための診断検査キットの一部として用いることができ、それは対象からの細胞のサンプル中のトランスポーターコード化核酸、例えばmRNA又はゲノムDNAのレベルを測定すること、又はトランスポーター遺伝子が変異していないかを検出することで行われる。図1に提供された実験データにより、本発明のグルタミン酸受容体4タンパクが、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系に発現されることが示される。特に、仮想ノーザンブロットにより、ヒト胎児、幼児、及び、精神分裂症の脳、ヒトの正常神経質系、ヒトの網膜、及びヒトの生殖細胞腫瘍での発現が示される。
【0155】
核酸発現アッセイは、トランスポーター核酸発現を変調する化合物を特定するスクリーニング試薬として有用である。
【0156】
従って本発明により、トランスポーター遺伝子の核酸発現に関連した異常を処置するために用い得る化合物の特定のための方法、特にそれを発現する細胞及び組織において、トランスポーターにより媒介される生物学、病理学の方法が提供される。図1の実験データは、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系での発現を示している。この方法は、典型的にはトランスポーター核酸の発現を変調する化合物の能力をアッセイし、望ましくないトランスポーター核酸の発現により特徴づけられる異常の処置にその物質が使用し得るかを判定する。これらのアッセイは細胞系及び無細胞系で行うことができる。細胞系のアッセイは、トランスポーター核酸を自然に発現している細胞、又は特定の核酸配列を発現するように遺伝的に設計された組換え細胞を含む。
【0157】
トランスポーター核酸発現のためのアッセイは、mRNAレベル、又は信号経路に関係する副次的な化合物等の核酸レベルの直接的なアッセイを含むことができる。さらに、トランスポータータンパク信号経路に反応して、上昇又は下降調節される遺伝子の発現も、アッセイされる。この例において、これらの遺伝子の規定領域は、発光酵素などのレポーター遺伝子と関連付けられうる。
【0158】
よって、トランスポーター遺伝子発現の変調剤は、細胞を候補化合物に接触させ、決定されたmRNAを発現させるという方法で特定される。候補化合物存在下でのトランスポーターmRNA発現のレベルは、候補化合物非存在下でのトランスポーターmRNA発現のレベルと比較される。候補化合物は、この比較に基づいて核酸発現の変調剤として特定でき、例えば異常な核酸によって特徴付けられる異常の処置に使用できる。候補化合物存在下でのmRNA発現が、候補化合物非存在下でのmRNA発現と比較して顕著に大きい場合、候補化合物は核酸発現の誘発剤として特定される。候補化合物存在下でのmRNA発現が、候補化合物非存在下でのmRNA発現と比較して顕著に少ない場合、候補化合物は核酸発現の阻害剤として特定される。
【0159】
本発明はさらに、核酸を対象として、トランスポーターを発現する細胞又は組織において、トランスポーター核酸発現を変調する遺伝子変調剤として薬剤スクリーニングを通して特定された化合物を用いた処置方法を提供する。図1に提供された実験データにより、本発明のグルタミン酸受容体4タンパクが、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系に発現されることが示される。特に、仮想ノーザンブロットにより、ヒト胎児、幼児、及び、精神分裂症の脳、ヒトの正常神経質系、ヒトの網膜、及びヒトの生殖細胞腫瘍での発現が示される。変調は、上向き調整(例えば活性化又は作動化)又は下向き調整(抑制又は拮抗)の両方の調節、又は核酸発現を含む。
【0160】
あるいは、薬剤又は小分子がタンパクを発現する細胞又は組織中でトランスポーター核酸発現を阻害する限り、トランスポーター核酸発現の変調剤は、ここに記載されるスクリーニングアッセイを用いて特定される小分子又は薬剤であり得る。図1の実験データは、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系での発現を示している。
【0161】
核酸分子はまた、臨床試験又は治療方法において、トランスポーター遺伝子の発現及び活性に対する変調化合物の効果をモニターするのに有用である。よって、遺伝子発現パターンは化合物による治療の連続的効果のバロメーターとなり、特に患者が耐性を示す化合物に有効である。遺伝子発現パターンは、影響された細胞の化合物への生理的反応を暗示するマーカーとしてもまた有用である。従って、このようなモニターは、化合物の投与量の増加、あるいは患者が耐性を示さない別の化合物の投与を認める。同様に、核酸発現のレベルが好ましいレベル以下に落ちたら、化合物の投与を比例して減少させることができる。
【0162】
核酸分子はまた、トランスポーター核酸発現の質的変化に対する診断アッセイに有用であり、特に病状を導き出す質的変化に有用である。核酸分子はトランスポーター遺伝子及びmRNAのような遺伝子発現生成物の変異を検出するのに用いることができる。核酸分子は、トランスポーター遺伝子において自然発生した遺伝子突然変異を検出し、その変異を持つ被験者が変異により生じる障害の危険性を有しているかどうかを判定するためのハイブリダイゼーションプローブとして用いることができる。変異は、遺伝子中の1以上のヌクレオチドの欠如、付加、置換;転置又は転移のような染色体再配置;異常メチル化パターンのようなゲノムDNAの変化;増幅のような遺伝子複写数の変化等を含む。疾患がトランスポータータンパクの過剰発現、過小発現又は変異発現による場合、機能障害に関連するトランスポーター遺伝子の変異体の検出により、疾患の活性又は疾患への感受性の診断ツールが提供される。
【0163】
トランスポーター遺伝子に変異を有する個人は、各種技術により遺伝子レベルで検出することができる。ゲノムDNAは直接分析されるか、又は分析前にPCRにより増幅できる。RNA又はcDNAも同様に使われうる。変異の検出は、ある用途では、アンカーPCR又はRACE PCRのようなポリメラーゼ鎖反応(PCR)(U.S.Patent No.4,683,195及び4,683,202参照)、又は異なるものではリゲーション鎖反応(LCR)(Landegran et al., Science 241:1077−1080(1988);及びNakazawa et al., PNAS 91:360−364(1994)参照)におけるプローブ/プライマーの使用を含み、後者は特に遺伝子のポイント変異の検出に特に有効である(Abravaya et al., Nucleic Acids Res.23:675−682(1995)参照)。この方法は、患者から細胞サンプルを収集する工程;細胞サンプルから核酸(例えばゲノム,mRNA又は両者)を単離する工程;核酸サンプルを遺伝子(もし存在すれば)のハイブリダイズ及び増幅が生じる条件下で、遺伝子に特にハイブリダイズした1以上のプライマーと接触させる工程;増幅生成物の存在又は不存在を検出する、又は増幅生成物の大きさを検出しコントロールサンプルの長さと対比する工程;を含む。欠失及び挿入は増幅生成物を正常遺伝子型と比較することにより、大きさの変化で検出することができる。ポイント変異は、増幅DNAを正常RNA又はアンチセンスDNAとハイブリダイズすることで特定することができる。
【0164】
あるいは、トランスポーター遺伝子の変異は、例えばゲル電気泳動により決定される制限酵素消化パターンの変更により、直接的に確認することができる。
さらに、配列特定リボザイム(U.S. Patent No. 5,498,531)は、リボザイム開裂部位の成長又は減少により、特定の変異の存在を評点することに用いることができる。完全に一致する配列は、ヌクレアーゼ開裂消化アッセイ、又は融点の違いによって、不一致の配列から区別することができる。
【0165】
特定領域の配列変化は、RNase及びS1保護のようなヌクレアーゼ保護アッセイ又は化学開裂法により評価することができる。さらに、変異トランスポーター遺伝子と野性型遺伝子との間の配列相違は、直接DNA配列化により決定できる。自動配列化手段の各種は、診断アッセイを実行するときに有効であり(Naeve,C.W.,(1995)Biotechniques 19:448)、マススペクトルによる配列化を含む(PCT International Publication No.WO94/16101;Cohen et al., Adv.Chromatogr.36:127−162(1996);及びGriffin et al., Appl.Biochem. Biotechnol. 38;147−159(1993)参照)。
【0166】
遺伝子の変異を検出する他の方法には、RNA/RNA又はRNA/DNA二重鎖の不適合塩基を検出するため開裂試薬から保護する方法(Myers et al., Science 230;1242(1985));Cotton et al.,PNAS85:4397(1988);Saleeba et al.,Meth.Enzymol.217:286−295(1992))、変異及び野性型核酸の電気泳動量を比較する方法(Orita et al.,PNAS 86;2766(1989);Cotton et al., Mutat.Res.285:125−144(1993);及びHayashi et al.,Genet.Anal.Tech.Appl.9:73−79(1992))、及び変性剤の勾配を含んだポリアクリルアミドゲル中での変異体又は野生型フラグメントの動きを、勾配ゲル電気泳動を用いてアッセイする方法 (Myers et al., Nature 313:495(1985))が含まれる。ポイント変異を検出する他の技術の例には、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイズ、選択的増幅、及び選択的プライマー伸長が含まれる。
【0167】
核酸分子は、治療方法に影響を及ぼすにも関わらず、必ずしも疾患を引き起こすわけではない遺伝子型の個人テストにおいても有用である。このため、核酸分子は、個人の遺伝子型と、治療に用いられる化合物に対する個人の応答との相関(薬理ゲノム相関)についての研究に用いることができる。したがって、治療のために適切な化合物及び投与量を選択するために、ここに記載されている核酸分子を、個人のトランスポーター遺伝子の変異の評価に用いることができる。
【0168】
そして、治療に影響を与える遺伝子変異を示す核酸分子は、個人に対するテーラー治療に用いることのできる診断対象を提供する。従って、これらの多型を有する組換細胞及び動物の製造は、治療化合物及び投与量の効果的な臨床設計を可能とする。
【0169】
核酸分子は、細胞、組織、及び生体におけるトランスポーター遺伝子発現を制御するためのアンチセンス構成物として有用である。DNAアンチセンス核酸分子は、転写に関連する遺伝子の領域に相補的に設計され、転写及びその後のトランスポータータンパクの製造を阻止する。アンチセンスRNA又はDNA核酸分子は、mRNAにハイブリダイズされ、mRNAのトランスポータータンパクへの翻訳を阻止する。
【0170】
あるいは、アンチセンス分子の一種は、トランスポーター核酸の発現を減少させ、mRNAを不活性化するために用いられる。従って、これらの分子は、異常又は望ましくないトランスポーター核酸発現により特徴づけられる異常を治療することができる。この技術は、mRNAの1以上の部分に、mRNAが翻訳される能力を減じるヌクレオチド配列を相補的に含むリボザイムによる開裂に関する。可能な部分はコード領域、特にリガンド結合のようなトランスポータータンパクの触媒活性及び他の機能的活性に関連したコード領域である。
【0171】
核酸分子はさらに、トランスポーター遺伝子発現に異常を有する細胞を含む患者の遺伝子治療のベクターを提供する。組み換え細胞は、ex vivoで調製され患者に戻される細胞を含み、個人の体内に導入されて、そこで細胞は個人の治療のために望ましいトランスポータータンパクを生成する。
【0172】
本発明はまた、生物的サンプル中のトランスポーター核酸の存在を検知するキットを含む。図1に提供された実験データにより、本発明のグルタミン酸受容体4タンパクが、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系に発現されることが示される。特に、仮想ノーザンブロットにより、ヒト胎児、幼児、及び、精神分裂症の脳、ヒトの正常神経質系、ヒトの網膜、及びヒトの生殖細胞腫瘍での発現が示される。例えば、キットは、ラベル化された又はラベル化可能な核酸、あるいは生物学的サンプル中でトランスポーター核酸を検出することのできる試薬;サンプル中のトランスポーター核酸量を決定する手段;及び標準サンプルのトランスポーター核酸量と比較する手段;を含むことができる。化合物又は薬剤は適当な容器に封入される。このキットはさらにトランスポータータンパクmRNA又はDNAを検出するキットの使用に関する説明書を含む。
【0173】
核酸アレイ
さらに本発明により、図1及び3(SEQ ID NO:1及び3)で与えられる配列情報に基づく核酸分子のアレイ又はマイクロアレイ等の核酸検出キットが提供される。
【0174】
ここで用いる「アレイ」又は「マイクロアレイ」とは、紙、ナイロン又は他種の膜、フィルター、チップ、スライドグラス又は他の適当な固形担体である基板上に合成された別個のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドのアレイを表す。1つの例において、マイクロアレイはU.S.Patent 5,837,832,Chee et al., PCT 出願 WO95/11995(Chee et al.),Lockhart,D.J.et al.(1996;Nat.Biotech.14:1675−1680)及びShena,M.et al.(1996;Proc.Natl.Acad.Sci.93:10614−10619)に記載された方法にしたがって調製且つ使用され、これらは参考としてここに折り込まれる。他の例では、このようなアレイはBrown et al., U.S.Patent No.5,807,522に記載される方法により製造される。
【0175】
マイクロアレイ又は検出キットは、好ましくは多くの特異な単鎖核酸配列を含み、通常、固形担体に固定された合成アンチセンスオリゴヌクレオチド又はcDNAのフラグメントのいずれかを含む。オリゴヌクレオチドは好ましくは約6〜60のヌクレオチド長で、より好ましくは15〜30のヌクレオチド長、もっとも好ましくは約20〜25のヌクレオチド長である。ある種のマイクロアレイあるいは検出キットでは、好ましくはわずか7〜20のヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドを用いる。マイクロアレイあるいは検出キットは、既知の5’あるいは3’配列を包含するオリゴヌクレオチド、全長配列を包含する配列化オリゴヌクレオチド、あるいは配列の長さに沿った特定領域から選択された特異なオリゴヌクレオチドを含む。マイクロアレイあるいは検出キットに用いられるポリヌクレオチドは、遺伝子あるいは対象遺伝子グループに特異的なオリゴヌクレオチドである。
【0176】
マイクロアレイあるいは検出キット用に公知の配列のオリゴヌクレオチドを製造するため、対象となる遺伝子(あるいは本発明により特定されるORF)は、典型的にはヌクレオチド配列の5’あるいは3’末端から開始する、コンピュータアルゴリズムを用いて検査される。典型的なアルゴリズムは、遺伝子に特異的な長さであり、ハイブリダイズに適した範囲にGC含有量を有し、ハイブリダイズを妨害する二次構造を有さないとされたオリゴマーを特定する。ある条件下で、マイクロアレイあるいは検出キット上のオリゴヌクレオチド対を用いることが好適である。「対」は同一で、好ましくは配列の中央部に位置する一つのヌクレオチドを除く。対の第二オリゴヌクレオチド(一方とは整合しない)はコントロールとなる。オリゴヌクレオチド対の数は2から百万である。オリゴマーは、基板の特定領域に、光照射化学処理により合成される。基板は、紙、ナイロンあるいは多種の膜、フィルター、チップ、スライドグラス、あるいは他の適当な固体担体である。
【0177】
他の例では、オリゴヌクレオチドは基板上に化学結合処理及びインクジェット処理装置により合成され、これはPCT出願 WO95/251116(Baldeschweiler等)に記載されており、そのすべては参考としてここに折り込まれる。他の例では、「格子化」配列は、ドット(又はスロット)がcDNAフラグメント又はオリゴヌクレオチドを、真空システム、加熱、UV、機械的又は化学的結合処理により基板の表面に配置及び結合する。上記のような配列は、手作業又は適当な装置(スロットブロット又はドットブロット装置)、材料(適当な固体担体のいずれか)及び機械(ロボット化設備)により製造され、8,24,96,384,1536,6144又はそれ以上のオリゴヌクレオチド、又は市販の設備の効率的な用途に適している2〜100万のオリゴヌクレオチドを含む。
【0178】
マイクロアレイあるいは検出キットを用いたサンプル分析を行うため、生物サンプルから得られたRNAあるいはDNAをハイブリダイズプローブに調製する。mRNAは単離され、cDNAは製造され、アンチセンスRNA(aRNA)を製造する型として使用される。aRNAは蛍光ヌクレオチドの存在下に増幅され、ラベルされたプローブはマイクロアレイあるいは検出キットとともに培養され、プローブの配列はマイクロアレイあるいは検出キットのオリゴヌクレオチドに相補的にハイブリダイズされる。完全な相補性、又は様々な程度の少ない相補性を持つようにハイブリダイズが起こるよう、培養条件が調整される。非ハイブリダイズプローブが除かれた後、蛍光レベル及びパターンを決定するためスキャナーが用いられる。スキャンされたイメージは、マイクロアレイあるいは検出キット上の各オリゴヌクレオチド配列の相補性の程度及び相対的存在度を決定する検査を行う。生物的サンプルはいずれの体液(血液、尿、唾液、たん、胃液等)、培養細胞、生体組織、あるいは他の組織調製物からも得ることができる。検出システムは、すべての区別される配列についてハイブリダイゼーションの欠如、存在、及び量を測定するのに用いられる。このデータは、配列、発現型、変異、変異体又はサンプル間の多型の大規模な相互関係研究のために使用することができる。
【0179】
本発明は、このようなアレイを用い、本発明のトランスポータータンパク/ペプチドの発現を特定する方法を提供する。詳細には、このような方法は被検サンプルを1以上の核酸分子と共に培養し、被検サンプル中の成分への核酸分子の結合をアッセイすることを含む。このアッセイは、典型的には多くの遺伝子を含む配列を含み、少なくとも1つは本発明の遺伝子及び/又は本発明のトランスポーター遺伝子をコード化する対立遺伝子である。
【0180】
核酸分子の培養条件は被検サンプルとともに変化する。培養条件はアッセイに用いられた形態、採用された検出方法、及びアッセイに用いられた核酸分子の型及び性質に依存する。当業者は、一般的に適用されるハイブリダイゼーション、増幅、又はアレイアッセイ形態を、ここに記述されたヒトゲノムの新規なフラグメントを用いるのに適するよう調製することができる。このようなアッセイの例は、Chard,T,An Introduction to Radioimmunoassay and Related Techniques, Elsevier Science Publishers, Amsterdam, The Netherlands(1986);Bullock,G.R.et al., Techniques in Immnocytochemistry, Academic Press, Orlando, FL Vol.1(1982),Vol.2(1983), Vol.3 (1985);Tijssen, P., Practice and Theory of Enzyme Immunoassay: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Elsevier Science Publishers, Amsterdam, The Netherlands(1985) に記載されている。
【0181】
本発明の披検サンプルは、細胞、タンパク、又は細胞から得られる細胞膜抽出物を含む。上記の方法により使われた披検サンプルは、アッセイフォーマット、検出方法の性質、及びアッセイされるサンプルとして使用された組織、細胞、抽出物に基づき変化する。核酸、又は細胞抽出物を用意する方法は、当業者によく知られており、利用された系と矛盾のないサンプルを得るために、容易に適応できる。
【0182】
本発明の他の例では、キットは本発明のアッセイを実行するために、必要な試薬を含むように規定される。
【0183】
特に本発明は、(a)核酸プローブの一つ、例えばここに記述されるヒトゲノムのフラグメントを結合することのできる核酸分子を含む第一の容器;及び(b)洗浄剤又は結合核酸の存在を検出することのできる試薬の一つ以上を含む一以上の容器を含む、小さく仕切られ、コンパートメント化されたキットを提供する。
【0184】
詳細には、コンパートメント化されたキットは、隔離された容器に試薬が入る各キットを含む。このような容器は、小さなガラス容器、プラスチック容器、プラスチックのストライプ、ガラス又は紙、又はシリカのようなアレイ化材料を含む。このような容器は、一つのコンパートメントから他のコンパートメントに試薬を効率的に移行させ、サンプル及び試薬は相互汚染せず、各容器の試薬又は溶液は一の容器から他の容器へ定量的に添加される。このような容器は、被検サンプルを入れる容器、核酸プローブを入れる容器、洗浄液(リン酸緩衝液、Tris緩衝液等)を入れる容器、結合プローブを検出する試薬を入れる容器を含む。当業者は、本発明の遺伝子をコード化する本発明の未特定トランスポーター遺伝子を、ここに開示された配列情報を用い、定型的に特定することができ、これを周知のキット形式、特に発現アレイに折り込んで用いることができる。
【0185】
ベクター/宿主細胞
本発明はまた、ここに記載の核酸分子を含むベクターを提供する。「ベクター」とは、核酸分子を輸送する媒体、好ましくは核酸分子を意味する。ベクターが核酸分子である場合、核酸分子はベクターの核酸と共有結合している。本発明のこの見地から、ベクターはプラスミド、一本鎖又は二本鎖のファージ、一本鎖又は二本鎖のRNA又はDNAウイルスベクター、あるいは人工染色体を含み、例えば、BAC、PAC、YAC、MACなどが挙げられる。
【0186】
ベクターは、染色体外成分として宿主細胞中で維持可能であり、そこで核酸分子の別のコピーを複製、生産する。あるいは、ベクターは、宿主細胞ゲノム中に組み込まれ、宿主細胞が複製する際に核酸分子の別のコピーを生産してもよい。
【0187】
本発明は、維持のためのベクター(クローニングベクター)あるいは核酸分子発現のためのベクター(発現ベクター)を提供する。ベクターは、原核細胞又は真核細胞、あるいはその両者において機能することができる(シャトルベクター)。
【0188】
発現ベクターは、シス作用性調節領域を含み、該領域は、核酸分子の転写が宿主細胞中でできるように、ベクター中で核酸分子に作動可能に結合されている。核酸分子は、転写に作用することが可能な別の核酸分子と共に宿主細胞に導入することができる。従って、この第2の核酸分子は、ベクターからの核酸分子の転写ができるように、シス調節コントロール領域と相互作用するトランス作用性因子を与えてもよい。あるいは、トランス作用性因子は、宿主細胞により供給されてもよい。また、トランス作用性因子は、ベクター自体から生産することもできる。しかしながら、いくつかの実験において、核酸分子の転写及び/又は翻訳は無細胞系で起こり得ることが理解される。
【0189】
ここに記載の核酸分子が作動可能に結合している調節配列は、mRNA転写を指示するプロモーターを含む。これは、バクテリオファージλから残ったプロモーター、大腸菌からのlac、TRP、及びTACプロモーター、SV40からの初期及び後期プロモーター、CMV即時型プロモーター、アデノウイルス初期及び後期プロモーター、ならびにレトロウイルス長末端反復を含むが、これらに限定されない。
【0190】
発現ベクターは、転写を促進するコントロール領域の他に、レプレッサー結合領域やエンハンサー等の転写調節領域をも含むことができる。例としては、SV40エンハンサー、サイトメガロウイルス即時型エンハンサー、ポリオーマエンハンサー、アデノウイルスエンハンサー、レトロウイルスLTRエンハンサーを含む。
【0191】
発現ベクターは、転写を開始及びコントロールするための領域を含む他、転写終止に必要な配列を含むことが可能であり、また転写される領域においては、翻訳のためのリボソーム結合領域を含むことも可能である。発現のための他の調節コントロール要素は、ポリアデニル化信号だけでなく開始及び終止コドンも含む。当業者は、発現ベクターに有用な多数の調節配列を知っているであろう。このような調節配列は例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: Alaboratory Manual. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harber, NY (1989) に記載されている。
【0192】
多様な発現ベクターを核酸分子の発現に用いることができる。このようなベクターは、染色体ベクター、エピソームベクター、ウイルス由来ベクターを含み、例えば、細菌プラスミド由来;バクテリオファージ由来;酵母エピソーム由来;酵母人工染色体を含む酵母染色体要素由来;バクロウイルス、SV40等のパポーバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、ポックスウイルス、仮性狂犬病ウイルス、レトロウイルス等のウイルス由来;のベクターが挙げられる。ベクターはプラスミド及びバクテリオファージ遺伝要素、例えば、コスミド、ファージミドなどに由来するようなこれら起源の組み合わせに由来してもよい。原核宿主及び真核宿主のための適当なクローニングベクター及び発現ベクターは、Sambrook et al., Molecular Cloning: Alaboratory Manual. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harber, NY (1989) に記載されている。
【0193】
調節配列は1つ以上の宿主細胞における構成性発現を与えてもよく(すなわち、組織特異的)、あるいは、温度、栄養添加剤、又はホルモンや別のリガンドのような外因性因子によるような一つ以上の細胞型での誘導性発現を与えてもよい。原核宿主及び真核宿主における構成性発現及び誘導性発現を与える様々なベクターは当業者に良く知られている。
【0194】
核酸分子は、周知の方法論により、ベクターの核酸に挿入することができる。一般に、最終的に発現するDNA配列は、一つ以上の制限酵素によりDNA配列と発現ベクターを切断し、その後そのフラグメントが互いに結合することにより発現ベクターに結合する。制限酵素の消化及び結合反応の手順は、当業者に良く知られている。
【0195】
適当な核酸分子を含むベクターは、周知の技術を用い、増殖あるいは発現に適当な宿主細胞に導入することができる。細菌細胞は、大腸菌、放線菌、及びネズミチフス菌を含むが、これらに限定されない。真核細胞は、酵母、ショウジョウバエなどの昆虫細胞、COSやCHO細胞などの動物細胞、及び植物細胞を含むが、これらに限定されない。
【0196】
ここに記載のように、融合タンパクとしてペプチドを発現することが望ましいかもしれない。従って本発明は、ペプチドが生産できる融合ベクターを提供する。融合ベクターは、組換えタンパクの発現を増大し、組換えタンパクの溶解度を向上させ、そして例えばアフィニティー精製のためのリガンドとして作用することによりタンパク精製を助けることができる。タンパク加水分解の切断部位は、融合部位の接合点に導入してもよく、その結果、所望のペプチドを最終的に融合部位から分離することができる。タンパク加水分解酵素は、Xa因子、トロンビン、及びエンテロトランスポーターを含むが、これらに限定されない。代表的な融合発現ベクターは、対象組換えタンパクに対してグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク、あるいはタンパクAとそれぞれ融合するpGEX (Smith et al., Gene 67:31−40 (1988))、 pMAL (New England Biolabs, Beverly, MA)、及びpRIT5 (Pharmacia, Piscataway, NJ)を含む。
【0197】
適切な誘導性非融合大腸菌発現ベクターの例としては、pTrc (Amann et al., Gene 69:301−315 (1988)) 及び pET 11d (Studier et al., Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185:60−89 (1990))を含む。
【0198】
組換えタンパクの発現は、組換えタンパクをタンパク加水分解的に切断する宿主細胞の能力が減じられている遺伝的背景を提供することにより、宿主細菌において最大化することができる(Gottesman, S., Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, California (1990) 119−128)。あるいは、関係のある核酸分子の配列は、大腸菌等の特定の宿主細胞に優先的コドンの使用を提供するように変更することができる(Wada et al., Nucleic Acids Res. 20:2111−2118 (1992))。
【0199】
核酸分子は、酵母において作用する発現ベクターにより発現することも可能である。酵母、例えばS. cerevisiae での発現のためのベクターの例としては、pYepSec1 (Baldari, et al., EMBO J. 6:229−234 (1987))、 pMFa (Kurjan et al., Cell 30:933−943(1982))、 pJRY88 (Schultz et al., Gene 54:113−123 (1987))、 及び pYES2 (Invitrogen Corporation, San Diego, CA)を含む。
【0200】
核酸分子は、また、例えばバクロウイルス発現ベクターを用い、昆虫細胞中で発現させることもできる。培養昆虫細胞(例えば、Sf 9 細胞)中でのタンパク発現に有用なバクロウイルスベクターは、pAc系(Smith et al., Mol. Cell Biol. 3:2156−2165 (1983)) 及び pVL系 (Lucklow et al., Virology 170:31−39 (1989)) を含む。
【0201】
本発明のある例において、ここに記載の核酸分子は、哺乳類の発現ベクターを用い、哺乳類細胞において発現する。哺乳類発現ベクターの例としては、pCDM8 (Seed, B. Nature 329:840(1987)) 及び pMT2PC (Kaufman et al., EMBO J. 6:187−195 (1987))を含む。
【0202】
ここに挙げた発現ベクターは、核酸分子を発現するのに有用であり、当業者が利用可能な周知のベクターの単なる例として提供するものである。当業者は、ここに記載の核酸分子の維持、増殖あるいは発現に適した他のベクターについて知っているであろう。これらは、例えば、Sambrook, J., Fritsh, E. F., and Maniatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd, ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989に認められる。
【0203】
本発明は、ここに記載の核酸配列が逆向きにベクター中にクローン化されてはいるが、アンチセンスRNAの転写を許可する調節配列に作用可能に結合されているベクターも含む。従って、アンチセンス転写物は、コード領域及び非コード領域の両方を含むここに記載の核酸分子配列の全てあるいは一部に対して生産することができる。このアンチセンスRNAの発現は、センスRNAの発現に関する上記各パラメータに従う(調節配列、構成性又は誘導性発現、組織特異的発現)。
【0204】
本発明は、ここに記載のベクターを含む組換え宿主細胞にも関する。宿主細胞は、原核細胞、酵母等の下等真核細胞、昆虫細胞等の他の真核細胞、及び哺乳類細胞等の高等真核細胞を含む。
【0205】
組換え宿主細胞は、ここに記載のベクター構成物を当業者が容易に使用可能な技術により細胞に導入することにより作製される。これらは、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染、リポフェクション、及びSambrook, et al. (Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd, ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989)に認められるような他の技術を含むが、これらに限定されない。
【0206】
宿主細胞は、一つ以上のベクターを含むことができる。従って、異なるヌクレオチド配列を同じ細胞の異なるベクター上に導入することができる。同様に、核酸分子を単独で、あるいは発現ベクターのためのトランス作用性因子を提供する核酸分子等に無関係な他の核酸分子とともに導入することもできる。一つ以上のベクターを細胞に導入する場合、ベクターは独立して導入するか、共に導入するか、あるいは核酸分子ベクターに結合することができる。
【0207】
バクテリオファージ及びウイルス性ベクターの場合、これらは感染及び形質導入の標準的な方法によりパッケージ化ウイルスあるいはカプセル化ウイルスとして細胞内に導入することができる。ウイルスベクターは、複製コンピテント(replication−competent)あるいは複製欠損(replication−defective)であることが可能である。ウイルス複製が欠損している場合、欠損を補足する機能を発揮する宿主細胞において、複製は起こる。
【0208】
ベクターは、一般的に、組換えベクター構成物を含む細胞亜集団の選択ができる選択可能マーカーを含む。このマーカーは、ここに記載の核酸分子を含む同一のベクター中に含まれていてもよく、あるいは別のベクター上にあってもよい。マーカーは、原核宿主細胞に関するテトラサイクリン又はアンピシリン抵抗性遺伝子、及び真核宿主細胞に関するジヒドロ葉酸レダクターゼ又はネオマイシン抵抗性遺伝子を含む。しかしながら、表現型形質を選択する何れのマーカーも効果的である。
【0209】
成熟タンパクは、細菌、酵母、哺乳類細胞、及び他の細胞において適当な調節配列のコントロール下に生産可能であるが、ここに記載のDNA構成物に由来するRNAを用いて、これらタンパクを生産するために無細胞転写及び翻訳系を使用することも可能である。
【0210】
ペプチド分泌が望まれるところでは、トランスポーター等のタンパクを含むマルチ貫膜ドメインが達成しづらく、適切な分泌信号がベクターに組み入れられる。信号配列は、ペプチドに対して内因性であるか、あるいはこれらのペプチドに対して非相同であることができる。
【0211】
ペプチドを媒体中に分泌しないところでは、それはトランスポーターの場合に典型的であるが、タンパクは凍結解凍、音波処理、機械的破砕、溶菌剤の使用等を含む標準的な破砕方法により宿主細胞から単離することができる。ペプチドは、その後、硫酸アンモニウム沈降、酸抽出、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィー、リン酸セルロースクロマトグラフィー、疎水的相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィー、あるいは高速液体クロマトグラフィー等の周知の精製方法により回収、精製することができる。
【0212】
ここに記載のペプチドの組換え生産における宿主細胞に依存して、ペプチドは、細胞によって様々なグリコシル化パターンを有することができ、あるいは細菌中で生産する場合のようにグリコシル化されないかもしれない。さらに、宿主媒介工程の結果のような場合には、ペプチドは初期修飾メチオニンを含むかもしれない。
【0213】
ベクターと宿主細胞の使用
ここに記載のペプチドを発現する組換え宿主細胞は、様々な用途を有する。まず、細胞は、トランスポータータンパクの生産、あるいは、さらに精製して所望量のトランスポータータンパクやフラグメントを生産することができるペプチドの生産に有用である。従って、発現ベクターを含む宿主細胞は、ペプチド生産に有用である。
【0214】
宿主細胞は、また、当該分野で公知のフォーマットだけでなく、前記のようなトランスポータータンパクあるいはトランスポータータンパクフラグメントに関連する細胞系アッセイにも有用である。従って、天然トランスポータータンパクを発現する組換え宿主細胞は、トランスポータータンパク機能を刺激あるいは抑制する物質アッセイに有用である。
【0215】
宿主細胞はまた、その機能に影響があるトランスポータータンパク変異体の特定にも有用である。その変異体が自然に発生し、病理を起こすのであれば、その変異を含む宿主細胞は、天然トランスポータータンパクに対しては示さないかもしれない効果であり、トランスポータータンパク変異体に対しては望ましい効果(例えば、誘発機能や抑制機能)を有する化合物の分析に有用である。
【0216】
一般的に、設計された宿主細胞は、さらにヒト以外の形質転換動物の生産に使用することができる。形質転換動物は、好ましくは哺乳類、例えば、ラットやマウス等の齧歯類であり、その動物の細胞の一つ以上が導入遺伝子を含むものである。導入遺伝子は、形質転換動物が発育した細胞のゲノム中に組み込まれ、その形質転換動物の一つ以上の細胞型あるいは組織中の成熟動物のゲノム中に残存する外因性DNAである。これらの動物は、トランスポータータンパクの機能の研究、並びにトランスポータータンパク活性の変調剤の特定及び評価に有用である。形質転換動物の他の例としては、ヒト以外の霊長目動物、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類を含む。
【0217】
形質転換動物は、受精卵母細胞の雄前核中に核酸を導入することにより生産することができる。例えば微量注入法、レトロウイルス感染、卵母細胞の疑似妊娠雌養育動物中での発育などにより生産できる。トランスポータータンパクヌクレオチド配列は何れも、マウスのようなヒト以外の動物のゲノム中に導入遺伝子として導入することができる。
【0218】
発現ベクターにおいて有用な調節配列あるいは他の配列は何れも、形質転換配列の一部を形成することができる。これは、もし既に含まれていない場合に、イントロン配列及びポリアデニル化信号を含む。組織特異的調節配列は、導入遺伝子に作用可能に結合し、特定の細胞に対してトランスポータータンパクの発現を指示する。
【0219】
胚操作及び微量注入法による形質転換動物の生成方法は、特にマウスのような動物では、当該技術分野において通常行われており、例えば、U.S.Patent No.4,736,866及びU.S.Patent No.4,870,009(共にLeder et al.)、U.S.Patent No.4,873,191(Wagner et al.)、並びにHogan, B., Manipulating the Mouse Embryo, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1986)等に記載されている。同様の方法は、他の形質転換動物の生産にも使用される。形質転換の基礎動物は、そのゲノム中の導入遺伝子及び/又はその動物の組織あるいは細胞中の形質転換mRNAの発現の存在に基づき特定することができる。形質転換の基礎動物は、その後、導入遺伝子を保有する別の動物を生むのに用いることができる。また、導入遺伝子を保有する形質転換動物は、さらに別の導入遺伝子を保有する別の形質転換動物に改良することができる。形質転換動物はまた、ここに記載の相同組換え宿主細胞を用いて完全な動物あるいはその動物の組織を生産する動物も含む。
【0220】
別の例において、ヒト以外の形質転換動物は、導入遺伝子発現調節ができる選択システムを含み生産することができる。このようなシステムの一例は、バクテリオファージP1のcre/oxPリコンビナーゼシステムである。cre/oxPリコンビナーゼシステムに関しては、例えば、Lakso et al. PNAS 89:6232−6236 (1992)を参照。リコンビナーゼシステムの別の例はS. cerevisiae のFLPリコンビナーゼシステムである(O’Gorman et al. Science 251:1351−1355 (1991))。cre/oxPリコンビナーゼシステムを導入遺伝子の発現調節に使用する場合、Creリコンビナーゼ及び選択タンパクの両方をコード化する導入遺伝子を含む動物が必要である。このような動物は、”複”形質転換動物の構築を通じて、例えば、2つの形質転換動物、すなわち、一つは選択タンパクをコード化する導入遺伝子を含み、他方はリコンビナーゼをコード化する導入遺伝子を含む2つの形質転換動物を交配することにより、得ることができる。
【0221】
ここに記載の非ヒト形質転換動物のクローンは、また、Wilmut, I. et al. Nature 385:810−813 (1997) 並びにPCT国際公開公報 WO 97/07668及びWO 97/07669に記載の方法により生産することもできる。簡単に説明すれば、細胞、例えば、体細胞は、成長サイクルから脱してG期に入るように、形質転換動物から単離、誘導することができる。
【0222】
休止細胞は、その後、例えば電気パルスを使用して、その休止細胞を単離した動物と同種の動物由来の無核卵母細胞に対して、融合することができる。この再構築卵母細胞は、その後、培養して桑実胚又は尾胞に発達し、疑似妊娠雌養育動物に転移する。この雌養育動物の子は、その細胞、例えば体細胞を単離した動物のクローンであろう。
【0223】
ここに記載のペプチドを発現する組換え細胞を含む形質転換動物は、ここに記載のアッセイをin vivo状況下で行うのに有用である。従って、in vivoに存在し、リガンド結合、トランスポータータンパク活性化、及び信号形質導入に影響する様々な生理的因子は、in vitroの無細胞分析あるいは細胞系分析からは明らかでないかもしれない。従って、ヒト以外の形質転換動物の提供は、in vivoにおけるトランスポータータンパク機能、例えば、リガンド相互作用、トランスポータータンパク機能とリガンド相互作用に対する特異的変異トランスポータータンパクの影響、並びにキメラトランスポータータンパクの影響を含む機能の分析に有用である。また、ヌル変異、すなわち、実質的にあるいは完全に一つ以上のトランスポータータンパク機能を除去する変異の影響を評価することもできる。
【0224】
上記明細書に記載の全ての出版物及び特許はここに織り込まれるものである。本発明に記載の方法及びシステムの様々な修飾及び変更は本発明の範囲ならびに精神を外れない範囲で当業者に明らかである。本発明は特定の好ましい例に関連して記載しているが、クレームされた本発明はこのような特定の例に不当に限定されないことが理解されるべきである。特に、分子生物学及び関連する分野の当業者に自明な前記本発明の実施態様の様々な修飾は、以下のクレームの範囲内であることを意図する。
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、本発明にかかるトランスポータータンパクをコード化するcDNA配列あるいは転写配列のヌクレオチド配列を提供する。加えて、この分子配列に基づく発明の具体的な使用を容易に決定できる、ATG開始、終止、及び組織分布等、構造と機能情報を提供する。図1の実験データは、脳、網膜、生殖細胞腫瘍、及び神経系での発現を示している。
【図2】
図2は、本発明にかかるトランスポーターの予測されるアミノ酸配列を提供する。加えて、タンパクファミリー、機能、及び修飾部位等、構造と機能情報を提供しており、この分子配列に基づく発明の具体的な使用を容易に決定できる。
【図3】
図3は、本発明にかかるトランスポータータンパクをコード化する遺伝子を補足するゲノム配列を提供する。加えて、イントロン/エキソン構造、プロモーター位置等の構造と機能情報を提供しており、この分子配列に基づく発明の具体的な使用を容易に決定できる。

Claims (23)

  1. 下記(a)〜(d)からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる単離ペプチド。
    (a)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列。
    (b)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列の対立変異体のアミノ酸配列であり、該対立変異体が、SEQ ID NO:1又は3に示される核酸分子の対立鎖に対して、ストリンジェント条件下でハイブリダイズされる核酸分子により、コード化されるもの。
    (c)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列のオルソログアミノ酸配列であり、該オルソログが、SEQ ID NO:1又は3に示される核酸分子の対立鎖に対して、ストリンジェント条件下でハイブリダイズされる核酸分子によりコード化されるもの。
    (d)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列のフラグメントであり、該フラグメントが少なくとも10個の隣接アミノ酸を含むもの。
  2. 下記(a)〜(d)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ペプチド。
    (a)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列。
    (b)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列の対立変異体のアミノ酸配列であり、該対立変異体が、SEQ ID NO:1又は3に示される核酸分子の対立鎖に対して、ストリンジェント条件下でハイブリダイズされる核酸分子により、コード化されるもの。
    (c)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列のオルソログアミノ酸配列であり、該オルソログが、SEQ ID NO:1又は3に示される核酸分子の対立鎖に対して、ストリンジェント条件下でハイブリダイズされる核酸分子によりコード化されるもの。
    (d)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列のフラグメントであり、該フラグメントが少なくとも10個の隣接アミノ酸を含むもの。
  3. 請求項2のペプチドに選択的に結合する単離抗体。
  4. 下記(a)〜(e)からなる群より選択されるヌクレオチド配列からなる単離核酸分子。
    (a)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列。
    (b)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列の対立変異体のアミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列であり、該ヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:1又は3に示される核酸分子の対立鎖に対して、ストリンジェント条件下でハイブリダイズされるもの。
    (c)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列のオルソログアミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列であり、該ヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:1又は3に示される核酸分子の対立鎖に対して、ストリンジェント条件下でハイブリダイズされるもの。
    (d)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列のフラグメントをコード化するヌクレオチド配列であり、該フラグメントが少なくとも10個の隣接アミノ酸を含むもの。
    (e)(a)〜(d)のヌクレオチド配列の補体であるヌクレオチド配列。
  5. 下記(a)〜(e)からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む単離核酸分子。
    (a)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列。
    (b)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列の対立変異体のアミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列であり、該ヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:1又は3に示される核酸分子の対立鎖に対して、ストリンジェント条件下でハイブリダイズされるもの。
    (c)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列のオルソログアミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列であり、該ヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:1又は3に示される核酸分子の対立鎖に対して、ストリンジェント条件下でハイブリダイズされるもの。
    (d)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列のフラグメントをコード化するヌクレオチド配列であり、該フラグメントが少なくとも10個の隣接アミノ酸を含むもの。
    (e)(a)〜(d)のヌクレオチド配列の補体であるヌクレオチド配列。
  6. 請求項5の核酸分子を含む遺伝子チップ。
  7. 請求項5の核酸分子を含むヒト以外の遺伝子組換動物。
  8. 請求項5の核酸分子を含む核酸ベクター。
  9. 請求項8のベクターを含む宿主細胞。
  10. (a)〜(d)のアミノ酸配列のいずれかをコード化するヌクレオチド配列を宿主細胞に導入し、ペプチドが該ヌクレオチド配列から発現される条件下で宿主細胞を培養することを含む、請求項1のペプチドのいずれかを製造する方法。
  11. (a)〜(d)のアミノ酸配列のいずれかをコード化するヌクレオチド配列を宿主細胞に導入し、ペプチドが該ヌクレオチド配列から発現される条件下で宿主細胞を培養することを含む、請求項2のペプチドのいずれかを製造する方法。
  12. 請求項2のペプチドのいずれかの存在をサンプル中に検出する方法であり、サンプル中の該ペプチドの存在を特異的に検出できる検出試薬にサンプルを接触させ、該ペプチドの存在を検出することを含む方法。
  13. 請求項5の核酸分子の存在をサンプル中に検出する方法であり、ストリンジェント条件下で該核酸分子にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドにサンプルを接触させ、オリゴヌクレオチドがサンプル中の核酸分子に結合するかどうかを判断することを含む方法。
  14. 請求項2のペプチドの変調剤を特定する方法であり、該ペプチドを試薬に接触させ、該試薬が該ペプチドの機能又は活性を変調したかどうかを判断することを含む方法。
  15. 該ペプチドを発現する発現ベクターを含む宿主細胞に試薬が投与される請求項14の方法。
  16. 請求項2のペプチドのいずれかに結合する試薬を特定する方法であり、ペプチドを該試薬に接触させ、接触混合物中にペプチドと試薬とが結合した複合体が成形されているかどうかを判断することを含む方法。
  17. 請求項16の方法により特定される試薬、及びその薬剤的に許容できる媒体を含む薬剤組成物。
  18. ヒトトランスポータータンパクにより媒介される疾患又は状態の治療方法であり、請求項16の方法により特定される試薬を薬剤的に効果的な量、患者に投与することを含む方法。
  19. 請求項2のペプチド発現の変調剤を特定する方法であり、該ペプチドを発現する細胞を試薬に接触させ、該試薬が該ペプチドの発現を変調するかどうかを判断することを含む方法。
  20. SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%が相同であるアミノ酸配列を有する本発明の単離ヒトトランスポーターペプチド。
  21. SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%が相同である請求項20のペプチド。
  22. ヒトトランスポーターペプチドをコード化する単離核酸分子であり、SEQ ID NO:1又は3に示される核酸分子と少なくとも80%が相同である核酸分子。
  23. SEQ ID NO:1又は3に示される核酸分子と少なくとも90%が相同である請求項22の核酸分子。
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